約 14,197 件
https://w.atwiki.jp/holyland4/pages/592.html
【第7ターン2戦目終了】シスター・マリー 「不死の霊薬?」 琥珀色の液体の入った小瓶をつまみ、シスター・マリーは尋ねた。 「……ええ、それは月に伝わる伝説の秘薬。予め飲んでおくだけで、如何なる怪我や病に掛かろうとも息を吹き返すこと請け合いです」 後頭部にできたコブをさすりさすり、月の巫女は病院の廊下でうつ伏せで答える。 第7ターン2戦目終了。 誇り高き吸血鬼を倒したマリーに間髪入れず襲いかかった月の巫女は、十字架による殴打で脳震盪を起こして伸されていた。 乱入者を倒した場合、何かしらの特殊なアイテムを貰えるとのことだった。 万能薬など存在しない……と普通なら思うところだが。 「あんたの魔法みたいな治療は、オレも身をもって体験してるからなあ」 2ターン目にアン・ラクシーに切断された左脚が、一夜の間ににょきにょきと生えてきたことを思い出し、さらに 「あー、そういえば貴女、腕も折れていたでしょう。オマケで治しておきましたからね」 いつの間にか痛みの引いている左腕に気づき、マリーは疑うことを諦めた。 「……なあ、この薬、万能薬なんだよな?」 「ええ」 「もし重病人に飲ませたら……治るのか?」 ふとした思いつきだった。だが、声が震えているのが自分でも分かった。 「そうですね。ゴクリと一服飲み干せば、如何な怪我人重病人といえどもたちまち息を吹き返します」 目の前がパアッと明るくなった気がした。 未だ目を覚まさない、危険な状態にあるエルザを助けることができる! いや、その前に 「!!! そうだエルザは無事か!?」 脱兎の如く駆け出すマリー。 「大事に使うのですよー。あ、あと」 遠ざかる片翼の背中に向かって、月の巫女は声を掛けた。 「誰か人を呼んでくださると……あれ、あれぇ……」 *************** そんなやりとりを、綾鷹師匠がいなくなった病室で思い出す。 ポケットに入れた不死の霊薬の感触を確かめ、未だ目を覚まさぬ親友の顔をじっと見る。 『目覚めるのを拒否している』 師匠はそう言っていた。 霊薬に頼って無理やり意識を回復させたところで、果たしてエルザはそれを喜ぶだろうか。 『お前にしかできん仕事だ』 そうだ。オレはこいつの親友だ。 「エルザ、お前には言いたいことが山ほどあるからな」 小瓶を取り出し、親指に力を込める。 キュポン! と小気味良い音が響き、フタが外れた。 「だから……」 不死の霊薬を一気に喉に流し込む。 地球上のどんな液体よりも滑らかに、その薬はマリーの身体に染みこんでいった。 「賞品の少年とやらをとっ捕まえて、すぐに迎えに行ってやるよ」 *************** 「クシュン! ……冷えてきましたね」 「風邪は万病の元と言いますし、冷たい床に転がっているのもいい加減飽きました」 「とは言え脳震盪で動けませんし」 「鉢子ー! 衣ー! 玉枝ー! 誰でもいいから居ませんかー?」 「…………」 「……グスン」
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/2045.html
漆黒と表すが相応しい黒髪に綺麗な琥珀色の瞳。 ヨシュア・ブライト。 彼は今暢気にもハーモニカを弾いていた。 曲名は「星の在り処」。 彼の好きな曲である。 綺麗なメロディーを奏で、そして今演奏を終えた。 「――――ふう」 ヨシュアは一息をついた。 すると後ろの方で、 パチパチ と拍手の音が聞こえてきた。 「すごく上手だね。ヨシュア」 「そうでもないけどね。けどありがとう。キサラギさん」 ヨシュアに拍手を送ったのはキサラギ。 簡単にいうとマーダーである。 「それって何て曲なの?」 「これは『星の在り処』という曲だよ」 「へー。何かその曲聞いてるとなんとなく落ち着わね」 ここはマクアヌ。 このゲームにおいて唯一の憩いの場である。 さて、彼らがいるのはカオスゲートと正反対に位置する広場であった。 ヨシュアがここでハーモニカを演奏していた理由。 それは―――仲間集め。 いや表面上は。というべきか。 この案を提案したのはキサラギである。 本来単独行動を得意とするヨシュアは本当はそんなことしたくないはずだが キサラギの提案に乗ることにした。 ヨシュアは可愛らしい顔をしているが、《漆黒の牙》という異名をもち キサラギの殺意に満ちた雰囲気はすぐに察した。 それでも、彼はとりあえず従った。 それは、彼女を信頼させるため。 おそらくキサラギはエリアに行った途端ヨシュアや集まった人に攻撃を加えるだろう。 ヨシュアはそれを防ぐべく動いている。 具体的にはキサラギをエリアに入ったらすぐに気絶させる。 その下準備としてヨシュアは頑張っていた。 それはキサラギとしても同じなようで、 ヨシュアのことをなんとなく強いやつと判断し、 できる限り彼を油断させようと頑張っていた。 他人からみたら仲良しこよしをやっているが、 その実情はお互いがお互いを警戒し合い、 実にドロドロとしている。 そんな中、ここに集まるのは誰なのか。 それはまだ分からない。 「心強い人が集まるといいわね。ヨシュア」 「そうだね。キサラギさん」 【1日目/黎明/水の都マク・アヌ】 【ヨシュア・ブライト@空の軌跡】 [状態]健康、キサラギへの警戒 [ステータス] LV:15 HP:491/509 SP:164/167 ATK:29 DEF:21 SPD:29 [装備]双剣 [道具]支給品一式、 [所持金]1389 [思考] 基本:参加者を守る 1:キサラギさんを警戒 2:エステルは無事かな? [備考] ※空の軌跡SC後からの参戦です ※能力者扱いです 【キサラギ@クリミナルガールズ】 [状態]精神疲労(大) [ステータス] LV:14 HP:303/459 SP:129/136 ATK:27 DEF:26 SPD:24 [装備]大剣 [道具]支給品一式 [所持金]1265 [思考] 基本:皆殺し 1:ヨシュアを信頼させる とある魔物の人喰らい(マンイーター) 投下順 サムデイ GAME START ヨシュア・ブライト 堕ちていくのは… 『ニセモノ』の再誕 キサラギ 堕ちていくのは…
https://w.atwiki.jp/night2ndandante/pages/130.html
Sideジューン 小さなランプにぼんやりと照らされた長い廊下を、重い足取りで歩く。 窓の外を見上げれば、今ではすっかり見慣れた紅い満月があたかも恒星のような輝きを放っている。 その強い月光はあまりに心許ないランプの光量を補って余りあり、廊下全体は不気味な紅に染め上げられていた。 ふと、ねじくれた角と巨大な蝙蝠の翼が特徴的な異形の怪物が描かれた絵画が目に入る。 それは紅の月光を浴びて、今にも飛び出してきそうな錯覚さえ覚えた。 以前来た時は無かった筈だが・・・・・・。相変わらず趣味の悪い奴め。僕はそう心の内に呟いた。 やがてとある一室の前に立った僕は、ノックもせずにその重厚な扉をゆっくりと押し開けた。 すると、鈴を転がしたような声が広い部屋に響く。 「ごきげんよう、ジューン。調子はどう?」 部屋は廊下と同様に紅い月光に染まっている。 精緻な細工が施されている調度の品々に囲まれた声の主は、部屋の奥で妖艶な笑みを浮かべて、アンティーク調の椅子に脚を組んで座っていた。 琥珀色の瞳にウェーブがかかった短い銀髪で、何故か学生服と黄色いポンチョに身を包んでいる。理由なんて興味ない。 あどけない少女の姿をしたこの女は『裏界』で巨大な勢力を誇る大魔王『ベール=ゼファー』 ・・・・・・僕の主人だ。全く持って不本意だが。 「調子は至って良好だ。お前が呼び出しさえしなければな」 僕は吐き捨てるように言うと、腕を組んで視線をちらりと窓の外へと向けた。 そこには紅に支配された荒涼とした景色が広がっている。決して明ける事のない、常夜の世界。 人間が暮らす『表界』と称される世界と、異形の怪物が犇く『裏界』と称される世界。そしてこれら2つの世界の間にの間に無数に存在する『狭界』と称される小世界群。 その狭界の1つにベール=ゼファーは大きな洋館を構えている。 ベールは一度鼻を鳴らすと口を少しだけへの字に曲げて言った。 「あら、ご挨拶ね。まあいいわ」 こいつの性格は好奇心旺盛で、我侭で、狡猾。 面白そうなことに片っ端から首を突っ込みたがる上、無駄に頭が切れるから性質が悪い。 僕をわざわざ召還する時は決まって配下の侵魔-裏界に住まう異形の怪物-では手に負えない厄介事を押し付ける時だ。 果たして今回は一体何に首を突っ込む気なのだろうか、僕は杞憂と憂いを帯びた視線をベールに向ける。 次に奴が発した言葉は、予想の遥か斜め上を行くものだった。 「あなた、今日から輝明学園に入学してもらうから。そのつもりでね」 ウィンクと共に朗々と発せられたその言葉の意味を理解するのに数秒を要した。 こいつはその媚び媚びの仕草が本気で可愛いとでも思っているのだろうか。誰か鏡を持って来い。 しばしの沈黙が訪れ、僕はそれを破るかのように当然の疑問を口にする。 「何故僕が学園に入学する必要がある」 輝明学園は表界へとひっきりなしに侵攻する侵魔を討つ『ウィザード』の養成学校だ。 ウィザードと言っても全員が魔法使いという訳ではない。ウィザードとは単に侵魔を討つ人間の総称に過ぎず、彼らの戦闘スタイルは多様を極める。 人間がウィザードとなる経緯も様々だ。先天的にウィザードとしての力を持つ者も居れば、何らかの原因で突然ウィザードとして覚醒する者もいる。 現在は侵魔とウィザードとの間には休戦協定が結ばれているが、ベール=ゼファーと関係が深い者となれば話は別。 面白そうな事に見境なく首を突っ込んでは、状況をかき乱すこいつは表界、裏界問わず敵が多い。 万一僕の正体が割れた日にはどうなるかなど想像に難くない。 「まあ聞きなさい。あなたが学園に居てくれると、色々都合がいいのよ。お互いに、ね」 「ほう・・・・・・。学園に潜伏する必要性を詳しく教えてもらおうか」 依然として朗々と続けるこいつに僕は訝しみを含んだ声で訪ねた。 「そのうち分かるわよ。今はそれを話すべきではない、それだけ。戸籍や学籍もちゃんと造っておいたから、その辺も心配ないわ」 この秘密主義には辟易とさせられる。 以前こいつの尻拭いでとあるウィザードの中年男性に半年間追われ続けたあの日々はまだ記憶に新しい。 それにしても随分と用意の良い事だ。僕は胸中を思わず独り言の様に声に出してしまう。 「随分と用意がいいな」 「でしょ? こんなのまで用意したんだから」 その地獄耳に驚く間も無く、奴は細長い何かを僕に向かって放り投げる。 『それ』を反射的に受け止めた瞬間、全身が粟立つような感覚を覚えた。 漆黒の鞘に収められた片手剣。心臓の鼓動が早くなる。上手く呼吸が出来ない。 僕は震える手をどうにか抑え、力任せにその剣を抜刀した。 「・・・・・・! なぜお前がこれを持っている」 震える声で、絞り出すように言った。 それは細身の曲刀。形、手触り、重量感、全てが遠い記憶にあるそれと寸分たりとも違わない。 --刀身が闇その物だと言わんばかりに黒く輝いていることを除けば。 ベールは唇に嗜虐的な笑みを刻むと、顔に抑えきれない興趣の色を浮かべてこちらを見ている。 「それにこの色・・・・・・どういうことだ! 答え・・・・・・」 声を荒げてそこまで言ったところで、僕は違和感に気がついた。 違う、これじゃない。 記憶の残滓に今でもかすかに存在し続けている、握るだけで不思議と湧いてくる勇気と決して揺らぐことのない意志力、 そしてあの形容し難い温もりが・・・・・・この漆黒の剣からは微塵も感じられない。 代わりにあるものは、驚くほど怜悧で残酷な黒の輝きだけだった。 ベールは唇をぺろりと舐めると、琥珀色の瞳を妖しく光らせて満足そうに言う。 「あら、そんなに嬉しいのかしら? 私も苦労して手に入れた甲斐があったわあ。あなたにピッタリの剣でしょう? きっと上手く扱えると思うわ。昔みたいにね」 焼けるような憤激に体を貫かれる感覚を覚えながら、僕は憎々しげな瞳で、自分でも驚くほど怒気を孕んだ声を発する。 「貴様・・・・・・何故この形に創る必要があった?」 「気を遣ってあげたのよ? うふふ」 最早こいつと話すことなど何もない。これ以上奴の余興に付き合ってやる義理もない。 僕は踵を返して部屋を後にすることにした。 「他に用事がないなら僕は下がらせてもらう」 部屋の外に向かって歩き出した僕に後ろから間延びした、しかしどこか嘲りを含んだ声が投げかけられる。 「用事って言うか、アドバイスならあるわよー」 僕は後ろを振り返らずに、ピタリと足を止めた。 「あなたの学年は一年生。北川響っていうウィザードと同じクラスになるから。少なくとも、彼とは仲良くするのよ」 判り切っていたことだが、こいつは人の神経を逆撫でする事に関しては天賦の才があるらしい。 「アドバイスだと? 笑わせるな。単にその方が貴様にとって都合がいいのだろう?」 「そんなんじゃないわよ。あなた友達少なそうだから、良さそうな子を教えてあげただけじゃない。中々いい子よ。友達や大事な人の為に尽くそうとする献身的な子だもの。利用価値もあるしね」 付け加えるようにして言った最後の一言を僕は聞き逃さなかった。 血が滲むほど握り拳を強く握り心の内に渦巻く形容し難い感情を無理矢理押し込むと、僕は部屋を後にした。 Prev とある魔王(笑)の胸騒ぎ Next 朝の不審者?
https://w.atwiki.jp/teikokuss/pages/708.html
しまった、フィクションです、と冒頭に書くのをわすれていたwww ルキアニスをいろんな人とベッドに押し込めてみよう! その1 ナタリア 時系列は、別れたあと。 跳ねる子馬亭は、帝都がはるかに小さかったころにここに作られたという。古代魔導帝國のころにすでにあったともいうが、さすがにそれは眉唾ものだろう。 しかし跳ねる子馬亭が老舗の宿であるということは事実で、やがて帝都へやってくるものらのみならず、帝都にありながら跳ねる子馬亭のもてなしのよさを求めて来る客も増えるようになった。いまでは帝都でも一、二を競う格と、それにふさわしい満足を客に供する。 居間つき部屋というのは、跳ねる子馬亭の中でもそれなりの格の部屋だ。石造りの建物の一番上の階にあり、選び抜かれた調度と、磨き上げられた木の家具が控えめにすえつけられている。 ナタリア・グラッスス・バジリシア公爵はその寝室で、寝台に腰掛けていた。脇机から硝子の杯を取り、琥珀色の香る酒を飲む。 どうしてこんなことになったのかと己に問い、やはり己にさえうまく説いて明らかにすることもできない。なのにこうしている。行きずりの相手に身を任せるほど、気持ちが荒んでいるわけでもない。酔わなければやってられない気持ちもある。 厚い扉をたたく音がした。寝室から居間につながる扉からではない。背後にあるもうひとつの扉からだ。居間つき部屋の寝室には、別の寝室につながる扉がある。その扉には内側のこちら、つまりナタリアのいるこの寝室の側にしか、鍵穴がない。 「開いてるよ」 普段は居間つきの部屋にひとつの寝室だけれど、要があれば、今つきの部屋に二つの寝室と、二つの浴室としてつかえる。そんな部屋だ。ただ鍵穴はナタリアの側の部屋にしかない。 扉は開かなかった。そのほうがいいとナタリアは思っていた。 「アモニス、入ります」 その言いように、ナタリアは少し苦笑して、脇机に硝子の杯を置く。さすがに足音は歩調をとるものではなかった。迷うようでもあった。ナタリアの座る寝台を回りこんで彼女の前で止まる。 「・・・・・・」 「やあ」 言葉にも迷うようだった相手を、ナタリアは見上げた。寝間着に身を包んで一人の古人が立っている。見目で惹かれるというほどではない。その背は古人としては低いほうだ。黒髪は短めで軍務につくなりのものの姿だ。少年兵のように見えるけれど、それは年若いからではないことも知っている。 ナタリアの前に立つ、ルキアニス・アモニスも古人だった。世間では古人といえば見目良いものだと相場が決まっているようだが、ナタリアにとってはそれほど強く感じることでもない。何よりナタリア自身が古人であるのだから。そして古人にだって好みというものがあり、世間で思われているほど誰でもいいというわけでもない。ナタリアは足を組む。 「何してる」 「はい」 「座ればいい」 アモニスは、ナタリアと同じ寝台に腰掛ける。触れるには手を少し伸ばさなければならないほどの間をあけて。まっすぐに背を伸ばして、ナタリアではないほうへまっすぐに顔を向けて。そしてアモニスは言う。 「こういうことって、あるんですか」 ナタリアは少し笑った。こういうことという言い方がおかしかった。 「内戦の頃、それに魔族戦争のころには、部隊でもあったらしい」 「部隊?」 不思議そうにアモニスが問いかける。はじめてナタリアへと顔を向ける。その顔を横目に見ながらナタリアは硝子の杯を傾ける。ああ、とだけあいまいに答えた。抗するようにアモニスは言う。 「でも軍規を守らなくちゃいけないって」 「それはそういうさ。わたしだってそう言う」 「・・・・・・そう、ですよね」 「でも、止められやしない。止められなかった」 思い出そうとは思わない。誰かに聞かせようとはさらに思わない。それはアモニスにもわかったのだろう。ナタリアから顔を逸らし、まっすぐに前を向く。そのまま、無言の時が過ぎていった。どれくらい時が過ぎたのだろう。ナタリアが組んでいた足を組みかえて言った。 「だから、君と『彼』が特別に親しかったとしても私の立場からは何もいえない。気持ちもわからないじゃない」 でも、とナタリアは問うた。 「きみにとって、わたしなのか?」 「・・・・・・わたしじゃ、だめですか」 アモニスはひざの上でぎゅっと手を握り締める。そのひざとナタリアとの間には、もう一人が座れるほどの間が開いている。 不意にアモニスは動いた。その手がひらめき、ナタリアの腕をつかむ。引きずられ、引き寄せられて杯が寝台に飛んだ。その香りの中で、アモニスの手が、ナタリアの手首を掴み、その手を支えに四つに這う形でナタリアを組み伏せていた。 その手首を、手首を掴むアモニスの手へと目をやって、それからナタリアは静かに見上げた。 「手が震えている」 影となった面で、アモニスの琥珀色の瞳がうつろに震える。唇を引き結び、その瞳をナタリアから逸らす。 「・・・・・・ごめんなさい」 ナタリアの手首を握る指から力が抜けてゆく。 顔をそらし、うつむき、体を支えている力すら少しずつうしなって、その額はやがて寝台についた。そのまま寝台に顔をうずめる。アモニスは己の腕を引き寄せ、肩を引き寄せ、震える。 互いのことを何も知らない。何を抱えて、何を求めているかなど、知るはずもない。そうして、己だけを抱えていた。 あの頃のナタリアはもっとずっと、若かった。己さえ知らずにいた。 そしてあの頃のナタリアだって、なんとかすがって生き抜いた。今思い返しても、どうして生き延びたのか、わからないときがある。 そっと手を伸ばし、そっと触れる。アモニスの背中が震えた。 そうされなかったら、今のナタリアはここにいなかったかもしれない。 あのときの明日が、あのときの今日と同じまま続くなら、あのときの日の狭間は、日のあいだとは違っていなければならなかった。 だから、あのときのナタリアには、あのときの夜があった。 「君は、好かれてるんだ。みんなに」 その肩に触れた手を、そっと背へと滑らせる。 「この部屋で起きることは、誰も見ていない。誰も聞いていない。レオニダス候がわたしたちを引き合わせたのは、彼なりの考えがあってのことだろう」 アモニスはかすかに身じろぎする。 「うまくいけばそれでいいし、うまく行かなくても何がおきたのかは誰も知らない」 もっとも、とナタリアは付け加えた。 「わたしは、上手く行かせようとは思っていない。レオニダス候にはそう伝えるように」 かすかにうなずくアモニスを見て取ったあと、ナタリアはそっと身を寄せる。彼女が胸に抱き寄せて続ける。 「人の胸で泣きたいのはわたしのほうなんだけどね」 「・・・・・・そうなんですか?」 胸につぶやく声に、ナタリアは苦笑する。 「わたしにだって人並みに寂しいときだってあるんだけどな」 で、結婚願望と、相手スペックへの望みも高くなってしまうかもだ。 実は、この場を作るのに、マル子パパンの北方との商売というネタが生きてくるとは思いもしなかったw で、しばらくはナタルのために、お婿さんを探し、そしてやはり見つからないんだろうな、とかもw。
https://w.atwiki.jp/mnwarriors0206/pages/15.html
スポッティドリーフ 名前の意味:まだら葉 所属:元サンダー族の看護猫。現在は存在しない(完全に消えた) 性別:メス 毛:黒っぽい三毛柄 目:琥珀色 名前について 子猫 :スポッティドキット(まだらの子猫) 見習い:スポッティドポー(まだら足) 看護猫:スポッティドリーフ(まだら葉) 死因:クローフェイスに殺される。 年齢:約5歳(死亡時) 家族 父 :アダーファング 母 :スイフトブリーズ 兄弟 :レッドテイル、ウィロウペルト、レパードフット、パッチペルト 指導者 スラッシュペルト、フェザーウィスカー 歴史(海外wiki情報) スポッテッドリーフは、サンダー族の看護猫。 彼女はスポッテッドキットとして、兄弟のレッドキット(レッドテイル)とウィロウキットと一緒にアダーファングとスウィフトブリーズの間に生まれる。 当初、スポッテッドポーはスラッシュペルトが指導者だった。しかし、ティスルクローが暗黒の森にいることを目撃、そしてティスルクローがスボッティドポーが戦士になったら連れ合いになろうとしていることに気づき、フェザーウィスカーを新しい指導者として看護猫になることを決心する。 看護猫になったあと、スポッティドリーフはスター族からファイヤポーに関係する予言を受け取る。スポッティドリーフとファイヤポーはお互いに何かを感じたが、スポッテッドリーフがシャドウ族の戦士、クローフェイスに殺されたため、本当の気持ちを明らかにすることができなかった。 彼女はスター族になってから、頻繁にファイヤハートの夢に登場する。その後、スポッティドリーフはファイヤハートに愛のための命を与え、彼がスカイ族を復活する手助け、同時にリーフスターに9つの命のうちの1つを与えた。 暗黒の森の戦いでは、スポッテッドリーフはサンドストームを守っている間にメイプルシェイドに殺されて永遠に消え去ることになった。 関係と考察 スポッティドリーフはウォーリアーズ4期まで活躍していた猫で有名。 ファイヤスターを非常に愛していることでも有名な彼女はファイヤスターに恋をしたとき、看護猫にならなきゃよかった。って1度は思っただろう。 1期と2期の間(ファイヤスターの追求)にてファイヤスターは連れ合いのサンドストームがいるのにも関わらず、未練たらたらなファイヤスターにサンドストームが激怒した。それに対しスポッティドリーフは「大丈夫」とサンドストームをなだめたことがある サンドストームもそれを受け入れ、自分の子供の名前にリーフを入れたと言われている。(リーフプール) 実はスポッティドリーフは掟を破ってまでファイヤスターと結ばれようと企んだことがある。 「看護猫として許される以上にかれを愛していたかもしれない。わたしがこんなに早くスター族のもとへ呼ばれていなければ、状況はちがっていたでしょうね」と少し怖いことを言っている。 でもリーフポーが看護猫の道を歩むと聞いたとき、彼女は言葉にできないくらいとても喜んだ。(日本語版2期2冊目229ページにて) リーフプールがクロウフェザーのことで悩んだとき、自分も似たようなことがあったスポッティドリーフは心のどこかで同情してしまったのかもしれない。(日本語版2期5冊目325ページにて) 気になる疑問
https://w.atwiki.jp/chaosdrama2nd/pages/1142.html
《ニシキノ / Nishikino》 アイコン ゲスト CV 宮野真守 年齢 27 性別 男 種族 人間 誕生日 9月13日 血液型 B型 身長 180cm 好 食べ物全般、美女 苦手 歌唱、運動 趣味 アイドルのライブ鑑賞、美女の写真撮影 Theme♪ Freefall 「興味深い、取材をさせてくれ。」 人物 本名、錦野祐紀(にしきの ゆうき)。通称『ニシキノ』。 東西南北を渡り歩きながら活動しているフリーライター。常に笑顔が絶えず飄々として掴みどころがない男。 好きなジョークを交えた滑稽な話し方、そして隙あらば何かしらボケてウケを狙いに来る剽軽さがある。 だが真実に向かってひた走る確固たる意思を持ち、フリーとはいえ自分の仕事に強い責任感を持っている模様。 自分よりも他者や物事に興味津々で事あるごとに取材を行う。口癖は「興味深い」。 ややボサついた黒髪に整った二枚目の顔。常に琥珀色のコートを羽織っており、ポケットには手帳や取材用のメモ帳、飴玉などが入っている。 仕事上、比較的動きやすい恰好をしているが、亡き妹の形見であるペンダントは肌身離さず身につけている。 食べ物は好き嫌いがなく雑食。高級料理からゲテモノ料理まで何でも美味しそうに食べる。 考え事をする際は常に何かを口に含みたがる癖があり、食べ物は勿論のこと、それがない場合は指やペンを咥えることも。 また老若問わず美女には目がなく、その前では紳士的な立ち振る舞いも欠かさない。 自分の顔には多少自信はあるものの何故かそのような出会いに恵まれず、故に恋愛経験は皆無。 仕事柄記憶力は軒並み高いが如何せん身近な人物の名前は必ずと言っていいほど呼び間違える(意図的なものかは不明)。 ただし自身が美女と断定した人物の名前はきっちりその名で呼称する。 自称「この世のすべてを解き明かす者」。 世界に散らばる様々な謎を解明し、自らの手で真実を追いかけ掴み取ることが野望。 もともとは地球の東京にいたしがないフリーライターだったが、ケイオスに誘われ数年の月日が経っている。 未知の世界、同様にして誘われた者たち、如何して星に誘われたのか等、 自らの経験を通じて未だかつて誰も解明したことのないケイオスの謎に触れ、その核心に迫りつつある人物の一人でもある。 過去のある事件でかけがえのない妹を失っている。 未解決だったその事件を意地でも解決しようとひとりで奔走した結果、 自分一人だけで搔き集めた尋常ではない情報量を基に真実を掴み取り、犯人を特定。 以来、真実を追求することに自らの生き甲斐を感じ始め、ライターの道へと進む。 多くの事件を調査し続けたことで鋭い洞察力と深い問題意識を持つ。 亜空軍文化新聞社とも関りが深く、彼らに情報提供および販売することも多々ある。 関連ページ チョコっとだけの愛と勇気と友情を 僕らの物語 劇場版 僕らの物語 『 僕らの歌物語 』 参考画像 ※包帯は巻いていない キャラクター紹介へ戻る コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/wiki9_ra-men/pages/3571.html
食べた日:2010/6/30 『中華そば いぶし』で、月替わり麺の「トマみそつけ麺」(880円)を。 10.7.1%20%82%A2%82%D4%82%B5%20%83g%83%7D%82%DD%82%BB%82%C2%82%AF%96%CB%20145%94t%96%DA.jpg 10.7.1%20%82%A2%82%D4%82%B5%20%83g%83%7D%82%DD%82%BB%82%C2%82%AF%96%CB%82%CC%91S%97%B1%95%B2%93%FC%82%E8%83%80%83b%83%60%83%8A%91%BE%96%CB.jpg 10.7.1%20%82%A2%82%D4%82%B5%20%83g%83%7D%82%DD%82%BB%82%C2%82%AF%96%CB%82%CC%83g%83%7D%83g%83y%81%5B%83X%83g %82%A2%82%D4%82%B5%96%FBon%82%C2%82%AF%8F%60.jpg こちらの限定、巷では非常に評判がよいので、ずっと気になっていたのですが、提供最終日にようやく食べに行くことができました! 麺は全粒粉をふんだんに使っている感じの琥珀色の自家製太麺。 結構硬いのかな?と思いきや、ムニッとした何ともいえない食感で、私的にはかなり好み。 麺自体も非常に小麦の味が濃くて非常に美味しいです。 麺にはパセリ・粉チーズ・タバスコがかけられていて、つけ汁に浸さずそのまま食べても、麺自体の美味しさも相まって、完食してしまいそうなくらい美味しいです。 つけ汁は味噌味のスープに、トマトペーストを乗せています。 スープベース自体はあっさりなのですが、トマトペーストが混ざり合うことにより、非常に濃厚でコクのある味わいに。 つけ汁内には、ダイストマト・チャーシュー・半割り味玉・挽肉・ニラ・モヤシ・刻みネギ。 挽肉がかなりいい味出してます。 これはマジ旨かったですね~。 トマト・チーズ・パセリ・タバスコと、イタリアンな材料を使いつつ、あくまでもイタリアン寄りではなく、ラーメン寄りな味に仕上げてあるのが尚いいです。 いぶしの限定の中というだけでなく、今年食べたつけ麺の中でも、トップクラスに感動しました。 自家製麺化したからこそ、この“名作”が生まれたわけです。 無理してスケジュール調整してまで食べに来てよかった~♪ 後々思いましたが、コレご飯を入れても絶対に美味しかったと思います。 これは絶対にまたやってほしいです!!! 住所:名取市上余田字千刈田548-1 by hiro (2010年 145杯目) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/chaosdrama/pages/4566.html
————夢結び。夢を介し異界と繋がる現象 『———力をお貸しいただけるかしら。この悪夢に夜明けをもたらす為に』 白雪の如き少女が差し伸べた指先から、繰り返す陽炎の夜は始まった 物語 『夢の中で殺される』 昨今、社会現象と認知された『異世界で殺される』悪夢の流行 具体的な解決策もないままその被害は増大し続け、何度も『夜』繰り返された頃、 ついにケイオスに過ごす彼、もしくは彼女もその『夢』に巡り合ってしまう だが、その一夜に舞い降りた白雪の少女には微塵も殺意はなく、掌を惜しげなく差し伸べこう述べた 『これは夢であって夢ではない。あなた達は確かに『今は』ここに存在し、 今ここにいるあなた達にしか、この異変は解決できない————』 『夢結び』という夢を介して異界とつながる現象、それこそがケイオスの夜に訪れる怪異 これは英雄も破壊者も存在しない異世界で繰り広げられる、『この世』に認知されない物語 繰り返す夜に起こり得たのかもしれない、文字通りの『夢物語』 概要 生存の有無、正史分史の分け隔てなく様々なキャラが『夢』を介して『異界』で戦うお祭り戦闘ドラマ 強力なエネミーが待ち構える一対多の『超高難易度』戦闘を想定した企画ですが、タイマンやチーム戦等ご自由に 戦闘後の記憶の引き継ぎなどによってスキルや異能を獲得する等も可能です おまけ程度のストーリーは存在しますが全て戦闘で進行します 当ドラマの開催はエネミー側のユーザーの判断でいつでも行えることとします 事前告知の項目の用意がありますのでお役立てください 人物 イシュキミリ 白長髪に琥珀色の瞳、紫の薔薇で片目を隠したアルビノの少女。当ドラマの案内人に該当 異界の住人であり、『召喚者 サモナー 』。異界へ外界の住人を招き入れる術を有する 魔人イツラコリウキ 『悪夢』の元凶と推測される『影の国』の上位魔人 イシュキミリ同様『召喚者』としてケイオス、或いは異界から悪夢の核となる人物を召喚する 薬売り 自称『薬売り』。男か女かも判別がつかない人物。ローブを常に羽織っている 100円で『夢結び』を故意に引き起こす飲み薬を売ってくれる クエスト事前告知 お祭り戦闘物定番の『高難易度系』 参加者が集まりそうな日時を指定してフリー戦闘ドラマの告知としてご利用ください 一部のクエストは達成するとストーリーが進行します 下記テンプレをご覧の上コメント欄を利用していただけると助かります 【タイトル】 (任意事項 クエスト名ってあったらかっこいいじゃん?) 【ルール】 (エネミーの参加可・不可を選べます) 【エネミー】 (ルールが参加可の場合コメント欄を編集して加筆してください) 【開催期間】 (例:2018/11/11/22 00〜翌01 00読んで字の如く 就寝時間を考慮する場合もこの『時間まで』とおおよその目安を指定したり) 開催告知 名前 コメント すべてのコメントを見る .
https://w.atwiki.jp/kokodakeuccharmatome/pages/100.html
【性別】女 【身長】165cm 【容姿】アルビノで髪を背中の中間位まで伸ばしており、目は琥珀色の一見大人しそうな感じ。実際大人しい 普段は学生服 【性格】基本的には真面目。こころやさしい 【能力】神性 A 神の血を引くことを表す。彼女の場合は神と意識は別々だが融合状態にあるためAランク。 一見意味のないようなスキルに見えるが、これは所謂優秀であることを示す血統書のようなもの。 概念消去 E~計測不能 物から概念まで消し去る滅却の力。彼女の場合は血に宿っており、死人と自分に限り血の温度まで操れるのだとか。 そして、血に触れればひとたまりもないほどの虚無に襲われる。対象はある程度変更可能らしいが融通は利かない。 対魔力 E~計測不能 魔術、魔法に対する抵抗力。 傷付けることは出来ても軽減が働く。 炎迅全壊 えんじんぜんかい 対軍魔剣。刀の鞘に血を仕込み、それを水蒸気爆発させながら敵を斬る抜刀術。 ドロマとの融合の際に与えられた経験、センスと、鍛えられた良質な刀により産み出されるそれは、軍をも斬る。 人が人たる為の誓約 ルビ思い付かねー 常駐型の能力。戦闘時に、敵が人というラインから外れた存在でであるほど能力が解放、ランクアップする。 逆に人に近いものであるほど、能力に制限がかかっていく。神クラスの相手に対しては全ての能力がEXを越え 人というラインに立った存在に対しては全ての能力が使用不可能。山を吹っ飛ばせる奴なんかには使用可能。 【所属】ナッシング 【大体の騒動について】 彼女が言うには、突然意識がなくなって気が付いたら人を殺していたらしい。 つまり!狩人は誰かに操られていたんだよーッ! 殺していた人間は共通点(学生だとか)があったらしいが(本音を言うと設定が一人歩きしちゃった、てへ) そいつらは大体狩人に何かしら悪影響を及ぼしていた人物である。 【過去】 物心付いたときから両親はいない。 一時期は両親の親戚に引き取られていたが、親戚は彼女を見捨て、自分の親戚に預けた。 そうして彼女は親戚から親戚へ...と、各地を転々としていた。 当然、学校に馴染めるはずもなく。馴染め初めても更なる転校が待っているだけである。 彼女は徐々に精神を磨耗していったが、彼女は最後の育て親に出会った。 育て親と彼女が過ごした時間は3年。5、6ヶ月スパンで育て親が変わっていた彼女にとっては、長かっただろう。 だが、ある日。たった一人の男が育て親の人生も、彼女自信の人生もを、壊していった。 その男は捕まり、強盗殺人、強姦等の罪に問われ無期懲役の判決が下された。 二年後、彼女は病院を退院し、誓った。もう誰も信じない、と。 【補足情報】 中身がこのキャラの感覚を掴めてないため性格がコロコロ変わる。 うっぜぇもじもじした女になったり設定通りの性格になったりするのはご愛敬...じゃダメなんですか
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/1740.html
姉貴とにょ慶次の内緒話です。一回で投下できなかったので分けました。 どうにもこうにも刺激されたので、あまり深い設定は考えていません。 するりとお読み頂ければこれ幸い。 姉貴は元就と恋人同士前提です。 =============================================================== 土佐岡豊城にて、長曾我部元親は客人の来訪を告げられた。 「おう、今なら空いているから通してくれ」 書きかけていた手紙を仕舞うと元親は文机の上を片付けて、席を立った。 いつもの海賊風の衣装ではなく、品の良い小袖を着ている。 女とはいえ、そこら辺の男性より長身な彼女の為、特注で作らせたものだ。 淡い紅を刷いたような上質の絹地に鮮やかな華が描かれている。 瀬戸海を挟んだ向こうに居る恋人から送られた品で、元親も気に入っている。 もっとも、こんな着流し風に崩して着ているのを見られたら、琥珀色の目を吊り上げて怒られるだろう。 「待たせたな」 元親は振り返った客人の顔を見て、少し驚いた。 「何となく寄りたくなったんでね」 前田家の風来坊、前田慶次は片目を瞑って悪戯っぽく笑うと、これはお土産だと言って包みを渡した。 「美味しい落雁を見付けたんだ、元親は甘い物が好きだろうと思ってさ…」 「こいつはどうも」 俺の好みを良く分かっているね、と二人は顔を見合わせて豪快に笑った。 「で、何か話したい事でもあるのかい?」 控えていた家来達を別室へと下がらせ、侍女が用意したお茶を置いて部屋を去ると、元親は膝をにじり寄せて慶次の近くへと来た。 「…うーん、まぁ、それなりに」 歯切れの悪い台詞に、元親は隻眼を細めて訝しむ。 「どうしたんだい、慶次らしくもねぇなぁ」 ばしん、と肩を勢い良く叩かれ、顔を顰めた慶次は、きょろきょろと周囲を伺うと、元親を手招きした。 「ん、こうか?」 慶次は見てくれがかなり派手だが、心はしっかりと乙女である。 その辺は元親も何か通じるものがあるらしく、何かと慶次の相談にのってやる事が多かった。 鈍色の髪の間の白い耳朶へと慶次は唇を寄せると、ぼそぼそとかなり小声で話しかけてきた。 「何だ、もう少し大きい声で話せよ」 聞こえないよ、と元親に言われると、小さく咳払いをした後にようやく聞こえる程度の声があった。 「…好いた相手と初めて朝まで過ごした時の事を聞きたいんだ」 「じゃあ、お前、とうとう…」 元親は慶次の顔をまじまじと見詰める。 「そんな大声出すなよ、こんな事相談出来るのなんて、元親だけだと思って頼ってきたんだからさ」 一体何を言い出すのかと思えば、と元親もどう答えて良いのか困り、赤くなっている慶次の肩をぽんと叩いた。 恋華2