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~テラカオス内部~ (…気に入らないな…ハルヒとか言うの。アスカといいかがみといい 僕の知るツンデレっていうのは皆こう、自己中心的なのかな?) カヲルはハルヒがテラカオスを掌握していることに不満を抱いた。 テラカスとアーマゲモンは意中の人が手に入ればそれでいいらしいし ヴェル爺さんは特別な存在になったつもりでいる。…やれやれ 「…クーデター起こすか…」 カヲルが調子に乗っているハルヒに不意打ちを喰らわせて殺すことにした 不意打ちは僕の十八番だ。 だがそんなカヲルに1人の人物が立ちはだかる。 「そんなことさせると思うか?」 「な…田代…?」 ありえない。そういえば今まで疑問に思っていた。 ハルヒと同じ神ランクの…田代。 この中でハルヒを一番目の敵にしているはずの…田代。 この状況に一番最初に反逆するはずの…田代。 本気を出せばハルヒから掌握権をぶんどれることも不可能ではないはずの…田代。 何故、田代が今までおとなしくしていたんだ。 何で僕の邪魔をするんだ?おちつけカヲル。こんな時は交渉だ。 「君は唯一神になりたいんだろう?ハルヒを殺せばその願いが叶うんじゃないかな?」 「フッフッフ…その必要はない。何故なら…もうその願いは叶っているからだ。 テラカオスを媒体にしてハルヒの魂と私の魂が集約した時からな。その時点で私にとってもハルヒにとっても唯一神になれたのだよ。 その後は新世界の創造を待てばいい。私とハルヒ、どちらが掌握権を握ろうと関係ない話だ。 …どうする?私を倒してでも反逆しにいくか?まあ私を倒せたらだが。」 うん、それ無理だね。僕1人で田代とガチバトルして勝てるわけないだろう。 やっぱり田代もハルヒと同類で、神の力に自惚れたクズなんだな… 「…仕方ないね。」 「それが懸命だ。バレたのが私でよかったな。ハルヒだったらすぐにお前を殺していただろうよ。クックククク……」 こうしてカヲルのクーデターは静かに始まり、静かに終わりを告げた。 【二日目・15時/】 【HAL☆SUZUMIYA@涼宮ハルヒシリーズ×ニコロワ+カオスロワの色々な要素】 [状態]真覇王冥王大魔王極十字聖天上天下唯一VIP神渚デジタルウィツアルネミティア特別美帝HAL☆SUZUMIYA [装備]無し [道具]無し [思考]基本:神として君臨する 1:喜緑、長門、シンジ、エルルゥと結婚して特別な存在にする。 2:オリキャラ(主に書き手)は皆殺し。逆らう者は皆殺し。逆らう喜緑、長門、シンジ、エルルゥは特別に調教する。 3:目の前の遊戯どもを殺す。 ※ハルヒがテラカオスの主導権を掌握しました ※見た目が七英雄(笑)から全裸のハルヒ(爆)に変わりました ※カオスロワ5の一部の死者の能力を使えます ※テラカオスの人格及び魂は能力だけ奪われて完全消滅しました ※誰かが内部でクーデターを起こそうとしても、田代神が目を光らせているので余裕で無理です ※空いた椅子にはヴェル爺が座りました。何故なら彼もまた特別な存在だからです ※掌握権の序列はハルヒが一番上で次が田代のようです
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201: アイサガP :2020/02/25(火) 18 06 12 HOST zaq3d7d53a8.zaq.ne.jp 東アジアの統一中華戦線グダグダ戦記 とあるメタ視点持ち達の憂鬱 「当たり前だが原作からはく離してきたな」 「帝国軍のクーデターの前に国連とアメリカを主力にしたユーラシア東部への大反攻作戦ですか… 真っ当に考えれば我々の介入で落ちた国威を上げる為、ですが…」 「この時期に日本の各所に駐屯させる意味が分からん、 廈門の拠点化は始めたばかりだし、日本には佐渡のハイヴが残ったままだ」 「脅しかもしれないですな、介入による影響で日本政府、軍部にも反米、従米を基本に分かれているという事ですし」 「…我々にもかな?」 「でしょうな、これだけの数を動かせる影響力を見せつけているつもりなのでしょう」 「数だけだがな、いい加減現実を直視してほしいものだ」 「……まだ未確認情報ではありますが、派遣予定の米軍艦隊にはG弾を積んでいるという情報が流れています」 「…まあ、アメリカのG弾ドクトリンを考えればあり得ない話ではないが こちらとしては全く愉快な話ではないな」 「…G弾を使わせないために佐渡の攻略をこちらがしますか?」 「そうだな…アプサラスぐらいのMAを使えば一日もかからずにハイヴの攻略はできるが…」 「米軍の「誤射」も想定しなければならないでしょうね…」 「空中で動けるMAに有効な打撃なんぞ、向こう側にはほとんど無いぞ それこそG弾でも使わない限りは…」 「まさか米軍は日本に既にG弾を運び込んでる、と?」 「最悪の想定です、ですがまああり得ないと言い切れないのが怖いところですね…」 「……さらに頭の痛い話だが、原作よりもクーデターの規模が大きくなりそうだ…… 現地調査から軍部だけでなく、名家や政治家なども決起に関わっている可能性が高い、だそうだ」 「「「はぁ~……」」」 「なんで、こうも、手間ばかり、かけさせてくれるかな……」 「…アンサラーのスケジュール調整を行おうと思います」 「そうだな、これ以上舐められるのは御免だし、G弾を運用させ無いように手を打つとするか」 「それに大西洋やユーラシアにも警告を送るべきですね、日本だけで火遊びをするとは思えません」 大洋連合領内の某所にて 原作ではく離した情報を整理、分析した結果 日本にてクーデター等のテロ活動が起きて、米軍が直接関与してくる可能性も高い事 極東アジアのハイヴ攻略をする事を理由にG弾を持ち込んでいる可能性が高い事 米政府の暗躍で世界各所で正確な内容は不明であるが何かしらの「事件」が起きる可能性が高い事 以上の内容を連合政府内にて提言、対策に乗り出す事になった 202: アイサガP :2020/02/25(火) 18 08 09 HOST zaq3d7d53a8.zaq.ne.jp ※グダグダ戦記は大陸SRW本編とはパラレル、並行世界線の話です、此処の設定や内容を本編と一緒にしないようお願いします 短いですが今回は以上です 大洋「なんで、G弾を撃ち込まれる事を警戒しなきゃならんのだ…」
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フェーザン共和国とはユーフェイオン大陸カルデ半島北部にある国家。首都はべレンべ。通貨はジャン 歴史 やはり大日本帝国から撤退した時に独立した国家。1988年までは軍事国家及び全体主義だったが冬薔薇事件やハトン村虐殺など以来民主化がだたかまりフェーザン革命ができ民主化政治が行われた 政治 20年くらい前までは軍政だったが革命により民主主義な国家になった。二院制で議会制共和国を採用していて民主主義をユーフェイオン大陸内で一番を尊重している。 外交 ドイツやイタリア、イスラエルなど議会共和制の国家と意外と友好関係。 フェーザンで起きた事件(年代順) 血の正月(1952年) 建国して5ヶ月後に起きたクーデター事件。当時フェーザン軍のハータン将軍はクーデターを起こし両陣営12人が死ぬという惨事になった。しかも年が明けたその日だった。 鮮血の朝事件(1963年) 軍政府に残った臨時政府の一人のハンげー・コルスン氏がハータン将軍を包丁で刺しその後政府に立てこもり警察や軍に対し発砲を繰り返し計22人が死んだ事件でハンゲー派の人物はポレス島に島流しされた 冬薔薇事件(ノースローゼン事件)(1980年年) 国民が反軍政府戦争に反対し軍隊と衝突した事件で名前の由来は衝突の起きた国立美術館の冬薔薇。デモ隊が国立美術館を占拠しようとした ときに軍隊と衝突した。そこで冬薔薇の木をたてに血みどろの攻撃が行われたがついに軍隊がかった。両陣営死者数541人にさかのぼるとされる。 ハトン村虐殺事件 反政府派のハンゲーが潜んでいるとされ軍が村の3652人が虐殺される事件。後に民主化後首都の遷都が行われ都会化した
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カスタード かなめいし 蟹座 カラマネロマノフ きときと きれいなゲーチス キュインコン 曲芸師 金鰤 空泳ポッチャマ クーデター 草笛ロズレイド 糞鍵 クロバットマン 剣舞ルンパッパ 黒糖 ゴツメアロー コテハンは一生つけない 此方ハルト コノハナ [[]] [[]] [[]]←編集テンプレ保存
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登録日:2011/09/19(月) 20 08 33 更新日:2023/08/08 Tue 09 19 44NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 ガン×ソード キムッターカ ザピロ・ムッターカ ドラゴンハング 石野竜三 お礼のアップルパイが届いた。 食べるべきなのだろうか…? ガン×ソード GUN SWORDの登場人物。 CV 石野竜三 概要 カギ爪の男の組織の一員であり、技術職のチーフ。 優れた技術者でありオリジナル7のヨロイを扱うだけの技術をもっており、作中ではサルベージされたサウダーデの修復や改良を任されている。 また、サウダーデの操縦者登録に苦戦するミハエルを「頼まれていた振り込みが手違いで熟年男装チアリーディングチームに全額寄付されてしまった。」という謎のジョークを話すことで緊張をほぐすなど、気さくて親切な人物。 劇中の行動 当初は組織の計画を「あえて汚名を被り、力と恐怖で世界を征服し治安を維持する」物と考えカギ爪の男に協力。 だが、サウダーデの能力を解析していくうちにカギ爪の男の計画が「人類をなくすこと」、つまり虐殺だと推測するに至り、組織内で仲間を集めクーデターを起こす。 そして信頼しているミハエルを新たなリーダーとし、組織を再編成を試みる。 しかし、ミハエルがそれを拒否したために人質とし、カギ爪の男と直接交渉を行うことに。 要求は「計画の詳細を全員に伝える事」、「組織のトップをミハエルにする事」、 そして「計画を中止する事」。 これらの要求を飲まない場合はサウダーデに仕掛けた大量の爆発物を爆破すると宣言。 しかし、カギ爪に「他はどうでもいいが計画の変更だけは無理」と即答される。 「世界征服では精々何百年しか持たない」と語るカギ爪に対し「だからといって虐殺が許されるわけがない」と反論する。 しかしカギ爪はそれは誤解だといい、尚も自らの思想を語り続ける。 共にクーデターを起こしたドミンゴが痺れを切らしカギ爪に発砲するが、ミハエルにより阻害され、カギ爪に抱き殺されてしまう。 ムッターカ達は脱出用のヨロイ・ドラクルに乗り込み、オリジナル7欠番メンバーであるヴァン達の元へ合流するためにミズーギィへと向かう。 しかしそこへサウダーデに乗ったミハエルが追撃に現れる。 交渉が完全に決裂した上に自らを抹消対象としたミハエルに対し「若すぎたか…」と呟く姿が印象的。 仲間達はムッターカにサウダーデを爆破するよう求めるが、実際には爆発物は積まれていなかった。 誰よりもヨロイを愛していたムッターカに爆発物をセットすることは出来なかったのだ。 必死に抵抗を試みる仲間達だったが、ムッターカは自ら整備をしたサウダーデとの力の差を理解しており、「無駄だよ…あれはスペシャルなんだ…」と半ば諦めた様子になってしまう。 結局ヨロイから脱出をすることもなく、サウダーデに撃破され死亡。 皮肉にも自らがサウダーデの実戦テストの対象となってしまった。 ミハエル……私は君が好きだった…… 君となら、共に平和を……なのに! なぁミハエル!人は…… 人にとって幸せってなんだよ! なぁ、ミハエル……! 組織の中でも親交のあったムッターカを討ったことはミハエルに葛藤を齎すが、同時に止まることが出来なくなった彼はカギ爪の協力者として積極的に行動するようになっていく。 余談 BDBoxにて、ヴァンの婚約者・エレナの実の兄であるという裏設定が明かされた。ザピロの物語上の役目は「カギ爪は常軌を逸した存在であることを改めて知らしめる」「ミハエルをカギ爪の同志として後戻り出来なくさせる」ことであり、兄であることもエレナの親類であることもあまり意味は無いので埋もれたのも無理は無いか。 外部出演 スーパーロボット大戦K 何故か登場。いや出ておかしいという訳ではないが、「他に出す人いるだろ」という声が多い。 登場シーンは原作とは全く違い、ミハエルとも特に絡まない。よって死亡もしない。 更に何故か「幸せの時計画」の阻止を見事成功させ、ジョシュアの最大の見せ場を奪った。 追記修正は最低数億回シミュレーションを行ってからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 中の人が五飛と一緒。そんなキャラがミハエルに信念とかを問うているって所が味わい深い。 -- 名無しさん (2020-10-09 06 27 13) 裏設定ではエレナは彼の妹だとか。 -- 名無しさん (2021-09-22 05 01 17) スパロボTはTで「同志怖い」的なセリフ言わせるためだけの登場という -- 名無しさん (2021-09-22 05 08 55) 中の人ネタばっかり。 -- 名無しさん (2021-12-07 06 00 20) BDBOXの話って「エレナの異母兄弟であるという裏設定があったが本編では没になった」じゃなかったっけ -- 名無しさん (2022-01-16 20 09 56) 名前 コメント
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集いを作った男。 かつては管理人?として集いのトップに君臨していたが、集いをなめたような態度をちょくちょくとっていたためクーデターが発生し、管理権を剥奪された。 今では一般集イスト。
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マリーエントの姉。ペパーズ家の血を正式に受け継いでいる。 イウェルの婚約者でもある。 美しく、気高い、慈愛に満ちた女性。 クーデターの際には体を張ってイウェルの マリーエントのいる屋敷内への侵入を防いだ。
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アンブローズ・カプラン(宇宙暦?年頃 - )は自由惑星同盟の政治家。原作登場人物である。 略歴 前世 トリューニヒト派の評議会委員。宇宙歴801年、オーベルシュタインの草刈りで収監される。 新版 宇宙歴793年に国民平和会議(NPC)組織局長を務めており、ヘーグリンド派に所属、派閥こそ違うが、ヨブ・トリューニヒト政策審議会長の腹心。下院議員で予備役准将の肩書を持つ。(14話) 宇宙歴795年にドゥネーヴ派のヨブ・トリューニヒト前NPC政策審議会長と共に反議長派の前に立ちふさがり、ムカルジ政権を擁護した。「反議長派から議長候補が出たら離党する」とまで宣言した。同年発足した党内第六派閥トリューニヒト派に合流する。(29話) 宇宙歴796年には第二次ボナール政権のもとで第一国防副委員長を務めている。エリヤ・フィリップスの提督昇進パーティーに出席した。(47話) 宇宙歴797年、フィリップス准将の幕僚に甥のエリオット・カプラン宇宙軍大尉を押し込んだ。同年汚職疑惑が持ち上がる。(50話) 宇宙歴801年4月、第二次トリューニヒト政権成立により、国務委員長に就任。 同年10月末、一〇月クーデター(民主主義再建会議のクーデター)において、拘束される。(79話) 宇宙歴801年4月、第三次トリューニヒト政権ではシルヴェステル・スタピンスキーが国務委員長に就任している。(99話)天然資源、社会福祉、産業開発、国土開発、国土保安のいずれの委員長か大衆党副代表などの党の要職に就任したと思われる。 性格 職権乱用で評判が悪い。気さくだが余計な一言ばかり。 公職 先代:不明 自由惑星同盟国務委員長宇宙歴801年4月頃 - 宇宙歴802年3月 次代:シルヴェステル・スタピンスキー
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522: トゥ!ヘァ! :2021/01/01(金) 13 00 58 HOST FL1-122-133-236-126.kng.mesh.ad.jp スパロボクロス 未来編 ヴォルガーラ日記 過去編 これはスパロボクロス未来編…よりも過去の話。具体的には半世紀位前のお話である。 「ふうん。それで私に味方しろと?」 「そうだ。貴公が来れば百人力。かの惰弱な指導者と議会の打倒も完全なものとなるだろう」 ここはヴォルガーラ領内のとある宙域。特に珍しいものがあるわけでもない地域である。 そんな地域に四天王と称される軍事における最高幹部が三人も集まっている。 最高位である暗黒神を除く岩洞神、幻神、風神の三人である。 そしてそれに付き従う無数の艦隊。ざっと正規軍の三個艦隊分。 それらが集まり言葉を向けているのはただ一人。この時期ただの平役職であったペペロンチーノ・スカンジヴィアノ(本名バルトロメオ) というよりもこの時期のペペ氏はただの一般部隊長の一人。それが上司に呼び出されたと思えば最上級職である四天王のうち三人とご対面状態である。 「現元老議会を牛耳る執政官とそれに属する執政官派の議員たちに対するクーデター。それに協力しろねぇ…」 そんな平隊長ペペ氏に四天王が打ち明けたのが現政権へのクーデターである。 現政権は戦よりも受け入れた新種族への融和政策や文化的事業への支援を優先するなど、今までの政権と比べ幾分平和的であった。 それに業を煮やした過激派とも言うべき一派が計画したのが今回のクーデター。 既に首都星の包囲は完了しており、各地の有力者にも話を付けているという。 ペペ氏が呼び出しくらったのもその一環であり、かつてよりその強さで名を轟かせていた彼を味方に引き入れようという魂胆である。 「そうだ!現在の執政官は文に溺れている!ヴォルガーラ人と言えば鉄と身体と命を顧みない剣技と魔導を駆使して、強さを求めることこそ本来の姿!傘下に降った異民族への融和だ、弱者の救済だなぞ言語道断!」 そう高らかに声を上げるのがこの場を仕切る岩洞神を預かる現四天王の一人。 他の二人も声は上げないがこの場にいるということは彼の同志というわけであろう。 「既に我々の頭目である暗黒神ブロゥを受領しているアレキサンダー殿が首都星を包囲している!かの方が率いているのは100万の直衛艦隊!そして支援を約束し、戦力を派遣した各地の有力者の艦隊合わせて400万! そしてこの場には我々が率いる500万! 他にも続々と各地の同志たちが駆けつけている!」 岩洞神の男は何かに酔っているかのように語り掛ける。しかし当のペペ氏はどこ吹く風でボケーと話を聞き流しているのだが。 「無論我々も同朋を無駄に失いたいわけではない。特に君のような腕の立つ者はだ! そこで我々に協力してもらいたいのだ。勿論対価はある。四天王の席だ。 今暗黒神の席にいるアレキサンダー殿は遠からず執政官となられる。そこで空いた無論我々もそれに伴い新たな役職に就く。 そこで君には新たな四天王になってほしいのだ。どうだ?悪くない取引だろう」 「なるほどねぇ…因みに断った場合は?」 「死んでもらう」 間を置かずに言われた言葉。つまるところ断れはここにいる三人の四天王から一斉に攻撃されるということなのだろう。 なるほど。客観的に見れば頷くしか選択はない。ここには彼等以外にも500万の手勢がいるのだ。 なるほど。なるほど。 「だが断る。このあたしが最も好きなことの一つは自分が優位と思い込んでる輩にNoを突き付けてやることなの♡」 「そうか。残念だ」 そういった岩洞神の席を持つ男は言葉を言い終えるより先だと言わんばかりの攻撃を仕掛けてきた。 無論残りの二人も同時にだ。 ペペ氏絶体絶命のピンチである。 523: トゥ!ヘァ! :2021/01/01(金) 13 01 29 HOST FL1-122-133-236-126.kng.mesh.ad.jp ところ変わってこちらは首都星。 既にクーデター派の艦隊により包囲は完了。陣頭指揮を執るのは暗黒神ブロゥの席に着くアレキサンダーという名前の男。 アポカリプス時より前線で戦い続けたバリバリの叩き上げである。 そんな男が率いる艦隊が100万。支援を表明した国内の軍人や政治家、御家人などによる義勇軍400万。合わせて500万での包囲網。 要求はただ一つ。現議会の解散と執政官の解任。及びその身柄引き渡しである。 従えない場合は艦隊からの攻撃で首都星を焼き尽くすと表明している。 普通なら自らの首都星を焼くなど狂気の沙汰だが、頭のネジが百本単位で抜け落ちてると言われているヴォルガーラ人なら躊躇なくやるであろうことは想像するまでもない。 そんな要求への回答期限は半日。どう見ても相手に話し合う時間すら与えないつもりである。 そんな中で流石に首都星焼かれるのは不味いなぁっというわけで衛星軌道上の会談場所と指定されたステーションまで一人やってきた男がいる。 現執行官であるキリシュタリアという名前の人物である。 「答えは決まったようだな」 アレキサンダーが問う。まあここまで来ているのだから既に覚悟は決まったのだろうというのがわかる。 「うん。決まったよ。でも最後に一つ聞きたいんだ。どうしてこんなことを?」 現執行官である男が問う。 「決まっている。正しき形のヴォルガーラを取り戻すためだ」 「正しい形か。本当にそれは正しいのかい?僕らはようやく鉄の怪物から、元の血の通った人間に戻ろうとしているのだよ?」 「それが我慢ならんのだ。我々はその鉄の身体と武力を持って宇宙を渡り歩いてきた。この世界に来る前も、来た後も!」 二人の話は平行線である。それはもそのはず。ハト派の筆頭である現執行官キリシュタリアとタカ派筆頭であるアレキサンダー。考えが交じり合わないからこそこうなったのだ。 「既に大氏族の幾つかにも話は付けてある!四天王も全て私の考えに賛同している!更にはこの場にいる戦力だけではない。残りの四天王が率いる500万の艦隊もいる。 これが我々の声明だ。これが我々の考えだ!」 アレキサンダーは高らかに宣言する。お前ら穏健派がやってきたことなぞ認めぬと。 「今ならこの場に一人で来た覚悟を認め名誉ある切腹を認めるぞ」 そのためにこの執行官たる男はこの場に来たはずなのだ。首都星を焼かぬために。 自分なら切り捨てた。首都などまた別の星に再建すればいい。それが出来ぬからこそ、この男はこの場で死ぬのだと。 だがしかし。執行官キリシュタリアはアレキサンダーが予想していたものとは違う言葉を紡いだ。 「それは嫌だなぁ。切腹は痛そうだ」 「そうか。ならば他者の手により死ね」 言うが早いかアレキサンダーの傍に侍っていた親衛隊が抜刀して執行官に襲い掛かる。 四天王筆頭たるアレキサンダーが直々に鍛え上げた精鋭たち。 目の前の男が一瞬の後にはネギトロになる様を予想し…その未来に裏切られる。 親衛隊たちの刃は執政官に届かなかった。詳しくは執政官の表面に触れるかどうかという距離で止まっている。 アレキサンダーは驚愕し、理解した。届かないのではない。動けないのだ。 己が直々に鍛えた精鋭たちからも驚愕の気配が伝わってくる。 「さっき言った覚悟とはね…同胞をこの手にかけるという意味の覚悟なんだ」 執政官キリシュタリアはそんな状況にありながら涼しく言い放つ。 己は死にに来たのではないと。 「合わせて1000万。流石に国防に穴が開く。それが困りごとでね。あと彼等も税金を払っている市民ではあるし。何より私はあんまり血を見たくないんだ。ほら。私穏健派筆頭だし」 いつもと変わらない顔色。いつもの変わらない声色。いつもと変わらぬ雰囲気。 それでいてこれである。 瞬間男は抜刀した。四天王筆頭暗黒神の席を持つアレキサンダーが最も得意とする抜刀術。 光の速さにも匹敵するそれは確かにキリシュタリアを捉えた。 まともに斬撃を浴びた執行官は会談場所のステーションの壁を突き破り宇宙空間に放り出される。 「撃て!殺せ!」 続けてアレキサンダーが叫ぶ。外に待機していた部隊への命令だ。 ステーションの外に放り出された執行官キリシュタリアに幾つもの攻撃が集中する。 ビーム、ミサイル、飛ぶ斬撃、重力波、魔導攻撃。ありとあらゆる攻撃が執政官を襲う。 ある程度の攻撃が続いたのちに攻撃が止まる。 宙域一帯は爆炎に染まり目標を見失ったからだ。 「やったか…?」 524: トゥ!ヘァ! :2021/01/01(金) 13 02 08 HOST FL1-122-133-236-126.kng.mesh.ad.jp 誰かがそうつぶやく。しかし、煙が晴れた後に現れたのは無傷の執政官であった。 埃一つない。会談に来たままの姿。 断空。ヴォルガーラで使われている魔導術の一つ。腕の立つ者が使えば戦艦級の主砲すら防ぐと言われるそれが執政官の周辺を覆っていた。 だが待ってほしい。確かに理論上は可能だ。しかし今攻撃された中には戦艦級以上の大戦艦級の主砲や重力波系攻撃も混ざっていた。 とても個人が展開できる魔術で防ぎきれるものではないはずである。 だが現実はそれを裏切る。どの観測情報も執政官が術を発動していると判断している。 何か補助がされているわけではない。何かから干渉があったわけでもない。 純然たる彼個人の力であった。 「攻撃再開!ステーション事でいい!!」 アレキサンダーが再び吠える。 今度はステーション付近の味方だけではない。500万の手勢全てから攻撃が殺到。 ステーション内にいたアレキサンダーとその親衛隊はテレポーテーションでその場を離脱。 艦隊のただなかへの避難した。 先ほどとは規模が違う。爆炎どころか空間が歪むレベルの攻撃。 本来ならゼントランの基幹艦隊などに叩きつけるレベルの砲撃なのだ。 そんな攻撃の中心にいる男は変わらず涼しい顔でいる。 異常だ。可笑しい。何故だ何故だ何故だ。 アレクサンダーだけではない。艦隊の兵士達とも同じ気持ちだ。 なんなのだこれは。何と戦っているのだ。 正規艦隊の攻撃に匹敵する火力なのに、それをただの個人が防いでいる。 奴の張る防壁を崩せずにいる。 そうした攻撃が続くうちに執政官は新たな動きを見せた。 掌に黒い物体を作り出したのである。それは如何なる魔導か。 その正体はすぐさま艦隊の計器により判明した。 重力渦。一般にはブラックホールと呼ばれるものに近しい代物。 計測されたエネルギー量は首都星を星系事飲み込んでもなお余りあるレベル。 それがただ個人の掌の上で完全に制御されている。 そんなものが解き放たれた。瞬間全てが吸い込まれた。 変わらず続けられる艦隊の攻撃も、会談場所となったステーションの残骸も、攻撃を続ける艦隊も、四天王筆頭が鍛え上げた親衛隊も。 全てが全て飲み込まれた。 数瞬。瞬き程度の後に残されていたのはいつもの首都星系の様子。 違いは、あれだけいた艦隊が一つ残らず消えている点。 「何を…した…」 唯一生き残った…いや、情けを掛けられた男アレキサンダーが問う。 「いや別に。吸い込んで圧縮しただけだよ」 キリシュタリアはそう話しながらも掌の中の物を見せた。ビー玉サイズほどの丸い物体。 それはついさっきまで彼に攻撃を仕掛けていた500万の艦隊である。 彼は己の掌の上に生み出した重力渦に500万隻全てを飲み込ませてビー玉サイズまで圧縮したのである。 しかも、それを首都星系に一切被害が出ないようにコントロールして。 ただコントロールしたのではない。正確に目標を定め、それだけを吸い込んだのだ。 それこそ艦隊の離脱や、防御が間に合わない速度や制度で。500万隻すべてを個別に認識して。 出なければ重力兵器が当たり前な戦場を前提としている艦隊が一隻も残らず全滅するわけがない。 神の御業。クーデター派の首魁であるアレキサンダーにはそうとしか見えなかった。 可笑しい。事前の情報では確かに強いとは言われていたが、それは想定できるレベルであったはずだ。 これはなんだ。悪夢か。想定以上という言葉すら生温い。 だが四天王筆頭であり、クーデター首魁であり、古き良きヴォルガーラを信奉する男は挫けない。 腐っても四天王筆頭に選ばれた男。敵が想定以上に強大であろうとその精神は挫けずにいた。 何より彼にはまだ頼もしい他の四天王がいる。この場の手勢は全滅したが、彼らが率いる残り500万と地方の支持者たちの戦力を集めれば、まだチャンスはある。 彼アレキサンダーはそう考えていた。 しかし現実は残酷である。 「はぁい。キリちゃん元気―?」 突然執政官キリシュタリアの背後に大規模な映像が浮かび上がる。この時代一般的になった広域通信の類だ。 キリシュタリアはそれを己の個人の魔導でスクリーンとして映し出してた。 「やあ、ペペさん。もしかしてそっちも?」 525: トゥ!ヘァ! :2021/01/01(金) 13 02 59 HOST FL1-122-133-236-126.kng.mesh.ad.jp 「ええ。面倒だから関わりたくなかったのに…全く嫌になっちゃうわよねぇ。だからちょっとやりすぎちゃったのよね。殆ど残せなかったわ」 そういったペペ氏の背後には無惨な形となった大量の残骸。 アレキサンダーは遂に何度目かわからない戦慄を覚えた。 何故ならペペ氏の周辺には三つの首が槍に突き刺されて飾られている。 それらは岩洞神、幻神、風神の席を受け持っていた同胞たち。三人揃えば四天王筆頭たる己とすら渡りあえると太鼓判を押した盟友。 それが無惨な姿で躯を晒している。その背後の大量の残骸に関しては言うに及ばず。 彼らが率いていた500万の艦隊だろう。 つまるところ目の前のスクリーンに映っている人物は剣一本で四天王の三人とその配下である500万の艦隊を根切りにしたのだ。 強いとは思っていた。四天王には匹敵するとは思っていた。だがこれだけ強いとは想像していなかった。 「そうか。しかし四天王機も破壊してしまったのかい?」 「ちょっとテンション上がっちゃってねエ。みんなこの通り真っ二つよ」 「そっかぁ。なら新しく新造しないとなぁ。全く頭が痛いよ」 「何言ってるのよ。オリジナルなんて当の昔に破壊されて、今あるのは昔から改修を続けてきたイミテーションじゃない。それをまた新しく作り出すだけでしょ。 それにキリちゃんも見た感じ綺麗さっぱりやっちゃってるじゃない」 「わかりますか。流石ペペさんだ」 「そらこっちで残りの四天王から既に首都星に主力が展開しているとか話は聞いたしね。それがいないってことはそういうことでしょ?」 二人の会話は続く。笑い声すら聞こえるその会話はまるで日常の出来事を話し合っているかのようだ。 ただ一人残された四天王筆頭は悟る。 自分達ならできると思っていた。勝てると考えていた。完全に敵の戦力を読み違えていた。 ろくな戦力がないからと、シンパがいないからと侮っていた。 違う。違ったのだ。戦力がないのではない。シンパがいないのではない。これだけで十分。今のままで十分なのだ。 無論現執政官キリシュタリアのシンパは目の前のスクリーンに映っている男(ペペさん)だけではない。 他にも少数だが幾人かいる。彼らは今は首都星にいないことは確認済みだ。 ではどこに? 簡単なクイズだ。アレキサンダーを支持した地方の有力者たちや艦隊の下にだろう。 今目の前で映されている光景がそれら他の仲間たちの下で繰り広げられているだろうということは想像する間でもない。 「俺を…どうするつもりだ…」 流石に心の折れた四天王筆頭(クーデター首謀者)アレキサンダーは問う。何故殺さなかったと。 「あなたは罪人だ。故の法の下で裁く」 そう呆れたようにキリシュタリアは答える。 彼が目指しているのは、遠い昔、神話の時代、人々が資源がまだまだ豊富で互いに奪い殺し合わずにいた時代のヴォルガーラ人。それの復権。 既にこの世界に来て幾百年。ネクタル放射線にも資源の少なさにも怯えることがなくなったのだから、いい加減機械の獣ではなく、人に戻るべきだ。 彼が執政官就任の際にぶちまけたスピーチの内容がそれだ。 枯葉ヴォルガーラを獣から人に戻そうとしている。 ならば例えクーデターの首魁であろうと殺さずに法の下で裁きを受けさせるべきなのだ。 何とも当たり前。至極当然。 アレキサンダーは項垂れながらもその決定を受け入れた。 因みにじゃあクーデター派の艦隊や綺麗さっぱりビー玉にしたり、根切りにしたのは何故かというと単なる見せしめである。 ヴォルガーラ人は良くも悪くも単純なので、ある程度分かりやすい結果を見せてやらねばわからぬのだ。 というのは建前で実は「こっちの苦労もわからず好き勝手いってたからちょっとむしゃくしゃしちゃったんだ。てへぺろ」とのこと。 まともそうなこと言ってるがキリシュタリアもヴォルガーラの男なのである。怖い。 526: トゥ!ヘァ! :2021/01/01(金) 13 03 44 HOST FL1-122-133-236-126.kng.mesh.ad.jp 紹介 キリシュタリア・ハドリアヌス 現ヴォルガーラの執政官。つまりは最高責任者。 議会の信任を得て付くことの出来る最高位の職である。 アポカリプス後に頭角を現した若者。当時の混乱極まる議会を物理的に説得し周り、最後に退位を拒む当時の執政官を殴って退位させた経歴を持つ。 ヴォルガーラ人にしてはかなり穏当な人物。 そういう目をしても切り殺さないし、舐めても殴らないし、弱い人間や異種族であろうと文化的に接してくれる。 ヴォルガーラ内の穏健派、もしくは改革派と呼ばれる派閥のトップでもある。 その実態はヴォルガーラの歴史上最高の天才。身体が元気なキリ様か憧れを知った愛染隊長みたいな人。 単身で正規艦隊を打ち破れる化け物。魔導技術ばかりが目立つが、剣の腕前も一級。 それでいて人格も相当できた人なのでペペさんみたいな権力相手でもゴーウィングマイウェイ!な人達も素直に従っている。 かつては良くあるヴォルガーラ人の知識層(という名のインテリヤクザ)みたいな人だったのだが、アポカリプスの際に手を組んで戦ったとある一団(という名のロンドベルその他)の影響を受けて今の性格となった。 なお幾ら穏健と言ってもヴォルガーラ基準なので、機嫌が悪いとちょっとやりすぎてしまうのが偶に傷。 薩摩におけるお豊を更にインテリ化させて、表面上紳士的にした感じ。 今回の出来事も根切りにせずに、もっと数を残すべきだったと後から後悔している。 元ネタは名前の通りFGOのキリシュタリア・ヴォーダイム。彼にサツマン要素とブリーチの愛染隊長要素をぶち込んだ。 ハドリアヌスの名前はキリシュタリアがファンだと公言しているローマ五賢帝から。 因みに今回のクーデターが起きた理由が、彼が執政官に就任後も特に大きな派閥も私兵も持たずに永遠と言葉と殴りだけで説得していた優男に見られていたため。 舐められていたことを放置していたがため、起きたことだったが以降彼に舐めた言動や行動をする輩は誰一人いなくなったそうな。 ペペロンチーノ・スカジナヴィア ヴォルガーラ日記の主人公。強いオネェキャラを求めた結果サツマンオネェ武者というよくわからん境地になってしまったお人。 元ネタはFGOのスカンジナヴィア・ペペロンチーノ。 仇名のペペさんも元ネタの通り。 違いは元ネタよりも冷酷で戦い好きで楽観的になっている点。 この時期はまだ平隊長だったが、その強さは有名であった。 キリさんとはプライベートで馬鹿話する仲。 クーデター騒動では面倒なので関わりたくなかったが、キリ様がピンチになれば助けるつもりであった。 今回は先にクーデター派から接触してきたので嫌々ながら対応したが、協力しないなら殺すという舐められた行動をされたがために根切にした。 この当時は専用にチューンされた通常躯体(いわゆる機械巨人)程度であったが、精鋭である四天王三人と一個艦隊+α相当の軍勢を一人で根切にするくらいには強かった。 この後キリ様からの要請で嫌々ながらも四天王筆頭職を受け継ぐこととなる。 527: トゥ!ヘァ! :2021/01/01(金) 13 05 01 HOST FL1-122-133-236-126.kng.mesh.ad.jp クーデター派の人達 今の軟弱な執政官の政策には飽き飽きしているから正しい姿のヴォルガーラに戻そうぜ!って人達の集まり。 過激派、懐古派、戦人派だ色々言われているタカ派の集まり。 当時の四天王筆頭であるアレキサンダーをリーダーとしてまとまっていた。 当時は一個艦隊500万隻という規定がようやく定まってきた中で1000万規模の艦艇を動かすなど規模としては結構なものがあった。 そこに現政権に反発的な地方の有力者や議員なども抱き込み総兵力は2000万を超えている。 現政権こと執行官キリシュタリア一派に関しては特に派閥も私兵も持っていなかったため、大いに舐め腐っていた。 結果は主力1000万の文字通り全滅。首魁アレキサンダーの逮捕。協力していた地方の有力者は軒並み粛清。 残っていた地方の1000万も少数のキリシュタリア一派に散々に叩き潰されて500万しか残らなかった。 残った分はそのまま空きができてしまった正規艦隊の補填として組み込んだそうな。 生きて捕らえられたクーデター派の首魁であるアレキサンダーはその後首都星で裁判となり、ヴォルガーラ内で最高刑となるヒュウガ送りとなった。 彼の身内も三等親以内は連座となり、軽くて死刑、悪くてはヒュウガ送りとなった。 ヒュウガ送り ヴォルガーラにおける最高刑。基本は精神生命体なところのあるヴォルガーラ人は死刑に関してはそこまでビビらないのだが、ヒュウガと呼称される永久時空牢獄に送られることを大変恐れる。 これは一瞬が数億年にも感じられる特殊な時空加速施設のことであり、ここに送られた囚人は己の精神を時空牢獄内にて永遠と彷徨うこととなる。 無論流石のヴォルガーラ人もそんな永遠の退屈に耐えられるわけもなく、遠からず発狂し、その魂はどこにも行くこともなく、考えることを止めた存在となり果てる。 クーデター後 クーデター派を一掃できたのはいいけど、国防に大きな穴が相手しまったゾ。 だから精鋭でその穴を塞ぐンゴ。その第一波がペペさんの四天王筆頭就任。 事実戦力が減ったことを見た周辺のゼントラン艦隊や宇宙生物が攻めてきたりしたのだが、その悉くをペペさんが切り伏せたり、偶にキリ様が前線にやってきて隕石(太陽レベルの質量)をぶつけたりして事なきを得た。 528: トゥ!ヘァ! :2021/01/01(金) 13 05 39 HOST FL1-122-133-236-126.kng.mesh.ad.jp 投下終了。 年末からボチボチ書いてたやつです。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2707.html
リリカルVSプレデター (中篇) 「これは……一体なんだ……」 武装局員の一人が、目の前に広がっている光景にそんな言葉を漏らした。 彼ら武装隊は武装強盗団を追って廃棄都市区画の一角のビルに踏み込んだのだが、そこで彼らを待ち受けていたのは銃弾や砲火の歓迎ではなかった。 漂うのは凄まじい血と臓腑の臭気、目に映るのは闇夜の中でも鮮やかな鮮血の赤。武装隊が交戦する筈だった敵はそのすべからくが無残な屍肉に変わり果てていた。 周囲には銃をメチャクチャに乱射した跡が残っており、激しい戦いが繰り広げられたと容易く想像される。 この惨状に“仲間割れ”という言葉が武装局員の脳裏を駆ける、彼らは周囲を警戒しつつ死んだ犯人達に近づいた。 そして修羅場に慣れた彼らは一つの点に気が付く。 「おい……この死体……」 「ああ、おかしいな……」 おかしな点、それは倒れた犯人達の傷だった。 死んでいる者達の身体の傷は、そのほとんどが銃創ではなかった。あるいは身体を切断され、あるいは大穴を開けられ、そのどれもが彼らの知る銃弾による傷ではない。 そしてさらに大きな疑問が頭を過ぎる。 見たところ死んでいる人間の数は軽く20~30人以上はいる、なのに敵の死体は影も形もないのだ。 これだけの武装した者達が戦って、相手は一人の死傷者も出していないのか? そんな事は常識的に考えてありえない。 この武装強盗団が相応の手強さを有していた事は、追跡してきた彼らが一番良く分かっていた。 だからこそ、この惨状が信じられなかった。 「……誰がこんな事を?」 悪魔か死神か、こんな所業を成し遂げる相手が人間とは想像もできない。思わず彼らの脳裏に人ならざる怪物が過ぎる。 そしてそれはあながち間違ってはいなかった、少なくともこの惨殺を起こした主は人類ではないのだから。 彼らが形容し難い戦慄を感じていると、そこへ場に似合わぬ澄んだ声が響いた。 『こちらシグナム、そっちはどうだクルーガー?』 「隊長……脅かさないでください」 『脅かす? お前らの肝はそれほど小さくあるまい。で、首尾はどうだ?』 「それが……なんと説明したら良いか……」 目の前の惨状、見知らぬ第三者に確保する筈だった犯人達が惨殺されているなど、どう説明すれば良いか分からなかった。 この現状をどう彼女に伝えるか、幾らか思案する。そんな時だった、自分のバリアジャケットの上に付いた赤に気付いたのは。 三つの点が三角形を形作る光の点が自分の身体の上を這っていた、それが照準を定める為のレーザーサイトという照準装置だと理解した時には全てが遅かった。 次の瞬間、轟音と共に彼の胸から真っ赤な花火が炸裂、内臓を血潮と共に盛大に撒き散らしながら胸に大穴が開けられた。 「がぁっ……ぶはぁっ!」 彼は口から断末魔の叫びと血反吐を吐き散らし、胴に詰まった内臓を半分近く吹き飛ばす程の凄まじい衝撃で倒れ伏す。 倒れ行く中で彼の視界はこちらにレーザーサイトを向ける陽炎のような空気の揺らぎを見た、それが最後の映像として網膜に焼きついた後にはただ死の闇が広がる。 闇に飲まれた彼の意識は彼岸へと旅立つ、絶命に至るまでにそれほど時間はかからなかった。 『どうした!? 何かあったのか!?』 突然叫びと共に通信を絶った部下へシグナムが声を荒げるが返事が返ってくる事はない、ある筈がない。 死者はただ沈黙を守るしかないのだから。 武装隊の最初の一人を狩られた後、場には絶叫と爆音そして肉が爆ぜ飛ぶ音や刃で刻まれる音が響き渡った。 △ 「どうした!? おい、応答しろ!!」 最期に絶叫を残して突如として切られた部下との通信にシグナムが声を上げるが応答はない。 彼女の胸中に何か冷たい感触が沸きあがってくる、それは激戦や危機を前に必ず訪れる第六感だった。 何か得体の知れない危険が喉元に迫っている、確信めいた予感が烈火の将の心に過ぎる。 彼女は飛行魔法の速度をあげて部下達が向かった廃ビルを視認した。 そして視界に入った瞬間、ビルから凄まじい爆発が巻き起こる。 巨大な爆炎を上げながら外壁を貫通した光が空を駆けた。魔力反応は感じない、犯人の有した銃火器だろうか? 風から漂うイオン臭、ビルのコンクリート壁が硝子化するまで溶けるほどの超高温、少なくともシグナムの知る銃にあんなモノは存在しない。 あえて言うなら理論上制作可能なプラズマ砲だろうか、しかしそんな武器が流通しているなどと言う話は聞いた事が無いし、あったとしても今自分の部隊が追っている犯人達がそんな物を有している可能性は限りなく低いだろう。 確かな事は、今ここにまったく未知の得物を手にした第三者が介入している可能性があるという事だった。 シグナムは真紅の月が昇る空を見上げ、自分よりも高い高度を飛ぶヘリに通信を送った。 「ヴァイス、今のを見たか?」 『ええ、どうも敵さん厄介な得物持ってるみたいっすねぇ』 「お前は適当な場所でヘリを下ろせ、それではアレの良い的だ」 『了解。向こうの射程も分かりませんからね』 ヴァイスは簡潔に返事を返すと、手頃なビルに向かってヘリを着陸させに行く。 彼が降下するのを見守ると、シグナムは今一度向き直って目標ポイントに飛んだ。 先ほどまでビルの外壁を貫いていた光はもう止んでいる、戦闘が終わったのかそれとも膠着状態に陥ったか。 どちらにせよシグナムの心に油断は無い、闘争を司る全神経・全思考を研ぎ澄まし、愛剣を握り締めて彼女は仲間の下へと急いだ。 接近するにつれて低空飛行に移行し、射撃の的にならぬよう注意する。 そして、ヴァイスが射角を有利に取れるビルの上からこちらをカバーしている事を確認すると一気にビルの中へ飛び込む。 そこで彼女を待ち受けていたのは地獄のような光景だった。 「嘘……だろう?」 思わずそんな言葉がシグナムの唇から零れ落ちる。 それは、烈火の将・剣の騎士の二つ名を持つ彼女らしからぬ気の抜けた声だった。 だが無理も無い、そこに広がる凄惨な光景、惨殺された部下の屍を前にすれば如何に歴戦のベルカ騎士とて動揺くらい生まれる。 追跡していた強盗の死体の中に混じって倒れているのはバリアジャケットを着装しデバイスを手にした首都航空隊の武装局員達の骸。 ある者は胴に大穴を開けられ、ある者は首を切断され身体を切り刻まれている。 見るも無残な部下達の変わり果てた姿にシグナムは手にした愛剣レヴァンティンの柄を痛いほど握り締めた。 そんな時、屍の山の向こうから弱弱しい声が響いた。 「ごふっ……た、隊長……」 「来てくれたんですね……」 「くっ……ご無事ですか」 振り向けば、そこには血の海の中で傷を負いながらも一命を取り留めていた数人の武装隊員がいた。 「お前たち、大丈夫か!?」 「はい……なんとか……」 「生きてます」 シグナムは息のあった部下達へと駆け寄る、彼らは身体に無数の裂傷を刻まれてはいるがかろうじて致命傷になるほど深くは無いらしい。 周囲への警戒はそのままに、彼女は息も絶え絶えになった部下の一人を抱き起こした。 「これは一体何があった? 相手は一体何者だ?」 「分かりません……突然攻撃されて……見た事もない武器でした……」 魔力を使わない質量兵器、防御障壁をガラス細工のように粉砕する程の威力を持つプラズマ砲・追尾性能を有し斬首台(ギロチン)のように易々と人体を切断する円形ナイフによる攻撃。 そして光学迷彩を駆使して神出鬼没に襲い来る異形の刃はさながら死神。その悪魔染みた猛攻に、数多の修羅場を潜り抜けた武装局員もその多くが命を散らした。 次々と武装隊の魔道師を屠った未知の敵、絶体絶命の状況だったがそんな時そこへ強盗団の銃撃が乱入。 するとその暴威は標的を武装隊から銃器を手にした犯罪者へと変更したらしく、今度は彼らと死のチェイスを始めた。 と、いうのが生き残った隊員の語る事の経緯だった。どうやらその未知の敵は局員も犯罪者も無差別に殺戮しているらしい。 今頃はシグナム達が追っていた犯罪者を血祭りに上げているのだろう。 語り終えた隊員は、先ほどの殺戮劇の様子を思い出したのかそれとも傷口からの出血の為か、少しばかり顔を青ざめさせていた。 「光学迷彩にプラズマ砲か……少なくとも我々が追っていた奴らとは別口のようだな」 「ええ、自分もそう思います」 部下の言葉にシグナムは状況を考察する。 当初の捕縛対象は既に大半が殺されているだろう、部下からも死傷者が出ている現状では任務の継続は不可能だった。 その時、またさきほどのプラズマ砲の轟音が響き渡る。衝撃にビルが揺れ、天井からチリが落ちる。 音と振動からしてこの広大な廃棄都市区画のどこか、それほど遠くない場所のようだ。 あの未知の怪物はまだここで戦闘を行っている、つまり犯人達は幾らか生きているらしい。 この事実にシグナムは意を決し、生き残った部下達に名令を下した。 「お前達は一度引け。後続の部隊と合流し速やかに撤退、本部に応援要請を出せ」 「了解しました」 「しかし、隊長はどうなさるのですか?」 「私は追跡を続ける」 「そ、そんな……いくらなんでも無茶ですよ」 「私の腕を知らん訳ではあるまい。それとも私が負けるとでも思うか?」 狼狽する部下にシグナムは闘志に満ち溢れた不敵な笑みを浴びせる。 こんな独断先行は本来するべきでないがここで引く烈火の将ではない。 相手が誰であろうが部下の命を奪われた上に捕縛対象が虐殺されるのをむざむざ黙って見ているなど騎士の名がすたると言うものだ。 「分かりました……どうかご無事で」 「お前達もな」 シグナムの言葉に部下は不承不承に頷くと、踵を返して撤退していった。 これでこの場に残ったのはシグナムとヴァイスに逃走中の犯人達そしてまだ見ぬ狩人だけ。 血の河と屍の山が織り成す広大で混沌とした一つの狩場に、狩人と騎士の二人の戦士が揃った。 △ 「ちきしょう! ちきしょう!! ちきしょう!!!」 そう喚きながら、男は夜闇の支配する廃ビルの中を駆けていた。 彼の全身は血まみれで、至る所から血潮を滴らせている。それはあるいは自身の傷から流したものであり、あるいは仲間の返り血。 十分に練った計画、だが成功する筈だった銀行強盗は上手くいかず管理局の追撃を受け、その上訳の分からない化け物にまで出くわす始末だ。 仲間のほとんどはあの化け物、透明な怪物に殺され手にした銃はとっくに弾切れ、さながら悪夢のような状況に男はひたすら悪態を吐く。 「糞っ! 糞っ!! どうしてこんな事になんだ!? 本当なら今頃札束の上で酒と女を楽しんでる筈だろ? それがこんな……糞ったれが!!」 逃げ惑いながら口汚く運命を罵る、今男にできるのはそれくらいだった。 男のダミ声はこんな静寂に包まれたビルの中で良く響く、それは狩人の追跡を引き寄せる効果しかないが今の彼に冷静な判断などできはしない。 そして、光学迷彩で闇に姿を隠した狩人は喚く男を赤外線サーモグラフィで観察しつつ狩り方を思案していた。 肩に装着したプラズマ・キャノンで仕留めるか、腕部に装着したリストブレードで刻むか、今日はまだ使っていない伸縮式の槍スピアで串刺すか、携帯している武器は多く選択肢は無数にある。 狩りの醍醐味、獲物を屠る瞬間に想いを馳せて狩人は武器の選択を吟味した。 相手は遁走を重ねる下種ではある、しかし今まで自分の手を逃れて生き延びた事は賞賛に値する事だ。 出来れば首を無傷で手に入れてハンティングトロフィーとして飾りたいと思う。 自然とキャノンの使用は否定される、そして狩人は腰に括りつけた武装の一つに手を伸ばした。 それは円形をした一見するとフリスビーのような物だった、だが握る為に中央にあるグリップや外周に設けられた恐ろしく鋭利な刃からそんな可愛いオモチャで無い事を伺える。 レイザー・ディスク、使用者の任意操作とAI操作により標的を切り刻む恐るべき刃の円盤。 狩人はフェイスヘルメットが記憶した周囲の地形と目標への軌道を計算し、手にした刃を投げ放った。 鋭利な刃が空気を切り裂く鋭い音が響き、レイザー・ディスクが目標の首を切り落とさんと迫る。 相手はこちらの攻撃になど気付いていない、いや、もし気付いていたとしても哀れな獲物に抗う術などありはしなかった。 あとほんの数瞬、瞬きする間に獲物の首が宙を舞う。 そんな時だった、肉を切り裂く音でなく硬質な金属音が響いたのは。 淡い緑色の魔力で形成された弾丸、高速直射式の狙撃が宙を飛ぶレイザー・ディスクを砕いたのだ。 飛来するディスクを狙撃して撃ち落す、信じられぬ精密射撃である。 狩人はフェイスヘルメットのカメラシステムを射線の先に合わせてズーム、赤外線サーモグラフィによって狙撃銃らしき武装を持った男の像が現れた。 「姐さん! 犯人確保頼みます!」 狙撃手ヴァイス・グランセニックはディスクの飛んできた方向に乱射しながらそう吼えた。 それは決して精密な狙撃と呼べるものではなかったが、弾幕を張り敵の動きを殺すのも射手の勤めである。 彼の弾幕の中を一つの影、鮮やかな緋色の髪を揺らした美しき女騎士、烈火の将シグナムが駆けた。 シグナムは血でドロドロに汚れた犯人の襟元を掴むとその場で思い切り引き倒す。アスファルトとキスした男は突然の事に素っ頓狂な悲鳴を上げて痛がった。 「ふぎゃあ! い、いてえ……」 「命があるだけありがたいと思え!」 烈火の将は凛然とした声で男に怒鳴りつけると、即座に彼が手にしていた銃を叩き落し両腕を拘束した。 こんな状況でも確保すべき犯人への対処法は忘れない。 両腕の自由を奪われた男が呻くがそんな事を気にする余裕はなかった。シグナムは男を遮蔽物に成りうる頑強そうな柱の影まで引きずっていく。 「おい、お前以外の者はどうした!? まだどこかで隠れているのか!?」 「ほ、他のヤツは皆死んじまったよぉ……残ってんのは俺だけだ……それより早くここから逃がしてくれ! このままじゃアイツに殺されちまうよぉ~」 地べたに転がった男は鼻水と小水を垂れ流しながら、シグナムに向かって情けない声で懇願した。 シグナムは、ぎゃぎゃあとうるさく喚き尿のアンモニア臭を漂わせる男に、眉間にシワを寄せて不快そうな顔をする。 「静かにしろ! それよりアイツは何者だ? サーチ魔法にもかからん上にあの武器……聞いた事も無い、お前の組織と関係があるのか!?」 「知らねえ! 俺は何も知らねえよ……本当だ、信じてくれぇ」 男の言葉に嘘は無かった。死の淵、命の瀬戸際で自分を完全に欺ける程の者はそうはいない。 やはり敵は完全に自分達の追っていた事件とは関係の無い第三者である、その確証を得てシグナムは相手の戦闘理由を予想する。 ヤツは何かの為に戦っているのではない、戦う為に戦っているのだ。 無差別に殺す対象を求める怪物、そんな相手に交渉など無意味だろう、意思疎通とて可能か怪しい。 「ヴァイス、そこから相手は見えるか?」 『見えません、奴(やっこ)さんの光学迷彩随分高性能みたいっすよ……ストームレイダーのナイトビジョン(暗視装置)じゃなかなか見つからねえ……』 ヴァイス愛用の狙撃銃型デバイス“ストームレイダー”、そのスコープは単なる光学照準装置ではない。 局の管制や他の魔道師のデバイスとリンクして周囲の映像やセンサーと組み合わせて索敵を行う事も出来る優れものだ。 夜間や暗所での戦闘を想定して可視光線を増幅する暗視装置、いわゆるスターライト・スコープとしての能力も有している。 それらをもってしても未知の敵は発見できなかった。 「クソ……さっさと顔出しやがれ……」 いつまでも見えぬ敵に苛立ち、ヴァイスは誰にも聞こえぬ悪態を吐きながらスコープ越しにビルの中を探す。 いくら光学迷彩と言っても完璧に像を消し尽くす事は不可能であり、揺らぐ陽炎のような姿を肉眼で確認することができるのだ。 狙撃手はそれを血眼で捜す。だが彼がいくら必至になったところで見つかる訳などない。 何故なら…… 彼の背後にその狩人の陽炎が迫っていたのだから。 音を聞いた、何か獣が口の中でくぐもった唸り声を漏らすような音。 ヴァイスはスコープから目を離して振り返る、するとそこには陽炎のような“何か”が立っていた。 像が揺らぐその姿、まさしく光学迷彩で姿を隠した未知の敵である。 そして、ヴァイスは自分の胸に照準を合わせた三つのレーザーサイトの赤い光点に気が付く。 身体の上を舌なめずりするレーザーの意味、すなわち相手の射撃攻撃が発射されるという事だ。 ヴァイスは防御力に富む障壁を張る事などできない。彼にできるのは、ただ正確に精密に目標を狙い撃つ事だけ。 ヤツが撃つプラズマ砲を防げる筈などない、ならば彼の選択肢は限られていた。 「ちっきしょう!!」 そう叫ぶと同時にヴァイスは迷わず振り向き、今までストームレイダーを寝かせていたビルの外壁に足をかけて盛大に飛び出した。 向かう先はビルの外の十数メートル下の地面、下手をすれば骨折するがあのプラズマ砲を喰らうよりは百倍マシだ。 ヴァイスがビルから飛び降りた刹那、爆音と共に彼が一秒前まで立っていた場所がプラズマ砲で吹っ飛ぶ。 あと少しタイミングが遅れれば死んでいた、そう肝を冷やしながら空中でストームレイダーを一度待機状態に戻すと、迫り来るむき出しの地面に上手く足を向ける。 接地と同時に魔力で強化した足で五点回転着地法を行い衝撃を逃がしながら着地、そして即座にストームレイダーを再びデバイスモードに戻してビルの屋上に狙いを定めた。 「姐さん! 上だ!!」 ヴァイスがそう叫んだ瞬間、炎を纏った巨大な刃の蛇がビルの屋上を薙ぎ払った。 炎蛇の名はレヴァンティン、カートリッジをロードし連結刃となった刀身が凄まじい魔力を込めて、魔剣が狩人を狩らんと宙を駆ける。 爆音と共に標的となったビルの屋上が吹き飛び、砕け散ったコンクリートと鮮やかな炎が夜の空を舞い踊った。 “飛竜一閃”、無数の節を有する変幻自在の連結刃と化したシグナムの愛剣レヴァンティンの繰り出す絶技である。 シグナムは敵のいた場所を焼き潰すと、手首を返してしなる灼熱の鞭を元の長剣に戻した。 「ヴァイス、無事か?」 「ええ、ちょいと足にキテますけどなんとか……それはともかく、奴さんは仕留められましたか?」 「いや、手応えが無かった。寸前で避けられたようだ」 手のレヴァンティンの刀身を見つめながらシグナムはそう漏らした。その刃には蛍光色をした緑色の液体が付着している。 それが何なのか、彼女には分からなかった。だがそれこそは狩人、別の世界ではプレデターと呼ばれる異星種族の血液だった。 シグナムはレヴァンティンに付着した異様な色の血を拭いながら、拘束した犯人を指差してヴァイスに言葉をかける。 「ヴァイス、お前もそいつをヘリで護送しろ。せっかく逮捕したのが死なれては敵わん」 「ちょ! “俺は”って、姐さんはどうすんですか?」 「私は残ってヤツの相手をする」 「そ、そんな……」 相手はあまりに未知の上、単身残り戦うなど沙汰の外である。だがここで引くなど騎士の矜持にかけて出来ない。 部下を殺され、ここまで翻弄されて黙って引くなど守護騎士の将としてシグナム自身が許さなかった。 彼女一人を残して行くことにヴァイスが食い下がる、強靭なる騎士といえど女一人を残すのは男として忍びないのだろう。 だがそんな彼をシグナムは一喝した。 「良いから言うことを聞け! これは命令だぞ!」 「……了解しました」 不承不承に頷くと、ヴァイスは拘束された犯人を担いでヘリまでの退路を駆け出した。 だが途中で彼は立ち止まり、振り返ると不安そうな顔で口を開く。 「姐さん……ちゃんと生きて帰ってくださいね」 普段は陽気なヴァイスから出たとは思えないほど力ない言葉、それだけ彼がシグナムの身を案じているのだろう。 烈火の将は部下のこの言葉に対し、不敵な笑みと自信に満ちた言葉で返した。 「私を誰だと思っている?」 彼女のこの言葉に、ヴァイスはただ無言で一度頷くとそのまま去って行く。烈火の将、シグナムにここまで言われて彼女を信じぬ訳にはいかなかった。 こうして、一つの猟場で狩人と騎士、一対一の死闘の火蓋は切って落とされた。 続く。 前へ 目次へ 次へ