約 21,878 件
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/75.html
「思ったよりも多いな」 自衛隊の最高司令官である日本国首相、石原浩二は提出されたケリア派遣戦闘群の最終作戦報告を見て、唸った。 報告 ケリア派遣統合集団は目的を達成。ケリア聖王国は日本国に対して無条件降伏。 損害 戦死者 23名 負傷者 16名内10名は重傷 大破・廃棄 10式歩兵戦闘車1両 96式装輪装甲車2両 軽装甲機動車3両 UH-60J1機 OH-1B1機 中破・小破装備については省略。現在修理の為本土へ輸送中。 備考 各種車両の駆動系にも相当の負担が掛かっているものと思われ、帰還後点検検査の必要を認める。 検討 作戦地域の道路事情は極めて劣悪であったことが今回の損害を生んだものと思われる。96式装輪装甲車の喪失は駆動系の故障によるスタックが直接の原因であった。今後、駆動系の信頼が高い12式装輪装甲車の配備が求められる。 ヘリ2機の損失についてはそれぞれ原因が異なる。OH-1Bの喪失は敵のワイバーンによる攻撃であると判明している。ワイバーンは垂直離着陸や短距離離着陸能力を持つことから、基地攻撃による航空兵力の撃滅が困難であることが判明した。 UH-60Jの喪失理由は現在の所まだ判明していない。ただしオブザーバーは対空攻撃魔法の可能性を指摘している。これが事実であるならば敵には有力な低空域防空火力が存在することとなり、早急にその対策を講じる必要があるだろう。 今後、従来型のヘリの運用は慎重を期す必要がある。航空偵察については航空自衛隊の作戦機又はUAVに一任することになるだろう。 全く異なる兵器体系の軍隊と交戦するのだからそれなりの損害が出ることは覚悟していたがヘリ2機の喪失は予想外だった。 「まぁ、少々高い授業料を取られたということですよ。これが大国との大規模戦闘なら損害はさらに増えていたはずです。少なくとも我々は高い授業料のおかげで対策を練るだけの時間を貰いました」 笹原衛防衛大臣が感想を述べる。今回の紛争はこの世界での自衛隊の戦闘方法を検討するには良いモデルケースとなっただろう。少なくとも不用意なヘリの運用は危険ということが判明し、今後それなりの対策を考える時間がもらえたのだから。 「防衛大臣は、戦死者をかなり軽く見ているのですね」 竹下要官房長官が笹原に皮肉を言う。 「自衛隊の中では戦死者こそ少ないですが、殉職者というのは珍しいものではありませんからね」 笹原が皮肉で返す。自衛隊員は人間を確実に殺傷する武器を扱う。そのため事故による死亡というのはそれほど珍しいものではない。 「それにその間に国内で自殺した人間の数のほうが多いですから」 そう、日本では毎年5000人以上の自殺者が出る。それだけの戦死者ならもはやこれは戦争と言っても十分通用する。 「どちらにしても今後、人命の損耗を抑えるという点は防衛省でも追及するつもりです。21世紀型の軍隊の整備目標は戦死者を出さないことですから」 21世紀は高齢化の社会であるため軍を構成する若年人口は極めて貴重な存在なのだ。日本もそれの例外ではない。貴重な若年人口を大量に失えばそれだけで経済に深刻な影響を被る。その貴重な若年人口であり、究極の兵器たる歩兵を出来る限り失わないように戦うのが21世紀型軍隊なのである。 最も後10年もすれば若年人口問題は大幅に改善することが予想されたが・・・ 「川原君、経済産業省は後どのくらいの『猶予』があると見ているか?」 石原首相が川原翔太経済財政担当大臣に残り時間を尋ねる。 「はい。現在のレベルでの生産を続けた場合遅くとも2年後かと。最悪の場合今起こっても不思議ではありません」 そう、日本の残り時間は少ないのだ。転移によって日本は全ての海外市場を失った。そのため体力のある大企業を除いて、多くの企業が倒産の憂き目にあった。それに伴って発生した大量の失業者は政府のシャングリラ開発計画によって何とか雇用することが出来た。 だが、真の問題は民間経済である。 国内企業は現在、最低限の生産ラインとその最大限の雇用で経営を行っている。それでも在庫がかなり溜まっているのだ。 もちろん政府もそれに対して最大限の内需の拡大という対策を打っている。法人税課税率の極低水準化、所得税の半減、消費税の凍結などギリギリともいえる消費者の購買力拡大の手を打った。 しかし、それでもなのだ。 企業の在庫が膨大な量に達すれば、1929年の世界恐慌の悪夢が襲ってくる。規模こそ国内に留まるもののこうなれば政府に打つ手は無い。最悪のシナリオを演じれば経済生産の停止という事態もありえるほど深刻な状況なのだ。 それを防ぐには企業の在庫を減らせば良い訳で、内需が限界ならば外需を求めるしかない。 タイムリミットまでに海外で日本に匹敵する巨大な市場を確保することが出来れば、世界恐慌の悪夢からは逃れることが出来る。 「遅くとも2年か・・・」 そのタイムリミットは2年以内、時間はそれほど残されていない。交渉が進まない、もしくは交渉に応じない場合は解決手段として軍事力を行使してでも各国の市場を開放させなければならないのだ。 時間は日本の敵であった。 第3話へ 第5話へ メニューへ
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/18.html
01 ケリア聖王国の最後の反撃は僅か20分の戦闘で制圧された。歴史的に見ても類を見ないほどの大敗北である。 ケリア聖王国は聖王都制圧という事態の直前に降伏した。 この世界での戦争は元の世界の中世と同じく支配階級の条件闘争の一種であった。そこに国民が関わらないので近代以降の総力戦のような悲惨な戦いにはならない。 戦争に敗北した場合賠償金や領土の割譲もしくは不平等な条約の締結を強要されることとなる。 だが、稀に今回のような完全な敗北による降伏という事態が発生することが有る。 その場合待っているのは滅亡の二文字だけだ。 しかし、この世界の常識は日本国に通用しなかった。 講和に当って日本側が示した条件はこの世界の常識では破格とも言えるほど寛大だった。 1.ケリア聖王国の外交権の日本への帰属と軍備制限 2.軍備制限を補償する抑止力強化のため旧ケリア聖王国への自衛隊の駐留。 3.日本国法律の旧ケリア聖王国への適用。社会状態などを考慮して法律ごとに適用時期を随時決定する。 4.旧ケリア聖王国の自治権の尊重。ただしこれは前項に抵触しないことを前提とする。 以下32項目 要約すれば日本国は政治体制をそのまま残し旧ケリア聖皇国を保護領としたのだ。 この講和に世界中が驚愕した。 もちろんその条件の甘さと宣戦布告(日本国は交戦権を発動していない)から講和までのスピードである。 しかし自衛隊側ではそれでも進撃速度は遅いと感じていたのも事実である。機械化部隊の進撃速度は徒歩の何十倍にもなる。その進撃速度が発揮できなかったのは何より道路事情の悪さが原因だった。 そして条件の甘さは何より直接的な併合による2流市民を大量に国内に抱え込みたくなかったからであった。 保護領としておけば、当座的にその地域の経済活動は従来のままであり、それゆえに人口の移動は最小限に抑えられる。 第1段階として日本の文化や技術を輸出する。そして中流層を増やす。これは同時に帰属意識を共同体から日本へと向けさせる効果を持つ。 第2段階で力を持った中流層が旧政治体制を打倒し、日本への併合を求める。その状態で併合すれば政治的経済的な変革は最小限で収まるので混乱は最小限で収まる。 そういった理由もあったが別の理由もあった。 それが同盟軍への圧力である。大陸に進出しようとする日本にとって同盟は邪魔者以外の何者でもなかった。 ケリア聖王国は同盟軍の柱の一つであった。それを短期間で降伏させることは同盟諸国への無言の圧力となる。 しかし、同時にこの戦争はケリア聖王国にとっては本土決戦だったが日本国にとってはあくまで超が付くほどの小規模局地紛争に過ぎなかった。 その戦争の始まりも、天然ガスパイプライン建設をある諸侯が狩の邪魔だといって現地作業員を切り捨てたことに端を発する。そのため身の危険を感じた日本人作業員達が大使館に避難。それを諸侯の依頼を受けた聖王軍が大使館ごと包囲した為邦人の保護と救出の為ケリア派遣戦闘団とF-15J改1個飛行隊とF-15EJ2個飛行隊が派遣されたに過ぎない。 もっとも初期目的は空自のCV-22と陸自のヘリによって開戦から僅か36時間で達成されたがそれはあくまで理由に過ぎない。 それを裏付けるかのように同時に自衛隊は空母、1個航空団、中央即応集団を動員した上陸演習を行っていた。そしてその戦力は命令一つでどの国へも投射できる状態だった。 そのためこちらが本命であると判断した同盟諸国は相互防衛義務にも関わらず宣戦布告を拒否し、資金援助と義勇軍の派遣のみに留めた。そして何より総兵力12万のケリア聖王国軍に対して自衛隊のケリア派遣戦闘団が3000名と40分の1に過ぎない点を重視したのであった。 しかし、蓋を開けてみれば機械化部隊の機動性を生かした自衛隊の電撃戦の前に40倍の兵士を抱えるケリア聖王国は短期間で降伏に追い込まれた。 そうなると現在も演習を継続している自衛隊の動向が無言の圧力となる。 同盟を維持して日本国と対立するよりも解消して友好関係をとったほうがいいと考えるのはごくごく自然なことだ。 相次ぐ離反で同盟は事実上有名無実となり、日本国はこの世界のパワーゲームに参加することとなった。 第1話へ 第3話へ メニューへ
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/9.html
第1次世界大聖戦 700年以上前に勃発した大日本帝国と8列強各国との大戦争。発端は大日本帝国のとった過度の輸出ドライブ政策によって列強各国から大量の金が流出したことによる通貨危機が直接の原因。 そのため列強各国は大日本帝国製品に対して一斉に天文学的な比率の関税を適用し、金の流出の引き締めを図った。そのため日本では経済危機が発生。社会不安から列強を撃つべしとの声を受けまずシア皇国と開戦することとなる。 大日本帝国は近代的な軍事力を行使し、開戦直後から終始シア皇国軍を圧倒するも中期以降、兵員数の絶対的な不足による占領能力不足が露呈し、長期化。さらにこれを好機と見て列強各国がシア皇国側に立って介入した。 それでも介入直後は近代的な戦力を持つ日本軍は列強各国の正規軍を正面から撃破したが、列強軍は不正規戦へシフトし、ゲリラ的な戦いを始める。 陸では人海戦術に押されて敗退を重ねる。 海でも戦線の大幅な拡大が敵のゲリラ的な戦法の価値を高め、シーレーンが圧迫を受けたため連合艦隊の作戦能力が徐々に低下していった。 大陸から追い落とされて数ヵ月後日本本土に大型隕石が落下。それが大規模な地殻変動を誘発し、日本列島は完全に水没したことにより第1次世界大聖戦は集結を迎える。 第1次世界大聖戦の影響で世界は大幅に疲弊した。列強各国が消滅した大日本帝国から受けた影響は 大日本帝国の徹底的な否定 大日本帝国の協力者であったエルフの排斥運動の激化と恒常化。 鹵獲した大日本帝国の兵器や機械などの解析(これは大部分が不可能であった)と応用。 大日本帝国に対する唯一の優位点であった魔法技術第一主義への偏重。 列強間の相互防衛同盟の締結。
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/21.html
ホバークラフト戦闘艇(Air C C V) 河川沿岸及びその内陸部での運用を目的に設計されたホバークラフト型戦闘艇。 LCAC?をベースにしており、カーゴエリアにミッションモジュールや車両などを搭載することにより多目的な運用が可能。 スペック 基準排水量 90.1t 主機/推進 ガスタービン2基ホバー推進 速力 45kt+ 航続距離 250km 乗員 4名 兵装 カーゴエリアにミッションモジュール又は70tまでの搭載物 モジュール 対空1 RAM 対空2 Mk48VLS6セル 対地 120㎜重迫撃砲×2
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/104.html
はやぶさ級ミサイル艇 海上自衛隊が装備する高速ミサイル艇。 日本海で北朝鮮の工作船に対応するため高い凌波性と速力を求められており、ガスタービンとウォータージェットによって50ノット近い速力を発揮する。 兵装も強力で、76㎜単装速射砲とSSM-1B対艦ミサイル4基を装備する。
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/4.html
資料の部 日本国について 世界各国について
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/95.html
大油海油田 シャングリラ最大の巨大油田。その可採埋蔵量は21世紀初頭世界の年間石油消費量換算で500年分とも言われる。 発見当初は中規模の油田が多数存在する産油地帯と思われたが、後の精密測定で平均南北600㎞、東西340㎞もの巨大な複層油層を持つ油田であることが判明した。
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/31.html
魔法薬 マナを込めた薬品の総称。 軍事面では火と風のマナを込めた魔法火薬が用いられる。 魔法火薬は従来の黒色火薬と比較するとかなり高性能で、近代の高性能爆薬に匹敵するほどの性能を持つが、極めて高価。 特に燃焼ガスは低温であり、その点でのみ今後いかなる火薬の追従を許さないだろうといわれている。 医療面では魔法医薬品として用いられる。 魔法医薬品は体内での魔法発動によって効果を発揮するため、発動条件を設定してやれば、特定部位だけで高い薬の効果を得ることが出来る。そのため体への負担が少ないガンの特効薬として注目が集まっている。
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/52.html
F-15EJ イーグルストライカー 航空自衛隊のF-15Jをベースとした大型戦闘攻撃機。愛称はイーグルストライカー。 F-15JのMSIPの一種で、空対地能力の付与が行われている。 改造点は以下の通り。 レーダーの換装。 エンジンの性能向上。 兵装システムを含む電子装備の更新。 スナイパーXRの装備。 航法装置にGPSを追加。 統合データリンクの装備。
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/97.html
GMLRS 陸上自衛隊野戦特科最強の威力を誇る自走ロケット砲。 使用するロケットはM30ロケット弾とMGM-140ATACMの2種類から選べ、M30を6発またはATACMを1発装填できる発射ポッドを2基搭載する。 GPS/INS誘導で射程はM30で40km+、ATACMで300kmにも達する。 弾頭は面制圧効果に優れる自爆装置付のキャニスター弾と精密攻撃用のユニタリー弾から選択できる。 アルセリオではその圧倒的な制圧力で99式自走砲?とFH-70と並んで各国から恐れられる陸上自衛隊の長距離攻撃力の3本柱の一角を担っている。 またトラックに半分の量のランチャーを搭載した軽量型のHIMARSも存在する。