約 21,878 件
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/60.html
アルビオン王国 F世界?における最強の海軍国家。 周囲を海に囲まれた島国であったため海軍が発達した。 優れた航法技術や建造技術などにより外洋型の艦隊を有する。
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/118.html
SS 原初への帰還?
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/8.html
マナ 魔法の使用に必要とされる素子で空気中、土中、水中に存在する。 生物は全てこれを取り込むことが出来るが、特に魔法生物や魔法使いはこれを大量に体内に取り込み使用する。 魔導理論的には静止質量がほぼゼロのエーテル粒子となっているが性質など詳しくは不明。 深度や高度に比例して濃度は低下する。また、生体中は比較的濃度が高い。このことを利用して魔法のホーミングが行われる。
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/116.html
鉄天鉱山 シャングリラ最大規模の鉄鉱山。その規模は百数十㎞クラスで、大規模な露天掘りが行われている。
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/88.html
84㎜無反動砲 カールグスタフ スウェーデン製の無反動砲。 陸上自衛隊の普通科では後継である01式対戦車誘導弾の配備を持って一時退役したが、多種多様な砲弾を使用できる柔軟な運用性、簡易な構造からくる頑健性と信頼性、1人でも携行できるほど軽量、運用コストの安さなどから再度配備が決定された。 F世界?では普通科の対物・対陸竜?火力として広く使用されている。
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/114.html
LFA-1:陣風 日本が開発した輸出用軽戦闘攻撃機。A-1スカイレーダーを参考にして大出力のT56-16Aターボプロップエンジンを中心にして設計されている。
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/91.html
M2 キャリバー重機関銃 陸上自衛隊が配備しているアメリカ製の傑作重機関銃。 その設計は第2次大戦前であり、何度も更新の話が出たがそのたびにその信頼性と性能から後継たちを退けてきた名銃。 口径は12.7㎜、発射速度は毎分400~600発、射程は700mに達する。 左右どちらからでも装填が可能で信頼性が極めて高く故障は滅多に発生しない。 F世界?では制圧任務に対して絶大な効果を発揮している。
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/36.html
CT-4 コンバットインパルス T-4をベースとしたCOIN機。後席を廃止して開いたスペースにFCSをはじめとする電子機器とM61機関砲を追加。パイロンも更新され1000ポンド爆弾2発又は短距離AAMが搭載できるようになった。 T-4譲りの低速から亜音速までの良好な運動性と操縦の容易さは健在で対地攻撃から防空戦闘まで出来るので非常に重要な同盟国の空軍にも貸与された。
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/110.html
シア皇国の皇都、宮殿の玉座の間は重苦しい沈黙に満ちていた。 皇国史上類を見ない大敗北を喫したのだ。それも当然だろう。 「軍務卿、もう一度確認する。報告は全て事実なのだな」 「はい。紛う事無き事実にございます」 皇国軍のトップである軍務卿は1週間前と違い肩身の狭い思いをせざるを得ない。 開戦から僅か1日で空軍の、僅か4日で海軍の兵力を介入してきた『ニホン』の海軍と空軍に半減させられたのだ。それも『ニホン』軍に一矢も報いること無く! さらにタイランに小石一個さえ投げ入れることさえ困難な状態になったのだから尚更だ。 外務卿個人にとっては日ごろの鬱憤が晴れるスカッとした事態だった。 「開戦初日から彼らは飛竜母艦から機械飛竜を大量に投入しました。機械飛竜は黒飛竜の倍近い速度で遥か500㎞以上の距離を飛び、我が飛竜騎士団が地上に居る間に巨大かつ強力な爆弾を落としてこれを壊滅させ、迎撃に上がった飛竜もその強力な攻撃で外柚一触されました」 ここで軍務卿は苦しそうに言葉を切る。 その姿を見ると外務卿もさすがに軍務卿が気の毒になった。 「さらに海では『ニホン』海軍は我が海軍の『テイワ』級よりも巨大な装甲艦や島と見間違うほど巨大な要塞艦を投入してきました。その艦隊は風のような速度で走り回り、我が艦隊の装備する大砲の射程の倍以上の距離から百発百中の精度で砲撃してきたとの報告です」 軍務卿の表情は複雑だった。 軍務卿自身、今自分が話した言葉を信じたくは無い。 だが、自分が話した事態によって起こった損害は紛うことなく存在するのだ。 全ては悪夢のような現実だ。 「軍務卿、この状態でタイランの反逆を鎮圧できるか?」 リク皇帝の言葉に軍務卿は灰を腹一杯食わされたようなとてつもなく苦い表情をした。 「恐らく不可能でございましょう」 今回の作戦は空海軍の第1線の主力を用いて実行された。その主力が完膚なきまでにやられた以上それより戦力価値の低い第2戦級の戦力を投入しても同様の結果になることは想像に難くない。 「『ニホン』が我が皇国領土に攻め入ってきた場合、我が皇軍は勝てるか?」 「以前に申し上げたとおり、『ニホン』軍に関する情報が少ないので正確なことは私にも分かりませんが、空の支援を受けられぬとなれば厳しい闘いとなりましょう。ですが我らは必ず皇帝陛下に付き従う所存でございます」 リク皇帝はしばし黙考した。少なくとも彼は暗愚ではないと知っているのが外務卿の救いだった。 「相手は『ニホン』はどう言っているのだ?外務卿」 話を振られた外務卿は今日仕入れたばかりの情報を公開した。その情報は旧ケリア聖王国の大使からの情報だった。彼は日本政府の意思を伝えてきたのだ。 ①日本政府は今回の衝突はお互いの見解の不一致による不幸な事態であり、どのような時期でも講和の交渉を行う用意があること。 ②講和の際は貴国の経済に見合った常識的な額の賠償金を要求するが、領土の割譲は一切考えていないこと。 ③講和に当って民主主義という観点から日本とタイラン共和国の独立と内政への不干渉を約束する新友好条約を相互に結ぶこと。 ④自由貿易の観点から相互最恵国待遇の通商条約を締結すること。これは交渉が講和後でも忖度しない。 ⑤今回の敗北により同盟諸国が勢力拡大の好機と判断し暴走する可能性があること。 「ん・・・軍務卿」 「はい、早速確認を取ります」 軍務卿にとっては⑤の項目のみしか関われないのだ。そして空海軍がすり減らされ、強力な『ニホン』軍の圧力に曝されている現在の段階で腹背に敵を受けて戦うことは極めて苦しいことは事実だ。 「外務卿、この言葉は信用できるか?」 外交の世界では片手で友好の握手を差し伸べておいてもう片手で相手を滅ぼすナイフを忍ばせているということは良くあることだ。 「信用できるかどうか断定は出来ません。何せ我々との友好条約を紙の様に平然と破ったのですから。もっともこれだけの軍事力を保有していると分かった以上、あんな内容の条約を結んだ時点で今回のような事態になってもおかしくは無かったはずですが」 ここで外務卿はただと言葉を切る。 「少なくともこのメッセージを我々に届けたかったことは事実でしょう。だからこそ彼らは私と親交の深かった和平派の旧大使を持ち出してきたのです。そしてケリアでは僅か3000で5万を撃破る陸軍の精強さを見せ付けている。そして我が国の海岸線は広い。200万とて薄く配さざるを得ない。そうであるのに⑤の情報を我々に教えているのです。そう考えれば信用せずとも交渉に応じることは不利にはならないかと」 「分かった。交渉に応じようではないか。信頼できる相手かどうかはそこで見極めることとしよう」 このとき世界は新たに『ニホン』という列強を迎えたのだ。 第7話へ 第9話へ メニューへ
https://w.atwiki.jp/horibe2210/pages/111.html
もちろんこの時点で自衛隊にはシア皇国上陸制圧作戦計画など名称すら存在すらしなかった。 しかし、それはシア皇国には分からない。それに圧力を掛け続けるといってもずっと艦船をその場に留めておく必要もない。思い出したように『城』級軽空母で訓練を兼ねて、不定期に空襲してやればずっと日本の空母が近海に展開していると思い込んでくれるのだ。 そして海岸に兵力を貼り付け続けることとなる。 そうなれば同盟諸国が好機と判断してシア皇国と勝手に戦争を起こす。そうして両方とも疲弊すれば日本は簡単に漁夫の利をせしめることが出来る。 そして仮に講和するとしても締結は同盟諸国が仕掛けた跡が望ましい。交渉を長引かせればそう言ったメッセージが送れる。そして開戦した直後に講和してやれば、日本に反抗的な同盟諸国は自動的に消えてくれるわけだ。 どちらに転んでも上手く利益が出る、狡猾とも言える強者の外交戦略だった。 講和交渉は皇都にほど近いチンタオ海軍基地の一角で行われた。 講和交渉を行ったのはシア皇国側が交渉権を委任された外務卿で日本側が青島全権委任大使だった。外務卿は講和交渉の出席者を見て驚愕した。 青島全権委任大使の隣にリ座長がタイラン共和国の全権委任大使として座っていたのだ。 このことはタイラン共和国の裏で日本が深く関わっていたこと、タイラン共和国がどの国に付くか明確に示していた。 さらに2人の後に立っていた深いフード付のマントを着た人物がそれを取った時、外務卿はさらに驚いた。 中性的な整った容姿、胸元を押し上げる豊かなふくらみ、そして何より尖った耳、 それはこの世界では排斥の象徴たるエルフだった。そして、日本軍の制服を着ていた。 驚愕と同時に外務卿はこれが民主主義かと納得もした。『ニホン』は東の海の果てにあるエルフの流刑地、不毛の名で知られた名も無き陸地を『シャングリラ』と呼んで併合している。 そこに生きる者の意志が国の意思ならばそこに民族や人種は例えエルフであっても関係ないということか・・・ なぜ日本の陸軍が強いのか、その秘密が分かった気がした。 王政の軍隊は基本的に傭兵で組織される。そこには金銭的な繋がりしかない。そして命は金よりも大事なのが傭兵だ。 それに対して民主主義の軍隊は違う。命令は王ではなく所属集団からの命令なのだ。そしてそれの否定は集団での自らの否定、つまり集団からの追放であり確実な死を意味する。ならば一重でも望みのある可能性を戦場で追求するのは道理だ。 命が惜しい軍隊と命懸けで戦う軍隊。どちらがより強い軍隊か、想像に難くは無い。 外務卿は民主主義を見せ付けられて講和交渉を開始した。 日本との交渉はあっという間に最後の直前まで合意に至ったが案の定暗礁に乗り上げた。 日本がタイラン共和国との同時に条約を締結することを求め、タイラン共和国が占領下で座に発生した損害を賠償するように要求したからだ。 その額はかなりのものであり、かなり難しい判断を強いられたため時間が大量にかかってしまった。 そして、日本の書いたシナリオの通りそれを交渉が上手くいっていないと判断した同盟の一部の国々は有志連合を結成し、シア皇国に侵攻した。 そして、シナリオどおりタイラン共和国に賠償要求を撤回させ、条約内容の合意を確認したのだ。 日本国はタイラン共和国から恩を1つ買い、シア皇国に恩を2つ売って、同盟の反抗児を退治する事に成功した。 このシナリオを書いた日本の外交担当者の腹黒さは敬服に値するだろう。 しかし、迅速な交渉が可能であることからシア皇国内での交渉となったのだが、同じくシア皇国内で条約を締結しては戦勝国としての日本の面子が立たない。 だからこそ、移動可能でシア皇国の主権が及ばない軍艦が選ばれるのは当然であり、その軍艦が空母と共に日本の海の支配と陸への力の投射を象徴する『やまと』であることは当然のことであった。 この場合青島大使は全権委任状を持っており条約を締結できるが、外務卿はあくまで交渉権しか持っていない。そこで彼は一度皇都に帰らなければならなかった。 「内容は分かった。私はこれを承認する。よくやってくれた外務卿」 「はい、もったいなきお言葉にございます」 実際リク皇帝が覚悟していた内容よりも遥かに『ニホン』の要求は軽かった。 独立と内政不干渉についてはほぼ要求を呑まされたものの、賠償金は僅か年間租税収入の僅か2.2%(ただし金立替)であり、圧倒的な勝者としては驚愕とも言えるほど控えめな内容だった。 「それで外務卿、条約の締結はいつ・どこでやるのだ?」 「2日後、チンタオ沖で『ニホン』海軍の要塞艦『ヤマト』の艦上で行う予定です。交渉は終始我が海軍基地内で行いましたから。なにぶん相手方にもメンツがございますので」 「・・・よし。では私が行こう」 リク皇帝の言葉に一瞬空気が固まった。 「へ、陛下!それは!しかし!」 外務卿がしどろもどろに説得を試みようとするがリク皇帝の決意は硬かった。 「向こうのメンツを立てねばならぬのだろう。ならば私が行けば問題あるまい。それに彼らは勝利に驕る様な野蛮な民族ではないはずだ」 臣下が何と言おうと彼は自分の意思を変えるつもりはなかった。 『手空き乗員!右舷上甲板!登舷整列!』 艦橋から命令が下り、手空きの乗員達が慌しくCPOの指導で登舷整列していく。 「4分16秒です」 副長がクロノメーターを読んで経過時間を有坂艦長に伝える。 「うん、まずまずだな」 そのタイムに満足しながらブリッジから全艦放送のマイクを取る。 『シア皇国に対し敬礼』 穏やかな言葉に乗員がキリッと反応して陸地に対して敬礼する。 1戦を越えた乗員達が参っていないことを念入りに確認して、直れとマイクに吹き込む。 『以後も第3哨戒配備を維持する。全権大使乗艦の際は第1種軍装での登舷礼を行うつもりだからそのように準備しておくこと。分かれ』 その言葉に乗員が静かに興奮していることを有坂艦長は感じ取っていた。 大きい。船というよりもこれは島と言ったほうがいいな 近づけは近づくほどその巨大な質量に圧倒される。舷側はまるで城壁のように高く格の違いを見せつけている。 まるで伝説に出てくる要塞艦だ・・・さらにこれが風のように速く動くというのか・・・ 海軍が一糸も報いることなく壊滅したこともこの要塞艦を見せ付けられれば納得も出来る。 いったいどれだけの艦隊をそろえればこの要塞艦を沈められるだろうか・・・100隻?いや、これほど巨大な船だ、どれだけ艦隊をそろえようとも人の力では沈められないだろう・・・ そう思わせてしまうほどその存在は圧巻だった。 程なく内火艇が舷側に着く。そこにはタラップが降ろされておりそこから甲板へと上ることが出来た。 甲板上では水兵達が白い軍服に身を包んで舷側に整列している。 その光景に親善目的で来航したアルビオン海軍の面影を思い出す。 そこに高級士官用らしき軍服に身を包んだ初老の軍人が近づいてきた。 「『やまと』艦長の有坂雄治1等海佐です。本艦の全クルーを代表しあなた方の歓迎を表明いたします。ようこそ『やまと』へ」 艦長と握手を交わし、条約の締結場所である士官食堂へ案内されようとする時、リク皇帝は近衛兵が揉め事を起こしているのを発見した。 「ですから、武器の携帯は許可できません」 「それでは陛下をお守りできぬ!」 「よい。渡してやれ」 リクの言葉に近衛兵が躊躇する。 「は、ですが!」 「それが嫌ならそこで待っておれ。これは命令だ」 強く言われ、しぶしぶ近衛兵達は武器を手渡した。 それを確認して再び有坂艦長の案内を受ける。 「臣下が失礼をしましたな」 「いえ、規定で武器の携行を許可できず申し訳ありません」 リクの謝罪をあくまで大らかに有坂艦長が返す。その態度に人柄の良さを感じた。 程なく条約の締結場所である士官食堂に到達する。 「締結は署名した文書を交換する我々の方法で締結したいと思います」 「ああ、わかった」 二人とも用意された2枚の文書に署名を行う。そして、手交した。それを確認して有坂艦長が祝いの言葉を述べる。 「この条約が両国の末長い友好の印となることを願います」 第一報はその直後だった。 『CIC砲雷長より艦長!エマージェーシーコール!』 その放送に有坂艦長は機敏に反応し、艦内電話を取る。 「こちら艦長、どうした?」 『大陸上空に所属不明の不審機4を捕捉。こちらに向かってきています。速度約150ノット、接触予想時刻+45。指示を願います』 「レーダーによる監視を継続。光学映像による確認を急げ!」 『了解!』 砲雷長の答を待って有坂艦長は電話を降ろすとリク皇帝に向き合った。 「本艦のレーダーが大陸方面から本艦に向けて飛来する機影を捕捉しました。安全が確保されるまで本艦からの退艦はご遠慮させていただきます」 その言葉にリク皇帝はピンと来た。 軍務卿か・・・ 彼は代々皇室に使える武門の出身で、生真面目な人間であった。 さらに有坂艦長は識別の為ブリッジまでご足労願いますと言って、ブリッジに入れられた。 『相対距離45000、光学映像を送ります!』 モニターの一つに画像が出る。そこには4騎の飛竜、そのうち1機は旗を持っている。それは予想通りの旗だった。 「彼らはシア皇国軍ですか?」 有坂艦長が無機質な声で質問を投げかける。 「いや、そうではない」 と答えるしかない。それが軍務卿の望みであり、シア皇国を守る唯一の方法なのだから。 「それは国家元首としての信用の置ける言葉ですか?」 「ああ」 その答を聞いて有坂艦長は一瞬表情を翳らせたが、すぐに気合いを入れなおす。 「所属不明不審機を敵機と認定!総員合戦準備!対空戦闘用意!」 命令が下命され、警鐘が響き、水兵たちが慌しく動き出す。 「緊急時につき確実を期す為ミサイルによる迎撃を許可する!」 『左舷VLS1セルから4セルESSM射撃用意!』 『左舷VLS1セルから4セルESSM起動!イルミネータデータ・リンク!スタンバイ!』 『左舷VLS1セル、2セルESSM、ファイア!』 左舷のVLSが開放され、噴煙と共にESSMが飛翔を開始する。 魔法矢!?この距離で!・・・届くのか!? この世界にもホーミング能力を持つ飛翔体として魔法技術を応用したマジックアローと呼ばれる兵器が存在する。だが、あくまで対飛竜用の兵器であり射程はせいぜい1000m以内でそれほど命中率がよいわけではない。 それに対してESSMは射程50000m、一撃で艦艇を撃沈する威力を持つ対艦ミサイルを迎撃する為きわめて高い命中率を誇る。そして飛翔速度はマッハ4、目視から対応までの時間は極めて限られており、人間の状況判断の限界を超える。 程なくしてESSMは目標に到達した。 『ESSM1番、2番、それぞれの目標に直撃!続いて3セル、4セル、ファイア!』 CICの砲雷長の無機質な声がスピーカーから艦橋に流れる。噴煙とともに再びESSMが発射される。 「・・・・・・」 「今なら、自爆が間に合いますが?」 悲痛な表情のリク皇帝の沈黙に耐え切れず、有坂艦長が助け舟を出す。 「いや、我が軍でない相手に情けをかける必要など・・・」 声はだんだん小さくなり、最後のないという言葉は消えてしまっていた。 『ESSM3番、4番の直撃を確認!本艦周辺空域の対空脅威レベルクリアー』 「戦闘配置解除、第1哨戒配備へ移行。以後5分間脅威目標探知がなければ、第2哨戒配備とする」 有坂艦長は指示を出すと複雑な表情でリク皇帝を見る。 「それではお送りします」 そう言いながら、やはりどこの世界でも政治家は変わらないのかと期待を裏切られたように感じていた。 こうして日本国とシア皇国の紛争、タイラン共和国独立戦争は航空、海上自衛隊の介入によるシア皇国空海軍の壊滅という形で幕を閉じ、タイラン共和国は独立を果たした。 そして日本は以後列強国、工業大国として世界へと進出していくことになるのである。 第8話へ 第10話へ メニューへ