約 21,879 件
https://w.atwiki.jp/avin_unicorn/pages/141.html
クエスト名 街 □ ラーマとシーターの物語 カリカット □ [[]] □ [[]]
https://w.atwiki.jp/evergreenforest/pages/226.html
1773年 薩摩藩士ら舟山諸島に漂着する 安永2(1773)6月、薩摩藩士、池山喜三右衛門、中原仲左衛門ら17人、永良部島に在番し、この月、名覇を出帆して帰ろうとした。大風に遭い、1ヶ月ていど漂流する。 安永2(1773)8月、浙江舟山において破船し、小舟に乗り上陸す。 安永3(1774)3月、清船で長崎に護送される。 「永良部島」は沖永良部島か口永良部島のいずれか、「名覇」は那覇と思われる。薩摩藩士らが所用で那覇に赴き、「永良部島」に帰ろうとして遭難したと解しているがどうだろうか。もしそうならば、位置関係からいって、「永良部島」は沖永良部島が妥当と思われる。 Map 参考文献 外務省記録局編, 1884. 外交志稿. 外務省.
https://w.atwiki.jp/evergreenforest/pages/160.html
尾張孫左衛門船、馬丹島に漂流 1667年 寛文7年9月(1667/10月か11月)、尾張国知多郡大野村の商人孫左衛門、15人乗りの船に材木を積んで江戸に送る。 寛文7年10月中旬(1667/11月末~12月始め)、江戸着。 寛文7年10月下旬(1667/12月前半)、尾張大納言の品物をはじめ、千賀志摩守、同与八郎の荷物を積み、飯米2石ほど積み込んで、江戸を出船。 寛文7年11月4日(1667/12/18)、下田を出て、三河国沖合いまできたとき、西風が強くなり、尾張国に寄せることができず。11月5日(1667/12/19)、大王崎のあたりで西風がますます強くなり、東へ流される。11月8日(1667/12/22)朝、帆柱を切り捨てる。11月14日(1667/12/28)晩、風が変わる。11月15日(1667/12/29)、帆げたを帆柱にし帆走。西に向かう? 寛文7年12月6日(1668/01/19)、南と東に島が1つずつ見え、御籤により、東の島にあがることにする。八ツ時ころ、東の島に船を着け、伝馬船にのって港の場所を聞き、親船で入港。船の晩をして夜を明かす。台湾とフィリピンの間のバタン海峡の小島。翌朝、親船の荷物を奪われ、船を破壊されたので、伝馬船で逃げるが、捕らえられる。12月8日(1668/01/21)、奴隷として一人ずつ別々の家に引き取られる。 寛文8年、70~80軒の集落へ逃げ出して、15人ともそこで働くようになる。 寛文8年3月(1668/4月~5月ごろ)、船が出るようなので帰国を申し出ると日本に行く船ではないということであった。このころ、船頭治郎兵衛見えなくなる。殺されたらしい。 寛文8年4月(1668/5月ごろ)、楫取治右衛門、見えなくなる。殺されたらしい。 寛文9年10月(1669/11月ごろ)、船を作り始める。 寛文10年3月10日ころ(1670/04/29ごろ)、船が完成するが、2人が殺され、長吉がケガで死に、五郎蔵は島に残るといい、11人で出帆することとなった。 寛文10年4月中旬(1670/6月上旬頃)、船出する。2週間後、シナのホウトウ山という無人島に着く。役人が来て調べられ、米を5升、船を1艘もらう。 寛文10年5月21日(1670/07/08)、ホウトウ山を出船。11日目、日本の五島につく。20日五島にとどめられ、長崎まで3隻の船に守られて送られる。 寛文10年9月1日(1670/10/14)、長崎の揚り屋を出され、尾張に送り届けられる。 参考文献 荒川秀俊, 1995. 異国漂流物語. 社会思想社. 外務省記録局編, 1884. 外交志稿. 外務省.
https://w.atwiki.jp/evergreenforest/pages/51.html
777年 遣渤海使08, 渤海使10 宝亀8年5月23日(777/07/02)、渤海使09(H0776a)の史都蒙らが帰国した。大学少允(しょうじょう)・正6位上の高麗(こま)朝臣殿継(とのつぐ)を送使に任じた(遣渤海使08)。渤海国王に書を賜った。(続日本紀) 高麗殿継、遣渤海使08として出発(出港地不明)。渤海に漂着破船 宝亀9年9月21日(778/10/15)、渤海使10、三国に来着。前に送渤海使として渤海に使せる大学少允高麗殿嗣(「継」とも)(遣渤海使08)が、船路を失い渤海遠夷の境に漂着破船し困窮せるに対し、渤海国王は船2艘を造らしめ、献可大夫司賓少令張仙寿を送使として殿嗣等を送還せしめた。その乗船がこの日、三国湊に来着。 天皇は越前国に次のように勅した。遣高麗使と高麗国の送使は都合のよい所に落ち着かせ、先例にしたがって彼らに衣食を供給せよ。ただし、殿継1人は早く入京させよ。 宝亀9年10月6日(778/10/30)、正6位上の高麗朝臣殿継に従5位下を授けた。 宝亀9年12月17日(779/01/09)、正6位上の大網(おおよさみ)公広道を高麗の客を送る使者に任じた。 宝亀10年1月1日(779/01/22)、天皇は大極殿に出御して、朝賀を受けられた。 渤海国は献可大夫(こんかだいぶ)・司賓少令(しひんしょうれい)の張仙寿(ちょうせんじゅ)らを遣わして、朝賀させた。その儀式は通常の通りであった。 宝亀10年1月5日(779/01/26)、渤海使の張仙寿らが土地の産物を献上して次のように奏上した。 「渤海国王が申し上げます。聖朝(日本の朝廷)の使者、高麗(こま)朝臣殿継(とのつぐ)らは航路を見失って遠い境域に漂着し、乗っていた船は破損し、帰る手段がありませんでした。そこで、船2艘を造って、張仙寿らを遣わし、殿継に随行して入朝させます。併せて献上物を積載して天朝(朝廷)を拝し奉らせます」と。 宝亀10年1月7日(779/01/28)、5位以上の官人及び渤海使の張仙寿らと朝堂で宴を催され、地位に応じて禄を賜った。 天皇は渤海国の使者に次のように詔された。 渤海王の使者の仙寿らが来朝して朕を拝しまみえた。朕はこれを喜びとする。ゆえに位階を加え授け、あわせて禄物を与える。 宝亀10年1月16日(779/02/06)、5位以上の官人及び渤海使と朝堂で宴を催され、禄を賜った。 宝亀10年1月18日(779/02/08)、内射(ないじゃ)(大射に同じ)を行った。渤海使も射手の列に加わった。 宝亀10年2月2日(779/02/22)、渤海使が国に帰るので、渤海国王に璽書(じしょ)(天皇の印を捺した詔書)を賜い、併せてみやげを附けた。 参考文献 福井県編, 1993. 『福井県史』通史編1 原始・古代. 福井県. 室賀信夫, 1970. 日本人漂流物語. 新学社 園田一亀, 1991, 韃靼漂流記. 平凡社
https://w.atwiki.jp/nekoyutrpg/pages/147.html
back 「フライハイキャンペーン」グランドオープニング next 「漂流学園」ミドルフェイズ ■オープニングフェイズ1:作戦開始 マスターシーン 眼下に雲海が広がる青い空の中、一隻の飛空戦艦が轟音を立てながら進んで行く。 その戦艦の側面には、真帝国を表す剣十字の紋様が描かれていた。 帝国兵「本艦はあと10分でノース・アカデミー分校上空へと到達します」 エルバート「うむ。 ……これより作戦を開始する。 平和を我が手に(フリーデン・イン・デア・ハント)!!」 「マナカウンター、射出ッ!」エルバート大尉の声がブリッジに響き渡る。 それを復唱する帝国軍兵士。 飛空戦艦より撃ち出された弾丸状のカバラは、雲の中に吸い込まれていった。 ■オープニングフェイズ2:撃ち込まれた災厄 シーンプレイヤー:弓月守人 登場難度:不可 昼休みを利用して、守人は万色学園の屋上へとあがった。 眼下には、異世界の風景が広がっている。 守人:「まさか、本当に異世界に来るとはなぁ………」と煙草を咥えながら、風景を見てよう。 広がる平原と、まばらに見える村落。 そして遠くには、天にそびえたつ塔――“積層都市”と呼ばれているらしい建築物。 現代日本の中でも、退魔師として他の人間と違う視点を持っていると思っていた守人だが、この光景にはまだ慣れぬものがあった。 GM:そこに「こんな所で、なに黄昏てんのよ!」と後ろからブリギットの元気な声が聞こえてきた。 守人:「うん?」とそちらを見る。 GM/ブリギット:「どう、ミッドガルドには慣れた?」 アーシェッタ:次にお前は「えーと、誰だっけ?」という! 守人:「ああ……とりあえず慣れましたよ。 えー……生徒くん」 GM:はずれた(笑) アーシェッタ:ち(すごすご) 暁:なんか懐かしいなあ、守人さん(笑) 守人:「ところで、誰だっけ?」と煙草を携帯灰皿につっこみつつ。 GM:「同じクラスで魔法の勉強してるんだからいい加減、名前くらい覚えなさいよっ!? 私はブ・リ・ギ・ッ・ト!」 ちなみに、魔法の素質を持つクエスターは、ノース校側の授業に参加する形でその知識を習っている。 そのため年の離れた守人と彼女でも、あちらでは同級生扱いされてる。 守人:なるほど。 私もノース校では生徒なわけですな? アーシェッタ:夜学に通ってるようなもんか。 GM:だいたいそんな感じ。 代わりに、万色学園の授業にも、あっちの教師や生徒が混じってる。 これは万色学園側に食糧や生活物資を供給する交換条件として、ブルースフィアの学術知識等を要求された、という面もある。 守人:「あー……ああ、思い出した。 いや、忘れてたわけじゃないんだが」 ケイ:いや絶対忘れてる。 GM/ブリギット:「まったく……やっぱり元の世界が恋しいんで、そんなにボケてるんでしょ」 守人:「いや、元から記憶力が悪くてね。 人の名前は特に……思い出しにくい。 元の世界が恋しいと言うのも確かだけどな」 正確には義妹が、だが(笑) GM/ブリギット:「記憶力が悪いワリに、魔法学の飲み込みは早いのがムカつくわ……」 守人:「ある意味、慣れてるからね」 GM:ここで、どかーんと爆音が響く。 「? なにかしら、今の音」 守人:「……爆発音?」音のしたほうを見る。 GM:ノース校にある塔に、なにか巨大な物体が突っ込んで煙をあげています。 守人:「また、何か召還でもされたのか?」 GM/ブリギット:「魔法塔に何か落ちたみたいだけど。 見て!何か空から来る……帝国軍? なんで帝国軍が攻めてくるのよっ!」 守人:「帝国軍?」帝国の事は知ってて問題ないんかな? GM:知ってて問題ない。 上空の飛行戦艦から、ノース校側の校庭に帝国兵が降下してきている。 守人:「あれが帝国軍か……なんかヤバイ状況のようだが」 GM:「わたし、みんなに知らせてくる!」 とブリギットが<ワープ>を唱える……が、凍りついたように彼女は動かなくなった。 守人:「どうした!?」ブリギットの様子は? GM:何が起きたのか解らないが、ブリギットは押しても引いても動かない。 守人:「ちっ……どうやらこの世界も面倒ごとが多そうだ」 アーシェッタ:夢だったら「ワーディングっ!?」とか言いそうだ。 (※ダブルクロスの一般人の動きを止めるエフェクト) GM:ガープス出身の守人は知らないしな(笑) 「クエスト:ブリギットを助ける」を渡してシーンエンド。 ■オープニングフェイズ3:帝国軍襲来 シーンプレイヤー:朽葉ケイ 登場難度:不可 ケイは妖精郷マグ・メルについて聞くために、ノース校の教師ユリエンス師のもとを訪れた。 帝国軍人でありながらウィザードでもあるユリエンスならば、どこかでマグ・メルについて聞いたことがあるかもしれない。 ケイ:「……そういう訳ですけど、なにかご存知ないでしょうか?」 GM/ユリエンス:「妖精郷マグ・メル。 いろいろ伝承は聞いたことがあるが……と?」 ここで、ずずーんと地響き。 ケイ:「うわ、地震?」 GM:ユリエンスは「……また誰かの実験が失敗したかな」と窓の外を見る。 ケイ:一緒に見ましょう。 GM:窓からは、空から次々とパラシュートで降下してくる帝国兵の姿が見えた。 中にはゲパルト・ギアの姿もある。 アーシェッタ:うわー、今のレベルだとゲパルト・ギアは厄介だな……。 暁:脳内でロッチナ様が笑い声を上げた。 GM:ボトム○・クメン編ラストのことかーっ! 暁:ウド編のラストでもいいですぞよ。 あっちも降下だし(笑) ケイ:「えっと、なんでファンタジー世界にロボットが……」 GM/ユリエンス:「あれは銀十字軍!? 何故……!」その時、帝国兵の突撃銃がこちらを向いた。 ケイ:「……ユリエンス先生!」 GM:「危ない、ケイ君!」ユリエンスが<マジックシールド>を唱えようとして……これもそのまま動きを止めた。 ケイ:「先生、どうしたんですか……って、これって」僕はワーディング知ってるな……。 GM:ユリエンスは凍りついたかのように、押しても引いても動かない。 ケイ:「えっと……夢さんに関係あるのかな。 とにかく何とかしないと」 GM:帝国軍の兵士達は次から次へと降下してきている。 ユリエンスを助けるにしても1人では無理だ。 ケイ:「誰か、動ける人を……」 ケイはとりあえず万色学園の校舎へ走った。 GM:「クエスト:ユリエンスを助ける」を渡してシーンエンド。 ■オープニングフェイズ4:扉を越えて シーンプレイヤー:楡川夢 登場難度:不可 夢は今、悪友の檜原慎一と共に“新開かずのドア”と呼ばれる扉を開け、一歩を踏み出した。 GM:なぜこんな事になったのか……それは委員長の瀬川紀子との言い合いに始まる。 夢:うぃ。 夢『……あれ? なんでこの掃除用具入れ、封してあるの?』 紀子『ああ、そこも“新開かずのドア”になってるらしくて。 変なトコに繋がってると大変だから、誰も入れないようにしてるの』 夢『ふうん。 でも、こんな狭いし、入ろうとしても誰も入れないと思うけど』 紀子『(夢の胸元を見ながら)……そりゃあ、夢さんみたいにナイスバディだと入らないでしょうね』 夢『い、いや、入れるよ!? 私そんな胸おっきくないし!』 紀子『言ったわね、だったら本当に中に入って見なさいよ! どうせ胸がつっかえて入らないんだから!このおっぱい魔人!うわああああああん!(泣きダッシュ)』 夢『魔人!?』 GM:まあ、流石に女の子1人で行かせる訳にはいかないと慎一が志願して、2人でどこに通じてるか探ることになったという(一同爆笑) 夢:そんな展開っ!? 暁:うははははは(笑) GM:……いや、シナリオにはここの部分が 「紀子『言ったわね、だったら本当に中に入って見なさいよ』」 しか台詞書いてなかったんでな……これだけだと訳解らんし、でっちあげたと言う。 だが私は謝らない。 守人:むしろ良いでっちあげですな(笑) 暁:いいぞ! 今後ももっとやれ!(笑) ケイ:うぬ(笑) 「でもあの胸はきんに……ごめんなさいごめんなさい」 夢:「……すまないね、慎一」 妙に長い中を歩きながら、話しかける。 GM/慎一:「しかたないんじゃない? まあ、俺もどこに通じてるかは興味あるしさ~」 薄暗い通路を暫く歩くと、2人はドアにたどり着いた。 夢:「そう、なら良いんだけど……と、出口みたいだね」 GM:ドアの向こう側、そこは……。 夢:ぎぃ、ばたーん。 GM:「……ノース校の寄宿舎じゃないか。 近道にはなるけど、意外につまらないオチだな」 と、掃除道具入れから出てきました。 夢:「つまらない方が良いわ。 いきなり亜空間だったらさすがに洒落にならないし」 GM:「せっかく来た事だし、購買でパンでも買って……」 慎一が部屋のドアをゆっくり開けると、武装した帝国兵がこちらに近づいてくるのが見えた。 あわててドアを閉める。 「な、なんで軍隊がここに居るんだよっ!? ノース校じゃなかったの!?」 夢:「……しっ、静かに」 GM:かつ、かつ、と帝国兵の足音がだんだん近づいてくる。 夢:「帝国軍? アカデミーとは協定があったはずだけど……いや、こんな事平気でやる連中も確かに居たわね」 [[ブライトナイト]]EX1の事を思い出しつつ。 GM:慎一が夢の腕を引っ張る。 「……! 夢、夢っ、これに隠れよう!」 夢:「?」 GM:2人はそれぞれ、手近に合ったダンボールのような箱の中に入って隠れた。 夢:「一か八かって感じだね……まぁ、見つかったらその時はその時か」 GM:帝国兵ががちゃ、とドアを開けた。 「……居ないか? 誰か居た気がしたんだが……」 ばたん、かつ、かつ、かつ。 夢:「……行ったみたいね」 確認したら、がさり、とダンボールの中から出ます。 GM:「なんだか面白い事になってきたかな?」 わくわくした声で慎一がつぶやく。 夢:「(少し脅かすような口調で)慎一、ヤツラ忍耐とかの緒が短いから割と簡単に発砲するよ? 場合によっちゃ、撃たれてお陀仏……」 GM/慎一:「(素になって)ごめん。 早く戻ろう」 夢:「そうね、アイツらとやり合うにしても武器がなきゃどうしようもない……。 (小声で)本当なら、有るといえば有るんだけど……」 このままここにずーっと隠れてるわけにも行かない。 まずは万色学園に戻る事にしようと、夢たちは掃除用具入れの扉を再び開けた。 夢:「それじゃ、行くよ」 GM:「クエスト:学校を守る」を渡してシーンエンド。 ■オープニングフェイズ5:接触 シーンプレイヤー:アーシェッタ=キュノウ 登場難度:不可 GM:業者に変装してノース校に潜入したアーシェッタは、連絡員の待つ売店へと向かった。 アーシェッタ:「……(ごそごそ)」 ブラウズ:「あー、お嬢、流石に棺を搬入用の箱に偽装するには無理がないかね?」 GM:連絡員キューボールは深刻な顔つきで話しかけてきた。 「時間が余り無い。 手短に話す。 どうやら銀十字軍はこのノース校を狙ってるらしい。 レリクスの入手が目的だろうな」 アーシェッタ:「……無茶な。 学院すべてを敵に回して帝国に益などないだろうに」 夢:不可侵協定とかあったはずですからのぅ……。 GM/キューボール:「作戦指揮はエルバート大尉。銀十字軍の中でもあまりいい噂を効かない奴だ。 奈落と接点があるという情報も……(どかーん)」 アーシェッタ:爆音を無視して平然と。 「……それで?」 GM:「噂をすれば影、か。 もう来やがった」 窓の外に帝国軍の飛行戦艦が見える。 そこから降下してくるゲパルト・ギアも。 ブラウズ:「数が多いですな」 アーシェッタ:「サシなら負けない、けど……協力者が、必要ね」 GM/キューボール:「話は一旦切り上げだ。 ついて来い」と床を剥がして通路を見せる。 「こんなこともあるかと、用意しておいたんだ」 ブラウズ:「Mrキューボール、貴方は?」 GM/キューボール:「噂が本当なら、俺は今回は役に立たん。 協力者捜しといこうじゃないか」 アーシェッタ:「……噂? どんな?」 GM/キューボール:「話は後だ。 この購買部には武器が置いてあるんだぜ? 連中、まずここを制圧しに来るはずだ」 帝国兵がこちらに迫っている。 アーシェッタ:購買部の武器を持ってとんずらしてもあまり意味がなさそうだしなぁ。 「……わかった。 貴方も気をつけて」 GM:フライハイに書いてあるような武器しかないけどね、ってついて来ないのか。 アーシェッタ:え? 当然キューボールがここに残って追っ手をくい止めるんでしょう? GM:「ついて来い」って言ったのに、酷いっ!?(笑) アーシェッタ:いや、素で勘違いしていた。 GM:とにかく、「クエスト:エルバートを倒す」を渡してシーンエンド(笑) ブラウズ:「お嬢、いくらなんでもお嬢1人と私だけでは無理というモノ。 ここは大人しくついていきますぞ」 「……了解」 ■オープニングフェイズ6:メンテナンス シーンプレイヤー:暁一号 登場難度:不可 今日は、月に1度のメンテナンスの日だ。 暁一号は美沢映の居る保健室に居た。 暁:「おーう、先生よ! 悪いがまた手首の調整たのめねえか、まーたホウキをヘシ折っちまった!」 GM/映:「はいはい、じゃあメンテナンスベッドに入ってちょうだい」 暁:「おうよ、しっかり頼むぜー」かふぁーんかふぁーん、ぶしゅー。 GM:メンテナンスが無ければ、とうに機能障害を起こしているだろう。 映先生にはいくら感謝しても足りないくらいだ。 夢:ただもんじゃないよなぁ……。 GM/映:「コレくらいならちょっと数値をいじれば……これで大丈夫かしらね。 でもなんでこんな武者鎧型にしたのかしら。私なら絶対美少年ロボを作るのに……ウフフ……」 アーシェッタ:ショタコンだ。 ショタコンがおる。 GM:で、がらっと戸が開いて帝国兵が入ってくる。 「動くな!……ってなんだこいつ、目がイッてるぞ、怖っ!?」 「素直クール美少年ロボ、いいわ……フヘヘフフフ………」 暁:「(コレさえなきゃあ、面倒見いいんだがなあ)」 GM:「こっちはサムライ用の鎧……か。 他には誰も居ないな」 幸い、帝国兵は暁がロボとは気付いてないようだ。 暁:「(やべえ!今ベッドに固定されてて動けん!)」 ケイ:固定されてるのか。 暁:……あ、実は動いてよかったりします?(笑) GM:どっちでもいいよ(笑) ちなみに帝国兵はエキストラだ。 暁:んでは。 「誰が鎧だこらぁ~!(ぐぽ~ん)」 GM/帝国兵:「うわあっ! コイツ……動くぞっ!?」 暁:「人のメンテ中に押し込みたあいい度胸だ! そこへ直れ!(ぐごごごご)」テキトーに追い散らす(笑) GM:「うわーーっ!? 魔神様がお怒りになったあっ!」 いきなりだったんで慌てて逃げ出す帝国兵。 夢:大魔神扱いか……。 暁:んで、帝国兵というものを知っててよい? GM:おおまかには知ってていい。 ミッドガルドで一番有名な勢力だし。 暁:OK。 「おう、先生よ! ちっと隠れてな。 俺はあの制服着てる連中にお仕置きしてくるから、戻ったらメンテの続き頼むぜ!」 ぶしゅー、とウイング展開。 GM/映:「ウフフ、ロボなんだからメイド服を着せるのは基本よね……え? 何、何かあったのかしら?」 暁:ぐぽーん、と視覚素子点灯。 「よし!」……だが手にはホウキ。 「こっちじゃねえ! じゃあちょっといってくらあ!(べし)」 GM/映:「制服来てる連中……? 何、もしかしてボーッとしてる間に本当にメイド服の美少年が来たの!? ねえ、ねえってば!?」 暁:つうわけで、やりたいことは一通りやった(笑) GM:うん、GMも言いたいことはいった(笑) アーシェッタ:……楽しそうだなぁ。 暁:すーぱー楽しい(笑) GM:「クエスト:帝国兵を追い出す」を渡してシーンエンド(笑) back 「フライハイキャンペーン」グランドオープニング next 「漂流学園」ミドルフェイズ
https://w.atwiki.jp/evergreenforest/pages/212.html
1741年 ベーリング、ベーリング島へ漂着 1681年、ベーリング|Vitus Jonassen Bering、デンマークで生まれる。 1703年、ベーリング、ピョートル 1 世治下のロシア艦隊に勤務。 1724年、ベーリング、シベリアとアメリカ大陸間の海域探検隊の隊長に任命された。 1725年、ベーリング、第1回北太平洋探検(~30) この探検に、ヤコフ・マクシモフ(H1713a)が参加していたとも言われる。 1726年、マルティン・ペトロヴィチ・スパンベルグ、スパンベルグ支隊を率い、13艘の平底舟でヤクーツクを出発。レナ川、アルダン川、マイー川を経てユドマ川へ。 1726年8月末、ベーリング、ヤクーツクを出発。663頭の馬を動員。 1726年10月中旬、ベーリング、オホーツク着。267頭の馬を失う。 1726年11月初旬、スパンベルグ、ユドマ川で氷に閉じ込められる。 1727年、ベーリング、オホーツク荷駄街道(ヤクーツク~オホーツク)を開発。 1727年1月末、スパンベルグ、オホーツク着。 1728年、ベーリング、シベリアとアラスカをへだてる海峡を発見。のちにこの海峡にはベーリングの名がつけられた。悪天候のため北アメリカ大陸を確認することはできなかった。 1730年、ベーリング、サンクト・ペテルブルグにもどり、シベリア北東部の再探検をもうしでる。 1733年、ベーリング、2度目の遠征隊を指揮することになった。この計画は1度目より規模が遥かに大きく、シベリア北部沿岸の広大な地域の地図作製も任務にふくまれた。 第2回北太平洋探検(~43)。 1736/06/18、スパンベルグ、スパンベルグ支隊を率い日本近海探検のためにオホーツク港を発して、カムチャツカのボリシュレツク港に着く。 1738年、スパンベルグ、3隻の船を率いてカムチャツカのボリシュレツクから千島列島沿いに南下、ウルップ島まで達する。 1739/06/01、スパンベルグ、再び4隻の船を率いてボリシュレツクを出発。僚船にウィリアム・ワリトン船。 1739/06/25、スパンベルグ、荒天のためスパンベルグの本隊3隻は、ウィリアム・ワリトン少尉の率いる船と別れ別れとなったが、なお南航を続けた。 1739/06/27(元文4年5月22日)、スパンベルグ、北緯38度41分付近の地点で日本本土を見出す。ロシア人による最初の日本本土望見となる。 1739/06/28~07/03(元文4年5月23日~28日)、スパンベルグ、陸奥国牡鹿郡網地島(宮城県牡鹿郡牡鹿町)の南端長渡沖、同国亘理郡磯浜(亘理郡山元町坂元)、牡鹿郡田代島(石巻市)三石沖などの仙台湾に姿を見せる。1713年に広東から帰還していた亘理郡荒浜船漂流民(H1712a)をスパンベルグ船の見極めに当たらせる。 1739/06/30(元文4年5月25日)、ワリトン、安房国長狭郡天津村(千葉県安房郡天津小湊町)海岸に至り住民と接触した。 その後、伊豆半島沖から紀州沖あたりまで南下。 1739/07/14、スパンベルグ、北緯43度50分の島(色丹島か)に立ち寄る。 1739/08/03、ワリトン、ボリシェレツクに帰着 1739/08/25、スパンベルグ、ポリシュレツクに帰着。 1740/03/25、ソウザ・ゴンザ(H1728a)の教え子、ピョートル・シュナヌイキンとアンドレイ・フェネフに対し、元老院が日本探検隊に通訳として加わることを命じる。 1741/06、ベーリング、カムチャツカから北アメリカ大陸にむけて出航。 1741/07/17、ベーリング、アラスカ湾にはいり、セント・エライアス岬北方で大陸を確認し、この日、カイアック島に上陸した。帰路、ベーリングも乗組員の多くも壊血病にかかったうえ、嵐(あらし)と霧で難破して無人島(のちのベーリング島)に漂着した。ベーリングは1カ月後(1741/12/19)にそこで死亡したが、乗組員の一部は42年、カムチャツカに帰還した。 1741/10/21、聖パヴェル号、ペトロパウロフスクに帰還。 1742/09/07、チリコフ・アレクセイ・イリィチ(イリイッチとも)、ベーリング探検隊の生き残りとしてカムチャツカに帰還。乗組員77名のうち31名が死亡。 1742/06/02、スパンベルグ、ボリシュレツクを出発。通訳として、ピョートル・シュナヌイキンとアンドレイ・フェネフを同乗させる。占守島でさらに2人のアイヌを通訳として乗せ日本に向かう。 1742/07/11、スパンベルグ、濃霧で別れ別れとなり、スパンベルグの船だけが北緯39度35分の地点に達する。 1742、スパンベルグ、ボリシェレツクに帰港。 1742/09/06、ピョートル・シュナヌイキン、アンドレイ・フェネフ、オホーツクに帰る。 参考文献 網野善彦ほか(編集), 1993. 海と列島文化別冊 漂着と漂流. 小学館. 木崎良平, 1991. 漂流民とロシア. 中央公論社. 加藤九祚, 1993. 初めて世界一周した日本人. 新潮社.
https://w.atwiki.jp/niconicojikyouplay/pages/2665.html
【ゲーム】がんばれゴエモン外伝2 ~天下の財宝~(FC) 【作者名】やぶさめ(仮) 【完成度】 【完結】 (09/01/09~09/05/05) 【動画数】31 【part1へのリンク】 【マイリストへのリンク】http //www.nicovideo.jp/mylist/10425855 【備考】完結後、別ゲームにて反省会http //www.nicovideo.jp/watch/sm7013461
https://w.atwiki.jp/evergreenforest/pages/161.html
阿波国勘左衛門船、無人島に漂着 1669年 寛文9年閏10月28日(1669/12/21)、阿波国海部郡浅川浦の勘左衛門、水主の安兵衛、彦之丞、三右衛門等を雇い、11反帆船で浅川浦を出帆。 寛文9年11月初旬(1669/12/下旬)、宮崎に着き、同地の藤代長左衛門の蜜柑を積み入れ、運賃銀830目で江戸に廻漕すべき約を定める。 寛文9年11月15日(1670/01/06)、勘左衛門、長左衛門共々都合7人(?)乗り組み宮崎を出帆。宮崎を出帆して7、8日を経て伊勢国阿濃津に着船し、12、3日日和をまつ。 寛文9年12月6日(1670/01/27)、早天に阿濃津を出帆するが、内海をでたところで暴風にあい漂流する 寛文9年12月28日(1670/02/18)、糧米をすべて食べつくす。のちは蜜柑を食べて食いつなぐ 寛文10年1月中旬(1670/03/上旬)、風が東北に変わる 寛文10年1月21日(1670/03/12)、2尺4、5寸なる「くまびき」を2尾釣り上げる 寛文10年1月23日(1670/03/14)、また「くまびき」3尾を釣り上げ、その後も魚を釣って食いつなぐが、水もなくなり、日付もわからなくなった 寛文10年2月20日ごろ(1670/04/10ごろ)、島を見つける。上陸を試みるが破船し、艀で上陸する。この日は、磯部で寝る。翌朝、勘左衛門死去。亀を食べて潮煮にして食いつなぐ 寛文10年3月1日ごろ(1670/04/20ごろ)、艀で島を一周する。このとき、楠の長さ4尋厚さ5寸幅3尺ほどの板1枚を拾う。この島は、周り10里ほどで、伊豆大島の山より高い山があった。西南に向けて開き、広さ3町ほどで2、30艘の船をつなげる湊に適した場所があった。1里ほど隔てて小島3島を控え、海の深さは干潮時2尋、満潮時4尋ほどであった。島内には幅2、3間の小川があったが、住民のいる様子はもちろん、住んだ跡も見えなった。気候は日本より温暖で、常に裸で過ごせた。 船を造り脱出することとし、楠板をかわらとし、本船破船時に回収した海具を取り合わせて50日を要して新船を完成させた。船は小さかったが6人は乗れた。 西北の方に遥かに山が見えるのを差して、朝出帆し、同日夜半に着船した。5,6日はその島に滞留したが、前の島とほぼ同じであった。 また、朝出帆し、翌朝まで走って、又島があったので、ここにもしばし船をつないだ。この島は前の2島より狭く、山も低かった。この島2日滞在し、朝出帆した。 寛文10年4月15日(1670/06/12)、西北に帆走8昼夜で、この日、島に近づくが、この島には家屋も多数見え、上陸したところ八丈島であった。直ちに代官所に出頭する。 寛文10年5月5日(1670/06/22)、朝、八丈島を出帆 寛文10年5月7日(1670/06/24)、昼ごろ、伊豆の洲崎に着船し、事の始終を訴えたところ、船を回すよう命ぜられ、3日かけて奉行所にいき、調べを受ける。再び、洲崎に乗り戻り、初めて自由の身となる。 寛文10年8月、陸路、故郷に到着。 青ヶ島、鳥島あたりに漂着したものと思われる。 参考文献 石井民司. 1892. 日本漂流譚. 学齢館.
https://w.atwiki.jp/opedmiroor/pages/1695.html
のび太が小型宇宙船に乗って飛んでいた。 のび太「いやっほー! どんなもんだい!」 しずか「のび太さん、調子に乗りすぎよ」 のび太「どう? 僕の腕前!」 ドラえもん「のび太くん、次の隕石群だ!」 のび太「えっ? ああーっ!!」 レーサー砲が隕石を破壊。 のび太「ぶつかる!!」 のび太は間一髪衝突を免れる。 のび太「やったぁ!」 しずか「のび太さんもうダメかと思ったわ……」 ドラえもん「頑張ったね、のび太くん……」 のび太「よーし、一気に行くぞ! うわああっ!」 背後から小型宇宙船2機がのび太に襲いかかる。 ドラえもん「のび太くん、これ以上やられたらおしまいだ。180度旋回!」 のび太「わかった! 行くぞ……」 2機のレーザーがのび太の船を攻撃。 のび太「くううっ! ド、ドラえもん! そ、操縦桿が、効かないよ!」 ドラえもん「のび太くん!」 しずか「のび太さん!」 のび太「うわああっ!!」 のび太が小惑星に激突し、大爆発。 ジャイアン、スネ夫「やったぁ!」 箱からのび太が飛び出す。 ドラえもんたちがやっていたのはゲームだったのだ。 のび太「あーあ。ゲームオーバーか……」 そこへドラえもんも飛び出し、のび太の上に落ちる。 ドラえもん「わっ。ごめん!」 続いてしずかも飛び出す。 のび太「しずかちゃんもやられたのか……」 ジャイアン「そんなわけで、俺とスネ夫は……」 スネ夫「ゴールを目指します!」 のび太「あのねぇ、後ろから不意打ちなんてずるいよ!」 スネ夫「どんなことしたって勝てばいいんだもん!」 ジャイアン「そういうこと。じゃあな!」 通信が切れる。 のび太「悔しい!」 しずか「このゲーム、少し難しすぎたわ……」 のび太「そうだよ!」 ドラえもん「だから僕も難しいって言ったでしょ? のび太くんはいつだってスネ夫くんと張り合おうとするんだから」 のび太「だって×2、あんまり自慢するんだもん……」 回想。 3人「宇宙旅行!?」 スネ夫「そう。パパが僕の誕生日に買ってくれるんだ……」 3人「羨ましい!」 スネ夫「まぁ、これからは宇宙旅行の1つや2つしないと笑われる時代がくるからね…… 大宇宙から見れば地球なんて豆粒だものね」 しずか「でも、宇宙から見た地球ってとっても素敵でしょうね……」 スネ夫「よかったらみんなの分もパパに頼んであげてもいいよ? どう?」 しずか「本当?」 ジャイアン「心の友よ」 のび太「わーい、やったぁ!」 スネ夫「ただし、のび太はダメ」 のび太「ええっ? なんで!?」 スネ夫「言っとくけど、乗るには訓練がいるんだ。弱虫で運動神経の鈍いのび太には無理!」 のび太「えっ? くうっ……」 ジャイアン「やっぱさ、俺ぐらいの体力と度胸がないと。なっ? で、いつ出発するんだ? 明日か? 明後日か!?」 スネ夫「そんな早く行けるわけないでしょう。21世紀になってから!」 のび太「あははは! なーんだ。僕、ドラえもんに頼んで今すぐ宇宙旅行に連れてってもらおーっと!」 ジャイアン「おーっ、心の友よ!」 スネ夫「ねぇ、パパにのびちゃんも分も頼んでみてあげる。ねぇ!」 しずか「うふふふ……」 ドラえもん「だからこのゲームを出したのに」 のび太「あっという間にゲームオーバーなんてつまんない……」 一方、ジャイアンとスネ夫はゴールに向かっていた。 スネ夫「ジャイアン、もうすぐゴールだよ!」 ジャイアン「おーし、負けるもんか! うわあっ!」 スネ夫「ジャイアン! うわあっ!」 2人の宇宙船が墜落を始める。 スネ夫「コ、コントロールが効かない。どうなってるんだ?」 2人「うわあっ!」 宇宙は小惑星に不時着。 ジャイアン「ス、スネ夫…… スネ夫!」 スネ夫「ジャイアン!」 ジャイアン「スネ夫、大丈夫か? おい、どうなってんだ!? やられたら外に出られるはずじゃないのか? 」 スネ夫「も、もしかして…… 僕たちゲームの中に閉じ込められたんじゃ……」 ジャイアン「そ、そんな……」 スネ夫「ああっ……」 2人「ドラえも〜ん!!」 ドラえもんのび太の宇宙漂流記
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2335.html
ゆっくり漂流記 漂う命 35KB 悲劇 飼いゆ 現代 独自設定 うんしー 続き物の前半です。 『ゆっくり漂流記 漂う命』 「ゆっくりンピースボート」 世界各地をゆっくりと共に巡り、動物愛護・保護に関する研究、活動に触れることでゆっ くりンピースの市民活動レベルの指導者を育てることを目的とした船旅である。参加費は 高額であり、ゆっくりンピースのパブリックメンバーの中でも、富裕であり、教育レベル も高い人間のみが参加を許される船旅で、パブリックメンバーの中でも上位の役割を果た すためには参加が必要とされていた。そのため、毎年の参加人数は非常に限られている。 私がこの船旅に参加したのは、近年、ゆっくりの活動域が人間に侵されていくのを積極的 に食い止めたいと考えたからだ。私は愛するれいむとまりさの番と共に、この船に乗り込 み、日々、市民活動家としての、ゆっくり愛護家としての勉強に励んだ。 「おじさん!おしごとごくろうさま!たまにはまりさと遊んでほしいよっ!!」 「れいむも遊んでほしいよ!れいむはおじさんとゆっくりしたいよ!」 船内には、飼いゆっくりのための様々な娯楽施設、他の飼い主のゆっくりたちとのレクリ エーションイベントが用意されており、彼らが退屈することはない。高額の参加費にも関 わらず、我々の食事の献立の六割がサンマなのは、ゆっくりのために金を使っているから とされている。 「じゃあ、ちょっとだけ、れいむとまりさに本を読んであげような。」 「ゆゆ~ん!まりさはごほんさんはだいすきだよ!でも、ちょっとじゃなくて、たくさん 読んでほしいよ!」 ゆんゆんと、私の方へと這って寄ってくるれいむとまりさ。私は二匹を船室のベッドの上 に乗せてやった。 れいむは金バッジであり、赤ゆっくりの頃から育てた、家族の一員であった。おとなしく 礼儀正しいゆっくりで、どこへ出しても恥ずかしくないと、私は自負していた。 まりさは銀バッジであり、れいむの番として購入したものだった。まだ、すっきりはして いないようだが、二匹の仲は良好であり、この船旅が終わった頃には、赤ゆっくりが実っ ていてもおかしくないのではないかと、私は密かに思っていた。 私は、この船旅の中で二匹が退屈しないように買って置いた絵本(張り切ってダンボール 一箱分買ってしまった)を一冊取り出す。 「まりさもれいむも、お船の生活は楽しいかい?」 「ゆゆ?とっても楽しいよ!たくさんのゆっくりしたともだちができたよ!」 「海さんはとってもゆっくりできるよ!!でも、もっともっとおじさんとゆっくりしたい よ!!」 「おじさんは全てのゆっくりが悪い人間さんに虐められることもなく、ゆっくりできるよ う勉強しているんだよ。だから、もう少し我慢してな!」 「わるいにんげんさんから、れいむたちをまもるためにゆっくりしないでがんばっている んだね!それはとてもゆっくりできるよ!」 事故が起こったのは、翌日の夜のことであった。 原因については私は語るものを知らない。 暗礁に衝突したとも、火の不始末による火災とも言われている。事故を起こした海域のこ とを考えると、暗礁よりも船内で何らかの過失があったのではないだろうか? 鳴り響く警報、立て続けに繰り返される退船勧告 ベッドで眠っていた私は警報と悲鳴の不協和音が甲高い協奏曲を奏でる中、無我夢中でイ マーション・スーツ(宇宙服のように全身を覆う救命服のこと)を着込み、何が起こったの か把握できないまま、「ゆっくりできない」と泣き叫ぶれいむとまりさを抱え、船員の指 示のもと、救命艇の一隻に飛び乗った。 船で爆発が起こったのは、その直後であった。 喧騒が炎と共に立ち込める。救命ボートに乗り込む順番で争いが発生したらしかった。 「喧嘩!!?く、先に降りててください!」 私を救命いかだに誘導してくれた船員は、海上に下ろした救命いかだに私を誘導すると、 争いを止めるべく、船首方向に走っていった。 「ゆっぎゃああああああああ゛っ!!!れいぶのおりぼんんんんんっ!!!」 船から、一匹のれいむが海に飛び込んできた。頭のリボンに火がついている。 どぽーん 「ゆぎいいいっ!!!じょっばぶ…ごぼぼ…だじゅげ…ぶぶぶ…」 そして沈んでいった。助けてやろうにも、私はこの救命いかだの扱い方すら知らなかった。 「どこいったのぉぉぉぉっ!!!れいむちゃぁぁぁぁぁんっ!!!」 「危ないですから、早くボートに乗ってください!」 「いやよっ!わたしのゆっくりをまず連れてきなさい!!そんなじじいいいから早く!!」 船上では醜い争いが始まっているようだ。 一人の若い三等航海士は、上司の指示のもと、救命いかだに片っ端から飼い主とはぐれた ゆっくりを詰め込んでいた。この客船には、乗客の三倍以上の数のゆっくりが乗り込んで いるのである。 こちらの救命いかだには、12人乗りのところに、ぎゅうぎゅうになるまでゆっくりが詰め 込まれていた。 「やべでね!!!まりさをおば…おねえさまのところにかえしてね!!!」 「ありすちゃぁぁぁん!!どこなのぉぉぉぉっ!!」 「こんなせまいところにおしこむなんて、とかいはじゃないわっ!!」 「あたしゃ、ここにいるよぉぉぉぉぉっ!!!」 「どぼじでれいむがごんなどごにいなぎゃいげないのおおおっ!!!ゆっぐりできないで しょおおおっ!!!」 「エレエレエレエレエレ…」 「いいからさっさとぶって!ぶってね!!もうほうちぷれいよりももっとあくてぃぶに! だいなみっくに!」 ゆっくりたちが喚きたてるが、船員たちは一匹、また一匹と飼い主と離れ離れになってい たゆっくりたちを救命いかだに放り込んでいく。 「救命いかだは余分にある!遠慮はいらん!さっさとしろっ!!!」 「でも、いいんですかね?こいつら、飼い主と一緒にさせておかないと、我々がまずいん じゃないですか?」 若い三等航海士の問いかけに、年配の二等航海士が怒鳴るように答える。怒鳴らなければ、 騒音と悲鳴で意思疎通ができないのである。 「馬鹿野郎、こいつらと飼い主一緒にいかだにぶち込んでみろ!やれ人間よりもゆっくり 様に食い物よこせ、水よこせと喧嘩になるぞ!!」 かくして、ゆっくりを詰め込んだ救命いかだは暗黒の海へと放たれた。そこには一人の人 間も乗っておらず、彼らの生残は、ただ運にのみ任されたのである。 このような脱出時は人命が最優先される。そのため、愛玩動物や乗客の荷物は放置されて 脱出が行われることが多い。 だが、彼らの雇い主は船会社ではなく、ゆっくり愛護団体なのである。彼らも雇われの身 である以上、ゆっくりの危機に何もしないわけにはいかなかった。その代わり、救命いか だにさえ乗せてしまえば、後は彼らの責任の範疇外のはずだ。この非常事態にあって船員 たちは、自分達の給料分の義務と、乗客の安全を考慮して出した苦汁の決断をしたのであ った。 このようなゆっくりだけの救命いかだは一つではなく、船員の証言から、二隻は確実にこ の措置が取られたことが後に明らかになっている。しかし、無事に回収されたゆっくりだ けの救命いかだは皆無であった。 後に一隻の救命艇がとある南の無人島に漂着し、雑多なゆっくりたちだけが島に降り立っ た。彼らの物語の一部は、無名の一研究者によって伝えられることになるが、それはまた 別の物語である。 救命いかだには私一人と二匹のゆっくりしか乗っていなかったが、しばらくして火の勢い が強まってきたこと、船の上が静かになってきたことから、船の爆発や火災に巻き込まれ るのを恐れて、必死に櫂を漕いで客船から離れた。 そもそもあの船の大きさに対して、乗客はごく限られた人数だった。救命ボートに救命い かだの数は余っている。そう自分に言い聞かせて。 そして、火災に巻き込まれる恐れがない、少し離れた海域で、脱出者がいた場合に備えて 待機するつことにした。 イマーション・スーツの中は汗でいっぱいだった。私はそれを脱ぎ、救命いかだの奥へと 放り投げる。すかさず、海面を走る夜風が私の体表から体温を奪っていく。 私はタバコを吸って落ち着こうと胸ポケットを探ったが、ライターはあったものの、タバ コはなかった。船室に置いてきてしまったらしい。 真っ黒な闇の中で、赤い炎が船の上で狂ったように踊っていた。 その姿はまるで、狂った火の神が舌で一人、また一人と人の命を舐めとっているかのよう だった。 「誰かいないのか!おぉぉぉぉいっ!!」 私は誰か助けられる乗客や船員はいなか、真っ暗な中、声を張り上げ、呼びかけ続けた。 「もうやじゃああああっ!!!まりじゃおうぢがえるううううっ!!!」 「ゆああああん!!!れいむは!れいむはゆっくりしたいよおおおおっ!!!」 そして、朝が来た。二匹のゆっくりは泣き疲れたのか、気がついたら眠っていた。恐怖と緊 張で私は一睡もできなかった。 明るくなってきて初めて、私は救命いかだがどのようなものなのか、じっくりと観察するこ とが出来た。 救命いかだの形状は、まるで小学生が遊んでいる円形のビニールプールのようであり、その 上にアーチ上のチューブが走っている。これが私を風雨や波から守ってくれる天幕の支柱と なっているのだ。全体はアポロチョコのような形状だった。また、入り口は、垂れ幕によっ て開閉可能であり、それは二重のマジックテープで留められるようになっていた。 床は黒いゴムの床であり、中央にはゴムの下になにやら金属製の金具があるらしく、救命艇 の床に横になると、これが体のどこかに当たり、不快だった。 天幕内には、大小様々な袋が垂れ下がり、それぞれに非常食や、救急セット、信号弾などが 入っている。 私はそこから移動用の櫂を取り出し、入り口からその先端を突き出して漕いだ。 しかし、身を乗り出して本格的に漕ごうとすると、波が来るたびにバランスを失って転倒し そうになる。昨夜よりも波が出ているようだ。 波による揺れは、昨夜まで乗っていた船舶の比ではなかった。軽くて、小さな救命いかだは 少しの波(船に乗っている間は、そう感じていた)にも敏感に反応し、私はバランスを崩して 床に倒れこんだ。 「ゆぴー…ゆべっ!!!」 一つ、やや大きめの波が来て、まりさは救命いかだの中を吹っ飛び、頭から天幕に突っ込ん だ。 「ゆぎいいっ!!!いじゃいよ!ゆっぴいいいっ!!!」 「大丈夫か!まりさ!!?良かった、たいしたことないぞ、しっかりしろ!銀バッジだろ?」 「ゆぐ…ゆびっ…もうまりじゃ海さんやだよ…」 「そうだな、早くおうちに帰れるよう頑張ろうな…」 何を頑張ればいいのか、私にも分からなかった。 私は転覆の危険に怯えながら、そっと櫂を動かし、救命いかだを微速前進させていった。 まだ、助けられる人がいるかもしれない。それに自分の荷物や、食糧になりそうなものが浮 いていないか、という思いがあった。 随分遠くに幾つか救命いかだや、ボートらしき姿が見えたが、到底漕いで行けそうな距離に は思えなかった。 私の救命いかだだけ異なる流れに乗ってしまったのだろうか?他のいかだやボートはみるみ る離れていく。 私は広大な海を一人漂流するのはごめんだった。私は櫂を動かし、必死に他の救命いかだに 追いつこうとした。しかし、再び波が来て、体勢を崩してしまう。 櫂によって、確かに救命いかだは動いていたが、どうやら海流には勝てないようだった。 次第に、他の救命いかだ等は、小さなオレンジ色の点となり、見えなくなっていく。私は焦 りながら必死に櫂を動かしたが、二時間ほど経った頃には、自分の無力さを悟らざるを得ず 筋肉痛になった両腕を抱えるようにして、救命いかだの床に身を投げた。 私はどうなるのだろう? このまま海の上で死ぬのだろうか? 突如、胃の中に大きな鉄球を飲み込まされたような不快感がつきまとう。 帰りたい。 生きて家族に会いたい。 昨夜まで、船旅にはしゃいでいた自分が馬鹿らしかった。時間を戻せるならば、何を失って でも船に乗る前に戻りたかった。この船旅に参加しようかどうか迷ったときに、どうして止 めておかなかったのか。 「ゆゆ~!おじさん!なにか浮いてるよ!ゆわぁ、海さんの上にいろんなものが浮いてるよ!」 「お菓子さんだよ!あまあまがいっぱいだよ!」 さっきまで泣いていたまりさも、いつの間にか起きたれいむものんきな声をあげている。最も、 今まで普通に暮らしてきたゆっくりが漂流とはどういう状態なのか理解できるわけがないのだが。 救命いかだの出入り口から外を見ると、船から流れ出たのだろうか?海面のぽつりぽつりと 水玉模様のように人工物が浮いていた。 「ゆ!おやさいさんが浮いてるよ!あまあまさんはこっちに来てね!」 「ゆゆ!!?…どうしてゆっくりのお飾りが浮いてるの!!?…ま、まさか!!」 人間の衣類、まりさ種のものであろう帽子、お菓子の袋、使われなかった(そう思いたい)浮 き輪、ゆっくり用のベッド、ペットボトル、寝室にあったはずのシーツ、調理場から出てき たのか、大玉のキャベツも浮いていた。 「ゆあああああん!!きっとたくさんのゆっくりが永遠にゆっくりしちゃったんだよぉっ!」 「れいむは永遠にゆっくりしたくないよぉぉっ!!!ゆっくりざぜでぇぇぇぇっ!!」 私はゆっくりが大好きだったが、今は彼らにかまっている暇はなかった。 ふと、食糧のことに気がついたからである。 この救命いかだには、一体どれくらい水と食糧があるのだろうか? 私は、波間に漂う無数のお飾りから、ゆっくりたちの運命を知り、恐怖に泣きながら恐ろし ーしーを漏らしながら泣き喚く二匹をなだめる暇もなく、救命いかだを点検した。 水は頑丈なペットボトルに入ったものが30リットル、食糧は栄養素が凝縮された携帯食のよ うなものが30本備蓄されていた。おそらく、この救命いかだの定員8−12名が三日程度生き延 びられる分が備蓄されているのだろう。 今、ここに私と二匹のゆっくりしかいないことは、不幸中の幸いのようだ。 このような海難事故においては、真水がどれくらい手に入るかが人間の命を左右する。一般 的には、最低でも500ミリリットルの水分を摂取しなければならない。かつて、大西洋を一人 で漂流した人物は、一日の水分摂取量を250ミリリットルまで切り詰めたが、随時乾きに悩ま され、精神が変調するのを感じたという。 私がさらに救命いかだを探ると、熱蒸留器なるものが出てきた。 どうやら、これで海水から真水を得ることが出来るらしい。私は少しだけ安堵すると、海面 を漂う物資の回収に移った。 自分がこの先どうなるかを考えてはダメだ。とにかく、生き延びることだけを考え、そして 体を動かさなければならなかった。 私は自分では、前向きな人間のつもりだった。逆境なら何度も乗り越えてきたはずだった。 そう自分に言い聞かせ、櫂を握る。 不器用に櫂を動かし、漂流物に接近した。 まずは、キャベツ、野菜は確保しておきたい。他の野菜も大歓迎なのだが、見当たらない。 ついでにプラスチックコップや、食器など、拾えるもので何かに使えそうなものは片っ端か ら拾い集めた。 未開封のポテトチップスの袋、飲み残しのペットボトルのお茶、サラダ油、誰かのカバン… 私は波が寄せるたびに、転びそうになりながら、それらをかき集めるように拾っていった。 そのとき、救命いかだの縁に波しぶきが上がった。 ばしゃーんっ 「ゆ!ゆわあああああっ!!!おみずさんが入ってきたよ!!!ゆんやぁぁぁぁぁぁ!!! まりさのぶりりあんとなあんよがぁぁぁぁぁっ!!!」 たまに、別方向からの波が融合し、大きな当たりとなって救命いかだを襲う。そんなとき、 救命いかだの出入り口が開いていると、波が床へと入ってくるのだ。 「おみずさんはいってこないでね!ゆっくりしないでれいむたちのお船さんから出て行って ね!」 私は大慌てで、れいむとまりさのあんよを私の服でぬぐい、水の届かない、荷物の上に置い た。 さらに、アカすくいを取り上げ、中に侵入した水を外へとかき出す。 「ゆゆぅ…びっくりしたよ…」 「おじさん!たすけてくれたのはありがとうだよ!でもあんなにまりさのおかお強くにぎら ないでよ!」 「すまなかったな。だが、無事で何よりだ。」 ゆっくりはずっと水に漬けていると溶けてしまう。現状では、時折侵入してくる水で溶ける ことはなさそうだが、ずっと塩水に触れていれば、あんよがふやけて二度とまっとうな生活 を送れない体になってしまうだろう。最悪、死ぬこともありうる。 ゆっくりたちをこの救命いかだの床に直に置いておくことはできなかった。どこか高い所か 水から守られている場所に二匹を置かないと。 だが、ここは天幕に覆われた救命いかだの中、海上の小さなテントの中である。空間も道具 も限られていた。 私は仕方なく、先程拾ったばかりの薄汚れた発泡スチロールに、着ていたイマーション・ス ーツを裏返して詰め込んだ。イマーション・スーツの裏側は保温性の高い素材でできている ため、即席のゆっくりはうすが完成した。とりあえず、ゆっくりが二匹ゆっくりできるくら いの広さは十分にある。救命いかだは絶えず揺れるため、こんなものを一つ作るのにもひど く苦労した。 「おじさん!ゆっくりありがとう!でも、まりさはちょっと暑いよ!」 「だめだよまりさ!おじさんだってゆっくりできないんだから、わがまま…」 私は無理に二匹に笑って見せた。 「まだ、その箱が乾いていないんだよ。濡れたくないだろう?海水で汚れたくないだろう? しばらく我慢してくれないか?」 「ゆぅ…ゆっくり理解したよ…ゆゆ~ん♪」 私は、軽くまりさの頬を撫でてやった。れいむも撫でてほしいのか、手の方に擦り寄ってく る。 「おじさんは、みんなでゆっくりするために頑張らなきゃいけないんだ。ちょっとそこでゆ っくりしていてくれ。」 「「ゆっくり理解したよ!」」 その後、私は苦労してキャベツを拾ったほかは、何も手に入れることが出来なかった。 風が出てきたため、海上を漂っていた浮遊物は、拡散していってしまったのだ。そして、我 々が乗っているこの救命いかだもまた、浮遊物の一つだった。 私は出入り口の垂れ幕を下ろして、マジックテープで固定し、海水が救命いかだの中に入っ てくるのを防いだ。そして、天幕のポケットに入っていたマニュアルに目を通す。 本来、このような激しく揺れる環境で、物を読む、という作業は苦手であり、揺れのひどい 船上や車内での読書は私の苦手とするところである。しかし、今は非常事態であり、生命の 危機が近いという緊張状態にあったためか、そんなことを気にする余裕すらなく、マニュア ルを読んでいた。 「ゆわぁぁぁぁん!おじさん!ごほん読んでよ!まりさはゆっくりしたいよ!」 「おいおい、これはまりさの絵本じゃないんだぞ?大切なものだが、おもしろくはないぞ?」 「なんでもいいよ!まりさはおじさんにごほんを読んで欲しいよ!」 私は今読んでいるものを、まりさの要望に答えて、声に出して読み上げた。 「…シーアンカーは水中で海流を受け、救命いかだの揺れを軽減すると同時に、転覆を防止 します。シーアンカーを使用する際は、救命いかだの底部前方にある、シーアンカー取り付 けタグに留め金Cを接続し…」 「ゆゆゆ!!?ゆっくりできないぃぃぃぃぃぃっ!!!」 当たり前だ。マニュアルなのだから。 まりさはマニュアルがゆっくりできる絵本ではないと知ると、ゆゆゆ…と即席のベッドの中 でしょげてしまった。だが、シーアンカーは使えそうだ。 私はビニール製のクラゲみたいなものを探し出すと、慣れない手つきでロープを結び付けて いき、救命いかだの出入り口のすぐ横にあるタグに固定した。 ロープワークなんてものは、生まれてこの方やったことがないため、くそ結びを五重六重と 繰り返したが、大丈夫だろうか? シーアンカーはクラゲのように漂いながら、海面に姿を消していく。しばらくして、救命い かだがぐっと海底へ引っ張られるような振動があり、心なしか、揺れが軽減されたようだっ た。 さらに、シーアンカーを持ち出す過程で、救難発信機の存在に気がついた。これのスイッチ を入れれば、約48時間の間、救難信号を発信し続けるのだという。この信号を、この近くを 通過する船舶や航空機が捉えてくれれば救助してもらえるのだ。 私はためらうことなく、発信機のスイッチを入れた。現在地が船舶航路から外れていないこ とを祈りながら。 「ゆ・ゆ・ゆ…ぱぁん!ゆ・ゆ・ゆ…宿直!ゆ・ゆ・ゆ…茶!」 しょげ返るまりさを励まそうとしているのだろう。れいむは波の音に消されそうになりなが らも、私が教えたお歌を歌っていた。 その日の夜には強風が吹いた。 波が幾度となく救命いかだに波状攻撃をしかけ、その度に、救命いかだは揺れ、荷物が、キ ャベツが、救命いかだの中で反復横とびをするかのように動いた。 「ゆひぃぃぃぃぃっ!!!ごわいよぉぉぉっ!!!海さんゆっぐりじでぇぇぇぇっ!!!ゆ っぐりじでねぇぇぇぇぇっ!!!」 ゆっくりたちの即席の巣も、そして私の体ですら例外ではなかった。 例え、床で横になって寝ていても、うっかりすれば救命いかだの中を転がってしまうほどで あった。おまけに、救命いかだの中央付近で横になり、バランスを取ろうとすると、床の裏 側にある金具があたり、姿勢を安定させることができなかった。 「どぼじでぇぇぇぇ!!!どぼじで海さんいじわるずるのぉぉぉぉっ!!?ゆびぃぃ!!!」 波が来るたびに、ずりずりと音を立てながら、発泡スチロールが左右へと、救命いかだの揺 れに合わせて動く。 おまけに時折、ゴムでできている床と発泡スチロールがこすれ、きゅっきゅっという不快な 音を立てる。私はそのような摩擦音が苦手で、その音を聞くたびに、頭の中をかきむしりた くなるのだ。 昨夜の夕食を最後に、少量の水を飲んだほかは何も食べていないのだが、不思議と食欲は湧 かなかった。これなら、長期の漂流にも耐えられるかもしれないなどと、のんきなことを考 えもしたが、おそらく極度の緊張ゆえであろう。今も、波が来るたびに、転倒してしまうの ではないかと気が張り、常に、救命いかだ内で陣取る場所を調整している。 「ゆぎぃぃぃ…ゆ!!?ゆげ!!?ゆげぇぇぇぇ!えれえれえれ…」 「まりざぁぁぁぁっ!!?しっかりじで!まりざぁぁぁぁっ!!おじさん!まりざが!!ま りざがぁぁぁぁっ!!!」 船酔いだろうか?まりさは即席ゆっくりはうすの中に餡子を吐いてしまった。 「大丈夫か!!?しっかりしろ!まりさ!」 私は無理矢理、吐いた餡子をまりさに再び飲み込ませようとする。 「ゆぎっ!!ゆぐぶぶぶぶ…」 「しっかりしろっ!吐き出したら死ぬぞ!餡子を飲み込まないと、永遠にゆっくりするぞ!」 なんとか必死に、自らが吐き出した餡子を飲み込むまりさ。その姿は疲弊し、つい先日まで の生き生きした光は目に宿っていなかった。 「うわっ!!」 「ゆゆ!!?」 再び、波が救命いかだ横殴りに打ちつけ、バランスを崩した私は、後頭部をしたたかに救命い かだの床に打ち付けた。 「おでがいおじざん!!なんどがじでぇ!!!れいむだちをだずげでぇ!!!」 泣きながら懇願してくるれいむ。だが、助かりたいのは私も同じ、そして自力ではどうにも できないのもまた、私も同じであった。 「れいむ、まりさ、冬の山で、少しのごはんさんしかなくて、ゆっくりできるか?そんなと きそうすればいい?」 「ゆ?そんなのゆっくりできないよ!春さんがゆっくりしないで来てくれるか、人間さんに 助けてもらわないと、永遠にゆっくりしちゃうよ!!」 まりさは何も答えなかった。いや、答えられる状態ではなかったのだろう。 「そうだ、春が来るまではどうにもならない。ゆっくりできない海も同じだ。誰かが助けに 来てくれないとどうにもならないんだ。」 「ゆわぁぁぁぁぁぁん!!!だれがぁ!だじゅげでぇぇぇっ!!!」 私はれいむにかけてやる言葉がなかった。おそらく、一度絶望して、どうにもならないこと を悟り、そこから助かるためにはどうすればいいかと、意識を再建しなければ、生き延びら れないだろう。そして、ゆっくりたちにそのような思考が可能なのかどうかが問題だった。 だが、私は、彼らの強靭な精神を、元々は野生で伸びやかに生きているはずの彼らの精神に 期待していた。彼らは、知性のある、愛すべき我らの隣人なのだから。 強風は翌朝には止んでいた。 私も二匹のゆっくりたちも、いつの間にか疲れ果てて眠ってしまっていた。 「ゆゆ~ん、おじさん!ゆゆ~ん、おじさん!」 私が目を覚ましたのは、れいむの呼びかけによってであった。 「おはよう、れいむ。どうした?」 私は救命いかだの床から体を起こし、あぐらをかく。 髪の毛がゴムの床に張り付き、顔を起こす際に引っ張られて痛む。顔をはじめ、あちこち に白い粉が噴いていた。塩だ。 「れいむはおなかすいたよ!ごはんさんが欲しいよ!おじさんもゆっくりごはんさんにし ようよ!」 「ゆう~まりさもおなかがすいたよ!むーしゃむーしゃしたいよ…」 まりさの顔色は昨日よりは良くなっていた。 一晩眠ったことで、体調が回復したのであろう。 私はれいむとまりさには、昨日拾い上げたポテトチップスを与えた。 救命いかだに搭載されている非常食は、少量でも栄養分に富んだつくりになっているため、 ゆっくりにあげるのはもったいないのではないか?と考えたからだ。 ゆっくり愛護家としてあるまじき考えであるが、私は初めての漂流生活に恐怖と不安でいっ ぱいだったのだ。 私は自分自身の朝食―昨日拾ったキャベツを齧りながら、彼らを即席の巣から出してやった。 ポテトチップスの袋を開け、ついでに拾ったプラスチック容器に、袋の三分の一くらいを盛 りつける。 「ゆゆぅ…ぽてちさんはすきだけど、ごはんさんはおやさいさんがよかったよ!ぽてちさん はおやつにむーしゃむーしゃしたいよ…」 「まりさ、しょうがないよ!ゆっくりむーしゃむーしゃしようよ!おうちにかえればすきな だけおやさいさんでもあまあまでもたべさせてもらえるよ!そうだよね?おじさん?」 「ああ、もう少し我慢してくれな。」 私はれいむとまりさの頭を交互に優しく撫でてやった。いつも高級シャンプーでさらさらに 保っている髪はややごわついていた。 潮風のせいだ。私は少し汚れている二匹の姿が不憫でならなかった。 昨日拾った、底の浅いプラスチックの皿に水を入れてやる。どれくらい入れてやればいいの か分からなかった。人間は水を毎日500ミリリットル摂取すれば、食糧がなくとも20日は生き ていけるという。水はできるだけ節約したかったが、熱蒸留器を使えば、海水から真水を作 れるようなので、250ミリリットルほど入れてやった。一匹あたりが飲めるのは、コップ半分 くらいである。夜にもう250ミリリットル与える。人間がもう一人乗っていると思えば、仕方 のない消費、そう思うことが出来た。何より、彼らを死なすことなど、私には考えられなか った。 「おみずさんごーくごーくするよ…」 「おじさん!おみずさんが…」 まりさが言わんとすることはすぐに分かった。 「ごめんな、お水さんがなくなったら、おじさんもまりさもれいむも、みんな永遠にゆっく りしてしまうんだ。雨は降ったら、たくさん飲める。それまでは我慢だ。おじさんも我慢し てるんだ。分かってくれ。」 「…ゆぅ…しかたないよ…ぺーろぺーろ…ゆぅ…あんまりゆっくりできないよ…」 私ものどが渇いていた。一日に500ミリリットル、要するにコンビニで売っているあのサイズ 1本分の量しか飲めないのだ。私は慎重に250ミリリットルを測り、水を飲んだ。 ただ単に水を飲むことに、これだけ注意を払ったことが、かつてあっただろうか? 食事の後、私はしばらく、れいむとまりさを救命いかだの中で自由にさせてやった。 「まりさはのーびのーびするよっ!…のーびのーび!!」 「ゆゆ~ん!まりさののーびのーびはすごくゆっくりしているよ!」 私はにこにこと二匹が遊ぶ様子を見ていた。人によっては、ゆっくりが自分の行動を口に出し ながら行動することを、馬鹿らしい、鬱陶しいとして嫌う人もいたが、私はこのような彼らの 行動を見ているのが大好きだった。 「ゆゆゆ!れいむはまりさとおじさんのためにお歌を歌うよ!」 「れいむのお歌はゆっくりできるよ!れいむこそゆっくりのぷりまどんなだよ!」 「ゆゆゆ~♪…なかそねてぃーちゃー!」 私は知らなかったのだ。 救難発信機が壊れていたことなど。 あんなにも漂流が長くなることなど。 そして三日が経過した。 食糧はまだある。水も20リットル以上あった。 だが、体はぼろぼろになりつつあった。 度重なる海水の浸入によって、救命いかだの床と接触する、背中、脚、腕には無数の海水腫 瘍ができでいた。これは海水に長期に渡って浸かっているとできる腫れ物であり、患部は赤 く腫れあがる。日に当たり、乾燥させれば治ってくるが、この救命いかだでは、波が高くな ると出入り口の隙間から少量とはいえ、海水が流れ込んでくる。 その度に、直りかけた真っ赤な小火口が再び噴火する。ふやけた傷口は救命いかだの底や荷 物などと擦れて、塞ぎかけた傷が再び広がるのだ。 「ゆ…ゆぅ…ゆっくり…」 「すぴ~…すぴ~…」 眠っているゆっくりたちの姿も悲惨なものだった。 さらさらだった髪はぼさぼさであり、れいむのりぼんやまりさの帽子には、付着した海水の せいで、一部が脱色されたようになっていた。その上、あにゃるのまわりにはうんうんの残 りの餡子がこびりつき、まるであにゃるからお汁粉が吹き零れたようになっている。 何度か、海水で洗ってあげたのだが、れいむとまりさは洗った後に海水がべたつくのを嫌っ たため、今では放置していた。 野良ゆっくりと比べてみれば、大して変わらない姿だったのだが、よく手入れをされたゆっ くりしか見たことがない私には、その姿は落ちぶれて路地裏で死んでいる成金のように見え た。 「ゆ?ゆゆぅ?」 まりさが目を覚まし、何か不快そうにもぞもぞしている。 「どうした、まりさ?」 「あんよがむーずむーずするよ!!」 「どれ、見せてみろ。」 私はまりさを持ち上げ、その底部を観察した。 「ゆゆ~ん、恥ずかしいから、まりさのあにゃるは見ないでね!」 痒さを我慢しているのか、うねうねと動くあんよには、白い粉、塩がこびりついていた。 度重なる浸水で、救命いかだの床にはあちこちに塩が噴き出しており、おそらく、その上 で遊んだり、時折入り込む海水があんよにかかる度に塩が付着していったのだろう。そし て、表皮が水分を失ってひび割れ、それが痒みの原因となっているようだった。 「塩だらけだな。今、取ってやるから大人しくしてろよ。」 「おじさん!いくらみりょくてきだからってまりさのあにゃるをいじらないでね!」 何を言ってるんだこいつは? あんよが痒いというのは、ゆっくりにとって耐え難いものだった。背中や顔が痒いという のであれば、その部分を壁などにこすり付けてかくことができる。しかし、あんよはどう しようもなく、他の個体にかいてもらうか、寝転んでうまく木などに押し付けるようにし てかくしかないのだ。そして、この救命いかだの中には、まりさが自力であんよをかける ような場所はなかった。 私はまだ豊富に残っていた水を薄く皿に張り、まりさのあんよを洗ってやった。 「ゆゆゆ~ん!そこ!もっとかいて!ゆっくりぃぃぃぃっ!!!」 軽くかきながら、あんよの塩を落としてやると気持ちよさそうにするまりさ。可愛いもの である。それからというもの、私は二匹を即席の巣から出してやるときは、床にマニュア ルを包んでいたビニール袋を解体して広げてやることにした。これで塩まみれになること も少なくなるだろう。 「どうだ?少しはマシになったか?」 「ゆゆ~ん!すっきりぃぃっ!!痒くなくなったよ!おじさん!これからは毎日まりさの あんよを洗ってよ!」 余程、久しぶりに洗ってもらったことと、痒みが消えたことが嬉しかったのだろう。だが、 現状では水は貴重だった。私の可愛いゆっくりだったから、水を無駄にしても洗ってやっ たのだ。 「ダメだよまりさ、お水さんは貴重なんだ。水がなくなったら苦しみながら永遠にゆっく りしてしまうんだぞ!我慢しろ。」 「ゆゆ~ん…まりさはもっとすっきりさっぱりしたいよ!最近ぜんぜんゆっくりできてい ないんだよ!」 当たり前だ。漂流しているのだから。 「まりさ…まだ我慢だ…生き延びるためなんだ…」 「ゆふぅ…おじさんはずっとがまん、がまん、がまん、がまん…そればかりだよ…全然ゆ っくりしてないよ…」 そのとき、ふと救難信号発信機に目がいった。稼動を示す赤いランプがついていない。い つの間にか電源を切ってしまったのだろうか? 私はスイッチを確認した。ONのままになっている。 私はマニュアルを読み直し、驚愕し、そして戦慄した。思い出したのだ、この救難信号発 信機は48時間しかバッテリーが持たないことに。 私は力なく、救命いかだの床に倒れこんだ。 もうダメなんじゃないか? その思いが私の全身を駆け巡り、力を、生命力を奪っていく気がした。 まりさがそんな私を不思議そうな目で見ていたが、私の目には何も写っていなかった。 もうダメだ…死ね、死んでしまえ、私は死んでしまえばいいのに… 何かを考えることさえ億劫だった。絶望に私の心臓を撫でられているような気分だった。 まりさが何か言っている。 体の海水腫瘍がひりひりと痛む。 波が救命いかだの側面に当たる。 全部どうでも良かった。そして、いつの間にか眠ってしまっていた。 夢を見た。 娘に初めてゆっくりを買ってきてやったときの夢だった。 細部はいろいろと違っていたが、間違いなくその日のことを、まるで映画のように見て いる自分がいた。 娘が念願のうどんげを手に入れて、きゃっきゃと大喜びで部屋を走り回っている。 私が娘にうどんげを買ってやったのは、娘が中学生の頃のはずだが、夢の中での娘は現 在の姿だった。そして、私は何の疑いもなく、その娘を昔の娘のように認識していた。 私はちゃんと世話は自分でするようにと、娘に注意した。 娘は大丈夫だと、上の空で返事を返し、私に言った。 そこで目が覚めた。 娘は私に「お父さん、ありがとう」と言うはずだったのだ。 私は自分でも不思議なことに、泣いていた。ただ、夢の中で娘に会っただけなのに泣い ていた。 私は娘にもう一度「ありがとう」と言われたかった。 救難信号発信機が使えなくなったくらいで落ち込むわけにはいかなかった。 私は娘に、そして家族に会わなければならないのだ。 ここを生き延びさえすれば、あと四半世紀は生きられる可能性があるのだ。 あと二十年近く、家族と語り合い、笑い合い、ケンカし、一緒にいることができるのだ。 そうとも、限界まで足掻いてみせようではないか。 救難信号発信機は使えなくなっていたが、救命いかだにはレーダー反射板が取り付けら れている。効果があるのかと不安になるくらい安っぽい外見だったが、レーダーに映る か映らないかは大きな違いだ。 そして、最後の手段である6発の信号弾。 船舶が近くを通ったら、これを打ち上げるのだ。 そうと決まれば、生き抜くための手段を講じなければならない。まずは水と食糧の確保 である。 「「おじさん!!!」」 どうやら、二匹はずっと私を呼んでいたらしい。 「すまない、疲れて眠っていた。どうしたんだ?」 「起こしてごめんね、おじさん。れいむはおといれさんに行きたいよ!」 即席の巣の中でうんうんしーしーを済ませるわけにはいかない。だから、私はれいむと まりさがうんうんしーしーをしたいと言う度に、一枚のビニール袋を取り出し、その中 にさせていた。 「ゆぎっ!!!…ゆぎいいいいっ!!!ふっごばぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」 れいむはまるで出産でもするかのような表情で、苦しそうにうんうんをしている。まる で便秘に苦しむ仁王像である。水分の摂取量を制限しているためか、みちみちとあにゃ るから顔を出しているうんうんはからからの餡子なのだ。 「うんうんさん、れいむのあにゃるからゆっくりしないで出てきてね!ふぎぃぃっ!!」 れいむが、うさぎの糞のようにころころの餡子を排出し終えたのは、それから20分ほど 経過してからのことである。 「ゆぅ~…れいむはもう疲れたよ…最近のれいむのうんうんはゆっくりしてないよ…」 「れいむぅ~!よくがんばったよぉ!まりさはれいむにけいいをひょーするよ!」 水分摂取量が少ないため、二匹ともしーしーはここ数日まともに出していなかった。た まに、うんうんする際に、ちょろっとにじみ出るぐらいであった。 私は、いつものようにうんうんを捨てようとして、ふと思いとどまった。 今までは、れいむとまりさのうんうんとしーしーは海に投げ捨てていた。しかし、考え ようによってはこれも貴重な食糧である。この先、何日漂うことになるのか分からない 以上、捨ててしまうのはもったいないのではないか? 私はそれをそっと、救命いかだのポケットの一つ、何も入っていないところにしまった。 乾燥させれば、私の、またはゆっくりたちの食糧として食べられるかもしれない。 私はしまいこんだままになっている、太陽熱蒸留器を取り出した。 これは、ビニールハウスを海面に浮かべるようなもので、太陽熱により蒸発した海水が、 ビニールの表面に結露する。当然これは真水であり、これを集めて飲料水とするのだ。 これで生産できる飲料水は、おおよそ300−800ミリリットルであり、太陽熱蒸留器を活 用できるか否かは私の生存を左右すると言ってもいい。 しかし、この希望の光も万能ではない。 蒸留によって得られる飲料水の量は天候に左右され、さらに海面に漂わせて使用するた め、波が荒れているときは使用することが出来ないのだ。 幸い、今日は晴れており、波もいつもと比べると穏やかであった。 「絶対に…生きて帰る…」 私はそうつぶやき、太陽熱蒸留器を海面に送り込んだ。 「ゆゆ!!?おじさん何しているの?」 うんうんが終わってほっとしているれいむが尋ねてくる。 「水を取ってるんだ。」 「ゆゆ?海のお水さんはしょっぱくてゆっくりできないよ?」 私はれいむに、この道具を使えば、海水を飲み水に変えることができると、説明してや った。太陽熱云々の話は、したところで理解できまい。 「ゆわ~!人間さんはすごいよ!れいむにもお水さん飲ませてくれるの?」 「ああ、もちろんだ。みんなでお水をごくごくしよう。」 「ゆゆ~ん!まりさ!ずっとのどがからからだよっ!お水さん!ゆっくりしないで集ま ってね!」 見る限り、水は順調に集まっているようだ。蒸留器の真水が溜まる部分にはぽたり、ぽ たりとリズミカルに水滴がたまっていく。 幸運は続く。 太陽熱蒸留器を出すために開けた救命いかだの出入り口から、一匹のトビウオが飛び込 んできたのである。トビウオは天幕に当たって墜落し、床の上でびちびちと跳ねた。 私はそれを急いで捕まえる。トビウオの瞳は太陽光を反射して真っ青に輝いており、き れいだった。 「ゆわあああっ!お魚さんだよっ!お魚さんがまりさのごはんさんになりに来てくれた よ!」 久々に、食事らしい食事ができるとまりさは大喜びだ。れいむも期待のこもった目で、 トビウオを見つめていた。 「ちょっと待ってろ。おじさんが料理するからな!」 私はプラスチックの皿をまな板代わりにして、救命いかだ備え付けの救急セットの中 に入っていたナイフでトビウオを切り分けた。こう見えても、昔は田舎の居酒屋でバ イトしていたことがあり、ちょっとした料理ならばお手の物であった。 私はトビウオをてきぱきと切り分け、海水でよく洗い、それに拾ったサラダ油を軽く かけた。どうしようもなくなったら、飲もうと思って取っておいた油だが、こうすれ ばマリネとしていただくことが出来る。 半分を私の分とし、残り半分をれいむとまりさに分け与えた。 「こんなのぜんぜん足りないよ!おじさんはなんでれいむやまりさよりもたくさんな の!!?ふこーへーだよ!」 ゆっくりに食事を与えたとき、感謝の言葉が返って来るのに慣れていた私は、少しカ チンと来た。 「おじさんはまりさよりも体が大きいんだ。こんなんじゃ、足りないんだよ!」 「まりさがさいしょにお魚さんをみつけたんだよ!お魚さんはまりさにゆっくり食べ てほしくてやってきたんだよ!それをじぶんだけたくさんゆっくりしようなんて!ゆ っくりできないよ!おじさんはまりさにあやまってね!!」 「まりさっ!!!」 怒鳴ったのは私ではなく、れいむだった。 「なにいってるのまりさ!?お魚さんはたまたまやってきたんだよ!それにおじさん がりょーりしてくれなかったら、れいむもまりさもお魚さんをかじれないんだよ!ゆ っくりりかいして、おじさんにあやまってね!!」 「ゆぐぅ…れいむ…どうして…?」 このまりさは、れいむの番として後から購入したものだった。こんな状況でなければ、 私達の言うことをちゃんと聞く、素晴らしいゆっくりなのだが、今は空腹やストレス でゆっくりできないことになっているようだった。 「おじさんはまいにち、まりさのせわをしてくれてるんだよ!ゆっくりおじさんにあ やまってね!」 「だって、おじさんは!」 「ゆっくりあやまってね!!!」 れいむはぎろりと、まりさをにらみつける。 「ゆぐ…おじさん…ごめんなさい…まりさがわるかったよ…」 それでも、まりさはれいむの惚れているせいか、れいむの言うことには決して逆らわ なかった。私は、よくできたれいむに心から感謝していた。このような過酷な状況で 自分の可愛いゆっくりとケンカするなど、悪夢だった。 「わかってくれればいい。救助されるときまで、みんなで頑張ろう。」 まりさは私が差し出したトビウオの切り身を口に含み、むーしゃむーしゃした。 「…むーしゃむーしゃ…ゆぅ…それなり~…」 血を洗った海水のせいで、切り身はゆっくりには少し塩辛い味だったが、切り身に含 まれる栄養と水分は、今は何よりもゆっくりできるものだった。 そして、私には、素晴らしい味わいだった。昔、近くの寿司屋で食べたトビウオの握 りよりも甘く、複雑な味わいがあり、美味しかった。 「ゆゆ~ん!お魚さんはゆっくりできるよ!ありがとうおじさん!」 飼いゆっくりとして、様々なものを食べてきたれいむは、抵抗なくトビウオの切り身 を食べることが出来たようだ。 「…ゆぅ…ゆっくりしたいよ…れいむとゆっくり…」 何もない海の上、閉じられた空間である救命いかだ… エントロピーは少しずつ、まるで堰を切る瞬間を待つかのように増大していた。 つづく 作:神奈子さまの一信徒 続き物です。現在、続編執筆中で、前後か、三部作にまとめる予定です。 同時に出せず、申し訳ありません。自分の休日が不定期ですので、適当な長さで切り 分けました。お目汚し、失礼いたしました。 実際の船舶からの脱出は、本文中の記載とは異なります。実際は、救命いかだやボー トによる脱出の前に、数段階の避難命令が出されます。 筆者は船に乗ったことはありますが、幸い、未だに海難事故に遭遇したことはありま せん。詳しい方から見れば苦笑せざるを得ない描写があるかもしれませんが、そのと きはやれやれと笑いながらご指摘くださるか、ご容赦ください。 神奈子さまの一信徒の作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る すごい面白い まさかれいむが叱るなんて思わなかった -- 2011-09-25 14 13 11 まさか、ここで南の島のまりさに繋がるとは。 -- 2011-08-07 21 45 21 まりさのゲス因子がどんどん発現してきてるな…どうなるか楽しみだ -- 2011-02-24 00 02 49 面白い。まさかゆっくりと一緒に極限状態のサバイバルとは。 そして信号機の故障はすっっごくよくわかるんだよー! 電池切れはホント勘弁して欲しいんだよー!! -- 2010-12-21 02 54 02 むぅ、おじさん粘るな。まさか「ゆっくり=食料」の観念の片鱗すらまだ出てこないとは… -- 2010-10-14 05 25 53 「だって、おじさんは!」 このまりさの発言が切り身の大きさの事だってのはわかるんだけど 我侭だったりゲスなゆっくりのこう言う発言は 「だって、おじさんはまりさのどれいだよ!?」 に続きそうで、救命イカダの上で自ら死亡フラグ立てたのかと思ったわ -- 2010-09-18 22 49 20 素晴しく面白いね。 -- 2010-07-02 05 11 04