約 21,879 件
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/4356.html
ワリオランド2 盗まれた財宝 【わりおらんどつー ぬすまれたざいほう】 ジャンル アクション 裏を見る 対応機種 ゲームボーイカラー(全GB共通) メディア 16MbitROMカートリッジ 発売・開発元 任天堂 発売日 1998年10月21日 定価 3,675円 配信 バーチャルコンソール【3DS】2012年4月4日/600円 判定 良作 ポイント 残機・ミスの概念がない不死身のワリオコミカルかつ多彩で面白いリアクション ワリオシリーズ 概要 ストーリー 本作の特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 『スーパーマリオランド3 ワリオランド』の続編であり、マリオのライバル・ワリオが主役をつとめるワリオランドシリーズの本編2作目。 ただしワリオランドシリーズ全体では3作目にあたり、本作以前にVBで外伝作品『バーチャルボーイワリオランド アワゾンの秘宝』が発売されていた(*1)。 ストーリー ある静かな朝、ワリオ城に数体の怪しい影が。その正体はかつてワリオが宝を横取りした海賊・ブラックシュガー団。ワリオが熟睡している間に城の宝物をすべて盗んでいったのだ。さらに水道を流して城を水浸しにし、ワリオを挑発するかのように目覚まし時計を放りこんでいった。「絶対許さん!宝物を奪い返してやる~!!」固い決意とともにワリオは冒険に旅立った。 本作の特徴 不死身 リアクション 本作のワリオには残機・体力の概念がない。敵の攻撃を受けてもコインを落としながら後ろに飛ばされるだけで、落とし穴など一発ミスの即死トラップも存在しない。その代わりに特定の敵や仕掛けに当たると、「太る」「つぶれる」「尻に火がつく」「バネになる」「酔っぱらう」…などなど、さまざまな状態異常の「リアクション」に陥る。 時にはつぶされた状態でヒラヒラと降下したり隙間を抜けたり、時には火だるまになってブロックを破壊したり、時にはバネになって高いところまで飛び跳ね、時にはゾンビになって地形無視で落下したり…と、このリアクションをうまく利用するのが攻略のポイントである。 アクションの追加・変更 体当たりの距離、スピードが強化され、体当たり中のジャンプが細かく制御できるようになった。 前作では『ブルワリオ』にならなければ使えなかったヒップドロップが基本アクションとなり、通常時ワリオで繰り出すことが可能になった。 通常の歩行移動速度も速くなっており、前作よりもスピーディに行動できる。 坂の上でしゃがむことで転がることができるようになった。 転がっている時は高速で移動でき、自動で敵を倒すことができる。またこの方法でしか壊せない配置のブロックもあり、細かいジャンプ制御が求められる。 ちょっとした小テクとして、坂の上で体当たり中にしゃがむと即座に転がる事ができる。 敵を持ち上げた際の行動が増え、ボタンを押しっぱなしにして強く投げる、上に投げるなどのアクションが追加された。 探索・謎解き要素の強化 ステージ内に隠された宝を探し出すなど探索・謎解き要素が前作よりも強くなっている。 破壊できる壁が増え、その先にコインがあるという仕掛けが多く、何気ないところからコインが出てくる。ステージに配置されているコインの多くはこのような隠し部屋に置いてあるので、念入りに探索しなければいけない。 ステージ内の仕掛けもフクロウにつかまって空中を進んで行ったり、スイッチで部屋の水位やブロックの出没といった仕掛けの動作を変えたりと、一筋縄ではいかない変わった仕掛けが豊富に用意されている。 ステージのクリア条件も単純にゴールに着くものばかりではなく「デカヤリクリを倒す」「DDを4体倒す」「メンドリを巣に返す」「列車を止める」などの変則的なクリア条件が提示されるようになった。 各章最後に待ち受けるボス戦も「ボスが遠隔操作するロボットを機能停止させ、ボスに投げ当てる」「お互いをボールにしあってのバスケ勝負」などユニークなものがあり、人気は高い。 ステージはコイン探しや謎解きをしながら進むとなかなかの長さとなるが、逆にそれらを一切無視してゴールまで行くとかなり短い場合もある。最初は一気にステージを突き進んで、後からお宝を回収してしまうのも一つの方法である。 各ステージの道中とゴール後にそれぞれ、宝、地図の欠片を入手可能なミニゲームが用意されている。両者とも挑戦には大量のコインを要する。 宝を入手できるミニゲーム(50/100/200 ※ステージ中のコインのみ可) 道中に入口が隠されており、入るとミニゲーム開始となる。 8枚のパネルが裏返しにされ、一瞬だけ表が表示される。その後、指定されたキャラのパネルを選ぶゲーム。払うコインの数に応じて、表が表示される時間が長くなる。 地図の欠片を入手できるミニゲーム(50~450 ※総額コインのみ可) 各ステージのクリア条件を満たし、ゴールすると開始となる。 タテヨコ3マス、最大9枚のパネルをコインを払ってランダムにめくり、答えがわかったところで10択から1つ回答。パネルにはデジタル数字1つが白黒で描かれており、答えを確定するのが難しい。(例えば、外周の8枚で8(ハチ)かと思ったら0(ゼロ)だった、ということも。) 最初は1枚ずつめくり、続けてめくるか答えるかを毎回選ぶ方式だが、一度どれかのエンディングを見た後は出題から自動的にめくられ、ボタンを押して答える/コインがなくなるまでめくり続ける形式に変化する。 オートセーブ 前作同様にコースクリア毎に自動でセーブが行われる。 また、セーブ中・セーブ完了のアナウンスを表示するようになった。 マルチエンディング 本作はアクションゲームとしては珍しいマルチエンディング方式を取っている。 各ステージは「第○章 第○話」と表記され、初プレイ時はステージを次々とクリアしていく一本道のゲームに見えるが、ゴールが2つある等のクリア条件が複数あるステージがいくつか存在し、達成したクリア条件によってルートが分岐する。 分岐の仕方も「敵を追って海賊船→迷いの森→街→ボスの城」というオーソドックスなものから、「逃走する海賊を追っていたら幽霊屋敷に入ってしまった」「海賊船を沈没させ、そのまま海底の遺跡に侵入」と意外な展開を見せるものもある。 + 更に、最初のステージから予想外過ぎる分岐が用意されている。ネタバレ注意! 第一章第一話のスタートの時にワリオはベッドで寝ており、ボタン操作でワリオを起こして冒険スタート…となるのだが、ワリオを起こさずに放置しているとそれでもステージクリアとなってしまい、正規の攻略ルートとは別のルートに分岐するという面白いネタが用意されている。 この方法で分岐したルートでは、なんとワリオが眠っている間に城を乗っ取られる。乗っ取った敵を倒し、城から追い出せばそのままゲームクリア。エンディングまでにクリアを要するステージ数はワリオシリーズ…どころか、派生元であるマリオシリーズを含めてもぶっちぎりで少ない。 但し、このルートのボスが正規ルートのラスボスと比較してかなり強いという点には注意されたし。本作でのアクションに慣れていない状態で挑もうとすると、高確率で泣きを見る破目に陥ってしまう。 この「放置による分岐」ネタに気付かなければ分岐先に行くことはできず、当然ながら完全クリアもできない。 一度ゲームをクリアすると、ステージクリアまでに放置しなければならない時間が大幅短縮されるという救済措置はある。またクリア後は下記フローチャートで最初のステージから分岐が存在している事が示されるので、分岐の存在自体に気づかないという事は無いと思われる。 一度エンディングを見るとフローチャートが出現し、2周目からはステージセレクトが可能となる。全ステージをクリアし、更に全ての宝、地図の欠片を入手すると「ホントの最終話」が出現、これをクリアすれば真のエンディングを拝める。 この「ホントの最終話」はありとあらゆるテクニックを駆使しなければクリアできない、このゲームで最も難しいステージである。なお、このステージのみゴールまでのタイムが計測される。 同様に「フラッグマンD.D.」というミニゲームもプレイできるようになる。ゲーム&ウオッチの『フラッグマン』のパワーアップ版と言っていい内容であり、AとBのボタンも加わっている。 任天堂最初のGBC対応作品 本作はGBCのローンチタイトルの1つであり、カラーで遊べることが大きな魅力であった。ワリオも「『ワリオランド2』をカラーで遊ぶ為にゲームボーイカラーが開発されたのだ!! ほんとうだ! たぶんな?」(*2)とその魅力を熱く語っている。 評価点 「ワリオランド」の独自性を開拓 ワリオランドシリーズは初代『ワリオランド』以来、ダッシュアタックで敵やブロックを破壊しながら進むパワープレイや「お宝を手に入れるために冒険をする」行動力の高さでマリオとの違いを見せつけていたが、基本システムはまだマリオシリーズに準じていた。しかし、本作によって「ステージを探索してアイテムを集める」「リアクションを駆使してステージを攻略する」という独自のシステムが確立。 特に「リアクション」はワリオのタフさを強く印象づけるものとなり、『ワリオランド3』『ワリオランドアドバンス』など以降の作品に引き継がれた。 マップ構成、演出 シナリオの前にワリオとブラックシュガー団のやりとりが見られる。会話文はないが、大げさすぎるほどのアクションにより話の流れは分かり易い。 前作は横スクロールだったが本作では上下左右にスクロール(上下の切り替えに少々時間を食うが)するようになり表現の幅が広がった。 当時の携帯機では多重スクロールは無理だったが、それでも列車ステージの窓やエンディングの地形などに工夫がみられる。 賛否両論点 ミニゲームの存在 「ホントの最終話」を出すためには宝と地図、両方のコンプリートが必要。稼いだコインはこのミニゲームで消費される事になるが、ミニゲームの内容は作業そのものと言い切って差し支えない程度のものである。 絵合わせゲームは支払ったコインで難易度を選べるが最低でもそのマップで稼いだコインが50、最高で200枚必要。幸いにして、ステージ中のコインは簡単に集められる。 3DSのVCで遊んでいるなら「どこでも保存」を使ってセーブ&ロードで終わらせてしまってもいい。 数字当てゲームは外れれば、対象ステージのスタートからやり直しになってしまう。ボスステージの場合は再戦する羽目になる。 ホントの最終話 上述の通り、全マップにおいて宝・地図をコンプリートすると「逆にシロップのお宝を横取りしてやれ!」というシチュエーションで出てくる高難度の最終マップ。 クリアの為には今まで使い所のなかったアクションや「難しいし使わずともクリアはできるが、習熟すれば攻略が非常に楽になる」類のアクションなども普通に酷使しなければならない、と説明すればどれほどの難しさか想像できるだろう。 特に高速ベルトコンベアを抜けるために『タックルからのしゃがみ滑り』というアクションを使う必要があるのは全ステージ中でもこのマップだけ。突破方法に気付けない人は本当に気付けない。 その分今までに培ったテクニックを総動員させられる、GBワリオランドシリーズでも屈指の骨のある高難度マップとなっている。ワリオランド製作スタッフからの挑戦状と言えよう。 またマップも、よく見ると背景が『ワリオが背後から触れた際に仰け反った姿のザコ敵や目・口・耳などの人体パーツが無造作に埋め込まれている』など、それまでのステージには見られないグロテスクなものになっている。いわゆる黒い任天堂。 問題点 GBとGBCの間でデータを共有することができない 初プレイ時、モノクロ・カラーのどちらでデータを作るのかを問われる。以降、このゲームはモノクロでデータを作った場合はGB、カラーでデータを作った場合はGBCでしか遊ぶことができない。さらにセーブデータは1つしか作れないため、違うハードで遊ぶときには一度前のハードでデータを初期化しなければならない。 多くの人はGBCで遊んでいたと思われるが、先にGBやスーパーゲームボーイで遊んでいて後からGBCを買った人は泣く泣くデータを消さなければならなかった。いくら最初期のソフトとはいえ(*3)、なぜこのような仕様になったのだろうか? ちなみに、VC版ではカラーでプレイする扱いとなる。 「戻し」作業が面倒 今作のワリオは「不死身」であるのだが、ステージの仕掛けに引っかかった時やボス戦でミスをした時など、ある程度戻されてしまう広義的なミスは発生しうる。 特にボス戦は1発食らうとすぐやられ戻りになるので、慣れるまでは何度も同じステージを繰り返さなければならない。 ダメージを受けた場合のノックバックが異常に大きく、画面の半分くらい吹っ飛ばされる。このノックバックのせいで仕掛けにハマり戻されるケースもそれなりに多い。 面倒過ぎるリアクション「酔っぱらう」 「ペンペン」というペンギンのような敵の放つビールを食らってしまうとこのリアクションになるのだが、これがまた厄介極まる。 まず酔っぱらっているという事でフラフラして、操作がし辛くなる。タックルやヒップドロップといった攻撃も一切不可。その代わりなのか、くさい息である程度の遠距離攻撃が可能となるが、発射前後の隙がやたら大きい。ワリオのライバルが使うファイアボールのようには頼れない。 ペンペン自体も非常に厄介な相手で、ある程度遠くまでビールを飛ばしてくる。ヒップドロップの振動で動きを止めてその隙に倒そうにも、その振動でビールをこぼして飛ばしてくる為、結局食らってしまう破目に陥りやすい。 せめて時間経過で解除されてくれればまだよかったのだが、元に戻るには水に入って頭を冷やすしかなく、しかもそれを行う為の水辺が大概のケースにおいて後戻りしなければならない場所にある。場合によっては大幅に戻らざるを得なくなる。 この「酔っぱらう」は、全リアクションの中で唯一攻略やコイン集めに役立つ局面が全く無い。このリアクションの存在自体がプレイヤーへの嫌がらせ要素になってしまっている。 一応しゃがんでいればビールに当たっても無害になるが、何の情報もなしに気づける人は少数だろう。 総評 やや粗はあるものの「お宝のために冒険をする」というワリオらしい目的や「リアクション」を用いた謎解きはマリオとは一味違うテイストを生み出すことに成功した。 本作はワリオランドシリーズの独自性を開拓し、名実ともに「マリオ」からの独立を果たした作品であったといえるだろう。 余談 本作以降ワリオランドシリーズには必ずシールのおまけがついてくる。 ステージの1つ「フクロウにつかまって」には絶対に取る事が出来ない大コイン4枚が存在する。 海外版では酔っぱらうリアクションとアイテムについて規制がかかり、鉄球がぶつかりピヨる仕様に変更された。 1回の攻撃被弾で即やられ戻しとなる仕様により、ボス戦に慣れるまで何度も同じステージを繰り返さなければならないという傾向は、次作『ワリオランド3』で更に顕著になる。 ステージのクリア条件の一つに「デカヤリクリを倒す」というものが存在するのだが、そのステージのタイトル名がドラマのタイトルのパロディになっている。 「あぶないデカヤリクリをたおせ」「もっとあぶないデカヤリクリをたおせ」「はぐれデカヤリクリをたおせ」「もっともあぶないデカヤリクリをたおせ」「あきれたデカヤリクリをたおせ」「はみだしデカヤリクリをたおせ」…どう見ても刑事(デカ)ヤリクリです、本当にありがとうございました。 ステージタイトルでいろいろ書かれているが、デカヤリクリの性能は全く同じ。倒し方も同一である(*4)。 『スーパーマリオくん』では、『マリオパーティ』編の途中で、城の蛇口の栓を閉め忘れたことを思い出したワリオが強引にマリオを引き連れてワリオ城に戻るというすさまじく強引な展開で無理矢理1エピソードを本作に当てている。そのため、マリオが同行する中で蛇口の栓を探して奔走する原作とはかなりかけ離れた内容になっている。
https://w.atwiki.jp/evergreenforest/pages/53.html
呉原忌寸名妹丸、海部郡に漂着 783年(H0783a) 呉原忌寸名妹丸(くれはらのいみきなにもまる)、大和国高市郡波多の人で漁師となった。延暦2年8月15日(783/09/20)の夜、紀伊国海部郡の伊波多岐島(いわたきじま)と淡路島の間の海で9人で漁労中に難破し、8人が溺死、妹丸のみが海部郡の蚊田浦浜に漂着した。 参考文献 荒川秀俊, 1995. 異国漂流物語. 社会思想社.
https://w.atwiki.jp/evergreenforest/pages/28.html
新羅人金物需(こんもつぬ)、漂着新羅人とともに帰国 685年(H0685a) 天武14年3月4日、来日中の新羅人金物需が、漂着した新羅人7人と帰国する。 この7人の漂着新羅人は、677年五島列島に漂着した朴刺破(ぼくしは)ら7人(H0677a)と人数は合うが、朴刺破は同年帰国しているので、別の漂流民である。 参考文献 宇治谷孟, 1988. 全現代語訳 日本書紀 下. 講談社. 坂井太郎ほか, 1993. 日本古典文学大系 日本書紀 下. 岩波書店.
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2377.html
ゆっくり漂流記 抗う命 43KB 悲劇 自業自得 飼いゆ 現代 独自設定 うんしー ぺにまむ ゆっくり漂流記中篇です。漂う命の続編です。 「ゆっくり漂流記 漂う命」の続編です。 『ゆっくり漂流記 抗う命』 まりさはおじさんに買われ、れいむの番となるためにおじさんの家にやって来た。 個人経営のペットショップで売られていたまりさにとって、おじさんの家での生活 はまさに夢のようだった。 優しく、まりさのお願いのほとんどを叶えてくれる飼い主。 清潔感あふれ、柔らかな絨毯が敷き詰められたゆっくりぷれいす。 滑らかな肌触りのシルクと、空気をたっぷり含んだ羽毛で作られたふかふかべっど。 四季折々の野菜や果物、魚や肉、乳製品がふんだんに食べられるしっとりご飯さん。 おまけに、お風呂には毎日入れてもらい、まりさ自慢の金髪は、花の香りのする高 級シャンプーとリンスによって、その輝きを増したのだ。 そして、何よりも、今まで見たどのゆっくりよりも美しく、聡明で、心優しい許嫁 れいむとの出会いが会った。 「ゆきみ○なにーぃぃぃっ♪!!!」 れいむは信じられないほどの美声でまりさを歓迎してくれた。 気がつけば、まりさの両目と股間から清らかな液体があふれ出ていた。 まりさはれいむに一目惚れし、れいむもまりさのことを何よりも気にかけてくれた。 まりさはおじさんの家に来た翌日、ベッドで目が覚めたとき、ふと思った。 「これ、なんてえろげ?」 想像でしか見たことのないような生活が実現したのである。 そして、今、まりさは想像もしたことのない地獄にいた。 漂流して十日が過ぎた。 私は上半身裸になって、救命いかだの床に倒れこんでいた。 「ゆ…ゆぅぅぅう…あづい…」 まだ夏には遠いはずなのだが、その日は暑かった。 おまけに風が強い。 たとえ、気温が高くても、風があるのならば、体感温度は下がるはずなのだが、あ いにく、海水の救命いかだ内部への浸入を防ぐために、救命いかだの出入り口は締 め切ったままだった。 そのため、救命いかだの中の温度も湿度も高くなっていたのだ。 「ゆひぃ…おみじゅ…おみじゅ…」 ゆっくりたちの即席の巣から、保温性の高いイマーション・スーツはとってやった のだが、発泡スチロールの中で、二匹は身を寄せ合うことも出来ず、ただぐったり していた。二匹とも、その滑らかだった肌は塩でガジガジになり、水分不足のせい だろうか?所々に、吹き出物のようなふくらみや、黒ずんだ染みのようなものが出 来ている。 おそらく、健康な表皮を維持し続ける新陳代謝の能力が低下しているのだろう。 それは私も同じだった。 海水腫瘍は治っては、傷が開いてを繰り返していた。さらに、所々、ゴム製の床と 擦れて皮がめくれてしまっている。そこに、床に噴き出した塩が刷り込まれるたび に痛みが走った。 私は、一分ごとに、あと何時間で夕食、水を飲める時間になるか腕時計をチェック していた。 今日はいつもの二倍の水を飲もう。ゆっくりたちにも振舞ってやろう いや、ダメだ。今日いつもの二倍飲んだら、生き延びられる日数が一日減るという ことだ。 だが、これでは体が持たない。死んでしまえば、元も子もないんだぞ? いや、やはりダメだ。例え、一日でもたっぷり水を飲んでしまえば、明日から元の 少ない水で我慢できるのか?私の精神はそんなに強かったか? 私の中で、理性と本能が結論の出ない激論を交わし続ける。私の精神は限界が近づ きつつあるようだった。 「おじさん…おみじゅ…おみじゅはまだ?…」 「まだだ…あと3時間とちょっとで夕食の時間だ。それまでは…じっと我慢してい るんだ。」 いくら天気が良くても、この強風下では、太陽熱蒸留器を使用するわけにはいかな かった。昨日、無理して、波がやや高い中、太陽熱蒸留器を外に出したのだが、波 にもまれて転倒し、内部に溜まっていた真水が海水と混ざり合ってしまった。 それに、万が一、この太陽熱蒸留器を失うことがあれば、そこに死の淵をのぞくこ とになるのである。 「ゆぅ…れいむ…がんばるよ…ゆぅ…おみじゅ…」 我慢強いはずのれいむですらこの有様だ。まりさはここのところ、食事のとき以 外は何も話さず、ぐったりしていることが多くなった。 たまに 「…ゆっくり…まりさはれいむと…ゆっくり…」 とうわごとのようにつぶやくぐらいであった。 私に何を聞いても「我慢」と言われることが続いたため、自分の欲求を主張するこ とすら億劫になったのだろうか。 そうだとしたら、これはゆっくりにとっては通常有り得ない事態であり、それだけ まりさが衰弱しているということだった。私は、そんなゆっくりらしからぬ姿のま りさのことを思うと、胸が張り裂けそうだった。 ばっしゃーんっ 強い波が救命いかだの側面に衝突し、出入り口の微かな隙間から海水が浸入する。 もう私も、ゆっくりたちも、これしきのことで驚くことはなくなった。 ただ、いつものように黙って私がアカすくいで海水をかき出すだけである。度重 なる海水の浸入で、もはや私の衣類はぐずぐずになり、異臭を放っていた。 しかし、ここ最近は、自分の衣類にも、ゆっくりたちにも、そして自分自身にも 異臭を感じなくなっていた。おそらく、もう鼻が慣れてしまったのだろう。 私の髪と髭は伸び放題であり、体には何十という海水腫瘍とそれが潰れて出来た 傷口が開いていた。おそらく、この傷口の幾つかも異臭を放っているはずである。 私は救命いかだ内部のポケットの一つをがさごそと漁った。そこに、れいむとま りさのうんうんだったものを保存しているのだ。 ゆっくりのうんうんとは言え、所詮は餡子である。最初のうちこそ抵抗があった が、今となっては貴重な甘味であり、食糧だった。 私はゆっくりたちから見えないように、一掴みの餡子をそっと口の中に放り込む。 甘い。 ほっとする甘さだった。 味気のない非常食と少量の水にうんざりしている私の舌には、この餡子と、時折 飛び込んでくるトビウオだけが活力を与えてくれた。 最初は、れいむとまりさにも与えようとしたのだが、さすがに良い生活をしてき ただけあって、即座に自分達のうんうんであることを見抜き、食べるのを拒否し た。 それ以来、彼らのうんうんは、私の秘密のおやつとなった。飼いゆっくりのうん うんをせっせと食べているのかと思うと情けなくなり、涙をこらえたこともあっ たが、死んでは元も子もない。ゆっくりのうんうんを食べれば、家族と会える。 そう考えれば、大したことではなかった。 ただ、それでも彼らの見ている前で、うんうんを食べることは出来なかった。 餡子を食べ終わると、眠くなってきた。 ここ数日、この救命いかだの浮力を維持するためには、定期的に手動ポンプで、 いかだの床に空気を送り込まなければならないことを知り、慌てて空気を送り続 けていた。 最近、救命いかだの床の張りがなくなってきたな、などと感じていた私は、大い に焦り、必死に空気を送り込んだのである。その甲斐あってか、床の張りは元に 戻ったようであった。 おまけに、朝から日が沈むまでは、救命いかだ唯一の丸窓から外を眺め、船舶が 近くを航行していないか観察し続けなければならなかった。いまや、こちらから 能動的に救助を求めるには、近くを通りかかった船舶に、信号弾を打ち上げる以 外に方法がないのである。それですら、十分に受動的であったが。 だが、人間、いかに非常事態とはいえ、24時間、外を眺めていることは出来ない。 私は、日が出ている時間のみ、外を眺め、夜はしっかりと眠るようにしていた。 どうやら、今日は、ずっと揺れる救命いかだの中で、観察の姿勢を保ち続けてい たため、いつもよりも体力を消費してしまったらしい。目蓋が重くなり、ヒュプ ノス(睡魔)が甘いため息を私の意識へと吹きかけていく。 ここのところ、ずっと食べ物の夢ばかり見ていた。そして、私はいつの間にかう たたねを始め、夢の中の晩餐会へと出発していた。その日のメインディッシュは 新鮮なタラをたっぷりのオリーブオイルで炒めた、シンプルなソテーだった。 「おじさん…おじさん?」 「やめなよまりさ、おじさんは疲れて眠ってるんだよ…ゆっくりさせてあげよう よ!」 まりさはゆぅっと大きなため息を吐いた。まりさはおじさんを起こすつもりもそ の必要もなかった。まりさが待っていたのは、れいむと二人っきりで話す時間だ ったのだから。 「だいじょーぶだよ!まりさはおじさんを起こさないよ!」 「ゆっくりりかいしたよ!きっとごはんさんの時間には起きてくれるよ!おなか すいたけど、それまでゆっくり待とうよ!」 れいむの髪の毛はぼさぼさになり、もみあげにはねばねばした海水だったものが クモの巣のように付着していた。かつて、ベルベットのように滑らかで、もちも ちとした感触だった美肌は、海水の染みや魚の血、自身の排泄物などによって薄 汚れ、塩のせいでその表面はがさがさにひび割れていた。 まりさはれいむのそんな痛々しい姿を見ることが苦痛だった。 だが、それでもなお、れいむの笑顔はとてもゆっくりしていた。 まりさはこんなときでも飼い主をゆっくりさせようとするれいむを本当にゆっく りしたゆっくりだと思い、少し惚れ直した。だが、それがいつもれいむにとって 最善の選択だとは、まりさは思っていなかった。いや、思わないようになりつつ あったというのが正確だろう。 「れいむ…」 「どうしたの、まりさ?」 れいむはまりさの雰囲気にただならぬものを感じた。まるでこれから、恐ろしい 秘密でも打ち明けようとしているかのように。 「れいむ!まりさは!まりさはれいむのことがだいすっきっだよっ!!まりさは れいむとずっとずっとゆっくりしたくてしょーがないんだよ!!」 「!!?」 それは突然の告白だった。ゆらゆらと揺れるオレンジ色の救命いかだの中で、れ いむは一瞬時間が止まったかのように感じた。 「れいむはどうなの?まりさのこと…好きじゃないの?…」 覚悟を決めた視線でじっとれいむのことを見つめるまりさ。れいむの答えはずっ と前から決まっていた。 「れいむも…れいむもまりさのことが好きだよ…まりさとずっとゆっくりしたい よ…」 それは当然のことだった。おじさんは、れいむの希望に沿い、わざわざ普段は行 かないような小さなペットショップにまでれいむを連れてまわったのだから。ま りさを買ってきたのは完全にれいむの意向に沿った上での行動だったのだ。 「ありがとうれいむ!まりさはうれしいよ!とてもゆっくりできるよ!!!」 「まりさ!」 感動のあまり、まりさは涙を流し、ちょろりとうれしーしーを垂れ流した。たく さん出せるほどの水分は残っていなかったのである。 「おじさんはもうゆっくりできないよ!」 「まりさ!なんてこと言うの!!…」 そこまで言って、まりさはれいむをキッとにらんだ。 「れいむ、最後までまりさの話をきいてね!まりさも好きでこんなこといってる んじゃないんだよ!」 「ゆ!?」 まりさの迫力に気圧され、れいむはそれ以上何も言えなかった。 「れいむがせわをしてくれるおじさんをたいせつにするきもちはわかるよ…でも れいむはもう十分おじさんをゆっくりさせたよ!これからはれいむのゆん生をゆ っくりするべきだよ!」 「…?…れいむのゆん生?…なにいってるの?れいむはおじさんやまりさといっ しょにゆっくりすることが、れいむのゆん生だよ!」 まりさは、れいむの返答にやれやれ、とでも言いたげに大きくため息をついた。 「それはおじさんのじんせーだよ!まりさとれいむのゆん生じゃないよ!」 まりさはれいむの目をじっと見つめる。 「れいむ…れいむのゆん生はね、まりさといっしょにおちびちゃんをつくって ゆっくりすることだよ!」 れいむは驚き、ゆっくり考えた。れいむとまりさのおちびちゃんといっしょにお うたを歌う。そして、それをおじさんたち家族が暖かく見守ってくれたら、どん なにゆっくりできることだろう。 れいむもまりさも、まだ店頭に並ぶ前に去勢が済まされていたが、すーりすーり によるすっきりでにんっしんっすることは可能だった。まりさは、そもそもが番 を作らせることが目的で購入されたのだ。 「おじさんはまりさとれいむをゆっくりさせてくれる、その代わりにまりさとれ いむはおじさんをゆっくりさせる…でもいま、おじさんはまりさたちをゆっくり させてくれないよ…」 「それはいまが…ええとあの…ひじょーじたいだからだよ!おうちに帰ればまた みんなでゆっくりできるんだよ?」 まりさはれいむの認識を鼻で笑いそうになった。金バッジとしてれいむは確かに 優れている。こんなに人間さんのためを考えられるゆっくりは、まりさがいたペ ットショップには一匹もいなかった。だが、人間さんがいなければ、金バッジな んてただのぴかぴかだ。そして、今、おじさんと一緒に無事、ゆっくりぷれいす に帰れるかどうか誰にも分からないのだ。 まりさは銀バッジとして、れいむほど、礼儀正しいわけでも、飼い主に従順なわ けでもなかったが、そんじょそこらの野良よりも勇敢で、ある種の状況判断に優 れた素質を持っていた。 「…まりさはれいむのことがほんとうに大好きだよ!だからゆっくり見てられな いよ…れいむがこれいじょうよごれていくのを…ゆっくりできなくなっていくの を…」 「!!…まりさ…」 まりさはさらにまくしたてる。 「おじさんはこの船を動かせないからゆっくりできなくなっているんだよ!ここ にいるかぎり、れいむもゆっくりできないよ!…でも…」 そう言ってまりさは帽子を脱いだ。 「…まりさは動かせるよ…」 まりさの帽子の中には、一本の頑丈そうな、まりさ自慢の櫂が入っていた。 れいむはまりさが頼もしく、そして怖かった。 れいむの心が揺れていた。おじさんへの恩と、生まれて初めての恋に。 ふぁーすとちゅっちゅの味は少ししょっぱかった。 私が目を覚ましたとき、辺りは暗くなっていた。何も見えず、ただ波が救命いか だに打ち寄せる音だけが聞こえてくる。 今日も夢の中で、ご馳走をいざ食べる段階で目が覚めてしまった。 時計を見ると、午後8時を過ぎたところだった。ゆっくりたちに夕食を与えなけ ればならない。 「ゆゆ!おじさん起きたんだね!」 私が起きたことを雰囲気で察したらしく、まりさが声をかけてくる。 その声はいつになく親しげで、元気そうだった。良い夢でも見れたのだろうか? 「ああ、ちょっと寝すぎてしまったな。いま、夕食にしよう。」 「ゆわぁ~い!まりさおなかすいたよ!ゆっくりごはんさんを待つよ!」 「れいむは起きているのか?」 「ゆ!?れいむはおきているよ!ゆっくりごはんさんを待つよ!」 私は手探りで救命いかだのポケットから、非常食を一本取り出し、それを二つに 折った。その片方をれいむとまりさのために、さらに二つに折ってやる。 残りの非常食は10本あるかないかだった。先のことを考えると気が重くなるが、 ここで精神が折れたら、そこで人生終了である。 何か、食糧を手に入れる手段を考えないと… 私はコップを使って水を計量し、ゆっくりたちの水入れに分けてやった。 「おじさん!まりさ、おじさんにおねがいがあるよ!まりさはろーぷさんがほし いよ!まりさはろーぷさんでおもちゃを作りたいよ!」 「ほう…」 私はゆっくりたちに、飼い主として負い目があった。このような事故に巻き込ま れただけでも可愛そうなのに、その上、野生でも有り得ないような節制生活を強 いているのだから。 私の責任ではないとはいえ、何かゆっくりさせてやりたかった。 「分かった。明日、明るくなったら、まりさとれいむが遊べそうなものをあげる よ。」 「ゆゆ~ん!ありがとうおじさん!それじゃあゆっくりいただきま~す!むーし ゃむーしゃ…しあわせ~!」 余程嬉しかったのか、まりさはいつになくご機嫌だった。その一方で、れいむは いつになく言葉数が少ないように思えた。 「ゆぅ~…むーしゃむーしゃ…」 ゆっくりたちは、食糧、水の消費から考えれば、一見お荷物に見える。 もちろん、ゆっくりを愛する私に、彼らを捨てるという選択肢はない。それなら ば、彼らと一緒に永遠にゆっくりすることを選ぶだろう。 だが、私が彼らに食糧・水を与え続ける理由は、愛護家としてのそれだけではな い。 気が滅入るような、この終わりの見えない漂流にあって、彼らと言葉を交わすこ とは私の落ち着きを、正気を保たせてくれる唯一の手段に思えた。 長期間を漂流したり、遭難した後に生還した人々の多くは、一人でいる間に分裂 病のように、自分自身の意識が理性と本能、希望と諦念のように分割されるのを 経験している。 まるで漫画に出てくる、心の中の悪魔と天使のように、それぞれが自分にささや きかけ、命令し、意識を混乱させてしまうのだ。 おそらく、私もそれを現在進行形で体験している。 彼らは時に、わがままで、あるいは無知ゆえに私を困らせたが、どうせ人間だっ て、このような漂流生活が続けば、いつものように振舞うことは出来ないのだ。 私は、彼らと一緒であったことを感謝しつつあった。 れいむとまりさがいてくれるおかげで、私は自分を保つことができるのだから。 翌日は風がなく穏やかで、日は燦々と照っており、素晴らしい天気だった。 私は救命いかだの道具類や拾った荷物をまりさの前に広げ、おもちゃになりそう なものを好きに拾わせた。 その一方で、救命いかだの出入り口を開け放ち、体のあちこちにできた海水腫瘍 や皮がむけた傷口を日光に曝して乾燥させる。太陽熱蒸留器を海面へと送り込む ことも忘れなかった。 後は食糧だけが解決の見込みのない難問であったが、ふと、遠くを跳ねているも のがいた。トビウオの群れである。 大西洋を海流に乗って横断できるか実験した人物は、途中、何匹もトビウオがい かだに毎日のように飛び込んできたので、食糧に困らなかったという。私の救命 いかだもそのような海域に到着したのだろうか? 救命いかだ備え付けの道具類の中に、釣り糸となるテグスはあった。また、船か ら脱出した際に拾ったカバンの中から、男物の衣類と一緒に入っていた針金製の ハンガーを取り出す。これで釣り針ができるのではないだろうか? 幾度となくハンガーをほぐすように動かし、適当な大きさにちぎった(こう書くと あっさりしているが、かなり時間をかけたことを追記しておく)。 さて、釣りの用意はできたものの、餌がない。 私は前回飛び込んできたトビウオを食べた際に、その残骸を捨ててしまったこと を後悔した。せっかく作った釣り道具ではあるが、次の機会までしまい込んでお く事にした。私は手動ポンプを動かし、今日も救命いかだを膨らませる。マニュ アルによれば、二、三日に30分ほど動かせば十分らしいのだが、小心者の私は、 救命いかだがしぼんで沈んでいくという恐怖に耐えられなかった。 「おじさん!まりさろーぷさんをゆっくりもらうよ!ゆっくりありがとう!」 「ああ…」 私は、まりさの方に返事をして振り返ろうとしたとき、その視野の隅に待ち望ん でいたものを捉えた。 「…!…船だ!!船だぞっ!!助かるぞっ!!!」 「ゆゆ!!」 「たすかるの!!れいむたちたすけてもらえるの!!」 「ああ!助けてもらえるぞ!!」 私が見つけたのは一隻の白い船であった。 距離は分からない。私は船の大きさからおおよその距離の見当をつけるなどとい う技術は持ち合わせていなかった。ただ、煙突や船上の大きな構造物は確認する ことが出来た。 私は飛び込むように、救命いかだ奥のポケットへと手を伸ばし、信号弾を取り出 した。急いでマニュアルにも目を通し、使い方を確認する。 「おじさん!いつ!?いつたすけてもらえるの!?」 元気良く跳ねながら、私を急かすように尋ねてくるまりさ。 「ちょっと待ってろ!」 私は二発の信号弾を立て続けに打ち上げた。 「おぉぉぉぉぉいぃぃぃぃぃっ!!!たすけてくれぇぇぇぇぇぇっ!!!」 船に向かって懸命に手を振る。信号弾は、落下傘付きの打ち上げ照明弾のような ものである。そのため、日中は、夜間ほどの効果が得られない。しかし、もうも うと上がる煙は遠くからでも視認できるはずであった。 船の針路が微かに変わった。 いいぞ、助かる! 「ゆゆ~ん!まりさはここだよぉ!おふねさん!まりさたちをゆっくりしないで たすけてねぇ!!」 「ゆ~ん!ゆゆ~ん!とってもゆっくりしたおふねさん!れいむたちをたすけて ね!」 ゆっくりたちも助かることを確信し、救命いかだの中で必死に跳ねながら声を出 した。 しかし、確かに船は進路を変えたものの、こちらに向かっては来なかった。 馬鹿な!気がつかなかったというのか!? 信号弾は残り4発、だがそのうち2発は信号弾ではなく、救難用紅炎、要するに発 炎筒だった。私は信号弾と救難用紅炎を一つずつ取り出した。船はこの救命いか だから遠ざかりつつある。 頼む、気付いてくれ! 私は救援用紅炎のひもを引っ張った。発炎筒はもうもうと赤い煙を上げ始める。 これを水面へと投げる。発炎筒は海上に浮く構造になっているため、そこから 赤い煙が上がっていった。私はさらにもう一発の信号弾を打ち上げた。そして、 懸命に手を振る。 「助けてくれぇ!!!助けてくれぇ!!!」 私は懸命に手を振り、脱ぎ捨ててあった汚れた上着を振り回しては、あらん限り の声で助けを求めた。しかし、船がこちらに近づいてくることはなかった。 信じられない!なんでこれが見えないんだ! 私は、後で気がついたのだが、この救命いかだは、あの船から見た場合、太陽の 直下に位置しているのだ。 船から見た場合、太陽側の海は、波が太陽光を乱反射するため、その反対側より も視界が悪くなるのだ。この現象をグレアという。そのため、船上から浮遊ゴミ やクジラの目視調査をする際は、自分の担当する視界のおおよそ何割がグレアに よって占められていたかを記録し、対象物の発見率や、それに影響する有効視界 の範囲を計算するのである。 他の海難事故でもそうなのだが、救命いかだやボートは必ずしも近くを通った船 に救助してもらえるわけではない。見張りの数、見張りをしている船員の注意、 波頭の高さ、天候、距離など様々な要因が、波間を漂う小さな救命いかだの発見 を阻止するのである。 「嘘だろ…」 私は力なく、救命いかだの中に倒れこんだ。立ち上がる気力も、自分を奮い立た せる気力も残ってはいなかった。 「おじさん、どうしておふねさんれいむたちからはなれていっちゃうの?」 「ダメだったんだよ…見えなかったんだよ…助けてもらえなかったんだよ…」 私はれいむの当然の問いかけに対して、ぶっきらぼうに答えた。船からこの救命 いかだが見えない可能性というのをまるで考えていなかった。信号弾さえ打ち上 げれば、当然見つけてもらえるものと思っていた。 馬鹿だな…私はどうしようもない馬鹿だな… さっきまで、はやる鼓動を抑えながら、必死で手を振っていたのが馬鹿らしくて、 どうしようもないくらい馬鹿らしくて嫌になった。 「どうして!!?おじさんは助かるっていったんだよ!!」 「まりさ…船から私たちが見えなかったんだよ…」 まりさには現実が受け入れられなかったようだ。まりさに船の見張りのシステ ムや、船からの視界について話しても理解できないだろう。 「おじさんは助かるって言ったのに!助けてもらえなかったよ!おじさんのせい だよ!」 「まりさ?」 まりさは泣きながら激怒していた。余程、今の、救助への希望から絶望へと転落 させられたことが堪えたのだろう。 「おじさんのうそづぎ!!まりざはがえりだがっだんだよ!!」 「ま、まりさ!?」 まりさのただならぬ剣幕に、れいむが慌てる。 「うそづぎはせいっさいっずるよ!今まではれいむが言うからがまんしてきたけ ど、もう許さないよ!まりざはれいむとゆっぐりするよ!」 どん、という鈍い音とともに、まりさが私の体に体当たりを繰り出してきた。 「せいっさいっだよ!!まりさをゆっぐりざぜないおじざんはじねぇぇぇっ!!」 まりさは、力なくへたり込む私の体に幾度となく、体当たりを繰り返した。 「おじさんはずっと海のうえでゆっくりじででね!!!」 「やべでぇ!まりざやべでぇ!!おじざんがじんじゃうよぉぉぉっ!!!」 もちろん、私は大福の体当たりなど、痛くも痒くもなかったのだが、船に気付い てもらえなかった上に、信号弾を4発も使ってしまった愚かさに打ちひしがれて いた。 まりさを止める気力も、反撃する気力もなかったのである。 れいむはそのような私の様子を見て、まりさにやられていると勘違いしたようだ。 「まりさ…」 「ゆぶっ!!?」 「少し、大人しくしていろ…」 私は何度目かの体当たりをしようとしたまりさを片手で掴み、れいむと一緒に即席 ゆっくりはうすの中にぐっと戻した。一人でゆっくりと、精神的な打撃から立ち直 る時間が必要だった。 「がえりだいよぉぉぉぉっ!!!まりざはれいむとゆっぐり!ゆっぐりじだいよぉ ぉぉぉっ!!!おじざんははやぐまりざをかえらぜでね!もううみざんはたぐざん だよっ!!」 私はまりさの態度に少しいらいらさせられたが、その気持ちは分からないでもなか った。 それだけ、助かる、と期待を抱いてしまっていたのだろう。もし、私が子供だった ら、同じことを言っていたかもしれない。 そして、さすがに、可愛いゆっくりに手を上げることは出来なかった。 「だぜぇぇぇぇっ!!!まりざをごごがらだぜぇぇぇぇっ!!!ゆっぐりじだいぃ ぃぃっ!!!」 なおもまりさは騒いでいたが、最早何も聞こえなかった。いや、聞こえてはいるの だが、言語として理解できなかった。 私はこのまま、飼いゆっくりに罵倒されながら野垂れ死にするのだろうか? 水はもう半分を切っている。食糧もそうだ。 そして、何よりも、私の身も心もぼろぼろだった。 もう体は動かなかった。力が入らないのだ。 絶叫を繰り返したのどの持つ熱も、海水腫瘍の痛みも、塩から来る痒みも、何も 感じなかった。感じたところでどうでも良かった。体は動かなかった。 頭の中では、私がこのまま、救命いかだの中でミイラになっていく様子が繰り返し 上映されていた。 ああ、もう死ね、死ね、私なんか死んでしまえ、さっさと死んでしまえ… 私はうわごとのように自分を呪い続けた。 泣き喚くゆっくりの声は、波の音は、まるで聞こえなかった。 どれくらい時間が経っただろう。 いつの間にか、頭は絶望で空っぽになっていた。 どん、という音と共に救命いかだに下から衝撃が走ったのは、そのときであった。 最初は波が変則的に当たったのかと思い、気にも留めなかった。しかし、衝撃は二 度、三度と繰り返し救命いかだを襲う。 まさかサメか? さっきまで自分に対して死ねとつぶやき続けてきた私の背中を、心を、冷たい刃が そっと貫いていったような感覚が走る。 サメに食われて死ぬのか? それは言い様のない恐怖だった。 「ゆぴぃぃぃぃっ!!!なんなの!!?いっだいなんなの!!?」 「ででごい!まりざをゆっぐりざぜないやづはででごぃぃぃぃぃっ!!!」 私は開けっ放しの出入り口から外を、救命いかだの真下を注意深く見つめた。 視界を、真下の青い世界を数匹の大きな魚が魚雷のように突進していく。 トビウオよりもはるかに大きな魚―緑がかった背中に、長い体の魚が数匹、救命用 いかだの周囲を泳いで回り、いかだの底に体当たりを繰り返していた。 「ゆぎぃぃっ!!!なんなのぉ!!まりざをゆっぐりざぜろぉぉぉぉっ!!!」 「ごわいよぉぉぉぉっ!!!だずげでぇぇぇぇ!!れいむはゆっぐりじだいぃぃぃ っ!!」 どんどんと、救命いかだの底が叩かれる度に、さっきの船の件でいーらいーらして いるまりさが、落ち込んでいるれいむが、それぞれ感情を爆発させている。 トビウオを追ってきたのだろうか? その魚影は何度か、客船の船上から見たことがあった。シイラである。 シイラはトビウオを捕食する比較的大型の魚で、いかだや浮遊物に随伴する習性が ある。 そのため、漂流者の記録にはよく顔を出す魚種であった。大西洋を二ヶ月以上漂流 したとある人物などは、シイラを主食として飢えをしのいでいたほどである。 どん 「ゆぎいいいいいい!!!」 シイラの体当たりの後、私はシイラが何かをくわえているのを見た。二週間に迫ろ うかという漂流によって、救命用いかだの底には、生物が付着していたのである。 それはエボシガイとフジツボであった。両者とも、海岸に流れ着く流木や、ヨット の底面に付着する付着動物としてはありふれた存在である。おそらく、シイラはこ れを食べているのであろう。 私は、この救命いかだ自体が狙われているわけではないことを知り、ほっとした。 「大丈夫だ。お魚さんはこのいかだにくっついている生き物をごはんさんとして食 べているだけだ。すぐにどこかへ行く。」 私はそう言って、ゆっくりたちを安心させるために、二匹を抱きかかえようとした。 「ゆ?…ゆふんっ!」 だが、まりさはすねてしまったのか、身をよじって私の手を交わす。仕方なく、れ いむだけ抱きかかえて、ごわごわになってしまった髪の毛を撫でてやった。 れいむは気持ちよさそうにしながらも、何かを思い悩んでいるようだった。 このような状況で気が沈まない者がいるだろうか?思い悩むのも無理もないことだ ろう。 その日の夜、疲れ果てた私はいつもより早く眠りについた。 夢の中の晩餐は、フレッシュトマトがたっぷり使われたスパゲッティだった。驚く べきことに、今回はスパゲッティを食べ、味わうことができた。それが夢であると 気付くまで。 「まりさ…起きてる?まりさ?…」 れいむはおじさんが眠りについたことを感じ取ると、まりさにそっと話しかけた。 「どうしたのれいむ?やっとまりさとすっきりしてくれる気になった?」 「ち!ちがうよ!」 真っ暗闇の中であったが、まりさには顔を赤らめて否定する可愛らしい、れいむの 姿がはっきりと見えたような気がした。 「まりさ、れいむはまりさにだいじな話があるよ…」 「ゆゆ!?」 いつになく真剣なれいむの口調にまりさは気を引き締めた。まりさはれいむと二人 でゆっくりするためならば、どんな提案でも受け入れる覚悟ができていた。 「このままじゃ、みんな永遠にゆっくりしちゃうよ…まりさも…おじさんも…」 まりさは黙ってうなずいた。 「だから…だから…れいむは…」 そう、だからこそ、れいむには決意してもらう必要があった。一刻も早くまりさ と… 「れいむ、おたべなさいをするよ…」 一刻も早く、れいむはまりさと…なんだって!!? 「なにいってるのれいむ!!?」 「しーっだよ!おじさんが起きちゃうよ!ゆっくり静かにしてね!…」 そんなことはどうでもよかった。まりさには、どうしてれいむがおたべなさいをし なければならないのか、まるで見当がつかなかった。 「れいむは、まりさもおじさんもたいせつだよ!だから、れいむを食べてすこしで もゆっくりしてほしいよ!」 「何いってるの!!?」 それは、まりさがれいむに求めた決断ではなかった。まりさがれいむにしてほしい 決断はそんなものではなかった。それでは、まりさとれいむでゆっくりすることが できない。 「ダメだよ!おたべなさいなんかしないでよれいむ!」 「だって、このままじゃごはんさんもお水さんもなくなって、みんな永遠にゆっく りしちゃうんだよ!」 れいむはなおも、思いの丈を吐き出し続けた。 「おじさんは食べるものが少ないのに、まりさやれいむにちゃんと分けてくれてい るんだよ!今は、れいむもまりさもおじさんをゆっくりさせないお荷物なんだよ! どうせもう助からないなら…もうゆっくりできないなら…れいむは…れいむは最期 におじさんをゆっくりさせたいよ!」 飼いゆっくりは、人間さんをゆっくりさせるために生まれてきた。 それはれいむが金バッジを取得するために、れいむが生まれた高級ペットショップ で全個体に刷り込まれる教育内容の基本となる理念であった。この理念を支えるれ いむの意識は、困窮する漂流生活の中で錆び付きつつあったが、まだ光を残してい た。そして、れいむはその光を完全に失ったゆっくりになることを恐れていた。 「どうして!どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉ!!おいでがないで!まりざをひ どりにじないでよ!」 「まりさ…」 れいむの決意を唯一揺るがすもの、それが愛するまりさの存在だった。 「やっど…やっどれいむどゆっぐりでぎるど…れいむ…れいむぅぅぅぅ…ゆっぐり …まりざどゆっぐりじようよぅ…ゆええええええん!!!」 愛するまりさの涙に、まりさからあふれ出すその感情と慕情の洪水に、れいむの信 念はもろくも揺らいだ。いや、実を言えば、それを淡々と実行せずに、まりさに相 談した時点で、まりさに決意を止めてもらいたかったのかもしれない。 いくら高度な教育を施されても、ゆっくりのゆっくりすることに対する憧れそれ自 体を消すことはできなかったのだから。 れいむは密かに自分の美貌に自信を持っていたのだが、その誇りはこの漂流生活で ずたずたに引き裂かれてしまった。食事の際に出される水入れの水面に映るのは、 汚い野良ゆっくりとなんら変わるところのない自分の姿だった。 そして、だからこそそれでも必要としてくれたまりさのぷろぽーずはとてもゆっく りできるものだった。 れいむは、まりさのためにおじさんを裏切るようなことはできないゆっくりだった が、まりさをおじさんと同じくらい大切なものとして認識し始めていたのである。 おじさんを助けたい、まりさとゆっくりしたい そのどちらもれいむの本心であった。もし、ここがおじさんのゆっくりぷれいすで いつも通りの生活を送っている状態ならば、その思いは何の問題もなく、れいむを ゆっくりさせただろう。 「ごめんね、まりさ…そうだね…れいむ、もうすこしゆっくりしてみるよ…」 れいむは思い直した。自分のことをゆっくりさせてくれるのは、おじさんばかりで はない。まりさにもゆっくりしてほしいのだ。 おたべなさいをして、おじさんとまりさにゆっくりしてもらうつもりだったが、そ の決意は先延ばしすることにした。まりさがれいむと一緒にいることがゆっくりで きることだと言ってくれたことが純粋に嬉しかったのだ。 この表現し難い高揚感があるうちは、水や食糧が制限されていてもゆっくりできる 気がした。 「れいむ、まりさたちは確かに、おじさんをゆっくりさせないお荷物だよ…だから まりさたちはまりさたちにできることをしようよ!まりさとれいむがゆっくりする ために!おじさんがゆっくりするために!」 まりさは、自分と飼い主のおじさんが、れいむを巡って対立する状況にあるという ことから、れいむの目を逸らさなければならなかった。そうでなければ、れいむは 付き合いの長いおじさんを見捨てることは出来ないであろう。まりさにとっては、 不本意な事実であったが、そう思っていた。 「そんなことができるの?ゆっくりはにんげんさんみたいにはなれないんだよ?」 「そう、にんげんさんはなんでもできるよ!だから、おじさんはきっと助かるよ! だって、おじさんはお魚さんをりょーりしたり、海さんからゆっくりできるお水さ んを作れるんだよ!」 人間はゆっくりよりも、強く、そしていろいろなことができる生物だ。それは、人 間の側で生活してきたゆっくりには、本意であれ、不本意であれ、認めざるを得な い事実であった。 「だから、まりさとれいむはこのふねさんからいなくならなきゃいけないんだ!お じさんがゆっくりするあしでまといにならないように…」 まりさは暖めてきた計画を話した。それはこの救命いかだからの脱出計画だった。 ただし、れいむに話したのは、れいむが受け入れられない部分を意図的に伏せた内 容だった。 その次の日の夕方、まりさに天が微笑んだ。 おじさんは、見張りに飽き、レーダー反射板がちゃんと機能しているのか、何かメ ンテナンスは必要なのかを調べるために、マニュアルを探していた。 ここ数日使っていなかったため、どこにしまったのか忘れてしまったのである。 マニュアルを探す課程で、いろいろなものが床に放り出された。しかし、おじさん はそのまま床に寝っ転がり、マニュアルを読みながらうとうとと眠ってしまったの だ。おじさんの体力は少しずつ、だが確実に低下しつつあり、横になっている時間 は日に日に長くなりつつあった。 「まりさ…それはおじさんのごはんだよ?」 「しー…すこしだけわけてもらうだけだよ、れいむ!」 まりさとれいむはうまく体重を寄せて、即席のゆっくりはうすを倒し、救命いかだ の床へと這い出てきた。 「それにまりさは見たよ!おじさんはまりさたちのうんうんを食べてるんだよ!お じさんはゆっくりできない人間さんだったんだよ!」 「ゆゆ!!?…でも…きっとそれは…ごはんさんがないから…」 だが、生まれてからずっと飼いゆっくりとして生活してきた二匹には、例え事情が あったとしてもうんうんを食べるということは、唾棄すべき行動であった。 「ゆぅ…じゃあおじさんをゆっくりさせてあげるために、まりさとれいむはここを ゆっくりしないで出て行かないとね!」 まりさとれいむが与えられてきたのは、人間のための非常食である。二匹には、そ れぞれ、人間半日分のカロリーや栄養素しか与えられていなかったが、ゆっくりの 身には、それは上等な餌であり、空腹をおぼえながらも、栄養不足が活動に支障を きたすようなことはなかった。 そのため、おじさんが予想していたより、人間に比べてゆっくりたちは体力を温存 していたのである。 救命いかだの中で、食糧と水はいかだ側壁の防水ポケット、要するにゆっくりには 手が届かない位置に保管されている。そのため、当初の計画では、食糧と水がなく なるまではおじさんと一緒にいる予定だった。 だが、今は食糧が目の前に転がっている。これは千載一遇の好機だった。 まりさはおじさんを起こさないように、そろーりそろーりと、詰め込めるだけの非 常食を即席ゆっくりはうすである、発泡スチロールに詰め込んだ。さらに、雨への 対策としてビニール袋も詰め込んだ。 ビニール袋で雨をしのごうとは、どう贔屓目に見ても対策になっていないのだが、 まりさには勝算があった。 そして、発泡スチロールの容器に、予め櫂で作っておいた刻みにロープを通す。こ のロープは以前、おじさんからもらったものだった。 「おじさん…れいむ、おにもつでごめんね…れいむはおじさんのじゃまにならない よういなくなるから、ゆっくりかえってきてね…」 れいむがおじさんに一時の別れ―まりさの計画ではそれは最後の別れなのだが―を 済ませている間に、まりさは救命いかだの奥に転がっていた信号弾をくわえて海に 投棄した。 まりさは自分のやっていることが飼い主への裏切りであると理解している以上、お じさんが生還する確率は可能な限り低下させる必要性があった。 床にはもう一本、救難用紅炎が転がっていたが、こちらはまりさでも使用可能と判 断し、れいむを乗せる発泡スチロールに、盗んだ食料と一緒にしまいこんだ。 水は大きな容器に入っているため、持っていくことは出来ない。かといって、太陽 熱蒸留器はゆっくりには使えないし、今は畳んでしまいこまれているので、壊して いくわけにもいかなかった。 だが、まりさが本気で漕ぎ続ければ、水不足で永遠にゆっくりするよりも早く、天 気が変わる前に新しいゆっくりぷれいすにたどり着けるはずだった。 まりさは帽子を海面に浮かべ、飛び乗った。さらにロープを口にくわえて引っ張り、 即席ゆっくりはうすだった発泡スチロールを海に浮かべる。その中には、非常食が たくさん詰まっていた。 「さあ、れいむ!ゆっくりしないで出発するよ!」 れいむは勇気を出して発泡スチロールに飛び乗った。 「ゆゆわああああっ!!」 飛び乗った衝撃が走り、ぐらんぐらんと発泡スチロールが、そしてまりさが揺れる。 だが、無事、れいむは発泡スチロールの中に鎮座していた。 「おじさん…」 「行くよ!れいむ!」 まりさは櫂をゆっくりと漕ぎ出す。うまく海流の流れに乗ったのか、まりさの帽子 とそれに牽引された発泡スチロールはするすると、救命いかだから離れていった。 れいむとまりさだけの新しい旅路が始まった。 「れいむ!新しいゆっくりぷれいすを見つけたら、すっきりしておちびちゃんをつ くろうね!」 「うん…おじさんも喜んでくれるかな…」 「…」 まりさは、おじさん、おじさんと、育ての親ばかり気にするれいむが疎ましかった。 だが、そんな義理堅いところも魅力と言えば、魅力である。自分の存在がおじさん に取って代わる日を想像するだけで、まりさのぺにぺにからはじっとりとしたもの が流れ出すのだ。 海は穏やかだった。黄金に燃える夕日の光を受けて、金色のロイヤル・ロードが太 陽に向けて伸びていた。 それはまりさとれいむの未来を暗示しているかのようだった。 まりさは抑えきれずに、海の向こうの夕日に向かって叫んだ。 「やった!おじさんに勝ったよ!ひょーりゅーき完!!」 ― 完 ― 私が目を覚ましたのは、聞きなれないゆっくりの声によってであった。 「きゅーそくふじょー!よーそろーっ!…ゆ?まりさ!ゆっくりしていってね!む らさはむらさだよっ!むらむらしていってね!」 まりさの前方に現れたのは成体サイズのむらさだった。むらさは主に沿岸域に棲息 するゆっくりで、小魚や甲殻類、軟体動物などを食べて生活している。成体になっ たものは、陸上でも生活できるようになるため、飼いゆっくりとしても出回ってい た。 「ちゆりはちゆりなんだぜ!!ゆっくりしていってほしんだぜ!」 ちゆりは、むらさ同様、水棲から陸棲へと生息地を広げていくゆっくりであり、ま りさ(だぜ口調)、にとり(ツインテール+科学技術系)、セーラー服(むらさ)とキャ ラ…生態的地位が大幅に重複している種として有名であった。 むらさとちゆりの二匹は、海面を泳ぎながら、まるでまりさの進路を妨害するかの ようにぐるぐると回りだした。 「まりさ!ゆっくりしていくんだぜ!」 「むらむらしようね!」 「やめてね!おじさんがおきちゃうよ!まりさはそーっとにげるんだよ!まりさは ゆっくりするためにいきのびなきゃいけないんだよ!ゆっくりしないで静かにして ね!」 れいむは発泡スチロールの中から、困惑した表情で三匹のやり取りを見ていた。 「どこにいくんだぜ!!?こんなところでまりさに会うなんてめずらしいんだぜ! ゆっくりしていってほしいんだぜ!!」 「むらむらするよぉっ!!!まりさたちも海の中でむらむらしていってねーっ!!」 私はふと、救命いかだの中にれいむとまりさの姿がないことに気がついた。よく見 ると片づけ忘れた非常食も、前回船に見つけてもらえなかったときに放り投げてお いた信号弾もなくなっていた。 「まさか…」 ゆっくりたちは私を見捨てて逃げたのだろうか? 私は高鳴る心臓を抑えるようにして、救命いかだの出入り口から外を見た。 そこにいたのは、むらさとちゆりに絡まれて騒いでいるまりさと、それに牽引され た発泡スチロールに乗ったれいむの姿だった。 「まりさ…お前何やってるんだ…!?おい!まりさぁぁぁぁっ!!!」 「ゆわぁぁぁぁぁっ!!!みつかっちゃったよぉぉぉぉぉっ!!!でも!もう遅い よ!おじさんはまりさをゆっくりさせなかったことをゆっくり後悔してね!ばーき ゃ!!!ばーきゃ!!!」 「ま、まりさぁ!!?」 まりさには自信があった。かつてペットショップで暮らしていた頃、まりさよりも 上手に金魚鉢や水槽で泳げるゆっくりはいなかった。強力な上部フィルターがつい た、流れの速い水槽でも、まりさはしっかりと帽子で浮くことが出来たのだ。 まりさはある種の状況判断に優れていた、と前述した。しかし、自分の能力の把握 については、所詮ゆっくりであり、それこそが金に到達しないもう一つの理由だっ た。 「まりさ!戻って来い!何してるんだぁっ!!!」 「まりさはれいむとずっと一緒にゆっくりするんだよ!!!じゃまなおじさんはゆ っくりしないでどこかにいってね!!ごはんさんたくさん食べられるといいね!!」 私はまりさの口調から確信した。確信したくなかったことを。 彼らは私を裏切り、自分達だけで逃げようとしたのだ。よりによって、私から食糧 と信号弾を奪って! 私は生まれて初めて、ゆっくりを殺したいほど憎んだ。 友達だと思っていた人間に裏切られた、そんな気持ちだった。 私は櫂を取り出した。 「まりさ!お前ぇぇぇぇぇぇっ!!!」 私の櫂を漕ぐ手には、信じられないほどの力がこもっていた。二週間に迫ろうかと いう漂流生活で、私の腕も脚もやせてしまったというのに。 「まりさに追いつこうとか!ねごとはゆめでいってね!!まりさはゆっくりしない で逃げるよ!!!」 だが、いくら水上移動が得意とは言え、所詮ゆっくりである。瞬く間に、というか 10回漕いだところで、まりさのすぐ横に救命いかだがやって来た。 むらさとちゆりは危険を察知したのか、潜行してどこかに行ってしまったようだっ た。 「ゆっぎぃぃぃぃっ!!!どぼじでばでぃざにおいづげるのぉぉぉぉっ!!!」 「おまえはっ!!!おまえはぁぁぁっ!!!」 あんなに可愛がってやったのに…救命艇の上でも限られた水や食糧をゆっくりたち にもちゃんと分け与えてきたのに… 私は、ゆっくりを人と同じように接してきたつもりだった。それがまずかったのだ ろうか?つけあがったのだろうか?それとも、それはゆっくりには過度な期待だっ たのだろうか?私は愛情の注ぎ方を間違ったのだろうか?それとも注ぐ相手を間違 ったのだろうか? 私は愚かだったのだろう。 混乱する頭を冷やすよりも早く、煮えたぎる怒りで私の頭はいっぱいになった。 非常事態だから、ストレスがたまっていたから、でこのことを済ませるつもりは毛 頭なかった。 理由はどうあれ、友誼を裏切ったのはゆっくりの方だった。 私はまりさと、れいむの乗った発泡スチロールを持ち上げ、ぶちまけるかのように 救命いかだの奥に乱暴に放り投げた。 「ゆっぎゃあああああああっ!!!」 「ゆべしっ!!?」 そして、海面に浮かぶまりさの帽子を拾い、叩きつけるように床に投げつける。 「あぎゃあぁぁぁっ!!いじゃいよぉぉぉぉっ!!?ぼうじぃ!!まりざのおぼう ぶっ!!?」 そして勢いよくまりさの顔面を蹴り上げた。 救命いかだの中で衰えた脚では、揺れる海の上でバランスを維持することができず、 私は救命いかだの床に倒れこんだ。 そのとき、背中で何かを押しつぶしてしまった。まりさの帽子である。 帽子は無残にもぺちゃんこになり、帽子を飾るリボンの一部がちぎれてしまってい た。 蹴られたまりさは顔面が陥没し、天幕に受け止められて、ゴム製の床に叩きつけら れた。その衝撃で、何本か歯がへし折れる。 ずっとずっと大事に育てられてきたまりさが初めて味わう、床の味、自分の餡子の 味、屈辱の味だった。 「ゆげっ!!…ゆべべぇ…まりざの…まりざのみやびな…まりざのみやびなふぇい ずがぁぁぁぁ…」 まりさの目指した金色のロイヤル・ロード… しかし、まりさとロイヤル・ロードの間には、真っ黒い人間が立ちはだかっていた。 そして、その足元には無残につぶれたまりさの帽子があった。 「!…おぼうじぃっ!!!まりざのっ!!!まりざのおぼうじがぁぁぁっ!!!」 まりさが帽子を元に戻すために、帽子の側へと跳ねようとした瞬間、二撃目の蹴り が来た。 「ゆぼぁっ!!?」 まりさは、人間で言えば、腹に蹴りがクリーンヒットした形になり、痙攣しながら 餡子をごぷりと吐いた。 「ゆ゛げぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!え゛え゛え゛え゛ぇっ!!!」 「まりざぁぁぁぁっ!!?」 れいむもまた、私を裏切った。赤ゆっくりの頃からずっと愛情を育ててきたつもり だったのに。 「れいむぅっ!!!お前までぇっ!!!」 次に蹴られたのは、発泡スチロールの下でうずくまっていたれいむだった。 「ゆげぇぇぇぇぇっ!!!」 れいむは発泡スチロールもろとも吹っ飛び、床に全身を打ちつけて、餡子を撒き散 らした。 「やべでね!!まりざがわるいんだよ!!!まりざがれいむをづれだしだんだよ! れいむはわるぐないよ!ゆっくりやべでね!!けるんならまりざをげっでね!!」 私はまりさの髪の毛を掴むと、そのまま、救命いかだの出入り口から海へと突っ 込んだ。 「ゆ゛!!!……がばっ!!ゆぎっ!!!おべべが……がぼぁあっ!!!」 まりさの顔を海水に漬けては、戻し、漬けては、戻しを繰り返す。 ゆっくりは水中で窒息しないらしいが、そんなことはどうでも良かった。 「やべでぶ……ぐばぁあ!!!げぼっ!!!げぼっ!!!ぶ……」 まりさは目から口から海水が浸入し、苦しんでいた。要するに何の問題もなかった。 「……ゆばぁっ!!!……」 私はまりさがぐったりして、反応がなくなってくると、折檻を中止し、床に放り投 げた。そして、まりさの目の前で、まりさがくわえていた櫂をへし折り、海に捨て た。 「ゆ゛!!?ゆびぃぃぃっ!!!ぞんな!!まりざのおーるがぁっ!!!なんでぇ ぇぇぇっ!!?」 私はもう二匹が自力で脱出できないように、発泡スチロールに取り付けられたロー プを外し、まりさの帽子と、れいむのリボンを取り上げ、ポケットの一つにしまい 込んだ。 これならば、ゆっくりはどうあがいても、私の助けを得なければ、お飾りを取り戻 すことは出来ない。 本当は発泡スチロールも壊そうと思ったが、この先、何かに使うかもしれないので、 やめておいた。 まりさとれいむは発泡スチロールに乱暴に放り込まれた。 私は救命いかだ側面の、一番高いところにあるポケットに、奪還した非常食と救難 用紅炎を収納した。 「疲れた…」 私は救命いかだの床に大の字になり、目を閉じた。 心も体も疲れてしまった。 私は、その日はまりさとれいむに夕食を与えなかった。 なんで、どうしてまりさとれいむは私を裏切ったのだろう。 悶々と何時間もそんなことを考えているうちに、私は眠りについた。今日は食べ物 の夢は見なかった。 家族とどこかにでかける夢だった。 「がみのげ…まりざの…まりざのぎらめぐがみのげぇぇぇぇぇっ!!!」 その日の朝を告げたのは、まりさの悲鳴だった。 まりさの自慢だった金色の髪の毛は、昨日の一件により、海水でふやけ、塩で毛根 が破壊され、ぼろぼろと散ってしまっていた。いまや、まりさの頭は禿山だった。 「がみのげざんもどっでぇぇぇ!!!まりざのあだまでゆっぐりじでぇぇぇ!!! ぺーろぺーろ…」 まりさはあんよの周りに落ちている髪の毛を必死でぺーろぺーろしたが、べろに塩 味が残り、のどが乾いていく以外、何の変化も起こらなかった。 「…まりさ…」 哀れみを含んだれいむの視線が辛かった。 「…なかなかすてき…だよ?…」 慰めの言葉でさえも心に突き刺さるのだった。 今、悪がきに「やーい!やーい!禿げ大福!」と囃し立てられれば、まりさは憤死 してしまうだろう。 目を覚ました私は、慰めあい、己の悲劇を嘆く、ゆっくりを尻目に、自分の置かれ た状況を再確認して泣いた。 まりさから取り返した、最後の救難用紅炎以外、助けをこちらから求める手段はな くなってしまった。 水は太陽熱蒸留器があるからまだしも、食糧はあと4日分しかなかった。 私はこのまま死ぬしかないのだろうか?もう家族に会えないのだろうか? 歳を取ると涙腺がゆるくなるのだろうか? 私は泣いた。 最初は可愛がってきたつもりだった、ゆっくりたちの裏切りに泣いた。 そのゆっくりたちに手を上げてしまった自分もまた情けなくて泣いた。 その次には、そのような事態に陥ってしまった自分の身の不幸を嘆いた。 最後には、ただ、もう一度、家族に会いたくて泣いた。 近所の主婦との会合や市民運動のようなものに熱を上げる妻に会って、一緒にコン サートに出かけたかった。 二人が会ったのは、中学の吹奏楽部だったから。 邪魔者を押し付けるかのように養護施設に入れた父に会って、父の大好きな野球の 話がしたかった。 父は私の野球の試合には全て応援に来てくれたから。 就職して離れて生活している息子に会って、一緒に近所の神社を訪ねたかった。 息子は私に怒られると、よく無人の神社に隠れて泣いていたから。 短期大学を出て以来、部屋で塞ぎこんでいる娘に会って、一緒に夕食を食べたかっ た。 小学生の頃に描いてくれた私の似顔絵は、今でも私の宝物だから。 そして、最後の最後に、自分の愚かしさと矮小さを恨んだ。 ただ、一緒に生きているだけでいいじゃないかと、なぜ一度として思わなかったの だろう。 一緒に人生を過ごしてくれた家族に感謝の言葉さえも言うことができなかった。 今はただ、一緒に生きたかった。 たとえ全身が塩で焼け爛れても、がりがりの爺さんになったとしても、 もう一度、 もう一度、我が家に、家族のもとに… つづく 作:神奈子さまの一信徒 現在、いろいろと多忙なのですが、できるだけ早く完結させる予定です。 お読みいただき、ありがとうございました。 神奈子さまの一信徒の作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓やっぱこれだよなぁ 実際漂流したら…その上ゴミクズゆっくりに裏切られたら… -- 2016-08-30 14 42 37 ↓1日2日や集団生活の避難所ならともかく、 救いのない漂流ならまともでいられる人のほうが少ない気がする -- 2014-01-05 21 41 26 遭難してる時に精神力や精神構造が幼い奴と一緒には居たくないものだ -- 2011-11-02 17 23 29 逃げだすとこすごいドキドキした…… -- 2011-09-25 14 50 15 まりさ自己評価高すぎwwwwお前ごときに追いつけないわけねーだろ! -- 2011-02-24 00 33 01 所詮はゆっくりか… 脱出ならまだしも、生存確率まで下げる、まりさの極悪さに、反吐が出そうだぜ。 -- 2010-12-22 12 16 56 遭難してゆっくりに裏切られて不幸な人だなと思ってたら 家族思って泣いてるとこで、この人ゆっくりんピースの高級会員の人間だったの思い出した -- 2010-09-18 23 32 24 一番下のやつ、読ませていただいてゆっくりさせてもらってる分際でずいっぶんと偉そうな口をたたくじゃないか。 お前みたいな身の程わきまえねえ野郎に比べりゃ大概のものはみやびだろうよ。 -- 2010-08-26 23 55 13 ↓小出しはよくあるし、全部短期で完結させてるだけマシというか凄い むしろプロローグとか言って出したあと放置な方が問題だろ 短期完結なら分かれててもいいじゃない ゆっくりできるんだし -- 2010-04-21 18 54 52 全部書いてから上げりゃいいじゃん。小出しにする意味は何? それとも、大層みやびな考えでもあるんですかね? -- 2010-04-19 05 45 49
https://w.atwiki.jp/evergreenforest/pages/67.html
円珍、琉球に漂着 853年(H0853a) 天寿元年4月15日(851/05/23)、円珍、京を出発し九州に向かう 天寿3年8月9日(853/09/19)、円珍、唐の良喗という商人が唐に帰るのに便乗する 天寿3年8月10日(853/09/20)、円珍、琉球に漂着 天寿3年8月11日(853/09/21)、円珍、大唐嶺南道福州連江県に着く 参考文献 荒川秀俊, 1995. 異国漂流物語. 社会思想社.
https://w.atwiki.jp/ggmatome/pages/954.html
Wiki統合に伴い、ページがカタログに移転しました。
https://w.atwiki.jp/evergreenforest/pages/20.html
659-661年 遣唐使4A 斉明5年7月3日(659/07/27)、坂合部石布連(さかいべのいわしきのむらじ)らは、津守吉祥連(つもりのきさのむらじ)ら(遣唐使4B=H0659b)と2隻の船で、呉と唐への航路に遣わされ、難波の三津浦(大阪市住吉区, 地図A)から船出した。陸奥の蝦夷男女2名を連れて行く。 斉明5年8月11日(659/09/02)、筑紫の大津の浦(博多湾, 地図B)を出港。 斉明5年9月13日(659/10/04)、百済の南の辺の島に着く(島名不明)。 斉明5年9月14日(659/10/05)、午前4時ごろ百済(地図C)の南の辺の島を出帆。 斉明5年9月15日(659/10/06)、横からの逆風に流され、爾加委(にかい)島(未詳)に漂着。坂合部連稲積が島人に殺害されるが、東漢長直阿利麻(やまとのあやのながのあたいありま)、坂合部連稲積(さきべのむらじいなつみ)ら5名が、島人の船を盗み括州(浙江省麗水, 地図D)に逃げる。州県の役人に洛陽(地図E)に送り届けてもらう。 斉明6年10月16日(660/11/26)、津守吉祥連ら(遣唐使4B=H0659b)と会う。 斉明6年11月24日(660/12/31)、洛陽を発つ。 斉明7年1月25日(661/03/04)、越州(杭州湾南岸, 地図F)に着く。 斉明7年4月1日(661/05/07)、越州を出発して東に帰る。 斉明7年4月7日(661/05/13)、頂岸山(舟山列島(地図G)の一島か)の南に着く。 斉明7年4月8日(661/05/14)、暁、西南の風に乗って船を大海に出す。航路に迷い漂流する。9日8夜して耽羅島(たんらのしま)(済州島, 地図H)に着く。島人の王子阿波伎ら9人を朝廷に奉ることとした。 斉明7年5月23日(661/06/28)、朝倉の朝廷に到着。島人の王子阿波伎ら9人を朝廷に奉る。 往路・復路ともに南路をとったものと考えられる。 Map 大きな地図で見る 参考文献 荒川秀俊, 1995. 異国漂流物語. 社会思想社. 宇治谷孟, 1988. 全現代語訳 日本書紀 下. 講談社. 坂井太郎ほか, 1993. 日本古典文学大系 日本書紀 下. 岩波書店. 大林太良編, 1995. 日本の古代3 海をこえての交流. 中央公論社.
https://w.atwiki.jp/kokodaketasekai/pages/38.html
Last update 2010-09-16 You are the - caller. 周防 柚香(すおう ゆずか) 「私を傷つけたその〝罪〟、絶対に赦さないッ!!!!!」 生年月日:12月24日 星座:やぎ座 血液型:AB(Rh-)型 身長:156cmスリーサイズ:B76(AA) W55 H78 〝新世界〟に元々暮らしている原住民の少女。同時に、「漂流者」への〝対処〟を行う組織の幹部の一人である。プライドが高く、自己中心的な性格をしており、それで居て行動はいつも気分次第。異世界からやって来た人間を「遺伝子レベルで理解出来ない」として嫌っている、ある種では典型的なタイプ。ただし、一般的な原住民と違って救いようが無いのは、平気で人を殺す事、そしてそれが「気に入らないから」と言う理由に依存する事。戦闘では、遠隔操作出来る二つの魔術媒体とリーチの長い鎖を用いた中距離以遠戦を得意とする。能力は「電磁力操作」であり、比較的戦闘以外でも役立つ場面の多い優秀なタイプ。それから、胸が信じられないほどに小さい。 プロフィール 名前 身長 スリーサイズ 能力 出身世界 種族 アルバ(本名:周防 柚香) 156cm 76(AA)/55/78 電磁力操作 原住民 人間 キャラクター 長い銀髪を持った華奢な少女 袖口に視線を遣れば、枷鎖の先端が僅かに覗き、銀色の煌く様が確認できる。 冷徹で残忍で、自分の気に入らないものが何より嫌い。 能力 電磁力操作 文字通り電磁力を操作する能力。 その応用性は極めて広く、あらゆる戦法に組み込むことが可能となる。 彼女の操る磁力は強力無比で、多くの金属は勿論、血中の鉄分や細胞中の水分にすらも影響を与える。 装備品・アイテム 遠隔操作型魔術媒体 水晶のような形状の物体。 空中を自由自在、彼女の思うままに飛び回り、この媒体を介して能力の発動が可能。 その存在が特に生きるのは柚香本体と連携して攻撃を行う時であり、どちらかに注意を向かわせる事で揺さぶりを掛ける事が出来る 「名称不明」 柚香の袖口から確認できる「枷鎖」で、先端が槍になっている。 伸縮と操作が可能で、極めてリーチが長い。 同時に、彼女の能力との相性も悪くない。 戦闘 性能 極めて長いリーチの鎖と応用性の高い能力の恩恵を強く受けて、立ち回りで困る事は多くない。 しかし、本体そのものの性能はお世辞にも高くなく、魔術媒体をどれだけ有効に使えるかが鍵となる。 変則的な手札を多く持つものの、その何れもが制圧能力の高さに直結しており、例えるならば押さえ込むような戦い方のキャラ それは同時に、相性がハッキリと出るタイプと言う事であり、実力が自分より上の者に勝つこともあれば、格下に敗北も十分に在り得る。 特に、距離を問わずに攻撃できる手段を持つ相手や迎撃が困難な相手に対しては後手に回りやすい。 物語 第一話 草原でアルバは血だまりの上に立ち、666本のナイフとフォークを操るメイドに出会った。 迷いを見せる彼女に襲い掛かるが、彼女が血の流れない、アルバを満足させる事が出来ないであろう体である事を知り、一種の苛立ちを覚えつつも交戦する。 その戦闘の中、腹部に深い傷を負うもアルバは立ち上がり、「絶対に壊してやる――――」そう、言葉にする。 そして出血の影響で倒れたアルバは、確かにメイド服の彼女の手で病院へと運ばれたのだった もしも、アルバが目を覚ました時、彼女は何を感じ取るのか―――今はまだ、定かではないが…… 第二話 目を覚ました時、柚香は病院のベッドの上に居た。 やがて、病室に見舞いに来る一人の人物――彼は同じ新世界で生まれた原住民の一人、「覇條 一誠」 彼が見舞いに来たのは、一つの話をするためだ―――話をするために、二人は一時屋上へと向かう。 その内容は、漂流者への〝対処〟を行う組織の設立。そして、その幹部として柚香を迎え入れたいとの事 柚香は、その誘いを快諾――――そして、柚香は再び病室に戻ると眠りにつくのだった 第三話 原住民達の住む町で寛いでいる最中、旧知の友人である棟方 志朗と出会う 彼は少々無茶をしている柚香に対して忠告をする、が―――柚香は重荷を背負う事は仕方が無いと返す 二人は冗談を交えながらも会話を楽しみ、〝3日後〟に備える 最後に、インヴェルノにあると噂される〝クリスタル〟を狙うと、彼に伝える そして、二人はそれぞれ帰路についたのだった ステータス HP |||||||||| E MP |||||||||||||||||||| C STR ||||||||||||||||||||||||| B VIT ||||||||||||||||||||||||||||||||||| S AGI |||||||||||||||||||||||||||||| A DEX ||||||||||||||||||||||||||||||||||| S INT ||||||||||||||| D HP-体力、耐久力 MP-魔力総量 STR-攻撃力、破壊力、殺傷力VIT-防御力、ダメージの軽減率(受け身含む) AGI-機動力、速度、攻撃速度DEX-器用さ、応用性 INT-賢さ、戦略性S-桁外れ A-高い B-平均以上 C-標準D-平均以下 E-低い F-一般人以下
https://w.atwiki.jp/evergreenforest/pages/222.html
1765年 常陸姫宮丸、安南(ベトナム)に漂着 明和2(1765)年11月、常陸の船姫宮丸(6人乗組み)銚子沖で遭難。安南(ベトナム)に漂着。漂着先で働き、賃金を得て生活。その後、会安(フェフェ)に送られ、そこで小名浜から漂着した陸奥住吉丸(6人乗り)(H1765c)の3人と合流。姫宮丸の2人が死亡。残った2組7人が長崎に帰国。 1767年、4人が、住吉丸の3人と長崎に帰国。 参考文献 網野善彦ほか(編集), 1993. 海と列島文化別冊 漂着と漂流. 小学館.
https://w.atwiki.jp/evergreenforest/pages/235.html
1841年 中浜万次郎(ジョン万次郎)、鳥島へ漂着 1827年、中浜万次郎(なかはままんじろう)、土佐の中浜浦(高知県土佐清水市)の漁師の家に生まれる。 天保12(1841)年1月、万次郎ら、土佐高岡郡宇佐浦を発し、風に逢い無人島に漂着し、居ること4月、北アメリカマスチウセツ州の鯨猟船に助けられる。(外交志稿) 天保12年1月5日(1841/01/27)、土佐高岡郡宇佐浦を出帆。出帆時13歳。幡多郡中浜(土佐清水市中浜)の漁師悦介の次男。筆之丞(伝蔵とも)、五右衛門、寅右衛門、重助と5名乗船。(異国漂流物語、高知県の歴史) 天保12年1月7日(1841/01/29)、大西風に沖へ流され、櫓も失う。(異国漂流物語) 天保12年1月8日(1841/01/30)、陸地の山が見えなくなる。(異国漂流物語) 天保12年1月14日(1841/02/05)、鳥島に上陸。(異国漂流物語) 1841/06/27、アメリカの捕鯨船ジョン・ハウランド号に助けられる。(異国漂流物語) (天保12(1841)年10月、散得蔚歯群島の内、テアホ島に着す。船長伝蔵、五右衛門、十助、寅右衛門4人を此に留め、独り万次郎を伴い去る。万次郎は、4人に別れ針路を赤道直下に取る。(外交志稿)) 天保12(1841)年11月、ホノルル入港。 1842年1月初め、中浜万次郎、ジョン・ハウランド号でホノルル出港 天保13(1842)年2月、万次郎、「キンシメル、フル」島(案ずるに1本「キンシメロク」に作る)に泊す。島の人民多くは裸体なり。この月、スペイン島に停泊し留まること、7ヶ月余り。大東洋に鯨猟し英国属地「エミヨウ」島(案ずるに漂流記によれば、島中開闊又山岳あり。椰子雑樹多し、城郭寺院なし、家屋は柱を土中に起て萱を用いて葺く)に留まる月余。(外交志稿) 1842年11月ごろ、中浜万次郎、グアム入港 天保14(1843)年1月、中浜万次郎、伊国の属地「キヤン」島に至り、又留まること月余。己の方を指し開行し再び「エミヨウ」島に帰る。(外交志稿) 1843年3月末、中浜万次郎、グアム出港。 1843/05/07、中浜万次郎、フェヤーヘブン帰港 1844年2月、中浜万次郎、パーレット校へ進学 弘化元(1844)年春、中浜万次郎、南アメリカの南岸を廻り、北アメリカマスチイセツ州に着す。(外交志稿) 弘化元(1844)年夏、中浜万次郎、「ハアヘイブン」に至り、学校に入り講習す。(外交志稿) 1846年春、中浜万次郎、パーレット校を卒業 弘化3(1846)年4月、中浜万次郎、「ヌベツトホール」の港を発し、アフリカ州喜望峰を廻り、新和蘭瓜哇の近海を経る。(外交志稿) 1846/05/16、中浜万次郎、フランクリン号でフェヤーヘブンを出港 弘化3(1846)年10月、伝蔵、五右衛門2人アメリカ船に託し、テアホ島を発し、南を指して「キアント」島(カラリン群島の内)に着す。(外交志稿) 弘化3(1846)年10月、中浜万次郎、蘭領タイモル島(一本タモルに作る。又、他問に作る。瓜哇属島なり。漂流記によれば島内地開け、山なし。和蘭に属す。家屋白壁多しという)「カヲハシ」島へ泊し(此島大さ我が九州の如し。港内人家200余、商船10余艘、東印度支那等の人来り居る)又、セレヘス島、マロツカ群島の間を過ぎ、新ゴイチャチララ島の辺に鯨猟する。(外交志稿) 弘化3(1846)年11月末、筆之丞、五右衛門、フロリダ号でホノルルを出港。(異国漂流物語) 弘化4(1847)年1月、大東洋を航し蝦夷北海外に上陸すと雖も人家なきを以て再びテアホ島に帰る。(外交志稿) 弘化4(1847)年2月、中浜万次郎、再び「キアン」島に帰り、薪水を取る。(外交志稿) 1847/03/03、中浜万次郎、グアム島アプラ港入港。1ヶ月滞在 弘化4(1847)年3月、フロリダ号、蝦夷地東方に出る。筆之丞、五右衛門は船長ともに上陸するが人影が見えないので舟に戻る。(異国漂流物語) 弘化4(1847)年3月、中浜万次郎、ルソン、マニラに着す(この地城郭あり。港口人家一望際なし。清英其他諸国の商船数十隻繋在す)。留まる3月バタン島を過ぎ、日本近海に於いて鯨猟する。(外交志稿) 1847年秋口、中浜万次郎、父島を経て琉球諸島のマンピゴミンに上陸 1847年10月、中浜万次郎、ホノルル入港。寅右衛門と会う 1847年10月、筆之丞、五右衛門、このころまでにフロリダ号で帰国を目指すが、八丈島上陸に失敗、蝦夷の島に上陸するも、住民が逃げ去ったのでホノルルに戻る 弘化4(1847)年10月、中浜万次郎、テアホ島に着し、伝蔵、五右衛門に会す(外交志稿) 1847年、中浜万次郎、寅右衛門、筆之丞が再会 1847年11月?、中浜万次郎、ホノルル出港 1848年2月、中浜万次郎、グアム島入港 嘉永元(1848)年2月、中浜万次郎、再び「キアン」島に至り赤道直下を過ぎる。(外交志稿) 1848年4月初め、中浜万次郎、船長を監禁してグアム島出港 1848年5月下旬、中浜万次郎、マニラ入港。領事館に船長を引き渡し、万次郎が副船長となる 1848年7月初め、中浜万次郎、マニラ出港 嘉永元(1848)年11月、中浜万次郎、スペイン所属「レイムス」島に泊す(此島大さ琉球に似たり、港口濶大、人家50ほど)。(外交志稿) 嘉永2(1849)年1月、中浜万次郎、再びタイモル島に至り復た印度洋を経て「ヌヘツトホール」に帰り、カリホルニヤ金山の事を聞く(外交志稿) 1849年2月、中浜万次郎、モルッカ諸島セラン島に立ち寄る 1849年8月下旬、中浜万次郎、ニュー・ベッドフォードに帰港 1849年10月、中浜万次郎、スティグリッツ号でニュー・ベッドフォードを発つ。 嘉永2(1849)年11月、中浜万次郎、「ヌヘツトホール」を発し、南アメリカの南海を過ぎる。(外交志稿) 嘉永3(1850)年3月、中浜万次郎、スペイン所属「ワツペンイツヲニ」に泊す(港幅1里長さ10町、英米の船林立す)。(外交志稿) 1850年5月下旬、中浜万次郎、サンフランシスコ着。エエンナ金山へ 嘉永3(1850)年5月、中浜万次郎、カリホリニア州サンフランシスコに着す(港広さ8里ほど、径1里、人家1500、外国船甚だ多し)。内河に泝ること50里「サクレメント」府に着し、更に「ノヲスレハ」に至り金山の雇夫となり銀280枚を得、去ってサンフランシスコに至り、復たテアホに帰る。之より先紀伊の船頭九助ら10人太平洋40度にありてマスチウセス州の船に救われ此地に在るに会す。後、合衆国の商船清国上海に航するを聞き万次郎、伝蔵、五右衛門3人其船に便し、太平洋を航す。(外交志稿) 1850年8月下旬頃、中浜万次郎、サンフランシスコに帰り、エライシャ号で出港。 1850年9月、中浜万次郎、ホノルル着。天神丸の5人と会う。 1850年、中浜万次郎、寅吉らと帰る予定だったが、便船とトラブルがあり乗船を拒否される。 1850/12/17、中浜万次郎、筆之丞、五右衛門の3人、ホノルルを出発 嘉永4(1851)年1月、琉球摩文仁間切に上陸。(外交志稿) 1851/2/3、沖縄の摩文仁(まぶに)海岸(糸満市)に接岸した 1851/08/08、中浜万次郎ら3人、那覇へ向かう 1851/08/14、中浜万次郎ら3人、那覇出港 1851/08/26、中浜万次郎ら3人、薩摩山川港着 嘉永4年8月1日(1851/8/27)、中浜万次郎ら、夕刻、鹿児島着 嘉永4年8月2日(1851/8/28)、中浜万次郎ら、取調所に出頭 嘉永4(1851)年、中浜万次郎、島津斉彬と会う 嘉永4(1851)年9月、土佐の中ノ浜漁夫万次郎、伝蔵、五右衛門、北アメリカ州より長崎に帰る。万次郎海外に在ること11年。粗英文に通じ、筆算を解す。世界図アメリカ図等を献ず。後3年米船来るに会し、幕府其言語に通ずるを持って挙げて旗下の士に列せり。(外交志稿) 嘉永4年9月18日(1851/10/12)、中浜万次郎ら、鹿児島発 嘉永4年9月24日(1851/10/18)、中浜万次郎ら、薩摩京泊出帆 嘉永4年9月29日(1851/10/23)、中浜万次郎ら、長崎着。佐倉町の獄舎(揚り屋)へ投ぜられる。揚り屋で寅吉ら5人と会う。 嘉永4年11月22日(1851/12/14)、中浜万次郎、このときを最後に18回の取調べを長崎奉行所で受ける。 嘉永5年6月23日(1852/08/08)、中浜万次郎、堀部らに引き渡される 嘉永5年6月25日(1852/08/10)、中浜万次郎、長崎発 嘉永5年7月10日(1852/08/24)、中浜万次郎、土佐入り 越知泊 嘉永5年7月11日(1852/08/25)、中浜万次郎、高知着 嘉永5年7月12日(1852/08/26)、中浜万次郎、御目付役所で取り調べ 嘉永5年10月1日(1852/11/12)、中浜万次郎、高知発 夕方、宇佐浦着 嘉永5年10月2日(1852/11/13)、中浜万次郎、宇佐浦発 嘉永5年10月4日(1852/11/15)、中浜万次郎、中ノ浜着 嘉永5年12月4日(1853/01/13)、中浜万次郎、武士に取り立てられ、中浜万次郎を名乗る。山田町に家を借りて住む。藩校の下遣となる。 嘉永6年8月1日(1853/09/03)、中浜万次郎、高知発 嘉永6(1853)年9月初め、中浜万次郎、江戸着 嘉永6(1853)年10月、中浜万次郎、徳川斉昭と会う 1854年、中浜万次郎、幕臣となる。団野源之進の娘、鉄と結婚 安政4(1857)年6月、中浜万次郎、「亜美理加合衆国航海学書」を訳出 安政4年10月13日(1857/11/29)、中浜万次郎、江戸発 安政4年11月17日(1858/01/01)、中浜万次郎、箱館着 安政4年11月26日(1858/01/10)、中浜万次郎、箱館発 安政4年12月21日(1858/2/4)、中浜万次郎、江戸に帰る 安政6(1859)年2月、中浜万次郎、鯨漁御用を命ぜられる 安政6(1859)3月、中浜万次郎、戸田号で品川出帆 小笠原付近まで行くが嵐に遭い帰る 安政6年12月28日(1860/01/20)、中浜万次郎、咸臨丸の通訳となることが決まる 1860年1月16日、中浜万次郎、咸臨丸で彦蔵と会う 文久元年12月7日(1862/01/06)、中浜万次郎、咸臨丸で浦賀を出港 小笠原へ 文久元年12月13日(1862/01/12)、中浜万次郎、小笠原諸島を通り過ぎ、火山列島へ向かう 文久元年12月19日(1862/01/18)、中浜万次郎、小笠原島(父島・ピール島・ロイド港)に入港。上陸しイギリス人ナサニエル・サボリーに会う 文久2(1862)年2月、中浜万次郎、母島へ渡る 文久2(1862)2月下旬、中浜万次郎、父島へ戻り、食料と建築資材を届けることになって千秋丸を待つ 文久2年3月9日(1862/04/07)、中浜万次郎、千秋丸がこないので、8名を残して、父島出港 文久2年3月16日(1862/04/14)、中浜万次郎、下田港着 文久2年12月26日(1863/02/14)、中浜万次郎、捕鯨船一番丸で品川出港。浦賀に寄港 文久2年12月29日(1863/02/17)、中浜万次郎、浦賀出港 文久3年1月9日(1863/02/26)、中浜万次郎、父島二見港入港 文久3年3月17日(1863/05/04)、中浜万次郎、父島出港 文久3年3月24日(1863/05/11)、中浜万次郎、鳥島上陸 文久3年4月20日(1863/06/06)、中浜万次郎、父島二見港帰港 文久3年5月1日(1863/06/16)、中浜万次郎、二見港出港 文久3年5月11日(1863/06/26)、中浜万次郎,横浜回航 元治元(1864)年11月初め、中浜万次郎、江戸出発。鹿児島へ向かう 元治元年11月17日(1864/12/15)、中浜万次郎、京発。 元治元(1864)年12月初め、中浜万次郎、鹿児島着。薩摩藩で、軍艦操練や英語の教授をおこなう。(高知県の歴史) 慶応2(1866)年1月、中浜万次郎、土佐 中ノ浜に帰る 慶応2年3月25日(1866/05/09)、中浜万次郎、中ノ浜発 慶応2年7月7日(1866/08/16)、中浜万次郎、高知を出発 慶応2年7月12日(1866/08/21)、中浜万次郎、宇和島着 慶応2年7月24日(1866/09/02)、中浜万次郎、長崎着 土佐藩士後藤象二郎の艦船購入に通訳として同行(高知県の歴史) 慶応2年12月10日(1867/1/15)、中浜万次郎、ジョセフ・ヒコと会う 慶応3(1867)年正月、中浜万次郎、江戸で過ごす 慶応3(1867)年3月、中浜万次郎、鹿児島に戻る 慶応3(1867)年11月、中浜万次郎、任期満了によって江戸に戻る 明治元年10月23日(1868/12/06)、中浜万次郎、土佐藩より新知100石を下しおかれ、格式御馬廻に召抱えられる。 明治2(1869)年3月、中浜万次郎、新政府は、徴士として、開成学校の2等教授に迎える 明治3年8月14日(1870/9/9)、中浜万次郎、普仏戦役観戦の随行人を命ぜられる 明治3年8月23日(1870/9/18)、中浜万次郎、グレート・パブリック号で横浜を出発 明治3年9月23日(1870/10/17)、中浜万次郎、サンフランシスコ着 明治3年10月4日(1870/10/28)、中浜万次郎、鉄道でニューヨーク着 明治3年10月6日(1870/10/30)、中浜万次郎、フェヤーヘブンへ ホイットフィールドをたずねる 明治3年10月9日(1870/11/2)、中浜万次郎、ニューヨーク発 明治3年10月23日(1870/11/16)、中浜万次郎、イギリス リバプール着 明治3年10月24日(1870/11/17)、中浜万次郎、ロンドン着。足の潰瘍のため治療に専念 明治4(1871)年3月末、中浜万次郎、ロンドンから船で日本に向かう 明治6(1873)年、中浜万次郎、土佐 中の浜へ帰省 1875年7月9日、中浜万次郎、土佐 中の浜へ帰省 新橋発 1875年7月10日、中浜万次郎、オルゴニヤ号で横浜発 1875年7月11日、中浜万次郎、神戸着 1875年7月15日、中浜万次郎、高知着 1875年7月23日、中浜万次郎、高知発 1875年7月26日、中浜万次郎、中ノ浜着 1875年8月5日、中浜万次郎、中ノ浜発 1884年夏、ホノルルのデーモン牧師が来日し万次郎と会う 1898年11月21日、中浜万次郎、死去