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9時間以上に及び県をも跨いだ逃走劇の末、ハルヒは一人っきりになってしまっていた。 唯も、こなたも、にゃんぱいあも、そしてボッスンも、皆たった一匹のニホンザルに射殺されてしまった。 そして、ハルヒも袋小路に追い詰められ、また一人参加者が死んだ。 「チーチッチ、おっぱーい、ボインボイーン」 なぜなら、怪しげで奇妙な歌を歌う少女に、ニホンザルの首がもぎ取られたのだから。 「あ……有希……?」 極限状態から解放され、ハルヒはその場にへたり込んだ。 そんなハルヒに長門は近づき、その胸を鷲掴みにした。 「もげ、もげ、もげ」 「きゃっ、い、痛い、どうして!?」 長門がその両手に力を込めていく。 自分の想像を遥かに上回る状況に混乱するハルヒ。 しかし、情報操作により、幾ら足掻いても指一本すらも動くことは無い。 「チチをもげ!!」 「嫌あああああああぁぁぁっ」 ハルヒの両胸がもぎ取られた。 【一日目・15時15分/日本・栃木県】 【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱】 【状態】ナイン 【装備】コアファイター@機動戦士ガンダム 【道具】支給品一式 、朝倉涼子の両おっぱい×2、涼宮ハルヒの両おっぱい 【思考】 基本:チチをもぐ 1:朝比奈みくるのチチをもぐ 2:とにかくチチをもぐ 3:邪魔者はもぐ 【平沢唯@けいおん! 死亡確認】 【泉こなた@らき☆すた 死亡確認】 【にゃんぱいあ@にゃんぱいあ 死亡確認】 【藤崎佑助@SKET DANCE 死亡確認】 死因:射殺 【ニホンザル@龍馬伝 死亡確認】 死因:頭をもぎ取られる 【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡確認】 死因:両胸をもぎ取られる
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言わせて貰うなら、セックスなんてのは単なる行為のひとつに過ぎない。少なくともあたしはそう思ってる。 愛情がなくったって出来るし、何の証明にもならない。セックスしたから彼はわたしの物♪なんて、おかちめんこな考え方は噴飯物だ。一時の気の迷いで、そうひょいひょいと人の所有権を移動させないでほしい。 結局その考えは、あたしこと涼宮ハルヒが実際にセックスを経験した後も、特に変わる事はなかった。だからやっぱり、セックスなんてただの行為なのだ。 「おっそーい! キョンの奴!」 一年を4分割するのなら9月は秋に分配されて然るべきはずなのに、その日は朝から猛烈に暑かった。残暑なんてものは馬の尻尾にくくりつけて、そのまま蹴っ飛ばしてしまいたい。 実際にはくくりつける事も蹴っ飛ばす事も出来ないので、あたしは腕組みをして駅前広場の時計を睨みながら、ひたすら不機嫌な声を張り上げていた。 「ホントにもーっ、何やってんのよ!」 「まあまあ涼宮さん。まだ待ち合わせ時刻から10分ほどしか経っていませんし」 「他のみんなはもう集まってるでしょ!? せっかくSOS団の末席に加えてあげてるっていうのに、団員としての自覚が足らないわ! だいたいね? 下っぱのキョンが団長であるこのあたしを待たせるだなんて、まったくの論外よ! ロンのガイよ!」 あたしの怒声に、古泉くんは参りましたねと肩をすくめるばかりだった。あー、何か違う。やっぱり古泉くんが相手だと何かこう、しっくり来ない。これはもう今日は徹底的にキョンの奴を吊るし上げなけりゃだわ! 「うス。すまん、遅れた」 噂をすれば何とやらね。しょぼい顔してやってきたキョンを、あたしは出来うる限りの厳しい眼光で迎えてやったわ。 さー、どうとっちめてやろうかしら。明らかに寝不足っぽい顔しちゃって、どうせまたつまんない理由で夜更かしでもしてたのよきっと。 「理由…言わなきゃダメか?」 「当ったり前でしょ! あんた一人のせいで、あたし達がどれだけ迷惑したと思ってんの!」 「あのぅ、涼宮さん…わたしはそれほど迷惑とは…」 「みくるちゃんは黙ってて!」 「ひゃ、ひゃいっ!」 「これは団の規律の問題なのよ。さあ、ちゃっちゃと吐きなさい、キョン!」 ゲームか漫画か、それとも深夜映画にでもハマってたのか。わくわく気分で問い詰めるあたしに、キョンはむっつりした顔で、こう答えた。 「昨日、中学の同級生だった奴の葬式に行ってきたんだよ」 「そうですか、海難事故で」 「ああ。夜釣りの最中に高波にさらわれて、朝、浜に打ち上げられた時にはもう冷たくなってたとか。人間なんて本当、はかないもんさ」 古泉くんに素っ気なく応じると、キョンはずちゅーとアイスコーヒーをすすり上げた。事故の件を話すのがつらいというより、喫茶店に移ってきてまでこんな暗い話題で雰囲気を盛り下げたくない、といった感じだ。 まあ確かに、日曜の朝に聞きたい類の話じゃない。正直、気分が滅入る。ああ、だからキョンはさっき言いたくなさそうにしてたのか。…って事はなに? 今のしんみりした空気って、ムリヤリ聞き出したあたしのせい? 「でも、キョン! そもそも昨日の時点で用事がお葬式だってこと、なんであたしに言わなかったのよ!?」 なんだか責任転嫁のような感じで、あたしは話を蒸し返していた。そう、本来は昨日の土曜日に定期パトロールが行われる予定だったのに、直前になってキョンが用事があると言いだしたから、一日ずらしてみんな集まっているのだ。 でもってキョンの奴は、あたしが訊いても口をもごもごさせて、何の用事かははっきりと言わなかった。今朝からあたしの気分が優れなかったのも、半分くらいはそーゆーキョンのぐだぐだした態度にイラついてたせいだ。結論、うんやっぱりキョンが悪い! 「最初は、葬式に出る気なかったんだよ。つい直前までな」 あっさりと、キョンはそう白状した。…おかしい、どうも今日は調子が狂う。 いつものキョンなら吊るし上げをくらっても、なんだかんだとあたしに抵抗しようとするのに。その往生際の悪さが見てて楽しいのに。 「1、2年の時に同じクラスだったってだけの奴で、すごく仲が良かったわけでもなかったし。高校も結局、別の所に行っちまったしな。 俺が行って手を合わせた所で、奴が生き返るはずもなし。でも国木田の奴に、焼香くらいは、って誘われてね」 国木田か。なるほど、付き合いのいい方ではあるわね。でも、ちょっと待って? 特に仲が良かったわけじゃあない? 見回せばあたし同様、キョン以外のみんなが頭の上にクエスチョンマークを浮かべていた(有希はパッと見、そうとは分からないけど)。それならどうして、寝不足になるくらい思いつめたりすんのよ。 「別に今生の別れに一晩中泣き明かしたりしたわけじゃねえよ。ただ、なんて言うかな…。 葬式のあとで、国木田が言ったんだ。なんだか全然、現実味がないねって」 まるでそういう風に話すよう造られた自動人形みたいに、キョンは淡々と語っていた。 「家に帰ってから俺、卒業アルバムを開いてみたんだ。そしたら確かに、一緒の頃の思い出の方が生々しくって、あいつが死んじまったって現実の方が絵空事みたいな感じなんだよ。 でもやっぱり、あいつが居ないこの世界の方が現実で」 ふう、とキョンがひとつ息を吐くと、微かにコーヒーの匂いが漂った。 「実は俺、ほんのしばらく前にそいつと話してるんだよな。下校途中にサンダル履きのあいつと、ばったり出くわしてさ。そのままコンビニの前で30分ばかりくっちゃべってた」 「その人、何か特別な事でも言ってたの?」 「いや、全然。今じゃ内容さえ憶えてないような、そんな程度の会話だった。 でもそれは、あいつとは逢おうと思えばいつでも逢える、話そうと思えばいくらでも話せる、そう思ってたからで。それが気が付いたら、そうじゃなくなってて――。何だろうな、こういう感じ。心にぽっかり穴が空いた、とでも言うのか?」 「ふん、ボキャブラリーが貧困ね」 わざときつく揶揄してやったのに、あいつはムッとした表情さえ見せなかった。やっぱり変だ。やっぱり今日のキョンは、何かおかしい。 「そりゃ失敬。じゃあ教えてくれよ、こういう気分ってなんて表現するべきなんだ?」 「何って、それは…」 「………虚無感」 「おお、さすが長門。ん、まあそんな感じだな」 有希に向かって大きく頷くキョンの顔を、あたしはストローの先のクリームソーダを最大肺活量で吸い上げつつ、仏頂面で眺めていた。 キョム感ね、キョンだけに。…いろんな意味で面白くない駄ジャレだわ。 「そのぅ、えっと…元気出してくださいね、キョンくん…」 「おお、この俺の身をそんなに心配してくれますか! いやあ、朝比奈さんは本当に心優しいお人だなあ」 今のキョンはみくるちゃんの掛けた言葉に、やけに愛想良く受け答えてる。みくるちゃん相手にはやたら調子がいいのはいつもの事だけど…今日はなんだか特に造り物みたいな笑顔ね。無性にはたきたくなるわ。 そんな風に思っていると、キョンの奴は不意にこちらを向いた。 「ま、そんな事がありましたよって事で。人間なんて明日どうなってるか分からないから、みんなもせめて事故とかには気をつけろよな。特にハルヒ」 ちょ!? なんであたしだけ名指しなのよ! 「お前が直情径行の向こう見ずで、後先考えずに動くからだ。 さて、それじゃ不思議探索パトロールに出掛けますかね、と。今日はもう俺の罰金で確定なんだろ?」 恒例のクジ引きで同班になったみくるちゃんをいざなって、キョンは伝票をひらひらさせながら会計へと向かった。 むー。つまんない。あたしは『キョンに罰金を払わせるのが』ではなく、『罰金を払わされる時のキョンの情けない顔が』楽しいのに。つまんないつまんない! 「どうかしましたか、涼宮さん?」 よっぽどあたしはむくれていたのだろうか。喫茶店を出るなり、古泉くんがそう声を掛けてきた。 「ねえ有希、古泉くん。今日のキョン、なんかおかしいわよね?」 遠回しな物言いは好きじゃない。あたしがズバリ訊ねると、古泉くんと有希はしばらく顔を見合わせて、それから二人揃って頷いた。古泉くんはともかく、有希も肯定しているからにはやっぱりそうなのだ。 「そうですね、これはまあ概念的な事柄なのですが。 人は大なり小なり、明日への不安を胸に抱いているものです。もしかしたら大地震が起こるかもしれないし、空から隕石が降ってくるかもしれない。はたまた、悪意を持った異星人が大挙して地球を侵略しに来たりするかも…」 いきなりそんな事を語り始めたかと思うと、古泉くんはしばし、あたしと有希の顔をちらちらと見比べた。今の間は何なんだろう、一体。 「…とまで言ってしまうと、さすがに何でもありになってしまいますが。不慮の交通事故などは、誰の身にだって起こり得るわけです。 さて、そんな時。たとえば明日死ぬかもしれないという時に、やりたくもない宿題をやる気になる人が居ますか? いえ、それどころか自分にとっての宝物さえ、もしも明日無になるとしたら、途端に色褪せて見えるのではありませんか?」 「えっ? でもだって、そんなのは…」 「はい、その通りです。予測できない不幸、というのは可能性としてはあり得るのですが、それを気に病みすぎていては何も出来ません。 だから人は基本的に、その可能性を無視しています。もしくは保険に加入するなどの次善策を用意するか、ですね。しかしながら“死”というのは、人が逃れえない宿命のひとつでして…」 と、ここで一度言葉を止めた古泉くんは、ああまたやってしまったとでも言いたげな微苦笑で頭を振った。まあ、古泉くんのセリフが芝居がかってるのはいつもの事だけど。 「結論を述べましょう。今の彼は、軽い躁鬱病の状態にあると思われます。 ご友人のように、自分も明日にはいなくなっているかもしれない。ならば自分の生に一体何の意味があるのか――そんな問答に囚われてまんじりともできないでいる、といった所でしょうか」 「有希の言ってた、虚無感って奴?」 「おそらくは。実を言えば僕自身、まだ同年代の人間の死に直面した経験はないもので、先程の彼のお話には、多少なりともショックを受けました。もしかしたら『大人になる』というのは、こうしたショックに慣れていく事なのかもしれませんね」 ショックだった割には、いつもと同じ笑顔で話してる気がするけど。そうね、古泉くんが言いたい事はだいたい分かるわ。 でも、だったらあたしは敢えて大人になんかなりたくないかな。親とか身近な人を失くす悲しみに慣れるだなんて、そんな事は………え? 失くす? 誰を? その時のあたしは、どんな顔をしていただろうか。ともかく、気付けばこんな言葉があたしの口をついて出ていた。 「あのさ、有希、古泉くん。ちょっと話があるんだけど」 「はあ、午後の調査を彼と二人で」 「…………」 その、別にヘンな意味じゃないのよ? ただキョンの奴のスッポ抜けぶりが見るに見かねるというか、ほら、団長の責務として…! 「素晴らしい。さすがは涼宮さんだ」 「へ?」 「僕達も彼の不調が気にかかってはいたのです。しかしながら、いかんせんどうやって励ましたら良いものか、妙案が浮かばないものでして。 ですが、団長自らがケアをなさってくださるというのなら、もう安心ですね。どうぞ彼の事をよろしくお願いします、涼宮さん」 ま、任せときなさい! 団員の心の悩みを受け止めてあげるのも団長の務め! 一切合財あたしに預ければ、全てこれ解決よ! と、あたしがガゼン張り切っていると。 「ふむ、ですがそうするには…長門さん、ちょっといいですか?」 古泉くんが有希を道端に連れてって、ひそひそ相談を始めた。ん? この光景、なんとなく前にも見たような覚えがあるんだけど。市民野球大会の時だっけ? それともデジャビュって奴かしら。 「お待たせしました。では、午後のクジ引きは長門さんにお願いする事にいたしましょう。実は彼女、少々手品の心得があるそうで」 「へえ、それ初耳。有希、本当に出来るの?」 「………可能」 「公平公正なゲームを愛する僕としては、こういうインチキはあまり推奨したくはないのですが。 しかしながら彼はある意味、涼宮さんの対極というか、石橋を叩いて渡らないような、非常にアマノジャクな性格の持ち主ですからね。変なお膳立てをしてしまうと、かえって反発しかねません。ここはあくまで偶然を装うとしましょう」 古泉くんの言に、あたしは大きく頷いた。まったく、キョンの奴があたしのナイスなアイデアに、素直に賛同した事など一度もない。いつもつまらない常識論を持ち出して、あたしの発展的行動に難癖を付けたがるのだあいつは。 あんたみたいな奴の事を、これだけ気に掛けてあげるのはあたし達くらいのものよ? 友に恵まれた事をせいぜい感謝なさい、キョン! 「素直じゃない、という点ではどっちもどっちというか、お似合いなんですけどね」 「何か言った、古泉くん?」 「いえ、別に何も」 「ふうん? まあいいわ。今回はウソも方便って事で、有希、お願いね」 あたしの依頼に、有希は黙って頷いた。沈黙は金だとかいうけど、本当にいざという時には頼りになる娘だ。キョンの数千倍は役に立つわね。 って頷いた後も有希はしばらく、深遠の瞳であたしを見続けていた。ん、なに? 「彼の言っていたのはある面での、真理」 彼って、キョンのこと? 「そう。価値観は主に相対性によって生ずる。最初から何も無かった状態に比して、あるはずだったものをなくしてしまった際の喪失感は、絶大」 「あんたにも、そんな経験あるわけ?」 「11日前、帰宅すると作り置きのカレーが、全て痛んでいた。その日はお茶だけ飲んで過ごした。カレーに黙祷を捧げた…」 「そ、そう」 カレーと人命を同列に語っちゃうのもどうかしら。ああ、でも自炊してる人にとっては食料問題は死活ラインなのか。よく分かんないけど。 「決まりですね。では、我々も出発しましょうか」 「あ、うん、そうね」 なんだか分からない内に古泉くんに促されて、あたし達もまた午前のパトロールに出立した。うーむ、やっぱりどうにも調子が狂ってるぽい。いつもなら当然のように、このあたしが号令を掛けているはずなのに。 結局、午前の部はただひたすら暑い中を歩き回るだけに終始した。不思議を探すより何より、あたしの心には踏んづけたガムみたいに、さっきの有希のセリフがべたりとこびり付いていたのだ。 『彼の言っていたのはある面での、真理』 あるはずだったものを失くしてしまって、心にぽっかり穴が空いたようだ、とキョンは言っていた。有希はそれを真理だと言う。古泉くんは、人は大なり小なり、明日への不安を胸に抱いているものだと言っていた。 そうだ、今のあたしも多分、何かしらの不安を抱えている。でも、それは…一体なんだろう? あたしは何を失くす事を恐れてるの? そんな疑念が、歩くたびに靴底で耳障りな音を立てている、ような気がした。 「珍しいな、この組み合わせってのも」 「あー、うん、そうかも、ね」 キョンの何気ない呟きに、午後のあたしはちょっとばかり居心地の悪い気分で頷いていた。本当の事を知ったら怒るかな、キョン。 「つか、古泉の野郎が羨ましい」 前言撤回。このバカ相手に、罪悪感など微塵も感じてやる必要なんか無い。あたしは渾身の力でキョンの尻をつねり上げてやった。 「神聖なSOS団の活動を一体何だと思ってんのあんたは!」 「うぐあっ!? い、いやスマン、冗談だ…」 だいたい古泉くんは、午前もあたしと有希で両手に花だったでしょうが!? どうしてあの時は羨ましがらないで今は………あ、いや。いやいや。 あ、あたしが怒ってるのはそんな事なんかじゃないわ! そう、キョンの奴がここでもやっぱり素直に謝ってるからよ! だから、調子が狂うって言ってるでしょ! いや言ってないけど! いつものあんたなら、もっとこう…その、歯応えがあるっていうか…そこいらのくだらない男連中とはちょっとは何かが違うっていうか…。 「どうしたんだ、ハルヒ? どこに向かうんだか、さっさと決めてくれよ」 こここ、この鈍感男めぇ! 人がこんなに気を揉んでやってるのも知らないでッ! あたしはよっぽど、公園の砂場を掘り返してこの唐変木を頭から埋めてやろうかと思ったけど、今世紀最大の自制心を働かせて、なんとかそれを堪えた。いけないいけない。古泉くんの言によれば、キョンの奴は今、ちょっとばかり精神を病んでいるのだ。団長として大目に見てやらなければだわ。 ――治ったら覚悟しなさいよね、このバカキョン! 「いいからっ! あんたは黙ってあたしについてきなさい!」 「へーへー、団長様の仰せのままに」 とりあえず、そういう事にして歩き始めたけど…はてさて、これから一体どうしたらいいもんだか? 実の所あたしは、本当に有希の手品とやらがうまく行くのかなーとか、行ったら行ったでキョンの奴、あたしとペアの組み合わせをどう思うのかなーとか、そんな事ばかりを考えてたもんだから。具体的にどうやってキョンを元気づけたげようとか、全く考えてなかったのよ! うそ、どうしよう。まるで小堺一機のお昼の番組にいきなりむりやり出演させられて、サイコロ振らされたような気分だわ。何が出るかな♪何が出るかな♪ ちょっとドキッとした話、略して「ちょドばーなー」って、だから何も用意してないんだってばっ! 『団長自らがケアをなさってくださるというのなら、もう安心ですね。どうぞ彼の事をよろしくお願いします』 プレッシャーが具現化したのか、さっきの古泉くんのセリフが耳にこだまする。あたしは空の彼方に浮かんだあの爽やか笑顔に、無言のパンチを打ち込んだ。 『おやおやひどいですねフフフ』 ええい、回想なんだからさっさと消えなさい! 「おい、どうしたんだハルヒ。道端でいきなり拳振り回したりして…?」 「虫よ! 虫がいたのニヤケ虫が!」 語気も荒く振り返って…あたしはキョンの背後の壁に、ふと一枚の看板を発見した。 (あ、やだ…。やみくもに歩き回ってたら、こんな方向に…) 途端、あたしの頬が熱を帯びる。そこは駅の裏手辺りにありがちな一画で、男女がペアで歩いてたりしたら、いわれのない誤解を受ける可能性が非常に高い場所というか何というか…。あーっ、もう! ハッキリ言ったげるわ! あたしにはやましい点なんかこれっぽっちも無いし! ホテル街よホテル街! そこはいわゆるホテル街だったのよ! 次のページへ
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「覚えてないのも当たり前ですよね、だって私が記憶をけさせたんですから」 俺はこの一言に、愕然とした。なんだって? 内から込み上げる怒りという衝動を抑えつつ問いただすことにした。 「何故、俺が記憶を消されなくてはならないんだ?」 なんとか抑えたものの、表情までは抑えれなかったかもしれん。 少しの沈黙が、俺を不愉快にさせる。自然に拳に力がはいってしまっていた。 俺の目の前の少女は不適な笑みを浮かべ、 「あなたは、涼宮ハルヒの鍵であり、佐々木さんの鍵でもあるからです」 俺は自分の耳を疑った、佐々木?なんで佐々木が? それに鍵だって?なんの事かさっぱりだが、古泉もそんなことを言っていたような気がする。 少女は続けて、 「私は佐々木さんの友達、いや。佐々木さんとの契約者とでもいったほうがいいでしょう」 契約?なんのことか解らないが、どうやらこいつは佐々木と少なからず縁がある者らしい。 「あなたはね、私の計画とは違う動きをされてもらっては困るのですよ」 さてね、俺がなにしようがお前には関係ないし、指図されるのはごめんだね。 俺は皮肉を込めて言ったつもりだが、少女は気にすることなく続けた。 「あなたが佐々木さんを裏切るような事をするからいけないのです。 あなたは佐々木さんだけを見ていればよかった。そうしたら、世界は幸せになれたのに。 涼宮ハルヒにあの能力を持たせていればいずれは世界は滅んでしまう。 彼女は感情を露にしすぎですし、なによりコントロールできていませんから」 と饒舌に語りはじめるそいつを俺は黙ってみていた。 それもそうだ、ここ数日で俺の周りが目まぐるしく変化しているからだ。 これで混乱しないほうが普通ではない。 「佐々木さんはいいました、あなたを手に入れられるなら。 他はなにもいらないと、だから私は彼女にあなたを与える計画を企てたってところです。 それでも、私一人じゃ出来ないことなので彼女に協力していただきました。」 少女が指を指した方向に目をやった、しかし最初はそこに何が在るか解らなかった。 目を凝らしてみると、確かにそれはいた。俺はこいつを知っている。 だが記憶に靄がかかり、鮮明に思い出すことは不可能だった。 俺が呆気に取られた表情を浮かべていたのか、少女はクスッと笑った。 「あなたの側に未来人の子が一人いますよね。実は私の側にも一人います。 彼が言うには涼宮ハルヒが能力を持ち続けるのは規定事項だ。というんですよ。 でも、それが事実であれば私達はただの脇役でしかなくなっちゃいますよね。 私はね、未来は与えられるものじゃなく造るものだと思っているんです。 これは私達の組織の創意でもあるんですが。 そう、与えられなかったが為にそれを欲するのは至極当然の事だと思うんですよ。 それに、彼ら未来人は過去を固定する為だけに暗躍するんですよ。 可笑しいですよね、未来から来てるならその未来が確立されているはずのに、 だから私達の考えでは、「過去」つまり現在に当たるのですが、 実にあやふやなものなのじゃないでしょうか。あなたもそうだったはずです。 なにも告げられずにただ言われたままに動いて未来を確立させられていた。 とはいっても、今のあなたは覚えていないでしょうけど」 俺は自分の知識以上の事を言われ、更に混乱しはじめていた。 それに、頭も割れそうに痛み出してきた。くそ、なんだってんだ。 少女は笑顔を殺し、俺の側に歩みよってきた。 「だから、私は未来を変えたいと思うんですよ。だからそれにはあなたが必要なんです」 というと、少女は足を翻し背を向けた。遠くに佇む得体の知れないものになにか話しかけているようだが。 ここで逃げ出せばよかったものの、強張る体と痛む頭の所為で俺は身動きできなかった。 少女はこちらを振り返り話を続けた。 「あなたを助けにくる人は誰もいません。彼女に結界を張って頂いているので、 長門さんも気付いていないはずです」 長門だって?俺は痛む頭を支えながら少女に問いかけた。 「あら、今のあなたは聞いていないんですか?まぁいいでしょう、教えてあげます。 彼女は対ヒューマノイドインターフェイス、情報統合思念体が派遣したアンドロイドです。 アンドロイドといっても、体を構築しているものは私達と一緒らしいんですが。」 なんですか、そのなんたら思念体っていうのは。くそっ訳がわからなくなってきた。 俺が困惑の表情を浮かべると、少女の顔付が変わった。 「そろそろ始めましょう。これからあなたにはただの人形になって頂きます。勿論、 これから喋ることも出来なくなると思います。本当はすぐ死んで頂きたいんですが、 そうするとかなりの確立で情報爆発が起こる可能性があるので、 無駄な事は私達は望んでいないのです。情報爆発のタイミングが必要なんですよ。 だから、あなたにはそれまで生きた屍になって頂きます。」 はは、何を言い始めるんでしょうこの人は。 と笑っている場合ではない、はやくここから逃げないと。 「無駄ですよ、周防さんお願いします」 少女がソレの名前を読んだその瞬間、一瞬で俺の目の前にきたソレは無機質な表情をしていた。 その曇ったガラスみたいな瞳に俺が映りこんでいた。 あぁ、俺は今恐怖に駆られているんだ。それは絶望でもあった。 ソレの手が俺の頭を掴み、何かを高速でつぶやき始めた。 その瞬間俺の頭の中が掻き乱されるような激痛が走った。 「やめ、やめろ…うがぁが…」 俺は声を張り上げることすら不可能になっていた。 さっきまであんなに幸せな時間を過ごしていたのに、脳裏に浮かんだ映像が全て消えていく。 だんだんと意識が薄れ、俺は気を失った。 どれくらい眠っていたんだろう、ピッピッっという電子音で気が付いた。 俺の目の前には真っ白い天井があった。ここはどこなんだ。 少し考えにふけっていると、唐突にそれは訪れた。 俺は、誰だ。 言い知れぬ恐怖と、絶望が俺を襲った。
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「で、最初は誰から接触すればいいわけ?」 ハルヒは机の上に座ったまま、俺に言う。 さて、誰からにしたものか。本来であれば、俺の世界と全く同じようにしたいところだが、このハルヒはそれを却下したし、 そもそもこいつが力を自覚している時点で、どうやってもおなじようにはならんおかげで、正直それで大丈夫なのかという 不安があるのも事実だ。 だが、ここでふと思いつく。 とにかく、3人に接触して平穏かつ良好な関係が築けると証明してやればいい。それだけなら、何も3人同時に 一緒である必要はないはずだ。その後、ハルヒに納得させた上でもう一度最初から――今度は3人同時に接触して、 SOS団を結成すればいい。 そう考えると、まず一番接触しやすい奴から選ぶべきだな。宇宙人は、あのハルヒの情報統合思念体に対する警戒心から考えて、 一番最後にすべきだろう。未来人ははっきり言って知らないことも多いことを考えると、予定外な事態に陥る恐れもある。 こうなると最初は超能力者――古泉か。機関はまだうさんくさいところも多いし、わからない点も多いが、 同じ時代の人間という点、さらに超能力はハルヒが作り出した閉鎖空間内だけという限定的なものだ。 普通に接触する限り大した弊害が発生するとも思えない。 ……1番手があのインチキスマイル野郎なのは少々引っかかるが。 「超能力者……ねえ」 ハルヒはジト目で俺を見ていた。とは言っても、何もやっていないわけではなく俺の指示通りに時間平面を構築中なんだそうだ。 全く長門並のことをやれるハルヒって言うのも妙な気分だぜ。 「で、具体的に必要なものはあるわけ?」 「閉鎖空間とその中で暴れる神人を倒せる力をそこらへんの人間にばらまけばいい」 「閉鎖空間と神人って?」 ハルヒはそう首をかしげた。そういや、ハルヒはそのことは知らないのか? 「お前さんがキレると、別の誰も入って来れない――今俺たちがいるところみたいな空間を作り出して、 そこの中ででっかい巨人を暴れさせている」 「あー、あれのこと」 思い当たる節があると、ポンと手を叩くハルヒ。 「なんだ知っているのか?」 「うん、たまに頭に血が上ったときとかストレス解消代わりに暴れさせているの。無人だから誰の気兼ねもなく暴れられるし、 結構スカッとするものよ」 「お前な……」 あっけらかんと言うハルヒに、俺はただただ呆れるばかりだ。 「俺の世界だと、お前は無自覚にそれを作っているから、誰かが止めてやらなきゃならん。そんなわけで、 その役割を与えられた超能力者がいるって訳だ」 「ふーん、あんまり関係のない人間を巻き込むのは気が進まないけど、まあ仕方ないか」 そう言ってハルヒは目を閉じて、何やらつぶやき始めた。恐らく情報操作って奴だろう。 こんな一美少女高校生にゲーム感覚に作り替えられる世界ってのもいろいろな意味で問題があると提言しておきたいね。 そんなわけでSOS団団長改め創造神ハルヒ様の作業完了後、俺たちもその時間平面――世界に入ることにする。 時間は俺とハルヒが北高に入学したときからだ。もちろん、二人とも北高に入学する設定にした上でだ。 ちなみに俺は全く別のボンクラ高校に入学する予定だったので、それをいろいろ改変して北高に入学させるのに苦労したと ハルヒに散々愚痴られたけどな。 ◇◇◇◇ 「東中出身、涼宮ハルヒ! この中に超能力者がいたら今すぐ来なさい! 以上!」 俺の背後で威勢のいい声が響く。もちろん入学式、最初の授業での自己紹介だ。 俺の自己紹介の後、ハルヒは事前の打ち合わせ通りの言葉で自らをアピールした。宇宙人と未来人は前に述べたとおり、 余り手を広げるのは得策ではないということで上げていない。ああ、ちなみに異世界人はもともと言う予定はないぞ。 なんせ、今の俺が異世界人だからな。もうここにいるってこった。 周りの人間は苦笑・あるいは戸惑いの視線を一斉にハルヒに向けるが、ほどなくして担任の岡部の空気の流れを断ち切る 咳き込みとともに、自己紹介は続行された。 俺はハルヒをちらりと見ると、厳しい視線のままじっと黒板の方を見つめていた。そういや、初めてあったときは ロングヘアーだったっけ。このハルヒは俺の世界のハルヒと違ってどんな理由でこの髪型にしたんだろうな。 しかし、俺はすぐに別の視線を感じてそちらへと振り返った。そこには―― 「……ちっ」 思わず舌打ちしたくなるような女が一人。朝倉涼子だ。二度も俺の殺害を試みた猟奇殺人鬼である。 柔らかで人当たりの良い笑みをこっちに向けてくるが、俺はできるだけ視線を合わせないように軽くうなずく程度の挨拶を 返しておき、全く別の方向に顔を背けた。 俺とハルヒの正体――実態と言った方がいいか――をこいつに知られるわけにいかない。なおかつ、こいつから命を狙われる心配 までしなきゃならん。ある意味、最大の要注意人物だ。 ◇◇◇◇ 俺とハルヒは昼休みこっそりと非常階段へ移動して、状況確認を始める。 「で、あんな感じで良かったわけ? クラス中の空気が固まっていたけど」 「本来なら、あれに宇宙人・未来人・異世界人がプラスされていたんだ。それにくらべりゃ、ショックも少ないだろうよ。 それにハルヒが超能力者に興味津々であることも十分に示せたわけだしな」 そんな話をしながら、俺は校庭や周辺の民家を見渡す。ハルヒの言うとおり、どこに情報統合思念体の手先が いるかわからんおかげで警戒しっぱなしだぜ。万一、この話を聞かれれば一瞬にして全てがパアになっちまうからな。 「安心して。監視はうまい具合にあたしがごまかしているから。で、あんたのいう古泉一樹ってのはいつ現れるのよ。 休み時間の間に学校中廻って見たけど、該当するような人物はいなかったけど」 「その前に機関の方はばっちり組織化されているんだろうな? それがいないと古泉も現れなくなる」 「それは問題ないわ。過去3年間のあたしの周辺を活動している連中に、インターフェース以外にもう一つの組織が 増えていたから。見たところ、普通の人間だから恐らくあんたの言っている機関っていう連中でしょ。 しっかし、こいつらインターフェース以上にしつこいわね。3年間まるでストーカーのようにあたしを監視続けている。 今だって遠近距離からこっちをじっと見ているし、クラス内にもエージェントらしき人間もいるわ」 なるほどな。なら状況は似通っているわけだ。となると、古泉はのちに転校してくることになるはず。いや待てよ…… 「古泉が転校してきた理由に、長門と朝比奈さん――ああ、宇宙人インターフェースと未来人がお前に接触してきたことが 理由に挙げられていたっけ。それで転校を迫られたとか」 俺はふと思いつき、 「なあ、今ならまだ俺のいうSOS団を作るのはまだ遅くないんだがやってみる気はないか? お前が文芸部室を乗っ取れば、 そこに長門有希がいるし、2年に行けばきっと朝比奈さんだって――」 「しつこいわよ。さっきも言ったとおり、あたしは全員まとめて接触なんていう危険なことはしたくないの。 それにあんたの所の世界がのほほんと進んでいるからといって、成功例として見ている訳じゃない」 むすっと否定しやがるハルヒ。全くこのハルヒも変わらず頑固者だよ。 しかし、このままでは古泉は北高に転校してくるのか? あの時の話しぶりだと予定を繰り上げてまで来たとか言っていたが。 俺はしばらく考えてみたものの、未来の事なんて予知できるわけもないので、 「とりあえずタネは蒔き終えているんだ。後は芽が育つのを待とうぜ」 「全く脳天気な考え方ばかりだわ。ま、確かにこっちも動きようがないから待つしかできないけどさ」 素直にハイと言えんのか、こいつは。まあいい。古泉に対してはしばらく様子見でいくとしよう。 俺はその他の話に移る。 「情報統合思念体の方はどうなんだ? 何か動きを見せているのかよ?」 「今のところは見ているだけね。わざわざインターフェースを同じクラスに送り込んできているけど、 目立って何かをしようとはしていないわ。連中のことだからどんなことが起点になって考えを変えるかわかったもんじゃないけど」 「クラス内ってのは朝倉のことか」 ハルヒは俺の問いかけに、ちらりと視線を外し、 「そうよ。あいつ今まで何度もあたしを襲ってきた目を離せない要注意人物なんだから。何だか知らないけど、 あたしが能力を自覚している・していない関係なく攻撃してくるみたいね。鬱陶しいったらありゃしない」 「あいつは情報統合思念体の中でも過激派に属しているらしいからな。ハルヒを突っついて、何の蛇が出てくるのかみたいんだと」 俺は朝倉の事について、あっさりと教えてしまった。このハルヒになら別に隠す理由はないからな。多くの情報を渡して 共有しておいた方が何かと動きが取りやすくなるだろうし。 その情報にハルヒは思案顔で、 「なるほどね。あいつらも一枚岩じゃないってことか。そうなると、朝倉は一部勢力の意思で動くけど、その動きに過剰反応して、 あたしのことがばれたら今度は情報統合思念体全体が……ああっ、もうややこしいわねっ! もっとわかりやすく動きなさいよ!」 俺に言われて困る。だが、ハルヒのいらだちももっともだ。これではろくに反撃もできない。 しかし、そんなときのための長門のはずである。 「俺の世界じゃ、朝倉は長門――六組の生徒だが、それのバックアップってことだった。朝倉の一方的な行動はできるだけ 奴らの内部で処理させる動きを取った方がいいと思うぞ。こっちから反撃もろくにできないしな」 「わかっているわよ。とにかく、その古泉一樹って奴が来るのを待っていればいい訳ね」 そうハルヒは言いながら教室に戻った。 俺はそれを確認すると、独自の行動を開始する。どうしても確認しておきたいことがあったからだ。 まず向かったのが、一年六組――長門有希の確認だ。さっき朝倉の対処は長門に任せればいいと言ったが、 肝心の長門がいなければ話にならない。 おれは教室の入り口から覗いてみると、ハルヒ以上に誰も寄せ付けないオーラを拡散させて、教室の一席でもくもくと 本を読みふけっている長門の姿が確認できる。 ほっ。これでさっき言ったことに問題はなくなるな。頼むぜ、長門。朝倉が襲ってきたら助けてくれよ。 後もう一人。長門は情報統合思念体なんだからいる可能性は十分にあったが、問題は朝比奈さんの方である。 この世界にも未来人はいるのだろうか? 俺は朝比奈さんのいる二年二組へ向かい、教室内を見渡す。見知らぬ下級生が覗いていることに、一瞬注目を浴びてしまうが、 その視線を強引に無視していると程なくそれは収まる。その間に、俺は朝比奈さんの姿を確認したが―― いなかった。鶴屋さんは別の女子生徒の環に入ってけたけたとあの豪快な笑いを見せているが、朝比奈さんはいない。 なぜだ? やはりハルヒの介入がなければ未来人は存在しないことになるのだろうか? だがこれで一つ決定してしまったことがある。 この世界――今の状況でSOS団の成立はなくなった。 事情を知らん人間が隣で聞いていたらこう言うかも知れない。似たような人を探して来いよ、ハルヒならすぐ見つけてくるさと。 だが、俺にとってSOS団はもう誰一人の変更も許さない。朝比奈さんでなければならないのだ。 俺は激しい脱力感に身を引きずりながら、自分の教室の席に戻る。ハルヒは人の気も知らず、仏頂面で外を眺めているだけ。 ……一ヶ月か。昨日自宅で過ごしたが、今まで通りの家族がいて、俺の部屋も全く変わらない形であったため、 別の世界に来ているという印象はなく、それなりに安心して過ごすことができた。 学校でも谷口・国木田コンビは健在だったおかげで、弁当をともにする関係は維持できる。そう言った意味で違いは そこまで大きくないのだが…… たった一つ、そしてもっとも必要なSOS団が存在しないこと――もちろん、俺が北高入学時にはまだできていなかった からなくて当然だが、あの長門の読書モード、朝比奈さんの温かいお茶、古泉とのボードゲーム……この世界にはこれらが 一つも存在していない。 それを認識したとたん、俺は寒気を伴う寂しさに襲われて思ってしまう。 ――あのSOS団の部室に帰りたい。 ◇◇◇◇ 一ヶ月の待機後、ようやく変化が訪れた。俺の記憶通りに、古泉が転校してきたのである。ただ出会いは異なっていた。 俺がSOS団ホームシック状態のダウナーな気分で自転車を駐輪場に止め、とっとと早朝強制ハイキングコースに 入ろうとしたとき、予想外の組み合わせに声をかけられた。 「おはよう」 振り返ってみれば、そこには朝倉涼子の姿があった。いつもどおり柔らかな笑みを浮かべている。 問題なのはその背後にいる人物だ。さわやかな容姿に、細身の身体、身長は俺よりもやや高く、柔らかい笑みと目、 モデルに採用すればそれなりに注目を浴びられるレベルであろう北高男子生徒。 「おはようございます」 続けて来たのは、あのニヤケスマイル顔の古泉だ。朝倉と古泉、まさかこんなコンビでファーストコンタクトになるとはな。 明らかに俺の知っている展開とは違う。そもそもこの二人には接点というものが全くなかった。 やはりこの世界は俺の時と同じように動いてはいない。欠けているものが多すぎるんだから無理もないんだが。 「ああ、おはよう。背後のは彼氏か?」 俺はできるだけ古泉と初対面であるという様子を取り繕った。正直、古泉だけならいろいろ初接触時のやり方について、 自分なりにシュミレートしていたんだが、朝倉がセットというのは全く考えていなかった。 少しでも不審な行動や言動を取ればたちまち正体を見破られかねない。 朝倉は半分困り顔で手を振り、 「いやだなぁ。あいにくまだ独り身よ。この人は古泉一樹くん。今日、わたしたちの学校に転入してきたんだって。 でも、うちの学校って駅から遠いでしょ? 道に迷っちゃったらしくて困っていたところにわたしが通りかかったのよ。 この制服で同じ学校の生徒だろうと思ってわたしに声をかけてみたんだって」 淡々とした説明だった。道に迷って偶然会ったのが朝倉。普通なら違和感を憶えることもないだろうが、 宇宙人と超能力者が偶然に出会える可能性はいかほどものもだ? 少なくとも、年末ジャンボの五等より高いって事はないだろう。 結論。朝倉の言うことを信じない方が良さそうだ。となると、何らかの目的で俺に接触しようとしているってことか。 「こちらはどなたですか?」 「ああ、さっき話した彼よ」 「ほう、この人が……」 朝倉と古泉の会話を聞くに、どうやら事前に俺の話をしていたようだな。ますます狙って二人そろって接触してきたとしか 思えん。さて、どうしたものか。 俺は一つよろしくと頭を下げると、3人で学校に向けて歩き出す。 古泉は朝倉の背後から俺の顔をのぞき込むように顔を近づけて、 「お噂は聞いています。あの涼宮ハルヒさんと大変親しいようですね。かなり気むずかしい性格のようですが、 何かコツでもあるんですか?」 「別に親しいってわけじゃねえよ。ただあいつが一方的に俺を振り回しているだけだ」 やれやれと俺の嘆息。これは実際事実だからな。この一ヶ月間、SOS団を設立したわけでもないのに、24時間態勢で あちこち引っ張り回され、おかげでホームシック気味が少しだけうんざり分に変換してくれたほどだ。 力を自覚していても、あの突拍子もない行動力は全く変わってねえ。もっともその動機は不思議な何かを探す好奇心ではなく、 不思議な何かから身を守るための警戒心であるところが大きな違いであるが。 これに朝倉は意外そうな表情を浮かべ、 「あらそうかしら? わたしが話しかけてもなーんにも答えてくれない涼宮さんが、あなたとなら気軽に話しているじゃない。 コツがあるなら本当に教えて欲しいな」 さらなる朝倉からの追求に、俺はここは一旦考える素振りを見せる。高校入学式で初めて出会って一ヶ月間程度の設定である以上 昔から知っているような態度を悟られるとまずいからな。 上り坂の角度が急になった辺りで、俺は軽く頭を振る。 「解らん」 それに朝倉は柔らかな笑いを一つ返し、 「ふーん。でも安心した。涼宮さん、いつまでもクラスで孤立したままじゃ困るもんね。 一人でも友達ができたのは良いことだわ」 そういや、以前――俺の世界の時も同じ事を言われたな。あの時は委員長になったから委員長らしいことを言っているんだろうと 思っていたが、今思えばハルヒの安定化を望んでいたのかもしれん。一応長門のバックアップってことらしいから、 情報統合思念体主流派の遠くから見守り政策に沿って動いているはずだし。 ――結局は暴走して俺を殺そうとしたが。 「友達ねぇ……」 俺は首をかしげる。 俺にとってハルヒってのは何なんだろうか。元の世界だと友達って言うよりはSOS団団長だな。 俺は雑用係としてこき使われているだけであり、またハルヒの暴走に歯止めをかけている唯一の良心と言ってもいい。 じゃあ、今いる世界のハルヒと俺は何なのだろう? 友達じゃないのは確実だ。馴れ合っているわけでもなく、 一つの目的に向かって共同歩調を進めている。協力者と言った方が適切かも知れない。 そんな俺の複雑な気分を無視して朝倉は話を続ける。 「その調子で涼宮さんをクラスに溶け込めるようにしてあげてね。せっかく一緒のクラスになったんだから、 みんな仲良くしていきたいじゃない? よろしくね。これから涼宮さんに何かを伝えるときは、 あなたから言ってもらうようにするわ」 「さしずめ、あなたは涼宮さんのスポークスマンと言ったところのようですね」 おいコラ古泉。俺の反論台詞を封じるんじゃない。お前はしばらく黙っておいてくれ。 朝倉は俺の渋い顔を見て、納得していないことを悟ったのか、両手を可愛らしく合わせて、 「お願い」 あの時と全く同じ事を言われた。まさか古泉とセットの状態で言われるとは思わなかったけどな。 俺が溜息+肩を落としていると、今度は頼んでもいないのに古泉が今度は自己紹介を始めた。 「初めまして。僕は古泉一樹と申します。今日付で北高の一年九組に転校することになりました。 これからいろいろとお会いする機会があると思いますので、どうぞよろしくお願いします。特に――涼宮さんに関しては」 ……やっぱりハルヒ絡みで近づいてきたようだな。意図をビンビンぶつけてきやがる。 俺はしばらく黙っていたが、やがて立ち止まって二人の顔を見渡し、 「何が目的だ?」 「……はて、それはどういうことでしょう?」 しらばっくれる古泉を俺は睨みつけ、 「とぼけんなよ。どう見ても、二人してハルヒに対して興味津々じゃねえか。だったらハルヒに直接接触した方がいいだろうに、 なぜか俺にそんなことを言ってきている。なら、俺に聞きたいこと、あるいは言いたいことがあるんじゃないのか?」 「あら、思ったより自意識過剰なのね」 返ってきたのは朝倉の淡々とした声。わずかながら嘲笑じみた笑みも篭もっている。 「あたしがさっき古泉くんに涼宮さんのことを話しただけなの。彼はそれに興味を持っただけ。 どうしてそんなに警戒しているのかな?」 ぎくりと俺の心臓が破裂するほどにふくれあがり、全身に冷や汗が流れ出た。まずい、俺の疑心暗鬼が作り出した妄想に 大きなミスをやらかしてしまったのか? 「なーんてね♪」 そこで朝倉がぺろっと舌を出して、びっくりカメラでしたーと言わんばかりのおどけっぷりを見せた。 この野郎、からかいやがったな。 ここで古泉が朝倉をフォローするように、 「あなたのおっしゃるとおり、僕たちはちょっとあなたに話があります。それもそうそう信じてもらえるかどうかわからないような レベルの話でしてね。唐突に出会っていきなり言うのも戸惑いを増幅させるだけなので、今日はちょっとばかり挨拶をと」 「…………」 俺はいらだちを込めたうめきを上げる。古泉らしいと言えばそうだが。 こんな話をしている間に、すでに北高の校門に到着してしまった。話ながらだとハイキングコースも短く感じるな。 ここで古泉は手を振って、 「では僕は転入手続きなどで寄るところがありますので、ここで失礼させていただきます。さっきの話の続きはまた、 そうですね。今日の放課後にでもしましょう」 そう俺たちから離れていった。 朝倉はいつもの笑みを浮かべて、 「じゃあ、わたしたちは教室に行きましょう」 そう二人で自分のクラスへと足を向けた。 ◇◇◇◇ 「ようハルヒ」 「…………」 始業ぎりぎりに来たわけではないが、とっくに席について数十分状態に自分の席で気難しい顔つきで座っているハルヒに 声をかけてみるが、まるっきり無視されてしまった。 と、ハルヒの視線が微妙に朝倉に向けられていることに気が付く。 ハルヒは朝倉が自分の席に座ったタイミングで、はあっとため息を吐くと、 「朝っぱらから朝倉と二人で登校するとは随分堂々としているわね。あんた、あいつらの危険性を本気で認識しているわけ?」 「おい、教室でその話は――」 「大丈夫よ。ごまかしているから」 気にするなと手を振るハルヒ。なら、遠慮する必要もないんだな。 「朝倉から接触されたんだよ。超能力者と一緒にな」 「あんたの言う古泉――一樹だっけ? ついに転校してきたの?」 ああ、どうやら二人で何やらたくらんでいるみたいだがな。 ハルヒはキッと俺を睨みつけると、 「何か余計なこと言わなかったでしょうね? 今のところ、奴らに動きはみえないけどさ」 「挨拶されただけだよ。もちろん、お前絡みについて散々思わせぶりなことを言っているけどな。続きは放課後だそうだ。 たぶんお前さんについてだろうよ」 「ふーん、ってことはどうやら機関ってのが本格的に動きそうってことね。あんたの狙ったとおりに」 「さて、それはどうかな」 俺はかいまつんで、自分の時との違いを説明してやる。あの時は、長門→朝比奈さんと告白されて、 むしろ古泉は俺の方から問いつめたような展開だったからな。朝倉と一緒に来るなんて想定外も良いところだ。 「本当に大丈夫なわけ? どうも信用ならないのよね、あんたの言っていることは」 何今更なことを言いだしやがる。とはいえ、ここまで違ってくると不安になるのは俺も同じだ。 ………… いいや大丈夫だ。出会いが違っても、古泉は古泉だった。あのうさんくさいスマイルも周りくどい言い回しもあいつそのもの。 ならば、俺の世界と同じように古泉との関係を築けるのは不可能ではないはず。 俺は頭を振って仕切り直すと、 「とにかく、俺ができるのはアドバイスまでだぞ。これをどう生かすのかはお前がやることだ。 このままだと放課後に古泉から自分は超能力者だとカミングアウトされることになる。ついでに朝倉からも 自分は宇宙人だと言われる可能性もな。どう動くつもりだ? 向こうが動いた以上、こっちも様子見って訳には いかないんじゃないのか?」 それに対してハルヒは得意げな笑みを浮かべて腕を組むと、 「もちろん考えているわよ。向こうの動きを待つ必要はないわ。まず古泉一樹って奴をこっち側に引き入れて、 それをコネに機関って組織を乗っ取る。見れば、結構大きな組織に成長しているみたいだからね。 うまく扱えば、あたしの隠れ身として使えるかも」 おいまさか機関を自分のものにする気か? 関係ない人間を巻き込みたくないって言っていたのはどこへいっちまったんだよ。 「関係ない人間を巻き込んでリスクを増やすのは嫌なだけ。これだけ大きな組織になれば、使いようによっては ことをうまく進められるかも知れない。昼休みにこっちから仕掛けるわ。まずは古泉ってやつの身柄を確保する」 どうやらがぜん乗り気になってきたらしい。もっとも俺の世界とは違い、どうやらこのハルヒは機関を道具として 使うつもりのようだが。 俺はイマイチ釈然としないものの、それに同意して頷くことしかできなかった。 ◇◇◇◇ 俺は昼休み弁当も食わずに非常階段のところでハルヒを待っていた。二人で行くのも微妙だから、ハルヒがとっつかまえて ここに連れてくるんだそうだ。今頃、九組へ傍若無人に乗り込み、その辺の生徒を適当につかみ上げて、 転校生はどこかと聞き出した後、恐らく顔の良いあいつのことだろうからお弁当がらみで女子に囲まれているところに ダイブするかのごとく中心部に飛び込み、そのまま有無も言わさずにここまで引っ張ってくるだろう。 一気に九組の女子全員を敵に回したのは確実だろうな。いや、相手が相手だから野良犬にでもかまれたと思って諦めるか? 東中時代を知っている奴がいれば、飽きるまでの辛抱よ、ぐらいで済ますかも知れんが。 「ヘイ、お待ち!」 一人の男子生徒の袖をがっちりキープしたハルヒがやってきた。しかも、出前でも持ってきたような言葉まで言ってやがる。 全く力を自覚していても基本的な性格はかわらんね。 「一年九組に本日やってきた即怪しすぎて第1候補にしておけない男子生徒、その名も古泉一樹くん!」 朝に自己紹介なら済んでいるからもうしなくて良いぞ、ハルヒ。ただ、古泉はそんな俺の考えを無粋だと判断したのか、 改めて俺の方に握手の手をさしのべて来て、 「古泉一樹です。どうぞよろしく」 俺は自分の名を名乗りつつ、その握手に答える。 ハルヒは俺たちの手を遮るように割り込み、両手を上げて、 「あたし、涼宮ハルヒ! 古泉くんは知らないだろうけど、現在絶賛超能力者を募集中なのよ! で、その第1候補にあなたが選ばれたってわけ」 「んで、そんなこいつの偏執的妄想の確認のため、お――あんたはここに連れてこられたって訳だ。 済まないな、昼休み中だってのに」 「いえ、特に予定はありませんでしたし、転校生のせいかクラス中からの奇異の注目を浴び続けることに少々うんざりしつつ していましたので、ちょうど良い余興かと」 淡々と古泉はいつものインチキスマイルを浮かべ続ける。 しかし、ハルヒ。いきなり超能力者と決めつけて古泉に接触するなんてちょっとまずいんじゃないか? 少なくとも俺の世界の時は、怪しい転校生と決めつけてSOS団に入れさせようとしただけなんだが。 超能力が使えるんでしょ、的な熱烈視線をハルヒから浴びせられ、古泉は困ったなと頬をぽりぽり書いている。 実際に使えるのは事実だが、ハルヒにそれを教えるわけにも行かんだろうからな。ん、ということはこの時点で、 機関はハルヒが力の自覚ができていないと認識しているのは確実か。 ハルヒはあの泣く子も逃げ出す強力熱視線を向け続けていたが、古泉のニヤケ微笑みを崩すのはすぐには無理かと判断したようで 「ふん、黙っていれば疑惑が深まるばかりよ。絶対に化けの皮をはがしてやるわ。今日からあたしたちと一緒に行動してもらう。 その中で隙を見つけてみせるから!」 めっちゃくっちゃな言い分だが、これぞハルヒと言えるだろう。 古泉は困ったポーズをとり続けていたが、 「一緒に行動するのはいいんですが、具体的にどうすればいいのでしょうか?」 「とりあえず、登下校は必ずあたしと一緒にいなさい。昼休みもここで必ず集合。お弁当もここで取るわよ。 キョン、さっきからマヌケ面で聞いているけどあんたも一緒だからね」 うおいちょっと待て。これから俺のスクールデイズはハルヒ分100%かよ。ただでさえ、俺の後ろでむすーっと しているってのに、今度は唯一ハルヒからの解放時間である登下校と弁当タイムまで没収なんて残酷にもほどがある。 ああ、さらば谷口・国木田、お前たちとの平穏な弁当時間は、唐突だがハルヒによってボッシュートされちまったよ。 あと今日放課後の古泉・朝倉との密談も後回しだな。 そんなわけで俺・ハルヒ・古泉の奇妙な関係で結ばれたグループが誕生した。 ◇◇◇◇ その日の放課後、SOS団もないため全員帰宅部である俺たちは、終業のチャイムが鳴ったとたんに 一斉に学校から飛び出していく。もちろん古泉も一緒だ。 「部活なんてやっても無駄なんていわないけど、あたしにとっては必要ないものね。ここの学校の部活は普通のばっかりだし。 もっと超常現象研究会とかあるけどさ、他人がやったのとか写真とか集めているだけで自分で実戦しようとしないのよ。 そんな研究に何の意味があるのかと問いかけたいわね。やっぱり自分でやれるようになってこそおもしろいものじゃない」 「そうですね」 ハルヒは古泉をまくし立てるように話ながら、下校の下り坂を下りていく。俺はその後ろをコバンザメのようにくっついて歩く。 当の古泉はイエスマン状態になってはいはいと頷くばかりだ。ただたまには聞き返したりもする。 「涼宮さんは全ての部活に仮入部されたと伺いましたが」 「そうよ」 「何か良い部活はなかったのでしょうか? 僕のつたない耳のみの情報網でも涼宮さんは文武両道に 大変優れた方であると聞いていますので、どこの部でも快く受け入れてもらえると思いますよ」 そう、古泉が来るまでの一ヶ月間の間、俺はつじつまあわせになるかもしれないと考え、ハルヒに全ての部活への仮入部を させていた。俺の時とできるだけ同じようにしておきたかったというのが一番の理由だ。ハルヒの奴はツマランを連発して 文句ばっかり言っていたが。 「はっきり言って全然ダメね」 「ほう、その理由とは」 「ミステリー研究部はただの推理小説マニアの集まり、UFO研究会なんて新聞記事をスクラップしたのを 見てニヤニヤしているだけよ。実際に探しに行こうとも思わないんじゃ、活動自体が無意味ね」 「なるほど」 古泉はニコリと答えるだけ。 ハルヒはその後も一方的にべらべらとしゃべり続け、古泉はうんうんとうなずくだけの下校タイムとなった。 ◇◇◇◇ 「じゃあ、僕はここで」 「うん! じゃあ、また明日の朝ここでね! あ、何かあったら電話で連絡するから」 別れ際に早速明日の古泉の予定を乗っ取るハルヒだ。何というか、いつも見ていたとはいえ、改めてみると とんでもない傍若無人ぶりだな。今更だが。 古泉は特に問題ないという感じで、気色悪い笑みを浮かべると手を振りながら人混みの中へ消えていった。 ハルヒはその姿が見えなくなった時点で、ふんと偉そうに胸を張り、 「なっかなか、人間的にできている人みたいね、古泉くんって。話しやすいし」 どうみても一方的にお前が話すのを、うんうん頷いているだけにしか見えんが。お前にとってはこれ以上ないくらいに やりやすい相手かも知れないけどな。だからこそ、良心ストッパーの俺の存在が重要になるって構図だ。 まあそれはさておき。 「で、初接触の感想はそれだけか? これからのプランはあるんだろうな? 俺が後できるのはせいぜいお前と古泉の間に入って 微調整してやることぐらいだからな」 「わかっているわよ、そんなこと」 ハルヒはふふっとあくどい笑みを浮かべて、 「当面の目標は古泉くんをあたしの部下に仕立て上げた後、機関って組織の乗っ取り。これで行くわ」 どうやら目的がはっきりして楽しくなってきたんだろうか、ここ一ヶ月むすーっとしっぱなしだったのは打ってかわって、 俄然やる気になってきたようだ。 ん、待てよ? ひょっとして俺も明日の朝、ここでお前と待ち合わせなきゃなならんのか? 「あったり前でしょうが。発端はあんたなんだから、きちんと責任を持って付き合ってもらうわよ。遅れたら死刑!」 ハルヒの笑顔を見ていると、明日から始まるドタバタ非日常が頭の中に浮かんできて疲れが何だかましてくる気がするよ。 ……やれやれ。 ◇◇◇◇ 「遅い! 罰金!」 翌日、眠い目をこすって俺的登校予定時刻-30分(ハルヒ指定時刻)にやってきてみれば、ハルヒと古泉は すでに到着済みだった。ハルヒに至っては待ちくたびれたと言わんばかりに腕を組んで俺を睨みつけているときたもんだ。 ただ、久方聞いていなかった懐かしい言葉を言われて、ちょっとほっとしてしまう俺もどうかしていると思うがね。 「まだお前の言っていた時間にはなっていないぞ」 「あたしを待たせるなんて数十光年早いのよ。もっときっちり早く来なさいよね」 無茶苦茶な理論を並べるな。大体光年は時間じゃない。 そんな俺たちに古泉はただニヤニヤしているだけだった。 んで、俺たちはプンプンしながら歩くハルヒを先頭に、学校への道のりへと足を踏み出す。と、ここで隙を見つけたとばかりに 古泉が俺に急接近してきて、 「昨日はすみませんでした。まさか、初日の昼休みから涼宮さんに声をかけられるとは想定していなかったもので」 「放課後の話の件か。気にしてねえよ。ハルヒの思いつきはいつものことだからな」 「しかし、この分ではしばらく例の話はできそうにありません。こちらも時間を調整しますので、決まり次第あなたに連絡します」 「こら! 二人で何こそこそしゃべってんのよ!」 俺と古泉の密談に気が付いたのか、ハルヒがこっちにつばを飛ばして怒鳴ってきた。 ◇◇◇◇ 昼休みだ。 ハルヒは弁当とボードゲームを取り出し、 「昨日あんたと電話で話したときのものを用意してきたけど、本当にこれでいいわけ? 家の倉庫を引っかき回して、 オセロしか見つからなかったんだけど」 「ああ、それで十分だよ。あいつは思いの外ボードゲーム好きみたいだからな」 以前、ダイヤモンドゲームなんていう骨董品に含まれそうなほどのゲームで俺に対戦を挑んできたほどだ。 暇つぶしの方法としてはそれなりに気に入っているんだろうよ。 ハルヒの持ってきたのは、ボードは折りたためる小型のタイプで、磁石でくっつけるタイプだから狭い非常階段でも 問題なくできるだろう。さてさて、あとは古泉が素直に来ていることを祈るだけだが。 ずかずかと目的地に向かうハルヒに、俺も弁当を持って付いていこうとする。おっと、その前にメシの友だった 谷口と国木田に一声かけておいて―― だが、察しの良いことに二人はにやけたツラをこっちに向けて、国木田は手を振り、谷口は手を合わせてナームーとか ほざいてやがる。人をなんだと思っているんだ。 俺はそんな二人を無視して、とっとと非常階段へ向かった。 到着してみれば、すでに古泉は弁当を持ってスタンバイ状態だ。 「あれ、もう来ていたんだ」 「ええせっかく誘われたので、待たせるのも失礼かと思いまして。授業が終わり次第すぐこちらに」 「へえ、感心感心。ほらバカキョン、あんたも古泉くんの姿勢をきちんと見習いなさいよ」 んなこと言われても困る。 さて、ここからお弁当+お遊びタイム開始だ。本来なら文芸部室でしているようなことだが、SOS団がないんだから 仕方がないか。 ハルヒは古泉についてあーだこーだ聞き出そうとしている。やれ出身校は、誕生日は、趣味はなどなど。 まあ、初対面の人間が親しくなり始めてから聞くような内容だな。それを面倒くさがってマシンガンのように 質問攻めで聞き出そうとするのはハルヒの傍若無人ぶりがあってこそだし、それにネガティブな反応を見せず、 かわすところはかわして答えるところはさらっと答える古泉は、まあ確かに良いコンビかも知れない。 ……ただ、古泉のこの振る舞いは演技らしいが。 で、昼休み終了後、ハルヒは弁当とボードゲームを片づけずつ、 「古泉くん、弱すぎよ。本当にこれ好きだったわけ?」 「いつまで経っても強くならないのがあいつの特徴だ。俺の世界じゃ、お前じゃなくて俺の相手をしていたわけだから、 わざと負けている訳じゃないと思うが」 そんな俺の返答に、ハルヒはふーんと余り納得していない様子であった。 ◇◇◇◇ それから二週間、同じような日が繰り返された。 朝、古泉と一緒に登校し、昼休みは弁当喰ってボードゲームに興じ、下校も3人で返る。 たまにゲーセンとかによってUFOキャッチャーや太鼓のゲームに興じたりもした。休日はハルヒがいつもの駅前に 俺と古泉を呼び出して一日遊び倒して廻る。 ハルヒはことあるごとに超能力者であることを見破ってやるわと、古泉に勝負をけしかけていたが、 元々そんなものを持っていない古泉がそれを発揮することもなく、一度も勝利することなく全敗街道まっしぐらである。 とは言っても、ハルヒも古泉の超能力がどういうものだか知っているんだから、ただの演技に過ぎないが。 ただSOS団ではないとはいえ、俺は今の生活が多少マシになってきていると感じていた。 古泉・ハルヒとつるんで一緒に遊んでいることはそれなりに楽しくなってきていたし、まあ退屈になることもほとんどなくなった。 休日も、無駄遣いにならない程度に楽しめている現状だ。唯一の問題点と言えば、出費の大半が大半が俺の罰金おごりのおかげで 懐具合が寂しくなる一方ぐらいである。軽い問題ではないけどな。 あと、少しハルヒの様子が明るくなってきたのも感じている。古泉が来るまでの一ヶ月間のむすーっ状態はどこへやら、 ハルヒは毎日が楽しくて仕方ないようで、情報統合思念体の脅威をほったらかして、古泉と俺との遊びに時を忘れるほどに のめり込んでいるようだ。以前に聞かされた長門のパトロンの目的を聞いている以上、少々脳天気すぎやしないかと たまに不安にもなるが、逆に俺の言っているSOS団の存在――古泉のみでもハルヒは十分に楽しめると言うことが 立証できているようで、内心俺もほっとしている気分である。 しかし、当然ながらそんな日々はいつまでも続くわけがない。保留となっていた古泉・朝倉からの話とやらをされるときが ついにやってきたのだ。 いつものようにハルヒ・古泉と一緒に下校する際に、こっそりと古泉からくしゃくしゃに丸められた紙を手渡された。 古泉と別れた後にその内容を読んでみると、 【今日の午後七時に甲陽園駅前公園に来てください】 そう書かれていた。この内容は長門からもらったものに似ている。 もちろんこの内容はハルヒの目にも入っていて、 「……どうやら、向こうもぼちぼち動きを見せるのかしらね。あんたの世界だと、こういうイベントはあったの?」 「イベントって……まあいい。確かにこの時期に呼び出しは受けた。古泉にではなく、何度か言っているインターフェースの 長門からの呼び出しで、自分は宇宙人だと告白されたよ」 「なるほどね。キョンをあいつら側に引き込むって事か……」 あごに手を当てて思案顔になるハルヒだが、それはちょっと違うぞ。 「今回がどうかはわからんが、前の長門の告白は……そうだな、どちらかというと俺に対して警告がしたかったように思えた。 実際にその後に朝倉のおかげで、命の危機にさらされたからな。後は俺はハルヒにとって重要な人物になっていることも 伝えようとしていたようだし」 「あんたが重要な人物ねぇ……確かに、今のあんたはあたしにとって重要な情報源ではあるけど、 あんたの世界じゃあたしは力を無自覚だし、あんたは何でもない平凡な一般人。そんな重要だとは思えないわ。 自意識過剰なんじゃない?」 「知らねえよ。あの話しぶりじゃ、俺がSOS団を結成した――ようは、宇宙人・未来人・超能力者を集めるきっかけを 作ったかららしいけどな」 ハルヒはうさんくさそうな目で俺を見つめるばかりだった。 ◇◇◇◇ 夏が近くなったというのに、やたらと冷え込む夜に俺は指定された公園へとやってきた。 できるだけ、俺の世界の時と同じようにしておこうと思い――特に意味はないんだが――一旦家まで戻って 当時と同じ服装に自転車でここまでやって来ている。 公園に設置されている時計の針は六時五〇分をさしている。まだ古泉の姿はなかった。 ちなみにここで話した内容は即座にハルヒに報告するように手はずを整えている。ただし、録音やこっそりと携帯で 会話の内容を伝える案はハルヒによって即座に却下された。今日、俺がここに呼び出された理由について、 俺が知っているわけがないというのが機関、ひいては情報統合思念体の認識であるはず。事前に準備をしていたら、 怪しさ大爆発で即刻ボロが出るだけだと。事実確かにそうだろうな。あの時はかなり適当――というか理解できなかったが、 今回はできるだけ話の内容を理解して、憶えなければならない。かといって興味津々全開で質問しまくるのも却下だ。 凡人一般人の俺があの電波話を聞かされたときに取るべき態度というのは、理解できん知らんが正しいのだから。 こいつは難題だぞ。いかん、何かテスト前みたいな緊張感に身が震えてきた。 「あら、早いのね」 突如かけられた言葉に、俺は驚いて身を震わせてしまった。いきなり失敗だ。何をそんなに緊張しているんだと突っ込まれたら どうする。落ち着け落ち着け…… 俺は平静さを保つふりを心がけつつ、声の主の方へ振り返った。見れば、古泉・朝倉コンビが北高の制服のまま、 それぞれの笑みを浮かべてこちらに手を振ってきている。 さて……ここからが本番だ。 「まいっちゃった。まさか涼宮さんが一直線に彼の元にたどり着くとは思っていなかったから。 何か感じるものがあったのかしらね?」 一瞬、知るかとか返しそうになったがすんでのところで喉の奥に引っ込める。ハルヒのことを何も知らないのに、 その反応はないだろうからな。だから、こう返す。 「……何の話だ?」 俺の反応に朝倉は一瞬きょとんとすると、ああそうかとポンと手を叩き、 「そうね。最初から話さないとわからないか。ちょっと長い話になるんだけど、結構冷えてきたからわたしの家で話さない? あなたはどう?」 「僕としては、円滑に話を進められればどこでも問題ありません」 淡々とその提案を受け入れる古泉。 朝倉の家か……あの時思ったのとは別の意味で、「マジかよ」だな。壁という壁にナイフコレクションでも 飾ってあったりしないだろうな? 俺はうろたえつつも狼狽しないように心がけていたつもりだが、それを緊張と受け取ったらしい朝倉はにこやかな笑みで 「そんなに緊張しなくても良いよ。罠とか仕掛けている訳じゃないし、取って食べたりしないから」 お前に言われると洒落になってねえよ、マジで。 とは言っても、ここでべらべらとしゃべるわけにもいかんだろうから朝倉の提案に乗って、マンションへ向かうことにする。 そろそろ本格的に冷えてきたしな。 たどり着いた先は、あの長門も住んでいるマンションの505号室。朝倉の部屋だ。 「遠慮なく入って。気にすることはないから」 そう朝倉は自室に俺たちを招き入れる。俺は古泉と一旦顔を見合わせるが、大丈夫ですよと言ってずかずかと上がっていく 古泉の後に続いて、玄関から部屋の中に入った。 部屋の構造自体は長門のものと一緒だったが、あの殺風景で何もないリビングとは違い、テレビやタンス、戸棚など ごくごくありふれた内装になっている。部屋の真ん中には冬にはこたつに変身するだろうテーブルが置かれていた。 俺と古泉はあらかじめ準備されていたようにテーブルのそばに置かれていた座布団の上に座る。 「ちょっと待っててね。せっかくのお客さんだから、茶菓子だけっていうのも殺風景だし、夕食もまだでしょ? 簡単なものを作るわ」 いつの間にやらエプロンを身につけた朝倉が、髪の毛を整えるようにばさっとそれを振り上げ、台所で料理作業を始める。 何というか、本当に生活感あふれるその姿に、俺は一瞬感心と好意じみた感情を持ってしまうが、即刻頭からそれを振い落とした。 あいつは二度も俺を殺そうとした危険人物だぞ、あっさり篭絡されてどうする俺。 「いいですね、朝倉さん。器量よし、気配りよし、性格よし、おまけに才色兼備。付き合うなら彼女のような人物が 理想的だと思いますよ」 「……そう……かもな。俺の友人がAAランク+を付けていたよ」 谷口のランク付けを持ち出して、できるだけ俺の感情を出さないように心がけた。 ところが、これに古泉はどんな曲解解釈を行ったのか、 「おっと失礼しました。あなたにはすでに涼宮さんがいましたか。別に浮気の勧めではありませんので、 気を悪くしたのであれば謝りますよ」 何でそこでハルヒの名前が出てくるんだ。あのな、俺とハルヒは何でもないんだよ。元の世界ではSOS団団長と雑用係であって ここではただの協力者だ。そもそも恋愛感情自体をハルヒは否定しているんだから、そんな関係になるはずもない。 例え――絶対にあり得ない話だが、俺がハルヒにストレートな恋愛感情を持ったとしても、けっ飛ばされて終わるだけさ。 ――と言ってやりたいんだが、そうもいかん。仕方なく、 「どいつもこいつも勘違いしているようだが、俺はハルヒに引っ張り回されているだけであって、 別に男女の付き合いとかそんな関係じゃない。朝倉は確かに……まあいいやつかもしれないが、あいにく今はそういう気分じゃ ないんでね。ハルヒともどもお前に譲っておくよ」 「何の話?」 気が付けば、湯気が立ち上る鍋を持つ朝倉の姿が。その中からは醤油風味の良い香りが漂ってきた。 もう作ったのか? さすが宇宙人と言えばいいのか。 濡れたタオルをテーブルに敷き、その上に置かれた鍋の中には厚切り大根やはんぺん、こんにゃく――おでんが浮かんでいる。 「あまり待たせるのも問題だから、あり合わせで作ってみたの。食べてみて」 そう俺たちの前に皿と箸を並べ始める。 朝倉の手料理。ナイフやカッターの刃でも仕込んでありそうで、口にもしていないのに口内に鉄の味がじんわりと広がった。 そんな俺の気持ちなんて全く気づかずに、古泉はいつもの笑顔でごちそうになりますと言って、箸を進め始める。 「あなたも遠慮せずに食べちゃって良いわよ」 そう言って朝倉も自分の料理に手を付け始めた。毒は……入っていなさそうだな。いやまあ、朝倉の宇宙人的変態パワーなら 俺を殺すのにそんな回りくどいことはせずに、血管に直接毒を注入してくるだろうが。 俺は一応の礼儀のつもりで軽く頭を下げ、無言のまま箸を取りおでんを口に運ぶ。 「…………」 何だろうか。きっと感涙して津波が俺の背後から迫ってくるような旨さなんだろうが、あいにく朝倉に対する警戒心からか 味わうことに全く集中できず、まるでインフルエンザに冒された舌で物を食べている感覚だ。 しばらく3人とも黙ったまま箸を進める。俺もようやく雰囲気に慣れてきて、味も認識できるようになってきた。 うん、素直にうまいと言っておこう。 だが、このままただ朝倉料理の試食会を続けているわけにも行かない。 鍋の中身が半分になったぐらいで、俺は一旦箸を置いて、 「で、俺に用事ってのは何なんだ? メシを食べさせてくれるのは嬉しいが、それだけなら全部喰ったら とっとと帰らせてもらうぞ。俺も暇じゃないからな」 俺の言葉に、古泉と朝倉は顔を見合わせると二人とも箸を置いた。どうやら余興は終わりのようだな。 さて、どう来る? 最初に口を開いたのは朝倉だった。正座したまま、てを膝の上に置き優雅に語り始める。 「ねえ、涼宮さんのこと、どう思っている?」 「またハルヒのことか。さっき古泉にも言ったが俺とハルヒは――」 「そうじゃなくて」 凛とした朝倉の声。それは冷たくとがり俺の口を止めるには十分すぎる圧力を感じた。 そして、次に朝倉は核心について語り始める。俺が以前に長門にされた話だ…… 「涼宮さんは普通じゃない。そして、わたしも彼も」 ――朝倉涼子の正体と目的。つまり情報統合思念体の対有機生命体コンタクト用インターフェースであり、ハルヒの観察。 ――情報統合思念体の存在とその説明。 ――この地球に現れた正体不明の情報フレア、涼宮ハルヒ。 ――そのハルヒには、情報統合思念体の自律進化の可能性があること。 ――そして、最初の情報爆発以降この3年間何も動きを見せなかったハルヒに、強い影響を与える人物が現れた。俺のことだ。 俺はぼんやりと長門から初めて聞かされたトンデモ話に重ねてその話を聞いていた。あの時は全く理解できず、 また受け入れるつもりもなかったっけな。 一通り朝倉が説明を終えるのを見計らって、俺は古泉を指差し、 「こいつも同じだって言うのか?」 「それは違います……」 続いて古泉が自分が超能力者であることを語り始めた。 ――自分は機関に所属している超能力者であること。 ――三年前突然超能力を持ったことを自覚し、同時にその役割を知らされたこと。 ――今、自分たちのいる世界は三年前にハルヒが作り出した物かも知れない。 ――機関はハルヒを神のようなものとして考えている。 ――そのため機関上層部は神の不興をかうことなく、ハルヒが平穏無事に過ごして欲しいと願っている。 ――自分の超能力は特定の条件下でしか発動しない。 ――ハルヒのストレスが最高潮に達したとき、現実から隔絶された閉鎖空間を作る。 ――その中で神人と機関が呼んでいる巨人が暴れるため、それを狩る能力をハルヒから与えられた。 ――ここしばらくは閉鎖空間も発生せず世界は落ち着いている。 ざっと話されたのはこんな感じだ。古泉から超能力者をカミングアウトされたときと実際に閉鎖空間に招き入れられたときに 話したことと同じだな。わかりにくいたとえ話はなかったが。 二人が話し終える頃には、熱々だったおでんも冷たくなりつつあった。俺はただそれを黙ったまま聞いていただけである。 一度聞いたことのある話だったから復習みたいなもんだったからな。呆れや衝撃よりも、そういやそうだったっけぐらいの なつかし話を聞かされた感覚だ。 しかし、この余裕の反応がちとまずかったらしい。二人は呆然と俺を見つめている。やばい。俺を凡人だと認識している以上、 もっとオーバーなリアクションを取った方が良かったか? 「驚きましたね。突然こんな話をしたというのに、あなたは全く驚いている様子がありません」 「ホント。もっと唖然とした態度を取るかと思っていたのに。ひょっとして――」 朝倉はすっと目を細め、こちらを勘ぐる口調で、 「もう知っていたとか?」 ぎくり。俺の心臓が飛び出るほどに激しく鼓動した。まずい……これはまずい…… だが、今までの超常現象遭遇体験のおかげか、自然と口が開いた。 「……俺がそんなヨタ話を信じているように見えるか?」 自分でも驚くほどにけだるい声を上げていた。全力全開で呆れているぞ、俺はとアピールするには十分すぎるほど。 これに朝倉はニコリとちょっと困り気味の表情を浮かべて、 「だよねー。いきなりこんな話をされても困っちゃうわよね」 「ですが、今僕たちの話したことは紛れもない事実です。あなたが信じようと信じまいとその現実は変わりません」 珍しく真顔の古泉に、俺はやれやれと嘆息する。演技・本気、半々で。 さあ、ここからは俺のターンだな。聞きたいことは山ほどあるんだが、あいにく初めて聞かされた馬鹿話を 俺は余り信じていないフリをしなければならない。それをコミで聞くことは…… 「とりあえずだ。おまえらの真剣ぶりはよくわかったよ。それを考慮して今の話を信じるかどうかは 家に帰ってのんびり風呂に入りながらでも考えておいてやる。でだ、今から話すのは信じたからではなく、 どちらかというと興味本位でエンターテイメント的に受け入れた上での質問だ」 我ながらよくわからん前置きをしつつ、続ける。 まず確認しておきたいことが一つ。 「何で俺にそんな話をしたんだ? 俺はどこにでもいるような平凡な一般人だ。そんな話をされても正直言って困る。 だが、言った以上何らかの目的があるってことになるんだが」 「つまりですね、あなたは涼宮さんに誰よりも近い位置にいるということです。 そのため、僕たちの協力者になって欲しいんですよ。機関が望んでいる涼宮さんの安定に貢献していただきたいと」 そう古泉が答えた。朝倉も同意するように頷く。 てか、朝倉は頷くはずがないんだがな。平穏どころか俺をぶっ殺してハルヒの動揺を誘おうとしたんだからむしろ逆だろ。 そう突っ込みたくなるが、とりあえず言えるわけもないので腹の中に飲み込むしかない。 「ようは俺にお前らの仲間になれと?」 「そういうこと。あと涼宮さんの情報も逐一提供して欲しいわね」 朝倉の言葉に、俺は腕を組んで考えるフリをする。やれやれ、以前はただのカミングアウトに過ぎなかったが、 この世界ではちと状況が違うようだ。俺が機関、あるいはインターフェースの手先になれってことだからな。 だが、こんな話をあっさりと飲むわけにも行かん。ハルヒと相談する必要もあるからな。 「わかった。風呂の中でお前らの話を信じられたら、検討しておく」 この話はここまでだ。これ以上聞いておく必要はないからな。ここらでおいとまする頃合いだろう……ボロを出す前にな。 ………… ………… ……いや、一つだけ聞いておきたいことがある。さっきの話の中に欠けている物があったからな。 しかし、聞くべきか? 信じていない奴が聞くことなのか…… しばらく悩んだが、結局俺は聞くことにした。これは俺の命に関わることだからな。 「情報統合思念体と機関、その中はきちんと思惑は一致しているんだろうな? 実は反乱勢力があって、 そいつらがいきなり襲ってきたりするのは勘弁だぞ」 「……痛いところをつかれましたね」 古泉は鋭い目を俺に向けた。朝倉も笑みを隠し、真剣な表情に移行している。 「実のところ、機関の思惑は一致していません。大半が先ほど伝えましたとおり、涼宮さんの安定を願っていますが、 中には涼宮さんの力に注目し、それを利用したり負荷を与えてどういった行動を取るのか知ろうとしている強硬派もいます。 もちろん、機関内部でそう言う人たちは少数派であり、多数派によって厳しく監視していますので 即座に何かをしでかすと言うことはありませんが、彼らがあなたに何かの危害を加える可能性はゼロではありません」 「あら、あなた達も一緒なんだ。わたしたち情報統合思念体も一枚岩ではないわ。主流派は大人しく涼宮さんが変化を起こすのを 見ているけど、中にはわざと問題を起こして強制的に涼宮さんに変革を起こそうとする急進派もいる」 二人の説明に、俺はため息を吐く。ようは俺の世界と同じって事だ。つまりこの先俺は命を狙われる可能性がある。 ハルヒの付随物としてめでたく俺も認定されてしまったわけだ。 だが、古泉と朝倉はまた笑みを浮かべると、 「ご安心下さい。機関は24時間態勢であなたと涼宮さんの安全を確保しています。強硬派の好きにはさせません」 「あたしたちも同じよ。急進派の動きはわたしたちの方で食い止めるから気にしなくて良いわ」 そう言うわけにも行かないがな。特に、朝倉の発言と行動には大きな矛盾があるわけだし。 おっともう一つ聞くことがあった。これはなにげに重要なことだ。 「機関と情報統合思念体の主流派ってのは、きちんと思惑は一致しているのか? そこにも齟齬があるとか言うと 話がややこしくなってくるんだが」 俺の指摘に、二人は顔を合わせて意思の疎通を図り始めた。そして、古泉が口を開く。 「それも残念ですが、完璧にとはいきません。目的が似ているから、暗黙の協力関係が成り立っているだけです。 状況によってはこの先どうなるか、それは涼宮さん次第ですね」 ◇◇◇◇ 俺は夕飯のごちそうを終えると、そそくさと朝倉のマンションから立ち去った。自分の秘密を悟られることなく、 相手からできるだけ情報を引き出す。その重圧による疲労のせいか、俺の足はとんでもなく重くなり、自転車のペダルも まるで後部の荷台に力士でも乗せているかのような重みを持っていた。 宇宙人と超能力者が同時に俺に接触して、そして正体と目的を明かす。しかも、片方は嘘をついている可能性が高い。 俺の世界の時とは明らかに異なっている。未来人がいないことやハルヒの力の自覚の時点でいろいろ根本から異なっているんだから そう言った違いが出てくるのは当然の話とも言えるが、ならばそれによってこれから起きることの何が異なってくる? 朝倉の言っていることが嘘ではないのなら、次に待ち受けているはずの朝倉襲撃イベントはなくなるはずだ。 それがなくなれば、次にあったのは――ええと、古泉との閉鎖空間ツアーか。それがあるかどうかはハルヒ次第だな。 ここのハルヒは意図的に閉鎖空間を作ってストレス解消に暴れているわけだし。その次はハルヒが世界に絶望して 改変してしまおうとすることになるが、これは絶対にあり得ないと言って良い。力を自覚している以上、そんなことを やれるような奴じゃない。あれは無自覚だからこそできる芸当だろう。 そうなるとその後の野球大会やら七夕になるが、今から考えて結構時間が空く。そこまで本当に何も起きずにいるのか? イベント発生率が最大だったこの期間に何も起きないというのは正直想像しがたい。 ならば言えることは一つ。今後起きることは予測不可能と言うことだ。明日何か起きるかも知れないし、 ひょっとしたらこのまま情報統合思念体はハルヒの力の自覚を悟ることもなく、平穏無事に事が進むかも知れない。 「遅かったわね」 考え事に没頭していたせいか、気が付けば自宅前までたどり着いていた俺を自宅の玄関先で待ち受けていたのはハルヒだった。 寒いせいか、私服に薄めのコートを羽織ってずっと待ってたわよと言いたげな顔つきで立っている。 「なによ。人がこの寒い仲間っていたのに、朝倉の家でのんきにご飯までごちそうになっていたわけ? 本当に状況を理解してる?」 そう俺を睨みつけてきた。何でメシを食っていたってわかるんだよ。まさか超パワーでのぞき見していたんじゃないだろうな? 「あんたの口からぷんぷんおでんの臭いがしているのに、いちいちそんなことするなんて労力の無駄よ無駄」 確かに俺の全身からはおでんの臭いがプンプンだ。これじゃ気が付かれて当然か。 ハルヒは、歩きながら話しましょ、と言って歩き始める。俺は仕方なく自転車から降りて、手押し状態でその後を追った。 「今は機関の目を捲いているし、情報統合思念体の監視もごまかしているわ。気にせず、何を見てきたのか教えて」 俺はハルヒに宇宙人・超能力者についてカミングアウトされたことについて適当に話す。すでに知っていることだったのか、 最初は大して興味を示さなかったハルヒだったが、情報統合思念体と機関も一枚岩ではなく、ハルヒに対して強硬姿勢を見せる 連中もいることを話すとやや顔色を変えた。 「やっぱり……そう言うことを考えている連中も今回もいるって訳か」 ハルヒは立ち止まり、すっと空を見上げた。その目はどことなく悲しげで――寂しげでもある。 そして、続ける。 「今まで何度もどうすればいいのか試行錯誤を繰り返してきた中で、必ずそう言う連中があたしにちょっかいを出してきた。 その結果、あたしが力を自覚していることが見破られ、最後はリセットをかけることしかできなくなる。 正直言って、あんたの存在を見つける前はうんざり気味だったわ」 「…………」 俺は何も答えられない。 「あんたを連れてきて、その話を聞いたとき最初は疑問だった。だけど、この二週間久しぶりに何もかも忘れて 楽しめた気がするのよ。今までずっと――どこか情報統合思念体におびえて隠れていないとならなかったから。 だからあんたや古泉くんと遊びまくっているとそんなこと全部忘れられた。あたしは今の状況が続いて欲しいと思っている。 古泉くんもいい人だしね。そして、あたしがそんな脳天気な状態でも誰もちょっかいを出しても来なかった」 ハルヒはここまで言うと、俺の方に振り返りふふっと笑みを浮かべて、 「あんたの言うとおり、超能力者の作ったのは間違いじゃなかったかもね。機関ってのがあたしを監視しつつも、 手を出してくる脅威を旨くさばいているのかもしれない。情報統合思念体も意図はわからないけど、静観している。 こんな状態は初めてよ。ありがとう、あんたのおかげで久しぶりにちょっと希望が持てるようになったわ。 あ、でも乗っ取る野望は捨てた訳じゃないわよ? どうせなら完全にあたしの手中に収めた方がいいしね」 俺はその屈託のない笑みに俺は思わず目を背ける。いや、やましいことはないんだがなんつーかこっぱずかしい。 だが、俺の言っていることを信じてもらえたのは、素直に喜んでおくか。俺の世界がそんなに簡単にぶっ壊れないと言うことを ハルヒが一部とは言え認めたも同然だからな。 ハルヒは俺の方を振り向いたまま離れ、 「そろそろ遅くなってきたから帰るわ。じゃあ……また明日、いつもの場所で古泉くんと一緒に」 そう言ってハルヒは小走りに家路についた。 そうか。ハルヒもこの世界がうまくいきつつあることを自覚しているんだな。それにしても、このハルヒは今まで どのくらい苦難の道を歩んできたんだろうか。ずっと一人で情報統合思念体と戦い、その干渉から逃れようと もがき続けていたのか? それがどのくらいの重圧なのか、俺には想像すら付かない。 まあ、どのみち今の状況が続けば、俺の仕事も思ったより楽に終わりそうだ。とっとと終わらせて あのSOS団団長涼宮ハルヒの元に帰らないと、罰金額が増加の一途をたどりそうだしな。 ……しかし、甘かった。 ◇◇◇◇ 翌日の朝もここ二週間と何も変わらなかった。朝、ハルヒ・古泉と一緒に登校して、授業を受ける。 しかし、昼休み前に状況が一変する。 教室中に広がる悲鳴。そして、それをかき消すヘリコプターから発せられるもの凄い轟音と暴風に窓が激しく軋んだ。 「……なによなになに!?」 ハルヒが飛び上がって、窓から離れた。俺も抜ける腰を必死に支えて、逃げるように窓から離れた。 なんせ、俺たちの教室の窓に張り付くようにあの――戦争映画かなにかで出てきそうな戦闘ヘリがこちらを睨んでいるんだから。 そして、やがてその機体前面下部に付けられている回転式の機関銃みたいなものが火を噴く―― ~~涼宮ハルヒの軌跡 機関の決断(後編)へ~~
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さて紹介しよう。 新・長門有希である。 どこら辺が新しいのかは俺にも良くわからない。俺の隣にいる古泉も良くわかっていないようだ。 時に長門よ、自分ではどこら辺が変わったと思う? 「・・・脳の各所でいくつかの変化が発生している。それ以外は不明。ただ・・・」 「ただ?」 「性格、趣向等が確実に変化している可能性がある。残念ながら自分では観測できない」 つまり、お前が朝比奈さんみたいな愛らしくちょっとおっちょこちょいな未来人のようになったり、ハルヒみたいな迷惑極まりない 核融合ロケット女のようになったりしてる、ってことか? 「それはない」 長門はやんわりと否定し 「しかしながら、二人が持っている性格が確実に私に影響を及ぼしている」 いつにもましておしゃべりな長門はさらに言葉を紡ぎ 「これはある種の『自立進化』ともいえる。情報統合思念体にとってはある意味喜ばしきこと。 私にとって喜ばしきものかはまだ不明。これから精査が必要だと思う。まぁ、たいした問題では無いと思うけど」 そうかい。長門がもうちょっと外向的な性格になるんなら、それはそれで良いかも知れないな。 「そうかもしれない。それより」 なんだ。 「おなかの中身までは分離時持っていくことが出来なかった。かなりおなかが空いた。ちょっと食堂に行ってパン買ってくる」 来る?と言って長門は俺と古泉を見たが、ついてこないと判断したのかそそくさとドアを開けて行ってしまった。 取り残された俺と古泉、頭をねじ切らんばかりの勢いで捻る。 「長門の言動が変わった?」 「そのようです。まぁ、もうちょっと観察しないとなんともいえませんが。それより・・・」 そうだ、みるひ(仮)はどうなったんだ・・・っておい。 何だこいつは。 「長門さんが抜けたことで、涼宮さんと朝比奈さんが残りました。このみるひ(仮)さんは二人の融合体と見るべきでしょう」 そりゃそうだよな。 「にしてもまぁ・・・二人が融合したらこんな風になるんだな」 先ほど怪しい光を放ちながらモゴモゴ蠢く物体Xと化していたみるひ(仮)だが、現在は落ち着いて普通の人間もとい超絶美少女に変化していた。 黄色いカチューシャをつけたセミロングな栗色の髪に、愛らしい小さな口。そして巨乳。 ああ神様、どうか彼女には朝比奈さん譲りの優しく、ちょっとおっちょこちょいな性格をお与え下さい――! 「ほれはにゃいとおもふ」 ? 「長門さん、お帰りなさい」 「たふぁいま」 部室の戸口を見ると、長門が帰ってきていた。早いな。 アンパンを口にくわえ、ただの茶色い塊と化している袋詰めにされた大量のパンを抱えながら。 「どうしたんだそれ」 長門は食っていたあんぱんを小さい口に一気に詰め込み、ろくに噛まずに飲み込んで―――って! パンをのどに詰まらせて悶絶していた。 あの長門が、である。 「おい、水だ水!」 あわてて古泉はペットボトルの水を長門に投げてよこす。 見事に空中キャッチし、急いでふたを開けて苦しそうにグビグビと飲む姿は全然長門らしくない。 つーか、長門におっちょこちょい属性は無かったはずだ。 「・・・っはぁ・・・。古泉君、ありがとう。このパン?購買が閉店時間で見切りセールをやってたから大量に買ってきた」 食えんのか。見た感じ2、3キロありそうなんだが。 「私にとってこれくらいは朝飯前」 「ちゃんと栄養のバランス考えろよ」 「わかってる。心配ない。それより」 何だ。自分に変化が起こってるのやっと判ったか? 「いや。普通どおりだけど。そうじゃなく、キョン。あなたがさっき彼女に対して言ってたこと」 はて。優しくちょっとおっちょこちょいな性格でありますように、っていう祈りがどうかしたか? 「二人は完全に融合している。そんな都合のいい性格になるわけが無い」 ふん、とでも言いたげな表情の長門は 「主体涼宮ハルヒちょっと朝比奈みくる、な性格になるかと思われる。不満?」 さらにぶー、と一瞬口を膨らませ 「それに、さっきからあなたと古泉君の様子がおかしい。なんで半笑い?」 半笑いどころで済んでいたか。てっきり完全なるニヤケ顔になってるかと思ってたんだが。 てか、お前、自分がめちゃくちゃ変化してるのに気がついて無い? 「私はいたって普通のつもり」 「そうですか。これはこれは・・・以前の長門さんをビデオに録っておくべきでしたね」 「同感だ」 怪訝な顔をしながら首をかしげる長門。 「・・・すまない。以前の私はどんな風だったか、具体的に教えて」 俺と古泉はあらん限りの「以前の長門像」を叩き込んだ。 無口で内向的で、いつも本ばかり読んでる宇宙人。 だけど必ず困ったときは助けてくれる宇宙人。 迷惑ばかりかけてた俺とハルヒと朝比奈さんと古泉。 しかしながら、うんうんとか言いながらも、今にもはてなマークが頭上に飛び出しそうな顔となっている長門。 「どうやらお前が覚えてる記憶と、俺たちが覚えてる記憶とでは大分違うようだな」 「大まかなアウトラインは同じの様だけれど」 「・・・ともかく、感謝してる」 「たしかに・・・私はあなたたちを助けてきた」 長門は言葉を紡ぎだした。 「だけど、殆どが私のミスで起こるか、最初から不可避のものだった。だから、お礼なんていい。でも・・・」 長門は頬を赤らめ、ばつが悪そうに頭をかき 「こう面と向かって言われると、ちょっと照れちゃうな・・・」 俺はお前に惚れたぞおおおおおおおおおっ!!!長門おおおおおおぉぉぉ!!!! とは口が裂けてもいえない俺。 「しかし、そんなキャラだったのか私は」 「ええ。覚えていませんか?」 「恐らく私の記憶中枢、・・・もしくは、私を定義付けている基底現実内の情報まで書き換わっているのかもしれない。確認をとる。少し待って」 長門はかくん、と首をもたげて宇宙的な何かと交信を開始した・・・かと思ったら、すぐに元に戻り、部室のドアを開けた。 「こんにちは」 喜緑さん、お久しぶりです。 「お久しぶりです。長門さんからの呼び出しで来たんですが・・・?」 「私の様子、何処かおかしいか精査してもらうために呼び出した。何処か変?」 明らかに困惑している喜緑さん。 何やら小声で俺に 「あの・・・長門さん・・・ですよね?」 と怪訝そうな顔で聞いてきたが、多分そうですとしか答えるほか無く、さらに 「おかしなところは無い。そんなに私が不満?」 と、ぶーと頬を膨らませる長門を見て抱腹絶倒の装いを呈し始め、ついに 「これは・・・っ・・・流石に・・・ないです。ないですぅ!ないですぅぅぅ!!」 と笑い転げ回りだした喜緑さん。大丈夫か?って俺も大爆笑しかけてるわけだけどさ。 「そんなに変?」 ああ。変だ。俺は萌えまくりで嬉しいがね。 「僕の恋敵が増えたようですね」 黙ってろガチホモ。 「そう。そこまで変だとキョンが言うのであれば、情報統合思念体内にある私の構成情報を上書き初期化するけれど」 「無駄無駄無駄ァですぅ・・・!!ひぇっひぇっっひっく」 横隔膜痙攣を起こしシャックリまで出すほど笑いまくる喜緑さんは 「・・・っ!既に長門さんのバックアップを含めた構成情報はあっ、、完全に今のっ長門さんのっ・・・ひぇっ!データを元としたものと置き換わってるんですぅ」 どういうことですか。 ・・・と無駄なようだ。喜緑さんは笑いすぎて呼吸もままならなくなってる。そのうち笑い死ぬんじゃないか? この神様的宇宙人に死というものがあるのかは不明だが。 「恐らくです」 出たな解説員古泉。 「長門さんははじめからそういうキャラクターであった、という風にこの時間平面上の情報が書き換えられているのでしょう」 判らんぞ、もっと平たく言え。 「涼門みるきさんですが、彼女もまた同じように時間平面上の情報・・・主に来歴ですが・・・が完全に書き換わっていたはずです。涼宮さん、朝比奈さん、そして以前の長門さんとは似ても似つかないような来歴に」 そういや雨乞いしたり、ハゲの頭にオリーブオイルを塗りたくったなんて話は未だかつて聞いたことが無かったな。 「この長門さんにも同じことが言えます」 ・・・そうだな。よく考えればそうだ。 「だがな、喜緑さんはともかくなぜ俺とお前は元のハルヒも朝比奈さんも、長門のことも知っているんだ。書き換わるなら俺たちが覚えてるようなことも全部書き換わらないとおかしいだろ」 「それもそうですね。ですがあなたは既に同じようなことを経験している筈です」 とスマイル青年。 「・・・あれか」 長門が世界を作り変えちまい、俺以外の奴らが皆それぞれ別の人生を植え付けられて生活することになっちまった、あの12月18日。 「長門さんに必要とされていたから、貴方だけ時間平面の改変の影響を殆ど受けなかった。今回も、貴方がキーとして必要とされたから、時間平面の改定の影響を殆ど受けなかった」 「おい、今回に限ってはお前もだろう」 「たぶんそれはですね」 古泉は髪をガッと大げさに掻き揚げるしぐさをして 「貴方と僕は運命共同体だからですよっ!」 そうほざいた。 ・・・そろそろ肉塊に変えとくべきだろうか、なあ長門。 長門? 「私がキョンを必要として・・・確かにそうだけれど・・・必要・・・私にとって・・・キョン・・・キョン・・・」 頬どころか耳まで赤くなってやがるぞ、長門。 ああもう萌えるなぁ。 そうそう、長門以外にも別の萌えるべき存在が居たんだっけか。 俺の背後に。 どうやら覚醒モードに入ったようで、ふるふると体を震わせ静かなる唸りを上げていたかと思ったら 某巨神兵よろしく不気味なほどゆっくりと目を見開いた。 「ちょっとうるさいんですけど・・・あれ、ってここ何処?なんであたしここにいるんですかぁ?お腹が空きましたぁ、キョン」 やれやれ、また良く判らんのが出来ちまったようだ。 前 次
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遅刻ぎりぎりで門をくぐった俺は、玄関で靴を履き替え駆け出した。 しかし、靴箱に例の朝比奈さん(大)からの指示文書が入ってなくてよかったなと思う。 読む時間など、今の俺には皆無だからだ。いや、もしかしたら時間など忘れて読んでしまうかもしれんが。 人影も無く、教室からの談笑が聞こえるのみの物寂しい廊下を駆け抜け、一路教室を目指す。 なんてことはない。すぐに到着してしまった。 戸をガラガラーっと開けると、岡部教諭が来たのかと勘違いした奴の目線がこちらに向かってきたが、すぐに元に戻った。 こういうのって気まずいよなー・・・となんとなく思いつつ、ぽっかり空いている俺の定位置に腰掛けた。 と同時に、後ろから奴の声がする。そいつは頬杖をつきながら外を見つめ、横目でこちらを見ながら、 「遅かったわね。あんたが遅刻なんて珍しいじゃない」 と話かけてきた。まぁ分かるとは思うが、涼宮ハルヒだ。 態度でも分かるが、声のトーンが少し低いからして、あまり機嫌は良くないらしい。 「寝坊しちまったんだよ。高校入学以来初だ」 わざわざ振り向いて言葉を返してやったというのに、ハルヒはちっともこちらを向こうとしない。 「どうした、ハルヒ。窓の外に怪しい人物でも発見したのか?」 「別に。ただ、あのあたりであんたがニヤケ面のまま歩いてきてたな・・・って思っただけ」 ・・・ちょっとまて。俺はそんな顔してたのか?全く自覚が無いが。 「自覚してないわけ?ま、みくるちゃんの新コスプレを考えてたときほどじゃないけどね」 バニー、メイドと来たら・・・っていろいろと考えてたんだよな。 結局その後初めて着たコスプレは何だったかな・・・凄く似合ってたんだが・・・えーと・・・、 「・・・・ニヤケ面」 「お前が朝比奈さんの話を出すからだろうが」 朝比奈さんの姿を思い浮かべて微笑むことのない男子など、この世にはいないと思うぞ。ホモ以外でな。 「まぁいいわ。それより、あんたと一緒にいたのって昨日部室に来てた子じゃないの?」 あぁ。お前の話を(唯一)熱心に聞いてた子だよ。 「やる気があるのは結構なことだけど、なんとなく不思議さが足りない気がするのよね・・・」 「俺は不思議でもなんでもないだろうが」 不思議的存在でないのは俺だけだ。SOS団の構成員の中で唯一の普遍的存在が俺なんだよ。 「あんたは雑用係なんだから関係ないのよ。不思議を見つける手助けをする役目なの。それよりね」 それより? 「・・・あんまり団と関係の無い子とそーゆー誤解されるような行動をするのは慎みなさい」 いきなり何だよ。恋愛感情やらその辺のことにはことさら無関心なのがお前じゃないか。 「別に、あんたが誰と付き合おうとあたしの知ったことじゃないけどね」 「そういう行動ばっかりしてると、SOS団がただのお遊びサークルだっていう風に誤解されるのよ」 実際、そのとおりだと思うんだがな。SOS団もお遊びサークルのようなものだ。 いまだにSOS団の活動で不思議を(ハルヒが)目の当たりにしたことなんて皆無だし、 夏休みに孤島に合宿に出かけたり、夏祭りに行ったり、プール行ったり、 冬休みに雪山で遭難しかけたり(これは事故のようなものだが)、春に花見したりっていうのはそういうサークルのやることだ。 イベント好きという点ではSOS団団長も、お遊びサークルの長も一緒らしいな。 目的がそもそも違うが。 「ま、そういうことだから。あんまりいろんなところでニヤケ面晒すんじゃないわよ」 「ニヤケ面は余計だ。第一、俺にそんな下心はだな・・・」 俺が不機嫌そうな声で言った時にやっとハルヒはこちらを見据え、 「いいから。とりあえずそういうのは無しよ。いいわね?」 反論などできん。したらハルヒの怒号が教室中に響きわたることだろう。このエロキョン!!とかな。 そんなことを言われたら、この教室に居づらくなる。 しかし、ハルヒがこのような反応を見せたのは意外としか言いようがなかった。 いままで、男女関係に対する興味など皆無だったあいつが、団がどうのと言いながらも口を挟んできたことがだ。 俺と渡が特別何かをしたわけでもないのに。 . . . . . 疑念の尽きないまま授業を受け、そうするうちにお昼時となった。 いつもどおり、国木田と谷口と一緒に食べる。 始めはいつもどおりのたわいも無い雑談だったのだが、途中でアホの谷口が余計なことを口走った。 「ところでよー、キョン。朝のあれは何だったんだ?」 箸の先をやや俺側に向けながらそう言いやがった。 「さぁな。(モグモグ)・・・俺にもわからん。いつもは『恋愛感情なんて精神病の一種よ』とかいうやつなんだが」 やけに塩辛い焼き鮭を頬張りながら答える。 「あいつらしいな、その言葉は。んで、キョン」 気持ち悪いくらいにニヤケた面をした谷口は、 「俺にはなんとなく読めるぜぇ、あいつの考えてることがな」 自分でニヤケている時には自覚がないが、他人のニヤケ面というのはここまで不快なものなのであろうか。 「もっとも、あいつの思考回路が一般的な女子高校生と同じものだったらの話だけどな」 ハルヒの精神分析は古泉の得意分野だ。 その古泉曰く、あいつの思考回路は実のところまともらしい。 真実はプロである古泉の口から聞くことにして、冗談半分で谷口の仮説も聞いておくことにするか。 ハルヒが教室内にいないことを確認し(今日は学食だな)、谷口に命令する。 「言ってみろ」 焼き鮭を全て飲み込んだ後で本当に良かった。 そうでなければ噴き出していだろうからな。 ・・・谷口の出した回答は、それだけの意外性と破壊力を持っていた。 「簡単なことだ、涼宮はお前が他の女とイチャついてたら面白くないんだ。要するに・・・キョン。あいつは、」 ―――あいつは? 「お前のことが好きなんだよ」
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涼宮ハルヒの消失・舞台挨拶レポート新宿バルト9(2010年02月06日 9 20の回上映終了後) シネマサンシャイン池袋(2010年02月06日 11 25の回上映終了後) 京都シネマ(2010年02月20日 11 05の回終了後と、同14 30の回上映前) 京成ローザ10(2010年03月06日 11 50の回終了後、16 00の回上映前) サンフランシスコ Viz Cinema(2010年05月21日 19 00の回上映前)※現地時間 シネマート新宿(2010年12月04日 13 00) 涼宮ハルヒの消失・舞台挨拶レポート 新宿バルト9(2010年02月06日 9 20の回上映終了後) 登壇者:平野綾・杉田智和・茅原実里・後藤邑子・小野大輔・桑谷夏子・松岡由貴・あおきさやか・武本康弘監督・石原立也総監督・白石稔(司会)・松元恵(司会) 涼宮ハルヒの消失 特設ファンサイト 涼宮ハルヒの消失初日舞台挨拶レポート! http //www.haruhi.tv/fanclub/syoshitsu_special_report.html シネマサンシャイン池袋(2010年02月06日 11 25の回上映終了後) 登壇者:平野綾・杉田智和・茅原実里・後藤邑子・小野大輔・桑谷夏子・松岡由貴・あおきさやか・武本康弘監督・石原立也総監督・白石稔(司会)・松元恵(司会) 電撃オンライン SOS団と愉快な仲間たちが池袋に登場! 映画『ハルヒ』舞台あいさつレポ http //news.dengeki.com/elem/000/000/234/234758/ 京都シネマ(2010年02月20日 11 05の回終了後と、同14 30の回上映前) 登壇者:白石稔(司会)・池田晶子・西屋太志・伊藤敦 京都シネマ イベントリポート http //www.kyotocinema.jp/report/re2010/re_2010_03.html 速記:アニメ映画板本スレPart46 458,487 458 名前:見ろ!名無しがゴミのようだ![sage] 投稿日:2010/02/20(土) 17 05 51 ID ix1vCjPn おまたせ、とりあえず前半な どこか記憶違いとか俺の主観が入ってるかも知らんが たぶんだいたいあってるはず 京都舞台挨拶レポ(1回目の方)① まず白石が出てきて池田、西屋、伊藤Pの順に登場 各々軽い挨拶のあとにまずそれぞれのお気に入りシーンについての話 池田: 絵コンテが上がってきた段階で「おっ!」と思ったのが屋上のシーン ただ「キョン、そこまでやっていいのか?w」と思ったらしい。 おそらく男が女にあんなことするのって、普通アレだよね的な意味で 西屋: 今回はアクションシーンはほとんど無いがその分キャラの表情、心情といった部分を 強く打ち出せた、そんな中でお気に入りなのはキョンが栞を見つけるとこと谷口と口論するとこ。 うまく描けてたらいいなーって言ってた そこで白石が一生懸命演じましたアピール→会場笑→なんで笑うの!?→拍手といった流れになる 伊藤P: とにかく朝倉のおでんのシーンがお気に入り、特に帰りの鍋つかみをしたままのエレベーターシーン そしてその後の鍋つかみをしたまま手を振ったところ、ここが一番怖くて綺麗だと言ってた。 なんでも鍋つかみが萌えポイント、あれをつけてないとだめだとか。 製作時からずっと言ってるらしい それで朝倉おでんの開発を提案したのも伊藤Pらしい、もう少しで劇場にも並ぶと言っていたが 既にグッズのとこで一緒に売ってたやつのことを言っているのかは不明 白石: ハルヒが寝袋から出てきた直後の手ぐしで髪を直してるシーン ここには西屋も同意してた 487 名前:見ろ!名無しがゴミのようだ![sage] 投稿日:2010/02/20(土) 17 51 37 ID ix1vCjPn 続き。 京都舞台挨拶レポ(1回目の方)② 製作時における印象に残った出来事について 池田: 夏にキャラ設定を作っていたが屋上のシーンのキョンの格好をどうするか、 暖かい格好にするべきなどと話し合っているとき 武本「半纏に病室スリッパがイイ!!(・∀・)」 他スタッフ一同「えっ」 みたいなことになっていたらしい、結局はパジャマの上にコート、ちゃんとした靴に落ち着いたが。 西屋: ない…w、必死すぎて、とのこと。コンテが多く2000カットくらいあったとか 怒涛のように早く過ぎ去ったと言ってた。 伊藤P: まずキョンのコートについて。もしやと思い武本に確認してみたら 案の定、踊る大捜査線の青島刑事のコートをモチーフにしてるのだと。 もうひとつ、みのりん、白石、伊藤Pとその他スタッフの8人ほどで 長門と朝倉のマンションに現地取材に行った際の話。 マンションを見ていたら中からリアル管理人さんが出てきて、てっきり怒られるのかと思ったら 「谷川先生のファンの方ですか?」と、あろうことかみのりんに問いかけたらしい みのりんも「はい、ファンですー」みたいな感じで答えたとか。 それでスタッフであることは打ち明けられなかったそうだ。 一応取材なので早々に退却というわけにはいかなかったのだが 「いつまでいられますか?」と管理人に邪魔者扱いっぽく言われたため しかたなく後ろ髪惹かれる思いで帰ったらしい。 白石: 優しい忘却のPV撮影に立ち会ったらしいが、 みのりんファンの学生が見に来てて、なぜかその子たちをずっと 白石が対応していたらしいが一切自分が誰か気付いてもらえなかったらしい。 みのりんファンの文芸部の子がみのりんに挨拶に行ったが白石の前は素通りだったとも言ってた。 また、東京での舞台挨拶後の話で、メインキャストは出待ちされてるから メインキャストの面々が出て行って出待ちのほとんどがいなくなってから出ていったが その際、残ってた出待ちの人たちが白石よりも一緒にいたランティスの斎藤Pの名前を呼んでて 白石は通り過ぎた後に「あれ、白石じゃね?」とか言われてたそうだ。 話は大体こんなもん、声優陣の舞台挨拶とはまた違った話が聞けただろうと思う。 京成ローザ10(2010年03月06日 11 50の回終了後、16 00の回上映前) 登壇者:茅原実里・後藤邑子・桑谷夏子・松岡由貴・松元恵(司会)・西山洋介(司会) 涼宮ハルヒの消失・舞台挨拶レポート(京成1回目) 涼宮ハルヒの消失・舞台挨拶レポート(京成2回目) (長文のためページ分割しました) サンフランシスコ Viz Cinema(2010年05月21日 19 00の回上映前)※現地時間 登壇者:Christina Vee(ASOS Brigade団長) 涼宮ハルヒの消失・舞台挨拶レポート(サンフランシスコ) 喜緑さんの保管庫 そうだサンフランシスコへ行こう サンフランシスコから還つつある男 サンフランシスコから還ってきた男 今日もやられやく 映画『涼宮ハルヒの消失』 サンフランシスコまで見に行った人のレポ Youtube 動画(1) 動画(2) 動画(3) ASOS Brigade! Episode 8 - The Disappearance of Haruhi Suzumiya U.S. Premiere Highlights (ASOS団公式。日本語インタビューあり) シネマート新宿(2010年12月04日 13 00) 登壇者:茅原実里・松岡由貴・西山洋介(司会) 速記:アニメ映画板本スレPart143 356 356 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 00 40 25 ID CksTCQ8G 「あーあー、えー皆さん、本日はですね、劇場版涼宮ハルヒの消失、えー、BD、DVD発売記念限定上映&舞台挨拶にお越し頂きまして誠にありがとうございます。」 \パチパチ/ \ワーワー/ \うおぉぉん/ 「ありがとうございます。私今回、司会の方つとめさせていただきます角川書店の西山と申します、よろしくお願いします。」 \パチパチ/ \ヒュー/ 「ありがとうございます。えーとお約束ですけれども、先にちょっと諸ちゅっ諸注意の方させてください。えーと携帯電話の方、電源切るなり、音のでないようにするなりしといてください、ご協力よろしくお願いします。」 「撮影録音は勿論禁止とさせて戴いております。こちらもご協力お願いいたします。もし発覚しちゃった場合最悪、舞台挨拶の方中止となっちゃうかもしれないので、ご協力の方よろしくお願いします。」 (※速記に関しては言及無し(重要)) 「えー後はですね、他のお客様のご迷惑になるようなことをしないでいただければ全然問題ないかと思いますので、短い時間ではございますが、舞台挨拶の方お楽しみいただければと思います。」 「では早速ですね、ゲストのお二人をお呼びしたいと思いますので、皆さん、あのー、拍手の準備は大丈夫ですかね?」 \パチパチパチ/ 「大丈夫ですね!ありがとうございます。ではですね、お呼びしたいので盛大な拍手でお出迎えください、えー長門有希役、茅原実里さん、そして鶴屋さん役、松岡由貴さんでーす」 (二人が右翼より入場、登壇) \パチパチパチ/ \みのりーん/ \あ゛あぁぁぁあっ!/ 366 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 00 56 44 ID CksTCQ8G \みのりん愛してる!/ 西山「ははっ、サイリウム振ってますねw落ちついてぇっw」 「えー早速ですね、お二人から簡単に自己紹介の方お願いいたします。では、茅原さんからお願いします。」 茅原「はいっ、みなさん、こんにちはー」 \こーんにーちわぁぁぁぁぁ!/ 「んー、凄いですねw沢山皆さん来て戴いて嬉しいです!長門有希役の茅原実里です!よろしくおねがいしまーす」 \パチパチパチ/ \ヒューゥッ/ 松岡「みなさーん!めがっさげんきにょろー?」 \うおおぉぉぉぉぉ!/ 「鶴屋さん役の松岡由貴でーす!こんにちはー!」 \……こんにちはー/ 「……はいっ。」 \ドッw/ 「みなさん、ね、あのー、みのりんみのりーんって、みのりんみのりーん・・・・・・」 \まつおかさーん!/ \ゆきちゃーん!/ 「あ、やった、よかったそういう黄色い声援がね、私も、欲しいなーって思ってw」 西山「黄色いのかなw」 松岡「野太い声援がねwよかったよかった、元気が出ましたwありがとうございます、よろしくお願いしまーす!」 西山「はい、ありがとうございまーす」 \パチパチパチ/ 368 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 01 13 16 ID CksTCQ8G 西山「では、えー、限られた時間ではございますが、ゲストのお二人にですね、この涼宮ハルヒの消失という作品についていくつかお伺いしたいなと思っております。」 「まずですね、当然作品の始まる前に涼宮ハルヒの消失という作品の脚本を渡されてご覧頂いたかと思うんですけど、まずその時のご感想をお聞きしたいなーと思うんですが、茅原さんいかがでしたか?」(松岡さんを見て問いかける) 茅原「はいっ!?えーっとォ、」 \ドッw/ 松岡「ずっと私のこと見てましたよ今w」 茅原「鏡やハルヒの消失は小説、まぁ読んでいたので改めて台本いただいて、中をこう読んで、先ず一番最初にびっくりしたのは、台本の厚さ?大きさ?重さ?私、劇場版が初めてだったので涼宮ハルヒの消失が、なので台本の厚さに驚いて、その後はキョンの台詞の量に驚いて」 \ワハハハハ/ 「そして、その後は小説の中にはないオリジナルのシーンとかが詰め込まれているのにちょっと感動して、いろいろびっくりしました。」 西山「そうですね、まず分厚いって部分から言えば、」 茅原「すごいですよねー!」 西山「アニメ映画の中でもかなりの長編なので、本当に尺が長いのと、」 松岡「何分有るんでしたっけ?」 西山「えーと2時間…あー、2時間43分くらいですね」 松岡「そんな長いんだー!」 西山「あとは今出てきたキョンの台詞、」 松岡「ねー、ほとんどキョンでしたもん」 西山「杉田さんへろへろになってましたよねwまーでもね、あのー、杉田さんの渾身の演技が当然この後スクリーンで見れる訳なんでね、杉田君頑張ったなーと思って皆さん見て戴けると、ね、思います。」 372 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 01 27 43 ID CksTCQ8G 西山「松岡さんはどうでしたか?」 松岡「全く同じ意見です」 西山「全く同じ?w」 松岡「2番目はそうだなーっておもってきいてましたwあのね、2版に別れてるの、あまりの多さにw劇場版って、厚くても一冊で、重たいなーって思いながらやったりするんだけど、 今回の消失のは、その劇場の重たいなーって思うのが2冊有るの。上・下みたいな。で私収録の時どっち持ってけばいいんだろーとか思いながら確かに半端無い、 初めて劇場やるんだったら、他の劇場そんな、タウンページみたいになってないw」 茅原「ほんとにタウンページみたいだったねw」 西山「松岡さんは他の作品で、劇場アニメってのは、既にもう」 松岡「そうですね、今公開になってるモノも、あってたりするん・・・・・・」 西山「まぁまぁ、その辺の話はね、後でこう、後ほど後ほど」 松岡「そうなんですけれども、えーと、いくつか作品をやりましたけれども、確かにあの二冊は凄いなと思ったのと、どこまで行ってもキョンなのよwあたしどこにでてんのとw」 「そうねー、あぶり出しかと思いましたよwよくよく探せばありましたよw」 西岡「いやー、この場に杉田さんがいないのが悔やまれますけどねwあのー、」 377 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 01 41 13 ID CksTCQ8G 西岡ってだれだ 西山「いやー、この場に杉田さんがいないのが悔やまれますけどねwあのー、次の質問がですね、 実はご自身のキャラクター以外で特に消失という作品の中で気になったキャラクターはいますか?っていう質問なんですけど、 まぁ、キョン、キョンはどうしても気になっちゃうとは思うんですけれども、あえてキョンを外してみると他に気に入ったキャラクター、気になったキャラクターって」 茅原「んーーーー、キョンを外すのかー、わたしねー、キョンのことそんなに意識してなかったですよ」 \おーーーっ?!/ 松岡「うーん、あたしはー、その前に舞台挨拶って前も見た人いるー?」 \はーいっ/ (かなりの人数が手を挙げる) 西山「ああ、それね、僕も聞きたかった。池袋でもやったし、千葉の方でもやりましたよね。千葉きた人?」 (かなりの人数挙手) 「おー、すごーい!」 「池袋きた人?」 (かなりの人数が挙手) 「おー!」 「バルト9来た人」 (かなりのn(ry) 西山「気のせいか同じ人が3回挙げてるような気がするんですけどもwありがたい話ですけどねw」 松岡「四回来てる人」 西岡「いますねーwありがとうございます」 茅原「ありがとうございます」 \京都は!京都は!/ 西山「あっ京都ね!京都行った人」 384 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 01 58 29 ID CksTCQ8G 西山「あっ京都ね!京都行った人」 (やっぱりいる) 西山「おおー」 松岡「すげー」 西山「京都はね、あのー、スタッフの方が行って、」 松岡「ねー、白石が行ったと噂で聞きましたけど。」 西山「私も出張で行けるかなーと思ったんですが行けなかったですねw」 松岡「千葉行ったときにさー、白石のファンが2人くらい居たのw」 西山「すみません、すみませんそのとき私が白石ですって行ったとき思いっきり滑ってこの後の流れどうしようかなーって思って、本当にスイマセンでしたw」 松岡「そんなことで私が話してたのが、桑谷夏子の殺戮シーンが一番好きです。『ゆきさん、それは、私じゃない。』ってwあそこのシーンあの作品の私は一番の目玉だと思っているんですよねー」 西山「あー、あっ!先に聞いとけばよかったんですけど、まだ見てない方、消失を」 (いくらか手が上がる) 「えぇっうそーぉ!」 「あ゛ーっ耳ふさいで!もう遅いけど!」 「あぁー」 \あーっ/ 松岡「これから私たちに与えられてる質問て、見てることを前提になってるんだよねw」 西山「ひどい仕掛けですねーwいや、あのー、フォローさせて戴きますけど、消失の小説読んでれば勿論顛末はわかっちゃう訳じゃないですか。 それでも絶対楽しめます。それはもう保証付きなんでそこはご安心ください。ネタバレしやがってって思ってるかもしれないですけれども、それ以上の、 やっぱりね、映像とか音とかのクオリティがあるので、ご安心ください。絶対大丈夫です。」 松岡「大丈夫だよ、だって桑谷夏子の殺戮シーンないもん。」 387 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/05(日) 02 14 15 ID CksTCQ8G 松岡「なっちゃんは別に殺してないからねw」 西山「そうですねw」 松岡「なっちゃん役だって話ですからねw」 西山「ま、今その話出てきましたけども、茅原さんはどうですか?一押しのシーン。」 茅原「一押しのシーンですか、そうですねー、たくさんありますねー。なやむなー」 松岡「小声(かんがえとけよ!)」 茅原「そうですね、いくつもあるんです、入部届のところもそうですし、あっキョン」 松岡「キョンを外してしまうと悩むんだよね」 西山「この、お気に入りのシーンはキョン入っていてもいいですよ、キョンのシーンでもいいです」 茅原「病院でキョンが目を覚まして、あ言っていいのかなー」 西山「またやばい人耳ふさいでくださいw」 茅原「うん、キョンがー、顔を触るシーンがあって、そこがすごいきゅんとするところで、そこで初めてキョンも男の子なんだなっていうのを凄く感じて、唇も触るんですよ」 松岡「キョンっていう」 茅原「うん、なんかすごい気持ちが伝わってくるって感じで」 松岡「どうなっていくんだろうねー、あの二人ねー、」 茅原「ねー」 西山「まぁ本当になんだろう、見てない人がいる前でしゃべっちゃいけない部分、以降の見せ場が凄いですからね。ほんとに。今しゃべってるのだってほんの一部ですからね。もうフォローに必死ですけどもw」 476 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 00 40 35 ID OR+KteV3 西山「まぁ本当になんだろう、見てない人がいる前でしゃべっちゃいけない部分、以降の見せ場が凄いですからね。ほんとに。今しゃべってるのだってほんの一部ですからね。もうフォローに必死ですけどもw」 西山「ああ、あとこれはね、是非聞いてみたかったんですけど、今回消失ってああいうストーリーじゃないですか、ある日突然お二人がですね、消失のキョンと同じ立場に立たされたらどうします?」 松岡「どうする?」 茅原「どうしよーかなー」 松岡「考えとけよーw」 \ドッ/ 松岡「まぁ私はねー、私のことを知ってる人を必死で探すと思う。で、なんか、探し倒して、たった一人でもいたらほんとうわ゛あ゛ぁーー(抱きつく仕草)ってなる」 茅原「www」 松岡「確かに、こんな妄想してましたが、数秒の間に思いついた?」 茅原「思いついた、うん、私キョンと一緒だと思います。」 西山「あー、その、元に戻そうと?」 茅原「元に戻そうって言うかあの人ただハルヒに逢いたかっただけ」 \ドッ/ 茅原「多分なんか、・・・・・・あの人とか言っちゃったw」 松岡「同じ感覚?杉田君とw」 478 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 00 45 38 ID OR+KteV3 西山「なるほど、んー、わかりました、ありがとうございます。で、ここから先、矛先が変わってと言うですかね、会場にいる皆様にですねお知らせがございます」 松岡(わざとらしく)「うぇー!?」 \オオォォォ!/ 西山「けっこうね、時間がわりと早く進んでるんですよ」 松岡「もうちょっと広めてもいいよw」 西山「もうちょっと広めてもいい?w(袖のスタッフに尋ねる)」 「ああ、今ね、オッケーサインが出ました。もうちょっと広げさせて戴きたいと思いますハイ。」 松岡「わかりましたwちょっとハッピーターン食べ過ぎてw 茅原「ハピっwすごかったねーw」 松岡「楽屋でさ、『ハッピーターンがー』とか言いながら、気がついたら山ができてるんだよ、包み紙の。」 茅原「おいしかったーw」 西山「もの凄い勢いで食べられてましたよねw」 松岡「全部あけたんじゃないの?w」 茅原「ヒトフクロアケテナイデスヨーソンナンw二個ぐらいしか残ってなかったけどw」 西山「松岡さんもものすごい勢いでポテトチップス食ってましたよね」 松岡「くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」」 西山「これちょーおいしーとかいいながらw」 松岡「そう、ウチのマネージャーが買ってくれたのかわからないんだけど、カライーっていう激辛のポテトチップスがあって、凄く美味しかったよねw」 茅原「おいしかったよねー」 松岡「誰か止めてあたしを羽交い締めにしてーってw」 西山「延々食べてましたもんねw舞台挨拶前に大丈夫かなーって思ったけど」 481 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 00 51 16 ID OR+KteV3 西山「延々食べてましたもんねw舞台挨拶前に大丈夫かなーって思ったけど」 松岡「ちょっとあたしも躊躇いながらw楽しい楽屋トークを繰り広げつつ」 西山「そろそろお知らせもどっていいっスか?」 \ドッ/ 松岡「じゃあお知らせ」 西山「ええ、そうですね、まあお知らせもあるんですけども、ご自身のキャラクターとキョン以外で気になったキャラクターを未だ聞けてなかったかなーと思って。」 松岡「あたしはほら、朝倉の話をさっきして。」 西山「茅原さんからまだ聞けてなかったかなーと思って。このキャラは・・・・・・」 茅原「そうですねー。そうですねー・・・・・・」 西山「どうしてもね、消失ってお話はキョンと長門の話になってきちゃうので二人を取り除かれるとけっこう厳しいと思うんですけど、あえて。」 松岡「白石か。白石か!白石なのか」 西山「誤解されるので言っておきますけど白石さんはあくまで中の人ですからねwあの白石ってキャラは居ませんからw」 \ドッ/(居なくても笑いをとる白石) 茅原「最近白石さんに会いましたよ。久々に。」 西山「会いましたかw」 茅原「2日前くらいに。」 松岡「どうだった?」 茅原「・・・・・・元気でした。」 \ドッ/ 西山「私も会ったんですけど肉付きよくなってましたね」 松岡「なんか、ぽにょの歌歌いながらおなかつまんでるよねあの人」 茅原「うん、なんか、落ち着いた感じがしました。」 西山「いいフォローだと思いますw」 茅原「はい。」 482 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 00 56 41 ID OR+KteV3 西山「はい、というわけで気になったキャラクターは?w」 茅原「そうですね、キョン君以外って難しいなー、難しいなぁ。なんて言ったら面白いんでしょうね?」 松岡「あたしかなー?w」 \シャミセン!/ 茅原「シャミかーwうーん、でもあたし、普通にハルヒが好きだったりします。」 西山「おー、それはあの、消失の改変された世界のハルヒ、を好き?」 茅原「はい、はい。クールでね、カッコイイデス。」 西山「カッコイイデスねーw あのね、その、外見的に・・・・・・なんで笑ってるんですかw」 茅原「わかる?」 松岡「わかるーw」 西山「いつものなじみのある制服じゃなくて、よりカチッとしてなんか、よりシャンとした感じはしますよね」 松岡「ハルヒの髪長い姿が凄くびっくりしたというか印象的だったというか」 茅原「そうですよねー、存在感がなんかもう圧倒的」 484 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 01 04 00 ID OR+KteV3 西山「より長い髪のせいで、よりクールな感じがしましたよね。だけどいざこう進んでくといつものハルヒの・・・・・・」 松岡「みくるの大人にちょっと萌えた人」 \はい/ \ハイ/ (ちらほら手が上がる) 松岡「やっぱみんな巨乳が好きなのかw」 西山「しょうがないでしょうw」 茅原「しょうがないw」 松岡「おっぱい大好きなんだろ!w」 \大好きです!/ 松岡「はいっw」 西山「好きです!・・・・・・はい、ということでおっぱいの話はしまったところで、ここでそろそろ告知のコーナーに移りたいなと思ってます。あのー、楽屋で戦々恐々としてましたけど、ちゃんと言えますでしょうか?」 二人「言えます!」 西山「いえます!じゃあまず茅原さんの方からですね、情報の方、お願いします。」 茅原「はい!」 西山「はい。」 485 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 01 10 22 ID OR+KteV3 茅原「劇場版涼宮ハルヒの消失がDVDとブルーレイになって、12月18日に発売になります!・・・・・・そして、・・・」 西山「そして、?」 茅原「こちらは、限定版と、通常版、の、2種類有るので、パッケージが・・・・・・4パターン!・・・・・・」 (時間差で)\おぉ~/ 茅原「ホームページ等々で見れるんですよね?」 西山「そうですね、ホームページで絵柄確認できます、はい」 茅原「そして、」 西山「はい」 茅原「なんと」 西山「はい」 茅原「ブルーレイの、限定版、には、・・・・・・ふぅ~」 \ワハハハハ/ \ガンバレ!/ \がんばれ~/ 西山「パッケージイラストがね、BD限定版は違うじゃないですか」 茅原「いとうのいぢ先生の、書き下ろしの!」 西山「唯一いとうのいぢ先生の書き下ろしは、ブルーレイの限定版だけですね」 茅原「そうなんです!」 西山「そして!」 茅原「まだまだ終わらない、ブルーレイ限定版の方には。。。涼宮ハルヒの消失の脚本集が付きます!わ~」 \パチパチパチ/ 茅原「12月18日発売になりますので、よろしくお願いします!」 西山「はい、きちんと言えましたwありがとうございます。」 \パチパチパチ/ 488 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 01 19 57 ID OR+KteV3 西山「では続いて、松岡さんの方、お願いします」 松岡「はい、えー、こちらの新宿シネマートさんでですね、また2週間の公開があります。消失の。12月17日までの公開になるので是非皆さん来て下さい。あとですね、スタンディポップってあるじゃない、大っきい」 西山「キャラクターの画が描いてある看板みたいなモノですね、はい」 松岡「見かけたでしょ?アレも抽選でプレゼントされたりするそうなので、お見逃し無くと言うことで。」 西山「はい、そうですね、ロビーとかにも飾ってあると思うので、是非ご覧下さい。で、ロビーと言えば、ハルヒグッズが今ですね、ひしめき合ってます。新宿の劇場とは思えない、今、ハルヒグッズが一角を占めてますので是非皆さんお時間有ればね、お買い上げいただいてと、思っております、ハイ。」 茅原「はい。」 西山「はい。というわけで、以上告知コーナーでございました。」 \パチパチパチ/ 西山「台本持ってくるか持ってこないかって話をずっと控え室でしてて、」 茅原「そうなんです」 松岡「で、『無理~』っいうから大丈夫だよ~って、そしたらあーあーなんだっけなんだっけーって」 西山「でも結果的にはね、ばしっと決めていただいてよかったと。ということでですね、早いものです。もうなんとね、時間が迫って参りました。」 \えぇ~/ 489 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 01 25 50 ID OR+KteV3 \えぇ~/ 西山「ねぇ~、残酷ですねーwまぁでも劇場ってしょうがないんですよ。時間区切って端端とやっていかなきゃいけないので、ここで残念ですが最後にお二人からですね、今後のご活動、この際だから他社の作品でもいいです、今後のご活動展開等含めてお客様にですね、お別れのご挨拶の方お願いしたいと思います、はい。」 茅原「はい」 西山「それでは先ず茅原さんの方からお願いしたいと思います。」 茅原「はい!えー、今日は短い時間でしたが、お会いできてとっても嬉しかったです。えーと、えーと、涼宮ハルヒシリーズいろいろ展開していけてるのは、応援して下さってるお客様のおかげだと思います。改めて本当にどうもありがとうございます。」 \パチパチパチ/ 茅原「涼宮ハルヒの消失、とっても素敵な作品なので、ぜひ今日も楽しんでみていっていただきたいですし、18日、DVDブルーレイとして発売されますので、そちらの方も是非手に入れていただいて、お打ちの方でも楽しんでいただけたらと思います。今日はどうもありがとうございましたー!」 \パチパチパチ/ 490 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 01 35 42 ID OR+KteV3 西山「はい、ありがとうございました。では続いて松岡さんの方からもお願いします。」 松岡「はい、えーと、今日はほんとに沢山来ていただいて、なんか、入ってくるときにもうチケット売り切れましたって書いてて、流石だなーと皆熱い思いが伝わってくるなーと思いながら、わくわくしながら皆さんと会えるのを楽しみにしてきました。凄い短い時間でしたけどもね、とても楽しんで舞台挨拶ができて凄く嬉しかったです。えーそしてお知らせですが、えーとーえーとー、ブリーチ劇場版がですね、」 \ワハハハハ/ 西山「ブリーチ!?」 松岡「はい、ただいま公開中です、井上織姫出ております、是非ご覧になっていただきたいと思います。えー、年明けからですね、ドラゴンクライシスという作品に出ることになっております、是非そちらの方もご覧になっていただきたいと思います。」 「というわけで、ハルヒの方もね、又なんかね、皆さんに会えるタイミングがあるといいなと」 茅原「ねー」 松岡「ねー、思いながら頑張っていますので、これからも是非是非涼宮ハルヒの憂鬱シリーズを愛していただけたらな、嬉しいなと思ってます。今日は本当にありがとうございました!」 \パチパチパチ/ 494 見ろ!名無しがゴミのようだ! sage 2010/12/07(火) 01 47 17 ID OR+KteV3 西山「はい、それではありがとうございました、ご来場の皆様、最後にゲストのお二人に盛大な拍手をお送り下さい!茅原さん松岡さん、今日は本当にありがとうございましたー」 二人「ありかとうございましたー」 (二人退場)\ みのりーん!/ \ みのりーん!/ \愛してる!/ 西山「コレより劇場版涼宮ハルヒの消失本編の上映となります、最後までSOS団の一員として作品に参加していただけたらと思います。本日はどうもありがとうございました!」 \西ー/ 西山「あ、ありがと」 \西山ー!/ \ パチパチパチパチ/ \ピィー!(指笛)/ 西山氏、盛大に見送られながら退場 そして本編へ ロビーのポスターへのサイン 所狭しと並ぶハルヒグッズ
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涼宮ハルヒの24 シーズンⅡ~それぞれの休日~ 2キョン4 2ユキ4
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涼宮ハルヒのデリート 誤解なんてちょっとした出来事である。 まさかそんなことで自分が消えるなんて夢にも思わなかっただろう。 キョン「あと三日か・・・。」 キョンつまり俺は今、ベッドの上で身を伏せながらつぶやいた。今を生きることで精一杯である。 なぜ今俺がこんなことをしているのかというと、四日前に遡ることになる。 ハルヒ「キョンのやつ何時まで、団長様を待たせる気なのかしら?」 いつもの集合場所にいつもと変わらない様子で待っているメンバーたち。 団長の話を聞いた古泉が携帯のサブディスプレイをみる。 古泉「まだ時間まで五分あります。」 と、団長に伝える。 ハルヒ「おごりの別に、罰でも考えておこうかしら。」 っと言ってSOS団のメンバーは黙り込んだ。誰一人として口を開こうとしない。その沈黙を破ったのは、ベタな携帯の着信音だった。 ハルヒ「あとどれぐらいで着くの?団長を待たせたんだから・・・」 っと言われ「一方的に電話をきった。ベタな展開だったら俺が切るのだが、なにしろ相手があのハルヒだから仕方がない。 かわりに古泉に電話をかけた。 古泉「僕に電話とは、あなたも罪な人ですね。涼宮さんが嫉妬しますよ。」 ウザイ、何勘違いしてんだこのホモ男。 古泉「冗談です。僕に電話をかけたぐらいですから、何か理由があるのでしょう?」 やっぱりコイツと話すのは少し気が引けるな。 キョン「今日は、急用があるから探索にはいけないとハルヒに伝えてくれ。」 古泉「その用とは?何の事ですか?」 キョン「どうしても言わなくてはいけないのか?」 古泉「・・・。まあ別にいいでしょう。あなたの休日まで追及はしません。」 キョン「じゃ、頼むぜ。」 電話のやり取りを終えた古泉はハルヒに用を伝えた。 ハルヒ「仕方がないわね。じゃあ、今日は二人のペアで北と、南に分かれて不思議を探しましょう。」 ~ハルヒ視点~ ハルヒとペアになった、いやなってしまった朝比奈さんは午前中ずっとハルヒの不機嫌オーラを感じ、おびえながらハルヒの後についていったそうだ。 午前中の散策が終わりいつもの場所へ向かう途中朝比奈さんがあるものを発見してしまった。 みくる「あれって、キョンくんじゃないですか~~?」 ハルヒは朝比奈さんの指す方向に素早く振り向いた。 ハルヒ「散策をサボっておいて、何をやってんのかしら?」 しばらくハルヒが何かを考えていると思うと、頭の上の電球が光った。 ハルヒ「キョンを尾行するわよ、みくるちゃん。キョンの休んだ理由がわかるし、不思議なところへいけるかも知れないし。」 みくる「で、でも~~、長門さんと、古泉くんのことはどうするんですか~~?」 ハルヒ「そんなの後で電話しておけばいいじゃない。」 っと言って、彼の尾行を始めた。何度かみくるちゃんから「やめましょうよ~~。」っと言われたがすべて無視した。 彼の行き先はいつもの駅から一駅離れたところだった。 ハルヒ「なんでわざわざこんなところにくるのかしら・・・。」 みくる「やっぱり、やめませんか~?キョンくんには彼なりの事情があると・・・。」 言いかけていた彼女の口をふさいだのは、ハルヒの手だった。 みくる「何するんですか~?」 ハルヒ「誰かに手を振っているわ。ここからじゃよく見えないから別の場所へ移動しましょう。」 っといってハルヒは朝比奈みくるの手をとり移動した。 みくる「あれって、女の人じゃないですか~?」 ハルヒの目に移ったのは、キョンが親しげにその女性と話しているところだった。 そして、気づいたらそこから走って逃げ出しているところだった。 走るのをやめて歩いていると、後からみくるちゃんが追いついてきた。 みくる「きっと彼女じゃないと、思いますよ・・・。」 ハルヒ「あったりまえじゃない、あのキョンに彼女ができるわけないじゃない。ただ少し暗くなってきたから早く帰りたいなと思って・・・。」 わかりやすい嘘をついてしまったと思い、すこし悔しがった。駅あたりで二人が別れた。 ハルヒの後姿はどこか悲しげな表情にみえたそうだ。 ~キョン視点~ 妹のダイブによって起こされた俺は、いつもの強制ハイキングコースを心行くまで楽しんでいた。 学校にいく間、谷口のナンパ話を聞かされた。まったく飽きないやつだ。 谷口「でだな、やっぱりゲーセンのやつらを狙うのはよくなくてでなあ・・・。」 キョン「お前のそのナンパ話はこうで96回目だ。」 っと口を挟む。まったく朝から暑苦しいやつだ。熱心に語ってきやがる。 谷口「そういや、お前なんで土曜日の探索に行かなかったんだ?」 キョン「・・・。なんで、お前が知ってる?」 谷口「ギクッ!!!忘れてくれ・・・。」 そんな話をしているとすぐに学校に着いた。靴を履き替え教室に向かうと、何から話そうか考えた。誰にって、そりゃハルヒにきまってんだろ? 絶対追求してくるに違いない。 しかし、予想に反してハルヒは何を言ってこなかった。それどころか、教室に入ってきた俺をまるで何もいないかのような反応を見せた。 キョン「ど、土曜はすまなかったな。急に休んだりなんかして・・・。」 しかし、ハルヒは何の反応もしない。気まずい、ククラス全体が注目してる。 キョン「休んだ事を怒ってんのか?」 ハルヒ「・・・・・・。」 無反応のハルヒに気まずさを感じていたら、チャイムがなりホームルームが始まった。 まったく、休んだぐらいでそんなに怒るかよ・・・。 結局午前中はハルヒと何も話さず、不機嫌オーラを受け続けていた。 昼休みは教室を抜け出しどこかへいってしまった。 谷口「お前、涼宮になんかしたか?」 キョン「いや、何もしていない。何で怒っているか知りたいぐらいだ。」 本当に何を怒っているんだろうな、ハルヒのやつ。 そして授業の終わりに二人のムードに耐え切れなくなった谷口が、あろうことかハルヒに話しかけてしまった。 ハルヒ「何よ谷口。あんた宇宙人でも見たの?」 じとっとした目で、谷口を睨む。 谷口「キョンと喧嘩するのはいいが、クラスのムードまで暗くするな!」 っと強気で言った。ああ、谷口、お前死んだな。相手を考えろ、相手を。 しかし返ってきた返答は、最悪なものだった。 ハルヒ「キョンって、誰?」 教室が完全に凍りついた。その中を凍らせた原因のハルヒが通りすぎていった。 マジかよ? なにかあったかも知れんと思い、逸早く部室へ向かった。 キョン「長門!これは一体どういうことなんだ?」 俺は部室の隅で静かに本を読むインターフェイスに問いだした。しかしまた返って来た返答は最悪だった。 長門「あなたが悪い。」 ・・・・。俺は言葉を失った。一体何をしたんだというのか。あの長門からこの言葉を言われると正直つらい。 すると後ろから古泉が入ってきた。 キョン「お前ならわかるか?俺がハルヒから無視されている理由。」 よく考えてみれば、長門がああ言っているのだから古泉に聞いても仕方がなかった。 ふわりと自分の体が倒れるのを感じ、殴られたとわかった。我ながら格好悪い。 古泉「あなたがそんな人だったとは、失望しました。涼宮さんが無視するのもよくわかります。」 一体どういうことだ。何が起こっている?これもまた異世界なのか? とりあえずこの日は家に帰った。あんなことを言われてあの場にいれるほど、俺も狂っちゃいない。 一体何が悪いのか考えているうちに眠りに入った。 朝だ・・・。妹のプレスを食らう前に起きた。とりあえず再びハルヒに誤っておこうと思い学校へ向かった。 向かう途中ずっと考えていた。そもそも俺をいないものだと言うほど嫌っているのに、どうやって誤ればいいのか。 それに理由もわかっていない。・・・そうだ、朝比奈さんに聞こう。 昼放課に朝比奈さんを呼び出した。 キョン「あの、俺って何かハルヒに悪い事いしましたか?」 真剣な口調で話す。彼女なら何か知っているのだろうか? その言葉に驚いたような様子をみせ、真剣な顔つきで話始めた。 みくる「あの、始めに言っておきます・・・。」 キョン「はい?」 みくる「ごめんなさい。」 パ~ンという音が響いた。そう、ビンタされた。そして朝比奈さんはどこかへいってしまった。 あの、朝比奈さんに殴られたのは相当ショックだった。 結局午後の授業にはでずに欠席した。この日は何もかもにやる気がでず。ベットで眠ることにした。 朝、自分の体の異変に気づいた。 -あと3日で自分は消える 何でわかるかって?分かってしまうからしょうがない。これしかないな。 今の状況に絶望した自分は学校を休んだ。だってあと三日で死ぬとわかっていて何をすればいいかなんかわからん。 夕方、古泉が家を訪ねてきた。しぶしぶ話を聞くことにする。 古泉「いい加減にしてください。とにかく明日、涼宮さんに謝る事です。何度閉鎖空間を潰したことか・・・」 キョン「・・・。俺が何をしたっていうんだ?」 古泉「とぼける気ですね。まあ、いいでしょう、言ってさしあげますよ。先週の散策あなたは休んだ。そしてわざわざ僕たちから離れるようにして彼女に会った。それに対して涼宮さんは失望しているのですよ。」 キョン「待て!それは・・・。」 古泉「ともかく、明日は学校に来て謝ってください。それで済むことですから。」 俺は終始まともな話ができず、家に戻った。 「あと三日か。なんとしてでも・・・」 彼女に会っただと。とんだ誤解だ! 次の日は一日中ハルヒにかけた。全て無視されて、だんだん自分が消えていくのを感じ、孤独感に襲われた。 手紙をつかってみたりもしたが、やはり無視された。 ・・・。一体全体どうなっているんだ? 帰り際、しかたなく古泉と少し話をすることにした。 キョン「全て無視されている。もう俺が消えたみたいに。」 古泉「どういうことです?もう、とは?」 キョン「古泉、俺はあと二日、いや明日いっぱいまでしか生きられない。」 古泉「・・・。なんで分かるのですか?」 キョン「分かってしまうのだからしょうがない。っということだ。」 古泉「・・・なるほど、どうですか。僕の憶測ですが・・・、土曜にあなたが彼女にあったことが原因でしょう。」 キョン「そのことなんだがな・・。実はそれお袋なんだ。俺の。」 古泉「!?・・・それが本当ならものすごい間違いですね・・。」 キョン「まあ、俺の親は若いときに俺を生んだからな。」 古泉「で、その誤解により、あなたに失望し悲しんだ。あなたがいなければ悲しまなかったのに、とでも考えたのでしょう。」 キョン「だったら、すでに消えているべきじゃないのか?」 古泉「そうですね、あなたに謝ってほしかったのではないんですか?」 キョン「・・・(違うだろ)。まあそんなことよりこれからどうするかだな。」 古泉「そうですね。今のままでは、この世界にも失望して改変されかねませんからね。」 キョン「しかし、俺の書いたものまで目にはいらないとなると、どうすればいいんだ?」 古泉「分かりません。でも、あなたのやる事を信じたいと思います。」 いつまでも本当にクサいやつだな。しかも顔が近い、キモイ。どけろ 古泉「僕にできることがあれば、何でも協力しますよ、親友として。」 キョン「わかった。」 っといって別れたのはいいがさっぱりどうしたらいいのかわからん。 このままでは、本当に消えてしまう。何かいい方法はないのか? 長門に頼るか?いや、今回は自分で考えるべきか? 人間はこういう大事な日に限ってすぐに寝てしまうものだ。 次の日結局何も浮かばず、半日をすごしてしまう。 今いるのは部室だ。ここでなんとかしなければ、消えてしまう。 ふいに長門が何か語ってきた。 長門「あなたはもう答えを知っているはず。答えは過去にあり、現在に関係する。」 そのことを信じていいんだな、長門。・・・。 最後になるかもしれない部活は、ハルヒに俺が認識されないまま終わった。 帰り際、あるひとつの答えにいきついた。唯一の接触できるチャンス、そして最後の切り札。 キョン「古泉、親友としてのお前にひとつ頼みがある。」 古泉「なんでしょう?できる限りのことをいたしますよ。」 キョン「それはだなぁ、夜に東中にきてくれと手紙にかき、渡しといてくれ。」 古泉「なんのことだか、分かりませんが、それが望みならやっときます。」 そう答えは今日という日つまり七夕。答えは三年前。 東中に着くとハルヒをベンチで待つ。懐かしいな、この場所。丁度暗く顔をしっかりと見えない。 しばらくするとフェンスを乗り越え、ハルヒがやってきた。 ハルヒ「やっぱり、ジョン・スミスだったのね。」 そう、最後の切り札はこれだ。そして予想どうり接触することができた。 ジョン「どうだ、高校は?」 するとハルヒ今までの活動を話始めた。 ハルヒ「やっぱり、宇宙人はみあたらないわね。でも、SOS団っていうね・・・。」 俺も、(俺は話から消えていたが)今までの活動を思い出していた。 ハルヒ「ジョン泣いているの?」 俺の顔には涙が流れていたらしい。あと十五分の命だ。 ハルヒ「私何か大事なことを忘れている気がする。」 ふいにハルヒが言ってきた。思い出してもらうチャンスかもしれない。 ジョン「今からいうことを真剣に聞いてくれ。」 ハルヒはキョトンとした顔だったが、気にせず話をつづける。 キョン「昔、キョンと呼ばれていた男がいた。彼は普通の人生に飽きていた。そこに自分と同じ考えの女の子が現れた。 彼女は不思議を追い求めて彼を振り回した。しかし彼はそれを迷惑と思わず、むしろ自分の人生が楽しくなるのを感じた。・・・」 もう涙が止まることはない。 ジョン「しかし、ちょっとした誤解で二人はもう二度と会わなくなってしまった。」 ハルヒ「それがジョンあなたなの?」 ジョン「ああ、SOS団か・・・楽しかったな。」 嘘と真実がまざりメチャクチャになってきた。 ハルヒ「わたしが忘れていることって、まさか?」 ばらばらだったピースが合わさった。しかしもう時間がない。 ハルヒ「女の子はわたしなのね。」 キョン「ああ、誤解が解けないのが残念だったな。」 ハルヒ「・・・。」 キョン「ハルヒ、約束してくれ。俺がいなくてもこの世界に失望しないことを。」 ハルヒ「・・・、わかった。って、何その死ぬ前みたいな言葉。それに体が・・・」 体が消えてきた。くそ!時間がない。 キョン「じゃあな、ハルヒ。消える前にお前のポニーテールが見たかった・・・。」 こうして俺、キョンはこの世界から消えていった。 思えば、普通の高校生として生きていくよりはよかったんじゃないのかと、思えた。 その後ハルヒは古泉から誤解について説明された。 俺が消えた世界では、俺の体は残っていないので失踪っということになっている。 妹よ、兄が消えた事に悲しんでいるか? 世界が改変されることが起こらず、いやそれどころか閉鎖空間すら発生しなかったそうだ。 SOS団は今も健在しており、ポニーテールの団長様はなんとかやっているようだ。 ハルヒ「・・・。あれから一ヶ月ね。本当にどこへいったのかしら・・・。」 ハルヒが俺の席をみてつぶやく。 みくる「・・・・。きっと帰ってきますよ。」 ハルヒ「でも、目の前で消えていくのを見たのよ!わたしだって信じたい、帰ってくると。」 古泉「いい加減にしてください!] 急に叫んだ古泉に、二人は意表をつかれた。 古泉「そんなこといっていたら、彼が帰りづらいじゃないですか。」 部室が静まりかえった。・・・・。どういうことだ? 古泉「実はですね。先日警察に身柄を確保されましてね・・・。」 っといって、ハルヒに新聞を渡す。確かに新聞には俺の写真がうつっている。 古泉「いると信じなくては、いるものもいあくなってしまいますよ。」 するとハルヒの顔にいつもの120ワットの笑顔が戻った。 次の日、俺はベットの上で横になっていた。 なぜ俺がこの世界に戻ったのかというと簡単なハルヒの思い込みだ。 まったく便利な能力だな。まあそれのせいで、消えていたわけだが・・・。 さてまずは最初に一ヶ月の幽霊生活。これでもハルヒ話してやろうかな。
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▽タグ一覧 テレビアニメ 京都アニメーション 兵庫 時間ループ 涼宮ハルヒの憂鬱 野球 音MAD素材 高校生 ニコニコで【涼宮ハルヒの憂鬱】タグを検索する 概要 角川スニーカー文庫のライトノベル。 作者:谷川流 イラスト:いとうのいぢ 2006年には京都アニメーションによりアニメ化。 アニメが大ヒットし「ハレ晴レユカイ」「最強パレパレード」による踊ってみた・歌ってみたブーム、ニコニコ動画におけるMADブーム、「涼宮ハルヒの激奏」によるアニメによる声優ライブブームとキャラソンブーム、その後の「らき☆すた」「けいおん」などにも繋がる京都アニメーションブームなど様々で大きなムーブメントを引き起こしたヲタク界における2000年台を代表する作品のひとつ。 ストーリー 女子高生・涼宮ハルヒが、「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと」を目的に設立したクラブ「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」(通称:SOS団)のメンバーを中心に展開する、「ビミョーに非日常系学園ストーリー」。