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高校卒業から10年程が経過した、最近高校時代の夢を良く見る、ひょっとしたら今も夢を見ているのかもしれない 今の俺はただ生きている、無意味な時間を過ごし、一人寂しく生きている 高校時代の友人とはもう連絡を取っていないしあいつに集められた3人ももういない 10年前の情報爆発が原因で皆散り散りになった ニヤケ面したやつ、名前なんだったっけ? そいつはわけのわからない組織と共に行方をくらませた マイエンジェルなどと呼んでいたあの人は、自分の時代へ 本が好きだったあいつは、親元へ還っちまった そもそもの原因はあいつとくだらない事で喧嘩しちまったことだ それは今でも後悔している、あの時の俺はどうかしていたんだ もしも戻れるならあの頃に戻りたいものだ そう考えながら、俺は急激な眠気に襲われ眠りについた 『今回も前回と同じ思考に陥ってくれてるようだね さぁ君の願い叶えてあげよう、あの頃に戻してあげるよ でもその前に少しの間眠ってもらうよ 再び始めよう、無限に続く世界を!! 今回も主人公はジョン・スミス…君だ そして、ヒロインは……』 またこの夢か……。そういえばあいつとの喧嘩、本当にくだらないことだったのか? そうだ、その喧嘩はいつもより酷かったような……、喧嘩した理由なんだっけ? 思い出せないなんでだ、そもそもここはどこだ? それに今はいつだ?細かいことを何も思い出せないどうなってるんだ…… 『おい人間』 そうだ、こんな時は!……誰だったっけ?確かこんな時誰か頼りにしていた奴がいたはずだ 『人間!聞こえていないのか人間!!』 うるさい!俺は今考え事しているんだ!!黙ってろ と言おうとして振り向いたのはいいが誰もいない その代わり一冊の本があった 『ようやく気付いたな人間』 本から声が聞こえる……まさか、ありえるわけ……いやこんなことをしでかすやつを一人知っている 知っているが思い出せない、やれやれ俺はどうしてしまったのかね 『良く聞け人間、汝は邪神により汝自身の未来を閉ざされている 妾はその邪神を追ってここにきた、そして今汝の精神に語りかけておる』 邪神?なんのこった、わけわからんことを並べ立てやがって イライラしていたそのときだ、銀色の髪と黒い瞳をした少女がそこに立っていた 『……あなたは誰?彼に危害を加えるのなら、あなたを敵性と判断し、情報連結を解除する』 今度は誰だ?わからない、でも懐かしい感じがする 『ほう奴らの人形か、暫く見ないと思っていたらこの星に来ていたのか まぁよい二人とも良く聞け 邪神が汝等の運命に介入し汝等の未来を狂わせている もしも汝が邪神と向き合い、戦う意志を持ったならば聖句を唱えよ! 聖句は今汝の心に刻み込んだ、この聖句が妾と妾の伴侶に聞こえた時必ず汝の力となることを約束する 人形、こやつをそれまで守ってやってくれ。こやつの精神は見ての通りくたびれておる こやつはこの10年間を何億と言う回数を繰り返しておる、普通の人間なら発狂してもおかしくない状態だ 妾たちがそちらの世界にいけるようになるまで頼んだぞ』 『……了解した』 あぁもう何がなんだかわからん、誰か説明してくれ 何で俺はここにいる、お前らは誰だ? 『落ち着け人間、そのうちわかる だが勇気を忘れるな!!』 勇気とか何だよ、俺に何をさせようってんだ! 『汝は何もしなくていい、ただ戦う意志を強く持て、それだけでいい』 何と戦えって言うんだ! 『ナ■■■■■■■■■、検閲かふむ……まぁいい、何度も言うが戦う意志を強く持て。また会おう人間!』 ちょっと待て!! 『あなた達は私が守る』 お前もだ、誰なんだお前は! 『……直ぐに思い出す……また図書館に……』 図書館?何のことだ、おい待ってくれ! 「……ョン!キョン!」 「ぅん……」 「ちょっとキョン!!」 「涼宮さん、彼も疲れているのですよ、もう少し寝かせて差し上げてはいかがですか?」 「仕方ないわね……、キョンも起きないし、今日はもう解散!あたしはキョンが起きるまで待つから皆は帰っていいわ」 「わかりましたではまた」 「それじゃ私着替えますね」 「……また明日……朝比奈みくるボソボソ」 「長門さん?わかりました」 「……コク」 「長門さん、僕も行ったほうが良いですか?」 「……コク……ただし彼と涼宮ハルヒには内密に」 -古泉サイド- さて、長門さんが僕たちだけを呼び出すなんて何事でしょうか 本来は彼の視点で勧めるべきところですが、彼はまだ就寝中です 午後6時僕と朝比奈さんはここ、長門さん宅に来て用件を聞いています 「本日午後3時21分48秒に彼の精神に二つの存在を確認 うち一つは午後3時34分6秒に情報連結を解除、正体は不明 残る一つは午後4時32分28秒に接触、何ものかの意思であると確認 情報統合思念体とも天蓋領域とも違う存在、但し有機生命体で言う女性に該当することが判明 彼女は私に言った 彼はこの10年邪神の力でループしている、回数は不明但し億を越えている 邪神が涼宮ハルヒの力を使い、運命の輪に閉じ込めている ループの記憶は消されているものの、彼の深層意識と精神は疲弊しきっている このまま行けば彼は自らの命を断つ可能性が高い 邪神の目的は恐らく彼の死を原因とする涼宮ハルヒの負の情報爆発 現在情報統合思念体に邪神の正体を問い合わせ中 情報統合思念体は未来人・超能力者と協力し彼の保全を最優先することを決めた あなたたちにも指示が行くと思う、しかし私という固体はあなたたちに友人として協力 を要請したいと思っている」 邪神ですか、それは神人とはまったくの別物なのですか? 「神人は涼宮ハルヒが生み出したエネルギー生命体、邪神は起源も規模も不明 今情報統合思念体から連絡があった、邪神の名は…エラー言語化できない、なぜ? 起源……エラー……規模……エラー……目的……エラー 機能検索……何者かが私に検閲プログラムを導入、解除不能 邪神に関する全てにプロテクトがかかっている、情報統合思念体に解除要請…… エラー、情報統合思念体にアクセスできない ただし、情報操作・私と言う固体の能力について制限は無い」 どういうことでしょう、邪神に関する項目のみに検閲、さらに情報統合思念体とアクセスができない となると、僕たちは推測に推測を重ね今後の対策を練らなければならないようですね 「い、今未来から私に指示が来ました。TFEI端末・超能力者と協力しキョンくんを死なせないようにという事です 長門さんと同じ、邪神については禁則がかかっています…… TPDDに制限がかかって、空間移動はできますが時間移動ができません…… あっ、ふえぇぇ、未来との通信もできなくなりましたぁ!」 困ったことになりましたね、まず整理しましょう 長門さんが得た情報、女性と思われる方によると 邪神が涼宮さんに情報爆発を起こさせ何かをさせようとしていること それと末端の僕たちを孤立させようとしていること、機関は大丈夫でしょうか 念のため確認してみましょうか もしもし、古泉です。はい……はい……わかりました どうやら機関とも連絡が取れなくなりました、本当に孤立させることが目的のようですね ではこうしましょう、これから毎日団活後長門さん宅に集合 各エージェントと情報交換し、情報をまとめましょう それでいいですか? 「……構わない、彼と涼宮ハルヒは私と言う固体にとって大切な人、危害を加えるものは 全て敵性と判断」 「わかりました、私もこの時間平面にいる駐在員と連携して情報を集めます!」 では今日の所は解散という事で -キョンサイド- うぅん…… 「あっ、やっと起きた、さぁ帰るわよ!」 ハル…ヒ?あれ? 「あんた泣いてるの?」 言われて気付いた、何で俺泣いてんだ? すまんハルヒ! そう言って俺はハルヒを抱きしめた 「ちょ、ちょっとキョン!……もう……」 すまん、しばらくこうさせてくれ どれくらい、そうしていたのかわからなかった それから俺はぽつぽつと語りだした なぁハルヒ、もし俺がいなくなったらどうする? 「そうねぇ、世界の果て、違うわね……そう宇宙の果てまでおっかけて連れ戻すわ あんたはSOS団の団員その1で雑用係だからね」 じゃあもし俺が死んだらどうする? 「バカなこと言わないで、今度そんなこと言ったら死刑!」 おい、それじゃ死ねと言ってるようなもんじゃないか 「そうよ、あんたはあたしの……なんでもない……」 そうかい、やれやれだな 「ところでキョン、そろそろ放してくれない?」 良く見たらハルヒは顔を真っ赤にして口を尖らせていた あぁすまん 「さっき寝ながら泣いてたけど、どんな夢見てたの?」 さぁな、よくは憶えてない、けど大切なもの全部無くして絶望に明け暮れていたような なんというかだな、そんな感じの夢だ それでなんだったかな、もう一度やり直したいって考えてたら 声が聞こえて、その後は憶えてないなぁ 「ふぅん」 最近良く見るんだよな、この夢 「何かの暗示かもね、あたしでよかったらいつでも相談に乗るわよ あっ、勘違いしないでよ、あたしは団長なんだから団員のメンタル面も把握する必要が あるだけだから!」 へいへい頼りにさせてもらいますよ、団長さん じゃあ、早速だが聞いてくれハルヒ 何でこんな事を思ったんだろう、俺は目の前にいるハルヒが無性に愛しく思えた いや、以前からわかっていたはずだ、ハルヒの気持ちも、俺自身の気持ちも この1年半という時間でどれだけ俺はハルヒと二人きりになれたのだろう よくこいつにはドキっとさせられることもあったっけ 文化祭の後なんかもそうだ、勝手にこれってデートか?と勘違いして古泉たちが来て落胆したっけ 今思えばこいつと二人きりで、こうやって話した時間って少なかったんじゃないか? でも今はこいつと、ハルヒと二人きりでいたい、いやもっと二人の時間が欲しい 俺らしくないが、こんな事考えてたら理性が欲に変わっちまった ハルヒが欲しいという欲にな だからこの日、俺はハルヒに自分の想いを全てぶつけた 「遅いのよ……バカ……あたしだって、あんたの事好きなんだから……」 こうして俺たちは彼氏彼女という関係になった まぁ周りからはやっとかと言う反応しか返ってこなかったがな 文芸部室に行くと、いつの間に準備されていたのか、俺とハルヒを祝福する会が開かれた ハルヒはというと、顔を真っ赤にしてそっぽ向いちまった 俺は俺で、気色悪いニヤケ面120%増で顔が近い古泉を適当にあしらいつつ、 笑顔120%増の朝比奈さんのお茶を啜る、長門はいつもと比べ少し笑顔な気がする 他にも鶴谷さん、国木田もこの会に出席してくれた 谷口もいたような気がするが気のせいとということにしておこう そしてメインの鍋パーティーだ、これもお馴染みになってきたな ん?今が何時かだって?2年の11月の始めだ そしてどっから情報を得たのか、俺とハルヒが付き合いだして二日後、新聞部の校内新聞号外により俺たちのことが報じられた ハルヒよこれもお前の無意識の仕業なのか? さらに弁当を忘れてきた俺は、仕方なく学食で飯を食うことにした、もちろんハルヒと一緒にな でここでも事件だ、新聞部に見つかっちまった…… 馴れ初めだとか、どっちが告白しただとか、根掘り葉掘り聞かれた ハルヒは紅茶をこぼすし、大変だったよこの日の昼飯はな この学校でハルヒを知らないものはまずいないほど有名だからな 全校生徒の興味を引いたんだろうさ 男子生徒の目が痛かった気もするが俺は気にしない さらに週明け、バカップルの日常と称して校内新聞に俺たちの記事が掲載された はぁ……まったくやれやれだ ん?週末は何をしたのかって?SOS団で不思議探索だ 勘違いするな、班分けでデートなどしていない この日班分けで当たったのは午前は古泉と午後は長門と朝比奈さんだ、ハルヒとは当たらなかった 何?もう一日はどうしたのかって?それは聞くな、いや聞かないでくれ頼むから…… ハルヒとのこんな日常がずっと続くんだなと、このとき何の疑いも持たなかった -古泉サイド- さて、彼には悪いですがここでまた僕にバトンタッチです 長門さんに呼ばれた次の日、僕は森さん、新川さんと会い情報交換をしました 現在のところ目新しい情報はありませんでしたが 機関との連絡は森さんを経由と、今まで通り動けという命令を受けました つまり、SOS団のメンバーと協力しろということでしょう 他の方たちは新しい情報は……現状ではあまり期待できませんね この日は至って平和でした、団活終了後長門さん宅に集合し現状報告・情報交換をしました 朝比奈さんは、未来との連絡も取れず時間移動不可の状態、駐在員のお偉方に禁則解除してもらおうとしましたが、ダメだったそうです なにせそのお偉方も同じ禁則を受けていたからです 長門さんも他のTFEI端末と接触したそうですが、全員同じ状況でした 全員と必要な情報を共有したそうで、何かわかったらすぐに僕たちに連絡するとのことです しかし驚きました、あの日僕たちが帰った後、彼と涼宮さんがお互いの想いを伝え合っていたとは これで僕のアルバイトも減るというものです なんにせよおめでとうございます、あなたたちの幸せは僕たちが守って差し上げますよ 「顔が近いんだよお前は!!」 んっふ、そんなに照れなくてもいいじゃないですかキョンさん 僕はただ祝福したいだけですよ、この話を聞いてすぐに準備しましたよ 彼と涼宮さんには指定時刻まで部室には来ないようにしていただき その間に彼の友人二人と鶴谷さんをお呼びし盛大に祝福させていただきました 涼宮さんは団長机で顔を真っ赤にしてましたね、キョンさんはいつもより少しニヤケてましたよ そして週末の団活ですが、午前中は彼と一緒になりました そこで彼にこんな相談をされました 毎日が既視感の連続であること、既視感の強さにより眠れない日があること 変な夢を良く見ること、内容までは覚えていないそうです なるほど、深層意識下にある彼の記憶ですね。これが彼のストレスとなって…… 僕はこう彼にアドバイスしました、あまり気にせずゆっくり休んだ方が良いと 午後の班分けで長門さんと一緒になる場合、僕からそのことを話しておく事を伝えました 結局、午後は僕と涼宮さんの組み合わせになりましたがね 団活終了後はもちろん集合しました この件を長門さんに伝え、今後どうするかを決めました 彼は彼で、朝比奈さんに心配をかけたくなかったのでしょう。 長門さんには相談しなかったようです なるべく彼にループしていることを悟られないようにすることで、一致しその日は解散となりました しかし週明けのあの校内新聞思い出しただけでも笑ってしまいます 馴れ初めや告白、イロイロ書かれていました 見事なほどバカップルでしたね、こんな彼らを守るそう決めた僕たちはこの後目立った情報も無く 邪神と呼ばれる謎の敵も動きを見せませんでした それから約1年が経過しました 2ヶ月ほど前からでしょうか、いえ夏休みの終わりごろからですね、彼の様子がおかしくなり始めたのは 自傷行為を起こすことが増え、精神的にも不安定になっていったのです 恐らく、以前話していた既視感が原因でしょう このままでは危険と思った僕は、彼を長門さん宅へ連れて行くことにしました 誘拐と言っても過言ではないくらいの勢いでね、もちろんご家族の了承は得ています ここで彼に全てを話しました、僕たちの置かれている状況、あなたが何度もこの10年間をループしていること 話し終えた後彼は少しずつ落ち着きを取り戻していました ただ、何故もっと早く教えてくれなかったんだと思っていることでしょう 落ち着きを取り戻した彼は、僕たちにもう自傷行為はしないと約束してくれました それなら涼宮さんに連絡をし、そう言ってあげて欲しいとお願いしました ですが彼は、今自分は涼宮さんに合わせる顔もかけるべき言葉もないと拒否しました この日の夜彼と涼宮さんがこの世界から消えました、正確には閉鎖空間へとシフトしてしまったのです 無事彼と涼宮さんは閉鎖空間から帰還しましたが、その後彼らは別れてしまった とこれはループの話しです さてそろそろ彼に語ってもらいましょうか、彼がどんな選択をし、どんな未来を勝ち取るのか -キョンサイド- 俺は今夢を見ている、それも毎晩毎晩同じ夢を、内容はこうだ 男のような女のような、それでいて全身黒いオーラのようなものを纏った奴に俺は追われている どこまでもどこまでも逃げる、逃げ続けた だがそいつは、俺がどれだけ逃げようと、気が付けば正面に立っている 追い詰められた俺は、こいつに腕を引きちぎられ、足を押しつぶされ 最後ははらわたを抉られ、頭を潰され、元の状態に戻されまた俺は逃げる これを何十回何百回と繰り返す事になる 最後は俺を襲う奴とは違う何かが目の前に現れ、光に包まれ目が覚める これが春先から見る俺の悪夢だ ハルヒと付き合いだして約1年が経過し、俺たちは3年に進級した 朝比奈さんは卒業後近くの私大に入学した、やはりハルヒ監視の任務がまだ続いているのだろう 3年になってからと言うもの俺は毎晩悪夢にうなされている さらに既視感も1年前と比べ日を追うごとに強烈になっていく 夏休みが終わり二学期の1週目から俺は学校に行かなくなった 夏休みの終わる頃には、もうこの悪夢と既視感に耐えられなくなり、寝ることさえ辛くなっていた そんな中2ヶ月が経過し11月になった、本来なら大学の受験勉強をしなければならない大事な時期だ SOS団のみんなはよくしてくれる、特にハルヒは毎日来てくれる 始めこそハルヒのノートを写すなどで勉強はしていたが、だんだんそれも億劫になっていく そしてこの2週間生きる気力を失い始めた俺は自傷行為を始めた そう自殺するためだ、未練はある、それでも現状から逃げ出せるのなら 行動に移そうとした時に限ってハルヒ達が俺の部屋に来た 「キョン!」 「何をやっているんですあなたは!!」 「キョンくん、ダメですよぉ!」 「長門さん、僕が押さえている間にナイフを取り上げてください!」 「……了解した……」 放せ古泉!頼む、頼むよ逝かせてくれ!! 渇いた音が響いた、俺の頬がじわじわと熱くなる 俺に平手打ちをした張本人であるハルヒが泣いている 「バカ!何やってんの! またあたしに、独りでいろって言うの! そりゃ、今は有希もみくるちゃんも古泉君もいるわ でもそれはキョン、あんたがいたからじゃない! あんたがいたから大切な友達を作れたの! だからあんたがいなきゃ、意味無いんだから!! ねぇ、あたしを……独りにしないでよ……キョン……」 そういうとハルヒは俺の部屋から出て行った ……ハルヒ…… 「キョンくん、涼宮さんを追いかけてください!」 朝比奈さん、今の俺にそんな資格ありませんよ 渇いた音が響き再び俺の頬が熱くなる、今度は朝比奈さんに叩かれたようだ 「私今のようなあなたを見たくないです! 涼宮さんを追いかけてください!」 …… 「どうして黙っているんです!どうして動いてくれないんです! どうしたら涼宮さんを追いかけてくれるんですか?」 ……朝比奈さんまで泣かないでください、今の俺には…… 「追いかけてください! 私の好きなキョンくんは、そんな意気地なしじゃないはずです 私の一番大好きな人は、こんな弱虫じゃない!!」 ……すみません朝比奈さん……でも俺は…… 「うぅ…ばかぁ!!」 朝比奈さんも俺の部屋から出て行ってしまった その直後電話が鳴り出した、どうやら古泉の電話のようだ 閉鎖空間か……すまん古泉…… 「はい古泉です、わかりました。 キョンさん、僕は少なからずあなたという人に嫉妬を覚えていました ですがそれも勘違いだったようです、失礼ですが僕はあなたを見損ないましたよ しかしそれでも、それでも僕はあなたが立ち直ってくれる事を信じています またあなたとオセロができることを、楽しみにしています。それでは」 古泉もいっちまったか… 長門すまん、一人にしてくれないか…… 「……落ち着いたら私の部屋に来て……話したいことがある キョン……生きて、ハルヒのためにも、あなた自身のためにも」 ……みんなすまん…… -ハルヒサイド- キョン……あんたどうしちゃったのよ 死ぬだなんて考えないでよ、あたしを独りにしないで もう独りはいやだよ、お願いだから生きて 気が付いたら公園にいた、公園のブランコであたしは泣き続けていた どれくらい時間が経ったのかわからないけど、あたりは暗くなっていた 誰かが近づいてくる、キョンなのかな…… そんな淡い期待は顔をあげた瞬間に裏切られた、けど嬉しかった、反面そこにキョンがいなかったことが悲しかった 有希、みくるちゃん、古泉君があたしを探してこの公園に来てくれた みくるちゃんも泣いていたのかな、目が赤いよ 「涼宮さん、キョンくんきっと立ち直ってくれます だから、キョンくんを支えてあげてください」 「僕からもお願いします、今の彼を支えられるのはあなただけです」 「……私からもお願いする」 私じゃ力になってあげられない、いつからこんな弱くなったのかな 「いいえ涼宮さん、あなただからこそ彼の力になってあげられるのです 僕たちでは、彼の心の奥底にある何かに触れることができません」 「そうなんです、私たちじゃ涼宮さんほどの力になってあげられません」 ダメよ、こんな弱い私じゃキョンの力になれない 渇いた音がして私の頬が熱くなった え? 「なんで、なんでキョンくんも涼宮さんもお互いを避けるんですか? 私の知ってる二人はとても優しくて、どんな困難も乗り越えられる強さも持ってるじゃないですか」 「そうです、あなたの彼の前でだけ見せるあの笑顔があれば、きっと彼も生きる気力を取り戻してくれるはずです」 「それは私たちにはできない、あなたの笑顔こそ彼の心の奥底にある恐怖を払う力になるはず、私はそう信じる」 「そうですよぅ、今のキョンくんも涼宮さんもお互いを必要としてるのに、逃げちゃだめです!」 うぅ……ごめん、ごめんねみんな。 そうよね、あたしがしっかりしなきゃ、あいつはもっと苦しいんだよね あたしと付き合いだしてから、ずっと変な感覚に苦しんできたんだもんね 悪夢もずっと見続けて、独り苦しんでるあいつを支えてあげなきゃ! そう決意できた時、あたしはまた泣いた、泣き続けた、涙が枯れるんじゃないかってくらいに そんなあたしを受け止めてくれた、ありがとうあたしの大切な友達 あたしもあいつと一緒に、あいつの苦しみと戦うんだ! だからあいつが元気になるまであたしは眠らない あたしをこれだけ悩ませたんだから、元気になったら罰金だからね! -キョンサイド- それから2週間こんな俺をハルヒは励ましてくれる、しかしどうにも生きる気力が沸かない ハルヒもまた眠っていないらしい、目の下にくまが出来ている バカ野郎…俺なんかのために綺麗な顔にくま作ってんじゃねぇよ…… 結局この2週間で俺が取った行動は、自傷行為を続けハルヒに叩かれる毎日を送ることだった 全部未遂に終わったがな、これもハルヒの俺に生きて欲しいという想いが起したのだろう 長門に話しがあるから部屋に来いと言われていたが、とてもそんな気分にはなれなかった 次の日の朝、古泉が所属する機関に俺は無理矢理連れ出された ほとんど誘拐だったな、親と妹には話をしていたらしく、何も言わなかった 着いた先は長門の家だ、マンションの入り口で長門、朝比奈さん、古泉が待っていた そこで俺は全てを聞かされた、俺の既視感の原因、そして俺だけが去年からの10年間ループしているのだという もっと早く教えて欲しかった、だが知ったところでどうしようもなかったのも事実だ このことを知れただけでも気が楽になり、自傷行為はやめることを約束した だがハルヒには合わす顔もなければかけてやる言葉も無いと、ハルヒへの連絡はしなかった 家に帰され久しぶりに寝れそうだと思い布団に入った 気が付くと閉鎖空間だ……、俺が原因で発生した閉鎖空間…… 北高か…… そう呟いた時赤い球が俺に近づいてきた、古泉だ 「やぁ、少しは眠れましたか?」 多分な 「既にお気づきの通り、ここは閉鎖空間です。2年前のあの空間と同じタイプのね」 そうかい 「僕たちからの応援の言葉です、邪神に負けないで自身を強くもってください、あなたなら必ず未来を勝ち取れます」 …… 「おっと時間のようです、あなたが未来を勝ち取りこちらの世界に回帰することを祈っていますよ」 …… 古泉が消えた、俺はどうすりゃいい…… しかたない……部室に行ってみるか ドアをノックする返事が無いがまぁいい開けよう 「キョン!」 ハルヒ……すまん……心配掛けた 「バカ!あたしがどれだけ心配したと思ってんのよ!バカバカバカバカバカ!」 ホント……すまん…… そういってハルヒを抱きしめてやろうと思った その時今までに無い強烈な既視感に襲われた 『そいつは本物じゃない、本物は後ろにいる 後ろだ後ろにいる者こそ本物だ!』 何かが俺に語りかけてきた、男の声だ、だが聞き覚えが無い それでも目の前のハルヒを受け入れてはいけない、そう思い後ろを見た 確かにハルヒがいた 「キョン!遅い!あたしを心配させておいてただじゃ済まないわ! そっちの奴を選んだら死刑だからね!!」 ハルヒが二人……さっきの声を信じるならこっちが本物か しかし……そういえば目の前のハルヒはくまが無い 後ろのハルヒにはくまがある、それにさっきまで泣いてたんだろう目が腫れてる…… それに後ろのハルヒには100万Wの笑顔があるじゃないか!! それと比べて目の前のこいつはなんだ、何をニヤニヤしてやがる気持ち悪い、100W、いや1Wのかけらもないただのニヤケ面だ そうだ、迷うこと無い後ろのハルヒこそ本物だ! なら目の前のこいつに言うべきことは一つ お前は誰だ? 「おや、とうとうばれてしまったようだね、さすが人間だ いつもの事だけど、人間の絆ってやつには驚かされるよ」 男と女が入り混じったような声でそういうと目の前のハルヒは、いや目の前の化け物は正体を現した 漆黒の化け物?そうかこいつが古泉が言ってた邪神か、なんでだろうな足がすくんで動けない 「その通り、さて邪魔が入ったし。まずは後ろの小娘から殺そうかな」 そうだこいつだ、俺の夢に出てきては俺を何度も何度も生かさず殺さずを繰り返してくれた奴は! 頼む、動いてくれ俺の足!! くそ動かない、ならせめてハルヒ伝えるんだ、あいつらがこの閉鎖空間に入ってこれるように祈ってくれと ハルヒ!! ハルヒ良く聞け、長門、朝比奈さん、古泉をこの世界にも来るよう考えてくれ 「え?キョン?どういうこと?」 SOS団が揃えば何だってできる!そうだろ? それが夢の世界ならなおさらだ! 「うん、わかった!(有希、みくるちゃん、古泉君来て!!)」 やばいハルヒ!!ぐ…あっ…、動けたと思ったらこれかよ…… 「おっと間違えた、小娘を殺すつもりが君を傷つけてしまったよ」 「キョン!」 ハルヒ俺の事はいい、今はあいつらをこの世界に呼ぶんだ!! 「でも!」 あいつらが来るまで俺は耐えてみせる!だからあいつらが来るよう祈ってくれ!! ハルヒ!!! 「……(みんな早く!!)」 「さて次は、肩を壊してやろうかね。やはり人間の悲鳴はいい、肩の次は背中を破壊してあげよう」 くそっ!まだかよ、このままじゃさすがに持たんぞ…… 「ふふふ、背中を潰すのは後にして足を破壊してあげるよ人間!!」 があああああああああああああ!! ここで俺は倒れちまったみたいだハルヒが泣きながら俺を抱きしめてくれてる ハルヒ…… 「キョン!キョン!!」 ハルヒ聞いてくれ、俺さバカだからお前を悲しませてばっかだったな 「ばか、いいわよ今はそんなこと!」 強く祈ってくれあいつらがここに来ることを!! 「うん、うん」 「さぁって次は内臓を抉ってあげよう どうだい、夢と同じ事をされる気分は まぁ本当なら腕を引きちぎってるところだけど、優しい僕は後にしてあげることにしたよ」 そうか、お前か俺にあの悪夢を見せたのは! 「そうさ、君の悲鳴は何度聞いてもいいものだ、これからがお楽しみだ!」 「ふんもっふ!」 ははっ、ホントにきやがったこれで俺たちの勝ちだ! 「すみません、遅くなりました」 「ふえぇぇぇ、キョンくん大丈夫ですか、涼宮さんも!」 「……私が彼の治療をするその間邪神を」 「みんな、本当に来てくれた、キョンの言った通りに、ありがとみんな!」 「さぁ一度退避しましょう」 「おや、逃げるのかい?まぁいいだろう、じゃあ12時間猶予をあげようその間に態勢を整えるといい 僕は高みの見物をさせてもらうよ」 保健室に逃げた俺は長門に治療してもらい、そのまま寝ちまったらしい それで変な夢を見た 「人間、おい人間!!」 またこの夢か…、どうせまた本が喋っているのだろう 「その通りだ人間、どうやら妾のこと憶えていたようだな どうだ汝はあの邪神と戦えるか?」 さぁな、さっきはハルヒを守るって一心でやっと動けたからな 本音言うと逃げたしたいよ…・・・ 「それは仕方ない、普通の人間であれば彼奴の瘴気で全員発狂してもおかしくない これも一重にあの小娘のおかげだろう」 なぁ俺はどうすればいい? 「それは汝が決めることだ、戦う意志があれば必ず勝てるとだけ言っておこう」 そうかい、まったくどいつもこいつも、俺には秘密主義なんだな 「そういうな人間、そうだ以前汝に刻んだ聖句、憶えているか?」 聖句?なんだそれ 「やはり憶えておらんか、まぁ戦う意志を持ったとき、汝の心に浮かび上がるだろう」 そんなもんでいいのか? 「うむ、なんの問題もない」 そうかいやれやれだなまったく 「さて、彼奴に気付かれるわけにはいかんのでコレで失礼するが 意志を強く持て、必ず勝てる。」 あぁありがとよ…… 「…ョン、キョン」 あぁハルヒか、どうした? 「もうすぐ、12時間たつわ、さっきの奴また来るのよね?」 多分な 戦う意志か、大丈夫なんだろうか、あれを目の当たりにして俺は戦えるのか? くそ、思い出しただけで震えがとまらない…… 「お目覚めですね、どうですか動けますか」 大丈夫だ……と思う 「あっ、キョンくん!よかった」 「……もうすぐ12時間……くる!」 「やぁ揃っているようだね」 うっ……体が震える……汗もとまらない 「ちょっとキョン、大丈夫」 「涼宮さん、彼と朝比奈さんを連れて下がってください。ここは僕と長門さんで食い止めます」 俺も戦うぞ古泉 「目の前の敵に怯えているようでは足手まといです、下がってください 朝比奈さん、二人がいう事を聞かないようなら、あなたの能力で移動してください」 勝手なことを言うな、俺のどこが怯えているっていうんだ 「自分でもわかっているはずです 先程からぶるぶる震えて、冷や汗を全身に掻いてるあなたに何ができるんです」 くっ…… 言い返せない、でもこのままじゃ俺は…… 「キョンくん、涼宮さん行きましょう 私たちがいては邪魔になるだけですから……」 わかりました…… 「有希、みくるちゃん、古泉君……わかったわ。さぁキョン行くわよ!」 すまん、長門、古泉 「……ここは私たちが相手になる」 「ふふふ、実はまだ君たちの相手をする準備ができていないんだ」 「どういうことでしょう?」 「直にわかるさ、その間こいつらの相手をしてもらおうか」 なんだよこの音……何かが大地を揺らし、なおかつ這いずるかのような音 「朝比奈さん、彼らを連れて今すぐ離れてください!」 「わ、わかりました!二人とも目を瞑って」 くそ、結局逃げることしか出来ないのかよ俺は!! 「わかったわ」 「いきます!」 この感覚……時間遡行か! 「もういいですよ」 朝比奈さん、あれからどれくらい経ちましたか? 「ここは閉鎖空間の旧校舎、あれからわずかな時間しか経過していません」 そうですか、古泉たちは? 「グラウンドにいます」 「みくるちゃんすごいじゃない! 何?一瞬で部室棟に移動したの? すごいわみくるちゃん!」 「一瞬でというより、わずかな時間遡行です」 「もしかしてみくるちゃん未来人?」 「ふふ、涼宮さんの夢ならなんでもありですからね」 「そういえばこれはあたしの夢だったわね」 こうしてみると、あの朝比奈さん(大)の面影が出てきてるな これから一気に成長するのだろうな朝比奈さんは 『いいのかい?仲間に戦わせて自分は何もしなくて』 誰だ! 『誰だっていいさ、この空間のわずかな綻びを見つけてね、ちょっとお邪魔させてもらったのさ』 空間の綻び?それはもうすぐこの空間がなくなるって事か? 『そうじゃない、さっき混沌が召喚した時に綻びができてね、それを利用させてもらったのさ それでジョン・スミス、君はどうしたいんだい?』 俺は戦いたい、あいつらだけに戦わせたくない 『じゃあ、勇気を持つことだ どんな恐怖にも負けない勇気をね そして共に詠おう、生命賛歌を』 勇気…… 『私の知り合いにね、後味が悪い、胸糞悪い たったそれだけで正義の味方になった人がいる 君にもあるはずだよ、君だけの正義、君だけの勇気、君だけの愛がね それじゃあ私はそろそろ行くよ、意識を侵入させるだけで精一杯だったからね』 待ってくれ、俺はどうしたらいいんだよ! 『君はもう答えを持っている、自分で答えたじゃないか 戦う意志があるなら後は勇気を持てばいい』 「キョン!」 え?あ、ハルヒ? 「何ボーっとしてんの、部室に行くわよ、ここにいても有希たちの邪魔になるわ」 ダメだハルヒ、俺は戦いたい! そう言い切りかけたとき渇いた音が聞こえた……またハルヒに叩かれたようだ……左の頬が熱く痛い 「今のあんたに何ができるってのよ!震えて、冷や汗掻いて……死にに行くようなモノじゃない! 夢の中であってもあんたに死なれたくない、少しはあたしの気持ちもわかってよ!バカキョン!!」 ……くそ、俺はまだ震えてんのか、この期に及んでまだ…… 爆発音が響き古泉と長門が化け物の攻撃で、俺達のところに飛ばされてきた 古泉!長門!! 「すみません、油断しました。まさかあのような化け物が出てくるとは」 「……私達の戦闘能力だけでは抑え切れなかった……」 「さすがの情報統合思念体対ヒューマノイドインターフェイスも、ダゴンとヒュドラの群れには適わないようだね」 ダゴン?ヒュドラ?なんだそりゃ 「クトゥルーに仕える深きものどもの首領さ、どうだいすごいだろ」 「多勢に無勢です、このままでは」 「さぁよく頑張ったね、しかし人形と能力者一人じゃもう限界だろ? 僕は僕の目的を果たさせてもらうよ」 「え、うっ…あぁ…キョン!なにこれ……頭が痛い……あぁぅっ!……しゃい……にんぐ……とらぺぞ……へどろん…… なにこれ、何なのよいや、こんなのいやいやいやいや 何なのよこれ、こんな世界見たくない、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!!!」 ハルヒ!落ち着けハルヒ!ダメだ、完全に取り乱してる なんだ、ハルヒに何しやがった、くそこの期に及んでまた足が震えやがる、動けよ俺の足!! 「少し面白い物を見せてあげてるのさ、僕たち邪神の住まう宇宙をね おっと、能力者に人形さん、君たちも動かないでもらおう」 「これは!?動けない!」 「ふえぇぇぇぇ!」 「……私たちの周囲に重力結界が発生、解除不可」 長門、朝比奈さん、古泉! 「勇気を、恐怖に立ち向かう勇気を持ってください」 「キョンくんだけが頼りです」 「……あなたならできる」 「そろそろ出現かな、あぁ出てきた出てきた」 くそ、なんだあれ…、金の箱?違う黒い、結晶体?なんだアレ、形が変わり始めた、なんなんだあれ! 「輝くトラペゾヘドロン、僕はね、あれを破壊したいんだよ。 この娘の力を使えば世界をまるごと改変できるけど それじゃあ面白くない、どうせならこいつを破壊する瞬間を連中に見せてやりたいからね さてそろそろ神人とやらにもご登場願おうか おそらく彼女が出した巨人ならあれに封じられることは無いだろうね」 てめぇ!! 「…………」 ハルヒ、ダメだ意識を失ってる くそっ、くそっ、俺には何にもできないのかよ、震えて黙って見てるしか出来ないのか俺は 今動けるのは俺だけなんだぞ、しっかりしろ!今動かないと絶対後悔するぞ 失わなくて済むモノを失うんだぞ、戦うんだよ俺!そうだ足を動かせ、拳を握り構えろ! うおぉぉぉぉぉ! 黒い化け物に一発、また一発、俺は何度も殴り付けた 「ふふふ、痛いじゃないか、震える体でよく頑張ったね人間。そんなに死にたいのかい?なら望みどおり君から殺してあげるよ!」 うるさい黙れ、死んでたまるか、俺はこいつらと生きるんだ! 生きて現実空間に戻るんだよ!! そう叫んだとき全身が光輝いた、後ろを見ると長門たちの動きを封じていた結界が消滅していた ハルヒはまだ気を失っている、でもさっきより楽になったみたいだよかった そういえば、夢で聖句がどうの言ってたな、なんだったかな 「あれは連中の……そうか、また彼らを愛せるんだね……ふふふ、さぁ人間早く早く、早く喚んでくれたまえ あぁ、楽しみだ楽しみだよ」 なんだこいつ……いや今は聖句だ……なんだったっけ……確か……確か…… 『さぁ人間、唱えよ!未来への路を開く無垢なる翼を汝の手でつかみとれ!!』 ……思い出した!! 「うぅん、キョン?」 ハルヒ、目覚めたかもう少しゆっくりしてろ 「うん……」 憎悪の空よりきたりて!! 正しき怒りを胸に、我らは魔を断つ剣を執る! 汝、無垢なる刃デモンベイン!! ……なんだよ、何も起こらないじゃないか、くそ! 「キョンさん、涼宮さんと一緒に聖句を唱えてはどうでしょう、もしかするとそういうものなのかもしれません」 そういうもんなのか? 「まぁこういのはお約束ってことで」 そうだな、だが顔が近いぞ古泉 ハルヒ、すまんが今のを一緒に頼む 「さっきのアレをするの?」 頼む! 「仕方ないわね、いい?一回だけだからね?」 それで十分だ!じゃあ行くぞ! 憎悪の空より来たりて 「正しき怒りを胸に」 「「我らは魔を断つ剣を執る!汝、無垢なる刃デモンベイン!!」」 唱えた瞬間、急に俺とハルヒの体が光り出した そして目の前に五望星が描かれ一際眩い光が放たれたと思ったらそこに誰かが立っていた 「人間、よく戦う勇気を持ち決意をした、後は我らに任せるがよい」 この声、夢に出てきた 「アル!」 「応!!」 「……ふふふ、あははははは、待っていたよ旧神・大十字九郎!!そしてアル・アジフ!!」 「久しぶりだな、ナイアルラトホテップ! 何度目かは忘れちまったが、あんたの企みこれまでだ! それにしてもまだ諦めてなかったんだな、輝くトラペゾへドロンの破壊をよ」 「久しぶりだね大十字九郎、僕が諦めるわけないだろう。 今度は輝くトラペゾヘドロンの衝突による破壊ではなく 人間の力で破壊しようと思ったのさ、まぁ成功する確率は低いけどね さて、もう少し僕の相手をしてもらうよ大十字九郎、6体の人形と遊んでいてもらおう」 「させるかよ、クトゥグア!イタクァ!!」 何だあれ、何もないところから火?氷?いや違う、拳銃だ 「……魔術」 魔術だぁ? 「ちょっとキョン!なんなのアレ!」 わからん、俺が聞きたい。それと、お前はまだ不思議を諦めてなかったのか 「当たり前じゃない!」 あぁわかったわかった、じゃあまた皆で不思議探索しようぜ。 「そうね!」 で、長門よ魔術ってなんだ?手品師みたいなもんか? 「違う、魔術とは魔導書と契約することで己の力とするもの 高位の魔導書になれば、意志を持ち、神を召喚することが可能」 神?この空間に出るアレみたいなもんか? 「違う、恐らくは最高峰の魔術で編み上げる巨神……!? 邪神に関する項目のプロテクトが解除された、原因は不明」 「私もです、邪神に関する禁則が解除されました、TPDDも正常に作動してます」 やれやれどうなってんだ、今回は 「あはは、あんたのその顔久しぶりに見たわ」 そうか? 「うん!」 そうかい 「まったくせっかちだねぇ君たちは、今出したばかりだってのにもう殺しちゃったのか まっ君たち相手に足止めになるとは思ってなかったけどね では能力者と人形の相手はこいつらにやってもらおうか」 今度は何だ……、おおおおおいなんだこいつら、半魚人か 「さぁ邪神の眷属よ、君たちの欲望を人間たちで満たして来るんだ」 『シャアアアアアアア!!』 「させるか!うおおおおおおおお!!」 ……俺は、いや俺たちは息を飲むしかできなかった 恐ろしいまでのスピードで邪神の眷属と言われた半魚人たちを全て倒してしまったからだ 正直何が起こったのかさっぱりわからん…… 「これを持ってここから離れろ!」 これは? 「それは妾のロイガーとツァールを模して作った小剣、そしてこれがバルザイの堰月刀だ 見たところ、小娘二人と汝は武器も無ければ特殊な攻撃能力を持っているわけでもない 人間、それを持ってこの場から離れよ!」 なるほど、自分の身は自分で守れって事か ってあんたたちはどうするんだ? 「ナイアルラトホテップを倒す、あっちの建物の一部に防護結界を張っておく そこに入ったら何があっても出るんじゃない」 わかりました…… 「人間、その小娘大切にするのだぞ。妾たちは彼奴を倒す、その後すぐに汝等を元の空間に戻してやる」 「お互い、苦労しそうな奴に惚れちまったが、頑張れよ」 あぁ、ハイ…… 「さて九郎、さっさと終わらせよう!」 「そうだな 憎悪の空より来たりて」 過去幾億回と繰り返された聖句を高らかに詠みあげる 「正しき怒りを胸に!」 正しき怒りに応え、全ての悪に等しく滅びを与える 「「我らは魔を断つ剣を執る!!汝、無垢なる刃!!」」 最弱にして無敵の剣、汝の名は 「「デモンベイン!!」」 爆ぜる光、闇を照らす聖なる光 五芒星が覇道を往く者の紋章が、灰色の世界に光と色を与える 今度は外が明るくなったなって、なんだありゃ!! 「……鬼械神、機械仕掛けの神、全ての悪を打ち滅ぼす神像、デモンベイン」 え?なんだって? 「で、デモンベインです」 朝比奈さんまで…なんですか、そのデモンベインって 「……説明はあと、あなたは涼宮ハルヒを守るべき 彼らの防護結界は部室に張られている、今は一刻も早く部室に行くべき 私の力ではこれから起こるであろう事象に対処できない」 そうだな そしてまたもや世界が揺れる、それも一度に6箇所で ハルヒ立てるか?ここは危険だ、部室に行くぞ 「わかったわ」 ここは危ないさっさと部室に行こう 防護結界とやらを張ってくれているなら一番安全だ 「それでは僕が追っ手を抑えます 先頭は長門さん、左右にはあなたと朝比奈さん、中央に涼宮さんです」 わかった、朝比奈さんにはこの小剣の片方を渡しておきます そういえば朝比奈さんは武器を持ってないんですか? 「武器の携行は禁止されてますから…… そ、それじゃこの小剣お借りしますね」 ハルヒお前もこれを持っておけ、俺たちだけで対処しきれない時は自分で自分の身を守るんだ 「あんたがあたしを守りなさい、団長命令よ!」 わかったよ、じゃあ部室に急ごう しっかし多いなぁこの半魚人どもは 「後ろもかなりの数です、しかし通常の閉鎖空間と比べ僕の力はかなり上がっています ですから僕に任せてください」 前方は長門が朝倉と同じ攻撃方法で撃退してくれてるが、如何せん数が多すぎる 「……問題ない、しかし0.1%ほど撃ち漏らしている、あなたと朝比奈みくるはそれを撃退して」 分かった バルザイの堰月刀ね、……どうせなら 虎王斬神陸甲剣!! 『グギャアアアアアア』 すげぇ、なんて切れ味だ……しかしグロいな…… 「おやおや、ノリノリですね」 黙れ古泉 「ふえええええ、こっちに来ないでくださぁい!」 朝比奈さんに渡したロイガーの刀身から風刃が巻き起こり、ばったばったと細切れにされていく あの人たちはなんつう危険なもんを…… 「見ろ九郎、ロイガーを持った小娘を、あ奴魔術の才があるぞ」 「そうみたいだな、というかアル」 「なんだ?」 「ロイガーってあんな使い方もできたのか?」 「……まったく汝と言う男は……ロイガーの属性を考えれば当然だ、無論非公式だがな!」 「非公式って……そんなメタ発言して、怒られるだろいろんな所から!」 「問題ない、所詮この作者の妄想だ。」 「いや、そりゃそうだが……」 「それよりも九郎、雑魚共が動き出したぞ!一気に片付けろ!」 「応!!クトゥグア!イタクァ!神獣形態!!」 「さすが大十字九郎だ、ダゴン程度じゃ足止めにもならないか じゃあ次はデウスマキナが相手だ」 なんだ今のは! 「……旧支配者であるクトゥグアとイタクァ」 それってさっきの銃じゃなかったのか? 「……銃は力を制御するための器に過ぎない、今のが真の力」 「しかし本当にすごいですね、大十字九郎さんにアル・アジフさんと言いましたか 僕たちが苦戦したあの化け物を瞬殺とは、恐れ入ります」 「アルアジフ?それってネクロノミコン、オリジナルの名前じゃない!!」 なんだそのネクロノミコンって 「西暦730年ダマスカスにて、狂人アブドゥルアルハザードが書いた魔導書です キョンくん、今後も涼宮さんと一緒にいるなら、これくらい憶えておいた方がいいですよ」 そうですね、って待てよさっきの少女がその魔導書とか言わないよな?さすがに 「それはありえません、いくら強力な魔導書といえど人の姿をするなどとは思えません」 「彼女は間違いなく魔導書アル・アジフ、力ある魔導書は魂を持ち姿を変え、神の模造品を召喚できる」 じゃあ、あのロボットが神の模造品っていうのか? 「あれは神の模造品の模造品、人間のための鬼械神(デウスマキナ)、それがデモンベイン」 さっぱりわからん…… 「あんたの頭じゃ考えるだけ無駄よ」 そうだな、……って遠まわしに馬鹿って言うな 「団長様に心配ばかりかける団員は、バカで十分よバカキョン!」 へいへい、さてこっちも粗方片付いたし、ようやく部室に着いたな 「部室棟に入ってからは、あの半魚人の数も減りましたからね」 それじゃ一息入れますか 「あっ、じゃあお茶煎れますね」 ありがとうございます」 ……しかし、緊張感のかけらもないな…… 「まったく、困ったものです」 顔が近い、よるな気色悪い 「九郎、このままでは埒があかない!アレで往くぞ!」 「応!断鎖術式壱号ティマイオス!弐号クリティアス!!」 「ふぇ!何ですか?何でこんなに時空が!」 「……現在戦闘中のデモンベイン脚部シールドから時空間歪曲を観測 そして元に戻ろうとする時空間の反発力で機動力を得る さらにそのエネルギーをぶつけることで凄まじい破壊力を生み出す」 「アトランティス!」 「「ストライィィク!」」 すっげぇ、延びてきた腕かわしながら、頭上に踵落しを食らわせてさらに銃弾ぶち込んでやがる 「残り5体」 おっ、今度は刀持った奴だ 上とか横からの攻撃をかわしながらよくやるなぁ…… って何だあいつ、脇から腕だしやがった!隠し腕ってやつだな 「光射す世界に汝等暗黒凄まう場所なし! 渇かず飢えず無に還れ!! レムリア!インパクトォォォ!!」 「昇華!!」 「……無限熱量による近接昇華、あれを食らえば一溜まりも無い、後4体」 すっげぇ…… 上からの攻撃に加え、金ピカおきあがりこぼしのレーザーに、黒い弾を撃ってきてる奴か こいつは厄介だな おっと黒い弾の流れ弾…… おいおい、何の冗談だ、人の顔が窓に映ってるぞ 「キョン!幽霊よ幽霊!早くカメラを持ってきなさい、心霊写真として雑誌に投稿するわよ!」 ハルヒ、あれだけは止めとけ、いやホラ何か声みたいなのも聞こえるし 「何言ってるの、こんなチャンス滅多に無いわよ、早くカメラ持ってきなさい!」 あぁハルヒ 「何よ」 言いにくいのだが 「だから何よ」 消えちまったみたいだぞ幽霊 「あぁぁ!もうこのバカキョン!せっかくの不思議だったのにもったいない……」 夢の中なんだし、撮っても仕方ないだろ、第一どうやって現実の世界に持っていくんだ 「それもそうね、夢なら仕方ないか……夢ならね」 何か言ったか? 「別に!」 とこんな問答を繰り返してる間にも外では戦闘が続いていた 「ニトクリスの鏡!」 今度は分身か? 「違う、鏡を使った魔術、現実と虚構の境界をなくし、幻を見せている」 でも長門、何かその幻、鏡みたいに割れてるぞ 「……そう」 「クトゥグア!イタクァ神獣形態!」 至近距離でそれを撃って大丈夫なのかあのロボット 「……直ぐに離れているから問題ない」 みたいだな…… 「本当にすごいですね、見てください」 おぉ、あの二匹地上にいるもう一体の奴を襲ってやがる 「地上の敵は終わったみたいですね」 しかし、空中の敵はどうするんだ? 「シャンタク!」 今度は翼か……なんでもありだなこのロボット…… 緑の方はすばしっこいなぁ、どうやって倒すんだ? おっ、あれはリボルバーだなあれでどうする気だ どこ狙ってるんだ、全然ちが「マッガーレ」 ……気のせいだ気のせいにしておこう 「気のせいではありませんね、残念ながら 弾道が確かに曲がりました」 お前の仕業か古泉 「いいえ、どうやらあれは自動追尾弾のようです 的確に動力部を貫いたようですよ」 とどめはさっきの無限熱量ってやつか 残りはあのデカ物だな 「すごいですねぇ、自動拳銃とリボルバーが融合して長距離砲になりましたよ」 あれで撃ち貫くってわけか 「そのようですね、っ!撃ちましたよ」 一撃かよ…… とまぁこんな感じでこの戦いを見ていたわけだが ほんと、俺の日常ってどこにいったんだろうねぇ誰か教えてくれ 「さぁナイアルラトホテップ、後はあんただけだぜ」 「まったくさすがだよ君たちは、仕方ないここは退こうか」 「この空間から簡単に逃げられると思うな、邪神よ」 「そうだね、ならまずは君たちから死んでもらうよ!」 「荒らぶる螺旋に刻まれた」 「神々の原罪の果ての地で」 「「我らは今聖約を果たす」」 「「その切実なる命の叫びを胸に」」 「「祝福の花に誓って」」 「「我は世界を紡ぐ者也」」 デモンベイン最強にして最凶の必滅奥義 第零封神昇華呪法 輝くトラペゾヘドロン おいおい、あっちの奴あそこにある奴と同じもん出しやがったぞ 「……デモンベインが握るモノが本物、恐らくナイアルラトホテップの封印と同時に消滅する」 「大十字九郎ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」 「大人しく眠ってな、永遠にな」 「紛い物のトラペゾヘドロンも消えた、今回も終わったな九郎」 「あぁ、さてアル、さっき現実空間に戻してやるとか言ってたがどうすんだ?」 「ふむ……」 「あっ、お前何も考えてないな!そうだろう!」 「これも運命だ諦めよ」 「またそれか!」 「さてな」 なんか、痴話喧嘩みたいなのが聞こえるなぁ 「……オワタ\(^o^)/」 どうした長門? 「……なんでもない」 「お疲れ様ですキョンくん」 あぁ、ありがとうございます 「さてここから出る方法ですが」 ……っゴホン! 「そ、それよりもキョン、説明してくれるんでしょうね!」 な、なんのことだ? 「有希たちの事、あたしに隠れて何をしてたのか、きっちり話してもらうわよ!」 お、おい古泉 「しかし、綺麗ですねデモンベインは」 朝比奈さん? 「ホントですね」 長門! 「……」 ……しっかし、綺麗だなあのデウスマキナってやつは 「そうね、それよりキョンあたしを待たせた罪で罰金だからね! それと今回のことと有希たちのこと、その時にたっぷり説明してもらうから、覚えてなさいよ!!」 ……えぇい、仕方ない!罰金はとりあえずこれでカンベンしといてくれ 「え?んん!」 ハルヒ、また学校でな…… こうして俺は自室で目が醒めた、気分のいい夢だった、夢ではないんだけどそういう事にしておこう さて、ハルヒがこれを夢と認識してくれればいいんだが…… ん?メールか from古泉 お帰りなさい、先の閉鎖空間で涼宮さんの力は失われました それと同時に僕の力もなくなりました これで僕はなんのしがらみなく、あなたたちと付き合えます 僕たちの事は、あなたから涼宮さんに話してあげてください 涼宮さんが力を失った以上、隠す必要もありませんからね 今までありがとうございました、そしてこれからもよろしくお願いします しかし、ようやくあの閉鎖空間から回帰できた理由がわかりました こういうことだったんですね ではまた部室で To古泉 うるさい、黙れ、営業スマイル面を写メで送ってくるな気持ち悪い オセロでボコボコにしてやるからおぼえとけ ……いろいろ迷惑かけたなありがとよ from朝比奈さん キョンくん、お帰りなさい、時空の歪みも消えて未来が固定され、涼宮さんの力もなくなりました これで私の任務も終わりです 大学卒業までこの時間平面に居ていいと許可がおりました 卒業後お別れになっちゃいますけど、それまでよろしくね そういえば、あれが閉鎖空間から帰ってくる方法だったんですね 眠るお姫様を起こすためのキスだなんて、まるで白雪姫ですね! 涼宮さんと幸せになってくださいね To朝比奈さん そうですか、とうとう帰ってしまうんですね。 また部室にも顔を出してください朝比奈さんなら大歓迎です あの時の朝比奈さんのビンタ効きましたよ、ありがとうございました from長門 お帰りなさい 涼宮ハルヒの能力は完全に消失した 情報統合思念体は私に蓄積するエラーこそ自律進化の可能性と認識した。 情報統合思念体はあなた達に感謝している 私という固体もあなたに感謝している 情報統合思念体は私の能力にプロテクトをかける事と、私に蓄積するエラー情報の提供を条件に、この世界で生きていいと言っていた。 また図書館に To長門 そうか良かったな長門、それから今までありがとな また図書館に行こうな さてまだ時間も早いし、もう一回寝るか 今日は月曜、学校に行くのにハルヒとセットでくまなんか作ってたら、谷口あたりに何言われるかわからんからな そしてまたこんな夢をみた、あの閉鎖空間で俺たちを助けてくれた二人組みの夢だ 「よく頑張ったな人間、人間でここまで邪神に立ち向かったのは九郎以外で汝が初めてだ ロイガー・ツァール・バルザイの堰月刀は返してもらうぞ」 「急にあの空間が消え始めた時は焦ったな」 「確かにな、汝一体結界内で何をしたのだ? まぁ、またあ奴が現れたら遠慮なく聖句を唱えよ」 「俺とアルとデモンベインがすぐに駆けつけるぜ」 「あの小娘の力は妾達で消しておいたからその心配はないと思うがな では九郎往くとしようか」 「あぁそうだな。それよりアル、子供が欲しいと思わないか?」 「無茶を言うな、妾達は戦いの日々を送らねばならんのだ それに妾は魔導書だ子供ができるかどうかもわからぬ 仮に子供が出来ても、戦いで汚れた妾達の手では……」 「そうだな……、まぁそん時は姫さんにでも頼んでみるか」 「また覇道の小娘に頼るのか汝は!」 「頼れるのは姫さんとライカさんくらいだからな」 「まぁ、出来た時はそうするしかないが、なるべくは作らないようにするからな九郎」 「あぁわかってるよ」 (と言うより、あんなもので毎日毎日……) 「どうしたアル?顔が赤いぞ」 「うつけ!」 「いつまでも長居してないで往くとするか、じゃあなジョン・スミス、幸せにな」 「さらばだ人間」 まったくこの人たちは……俺の夢に何度も入ってきては、最後に夫婦喧嘩までしていくなんて…… もういないかもしれませんが、ありがとうございました ん?そういえばあの時語りかけてきた奴も、この大十字さんも何でジョンスミスを知っているんだ? こうしてデモンベインと呼ばれていたロボットの手に乗り彼らは去っていった 彼らが離れていくにつれ、俺はいつかハルヒに話そうとした幸せの青い鳥の話を思い出していた 「キョン!キョン!!起きろ!!!」 ん?なんだハルヒか…は?ハルヒ? 「学校行くでしょ?」 あぁ、それよりなんでお前がいるんだ! 「別にいいじゃない」 2ヶ月と1週間ぶりってとこか、それよりハルヒ着替えるから部屋から出てくれんか 「あっ…そ、そうねじゃあリビングで待たせてもらうから、さっさと着替えてくること」 わかったわかった 「すまん、待たせたな」 「いいわよ、それよりあの灰色空間のこと説明してもらえるんでしょうね?」 「わかったよ、いいか・・・」 とまぁハルヒに閉鎖空間のこと、長門や朝比奈さん、古泉のことを教えてやった まぁさすがにアレを目の当たりにすれば、さしものハルヒも信じるしかなかったようだ ハルヒの能力については、ハルヒの機嫌が悪くなったりすると閉鎖空間が発生する程度しか言わなかった これ以上喋ってまた能力を発現されても困るからな ジョン・スミスについて話したのかって?それはまたもう少し後の話しだ さて今日から学校に復帰するわけだが、授業も遅れてるし、出席日数も危うい せめてハルヒと同じ大学に入れるよう勉強しないとな、……そうだな、ハルヒに勉強見てもらうか こうして俺は学校に復帰した 試験結果はハルヒ教諭のおかげでそれなりの結果だった だが出席日数が僅かに足りず、3月に補習を受けることで何とか卒業することが出来た SOS団全員で同じ大学に合格し、朝比奈さんが未来に帰るまでの間遊びと学業を共にした。 朝比奈さんが大学を卒業する頃にはもうあの朝比奈さん(大)になっていた 未来に帰ってしばらくしたら、高校生の俺に会うのだろう、白雪姫と星型の黒子を伝えに 俺はと言うと4年の春に就職もきまり、あとは卒業に向けて遊ぶくらいしかやることがなくなっていた せっかくなので暫くアルバイトをすることにした なんのためかって?そりゃ決まってるハルヒとの結婚資金を少しでも稼ぐためだ 今日はSOS団の団活の日だ、朝比奈さんはこれないが、俺たち4人で結構楽しくやっている 長門と古泉はいつのまにか付き合いだしていた そうそう、あの事件結局なんだったのかと言うと 邪神ナイアルラトホテップが仕組んだことだったらしい 何をしたかったのかというと、既に失われた輝くトラペゾヘドロンをハルヒの力で創造し それを破壊することで、アザトースの庭とやらを解放するのが目的だとか 解放したらどうなるのかきいたが長門は答えてくれなかった 知らない方がいいらしい、そうだな知らない方がいいかもしれん 旧神とやらは何だったのかと言うと、邪神ナイアルラトホテップを追っていたらしい あらかじめどこに出現するか分かっていたが、彼らの力だけでは閉鎖空間に入れなかったのだと だから俺とハルヒで聖句を唱えることであの場に顕現できたというのだ さすがはハルヒだ、神様と崇められていただけの事はある 邪神はどうやって入り込んだかと言うと、俺にくっついて入ったらしい でもあの時、俺がハルヒにあいつら呼ぶよう言わなかったら確実に死んでたな俺 もしハルヒが情報爆発を起こしていたら、どうなってたんだろうなこの世界 本物のハルヒが居る場所を教えてくれたあの声に感謝だ でもあの声旧神て呼ばれてた人に声が似てたな できればもう一度会って話しがしたいものだ そういえば、さっきから奥の席が騒がしいがなんだろうか そこにはどこかで見たことのある二人がいた こっちに気付くと、男の方が俺たちのところに来た 「よっ、元気そうじゃねぇか、まっこれからも頑張れよ!」 「九郎、もう行くぞ!」 少女に引っ張られて男は去っていった、あぁそうか彼が大十字九郎さんか あの時はありがとうございました、大十字さん! 聞こえたらしく、手を振っていた 「知り合い?」 とハルヒが聞いてきたので 高校の時世話になった人だと返した 「そう、ならいいのよ。今度会ったらあたしもお礼言わないと」 だがこの後彼らと会うことは無かった 当然だ邪神とやらと戦う彼らに安息の日々は無いのだから さて今日の班分けはっと… 俺とハルヒは色つき、古泉と長門は色無し なぁこの組み合わせなら、Wデートでいいんじゃないか? 「いいですねぇ、僕は賛成ですよ」 「……異議なし」 「古泉君と有希がいいならそれでいいわよ!」 もしもあの時選択を誤っていたら、俺は今頃あの頃に戻りたいと願っていたかもしれない でもあいつの笑顔があれば、あの頃に戻りたいなんて思わない そう、ハルヒの太陽のような笑顔があれば他には何もいらないのさ -Fin- -古泉サイド- と、彼が締めてしまいましたが僕の方でまた少しだけ続けさせてもらいます あの時は驚きました 突然機関の皆さんがいる前で閉鎖空間の入り口が現れたのですから 他の能力者はまったく気付いていない様子でした その時発生していた閉鎖空間と同じ境界でその入り口があったのです もしかしたらと思って、それに触れるとなんなく入れました 僕だけが入れるのでしょうねあの入り口は 入ったら入ったでまた大変でした、能力を使って学校まで行き、そこで長門さん、朝比奈さんと合流しました 一番驚いたのは朝比奈さんです、どうやってきたのかとたずねたら 突然頭にここの空間座標が送られてきたそうで、TPDDを使い侵入したそうです 長門さんもほぼ同様でした 異常事態でしたね、僕だけじゃなく長門さん、朝比奈さんまでこの空間にいるのだから 部室に行くとそこには漆黒の闇を纏ったようなそんな感じの化け物がキョンさんを襲っていました 僕は急ぎ光の球を作りだし化け物に投げつけました 正直驚きました、いつもの20倍の威力でしたからね、それでもこの化け物には通用しなかったのですが…… 化け物が時間をくれるそうなので、一旦保健室に退避して長門さんに彼の治療をしてもらいました 涼宮さんも疲れていたのでしょうね、彼の治療が終わるとすぐに眠ってしまいました 僕たちは外で彼らを起こさないよう対策会議を始めましたが、結局いい案が浮かびませんでした しかしここで、長門さんが以前彼の精神に入ったときにあった女性が、彼に聖句を教えたことを聞かされました この聖句が勝利の鍵であることを確信した我々は彼らを守ることに専念することにしました 結果は重力結界やダゴンと呼ばれた化け物のおかげでさんざんでしたけども 後は皆さん知っての通りです そういえば、あの時部室に直接時空移動すればよかったんですが 残念ながら彼らが張ってくれた結界の影響で、移動できなかったと朝比奈さんが言ってましたね 僕は卒業と同時に長門さんに僕の想いを伝えました ですがこのときは振られましたねやっぱり 長門さんがキョンさんを好きだという事は知っていましたから でも大学2年の時ですか、長門さんから僕にアプローチがありまして そこでようやく僕と長門さんは恋人同士になったわけです 涼宮さんが好きじゃなかったのかって? 確かにそうですが、僕にとって彼女は高嶺の花ですよ あの太陽のような笑顔は僕ではなく、彼に向けられているのですから え?それではどうして長門さんを好きになったのかって?んっふ、禁則事項です そして大学4年になってキョンさんの就職が決定して少ししてから 何かいいバイトが無いかと相談を持ちかけられまして ちょうど機関で人手が足りないからどうか?と答えました 機関は彼に特別恩がありますからね、さて大学卒業後の七夕の日にサプライズを用意しておきましょう これは僕たち機関に所属するもの全員からのお礼ですからね クリスマスに僕たち機関からのクリスマスプレゼントとして、彼らに教えてあげましょう。今からならたっぷり準備期間もありますし 彼は彼でこの七夕にプロポーズするそうです、何でもその時にジョンスミスの話しもするそうですよ んっふ準備のし甲斐がありますよ 実は僕は僕でもう長門さんにプロポーズをしてしまいまして、もちろん答えはYESでしたよ W結婚式なんて涼宮さんがきいたらどんな反応するんでしょうか 実に楽しみです、あぁもちろん長門さんもこの計画知ってますよ。さてこのくらいにしておきましょうか それでは皆さんにも幸せが訪れますように そして僕からの忠告です、あの頃に戻りたいなどと考え邪神に惑わされないでください その邪神はいつどこであなたを狙っているかわかりませんからね それに、未来は悪いことばかりではありません、自分自身でどうにでもなるのです もちろん、どうにもならない事もあります。ですが、そこから自分でどう修正するかで、また未来は大きく変わるのです -TheEnd-
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「没ね」 団長机からひらりと紙がなびき、段ボール箱へと落下する。 「ふええ……」 それを見て、貴重な制服姿の朝比奈さんが嘆きの声を漏らす。 学校で制服を着ているのが珍しく思えるなんて我ながらオカシイと思うが、普通じゃないのはこの空間であって、俺の精神はいたって正常だ。 「みくるちゃん。これじゃダメなの。まるで小学校の卒業文集じゃない。未来の話がテーマなんだから、世界の様相くらいは描写しなきゃね」 ハルヒの言葉に朝比奈さんが思わずびくりと反射するが、ハルヒは構わず、 「流線形のエレクトリックスカイカーが上空をヒュンヒュン飛び交ってるとか、鉄分たっぷりの街並みに未来人とグレイとタコとイカが入り混じってるとか。そーいうのがどんな感じで成り立っているのかをドラマチックに想像するの。将来の夢なんかどうでもいいのよ。それにドジを直したいだなんてあたしが許可しないわ。よってそれも却下」 グレイは未来の人間だって説もあるんだから、下手するとその未来は単に魚介類が陸上歩行生物に進化しただけの世界になるかも知れんぞ。まあ、どうでもいっか。 ハルヒは朝比奈さんに対し一通りダメ出しを終えると、ふてぶてしく頬杖をついてピッと朝比奈さんの指定席であるパイプ椅子を指さし、そこに戻ってもう一度やり直しという指令を無言で示した。 「うう」 朝比奈さんがカクンとうなじを垂れる。 それはハルヒの電波な未来観にへこまされているわけじゃあなく、いや実はそれもあるかも知れないが、今はもっと別の理由が考えられる。それはリテイクの厳しさを三倍程度にしちまう理由だ。 指示を受けてずるずると定位置へと引き返す朝比奈さんの後姿を見送りながら、ハルヒは団長机をパシンと叩き鳴らし、 「ちょっとみんな! 今回はノルマも少ないし、ページ数だってやたらになくてもじゅうぶんなの! 気張りなさい!」 俺はやや不機嫌なトーンを呈したハルヒの叱咤を半身に受けながら、パソコンを挟んで対面している古泉へと鋭利にこしらえた視線をありったけ突き刺し、それを受けた古泉は苦笑しながら、予想外でしたという陳謝を俺にアイコンタクトにて返信する。 しかし、これまた困ったことになっちまった。 ハルヒの腕章に黒マジックでしたためられた文字が今は何を表しているのかもう分かっている頃だと思うが、現在の涼宮ハルヒの役職は編集長である。 それはまさに肩に書かれているだけで、自称以外の何者でもないのは既に周知の事実であろう。 とゆうか、打ち上げ花火のような事件のときに作ったその布切れをよっくぞまあ今まで保管しといたもんだ。俺としてはそれが再び陽の目をみることなく、そのまま日に焼けない様に永久保存されといて欲しかったね。今からでも遅くないぞ。ついでにSOS団の皆が抱えてるトラウマも一緒に凍結しといてくれ。 「……それも良いかもね」 カチリ、何か良からぬものを踏んじまった音がした。 幻聴であって欲しいと俺の耳は切に願ったが、 「そうだわっ! SOS団の偉業を未来人に知らしめるために、あたしたちの功績を遺産として残すのよ! 今回の詩集だってもちろん入れなきゃね!」 俺の目は、今にも花びらが炸裂しそうなハルヒスマイルを映していた。 「何にだよ」 わかっちゃいるがな。一応。 「タイムカプセルに決まってるじゃない!」 ハルヒは色めきたって、やけに懐かしいワードを口に出した。 まあ正直なところ、俺もその計画自体に物言いをつけようとは思わん。が、それにはこれから書かされるであろう詩集は入れないぜ。 「なんでよ?」 「なんでだろうな」 そんなもん決まってる。他動詞的に作られたポエムがまともな形を成すとは思えんからだ。 それに前回の機関誌ならハルヒの論文が未来人にも有用だそうだからまだいいものの、今度の詩集ばっかりは後世の人間が見たところで「こいつぁクレイジーなヤロウだ!」とかいった驚嘆句しか出てこないだろう。未来に欧米かぶれがいるかは知ったこっちゃないが、無駄な驚きで寿命を無為に減らすのは気の毒である。なので、出来上がった詩集は俺が墓場まで持っていこうと思う。 「…………」 ――何だか長門の無言が聞こえた気がした。気のせいか? 「ってゆーか、そんなことを話してる場合じゃないでしょうが!」 ハルヒが不機嫌を取り戻す。それもやるけど、と続けて、 「みくるちゃんは受験生だし、あたしたちもボヤボヤしてらんないでしょ。学校があわただしくなる前に今年分の会誌は急いで仕上げないと困るの! これにつまずいてる様じゃ、これから先の団の活動に支障がでちゃうじゃないっ!」 一見まともなことを言っているようだが、よくよく考えればSOS団本位でしかない主張を団長もとい編集長はがなりたてている。 ――と、ここで一度、現在の俺たちの状況を整理しておこう。 場所はもちろんSOS団本部兼文芸部室である。 時の頃をおおまかに言うと、朝比奈さんが受験生なので俺たちは高校二年生ということになり、もう少しばかり掘り下げると一学期の初頭で、その時期に俺たちは二回目の機関誌の製作に取り掛かっているってわけだ。 我らが北校の学校方針から考えるにそれだけでも十分全員が忙しい身の上であることは想像するに難くなければ、朝比奈さんにとっては未来に帰りでもしない限り、この世界で生きていく上で至極当然にリテイクを重ねられている暇などない。 更に悩みの種となっているのが、今回の機関誌の企画である。 詩集だって? 冗談じゃないぜ。 そんなら前回の小説の方が幾分マシだったねと言えるもんだ。 それに古泉、こないだまで俺たちゃあ結構奔走してただろうが。イベントのスパンが短か過ぎる。 俺の視線に込められたそんな訴えを古泉は受信し、窮したように顔を苦ませる。なにか含む所がありそうだ。 ついでに俺たちがどんな奔走をしていたかと言えば、俺の旧友である佐々木との再会、そしてSOS団とは別種の異能、異性質な輩たちとのいざこざや、長門の病気だ。 長門が学校を病欠したとき、一時は天蓋領域とやらの侵攻を受けたのかと心配したのだが、本人いわく只の風邪だったらしい。そうは言っても、長門がウイルスですらも無い下等な雑菌に敗北を喫すること自体異常事態であるのに違いないのだが。 しかし何も知らないハルヒからしてみればそれは正常な状態異常でしかなく、俺たちにも懸念を抱く以上のは出来そうになかったので、長門には一般的な病人に対する普通レベルの介抱を行うことにした。 皆の心配を一身に受ける長門は、 「何か食べたいもんでもあるか?」 「お寿司」 などといった要求はしなかったが、心なしか、守られる側に立った状況を存分に味わっているようだった。 そしてハルヒは泊まり込みで看病するとガヤいだのだが(俺もそれには賛成だったが)長門の強い希望により、俺たちは日付が変わる前には渋々と部屋を出ることとなった。 そして何故か帰宅の途につけという要求は朝比奈さんに対して特に強かったようで、 「特に朝比奈みくる。あなたは早く帰って」 という言葉も賜った。 ……流石にショックだったせいか、次の日の朝比奈さんの挙動はかなり変だった気がする。 しかしまあ、既に出揃っている特殊な奴らは倍になったというのに、一向に異世界人は姿を見せんもんだ。 とは、俺が異種SOS団との諍い時に漏らしてしまった、会いたいという願望とは違った意味の言葉だ。 そのときの俺の言葉に対し、古泉は「もしかしたら、既に異世界人は僕たちと邂逅を果たしているのかも知れません」ときた。どういうことかと尋ねれば、 「異世界人は、異世界に存在することによってその定義を満たします。しかし、例えば未来人は時間を操作することよって、宇宙人は未知の知識によって、そして僕などは超能力の行使によって己の存在をより明確なものにしますが、異世界人はただ異世界から訪れたというだけで、僕たちにとって普通の人間以上の存在には成り得ない可能性があります」 もっとも、それが一般的な人類ならばの話ですがね。と続けて、 「なので、むしろ既にこちらの世界には別の世界へと渡る能力を持った者が存在し、そしてその者は、僕らの関知し得ない世界でSOS団に尽力しているのかも知れません。今の僕たちが存在するのも、その人物が異世界で頑張ってくれているからなのかも知れないのです」 つまり異世界人は異世界で頑張っているということなんだそうな。 どっちにしろ推察の域を出ない話だし、仮に現実だとしてもそれは認識の外だ。 まあ、もしそれが本当なら、一度は会ってみても良いかも知れん。 何だかんだいって、俺はハルヒが作ったSOS団とこの生活を気に入ってるんだからな。 そして異世界人が俺たちと同様同等の苦労をしているであろうことは身を持って分かることなんだし、俺が感謝の意を唱えてその苦労をねぎらっても悪くはあるまいて。 っと、話が脱線気味になっちまった。その軌道修正も兼ねて、少し時間を遡って今回の事の起こりから辿っていってみることにするか。 それでは回想列車、レッツゴー。 ……… …… … 放課後の文芸部室。佐々木たちとハルヒ以下俺たちとの一件も多少の落ち着きを見せ、俺たちSOS団全員が比較的普段通りの活動に従事していたときだった。 コンコン。 「失礼する」 扉をノックする音が聞こえたと思いきや、返答を待たずにすらりと長身な眼鏡の男とそれに伴う女性、つまり腹づもりの黒い生徒会長と喜緑さんが部室へと進入してきた。 「なにしに来たのよ。なんか文句でもあんの? 勝負事なら喜んで受け取るけどね」 生徒会からSOS団に対する文句などは重々にあるだろうし、勝負を受諾されても困る。 「ふん」 会長は入り口に立ったまま、 「君に対する苦言なら山のように持ち合わせているが、生憎そのようなものを言い渡しにこんな辺境までやって来る程私は暇ではないのだ。今日こちらへ足を運んだのは他でもない。一つ気になることがあるものでな」 「なによ。言ってみなさい」 ハルヒの方が偉そうなのは毎度のことだ。 「どうやら文芸部には新入部員が居ないようだが、その分で今年度の文芸活動は一体どうするつもりなのかね?」 「は?」 とは、俺の口をついて出た言葉だ。 ……以前にも、生徒会から文芸部的な活動を求められたことはあった。 それは文芸部およびSOS団潰しのある意味で真っ当な思惑によるものだったのだが、しかしてその実態は裏で古泉が根回しをしていたことによって発生したイベントで、しかも既に事の収まりを見ているはずだ。 それに文芸部部長の長門だって、新年度のクラブ紹介で分かる人が聞けば見事なのであろう論文を発表しているんだし、文芸活動はそれでオールクリアーにしときゃあ通るだろう。いいじゃん、それで。 しかもこれから進路の話やらで忙しくなるっちゅうのに、また機関誌でも発行しろとの一言が発せられるものであれば、ものの見事に層の薄いSOS団はペシャンコになっちまうぜ。本当に俺たちを潰す気か? 会長は。 そう思って俺は古泉に目配せしたが、何故だか古泉もハンサム顔に微小な驚きの色を浮かばせていた。 これは成り行きを見守っていくしかないなと思い、俺はそれ以上言葉を作らなかった。 「もちろん会誌を製作するわよ」 ハルヒは元から俺たちを潰す予定だったらしい。 「いや、それはもう良い。今回文芸部には、来年度用の我が学校のパンフを製作して貰おうかと思っている。潤沢に割り当てられた部費が、不明な団体の意味不明な活動で消費され尽くしてしまってはかなわんからな。それにこの時期は私も色々と忙しい。それもあって、例年は生徒会執行部が製作している学校案内書を君らに一任してみようとなったわけだ」 なるほど。来年用のパンフなら時間だって十分あるし、写真を切り貼りして文章をとってつければいいようなもんだから、苦になるほどじゃないだろうな。それで部費の分配に対する大義名分が得られるのなら、こっちの精神衛生面的にも好都合だ。まともに頑張っている他の部活動員に対し、多少は後ろめたさを感じることがなくなって良い。 「そんなのあんたたちでやってなさいよ。あたしたちもヒマじゃないの。もう会誌の内容も決めてあるんだから」 どうしてもハルヒは俺たちを潰したいらしい。 「まあ……キミたちが自主的に活動を行うと言うのなら、こちらはそれでも構わん。しかしそれが口からでまかせであった場合、私にも存在しないはずの団を抹消するための手間が生じてしまうのを覚えておくといい。そうだな、一度企画書を作成して明示して貰おうか。今から生徒会室まで来たまえ」 「ヒマじゃないって言ってんの! 無駄な心配してる余裕があるんだったら、あんたがここに書類持ってきなさいよ!」 どう考えても生徒会長の方が多忙を極めているはずであろうが、俺は別に会長の擁護をするわけもなく。 「何を言っているんだ君は。私は文芸部部長を呼んでいるのだ。部外者は口を挟まないでくれたまえ」 と……珍しく喜緑さんが長門に合図し、長門は生徒会長についていく。 「ちょっと、待ちなさいってばっ!」 二つのハリケーンが合流を果たしたかのような勢力で、会長の後姿をハルヒが追う。 おかげで残された俺たちと部室はいやに静かだ。 しかしまあ会長。企画書なんぞ出さなくたって、あの団長殿が言い切ったことが実行に移されるのは確実なんだがな。悲しいくらい否が応にも。 「おや、どうしたのですか? 何か他に用事でも?」 ん? 何故かまだ部室には喜緑さんが残っている。 前回の佐々木団との一悶着の際、病床に伏していた長門の代わりに我らSOS団の宇宙人ポストに入って奮闘してくれたので多少の親睦はあるが、 「すみません。実は、お話しておきたいことがあるんです」 身の上話でもするのだろうか? 喜緑さんが部室に取り残された朝比奈さん、古泉、俺に対して言い放つ。 「まずは長門さんの能力が弱体化している件についてなんですが、それは彼女と思念体との接続が弱まってきているためだと考えられます」 ――長門が自分でも制限をかけちゃいるが。 「ほう。しかし何故、長門さんと思念体との接続状況が芳しくないのですか?」 こういう説明を受けている時なんかの古泉の返答は助かるな。 喜緑さんは続けて、 「はい。実は、わたしたちのようなインターフェイスには上の方から一つ禁令が下されているのですが、その禁令に長門さんが少しずつ触れてきているがゆえに、思念体から敬遠されているみたいなんです」 どんな禁令を……ん? そういえば以前に長門から聞いた記憶がある。 「確か、死にたくなっちゃいけないってやつでしたっけ」 そのまま俺は疑問も口に出す。 「長門がですか? 俺にはそんな風には……むしろ、生き生きしてきたように感じますが」 そうだ。長門の鉱石の様だった瞳にも、だんだんと血が巡り出してきたかのような、柔らかさと温かみが度々見受けられるようになってきていた。春休みの映画撮影(予告編のみ)の最中なんか、長門的には最高にハッチャケていたような様だったぜ。死にたいなんて、そりゃ相反してる。 「死にたい、ですか。それはまたどういうお話なのでしょうか?」 確か、アポだかネクロだか、自殺因子って単語もあったかな。 「ふむ……PCD、のように聞き受けられますね」 「古泉。いったい何だ? それは」 「例えば生物の進化の過程において、あらかじめ死が決定された細胞のことです。オタマジャクシの尻尾が、カエルへと変態する際に失われるといったような。その例のようにPCDはむしろポジティブな細胞の消失ですし、これが行われなければ僕たちにも手指などのパーツが形作られません。これをアポトーシスと言います。このように細胞の自殺が計画的に行われる、それがプログラム細胞死なのです。他にもネクローシスという、」 よし解らん。次へ行ってくれたまえ。 喜緑さんが古泉の言葉を受けてコクリと頷き、 「わたしたちインターフェイスは人類と同じ物質で構成されています。我々が死ぬような事態は殆どないのですが、有機的な活動を行う過程によって死の概念が組み上げられてしまうといったことなどが憂慮されます。思念体は元より死の概念を持ち合わせていないので、わたしたちによって情報構成に自殺因子が紛れ込む可能性をひどく嫌っているんです。恐らく、良い変化は期待されませんので」 ニコリと笑って、 「ゆえに、わたしたちは死を思うことを禁じられています」 うん。長門の話もたしかそんな感じだった。 「なるほど。情報統合思念体は群体のような性質を持っていると思うのですが、多細胞生物に見られるPCDにも一応の懸念を発起させている訳ですね」 「そんなところです」 喜緑さんは続けて、 「あと、先日の長門さんの不調は病気などではありません。おそらく、上の方と何かトラブルがあったのだと思います」 まあ、原因が周防九曜じゃないならそんなところだろう。俺は得心したように頷いて、 「して、そう思う理由は?」 と質問した。喜緑さんは微笑を消し、 「……あの日以降、長門さんと思念体との接続が異常なほど軽薄なものとなっているからです。なので、今の長門さんには殆ど力の行使が認められていません。皆さん、どうか長門さんをよろしくお願いします」 無論だね。むしろ注文を受ける前から走り出してる程に気をつけてるさ。 「ありがとうございました、喜緑さん」 俺の言葉を最後に、喜緑さんはぺこりと退室の礼を尽くし部屋を退出した。 そして閉められた扉は程なくしてドバン!と破裂音を上げ、 「おっまたせー! 勢いで計画進めてたら、こんななっちゃった! まぁ、善は急げ!美味しいものははやく食え! ってことでいいわよね! 明日の団活からさっそく原稿の執筆に取りかかるから、みんな楽しみにしてなさい!」 そう声高々と宣言するハルヒの後には長門の姿があり、ハルヒが右手で俺たちへと提示する紙には、 『企画内容:詩集。上稿予定:今週中』 というデススペルだけが書きなぐられていた。 俺には、最早それが死神との契約書にしか見えていなかった。 そんなこんなでやっと次の日になったかと思やぁハルヒは、休み時間が来るたびに何やらハサミで紙をショッキリショッキリいわせていた。 一体お前は何やってんだと聞けば、 「ひみつ! 放課後まで待ってなさいっ!」 と、ニカリとした笑みを作りながら溌剌と意気の良い返事をするばかりだった。 恐らくハルヒは俺の妹のようにハサミを装備することで破壊衝動を満たす化身へと変貌しているわけでなく、なんらかの創作活動に勤しんでいるのだろうから、折角だし作品の完成まで楽しみにしておくか、と俺は自分の席にいるときも心して後のハルヒへ目をやらずにいた。 そうなると俺はこれといってやることもないので、隣の窓越しに広がる過剰に陽気の良い春模様の空を見やり、その余った陽射しを我が身に受けて体内に貯蓄し、無駄に消えゆくエネルギーを減らそうといった仕事に献身していた。 ああ、春ってのはなんでこんなにも素晴らしいのだろうね。爛漫。 そして放課後、文芸部室にて。 朝比奈さんは俺たちにお茶を配膳する業務を終え、既に部室の風景と化していた。長門は最初から風景だった。 部室なら長門に何事もなかろうと、俺はいまだ姿を見せぬハルヒを待つ事もなしに古泉とヘブンオアヘルという創作トランプゲームに興じていた。 どんなゲームかと言えば、最初から片方がジョーカーとエースを手に持ち、相手をかどわかしながら選ばせるといったもので、つまり二人で行うババ抜きの最終決戦だけを抽出しただけである。これは経験によって無駄を省かれた。 しかし、単純なゲームをいかに楽しく行うかというテーマに沿って繰り広げられる熾烈な心理戦も、単純作業の繰り返しには飽きが来るという人間の心理の前には立つこと敵わず、また古泉も俺に敵わず(逆にやり込められている感がないとも言いがたいが)いつの間にか俺たちのやっていることはカードを弄びながらの雑談へと変わっていた。 「しっかしハルヒの奴、何でまた詩なんかに興味を惹かれたんだろうな。俺たちが詩なんか嗜んだ所で、痛い目と身悶えするような駄文を見るだけだろうに」 古泉はカードを四隅の一点だけで倒立させようと試みながら、 「そうでしょうか。感性多感な時分の僕たちの心模様を紙へと投影してみることは、未来の自分がそれを見た際に、その時代の感傷を想起さし得る貴重な宝物になるのではないかと」 「どうだか。次の朝にでも目が覚めたら、貴重な資源をゴミに変えてしまったってのに気がつくだろうぜ。その後に色んな意味で後悔するだけさ」 実体験ですか?という古泉からの質問に対し、俺は見聞きした深夜のラブレター作成理論の応用だと答えておいた。 「それはさておき、今回涼宮さんが機関誌の内容に詩集という形を取ったのも、受験生の朝比奈さんや僕たちへのちょっとした配慮なのかも知れませんね。詩なら、文量が少なくて済みますから」 「それこそ問題だ。少ない文字で成り立たせにゃならんから、構想に余計時間がかかる。それにどんな詩を書くのかも考えにゃならんから、よほど手間だ」 ズバン! 「待たせたわねっ! みんなは一秒が千秋に感じる程に待ちわびていたことだと思うわ! 今回も時間がないから、みんなの詩のテーマはコレで決めちゃいましょうっ!」 心臓を打ち抜くような音を鳴らしてハルヒが扉を押し開いてきた。 驚きの眼を配る朝比奈さんとハルヒの途方もない思い違いに呆気に取られている俺に、ハルヒは何やら励んでいた創作活動の賜物と思われる物体を、左手で作ったOKサインのOを示す指に挟んで見せびらかしていた。 「サイコロ、ですか?」 多分古泉の質問はその通りの答えだろう。 俺にも、それは三角形の紙を八枚セロハンテープで繋ぎ合わせて作られたフローライトナチュラル八面体に見える。 「そっ。特にキョンなんか書き始めるまでにも時間かかりそうだから、今回も内容はアトランダムに決めるわっ! キョン。雑用でしかないあんたのために労を負った団長様に感謝しなさいよね!」 先程の俺の言葉を見れば感謝すべきであろうが、アトランダムの偶然性に対し不満があったので「すまんな」という謝辞にて言葉を終了した。 ハルヒはフッフンと得意げに天井へと高々にサイコロを掲げ、 「それぞれの面にお題が書いてあるから、これをホイコロリンッって投げて出たヤツを詩の内容にすること! 異議があるなら言いながら投げるといいわよ。そして忘れちゃいなさいっ!」 俺には言い捨てる言葉もないが、 「しかしまた何でサイコロなんだ? わざわざ紙を切ってゴミを増やさずとも(そして作らずとも)、前みたいにくじ引きかアミダで決めりゃ良かったじゃないか」 という小さな疑問を投げかけた。 それを聞いたハルヒはチッチッっと右手の人差し指をメトロノームにしながら、 「それじゃバラエティに貧するってものよ! SOS団たるもの、些事の決め方にも広く手をのばしていかなきゃ! そして、ゆくゆくは世界の森羅万象を掴み取るのよっ!」 グッと決めポーズ。ハルヒは今日も絶好調なようである。ま、絶不調でなくて何よりだろうね。世界の平和的に。 だが、恐らくこのネタは外部から、というかテレビから受信して閃いただけだろう。 と、俺は手元に落とされた八面体ダイスを見ながらそう推察してみた。 何故かと言えば、サイコロのやっつの面に書かれているワードはそれぞれ 『私の詩』『未来予想図』『恋の詩』『本音の詩』 『元気が出る詩』『褒められた詩』『失敗した詩』 とあり、後半のテーマが若干日本語として妙なのはハルヒに国語力がないからではなく、お昼の某テレビ番組で転がされているサイコロに書かれた『~話』をそのまま詩という言葉に変換したせいだと思われるからだ。 「じゃっ、順番は団への貢献度が多い人からね! 序列は大事よ! 大きな組織の中では特にねっ!」 じゃ俺からでいいだろ。 「なんでよ? はいっ! 最初は副団長からっ」 SOS団は小規模だから、と説く前に、ハルヒはひょいと俺の手からサイコロをつまみ取り、流れるような動きでそれを古泉副団長へと手渡した。 古泉は卵をのせるような手の平の中でそれを弄び、 「さて、なにがでるかな?」 合唱しようと思ったが、古泉が出す目は大体の予想が立つし、多分予想通りである。 スマイル仮面の古泉のテーマは多くて二択であり、およそ『私』か『本音』だと、 「……おやっ?」 俺と古泉が思わず言葉を漏らす。 「褒められた詩、ですか。僕が以前に書いたポエムの傑作を載せるということでしょうか?」 書いてる姿も含めてそれも見てみたい。が……何だ? 確率論が復活したのか? 本来ならおかしくはないはずなのに俺が妙に思っていると、 「ちがうちがうっ。褒められたときの気持ちやらをポエムにするのよ」 俺にとって古泉のそれは不愉快なポエムになるなと思っていたら、ハルヒは続けざまに、 「でも、振り直しっ。それは国木田が書くから」 国木田? 「そうよ。名誉顧問と準団員には既に振ってもらって、『元気』『褒め』『失敗』は決まってるから」 ハルヒはくるリとメンバーを見回し、 「みんなもカブっちゃったらもう一回! 同じことやっても良いものは生まれないし、SOS団はバラエティに富んでないといけないって言ったでしょ!」 それよりも近い過去に序列がどうのと言ってた気がするが、それは覚えていないらしい。 「って、じゃあ俺はサイコロの振りようもないだろうが。全員が振った後じゃ、必然的に残りの一つに決まっちまうだろ?」 「いいじゃん。特に変わらないわ」 実際問題どうでもよかったし、例え同じサイコロを八つ同時に八人が投げたところで結果は変わらないであろうから、俺はそこで閉口した。 そして古泉は『本音』を出し、次いで長門が『私』、朝比奈さんが『未来予想図』、ここで俺は再度口を開いて抗議の旨を団長、いや編集長へと必死に訴えたが、ハルヒはガイウス・ユリウス・カエサルがルビゴン川を渡った際に言い放ったのと同じ言葉で俺の訴状をねじ伏せた。 ――そしてまた次の日の放課後。現在に至る。 目の前のハルヒが何故こんなにも不機嫌なのかと言えば、 「ちょっとみんな! あの三人はすぐ詩を完成させて持って来たってのに、何でみんなはちーっとも筆が進んでないのよ!」 ハルヒが代わりに言ってくれた。その理由を申せと仰るのであれば、説明するまでもなく「そりゃそうだ」の一言に尽きる。 鶴屋さんは『元気』、国木田は『褒められた』、谷口は『失敗』の詩を書いており、言葉そのままでも違和感のない程にそれぞれピッタリはまった題目だ。 一夜で詩が書けた理由としては、各自それのネタなんていくらでもあるだろうし、万能である鶴屋さんの才の一つに詩的才能が含まれている予測は疑いようもなく、国木田と谷口なんかは適当に済ませたのだろう。 重ねて俺たちときたら、古泉と朝比奈さんのテーマはまるで名探偵にズバリズバリとトリックを言い当てられて言葉を失った犯人のようにアワワとしか言いようがなくなってしまうようなものであるし、『私』の長門なんか前回の小説で自分のことであろう作品を書いているので、俺と共に前回とお題がモロかぶりである。 言うまでもないとは思うが、俺は『恋』のネタである。 もう、そんなもん俺の在庫には最初っからないんだし、長らく入荷待ちの札が掛かってるだけだっつーのに。 それらの理由により、俺はもう一度ハルヒに儚い希望を提訴してみた。 「ハルヒ。じゃあ皆のテーマを変えてくれないか? 俺だって恋なんてもんは幼い頃、従姉妹に一方的に苦い思いをしただけだし、それ以来そういった甘そうなのは味わったためしがないんだ。だから俺の中にあるそんなネタは、前回の小説が最後っ屁でもうグウの音も出ん。終了だ」 却下。という二文字の一言が虚しく飛んでくると思っていたが、 「そうなのですか? むしろ味を感じないのは、あなたにとってそれが空気みたいな物だからなのでは?」 予想に反し、助け舟を渡してやった筈なのにそれを撃沈させるかのような言葉が古泉から飛んできた。 「うん? どういう意味だそれは」 特売アイドルみたいなスタイルのお前と違って、俺にはそんなに身の回りに溢れているもんじゃないんだよ。それにそんなことを言われるとな古泉。俺だって……泣くんだぞ。 「いえいえ、そうではないですよ」 若干苦味を持たせたスマイルで、 「あなたにとって必要不可欠であるにも関わらず、身近に存在しすぎてあなたが気付いていないだけ。ということです」 ほう。そいつは嬉しいじゃないか。つまり、俺に想いを寄せているがそれを伝えられずにいるうら若き乙女の視線が、恋の矢の如く俺の後頭部に突き刺さっているのが古泉には見えるってわけだな。 何だか涙が別の理由で出てきそうだと思っていると、 「古泉くん。それどういうこと? 団長に報告もなしに男女交際をしている輩がいるっていう告発?」 そう古泉に話しかけながらも、ハルヒの視線はまるっきり俺の方へと向いている。 そんな目をされても俺はなにも知らん。 「そうではありません」 今日が、古泉にとって初めてハルヒにノーと言えた記念日となった。 「僕はただ、恋とは意識して感じ取れるものではなく、無意識の内に自分が恋に落ちていたという事実を自らが認識した際に知り得るものだ、という考えを述べたまでですので、他意はありません。ご安心を」 「ああ、なるほどね。それはあたしと似たような捉え方だから良くわかるわ」 うん? お前、恋愛は精神疾患だとか言ってなかったか? 「もちろん。風邪と同じでかかりたいと思ったときにはかからないし、忘れてる頃にはいつの間にやら患っているものってことよ。まさに病気じゃない。あたしは抗体持ってるから絶対かかんないけどね」 蝶がヒラヒラと舞い寄ってくるような古泉の思想が、ハルヒの例えによって一気に消毒液臭くなった。 俺は飛び去った蝶の採集を試みるように、 「じゃあハルヒ。抗体持ってるってんなら、以前に恋患いの経験があるんだな?」 「あるわよ」 「へっ?」 っと、俺がハルヒから思わぬクロスカウンターを喰らって目を丸くしていると、 「はしかやオタフク風邪と一緒よ。ちっちゃい頃に感染しとくべきなの。それは」 ……やれやれ。まったく、現実的なものにはどこまでも夢のない奴だな。非現実に見せる積極性をピコグラム単位でも振り分けてみたらどうかと提案するね。それだけでも、お前には男共がわんさと群がってくることだろうぜ。黙ってりゃあもっと良い。 「ド馬鹿キョン! つまんない奴らがいくら集まっても、あたしの欲求は埋めらんないのっ!」 壊れたミニカーのようにキーキー言っていたハルヒは、俺に近づいてきて急に止まったかと思えば、俺の心臓あたりをスイッチを押すようにしつつ不敵な笑みを浮かべ、 「だからね! あたしが集めて作ったSOS団は、みーんな粒ぞろいの精鋭なのっ! 全員一緒なら意図せずとも世界は盛り上がっちゃうって寸法よ! わかるわねっ!」 「……ああ、よく分かってるさ。もちろんだ」 ――そうだとも。佐々木の閉鎖空間をめちゃくちゃにしたあいつらなんかとは、SOS団は全く存在を異にする。 俺たちだってそれぞれ形は違っちゃいるが、いつの間にかそれはパズルのようにガッチリ組みあがって、今では全員で一つのものになっていたんだ。前回の事件で、俺たちはそれを身にしみて感じる事が出来たのさ。 ――そして、その中心にいるのは……ハルヒ。いつだってお前なんだ。 「なにアホヅラかましてんの! そんな暇あったらとっとと書きなさい! ちなみにテーマ変えはなしっ!」 それは変えて欲しかったが、俺はもうハルヒに抗弁をたれるまでには至らなかった。 ハルヒは憤怒しているように見えたが……その表情はまさに、楽しくて堪らないともの語っていたからな。 しかしいつまで経っても団員の誰一人としてポエムを完成させることはなく、修練の結果は翌日に現れるといったハルヒ理論により、詩の作成は宿題という形で団員に背負わされ、俺たちは普段よりも重い足取りながら、いつもの並びで帰路についていた。 「もしかしたら涼宮さんは、己の能力と僕たちの正体に気付いているかも知れません」 何の脈絡もなしに世界が終焉を迎えそうなことを言い放っているのは、もちろん古泉である。 「そりゃまた、えらく段階を踏まない話だな。なぜそう思う?」 ハルヒと朝比奈さんが先頭、次いでハードカバーを読みふけりながら歩く長門、そして最後尾の俺と古泉。 古泉は部室からずっと手に持っていた物を俺に見せるように掲げ、 「……これですよ」 「って、ハルヒが作った只のサイコロじゃないか」 テーマ決めの際に使用された八面体の紙製サイコロだった。 ちなみに、このサイコロ君は生まれて間もなく存在意義を失ってしまった可哀相な奴である。 というより、また使われるようなことがあっては堪らんので、俺としてはいち早く鉄のゆりかごの中で眠って頂き未来人に起こされる日を待って頂きたい次第である。……そういえば、タイムカプセルって自分たちで掘り起こすもんだったよな? 「その話はまた別の機会にしましょう」 古泉の提案を拒む理由は皆目なかったので、俺は話を聞く態勢に入った。 「何故、今回のテーマを涼宮さんがこのような物で抽選したと思います?」 「そりゃあおそらく、学食でテレビでも見ててネタを頂戴したんだろ」 ふむ、っと古泉は視線のみを数瞬だけ横に流して、 「たとえば、涼宮さん自身がクジの偶然性に疑問を持っていたとします。そして無意識の内に、確率を確認するのにはこの上なく最適であるサイコロという手段を取ったのであれば……涼宮さんは表層の意識に限りなく近い所で、己の能力の存在について勘付いているという可能性が示唆されます」 それを聞いた俺は「へえ、」と一呼吸おいて、 「考えすぎじゃないか? あと、お前たちの正体に気が付いてるという予測は何処から立つんだ?」 ほのかに微笑んだ古泉は手に持っていたサイコロを俺に渡し、俺がそれをつぶさに眺めていると、 「これに書かれているテーマですよ。偶然にしては……余りに、僕らが有する要素に対して的を射すぎている。なので涼宮さんは僕たちの正体を心の何処かで知っていて、これによって確証を得たいのかも知れません。これも多分、無意識の内の行動でしょうがね」 はん。年がら年中どこまでも特殊な存在と一緒に過ごしてたら、だれだって少しはそう思うだろうぜ。 「それも深読みし過ぎだろう。サイコロのネタだって、提供元はシャミセンの親類が経営する洗剤会社に違いない」 この言葉に古泉はいつものスマイルを取り戻し、 「そうですね。それに僕たちが一発で各自のテーマを当てなかった理由は、むしろ涼宮さんは自分にそんな能力があるということを否定したいからなのでしょうし、ひょっとしたら、単純に涼宮さんの力が弱まっているだけなのかもしれませんしね」 ん? ちょっと待て。一つだけ合点がいかない。 「……俺のテーマが『恋』になった理由は何だ?」 「それは本当は朝比奈さんが未来人であるように、あなたも本当は恋を」 「なあ古泉。だいたい生徒会長は何でまたこんな時期に文芸活動を要求してきたんだ? まあ当初の要求は文芸部的なんてのじゃてんでなかったが。機関が関係してるのか?」 「それなんですが」 と古泉はスマイルのレベルを最小にまで下げ、 「これは僕らの手回しによるものではありません。会長なりに考えてみた結果なのかも知れませんが、若干、あの人に生徒会長の仮面が定着し過ぎている感が否めませんね。いえ、もしかしたら、喜緑さんの手によるものだったというのも考えられます」 「ほう。まあそれなら重要だったよな。長門に何かがあったのは分かってたのに、俺たちはその何かまでは知らなかったわけだし」 古泉はフフフと不気味に笑い、 「それなんですが、僕にはおおよその見当が付いています」 一体それはなん、まで俺が言葉を出したときだった。 ゴスンッ! ――今の音は長門の頭から出たのか電柱から出たのか、一体どっちだ!? ……なんて、不毛な論議に変換している場合じゃない。 「ちょっと有希っ! あたま大丈夫!?」 ハルヒは長門がアッパラパーになっていないか心配しているのではなく、本を読みながら電信柱に頭部を強打した長門を案じながら、怪我の有無を確認している。 そして古泉と俺は長門が電柱にケンカを吹っかけた光景を目撃して目を丸くし、朝比奈さんはわたわたと長門に気遣いの言葉を途切れとぎれでかけていた。 「心配しなくていい、平気」 いやゴッツンコした所が小高い山を作って、まだ春だってのに紅葉を迎えてるぞ? 「大丈夫か?」 駆け寄る俺に、 「ありがとう。……みんなも」 たんこぶを抑えるのをガマンしている様に見える長門が答えた。 「でも、珍しいわね。有希が物にぶつかるだなんて。そういえば……見た覚えがないわ。いつも本読みながら歩いてるってのに」 「別のことでも考えてて、そっちに気がいってたんじゃないか? 詩とかポエムとか……ポエムを」 「そ、そうなのかな……」 俺のギャグにハルヒは悩ましい顔を作ってしまったので、 「すまん冗談だ。多分、まだ調子が戻ってなくてフラついたんだろ。長門も読書は中断してハルヒたちと歩くといい」 「…………」 沈黙する長門をハルヒと朝比奈さんに任せ、俺は古泉の話の続きを聞くために後列へと戻った。 「長門さんに怪我はありませんでしたか?」 「ん、おでこがプックリだが心配なさそうだ」 「そうでしたか」 そう話す古泉は、どこか嬉しそうな面持ちである。 「なにか良いことあったか」 ムッとした俺が硬質な感触のする言葉を作ると、 「……むしろ現在、機関はある懸念を抱えて悶然としています。ですが、確かに最近の長門さんの変化については喜ばしいことのように思いますね」 「弱っている長門が良いってのか?」 それでは語弊がありますね、と古泉は微笑をたたえ、 「近頃、というか先程の長門さんもそうなのですが……とても人間味を感じませんか? TFEI端末として弱体化してきているというのは、ちょっとずつ長門さんが人間に近づいていきるという側面があると思うのです。それはあなたにとって嬉しいことでしょう? もちろん、僕にとってもね」 俺を目で落としてどうするんだと言わんばかりの温和な視線で、古泉はふわりと柔和な笑顔を作った。 「……そうかもな。俺にとって、そりゃもちろん嬉しいことだ。それに俺たちだけじゃない。ハルヒに、朝比奈さんに、そして何より……長門自身にとってな」 そう。長門にむける心配は、そろそろ見方を変えなけりゃならんのかもしれん。 力を失っていく宇宙人に対するそれから、細腕で柔弱な少女への気配りへと。 「ところで、お前が抱えてる懸念ってのは一体なんなんだ? 俺以外に話せる奴なんていないだろうし、話してみるだけでも多少違うんじゃないか?」 俺の言葉に古泉はどんな表情を出して良いのか解らないといった顔つきになり、 「……そうですね。話しておいた方が良いかも知れません。あなたには」 「なんだ?」 俺の目を見て、 「程ない以前、閉鎖空間と《神人》が久しぶりに乱発された時期がありましたよね?」 「ああ、佐々木とハルヒが出会った日以降だったっけ。お前でも疲労の色が隠せてなかったよな」 「それなんですが、閉鎖空間の発生は二週間ほど前……特定すれば土曜日にまるっきり沈静化しました」 土曜日? ――ああ、俺が佐々木たちと会合した前日か。だが、 「良かったじゃないか。この言葉以外に何がある?」 古泉は全然良くないことを話すような顔で、 「それが、不可解な点がいくつかあるのですよ」 「一体どこにあると言うんだ?」 「まず、何故に突然閉鎖空間の発生が沈黙したのか。機関の諜報部をもってしても原因が判明しません。そして他に……これは閉鎖空間内で《神人》の討伐を担う役割の僕や仲間たちしか感じないのですが……」 古泉は前方で談笑しているハルヒを一瞥し、 「閉鎖空間は世界中の何処にも発生していないにも関わらず、僕たちにはそれが存在しているという確信が、沈静化した直後から心の隅の方で、こうしている今でもくすぶり続けているのです。……それによって一つの推測が立つのですが、これは多分、あなたは聞きたくもない話です」 「聞きたくないかは俺が判断する。さわりだけ言ってくれ」 古泉は眼に真剣をやつし、神妙な雰囲気でこう言った。 「――涼宮さんが、まさに神と呼ぶに相応しくなったのではないか? という内容です」 「そうか。そりゃ全くもって聞くだけ無意味な話だな」 ハルヒが神だって? あいつはいつだって奇想天外な行動を起こしちゃいるが、根っこの方は特に変わりのない普通の女の子じゃないか。お前だって良く知ってるはずだろ。そんなの、考えるだけバカらしいってもんだ。 「ええ、全くです。仮にこの推論が当たっていたとしても、何が起こるのか皆目見当が付かない故に対処の方法も思い浮かびません。なので案じたところでどうにもなりませんし、ただの杞憂であればなお良いだけです。すみません、あなたはこの話を忘れて下さい。それに僕も――」 古泉は、長門の後ろ姿を温もりさえ感じる視線で見つめながら、 「……いかなる憂いすら、今の彼女を見ていると消し飛んでしまいますよ」 そうだな。俺たちが憂うべきものは、今のところ帰ってからどうやったらポエムを書かないで済むか考えることだけだろうぜ。 「……まあ、そうですね」 古泉はまた思案顔を作り、悩ましげに顎を支えていた。これはこいつの癖になっちまったのかね? 「無駄な心配はしないに限るぞ。時間と神経を無為に減らすだけだ」 いつもより元気はないが、それでも十分爽やかなスマイルで、 「……そうすることにしましょう。まあ、詩は頑張って執筆してみますがね」 「ああ。やっぱり俺もお前にならって机の前で頑張ってみるかね。思えば、書かないで済むかなんて思案することだって無駄なんだしな」 「ふふ。お互い頑張りましょう」 そうやって、その日俺たちはそれぞれ自分の家へと足を辿り着かせた。 ……さて、無から有を創造するある意味で神的な作業に入るとするか。 ――俺はこのとき、この平穏は当分の間続くものだと信じていた。 SOS団は今までにない程まとまっていたし、ハルヒと長門が落ち着いてきているのは良い変化だと疑わなかったからだ。 だが、それは違った。それらの吉兆は、裏を返せば……最悪な事態が引き起こされる前兆でもあったんだ――。 第一章
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このノートに名前を書かれたものは死ぬ と言うノートを死神が人間界に落とし 退屈な天才少女 涼宮ハルヒがノートを拾い、 犯罪者を一掃し、犯罪を世の中から消し、 犯罪のない世の中を築こうとする、 皆からはキラと呼ばれていた しかし、その行く手を弾むもの、 世界の名探偵Sが動き出す、 ハルヒはKを殺すため Sはキラを捕まえるため 天才VS天才の勝負がはじまる。 本編(作者.やべ酉きえたんだ^^;) 第一話 始まり 外伝(下記は編集自由) デスノートででてきた者を置きまくってます _________________________________________________________________________________________________________
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涼宮ハルヒの追憶 chapter.4 ――age 16 昨晩は長門のことが気になってほとんど眠れなかった。 自分の無力感から来る情けなさと、それを認める自分に腹を立てた。 眠りについたのは午前五時を過ぎていた。 「キョン君! 起きて朝だよ!」 それでも朝はやってきて、最近かまってやれていない妹が日課のように起こしに来る。 睡眠時間は全く足りず、妹に抵抗する力すらでない。 妹よ、これをいつまで続けるつもりなんだ? 高校生にもなってやってきたら俺はどう対応すればいいんだ? だらだらと学校に向かう。 アホの谷口はこういうときに役立つのだ。 シリアスではない、ハルヒに言わせれば世界で一番くだらないものを 延々と述べるだけの単純な会話。 ほぼ徹夜明けの身体に対する強烈な日差しは殺人罪を適応したいぐらいだったが、 昨日の出来事を夢だと思わせないためにはこのぐらいでちょうどいいのかもしれない。 それより俺は懸案事項を抱えていた。 どうハルヒには説明すればいいんだ? 昨日のことはハルヒに説明できることではない。 長門が消えたなんていったら、この世界を保てるものなのか? ぐるぐると思考をめぐらせても答えは出ず、 結局何もいわないのが上策だろうと結論付けた。 教室でのハルヒはいつもと変わらなかった。 むすっとした表情をキープし、授業をただ聞き流す。 俺は授業のほとんどを睡眠に費やした。 身体は疲れていたし、なにより懸案事項を考えたくないという現実逃避でもある。 この後部室で長門に関する会議が行われると思うと、帰りたくもなった。 ダルダルな授業を終え、放課後に部室に向かう。 さて、ハルヒにはなんて言おうか。 部室に着く。 すでに朝比奈さんと古泉が待機していた。 「こんにちは」 古泉は笑顔で挨拶をした。 「こんにちわぁ」 これは朝比奈さん。やっと朝比奈さんの笑顔で癒されることができた。 昨日は気が動転していて、朝比奈さんの天使スマイルを無視していたからな。 俺が椅子に座ると、 「では、涼宮さんが来るまで少しお話でもしましょうか」 「なんだ」 「長門さんのことです。私達が解散した後、あなたは昨日長門さんにあった。 そして長門さんの家に行った。あっていますね?」 「なぜそのことを知ってる」 「『機関』からの情報です。昨日僕は閉鎖空間にいましたし、ストーキングは不可能です。 しかし問題はそこではありません。 あなたがあの部屋を出た後、『機関』のものが進入を試み、中をのぞくと、 誰もいませんでした。長門さんは消えたのでしょうか?」 「消えたと思う」 「長門さんは消えちゃったんですかぁ?」 朝比奈さんが悲しい顔をして俺を見つめている。 ドアを開ける音が聞こえ、俺達は話を中断する。 「なんだもうみんな揃っているのね」 ハルヒはゆっくりと歩き、団長椅子に座った。 「それじゃあ、始めましょ」 ハルヒは俺と古泉と朝比奈さんをじっと見た。 それから俺達は十分ぐらい黙ったままだった。 ハルヒが足を揺らしているのを俺は見つめていた。 耐えられなくなったのか、ハルヒは突然叫びだした。 「何か有希に関する情報はないの? 役に立たないわねあんたたち! 特にキョン! あんた有希と仲良かったんじゃないの?」 「そこまで仲よかねーよ」 「本当かしら? いっつも有希のことばっか見てたくせに」 「そんなに見てねーよ。お前はなんでそんなにイライラしてるんだ?」 「イライラなんてしてないわよ! あんたがねえ、有希のことを大事にしてるみたいだったから言ったのよ。 でも、あんたに教えなかったってことは あっちはそれほど思ってなかったってことよね?」 ハルヒは意地悪な目で俺を卑下するように見つめた。 「なにをいってるんだお前は。だいた……」 バンッという音と共に隣に座っていた朝比奈さんが突然立ち上がった。 「いい加減にしてくだしゃい! わたしもこんな部活やめてやや、りましゅ! もう、涼宮さんには付き合いきれません! 涼宮さんなんかだいっきらいです!」 「み、みくるちゃん? どうしたの急に?」 「どうもしません! わたしは今日限りでSOS団をや、やめてやりましゅ! もうわたしに関わらないで下さい!」 そういうと朝比奈さんはものすごい勢いで部室を出て行った。 「へ、どうしたのみくるちゃん? なんで?」 ハルヒは呆然と朝比奈さんが去っていったドアを見つめている。 「だいっきらいだとよ。お前に愛想つかして出て行っちまったな。これであと三人か」 「どうして? 何かあたしした?」 「今までの積み重ねじゃないのか?」 俺はハルヒにイライラしていたので、冷たく言い放った。 ハルヒは投げ捨ててあった鞄を拾って、部室から飛び出してしまった。 「どうしたんです? あなたらしくもない。 もう少し冷静にお願いしますよ。 こちらの立場も考えて行動してくれないと困ります」 古泉は明らかに不快そうに言った。 「お前の立場なんか知るか。 お前はハルヒにへつらって、閉鎖空間で神人でも倒してればいいのさ」 ガッ! 古泉は俺に近づいたかと思うと、右手で本気で殴りつけてきた。 俺は壁にぶつかり、座り込んでしまった。 古泉の顔は初めてみる怒りで満たされていた。 「いい加減にしてください! あなたの軽率な行動がどれだけの人に迷惑をかけていると思っているんですか!」 「なんだよいきなり! お前らのことなんか気にしてられるかよ!」 ガッ! 古泉は俺の胸倉を掴みまた殴りつけた。右フックは顔面をとらえた。 「立て! こんなんじゃ足りない! お前は知らないかもしれないがなあ! ……」 古泉はそれ以上を言おうとはしなかった。 古泉は掴んでいた手を離し、 「すみません。でも、軽率な行動だけは控えてください。 今日は僕も帰ります。失礼します」 そう言うと、部室から足早に出て行った。 「くそ痛てえよ。なんだっていうんだ」 口内から出血していた。訳が分からない。 古泉も朝比奈さんも、それにハルヒも。 いったいみんなどうしたんだ? 俺が悪いのか? その日俺は、痛む口を押さえながら家路についた。 家に着くと、妹は出血をしている俺を見て心配していたが、 俺はとにかく自室にこもり、一人になりたかった。 「なんなんだ? なんで俺は古泉に殴られた。 それに朝比奈さんの行動も不自然だったし、 ハルヒにいたっては意味不明だ」 ベッドに横になりながら、今日のことを振り返った。 「俺はどうすればいいんだ? 謝ればいいのか? 馬鹿らしい。そんなことできるか」 古泉殴られたところがまだ痛む。 平和主義者の俺は今まで人に殴られたことなんてなかった。 人と本気のけんかなんかしたことないし、 そういうことはなるべく避けるようにしてきていた。 「くそっ! 頼みの長門は消えちまった。 SOS団も壊滅状態。俺がなんかしたのか? 俺が悪いのか? いや、俺は何も悪くないはずだ」 ベッドで横になっていたせいで少しうとうとしていた。 突然の電話に驚き、そして画面を見る。 「朝比奈さんか。こんな時間になんだ?」 電話にでるか一瞬迷ったが、 朝比奈さんからの電話はでないと世界がなくなる可能性もあるからな。 「はい」 「あ、キョン君。あの、今から話したいことがあるのだけれど」 やっぱり、何か問題でも起きたのか? 電話越しの愛らしい声はいつになく真剣だった。 「あのベンチに来てください」 「いつですか?」 「今すぐです! 早く来てください。お願いします」 分かりました、という前に電話は切れた。 行くしかないだろ。 俺は帰ってきて制服のままだったが、着替えることもせず家を出て、 ママチャリにまたがり、あのベンチに向かった。 最近自転車をこいでばかりだ。しかも全速力で。 息を切らしてあのベンチへ。 世界崩壊の危機じゃなければいいんだがな。 「すみません。間に合いましたか?」 ベンチには朝比奈さんがうつむきながら座っていた。 外はもう真っ暗で、街灯だけが辺りを照らしていた。 「ごめんなさい、急がせちゃって。大丈夫、間に合ってます」 「よかった。横に座っていいですか?」 「どうぞ」 朝比奈さんは少し驚いた様子だ。まだ、うつむいたままだ。 俺は横に座ると朝比奈さんの横顔を見つめた。 綺麗な顔立ち、俺を満たしてくれる。 なんでこんなに丁寧に作られているのだろう。 朝比奈さんを見るのをやめて、街灯を見た。 黄色い光を放つ街灯の周りを蛾が四匹ほど飛び回っていた。 そして、考えた。 俺は朝比奈さんに聞いておかなければならないことがある。 なんで今日あんなことを言ったんだ? 「あの(あの)、朝比奈さん(キョン君)」 こういう時に限って人っていうのは重なるものである。 「朝比奈さんからどうぞ」 「いえ、キョン君から」 しばしの沈黙。俺から話すことに決めた。 「分かりました。聞きたいことは一つです。 なんで今日あんなことをいったのですか?」 「それは……」 「今まではハルヒの機嫌をとることでSOS団は成り立ってきた。 でも、朝比奈さんは突然ハルヒを突き放すようなことをいって出て行った。 もしかして、これも規定事項とはいいませんよね?」 「今回は未来からの要請がありました。涼宮さんから離れなさいって。 そして離れるにはなるべくきついことを言わないといけなかったんです。 涼宮さんはとても強い人ですが、とても打たれ弱いんです。 ましてやわたしみたいにいつも可愛がっていた人に嫌われるのはとても悲しいことでしょう?」 朝比奈さんは泣き笑いみたいな顔で俺を見つめた。 「悲しいことですよね」 「そう。できればしたくなかったんです。 わたしは涼宮さんが大好きだし、SOS団のみんなも大好きなんです」 朝比奈さんはうつむいて、声を震わせながら言った。 「みんなと一緒にいられなくなっちゃいました。 ああ、なんでこんなに突然だったんだろう。 まだやりたいことはたくさんあるのに。 でも、いつかは別れる時が来るの」 「いつかは別れる時が来る」 俺は朝比奈さんの言葉を復唱した。 「分かってたんです。こんな風に悲しくなるっていうのは。 でも、SOS団での楽しい日々のおかげでそんなことは忘れてました。 最初にこの時代に来た時、誰とも仲良くならないつもりでいたんです。 だって、絶対別れが来るって決まってるんですよ? だけど、SOS団や鶴屋さんとはいつの間にか仲良くなっていました。不思議な人たちです」 「鶴屋さんは誰だろうと友達になれそうな人ですからね」 「そうですね」 「ところで、朝比奈さんが聞きたかったことってなんですか?」 「あ、はい」 朝比奈さんは両手を重ねていじりながら、ぽつぽつと言った。 「わたし自身のことなんです」 「朝比奈さんのことですか」 俺がそういうと朝比奈さんは俺を真っすぐに見た。 その顔には涙が伝っていた。 「わたし、すごく悔しいんです」 「悔しい?」 「だって、他のSOS団のみんなはちゃんと頑張ってるんです。 わたしだけ、なにもできないんです。 わたしはお茶を煎れてあげるぐらいしかできない。 涼宮さんの言うことを聞いて、衣装を着るぐらいしかできない わたしは未来に動かされているだけで、何もできない。 だから、せめてみんなを癒してあげるくらいしたかったの」 朝比奈さんは一呼吸置いて続けた。 「なんで、こんなことキョン君に言っちゃうんだろう? わたしはこの悔しさを持って帰るつもりだったのに」 「持って帰る? 朝比奈さん、未来に帰っちゃうんですか?」 俺はすでに分かっていた。 ハルヒの能力がなくなれば、朝比奈さんはこの世界にはいられなくなる。 「そうです。キョン君にお別れを言いに来ました」 「やっぱり、朝比奈さんもいなくなるんですね」 「やっぱりって、あ、そうか長門さんから聞いているんですね」 「そうです。長門はハルヒの能力が収束しているって言ってました」 「そうですか」 「どうして長門も朝比奈さんも、もうちょっと前に言ってくれないんだ。 そうしたらみんなでお別れパーティーの一つだってできたかもしれない」 俺はどうしても朝比奈さんを直視することはできなかった。 「すみません。禁則事項です」 それに、と朝比奈さんは続けた。 「今ここにいるのも本当は禁則事項なんです わたしが予測不能の行動に出るといけないから。 でも、わたしはキョン君に伝えてから帰りたいです」 「伝えてから?」 「本当は言っちゃいけないことなんです。 最重要の禁則事項なんです。 でも、言わないと。私はもう帰らなきゃならないから。えっと」 朝比奈さんはそこまで言うと、突然頭を抱え、じたばたし始めた。 「あ、ダメ! そんな止めて! もうだめなの?」 朝比奈さんが何を言おうとしてるかは分かった。 それはハルヒにとってはおそらく最悪の禁則事項だろうと思われた。 でも、今は横から抱きついて、首に手を回している朝比奈さんの体温を感じていたかった。 ぎこちないその行動を抱きしめ返すことはできなかった。 「キョン君。わたし、ねえキョン君、…キョン君!」 朝比奈さんが耳元でささやく。 俺は興奮していたが、朝比奈さんの言葉を冷静に聞いた。 「ごめんなさい。俺は答えられそうにありません」 「ご、ごめんなさい」 朝比奈さんは俺から離れると、 「ごめんなさい。あっちを向いてもらえますか?」 俺は朝比奈さんが指差したほうを見る。 朝比奈さんとは反対側のほうだ。 向かいないと朝比奈さんに迷惑がかかるだろ。 「時間です。ごめんなさい。ありがとう」 振り返ると、朝比奈さんはいなかった。 俺は立ち上がり、ポケットに便箋が入っていることに気付いた。 俺は破らないように丁寧に開けた。 ――キョン君、わたしはあなたが好きです。 でも、忘れてください。 ごめんなさい。なにもしてあげられなくて。 ごめんなさい。やくただずで。 ありがとう、キョン君。 また、会えるといいですね。 PS.文章短くてごめんなさい。 好きです。―― それは手紙という形をとる。 口に出せないもどかしさ。朝比奈さんの気持ちが少しだけ伝わった気がした。 「朝比奈さん、あなたは俺のアイドルです」 ごめんなさい。また会えるよな? 街灯の明かりだけが残された惨めな俺を優しく照らしてくれた。 俺はその場で一時間ほど呆然と立ち尽くしていた。 一時間というのは家に帰ってから分かったことなのだが。 自分の部屋のベッドに寝転ぶと、俺はようやく事の重大さに気付いた。 長門が消え、朝比奈さんも未来へと帰った。 「次は? 古泉か? だが、古泉はこの世界の人間だ。消えることはない。 もしかして? いやそんなことはないだろ」 自問自答を繰り返しても、古泉に対する答えは最悪のものとなった。 今日の古泉はいつもとは違った。 柔和な笑顔は消え、鬼気迫る表情で俺を殴った。 おそらく古泉もハルヒの能力が消えることによって、 何かしらの被害を被っているに違いない。 「俺はどうなるんだ? ハルヒの能力がなくなることで俺も困ることがあるのか? そもそも俺は関係ないだろ。 ただ、あのSOS団のメンバーで集まれないだけだ」 長門に会いたい。それに、朝比奈さんにも。 会ってまた馬鹿なことがしたいんだ。 俺はその日、やるせない気持ちで眠りについた。 次の日、ハルヒは学校に来ていた。 昨日のことが何もなかったかのように平然と授業を受けていた。 俺はなんだかやる気も出なくて、いつものように授業を寝て過ごした。 帰り際、ハルヒが、 「キョン一緒に帰るわよ、話したいことがあるの」 というので、仕方なく俺はハルヒと帰ることに決めた。 俺はなるべく一人でいたかったのだがな。 で、帰り道。 ハルヒはうつむいたまま俺の前を歩いていて何も話す気配はない。 そのまま、ずっと黙ったままだった。 踏み切りに着くとハルヒは立ち止まり、振り返った。 そして俺をゆっくりと見つめた。 「ねえキョン。あたしおかしいかな?」 「どうした気でも狂ったのか? もとから狂ってる気もするが」 「違うの。あたしはいつだって自分のことを正しいって思ってるわ。 むしろ他の人のがおかしいぐらいよ。 楽しいことを探して、楽しいことをする。すごくまっとうじゃない。 でも私がいってるのは違うの」 ハルヒは続けた。 「前からおかしいとは思ってた。 例えば去年の映画撮影。本当に桜が咲くと思う? 季節は正反対なのよ? その時あたしは『桜が咲いたら絵になるな』と思っていたの。 他にもたくさんあるわ。 雪山でのあの白昼夢だってそうだし、あんなの白昼夢だけで済ませると思う? 実際に体験してしまってるのに、それはないわよね。 でもね、あたしはなにも言わなかった。 言ったら、楽しいことが逃げていってしまう気がしたから。 このまま知らないふりをし続けて、SOS団のみんなで楽しくやっていきたかったの。 でも、それももう終わり。 有希もいなくなっちゃたし、みくるちゃんも出て行っちゃった。 あたし何か悪いことしたのかな? ただあたしは素直に楽しいことだけをやっていきたかっただけなのよ」 俺は押し黙ったまま立ち尽くしていた。 ハルヒは気付いているのか? 気付いたらどうなる? 今すぐ世界が消えてなくなるなんてことはないよな? 「キョン、答えて。 あたしには何かしらの不思議な力があると思うの。 それだけじゃない。有希だって、みくるちゃんだってどこか変。 それぐらいあたしでもすぐに気付くわ。 気付くべきイベントはたくさんあったもの。 これで気付かないほうが変だわ。 そして今回のことで確信したの。ああ、あたしは正しかったんだって。 キョンは何か知ってるんじゃない?」 俺は呆然としてしまっていた。 どうしようもない。ハルヒは気付いてる。 仕方がない。仕方がない。どうしようもないじゃないか。 答えるべきなのか? 答えてそれで? 世界は? 「もういい。帰る」 結局俺はなにも言うことができなかった。 ハルヒは寂しそうな顔をして、立ち尽くす俺を見つめていた。 「キョンはやっぱりキョンね」 それだけを言ってハルヒは走って帰ってしまった。 ごめん、ハルヒ。何も言えなくて。 怖かったんだ。 古泉は言った、ハルヒが自らの能力を認識した時、予測できないことが起きる。 俺はどうすればよかったんだ? 俺は決定的な答えを持ち合わせてなどいなかった。 ただ、ハルヒの一人語りを聞き続けただけだった。 傍観者でいたはずが、当事者に代わっていた。 でも、力なき当事者だ。 何にも抗うことができず、将棋の駒のようにただ動かされるだけだ。 それが、一般人ってものじゃないのか? 知らない間に動かされて、利用されて、捨てられる。 俺はそんな普通の人なんだよ。 悪いか? 俺は悪いのか? 誰か代わってやるよ、こんな役。 朝比奈さんは泣いた。 自分は何もできないと。自分はただ動かされているだけで、何もできない。 だから、せめてみんなを癒してあげるくらいしたかったんだって。 それがわたしの役割だったんだって。 くそっ! 俺は何をすればいい。俺の役割はなんだ。 俺はどうすれば。 また、あの日のSOS団に戻すことができる? chapter.4 おわり。 chapter.5
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涼宮ハルヒの憂鬱 SubTitle Source Size crf fps time 第08話 「笹の葉ラプソディ」 TVS 235MB - 5.66 fps - 第12話 「エンドレスエイト」 TVS 335MB 21 5.13 fps - 第13話 「エンドレスエイト」 TVS 252MB 21 5.17 fps - 第14話 「エンドレスエイト」 TVS 274MB 21 5.10 fps - 第15話 「エンドレスエイト」 TVS 296MB 21 5.14 fps - 第16話 「エンドレスエイト」 TVS 297MB 21 5.16 fps - 第17話 「エンドレスエイト」 TVS 303MB 21 5.18 fps - 第18話 「エンドレスエイト」 TVS 269MB 21 5.17 fps - 第19話 「エンドレスエイト」 TVS 279MB 21 5.26 fps - 第20話 「涼宮ハルヒの溜息I」 TVS 335MB 21 5.31 fps - 第21話 「涼宮ハルヒの溜息II」 TVS 299MB 21 5.37 fps - 第22話 「涼宮ハルヒの溜息III」 TVS 343MB 21 5.03 fps - 第23話 「涼宮ハルヒの溜息IV」 TVS 259MB 21 6.75 fps 1h28m54s 第24話 「涼宮ハルヒの溜息V」 TVS 207MB 21 8.00 fps 1h14m58s -第08話 「笹の葉ラプソディ」 新作、噂はホントだった!!それにしても回りくどい広告のやり方 [涼宮ハルヒの憂鬱 第08話 「笹の葉ラプソディ」.mp4] (1pass) using cpu capabilities MMX2 SSE2Fast SSSE3 FastShuffle SSE4.1 Cache64 profile High, level 4.1 slice I 452 Avg QP 18.93 size 43727 PSNR Mean Y 49.04 U 51.40 V 51.32 Avg 49.58 Global 49.30 slice P 11500 Avg QP 20.04 size 12282 PSNR Mean Y 47.49 U 50.11 V 50.21 Avg 48.18 Global 47.93 slice 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8479 PSNR Mean Y 49.09 U 51.35 V 51.29 Avg 49.66 Global 49.16 slice B 17900 Avg QP 22.42 size 2264 PSNR Mean Y 48.45 U 51.07 V 51.09 Avg 49.10 Global 48.16 consecutive B-frames 19.7% 53.9% 18.2% 4.2% 4.0% mb I I16..4 48.3% 32.2% 19.5% mb P I16..4 5.7% 0.0% 2.1% P16..4 28.7% 2.8% 5.5% 0.0% 0.0% skip 55.2% mb B I16..4 0.6% 0.0% 0.3% B16..8 12.7% 0.4% 0.5% direct 1.6% skip 84.0% L0 22.0% L1 72.1% BI 5.8% 8x8 transform intra 6.3% inter 34.6% direct mvs spatial 100.0% temporal 0.0% coded y,uvDC,uvAC intra 35.1% 42.7% 13.6% inter 9.2% 5.6% 0.2% ref P L0 88.8% 6.4% 4.8% ref B L0 87.8% 12.2% AQ Result Bright MB 8.89% QP Up 63.92% Down 7.12% AQ Result Middle MB 41.59% QP Up 32.16% Down 41.30% AQ Result Dark MB 0.00% QP Up 0.00% Down 0.00% AQ Result M.Dark MB 1.09% QP Up 99.66% Down 0.00% AQ change value 6 0.08% 5 0.08% 4 0.30% 3 1.45% 2 0.88% 1 5.82% 0 75.39% -1 9.29% -2 3.50% -3 3.04% -4 0.16% SSIM Mean Y 0.9924232 PSNR Mean Y 48.812 U 51.231 V 51.209 Avg 49.416 Global 48.692 kb/s 1472.16 encoded 39863 frames, 5.10 fps, 1305.60 kb/s -第15話 「エンドレスエイト」 繰り返し以降、徐々にファイルサイズが増えてきてます。 [涼宮ハルヒの憂鬱 第15話 「エンドレスエイト」.mp4] (1pass) using cpu capabilities MMX2 SSE2Fast SSSE3 FastShuffle SSE4.1 Cache64 profile High, level 4.1 slice I 424 Avg QP 17.26 size 53595 PSNR Mean Y 50.25 U 51.85 V 51.61 Avg 50.52 Global 49.99 slice P 22095 Avg QP 17.92 size 8164 PSNR Mean Y 48.96 U 50.91 V 50.85 Avg 49.43 Global 48.99 slice B 17508 Avg QP 22.04 size 1984 PSNR Mean Y 48.62 U 50.85 V 50.78 Avg 49.16 Global 48.30 consecutive B-frames 20.0% 58.6% 15.4% 3.9% 2.2% mb I I16..4 47.1% 32.9% 20.0% mb P I16..4 4.5% 0.0% 1.7% P16..4 29.4% 2.4% 5.6% 0.0% 0.0% skip 56.4% mb B I16..4 0.5% 0.0% 0.3% B16..8 12.8% 0.3% 0.4% direct 1.2% skip 84.4% L0 18.6% L1 77.8% BI 3.6% 8x8 transform intra 7.2% inter 36.4% direct mvs spatial 99.9% temporal 0.1% coded y,uvDC,uvAC intra 36.2% 42.6% 15.3% inter 9.1% 5.7% 0.2% ref P L0 90.0% 5.7% 4.3% ref B L0 88.0% 12.0% AQ Result Bright MB 6.89% QP Up 54.47% Down 7.27% AQ Result Middle MB 42.65% QP Up 26.56% Down 46.11% AQ Result Dark MB 0.00% QP Up 0.00% Down 0.00% AQ Result M.Dark MB 1.62% QP Up 99.62% Down 0.00% AQ change value 6 0.42% 5 0.22% 4 0.42% 3 0.89% 2 0.98% 1 4.78% 0 72.33% -1 10.00% -2 5.43% -3 4.29% -4 0.24% SSIM Mean Y 0.9927668 PSNR Mean Y 48.827 U 50.894 V 50.832 Avg 49.323 Global 48.681 kb/s 1424.65 encoded 40027 frames, 5.14 fps, 1268.72 kb/s -第16話 「エンドレスエイト」 [涼宮ハルヒの憂鬱 第16話 「エンドレスエイト」.mp4] (1pass) using cpu capabilities MMX2 SSE2Fast SSSE3 FastShuffle SSE4.1 Cache64 profile High, level 4.1 slice I 425 Avg QP 17.65 size 50659 PSNR Mean Y 50.11 U 51.33 V 51.27 Avg 50.37 Global 49.81 slice P 21359 Avg QP 18.17 size 9405 PSNR Mean Y 48.70 U 50.43 V 50.35 Avg 49.15 Global 48.68 slice B 17467 Avg QP 22.45 size 2660 PSNR Mean Y 48.10 U 50.29 V 50.25 Avg 48.66 Global 47.74 consecutive B-frames 20.9% 51.2% 20.2% 4.6% 3.1% mb I I16..4 50.0% 31.2% 18.8% mb P I16..4 5.8% 0.0% 2.2% P16..4 30.0% 2.9% 5.9% 0.0% 0.0% skip 53.2% mb B I16..4 0.7% 0.0% 0.4% B16..8 14.0% 0.5% 0.6% direct 1.6% skip 82.2% L0 24.0% L1 70.4% BI 5.6% 8x8 transform intra 5.7% inter 36.1% direct mvs spatial 99.9% temporal 0.1% coded y,uvDC,uvAC intra 35.5% 45.3% 15.5% inter 10.0% 6.2% 0.2% ref P L0 88.6% 6.4% 4.9% ref B L0 87.3% 12.7% AQ Result Bright MB 8.89% QP Up 58.11% Down 10.34% AQ Result Middle MB 39.37% QP Up 25.53% Down 48.32% AQ Result Dark MB 0.00% QP Up 0.00% Down 0.00% AQ Result M.Dark MB 3.39% QP Up 98.63% Down 0.00% AQ change value 6 0.06% 5 0.21% 4 0.60% 3 2.06% 2 1.86% 1 5.08% 0 69.43% -1 9.78% -2 6.16% -3 4.48% -4 0.25% SSIM Mean Y 0.9920316 PSNR Mean Y 48.448 U 50.377 V 50.312 Avg 48.946 Global 48.244 kb/s 1642.36 encoded 39251 frames, 5.16 fps, 1434.27 kb/s -第17話 「エンドレスエイト」 [涼宮ハルヒの憂鬱 第17話 「エンドレスエイト」.mp4] (1pass) using cpu capabilities MMX2 SSE2Fast SSSE3 FastShuffle SSE4.1 Cache64 profile High, level 4.1 slice I 429 Avg QP 17.24 size 61083 PSNR Mean Y 49.77 U 51.05 V 51.01 Avg 50.07 Global 49.60 slice P 22687 Avg QP 18.07 size 9120 PSNR Mean Y 48.35 U 50.62 V 50.52 Avg 48.93 Global 48.49 slice B 16011 Avg QP 22.36 size 2607 PSNR Mean Y 47.70 U 50.33 V 50.28 Avg 48.36 Global 47.54 consecutive B-frames 26.4% 49.7% 18.2% 3.3% 2.4% mb I I16..4 43.3% 34.8% 21.9% mb P I16..4 3.7% 0.0% 1.6% P16..4 30.5% 2.7% 6.2% 0.0% 0.0% skip 55.2% mb B I16..4 0.5% 0.0% 0.4% B16..8 13.0% 0.5% 0.6% direct 1.6% skip 83.4% L0 22.2% L1 72.3% BI 5.5% 8x8 transform intra 8.4% inter 36.4% direct mvs spatial 100.0% temporal 0.0% coded y,uvDC,uvAC intra 40.3% 46.0% 18.3% inter 10.5% 6.1% 0.3% ref P L0 89.5% 6.1% 4.4% ref B L0 85.7% 14.3% AQ Result Bright MB 7.53% QP Up 55.79% Down 11.78% AQ Result Middle MB 42.36% QP Up 30.26% Down 47.27% AQ Result Dark MB 0.00% QP Up 0.00% Down 0.00% AQ Result M.Dark MB 1.35% QP Up 98.29% Down 0.00% AQ change value 6 0.12% 5 0.08% 4 0.15% 3 0.73% 2 1.06% 1 4.93% 0 71.14% -1 11.52% -2 5.41% -3 4.59% -4 0.28% SSIM Mean Y 0.9921163 PSNR Mean Y 48.101 U 50.503 V 50.425 Avg 48.711 Global 48.090 kb/s 1684.18 encoded 39127 frames, 5.18 fps, 1466.14 kb/s -第18話 「エンドレスエイト」 [涼宮ハルヒの憂鬱 第18話 「エンドレスエイト」.mp4] (1pass) using cpu capabilities MMX2 SSE2Fast SSSE3 FastShuffle SSE4.1 Cache64 profile High, level 4.1 slice I 409 Avg QP 17.15 size 53890 PSNR Mean Y 50.05 U 51.28 V 51.26 Avg 50.35 Global 49.86 slice P 22351 Avg QP 17.93 size 8020 PSNR Mean Y 49.02 U 50.86 V 50.83 Avg 49.50 Global 49.03 slice B 17032 Avg QP 22.09 size 2258 PSNR Mean Y 48.58 U 50.63 V 50.58 Avg 49.11 Global 48.18 consecutive B-frames 21.0% 59.6% 14.8% 2.9% 1.8% mb I I16..4 45.9% 33.4% 20.7% mb P I16..4 4.2% 0.0% 1.6% P16..4 28.5% 2.4% 5.7% 0.0% 0.0% skip 57.6% mb B I16..4 0.5% 0.0% 0.3% B16..8 12.5% 0.4% 0.5% direct 1.3% skip 84.5% L0 19.8% L1 75.6% BI 4.6% 8x8 transform intra 7.4% inter 35.9% direct mvs spatial 100.0% temporal 0.0% coded y,uvDC,uvAC intra 38.1% 46.2% 16.9% inter 8.8% 5.8% 0.2% ref P L0 88.7% 6.3% 4.9% ref B L0 86.4% 13.6% AQ Result Bright MB 7.87% QP Up 60.97% Down 7.57% AQ Result Middle MB 41.65% QP Up 25.98% Down 46.50% AQ Result Dark MB 0.00% QP Up 0.00% Down 0.00% AQ Result M.Dark MB 1.64% QP Up 99.51% Down 0.00% AQ change value 6 0.13% 5 0.10% 4 0.32% 3 1.08% 2 1.35% 1 4.81% 0 73.66% -1 10.25% -2 4.84% -3 3.28% -4 0.18% SSIM Mean Y 0.9925061 PSNR Mean Y 48.840 U 50.765 V 50.725 Avg 49.340 Global 48.653 kb/s 1444.67 encoded 39792 frames, 5.17 fps, 1279.06 kb/s -第19話 「エンドレスエイト」 [涼宮ハルヒの憂鬱 第19話 「エンドレスエイト」.mp4] (1pass) using cpu capabilities MMX2 SSE2Fast SSSE3 FastShuffle SSE4.1 Cache64 profile High, level 4.1 slice I 446 Avg QP 17.24 size 50773 PSNR Mean Y 50.25 U 51.13 V 50.90 Avg 50.43 Global 49.98 slice P 21030 Avg QP 18.13 size 8938 PSNR Mean Y 49.11 U 50.84 V 50.61 Avg 49.55 Global 49.11 slice B 17864 Avg QP 22.38 size 2201 PSNR Mean Y 48.50 U 50.67 V 50.45 Avg 49.03 Global 48.22 consecutive B-frames 18.4% 54.8% 20.4% 3.8% 2.6% mb I I16..4 46.8% 32.0% 21.2% mb P I16..4 5.7% 0.0% 2.3% P16..4 28.9% 2.9% 5.5% 0.0% 0.0% skip 54.7% mb B I16..4 0.5% 0.0% 0.3% B16..8 13.9% 0.4% 0.5% direct 1.2% skip 83.2% L0 24.0% L1 71.8% BI 4.3% 8x8 transform intra 6.2% inter 35.0% direct mvs spatial 100.0% temporal 0.0% coded y,uvDC,uvAC intra 35.7% 47.8% 17.4% inter 9.0% 5.8% 0.2% ref P L0 88.3% 6.8% 5.0% ref B L0 89.0% 11.0% AQ Result Bright MB 8.94% QP Up 59.63% Down 8.33% AQ Result Middle MB 41.54% QP Up 33.07% Down 41.87% AQ Result Dark MB 0.00% QP Up 0.00% Down 0.00% AQ Result M.Dark MB 0.96% QP Up 99.67% Down 0.00% AQ change value 6 0.11% 5 0.08% 4 0.20% 3 1.19% 2 0.90% 1 5.79% 0 73.98% -1 8.78% -2 4.71% -3 4.08% -4 0.16% SSIM Mean Y 0.9926306 PSNR Mean Y 48.848 U 50.768 V 50.542 Avg 49.324 Global 48.690 kb/s 1523.18 encoded 39340 frames, 5.26 fps, 1333.20 kb/s -第20話 「涼宮ハルヒの溜息I」 [涼宮ハルヒの憂鬱 第20話 「涼宮ハルヒの溜息I」.mp4] (1pass) using cpu capabilities MMX2 SSE2Fast SSSE3 FastShuffle SSE4.1 Cache64 profile High, level 4.1 slice I 399 Avg QP 17.55 size 60905 PSNR Mean Y 49.45 U 50.92 V 50.93 Avg 49.82 Global 49.41 slice P 21282 Avg QP 18.30 size 10680 PSNR Mean Y 48.09 U 50.57 V 50.59 Avg 48.75 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「涼宮ハルヒの溜息II」 [涼宮ハルヒの憂鬱 第21話 「涼宮ハルヒの溜息II」.mp4] (1pass) using cpu capabilities MMX2 SSE2Fast SSSE3 FastShuffle SSE4.1 Cache64 profile High, level 4.1 slice I 384 Avg QP 17.40 size 60257 PSNR Mean Y 49.76 U 51.21 V 51.07 Avg 50.09 Global 49.61 slice P 21776 Avg QP 18.05 size 9608 PSNR Mean Y 48.14 U 50.31 V 50.32 Avg 48.73 Global 48.42 slice B 16002 Avg QP 22.29 size 2393 PSNR Mean Y 47.48 U 50.03 V 50.01 Avg 48.15 Global 47.51 consecutive B-frames 23.6% 53.4% 19.6% 2.4% 1.0% mb I I16..4 42.3% 34.9% 22.8% mb P I16..4 3.5% 0.0% 1.9% P16..4 30.3% 2.9% 6.3% 0.0% 0.0% skip 55.1% mb B I16..4 0.5% 0.0% 0.3% B16..8 13.8% 0.4% 0.6% direct 1.4% skip 82.9% L0 23.2% L1 73.1% BI 3.7% 8x8 transform intra 7.9% inter 37.4% direct mvs spatial 100.0% temporal 0.0% coded y,uvDC,uvAC intra 42.7% 46.0% 18.8% inter 10.6% 6.2% 0.3% ref P L0 89.5% 6.0% 4.5% ref B L0 87.8% 12.2% AQ Result Bright MB 8.84% QP Up 52.65% Down 6.16% AQ Result Middle MB 41.97% QP Up 28.69% Down 54.08% AQ Result Dark MB 0.00% QP Up 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そうだ。俺は《あの日》が起きて以降、ずっと長門を気にかけてきた。こいつに何かあったら助けてやろうと、もう何も、長門が思い悩むことはなくしてしまおうと。そう考えてた俺は、少しずつ感情を露にしていく長門をみて安心していたんだ。 だが、今はどうだ? こいつはまた感情を爆発させて……今度は、一人で苦しんじまってるじゃねえか。言わなきゃ気付かないだって? アホか。こいつはずっと前にサインを出してたんだよ。それに俺が気付かなかっただけだろうが。 そう。何かが起きてからじゃ遅かったんだ。そして、俺はこれを起こさないようにすることは出来たはずなんだ。 だが、俺はその機会を無視してしまった。 俺は二回目の《あの日》、さっさと世界を修正しちまった。そして、もうやり残しはないと胸を撫で下ろしていた。とんだ大間違いだ。俺はあの時に眼鏡付きの長門を見て、あいつの確かな感情の存在に気付いたよな。それは間違いじゃない。そこからが問題なんだ。 ――俺は、それからどうした? 俺は……変わっていくあいつを守っていこうとしただけだ。それじゃダメなんだよ。俺は自分からもっとあいつに干渉しなければならなかった。それぞれの生き方ってのは大事にすべきだが、それ以前に俺たちは仲間じゃないか。もっと深く繋がって、支えあっても良かった。そうすべきだったんだ。今なら、昨日古泉が言っていた言葉の意味が痛いほど分かる。 そうだよ。俺は《あの日》があったお陰で、自分の気持ちを認めることが出来たんだろうが。そして、それから生き方も変わっていったんだろ。 けどな、それは俺が自分で変えたんじゃない。俺の心底に潜むものを長門が教えてくれて、長門が俺を変えてくれたんだ。なのに、俺は変わっていくあいつを見守っていただけだった。なんでだよ。あの日、長門は自分も変わりたかったんじゃなかったのか? それは、俺が変えるべきものじゃなかったのか? 「…………くっ」 ……あいつは俺に世界の選択を委ねた。 でもな。 俺がその決断を任されようとも、俺は長門に聞くべきことがあったんだ。ああ、あのとき、朝倉が消えていく間際に呟いていた疑問だよ。 ――長門の……望んだものについてだ。 世界を改変したキッカケは感情の爆発だったんだろうが、じゃあ長門は何を望んであの世界を作ったのか……俺は分かっているつもりだった。でも俺は、本当はなにも分かっちゃいなかったんだ。その願いをあの場所に置き去りにしてきちまったから、今長門は苦しんでる。そうなんだよ。俺が世界改変の瞬間に飛ばされたのは、実はあいつが自分の気持ちを訴えていた……SOSのサインだったんだ。 今わかった。これから《あの日》に向かってどうなるかなんて……そんなの、考えるべき問題になどなりはしない。 《あの日》はまだ……終わらせちゃいけない――。 そう思うと俺は喜緑さんに礼を言うことも忘れ、無心に長門と古泉の待つ文芸部室へととって返した。 教室内にはパーフェクトに無表情な長門が変わらぬ姿で鎮座しており、無表情というよりは青ざめた顔を浮かべた古泉は帰ってきた俺を認めるやいなやこちらへと近づき、 「長門さんは……どうなされたのです?」 俺は長門をチラリと見やると、喜緑さんから聞いた話を古泉に伝えた。このとき、喜緑さんになんの挨拶もしてなかったことに気付いた俺は、彼女に対して申しわけない気持ちを抱いたのだった。 「……そうですか。一度、死の概念が入ってしまった長門さんのパーソナルデータ……長門さんの人格とも言えるべきものは、情報統合思念体にイレギュラーを起こす懸念材料として……」 視線を落とし、顎を指で支えながら古泉が呟く。 「とにかく、俺は今から大人の朝比奈さんに会いに行く。《あの日》に行くかどうかを判断するためじゃない。行くために、なにがどうなのかってのを説明して貰わなけりゃならないからな」 午後の授業を受けている場合じゃないことは古泉も理解しているようで、 「……では、僕と長門さんは具合を悪くしたとして、保健室で待機しておきます」 無理に作ったスマイルでそう言う古泉に俺は、 「いや、二人にも来て欲しいんだ。多分、そのまま《あの日》に行くことになると思う。もしかしたら古泉、お前もあの瞬間に立ち会うことになるかも知れないんだよ」 「………?」 疑問符を浮かべる古泉。無理もない。俺はまだこいつに話してないことがあったんだ。それは俺の記憶が混濁していたから覚えたんだろうと思い、曖昧な意識の中で見たものだったから特に言わなかった。それは何か。 それは、俺が朝倉に刺されて意識を失う瞬間に見た……北校とも、光陽園学院のそれとも違う制服のハルヒの姿だ。 これが俺の真実見たものであれば、《あの日》に古泉がいなかったから行けないという理由は薄弱となる。そして俺が世界を修正した際、ハルヒの姿さえ見あたらなかったってことは……やはり《あの日》には、俺たちの知らない部分が大いにあるんだ。 しかも大人の朝比奈さんは、今度の規定事項には全員の力が必要だと言っていた。つまり、これからやる行動には古泉の力も絶対に必要なんだ。それがどんな形で必要になるのかは、朝比奈さん(大)に聞かなければ解らないが。 「……なるほど。《あの日》に僕が行けるかも知れない、というのは仮説として成立し得るでしょうね」 と言った古泉は沈鬱な表情を作り、 「ですが……僕が今からあの朝比奈さんの所へと行けるかどうかについては、また別の問題があるのです。僕の機関が、それをさせてくれるでしょうか?」 「古泉」俺は少しもどかしく思いながら「重要なのはそこじゃない。機関がお前にさせないと言ったとしてどうなる? お前はやらねえのか。重要なのは……お前が、やるかやらないかだろ」 「…………」 顔に影を落とす古泉。……こいつを動かすのは至難の業だと思っていると、 「……ちょっといいかなっ」 突然の闖入者の声に俺と古泉は意表を突かれ、声が聞こえてきた方へ覿面と振り向き返った。 「んと……キョンくんが走り回ってたからさっ、ひょっとしてみくる探してんじゃないかなーって思ってねっ」 鶴屋さんは笑顔の中に若干の気まずさを滲ませながら、開け放たれたままだった部室の扉から姿を覗かせていた。 「朝比奈さん……ですか?」俺は鶴屋さんに聞き返すように「いまから呼びに行こうかとは考えてましたが、何でそう思ったんですか?」 ひょっとして鶴屋さんは予知能力者なのかと思っていたら、 「みくるなんだけどね、今あたしん家にいるよん。ずっと前にみくる……から、うっとこの会社に注文されてたもんがあるんだけどさ、今日必要になったから取りに来るって言ってね」 「注文……ですか? そりゃなんの?」 「……それがちょっとワケありの代物なんだっ。古泉くんのバイト先のお偉い方と合同で作ってたんだけど、こっちは何作ってんだかちょろんとも分からなかったんだよねっ。開発コードネームはウラシマだったかな? ま、それが要るんだってんなら……キョンくんたちは今なにかやってるんじゃないかなって考えたわけだっ」 ……浦島? 未来人関係なら、時間の伸び縮みがどうのって理論のウラシマ効果となにか関係があるのだろうか。 「それにね、田丸さん御兄弟だったかなっ? あの人たちも、みくるを手伝いにトラックでうちに来るって言ってたにょろ!」 トラック? なんでトラックなんかが……? ――もしや荷台には工作員がうじゃらに潜んでて、『機関』が朝比奈さんの邪魔をしようと田丸さん兄弟を仕向けたのか? って、『機関』もそれを一緒に作ったんだし、それじゃ行動が支離滅裂だろう。うん? ……機関が合同で作った? 機関は未来人をあまり良く思っていなかったんじゃなかったか? 古泉もなにやら状況が飲み込めていないようだが……。 などと俺が思索していると、 「古泉くん!」SOS団名誉顧問である彼女は力強い視線を副団長に向けて、「なにが起こってんのかは知らないけどさっ、ハルにゃんのSOS団にはキミが必要なはずだっ。それは、古泉くんにしか出来ないことがあるからじゃないっのかなっ?」 このとき古泉はハッとしたような瞳の色を呈し、 「だからさっ、出来るか出来ないかでも……やるかどうかでもないと思うよっ。みんなには、古泉くんが必要なんだ! 古泉くんには……みんなが必要じゃないのかい?」 鶴屋さんは左手を腰に置きつつ顔の横に人差し指を上へ伸ばした右手を添え、ウインクしながら快活と言い放った。俺が古泉に目をやると、そこにはやんわりとした微笑を浮かべた古泉がいて、 「……そうですね。問題などありはしなかった。今の僕にはみんなが必要であるように、誰が欠けてもSOS団は成立しないのですから」 そして古泉は言った。 「行きましょう。あの場所へ。そこはもちろん……」 ああ。もちろんだとも。 「……公園へ急ごう」 そして現在、俺たちは公園にいる。 ここに来るまでも色々あった。どうせ『機関』には行動が筒抜けであるし、みだりな場所から学校を抜けると正当な理由で他者から捕縛されるだろうという理由から、俺たち三人は正面から堂々と学校をサボタージュしたのだ。 門を出ると直ぐに森さん(今回はカジュアルな服装だった)が緑のワンボックスカーからまろび出て、それはもう全速力で逃げようとする俺たちを諭し、森さんたち――運転手は新川さんだった――は協力する姿勢であると懸命に訴えてきた。古泉はずっと懐疑的な視線を送っていたが、実際問題徒歩の俺たちが森さんたちから逃げおおせるわけもなく、長門に何か頼むにも人目が多すぎた。 それで森さんの話を聞いていたのだが、彼女らと言わず『機関』はこちらの行動を阻む気など毛頭なく、むしろ支援の方向で助力してくれるということだった。どうやら機関の上層部に何か動きがあったようで、鶴屋さん邸にいる朝比奈さんを田丸氏御両人がサポートに向かっているのもそのためだったようだ。そして、森さんは古泉に関してこうも言っていた。 「古泉は、どうやら機関が自分の命の是非を問わず阻害してくると考えていたようです。そのようなことは、どう考えても起こりようがありませんのに」 さらに続けて、 「我々の特務機関は、言うなれば彼女(ハルヒだろう)が創設した組織です。身の危険に関しては、これほど安全が確保されている集団はありません。現に閉鎖空間での神人討伐の際、負傷者どころかかすり傷一つ負った者は御座いませんので」 ――ハルヒが、人が傷つくようなことを願やしないからか。 「はい。神人討伐が大変な労役であることには変わりありませんが、それは致し方ありません。そして『機関』はその規模ゆえ厳正に規則が設けられているのですが、組織の本質は彼女の思想と表裏一体なんです。内部には多様な思想が存在しておりますが、本流は彼女の望むところ……あなた方の赴くままへと指針は保たれているんですよ。それが世界の安定へと繋がっていると信じていますので」 なんだ。じゃあ古泉が憂慮してたことはまさに杞憂だったってことじゃないか。と俺が言うと、森さんはクスクスと秀麗な笑顔を浮かべ、 「古泉は若干特撮的展開への思考が強いですから。ですが、古泉の葛藤はそれだけSOS団の皆さんを思っていたゆえのことでしょう。まあ、そのため今日は突飛な行動を起こす可能性がありましたので、わたしたちはここで監視をしていたんです。機関の車だと衆目を集めてしまいますので、このワンボックスカーでね」 この語り口から、俺には森さんたちが信用の置ける人々だと感じ、そして公園まで送って貰ったという運びになったわけだ。正直走り出したは良いものの、公園まで走らなきゃならんのかという他愛のない考えもあったし。 「ホントに……来てくれて良かった。あのときは動転して、ロクなことを伝えられなくてごめんなさい」 「お母さんが謝ることなんてないっ。先輩、お母さんね、あの後泣いてたんだよ。なにがあったの?」 詫びる言葉も見つからない程にひどいことを言ってしまったのさ。……朝比奈さん(大)、泣いてたのか。古泉、俺を殴ってくれ。 「意味がありませんね」 との一言で古泉は俺を一蹴し、俺に棒立ちで気まずい思いをさせるという精神的ボディーブローをかまし、 「それより……初めまして、みゆきさん。そして初めましてというよりは、お久しぶりですと言ったほうが良いでしょうか。可憐な少女の未来に相応しい艶姿ですね、朝比奈みくるさん」 「ふふ。お久しぶりです。古泉くん」「フフ。あたしもお久しぶりって感じです。古泉先輩」 あらためて比べると、ホントに良く似た家族だと思うね。 「キョンくん……昨日はごめんなさい。わたしはあなたの気持ちについてもっと良く考えるべきでした」 おずおずとした雰囲気で言い放つ朝比奈さん(大)に、 「そんな、俺こそスミマセン。今日こうなることは当たり前だったと、自分で気付かなかったのが悪いんだ。……でも、もしかして俺の昨日の行動も規定事項じゃなかったんですか?」 「いえ、キョンくんに手紙を渡せなかったのは予想外の出来事だったわ。ビックリしちゃった。それと、あの手紙の内容はもう済んでます。ここにあなたたち三人で来てもらうことと、涼宮さんには内緒にして欲しいってお願いでしたから。昨日のあの後は……正直、気が気じゃありませんでした。もし涼宮さんに話が伝わってしまっていたら、アウトでしたから」 だとしたらちょっと前に世界終了一歩手前だったが、朝比奈さん(大)も朝の状態の俺にまた手紙を渡そうものなら何を起こすわからないために連絡出来なかったんだろうね。……それはとにかく、現在は無事に過不足なく進行しているようだ。 「長門おねえちゃん……?」 と……朝比奈みゆきは虚に沈んだ長門の顔を訝しげに覗きこみ、長門の周囲をキョドキョドと動き回っている。 ――そういえば、この子は長門から朝比奈さんへの託し子だったんだよな。長門の子供って……父親は誰なんだろうか、いや、あまり深く考えるのはよしとこう。色々と連想しちまう……って俺はなにを考えてるんだろうね? まあ、本人には秘密っぽいのでうかつな話は出来ないな。 俺が朝比奈さん(大)に進展を求める目線を向けていると、神妙な面持ちで頷いた大人の朝比奈さんは、 「みゆきちゃん。長門さんは今……とっても疲れているの。あまり迷惑かけちゃだめよ。こっちにおいで」 「やだっ、先輩のところがいいっ」 そう言いながらドスンと俺に抱きついてくると、顔なじみの野良猫がもつような愛嬌の良さで俺の顔を見上げてきた。妹にお兄ちゃんと呼ばれない分がこれで帳消しになった気がするね。 「もう」 笑みが混じった感じのやれやれといった顔を大人の朝比奈さんはへ浮かべる。 そして古泉は朝比奈さん(大)へと真面目な視線を向けると、 「……時間が余分にある状況ではないと思いますので、失礼ですが話を進めさせていただきます。あなたには色々お聞きしたいことがありますのでね。今日は答えてくれるのでしょう?」 「……ええ。わたしはそのためにここにいますから」 俺は朝比奈みゆきを体から少し離しつつ、 「本題に入る前に、一つ聞きたいことがあるんですが」 どうぞ、と笑顔で答える朝比奈さん(大)に、 「藤原が言ってた本来の歴史ってのは、あいつらにあの事件を起こさせるための嘘だったんですか? 佐々木と俺の関係がどうだってのも……」 朝比奈さん(大)はふるふると髪をなびかせ、 「いいえ。佐々木さんの気持ちが嘘なんかじゃないっていうのは、キョンくんが一番良く知っているはずです。そして、現世界の構成から矛盾を排除した場合……というより、キョンくんと涼宮さんが出会わなかったら、彼が話した通りの世界が存在していたと予測されます」 それも腑に落ちないんだ。ハルヒの能力発現時、俺は全くの他人だったというのに、なんでそれに俺が関係してるんだろうか。 「それは……今からキョンくんに、能力発現以前の中学生の涼宮さんを迎えに行ってもらうことが関係しているの」 「……涼宮さんが時空を改変する前へと時間遡行する、ということでしょうか? それはTPDD……いや、未来人にとって不可能なことで、そのためにあなた方は現代へと舞い降りたのでは?」 古泉の言う通り、そうだよな。大人の朝比奈さんが言ってるのは、時空の断層を超えて過去に行けるってことだ。 「確かに時間平面破壊装置では、能力発現以前の世界の姿である次元構造を渡ることは不可能です。だけど、それが不可能な理由を思い出してみて?」 藤原は、無限のエネルギーがないからだって言ってたっけ。 「ええ。そして、その問題は物質的なTPDDのエネルギーをもって解決出来るんです。これはつまり、物質的なTPDDをまるごと時間平面破壊装置で飛ばすってこと」 ……なるほど。と思っていると横から古泉が、 「……もしそれが可能ならば、何故藤原さんたちはそのTPDDのハイブリッド方法で過去に向かわなかったのですか?」 もっともなことを言い出した。朝比奈さんは、 「それについてはTPDDの詳細についてお話しするといいかな」 一呼吸置いて、 「まず二つのTPDDは、ハカセ君が遺した二大理論を基に構成されています。時間平面理論からは時間平面破壊装置が、そして時量子理論からは時粒子転換探知装置……タイムパーティクルスダイバージョンディテクターが作られたの。この時粒子転換探知装置は小さいわたしが現在取りに行っているもので、古泉くんの『機関』と鶴屋さんたちに制作を依頼した機械になります。そして藤原さんたちが使っていたTPDDは、実はその二つを混合させた完成形のTPDDで、わたしの組織の上層部がそのTPDDの動作を制限して藤原さんがこの時間平面にやってくるようにしたんです。そしてハイブリッドされたTPDDは……みゆき。あなたが今から完成させるの」 「ふえ、あたしが?」 キョトンとした顔で目をパチクリさせる朝比奈みゆきに、 「これから過去に行って涼宮さんを連れてくるために、みゆきには二つのTPDDを同時制御で操作してもらうわね。これはとても難しくって、みゆきにしか出来ないことなの。そして、みゆきの情報処理制御パターンをある基盤に焼きこんで、みんなが運転できるようにする部品も作るから……頑張って」 そう言って朝比奈さん(大)は俺と古泉へと向き返すと、 「では、今からSTC理論について少しだけ補足します」 ……古泉。お前の出番が来たみたいだぞ。 「うふ。そう構えないで大丈夫です。実は現状の世界を形成しているSTC理論は、音楽理論と一緒なんです」 「……なるほど。それならば、全ての現象が非常に分かりやすい」 「どういうことだ?」 古泉は手の平を俺に向けながら、 「STC理論、つまり時間平面理論による世界とは、単一では意味を成さない音符を連続させ、それによって紡ぎ出される『旋律』だという理屈ですよ。そして世界の歴史は、それまでの旋律が記された『楽譜』であり、朝比奈みくるさんは未来の『楽譜』なのです。こうやって考えれば、エンドレスエイトが簡単に説明出来ますね」 「へえ」と俺が言うと、 「そう。エンドレスエイトとは、コード進行のみを決めてあとはアドリブで演奏するジャズだったのです。そしてエンドレスエイトの繰り返しは、あの二週間分を反復して演奏していたのですよ。譜面上では最初に戻ったとしてもそれは曲が逆行するわけではなく、一回目に続いて二回目を演奏するだけなので、あのエンドレスエイトは一列に繋がった一つの曲であると言えます。だから僕たちは、以前のシークエンスの影響を受けていたのでしょうね」 朝比奈さんはこくりと頷き、 「その通り。そして規定事項は、未来の『楽譜』と『旋律』を等しくするための行動なんです。時間遡行は、未来人という『音』が過去の『旋律』に紛れるということ。そこでは未来人は只の雑音なので、基本的に『旋律』を変えてしまうことはないんです。ですが、イレギュラー的に『音』が加わって『旋律』が変わってしまうという事態や、自分の楽譜と過去の旋律が不一致しているなど矛盾した結果も発生してしまうの。……次は、これからの行動についてお話します」 これからの行動……ハルヒの中学時代と、《あの日》に行くことだ。 「能力発現以前の涼宮さんを迎えに行くことには、二つの意味があるんです。一つは、《あの日》での行動に涼宮さんの力が必要だからということ。そしてもう一つは……彼女にかけられた呪いを変えるため」 「……ハルヒに呪いが? 中学生のハルヒに、どんな呪いがかかってるっていうんですか?」 呪いっていうのはものの例えなんだけど、と続けて、 「……わたしが以前話したことを思い出して下さい。自分の知っている過去とは違っている過去、そして、本来生きていなければならない人が死んでしまう過去のこと。……今からキョンくんには、それを変えてもらうんです」 「それって……ハルヒが死んじまうのを変えるってことですか?」 ……ここで朝比奈さん(大)は暗い顔を浮かべ、少し沈黙した後、 「涼宮さんの呪いについては……簡単にいえばね、中学生の彼女は『いばら姫』なの」 いばら姫……つまり、眠り姫か。たしかその話は諸説あったが、お姫様が預言者たちから順番に贈り物をされていると一人の預言者から死の呪いをかけられてしまい、残りの預言者がその呪いを『眠り』の呪いに変える話だ。 「うん。それでね、物語の預言者が未来人だと考えてください。そして、『呪い』について今からお話します。まず……中学生の涼宮さんがキョンくんと出会わず、能力の発現が起こらなかった場合、将来キョンくんは佐々木さんと親密な関係になります。これは二人が中学時代に両想いで、キョンくんが涼宮さんと親しい関係ではなかったから。そしてSOS団を結成しなかった涼宮さんは将来、一人で道を歩いていたときに――えっと、その……」 朝比奈さん(大)は悲しそうな表情を作って「……禁則です」と呟いた。それが本当に禁則である感じはしなかったが、いばら姫の『呪い』を考えると……あまり詳しく聞きたいことじゃないな。俺がそう考えていると古泉が、 「……つまり、それが涼宮さんにかかっている『いばら姫』の呪いであり、その呪いを『眠り』に変える預言者が……朝比奈さん。あなたというわけですね」 「そんなところです」 そう朝比奈さん(大)は答え、俺は……一つ考えていた。 彼女の話によると、ハルヒが世界を変えちまうのは、俺の今からの行動が原因なんだろう。 つまり……。ハルヒに神様じみた能力を付加させたのは――俺なのか? すると公園の前に一台のトラックが停止し、後を追従していた黒塗りのタクシーから二人の人影が乗り出してきた。 「すっすみませんっ! ……遅れちゃいまし――」 その人は朝比奈みくるさん(小)で、後には喜緑さんの姿があった。 「……あ、」朝比奈さん(小)は目を丸くして大人姿の自分を目に入れると「上の……人ですよね? ってゆーか、やっぱり……」 「……お疲れさま。あなたが感じていた通り、わたしは朝比奈みくるです」 「あ、朝比奈先輩だっ。フフ。あとは涼宮先輩だけですねっ」 「ほえ? ……あ。もしかして、この子がみゆきちゃん……?」 これはスリーカードになるのかなと思いつつ朝比奈さん(小)に抱きつく朝比奈みゆきを見ていると、朝比奈さん(小)は長門を見て、 「――そっか。あの子がこんなに大きくなったんですね、安心しました」 この言葉を聞いたみゆきは不思議そうに、 「あの子って何ですか? あたしは先輩の……」 朝比奈さん(小)は自分の口を手で覆って、 「そ、そうでしたっ。みゆきちゃんは、あたしの将来の子供なんですよね。とにかく、可愛く育ってくれて嬉しいです」 えへへ、と笑いながら朝比奈さん(小)に頭を撫でられているみゆきと、それを微笑ましく見つめる大人の朝比奈さん。俺は喜緑さんに、 「……さっきは失礼しました。身勝手な行動をしてしまって」 「いえ、構いません。事態は急を要するので」 喜緑さんは大人の朝比奈さんに体を向けて、 「長門さんに生じた問題を解決するために、情報統合思念体も出来る限りの協力をする意向です。わたしがここに呼ばれたのも、そのことについてなのでしょう?」 「……はい。次元の世界を渡るためには、情報統合思念体の協力が必要なんです」 朝比奈さん(大)は集まった俺たちを見回し、 「これで役者は揃いました。それでは……今から、それぞれの行動についてお話致します」 「まず、キョンくんとみゆきには中学生の涼宮さんを迎えに行ってもらいます。みゆき、昨日教えた魔法の使い方はしっかり覚えてる?」 「うん、大丈夫っ。機械を操縦するときに使うんだよね?」 ……魔法、ね。恐らく情報操作能力のことだろう。大人の朝比奈さんはみゆきに頷くと喜緑さんへと顔を向け、 「そして二人が過去に向かうために、喜緑さんには思念体へアクセスしてもらって、時空改変以前の涼宮さん以外の世界の時を止めて貰います。よろしいですか?」 「了解しました。それだけでいいのでしょうか?」 やんわりとした笑顔で答える喜緑さんに、 「いえ、もう一つ。……長門さんの思念体を、凍結状態から復帰させてください。そして――」 大人の朝比奈さんは振り返り、今度は古泉に向かって、 「キョンくんとみゆきが過去へ行っている間、古泉くんには、長門さんの思念体と共に四年前の七夕の、長門さんの部屋へ行ってもらいます。そこでは、わたしとキョンくんが《あの日》へ行くために訪ねてくる予定ですから、わたしたちがやってくる前にリビングの隣の部屋へと隠れていてください」 それって、俺が長門の作り変えた世界から脱出プログラムで過去の七夕に飛んだ後、長門から話を聞くためにあいつの部屋へ行ったときの話だよな? あそこで長門は、隣の部屋は俺と朝比奈さん(小)のために丸ごと時間を止めたから開かないって言ってたはずだが……。 「そうなんですか?」 朝比奈さん(大)が俺に聞いてきた。 「ええ。っていうか、あなたも居たじゃないですか」 「そっかぁ」と何やら考える様子で、 「じゃあ、扉を開けられないように気をつけないといけませんね」 「……どういうことです?」 「……えっと、」少し思案顔を浮かべた後、俺に微笑みながら「このわたしは、まだその七夕でキョンくんを導いてはいないの。それはわたしが、これから行うことです」 ……つまり、あの七夕の日に来ていた大人の朝比奈さんは、この朝比奈さん(大)だったってことなのか? 「そういうことです。今のわたしは、世界の歴史を整えるために、上層部からの指令をみんなに説明をするよう頼まれているだけなの。わたしもこれからあの七夕へと向かって、世界を修正するために頑張ります」 パチリとウインクをかまし、そして朝比奈さん(大)の放ったハートマークが俺の顔に当たるまでの束の間、俺の生体活動は停止していたかのように思われた。 ――なんてこった。じゃあ、長門と俺と朝比奈さん(大)があのアパートで《あの日》について話していたとき、隣の部屋には……古泉が居たってことじゃないか。なんとゆーか、あいかわらず眩暈がするね。 朝比奈さん(大)は古泉へと面を返し、 「古泉くんには、あなたにしか出来ないことをお願いします。そしてそのまま、小さいわたしがこの規定事項を終えて迎えに来るまで待っていて下さい」 古泉は真剣な顔で首肯すると、 「……なんとなく、僕がやるべきことは感じています。つまり僕は、副旋律を担当するのだと言うのでしょう?」 「……副旋律? なにがだ?」 俺がそう聞くと前髪をピッと弾き、 「これから行う規定事項で、僕たちはそれぞれ自分のパートを受け持つということですよ。音楽的にいえばつまり僕らは演奏者であり、《あの日》へと直接赴くあなた方は主旋律を担当し、そこへ行かない僕は副旋律を担当するようなもの。そして、長門さんが変えてしまった世界から続くこの世界は、この規定事項を完遂させた結果……言わば一つの楽曲なのです。あなたの行動によってあの三日間が発生し、僕のこれからの行動には……恐らく、長門さんの小説が関係しています」 「あいつの小説が? どうしてだよ」 古泉は少し悩んだような顔を浮かべ、 「……僕はずっと、思念体が長門さんを疎遠にしていた問題の答えは、彼女の小説の三枚目の中にあると考えていました。あれに書かれている内容ですが……まず、棺桶というワードに『死』という隠喩があるのは間違いないでしょう。次に、その小説の中で長門さんらしき人物はその『死』を望んでいて、そしてその『死』を阻む存在として、僕や朝比奈さんらしき存在が示されていました。そして物語は顛末を見ないままに終えられている。僕は長門さんに後のストーリーについて聞いてみたのですが、彼女は、この小説は殆ど無意識に近い状態で書き綴ったために答えることが出来ないと仰っていました。そして今……長門さんは『死』を願った代償として思念体から制限を受け、記憶をなくしてしまっています。――これから僕がやることは、あの小説の中で表現されている……彼女が忘れてしまった自らの発表するものを思い出させることです」 「つまり、お前は何をするんだ?」 古泉は大人の朝比奈さんに意味ありげな目配せをして、 「……とにかく、僕は長門さんが抱える問題を解消します。ですが、僕の行動にもあなたの協力が必要不可欠です。なので……」 古泉は決心に満ちた視線で、 「――許可を」 もちろん良いに決まってる。何をするのかはわからんが、わざわざ許可を得る必要なんてないぜ。 「そう言ってくれると信じていました」 古泉は目を細くしながら言い、 「あの小説を読解しましょう。長門さんの忘れている自分が発表するものとは、僕たちも知らない『長門さんが望んだもの』だったのです。そして発表会とは、《あの日》のこと。……僕は、長門さんが発表の舞台へと戻ってこれるように尽力します。あの物語を紡ぐのは、長門さん自身なのですから」 ……ってことは、あの長門の小説は何かしらのヒントだったのか? じゃあ、他の一枚目と二枚目にはどんな意味があるんだろうか。 「ええ。経緯はまだ不明ですが、恐らくあの小説は、長門さんの識閾下から綴られた僕たちへのメッセージだった。そして、二枚目については何となく見当が付いています。あの二枚目こそが長門さんの思い出であり、長門さんの歴史なのでしょう。現在の長門さんはそれを失ってしまっているので、僕はこれから、あなたの協力を得てその失われたページを取り戻すのです」 「……そっか」俺は長門を見る。「……こいつは、こんな風になっちまっても、俺たちを助けてくれるんだな。――次は、こっちが長門を助ける番だ」 ここに集まった全員が一致して頷き、意思の固まりを確認する。大人の朝比奈さんは俺へと微笑み、 「……では、行動を開始します」 さて。俺が今からやるのは、みゆきと一緒に中学ハルヒを連れてくることだ。 俺とみゆきが大人の朝比奈さんに率いられてトラックへと向かっていると、 「中学生の涼宮先輩、どんな感じなんでしょうね? フフ、楽しみです」 みゆきが無邪気に話掛けてきた。なに、俺は一度会ったことがあるが、中学のハルヒは身体的特徴が若干小さいだけで、全く今と変わらんさ。 「フフ。涼宮先輩らしいです」 クスクスと笑みをこぼし、前を向く。そしてトラックの荷台の後部へと着くと朝比奈さん(大)は扉を開け、 「……これが時粒子転換探知装置、タイムパーティクルスダイバージョンディテクターです。一般的な概念から言えば、このTPDDこそがまさにタイムマシンと言えますね」 「ん、」 俺は呟く。中に入っていたのは、一般乗用車程度のサイズのお椀を伏せたような形状の半球から、車ならタイヤがあるべき四方の位置に三十センチメートルほどの突起物が等しい形で付いており、こちらへと向いている正面には、それらよりも二倍ほど長い突起物が……ええい、説明が面倒だ。それにこれはどっからどう見ても……、 「亀じゃないですか」「うわあ、大きいカメさんですね」 そのフォルムはまさに亀であった。 「これは、時量子理論が基になったTPDDなの。この形に意味はないんだけど、ハカセくんがあのとき、川の流れの中を泳ぐ亀を見たことによって生み出されものだから……ふふ、単なる遊び心です」 えらく茶目っ気の効いた科学者たちだなと思いながら、俺は藤原の言葉を思い出していた。 なるほど、物質的なTPDDの形は浦島太郎ね。あいつは俺をおちょくりやがったわけじゃなかったのか。ってことは、もしかしたら浦島太郎の話は実話なのかな。 「うふ。禁則事項です」 大人の朝比奈さんはそう言ってみゆきに、 「じゃあ、今から時空間の座標を教えるね。みゆき、手を出して」 みゆきが差し出した小さな手のひらに朝比奈さん(大)がちょんと触れると、 「りょーかいっ。フフ、失敗しないように頑張ります」 頑張ってね、と言いながらみゆきの頭をナデナデしつつ、 「……じゃあ二人とも、これから直ちに出発して下さい。キョンくん……健闘を祈ります」 「了解しました、朝比奈さん。あのじゃじゃ馬娘を、縄ででも繋いで引っ張ってきますよ」 ――よし。今から……中学生を拉致しに行くとするか。 第四楽章・再
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『涼宮ハルヒの憂鬱』(すずみやハルヒのゆううつ)は、谷川流のライトノベル『涼宮ハルヒシリーズ』を原作とする日本のテレビアニメである。日本では、2006年4月から7月にかけて独立UHF局を中心とした11の放送局の深夜枠で全14話が放送された。2007年7月7日に第2期の制作が発表され、その後「新アニメーション」として再び制作が発表された。2009年4月よりあらためて[1]放送されている。 登場人物 スタッフ 主題歌
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あたし涼宮ハルヒ。憂鬱な核融合炉。暴走機関車。 中学に入ったころから、あの野球見に行ったときの喪失感に苛まれつづけて、高校生になった。 そしてあいつに出会った。あの糞忌々しいニヤケ面の頼んねえやつ。 いつもヘラヘラしながら朝私に話しかけてくる。 他の下らない男子同様、一言の元にはねつけてやればいいんだけど、なんでだろ、なんとなく話し相手になっちゃうの。 なんか見覚えあるような気がして、心の中を手探りするんだけど、微妙にスルっと逃げちゃって、ある日私が勝手に決めてた髪型ローテーションについて話しかけてきた日 -こんときゃ私らしくもなくずいぶんいろいろ話しちゃったんだけどさ- 直接聞いてやったのよ。 「あたし、あんたとどっかであったことある? それもずっとまえ」って。 あたしも馬鹿なこと聞いちゃったものよね。「いいや」とサクッといわれて『そりゃそうだ』と自分に突っ込んじゃったけど、「ずっとまえ」って自分のフレーズがどっから出てきたのか自分でもチョイ謎で、なんかモヤモヤして髪切りたくなっちゃたわよ。 翌朝間抜け面さらして、かなーり長いこと、呆然とあたしの髪後ろから見てた。 なんか文句あるの?あたしの髪じゃない。 別の日だけど、あたしの中学時の武勇伝をどっからか仕入れてきて「ホントか?」なんて聞きやがるのよ。どうせあの馬鹿谷口あたりに吹き込まれたんだろうけど、そんなことが気になるのもあんたも馬鹿の仲間だからだわね。 でいってやったわけ。あんたの知ったこっちゃないけど、本当だったらどうだってのよ、って。 奴はなんか肩すくめて手をひらひらさせてたけど、あれあいつの癖かなんかだわ。 なんかあほみたいな奴よね。 席替えがあって、私は後列窓際最後尾っていう、居眠りにもってこいのポジションをゲットしたんだけどさ、前見たらまた居やがるんだわ、あいつが。 まぁ偶然っちゃ、当たり前なんだけど、うるさいのが居なくなってサバサバできると思ったら、また奴が間抜け面して前に座ってたので、しょうがないから、馬鹿話に付き合ってやったわよ。 でもさ、ほかの男子も女子もてんで話す気にもなんないから、完全シカトで来たんだけど、こいつだけになんだか口きいちゃうのってなんでだろ。 あたしはなんか面白いことがないかと休み時間にはくまなく学校中を歩き回るようにしてて、部活とかも、高校になればなんかおもしろいのがひとつぐらいあるだろうって、いろいろ仮入部とかもしてみたんだけど、全滅。 あああせっかくあのまるで無駄な中学の三年間を我慢して、わざわざ公立に入ったのに、やっぱはずしちゃったのかな。 ってのはさ、わたしひとつだけ心の奥にずっと持ち続けてるひとつのイメージがあって。 いまでもよぉく覚えてるわ。中一の七夕にあたしがベガとアルタイルにメッセージを送るって決めて、夜遅くに校庭に潜入したときに会った北高の生徒。 自分のことジョンスミスとか馬鹿みたいな名前を名乗った。 ラインマーカーでメッセージを書くの手伝ってくれてさ、宇宙人は居るから心配すんなって。心配とかしてないけど、何でこの人断言してるんだろ、ってかなんかあたしを励ましてる? なんか寝入ってる女子背負ってたし、あげくに別れ間際に訳わかんないことよろしく、とか叫んでたし。 あたしそいつのことがあとからどうしても気になっちゃって、好きとかそういうんじゃないわよ、たぶん。あたしはそんな浮ついた女じゃないもの。 北高の名簿とかまで調べたりして、ちょっとわれを忘れ加減になっちゃったのは若気の至りってところだわ。 だって荒んでたあたしをなんとなく自然にわかって、受け入れてくれてるって感じがしたのよ。 こうみえてもさ、あたし異常に勘がスルドイっての?だいたいピンときたときは、なんかあるのよね百発百中で。 そんなことが心に引っかかってたからかなぁ、先公の勧めを完全シカトして公立の北高にはいっちゃったのになぁ。 そんときの人がいないのはあたりまえなんだけど、なんか面白いことがあるかもしれないって、おもったのに。 だから五月の連休明けのあたしは、これから三年間のこと考えると、もう憂鬱で憂鬱で、こんな世界は消えてなくなっちゃえばいい、って物騒なっことを本気で考えそうな精神状態だったわけ。 で、毎朝はなしかけてくるそいつが部活ネタ振ってきた後で、長々とつまんねぇ演説始めやがってさ、一部の天才のみが、不満のある現状を打破する方法を考え付くとか何とか。 あんたみたいな凡人は一生そうやってつまんない日常とやらに埋没してればいいのかもしれないけど、あたしはそうはいかないの。 でもね、なんとなくぼんやりしてたら、ピカッとひらめいたのよ。 『そうか!、なければ作ればいいんだ!!』って。 当たり前よね、あたしが既成の部活の枠組みにとらわれてるから、面白いのがひとつもないわけよ。 面子もコンセプトもあたしが決めればそれでOKじゃない? さすがにあたし自分の迂闊さをちょっと呪っちゃったわよ。気づけばほんっと簡単なことなんだもん。 そのことに思い当たったとき、思わずまえのあほ面の襟を思いっきり引いちゃった。 今思えばちょっとやりすぎだったかも、だってそいつ思いっきりあたしの机の角で後頭部いっちゃってたから。 しかもあたしもどうかしてたわよね、おもいっきりあいつにつばかけちゃって授業中に叫んじゃった。 「なければつくればいいのよっ」「だからなにを」「部活よ!」って。 あたしだめなの、時々こうやってガ~っていっちゃうの。制御できなくなるのよ、自分のこと。 わかってるんだ、これ重大な欠点だって。でもだめなんだよね、頭の中がカッと白い光に満ち溢れると、その瞬間全てのブレーカーがとんじゃうの。 それからのあたしはなんかもう俄然エンジンがかかっちゃった。 ニヤケ面の名前っていうかあだ名はこれまた間抜けな響きで「キョン」っていうんだけど、そいつを一丁かませてやろうと思ったわけ。 ううん何でかなんてわからない。今でもわからないそのときの気持ち。 こいつとその部活やったらいいかもって思ったのは、正直認めるわ。でもあたしの勘に外れはないのよ。 外れたかもしれないけど。 それから何もかもがはじまったのよね。 あたしは、SOS団の仲間と居ると、中学までのあの荒んだ心がどんどん、なんていうのかな、そう、浄化されていくことに気づいたわ。 あたしと仲間たち。 このすばらしい集団のおかげで、あたしはどんどんイノセントになっていく。 毎日楽しくてさ、殻に閉じこもって全てをはねつけてた自分が、ちょっとだけ素直じゃなかたってことは認めるわ。 でもね、実を言うと、最近誰にもいえないけど悩んでることがひとつだけあるのよね。 何って・・・あいつよあいつ。あのいまいましいあほキョン。 自分の心にうそついてもしょうがないから、言っちゃうけど、あたしあいつのこと好きみたいなんだ。こんちくしょう。 だいぶ長いこと自分でも気がつかない振りをしようしようって、おもってたんだけどさ。 でもさ、いまさら素直に普通の女の子らしくなんかできないよ。これまでずっとこういう調子でやってきたんだもの。 時々すっごく不安になることもあるよ。あたしがこんなんで愛想つかされたらどうしようって。 あの馬鹿は乙女心ってのを全っ然解せない超鈍感で、いちいちあたしの気に障るようなことばっかり言うんだ。 そ知らぬふりで強がってるけど、ときどきこころがグサッと音を立てるような気がするの。 こうみえてもあたしだって、花も恥らう乙女なんだからね。こころから血が出てるよ、気づかぬ振りしてるけど。 家で一人になってちょっと落ち込んだりすることもあるんだからね。 あたしってどう見えるんだろう。スタイルだって悪くないし、顔だって結構かわいいと思うんだけどなぁ。 正直性格はぶっ飛んでることは認めざるを得ないのが悔しいわ。 あほキョンはどういう女の子が好きなんだろう。 みくるちゃんも有希も、相当偏差値高いからあたし実を言うとちょっと心配。 あ~あ、こりゃあたしもそこらの普通の女の子並みに堕落しちゃったかなぁ。 でも、後の三人がなんかそれぞれこの件に関しては気に障るのよね。 まず有希。この子はぜったいキョンのこと好きだよね。あたしにはわかる。 でさ、あたしこの子のあの儚さっていうか、何も言わずギューって抱きしめてやりたくなるようなあの感じにはどうしてもかなわないって気がするんだ。 女のあたしが見てもこの子っていじらしいの、すごく。 クリスマスに何があったか知らないけどさ、あほキョンもなんかすごく有希のことが気になるみたいで、ときどきじっと見つめてる。 愛ってのかどうかはあたしにはわからないけど、すごく気にかけてるのよね。 ちょっとぐらいあたしにもそういうそぶり見せてくれればいいのに。 あたしだってあの時はわれながらどうしようもないくらいのうろたえぶりだったし。 あんなに心配もしてやったんだぞ。 一番気に入らないのは、有希のアイコンタクトがキョンにだけは通用してるってことよね。 二人は気がつかないつもりらしいけど、バレバレだっっての。あーもうなんか急に腹立ってきた。 有希もさ、あたしの言うことに反応するときとキョンにいわれたときが全然反応違うんだもん。ああいう無表情っ子の癖に妙にわかりやすい子だわ。 でも、あたしは有希がすごく好きなの。 だから困るんだなぁ正直言って。 恋敵なら戦えばいいんだけど、あたし有希と戦うなんていやだ。いっそ共有しちゃえばとかバカなこと思っちゃうくらい、有希も好き。 有希ってすごく変わったと思う。あんなあほキョンを愛することで変わったのかな。 あたしだって思いの深さじゃ負けないと思う、って何を言わせるのよ。 それからみくるね。 この子もキョンのこと憎からず思ってたみたいだけど、なんかあきらめた、というのか、ブレーキ踏んでるよね。 有希の気持ちもわかってるみたいだし、腹立たしいんだけど、あたしのことも「わかってるよ」みたいな目でみるんだよ。萌えキャラの分際で。 そうやっておねえぶることで、精神的優位を密かに保ちたいんだろうけど、本音はどうなのよ。 なんかこの世が仮の世でここじゃやっちゃいけないと自分に課してる枷がいっぱいあるみたいな雰囲気あるよね。 あたしにはわかるんだ。 古泉君。この子も頭くんのよ。 あたしを崇めてる振りしてるけど、内心わかりやすいやつだなってあたしのこと思ってるわよね。 そういうあんたのほうがわかりやすいって知ってる? あたしとキョンの気持ちをわかってて、皮肉ったり冷やかしたりしてる振りで、内心『このバカップルが』ときっと思ってる。 あほキョンはだませても、あたしはごまかされないわよ。 あ~あ、あほキョン、あんたもあたしのこと好きなんでしょ? とびきり勘の鋭いはずなあたしなのに、このことに関してはなんだか自信がないの。 あたし色恋沙汰に関しては、そんなもんは精神病の一種とまで当の本人相手に言い放っちゃってるし、あああ、あんなこと言わなきゃよかった。 あたしが素直にできないのは、これはもう一種の病気とわかってくれないかな。 でもなんか負けた気がするからそれもいやだわ。はやく告ってくれればいいのになぁ。 優柔不断でフラクラしてるばっかりで、ほんっとあほキョンって腹立つわよね。 そりゃそうと、あたしが思いつきで集めたこの面子、一見なんでもないようだけど、あたしもしかしてBull zEyeやっちゃった?って感じするの。 なんといっても怪しいのは有希よね。この子あからさまに変よ。 あの非情動性と万能さ、人間離れしてる。他の人と触れ合わないからあんまり知られてないけどさ、このごろはなんかネジが壊れちゃったのかもしれないけど、体育祭やマラソン大会や百人一首大会であたしとタメ張ってるもん。相当目立ってきたわよ。 そうね、野球のときもなんか変だったわよね。 この子は超能力者か宇宙人かなんかそんなもんよ、きっと。 みくるはさ、わかりやすい。鶴屋っちが口滑らせてたけど、この子この時代の子じゃないと思う。いやあたし基地外じゃないよ? ときどきあたしの前でも口滑らせるしね。普通の人なら当然知ってるはずのこと知らないんだ。 この前なんか船が何で浮いてるんだっていう話で、浮力で浮いてるんだといったらすごく意表を衝かれた顔するんだもん。 あんたそれおかしいでしょう。 古泉君はなんだろうね、彼自身は普通にみえるんだけどね。 なんか背景に特殊な組織みたいなものがちらつくわね。それもあたしに関係あるんじゃないかな。 なんかすごく変な知り合いとかが多いのよ。 ただ、なんかあたしこの子には裏でなんかえれぇ迷惑かけてそうで、あのこの似非スマイルの裏の疲労が見えたときなんか、なぜか申し訳ない気もするの。 あたし誇大妄想狂じゃないつもりだけど、ときどきあたしって、自分では気がつかない力ってあるんじゃないかな、って思う。 それが何かはわからないけど、なんかSOS団とそれが関係してるような気がする。 みくると古泉君とキョンがやってる目配せや内緒話やそんなことがほんとにあたしに気づかれないと思ってるんだから、あたしってほんと馬鹿にされてるみたい。 いかにもあからさまだっちゅうの君ら。 あたしのいないとこでゴソゴソしててもあたしには丸わかりだよ。 特にみくると古泉君。なんかあたしを怒らせないように怒らせないように腫れ物にでも触れるみたいな扱いよね。 でもなんなんだろうね、そんなに恐れるような力って。 キョンは嘘が下手糞だから、あたしがその気になって真剣に問い詰めればしらを切りとおせないだろうって思う。 聞くのが怖いけどさ。 あたしほんのり思うんだけど、あたしって自分の思い描いたようなことを実現する能力があるのかも。 ううん、はっきりは言えない、そうじゃないことも多いしね。 でも、不思議とあたしの思ってたとおりに物事が動いていく感じってのは時々ひしひしと感じるわけ。 こればっかしは、確信は持てないけどさ。そういう万能感って、自己中な子供時代にはよくあることだしね。 まぁ、こんな夢みたいなこといっててもさ、あたしの理性的な部分は、そんなことありえない、ってちゃんと思ってる。 でもあたしのこのかけがえのない仲間たちが、もしそういう風なウンと特別な奴らだったらいいなぁ、ってやっぱりどっかでおもっちゃうのね。 とはいえ、あのあほキョンだけはどう転んでもそんな特別なとこなんて、ありゃしないんだろうけどさ。 それもこれも、まぁいいんだ。 大目に見てやろうじゃない。だってあたし今とっても楽しいんだもん。 中学のときには思いもよらなかったくらい。 私自身こんなにうまく高校生活が送れるなんて、正直予想外だった。 自分を貫くための孤立は厭わないけれど、やっぱり孤独っていうのはけっこう心に来るのよ。 あとひとつ、どうもつらつら思うんだけど、もしそういうことが起こりうるとしたら、ジョンスミスってあほキョンと同一人物なんじゃないかなぁって。 そんなことはありえないことはちゃんとわかってるのよ。でも少なくともなーんか繋がりくらいはあるんじゃないかしら。 どうもそんな気がしてならないのよ。正直意味不明なんだけど、いつか一回ズバッといってやりたくなる。 そんときのあいつの顔が見てみたい。 そりゃそうと、あれって絶対夢じゃないよね。あの灰色の世界、青い巨人。そしてそこで起こったこと。 夢オチってことなってるみたいだけど、あたしはあれは本当にあったことだと感じるの。ううん理屈じゃない。 あんなリアルな夢ってありえない。もしあれが夢なんだとしたら、フロイド先生も真っ青DAZE。 なんかあたしあれ以来、すっかり安定してるしね。翌朝のあほキョンの態度もなんとなくそんな感じだったし。 あーどうしてあんな奴のこと好きになっちゃったんだろうあたし。一生の不覚だわ。 あいつがあたしのことを見てくれると、うなじのあたりがジーンと熱くなるの。 あいつが優しくしてくれたりすると、馬鹿みたいに涙が出そうになるの。 あいつがあたしに怒ったりすると、悲しくて悲しくて、自分のことがほんとに嫌いになるの。 まぁあれだ、夢じゃないとこで、一回ぐらいならキスさせてやってもいいぞあほキョン。ってかむしろしろ。超鈍感。バカ。
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第七章 俺たちは30分ほどで学校に着いた。 そしてやっぱり神人が暴れていて校舎もめちゃくちゃだったし、校庭には神人に投げ飛ばされたと見られる校舎の残骸が投げ捨てられていてこの世の風景とは思えないようだった。 ハルヒはもうどうしていいのかわからないようにこう言った。 「ねえ、キョン。いったい学校に来てどうするつもりなの?」 「わからん。とりあえず校庭のど真ん中に行こうと思う。」 ど真ん中とはお察しの通り俺とハルヒが昔キスをした場所だ。 そこに着けば恐らく何らかのアクションが起きるはずなのだ、そうでなければあの未来人や朝比奈さんが止めるはずである。 俺はハルヒを半分無理やりど真ん中に連れて行った。 そのとき、ポケットに入っていた金属棒が金色に柱のように光りだし、ハルヒと俺を光の中に入れた。何がどうなってるんだ。 俺は慌ててポケットから金属棒を取り出した。 これでハルヒが普通の人間に戻ったのか? もちろんそんなわけは無く、その金属棒にひびが入った。 ピキピキ…割れていく。 中から茶色い棒が出てきた。 俺の嫌な予感は的中し、金属棒の中からポッ○ーが… やはりそうか。 ポッ○ーゲームか、それでキスしろってのか。 ハルヒは察したのか俺からポッ○ーを奪い取り口に加えて目を閉じた。 俺も目をつむりポッ○ーをくわえたそのとき、前のときのような光が世界を包み俺たちを元の世界に返した。 たまたまグラウンドはどの部活も使用してはいなかった。 あれ?朝比奈さんやら古泉やら長門やらはどこに行ったんだ? 閉鎖空間に閉じ込められたのか?だとしたら神人が全部消滅するまで空間は消滅しないはずである。 だとしたら朝比奈さんたちはどうなる。 いやハルヒの能力が消えたのだから閉鎖空間も消滅したのか?古泉は何も言ってはいなかった。 その時、後ろで俺を呼ぶ声がした。 「キョン君!」 朝比奈さんである。あの未来人と(小)方もいる、気絶したまま(大)にかつがれてるが…。 「朝比奈さんたち、どうしてここに?」 「古泉君に言われたんです。学校に向かってくださいと。これも規定事項ですし。」 「そうですか。」 この時ハルヒがあることに気付いた。 「有希は?」 そうだ長門は?朝倉と交戦中のはずのやつはどこに言ったんだ。 その問いには朝比奈さんが答えた。 「長門さんはあと1分ほどでここに現れるはずです。朝倉さんって人を倒して。」 よかった。 じゃあ古泉はどうなったんだ。 まさかあのとんでも空間に閉じ込められたままなのか? 長門がやってきた、古泉の事を聞いてみる。 「古泉一樹は閉鎖空間に残り、自爆して全て倒すつもり。」 自爆?自爆ってあれか?ボーンってなって死んじまうあれか? 「そう。」 古泉はどうなるんだ。 「死ぬ。」 どうにかならないのか。 「ならない。そうしなければ世界が滅ぶ。古泉一樹は世界を守るために死を選んだ。」 くそっ、俺の許可なしで死にやがって。 ハルヒは悲しい顔で「私のせいよ、私が転校生が来て欲しいなんて思ったから。だから古泉君は…」 落ち着けハルヒ。お前は何も悪くないし古泉のことは悲しいが今はこの状況を何とかすることが先決だ。俺たちを助けてくれた古泉のためにもな。 長門。朝倉はどうなった。 長門はいつぞやのカマドウマのとき同様、校門を指を刺した。 「すぐそこ。すぐ倒す。もう余裕は無いはず。」 その直後、校門から高速で何かが走ってきた。勿論。朝倉である。 朝倉は長門めがけて突っ込んできた。 不謹慎かもしれんがターゲットが長門でよかった。 ターゲットが俺なら一瞬でことは終わっていたからな。 長門は校庭のど真ん中で戦闘をおっぱじめた。 轟音が鳴り響く。 轟音で朝比奈さんが目を覚ました。 「ふえ?ここどこですか?あれ?この人私にそっくり。誰なんですか?そっちの男の人も。古泉君はどこいったんですか?」 なんというか、どっから説明していいのか。 とりあえずここで目を覚ますのは朝比奈さん(大)にとって来てい事項なんだろうか。朝比奈さん(大)に目配せしてみる。 朝比奈さん(大)が頷いた。 俺はいまいち状況を理解できていない朝比奈さんに説明した。 「この人は今の朝比奈さんよりも未来から来た朝比奈さんです。恐らく今まで朝比奈さんに命令を出してたのもこの人です。」 「え?そんな、まさか。」やっぱりと言うかなんと言うか、やはり混乱した。一応孤島のときのこともあるので古泉のことは伏せておいた。 朝比奈さん(大)が口を開く「そうです、私は未来のあなたです、いろいろな指令をいつも出していたのも私です。それからキョン君、この騒動が終わったらこの子にこの子がするべきことを全て教えてあげてください。」 「え?わかりました。」どういう意味だろう。七夕のときや一週間後の朝比奈さんが来たときの手紙のことを教えてあげればいいのだろうか。 長門が交戦中にも関わらずこっちを向いて叫んだ。「ダメッ!!」 すると「確かに頼みましたよ。」といって朝比奈さんの後ろで盾になるように大の字になった。 その瞬間である。鉄砲か何か、もしかしたら光線銃のようなものかも知れない。 一線。 俺の盾となってくれた朝比奈さんは倒れた。飛んできたであろう方向からは何も見えない。 血まみれになって倒れた朝比奈さん(大)を支えてあげる。「これも規定事項ですから…」 そう言って朝比奈さんは目を閉じた。 俺はハルヒに叫んだ。「朝比奈さんに見せるな!!!」 ハルヒは急いで朝比奈さんに抱きつき視界をふさぐ。 だが何もかも遅い。朝比奈さんは泣きじゃくり倒れこんでしまった。 ここで突っ立って傍観していた未来の俺が地団駄を踏み口を開いた。 「まさか!クソっ!それで未来を守ったのか。クソっ!」 そうか。朝比奈さんが朝比奈さん(大)を認識することで現在と未来がつながったのか。 それなら俺と未来人の時でも同じことが言えるのだが恐らくハルヒが生み出した不安定な未来なので朝比奈さんが朝比奈さん(大)を認識することで上書きされたのか。 恐らくこの未来人の規定ではここで朝比奈さんが死に、朝比奈さん(大)の存在に矛盾を出すためだったのであろう。 と言うことは未来人戦はこちらの勝利である。大きな犠牲を払ったが。 とち狂ったように未来人が言った。「もうお前ら全員殺してやる。」 おいおい未来の俺よ。なに言ってやがんだ。 その時、突然空が無数の点により暗くなった。 なんだありゃ。いろいろありすぎてわけがわからん。 第八章
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キョン「なあハルヒ、お前将来の事とかちゃんと考えてるのか?」 ハルヒ「なによいきなり、あんたらしくない」 キョン「少しは現実的に考えろよ、元気なのはよろしいがそれだけじゃ生きていけんぞ」 ハルヒ「あたしはね、現実的とか普 キョン「そんな事を言ってられるのは中学生までだ」 ハルヒ「そ…それは…そうだ、古泉くんはどうなのよ」 古泉「僕も涼宮さんにはちょっと付き合いきれませんね、非常に残念ですが…」 キョン「ということだ、朝比奈さんも長門もここに来る事はないだろう」 ハルヒ「えっ…ちょっとどういうことなの!?説明しなさい!」 キョン「じゃあな、後は1人で頑張ってくれ」 古泉「それでは失礼します」 ハルヒ「待ちなさい!これは団長命令 バタン! ハルヒ「………なによみんなして…うぐっ…悔しい…」 ハルヒ「キョン大好きっ!うりうり~♪」 キョン「ハルにゃんもかわいい~♪」 古泉・みくる・長門「…」 そして… 古泉「皆さん、同盟を組みましょう、このままでは危険です」 みくる「ああ、いいぜ、だが恨みっこはなしだぜ」 長門「わかった…」 翌日 ハルヒ「みくるちゃ…熱っ!!」 みくる「ひゃ!お茶こぼしちゃいました~☆てれりこてれりこ(爆)」 古泉「あっと!すみません、足が引っかかりました」 ハルヒ「もう…なんなの…」 長門「…」バンッ! ハルヒ「痛…もういい、帰る!」 古泉・みくる・長門(…成功) キョン「あれ?ハルヒはいないのか?」 古泉「さっき帰りましたよ…それよりたまには僕と遊びませんか?」 キョン「そうだな…たまにはオセロでもやるか」 キョン「実は俺も昨日夢見たんだ」 ハルヒ「??どんな夢よ」 キョン「俺が見た夢はな、学校の敷居内にお前と二人で閉じ込められてな・・・最後にキスする夢だよ」 ハルヒ「それ!私も見た!!さっき言ったけど・・・実は悪夢じゃないんだ」 キョン「いや悪夢だろお前とキスする夢なんて、お前もう俺の夢に出てくんなよ気持ち悪いから」 ハルヒ「・・・・・・」 キョン「おいハルヒ、窓から飛び降りてくれ」 ハルヒ「は?何言ってんの?」 みくる「と、飛び降りた方がいいとおもいまぁ~しゅ☆」 長門「涼宮ハルヒは窓から飛び降りる」 古泉「そうですね、僕も賛成します」 ハルヒ「ちょっと…みんなどうしたの?」 一同「涼宮ハルヒは窓から飛び降りる…涼宮ハルヒは窓から飛び降りる…涼宮…」 ハルヒ「ねえ、悪い冗談はやめてよ」 キョン「うるさい、飛べ!飛び降りろ!」 みくる「今すぐ飛び降りてくださ~い!!」 ハルヒ「ほ…本気なの?」 古泉「言っても無駄なようなので僕が突き落とします」 キョン「よし、俺も手伝うぞ」 ハルヒ「ちょ…やめて!本当に落ちちゃう!あ…危ない!ねえ!」 キョン「3、2、1…それっ!」 ハルヒ「あっ……… ドサッ 突然飛び降りた事になっていたハルヒが完治して学校に来ている あのことは忘れたのか久しぶりに部室にやってきた ハルヒ「やっほー!涼宮ハルヒ復活!!」 「…」 ハルヒ「団長が復活したのよ?もっと喜びなさい!」 キョン「ああ喜んでるよ…またおまえを痛めつけられるんだからな…」 キョン「なあみんな、嬉しいよな!?」 みくる「はい、また涼宮さんをいじめられるなんて…すごく嬉しいです!」 ハルヒ「え…?」 古泉「まだわからないんですか?」 古泉はハルヒの腹を殴った ハルヒ「ごはっ…げほ…」 古泉「おっと、声を出されては困りますね、口を塞がなくては」 ハルヒ「ん…んん!」 みくる「怖いんですか~♪それぇ!」 朝比奈さんはハルヒの首を絞めている ここでついにハルヒはあの時のことを思い出してしまったようだ そしてハルヒは失禁したのだ そこで俺達は手を止めた キョン「さてどうする?」 古泉「…そうですね、目を離していた時机に後頭部を強打…という事にしましょう」 キョン「それはいいな、じゃあ早速…」 そしてハルヒが気絶したと職員室に駆け込み、ハルヒは救急車で運ばれていった 翌日ハルヒは学校に来なかった またしばらく入院することになったか不登校なのか… しかし俺達は奴を引きづり出していじめるつもりだ ハルヒ「私ついていくよ~ど キョン「ついてくんな」 ハルヒ「目を見てこr キョン「見たくねーよ」 ハルヒ「私覚悟~しt キョン「キモイからさっさと消えろ」 ハルヒ「… …Gyao」 キョン「キメェwwwwwwww」 ハルヒ「私のプリン食べた?」 キョン「知らん」 ハルヒ「私のこんにゃくゼリー食べた?」 キョン「うざい」 ハルヒ「私のフルーチェ食べ」 キョン「死ね」 ハルヒ「・・・」 キョン「あ、朝比奈さ~んちょっとお茶行きませんか~?そうそう古泉と長門も誘って! ハルヒ?さぁあいつは今日は見てませんねそれはそうと行きましょうよさぁさぁ」 ハルヒ「あぁ・・・くやしい・・・・くやしいのに・・・(ビクンビクン」 岡部「時間がないから自己紹介は名前だけなー」 ハルヒ「涼宮ハルヒ ただの人間にはky」 岡部「はい次ー。」 キョン「なあハルヒ」 ハルヒ「何よ?」 キョン「おまえのポニーテール、やっぱ全然似合ってないな」 ハルヒ「!………ふぇえんっ、キョンなんて嫌い!大っキライ!!」 「おいハルヒ、目のした蚊に食われてるぞ」 「そうなのよ、痒くて痒くて堪んないのよ」 「ちょっと待ってろ、今薬塗ってやるから」 「ほら、目閉じろ・・・」 「へっ、変なことしないでよね/////」 「ほらっ、動くなよ」 「うん・・・・・」 「はい、塗りおわったぞ・・・・」 「ありがとう、キョ・・・・・・・目がっ!!目がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「涼宮さんどうしたんですかぁ?。めがっさめがっさなんていっちゃってwキョンくんに薬塗ってもらえるなんて、羨ましいですぅ」 「・・・・・・・何塗ったの?」 「タイガーバーム」 ハルヒ「な……なんなのよぉ……!? なんでみんなそんなこと……わわ私、違うわよぉ……!!」 キョン「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 長門「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 古泉「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 ガチャ みくる「あ、もうみんな来て……な、なにしてるんですか?」 バッ キョン「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 長門「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 古泉「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 ハルヒ「……や……ヤ~リマン、ヤ~リマン」 みくる「……!?」 みくる「なな、なんなんですか……? やややや、ヤリマンってなんですかぁ……?」 キョン「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 長門「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 古泉「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 ハルヒ「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 みくる「そ、それにさっきはみんな涼宮さんに言ってたじゃないですか……!!」 ハッ!! キョン「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 長門「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 古泉「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 ハルヒ「ちょちょっと!! なんで私のほうに……!? ちょっとみくるちゃん!!」 みくる「ヤ~リマン、ヤ~リマン」 ハルヒ「ハッ!?」 ハルヒ「キョン!」 キョン「ん?どうしたハルヒ?」 ハルヒ「一度しか言わないからよく聞いてなさいよ。……キョンあたしと付き合いなさい! (やったわ!とうとう言ってやったわ////)」 キョン「はあ?何言ってんだお前は?」 ハルヒ「だ、だからあんたのことが好きだって言ってんのよ! (もうバカキョン!察しなさいよ////)] キョン「そういう意味でなくてだな。どうして俺がお前なんかと付き合わねばいかんのだ」 ハルヒ「え?」 キョン「大体だな俺はもう長門と付き合ってるんだ。お前と付きあえるわけが無いだろ」 ハルヒ「う…嘘」 長門「本当」 ハルヒ「有希!」 長門「彼と私は随分昔から恋人関係気づかなかったのはあなただけ」 ハルヒ「そ、そんな…」 長門「鈍すぎる。憐れ」 ハルヒ「有希!あんた…」 古泉「実は僕たちも付き合ってるんですよ」 ハルヒ「!?」 みくる「あのー涼宮さん本当に気づいてなかったんですか?」 キョン「気づいてたら毎日毎日俺たちを部室に集めるだなんて無粋なこと出来やしませんよ」 みくる「それもそうですね。でも、よかったです」 ハルヒ「な、何がよかったの?」 みくる「だってこれからは涼宮さんに気兼ねなく遊びに行けるじゃないですか」 ハルヒ「え…?」 古泉「そうですね。いや~よかった。まさか涼宮さんそれでも僕たちの邪魔をするだなんて言いませんよね?」 ハルヒ「え?あの、その、もちろんよ…」 長門「よかった。これからはいつでもあなたに甘えられる」 キョン「おいおい、長門。俺はいつだってよかったんだぜ」 古泉「さあ、自由になったことだしダブルデートといきませんか?実は知り合いがオープンしたばかりのレストランのディナー券が4枚あるんですよ」 キョン「お、ナイスだ古泉!長門、いや有希もそれでいいか!」 長門「(コクリ)」 みくる「わぁ~楽しみですぅ~」 古泉「では行きましょうか。あ、涼宮さんはお気になさらずにSOS団の活動に励んでください」 キョン「じゃあなハルヒ。お前もいつまでも馬鹿やってないで恋人でも見つけるんだな」 ハルヒ「待ってキョ バタン! ハルヒ「一体何なんだってのよ、もう………。グスン、また一人になっちゃった…」 長門「あなたには羞恥心が足りない…」 ハルヒ「…」 長門「聞いてるの…」 ハルヒ「申し訳ありません…善処します…」 長門「早朝、この部室でしている自慰行為の声も大き過ぎる」 ハルヒ「…今後注意します…」 長門「何より彼に対する好意が露骨…過剰…目障り…」バキ! ハルヒ「…」 長門「…この状態が続くようなら薬の投与を増やさなければならない…」 ハルヒ「…」 みくる「でもでも長門さん、これ以上増やしちゃうと致死量越えちゃいますよぉ?」 長門「構わない」 ハルヒ「…」 みくる「え~?でもお~このブス死んだら私達とキョン君との接点、無くなっちゃいません?」 長門「問題ない…彼は私の虜…もうこの女は用済み…」 ハルヒ「…」 長門「…ふひっ!ころす…ころス…殺す…死ね!死ね!死ね!」 ハルヒ「なんか甘いもの食べたいわね・・・・・・・・・!!!キョン!!ゼリー買ってきなさい!」 キョン「わかった、行ってくる」 ハルヒ「何よ、妙に聞き分けがいいじゃない」 キョン「・・・・・・」 キョン「ほら、買ってきたぞ」 「朝比奈さんには杏仁豆腐。長門、おまえにはムース。あと古泉、バナナプリンで我慢してくれ」 「あと、ハルヒは一口ゼリーだ」 ハルヒ「なかなか気が利くじゃない、そっれじゃあいっただっきまーす!」 ハルヒ「いっただっきまーす!」 パクッ ムシャムシャムシャ ハルヒ「蜂蜜の味かしら?なかなか美味しいわ」 「これなんて名前なの?」 キョン「カブト虫の餌」 ハルヒ「ねえキョン・・・・・夢のなかでしてくれたこと覚えてる?」 キョン「記憶にございません」 ハルヒ「ほら、ポニーテール好きだって言ってキ、キスしてくれたじゃない///」 キョン「記憶にございません」 ハルヒ「あっ、映画撮ったときさ、みくるちゃんが【キョン】「記憶にございません」 ハルヒ「じゃ、じゃあs【キョン】「記憶にございません」 _ __ _ 〈 r==ミ、くノ i 《リノハ从)〉 从(l|^ ヮ^ノリ キョンキョ~ン ヾ ノ ハつ京ハつ くっヽ_っ キョン「なんだ…用なら後にしてくれないか」 _ __ _ 〈 r==ミ、くノ i 《リノハ从)〉 从(l|#゚Д゚ノリ キョンってば!聞きなさいよ!! ヾ ノ ハつ京ハつ くっヽ_っ キョン「………」 _ __ _ 〈 r==ミ、くノ i 《リノハ从)〉 从(l|゚ ー゚ノリ キョン……ねぇ… ヾ ノ ハつ京ハつ くっヽ_っ キョン「…もういい、出て行く」 _ __ _ 〈 r==ミ、くノ i 《リノハ从)〉 从(l| T-Tリ キョン…うぅ… ヾ ノ ハ京ハ くOUUつ 「この中に、宇宙人、未来人、超能力者がいたら私のところに来なさい。以上」 「…涼宮」 「何よ」 「鏡を見てみろ、宇宙人が映ってるぞ」 ハルヒ「みくるちゃん、お茶!」 みくる「はぁ~い、ただいま」 キョン「おいハルヒ…上級生に頼むならもう少し丁寧な物言いをしたらどうだ。すみません、朝比奈さん」 ハルヒ「あたしは団長だから一番偉いの。学年なんて関係ないわ」 みくる「お待たせしました、どうぞ…キョン君はこっち、涼宮さんはこっちです」 キョン「ありがとうございます。美味しいですよ」 ハルヒ「なにこれ、あたしのは水じゃないの?!」 キョン「えぇ?」 みくる「ふふ、生意気な下級生はカルキ臭い水道水でも飲んでろですぅ」