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『涼宮ハルヒのプリン騒動』 ―3日目― 昨日も朝比奈さんのせいでえらいことになりかけたな。 だが朝比奈さんが自分からあんなことをするとは思えん。古泉の差し金か?あるいは長門もなのか? しかし、そのおかげというべきか、またハルヒと楽しく過ごせたのも事実なわけで。 それにしても昨日の別れ際のハルヒの名残惜しそうな顔は反則的なまでに可愛かったな。 ひょっとするとみんな俺のためにあんなことをしてくれてるのか? そうだよな。あいつらにとって俺たちの仲を邪魔する理由なんてないはずだからな。 「はあぁい。どうぞぉ」 部室のドアをノックすると朝比奈さんのエンジェルボイス。そして中にはハルヒ以外の3人+α。 「やぁ!キョンくん、ひっさしぶりだねぇ」 「あぁ、どうも鶴屋さん。お久しぶりです。元気でしたか?」 「もっちろん!このとおり、めがっさピンピンしてるっさ!」 相変わらずこの人は凄いバイタリティだな。 「ところでキョンくん、これを見てほしいっさ!」 鶴屋さんの手にはまたもやというべきか、プリンがちょこんと乗っかっている。……嫌な予感が。 「まさか、またそれもハルヒの、なんてことはありませんよね?」 「そんなわけないっさ。これは鶴屋社の最新作プリンなわけだよ。みんなにはもう食べてもらったよ」 周りを伺うと、朝比奈さんの極上スマイルが見える。 「はいぃ。とってもおいしかったですよぉ」 それにしても鶴屋社?そんなのあるのか?……どうもうさんくさいな。 「キョンくん……食べてくれないのかい?……おねえさんもの凄く悲しいにょろ……」 ちょっ、そんな本気で悲しそうな顔しないでくださいよ。 「わ、わかりました。頂きます。どうもありがとうございます」 鶴屋さんからプリンを受けとろうと手を伸ばす。……が、空振りに終わる。 あの、鶴屋さん?何をなさっているのですか? 「何って?決まってるじゃないかい。早くあーんってするっさ!」 って、ええ!?まじですか?……目はまじみたいだな。 「……してくれないのかい?やっぱりハルにゃんじゃないと嫌かい。……おねえさんめがっさ悲しいっさ……」 「わ、わかりました。頂きます」 「そうかい?それじゃ、はい、あーん」 「は、はい。……あー――」 バタンッ!! うわぁ……タイミング最悪だぜ。というか絶対この人たち狙ってやっただろ……。 ハルヒは明らかに前二日間よりも激しく怒っていた。おもわずハルヒから視線を外してしまう。 「ちょっとキョン?なぁにやってるのかしらね?しかもそれあたしのプリンよね?」 ああ、だよな。やっぱりこれはハルヒのプリンだよな。 「……すまん、俺もちょっとよくわからん」 「何をわけのわからないこと言ってんのよ!……古泉くんどうなってるの?」 「そうですね。まず、僕と長門さんが二人で部室にいると彼がやってきました」 いや、ちょっと待て。すでにそこから違うってのはなんでだ? 「あんたは黙ってなさい!……で?」 「すると彼がおもむろにプリンを取り出しまして、食べる準備を始めたというわけです」 「ふーん、でも古泉くんは当然これがあたしのって知ってたわよね?」 「もちろんです。が、彼に尋ねたところ『ハルヒから許可はもらった』と言われてしまって」 「ふーん。まぁ百歩譲ってその辺はいいわ。で、これはどういうこと?」 そういって固まってしまっている鶴屋さんと俺を指差す。 「鶴屋さんは朝比奈さんと一緒に彼の後に来ました。そして、彼と久しぶり、と挨拶をしているうちに彼が――」 「ちょっ、ちょっと待つっさ!」 突然、鶴屋さんが古泉の説明に割り込む。 「キョンくんは何も悪くないっさ。えっと、そ、そう。あたしが、……そう、あたしが無理矢理やったっさ!」 あの、鶴屋さん?……言ってることは間違ってませんが、ちょっと言い方が。 「だからキョンくんは悪くないっさ。あたしが無理矢理、そう、無理矢理あーんってさせようとしたのさ!」 まるで、というよりも、俺が悪いのを優しい鶴屋さんが必死でかばっているようにしか見えませんけど? 「そうだよねみんな?全部あたしがやったことっさ?」 そう言って鶴屋さんは大げさに周りをぐるっと見回す。 朝比奈さんは首が取れそうなくらいブンブンと首を縦に振っている。 古泉は、そういうことにしておくのが無難ですね?といった表情で微笑んでいる。 長門は何度か俺と鶴屋さんを見比べた後に、 「……それでいい」 と、ポツリと呟いた。 ああ、こりゃだめだ。 「キョン……あんたってやつはぁぁぁ!!!」 「ま、待てハルヒ。待ってくれ。俺の話を聞いてくれ!」 「何が話を聞け、よ。問答無用よ!……そんなことするなんて!」 バタンッ!! そうしてハルヒは部屋を飛び出して行った。 殴られるくらいは覚悟したが、まさかそんな行動をとるとは思わず、俺は立ち尽くしていた。 「何をしているんですか!早く追ってください!」 「早く追うべき」 「キョンくん早く!」 「そうそう、早く行くっさ!」 くそっ、この人たちは!!自分達でやっといてどの口が言うんだよ!? なんて言ってる場合じゃない。このままハルヒをほっとくなんてできないに決まってる。 ……わかったよ。行けばいいんだろ。 「ハルヒっ!!待ってくれ!!」 ハルヒに続いて、俺も部屋を飛び出した。 後ろで、「どうだいっ?めがっさうまくいったっさ」と聴こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。 ◇◇◇◇◇ 『涼宮ハルヒのプリン騒動』 ―3日目(裏)― 「いやぁ、疲れた疲れた。どうだったかい?おねえさんの演技は。抜群にょろ?」 「はい!やっぱり鶴屋さんすごいです。私すごくドキドキしました」 「僕もびっくりです。まさかあそこまでやるとは……。全部アドリブですると聞いたときには驚きましたが」 「そんなに褒められると照れちゃうっさ!何にせよ、面白かったよ」 「いえいえ本当にすごかったですよ。さすが人を欺くのは天下一品ですね。まさに鬼畜の所業でした。」 「……実はあんまり褒められてなかったにょろ……」 「それにしてもお二人、どうなっちゃったんでしょうかぁ?」 「きっと大丈夫」 「そうですね。そこは彼になんとかしてもらわないと困りますからね。しっかりしてくださいよ」 「……自分たちでやっておいてどの口が言うんでしょうかねぇ……」 「……来た」 『嫌よ!離しなさい。あたしは帰るの!』 『いいからちょっと話を聞いてくれ。な、頼む。なんでも好きなの注文していいから。……もう泣かないでくれ』 『うっさい!泣いてないわ。泣いてないわよ!』 『わかった。泣いてない。それでいいから。……で、どれが食べたい?』 『……どれでもいいのよね?……じゃあこれにするわ』 「おっと、涼宮さん、あれを選んでしまいましたね」 「え、なんですかぁ?……えっと『アカシックプリン』……,000!?高いですぅ。おいしそうですね?」 「彼女は騙されている」 「そのとおりです。あれは高値なわりに実はたいした物ではありませんからね」 「それならとなりの『ビッグバンプリン』 0を食べる方がいい」 「そうっさ。あれは微妙だよね。けど一番は右から二番目の『スーパーノヴァプリン』っさ!」 「……なんか全部すごい名前なんですけどなんででしょうか?」 「それはですね。名前を付ける際にこのようにするよう長門さんから頼まれまたからなのですよ」 「……へぇぇ、長門さんの趣味なんですかぁ」 「別に趣味ではない。宇宙人として物に宇宙的名前を付けるということはごく自然なこと」 「そ、そうなんですか。……もうどうでもいいですけど」 「話がそれてしまいましたね。とにかく涼宮さんは騙されてしまったようです。かわいそうなことです。」 「そうだね。あのプリンはホントに地雷と言ってもいいからね」 「それにしてもみなさん詳しいですねぇ?ひょっとしてみなさんも騙されちゃったんですかぁ?」 「…………」 「…………」 「…………」 「おや、どうやらお二人に動きがあるようです」 「え、あ、あれ?また私のはスルーなんですかぁ?」 『悪かったよ。お前のプリン食べちまって』 『そんなこと、……どうでもいいのよ』 『だからもう泣かないでくれって。頼むから』 『うっさい。……泣いてないって、言ってるでしょ……』 『その、……鶴屋さんのもすまん。断りきれなかった俺も悪かったわけだし』 『どうせあんたも、ちょっと嬉しいかも、とか思ってたんでしょ』 『そんなわけないだろ!?俺だって困ったんだよ』 「……言い切った」 「言い切りましたね」 「言い切られちゃいましたねぇ」 「……うぅ、みんなひどいにょろ」 『とにかく、もうあんなことは二度としない。だから……許してくれないか?』 『そんなの……信じられないわ』 「もう、キョンくんったら仕方ないね。おねえさんが助けてあげるっさ!」 「どうするんですかぁ?あ、電話ですか?」 「もしもし、ハルにゃんかい?ほんとーにごめんね。でもキョンくんはハルにゃんには渡さないっさ!!」 「……鶴屋さん、一人で何やってるんですかぁ?」 「ありゃ、ばれちゃったかい?」 「こちらは向こうの映像も見てるんですから、当然ですよ」 「やっぱ、修羅場に入るのはちょっとめんどいかなぁ、なんて思っちゃったりして」 「するならちゃんとすべき」 「……はいはい、わかったよ。じゃあ今からちゃんとやるね」 「ではお願いしますね」 「もしもし、ごめんね。全部あたしたちが仕込んだことなのさ。だからキョンくんは許してあげて」 『でも……キョンは……鶴屋さんに』 「あれはあたしがかなり強引にやっちゃったことだから、キョンくんは悪くないっさ。ね?」 『……わかったわ。……鶴屋さんにそこまで言われたら』 「そうかい?良かったよ。お詫びに明日、年間100個限定のあのプリンをプレゼントするっさ!」 「な、なんですって!?年間100個限定!?まさかあの幻のプリン?」 「まさか。ありえない」 「いや、でもアレしか考えられません。そんな……もし本物なら恐ろしいことになりますよ。」 「えぇぇぇ?一体なんなんですかぁ!?」 「……なんでもない」 「そうです。なんでもないです。あなたは気にしないでください」 「うぅ……ひどいですぅ」 『鶴屋さんなんだって?』 『キョンくんは悪くないから許してあげてってさ。……まぁ仕方ないわ』 『じゃあ俺の言ったこと信じてくれるのか?』 『……今回だけよ』 『良かった。……許してもらえなかったらどうしようかと思ってたぜ』 『……どうでもいいけど、これあんまりおいしくないの。別の頼んでもいい?』 『ええ!?それ,000もしたんだぜ?……わかったよ。今日だけだぜ?』 『ありがと。キョン』 「ふぅ、とりあえず一段落ついたようですね」 「これで計画どおり」 「そうですねぇ。って、明日ってどうなってるんですかぁ?長門さんがするんですよね?」 「そう、準備は万端。しかし、内容はまだ秘密」 「秘密……ですか。ということは明日は長門さんが一人で、ということでよろしいのでしょうか?」 「いい。しかし、あなたには少しだけ手伝ってもらう」 「僕ですか?それはもちろん構いませんが。なんでしょうか?」 「それも秘密」 「明日でおわりなんですよねぇ?ちょっと残念な気もします」 「そうですね。最後は盛り上がるといいのですが」 「ま、きっとなんとかなるっさ!それじゃあたしは帰るね。バイバーイ!」 「じゃあ私たちも解散にしましょうかぁ。また明日」 「……明日」 「それでは、また」 プリン騒動3日目 ―完― ―最終日―へ
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プロローグ 天高く馬肥ゆる秋。俺はこれほど自分の無能さを嘆きたいと思ったことはないね。 なんせSOS団結成の一年生の五月より二年生も折り返しを過ぎた十月まで一年 五ヶ月もの間ハルヒに連れ回されているおかげで環境に対する適応力とかいうや つはそんじょそこらの人よりは身についているはずである。閉鎖空間、雪山、過去、 一種の電脳世界のようなところで巨大カマドウマとも戦った。そんな俺が自分はま だまだ世界を知らないとか言ったら谷口あたりは呆れ返るだろうね、うん。 そういうわけでちょっとやそっとの事態じゃ動揺しない精神を手に得れた俺である がまさかこんな欠点があったとはな。 今俺はハルヒとともに街をさまよっている。ハルヒは不機嫌モード全開で騒いでい る。 「ちょっと!キョン!ここどこなのよ!」 わかるならとっくにホテルに着いているんだがな。悪いが今の俺にはここがどこな のか聞くことも見ることもままならない。 なぜならここは日本じゃないからだ。―――― ―――― 一週間前 「キョン!遅い!こんな大事な会議に遅れるなんて。アンタ団員の自覚あるの?」 今日もわれらが団長涼宮ハルヒは絶好調のようだ。 「わりぃ、わりぃ。掃除当番だったんだよ。」 他の団員は全員そろっている。古泉はいつものニヤケ顔で俺のほうを眺めている し、長門はいつものように本を読む置き物と化している。朝比奈さんはもはや制服と なりつつあるメイド服を完璧にまといつつあっつあつの朝比奈印のお茶を淹れてくれ た。 「ふん。まぁいいわ。今日は一週間後に迫った修学旅行について話し合いましょう。 まず、目標。これはSOS団支部をつくることね。」 これを話し合いと言うのだろうか?一方的な演説みたいなもんじゃないか。これが 話し合いになるのは北の某国くらいじゃないのか?あいもかわらず反論する団員は いないので反論する役割は自動的に俺に回ってくる。 「待て。俺たちの修学旅行の行き先を知っていてそれを言っているのか?」 「当然よ。台湾でしょう?ついにSOS団も世界進出ね。」 「それはそれは。われらがSOS団がワールドワイドな組織になるのに微力でも貢献 できればいいのですが。」 古泉は部下の理想的な返事を返しているし長門はだんまりを続けている。 「えぇぇぇ~。今年の修学旅行は台湾なんですかぁ?去年は北海道だったのにぃ~。」 よく考えたら朝比奈さんは先輩だった。ということは朝比奈さんはこのSOS団台湾進 出計画に参加できないわけか。 「みくるちゃん、心配しなくてもいいわよ。お土産はちゃんと買ってきてあげるから。そう ね~。チャイナドレスなんていいかもしれないわね。」 おいおい。マジか。それには賛成せざるを得まい。メイド服の似合いっぷりも完璧なの だからチャイナドレスも似合うに決まっている。セクシーな朝比奈さんというのもいいか もしれない。新境地だな。 「キョン!何ニヤついてるのよ。どうせまたみくるちゃんで妄想してるんでしょ?このエロ キョン!」 う、図星だ。最近思うんだがハルヒには読心術があるんじゃないか?なぁ古泉。ってい っても古泉も古泉で俺の心を読んでいるような気がするんだがな。って古泉よ、こっちみ んな。ニヤつくな。 「自由行動はこの四人で行動しましょう。不思議探索IN台湾よ。世界は広いわよ。そこら じゅうに不思議が落ちてるかもしれないわね。」 ハルヒは輝くような笑顔で待ちどおしそうに話している。願わくばこのままなにごともなく すんでくれればいいんだがな。 ――――プロローグ Fin 一日目
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「なぁ長門」 「……何?」 そう言うと長門は読んでいた本から俺の方へと視線をずらした。 頭部を殴りつけると陥没を起こしちまうんじゃないかって厚さの本だ。 まったく、凶器になり得る本なんて辞書の他にはガン○ンと終わ○のクロニ○ル最終巻だけで十分だぜ。 こんな本を好き好んで読む人間の気が知れないね。三度のメシより何とやらってヤツだな。 おっと、長門に関してはこの発言は撤回……せずとも良いかもな。 なんせ長門は人間じゃないんだから。いかんいかん、こんなことを考えている場合ではなかった。 「長門。折り入って頼みがある。聞いてくれるか?」 長門は少し考え込む素振りを見せ、 「私が出来る範囲内のことならば出来る限りの支援は行う」と頼りになる発言をしてくれた。 長門様々だね。本当ならば長門の負担は軽くしてやりたいのだけど今回ばかりはそうはいかない 。なんせ今度の話はその長門が発端なんだからな。 「鶴屋さんを見てくれ」 そういって俺は、なぜかSOS団の部室の中でマスコットと化している鶴屋さんの方を指差した。 「あれを見てどう思う?」 ああ、今の鶴屋さんにはかつてのうざったらしい……失礼、有り余るほどの快活さは影も形もなくなっていた。 ただの和み系のマスコットキャラになってしまった鶴屋さん。 ときおりにょろーんと聞いたものの心を癒してくれる不思議な声を上げている。 「鶴屋さん……いや、ちゅるやさんについての問題が今回お前に頼みたいことだ」 俺はいささか気まずそうな(俺の思い過ごしかもしれないが)表情を浮かべた長門に質問をする。 「アレはお前のこの前のやつが原因か? いや、違うならいいんだ。それならお前の手を煩わせることもないだろう」 しかし長門は――コクリ、と頷いた。……やれやれ、やっぱりそうか。 まず、今の状況の説明からしようか。 世間は浮かれ、走る先生。一週間後には日本古来の神へお参りしようかというのに異国のおっさんの誕生日を祝う。 そんなこの国ならではの矛盾や不条理を併せ持つイベント、クリスマス。 その直前に巻き込まれたゴタゴタについては今ここでは触れないが、どうしても気になるやつは「涼宮ハルヒの消失」でも読んでくれ。 とにかくその時俺は大変な目にあった。その原因はなんと長門だったんだな 。ここが今回の問題点だ。あの時長門がしたこと――詳しくは俺にもよくわからん。 古泉に聞けばあの憎ったらしい笑顔で説明してくれるだろうな。 ええい、思い出しただけで虫酸が走るぞ、あの顔。ついわき道にそれるのがいかん所だな。 簡単に言うとその時長門は世界を書き換えた。すったもんだでまたこの世界に戻ったんだが…… 紆余曲折を経てSOS団の年内活動もほとんど終え。みんなだらだらと過ごしているのが現状だ。 ハルヒと朝比奈さんは新年用の衣装がどうとか鍋がどうとか言って買い物へ。古泉は用事だかで早々と帰ってしまった。 部室に残ったのは俺と長門、それに鶴……ちゅるやさんの三人ってわけだ。 なぜか周りの面々は鶴屋さんに起きた異変について言及しようとしない。 たまりかねた俺がついに長門にヘルプを求めた。今回のあらましはこんなとこだ。 「ねぇねぇキョン君っ。スモークチーズはあるかなっ?」 ……まただ。溜息をついてちゅるやさんの要求を飲む。 「すいません、もうないんですよ。今ハルヒたちに買ってくるよう電話しますからちょっと待っててくださいね」 「にょろーん」 今のは了解したという意味なのか? まぁそれはいい。 今のちゅるやさんは、こう口で説明しきれない不思議な空気を纏っている。 そう、急なスモークチーズの要求にもついつい応えてしまうような。俺は携帯を取り出しハルヒへと電話をする。 「なに? こっちは忙しいんだからね! 面白くないことだったら覚悟しなさいよ?」 開口一番こんなことをのたまうハルヒ。だが文面ほどには機嫌は悪くないようだ。朝比奈さんとの買い物を楽しんでいるのだろう。 もし朝比奈さんとの買い物を楽しめないようなヤツがこの世にいるとするならばそれは人間失格ものだな。 そんな幸運をふいにするヤツがいるのならばまず俺がぶん殴るだろう。いやマジで。 「ハルヒ、帰りにでもいいからスモークチーズを買ってきてくれないか? 鶴屋さんが食べたいらしい」 「んーいいわよ。た・だ・し、あんたの奢りで団員みんなの分買ってくるからね♪ せいぜい財布の用意でもしてなさい。んじゃね」 そういうとハルヒは一方的に電話を切った。 何故俺がみんなの分の代金を出さねばならんのかという考えも一瞬脳裏に浮かんだこともない。 が、その程度で朝比奈さんをはじめとするSOS団の面々にささやかな幸福がもたらされるのならば安いものだ、と思い (あの爽やかイケメン野郎がここにいたならば素直にこう思えなかったかもしれないが)、 皆で美味しくスモークチーズをいただくためにも今はこのちゅるやさん問題をどうにかせねばいけないと、そう考え、いつの間にやらまた読書を始めている長門に尋ねた。 「長門、単刀直入に問おう。ちゅるやさんを鶴屋さんに戻せるか?」 「その質問に正確に答えることは難しい。彼女は私の目には普段と変わらず映っている。 さっきあなたの視神経から直接情報を得ることにより異常を確認した。けれどそれでも私の感覚器官では異常を捉えることが出来ない」 長門の言葉を一つ一つ反芻し、結論に至る。 「つまり……お前でも分からないってことか?」 「肯定。あなたが異変を感じ始めた時点で理由として考えられるのは私が起こしたことだけ。しかし明確な理由が分からない以上問題の解決は容易ではないだろう」 これは困った。いざという時の頼みの綱、長門でさえダメだとは…… 「ふむ、話は聞かせてもらいました。長門さんの手に余ることならば僕に出来ることはないようですね」 「……古泉、お前いつからいたんだ?」 俺の眼前でニヒルに笑う男こそこのSOS団の一員、古泉一樹。団唯一の超能力者にして説明役だ。 「ええ、思っていたよりも用事が早く済みましてね。はは、この時期に独り身というのもなかなか悲しいものです。 あなたたちに会いたくなってしまいましたよ。ちょうどあなたが涼宮さんに電話をしていたころに来ましてね。 長門さんと二人きりで話し始めるものだから遠慮して外で待っていたというわけですよ」 古泉はそういうが実際どんなだか怪しいもんだ。 だいたい遠慮してなんて言っておきながら自分はこっそり聞き耳立ててたってわけか。こいつにはプライバシーと言う理念がないのかまったく。 「いえいえ、聞き耳立ててただなんて……僕はただあなたがまた突拍子もないことをしないかと心配していたんですよ。たとえば……なんかね」 そんな心配なぞしなくていい。だいたい何も出来ない分からないというなら今回お前の役割は無いはずだ。 いちいち出て来て話をややこしくするんじゃない。 「しかし困りましたね。あなたのいう鶴屋さんの異常というのは僕にも感じられないのですが。一体どのようになっているんです?」 「ちゅるやさんはちゅるやさんだよ。今はそれ以上でもそれ以下でもない」 「おや、大尉ですか。僕は少佐の頃が一番気に入ってましてね。今度じっくり話してみたいものです」 「また今度な」 「みんな何話してるんだい? あたしにも教えてよっ」 ちゅるやさん。やはりおかしい。鶴屋さんならば教えてよっのあとに!が入るはずだ。 このテンション、やはり鶴屋さんとは別物。しかしみな気づいてないようだ。 「ええ、ちょうどあなたの話をしていたところですよ」 「それはめがっさ気になりっ」 「いえ、こちらのキョン君がですね、あなたが最近変だとおっしゃるのでね」 「にょろー?」 ちゅるやさん、そんな真ん丸い目で俺を見つめるのはやめてください。 それに変だなんて俺は思ってませんよ、むしろいつもより良いと思ってるくらいです。 しかしそんな俺の思いなど知る由もなくちゅるやさんはそのつぶらな瞳をこちらへ向けていた。 「キョン君キョン君、スモークチーズはあるかい?」 「さっき食べきっちゃったでしょう。もうすぐハルヒたちが買ってきますから待っててください」 「おや? 鶴屋さんはスモークチーズが好きだったのですか? これは初耳ですね」 古泉の言葉にはたと俺は気づく。確かにちゅるやさんはスモークチーズの食べすぎだ……! 「そうか……そうだったのか!」 「どうしたんですか? まさか……真相に気づいたとでも?」 「これを見てくれ」 俺は近くにあったノートを開くと今回のキーワードを書き連ねた。 鶴屋さん 長門の暴走 ちゅるやさん スモークチーズ 「これがなにか?」 「今回の事件の背景には長門の暴走が深く関わっている。あの出来事のあとにこの事件が起きたことからもそれは火を見るより明らかだ。そしてスモークチーズ。こいつを見てくれ。こいつをどう思う?」 「すごく……カルシウムです……」 「古泉……まぁいい。長門、カルシウムの効果は?」 「骨を大きくするにはカルシウムをとれという言葉もある。またキレやすい現代っ子にも精神を落ち着かせる効果で嬉しい。牛乳などに含まれているが牛乳とアンパンとの組み合わせは絶品だ」 「十分だ。ここではカルシウムの精神を落ち着かせるという効果に注目して欲しい。そして第二に注目するのは鶴屋さんの性格。あの落ち着きの無さは確かに高校生のものではなかった」 「それがなにか?」 「ここからが本題だ。このキーワードから推測される事実……!」 俺はノートへと驚愕の事実を書き込んでいく。 長門の暴走→前提条件。キレやすい現代っ子の象徴。 鶴屋さん→あの性格。現代っ子のモデル。 スモークチーズ→カルシウムたっぷり。固形のため持ち運びに便利。 スモーク味で飽食の時代を生きる現代っ子も満足。 ちゅるやさん→カルシウム摂取後のモデル。癒しのマスコット。 「今回の構図はこうだ。長門の暴走。これが現代っ子の暴走の象徴となった。普段は無口だったあの子が突然――典型的な形だな」 俺は自分の仮説を確かなものと確信していた。 「そこで対策としてカルシウムの摂取が提案された。しかし牛乳離れは進み、この飽食の時代、子供が好き好んで食べるものなんてそうそうない。ここで登場したのがスモークチーズだな。利点は見ての通り」 話すたびにその確信はより確かになる。 「そしてそのテストとして選ばれたのが鶴屋さんだ。あの性格に、実家の知名度。対象としてはうってつけだな」 「……興味深く聞かせて頂きました。しかしまだ確証を持てるほどの証拠はないようですね」 「証拠なら作ればいいさ。そのための長門です。長門、ちゅるやさんの体内カルシウム濃度を調整してくれ」 「了解。それならすぐ終わる」 長門はちゅるやさんへと手をかざした。さすがSOS団のリーサルウェポンだ、頼りになるぜ。 「あれ? あれれ? 長門っち何やってんのさっ?」 そう言うちゅるやさんの雰囲気が変わってきた。 「お? おおお? なんか元気出てきたにょろ!」 ぴょんぴょん飛び跳ねはじめる鶴屋さん。ちゅるやさんに未練がないと言えば嘘になる。ただやっぱり鶴屋さんはこうじゃないとな。 「しかし気になるのは黒幕です。一体誰がこんなことを……」 「それは俺にも分からない。まぁ手がかりがないわけじゃないさ。……ちゅるやさんが食べたスモークチーズの包装だ。ここに書いてある。製造元がな」 「……! そこには一体なんと?」 「日本骨太協会……NHKだ。そう、これは国家を挙げたプロジェクトだったんだよ!」 「な、なんだってー!?」 「……これはまだ序章に過ぎない。……古泉、力を貸してくれるか? 無理強いはしない。だがいつやつらがハルヒの存在に気づくかもわからない。力が必要なんだ」 「……いつか言いませんでしたか? あなたのために、涼宮さんのために、来るべき時には力を貸すとね」 「古泉……! すまんな、いつもいつも」 「いえ、……僕だけじゃないようですね、ご覧ください」 古泉が指差した先――そこにはすっかり元通りになった鶴屋さんといつも通りの長門の姿があった。 「……すいません、ありがとう」 「なになに、キョン君が気にすることじゃないのさっ! ちょいとあたしも怒っちゃったからねっ! こういうときはこてんぱんにしてやんないと気がすまないのさっ!」 長門は無言のままコクリ、と小さく、けれどしっかりと頷いてくれた。 まったく――みんな泣かせてくれるぜ。俺がこんな風に泣いちまうなんて天地開闢してから初めてじゃないのか? ……ありがとう、本当に。 俺がしばし涙ぐんでいると、外から聞き慣れた声が聞こえてきた。 「えーっ! みくるちゃんそれホントなの? 凄いわ、それって! SOS団設立以来最高最大の謎よっ!」 ああ、ハルヒが帰って来たんだな。こんな顔見せられるもんじゃない。俺はそそくさと席を立つと少し悩んで、皆に背を向ける形で窓から外を覗くふりをすることにした。 後ろでドアの開けられる音が響く。まったくあの馬鹿はいつになったら丁寧にドアを開けてくれるんだろうか。 ……なんてな。今はそれも耳に慣れてしまった。なかったらなかったで寂しく感じちまうんだろうな。 「みんな、ニュースよニュース! みくるちゃん情報だけどあの国営のが裏では色々してるらしいのよ!」 またどっかで聞いたような話だな。 「あれ? キョン何してんの?」 「ああ、彼なら青春のリビドーについて思索しているところですよ。なんでも最近大きく心を動かされる出来事があったらしいので」 古泉め、またひっかかる言い方をしやがって。 「ふーん、まぁいいや。みんな! SOS団の来年一番最初の活動はこれよ! 国営事業の裏に隠された秘密! 子供の夢を隠れ蓑にこそこそするなんて最も許さざる行為よ!」 「み、みなさんスモークチーズ買ってきたのでご一緒にお茶でもいかがですかぁ?」 朝比奈さん、ダメだ、それは! 思わず振り向いてしまう。 「あぁ、忘れてたわ。はい、鶴屋さん。あたしも一個もらおうかしら。キョン、ちゃんと後で代金払いなさいよ? 立て替えてやったんだからね?」 スモークチーズをとるやいなやすぐに開けて食べ始めるハルヒ。ダメだダメだ! 「ハルヒ! すぐにそれを食うのをやめろ!」 「は? 何言ってんのよキョン。あら、これなかなかおいしいわ♪ さすがみくるちゃんが選んでくれたものね♪」 ハルヒは食べるのをやめようとしないばかりかさらに食べるスピードを上げる。くそっ、無理やり取り上げるには距離が遠すぎる! ……そのとき、ハルヒに異変が起きた。明らかにハルヒのまわりの空気が変わっていったのだ。そう、それはちゅるやさんのものに酷似していた。 「くそったれ……! 今度はにゃるひ、ってか」 俺は思わず拳を握り締めていた。そのまま壁に叩きつける。 「長門っ!」 「把握した。調整に入る」 しかしその長門を弾き飛ばしたもの…… 「朝比奈……さん……?」 俺は自分の目が信じられなくなったよ。そのとき長門を突き飛ばし、にゃるひを確保した……その人が朝比奈みくるだなんてな。 俺の知ってる朝比奈さんは何も無いとこでこけるようなドジッ娘属性を持った未来人だったはず。まかりまちがってもSOS団随一の実力を持つ文型宇宙人長門有希を突き飛ばしハルヒを後ろ手に捕まえるような御人じゃない。 「みくるっ!? 一体何やってんのさ!」 「朝比奈さん……そうですか、鶴屋さんにスモークチーズを与えられる立場にいる人間、ということですね」 朝比奈さんはにゃるひを捕まえたまま俺たちに言い放った。 「ごめんなさい、皆さん。……皆と過ごした時間、とっても楽しかった。けれど私はSOS団の一員である前に、私の世界の人間の命を背負った立場にいるの。それだけ。それだけ分かって欲しかった」 嘘だろ……? けれど朝比奈さんはベルトについたボタンに手を伸ばし、それを押した。 「いけない……! それは緊急離脱装置。今逃がしたら捕捉出来ない……!」 長門の言葉も、しかし俺の混乱した体を動かすほどの力は持たなかった。 出たのは一つの言葉。確かめる言葉。 「朝比奈さんっ……! それが、あなたの答えなんですか 本心から、それをしてるんですか!?」 朝比奈さんは悪戯な顔を浮かべ、人差し指を唇にあてるおなじみのポーズで、これまた何度も何度も俺を誤魔化してきた言葉を唱えた。 「それは、禁則事項です――」 朝比奈みくるは、そう言い遺して俺たちの前から姿を消した。涼宮ハルヒを連れて―― 俺は、何も出来ずに立ち尽くしていた。ただ胸に空いた痛み。喪失感なんだな、これが。次第に感情が、身体の自由が戻ってくる。 「俺は……俺は馬鹿だ……!」 なんださっきの俺は。調子に乗って。何も考えずに。先手、打てただろ? 悔しい、悔しい、悔しい―― 「……決めたぜ」 「……失礼ながら、何をです?」 「ハルヒを……取り戻す……!」 救いたい、あいつを。いや、救ってみせる。そう決めた。やるしかない、今までの、傍観者なんてスタイルはクソくらえだ。自分で決めたんだ、あいつを守る―― 決意。それが今の俺の全てだ。 ガタンっ! 頭に響く痛みに意識が戻ってくる。ふぅ、こりゃまた深刻な夢を見たもんだ。ベッドから転げ落ちた体をいたわりながら俺は一息つく。 「なんか……夢なのに疲れた……」 すまんな、こういうことだ。ここまで盛り上がってこれかよ! なんて言わんでくれよ、俺には。言いたいことは全部作者へな。 んじゃ、涼宮ハルヒ大外伝!? 終わり。
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登録日:2014/02/23 Sun 13 50 31 更新日:2024/05/03 Fri 10 16 20NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 Wii キャラゲー ゲーム ダンス マゾゲー 涼宮ハルヒの憂鬱 涼宮ハルヒの激動 2009年1月22日に発売されたゲーム。対応機種はWii。 アニメ版涼宮ハルヒの憂鬱の楽曲とWiiリモコンを用いハルヒたちを躍らせるという内容。 涼宮ハルヒの激奏(イベント)に使用された一部の振り付けとハレ晴レユカイfullバージョンもばっちり収録されている。 ◆あらすじ 某月某日。 今日も今日とてハルヒの思いつきにより商店街主催のダンス大会に参加することとなったSOS団。 ところが全員ダンスの経験などあるわけがなく、本番当日まで放課後に特訓することになるのだった。 ◆操作 画面下側に太鼓の達人みたいなラインと人間のシルエット、ニュートラル(⚫︎ ←こんなの。Wiiリモコンを構えなおす)が表示される。 タイミングを合わせてシルエットに描かれた通りの向きにWiiリモコンを動かすと成功、上手く動かせないと失敗。 一定以上失敗するとしばらく操作不能になってしまう。 例えば 左→ニュートラル→右下→左上 と指示されたら 左に動かし元の位置に戻して右下に動かしてからそのまま左上に動かせばいい。 高難易度になるとボタン操作や小刻みに振る動きも要求される。 結構反応がシビアなので注意。 Wiiリモコンを床に対して垂直に構え、ややゆっくり動かしてみよう。 ◆モード ストーリーモード 全12章。一つクリアすることで次のストーリー、楽曲や衣装などが解禁される。 10章までにスコアを30万点とれないと……? フリーモード 自由に難易度、楽曲、衣装、ダンサー、背景を選んでプレイできる。 プレイ内容は保存可能。 ◆キャラクター 涼宮ハルヒ ダンサーその1。 各章で数々の思いつきを実行する。 キョン 振付師(プレイヤー) 多分一番の苦労人。 長門有希 ダンサーその2。 なんか胸が増量してる気がうわなにをする 朝比奈みくる ダンサーその3。 一人だけバテるとかそういうことは無い。 古泉一樹 レフ板およびチュートリアル役。 朝倉涼子 ダンサーその4。 ここより下の隠しキャラは衣装変更が不可。 喜緑江美里 ダンサーその5。 朝比奈みくる(大) ダンサーその6。 鶴屋さん ストーリーモードの一部で茶々入れてる。 大変残念ながらダンサーとして使用できない。 キョンの妹 鶴屋さんと同じ。 本作ではボイスを使い回すためかハルヒたちを「お姉ちゃん」と呼ぶ。 ◆楽曲 これ以外にも楽曲ではないが特訓メニューとして動物ダンスと部活動ダンス(?)が存在する。 恋のミクル伝説 記念すべき最初の曲。 最初のテンパってる動きはみくる以外もやるためちょっとシュール。 冒険でしょでしょ? ご存知アニメ版オープニングテーマ。 ゲーム開始時にもアニメと同じ映像が使われている。 雪、無音、窓辺にて。 長門のキャラソン。 サビの振り付けは茅原実里が実際に踊ったのと同じになっている。 みらくるアンコール みくるの本作オリジナル曲。 指さしポーズやウインクが可愛らしい。 Greed's accident 長門の本作オリジナル曲。 空前未満は見せないで ハルヒの本作オリジナル曲。 そのキャラクターを表した元気なダンスを披露する。 最強パレパレード ラジオ版第2期オープニングテーマ。 とろでん 本作オリジナル曲。 唯一ハルヒシリーズの声優が関わっておらず基本的にゲーム内で選択することでしか聴けない。 ハレ晴レユカイ ご存知アニメ版エンディングテーマ。 とろでんを除き、踊れる曲の中でfullバージョンが選べるのはこれだけ。 ハレ晴レユカイ TVサイズ フリーモードのみ。 BE BE BEAT!! 本作エンディングテーマ。 踊ることはできないが自分で勝手に振り付けてもいいだろう。 ◆おまけ要素 ◼︎ボーナスゲーム あっちむいてホイ ハルヒ、長門、みくるとの対決。 それぞれ癖があるのでそれを理解するのが攻略の鍵。 ホームラン対決 同じくハルヒ、長門、みくるとの対決。 ハルヒは速い球を、長門は変化球を、みくるは遅い球を投げてくる。 ◼︎コスチュームコレクション キャラクターと衣装を思う存分眺められる。 ◼︎アイテムコレクション ゲーム中で特定の条件をクリアすることでもらえるアイテムとその説明が見られる。 ぜひ全ての元ネタを調べてみよう。 ◼︎涼宮ハルヒのお告げ 隠し要素その1。 ハルヒによる占いを聞ける。 ◼︎長門ビューワー 隠し要素その2。 ひたすら部室で読書する長門が見られる。放置するとたまに何かリアクションする。 ◼︎みくるリモコン 隠し要素その3。 Wiiリモコンにみくるの台詞を登録し好きな時に聞ける。 ハルヒと長門の声も隠し要素として存在する。 追記修正は踊りながらお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 喜緑さんがダンス出来て鶴屋さんが出来ないって珍しいゲームだな…喜緑さん好きだけど -- 名無しさん (2014-02-23 16 17 53) で、タグにマゾゲーを入れた理由は -- 名無しさん (2016-07-15 08 23 23) ↑一年以上前のコメントにマジレスするが、実際に3章くらいまで遊べば分かる -- 名無しさん (2017-12-17 22 23 17) 名前 コメント
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終章 回復 土曜日の十時。 あたしたちSOS団の待ち合わせ時刻。 横には今聞いた言葉の衝撃に固まる古泉君にみくるちゃんに有希。 あたしも固まっている。 目の前にはキョンとこの間の女の人。 楽しそうにニヤニヤしながら二人がこっちを見ているが、 あたしは頭の整理が追いつかない。 今、なんて言ったの?この人。 それはつまり―― その日あたしは時間ギリギリに駅に着いた。 「これはおごりね」 普段キョンがいたから……って何を考えているの? あいつのことは忘れる、もう決めたことよ! 案の定待ち合わせ場所にはもう三人が来てた。 「早いわねえ、みんな。いつもどれくらいに来てるの?」 「さあ」 にこやかに笑う古泉君。 「そんなことより、喫茶店に行きましょうか?」 うー、おごりかあ。 まあ、四人分だし軽い軽い。 そのとき。 「ハルヒっ」 聞きたくない声が聞こえる。 あたしは三人に目配せした。 ――無視よ、無視。 三人ともうなずく。 「待てよ!」 いつの間にかすぐ後ろでキョンの声が聞こえる。 振り返るとキョンの手が伸びていて……。 古泉君が横からその手を押さえて軽く足を払う。 いい音がして倒れるキョン。 「ほっときましょう」 再び歩き出そうとするあたしの目にあの女が映った。 こんなところにつれて来て、何がしたいの? そんなに見せつけたいの? 「いい加減にしてもらえませんか?」 キョンの目の前でドスを聞かせた声で言う古泉君。 ……ちょっと怖いわよ。 「いい加減にしてほしいのはこっちのほうなんだがな」 どういうこと? ここまで来てまだ言い訳する気? 「それはいったいどう言う理由で?」 「お前らの勘違いについて訂正したくてな」 キョンの横にはいつの間にか有希がいた。 「勘違いする要因など一つもない。あなたはあの女性と親しい。仲もいい。 それだけわかっていれば十分」 キョンが唖然としている。図星なのね? 「確かにそうだが、お前が”わかってない”のは意外だな」 変なことを言い出すキョン。有希は”わかっている”じゃない? あんたとあの人は仲がいい。あたしたちを放ってデートするほどに。 あんたとあの人は親しい。楽しそうに笑いながら話してるし、息もあっている。 この二つがわかってれば十分じゃない? それとも、言い訳じゃなくてのろけに来たの? あんたよりよほど年上のその人のことを? もう頭に来た。ぼこぼこにしてやる。 あたしははり倒す前にののしる言葉をキョンにかけようと口を開く。 その時、その人が口を開いた。 「あなたが涼宮さん?話は何度も聞かされたわよ」 いい度胸してるじゃない、キョン? 「いつも弟がお世話になってます」 ……は? その後、喫茶店で 「と言うわけでしばらく姉がこっちに帰って来てて、街を案内させられたのが先週」 どうやら本当に二人は姉弟だったようだ。 あたしたち以外の三人も神妙に俯いてる。 キョンの解説が終わったところで一つ怖くて聞けなかったことを聞く。 「怒って……ない?」 「いや、全く」 よかった。 「なんだかんだでまだSOS団をやめる気はないしな。これからもよろしく頼むよ団長」 その後あたしたちはキョンのお姉さんも入れて不思議パトロールをした。 あたしはキョンと、お姉さんと一緒。 キョンが自販機で飲み物をかわされている間にお姉さんが言った。 「弟は鈍感だから、その気があるなら積極的にならなきゃ駄目よ」 なんてこと言うんですか? キョンが帰ってくるとお姉さんが 「私は用事があるから帰るね」 「あれ、今日は暇なんじゃないのか」 「ちょっと野暮用がね」 去り際に一言のこしていくお姉さん。 「好きな女の子は悲しませちゃ駄目よ」 飲んでいた飲み物を吹き出すキョン。 『なんてこというんだ!』 被るあたし。 二人とも顔が真っ赤だった。 fin.
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「ねぇキョン?」「ちょっと!聞いてるの?キョン!?」「それでねキョンはね、」「あっ!そうそう、キョンそれからね」「キョンっ!」「そう言えばキョンは…」「キョン明日はね…」「ねぇキョンは?」「ほらキョン!ちゃんと聞きなさい!」 ……まったく飯の時とか2人でテレビ見てる時位は静かにして欲しいな。 孤島の1件からハルヒと付き合う事になってしばらく経つ、授業中も、部活の時も、その後も、休日も、寝る前でさえ電話で、そう…ほぼ丸一日中俺と一緒にいるのに、なんでこいつは話題が尽きないのかね? まるでマシンガンやアサルトライフル…いやガトリングガンやバルカン砲だな…いや弾切れがある分羅列した銃器の方がましだな。こいつの話題は切れないしな。 「なぁハルヒ…何でお前はそんなに話題が尽きないんだ?こんなにずっと一緒に居るのによ。」 「ったく…たまに自分から口を開いたと思ったら…何よそれは?良い?あたし達はNTじゃないから、黙っていても分かり合えないのよ?」 ……そう言えばこの前一緒に某ロボットアニメを見たな… 「それにあたし達は恋人どうしなのよ!?お互いが一番に分かり合ってなきゃだめなの?それ位はアホキョンにでも分かるでしょ?だから、こうやって毎日毎日あたしが話してるのよ!」 なるほどな…でも俺もっと簡単に分かり合える方法知ってるぜ? 俺は無言でハルヒを抱き締めた。 「ちょっと…キョン!?」 ハルヒのヤツは、顔真っ赤にして抗議しながらも、俺に体を預けて大人しく抱き締められている。ったく…こうしてりゃ静かなんだけどな。 「……分かったわよ…じゃあこれからは、いつでも分かり合える様にこうして抱き締めなさい…良いわね……」 真っ赤にしてゴニョゴニョ言うハルヒは可愛いが……墓穴ほったなこりゃ… 終わり
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ハルヒ「ちょっと・・・みんな、私を無視しないでよ・・・・・・・」 キョン「うるさいんだよ、お前は毎日毎日、人使い荒くて 何なんだよお前は、何様だってんだ!」 ハルヒ「・・・!!」 キョン「朝比奈さんも古泉も長門も何も言わないけど きっと俺と同じでお前の事うっとおしく思ってるはずだぜ。 くだらないことしてないで、いい加減大人になれよお前。 じゃあな」 ハルヒ「ちょっとキョン待ちなさい・・・!!キョン・・・。 私を一人にしないでよ・・・。もう一人はイヤなの・・・」 ハルヒ「ねぇ!?なんで昨日部室に来なかったのよ!? 今日もサボったら死刑だからね!」 キョン「うるさいから話しかけるな(ボソ」 ハルヒ「え・・・。」 部室 ハルヒ「ね、ねぇ、み、みくるちゃん・・・」 みくる「・・・なんですか・・・」 ハルヒ「み・・・みくるちゃんは!わたしの事無視したりしないわよね・・・」 みくる「・・・・・・・・・」 スタスタスタスタスタ・・・ ハルヒ「み、みくるちゃん・・・」 ハルヒ「!・・・そ、そうだ、ユキ!・・・え・・・?」 古泉「みなさんもう多分ここには来ませんよ。」 ハルヒ「そ、そんな・・・」 古泉「では、私も出て行かせてもらいます」 スタスタスタスタ・・・ ハルヒ「そんな、なんでみんな・・・」 ハルヒ「なんでなの、みんな。・・・私が駄目なの?どこが駄目だったの?ねぇ、誰か・・・」 自分しかいない部室で、ハルヒは独り泣いていた 翌日 教室 ハルヒ「お・・・おはよう!みんなゲンキーッ!」 ハルヒ「・・・・・」 誰も返事を返してくれない。 そのままハルヒは黙りこんで自分の席についた。 休み時間 ハルヒ「・・・」 ヒソヒソ 女子A「聞いた?あの娘唯一の友達だったSOS団とかいうグループの人たちからも 無視されてるらしいわよ。」 女子B「え~可愛そう(笑)。でもあの娘っていつも変なこと言ったりやったりしてるから 自業自得だよね~。」 女子A B「クスクス、クスクス」 ハルヒ「・・・・・・・」 鶴屋さんの反応 ハルヒ「あっ!鶴屋さんおはよう!」 鶴屋「何?みくるやみんなにさんざん迷惑かけて何しらばっくれてんの?みんなもう疲れてるんだよ。!あっ!みくるーッ!おはよう!今日もかわいいねぇ!」 ハルヒ「・・・・・」 コンピ研部長の反応 ハルヒ「あっ!・・・えーっと、誰だか忘れたけどおはよう!」 コンピ「あぁ、もうなんだよ。君にはさんざんやりたい放題されてこりごりなんだ。もう近寄らないでくれよ。」ハルヒ「えっ、なんで・・・」 キョンの妹の反応 ハルヒ「!あっ!キョンの妹!こんにちは!」 妹「ねぇ、なんでおねえちゃんはみんなにひどい事するの?人をいじめちゃいけないって学校の先生言ってたよ?」 ハルヒ「そんな、わたしそんなつもりじゃ・・・」 妹「あっ、あんまりおねえちゃんと話しちゃだめってキョン君言ってたから、じゃあね!」 ハルヒ「・・・・・・」 ハルヒ「みんな無視する…まぁW杯でも見てその話すれば大丈夫よ」 ポチッとな 「……何、この黒い奴。一人で突っ込んで周り見てないじゃない」 「あっもしかして私、この黒いのと同じ…かも」 ハルヒ「わたし、サッカー好きなのよ~!」 キョン「サッカーはお前のことが嫌いだがなっ」 ハルヒ「・・・小笠原が特に好k」 キョン「小笠原はお前のことが大っ嫌いだけどなっ」 ついに登校拒否になってしまったハルヒさん。 おや、なにやら窓の外から聞き慣れた声がします。 ふと見てみると、いつものメンバーが笑いながらあるいています。 ハルヒさんの家の前なのに誰も気にしてないようです。 (私の居場所は本当になくなっちゃったんだな・・・) 暗い部屋の中で体育座りをしているハルヒさん。 こうしてれば自分を傷つける人はどこにもいない。 嗚呼、可哀想 「うう、うっ、わぁ、うわぁぁん。」 怖い夢をみてしまったハルヒさん もう落ち着ける場所はどこにもない。 嗚呼、可哀想 もう誰も信じられなくなったハルヒちゃん (もう虐められるのはイヤ) そう思いながらコツコツ貯めていたお金で遠くへ逃げます そこへキョンが訪れてきました。 キョン「なぁハルヒ、少し金貸してくれよ」 ハルヒ「え、あ、今は・・・」 キョン「ん?なんだこれは・・・ お、金じゃん!しかもスゲー金額!」 ハルヒ「あ、それは!」 キョン「別にいいじゃん。俺ら、友達だろ?」 そう言われ、お金を持っていかれたハルヒちゃん 人生お先真っ暗 嗚呼、可哀相 ハルヒ「えー!なにこれー!もう最悪ぅー!」 キョン「お前の性格がなっ」 ハルヒ「・・・直すように努力するわ」 キョン「努力では掴みとれねー物もあるんだよ、いい加減オトナになれヴァーカっ」 警察「すみません 涼宮ハルヒさんですね?」 ハルヒ「・・・?はい、そうですが」 警察「実は貴方が朝比奈みくるさんの卑猥な画像を インターネット上に公開したとの通報がありまして ちょっと署までご同行願えますか」 ハルヒ「ちょ、あの、それは」 キョン「朝比奈さんの気の弱さにつけこんで 散々酷いことをした罰だ 少し頭を冷やしてこい」 ハルヒ「・・・・」 キョン:それじゃあ、明日は2000年前に行ってピクニックをしよう! ──────────────────────────────── みくる:賛成! ──────────────────────────────── 長門:それはいいわね! ──────────────────────────────── 古泉:じゃあ僕は外国から取り寄せた高級お菓子を持ってくるよ! ──────────────────────────────── 『ハルヒ』が入室しました ──────────────────────────────── 『キョン』が退室しました ──────────────────────────────── 『みくる』が退室しました ──────────────────────────────── 『長門』が退室しました ──────────────────────────────── 『古泉』が退室しました ──────────────────────────────── ハルヒ:・・・・・・ ──────────────────────────────── 長門:しかし最近の若手芸人のつまらなさには腹が立つよね ──────────────────────────────── みくる:そうよね。それを雇うテレビもテレビだわ ──────────────────────────────── 古泉:昔の番組は凄く面白かったよね ──────────────────────────────── 『ハルヒ』が入室しました ──────────────────────────────── キョン:つまらないから早く消えてしまえばいいのにな ──────────────────────────────── 『ハルヒ』が退室しました ハルヒ「(今まで何やってたんだろ私)」 ハルヒは学校の屋上に来ていた ハルヒ「あっちの世界に逝けば 宇宙人や未来人よりも面白いことがあるのかな・・・」 そう呟くと なるべく何も考えないようにして 屋上から身を投げた たまたま教室から外を眺めていたキョンの目に 落ちてゆくハルヒの姿が映ったが キョンは眉一つ動かさず そのまま外を眺めていた 数分後 学校のグラウンドにサイレンの音が鳴り響いた 長門「…」 ハルヒ「あ!ユキ…っ」 長門「これ…」 ハルヒ「え?本?」 長門「読んで…」 ハルヒ「あ…お勧めの本なの?そ、そうね。本はあんまり興味ないけど どうしてもっていうなら読んであげてもいいわよ」 ハルヒ「えっとなになに…完全自殺マニュアル………?」 みんな「王様だ~れだっ?」 キョン「あ、オレだ。じゃあ二番のヤツ、振り返りながら「大好き」ってやってくれ」 長門「・・・私」 長門「・・・大好き」 キョン「なんかそうじゃないんだよな~、もう一回!」 長門「・・・大好き」 キョン「ハルヒ、お前やれ」 ハルヒ「なんで私g」 キョン「やれ。」 ハルヒ「・・・やるわよ、やればいいんd」 キョン「早くやれ、ブス」 ハルヒ「・・・d」 キョン「やっぱりいい。きめえから」 みんな「ぎゃははははははははははははははははは」 キョン「悪いな、今日4月1日だったから調子に乗りすぎた」 ハルヒ「何考えてんのよバカ・・・」 キョン「おま・・・うっ(泣き顔モエスwww)」 ハルヒ「何よ・・・」 キョン「いや、その顔もかわいいなと・・・」 ハルヒ「・・・信じらんない///」 キョン「・・・と言うとでも思ったのか? だいたいちょっと優しくされただけですぐ顔を赤らめるな気持ち悪い。 じゃあ俺は帰るからな。」 バタン ハルヒ「・・・・・・・」 ハルヒ「あ、あのさ、今度のSOS団の活動なんだけど」 長門「…………フッ」(嘲笑) 古泉「あのう、誰に話しかけているんでしょうかね、彼女は?」 みくる「さあ、独り言じゃないですか?」 キョン「SOS? まだ言ってたのかよwww寒っwww」 ハルヒ「あ・・・上靴が。。。」 ~朝会~ 担任「え~涼宮さんの上履が無くなってしまったそうです。 見かけた人がいたら涼宮さんの所に届けてあげください。」 クラス一同「クスクス」 朝比奈「そうですね、許してもらいたかったら以前あなたが 私にしたこと全てをあなた自身も体験して下さい。 まずはコンピ研からですね」 ハルヒ「……え?」 キョン「っくははははは! そりゃいいや、行って来いハルヒ」 古泉「コンピ研で何があったんですか?」 長門「セクハラ」 一同「誕生日おめでとー」 キョン「・・・何て言うと思ったか?」 朝比奈「わーすごーい。勘違いして生きていけるって幸せですよねーww」 小泉「一度入院されたほうがいいのでは?」 長門「死ね。氏ねじゃなくて死ね。」 ハルヒ「・・・・・・・・・・・・」 ハルヒ、クラスメイトからの疎遠増幅 不注意からみくるを大怪我させSOS団からも疎外 映画部、PC部にかけた損害が生徒会に周りSOS団強制解体 それでもどうにかSOSのメンツを集めようとするが誰一人集まらず そしてハルヒは「毎週土日になると街をさまよう電波女」として都市伝説になった キョン「おーい サッカーしようぜ」 古泉「いいですね 実は最近、新しいボールを買ったんですよ その名も・・・涼宮ボール!」 そこにはロープで雁字搦めにされたハルヒの姿 口を糸で縫い付けられているので 喋ることができないようだ 古泉「このボールをよく飛ばすにはちょっとしたコツがありまして」 キョン「ほう どうするんだ?」 古泉「この部分を力いっぱい・・・蹴る!」 そう言うと古泉はハルヒのみぞおちを思いっきり蹴り飛ばした ハルヒ「・・・・!!」 口の隙間から液体が溢れ 糸が赤く染まる 古泉「あらら・・・ボールが裂けてしまったようですね」 キョン「ははは 水風船みたいだな」 キョン「ハルヒ誕生日おめでとう、意地悪して悪かったな」 ハルヒ「そんなのいいのよ~!ありがと!キョン、みんな!」 古泉「さあ、ロウソクの火を消してください、涼宮さん。」 ハルヒ「そうするわ、(フゥー)」 キョン妹「消えた消えたー♪」 キョン「ハルヒの生命もこの火の様に早く燃え尽きてほしいよな」 みんな「ぎゃははははははははははははははははは」 長門「ww」 ハルヒ「なにこれ・・・まさかドッk」 みくる「ドッキリなんかじゃないですよ、現実なんだよぉっ!!」 古泉「あぁ…いけない。 ちょっと忘れ物をしてしまいました。 取ってくるから待っていて下さい。」 ハルヒ「分かったわ。」 ――――――――――――5分―――――――――――――10分――――――――――――――――20分―――――――――――――――30分――――――――40分――――50分―――――――― ハルヒ「遅いなぁ…」 キョン「お前黒いな…」 古泉「クスッ…それはお互い様でしょう…。 さぁ早く行きましょう。遅れますよ。」 ――――――――― ハルヒ「……おそい…なぁ…」 古泉「ちょっとシャーペンお借りしますよ。」 ハルヒ「え?あ…うん」 キョン「俺も借りるぜ。」 長門「借りるよ。」 みくる「私にも貸してね。」 ハルヒ「ぇ?ぇ?…… …私の分が…無くなっちゃう…」 古泉「ぇ? あなたには別に必要ないでしょう。クスクス…」 キョン「激しく同意。」 ハルヒ「…………」 ハルヒ「キョン、ちょっときなさい!」 キョン「は? なんで俺がお前の言うこときかにゃならんのだ」 ハルヒ「うるさいわねぇ! いいからついてきなs」 キョン「うるさいのはお前だ。きゃんきゃんきゃんきゃん喚きやがって」 ハルヒ「な、なによ! アンタなんかが私に……」 キョン「鬱陶しいんだよ、マジで。もううんざりだ、お前に付き合うのは」 ハルヒ「わ、私だって……う、うんざりよ! アンタなんかとは、もう口きかないんだからね!」 キョン「ああ、そうしてくれ。というか、そのつもりだ。わかったら俺に近寄るな」 ハルヒ「あ、アンタがどっか行きなさいよ!」 キョン「へいへい。じゃあな、馬鹿ハルヒ」 ハルヒ「…………っ……なによ、馬鹿……」 涼宮ハルヒの構造 キョン「なあ、古泉、何でハルヒは憂鬱の後、あんまり活躍出来ないんだ? 古泉 「おや、あなたは、またあの灰色の空間に閉じこめられることをお望みですか?」 キョン「いや、もう二度とゴメンだ・・・」 古泉 「要するにこの物語における涼宮さんの役割は終わってしまったのですよ。 彼女は平凡な高校生であるあなたをキテレツな言動と行動で振り回し、 あげくの果てに暴走し異世界へ拉致監禁までしようとした。 そこで、窮地に陥ったあなたが王子様のキスをして彼女の目を覚ましてあげたのです」 美しい話じゃないですか。 つまるところ、彼女があなたに与えられるお話など もう、じれったいラブコメくらいしか残っていないのですよ」 キョン(ハルヒ、えらく、ひどいこと言われてるぞ・・・) ハルヒ「ちょっと来なさい!」 キョン「何か言ったかトラブルメーカーさんよ。」 ハルヒ「はぁ!?あたしが・・・」 古泉「キョン君もあなたのわがままにつきあわされるのがいやだと言ってるんです。 わかりませんか?(ニコニコ)」 ハルヒ「そ・・・そん」 キョン「そういうことだ。古泉、帰るぞー」 古泉「わかりました。」 キョン「二度と関わるなよ、トラブルメーカーさん。じゃあな。」 ハルヒ「あたしが・・・トラ・・・いやぁぁぁああああ」 今日もSOS団から無視をされたハルヒ。 自宅の部屋のベッドで泣きながらうなだれていると、机の上に置いた ハルヒの携帯のランプ部分が点滅しているのに気づいた。 人から電話やメールなどは滅多にこないので、いつもマナーモードになって いるため、偶然机に目がいっていなかったらきっと朝まで気づかなかった だろう。 ハルヒ「このメール・・・キョン・・・バカ・・でもありがと・・」 メールの送り主はキョンからのもので、メールにはこう文面がつづられていた。 Title:ハルヒへ さいきん冷たくしてごめんな。 っていっても、あれは本当はみんなの演技なんだ。 さいきんハルヒがみんなにわがままばかり言うから、ちょっ とお前をからかってやろうと思ってたんだ(笑) しつれいなことをしたと今は思ってる、本当にごめんな。今日はもう ねるよ、また明日学校で。SOS団の活動もがんばろうぜ。俺も ボーっとしてないで、ちゃんと活動に参加するからさ。 ケッセキなんてするなよ、お前がいないとつまらないからさ(^▽^) キョンより。 キョンに勇気付けられたハルヒは、明日からは心を入れ替えて頑張ろう、と 心から思ったのだった。 ――――― まとめてる人「ヒント:縦」
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涼宮ハルヒの憂鬱 SubTitle Source Size crf fps time 第08話 「笹の葉ラプソディ」 TVS 235MB - 5.66 fps - 第12話 「エンドレスエイト」 TVS 335MB 21 5.13 fps - 第13話 「エンドレスエイト」 TVS 252MB 21 5.17 fps - 第14話 「エンドレスエイト」 TVS 274MB 21 5.10 fps - 第15話 「エンドレスエイト」 TVS 296MB 21 5.14 fps - 第16話 「エンドレスエイト」 TVS 297MB 21 5.16 fps - 第17話 「エンドレスエイト」 TVS 303MB 21 5.18 fps - 第18話 「エンドレスエイト」 TVS 269MB 21 5.17 fps - 第19話 「エンドレスエイト」 TVS 279MB 21 5.26 fps - 第20話 「涼宮ハルヒの溜息I」 TVS 335MB 21 5.31 fps - 第21話 「涼宮ハルヒの溜息II」 TVS 299MB 21 5.37 fps - 第22話 「涼宮ハルヒの溜息III」 TVS 343MB 21 5.03 fps - 第23話 「涼宮ハルヒの溜息IV」 TVS 259MB 21 6.75 fps 1h28m54s 第24話 「涼宮ハルヒの溜息V」 TVS 207MB 21 8.00 fps 1h14m58s -第08話 「笹の葉ラプソディ」 新作、噂はホントだった!!それにしても回りくどい広告のやり方 [涼宮ハルヒの憂鬱 第08話 「笹の葉ラプソディ」.mp4] (1pass) using cpu capabilities MMX2 SSE2Fast SSSE3 FastShuffle SSE4.1 Cache64 profile High, level 4.1 slice I 452 Avg QP 18.93 size 43727 PSNR Mean Y 49.04 U 51.40 V 51.32 Avg 49.58 Global 49.30 slice P 11500 Avg QP 20.04 size 12282 PSNR Mean Y 47.49 U 50.11 V 50.21 Avg 48.18 Global 47.93 slice 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複線回だと思えばいいのか? 今回からOPがついた、巷で聞くほど、悪くは思わないけどなー。 まぁすごく良いとも思わないけど。 [涼宮ハルヒの憂鬱 第12話 「エンドレスエイト」.mp4] (1pass) using cpu capabilities MMX2 SSE2Fast SSSE3 FastShuffle SSE4.1 Cache64 profile High, level 4.1 slice I 440 Avg QP 17.49 size 61802 PSNR Mean Y 49.66 U 50.79 V 50.73 Avg 49.88 Global 49.39 slice P 21323 Avg QP 18.13 size 10751 PSNR Mean Y 48.22 U 49.98 V 49.99 Avg 48.67 Global 48.22 slice B 16620 Avg QP 22.51 size 3068 PSNR Mean Y 47.43 U 49.75 V 49.70 Avg 48.00 Global 47.16 consecutive B-frames 22.7% 50.9% 18.5% 5.6% 2.3% mb I I16..4 44.4% 35.0% 20.6% mb P I16..4 5.2% 0.0% 2.5% P16..4 31.3% 3.1% 6.3% 0.0% 0.0% skip 51.6% mb B I16..4 0.7% 0.0% 0.4% B16..8 15.2% 0.5% 0.7% direct 2.0% skip 80.5% L0 24.6% L1 70.0% BI 5.5% 8x8 transform intra 6.8% inter 38.3% direct mvs spatial 99.9% temporal 0.1% coded y,uvDC,uvAC intra 40.1% 48.4% 18.8% inter 11.6% 7.3% 0.4% ref P L0 90.3% 5.5% 4.2% ref B L0 87.7% 12.3% AQ Result Bright MB 9.01% QP Up 57.56% Down 9.08% AQ Result Middle MB 41.96% QP Up 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encoded 39863 frames, 5.10 fps, 1305.60 kb/s -第15話 「エンドレスエイト」 繰り返し以降、徐々にファイルサイズが増えてきてます。 [涼宮ハルヒの憂鬱 第15話 「エンドレスエイト」.mp4] (1pass) using cpu capabilities MMX2 SSE2Fast SSSE3 FastShuffle SSE4.1 Cache64 profile High, level 4.1 slice I 424 Avg QP 17.26 size 53595 PSNR Mean Y 50.25 U 51.85 V 51.61 Avg 50.52 Global 49.99 slice P 22095 Avg QP 17.92 size 8164 PSNR Mean Y 48.96 U 50.91 V 50.85 Avg 49.43 Global 48.99 slice B 17508 Avg QP 22.04 size 1984 PSNR Mean Y 48.62 U 50.85 V 50.78 Avg 49.16 Global 48.30 consecutive B-frames 20.0% 58.6% 15.4% 3.9% 2.2% mb I I16..4 47.1% 32.9% 20.0% mb P I16..4 4.5% 0.0% 1.7% P16..4 29.4% 2.4% 5.6% 0.0% 0.0% skip 56.4% mb B I16..4 0.5% 0.0% 0.3% B16..8 12.8% 0.3% 0.4% direct 1.2% skip 84.4% L0 18.6% L1 77.8% BI 3.6% 8x8 transform intra 7.2% inter 36.4% direct mvs spatial 99.9% temporal 0.1% coded y,uvDC,uvAC intra 36.2% 42.6% 15.3% inter 9.1% 5.7% 0.2% ref P L0 90.0% 5.7% 4.3% ref B L0 88.0% 12.0% AQ Result Bright MB 6.89% QP Up 54.47% Down 7.27% AQ Result 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「涼宮ハルヒの溜息II」 [涼宮ハルヒの憂鬱 第21話 「涼宮ハルヒの溜息II」.mp4] (1pass) using cpu capabilities MMX2 SSE2Fast SSSE3 FastShuffle SSE4.1 Cache64 profile High, level 4.1 slice I 384 Avg QP 17.40 size 60257 PSNR Mean Y 49.76 U 51.21 V 51.07 Avg 50.09 Global 49.61 slice P 21776 Avg QP 18.05 size 9608 PSNR Mean Y 48.14 U 50.31 V 50.32 Avg 48.73 Global 48.42 slice B 16002 Avg QP 22.29 size 2393 PSNR Mean Y 47.48 U 50.03 V 50.01 Avg 48.15 Global 47.51 consecutive B-frames 23.6% 53.4% 19.6% 2.4% 1.0% mb I I16..4 42.3% 34.9% 22.8% mb P I16..4 3.5% 0.0% 1.9% P16..4 30.3% 2.9% 6.3% 0.0% 0.0% skip 55.1% mb B I16..4 0.5% 0.0% 0.3% B16..8 13.8% 0.4% 0.6% direct 1.4% skip 82.9% L0 23.2% L1 73.1% BI 3.7% 8x8 transform intra 7.9% inter 37.4% direct mvs spatial 100.0% temporal 0.0% coded y,uvDC,uvAC intra 42.7% 46.0% 18.8% inter 10.6% 6.2% 0.3% ref P L0 89.5% 6.0% 4.5% ref B L0 87.8% 12.2% AQ Result Bright MB 8.84% QP Up 52.65% Down 6.16% AQ Result Middle MB 41.97% QP Up 28.69% Down 54.08% AQ Result Dark MB 0.00% QP Up 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「没ね」 団長机からひらりと紙がなびき、段ボール箱へと落下する。 「ふええ……」 それを見て、貴重な制服姿の朝比奈さんが嘆きの声を漏らす。 学校で制服を着ているのが珍しく思えるなんて我ながらオカシイと思うが、普通じゃないのはこの空間であって、俺の精神はいたって正常だ。 「みくるちゃん。これじゃダメなの。まるで小学校の卒業文集じゃない。未来の話がテーマなんだから、世界の様相くらいは描写しなきゃね」 ハルヒの言葉に朝比奈さんが思わずびくりと反射するが、ハルヒは構わず、 「流線形のエレクトリックスカイカーが上空をヒュンヒュン飛び交ってるとか、鉄分たっぷりの街並みに未来人とグレイとタコとイカが入り混じってるとか。そーいうのがどんな感じで成り立っているのかをドラマチックに想像するの。将来の夢なんかどうでもいいのよ。それにドジを直したいだなんてあたしが許可しないわ。よってそれも却下」 グレイは未来の人間だって説もあるんだから、下手するとその未来は単に魚介類が陸上歩行生物に進化しただけの世界になるかも知れんぞ。まあ、どうでもいっか。 ハルヒは朝比奈さんに対し一通りダメ出しを終えると、ふてぶてしく頬杖をついてピッと朝比奈さんの指定席であるパイプ椅子を指さし、そこに戻ってもう一度やり直しという指令を無言で示した。 「うう」 朝比奈さんがカクンとうなじを垂れる。 それはハルヒの電波な未来観にへこまされているわけじゃあなく、いや実はそれもあるかも知れないが、今はもっと別の理由が考えられる。それはリテイクの厳しさを三倍程度にしちまう理由だ。 指示を受けてずるずると定位置へと引き返す朝比奈さんの後姿を見送りながら、ハルヒは団長机をパシンと叩き鳴らし、 「ちょっとみんな! 今回はノルマも少ないし、ページ数だってやたらになくてもじゅうぶんなの! 気張りなさい!」 俺はやや不機嫌なトーンを呈したハルヒの叱咤を半身に受けながら、パソコンを挟んで対面している古泉へと鋭利にこしらえた視線をありったけ突き刺し、それを受けた古泉は苦笑しながら、予想外でしたという陳謝を俺にアイコンタクトにて返信する。 しかし、これまた困ったことになっちまった。 ハルヒの腕章に黒マジックでしたためられた文字が今は何を表しているのかもう分かっている頃だと思うが、現在の涼宮ハルヒの役職は編集長である。 それはまさに肩に書かれているだけで、自称以外の何者でもないのは既に周知の事実であろう。 とゆうか、打ち上げ花火のような事件のときに作ったその布切れをよっくぞまあ今まで保管しといたもんだ。俺としてはそれが再び陽の目をみることなく、そのまま日に焼けない様に永久保存されといて欲しかったね。今からでも遅くないぞ。ついでにSOS団の皆が抱えてるトラウマも一緒に凍結しといてくれ。 「……それも良いかもね」 カチリ、何か良からぬものを踏んじまった音がした。 幻聴であって欲しいと俺の耳は切に願ったが、 「そうだわっ! SOS団の偉業を未来人に知らしめるために、あたしたちの功績を遺産として残すのよ! 今回の詩集だってもちろん入れなきゃね!」 俺の目は、今にも花びらが炸裂しそうなハルヒスマイルを映していた。 「何にだよ」 わかっちゃいるがな。一応。 「タイムカプセルに決まってるじゃない!」 ハルヒは色めきたって、やけに懐かしいワードを口に出した。 まあ正直なところ、俺もその計画自体に物言いをつけようとは思わん。が、それにはこれから書かされるであろう詩集は入れないぜ。 「なんでよ?」 「なんでだろうな」 そんなもん決まってる。他動詞的に作られたポエムがまともな形を成すとは思えんからだ。 それに前回の機関誌ならハルヒの論文が未来人にも有用だそうだからまだいいものの、今度の詩集ばっかりは後世の人間が見たところで「こいつぁクレイジーなヤロウだ!」とかいった驚嘆句しか出てこないだろう。未来に欧米かぶれがいるかは知ったこっちゃないが、無駄な驚きで寿命を無為に減らすのは気の毒である。なので、出来上がった詩集は俺が墓場まで持っていこうと思う。 「…………」 ――何だか長門の無言が聞こえた気がした。気のせいか? 「ってゆーか、そんなことを話してる場合じゃないでしょうが!」 ハルヒが不機嫌を取り戻す。それもやるけど、と続けて、 「みくるちゃんは受験生だし、あたしたちもボヤボヤしてらんないでしょ。学校があわただしくなる前に今年分の会誌は急いで仕上げないと困るの! これにつまずいてる様じゃ、これから先の団の活動に支障がでちゃうじゃないっ!」 一見まともなことを言っているようだが、よくよく考えればSOS団本位でしかない主張を団長もとい編集長はがなりたてている。 ――と、ここで一度、現在の俺たちの状況を整理しておこう。 場所はもちろんSOS団本部兼文芸部室である。 時の頃をおおまかに言うと、朝比奈さんが受験生なので俺たちは高校二年生ということになり、もう少しばかり掘り下げると一学期の初頭で、その時期に俺たちは二回目の機関誌の製作に取り掛かっているってわけだ。 我らが北校の学校方針から考えるにそれだけでも十分全員が忙しい身の上であることは想像するに難くなければ、朝比奈さんにとっては未来に帰りでもしない限り、この世界で生きていく上で至極当然にリテイクを重ねられている暇などない。 更に悩みの種となっているのが、今回の機関誌の企画である。 詩集だって? 冗談じゃないぜ。 そんなら前回の小説の方が幾分マシだったねと言えるもんだ。 それに古泉、こないだまで俺たちゃあ結構奔走してただろうが。イベントのスパンが短か過ぎる。 俺の視線に込められたそんな訴えを古泉は受信し、窮したように顔を苦ませる。なにか含む所がありそうだ。 ついでに俺たちがどんな奔走をしていたかと言えば、俺の旧友である佐々木との再会、そしてSOS団とは別種の異能、異性質な輩たちとのいざこざや、長門の病気だ。 長門が学校を病欠したとき、一時は天蓋領域とやらの侵攻を受けたのかと心配したのだが、本人いわく只の風邪だったらしい。そうは言っても、長門がウイルスですらも無い下等な雑菌に敗北を喫すること自体異常事態であるのに違いないのだが。 しかし何も知らないハルヒからしてみればそれは正常な状態異常でしかなく、俺たちにも懸念を抱く以上のは出来そうになかったので、長門には一般的な病人に対する普通レベルの介抱を行うことにした。 皆の心配を一身に受ける長門は、 「何か食べたいもんでもあるか?」 「お寿司」 などといった要求はしなかったが、心なしか、守られる側に立った状況を存分に味わっているようだった。 そしてハルヒは泊まり込みで看病するとガヤいだのだが(俺もそれには賛成だったが)長門の強い希望により、俺たちは日付が変わる前には渋々と部屋を出ることとなった。 そして何故か帰宅の途につけという要求は朝比奈さんに対して特に強かったようで、 「特に朝比奈みくる。あなたは早く帰って」 という言葉も賜った。 ……流石にショックだったせいか、次の日の朝比奈さんの挙動はかなり変だった気がする。 しかしまあ、既に出揃っている特殊な奴らは倍になったというのに、一向に異世界人は姿を見せんもんだ。 とは、俺が異種SOS団との諍い時に漏らしてしまった、会いたいという願望とは違った意味の言葉だ。 そのときの俺の言葉に対し、古泉は「もしかしたら、既に異世界人は僕たちと邂逅を果たしているのかも知れません」ときた。どういうことかと尋ねれば、 「異世界人は、異世界に存在することによってその定義を満たします。しかし、例えば未来人は時間を操作することよって、宇宙人は未知の知識によって、そして僕などは超能力の行使によって己の存在をより明確なものにしますが、異世界人はただ異世界から訪れたというだけで、僕たちにとって普通の人間以上の存在には成り得ない可能性があります」 もっとも、それが一般的な人類ならばの話ですがね。と続けて、 「なので、むしろ既にこちらの世界には別の世界へと渡る能力を持った者が存在し、そしてその者は、僕らの関知し得ない世界でSOS団に尽力しているのかも知れません。今の僕たちが存在するのも、その人物が異世界で頑張ってくれているからなのかも知れないのです」 つまり異世界人は異世界で頑張っているということなんだそうな。 どっちにしろ推察の域を出ない話だし、仮に現実だとしてもそれは認識の外だ。 まあ、もしそれが本当なら、一度は会ってみても良いかも知れん。 何だかんだいって、俺はハルヒが作ったSOS団とこの生活を気に入ってるんだからな。 そして異世界人が俺たちと同様同等の苦労をしているであろうことは身を持って分かることなんだし、俺が感謝の意を唱えてその苦労をねぎらっても悪くはあるまいて。 っと、話が脱線気味になっちまった。その軌道修正も兼ねて、少し時間を遡って今回の事の起こりから辿っていってみることにするか。 それでは回想列車、レッツゴー。 ……… …… … 放課後の文芸部室。佐々木たちとハルヒ以下俺たちとの一件も多少の落ち着きを見せ、俺たちSOS団全員が比較的普段通りの活動に従事していたときだった。 コンコン。 「失礼する」 扉をノックする音が聞こえたと思いきや、返答を待たずにすらりと長身な眼鏡の男とそれに伴う女性、つまり腹づもりの黒い生徒会長と喜緑さんが部室へと進入してきた。 「なにしに来たのよ。なんか文句でもあんの? 勝負事なら喜んで受け取るけどね」 生徒会からSOS団に対する文句などは重々にあるだろうし、勝負を受諾されても困る。 「ふん」 会長は入り口に立ったまま、 「君に対する苦言なら山のように持ち合わせているが、生憎そのようなものを言い渡しにこんな辺境までやって来る程私は暇ではないのだ。今日こちらへ足を運んだのは他でもない。一つ気になることがあるものでな」 「なによ。言ってみなさい」 ハルヒの方が偉そうなのは毎度のことだ。 「どうやら文芸部には新入部員が居ないようだが、その分で今年度の文芸活動は一体どうするつもりなのかね?」 「は?」 とは、俺の口をついて出た言葉だ。 ……以前にも、生徒会から文芸部的な活動を求められたことはあった。 それは文芸部およびSOS団潰しのある意味で真っ当な思惑によるものだったのだが、しかしてその実態は裏で古泉が根回しをしていたことによって発生したイベントで、しかも既に事の収まりを見ているはずだ。 それに文芸部部長の長門だって、新年度のクラブ紹介で分かる人が聞けば見事なのであろう論文を発表しているんだし、文芸活動はそれでオールクリアーにしときゃあ通るだろう。いいじゃん、それで。 しかもこれから進路の話やらで忙しくなるっちゅうのに、また機関誌でも発行しろとの一言が発せられるものであれば、ものの見事に層の薄いSOS団はペシャンコになっちまうぜ。本当に俺たちを潰す気か? 会長は。 そう思って俺は古泉に目配せしたが、何故だか古泉もハンサム顔に微小な驚きの色を浮かばせていた。 これは成り行きを見守っていくしかないなと思い、俺はそれ以上言葉を作らなかった。 「もちろん会誌を製作するわよ」 ハルヒは元から俺たちを潰す予定だったらしい。 「いや、それはもう良い。今回文芸部には、来年度用の我が学校のパンフを製作して貰おうかと思っている。潤沢に割り当てられた部費が、不明な団体の意味不明な活動で消費され尽くしてしまってはかなわんからな。それにこの時期は私も色々と忙しい。それもあって、例年は生徒会執行部が製作している学校案内書を君らに一任してみようとなったわけだ」 なるほど。来年用のパンフなら時間だって十分あるし、写真を切り貼りして文章をとってつければいいようなもんだから、苦になるほどじゃないだろうな。それで部費の分配に対する大義名分が得られるのなら、こっちの精神衛生面的にも好都合だ。まともに頑張っている他の部活動員に対し、多少は後ろめたさを感じることがなくなって良い。 「そんなのあんたたちでやってなさいよ。あたしたちもヒマじゃないの。もう会誌の内容も決めてあるんだから」 どうしてもハルヒは俺たちを潰したいらしい。 「まあ……キミたちが自主的に活動を行うと言うのなら、こちらはそれでも構わん。しかしそれが口からでまかせであった場合、私にも存在しないはずの団を抹消するための手間が生じてしまうのを覚えておくといい。そうだな、一度企画書を作成して明示して貰おうか。今から生徒会室まで来たまえ」 「ヒマじゃないって言ってんの! 無駄な心配してる余裕があるんだったら、あんたがここに書類持ってきなさいよ!」 どう考えても生徒会長の方が多忙を極めているはずであろうが、俺は別に会長の擁護をするわけもなく。 「何を言っているんだ君は。私は文芸部部長を呼んでいるのだ。部外者は口を挟まないでくれたまえ」 と……珍しく喜緑さんが長門に合図し、長門は生徒会長についていく。 「ちょっと、待ちなさいってばっ!」 二つのハリケーンが合流を果たしたかのような勢力で、会長の後姿をハルヒが追う。 おかげで残された俺たちと部室はいやに静かだ。 しかしまあ会長。企画書なんぞ出さなくたって、あの団長殿が言い切ったことが実行に移されるのは確実なんだがな。悲しいくらい否が応にも。 「おや、どうしたのですか? 何か他に用事でも?」 ん? 何故かまだ部室には喜緑さんが残っている。 前回の佐々木団との一悶着の際、病床に伏していた長門の代わりに我らSOS団の宇宙人ポストに入って奮闘してくれたので多少の親睦はあるが、 「すみません。実は、お話しておきたいことがあるんです」 身の上話でもするのだろうか? 喜緑さんが部室に取り残された朝比奈さん、古泉、俺に対して言い放つ。 「まずは長門さんの能力が弱体化している件についてなんですが、それは彼女と思念体との接続が弱まってきているためだと考えられます」 ――長門が自分でも制限をかけちゃいるが。 「ほう。しかし何故、長門さんと思念体との接続状況が芳しくないのですか?」 こういう説明を受けている時なんかの古泉の返答は助かるな。 喜緑さんは続けて、 「はい。実は、わたしたちのようなインターフェイスには上の方から一つ禁令が下されているのですが、その禁令に長門さんが少しずつ触れてきているがゆえに、思念体から敬遠されているみたいなんです」 どんな禁令を……ん? そういえば以前に長門から聞いた記憶がある。 「確か、死にたくなっちゃいけないってやつでしたっけ」 そのまま俺は疑問も口に出す。 「長門がですか? 俺にはそんな風には……むしろ、生き生きしてきたように感じますが」 そうだ。長門の鉱石の様だった瞳にも、だんだんと血が巡り出してきたかのような、柔らかさと温かみが度々見受けられるようになってきていた。春休みの映画撮影(予告編のみ)の最中なんか、長門的には最高にハッチャケていたような様だったぜ。死にたいなんて、そりゃ相反してる。 「死にたい、ですか。それはまたどういうお話なのでしょうか?」 確か、アポだかネクロだか、自殺因子って単語もあったかな。 「ふむ……PCD、のように聞き受けられますね」 「古泉。いったい何だ? それは」 「例えば生物の進化の過程において、あらかじめ死が決定された細胞のことです。オタマジャクシの尻尾が、カエルへと変態する際に失われるといったような。その例のようにPCDはむしろポジティブな細胞の消失ですし、これが行われなければ僕たちにも手指などのパーツが形作られません。これをアポトーシスと言います。このように細胞の自殺が計画的に行われる、それがプログラム細胞死なのです。他にもネクローシスという、」 よし解らん。次へ行ってくれたまえ。 喜緑さんが古泉の言葉を受けてコクリと頷き、 「わたしたちインターフェイスは人類と同じ物質で構成されています。我々が死ぬような事態は殆どないのですが、有機的な活動を行う過程によって死の概念が組み上げられてしまうといったことなどが憂慮されます。思念体は元より死の概念を持ち合わせていないので、わたしたちによって情報構成に自殺因子が紛れ込む可能性をひどく嫌っているんです。恐らく、良い変化は期待されませんので」 ニコリと笑って、 「ゆえに、わたしたちは死を思うことを禁じられています」 うん。長門の話もたしかそんな感じだった。 「なるほど。情報統合思念体は群体のような性質を持っていると思うのですが、多細胞生物に見られるPCDにも一応の懸念を発起させている訳ですね」 「そんなところです」 喜緑さんは続けて、 「あと、先日の長門さんの不調は病気などではありません。おそらく、上の方と何かトラブルがあったのだと思います」 まあ、原因が周防九曜じゃないならそんなところだろう。俺は得心したように頷いて、 「して、そう思う理由は?」 と質問した。喜緑さんは微笑を消し、 「……あの日以降、長門さんと思念体との接続が異常なほど軽薄なものとなっているからです。なので、今の長門さんには殆ど力の行使が認められていません。皆さん、どうか長門さんをよろしくお願いします」 無論だね。むしろ注文を受ける前から走り出してる程に気をつけてるさ。 「ありがとうございました、喜緑さん」 俺の言葉を最後に、喜緑さんはぺこりと退室の礼を尽くし部屋を退出した。 そして閉められた扉は程なくしてドバン!と破裂音を上げ、 「おっまたせー! 勢いで計画進めてたら、こんななっちゃった! まぁ、善は急げ!美味しいものははやく食え! ってことでいいわよね! 明日の団活からさっそく原稿の執筆に取りかかるから、みんな楽しみにしてなさい!」 そう声高々と宣言するハルヒの後には長門の姿があり、ハルヒが右手で俺たちへと提示する紙には、 『企画内容:詩集。上稿予定:今週中』 というデススペルだけが書きなぐられていた。 俺には、最早それが死神との契約書にしか見えていなかった。 そんなこんなでやっと次の日になったかと思やぁハルヒは、休み時間が来るたびに何やらハサミで紙をショッキリショッキリいわせていた。 一体お前は何やってんだと聞けば、 「ひみつ! 放課後まで待ってなさいっ!」 と、ニカリとした笑みを作りながら溌剌と意気の良い返事をするばかりだった。 恐らくハルヒは俺の妹のようにハサミを装備することで破壊衝動を満たす化身へと変貌しているわけでなく、なんらかの創作活動に勤しんでいるのだろうから、折角だし作品の完成まで楽しみにしておくか、と俺は自分の席にいるときも心して後のハルヒへ目をやらずにいた。 そうなると俺はこれといってやることもないので、隣の窓越しに広がる過剰に陽気の良い春模様の空を見やり、その余った陽射しを我が身に受けて体内に貯蓄し、無駄に消えゆくエネルギーを減らそうといった仕事に献身していた。 ああ、春ってのはなんでこんなにも素晴らしいのだろうね。爛漫。 そして放課後、文芸部室にて。 朝比奈さんは俺たちにお茶を配膳する業務を終え、既に部室の風景と化していた。長門は最初から風景だった。 部室なら長門に何事もなかろうと、俺はいまだ姿を見せぬハルヒを待つ事もなしに古泉とヘブンオアヘルという創作トランプゲームに興じていた。 どんなゲームかと言えば、最初から片方がジョーカーとエースを手に持ち、相手をかどわかしながら選ばせるといったもので、つまり二人で行うババ抜きの最終決戦だけを抽出しただけである。これは経験によって無駄を省かれた。 しかし、単純なゲームをいかに楽しく行うかというテーマに沿って繰り広げられる熾烈な心理戦も、単純作業の繰り返しには飽きが来るという人間の心理の前には立つこと敵わず、また古泉も俺に敵わず(逆にやり込められている感がないとも言いがたいが)いつの間にか俺たちのやっていることはカードを弄びながらの雑談へと変わっていた。 「しっかしハルヒの奴、何でまた詩なんかに興味を惹かれたんだろうな。俺たちが詩なんか嗜んだ所で、痛い目と身悶えするような駄文を見るだけだろうに」 古泉はカードを四隅の一点だけで倒立させようと試みながら、 「そうでしょうか。感性多感な時分の僕たちの心模様を紙へと投影してみることは、未来の自分がそれを見た際に、その時代の感傷を想起さし得る貴重な宝物になるのではないかと」 「どうだか。次の朝にでも目が覚めたら、貴重な資源をゴミに変えてしまったってのに気がつくだろうぜ。その後に色んな意味で後悔するだけさ」 実体験ですか?という古泉からの質問に対し、俺は見聞きした深夜のラブレター作成理論の応用だと答えておいた。 「それはさておき、今回涼宮さんが機関誌の内容に詩集という形を取ったのも、受験生の朝比奈さんや僕たちへのちょっとした配慮なのかも知れませんね。詩なら、文量が少なくて済みますから」 「それこそ問題だ。少ない文字で成り立たせにゃならんから、構想に余計時間がかかる。それにどんな詩を書くのかも考えにゃならんから、よほど手間だ」 ズバン! 「待たせたわねっ! みんなは一秒が千秋に感じる程に待ちわびていたことだと思うわ! 今回も時間がないから、みんなの詩のテーマはコレで決めちゃいましょうっ!」 心臓を打ち抜くような音を鳴らしてハルヒが扉を押し開いてきた。 驚きの眼を配る朝比奈さんとハルヒの途方もない思い違いに呆気に取られている俺に、ハルヒは何やら励んでいた創作活動の賜物と思われる物体を、左手で作ったOKサインのOを示す指に挟んで見せびらかしていた。 「サイコロ、ですか?」 多分古泉の質問はその通りの答えだろう。 俺にも、それは三角形の紙を八枚セロハンテープで繋ぎ合わせて作られたフローライトナチュラル八面体に見える。 「そっ。特にキョンなんか書き始めるまでにも時間かかりそうだから、今回も内容はアトランダムに決めるわっ! キョン。雑用でしかないあんたのために労を負った団長様に感謝しなさいよね!」 先程の俺の言葉を見れば感謝すべきであろうが、アトランダムの偶然性に対し不満があったので「すまんな」という謝辞にて言葉を終了した。 ハルヒはフッフンと得意げに天井へと高々にサイコロを掲げ、 「それぞれの面にお題が書いてあるから、これをホイコロリンッって投げて出たヤツを詩の内容にすること! 異議があるなら言いながら投げるといいわよ。そして忘れちゃいなさいっ!」 俺には言い捨てる言葉もないが、 「しかしまた何でサイコロなんだ? わざわざ紙を切ってゴミを増やさずとも(そして作らずとも)、前みたいにくじ引きかアミダで決めりゃ良かったじゃないか」 という小さな疑問を投げかけた。 それを聞いたハルヒはチッチッっと右手の人差し指をメトロノームにしながら、 「それじゃバラエティに貧するってものよ! SOS団たるもの、些事の決め方にも広く手をのばしていかなきゃ! そして、ゆくゆくは世界の森羅万象を掴み取るのよっ!」 グッと決めポーズ。ハルヒは今日も絶好調なようである。ま、絶不調でなくて何よりだろうね。世界の平和的に。 だが、恐らくこのネタは外部から、というかテレビから受信して閃いただけだろう。 と、俺は手元に落とされた八面体ダイスを見ながらそう推察してみた。 何故かと言えば、サイコロのやっつの面に書かれているワードはそれぞれ 『私の詩』『未来予想図』『恋の詩』『本音の詩』 『元気が出る詩』『褒められた詩』『失敗した詩』 とあり、後半のテーマが若干日本語として妙なのはハルヒに国語力がないからではなく、お昼の某テレビ番組で転がされているサイコロに書かれた『~話』をそのまま詩という言葉に変換したせいだと思われるからだ。 「じゃっ、順番は団への貢献度が多い人からね! 序列は大事よ! 大きな組織の中では特にねっ!」 じゃ俺からでいいだろ。 「なんでよ? はいっ! 最初は副団長からっ」 SOS団は小規模だから、と説く前に、ハルヒはひょいと俺の手からサイコロをつまみ取り、流れるような動きでそれを古泉副団長へと手渡した。 古泉は卵をのせるような手の平の中でそれを弄び、 「さて、なにがでるかな?」 合唱しようと思ったが、古泉が出す目は大体の予想が立つし、多分予想通りである。 スマイル仮面の古泉のテーマは多くて二択であり、およそ『私』か『本音』だと、 「……おやっ?」 俺と古泉が思わず言葉を漏らす。 「褒められた詩、ですか。僕が以前に書いたポエムの傑作を載せるということでしょうか?」 書いてる姿も含めてそれも見てみたい。が……何だ? 確率論が復活したのか? 本来ならおかしくはないはずなのに俺が妙に思っていると、 「ちがうちがうっ。褒められたときの気持ちやらをポエムにするのよ」 俺にとって古泉のそれは不愉快なポエムになるなと思っていたら、ハルヒは続けざまに、 「でも、振り直しっ。それは国木田が書くから」 国木田? 「そうよ。名誉顧問と準団員には既に振ってもらって、『元気』『褒め』『失敗』は決まってるから」 ハルヒはくるリとメンバーを見回し、 「みんなもカブっちゃったらもう一回! 同じことやっても良いものは生まれないし、SOS団はバラエティに富んでないといけないって言ったでしょ!」 それよりも近い過去に序列がどうのと言ってた気がするが、それは覚えていないらしい。 「って、じゃあ俺はサイコロの振りようもないだろうが。全員が振った後じゃ、必然的に残りの一つに決まっちまうだろ?」 「いいじゃん。特に変わらないわ」 実際問題どうでもよかったし、例え同じサイコロを八つ同時に八人が投げたところで結果は変わらないであろうから、俺はそこで閉口した。 そして古泉は『本音』を出し、次いで長門が『私』、朝比奈さんが『未来予想図』、ここで俺は再度口を開いて抗議の旨を団長、いや編集長へと必死に訴えたが、ハルヒはガイウス・ユリウス・カエサルがルビゴン川を渡った際に言い放ったのと同じ言葉で俺の訴状をねじ伏せた。 ――そしてまた次の日の放課後。現在に至る。 目の前のハルヒが何故こんなにも不機嫌なのかと言えば、 「ちょっとみんな! あの三人はすぐ詩を完成させて持って来たってのに、何でみんなはちーっとも筆が進んでないのよ!」 ハルヒが代わりに言ってくれた。その理由を申せと仰るのであれば、説明するまでもなく「そりゃそうだ」の一言に尽きる。 鶴屋さんは『元気』、国木田は『褒められた』、谷口は『失敗』の詩を書いており、言葉そのままでも違和感のない程にそれぞれピッタリはまった題目だ。 一夜で詩が書けた理由としては、各自それのネタなんていくらでもあるだろうし、万能である鶴屋さんの才の一つに詩的才能が含まれている予測は疑いようもなく、国木田と谷口なんかは適当に済ませたのだろう。 重ねて俺たちときたら、古泉と朝比奈さんのテーマはまるで名探偵にズバリズバリとトリックを言い当てられて言葉を失った犯人のようにアワワとしか言いようがなくなってしまうようなものであるし、『私』の長門なんか前回の小説で自分のことであろう作品を書いているので、俺と共に前回とお題がモロかぶりである。 言うまでもないとは思うが、俺は『恋』のネタである。 もう、そんなもん俺の在庫には最初っからないんだし、長らく入荷待ちの札が掛かってるだけだっつーのに。 それらの理由により、俺はもう一度ハルヒに儚い希望を提訴してみた。 「ハルヒ。じゃあ皆のテーマを変えてくれないか? 俺だって恋なんてもんは幼い頃、従姉妹に一方的に苦い思いをしただけだし、それ以来そういった甘そうなのは味わったためしがないんだ。だから俺の中にあるそんなネタは、前回の小説が最後っ屁でもうグウの音も出ん。終了だ」 却下。という二文字の一言が虚しく飛んでくると思っていたが、 「そうなのですか? むしろ味を感じないのは、あなたにとってそれが空気みたいな物だからなのでは?」 予想に反し、助け舟を渡してやった筈なのにそれを撃沈させるかのような言葉が古泉から飛んできた。 「うん? どういう意味だそれは」 特売アイドルみたいなスタイルのお前と違って、俺にはそんなに身の回りに溢れているもんじゃないんだよ。それにそんなことを言われるとな古泉。俺だって……泣くんだぞ。 「いえいえ、そうではないですよ」 若干苦味を持たせたスマイルで、 「あなたにとって必要不可欠であるにも関わらず、身近に存在しすぎてあなたが気付いていないだけ。ということです」 ほう。そいつは嬉しいじゃないか。つまり、俺に想いを寄せているがそれを伝えられずにいるうら若き乙女の視線が、恋の矢の如く俺の後頭部に突き刺さっているのが古泉には見えるってわけだな。 何だか涙が別の理由で出てきそうだと思っていると、 「古泉くん。それどういうこと? 団長に報告もなしに男女交際をしている輩がいるっていう告発?」 そう古泉に話しかけながらも、ハルヒの視線はまるっきり俺の方へと向いている。 そんな目をされても俺はなにも知らん。 「そうではありません」 今日が、古泉にとって初めてハルヒにノーと言えた記念日となった。 「僕はただ、恋とは意識して感じ取れるものではなく、無意識の内に自分が恋に落ちていたという事実を自らが認識した際に知り得るものだ、という考えを述べたまでですので、他意はありません。ご安心を」 「ああ、なるほどね。それはあたしと似たような捉え方だから良くわかるわ」 うん? お前、恋愛は精神疾患だとか言ってなかったか? 「もちろん。風邪と同じでかかりたいと思ったときにはかからないし、忘れてる頃にはいつの間にやら患っているものってことよ。まさに病気じゃない。あたしは抗体持ってるから絶対かかんないけどね」 蝶がヒラヒラと舞い寄ってくるような古泉の思想が、ハルヒの例えによって一気に消毒液臭くなった。 俺は飛び去った蝶の採集を試みるように、 「じゃあハルヒ。抗体持ってるってんなら、以前に恋患いの経験があるんだな?」 「あるわよ」 「へっ?」 っと、俺がハルヒから思わぬクロスカウンターを喰らって目を丸くしていると、 「はしかやオタフク風邪と一緒よ。ちっちゃい頃に感染しとくべきなの。それは」 ……やれやれ。まったく、現実的なものにはどこまでも夢のない奴だな。非現実に見せる積極性をピコグラム単位でも振り分けてみたらどうかと提案するね。それだけでも、お前には男共がわんさと群がってくることだろうぜ。黙ってりゃあもっと良い。 「ド馬鹿キョン! つまんない奴らがいくら集まっても、あたしの欲求は埋めらんないのっ!」 壊れたミニカーのようにキーキー言っていたハルヒは、俺に近づいてきて急に止まったかと思えば、俺の心臓あたりをスイッチを押すようにしつつ不敵な笑みを浮かべ、 「だからね! あたしが集めて作ったSOS団は、みーんな粒ぞろいの精鋭なのっ! 全員一緒なら意図せずとも世界は盛り上がっちゃうって寸法よ! わかるわねっ!」 「……ああ、よく分かってるさ。もちろんだ」 ――そうだとも。佐々木の閉鎖空間をめちゃくちゃにしたあいつらなんかとは、SOS団は全く存在を異にする。 俺たちだってそれぞれ形は違っちゃいるが、いつの間にかそれはパズルのようにガッチリ組みあがって、今では全員で一つのものになっていたんだ。前回の事件で、俺たちはそれを身にしみて感じる事が出来たのさ。 ――そして、その中心にいるのは……ハルヒ。いつだってお前なんだ。 「なにアホヅラかましてんの! そんな暇あったらとっとと書きなさい! ちなみにテーマ変えはなしっ!」 それは変えて欲しかったが、俺はもうハルヒに抗弁をたれるまでには至らなかった。 ハルヒは憤怒しているように見えたが……その表情はまさに、楽しくて堪らないともの語っていたからな。 しかしいつまで経っても団員の誰一人としてポエムを完成させることはなく、修練の結果は翌日に現れるといったハルヒ理論により、詩の作成は宿題という形で団員に背負わされ、俺たちは普段よりも重い足取りながら、いつもの並びで帰路についていた。 「もしかしたら涼宮さんは、己の能力と僕たちの正体に気付いているかも知れません」 何の脈絡もなしに世界が終焉を迎えそうなことを言い放っているのは、もちろん古泉である。 「そりゃまた、えらく段階を踏まない話だな。なぜそう思う?」 ハルヒと朝比奈さんが先頭、次いでハードカバーを読みふけりながら歩く長門、そして最後尾の俺と古泉。 古泉は部室からずっと手に持っていた物を俺に見せるように掲げ、 「……これですよ」 「って、ハルヒが作った只のサイコロじゃないか」 テーマ決めの際に使用された八面体の紙製サイコロだった。 ちなみに、このサイコロ君は生まれて間もなく存在意義を失ってしまった可哀相な奴である。 というより、また使われるようなことがあっては堪らんので、俺としてはいち早く鉄のゆりかごの中で眠って頂き未来人に起こされる日を待って頂きたい次第である。……そういえば、タイムカプセルって自分たちで掘り起こすもんだったよな? 「その話はまた別の機会にしましょう」 古泉の提案を拒む理由は皆目なかったので、俺は話を聞く態勢に入った。 「何故、今回のテーマを涼宮さんがこのような物で抽選したと思います?」 「そりゃあおそらく、学食でテレビでも見ててネタを頂戴したんだろ」 ふむ、っと古泉は視線のみを数瞬だけ横に流して、 「たとえば、涼宮さん自身がクジの偶然性に疑問を持っていたとします。そして無意識の内に、確率を確認するのにはこの上なく最適であるサイコロという手段を取ったのであれば……涼宮さんは表層の意識に限りなく近い所で、己の能力の存在について勘付いているという可能性が示唆されます」 それを聞いた俺は「へえ、」と一呼吸おいて、 「考えすぎじゃないか? あと、お前たちの正体に気が付いてるという予測は何処から立つんだ?」 ほのかに微笑んだ古泉は手に持っていたサイコロを俺に渡し、俺がそれをつぶさに眺めていると、 「これに書かれているテーマですよ。偶然にしては……余りに、僕らが有する要素に対して的を射すぎている。なので涼宮さんは僕たちの正体を心の何処かで知っていて、これによって確証を得たいのかも知れません。これも多分、無意識の内の行動でしょうがね」 はん。年がら年中どこまでも特殊な存在と一緒に過ごしてたら、だれだって少しはそう思うだろうぜ。 「それも深読みし過ぎだろう。サイコロのネタだって、提供元はシャミセンの親類が経営する洗剤会社に違いない」 この言葉に古泉はいつものスマイルを取り戻し、 「そうですね。それに僕たちが一発で各自のテーマを当てなかった理由は、むしろ涼宮さんは自分にそんな能力があるということを否定したいからなのでしょうし、ひょっとしたら、単純に涼宮さんの力が弱まっているだけなのかもしれませんしね」 ん? ちょっと待て。一つだけ合点がいかない。 「……俺のテーマが『恋』になった理由は何だ?」 「それは本当は朝比奈さんが未来人であるように、あなたも本当は恋を」 「なあ古泉。だいたい生徒会長は何でまたこんな時期に文芸活動を要求してきたんだ? まあ当初の要求は文芸部的なんてのじゃてんでなかったが。機関が関係してるのか?」 「それなんですが」 と古泉はスマイルのレベルを最小にまで下げ、 「これは僕らの手回しによるものではありません。会長なりに考えてみた結果なのかも知れませんが、若干、あの人に生徒会長の仮面が定着し過ぎている感が否めませんね。いえ、もしかしたら、喜緑さんの手によるものだったというのも考えられます」 「ほう。まあそれなら重要だったよな。長門に何かがあったのは分かってたのに、俺たちはその何かまでは知らなかったわけだし」 古泉はフフフと不気味に笑い、 「それなんですが、僕にはおおよその見当が付いています」 一体それはなん、まで俺が言葉を出したときだった。 ゴスンッ! ――今の音は長門の頭から出たのか電柱から出たのか、一体どっちだ!? ……なんて、不毛な論議に変換している場合じゃない。 「ちょっと有希っ! あたま大丈夫!?」 ハルヒは長門がアッパラパーになっていないか心配しているのではなく、本を読みながら電信柱に頭部を強打した長門を案じながら、怪我の有無を確認している。 そして古泉と俺は長門が電柱にケンカを吹っかけた光景を目撃して目を丸くし、朝比奈さんはわたわたと長門に気遣いの言葉を途切れとぎれでかけていた。 「心配しなくていい、平気」 いやゴッツンコした所が小高い山を作って、まだ春だってのに紅葉を迎えてるぞ? 「大丈夫か?」 駆け寄る俺に、 「ありがとう。……みんなも」 たんこぶを抑えるのをガマンしている様に見える長門が答えた。 「でも、珍しいわね。有希が物にぶつかるだなんて。そういえば……見た覚えがないわ。いつも本読みながら歩いてるってのに」 「別のことでも考えてて、そっちに気がいってたんじゃないか? 詩とかポエムとか……ポエムを」 「そ、そうなのかな……」 俺のギャグにハルヒは悩ましい顔を作ってしまったので、 「すまん冗談だ。多分、まだ調子が戻ってなくてフラついたんだろ。長門も読書は中断してハルヒたちと歩くといい」 「…………」 沈黙する長門をハルヒと朝比奈さんに任せ、俺は古泉の話の続きを聞くために後列へと戻った。 「長門さんに怪我はありませんでしたか?」 「ん、おでこがプックリだが心配なさそうだ」 「そうでしたか」 そう話す古泉は、どこか嬉しそうな面持ちである。 「なにか良いことあったか」 ムッとした俺が硬質な感触のする言葉を作ると、 「……むしろ現在、機関はある懸念を抱えて悶然としています。ですが、確かに最近の長門さんの変化については喜ばしいことのように思いますね」 「弱っている長門が良いってのか?」 それでは語弊がありますね、と古泉は微笑をたたえ、 「近頃、というか先程の長門さんもそうなのですが……とても人間味を感じませんか? TFEI端末として弱体化してきているというのは、ちょっとずつ長門さんが人間に近づいていきるという側面があると思うのです。それはあなたにとって嬉しいことでしょう? もちろん、僕にとってもね」 俺を目で落としてどうするんだと言わんばかりの温和な視線で、古泉はふわりと柔和な笑顔を作った。 「……そうかもな。俺にとって、そりゃもちろん嬉しいことだ。それに俺たちだけじゃない。ハルヒに、朝比奈さんに、そして何より……長門自身にとってな」 そう。長門にむける心配は、そろそろ見方を変えなけりゃならんのかもしれん。 力を失っていく宇宙人に対するそれから、細腕で柔弱な少女への気配りへと。 「ところで、お前が抱えてる懸念ってのは一体なんなんだ? 俺以外に話せる奴なんていないだろうし、話してみるだけでも多少違うんじゃないか?」 俺の言葉に古泉はどんな表情を出して良いのか解らないといった顔つきになり、 「……そうですね。話しておいた方が良いかも知れません。あなたには」 「なんだ?」 俺の目を見て、 「程ない以前、閉鎖空間と《神人》が久しぶりに乱発された時期がありましたよね?」 「ああ、佐々木とハルヒが出会った日以降だったっけ。お前でも疲労の色が隠せてなかったよな」 「それなんですが、閉鎖空間の発生は二週間ほど前……特定すれば土曜日にまるっきり沈静化しました」 土曜日? ――ああ、俺が佐々木たちと会合した前日か。だが、 「良かったじゃないか。この言葉以外に何がある?」 古泉は全然良くないことを話すような顔で、 「それが、不可解な点がいくつかあるのですよ」 「一体どこにあると言うんだ?」 「まず、何故に突然閉鎖空間の発生が沈黙したのか。機関の諜報部をもってしても原因が判明しません。そして他に……これは閉鎖空間内で《神人》の討伐を担う役割の僕や仲間たちしか感じないのですが……」 古泉は前方で談笑しているハルヒを一瞥し、 「閉鎖空間は世界中の何処にも発生していないにも関わらず、僕たちにはそれが存在しているという確信が、沈静化した直後から心の隅の方で、こうしている今でもくすぶり続けているのです。……それによって一つの推測が立つのですが、これは多分、あなたは聞きたくもない話です」 「聞きたくないかは俺が判断する。さわりだけ言ってくれ」 古泉は眼に真剣をやつし、神妙な雰囲気でこう言った。 「――涼宮さんが、まさに神と呼ぶに相応しくなったのではないか? という内容です」 「そうか。そりゃ全くもって聞くだけ無意味な話だな」 ハルヒが神だって? あいつはいつだって奇想天外な行動を起こしちゃいるが、根っこの方は特に変わりのない普通の女の子じゃないか。お前だって良く知ってるはずだろ。そんなの、考えるだけバカらしいってもんだ。 「ええ、全くです。仮にこの推論が当たっていたとしても、何が起こるのか皆目見当が付かない故に対処の方法も思い浮かびません。なので案じたところでどうにもなりませんし、ただの杞憂であればなお良いだけです。すみません、あなたはこの話を忘れて下さい。それに僕も――」 古泉は、長門の後ろ姿を温もりさえ感じる視線で見つめながら、 「……いかなる憂いすら、今の彼女を見ていると消し飛んでしまいますよ」 そうだな。俺たちが憂うべきものは、今のところ帰ってからどうやったらポエムを書かないで済むか考えることだけだろうぜ。 「……まあ、そうですね」 古泉はまた思案顔を作り、悩ましげに顎を支えていた。これはこいつの癖になっちまったのかね? 「無駄な心配はしないに限るぞ。時間と神経を無為に減らすだけだ」 いつもより元気はないが、それでも十分爽やかなスマイルで、 「……そうすることにしましょう。まあ、詩は頑張って執筆してみますがね」 「ああ。やっぱり俺もお前にならって机の前で頑張ってみるかね。思えば、書かないで済むかなんて思案することだって無駄なんだしな」 「ふふ。お互い頑張りましょう」 そうやって、その日俺たちはそれぞれ自分の家へと足を辿り着かせた。 ……さて、無から有を創造するある意味で神的な作業に入るとするか。 ――俺はこのとき、この平穏は当分の間続くものだと信じていた。 SOS団は今までにない程まとまっていたし、ハルヒと長門が落ち着いてきているのは良い変化だと疑わなかったからだ。 だが、それは違った。それらの吉兆は、裏を返せば……最悪な事態が引き起こされる前兆でもあったんだ――。 第一章
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※ 涼宮ハルヒの鬱憤のアナザーストーリーです 季節はもう秋。 空模様は冬支度を始めるように首を垂れ、 風はキンモクセイの香りと共に鼻をそっとくすぐる。 彼は人との出会いが自分の心の内を乱し、 少しずつ緩んできている事に時の流れを感じている。 夏休みから学園祭まで一気に進んでいた時計の針は 息切れをしたかのように歩を緩めていたが、 周りが熱を冷ましていくのとは相反するように 彼の日常は慌ただしく、動き出していく―――― 夢をつんざく音が聞こえる… 渇いた喉にイライラしながら鬱陶しい音に手を伸ばす。 無意識に一つ溜息が漏れた。 朝も寝起きから閉鎖空間か… ここの所、涼宮ハルヒの精神は安定していたが。 それは最近、暇と鬱憤を紛らわせてくれるイベント続きだったからか? 僕は安穏とした日々が続く事に満足し過ぎているのかもしれない。 何にせよ、発生してしまったものは仕方がない… 発生場所に到着するとスーツ姿の森園生が腕組みをしながら立っていた。 「森さん、今の状況は?」 森の鋭い目線が突き刺さる。 「古泉、遅い…連絡は行ってたでしょう? 朝だからと言って寝惚けている暇があったら もっと迅速に行動出来るよう心掛けなさい」 手厳しい、と言うか怖い。 いつも閉鎖空間に飛び込み神人と相対する度に感じる。 これは涼宮ハルヒの純粋な想いから溢れてくる水のようなもの。 綺麗だけど、切なくて、苦しくて、柔らかくて、暴力的で… これは本当に僕らが力ずくでも抑えるべき代物なのだろうか? 誰にだってある感情、僕自身にもある。 日常はつまらない、下らないと思い、溜息を漏らしては 幸せをまた一つどこかへ落としてくる事が…。 僕らは本当に世界の安定に一役買っているのだろうか、と。 「ご苦労様」 森は笑顔で皆を出迎えた。 「今日のはそれほど大事にならずに済みました。 以前の報告通り涼宮ハルヒは最近、彼の成績等、色々と思う所があるようですから 機関としても何らかの対策を打たないといけないかもしれませんね」 森は首を傾げた。 「そうね。私にも経験あるけれど女の子にはそういう時がままあるものよ」 女の子って歳じゃ… その時の頭の中を見透かしたような森の視線に一旦、思考を停止させた。 「何の大事件も起こらずに安定していてくれないものかしら…」 腕時計を見ると10時を回っている。 「また遅刻か…今日、学校サボろうかな?」 ふと漏れた愚痴にもならないような言葉に森が噛み付いてきた。 「古泉、またあなたは機関の仕事にかこつけてすぐにサボろうとする! もうちょっと機関の人間としての自覚を持ちなさい。 あなたは機関の人間の中では涼宮ハルヒに最も近しい人間。 彼女を監視し、彼女により安定した日常を過ごしてもらうのに 機関にとってあなたの存在が重要な鍵である事は重々、承知しているでしょう? それに機関はあなたに学業まで疎かにしろとは言っていない。 新川に車を用意させたから、時間のある時はちゃんと学校に行きなさい」 また森さんに説教された… 車は朝の街の喧噪の中を学校へ向かって滑り出した。 僕がサボらず学校に行くように森さんの監視付きで。 1年半この学校に通ってきたがSOS団の部室以外では この時間限定で、この人のいない学校までの坂道は結構、気に入っている。 「古泉、今日は夜の9時から定例会議がありますから 涼宮ハルヒの監視後にちゃんとサボらないように顔出しなさいよ」 はい、了解です。僕の作り笑顔はこの人に鍛えられたといっても過言ではない。 キンモクセイの香りが鼻をくすぐる坂道は秋になり涼しく寝そべっている。 昼休み、SOS団の部室に足を運ぶと部屋の中から 廊下まで響く涼宮ハルヒの上機嫌な声が聞こえてきた。 どうやら朝までの不安定な精神は落ち着きを取り戻したようだ。 「ふっふっふっ…ハロウィンよ!!小さい頃、読んだ絵本には 魔人、ドラキュラ、フランケンシュタイン、魔女、黒猫、コウモリ、ゾンビ、 黒魔術なんかが出てきて、事件と謎の匂いがプンプンする話だったわ。 という訳で今週はハロウィン調査を開始するの。 ハロウィンってまずはコスプレから始まるのよね。 だからまずは全員どんなコスプレにするかパソコンで調べないと!!」 なるほど、また新しい『遊び場』を見つけた訳ですか。 そっと部室に入ると何やら話し込んでいるようだった。 「へぇ~、ハロウィンではお菓子を配るのね。 ついでに秋の味覚も集めちゃおうかしら?」 長門有希も珍しく強い興味を示したようですね。 僕も秋の味覚には興味あります。 「ハロウィンパーティーですか、面白いアイデアですね」 彼に話し掛けると驚いたような顔をこちらに向けてきた。 まるでくり抜かれたハロウィンのカボチャのような顔ですよ? 「じゃあ、決定ね。古泉君、みくるちゃんと?あとせっかくのパーティーだから 鶴屋さんにも伝えといてくれる?受験勉強の邪魔でなければって」 思い付いたら即行動、涼宮ハルヒの精神にここまでのエネルギーが 満ち溢れていれば、余程の事が無い限りは大丈夫でしょう。 「わかりました」 「じゃあ行くわよ、キョン」 ケルト民族のハロウィン祭ではひとつの大きな篝(かがり)火から 村の家々に火を分け合う事でお互いを 共通の絆を持つ一つに繋がった輪としている。 SOS団にとってその絆は涼宮ハルヒという 大きな篝火を中心にして出来たものだろう。 時々、全てを燃やし尽くすように暴れるその大きな篝火を鎮める為、 彼は水になりたいと願っている。 ただ、今の彼に出来るのは彼女に向かって欺瞞の笑顔を差し出す事だけ。 いつか素直な気持ちで友として笑い合いたいと願っている―――― 涼宮ハルヒが形式的な連絡網と称して交換した為、 一応、SOS団に関わる面々の連絡先は入手している。 メールは時々、素の人間性が引き出される事があって苦手です…。 まずは森さんに報告ですね。 あと、涼宮ハルヒの為と称して機関に秋の味覚も要求しちゃいましょう。 To:森園生 タイトル:報告 本文:お疲れ様です。古泉一樹です。 涼宮ハルヒの急遽の発案により、 ハロウィンパーティーを開催する事になりました。 彼女の精神は朝とは違い、非常に安定したものと見受けられます。 彼女はお菓子や秋の味覚なども所望している様子です。 機関でも多少、用意して頂けると幸いです。 ふぅ~…機関や森さんへの報告はお決まりの文章で楽なのですが、 次は朝比奈みくるへのメールか…文面が難しいですね…。 朝比奈みくるは僕を含め、機関に対して強い不信感を持ってますからね。 あまり強い刺激を与える事で警戒心を抱かせ、今後の活動に 悪影響を及ぼしたくはありませんね。 文面を少し明るめにしておいた方が宜しいのでしょうか? To:朝比奈みくる タイトル:無題 本文:どうも!!古泉一樹ですアヒャヒャヘ(゚∀゚*)ノヽ(*゚∀゚)ノアヒャヒャ 涼宮さんの発案により今週のSOS団の活動はハロウィン調査を行うそうです。 お菓子と秋の味覚を集めたハロウィンコスプレパーティーも開くそうなので 時間の都合が付くようならば鶴屋さんもお誘い下さいとの事です(m。_。)m では、宜しくお願いしますo( ▽▽ )oキャハハ 頑張って絵文字を使ってみたのですが、 皆さんが僕に対して抱いているイメージより 多少、メールのテンションが高過ぎたでしょうか…? 送信ボタンを押してから少し後悔しています。 おや?もう森さんから返信がありましたね。 From:森園生 タイトル:Re 報告 本文:ハロウィンの件に関しては了解致しました。 速やかに上に掛け合い、準備に入ります。 恐らく何の問題も無く、通過すると思われます。 ただあくまで涼宮ハルヒの監視と精神の安定の為という目的を忘れずに。 あなたは時々、遊び心が過ぎますからね。 色々とバレているのでしょうか?怖いですね…。 そうだ。絵文字の使い方に関して森さんに絵文字を使ってみて 使用法などに問題が無いか、確かめてみる必要がありますね。 森さんからなら的確なアドバイスが得られそうな気がします。 To:森園生 タイトル:Re Re 報告 本文:了解ですO(≧▽≦)O ワーイ♪ お手数お掛け致します!!アリガタビーム!!(ノ・_・)‥‥…━━━━━☆ピーー 機関からの支援の事をハロウィンパーティーの発案者でもある 彼ら2人にも伝えておきますか… そういえば携帯電話に入っている彼のメモリーを見るといつも思うのですが、 彼の本名ってなんでしたっけ?キョンとばかり呼ばれているので ついつい忘れてしまいますね。 涼宮さんと仲良くやっていてくれると良いのですが。 To:Kyon タイトル:無題 本文:今朝まで発生していた閉鎖空間も消えてくれて、 機関も僕もあなたにはいつも感謝しきりです。 お礼といっては何ですが、僕と機関から 今回のハロウィンパーティーに幾分かの差し入れを出します。 涼宮さんの事はあなたにお任せします。 では、頑張って下さいねp|  ̄∀ ̄ |q ファイトッ!! お?森さんは仕事だけでなく、いつもメールを返すのも早いですね。 さすが機関の中枢を担うお方だ。 From:森園生 タイトル:Re Re Re 報告 本文:もう一度言いますが、ちゃんと気を引き締めなさい。 あと、あなたが絵文字を使うのは気持ちが悪いから止めなさい。 森さん…的確なアドバイス、ありがとうございます………。 秋の空というものはどうにもうつろいやすいもので それを人の心に例えたりもしますが、 雨には気持ちもしょげるもの。 夕方になり降り出した雨は雨脚を強め、 街をオレンジ色から灰色に変えていく。 朝比奈みくると鶴屋さんが持ってきたスモークチーズの香り漂う SOS団の部室では3人が三者三様の時間を過ごしています。 朝比奈みくるは妙な沈黙に耐えられなかったのであろう… お茶を2人に差し出しながら話し掛けてきました。 彼らがいない時にこうやって会話を交わすのは慣れないものです。 「涼宮さんとキョンくんのいない部室って静かですね。」 「そうですね。こういう部室も嫌いではありませんが、やはり物足りないですね。 ところで鶴屋さんはどこへ?」 「チーズに合う飲み物が必要とかでどこかへ行ってしまいました。」 「それは危険な香りがしますね。」 その時、大きな足音が聞こえたと思うと勢いを付けて扉が開きました。 「お待った~!!」 鶴屋さんでしたか。 「おっや~、あの2人はまっだ帰ってきてないっかな~?? ま~たどっかでイチャついてんのかね~?」 「鶴屋さん、それ…」 「あぁ、ワインっさ!」 「だ、大丈夫なんですか~?受験前に。」 「めがっさ美味しいにょろ!まっ息抜き♪息抜き♪まずは軽く一杯。」 息抜きの範疇を超えてますね。? 「遅いですね~涼宮さんとキョンくん…」 と、音も立てずに静かに扉が開くと雨でずぶ濡れの彼が1人で立っていました。 非常に嫌な予感がしますね。 「あれ?涼宮さんは?」 「分からん…」 「私は付き合いだけで無理して皆とここにいる訳じゃありません!!」 朝比奈みくるが珍しく、怒りを露にしている。 「ごめんなさい…」 「なんでキョンくん、そんな事言ったんですか!? いい加減、涼宮さんの気持ちに気付いてあげて下さい!! 涼宮さんは私達の為というよりもキョンくんの為に きっとこのハロウィンパーティーをやろうって言ったんですよ!」 涼宮ハルヒはここ最近、部室で色々と計画を練っていたが… ハロウィンパーティーにはやはりそのような意味があったのですね。 「涼宮さん、キョンくんが最近、成績の事とかで悩んでるってずっと気にしてたんです。 だから涼宮さん、部室にいる時に一人でキョンくんの為に解説用のノートや 一緒に期末テストの勉強する為のスケジュール作ったりして、 来週からはスパルタで行くから今週くらいはキョンくんと 何か息抜き出来る事して気持ちを晴らして羽を伸ばしておこうって言ってたんです!」 「あ~ぁ、今回はやっちゃったね~!キョンくん。」 今の鶴屋さんの意見には実に同感です。 事の顛末を簡潔に申し上げますと、 涼宮ハルヒは彼が最近、学業の成績などで悩んでいる事に危惧し、 期末テストで彼の手助けをしようとしていました。 その前に溜まっている彼のストレスをパーッとガス抜きさせる為に SOS団でハロウィンパーティーの企画を立ち上げたのだが、 その事に対し彼は涼宮ハルヒに受験生の朝比奈みくるや鶴屋さんまで こんな下らない事に巻き込んで計画性が無さ過ぎる、自分は帰って勉強がしたい と、涼宮さんに責め立て街中でそのまま喧嘩別れしてきたという… 最近は彼とも打ち解けてきて僕も彼との友人関係を継続したいと 願ってはいますが、今だけは彼の事を『この男』と呼ばせて頂きたい。 この男は時々、とても無神経になるのが癇に障る。 涼宮ハルヒの想いに気が付いていない訳がないとは思うのだが… 涼宮ハルヒを監視し、安定に導く為の鍵としてこの男の存在は欠かせない。 それがここまで鈍感だとさすがにイライラしてくる。 機関で拘束して拷問にでも掛けてやろうかという気さえしてくる。 あぁ~…やはり案の定、機関からの連絡が入ってきた。 「ふぅ~…すみません、どうやら急なバイトが入ってしまったようです。」 この男を睨みつけて恨み節を放った所で何も解決しないのは百も承知なのだが…。 「まぁ正確には涼宮さんらしく、団長の責務として団員の世話まで しっかりやらないといけないから大変だ、とおっしゃってましたが。 あなたの悩みは彼女の悩みでもあるんですよ。」 しれっとまるで分からないという顔をしているのが非常に癪だ…。 さすがに鼻につきますよ、その態度には。 「まだ分からないんですか?彼女からすれば何故、自分に相談してくれないのか? 悩みがあるなら共有してくれないのか?とね。 あなたに涼宮さんをお任せしたのは失敗でしたかね…では、失礼。」 少しばかり感情的になり過ぎたようだ…。 ただこの男に一言でも言わないと気が済まなかったのも事実。 しかし、一日で2回目ともなるとさすがにうんざりだ…。 森さんに一度、連絡を取っておこう。 「もしもし、古泉です」 森さんの携帯からノイズ混じりの声が聞こえる。 「緊急事態なので私が車を回します。話はそこで伺います」 と言われ、一方的に電話は切られた。 坂道を下ると猛スピードで黒塗りの車が目の前に滑り込んできた。 「乗りなさい、古泉」 助手席に乗り込み、事情を説明していると 森さんの表情は見る見る険しくなっていった。 隣にいる僕でさえ、緊張してしまう程だ。 「…という事だそうです」 その話を聞いた森さんは両拳をハンドルに一度、思いっきり叩き付けた。 「あんの鈍感男!!何、考えてんのよ!?」 …も、森さん? 「あれは本当に女心の欠片も理解していないわね!! それとも知っててわざとそんな真似してんの!? ただの度胸が無いヘタレ!?それともゲイか何か!? 少なくとも男の風上にも置けない奴だわ!!」 さすがの僕でもここまで怒り狂っている森さんは見た事がありません… 「大体、何よ!?のらりくらり逃げてばかりで、 涼宮ハルヒにキスするなり、押し倒すなり、さっさとヤっちゃえば良いのよ!!」 いや、さすがにそれは… 「か、彼にも彼の想いというものがありますから。そこまで強制させる訳には…」 森さんの勢いに気圧されて僕が逆になだめる立場になってしまった… 「分かってるわよ、そんな事!!でも、それならそれで真摯な応え方というものが あるでしょうが!?一言、言ってやんないと気が済まないわ!!」 そういえば、ちょっと前に森さん、男と別れたとかで 酒に溺れて愚痴をこぼしながら暴れ回ってたな…女は怖い…。 現場に付くと落雷と豪雨が入り混じった暗闇のような閉鎖空間が ぽっかり口を開けていた。 「これは非常に危険な状態ですね。このような閉鎖空間は初めてです」 冷静さを取り戻した森さんが話し始めた。 「どうやらこれまでのものとは形も歪で性質も全く異なるもののようね。 今、機関の人間を総員配置して解決に当たっています」 「世界が呑み込まれてしまう危険性もありますね。とにかく空間内に入ってみます」 閉鎖空間の入り口に手を伸ばした瞬間、雷に打たれたような衝撃が走り、 弾き飛ばされてしまった…空間内に侵入出来ない…?何故? その時、空間内より機関の仲間である能力者達が投げ出されてきた。 「皆さん、どうなさったのです!?」 能力者達は怪我を負っている。機関の能力者の中でリーダー格の男が語り始めた。 「分からん…閉鎖空間より追い出されてしまった。 空間内に涼宮ハルヒが存在している感覚は掴める。 しかし、どうやら涼宮ハルヒはこの世にある全ての存在を拒絶し始めたようだ。 私達の能力も上手くコントロール出来なくなっている」 「新川!!」 森さんは新川さんを呼び寄せながら僕の肩に手を置いた。 「とにかく彼らの治療は新川に任せましょう。 機関でも最も能力の高い部類に入る古泉の能力を持ってしても 駄目だというのならもう手は一つしかありません」 今は不本意だが、機関の人間が手を打てないとならば やはり涼宮ハルヒに対しては鍵としての彼の力に頼り、協力を仰ぐしかない。 新川さんと怪我をしている他の能力者達は治療に向かい、僕はこの場で待機。 彼を捜し、迎えに行く役は森さん自らが有無を言わさずに自分がやると申し出た。 きっと彼に対して森さんはどうしても『一言』言わないと気が済まないのだろう。 精神的に潰されなければ良いのですが…。 待機と言っても駅前の広場で一人立ち尽くしているだけだから 特にこれと言ってやる事も出来る事もない。 閉鎖空間には相変わらず、拒絶されたままだ。 雨脚が強くなってきた。傘に打たれる水の音が激しさを増していく。 「古泉君…」 ふいに声を掛けられた。振り返るとそこには朝比奈みくると長門有希の姿があった。 「朝比奈さん…長門さん…どうなさったのです?」 傘を差している二人の髪は秋雨に濡れていた。 「キョンくんと古泉君が飛び出していってから私達、 いてもたってもいられなくて…力になる事は出来ないかもしれませんけど、 キョンくんと涼宮さんの事、放っておく訳にもいかないんです」 それでとりあえず彼ら二人が喧嘩別れしたこの駅前の広場にやって来た訳ですか。 「僕も同じ想いです。どうも彼ら二人は素直じゃないと言いますか、 最近は友人として見て見ぬ振りが出来なくなってきました」 これは率直な想いだ。 以前の僕なら現状維持で見過ごすべき所は見過ごしていただろう。 「…そう」 3人、広場で雨に打たれながら無言で彼を待っていた。 結局、僕らはなんだかんだ言いながらも お互いを信頼し合っているのかもしれない。 その時、黒塗りの車が水しぶきを立てながらブレーキを掛けた。 「お待ちしていましたよ。」 涼宮ハルヒという暴走したアクセルに対してブレーキとなれるのはあなただけ。 これでも僕らはあなたのやる時はやるという一本、芯の通った所が好きでもあり、信じてもいます。 「情報統合思念体は混乱している。 現在の涼宮ハルヒは有機生命体の持つ全ての感情を?強い力で衝突させ、爆発を起こしかけている。 本来、情報統合思念体にとって感情とはエラーと認識されるもの。 それが処理出来ないほどの量と質で埋め尽くされている。 情報統合思念体にとって自らの存在を消去し得る 触れる事は危険且つ、不可能な領域として認識した。 だから、あなたに任せる。」 最後の一言こそ、複雑な想いを抱えながらも長門有希の本音なのだろう。 「キョンくん…さっきは怒鳴ったりしてごめんなさい… でも、キョンくんにしか涼宮さんを助ける事は出来ないと思うの。 キョンくんの素直な気持ちをちゃんと伝えて、お願い。」 今回ばかりはのらりくらりと逃げる事は許されませんよ。 きちっと責任を取るつもりで覚悟を決めて下さい。 「では、ここからが閉鎖空間の入り口です。?僕らはこれより先には進めません。 ですが、あなたならきっと大丈夫です。 いえ、あなたにしか出来ません。」 涼宮ハルヒはきっとあなただけは拒絶する事はないはずです。 何故なら、彼女はいつもあなたの傍にいてあなたと共に行動する事が 何よりも好きなのだから。 彼が一人で閉鎖空間に飛び込むのを見送るともうやれる事はない。 やはり全てを拒絶するあの空間も彼だけは受け入れてくれたようだ。 あと僕らに出来るのはただ待つのみ。 僕ら3人と森さんは激しくなった雨に打たれながら雷の音を聞いていた。 「皆さん、お車の中で待機なさってはいかがでしょう?」 森さんが愛くるしい笑顔を僕らに向けた。 あぁ~…僕だけの時にもこれくらいの柔らかい態度で接してくれたなら どれだけ機関の仕事が楽になるだろう… 朝比奈みくるは頑なに車に乗るのを拒否していた。苦い思い出があるからだろう。 まぁ、僕らも車の中で安穏と過ごすつもりは毛頭ない。 「大丈夫ですよ、森さん。僕らはここで待ちます」 「そうですか」 さっきから気になっている事を2人には聞こえないように森さんに訊ねてみた。 「…ところで森さん。彼にはなんとおっしゃったんですか?」 森さんの目が鋭く光った。 「飴と鞭、というところでしょうか。 私は訓練により精神破壊系の拷問テクニックも身に付けているから」 その時の森さんの笑顔ほど僕を凍り付かせ、震え上がらせたものはなかった。 ニッコリと微笑む悪魔のようにただただ怖かった… この人だけには悪戯心の冗談でも逆らわないでおこう。 そう心に誓った。 雷鳴が遠のき、雨脚が弱まったかと思うと街の喧噪が騒がしくなった。 さっきまで分厚い雲に覆われていた空は風と共に流れ、 雲の隙間から眩しい夕陽が顔を出している。 「どうやら彼ら二人は無事、仲直りしてくれたようですね」 今、気が付いたのだが僕はいつもの笑顔を忘れていた。 僕もそれなりに緊張していたのだろうか? 「良かったです~、キョンくんはちゃんと涼宮さんに 素直に想いを伝えたのでしょうか?」 「きっとそうでしょうね。彼は普段は鈍感極まり無い方ですが、 やる時はやる方ですから」 「…そう」 今、彼ら二人がどこにいるのかは分かりませんが、 二人の時間を邪魔するような無粋は止めておきましょう。 「さて、僕ら3人は部室にでも戻りますか?」 「そうですね~♪」 その時、森さんが僕の耳元でそっと囁いた。 「ハロウィンの件は許可がおりましたが、鶴屋家との相互不干渉の取り決めより どちらか一方が、という事になりました」 なるほど、そうですか…。 「では、きっと鶴屋家で準備して頂けると思います。 決まり次第、また連絡を入れます」 「了解致しました。あと、あなたも分かっている事だとは思いますが、 私へ報告のメールをする際、もう決して二度と絵文字は使わないように」 ハハ…そんなに気持ち悪かったのだろうか…? 嵐来りて大暴れ。 上へ下への大騒ぎ。 嵐は去りて一番星。 誓いを立てて笑い顔、 夢か現か幻か。 「ではこれより!SOS団ハロウィンパーティーを始めます!!」 結局、部室では時間が遅いと言う事で急遽、鶴屋家で お菓子と秋の味覚を取り揃えた あまりにも豪華なパーティーを催す事になった。 涼宮ハルヒと鶴屋さんはタッグを組んで朝比奈みくるに セクハラまがいの行為を繰り返している。 長門有希は相変わらず、物凄い食欲だ。 僕自身も涼宮ハルヒに渡されたドラキュラの格好をさせられている。 僕にとってSOS団のメンバーと過ごすこういう時間は かけがえの無い大切な時間となってきている。 機関の命令により、仕方無しに参加していたかつてなら 考えられなかったくらいの心境の変化だと自分でも実感している。 涼宮ハルヒはミニスカートの妖精、鶴屋さんは幽霊、朝比奈みくるは黒猫、 長門有希は魔女、そして彼はカボチャ…。 涼宮ハルヒは一体、このカボチャのコスプレをどこから持ってきたのでしょうか? 「今回もあなたに助けられましたね」 「まぁ、今回は俺が原因でもあるからな。色々すまんかったな、古泉」 「いえ。初めに話を聞いた時は機関で拘束して?拷問にでも掛けようかと思いましたがね」 本気で手配しようかと考えたくらいです…。 「で、涼宮さんとは付き合う事になったんですか?」 おやおや…せっかくの秋の味覚を吹き出してしまうなんて実に勿体ない。 「ば、馬鹿言うなよ!」 「おや?今回もキスしたんじゃないんですか?」 「しとらん!」 全く…なかなか彼ら二人は先に進んでくれませんね。 ここは一つ… 「それは……また森さんが怒りますよ」 脅しをかけておきましょう。 「キョ~ン!」 「なんだ?」 「あんた、美味しそうなもん食べてんじゃないのよ」 「やらんぞ。自分で取れ」 「ケチ!うりゃ!」 「おい、取るなよ」 「だって私、この付け合わせの甘い人参、好きなんだも~ん」 まぁ、でも今回は元の関係に修復出来ただけでも良しとしましょう。 「じゃあ、お世話になりました~!」 「良いって事さ~!今度はクリスマスだね!」 「おやすみなさ~い!」 宴もたけなわ、ですね。 来週からはしばらく期末テストに向けての試験対策。 しっかりやらないとまた森さんや機関の上層部にどやされる…。 「では、僕もこのへんで」 「…同じく」 「わたひもおうひにかえりまひゅ~」 お二人のお邪魔になるでしょうから 泥酔している朝比奈みくると長門有希は僕が送り届けますよ。 「では、涼宮さんを家まで送り届けて下さいね」 二人っきりの時間はチャンスですよ、勇気を振り絞って下さい。 「キョン!」 「はいはい。」 「はい、は一回。」 「はぁ~い。」 彼は一つ決めました。 これからはあの二人を見守っていこう。 自分が入り込めるような隙間は無い。 時には譲れず、手を出す事はあったとしても 友人として接していこう。 冬も間近な秋の夜。 空に浮かぶ星達は遠い遠い所から 優しく光を落としています。 彼は待ち望んでいます。 まだまだ遠い将来にいつか彼らと心を開き、 ただただ笑い合える日を―――― The End