約 1,954,387 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1794.html
拳と拳、剣と剣がぶつかり合う。 ここはバトルロンド筺体、神姫達の戦場である。 「しばらく見ないうちに、随分と腕を上げたな …マオ。」 ビームセイバーを持ち、澄ました顔で答える犬型ハウリン。 氷男聖憐所有の神姫"零牙"だ。 「ニャーだって、いつまでもアホじゃないのだ!」 両手にドリルを装備し、鋭い回転音で相手をけん制する猫型マオチャオ。 真光一所有の神姫"マオ"である。 "蒼穹の猟犬"と"まるかじり猫子"。 アオゾラ町神姫センターの二つ名持ち同士の対決であった。 「行くぞ!!」 「ツインふぁいなるドリドリあたーっく!!」 お互いの武器が交差する直前、それは起こった。 目の前に、突如として光の濁流が起こり、二人を呑み込んだ。 「!!」「にゃっ!?」 かしゃん 光が消えた時、そこには倒れた二人の姿があった。 『マオ! 一体何があった!?』『零牙、聞こえてますか…!?』 しかし、その眼は虚ろで、何も映していない。 ただ、死んだように動かないだけであった。 緊急事態発生、バトルを中断します。 (なんて事だ…ッ!!) 苦虫を噛潰した表情で、長瀬が呟く。 神姫のAIデータ、すなわち"魂"を盗む行為は、裏バトルではよくある事だ。 この前も、"G"の暗躍によって犯罪グループの一つが検挙されている。 しかし、今回のは初めてのケースであった。 ごく普通のバトルロンド筺体で、同時に複数の神姫が"魂"を抜き去られている。 「長瀬さん、一体何が起きたんですか?」 「いや、なんでもない。…今日は臨時閉店だからもう帰ってくれ」 偶然、センターに居なかった形人が聞くも長瀬は無回答であった。 (くそっ…) 『お客様に申し上げます。只今バトルロンド筺体に致命的なトラブルが発生しましたので、誠に申し訳ありませんが対戦コーナーを臨時閉鎖させていただきます。お客様には大変なご迷惑を…』 街中のとあるマンション。 「さて…どうするか」 長瀬は考えていた。 彼も裏社会で活動する者である。"G"には劣るが各種技術はプロ級の腕前を持っている。 しかし、彼には警察へのツテが思い当たらない。 犯人逮捕なくては事件解決にはならない。 しかし、どうする? 「センターから持ってきたログから、ハッキングすべき場所は特定してある…が。救出しても元をそのままにしておけば…」 「また、同じ事をする…ですね大尉」 ベルクトの模範的解答に、思わずため息をつく。 「あの、なにかいけない事でも…?」「いや、違う」 「"G"に依頼すれはいいんじゃないの?」 「ジュラ、エルゴはこの時期忙しいのですよ。これ以上手間を増やしたら、店長が倒れてしまいますよ」 この前だって、裏ルートでラースタチュカの修理を依頼した。その時、彼の目の下にはクマが出来ていた。 たぶん、また事件を解決したのだろう。彼には少しでも休養が必要だ。 「…そうだ! そう言えば先輩がMMS犯罪担当だったな…。何で思い出さなかったのだろう」 「先輩…ですか?」 「ああ、あいつなら俺のやっている事も知っている。…たしか電話帳に…」 「先輩をあいつ呼ばわりですか…」 ~・~・~・~・~・~・~ 「データリンク。…準備完了だ」 ラスター、ジュラの体には直接コードが装着されていた。"魂"の、電子世界への突入のためである。 コードは小型端末からUSBを通して接続されている。 端末には、メモリースティックが四つ。電子世界用の武装データと、 万が一、還ってこなかった場合のバックアップ。 「…絶対に帰って来い。俺は身内に死なれるのが嫌いなんだ」 「解ってるよ、祁音」 「ご無事を祈ってます、先輩」 "副業"とは無関係であるベルクトが、ジュラを心配そうに見る。 「…キャプテン。いえ…マスター」 「なんだ?」 少し、恥かしい表情を見せるラスター。 「もし…、私が消えても…私はマスターの側に居ます」 「どうした? いきなり」 「マスターが"バックアップ"に私たちをコピーしてないのは、始めから…マスターと出会ってこの仕事を始めた時から知っていました。 本当は"相手にだって死んでほしくない"、それはマスターが昔よく口にしていたではないですか…」 「甘い考えね…」 ジュラは口をはさむ。が、直ぐに黙った。 「だから…本当は私だって…あの子たちを屠るのは嫌なんです…。でも…」 「"でも"?」 「でも、それが人間に危害を与える…罪のない神姫(こ)たちを毒牙に掛けるなら…私は堕天使になります」 「もういい、お前の気持ちはよく「私は…自らの生まれを呪っています」…!?」 長瀬が見た時。彼女は、目から無数のしずくを零していた。 「ラスター…」 「私が…、人間に生まれていたら……」 「あなたをこの手で抱く事が出来たのに……っ!」 人差し指をそっとラスターの頭にのせ、撫でる。 「…ラスター、そんな事で悩むな」「えっ…」 「人間と神姫、サイズは違えど心は一緒だ。悩み事があったら俺に言え」 「…」 「なるべく、叶えてやるから」 そう言う長瀬の顔には、笑顔。 「……そうやってすぐはぐらかす、…マスターの悪い癖です」 そう言い抱えた両膝で顔を隠す、だがその顔は林檎のように真っ赤であった。 「ねぇ? だったら今度、新型の長距離ミサイル買ってくんない?」「わたしはレールガンが…」 「お前らシリアスも緊張感もないな…」 "やっぱりこうなるか"と、長瀬はため息をついた。 二人は電子の世界へと飛び込んだ。 優先事項は、攫われた魂たちの救出。 次点は各種証拠の獲得である。 現時点で、成功する確率はよく解らなかった、 後編へ行く 流れ流れて神姫無頼に戻る トップページ
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/3386.html
作者:◆F0XrL54NJs 2011/12/23開始 オリキャラで俺得バトルロワイアルのSS時系列順 オリキャラで俺得バトルロワイアルのSS投下順 オリキャラで俺得バトルロワイアルのキャラ別SS表 オリキャラで俺得バトルロワイアルの名簿 オリキャラで俺得バトルロワイアルのネタバレ名簿 オリキャラで俺得バトルロワイアル死亡者リスト
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2619.html
「二輪車制作大手制作神姫について語る。」 そんな見出しで始まる新聞の地方紙面。埼玉市与野を拠点として企業活動しているオーメストラーダが新規産業参入のために設計・制作している神姫について語る記事が掲載されている。 社長曰く 「神姫に二輪ならではのノウハウを生かし、新たな魅力を生み出します。」 と現在制作している神姫についてコメントしていたとのこと。(二輪のノウハウと神姫がどう組み合わさるんだ?) そう新聞を読みながら朝食のたくあんをコリコリと噛みつつ義弘は仕事前の朝のひとときを過ごしていた。今日は総合病院ではなく診療所での仕事になる。一昔前は学校を出れば専門的な経験がなくても個人での開業できていたが、一部を除いた拠点となる病院では慢性的な人手不足を招く結果となってしまっていた。今では医者をするには、地区の拠点とな病院に必ず籍を置いて主に拠点病院で活動をおこなう。そのうえで科ごとに所属医師をローテーションで地区にある診療所に派遣され、診療所をあけるという形態をとるようになっていた。今日は義弘は診療所での業務である。 (想像がつかん。)そう思っていたが、父義昭曰く2010年ぐらいにはバイクに乗ってトレーディングカードゲームをするアニメがはやっていたらしい。その話を聞いたときは、(何故わざわざバイクに乗ってカードゲーム?)と聞いた頃は考えたが、いつ時代も用はアイデアとものは考えようなのだろう。 (ずずっ)と最後に残ったわかめの味噌汁をすすり、しばし沈黙。 「・・・・・普通だ。」 「おいしくないですか?いつもと作り方は変わらないはずなのに。」 そう部屋の隅にある本棚の方から女性的な声で反応が返ってくる。 ここは一人暮らしの義弘の自室である。神姫達もいないし当然誰もいないはずの部屋で義弘に言葉を返したのは本棚の一番上の棚に鎮座している球体型人工知能太極図だった。 太極図 バレーボー位の大きさで全面に表示の為のパネル兼タッチパネルで構成されている。元は父義明が使っていたもので、今は義弘専用のサポートコンピューターで義弘の仕事の補佐を行っている。無線装置も内蔵しており、演算から会話・記録まで様々なことができるが、小型の神姫と比べると時代遅れの感は否めない。 「なにが違うのかな・・・・。」 そうつぶやくと義弘は残った味噌汁を一気に平らげ、今日の診察の用意を始めた。 同日正午 埼玉市大宮 「さってと。まずはどこから見て回るか。」 「マスターマスター。たま子はおもしろいところがいいですぅ。」 いつも元気な神姫とマスターと共に神姫ショップ「arch」を目の前にした大宮の駅前の空中回廊を歩く。 「マスター。いつみてもarchは大きいですね。」 胸ポケットに入っているアテナは久しぶりのarch前に高揚感とウキウキ感を隠せない。 (今日は庭木の手入れをしようと思っていたんだけどな。)甚平の斜め後ろを歩きながら隆明はそう思っていたが、楽しそうなアテナをみて(自分だけそんなことを思っていても始まらないな。)と気分を切り替えた。 大宮に出かけることになったのも、少し前。 「ピリリリリリッ。ピリリリリリッ」 河野家の電話が着信を知らせる。それは甚平からの電話だった。 「これから大宮に遊びに行こうぜ。」 そういうやいなやすぐに河野家を訪れた甚平。どうやら家のすぐ前からかけてきたようだ。唐突に訪れるのはいつものことなので、河野家一度なれたものだった 。 充電中だった与一とキュベレーへの書置きを残し、アテナと共に出かける準備を整え、隆明はアテナと共に遊びに出かけていた。 「隆明はどこか行きたいところはあるか?」 「うーーーーん。・・・・・獅子の穴なんかどう?」 やっぱり大宮に来たらあそこかなと隣まで進み出た隆明から行き先を提案する。 「近くにスイカブックスもあるし、コンパスもあるしな。まずそこに行くか。」 まずは行くところが決まり二人で駅前から少し離れた路地へと歩を進める。 デフォルメされたライオンの看板のついてビルに入る。 獅子の穴・スイカブックス 秋葉原に本拠をおく同人関係の物品を多く扱ういわゆるオタクショップである。お互いの店舗とも人気は拮抗しており、あの手この手で全国展開を競っている。神姫に関しても通常の書店や神姫ショップでは置かれない商品を様々なジャンルで取り扱っており、グッズや書籍などを求めて、多くの神姫マスターが出入りをしている。 甚平と一緒に店内の神姫関連の同人誌コーナーを見て回る。神姫との日常をマンガにしたものや、神姫バトルをしているマスターの戦術指南書など様々なジャンルのものがおいてある。 「マスター。すごそうな本がありますよ。」 隆明の肩に座り一緒に眺めていたアテナが並んでいる同人誌に興味を示す。 「なになに・・・F1クラスのマスターソロモン最強神姫理論。作者:ソロモン」 隆明が同人誌を手に取り、サンプルとして包装につけられている内容の一部のを確かめる。 内容はカスタム認可を受けている作者が、強い武装を製作し手に入れていかに使うかと行った内容がひたすら羅列されていた。 数ページ分でもわかる。早くいうと自慢に近い内容であった。 「マスター。バトルって結局武装で決まるんでしょうか?」 「うーーーん。それだけじゃないと思うけど。」 実際にまだバトルをしていない隆明には断定はできない。が、それだけでは戦う前カラス勝敗は決まってしまっていることになる。 「でも、アテナは強い武装なんかなくてもマスターと一緒なら勝てます。」 そうまっすぐ、正直にいうアテナは隆明に満面の笑みを浮かべていた。そんなアテナに隆明の胸はじわりと温かくなった。 その温かさを覚えている。 亡くなった両親の代わりになってくれた義弘の父「義明」のことを。 両親がいないいじめを受けた時に守り、いつも笑顔で見守ってくれていた義弘のことを思い出した。 「うん。ありがとうアテナ。」 照れを隠すため端的にただそれだけを礼として伝える。 肩で満面の笑みを浮かべるアテナがとても印象的だった。 加藤義明 隆明の父が親友と公言する仲で、隆明の両親の死後隆明の後見人を務める。 義弘と同じく医者であった。すでに故人。 そう改めて思い直し、アテナと内容を吟味しつつ「赤城春名作:果てしなく続く神姫ロード」を購入した。 獅子の穴とスイカブックスを後にし、「arch」内の神姫バトルスペースに足を運ぶ。 いくつかの筐体でバトルが行われており、それぞれの筐体をギャラリーが取り囲み、バトルの行方に歓声を挙げている。 その中の一つの人混みに近づき観戦を始める。4人が観戦を始めた頃には既にバトルは佳境には入っており、ハウリン型の神姫の近接攻撃の連打とRA(レールアクション)で勝負が決した。 「マスター。今の攻撃見ましたか?すごいです。」 「今のパンチすごいですぅ!」 アテナは肩という不安定な場所であるにも関わらず立ち上がって意気をあげている。案の定「あわっ!」を足を滑らせて落ちそうになり、とっさに隆明の服に しがみついて落下を逃れる。 「あっ。アーンヴァルだ。」 すぐとなりのギャラリーがアテナを見つけて声を挙げるや、近くのギャラリーもアテナに注目する。バトル後の興奮さめやらぬ場だったためか、テンションあがったままで隆明達に詰め寄るものまでいる。 そんな雰囲気に危険を察し甚平が機転を利かして隆明達を人混みから引っ張り出す。 「サンキュー。助かったよ。」 「はらほろひれ~。」 肩から上着の胸ポケットに移っているアテナは目を回している。たま子はちゃっかり甚平の上着に移っていた。 アテナの回復を待ち人気の少ない階段で下へとおりる。その途中3階へさしかかったとき、階段室に出てきた仁とはちあわせする。 「店長。お疲れ様です。」 「仁さんこんにちは。」 「久しぶりですぅ。」 「こんにちわです。」 「みんな。いらっしゃい。」 仁は2階の事務所兼休憩室に行く途中。だった様子で、仁は二人を休憩室へ誘う。休憩室でたわいもない話をしているなかで、さっきのバトルスペースでの話になった。 「そっかそっかぁ。それは災難だったねぇ。」 そう言って、おごりといって仁より渡されたヂェリーを飲んでいるアテナとたま子に苦笑しながら視線を向ける。 ヂェリー 神姫の電力などのエネルギーの補助として用いられる。が、電力はクレイドルから補充するため、特に接種する必要はないのだが、ペットロボットや神姫と食卓を囲みたいという要望もあり、各制作会社は様々な様式のジェリーを作成している。人間でいう飲料水として使うもの以外にもハイテンションにしたり、酩酊状態にさせたりといった効果をもたらすジェリーなど様々な効果をもたらすものがある。 「そうなんです。あの時アテナの世界がぐるぐる回っちゃいましたぁ。」 「すごい人だかりだったですぅ~。」 ヂェリーを飲みなあらゆっくりはなす神姫二人。ちなみに紅茶味のするヂェリーである。「ゆっくりと落ち着いた感じで飲みましょう」とかかれている。 「フロントライン製の神姫はF事件以降珍しくなっているし、まぁその反応もある程度しょうがないかなぁ。」 「この前もストラーフMk.2型神姫が即売り切れたんですよね?」 隆明はマスター登録した日の義弘と仁の会話を思い出していた。 F事件 約2年前大宮のはずれにあるフロントライン社の本社と工場が爆発事故により本社ビル・工場共に全壊した事件の事。 「FRONT LINE」の頭文字をとり神姫産業における「F事件」と呼ばれている。 この事件でフロントライン社の創設者にして、神姫の生みの親の一人であるフロントライン社の社長も死亡した。 これにより神姫、ペットロボットを制作するすべての企業に対して、新しい安全基準の決めると共に安全性の再チェックが行われた。 すべての企業で安全審査がクリアするまで、神姫などの設計・製作・修理は原則禁止されることになり、事件から半年。 すべての企業で神姫の取り扱いが事実上ストップしてしまった。 事故のあった当のフロントライン社は本社と素体生産の主軸を担っていた本社工場と、 素体と武装のデータと新しく設計されていた神姫のデータが集積されていた本社施設並びに経営陣・技術陣の喪失・により、 体制の立て直しによる遅れから、安全基準の批准が遅れな結果となった。現在もそのダメージから立ち直れていない。 武装製作工場にあったデータにかろうじて残されていた設計中の新型神姫「アーンヴァルMk.2」「ストラーフMk.2」 を何とか製作しているが、ベストセラー機体「アーンヴァル」と「ストラーフ」の正統後継機というふれこみももあり、 人気が高く供給が需要に全く追いついていない。 その事態に旧アーンヴァルと旧ストラーフ等の以前の素体新品製作をすべて終了(現存する素体についてサポートは継続)し、後継機の生産に当てているが、 それでも追いついていないのが現状である。それでも2体に続く新しい神姫を製作して巻き返しをはかっているという話が噂程度で存在している。 「キュベレーさん大人気ですぅ~。」 「たま子。キュベレーじゃなくて、ストラーフな・・・・?いや、やっぱりキュベレーか?まぁどっちも大人気だな。」 そんな中、隆明を見ている視線があった。 「マスター・・・・・(ジ~~ッ)。」 「アテナ大人気だったじゃないか。すごい人混みで。」 「そうですか?」 あの時は目が回ったのしか覚えていません。アテナの間はそんなことを言いたげだった。 隆明の言葉にもアテナは釈然としない様子であった。 「それにこれから、バトルでアテナのかっこいいところをみんなに見てもらうんだから。」 「マスターはどうですか?」 さっきと同じようにじっと見つめるアテナ。 「もちろん僕もだよ。それにアテナも与一もキュベレーもみんなかっこよくてかわいいんだから。それをみんなに見てもらうんだ。」 「(ジーン。)マスター。アテナ頑張っちゃいます。」 かっこいいと言われてアテナは感動を隠せず、両手を胸の所で握りしめ喜びを全身で表している。 「いいや、一番はたま子だ。」 背中に津波の映像を背負うがごとく出で立ちで堂々と甚平が宣言する。 「一番?」 言った当の本人は気づいていないよだった。 「隆明さんはにぶいですぅ。」 「ははははっ。それでこそ神姫のマスターだ。」 仁はそんなほほえましい様子を一歩下がってみていた。 「そうだ。ストラーフと言えば、最近強いストラーフ型使いの子がきているそうだよ。」 「隆明。おまえいつの間ににキュベレーとやりこんだんだ!?」 「マスタ~。店長さんが知らない人がマスターなんですから、キュベレーさんじゃないですぅ~。」 「そういえばそうだ。さすがたま子は頭がいいなぁ。あっはっはっは。」 甚平とたま子のいつものぼけとつっこみを毎度のことで皆がそろってスルーする。 「ゲームセンターフロアで、最近連勝らしい。バトルをすれば、そのうちバトルするかもしれないよ。」 店長として全体を管理している仁の情報網は疑いようがない。 「マスター。最近って事は、神姫バトルを始めたのも私たちとそんなに変わらないかもしれないですね。」 隆明はうなづくだけで返事を返す。 (どんなマスターなんだろう。)そう思いながら隆明はこれから始まる神姫バトルの世界に静かに緊張していた。 「これからバトルを始める二人には、こんな大会があるんだけど、どうかな?」 そういってデスクに積まれていたはりだし前のPOPを4人に見せる。そこには 「新年度新マスター杯。主催:ケモティック社」 「ケモティック社が新学期間近という事でまだランクを持っていないマスターを対象に大会を開くんだ。場所はここの最上階。優勝商品はなんとハウリン型神姫の素体。」 「素体を!?そりゃすごい。」 「太っ腹ですぅ~。」 「ケモティック社の社長さんは破産しないんでしょうか・・・・」 確かに。店頭で通常販売されている素体は1万ポイント。それを1体と実質1万ポイント分である。Fクラスの大会でも通常賞金は数百から数千ポイントと商品数点である事を考えると、まだFバトルクラスで順位を持っていない初心者達にとっては破格の商品である。 「まぁ、商品だけ聞いていれば確かにすごいんだけどね。ここを見てみて。」 仁が参加資格と試合形式を示す。 「神姫2体登録勝ち抜きバトルか・・・。」 「マスタ~。どんなバトルなんですか?」 「たま子よっくきてろよ。2体登録制の勝ち抜きバトルってゆうのはな。バトル前に2体の神姫をあらかじめ選んで、まずお互い一体ずつバトルを行う。1体の神姫が戦闘不能になったら、もう1体の神姫をバトルさせる方式で、先に2体戦闘不能になったら負けってやりかたのバトルだ。」 「さすがマスタ~。物知りですぅ~。」 「そうだろう。そうだろう。」 たま子にほめられて、甚平は得意げだ。甚平は子供の頃から変に物知りで、氏名がにていたこともあり、某ゲームの登場キャラクターにちなんで「オーキド博士」と呼ばれていたことがある。 「始めたばかりのマスターが複数の神姫を持っている事は珍しい。何しろなれるまで時間がかかるからね。そういう意味でこの大会は敷居が高いんだ。」 どうかな?と仁は隆明に勧める。 「でもマスターならアテナ達がいるから大丈夫です。絶対に優勝しましょう。」 「うん。アテナ頑張ろうな。」 「はい。」 まず目の前の目標が決まった。目前の大会での優勝にアテナの激励を受けて、隆明は(頑張ろう)と決意をあらたにしていた。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/429.html
戦うことを忘れた武装神姫・番外編 ちっちゃい物研・商品案内-4 注)当然ですが、以下の内容はすべて当方の脳内生成物であり、 現実には存在しませんので。。。 <東杜田技研・新製品のご案内-4> 弊社の小型ロボット向け機器ブランド「HT-NEK」では、「武装神姫」 向けの一般型および簡易型のクレイドルの発売を予定しております。 このたび、武装神姫向けクレイドルの第4弾として、要望が多く寄せ られておりますデラックスタイプがラインナップに加わります。 〜武装神姫専用デラックスタイプクレイドル 「ふたごのおひめさま」の主な特徴〜 ■純正クレイドルを含め、従来のクレイドルは(通常では)1体のみ の対応でしたが、当製品では2体同時の充電のみならず、データの やりとりも2体同時に、しかも混信することなく行えます。(特許 出願中) ■デザインは本場ヨーロッパにデザインセンターを置く「DDC・犬塚 家具」との共同設計。素材には天然石もふんだんに使用しました。 商品名が示すとおり、おとぎ話のお姫様のお部屋のような、かわい らしくも気品あふれる、いままでになかった本格的なスタイルです。 ■メインユニットは、ダブルサイズのベッドタイプ。二体の神姫が、 仲良くならんで寝ることが可能です。 もちろん、このデザインも、 「DDC・犬塚家具」の専属デザイナーによるものです。 ■標準で神姫サイズのクローゼット(装備を収納できます)やダブル サイズの神姫ベッドに対応した羽根布団、ゲスト神姫を迎えるため の充電ソファーなど、豪華な付属品が多数セットされております。 箱を開けたその瞬間から、あなたの神姫はあなただけのお姫様に! ■いままでに無い大型クレイドル! 床に置くにはもったいないけど テーブルには大きすぎて置けない・・・。 そんな貴方に、どんな お部屋に違和感無く据え付けられるよう、別売にて専用の収納棚も 開発しました。こちらには、離れたPCと連動させるための無線LAN 端末も内蔵しております。(棚下部は3段の収納引き出しとなって おります。また、上部に開き戸式の棚を追加することが出来ます。) ■初心者には使いやすく、達人にも飽きが来ない、独自の専用ソフト 付属。(WindowsVista2037・MacOS12 両対応。) 詳細は、下記を参照して下さい。また、新たな情報は随時公開いたし ますので、HPにてご確認下さい。 ※当製品は、上記の通り今までにはない大型のクレイドルです。本体の 重量も、天然石材や木材を利用しているため、かなりのものとなって おります。ご購入の際は、設置場所を十分にご検討くださいますよう、 お願い申し上げます。 ※なお二体同時に使用する際には、仲の良い神姫を組み合わせて下さい。 ケンカ等により生じた故障・破損は、保証の対象外となります。 ※初回生産分は、エルゴブランド「TODA-Design・プリンセスドレス」 の特別仕様が2着付属する予定です。 ※また二体同時に使用する際に、仲の良すぎる神姫を組み合わせて使用 する場合にも十分ご注意下さい。(オーナーとの距離が開いてしまう 事例が、テスト段階で報告されています。これに付きましても、保証 対象外とさせていただきます。) <武装神姫専用クレイドル「ふたごのおひめさま」> ・対応武装神姫 現在発売中の全武装神姫(純正クレイドルが使用可能である神姫に 限ります。)・2体まで同時に充電・通信が可能 ・インターフェース LANケーブルにて接続 (内蔵のマイクロサーバ経由・テラビット イーサネット対応) ※当製品の電源は、専用ACアダプタ(同梱)のみとなります。 ・対応オプションパーツ(下記以外にも開発中です) 弊社発売予定品 「ロマンティックバスタブ」(実際にお湯を張り使用できます) 「まったりスツール」(ソファーと組み合わせてご使用下さい) 「きらきらドレッシング」(化粧台と小物のセット。実際にお化粧 をすることができます) 「デラックスふにふに抱き枕型診断機」(低反発抱き枕ですが抱き ついている神姫の簡易ダメージ診断も行うことが出来ます) 「ふたごのおひめさま・専用収納棚」(無線LAN端末内蔵) 「ふたごのおひめさま専用収納棚・増設収納」(専用棚の上に載せ て使用する、開き戸型の増設収納棚) エルゴブランド 「TODA-Design・プリンセスドレス」(全8種+シークレット2種) 「姫様、お勉強の時間です! 〜エルゴStyle〜」(武装神姫学習 用ソフト・ホビーショップエルゴ版) (そのほかに付きましては、順次調査の上HPにて公開する予定です) ・付属装置・付属品 マニュアル、ベッドメークセット(シーツ、羽根布団、大型まくら他) 神姫用ソファー(簡易クレイドルとなっており、充電が出来ます) 神姫用クローゼット(2体分)、温熱カーペット、専用ACアダプタ 神姫といっしょ・神姫用端末、神姫用デスクプリンセス版(各2台) 専用ドライバDVD ・・・他、多数付属品あり ・付属ソフト(ドライバDVDに同梱) 「神姫といっしょ(武装神姫・自己記録日記帳)」 「ごはんのじかん(バーチャル食事体験)」 「姫様、お勉強の時間です!(武装神姫学習用ソフトおしとやか編)」 「THE バトル(戦闘シミュレータ)」 ほか ・動作条件(ドライバ・付属ソフト) Windows2037・MacOS12が動作可能なPC。 (注:ギガビット以上のLAN必須。) ・発売予定価格 412,860円(税込) ・発売予定時期 2037年6月 以上 <<トップ へ戻る<<
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2770.html
トイズ・メッセンジャー本社、スタッフルームを兼ねた二階のオフィス。 まだ朝も早く、出勤しているスタッフの数は多くない。そんな中、隅の席に腰掛けて、静かに缶入りのコーヒーを傾けるのは……髪を短く切り揃えた細身の男。 静かな刻。 戦場に趣く前の、ひとときの安らぎの時間。 「マンダムとか何とかグダグダしてないでとっとと行くのです!」 そんな男の後頭部を和独辞典でぶん殴ってきたのは、六十センチの小柄な人型だ。 背表紙ではない。 角だ。 既にここは、戦場なのであった。 「何スかっ! 朝の時間くらい落ち着いてコーヒー飲んだって良いじゃないッスか!」 「てめえら兵士にそんな時間はないのです。ここはもう戦場なのですよ! とっとと突っ込んでおっ死ねです! アハトアハトですよ!」 和独辞典をぽいと放り投げ、次に構えるのは独和辞典。 一撃目に叩き付けた和独辞典の、三割増しの厚さがある。 「キリコさーん。出る準備、出来ましたよー」 そんな男に掛けられたのは、少年の声だ。 レーシングパンツとジャージの上に、会社のロゴの入った細身のベスト。合わせて社名入りのメッセンジャーバッグも提げている。 少年……武井峡次が社の所属となってしばらく経つ。いまだ研修中で独り立ちさせてもらえない身だが、それでも出発前の準備くらいは一人で出来るようになっていた。 「おう。行く行く! 支度お疲れっス、新人」 「……何飲んでるんですか? キリコさん」 そんな少年の問いに、キリコは缶コーヒーをそっと掲げ、記されたラベルを見せてみせる。 さっきまでの妙に軽い口調がなければ、それなりに様になる光景であった。 「独活コーヒー」 「……独活で、コーヒー?」 世の中には豆だけでなく、ゴボウやタンポポを代用コーヒーとして焙煎する習慣があるが……それと同じ原理だろうか。 「限定品」 それは本当に限定なのではなく、あまり売れなかったからじゃないかと思ったが、流石に先輩のやる事だ。そこまでは口に出さないでおく。 「独活のコーヒーは、苦い。飲む?」 「遠慮しときます」 もともとのコーヒーもそこまで好きではない峡次だ。その上さらによく分からない原料で作られたコーヒーを、まだ独り立ちも出来ない仕事の前に飲む度胸はない。 「ウドの大木が何言ってるですか。新人をさっさと使えるように頑張って仕込むですよ! パンツァーフォー!」 そして、キリコの頭に降ってきたのは和独辞典よりもさらに分厚い漢和辞典だった。 無論、角である。 「それじゃ、行ってくるな! ノリ!」 巨大なタンコブで身長半割増になったキリコをせき立てながら、峡次は階下の自転車置き場へと降りていく。 「はい! 気を付けてくださいね、峡次さん!」 それを事務所のテーブルから見送るのは、身長十五センチの小さな姿。 出掛ける峡次は実地研修。 見送るノリは事務所での研修。 まだまだ新人の二人が独り立ち出来るようになるのは、もう少しだけ、先のお話。 マイナスから始める初めての武装神姫 その15 急速回避からの再照準。 動作開始からロックオン終了まで、7カウント。 一連の処理をチェックして、不要な動作やルーチンの最適化。 「ふぇぇ……」 峡次さんが研修に出発して、一時間ほど。 ずっとミドリさんの特訓を受けてますけど、ミドリさんの特訓は、最適化に次ぐ最適化。神姫の訓練に反復練習からの動作最適化が有効なのは分かってますが、要求するオーダーはものすごく厳しいです。 「甘いですよ! 7カウントもあったら相手はとっくにチビチビ神姫は三枚におろされてるですよ。5カウントで決めて、逆に相手を蜂の巣にしてやるです!」 「は、はいっ!」 でもこれが峡次さんのお仕事のお役に立てるなら……わたしも頑張らないといけません。 対戦車砲の取り回しが、峡次さんの自転車便のお仕事にどういう形で役に立つのかは分かりませんでしたけど……。ミドリさんがこれだけ熱心に教えてくれるんだから、きっと役に立つんでしょう。 たぶん。 「で、でも……疲れましたぁ……」 とはいえ、バッテリーはもう限界。 朝出掛けるときは一杯まで充電したはずなのに。いつもなら一割くらいしか減っていない頃なのに、もう三割近くなくなってます。 急速なバッテリー消費で、供給電圧が下がり気味なのもちょっと辛い感じが……。 「なんなのですか。へたばるにはまだ早いのですよ、チビチビ神姫! 立て! 立つんだジョーなのです!」 「ミドリさんは電力供給してるからいいかもしれませんけど……」 多分、最適化の連続でプロセッサに負荷を掛けたのも良くなかったんだと思います。本体の熱も上がってますし、電圧の急な低下も、少し休めば落ち着くはずですけど……。 「口答えするなんて良い度胸なのです。……む」 そんな話をしていると、事務所の電話が鳴りました。 今日は社長の碧さんもお出かけしていてお留守です。 いま事務所に残っているのは、わたしと、ミドリさんと……。 「マグナム! 電話なのです! とっとと出るのですよ!」 「え、俺ですかー?」 テーブルの隅でメイドハンマーで使う機体の整備をしていたマグナムさんが、何だか嫌そうな顔をしました。 峡次さんがわたしのパーツの細かい調整をしてくれている時に、千喜さんに声を掛けられた時と同じ顔です。たぶん、機体の細かい所を触っていたんでしょう。 「そんな事言うとミドリが電話出るですよ」 スカートの下から伸びる電源ケーブルを大きく波打たせて、ミドリさんはさらにひと言。 「わかった! わかりましたから! すぐ出ますっ!」 でも、ミドリさんのそんな言葉で、マグナムさんは慌てて電話に向かいました。 ミドリさんが電話に出るの、良くないんでしょうか? 「大変お待たせいたしました! 迅速配達、トイズ・メッセンジャーでございますっ!」 「ふん。今日こそミドリのプリティートークを炸裂させてやれると思ったですのに」 「……はあ」 どうやらミドリさんは、電話に出た事がないみたいです。 そういえば、わたしも電話って使った事がありません。峡次さんが話している内容を、指向性マイクで拾うくらいはした事ありますけど……。 クラスのお友達の中には、マスターの電話を代わりに受けられるキットを使っている子もいるので、そういうお手伝いもちょっとしてみたいです。 もちろん今は、峡次さんのお仕事のお手伝いが出来るようになるのが最優先ですけど! 「まあいいです。なら、ちょっと休憩にしてやるのです。マグナム、休憩に付き合えです」 電話のご用が終わったマグナムさんを連れて、充電ケーブルを外したミドリさんは休憩室に消えていきました。 休憩室はミドリさんが使っている間は立ち入り禁止なので、わたしもしばらく休憩出来るみたいです。 「……ふぅ」 事務所の机から、同じ部屋のスタッフ待機場所のテーブルに飛び移ります。 そこにいたのは……さっきまでマグナムさんが整備していた、二人のロボットさんでした。 「あの……こんにちわ。お二人とも、初めまして……ですよね?」 金色の細身の人も、帽子を被った丸っこい体型のかたも、面接の時のメイドハンマーで会った事がないかた達です。しかも、整備中だったからか、電源は入ったまま。 「そうだな。ミドリに研修されていたようだが、新人かい?」 「はい。先日からお世話になっています、ノリコと申します」 「私は百式だ」 「俺はマグナム」 「ええっと……マグナムさんは、SRWのかた、ですか?」 百式さんは、わたしのライブラリの資料にありました。GFF規格で作られた、バトルホビーのかたのようです。 でももう一人の、赤と白に色分けされた、帽子を被った丸っこいかたは、情報がありません。SRWはライブラリに登録しきれないかたがたくさんいますから、多分その関連だとは思うんですけど……。 「アイアンリーグを知らないか?」 「………?」 ……ライブラリに該当なし。 「かつて提案された、我々のような小型ロボットを使って行うスポーツゲームだよ」 「ロボットが……スポーツ」 百式さんが教えてくれましたけど、ちょっとイメージが沸きません。 メイドハンマーみたいなバトルなら分かるんですけど、わたしとミドリさんとマグナムさんで、野球やサッカー……? ……ちょっと、無理そうです。 「神姫が生まれる前の事だからな。知らないのも無理はない」 神姫バトルが盛んになる前に主流だったロボットバトルがSRW。その前が、GFF。 この三つはGFFから繋がるルールと規格を使っていますから、SRWやGFFは神姫バトルのご先祖さまです。 アイアンリーグというのも、そんなご先祖さまの一つなんでしょうか? 「今はないんですか?」 「ああ」 「どうして……?」 SRWやGFFは、今でも神姫バトルのように盛んに行われています。だから、ご先祖さまというよりは、お兄ちゃんやお姉ちゃんといった感じなのかもしれませんけど……。 「……人が揃わなかったそうで」 野球は、確かひとチーム九人で、対戦するなら十八人。 サッカーは、ひとチーム十一人で、対戦するなら二十二人。 「あー」 峡次さんが面接を受けた時に秋葉原であったメイドハンマー対決は、ひとチームで十人いるかいないかくらいでした。関東最大規模のチーム同士の対戦ってミドリさんが言っていたから、たぶんそうなんでしょう。 神姫バトルの大会でも、二十人以上参加者がいれば、ちょっとした規模の大会って言われるくらいです。 確かに試合のたびにそれだけの人数を集めるのは、厳しいのかもしれません。 「じゃあ、マグナムさんもスポーツロボットなんですか?」 「ああ。俺は野球ロボットだ」 言われてみれば、左手は野球のグローブの形をしています。 野球ロボットの肩に大口径砲が付いているのは、どうしてなのかよく分かりませんでしたけど。 「野球ロボットが……メイドハンマー」 「それが今の使命だからな」 「そうなん……ですか」 使命……。 わたし達神姫は、戦う事やマスターに喜んでもらうのが使命。だから、神姫バトルも戦うし、メイドハンマーもその延長です。マスターのお手伝いになるから、今の研修だって頑張れます。 ときどきワガママを聞いてもらう事もありますけど……それだって、峡次さんが嬉しそうだから、わたしも安心して言える、なんて所があるわけで。 でも、野球ロボットのマグナムさんは? アイアンリーグが一番の舞台なら、本当の使命は……。 「戦うよりもスポーツがしたい……とか、思ったりしないんですか?」 ふと思いついたわたしの問いに。 「………?」 「………?」 マグナムさんと百式さんは、それきり動きを止めて、黙り込んでしまいました。 「え、あ、あれ? マグナムさん? 百式さんっ!?」 マグナムさんと百式さんは、わたしの質問に動きを止めたまま。 メインカメラは灯ったままだから、バッテリーが二人同時に上がったわけじゃないはずですし……電圧低下なら事前警告が出るはずなんですけど。 事務所にはわたし以外、誰もいません。ミドリさんとマグナムさんは休憩室から出てこないし、ミドリさんの休憩中に声を掛けるのは厳禁です。 せめて、峡次さんや社長さんがいてくれればいいのに。 どうしよう……。 「……どうしたの」 どうすれば良いのか分からなくて困っていると、一階から百式さんが上がってきました。そうだ、百式さん、自転車の整備をしてたんだった……! 「あ、百式さん! マグナムさんと、百式さんが……」 慌てるわたしに、女の人の百式さんはいつもの表情を変えないまま近寄って来て……GFFの百式さんを無造作に取り上げました。 「フリーズしてる。何かした?」 「あの、起動してたから、ちょっとお話を……」 初めて会うかたでしたし、戦闘以外で起動してるGFFやSRWのかたとお話が出来る機会なんて、トイズの事務所でもほとんどない事だったから。 「……何か難しい質問、したでしょ」 「え、そんな事……」 会話ログを遡ってみても、AIがフリーズするほど難しい質問をした覚えはありません。 「例えば、マグナム辺りに『スポーツロボットが戦って良いのか』とか」 「あ……」 それは、しました。 直近の会話です。 わたしの様子に、百式さんはため息を一つ。 「GFFやSRWのロボットは、そういう難しい事考えられないように出来てるから。AIがフリーズする時もあるから、気を付けてね」 百式さんは慣れた様子で胸部のハッチを開けて、中のスイッチをオフに。GFFの百式さんの頭頂部カメラから、淡いグリーンの輝きが消えていきます。 「ミドリさんは?」 同じように、マグナムさんの電源もオフにします。……マグナムさん、あんなところに電源のスイッチがあるんですね。 「休憩するって、マグナムさんと休憩室に……」 「……あ、そ」 百式さんはミドリさんが何をしているのか知ってるみたいです。小さくそう答えるだけで、それ以上わたしに何も聞こうとはしませんでした。 「あの……お二人とも、直りますかっ? もしかして、わたし……」 AIが無限ループに陥ると、そのまま正常状態に復帰出来なくなる……なんていう話も聞いた事があります。わたしのせいで百式さんやマグナムさんがそんな事になってしまったら……。 「平気」 泣き出しそうなわたしに、百式さんはやはり慣れた様子でGFFの百式さんとマグナムさんの電源を入れ直しました。 二人のカメラアイに、再び明かりが灯って……。 「百式、出る!」 「正々堂々と、試合開始!」 「ほら直った」 「よ、良かったです……」 どうやら、こういうフリーズ状態は珍しい事じゃないそうで。その都度、こうやってリセットを掛けるんだそうです。 「今の、内緒ね。またミドリさんに蹴られるから」 「はあ……」 百式さんはいつもと変わらない表情でそう言うと、再び百式さんとマグナムさんの電源を落として電源ユニットに繋ぎました。 どうやら、バッテリーも結構消費していたみたいです。 「マグナムが」 「マグナムさんが!?」 蹴られるの、わたしじゃないんですか!? 「あの、百式さん」 GFFの百式さんとマグナムさんが無事だったのを確かめた後、わたしは側の椅子に腰掛けている百式さんの名前を呼びました。 「あのお二人って……わたしたち神姫や、ミドリさんみたいに、悩んだりしないんですか?」 百式さんは何も言いませんでしたけど、峡次さんがお話を聞いてくれる時みたいに、こちらに視線を向けてくれたので……多分、話しても良いんだと思う事にして。 「マグナムさんなんて、本当は野球ロボットなのに、今はメイドハンマーの隊員になってて……」 GFFの百式さんや神姫のわたしは、元々がバトル用のロボットです。でも、マグナムさんはスポーツ競技用ロボットで、バトル目的に開発されたわけじゃありません。 「しないというか、出来ない」 「出来ない……?」 よく、分かりません。 考えるとすぐにフリーズしてしまうから、考えないって事でしょうか? でもそうすると、さっきみたいにフリーズはしないわけで……。 ……あれ? 「あんまり難しい事、考えない方がいいよ。神姫のAIは悩めるように出来てるけど、そんなの答えなんか出ないから」 「はぁ……」 「……そもそも、ミドリだって戦闘用じゃない。でもアレ、どう見ても悩んでないでしょ」 ……まあ、確かに。 ドールは観賞と生活のフォローが目的だったはずですけど……戦ってるときのミドリさんは、わたし達バトル用に作られた神姫よりも楽しそうに戦っているように見えます。 百式さんとそんな話をしていると、休憩室の鍵が開いて、中からミドリさんが出てきました。 「ああ。百式、来てたですか」 「お帰りなさい、ミドリさん」 休憩室から戻ってきたミドリさんは、確かに元気一杯です。戦ってるのがどうかとか、悩んでる様子は全く見えません。 「さてチビチビ神姫、またOJT始めるですよ!」 「OJT?」 「お前に、地獄の、特訓をしてやる! の略です!」 「ふえぇっ!?」 もしかして、さっきまでの特訓よりももっと厳しい特訓なんでしょうか。 帰りまで、ちゃんとバッテリー持つかなぁ……。さっきの休憩時間の間に、充電もしておけば良かったのかもしれません。 「違う。On-the-Job Trainingの略」 「う……ミドリのOJTは地獄の特訓の略なのです! OJTって言ってみたいだけの百式とは違うですよ!」 「……別に良いけど」 百式さんも、ミドリさんの言葉をあまり気にしていないみたいです。冷蔵庫からスポーツドリンクを一本取り出して、その場でひと口。 「さっさと行くですよ。しばらくマグナムは使い物にならないですから」 マグナムさん、どうしたんでしょうか。 そういえばミドリさんと一緒に入ったはずなのに、まだ休憩室から出てくる気配がありません。 「それ、ミドリさんの悪い癖。……行ってくる」 そう言い残して、百式さんもメッセンジャーバッグを片手に出て行ってしまいました。 「悪い癖?」 「チビチビ神姫には関係ないのです。……仕様の問題なのですよ」 呟いたミドリさんの口調は、どこかいつもと違うもの。 「それじゃ、OJT始めるです! OJT! OJT!」 でも、次に出てきた言葉は、いつも通りのミドリさんでした。 っていうか、OJTって言ってみたいのって、ミドリさんなんじゃないでしょうか? 戻る/トップ/続く
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1161.html
「第一回! お姉ちゃん打倒会議!!」 サラが神姫バトルで勝った次の日。 私の部屋には八谷とマイにゃんが正座していた。 ちなみにサラも正座している。 「あの、七瀬? 何で正座しているのかな僕達は」 「そこに座りなさいって言ったら勝手にしたんじゃないの」 ・・・多分気迫負けしたのね。 今の私は燃えに燃えてるから。 「あのバカ姉は神姫バトルの上位ランカーです。何が何でも倒さなくちゃいけないのよ!!」 「理由がむちゃくちゃです・・・それでハルナ。何か勝つ方法でも?」 「あるわけ無いじゃない。だから会議してるのよ」 「・・・・あのですねハルナ。向こうの情報が無い状態では会議のしようがありません。せめて紹介ぐらいはしていただけませんか」 「ん・・・そうね・・・・女の癖に変な喋り方する奴よ。好きな映画はリベリオンとVフォーヴァンデッタ」 よくよく考えるとかなりへんな奴だった。 小さい頃とか良く悪戯されたっけ。 「あ、そういえばバトルのログがあるよ。ネットに普通におっこってる」 私が懐かしく思っているとそう八谷が言った。 私は即座にパソコンを起動し、八谷に席を譲る。 少し待つとあっさりとその動画は見つかった。 「これこれ。この間の準決勝の奴と・・・・後は普通のだけど二対二のバトルログ。どっちみる?」 「普通の見ましょう。二対二で戦うんだし」 そう私が言うと、八谷はそのムービーの再生を開始した。 クラブハンド・フォートブラッグ 第六話 『THE交通事故』 場所は『廃墟ステージ』。 お姉ちゃんの神姫は黒いバックパックの悪魔型ストラーフと、テンガロンハットを被った犬型ハウリンだった。 対する神姫は二体の天使型アーンヴァル。それぞれ背中にバックパックを背負っている。 ・・・っていうか、犬型の子がバイク乗ってるんだけど。アレってありなの? そうこうしているうちに戦闘が始まった。 戦闘開始と共に敵のアーンヴァルは空へ飛びあがる。 二体のアーンヴァルは互いに絡み合うように、螺旋を描きながら昇っていく。 そしてステージの境界ギリギリの位置に停止した。 対するストラーフとハウリンは何も・・・いや、ハウリンの運転するバイクの後ろに、いつの間にかストラーフが乗っていた。 一度、互いに肯きあうととんでもないスピードでバイクは走り出す。 二体の天使型は境界ギリギリの位置から互いに別の方向へと飛ぶ。バイクに乗ったお姉ちゃんの神姫は右に飛んだアーンヴァルを追いかけた。 そのまま猛スピードでアーンヴァルを追う。 ハウリンはひたすら運転に専念しているらしく、後ろに乗ったストラーフが二丁拳銃でアーンヴァルを追撃する。しかしアーンヴァルのスピードは予想以上に速く、一発もかすらない。 と、後ろからもう一体のアーンヴァルがバイクを追ってきた。 容赦なくGEモデルLC3レーザーライフルを浴びせる。しかし、その瞬間後ろに乗っていたストラーフがいきなり跳ねた。 「――――――――――――!?」 重いレーザーライフルと速すぎる速度のせいでアーンヴァルはストラーフを避けきれず、そのままストラーフのバックパックに搭載されたブレードで斬られ、地に墜ちて消えた。 ハウリンの操るバイクはストラーフを置いてそのまま走り抜ける。 見る見るうちにバイクとアーンヴァルの差は縮まる。そしてハウリンはモデルPHCハンドガン・ヴズルイフ・・・リボルバーを撃つ。 しかし運転したままでは当たるわけも無い。 そのまましばらくチェイスをした後、ハウリンは急に見当違いの場所を撃った。それは廃墟の一部として放置されていたゴミ箱に命中しハウリンのバイクはそのゴミ箱を踏み台に大きなジャンプをした。 あまりのスピードのせいで跳びすぎたバイクはそのままアーンヴァルの上に着地した。 ・・・・・エグイ。 アーンヴァル踏みつけてるし。 着地の衝撃で大きなダメージを受けたアーンヴァルは、バイクが載ったまましばらく引きずられて、そして動かなくなった。 ・・・・痛そうだなー。 ハウリン物凄く困った顔してるし。事故起こした人の顔ってこんなんかも。 そしてそのままファンファーレが鳴り響き、戦闘は終わった。 「・・・・・怖っ! みや姉怖っ!!」 「う、ぬ・・・あたしでも流石にこれは・・・なんというかだなん・・・・・」 「流石はハルナの姉。留めの刺し方がきっちりしてますね」 凄惨な事故現場だった。 っていうか二人のアーンヴァルが可哀想に思えてきた。 ・・・え、これと戦うの私? 「・・・さて、ハルナ。今のムービーを見て、何か作戦は浮かびました?」 サラの言葉に釣られて、八谷もマイにゃんも私を見る。 え、えと・・・まさかあんな戦い方をするとは思っていなくて・・・普通に鉄砲撃ったりチャンバラしたりかと・・・っていうか 「あんなワイヤーアクションするなんて・・・予想してなかったわ」 部屋にいた全員が溜息をつきながら肯いた。 何あのハリウッドアクション。 上位ランカーはみんなああなの!? 「とりあえずわたしは遠くからチクチクと狙撃するから良いとして」 「いいんだ!?」 「問題はマイです。あのストラーフ・・・かなり戦いなれてましたし」 そう、あのストラーフ・・・・ノワールって言ったけ。 「二刀流と二丁拳銃のコンボがキツイわね・・・・逆を言えば、コンボさえ避けちゃえばどうにか・・・チャンスは出来るわ」 「あ、それに関しては一つ、考えがあるよ」 悩んでいると八谷が手を上げた。 「マイの背中がさびしく感じてたんで、バックパック買ったんだ。それなら一撃離脱戦法が取れる」 「それ採用」 八谷を指差し宣言した。 「じゃぁマイにゃんがストラーフを足止め、サラがハウリンと・・・余裕があったらストラーフも狙撃でOK?」 「いいんじゃないかな。後は特訓あるのみだね」 そういって八谷は微笑んだ。 ・・・特訓か・・・・何だか少年漫画じみてきたな。 こういうノリは久しぶりだ。小学校以来かもしれない。 ・・・・あの頃は本気でか○はめ波が撃てると思ってたっけ。 「うん、そんなことはいいとして。・・・・打倒、お姉ちゃん! 行くわよ!!」 声と共に私は片手を振り上げた。 目指せ勝利、ビバお小遣い。 戻る進む
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/379.html
作者・◆UwuX8yY6RQ氏 私、◆UwuX8yY6RQの個人ロワ第二段。 オリキャラ+出典キャラでバトルロワイアルをしようという企画です。 獣人率多めと、個人的趣味が丸出しです。 10/2/28 完結。ありがとうございました! 個人趣味ロワ本編 個人趣味ロワ本編SS目次・時系列順 個人趣味ロワ本編SS目次・投下順 個人趣味ロワ追跡表 個人趣味ロワ参加者名簿 個人趣味ロワ支給品一覧 個人趣味ロワ死亡者リスト 個人趣味ロワルール&マップ 個人趣味ロワ各種設定
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/2378.html
【レミントンM31RS】 キノに支給。 本家バトルロワイアルで、あの川田章吾に支給されていた散弾銃。 装弾数は4発。 3.2キログラムと少々思く、銃身も長い。 【イングラムM10サブマシンガン】 カノン・ヒルベルトに支給。 本家バトルロワイアルで、あの桐山和雄に支給されていた短機関銃。 装弾数は32発(予備マガジン五つと、サイレンサ―付きで支給) 弾を「ばらまく」ことにのみ特化されているため、命中精度は悪いが速さと破壊力は大きい。 【フォーク】 岩崎みなみに支給。 本家バトロワで、瀬戸豊に支給された。 三味線糸と並んで、作中屈指のハズレ支給品。 【デリンジャー】 姉原聡史郎に支給。 本家バトルロワイアルで月岡彰に支給された。 2発しか撃てない、超小型拳銃。 破壊力も低く、暗殺より護身目的で携行されることが多い。 【特殊警棒とシアン化カリウムのセット】 姉原聡史郎に支給。 本家バトルロワイアルで榊祐子に支給された。 警棒は普通に通販で手に入る警棒(伸縮式)。 シアン化カリウムは、あの『カレーの悲劇』の引き金になった危険薬物。
https://w.atwiki.jp/vtsr/pages/2139.html
ラジロンのうた (武装神姫RADIO RONDOより?) http //www.nicovideo.jp/watch/sm2026248 http //www.nicovideo.jp/watch/sm2026248 2008年01月13日 19 52 38 投稿 Vocaloid2のオリジナル曲 使用Vocaloidは初音ミク 製作者は武装歌劇派 一つ前のページにもどる
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/159.html
先頭ページへ 次へ インターバトル0「アーキタイプ・エンジン」 涼しい秋の風が網戸を通って、彼の頬をなでた。 私はたわむれに彼の頬をなでていた空気の粒子を視覚化して追う。 くるりと彼の頭の上で回転した空気は、そのまま部屋に拡散して消えた。 彼はもう一時間ほどデスクに座りっぱなしで、ワンフレーズずつ、確かめるようにキーボードを叩く。彼の指さばきが、ディスプレイに文字を次々と浮かべる。浮いている文字。 その後ろの、ベッドの上に座りながら、彼の大きな背中を見ている。これが私。 私は武装神姫。天使型MMSアーンヴァル。記念すべき最初のマスプロダクションモデル。全世界に数千万の姉妹がいる、そのうちの一人。 パーソナルネームは、マイティ。彼が一晩考え抜いて、付けてくれた名前だ。 私はこの名前に誇りを持っている。 うーむ、と、彼がパソコンチェアの背もたれに寄りかかって、腕を組んだ。再び 涼しい風が部屋に遊びに来る。窓を見る彼。外は快晴。ついで視線に気づいて、私を見る。 彼はくすり、と微笑む。ちょっと陰のある、はにかんだ笑顔。 「おまえは、食べ物は食べられるのかな」 壁の丸い時計をちらりと見て、彼は訊ねた。私に。 「はい。有機物を消化する機能があります。99.7パーセントエネルギー化して、排泄物を出しません」 「いや、それはいいんだが」 彼はちょっと困った顔をして、私はすぐに彼の言わんとしていることを悟った。 「味も識別できます」 「そうか。良かった」 昼飯にしよう、と、彼は台所に立つ。ワンルームの小さな部屋。一つの部屋がリビングとダイニングとキッチンと、仕事部屋と寝室を兼ねる。十畳以上あるから狭くはない。 カウンタをはさんでキッチンが見える。キッチンの横のドアは廊下があり、玄関へと続く。それまでに洗面所経由のお風呂があるドアがあって、玄関に近い方にトイレのドア、と並ぶ。反対側は大きな納戸だ。 カウンタの手前には小さなテーブル。一人暮らしのはずなのに、なぜか椅子が二つある。そのことを聞いてみたら、 「セット商品だったのさ」 と、苦笑した。 いい匂いがキッチンから漂ってくる。ガスコンロの上で、フライパンが踊る。お米と、たまねぎと、玉子、そしてお肉が舞う。 ほどなくして、テーブルに大小二つの皿が置かれて、そこに金色のご飯が乗せられた。 チャーハン。私のプリセット知識が料理の詳細を再生する。 私はテーブルに座らせられて、小さいお皿のほうが手前に寄せられる。 「多いか」 「いえ、丁度良いです」 彼は微笑して、椅子に腰掛けた。 「小さいスプーンがこれしかなかった」 と、彼はプラスチックのデザート用スプーンをくれた。 「いただきます」 私はチャーハンをほお張る。 おいしい。 有機物を摂取するのはこれが初めて。私のコア頭脳に新たなネットワークが築かれているのが分かる。 「おいしいです」 私は心からそう言った。 心、から。 そう。このときに、私が生まれたのかもしれない。初めて。 私は、マイティ。 先頭ページへ 次へ