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橋下徹大阪市長の慰安婦妄言 時事通信「橋下氏の発言要旨=従軍慰安婦問題」 http //www.jiji.com/jc/c?g=pol_30 k=2013051300931 日本維新の会の橋下徹共同代表が13日に行った従軍慰安婦問題に関する発言の要旨は次の通り。 ▽13日午前(大阪市役所で記者団に) 敗戦の結果として、侵略だということはしっかりと受け止めなければいけない。実際に多大な苦痛と損害を周辺諸国に与えたことも間違いない。反省とおわびはしなければいけない。 慰安婦制度というのは世界各国の軍は持っていた。なぜ日本の従軍慰安婦制度だけが世界的に取り上げられるかと言うと、日本は軍を使って国家としてレイプをやっていたという、ものすごい批判を受けている。その点については、違うところは違うと言っていかなければいけない。 あれだけ銃弾が雨・嵐のごとく飛び交う中で、命を懸けて走っていく時に、猛者集団、精神的に高ぶっている集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度というものが必要なのは誰だって分かる。 今のところは、軍自体が、日本政府自体が暴行、脅迫をして女性を拉致したという事実は証拠に裏付けられていない。そこはしっかり言っていかなければいけない。ただ、意に反して慰安婦になった方に対しては、配慮はしなければいけない。 ▽13日夕(同所で記者団に) 慰安婦制度は必要だった。軍の規律を維持するためには、当時は必要だった。 歴史をひも解いたら、いろいろな戦争で、勝った側が負けた側の方をレイプするという事実は山ほどある。そういうのを抑えていくためには、一定の慰安婦みたいな制度が必要だったということも厳然たる事実だと思う。 (沖縄県宜野湾市の)米軍普天間飛行場に行った時、司令官にもっと風俗業を活用してほしいと言った。司令官は凍り付いたように苦笑いになってしまって。性的なエネルギーを合法的に解消できる場所は日本にはあるわけだから。 (2013/05/13-23 46) 橋下徹大阪市長の慰安婦妄言
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55話 行き着く果てまで色の無い枯れた未来に水をあげよう 田園地帯での悲劇の後、レオノーレと白峰守矢は東へ進み、南部集落の商店街を訪れていた。 そこで一つの惨状を発見する。 まず、路上に作業着姿の犬系獣人の男性が、頭を潰され血を流して倒れていた。 そしてすぐ近くの肉屋の店先には灰色の大きな犬が首を吊ってぶら下がっている。 「これは酷いわね……何が有ったの?」 「相討ち、って訳では無さそうだけど……うっぷ」 「大丈夫? 守矢君」 二つの死体の凄惨な様を見て気分を悪くする守矢と、それを気遣うレオノーレ。 気分が悪くなるような死体を見たのは島の西のトンネルを通った時以来である。 「何とか大丈夫……でも、ここから早く離れたい」 「そうね……」 二つの死体は形容し難い異臭を漂わせ、この手の死体に守矢よりは慣れているレオノーレでさえも参りそうな程。 とても死体の所持品を漁る気にもなれないため二人は早々に先へ進もうとする。 「ねぇ」 「「!」」 その時、女性の声が聞こえ、二人は声の方向へ顔を向ける。 そこには裸にマフラーと言う出で立ちの、白い毛皮を持った狐獣人の女性が立っていた。 右手には大きなリボルバーを持っている。 「なぜ裸マフラーなのか」と二人共面食らったがすぐに気を取り直し、狐の女性と向き合う。 「私は殺し合いには乗ってないよ」 白狐女性は戦意が無いと二人に告げる。しかしおいそれと信じるのは危険である。 レオノーレと守矢は警戒した。 「本当に乗ってないの?」 レオノーレが白狐女性に尋ねる。 「本当だよ。うーんどうやったら信じてくれるかな……これで良い?」 白狐女性は持っていたデイパックと銃を地面に置き両手を上げる動作をする。 彼女なりの殺し合いに乗っていないと言うアピールだと言う事は二人にもすぐ理解出来た。 「……分かったわ。信じる。良いかな? 守矢君」 「大丈夫だと思う」 正直な所、まだ信じても良いかどうか迷う部分は有ったが、疑ってばかりいてもきりが無い。 二人は白狐女性を信じる事にした。 「私は保土原真耶って言うの」 「私はレオノーレ、こっちが一緒に行動してる守矢君」 「どうも」 「しかし、これは酷いね……何が有ったの二人共?」 真耶が二つの死体を交互に見て二人に尋ねる。 「ここで話すのも何だから、取り敢えずそこの店の中に入ろう」 死体が二つ放置され、しかも目に付き易い場所で長くなりそうな話をするのは危険と判断し、 レオノーレはすぐ近くに有ったパン屋に入ろうと指差す。 真耶は承諾し、三人はパン屋へと入る。 美味しそうなパンが陳列されていたが三人は特に腹は減っていない。 「さっきの死体だけど、私達が来た時にはもうあんな状態だったわ」 「そうなんだ……本当、この殺し合いは地獄だね……。 田園地帯の爆発してた家と言い……」 「「……!」」 「ん? どうしたの? 二人共」 明らかに二人の顔色が変わり、真耶が少し戸惑う。 「その家、母屋と納屋に分かれてて『松林』って表札が掲げられてなかった?」 「ああ、うん」 「その家、僕達も行ったんです。それで、僕達が行った時に爆発しました」 「ええ? どう言う事?」 「元々僕達は四人で行動してたんです。僕とレオノーレさんと、東員さん、伊神さんって言う二人と。 それで、四人でその家に立ち寄って、僕とレオノーレさんが納屋、東員さんと伊神さんが母屋の方を調べようって事になって。 それで……僕達が納屋を調べてる時に、母屋が爆発したんです」 「突然爆発したの?」 「分からないわ……誰かに爆弾を放り込まれたのかもしれないし、爆弾が仕掛けられてたのかもしれないし。 何が起きたのかは知る由も無いけど、確かなのは、家が爆発して、東員さんと伊神君は死んだって事」 「……」 この二人も自分と同じように仲間を失っているのか、と、心の中で真耶は思った。 そして、真耶は自身がしようと思っている事を二人に話し始める。 「私、首輪を解析して外そうと思ってるの」 「「!」」 「首輪のサンプルも有るよ、ほら」 自分のデイパックから首輪を取り出し二人に見せる真耶。 二人は確かにそれが参加者の首に取り付けられている首輪だと言う事を確認する。 しかし確認すると同時にどうやってこれを手に入れたのか、と言う疑問を二人は抱く。 レオノーレがそれを真耶に尋ねる。 「それ、どうやって……?」 「……死んだ仲間から取った」 「……」 辛そうな表情を浮かべる真耶を見て聞くべきでは無かったかと後悔するレオノーレ。 そもそも首輪を入手すると言う時点で誰か他の参加者が落命していると言う事は予想出来るのだから。 首輪を取るには、その参加者の首を切断でもしない限り不可能。外せないのだから。 「言い訳するけど、私が殺した訳じゃないよ」 「あ、うん、分かってる。真耶さん疑ってる訳じゃないから」 「なら良いんだけど……」 「あの、保土原さんはこれからどこに行く予定なんですか?」 守矢が真耶に尋ねた。 「取り敢えず工具でも調達して……その後は……特に決めてないなぁ」 「なら私達と一緒に行きましょうよ。首輪を解析するって事は、他の参加者の首輪も外そうとしてるんでしょ?」 「まあ、そう言う事になるかな」 「私達、島役場に行こうと思ってるの。目立つ建物だから、人が集まりやすそうでしょ」 レオノーレが真耶に提案する。守矢もレオノーレと同じ意見のようだった。 真耶はしばし考え、そして返答する。 「そうだね……私も一人で生き残ろうなんて思わないし、良いよ。一緒に行こう」 返答は、レオノーレの提案を受け入れる物だった。 レオノーレと守矢の二人は喜ぶ。 まだ不確定では有るが脱出の糸口になり得る人物と出会えたのだから。 三人は商店街で工具を探した後、島役場へ向かう事にした。 【昼/E-5/南部集落商店街】 【白峰守矢】 [状態]健康 [装備]サバイバルナイフ [持物]基本支給品一式、ピアノ線 [思考]1:殺し合いはしない。 2:レオノーレさん、保土原さんと行動する。商店街にて工具を探した後島役場へ向かう。 [備考]※樊欽の外見のみ記憶しました。 ※油谷眞人の存在には気付いていません。 【レオノーレ】 [状態]健康 [装備]62式7.62mm機関銃(200/200) [持物]基本支給品一式、7.62mm×51ベルトリンク(200) [思考]1:殺し合いはしない。 2:守矢君、保土原さんと行動する。商店街にて工具を探した後島役場へ向かう。 [備考]※樊欽の外見のみ記憶しました。 ※油谷眞人の存在には気付いていません。 【保土原真耶】 [状態]右脇腹に擦過銃創 [装備]タウルスレイジングブル.500S Wマグナムモデル(4/5) [持物]基本支給品一式、.500S Wマグナム弾(10)、スパタ、十八年式村田銃(1/1)、11.15mm×60R弾(7)、 コルト ジュニア(6/6)、コルト ジュニアの弾倉(3)、コンラートの首輪 [思考]1:殺し合いをする気は無い。 2:首輪を解析したい。 3:レオノーレさん、守矢君と行動。商店街にて工具を探した後島役場へ向かう。 [備考]※特に無し。 前:VOICELESS SCREAMING 目次順 次:己の居場所は己で作るものなり 前:諦めに近い無の灰 レオノーレ 次:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 前:諦めに近い無の灰 白峰守矢 次:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 前:からっぽな空の下で 保土原真耶 次:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~
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3. おじさん、こんにちは、平沢憂です。 2010/12/26(日) 04 30 11.11 ID MMzCkGP00 「和ちゃん、一緒に学校行こう」 幼馴染がいつも通り、へらっと笑ってそう言うから、私は大層驚いた。 彼女の瞳は相変わらず澄んでいたけれど、それでもって彼女のことを分かっているだなんて、 そんなおこがましい事はもう言えなくなっていた。 「あ……ええ、わかったわ、行きましょうか」 搾り出すような声で返事をする私に、幼馴染は微笑みかけた。 ピンで止められた柔らかそうな髪が揺れる。 「やった。ねえ、手、繋いでいいかな?」 どうして、この娘はこんなことを言うのか、言えるのか。 クリスマスは近い。 どこかで、二千年前の聖者様が、私を見張っているんじゃないか、そんな気がする。 そんな気持ちが、ぎちぎちと、私の腕を締め付ける、手を縛る。 「なんてね。補習、遅れちゃうから急ごうか」 冬休みにも補習があるなんて、ブラックジョークにもならないよ。 そんなことを言っていたとは思えない、真面目な発言。 私の手は握られたまま、縛られたまま。 「そう、ね。急がないと、ね」 急がないと。 4. 大変大変もう大変、私の姉が、幼馴染のことを好きになってしまったそうです。 2010/12/26(日) 04 32 51.22 ID MMzCkGP00 「おう、お早う、和、唯」 通学路を半分ほど歩く。 カチューシャで髪を上げた友人が、明るく挨拶をする。 笑っているけれど、その笑顔はまるで街灯のような、人工的な嘘臭さを帯びていた。 「おっはよ、りっちゃん!」 それが普通。コンクリートのビル、人為的に配置された並木、嘘くさい笑顔。 なによりも、昨日の後の今日では、それが自然なのに、それなのに幼馴染の笑顔は、どこまでも明るい。 直視できないほど明るい。 「お、おお、随分元気じゃんかあ」 にやりと笑って、律が幼馴染の頬を突付く。 やめてよ、なんて言って笑った唯が、顔を背けて頬をさすったから、律のにやにやした笑顔は、私に向けられた。 ぐっと親指を立てて、笑う。 さっきよりも、ずっと、嘘臭さが減った笑顔。 「まあ、なんていうか、頑張れよ!」 こそこそと、小さい声で私に言う。 もしかして、嘘臭さは勘違いによって減ったのではないだろうか。 それは相変わらず嘘のまま、スクリーンに映し出される森林の映像のように、根本的なところで、人工的なんじゃないだろうか。 なんてみっともない。 「なにがよ」 私は潔く、眉をひそめた。 6. なんて優しいお姉ちゃん、関係、繋がり守るため、自分の気持ちを隠そうと。 2010/12/26(日) 04 37 09.06 ID MMzCkGP00 教室に入ると、幾人かの視線を感じた。 ついでに、律がまた、さっきと同じように親指を立てるのも見えた。 金髪の友人が、にこにこと笑って、こちらに近づいてくる。 「ねえねえ、和ちゃん、ちょっとお話聞かせてほしいの」 私の手を握る、白い肌の掌は、温かい、柔らかい。 手入れはされていないのだろうが、それが逆に愛嬌を生んでいる、少し太い眉毛。 好感の持てる顔立ちなのに、その笑顔の源を意識しただけで、殴ってぐちゃぐちゃにしたくなる。 「ええと、その」 言いよどむ私。言葉も、言葉を発した心も、振る舞いも、仕草もぐちゃぐちゃ。 それでも、ムギは私の肩に手を当てて、楽しそうに、私を廊下へと連れだそうとした。 「あ、駄目だよムギちゃん。私が和ちゃんとお話しするんだから」 柔らかく笑って微笑む幼馴染。 相変わらず、どこまでも自然な笑顔。 ぞっとする。 「ごめんね、ちょっとムギと話してくるわね」 そう断って、急いで教室を出た。 向かう先は、階段を延々と登って、付きあたり。 屋上への扉の前、の踊り場。 7. なんて卑怯な妹、私、独りの女性を得るために、姉の気持ちを利用しようと。 2010/12/26(日) 04 38 42.23 ID MMzCkGP00 「それで?」 目を輝かせて、ムギが尋ねてくる。 柔らかそうな手は、顔の前で組まれている。 「じらさないで聞かせてね、どんなふうに告白されたの?」 ムギの言葉を聞いて、昨日のことはより現実味を帯びた。 鉄筋コンクリートの高層ビルのように、圧倒的な存在感を持って、私の前にそびえ立った。 「告白……そうね、告白、されたのよね」 それだけに、気味が悪い。 幼馴染の、優しい陽の光が降り注ぐ、涼しい林のような笑顔が。 昨日のことと比べて、どこまでも異質に見える。 「あら、その言い方から察するに、何かあったの?」 ちょっとだけ顔を曇らせる。 けれど、それさえもその奥にある輝きを際だたせるために、そうしている、そんな気がする。 要するに、ムギはどこまでも楽しんでいる気がする。 「あった」 それだけ言って黙っていると、ムギが無言でもって先を促してきたから、私はしぶしぶ話してやることにした。 口のあたりが、妙に疲れる…… 8. 「私がそれとなく探ってあげる。そういうの私得意だから」 2010/12/26(日) 04 40 56.92 ID MMzCkGP00 そうね、昨日の事だったんだけど……一応聞いておくけど、貴方達が炊きつけたわけじゃあ無いわよね? そう、よかった。もしそうだったら……まあ、いいわ。 とにかく、昨日ね、生徒会が終わって帰ろうとしたら、タイミング良くメールが来たの。 唯から、一緒に帰ろう、って。 だから、校門のところで待ってたんだけど……って、この辺りは貴方達も見てたわよね。 そのあと、なんでか唯にね、途中でトイレに寄って、それから教室に連れてかれたのよ。 忘れ物でもしたのかな、と思ってついて行ったのだけれど、どうも違うみたいだった。 『なんていうか、夕陽の差し込む教室って言うのがね、良いんじゃないかな、って思うの』 そんなことを言っていたわ。それで、ぼうっと窓から夕焼けを見ていた。 なんかやけに色っぽかったんだけど……なににやにやしてんのよ。 少し変だなって思ったの。 そうしたら唐突に、 『和ちゃん、こっち来て、そう、そこ……ねえ、綺麗だね、夕陽?』 なんて言うの。 私でなくとも、なんだか変だと思うでしょうね。 だから、なんとなく頭を撫でてやった……だからにやにやしないでって。 それでね、しばらく迷ったように黙りこんで、急に、決心したように言うのよ。 『例えばさ、和ちゃん、私が和ちゃんのこと好きだって言ったら、どうする?』 10. 「ええ、大丈夫かなあ」 2010/12/26(日) 04 43 34.18 ID MMzCkGP00 「それで?」 少し眉をひそめて、目を輝かせながら、ムギが先を促す。 けれど、先なんて無い。 「終わり。それで、唯が走ってどこかへ行っちゃったから、私も帰ったの」 落胆。顔いっぱいに、曇り空のような、曖昧な表情が浮かぶ。 肌の色も、髪の色も、それと混ざり合う顔立ちも、彼女の全てが、どことなく曖昧な、 不思議な柔らかさと優しさを…… 「むう、それは由々しき事態よ。きっと唯ちゃんは何か悩み事が……」 流れるような言葉につられて、動く唇。 柔らかい、洋菓子のように、絹布のように、やすやすと形を変えていく。 悩ましげな表情、口元に当てられた白い握りこぶし。 その肌も、触ればきっと、癖になるような弾力で、私の指を押し返す。 それを、ぎゅっと掴む、きっと気持ちいい……ほら、こんな風に。 「の……どか、ちゃん……?」 キリストは…… 「和ちゃんったら」 おずおずと、消え入りそうな声。 重なった、私とムギの手。ムギの手は、鉄製の冷たい扉に押し当てられている。 私はそっと、後ろへ下がった。 階段から落ちやしないか、そんなことばかりが気になった。 12. 任せてよ、得意げに胸をはる私。トイレで待ち合わせ、服を交換。 2010/12/26(日) 04 45 56.41 ID MMzCkGP00 「ごめんなさい」 じっと見つめる、少し青い瞳。 瞳の色でさえも、どことなく曖昧で、彼女の言葉も、あんまり柔らかくて私を押しのけるような力はなかった。 「あ、いいの、別に……その、なにか気に触ったのなら、私こそごめんね?」 彼女は力が強いらしい。 それでも、私の意志を動かすことなんて出来ないわけで、そんな荒っぽい無粋なことをしたのは、 きっと、やっぱり、どこかで見ている聖者様。 くたばって欲しい、体も精神もがんじがらめにする、モラルの塊聖者様。 飛び跳ねる、まるまる太ったお爺さん、空をかける、奴隷待遇のトナカイさん。 「授業、始まっちゃうから。教室戻りましょう」 柔らかい声、差し出された手。 ほんのりと赤くなった、白い肌。 「そうね、急がないと、ね」 彼女の手を無視して、階段を降りた。 視界の端に、何故だかがっかりした様子で肩をすくめるムギが見えた。 ぞっとした。 13. そういうの、得意な私は、顔に姉の仕草を貼り付けるのです。 2010/12/26(日) 04 48 51.75 ID MMzCkGP00 「整数問題の基本は、積の形に直すということですねえ……」 黒板には数字ばかりが並ぶ。 今朝、私のやったことが、まだ信じられない。 全力でムギの手首を掴んだ、私の、細い腕で肩に接続された情けない手。 「続く大問2は、ベクトルの媒介変数表示を図形的に捉えることが重要になるわけです……」 ちらりとムギの方を見ると、目があった。 ムギが、さっと目を逸らす。 それなのに、その後も、何かを期待するように、ちらちらとこちらを見てくる。 「ベクトルpプラスベクトルaの絶対値が2となり、かつ……」 ベクトルpプラスベクトル-aの絶対値が4となるようなベクトルpが一つしか無い。 接する円。片方の円は、もう片方の円の、内側に、それとも外側に? こつん、と頭に何かが当たった。 振り返ると、律が両手を合わせていた。 足元にはくしゃくしゃに丸められた紙。 今朝、ムギと何の話をした? 雑な字でそう書かれていた。 14. たまに、貼りつけた仮面から、溢れるものもあるのです。 2010/12/26(日) 04 50 42.38 ID MMzCkGP00 「ん、で、今朝のお話聞かせてもらおうじゃないの」 からかうように、律が言う。 奇しくも、というより、この場所以外に人に聞かれる心配をしなくて住む場所がないのだから、 当然ではあるのだが、場所は屋上前の踊り場。 鉄製の扉に手を当ててみる。冷たい。 「あなた、お弁当は唯たちと食べるんじゃないの?」 「いやあ、ちょっと他のクラスに行ってくるー、ってな感じでね」 ごまかして抜けだしてきたわけだ。 誤魔化すということは、つまり、この会合を、なにかやましいもののように感じている、ということだ。 「それに、和だって、『ごめんなさあい、私生徒会があるのお』なんて、大嘘こいてたじゃんか」 無理に気取った喋り方が、なんとなく、こう言っては失礼かもしれないけれど、ムギに似ている気がした。 それで、背筋が冷えた。 「その喋り方、あなたが思っているよりも苛立つから止めたほうがいいわよ」 「へいへい、ごめんなさい」 律の顔から目を逸らし、後ろを向く。 足元には階段。 足を滑らせないように、落ちてしまわないように、それをじっと見つめる。 2
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やおい批判 前ジャンルではやおいを取り扱い、 ((前ジャンル)の時 ホ○本出したのに 男の人が結構買っていってビビリまくった などと吹いてていたのにもかかわらず、 新しくはまった飛翔ジャンルではサーチをめぐり、やおいの多さに吠える。 以前好きだった嗜好が年をとるにつれ苦手になっていく傾向もままある事だが、批判をうpした当時もやおいサイトへリンクしていた。 なんの意図があったのかは誰にも判らない。 (飛翔ジャンル)のサーチやらなんやら 駆使して なんとかちょっとでも 萌える(ノマカプ)サイト探そうと思ってんですが 皆無に等しいくらいないよ ちくしょぉおおおおおおおおおッッ てゆーか 事あるごとに ぶちあたるの ホモサイトばっかりだよ!!!! お姉さん 悲しくなってきちゃったよ オイ マジでっ さすが 現代ジャンプだな オイ 酷いとは聞いてたけど ここまでとは思わなかった 腐女子向けになってるとは 聞いてたよ 聞いてたさ でも サーチとかでも 明らかにホモCPのが数多いとか 世の理として 間違ってると思う 思うよ うわん!!! てめぇらは それでも人間か 血の色 何色だっ(言いすぎ こーゆー 腐女子な現実にぶち当たるのが 嫌だったから ジャンプから放れてたのに 私…orz もっとみんな ノーマルCPに目ぇ向けようよッッ 男が男のケツ 追い回してるのなんか楽しくないじゃないか(… 大体君らは 男を美化しすぎなんだよ そんな 肩幅狭い 男が居てたまるかよ 原作であんな木刀やら刀やら 振り回してるのに そんな腕 ほそっこい訳ないだろうが 男は肩幅がっちりで 腕とか脚とかに筋肉ついててなんぼじゃん よく見ろよ (キャラ)だって 筋肉結構ついてるじゃんかッッ 男は 全体的に直線的なんだよ 角張ってるんだよ それで 女は 曲線的で 丸まってるんだよ それで これぞ 男と女の 体格差!!!! って並べるのがいいんだろうが それが分からんのか てめぇらはッッ アレだね ほんとう 今のジャンプは 腐女子の為にあんだね… うっうっうっ(むせび泣き ちなみにぽーたんのサイトのどこを見ても、ガッチリした男性は居ない。 また、このジャンルは飛翔ジャンルに珍しくノマカプが多いらしい。 ぽーたんが好きなカプサイトがないのはそのカプがマイナーなせい、らしい。 ちなみに、別ジャンルの飛翔キャラA×Bについて 1年前にこんな発言をしている。 (A)が好きすぎるんです (A×B)が凄い描きたい 今になって なんでじゃ BL卒業したんじゃなかったのか (A×B)は なんていうか(A×B)を描きたいというより 物凄いキモイ (A)を描きたいわけですよ 「(B)君 ハァハァ」って終始言ってる(A)が描きたいのです (いっそ描くなよ……) 「触るな 寄るな 話しかけるな あと1mmでも近付いたら殺す」 って真顔で言う(B)が描きたい ためしに(A)描いてみた((A)らしき顔絵) この顔で「(B)君ハァハァ」とか考えてるんだよ 私の(A)は超キモイね 凄いキモイです キモすぎる 絵柄か(それだよ (作画)先生はやっぱすげぇ… でもキモイ(A)超好きです えへえへ(… あ ダメだ やっぱり作るかもしんない(うぉおおおい 作っても更新履歴とかには乗らないよ 本当こっそりだし(爆死 としても 絶対期間限定だろうけどさ… 書き殴って熱冷めたらそれまでだわ アレだね ほんとう 今のジャンプは 腐女子の為にあんだね…
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銀色の髪の男が、静かに炭酸飲料を傾けていた。 恐らく『炭酸飲料』としては一番有名であろうその赤い缶。 男は、何も言わずに、示さずに、缶の中の液体を喉に流し込んでいく。 ここはE-7エリアの港。 まるで乗れと言わんばかりに船が停泊しているが、これで脱出を試みたところで体内の『呪縛』が許してくれない。肉を撒き散らして朽ち果てるだけだ。 近くには、凹みのある赤い自動販売機が一台。 男は金など持っていなかったが、蹴り飛ばして強引に手に入れた。 喉を鳴らして、最後の一滴まで飲み干していく。 口元を液体がつたったが、気にせずに缶の中身を飲みきる。 飲み終えると男は服の袖で乱暴に口元を拭い、空になった缶を地面に置いた。転がっていかないようにして、それをしばらく見下ろす。 ぐしゃり。 男の足が缶を踏みつけ、その筒状の形を歪ませた。 力が入り、どんどん平面に近付いていき、最後は蹴り飛ばされる。 まるで町の不良やチンピラのようだったが、それは彼の本質とは違う。 彼の名は坂田銀時。 かつての攘夷戦争において『白夜叉』と恐れられた侍である。 尤も今は『万事屋銀ちゃん』という万事屋―――平たく言えば便利屋。 仕事が無い時期も多いが、馬鹿で愉快な仲間たちと穏やかな日常を過ごしていた。やがて多くの荒事に巻き込まれ、気付けば彼の周りは温かな人たちで溢れていた。 時には、というか割といつも愚痴をこぼしていたが、銀時はかぶき町での騒がしい生活を好み、望み、愛していた。命が危ぶまれる場面も多々あったが。 ――――しかし。 もう、その日々は帰ってこない。 帰ってきたとしても、一人足りない。 彼の同僚であり家族であるチャイナ服の少女、神楽。 戦闘民族『夜兎族』の少女だけが、足りない。二度と戻ってこない。 神楽は死んだ。『見せしめ』なんて傑作な役割として、散った。 別れの言葉を交わす暇もなく、文字通り『散った』。 ここで一つ補足しておこう。 この坂田銀時は、自堕落な男だ。 毒舌でSで、いちご牛乳を愛飲する、だらしない男だ。 だが。 ―――――坂田銀時は、仲間が傷付けられることを絶対に許さない。 彼は今までだって沢山の敵と戦ってきた。 結果和解した人物も居たが、出来なかった人物も居た。 しかし今真の意味で、銀時は思っていた。 ――――――自分を止められそうにない。 今回の『敵』を許すことは出来ない。 この手で斬らなければ気が済まない。 否、この手で殺さなければ気が済まない。 彼女たちは、『白夜叉』の逆鱗に触れてしまった。 「…………待ってろよ、クソ野郎共」 その声色は聞く者をゾッとさせるほどに冷たく、彼の怒りのボルテージが既に決壊していることを暗に示していた。きっと今の彼を止めることは、彼の大切な仲間たちでも不可能。 鋭い眼光に闘志を燃やし、白い夜叉がバトルロワイアルを往く。 ■■■ 困惑。それが第一に抱いた感情。 金色の髪の毛にホストのような格好の少年は、困惑していた。 彼の名前は垣根帝督。 科学と学生の『学園都市』の闇に生きる者なら震え上がっただろう。 学園都市の一般人にも、『第二位の超能力者』と言えば彼がどれほど途方もない力を有しているかに気付き、また同じく震えるか、畏敬の念を示しただろう。 だが、『闇』の人間ならまず恐怖する。 表向きな彼の顔は、学園都市230万人の頂点『超能力者』の第二位。 彼の裏の顔は、学園都市統括理事長アレイスター=クロウリーとの交渉条件を求める暗部組織『スクール』のリーダー。即ち、殺しすら厭わない人間だ。 一応暗部の中では良識的な部類の人間だったが。 それでも。場合によっては殺す気で『230万人中第二位の超能力』を振るってくるその存在は脅威にして恐怖の存在。それが垣根帝督だ。 ―――その垣根が、困惑していた。 ―――超能力者の頭脳でさえ解決出来ない『不可思議』に。 垣根は、死んだ。 いや、そう言うと語弊がある。垣根は、『生かされていた』。 それも、体を冷蔵庫よりも巨大な機械に繋がれ、脳みそを幾つかに分割され、まさしく『超能力を吐き出す塊』に成り果てていた筈だった。間違いなく。 全ては、彼が敗北したから。 格上の相手・『第一位』の超能力者『一方通行』に、敗れたから。 最後に彼もまた次の次元の力に進化(シフト)しながらも、垣根帝督は徹底的に敗北し、結果暴走した一方通行に『虐殺』されてしまった。 なのに、確かに五体満足で垣根は此処に存在している。 一体どんな医療技術を使ったのか、縫い跡一つ見当たらない。 「…………ははっ、馬鹿じゃねえのか俺は?」 幾ら『外の世界とは百年以上技術が離れている』学園都市だからといって、これほど完璧な治療を行うことは不可能だ。名医『冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)』でも、不可能だ。仮に繋げたとして、縫い跡は残る。 『冥土帰し』は暗部でも名の知れた名医だが、無理だろう。 まず、分割された脳を再び機能させることが不可能に近い。 『普通』なら。 魔法や神の気まぐれで復活できたと思い、意気込む所かもしれない。 しかし生憎、垣根帝督は学園都市に―――科学に精通しすぎていた。 あの状態から復活した。させられた。 それを可能にしてしまうだけの力を有す主催の力は、どれほどか。 垣根帝督はおろか、あの『一方通行』さえ敵うか分からない。 そんな相手に、垣根は素直に恐怖を覚えた。 「…………魔法、ってか?」 馬鹿げた響きだと口にしておきながら垣根は思った。 しかし、真っ向から否定することも出来なかった。 垣根の能力は、どちらかといえば『非科学』的な能力である。 『未元物質(ダークマター)』。 この世に本来『存在しない』物質を取り出す能力。 未発見云々の話ではなく、本当に存在しない物質。 そんな非科学的な科学があるのだから、魔法だって有り得なくはない。 だとすれば垣根にとって、主催は全く未知の相手ということになる。 『未元物質』でなら対抗できなくはないだろうが、勝率は低い。 だが。第二位の超能力者はその事実に屈しない。 この世に存在しない物質――――天界の力の片鱗を振るう者。 この世の常識の外の理論――――本当の非科学を振りかざす者。 「ハッ。良い具合にどちらも常識が飛んでんじゃねえか」 だが。こと『常識外れ』においては垣根帝督の専門分野だ。 彼はニヤリ、と唇の形を変える。 その形が意味する表情はただ一つ、『笑顔』だった。 「いいぜ魔女共。どっちが常識外れか見せてやる。 ――――――――――俺の『未元物質(ダークマター)』に常識は通用しねえんだ」 一度死んだ男、垣根帝督。 彼の二度目の生は、外道共に花束を送るところから始まった。 ◇◇◇ 「………ちょっと良いかなそこの色男の兄ちゃん」 垣根は、ここE-7エリアの探索を始めていた。 別段目的が有る訳ではなかったが、じっとしているのは勿体無いと思った。…………残念ながら、収穫というに値するものは見つけられなかったのだが。 一息吐いた時、彼は銀髪の男に声を掛けられていた。 銀色の髪に、何処か闘志の宿った瞳。年は垣根より間違いなく上。 この男は殺し合いに乗っていないと彼は確信した。 暗部で過ごしているのだから、人の善し悪しくらいは見分けられる。 だから、この男に力を振るう必要はない。 「………警戒しなくてもいいぞー、お兄さんは乗っちゃいない」 「ガキ扱いしてんじゃねえ、後テメェはお兄さんって歳じゃねえ」 おじさんってとこだろ、と付け足して垣根は言う。 しかし今の会話で、敵意が無いと相手ーーー銀時は認識したようだ。 「俺は坂田銀時っつーもんだ。あの屑を叩き斬る為に動いてる」 「俺は垣根帝督だ。奇遇だな、俺もアイツらをぶち殺そうと思ってな」 『あの屑』『アイツら』。 どちらも当然主催者のことを指している。 銀時は垣根の返答を聞くや否や、眉を顰めて聞き返した。 「……おいおい、待てよ。『アイツら』ってどういうことだ」 そう。銀時と垣根は確かにどちらも主催者を指していたが、二人のニュアンスは微妙に異なっている。単数か複数かの認識が、ズレているのだ。 銀時の言う『主催』は、古戸ヱリカ一人を指す。 垣根の言う『主催』は、古戸ヱリカを含む集団を指す。 「当たり前だろうが。――――こんなことは一人じゃあ出来ねえんだよ。あんなクソガキ一人で出来る所行じゃねえ、それは断言できる」 足りない。 古戸ヱリカ一人では、この殺し合いを収めるには足りない。 他ならぬ垣根帝督や、彼を一度事実上殺害した『一方通行』。 第四位の『原子崩し』に、彼が憎むアレイスターの『プラン』の一つ、『幻想殺し』。そして垣根の同僚であり相棒のような存在『心理定規』。 たった五人だけで、一国を相手にして釣りが来るほどの兵力。 他にも約140人、垣根たちのような人間も少ないが居る可能性が高い。 なら、たかが『呪縛』一つで縛りつけられるのか? 垣根の『未元物質』でも、上手く調節すれば越えられそうだ。 尤も、どうやったのかは知らないが能力が少し抑えられていたが。 そして彼は詳しく知らないが『幻想殺し(イマジンブレイカー)』。 あのアレイスター=クロウリーのお墨付きの代物。 垣根は詳しくは知らないが、それが自分や一方通行のような強大な存在を越えるほどの『何か』を持つ存在ということだけは理解していた。 なら、ヱリカ一人では尚更足りない。 という訳で、垣根は主催は集団だと考察していた。 しかし、銀時はまさに『ポカーン』としていた。 「………ちょっと待て。能力者?学園都市?何を言ってるんだお前」 「………は?まさかアンタ、学園都市を知らないのか?」 学園都市はこと科学において世界一だ。 現在も、ローマ正教とやらが学園都市と戦争を起こしそうだとかでテレビがあれだけ騒いでいるのに。――――この男は、学園都市を知らないって言うのか? しかし銀時の顔はどこからどう見ても東洋人の顔だ。 着ている服のデザインからしても―――何より、日本名。 日本に住んでいて学園都市を知らないのは尚更有り得ない。 「おいおい。アンタ、どんなド田舎に住んでるんだよ」 「江戸のかぶき町だ。言っとくがテレビくらいあるからな」 「は……?江戸って、何言ってんだアンタは」 江戸。今より百年以上前の日本の首都。繰り返すが百年以上前の。 なら、銀時はもうとっくに生きていない歳の筈だ。そもそも老いを感じさせるような面構えでも体格でもない。 しかも困ったことに。嘘は言っていないと垣根には認識された。 平行世界(パラレルワールド)理論というものがある。 例えば、道に転がる小石につまづいて転倒してしまったとする。 だが、そこで同時に『転倒しなかった』世界が生まれ、世界が分岐していくという理論だ。正直失笑モノの論文が殆どだと垣根は認識していたがこの状況では信じざるを得ない。何せ困ったことにその理論以外に解決できるものがないのだ。 仮定する。 坂田銀時の存在していた世界は垣根帝督の世界の平行世界。 改革が起きるか起きないかで世界が分岐した。 若干事実とは違うのだが、垣根は日本史のままで考えていた。 正直な話、世界がもっと複雑に分岐した内の一つだと思っていたが。 そして説明は諦めた。別に知らなくて困ることではないだろうし。 二人はやがて情報の交換を始める。 「………分かった。志村新八という奴に会ったら、伝える」 「ああ、頼む。俺も『心理定規』?って奴に会ったら伝えておく」 結論から言うと、二人とも知り合いに弱者が居なかった。 要注意人物として垣根は『一方通行』と『麦野沈利』を挙げたが。 二人は互いに、一番信頼を置く相手に伝言を頼んだ。 銀時は同僚にして家族の志村新八に。 垣根は同僚にして相棒の心理定規に。 たった一言だけ。 『これ、潰すぞ』 と。それだけ伝えて、二人は別れた。 垣根と銀時はどちらも相当の強者だ。だから、別れた方が弱者の保護に周れ、更により多くの仲間と情報を得ることができる。 そして。『白夜叉』の反逆が始まった。 【深夜/E-7】 【坂田銀時@銀魂】 [状態]健康、強い決意 [所持品]不明支給品 [思考・行動] 0 主催者共をたたっ斬り、神楽の仇を討つ。 1 新八たちは大丈夫だろうし、戦えない奴を保護する 2 一方通行、麦野沈利には警戒しておく。 ※少なくとも金魂編に入る前からの参加です ※垣根帝督から学園都市に関する情報をある程度聞きました □□□ 垣根帝督は、坂田銀時と別れてから一人歩いていた。 平行世界の存在。そして主催に対する考察もうまくまとまった。 得られたモノは決して零ではなかったようだ。 江戸に住んでいるというどこか奇妙な男、坂田銀時。 彼ならば、主催者に一矢報いることが出来るのではないだろうか。 銀時は自分とは違う。 きっと彼なら、見せしめの少女の仇討ちを遂げられるだろう。 「敵わねぇよな………」 垣根帝督が一方通行に敗北した理由。 それはただ単に、一方通行の『黒い翼』が垣根帝督の『天界の力の片鱗』を上回っただけではないのだろう。一方通行の言う通り、根本から彼に負けていた。 彼は戦いながらも誰かを守ろうとしていた。 自分は勝手に火に油を注いで自滅した、ただの三下に過ぎない。 あの末路はきっと当然の報いだったのだろう。 三下に相応しい、あまりにも無様で哀れな幕切れ。 ―――――俺は、なんて傑作な道化だろうか。 「………つーわけで、こんな道化に負けてお前は死ね」 「笑止」 威圧感。 垣根の背筋に冷たいものが走る。 今垣根の前方に立つ男こそが、垣根帝督の運命の審判員。 生きてやり直せるか、死んで道化に成り果てるか。 ―――――征天魔王織田信長。 戦国乱世の大魔王が、垣根帝督に殺意を向けている。 『天界の力の片鱗を振るう者』と『第六天より来たりし魔王』。 ―――――戦いの火蓋が、切って落とされた。 【垣根帝督@とある魔術の禁書目録】 [状態]健康、闘志 [所持品]不明支給品 [思考・行動] 0 殺し合いを潰し、元の世界に帰る。 1 前方の男(信長)を倒す。 2 人は極力殺さずに、弱者は保護していく 3 心理定規と合流したい ※一方通行に『虐殺』された後からの参加です ※『未元物質』にはある程度の制限が掛けられています 【織田信長@戦国BASARA】 [状態]健康 [所持品]聖剣アスカロン@とある魔術の禁書目録 [思考・行動] 0 全てを殺し、天下布武に戻る 1 前方の小僧を葬り去る。 2 主催者共は根絶やしにする。 ※本能寺の変より前からの参加です ※魔王としての力はアニメ版レベルの力まで使えます
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この国ではそこまで珍しいものではないとはいえ、派手に目立つ赤毛の自分と比べると、中肉中背の黒い頭の男はたいそう地味だと思う。そうして、全身をがっしり覆う鋼のような筋肉は、数年経っても相変わらずだった。 不器用に見えてやたら器用な男なのだ。機微(きび)に疎い自分より、よほど細やかなところに気がゆく。 舗装された町中で、いくらでも足音を殺して歩けるのに、それをしない。視界の効かないところから近寄る、ただそれだけのために、わざわざ気配をあらわにし、音を立てて歩いてみせる。 そうしてそれを自然にやってのける。厭味だよなあと彼は思う。 「……器の差を見せられてるみたいでいやだなあ」 「何が」 「いや、こっちの話です」 不機嫌そうな顔でずかずか近づいたグシュナサフは、手にした酒瓶を差し出した。 「飲むか」 「飲みます」 大歓迎だった。ず、ずと鼻をすすって手を伸ばすと、お前、とおかしそうに片眉を上げられる。 「泣いてるのか」 「泣いてますよ。……うるさいな。フラれたって言ったでしょう」 痛いところをいちいち突くなよ。 むかつきながら言葉を返す。この男とは、どうせどこかで、話をつけなければならないと思っていたのだ。 気がかりがあちら側からやってきてくれるのは都合がいい。 「タイミングは最悪ですけどね」 「だから何の話だ」 「別に」 ふて腐れた思いで瓶の栓を歯で引き抜き、勢いよく呷(あお)る。 度数のぐっと強い蒸留酒が、喉を焼いて滑り落ちていった。予想して構えていたものよりだいぶ強かったので、つい噎せかえる。 「……あんたにしては、ずいぶん強かないですか」 「ヤケ酒なら、べろべろに酔わないと意味がないだろ」 「……、」 ほとんど把握しているような元同僚の声に、口元を拭い、なにか返そうと彼は口を開き、また閉じる。 結局なにを話してよいか判らなくて、またひと口、瓶の中身を口にふくんだ。 明かりの落ちた路地裏は暗い。雨雲がかかり、月明かりも星明かりもないのだから余計だ。 グシュナサフは立ったまま、彼は壁に寄りかかり座ったままに、互いに黙り込んで雨の音を聞き、四半ときほど不機嫌もあらわに酒を呷っていたが、 「……おい」 珍しく男の方から口を開き、彼を呼んだ。すこし沈んだ声だった。 「はい」 「ミシュカと言ったか」 「――はい」 「お前は、」 一瞬男は言葉に迷い、 「……お前は、そっちの生き方を選ぶんだな、?」 そうたずねた。 「……、……、……、そうですね」 たっぷりと間を置き、ごしごし頬を拭いながら、 「あんたに小細工は通じるように思えないので、正直に言いますが、それが一番いいと思いますよ」 浅く頷いて返す。 そうか、と男はこたえた。そのまま、黙してまた酒を含む。 すこし肩すかしな気がして、彼は顔をあげ、男をちらちら窺った。 「なんだ」 視線を受けて、男が片頬を歪める。無愛想に笑っているのだ。 「空になったなら、酒の代わりはあるぞ」 「いえ、そうではなくて」 まだありますよ。酒瓶を振り、中身を揺らして彼も薄く笑う。 「なんか言うことないんですか。なんか。追及。いろいろ。なんでこんなことしたんだ、とか。この四年なにしてたんだ、とか。このままでお前はいいのか、とか。根掘り葉掘り。いろいろ」 「追及されたいのか」 「されたくないです」 「じゃあ、聞かんよ」 ごそごそと胸もとを探り、紙巻きを取りだすと、男は彼に抛(ほう)りなげる。不意の動きだったので、受けそこね、あやうく水たまりに落としそうになり、慌てて彼は両手で転がした。 「――大きくなっただろ」 おととと、と手のひらの上でお手玉しかける彼へ、唐突にグシュナサフが呟く。 「はあ、……ええと、」 「彼女。見た側も、内面も。成長したと思わんか」 「……、」 年が明ければ成人だしなあ。顎に手をやり、感慨深げに男は続けた。 「この四年、毎日、寝る間も惜しんで、懸命に勉強してな。価値観と、知識と、常識を、今まで覚えることができなかった分、自分は身につけないとならない、って。そうでないと、何かを選んだり決めたりするときに、自分は判らない、知らないで逃げてしまうからって――、どっかの、土壇場(どたんば)でビビって、しっぽ巻いて逃げだすやつとは違って」 「ああ、……、俺、やっぱり説教食らうんですね」 ちくちく刺さる厭味に、苦笑いして彼は煙草に火を点ける。 「まあ、でも、しようがないか。説教くらい食らわないとダメかもしれないなあ。……泣かせちゃいましたし」 彼女は笑いながら泣いていた。栓のない約束。 叶うとは思っていないのに諦めることもできない。悲しい指切り。 その顔を見たとき、今まで別人を騙(かた)っていたなにもかもぶん投げて、今しがたフラれたこともすっぽり忘れて、引き寄せて、抱きしめたい衝動にかられた。 とどまったのはどうしてだろう。 「でも、……、……それでもねぇ」 彼は呟く。お言葉ですけど、この四年、俺もそれなりに考えたんですよ。 「考える時間は腐るほどあったんです。なにしろ、最初の一年は寝たきりでしたしね」 煙と一緒に、しみじみ自嘲を吐きだした。 うんざりするほど聞きなれた、海風の音がよみがえる。 その日、目が覚めると、彼は土間に寝かされていた。 ……あれ。 一瞬、自分がどうしてここにいるのか、今までなにをしていたのか判らなくて、混乱し、とにかく現状を把握しようとした。 あたりを見回そうとするものの、体が固められたようにまったく動かない。まばたきするのがやっとだ。 ……いやこれは、目が覚めるというよりは、無理矢理起こされたと言った方が正しいんだろうな。 目覚めた瞬間、全身引き攣れる強烈な痛みが、なだれうって襲いかかり、気絶したかったのに意識が完全に覚醒する。 くそ、こんなことならずっと人事不省でいればまだましだったのに、だとか歯ぎしりし、うんうん呻吟していると、半日ほどしてようやく部屋の戸のきしむ音が聞こえた。 近くから聞こえた。えらく小さな部屋であるようだ。 目玉を動かし、必死に音の鳴る方を見ようとするが、やはり体は動かない。首を傾けることすらできないのだ。 その彼の耳に、おや、だとか低くしわがれた声が聞こえてきた。 視界にひょいと顔をのぞかせたのは老人だ。日に焼け、なめしたような皮膚が、そのまま骸骨の上に貼りついているような、肉付きのまるでないのがまず目についた。 干からびた蛙(カワズ)、だとかと言う言葉が彼の頭に浮かぶ。 ――目が覚めたかね。……お前さん、自分がなにものか、覚えてるかね。半月ばかし、意識がなかったが、忘れちゃないかね。 眠りの美女なら大歓迎だったんだが。 そのカワズが言う。深刻そうな色はない。面白がっている口調だった。 ……半月。 返そうとしても喉がつぶれ、呻き以外の言葉も出せないことに、彼は気がついた。 カワズの老人は、日に二度、小屋を訪れ、彼の傷の具合をたしかめた。 背中の矢傷のほかに、体のあちらこちらに裂傷やら擦過傷やら打撲痕などがあって、追い剥ぎでもなかなかここまでしないわな。老人におかしなところで感心された。 のちに知ったが、寝かされていたのは、漁師小屋だ。 帆布や網の替えや、修繕用の木材と言った、普段は使わないものを押し込んでおく、三間ちょっとの板壁の物置だった。彼を最初に見つけた漁師が、ここへ運び込んだということだった。 ――最初は、土座衛門(どざえもん)が流れついたと思ったらしいがね。 老人が言う。 ……しまった、いやなものを見たな。 漁師は思ったそうだ。 関わるどころか、できれば見たくもないが、波打ち際にそのまま放置し、腐敗するのも見てくれがよくない。集落のすぐ近くで、臭われるのも困る。満潮でまたどこかに流れていってくれればよいが、期待通りに運ばれるとも限らない。 いやだな。……いやだなあ。 しようなしに近づいてみると、その水死体に、まだ息があることに気がついたのだという。 ――まあ、虫の息だったな。 彼の幸運だったのは、息があるうちに運び込まれたことと、処置が的確だったことだ。 老人の腕はたしかだった。本人は詳しく語らなかったが、どうもその昔、どこかの宮城の御典医だったということだった。 御典医まで務めた老人が、なぜこんなひなびた漁村に暮らしているのか、ふと気になりもしたが、ひとにはそれぞれ事情がある。彼自身も、なぜこんなところにいるのだと聞かれて、うまく説明できる自信はない。尋ねることはしなかった。 老人が訪れる以外に小屋への来訪者はなかった。 日がな一日、動けない体で彼はひたすら木目の浮いた天井を眺めて過ごした。 「唖(おし)になるかと思いました」 彼は言った。 「誰とも、なにも話さないんです。もうずうっと長いあいだ。朝晩、お医者の老人が通ってくるって言ったって、俺、寝てただけだし、話すことなんてたいしてないんです。せいぜいがところ、今日は晴れたなとか雨だなとか言う、その日の天気くらいなもんですよ。退屈だし、動けないし、もう尻に根っこ生えるかと」 煙草も酒も医者から止められ、体が動かないので自分勝手でこっそり入手もできない。傷にはよいかもしれないが、鬱屈した気持ちばかり溜まる日々だった。 ばかみたいに口をぽかんと開けて、天井の木目をかぞえる日々だった。本気で、気鬱になるか、悟りがひらけるかどちらかだなと思った。 痛み止めの薬で一日のほとんどをうつらうつらしていなければ、実際気がふれたかもしれない。 「窓があれば、まだ外が見られたんでしょうけどねぇ。ほったて小屋でしょう。寝かせてもらえてるだけ御の字で、……、まあ、普通は、素性の知れない、傷だらけでぶっ倒れてた半死半生の外部の男なんて、警戒されますよね。俺だって警戒します。漁村のだあれもやってこない」 薬が切れれば、痛みを紛らわす方法もない。 「……そこで、もう若くないなあって、なんだかしみじみ実感しましてねぇ。なんせ、傷の治りが遅いんですよ。いくらか縫ったんですけどね。閉じない。若い時分に戦場で矢傷を受けたりもしましたが、ここまで治りが遅かったかなあ、だとか思って。そうして閉じても、今度は攣れたり、腫れたり、膿んだりで。……ようやく起き上がれるようになったら、半年経ってました」 よたよたと四つん這いで小屋の外に出て、目に入った海の青さはどうだ。 潮風が目に沁みて、まともに開けていられないほどだった。 そうして、ああ、世界は美しいなあと思う。 「別に、苦労の押し付けしてるわけじゃあないんですよ」 二本目に火を点け、深々と煙を吸い込んで、彼は言った。 「俺はこれだけ頑張ったんだぞって、アピールしてるわけでもないんです。たいしたことしてないですしね。……ただ、そこでまともに動けるようになるまで、また半年ほどかかって、それから海を渡ったわけでしょう」 すでにこの漁村に居ついてから一年経っていた。 最初はねぇ。 闇の中に浮かぶ赤い火の一点をくゆらせながら、彼は続ける。 「最初はすぐにでも駆けつけようと、必死だったですよ。気ばかり急くんですがね、体が動かないんです。立ち上がって、歩行する。その簡単な動きすら、赤んぼよりうまくできない。ばたん、です。自重があるから余計ですよ。早く感覚を取り戻そうと、いろいろやりましたがね。……まあ、そのころは、まだ、自分も熱く燃えていたというか、どこにいたって必ずあんたらに追いついてみせる、みたいな、根拠のない自信もありました。……、……でも、……」 でも、四年でしょう。次第にしょんぼりと声が沈むのを自覚する。 四年だった。まだ四年と言うべきか、もう四年と言うべきか、そもそも自分はこの四、という数字にあまり恵まれていないようだ。 四年彼女を森に押し込め、四年塔に捕らわれた。離れて四年。次の四年はいったい何かなと思う。 「十年ひと昔って言いますけどね。四年もすりゃ、わりと忘れます。ものすごく痛かったとか、ものすごく辛かったとか、そんなことでも、喉もと過ぎればって、案外その通りで、けろりと忘れたりするもんです。時が解決するとか言うでしょう。そのときは、たしかに、メシも喉を通らないくらい悲しくて、苦しくて、お先真っ暗に思ったって、時間が経つうち、ゆっくりと諦めは身に滲(し)みてくる。理屈じゃないんです。おかしなことがおかしいと思えるようになる。味のなかったものも、食えばうまいなと思えるようになるし、花が咲けば美しいと思う。……正直、もうこのまま、俺は死んだって、忘れられた方がいいんじゃないかなって」 「――あきらめたのか」 しんと静かな声でグシュナサフが口をはさんだ。 「あきらめるのか」 そうですね。くたびれた笑いを口の端に浮かべ答える。 「数えたんですよ。船乗る前に。指折り数えたら、俺、もう三十後半になってました。……、初老とか、そろそろ言われちゃうんですよ。老いのはじまり。こわい。そんで、なんだか急に現実突きつけられた気がして」 開いた手のひらの指を、いつの間にか数えるように折っていた。 彼が別人を騙(かた)ろうとしたのも、たいして深い意味はなかったのだ。とくだんに、他の生き方をしたかっただとか、生まれ変わってみたかっただとか、そんな重いものでもなくて、ただ乗船の際、便宜上、本名はどうかなと思い、適当に思いついた名前を名乗った。 名を名乗ると、勝手に自分の口から、すらすらとその別人の生い立ちがすべりでた。それは北の小国ですごした、陰惨なおのれの半生とはあまりにもかけ離れた、平々凡々な別の人間の人生だった。 そのまま、別の名前で生きようと思った。 「前の名は捨てたんだな、」 「……捨てたとか、」 わらってしまう。 「だから、そんな、決意表明新たにした、ご立派で大仰(おおぎょう)なものじゃあないんですって。……ただ、あんたもさっき言ったでしょう。もう少ししたら、あのひと、成人するって。あのひといま十五でしょう。十五。……俺、三十七で、あのひと十五で、その差二十二。倍でもどうかと思うのに、倍以上。なんか考えただけで吐きそうです。二十二て。昔、あんたが、終わってるなって、俺に言ったことありましたでしょう。ありましたね?」 「あったな」 「俺ね、そのときはたいして思わなかったんですよ。あの頃あのひとはまだほんの子供でしたし」 そもそも、好きだという気持ちは、そこまで先々のことまで考えるのかな。そうも思う。 好きだと思うその瞬間、一緒にいたい、いると楽しい、せいぜい考えるのは一週間やひと月先のあれやこれや予定の話で、数年後、十数年後を見据えて、計画的にひとを好きになるだとか言うことはあるものなのだろうか。 「俺、あのひとが好きでしたよ。でも、好きだあって思うのと、好きだからそれを口に出して、好きだ、だから付き合いたい、ていうのは、また別の話なんじゃないかな。俺は別に、彼女を俺のものにしたいわけじゃなかった。ただ、時々森へ行ったときに会えてうれしい、それだけ。想ってる、それでいいと思ってたんです」 それでも、彼女との大きく離れた年齢差は決定的だと思った。 ああ、俺、終わってるんだな。 すとんと納得してしまった。 「俺ね、邪魔だって思いました」 肩をすくめて彼は言った。 「あのひとはもう長いあいだ、籠の中にいたような生活で……、ようやっと、自由になれたでしょう。自由ですよ。何だって、好きなことができるんです。行きたい場所にいける。食べたいものが食べられる。ここはすこし暑いですが、ミランシアだとか、ハブレストだなんて言う人間もいない。同盟がどうの、協定がどうの、あのひとを縛り付ける、目に見えない縄はなにもない。好きなように生きていいんです」 彼女に相応しい、誰かと幸せになってほしいと思った。 それは願いだ。 どんな若者かな。彼女を包み込んでくれるかな。 彼女は笑顔が可愛いから、相手も、きっと笑顔が素敵な人間にちがいない。 彼女と並んで、なんら違和感のない、おかしな目で見られることも、勘違いされることもない、 ――自分は彼女を縛るものになっていはいけない。 「あきらめようと思いました」 彼女を追ってはならない。 「もう邪魔しちゃあいけないって思いました。はい、傷が治りましたー、もう元気ですーって、のこのこ顔出してごらんなさい。ここでの出会いがいい例だ。無駄にあのひとをかき回すだけに違いないんです。だから」 捨てたわけじゃないんですよ。ただ、俺は、俺を全部、置いてきたんです。 二本目の吸いさしを水たまりに押し付けながら彼は言った。 ただ、船に乗っているあいだ、どうしようもなく悲しかった。自分は彼女と会うつもりもない、会ってはいけない、 ……じゃあどうして海を渡っているんだろう。 あのひとはやさしいですからね。彼は笑った。 「あのひとはやさしいですから、きっと、俺のゴリ押ししまくった勢いに、惑わされちゃってるんです。刷り込みってあるでしょう。ひよこの。卵から孵って、いちばん最初に見たものを親と思うっていうあれですね。あんな感じで、身近な人間に好意を抱くっていうのが、変な方向に捩(ね)じれたんじゃないかな。……まあ、捩じるのに一因作った自覚はあります。……でも、それに、いつまでも付き合わせるわけにはいかないですよね」 二等船室で、心臓がぎりぎりと絞めつけられるように痛くて、うずくまって過ごした。どうしてこんな状態を、失恋だとか言うのだろうと思った。 失うものなんて何もない。 失ったわけじゃあないんだ、ただ諦めたんだよ。 忘れようとした。 八つ当たりのように、酒と女におぼれた。一日酒を呷り続け、ごみ溜めで泥のように眠った。髪と髭は伸び、垢じみて臭った。虱(しらみ)も湧いたが、どうでもいいと思った。 飲み賃がなくなると、そのあたりで芸を披露してまた小金を稼いだ。やっていることは、あのろくでなしの育て親と同じだなと思うと、よけい荒(すさ)んだ。 最低な生活をしていることは判っていた。だがやめようがなかった。 自分は弱い人間だ。 行きずりの女とくたくたになるまで腰を振り、寝台にぶっ倒れ込んで眠るときだけは、痛みがすこしましになる気がした。 「それまで、あちこちふらふらしてたんですけどね。この町に流れてきたのが半年前で……ここは祭りなんてなくたって、普段からひとが多いんです。ひとが多すぎて、ごちゃごちゃしていて、誰も、お互いのことを必要以上に干渉しようとしない。忙しくて、みんな暇がないんです。なんか、俺にはしっくりきて、長居してたら、酒場にいきなりあのひとでしょう」 死ぬかと思った。言葉の綾(あや)でなしに、本気でそう言える。 心臓がひっくり返るどころか、二回転半ひねりしたのちに、口から出てくるかと思った。 「会わんでしょう。普通。運命なんて陳腐なことは、言いたかないですよ。しめし合わせてもないのに会うって、何分……、何十万とか、何百万分の一とか、どれだけの確率なんですか。本当、店の入り口にあのひとが姿を見せたとき、横っ面はたかれただとか、ぎょっとした、だなんて言い表しじゃあ生ぬるくて、もうね、なんて言ったらいいですか。目の前真っ暗になって、音も聞こえなくなりました。……曲弾いてましたけど。立ったまま気絶する、って言うのがあるくらいだから、もしかすると弾きながら気絶してたかもしれない」 どうしよう。どうしよう。どうしたらいい。うわあどうしよう。 そんな意味のない言葉ばかり頭の中をぐるぐる回り、やがて彼女がこちらに気づき、膝にすがられ切々と訴えられても、鼓動のうるさいのはそのままだし、いっそう破裂する勢いで打ち鳴らされていた。 「バクバクですよ。バックバク。俺、具合悪くなったあのひと抱えましたけど、絶対聞こえてるだろうなってくらい、高鳴りです。小鹿かってくらい膝も笑うし、なんか俺の方が具合悪くなりそうだった。心臓疾患でもあったら、確実にあすこで死んでいたと思います。もう本当、どうしてバレなかったんだって言うくらい。あのひとじゃなかったら、きっとバレてたんだろうな」 そらとぼけた覚えはあるが、演技ができたかどうかは自信がない。 貧血を起こし、蒼白になった彼女を抱え、二階まで連れて行ったが、あいだの記憶もほとんど吹っ飛んでいる。 落ち着け、とにかく部屋に運べ、落としちゃだめだ。落とすなよ、絶対落とすなよ。落ち着け、落ち着け俺。 言い聞かせたことだけ覚えている。 自分を取り戻したのは、一旦下へ戻り、上へ運ぶ食事を、盆に乗せたあたりからだ。 「俺がミシュカと名乗ると、あのひとは半信半疑で……、……二信八疑くらいだったかもしれない、でも、信じようとしてくれてるのが見て取れました。けなげって美徳ですね。……人を疑わないのは、相変わらずだなあって。これだけ露骨な、四方八方破れの嘘、信じようとするのって、……たぶんあのひとしかいないんじゃないかな」 じっと見つめる、濡れたぶどう色の瞳は相変わらずだった。 そこかしこに、四年前別れたころの彼女の残り香があって、だのに全体的にのびやかに、予想していたよりもずっと、 「――きれいになりましたねぇ」 ぽろ、と言葉がこぼれた。 「ここだけの話ですが、惚れ直しました。ひと目惚れの次って……なんて言うんでしょうね?ふた目惚れ?……、惚れ直して、……。惚れ直して、それで、……俺はもう十分だと思ったですよ」 成長して美しくなった彼女を見られたのは、四年前の自分への褒美なんじゃないかな。そう思えた。 あの死にものぐるいの頑張りは、無駄じゃなかった。 彼女を見ることができた。それだけでもういいじゃないか。 ――それだけでよかったのに。 「でも、俺は、結局、卑怯なんだよなぁ」 酒瓶の残りを乱暴に呷って、彼はまた笑った。 「身を引く、だとか、諦める、だとか、ごもっともに嘯(うそぶ)きながら、やってることは真逆なんです。本当だったら、言葉通りにするつもりなら、あの夜会ってしまったすぐあとに、この町を離れるべきでした。あのひとがまた会いに来ようとするのは判ってることで、だったら、本気で俺が姿をくらますつもりだったのなら、ここにとどまっちゃあいけなかった。さっさと夜逃げするべきでした」 だのにしなかった。彼女が探して会いに来るんじゃないかと思うと、どうしても引き払うことができなかった。 「まあ、すぐにあんたが来なかったのは意外でしたけどね。もっと血相変えて、鬼の形相で、うちの娘になにしてくれるって、お義父さんがその晩のうちにでもやって来るかなって覚悟してたんですけどねぇ」 「誰がお義父さんだ」 「似たようなもんでしょう。保護者なんだから。――あんたはそれでいい。不道徳で不純な思いなしに、あのひとの側にいて、陰に日なたに支え、あのひとの成長を見守ってやれる。あのひとにとって、必要なひとだ」 ……でも、じゃあ俺は? そう思った。 俺は彼女にとって、いったい何なんだ? 「――今晩かぎりって、自分に言い聞かせたんですよ」 空になった瓶を振って催促すると、飲むのはいいが、倒れたあとの介抱はせんぞ、釘を刺しながら、男が二瓶目を投げてよこした。 「ずるずる引き延ばせば引き延ばすほどよくない。俺は、あのひとにとったら、会いたい人間じゃなくて、瓜二つの別人なんですからね。あのひとの傷が癒えるどころか、えぐる一方だ。だから、今夜、祭りに誘って……、あのひとと一緒に回ってね、めいっぱい楽しんで、そうして、楽しかったね、またねって、さよならするつもりだったですよ」 だのに、気付いたら必死に追いすがっていた。なんとか引き留めたくて、約束を取りつけたくて、 「見苦しくてあさましいことこの上ないです」 ――ごめんなさい。もう会えません。 その上、きれいにフラれてしまった。 がっくりと肩を落とし、抱えた膝の間に頭をうずめながら、 「笑いたけりゃ、笑ってもいいですよ」 おのれを笑ってやるつもりの唇が歪む。 「俺はミシュカです。それで押し通すって決めたんです。……だのに、……、あきらめようって、俺は俺を向こうに置いてきたはずなのに、……、心臓が痛いなあ」 グシュナサフの言う通り、土壇場でびびって、鼻水垂らして逃げ出した臆病者だ。 二瓶目を一気に半分ほど喇叭飲(らっぱの)んで、そうして彼は鼻をすする。酔っ払いの中年が、酒を飲んで思い出話にくだを巻いている。 もうどうしようもない。自分で自分が厭になる。 「やる」 唐突にグシュナサフがふところを探り、片手になにか握らされた。 「なんです」 「やる」 軽くたしかめて、それが色紙に包まれた、紅白のアルヘイ糖であることに気がついた。祭りの露店で見かける駄菓子だ。 「……俺は子供ですか」 情けない声がでる。男なりに慰めてくれたのかもしれないが、飴玉で泣き止む子どもあつかいは、あんまりだと思った。 「これで喜ぶのは、迷子の子どもぐらいでしょう」 「べそかいてりゃ同じようなものだ」 「悪かったですね、ガキと同じで」 ぶつくさ言いながら包みをはがす。口の中に放り込むと、焦がした砂糖の香りが口の中に広がった。
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逃げようとして幻想入り 動画リンク コメント・レビュー 逃げようとして幻想入り 何人目の幻想入りか 作者 ひとこと 主人公 動画リンク 新作 nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) 一話 コメント・レビュー 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらもご覧下さい。
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相変わらず暗いホールの中。 モニターがいまだ光を放っている。 そんな中。一人の少年が取り残されていた。 幻想殺し、上条当麻であった。 「おい!てめぇら!さっきから黙ってりゃいい加減にしろよ!」 モニターに向かって怒鳴る。 そしてそれに答えたのは――― 「ん?ああ上条じゃねぇか」 ◆WYGPiuknm2だった。 「あぁそうだ。何で俺の名前を知ってるかはこの際どうでもいい。だけどなぁ―――」 「あぁいいからいいから。そういうのはもうお気に入りの人がやってるから」 上条の言葉を適当に流す。 それに、上条は。 「てめぇらは人の命を何だと思ってやがるんだ!答えろよ!?てめ―――――」 「お前らが何者なのか、何でこんな訳の分からねえ殺し合いを開いたのかは知らない。お前達にも何か深い理由があるのかもしれないし、考えたくはねーけど何の理由もないのかもしれない。 俺は何も分からないし、何も知らない。そこまで深く考える頭もないしな。 ただそれでもこんな殺し合いに人々を、俺の仲間達を巻き込もうというのなら―――」 「ぁあ!?」 「―――その全てを、命ですらも思い通りにできると思っているのなら―――」 「何なんだてめぇ!?」 「その幻想をぶち殺す!!」 「でしょ。上条が言いたいのは」 「………」 黙らざるおえなかった。 何故なら今似たようなこと言おうとしていたのだから。 先回りされた。としか言い表せない。 それを見た◆WYGPiuknm2はにやりと頬を歪め、 「流石は、お気に入りの人だな。見事に言い当てやがった。こりゃ傑作だな」 「っていうかWYG氏いい加減遊んでないで、上条さん連れて行ってくださいよ」 ◆8nn53GqqtYが言った。 「おおそうだな。じゃあさらばだ。上条。再び会えることを願っているぜ―――なんてな」 「――――頭が……」 「おう、いいぞ。流石に酸素の量を減らへば気絶ぐらいするか」 「ありゃVx氏。いつの間に」 「最初からだ。ははは、わりーけどこいつ運んでってくれねぇ?」 「最高だぜVx氏。じゃあそれは俺がやっておくよ」 といって、◆9QScXZTVAcが◆VxAX.uhVsMによって転送され、上条を運んで行った。 「しかしym氏。なぜxz氏が参加しているんです?」 と◆YR7i2glCpAが問う。それに、 「ん?いやだってあの人ロワ舐めてるでしょ。全員生還とかねーよ。だからその身をもって学んで来いって感じでだ」 「あぁ、成る程」 と会話を終え、笑い声が木霊する。 今、殺戮のゲームが始まる。 ◆xzYb/YHTdI「―――書き手さん?」 投下順 シン「何なんだ!?あんたは!」 GAMESTEAT 上条当麻
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律「なるほど、翼をさずけるわけか……」 唯「きっとよろこんでくれるよ!」 澪「そうだな……梓ならきっと!」 紬「じゃあわたし、レッドブルをダンボール箱いっぱいに買い占めるわ!」 律「ちょっと待ったムギっ! ……レッドブルって何種類あったっけ?」 澪「たしか水色っぽいのがあったような……」 紬「今ケータイで調べてみたら、水色の方はシュガーフリーみたい」 唯「あずにゃんには甘いものが必要だよ!」 律「次は梓が受験生だ。糖分摂取して、頭回転させてもらわないとな!」 澪「さらにちょっと待った。『梓への贈りもの』が本当にレッドブルでいいのか……?」 唯「え、どういうこと?」 律「澪は私たちが卒業した後も、梓に元気でいてほしくないのかよ!」 澪「いや、そうじゃない。落ち着け。他にもドリンクはあるだろ? どうせなら他のやつも検証してみないか?」 律「なるほど……それはそうだな……」 紬「じゃあ、みんなで他のエナジードリンクを飲み比べてみよっか!」 唯「帰りに駅前のスーパーとドラッグストアに寄ろう!」 律澪紬「おーっ!!!」 唯「あずにゃんにバレないようにしないとね」 澪「お金のムダ使いを避けるために、今からでも候補を絞っておいた方がいいかもな」 紬「候補は3つくらいかしら?」 澪「そうだな……」 ガチャ 梓「遅れてすいません」 唯「あっ、あずにゃん! 待ってたんだよ~!」 梓「いきなり抱きつこうとしないでくださいよ」 唯「え~……あずにゃんつめたい……」 <ドラッグストア> 唯「お待たせ~!」 律「よし、唯も来たことだし中に入ろうか!」 澪「ドリンクコーナーはこっちだな」 紬「わ~いっぱい並んでるわ! 全部効くのかしら……」 唯「全部買う気なの!?」 律「ムギストーップ! 買う飲み物の候補はさっき決めたんだ」 唯「え、なになに?」 澪「『リポビタンD』、『MONSTER』、『レッドブル』の3つにしたんだ」 唯「へえ、本当に効くのかな?」 律「だから飲んで確かめるんだろ」 唯「あ、そっか」 紬「今飲んでもだいじょうぶなのかしら?」 律「え?」 紬「わたしたち、今あまり疲れてないし……」 澪「そっか……じゃあ、ある程度疲れた状態で飲まないとな」 唯「疲労ってどれくらい?」 律「そうだ! 寝不足の状態で飲むのはどうだ?」 澪「え、それはきつくないか?」 律「馬鹿野郎! 最高品質の商品を梓に贈るのが、私たちが先輩としてできる最後の使命だろ!」 澪「そ、そうだな……私が間違っていたよ!」 唯「その意気だよ、りっちゃん!」 澪「まあ、唯が一番先にダウンしそうだけどな……」 紬「じゃあ、明日のお昼部室で一緒に飲むってことでいい?」 律「それでいいか」 澪「三年生は授業が終わっていてよかった……」 唯「みんな、夜更かし忘れちゃだめだよ!」 律「唯には言われたくないな……」 紬「夜は本読みながら、紅茶たくさん飲むからだいじょうぶ!」 澪「いやいやそこまでしなくても……」 紬「え、そうなの?」 律「とにかく、目当ての商品買っていこう」 翌日 <部室> キーンコーンカーンコーン 紬「…………」 澪「…………」 律「ね、眠い……眠すぎる……」 唯「眠たいね~……」 律「お前は昼寝のそれだろ!」 唯「いや~お風呂入った後、ベッドで横になってたらいつの間にか寝ちゃっててさ」 澪「当たり前だ……」 紬「澪ちゃんのツッコミにも覇気がないわ……」 律「よし、こんな時の『リポビタンD』だ。みんな、準備はいいか?」 唯「ファイトーいっぱーつ!」ゴクゴク 澪「とにかく、今日はこれにすがろう……」ゴクゴク 紬「タウリン1000mgの力を信じよう!」ゴクゴク 律「…………」ゴクゴク 唯「ぷはー。あんまりおいしくはないね」 律「まさに、ドリンク剤って味だな」 澪「味よりも効能じゃないのか?」 紬「味がおいしくないと、なかなか飲みづらいと思うわ」 唯「飲まないと意味ないしね」 律「効果はどうだ? 効いてるか?」 唯「うーん……どうなのかな」 澪「そんなすぐにはわからないんじゃないか?」 紬「あ、でも少しだけ元気になってるかも」 律「あっ、なんか頭の回転が速い気がする」 唯「フタはできるのは便利だね」 律「よーし! 実験第一号は終了だな!」 澪「チャイム鳴ったからビンは片付けないといけないな」 紬「とりあえず、ビニール袋にまとめよっか」 澪「ありがとう」 律「唯、こっちに来い! ファイトー!」 唯「いっぱーつ!」 ガチャ 梓「コンスタントにこんにちはー!」 律唯「あっ」 梓「えっ」 唯「え?」 梓「何かあったんですか……?」 唯「ベ、ベツニ……?」 梓「入る直前に『いっぱーつ!』って聞こえたんですけど……」 唯「ナニモナイヨ?」 紬「え、えっと、私たち大学に全員一発合格できたから、改めてよろこんでたの!」 梓「そ、そうだったんですか」 律唯「ふう……」 梓「ん? 何かこの部屋匂いませんか?」 唯律澪紬「!!!!」 梓「これは……」 澪「あ、梓! 今から紅茶淹れるよ!」 紬「今日は全員バナナタルトよ!」 唯「あずにゃん、バナナ好きだもんね!」 梓「あっ、うれしいです。ありがとうございます」 唯律澪紬「(あぶなかった……)」 梓「タルトおいしいです!」 唯「あずにゃんはバナナーだからね~」 翌日 <部室> 唯「昨日はあれからどうだった?」 律「ああ、家帰った後もまだ余力はあったよ。いつも通りだったらなら、晩ご飯の前に寝る勢いだったけどな」 紬「わたしも平気だったわ。ちょっと眠たかったけどね」 澪「じゃあ、リポビタンDについて検討しようか」 唯「やっぱりあんまりおいしくなかったね~……」 澪「昨日も言ったけど、ドリンク剤ってのはそういうもんじゃないのかな?」 律「いや、おいしい方が飲みやすい。飲まないと始まらないからな」 紬「ビンが小さいから持ち運びには便利ね!」 澪「飲んだ時の匂いも重要な課題だな」 律「ああ、昨日は危うくバレるとこだったな……」 紬「今日は先に紅茶とケーキ出しておこっか」 唯「匂いには他の匂いで対抗だね! あずにゃん早く来ないかな~。ケーキ目の前にするとお腹空いちゃった……」 律「……じゃあ、梓が来る前に済ませようか。実験第二号『MONSTER』!」 澪「改めて、結構量が多く見えるな……」 紬「缶が細長いせいかしら?」 律「それじゃあ、かんぱいといくか。梓の健康を祈って、かんぱーい!」 唯澪紬「かんぱーい!!!」 唯「んっ!」ゴクゴク 律「ぷはぁ~! うまいなこれ!」 澪「エナジードリンクというよりは炭酸ジュースみたいだな」ゴクゴク 紬「リポビタンDよりも飲みやすいわ!」ゴクゴク 律「なるほど、飲みやすさでは……うっぷ」 唯「どうし……うっぷ」 澪「……ゲップが出やすいなうっぷ」 紬「炭酸だから仕方なうっぷ」 律「ど、どうだうっぷ……効果は?」 唯「炭酸強いから目が覚めちゃった!」 澪「冷やすとより効果的だな。メモしとかないと……」 紬「気持ちだけど、ちょっと量が多いかな」 律「なるほど、たしかにゲップばっかするわけにはいかないもんな。あ、空き缶袋にまとめようか」 唯「残るはレッドブルだね!」 澪「ああ、明日で決まる……」 律「ガオー! モンスターだぞー!」 紬「きゃー!」 唯「オオカミ人間だね!」 ガチャ 梓「こんにちは晴天なりー……って、今日は何してるんですか?」 律「ゔゔゔゔゔ……私はモンスターだ……」 梓「は、はあ……」 律「ゔぁぅっ!」 梓「オオカミですか?」 澪「(ごくろうさま……)」 翌日 <部室> 律「実験第三号、いよいよ最後の『レッドブル』だ!」 澪「いよいよ最後だな……」 唯「昨日より量少ないね」 紬「『MONSTER』は355ml。『レッドブル』は250mlよ!」 澪「なるほど、それなら短い時間でも一気に飲めるな」 律「それじゃあ飲むか……寝不足が続いてちょっと疲れてるんだ……」 唯「それこそ、レッドブルで解決だよ!」 律「梓の健康を祈って、かんぱーい!」 唯澪紬「かんぱーい!!!」 唯「っ!」ゴクゴク 律「こっちもうまいな!」ゴクゴク 澪「量もちょうどいいし、オロナミンCと味が似てる!」ゴクゴク 紬「ちゃんと冷やしてたからおいしいわ!」ゴクゴク 唯「はぁ~……おいしかった……。空き缶片付けるね」 律「おっ、サンキュー。それで、どれにする? 3つの中で」 澪「レッドブルでいいんじゃないかな」 紬「レッドブルはリポビタンDとMONSTERのいいところを兼ね備えているわ!」 唯「おいしいしね!」 律「決まりだな」 澪「……レッドブルは私たちにも翼をさずけてくれるのかな?」 紬「くれるはずよ……きっと」 ガチャ 梓「こんにちわんこそばー!……って、みなさん目瞑って何やってるんですか?」 唯「あっ、あずにゃーん!」ギュッ 梓「わっ! どうしたんですか?」 唯「みんなで演奏しようよ!」 梓「えっ?」 唯「今日は元気なんだ! ねっ、みんな?」 律「ああっ!」 澪「やろうか!」 紬「やろうやろうー!」 梓「……はいっ、やりましょう!」 ── ──── ♪ 卒業式の日 <部室> 梓「卒業しないでよぅ……」 唯「……あずにゃん、泣かないで!」 澪「梓、見てほしいものがあるんだ」 紬「梓ちゃんのために、みんなでプレゼントを用意したの!」 律「受け取ってくれ、梓!」 唯「私たちからあずにゃんへの贈りものはなんと!」バッ 梓「これは……」 唯「『レッドブル』! 私たちからあずにゃんに翼をさずけるよ!」 澪「250ml×365本……文字通り一年分だ!」 紬「これで梓ちゃんは天使になれるわ! おめでとう!」 律「おめでとう、梓!」 澪「梓は頼もしい先輩になって、新しい学年でもがんばってな!」 唯「これ飲んで元気になって、受験も部活もがんばってね!」 梓「……はい、ありがとうございます! もっともっとすごい軽音部にしてみせます!」 数日後 <部室> 梓「うーん……新歓どうしようかなあ……。一人で演奏ってのもさびしいし……」 カラン 梓「あっ、レッドブル……。もうこうなればレッドブル連続一気飲みで頭をフル回転させないと!」ゴクゴクゴクゴク ガチャ 純「やっほー! 梓、一人でさびしいんじゃないの~? ここでなんとビッグニュース!」 憂「私たち軽音部に入部しまーす! ……って、梓ちゃん?」 梓「」 純「おーい、梓! しっかりしなってば!」 憂「純ちゃん! ひょっとして梓ちゃん、机の上にあるレッドブル全部一人で飲んだんじゃ……」 純「一人で四本も!? 梓、戻ってこーい!」 梓「……二人とも、話はちゃんと聞こえたよ」 純「呼びかけたら戻ってきた! 一気飲みなんて……どうしてこんな無茶なことを……」 憂「あっ、梓ちゃんの背中から白い翼が……!」 梓「さあ、憂と純のメンバー加入で新生軽音部が誕生だよ! 部長はわたし、中野梓!」シャキーン 純「もう決まったの!?」 憂「って、梓ちゃん宙に浮いてるよ!?」 梓「じゃあ二人とも! わたしについて来て!」バサッ 憂純「わっ、待ってよ~!!」 梓「わたしが憂と純をまだ見たことのないようなとっても楽しい世界に連れて行ってあげるから!」 純「……頼んだよ、梓!」 憂「新しい後輩も一緒にね! みんなで新歓がんばろう!」 梓「もちろん! じゃあ、いこっか!」 憂純「おーっ!!」 おわり。 戻る
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きれいに仕上げよう 完成まであと少し!!でもここで気を抜くと後で後悔するので、最後まで集中して頑張ろう♪ 仕上げ 仕上げは、大まかに3つの作業に分かれます。 ベタ トーン 修正、ホワイト ベタはいわずもがな、黒の部分ですね。ひたすら真っ黒に塗る作業もあれば、筆ペンを使ってツヤを出したり、色々あります。 おもに髪や瞳、服、背景の影の部分にベタを使います。 ベタを使用すると画面がハッキリとして、メリハリが付きますので、結構便利♪ でも使い過ぎると真っ黒になっちゃうので、注意してくださいね♪ 次にトーンですが、これが難しい! 普通にぺたっと貼って切るのが「ベタ貼り」 雲や煙を表現するときにトーンカッターで削るのが「削り・ぼかし」 左のメニューにある 「作画技術」の中から、「背景」をクリックすると、トーンの削り方の動画が載ってるよ♪ぜひ見てみてね^^ 修正・ホワイトは最後の最後! この時点で、汚れちゃったりはみ出しちゃったりした部分をぜーんぶ綺麗にしちゃいます♪ 特に、ホワイトは最後の仕上げでは一番重要! 丁寧に、丁寧に、原稿を仕上げてね! ASINが有効ではありません。 .