約 483,682 件
https://w.atwiki.jp/lotro_jp/pages/1429.html
鋼の意志:第2章 適正レベル:20 授与NPCの名前:新米の鋳造師 授与NPCの所在:さまざま 前提クエスト:―― 派生クエスト:―― 授与ダイアログ 「よくやったぞ、 名前 。これからも技術を磨き続けたければ、再び、グラーシ・アイアンハンドに会いに行け。きっと、ためになる知識を授けてくれるだろう」 「グラーシは青の山脈のトーリンの館にある鉱炉にいるはずだ」 背景 あなたの鍛工技術はだいぶ上達してきました。しかし、まだまだ成長が期待できますよ。 目的 目的1 グラーシ・アイアンハンドはエレド・ルインのトーリンの館にある鉱炉にいます」 新米の鋳造師から、もっと上を目指したければ、グラーシ・アイアンハンドに会うといいと言われました。 目的2 鉄鎖を手に入れる(0/2)-鋼補強材を手に入れる(0/2)-古の紋章を手に入れる グラーシ・アイアンハンドはエレド・ルインのトーリンの館にある鉱炉にいます」 彼に軽羽の盾を作るようにと言われました。あなたの腕を試すようです。彼から軽羽の盾の作り方が記されたレシピとメモを受け取りました。 目的3 グラーシ・アイアンハンドはエレド・ルインのトーリンの館にある鉱炉にいます」 彼に軽羽の盾を作るようにと言われました。あなたの腕を試すようです。彼から軽羽の盾の作り方が記されたレシピとメモを受け取りました。 報酬 固定報酬 盾:羽軽の盾 特徴:鋳造ステップ2修得 選択可能な報酬 なし 経験点 経験点:1442XP 攻略情報 古の紋章:北連丘の北、フォルノスト野で亡霊から拾う。すぐには出ないかも。 コメント/ヒント等 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/rnext/pages/82.html
想いを鉄の意志に変えて 星の明かりを頼りに、土手の景色が照らされている。 さらさらと静かな音をたてて流れる川。大小さまざまな石が並ぶ川沿い。 キャンプに適したような場所にて、小さな炎が光を作っていた。 炎の上には鍋があり、壮年の男性がお玉で中身をかき混ぜている。 肉、たまねぎ、にんじんを炒めて、水を注ぎ込む。 ぐつぐつ軽快な音を立てるのを十分程度待ち、再びお玉でかき混ぜる。 そろそろ頃合かと、男はカレールーを投入し同時にジャガイモを投入する。あまり早く煮すぎると、形が崩れるためだ。 かき混ぜてルーが解けていくと、カレー特有の匂いが鼻を刺激する。 その味を小皿に移して確認。カレールーよりもたらせた香辛料の刺激が舌に広がる。 鍋に煮込んだ野菜や肉の味がしみ、香辛料の刺激をまろやかに緩和させていた。 野菜もそれぞれ、一個ずつ取り出し、噛み砕いていく。 まずはにんじん。 にんじんにしみたカレーソースが吹き出て、にんじんの甘味との調和を生み出し、男の口を駆け巡る。 柔らかさも指でつつけばフニッと弾力を示すほど、煮込みきった。 続けては、ジャガイモ。 噛み砕いてみると、口の中で粉を吹いてあっさりと崩れ落ちる。 ジャガイモの味が、カレーソースに刺激され、男の舌を楽しませた。 充分なできに満足して、カレーをさらにかき混ぜる。ぐつぐつと美味しそうな音は男のすいた腹を鳴らしていた。 しばらくして、男はよし、と呟く。 飯ごうに入れた輝く白いご飯を三つ出した皿に盛り、カレーをかける。 男は振り返り、彼と道を共にする仲間に声をかけた。 「涼、志郎、できたぞ」 標なき道を共にする男が三人。 一人は金髪にナイフでそぎ落としたような痩躯――それでいながら、筋肉は無駄なくついていたが――の男。 チェックのシャツに茶色の革ジャンを着こなし、カレーを礼を言って受け取った。 彼の名は葦原涼。 一人は茶髪に涼しげな視線を持つ、一見やさな印象を見受ける男。 ただ、今は影を背負っている印象を見受ける。差し出されるカレーを拒否して、二人と距離をとった。 彼の名は風見志郎。 最後の一人は、白髪が多少混ざった、壮年の男性。 オレンジのライダースーツを身にまとい、二人にカレーを振る舞っている。 彼の名は立花藤兵衛。 三人はたまたま出発地点が近かった。ただそれだけの関係だ。 しかし、立花藤兵衛にとっては、風見志郎はそれだけではない。 「ほら、遠慮せずにちゃんと食え!」 立花はホカホカの湯気を立ち昇らせるカレーを風見に差し出す。 彼の知る『風見志郎』なら喜んで受け取ったが、目の前の『風見志郎』はやんわりと断る。 「いえ、今は食欲がないので……」 「そんなことじゃ身体は出来あがらないぞ。だいたい、ちゃんと飯を食っているのか? 涼をみてみろ。ガツガツ食っているじゃないか。作ったかいもあるってもんだ」 話を振られた涼は一旦スプーンをおき、立花に対して頭を下げた。 別に構わないと立花は右手で制し、再び風見へと向き直る。 「なあ、志郎。何を悩んでいるか、俺に打ち明けれくれないか? 俺に力になることなら、なんでもするからさ」 「いえ、特に。それに、あなたではどうしようもありませんよ」 「おい、お前。少しは……」 「いや、いいんだ、涼。そういや食後にはコーヒーが必要だよな……。 こいつらはあのスマートブレインという連中からの配給だし……さっき見た喫茶店で鍋だけじゃなく、豆とかも取っておくんだった」 「いや、そこまで気を使ってもらわなくても……」 「気にするな! 今からスマートブレインを叩き潰さないといけない。 そうなると、俺に出来ることっていったら、これくらいだしな。 俺には志郎や涼みたいに、仮面ライダーになれない。だがな、俺は諦めないぞ」 立花はニイッと、輝くような笑顔を二人へと向ける。 風見も涼も目を伏せたが、立花は涼の頬が僅かに上がっていたのを見逃さなかった。 立花は名簿を確認し、仮面ライダーがいることに希望を持っている。何より、久しぶりの再会だ。 本郷と一文字に会う日が待ち遠しい。もっとも、それぞれ二組名前が並んでいたのが気になるが。 「喫茶店でコーヒーを作ってくるから、ちょっと待っていてくれ」 「一人じゃ危ない。俺も一緒に……」 「大丈夫だ。いろんな悪の組織と渡り合ったんだぞ。それにだ……」 立花は涼を引き寄せ、耳打ちする。志郎を頼む、と。 涼は無言で頷き、その様子に安堵して立花は立ち上がる。 「じゃあ、待っていろよ。こう見えても喫茶店のマスターをやっていたんだぜ。 美味しいコーヒーを入れて戻ってくるからな」 立花はそういい残し、土手を駆け上がる。 きっと風見は、彼の知る風見と同じく、仮面ライダーとして戦い抜いてくれると信じて。 □ 登山客用にまばらに雑貨店が立ち並ぶ街を影が一つ訪れる。 黒き青年、人が神とあがめる者の使い、風のエルが駆け続けていたのだ。 疾走する風のエルは、アギト以外の力を示す先ほどの男に戸惑っている。 自分たち、使いに対抗できるものは、忌々しい白い青年の力を宿す『アギト』だけのはずだった。 主は人間を殺すことを決意した。その張り裂けんばかりの痛みを身近に感じ、風のエルは静かに憤る。 たしかに、人は主の意思を拒絶し、力を得ていた。 アギトだと気づかれないような、異能をだ。 風のエルは憤慨する。人間は生み親を忘れ、彼を悲しませるような真似ばかりする。 主が人間を見捨てたのは正解だ。人間など、度し難い生き物。 自分が人間を殺し、アギトを殺し、少しでも主の心の痛みを和らげてやらねばならない。 だからこそ、早く優勝して帰らねばならない。 本来なら、彼らが持ちえない感情を、風のエルは持ってしまった。 かつて、頭部にダメージを受けて、無差別に人を殺すアンノウンが出たことがある。 風のエルは、威吹鬼の蹴りを頭部にくらい、その精神に変調をきたしていたのだ。 ふと、かすかなアギトの気配を感知して、立ち止まる。 本来ならすぐにアギトを感知して、駆けつけることができる風のエルの感覚が鈍っていた。 忌々しいことだと吐き捨てたくなったが、堪える。 今の自分は人を殺さねばならない。なら、人に発見される確率を上げるのはまずい。 思考している風のエルの視界に、人が入った。 「豆はどこだ? あいつらに美味しいコーヒーをやらんとな」 そう呟く壮年の男の背中を見つけ、風のエルはこっそりと近付く。 距離は二十メートル。間には机や椅子、カウンターが立ちふさがっていた。 人間を苦しめることは主は望まない。ゆえに、人を殺すことに風のエルは禁忌の感情を持っている。 手の甲にZ字に印を刻み、風のエルは右手を突き出し、立花へと向かって一直線に迫った。 瞬間、風のエルは立花のそばの鏡に自分が映っているのを知る。立花は身を捻って、避けようとする。 とっさに軌道修正をした風のエルの右突きは、立花の左腕を引き千切った。 「ぐぁぁぁ!!」 立花の悲鳴を聞きながら、風のエルは体勢を整える。身体に流れる立花の血が、温かかった。 「抵抗をするな。楽に殺してやる」 「グゥ……怪人のいうことなんか……聞けるか……」 風のエルは立花の声を無視して、一瞬で間を詰める。 振り下ろした手刀が、タックルを仕掛けた立花によって体勢が崩れ、立花の右脚を斬り裂く結果となる。 再度あがる悲鳴。先程よりも勢いよく血が風のエルの口元にかかる。 初めて味わう人の血は、鉄の味がした。 地面に転がって悲鳴をあげる立花を見下ろし、風のエルは初めて人を蔑むように見つめた。 醜い。主が愛する資格はない。 なら、主が愛するものが誰なのか、知らせる必要がある。 風のエルは、冷酷に立花の首に足を乗せる。 「アマ…………ゾ…………」 ゴキリ、と最後の言葉は、首の骨が折れる音に邪魔をされた。 ぴくぴく痙攣して、やがて動かなくなった立花の死体を前に、風のエルは身体を震わせる。 以前の彼なら、罪悪感ゆえに身体が震えたことだろう。 人を殺すことは、主から強く禁止されていた。 しかし、今は違う。風のエルは、鉄の味を舌で転がし、感情の宿らない瞳で死体を見ている。 無抵抗な相手をただ嬲るその行為。 風のエルは、ニタァ……と笑う。立花の手が千切れたとき、立花が悲鳴をあげたとき、どうしようもない快楽の電流が背筋を走ったのだ。 どんどん血が抜けていき、白くなっていく立花が気に入らず、顔を斬り裂く。 肌がめくりあがり、剥き出しになる筋肉。またも飛び散った血が風のエルの顔にかかる。 再び、風のエルは顔を流れる血を舐めとる。愉悦が彼の顔に浮かぶ。 この快楽を再び味わいたい。風のエルは瞬時に反転、人を求めようとして街を駆ける。 もっとも、身体に上手く力が入らないことは気づいていた。だからこそ、誰かを見つけたら尾行。 力を取り戻し次第、襲う。できれば、無抵抗な相手がいい。 そのほうが、己の快楽を満たせることができる。 (いや、違う。これは主のためなのだ。主のため、生き残る価値のない人間に引導を渡している。それだけだ……) 知らず、風のエルは低く笑っていた。返り血を浴び、凄惨な表情が浮かぶ。 そこには、ただ人の血を覚えた、飢えた獣がいた。 □ 涼は静かに流れる川を見つめながら、背後の風見を警戒していた。 初めに会ったときは立花を襲い、今また何かと気にかけてくる立花に頑なな態度。 自分も心を開くのが苦手な方だが、風見は最初の行動もあり、隙を見せることができない。 やがて、風見のほうから口を開いた。 「奴らの言っていた人を生き返らせる……あれは真実だと思うか?」 「さあな」 興味ないと言いたげに涼は会話を終えようとする。 ふと振り返って風見の表情を見ると、桃色の腕時計を見つめながら、泣きそうな表情をしていた。 意外な表情に涼は驚き、風見の意外な面を見つける。 立花に頼む、といわれたことを思い出し、ため息を吐きながら風見に声をかける。 「真実かどうかは知らないが……少なくとも俺を生き返らせてはいる」 「な……に?」 「俺はここに来る前、たしかに殺されたはずだった。だが、今はなんともない……つまり、そういうことなんだろう」 「そうか」 それっきり、二人には沈黙が訪れた。 もともと涼は人と触れ合うことが苦手な性質だ。これ以上風見のことを気にかける必要もないとも思える。 風見もそう思うのだろう。こちらに声をかけてこない。 傍から見ると風見は迷っているようにも見受けられたが、こちらを襲う様子はない。 涼は立花の帰りを待った。 「遅すぎる……」 涼は呟いて、腰を上げて喫茶店のある方向を見つめた。 焦燥感に包まれ、いても立ってもいられない。かれこれ、立花が立ち去って一時間は経っている。 傍に止めてあったジャングラーに乗り込み、キーを回す。背後に体重を感じ振り返ると、風見が乗っていた。 涼は無言で前方を向き、アクセルグリップを回す。 排気音が土手に響き、唸りと共にギアをチェンジする。 タイヤが土砂を巻き上げて、坂を駆け上り涼ははやる気持ちを抑えてジャングラーを進ませる。 後輪が道路を噛んで、甲高い音をたてて滑りながら、ギアの回転を上げて再びギアをチェンジ。 スピードを次々上げていきながら、涼はジャングラーの馬力に感心する。 しかし、もたもたしていられない。 (無事でいてくれ……立花さん) その願いが叶うように。 背後に乗る風見の様子すらも、気にかける余裕すら失うほどに。 □ 「クッ!」 その光景をなんといえばいいのか。 涼が喫茶店へと駆けつけたときには、立花は凄惨な死体となっていた。 血が温かい、ということはまだ犯人はそう遠くに行っていないのだろう。 ぬちゃ……と糸を引く血を手の平に、涼は憤る。 左腕と右脚が引き千切られ、それぞれバラバラに落ちている。 顔は引き裂かれ、筋肉が剥き出しになっている。まるで死体の尊厳を奪うかのような行為だ。 ここまでやられているなら、明らかにこの殺し合いを楽しむ外道がいる。 じっとはしていられない。立花の無念を晴らすために、下手人をすぐに探しに行かねば。 涼は軽く立花に黙祷して、振り返る。だが、ジャングラーの前に風見が涼の前に立ちふさがっていた。 「そこを退け」 風見は涼の言葉に数秒の沈黙。やがて迷うように、搾り出すように口を開いた。 「……すまないな」 呟いて、拳を涼の腹に打ち放つ。涼は喫茶店の壁に叩きつけられた。 急き込み、正面を見つめると、風見が強化スーツをまとい、V3のヘルメットを左腕に抱えている。 「どういう……つもりだ……」 「あれから何度……ベルトを起動させようとしたが、一向に起動しなかった。 どうやら、一度起動させるともう一度起動させるまで、二時間必要らしい」 「俺が言いたいのは!」 「お前も見ただろう。その人の死体を」 「だったら……どうした?」 「私も、この殺し合いに乗る」 宣言する風見を涼は睨みつける。風見の顔は、今にも泣き出しそうだった。 涼と対峙しながら、風見は妹のちはるのことを考える。 彼女は、風見の妹は国民的アイドルの地位を自分の力で得た。 そこのことを誇りにして、自分に嬉しそうに話しかけてきたことを覚えている。 売り上げの報告、アイドルとしての苦悩を打ち明け、相談に乗ったこともあった。 風見にとって、失いたくなかったたった一人の家族だった。 なのに、風見は彼女の苦悩を気づいてやれなかった。 ちはるはライバルのアイドル歌手の悪戯により、顔を醜く焼かれてこの世に絶望して命を絶った。 自分に知られるのを恐れたのだろう。親友だけに辛さを告白して、飛び降りたのだ。 自分がショッカーの一員として暗躍している間に。 これほど、自分を呪ったことはなかった。何が選ばれしショッカーの一員か。改造人間か。 妹一人を救えない人間が。 しかし、今は違う。主催者、村上は生き返らせることもできる、といった。 事実、涼は生き返ったといった。真実を確かめるすべはない。それでも、風見は縋る。 ちはるを救える。 ちはるの顔を元に戻してやれる。 ちはるに普通の女の子としての人生を歩ませてやれる。 すべては、自分しだいで。 この改造された身体を、妹のためだけに使う。風見はマスクを持ち上げ、ゆっくりと被る。 涙が流れていた。 (ちはる。ごめんな、駄目なお兄ちゃんで。俺が必ず救うから、待っていてくれ……) カチャリと、クラッシャーを装着して、風見は修羅となる。 V3、ショッカーの改造人間でも、仮面ライダーでもない。 たった一人の兄として。涙を仮面に隠して。 (風見……お前……) 泣いている理由は知らない。風見が何を背負っているか知らない。 それでも、涼は風見を見つめる視線に、殺気だけでない感情を込める。 「お前が……生き返ることに何の価値を持っているかは知らない。 だが、これだけは言える。死んだ人間が生き返ったとして、それは本当に幸せか?」 「黙れ! あなたに何が分かる!!」 涼は答えず、静かに目をつぶる。瞼に映るのは、亜紀の笑顔。 自分は彼女を生き返らせるために、この殺し合いに乗るのか? 答えはNoだ。どんな環境だろうと、失っていく辛さがあろうとも、折れてはいけない。 失い続けても、折れずに理不尽と戦い続けた涼だからこそ、導けた答え。 涼は左右の腕を交差させると同時に、右隣に緑の異形が並ぶ。 昆虫のような複眼に、額には植物のように生えるY字の角。 生物的な緑のアーマーを黒い皮膚の上に被せる獣。 異形と涼の姿が重なり、変化を果たす。 「ウァァァァァァァァァァァッァァァァアァァァァ!!!」 アギトと同じく、白き青年の力を宿す未完成の獣。 ギルスの咆哮が、立花藤兵衛へのレクイエムとして轟いた。 □ V3は咆哮を上げるギルスの鋭い右ストレートを辛うじて捌く。 鋭い連撃を受け止めるので精一杯のため、V3は一旦距離をとる。 そのまま後方に跳躍、追撃してくるギルスを視線に入れながら、空中で体勢を整え、壁を蹴って飛び蹴りでギルスの胸を貫く。 「ガァッ!」 勢いよく吹き飛び、椅子や机を巻き込んで地面に叩きつけられたギルスに、V3は距離を詰める。 たたみ掛けるチャンスだ。V3は逃してたまるかと、踏み潰すように右脚を振り下ろす。 ギルスは両手で受け止めるが、衝撃に呻く。 V3は構わず、二撃、三撃と攻撃の手を緩めない。床が砕け、ギルスの身体が埋め込まれた。 V3は脚を引き上げようとするが、戸惑う。床の穴から出てきたギルスが、息も荒くこちらを睨みつけていた。 「ウォォォォオォォォォォォォォォォォ!!」 ギルスのクラッシャーが開き、耳をつんざくような咆哮が響く。 同時にV3の身体が浮き上がり、ギルスの手から抜け出す暇もなく壁へと叩きつけられた。 さらに咆哮。二度目の衝突をV3は身体を亀にして耐えた。 三度、四度とギルスの叩きつけは止まらない。五度目の叩きつけのとき、V3の瞳が光る。 V3は右手で叩きつけられる衝撃を吸収。続けて、反動で飛びあがり、脚を上に向けたまま、ギルスの顎を打ち貫く。 脳が揺さぶられて後退するギルスにそのまま手刀を咽に放つ。 体勢と勢いが崩れたギルスに、V3は容赦なく拳の連撃を身体に打ち続ける。 三発、四発、五発、六発。 一回一回拳の速さを上げながら、V3の連打は止まらない。止められない。 負けられないのだ。妹のため、ちはるのため、彼女の人生のため。 止まらない想いを拳にこめて、V3は正拳をギルスの腹に思いっきりぶち込む。 外へと吹き飛んでいくギルスは壁を破壊していく。逃がさないと、V3は後を追った。 移動しながらお互いに攻撃し、やがては再び、土手へ舞い戻る。 ギルスは咆哮と同時に地面を蹴り、爪を形成して切り裂きにかかる。 袈裟切りの刃を潜られ、懐に潜ったV3のアッパーがギルスの脳を揺らし、川原に背中から着地する。 激痛を感じながらも、ギルスは背筋を全力駆動させ、バネのように跳ね起きる。 すぐさま体勢を整えて、V3の疾風のような拳を捌き、右頬に拳を叩き込んだ。 V3は後ろに吹き飛びかけるが、耐え抜いてギルスに拳を叩き返す。 後方にたたらを踏む直前、ギルスは爪を逆袈裟に振り、V3の装甲に斜めの傷を作る。 しかし、一向にV3は怯まない。 死を恐れない進行に、鬼気迫る修羅の気迫に、ギルスは唾を飲み込む。 V3は、風見は本気でこの殺し合いを優勝するつもりなのだ。 「ちはるは……もっと痛がっていた」 悠然と近付くV3に、ギルスは拳を打ち放つ。 V3の歩みを止めるには、力不足だった。 「ちはるは……もっと絶望していた!」 ギルスは鞭のようにしなる蹴りを放ち、V3の脇腹を叩く。 V3は僅かに身じろぎをしながらも、さらに距離を詰める。 「ちはるは……もう、死んでいたんだ!!」 ギルスの右ストレートに合わせるように、V3も右ストレートを放つ。 拳と拳がぶつかり、力が拮抗するが、天秤はV3へと傾いた。 ギルスの右拳が弾かれ、額にV3の拳をまともにくらい、再び地面に叩きつけられる。 背中の痛みに悶えていると、V3の搾り出すような独白が聞こえてきた。 「私は……ちはるに何もしてやれなかった。ちはるの異常に気づいてやれなかった……教えてくれ、葦原。 私は……ちはるのためにここを優勝して生き返らせる以外……何をしてやれる?」 「スマートブレインと戦い、お前がお前として生きてやれ。たとえ生きるのが辛くても……俺たちは生きていかなくちゃいけないんだ」 「そんなのは……奇麗事だ!!」 V3は……風見は言い捨て、ベルトの風車を回す。 二つの風車に夜風が吸い込まれ、V3の身体を強化していく様が見て取れた。 「う……おぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉおぉぉ!!」 V3の咆哮が土手に響き、稲妻が轟いたような音が周囲に響く。 跳躍をしたV3の飛び蹴りが、ギルスの右胸を貫いたのだ。 全身をバラバラにするような衝撃に、ギルスは辛うじて耐える。 そのギルスを二度目の蹴りが襲う。V3が空中で、回転して再び蹴撃を放ったのだ。 再び右胸を貫く衝撃。 のけぞるギルスの身体。 足は耐え切れず、地面を離れ、身体は宙へと浮く。 視界が回転しながら、ギルスは川へと着水した。 懐かしい水の感覚を全身で感じながら。 予想以上に流れの早い川を見つめながら、風見はマスクを取る。 瞳に映る感情はなかった。いや、ちはるのことだけを、その瞳に映していた。 あれほど心酔していたショッカーに対する尊敬の念も、そのショッカーに対抗する本郷への関心も、今はない。 ちはるがショッカーの計画を阻止したがっていると知ったときに、ショッカーへの疑念は生まれていた。 本来の流れなら、ちはるのためにできることはショッカーの計画を阻止することだと悟るはずだった。 今の風見は、本来の流れの彼と違い、死者を蘇らせる手段を知った。 もっとも、主催者の甘言かもしれない。涼の勘違いかもしれない。 それでも妹の、ちはるの苦しみを、万分の一でも理解できるなら……そこまで考えて頭を振るい、必ずちはるを蘇らせると決意する。 「そして、今度こそ幸せに生きてくれ……ちはる。汚れ役は、血を被るのは私が……俺がすべて引き受けるから……」 夜空に吸い込まれそうなほど、か細い風見の呟き。 星は瞬き、赤いマスクを脇に抱える男を照らす。 踵を返し、ジャングラーを回収へと風見は向かう。 彼は……風見は修羅となる。妹を、ちはるを救うために。 □ 「ぶはっ!」 涼は辛うじて岩に手をかけて、身体を起こし、水を吐き出す。 ガタガタ震える身体に活を入れて、辛うじて土手へ向かって歩き出す。 足がバシャバシャ水音を立て、水の抵抗で足取りが重い。低い水温が身体から体温を奪う。 涼の視界はぶれて覚束ない。身体はフラフラと頼りなく左右に揺れている。 ようやく辿り着いた土手の芝生に、涼は身体を押し付ける。 この力を手にして以来、慣れ親しんだ感覚に身を委ねる。 このまま死ぬのかもしれない。死ぬわけにはいかないのだが、身体がいうことをきかない。 とたん、変身の反動だろう。涼の全身に激痛が走り、腕の皮が老人のようにしわくちゃになる。 もはや、涼は限界だ。 『志郎を頼む……』 立花の言葉を思い出し、少しだけ涼は力を込める。 一歩だけ、前に進めた。そこで涼の意識は閉じる。 今度風見と再会したのなら、殴ってやろうと考えて、闇へと涼は落ちた。 【立花藤兵衛@仮面ライダーアマゾン 死亡】 【残り48人】 状態票 【風見志郎@仮面ライダーTHE-NEXT】 【1日目 黎明】 【現在地 D-6 土手】 【時間軸 】THE-NEXT中盤・CHIHARU失踪の真実を知った直後 【状態】 疲労、全身打撲、共に中程度。二時間変身不可 【装備】 ジャングラー 【道具】 不明支給品(未確認)2~5。基本支給品×2セット、ピンクの腕時計 【思考・状況】 1:殺し合いに勝ち残り、優勝してちはるに普通の生を送らせる。 2:ショッカーに対する忠誠心への揺らぎ。 【備考】 ※葦原を殺したと思っています。 【葦原涼@仮面ライダーアギト】 【1日目 黎明】 【現在地 D-7 北西川辺】 【時間軸 】第27話 死亡後 【状態】 全身打撲(大)、疲労(大)、気絶中、二時間変身不可 全身ずぶ濡れ。変身の反動 【装備】 なし 【道具】 支給品一式、ホッパーゼクターのベルト 【思考・状況】 1:殺し合いには加担しない。脱出方法を探る。 2:立花藤兵衛の最後の言葉どおり、風見の面倒を見る? 3:自分に再び与えられた命で、救える者を救う。戦おうとする参加者には容赦しない。 4:立花を殺した犯人を放っては置けない。 【風のエル@仮面ライダーアギト】 【1日目 黎明】 【現在地:D-5 東】 [時間軸] 48話 [状態] 頭部にダメージ。行動原理に異常発生。二時間能力発揮不可。血の味を覚えた。 [装備] なし [道具] 基本支給品一式 不明支給品(未確認)1~3個。 [思考・状況] 1:優勝して還る。 2:帰還した時には、主に未知の力を報告。 3:人を殺すことに、快楽を覚えた。 4:誰でもいいから殺したい。 [備考] ※デネブの放送は距離と精神的動揺から聞こえていません。 018 吼える 投下順 020 ダブルライダーVSカブトムシ男!! 017 白い悪意 時系列順 024 桃の木坂分岐点 013 仮面ライダーの称号 風見志郎 032 クライマックスは終わらない(前編) 013 仮面ライダーの称号 葦原涼 034 不屈 013 仮面ライダーの称号 立花藤兵衛 009 それが仕事な人たち 風のエル 034 不屈
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/3242.html
ゼノサーガ エピソードI [力への意志] 機種:PS2 作曲者:光田康典 開発元:モノリスソフト 発売元:ナムコ 発売年:2002年 概要 『ゼノギアス』の世界観を受け継いだゼノサーガシリーズ第1作目。 作曲はゼノギアスと同じく光田氏。光田氏にとって初めてオーケストレーションを試みた作品。 「映像が進化した分音楽が入れづらくなった」と後に語っており、 その為かBGMはイベントやムービーの曲が大半を占め、フィールド曲やダンジョン曲の大半が環境音という変わった構成をしている。 エンディングテーマ・Kokoroのマキシシングルが洋楽オリコンチャートで1位を獲得したのは有名。 後に再販されたプロキオン・スタジオ版では仕様が変わっており、 曲順の変更や一部曲の残響が短くカット・スネアドラムの追加等、打ち込みから生演奏に変更されていたりとかなりの変更が加わっている。 以下の曲順はデジキューブ版。 収録曲 曲名 補足 順位 Disc1 Prologue Opening オープニングクレジット Battle 通常戦闘・ボス戦 RPGバトル409位第2回マイナーゲーム29位PS2 207位2000年~2007年192位 戦闘終了 起動試験 KOS-MOS起動試験 想いで 回想シーン Gnosis グノーシス関連イベント 覚醒 KOS-MOS起動ムービー シオンの危機 戦闘するKOS-MOS KOS-MOS登場イベント 哀しみ Life or Death 緊急事態時のフィールド Game Over Margulis マーグリスのテーマ 追われる宇宙艇 Relief 日常 U.M.N.MODE U,M,Nメニュー Durandal 敵艇内への侵攻 U-TIC機関 心を閉ざした少女 Kookai Foundation クーカイファウンデーション到着時ムービー Shion ~過去の記憶~ Dis2 Ormus プロレマ内部の聖堂で一部が流れる Nephilim ネピリム関連イベント 温もり 再発版では生演奏に差し替え 不安 The Resurrection 虚無の浜辺 再発版では生演奏に差し替え Green Sleeves イギリス民謡のアレンジ再発版では生演奏に差し替え Zarathustra KOS-MOS 劇中未使用 Panic Song of Nephilim ネピリムの歌声 The Miracle 相転移砲使用ムービー Inner Space 天の車内部 Albedo アルベドのイベント Ω 曙光登場ムービー Proto Merkabah 天の車出現イベント Last Battle ソフィ・ピステス戦 ラストバトル287位 Pain エンディングムービー挿入歌 歌:Joanne Hogg Escape エンディングムービー Kokoro エンディングテーマ 歌:Joanne Hogg Shion ~想い~ 再発版のみ収録 World to be Born 劇中未使用 Pain -piano version- 新録 サウンドトラック ゼノサーガ ― オリジナル・サウンドトラック デジキューブより発売されたサウンドトラック。現在は廃盤。 ゼノサーガ エピソードI プロキオン・スタジオより発売。
https://w.atwiki.jp/haru1000s/pages/104.html
▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬ 【シナリオを始めるにあたって】 このシナリオは、2人でプレイされることを想定しています。 シナリオの舞台は2010~2015年の自由な年代における現代日本となり、都道府県に指定はありません。 架空の街を舞台にしてもいいですし、実在する街に合わせて登場する地理の名称を設定して頂いて構いません。 投入される探索者の年齢や職業、新規あるいはベテラン探索者などにも縛りはありません。 このシナリオを運用するにあたって必要となるルールブックは「基本ルール」と「2010版」となります。 また特殊なハウスルールとして「はる@haru1000s により作成された《霊像ルール》」を採用しています。 このシナリオは上記のハウスルールを初めて体験される方向けのシナリオを想定して作成されています。 探索者の制作などの基本的なものも、《霊像ルール》を参照されるかKPの裁量によって変えて頂いて問題ありません。 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────── 【探索者について】 探索者を作成する上での縛りはこのシナリオに存在していませんが、円滑な進行の為、探索者同士の関係性を構築するようKPは指示してください。 最低でも協力し合える関係であることが望ましく、また基本ルールブックにおける探索者の定義に即するものであれば尚良いでしょう。 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────── このシナリオは交通事故現場に出くわした探索者が、其処での出会いを切欠に細やかな謎から探索を行うシティシナリオです。 しかし細やかな謎を掘り下げていくにつれ、知らず知らずの内に街を蝕む事件に相対することになるでしょう。 探索者は事前に探索者間で友好的な関係性などを決めて頂ければ、円滑に進行できるものと考えられます。 ▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬▬
https://w.atwiki.jp/r-type-tactics/pages/552.html
発見ミッション 【前編】No.23 突入!グリトニル(地) 発見ミッション 【前編】No.06 紅の空 革命軍を軍事面で支え続けた英雄から受け継いだ志。 革命軍陣営の兵器開発に必要。 開発にこのトレジャーが必要な機体 ヨルムンガンド級・改 ヒルディスヴィーニ級 ラグナロック ストライダー ステイヤー スレイプニル エクリプス試作型 エクリプス実戦配備型 エクリプス強化仕様型 シャドウ・フォース トレジャー:地球連合軍一覧に戻る トレジャー:グランゼーラ革命軍一覧に戻る
https://w.atwiki.jp/mihokoharu/pages/22.html
09.02.27~03.02に行われた公開テストのデータを元に作成しています。 このページ 2ページ目 3ページ目 種類別効果 まとめ 最初に、ロマ村 ビスルの 詩人ヘセルモニアからクエストを受けてきましょう。 堅固のボレルを訪ねます。 彼は、東プラトン街道 / エルベルグ山脈 峠 の座標130,64付近にいます。 (下画像参照) 該当MAPへは、鉱山町ハノブ の南西側出口から行くことができます。 古都側から行く場合は、ひたすら東へ走ってください(;´▽`A`` アップデート前にはなかった小屋が建てられていました*「・v・) 話しかけると、クエストがアップデートします。 メタルゴーレムとマジックゴーレムを倒さなければいけません。 マジックゴーレムはさほど強くないです。 メタルゴーレムと言えば、あの緑色のやつですよね(。´・ω・)?w マジックゴーレムと一緒に沸いているはずのやつを探したんです。 ですが、いませんでしたΣ(´Д`lll) ふらふらと山道の方へ行ってみると。。。 巨人さんでした_| ̄|○ il||li あの緑ゴーレムは、MAPから消滅したようです。 探す際はご注意を( ´ノω`) 次のページ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2461.html
暗闇の誕生 俺設定込み 「「すっきりー!!」」 れいむとまりさは顔を見合わせた。 どうしよう。あんなに固く約束したのに。 れいむの頭に茎が生え、そこに4つの実がなった。 苦い顔ををする2匹の周りに、初雪がちらちらと舞い始めた。 季節は秋の終わり頃だった。 どのゆっくりも食糧をひたすら採ったり、巣の補修を行ったりしていた。冬ごもりの準備だ。 れいむとまりさの2匹も、協力して準備を進めていた。 このつがいは1月ほど前に結婚したばかりだった。2匹での越冬は初めてなので、 結婚当初に地面を掘って作った巣を拡張する必要があった。食糧の貯蔵スペースを確保するためだ。 片方が巣の奥の土を歯で削り取って掘り進めていく。もう片方はその間に狩りに行くという分担をしていた。 ずっと土を噛み続けていたら顎と歯がバカになってしまう。交替しながら、せっせと働き続けた。 れいむもまりさも、そこそこ賢明なゆっくりだった。2週間ほど前から計画的に準備を進め、 今では巣は大きく広がり、食糧は2匹にとっては満足できる量が集まった。 「ゆっ!これでふゆもゆっくりできるね!」 「れいむたちがんばったからね!これで・・・まりさといっしょに・・・しばらくゆっくりできるんだね!」 「ゆゆぅん!うれしいよれいむぅ!すーりすーり」 「れいむもうれしいよぉまりさぁ!すーりすーり」 賢明な2匹は事前に約束していた。冬を越すまで、絶対に“すっきり”はしない。 子供を作るのは、雪が溶けた春になってからだ。 「すーりすーり・・・」 「すーりすーり・・・」 しかし、所詮はゆっくりだった。頭と欲望に対する弱さは折り紙付きの生物だ。 「れれれれいむうううううぅう!!」 「ままままりさあああああぁあ!!」 そして冒頭の場面に至る。ごらんの有様である。 浮かれてすりすりなんてするものではない。 まだ火照っている2匹のほおに雪の粒が張り付き、一瞬で水滴に変わった。 「と・・・とにかくおうちにはいろう・・・れいむ」 「うん・・・そうだね・・・」 まりさは身重になったれいむを巣に導き入れたあと、入口を土で簡易的にふさいだ。 一つしかない入口をふさぐと、もう光の入り道はない。 完全に真っ暗になった巣の中で、れいむとまりさは悲嘆に暮れた。 「どうしようまりさ・・・あかちゃんが・・・いっぱいできちゃったよ・・・」 前々からの労働のおかげで、住まいの広さは申し分なかった。しかし、食糧については危うい。 4匹も家族が増えるとなると、どうにも不安が残ると言わざるを得ない。 「ゆ・・・ごめんね・・・まりさがすーりすーりなんてするから・・・」 「ゆ!まりさのせいじゃないよ!・・・れいむにもせきにんがあるよ・・・」 ここで大抵のゆっくりは責任転嫁に走る。ひどいゆっくりだとそのまま流血ならぬ流餡沙汰に発展するが、 この仲睦まじいれいむとまりさは互いに責を分かち合った。 暗闇の中で、まりさはれいむにピタリと寄り添った。 「ゆゆ・・・ごめんね・・・れいむ・・・」 れいむもまりさに体を預けた。 「ゆ・・・れいむも・・・ごめんね・・・」 触れ合った場所から相手の暖かさが伝わってくる。 その暖かさは、自分の勇気に変わった。まりさはそんな気がした。 「ゆっ!だいじょうぶだよれいむ!あしたからまりさひとりでまたかりにいってくるよ!」 れいむは息を呑んだ。 「ゆっ!?だ、だめだよまりさ!もうゆきさんがふってきてるよ!?ゆっくりできなくなるよ!」 ゆっくりは雪に弱い。跳ねて移動する生物なので、足場の悪さは移動能力の著しい低下を招く。 また、小さな体はすぐに冷える。雪に包まれるとあっという間に行動不能になるまで体温を下げられてしまう。 だが、そんなことを言っている場合ではなかった。 「このままじゃかぞくぜんいんでゆっくりできなくなるよ・・・むりでもいくしかないよ」 「ゆ・・・ゆぅ・・・」 「なるべくとおくへはいかないようにするよ。あんまりいいものはとってこれないかもしれないけど・・・ まりさにまかせてほしいよ!れいむとまりさと、あかちゃんたちでゆっくりするよ!」 「・・・うん。わかったよ・・・むりしないでね・・・」 2匹は寄り添ったまま眠りについた。 そして翌日。昼頃を見計らって、まりさは巣の入口を崩した。巣の中に半日ぶりの光が満ちる。 まず目に入ったのはうっすらと積もった雪だった。まりさは顔をしかめたが、太陽は天高く上がっていた。 雪はやんだようだ。これなら狩りに行ける。 まりさは振り返り、心配そうな顔をしているれいむに行ってきますを言った後、巣を飛び出した。 もう蝶などの虫が飛んでいるはずもない。花も巣周辺に咲いていたものは狩り尽くされていた。 近場には雑草しか生えていないが、それで我慢するしかない。木陰の雪から逃れた地点の草を片っ端から口と帽子につめていった。 足が冷たい。動きづらい。疲労の度合いは段違いだ。でも休むわけにはいかない。れいむのため、赤ちゃんのため。 3~4時間は跳ね回っただろうか。口と帽子の中をパンパンにして、満身創痍のまりさは巣に舞い戻った。 「た・・・ただい・・・ま・・・」 「まりさ!おかえりなさい!」 れいむは冷え切ったまりさの体をすりすりして暖める。 前日はこの“すりすり”で失敗したが今日は違う。 劣情など湧いてくるはずもなかった。ボロボロの伴侶をいたわる気持ちでいっぱいだった。 「・・・れいむ・・・ありがとう・・・あったかくなってきたよ・・・」 「まりさ・・・!よかった・・・!」 まりさがある程度回復したので、2匹はすりすりを止めた。 「けっこうとれたよ・・・くささんだけだけど・・・」 「うん・・・!うん・・・!ありがとうまりさ!」 「だから・・・あしたも・・・これくらいとってくるよ・・・」 「ゆっ!もういいよ・・・まりさ・・・このままじゃまりさが・・・」 「ううん・・・まだたりないよ・・・あかちゃんはたくさんたべないと・・・ゆっくりしたこになれないよ・・・」 まりさはれいむの頭に目をやった。ゆっくりの胎児の成長速度は速い。 もう種族はおろか、目や口が見て取れるくらいまで成長していた。 あと2日もすれば生まれ落ちるだろう。 「ゆっ・・・れいむがさんにんと・・・まりさがひとりだね・・・」 「うん!ゆっくりしたいいこたちだよ!」 「そうだね・・・あしたもがんばらないとね・・・」 「まりさ!だからもう・・・・・・まりさ・・・?」 「すー・・・すー・・・」 まりさは疲れのあまり、寝息を立て始めた。 れいむは感謝の念が溢れて止まらなかった。加えて、何とかしてまりさを止めたい、と強く願った。 れいむ自身で巣の入口をふさいだ。暗闇の中、まりさに寄り添って眠りについた。 すると翌日のこと。まりさが出て行くことはできなくなっていた。 巣の入口をくずすと、勢いよく雪が吹き込んできたのだ。外は猛吹雪だった。あわてて土を積み直した。 さすがにこれでは狩りに行けない。九分九厘帰って来られなくなるだろう。 「ゆ・・・これじゃあ・・・むりだね・・・」 「きをおとさないで、まりさ!きのうとってきてくれたぶんだけでおおだすかりだよ!」 れいむは内心ほっとしていた。これでまりさが辛い目を見ることはない。 いや、あとあと見るかもしれないが、その時は自分も一緒なのだ。 まりさと一緒なら、飢えだって何だって乗り越えられる。 「それより、すをしっかりふさごうよ!それがおわったらゆっくりできるよ!」 「・・・うん・・・うん!そうだね!ゆっくりしようね!」 まりさも気持ちを切り替えることにした。 これから生まれる子どもたちに、くよくよした姿を見せることはない。 まりさは入口にがっちり土を詰めた。巣の中に入る光量がゼロになった。これから数ヶ月間は、この暗闇の中で過ごすことになる。 れいむとまりさは、食糧はゆっくり食べて節約していこう、と改めて誓い合った。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 また翌日。れいむは頭の先に違和感を覚えた。 「ゆっ!まりさ!うまれるよ!」 「ほんとう!?がんばってね、れいむ!」 頑張ると言っても、植物型の出産は体力を消費しない。これは今の状況から言ってとても幸運なことだった。 プツッ、というちぎれる音の後に、ポテッ、と言う何かが落ちる音。 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 真っ暗な空間に、生まれ落ちた赤ゆっくりの産声が響いた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 両親はそれに嬉々として答えた。こんな状況でも、子供が生まれるというのはこの上なく嬉しいものだ。 しかし、やはりできれば春の方がよかった。 「ゆ?おかーしゃん?どこ?」 赤ゆっくりは目を開けて辺りを見回したつもりだったが、視覚が全く役に立たないこの暗闇の中では意味がなかった。 「おかーさんはここだよ!こっちだよ!」 れいむは優しく声をかけた。赤ゆっくりはその方向へゆっくり向かった。 「ゆゆっ!おかーしゃん!すーりすーり」 「ゆっ!おちびちゃんはれいむだね!すーりすーり」 親れいむは抱擁により、赤ゆっくりの飾りが帽子ではなくリボンであることを確認した。長女はれいむ種のようだ。 「そうだよ!れいみゅはれいみゅだよ!すーりすーり」 「れいむ!れいむはれいむおかーさんだよ!すーりすーり」 人間が聞いたら訳がわからなくなるような会話だが、ゆっくりはゆっくりだけがわかるニュアンスの差で名前を呼び分ける。 同じ「れいむ」という三文字でも、ゆっくりにとっては千差万別の魔法の言葉なのだ。 その後、立て続けに3匹が生まれ落ちた。順番はれいむ、れいむ、まりさだった。 「「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!」」」」 「「ゆっくりしていってね!」」 新たに6匹の家族となったゆっくり達は、喜色満面で挨拶を交わし合った。 誰もその顔を見ることはできなかったが。 赤ゆっくり達は親れいむの頭から落ちた茎を食べ始めた。栄養満点かつ甘くておいしいという夢の食べ物だ。 両親も貯め置きの食糧の山をまさぐり、虫を数匹持ってきて食べた。 当然、腐りやすいものから食べていかなければならない。 そうなると、最初に食べるべきはゆっくりにとって最高級のごちそうである虫類だった。 「ちあわちぇー!」と「しあわせー!」の声が飛び交った。 しかし、虫類が無くなったら次に食べるものは花や木の実に変わる。そしてそれもなくなったら昨日急遽採ってきた雑草だ。 要するにだんだんグレードダウンしていくのだ。これも越冬の辛いところであった。 食事を終えると、1匹の赤れいむが口を開いた。 「ゆぅ・・・なんでこんにゃにくらいの?おとーしゃんも、おかーしゃんも、おかおがみえにゃいよ・・・」 他の赤ゆっくり達も「ゆぅ・・・」と残念そうな声を上げる。 親れいむと親まりさは申し訳なさが募る一方だった。 「ゆぅ・・・ごめんね・・・いまはふゆだからだよ・・・」 「でも・・・!はるになったらみんなのおかおがみえるよ!それまでゆっくりまってね!」 「どのくらいちたら、はるににゃるの?」 「ゆ・・・それは・・・しばらくしたらだよ・・・」 「ゆぅ・・・はやくみちゃいよ・・・」 そう言われても、どうすることもできない。 せめてできるだけゆっくりして欲しいと思い、子守歌を歌ってあげた。 「ゆぅ・・・おかーしゃんのおうたはゆっくりできるねぇ・・・」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 赤ゆっくり達が寝静まった後、両親はやりきれなさにため息をついた。 真っ暗な中で一週間ほどを過ごした。 食糧は後々のことを考えてかなり少なめに配分されていた。 最初はそのことで赤ゆっくり達は悲しがった。 「ゆぅ・・・おにゃかへっちゃよ・・・」 「すくにゃいよ・・・もっとたべちゃいよ・・・」 両親は謝ることしかできなかった。 しかし、ゆっくりにしては賢い頭脳と温厚な性格は赤ゆっくりに受け継がれていた。 暴言を吐くこともなく、全員が限られた空間の中で最大限ゆっくりするように努力していた。 「おとーしゃん、おうたうたって!」 「ゆっ!いいよ!ゆ~ゆゆゆ~♪」 「おかーしゃん、すーりすーりちていい?」 「もちろんだよ!こっちにきてね!」 とてもなごやかな、ゆっくりした家族の団欒だった。 そして赤ゆっくりは、視覚以外の感覚が異常に研ぎ澄まされてきていた。 「ゆっ!おかーしゃん!むししゃんおとしたよ!」 「ゆっ?ほんとう?」 「ほんとだよ!ほら!」 「ゆっ!すごい!れいむ、まっくらなのにどうしてわかったの?」 「ゆ?うーん・・・なんとなくだよ!」 ひとえに生まれたときから視覚を遮断されていたからだ。 近くにある物体は感覚的に把握できるし、家族なら相当離れていても気配だけで識別できるようになった。 日に日に暗闇の生活に馴染んでいき、食糧についての文句もなくなった。 1ヵ月程が経過し、赤ゆっくり達は一回り二回り大きくなった。 食べ物は虫類から花や木の実にシフトしたが、聞き分けのいい赤ゆっくり達は素直に受け入れた。 そんなある日のこと。1匹の赤れいむが親れいむに尋ねた。 「おかーしゃん、ききちゃいことがあるよ!」 「ゆっ!なに?」 「おとーしゃんは、どんなおかおをしちぇるの?」 「ゆっ?まりさ?」 「うん・・・れいみゅ・・・なんとなくおとーしゃんのからだや、おぼうちはおぼえちぇるんだけど・・・ おかおはどうちてもおもいだしぇないんだよ・・・」 植物型胎児は、生まれ落ちる前から目が開いたり、耳が聞こえるようになったりすることがある。 どうやらこの赤れいむは、親まりさの輪郭をおぼろげながら視認していたようだ。 親れいむはすぐ答えた。 「ゆっ!まりさはとってもかっこいいよ! めはきりっとひきしまってて、おくちはとってもだんでぃだよ! とってもゆっくりしたおかおだよ!」 最終的に「ゆっくりしている」という、ゆっくりにおいては一番の賛辞である言葉を使った。 熱の入ったれいむの説明を、他の家族も聞きつけてきた。 「おとーしゃん、かっこいいんだって!」 「ゆー!しゃすがれいみゅたちのおとーしゃんだね!」 「れ・・・れいむ・・・まりさ、はずかしいよ・・・」 「ほんとうのことだからしょうがないよ!」 「ゆ・・・おちびちゃんたち!れいむだってとってもかわいいんだよ!」 「ゆ!?な、なにいってるのまりさ!」 「めはきらきらひかってて、おくちにもきひんがあふれてるよ! すごくゆっくりしてるんだよ!」 「ゆー!しゃすがれいみゅたちのおかーしゃんだね!」 「ま・・・まりさ・・・れいむ、はずかしいよ・・・」 「おかえしだよ!ゆっくりはずかしがってね!」 赤ゆっくり達は楽しそうに笑っていた。 「はやくおかおがみちゃいね・・・」 「うん・・・れいみゅ、おかーしゃんみちゃいなおかおかな・・・?」 「ゆっ!きっとそうだよ!」 「たぶん、おちびちゃんたちはみんなれいむとまりさにそっくりだよ!」 「ゆゆー!!」 こうして、子ども達は親や自分の顔に期待をふくらませつつ暗闇の中を過ごしていくようになった。 それから2ヵ月が経過した。 食糧については相変わらず節約を心がけていたが、たくさんあった花や木の実も残り1割まで減った。 子ども達は、本来ならもう子ゆっくりと呼ばれる大きさになっているはずだった。 しかし十分に食べられていない赤ゆっくり達は、まだどちらかというと赤ゆっくりの大きさだった。 「ゆ・・・おなかすいちゃよ・・・」 「きのみさんはもうあきちゃよ・・・」 収まっていた不満も、再び噴出し始めた。 親まりさは辛かった。子ども達の不満ももっともだ。春が待ちきれない。 だが親まりさの今までの経験は、春はまだまだ先だと告げていた。少なくとも、1ヵ月は雪が溶けることはないだろう。 試しに入口の土を押してみたが、カチンコチンに凍り付いていた。 そして親まりさを一番心配させたのが、親れいむの様子がおかしいことだった。 話しかけても何か考え込んでいて、答えてくれないことも多い。食事もろくに口にしなくなった。 「れいむ・・・ごはんだよ・・・」 「・・・・・・」 「れいむ?れいむ!」 「ゆっ・・・?ああ、まりさ・・・ごはんはいいよ・・・おちびちゃんたちにあげてね・・・」 親まりさはおろおろするばかりだった。 数日後。とうとう花や木の実の貯蔵が切れた。 親まりさが最後の日に集めてきた、ただの雑草しか無くなってしまったのだ。 「むーしゃむーしゃ・・・ふちあわちぇー・・・」 「・・・・・・ゆっくりしたいよ・・・」 それからの1ヵ月は長かった。 もともと少なかった一食の量をさらに少なくした。 子ども達はしゃべることもなく、ただ眠るかじっとしているかになった。 親れいむも食事を全く取らなくなり、目をつぶって鎮座するだけだった。 そんな家族を親まりさは励まし続けた。もう少しでゆっくりできると。 実際、親まりさは春の到来はすぐそこだと踏んでいた。 栄養失調で昏倒する赤ゆっくりが出てきた。親まりさも朦朧とした意識の中で、ひたすら早く、早くと祈った。 しかし、冬はなかなか明けなかった。 冬の妖怪が大暴れしているのか、誰かが春を集めているのかは知らないが。 ついに雑草も残りわずかとなった。未だに入口の土はカチンコチンだ。 親まりさはこの異常な冬を呪った。あとちょっとで、あとほんのちょっとでみんなゆっくりできると思っていたのに。 食糧が切れた後のことは、あまり考えたくないことだった。まず、体力の少ない赤ゆっくり達から事切れるだろう。 そして、そのあとに残った死骸を目の前にして、まりさは――どうしてしまうのだろう。 もしかしたら、まりさは、自分の子どもを口に――いや、それ以前に、もしかしたら、赤ゆっくりが死ぬ前に―― 「まりさ」 そこまで考えたとき、親れいむの声が聞こえた。 「れ・・・れいむ・・・?」 しばらくぶりに聞いた、か細い妻の声。親まりさは息を呑んだ。 「れいむは・・・もう・・・だめだよ・・・」 「そ・・・そんなこといっちゃだめだよ!あとちょっとで、みんなでゆっくりできるよ!」 「おちびちゃんたちは・・・ねてる・・・?」 会話がかみ合っていない。 赤ゆっくり達は空腹でほぼ意識を失っていた。 「ねてる・・・よね・・・まりさ・・・おねがいがあるよ・・・」 「な・・・なに・・・?」 「れいむの・・・おりぼんをとって・・・れいむが・・・ゆっくりできなくなるまえに・・・」 親れいむはとつとつと語り出した。 れいむはもう助からない。 だから死ぬ前にリボンを外してほしい。 死んだゆっくりの飾りからは死臭が漂う。それを避けるためだ。 そして、れいむが死んだら―― 「れいむを・・・たべてね・・・」 「・・・!!」 「おちびちゃんたちにわからないように・・・なんとかして・・・みんなで・・・ゆっくりしてね・・・」 「そ、そんなのだめだよおおおおっ!!」 親れいむは微笑んだようだった。 「もう・・・これしか・・・ないんだよ・・・まりさ・・・ おちびちゃんたちを・・・たすけてあげて・・・ね・・・」 「れいむ!れいぶううう!!」 「れいせいになって・・・まりさ・・・はやく・・・おりぼん・・・」 親まりさは頭の中がぐちゃぐちゃだった。言われるままに、手探りでれいむのリボンを取ってしまった。 それを確認した親れいむは、満足そうに息をついた。 「だいすきだよ・・・」 そう言って、親れいむは暗闇のさらに奥まで旅立った。 親まりさは泣いた。れいむはこうなることを予測していたのだ。 絶食という辛い方法を使って、自己を犠牲にして、そこまでしてでもまりさと子ども達を助けたかったのだ。 自分が情けなかった。れいむは独りで戦ってたのに。 それを見抜けなかった自分も、何をするわけでもなかった自分も、ただただ情けなかった。 だが、これからはそうではいけない。 親まりさは泣きやんだ。 れいむがくれたチャンスを、無駄にしてはいけない。絶対に。 子ども達を守らなくてはならない。たとえ自分がどんなに辛くても。 親まりさは、親れいむの亡骸を貯蔵庫に運んだ。 地面に降ろした後、勢いよく飛びかかった。 痩せた親れいむの体は、簡単につぶれた。破れた皮の間から、パサついた餡子の山が現れた。 これだけあれば大丈夫だ。栄養価は雑草なんかと比較にならない。 親まりさはその上で跳びはね続けた。皮がボロボロに破れ、無数の細切れとなって餡子の中に混ざり合っていく。 れいむだったものを、れいむだとわからなくなるように潰していく。 親まりさのほおに、また一筋の涙が伝った。 「おちびちゃんたち!あまあまだよ!」 「・・・ゅ?ぁ・・・ま・・・?」 作業が終わると、餡子はすぐさま赤ゆっくり達の所へ運ばれた。 瀕死の赤ゆっくり達は口を開ける気力もない。 親まりさが口移しで流し込んでいった。 「ち・・・ちあわちぇー・・・」 「おいちいよ・・・」 弱々しいながらも歓喜の声があがった。 そして、赤ゆっくり達はだんだん元気を取り戻していった。 「ゆー!あまあましゃんおいしかったよ!」 「おとーしゃん!だしおしみしちゃだめだよ!ゆっくりできなくなるところだったよ!ぷんぷん!」 「・・・ごめんね!ちょっとまたせすぎちゃったよ! これからはずっとあまあまがたべられるよ!ゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしちぇいっちぇね!」」」」 暗闇の中に、再び希望が芽生えた瞬間だった。 しかしその後、赤ゆっくりは当然の疑問を抱いた。 「おとーしゃん!おかーしゃんはどこいったの?」 「ゆ!・・・れいむは・・・」 親まりさは言葉に詰まった。 少し考えた後、思いきってこう言った。 「・・・れいむは、おそとでゆっくりしてるよ!はるになったらあえるよ!」 「ゆっ!?おしょとで!?」 「れいみゅもおしょといきたい!」 「だめだよ!れいむみたいなりっぱなゆっくりじゃないと、おそとでゆっくりできないんだよ!」 「ゆっ!そうなの?」 「はるまでいいこにしてたら、れいむみたいなりっぱなゆっくりになれるよ!」 論理の破綻した苦しい嘘だった。いずれ絶対にばれるだろう。 しかし、ここで真実を知るのは衝撃が強すぎる。 「ゆっ!れいみゅ、いいこにするよ!」 「はるになったら、おしょとでゆっくりするよ!」 赤ゆっくり達には十分通用した。 それからの日々、親まりさは親れいむのことを繰り返し話して聞かせた。 とってもきれいな顔をしている。顔だけじゃない。体はスマートで、肌は張りがあり、太陽の下では光って見える。 髪の毛もサラサラで、すれ違ったゆっくりは皆振り返る程だった。 そして何より、思いやりがあり、優しい。 とにかく、素敵なゆっくりだ。 親まりさは、子ども達にれいむのことを忘れて欲しくなかった。 あのような母親を持ったことに誇りを持って欲しかったのだ。 どれだけ素晴らしいゆっくりかということを、少々誇張しつつも子ども達に伝え続けた。 赤ゆっくり達は嬉しそうに聞いていた。 「ゆっ!れいみゅたちも、おかーしゃんみたいになれるよね!」 「もちろん!れいむのおちびちゃんだもん!れいむそっくりになれるよ!」 それは、親まりさの願いでもあった。 「ゆっ!まりしゃも、おとーしゃんみたいになりたいよ!」 「きっとなれるよ!まりさのおちびちゃんだもん!」 それもいい。れいむの分も合わせて、この子達に全てを捧げて育てていこう。 立派な親になるんだ。親まりさは決意した。 また1ヵ月が経った。 子ども達は大量の餡子のおかげで赤ゆっくりの域を脱し、れっきとした子ゆっくりの大きさになっていた。 そしてついに、長かった冬は終わりを告げた。 入り口の土を崩し、這い出る親まりさ。 しばらくぶりの光に目を細めつつも、外を見回す。 雪はほとんど溶け、あちこちに緑が芽吹き始めていた。 「ゆっ!おちびちゃんたち!はるだよ!おうちからゆっくりでてきてね!」 子ゆっくり達も慎重に這い出てきた。 親まりさと違い初めて見る光に、なかなか目を開けられないようだ。 「まぶしいよ!」 「ゆー!」 そんな中でも、帽子を持つ子まりさは一番早く目を開けることができた。 目を開けた先には、巣の中で幾度となく思い描いていた父親の、本当の姿があった。 「ゆ・・・ゆっ!?おとー・・・さん・・・?」 親まりさも、子まりさの顔を見ることができた。 そして、率直な感想を述べた。 「ゆっ!やっぱりまりさは、まりさとそっくりだね!」 「うそだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!」 親まりさにとって予想外の返事が返ってきた。 目をこれでもかというほどに見開き、子まりさが絶叫したのだ。 「まりさ、こんなぶさいくじゃないいいいいっ!!! おねーちゃん、うそだよね! まりさ、こんなのとそっくりじゃないでしょおおおおっ!?」 3匹の子れいむ達も何とか目を開けていた。 親まりさと子まりさを見比べた後、残念そうに口を開いた。 「そっくりだよ・・・」 「まりさ、ごしゅーしょーさま・・・」 「まりさ、ぶさいくだったんだね・・・」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!う゛ぞだ、う゛ぞだ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 親まりさは呆然としていた。 この子達は何を言っているんだ?この子まりさは、とっても引き締まったいい顔をしているのに。 よく理解できないまま、れいむ達の方を見やった。 そこで3匹の子れいむを見て、親まりさは感動の涙が出そうになった。 3匹が3匹、れいむの面影を色濃く背負った相当な美ゆっくりだったのだ。 なので、思った通りを口にした。 「ゆっ!れいむたち・・・みんなれいむにそっくりだよ!」 それを聞いた子れいむ達は、向かい合って姉妹の顔を確認した。 そして、絶叫した。 「ゆう゛う゛う゛ええええっ!?」 「うぞだあああああああ!!」 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あああ!!!」 4匹の口から、絶望の悲鳴が次々とぶちまけられた。 「れいぶごんなにでぶじゃないよおおお!もっどずまーとだよおおおお!」 「ごんなへんなおめめかっこわるいいい!きりっとしてないいいい!!」 「おはだがまっくろだよおおおおお!」 「ぼさぼさのかみのけいやあああああ!」 「おぐちががばがばだよおおおおっ!」 「うそだ!うぞだあああああ!!」 「ゆああ!こないでね!ぶざいくなでいぶはちかづがないでね!!」 「おねーちゃんだってぶざいくでしょおおおおお!?」 「ぜんぜんゆっくりしてないいいい!ゆ゛わ゛あ゛あ゛あ゛ん!」 「みんなどぼじでぞんなごどい゛う゛の゛お゛お゛お゛お゛!?」 親まりさには理解できなかった。 みんな、とってもかわいいゆっくりなのに。 なんでこんなに泣き叫んでいるのか。 親まりさは理解していなかった。 子ども達が親からの情報を基に組み立てた想像は、現実とは大きく食い違っていたことを。 何ヶ月もその想像を繰り返した結果、子ども達には覆すのが困難なほど濃いイメージが染みついてしまったことを。 そんな親まりさは無理やり結論を出した。 そうか。長い土中の生活で、みんなからだが土まみれだ。お世辞にもきれいとは言えない。 だからこんなにショックを受けているのだろう。だったら―― 「ゆっ!みんな!いまから、みずうみさんにいくよ!」 「み・・・みずうみ?」 「みずうみさんにいけば、からだをきれいにできるよ! あと、みずうみさんにはじぶんのからだがうつるんだよ! きれいになったおちびちゃんたちを、じぶんでみれるんだよ!」 「ゆーっ!」 父親の提案に、子ゆっくり達は色めき立った。 そうか。みずうみさんに行けばきれいになれるのか。 そりゃそうだ。いくらなんでも自分たちがこんなに不細工だなんてあり得ない。 「みずうみさんにいくよ!」 「きれいになりたいよ!」 「ゆっ!じゃあゆっくりついてきてね!」 湖はゆっくりの足で10分くらいの場所にある。 5匹は移動を開始した。 移動中、親まりさは考え込んでいた。 さっきの光景は、まりさ自身も結構ショックだった。みんなあんなに悲しがるなんて。 「ぶさいく」という言葉も聞こえた。しかし、それはおかしい。 ただ体が汚れているだけなのだ。不細工というのは的はずれだ。 もし子ども達が、特に子れいむ達が不細工だというのなら。 あのれいむも不細工と言うことになる。 それは違う。そんなの、絶対に認めない。 早く誤解を解かなくては。 知らず知らずのうちに、親まりさの足どりは速くなっていた。 「ゆっ・・・!おとーさん・・・まってよ・・・!」 「もっと・・・ゆっくりしてよ!」 子ゆっくり達はついていけず、引き離されていた。 それに気づいた親まりさは振り返る。 「ゆっ!ごめんねおちびちゃん・・・たち・・・?」 親まりさがそこに見たのは、子れいむ3匹と子まりさ1匹・・・ではなく、 子れいむ3匹と、帽子の無い金髪の子ゆっくりだった。 親まりさの進むスピードが速すぎて、必死について行こうとした子まりさは帽子を落としてしまったのだ。 帽子やリボンといった飾りは、ゆっくり同士の個体識別部位となっているとても重要なものだ。 飾りの無いゆっくりは、「ゆっくりできないゆっくり」として攻撃対象にされる。 親まりさにとって、帽子のない子まりさは最早自分の子どもではなかった。 見たこともない「ゆっくりできないゆっくり」が、自分の子どもの中に紛れ込んでいる。 「ゆゆー!!ゆっくりできないゆっくりはおちびちゃんからはなれてね!」 そう叫んで金髪の子ゆっくりに飛びかかろうとしたが、それはできなかった。 「ゆっ!?まりさになにするの!?」 「おとーさん!ふざけないでね!」 子れいむ達が子ゆっくりを守るように取り囲んだのだ。 「ゆ、ゆぅ!?」 親まりさは困惑した。また、この子達は何を言っているんだ? この見知らぬ金髪の子ゆっくりが、我が子のまりさだって? これも親まりさは知る由もなかった。 実は暗闇で生活してきたせいで、子ども達は声色や気配のみで個体識別をするようになっていた。 加えて、親や自分の顔の想像を繰り返すうちに、子ども達は帽子に対する意識が薄まっていった。 幾度となく行われた想像が、ゆっくり特有の本能を塗り潰してしまったのだ。 子れいむ達にとって、子まりさは帽子を失っても子まりさのままだった。 れいむにそっくりな6つの瞳が、怒りと疑惑を孕んで親まりさを睨んでいた。 親まりさは金髪のゆっくりに手を出すことはできなくなった。 「ゆぅ・・・じゃ、じゃあ・・・とにかくみずうみさんにいくよ!」 訳がわからないまま、親まりさはとりあえず移動を再開した。 湖に着くと、親まりさは湖岸に近づき、水を吸い上げて口に含んだ。 それを子れいむ達に吹き付けてやる。土汚れがどんどん落ちていった。 「「「さっぱりー!!」」」 子れいむ達は喜びの声を上げた。 「ゆ・・・おとーさん・・・まりさも・・・」 帽子の無い子まりさは吹きかけてもらえなかった。 先ほど襲われかけたせいですっかり萎縮してしまっている。 控えめに訴えたが、親まりさはそれを黙殺した。 もう無視することに決めたのだ。気にもかけずに、子れいむ達に声をかけた。 「おちびちゃんたち!よくみてね!これがおちびちゃんたちだよ!」 凪いだ湖面は、そばに立ったものを映し出す。 湖岸に導かれた子れいむ達は、汚れを落とした自分の姿をのぞき込んだ。 どれほどきれいになっているだろうかという、淡い期待を抱いて。 そこに映っていたのは肌の土汚れが落ち、先ほどよりは小綺麗になった小さなれいむだった。 しかし、子れいむが想像していたようにきらきら光った肌ではない。くすんだ肌色だ。 肝心の目や口は、ちっとも変わらずそのままだった。 ぜんぜん、きれいになってない。 「ゆ゛う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 「やっぱりぶざいくだよ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 2度目の絶望が始まった。 「ひどいよ゛お゛お゛お゛!こんなのひどいよ゛お゛お゛お゛!!」 「うぞだ・・・うぞでしょ?みずうみさん、うそでしょお゛お゛お゛!?」 「ゆがっ・・・ゆぶふっ・・・ゆぐあ゛あ゛あ゛あ゛!!」 「ゆうう!みんなぶさいくなんかじゃないよ!みんなかわいいゆっくりだよ!」 親まりさは本格的に訳がわからなかった。 一応慰めの言葉をかけてみたが、効果はなかった。 「どおみてもぶざいくでしょお゛お゛お゛っ!おどーざんのうぞづぎ!」 「うぞづきなおやはだまっててね!」 その言葉は親まりさの頭の中を真っ白にした。 ちがう。まりさは嘘なんてついてない。まりさは、まりさは―― 「ぶざいくなでいぶはじね゛え゛え゛え゛っ!!」 「ゆ゛ーっ!おでーちゃん!やべでね゛!!」 ヒートアップした次女れいむが三女れいむに襲いかかった。 「ゆーっ!なにじてるの゛お゛お゛っ!」 長女れいむが慌てて仲裁に入ったが、遅かった。 三女れいむのほおはパックリと割れ、中から餡子が流れ出していた。 「う゛あ・・・れいぶのほっぺがぁ・・・」 「どぼしてごんなごどずるの゛お゛お゛お゛お゛!?」 「うるざい!ぶざいぐなでいぶはみんなじね゛え゛え゛っ!!」 長女と次女は激しくもみ合い始めた。 ここで親まりさは我に返った。 いけない。れいむの1匹がケガをしている。 「れいむうう!」 急いで三女れいむの所へ向かう親まりさ。 必死の形相で跳ねていく。 それを三女れいむはうつろな目で見ていた。 醜い顔の親が、さらに醜い表情で向かってくる。 「しっかりしてね!いまぺーろぺーろしてあげるからね!」 傷口に生暖かい感触が広がる。赤いぬめぬめしたものが視界に映る。 なんだろこれ。おとーさんの舌か。傷口をぺろぺろされてる。 そういえば、この口から水を吹きかけられても、全然きれいにならなかった。 まだ舐められ続けてる。 やめて。きたない。はなして。とける。つばでからだがとける。しんじゃう。 「やべでえ゛え゛え゛え゛!!」 三女れいむは声の限りに叫んだ。 何とかして逃れようと、体をよじって逆方向に這う。 「ゆっ!?おちびちゃんどこいくの!?」 親まりさは追ってきた。 「ごないでね!でいぶ、じにだくな゛い゛い゛い゛い゛っ!」 また叫んで、気力を振り絞って跳んだ。 跳んだ先に、地面はなかった。 長女れいむは次女れいむに精一杯の体当たりをかました。 「ゆ゛べっ!」 次女れいむは地面に思い切り叩きつけられ、少し餡子を吐き出した。 「ゆっ!でぃーぶいれいむはそこではんせいしててね!」 そう吐き捨てて、長女れいむは三女れいむを介抱しようと向き直った。 しかしその瞬間に見たのは、 親まりさが三女れいむを追い込み、湖に落としたところだった。 湖面に広がる波紋を見て、親まりさは呆然と立ちつくすしかなかった。 今日立て続けに起こった全ての出来事が、親まりさの理解の範疇を超えていた。 「うがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」 親まりさの後ろから雄叫びが聞こえた。反射的に振り返る。 跳びかかってきた長女れいむの歯が、親まりさの左目に食い込んだ。 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!なにずる゛の゛お゛お゛お゛お゛!!」 「こどもをころすおやはさっさとじねええええ!!」 親まりさの左目は完全につぶれてしまった。 焼けるような痛みが左半身に広がる。連続して跳びかかってくる長女れいむの姿が歪む。 「うそつきっ!うぞづぎっ!でいぶだちにあやばっでね!おとーさんのぜいだよ!」 帽子に噛みつかれた。ビリリと音を立てて、中腹から大きく裂けた。 「ゆっくりりかいじでね!おとーさんだちがうぞづくがらこんなごどになったんだよ!」 「ばりざ・・・うぞなんでづいでないよ゛お゛お゛お゛っ!みんなでいぶにぞっくりな・・・」 「ぶさいくなおかーさんなんてしらないよ!わかったらさっさとじね゛え゛え゛え゛え゛!」 親まりさの中で何かが切れた。 もう我慢の限界だった。 「じね゛っ!!」 「ゆびゅっ!?」 跳んできた長女れいむを空中ではたき落とす。 べちゃりと音を立てて長女れいむは地面に落ちた。 「こ・・・こな゛いでね!あっちいってね!」 長女れいむの顔には怒りと怯えが混ざり合っていた。 親れいむとそっくりなその顔。 しかし、もう親まりさには関係なかった。 「こない・・・ゆぎゅっ!」 親まりさは迷うことなく踏みつぶした。 こんな奴られいむじゃない。 あのれいむとそっくりな顔をしてるだけの、全く別のゲスゆっくりだ。 いや、ゆっくりですらない。 帽子の無いゆっくりを擁護し、自分を不細工だと言って暴れ回るゆっくりなんて見たことがない。 地面に張り付いた次女れいむを見つけ、その方へ向かう。 「ゆっくりごろしの・・・ぶさいくなまりざは・・・じね゛え゛ぇ・・・」 こちらの表情は憤怒で満ちていた。 その顔も親れいむとそっくりだった。 「じね゛・・・じ・・・ゆぎゅ」 だがやはり同じように、容赦なく踏みつぶした。 湖辺に静寂が訪れた。地面には子ゆっくり2匹分の餡子が花を咲かせていた。 そんな中、親まりさはうつむいて体を震わせていた。 やった。殺した。れいむの偽物は全部、殺した。 親まりさは口を歪めて笑っていた。心の中で達成感と喪失感が渦巻いていた。 突如、親まりさは別方向からの声を聞いた。 「ゆ・・・ゆっ!ゆっくりにげるよ!」 帽子の無い子まりさが、親まりさに背を向けて逃げていくところだった。 なんだ。さっきのゆっくりできないゆっくりか。 親まりさは、ぼやける視界の中で跳ねて逃げていくゆっくりを追いかけた。 ちょうどお腹が空いてきたところなので、食べてしまおう。 「いや゛あ゛あ゛あ゛あ゛!こないで・・・むぎゅっ!」 楽々追いつき、舌を伸ばして絡め取った。 躊躇無く咀嚼する。 「もぎょっ!・・・と・・・ゆっぐ・・・しぎゃっ・・・」 甘くて、おいしい。親まりさはそう思った。 親まりさは考え始めた。これからどうしようか。 子まりさをどこかへ置いてきてしまったような気がするが、もうどうでもいい。 どうせあれも不細工だなんだと喚き散らすのだろう。放っておこう。 そうなると、もうすることが無くなってしまった。 ふと、すぐそばの湖を右目だけでのぞきこんだ。 そこには、ひどいゆっくりがいた。 片目はぐちゃぐちゃ。残ったもう片方も死んだようなうつろな目。 帽子は大きく裂け、その裂け目からのぞく髪の毛は泥まみれ。 全身に餡子の飛沫を浴び、口は奇怪な形に曲がっている。 どう見ても、ゆっくりしてないゆっくりだった。 まりさは、つかれてしまった。 れいむに会いたい。あのつぶらな瞳と、やわらかいほおと、優しい声が愛おしかった。 もっとゆっくりしたかった。 れいむといっしょに。 まりさと、まりさとそっくりなゆっくりの顔同士が近づいていった。 湖面に、波紋が広がった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき よく考えたら冬眠中の巣の中って真っ暗じゃね?というところから書き始めました。 あっさりしたものを書こうと思ってたんですが・・・ いつのまにかこんなに膨らんでしまいました。なんて恐ろしい。 最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。 過去作品 ゆっくりバルーンオブジェ このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/mihoyowikiunofficial/pages/1905.html
目次 性能ステータス スキル1 永遠の祈り・代償 スキル2 希望の光・意志 入手方法 説明 関連項目 性能 ステータス No. 名前 3798 ゼーレの意志・界 種類 ☆ 神格覚醒 ゼーレ 7
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/10695.html
798 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/22(土) 22 48 10.82 ID TP0cd6Jy0 一件軽い報告しても良い? 808 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/22(土) 23 19 11.56 ID TP0cd6Jy0 引っ張っといてプチで申し訳ないがひとつ たまに行く集まりでのセッション 主にGMと仲の良いPL陣(割とナゴヤ環境)が固定メンバーでいて、そこに俺や他のPLが空いていれば参加するスタイル 暗闇耐性を持つPCを作っていたんだけどGMに理不尽に握りつぶされたんだ 「あー、暗視持ってたんだ?参ったな。このセッションは暗闇での戦いでPCが苦戦するって言うのが肝でそれでバランス取ってたのに。 んじゃねぇ、こうしよう。この暗闇は君の暗視でも見通せない、不思議な力を持った暗闇なんだ。だから君の暗視は効果を発揮しない。 と言う訳で戦闘だ!特殊状況を考慮しないキャラ組みをしてるみんなに暗闇の怖さを思い知らせるぞー」 こんな理屈で 敵側も基本的にはPCとほぼ同じ組み方をするゲームなんだけど、俺と同名のスキルで敵は暗闇耐性があった 810 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/22(土) 23 26 42.26 ID AnnRuDjD0 乙 特殊状況を考慮しないキャラ組みをしてるみんなに暗闇の怖さを思い知らせるぞー 考慮したキャラ組みしてるPLいたのに何言ってんだこいつ… 811 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/22(土) 23 28 28.73 ID zY+IoRmr0 808 乙 なんという理不尽…… 812 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/22(土) 23 29 46.58 ID 5ADuDGQP0 808 乙 実に頭の悪いGMだな、ソイツ 報告者のPCだけペナルティを受けない事で余計に暗闇の怖さが思い知らされるチャンスを棒に振るとか 813 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/22(土) 23 31 31.33 ID CPzDDRkuO 無茶苦茶過ぎるわ… 酷いGMだな 814 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/23(日) 00 44 30.36 ID 9dSXZK3P0 808 810に言いたい事全部言われた 報告は短いけど困度は結構上位だな…短いから逆に怖いというか 815 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/23(日) 00 53 02.92 ID 5VctE9Rn0 色々おぞましいというかマジで意味がわからんぞ 816 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/23(日) 01 01 11.38 ID mQGirTp90 808 GM「PCがなす術なく一方的に苦しむ様が見たい」 クズだね 817 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/23(日) 01 07 28.52 ID Z3q/KFof0 ぶっちゃけるにしてもいい方と言うか、やり方と言うか… 報告者のキャラを物理的に目つぶししてしまうとかよりかは 「暗視でも見えない闇」はアリかもしれない。 ただ、それでGM側のキャラは報告者PCと同じ能力だけど 暗視でも見えない闇でも見えるとわざわざ言うとか PLを苦しめたいとか、ダメな部分ばかりをぶっちゃけるのはどうかと思うんだ。 818 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/23(日) 01 12 10.06 ID F9OIc14O0 >特殊状況を考慮しないキャラ組みをしてるみんなに暗闇の怖さを思い知らせるぞー 糞酷いw まさに特殊状況を考慮したキャラがいて、そのキャラが優遇された結果 特殊状況を考慮したキャラもありだなってなる流れなのに 握りつぶしたら、どうせ握り潰されるなら考慮したキャラ作らなくてもいいな、になるのにw 820 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/23(日) 01 48 43.91 ID fJnSfG6f0 自分の考えた通りに進むシナリオが一番すばらしいしみんなも楽しめるはずって吟遊以外の何物でもないよな 825 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/23(日) 03 15 06.35 ID dYGQhgfo0 808 あれ やってる事はシンプルなのにこのGM無茶苦茶怖いぞ 人間なのかこいつ 826 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/23(日) 07 33 13.71 ID XSmM4FoB0 戦術レベルでの対応はできるはずなのに (敵は自分と同様に暗視を持つPCを優先的に攻撃する、など) シナリオレベルどころかハウスルールまで使って、やりたいことが「PCを苦しめたい」ってのはな・・・ PLを楽しませるためなら、むしろどんどん使っていいのに、どうして方向性を見失うんだ 829 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/23(日) 08 26 46.86 ID d6PONZ6T0 808 パーティーの中で一人だけ暗視持ちだとしても GMが目論んだ「暗闇での戦いでPCが苦戦する」というシチュは十分に達成できると思うんだが。 何より、その暗視持ちが他のPCをどうフォローするかという事になり、 「あの暗視持ちさえ潰せばいい」と敵からヘイト買う事になったり、 目となる暗視持ちを他のPCが身体張って守らなければならなくなったり、 普段の役割分担と違う新鮮な混乱が発生して、一律全員を暗闇で見えなくするよりも ゲーム的に面白くなるから、むしろ喜ぶべき予定外だろうに、このGMの感覚が分からない… 835 :ゲーム好き名無しさん:2015/08/23(日) 09 17 58.58 ID xFNRYEoL0 ソドワの新サプリ見てたらタイミングよくそういう状況に対するGMガイダンスが載ってて吹いた(高レベルになるほどGMの想定外は増える そういう時は無理に押さえつけずに好きにさせろ 的な内容) スレ421
https://w.atwiki.jp/hakozisyo/pages/358.html
闇魔法:暗闇 対象者の目の前に暗闇を出現させ、3ターンの間だけ命中、回避に-3することが出来る。 この闇はスキル「暗視」で無効化することは出来ない。 上位闇魔法の「範囲拡大」と併せて使用可能。 消費MPは4 威力判定は(2d6+魔法力) 武器補正は着かないので注意。 暗闇の詠唱や名称など一覧 ダークネス (指輪から黒い霧が生まれ、円を描くように滑らせば、目標を包み込むように空を這う。)(アゲハ) 暗闇の詠唱や名称など一覧(派生) 強魔 範囲拡大 スペルレインフォース (自分を中心に4つの光る立体魔方陣を展開)・ダークネス(指輪から黒い霧が生まれ、円を描くように滑らせば、目標を包み込むように空を這う。)(アゲハ)