約 61,787 件
https://w.atwiki.jp/radio_tan/pages/55.html
五十鈴「壊変によって放出されるエネルギーはQ値と呼ばれるわ。これは壊変前後の質量の差を考えればいいのよ。」 五十鈴「原子核が壊変して粒子を放出すると、娘核種と粒子の質量の合計は、壊変前である親核種の質量より軽くなってるの。その軽くなった分の質量が、エネルギーに変わったってことね。」 α壊変のQ値 五十鈴「単純に壊変前後の質量の差がQ値になるわ。」 七海「分かりやすいね!」 五十鈴「なんだけど、試験では質量じゃなくて原子核の結合エネルギーが与えられることも結構多いのよね。その場合の求め方は、壊変の前後が逆になるわ。」 五十鈴「娘核とα粒子にはこのエネルギーが分配されて、それぞれが飛んでいくことになるわね。」 七海「原子核はα粒子が飛んでいく反動を受けるんだね。」 五十鈴「α粒子の運動エネルギーEαが分かっていれば、娘核の運動エネルギーEDを求めることができるし、Q値からEαを求めることもできるの。」 五十鈴「式の誘導も簡単だから載せておくわ。」 五十鈴「ED、Eαを求める式に限って言えば、MDとMαはそれぞれの質量数を代入すればいいわ。」 七海「Q値と娘核の質量数が決まれば、α粒子のエネルギーはいつも同じ。だから線スペクトルなんだね。」 β壊変のQ値 五十鈴「七海、β壊変は3種類あったわね。」 七海「β-壊変、β+壊変、EC壊変だね。」 五十鈴「その3つには起こる条件ってのがあるわ。Q値の前にそれを話しましょう。」 五十鈴「考えるべきは中性原子、つまり陽子数=電子数よ。」 五十鈴「まずはβ-壊変の場合。壊変によって電子が1個放出され、原子番号が1増加するわ。」 五十鈴「親核種の原子番号が20だったとすると、娘核種の原子番号は21になるわけだけど、電子数は20のまま。」 五十鈴「でも仮に、放出された電子が娘核種の電子軌道に捕まったとしたら?」 七海「陽子数=電子数だ!」 五十鈴「てなわけで、単純に娘核より親核のほうが重ければ壊変できるわ。」 七海「あれ?ニュートリノは?」 五十鈴「あんなもんめちゃくちゃ軽いから無視よ無視!」 七海「そっか… それで、当然壊変後のほうが質量は軽くなるよね。」 五十鈴「つまり、親核の質量から娘核の質量を差し引くと、値は正になるはず。これがβ-壊変が起こる条件よ。」 七海「次はβ+壊変だね。」 五十鈴「じゃあ今度は原子番号8の親核種を考えましょう。」 七海「原子番号が7になるから、電子が1個余っちゃう… それに陽電子が出る…陽電子の質量は電子と同じだから…」 七海「電子2つ分質量が余っちゃう!」 五十鈴「そう!つまり親核の質量から、娘核とさらに電子2個分の質量を引いてもなお、値は正になる。」 五十鈴「言い換えると、親核と娘核の質量差が電子2個分の質量、エネルギーにして1.022 MeVより大きくないとβ+壊変は起こらないってことが言えるわ。」 五十鈴「最後はEC壊変。これはβ+壊変と同じく、原子番号が1つ減ることになるわね。」 七海「でも、軌道電子は原子核に食べられて、結局親核も娘核も陽子数=電子数になるね。だから条件はβ-壊変と同じだ!」 五十鈴「ここで大事なのが、原子番号を1個減らしたい核は、果たしてβ+壊変とEC壊変どっちをするかということね。」 七海「うーんと… EC壊変は質量差が0より大きければいいけど、β+壊変は電子2つ分大きくないといけないから、ECのほうがやりやすいよね。」 五十鈴「そうね。さらに言うと、β+壊変をする核種は必ずEC壊変もするわ。つまりこの2つは競合するのよ。」 五十鈴「対して、EC壊変をする核種がβ+壊変もするかというと、必ずしもそうではない。ECしかしないやつも結構あるわ。」 五十鈴「で、ようやくQ値の話だけど、これも質量差をエネルギーに換算すればいいだけよ。」 γ線放出 五十鈴「ここで覚えるべきは、γ線が放出されたときに原子核が受ける反跳エネルギーERの求め方、これだけ。」 五十鈴「光子のエネルギーは、運動量pを使うとEγ=pcで表されるから…」 七海「でもα壊変にしろγ線放出にしろ、反跳エネルギーなんてかなり小さいでしょ?」 五十鈴「かなりちっちゃい。特にγ線放出はね。」 五十鈴「でも時々求めろって問題が出るんだなこれが… それに化学のホットアトムのところでも出てくるからね。求め方はまた違うけど。」
https://w.atwiki.jp/hengtouhou/pages/378.html
概要 バージョン 攻撃属性の効果 種族による属性弱点・無効 耐性の効果 概要 様々な攻撃属性と、装備品で得られる耐性の効果について、主にダメージとその軽減についてまとめました。 バージョン ver1.1.24(mspels1.c、spells1.c、effect.c、tobject.hlp) 攻撃属性の効果 勝手版で新しく変更・追加されたもののみをまとめました。 属性 該当する攻撃 耐性 効果 核熱 核熱のブレス巨大レーザー 火炎 閃光 火炎ダメージと閃光ダメージで半々。各耐性で軽減が入る。幽体化解除旧放射性廃棄物属性。 汚染 汚染の球 毒 劣化 毒ダメージと劣化ダメージで半々。各耐性で軽減が入る。毒・劣化のどちらの耐性もなければ全能力値減少 プラズマ プラズマ・ボルトプラズマのブレス 火炎 電撃 火炎ダメージと電撃ダメージで半々。各耐性で軽減が入る。轟音耐性がなければ朦朧。 水 アクアブレスウォーター・ボルトウォーター・ボールメイルシュトロム 水 耐性無しで混乱、朦朧、薬瓶破壊種族によるダメージ増減あり 破邪 聖なるブレス聖なる矢破邪の光球ホーリー・ファイア 破邪 幽体化解除種族・魔法領域によるダメージ増減あり 退魔 退魔1, 2, 3破邪の印 破邪 追加朦朧 呪い 軽傷、重傷、致命傷の呪い死の言霊 暗黒 地獄 アイテムが呪われる 地獄の業火 地獄の業火のブレスヘル・ファイア 無し 天人、月の民は4/3倍、うどんげを除く玉兎は6/5倍 歪曲 空間歪曲 時空 耐性無しでテレポート・アウェイと能力値減少 因果混乱 因果混乱のブレス 時空 耐性なしの場合、3/7で距離200テレポートアウェイ2/7でテレポート・バック1/7で突然変異1/7で1d100 魔法防御ならステータスシャッフル 竜巻 竜巻 無し 巨大化状態で1/4重量が重いと敵レベルとの判定に成功すれば1/3軽くても浮遊なら1/2 但し短距離テレポート・アウェイ追加いずれも該当しなければ、軽減無し、短距離テレポート・アウェイ、確率で薬瓶破損 電車 ぶらり廃線下車の旅テレキネシス 電波塔 無し 短距離テレポート・アウェイ、確率で薬瓶破損巨大化時追加効果無効 コズミック・ホラー コズミック・ホラー 狂気(恐怖) 判定に応じて以下の追加効果一つ。マシな方から、混乱、幻覚、朦朧、能力値減少悍ましい系召喚、MP0、突然変異、悍ましい系大量召喚、彫像化。 種族による属性弱点・無効 属性 種族と弱点・無効化 酸 33%増し 小傘(レベル30以上で解除)、降鬼陣の型発動時50%増し 元素に弱いの変異、霧変化 火炎 25%増し レベル30以上のチルノ、静葉、穣子33%増し レティ、リグル、小傘(がまんづよい場合レベル35以上で解除)、降鬼陣の型発動時50%増し チルノ、元素に弱いの変異、霧変化、冷気弱点のモンスター変身時 電撃 25%増し 影狼33%増し 河童、降鬼陣の型発動時50%増し 元素に弱いの変異、霧変化、電撃弱点のモンスター変身時 冷気 33%増し 降鬼陣の型発動時50%増し 元素に弱いの変異、霧変化、火炎弱点のモンスター変身時 閃光 33%増し ルーミア、霧変化、光に弱いモンスターに変身時、光に弱いの突然変異50%増し 吸血鬼、幽霊(プリズムリバー三姉妹、幽々子除く)、ぬえ、吸血鬼変化、闇との融和100%増し 幽体化無効 太陽神、レベル45以上のお空 暗黒 4/3倍 月の民無効 吸血鬼、吸血鬼変化、幽体化、闇との融和、「正体不明」のぬえ、レベル20以上のルーミア 地獄 4/3倍 月の民無効 雛(一部又は全てを厄として吸収)、死者の神、ヘカーティア吸収 幽霊、芳香 劣化 33%増し 付喪神(小傘はレベル40以上で解除)、妖怪人形、ゴーレム、アリス、霧変化 水 33%増し 橙50%増し 吸血鬼、水に弱いモンスター変身時無効 村紗、レベル20以上のわかさぎ姫、海神 破邪 33%増し 妖怪(ナズーリン、星、レベル45以上のお空、レベル40以上の美鈴は除く)、河童、鴉天狗、白狼天狗、鬼、獣人(慧音以外)、付喪神、妖怪人形、山童、化け狸、人魚、ホフゴブリン、入道、大妖怪、半人半霊(レベル39未満)、妖狐(妖術領域非選択かつレベル29以下)、華仙50%増し 魔神、死者の神、邪神、外なる神、雛、幽々子66%増し キョンシー、小悪魔、吸血鬼、幽霊(幽々子除く)、リッチ、悪魔、魔王、お燐、村紗、闇との融和無効 天人、巫女(レベル30以上、霊夢はランク5以上)、映姫、レベル45以上の星さらに、暗黒・死霊領域選択時、第一領域なら33%増し、第二領域なら25%増し(但しメルラン、リリカは除く) 地獄の業火 4/3倍 月の民、天人6/5倍 うどんげを除く玉兎 気 4/3倍 月の民 耐性の効果 アイテムの破損と軽減関係は多岐にわたり複雑なので省略しています。 耐性 軽減できる攻撃 効果 耐酸 酸のブレスアシッド・ボルトアシッド・ボール酸の嵐酸打撃 ダメージを1/3にする。アイテム破損確率を下げる二重耐性は1/9。アイテム破損防止。免疫は0。アイテム破損防止 耐火 火炎のブレスファイア・ボルトファイア・ボール炎の嵐フジヤマヴォルケイノスピキュールプラズマ・ボルト(電撃と半々)プラズマのブレス(電撃と半々)核熱のブレス(閃光と半々)巨大レーザー(閃光と半々)火炎打撃 ダメージを1/3にする。アイテム破損確率を下げる二重耐性は1/9。アイテム破損防止。免疫は0。アイテム破損防止 耐電撃 電撃のブレスサンダー・ボルトサンダー・ボール雷の嵐プラズマ・ボルト(火炎と半々)プラズマのブレス(火炎と半々)電撃打撃 ダメージを1/3にする。アイテム破損確率を下げる二重耐性は1/9。アイテム破損防止。免疫は0。アイテム破損防止 耐冷気 冷気のブレスアイス・ボルトアイス・ボール氷の嵐氷結打撃 ダメージを1/3にする。アイテム破損確率を下げる二重耐性は1/9。アイテム破損防止。免疫は0。アイテム破損防止極寒属性にはアイテム破損軽減のみ有効。 耐毒 毒のブレス悪臭雲毒素の嵐汚染の球(劣化と半々)氷結打撃 ダメージを1/3にする。二重耐性は1/9。毒の状態異常を防ぐ。 耐閃光 閃光のブレス閃光の嵐レーザー核熱のブレス(火炎と半々)巨大レーザー(火炎と半々) ダメージを 4/(7 + 1d4) にし、追加効果の盲目を防ぐ。 耐暗黒 暗黒のブレス暗黒の嵐軽傷、重傷、致命傷の呪い死の言霊 暗黒属性ダメージを 4/(7 + 1d4) にし、追加効果の盲目を防ぐ。呪い系攻撃のダメージ半減 耐破片 破片のブレスロケット 破片属性ダメージを 6/(7 + 1d4) にし、追加効果の切り傷を防ぎ、アイテム破損確率を下げる。ロケットのダメージを半減し、アイテム破損確率を下げる 耐水 アクアブレスウォーター・ボルトウォーター・ボールメイルシュトロム溺れさせる打撃 ダメージを半減し、追加効果(朦朧・混乱)を防ぐ。 耐破邪 聖なるブレス聖なる矢破邪の光球ホーリー・ファイア退魔1, 2, 3破邪の印浄化打撃 ダメージを半減する。退魔系は追加効果朦朧も防ぐ。 耐轟音 衝撃波のブレス音符の矢 ダメージを 5/(7 + 1d4) に軽減する。様々な攻撃の追加効果による朦朧を防ぐ。 耐地獄 地獄のブレス地獄の矢地獄球軽傷、重傷、致命傷の呪い死の言霊 地獄属性のダメージを 6/(7 + 1d4) に軽減する。呪い系攻撃のダメージ半減時間逆転以外の経験値減少を高確率で無効化。当たっても減少量を大幅低減。 耐時空 因果混乱のブレス時間逆転のブレス重力のブレス空間歪曲テレポート・アウェイ 因果混乱属性のダメージを 6/(7 + 1d4) に軽減し追加効果を防ぐ。時間逆転属性のダメージを 4/(7 + 1d4) に軽減し追加効果を防ぐ。時間を逆転させる打撃は追加効果を防ぐのみ重力属性のダメージを 2/3 に軽減し追加効果を防ぐ。歪曲属性のダメージを 4/(7 + 1d4) に軽減し追加効果を防ぐ。テレポート・アウェイを確率で無効化する 耐カオス カオスのブレス純ログルスカオス打撃 カオス属性のダメージを 6/(7 + 1d4) に軽減し追加効果を防ぎ、アイテム破損確率を下げる。カオス打撃のダメージを 2/3 にし、追加効果を防ぐ。様々な効果による幻覚を防ぐ 耐劣化 劣化のブレス汚染の球(毒と半々)劣化打撃 劣化属性のダメージを 6/(7 + 1d4) に軽減し装備品劣化を防ぐ。劣化攻撃による装備品劣化を防ぐ 耐麻痺 ダメージ攻撃はなし 麻痺の状態異常を防ぐ彫像化による麻痺を軽減する 耐恐怖 ダメージ攻撃はなし 恐怖の状態異常を防ぐコズミックホラーの追加効果を最悪でもおぞましい系1体召喚に留める。 耐混乱 ダメージ攻撃はなし 混乱の状態異常を防ぐ 耐狂気 コズミック・ホラー コズミック・ホラーを確率で無効化。命中してもダメージ半減。Sanity Blastを高確率で無効化(狂気打撃の追加効果も含む) 種族による属性弱点・無効、火炎と冷気が逆になっていると思われたので修正 -- (名無しさん) 2017-02-28 07 39 12 訂正ありがとうございます。コピペミスをしたんだろうなあ…。 -- (書いた人) 2017-02-28 22 37 52 種族による耐性・無効の劣化の欄にある海神には劣化無効どころか劣化耐性すら無いような気がするのですが気のせいでしょうか? -- (名無しさん) 2017-06-02 05 26 13 気のせいではないですね。耐性は他のページでもある程度まとまっていた上に、耐性まで入れると表が煩雑になりすぎると思ったので、「弱点・無効」に絞ってまとめました。wikiですので、耐性があった方が便利ということでしたら、追記してもらって全然OKです。 -- (書いた人) 2017-06-02 22 55 08 チルノが冷気弱点になってるから直してみるぜ! -- (名無しさん) 2018-04-12 18 18 43 種族による属性弱点の火炎と冷気、殆ど逆になってない?チルノはぐちゃぐちゃだけど。 -- (名無しさん) 2018-04-13 00 23 53 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/komomo/pages/293.html
安定型処分場の問題点について 分かりやすくまとめてあるので転載しました。 http //www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/070823_5.html 安定型産業廃棄物最終処分場が今後新規に許可されないよう求める意見書 2007年8月23日 日本弁護士連合会 第1 意見の趣旨 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」及び「一般廃棄物の最終処分場及び産業 廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令」の安定型産業廃棄物最終処分場の 設置に関する条項の改正を行い,安定型産業廃棄物最終処分場という類型を廃止し,今後 新規に許可されないよう求める。 第2 意見の理由 1 安定型産業廃棄物最終処分場について 本意見書が対象としている「安定型産業廃棄物最終処分場」(以下「安定型処分場」 という。)とは,性質が化学的に安定しているとされる廃プラスチック類,金属くず, ガラス陶磁器くず,ゴムくず,がれき類などの産業廃棄物(一般的には,「安定5品 目」と言われる。但し,2006年(平成18年)10月1日からは,一定の基準を 満たした石綿含有産業廃棄物も追加されている(平成18年7月27日環境省告示第 105号)が,本意見書ではそれも含め,従来どおり「安定5品目」と表現する。) を処分する最終処分場である。処分場の構造は,「しゃ水工」と言われる「埋立処分 場内の汚水の処分場外地中への浸出を制御するための工作物」を敷設しない素堀の穴 であり,処分場からの浸出水に対する処理も法令上は不要である。したがって,有害 物質を含む廃棄物が埋立処分された場合,有害物質が施設外に流出することになる。 2 これまでの当連合会の意見 当連合会は,1997年(平成9年)3月,「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 の改正に対する緊急意見書を公表し,現行の安定型処分場は廃止すること等,処理施 設の改正すべき点について意見を述べた。 その後,同法は,同年に一部が改正され,さらに2000年(平成12年)からは 毎年法改正が行われてきたが,これは汚染事故等の問題が発生するたびに必要に迫ら れて後追い的になされたものであり,確かにこれらの改正において,一部当連合会の 意見が取り入れられたものもあるが,抜本的解決とはなっていない。とりわけ安定型 処分場の廃止等については,未だ法改正がなされないまま現在に至っている。 2 3 安定型処分場の問題点 (1) 第一に,その名と違い,安定型処分場で埋立処分される産業廃棄物は,決して性 質が化学的に安定していない点である。安定5品目と言われるものの中には,酸性 雨などにさらされることにより,化学的変化を起こして,有害物質を溶出させるプ ラスチック類やゴムくずあるいは金属くずなどが含まれている。 (2) 第二に,より深刻な問題として,安定5品目とそれ以外の産業廃棄物との分別が 貫徹しえないことである。安定型処分場は,しゃ水工も浸出水処理施設もない構造 であるから,同処分場に安定5品目以外の物質が混入されれば,同処分場から人体 に重篤な被害をもたらしたり,環境汚染を引き起こしたりする汚染物質が流出する こととなるのは必然である。 しかし,ほとんど全ての安定型処分場において,安定5品目以外のものが多かれ 少なかれ混入していると言っても決して過言ではない。この点について,環境省も, 工作物の新築,改築又は除去に伴い生じた廃棄物について,安定型産業廃棄物とそ れ以外のものとを選別し,その結果,熱しゃく減量を5パーセント以下にすること を通達している。熱しゃく減量とは,対象廃棄物を強熱したときに減少する重量で, 強熱前の重量に対する百分率で表現される値であるが,これはまさしく,国自身が 安定型産業廃棄物以外の廃棄物が混入すると自認していることを意味する。しかも, この通達を逆手に取り,「熱しゃく減量5パーセント以内ならば安定型産業廃棄物以 外のものが混入しても許される」と主張する業者もおり,更に状況を混乱させてい る。ましてや完全に分別するには採算のあわない多額のコストがかかることから, 事業者自身がこれを遵守しない場合はなおさら危険である。 4 全国の事例 このようなことから,安定型処分場は,法の理念と裏腹に粗雑な運用がなされ,多 くの問題を引き起こしてきた。特に有名であるのは,1999年(平成11年)10 月,福岡県筑紫野市の安定型処分場で発生した硫化水素による中毒が原因と疑われる 作業員3名の死亡事故である。安定型処分場で処分される安定5品目は有機物を含有 しないか溶出しないものであるので,埋立処分によって硫化水素が発生することは, その性質からはあり得ないことである。 また,滋賀県栗東町の安定型処分場でも2万ppm を越える硫化水素ガスが検出され た。裁判例として現れたものの中にも,宮城県柴田郡村田町の安定型処分場の事例で は,2万ppm を越える硫化水素が検出されていたことが明らかとなっている(仙台地 裁第4民事部平成13年7月19日決定)。 このように,大きな社会問題となった事例以外にも,各地の安定型処分場で硫化水 素の発生が確認されている。これらは,悪質な安定型処分場からの硫化水素による周 3 辺環境汚染の実例であり,安定型処分場の周辺は,常にこのような環境汚染の脅威に さらされることになる。 また,当連合会が2005年(平成17年)11月に調査した三重県四日市市大矢 知のように,許可された容量を大幅に超えて廃棄物が搬入され,山のように積み上げ られるというような法を無視した操業を行う処分場もしばしば見られる。 5 これまでの法改正による対応 前記のとおり,国も,安定型処分場の問題点を認識し,度重なる汚染事故や不法投 棄を契機として,1997年(平成9年)以降,度々廃棄物の処理及び清掃に関する 法律及び関係法令の改正を行ってきている。 (1) 特に,1997年(平成9年)の法改正は,最終処分場の逼迫,施設の設置をめ ぐる地域紛争の激化,不法投棄などの主として産業廃棄物をめぐる諸問題への対応 策として,廃棄物の適正処理を確保するため,廃棄物の減量を推進するとともに, 施設の設置にかかる規制の見直しや不法投棄対策の強化等の総合的な対策を講ずる ことが改正の趣旨とされた。具体的改正点は別紙のとおりである。 (2) また,上記に伴い,安定型処分場に関する関係政省令も改められた。この具体的 改正点は別紙に記載したとおりであるが,上記で指摘した安定型処分場の問題点を 意識していることが窺える。 (3) しかし,これらの改正によっても,安定型処分場における汚染物質の処分場外へ の流出・拡散の危険性は,全く解決されていないのである。いくら規制を厳しくし ても,完全に安定5品目とそれ以外とを分別することは極めて困難であるし,安定5 品目自体の問題性,即ち性質が安定していないものがあること,あるいは有害物質の 流出・拡散の危険性があることも,何ら解決されていない。実際,4項で述べたよう な全国の問題事例は一向に減少していない。 6 司法の判断 このような実態から,全国各地で住民の安定型処分場の設置・操業に対する反対運動 が激化し,訴訟が提起された。これら訴訟において,裁判所は,安定5品目とそれ以外 の物質の分別は極めて困難であるという実態を直視し,相次いで住民側の訴えを認め, 安定型処分場の設置あるいは操業の差止を認容するに至っている。 裁判所が安定型処分場の設置・操業の差止を認容した決定及び判決は,嚆矢となった いわゆる「丸森町事件」に関する平成4年2月28日仙台地裁決定(建設差止仮処分申 立事件)以降多々あるが,それらの決定及び判決は,一貫して安定5品目以外の物質の 分別が不可能であることを認定し続けており,この認定は,極めて重大である。安定型 処分場は,安定5品目以外の物質のほぼ完全な分別を前提としているにもかかわらず, 4 裁判所はその分別はほぼ不可能であると認定しているのである。これはすなわち,安定 型処分場の概念が破綻していることを裁判所が認めていると評価できる。 安定5品目自体の有害性を指摘している裁判例も多い。特に,水道水源地に安定型処 分場が設置・操業されれば,水道水源が汚染され,多数の住民らに健康被害をもたらす であろう蓋然性を多くの裁判例が認定している。 別紙に,上記平成4年2月28日仙台地裁決定以降の安定型処分場に関する判例を掲 げておく。これを見れば,司法の立場からは,安定型処分場が危険な施設であると捉え られていることが明らかである。 7 結論 このように,安定型処分場においては,法が予定した安定5品目とそれ以外の物質の 分別ができず,処分場内に安定5品目以外の物質が混入することが避けられない実態と なっている。また,安定5品目自体に,人体や動植物への有害性が指摘されている物質 が含まれていることも明らかである。したがって,安定型処分場を認めたのでは環境汚 染を防止することができない。 上記で指摘した現実を直視すると,国が権限を適切に行使することなく,このまま安 定型処分場を放置するならば,不作為責任が生じかねない状況であり,もはや,法令に よって処分場の規制を行う権限を有する国が安定型処分場という類型をこのまま認める ことは許されない状況に至っていると言わざるを得ない。 しかるに,国は安定型処分場という類型を廃止する措置を取らずに,安定型処分場を 存続させている。そして,安定型処分場の新規許可件数は,2002年(平成14年) 度に24件,2003年(平成15年)度に16件,2004年(平成16年)度に2 0件と,その後も一向に減少する傾向にない。そこで,意見の趣旨のとおり意見を述べ る。 以 上 1 【別紙】 1 1993年(平成9年)の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」主要改正点 ① 施設の許可申請手続において,周辺地域生活環境への影響調査結果を記した書類の添 付を義務付けた。 ② 許可の要件に,施設の設置に関する計画や維持管理の計画が周辺地域の生活環境の保 全について適正な配慮がなされたものであることが追加された。 ③ 周辺住民等の利害関係人や専門的知識を有する者等からの意見聴取を義務付けた。 ④ 廃棄物管理票(マニフェスト)制度の適用範囲をすべての廃棄物に拡大した。 2 上記法改正に伴う関係政省令中,安定型処分場に関する主要改正点 ① 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(6条3項) 安定型産業廃棄物の中には,有機性汚濁の原因となる物質の含有・溶出,有害物質の 溶出の恐れがある物があることや,汚染の原因となる物質が付着・混入する可能性があ ることから,安定型産業廃棄物自体の見直しと,付着・混入に対する措置を講ずる観点 から改正がなされた。すなわち,それまでの安定型産業廃棄物から,廃プリント配線板 (鉛を含むはんだが使用されているもの以外),廃ブラウン管(側面部以外),鉛蓄電 池の電極,鉛製の管又は板,廃石膏ボード,廃容器包装が除外された。 また,安定型産業廃棄物以外の廃棄物が混入し,又は付着するおそれがないように必 要な措置を定めた。 ② 環境省令【一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準 を定める省令】(2条2項,二,ロ) 廃棄物を埋め立てる前に,搬入した廃棄物を展開して,安定型産業廃棄物とそれ以外 の廃棄物の混入がないことを確認することが義務付けられた。 ③ 環境省告示第34号(平成10年6月16日) 「工作物の新築,改築又は除去に伴って生じた安定型産業廃棄物の埋立処分を行う場 合における安定型産業廃棄物以外の廃棄物が混入し,又は付着することを防止する方 法】」と題する同告示は,混入,付着の防止措置について定めた。 ④ 環境庁告示・厚生省告示第1号(平成10年6月16日) 水質検査の義務を定めた。 2 3 安定型処分場に関する判例一覧 ① 平成4年2月28日 仙台地裁決定 建設工事中止仮処分申立事件 ② 平成7年2月20日 大分地裁決定 操業差止仮処分申立事件 ③ 平成7年10月31日 熊本地裁決定 建設差止仮処分申立事件 ④ 平成8年3月29日 長野地裁松本支部決定 建設差止仮処分申立事件 ⑤ 平成9年7月16日 津地裁四日市支部決定 廃棄物処理禁止仮処分申立事件 ⑥ 平成10年3月26日 福岡地裁田川支部決定 建設差止仮処分申立事件 ⑦ 平成10年9月1日 水戸地裁麻生支部決定 建設差止仮処分申立事件 ⑧ 平成11年3月15日 水戸地裁決定 建設差止仮処分申立事件 ⑨ 平成12年1月26日 長野地裁松本支部判決 建設差止請求事件(本訴) ⑩ 平成12年3月31日 長野地裁松本支部決定 建設差止仮処分申立事件 ⑪ 平成13年3月30日 長野地裁伊那支部決定 建設差止仮処分申立事件 ⑫ 平成13年7月19日 仙台地裁第4民事部決定 操業差止請求事件(本訴) ⑬ 平成14年2月18日 千葉地裁決定 建設・操業差止仮処分申立事件 ⑭ 平成14年3月29日 福岡地裁飯塚支部決定 ⑮ 平成16年9月30日 福岡地裁飯塚支部決定 操業差止仮処分申立事件 ⑯ 平成16年12月13日 千葉地裁木更津支部判決 建設・操業差止請求事件(本訴) ⑰ 平成17年7月19日 水戸地裁判決 建設・操業差止請求事件(本訴)
https://w.atwiki.jp/komomo/pages/304.html
H14. 5.21 福島地方裁判所 平成9年(行ウ)第14号 産業廃棄物最終処分場設置許可処分取消請求 事件番号 :平成9年(行ウ)第14号 事件名 :産業廃棄物最終処分場設置許可処分取消請求 裁判年月日 :H14. 5.21 裁判所名 :福島地方裁判所 判 決 主 文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事 実 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨 (1) 被告が平成9年3月19日付けで株式会社Mに対してなした別紙産業廃棄物処理施設目録記載の施設に対する設置許可処分を取り消す。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 請求の趣旨に対する答弁 (1) 本案前の答弁 ア 本件訴えを却下する。 イ 訴訟費用は原告らの負担とする。 (2) 本案に対する答弁 ア 原告らの請求をいずれも棄却する。 イ 訴訟費用は原告らの負担とする。 第2 当事者の主張 1 請求原因 (1)ア 原告らはいずれも福島県内に居住する者であり,原告らの居住場所及び耕作場所は,それぞれ別紙図面1(1)ないし(12)記載のとおりであり,別紙産業廃棄物処理施設目録記載の産業廃棄物最終処分場(以下「本件処分場」という。)の北側を通過する小川には,上流から順に井野目堰,中野堰,小川堰がある。 原告A,同B,同C,同D,同E及び同Fは井野目堰を利用しており,原告B,同C,同D及び同Gは小川堰を利用している。 (ア) 原告Aは,福島市a町b及び同市c地内に農地を所有し,桃や林檎を主に栽培している。灌漑用水として小川の表流水を井野目堰から取水している。この農業用水が汚染されると,高品質を保ってきた原告Aを含めた付近一帯の果樹農家は,品質における信用が失墜してしまい,農業経営に重大な打撃を受ける。また,小川の伏流水を井戸水として取水し,生活用水として使用しており,自らの生命や健康が脅かされるおそれがある。 (イ) 原告Hは,井野目堰水利組合区域内に居住している。井戸を所有し井戸水を飲料水及び生活用水として使用している。この井戸水が汚染されると生命や健康を脅かされる。 (ウ) 原告Bは,福島市a町b字地内に農地を所有し,小川の表流水を小川堰から取水して米や野菜や果樹を栽培している。また,井戸を所有し小川の伏流水である井戸水を飲料水及び生活用水として使用している。これら農業用水及び井戸水が汚染されると,農業経営に重大な打撃を受け,かつ生命や健康を脅かされる。 (エ) 原告Cは,福島市a町b地内に農地を所有し,米や野菜や果樹を栽培している。灌漑用水として小川の表流水を井野目堰と小川堰から取水している。また井戸を所有し,井戸水を飲料水及び生活用水として使用している。これら農業用水及び井戸水が汚染されると農業経営に重大な打撃を受け,かつ生命や健康を脅かされる。 (オ) 原告Iは,井野堰水利組合区域内に居住している。井戸を所有し,小川の伏流水である井戸水を飲料水及び生活用水として使用している。この井戸水が汚染されると生命や健康を脅かされる。 (カ) 原告Jは,中野堰水利組合区域内に居住している。直接の水利用はないが,居住地内の水や土壌環境が汚染されることによって居住環境を侵害される。 (キ) 原告Dは,福島市a地内に農地を所有し,米や野菜や果樹を栽培している。灌漑用水として小川の表流水を井野目堰と小川堰から取水している。また,小川の伏流水である井戸水を飲料水,生活用水として使用している。この農業用水及び井戸水が汚染されると農業経営に重大な打撃を受け,かつ生命や健康を脅かされる。 (ク) 原告Gは,福島市d,同市c地内に農地を所有し,米や野菜や果樹を栽培している。灌漑用水として小川の表流水を井野目堰と小川堰から取水している。この農業用水が汚染されると,農業経営に重大な打撃を受ける。また,小川の伏流水を井戸水から取水し,飲料水,生活用水として使用しており,これが汚染されると生命や健康を脅かされる。 (ケ) 原告Eは,福島市a町b,同市c地内に農地を所有し,米や野菜や果樹を栽培している。灌漑用水として井野目堰から取水している。この農業用水が汚染されると農業経営に重大な打撃を受ける。また,小川の伏流水を水源とする簡易水道(共同井戸)から水の供給を受け,飲料水,生活用水として使用しており,汚染されると生命や健康を脅かされる。 (コ) 原告Fは,福島市a町b,同市e地内に農地を所有し,米や野菜や果樹を栽培している。灌漑用水として井野目堰から取水している。この農業用水が汚染されると農業経営に重大な打撃を受け,かつ生命や健康を脅かされる。 (サ) 原告Kは,井野目堰水利組合区域内に居住している。小川の伏流水である井戸水を飲料水及び生活用水として使用している。この井戸水が汚染されると生命や健康を脅かされる。 (シ) 原告Lは,小川堰水利組合区域内に居住している。小川の伏流水である井戸水を飲料水及び生活用水として使用しているが,これが汚染されると生命や健康を脅かされる。 イ 被告は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。ただし,平成9年改正前のもの。以下同じ。)15条に基づき,福島県内に産業廃棄物最終処理場(以下「産廃処理場」という。)を設置しようとする者に対し,その設置許可権限を有する者である。 (2) 被告は,平成9年3月19日,株式会社M(以下「M社」という。)に対し,廃棄物処理法15条1項に基づき,本件処分場の設置許可処分(以下「本件許可処分」という。)をした。 (3) 本件処分場の概要は以下のとおりである。 建設・運営主体 M社 建 設 地 福島市飯坂町中野字赤落18番地外16筆 19万0799㎡ 埋 立 面 積 4万7500㎡ 埋立廃棄物容量 71万8670‰ 受入れ廃棄物 燃え殻(焼却灰),汚泥,廃プラスチック類,紙くず,木くず,繊維くず,ゴムくず,金属くず,ガラスくず及び陶磁器くず,鉱さい,建設廃材,ばいじん(ダスト類),その他産業廃棄物を処分するために処理したもの 処分場の方式 管理型,全面遮水シートの敷設 本件処分場の位置と小川及び取水堰との位置関係 別紙図面2及び3記載のとおり (4) しかしながら,被告は,以下のとおり,廃棄物処理法,一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令(総理府令・厚生省令,以下「共同命令」という。),福島県産業廃棄物処理指導要綱(平成6年改正前のもの。以下同じ。以下「指導要綱」という。)等に定められた手続を履行せず,あるいは定められた要件を充足していないにもかかわらず,要件を充足しているとして本件許可処分をしており,本件許可処分は違法である。 ア 遮水シート工法の破綻 (ア) 廃棄物処理法15条1項は,「産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設,産業廃棄物の最終処分場その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は,厚生省令(現,環境省令,廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(以下「規則」という。)11条)で定めるところにより,当該施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。」旨規定する。 また,同条2項は,「都道府県知事は,前項の許可の申請に係る産業廃棄物処理施設が次の各号に適合していると認めるときでなければ,同項の許可をしてはならない。」として「一 厚生省令(産業廃棄物の最終処分場については,総理府令,厚生省令(共同命令))で定める技術上の基準に適合していること。二 産業廃棄物の最終処分場である場合にあっては,厚生省令(規則12条の3)で定めるところにより,災害防止のための計画が定められているものであること。」と規定する。 そして,共同命令2条1項4号で準用する1条1項5号は「埋立地からの浸出液による公共の水域及び地下水の汚染を防止するための次に掲げる措置が講じられていること」として「イ 埋立地には,産業廃棄物の投入のための開口部及びロに規定する集水設備(水面埋立処分を行う埋立地については,排水設備)の部分を除き,産業廃棄物の保有水及び雨水等(以下「保有水等」という。)の埋立地からの浸出を防止することができる遮水工を設けること。ただし,埋立地と公共の水域及び地下水との間に充分な厚さの不透水性の地層その他本文に規定する遮水工と同等以上の効力を有するものがある部分については,この限りでない。ロ 埋立地には,保有水等を有効に集めることができる堅固で耐久力を有する構造の管渠その他の集水設備(水面埋立処分を行う埋立地については保有水等を有効に排出することができる堅固で耐久力を有する構造の余水吐きその他の排水設備)を設けること。ただし,雨水が入らないよう必要な措置が講じられる埋立地(水面埋立処分を行う埋立地を除く。)については,この限りでない。ハ 集水設備により集められた保有水等(水面埋立処分を行う埋立地については,排水設備によ り排出される保有水等。以下同じ。)に係る放流水の水質を排水基準を定める総理府令(昭和46年総理府令第35号)第1条に規定する排水基準(当該排水基準に係る同令別表第2の備考2の規定は適用しないものとする。)に適合させることができる浸出液処理設備を設けること。ただし,集水設備により集められた保有水等を貯留するための十分な容量の耐水構造の貯留槽が設けられ,かつ,当該貯留槽に貯留された保有水等が当該最終処分場以外の場所に設けられた本文に規定する浸出液処理設備と同等以上の性能を有する水処理設備で処理される最終処分場にあっては,この限りでない。」と規定する。 (イ) これら規定をふまえて,本件処分場には,本件処分場全面に遮水シートが施工され,その工法の概略は以下のとおりである。 浸出水による公共水域や地下水の汚染並びに起因する周辺環境の悪影響を防止することを目的として,遮水工を設ける。 埋立地の遮水工で特に重要な底辺については,2.0㎜の遮水シート(材質は合成ゴム系シートで熱融着接合タイプである。)とベントナイト混合土による20㎝の遮水層を設ける。 側面には,1.5㎜の遮水シートと10㎜以上の補強不織布防護層を設ける。 底辺,側面とも500㎜の保護層を遮水シート上に敷設する。 このようにして完全に地盤と遮断し,浸出水が地中に浸透しないようにする。 地下水の汚染の有無を監視するため,地下水の流向に沿って埋立地の直下流に1か所井戸を設置し,また埋立地全域の遮水工の下に地下集水管を設け,集水経路別に水質を観測する。 浸出水は,浸出水処理施設によって処理し,福島県の排水基準を下回っていることを確認して河川へ放流する。 遮水シートの上には廃棄物からの浸出水や雨水を集める集水管,遮水シートの下には地下水を集める集水管がそれぞれ敷設されることになっている。そして遮水シートの上に敷設された集水管で集められた汚水は適切に処理されることになっている。 (ウ) このような遮水シート工法の仕組みからすれば,遮水シートは管理型処分場の生命線である。これがないと大量の汚水が周辺に止めどもなく拡散していき,重大な結果をもたらす。 しかし,予測を超える豪雨等があったときには処理施設の能力が追いつかず,汚水が直接放流されてしまうおそれがある。 また,巨大な処分場全体を遮水シートで覆うわけであるから,工事中の破損やゴミ自体の重みで穴が開いたり,廃棄物の化学変化や堆積熱や日光等でシートが劣化し,そこから有害物質を含んだ汚水が地下に浸透するおそれがある。遮水シートは,廃棄物の重圧やトラックの走行,下地の岩盤との接触等の直接の破損原因のほかに,材質としての劣化原因があり,遮水シート自体の現実の条件下における耐久性に関する確たるデータは何もなく,劣化が進行すれば直接の破損の危険も広がる。 さらに,保護土や保護マットの類もさして有用なものではない。保護土や保護マットは数十mも堆積したゴミ圧のもとでは保護の役目を果たせない。 遮水シートの接合部分は,遮水シート自体の欠陥とは別に,遮水シートとしての重大な弱点である。長大な接合部分には必ず不完全な部分が発生する。例えば,東京都多摩郡日の出町の谷戸沢処分場の場合,10m×20mの遮水シート(本件処分場の場合,厚さ1.5㎜のものは10m×50m,厚さ2.0㎜のものは10m×20m)の接合部分の長さは推定で33㎞にも達する。同処分場では,わずか4枚張り合わせた「試験接着テスト」で2mもの部分が接着不良という結果が出た。 このように,遮水シートは,浸出を防止することができる遮水工とはなっておらず,共同命令1条1項5号イの要件が充足されていない。全国的な事例を見ても,遮水シートが破損して浸出水が地下水等の自然水に流入し,環境汚染をひきおこしている。実例としては,神奈川県平塚市の遠藤原処分場,東京都八王子市の戸吹処分場,上記谷戸沢処分場,福島県田村郡小野町の一般廃棄物最終処分場等がある。 東京都多摩郡日の出町の谷戸沢処分場については,遮水シートの破損及び汚水漏れを示す地下水電気伝導度データの公開により,区域によっては埋立開始当初から汚水漏れがあった疑いが強く,また一定期間経過後急激に数値が上昇しており,この時期に何らかの大きな破損が生じたことが一見して明らかになっている。しかも,施工1年後には既に破損しており,それらはいずれも大規模なものであった。このことからすると,遮水シート工法は,せいぜい10年位しか本来の効用を発揮しないことが実証されたことになり,少なくとも50年から100年は有効に機能しなければならない遮水シートがこのような致命的欠陥を有することは,生活環境上の保全という見地からして何とも頼りないものである。 また,福島県田村郡小野町の一般廃棄物最終処分場においても,処分場の調整池及び処分場周辺の対象沢源流河川,排水沢河川の底質は,処分場の稼働に由来する極めて高濃度のダイオキシン類の汚染を受けており,遮水シートが破損しているおそれが極めて高い。 このように遮水シート工法自体が既に破綻しており,処分場において自然の浄化能力が回復するまで破損しないシートなど存在しない。したがって,遮水シート工法による本件処分場の施工は,共同命令2条1項4号,1条1項5号イに違反し,ひいては廃棄物処理法15条2項1号に違反する違法なものである。 イ 本件処分場設置に関する同意の不存在 (ア) 福島県は,指導要綱を制定し,平成2年4月1日から施行している。その目的は,廃棄物処理法,施行令,規則,共同命令,施行細則に定めるもののほか,産業廃棄物の適正な処理に関して必要な事項を定めることにより,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることにある(指導要綱1条)。平成2年以降,同6年,同10年,同11年にそれぞれ改正されているが,その目的は一貫して変わらない。この指導要綱は,条例となっておらず,法令ではない。しかし,福島県は,産業廃棄物処理法の趣旨に従い,さらなる生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るために,廃棄物処理法を補完するものとして,この指導要綱を制定したものである。廃棄物処理法15条や共同命令の内容をさらに具体的に表現し,廃棄物処理法15条や共同命令を実効あらしめるための目的で制定したものである。したがって,指導要綱は,廃棄物処理法や共同命令と一体不可分のものと理解されるべきであり,被告を拘束するものであるから,被告が指導要綱に違反した措置や処分をすれば違法といわざるを得ない。また,設置申請者も指導要綱に準拠して申請の準備を進めた限りにおいて,指導要綱違反による不利益を甘受しなければ ならない。 (イ)a 平成6年10月1日施行前の指導要綱には規定されていないが,同日施行以降の指導要綱12条2項には,産業廃棄物処理業者が保健所に対する事業計画書を提出するに際しては「施設設置等予定地に隣接する土地の所有者,周辺住居者,下流域の水利権利者等の同意書の写し」の添付を要する旨規定している。にもかかわらず,同4年12月7日,M社が福島保健所に対し指導要綱12条1項に基づき提出した事業計画書には,添付書類として添付することになっている下流域の水利権利者である井野目堰,中野堰,小川堰の各水利組合の同意書は添付されていなかった。 b また,平成6年10月1日施行前の指導要綱には規定されていないが,同日施行以降の指導要綱12条3項には,「事業計画書の提出を受けた保健所長は(中略)当該事業計画に係る施設の設置等予定地の市町村の長に当該事業計画書を送付し,当該事業計画と土地利用計画との整合性,周辺環境への影響の有無,地元住民等との調整状況及び関係法令等との整合性について,当該市町村の意見を求めるものとする。」旨規定されている。 福島保健所長は,二回にわたり,福島市長に対して同条項に基づき意見照会をしたところ,福島市長は,これに対し,平成5年3月12日及び同7年8月4日に「下流域の水利権者である3水利組合の同意を得ること,漁業権者であるR漁協の同意を得ること,周辺住民の理解を得ること」を設置許可の条件とする旨回答をした。 にもかかわらず,被告はこれを全く無視し,M社は何ら水利組合や地域住民との調整も行わなかった。 また,福島県は,①処分場からの排水は,小川の水で800倍に薄まるから,下流の井野目堰,中野堰,小川堰の各水利組合の水利権利者には影響がないため,各水利組合の同意は必要ない,②R漁協摺上支部の役員名で「県が認めれば協力する」旨の文書が提出されており,これを同意した文書とみなす,③周辺居住者の同意は,影響のある750m範囲内には誰もいないから不要である,④地区代表者の同意については,大滝部落の区長の同意がある,⑤平成8年3月12日の連絡協議会で福島市長を含む関係機関で調整した結果であり,福島市の意見を無視したものではないことを理由として,平成8年3月18日,事前協議は終了した旨M社に通知した。 しかしながら,①3水利組合の同意が必要であることは,福島県が平成6年9月議会で答弁していたことである,②排水が800倍に薄まる根拠についての説明はなされていない,③R漁協の組合長N県議会議員は,同意文書について「私は何も知らなかった。」「漁業権は組合に付与されているのだから,支部が決められるものではない。」「支部の役員の話では同意をしたことはないと言っている。」等と言明しており,その後改めて福島県からR漁協への意見照会に対し平成8年8月20日不同意の回答書を提出した,④周辺居住者の範囲につき,750m以内とする説明には合理性がない,⑤大滝部落には誰も住んでいないが,同部落出身者で構成される同部落保存会が反対の陳情をしている,⑥連絡協議会に出席した福島市の担当者は,事前協議終了を了承した認識は全くなかったのであり,上記見解は正当なものではない。 c また,平成6年10月1日施行前の指導要綱には規定されていないが,同日施行以降の指導要綱13条2項には,産業廃棄物処理業者が保健所に対する事前協議書を提出するに際しては,処理場に隣接する土地の所有者,周辺居住者,搬入道路周辺居住者,下流域の水利権利者・水路管理者,地区代表者等の同意書の写しの添付を要する旨規定している。 にもかかわらず,平成6年4月21日,M社は福島保健所に同意書の写しを添付することなく指導要綱13条1項に基づく事前協議書の提出をし,被告は,これに基づく本件許可処分をした。 (ウ) 以上によれば,平成6年10月1日施行前の指導要綱には規定されていないが,同日施行以降の指導要綱の規定に違反する手続によりなされた被告の本件許可処分は違法である。 (5) よって,原告らは,被告が平成9年3月19日付けでM社に対してなした別紙産業廃棄物処理施設目録記載の施設に対する設置許可処分の取消しを求める。 2 本案前の被告の主張 (1) 行政事件訴訟法9条は,行政処分の取消しの訴えは当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に限り提起することができると定めている。そして,この場合,行政処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分の取消しにより回復すべき自己の法律上の利益を有する者,つまり当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうと解すべきである。 (2) 「法律上保護された利益」があるというためには,処分の根拠となった行政法規が当該個人的利益の保護を目的としていることが必要,すなわち,行政法規が専ら公共の利益の保護を目的としているときに公共の利益が保護される結果として,特定の者の個人的利益が反射的に保護を受けることとなる場合は法律上保護された利益とはいえないと解すべきである。 廃棄物処理法について検討するに,同法15条1項本文は,「産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設,産業廃棄物の最終処分場その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は,厚生省令で定めるところにより,当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。」と定めており,この許可は,一般的に禁止されているところの産業廃棄物処理施設の設置につき,一定の要件を具備した申請者に対し,その禁止を解除し,その設置を適法に行う自由を回復せしめる効果を有するものである。したがって,許可を受けた者に対し特別の権利を付与するものではない。 他方,この許可は,許可を受けた者の産業廃棄物処理施設における廃棄物の処分によって公害等の被害が出た場合に,当該処理施設の周辺住民に対し,被害を受忍する義務を課するものではない。すなわち,産業廃棄物処理施設の設置者に対する許可は,処理施設の周辺住民に対し何らの権利義務の変動ももたらさないものである。 また,廃棄物処理法は,廃棄物を適正に処理することにより公益であるところの生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的としており,これにより国民が受ける利益は,一般的,反射的利益であって,法の直接保護する利益ではない。 産業廃棄物の処理施設設置の許可は,一定の要件を具備した申請者に対し,その禁止を解除し,産業廃棄物処理施設の設置を適法に行う自由を回復せしめる法律上の効果を有する処分であり,同法は一定の要件を15条2項で規定しているところ,これらの要件は,産業廃棄物を適正に処理するためのものであって,周辺住民の個人の権利を直接保護するものではない。 以上によれば,本件許可処分にかかる本件処分場から直線距離にして約8.5㎞以上離れた場所に居住する原告らにとって,田畑の利用水や井戸水の地下水が本件処分場からの排水により汚染されることにより生活に重大な影響を受ける可能性はほとんどないから,原告らは,本件許可処分につき法律上保護された利益を有せず,本件許可処分によって権利利益を必然的に侵害されるおそれのある者でもないから,本件許可処分の取消しを求める「法律上の利益を有する者」とはいえない。したがって,原告らは,行政事件訴訟法9条に規定する原告適格を有しない者であり,本件訴えは不適法として却下されるべきである。 3 本案前の被告の主張に対する原告らの反論 (1) 廃棄物処理法は,以下のとおり,単なる公益のみならず,廃棄物処理施設の周辺住民の個人的な利益をも具体的に保護するものである。 ア 公害対策基本法が目的とする「国民の健康」及び「生活環境の保全」は,その法益の重大性,貴重性から単なる公益のみならず,具体的な国民個々人の健康,財産といった個人的利益をも保護していると解すべきところ,廃棄物処理法は,公害対策基本法の精神に則って,生活環境の保全も公衆衛生を保持するための手段であるとした旧清掃法を全面的に見直し,「廃棄物を適正に処理し及び生活,生活環境を清潔にすることにより,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的」として人の生活環境の保全をその目的に加えた。 そうだとすると,公害対策基本法を承けて制定された廃棄物処理法における「生活環境」も,公益のみならず,施設周辺住民の個人的利益すなわち生命,身体,財産等を具体的に保護の目的としていると解すべきである。 しかも,廃棄物処理法は,平成3年に改正され,産業廃棄物処理施設の設置につき,届出制から許可制へと変更され,許可にあたっては生活環境の保全上必要な条件を付することができるとされ,施設の設置者は周辺地域の生活環境の保全及び増進に配慮しなければならないこととなった。 さらに,平成9年には廃棄物処理法は再び改正され,施設設置手続の改善が図られ,周辺地域の生活環境への影響調査,関係住民や関係市町村長からの意見聴取,専門的知識を有する者からの意見聴取等が行われることとなった。 これら改正により,廃棄物処理法は,周辺住民の個人的利益を保護目的としていることがより明確になった。 イ また,廃棄物処理法に定める産業廃棄物処理施設の設置基準からも,同法が廃棄物処理施設の周辺住民の個人的な利益をも具体的に保護するものであることが窺える。 すなわち,廃棄物処理法15条2項を受けて共同命令や規則により定められた設置許可基準は,周辺地域の環境の保全,周辺住民の生活環境の保全に配慮をしている。具体的には,産業廃棄物が有する危険性に着目し,産業廃棄物の流出を防止するために地滑り防止工を設けることや健全な擁壁,えん堤を設けることと定めている。また,産業廃棄物の保有水等が公共の水域や地下水を汚染しないように遮水工を設けること,保有水等を排水基準以下に抑える処理設備等を設けることが定められている。さらに地表水が埋立地に流入することを防止する施設も要求されている。そして,災害防止のための計画も定めなければならないとされている。 このような詳細な許可の基準を定めた趣旨は,産業廃棄物が有する危険性に着目し,これによって被害を被る対象が人間の生命,身体等の重要な法益であることから,これら法益を最大限に保護することにあることは言うまでもない。このような法規制の姿勢,趣旨からすると,廃棄物処理法は,単に公益としての生活環境の保全のみを目的とするものではなく,周辺住民の個人的利益をも保護していると解すべきである。 そして,周辺住民には,処分場周辺に居住する者だけでなく,排水される河川の下流域に居住し,その河川水を飲用水,農家用水,生活用水として使用する者をも含むと解すべきである。 ウ さらに,福島県では,廃棄物処理法の生活環境の保全に関する不備を補うため,平成2年に指導要綱を設けている。指導要綱は,廃棄物処理法の目的に則り,それを福島県の実情に合わせて規制ないし指導を発展させたものであるが,指導とはいうものの,行政実務の面では規制として機能しているのが実態である。 この指導要綱は,産業廃棄物の適正な処理をするため,事業者及び処理業者を指導し,監督するとともに,処理業者の団体の健全な育成及び指導に努めるとし(指導要綱3条),福島県知事はこの指導要綱等に従い,生活環境上指導しなければならない事柄については指導をし,もし生活環境上許可することが妥当でない場合には,知事の裁量として不許可とすることもありうるのである。 廃棄物処理法は,このような福島県の実情に合わせた指導要綱等の存在を認めていると解すべきであり,指導要綱は,廃棄物処理法が周辺住民の生命,身体,健康,生活の保護を目的としていることを裏づけるものと考えるべきである。 (2) 以上によれば,廃棄物処理法は,単なる公益のみならず,廃棄物処理施設の周辺住民の個人的な利益をも具体的に保護するものであり,原告らは,請求原因(1)ア記載のとおり,本件処分場の排水放流先である小川の流域に居住し,本件処分場に廃棄された産業廃棄物によって小川の水が汚染された場合にはその生命,健康,財産等を侵害される蓋然性のある者であるから,原告適格を有する。 4 請求原因に対する認否及び被告の主張 (1)ア 請求原因(1)アの事実は不知ないし否認する。 原告らは,小川流域には居住していない。 イ 同イの事実は認める。 (2) 同(2)の事実は認める。 (3) 同(3)の事実は認める。 (4)ア 同(4)頭書は争う。 イ(ア) 同(4)ア(ア)の事実は認める。 (イ) 同(イ)の事実は認める。 (ウ) 同(ウ)のうち主張は争い,他の事例については不知。 (エ) 遮水シート工法についての被告の反論は以下のとおりである。 a 遮水工の構造,遮水シートの品質,遮水層の被覆について審査し,遮水工の安全性は確認している。また,集水管等の敷設勾配,材質及び管径を審査し,堅固で耐久力を有することを確認している。 すなわち,福島県は,指導要綱13条3項に基づき,産業廃棄物処理施設の構造に関する基準(平成12年改正前のもの。以下同じ。以下「基準」という。)を定めており,産業廃棄物処理施設を設置し,又はその構造若しくは規模を変更しようとする者に対し,事前協議に係る計画の立案に当たっては同基準を遵守することを求めている。 基準は,産業廃棄物最終処分場の構造について「しゃ断型最終処分場」「安定型最終処分場」「管理型最終処分場」の3つに分類した上で,3つの最終処分場に共通した基準と各類型ごとの個別基準に分けて規定しており,本件処分場が該当する管理型最終処分場について,個別基準として(1)貯留構造物(2)埋立工法(3)しゃ水工(4)浸出水集排水施設(5)浸出水処理施設(6)発生ガス処理施設(7)防災設備について詳細に規定している。 b(a) 本件処分場の許可に当たって,被告は,基準第4,4(3)イ(ア)に規定している遮水シートの厚さ,材質,耐久性,同(イ)に規定している保護層,同(オ)に規定している遮水シートの固定,同(カ)に規定している遮水シートの接合,同(キ)に規定している産業廃棄物の接触又は埋立用重機及び搬入車両の荷重からの遮水シートの保護についていずれも基準の求める要件を満たしていることを確認した。特に,本件遮水シートの材質については,本件処分場の法面部分には「高規格TPO」,底盤部分には「FPA」シートが使用されており,それぞれのシートの特性は,別紙処分場しゃ水シート比較表記載のとおりであり,総合評価としても優れた性能を有するシートである。 (b) また,基準第4,4(4)アに規定している浸出水集排水施設の構造,同ウに規定している目詰まり防止,同エに規定している集排水管の管径及び管路断面,同カに規定している浸出水集排水管の構造について,いずれも基準の求める要件を満たしていることを確認した。 (c) 基準第4,4(5)に規定している浸出水処理施設,同アに規定している計画処理水量,同イに規定してる調整設備,同ウに規定している浸出水処理施設の処理能力,同エに規定している浸出水の水質,同オに規定している処理水の放流先,同カに規定している排水設備について,いずれも基準の求める要件を満たしていることを確認した。 特に,保有水等を排水基準を定める総理府令に規定する排水基準に適合させることができる浸出水処理設備であることを,申請者が提出した施設の設計計算書等により確認した。 処分場からの排水による下流水利権者等への影響については,河川流量と放流量との希釈倍率から汚濁負荷はわずかであると判断した。 具体的には以下のとおりである。 ① BOD負荷について 放流地点の河川水量は,降水量や流域面積等から,渇水期の5月に最低値1万1499‰/日,増水期の9月に最大値4万9546‰/日,そして年平均で2万8709‰/日と予測される。 浸出水量も降雨量などから渇水期の5月に最低値8‰/日,増水期の9月に最大値130‰/日(最大処理能力量),そして年平均で35‰/日と予測している。 また,放流水の水質目標を平均5㎎/?,最大10㎎/?としている。 放流水のBOD日汚濁量は,放流水の水質(BOD:㎎/?)に水量を乗じて求められるもので,渇水期の平均値が40g,最高値が80gと,同様に増水期は平均650g,最大1300gと,そして年平均流量で平均値が175g,最高値が350gと予測される。 この日汚濁量を河川流量と放流流量の和で除して汚濁負荷が求められるので,渇水期は平均0.003㎎/?,最大0.007㎎/?,増水期は平均0.013㎎/?,最大0.026㎎/?,年平均流量では平均0.006㎎/?,最大0.012㎎/?と予測される。 つまり,処分場の放流水による河川のBODの上昇は,放流地点において最大でも0.026㎎/?と予測されるが,これはBODの測定精度1㎎/?を遙かに下回るものであり,数値上算出はされるが実際に計測できないオーダーのものである。 これより下流の農業用水取水地点においては,放流地点よりも河川の流量が多いので,汚濁負荷はさらに小さくなっている。 ② その他の負荷について BOD以外の有害物質等については,放流水の処理目標値として定量限界値かそれに近い値が設定されており,放流地点及び農業用水取水地点の希釈率からすれば,いずれも検出限界以下となる。 本件処分場に係る汚濁負荷は,放流地点においても計測し得ないほど小さいものであるが,河川及び農業用水路を流れてあるいはその一部が地下に浸透し地下水脈を経て本件処分場と直線距離にして約8.5㎞以上離れた原告らの居住地付近に達するまでには,希釈,河川の自浄作用,土壌による濾過作用などが想定され,数値的な予測はできないが,放流地点や農業用水取水地点よりもさらに小さくなるものと考えられる。 c 仮に,遮水シートが破損しても検知システム(Mr.センサー)が有効に機能しており問題はない。 検知システム(Mr.センサー)は,遮水シートの健全性をモニタリングする方法の1つで,シート損傷位置を速やかに検出することを目的とする。 観測井戸の設置は義務づけられているものの,検知システムは法的設置義務がなく,検知システムを採用している処分場は少ない。 検知システム(Mr.センサー)の実績は,M社のほかに7件あり,いずれも正常に作動していて,システム設置による問題等は発生していない。 検知システム(Mr.センサー)の検知部は,遮水シートの下の面電極とシート上部にある固定電極で構成される。 面電極の耐久性については,電極体として,金属としての安定性がよく,耐食性の高い材料であるアルミニウムが使用されており,面電極の寿命は半永久的と考えられるが,面電極のアルミニウム電極体は,不織布に内蔵することで機械的強度を向上させ,さらに構造的に安定している2重シート間に設置することにより,耐久性を高めている。 株式会社Oが実施した耐食性試験では,35年以上の耐食性を示すデータが得られている。 仮に遮水シートが破損して,廃棄物を含んだ浸出水による部分的な腐食消耗が発生したとしても面電極は底盤下の全面に敷設されており,性能上何ら問題はない。 固定電極は,株式会社Oがステンレス電極と耐食性特殊樹脂の一体形成で製造した腐食モニタリングプローブであり,これは,腐食・防食監視センサーとして陸上石油タンク底盤の直下やガス・水道などの埋設配管の近傍に埋設設置されており,約20年の実績を有している。 ウ(ア) 同イ(ア)のうち,福島県が指導要綱を作成し,平成2年4月1日から施行していること,その目的が指導要綱1条に記載しているものであること,指導要綱が条例とはなっていないことは認め,その余は争う。 指導要綱は,廃棄物処理法を効果的に運用するための行政指導である。 なお,指導要綱に規定する保健所長は平成9年4月から地方振興局長に変更されている。 (イ)a 同(イ)aの事実は認める。 b 同(イ)bの事実のうち,被告が福島市の意見を全く無視し,M社が何ら水利組合や地域住民との調整も行わなかったことは否認し,その余の事実は認め,主張は争う。 M社がR漁業協同組合に同意願いを提出したのは平成3年1月19日であり,同組合が不同意の書面を提出したのは同8年8月30日である。しかし,同組合摺上支部は,同8年9月13日付け書面によりM社に対し,本件処分場の設置に理解を示す書面を再度提出している。 c 同(イ)cの事実のうち「地区代表者の同意書の写し」との部分を除き,認める。 指導要綱13条3項により設置等予定者が遵守するものとしている「産業廃棄物処理施設の立地等に関する基準」の第3,3には,地区代表者の同意は,「必要に応じて」と規定されている。 (ウ) 本件処分場設置に関する同意の不存在についての被告の反論は以下のとおりである。 a 同意取得の範囲は,産業廃棄物最終処分場建設予定地の所在市町村長から意見を聴き,産業廃棄物処理施設の種類や規模,周辺の土地利用状況等を総合的に勘案しながら個別具体的に判断している。市町村関係機関等から意見を聴取した上で,その意見に対して調整の上,報告するよう事業者を指導し,その意見に対する見通しがついた段階で次の事前協議に進むことになっている。同意については,市町村長の意見等を踏まえ,新たな関係者からの同意を求める場合もあり,このような場合には事前協議の審査の中で対応することとしており,また反対者に正当な反対理由がないのに単に反対であるとの理由で同意が得られない場合にはやむを得ないものと判断して同意がないままで事前協議に進む場合もあり得る。 b 本件に関する同意の取得状況は以下のとおりである。 ① 平成6年改正前の指導要綱には規定されておらず,同年改正以降の指導要綱上規定があるが,同意の必要のなかったもの 周辺居住者 本件処分場から750m以内には居住者がいない。 搬入道路周辺居住者 本件処分場から750m以内には居住者がいない。搬入は国道13号線から直接進入する。 下流水利権者 福島市長の意見にあった3水利組合の取水堰は本件処分場の放流地点から約6㎞以上離れ,河川の水質及び水量に影響を及ぼさないと審査したため,指導要綱上の下流権利者に該当しないと判断した。 ② 平成6年改正前の指導要綱には規定されていないが,同年改正以降の指導要綱上規定があり今回同意を取得したもの 隣接土地所有者 土地所有者全員からの同意を得ている。 地区代表者 本件処分場建設計画当時,大滝地区(ただし,現在居住者は存在しない。)が存在したことから当該地区の同意を得ている。 ③ 平成6年改正前の指導要綱には規定されていないが,同年改正以降の指導要綱上規定があり,今回同意を取得したものとみなしたもの 漁業権者 R漁業協同組合が該当し,当該組合からは不同意とする回答が提出されているが,本件処分場の設置に伴い影響を受けるおそれのある範囲を直接管理している当該組合の摺上支部から協定締結に向けた意思表示が示されたので同意が得られたものと判断した。 以下が裁判所判断 理 由 1 原告適格について (1) 本件のような行政処分の取消しの訴えの原告適格については,行政事件訴訟法9条により,「当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り,提起することができる。」と規定されているところ,同条が定める行政処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい,この法律上保護された利益とは,行政法規が私人等権利主体の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている利益であって,それは,行政法規が他の目的,特に公益の実現を目的として行政権の行使に制約を課している結果たまたま一定の者が受けることとなる反射的利益とは区別されるべきものである。そして,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益をもっぱら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,かかる利益もこの法律上保護された利益に当たるというべきである。当該行政法規が,不特定多数者の具体的利益をそれが帰属する個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むか否かは,当該行政法規及びそれと目的を共通にする関連規定によって形成される法体系の中において,当該処分の根拠規定が当該処分を通して前述のような個々人の個別的利益をも保護すべきものとして位置づけられているものとみることができるかどうかによって判断すべきである。 (2) そこで,本件で問題となる廃棄物処理法及び同法に関連する法規範が,産業廃棄物処理施設の設置許可基準につきどのような規定を設けているか概観すると,以下のとおりである。 廃棄物処理法15条1項は,「産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設,産業廃棄物の最終処分場その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は,厚生省令で定めるところにより,当該施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。」旨規定する。 また,同条2項は,「都道府県知事は,前項の許可の申請に係る産業廃棄物処理施設が次の各号に適合していると認めるときでなければ,同項の許可をしてはならない。」として「一 厚生省令(産業廃棄物の最終処分場については,総理府令,厚生省令)で定める技術上の基準に適合していること。二 産業廃棄物の最終処分場である場合にあっては,厚生省令で定めるところにより,災害防止のための計画が定められているものであること。」と規定する。 そして,この同条2項にいう厚生省令であるところの共同命令2条1項本文で準用する1条1号は,「埋立処分の場所(以下「埋立地」という。)の周囲には,みだりに人が埋立地に立ち入るのを防止することができる囲いが設けられていること。」とし,同命令2条1項本文で準用する1条3号は,「地盤の滑りを防止し,又は最終処分場に設けられる設備の沈下を防止する必要がある場合においては,適当な地滑り防止工又は沈下防止工が設けられていること。」とし,同命令2条1項1号は,「入口の見やすい箇所に,様式第二により産業廃棄物の最終処分場であることを表示する立札その他の設備が設けられていること。」とし,同命令2条1項4号で準用する1条4号は,「埋め立てる産業廃棄物の流出を防止するための擁壁,えん堤その他の設備であって,次の要件を備えたもの(以下「擁壁等」という。)が設けられていること。イ 自重,土圧,水圧,波力,地震力等に対して構造耐力上安全であること。ロ 埋め立てる産業廃棄物,地表水,地下水及び土壌の性状に応じた有効な腐食防止のための措置が講じられていること。」とし,同命令2条1項4号で準用する1条5号は,「埋立地からの浸出液による公共の水域及び地下水の汚染を防止するための次に掲げる措置が講じられていること」として「イ 埋立地には,産業廃棄物の投入のための開口部及びロに規定する集水設備(水面埋立処分を行う埋立地については,排水設備)の部分を除き,産業廃棄物の保有水及び雨水等(以下「保有水等」という。)の埋立地からの浸出を防止することができる遮水工を設けること。ただし,埋立地と公共の水域及び地下水との間に充分な厚さの不透水性の地層その他本文に規定する遮水工と同等以上の効力を有するものがある部分については,この限りでない。ロ 埋立地には,保有水等を有効に集めることができる堅固で耐久力を有する構造の管渠その他の集水設備(水面埋立処分を行う埋立地については,保有水等を有効に排出することができる堅固で耐久力を有する構造の余水吐きその他の排水設備)を設けること。ただし,雨水が入らないよう必要な措置が講じられる埋立地(水面埋立処分を行う埋立地を除く。)については,この限りでない。ハ 集水設備により集められた保有水等(水面埋立処分を行う埋立地については,排水設備により排出される保有水等。以下同じ。)に係る放流水の水質を排水基準を定める総理府令(昭和46年総理府令第35号)第1条に規定する排水基準(当該排水基準に係る同令別表第2の備考2の規定は適用しないものとする。)に適合させることができる浸出液処理設備を設けること。ただし,集水設備により集められた保有水等を貯留するための十分な容量の耐水構造の貯留槽が設けられ,かつ,当該貯留槽に貯留された保有水等が最終処分場以外の場所に設けられた本文に規定する浸出液処理設備と同等以上の性能を有する水処理設備で処理される最終処分場にあっては,この限りでない。」とし,同命令2条1項4号で準用する1条6号は,「埋立地の周囲には,地表水が埋立地の開口部から埋立地へ流入するのを防止することができる開渠その他の設備が設けられていること。」と規定する。 (3) 産業廃棄物処理施設の設置許可基準に関する上記一連の規定は,そこで規定している事故及び悪影響等がもたらす可能性のある被害の内容,状況を考慮した上で,その産業廃棄物処理施設の技術及び能力に関する基準を定めていると解される。 さらに,産業廃棄物の最終処分場の設置許可には,生活環境の保全上必要な条件を付することができること(廃棄物処理法15条3項),産業廃棄物処理施設の設置許可を受けた者は当該処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び増進に配慮するものとすること(同法15条の4,9条の4)といった周辺地域への配慮を定めた規定を置いている。そして,これら規定が設けられた経緯については,平成3年9月11日及び同月13日に開催された厚生委員会議録等(甲17,18)に,地元住民に信頼される安全性の高い施設を整備していくために届出制から許可制に改正し,生活環境保全上の配慮の必要に応じて個別に対応できるよう条件が付けられるように改正することが明記されている。 このように,周辺の環境に配慮するのは,産業廃棄物処理施設を建築すると周辺地域への悪影響が起きる可能性があるので,これを未然に解消する趣旨であることはいうまでもない。 前記各規定の設けられた経緯,趣旨,前記各号が考慮している被害の内容等に鑑みると,廃棄物処理法15条2項の規定は,単に公衆の生命,安全,環境上の利益を一般的利益として保護しようとするにとどまらず,産業廃棄物処理施設の周辺に居住し,同施設自体あるいは施設の事故等がもたらす災害や悪影響により直接的かつ重大な被害を受けることが想定される付近住民の生命身体の安全等を個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当である。 (4) そして,原告らの居住する地域が被害の想定される地域といえるかどうかについては,本件処分場の種類,構造,規模等の本件処分場に関する具体的な諸条件を考慮に入れた上で,原告らの居住地域ないし農地と本件処分場が処理水を排水する小川ないし本件処分場周辺の伏流水との位置関係等を中心として,社会通念に照らして合理的に判断すべきである。 (5) 証拠(乙12,13,15,17)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 本件処分場に受け入れられる廃棄物は,燃え殻(焼却灰),汚泥,廃プラスチック類,紙くず,木くず,繊維くず,ゴムくず,金属くず,ガラスくず及び陶磁器くず,鉱さい,建設廃材,ばいじん(ダスト類),その他産業廃棄物を処分するために処理したもの等である。 これら産業廃棄物により排出されることが予想される有害物質としては,カドミウム及びその化合物,鉛及びその化合物,砒素及びその化合物,水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物,フェノール類,銅,亜鉛,溶解性鉄,溶解性マンガン,クロム,弗素,窒素,燐等があげられる。 そして,本件処分場は,管理型の産業廃棄物最終処分場であり,そのシステムの概要としては,埋立地の底面及び法面部を遮水シートで覆い,その上に上記産業廃棄物を埋立処理し,埋め立てられた産業廃棄物から排出される汚水は浸出水として集排水管を通り浸出水調整池に貯められ,浸出水処理施設及び礫間接触酸化槽並びに消毒槽で浄化処理された上で1級河川小川に放流され,一方,本件処分場内の表流水及び地下水は沈砂池に貯められ,防災調整池から放流槽を通じて同じく小川に放流されることになっている。 (6) そうだとすると,本件処分場において,産業廃棄物からしみ出た浸出水が本件処分場埋立地を覆っている遮水シートの破損等により地下に浸透したり,浄化処理されるはずの浸出水がシステムが作動しなかったなど何らかの原因で浄化処理されずに小川に排出される場合には,小川や本件処分場周辺の伏流水が上記有害物質により相当程度汚染されるおそれがあることは否定できない。 原告らは,本件処分場から直線距離にして約8.5㎞以上離れた別紙図面(1)ないし(12)記載の位置にそれぞれ居住しており,距離に限っていえば必ずしも付近住民とはいい難い。 しかしながら,証拠(乙6)によれば,本件処分場周辺の地質の被覆土層のうち谷中堆積物・河床堆積物は,1m~3m内外の厚さで分布する土砂で,その層相が場所によってかなり変化し,地下水(伏流水)を帯水していることが認められ,本件処分場の機能,運転状況等によっては,同施設から排出される処理水の中に含まれる有害物質により伏流水が汚染され,原告らがその伏流水を井戸などから取水することにより生命,身体に被害を被るおそれがあると認められる(なお,伏流水がどのような流れになっているかについては,甲第7号証によっても必ずしも明らかでないものの,本件処分場の埋立地周辺の伏流水が原告らの居住する地域に流入している可能性があることを否定することはできない。)。また,小川の水が汚染されることにより,農作業を営む関係原告らの農作物自体に有害物質による悪影響がもたらされるという事態を生じるおそれがあることも否定できない。 そうすると,原告らは,本件処分場の付近住民とはいえないとしても,同施設が排出する処理水が放流される小川の水や本件処分場からの排水を含む可能性のある伏流水を生活用水ないしは農作業に使用している状況を踏まえると,付近住民に準じた地位にあるということができ,本件処分場による被害を被ることが想定される地域に居住する住民ということができる。 (7) 以上とおり,原告らは,本件処分場の設置により生命,身体等に被害を受ける可能性があるのであるから,本件許可処分を争う原告適格を有するというべきである。 2 本案について (1) 証拠(乙5,7,8の1ないし3,乙9,11,12,13,14,15)及び弁論の全趣旨によれば,本件処分場は,廃棄物処理法,同施行令,同規則及び指導要綱並びにそれに基づく基準等に定められた門扉,フェンス,表示板,貯留構造物安定計算,防災調節池ダム安定計算,減勢工の設計,防災調節池ダムの構造,法面安定計算,浸出水調整槽の安定検討,浸出水調整槽側壁の構造計算,浸出水調整槽上流の排水及び腐食防止,浸出水調整槽容量計算,浸出水排水施設計算,放流河川の汚濁負荷,雨水排水施設計算,災害防止等の各種要件をいずれも満たしていると認められ,原告らもこの点を争うものではない。 本件では,原告らは,遮水シート工法の有効性と本件処分場設置に関する同意の不存在について争っているので,以下この点に絞って検討する。 (2) 遮水シート工法の有効性について ア まず,本件処分場の浸出水処理方式及び処理施設による処理能力について概観する。 (ア) 証拠(乙12,13,40)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 本件処分場の浸出水処理方式としては,浸出水処理施設(主処理工程)で所定の管理目標値まで浄化した後,礫間接触酸化層(後処理工程)を経て,地下水及び埋立地周辺表流水と合流し,放流する。 この処理方式の特徴としては,水質の自動計測により処理水が管理目標値に達しなかった場合には,原水槽へ循環し再処理すること,キレート樹脂吸着により,万が一微量の重金属が浸出(基準値以下も含め)することがあっても取り除くこと,管理目標値を達成した後に,礫間接触酸化層を通すことによりノーメンテナンスによる浄化の効果を向上させることがあげられる。 そして,浸出水処理施設による主処理工程としては,処理水は,まず,凝集沈殿処理により主にカルシュウムイオンが沈殿物として除去されるとともに,その他のコロイド状物質及び重金属類も除去される。その上で生物処理が施され,BOD(生化学的酸素要求量),COD(化学的酸素要求量),窒素が除去される。再び凝集沈殿処理が施され,主に,COD,SS(浮遊物質量),色度が除去され,砂濾過処理ではSSが除去され,活性炭吸着処理ではCOD,色度が除去され,キレート吸着処理では,前工程で除去されなかった重金属が完全に除去され,消毒では大腸菌群他細菌類が消毒される。 上記処理の結果,BODを例にとると,阿武隈川水系に対する福島県排水基準(放流水)(25㎎/?(日間平均20㎎/?))を下回る10㎎/?未満の処理水として処理されることになる。 さらに,後処理工程では礫間接触浄化槽を通すことによりBODが30%除去され,7㎎/?未満とされ,消毒槽を通すことにより,BODは2~3㎎/?にして排水されることになる。また,その他の有害物質についても同様であり,県の排水基準を大きく下回るかそれ以下として排水される。しかも,小川の流量は,本件処分場の処理水放流地点で浸出水量の400倍~1400倍,農業用水取水地点で1000倍~4000倍程度である。 本件処分場に起因する月平均の汚濁負荷は放流地点にて0.003(渇水期における平均値)~最大0.026㎎/?(増水期における平均値),取水地点にて平均0.001(渇水期における平均値)~最大0.009㎎/?(増水期における平均値)と計算される。これは最大の浸出水量が予想される埋立工程上の一時期の値であり,礫間浄化処理も併行して行うので実際の月平均の汚濁負荷はこれを大幅に下回ると予想される。この数値は計算上では算出されるが,観測上の測定精度(BOD1㎎/?が限界)をはるかに下回る検出不可能な値であり,実際上も河川水へ与える影響はないといってよいほどである。福島県の排水基準に定めるBOD以外の項目についても無負荷又はそれに近い状態である。 (イ) 以上によれば,本件処分場の浄化処理システムには何ら違法な点はなく,十分な処理能力を有しているということができる。 しかしながら,これは,本件処分場の遮水シート工法が有効に機能して本件処分場の産業廃棄物からしみ出た浸出水が全て本件処分場の上記浄化処理システムにより処理されることを前提とするものである。このように,本件遮水シート工法が有効に機能することが本件処分場の安全性を確保する上で重要となるから,本件遮水シート工法の有効性について検討する必要がある。 イ 本件遮水シート工法について 証拠(乙17)及び弁論の全趣旨によれば、本件処分場の遮水構成は,底面部が上部から下部へ保護土A(底面部,t(厚さ)=500㎜,良質発生土もしくは購入土,施工段階で設置),保護マットC(t=10㎜,1.2㎏/㎡以上(PET,補強布入り)),保護マットC,遮水シートB(t=2.0 熱融着タイプ),ベントナイト混合土(t=500㎜),保護マットB(t=10㎜,1.2㎏/㎡以上,面電極付,PET,検知システム用),遮水シートA(t=1.0㎜,熱融着タイプ,ベントナイト混合土の施工用及び遮水機能の補助),保護マットA(t=10㎜,1.0㎏/㎡以上,PET,基礎地盤に角れき等がなく良好な場合は不要),基礎地盤となっており,法面部が保護土B(t=500㎜,良質発生土もしくは購入土,埋立段階で設置),保護マットE(t=10㎜,1.2㎏/㎡以上(PET+アクリル,補強布入り),紫外線及び熱劣化対策),遮水シートC(t=1.5㎜,熱融着タイプ),保護マットD(t=10㎜,1.0㎏/㎡以上(PET)),モルタル吹付(t=70~100㎜(不陸整正必要圧),金網入り),面状排水材(t=10~20㎜(湧水量による),片面透水,耐 圧タイプ),基礎地盤となっている(なお,乙第40号証によれば,法面の底面部に最も近い部分については,遮水シートの下にベントナイト混合土(t=38㎝)が吹付け施工されている。また,原告らの主張する遮水シート工法の概要は乙10や15による計画段階のものと思われ,実際の本件処分場建設工事では底面部のベントナイト混合土による土質遮水層は50㎝となっている。)。 このうち,本件では,本件処分場の産業廃棄物からしみ出る浸出水を遮る能力が問題となっているから,その能力を有するとされる遮水シート及びベントナイト混合土の有効性について検討する。 (ア) 遮水シートについて a 証拠(乙32,33,41,証人P)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 本件処分場に採用された遮水シートには,高弾性熱融着エラストマーが用いられており,法面には熱融着ブレンドゴム(高規格TPO,厚さ1.5㎜),底面には熱融着重合ゴムFPA(厚さ2.0㎜)が用いられている(別紙処分場しゃ水シート比較表参照。)。これらはいずれもJIS A 6008(高分子ルーフィング),現在使用されている遮水シートの代表的な材料に含まれる合成ゴム及び合成樹脂系非補強タイプの中弾性タイプの基準を充分満足する強靱で地盤追従性に富んだTPOシートである。 最終処分場に敷設される遮水シートは,その処分場が供用される間(閉鎖後の水処理期間を含む。)その遮水性能を維持しなければならない(一般的には10~15年)。その間遮水シートは太陽光,熱,風雨及び浸出水,廃棄物中の化学変化等にさらされる中でその遮水性能を維持する必要がある。したがって,耐候性,耐薬品性に優れている必要がある。 (a) 耐侯性について 遮水シートの耐侯劣化は,400nm以下の紫外線を吸収して起こる光劣化を主に,熱劣化や水分,オゾン等が複雑に影響して進行する。 遮水シートの耐侯劣化現象やその速度を観察するには促進劣化試験により劣化状況や寿命推定を行うことが一般に行われている。 そして,耐候性を評価する試験方法としては,人工促進耐候試験と屋外促進暴露試験がある。 屋外促進暴露試験としては,アメリカの各種公的機関より公認されている,アリゾナ州フェニックスの砂漠で行われている太陽光を追跡集光して照射するエマキュア試験があるが,この試験方式はアメリカ規格ASTM-G9-98で規定されており,促進倍率が高く,この試験方法では,照射エネルギー量は通常の屋外暴露の全波長域で約8倍,紫外線部で約5倍である。そこでの約1か月の屋外暴露は日本における天然暴露の約1年に相当するとみなされており,遮水シートは15年に相当する1.5年程度の促進暴露試験の結果,本件で用いられた遮水シートと同種類の厚み1.5㎜の熱融着タイプゴムシート(TPO)は,外観は「差無し」,表面の「みかん層状に見えるのは遮水シート製造時に転写されたシボ模様である。16ヶ月暴露後には表面がわずかに荒れているが,異常な変化は見られない。」,質量は変化率「0.3%」,強伸度変化については,引張強度保持率は「96%(降伏点強度保持率,101)」,引張り伸度保持率は「118%(降伏点強度保持率,99)」,100%伸び時の荷重保持率は「103%」となっており,遮水シートの耐候性について「シート表面を400倍の顕微鏡で観 察すると微細なひび割れが生じているが,他の物性項目の変化は小さい。」と考察されている。 また,本件遮水シートとともに用いられる保護マットについても,6か月のエマキュア試験の結果(具体的には,短繊維不織布(合成繊維製反毛フェルト3種4号,目付け1.2㎏/㎡),長繊維不織布(ポリエステル製スパンボンド不織布,目付け1.2㎏/㎡))とも,耐貫通性の点で貫通強度が約70~80%に低下したが,外観,質量,遮光性,極限粘度(ただし,短繊維不織布については測定不可)等いずれも大きな変化は見られなかった。 人工促進耐候試験としては,カーボンアークの紫外線と水スプレーによって,日光と雨の効果を与えるサンシャインウェザーメータ試験が一般に行われている。光源カーボンの中でもサンシャインカーボンを用いたWS形は分光特性が日光に近く,照射エネルギー量から約250時間が屋外暴露の約1年に相当するといわれている。この試験による遮水シートの5000時間(約20年相当)に及ぶ試験結果は,伸び率,引張強さとも,保持率の変化はほとんどない。 加えて,本件処分場の遮水構成は,遮水シートの上を保護マットで保護することにより紫外線及び熱劣化対策が施されており,耐侯性の点でより安全な構造となっている。 (b) 耐薬品性について 浸出水に対する遮水シートの耐久性に関しては,浸出水の性状に幅があることから,pHを目安に耐酸性,耐アルカリ性の試験を実施している。 社団法人全国都市清掃会議が昭和54年に全国の64処分場を調査した結果,処分場の浸出水の性状は,pH5.26~8.4の範囲であり,pH3からpH12までを想定して試験を実施した結果,本件処分場で用いられているのと同種類の遮水シートTPOは,pH3の場合「引張強さ比97%,伸び率比99%」,pH12の場合「引張強さ比98%,伸び率比102%」であって,物性変化が少なく,実用的に問題はないとされている。 b もっとも,遮水シートの接合が不十分であれば、そこから汚水が漏れることも考えられるが,証拠(乙40,証人P)によれば,遮水シート表面保護マットの接合方法として縫製式接合法,取替式固定法が開発され,不織布同士を熱融着より確実に接合することを可能にし,不織布を固定工に巻き込まず取替えを可能にするなどの工夫が施されていること,遮水シートの接合については,熱融着タイプのシートが開発されたことにより,シート同士を完全に一体化してしまうことで漏出を防ぐことができ,融着の温度,接合時の圧着力,圧着するスピード等をコントロールして施工すれば問題ないことが認められ,乙第19号証の写真撮影報告書には,遮水シートの接着実験を行い,空気圧計及び洗剤の泡による漏出確認の結果,漏れなく接着することができている状況が撮影されており,接合方法についても問題がないことを確認している。 c 以上のとおり,本件処分場に用いられている遮水シートは産業廃棄物からしみ出る浸出水を遮る機能を十分に発揮するものである。しかしながら,遮水シートのみの場合,遮水シートに損傷が生じると漏水に対してほとんど無抵抗である。そこで,次に検討するベントナイト混合土による土質遮水層の機能について検討する。 (イ) ベントナイト混合土について 証拠(乙34,35,36の1ないし3,42,証人Q)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ベントナイトとは,火山灰の変質作用によって生成した粘土鉱物モンモリロナイトや他の不純物を含んだ岩石であり,水を加えるとスポンジのように吸水膨張し,糊のように粘りが出るという高液性限界特性及び膨潤特性を有し,しかも,食品添加物にも指定されている安全性の高い天然資源である。これに有効応力(重機による締め固め,ゴミ層等積載荷重)が加わると,層間から水が脱水されるが,まだ層間には層間水(イオン的な力で移動できない水)が残る。このため浸出水は,層間水が移動しない限り侵入できないことになる。 ベントナイト遮水層は,現地から発生した土にベントナイトを10%から15%程度混合して構築した土による天然材料の遮水層である。粒子の小さなベントナイトを混合することで組織が密実になり,さらにベントナイトの膨潤機能によって高遮水性能となる。水の通しにくさを表す透水係数は,毎秒1×10-9から1×10-7㎝であり,基準に適合している。 ベントナイト遮水層は,遮水シートと組み合わせることによって,遮水シートに不具合部が発生したときのバックアップ材となり浸出水の漏洩を遅らせることができる。厚さ50㎝のベントナイト遮水層を浸出水が通過する時間は,透水係数が毎秒1×10-7㎝で水圧が常時1mかかったとして計算上約8年となる。 そして,ベントナイト混合土の厚さについては,トラベルタイム(混合土内部を浸出水や化学物質等が通過する時間)と混合土のリダンダンシー(体積変化)として重要な要素であり,全体として難透水性を確保するために,重機施工による一層の施工厚さの限度を20~25㎝とし,総厚50㎝以上にするよう推奨されている。 本件処分場のベントナイト混合土による土質遮水層の厚さは,前述のとおり50㎝となっている。 したがって,ベントナイト混合土による土質遮水層は,遮水シートと相俟って産業廃棄物からしみ出る浸出水を遮る機能を十分に発揮するものである。 ウ 遮水シート破損検知システム(Mr.センサー)について さらに,本件処分場では,遮水シートの破損を検知し,補修するシステムが構築されている。 (ア) すなわち,証拠(乙37、38,39の1ないし3,40,42,証人Q)及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。 a 遮水シート破損検知システム「Mr.センサー」の概要 Mr.センサーは,遮水シート下部に設置する保護マット内にアルミシート(厚さ約35μm)を挟んで一体化させた面電極を設置することを特徴とし,その面電極とシート上部の測定電極間のインピーダンス(抵抗値)を測定するものである。この検知システムの原理は,遮水シートが電気的に絶縁性が高い材質であることを利用したものである。処分場の全面に遮水シートを敷設すると,処分場の内外にある測定電極と面電極の間は遮水シートにより電気的に絶縁状態となり電気は流れない。このような状態で遮水シートに不具合部が生じると,その不具合部を通って電気が流れるようになる。 計測されるインピーダンスは,不具合部付近の測定電極では電気の流れる経路が短くなるので小さくなり,一方,不具合部より離れた測定電極では電気の流れる経路が長くなるので大きくなる。したがって,破損位置は,本件処分場の保護土内部に10m間隔で64ポイントの格子状に設置した測定電極と面電極間に交流電流を流してインピーダンスを測定する。破損位置は,計測値を用いた分布図よりしきい値以下で最もインピーダンスが小さい領域として特定される。 Mr.センサーは,シート敷設時の全面検査から保護土設置後のシート破損位置の検知及び操業時の長期モニタリングまでの各段階においてシート破損検査が可能であり,①シート敷設時,保護土設置後,操業時の各段階で遮水シートの機能管理ができる,②シート敷設時のピンホールや接合不良をチェックするシートの全面検査が可能である,③シート下部全面に面電極を設置するので,計測は全ての計測点で同一条件となり,また,不確定要因が多い廃棄物や周辺地盤の抵抗の影響を受けにくく,精度の高い検査ができる,④シート破損の位置は,インピーダンスの分布図より特定することができるので,複雑な解析を必要とせず,簡単・迅速に管理できるなどの特徴を有している。 このMr.センサーの検知能力については,フィールド検知実験が行われており,実験結果は,破損位置は破損の大きさ,個数を問わず特定でき,破損部を補修したケースではインピーダンスはヤード全域において200kΩ以上となり,破損したケースの際に生じた4.32kΩ以下の分布が完全に消滅し,破損部が完全に止水,補修されていることが判定できている。 b 遮水シート破損補修工法の概要 保護土施工完了後や操業時で廃棄物量が少ない場合の検査において発見された破損は,シート上部の保護土や廃棄物を撤去して完全にシート表面を露出させてパッチ当てで補修することとし,廃棄物の埋立高さが数m以上の開削法による補修が難しい場合におけるシート破損箇所の補修工法としては,処分場表面よりボーリング掘削し,補修材を注入して行うことにより,廃棄物や保護土を撤去することなく補修する。補修後は検知システムにより再度検査を行い,確認する。 補修工法は,基本的にはボーリング注入工法であり,①検知システムにより破損を発見した場合,処分場表面にボーリングマシンを設置し,保護土までケーシングにより削孔する,②保護土まで到達したら,地山とケーシングをシールする,③二重管を建て込み,先端ジェット水でシート直上まで無回転貫入する,④二重管のノズルから水平方向へ超高圧水+エアー噴射により排泥を行い,シート上部の保護土内部に間隙を造成する,⑤注入管を建て込み,間隙底部より補修材を注入する,⑥注入管を底部から引き上げながら補修材を注入する(トレミー方式),⑦補修材がケーシング上部まで充填されたらエアーパッカーをかけ,補修材を加圧注入する,⑧保護土間隙やシート破損部を確実に充填する,⑨検知システムにより破損補修の確認をするといった手順をふんで破損部を補修していく。 Mr.センサーによる遮水シート破損補修工法は,①ボーリング注入工法であるため,直接廃棄物内に入ることが無く安全である,②シート上部の保護土の削孔は,高圧水による無回転掘りであるためシートに破損を与えない,③保護土内部に超高圧水+エアーによって間隙を造成するため補修材の注入が容易にでき,1回の注入で深礎掘削工法と同程度の範囲を補修することができる(補修範囲:直径1~3m程度),④補修材は保護土と混ざり合うことなく固化し,シート破損箇所が確実に補修される,⑤補修材はシートの材質等を考慮して選定することができる(ゴムアスファルト系,シリコン系,ウレタン系など),⑥ボーリングを複数行うことにより,広範囲の面的な補修を行うことができるなどの特徴があげられる。 そして,模擬破損部の大きさを約10×10㎝とする貫通孔による実証試験の結果,インピーダンスは,破損がある場合,その周辺で約0.6kΩ以下の範囲にあり,破損位置を特定できている。破損補修後では,破損付近のインピーダンスが増大し,0.6kΩ以下の分布が完全に消えて破損部が補修されていることが確認できている。シート上部の保護土などを撤去し,補修部分を露出させたところ,補修材は保護土と混ざること無く完全に固化し,固化体は注入孔を中心に幅約100㎝~80㎝,高さ50㎝の大きさであった。補修材は破損部のシート下部まで回り込み,破損部を完全に閉塞していた。 c Mr.センサーの現場導入実績 本件処分場に導入するに先立って平成6年8月から,一般廃棄物処分場においてではあるが,既に導入されており,現在では本件処分場を含めて9箇所の廃棄物処分場に導入されている。 d 本件処分場では,Mr.センサーを用いて建設が終了した時点や操業してからも日常的に遮水シートの点検を行っているが,計測された結果から遮水シートは不具合部がなく健全であることが確認されている。 Mr.センサーは,1年に1回メンテナンスを行い,保守点検されることになっている。 (イ) 以上のとおり,本件処分場における遮水構造は,遮水シートとベントナイト遮水層による複合遮水工に加えて,遮水シートの機能管理を行う検知システムを組み合わせた構造になっている。 この遮水構造は,遮水シートの下層にベントナイト混合土による土質遮水層があるので,遮水シートに不具合が発生しても,ベントナイトの遮水機能と膨潤機能により埋立地内部の浸出水の漏洩拡散を抑えることができ,かつ,検知システムでその不具合部を特定し浸出水が遮水工から漏出するまでに修復することが可能となる。 したがって,本件処分場の遮水シート工法は,従来の遮水シートのみによる遮水工に比べて,浸出水漏洩の危険性が非常に小さい,安全性の高い構造となっている。 エ 以上検討してきたとおり,本件遮水シート工法は,耐候性,耐薬品性に優れたものを使用しており損傷しにくいものとなっている上,遮水シートが損傷した場合でも,産業廃棄物が実際に埋め立てられた場合,目視により点検し検知することはできないものの,ベントナイト混合土により産業廃棄物から排出される浸出水による汚染が生じないよう配慮され,しかも,Mr.センサーにより遮水シートの損傷部位が直ぐに発見できるように工夫され,発見された場合には早期に補修できるようなシステムが構築されており,その上,地下水のモニタリングによって,実際に処理水を小川に放流する場合には基準値を下回る処理水のみを放流することができるようなシステムになっている。したがって,本件遮水シート工法は廃棄物処理法15条2項1号を承けて定められている共同命令2条1項4号で準用する1条1項5号イが定める技術上の基準を十分に満たしているものということができる。 (3) 本件処分場設置に関する同意の不存在について ア 廃棄物処理法では,前述のとおり,許可制を採用しており(15条1項),都道府県知事は許可申請に係る産業廃棄物処理施設が15条2項各号に適合していると認めるときでなければ許可をしてはならないと定めている。この点,福島県では,廃棄物処理法の規制の他に産業廃棄物の適正な処理施設の確保と適正な処理処分の推進を図る目的のもと,独自に指導要綱を定めており,指導要綱では,処理事業者が廃棄物処理法上の設置許可申請を行うに先立ち保健所長と事前協議をすること(13条1項),同事前協議を申し出るにあたっては,地域関係者への事業計画の説明や付近住民からの同意書の取得などの事前調整を行わなければならないこと(13条2項,別表第4の4,13条3項,産業廃棄物処理施設の立地等に関する基準第3,3)が定められている。このような付近住民の同意を要求した条例等の定めはなく,指導要綱は法律等の委任を受けて制定されたものでもない。 したがって,付近住民の同意書添付は法律ないし条例自体に許可の要件として規定されているものではなく,福島県が事業主と付近住民の紛争を事前に防止し,住民の安全,健康等の保持,公害の防止その他の環境の整備保全を図るという所期の目的を達成するために,行政指導の一環としてその取得を要請しているものにすぎないものである。そして,行政指導は,その性質上直接的な強制力を持つものではなく,指導の相手方の任意の協力を通じて所期の行政目的を達成しようとするものであるから,行政指導に従うことをもって行政行為の条件と解することはできず,被告が本件処分場設置許可手続において,付近住民の同意書を添付しなかったとしても,そのことから本件許可処分が違法になるということはない。 イ なお,証拠(乙3,4,31の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,北海道の産業廃棄物処理に係る指導指針,栃木県産業廃棄物処理に関する指導要綱,群馬県産業廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程で,事前協議者の範囲を当該施設の所在地周辺おおむね500メートル以内に居住する住民や当該排水を放流する地点から下流500メートル以内の利水権者又は農業者等の利用者若しくは当該水利用者の団体の長等としていることをふまえ,①福島県としては周辺居住者及び搬入道路周辺居住者の範囲を広めにとらえて本件処分場から750m以内とした上でM社にその範囲の居住者の同意を取るよう指導したが,その範囲内には居住者がいないことから同意を取らなかったこと,②下流水利権者としては福島市長の意見にあった3水利組合の取水堰は,本件処分場の放流地点から約6㎞以上離れていることから同意を取らなかったこと,③隣接土地所有者全員からの同意を得ていること,地区代表者としては,本件処分場建設計画当時,大滝地区(ただし,現在居住者は存在しない。)が存在したことから,当該地区の同意を得ていること,⑤M社は,平成3年1月19日,R漁業協同組合に同意願いを提出したの に対し,同組合は,同8年8月30日,不同意の書面を提出したが,同組合摺上支部は,同8年9月13日付け書面によりM社に対し,「県行政当局が,処分場設置に係わる関係法令に従って,行政指導を正しく行い,当支部にも安心できる処分場として貴社に設置許可を出すならば,現在でも,8月26日の役員会で既に了解した通りであり,環境保全に係わる協定書等の締結に向けて話し合う用意のある事を申し添えます。」との回答をしていることが認められる。 したがって,M社としては,R漁業協同組合の同意を除けば指導要綱の要件を満たしており,しかも,同組合摺上支部は県行政当局が設置許可を出すなら話し合う用意がある旨回答しており,M社としては,指導要綱に定める付近住民の同意を得るべく相応の対応をしてきたことがうかがえる。 (4) その他,平成9年9月10日,福島市とM社との間で本件処分場の環境保全に係る覚書(乙20)を取り交わしており,その目的として,M社が設置する施設の建設工事による下流域生活環境の悪化及び公害の発生と自然環境の破壊を未然に防止し,もって,下流域住民の生活環境を保全することを掲げており,特に,福島市及び福島市が指定する者は,M社の承諾を得ることなく,施設放流水の放流先水系の水質調査を実施するため,必要に応じてM社の立会のもとで施設建設工事地内に立ち入り,採水をすることができるなどとして環境保全が図れるよう相当程度配慮していることがうかがえる。 3 以上のとおりであるから,原告らが本件許可処分の取消事由として主張するところはいずれも理由がなく,原告らの本訴請求はいずれも理由がないのでこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を各適用して,主文のとおり判決する。 福島地方裁判所第一民事部 裁判長裁判官 吉 田 徹 裁判官 久 保 孝 二 裁判官高橋光雄は,填補につき,署名押印することができない。 裁判長裁判官 吉 田 徹 別紙図面等 省略 判 決 要 旨 主 文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 理 由 1 事案の概要 原告らは,被告が平成9年3月19日付けで株式会社Mに対してなした産業廃棄物処理施設(以下「本件処分場」という。)に対する設置許可処分につき,同処分場からの排水により生命,健康等を害されるとして,その取消しを求めた事案である。 2 争点 (1) 原告適格の有無 (2) 本件処分場における排水シート工法の違法性の有無 (3) 本件処分場の事前協議書を提出するに際し,水利組合等の同意の要否 3 判断 (1) 争点(1)について 原告らは,本件処分場の付近住民とはいえないとしても,同施設が排出する処理水が放流される小川の水や本件処分場からの排水を含む可能性のある伏流水を生活用水ないしは農作業に使用している状況を踏まえると,付近住民に準じた地位にあるということができ,本件処分場による被害を被ることが想定される地域に居住する住民ということができる。 したがって,原告らは,本件処分場の設置により生命,身体等に被害を受ける可能性があるのであるから,本件許可処分を争う原告適格を有するというべきである。 (2) 争点(2)について a 本件処分場は管理型最終処分場に分類され,浸出水処理施設(主処理工程)で所定の管理目標値まで浄化した後,礫間接触酸化層(後処理工程)を経て,地下水及び埋立地周辺表流水と合流し,放流するという浸出水処理方式をとっている。 b 本件処分場の浸出水処理方式の特徴は,水質の自動計測により処理水が管理目標値に達しなかった場合には,原水槽へ循環して再処理をし,キレート樹脂吸着により,万が一微量の重金属が浸出(基準値以下も含め)してもこれを取り除き,管理目標値を達成した後に礫間接触酸化層を通すことにより,ノーメンテナンスによる浄化の効果を向上させることがあげられる。 その主処理工程として,処理水は,まず,凝集沈殿処理により主にカルシュウムイオンが沈殿物として除去されるとともに,その他のコロイド状物質及び重金属類も除去される。その上で生物処理が施され,BOD(生化学的酸素要求量),COD(化学的酸素要求量),窒素が除去される。再び凝集沈殿処理が施され,主に,COD,SS(浮遊物質量),色度が除去され,砂濾過処理ではSSが除去され,活性炭吸着処理ではCOD,色度が除去され,キレート吸着処理では,前工程で除去されなかった重金属が完全に除去され,消毒では大腸菌群他細菌類が消毒される。 以上の過程を経て,処理水は小川に放流されることになるが,その際の多くの有害物質の濃度は,福島県の排水基準を大きく下回っている。 c 本件浸出水処理方式が有効に作用するためには,遮水シート工法が有効に機能することを要するところ,遮水シートは,強度面のみならず,耐候性,耐薬品性にも優れているほか,熱融着タイプの接合方法をとっていて,シート同士を完全に一体化してしまうことによって浸出水の漏出を防止している。 d 仮に遮水シートに損傷を生じたとしても,高い遮水性能を有するベントナイト混合土を遮水シートと併せて使用するほか,遮水シート破損検知システム(Mr.センサー)を導入し,遮水シート下部に設置された保護マット内にアルミシートを挟んで一体化させた面電極とシート上部の測定電極間のインピーダンス(抵抗値)を測定することにより破損位置を特定した上,シートを損傷することのないボーリング注入工法によってシートを補修し,上記検知システムにより破損部の補修の有無を確認するという補修方法を採用している。 e したがって,本件遮水シート工法は平成9年改正前の廃棄物の処理及び清掃に関する法律15条2項1号等が定める技術上の基準を充足している。 (3) 争点(3)について 原告らが主張する水利組合等の同意は指導要綱に基づくものであるところ,指導要綱は法律等の委任を受けて制定されたものではなく,福島県が事業主と付近住民の紛争を事前に防止し,住民の安全,健康等の保持,公害の防止その他の環境の整備保全を図るという所期の目的を達成するために,行政指導の一環としてその取得を要請しているものにすぎない。そして,行政指導は,その性質上直接的な強制力を持つものではなく,指導の相手方の任意の協力を通じて所期の行政目的を達成しようとするものであるから,被告が本件処分場設置許可手続において,水利組合等の同意書を添付しなかったとしても,そのことから本件許可処分が違法になるということはない。
https://w.atwiki.jp/bonraccoon/pages/25.html
今回の地震における水道への影響について情報収集をしようと考えました。市町村、都道府県単位で、時系列に情報をメモしていく方針です。 栃木県 8月21日 報道 【140821】栃木県、国の指定廃棄物最終処分場候補地選定について、環境省担当者を招いて、県のよる検証の有識者会議。国の地下水調査計画についての質問に、環境省担当者は「選定の際、地下水を水道にしている場合を除き、一般の井戸は考慮していない。詳細調査の中で計画を立てる」と回答。 2014年2月14日 報道 【140214】栃木県の下水道資源化工場の下水汚泥の放射性物質濃度が、原発事故後初めて1000Bq/kgを下回る。県都市整備課は「夏場になると上がることが多く、このまま3桁に収まるかどうかは分からない」としている。 5月27日 報道 【130527】環境省、指定廃棄物の最終処分場建設建設候補地の新たな選定手順案を受けての市町村長会議の協議、栃木県で始まる。 5月15日 報道 【130515】栃木県の指定廃棄物の最終処分場候補地選定問題に絡み、知事の呼びかけで市長等26市町の代表が、那須塩原市の北那須水道事務所等4箇所で、指定廃棄物の保管状況調査に参加。県内で指定廃棄物は3月現在約1万4千トン、8千bq以下は約3万5千トン。副知事は「これから会議を進める上で全市町が参加した意義は大きい」とコメント。 1月23日 報道 【130123】栃木県の放射性下水汚泥の問題、4箇所の保管場所が今年10月で満杯になる見込み。県は新たな保管場所として県鬼怒川上流浄化センター(日光市)を念頭にし、地元の了解を得るため協議を続ける一方、県下水道資源化工場で下水汚泥の処理をしている市町単独の下水処理場にも保管を依頼。 2013年1月18日 報道 【120118】栃木県矢板市議会、放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場候補地選定の白紙撤回を求める意見書を昨年9月に出していたのを、政権交代に伴い市議会で前回一意で可決し再度国に提出。「候補地は農業用水の直接的な水源地で、水道水源地にもなっている。近接して関谷活断層が存在し、強い地震の発生する危険性をはらんでいる」との理由。 10月30日 報道 【121030】栃木県北那須水道事務所などで局所、限定的な除染作業を実施中。 10月4日 報道 【121004】環境省による汚染灰や汚染汚泥の最終処分候補地の選定について、水道水源からの距離は考慮しても、灌漑用水の水源は考慮されない(栃木県矢板市の場合もそう)など、問題山積。 9月19日 報道 【120919】福島第1原発事故により県内で発生した指定廃棄物の最終処分場候補地に挙げられた、栃木県矢板市の市長や市の担当者、候補地は塩田ダムに流れ込む簗目川上流部の水源に当たるとして、国への不信感を表明。 9月6日 報道 【120906】国有林が指定廃棄物(放射性セシウム8000Bq/kg超)の最終処分場の建設候補地に挙がった矢板市塩田の自治会、水道の水源地となっている寺山ダムの上流にあり、影響が懸念されることなどを理由に、受け入れ拒否の方針。 8月18日 報道 【120818】栃木県那須町、下水道溶融スラグ等放射性焼却灰の仮置き場を設置する協定を、地元自治会と結ぶ。 8月6日 【下水道】国交省調べ(6日10:00) 管渠・マンホールポンプに被害 3市町(大田原市、那須町、一貝町)※二次調査(テレビカメラによる調査)終了済 被害延長/総延長 1km/287km 7月25日 報道 【120725】栃木県、北那須水道事務所など空間放射線量が高い県有23施設で除染実施へ。 2012年3月5日 【下水道】国交省調べ(5日10:00) 管渠・マンホールポンプに被害 3市町(大田原市、那須町、一貝町)※二次調査(テレビカメラによる調査)終了済 被害延長/総延長 2km/287km トップページへ
https://w.atwiki.jp/info_fukushima/pages/289.html
環境中の放射性物質:セシウム、ストロンチウム、プルトニウム 福島県の海水中の各核種の推移 2016.3.4 update 日本分析センターの環境放射線データベースより ※単位はmBq/l 核実験の影響は70年ごろをピークに減少。事故後一旦上昇したが、2016年現在、ストロンチウムは事故前と変わらないレベルになっている。 資料:文科省 文部科学省による、①ガンマ線放出核種の分析結果、及び②ストロンチウム 89、90 の分析結果(第 2 次分布 状況調査)について http //radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/7000/6213/24/338_0912_18_rev0914.pdf ストロンチウム90がセシウム137の沈着量の1/1000程度 相馬市(第1地点)で採取された土壌試料(5試料) のうち、第1次分布状況調査で分析しなかった残り4試料の測定結果(第2次分布状況調査の結果) ※検出下限値以上の2試料の測定結果を表示 →ストロンチウム90がセシウム137の沈着量の1/1000程度であり、セシウム137に 対するストロンチウム90の沈着量の比率は、多くの調査箇所と同様の傾向
https://w.atwiki.jp/hamaosenmatome/pages/205.html
http //headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120424-00000025-mai-soci <潮干狩り>木更津で今季も8割減 放射性セシウム風評で 毎日新聞 4月24日(火)10時24分配信 東日本大震災の影響で昨季は来場者が震災前の7割減となった東京湾の潮干狩り。復活が期待される今季も千葉県木更津市で8割減の状態だ。原発事故により、放射性セシウムが河川を通じて東京湾に流れ込んでいるとのイメージが持たれていることが原因とみられる。しかし、湾内で基準値を超えるセシウムを含んだ貝は見つかっておらず、専門家は「神経質になる必要はない」と話している。【田中裕之、荻野公一、久野華代】 「放射能が心配で、市のホームページ(HP)で検査結果を確認して来ました」。今月中旬、木更津市内の潮干狩り場に子供と訪れた埼玉県の会社員、正木晶さん(26)は話した。休日こそ家族連れの姿が目立つが、運営する木更津漁業協同組合の内田武雄組合長は「客の戻りはまだまだ」とみている。 東京湾内の潮干狩り場10カ所のうち8カ所がある千葉県は昨年、客数が前年比約7割減の約19万人に落ち込んだ。関係者はHPやチラシで貝の安全性のPRに懸命で、来場者増に備え、海外産の貝をまくケースもあるが、6カ所がオープン済みの木更津市では、今月5日までの来場者が震災の前年(10年)同期比約8割減の2487人。昨年比約600人増と回復はわずかで、市商工観光課の担当者は「5日以降も団体客の予約が平年並みに入らず、客足が鈍い」と話す。 木更津漁協では、アサリの卸価格が15%程度下がった。内田組合長は「生産者が安全をPRしても『そんな問題があるのか』とかえって風評被害を助長しかねない」と頭を抱える。 東京湾で放射性物質による汚染が注目されるきっかけのひとつが近畿大の山崎秀夫教授(環境解析学)が昨年8~12月に実施した調査。荒川河口の泥から1キロあたり300~900ベクレルという放射性セシウムが測定された。 しかし山崎教授によると、荒川や江戸川よりも流域面積の狭い千葉側の川の河口はいずれも同8~40ベクレル程度。しかも、東京側も含め、湾内の貝類からは同0.6ベクレルの検出限界を超えるセシウムは測定されていないという。山崎教授は「セシウムは土に含まれる微粒子と結合し、離れにくい。貝が泥を食べても、泥とくっついたセシウムが貝の体内で溶け出さずそのまま排出されると考えられる。東京湾の放射性物質の影響は全く問題ない値」と説明している。 国も今年度、東京湾の海水や生物についてモニタリング調査を始めるが、東京海洋大の神田穣太教授(海洋環境学)は「安全性を立証するためにデータの蓄積が重要。危険な数値が検出されない限り神経質になる必要はない」と話している。
https://w.atwiki.jp/info_fukushima/pages/30.html
食べる:福島&茨城の原乳(牛乳)の検査について ツイート 牛乳や乳製品の放射性物質を気にする理由:チェルノブイリの教訓 チェルノブイリの教訓が活かされた、放射性ヨウ素対策。 チェルノブイリの原発事故で増えたガンは小児甲状腺がん。これの原因になったのは事故直後に牛乳や乳製品から摂取した放射性ヨウ素です。セシウムではありません。これを教訓に日本国内では牛乳の出荷停止など適切な措置が講じられました。 その量については、福島は対策を行ったのでチェルノブイリ事故の際とは「桁が違う」ことが分かっています。詳しくは以下を参照してください。 INDEX 放射性ヨウ素による甲状腺がん http //www47.atwiki.jp/info_fukushima/pages/44.html 今でも放射性ヨウ素は心配なのか なお放射性ヨウ素は事故当初に気をつけるものです。半減期が8日と短いため数カ月後にはほとんどゼロになってしまうからです。よって原発から放射性ヨウ素が優位に放出されていないかぎり混入する心配はありません。 [現在の数値を確認] 農林水産物モニタリング情報 - ふくしま新発売。http //www.new-fukushima.jp/monitoring/result.php [関連リンク] 食べる:放射性物質の検査 http //www47.atwiki.jp/info_fukushima/pages/69.html 2011年3月12日以降の原乳出荷について http //togetter.com/li/410174 sdfmanさんのツイートから 流通がストップし、また停電のため、原乳の保管ができずに廃棄しています。 2014-03-15追加 牛乳の放射能問題に関するQ&A by (社)日本酪農乳業協会 http //j-milk.jp/topics/9fgd1p000001n7ae.html Q1.牛乳の放射性物質汚染については、どのような検査が行われていますか? Q5. 汚染レベルの高い原乳が、他の地域の原乳と混ぜて出荷されるということはありませんか? 福島の原乳検査でなぜ放射性物質が不検出なのか 「牛乳がNDの理由を、整理して書いてみる」 http //ameblo.jp/akio-s/entry-10935731350.html Satoakiさんのブログエントリーの元になったツイッターのまとめのソースは、以下に記載してあります。酪農家の方の生の声(ツイート)です。↓ ポイントは「暫定基準値が高いので危険。との指摘は間違い。実際には放射線が不検出なレベル=機械が検出出来る限界以下」ということ。さらにその理由は「餌」と「水」のようです。つまり乳牛の体内に入る「放射性物質を最小限」にすることができた結果だということ。 生産者からの声 (福島の原乳(牛乳)の放射線検査) 福島&茨城産牛乳がND(不検出)な理由 http //togetter.com/li/142577 まとめ主のコメント: なんで両県の牛乳からは放射性物質が検出されないのか。 酪農家の方が教えてくださいました。酪農は科学だ! 牛乳の「これから」を現実的に考える http //togetter.com/li/144986 まとめ主のコメント: 福島&茨城産牛乳がND(不検出)な理由の続きです。 今後、餌の状況の変化などによって、牛乳に含まれる放射性物質が、微量ながらも検出される可能性があるとのこと。具体的にどのような事態が考えられるのか、対策はどうすればいいのか、酪農家や業界関係者が語ってくれました。熟慮した結果、作成から本公開まで時間がかかりました。追加情報なども随時更新予定です。 関連:セシウムについて 牛乳のセシウム、すべて下限値以下 乳業協会が検査結果 2012年2月29日 asahi.com 検出下限値以下(つまりND)となっている。というニュース。検出下限値は10Bq/kg ※ND 検出基準以下レベル:暫定基準値ではなく、検出機器や設定条件によって決められる検出限界値を下回る値です。
https://w.atwiki.jp/jzrowa/pages/64.html
――――ディルムッド・オディナには、願いがあった。 「今度こそ主を護る刃でありたい」という、一片の穢れもない、純粋な望みがあった。 生前果たせなかった忠義を、今度こそ果たしてみせたい。 それさえできれば、聖杯なんて物の事など、どうでも良かった。 主がどんな願いを聖杯に託していようが、己の忠義さえ貫ければ、彼は満足だった。 だが、彼のその祈りは、無残にも打ち砕かれることとなる。 二度目の死は、またしても主の裏切りが原因であった。 令呪を用いた自害の命令は、ディルムッド本人の意思とは関係なく、彼を死に導いたのだ。 心臓に突き刺さった槍の感触は、脳に深く刻み込まれている。 死の間際の彼の風景――自分を見つめる数人の人間達の姿――も、鮮明に思い出せる。 あの黒衣の男こそが、セイバーの真のマスターだったのだろう。 となると、セイバーも彼の指示に従っていた可能性が高い。 あの堂々とした佇まいも、ディルムッドに見せた騎士道も、何もかもが演技だったのである。 自分は所詮、それに踊らされていた只の道化に過ぎないという訳だ。 主と戦友の裏切りは、ディルムッドのあらゆる誇りを無に返した。 彼らの行いは、ディルムッドの生き様に唾を吐き捨てたようなものである。 そしてその行為は、彼の「祈り」を「呪い」に変貌させるのには、十分すぎる。 ■ □ ■ □ 「聖杯……だと……ッ!?」 己を導いたその願望器の名前を、ディルムッドは憤怒に満ちた声色で言った。 聖杯――七人の英霊の魂を代価に、あらゆる願いを現実のものとする万能の釜であり、 そして同時に、聖杯戦争の勃発の原因となった代物である。 ディルムッドもまた、その万能の釜によって、「槍兵」の英霊として現世に蘇った存在なのだ。 「貴様らは、そうまでして願いを叶えたいのか……ッ!? 幾多の祈りを踏みにじってまで、貴様らは願いを叶えたいのかッ!?」 今の彼にとっては聖杯など、憎悪の対象以外の対象でしかない。 願望器に群がった亡者共のせいで、ディルムッドの誇りは徹底的に穢されたのだ。 それらの亡者を呼び寄せた切欠となった聖杯を、彼が憎まない訳がない。 「どこまでも醜悪だ……ッ!貴様ら亡者共は……どこまでも恥を知らん……!」 そう嘯くディルムッドには、かつて義を重んじた騎士の面影など、何処にも見当たらない。 目は血涙を流さんとばかりに充血し、かつて「輝く貌」と謳われた美貌も、 地獄の鬼と見間違えてしまう程にまで、醜く歪んでいた。 彼の内側で猛り狂う憎悪の念が、彼をここまで変えてしまったのである。 「……いいだろう。貴様らがそうなら、俺にも考えがある」 そう言って、デイパックから一振りの槍を取り出す。 身の丈3メートルという、槍としては少々歪なサイズのそれは、 説明書きによれば「主君の槍(グングニル)」と呼ばれているらしい。 これまで所持していた「破魔の紅薔薇」と「必滅の黄薔薇」が手元にないのは残念ではあるものの、 この槍も相当な業物であるが故に、十分双槍の代用品になり得た。 「貴様らと同じように、この俺も願いを踏みにじる亡者となろう。 俺はこれより、憎しみに仕える悪鬼として、この殺し合いに参じようではないか」 冷静に、しかし内心に激情を潜ませながら、ディルムッドはそう宣言する。 二度の屈辱的な死で、彼は己の騎士道の無意味さを痛感させられた。 そして同時に、この世界が如何に自分を拒絶しているかを思い知らされた。 自己の存在意義を、運命を以って否定した世界を、一体どうして愛せるだろうか? 最早この世界には、ディルムッドが情愛を抱くようなものは一つとしてありはしない。 彼にとっては、この世にあるありとあらゆる全ての物など、己の憎しみをぶつける対象でしかないのだ。 「名利に憑かれ、俺の祈りに泥を塗った亡者共め……! 断じて許さん――聖杯もろとも、地獄の底に叩き落としてくれる……ッ!」 先程とは一転して怒りに震えるディルムッドが、手にした槍を掲げ上げる。 するとどうだろうか――彼を中心に突風が巻き起こり、辺りの塵屑を吹き飛ばしていくではないか。 これがこの「主神の槍」の真なる能力――あらゆる天候の操作である。 天変地異を支配するこの力は、災害の如く災厄を振り撒くであろうディルムッドに、実にお似合いな能力であった。 彼を突き動かすのは、騎士道ではなく憎しみ。 彼を支えるのは、誇りではなく怒り。 最早そこに英霊としての誉れはなく、ただ呪いを振き散らす悪鬼の姿がそこにはあった。 疾風はやがて焔となり、周囲を燃やし尽くさんと暴れ始める。 それはまるで、ディルムッドの怒りがそのまま顕在したかの様だ。 事実、これこそが今の彼が望む風景。 原初の地獄をここに再現し、聖杯ごと全ての願いを焼き尽くすのが、今の彼の"願い"。 「貴様らにも思い知らせてやろう……この俺の屈辱を!この俺の憎しみを! 全身を引き裂かれ、絶望に身悶えしながらッ!このディルムッドの怒りを思い知るがいいッッ!!」 かつて騎士だった者の目に残るのは、全てを呪わんとする憎悪のみ。 そこには、最早一片の希望すら存在しはしない。 【ランサー@Fate/Zero】 [状態]健康、深すぎる憎しみと強すぎる怒り [装備]主神の槍(グングニル)@とある魔術の禁書目録 [所持品]基本支給品一式、ランダム支給品×2 [思考・行動] 0:騎士ではなく悪鬼として生きる。 1:参加者を見つけ次第、殺す。 2:自分の槍を取り返す。持っていた者は勿論殺す。 ※死亡後からの参戦。 ※怒りに支配されて冷静な判断ができなくなっています。 時系列順で読む Back 主従交換 Next 我は神なり 投下順で読む Back 主従交換 Next 我は神なり キャラを追って読む 実験開始 ランサー [[]]
https://w.atwiki.jp/liveinfukushima/pages/29.html
表土除去について ひまわりを植えることについて