約 19,733 件
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3211.html
825 :影響を受ける人:2016/01/01(金) 00 00 28 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 オリジナル設定、個人的解釈が入っています。 アグレッシブルートです。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン×ギアス 第◆▲●話 ― 一合一会 ― 12月31日 この日は年末で、仕事が無い人は無い。ある人にはあるのだが。 意図せずして、前世では大日本帝国の首相になっちゃった人身御供・・・もとい、嶋田繁太郎は自宅にてのんびり過ごしている。 このコードギアスの世界は平和そのものだ。 原作を知る物からすれば「はぁ?」なのだが、実際平和だ。 と言うのも、シャルル・ジ・ブリタニア皇帝は戦う愛の人ともいうべき人。 そんでもって嶋田とは親友とも言える間柄。どこに戦争する要素があるというのか。 かわりにオセアニアと言う敵国があるのだが、不気味な蠢動はあるが表立った動きは無いので無視する。 面倒事は枢木ゲンブに任せてしまいたい。 「御馳走様でした。」 「御馳走様です。」 年越し蕎麦を食し、真向かいに座るピンク色の髪を持つ少女と共に御箸を置く。 そして顔を見合わせると二人とも笑いあう。 なんだこのバカップル空間は? もう、なんか言いたいが、この二人は周囲にとっては公認のカップルだ。 親馬鹿皇帝は未だに認めていないけども、ちゃんとした交際をしているのである。 親と子並の、歳の差カップルだが祝福するモノは多い。 二人は静かに、夫婦の様に食事をしていた。 使用人がタイミング図って入室し、食器を片づけていく。 その際に少女、ユーフェミア・リ・ブリタニアは嶋田繁太郎の横にチョコンと座る。 余りに自然に座り、まったく違和感が無い。夫婦か。 使用人が御茶の有無を聞くと二人とも頷く。 そして出ていくと嶋田はおもむろにテレビを付けた。 「ふむ。大晦日定番の番組しかないか。」 「あれ、ありませんか?」 「うん? “笑ってはいけない” シリーズか・・・まだやっていないな。」 「そうですか・・・」 かわす言葉はもう夫婦と言って良い。爆発してしまえ。 どこからともなく呪いの言葉が降りかかる状況だが、二人は呑気にTVをみる。 使用人が御茶を持って来ても、仲睦まじく視聴している。 嶋田が蜜柑を細かく分けられるまで剥き、お互いに一切れずつとって食べていく。 ユーフェミアがティッシュを二枚取り、一枚を嶋田に自然に渡し、彼も自然と取る。 無言で、阿吽の動きで追従する。鴛鴦夫婦か何か、か? 最後の一切れをお互いの手が取りあい、接触すると二人ともびくっと手を引っ込める。 お互いの顔を見合うと恥ずかしくなってソッポを向く。 だが、そーっとお互いに顔をもう一度顔を見合わせ、二人の顔が自然と近くなり・・・ ―ドゴォォォォン!! 「ぬわぁ!」「きゃぁ!」 突如巻き起こった轟音に、キス寸前だった嶋田はユーフェミアを庇う。 轟音はすぐ目の前の庭から聞こえた。 と、同時に屋敷中からドタバタと足音が響き渡っていく。 「旦那様、御無事ですか!」 「ああ、大丈夫だ。ユフィ、大丈夫か?」 「だ、大丈夫です。繁太郎が庇ってくれましたので・・・」 826 :影響を受ける人:2016/01/01(金) 00 01 03 警備員も慌てて庭にやってきて轟音の中心部分を包囲する。 「何が起きたんだ?」 「旦那様、御下がりください。危険です!」 使用人兼護衛が立ち上がって庭を見ようとした己の主人を、庇うように前に立ちはだかる。 「繁太郎、ここは・・・」 「そうだな。ここは彼等に『いてて・・・ここはどこナンダ?』・・・む?」 「声・・・ 少女の様ですね。」 轟音が収まった中心部から声が聞こえた。 そしてユーフェミアが言う通り、ブリタニア語だが声の感じは少女のらしく聞こえる。 『エイラさん大丈夫ですか?』 『ああ、芳佳は大丈夫カ?』 『芳佳ちゃん・・・』 『サーニャちゃんも大丈夫?』 『駄目・・・ 腰打ったみたい・・・』 その後も聞こえてくるのは少女の声。それも三人。 さすがの警備兵も困惑気味だが、油断はしていない。 ゲリラの中には少年兵もいるのだ。恐るべき爆弾を所持していると可能性もある。 誰も油断なく土煙が収まる迄待っていると・・・現れたのは三人の少女達だった。 ――――― 事の起こりは夜間哨戒から帰還してきたサーニャを出迎えた後、芳佳が少し父の様子を見ようとして二人も同行。 この時実験室では、異次元空間を使った転送システムを、ウィッチの手を介さずに行うという実験が行われていた。 最初は良かったのだ。起動は上手く行った。 ただ、機械で行う術式が間違っていたが。 だが三人が到着した時、ちょうど暴走に入り始めており研究員は我先に退避していた。 宮藤博士はやってきた三人に、大声で退避するように呼びかけたが時すでに遅し。 機械が発生させた人工魔力が大きく膨れ上がり、咄嗟に芳佳が発生させたシールドに共鳴。 更に三人に九曜葛葉が渡してあるお守りが起動してしまう。 “あらゆる方法”で緊急回避を行うように仕込まれているお守りはよりにもよって、三人を異次元空間を媒体とした転送を主なってしまったのだ。 そして空間爆発と共に三人は、見知らぬ土地に投げ出された。 ――――― 土煙が収まるまでにエイラは、腰につけていた拳銃の確認を済ませた。 リボルバーだが、予備弾丸も合わせて30発はある。 一回の戦闘くらいなら何とかなるが、その後はどうにもならない。 更に言えば学生が一人、帰還したばかりで消耗しているナイトウィッチが一人。 この二人を守るのは至難の業だ。 『エイラさん大丈夫ですか?』 『ああ、芳佳は大丈夫カ?』 『芳佳ちゃん・・・』 『サーニャちゃんも大丈夫?』 『駄目・・・ 足を捻ったみたい・・・』 最悪が追加された。足を痛めたサーニャは早く動けない。 こうなると・・・ (いや。マダ状況判断が済んでイナイ。) 非情な選択を取りたくないエイラは土煙が収まるのを待ち・・・さらなる最悪を目にした。 目の前には見たことも無い武装をした、銃器を構えた兵士達がいる。 (これって・・・カナリ不味いゾ!) 内心で焦りつつ、二人を庇える位置に移動する。 もっとも、目の前の銃がライフルなら意味が無いのだが。 サーニャを助けていた芳佳が、エイラのただならぬ様子に気が付く。 そして同時に、目の前で銃をこちらに向けている人影に気が付いた。 827 :影響を受ける人:2016/01/01(金) 00 01 34 『え、エイラさん・・・!』 『芳佳ちゃん・・・!』 『え・・・っと・・・』 軍人の殺気に当てられた二人が怯えて抱きしめあう。 エイラも気の利いた言葉を変えてやりたいが、何も思いつかない。 こういう時、あのリベリオン人が羨ましく思う。 すると、兵士の壁の奥から声がかけられた。 『あ~、君達は何者かな?』 『・・・誰だ?』 『ああ済まない、名乗り忘れていた。自分は嶋田繁太郎と言う。 この屋敷の主だよ。』 『屋敷?』 そう言われてよくよく見れば。二階建ての大きな屋敷が見える。 扶桑式の、見事な瓦屋根だ。 『ココって、扶桑皇国ナノか?』 『扶桑? いや、ここは日本だが?』 『え?』『え?』 此処は扶桑じゃない? 日本? 全く来た事が無い。 『ナア芳佳。日本って聞いたコトがアルカ?』 『確か、昔の扶桑の呼び名がそうだったかと・・・』 訪ねた先も少し不安そうに答える。 『ふむ・・・ 君たちの国の事を聞きたいが?』 『ソレハ良いけど・・・ 銃を下してクレ。 仲間が怯えてイルンダ。』 ――――― 嶋田は武装解除してくれればと交渉し、銃を一丁回収できた。 更にボディーチェックを使用人兼護衛が確認し、安全であると判断して今にあげる。 もっとも、庭には警備員が未だにいるし。隣の部屋にも待機している。 使用人兼護衛も御茶くみとしている。警護は万全だ。 「大丈夫?」 「・・・大丈夫です。」 ユーフェミアは治療が完了したサーニャに問うが、サーニャはまだ警戒しているのか芳佳に引っ付いている。 サーニャの捻った足は、芳佳による“魔法”の治療によって完治している。 この時初めて“魔法”を見た一同は度肝を抜き、警戒心を更に上げた。 だが将来の女主人は、「まあ、魔法なんて初めて見たわ!」と大興奮してからの気概を挫いたけど。 「・・・ん。」 「サーニャちゃん、大丈夫だよ。」 使い魔の猫の様になすりつくサーニャに、芳佳は安心させるようにナデナデする。 それを見てユーフェミアはほんわかしている。 そんなカオス空間を見ない様に、少女と初老の男が話し合っていた。 「ブリタニアがリベリオン大陸に・・・」 「ああ、こちらではネウロイなんて聞いた事が無い。」 「全然コチラノ事がわからないゾ・・・」 「まあ、そうなるよね。」 頭を抱えて炬燵のテーブルに突っ伏すのを見て、嶋田は苦笑するのみ。 そりゃそうだ。 (違う漫画・アニメ世界だもんな・・・ というか、この子等何処かで見たなと思ったが、ストパンのキャラだよな。) 見れば見るほど見たことがある三人・・・なのだが、 (芳佳と言われていたこの子は、主人公の【宮藤芳佳】だよな。 服装がセーラー服と水着じゃない。巫女服みたいなのを着ている。) 828 :影響を受ける人:2016/01/01(金) 00 02 04 芳佳が着ているのは扶桑皇国指定のウィッチ専用戦闘服なので、違和感があっても仕方ない。 嶋田もわかっていないがこの服は、魔力を通せば拳銃弾くらいなら何とか耐えられる強度を誇る。 まあ「似合っているな。」程度の感想しか無けれども。 ―クゥ~… 「・・・あ。」 「サーニャちゃん、帰って来たばっかりで何も食べていないもんね。」 「ムゥ・・・、悪いケド我慢してクレナイカ?」 「・・・うん。」 ヘンニャリと耳が垂れ下がるのを幻視した嶋田とユーフェミアは、すぐさま食事を出す様に言う。 「御蕎麦がまだあった筈だ。食べていきなさい。」 「御蕎麦が嫌なら蜜柑もあるから♪」 「え・・・ でも・・・」 サーニャは困って二人の友達を交互に見る。 二人も困って顔を見合わせた。 「どうしましょうか。」 「甘えたいケド、この後ドウナルカわからないしナァ。」 エイラの判断としては、目の前の歳の差夫婦は信用できる。 何故かわからないが、特に初老の男性が特に。 サーニャを思うなら食べさせてあげたい。しかしそうすると今度は眠くなるだろう。 昼夜逆転の生活をするのがナイトウィッチだ。 その大変さを知る身としては・・・ ちらりと、もう一度歳の差夫婦を見る。 一人は微笑み、もう一人はしっかりとした眼でこちらを見ている。 初老の男性、嶋田繁太郎と言う男性。 彼はどこかで見たことがあるような気がする。 じーっと見つめていて気が付いた。 (オバサマに、似てイルンダ・・・) 自分が家族と同列に信頼し、信用して慕う人物。九曜葛葉にそっくりな雰囲気もっているのだ、この男性は。 だから無条件に自分は信頼しようとしている。 (本当はイケナイのだろうケド・・・) 何が有ろうとも責任は自分が取る。何があっても二人を返すのだ。 「エット、お願いできますか?」 「ええ、喜んで。」 「とりあえず。ゆっくりしていきなさい。」 そう言って二人は微笑む。そしてエイラは「よく似た夫婦だな。」と思うのだった。 ――――― 「「「御馳走様でした。」」」 「「お粗末でした。」」 警護している者達は思った。 (*1)))) 歳の差夫婦と娘達。 人種? 歳の差? 世界が違う? そんなモノなんのその。 そこには 家族 そう呼べる光景がった。 「美味しかったナ~」 「うん。」 「・・・天麩羅できたて。」 829 :影響を受ける人:2016/01/01(金) 00 02 53 1人分用意するよりも、複数人用意した方が良いと言われ。エイラと芳佳も結局御馳走にあずかってしまった。 今日が大晦日であると知ると、三人は時間が違う事に大いに驚いた。 そして最高級品室で作られた蕎麦・・・ではなく、スーパーで安売りしていた生麺であったが、できたての天麩羅は何よりも御馳走。 自らオーダーすれば、すぐさまその天麩羅が出てきて驚く。 金持ちってスゲー。 「三人ともいいかな?」 「なにかな、オジサマ。」 「変える方法なんだが・・・一つ心当たりがある。」 「エ、本当か!?」 思わず身を乗り出すエイラを、芳佳が慌てて引っ張って座らせる。 「ああ、ただそれは国家機密に近くてね・・・」 「あら、どうしたの?」 「そうナノカ・・・」 「・・・眠い。」 「特に詳しい人物は、この国の人ではないのがねぇ。」 「あらあら。こっちにいらっしゃいな。」 「それって、どこの人なのですか?」 「・・・でも。」 「こちらのブリタニアの人なんだ。」 「炬燵で寝るといけないわ。」 「もしかして・・・王族?」 「・・・ん。・・・失礼します。」 「うん。」 「どうぞ、どうぞ♪」 「エイラさん・・・」「う~ん」 「・・・ハフゥ。」 「何か問題でも?」 「あら。すぐ寝ちゃった・・・ 疲れていたのね。」 「実は………という事があって・・・」 「ンム・・・ スゥスゥ・・・・・・」 「こちらではそんな事は無いよ。」 「ふふ、可愛い寝顔♪」 「「「って、何しているの?」」ンダ?」 「大きな声を出さないでください。起きちゃいます。」 「「「はい・・・」」」 ショボンとする三人だが、サーニャの寝顔を見るとホッコリする。 さっきまで警戒心バリバリだった彼女は、ユーフェミアの優しさに当てられて警戒心を完全に解いていた。 恐るべし、癒し系。 エイラはとりあえず帰る手段が見つかり、一安心した。 まだ確定ではないが、希望が一つできただけでも嬉しい。 そんな事考え、嶋田が「御汁粉食べるかい?」と進めてきた。 さすがにここまで御馳走になり、更にデザートまでいただくのは気がひけた。 だから丁寧に断ろうとして口を開き。 ―チュドォォォォン!! 「「「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」」」 「きゃぁぁ!?」 「ふぇ?」 再び庭先に爆発が起きた。 視線を慌てて向けると、土煙を吹き飛ばして一人の女性が立っている。 いや、 浮 い て いる。 地面には青白い光の魔法陣。 そして女性は三人の魔法少女から聞いた容姿の女性・・・白い髪・白い肌・白い九尾。 「かぁぁぁぁぁはあぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」 口から煙を吐きだし、目が爛々と輝く・・・その姿は化物だ。 強烈な殺気まで発しており、誰の目にも化物としか映らない。 「う、うわぁぁぁぁぁ!」 警備兵の一人がとんでもない現象にパニックとなり、銃を向けて引き金を引いた。 エイラが止める前に弾丸は九曜に向かい・・・空中に静止する。 「え?」 疑問が誰からか上がった。 しかし事態は答える間に瞬時に動く。 「雷・・・」 830 :影響を受ける人:2016/01/01(金) 00 03 29 一言つぶやいただけで弾丸が撃った警備兵に向かって放たれる。 同時に九尾が蠢き、周りに展開した兵士を蹂躙しようとシールドをボーリングマシーンの様に回転させて纏わせ、薙ぎ払おうとした。 瞬間、誰もが死を思い浮かべる前に殺され 「オバサマ、駄目だぁぁぁぁ!!」 かけた。 エイラの静止。その声を聞いた事により弾丸は再び停止。 九尾も薙ぎ払う直前で止まった。 間髪入れずにエイラは九曜の元に駆け寄る。 靴を履いていないから、足が汚れて痛い。 「オバサマ。私達は大丈夫だよ・・・」 「エイラ、無事なんだな?」 九曜の口調が男言葉になっている。これはかなりの興奮状態だと悟り、安心させるように抱き着いてゆっくりと語る。 「ウン。芳佳も、サーニャも何ともナイ。」 「そうか・・・ それなら、いい・・・」 エイラの身を確認した九曜は撒き散らしていた殺気を収めた。 そして彼女の体を優しく抱きしめる。 「貴女が爆炎に消えたと聞いて、慌てて調査して、痕跡を見つけたのが三日前なのよ。」 「み、三日!?」 「ええ・・・」 「私達、1・2時間しか此処にいないゾ・・・?」 「時空時間が違い過ぎるのかも。早く戻った方が良いわね。」 そう言うと、視線を始めて立ち尽くす歳の差夫婦に向けて・・・目を剥いた。 「っ・・・・・・」 「オバサマ、ドウシタンダ?」 「なんでもない・・・」 そう言ってポンポンと頭を軽く叩くと、前に出る。 警備兵達が銃器を油断なく向けてくるが、先程まで殺気をまき散らしていたのだ、仕方がない。 九曜は数歩のみ進み、その場で土下座をした。 「騒ぎを起こし、申し訳ありません。」 「あ、いえ・・・」 「保護して頂いたのにこのような仕打ちをしてしまい。詫びの言葉もありません。」 「そうですね。その謝罪、お受けいたします。」 顔を完全に地面につけて詫びる姿に、ユーフェミアは公然と答える。 「ありがとうございます。感謝の言葉がこれ以上出ませぬ。」 「この子達が、それほど大切なのですね・・・」 「はい。」 簡潔ながらもはっきりした答え。 ユーフェミアも、王族として対応する。 「では、お詫びとして少々お付き合いしてほしいのですが?」 「いかようにも・・・」 「わかりました。ああ、無茶な事は頼みませんから?」 個々の主そっちのけで彼女は微笑み。九曜はステルスで放っている分体から芳佳達を確認した報を聞いて胸をなでおろした。 831 :影響を受ける人:2016/01/01(金) 00 04 10 ――――― 年明け、夢幻会は集まって嶋田繁太郎を睨んでいる。 「貴様ぁぁぁ!!」 「クソ。なんで俺はリア中を爆破しに行かなかったんだ!」 怒号の中心は、ある“写真”が原因だ。 その写真には嶋田繁太郎にユーフェミア・リ・ブリタニア。 そして宮藤芳佳、エイラ・イルマタル・ユーティライネン、サーニャ・V・リトヴャク。 最後に白き九尾の女性が写っている。 「なるほど、あの騒ぎはコレですか。」 「辻さん。貴方はどこから情報を得ているので?」 相変わらず不気味眼鏡を光らせる腐れ縁に、嶋田はソッと引きながら問う。 「それは色々ですよ。ところでこの女性について情報は?」 「ありません。証拠はこの写真と・・・」 ゴソゴソと懐探り、目的の物を見せる。 「このお守りくらいですよ。」 「魔法で守られたお守りですか・・・興味深い。」 まじまじと見る辻正信を静止し、懐に戻す。 「ユフィも、もらっています。」 「いや、その場にいたかったですな。」 そう言って笑うが、嶋田としては余計に引っ掻き回されていただろうと思っているので、これでよかったのだと完結させた。 今年も忙しいだろし、これ以上面倒事は嫌なのだ。 ――――― 九曜葛葉は司令室で書類を片付けている。 手を休めて写真盾を見ると、ライトニング・フォックスメンバーで撮った写真。 バーニング・フォックスメンバーで撮った写真。 501部隊で撮った写真。天皇家で撮った写真。 そして・・・不思議な縁で撮った写真がある。 戸棚にはあの世界にいた証拠である品が入っている。 この世界には無い機械。 サクラダイトでしか動かないモノの資料。 KMFの詳しい図鑑。 もう出会う事は無いだろうけど、大切な思い出がまたできた。 「オバサマ、昼食が出来たゾ~」 「御婆ちゃん。今日はサーニャちゃんと作ったんだ!」 「そうなの。しっかり楽しまないとね。」 そう言って九曜は二人と共に司令室を後にした。 この束の間の幸せを噛み締めながら。 以上です。 去年書いて、今年投下する・・・意味わかんねぇな。 今年もよろしくお願いします!
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1779.html
by 影響を受ける人さま 日本のKMF開発 日本のKMF開発up2013.02.24 日本のKMF開発 高性能機編 又は【フリーダム】誕生up2013.09.08 日本の航空戦闘艦開発up2013.03.07 日本の特殊KMF及びKGF開発 海洋編up2013.03.17 日本のKMF開発 支援機&可変機&特殊機up2013.09.28 日本及びブリタニア帝国のKGF開発 大空編new2013.10.21 憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 スメラギ・コンツェルの事情up2013.09.15 憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 スメラギ・コンツェルの事情Ⅱup2013.11.03 憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 日本公民党の事情new2014.02.22 憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 中華編up2013.03.06 憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 中華編 続きup2013.05.17 憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 大清連邦編up2013.05.14 憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 EU編up2013.03.06 憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 EU編―Ⅱ 変更版up2013.09.08 憂鬱×ギアスにおけるKMF関連 クレマンインダストリーの事情up2013.09.20 KMF ラウンズ専用機【クシャトリア】up2013.09.15 試作重KMF【レジェンド】up2013.09.15 清軍MTF【岩洞】up2013.09.15 スメラギ製第九世代KMF【マスラオ】up2013.10.21 スメラギ製第九世代機【スサノオ】up2013.10.21 【アルケー】ARCHE 和名:赤袴【あかばかま】up2013.11.03 四脚KMF【バクゥ・ハウンド】和名:犬飼【いぬかい】new2014.02.22 その他メカ ADF-01 FALKEN 和名【朱鷹(あけたか)】2015.05.24 短編 とある大統領(苦労人)と亡命博士(趣味に走る人)up2013.09.20 憂鬱ギアス世界のナイト・ギガ・フォートレスの運用 隠居騎士編up2013.03.10 華麗なる食卓。up2013.02.16 モニカ・クルシェフスキーの帰郷 & ジェンシーに乗ろう!!up2013.02.24 宇宙に行く・・・up2013.04.07 鳩川のト・モ・ダ・チ・・・ up2013.05.14 老貴族の憂鬱up2013.05.14 シーランド王国建国前篇up2013.09.08 シーランド王国建国後編up2013.09.08 ファイバーとシャンブロの活劇up2013.09.08 嶋田一繁、ゲーセンに行くup2013.09.09 父の日のサプライズup2013.09.15 『コードギアス・ザ・ゼロ』up2013.09.15 ガルパンネタup2013.09.20 ストライクの魂new2013.10.21 嶋田一家シーランド旅行 一繁【シャンブロ】に会うup2013.10.21 しげちーがストライクイーグル1号機を見た感想up2013.10.21 シーランド王国防衛用KGF計画『アイランド・ガーディアン・プラン』up2014.02.22 没兵器:№01up2014.02.22 ある者の悩みと考えup2014.02.22 ユーロブリタニアinルートnew2014.05.14 お詫びのSS2014.08.18 血の紋章事件(笑)2014.7.31 237様への戦ヴァル支援ss012014.8.18 237様への戦ヴァル支援ss022014.8.18 休日ギアス世界グルメ旅2015.05.24 構想中 仮タイトル 仮タイトル <提督の憂鬱×コードギアス 亡国の反撃>2015.05.24 リメイク <提督の憂鬱×コードギアス 亡国の反撃 File-001>2017.04.02 <提督の憂鬱×コードギアス 亡国の反撃 File-002>2017.04.02
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3571.html
848 :ひゅうが:2016/08/08(月) 23 00 00 艦こ○ 神崎島ネタSS――「ある朝」 ――1937(昭和12)年6月12日 神崎島 海軍中将堀悌吉の朝は早い。 元来が健康に気を使い、酒もタバコも控えている彼の夜は早かった。 その上、ここ最近は新たな日課が加わっている。 「おはようございます堀提督。」 「おう。おはよう。」 ジャージという動きやすい服装に着替えた彼は、いつもの通りの待ち合わせの場所、神崎島戦史博物館前に6時25分ぴったりに到着する。 緯度としては沖縄や小笠原とほぼ同じ神崎島であるから、6月にも関わらず気温は高い。 待ち合わせ先では、彼と同じ習慣を身に着けた随員のいくらかだけでなく、島民たちが待っていた。 それに、いくらかの艦娘たちも。 中でも、彼のなじみの艦――言い方に誤解が混じるかもしれないが――である陸奥は、相変わらずかすかに微笑んで彼を迎えてくれた。 家族を本土に残している堀としてはこのある意味旧知の相手との会話がそれなりに楽しみになっていた。 「昨日は遅かったようですね。」 「分かるかな?」 「目の下の具合で。」 いつものやり取りである。 「君のところの提督ほどじゃないよ。」 「あの人はまぁ…特別ですから。」 ほほ笑む陸奥。 はっはと笑う堀。 彼は、米国政府から非公式に打診されたもろもろの案件をここ数日間処理し続けていた。 チャイナクリッパー飛行艇などの緊急避難的な神崎島への飛来にあたっての手順確認。 西太平洋上における航空航法用の電波灯台の設置に関する案件。 近海における潜水艦の浮上航行の原則の確認。 文書が太平洋をはさんでやりとりされ、この合間に威力偵察的な軍艦接近や不届き者な密輸船、そしてソヴィエトやドイツなどの何を狙っているのかわかりきっている輸送船の接近に対処する。 実のところ、太平洋上に権益を持つ国家で英国以外は神崎島が日本領土に編入されたことを承認してはいない。 先ごろ来島し、実はいまだに居座っているアインシュタイン博士のレポートが知られて以来、ここが蓬莱だいや伝説の大陸だと欧米では注目されており、数百年前の記録をたてにして領有権を暗に主張する国がけっこうな数存在していたのだ。 たとえばフランス。数百年来太平洋を利用していたし、この海域で発見した幻島の名をもって領有権を主張する声が日増しに高まっている。 まぁ実のところ、議会での政治的暗闘やら南沙諸島の領有権へのゆさぶりの一環なのだが。 そして意外なところではロシア。彼らは、ちょうどこの海域で幻島を発見し、長いこと海図に載せていた。 彼らは政治的ななにがしかではなく、単に強欲なだけだったが。 厄介なのが、アーリア人の故郷を探すというオカルト的なナチスドイツ。 彼らは、極北の地トゥーレが、北極海を抜けた先であるこの島だと主張しはじめていたのだ。 要はヒムラーのオカルト趣味に、先日日本に帰化するさわぎを起こしたカール・ハウスホーファーからすべてを奪ったがための出来事だった。 現在、大規模なチベット探検隊を組織したナチスのトゥーレ協会はこの地をアーリア人の聖地に認定しようとしているという。 (なお、ハウスホーファーは帝大教授におさまり、近々来島の予定だという) 中華民国は…まぁそういうことだった。 849 :ひゅうが:2016/08/08(月) 23 00 35 これらの数限りないいちゃもんの中で、アメリカは比較的話が通じる相手である。 せいぜいが民間団体が即刻占領を主張するくらいだったが、政府や軍は現実的な対処が可能だった。 その相手との対話に、ここ数週間の間神崎提督と、宗主国ということになっている大日本帝国はかかりきりだったのだ。 「まぁ、あの人はなぁ…」 堀は苦笑する。 彼が退庁する頃、神崎提督の執務室には書類のタワーが築かれていた。 あの様子だと、3時間眠れているだろうか。 こんど栄養ドリンクでも差し入れようか、と堀は思った。 「そろそろですよ。」 随員の津田大尉がいった。 軍令部からの御目付役ではあるが、この朝の時間を気に入っている多くの随員の一人でもある。 兵学校時代は棒倒しでヒーローになるあたり、体を動かすのが好きなのだ。 息を整えた堀は、本土でもおこなわれはじめたそれ――ラジオ体操をはじめた。 第三までは行わない。 これから少しランニングをしてからシャワーをあび、そして朝食をとるのが彼の日課であった。 陸奥たちは朝のシフトに入るといって彼らからわかれ、堀たちは市街地の中心部を軽いペースで走り抜けた。 朝の市街地は、ニューヨークのように碁盤の目状に区分され、朝霧とビル街が黄金色に染まっていた。 すれ違う人々はいずれも内地より背が高い。 自動式信号機のサインが変わるのを待つ間、朝の出勤者と夜勤明けの者たちがスーツ姿で街を行きかう。 道を通るのは、清掃車や、鎮守府ナンバーをつけた電気動力の警邏車両。 顔見知りの鎮守府憲兵や警務隊の人々と二言三言言葉を交わした堀は、神崎市の中央に位置する神宮公園へと寄った。 巨木の杜の中を走って進む。 まだ真新しい社殿は、内地から伊勢神宮に加えて九段の杜からの分霊がまつられたばかりの場所だった。 二礼二拍手一拝の作法通りに参拝した堀と随員は、ついで二礼四拍手一拝の作法で常世神宮に参る。 出雲大社と同様の作法であり、これはまつられている神がヒルコという消された神だったからだろう。 ここで息を整えた堀は、官庁街の裏手から高等弁務官府の手前までを一気に走った。 今度はペースは速めである。 「少し記録が上がりましたね。」 「そうかな?」 「ええ。はじめた頃から30秒は縮めていますよ。」 一応、ありがとうと返した堀は、つきあってくれた随員をねぎらい、いつものコンビニエンスストアへと歩き始めた。 ちょっとした悪徳のような気分だった。 ここで、弁務官府カードで軽くミネラルウォーターを買う。 そして、週刊誌のようなゴシップ紙を軽く立ち読みするのだ。 はじめはカストリ雑誌のようであまりよい印象はなかったのだが、これがなかなか面白い。 それに… 850 :ひゅうが:2016/08/08(月) 23 01 10 「ヲ。これは堀提督。おはようございます。」 「おはよう。」 「おや堀提督。今朝も早いですわね。」 肌の色がやや青白い、鎮守府スタッフの一員と会話ができる。 彼女らは深海棲艦。 日本海軍の、いわば敵であった。 彼女らの存在はほのめかされてはいたが、最初にあったときにはだいぶ精神的にこたえたものだった。 理由なく嫌われるなら怒りもするが、それが彼らにとり納得できる悲惨がゆえに、帝国海軍にとっての彼女たちは鬼門そのものだったのだ。 それを先方も理解しているためか、積極的な接触は少ない。 だが、堀をはじめ、山下らは積極的に彼女らとコンタクトをとろうとしていた。 基本的に善良な種族である「艦娘」と違い、彼女らのようなかつて怨念のみで形成されていた荒ぶる神は、その怒りゆえに的確な助言を与えてくれるだろうからだ。 そのため、出勤時間帯にあわせて堀はこのランニングがえりの立ち話を続けていたのだった。 最初は罵倒もされた。 だが、現役復帰組であることを理解していた彼女らは、徐々にこうして話をしてくれる程度には態度を軟化させている。 「聞きましたわよ。こんど、アメリア・イアハートがくるのですって?」 「耳が早いな。」 「そりゃぁ、情報部勤務ですからね。」 中枢棲姫が笑う。 勤務時以外の彼女は、やや色白で豪奢な髪を有する女性である。 言葉もそれほど乱れてはいない。 「アメリカとしても、やはり再度の情報収集は必要なのだろうね。」 「この島の位置からいって、情報は多ければ多いほうがいいですからね。私たちには迷惑な話ですけど。」 「苦労をかけるね。」 「仕事ですから。」 感謝と謝罪を彼女は軽くさえぎった。 「まぁ、体に気を付けて。」 「ありがとう。」 そう言った頃には、彼女はすでにレジへ向かっていた。 朝食用らしい紅鮭おにぎりと野菜ジュースを手にしているあたり、本当に時間がないのだろう。 「まだまだ、かな?」 「中枢サンの言葉じゃないけど、私たちはバカが嫌いなだけで、基本的に堀さんたちは嫌っているわけじゃないですからねー。」 ヲ級という群体的な存在の女性が軽くいった。 「神崎提督の言によると、好きの反対は無関心らしい。」 「ヲっ。よくわかっているじゃないですか。」 「痛いほどね。」 基本的に、彼女らは日本本土の行く末には無関心だった。 「まぁ、それでも相手をしてもらえるだけありがたいとは思っているよ。」 それならいいです。とヲ級も返した。 「さて、今日は昼はどこにしようか…」 「それならいい蕎麦屋ができたんですよ。行きますか?」 「それはいいね。ここのところ洋食ばかりだったから。」 なんだかんだで彼女らも艦娘と同じく、基本的には善良だな、と堀は思った。 851 :ひゅうが:2016/08/08(月) 23 02 24 【あとがき】――働く深海さんたちと堀さんたち。 今日も島は平和です。 なお、山下さんは比較的朝が遅い模様。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3171.html
337 :影響を受ける人:2015/07/26(日) 22 36 50 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第七十話 ―ホウ・レン・ソウ― “オニグモ”殲滅以降、ネウロイの攻勢は再び落ち着きを取り戻した。 別に攻勢が止んだわけではなく、只頻度が低くなっただけではあるが。 それでも最前線の将兵にとっては多少息抜きが出来る猶予が生まれ、酷使し続けた武装の交換なども行えるのでありがたかった。 空戦に関しても“スズメバチ”“ウシアブ”と言った小型ネウロイが中心となっている為、通常戦闘機隊である程度対処できるようになった。 損耗著しく、補充もなかなか効かないウィッチ部隊は順次後方に下げられていく。 無論完全に下げるわけではなく、時折思い出したように“アホウドリ”が襲撃してくるのでその対処がメインだ。 それでも以前に比べれば、天と地に等しい差がある。 そんな中、江藤敏子は御伴として加藤武子と、黒江綾香を連れて大陸層司令本部に赴いていた。 ――――― 「なるほど。それで殆どを取り逃した・・・と?」 「はい。あれらの動きは通常のネウロイとは違いました。 エースパイロットのような機動、隙を埋める連携、どれをとっても一級品です。」 報告書に目を透しながら田中ウメは視線のみを敏子等に向けていた。 届けられた報告書の中で、最も気になった情報。 ベテラン戦闘機乗りの働きをするネウロイ 目を透した時、現実味は無かったのだが。敏子がそんな報告をするわけが無いと思い、今回呼び出して直接聞く事にしていたのだ。 やはりこうして生の情報を聞く方が、書類で見るよりもよほど現実味が加わる。 書類を置き、手を組んで顎を乗せる。 「それが事実であるならばゆゆしき事態になります。わかりますね?」 「はい。もし奴らが他のネウロイに機動戦闘を教えれば、戦線は瞬く間に崩壊します。」 「そうです。そうなれば、最初に犠牲になるのは学兵等です。 豊臣内閣が倒れ、臨時織田内閣が発足し、現在派兵していたウィッチの第一陣が帰投中。 ですが彼女等が戻ってくるまで彼等が強化されてしまえば、本土進攻もあり得る。」 敏子の後ろに控えている二人から唾を飲む音が聞こえた。 全てのネウロイがあのベテランネウロイのような機動となる。最悪の現実。 この危惧が現実のモノとなれば、現在進行中の撤退作戦が崩壊。 最悪大陸の兵士の殆どが取り残され、決死の防衛戦が扶桑海にて起きうるのだ。 その時間を稼ぐために自分達奮闘する事になるだろうが・・・学兵を守りながらの戦闘は考えたくない。 「あれを取り逃がした責任は私にあります。」 「「中佐!」」 「・・・・・・」 真っ直ぐにこちらを見る部下を見つつ、心配そうにする後ろの二人をちらりと一瞬だけ一瞥する。 そしてひとつ息を吐くとメガネを押し上げた。 「別に責めはしません。」 そう言うと、あからさまに二人の気配が安堵に変わるのがわかった。 内心で良い部下を育てていることに嬉しく思いつつ、もうちょっと腹芸を覚えて欲しいと思う。 真面目な所は自分から学んでいるのだろうけど。 「この事実は、全ての部隊に知らせておいた方がいいと私も判断している。 そして全ての国にも、です。」 「ネウロイは学習する・・・それを伝えるという事ですね。」 「今まで奴らは物量の力押しだけ。そこに技術を持つ敵が出現するとなると、今までの対処法では上手く行かなくなる。 早急に研究せねばなりません。」 ネウロイが人類と同じ機動戦闘をする上で、最も有利な事がある。 1:人を乗せているわけではないから、重力作用を考慮しなくていい。 2:全身金属塊のようなモノだから、強度も考えなくていい。 3:プロペラなどの影響を考慮しなくていい。 4:武装を考えなくていい。 以上だ。この点が、人類側が不利となりうる要素と言える。 巴戦は戦闘機乗りの花と言う輩もいるが、敵は一撃離脱をメインに使っている。 いくら誘っても乗ってこないのであれば、こちらも一撃離脱にせざるを得ないだろう。 ウィッチには厳しくなるが、幸いにして扶桑の航空歩兵教導本には近接戦闘術がある。 ある程度は問題ないだろう。 338 :影響を受ける人:2015/07/26(日) 22 37 22 その後、軽い話を二三した後で退室した。 部屋から出て、しばらくして後ろの二人が大きく息を吐く。 気配で察知した敏子は苦笑する。 「なに。緊張したの?」 「それはしますよ。」 綾香はそう言うと肩を軽く回してコリをほぐす。 「なにせ平時で大佐まで上り詰めたお方ですしね。」 「雲の上と言うか、何と言いますか・・・」 「まあ、あの通り厳しく真面目な人だからな。無理もないわね。」 カラカラと笑いながらそのまま食堂に向かった。 ここに来る前に約束した甘味を驕るためだ。 この約束が無かったら、二人は来なかっただろう。 疲れたように座る部下を見て苦笑し、餡蜜を三つ頼む。 そして出されたお茶を一口飲んで、武子がここに来るまで考えていた疑問に思っている事を口にした。 「しかしなぜ我々を連れてきたのですか?」 「それはここの雰囲気を知っておいてもらいたいからよ。」 ああ、やっぱりと二人は内心で思う。 「・・・昇進の件ですか?」 「優秀な部下を持つっているのは良いわね♪」 ここに連れてきた理由は簡単。自分の右腕が欲しかったからだ。 直轄部隊の中で優秀な二人は、まさに敏子にとってかけがえのない部下なのだ。 「大佐になるのはいいけど、田中大佐と同じになるっていうのは胃に来るのよ。」 「それで一緒に苦しむ仲間が欲しいと・・・」 「そう言う事♪」 微笑んだ上司をみて「ああ殴りたい。この笑顔。」と言うタイトルの、最近見た小説を思い出す二人。 ショートストーリの小説なのだが、最後にこう締めくくられる。 それを実感してしまう事に内心涙した。 拳を握りつつも、自分達が若いのにここまで昇進できているのも、目の前の人のお蔭だとわかっている。 二人は遠慮なしにおかわりをすることに決め、上司を泣かした。 ――――― 時同じくして、違う建物にて上司にこっぴどく怒られた北郷章香が、よろよろと退室して廊下を歩く。 その後ろから付いて来るのは旭川梨奈だ。 「いやぁ。大噴火でしたねぇ。」 「ぅぅぅ・・・耳が痛い。」 ケラケラ笑う元副隊長を無視し、章香はそのまま進む。 「しかし、大佐が怒るのは無理もないですよぉ。」 「あの時の、あの判断は間違っていなかった。」 「けど、旗本さんにも怒られたのでしょうぅ?」 「・・・ウグゥ。」 正し過ぎてぐうの音も出ない。 「これから大佐になって、海軍航空歩兵部隊を率いる御方が、あんな無茶をすること自体おかしいのですよぉ。」 「それはだな・・・」 「学兵が悪影響を受けたらどうするのでぇ?」 「もういい・・・」 情け容赦ない口撃に降参するしかなかった。 溜息を一つ着いてそのまま玄関へと向かう。このあとやる事は山ほどあるのだ。 本土に戻った際の部隊編成。 戻ってきた兵士達の分配。 その他諸々・・・ 軍隊もお役所仕事。仕方がない。 まだまだ最前線で戦いたいが、そうも出来ないのが社会に出た人間と言うモノ。 気持ちを切り替えようと前を向き・・・何やら走り込んでくる人物が見える。 その人物を見た章香はすごく複雑な顔になりあとずさった。 反対側に逃げようとしたが、建物の構造上行き止まり。 更に言えば、後ろには邪魔な梨奈がいるので逃走以前に無理。 結局章香は、不審者のダイビングボディプレスを受ける羽目になった。 「たぁぁぁぁいぃぃぃぃちょぉぉぉぉぉぉ!!!♪♪♪」 「ぬぉぉぉぉ!!」 倒れ込む二人を支えずに避ける梨奈。薄情者だ。 床に倒れても不審者は章香の豊満な胸に、顔をグリグリ押し付けてくる。 339 :影響を受ける人:2015/07/26(日) 22 37 52 「アアァァァァァ♪ 隊長ぉ、お久しぶりですぅぅ♪」 「ぬぁぁぁぁぁぁ!! 離れろ風間ぁぁ!!」 「嫌ですわ嫌ですわ♪ こうして会えたのは運命ですよぉ♪ 扶桑離れてからと言うも、一度も隊長を忘れた事撫でないのです♪ ああ隊長匂いが私を興奮させるゥゥ♪」 怒涛の勢いに相変わらずだなと二人は思った。 大機付いてきた人物、風間ランはもう三十路前なのにレズビアンな困った人。 しかも年下が大好物ときている。 ウィッチの定めにより外見の老化が遅いので、二十代前半に見えるのが弾に傷と、元部隊メンバーは考えていたりする。 そんな彼女は最後の派遣部隊に編入されていた筈で、最初に帰ってくる部隊名簿に載っていたのは確認していたのだが・・・ 「風間さん。いつお帰りにぃ?」 「呪歌使いが足りないからって言うから、直行便で今朝帰ってきたのよ♪」 「離れろ、離れてくれ!」 「あいさつに向かわ無くてよろしいのでぇ?」 「まずは隊長成分を補給しないといけないのよ♪」 「首に鼻を近づけるなぁぁぁぁ!!」 暴れる章香に、がっちりと組みつくラン。傍で見ている梨奈は助けようともせずに飄々と対応する 余りにカオスな空間に誰も近寄ってこない。 遠目から皆、ヒソヒソと話すだけ。 正直苦手な人物だが年上であるし、先輩格なのでどうしても乱暴が出来ない章香は内心で涙を流しながら訴える。 「お願いします。離れて下さい!」 「いっや♪」 即答で断られた。 どうすればいいんだと困り果て、マジ泣き十秒目になった所でランが急に離れた。 「え、あ、ちょ!?」 ランが離れたわけではない。長身の人物が彼女を持ち上げたのだ。 人の愛瀬を邪魔した不届き物を睨もうとして振り返り、蘭はそのまま硬直した。 「ぎぁははははははは!! 久しぶりじゃねぇですか先輩さんよぉおぉ!!!」 「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!! 野獣が何でここにいるのよぉぉォォ!!!!????」 風間ランが唯一苦手とする人物、真嶋志麻が立っていた。 「俺も隊長に呼ばれていてよ。待機していたら先輩さんが飛び込んでくるじゃねぇの。 こりゃ挨拶しねぇとなぁっと、思ってなぁ。 ギィシシシシシィ!」 「いやぁぁぁぁぁぁ!!! 離してェェェェェ!!」 更なるカオスになった現場に、誰も近寄る事は無くなり。ヒソヒソ声も無くなった。 結局カオスな空間は、上司たる水瀬ササリ大佐が怒鳴り込むまで形成されるのであった。 以上です。 上司は頑張るよ。 暫らく戦闘は無いです。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/4339.html
718: 影響を受ける人 :2017/01/22(日) 22 30 03 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 オリジナル設定、個人的解釈が入っています。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第百一話 ―扶桑海事変-05― ―雲仙型重巡洋艦三番艦【田代】:艦橋― 第三打撃艦隊として編成されていた一隻の戦艦、二隻の重巡、そして駆逐艦数隻は第二打撃艦隊に合流すべく急いでいた。 しかし、いかに自分達の庭と言える扶桑海とはいえ、すでに何度も敵が浸透している為に、周りをしっかり見張らねばならない。 現状、馬鹿な司令官のせいで航空支援を望めない状況だ。 既に戦端はきられ、第一打撃艦隊・第二打撃艦隊共々発見されている。 ならばなおのこと急がなければならないのだが、先方から「合流中止」を打電されてしまった。 戦闘中に陣形を組み直すなど、自殺行為しかならないのはわかりきっている為、この指示は正しい。 正しいのはわかるが・・・ 古田高雄の悩みは尽きない。 「やはり、口惜しいな。」 扶桑皇国海軍の最新鋭重巡洋艦。 幼き日より、海上に浮かぶ戦船を目にしてきた。 そして将来はあの大きな船に乗りたいと、ずっと思い続けていた。 その願いは叶い、こうして軍艦の艦長としてこの場に立っている。 「仕方が有りませんよ古田艦長。」 副艦長が後ろから声をかけてきたので振り返る。 「聞こえていたかな?」 「ええ。」 小さく呟いたつもりだったのだが、思ったよりも大きい声になっていたようだ。 しかし、扶桑男児であり。皇国軍軍人であり。国を守る職業に就いた以上、戦闘に加われないというのは・・・ 「言われていた魚雷に関してですが、取りあえず信管を抜いておきました。」 「そうか。すまないな。」 「派閥争いのせいで、いらない武装をしていますからね。 水雷長の前で言うのもなんですが。出港前に置いていきたかった。」 「派閥か・・・ 俺には関係のない話だ。」 「ですが、最近はそうも言っていられないと聞きます。」 「堀井大将が大人しくなったと聞くが?」 副艦長は溜息を一つ吐き、帽子をかぶり直す。 「確かに堀井大将はなにかあったのか大人しくなられました。 しかし、下の者達がどうにもキナ臭いとか。」 「そうだな・・・ 今回の作戦拒否のような行動。陛下が許すはずもない。」 「陛下は政治に対しても、軍事に関しても、何も言ってはいませんが?」 「だからと言って関心が無いわけではないだろう? 事実、突入隊として選ばれたウィッチに対し、秘蔵の武具を渡したという。」 「秘蔵の武具・・・ですか。正直信じられません。それで勝てるのでしょうか?」 「それはわからん。しかし、陛下は聡明な御方だ。決して無駄な事はすまい。 ・・・人伝に聞いたのだが、九鬼大将が武具の受け渡しの後。胃のあたりを抑えつつも、 「まさに一騎当千となりうる武具だ。」 っと、いっていたらしい。」 「九鬼大将が・・・!?」 副艦長が驚く。もっとも、その後の言葉が有り「しかし・・・もう少し自重して頂きたいものだ。」と愚痴っていたのだが。 すると伝令が駆け寄ってきたのが見えた。 「どうした。」 「はっ! 長門より通信が送られてきました。こちらです。」 そう言って伝令はメモを手渡す。 古田はそのまま視線で読むとにやりと笑い、メモを副艦長に渡す。 そこには第二艦隊の現状が克明に描かれており。同時に作戦内容も書かれていた。 「第二打撃艦隊に“オニグモ”ですか・・・そして・・・」 「悪くないな。」 「ええ。」 古田の視線は前方を向いており、その視界では光信号で『続け』と指示している【陸奥】の艦橋が見える。 「さて、仕事だ。」 719: 影響を受ける人 :2017/01/22(日) 22 30 33 ――第一打撃艦隊 上空―― 「クソッたれ。何時まで攻勢つづける気だ!?」 天龍空姫が悪態をつきつつも機関銃で“スズメバチ”を追い払う。 すると疲れ気味の須藤つばめが飛んできた。 「隊長。すでに弾薬が残り少ないです。」 「そうだな・・・」 敵の攻勢が思った以上に早く、急いで出撃してきたために誰しも消耗が激しい。 天龍自身も新品だった刀が、何度も叩き付け過ぎたせいでボロボロ、棍棒のような事しかできない。 シールドブレードでも使えれば話は別だろうが、自分にそんな器用な真似は出来ない。 すると、視界の端に援軍が飛行しているのが見えた。 すぐさま向かうと、 「お、陸軍じゃねぇか。」 「申し訳ない。遅れてしまった。」 アナスタシア・ジュガシヴィリ・葛城が率いる狛犬隊と轆轤(ろくろ)隊に、鎌鼬隊だった。 轆轤隊と鎌鼬隊はすぐさま敵に突撃して行く。 同時に天龍隊の面々が牽制弾を放ちつつも交代していく。 「いや、いいタイミングだ。」 「そうか・・・ 状況は?」 問われ、天龍の表情が苦虫を潰したようにある方向を向く。 そこには悠々と大空を泳ぐ“オニグモ”がウィッチ達を蹴散らしていた。 「“オニグモ”の奴。初撃の砲撃喰らってからビビッて近寄ってこねぇ。」 「どういうことだ?」 「最初、そのまま馬鹿正直に突っ込んできたのさ。 そんで【紀伊】以下、狙える三隻で大砲ぶっ放したのは良かった。 着弾位置を大きくずらしていたのも効いたんだろうな。なんとまあ4発も食らって、あわってて艦隊の外側に移動して今は牽制攻撃しかしねぇ。 こっちから攻撃しても、墳進砲の攻撃よりも大砲が怖いのか避けもしなくなった。 おかげで釣る事も出来やしない。」 「厄介だな・・・」 思った以上に厄介な現状に葛城は頭を抱える。 これから交代して、さらに“オニグモ”を誘導しなければならない。 「これはかなり忙しいぞ・・・」 「手伝えればいいんだがな。」 「消耗しているのだろう? 急いで戻った方が良い。」 「すまねぇ。」 詫びとの為に深々と頭を下げ、須藤を連れて後退していく部下の後を追った。 それを見届けると、すぐさま轆轤隊と鎌鼬隊に連絡を入れ、手短に説明する。 「思った以上に状況が悪い。」 『それはまた・・・』 『おお、それは頑張らないとネー』 鎌鼬隊隊長飛龍優花が呆れていると、轆轤隊隊長はむしろやる気を見せる。 「考えとしては・・・『それは私がやるネー』まだ何も言っていないが?」 『自分の能力忘れちゃ駄目ヨー』 轆轤隊の隊長は転生者だ。しかし自分が男性だったのか女性だったのか、まったく覚えていないという珍しいパターンの転生者でもある。 ただ印象的に残っているキャラクターが、髪の色含めて自分に良く似ている為、それを自分の個性として活用している。 そして能力持ちであるのだが・・・ 「【害意誘引】・・・だったか?」 『むぅ?』 良く知らない寒衣シキが唸ると、飛龍が説明をする。 轆轤隊隊長の能力は、敵味方無差別に作用する範囲型。 効果は単純。敵意を自分抜向ける。もしくは自分に対する殺意を増加させる。 ある意味、狂戦士化させる能力なのだ。敵味方無差別に。 正直言って葛城は、こんな能力を与えた神様を罵りたいと思っている。 『そうなのヨー。』 『むぅ・・・』 『寒衣。思い悩むのはわかるけど、黙っておきなさい。』 天龍の話から高攻撃力を放っても、戦艦の主砲以下はすべて無視するらしいとわかっている。 だが、この場で能力持ちは彼女だけ。 悩む葛城の耳に、飛龍が賛同の声を上げた。 『それに、ココは強引にでもやらないと不味くない?』 「・・・時間も無い、わかった。だが。」 『はは。回避と防御能力、逃げ足が速いのが私の特徴ですネー!』 陽気に笑う彼女に対し、葛城は歯を食いしばって心中で謝る。 そして部隊全員に作戦とは言えない作戦を伝えた。 730: 影響を受ける人 :2017/01/23(月) 20 26 32 ――第一打撃艦隊旗艦:戦艦【紀伊】―― 佐宗縄斗【さむね なはと】。しがない新聞記者である。 行動力は同期に比べると非常に高く、面白い記事を書くので部長は目を付けている。 しかしながら彼の執筆速度は御世辞にも早いとは言えない。それでも下から見れば十分早いのではあるが。 そんな彼は現在戦艦に乗り込み、上空の戦闘を写して・・・いない。 「遠すぎる・・・」 一時は近づいてきた巨大な敵は、今は艦隊外周部よりも遠くに陣取っている。 これだけ離れると主砲の命中率は下がってしまう。 それを理解していたので望遠レンズで撮影を試みていたが、やはり遠すぎて見えない。 海上の覇者と言える戦艦に乗り込んだ当初は喜びに震えた。が、戦闘に入ってから生きた心地がしない。 上空から襲い掛かる“ウシアブ”。海水を恐れず低空飛行で突進してくる“スズメバチ”。 駆逐艦や軽巡を執拗に狙う“アホウドリ”。 知っては、いた。ただ、現実を知らなかった。 こんなに恐ろしい物に立ち向かう少女達。それを援護する男達。 詳しく書きたいのに書けない。もっとわかりやすく書きたいのに、まるでページが足りない。 そんな思いが、彼の中を渦巻いている。 「おい。アンタ、大丈夫か?」 「ええ、大丈夫です。そちらは?」 声をかけてきた兵士は、攻撃を受けて潰された砲座の一人だ。 その際、たまたま近くにいた佐宗が救助の助けをしたので、礼を言いに来たのだ。 「さっき、一人な・・・」 「そうですか・・・ えっと、其れでなんでしょうか?」 「ああ、なんでも彼女等が敵を引き付ける作戦を立てたらしいんでな。教えておこうかと。」 「そうなんですか!?」 それを聞いて、すぐさまカメラの調子を確かめる。同時にフィルムも確認した。 その様子を見ていた兵士は苦笑しつつ、新たな配置場所に急ぐために足早に立ち去る。 佐宗がカメラを構え直した時に礼を言おうとしたが、もう兵士はいなかったので後で礼を言おうと心の中でメモをしておく。 カメラを通して視線を“オニグモ”に向けると、一人のウィッチが“オニグモ”の前に出た。 しばらくは追い返すように攻撃をしていたのだが・・・ 挑発行為をウィッチがし始めると、段々攻撃を集中し始める。 そして、進路を変えた。 以上です。 遅れてすみません。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3148.html
327 :影響を受ける人:2015/02/08(日) 22 05 16 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 残虐な、流血の表現があります。 それでも良い、という方のお読みください。 今回長くなりました。 提督憂鬱×ストパン+零 第四十八話 ―墜ちる空Ⅹ― 狐火隊隊長:穴吹智子が銃弾を“ウシアブ”に叩き込み、後ろから部下一人が援護していた。 機関銃の弾丸を打ち切ってしまい、補充をするタイミングを逃してしまった智子は扶桑刀で“スズメバチ”切り裂く。 「落ちろ! 落ちなさいよぉぉぉ!!」 同じ空域で狐火隊副隊長:加東圭子も部下一人をつれて、護衛戦闘機が足りていない爆撃機隊に襲い掛からんとする“ウシアブ”に果敢に挑みかかっている。 「佐竹!」 「了解してますよ。副隊長!!」 ほぼ正面からの攻撃に晒されてレーザー発射口を破壊された“ウシアブ”だが、両翼の部分から実弾攻撃をしてくるから油断はできない。 しかし後ろから大口径機関砲で狙いつけていた部下の射撃により、攻撃を行う前に爆散する。 上昇しながらの攻撃は難しい。 だが一応ベテランである部下の射撃に満足しつつ、逆さ落としで乱射してくる“ウシアブ” がまだいることに舌打ちする。 部下二人と学兵(弾薬補充係)が射撃で進路を限定させて墳進砲で攻撃、一体爆散させたが残りがそのまま通り過ぎてしまう。 「避けて!」 振り返った智子の叫びが聞こえたのか、進路を譲る様に爆撃隊が二つに割れる。 その空いた間を“ウシアブ” が通り過ぎるが、後ろから発射されたレーザーに貫かれ、薙ぎ払われて三機が纏めて爆散墜落していった。 その光景を歯軋りと共に見つめていたが、すぐさま次なる敵に向かって飛行を再開する。 「もう! 敵がぜんぜん減ってないのに!!」 『そう言ってられないでしょ!』 通信機から圭子の声が聞こえてくるが、智子とて状況上必要な事だとはわかっている。 地上戦力を迅速かつ、安全に避退させるためには、敵地上戦力を一時的にとはいえ封じ込める必要性があった。 その為の爆撃機豚一だったが、彼等を活躍させるには空襲をどうにかせねばならない。 しかし時間があまりにもなく。敵を引き付けながらの強硬手段をとるしかなかった。 爆撃機隊としても危険は承知の上。 友軍を助けるために、銃弾と光線が飛び交う戦場に出撃してきたのだ。 しかし、連戦により疲弊しつつある通常戦闘機隊の損耗は芳しいものではなく。 護衛に割り振れる数も少ない。したがって現場でどうにかするしかないのだ。 夢幻会としてもどうにかして現場の負担は少なくしてやりたかったが、ネウロイと言う補給要らずの様な連中相手に通じる戦術もすくない。 ましてや防衛戦。最も困難な撤退戦。 「補給に来ました!」 「ありがとう!!」 少しだけ考えに耽っていた智子だが、隙間を縫って現れた弾薬係に礼を言いつつ開いた箱から弾倉を取出し、使い終わった弾倉を詰め込んでいく。 その間二人は並行して飛び続け、周りを部下が警戒しながら飛行する。 「いいわよ。」 「了解!」 勢いよく箱を閉じるのを合図にして弾薬係は護衛と共に離れていく。 “スズメバチ”が時折襲ってくるが相手にせず、牽制射撃のみにして次に圭子の元に向かっていくのを視界の端で見送った。 新しい弾倉を差し込み、先程降下した“ウシアブ”が上昇してきたのを確認して先回りをする。 旋回能力が死んでいる“ウシアブ”は、ひっきりなしに上下運動を繰り返す。 ゆえに待受けるのはたやすい。火力に目を瞑るなら。 328 :影響を受ける人:2015/02/08(日) 22 05 48 再び爆撃機隊に狙いをつけている敵を、降下して迎え撃つ狐火隊。 その横では下田隊が奮戦していた。 早朝から出撃している関係で、狐火隊が戦場に来るころにはだいぶ疲弊している。 体力がまだまだ学兵達が一番きつい。 それでも彼女等は戦っていた。 その中で、弾薬係である小毬の護衛を主な任務としている里子は、目の前で奮戦している凛を心配そうに見ている。 凛とはもう長い付き合いだ。 ウィッチに憧れ、ウィッチになるために入学した里子だったが、魔力は無いに等しいと言われていた。 しかし素質はあるという事で同室に選ばれたのが飯島凛だ。 魔力がある人物と一緒に過ごすことで共鳴し、能力が飛躍的に引き上げられるのは昔から証明された事であったので当然の処置であった。 ただし同室の説明を受けた張本人は、華族と言う身分が上な人に尻込みしたけども。 最初に声をかけてきたのはもちろん凛の方。 世間知らずのお嬢様というイメージだったのだが、話してみると本当に絵にかいたようなお嬢様だった。 そこから色々とはなし、御世話をしていく内にウィッチとして目覚めた。 あの時は本当にうれしく、凛もお祝いしてくれた。 だから凛が志願した時も放っておけず、自分もついていった。 しかし彼女は今・・・己の実力の低さ、才能の無さに苦しんでいる。 同じ様に訓練を受けたのに、若本徹子・坂本美緒・竹井醇子の三人は彼女から見ても異常と言えるくらい実力が上がっていっていた。 飯島凛はそこまで戦闘力は無いが、指揮官としてみれば醇子並にある。 大久保小毬とて弾薬係と言う役目に収まっているが、気配りなどで舞台に貢献していた。 自分はどうだろうか? 実力はこの六人に比べれば低い。共同撃墜しているが単独で落としたことは一度もない。 それでも同じぐらいだった小毬と一緒にいる事で、その考えをしないように心掛けていた。いたのだが・・・ 激化し始めた戦場でだんだん皆との差がはっきりするように・・・ 「くっぅぅ!」 横合いから攻撃を仕掛けてきた“スズメバチ”三体に牽制弾を放ち、小毬と共に回避行動に専念する。 何発か当たるのが確認できるが、連続して当てない限りネウロイには効果が無い。 しかし小毬と下田隊員、三人が張る弾幕を嫌がって“スズメバチ”三体は二体と一体に分かれて回避する。 一体だけなら! そう思って銃を向ける。 だが敵から離れるように機動していたから、あっと言う間にネウロイは射程から離れていく。 「はぁ・・・はぁ・・・」 「里子さん。大丈夫ですか?」 「大丈夫、と言いたいッスけど・・・ちょっとつらいッス。」 荒くなった息を整えていると、心配そうに小毬が隣にやってきた。 その顔を見て最初は気丈に振舞おうとしたが、そんな事をしても目の前の少女は気付いてしまうだろう。 だから正直に言っておく。 そして魔力の欠乏が著しいので、弾薬箱に入れてある飲み物を取り出そうと小毬の背後に回ろうとした。 しかし、小毬はくるりとまわって拒絶する。 「あ~・・・コマッチ、ドリンクを飲みたいんッスけど?」 「駄目です。」 きっぱりと言われてしまった。 扶桑国には、魔力を回復してくれる飲み物がある。 噂を聞いたウィッチなら誰でも欲しがる物であるが、欠点として“かなり不味い”。 一本目は良いが、二本目になると吐き気が襲いかかり、頭痛がし始める。 なにせ強制的に魔力回復する代物だ。薄くすればそのデメリットは無くなるが、今度は大量に飲まないといけなくなる。 329 :影響を受ける人:2015/02/08(日) 22 06 19 小毬としても味方に生き残って欲しい。しかし無理をしては欲しくないとも思う。 だが、すでに里子は一本飲んでいる。だから拒んだ。 それに、だ・・・ 「最近飲み過ぎです・・・ 昨日だって二本飲んで吐いていたのに・・・」 「コマッチ。心配してくれるのは有り難いッス。 魔力運用が下手だから、アタイは魔力の消耗が激しい。 術符に頼ってシールド強化しているけど。それでも消費が追い付かないんッスよ。」 里子としても引けない。 足手まといである以上、無理をしてでもどうにかしなければならないのだ。 それに最近一眠りしても、魔力の回復が追い付いている感じがしていない。 彼女には黙っているが、出撃前にも服用している。 「嫌です・・・」 「山田一飛曹、言い分はわかるが成長期にこいつを飲み続けるのは良くないぞ。」 かたくなに拒む小毬に、一緒に飛んでいる隊員も同意してきた。 こうなっては仕方がない。これ以上飲むのは諦めて敵が来ない事を祈るしかない。 内心で溜息をつくと小毬が何かに気が付いて進路を変更した。 その先では凛と下田隊長が、丁度戦闘を切り上げ引いてくるようだ。 「すまん。銃がもう使い物ならない。予備はないか?」 「小毬さん。弾倉ありませんの?」 合流するや否や二人共矢継ぎ早に聞いてくる。 対して素早く小毬も答える。 「銃は一丁直しました。弾倉は今渡すのが最後です!」 「隊長、どうぞ。」 「もう・・・ これだけしかないのか・・・」 使えなくなった銃を受け取り、反対の手で簡易整備した銃を、背中の箱を開いて弾倉を六渡すと、凛は隊長に三わたす。 損耗の激しさに下田が内心で舌打ちしつつ、チラリと里子の方を見た。 いきなり視線が自分に向いたのでちょっと驚いていると、下田は覗き込むように里子の顔色を見る。 「・・・・・・最近眠れているか?」 「早めに、就寝しているッス・・・」 他にも質問され、気圧されつつすべて答えると「そうか」といって下田は離れた。 「明日の出撃は見送った方がいいな。」 「え?」 「魔力欠乏症の一歩手前になりつつある。このまま戦場に出ても危ないだけだ。」 「そ、そんな!」 ここで離脱する? そんなことは認めたくない! その思いで胸がいっぱいになった里子だが、自分の事は自分が良くわかっている。 反論したい気持ちを抑え、了解の返答をした。 それを沈痛な面持ちで小毬と凛が見つめる。 『やばい! 隊長、“アホウドリ” がそっちに!!』 急に割って入った通信に、全員が周囲を見渡して里子が最初に見つけた。 「ちょ、直上!!」 「「「「っっ!!!」」」」 視線を上げれば、後方に徹子達を引きつれた巨大なネウロイが降下して接近してくる。 すぐに下田達は二手に分かれて衝突を避けようとするが、目の前にいる敵を逃がすほど“アホウドリ”優しくはない。 全身からレーザーを発射し、全てを薙ぎ払おうとする。 完全に逃げきれないと悟り、全員がシールドを張って耐えるしかない。 里子もシールドを張り、術符で強化して耐え続けたのだが・・・急に力が抜け始めた。 (あ、あれ? なんで、魔力がでてこない?!) 急速な魔力消失にあわてるが、敵の攻撃はやまない。 「このぉぉぉぉぉ!!!」 気合を入れ、声を張り上げて耐え続けるが損失感は全く消えない。 焦りが募り始め、恐怖に顔が歪む。思い出すのは先日戦死した学兵・・・ 「いやだ・・・ 死にたくないぃぃ!!」 今出せる全力を振り絞り、攻撃をさがりながら耐え続ける。 攻撃に晒されていた時間は僅かだったが、何十分にも感じられた。 攻撃がやんで“アホウドリ”が地上に向かって降下していくのが見える時には、呆然と浮かんで見送るしかなかった。 ボーっとしていた里子だったが、傍に誰かやってきたので振り返る。 自分は大丈夫だと言おうとして・・・急に視界が下がった。 風を切る音が耳に入ってくる。 体を動かそうとするが力が入らない。 ストライカーが自然と抜け落ちた。 (どうして・・・あれが、ないと・・・・・・) 声も出ない。 落下し続ける里子の視界に、泣きながら迫ってくる凛がみえたから、安心させようとしてそのまま意識を失った。 以上です。 山田里子、魔力欠乏症により離脱。 次回は・・・・・・
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3177.html
837 :影響を受ける人:2015/09/29(火) 22 31 05 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 オリジナル設定、個人的解釈が入っています。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第七十六話 ―戦場の安らぎ― 撤退する日時が決まった。 ただ単に後方に移動するわけではなく、本土に帰還するためにだ。 予め教えられていた事であるので、特に問題なく受け入れられた。ただ一人を除いて。 「そんな~!」 「風間大尉、あらかじめ言っておいた様に思うのだが?」 「もっとかかると思ったんです♪ まだ私の活躍が「・・・それはいらん」旗本さん、ぶった切らないで♪」 案の定、風間ランが猛抗議してきた。 が、決定は覆らない。 「まだ時間があるとはいえ、荷物の整理は済ませておく様に。 それと、食堂が明後日から使用不能になる。軍が雇っていた民間人を、先に本土に避難させるからだ。 対策として、最近の襲撃頻度から待機する人員を増やし、その人員をもって食事を自給する事になる。 本来なら補給部隊を付けたいのだが、引っ張りダコで来る事ができない。 少なからず我々扶桑ウィッチは、将来の為として料理勉強をしているから問題ないだろう。」 食事に関する通達があると、二名ほど視線が一名に集中する。 それに気が付いた飯島凛が、若本徹子に小声で話しかけた。 「どうしましたの?」 「え、あ・・・ いや、そのだな・・・」 「どうしようか。」 要領を得ない答えに、少し眉間に皺を寄せる。 「歯切れが悪いですわね。何時ものあなたらしくありませんわ。」 「えっと・・・ それはだな・・・」 徹子は若干怯えた感じで親友、坂本美緒に視線を向けた。 つられて大久保小毬も凛と一緒に美緒を見る。 「美緒の奴・・・」 「料理が壊滅的に駄目なんです。」 「「はぃ?」」 ――――― 自室に戻った学兵達はしばらく談笑していたが、美緒が席を外すと徹子が全員を集める。 議題は『どうやって坂本美緒に料理をさせないか。』であった。 「美緒さんの料理は、そんなの酷いのですの?」 「ああ・・・」 「あれは料理じゃない。」 重く沈痛な表情の徹子と、明後日の方向を見て光が無い竹井醇子に全員がどん引きする。 皆引いている中、一人が思い出したように呟いた。 「もしかして、調理実習室爆破事件て・・」 「美緒だな。」 「なぜ鍋で煮込んだだけだったのになく爆発したの?」 「一クラス集団食中毒事件があったて、聞いているけど・・・?」 「美緒だな。」 「どうして見た目はおいしそうなの? 食べた後の記憶が無い。」 「剣道部が昨日不能になったのも?」 「美緒だな。」 「先生と先輩に差し入れしたの。食べ終わったら皆トイレに直行して、一週間休んだんだよね。」 全員が更に引く。 余りにも悲惨な事実に顔が蒼白になっていくのがわかる。 そんな皆の気持ちがわかる徹子は苦笑した。 「でも最初の頃の話だ。今は見張っていれば問題ない。」 「切るだけなら問題ないし。単純作業も普通にこなせるから安心して。」 その言葉に全員が安堵した。が、 「でも調味料を使わせるなよ。どうなるかわからん。」 「工夫もさせないでね。前に、御握りに果物詰め込んだことがあるから。」 再度テンションが落ちる。 話を聞き終えた凛は、深々と寝台に座り直す。 838 :影響を受ける人:2015/09/29(火) 22 31 42 「何と言いますか・・・ 法術士学校ではそんな事ありませんでしたわ。」 「普通に料理していました。」 小毬もなんだか疲れたような表情。 それから誰がパートナーになるにしても、美緒を見張る事は決定された。 誰だっておいしく料理は食べたいし、入院なんてしたくない。 この殺伐とした戦場で、数少ない潤いを汚したくはないのだ。 ――――― さて、そんな会話を親友達がしているとも知らずに美緒は、トイレから出て手を洗っていた。 すっきりし、ちょっとだけ鼻歌を歌って廊下を歩いていると、前方から穴吹智子がやってきた。 彼女は美緒の顔を見るなり笑顔になる。 急な感情の変化に何だろうと思いつつ、廊下脇に寄って敬礼をするのだが智子は軽く手を上げて抑えた。 「いいの、いいの。 わたしは陸軍だから、海軍式の敬礼されても困るわ。」 「あ、そうでした。申し訳ありません。」 「だから良いって・・・ 結構お堅いのね。」 「良く、言われます。」 気にしている所を指摘され少し不機嫌になるが、これも自分の不服とするところだと思い、変えていこうと誓う。 それから二人は少しだけ話をした。 剣術の見解。 空への憧れ。 そして早良ミチルについて・・・ こうして話してみると思いのほか、目の前の女性は良く話しかけてきていることに気が付く。 とりあえず目線があった時、会議の時、何かと先に口を出すのは決まって彼女だった。 よく副隊長の加東圭子が愚痴っているのを聞くが、隊員との関係は良好だ。 そして隊員は皆彼女よりも年上。だけどよく指示に従っている。 穴吹智子と言う人物は、以外とリーダーシップ溢れる人なのかもしれない。 その代りと言っては何だが、副隊長当たりが大変苦労すだろうけど。 将来一部隊にとどまらず、もっと大きな部隊を率いるかもしれないと思うと尊敬する気持ちがわきあがってきた。 自分もそうなれるのだろうか? 「ねぇ・・・聞いてる?」 「あ、すみません。少し考え事を・・・」 思考していた為に、何の話をしていたのか忘れてしまった美緒はワタワタと謝る。 少し不機嫌だった智子はその様子を見てすぐに笑顔にかわった。 「大丈夫。気にしてないから。」 「・・・すみません。」 壁際に寄りかかりながら話していた智子は、背伸びをして壁から離れる。 そしてそのまま首を左右に振ると「ゴキゴキ」と音が鳴った。 踵を返し、軽く手を上げて去ろうとしたが、すぐに何かを思い出したのか慌てて美緒の方を向く。 「ああ、わすれてた。 さっき総隊長が、移動映画屋が来たから皆で見ようって。」 「映画ですか!」 この時代、テレビなんてあるはずもなく、しいて言うならラジオ位な物。 庶民にとって映画新聞は貴重な情報源で、最大の娯楽と言えた。 美緒は短期訓練していた時期に、一回だけ見たぐらい。 そう頻繁には見れない。 「映画、なんでしょうね。」 「う~ん。なんだろう? 前に見た任侠物の続きだといいんだけど。」 「私は本土で見たアニメの続きが良いです。」 「アニメ? なんの??」 「確かタイトルが“それゆけ! 鉄人●号 第十五話:阪は登らない、駆け下り転がる物”だったかと・・・」 「・・・それって、敵を最初にぶっ飛ばすけど、最後は味方もぶっ飛ばすギャグアニメじゃ?」 「そうです。見たことが?」 「うん。まだ続きがあったんだ・・・」 ――――― 映画の話は瞬く間に基地中に広まった。 どんな映画が上映されるかは秘密にされ、どんなものが見たいか、どれが見たくないか、どんなものが面白かったか、会話が各所で弾む。 設営場所を覗きにいた学兵の一人が「三ヶ所に作ってる。」というと、更に会話が弾んだ。 殺伐とした戦場での潤いに、皆が子供の様にワクワクしながら待っている。 当初は男女別々だと思われていたのだが、混合だと言うとちょっと困惑があったがすぐにどうでもいいとばかりに消えていく。 この映画鑑賞、実際にはお見合いと言う意味も含まれている。 扶桑皇国ではウィッチは手厚く保護されている。 無論他国もそうだが、九曜葛葉の干渉によりある程度の利権や免除があるのだ。 これは家族にも及び、一人いるといないとでは違うとまで言われる。 しかし代わりに背負う義務も発生する為、一概にいいとは言えない。 839 :影響を受ける人:2015/09/29(火) 22 32 16 義務の一つとして早期結婚制度がある。 ウィッチとなるとお見合い等を必ずセッティングされて、一度は受けることになる。 血統を濃くするためであり、断絶させない為の工夫だった。 一応結婚するいかんは本人の自由意思だが、年齢が高くなるにつれてお見合い頻度は多くなる。 「結婚したくない!」と言い張ってもいいのだが、そうなると今度は一部の利権や免除が剥奪されてしまう。 まあ、大抵は制度を利用して結婚するウィッチが全体を占めているので、主だった問題は特に発生していない。 利権免除等も、法律をよく理解していないとうまく使えないので、知っているけど内容は知らないのウィッチが多い。 それはともかくとして、彼女等の話に戻そう。 夕食を食べ終わり、夜戦部隊と交代した隊員達も映画の話を聞くと大急ぎで夕食を食べて、映画鑑賞はスタートした。 ――――― アニメ映画は学兵達が占拠しているような状況になっていた。 美緒がロボットの動きに一喜一憂し、徹子が戦闘シーンで何度も大声を上げそうになる。 醇子と小毬は「ネウロイに、ああいうのもいるのかな?」と、場違いな会話をしている横ですまし顔の凛も口元は楽しそうに歪んでいる。 北郷章香は学兵達の中で一緒に見ていた。 「ううむ。あの敵ロボ。動きが良いな。」 「そうですよね! ちゃんとして剣術の動作していますよね!」 「美緒、うるさ・・・ぉぉぉぉぉぉ!!!!」 注意しようとした徹子であったが、視線は映画にくぎ付け。 丁度主人公が操る鉄人が動作不良を起こしてゴロゴロ転がり、カサカサとケツから敵ロボに体当たりをする。 「鉄人の攻撃は、何と言うか・・・・・・卑怯に見えます。」 「黒いから余計にあれに見えるな・・・」 「製作者は何を考えているのでしょう。」 凛が「下品ですわ。」と言うと皆頷く。 しかし鉄人の不規則でコミカルな動きにみんなが笑う。 大人には不評の作品であるが、出来はかなり高く、制作者が黒く塗りつぶされているのが悔やまれる。 ストパンキャラが面白くて笑っていると知ったら、邪気眼な彼は宇宙に飛んでいく事だろう。 場面は変わり残り二つの場所でも映画は上映されているのだが・・・ 子供達のトコロとは打って変わって静かだ。 普通ならばワイワイとまではいかないが、それなりに賑わっているものだろうが・・・ 「・・・」 「・・・」 なぜか殆ど女性陣ばかりだった。 理由は、男性陣は皆な若い女優が出演する方に行ってしまい、ナイスミドルな叔父様と既婚者しかいない。 これでどう話しかけろと? 叔父様は基地司令官だし、整備班長は既婚者だ。 かと言ってあちらに行っても、映画女優を見ると負け組な気がして見に行けない。比べられるのも嫌だ。 女性陣は内心で溜息を吐きつつ任侠映画を見る。 画面の中でナイスミドルな叔父様がこちらを見るがときめかない。 華やかさが無い映画鑑賞であった。 以上です。 提供して頂いたネタを使用しました。 こんなのでいいのだろうか(汗
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/644.html
42 :2-683:2015/02/10(火) 21 38 23 ID f0bhMS82 香取は衝撃的だった 見た目と言動が だからキャラ掴みやすいんだろうけど、書くの早いよ…… こちらは非エロだけど投下させてくれ 43 :2-683 比叡:2015/02/10(火) 21 39 10 ID f0bhMS82 「……ぁ、ひ、ひえー!! 射撃できないと思ったら、間違えてチョコ装填してました! 司令、あげます!」 自分は反応の仕方に悩んだ。 演習を行ったところ、旗艦であり秘書である戦艦比叡が、一度も発砲できなかったのだ。 自分の目で見た訳ではないから、そもそも発砲しようとしなかったのでは、と疑った。 そこで帰投する艦隊の比叡を問い質すべく岸壁で迎撃態勢でいたのだが、 艦隊解散命令してここにいるのが自分らだけになったその時。 比叡は主砲装填口から茶色の徹甲弾を取り出して私に差し出したのだ。 こら、そっぽ向いてないで此方の顔を見なさい。 そして比叡が放った科白が冒頭のそれである。 だから自分は悩んだ。 それを取り上げて叱咤すべきか、謝礼を通達すべきか。 昼食はあ号定食にすべきか、い号定食にすべきか、と言う程度の選択である。 要するに、下らない選択だ。 「あの、そう冷めた目で見られるのはつらいです」 「自業自得だ馬鹿者」 自分は下らない事で悩む為に静止しているうち、比叡は恐る恐る此方を伺った。 自分は比叡の言葉で我に返り、取り上げる選択を取った。 やはりと言うかまさかと言うか、これは茶系統に着色した徹甲弾ではなく本物のチョコレートのようだった。 「演習と言えどふざけるんじゃない。実戦なら死んでいるぞ」 「ふざけたんじゃないんですよ! 本当に間違えたんです!」 「尚更いかん!」 全く。 朝からどの艦もバレンタインだのチョコだの騒ぐし、秘書はこのような成りだし、 この鎮守府の規律は一体全体どうなっているのだ。 指揮する提督の顔が見てみたい。 「顔ですか。冗談の通じない仏頂面です」 ゴッ!! 「ったあ!」 「それ以上言うと叩くぞ」 「叩いてから言わないで下さいよぉ……」 手刀を叩き込んでやった。 元々こういう顔だし、時と場合を弁えない冗談等冗談にならない。 全く、全く、全く……。 44 :2-683 比叡:2015/02/10(火) 21 40 48 ID f0bhMS82 「で、姉妹にはやったのか?」 「え?」 頭を擦る比叡は、私の問いに惚けた。 此奴の艦橋は的外れと言うか阿呆な電報を打つ設計のようだが、もしや受信する事さえ困難になってしまったか。 自分の中ではずっと前から"残念"と言う一言に印象が集約していたが、それは今や"無念"に変わってしまった。 比叡よ。御召艦を務めた貫禄は風化しているが、ごく一部の人は、これから先も覚えてくれる筈さ。 私は自信がない。 「なんで憐れむような目を向けられているか分かりませんけど、怒ってないんですか?」 「む、まだ説教され足りないのか」 「いえもう充分です! 姉妹で交換しましたよ。特に、お姉さまには気合もばっちり込めました!」 そうかそうか。 その場に居合わせていないから姉妹の反応が果たして喜びのものだったかは分かりかねるが、殊勝な事だ。 あげるだけでなく貰うこともできたとは嬉しかったろう。 姉妹の仲が円満なようで微笑ましい。 個性的な艦が多種多様にあるが、此奴らは皆を照らす太陽のような輝きがある。 此奴の個性を表すように弾を模ったこのチョコを姉妹に渡す場面は、此奴の笑顔と共に眩しくも想像できる。 只最低限、アルミ箔で包む等はしたほうが良いと思うのだがな。 普通は包装にも入念に気を遣う筈なのだが、どこかずれた設計である此奴にそれを求めるのは諦めた方が良さそうだ。 「よかったじゃないか。で、私へのこれには気合は入っているのかな」 「あ、はい。それなりに」 反応の仕方に悩む事なく即座に苦笑を返した。 姉への贈り物について語った先とは随分な温度差だが、これも何時もの事なので今更である。 それでも、少し、ほんの少し妬ける。ここまで慕われている此奴の姉がだ。 だから少しの悪戯心ができた。 「ふうん。気合が入りすぎて徹甲弾と間違えたか、それなり程度の気合だから間違えたか、どちらだ?」 「そ、その話はもうやめてくださいよ……」 気まずそうな顔に一変した。 此奴はこう弄くると面白い電報を打ってくれるのだ。 だからやめろと言われてもまだやめない。 「演習を疎かにしてまで砲に仕込んでおく辺り、実は入念に気合を入れたのだろう? お前は不器用に愛を告白するヒロインか」 「っ! ぁ、愛って……」 45 :2-683 比叡:2015/02/10(火) 21 41 19 ID f0bhMS82 比叡は熱暴走を起こしたように顔を朱色に染めてそう呟いた。 なんだなんだ。本当にヒロインのようだ。比叡にしては上手く演じているな。 居眠りを隠蔽する普段の垢抜けなさを海に投棄してきたか。 な訳がない。これも隠すことすらできていない、しようともしていない本性だろう。 少しからかわれた程度でこう恥じるところこそ垢抜けない。 比叡は顔を染めながらもずいと顔を近付け訴えかけてきた。 近い。私は肩より上を後方に引く。 「それは義理ですよ! 司令には一応お世話になってますから、一応! 変な勘違いはやめてくださいよ!?」 勘違いも何もしていないから安心しろ。 只二度言う程大事か。その"一応"と言う添加物は。 逆に言えば貰えるだけ蔑ろにはされていない見方もできるので、素直に感謝しておこう。 ここで謝礼を述べずそれが仇となって蔑ろにされては目も当てられない。 「ありがとう。気持ちだけ受け取っておく」 「はい! ……はい? 今なんと」 しまった! 余計な一言まで……。 「司令、今"気持ちだけ"って言った? "気持ちだけ"って! 私が作ったチョコが食べられないんですか!?」 何故上から目線なんだ。 今時そんな常套句を使う人間は軍令部でも見た事はない。 比叡よ。お前が御召艦を務めた経歴があろうがな、他人に物を贈る時でも偉そうにするものではないぞ。 英国ではそういうものなのかもしれないが、そもそもここは日本だ。 「そんなことはどうでもいいんですよ! せっかく気合入れたのに! 特別な材料も入れたのに!」 その"特別な材料"と言うのが心配なんだ! 気合を入れるのはいいが道外れた物体まで入れていないかどうか! 見ろ。先程比叡から取り上げたままずっと手に持っているのに全く溶けていないじゃないか。普通のチョコレートか? 他に入れた材料が"愛情"とかであれば文句どころか謝礼を積み重ねるのだが、 此奴の艦橋の辞書に"愛情"という語句が書かれている等想像できないのでその可能性は視野に入らん! 然し此奴の言い分を信じるとして気合は込めて作ってくれた事に対してそのようにボロクソ言う等自分にはできない。 並に良心は備わっているからだ。 46 :2-683 比叡:2015/02/10(火) 21 41 53 ID f0bhMS82 「い、今は昼時前だからな? 今食べたら昼食が入らないから、その後でな……」 「本当ですか? 本当ですよ!? せっかくあ……っ!」 比叡は突然口を両手で噤んだ。 どうした。"せっかく"何を入れた。 「なんでもないです! 司令、早くお昼食べましょう!」 強引に手を引っ張るな。 そんな慌てなくてもこのチョコは恐らく原型を保ち続ける。 そのチョコは姉の主砲にこっそり潜ませておく事も考えたが、 引っ付いてくる比叡と良心を前に挫折した。 覚悟して口にした徹甲弾チョコだが、造形に反して攻撃的な味と言う事はなかった。 只、甘すぎるようだ。 比叡の私への愛情が込められすぎている、と言う事にしておこう。 秘書艦の奇行も程々に、デザート付の食事を終え自分らは執務に戻った。 +後書き 47 :2-683:2015/02/10(火) 21 42 24 ID f0bhMS82 以上である! これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3176.html
679 :影響を受ける人:2015/09/21(月) 22 44 39 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 オリジナル設定、個人的解釈が入っています。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第七十五話 ―後方の戦争― 倉崎重工。最も新しい工業会社。 夢幻会において強い発言権を持つ転生者だ。 前世において夢幻会の力を借り、未来知識で会社を大きくし、最新兵器を生み出した。 国内でも有数の大企業になり、趣味を生かせる環境に満足した。 しかしこのストライク・ウィッチーズの世界では、そんな力は全くない。 未来知識がほとんど役に立たないこの世界では、会社を大きくするのも一苦労だ。 裏側で九曜葛葉の支援があったのもそうだが、本人の努力 ―倉崎翁自身は「ハードモードと思えばどうってことないワイ」と言っている。― によるものもあって中小企業よりは大きくなる事ができた。 老舗の企業には負けるが、未来知識を【アイディア】として利権を取得し、“発想の倉崎重工”として地位を確立しつつある。 何とか会社を安定化させ、そんな中で力を入れたのが“ストライカー”開発だった。 当時は背中に発動機を背負い、それほど火力が無い銃器での戦闘がウィッチのスタイルだった。 原作基準に行くと遅い配備になり、需要に対して九曜指導により増えたウィッチの数に間に合わない事は目白。 それに対処するためになんと倉崎翁は、直接宮藤一郎博士に交渉に赴いた。 別会社に勤めていた宮藤博士は当初難色を示し、御断りをしたのだが、それでもめげずに頭を下げて交渉し続ける。 何度も訪れ、頭まで下げられては、断わるわけにもいかない。 「では、一度だけ研究所を訪れるという事で・・・」 「おお! 有り難い!!」 熱意に折れ、人の良い宮藤博士はポリポリ頭を掻きながら了承。 まだストライカーの基礎となる宮藤理論が完成する前の事だ。 数日後、迎えに来た送迎の車に乗り込み倉木重工に訪れた宮藤博士は・・・ヲタク共に汚染された。 「こ、これはいったい!?」 「椀部着装型重機関砲ですが、なにか?」 「おお! これは一体なんの設計図なのですか!?」 「ああ、墳式発動機ですね。まだ研究段階なのですよ。」 「戦艦を丸ごと!!??」 「まだ実験段階にも至っていない理論ですが、結界士達を乗せて戦力の向上を考えているのです。」 余りにも打っ飛んだ発想にそりゃもう大興奮。 家に帰ってすぐさま書斎にこもり、新しい設計図を書きだすなどの効果を生み出した。 結果、原作よりも早くストライカーが完成し、この時すでに宮藤博士は倉崎重工に移籍している。 制空権を獲得するための 海軍名“96式艦上戦闘脚”、陸軍名“キ27 97式戦闘脚”。 迎撃を主目的としつつ、大重量を運搬する事も目的とした“キ44 二式戦闘脚:鍾馗” 原作よりも早く登場し、早く配備されることが決まったストライカーは前線のウィッチ達に絶大な支持を得る。 また同時並行で開発を進めていた陸戦ストライカーも、少々遅れて配備する事ができた。 これに気を良くした宮藤博士はさらなる開発に没頭する。 以前は色々制約があったのだが、此処倉崎重工ではあまりない。 というのも、夢幻会が宮藤博士の失踪を恐れたからだ。 あれほどのモノを開発できる人物がいなくなってしまったのは、よほどの理由があっての事だろう。 結局原作において、彼がどこで何をしていて、宮藤芳佳の元に帰ってくるのか全くの不明。 才能を惜しみ、他国に誘拐されないように秘匿されてしまった可能性も捨てきれない。 それでは思うように開発できないのではないか? 危惧した夢幻会は先手を打って行動し、可能な限り自由に開発できる環境を作り出した。 更に刺激として前世でも働いていた、技術者と言う名のヲタク共と接触させることに。 これらは成功したのだが、宮藤博士は「戦う少女は良いよね!」などと、家に帰っては言えない事を研究室でぶちまけるほど汚染されてしまう。 良識派は思いっきり頭を抱えたが、これも必要悪(?)であると思い、硬く口を閉ざす他なかった。 こういった動きにより、一時的にストライカー開発は多少遅れが生じたものの、何とか原作よりかは早目に配備する事ができた。 九曜葛葉の行った行動により増えたウィッチの人数を考慮し、多少のスペックUPで妥協したのも高評価と言えるだろう。 ――――― 「いってらっしゃ~い。」 「ああ、いってくるよ。」 680 :影響を受ける人:2015/09/21(月) 22 45 15 愛娘、宮藤芳佳に見送られ、宮藤博士は迎えに来た車に乗り込んで会社に向かう。 バックミラーに見える娘が、車が見えなくなるまで手を振り続ける姿に微笑ましく思い、自然と口元が緩む。 流石に見えなくなると小さく溜息を吐くのは、少々寂しい思いがあるからだろうか? 「何時も、何時も送り迎えすまないね。」 「いえ。これも職務ですので。」 倉崎に移籍して最初に驚いたのは、毎日送り迎えしてもらえる事だった。 これは夢幻会の配慮・・・というよりも、博士を狙う外様を牽制するため。 原作において、どうして居なくなったかがわからない以上、警戒して損は無い。 車も特注で、装甲車とまではいかないが、十分な装甲を持つ。 更に博士と家族を守る為、秘密裏に護衛部隊を派遣して居る。 夢幻会で裏の世界・・・殺人を問わない非公式部隊があるのはあまり知られていない。 前世憂鬱世界では同じ転生者であろうとも、危険思想を持つ者、機密情報を漏らそうとした者、様々な障害を秘密裏に処理する部隊。 この世界では 日本× 扶桑○ なのであるが、「故郷を守るために」行動する狂信者たちには関係ない。 外敵は何であろうとも排除する。 現代日本が外国勢に圧力を加えられ、思うような外交が出来なかった。と、考えているが故に・・・ 彼等は軍隊に所属して居たり、警察だったりするが、街中では民間人で守りについている。 それ故に武装は限られてはいる。 しかし武術などを習得し、素手でも相手を殺害できる実力者ぞろいだ。 武器を所有する者達もいるが、あくまでも最終手段としている。 そんな恐ろしい護衛がいるとも知らずに、博士を乗せた車は走る。 その車を見つめる複数の視線。 それらは車のスピードと同じ速さで屋根を駆け、空を飛行している。 狂信者の護衛の他にもさらなる護衛を九曜葛葉は個人的に付けていた。 光を屈折させるシールドを身に纏った分体達だ。 彼女等は九曜葛葉直々に命令を下し護衛をしている。 おりしも車の荷台に隠れ潜む一体のチビ九曜(六尾)が、魔力を使用して車を更に強固にしている。 超豪華な護衛に囲まれている博士は、車に揺られながらのんびりと外の景色を見詰めていた。 ――――― 会社に到着すると、すぐさま研究室に向かう。 研究所はかなり大きくとられているのだが、何せ機械を扱うので所狭しと、試作品や失敗作が当たりする。 こんな状況なので急遽、隣接した設計図などを書く建物を建設した。 まだ真新しい建物に入っていくと、自分のロッカーに向かい、上着と私物を置いて白衣を着る。 そしてそのまま研究室に向かい、そのまま入ると気が付いた一人が挨拶をした。 「あ、主任。お早うございます。」 「ああ、お早う。今日も早いね。」 「寄宿舎が凄く近いですから。」 「僕もそちらに移ろうかな・・・」 通勤が大変なんだと笑って言うと、その場にいた全員が笑う。 博士としては、毎回送り迎えしてもらう事がどうにもなれない。 前の会社では電車通勤が当たり前だっただけに、余計に感じるのだ。 「さてと・・・」 自分の作業机に座ると設計図を引っ張り出して睨めっこ。 現在の課題は出力向上と継戦能力向上だ。 確かに今のストライカーは、以前のモノと比べれば雲泥の差がある。しかしまだ改良の余地があると見て良い。 「現行のストライカーを改造しても、それほど上がらないか・・・」 「やはり、新型の発動機を作らなければいけないのでは?」 「う~ん。そうしたいのだけれどね・・・」 そう言って背もたれに体重をかける。 「そうでもしないと現状、大変だと思うんだ。」 「・・・最前線はそれほど危ないと?」 宮藤一郎は戦場とはほぼ無縁の技術者であるが、嫁の宮藤清佳(みやふじ さやか)、祖母の秋本芳子(あきもと よしこ)から話は聞いている。 戦場から帰ってきた兵士達の話を直接聞ける二人は、貴重な情報源だ。 それからわかる事は、欧州以上の圧力が加えられている事。 そして学兵達の悲惨な現状だ。 「直接現場に良ければなぁ・・・」 そうすれば生の情報を得られる事もでき、更に何か思いつくかもしれない。 「それはいくら何でも無茶ですよ。」 だが副主任の一言が思いを切り裂く。 自分とてわかっているのだ、しかしもどかしいく思う気持ちは変わらない。 個々の研究者たちは優秀だ。何せ見様見真似で別系統の発動機を作り上げ、“鍾馗”を作り上げてしまった。 これにはさすがの一郎も驚いた。 そんな彼等は迎撃機開発に回されてこの場にはいない。 681 :影響を受ける人:2015/09/21(月) 22 45 58 仕方なく目の前にある設計図を片付け、真新しい紙を引き出す。 気持ちを切り替え、次世代のストライカーユニットを作る事に決めた。 更にコンパクトに、更にパワフルに。 少女達が生き残れる確率を上げるため、知恵を絞って設計を書く。 既に自分が確立した理論は世界に配信され、特許も取得している。 そこから莫大な利益が倉崎重工にもたらされるが、その殆どは開発費用に回される。 思うのことは、せめて娘が、芳佳が戦場に出る事無く戦争が終わるのを祈るだけ。 たとえ間に合わなくとも、生きて帰って欲しいと願う。 自分が出来るのはこれぐらいなのだから。 ――――― 大陸の最前線では、旺盛な射撃が叩き込まれていた。 射撃を叩き込むのは重砲隊の他に戦車隊。そして、先の作戦で大いに役に立った、戦艦の主砲を流用した大型砲。 大型砲が砲弾を叩き込むのは、決まったポイントだ。 地形をつくり、砲撃で誘導し、渋滞を起こしたところに叩き込む。 基本的にネウロイは突撃戦法しか行わないから出来るやり方だ。 「だけど、BETAと違って学習するんだよな・・・」 「おい。弾帯を下げるな。」 「あ、わりぃ。わりぃ。」 そんな最前線で兵士とし奮闘する転生者が、同僚と共に機関銃を操作する。 二人共同じ会社で働いていたヲタクで、仲が良かった。 この世界に来るのも同時で、近所に知り合いがいて驚いたものだ。 「まあ、愚痴りたくもなるよな。」 「せっかくストライク・ウィッチーズの世界にきたのに、オレツエエが出来ないなんて。」 「俺ら一般市民だぜ? こうして戦っているればお知り合いに・・・が強かったんだけどなぁ。」 「原作知識が全く役に立たないなんて、どうかしてるよ!」 「キュウベエ乙。」 駄弁るように話しているが顔は真剣そのもの。 一瞬の油断が命取りとなるのだから、真面目にやるに決まっている。 「夢幻会だっけか? お前、よくそこに所属できたな。」 「出来たというか・・・ させられたというか・・・」 「ああ、人数足りないからだっけか?」 同僚をちらりと見ると、その表情は物凄く暗い。 彼は原作に関わろうとして宮藤家を訪れた一人だった。 しかし前途に書いたように警護していた護衛達に捕縛され、強制的に軍隊に入れられた経緯を持つ。 同情して一緒に入ってくれた友人が、とても救いになっていた。 ついでに言うと、二人とも一回目の転生だったりする。 「でも、俺頭良くないしなぁ・・・」 「叩き上げで頑張るしかないでしょ。」 上手くすれば陸戦のウィッチと仲良くなれるかもしれないし。そう言って二人は無言となった。 前世でも童貞で、魔法使いとなった二人は、最前線で機動戦闘する少女達を見詰める。 自分達が奮闘すれば、彼女等も生き残る確率が上がる。 そすれば出会う確率もある。 邪まな思いを抱きながらも、小さな確立に縋って、今日も戦う馬鹿コンビであった。 以上です。 宮藤一郎博士の口調がわからんのでトト○のパパを思い浮かべて書きました。 最後は余ったからついでに書いた物ですwww
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3112.html
796 :影響を受ける人:2014/11/02(日) 22 41 38 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第三十四話 ―異なる翼は共に飛びⅤ― 北郷章香と江藤敏子は、胃が痛い状況に置かれている。 原因は・・・ 「ウメ、最近太ったんじゃないかい?」 「そうかな? そう言うアンタは酒の飲み過ぎが心配です。 主にお腹が。」 水瀬ササリ大佐VS田中ウメ大佐が目の前で行われているからだ。 この二人、仲が悪いとしか言いようがないほど、出会うとお互いを罵り合う。 生まれてこの方同じ町内出身、同じく導術士学校卒業生。 海軍と陸軍に分かれたが、幼いころから競争するように育っているので、罵り合うのは普通なのだ。 が、それを知っても胃が痛い。 最近は、空に関しては陸軍・海軍の垣根は無いほどに交流が進んでいる。 その証拠と言うわけではないが、章香と敏子は御酒を酌み交わすほど仲がいい。 しかし上司の、この罵りあいを見ると御互いに申し訳なくなって胃が痛い。 視線を横に向けると目が合った。 (何とかならないか?) (無理。そっちはどうなのよ!) (・・・無理だ。大佐には逆らえん。) 内心で大きく溜息を吐いて、今の不遇を嘆く。 御互いこの上司達に可愛がられてここまで出世できた恩がある。 更に言えば、章香は中佐に昇進しているので言えない。 「しかし、品が無いですね。」 「そうかい? あれぐらい元気な方がいいね。」 上空では陸軍ウィッチ六名VS海軍ウィッチ六名の団体戦が行われている。 陸軍側で出ている狐火隊隊長の穴吹智子が、先頭に立って攻撃しているが・・・ 海軍の問題児にして高火力の持ち主、真嶋志麻が鮫島トミをお供にして疑似椀部を入れた六つの腕で弾幕を張っていた。 ギァァハハハハハハハハ!! チョッ! アワァァァァ!! 最大でも二丁の銃でしか攻撃できないウィッチだが、志麻には通じない。 自分の腕力と同じくらいしか持てない疑似椀部。しかし筋肉女である彼女にはそうでもないのだ。 六丁もの弾幕に覆われそうになった智子は慌てて逃げ出す。 「彼女、弱点があるのでしょう?」 「ああ、そうだよ。それが?」 「よくもまぁ、あそこまで大立ち回りが出来ますね。」 「性格だろうね。」 呑気に話しているが、後ろの二人はハラハラしっぱなしだ。 敏子は最初の勝利こそ褒められたが、直属の部下二人を投入した二種目目では惨敗している。 しかも目の前で智子が攻めあぐねているので、更に胃が痛い。 この後、絶対何か言われるのを覚悟せねばならないだろう。 そしてそれは章香にも言える。 最初は仕方がないとして、元部下である志麻の矯正は失敗に終わっている。 元々同期であるというのもあるが、どうやってもあの性格は治らなかった。 しいて言うなら、先輩格のサエの躾の方が効いていた。 二人で胃のあたりを撫でる。 797 :影響を受ける人:2014/11/02(日) 22 42 11 おおっ! 弾切れ! 集中攻撃!! あと、頼むぞ。 逃げるなぁぁぁ!! 逃げねぇよ! 鮫島、弾薬装填だ。 ウチ、帰りてぇずらァァァァァ!! 「鮫島は、度胸が足んないね。」 「それでも、味方の為に弾薬を運んでくれます。」 上司の呟きに、元隊長はフォローを入れる。 鮫島トミ自身は法術士学校出身である。 戦闘に関しては目を覆うくらい酷いモノだが、シールドに関しては隊の内で随一だった。 それを生かして弾薬運搬を行っていた。 しかしみての通り泣き虫で、常に弱気な事を言う。 それでもしっかり職務を全うするので、信頼されているし、なくてはならない人物だ。 臆病ゆえに回避能力も高いので、一度も撃墜されていないという実績もある。 あ、あぶね。 ヒギャァァァァァ!! み、味方を振り回して盾にした!! 何するダァァァァァ!! 俺のシールド特性知っているだろうが! ウチは物でねえズラァ!! ただ、いろんな“交じり方言モドキ”を使うので、話がし辛いという面も有る。 「智子は成長しましたね。前なら接近戦を無駄に選んでいましたが。」 「昔とは違い、今は隊長です。一隊率いるものとして、成長してもらわないと・・・」 「ですが・・・調子に乗って、失敗するのは治っていませんね。」 「・・・申し訳ありません。」 最初の激突で、志麻に二人落とされたのを指摘された。 というか、志麻は普段は鉞・機関銃二丁である。 まさかシールドを捨てて、疑似椀部を四本にしての弾幕を張るとは思わなかったのだ。 智子は咄嗟に躱せたが、後ろにいた二人は被弾して撃墜判定を喰らってしまう。 その後は志麻のペースで戦闘が進んでいる。 「それにしても欧州組が負けるとは思わなかったね。」 「それに関しては同意します。しかし必然では?」 「・・・機材が違うから、連携も大変か。」 チーム総当たり戦第一試合欧州VSリベリオンはリベリオン組が勝利している。 田中ウメが言った通り、敗因は機材の違い。 欧州各国からやってきた彼女等は、最初はそれなりの機材が有ったので問題なかった。 しかし思った以上の激戦区であった為に、消耗が早かった 急ぎ部品調達を打診したが、国家としては遠い戦場よりも、近くの戦場を優先しなければならない。 その為、一時的に出撃が出来なくなりそうだった。 何とかビスや、ネジと言った部品だけ・・・でも思ったが、規格違いが発生して整備も進まなくなってしまった。 国別に、バラバラであるという事が足を引っ張ったのだ。 扶桑国の好意により、何とか部品調達を行えた欧州組であったが、性能を十分発揮できても問題があった。 性能違いにより、編隊飛行戦闘が難しかったのだ。 下手に違う国でペアーなど組めない状況で、更に整備時間で飛行時間も変わった。 これを見た扶桑国の軍需の人々と観戦武官は、部品共通化を急ぐことになる。 とりあえず性能が似通ったものを選びだし、現在カールストラント・ブリタニアの二機種に絞って数を揃えている。 しかし、今回の競技においては国別に使用しているストライカーになっていた。 なぜなら、それが国からの指示だったからだ。 もちろん彼女等は抗議したが、要求をのまざるおえなかった。 いそいで習熟に入ったが、時間が圧倒的に足りず。 六人中二人以外、バラバラのストライカーで戦わなければならなかったのだ。 二種目目は全員カールストラント人だったので勝てた。 798 :影響を受ける人:2014/11/02(日) 22 42 49 「ああいう要求は聞きたくないね。」 「同感です。」 上司二人は御茶を飲んで一息ついた。 ――――― 「ゲハハハハハァッッ!!」 「悔しい・・・」 豪快に笑う大女の前で、穴吹智子は睨みつけながらも出されたお茶をチビチビ飲む。 「最後は怖かったぜぇぇ!! 被弾気にせず突っ込んでくるんだからよっ!」 「そうですか・・・」 肩をバンバン叩いて勇気を称えるが、智子としては嬉しくない。 何せ後もう少しという所で鮫島トミに、シールドで吹き飛ばされたのだから。 幸い咄嗟自分もシールドを張ったので問題ないが、下手したら大けがモノだ。 そのせいで、彼女は先程まで田中ウメ大佐に御小言を貰っていた。 同様に、トミも水瀬ササリ大佐に怒られている。 「次はリベリオン相手だけど大丈夫なの?」 「んぅ? 負けるつもりはねぇぜ。」 「欧州組だって弱くはないのよ。 それを連携で打ち破ったチームワークは、目を見るものだと思うけど?」 「むぅ・・・ それを言われると、弱いな。 俺等は今でこそチームワークだが、以前は個人技だったからな。」 ネウロイとの本格戦闘が始まる前は、どちらかと言うと個人戦闘が主な感じだった。 これはウィッチの戦闘要員が少なく、質を高めた結果故に起こった事だ。 今では大群で攻めてくる敵に対して、個人で突っ込んでいくのは自殺行為に等しい。 自然とチームワークをとる様になったのだ。 そんな中で見たリベリオンのチーム戦は、目を見る張る物であり、大いに参考になった。 「二人一組は基本だけど、あそこまで徹底するとはね。」 「どっかの連中が言っていたな。俺等扶桑のウィッチは“スタンドプレーから発生するチームプレイ”だとかなんとか・・・ 正直言って、あっちの方がそうだと思うんだがな。」 真嶋志麻も副隊長、学ぶことはまだ多い。 そしてそれは智子にも言える。 「そうね・・・」 感慨深く頷くと、志麻が立ち上がった。 「そんじゃ、いくぜ。」 「負けたら承知しないわよ。」 「やるからにゃぁ、勝ちに行くぜ!」 そう言って、豪快に笑いながら待機所を出ていく。 その背中を悔しそうに、でも、頼もしそうに見つめて送り出す智子であった。 以上です。 次回は北郷章香の戦闘をしっかり描きたいな・・・