約 19,733 件
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5560.html
362: 635 :2019/01/27(日) 22 15 06 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 銀河連合日本×神崎島 遣欧艦隊遣欧中の一コマその2 神崎提督、戦艦大和と共に訪英! イギリスの新聞記事 「大穴はガングートか。」 「というか今回も来てないんだろ?」 ブックメーカーでのガーター勲章授与式に神崎提督に誰が付き添うかの賭け 「あ!神崎提督です。妻のウォースパイト中将らと共にウィンザー城に入って行きます!」 ガーター勲章授与式典前のウィンザー城前からの生放送、この式典の後日の別の式典でウォースパイトらにヴィクトリア十字章が授与される 仏政府、神崎提督にレジオンドヌール勲章を送る意向 フランス新聞の記事 「多分アレ、イギリスへの対抗だろうな。」 「多分そうだろ。」 新聞を読んだ市民の会話 「皆さん!見えますでしょうか!今、ブレストの港にシャルル・ド・ゴールの先導で大和が入港しています! 後ろにいるのはかつて世界を半周しこの港に入った伊八号潜水艦とのことです!この歴史的瞬間に私は興奮が止みません!!」 フランス北西部ブレストにて興奮するリポーター モンマルトルにテアトル・シャノワール出現! パリの街に張り出されたポスター 「ハイ!カット!」 「巴里花組を使ったOPの撮影!」 「日本のワクワク動画とセガのHPで公開だとよ!」 エッフェル塔で行われた撮影の見物客の会話 神崎提督、英仏首脳と相次いで会談しインド洋での合同訓練に合意、二藤部総理からの自衛隊の訓練参加の意向を伝える ハリソン大統領は同訓練に空母を派遣の方向で調整 米ニュースサイトの記事 戦艦大和地中海へ!スペイン海軍強襲揚陸艦ファン・カルロス1世とイタリア海軍空母カヴールが先導を務める イタリアの新聞記事 「提督、大型客船が私の周囲に集まっているのですが(汗)」 「大和を見るために来たのだろう。進路を妨害しないよう警告は出しておけ。」 地中海を航行する大和の周辺に集結した大量のクルーズ船 「何隻集まってんだこりゃ?仕事増やしやがって。」 「地中海の青い空、青い海に大和が映えてますからね。しょうがないですよ。」 「まあいい、任務の後で大和に乗れるからな。」 「大尉!本当ですか!?」 「艦娘さんとの写真の許可も取っといてたよ。娘さんに送ってやれ。」 仕事が増えたカヴールのヘリコプター内の会話 363: 635 :2019/01/27(日) 22 15 36 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 「フランス料理の次はイタリア料理デスヨ!」 「フェル、食道楽か?」 「失敬ナ!飽くなき料理の探求は鳳翔と間宮両艦の主計科士官としての責務なのデスヨ!!」 大和に乗り込んでいる主計科士官と旦那の会話 『神崎島歌劇団帝都花組、豪華客船出雲丸特別公演―愛ゆえに―』 「いやあ、まさか現実に帝都花組の公演見れるとは!」 「サクラ大戦したの何年前だっけか?」 「あいつも連れてきたかったな…。」 「ドイツ人じゃなきゃなあ。」 戦艦大和に随伴する鎮守府公式クルーズに投入された豪華客船の劇場のラウンジにてフランス人とイタリア人の会話 『こちら大和、バルト海に突入します。』 「はいはい、道案内は任せときなさい。グラーフ、レーベそっちはどう?」 『ビスマルク、こっちは問題ないぞ。早期警戒機のレーダーに時折ルフトバッフェの機体と思しき反応があるくらいだ。 それもこちらまで近づかないがな。稼働率が低いとは本当のようだな。』 『こちらレーベレヒト・マース。潜水艦の反応は無し、U-boatが全く動けないとは驚きだね。』 「大丈夫そうね。しかしバルト海かライン演習作戦以来ね。」 バルト海諸国訪問のためにバルト海へ入る大和と護衛艦隊 「まさかドイツ軍ではなく民間船が行く手を阻むとは。」 「敵意が無いだけまだましですね。」 艦娘を見に来たドイツを含む各国民間船に囲まれた大和 「ドイツ国民と各国の正義の人々がナチの侵入を防いでいます!」 大和立ち往生を知った独政府の反応、この数分後放送を聞いた民間船達は大和に道を開けた 「我が国はフィンランドに対し大和の入港拒否を要請します。やはりかつてファシストの国だった国はファシストでしかありません!」 「我が国もかつてファシスト側だった事を知っての発言かね?」 大和のフィンランド到着直前に在芬韓国大使からフィンランド政府への要請 「大和から神崎提督が降りて来ます。同伴する方は?あれはエイラ・イルマタル・ユーティライネン!? 彼女も提督の妻だったのでしょうか!?」 各国でファーストレディ役を務めたのがその国出身の嫁艦だったために結婚していると勘違いされた芬系妖精エイラ 364: 635 :2019/01/27(日) 22 16 19 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 「エイラ嬢、いえ今は夫人ですかな?カンサッリスプクお似合いですよ。」 「は、はあ。ありがとうござイマス?」 「エイラよその返答で良いのか(汗)」 フィンランド大統領と接見したエイラと神崎提督 フィンランド:エイラ・イルマタル・ユーティライネン彼女こそスオミネイトである! フランス:しかしウィッチも神崎提督の嫁か…。 イタリア:なんだと!?俺のルッキーニも!? アメリカ:俺の嫁シャーリーも!? 日本:俺のお姉ちゃんも!? デンマーク:誰がお前のお姉ちゃんだww ポーランド:それより彼女の頭の狐耳と尻尾にも注目しようぜ オランダ:ということは神崎島にはリアル猫耳もいるんだよな 台湾:しかし、スオミネイトということはエイラ=フィンランドか…。 フィンランド:あ、政府が彼女を名誉スオミネイト認定したわ。 アメリカ(神崎島):提督の周囲には艦娘以外にも妖精もいつもいる。これ豆知識な。 カンサッリスプクを着たエイラを見た海外のネットの反応 名前:名無しの提督 投稿日:祝!エイラ名誉スオミネイト認定! 名前:名無しの提督 投稿日:しかし神崎の妻だ 名前:名無しの提督 投稿日:しかしスオミネイトとは成るものなのか? 名前:名無しの提督 投稿日:それはあれよ公式が病気というやつ 名前:名無しの提督 投稿日:流石西欧の日本 名前:名無しの提督 投稿日:誰も妻とは発言してないみたいよ 名前:名無しの提督 投稿日:じゃあなんだ? 名前:名無しの提督 投稿日:さあ? 名前:名無しの提督 投稿日:それより凄い勢いでツイッター上に日本、海外問わずカンサッリスプクを着たエイラが急増している件 名誉スオミネイト認定への掲示板の反応 「イギリス周辺の次は地中海、その次はバルト海だ。」 「スゴイ!貴重なサンプルがこれ程!」 「もう少し自重して下さい!」 観察器具片手にニーラチャンを相棒に侍従長を従え研究サンプル確保に邁進する彼の方 一番現世を楽しんでるのこの方かもしれない 365: 635 :2019/01/27(日) 22 20 30 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 以上になります。 フィンランドでのエイラはハニワ一号氏の幕末神崎島×豊臣夢幻会ネタSS中の 神崎博之として転生した嶋田さんで艦娘や深海棲艦、妖精さんたちのハーレム生活をしていた の部分を見てティンと来ました。 掲載はご自由に。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5539.html
637: 635 :2019/01/11(金) 15 52 59 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 銀河連合日本×神崎島 小ネタ5 「アイヤー!?」 「アイゴー!?」 「お前ら大丈夫か!?」 韓国人による法隆寺放火や中国による人工衛星破壊のニュースを聞き倒れてしまった真面目に日本で働く方々 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:祝!しばふ芋ティ連へ! 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:それだとしばふ芋をティ連へ輸出するみたいじゃねえかww 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:あながち間違っていない件 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:じゃあ、祝!特型駆逐艦吹雪宇宙へ! 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:それだと宇宙駆逐艦みたいだなww 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:艦娘は宇宙でも戦えるのだろうか? 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:そこは妖精さんパワーよ 吹雪のティ連出発後のネット 「日○テレビですがイゼイラに対しお土産とかはあるのでしょうか?」 「はい、ティエルクマスカではカレーが大人気ということで昭和帝も召し上がれたカレーや各艦娘のカレー料理のレシピと造成データを 吹雪に持たせております。また、TOKI○さん達のご厚意で彼らのカレーのものと男米の種籾も持たせています。」 笑ってはいけないシリーズやD○SHの影響と組織整理の成果で鎮守府の神崎島内向けの会見に同席出来る○本テレビ 四十路と三十路の男達が作り上げた熱いカレーが今宇宙を駆ける! デロニカ・クラージェの発進を見守るT○KIOと鉄腕D○SHのナレーション T○KIOのカレーティ連へ! 同日の日○テレビのニュース番組 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:TOKI○のカレーがティ連へ輸出された件 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:向こうじゃ大人気らしいからな 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:しかし、○本テレビ神崎島関連のスクープ多くね? 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:いや神崎島の公式発表そのまま放送しているみたいよ 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:神崎島と関係が深くなっているからなあ 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:反神崎島からは神崎島国営放送とか呼ばれてるみたいよ 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:神崎島はスポンサーじゃないし、経営権も持ってないんだがなあ カレーニュースに対するネットの反応 アメリカ:サラトガ特製の我が国のカントリー・キャプテンがティ連に輸出された イギリス:うちのウォースパイトのチキンカレーも忘れて貰っては困る! オーストリア:それインド料理じゃね? ベルギー:元々英領だったからしかたないね。 シンガポール:同じ英領だったうちのフィッシュヘッドカレーよりマシじゃなかろうか? イタリア:ザラとイタリアのカレーパスタ料理のバリエーションえらいあるんだが(汗) フランス:コマンダンテストとリシュリューによってフランス各地方の料理がことごとくカレー化されている件 台湾:彼女達は日本艦ではないけど日本人みたいなものだから各国料理も直にカレーに沈むだろう フィンランド:恐るべし日本の侵食力 スウェーデン:家の郷土料理もカレー化されてた… 中国:うちなんか日本式になったラーメンがカレー化されて中華料理と紹介されてるんだぜ? 韓国:国がカレーの起源主張しとる。自重しろ。 ドイツ:祖国よ、日本のカレーは悪い文明って(汗) オランダ:ドイツはゲルマン民族でなくフン族であったか カレーニュースへの海外のネットの反応 638: 635 :2019/01/11(金) 15 53 35 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:妖精が完全に神崎島に土着化した模様 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:元々妖精さんいるしな 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:リアルエルフ耳をこの目で見れる日が来ようとは 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:このリハクのry( 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:テンプレ乙 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:夜勤明け寝てて良くわからんのだがいつも見てる型月スレ落ちとる、あとエルフって? 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:神崎島がドイツからの難民ようせいに応えた 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:ヨーロッパにマジのファンタジー妖精が居て神崎島に難民として来たんだわ 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:神崎島でその対応してた人物がどう見ても鯖のアナスタシアにしか見えないたからその界隈が荒ぶっとる 名前:憂鬱な提督[sage] 投稿日:どういうことなの…? 難民妖精の来島後のネットの反応 アメリカ:ドイツよ神崎島は難民の受け入れに応えたぞ。妖精だけど デンマーク:サンタクロース手伝っているとされてる妖精が出ていったどうしてくれる フランス:ブルターニュいたケルト系妖精が出ていったわ アイルランド:知り合いのドルイドが知人の妖精出ていったと泣いてたわ イギリス:国内の妖精が出ていって魔女とかファンタジー界隈が阿鼻叫喚だぞ ギリシャ:国内にあんだけ妖精いたんだな。尚現在は… ドイツ:国の妖精も出ていったぞ。政府め…。 アメリカ(神崎島):いつもの海兵隊だがエルフが神崎島陸戦隊のレンジャーになり同僚にドワーフが整備兵になった もし良ければ彼らに写真お願いしようか? 全員:「「「「「お願いします!!」」」」」 妖精来島後の海外の反応 「上は俺を海自所属にする気か?いろんなの乗れるからいいけど。」 「そもそも使う空母がない件。」 「神崎島で正規空母が改装中という噂が。」 「マジっすか。」 神崎島のF-35Bに触発されてヤル研にて開発されたF-15JN等を前にした多川と柏木の会話 「電磁式射出機に鳳翔さんにも搭載された航空管制用設備、これが噴式機時代でも最新の航空艤装…。」 神崎島で開発中の新型航空艤装を見た赤城 「やはり神は私に全翼機を作れと仰せなのだな。」 「私達風に言えばこれも因果デスネ。」 「ふ、私の人生は全翼機と因果で結ばれているか…。」 YB-35を前にした航空技術者妖精さんとイゼイラ人技術者 「全翼機と聞いて!」 「是非開発に参加させてくれ!お土産にYF-23も付けるから!」 「帰レ!!」 居ても立っても居られず神崎島にやって来たノースロップ・グラマンの技術者 「こいつは実に使いやすいな。」 「ええ、地形追随用の電探と高度計が補佐してくれますからな。」 「しかも爆装も銀河の十倍だ。」 F-111に乗った基地航空隊妖精の反応 639: 635 :2019/01/11(金) 15 54 10 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 「コレが発達過程文明の研究成果と神崎島工廠英国技術者の協力でワタシ達が作り上げた物デス!」 「その名も自立誘導式自走爆雷!」 「パンジャンドラムじゃねえか!!」 「失礼な!パンジャンドラムと違い相手に合わせて極大大中小極小というバリエーションがあり、 陸上用ドローンとしても使えマス!しかもチキュウの既存技術のみだからオサイフにも優しいのデスヨ!」 「搭乗可能な球体型もありマスヨ。」 「それってクーゲルパンツァー。」 神崎島鎮守府工廠ティ連技術者が作り上げたボビン型自走爆雷を見た日本人技術者の反応 なおティ連では久々にティ連技術者の手により新型陸上兵器が生まれたと大ニュースとなる 「誰だPIATをバネから斥力式に変えたの!?」 「あ、それワタシデス。電磁加速式やバネ式の改良型もありマスヨ!」 「発射音もバックブラストもないし、地味に実用性高いな(汗)」 「発想は良かったんだな。」 「斥力式で反動ないからってAPDSFSはどうなんだろう?」 同工廠ティ連技術者により改良されたある対戦車火器、バリエーションも増やされたらしい 「この砲で良ければ使います?」 「マジですか!?」 「ええ、使わないのももったいないですし。」 戦艦の件で大統領が神崎島に泣きついたら開発で作られた在庫となった大量の36センチ砲や40センチ砲、余り使われない46センチ連装砲を 明石に提案され反応に困った米海軍軍人 『神崎島の捕鯨を妨害するため神崎島に船で向かい行方不明となっていた環境保護団体が付近を航行中の海防艦に保護されました。』 『全員が低体温症となっており、数名が重症となっているとのことです。』 『赤道に近い神崎島は一年を通して温暖ですが空間と時間の歪みから一部に極寒海域と呼ばれる非常に気温の低い海域が存在しています。』 『また、常時大型台風クラスの天候となっている海域もあり神崎島海上護衛総隊は許可を得ず神崎島海域に侵入した場合は命の保証は出来ないと 警告を出しています。』 海難事故のニュース 「南は何がしたいんだ?」 「「「……。」」」 「誰か答えろよ!?」 「いや実際自分の特にならんのになんであんな事するのか分かりますか?」 「…。」 祖国の未来を憂う無慈悲な将軍様と愉快な仲間たち 640: 635 :2019/01/11(金) 15 55 18 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 以上になります。 転載はご自由にどうぞ! 小ネタばかり浮かび、長文がまだ書きかけだ。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/4701.html
81: 194 :2017/07/24(月) 22 45 34 注意書きについて 銀河連合日本×神崎島支援?ネタ番外編 ~絶対に笑ってはいけない鎮守府24時~ その二 をご覧ください(手抜き) 銀河連合日本×神崎島支援?ネタ番外編 ~絶対に笑ってはいけない鎮守府24時~ その四 鎮守府編その1 ※本編中に銀連キャラは出てきません。辛うじて、本編後に極稀に書かれるおまけのみに出る程度です 9:00 5人を乗せたバスが、ようやくガースー黒光り鎮守府に到着した。 大淀「さぁ、着きましたよ皆さん」 大和「はぁ~、やっと着きましたね~」 日向「ようやくだな」 笑ってはいけない戦いの舞台 ガースー黒光り鎮守府 艦娘と笑いが第一のこの鎮守府で、5人と刺客達との壮絶な戦いの幕が切って落とされる! バスを降りた5人は、鎮守府正門の前に一列に並ぶ。 大淀「では皆さん、ここが今日皆さんが赴任するガースー黒光り鎮守府です」 大和「神崎島鎮守府よりは小さいけど、それでも大規模な敷地ですねー」 金剛「確かに、物凄いスケールデスネー」 長門「何時から準備してたのかはわからないが、よくこれだけの物が造れたな」 扶桑「妖精さんの、頑張りの賜物でしょうね・・・」 そんな会話を交わしながら歩く5人だったが・・・・・。 大淀「・・・あ、ちょっと待ってください」 5人「「「「「?」」」」」 突然、中庭の途中で立ち止まる一同。 日向「ん?どうしたんだ急に?」 すると、庭の奥から人影が・・・。 82: 194 :2017/07/24(月) 22 46 09 ??「あれっ、お前達か?」 5人「「「「「?」」」」」 神崎島鎮守府提督:神崎博之 大和「提督!?」 扶桑「提督じゃあないですか」 神崎「おーよかった。無事にたどり着いたか」 そう言って神崎提督は、5人の場所まで走って来た。 長門「嬉しそうに走ってくるな」 日向「そんな感じで出て来るのか・・・」 大和「提督~!」 金剛「Hey提督~!こっちネー!」 神崎提督に向かって、彼女達も嬉しそうに手を振り返すが・・・。 神崎「いやー、良かったお前たt\ズボォォォォォォォッ!!!/(※落とし穴にハマる)」 5人「「「「「・・・!?ええええええええええええwww」」」」」 \デデーン/ 全員、アウトー! ※神崎提督、落とし穴に落下。 長門「ちょっとまて!おかしいぞこんなの!?・・・くぅっ」スパーン 扶桑「いや、提督に対する扱い間違って・・・痛ッ」スパーン 大和「ちょっと、提督!?大丈夫で・・・いたっ」スパーン 勢い良くこちらに走ってきた神崎提督だが、綺麗に地面の下に消えていった。 金剛「Oh・・・・・」 日向「ちょっと今のは凄かったなぁ」 長門「てっきりこっちまで来るもんだと思ってたからな」 大和「提督ー!大丈夫ですかー!?」 呼びかけてみるものの、返事はない。 長門「うわー、結構深いな・・・」 扶桑「絵に描いたように、綺麗に落ちていきましたからね」 金剛「正直、ここのスタッフ怖いデース・・・」 大淀「・・・さて、それでは行きましょう。皆さん」 長門「え?提督の出番ってこれだけ?」 金剛「というか、提督落ちたままデスけど。助けなくていいんデスカー?」 大淀「大丈夫です。妖精さんがきちんと救出しますから。提督はこの後も、お仕事が忙しいので(棒)」 日向「・・・いや、それでいいのか・・・?」 83: 194 :2017/07/24(月) 22 47 11 その後、再び移動を再開した一行。すると・・・。 ???「さぁ皆、今日の訓練に出発よ」 大淀「あら、あの声は・・・」 兵舎の中から、阿武隈が出て来た。 大淀 「阿武隈さーん」 阿武隈「あ、大淀さん。どうしたんですか?」 大淀 「私は、今日着任する5人の艦娘の案内をしているんです。阿武隈さんは?」 阿武隈「私はこれから、第六駆逐隊の皆と共に午前の訓練です。みんなー、出ておいでー。点呼取るよー!」 5人「「「「「・・・・・」」」」」 阿武隈の声に反応して、第六駆逐隊のメンバーが出て来る。 阿武隈「暁」 暁 「はい!」 阿武隈「響」 響 「はい!」 阿武隈「雷」 雷 「はい!」 阿武隈「電」 電(武蔵)「なのです!」 5人「「「「「・・・ブゥゥッッッッwwww」」」」」 \デデーン/ 全員、アウトー! 84: 194 :2017/07/24(月) 22 47 45 長門「まてこらwww」スパーン 大和「む、武蔵!何やってるのぉぉぉぉ」スパーン 金剛「な、『なのです!』じゃないのデースwww」スパーン 日向「無理があるだろ、これwww」スパーン 扶桑「ひ、卑怯すぎますよwwこれwww」スパーン 大和「武蔵!こんな所で何てことしているの!!??」 たけ・・・電「私は武蔵ではないのです!電なのです!!」 \デデーン/ 長門、金剛、日向、扶桑、アウトー! 長門「wwwww」スパーン 金剛「その声で電の真似をするのは、卑怯デースwww」スパーン 日向「酷いwwwこれは酷いwwwww」スパーン 扶桑「ごり押しにも程がありますwww」スパーン ※長門と日向、ツボにはまる。 大淀「お疲れ様です。頑張って下さいね」 阿武隈「はい。それじゃあ、全員出発!」 4人「「「「了解!」」」」 一行を残し、阿武隈と第六駆逐隊のメンバー達は演習に出発した。 大和「・・・・・orz」 長門「あー、その、なんだ。大和、元気出せ」 大和「・・・姉として、本当に恥ずかしいです・・・orz」 扶桑「そう言わずに、元気出していきましょう。大和さん」 金剛「そうネー。あくまで番組の企画デスシ、いちいち気にしてたら駄目ネー」 大和「・・・そうですね。行きましょうか」 大淀「さて、これからこの鎮守府の責任者である提督に、着任のご挨拶をしてもらいます。行きましょう」 長門「この鎮守府の提督か・・・」 大和「一体、どんな方なのでしょう・・・?」 大淀の先導の下、提督室に向かう一行。 しかしそこで、5人は更なる試練と惨劇に遭遇する。 85: 194 :2017/07/24(月) 22 50 35 以上です。今後も、他の方のネタを拝借する事も有ろうかと思いますが、どうか生暖かい目で見守ってくれると幸いです (他の人達って、本当によくあれだけのネタが出せるなぁと感心する次第。自分のネタの引き出しの少なさに凹む次第orz) とはいえ、今後も頑張っていこうと思います。 wiki掲載は自由です。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5030.html
408: 第三帝国 :2017/12/13(水) 01 20 10 銀河連合日本×神崎島ネタSS――——―「合同信任状捧呈式Ⅲ」 「星間国家とアニメのキャラクターが住まう国と国交を結ぶ」 そんな前代未聞の信任状捧呈式。 という事もあって式は初めから完全生中継でな上に、 注目度の高さから各外国のメディアも大きく取り上げており、 英語を筆頭に日本では馴染みが薄い中東の言語などと様々な言葉で逐一視聴者に対して報道がなされている。 ここまで日本という国がかつて注目されたことがあるだろうか? あったとしてもかつての関西と東北の震災などどちらかと言えば不幸な出来事だ。 しかし今は違う。 良い意味で日本は注目されて、期待されている。 それが今の日本が置かれている現状であった。 そして注目といえば神崎島鎮守府の艦娘たちも大いに注目しており、 提督執務室に備えられたテレビの中継から信任状捧呈式を見守っていた神崎提督と艦娘たち+αの反応と言えば・・・。 「まさかここまでやるとは・・・。 この秋雲の目をもってしても見抜けなかったっ・・・!!」 と秋雲が叫び。 「水雷戦隊の旗艦であるこの川内が驚きで尻餅ですって・・・おいは恥ずかしか!生きておられんごっ!!」 川内が床に座り込み切腹するような動作をして。 「介錯しもすぅ!」 甘い声と共に瑞鳳が手に持った万年筆で斬首する構えをとり、 そのまま斬首するような動作を行い、万年筆が首に触れた所で川内はバタリと倒れ死んだふりをする。 「笑うにこと許せ!」 それを見た長波が手を合わせる。 「合掌ばい、です!」 同じくニーラ・ダーズ・メムルも手を合わせた。 「皆様突っ込み乙です」 最後に鳳翔がネタ塗れな一連の流れを〆た。 「・・・え、えーと鳳翔さん? というか、なんなんだこのやり取りは・・・」 で、某世紀末な一発ネタから始まり、 シ〇ルイの作者が執筆した某忍者アクション漫画の有名すぎるネタの流れに神崎提督はついて行けなかった。 この前ヤル研で某少佐ばりに戦艦愛を大演説した夕張といいウチの艦娘たちのキャラが分からんと内心で呟く。 まあそれでヤルバーンからの客人であるニーラ教授と仲が良いようだからいいか、うん。 と神崎提督は前向きに結論を下した。 409: 第三帝国 :2017/12/13(水) 01 22 32 「ねーねー提督。 せっかく本土(日本)と国交が成立したんだから 今度の慰安旅行は道後温泉とか金沢とかあるいは北海道とかにいこーよー」 「ん、あ、ああそうだな」 膝の上に座る清霜の提案に神崎提督は頷く。 確かにここ最近中国やオーストラリア、インドネシアといった国々との領海問題だけでなく、 フィリピンから来た不法移民に、国籍不明な潜水艦対策に加え米軍、自衛隊の折衝などと神崎提督も含め貴下の艦隊全体で正直働き過ぎである。 「それならヤルバーンにぜひ来てください! 前に日本国民の方々を歓迎したように一度皆さまを呼んでみたいと考えていましたから」 とここでニーラが手を挙げて言う。 「お、それいいね! 宇宙人の船に乗れるなんてレアな体験だよレアな!」 この提案に死んだふりをしていた川内が即座に蘇生して賛同を表明する。 「噂ではヤルバーンの食べ物は光る、 とか聞いていましたし・・・それはとても面白そうですね」 「マジか!?宇宙すげぇー!」 そして鳳翔と長波のやり取りで何となく場の空気は慰安旅行は確定。 具体的にはヤルバーンに滞在して交流と体験コースとなりそうであったが、 「提督、駄目ですよ。 アメリカとの国交成立に向けた交渉。 国際機関へ提出する各種資料に周辺国との領土認識ついてのすり合わせ。 それに市民からの陳情などとやることはまだまだありますから優先順位的に後です」 が、大淀が即座に釘を刺さした。 「えぇーケチー。 仕事なんて官僚に任せればいいじゃーん」 「提督が判断すべき要素に、 提督ご自身が決算しなくてはならない書類があるから駄目ですよ秋雲さん」 「・・・容赦ないな、淀さん」 神崎提督のぼやきに大淀は「吹雪さんと同じく初期秘書官ですから!」と誇らしげに答える。 「それに皆さん。 執務室でたむろうのも別に構いませんが、 テレビの向こうで護衛任務をしている天龍さんと同じように通常任務の存在を忘れていませんか? ニーラ教授も現地調査、それに午後からの講義に向けた準備があったはずだと私は記憶しています」 大淀の言葉に全員慌てて時刻を確認する。 指定された休憩時間はとっくに過ぎいるのを知った。 「ヤバっ!この後能代さん主導の訓練だった・・・遅れたらガチで〆られるぅ!!?」 と秋雲が顔を青ざめて間を置かずに部屋を後にしたのを契機に、残る艦娘たちも我先にと走り出す。 「またねー提督ー!」 清霜が最後にそう言って執務室を後にしたのを最後に、 部屋には神崎提督と今日の秘書艦である大淀だけが残った。 「さて、淀さん。 仕事を始めようか」 「はい、提督。 ではフィリピン政府からの回答ですが・・・」 神崎提督は一度背筋を伸ばすと、不法移民の帰国についてフィリピン政府の回答を耳にする。 そして太宰権帥の権限ですべき手続きと返答に向けて事務作業を始め、大淀もまたかつての戦争と同じ熱意を以て秘書艦としてその手伝いを始めた。 410: 第三帝国 :2017/12/13(水) 01 27 02 以上です。 そして194様、弥次郎様。 更新おつです。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4110.html
前ページ次ページゼロな提督 ヤンは、絶体絶命の危機にあった。 アムリッツァ星域会戦(宇宙暦796年/帝国暦487年)では、倍以上の敵艦隊を前に撤退 戦を強いられた。同盟がバーミリオン星域会戦(宇宙暦799年/帝国暦490年)で帝国に破 れた後、同盟政府は国家延命のためにヤンを帝国への生贄とする謀殺を企てた(宇宙暦799 年/新帝国暦1年7月)。その他、ヤンはほとんどの戦いで、戦略的には敗北が決してた状 況での戦術的勝利を要求され続けた。 だが、いかなるときにも彼には味方がいた。彼の部下達は常に彼の身を案じ、命がけで 彼に付き従った。彼の上司達は、彼を守ろうとあらゆる政治的軍事的支援を惜しまなかっ た。彼等は上司部下という地位にはあったが、ヤンにとっては皆同じ、かけがえのない友 人達だ。 だが今、ヤンは孤立無援だ。 王女アンリエッタはルイズに、死地へ赴けと命じようとしている。 上司のルイズは忠義だの友情だのに溺れ目がくらみ、玉砕をしようとしている。 学院の平民や何人かの貴族子弟は、彼に同情はするだろう。だが、王女の命に逆らうな ど、自らの破滅と死を意味する。彼等からの助けは期待出来ない。 バーミリオン星域会戦ではハイネセンからの無条件停戦命令に従った。勝利を目前にし た戦局だったが、民主主義という制度上、軍人は文民に従わなければならないからこそ、 あえて勝利を放棄し命令に従いもした。だが、トリステインは民主主義国家ではないし、 法治国家ですらない。 絶対に王女のアルビオン潜入命令に従うわけにはいかない。だが逃亡先は無い。自らが 並べ立てた美辞麗句に酔いしれた少女二人に説得が通じるとは思えない。 ならばヤンは自らの持てる全てをもって、自らを守らねばならない。第四の選択肢を選 び、実現せねばならないのだ。 全ての記憶を検索する。 思考を巡らす。 現状を把握する。 現状・・・? ヤンは改めて見直してみた。 一人、夜の闇を駆けてきた王女を。目の前の『おともだち』を死地に追いやろうとして いる女を。 一人で…この闇の中を学院まで来た!? ヤンは窓の外を見る。双月に照らされた星空が見える。 手を顎に当て、窓へ歩き始めた。 第十話 第四の選択肢 おほん、とヤンはわざとらしく咳払いをした。 少女二人は、まだ手を取り合って互いを賛美し続けている。 ぅおっほん!と、今度は大きく咳払いした。 ようやく二人はヤンの存在を思い出し、視線を向けた。 「なるほど。姫殿下のお話は理解致しました。ですが、念のため確認させて頂いてよろし いですか?任務遂行には詳細な情報が必要です」 「そ、そうですわね!私ったら、取り乱してしまいました。では、改めて任務について説 明致しますわ」 そして王女は二人に語った。溢れる涙を拭きながら。 アルビオンへ向かい、ニューカッスル城に潜入。王女の密書をウェールズ皇太子へ手渡 し、アンリエッタから送られた手紙を回収せよ。 王女は語った。 ルイズは頷いた。 この二人の頭の中はどうなっているのか…ヤンは目まいがしてきた。だがそんな様子を 悟られてはならない。 窓の外の闇を見渡した後、重々しく口を開いた。 「なるほど、命令の内容は承知致しました。そして、それを私に命じるという事は、私の 軍人としての力量にも期待している…と解釈して良いわけですね?」 「無論です。あなたは平民でありながら、軍人として立身出世を成し遂げた方。それも、 ハルケギニアより遙かに優れた技術を持つ国で。 あなた方なら、きっと困難な任務をやり遂げてくれると思います」 「一命にかえても。急ぎの任務なのですか?」 外を見るヤンの背後から、ルイズの真剣な声がする。 「アルビオンの貴族達は、王党派を国の隅っこにまで追いつめていると聞きます。敗北も 時間の問題でしょう」 「早速明日の朝にでも、ここを出発いたします」 ルイズはヤンの言葉を待たず、出立を確約した。 ヤンは王女に背を向けたまま、窓の外を見ている。ゆっくりと闇夜に浮かぶ双月の方を 見上げる。 「出立するのは良いのですが…その前に重要な事を確認せねばなりません」 その言葉にルイズが気分を害したようだ。背後からすっくと立ち上がる音がする。 「ちょっとあんた!姫さまの命令に異を唱えようと言うわけ!?」 ヤンは肩越しにチラリとルイズを振り向いた。 「いえ、そうではありません。ですが姫殿下ご自身がおっしゃられた通り、これは極めて 困難な任務です。故に最善を尽くして臨まねばなりません。これは、任務を成功に導くた め必要な事なのです」 ヤンの芝居がかったセリフに、アンリエッタも芝居がかった優雅さの頷きを返す。 「それは当然の事ですわ。あなた方の忠義に応えるためにも、わたくしに答えられる事で あれば答えましょう」 「感謝致します」 そう言って、再びヤンはわざとらしく窓の外を向いた。そして腕組みをする。 「まず…任務の性格上、事は秘密裏に運ばねばなりません。当然秘密を知る者は少ない方 が良いのです」 少女二人は頷く。 「そこで伺いたいのですが、今宵はお一人で来られましたか?どこかに侍女なり護衛の騎 士なりを待機させていますか?」 「いいえ。もちろん一人で来ましたわ」 王女が、一人で、夜中に、城からこっそり抜け出す…。本人は勇気を振り絞った英雄的 決死行のつもりだろう。だが、そのために城ではどれ程の騒ぎになっているか。警備責任 者がどんな責任を取らされるか。 他人の心配をしている状況ではないと分かってはいる。それでも思わず城の人々に同情 してしまう。 「その手紙について、我々とウェールズ皇太子の他に知る人は?」 「無論、いませんわ」 「そうですか…」 ヤンはゆっくりと天を仰ぐ。黙って窓の外の空を見上げている。 ルイズとアンリエッタは、怪訝な顔で向き合った。 そして、突然ヤンは振り向いた。扉の方を。 「扉に張り付いてる人!入ってきなさい!!」 どったーん! ルイズの部屋の扉から、何かがひっくり返った音がした。 アンリエッタもルイズも、驚きのあまり手で口を覆ってしまう。 そして、扉が恐る恐る開かれた。そこにいたのは、薔薇の造花を手にしたギーシュだっ た。同じくこわごわと扉を閉めながら入ってくる。 「ギーシュ!あんた!立ち聞きしてたの?今の話を!」 ルイズに問いただされたギーシュは、詫びれるどころか胸を張り、夢中になってまくし 立てはじめた。 「薔薇のように見目麗しい姫さまのあとをつけてきてみればこの部屋へ、それでドアの鍵 穴からまるで盗賊のように様子を伺っていたのですが、姫殿下!その困難な任務、是非と もこのギーシュ・ド・グラモンに仰せつけますよう!」 「ダメです」 あっさりヤンは断った。 ギーシュは、こけた。 アンリエッタとルイズもあっけにとられた。 立ち直ったギーシュが背を向けるヤンにくってかかる。 「きっ君!失礼じゃないか!話も聞かないで!」 ようやくヤンはクルリと振り返る。 「ミスタ・グラモン。あなたは我々の話を聞いていましたよね?」 「もちろんだとも!姫殿下のお役に立つために」 「極秘任務と分かってますよね?」 「と、当然だろう!?」 「では、まずは声を小さくしてもらえませんか?」 と言われて、ようやくギーシュは声をすぼめた。 「おほん…失礼したね。それで、どうして僕が任務に加わってはいけないんだい!?僕の 実力は先日のエルフの件で、君も知っているだろう?」 「確かに。あなたの使い魔は素晴らしい実力を持っています。あなたとヴェルダンデ君が いれば、確かに心強い。 ですが、一つ問題があるのです。」 ヤンはゆっくりと、諭すように話す。 「それは、これが極秘任務だということです。実働隊は少数精鋭の方が隠密行動をしやす いのです。特に、秘密を知る人間も、です」 「な、なんだ、そんな事かい。大丈夫!僕は由緒正しきグラモン家の者だ。貴族の名誉に かけて秘密は守る。そして、姫殿下への忠義の心をもって!一命を賭して任務に当たるこ とを約束しよう!」 「グラモン?あの、グラモン元帥の?」 アンリエッタが、きょとんとした顔でギーシュを見つめた。 「息子でございます。姫殿下」 ギーシュは恭しく一礼した。 「あなたも、わたくしの力になってくれるというの?」 「任務の一員にくわえてくださるなら、これはもう、望外の幸せにございます」 熱っぽいギーシュの口調に、アンリエッタは微笑んだ。 「ありがとう。お父さまも」「無理です」 姫の言葉を遮って、再びヤンはギーシュの申し出を拒絶した。再びギーシュはヤンへ噛 みつかんばかりに食ってかかる。 「きっ君ぃっ!一体僕の何が問題だと言うんだい!?まさか、僕が秘密を他人に漏らすと でも!」 ギーシュに詰め寄られるヤンは、残念そうに首を横に振った。 「問題は、ミスタ・グラモンじゃないんですよ…あなたが秘密を守るか否かに関係なく、 既に機密保持の上で重大な問題が生じているのです」 その言葉に、若者3人は首を傾げる。 ヤンは少年少女を一人一人見渡す。だが彼等は顔を見合わせるばかりだ。 彼は大きく息を吸い、アンリエッタに向かってハッキリと言った。 「姫、ここに来る姿を見られましたね?」 その言葉に、ギーシュが慌ててヤンと姫の間に割ってはいる。 「な!何を言ってるんだ君は!?僕は、決して他言しないと言ってるじゃないか!」 その言葉にヤンは頷いた。 「ええ、私もそう思います。ミスタ・グラモンは必ず、貴族の誇りに賭けて『姫殿下が過 去にウェールズ皇太子へ恋文を送った』という秘密を守ってくれるでしょう」 「分かってるじゃないか…君は何を言ってるんだ?」 3人は更に首を傾げ、ヤンへ不審の目を向ける。 そんな彼等に向けて、冷然と言葉を続けた。 「ですが、ミスタ・グラモン以外に見られませんでしたか?もし見られたなら、しかも秘 密を守れぬ人物であれば…最悪、出立前に、その者の口を封じねばなりませんが」 その言葉を聞いた若者達の顔がこわばる。 「そ、それは…大丈夫です、恐らく見られていません」 アンリエッタは視線を逸らす。ギーシュもルイズも、不安げに姫の顔を覗き込む。 「ですが、もし秘密を守れぬ者に見られていたなら、それが誰であろうと口封じに殺さね ばならない事は、ご理解頂けますね?軍人として任務に私情は挟めませんので」 「そ、それは…その…」 アンリエッタは言葉に詰まり、視線が泳ぐ。 そんな姫を無視して、ヤンは再び窓の外を見る。 そして顔を上げる。 そのまま声を張り上げた。 「扉の二人!入ってきなさい!」 どたたーんっ! 扉の外から再び、さっきより盛大な音が響いた。 そして、やっぱり再び扉が恐る恐る開かれた。そこにいたのは、キュルケとタバサだ。 キュルケは「おほほほほほ…」と笑って誤魔化しながら、タバサは平然と入ってきた。 「そ…そんな…」 アンリエッタは青ざめ、小刻みに震え出す。 ヤンは、さらに落ち着いた声で尋ねた。姫を落ち着かせぬ問を。 「口を封じますが、よろしいか?」 ヤンは肩越しに振り返り、さらに冷淡に言い放つ。 「ちなみに、そこの方はミス・ツェルプストー。ゲルマニアからの留学生です」 紹介されたキュルケは恭しく一礼し、居直るかのように堂々と名乗った。 「お初にお目にかかりますわ、アンリエッタ姫。 私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。私の 口封じをするならツェルプストー家が、ひいてはゲルマニアがお相手致しますわよ!」 アンリエッタは、崩れ落ちた。 膝をつき、わなわなと震え、何も答えられない。 ヤンは絶望に打ちひしがれた姫を無視し、窓の外に目を向けた。 「よぉ、ヤンよ。さっきからやたら外みてっけど、外になんかあんのか?」 ようやく口をきいたデルフリンガーを、ヤンは窓へ持って行く。その姿に、ようやくル イズとギーシュも窓の外を見た。 窓の外には、沢山の人がいた。 メイド達が寝間着のまま寮塔に向けて走ってくる。 メイジ達が『フライ』で文字通りに飛んでくる。その中にはオスマンの姿も見える。 「あっらー、こりゃダメだ。秘密守るにゃ学院の貴族丸ごと皆殺しにしなきゃなぁ」 長剣は呑気に物騒な事を言う。 生徒二人は、開いた口が塞がらない。 背後から、ドサッと音がした。花のごとく見目麗しい姫は、やはり優雅に美しく失神し て床に倒れていた。 「ひっ!姫さま!」「姫殿下!お気を確かに!」 ルイズとギーシュは慌てて姫を助け起こそうとする。 そしてヤンは上を見上げ、ぎこちないウィンクをする。 寮塔の外壁に垂直に立っていたロングビルが、真下の窓から見上げるヤンに小悪魔っぽ くウィンクを返した。 朝日がのぼる頃、学院近くの森の中に女性の爆笑が響いていた。 森の奥には、腹を抱え転げ回って大笑いするロングビルと、木の根本にへたり込んでい るヤンがいた。 「いやぁ~、助かったよ。君が皆を呼んできてくれなかったら、僕はアルビオンで死んで いたね」 ロングビルは緑の長髪が乱れるのも構わず、涙を流しながら笑い続けていた。 しばらくしてようやく、ヒィヒィ喘ぎながらも笑い転げるのを止めた。 「ま、まったく!あははははっ!…ほんと、窓から必死な顔で…いひひひっ!さ、散歩し てたあたしを!ぎゃはっははははっ!!コッソリ手招きしてるから、何かと思って飛んで 行ってみれば!うひゃははひゃはひゃひゃひゃぁっ!!」 それだけしゃべって、汗と朝露でしっとりと濡れる緑の髪を振り乱し、再び大爆笑を再 開してしまった。 ヤンは、ロングビルが夜の散歩をしていたことを思い出した。だから、もしかしたら彼 女はアンリエッタが学院に来る姿を見つけ、部屋の様子を伺っているのではないかと外を 見たのだ。 案の定、夜の散歩をしているロングビルの姿を発見した。残念ながら彼女はアンリエッ タを見てはいなかった。が、ただならぬ雰囲気で外を、彼女を見つめるヤンの姿を見つけ てくれたのだ。 後は窓の外にとりついて、こっそりヤンとゼスチャーで連絡と指示を取り合っていた。 ロングビルがルイズの部屋に聞き耳を立て覗き見しているギーシュを見つけ、オスマンや メイドを呼んだのだ。 「いやぁ、それにしてもキュルケさんにタバサさんまで呼んでくるなんて、気が利いてる ねぇ」 「あはは!はぁはぁ・・・い、いや、呼んでないよ。あの二人はさ、外の騒ぎに気付いて 勝手に外に出てきただけさ!ひひひぃひひっひっ!」 地面をバンバン叩きながら笑い転げ続ける美女を眺めていたヤンだが、不意に「よっこ らせ」と立ち上がった。 「あは、あはは・・・はぁ、どぉ、どこいくのさ?」 ようやく笑いが収まったロングビルが、今度はどんな面白い事をするのかと期待した目 でヤンを見つめる。 「医務室行ってくるよ」 そのセリフにロングビルは目を見開いた。 「医務室って、ひっくり返ったお姫さんのとこかい!?」 「うん、そろそろ目を覚ました頃かと思うんだ」 ロングビルは体中にひっついた草やら葉っぱやら土を落としながら立ち上がった。 「いいねぇ。トドメでも刺しに行くかい?付き合うぜ」 「はは、まさか。『第四の選択』を実行しようかと思ってね」 ヤンの言葉に彼女は怪訝な顔をした。 学院の門へ向かいながらヤンは自身の策『第四の選択』について語った。 聞いてるロングビルは感心しきりだ。 「ほほ~、さすがだねぇ。あたしに人を呼んでこさせた上に、さらにそんな事まで企んで いたとはねぇ」 「いやいや、君がいたのは偶然だからね。たまたま上手く行ったから良いけど、運頼みの 策なんて信頼に値しないよ。ただ、この策を取る上では良い布石になるのも確かだね。恐 らく、これで上手く行くかな?」 当然のように語るヤンだが、ロングビルには思いつきようのない策だ。一体この男の頭 の中には、どれ程の策略が詰まっているのか。彼女には恐怖すら覚えてしまう。 「それにしても、なんでそんな事をわざわざすんだい?あんなバカ共ほっときゃ良いじゃ ないか」 その言葉に、ヤンは残念そうに首を振った。 「そうもいかないよ。このままだと、あの姫さまは僕を逆恨みするかもしれない。王族に 恥を掻かせた身の程知らずの平民、とね」 その言葉にロングビルは肩をすくめてしまう。 「そして、今となってはあの娘は、あんたの策に乗らざるをえない…か」 「そうだね、でも、僕としては・・・この策は取りたくなかったんだ」 ヤンの言葉にロングビルは彼の顔を覗き込む。だが彼はそれ以上は語らなかった。 二人は先ほどまでの地を隠し、無能な執事と有能な秘書の顔で門をくぐった。 水の塔6階の医務室、一番奥のベッドでアンリエッタは目覚めていた。 ベッドサイドにはヤンとオスマン、その後ろにルイズとロングビルとギーシュが立って いる。 ヤンはアンリエッタに彼の策を説明していた。 「ほ・・・本当なのですね?その通りにすれば、上手く行くのですね!?」 憔悴が滲み出た姫に、ヤンはノンビリと答える。 「はい。もはや、姫殿下がウェールズ皇太子へ送った手紙の件を秘匿する事は不可能とな りました」 もちろん、自分が王女来訪を周囲にしらしめた、なんて教えない。『ロングビルが寮塔 へ向かう姫を見つけ、慌ててオスマンへ報告し、メイド達を呼び寄せた』と口裏も合わせ てある。 「ならば、この現状を逆手に取るしかありません。いえ、むしろミス・ヴァリエールやミ スタ・グラモンがアルビオンへ潜入するより、遙かに成功確率は高いことでしょう」 一縷の望みにすがるように、アンリエッタはヤンを見上げる。だが、すぐに顔を伏せて しまう。 「で、ですが…この手紙の件を知れば、母さまも、マザリーニにも・・・私は・・・」 後ろで黙って聞いていたロングビルは、いやオスマンもヤンも「自分が怒られるより、 自分に忠誠を誓う『おともだち』を戦場へ特攻させた方がましなのか!?」と怒鳴りつけ たいのを必死で我慢した。こんな所で王女に説教をしても、何の得も意味もありはしない のだから。 ヤンは引きつりそうな顔面の筋肉を強引に押さえ込み、どうにか微笑む事に成功した。 「大丈夫です!姫殿下は決して一人ではありません。姫のお側には、姫のためにアルビオ ンへの決死行すら厭わぬ友人達がいるではありませんか!」 そして大袈裟に腕を広げ、後ろのルイズとギーシュを指し示した。二人はヤンの言葉に 力強く応えた。 「そうですわ!このルイズ、姫さまのおともだちとして、姫さまだけにお叱りをうけさせ ようなど思いませんわ!」 「僕とて同じです!ともに王宮へ行き、素直に事情を話しましょう!そうすれば枢機卿も 女王陛下も、きっと姫さまを咎めようとはしません!」 そして彼等は王女へ駆け寄り、その手を取って涙した。王女も二人の言葉に涙を溢れさ せる。 「おお…ありがとう。二人とも、その友情と忠誠を、一生忘れません…」 手を取り合って涙する3人に、ヤンとロングビルは背を向けて医務室を後にした。出て 行く彼等の背に「ウェールズ様…お許しを…」というアンリエッタの言葉が届いた気がす る。 だが二人とも、もはや涙する王女達に目もくれなかった。 オスマンは離れ行く彼等と涙する王侯貴族達の間で視線を彷徨わせ、最後に肩を落とし て大きな溜め息をついた。 三日後、アルビオン王家は潰えた。 ニューカッスル城に立て籠もった王党派三百人は、レコン・キスタ軍五万の前に瞬く間 に全滅させられた。王軍は最後の一人まで果敢に戦い、レコン・キスタ軍に自軍の十倍以 上、四千人の死傷者を与えた。この戦いはアルビオン王家の栄光ある敗北を示し、伝説と なった。 さらにその三日後、アンリエッタとアルブレヒト三世の婚約が公式に発表された。式は 一ヶ月後を予定している。それを受けゲルマニア首都ヴィンドボナにてトリスティン-ゲ ルマニア軍事同盟締結が発表された。条約文の署名にはマザリーニ枢機卿が出席した。 そして条約締結に併せ、両国の共同声明文が公表された。その声明文には、以下の下り があった。 「…しかるに、両王家は手を取り合い、始祖ブリミルより授けられし王権を守護するもの である。 なお、レコン・キスタなる背教徒共は、王権の権威を失墜させ両王家の絆を断たんがた めに、ウェールズ皇太子の名を騙り下劣なる怪文書を偽造し、卑しくもゲルマニア王アル ブレヒト三世の御心をかき乱さんと愚策を弄したものである。あまつさえ始祖ブリミルの 神聖すら穢す文面すら書き連ねる恥知らずぶりに、憐憫の情すら禁じ得ない。かような貴 族の名誉をもたぬ下衆共の戯れ言など、王家二人が育む尊き愛の前に、いかほどのことも あろうか。 両王家は始祖ブリミルの加護の下、共にさらなる発展を…」 ヤンの『第四の選択肢』、それは『手紙の存在をばらす』。 ただし、手紙をばらす相手は学院の人々でも、マザリーニでもマリアンヌでもない。ゲ ルマニア王アルブレヒト三世その人だ。 ヤンは学院の各種書籍、なによりキュルケのゲルマニア講座からアルブレヒト三世の人 となりを知った。 キュルケの祖国である帝政ゲルマニアは、トリステインの10倍の面積を持つ国。もと は一都市国家だったが、周辺地域を併呑して版図を広げた。貴族同士が利害関係の上で寄 り集まって出来た国で、皇帝への忠誠心は高くはない。 その皇帝アルブレヒト三世は、権力争いの末に親族や政敵をことごとく塔に幽閉し皇帝 の座をもぎとった。だが始祖の血を引いておらず、新国の皇帝であるため、他国の王から 軽んじられている。 ここから読み取られるのは、野心の塊な男。冷徹で合理主義者。始祖の血を引かず、そ の血を引く王家から軽んじられているため、始祖への信仰心は低い。 だが同時に、幽閉した親族と政敵を殺そうとはしない事から、人並みの良識も持ち合わ せている。巧みなバランス感覚で貴族間の利害調整に日々奔走し、広大な版図をまとめ上 げる政治的才覚の持ち主。冷徹なだけでは人心をまとめ上げる事は出来ない。成り上がり なら、それはなおのこと。 即ち、子供の頃に書いた恋文一枚のために婚約を破棄したり、国家の命運を決する軍事 同盟を諦める人物ではない、ということだ。始祖ブリミルに永遠の愛を誓っていようが何 だろうが、皇帝にとっては軍事同盟を成立させる方が重要だと認識しているだろう、とヤ ンは見ていた。 そして、そんな皇帝であれば後宮やら愛人やら、いくらでもいるだろう。だから、政略 結婚の相手が誰に愛を誓った事があろうと、気にもとめないだろう、と。始祖の血に連な る後継者さえ手に入ればそれでいい、とすら考えているだろうと。 ゆえに、『予めトリステイン王家より手紙の存在を知らされていればいい。レコン・キ スタから手紙の内容を伝えられたところで、それを黙殺するなり偽造文書と逆に咎め立て るなり、いくらでも機転を利かしてくれるだろう』と、ヤンはアンリエッタに進言したの だ。 無論ヤンはアンリエッタには、皇帝が王女の愛など求めていないとか始祖に愛を誓った かどうかなんてどうでもいいとか、そういうほの暗い現実は口にしない。ひたすら美辞麗 句で飾り立てた皇帝像を示し、姫が自らの過ちをアルブレヒト三世へ告白すれば、必ずや 姫殿下を寛容に許してくれる、と語った。歯が浮きそうになるのを我慢しながら。 そしてアンリエッタには、もはやヤンの策にのるしか道は無かった。 手紙の物理的消去ではなく、政治的消去。それがヤンの策だ。 アンリエッタは、学院からの報せで飛んできた魔法衛士隊に守られて城へ戻った。共に 枢機卿と女王陛下のお叱りを受けてくれるルイズとギーシュを引き連れて。 後の政治的処理については、学院に留まったヤンの知る事ではない。王宮間で密使がや りとりされたことだろう。アンリエッタとルイズは献策したヤン本人も王宮へ連れて行こ うとしたが、「私の策に基づくというより、王女自らの考えと示した方が、女王陛下や枢 機卿、ひいては皇帝陛下への印象は良くなる」として拒んだ。 ギーシュは次の日には学院に戻ったが、ルイズは婚約発表までトリスタニアに滞在して いた。恐らくアンリエッタとの友好でも深めているのだろう、と厨房でヤンは午後のお茶 を飲みながら想像していた。 どうして僕の煎れたお茶は、毎回こんなに不味いんだろう、という解けぬ謎に取り組み ながら。 「そりゃ、おめーにゃ肉体労働はむいてねーってことじゃねーか?」 「で、デル君。それを言わないでくれよ」 と、テーブルに立てかけられたデルフリンガーが身も蓋もない事を言い、ヤンは少々傷 ついてしまう。 「そうですよ!ヤンさんがお茶を入れる必要なんか無いですよ。そういうことは、私がす るから安心して下さい」 とニッコリ微笑んで言うのは、ヤンの左隣でお茶を味見しているシエスタ。 「なーんであんたがするんだい?あんたは学院のメイドでしょーが!あんたの下心なんか 見え見えなんだよ!」 と、ヤンの反対側から食ってかかるのは、同じく味見していたロングビル。 まぁまぁ二人とも…と間に割って入ろうとするヤンに構わず、ロングビルは地まで晒し て睨み合っている。 「あら、下心って何ですか?同じ平民同士、助け合うのは当然じゃないですか」 やり返すシエスタは、メイジ相手にも一歩も引く様子はない。 「はっ!何言ってンだい!?ヤンが大金を手に入れたとたんにコビ売りはじめたクセに」 かなりエゲツナイ指摘に、シエスタも真っ赤になってしまう。 「そっちこそ何を言ってるんですかっ!私はヤンさんが来た時から、その、凄い人だなっ て思ってましたよ! 食堂でミス・ヴァリエールを庇った時の勇気、貴族相手に一歩も引かない度胸、穏やか で知的な人柄!まさに年上の男性の魅力に満ちてるじゃ」 というところまで叫んだシエスタは、すぐ隣に当の本人がいる事を思い出した。 恐る恐る視線をずらすと、そこには、可愛い少女に自分の魅力を力説された中年男が赤 くなってモジモジしている。 「何を赤くなってんだいっ!?」 どごっ! ヤンはロングビルにグーで殴られた。 「それにしても…ヤンの所にいる限り、俺の出番はねえのかなぁ」 美人二人に挟まれて、この世の天国と地獄を同時に味わう剣の主を眺めながら、デルフ リンガーは自分の存在理由に思いをはせるのだった。 そんな喜劇が演じられる厨房の扉が開けられた。 「ヤンさーん、ヴァリエール家から馬車が迎えに来てますよ・・・って、あんたら何して るのよ」 扉を開けたローラは、女性二人の引っ張り合いで見るも無惨に引き裂かれつつあるヤン を発見した。 夕方、ヤンはヴァリエール家の別邸に到着した。 背中に「たまには俺も連れてけー!」とうるさいデルフリンガーを背負っている。 執務室へ通されたヤンは、ソファーに座る公爵と、しょげかえって部屋の隅に立たされ ているルイズを発見した。 まずは室内の貴族達へ向けて、深々と礼をする。 「ヤン・ウェンリー、参上致しました」 「よく来たな、ウェンリーよ。まずは座られよ」 そういって公爵はヤンを、机を挟んで真正面に座らせた。だが彼の雇い主は未だに立っ たままだ。デルフリンガーを横に置きながら、怪訝な顔でルイズと公爵の間で視線を往復 させる。 「まずは娘の命を、そしてヴァリエール家を、そしてトリステインを救ってくれた事に感 謝する」 そう言って公爵はヤンに向かって頭を下げた。その様にヤンも仰天してしまう。長剣も 鞘から飛び出してしまう。 「おいおい、いきなりだな。こりゃいってーどーしたこった?」 「デル君!失礼だよ、ちょっと黙っててくれないか」 「へーい」 デルフリンガーは、鞘に引っ込んで動かなくなった。 ヤンは一つ小さな咳払いをして公爵に尋ねる。 「えっと、よくわかりませんが、顔をお上げ下さい。そして、ヴァリエール家を救ったと は、どういう事でしょうか?」 ゆっくりと頭を上げた公爵は、苦々しげに語りはじめた。 「王女が学院へ忍び込んだ云々の話は聞いた。 もしルイズがアルビオンへ行っていれば、間違いなく戦火に巻き込まれ、命を落とした 事だろう」 「そ!それは姫さまの」 反論しようとしたルイズだったが、ギロッと公爵に睨まれて再び縮こまってしまう。 ヤンは、あ~学院に帰ってこなかったのは、ずっと公爵に叱られてたのか~、とぼんや り考えた。 「王家への忠義、それは結構な事だ。だが、己の力量をわきまえず、勢いだけで危険極ま りない任務を引き受けるなど、愚の骨頂だ!」 小さな少女は威厳ある父の怒声に、ますます顔を伏せて小さくなる。 「敵に後ろを見せない者を貴族と呼ぶ、か。…ふん、わざわざ敵のど真ん中に突っ込んで おいて、後ろも前もあるものか」 公爵は瞳を潤ませた娘から、冷や汗をかく執事へ視線を戻す。 「そして、もし娘がアルビオンで命を散らせば、わしは間違いなく姫を、王家を憎んだろ う。叛旗を翻す事すら厭わなかったやもしれぬ」 「アルビオンのレコン・キスタを前にして、王家と重臣が杖を交えるなど、敵を利する以 外なく、トリステインもアルビオン王家と同じく滅んでいただろう…ということですか」 公爵の言葉をヤンは引き継ぐ。淀みなく語られるヤンの推理に、公爵も感心しきりだ。 「うむ、その通りだ。やはりお主は聡明だな。故郷では、さぞや名のある将か参謀だった ことだろう」 「いえ、とんでもありません。なにしろ私の二つ名は『2秒スピーチのヤン』でした」 「2秒スピーチ?」 「私の挨拶や演説は2秒で終わるんです。新年パーティーの挨拶なら『みなさん、楽しく やってください』。国家の式典では『ヤン・ウェンリーです。よろしくお願いします』と 言った感じです」 冗談のつもりで言ったヤンだったが、公爵は真剣に答えようか笑おうかかと迷っている ようだ。これはヤンのジョークのセンスが原因か、ハルケギニアと笑いのポイントが違う せいか、公爵のユーモア感覚が十分に開発されていなかったのか。二人はあえて探求しよ うとはしなかった。 「ともかく、だ」 公爵は、妙に抜けた空気を強引に振り払って話を続けた。 「平民ながらにトリステインの危機を救う、お主の知略には感服した。マザリーニもお主 に興味を持っている。遠からず城への招待状が届くであろう」 その言葉に、ヤンは露骨に顔をしかめた。 公爵はヤンが嫌悪感を露わにしたことを咎めなかった。 「あのような事があったのだ、お主が城を毛嫌いする気持ちは分かる。ならば、どうか、 これからはヴァリエール家のために手腕をふるって欲しい」 「えっと…いえ、私は、その…」 頼まれたヤンが回答に困っていると、公爵は再び頭を下げた。 「異国で軍人として名をなさんとしていたお主が、いきなりルイズに召喚され、使い魔と いう名の奴隷にされてしまった事。ルイズと共に城へ行かなかった気持ちも分かる。父と して娘に代わって謝罪する。 だが、娘にも事情がある事、お主も承知している事と思う。それに、聞けばお主の故郷 は、自力で帰還出来ぬほど遠方とか。 ならば、ここは伏して請う!この国で暮らす上での地位、安全、財産は保証する。だか らどうか、娘を見捨てないで欲しい!」 威厳も何もかもかなぐり捨てて、流れ者の平民に頭を下げる公爵に、ヤンは頷かざるを えなかった。そしてルイズは、唇を噛みながら涙を流していた。 双月が照らす夜道を、学院へ向けて馬車が進む。 中にいるのはヤンとルイズとデルフリンガー。長剣は二人を隔てる柵のように、左右の 扉に分かれて座る二人の間に立てかけられていた。 二人とも、何もしゃべらない。重苦しい沈黙を乗せて、馬車は帰路を進む。 「なぁ、ヤンよ。もう許してやんなよ」 「ダメ」 沈黙に堪えられなくなったデルフリンガーの提案は、いつにないヤンの冷たい言葉に却 下された。 「で、でもよぉ、いいじゃねぇか。結局全て上手く行ったじゃねえかよ」 「とんでもない!僕にとっては、最悪の選択肢だったんだよ!?」 「最悪って、なんでだよ?」 デルフリンガーの質問に、ヤンはめんどくさそうに答えた。 あの策を使えば、確かに婚姻は無事成立し、両国は軍事同盟を結ぶ事が出来る。 だがヤンは、専制国家を打倒するため、民主共和制を守るために戦い続けた。その自分 が、王政維持のために力を貸す。貴族限定かつ利権争いの舞台でしかないとはいえ、民主 共和制の萌芽であるレコン・キスタを害しようとする。 自分の身を守るためでも、それは彼の過去を完全否定する行為だ。例え自分の身を守る ためでも、この世界では市民革命が期待出来ないとしても、自らの信条に反する事、甚だ しい。 おまけにそれは同時にヤンの存在を、知謀を王宮へ知らしめる事になる。今後もことあ る毎に王宮や公爵はヤンへ厄介事を持ち込むだろう。そして権力をたてにして、協力を拒 む事を許さない。 「…枢機卿は、僕を城へ招待したいそうだよ」 「そうらしいなぁ、公爵にも頭下げられて、ホントお前は凄いヤツだな」 「とんでもない!君は分からないのかい?なんで、あの程度の策を示しただけで、公爵が 頭を下げたのか。枢機卿が招待状を送るのか!?」 「あ、あの程度の策って…」 「あんなの、策でも何でもないよ!枢機卿も公爵も普通に考えつく事さ!なのに、なんで 公爵があんなに大袈裟に感謝したと思うんだい!?」 「え、いや、さぁ」 「僕を利用するためさ! 流れ者の平民、捨て駒には最適だろうね。せいぜい金貨や権力をちらつかせて、無理難 題を押しつけて、用が無くなればポイッてわけだ! これで、僕の学院での穏やかな生活は終わりだ。再び権謀術数渦巻く政治劇に巻き込ま れるわけだよ!バカバカしい、なんでこんな異世界に来てまで!」 ヤンは忌々しげに、本当に心から忌々しげに吐き捨てた。 ドゴンッ! ヤンの言葉に対する返答は、デルフリンガーの言葉ではなく、馬車の扉を吹き飛ばすル イズの爆発魔法。彼女は震える手でヤンに杖を向けていた。 御者も慌てて停車し、車内を覗き込む。 「何よ…何よ何よ何よ!なんなのよそれは!? 貴族でメイジのあたしが、逆立ちしたって王宮に頼られる事なんか、鳥の骨に招待され る事なんかないのに! 平民のあんたが!城に行きたくない!?政治に関わりたくないですってぇ!?? なんなのよそれは!あんたいったい何様のつもりよぉっ!!」 「ま、待って、ルイズ、落ち着いて」 顔を真っ赤にして涙を流すルイズの杖に、じわじわと後ずさるヤン。 「うるさいうるさいうっさーい! どいつもこいつも、あたしをバカにするのよ!平民すらも!しまいには、あたしが召喚 した使い魔まで!あたしを差し置いて!」 「うわー!待て、落ち着けぇ!」 叫んだのはデルフリンガーだったが、ルイズは構わず手に持つ杖をヤンに振り下ろさん としていた。 ヤンは慌てて杖を持つ手を掴み、杖を奪おうとする。二人のが狭い車内でもみあう。 ドサッ 散々もみ合ったあげく、吹き飛んだ扉の穴から外へ落ちてしまった。 ヤンは背中から地面に落ちた。 体の上にはルイズを抱きしめている。怪我をしないよう、慌てて抱き留めたのだ。 二人は呼吸を荒くしながら、闇の中でしばし動かない。 「・・・あたしだって、何かしたいのよ」 「・・・分かってる」 呼吸を整えた二人は、そのままボソリと言葉を吐く。 「姫さまに頼ってもらえて、嬉しかったの」 「だろうね」 ルイズはヤンに抱きしめられたまま、ポツポツと語る。 「姫さまは私を、おともだちって、言ってくれた。今まで誰もそんな事言ってくれなかっ た」 「友達なら、これからだって作れるよ」 ヤンは星空を見上げたまま答える。 「魔法を使えないあたしに、何が出来るの?」 「僕も魔法は使えない。でも、君の命を守り、軍事同盟は成立させたよ」 ルイズは顔を上げ、ヤンを見る。 「あたしにも、出来る?」 「出来るさ。なにしろ、僕にすら出来たんだから」 ルイズはようやく体を起こし、ヤンの腹の上に乗ったままクスクス笑い出した。 「そーね。あんたみたいな冴えないオッサンに出来るんだもの!このルイズ様に出来ない はずがないわ!」 「お…オッサンは、無いとおもうよ」 ヤンも苦笑してしまう。 ようやく少女は男の体の上から降り、手を差し伸べた。 「ほら!さっさと立ちなさいよ!学院に戻ったら、すぐに勉強はじめるからね!」 「そうだね、じゃ、まずは何をする?」 ルイズの手を取り、ヤンも体を起こす。 「まずは、あんたの事を教えなさい。どんな国にいたのか、どんな戦争をやっててきたの か、全部聞かせてもらうわ」 「う~む、聞いても想像出来ないというか、そもそも信じてはもらえないな」 ヤンは首を捻りまくる。宇宙やら科学やら、どこまで話したらいいものやら悩んでしま う。 「おーい、ヤンもルイズもよぉ。そういう話は帰りながらしろや。御者さんがヒマしなが ら待ってるぜ」 車内に忘れられたデルフリンガーが言うとおり、御者が二人を見下ろしていた。よく見 たら、それは先日ヤンとルイズの買い物に付き合わされた御者だ。 「よぉ~、ホントにヤンって見てて飽きねぇぜ。お嬢様も、早く学院に帰りましょう」 御者の言葉に二人とも頬を染め、そんなお互いを見て笑いながら馬車に戻っていった。 第十話 第四の選択肢 END 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4581.html
前ページ次ページゼロな提督 城の大ホールは既にトリステイン貴族と彼等に使える召使い達でごった返している。 エレオノールがカトレアとお供数名を連れてマリアンヌ陛下の詔を拝聴すべくホールへ 向かった。 公爵夫妻とルイズは姫殿下や枢機卿に続いて馬車でサン・レミ聖堂へ向かう。なので城 の正門へ。彼等の共はジェローム以下ヴァリエール家の執事と召使い数名、それに警護の メイジ達が務める。 で、残った配下の者達と、新参のルイズ専属の執事と召使いであるヤンとシエスタは、 てくてくと城をあとにした。 「やれやれ、僕らは歩いて中央広場か。結婚式って、どこも儀式や演出が大変だけど、さ すがロイヤルウェディングは桁外れの大変さだねぇ」 「しょーがねーやな!見ろよ、周りを。街道もどこも貴族やら平民やら馬やら馬車やらで 一杯だぜ!おめーら平民まで馬車や馬を使ったり、パレードに参加したら、もう誰も通れ なくなるぜ!」 背中のデルフリンガーの言うとおり、もう街は押すな押すなの大混雑だ。 パレードが通る大通りには、既に警備の騎士達と見物人が陣取っている。裏通りには露 店が並び、大道芸人が芸を披露している。酒場は満席、宿屋は満室。 当然、混雑緩和のため、一般人の馬車・馬の乗り入れは厳禁。街の入り口の駅も馬と馬 車で満杯。 城から下ってきたヴァリエール家の使用人達も、街に入る前に気合いを入れていた。 使用人達の一番後ろで、シエスタはヤンの手をキュッと握る。 「ちょ、ちょっとシエスタ…」 「この大混雑じゃ、はぐれかねませんよ。さ、急ぎましょう!」 ニッコリ笑いつつも強引にヤンの手を引いていく。 ヤンは、やれやれ…と呟きつつチクトンネ通りを通って中央広場へ向かった。 「あ!ここですよ、ここ」 「ああ、ジェシカさんが言ってた『魅惑の妖精亭』だね」 ヴァリエール家使用人一行の後ろをついていく二人の視界に居酒屋が入った。見た目は ごく普通の居酒屋だ。街のお祭り騒ぎはここにも届いているようで、中から酔っぱらいの 下手な歌声や乾杯の音頭が響いてくる。 「ちょっと。ジェシカに挨拶していきましょうよ!」 そう言ってシエスタはヤンを居酒屋の中へと引っ張る。引っ張られるヤンは少し困り顔 だ。 「ちょ、ちょっとシエスタ。はやく聖堂に行って公爵夫妻をお迎えする準備をしないと」 「大丈夫じゃねーか?偉い人の演説とか、パレードとかはそーそー簡単に終わらねーモン だろ」 「ん~、そうだねデル君。じゃ、ちょっと挨拶していこうか」 二人は他の使用人達に「後で追いつきますから」と声をかけ、居酒屋の中に入った。 居酒屋の中は凄い熱気だ。 沢山の男達が朝から飲み倒しているのだろう。そこかしこでグデングデンな酔っぱらい が給仕の女の子にちょっかいをかけようとしてスルリと逃げられている。 で、給仕の女の子達の姿も熱い。ヤンとしては目のやり場に困る。胸を協調したデザイ ンの服、スカートの丈も短くて白い脚が輝いてる。可愛い女の子がきわどい格好で飲み物 を運んでくるのが人気の店だった。 よく見るとテーブルの上にはハルケギニア料理に混じって、餃子やホットドッグも並ん でいた。どうやら新メニューとして受け入れられたらしい。 店内に入った二人に、すぐに元気な声が飛んできた。 「あっらー!?シエスタに、ヤンさんじゃないの!いらっしゃーい!!」 お盆を片手に駆けてきたのはジェシカ。 「久しぶりー!ちょっと近くを通ったから寄ってみたの」 「あ、あの、お久しぶりです…」 ヤンは、思わず目を逸らした。何故なら、ジェシカは普段着だったタルブの時とは異な り、大きな胸を強調、というか胸元が大きく開いて谷間を見せつける服装だったから。 赤くなるヤンをみて、ジェシカはニンマリと笑ってしまう。 「あらあら、どうして目をそらしているのかしらぁ?挨拶は相手の目をみてしないと、失 礼ですよぉ?」 言われたヤンは視線をジェシカに戻した。それでもやっぱり視線が下にストンと下がり そうになる。 ぎゅにっ!「んぎゃ!」 シエスタに手をつねられた。 「あっらぁ~ん?あなたが噂のヤンさんねぇ!?お噂は娘から聞いてますわよぉ~」 珍妙なイントネーションの男の声も飛んできた。 声の方を見た瞬間、やっぱり目を逸らしてしまった。ジェシカとは正反対の理由で。 ボディービルダー級の体格なのにオネエ言葉。肌にピチピチの紫な衣装。クネクネした 物腰。…見事なまでのオカマ。 シエスタが少し苦笑いしながら、オカマを紹介してくれた。 「こちらは私の叔父で、ジェシカのお父さんのスカロンです」 紹介されるが早いか、スカロンはヤンに腰を振りながら近寄ってくる。ヤンはじわじわ と後ずさっていく。 「はぁじめましてぇ!あたくし、この『魅惑の妖精亭』の店長、スカロンですぅ。あたく しのことは、お店ではミ・マドモワゼルと呼んで下さいねぇ!」 ヤンの頬が引きつる。必死に作り笑いをしようとして、失敗したようだ。 「は、初めまして、ヤン・ウェンリーと言います。スカロンさん…」 「イヤンイヤンッ!ミ・マドモワゼルですぅ!」 ヤンの目は、違う意味で大きなスカロンの胸に視線が行ってしまう。見事な大胸筋が華 麗にビクビクと上下していたから。 「み、みす…み・まど、もわ…ぜる」 「トレビア~ン!」 スカロンは満足して微笑んだ。 そしてヤンの背に手を回す。触られたデルフリンガーが「やめてー!」と叫んだが、ヤ ンの耳には入らなかった。そんな余裕は無かった。 「せぇっかくいらして下さったんですからぁ、ゆっくりしていってねぇ~ん!新メニュー の味見とかもしていって欲しいしぃ~」 といって店の奥へと連れ込もうとする。 その筋肉に相応しいパワーで引きずられそうになったヤンは、色んな意味で身の危険を 察知した。背中にもアリが行列しているかのような気色悪さが走り抜ける。 「す!すいません!僕らは、その、中央広場へ!サン・レミ聖堂へ急いで行かなければな らないんです!」 「あっらぁ~ん?でも、ちょっとくらい」 「ごご、後日!日を改めて伺いますので!今日はこの辺でぇっ!」 叫んだヤンはシエスタの手をひっつかみ、逃げるように店を飛び出した。 後ろから聞こえる「またきてねぇ~ん!待ってるわよぉ~」という言葉は、故意に記憶 から抹消した。 息を切らして逃げてきたヤンは、ようやく中央広場に到着した。 広場の反対側に見えるファーサード(聖堂正面入り口)はアーチ状の上部に沢山の彫刻 が飾られ、窓の上には聖人像が並んでいる。ファーサードの向こうにある身廊(聖堂入り 口から祭壇までの空間)の天井には、見上げるような尖塔が幾つも見える。 大通りから噴水周囲、そして聖堂にかけては警備兵によって群衆が排除され、人混みの 中にぽっかりと無人の空間が広がっている。 もちろんそれ以外の空間はお祭り騒ぎで埋め尽くされている。露店で買ってもらったお 菓子を頬張る子供達を連れた夫婦、パレード到着を待ちわびる若いカップル、聖堂へ祈り を捧げる老人達。中央広場周囲の石造りの建物も、全ての窓から沢山の人が顔を覗かせて いた。屋根に登っている元気で向こう見ずな若人達もいる。 よく見るとカゴの様なものを持った人が塔や上層階の窓にちらほらと見える。パレード 到着に合わせて花吹雪か紙吹雪を撒くのだろう。 空を見ると、数え切れないほどの竜が編隊を組んで飛んでいるのが見えた。 「へぇ~、竜騎士隊だね?あんなに沢山いるのは初めて見たなぁ」 手で陽光を遮りながら見上げるヤンと同じく、眩しそうにシエスタも空を見上げた 「首都警護竜騎士連隊ですね。それと、クルデンホルフの空中装甲騎士団(ルフト・パン ツァー・リッター)も、かな?パレードを空から警備しているんでしょう」 「つーか、あれもパレードの一環なんだろーな」 デルフリンガーの言うとおり、編隊を組んだ竜騎士隊は悠々と城の上を旋回している。 街を監視しているような素振りは見えない。 二人は警備の人々にヴァリエール家に仕える者と告げ、聖堂敷地内に通された。他の使 用人達に一礼して、聖堂横で待機する。 「さて、あとはパレードが来るのを待つばかり。公爵の馬車が来たら、皆でお迎えしたら いいんだね?」 シエスタも頷いて、聖堂での予定を説明する。 「そうです。といっても私達は教会内には入りませんので、入る時と出る時に整列して礼 をするだけで終わるでしょう」 「やーれやれ!たったそんだけのために、こんな沢山の使用人を連れてくるたーよ!貴族 の見栄ってやつぁ大変だね」 デルフリンガーの指摘は正しく、教会敷地内には沢山の使用人がたむろしてる。パレー ドに参加している貴族達の配下だろう。 「こらこらデル君、そういう事は小声でコッソリ言うものだよ。しばらく黙っててくれな いかな」 「へぇ~い。ま、しっかりやんな」 デルフリンガーはチンッと音を立てて鞘に収まった。ヤンの背中が急に静かになる。 さて、待つのは良いのだが、なにせ贅を尽くした雅な婚礼パレード。国民へのお披露目 もあるので、やたらノンビリ進んでくる。 なので、教会で待ってる人々はヒマだ。他の使用人達も手持ち無沙汰。 シエスタは暇つぶしに、ヤンの話の続きを聞いてみる事にした。 「ところで、ヤンさん。先ほど城で話してた事なんですけど」 「ん?ああ、あれかぁ」 「一体、どんな事を言おうとしてたんですか?」 「う~ん、確かに考えられる手はあるんだけどね・・・」 尋ねられたヤンは腕組みして考え込んでしまう。 「なんというか、まともに考えると有り得ないような手なんだよ。考えすぎというか、さ すがに気にする事はないと思うよ」 そう言って頬をポリポリとかいてしまう。 「ふぅ~ん。でも、ちょっと教えてもらえませんか?」 大きな瞳で見上げてくるシエスタに、今度は頭をかいてしまう。 「そう言われてもなぁ…うーん、笑わないで聞いてくれるかな?」 「ええ、もちろんです!とっても気になりますよ」 「まぁ、そう言ってくれるなら…」 というわけで、ヤンは語り出した。どうにも荒唐無稽な、というか杞憂とも言える懸念 を。 そもそも聖地奪還運動と王権は本来矛盾しない。なら何故レコン・キスタは王権打破を 唱えたのか。 王家は聖地奪還をせず、城の中で惰眠をむさぼり始祖への信仰を蔑ろにし、挙げ句の果 てに王家同士で延々と無意味な小競り合いを続けて、国を疲弊させるばかり。『こんな怠 惰で無能な王家は廃し、有能な貴族による共和制をもって新たなる統治を築こう。そして 我らの聖地を奪還しよう』…これがレコン・キスタの大義名分だ。 だが、ただ王家を排除しただけでは、国民の寄って立つ基盤が無くなる。国の中心たる カリスマを失ってアルビオンは空中分解を起こす。有力貴族同士が権力闘争を繰り返す群 雄割拠の時代に突入する。完全に王家を排除するのは得策でない。形式だけでも王家を残 しておくべきだ。 だが、王家を残しておくと今度は王政復古の可能性も残してしまう。王家による統治の 正当性を唱え、レコン・キスタへの不満分子が集結してしまう。そしてレコン・キスタを 排除した上で、飾りの王を頭上に戴くだろう。 なら、王族自身が聖地奪還運動に同意してくれると都合がよい。レコン・キスタの重臣 として残しておけばいい。十分に貴族連合内で重用して反逆の意思を削ぎ、同時に実権を 出来る限り与えず飼い殺しにしておく。そんな地位を受け入れてくれる王家の者がいれば 最高だ。 が、そんな都合の良い王族はいなかった。だから彼等はアルビオンでウェールズ皇太子 を生かして捕らえた。説得し、脅し、洗脳し、操り人形とするために。 そして、これらは全てトリステインにも当てはまる。 いや、アルビオンではモード大公投獄という政治的失敗が存在した。そこを反王家派貴 族につけ込まれたのだろう。だがトリステインでは王家が国民の支持を失うような目立っ たスキャンダルが無い。レコン・キスタが侵略してきても王党派の反抗は激しく、統治に 困難が生じるのは疑いない。トリステインの平定にまごつくと、今度はアルビオンで王党 派が息を吹き返しかねない。 レコン・キスタはトリステイン王家内の協力者を必要としている。政治的地位を求めず 聖地奪還運動に共鳴してくれて、国民の人気も高い飾りの王族を。 「あの…それって、まさか…」 ここまで聞いて、シエスタは話の結論に気が付いた。恐る恐る尋ねてくる。 ヤンはちょっと周囲を見て、誰もヤンの話に耳を向けてないのを確認してから、黒髪か らのぞく少女の耳に囁いた。 「そう、彼等はアンリエッタ姫が欲しいんだよ」 シエスタはゴクリと音を立ててツバを飲み込む。 ヤンの背中で剣がカチ…と控えめな音を立てた。 「んじゃ、ヤンよ…あいつらが仕掛けてくる策って…何だ?」 「何だと思う?」 「姫さんの、誘拐?」 「それもアリだね。でもそれだと、レコン・キスタは国際的非難を受けるよ。傀儡にする にも色々と支障が出るし。もっと良い手を使わないとダメ」 今度はシエスタが周りを気にしながらヤンに耳打ちする。 「あの、まさか…アンリエッタ姫がアルビオンに、レコン・キスタに走る、とか?」 「そのとーり」 軽く答えたヤンだが、少女と長剣のまとう雰囲気は重い。 そんな二人を見て、ヤンはクスクス笑い出した。 「やだなぁ、そんな真面目に考えるほどの事じゃないよ」 「え、でも…」 シエスタは少し不安げだ。 「いくらなんでも、もう結婚式の最中だよ?アンリエッタ姫の説得なり何なりするには、 時間が無さ過ぎたのさ」 「あー、そだよな?この状況で、姫さんがアルビオンへ走るなんて、あるわけねーわな」 長剣はツバを鳴らして同意した。シエスタは肘でヤンの脇をつつく。 「もう!脅かさないで下さい!」 「はは、ゴメンゴメン。でも、良い暇つぶしになったろ?」 ヤンが指さす先には、群衆の歓呼の響きを受けて街道をしゃなりしゃなりと進んでくる パレードの先頭が見えていた。 中央広場にはグリフォン隊・ヒポグリフ隊・マンティコア隊が警護する馬車の大行列が 行進してきた。聖堂の鐘も鳴り響き、呼応するように町中の鐘も鳴り出す。 ファーサード前に停まる豪奢な馬車からは、トリステインの国政を預かる重鎮達が赤絨 毯の上に降り立つ。その中にはオールド・オスマンとロングビル、そしてギーシュの姿も あった。生憎ヤンの姿には気付かず、そのまま聖堂に入っていった。他にも、姉のような 女性を連れたタバサの姿も見かけた。タバサはヤンをチラリと見てから教会に入っていっ た。 ヴァリエール家の馬車を待ちながら、ヤンはさっきの話の続きを考える。 ルイズの話では、アンリエッタはウェールズへの想いを振り切れてはいない。 ウェールズはレコン・キスタに捕らえられ手紙も発見されたので、両者の関係はアルビ オンでは周知の事実。 もし、ウェールズを慕って姫がアルビオンへ走ったら…? バカバカしい、とヤンは下らない憶測を振り払った。 確かにアンリエッタ姫は恋文の一件から、典型的門閥貴族の思考を持つと見ている。自 己正当化と陶酔と浅慮については目を覆わんばかりだ。しかも悪気がないのが一番手に負 えない。 おまけに、この段階でアンリエッタ姫がアルビオンへ走れば、同盟が反故になってアル ビオンが攻めてくるどころではない。激怒したアルブレヒト三世が宣戦布告する。トリス テインはアンリエッタ姫派とマリアンヌ王妃派に分裂する。王家は国民の支持を失う。新 教徒が反乱を起こす。 だが、そんなことはアンリエッタ姫だって分かっている。それはルイズの話からも確か だ。それに、いくら政略結婚の駒として育てられ、政治的教育も実権も与えられず、蝶よ 花よと育てられた世間知らずだとしても、だからこそ国のために身を捧げる事だけは教え られていただろう。 第一、ルイズからの報告でウェールズ皇太子が正常な状態に無いであろう事は知ってい るはずだ。この段階でウェールズの名を持ち出されても、レコン・キスタを信用するはず もない。 「我ながら、バカな事を考えたもんだなぁ…まるで御伽噺みたいな話だ。ちょっと浮かれ て調子に乗ってたかも知れない。まったく、お城で公爵に話してたら、大恥かいてた所だ よ」 聖堂の鐘が鳴り響き舞い散る花吹雪と紙吹雪の中、ようやくやって来たヴァリエール家 の馬車に頭を下げながら、ヤンは公爵夫人の忠告に従って口を慎むとしよう、と心に刻ん だ。 そして多くの馬車から降り立った貴族達が聖堂に入り込んだ後、大歓声に包まれてユニ コーンにひかれたアンリエッタ姫の馬車が到着した。 目も開けづらいほどの花と紙が舞い、騎士隊の杖がしゃんっと小気味よい音を立てて掲 げられる。 花のように見目麗しい王女は、輝かんばかりの白いウェディングドレスに身を包む。そ の頭上にはキラキラと輝くティアラがあった。ローゼンリッターの斧から取り外した炭素 クリスタルの刃を銀の本体を飾り、その周囲も光を乱反射する色とりどりの宝玉がちりば められている。 その後ろから、もう一人の少女が降り立った。見事な金髪を左右に垂らした、背の低め な少女。だが気の強そうな瞳が爛々と輝いてる。ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クル デンホルフ殿下だろう。王女ほどではないが赤い華麗なドレスに身を包み、栄誉ある巫女 の大役を仰せつかった誇らしさに胸を張っている。 二人の少女は大観衆の歓呼を受け、周囲の騎士と召使い達に傅かれ、聖堂の中へとゆっ くりと進んでいった。 甘かった。 ここがファンタジー世界だと忘れていた。 いや、別にハルケギニアはファンタジーじゃない。 確かに魔法はある。だがこれは、違う宇宙であるので違う物理法則が働いているためだ ろう。だからこそヤンの宇宙では絶対ありえない『召喚』『錬金』が人力で容易くできる のだ ハルケギニアは魔法という技術を基礎とした歴とした文明社会だ。決して御伽噺の世界 ではない。人々は毎日を笑い、泣き、怒り、裏切り、戦い、信じ合って生きている。人間 としての根本はヤンの世界と何ら変わるところはない。 だが、やはりファンタジー世界だ。 トリステインが、ではない。魔法が、ではない。パラレルワールドが、ではない。 真のファンタジー世界は、そんな所にはなかった。 あの女の頭がファンタジーだったんだ! 中央広場、サン・レミ聖堂前、正午。 大司教の祝福を受けて後、聖堂から出てきたアンリエッタ姫がいた。 凍り付いた空気の中、群衆や警護の騎士達や並み居る貴族達の視線が彼女に集中する。 一般群衆の中から警備を華麗にすり抜けて、ふわりと聖堂から出てきたアンリエッタと ベアトリスの前に降り立ったのは、凛々しい金髪の若者。 誰からともなく「ウェールズ…」「…皇太子…?」という呟きが漏れた。 アンリエッタ姫は、しばし皇太子と見つめ合う そして、二人は互いに向けて歩み寄り 熱い抱擁と共に 口付けをかわした。 第23話 ロイヤル・ウェディング END 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5521.html
142: 635 :2018/12/30(日) 19 10 31 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 銀河連合日本×神崎島 小ネタ3 権力の監視者たるマスメディアが軍国独裁者の偽りの姿に欺かれ、その嘘を真実の様に放映するのは如何なものか? 言論情報統制され軍国主義者が蔓延るあの島の真の姿を知るアイドルや芸人はそれを広く国民に知らせるべきだろう。 絶対に笑ってはいけない鎮守府やカレー企画での島を訪れたTOKI○の放映に対する朝晴新聞の社説 「どこぞの新聞社さんでは独裁者とその嫁にあんなことしたの放映して大丈夫なのを言論情報統制と言うんやな。」 「僕、憲法だとか法律とか分からんけど、独裁であんな笑い出来ないと思いますよ?」 「こっちから持ち込んだ企画なんだけど…。」 笑ってはいけない鎮守府関係者の声 「これだけは言わせて貰いますわ。あんだけカレーに協力してくれた人達が悪人の訳あらへん。」 朝春新聞の社説へのコメントを求められたリーダーのコメント 「ソウデス!TOKI○のリーダーサンの言う通りデス!!」 「フェル、そんなに熱くならなくても…。」 「マサトサン!これは神崎島とワタシ達のカレーへの挑戦状なのデスヨ!」 リーダーのコメントをテレビで見た柏木夫妻の反応 名前:名無しの提督 投稿日:言論情報統制=絶対に笑ってはいけない鎮守府=お笑い、つまりお笑いとは言論情報統制だったんだよ! 名前:名無しの提督 投稿日:な、なんだってー! 名前:名無しの提督 投稿日:このリハクの目をもってしても読めなかった!! 名前:名無しの提督 投稿日:つまりマスメディアなのに検閲した朝晴新聞はお笑いだったのか…。 名前:名無しの提督 投稿日:鉄腕D○SH=情報統制も成り立つぞ 名前:名無しの提督 投稿日:リーダーのアソコが映ったとき情報統制してるやん 朝春新聞のやり取りへのネットでの反応 「かつての自分達を見ているようだな。」 「それはお前だけだ筆ひげ!」 「あんだと!」 「どっちもどっちだろう。」 日の丸や二藤部総理、神崎提督の写真を踏み潰し行進する人民解放軍の姿を見た筆髭、ちょび髭、チャーチルの反応 「ああっ!貴重な資料が!仏像が!寺院が!!」バタッ 「教授が倒れたぞ!」 「担架持って来い!」 法隆寺炎上のニュースを見て倒れた海外の日本史研究者 「あいつら宇宙をなんだと思ってやがる!」 中国による気象衛星ひまわり破壊に対するISSキャプテンダリル・コナーの反応 「他国の首脳の映像を踏みつけるなんてティエルクマスカじゃ考えられないぞ。」 「クソっ!ヤルマルティア発達過程文明研究の為の貴重な歴史的遺物を燃やすだなんて!」 「チャイナ国はヤルマルティアの無人気象観測機を破壊したそうだ。データもまだ貰ってないのに。」 「やはりチャイナ国と南コリア国はティエルクマスカにとって明確な敵じゃないか?」 ヤルバーン発の広域情報を見たティ連発達過程文明研究者の反応 「ガッデム!やはりシナと半島の人間はあの世界とあまり変わりませんね!欧州は独逸以外はあの世界よりマシなようですけど。」 某孤立世界線より旦那に憑いてきた露系妖精さんの大陸のやらかしに対する反応 143: 635 :2018/12/30(日) 19 11 22 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 「二藤部は日帝の残党の蔓延る島を70年以上隠していた。」 「米国が韓国から離れたのは二藤部が米大統領を操っているから。」 「法隆寺の放火は罪も無い韓国人に二藤部が催眠をかけてやらせた。」 「中国で起きた核爆発は神崎が行った核攻撃。」 「神崎は島を日本に受け入れさせる為に軍国主義称賛ゲームをC2機関とDMMと角川に作らせた。」 「中国や韓国が神崎島に近づけないのは神崎が空間を歪めて、気象操作しているから。」 「ひまわりの破壊は神崎が戦艦大和に主砲で破壊させた自作自演。」 「島とヤルバーンを日本に持ってきたのは神崎。」 ネット上で展開される二藤部総理と神崎提督への陰謀論、一部は大陸にてメディアのニュースとなっている 名前:名無しの提督 投稿日:ニトベセイダーズは本日も絶好調やな。 名前:名無しの提督 投稿日:相変わらず盛られていく設定 名前:名無しの提督 投稿日:超時空宰相ニトベと魔人カンザキは伊達じゃないな 名前:名無しの提督 投稿日:大和の主砲がヤバイことになっとる 名前:名無しの提督 投稿日:妄想もここまで来るとすげえな 陰謀論へのネット掲示板での反応 「ふ~む。」 「どうしマシタ。ヴェルデオ司令?」 「ああ、フリンゼ。チキュウのネットを見ていたのですがニトベ総理とカンザキ提督の不確定情報をさも事実の様に扱っているのを 見ましてね。」 「これも発達過程文明ということデショウカ?」 「そうかもしれまんせんね。」 ネットでの陰謀論を見たヤルバーンの反応 「~~~♪~~♪。」 「おおっ!!」 神威は失われたユーカラを唄う。 「カモイ・カムイに感謝を。」 「おっぱいでけえ。」 「し!静かにしろ!」 「(聞こえているんですけどね。)」 北海道での災害で鎮守のためアイヌの神事に担ぎ出されたカムイ(神的な意味で)扱いな神威(アメリカ出身) 「すいません。広報貰いに来たんですけど。」 「もうないんですよ。」 「ええっ!?いつもはたくさん残ってますよね!?」 「多分彼女が原因かと。」 「ああ…、艦娘さんの神威さんが表紙でしたっけ?」 「ええ。持っていくの男性が多かったですね。」 「全く、男ってやつは…。」 北海道のある公民館での職員の女性と広報を貰いに来た女性の会話 144: 635 :2018/12/30(日) 19 12 09 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 以上になります。 転載はご自由にどうぞ。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3972.html
前ページ次ページゼロな提督 聖地。 この言葉を聴いて、ヤンは何を想像するだろうか。 宇宙暦800年、新帝国暦2年ごろの聖地といえば、地球そのもの。 貿易国家フェザーンの影の主であり、麻薬を使って信徒を洗脳しテロに利用する狂信的宗教集団『地球教』の本拠地のこと。 ハルケギニアと同じ文明レベルの時代の地球で言うなら、それはイスラム教徒を中心としたアラビア世界の宗教的中心地。 かつキリスト教とユダヤ教の聖地であり、長きに渡る泥沼の宗教戦争が行われた悲劇の舞台。 歴史家としてのヤンならば、中東戦争と呼ばれた20世紀前後の地獄のような戦争をも思い浮かべるだろう。 そして、テロの嵐が吹き荒れるパレスチナ。 21世紀のゲットーとも揶揄されるヨルダン川西岸の巨大分離壁【アパルトヘイト・ウォール】。 エルサレムの嘆きの壁で一心不乱に祈りの言葉をささげるユダヤ教徒達。 その壁の上にイスラム寺院アル=アクサー・モスクが建ってる図は、かなり悪趣味なジョークとして記憶の中に含んでいることだろう。 同時に、ハルケギニアの聖地の実情がいかなるものか彼は知らない。始祖ブリミルがらみの地とは知っているが、どんな地なのかまでは分からない。それは大方のハルケギニアの人々も同じことだ。 何しろハルケギニアの人間と聖地に暮らす亜人「エルフ」とは、極めて険悪な関係にあり、両者の接触は大方が戦争と言う形で行われているのだから。 それも、侵攻した人間側の度重なる惨敗という結果で。 ハルケギニアの聖地回復運動は『レコン・キスタ』という名称で現在も行われているようだが、6000年経過した現在に至るまで、一度も聖地を奪還したことはなかった。 ゆえに、すでに聖地がいかなる場所か、ハルケギニアの誰も知らなかった。 では、このヤンが召喚されたハルケギニアの聖地とは、いかなる場所なのだろうか? ヤンを含め、ハルケギニアの多くの人が、砂漠の中に浮かぶオアシス都市を、耳の長いエルフたちが住む石造りの町を思い浮かべるだろうか。 始祖ブリミルがらみの遺構や石碑の一つくらい残っていることを期待もしているだろう。 加えてヤンならモスクや尖塔が並ぶイスラム風の風景も。 いや、おそらくかつてはそういう姿をしていた時期もあったかもしれない。 ゆえに、彼らは驚愕とともに、失望するだろう。 この、聖地の実際を目にすれば。膝を地に付き天を仰ぎ、始祖の福音はハルケギニアから失われたのではないか、と絶望するだろう。ヤンもきっと、涙を滝のように流して悔しがるに違いない。 なぜなら、そこには、何もないのだから。 ここは夜の聖地。エルフに蛮人と蔑まれる人間が奪還を目指す場所。 確かに、何もなかった。 砂漠ですらなかった。 双月の下に、ただひたすら荒野が広がっていた。それも、大きく盆地状にえぐられた大地が。半径10リーグ以上の見事な円形の盆地が、赤茶けた土壌をさらしていたのだ。 そんな盆地の端、盛り上がった土手の上に数人のエルフが立っていた。彼等は盆地の中央を見つめている。 うち一人が盆地の中央を指さした。薄暗い、だだっぴろい大地の先を。 盆地の中央で、何かが光った。 光ると同時に、何かに包まれるように光が阻まれる。 だが、包もうとする『何か』より、『光』の方が強かったらしい。包もうとした『何か』は『光』に吹き飛ばされた。 盆地が光に満たされる。 そして次に盆地中央から、球形に『壁』が放たれた。 それは月明かりでもハッキリ分かるほどの圧倒的破壊力を持って、『光』を中心として盆地周囲へと広がっていく。 土煙を巻き上げて…いや、地盤そのものを巻き上げて、盆地の端にいたエルフ達へも襲いかかろうとしていた。 襲いかかろうとしているのは見えるのに、全てを破壊しながら向かってくるのに、僅かな地響きしか耳には届かない。 『壁』が音速に近いか、音速を超えているからだ。音より早くとどいた地盤経由の振動が足下から音へ変換されて届いたのだ。 「我と契約せし大地の精霊よ。古の盟約に従い我らに加護を」 エルフ達が呪文とも独り言ともつかない言葉を発する。とたんに彼等の眼前で大地が盛り上がり、巨大な土と岩の壁となって彼等を包んだ。エルフ達は月明かりも失い、暗黒の中に守られる。 遙か10リーグ以上彼方から届いた『壁』が、大地の精霊が生み出した壁に衝突する。 瞬間、中のエルフ達の耳に、いや全身に轟音が届いた。彼等の全身を震わせ、内臓をかき回し、鼓膜を破る程の振動が。 大地の精霊が加護してすらなお、エルフ達の命を守るのが精一杯だった。 『壁』が通り過ぎるまで、さほど長い時間ではなかったはずだ。だが彼等にとっては死を覚悟させる永劫の時といってよかった。 『壁』の名残である細かな振動も去り、静寂が再び闇の中に帰ってくる。 大地の精霊は契約を守りきり、エルフ達を双月の下へと解放した。 彼等は盆地を恐る恐る覗き込む。そこには、さっきとおなじ盆地があるだけだ。いや、先ほどより抉られた盆地がある。 『光』は既に消えていた。 「ビダーシャル!あれをっ!」 エルフの一人が天を指さした。ビダーシャルと呼ばれたエルフも天を仰ぎ見る。 星空の中、光が流れていた。 流れ星ではない。明らかに燃えさかる巨大な何かが放物線を描いて落下しているのだ、彼等の近くへ向けて。 それは爆発音を上げて大地と衝突した。 とたんに周囲の大地そのものが触手の如くわき上がり、燃えさかる何かを飲み込む。一瞬にして大地は落下してきた物体を地下深くへ飲み込んでいった。 カラン ビダーシャル達の近くで乾いた金属音がした。 彼が地面を見ると、先ほどの物体の破片が落ちていた。大地の精霊は無害と判断したのかもしれない。それは大地に飲み込まれはしなかった。 ヒョイとエルフの一人が金属片を手に取る。何かプレートの様な物が、爆発の衝撃で本体からはがれたようだ。 黒こげのプレートを袖で拭くと、そこには絵が描かれていた。赤・白・青の三本線、真ん中の白線中央には五稜星 それが自由惑星同盟の国旗であることは、エルフ達の知らない事だった。ほぼ全てが今夜と同じように地の底へ封じられているのだから。 第七話 聖地 ガリア王国。 トリステインとほぼ同じ文化形式を持つ国で人口約1500万人のハルケギニア一の大国。 魔法先進国ともいえる国で、王宮では様々な魔法人形(ガーゴイル)が使われている。王都の名はリュティス。 リュティスはトリステインとの国境部から1000リーグ離れた内陸に位置する。大洋に流れるシレ河の沿岸にある。 人口30万というハルケギニア最大の都市。河の中洲を中心に発展した大都市で、主たる都市機能に加えて魔法学校をはじめ貴族の子弟が通う様々な学校を内包しており、街並みは古いながらも壮麗なものとなっている。 その郊外には壮麗な大宮殿が見える。王族の居城、ヴェルサルテイル宮殿だ。王家の紋章は2本のラインが入ったねじくれ組み合わされた杖。宮殿中心には、薔薇色の大理石と青いレンガで作られた巨大な王城『グラン・トロワ』。そこから離れた場所に、薄桃色の小宮殿『プチ・トロワ』がある。 「――つまり、虚無が集うのを妨害してほしい、と?ビダーシャルとやら」 「そうだ。お前達が聖地と呼ぶ、忌まわしき『シャタイーン(悪魔)の門』、我らでも封じきれないのだ。 風と大地の精霊が奴等の生む嵐を聖地内に押さえ込もうと努力はしてくれている。だがもはや追いつかぬ」 『グラン・トロワ』の一室で椅子に座るガリア王ジョゼフは、異国からの客人を前にしていた。 当年45歳ながら、30歳前後にしか見えない美貌と逞しい肉体の男性は、薄茶色のローブをまとう長身で耳の長いエルフと相対している。 「ふぅむ…いささか信じがたい話だ。お前達エルフですら太刀打ち出来ない、聖地よりわき出す悪魔、か」 「いや、あれは恐らく悪魔ではない。 風と大地の精霊が言うには、あれらは湧きだしたとたんに粉々に砕け、火竜のブレスを上回る炎をまとい、風の精霊もかくやというほどの嵐で大地を抉り、そして死ぬ。しかも数十年に渡り消えぬ毒をまき散らしてから、だ。例え湧き出した瞬間に死ななくとも、直後に地面に叩き付けられて粉々になる。 我らエルフが総力を挙げ、大地の精霊の力を借り、全てを大地の奥底に封じているので、今以上の被害にはなっていない。だが、その毒を一身に受ける大地の嘆きと怒り、もはや収まらぬ。 しかし思うに、門から飛び出したがために、あれらは死んでしまうのだろう。門を通ったがために悪魔と呼ばれるほどの被害を周囲にまき散らすのだ。彼等とて死にたくはなかったろうにな」 「彼等?」 ガリア王家の象徴とも言える青い髪が揺れる。 「そう、彼等だ。ごくまれにだが、あれら『悪魔』には人が入っている事があるらしい。それも、お前達と同じ蛮人が」 「ほほう…それは、会ってみたいものだ」 エルフの長い金髪はサラサラと左右にゆらめく。 「無理だ。さっきも言ったとおり、門を通ると同時に、ほぼ全てが死ぬのだ。後に残るのは灰になった蛮人の遺体。それも残っていればの話だ」 「…なぜ死ぬのだ?しかも、そんな派手に」 「分からぬ。全ては地の底に封じてあるのでな。理由は私も知りたいが、そのためには地の底へ潜り、毒に冒される覚悟がいる」 ジョゼフはふぅ~むと息を吐きつつ、椅子に身を預ける。 「興味深い…実に面白い話だ。それら全てが『虚無』の力、シャタイーンの復活によるものだ、と?」 「うむ。テュリューク統領はじめ、我らネフテスにも懸念が広がっている。この数十年の活発な門の活動とも併せ、世界を滅ぼす大災厄が六千年の時を経て再来するのではないか、 と」 「なるほど、な」 ジョゼフは、ふと何かを思い出したように首を傾げた。 「待て。さっき『ほぼ全てが死ぬ』と言ったが、これまでに生きて門を越えた者はいないのか?」 ビダーシャルは、重々しげに答えた。 「うむ…実は無事に門を越えた先例がある」 「ほほう?詳しく話せ」 とたんにガリア王は身を乗り出す。 「私が知っているのは2例。 一つは60年程前だ。その時は門から光も嵐も起きなかった。それは門から湧き出すと、大地と風の精霊の手を振り切って、西の彼方へと飛び去ったそうだ。その後の事は分からぬ。 恐らく、お前達蛮人の世界へと向かったのだろう」 「ほう…もう一つは?」 「もう一つは、30年ほど前だ。その時も門から光も嵐も起きなかった。代わりに門から、鉄の馬車が走ってきたのだ。馬も無しに走り、車体全てを鋼に覆われたほろ馬車の様なものだ」 「…悪いが、想像がつかん」 王は首を傾げつつも、楽しげに口の端を歪ませている。 「すまんが、私にも上手く表現出来ぬ。それ程までに奇妙なものだったのだ。そしてそれは必死に大地と風の精霊の手から逃れようと、土煙を上げて走ってきた――聖地を囲む土手を乗り越え、砂漠を走り、我らエルフの集落に向けて」 「ほほう!それで、どうなった!?」 ジョゼフは更にエルフに向けて身を乗り出す。 詰め寄られるビダーシャルは、苦々しげに言葉を繋げた。 「その鉄の馬車は精霊に追われ、恐慌状態だったらしく、我らに向かって突っ込んできた。 我らは身を守るため、精霊の力を借り鉄の馬車を止めようとした。 すると、その馬車が火を噴いたのだ」 「火を?」 エルフはゆっくりと頷く。 「荷馬車には大砲が積まれていたのだよ…それも、大地の精霊の加護により築かれた岩の守りを、後ろの同胞ごと貫く脅威の威力を持つ大砲を。反射することも出来ぬほどの、な」 「な!?」 馬車に大砲を積む――もしハルケギニアでそれを行ったらどうなるか。 重くて馬車が動かない、という以前に重量で壊れる。 壊れないほど頑丈な馬車を作っても、重いので地面に沈んで動かない。馬でも引っ張れない。 よしんば岩で舗装した道を走らせたとしても、発砲した反動で馬車ごとひっくり返る。 だがそれでもエルフの先住魔法による防壁を貫けはしない程度の威力だ。いや、『反射(カウンター)』によって全て跳ね返されるだろう。 だが、その鉄の馬車は、全てを易々と実行したということだ。 「結果…その鉄の馬車を止める事は出来た。同時に、その集落は壊滅した」 ジョゼフの頬に、汗が一筋流れる。 「念のために聞くが…その集落には何人のエルフがいた?」 「500は下らぬ。戦える者は100ほどいた」 王は、もはや言葉を失った。 聖地回復運動をいくら行っても、エルフの10倍以上の兵力でもって戦ったとき以外勝てた試しは無い。つまり、その鉄の馬車一台で人間1000人以上の軍勢に匹敵するのだ。 「鉄の馬車を止めた後、数名の同胞がその中を調べてみると、やはり中には蛮人達がいて、その中に一人だけ生存者が気絶していたらしい」 「ほほぅっ!で、今その者はどこにいるのだ!?」 ジョゼフは椅子をひっくり返して立ち上がる。だが、ビダーシャルは残念そうに首を左右に振った。 「いたらしい、と言ったであろう?その者を見つけた同胞は、既に生きてはいないのだ。全員が、意識を取り戻した生存者に殺された。手負いの蛮人一人に、だ。しかも、止めたはずの馬車は再び動き出したのだ。 そして生存者は馬車を駆り、どこへともなく逃げ去った。我らには、もはや追う事は出来なかった」 ジョゼフは座り直し、顎に手を当てて考え込む。 「では、おそらくその者もハルケギニア、いやガリアに向かったやも…」 その言葉に、ビダーシャルは再び首を横に振った。 「期待はできまい。馬車自体が我らとの戦いでかなり破損した。走り去りはしたが、もはや使い物にはなるまい。そして中の生存者も、ただでは済まなかったろう」 「そう、か・・・」 エルフは苦しげに天井へ視線を上げる。 「今にして思えば、我らに否があったのだ。馬車を止めるのではなく、精霊達に彼等への追撃をせぬよう頼めばよかったのだから。だが、あの混乱の中ではもはや手遅れだった。 だからといって、精霊による聖地の封印を解く事も叶わぬ。聖地から湧き出す嵐と毒を最小限に抑えねばならんのだ。 悲しいが、今も聖地では悪魔達が断末魔をあげている。そしてそれはここ数十年、激しさを増している」 ガリア王は、眼を閉じて頭を傾け、じっくりと思索にふける。 しかる後、エルフに向き直った。 「なるほど、卿の話は実に興味深かった。だがまずは、お前達エルフと交渉するとなると、それなりの信用も対価も示してもらわねばならん」 「うむ、それは承知している。まずは交渉の権利を得なければなるまい」 ジョゼフとビダーシャルの会見は、その後もしばらく続いた。 所変わって、トリステイン魔法学院。『フリッグの舞踏会』から数日経った。 ゼッフル粒子発生装置は再び宝物庫で眠りについた…大穴が開いたままだが、もはや秘宝でも何でもないので、別に構わなかった。 斧は次の日、トリスタニアから飛んできたエレオノールと公爵に引き取られた。公爵はヤンの手柄を率直に讃え、エレオノールは高慢で高飛車ながらも、一応「よくやった、褒めてつかわす」と礼を言った。そして今度は騎士達の大部隊に囲まれて去っていった。 なぜ『破壊の壷』と『ダイヤの斧』を無事に取り戻せたのか、公爵もエレオノールも城の衛士達も首を傾げた。 結局、「壷が空と分かったので捨てた。斧はマジックアイテムではないし平民が所有していた物だったので返した」という結論で事件は収束した。 さて、使い魔を見ればメイジの格が分かるという。では今のヤンを見ると、ルイズの格はどうだろう? ダイヤの斧という神話級の逸品と共に、死亡した状態で召喚された。 公爵から箱一杯の金貨を受け取り、王室からの斧の代金も月々受け取る予定の彼は、もはや一介の平民と言うには裕福すぎた。並の貴族より金回りが良い。 アルヴィーズの食堂では、貴族の子弟達を前に怖じ気づく事もなく主を擁護した。 フーケに奪われた『破壊の壷』と『ダイヤの斧』も奪還した。 これだけ聞けば、伝説の英雄とは言えずとも、何かひとかどの人物が召喚されたかとも感じる。 にもかかわらず、彼女の魔法の成功率とも関係なく、あんまりルイズの評価は上がっていなかった。 「だーかーら!あんたはなんで毎朝毎朝主人と一緒に起きてるのよー!たまにはあたしを起こしなさいよー!」 「ルイズ…他力本願は良くないよ。人間、自らの努力を忘れては」 「あんたが努力しろーっ!」 「んじゃ、デル君に頼もうか」 「あ・ん・た・が!努力しろっつってんのよーーっ!!」 二人はそんな会話をしつつ、食堂へと走っていた。 こんな光景を毎朝見せる主人と使い魔では、どんなに上がった評価も次の瞬間には地の底まで落ちるだろう。 ルイズはこんなに寝坊する生徒ではなかったはずなのだが、すっかりヤンに毒されたらしい。 それでなくても、いつももダラダラしているとしか見えない態度で、半分寝ている目で、ちょっと猫背なのだ。見た目はもう、ホントに、冴えない中年男なのだから。 そんなヤンは一ついつもと異なる所がある。両手に白い薄手の手袋をはめている。オスマンから左手のルーンが『ガンダールヴ、伝説の使い魔の印』と知らされたヤンは、すぐルーンを隠す事にした。 さて、その日の午前。 本塔最上階の学院長室では、今日もオスマンが重厚な造りのセコイアのテーブルに肘をつき、鼻毛を抜いていた。 おもむろに「うむ」とつぶやいて引き出しを引き、中から水ギセルを取り出した。 すると部屋の隅に置かれた机に座ってデスクの上の書物を鞄に収めていた秘書が杖を振る。水ギセルが宙を飛び、秘書の手元までやってきた。 つまらなそうにオスマン氏がつぶやく。 「年寄りの楽しみを取り上げて、楽しいかね?ミス・ロングビル」 「オールド・オスマン。あなたの健康を管理するのも、私の仕事なのですわ」 秘書は鞄を手にして立ち上がり、部屋を出ようとする。だがその前に机の下へ杖を向けようとした。 オスマン氏は、顔を伏せた。悲しそうな顔で、呟いた。 「モートソグニル」 秘書の机の下から、小さなハツカネズミが現れた。オスマン氏の足を上がり、肩にちょこんと乗っかって、首をかしげる。 オスマン氏はネズミにナッツを与えつつ、ネズミに耳を寄せた。 「そうか…見えなかったか。残念じゃ」 秘書は鞄を自分のデスクに置き直し、しかるのち、無言で上司を蹴りまわした。 「ごめん、やめて、痛い、というか、最近老人いびりが、きついぞい」 「学院長には、ほとほと愛想が尽きそうですわ!ヤンの件で分かりました。老人といえど、甘い顔をしてはならないと!セクハラが全女性に対する侮辱であり犯罪だという事を、身を持って教えて差し上げますわっ!」 ロングビルにしてみれば、『破壊の壷』が単なるガラクタと分かった以上、もう学院に無理にいる必要はない。単にフーケ騒ぎのほとぼりが冷めるのを待っているだけだ。なので、学院長のセクハラに我慢する必要は無かった。 ゼーゼーと息をつきながら、改めて本を収めた鞄を手にする。 「それでは、私は図書館でヤンに講義をしてきます。学院長はちゃんと仕事をしてて下さい!」 「そ、その、ミス・ロングビルや…秘書の仕事は?」 ギロリ、と釣り上がった眼で睨まれた学院長が、ヘビに睨まれたカエルの如く縮こまる。 「今朝は急ぎの用はありません!全部、午後に済ませますわ」 ドカンッと盛大な音を響かせて扉を閉めたロングビルは、図書館に向かっていった。 ロングビルは図書館に向かう前に、女子トイレに入った。 手洗い場の鏡を前にして、学院長を蹴り回して乱れた髪を直す。そして口に紅をひく。 服装も正して、鏡の前で自分の姿を最終チェック。 そして改めて、鼻歌交じりに図書館へ向かった。 その姿を、朝食を片付ける二人のメイドが見かけた。 「あらー?あれってミス・ロングビルよね。鼻歌歌ってるなんて、珍しいわねぇ」 「ああ、あれよカミーユ。図書館でヤンさんにぃ…こ・じ・ん・じゅ・ぎょ・う!」 「ええー!マジマジ!?ドミニック、マジなのー!?」 「そーなのよぉ!ヤンさんったら、あんなぼんやりしてても、ホントはすっごいのねー」 「そうねー、ヤンさんって不思議な人よねぇ~。おまけに今や並の貧乏貴族より、よっぽどお金持ちだしねぇ」 二人のうわさ話は留まる所を知らない。更に通りがかった他のメイドも加わり、益々話は盛り上がる。 そんな感じで、ヤンは実力以外の所で評価、というか話のネタにされていた。 鼻歌交じりに図書館へやって来たロングビル。窓際のテーブルにヤンの姿を見つけるや、笑顔が僅かに引きつった。 なぜならヤンはお茶を片手に、お盆を手にして立ってるシエスタと楽しげに談笑していたからだ。 「へぇ~、タルブのワインって美味しそうなんだねぇ」 「そうなんですよ!とっても良質なブドウが沢山採れるんです。是非一度来て下さいな、ヤンさんも絶対気に入りますよ!」 こほん、とロングビルがわざとらしく咳をする。 慌ててシエスタが事務的なメイドの顔に戻り、秘書に向けて一礼した。 「それじゃ、ヤンさん。ミス・ヴァリエールのお部屋の掃除と洗濯はお任せ下さい」 「あ、いや、それは僕が後で」 いいんですよー、と一声残してシエスタは去っていった。 ロングビルは、周囲に誰もいなくなったのを確認してから、ヤンの前にどっかと腰を降ろした。 「さすが将軍様。英雄色を好む…てやつかい?」 睨まれたヤンは慌てて首を振る。 「おいおい、ちょっと世間話をしていただけだよ。第一、僕には妻も子もいるからね」 「どーだかねぇ…ま、気をつけな。あんたの手に入れた金を目当てに近寄ってくるヤツは、ゾロゾロ湧いてでるだろうからねぇ。この国に関しちゃ世間知らずなのを良い事に付け入ろうとするやつらが、ね」 「そうだね、気をつけるよ。ところで、その鞄の中身は頼んでおいた物かな?」 ヤンの視線は彼女がもつ鞄の方へと向いている。 「ああ。始祖ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリと、ガンダールヴ伝説についてさ。といっても、おとぎ話程度くらいしか伝承が残ってないけどさ」 「それで構わないよ。簡単にでも教えてくれればいいから」 そんな感じで、二人はお昼まで授業を続けた。 お昼になり、ヤンは厨房で食事を取る。 ヤンは普段、食事の時間も惜しいくらいに図書館の本が読みたかった。なので昼食はほとんどサンドイッチのような軽食を頼んでいた。 パンに挟まれた食事を見てると、サンドイッチ、ハンバーガー、クレープと挟むものだけは得意と言っていた妻のフレデリカを思い出す。ハルケギニア召喚前になって、ようやくまともな食事を出してくれた気がするが、さて今頃はどうしているのだろう、と郷愁に囚われる。 その郷愁を生む原因になったアルジサマはどうしているのか、と気になって厨房から食堂を覗き込む。そこにはテーブルに座って昼食をとるルイズの姿があった。 テラスに教師はおらず、生徒達は皆、気楽に歓談しながら優雅な貴族の昼食を楽しんでいる。だがルイズは誰とも言葉を交わすことなく、黙々と食事をしている。そして食べ終わると、すぐに食堂を一人で去っていった。 後には学生達の談笑の輪が残る。 ヤンはかつて養子のユリアンに「運命は年老いた魔女のように意地の悪い顔をしている」と語った事がある。ハルケギニアの年老いた女性メイジ達は、普通に年をとった顔をしていたので、この点は間違っていたようだ。 だが運命がヤンに望みもしない軍人生活を10年以上強いたのは事実だ。そしてルイズにも『ゼロ』と蔑まれる生活を強いた。有力貴族に生まれた出来損ないメイジ。その苦痛はいかほどか、考えるだけでもヤンの心にさざ波が広がる。 「戦争孤児だったユリアンはトラバース法(軍人子女福祉戦時特例法)で僕の所に養子として来てくれて、色々僕の面倒を見てくれたっけ…というか、僕の面倒を押しつけられたという感じかもしれないなぁ」 そんな独り言をいいつつ、彼は一旦ルイズの部屋へ向かった。 「よー、お前さんの勉強は終わりかい?」 シエスタに掃除されて綺麗になったルイズの部屋。壁に立てかけられたデルフリンガーが鞘からピョコッと飛び出す。 「うん。ガンダールヴについて色々聞いてきたよ。それじゃ、改めて『使い手』について教えてもらおうかな?」 ヤンはロングビルから聞いた事をデルフリンガーに語って聞かせる。そして最後に「何か思い出さないか」と尋ねる。 剣の回答はいつもと同じだった。 「ぜーんぜん思いださねー!」 カクッとヤンの頭が垂れる。 「そんなこと言っても、君は六千年生きているんだろ?つまり、始祖と同時代。そして僕のルーンを懐かしいって感じるんだろ?だったら『伝説の使い魔ガンダールヴ』を知ってるってことじゃあないのかい?」 「いや、そうは言われてもなぁ…六千年前のことだぜ、覚えてるわけがないわな」 今度は溜め息をついてしまう。 「君って無駄に人間並のAI組まれてるんだねぇ」 「それ、褒めてんのか?」 「うん、褒めてる」 「嘘つけ」 「ばれたか」 コンピューターなら外付けの記憶装置をいくらでも付けれるが、この剣にはどう見ても端末だの端子だの付けれそうにない。なら、トコロテン方式で古い記憶を忘れていかないと新しい記憶を入れる容量が出来ない。 なにもそんな所だけ科学的にしなくても、と肩を落とすヤン。結局この日の午後は徒労で時間を潰したのだった。 そして放課後。 デルフリンガー片手のヤンは、また厩舎の前でルイズと落ち合った。 「おっそいわよ!さぁ、今日もみっちり特訓するからね!」 ルイズの持つ乗馬用のムチが、鬼教官の教鞭に見えたのは、多分、気のせいではない。 「ゲルマニアについて知りたい!?」 ヤンの馬と並走しながら、ルイズは素っ頓狂な声を上げた。 「バカ言わないでっ!なんであんな成り上がりの国の事なんか知りたいのよ!?」 相変わらずおっかなびっくり馬に乗りながら、ヤンは頑張って答えた。 「うん、そろそろ他の国の事も知りたいと思ってね。それに、今度お姫様が嫁ぐんだろ?お隣の国ってこともあるし、ヴァリエール家のすぐ隣がゲルマニアなんだってね」 ジロリ、とルイズがヤンを睨み付ける。 「そうよ…あのツェルプストーよ。先祖代々の仇敵よ」 「なら話は簡単だよ。孫子曰く『敵を知り、己を知れば、百戦危うからずや』。ああ、孫子というのは僕の国の兵法学者ね。敵の情報を集める事は政戦両略の基本だよ」 むぅ~、と不服げな声を上げるルイズ。渋い顔で手綱をさばいている。 「あんたの言いたい事は分かるけど、私はそれほどゲルマニアに詳しくないわよ」 待ってましたとばかりにヤンは声を上げた。 「んじゃ、講師を呼ぼうかな!」 ルイズの顔は、ますます渋くなった。 「なーるほどねぇ!よぉく分かってるじゃないのぉ。ま、ゲルマニアの事なら私にまっかせなさーい♪」 「では、よろしくお願い致します。ミス・ツェルプストー」 というわけで、日が暮れてからルイズの部屋にはキュルケが来てくれた。もちろんルイズは非常にイヤそうな顔だ。 そんなルイズの顔とは裏腹に、キュルケは満面の笑みを浮かべている。そして当然のように、キュルケの後ろにはタバサが付いてきている。 「全く、なんでキュルケなんかを私の部屋に入れなきゃいけないのよ!ご先祖様になんてお詫びすればいいの!?」 肩を震わせるルイズだが、キュルケはケロリとしたものだ。 「だぁってぇ~、今度うちの皇帝のアルブレヒト三世とトリステインのアンリエッタ姫が結婚するんでしょ?軍事同盟のために。 だったらぁ、私達も過去の怨恨は水に流さなきゃいけない、とは思わなぁい?」 むぐぐーっとルイズも反論出来ずに口を閉ざしてしまう。 「んじゃ、ヤンの要望通りゲルマニアについて教えてあげるわね。ありがたくよーっく聞きなさいよ!」 壁に立てかけられたデルフリンガーがいきなり声を上げる。 「おうおうヤンよ!若い娘に囲まれて、鼻の下伸ばしてんじゃねぇぞ!」 「デル君!バカな事を言わないでくれよ」 と言いつつもヤンは顔が赤くなる。 と言うわけでテーブルを囲み、キュルケのゲルマニア講座が開かれた。 タバサも黙って椅子に座る。キュルケの話を聞くつもりのようだ。 「・・・というわけで、あの皇帝ったら自分が戴冠するため、政敵の親族をぜーんぶ塔に幽閉しちゃったのよ! 頑丈な扉の付いた部屋に閉じこめて、食事はパン一枚に水一杯。薪の暖炉は週に二本っていう有様よ!」 「うわぁ、酷い事するわねぇ」 「相変わらず王族のやるこたぁえげつねぇなぁ」 キュルケの口から語られるのは、勢力争いの果てに皇帝の座を勝ち取った野心の塊のような男の悪事。デルフリンガーがうんざりした感想をつぶやく。聞かされるルイズも恐れ呆れるが、ついつい話にのめり込む。 タバサは相変わらず無表情。でもちゃんと聞いているらしい。 「どーお?ヤンもこーんな酷い皇帝は、なかなかお目にかからないでしょ」 キュルケに話を振られたヤンは、うーんと唸って天井を向いた。 「えーっと、僕の隣の国では、それと似たような事をして皇帝になった人がいるんだ」 ルイズが隣に座るヤンをチラリと見る。 「ふーん、それって例のフリー・プラネッツでの事?」 「いや、フリー・プラネッツは僕の国の名前。その皇帝は、えーっと、ローエングラム王朝を建てた、初代皇帝ラインハルト1世って言ってね」 ふとヤンは、こんな遠い異国の話なんて興味あるかな、と気になり3人に視線を戻す。 だが意外にも3人とも興味ありそうな視線を投げかけてくる。 なので、なるべくハルケギニアと共通する言葉を使って話を続けることにした。 ――帝国軍三長官を一身に集めた帝国軍最高司令官となり門閥貴族勢力を打倒。 帝国宰相を排除し、自らが帝国宰相を兼任。幼い皇帝の元で事実上の支配者となる。 門閥貴族の残党に幼帝を誘拐させ、同盟に亡命させる事で、戦端を開く口実とする。 ゴールデンバウム朝から皇帝位の禅譲を受ける。実態は簒奪であったが。 23歳にしてローエングラム王朝を建て、初代皇帝ラインハルト1世として即位する。 なお帝国宰相一族の女子供は辺境に流刑。10歳以上の男子は全て死刑―― ここまで話した所で、女性陣の反応は・・・ ルイズは、かなり嘘臭そうに顔をしかめていた。特に23歳の皇帝という辺りで。 キュルケは、素直に感心したような感じに見える。 タバサは、やっぱり無表情。でもちゃんと聞いているのだろう。 デルフリンガーは、さらにえげつねぇニーチャンだなぁ、と呆れた。 とりあえず最後まで聞いてもらえたので、ヤンは満足した。 「まぁそんなわけで、僕の国は最初から最後まで、その皇帝に負けっぱなしだったんだ」 最後まで聞いてもらえたのはいいけど情けない話だなぁ…と気が滅入りそうになる。 で、改めて女性達を見ると、ヤンの顔を真っ直ぐ見つめ、そして何かを納得したようにそろって頷いた。 何について全員頷いたのか、ヤンは聞く気にはなれなかった。 「へぇ~、凄い皇帝なのねぇ。ねぇねぇ!あなたのお国の話、もっと聞かせてくれないかしらぁ?」 そう言ってキュルケがヤンにずずずいと近寄り、胸をすり寄せる。 「いや、あの、僕はゲルマニアの話を・・・」 寄られるヤンはタジタジだ。自分の半分くらいの年齢の女性に戦略的撤退を余儀なくされてしまう――つまり、後ずさる。 ヤンを挟んで反対側にいたルイズがグイッとヤンを引っ張り寄せる。 「何してんのよあんたは!真面目にやんなさいよ!」 「あーら、いいじゃないのよぉ~。あたしの国ばっかりじゃなくてぇ、ヤンの国の事だって知りたいじゃないのぉ」 二人の若い女性に引っ張り合いをされるという、彼の人生で滅多に無かった体験。ヤンも大汗を流して困り果てる。その有様にデルフリンガーの笑い声が重なる。 タバサは講義が終了した物と判断し、鞄から本を取り出して読み始めた。 そんなこんなで、ルイズの部屋からは深夜まで黄色い声が響いていた。 夜も更けて、皆がアクビを出し始める。 「ふわぁ~。ありがとうございました、ミス・ツェルプストー」 「ああんもぉ~、いい加減キュルケって呼んでよねぇ~」 「呼ばせないわよ!さぁさぁ、もう帰りなさいよ!」 「はいはい、それじゃ、また明日ぁ~」 キュルケとタバサは自分の部屋に戻っていった。 「ふわぁ~…それじゃ、ルイズ。僕はトイレに行ってくるよ」 「…はふぅ…すぐ帰ってくるのよぉ」 ヤンは部屋を出て、寮塔からも出る。女子寮塔は女子だけなので、女子トイレしかない。 だから使用人用のトイレへと向かった。 「よぉ、見てたわよ」 トイレから帰る途中、ヤンは女性の声に呼び止められた。 寮塔の前に立っていたのはロングビル。 「おや、どうしたんだい、こんな夜更けに。新しい獲物の品定めかい?」 「よしとくれ。職業柄、夜型なのさ。だから軽く夜の散歩でもと思ってね。そしたら寮塔の窓にあんた達の姿が見えてねぇ」 そういってロングビルはヤンに歩み寄る。 「それにしても、意外だねぇ。あんた、あのアルジが嫌いだと思ってたよ」 「うん?何の事だい?」 とぼけたように肩をすくめるヤン。 だがロングビルは真面目な顔でヤンを見つめている。 しばし沈黙した後、ヤンは諦めたように息を吐き、月を見上げた。 「僕には息子がいたんだ。戦争孤児でね、ユリアンっていうんだ」 ロングビルは黙ったままヤンの話を聞く。 「あの子は国の政策で、僕の所に養子として来てくれてね。色々僕の面倒を見てくれたんだ…というか、僕の面倒を押しつけられたという感じだね」 「あんた、手間がかかりそうだもんねぇ」 「まぁね。無駄飯食いと呼ばれたのは伊達じゃないよ」 「いばッて言う事かい?」 クスクスと緑の髪を揺らして笑う。 ヤンも笑い出す。 「あの子は、政府に僕の所へ行けと命じられて、僕の息子という立場を押しつけられた。でも、あの子は文句を言うどころか、本当に僕の面倒をよく見てくれたよ。掃除も、洗濯も、食事に茶の入れ方まで、本当に完璧に家事をこなしてくれた。 それどころか、軍にまで入って、僕を必ず守ると言ってくれたんだ」 ロングビルは笑うのを止める。ヤンの瞳に寂寥が含まれているのが分かったから。 「で、自分を見てどうなんだろうって思ってね。 使い魔という立場を押しつけられた時、僕は即座にルイズの下を出て行こうとした。当然家事なんて出来やしない。ルイズを守ると言っても、彼女がこのハルケギニアの貴族制度の中で生きていくのを守るなんて、僕には難しいよ」 「…で、せめて、あの子に友達の一人でも…てか?」 「う、ん…まぁ、ね。我ながら、傲慢で身勝手な考えだと思うんだけど」 「あんたを奴隷にしようとした娘だよ?」 「でも僕は奴隷にならなかった。なら、その事は水に流していいんじゃないかな」 ヤンは恥ずかしげに頭をかく。 そして笑われるか、呆れられるかと思ってロングビルを見直した。 だが、彼女は微笑んでいた。 「あんた、本当に軍人らしくないねぇ」 感心したように、嬉しそうに言うロングビル。 「うん、自分でも向いてないと思う」 ヤンはロングビルの端正で知的な眼を見る。月明かりに照らされた緑の髪がキラキラと輝いている。 思わず赤面して、顔を下に向けて更に頭をかいてしまった。 そんなヤンの丸まった背を、ロングビルはバシッと叩いた。 「なーに縮こまってンだ!そんなんで、あの子を守れると思ってるのかい!?」 「ごふっ!い、いや。守るッて言われてもなぁ…僕はいつまでハルケギニアにいるかも分からない身だし」 「だったら!いる間はあの子を守ってやんなよ。どーせ迎えが来るかどうかさえ分からないんだろ?」 「うん、まぁ、そうだね」 「んじゃ、早くあの娘ンとこに帰りなよ。きっと寂しくて泣いてるぜ」 「それは無いと思うけど。それじゃ、おやすみ」 ヤンとロングビルは手を振ってそれぞれの寝床へ帰って行った。 二つの月は夜の闇の中でも学院を明るく照らし出している。 それは、何か聖なる場所のようにも見えた。 第七話 聖地 END 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5740.html
32: 194 :2019/06/03(月) 21 20 59 HOST ai126198053104.60.access-internet.ne.jp 注意書きについて 銀河連合日本×神崎島支援?ネタ番外編 ~絶対に笑ってはいけない鎮守府24時~ その二 をご覧ください(手抜き) 銀河連合日本×神崎島支援?ネタ番外編Ⅲ ~絶対に笑ってはいけない神崎市警察署24時~ その19.5 銀連キャラ達の反応+α フェル「ナ、何デスカwあの顔はwww」 柏木「わざわざ着けなくてもww律儀だなぁwww」 ※制服に着替え終えた金剛の顔を見ての、柏木夫妻の反応 シエ「オマwwwソレハ反則ダロwwwww」 ※同時刻の、シエさんの反応。暫くの間腹を抱えて笑い転げてたそうな。 柏木「・・・まさか、漫画的表現をリアルで見る日が来ようとは」 フェル「とイウカ、漫画的表現の数々って実際ヤレバ出来そうナ気ガ」 柏木「いや、あの人達だけだから。普通は無理だから」 ※大淀が霧島のビンタでド派手に吹っ飛んだシーンを見て。フェルさんが何か勘違いをしているが、気にしてはいけない(大本営発表) シエ「今年モ絶好調ダナ、霧島ハ。・・・シカシ、大淀ハ往生際ガ悪過ギダロウ」 ※同じシーンでのシエさん。さしもの彼女も、大淀の往生際の悪さには呆れていた様だ。 ニーラ「『不幸属性を吹き飛ばしまSHOW』ッテwwwねーみんぐガ酷過ギデスwwwww」 ※福江のネタを聞いてのニーラ教授。多分、放送を見ていた殆どの人が同じ感想を抱いたものと思われる。 300:名無しの提督さん タマゴかけご飯wwwwwwww 301:名無しの提督さん 金剛wwwwwwwww 302:名無しの提督さん 弁当忘れるなwwwwwwwwww 303:名無しの提督さん 金剛お婆ちゃん大丈夫? 304:名無しの提督さん 303 屋上 ※同じく福江が言った金剛のやらかしでの、某掲示板での反応。 大見「怖っwwというか、何をさせてんだwww」 ※粘着テープで化け物な顔になった金剛を見た、大見さんの感想。 33: 194 :2019/06/03(月) 21 21 31 HOST ai126198053104.60.access-internet.ne.jp フェル「エエエエエエエエエエエエエエエエ!!?!?!?!」 柏木「おいいいいいいいい!?!?!?何故この人を出したぁぁぁぁぁ!??!?!」 ※かのお方を見た柏木夫妻の反応。まぁ、これが普通の反応である。 モニター<長門「大和だな」 大和「長門さん!!」 ※サブ出し収録時のスタジオにて。 252:名無しの提督さん 三角キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! フゥ 253:名無しの提督さん 何ともけしからんな!! フゥ 254:名無しの提督さん ますます過激になっていくなぁ・・・。 フゥ 255:名無しの提督さん 滅茶苦茶痛そうだな。 フゥ 256:名無しの提督さん 252-255 お前等www ※三角ネタ時の某掲示板の反応。予想通りである。 フェル「あははハハはははははwwwww」 柏木「・・・この二人、本当は仲がいいんじゃ?」 ※ちょび髭伍長と筆髭書記長による乳首ドリルネタを見た、柏木夫妻の反応。 シエ「オマwwwソコデげっぷスルナwwwww」 ※ドゥーチェの不意打ちのゲップシーンでのシエさんの反応。 34: 194 :2019/06/03(月) 21 22 08 HOST ai126198053104.60.access-internet.ne.jp 短いですが、以上です。 wiki掲載は、自由です。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/560.html
557 :名無しの紳士提督:2014/10/02(木) 19 49 18 ID iZMj.0R. 「止めろ、止めてくれ」 油断したと言うのは甘えだろう。いかに幼気な見た目でも艦娘、力の上で普通の人間が勝てるはずはないのだ。 それゆえ、彼女達の考えを理解し調整していたはずだった。 ……それがなぜ、押し倒されているのだ。 彼女が人より強いのはあくまで外側の話だ。比叡カレーを食べれば悶絶するし、今も現に結合部からは血が流れている。 「何で、こんな事を、」 問いかけに彼女は答えない。ただ、腰を振る。冷凍イカのような目で。 正直、痛いだけだ。慣れないであろうのに騎乗位、十分な前戯もない。 力が入り過ぎているのか、千切れそうな位に締め付けられる。 ふと、動きが止まる。 「よし、落ち着け、まずは話し合おう」 矢継ぎ早に話しかけた言葉を遮る、「ごめんなさい」という謝罪。 何故と問うまでもなく、理解した。痙攣している。 終わったと理解した。筋弛緩剤、あるいは艦娘ならバケツか、どちらにしてもこの部屋にはない。 まさか、繋がったまま動けるはずもない。 彼女はただ、ごめんなさいと繰り返す。壊れたレコードのように。 腹を括ろう、彼女を抱きしめキスをする。 驚き、目を見開いた彼女に語りかける。 「少しのんびりしよう、な?」 その夜は他愛もないことを繋がったまま語り合った。 これが昨日の話だ。さて、諸君の中で自分は聡明だと自負する者は前へ。 そして教えて欲しい。暗闇の中交わったのは誰なのかを。 目が覚めた私の目の前には三人の駆逐艦が居たんだ。 怒っていないと語る者、落ち度を問う者、あらあらあらと微笑む者。 間違えたら私の命はない。 なんだこれは! どうすればいいのだ!? これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/