約 25,197 件
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/108.html
2011年2月3日 2011年8月7日:増補(詳細はページ最下部の「第二章 更新履歴」参照) 『中国ミステリ史 第二章』では、1910年代から1940年代まで(中華民国時代)の中国の探偵小説(偵探小説)/推理小説/ミステリの歴史を紹介している。 目次 第二章 1910年代~1940年代: ホームズ、ルパンからフオサン、ルーピンへ第一節 中国ミステリ草創期: 上海の「青」と「紅(あか)」(1)程小青(てい しょうせい)/名探偵フオサン (2)孫了紅(そん りょうこう)/怪盗紳士ルーピン (3)同時代の中国探偵作家 第二節 中華民国時代の探偵雑誌(1)中国初の探偵雑誌 (2)終戦後の探偵雑誌創刊ブーム 第三節 同時代の日本から見た当時の中国探偵小説界 第四節 邦訳された19世紀末~1940年代の中国探偵小説 参考文献 第二章 更新履歴 第二章 1910年代~1940年代: ホームズ、ルパンからフオサン、ルーピンへ 第一節 中国ミステリ草創期: 上海の「青」と「紅(あか)」 (1)程小青(てい しょうせい)/名探偵フオサン 【主要参考文献:老蔡(ラオツァイ)(2009)「百年華文推理簡史 二、程小青与霍桑(上)」、「二、程小青与霍桑(下)」】 中国で探偵小説の創作及び理論面での基礎を築いた人物は、程小青(てい しょうせい/チョン シャオチン)(1893 - 1976)である。 1893年、上海生まれ(日本では甲賀三郎、イギリスではドロシー・L・セイヤーズ、アントニイ・バークリーが同年生まれ)。12歳の時にコナン・ドイルのホームズものを偶然目にして虜になり、16歳で創作を開始。1914年、上海の新聞『新聞報』(新闻报)の文芸特集ページ「快活林」で行われていた公募に短編「灯光人影(とうこうじんえい)」が入選。この作品の主人公の霍桑(かくそう/フオサン)はシャーロック・ホームズ型の探偵で、ワトソン役は包朗(ほうろう/バオラン)。この作品が読者の好評を得たため、霍桑が探偵を務める物語はシリーズ化され、30年以上にわたって愛される人気シリーズとなった(ほぼ同時期の1917年、日本では岡本綺堂の半七捕物帳シリーズの掲載が始まっている)。 「灯光人影」の入選の前にいち早く彼の才能を見抜き小説創作の指導をしていたのは、小説誌の編集長を務め、西洋作品の翻訳で名高かった医師の惲鉄樵(うん てっしょう/ユン ティエチャオ)(恽铁樵)である。 1919年、霍桑シリーズの「江南燕(こうなんえん)」が当時の人気俳優・鄭君里(てい くんり/ジョン チュンリー)(郑君里)主演で映画化されたことから、このシリーズはさらに知名度と人気を高めた。 1915年、大学付属中学の臨時英語教師になった程小青は、そこでアメリカ人教師と知り合って英語の能力を格段に高め、英語で小説が読めるまでになる。翌年には、程小青ほか数名が翻訳した『ホームズ事件簿全集』(福尔摩斯探案全集、全12巻)が刊行されている。これは中国語の文語に訳したものだったが、1930年には程小青らにより口語訳の『ホームズ大全集』(福尔摩斯大全集)も刊行されている。程小青が翻訳に携わったのはホームズシリーズのみにとどまらず、ヴァン・ダイン、レスリー・チャータリス、エラリー・クイーン(『ギリシャ棺の謎』)、さらには中国人探偵が活躍するアール・デア・ビガーズのチャーリー・チャンシリーズなど、大量の作品を翻訳している。 程小青の探偵小説への貢献は創作および国外ミステリの翻訳にとどまらず、その能力は探偵小説論でも発揮された。また彼はアメリカの大学の「犯罪心理学」、「探偵学」などを通信教育で受講するなどして、当時の最先端の知識を得ていた。 1946年には、程小青の探偵小説74編を収録する『霍桑事件簿全集』(霍桑探案全集袖珍丛刊)全30巻が刊行された。1949年の新中国成立後は旧来の探偵小説を書くことは禁止されてしまったが、1957年からは実際の事件に題材を採った大衆向けスリラー小説を書くようになり、どれも20万部を越える大ヒットとなる。中国で名高い映画「徐秋影案件(じょしゅうえい あんけん)」(1958)は、程小青の小説に基づくものである。(日本では1957年、松本清張が『点と線』の連載を開始し、いわゆる「社会派推理小説」の時代が幕をあける) 晩年の10年間は、中国で知識人が迫害にあった文化大革命の時期に当たり、彼も迫害を受けることになった。かつてともに探偵小説の翻訳などを手掛けた仲間が病死したり、あるいは自殺に追い込まれたりする中で、1975年には妻をもなくし、彼も自身の作品の改訂版全集を出すという夢をかなえられないまま、1976年、北京にて没。享年83歳。 近年中国では、1997年の『霍桑探案集』(全6巻)など何度か作品集が刊行されているが、ほとんど品切れになっているようだ。現在新刊で入手できるのは、10編収録の短編集『血手印(血の手形)』(華夏出版社、2008年)。また、2007年には『近現代偵探小説作家程小青研究』という研究書が刊行されている。 また、2006年にはハワイ大学出版からフオサンものの英訳短編集"Sherlock in Shanghai Stories of Crime And Detection"が出ている(著者名の表記は Cheng Xiaoqing )。翻訳はほかに少なくとも、イタリア語訳"Sherlock a Shangai"(2009年)が刊行されている。 (2)孫了紅(そん りょうこう)/怪盗紳士ルーピン 【主要参考文献:老蔡(ラオツァイ)(2009)「百年華文推理簡史 三、孫了紅和他的“反偵探小説”」】 1920年代から40年代末までの中国探偵小説界を支えたもう1人の人物として、孫了紅(そん りょうこう/スン リャオホン)(孙了红)(1897 - 1958)が挙げられる。 1897年、上海生まれ(程小青の4歳年下/日本では海野十三、木々高太郎が同年生まれ)。彼は紙とペンさえあればどこでも小説を書き始めるような男で、喫茶店で小説を書いては、周りの人に見せて喝采を浴びていた。雑誌に小説などを発表していたが、1923年のある日、『アルセーヌ・ルパン全集』(亚森罗苹案全集、1925年出版)の翻訳に誘われ、そこから探偵小説創作の道へと入る。1923年11月には、ルパン(Lupin)をもじった魯平(ルーピン)(鲁平、Luping)という怪盗紳士探偵が登場する短編「傀儡劇(かいらいげき)」(傀儡剧)を雑誌『偵探世界』に掲載する(日本ではこの年、乱歩がデビュー)。この作品は好評を得てシリーズ化され、怪盗紳士ルーピンはこの後約25年間にわたって活躍することになる。探偵小説の創作以外に、いくつかの探偵小説雑誌の編集長も務めた。また恋愛小説も執筆している。 孫了紅の作品は「反探偵小説」(反侦探小说)と呼ばれている。これを聞くと、日本に少なからずいる「アンチ・ミステリ」ファンは色めき立ってしまうかもしれないが、これは単に彼の作品が当時の一般的な探偵小説と異なり、探偵ではなく怪盗を主人公にしていることからきた名称である。 程小青とは交流があり、探偵小説論を交わし互いに刺激し合った。霍桑(フオサン)が登場する作品を孫了紅が書いたこともあった(「鴉の鳴く声」(鸦鸣声))。当時上海では、二人の名前にそれぞれ「色」が含まれていることから、二人のことを「青紅(あおあか)コンビ」(青红帮)と呼んでいた。ただ、老蔡(ラオツァイ)(2009)によれば、孫了紅の創作の量は程小青ほど多くはなく、また孫了紅の作品は出来不出来の差が大きいという。 1949年の新中国成立後は、旧来の探偵小説雑誌や探偵小説は発行が禁止されてしまったため、劇団の劇の脚本を書いたり、新聞でスリラー小説(驚険小説/惊险小说)を連載したりした。若い頃から病弱であったが病状が悪化し、1958年没。享年61歳。同年に書きあげ新聞連載された反スパイ小説『青島迷霧(チンタオ めいむ)』(青岛迷雾)が最後の作品となった。 現在中国で手に入る孫了紅の単行本は、5編収録の短編集『血紙人(血染めの紙人形)』のみである。 同時代のアジアの動向 インドネシアでは、1926年に程小青の霍桑(フオサン)ものが翻訳されている。1929年には、代表作の1つである「江南燕」が訳された。(柏村彰夫(2010)) 上海でルパンの名をもじった怪盗紳士ルーピン(魯平)が活躍していた頃、朝鮮半島ではルパンシリーズの作者ルブランの名をもじった探偵ユ・ブラン(劉不乱)が活躍していた。探偵ユ・ブランを創造したのは、早稲田大学留学中の1935年に日本の雑誌『ぷろふいる』でデビューし、江戸川乱歩とも親交があった韓国ミステリの始祖・金来成(キム・ネソン、1909-1957)である。探偵ユ・ブランは『ぷろふいる』1935年12月号に掲載された「探偵小説家の殺人」で劉不乱(りゅう ふらん)として初登場。金来成は1936年に朝鮮半島に戻り、以降はユ・ブランが活躍する探偵譚や乱歩風の変格短編を朝鮮語で執筆していた。(金来成についての詳細は、「韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)」) (3)同時代の中国探偵作家 【主要参考文献:老蔡(ラオツァイ)(2009)「百年華文推理簡史 四、民国時期的其他原創作品(上)」、「四、民国時期的其他原創作品(下)」】 程小青、孫了紅と同時期に中国で活躍した探偵作家に以下のような人たちがいる。 陸澹安(りく たんあん/ルー ダンアン/陆澹安)(1894 - 1980)程小青のフオサンシリーズ、孫了紅のルーピンシリーズとともに「中華民国時代の三大探偵小説シリーズ」と呼ばれる李飛(リーフェイ)シリーズの作者。当時の探偵小説作家の中で唯一、法律の専門教育を受けた人物だった。1923年に創刊された中国初のミステリ雑誌『偵探世界』では、程小青らとともに編集を担当。作品数があまり多くないため、後世に与えた影響は程小青や孫了紅ほど大きくはない。 兪天憤(ゆ てんふん/ユー ティエンフェン/俞天愤)(1881 - 1937) 張碧梧(ちょう へきご/ジャン ビーウー/张碧梧)(1897 - 没年不明) 趙苕狂(ちょう ちょうきょう/ジャオ ティアオクアン/赵苕狂)(1892 - 没年不明) 中国では2002年に、20世紀に発表された中国ミステリの傑作短編を集めたアンソロジー『20世紀中国偵探小説精選』(全4巻)が刊行されている。この時期を対象とする第1巻の収録作品は以下のとおりである。 『20世纪中国侦探小说精选(1920-1949) 少女的恶魔』(少女的悪魔)程小青「案中案」 程小青「白紗巾」(白纱巾) 孫了紅「藍色響尾蛇」(蓝色响尾蛇) 陸澹安「夜半鍾声」(夜半钟声) 兪天憤「白巾禍」(白巾祸) 張碧梧「箱中女屍」(箱中女尸) 趙苕狂「少女的悪魔」(少女的恶魔) 何朴斎(か ぼくさい/ホー ピャオジャイ/何朴斋)「鸚鵡緑」(鹦鹉绿) 徐卓呆(じょ たくがい/シュー ジュオダイ)「臨時強盗」(临时强盗) 同時代のアジアの動向 タイでは1912年にホームズが初めて翻訳されたのに続いて、モーリス・ルブランのルパンものや、エミール・ガボリオ、ガストン・ルルーの探偵小説などが多数翻訳・翻案され、圧倒的な人気を博した。創作では、前述のラーマ6世『トーンイン物語』に続いて、ホームズものの翻訳者だったルアン・サーラーヌプラパンによる『黒い絹と悪霊の顔』(1922)、シーラット・サパーポンワット『それから永久に』などが発表された。1930年代に入るとこのジャンルはやや下火になったが、パイサーン・サーンブット『私の王女』(1937)、アルンプラサート『邪悪な巣窟』(1938)、タンマティアンの〈探偵チューチュープシリーズ〉(1938~)、ディンソー『探偵チェム博士』(1941)などが書かれた。(宇戸清治(2009)) 第二節 中華民国時代の探偵雑誌 【主要参考文献:老蔡(ラオツァイ)(2009)「百年華文推理簡史 五、民国時期的偵探雑誌(上)」、「五、民国時期的偵探雑誌(下)」】 【2011年8月7日加筆】 (1)中国初の探偵雑誌 少し時間をさかのぼって話を始めるが、1923年というのは日本のミステリ史においても、そして中国のミステリ史においてもエポックメイキングな年であった。この年、日本の雑誌『新青年』は4月号を初の「創作探偵小説号」とし、翻訳ではなく日本のオリジナルの探偵小説を特集するという新たな試みに出る。そしてこの号に掲載された「二銭銅貨」で華々しくデビューしたのが、江戸川乱歩である。この号では乱歩の作品を含め4編の創作短編が掲載されたが、その中には上海を舞台にした松本泰の短編「詐欺師」もあった。 日本人がイマジネーションの中の魔都・上海を描き出していたとき、現実の上海でも、今まさに中国ミステリ史における重大事件が起ころうとしていた。1923年6月、中国初の探偵小説雑誌『偵探世界』(世界書局)の創刊である。中国の作家によるオリジナル作品を重視し、中華民国時代の探偵小説界の三大巨頭、程小青(てい しょうせい)・孫了紅(そん りょうこう)・陸澹安(りく たんあん)の作品を多く掲載したほか、探偵作家以外の小説家にも積極的に声をかけ、探偵小説を依頼した。ただし、この雑誌自体は探偵小説専門というわけでなく、探偵小説が一番多いとはいえ、ほかに武侠小説や冒険小説も掲載していた。小説以外に、程小青による「科学と探偵術」、「探偵小説作法の管見」等のコラムも掲載された。程小青の名前は編集委員としてもクレジットされていたが、実際には程小青は編集に参加していないと言われている。彼の名前がクレジットされているのは、当時すでに探偵作家として名声を博していた彼の名前を借りて売り上げにつなげようと出版社が考えたからである。月2回刊という刊行ペースに創作小説の供給が追い付かなくなり、次第に作品の質が低下したことで読者離れを招き、全24冊、1年という短命に終わったが、この雑誌が後の中国ミステリ界に与えた影響は大きかった。 その後の中国の探偵小説雑誌としては、1938年9月創刊の中国第二の探偵小説雑誌『偵探』があった。当初は月刊、のちに月2回刊となったこの雑誌は、バックナンバーが散逸しており研究はまだ進んでいないとのことだが、1941年刊行の第54号の存在が確認されており、現在知られている中華民国時代の探偵雑誌では、最も刊行号数が多いものである。 なお、日本初の探偵雑誌は、1916年から3年ほど刊行された『探偵雑誌』(実業之世界社)というタイトルの探偵雑誌だとされている。 (2)終戦後の探偵雑誌創刊ブーム 終戦後、日本では1946年3月創刊の『ロック』を皮切りに、探偵雑誌が多数創刊された。1946年には『ロック』に続いて、『宝石』(3月)、『トップ』(5月)、『ぷろふいる』(後に『仮面』)(7月)、『探偵よみもの』(11月)が、1947年には『黒猫』(4月)、『新探偵小説』(4月)、『真珠』(4月)、『妖奇』(後に『トリック』)(7月)、『Gメン』(後に『X』)(10月)、『フーダニット』(11月)が創刊されている。もっとも、これらの雑誌はほとんどが2~3年ほどで廃刊になっており、1940年代に創刊された雑誌で1950年代になってまだ刊行が続いていたのは、『Gメン』(『X』)(~1950年)、『探偵よみもの』(~1950年)、『妖奇』(~1953年)、そして『宝石』(~1964年)だけである。 中国でも戦後になると探偵雑誌の創刊ブームが訪れる。中国で戦後最も早く創刊された探偵雑誌は、程小青が編集長を務めた『新偵探』だが、この創刊は日本の『ロック』創刊よりも早い1946年1月のことだった。続いて同年のうちに、『大偵探(だいていたん)』(4月)、『藍皮書(らんひしょ)』(7月)が創刊されている。 『新偵探』は月2回刊。編集長の程小青は、創刊号から毎号のように霍桑シリーズを掲載し、またレスリー・チャータリスのセイントシリーズを翻訳するなど、自ら健筆をふるった。雑誌は創作が大部分を占めたが、翻訳ではほかに、エラリー・クイーンの短編「アフリカ旅商人の冒険」なども掲載された。創作作品の不足のため次第にページ数が少なくなり、約半年、全17号を刊行して廃刊となった。 『大偵探』は、孫了紅が初代編集長を務めた月刊の探偵雑誌。『新偵探』とは異なり、こちらは翻訳作品を主軸としており、欧米黄金時代のアガサ・クリスティ、エラリー・クイーン、ジョン・ディクスン・カーの作品や、ジャック・フットレルの作品などを翻訳掲載した。また、犯罪実話も人気を博した。『新偵探』が休刊になると創作も載せるようになり、次第に創作の割合の方が多くなっていった。孫了紅もルーピンシリーズの「藍色響尾蛇」(蓝色响尾蛇、別名「1947年の怪盗ルーピン」(一九四七年的侠盗鲁平))を連載している。 『藍皮書』は不定期刊。探偵小説のほか、ホラー小説、武侠小説も掲載された。創刊号には、当時『大偵探』の編集長だった孫了紅も小説を寄せており、孫了紅はのちには『藍皮書』の編集長にもなっている。孫了紅は、金庸などに影響を与えた当時一番人気の武侠作家、還珠楼主に執筆を依頼し、これにより『藍皮書』の売り上げは大幅に上がった。さらに程小青のフオサンシリーズの連載や、孫了紅のルーピンシリーズの掲載もあり、『藍皮書』当時の一番人気の探偵雑誌となった。 1949年1月には、探偵小説雑誌『紅皮書』が創刊された。この雑誌にも孫了紅のルーピンシリーズが掲載され、またたく間に『藍皮書』と並ぶ人気雑誌となった。そして、中国の探偵小説界はこのままの形で発展していくかに思われたが、1949年、新中国=中華人民共和国の成立により、状況は一変する。(以降、第三章) 第三節 同時代の日本から見た当時の中国探偵小説界 【2011年8月4日新設】 日本の雑誌『新青年』は、1930年代に中国の探偵小説を4編訳載している。この4編は、江戸川乱歩編「翻訳短篇探偵小説目録」(『探偵小説年鑑 1951年版』岩谷書店、1951年 巻末)に記載されていない。 (タイトルに付した振り仮名は、実際に『新青年』で振られているもの) 掲載号 ページ タイトル 作者 翻訳者 1930年夏季増刊号(11巻11号) pp.100-113 「白玉環」(はくぎょくくゎん) 武進呂侠 記載なし 1931年新春増刊号(12巻3号) pp.278-290 「無名飛盗」(ウー ミン フェイ タオ) 張慶霖 記載なし 1933年夏季増刊号(14巻10号) pp.125-138 「賭場母女」(トゥ チャン ムー ヌー) 幸福斎 呂久餘七 1935年夏期増刊号(16巻10号) pp.161-169 「絶命血書」(チュエ ミン シェー シュ) 呂侠 阿羅本洋 どれも初出情報や作家の経歴等の親切な情報は付されていないが、調べてみると、このうち呂侠(ろきょう/リューシア)の2作品は、1907年に刊行された呂侠『中国女偵探』(商務印書館)に所収のものであることが分かった。1907年というのは、中国で次々とホームズ物やその他の欧米探偵小説が翻訳され、また中国の作家が見よう見まねでオリジナルの作品を発表しはじめていた時期である。この本には、原題で示すと「血帕」、「白玉環」、「枯井石」の3短編が収録されているが、このうち1作目と2作目が『新青年』に訳載されている(2作目の「白玉環」の方が『新青年』では先に掲載されている)。なおこの『中国女偵探』は、「こちら(中国のサイト)」で全ページを画像ファイルで見ることができる。作者の呂侠は、中国の史学家の呂思勉(ろ しべん、1884-1957、中国語版Wikipedia)と同一人物だという説があるようだ。 張慶霖(ちょう けいりん/ジャン チンリン)と幸福斎(こうふくさい)は、1923年に創刊された中国初の探偵小説雑誌『偵探世界』などに作品を発表していた作家のようだが、『新青年』に掲載された作品の原典は分からない。この4作品については、のちに別ページでまとめる予定である(※現在未公開「アジア推理小説翻訳史 中国編(1) 『新青年』掲載の忘れられた四短編」)。 上で示したように、早くも1930年代には中国の探偵小説が日本で翻訳されていたわけだが、これらの短編は発表年も作者のプロフィールも付されず、ただ翻訳されて掲載されただけだったので、これでは中国の探偵小説界について知りようもなかった。中国の探偵小説界についてある程度まとまった情報が入ってくるのは、戦後になってからである。 戦後、江戸川乱歩を中心に探偵作家が集まって、土曜会という探偵小説を語る会が毎月1回開かれるようになった。1946年6月に始まったこの土曜会では、1947年から1950年の間に計3回、中国の探偵小説についての講演会や座談会が行われている。 (1)東震太郎 講演「中国の探偵小説界」(第13回土曜会、1947年6月21日) 1947年6月21日、すなわち探偵作家クラブ(現・日本推理作家協会)創設の日に開かれた第13回土曜会では、探偵作家クラブ会員で作家の東(あずま)震太郎氏が「中国の探偵小説界」と題する講演を行っている。最初に日本のミステリ界で中国の探偵小説について詳しく紹介したのは、おそらくこの東震太郎氏だと思われる。 東震太郎 講演「中国の探偵小説界」要旨 (「第13回土曜会記録」『探偵作家クラブ会報』第2号(1947年7月))「ビガース(米)の伸査礼(チャーリーチャン)探偵は、人物が温厚謙遜なので好まれている。」 「ルパン、ドイルは夙に翻訳され、わが乱歩の「D坂の殺人事件」「二銭銅貨」「白髪鬼」「蜘蛛男」等も訳されている。」 「創作は至って少く、張恨水、耽小適等の作品も、人情本又は之に類するものであり、曹禹も実録物を書いている。」 「種本は、康煕年間に多い公案物(裁判物)が主で、中にも「龍図公案」(包公案)はその模倣が多い。この本は例の「棠陰比事」と同じくわが「本朝桜陰比事」の淵叢で大岡政談的な物語が六十三種も収録されている。又、謎々的な一種の暗号めいた「柏案驚奇」と云った本も好まれている。」 上記の第13回土曜会記録が掲載された号には、東震太郎氏のエッセイ「中国の探偵小説」も掲載されている。東氏はそこで、中国の探偵小説を3つに分類している。(判読不明の文字は■で示す) 中国の探偵小説(1)実録もの(耽小適(人情本作家)曹禹(劇作家)その他) (2)公案もの ― 棠陰比事(明末■■) ― 龍図公案(一名包公案)(清■) ― その亜流 (3)翻訳もの ― ルパン物、ドイル物、乱歩もの(二銭銅貨、D坂の殺人事件、白髪鬼、蜘蛛男等) アメリカの推理作家アール・デア・ビガーズが創造したチャーリー・チャンは、ホノルル警察の警部で中国系アメリカ人という設定。このころには少なくとも、程小青訳のものが刊行されていた。現在ではチャーリー・チャンの中国語表記は陳査理(チェン・チャーリー/陈查理)が普通だが、このころは伸査礼(シェン・チャーリー)と書いていたんだろうか。 中国のオリジナル作品の現状や発展については、東氏はかなり悲観的な見方をしている。東氏は戦前はジャーナリストとして大陸におり、終戦前後には上海にいたそうだが、残念ながら程小青や孫了紅の活躍や、終戦後の探偵雑誌の隆盛については、東氏の耳には入らなかったようである。東氏が挙げている中国の三人の作家は、推理小説関連の文献では名前を見掛けたことがない。今ほど情報が手に入りやすい時代ではないので仕方がないが、中国における創作探偵小説の実情の紹介としては、やや的外れのものだったと言わざるを得ないだろう。(ここで名前が出ている張恨水、耽小適(耿小適?)、曹禹については、のちに別ページでまとめるかもしれない) (2)柴田天馬 講演「中国文学に現れた犯罪、探偵」(第18回土曜会、1947年11月22日) 東震太郎氏の講演から5か月後には、『聊斎志異(りょうさいしい)』の完訳者である中国文学者の柴田天馬が土曜会に招かれている。この回では主に中国の古典文学作品に現れる侠盗についての話がなされたようで、19世紀末以降の中国探偵小説の話題は出なかったようである。(『探偵作家クラブ会報』第7号(1947年12月)) (3)江戸川乱歩、ロバート・ファン・ヒューリック、辛島驍、魚返善雄ほか 座談会「中国の探偵小説を語る」(第47回土曜会、1950年5月27日) この前年に『狄公案(てきこうあん)』の英訳を出したロバート・ファン・ヒューリックと、中国文学者の辛島驍(からしま たけし)、同じく中国文学者の魚返善雄(おがえり よしお)を招いて座談会が行われた。その模様は、『宝石』1950年9月号に座談会「中国の探偵小説を語る」として掲載されている。ここで辛島氏は、中国の探偵小説史を第一期から第七期に分類して説明しているが、ここで「第七期」とされているのが19世紀末から20世紀初頭のホームズなどの西洋文学の翻訳時期のことであり、その後の程小青や孫了紅の登場についてはこの座談会では触れられていない。 結局、この時期には中国の創作探偵小説の実情について、正しい情報は伝わらなかったようである。 乱歩は中国以外にも、インドや韓国などアジア各地の推理小説に興味を持ち、情報を集めていた。しかし、1965年に乱歩が死去して以降は、アジアの推理小説に目を向ける人はおらず、日本のミステリ界において「アジア」の存在は忘れられたものとなった。日本のミステリ界においてアジアが「再発見」されるのは、21世紀になり、島田荘司がアジア各地の本格ミステリに目を向け始めてからのことである。 第四節 邦訳された19世紀末~1940年代の中国探偵小説 【2011年8月4日訂正】 清末から中華民国時代の中国探偵小説で、一般流通の書籍・雑誌等で翻訳された作品は、第五節で紹介した『新青年』掲載の4編以外には見当たらない。 2004年の第4回本格ミステリ大賞で評論・研究部門の候補になった井波律子『中国ミステリー探訪 ― 千年の事件簿から』(日本放送出版協会、2003年)は、中国ミステリの歴史を4世紀にまでさかのぼり、そこからの歴史を丁寧にかつ読みやすく紹介した好著である。基本的に19世紀以前の作品を紹介しているが、最後の方で程小青と孫了紅にも言及があり、フオサンシリーズの中編「舞宮魔影(ぶきゅうまえい)」と、ルーピンシリーズの「血染めの紙人形」(血紙人、1942)のあらすじが詳しく紹介されている。 ネット上では、この時期の上海の探偵小説については、ブログ「中国推理小説研究会」の上原草さんが、作品のあらすじを詳細に示しながら丁寧な紹介をしていらっしゃいます。程小青のフオサンシリーズや孫了紅のルーピンシリーズのほかに、趙苕狂(ちょう ちょうきょう)の失敗探偵シリーズなどにも言及があります。 また、Webサイト「翻訳書肆・七里のブーツ」では、フオサンシリーズの「別荘の怪事件」(別墅之怪)が全訳されて公開されています。(程小青のフオサンシリーズの英訳が出ていることは、このサイトで知りました) 参考文献 中国ミステリ史 参考文献 (新しいウィンドウで開きます) 第二章 更新履歴 2011年2月3日:公開 2011年8月4日~7日「第三節 同時代の日本から見た当時の中国探偵小説界」を新設。 中華民国時代の探偵雑誌についての記述を第三章から第二章に移動して「第二節 中華民国時代の探偵雑誌」とし、大幅に加筆。 『中国ミステリ史 第一章』(19世紀末~1910年代) 『中国ミステリ史 第二章』(1910年代~1940年代) ←今見ているページ 『中国ミステリ史 第三章』(1940年代末~1970年代) 『中国ミステリ史 第四章』(1970年代末~1990年代) 『中国ミステリ史 第五章』(1990年代末~21世紀初頭) 『中国ミステリ史 第六章』(現代)
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1310.html
≪作品別≫ 10/10【DEATH NOTE】 ○夜神 月/○エル・ローライト/○ネイト・リバー/○ミハエル・ケール/○魅上 照 ○弥 海砂/○ステファン・ジェバンニ/○松田 桃太/○火口 卿介/○渋井丸 拓男 10/10【魔人探偵脳噛ネウロ】 ○脳噛 ネウロ/○桂木 弥子/○吾代 忍/○笹塚 衛士/○石垣 筍 ○怪盗X/○アイ/○葛西 善二郎/○至郎田 正影/○デイビッド・ライス 9/9【金田一少年の事件簿】 ○金田一 一/○七瀬 美雪/○剣持 勇/○明智 健悟/○速水 玲香 ○いつき 陽介/○佐木 竜二/○真壁 誠/○怪盗紳士 8/8【名探偵コナン】 ○江戸川 コナン/○毛利 蘭/○毛利 小五郎/○灰原 哀 ○服部 平次/○遠山 和葉/○怪盗キッド/○ウオッカ 8/8【探偵学園Q】 ○連城 究/○美南 恵/○天草 流/○鳴沢 数馬 ○遠山 金太郎/○三郎丸 豊/○タナトス/○ミス・カオリ 5/5【ミシシッピー殺人事件】 ○チャールズ/○ワトソン/○テーラー/○ウィリアム/○ヘンリー 4/4【Q.E.D. -証明終了-】 ○燈馬 想/○水原 可奈/○水原 幸太郎/○シド・グリーン 4/4【古畑任三郎】 ○古畑 任三郎/○今泉 慎太郎/○西園寺 守/○向島 音吉 4/4【人形草子あやつり左近】 ○橘 左近/○橘 薫子/○秋月 四帆/○沖 克己 3/3【さんまの名探偵】 ○明石家 さんま/○島田 紳助/○吉本 あやこ 【65/65】 ≪五十音順≫ ○アイ/○明石家 さんま/○秋月 四帆/○明智 健悟/○天草 流/○弥 海砂 ○石垣 筍/○いつき 陽介/○今泉 慎太郎/○ウィリアム/○ウオッカ/○江戸川 コナン ○エル・ローライト/○沖 克己/○怪盗キッド/○怪盗X/○怪盗紳士/○葛西 善二郎 ○桂木 弥子/○金田一 一/○剣持 勇/○吾代 忍/○西園寺 守/○佐木 竜二 ○笹塚 衛士/○三郎丸 豊/○シド・グリーン/○渋井丸 拓男/○島田 紳助/○至郎田 正影 ○ステファン・ジェバンニ/○橘 薫子/○橘 左近/○タナトス/○チャールズ ○デイビッド・ライス/○テーラー/○燈馬 想/○遠山 和葉/○遠山 金太郎/○七瀬 美雪 ○鳴沢 数馬/○ネイト・リバー/○脳噛 ネウロ/○灰原 哀/○服部 平次/○速水 玲香 ○火口 卿介/○古畑 任三郎/○ヘンリー/○真壁 誠/○松田 桃太/○魅上 照 ○ミス・カオリ/○水原 可奈/○水原 幸太郎/○美南 恵/○ミハエル・ケール/○向島 音吉 ○毛利 小五郎/○毛利 蘭/○夜神 月/○吉本 あやこ/○連城 究/○ワトソン 【65/65】 ≪主催者≫○シックス@魔人探偵脳噛ネウロ○高遠 遙一@金田一少年の事件簿○ケルベロス@探偵学園Q○ジン@名探偵コナン○リューク@DEATH NOTE
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/5287.html
SIMPLE DSシリーズ Vol.27 THE 密室からの脱出 ~THE推理番外編~ 【しんぷる でぃーえすしりーず ぼりゅーむ とぅえんてぃせぶん ざ みっしつからのだっしゅつ ざ すいり ばんがいへん】 ジャンル 脱出アドベンチャー 対応機種 ニンテンドーDS メディア 256MbitDSカード 発売元 D3パブリッシャー 開発元 インテンス 発売日 2007年11月29日 定価 2,800円(税込) レーティング CERO A(全年齢対象) 判定 なし ポイント 『THE 推理シリーズ』の番外編だが関連性は薄め値段のわりに推理難易度は高めSIMPLEシリーズの中でも多産な作品に成長 SIMPLE DSシリーズ @SIMPLE DLシリーズ for Wii U Vol.1 THE 密室からの脱出 ~すべての始まり16の謎~ 【あっとしんぷる でぃーえるしりーず ふぉー うぃー ゆー ぼりゅーむ1 ざ みっしつからのだっしゅつ すべてのはじまりとじゅうろくのなぞ】 対応機種 Wii U(Wii Uダウンロードソフト) メディア ダウンロード専売 発売日 2014年4月9日 定価 1,000円(税込) レーティング CERO B(12才以上対象) 判定 なし @SIMPLE DLシリーズ for Wii U 概要 特徴 WiiU版の変更点 評価点 問題点 総評 その後 概要 SIMPLEシリーズを代表するアドベンチャーのひとつ『THE 推理シリーズ』のスピンオフ作品。 いわゆる脱出ゲームと呼ばれる類の探索アドベンチャーゲームである。 『THE 推理』の番外編とあるが、同作の主人公が少しだけ登場するなどの要素があるだけで、『THE 推理』をプレイしていなくても楽しめる内容となっている。(*1) なお、後述するように、次作以降はスピンオフ要素を廃した『THE 密室からの脱出』シリーズとして独立することになる。 『密室のサクリファイス』や『女の子と密室にいたら○○しちゃうかもしれない。』などのインテンス脱出ゲーの源流となった作品でもある。 また、SIMPLEシリーズの中でもトップレベルの派生作品を持つシリーズでもある。 特徴 本作で既にシリーズの基礎は完成しており、どの作品もタイトル通り密室から脱出を目指すアドベンチャーゲームである。 画面上をタッチして脱出に必要な情報やアイテムを探り当て、それを当てはめたりしながら脱出を目指す。 ストーリー性に乏しかったり、あっても荒唐無稽だったりするものの、SIMPLEシリーズの中ではクオリティが安定しており、どの作品もさほどハズレがない。 2014年に本作の画質を向上させ、WiiUゲームパッドの操作に対応したWiiU版が発売された。 実質リメイクであるが、謎の内容などはほぼ変わっていない。 ストーリーは「鍵を残して消えた父親の行方を追い、主人公があらゆる場所を探索する」というこれまたシンプルなもの。 WiiU版の変更点 タイトルの変更。 ゲームパッド向けにテキストを変更。 映像をアップコンバート。 Miiverseに対応。 評価点 推理する意欲と好奇心さえあれば誰でもプレイ出来るハードルの低さ。 SIMPLEシリーズとして重要な部分の一つである「手軽さ」はしっかり押さえてある。 値段のわりに謎解きパートはしっかりしている方。 しっかりプレイヤーに考えさせる余地が用意されており、ヒントなどは薄いがちゃんと考えればわかる内容となっている。 WiiU版は元が2,800円というパッケージソフトの値段をさらに抑えてあるため、1,000円でありながら値段以上に楽しめる密度になっている。 BGM・SEはしっかりと雰囲気を出している。 元が推理物であることから、ミステリーチックなBGM、SE、ジングルなど、安価なりに雰囲気作りに尽力している。 タッチ画面をよく活かしている。 アイテムなどはタッチによって裏返したりすることができ、ゲームの世界観にうまく入り込める作りになっている。 多彩な脱出の舞台。 和風の牢屋、倉庫内、何かの施設など、毎度舞台は様変わりするため、わりと飽きない作りになっている。 問題点 操作方法などのヒントが薄い。 いきなり要求される新操作などへの説明はあまりなく、そこで詰まるプレイヤーも多い。 何もないところをクリックすると一々「何もない」と表示される。 すぐ消えるから良いのだが、それ以外に情報が表示されるものや、物を拾った後の「そこにはもう何もない」は、若干メッセージ送り可能時間が遅いためストレスになる。 一部、クリックしても反応が悪い箇所がある。 謎を安易に説かせないための措置と言えるが、どうせなら他の方面で頑張ってもらいたかったものである。 「脱出」ではなく「捜査」なステージがある。 元が『THE 推理』なだけに、この点は仕方ない面もある。以降の作品はほぼ脱出などの謎解きがメインになっている。 たまに雰囲気に見合わない呑気な台詞が入る。 例えば、ステージ1においてはホテル火災に見舞われ、爆風で扉がひしゃげて脱出不可能になる。これだけ聞いてもかなりヤバイ状況なのだが……。 命の危機が迫っているのにベッドを見て「フカフカのベッドだぁ」とつぶやいたり、ホテルの風呂場を見て「安っぽい作りだなぁ」と割合どうでもいいことを口にするのでシュールである。 ただ、この点はSIMPLEシリーズらしいシュールさであるとも言える。 もはや脱出ゲームである意義が見当たらない後半ステージ。 ステージ7「入植」では時間制限がある。 じっくりと謎を考えながら進めるのがメインのこのゲームと時間制限はただでさえ相性が悪いのだが……。 + ネタバレ注意 指定された形の鉱石(全4種類)を装置に入れることで10分の時間制限がリセットされるのだが、暗号を解くまでは3個までしか手に入れられない。そのうえ内1つはすぐに消費させられる。 暗号のヒントは装置の下の階にあるため、分からずに悩んでいる場合頃合いを見ていちいち上の階まで戻らなければならず非常に面倒。残り時間が表示されないのも拍車をかける。 暗号を解いた後はUFOキャッチャーの要領で鉱石を手に入れることが出来るのだが、正面からの視点固定のため奥行きの調整がしにくく、2回目以降は鉱石の種類が完全ランダム。それにもかかわらず鉱石は4個までしか持てない。 前者はボタンを離すタイミングのコツを掴んでしまえばそれほど気にならなくなるが、問題は後者。 鉱石はヒント入手にも必要となるのだが、この際にも特定のものでないといけないため運が悪いと小一時間UFOキャッチャーと装置を行き来するハメになる。 ステージ8「宇宙」では初っ端から何故かマインスイーパを解かされ、しかもルールの説明は一切無い。 因みに数回失敗するとゲームオーバーになるペナルティ付きである。 最終場面ではいくつもの部屋が連なったフロアを攻略していくのだが、全ての部屋がほぼ同じ内観のため単純に見飽きるほか、構造が非常にわかりにくい。 フロア中を動き回って謎解きをしなくてはならないのでかなり面倒な作業と化しており、攻略を見ずにクリアするのはそれなりの根気がいる。 + 最後の展開(ネタバレ注意) なお最後には謎の侵入者が登場し、倒す羽目になる。 脱出のためとはいえ大半のプレイヤーが求めているであろうゲーム性と大きくかけ離れている上に、再び先程のフロアを動き回らなければならないのも辛い要素。ここで挫折したプレイヤーも多いのでは? 総評 説明不足と一部操作性の難は否めず、特に脱出ゲームという軸がブレてしまっている後半ステージは不評を買ってしまった。 とはいえ中盤までは堅実な出来の脱出ゲームとなっているので、手に取りやすい価格ということもあり謎解きゲームが好きな人であれば十分に楽しめるだろう。 その後 本作は後に、様々なプラットフォームに展開されるようになった。 特に多いのはステージ数を絞って価格を下げた『THE 密室からの脱出』シリーズ。この派生作品は@SIMPLEシリーズ(DL版シリーズ)の主力作品となり、2015年現在においてもリメイクを含めて展開は継続中。 WiiU版は2014年のダウンロード売上げランキングでトップ25位中21位にランクインした。ちなみに『Wii Fit U』よりも売上が上である。 2012年8月1日、『THE 密室からの脱出 ~推理番外編~』のタイトルでiOSに移植された。
https://w.atwiki.jp/holyland4/pages/297.html
迷ド探偵たまき第2推理・完全勝利と怒りと新たな容疑者 「めがみー!神藤ー!くそ、なんていう事だ!全裸狙い四天王で転校生を狙うはずが 気づけば我一人!グオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」 リオレイア希少種は思い通りにいかぬ展開に咆哮する。 四天王の思いを一つにして公園へ転校生狩りに向かったはいいが―、 「神藤さん!このファイアフォックスの次の相手は…君さ!」 「うわーい、あんな人気者に指名されたら行くしかねえー!」 「神藤―!」 「ほれほれー!お前の大好きな巨乳はここやでー!ですぅ!」 「わあい、めがみ巨乳大好き」 「めがみ―!」 と言うわけで道中に有名な格闘家の指名を受け一人離脱。 巨乳につられてもう一人離脱。 最後の四天王は初日に脱落したので最初から来なかった。 こうなっては彼女らが自力で障害を振り払い転校生バトルに合流してくれる事を 期待するしかない。リオレイアの運命は如何に、だが、この物語は 怪盗マタンキを追う迷ド探偵が主役である。視点は巨乳につられためがみへと移行する。 「オーーーーーーーーーーパーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイ」 ぎゅーん! トイレの屋根の上で自らの巨乳を鷲掴みにして振り回すたまきに向かって めがみが飛ぶ。比喩表現ではない。両目をおっぱいの形にして口からヨダレを垂らしながら 真っ直ぐ斜めに目的物へと飛行したのだ。元々生物にかかる物理法則から外れた存在で あり、しかも転校生を狩る為に自らの巨乳好きを押し殺していた所にこの罠である。 そりゃあ、ぎゅーんって反射的に飛んでいくのも当然だ。 「めがみ!お前飛べたのか!?というか待てい!神藤に続いてお前まで居なくなっては、 というかあんな見え見えの罠に飛び込むなアホー!」 後ろでリオレイア希少種が叫んでいるがもはやめがみにはその声は届かない。 一刻も早くあの衣装を剥ぎ取り服の下の巨乳を露にする。その事しか頭に無かった。 めがみの手がメイド服の胸へと伸びる。だが、当然これを読んでいたたまきは 身体を後ろへと逸らして外そうとする。結果、両者にとって思いもよらぬ事態が発生した。 ぐにゅ。 「!!!」 「???」 なんと胸を狙っためがみの手はたまきの股間を握りしめる形となったのだ。 思わぬハプニングに顔を真っ赤にするたまきとめがみ。 数秒間の硬直の後二人はほぼ同時に声を発する。 「きゃあああ、変態ですぅぅぅぅ!!!」 「ごごご、ごめんなさい!そんなつもりじゃあ、私はただおっぱいマニアで」 股間から反射的に手を離しめがみは絶好の勝利の機会を失ってしまう。 そして彼女は気づく、股間を握りしめた時に何か違和感を感じた事に。 (あれ?さっきの感触何かおかしかったような気が…) 181 :迷ド探偵たまき:2013/10/31(木) 09 54 01 「すみません、貴女股間にナニか異物を」 「たまきキック!」 どげしっ! 疑問を口にしかけためがみの顔にたまきの足がダイレクトヒットする。 トイレの屋根に向かって飛んできためがみの現在位置はちょうどたまきの 足によって顔を踏まれる絶好のポジションに位置していた。 つまり、非常に不利な位置関係にあったのだが、めがみはそこから動こうと しなかった。 (あっ、今の踏みつけでたまきさんのスカートの中が見えた! 彼女の股間、ナニがどうなってるのか確認するにはこの位置をキープ!) むにゅ!どげしっ!むにゅ!どげしっ! めがみは何度も股間に手を伸ばし触っては顔を踏みつけられ続けていた。 四天王随一、すなわち今大会最高の脱がし技術を持っていためがみだったが、 『パンツを得んとするならまずブラを得よ』という基本を忘れた彼女の 攻撃ではたまきの服は決して破れる事は無かった。 そして勝利の機会と聴覚を失った代償にめがみはたまきの股間の情報を得た。 スカートの中、パンティに顔を間近まで近づけると連続蹴りで汗をかいたためか 下着が透けて見えた。フリル付きの可愛らしい下着の奥には無毛の盛り上がった股間。 そこには半透明のテープが貼り付けられており、数秒おきにピクピクとひとりでに 震えている。 触った時の違和感、割れ目の上のテープ、震えるモリマン、めがみの中で全ての情報が 集まり推理が完成した。 「そうですか…たまきさん、貴女は…股間に…ローターを入れながら戦っているんですね」 「突然何を言ってるんですかこの変態―!!!!」 残念ながら探偵ではないめがみでは正しい推理には至らなかった。 これらの情報から真実に近づくにはこの大会の参加者が全員女性という前提で動いている めがみには無理な話だったのかもしれない。 怒りの踏みつけでめがみは完全に意識を失い倒れ伏す。勝者迷ド探偵たまき。 「まったく…初日にアナルズボォで今度はたまきの股間揉まれるなんて…。 怪我はないけど今日はこれ以上戦いたくないですぅ~。まあ幸い、 服の下をテレビに晒さなかったのは幸運と言えるですね」 アナニーとガイジンズ吹っ飛ばした時の映像が世間に流れた事を知らないたまきは ほっと一息。だが、その安堵は数分で怒りに変わる事となる。 「あっ、飛行船ですぅ~」 今大会のスポンサーが飛ばしている飛行船はバルーンの部分に巨大な映像モニターが 設置されており、大会の最新情報を各地に提供している手段の一つとなっている。 「こ…これは…」 『袈裟懸けに振り下ろしたロッドによる光の斬撃! 身体を捻って回避を試みる迷ド探偵だが、この距離では避けきれない! 光の刃は大きな胸を掠め、衣服に切れ込みを入れた! 生じた隙間から豊かな胸とそれを覆うブラがちらりとのぞく! 白だ!』 『メイド服のスカートがストンと落ち、下半身の白い下着が露わになった。 一瞬の交錯の中で、パルプの斬撃も命中していたのだ。 泡沫は、慌ててトレイで隠すが、実況カメラは冷徹にその可愛らしいフリル下着を捕らえていた』 (第2T ラクティ☆パルプ VS 宇多津泡沫 より引用) 「人の身体でな~に~をやってるですかぁ~~~!!!!」 たまき激おこぷんぷん丸。頑張って大会一の脱がし屋に完全勝利したのに、 その努力虚しく自分の下着姿が世界に披露されているのだ。誰だって怒る。 「あっちは最初に怪しいと思った魔法少女、それでたまきに変身したのは 睡拳戦士ですかぁ~。ぐぬぬ、許すまじ。めがみのリアクションがマタンキっぽく 無かったし、やはりこの二人とは直接やりあう必要がありそうですぅ~」 下着をカメラに映された事の怒りもあるが、たまきの探偵パワーによる 調査によるとラクティ側もたまきの事を何らかの件で調査している事が判明。 そして宇多津泡沫の変身能力、怪盗マタンキの女装力をもってすれば あのような技も可能かもしれない。 たまきはこの両名を次のターゲットとする事を誓い眠りについた。 【第3推理に続く】
https://w.atwiki.jp/cataclyj/pages/143.html
『裏切りと復讐が織り成すサスペンスストーリー。』 対象スキル なし スキル要求値 スキル上昇限界 知性要求値 5 読書時間 18分 意欲増減 +3 レシピ数 0 14/11/18 0.A
https://w.atwiki.jp/kusataro/pages/293.html
うみねこのなく頃に ~魔女と推理の輪舞曲~ クリア(・∀・) 2012/11/14 プラチナトロフィー取りました(・∀・) 無茶苦茶な設定なところもありましたが 想像以上にボリュームがあってそこそこ楽しめました。 自分の中で解決していない謎があったりするのですが、 続編プレイすればわかるのかな? ただ今のところすぐに購入する予定はありません。 2012/11/13 Episode.4をクリア。 あとは残っているシナリオをクリアするだけ。 2012/11/10 現在Episode.4の「次期当主」です。 2012/11/06 現在Episode.4の「幻想への誘い」です。 2012/10/31 現在Episode.4の「12年後の未来」です。 途中で「さくたろう」というキャラクターが登場して 少し和んでしまいました(・∀・) 2012/10/24 Episode.3をクリア。 残るはあと1つ! 2012/10/22 現在Episode.3の「魔女法廷」です。 2012/10/18 現在Episode.3の「新しき魔女」です。 2012/10/15 現在Episode.3の「前哨戦」です。 2012/10/13 現在Episode.3の「儀式の開始」です。 2012/10/06 Episode.2をクリア。 2012/10/02 現在Episode.2の「新しいルール」です。 2012/09/30 現在Episode.2の「結婚指輪」です。 2012/09/25 Episode.1をクリア。 2012/09/24 現在Episode.1の「篭城」です。 あ、このゲームはプラチナトロフィー取得でクリアとしますね( ・ω・) 2012/09/23 ほぼトロフィーのためだけに購入しました。 ちなみにノベルゲーは初挑戦です。 サクサクとトロフィーが取れるかと思ったら 想像以上にお話が長くてビックリ。 現在Episode.1の「オカルト」というところなんですが 真剣にお話を読んでいったらかなりのボリュームになりそうです。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/2985.html
超名作推理アドベンチャーDS レイモンド・チャンドラー原作 さらば愛しき女よ 【ちょうめいさくすいりあどべんちゃーでぃーえす れいもんど・ちゃんどらーげんさく さらばいとしきひとよ】 ジャンル 超推理アドベンチャー 対応機種 ニンテンドーDS メディア DSカード 発売元 フリュー 開発元 エスポチームインテリジェントデザイン (制作のみ?) 発売日 2009年5月28日 定価 5,040円(税込) レーティング CERO B(12才以上対象) 判定 クソゲー ポイント 2009年クソゲーオブザイヤー携帯機部門次点 超名作の小説を端折っただけの超改悪ゲームとして評価すべきかすら怪しいインターフェース面にも難あり KOTYゲーム一覧 概要 ゲーム内容 問題点 評価点 総評 余談 概要 レイモンド・チャンドラー原作のハードボイルド小説『さらば愛しき女よ』のゲーム化作品。 チャンドラーはハードボイルド小説の大家であり、本作の主人公でもある「フィリップ・マーロウ」はハードボイルド小説で最も名の知られた探偵である。 『さらば愛しき女よ』はマーロウが登場する長編シリーズの2作目。 「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」「撃って良いのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」等の名台詞は有名。 『コードギアス 反逆のルルーシュ』の主人公の決め台詞(*1)や、『仮面ライダーW』の主人公コンビの片割れの名前(*2)の元ネタである。 ゲーム内容 基本はごく普通のビジュアルノベルで、合間に次の目的地を選択する「移動パート」と、部屋などを探索する「探索パート」が存在する。これらについては後述。 織田裕二のモノマネなどで知られる芸人、山本高広を主人公・マーロウ役の声優として起用。話題性重視の起用にも思われるが、この手の起用にありがちな棒読みは一応避けられており、それほど違和感なく聞けるレベルではある。 もっとも、あまり熱の入った演技をしなくてもいいキャラクターであるという理由も大きいだろうが。 ボイス自体、各章の初めに数セリフ分ある独白に付いているだけで、分量で言えば全体の1~2%程度とごく僅か。他にボイス付きのセリフは他のキャラクターを含めて一切ない。 問題点 クリア時間は1時間半~2時間程度。原作は約360ページなのでちゃんと読めば少なくとも2時間以上はかかるであろうことを考えると、明らかに短い。 これは、ゲーム化するにあたって細かい部分、特にセリフ以外の情景描写などがかなり端折られていることが主因。 原作をなぞっているだけなのでストーリーに分岐などは一切なく、2周目などの要素もない。 「移動パート」と「探索パート」の存在意義が希薄。 元が小説という一本道のストーリーであり、「移動パート」はその移動部分を選択式にしただけなので、ストーリー上次に行くことになる場所以外の場所を選択しても、どうでもいいような会話が二言三言交わされるだけでほとんど意味はない。 場合によっては、ストーリーに無関係の場所に行くと本作オリジナルのミニイベントが起きる場合もあるにはあるが、数が少ない上に30秒程度で終わるようなくだらない内容のものがほとんど。 最序盤で行くことになる「理髪店」など、一番最初も最初に行って以降は最後まで二度と行く必要のない場所なのだが、行き先のリストには最後まで無意味に残り続ける。 「探索パート」も例えば『逆転裁判』シリーズのような面白さは全くなく、単に事件に関わる物品を探す要素を面倒臭くしただけで必要性の極めて薄い代物。調べられる場所もごく僅かで事件に全く関係ない場所はほとんど調べられず、そもそも「探索パート」の出現頻度もあまり高くない。 要するに、単なる水増しの一言である。 規制などの関係で、一部ストーリーが原作から改変されている。しかも改変しきれていないせいで、細かい矛盾が発生している箇所も散見される。 「インディアンの大柄な用心棒」という設定のサブキャラクターがいるのだが、恐らく人種描写についての規制から普通の大柄な白人男性に変えられている。 おかげで、なぜ「野蛮な臭いがする」などと描写されているのか、なぜ「すぐ来い。今すぐ来い。」「自動車ある。大きな自動車。」などと片言で喋っているのかさっぱり分からない。 人種関連の話で言えば、物語のきっかけとなる「フロリアン」という店も黒人専用のナイトクラブなのだが、そういった描写は丸々カットされている。 主人公・マーロウが、閉じ込められた上に麻薬を打たれて錯乱状態になるシーンがあるが、これについても恐らく薬物関連の規制から単に「睡眠薬をしこたま飲まされた」と変更されている。 おまけに錯乱状態の描写は中途半端に残っており、煙に包まれている幻覚を見て「火事だ!」と叫ぶシーンもそのまま。原作でレストランのボーイが「ステーキはレアですか、ミディアムですか」と聞いてくる幻覚を見るシーンは、見張り番の男が「ステーキはミディアムかね?それともレアにするか?」となぜか唐突に聞いてくるように変わっている。 原作中でマーロウは「アン・リアードン」という女性に出会って共に事件を追うようになるのだが、このゲームでは尺の都合なのか初めから二人はよく見知った仲だったように変えられている。 原作の重要人物の1人として登場する「ジュールズ・アムサー」という冷酷な精神科医の男が、なぜかこのゲームでは「ジュリエット・アムサー」という女性に変更されている。本作の改変点の中でも、理由がよく分からない。 なお、アムサーを殴りつけるシーンはそのままで、辻褄を合わせるために「女を殴るなんて愚かな人ね」というセリフが追加されている。 「殴ってもいい女がいるとは初めて知った」という主人公のセリフもあるとはいえ、ハードボイルド小説の探偵に女性を殴らせるような改変の必要はあるのだろうか(*3)。 他にも、皮肉や暴力といった要素が全体的に削られている。マーロウや重要人物のマロイなどの個性が大幅に抑えられているのはもちろん、そもそもハードボイルドに必須の要素を削っている時点で色々と台無しである。 その他細かい変更点(主に内容の単純化のための省略・削除)は多いが、キリがないので割愛。 テキスト中には選択肢が何度も登場するのだが、半分以上は少し前に聞いた情報をちゃんと把握できているかどうかの確認問題である。失敗しても「そんな訳ないだろ(要約)」とツッコミが入ってまた選ばされるだけであり、無意味なことこの上ない。 中には「男に『話しかける』『顔を見せる』『無視する』」などの比較的重要な選択も存在するが、本来の原作のストーリーから外れた選択をしてもマーロウが「いや、今はそれどころではない」などと勝手にやめてしまうため、結局本来のストーリーを忠実になぞって行動するハメになる。選択肢の意味がまるでない。 一応終盤のとある選択肢だけは、しくじると同じ章の最初に戻されるので、全く意味がない訳ではない。 「応答を間違えると撃ち殺される」というのが1回あるだけなので、必要性が存在するのかというとはなはだ疑問ではあるが。 インターフェースも良いとはいえず、当然のようにバックログ機能や既読スキップ機能は未搭載。 タッチペンで若干読む速度は上げられるが、ボイス部分ではそれさえもできず、一切早送りもスキップもできない。 セーブデータの説明欄には「現在読んでいる章」「セーブした(実時間の)日付」しか書かれておらず、どこでセーブしたのか大変分かりづらい。 話者が変わる際にいちいち立ち絵やメッセージ欄が消えたり現れたりする上に、その速度が遅い(1回につき1秒程度)。地味ではあるが、待ち時間が非常に鬱陶しくテンポはかなり悪い。 評価点 作中のイラストの出来は悪くなく、ハードボイルド小説の雰囲気をゲームで表現する落とし所はそれなりに掴んでいる。 重要なシーンでは一枚絵があるし、名も無い脇役にもちゃんと立ち絵が用意されている。 クリア後には人物紹介やミュージック・CGギャラリーを見ることができる。 人物紹介はあまり手の込んだものではないが、名も無い脇役まで全員収録されている。 総評 シナリオは基本原作をなぞるだけ。ゲーム化部分は蛇足。 はっきり言って、このゲームを買うくらいなら原作の小説(*4)を買った方がはるかに安上がりだし、描写も細かく物語に入り込める。 スペシャルサンクスには「すべてのチャンドラーファン」とあるが、どう考えても(熱心なファンからちょっとしたファンまで含めて)チャンドラーファンが納得するとは思えない出来である。 余談 ジャケットの売り文句は以下の通り。 推理ゲームをやりつくした人へ… ・世界および日本中の作家に影響を与えた推理小説を知っていますか? ・20世紀で最も有名なミステリー作家を知っていますか。 ・世界で最も有名な探偵の名前を知っていますか? ・チャンドリアンという言葉を知っていますか? 以上は、原典である小説においては正しい。細かいことを言えば「20世紀で最も~」には「クリスティは?」や「クイーンは?」という疑問が湧くし、「世界で最も有名な探偵~」は「シャーロック・ホームズ」であろうが、とにかくチャンドラーが最上級の有名作家であることは間違いない。 しかし、これら原典にはふさわしい売り文句に担うレベルを本作がそのまま引き継いでいるかどうかを考えると、チャンドラーやそのファンを冒涜していると言われるのも仕方ない。 なお、宣伝文句に「推理」「ミステリー」といった単語が頻出するが、本来ハードボイルドミステリは謎解きが主軸ではなく探偵役を中心とした人物描写に重点を置いた小説であり、強調するポイントがずれている感が強い(*5)。 本作発売の前月に早川書房から村上春樹訳の新訳ハードカバーが発売されている(書名は『さよなら、愛しい人』に改題)。偶然発売が被ったのか、本作が意図的に便乗して発売したのかは不明。 KOTY2009年携帯機部門では次点を獲得した。
https://w.atwiki.jp/opedmiroor/pages/2654.html
少年、鳴海歩の元に電話がかかった。 歩「はい、鳴海です」 ?「歩か?」 推理せよ 真実のために 歩「ああ兄貴」 ?「『ブレード・チルドレン』の謎を追う・・・」 歩「は?」 ?「まどかにも伝えてくれ」 そう言うなり、電話は切られた。 推理せよ 大切な人を守るために 歩「え・・・何・・・・兄貴・・・?」 推理せよ――― ―――兄を越えるために! 第一話 踊り場の見えざる手(前編) 歩「・・・・・やべ・・・・寝すぎた・・・・」 そんな夢を見ていたのは、屋上で雑誌を見ながら寝ていた少年、 私立月臣学園1年となった歩だった。 歩(「あの日」の夢を見た) (・・・・そうか。そういや今日だったな) (2年前、兄貴が失踪した「あの日」・・・・・・) ?「きゃあああ!!」 歩「あ―――・・・?」 歩が悲鳴の聞こえた方へ向かう。 歩「・・・・んだァ?さわがしい」 「・・・・・!?フェンスがねぇ!!!」 「・・・・・?」 歩が下をのぞき込んで見ると、地面には1人の女子生徒の死体とフェンスがあった。 死体の周りには人が集まっていて、その中の1人が歩を見上げて、叫んだ。 女子「あんたね!」 歩「へ?」 女子「あんたが突き落としたのね!!」 歩「・・・あ?ああ~~~~?」 その後、警察がその現場に来た。 警官「ご苦労様です!」 和田矢「うわあ~カワイイ娘だな~~~♡」 落ちた生徒手帳の写真を見ていた、巡査・和田矢末丸の頭にひじ打ちが叩き込まれた。 和田矢「う~~~」 まどか「月臣学園2年F組、宗宮可菜。非常階段6F踊り場より落下・・・」 「・・・まいったわね・・・」 和田矢のひじ打ちを叩き込んだ、警部補・鳴海まどかが和田矢から取った生徒手帳を見る。 和田矢「けっけけ、警部補!!」 まどか「あら?」 生徒手帳には、他の人達と写ってる可菜の写真もあった。 まどか(写真・・・) まどか「ふぅん・・・・あっこれ頼むわ」 まどかが警官に生徒手帳を渡した。 警官「ハイ」 和田矢「上からの落下・・・かぁ。自殺、事故、他殺。よりどりみどりですねえ」 「どれだか晩飯賭けませんか?」 そう言う和田矢の腹にまどかはパンチを叩き込んだ。 和田矢「あ・・・あうぅ」 まどか「和田矢、現場を見なさい」 「自殺・事故・他殺、その中で最も可能性が低いのは?」 和田矢「え?え~~~と・・・事故?」 まどか「根拠は?」 和田矢「だってつまんない事故にしちゃ捜査がものものしい・・・」 そう言う和田矢の顔面をまどかは殴った。 まどか「答えは自殺。これを見なさい」 まどかが割れた眼鏡を拾った。 和田矢「?」 まどか「自殺者は大抵死ぬ前に容姿を気にするものよ」 「特に女性なら化粧もヘアスタイルも服装もきちんと決めてからという傾向が強い。眼鏡も外してるケースが圧倒的に多いわ」 「年頃の女性が、こんなダサイ眼鏡かけて自殺をするかしら?」 和田矢「でっ、でも、被害者はメガネ美人でいつもかけていたかもしれないかもしれないですか?」 まどか「生徒手帳の写真ちゃんと見た?」 生徒手帳の写真の可菜は、眼鏡をかけていなかった。 まどか「刑事を続けたかったらもっと観察力を養いなさい」 女子「あんたがカナを突き落としたんでしょ!!」 まどか達の近くで、あの女子が歩に詰め寄っていた。 女子「カナが落ちたあと、あの踊り場に顔を出したの、私この目でちゃんと見たのよ!!」 歩「・・・ギャーギャーうるせえ女だな。ただの事故だろ?」 女子「ただの事故!?ふざけんじゃないわよ!」 歩「ふざけてんのはそっちだろ。俺はたまたまあそこにいただけだ」 女子「たまたま!?そんな言い訳通用するとでも・・・、!」 まどかが女子の前に出てきた。 まどか「それぞれの言い分はわかりました。詳細は個別に―――・・・」 まどかと歩が互いに気付いて、黙ってしまった。 和田矢「どうしました?警部補?」 その後、生徒指導室で聞き取りが行われた。 和田矢「目撃者、野原瑞枝さんの話によりますと・・・」 瑞枝「私が友達の辻井君とちょうと話をしていた時でした・・・」 ?「きゃあああああ!!!」 瑞恵(当時)「!!!」 瑞恵「突然すごい悲鳴が聞こえてきたんです」 「「何があったんだろう」ってふりむくと人が落ちていくのが見えて・・・ちょっと離れてたけどすぐにカナだってことがわかりました」 瑞恵(当時)「カナッ・・・」 瑞恵「現場に私達がかけつけた時、6階非常口の踊り場にちょうどあの男が顔を出したんです!」 歩「ああ~~~・・・」 和田矢「・・・・というころでしたが、なぜ君は放課後あそこにいたんですか?生徒は滅多に行かない場所だそうですが・・・」 歩「屋上が静かでずっと寝てたんですよ。で、そろそろ帰ろうと思って降りてきたら非常階段の方が騒がしかったもんで」 「ちょーっと見てみたくなっただけですよ。文句あります?」 和田矢(かわいくない) 「非常口のほうから誰も不幸な人物は逃げてこなかったんですね?」 歩「誰もいませんでしたよ」 和田矢「ほう誰も・・・」 歩「おいおっさん」 和田矢「おっ、おっさんとはなんだ!!僕は、僕はまだ・・・」 歩「もしかして刑事サン俺を疑ってんの?どーせさあ、友達とやらが感情的になってるだけで、結局事故か自殺でおさまるんだろう?」 「フェンスももともと壊れたっていうし」 まどか「用務員の話によると、確かに以前からフェンスのボルトの接合が甘くなってたらしいわ」 「でも相当強い力で押さないと外れなかったことが確認されてるし、ボルトも金網もかなりの負荷がかかって曲がった状態だった」 「狭い踊り場で足をすべらせて寄りかかったぐらいじゃ、絶対そうはならないのよ」 「つまり事故はありえない」 歩「・・・自殺は?」 まどか「遺書はないし否定する材料がいくつかあるわね。今のところ、宗宮可菜さんは踊り場からフェンスごと突き落とされたとしか考えられないの」 歩「・・・・・・」 和田矢「フッフッフ」 歩「あ?どーしたおっさん」 和田矢「おっさん言うな!!!」 歩「うおっ」 和田矢「いいか!6階以外の非常口は最近使った形跡がなく、階段を駆け下りて逃げる者も目撃されてない!」 「さらに!お前自身が6階非常口から誰も逃げてこなかったと認めたぞ!」 「その上おまえは僕を「おっさん」呼ばわりした!!」 歩「なんの関係があるんだよ」 和田矢「す・な・わ・ちっ」 「お前以外に被害者を突き落とすことは不可能だ!!!観念しろ悪党!!!」 歩「ほーう」 歩が拳を鳴らし――――― 和田矢の額に絆創膏が貼られた。 和田矢「・・・・・」 まどか「恥ずかしいセリフを大声で言わない!」 和田矢「だってこいつ以外に考えられないですか・・・・」 歩「・・・・・」 和田矢「それに犯人がわかればうまくいくと「あの事件の」、あぐっ」 まどかが和田矢の顎を引っ張って、言葉を止める。 まどか「自分の置かれた立場、分かった?」 歩「あーあー、めんどくせーことになったのはしっかりわかったぜ」 まどか「・・・まあ今日のところはもういいわ」 和田矢「えっ!?」 まどか「帰って夕食の準備なさい」 和田矢が歩を締め上げた。 和田矢「警部補!?何甘いこと言ってんですかぁ!こんな奴署に連行してぎゆうと絞り上げれば-」 歩「・・・てめっ、何しやがる!!」 まどか「和田矢」 和田矢「?」 まどか「和田矢、私の名前を言ってみなさい」 和田矢「へ?」 「え・・・えーと鳴海まどかさんでしたよねぇ」 歩「むさ苦しい」 まどか「じゃあこの容疑者の名前は?」 和田矢「え?」 和田矢が歩の生徒手帳を見る。 まどか「おぼえてなさいよ」 和田矢「鳴海歩。・・・・鳴海?あれ?」 まどか「「あれ?」じゃないでしょう。観察力が足りないわよ」 和田矢「・・・あのー、つまりこいつ・・いえ、こちらの方は・・・」 歩(バーカ) まどか「私の弟よ」 歩「・・・・・・」 夜。歩とまどかの暮らすマンションの一室。 まどか「なっ、なによコレ!!」 歩「カレーだ。見てわかんねえのか?」 まどか「そーゆーことを言ってんじゃないのよ!!あんた今夜は地中海風ブイヤベースに山菜リゾットって言ってたじゃないのぉ!!!サフランの香りは?わらびの食感は!?」 歩「どわ!?~~~~っせーなぁ」 「悪党呼ばわりされた日にそんな手間のかかるもん作ってられるか」 まどか「あっ。しかもレトルトぉ!!いや――――っ!!」 歩(チッ、めざといな) 歩「文句があるなら自分で作れよ」 まどか「う・・・私が不器用なの知ってるでしょ!」 歩「・・・ねーさん、職場じゃ気取ってんのな」 まどか「なによ。気取って無愛想なお姉さんが家にいたらうっとーしいでしょ」 歩「わがままで感情にムラがあるお姉さんもうっとーしいんでねぇ?」 まどかが歩の足を蹴った。 歩「だっ!?」 「・・・・・・!」 まどか「あんた。本当にやばいわよ」 歩「・・・・・・・」 「本当に俺以外に突き落とせた奴はいないんだな」 まどか「あんたの証言がダメ押しね。自殺は望み薄だし、フェンスの状態から突き落とされたのも確実。動機が見つかれば逮捕状がでるわ」 歩「・・・こりゃまたたいそーなこって」 まどか「ふざけてる場合じゃないわよ。いざとなったらかばわないから」 歩「別にかばってもらおうとか思っちゃいねーよ」 まどか「あっそ。かわいくないわね」 歩「・・・・なあ。あのマヌケそうな刑事が言いかけた「あの事件」ってなんなんだ?宗宮可菜が殺されたのとか何か関係ありなんだろ?」 まどか「・・・・・・」 「さあ・・・それはどうかしら?」 まどかはにっこりと笑った。 歩(は―――――そーきたか。ま、俺は俺でやらせてもらうか) 「・・・一つ言っとく。野原は要注意だぜ?」 まどか「え?野原瑞恵さん?」 歩「俺、上で見たんだよな。あの女皆の注意が俺に向いてた隙に、現場で何か拾ってポケットに突っ込んでやがった」 「ものはわからねえが、見つかると困るもんに違いない」 まどか「彼女が真犯人だっていうの?50メートルも離れたところで墜落現場を目撃してた彼女が?突き落とすには長い手が必要ね。みょい~~~んとした」 歩「だけど」 「特別なトリックでも使わなきゃ、俺以外に犯人はいない・・・・そうだろ?」 そういう歩の後ろに、まどかはある男の面影を見た。 まどか「・・・・あ。素人は口を出すもんじゃないわ!」 歩「さーてと皿でも洗うかな」 まどか「ちょ・・・っ」 歩「あーおととい作ったプリンがあまってら。食う?」 まどか「は・・話そらすんじゃないわわよ!食べたいけどっ」 結局プリンは食べられた。 歩(よく言うぜ) 翌日、放課後―――・・・ 歩は音楽室でピアノの前にいた。 歩(――――兄貴にできないことは何もなかった。勉強も運動も・・・) (ピアノでさえも) 歩はピアノを弾き出した。 歩(いつもああなりかった) (10代であっさり世界的ピアニストになり) (20代で刑事となって「名探偵」と呼ばれた兄のように) (俺は・・・兄貴を憎んでいるのかもしれない――――――・・・) 歩は物音を聞き、ピアノから立ち上がった。 歩「!?」 ?「あれー。やめちゃうんですかピアノ。せっかくだから最後まで聴きたいですぅ」 歩「・・・あ」 「あんた誰?」 そこにいたのは一人の女子、2年の結崎ひよのだった。 ひよの「あ、申し遅れまして♡私、新聞部部長の結崎ひよのですぅ」 歩「・・・・・あァ?新聞部?」 ひよのは歩にマイクを突き出した。 ひよの「きゃっ」 「つきましてわぁ!人を殺した心境などお聞かせ頂けると嬉しいんですけどぉ」 「・・・・・・・・あのー、聞いてます?」 歩「・・・・俺はやってない」 ひよの「はあ?」 歩「お・れ・は・やっ・て・ね・え」 ひよの「!」 歩「――――ったく」 ひよの「えーでも、学校中1年の鳴海がやったって噂ですよぉ」 歩「あ?なんでそんなに噂が早いんだよ!!事件は昨日の夕方だぞ!!」 ひよの「それは積極的に噂を流している人がいるからです」 歩「野原瑞恵か」 ひよの「宗宮さんの親友だったそうですからねぇ。憎しみもひとおしなんですよ、きっと」 「ってあれ?鳴海さん?」 歩は音楽室から出た。 男子「あいつが・・・」 女子たち「えっえっ?」 「やだこわーい」 ひよの「鳴海さーん」 歩「・・・・おい」 歩の横にひよのが付いてきていた。 ひよの「はいっ♡なんでしょう鳴海さん」 歩「・・・名前を連呼するな」 歩は柱に頭をぶつけた。 ひよの「あらごめんなさい鳴海さん」 歩「・・・・あんたなんでついてくるワケ?」 ひよの「鳴海さんが殺人者でないとおっしゃるのなら、それが真実であるか鳴海さんの同行をさぐらなくてはいけません。真実を伝えるのが私のモットーです」 歩「なん」 ひよの「ダメっていっても無駄ですよぉ―――勝手についていきますから」 歩「・・・・・」 ひよの「ところで鳴海さんどこへ行くおつもりで?」 歩「決まってんじゃねえか」 「野原瑞恵に文句を言いにいくんだよ」 弓道部。 一人の男子が放った矢が的の真ん中を射抜き、瑞恵がそれを見ていた。 瑞恵「お見事!」 ひよの「鳴海さん意外とまぬけですねぇ」 「クラスも放課後学校に残ってるかもわからない人に会いに行こうとしてたとは」 歩「うるせえ。だいたいあんたなんであいつが弓道場にいること知ってんだよ」 瑞恵「!」 ひよの「新聞部にわからないコトはないんです♡」 歩「・・・あんたさー。もしかしてウワサの「情報通」?高等部にそんなやつがいるってきいたことあるぞ。学長さえ脅えるとかなんとか・・・」 ひよの「失礼ですね!私利私欲に利用したことはありませんよ!」 歩「・・・・」 ひよの「これすべて、知的好奇心のため♡きゃっ♡」 歩「カメラ目線!?」 瑞恵「ちょっとあんた!!!」 歩「・・・主役のおでましだ」 瑞恵「殺人犯・・・こんな所になんの用?」 歩「・・・別に。ちょっとアイサツにな」 男子「瑞恵」 瑞恵「勝」 先程弓を引いていた男子が瑞恵の側に来た。 それを見てひよのが歩に耳打ちした。 ひよの(鳴海さんあの人ですよ、野原さんの彼氏) (弓道部主将3年の笹部勝先輩です。全国大会で優勝するほどの腕だそうです) 勝「おいおまえ」 勝が歩の胸ぐらを掴んだ。 勝「瑞恵に近づくな。人殺しめ」 歩「・・・・・・」 ひよの「鳴海さ――――――ん、言い忘れてましたけど―――――・・・」 「その人ケンカめっちゃ強いですよぉ」 歩「ナヌ?」 (そーゆーことは早く言え) 歩「笹部センパイ、犯人は俺じゃないですよ」 歩は勝の手を振り払った。 歩「野原サン」 瑞恵「な・・・なによ。なんか文句あ」 歩「俺が言いたいのがこれだけだ」 「あんたのトリックは俺が解く!!」 「・・・ハメた相手が悪かったな」 勝「瑞恵・・・?」 瑞恵が拳を震わせていた。 歩「だいたいおかしいんだ。あいつはろくに情報もない段階で事件を殺人と断定してやがった。事故の可能性もあるのに・・・だ」 ひよの「はは~・・・それで野原さんが犯人だと・・・でも野原さんはあのあたりに立っていて、墜落の現場を目撃してる人ですよ?」 歩「・・・・フン。彼女が目撃者ってのが作為的なんだよ」 ひよの「あら、そんなこと言ったら辻井磯夫さんのことはどうなんです?」 歩「・・・誰それ」 ひよの「目撃者の一人ですよ。野原さんと一緒にいた人」 歩「そんなに重要な奴なのか?」 ひよの「宗宮さんの片想いの人ですよ。え―――――とぉ」 「辻井さんは野原さんのバイト仲間で、どうやら野原さんは宗宮さんと彼をくっつけようとしていたそうです。二人を顔見知りくらいにはしたみたいですね」 「でも宗宮さんの方が告白するのしないのうじうじして、結局昨日死んじゃいました」 「以上女の子のヒミツです♪」 歩「・・・あんた遠くで針の落ちる音が聞こえてんじゃんねぇか?」 ひよの「何言ってるんですか。恋愛の話なんて同性間で筒抜けですよぉ」 「まあでも」 「私は男子のも把握してますけどね。確か鳴海さんは以前寝言で女性の名を――――」 歩「うあ!?」 歩はひよのの口を塞いだ。 歩「あんたの情報通はわかったから。余計なことを言うんじゃねえ。ったくなんて奴だよ」 ひよの「あの鳴海さん」 「動機はどうするんですか?私にも心当たりないですよ」 歩「口封じ・・・じゃないかと俺は踏んでる」 ひよの「口封じ・・・?」 歩「宗宮はある事件に関わってたらしいからな」 ひよの「ふーん、話がおっきくなりましたねぇ」 歩(それにしても「ある事件」か・・・・宗宮が関わってたことは確かなんだが・・・でもねーさんの様子だと俺に知られたくないって感じだったな・・・) (ひょっとして、兄貴がらみの――――・・・???) 歩とひよのは、事件現場に着いた。 歩「野原と辻井とやらがいたのはこの辺りか・・・踊り場は見にくいな」 ひよの「この場所からだと、あの踊り場に誰かいてもたぶん気がつきませんよ」 歩「・・・・・・」 ひよの「?」 「ね、鳴海さん。事件のあった日、6限目の授業のあと宗宮さんが職員室に呼びだされたの覚えてます?」 歩「え?」 放送「2年F組宗宮可菜さん、至急職員室まで来てください」 ひよの「掃除当番だった宗宮さんは手を止めて職員室に行ったんですけどね」 「不思議なことに誰も用がありません」 「呼び出しを放送した生徒はそうするようメモがあったからやったそうなんですが・・・」 「宗宮さんは首をかしげて教室に戻り掃除にかかったそうです」 歩「・・・・・・」 「・・・・どっから・・・そんな情報・・・」 ひよの「地道な聞き込みですよ。お役に立ちます?」 歩「・・・・・・」 歩(それにしても今の話・・・そしてあの女がポケットにかくしたもの・・・あと何か・・・) ひよの「あのー鳴海さん」 「私、小腹がすいてしまいました。カフェテリアで何か食べません?おごりますよ」 歩「あァ?ざけんな、一人で勝手に行きゃいーだろ」 ひよの「え――――つれないですね、鳴海さん。いいじゃないですか」 ひよの「ねえ鳴海さん、鳴海さんてば-」 歩「うるせえ」 (またこのパターンかよ) ひよの「♪わぁい」 歩(・・・で、どーして俺は今カフェテリアに向かってるんだ?) そんな事を考える歩の横で、1人の女子が上の踊り場のいる女子に声をかけていた。 女子「ゆうー!」 歩「・・・・・・」 (!!) 歩「・・・なるほどな」 ひよの「!」 歩「これが真実の旋律か・・・」 (続く)
https://w.atwiki.jp/kagakyon/pages/977.html
七誌◆7SHIicilOU氏の作品です。 深夜 私はいつものようにネトゲでハッスルしていたのだけど 今日はなぜか私の部屋に私以外のお方が来ていらっしゃる そのお方はわたくしのゲームを現在時刻を考えない音量でやっておいでです カタカタ、 ピッ、ピッ、 カタカタ、 ピッ、ピッ、 「ねぇゆい姉さん」 「なんだい、こなた」 後ろからするゲームの効果音に気をとられて 普段なら普通に勝てる敵に不覚をとった だれとも組んでなかったし、目的もなかったから良かったと 私はネトゲを一時中断してゆい姉さんに話しかける 「姉さんって警察官ジャン?」 「もちろん! ばしばし逮捕しちゃうよっ!」 私に手を銃の形にして向ける姉さん いいけどさ、ばしばしの時にゲームもバシバシやるのやめてね 「で、苗字がなるみジャン?」 「イエス!」 「で、きー兄さんの名前ってきよたかジャン?」 「そうだよ~、どしたのよ当たり前の事聞いちゃって」 ゲームの手をやっと止めて姉さんは不思議そうにこっちを向く 「いや、その状況が非常に私の知ってる漫画に似通ってるのですよ姉さん」 私は椅子から降りて、四つん這いのまま本棚を漁る え~と、あれはどの辺りにしまってたカナ? 最近読んでないから表に出てる漫画を一回出さなきゃいかんな~ 「あった、これこれ」 「はぁんスパイラルねぇ~、推理系とかって私苦手なんだよね」 「ん、知ってる」 私は表紙をちょいと見せてしまう それぐらいのことはいくら忘れっぽい私だって覚えてる 刑事ドラマとかに一々突っ込みを入れるのだから この漫画を普通に見れるとは思ってない 正直私だって最初の無理やりな展開には脱力したものだ …ま、最終的にはそれなりに楽しめたからよかったけどね 「…ねぇこなた」 ゆい姉さんがやけに真剣な感じで私に声をかけてきた …なんだろう? 「なに? どしたの急に」 「…スパイラルって日本語でなに?」 …そんなことかい! 「螺旋」 「螺旋ってなに?」 「…姉さん本当に高校とか行った? 実は中卒じゃないよね?」 「失敬な! 仮にも公務員の警察官にいう言葉じゃないねっ!」 「…じゃあこれくらい知っててよね、ネジみたいなあぁいうぐるぐるした感じの―」 「あぁ螺旋階段とかいうよね?」 聞いといて、最後まで聞かずに自分で答えだしちゃう人って結構腹立つね ごめんねキョンキョン、これからはもっとキョンキョンの話を聞くようにするよ 「…ゆい姉さんっていい手本だよね、教師教師」 「んふーでしょでしょ?」 …完璧な反面教師ですよまったく はぁ、ゆーちゃんに同じに思われないように気をつけよ 「…で、私のどこが手本になった?」 「………そういうところ」
https://w.atwiki.jp/tmdtsb/
◆サイト説明◆ THE 密室からの脱出 ~THE 推理番外編~の攻略支援サイトです。 直接的な答えはなるべく書かないようにしています。 ただ『どうしてもクリアできない時』は、ほぼ答えとなっているので最終手段としてください。 (理不尽)と書かれている所は、かなり見つけにくいと思ったポイントです。 探すのが面倒、探してもアイテムが見つからない。という場合はCtrl+A(もしくはドラッグして反転)で見てください。 不完全(不明)な事もまだ多いです。 ◆制限時間?◆ 水に潜るシーンでは制限時間があります。息が切れると最初からやり直しです。 (STAGE6のみ確定。危険そうなBGMがかかる場面では同じように制限時間があると思われる)