約 281,525 件
https://w.atwiki.jp/galgerowa/pages/83.html
【永遠のアセリア -この大地の果てで-】 高嶺悠人 18 024 前を向いて ◆ncKvmqq0Bs 053 おいてきたもの ◆H.0vwv7hVs 055 猟人は鬼と獅子 ◆Qz0e4gvs0s 068 せめて、安らかに/高嶺悠人の推理/衛の誓い ◆/P.KoBaieg 081 博物館戦争(前編)博物館戦争(後編) ◆/P.KoBaieg 103 星の館 ◆/Vb0OgMDJY 111 完璧な間違い(前編)完璧な間違い(後編) ◆/P.KoBaieg 121 小さな、とても小さな奇跡。 ◆jWwIlynQcU 133 ミエス・カウート(高位の剣) ◆/Vb0OgMDJY 139 朝焼けと青空の境界線を越えて瓶詰妖精 ◆tu4bghlMIw 144 先の先、後の先。 ◆jWwIlynQcU 152 炎の魔法少女(前編)炎の魔法少女(後編) ◆/P.KoBaieg 154 救心少女夢想(前編)救心少女夢想(後編) ◆TFNAWZdzjA 168 悪夢の夢は終わって始まる(前編)悪夢の夢は終わって始まる(後編) ◆VtbIiCrJOs 173 地獄の島、向日葵の少女(前編)地獄の島、向日葵の少女(中編)地獄の島、向日葵の少女(後編) ◆TFNAWZdzjA 175 クレイジートレイン/約束(前編)クレイジートレイン/約束(中編)クレイジートレイン/約束(後編) ◆guAWf4RW62 184 Ever――移ろいゆく心誓いはここに果たされたthe end of infinity(前編)the end of infinity(後編) ◆TFNAWZdzjA 189 求めのアセリア/Lost Days(前編)求めのアセリア/Lost Days(後編) ◆guAWf4RW62 アセリア 22 025 傀儡のアセリア ◆KZj7PmTWPo 043 戦い、それが自由 ◆A6ULKxWVEc 078 彼女は戦士だった ◆tu4bghlMIw 090 無垢なる刃 ◆Qz0e4gvs0s 094 瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(前編)瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(後編) ◆guAWf4RW62 117 歩き出す ◆/Vb0OgMDJY 131 再会、混戦、決戦/Blue Tears(前編)再会、混戦、決戦/Blue Tears(中編)再会、混戦、決戦/Blue Tears(後編) ◆guAWf4RW62 139 朝焼けと青空の境界線を越えて瓶詰妖精 ◆tu4bghlMIw 148 求め、誓い、空虚、因果(前編)求め、誓い、空虚、因果(後編) ◆TFNAWZdzjA 162 邂逅(前編)邂逅(後編) ◆/Vb0OgMDJY 166 月光のセレナーデ ◆TFNAWZdzjA 170 決着は、初めて出会った場所で――(前編)決着は、初めて出会った場所で――(後編) ◆guAWf4RW62 181 うたかたの恋人(前編)うたかたの恋人(中編)うたかたの恋人(後編) ◆tu4bghlMI 184 Ever――移ろいゆく心誓いはここに果たされたthe end of infinity(前編)the end of infinity(後編) ◆TFNAWZdzjA 189 求めのアセリア/Lost Days(前編)求めのアセリア/Lost Days(後編) ◆guAWf4RW62 197 Miyanokoujimizuho s Mistery Reportageかけらむすび ◆tu4bghlMIw 200 ブルーベリー・パニック/決戦の幕開け~宣戦布告~(前編)ブルーベリー・パニック/決戦の幕開け~宣戦布告~(後編) ◆guAWf4RW62 204 それぞれの「誓い」(前編)それぞれの「誓い」(後編)「求め」そして、「 」 ◆/Vb0OgMDJY 206 守りたいもの/さよならの囁き(Ⅱ)(前編)守りたいもの/さよならの囁き(Ⅱ)(後編) ◆guAWf4RW62 210 We survive(前編)We survive(後編) ◆/P.KoBaieg 211 三人でいたい(Ⅰ)三人でいたい(Ⅱ)三人でいたい(Ⅲ)三人でいたい(Ⅳ) ◆tu4bghlMI 212 解放者――ウィツァルネミテア――(前編)解放者――ウィツァルネミテア――(中編)解放者――ウィツァルネミテア――(後編)運命――SADAME―― ◆guAWf4RW62 エスペリア 3 035 星空の辻 ◆rnjkXI1h76 066 そこには、もう誰もいない ◆Qz0e4gvs0s 073 陽のあたる場所(前編)陽のあたる場所(後編) ◆Qz0e4gvs0s
https://w.atwiki.jp/otmgstory/pages/104.html
クラキミ 先生ルート
https://w.atwiki.jp/jubeat_memo/pages/1110.html
LV 7 Notes 454 BPM 144 1□①①□ |---|□□□□ |---|□□□□ |---|□□□□ |①--|2⑧⑨⑩□ |①②③|①②③□ |④⑤⑥|④⑤⑥⑦ |⑦--|□□□□ |⑧⑨⑩|3□□□① |①--|②②②② |---|④④④④ |②-③|③③③③ |-④-|4①②③□ |①②③|④⑤⑥⑦ |④⑤⑥|□□□□ |⑦--|⑧⑨⑩□ |⑧⑨⑩|5②②②② |①--|③③③③ |---|□□□□ |②--|□□□① |③--|6⑧⑨⑩□ |①②③|□□□□ |④⑤⑥|④⑤⑥⑦ |⑦--|□①②③ |⑧⑨⑩|7□□□① |①--|□□□□ |---|②②②② |②--|③③③③ |③--|8□□□□ |①②③|①②③□ |④⑤⑥|④⑤⑥⑦ |⑦--|⑧⑨⑩□ |⑧⑨⑩|9③③③③ |①--|②②②② |---|④④④④ |②-③|□□□① |-④-|10□⑥□□ |①②③|⑤□③④ |④⑤⑥|□□□□①②□□□□⑦□□□□□□⑨⑩□ |⑦--|⑧□□□ |⑧⑨⑩|11□□④□ |①②③|□⑤②⑥ |④⑤⑥|③□□①□□□□□□□□□□□□⑨⑧⑧⑨ |⑦-⑧|□⑦⑦□ |-⑨-|12□□③④ |①②③|①②□□ |④⑤⑥|□⑥□□⑤□□□□⑨⑩□⑧□□□□□⑦□ |⑦--|□□□□ |⑧⑨⑩|13□□□① |①②③|□②□④ |④⑤⑥|□⑤③⑥□□□□⑧□□⑧□□□□□□□□ |⑦--|□⑦⑦□ |⑧--|14□⑥□□ |①②③|⑤□③④ |④⑤⑥|①②□□□□□□□□⑦□□□□□□⑨⑩□ |⑦--|⑧□□□ |⑧⑨⑩|15④□③□ |①②③|⑥②⑤□ |④⑤⑥|□□□①□□□□□□□□□□□□⑧□□⑧ |⑦--|□⑦⑦□ |⑧--|16□⑥□□ |①②③|⑤□③④ |④⑤⑥|□①②□□□□□□□⑦□□□□□□⑨⑩□ |⑦--|⑧□□□ |⑧⑨⑩|17□□④□ |①②③|□⑤②⑥ |④⑤⑥|③⑧⑧① |⑦-⑧|⑦⑨⑨⑦ |-⑨-|18①⑤①① |①②③|②⑥□□ |④--|③⑦⑤⑤ |⑤⑥⑦|④⑧□□ |⑧--|19①□□□ |①②③|②□①① |④--|③□□□④□□□□⑤⑤□⑥□□□□□□□ |⑤--|□□⑤⑤ |⑥--|20□②□① |①--|⑤⑤③□ |-②③|□④□□ |④--|□□□□ |⑤--|21□□①① |①--|□□□② |---|□□□□ |---|□□□□ |②--|22①□②□ |①--|□③□□ |-②③|⑤⑤④□ |④--|□□□□ |⑤--|23□□□□ |①--|□□□② |---|□□□□ |---|□□①① |②--|24⑤□□□ |①--|□□②⑥ |-②③|①③□□ |④--|□□④□ |⑤-⑥|25□□①□ |①--|⑥④□□ |-②③|⑤□③□ |④--|□②□□ |-⑤⑥|26①⑤□⑤ |①--|⑥□⑥④ |②③④|□□□③ |⑤--|□□②□ |⑥--|27□□□□ |①--|□□□□ |②--|①①□□②②□□□□③③□□④④④□□□ |③--|□□□□ |④--|28①□□□ |①--|□②□□ |-②③|□③□□ |④--|⑤④□□ |⑤--|29□□□⑧ |①--|①□④⑦ |②③④|□⑧③⑥ |⑤⑥⑦|□□②⑤ |⑧--|30③①□□ |①--|④⑥□□ |②③④|⑤□□□ |⑤--|②□□□ |⑥--|31⑧□①④ |①②③|□□②⑤ |④⑤⑥|□□③⑥ |⑦--|□①□⑦ |⑧--|32□□③□ |①--|□④□② |-②③|①⑥□□ |④--|⑤□□□ |⑤-⑥|33□①③□ |①--|□④⑥② |-②③|□⑤□□ |④--|□□□□ |-⑤⑥|34②□□① |①--|□③□⑤ |②③④|□□④□ |⑤--|□⑥□□ |⑥--|35□□②② |①--|①①③□ |②--|□③□③ |③--|④□③□ |④--|36□□①① |①--|□②□□ |-②③|□③□⑥ |④--|□④□⑤ |-⑤⑥|37①①□② |①--|□□□③ |-②③|□□□□□□□□⑤□□□⑥□□□□□□□ |④--|④④□□ |-⑤⑥|38□④□④ |①--|⑤□⑤□ |-②-|③□③□ |③-④|②□①① |-⑤-|39□□④④ |①--|□□□□ |-②③|②①⑥① |④--|③⑤□□ |-⑤⑥|40□④□□ |①--|⑤□□① |②--|□□□③ |③-④|②□□□ |-⑤-|41□□□□ |①-②|④②①③ |-③-|③①②④ |④--|□□□□ |---|42①⑤⑤① |①--|⑥□□⑥ |-②③|□□□□ |④-⑤|②③④□ |-⑥-|43④⑤⑥□ |①--|□③③□ |②--|②①①② |③--|□□□□ |④⑤⑥|44⑥□□⑤ |①-②|②⑥④⑦ |③④⑤|□③⑦① |⑥--|□□□□ |⑦--|45□⑦⑤□ |①-②|⑦④⑥□ |③④⑤|③□□⑥ |⑥--|□①□② |⑦--|46□⑥⑦⑤ |①-②|⑥□④⑦ |③④⑤|□③□□ |⑥--|□②□① |⑦--|47②□□⑤ |①--|□③⑤□ |②③④|□①④□ |⑤--|□□□□ |---|48⑤□□⑥ |①-②|⑦④⑥② |③④⑤|①⑦③□ |⑥--|□□□□ |⑦--|49□⑤⑦□ |①-②|□⑥④⑦ |③④⑤|⑥□□③ |⑥--|②□①□ |⑦--|50⑤⑦⑥□ |①-②|⑦④□⑥ |③④⑤|□□③□ |⑥--|①□②□ |⑦--|51⑤□□② |①--|□⑤③□ |②③④|□④①□ |⑤--|□□□□ |---|52⑥⑥□□ |①-②|□③□⑤ |③④⑤|②□④□ |⑥--|□□①① |---|53□□①④ |①②-|①①□② |③-④|□□③□□□□□□□⑦□□□□□⑤⑤⑧⑥ |⑤⑥-|□□⑤□ |⑦-⑧|54⑤⑤⑤③ |①②-|□□□② |③-④|□□□④ |⑤--|①①□① |---| 譜面修正などはこちらへ 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nmp_alice/pages/16.html
* 分岐 「音とは反対側へ逃げる」 aへ 「目の前の給湯室へ隠れる」 bへ a 「雪乃を信じる」 雪乃と会う→停電→END8「暗闇の歌」 「雪乃を信じない」 エレベーターに向かう→エレベーターの中にある人形を見つける→END9「ヒトガタ」 b 「シロウサギの手をとった」 END10「ご褒美」 「シロウサギの手をとらなかった」 最終分岐へ 最終分岐 『亜莉子』 耳元で声がした それは――― 「チェシャ猫の声だった」 →TRUE END 1「猫を連れて」 シロウサギの体を刺す→シロウサギとチェシャ猫の体が砕ける→TRUE END 1「猫を連れて」 「雪乃の声だった」 シロウサギの体を刺す→シロウサギとチェシャ猫の体が砕ける→TRUE END 2「ウサギのお守り」 「お母さんの声だった」 シロウサギの体を刺す→シロウサギとチェシャ猫の体が砕ける→TRUE END 3「真実の横顔」 「叔父さんの声だった」 シロウサギの体を刺す→シロウサギとチェシャ猫の体が砕ける→TRUE END 4「思い出の匂い」 「誰の声か分からなかった」 シロウサギの体を刺す→シロウサギとチェシャ猫の体が砕ける→TRUE END 5「微笑む男」 『僕らのアリス 君が望むなら』 *
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/6399.html
世界樹の迷宮V 長き神話の果て 【せかいじゅのめいきゅうふぁいぶ ながきしんわのはて】 ジャンル 3DダンジョンRPG 対応機種 ニンテンドー3DS メディア 1Gbyte3DSカード 発売元 セガゲームス 開発元 アトラス 発売日 2016年8月4日 定価 通常版/DL版 6,998円(税別)限定版 10,778円(税8%込) セーブデータ カートリッジ1+SDカード8 レーティング CERO B(12才以上対象) 備考 公式サイト 判定 なし ポイント 世界観とシステムを一新シリーズ初の「種族」「全初出モンスター」「魔法」その一方でシナリオ・迷宮構成が原点回帰寄りにキャラクターメイクの自由度がさらに高く制作途中で力尽きた印象のストーリー 新要素の出来 世界樹の迷宮シリーズ 概要 特徴 世界観の変更 種族と職業 世界樹に集う4種族 一新された職業 探索関連の追加・変更点 難易度選択 迷宮内での食料と料理の作成 Adventure Episodeと迷宮内でのすれちがい要素の追加 戦闘関連の追加・変更点 ユニオンスキル 召喚枠の登場 ステータス値・強化・弱体効果の改正 状態異常・封じの変更点 DLC(ダウンロードコンテンツ) 評価点 キャラメイクの進化 戦略の幅の広がり 鍛冶システムの変更 マップ作成報酬の変更 演出関連 賛否両論点 冒険者たちのスキルについて 一新による、伝統だった要素の削除 キャラクターボイス関連 A.E.関連 問題点 シナリオの問題点 迷宮内の磁軸・ミニイベントの劣化 システム・UI面の問題 食材関連 職業・二つ名関連 その他の細かい問題点 バグ 総評 余談 概要 『新世界樹2』から2年弱ぶりの最新作、『IV』以来4年ぶりとなる『世界樹の迷宮』シリーズのナンバリング第5作。 今作では『II』以来の一層五階構成の世界樹を登る形式をとっており、シナリオ色も『III』『IV』と比べて薄くなっている。 なお、レーティングはナンバリング作品では初となるCERO B(12歳以上対象)となっている。 特徴 マッピングなどの世界樹の迷宮シリーズを通しての特徴は『世界樹の迷宮』を参照。 世界観の変更 一新された世界観 従来は世界観の基盤となった『I』の設定上、「魔法」という要素が存在しない(*1)シリーズだったが、今作の舞台「アルカディア」ではその世界観が覆され、「剣と魔法のファンタジー」色が強く押し出されている。 また、各階層に初めて進んだ時にナレーションによる演出が入るようになり、世界観一新を強めている。 一新されたモンスター 全てが今作初出で、「毒吹きアゲハ」「危険な花びら」をはじめとした常連モンスターは今作には出演していない。 過去作のモンスターと一線を画すスキルを持つモンスターも登場し、新鮮な感覚で冒険に挑むことができる。 UIの変更 『IV』『新』シリーズと3DS版で続いていた全てのUIのデザインが大幅に変更され、メニュー画面・戦闘時のコマンド選択にて選択していない項目はアイコンで表示されるようになった。 マッピングのUIも変更され、アイコン一覧はスライド式になり表示する範囲や並び順をカスタマイズ出来るようになった 種族と職業 世界樹に集う4種族 ファンタジー職の強い今作で初めて導入。「アースラン」「セリアン」「ルナリア」「ブラニー」の4種族でパーティーを組み、世界樹を登っていく。もちろん単一種族で世界樹登頂に挑戦してもいい。 職業で習得できるスキルとは別に、種族ごとに各ステータス値の強化や、採集アイテム・食料を入手できるようになる種族スキルが存在する。 各種族でそれぞれLv5おきに習得するスキルが徐々に増えて行き、これらのスキルは全てLv1で完成する。後述するユニオンスキルも種族ごとに習得する形となっている。 「アースラン」 アルカディアで最も繁栄している種族。平均的に優れた能力を有し、耐久力も比較的高い。 ステータスはHP・VIT・LUCが四種族の中で高くなるので前衛職向け。物理攻撃に強い代わりに魔法属性にかかわるINT・WISとTPは低めとなっている。 代表的な種族スキルは全ての採集ポイントで追加素材が手に入る「樹海採集術」、発動ターン中敵の封じ・状態異常耐性を下げるユニオンスキル「黒霧」など。 初期選択可能な職業は「フェンサー」「ドラグーン」「セスタス」「リーパー」の4種類。 「ルナリア」 魔術の研究に励む長身痩躯(?)の種族(*2)。2つの魔術に秀でた職業につくことができる。 ステータスはINT・TPが四種族の中で最も高くなるので魔法攻撃職向け。反面、HP・VITがかなり低く物理攻撃に打たれ弱い。 代表的な種族スキルは樹海で魔法のかかったものを発見できるようになる「魔力感知」や、敵全体に攻撃+全封じを行うユニオンスキル「チェーンブラスト」など。 初期選択可能な職業は「ウォーロック」・「ネクロマンサー」の2種類。 「セリアン」 獣の血を引くという武人の種族。力と俊敏性に長じた2つの職業につくことができる。 ステータスはSTR・AGIが四種族の中で最も高くなるので物理攻撃職向け。しかし、TPが少ないため息切れしやすく、WISが最低なため魔法に弱い。 VITも低めだがこちらは装備や種族スキルでそこそこの水準に保つことができる。 代表的な種族スキルは樹海で何かを動かしたり運ぶことができる「力技」や、発動ターン中物理攻撃によるダメージ時に一定の確率でいずれかを封じるユニオンスキル「気魄の楔」など。 初期選択可能な職業は「マスラオ」「ハウンド」の2種類。 「ブラニー」 小柄で人懐っこい自然を愛する種族。自然の力や薬学に長けた2つの職業につくことができる。 ステータスはWISが四種族の中で最も高くなるので補助職向け。だが、LUCが四種族で最も低いため状態異常・封じに弱い。 一方でVITがアースランの次に高く、低HPながら装備を整えれば前衛を張ることも可能である。 代表的な種族スキルは販売アイテムの売値を5%減少する「値切り」や、全味方に対する全ての攻撃を無効化するユニオンスキル「イージスの盾」など。 初期選択可能な職業は「シャーマン」「ハーバリスト」の2種類。 一新された職業 『III』『IV』と一新されてきたが今作もまたリニューアル。 今作は種族別に登録できる職業が決まっているが、すぐに転職することができる。 中盤から「二つ名」を名乗ることができ、職業が持つ2つのポイントのどちらかを重視してのより尖った育成が可能となる。なお、二つ名の名称は自由につけられる。 二つ名習得で習得できるスキルは選択時にXボタンで確認可能。サブクラス同様に二つ名取得後はSPが5ポイント増える。 「○○ブースト」などのステータス値を伸ばすパッシブスキルとは別に、それぞれの二つ名ごとに現在レベルに比例して各ステータス値に上昇補正が掛かる。 + アースランの職業 フェンサー 敵単体への突攻撃と魔法攻撃に反応する追撃スキル「チェイン○○」と盲目付与や回避率上昇などの回避特化のスキルを習得する剣士。 従来のナンバリング作品のチェイスと比べると、単体に絞られている分追撃を誘発しやすい。攻撃スキルは突攻撃がメインとなるほか、自身の通常攻撃を斬属性から突属性にすることも出来る。 二つ名 「幻影の剣士」:回避に特化させた構成。自分の回避率や狙われ率を高める追加効果の攻撃スキルや、回避をするたびに強化されるスキル、回避をトリガーとしたスキルを習得出来る。また、回避時に反撃の回数が増えるスキルや威力の上がる攻撃スキルも存在する。 「迅雷の剣士」:チェインの性能をより引き出す構成。チェインが全体化したり、攻撃以外でもチェインが発動するようになるスキルなどを習得出来る。 ドラグーン 重砲と盾を装備した攻防一体の騎士。今作の盾職を担う。 盾のガードスキルはもちろん、重砲による攻防一体の攻撃スキルや囮役となる「バンカー」を召喚するスキルを持つ。 『IV』のフォートレスに引き続き、炎・氷・雷の魔法属性を無効化するガードスキルが存在しない(一定確率の無効化は可能)が、その3属性をスキル一つでまとめて軽減することができる。 二つ名 「金剛の竜騎兵」:盾スキルにより特化した防御型の構成。多種多様な効果を持つガードスキルを習得するほか、貫通及び全体攻撃などの自身の居ない列の攻撃を一定確率で無効化するパッシブを習得する。 「砲火の竜騎兵」:様々な重砲スキルが習得できる攻撃型の構成。盾職ではめずらしい状態異常効果のある攻撃スキルや予備動作がいるが屈指の高火力を誇る攻撃スキルを習得する。さらに、敵の攻撃に対して反撃能力を持つ「トーチカ」を召喚できる。 リーパー 死神をモチーフとした鎌を扱う弱体付与に特化した前衛職。剣スキルはないが、剣も装備できる。 状態異常・デバフ関連のスキルを習得する。強化枠から独立した「瘴気兵装」をメインに、鎌スキルの追加効果発動や一部スキルが使用可能になる。 二つ名 「死を振り撒く死神」:「瘴気兵装」を用いた攻撃補助スキルと鎌スキルによる状態異常に特化した構成。状態異常の選択肢はもちろん、状態異常にするたびに自身を強化したり、追撃を仕掛ける攻撃スキルを習得する。 「死を遠ざける死神」:「瘴気兵装」を用いた回復予防スキルと様々な弱体スキルに特化した構成。こちらは防御補助特化になっており、命中率低下や弱体解除させ一度だけ食いしばり効果を得られるなど前者とは打って変わって補助職らしくなっている。 セスタス 鍛え上げた拳と命を削った攻撃を放ち、拳撃で相手の部位を封じさせる格闘家。 封じ効果を持つ拳甲スキルと、自身のHPを消費する攻撃とHP減少に関わる補助スキルを持つ。 二つ名 「連撃の拳闘家」:拳撃による単体攻撃と封じ付与により特化した構成。封じや状態異常状態の敵に追撃スキルを行ったり、自身と対象に全封じを行う様々な封じ付与効果のあるスキルを持つ。 「衝撃の拳士」:自身のHPを減少させ強化するスキルや、現在HPのそれぞれ応じた威力を放つ攻撃スキルに特化した構成。自身のHPが少ないほど攻撃が強化されるパッシブとHP吸収効果のある全体攻撃を習得する。 + ルナリアの職業 ウォーロック シリーズ初となる魔法「マギ」の使い手であり、魔法属性攻撃で敵を殲滅する後衛攻撃職。 マギスキルの範囲・威力が変化する「詠唱スキル」を持ち、詠唱による消費TPが増える代わりにターンを掛けずに詠唱可能な「高速詠唱」を持つ。 二つ名 「六属を操る導師」:INT依存の物理属性マギスキルが使えるようになる文字通り物理・魔法どちらの属性も扱えるようになる構成。物理属性マギスキルは追加効果を持った全体攻撃魔法である。さらに毎ターンごとに異なる属性で攻撃すると前のターンに使用した属性が追加され強化するパッシブを習得する。 「炎と氷と雷の支配者」:従来の属性攻撃職でお馴染みの三属性魔法攻撃特化の構成。追加効果は無いが、強力な全体攻撃魔法を習得する。また、消費TPを軽減したり一定確率で0にするなど燃費を良くさせるスキルなどを習得する。 ネクロマンサー 自らの命を消費することで、「死霊」を召喚し使役する棺を装備する死霊術師。 自身のHPを消費して召喚された「死霊」に攻撃を庇わせたり、消滅させることであらゆる攻撃・効果をもたらす変則的な万能職である。 死霊の特徴 他の召喚枠と比べてHPが高く、基本的に行動頻度は低いが麻痺効果を持つ通常攻撃を行う。 死霊の名前は固定になっており、死霊A、死霊B、死霊Cと呼び出された順番で名づけられる。 召喚者の現在Lvや死霊召喚のスキルLvに応じて、死霊の最大HPが高くなるが後述する死霊の召喚方法ではその限りではない。 二つ名 「召霊のネクロマンサー」:「死霊」の使役することによってもたらす効果をより万能化させた構成。「死霊」を意図的に攻撃させるスキルや、場にいる全ての「死霊」を消滅させて石化付与するスキルなどを習得する。 「破霊のネクロマンサー」:「死霊」の使役による攻撃をより特化させた構成。「死霊」の召喚方法が攻撃・パッシブ・敵を「死霊」化させたり、「死霊」を代償としたより強力な攻撃スキルなどを習得する。 + セリアンの職業 マスラオ 刀を自在に操る多彩な技を持つ和風の戦士。 刀・重鎧が装備可能な今作の基本物理攻撃職。序盤では近接・遠隔問わず発揮できる攻撃スキルが多く、弱体付与攻撃・パッシブは終盤まで使っていけるものが多い。 二つ名 「四天一流の武人」:「多刀術」によって防具枠の代わりに複数の刀が装備できるようになり、それらを用いて戦う構成。装備している刀の数が多いほど、攻撃・追撃回数や発動率の上がるスキルを習得する。一方で防具枠を犠牲にしてまで性能を引き出せるスキルが多いので、自身のパッシブ込みでも防御性能は皆無に等しい。 「一刀無双の武人」:敵単体への攻撃に特化し多彩なパッシブで隙を少なくする構成。前者とは対極的で特に癖もなく扱いやすい。刀スキルによる攻撃がクリティカル発生するパッシブを持ち、複数回攻撃との相性が良い。 ハウンド 鷹・猟犬の2匹のペットを使役し、弓技との連携で戦闘を支配する狩人。 鷹・猟犬は召喚枠に召喚され、ハウンドのスキルによる指示によって行動を行う。二つ名ではこの2匹のどちらかを特化した形となっている。 ハウンド自体は対象の敵にペットの攻撃を集中させる効果を持つ攻撃スキルを持ち、ペット生存時に味方全体・ペットにそれぞれHP回復を行うパッシブを持っている。 猟犬の特徴 ハウンドのスキルによる指示が無い場合、毎ターンランダムで味方一人のHPをひたすら回復し続ける。 猟犬の通常攻撃には腕+脚封じの追加効果を持つ。 指示による行動には状態異常の付与・能動的な味方の回復・補助がメインとなる。 鷹の特徴 ハウンドのスキルによる指示が無い場合、毎ターン敵単体の頭封じの追加効果を持つ通常攻撃をし続ける。 指示による行動には、ハウンドの弓スキルにより鷹が追撃を行うスキルが多い。 特に指示をしなくても攻撃し続ける反面、カウンター持ちや睡眠との相性は悪い。 二つ名 「飛鷹を伴う射手」:鷹スキルによる攻撃に特化した構成。ハウンド自身の純粋な弓スキルに強力なものが増え、後衛物理職として発揮できる。 「犬狼を導く射手」:猟犬スキルによる味方の回復・補助に特化した構成。猟犬の回復性能が上がり、猟犬に味方を庇わせたり敵の無力化が可能となる。 + ブラニーの職業 シャーマン 「巫子」としての神秘の力「祈祷」で味方を強化し、様々な強化をもたらす祈祷師。 味方全体を強化させる祈祷スキルを中心に、味方の支援・補助を行う。祈祷の強化の掛かった味方を自動HP回復したり、攻撃に魔法属性を付与する祈祷強化を解除することで全体魔法攻撃を放つことが出来る。 二つ名 「天譴を下す巫子」:弱体・強化の解除することを中心に、様々な攻撃やTP回復を習得できる構成。魔法属性付与強化を代償に魔法属性攻撃を完全に無効化できるほか、解除した強化を一定確率で付与するパッシブを持つ。 「天寵を告げし巫子」:様々な祈祷スキルと味方の強化中に追加効果の発動を中心とした構成。強化中にダメージを受けるなどして、その際に自動HP回復を行ったり、強化を代償に封じ・状態異常を無効化できるスキルを持つ。 ハーバリスト 薬草の知識で味方を癒し、毒草を調合した煙で敵を弱らせる薬草師。 味方のHP・状態異常等を回復させるハーブスキルと、様々な状態異常を敵に与え各状態異常耐性が低下する弱体を付与しさらにその弱体を元に様々な効果を与えるスモークスキルを持つ。 二つ名 「慈悲深き薬草師」:ハーブスキルによる回復スキルに特化した構成。様々なHP回復スキルが使用可能なほか、最大HPを超えて回復したりターン終了時にハーブの効果を発動することが出来る。 「天真なる毒殺者」:スモークスキルによる攻撃・状態異常付与に特化した構成。睡眠・即死・呪い以外の様々な状態異常を扱い、スモークによる弱体化が発動のキーとなるスモークスキルが存在する。 探索関連の追加・変更点 難易度選択 前作品に当たる新シリーズでは「PICNIC」「NORMAL」「EXPERT」の3種類だったが、今作では『IV』と同じ2種類になり「BASIC」「ADVANCE」から難易度選択するようになった。 「BASIC」では入手経験値がADVANCEより多め(1.2倍程)になっており、道中の進行がしやすくなっている。 迷宮内での食料と料理の作成 今までの採掘・採取・伐採の採集ポイントに加え、釣り・狩猟・収穫の収集ポイントで食材収集が行えるようになった。 採集スキルと同様に、食材収集には「フィッシング」「狩猟術」「樹海探索術」のそれぞれ応じた種族スキルが必要。 食材・料理は通常のアイテム枠とは別に60個持つことが出来る。探索中のメニュー画面でのみ使用可能であり、効果はHP及びTPの回復のみとなっている。 食材はそのままでも使用できるが、たき火で焼いたりレシピを元に料理することでより効果の高い料理に変えることが出来る。 レシピは必要な素材をそろえた状態で、アルカディア評議会に行くことて各階層ごとでそれぞれの料理レシピが入手できる。 Adventure Episodeと迷宮内でのすれちがい要素の追加 今まであった探索中に行き止まりなどの地点で発生するミニイベントの一部が、イベントを完了させることで経験値が手に入る「Adventure Episode(A.E.)」が発生するようになった。 A.E.の流れとしてはイベント完了後に題名が表示され、クエストのように経験値入手画面に入る演出が入る。 種族スキルを入手していることで経験値やアイテムなどの報酬が多くなったり、敵の奇襲やダメージを受けずに済んだりすることが出来る。 また、クエストのように各地点で連続したAEも存在しており、入手できる経験値もその分多くなっている。 これらのミニイベントとは別に、所持しているギルドカードに登録されている冒険者がAEの演出として出現するすれちがい要素を導入したイベントがある。 『セカダン』の徘徊冒険者を本編シリーズへ取り入れた形と言える。 戦闘関連の追加・変更点 ユニオンスキル 『III』のリミットスキル、『IV』のバーストスキルに相当するものとして「ユニオンスキル」が登場。各々がユニオンゲージを所持しており、100%溜まると他のキャラクターと連携して使用できる。 発動の際のコストは発動人数に応じており、コスト3の場合3人との連携が必要。 「全力逃走」等全キャラクターが無条件で使用できるものと「黒霧」「ヒギエイアの杯」等種族専用のユニオンスキルが存在する。 当然強力なものほど多人数で発動する必要がある。 発動する際には発動者自身以外がユニオンゲージが100%に満たなくても発動可能。発動者以外の戦闘不能や石化等の行動不能になると連携できなくなり、コストの高いユニオンスキルが使用できなくなる。 召喚枠の登場 今作では前列・後列のパーティメンバー枠とは別に、召喚された死霊・ペット及び設置されたバンカーなどは最大3つの「召喚枠」に置かれるようになった。 召喚される位置はメンバー枠の前列より更に前の最前列となっている。召喚された味方は強化・弱体・封じ・状態異常の効果を受けない。 バンカー系統と死霊は複数召喚可能であり、これを前提としたスキルも存在する一方で、猟犬・鷹はハウンドが複数人いても最初に召喚された一匹のみしか召喚できない。 死霊・鷹・猟犬は戦闘終了しても残り続け、探索中でも召喚可能であり戦闘不能になるか探索から帰還するまで消滅しない。 召喚された味方のステータスはスキルレベルと召喚者のレベルにのみ依存する。 なお、ハウンドの鷹・猟犬は最大四文字の好きな名前をつけることが出来る。 ステータス値・強化・弱体効果の改正 前作までは炎・氷・雷などの属性攻撃および防御にかかわっていたTECが、INT(知性)・WIS(知識)に分散されそれぞれ魔法攻撃・魔法防御に対応するようになった。また、WISは多くの回復スキルに依存するステータス値となっている。 装備にも物理と同様に魔法攻撃に関わる「MAT」「MDF」が登場し、これにより魔法攻撃力も武器に依存するようになり、防具も物理・魔法両方考慮して探索状況に応じ選択する必要が出てきた。 『II』以降それまで続いていたHP・TPと攻撃力・防御力を除く全てのステータス値の限界値が「99」から「255」に変更された。 『世界樹の迷宮』ではステータス値の限界値は「127」であり、今作ではその2倍程となっている。 本シリーズでバフ(ステータス上昇効果)の倍率は乗算で上乗せされていたが、今作では加算で計算されるようになった。 状態異常・封じの変更点 今作では状態異常である盲目・石化と頭封じの仕様が『新2』から変更されている。 「盲目」は攻撃の種類(物理・属性)を問わず命中率が激減していたが、今作ではSTR依存の物理攻撃のみ命中率が激減する仕様に変更された。 魔法攻撃する場合など、後衛職には若干有利な仕様となった。封じ・状態異常付与を除く全攻撃が回避不可の仕様は新シリーズから継続している。 「石化」は「ターン経過回復不可・全属性ダメージ半減・敵及び味方パーティ全体が『石化』になると戦闘終了(全滅)扱い」になっていたが、今作では「ターン経過回復有り・物理属性耐性上昇・味方または敵全体が『石化』になっても戦闘終了にならない」という仕様となった。 そのため従来と比べても「石化」にしてくる敵が序盤から出てきたり、敵の石化耐性が全体的に下がったりと「石化」を付与するスキルの使い勝手が大幅に変わっている。 「頭封じ」は前作まではTECが半減し、回復スキルや属性攻撃などの自身のTEC依存攻撃の威力が減り、敵からのTEC依存攻撃の被ダメージが上がっていたが、今作では自身のINT依存攻撃の威力のみ減少するようになった。 回復スキルの多くがWIS依存であることと、ハーバリストの回復技であるハーブスキルは腕依存のため、回復役が頭縛りで何もできなくなる状況は少なくなっている。 DLC(ダウンロードコンテンツ) 『新2』に引き続き導入。ナンバリング作品としては初めての導入となった。 『セカダン』を含む前作品2つの反響か、オプションのFM音源を除く発売日以降のDLCとDLC限定モンスターは無しとなっている。 また内容自体もFM音源を除き、キャラメイク作成時の追加イラストと経験値・お金稼ぎがしやすくなる限定アクセサリー程度に留まっている。 FM音源は発売日から一ヵ月弱の9月1日に配信された。全曲のFM音源が入っているため値段は高めとなっている。 評価点 キャラメイクの進化 カラー設定 『III』以降に実装されたアナザーカラーとは別に冒険者の髪・目・肌の色を変更できるようになり、キャラメイクの自由度が高くなった。 髪と目の色は明暗のそれぞれをRGB単位で設定可能、肌の色は種族・職業ごとに数種類の色から選択する形となっている。 髪と目は明暗がセットになった見本の色設定が複数用意されており、RGB設定が苦手な人でも安心。 目は左右それぞれに違う色を設定してオッドアイにする事も可能。 ボイス設定 男声20種類、女声20種類の中からボイスを選択することができ、より戦闘がにぎわうようになった。勿論設定しなくてもいい。 それら全40種類のほかにも、公式サイトで公開されているQRコードを読み込む事でNPCの戦闘ボイスも選択できるようになる。 女性の外見イラストのキャラに男声を設定する事も可能。もちろんその逆も(*3)。元々本シリーズはキャラクターイラストの性別の明言を控えているため、この仕様はある意味当然の流れと言える。 キャラ作成時の初期設定ではOFF設定になっているため、今までのナンバリング作品のように声無しでやりたい場合でもいちいち手間を掛ける必要はない。 種族グラフィック 従来の職業イラストとは別に、各種族ごとに男女1名ずつの種族イラストを選択できるようになった。 DLCの追加イラストは転職無しでどの種族からでも作成が可能となっている。 内容は、「異世界転移もの」を意識した現代人風のデザイン3点と、旧作で人気の高かった職業イラスト(パラディン♀1・メディック♀1・ガンナー♀1)のリファイン。通常のイラストと異なり、アナザーカラーは表情や衣装に若干の差異が存在する。 なお転職機能を利用し、同種族間の職業へ転職することにより、種族補正を受けずにイラストを転用することが可能。例えばリーパーの姿のドラグーン、ネクロマンサーの姿のウォーロックなどと言ったこともできる。 二つ名 中盤に解禁される二つ名は、上記にもある通り設定時に好きな名称を付ける事ができる。 入力可能な文字数は15もあるので、厨二的な長ったらしい名前やルビを含めるなどの命名でもかなり自由が利く。もちろん漢字も使用可能。 無難な名称で済ませるも良し、「闇の炎のデス地獄」(*4)といった突飛な名称を付けても良し、パーティ間の人間関係を視覚化するといった応用も可能。 ただしこの二つ名システムには難も多い。詳しくは問題点にて。 戦略の幅の広がり 今までは「特定の防御手段を用意して敵の攻撃を凌ぐ」場面が多々として見られたが、今作では『新2』のような「喰らえば問答無用で全滅」という攻撃は数えるほどしかない。その攻撃も対処方法がいくつも存在し、特定の職業に縛られることなくパーティーを組めるようになった。 『新2』の反省か、極端な状態異常・封じの全耐性持ちは少なくなり、強力な技などを行おうとする構えを取る敵には状態異常・封じとは別に攻撃を当て続けることで、『IV』のように怯ませて阻止することが出来るようになった。 後述する鍛冶によるスキル所持武器の強化に、防具枠を犠牲に複数武器装備及び装備の空枠があることで効果を発揮する個性的なスキルが増えた。 『III』『IV』にあったサブクラスは今作では廃止された。これにより職業単体での育成の自由度が減ったが、二つ名の実装により実質20の職数もあって初代及び『II』寄りの職業バランスに戻ったとも言える。 メンバーの特長をより先鋭化する必要がでてきたため、サブクラス及び『新シリーズ』のグリモアにあった職業スキルの分散による没個性化を防いでいる。 職業とサブクラスの組み合わせ数の代わりに、二つ名の分岐で実質20職の職業数と四種族からの転職・種族スキルの存在もあって、実戦的な組み合わせは上記2作品に決して劣らないものとなっている。 単一種族パーティであっても、採集・食材関連スキル以外は転職することで足りない役割を補えるので完全クリアまで充分可能である。 二つ名のステータス値補正と種族スキルによりステータス値の強化や物理・魔法・状態異常・封じなどの耐性上昇も可能となっているため差別化も出来るようになっており、職業スキルとはまた違った選択を楽しめる。 ただし、種族スキルと二つ名の能力補正はクリア前だと種族差に比べると微々たるもので、アースランを魔法攻撃役・ブラニーを物理攻撃役に起用するには最大まで鍛冶をした武器を装備させるなどの工夫が必要である。 鍛冶システムの変更 『III』・『IV』に存在する鍛冶は全て+値を付加するものに変更。これにより武器ごとに設定された付加効果を利用するか攻撃力(ATK・MAT)を優先するかの自由度が増した。 ステータス値に補正が掛かるものは強化値に応じて増えていく。付加効果がアクティブスキルの場合、強化値に応じてスキルLvが上がるようになっている。 ただし、付加効果を発揮させるためには+1でも強化しなければならない。付加効果でスキルを使用したい場合も同様である。 最大強化値は+5までとなっている。同様に付加効果によるスキルのスキルLvは5まで。なお、付加された戦闘用アクティブスキルはLv5で消費TPが上がるため、Lv4止めにするか一気に伸ばすかは悩むところ。 なお唯一品の武器は鍛冶はできないが、鍛冶をしなくても付加効果を発動できるようになっている。鍛冶出来ない防具・アクセサリーも同様である。 使用済みの武器をリサイクルすることで断片を集め、断片10個でインゴットを作成することができ、これを素材の代わりに使って鍛えることができるようになった。これにより最強武器を鍛えるために階層ボス・裏ボスマラソンを…ということがなくなった。 インゴットは3種類存在しており、銅インゴットは「+1」、銀は「+3」、金は「+5」の強化値を上げる。 銀・金は最大強化値を上回る場合、強化値の端数が無駄になるため素材入手が難しい無鍛冶状態の武器で使用するのが良い。 マップ作成報酬の変更 『新2』では条件を満たせばどこでも好きな階段に移動ができ「便利すぎて逆につまらない」と一部から批判が出ていたが、今作では完成させた地図を評議会に見せることでその次のフロアから冒険を開始できるという形式に変更された。 代わりに階層全ての地図を書き終えれば、評議会でアイテムが貰えるようになっている。 上記とは別に、『III』までにあったアイテム・モンスター図鑑の登録報告ができ、一定数登録するごとにアイテムがもらえる。 演出関連 今作では世界観一新によりファンタジー色が多く見られるものの、背景美術やグラフィック面は以前と変わらないクオリティを誇る。 各階層の突入時に迷宮内の演出が入るようになり、終盤の初突入時などはより一層に驚愕を感じさせられるものとなっている。 『新2』に引き続きFOEの足音や唸り声などの演出が入っており、FOEに関連したギミックは健在である。 一方でDS時代のプレイヤーには懐かしい、オレンジ色の球体で徘徊するFOEも登場している。このFOEはシナリオ進行やギミックに一切関係ない、隠しボス的な位置づけになっている。 古代祐三氏によるBGMは相変わらずのクオリティを誇っており、発売一ヵ月後にDLCとしてFM音源が配信されどちらのバージョンも楽しめる。 『IV』に引き続き、過去のナンバリング作品のアレンジBGMやフレーズを取り入れた新規音楽など、戦闘BGMのみならずとある場面でのファンサービスも存在している。 賛否両論点 冒険者たちのスキルについて このゲーム一番の魅力にして、楽しむにあたっての一番の壁ともなり得る部分。前提として、今作の二つ名制はキャラクターの個性が先鋭化するような作りになっており、足りない部分は他のメンバーで補う必要がある。従って、それぞれの職に出来ること、出来ないことを把握するのが肝要である。しかし、以下の事情からそれは難しい。 二つ名解禁前は二つ名取得後のスキルは確認できないため、最初から習得できるBASICスキルを参考に職の性能を推察することになる。にもかかわらずBASICスキルは今後二方面に分岐する方針両方の土台となるスキルがお世辞にも多くない総数に詰められる形となっていることが多く、どのように運用すればいいのかこれだけで把握することは難しい。 イメージと実際の性能に少々差があることも。例えばパッケージを始め様々な部分で中心的職業としてクローズアップされており初見で採用するプレイヤーも多いであろうフェンサーは、実のところ味方全体の攻撃手段を考慮しないといけない追撃スキルメインの二つ名と単純に扱いが難しい回避盾メインの二つ名とどちらに進んでも玄人向けであり、一方扱いやすい物理アタッカーとして運用できるのは防御職ドラグーンの派生(砲火の竜騎兵)や刀職(伝統的に耐久の低いピーキーなアタッカーというイメージが強い)マスラオの派生(一刀無双の武人)と予想外の所にいる。 スキルの総数が増えた影響か 予想外の組み合わせによる大化けの心配がなくなりはっちゃけてしまったのか 、スキルの性能も複雑化しており、一目見て扱いが把握できるものばかりではない。「敵一体に遠隔無属性攻撃。ターン開始から発動までに敵味方のHP0になった回数が多いほど威力が向上」「このターン一度だけ致死ダメージをHP1で耐える。また、この効果を発動させたダメージの大きさに応じて次のターンに与えるダメージが増加する」「敵味方問わずあらゆる攻撃によるダメージに追撃する(回数制限あり)」などなど。これらは特に複雑な部類だが、どの職・二つ名も数や難しさに程度の差こそあれこのようなスキルを有しており、癖が無い安牌の方が少ない(そしてその安牌も一目でこれとわかるようにはなっていないのは先述した通り)。さらにキャラクター1人が習得できるスキルの数は(種族スキルを除けば)『Ⅳ』~『新2』から減り『Ⅲ』までと同等なので、ますます癖のない運用の可能性がつぶれている。 加えて、このようにシリーズ屈指の複雑さを持ち、シリーズ経験者であっても一筋縄ではいかない作りにもかかわらず、『Ⅳ』のレベルによるスキル習得制限や『新』『新2』のストーリーモードのような初見プレイヤーへのガイドの役割を果たす要素がほぼ無い。 この通り、要約すると 各職・二つ名の長所や短所も、その長所を伸ばし短所を補うにはどのような組み合わせが良いかも簡単にはわからない のである。事前知識皆無でパーティーを組むと、ほぼ確実に各々の性能を活かしきれない不完全燃焼な五人組になってしまうだろう。幸か不幸かそんなパーティーでも裏ボス撃破まで一通り出来てしまうことが多いので、以下の奥深さが認識されにくいという弊害も生じてしまっている。 一方でこの複雑怪奇なスキル事情にめげずに向き合うと、見た目に反して様々な運用の可能性が与えられていることも見えてくる。例として、先程の「敵味方問わずあらゆる攻撃によるダメージに追撃する」スキル、マスラオ(四天一流の武人)の「三途渡し」の運用を考えてみる。このスキルの運用には追撃を複数回起動する手段と味方への攻撃を防ぐ手段を用意する必要がある。 前者を考える上では「一回のスキルに対しては、何回ヒットしようと追撃は敵一体につき一回まで」というルールに留意。複数回追撃を発動させるには、別のスキルが追加で発動している扱いになっているスキルが有用。セスタス(連撃の拳闘家)の「リードブロー(敵一体に壊属性攻撃。対象に封じや状態異常が入っていると対応した攻撃スキルが追加で発動)」などが代表的。その他条件を満たす度に反撃するスキル(回避がトリガーとなるフェンサーの「シルフィード」など)の活用や召喚枠を利用し頭数を増やすのも有効。 後者は「バステにより敵を動かさない(リードブローと組み合わせる際に有用)」、「敵の攻撃は回避する(シルフィードとの組み合わせも狙える)」、「頑張って耐える(極まったドラグーンであればまとめて受け切ることも十分できる。半分ズルだが後述のHP9999の死霊も活用できる)」と色々考えられる。また、追撃回数が装備している刀の本数に比例するためこちらが発動できる追撃の回数をわきまえ装備する刀を減らすのもあり。 以上、扱いの難しいスキルに見えて、実用化の手段は色々あることがわかっていただけただろう。このように、今作はスキルの事情さえ把握できれば様々なパーティーの組み甲斐がある環境へと変貌するのだ。特定の対処法を強要しない敵側の懐の広さもパーティー編成の自由度に貢献している。 各スキルの倍率設定もおおむね適切で、安定感のある構成でもそれ相応ながら十分クリア可能なダメージが出るし、リスク覚悟で複雑なスキルを組み込めば(上手く運用できればだが)相応の大火力を叩き出せる。リスクとリターンのバランスがいいので様々なパーティーに等しく可能性がある。また「安直に強い」「わかりやすく万能」といった職もほぼ無く、どの職・パーティーも多かれ少なかれ苦労する場面があるので、この意味ではシリーズ通してもトップクラスに職間バランスがいいと評されることもある。 また、今作の特長としてよく挙げられるのが、「多くの職において同職複数名採用がシナジーを生む」点である。従来作での同職採用は「メイン火力担当を複数名用意する」程度のものだったが今作はそれに留まらない相性の良さを発揮し、例えばフェンサーなら回避型の「シルフィード」が追撃型の「チェイン」着火に貢献するし、ネクロマンサーなら死霊の取り扱いが効率化できる。挙句の果てには5人全員シャーマンのパーティー(*5)が実用的として攻略サイトに紹介される始末である。 この通り、 容易に可能性に気付けるものではないが、理解できれば奥深く楽しい というのが今作のプレイヤーキャラクター陣である。後述するように演出などその他の要素が薄味のため、この部分を楽しめたかどうかが今作の評価を大きく左右する。 一新による、伝統だった要素の削除 伝統の敵のリストラ。特徴でも述べられているが、シリーズ皆勤のモンスターはザコもFOEも、さらに裏ボスの三竜も未登場。 三竜は倒すとレベルキャップが解放されるポジションだったが、そのポジションも別のモンスターが担っているので少しわかりにくい。 それでいてモンスターの数や個性にもやや乏しく、クリア後を含む全モンスター総数は『IV』どころか初代よりも少なくなっている。 樹海に住む亜人NPC(モリビトやフカビトなど)が今作では不在であり、亜人自体は存在しているものの、話す機会は全くなく、単純な探索の障害としてしか出番がない(*6)。 会話する人外キャラも存在しているが、上の亜人とは全くの別種族であり、街の人と関わりを一切持たない。 隠し職業や隠し種族のたぐいも存在しないが、4種族の得意分野はそれぞれ分かれており、職業も二つ名があるので実質的な数はシリーズ最多となっている。そのためあまり気にならない部類には入る。 キャラクターボイス関連 勿論各々好みがあり、40種類では到底補いきれるものでもないが、その中でも目立つ声に「渋い男声のレパートリーが少ない」というものがある。 その一方でブラニーに配慮してか少年系のボイスが多い。(*7) 攻撃スキル使用時に無駄に「とどめ」関係のボイスを発する、敵が行動した瞬間に死亡ボイスが発せられる等、ボイスの使いどころに関してはあまり評価が高くない。 一方で声優の個々の演技自体は好評。兼役も多いが、それも見事に演じ分けられている。 A.E.関連 迷宮内のミニイベントとして今作から追加されたAdventure Episode(A.E.)にはほぼすべて途中で選択肢があり、選んだ結果に応じて内容が若干変わる。 基本的に正解と思われる選択肢を選んだ場合、「発生する戦闘が有利に始まる」「若干多くの経験値やアイテムが得られる」など、選択肢と内容に意味を持たせている。 しかしながら、一部のA.E.はイベントに関わろうとする選択肢を選ばない限りイベント消化にならない、パーティメンバーが特定スキルを習得していなければ進行しないといったものがあり、プレイヤー側の自由度に制限をかけるような印象を与えている点が見られる。 問題点 シナリオの問題点 元々シナリオに重きが置かれたゲームでもないが、メインストーリーに値する5層クリアまでに一貫した流れが無い。探索を通じて進行してきたイベントも5層に至る前に終了し、今まで前振りすらなかったような展開がいきなり始まる、唐突感のあるストーリーである。 例えば、ソロルとリリという冒険者のNPCが第一・第二階層といった序盤からちょくちょく登場し、プレイヤーにアドバイスやアイテムをくれるなどの出番もあり、第三階層では逆にプレイヤーが2人を助けるなど関係性が深くなるが、その後第四階層以降ではめっきり出番がなくなる。一部のクエストで共闘することがあるが、本筋での絡みはなくなる。尤も、彼女らは世界樹登頂そのものが目的ではなく、第四階層以降は文字通り前人未踏の世界なので今までのように絡ませること自体難しくなっているが…(*8) ラスボスも伏線が無いに等しく、殆どポッと出状態になってしまっている。 世界観が一新されたにも拘らず、設定の掘り下げがあまりなされていない。その結果元々シナリオ重視の『新・世界樹』シリーズはおろか、シナリオにそれ程重きを置いていないナンバリング作品と比較してもシナリオの薄さが目立ってしまっている。 本作のイメージビジュアルに「広大な世界とその中心にそびえ立つ巨大な世界樹」というものがあるが、結局の所ストーリーの内容は世界樹の攻略が主体となり、その他地方の設定については散発的に語られるのみ。以前よりも世界観が広がったゆえにこうした世界の狭さが一層強く感じられてしまい、設定が裏目に出てしまっている。 四種族の出自となる地域や文化などについても、なまじ設定が存在しながら作中での掘り下げが浅く、かえって中途半端になっている。 四種族の代表が取り仕切っているとされる評議会も、顔出しする人物はアースラン代表のレムスのみで他代表は人物像すら語られない完全な裏方であり、彼等を通した種族間の利害関係などといったものが全く見えてこない。 迷宮内の磁軸・ミニイベントの劣化 恒例の樹海時軸だが、今作では磁軸からスタートすることができなくなった。 代わりに上述の通り各階層の地図を評議会に報告することで完成した地図の次の階から探索を始めることになる。 しかし、その階層最後の階(5の倍数階)の地図を報告しないと以降の階層から始めることができない。例えば5階の地図を完成させないと11階の地図を完成させても12階から始めることができない。12階から始めるには5階と10階の地図を完成させる必要がある。一応地図の完成判定は甘めで、多少未解明エリアがあっても一通り次の階段までちゃんと行ければ報告は出来る。 地図の報告以外にも新規アイテム・モンスター図鑑の登録でアイテムがもらえるため、評議会へ行く機会は少なくない。 初代から言われ続けてきたことだが、深部の階層に行くにつれミニイベントの数が段々と減ってくる。 第六階層に至っては『新2』に引き続きゼロに等しい。但し序盤に限ればミニイベントの数は増加傾向にある。 『IV』では第六迷宮にもそれなりにミニイベントがあったので、この点については明確に劣化していると言えるだろう。 迷宮内で料理を作れる「調理ポイント」には『III』のキャンプ地点のようなオブジェクトが一切無く、目印と言えるものは精々「調べる」というコマンドが表示される位しかない。マップアイコンを置いても反応しないためほぼノーヒントで分かりにくい。 システム・UI面の問題 特徴の項で「3DS版で続いていた全てのUIのデザインが大幅に変更」と書いたが、残念ながらお世辞にも「使い勝手が良い」とは決して言えない。過去作で段階的に、且つ確実に進化を遂げてきた快適なUIを全部投げ捨てて再構築するという方針を選んだ以上、ある程度の粗が出てくるのは仕方がないが、それでもなお看過し難い問題点が多い。 階を選択する際の並び順がマップ画面と樹海突入時で上下逆転している、「はい」「いいえ」の選択でデフォルトのカーソル位置が統一されていない等、選択肢の並べ方の不整合が目立つ。 街メニューでは、直前に入っていた施設ではなくリスト一番上の宿にカーソルが合う。過去作品では直前に入っていた施設にカーソルが合っていた為、過去作品経験者だと操作ミスを引き起こしがち。 過去作ではステータス画面から習得スキルの閲覧・キャラクタービルドの確認が出来たが、それが出来ない今作のステータス画面は装備変更画面を劣化させたものでしかなく、完全に不要なものとなってしまっている。 キャラステータスから使用可能なスキルを閲覧できなかったり、キャラクターの全身イラストをキャラメイキング画面でしか確認できなかったりと、せっかくのキャラメイクの自由度にケチがついてしまうかのような要素も。 マッピング画面もアイコンを多くした結果、画面の見やすさ、パッと見のわかりやすさが犠牲になった。その上アイコンパレットでの表示と実際に地図に置いた時の表示が異なるものが多い点も使い勝手の悪さに影響している。 範囲や並び順のカスタマイズである程度軽減は可能だが、アイコンの中に「この階のこのギミックに使え」と言わんばかりのものが複数存在しており、整理しようとすると嫌でもそのアイコンを見てしまう(=ギミックのネタバレに繋がりかねない)のは流石にどうだろうか。 「素材の採取ポイント」と「(魚を除く)食材の採取ポイント」が、ダンジョン上では完全に同じにしか見えない。 これらについては『初代』のような不親切さ・手探り感を演出した、と見る事もできなくはないが…演出に留まらず、実際のプレイに少なからぬ不便を強いているのは流石に問題だろう。間違われがちだが「不便さ・理不尽さ」と「やり応え・味わい」はその根本からして異なる物なのである。 食材関連 樹海で採取した食材を使い、手に入れたレシピや器具を元に料理を作ることが出来るのだが、さまざまな追加効果や使い道があった『IV』の同要素に比べ、食材で受けられるのは回復(と蘇生)のみ。そして有用な食材はごく一部に限られる。 食材にせよ料理にせよ、余っても預けたり売ったりすることはできず、下の飼育術での入手をやっているとすぐに所持限界に達してしまう。適当に消費するか捨てる必要あり。 数にも乏しく、食材も料理も中盤である第三階層までにコンプリートができてしまう。そのわりに第三階層以降も序盤の効果に乏しい食材が手に入るし、単純に代わり映えもしない。 更にこの食材アイテム、実はソート機能が不完全。食材・料理が種類毎にまとまらず入り乱れてしまい、結局ソートしない状態とあまり大差は無い。 『新2』と異なり一々ダンジョンに入らなければ焼き魚一尾・パンケーキ一枚すら作れないという点も違和感を覚えるところ。迷宮内でしか調理できない理由づけはなされておらず、新しいシステムを付けようとしたがアイデアを練ることなくただ闇雲に追加しただけという印象が強い。 下記の「飼育術」を見る限り、どう見ても途中で投げ出された感が否めず、有効活用も難しい。 セリアン以外が習得できる種族スキル「飼育術」は探索中に動物を捕まえることができる効果を持つが、第二階層までにすべての動物が出てくるので早々に用済みとなり、他の効果もない。SP1だけとはいえ、以降は無駄スキルと化す。 手に入れた動物を宿屋に預けることで一定日数ごとに自動で食材を入手できるのはれっきとしたメリットであり、この方法でしか入手できない食材も存在する。タイミング的に二つ名によってスキルの見直し等を図るため休養を挟むことを考慮したと思われる。 ただし、持ち物の食材欄をパンパンにしていて空きがないと、いくら日数が経過しても宿屋から食材をもらえない。素材と同じ様に一旦食材を受け取ってから捨てる(宿屋の所有物にされる)という方式には出来なかったのだろうか…。 ちなみに他のイベント用スキルは後半でもわりと出番があるうえに、能力が上がる副次効果もあるため基本的に無駄にはならない。 職業・二つ名関連 一部職業間には二つ名・パーティ構成によってアンチシナジーが大きく出やすい。特に問題なのが召喚スキルを持つドラグーン、ネクロマンサー、ハウンド。職業割合的にも無視できないこの3職が、3つしかない召喚枠を奪い合う事になる。 ドラグーンは召喚がメインではないためまだ融通が利くが、召喚ユニットの使い捨てのために枠を多く必要とするネクロマンサーと召喚ユニットを常駐させる事になるハウンドはもろに競合してしまう。ハウンドのスキル「ターゲットアロー」によって死霊を攻撃態勢にできるというシナジーが一応存在するが、狙ってまでやる価値があるかというと微妙。 これらは職業の基本スタイルレベルで競合するため、パーティ構成を考える段階から気を払わなければならない。 一応過去作にもⅢにおいてシノビの分身とビーストキングの召喚獣による六枠目の取り合いという事例があった。せっかくの新システムなので活用の方向性の異なる複数の職業を用意したのだろうということは想像できる。 二つ名が解禁される中盤までは基本となるBASICスキルで運用していくのだが、二つ名前提のスキル構成や職業ごとに出来ることの差が大きく、序盤は特に職の個性が出しにくい状況になりやすい。 「瘴気兵装」を発動させるスキルは多いもののそれを前提とした攻撃スキルが少なすぎるリーパー、封じ回復が出来ないハーバリストは特にその筆頭に当たる。 BASICスキルの時点でも、3つのスキル取得を前提としたスキルがあるツリー構成がアースランの職業に多く、そのスキルも二つ名での強化や各職のコンセプトを最大限に引き出すために必要なスキルであることも多い。 Lv20に達すれば各種族ごとに種族スキルを全て習得できるが、ステータス補正のかかる種族スキルは現在レベルが低いと効果が薄く、ユニオンスキル以外では各職業の個性・選択肢を補うには乏しい。 二つ名の解禁となる中盤直前になるまでは二つ名の派生スキルツリーが確認できないため、事前情報無しで最初から二つ名を見通しての育成は不可能である。また、慎重に育成していても派生先のツリーと噛み合わないことも少なくないため、休養を余儀なくされることに批判の声も。 なお、二つ名解禁後の取得スキルに関しては『IV』のように現在レベルによる取得制限解禁ではなく、サブクラスの解禁に近い形となっている。 二つ名として設定した名称はシステム上はクラス名として扱われる。そしてステータス等のシステム画面以外では基本的に表示される事が無いため空気になりがち。 NPCもせっかく命名した二つ名に触れてくれない。最終盤になってようやく二つ名を呼ぶNPCが現れる有様。 他プレイヤーとやり取りするギルドカードにも二つ名は表示されない。代表として設定されているキャラクターのステータス画面で確認できるのみ。 二つ名の命名は二つ名設定時しかできない。改名したい場合は休養でレベルを下げた上で二つ名そのものを再設定する必要があり非常に不便。 ネクロマンサーは死霊をコストにして立ち回る上級者向けの職業であるが、「破霊のネクロマンサー」の一部のスキルが非常に強力であり、特に以下のスキルが壊れスキルとして問題視されている。 + 詳細 そのスキルは「ゾンビパウダー」。効果は「敵一体を即死させ、即死させた敵の現HPの死霊を召喚する」というもの。 この後者の効果が曲者で、本作では即死耐性のないF.O.Eが存在し、HP9999の死霊が容易に出来上がってしまう。 そしてこのスキルと単体に死霊の現HP分のダメージを与える「等価交換」と死霊に攻撃を引き受けさせる「無慈悲な盾」との相性が凄まじく、ゲームバランスが容易に崩壊してしまう。 そもそもゾンビパウダーの基本成功率が全即死スキル中最高で、普通の即死攻撃としても非常に優秀。そのため普段の探索から気軽に使える…と至れり尽くせり。 リーパーの「死を振り撒く死神」のスキル「死の鎌」(こちらも単体即死攻撃)の即死確率を大きく上回ってしまっている。死の鎌は敵を眠らせてから使うことで即死確率とダメージが大幅に上がる違いがあるが、眠りは1発でも余計な攻撃が当たると解除されるので、乱戦中の使い勝手が悪い。なによりHP9999の死霊に代わる大きな副産物がない。 「死霊大爆発」も、燃費が悪いものの3体生贄にすれば雑魚戦が一瞬で片付く。燃費も食材によりフォローが効く。 その他の細かい問題点 宿屋の看板娘であるジェネッタが少々好き嫌いの分かれるキャラになっている。 端的に言えばアホの子。決して性悪ではないが、序盤のクエストでモンスターが野生動物であることを考えるとさすがに笑えないようなことを平気で実行するため、好みが分かれる。 その他「おねいちゃん」など妙な言い回しも、人によっては気になるところ。 ジェネッタのキャラ付けそのものよりも、最も目に触れる機会の多いNPCをこういったキャラにしたことそのものが問題と言えるかもしれない。 アドベンチャーエピソードの存在やクエストで貰える経験値が過去作に比べて多めになっていることから、今作では過去作に比べて経験値がたまりやすくなっている(*9)。 それ自体は精々賛否両論で済む程度のものだが、難易度BASICで1PTのみを運用している人だと最初のキャップ開放前にレベル70に達してしまうことが過去作に比べて多くなっており、場合によっては結構な量の経験値を無駄にする羽目になる。 バグ 今作もバグはそれなりの数が存在し、特にドラグーンとネクロマンサーは無視できないものがある。更新データが配布されているので必ずダウンロードすること。 総評 3DS作品4作品目・ナンバリングシリーズ5作品目で世界観・システムの一新により、他作品と比べて異色な作風となった。 40種類以上のキャライラストから自在な色付け部分やボイスの選択が自由なキャラメイク要素と、「新シリーズ」からの戦闘バランスの見直しと二つ名による職業の先鋭化で、従来の作品と劣らない戦闘バランスを実現した。 しかし、スキルシナジーまわりの難解さ、使い勝手の悪さが目立つ新UI、散発的で一貫性のないメインストーリー、後半に行くにつれて目立ってくるミニイベントの少なさや代わり映えの無さ、そしてクリア後のボリュームの少なさといった点は決して見逃すことのできない問題点であろう。 更に、伝統ともいえるおなじみのモンスターのリストラ、および『新』シリーズは勿論、従来のナンバリング作品と比較してもシナリオの薄い点についても、シリーズファンを中心に批判が挙がった。 今作の新要素に関して、その要素単体で見れば原点回帰を目指した試みは十分理解できるものの、同時に世界観・システムを大幅に一新した弊害は決して少なくなく、あらゆる要素が途中で投げ出されたような仕上がりになっており、上記の通り結果的に裏目に出た形となっている。 余談 今作ではモンスターの種類が一新されていると説明したが、新登場したモンスター系統の中には『世界樹2』のトラウマ「リス(*10)」が登場。遂にリスがモンスターで出演したことに、過去作プレイヤーは戦々恐々とした。 その系統内の2種は期待予想通りプレイヤーを絶望の淵に叩き込む攻撃をし、新たなリスへのトラウマを作ったのだった。 因みにミニイベントの方でも例のリスは登場する。過去作経験者ならば罠であると知っていながらもあえて罠にかかった人は多いだろう。 しかしながらおなじみのモンスターをリストラしてまで過去作品からの世界観一新を図ったにも拘らず、露骨に過去作品を連想させる要素が盛り込まれている点について、疑問を覚えたプレイヤーも決して居ない訳ではない。
https://w.atwiki.jp/sponsoracjapan/pages/13547.html
世界の果てまでイッテQ! 世界の果てまでイッテQ! 2024年4月~24年6月 共通事項 放送時間…日曜19 58~20 54 絨毯の上にカラー表記 全社読み上げは1’00”扱い 固定スポンサー + ... 番組開始前CC ユニクロ UNIQLO 本編(全社60秒) 大正製薬 NISSAN 清水建設 SUNTORY Kao 日清食品 amazon 2024年4月7日 番組開始前CC 0’30”…ユニクロ UNIQLO 本編スポンサー 1’00”…あなたの,健康のそばに。大正製薬、NISSAN、清水建設、水と生きる SUNTORY(CM=SUNTORY WELLNESS)、Kao きれいを こころに 未来に、おいしい,の その先へ。日清食品、amazon 2024年4月14日 番組開始前CC 0’30”…ユニクロ UNIQLO 本編スポンサー 1’00”…NISSAN、清水建設、水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に、おいしい,の その先へ。日清食品、amazon、あなたの,健康のそばに。大正製薬 2024年4月21日 番組開始前CC 0’30”…ユニクロ UNIQLO 本編スポンサー 1’00”…清水建設、水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に、おいしい,の その先へ。日清食品、amazon、あなたの,健康のそばに。大正製薬、NISSAN 2024年4月28日 番組開始前CC 0’30”…ユニクロ UNIQLO 本編スポンサー 1’00”…水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に(CM=AC JAPAN)、おいしい,の その先へ。日清食品、amazon、あなたの,健康のそばに。大正製薬、NISSAN、清水建設 2024年5月5日 番組開始前CC 0’30”…ユニクロ UNIQLO 本編スポンサー 1’00”…Kao きれいを こころに 未来に、おいしい,の その先へ。日清食品、amazon、あなたの,健康のそばに。大正製薬、NISSAN、清水建設、水と生きる SUNTORY 2024年5月12日 番組開始前CC 0’30”…ユニクロ UNIQLO 本編スポンサー 1’00”…おいしい,の その先へ。日清食品、amazon、あなたの,健康のそばに。大正製薬、NISSAN、清水建設、水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に 2024年5月19日 番組開始前CC 0’30”…ユニクロ UNIQLO 本編スポンサー 1’00”…amazon、あなたの,健康のそばに。大正製薬、NISSAN、清水建設、水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に、おいしい,の その先へ。日清食品 2024年5月26日 番組開始前CC 0’30”…ユニクロ UNIQLO 本編スポンサー 1’00”…あなたの,健康のそばに。大正製薬、NISSAN、清水建設、水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に、おいしい,の その先へ。日清食品、amazon 2024年6月2日 番組開始前CC 0’30”…ユニクロ UNIQLO 本編スポンサー 1’00”…NISSAN、清水建設、水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に、おいしい,の その先へ。日清食品、amazon、あなたの,健康のそばに。大正製薬 2024年6月23日 番組開始前CC 0’30”…ユニクロ UNIQLO 本編スポンサー 1’00”…Kao きれいを こころに 未来に、おいしい,の その先へ。日清食品、amazon、あなたの,健康のそばに。大正製薬、NISSAN、清水建設、水と生きる SUNTORY 2024年6月30日 番組開始前CC 0’30”…ユニクロ UNIQLO 本編スポンサー 1’00”…おいしい,の その先へ。日清食品、amazon、あなたの,健康のそばに。大正製薬、NISSAN、清水建設、水と生きる SUNTORY、Kao きれいを こころに 未来に
https://w.atwiki.jp/okvideoshop/pages/92.html
FTISLANDの元メンバーオ・ウォンビン(WONBIN)が映画「世界の果ての愛」にキャスティングされた。 「世界の果ての愛」はチョ・ドンヒョク、ハン・ウンジョン、コン・イェジなどが出演を確定し、オ・ウォンビンまで合流することになった。 2011年にMBCドラマ「オレのことスキでしょ。」、2012年にMBNシットコム(シチュエーションコメディ:一話完結で連続放映されるコメディドラマ)「来た来た、マジで来た DVD」などで演技に挑んだオ・ウォンビンは、今回の映画で新鋭コン・イェジと息を合わせ、インパクトのある演技を披露する予定だ。
https://w.atwiki.jp/jubeat_memo/pages/1989.html
LV 4 Notes 254 BPM 144 1①□□① |----|□□□□ |----|□□□□ |----|□□□□ |①---|2□④④□ |①---|③③□□ |②---|□□②② |③---|①①□□ |④---|3①□□① |①---|③□□③ |----|②□□② |②---|□□□□ |③---|4□④④□ |①---|③③□□ |②---|□□②② |③---|①①□□ |④---|5①□□① |①---|③□□③ |----|②□□② |②---|□□□□ |③---|6□④④□ |①---|③③□□ |②---|□□②② |③---|①①□□ |④---|7①□□① |①---|③□□③ |----|②□□② |②---|□□□□ |③---|8□④④□ |①---|③③□□ |②---|□□②② |③---|①①□□ |④---|9①□□① |①---|③□□③ |----|②□□② |②---|□□□□ |③---|10□□□□ |①---|□□□□ |②---|□③□④ |③---|①□②□ |④---|11□□□□ |①---|①□②□ |②---|□□□□□□□□□□□□④□□④③□□③ |③---|□□□□ |④---|12□□□□ |①---|□□□□ |②---|□③□④ |③---|①□②□ |④---|13□□□□ |①---|①□②□ |②---|□□□□□□□□□□□□④□□④③□□③ |③---|□□□□ |④---|14□□□□ |①---|□□□□ |②---|□③□④ |③---|①□②□ |④---|15□□□□ |①---|①□②□ |②---|□□□□□□□□□□□□④□□④③□□③ |③---|□□□□ |④---|16□□□□ |①---|□□□□ |②---|□③□④ |③---|①□②□ |④---|17□□□□ |①---|①□②□ |②---|□□□□□□□□□□□□④□□④③□□③ |③---|□□□□ |④---|18□④②□ |①---|□□□□ |②---|□□□□ |③---|①①③③ |④---|19③□□③ |①---|②□□② |②---|□①①□ |③---|□□□□ |----|20□①□□ |①---|②□□③ |②---|□□④□ |③---|□□□□ |④---|21□□□□ |①---|□□①□ |②---|□②□□ |③---|③□□□ |----|22□□①□ |①---|③□□② |②---|□④□□ |③---|□□□□ |④---|23□□□□ |①---|□①□□ |②---|□□②□ |③---|□□□③ |----|24□□□□ |①---|□③□② |②---|①□④□ |③---|□□□□ |④---|25□□□□ |①---|□③③□ |②---|□①□□ |③---|□□②□ |----|26□□□□ |①---|②□□② |----|①□□① |②---|□□□□ |----|27①□□① |①---|□②□□ |②---|□□③□ |③---|□④□□ |④---|28①□②□ |①---|□③□④ |②---|□□□□ |③---|□□□□ |④---|29□□□□ |①---|□□①□ |②---|□②□□ |③---|③□④□ |④---|30□①□② |①---|③□④□ |②---|□□□□ |③---|□□□□ |④---|31□□□□ |①---|□①□□ |②---|□□②□ |③---|□④□③ |④---|32□□□□ |①---|□□②□ |②---|①④□□ |③---|□□□③ |④---|33□□□□ |①---|□③③□ |②---|□□②□ |③---|□①□□ |----|34①□□□ |①---|①□□□ |----|□□□② |②---|□□□② |----|35②□□② |①---|□①①□ |----|③①①□ |②---|□□□□ |③---|36□□□② |①---|□□①① |----|□□□③ |②---|□□□□ |③---|37②□□□ |①---|①①□□ |----|□□□□ |②---|□□□□ |----|38□□①□ |①---|□□②□ |----|□□□□ |②---|□□□□ |----|39□□□□ |①---|□□□□ |----|□①□□ |②---|□②□□ |----|40□②□□ |①---|①□□② |----|□□①□ |②---|□□□□ |----|41□□□□ |①---|□□②□ |----|②□□① |②---|□①□□ |----|42①②□□ |①---|①②□□ |----|□□□□ |②---|□□□□ |----|43□□①□ |①---|□□□□ |----|□□①□ |----|□□□□ |----|44□□□□ |①---|□④□□ |②---|②③□□ |③---|①□□□ |④---|45□□□④ |①---|□□②③ |②---|□□①□ |③---|□□□□ |④---|46□□□□ |①---|□□④□ |②---|□□③② |③---|□□□① |④---|47④□□□ |①---|③②□□ |②---|□①□□ |③---|□□□□ |④---|48□□①② |①---|□③④□ |②---|□□□□ |③---|□□□□ |④---|49□□□□ |①---|□□□□ |②---|□①②□ |③---|③④□□ |④---|50①②□□ |①---|□③④□ |②---|□□□□ |③---|□□□□ |④---|51□□□□ |①---|□□□□ |②---|□①②□ |③---|□□③④ |④---|52□□②② |①---|□□②② |----|①①□□ |②---|①①□□ |----|53□□□□ |①---|□□□□ |----|□②②② |②---|①①①□ |----|54②②②② |①---|①①①□ |----|□□□□ |②---|□□□□ |----| 譜面修正などはこちらへ 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yurina0106/pages/2612.html
タグ かっこいい 曲名せ 歌 真理絵 作詞 Triodesign 作曲 Triodesign 作品 魍魎の贄OP
https://w.atwiki.jp/letsrebirth/pages/257.html
▼ ▼ ▼ 「何十年ぶりになるんだろうな。なあ、抜刀斎」 「知らんよ、そのような些末事など」 漆黒の闇の中。煌々と輝きを湛える月が見下ろすビルディングの屋上にて、二人は向かい合った。 全てが凪いでいた。両者は構えを取ることもせず、ただ在るがまま、静謐な面持ちで互いを見つめていた。 時を超えた邂逅か、それとも因縁がもたらした悪戯か。 この再会にどのような意図が絡んでいるのか、あるいは単なる偶然か。 どちらでも良かった。ただ、この場に人斬り抜刀斎・緋村抜刀斎と、元新撰組三番隊組長・斎藤一が存在する。二人にとっては、その事実だけで十分であった。 既に加藤鳴海の姿はない。新たに発生したサーヴァントの気配、それに対処するため二人の下を離れている。 それでもいいと、二人は思った。 何故なら分かるからだ。剣客として培った洞察力、そして生前における記憶によって。 あれはある意味で"流浪人緋村剣心"と同類の男であると。 最初の会敵時、あの男はマスターである音無結弦や仲村ゆりを狙えた立場にあってなお、それを実行することはなかった。実力が足りない、あるいは迂遠な策、そのどちらもでもない。奴は"そういう"人間なのだ。 だから放置する。人を殺せない敵など、今の二人にとって何ら害にならないのだから。 「緋村抜刀斎、稀代の人斬りにして伝説の剣客。貴様の強さは特に多く戦った新撰組(おれたち)が最も深く知っている。 そして貴様は、よりにもよって"その姿"で現界した」 「ならばどうする、ここで殺すか」 「愚問だ」 ただ一言を以て返す。それ以上のやり取りなど、この二人には不要だった。 何故この男が流浪人・緋村剣心ではなく人斬り抜刀斎として現界したのか、その理由については最早問うまい。 戦士とは、如何なる不条理な現実をも疑わぬもの。ただ認識し、対処するのみ。 「あの日の続きだ、抜刀斎。貴様の抱く人斬りとしての性も、築き上げた不敗の伝説も、一切を抱えたまま地獄へ落ちることは許さん」 思い出すは血風渦巻く京の都か、武士が生きそして死んだ最後の戦場たる鳥羽・伏見の戦いか。 戦乱の幕末にて幾度も出会い、斬り合い、そして決着は付かず十年の時が無情に流れた。 その果てに彼らは再び出会い、しかしその時には既に「人斬り抜刀斎」は死に絶えていた。 腰の刀に手をかける。抑え込まれた闘気は臨界点寸前であり、最早収まることもない。 「現世(ここ)へ置いてゆけ。せめてもの手向けだ、俺の渾身を以て太刀打ち仕ろう」 「見上げた大言壮語だ、斎藤。ならばその首級を貰い受ける」 斎藤と呼ばれた剣鬼と、抜刀斎と呼ばれた剣鬼。 旧縁持つ二人はそれで対話を切り、斎藤は刃を抜き放ち、抜刀斎は柄へと手をかけた。 最早二度と共有できまいと悟っていた、悪・即・斬の正義を共に抱いて。 あの日つけられなかった決着を、ここに結実させるのだ。 斎藤一は腰を深く落とし、切っ先を前方へ向けて構えた。一撃必殺、敵を突き殺す両手平突の構えである。 対する抜刀斎は納刀したまま中段に手をかける居合の構えだ。一刀両断、敵を斬り伏せる抜刀術の構えである。 そうして相対し。 両者は凝固した。 時が徒に流れ過ぎゆく。 手に汗握るとはこのことか、唖然と見守るとはこのことか。 しかしこの場に一切の立会人はおらず、故にただ時間だけが過ぎてゆく。 両者が静止する意味、それは武芸に傾倒した者ならば容易に洞察することが可能であり、故に勝負の行方はこの時点では分からない。 両者いずれも、意図するところは明らかである。 中段に構えた斎藤は、刺突にて敵手の喉元を狙う。 この構えより斬撃せんとすれば、剣を振りかぶる余計な動作が入用となり、敵に遅れを取るため、まず突く以外の選択肢はないと言っていい。 そして脆弱な人間と違い、魔力を形として現界したサーヴァントにはかつての常道……すなわち、一寸の切れ込みさえ入れれば即死するという常識は時に通じなくなっている。 ならば狙うは破壊が死に繋がる急所のみ。すなわち脳髄、心の臓、あるいは首か。腕で庇える胴体部、そして狙いの付けにくい頭部と違い、その最も致命的たる弱点が喉周りの隙。これを突くに如かず。 対する抜刀斎は、居合中段にて相手の首元を狙う。 そこもまた構造的に守りきれぬ隙であり、放つ角度をやや上向きに寝かせ斬り込めば、頭と胴体を繋ぐ細い首筋へ刃先を打ち入れることが叶う。 他の箇所を狙おうとすれば、肉体に備わる諸々の器官が邪魔となり余計な動作が必要となる。それは敵に対しての遅れとなって現れるだろう。 斯様に両者共、攻め手は決している。 しかし両者共、不動にて時を送る。 それは両者共、攻め手に併せて受け手を用意しており、対敵にその備えがあることを疑っていなかったからである。 斎藤が牙突にて打ち込めば――― 抜刀斎は僅かに身を捻るのみでその鋭鋒を躱し、反転しつつ遠心力を利用してその後頭部へと抜刀し、勝負は決するであろう。 抜刀斎が先に斬り込めば――― 斎藤は一歩退いて剣撃を外し、すぐさま跳ね戻って宿敵を刺し殺すであろう。 攻め手が必殺ならば受け手もまた必殺。 互いに対敵の手の内を知りつくし、読みつくし、故に動けず、戦況は膠着する。 かかる情勢、勝負はすなわち、体力気力の削り合い。 斎藤と抜刀斎、対峙する二者は今、敵を一足一刀にて仕留め得る体勢と敵の微細な変化をも見逃さぬ集中力、その二つを維持しながら向かい合っている。 ならばこその膠着。 これが両者の心身に多大な負荷をかけることは論ずるまでもない。 渓谷を綱渡りするにも等しい過酷さである。 やがては一方が力尽き、構えを崩す。 その時もう一方が余力を残していたならば、即座にその崩れを狙って攻めかかり、勝利者となるだろう。 元新撰組隊士、斎藤一。 人斬り抜刀斎、緋村剣心。 いずれがいずれの役を背負うか。 時がまた流れ、戦いは静粛なまま、閉幕へと向かい――― 「―――ッ!」 あるいは、それは同時だったか。 斎藤と抜刀斎は共に勝負に出た。強い息吹を吐き出しつつ、己の体を前方へと撃ち出す! 互いに必殺の構え。さてこそと一瞬の遅れなく、互いは互いの攻撃へと反応した。 けれど、いいや必然か。 機は未だ熟してはおらず、互いの必殺はしかし必勝とは成り得ない。 状況は定まっていない。不確定のまま繰り出した二つの必殺は、虚しく宙を空振り、あるいは儚く宙を空撃ちするのみ。 勝負は振出へと戻る。 そうであると、思われたが…… 「ッ!」 前方へと渾身の力で突きいれられた斎藤の突きは抜刀斎を捉えることなく空を穿ち、しかし中空にて軌道を変え眼下の抜刀斎へと斬りかかる。 これぞ斎藤が必殺、牙突の神髄。刺突を外されても間髪入れずに薙ぎの攻撃へと転換できる。戦術の鬼才土方歳三が考案した平刺突に死角はない。 対する抜刀斎の剣閃は斎藤を捉えることなく流れゆき、しかしそれを追随する後追いの一閃が遅れて襲来した。 これぞ飛天御剣流が誇る二段抜刀術、双龍閃。抜刀が躱された無防備を補うために考案された鞘による疑似抜刀。 白刃の幻で敵を退かせ、その隙を追い、本命の一刀を繰り出す。 "呼吸外し"の術である。 初めの必殺は共に外れた。しかし必殺が一つきりなどとは誰も言っていない。 第二撃の剣閃は、果たして互いの首元を狙い――― 「やはり、強いな。抜刀斎」 「……」 結果は相討ち掠りもせず……勝敗は未だ定まらない。 斬り下ろされた斬撃は鞘で防がれ、斬り上げた鞘が打ち据えるは刃のみ。そのどちらも、敵手の体を貫くには至っていない。 共に伯仲、互角の勝負。幾度も戦い、戦い、戦い続けてその度に生き残り続けた両者は、互いの手の内を知り尽くしているが故にその刃を身に受けることがない。 「分かってはいたが、簡単には死ねんようだ。俺も、貴様も」 「それこそ分かりきったことだろう。何度戦い、何度殺し合ったと思っている」 「違いない」 この程度でどちらかが倒れる程度ならば、そもそも彼らは宿敵になどなってはいない。 呼吸の読み合い、技の妙。その粋を尽くしての決闘すらも彼らには不足というのか。 「ならば、行儀のいい行いはここで終わりにするとしよう」 「……そうか、お前はそのつもりか」 「ああ、そうだとも。俺と貴様の決着に、これほど相応しいものはあるまい」 故にこそ、彼らが死地を決するには最早人の業では到底足りない。 人を超え、剣客となりて、果てにサーヴァント(英雄)として現界し、それでも足りぬと吼え猛る。 ああ、そのザマは、まるで。 「ここからは死合いではなく、喰らい合いだ」 ―――まるで、鬼畜生のようではないか。 ▼ ▼ ▼ 『大嘘吐き(オールフィクション)』 『きみの"殺意"を【なかった】ことにした』 この世のあらゆる"負"が凝縮したかのような存在が、窓辺に腰かけ嗤っていた。その影は人の姿をしていたが、けれどあやめには、それが人であるとは到底思えなかった。 見るだけで、聞くだけで、存在感を感じ取るだけで脊椎を掴まれたかのようにおぞましい。発する圧が明らかに異常だった。 荒唐無稽な悪夢を現実に映しだし、臓物と糞尿を混ぜて煮詰めればこのようなものが出来上がるかもしれない。人型をとっていることさえ、人間に対する冒涜だった。 不幸にもそれを直視してしまったあやめは、当然の如く精神ごと肉体が硬直した。あまりにも強烈な嫌悪感から、逆に彼から目を逸らすことができない。 それは、かつて彼女が慣れ親しんだ異界の風景とも似て。 しかし、どこかが決定的に違う負の存在であった。 『似合わないことはするもんじゃないぜカワイコちゃん。そういうのは過負荷(ぼくら)の領分だ』 その言葉を境に我を取り戻し、しかし次の瞬間には再びの忘我があやめを襲った。 「な、なんで……」 気付けば、本田未央の首にかけていた手が、その力を失っていた。 指一本動かすことができなかった。いや、正確には「動かす気になれなかった」と言うべきか。 それも当然である。何故なら、先ほどまでの彼女を突き動かしていたのは"殺意"であるのだから。 殺さねばという使命感はあった。殺して彼に報いなければという気持ちもあった。けれど、肝心要の「殺そうとする意志」は、何故か根こそぎ失われてしまっていた。 あやめは極めて善良な少女である。義憤であれ、使命感であれ、報いたいと思う心であれ、そんなもので人を殺せるほど、彼女は人道から外れた存在ではない。 この聖杯戦争に参加したサーヴァントにあって、彼女はある意味では最も人に似つかず、しかしある意味では最も人に近しい存在であったのだ。 「ッ! 未央チャン!」 この場にいない新たな第三の声が、病室内に響いた。 悠然と窓に腰かける男を押しのけるようにして現れたそれは、眼鏡をかけた利発そうな少女だった。年の頃は恐らく本田未央と同じほどか。いっそ哀れなほどにやつれ憔悴した様子で、しかし万感の思いが籠った声を上げ、彼女は病室内に転がり込んだ。 この時既に、本田未央は意識を取り戻していた。肺に大量の空気を取り込むためか激しく咳き込み、酸欠により白濁としていた思考も徐々に纏まりつつある。そんな彼女は、悲壮な様子で転がり込む少女をぽかんとした様子で見つめ、次いで自分の状況すらも呑みこめない様子で首を傾げていた。 「未央チャン、生きて……生きてた……私、もう駄目だとばっかり……」 「……えぇっと、みくちゃん? なんでそんな泣いて…… ていうか、ここ病院? 何があって……」 訳も分からないといった風体で、未央は周囲を見渡し。 「……」 『……』 「……」 『やあ』 やっほーと手を振る男を見た瞬間、未央は再びその意識を手放した。白目を剥いてベッドの上に倒れ込む。 過負荷を目撃したことによる精神の許容量の限界、お手本のような失神であった。 『あっれーおかしいなぁ、僕は一応彼女を二度も助けた恩人のはずなのになー。 怖がられる要素なんてどこにもないよ、ねえみくにゃちゃん?』 「…………。 ……もういいよ。ルーザーはそういうのだって十分過ぎるくらいに分かったから」 涙を拭い、微かに嗚咽を漏らしながらも、けんもほろろなみくの態度に、男―――ルーザーは芝居がかった態度で嘆息していた。 しかしそんなみくの態度も、どこか柔らかい。それも当然の話というべきか、今まで死んだと思われた本田未央が、みくの友人たる彼女がなんと生きていたというのだから。 理由は分からない。推測するならあの白銀のサーヴァントの力か。ともかく望外の奇跡にみくは涙ぐみ、それを見つめる球磨川は何とも形容のし難い表情をしていた。 『まあ、そっちはハッピーエンドめでたしめでたしってことでいいとしてさ。 それじゃあこいつどうしよっか。あんま時間かけてもしょうがないしねぇ』 「あう……!」 言うが早いか、球磨川は未だ呆然と座り込んでいたあやめの小柄な体躯を片手で掴みあげた。苦悶の声をあげる少女を嗤いながら睥睨する様は、何の慈悲もないように見える。 彼ら主従がこの場を訪れたのは、決して偶然の産物ではない。無論多くのサーヴァントの気配……斎藤一や緋村抜刀斎、加藤鳴海など……を感じ取ったということもあるが、それ以上に彼らは「あやめ」個人の気配を追跡してここまで来たのだ。 無論、ルーザーたる球磨川禊に気配察知系統のスキルなどなく、そもそも過負荷の王たる彼がそんな有用な手段を持つことも用いることもあり得ない。ならば何故彼女の気配が分かったかと言えば、それはあやめの持つ怪異としての気配が"限りなく過負荷に近く、そして限りなく遠い"異質なものであるからだ。 あやめというサーヴァントは、元は単なる村娘の一人でしかない。 何ら超常的な力を持たず、武芸にも魔術にも思想にも通じず、まして世間一般での知名度や信仰などあるはずもなく。本来であるならば英霊の座に押し上げられるなどありえない普通(ノーマル)こそがあやめという少女だ。 ならば彼女の一体何がサーヴァントたるに相応しい超常と成り得るのかと言えば、それは"怪異"の性質に他ならない。 あやめは忘れられた村娘である。より正確に言うならば、"異界への供儀として捧げられた娘"である。 異界に堕ちた彼女は、『彼等』によって"そう"成り果ててしまった存在なのだ。人間の心を保ちながら、しかし永遠に異形として在り続ける、『彼等』と同じモノに。 いわば後天的な形質変容である。普通(ノーマル)でしかなかったあやめは、しかし普通(ノーマル)の心を持ちながら、過負荷(マイナス)とも悪平等(ノットイコール)とも似て非なる怪異(モンスター)へと変貌した。 過去の邂逅において、球磨川が彼女を一瞬でも過負荷と見間違えてしまったのはそれが理由である。そして、当然ながら怪異である彼女は通常のサーヴァントとは異なる過負荷に近しい気配を放ち、それを隠蔽するための気配遮断スキルは最早球磨川には一切機能していない。 遠隔ならばともかく、一度気配の感知圏内に捉えてしまえば追跡は容易であった。冬木に並み居るサーヴァントの中で、唯一球磨川だけが成し得る捕獲劇だったのだ。 ……本田未央が生きてそこにいるとは、流石に球磨川も想定してはいなかったけど。 『僕としては、みくにゃちゃんの言う"音無結弦の真意"を聞きだすまでは、まあ穏便に済ませてやろうって考えてたんだけどね。 でも本田ちゃんが生きてた以上、もうそんなまだるっこしい真似はナシだ。許すも許さないもないよ、【またあんなことになる】前に不穏な芽は潰しておくべきだよね』 「ルーザー、それ……」 『ああでも困ったな、今ここで殺したら色々と"良くない"ことになりそうだ。 あー、人手が足りないなぁ。どっかに都合よく動かせる駒でも落ちてないかなぁ』 躊躇いがちなみくの言葉を余所に、球磨川は勝手気ままにあやめを掴みあげながらあーでもないこーでもないと一人で盛り上がっている。あやめは愚か、彼のマスターであるみくですら、彼が一体何を考え何を望んでいるのか理解できなかった。 すると、中空を向いて思案するそぶりを見せていた球磨川の目が、突如として細められた。瞳に宿る底の無い空洞じみた虚構の闇は、ぐるぐると渦巻いて何か恐ろしいものでも映し出すかのように揺れていた。 『……そうだね、そういやあいつがいるんだっけ。ちょうどいいや』 「ちょっとルーザー、さっきから何を……」 『気をつけなみくにゃちゃん、さっきぶりに"あいつ"が来るよ』 忠告するかのような球磨川の言葉と同時、病室と廊下を隔てるスライド式の扉が思い切り押し開かれた。 バン、という大きな音と共に飛び込んできたのは、みくや球磨川よりも一回りも二回りも巨大な、鍛え上げられた偉丈夫の姿。 しろがねのサーヴァント、加藤鳴海であった。 「てめえは……!」 焦燥した表情で病室へと駆けこんだ鳴海は、球磨川の姿を認めるや、即座にその表情を警戒と困惑の色に染めた。覚えのある相手であったが、敵かも味方かも分からないからだ。いいや、そもそも鳴海は球磨川のことを敵としても味方としても関わり合いになりたくないとさえ考えていた。 困惑はすぐさま敵意となり、鳴海はその拳を迎撃に固めた。球磨川はただ嗤うだけだ。 『やあカンフーくん、お互い生きてたようで何よりだよ! ところでなんでそんなカッカしてんの? カルシウム足りてる?』 「てめえ何しに来やがった……! いやそれはどうでもいい、てめえは俺のマスターから離れやがれ……!」 激昂するその様に、球磨川の背後で事の推移を見守っていたみくが思わず恐慌の声を上げた。鳴海はそれを見て一瞬だけたじろぐも、すぐさま元の狂相を取り戻して球磨川へと詰め寄る。 鳴海の丸太のように太い腕が、軽々と球磨川を掴みあげた。そして威嚇するように顔を突き合わせる。敵意に相貌を歪ませる鳴海とは対照的に球磨川はどこまでも涼しい顔だ。 『ふーん、きみはマスターの恩人に対してそんなことするんだ。わー幻滅ぅー、カッコ悪いなぁカンフーくん』 「黙りやがれ、それとこれとは話が別だ。どうにもてめえは信用ならねえんだよ……!」 それ以上の問答は無用とばかりに、鳴海はもう片方の腕を振り上げる。そのまま、球磨川の顔面を打ち据えようと――― 『ところでカンフーくん、これを見てくれ。こいつをどう思う?』 「な――――ッ!?」 その拳を直進上、すなわち球磨川自身の顔の高さに、彼は"それ"を持ち上げ"紹介"した。 「何の前触れもなく」「突如として出現した少女」を目の前に、鳴海は混乱と驚愕の極みに陥り、思わずその手を止めてしまい。 『だから甘えってんだよ、きみは』 致命的な隙を晒し、がら空きとなった鳴海の胴体に、一本の長大な螺子が突き刺さった。 鳴海の体は一瞬大きく痙攣し、しかしすぐに静止して崩れ落ちるように動かなくなった。鳴海の剛腕より解放された球磨川は、やだなぁと白々しく嘯きながら軽く埃を払うように学生服をはたいた。 『こうまでみくにゃちゃんを狙わなかったことからも分かってたことだけど、改めて言っておこうか。 きみの甘さ、きみの弱さは子供を殺せないということ。いや、それどころか傷つけられないってところかな? サーヴァントとしちゃ、つくづく甘い』 『でもその甘さ、嫌いじゃないぜ』 鋭く指を突きつけて、如何にも格好つけたポーズで球磨川は言い放った。残念なことに、それを真面目に見聞きした者は誰一人として存在しなかった。 「る、ルーザー……それ、どうしたの。 ……殺しちゃったの?」 『まっさかぁ、人畜無害かつ善良な一般市民の僕がそんな物騒なことするわけないじゃん』 みくのほうへと振り返り、大仰な手振りで力説した。まるで説得力がない。 『ただ、ねえ』 『今のままじゃ碌に話も聞いてくれないだろうからさ』 『ちょこっとだけ、大人しくしてもらおうかなって』 『本当にそれだけさ』 「……それだけ?」 『それだけ。この螺子は特注品でね、殺すどころか掠り傷一つ付けることもできない、武器としちゃ【負】出来な代物なんだ』 そう言うと、球磨川は項垂れて蹲る鳴海の髪を掴むと、無理やりにその顔を上げた。 現れたのは、生気というものがこそげ落ちたような、鳴海の顔。 『でもその代わり、こういう時には役立ってくれるよ。何せどんな奴だって【僕】の位置まで引きずり下ろしてやれるんだからね』 そう語る球磨川の目の前で。 呆けたような面をした鳴海が、初めて口を開いた。 『なんだよお前、面倒臭えなぁ』 「……は?」 『ほら、見なよみくにゃちゃん。まるで僕みたいに露骨に最低に陰気溌剌になってるでしょ!』 「なにこれ、気持ち悪……」 鳴海が口にした、まるで球磨川のような負愉快な口調と、一目で分かる異常事態に、みくはあからさまにドン引きしていた。 『却本作り(ブックメーカー)。 安心大嘘吐きに続く、僕のもう一つの宝具さ』 『この螺子で貫かれた者は、何もかもが僕と同じになる。 強さ、知性、感情、思想、あらゆるものが僕まで堕ちる。何とも使い勝手の悪い、僕にお似合いの欠陥能力さ』 『ま、今回のは一時的なものに留めておくつもりだけどね』 言うや否や、球磨川は鳴海に顔を近づけ、言った。 『さて、大人しくなったところで講義の時間だ。今から言うことをよーく聞けよ?』 その顔は、まるで面白い悪戯を思いついた子供のように、なんとも愉快気な笑みに彩られていた。 ▼ ▼ ▼ 仲村ゆりと音無結弦は、既に満身創痍だった。 サーヴァントに襲撃されながら未だ存命しているという事実は、何も彼らが優秀であるとか、あるいは幸運であるということを意味していない。 むしろ、彼らはこの上なく不運だったと言えるだろう。 生かさず、殺さず。 彼らを襲ったサーヴァントとは、そういった拷問めいた生殺しを愛する、生粋の加虐趣味者なのだから。 「ぎ、ぃ……あ……!」 それは絶叫だった。 か細く、今にも途切れてしまいそうにか弱く、けれどそれは絶叫であった。辛うじて襲撃者にのみ聞こえる程度の絶叫。 ゆりの腹から絞り出される、最早大声を出す気力すら尽きた苦悶の声。 先刻まであった闊達な少女の面影は、もう何処にも残されていなかった。 「プッククククク、もう終わりかいお嬢さん。駄目だね、張り合いってものがまるでないよ」 「ほら、もっと抵抗しなよ! このっ、このっ!」 せせら笑う長身の影はキルバーンのものだ。彼は悠然と、余裕の表情でゆりを見下ろしている。ピロロは獲物の抵抗が無くなったことに不満なのか、倒れたゆりの頭を何度も蹴り上げていた。 ゆり達の抵抗は、キルバーンたちにしてみれば文字通りの兎狩りにしかならなかった。窮鼠は猫を噛むことはなく、そもそも彼我の戦力差を考えればキルバーンは猫どころか大型の肉食獣にも等しい。この顛末は順当どころか必然と言えるだろう。 「セイ、バー、あたしたちを……」 「おっと、そうはさせないよ」 ごりっ、という鈍い音がして、声にもならないゆりの悲鳴。鎌の柄の先端で"軽く"ゆりの腕を突いたのだ。無論、絶妙なまでの手加減によりダメージと痛みだけを与えている。ちぎったり砕いたりなんて論外だ。だって"そんなもので死なれてもつまらないのだから"。 (くそ、こいつら……) 死神とその従者が悪趣味な遊びに興じる背後、音無は頭から血を流して蹲っていた。彼らは音無のことも遊びの対象にしていたが、もっぱら傷つけるのはゆりが中心であった。音無は知る由もなかったが、ゆりと彼らの間にある会敵の因縁が、ゆりに対する加虐を加速させていたのだ。 つまり音無は最低限痛めつけられただけで半ば無視されているようなものだったが、それが何らかの救いになるかと言えば、それは否だ。逃げるどころか、令呪を使う隙さえない。一度どころか二度三度と試して、その全てが失敗に終わっているのだから間違いなかった。こいつらは、自分たちを逃がす気など毛頭ないのだと。 「あ~あ、つまんないの。ねえキルバーン、もういいからこいつら殺しちゃおうよ」 「ボクとしちゃもう少し弄びたかったんだけどねぇ。でもピロロが言うなら仕方ないかな。あんまり遊び過ぎるとサーヴァントが戻ってくるかもしれないしね」 「うんうん。遊ぶのは大事だけど、余裕を持つのはもっと大事だよ」 二人揃ってクスクスと嘲笑。キルバーンの爪先がゆりの体を蹴り上げ、無理やりに仰向けにする。 手に持つ鎌がくるりと回り、その刃先がゆりの首元へと突きつけられた。 「それじゃあ名残惜しいけどさよならだ。バイバイ、可愛いお嬢さん」 そのまま、死神の鎌は円を描くように高く振り上げられて――― 「ま、待ってくれ……」 「うん?」 そこに待ったをかけたのは、他ならぬ音無であった。 傷む腹部を抑えながら、音無は立ち上がる。今そうしなければ自分たちはすぐさま殺されてしまうのだと分かったから、立ち上がらざるを得ない。 「交渉を、させてくれ。俺達が知ってる情報を教える、だから……」 「見逃せ、と。いいねぇ、そうこなくちゃ」 キルバーンは鎌持つ手を止め、話を聞く段となった。 首の皮一枚で、彼らは命の綱を繋いだ。 そうして音無は、促されるままに訥々と今までのことを語った。 本田未央、前川みく、ネギ・スプリングフィールド。今までに自分が遭遇したマスターのこと。彼らが使役しているサーヴァントの情報。 それらを入念に、できるだけ長く、音無は説明した。 ゆりが出会ったマスターたちのことも語った。しかしこちらは、ほとんどが遭遇の場にキルバーンも関わっていたため、彼にとって有益な情報はほとんどなかった。唯一、キリヤ・ケイジというマスターのことだけは興味深そうに聞いていたが。 「なるほどねぇ……意外や意外、きみたちは中々に優秀なマスターだったみたいだ」 全てを聞き終えたキルバーンは、心底から愉快気な様子で頷いていた。 「学校、学校か。所詮は子供ばかりの環境と思ってたけど、結構な数のマスターが紛れ込んでいたみたいだね。これは今日の予定を入れ替える必要があるかな?」 「お人形がいっぱいの遊び場だね、キルバーン!」 「ああ、そうだねピロロ。準備が整ったら盛大に遊んでやろうか……ククククク……」 「そして―――」 「きみもそろそろお終いだ」 「……く、そっ」 キルバーンは嘲笑の相を浮かべ、ゆりと音無のほうへと振り返る。 空を裂く鎌が、不可思議な音色を立てて旋回した。 「きみの魂胆なんて分かっていたよ……情報を引き換えに見逃されるなんて最初から期待していない、きみが狙っていたのは時間稼ぎだ。 セイバーか、それともきみのサーヴァントか。令呪も使えないきみたちは、だからサーヴァントが自発的に戻ってくるのを待っていたわけだ。 けど、アテが外れたみたいだねぇ……!」 「ッ、くそ!」 跳ね飛ぶように駆け出そうとして、しかしあっさりと足を掬われ転倒する。 無様に顔から地面に突っ込み、音無は奇しくも倒れるゆりの隣へと投げ出された。 「最期くらいは潔くしたまえよ、坊や。 なに安心したまえ、隣のお嬢さんもすぐきみのところへ連れて行ってあげるからね」 そうして、彼らの命を刈り取る鎌は振るわれた。 音無の目に映ったのは、見ることも叶わない速度の白刃と、その向こうに浮かぶ煌々とした月だった。 視界が真っ黒に染まる。 掴む感触が無くなる。 その最中。 「―――たすけて」 スローモーションになった世界の中で。 失われゆく聴覚が、か細く囁かれた声を聞いたような。 そんな気がした。 ▼ ▼ ▼ 静寂の空間に刃が激突する反響音が間断なく響き渡る。道ならぬ道を、ビルディングで構築された石造りの森を、影も捉えきれぬ何者かが駆け抜け、跳ね合い、颶風となりて相交わる。 影が交錯する度に散らすは刃鳴、舞うは剣弧。煌めき光るは刀刃に映る月光か。 三次元空間を縦横無尽に渡り歩き、そこかしこで激突する様は天狗かはたまたその化身か。 地に足つける人とは思えず、中空にて舞うは縮地の業なり。塔や壁すら彼らにとっては主戦場、今は懐かしき戦場にて踏みしめる土の感触である。 ―――彗星となりて散る火花。閃光となった刃撃の逢瀬が、再び対となって両雄の間で灼光する。 苛烈さは嘗ての比に非ず。互いの機を読み一刀のみを繰り出す剣客同士の構図は崩れ、今は共に二体の修羅。繰り出すは幾重に織り成す剣刃乱舞、これぞ悪鬼羅刹の喰らい合いなり。 剣閃、乱れ飛びて剣戟と化し――― 剣戟、狂い踊りて剣嵐と成る――― よって双極、乱れ狂いて仕手と化し、血煙渦巻く死合とならん。 寄越せ、寄越せ、その首寄越せと刃が血肉を求め打ち震える。 剣に宿るは純なる殺意。修羅道を彩る絢爛の血道。ひとたび鞘走れば散華なしに戻りはしない。 一刀一撃、必殺の領域に突入している。音速を遥か超越した斬撃の応酬は、まるでよくできた殺陣のようでもあった。 「おおおおおおおォォォッ!」 「ぬぅううううああああッ!」 一呼吸の間もなく跳躍、反転して狙い穿つは敵手の眉間。逆手に構えた切っ先は垂直に天下る神の杖として飛来し、下方より迎え撃つは天に突き上げる神速の対空平刺突。 飛天御剣流龍槌閃・惨、牙突・参式。両者の激突は大気を切り裂く波濤となって反響し、仕切り直しとばかりに地に足つけて再度の剣戟を開始する。 鏡合わせであるかの如く、鉄刃と鉄刃が交差する。袈裟に逆袈裟、八相に正眼、技とも言えぬそれらはしかし極大の剣気を伴い、無双の一閃となりて空間を断割する。 どれ一つをとっても並み居る剣士ならば百度は命を散らす魔剣の応酬に、しかしそのような攻撃など見るに値しないと言わんばかりに共に意識の外へと追いやる。眺めるのは、滾る互いの眼のみ。 そこには最早、人の目など映ってはいなかった。ここには既に人などいない。疑うべくもない戦鬼の業、修羅道へ堕ちた二人の悪鬼がそこには在った。 「いざ、ここに倒れろ抜刀斎ッ!!」 「抜かせ、散るのはどちらか知るがいいッ!!」 束の間の会話と同時、対の剣戟を放ち合う。 力を上回る技術をぶつければ、技術を上回る力をぶつけてくる。 術理を上回る直感を見せつければ、直感を押しつぶす術理で以て相殺する。 永劫に続くと錯覚させる剣乱舞踏の中、二人は吼えた。自らの気概を振り絞るために、これが俺だと叫ぶように。 その叫びに身を任せる斎藤に対し、しかし抜刀斎は心中にてその趣を異としていた。 (猛っているのか、俺は……) そこにあるのは疑念、そして抑えきれない高揚か。待ち遠しいとでも言うかのように、その心臓は鼓動を早めて止まらない。 それは斎藤とて同じだった。猛る、昂ぶる、待ち遠しいと叫んで止まない。されど、その心を是とする斎藤とは違い、抜刀斎の思考は真逆のものだった。 すなわち―――"やめろ、そんなものは必要ない" 抜刀斎はあくまで暗殺の任を負ってこの場に立っていた。斎藤との決着を望む心は本物であるし、それに応えたのも事実ではあった。しかし因縁を全てに優先するつもりは毛頭ない。 当然の話だろう。緋村抜刀斎は個人的な妄執を実現するためではなく、万人の未来のためにこそ戦っているのだから。 交差の瞬間を狙い己が刃で地を穿つ。外したわけではない、その剣閃は衝撃となって地面を伝い、抉り貫いて斎藤へと殺到した。 飛天御剣流が一、土竜閃。例え石であろうがアスファルトであろうが、舗装された地面であっても刃は容易く地を切り裂き技の一部と為す。 「はああああァァァッ!!」 広範囲に広がった衝撃波を、しかし斎藤は薄布を切り裂くかのように牙突で以て貫いた。 地を抉る衝撃の嵐を己が身一つで踏破する様はまさしく修羅戦鬼の現人か。抜刀斎は身を捻ると同時に回転、半身を滑り込ませ逆向きの抜刀を繰り出す。 飛天御剣流・龍巻閃。最上の返し技は、しかしそれを熟知した斎藤相手には通じず一刀の下に防がれる。 炸光する火花、弾け飛ぶ対の刀剣。 戦闘の余波によって飛び散る瓦礫の中で、大義と信義が牙を打つ。 斬る、斬る、斬る、斬る―――斬って貫き穿って捌く。 苛烈に、熾烈に、猛然と。超至近距離で放たれる剣戟の嵐は閃光とも形容できる火花によって彩られた。 振るわれる剣閃は拮抗している。その嵩を増すことなく、まして減らすこともなく。一手をしくじれば即座に首が飛ぶ死の領空域。 刃がぶつかる毎に発生する轟音は大気を貫いて、怒涛の奔流となって止まらない。 修羅同士の交錯、醜きは人の成れの果てと言うかのように、それは刃と刃、信念と矜持の衝突に他ならなかった。 決闘などと呼べはしない。これは精神の支柱ごと砕き、相手の道を粉砕する喰らい合いだ。 戦闘開始より既に幾ばくか、正確な時間などどちらにも判別できていない。 休む暇もなく剣を振るい、ただ一度の停止もなく連撃を放ち続けた彼らに、時間の概念など意味を為さない。 だが故にか、互いの呼吸、疲労の密度。それらが合わさり、神域のタイミングによって、両者は同時にその足を止めた。 「……」 「……」 ここが限界だった。あと一度技を放てば、それで全ての力を使い切る。 そう悟っていた。斎藤も、抜刀斎も。自分と相手が共に"その状態"であると理解した。 皮肉にも、それが当初と同じにらみ合いの構図へと互いを誘導していた。 互いに言葉はなかった。この期に及び、この二人にそんなものは不要だった。 言葉なく、各々の必殺へと構えを移行する。 斎藤は先と同じ、両手平刺突の構え。彼の十八番である牙突を放つための構えだ。 そして抜刀斎もまた、同じく納刀しての中段居合の構えだ。そこから何が飛び出すのかは、抜刀術を生業とする飛天御剣流故に判別がつかない。 修羅へと堕ちたはずの二人は、最期の一幕においてただ一時、その身を人へと戻したのだ。 「これで最期だ」 「是非もない」 ……ただ一言だけ。 一言だけ交わし、二人は最後の突撃を敢行した。 「――――ッ!」 声にもならない雄叫びと共に突進するは斎藤一、放つは必殺の牙突・弐式。 弾丸が如くその身を撃ち出し、後手を取るは未だ納刀したままの抜刀斎。 唸りを上げる斎藤の剣が空を切り裂き疾走する。その切っ先が目前まで迫り、ここでようやく、抜刀斎がその刃を抜き放った。 狙うは後の先か、それとも返しか。そのどちらをも叩き潰さんと斎藤が吼え猛り――― 「……!」 しかし、前方へ抜き放たれるはずだった刀は、その軌道を変じ目にも止まらぬ速度で再び納刀された。小気味良い金属音が辺りに反響する。 同時、突撃を仕掛けていた斎藤の動きに乱れが生じた。 「ぐッ……!?」 ―――飛天御剣流・龍鳴閃。抜刀と対を成す、神速の納刀術。 その奥秘とは、「納刀の衝撃波による聴覚の破壊」。 抜刀の欺瞞、騙し討ち。 フェイントと呼ばれるそれは、相手が集中していればしているほど、本命であれば本命であるほど効力を増す。 例えば、このように"命を懸けた最後の交差"であるとか。 言うまでもなく、効力は覿面である。 納刀された居合で狙い撃つは無防備となった敵手の胴体、あるいは首。横薙ぎに両断できる箇所。 対手が失敗を悟って跳ね戻るよりも先に、その死命を斬り伏せ得るだろう。 意表を突かれた者と、想定通りの者。 どちらが速く動けるかは自明の理である。 かくして、先手を取ったはずの斎藤は動きを封じられ。 後手を取った抜刀斎こそが後の先を得る。 状況は刹那の間に激変を遂げた。 今度こそ本当に、抜刀斎の剣が抜き放たれる。 前方へと攻め入り、未だ身動きの叶わぬ斎藤に横薙ぎの居合を繰り出す。 勝敗が、決する。 ………。 ……。 …。 ▼ ▼ ▼ 「何……?」 驚嘆の声は一体誰のものであるのか。 キルバーンか、ピロロか、あるいは音無かゆりであるのか。 瞠目し、空けた声を上げるような、荒唐無稽な光景が彼らの眼前にて展開されていた。 ―――光の剣が、死神の鎌を防いでいた。 青白く光る光条の剣、大気を灼く甲高い音を響かせて。命を切り裂く鎌と一人でに鍔競り合いを行っていた。 瞬間、キルバーンはそれまでの遊び感覚ではなく戦闘用の思考へと切り替え、瞬時に刃を引き戻し渾身の斬撃を繰り出した。およそ人では捉えられない超速、しかしそれすらも光の剣は捌き、容易に弾き返す。 「う、うわ、あああ!!?」 その光景を前に、音無はただ悲鳴を上げると、そのまま走り去った。必死に、死にもの狂いで、キルバーンとは反対の方向に。 けれど、それに構っている余裕など、今のキルバーンにはなかった。 「剣、セイバーかッ……! いいや違う、前にみたあいつはこんなもの使っちゃいなかった。だったら……!」 後方へと飛びのき周囲を振り返る。見間違いではない、そこには"誰もいなかった"。 自分の感覚が狂ったわけではないと、キルバーンは確信した。あまりにもあり得なさすぎて、自らの耄碌不覚すら、彼は一瞬疑ったのだ。 だが違う、彼は今も正常だ。 ならば、だというのなら。 サーヴァントの気配知覚範囲、半径およそ数百m。 攻撃を防がれるまで、その警戒網のどこにも気配が引っ掛からなかったのは。 一体、どういうことであるというのか―――! 「―――待たせたな」 声が――― 涼やかな声が届く。 それは、キルバーンの背後から。 振り返る死神から、倒れ伏す少女を守るように。 声の主を、死神は見た。白い男だった。 何時の間に現れたのか。彼は、仲村ゆりを庇うように立って。 「機械帯、起動―――」 告げる言葉だけが、伽藍の空間に澄み渡った。 ▼ ▼ ▼ ―――男の。 ―――姿が。 ―――変わって。 ―――黒の襟巻、たなびいて。 閃光が奔る。 雷鳴が轟く。 眩い光が奔る。 それは蒼白色をした輝きだった。 それは遥かな果ての輝きだった。 空の彼方に見えるもの。 漆黒に染まった空に輝くもの。 雷の――― 輝き――― 「輝きを持つ者よ。尊さを失わぬ若人よ」 「お前の声を聞いた。ならば呼べ、私は来よう」 揺れる道化の視線を受け止めながら。 腕を組み、輝きの中で彼は言った。 その腰部には機械帯(マシンベルト)が。 その腕部には機械籠手(マシンアーム)が。 たなびく黒い襟巻は僅かに雷電を帯びて。 白い詰襟服には見たこともない意匠。 遠い異国の服を纏い、 空の果ての雷を纏い、 刹那に、彼はその姿を変えていた。 漆黒領域の中心。 そこで、弱者を守るが如く佇む。 ―――そして。 ―――彼の瞳、輝いて。 ―――周囲に浮かぶ光の剣、4つ。 「……ひか、り……?」 「お前の輝きだ。少々、遅くなってしまったがな」 僅かに身を起こすゆりが呟く。その双眸は周囲に瞬く紫電の光を映していた。 眩い輝きはゆりにある光景を幻視させる。それは、遠く記憶の彼方に埋もれた、幼い日の情景。 雨降りしきる山景に映える、一条の稲妻――― 「メインディッシュを邪魔してくれちゃって……! ボクと同じアサシンか、奇襲を成功させたからって調子に乗られちゃ困るんだよねぇ……!」 「否、我がクラスはアサシンに非ず。 隠れ潜み闇討つは、貴様が如き影の専売特許と知れ」 黒を纏った道化師を前に、彼は堂々と言った。 慌てるそぶりなんて少しもなくて、目元を少し歪ませる程度。 飛び退いたキルバーンと、腕を組み仁王立ちする白い男。両雄が睨みあう。 「ライダー、大丈夫!?」 路地の向こうから駆け寄り、大声で呼びかける少女が一人。小柄な、艶やかな黒髪を腰まで伸ばした少女だ。 少女―――南条光は辿りついた現場を一目見るや、「はっ」と息を呑み、倒れ伏すゆりを相手に行われていたであろう惨状を朧気ながらに理解した。 「マスターか。そこな少女を連れて後ろへ下がっているといい。ここは今から戦場となる」 「わ、分かった! お姉さんこっち!」 小柄な体躯に見合わぬ膂力で、光は力なく倒れるゆりの肩を組み後退する。 それを見たキルバーンは、吐き捨てるように叫んだ。 「戦場になるだって―――そんなの願い下げさ!」 そしてそのまま反転し、脱兎の如くに逃走した。一歩の跳躍で10mの距離を稼ぎ、息を吐く間もなく疾走。その体は瞬間的に亜音速にも到達し、最早人の追い縋れる速度ではありえない。 そもそもの話、キルバーンにはサーヴァントを相手に戦うつもりなど微塵もないのだ。ゆりと音無を襲撃したのは、あくまで彼らがサーヴァントを連れない格好のカモだったからで、仮にゆりが使役するセイバーなりの気配が感知圏内に入ってきたならその時点で遊びを打ち切って、ゆりと音無の命を手土産にさっさと逃げ去るつもりだったのだ。 例え死んでも蘇生できる「命のストック」という保険がないというのに、誰が命がけの戦いなどするものか。そんなものは頭の足りない猪サーヴァントだけがやっていればいい。自分はその隙を突き存分に漁夫の利を得させてもらうだけだ。 故に選択するのは逃走の一択。無駄に遊んだだけに終わってしまうのはもったいないが、命の危険に比べれば遥かにマシである。 魔力回復のアテも、遊びのアテもまだまだたくさんあるのだ。こんなところとはさっさとおさらばして――― 「残念だが、遅い」 声が聞こえた瞬間、疾駆するキルバーンに追いつくように、四条の光閃が踊りかかった。 今まさに獲物を呑みこまんとする猛獣の咢の如く。迫りくる衝撃の余波で地面のアスファルトを砕き捲れ上がらせながら、光剣は握る者もなく自在に襲い掛かる。 「ぬぅ……ッ!?」 受けきれない、そう判断したキルバーンは疾走の勢いのままに跳躍。戯画的なまでに身を捻ることで無理やりに電刃を回避する。 回転する雷刃はキルバーンの衣服を浅く切り裂くに留まり、しかしキルバーンは逃走の足を止めることを余儀なくされる。 危うげなく着地し、振り返った先にいたのは、いつの間にかキルバーンの直近へと移動を完了していたライダーの姿だった。瞬間移動でも行ったのかと、瞠目する。 「中々どうして、やってくれるじゃないか……! そこのガキは見逃してやるってんだから、潔くお別れしようっていうボクの心遣いを理解できないのかい……!?」 「貴様のような道化を見逃すものか。その不遜、その傲慢。 世界には貴様以外の知性もあると、どうせ認識もしない輩だ。端的に、醜い」 ピクリ、と死神の眉が動いたような気配があった。その素顔は仮面に覆われて、けれど変質する感情の影が如実にそれを伝えてくる。 「醜い……醜いと言ったか。侮辱したな、ボクを……!」 「ならば何だと言う。その鎌で我が喉笛を掻き切ってみせるとでも言うか。生まれてこの方他者を貶める真似しかできていない貴様が」 「……いいだろう。ボクをその気にさせたこと、後悔するなよ……!」 声と同時、キルバーンはその痩躯を漆黒の旋風と化して疾走した。 振るうは手に持つ死神の鎌。一振りごとに人の命を刈り取る魔刃が、独特の風切り音と共にライダーへと殺到する! 舞い踊る光の剣、その一本が躍り出て死神の鎌を受け止める。鋼鉄の刃が彼の雷電を反射し、眩んだ光を一筋、瞬かせる。 「フフ、驚いたかい?」 喜悦を滲ませるキルバーンの言葉通り、ライダーの眉は微かな驚きに顰められていた。 その剣閃、その速度。暗殺者などと生温い、キルバーンの剣技は一流の領域に手をかけている! 「舐めてもらっちゃ困る。暗殺だけがボクの得意技じゃないんだ。 武器を使っても、まあこれくらいのものさ……!」 お喋りの間も振るわれる鎌は留まることを知らず、縦横無尽に空間を薙ぐ。 様々な方向から、時に呼吸をずらして。空を裂き奏でられる笛の音はさながら死の舞踏でもあるかのように。 的確にライダーを追い詰める。一人でに舞う光剣、その動きが徐々に追いつけなくなる。 「口ほどにもない……これでトドメだ!」 踊りかかる光剣を弾き飛ばして、振り返り様の一撃だった。横薙ぎに振るわれた鎌が、一直線にライダーの胴を狙う。 獲った―――! と、確かにそう思わせる見事なタイミングであったが。 「小癪」 漆黒の空に重い音が響き渡る。 鮮血の代わりに、音が。 堅い感触が死神の腕に伝わったであろう。肩関節がみしりと音立てる。 刃は止まっていた。 機械籠手に覆われた、左の掌で―――! 「何……!?」 「暗殺だけが能ではないと貴様は言ったが。私も言わせてもらおう。 我が力は剣のみに非ず。そう、私にはバリツがある」 掴む鎌を受け流し、返す刃で眼前の胸に紫電の掌底。 打ち込まれる電流を震と散らしながら、死神は叩き込まれるがままに後方へと吹き飛ばされた。 「無刀術か……嫌だねぇ、奴のことを思い出す」 与えられたダメージに蹲りながら、しかしキルバーンは不適に笑みを絶やさない。 何故なら、そう。ここまで打ち合ったというのなら、そろそろ兆候が出始めるからだ。 死神の鎌、振るうごとに掻き鳴らされる特有の音色。 敵手を自覚なき間に貶め、そして幻惑の淵へと誘う死神の吹く笛が、確かにライダーを侵食している! 「けど、それも終わりだ。そろそろ黄泉路へ堕ちてもらおうか……!」 乾坤一擲、これまでに倍する文字通り全力の一撃をキルバーンは放つ。 止められない―――死の音色を聞いた者は皆須らく五感を奪われるべし。正常な認識を失ったライダーはこの一刀にて打ち倒されるのだ! そう、そのはずであったが。 「黙れ。 たかが、揺らめく影ひとつ―――!」 言葉を残して、ライダーの姿が掻き消える。 否、実際に消えているわけではない。驚異的な速度で移動する様が、まるで消えているかのように錯覚させるだけなのだ。 それは、最初にキルバーンの鎌を止めた時のように。 気配察知圏外から、一瞬で間合いを詰めた時のように。 何処へ行ったと、死神は当惑して振り返る。左右、どちらにも彼はいない。 ならばまさかと見上げれば、そこには月光を背に跳躍する男の姿。 中空にて猛々しく、その足を振り上げて――― 「バリツ式―――」 空間が裂ける! 高々と振り上げられた白い彼の踵が、落下しながら死神の鎌を縦に断つ! 紫電を纏った彼の靴。 光剣を伴った彼の体。 それが、鋼を切り裂いていた。 暗い空を一条の雷が落ちゆくように。 砂鉄の絨毯に磁石を滑らせるように。 熱したナイフでバターを切るように。 石畳ごと地面を砕いて、彼はすくと立ち上がる。 勢いのままに地面に突き刺さった光の剣も、ひとりでに。くるりと彼の周囲に集う。 「……バリツ式、雷電踵落とし」 「馬鹿な……」 呆然と呟く声が、漆黒の闇に消えて行った。 「接触したはず、確かに耳にしたはずだ! 精神に、五感に影響を受けるはずでは……」 「我が電磁力を以てすれば、無形の音を斬ることも容易い。 そして」 その言葉に繋げるかのように、ライダーの背後に幾本もの稲妻が地に落ちる! 雷雲、発生源もなしに、しかし蒼白の電光が瞬き、衝撃に地を抉った。 同時、ガラスのような何かが砕ける音が、いくつも。 「貴様が仕掛けた見えざる刃、我が雷電にて打ち砕かせてもらったぞ。 最早打つ手はあるまい」 「こ、こいつ……!」 雷電纏わせる機械掌。己に向けられるそれを前に。 追い詰められたキルバーンは、しかし素顔見せぬ仮面の下で、ニヤリと勝利を確信した笑みを浮かべたのだった。 「ライダー……」 視界の先で行われる戦闘を垣間見て、南条光は心配そうな声をあげた。 ライダーと死神のアサシンとの間でどのような戦闘が行われているのか、分からない。あまりにも速すぎて。 人間である光の目では、その影すら捉えられない。辛うじて、そこで戦闘が起こっているということだけが、激突する大気の振動で理解できたけど。 「……つ、うぅ……」 「あ、お姉さん、気が付いた!?」 その腕の中、抱きかかえられるように瞼閉じるゆりが、苦痛に喘ぐようにうめき声をあげた。 光の声に反応するように、ゆりはその瞼を開けた。憔悴した瞳が、街灯の灯りを反射して鈍く煌めいた。 「あなた……あたしたちを、助け……」 「あ、ああ! アタシたちはお姉さんを助けに来たんだ! アタシ……は、何もできないけど、でもライダーがいるからもう大丈夫!」 朦朧としたゆりを励ますように、光はできるだけ頼もしく映るようにと声をかけた。大丈夫、と断言できるだけの根拠なんてないし、光とて心配なのは同じだけど、でも傷つけられ憔悴した誰かを元気づけられないのに何がアイドルか。 だから光は断言する。自分はあなたを助けに来た、来たからにはもう大丈夫なのだと。 「そう……ありがとう、ね……」 「ううん、礼なんていらないよ。それよりお姉さん、もう喋らないほうが……」 「いえ……あたしにも、まだやれることが、あるから……」 そう言うと、ゆりはだらりと下げられた右手を無理やりに持ち上げる。苦痛に顔が歪むけど、そんなの振り払って宿る令呪を掲げる。 「令呪を以て、命令するわ……セイバー、あたしたちの……」 それは起死回生の一手、この場に己が侍従たるサーヴァントを呼び出す虎の子の最終手段。あの死神を確実に打倒するための切り札。 今それを使う。あの対敵を潰すために、ゆりは魔力込めた命令をここに下そうと――― 「そんなもの使わせるわけないだろバァ~~~カッ!」 「ッ!?」 場違いなまでに響く軽薄な口調に、光とゆりは驚愕と共に振り返る。 そこには、杖の先端をこちらに向け、嘲笑を浮かべた一つ目の使い魔の姿―――! 嗤っていた、ピロロは。キルバーンは。こうなることを予測して、あらかじめ布石を打って。サーヴァントではなくマスターを殺すこの時のために! キルバーンは暗殺者である。武器を使わせても一流の腕を持つ彼は、しかしそのクラスが示すように生粋の暗殺者。詭弁詭道に闇討ち詐術、暗殺こそが生業なのだ。 そも、最初に言った通り、彼はハナからサーヴァント相手にまともにやり合う気など毛頭ないのだ。如何に強いサーヴァントであれ、マスターなしでは生き残ること叶わぬならば、急所たるそいつだけを狙えばいい話である。 ピロロは嗤った。高らかに。己の勝利を確信して、不覚をとったライダーを嘲笑って。 その瞬間、光とゆりは自分たちに打てる手が何もないということを、走馬灯のようにスローとなった視界の中で悟った。 令呪を使ってセイバーを呼び戻す―――間に合わない。 ライダーに命じてこの場に急行してもらう―――間に合わない。 ならば、自分たちが攻撃を躱す―――間に合わない。 間に合わない、間に合わない、間に合わない……何もかもが手遅れで、挽回の機会は永遠に失われた。 死んでしまう、ここで。使い魔の放つ魔術で、自分たちは。 そう確信してしまい、二人はぎゅっと目を閉じた。耐えるように、忍ぶかのように。来たる衝撃に身を備えて。 そして、ピロロの「ヒャダルコ」という詠唱が、二人に向かって放たれた。 ………。 ……。 …。 ――――――――――――――――――。 「が、はぁ!?」 鮮血が舞った。一閃の斬撃音と共に。 空を斬る、次いで何かが倒れる音が一つ。それだけが鳴り響き、辺りは再び静寂を取り戻した。 「……え?」 目を開ける。それは、二人にも予想できていなかった展開故に。 瞼を開いた視界の先、そこにあったのは胸を裂かれて血を流し倒れるピロロの姿と。 一人でに浮かぶ、一本の光剣だった。 「馬鹿な!?」 確信した勝利を外されて、キルバーンは驚愕の色でそう叫ぶ。 それを見て、ライダーはただ睥睨したまま言った。 「……貴様が如き影の性根、見破れんとでも思っていたか。 どのような戦況に陥ろうとも、貴様がまともにやり合わんというのは目に見えていた。故に、備えた」 ライダーはこの場へ急行する直前、お守りだと言って光にあるものを手渡していた。光の目には、それが小さなチェスの駒に見えただろう。 黒磁の素材で構築された小さなチェスの駒。 それこそは深淵の鍵。ニコラ・テスラが有する電界の剣を成す柄にして、神々の残骸。五本あるうちの最後の一つ―――ペルクナスである。 「さて、もう一度言おう。貴様に最早打つ手はない。潔く往生際を知るがいい」 「ふ、ふざけるな! 恐怖の死神と呼ばれたボクを、こけにしやがって……!」 声に混ざる焦燥。 呆然。状況、多分理解できていない。 死神の表情が変わっていた。他者を害する愉悦、見下して止まない自尊、敵へと向ける殺意、それらを塗りつぶすのは混乱と。未知への戸惑いと。 きっと恐怖も。そんな顔をしている。 「恐怖に怯える者が、恐怖を僭称するなど」 その瞬間。 「言語道断!」 彼の全身が輝く! 翠色の雷を激しく纏う! 「……また侮辱したな、ボクを!」 憤怒の気色が、キルバーンを覆う。 「侮辱することは許さない……! ボクは、あらゆる恐怖を我が物とし、全ての人間の生を統括する死の神! キミら如きが及ぶ存在じゃないんだよォ!」 地を蹴り全力で後退すると同時、キルバーンは手刀にて己が左腕を斬り落とした。 それは自暴自棄の表れであるとか、窮状にて狂ったとか、そういうわけではない。それは、彼が有する最大最強の攻撃、そのための準備なのだ。 切り離して左腕を、キルバーンは天高く放り上げる。頭上にて固定された腕は急速に回転を速め、いつしかその総身を巨大な火球へと変じていた。 キルバーンの体に流れる血液は魔界のマグマと同じ成分でできている。オリハルコンをも腐食させる強酸、常軌を逸した超高温。 それに点火すればこのように、万象焼き尽くす神火となって具現するのだ。 仮に、これを名づけるとするならば。 「決めたよ、キミらはここで完全に殺す……! バーニング・クリメイション……魔界の業火に灼かれて消えろォ―――!」 掲げられた右腕を振りおろし、連動して大火球もテスラの元へと投げうたれた。 超スピードで躱されることは考えない。何故ならその背後にはマスターの少女たちがいる。テスラはこれを受け止めるしかないのだ。 それを悟ってか、テスラもまた自分から火球へと突貫した。燃え盛る炎が唸りを上げ、テスラの体の全てを呑みこむ。 「ら、ライダー!」 「馬鹿め、自分から死にに行ったか!」 炎に呑まれた自分のサーヴァントを見て、南条光は絶叫した。それを遠目に見て、キルバーンは思わず愉悦にほくそ笑む。 これだ、この表情だ。 いつもそうだ、人間というものは。死に瀕すれば絶望に堕ち、仲間だ絆だと言う奴ほどそれを失うことを恐れる。寿命が短いから魔族などよりも深刻に考える、人間だけの特徴だ。 キルバーンはそういった人間の表情が大好きだった。 目の前で仲間が、頼れる誰かが燃え尽きていくのに手も足も出せない……! そんな時に彼らが浮かべる、絶望と! 苦悩と! 悲しみに満ちた表情が! 「火葬か。なるほど、皮肉な名だ」 けれど。 炎の中から。声、響いて。 「しかし生憎だが、私の死に場所は既に決まっている」 にわかに、雷が迸って。 「な、何故……」 内側から掻き消すように炎を散らして、テスラが静謐の面持ちで歩む。 全身からは膨大な雷電の放出、その全てが炎を砕いて止まらない。 「如何なる熱量も、 如何なる質量も、 我が雷電を打ち砕くこと能わず」 輝く双眸が、キルバーンを見据えた。 「こんなバカなァッ!?」 絶叫して、キルバーンを腰の剣を抜き放った。 何処からともかく現れた雷がそれを砕いた。 「くそ、くそッ!」 縦に裂かれながらも蠢いて、怒涛の勢いで吹き付ける炎熱の風を、テスラは砕く。 前に歩みながら体でぶつかるだけで砕く。 苦し紛れに再配置されたファントムレイザーを機械籠手が砕く。 再び、槍と化す炎を全身が砕く。 悉く、砕いて。砕いて。 砕きつくしてしまって。 それから――― 「―――!」 瞬間、彼の姿が消えていた。 どこへ消えた、と。相対していたキルバーンも、マスターたる光さえも視線を彷徨わせる間。既に。 「もういい、十分だ」 既に彼は死神の背後へと立っていた。 その両手、輝かせて―――! 「電刃―――」 「《電位雷帝の剣先(Vajra Needle)》」 細い細い、閃光が――― 誰しもの瞳を、白く白く染め上げて――― 轟音が、響き渡った。 ▼ ▼ ▼ 「……相討ちだろうと、俺は構わなかった」 静かな、静かな声があった。 無音の静寂の中、ただその声だけが、漆黒の中に澄み渡った。 「それでも良かった。相討ち(それ)が俺達の、果たせなかった決着の形だというなら。 この命くれてやろうと、俺は腹を据えていた」 睥睨して語る声は、どこまでも静かだった。 「だから貴様が何をしようと構わなかった。 貴様が動いた時、喉笛を射抜いてやることだけを考えていた」 睥睨して放たれる声は、しかし実のところ相手に語りかける類のものではなかった。 それは己に言い聞かせるように、独り言のように、滔々と呟かれた。 「だが貴様は違った。この世に未練を残し、過ぎ去った過去に悔いを残し、故に最期に"勝ち"を狙った。 無用の欲をかき、小細工を弄し、そうまでして死地(ここ)を生き抜きたいと願った」 口元の煙草を摘み取り、深く息を吐く。紫煙が一筋の糸のように流れた。 「故に、斯様な無様を晒すことになった。 ―――なあ、抜刀斎」 「づ、あ……」 そこにあったのは、全てが終わった戦場跡だった。 縦横無尽に切り裂かれたアスファルト、大小様々な無数の斬痕を残すコンクリ壁、まき散らされた鮮血。そして、勝者と敗者。 ―――倒れ伏す緋村抜刀斎と、それを見下ろす斎藤一の姿だった。 最期の一瞬、龍鳴閃が放たれたあの瞬間において、抜刀斎の予想とは裏腹に斎藤は一切の動きを止めることがなかった。 一瞬止まったかのように見えたのは、あくまで技を繰り出すための予備動作だったのだ。それを、抜刀斎は見抜くことができなかった。 牙突・零式。 それは間合いのない密着状態より、上体の発条のみで放たれる最強最後の牙突。 いずれ抜刀斎との決着のためにと考案し、しかし終ぞ使われることのなかった斎藤の奥の手だ。 あの一瞬、斎藤はただこの技を放つことのみを考え、しかし抜刀斎は龍鳴閃と次なる一手という"二手"を要した。 ならば先手を取れるのがどちらかなど論ずるに値せず。 順当に、ここに結果をもたらしたのだ。 「そうまでして聖杯が欲しいか。貴様が信じる新時代とやらが、それほどまでに愛おしいか」 「何、を……言って……」 しかしそれでも、抜刀斎は死んでいなかった。 牙突が放たれたその瞬間、死地にて開眼せし剣士の閃きか、積み上げた修練による結果か。いずれによせ彼は神懸かり的な反応を示し、その直撃を避けていた。 無論、それが無傷という結果に繋がるわけではないのは一目瞭然だ。 常人であった生前ですら、ティンベーと呼ばれる堅固な盾ごと人体を真っ二つにする威力を誇る零式だ。サーヴァントとなり、宝具として昇華された現在において、それは対人宝具として遜色ない比類なき威力を誇る。 事実、抜刀斎は虫の息だ。口からは赤色の濁流が止め処なく垂れ流され、周囲は血の海に沈んでいる。未だ人の形を保っているというそれ自体は奇跡的な事態ではあったが、それだけである。 勝敗は決した。 人斬り抜刀斎と呼ばれた剣客は、ここに敗北を喫したのだ。 「だがな、よく見ろ。この世界を。この街並みを。 戦もなく、疫病もなく、飢餓もない世の在り方を」 哀れむでもなく、斎藤はただ言った。 倒れる抜刀斎の頭を掴み、高く掲げて。 「無論世に悲劇の種は尽きんだろうがな。しかし、貴様が目指した新時代とやらは、既に実現してるんだよ。 貴様や俺達のような過去を生きた人間、そして今を生きる人間によってな」 「あ……」 見せつける。目を逸らせないよう、徹底的に。 かつて維新の志士たちが、幕府を守ろうとした剣士たちが。共に夢見、築き上げようとした未来の形を。 「時代は変えるものじゃない、変わっていくものだ。 そして時代を作り上げるのは、その世を生きる全ての人間だ。死者(おれたち)じゃない」 それは、あるいは手向けであったのかもしれない。 その身を貫く剣の一撃ではなく、あえて言葉によって、斎藤はこの"歪められてしまった"宿敵に最後の慈悲を与えた。 ひとりの人間として新時代を生きた、心優しき不殺の剣士を知る者として。 「まだ、だ……俺は、生きて……」 顔を掴まれ、その半ば以上を影に落とす抜刀斎が虚ろに言葉を漏らす。それは生きるという渇望か、願いを諦めきれないという悔恨か。 しかし、斎藤はそれを聞き届けることはなかった。龍鳴閃によって破壊された聴覚は未だ治癒していないのだ。 斎藤が手を離す。支えを失った抜刀斎の体が崩れ落ち、血の雫が飛び散った。 倒れ伏した抜刀斎を見下ろし、斎藤は今一度、腰の刀を抜き放つ。 一切の欠けがない白刃が、月光を反射して妖しく煌めいた。 振り上げられた切っ先が天頂を向く。物打ちが狙い定めるのは、首級。 風切る音と共に、刃が今、振り下ろされた。 ▼ ▼ ▼ 「ちぃ、どこまで行きゃいいんだよ」 夜の街に聳えるビルを、風のように飛び交う影がひとつ。 月の光を反射して、きらりと光る長い髪は、白銀。 恵まれた体躯をした、男の影だ。夜街を駆ける、加藤鳴海だ。 「あ、あの……」 「? おう」 「なんか、すみません。うちのルーザーが色々と失礼なことをして……」 「……いや、いいさ。アンタは多分悪くないだろ」 男の背から、ひょっこりと顔を出すみく。それに、鳴海は多少無愛想に対応した。 別に嫌いであるとか、敵意があるわけではない。ただ単に、距離感が分からないだけだ。 「っと、こんなところでいいか」 手近なビルの屋上へと着地し、鳴海は言う。背負ったみくを降ろし、腕に抱いていた未央―――未だ失神している―――を優しげな手つきでみくに渡した。 「……未央ちゃん、生きてる。本当に、生きてた……」 「ああ……そういやアンタ、俺のマスターの友達なんだってな」 眠る未央を掻き抱き、みくはここに来てようやく、彼女が生きていたのだという実感が湧いたのか、言葉を震わせて涙ぐんでいた。 それを見下ろす鳴海は、何とも言えない、けれどその奥に優しさを秘めたような目つきをしていた。 「……ありがとな。俺のマスターを気遣ってくれて」 「ううん、私なんて何も……あなたこそ、今まで未央ちゃんのこと助けようとしてくださって、ありがとうございます」 何ともぎこちない、不器用な会話であった。 それもそうだろう。何せ二人は、つい先ほどまで敵と言っていい関係だったのだから。 その垣根を壊したのは、みくのサーヴァントたるルーザーだった。 ―――単刀直入に言おう。僕は今からこいつを殺す。とはいえだ、実はちょーっと厄介な問題があってね。 ―――まあ具体的には僕にも分かってないんだけどさ。でも一つ言えるのは、こいつを殺す現場に僕やきみのマスターを近づけちゃ駄目ってことだ。 ―――そういうわけで、きみには今から二人を連れて遠くまで逃げてもらうよ。なに、きみのマスターを助けたことを思えば軽いもんだろ? ―――まさかとは思うけど、本田ちゃんの親友なうちのマスターを殺したりはしねえよな? 思い出すのは、病院にて交わされたルーザーとの会話だ。いや、会話というよりは一方的な講義であったが。 それが終わった瞬間、鳴海に打ち込まれた螺子は綺麗さっぱり消えて無くなり、鳴海は正気を取り戻した。そして彼の言うままに、二人を連れて逃避行と相成っていた。 鳴海としては、最初からみくを殺すつもりなどなかった。未央の親友云々もそうだが、マスターの、それも子供を殺すなんて真似を、彼がするはずもない。 けれど。 (……今からどうすりゃいいんだ、これ) 鳴海はサーヴァントを打倒することによる聖杯の獲得を狙っていた。サーヴァントを失ったマスターはこの世界の消失と共に消えてなくなることを、それが問題を先延ばしにするだけの逃避であることを承知の上で。 けれど、こうして未央の親友である前川みくがマスターとして現れた。現れてしまった。 死なせるわけにはいかなかった。本田未央の笑顔を取り戻すという、かつて誓った想いに懸けて。 ならば、自分はどうすべきなのだろうか。 泣きじゃくるみくを見下ろす鳴海は、未だ纏まらない思考で呟いた。 自分はどうするべきなのか、と。 『C-9/ビル屋上/二日目・深夜』 【本田未央@アイドルマスターシンデレラガールズ(アニメ)】 [状態]失血(中)、魔力消費(小)、失神 [令呪]残り3画 [装備]なし [道具]なし [金銭状況]着の身着のままで病院に搬送されたので0 [思考・状況] 基本行動方針:疲れたし、もう笑えない。けれど、アイドルはやめたくない。 1.いつか、心の底から笑えるようになりたい。 2.加藤鳴海に対して僅かながらの信頼。 [備考] 前川みくと同じクラスです。 前川みくと同じ事務所に所属しています、デビューはまだしていません。 気絶していたのでアサシン(あやめ)を認識してません。なので『感染』もしていません。 自室が割と酷いことになってます。 C-8に存在する総合病院に担ぎ込まれました。現在は脱走中の身です。 家族が全滅したことをまだ知りません。 【しろがね(加藤鳴海)@からくりサーカス】 [状態]精神疲労(中) [装備]拳法着 [道具]なし。 [思考・状況] 基本行動方針:本田未央の笑顔を取り戻す。 0.これからどうするべきか。 1.全てのサーヴァントを打倒する。しかしマスターは決して殺さない。 2.この聖杯戦争の裏側を突き止める。 3.本田未央の傍にいる。 4.学生服のサーヴァントは絶対に倒す……? [備考] ネギ・スプリングフィールド及びそのサーヴァント(金木研)を確認しました。ネギのことを初等部の生徒だと思っています。 前川みくをマスターと認識しました。 アサシン(あやめ)をぎりぎり見てません。 【前川みく@アイドルマスターシンデレラガールズ(アニメ)】 [状態]魔力消費(中)、決意 [令呪]残り三画 [装備]なし [道具]学生服、ネコミミ(しまってある) [金銭状況]普通。 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を取るのかどうか、分からない。けれど、何も知らないまま動くのはもうやめる。 1.人を殺すからには、ちゃんと相手のことを知らなくちゃいけない。無知のままではいない。 2.音無結弦に会う。未央は生きていたが、それとこれとは話が別。 [備考] 本田未央と同じクラスです。学級委員長です。 本田未央と同じ事務所に所属しています、デビューはまだしていません。 事務所の女子寮に住んでいます。他のアイドルもいますが、詳細は後続の書き手に任せます。 本田未央、音無結弦をマスターと認識しました。 アサシン(あやめ)を認識しました。 ▼ ▼ ▼ それは、全ての因縁が終末へと差し掛かった時のこと。 歪められた人斬りの鬼へと、人を嘲笑う道化人形へと、その刃が振り下ろされようとした時のこと。 『さて』 『ここが終だよ、カワイコちゃん』 周囲に誰もいない、街の中。 ただ一人立つ球磨川は、常と全く変わらない面持ちでそう言った。 『僕は今からきみを殺す。いや、サーヴァントどころか怪異でしかないきみに、この形容は不適切かな』 『ともあれだ、僕はきみをここで終わらせる。僕だけならともかく、みくにゃちゃんまで巻き込むのは本意じゃないからね』 『仕方ない、ああ仕方ないとも。そういうわけでだ』 語る球磨川の腕には、一人の少女が掴まれていた。 透き通るかのような長い黒髪、臙脂の服。奇妙なまでに古風な、それでいて神秘的な。そんな少女が、掲げられていた。 『ベタな台詞だけどね、一応言っておかなきゃいけない。 最期に言い残すことはあるかい?』 「わた、しは……」 微かに唇開く。鼻先より上は影になって、球磨川からはよく見えない。 「……ますたーに」 『うん?』 「わたしのますたーに会うことがあれば、一つだけ」 『……いいよ、聞こう』 彼にしては、珍しく。 心持ち穏やかな声で。 ただ、その言葉を聞いた。 「……たった数日でしたけど、わたしはとても楽しかったです、とだけ。お願いします」 語る少女の頬には。 つぅと一筋、伝って落ちるものがあった。 『……OK、会うことがあれば伝えよう』 そのまま、逆の腕に持つ螺子を構え。 少女の胸に、突き刺した。 ――――――世界がはじけ飛んだ。 ▼ ▼ ▼ 例えるなら、風船がぱちんと割れるように。 空間が弾けた。世界が弾けた。あまりにも呆気なく、簡単に。普通の世界は【なかった】ことになった。 より正確に形容するなら、あやめとは風船に描かれた人物画だったのだ。世界は風景画であり、風船に描かれた背景。あやめはその一部。そこに螺子を突き刺して、割れた。 世界と異世界を隔てる壁は、かくして脆くも崩れ去った。 風船が弾けるように空間がめくれて、その向こうにある"本物"の風景が露出した。 一瞬で世界は塗り潰された。 ……………。 影絵のビルが、摩天楼のように突き立っていた。 無機的な光を放つ街灯が、等間隔で真っ直ぐ並んでいた。まるで葬列のように、ずらりと、遠くまで。 街の中心。 誰もが、空を見上げていた。 夜空は、真っ赤だった。 絵具をぶちまけたように、そこは一色の赤だった。赤い空に、月が、まるで巨大な眼球のように"ぬらり"とした光沢で浮かんでいた。ぽっかりと浮かぶグロテスクな月が、ビルや街灯の影を地に落としていた。 影は、赤い。 赤く、長く、それを映す街路樹は、元の青々とした色を失っているのだった。 葉も、幹も、枝も。白く色褪せ、瑞々しいまでの枯草色と化していた。 赤い闇に、失われた命の色。それが、この世界を構築する全てだった。 耳鳴りが酷い。 気圧が違うのだろうか。だが、大気そのものが違うのだろう。この異界に堕とされた者は、誰もがそれを感覚的に捉えていた。 空気の香りが違うのだ。 やけに乾燥した、その"猛烈な枯草の匂いに微かに鉄錆を混ぜたような"奇妙な香りのする空気は、今まで誰もが呼吸したことのない種類のものだった。 弾けるように世界が切り替わった瞬間、濃密に周囲の空間に満ちた空気だった。 狂った世界の空気だった。 そこにいた全員が、異なる世界に呑まれていた。 下手人たる球磨川禊も。 いざ決着を付けんとする二人の剣客も。 外敵を退け歓喜する少女たちも。 敗れ去った道化師も。 ただ逃避する少年も。 全てが、ここでは平等だった。 その日、世界は本物の"異界"となった。 ………。 ……。 …。 ―――――――――――――――――。 ▼ ▼ ▼ 『大嘘吐き(オールフィクション)』 『僕への干渉を【なかった】ことにした』 こつん、と。 道路に降り立つ者がいた。それは、夜よりも尚暗い学生服を着て。 けれども常に浮かべている薄気味悪い笑みは、鳴りを潜め。 混沌よりも這い寄る過負荷、球磨川禊は現実世界への帰還を果たしていた。 余人には分かるまい、直前まで彼が一体どこにいたのかを。 何も変わらぬように見える街並み。彼が踏みしめる地点より、あと一歩でも後ろに下がればどうなるか。 何もないように見えるその境界を踏み越えれば、途端に世界が様変わりするのだということに。 気付く者は、いない。 『薄々感づいちゃいたけど、こりゃ正直予想以上だ。斜め上というか、急降下爆撃というか。 まあ僕の予想が当たったことなんてまるで覚えがないんだけどさ』 してやられた、というよりは。 幾度も味わい、けれど決して慣れることのないある感覚に襲われて。 球磨川は、その表情を渋いものとしていた。 『やられたよ。まんまとしてやられた。こんな状況に追い込まれた時点で、僕は負けたも同然だったんだ』 例えみくを守るためだとしても。 例え惚れた相手を助けるためだとしても。 無抵抗な女の子を一方的に傷つけてしまうなんて。 『また、勝てなかった』 そんなもの、徹頭徹尾どうしようもなく【敗北】でしかないだろう。 『C-8/街中/二日目・深夜』 【ルーザー(球磨川禊)@めだかボックス】 [状態]『……僕だってセンチな気分になることはあるよ』 [装備]『いつもの学生服だよ、新品だからピカピカさ』 [道具]『螺子がたくさんあるよ、お望みとあらば裸エプロンも取り出せるよ!』 [思考・状況] 基本行動方針:『聖杯、ゲットだぜ!』 0.『また、勝てなかった』 1.『みくにゃちゃんに惚れちまったぜ、いやぁ見事にやられちゃったよ』 2.『裸エプロンとか言ってられる状況でも無くなってきたみたいだ。でも僕は自分を曲げないよ!』 3.『道化師(ジョーカー)はみんな僕の友達―――だと思ってたんだけどね』 4.『ぬるい友情を深めようぜ、サーヴァントもマスターも関係なくさ。その為にも色々とちょっかいをかけないとね』 5.『本田ちゃん、生きてたねえ』『みくにゃちゃんはこれからどうするのかな?』 [備考] 瑞鶴、鈴音、クレア、テスラへとチャットルームの誘いをかけました。 帝人と加蓮が使っていた場所です。 本田未央、音無結弦をマスターと認識しました。 アサシン(あやめ)を認識しました。彼女の消滅により感染は解除されました。 ※音無主従、南条主従、未央主従、超、クレア、瑞鶴を把握。 ▼ ▼ ▼ 「また、面倒なことを」 中空に、迸る一条の閃光。 瞬いた瞬間には、既に人の形を取っていた。 「現象数式領域か、あるいは《結社》の心理強制空間か。 どちらでもないのだろうな。酷似こそしてはいるが、あれは異界法則そのものだ」 両の手には、それぞれ気絶した少女を一人ずつ抱えている。必要だったから、咄嗟に彼がそうした。 あれは人の認識に訴えるものだ。経験上それが分かっていたから、即座に気を失わさせた。見ないものは無いも同然、その理屈である。 「あれを見ては、私の《恐怖麻痺》も通じまい。願わくば、あれに巻き込まれた者が少ないことを祈るしかないが……」 そう言って、テスラは傍らの少女に目線をやる。 「まずはこの少女の治療が先だな。早急な対応が必要になる」 そうして、彼はどこか遠い場所を見つめるように。 瞼を細めた。あるいは、何かを考えているのか。 「……道化人形は逃がしてしまったか。しかし、あれも長くはあるまい。 影潜む者は同じく影潜む者に討たれる。それが関の山であろうよ」 それだけを残すと、テスラは夜の中へと消えて行った。 雷電魔人、未だ倒れることはなく。 【C-8/無人の街中/二日目・深夜】 【仲村ゆり@Angel Beats!】 [状態]不調、全身にダメージ、気絶 [令呪]残り三画 [装備]私服姿、リボン付カチューシャ [道具]お出掛けバック [金銭状況]普通の学生よりは多い [思考・状況] 基本行動方針:ふざけた神様をぶっ殺す、聖杯もぶっ壊す。 0.…… 1.とりあえず、音無と行動。 2.赤毛の男(サーシェス)を警戒する。 死神(キルバーン)、金髪(ボッシュ)、化物(ブレードトゥース)は必ず殺す。 [備考] 学園を大絶賛サポタージュ中。 家出もしています。寝床に関しては後続の書き手にお任せします。 赤毛の男(サーシェス)の名前は知りません。 ケイジと共闘戦線を結びました。 音無結弦と同盟を結びました。 音無が対聖杯方針であると誤認しています。 異界を認識しなかったことにより、その精神にも影響は出ていません。 【南条光@アイドルマスターシンデレラガールズ】 [状態]健康、気絶 [令呪]残り三画 [装備]深淵の鍵"ペルクナス" [道具] [金銭状況]それなり(光が所持していた金銭に加え、ライダーが稼いできた日銭が含まれている) [思考・状況] 基本行動方針:打倒聖杯! 0.…… 1.聖杯戦争を止めるために動く。しかし、その為に動いた結果、何かを失うことへの恐れ。 2.無関係な人を巻き込みたくない、特にミサカ。 [備考] C-9にある邸宅に一人暮らし。 異界を認識しなかったことにより、その精神にも影響は出ていません。 学校鞄(中身は勉強道具一式)、思い出のプリクラは家に置いてます。 【ライダー(ニコラ・テスラ)@黄雷のガクトゥーン ~What a shining braves~】 [状態]魔力消費(小・急速回復中)、南条光と仲村ゆりを抱えている。 [装備]なし [道具]メモ帳、ペン、スマートフォン 、ルーザーから渡されたチャットのアドレス [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を破壊し、マスター(南条光)を元いた世界に帰す。 0.さて…… 1.マスターを守護する。 2.負のサーヴァント(球磨川禊)に微かな期待と程々の警戒。 3.負のサーヴァント(球磨川禊)のチャットルームに顔を出してみる。 [備考] 一日目深夜にC-9全域を索敵していました。少なくとも一日目深夜の間にC-9にサーヴァントの気配を持った者はいませんでした。 主従同士で会う約束をライダー(ガン・フォール)と交わしました。連絡先を渡しました。 個人でスマホを持ってます。機関技術のスキルにより礼装化してあります。 キルバーンに付着していた金属片に気付きました。 ▼ ▼ ▼ それは、発生した異界が収縮するように消え去った後のこと。 「くそ……ボクを馬鹿にしやがって……」 這いずるように遠ざかっていく。 それは人型をしながら、しかし人よりも遥かに小さい影。子供よりも尚小さい。 負った傷を自前で癒しながら、けれども完治には程遠く。痛みをおして遠ざかり行く。 現状、彼を蝕んでいるのは肉体的な損傷の他に、精神的なそれも含まれていた。 かの赤い空を見た瞬間、ピロロはあらゆる思考と感情が消し飛んで脳内が漂白される感触を経験した。それは画布に塗られた少量の絵具が、大津波で諸共に押し流されるように。彼の感性は一時的な喪失状態となっていた。 元が魔界の存在である彼は、それでも辛うじて異界の消滅まで耐えきることができたが。 精神に刻まれた傷は、癒されることなく彼の心象に深く根付いた。 「いや……いや、まだだ……まだ誰もボクをサーヴァントだとは気付いてない。ならまだチャンスはある……!」 ピロロの持つスキルに、正体秘匿というものがある。 生前においてその正体を誰にも知られることなく、最終目的を完遂する直前まで行ったという逸話が昇華したこのスキルは、文字通りピロロの正体を絶対的に隠匿するというものだ。 契約を結んだマスターであろうとも、ピロロをサーヴァントとして認識することは誰にもできない。ピロロは単なる使い魔としてしか表示されず、アサシンのサーヴァントとして認識されるのはあくまでキルバーン。彼を身代わりに、ピロロは如何なる危難であろうとも逃れ得る。 例えばつい先ほどのように。 「魔力なんてそこらの連中を殺せばどうとでもなる……キルバーンさえあればボクがやられることなんてないんだ……! そうさ、誰もボクの正体を知ることなんてないんだから……!」 故に、ピロロは下卑た笑みを絶やすことなく、次なる行動へと移るのだ。 どんな状況に追い込まれても、自分には再起の芽が存在する。 何故なら誰も、例え裁定者であろうとも、自身の正体を知ることはありえないのだから! ――――――――――――――――――。 『こんにちは、ピロロ』 ――――――――――――――――――。 正体を知られることは、ありえない。 その、はずだ。 【C-8/無人の街中/二日目・深夜】 【アサシン(キルバーン)@DRAGON QUEST -ダイの大冒険- 】 [状態]全壊、死神の笛全壊、ファントムレイザー喪失 [装備]いつも通り [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:マスターに付き合い、聖杯戦争を楽しむ。 1. …… [備考] 身体の何処かにT-1000の液体金属が付着しています。 【アサシン(ピロロ)@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-】 [状態]魔力消費(中)、ダメージ(大・ホイミにより回復中)、精神疲労(極大)、ストック0 [装備]いつも通り [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:マスターに付き合い、聖杯戦争を楽しむ。 0.今は逃げる。 1.とにかくキルバーンを復活させられるだけの魔力を補充する。手段は問わない。 [備考] 緊急事態であったため、まだT-1000の液体金属には気付いていません。 しかしじっくり観察すれば気付く事ができます。 異界を認識したことにより一時的発狂状態に陥りました。もう回復しました。 ▼ ▼ ▼ 「俺は……生き残ったのか」 壁に寄り掛かるようにして辛うじて立つ人影が一つ。 夥しい量の血液を流し、無残に切り裂かれた装いで、しかし手に持つ剣だけは決して手放すことなく、緋村抜刀斎は這いずるように歩を進めていた。 「どうなったんだ……俺は、あの時……斎藤は……」 斎藤に敗れ倒れた後、次に目を開いた時には全てが終わっていた。枯草と、僅かな鉄錆が混じったような香りが鼻腔に広がったかと思えば。 凪いでいた。半刻前のように、元治元年の冬のように。 あらゆる物が、消え失せていた。 宿敵たる、斎藤一でさえも。 「どこだ……」 ……流血は既に止まっている。損傷は全快には程遠いが、致命傷に成り得ないだけの浅さまで無理やりに補填が完了している。 身に宿す魔力を用いれば、この程度は魔術の素養のない抜刀斎であろうとも、サーヴァントに備わった治癒能力として再生が可能であった。無論、元々の貯蔵量の少なさと魔力ステータスの低さ、そして負った傷の深さからか、瀕死の重傷であることに変わりはないが。 失血により思考が鈍麻していた。視界が白み、朦朧として考えが纏まらない。しかし、抜刀斎はただ"生きる"のだという根源的な指針に基づいて、生存へと向けて体を動かしていた。 そこが、彼と斎藤の命運を分けた差であった。 斎藤一は一切の未練も願いも持ち合わせてはいなかった。この聖杯戦争に喚ばれたのはあくまで座の気まぐれと語り、当初より悪辣な輩の討伐のみを方針に掲げ、聖杯を破壊するというマスターの意向に否を示さなかった。 それは人生を全うした者としての潔さの表れであったが、同時に死者の生に縋らないという、生の欲求の薄さの裏返しでもあった。 だからこそ斎藤は、土壇場で相討ち必至の剣戟を演じることができたし、その果てに一時の勝利を得ることもできた。 だが、それだけだ。 彼は決して捨て鉢ではなかったのだろう。命ある限り剣を振るい、できるだけ長く生存し悪・即・斬の志を貫こうともしたのだろう。だがそれは、決して生きたいと願っていたわけではないのだ。 抜刀斎は違った。 彼はあの瞬間、誰よりも切実に"生きたい"と願った。生きて聖杯を掴み、焦がれてやまない願いを叶えるのだと、そのために生きるのだと願った。 例えそれが後世の逸話により捻じ曲げられたものであったとしても、それは彼の真であり、生への欲求であった。 生きたいと願った者。偽りの生を唾棄すべきと否定した者。 どちらが生き残るかなど、論ずるまでもないことであった。 異界の残り香は消え果てた。 枯草と鉄錆の匂いはもうしない。 芳るは、ほのかに――― 【C-8/無人の街中/2日目・深夜】 【アサシン(緋村剣心)@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-】 [状態]ダメージ(大)、疲労(大)、失血、魔力消費(大) [装備] [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針: 平和な時代を築く為にも聖杯を取る。 1. どこへ行った、斎藤…… [備考] サーシェスが根城にしているホテルを把握しました。 C-8で発生した戦闘を一部目撃しました。ボッシュ及びブレードトゥースとガン・フォールの戦闘を垣間見ました。仲村ゆり、斉藤一、キリヤ・ケイジ、キルバーンの姿は見ていません。 マスターである神条紫杏と情報を共有しました。 仲村ゆり、音無結弦、加藤鳴海を認識しました。 斎藤一が死んだことに気付いていません。 ▼ ▼ ▼ この物語は、ここでお終いである。 主を守護せんとするしろがねは、二人の少女と共に舞台に関わることはなく。 雷電王はただ己が主命を果たすだけで。 南条光と仲村ゆりは、ただ一時その身を安寧に委ね。 緋村剣心と斎藤一はかつての決着をつけ。 死神はただ逃避し。 負の王たる球磨川禊は全てを台無しにして。 ならば、最後の一人。 死神と雷電王の対峙から逃げ出し、そのまま消え去った少年は一体どうしたというのか。 それは――― ………。 ……。 …。 ―――――――――――――。 赤色の空で。 月が、ひとりでに嗤っていた。 異界の夜。 空には"ぬらり"と光沢を放つ月が瞬いて。 空には月があった。 空には星があった。 しかし、どちらも寓話的に歪んで。 惑星、恒星、衛星の輝きではない。 もっともっと禍々しいものだ。 異界にて孤高なる月。 異界にて異形なる月。 それはまるで眼球のように。 それはまるで相貌のように。 まるで、地上の人々を嘲笑うかのような。 たったひとりで空に浮かび、孤独もなく。寂寥もなく。 あらゆるものを嗤うのか。 あらゆるものに慈悲の瞳を投げかけて。 あらゆるものに侮蔑の瞳を見せつけて。 月が嗤う。 月が嗤う。 虚空に浮かびて嘲笑う、黄金の月が――― 「あやめ……あやめッ!」 その中を、音無結弦はただ懸命に駆けていた。 失ったものを取り戻すように、これ以上失わせないように。 「あやめ、どこだ……くそっ」 ―――異界が発生した瞬間、音無には何故か"それがあやめに起因するもの"であるということが分かった。 状況は分からない。しかし、彼女の身に何かがあったことだけは、分かった。 だから駆けていた。彼女を失うわけにはいかないから、失いたくなかったから。 音無は駆け出し、赤い影に覆われた細い路地を曲がる。更に細い路地の向こうで、誰かの影が見えた。小柄な影、臙脂の色が見えたようにも思う。 病院は近い。音無は更に細い路地へと入る。大通りは駄目だった。直感ではあるが、あそこに行ってはいけないような気がするのだ。"大勢の誰かの気配がある"大通りには。 「待て、待ってくれ……俺は……!」 影は路地の向こうで角へと消える。音無は追い、更に奥へと分け入る。影は更にその向こうの角へ、音無は追い縋り、更に昏い路地へ――― 「!?」 急な暗転に、音無は動転した。 闇が、辺りを包んでいた。今までのような夜の闇ではない。向こう側まで見通せるような、日毎現れるそれではない。 音無を包んでいるのは、一片の光もない、闇。 それでいて地平線の彼方までをも見渡せる、矛盾した闇だった。 闇。 静寂。 ただ、自分の荒い呼吸の音だけが、むなしく宙へと拡散した。 沈黙。 静寂。 …………。 ……………………。 ふと、気付いた。 人の姿に、音無は気付いた。 見ると、遠い向こうに、白い人型が立っている。 音無は、思わず声をあげた。 「あやめ……」 果たして、本当にそうなのか。遠すぎてよく見えない。 白い人型は背を向け、歩み去っていた。 遠くへ、遠くへ。 闇から、闇へ。 徐々に離れていくその姿は、何故だか今にも消えていってしまいそうなほどに希薄だった。 今にも溶けて、消えてしまいそうだった。 酷く、胸騒ぎがした。 「……あやめ!」 呼ぼうとしたが、声が掠れて言葉にならなかった。異常に喉が渇き、喉の奥が張り付いて言葉が出ない。喉は、ただ空気を嚥下して喘ぐことしかできない。 そうするうち、白い誰かは闇に呑まれ、消えてしまった。 その姿に酷い不安を感じ、一歩を踏み出した。 その時だった。 『こんにちは、ユヅル』 闇が、嗤った。 「ッ!?」 囁く声に音無は振り返る。 声はすぐ近くから聞こえた。まるで自分の背中から、耳元で囁かれたように。 音無は、驚愕と共に振り返って。 その向こうにあるものを、見て。 ―――あやめが、いた。 ―――瞼閉じる彼女は、もう二度と動くことはなく。 ―――黒い道化師に、その体を抱かれていた。 音無は見た。瞼の先にあるもの。 一寸の先をも見通せぬ闇の中にあって、しかし地平の彼方まで見通せる矛盾を孕んだ視界の先を。 決して幻ではない。それは、確かに崩壊の中の現実だった。 ―――ああ。 ―――視界の中央で道化師が踊っている。 音無は現実の何たるかを知っていた。そして、視覚がもたらす情報を正確に認識していたはずだった。 しかし、それを音無は疑う。 それはありえない。 闇の中で踊る影。 それはサーヴァントでも、まして人でもなかった。 黒色の道化師。囁きかける何者か。 それは、この街において音無の視界の端にいた。 それは、決して現実ではない幻影のはずだった。 諦めの証。 偽りの街にあって自分が諦めかけているのだと、音無自身に自覚させていた、狂った道化師。 それが、こうして視界の真ん中にいて。 あやめを掴んで離さない。 「お、まえ……は……」 彼は踊っていた。 片腕の中に、瞼閉じるあやめの体を抱いて。 ひときわ高い高い場所にある尖塔の先に立って、道化師は少女を捕え、小さな顎を掴み、滑らかに体を踊らせる。 ―――異界による世界の崩壊と侵食で満たされた中で。 ―――道化師だけが、その影響を受けずに。 「お前は……なんだ……?」 知らず、声が漏れ出た。 無意識の声だった。それは、音無自身も自覚しないままに。 「馬鹿な……そんなことあってたまるか。お前は、俺の……」 呆然と呟く。震える声で、今や消えゆく彼は、静かに呟いた。 「俺の、幻……幻のはずだ……」 『そうだね。でも、そうじゃない』 それは言葉。 耳へと届く声ではない。 崩壊と侵食がもたらす無音の世界に在って、道化師の言葉は確かに音無の耳に届いた。 嘲笑する声。"お前も諦めたのか"という声。 『こんにちは、ユヅル』 『既に天使は失われた』 『だから、共に眠るといい』 『―――諦めるときだ』 瞬間。 視界が再び暗転した。 世界が切り替わった。道化踊る赤色の闇から、元の書割じみた街の情景へ。 踊る道化師の姿は消え失せていた。 代わりに目の前にいたのは、白い人型。 ああ、その姿は、まるで。 「かな、で……?」 それは、音無が求めてやまない姿だった。 もう一度見たいと思った顔だった。 もう一度聞きたいと思った声だった。 もう一度会いたいと思った人だった。 けれど、今はこうして異界の中で。 何か得体の知れない別のものとしか、認識できなくて仕方がない。 『どうして』 問いかける声が、音無に届く。 表情は見えない。俯いたその顔は、暗くて表情が伺えない。 『どうして』 声が届く。 答えられない。彼女は、何を、言っているのか。 音無は答えない。答えられず、ただ、その手を伸ばして――― ばしゃり。 と、水音だけを残して、天使の姿は溶けてなくなった。 水が弾けて崩れるように、白い人型はその姿を散らせていた。 「あ、あ……」 音無は、ただそれを見つめていた。 今まで天使がいた空間を、見つめていた。 口から漏れ出るのは悲鳴だ。それは喪失から来る悲嘆か。 いいや違う、音無は歪んだ表情をして、そこに込められた感情は、恐怖。 「あ、ああ、あ――――ああああああああああああああああぁぁぁぁああああぁぁぁああぁぁああぁぁッ!?」 音無は空間の一点を見つめ、ただただ悲鳴を上げていた。 今まで天使がいた空間。今は誰もいない。水音と共に、弾けて消えた。 しかし何が見えるのか。音無はそこに視点を固定したまま、叫んだ。 音無の顔は、歪んでいた。 今まで天使がいた、今は何もない空間の地面から、まるで今そこに天使が立っているかのように人の形をした影が伸びていた。 赤い、赤い影。 そこに何がいるのか。 音無は何を観たのか。 次の瞬間、吹き抜ける風と共に空間が鳴動し、赤に染まった異界の風景は一瞬にして"元の世界"へと戻っていた。 月が、空が、影が、草木が、瞬く間に元の色を取り戻した。風に持ち去られるように、異界の空気が失われた。 元の姿へ戻った世界は、何もなかったかのように、ただ無機質な静けさのみを湛えていた。 異界があったという痕跡は。音無結弦という少年がいたという証は。 最早どこにも残されていなかった。 【あやめ@missing 消滅】 【斎藤一@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 消滅】 【音無結弦@Angel Beats! 消滅】 ※C-8の特定箇所を中心に同エリア内の一定範囲に異界が発生し、範囲内のNPCが全滅しました。現在は終息しています。 BACK NEXT 052 そしてあなたの果てるまで(前編) 投下順 053 願い、今は届かなくても 052 そしてあなたの果てるまで(前編) 時系列順 053 願い、今は届かなくても BACK 登場キャラ NEXT 052 そしてあなたの果てるまで(前編) 仲村ゆり セイバー(斎藤一) GAME OVER 音無結弦 アサシン(あやめ) 本田未央 055 そして、彼らは手を取った しろがね(加藤鳴海) アサシン(緋村剣心) 前川みく 055 そして、彼らは手を取った ルーザー(球磨川禊) 南条光 060 その願いは冒涜 ライダー(ニコラ・テスラ) アサシン(キルバーン・ピロロ) 057 戦の真は千の信に顕現する 042 生贄の逆さ磔 天使 053 願い、今は届かなくても