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初代のマリオブラザーズって、ファミコン発売の最初から販売してるんじゃないでしょうか? 実は先日実家に帰った際に、母親から「あんたのマリオブラザーズのカセット出てきたよ」と渡せれました。 でも、カセットがあっても本体が無いとどうしようもありません。。。 しかし、ファミコンのカセットって基盤むき出しですよね。 改めてすごいなと。ザックリ差し込んで動かすって、今どきは普通CDとかDVDとか、 いわゆるメディアですよね。フロッピーもそうですよね。 けど、基盤って、ハードウェアって感じですよね^^
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朝の騒がしさに起こされたリトは眠たい目で時計を確認した。時計の針は丁度7時を指していた。 「ったく、朝っぱらから何なんだよ?」 いつもならまだ寝ている時間でもあり二度寝しようにも目がさえて眠れなかった。 「とりあえず、起きるか」 リトは着替えを済ませリビングへと向かった。 「おはよう!リト」 リビングには何やら不思議な機械を手に持っているララがいた。リトは朝の騒がしさの原因はララだと気づき髪を掻きながらララに言った。 「…お前、こんな朝早くから何やってんだよ?」 「新しく作った発明品を試してたんだよ~♪」 そう言うと手に持っている機械をリトの方に向けた。 「これはね、クルクルクロックっていって、このダイヤルを使って記憶を復元出来るんだ♪」 「記憶?復元してどうするんだ?」 「記憶を復元して忘れ物とかをなくすことが出来るの。これさえあればもう忘れ物をしなくてすむよー」 ニコニコと嬉しそうに言うララにリトはよかったじゃんと言い自分の部屋に戻ろうとした。 「待って!リトもクルクルクロックを使ってなくした物を取り戻したくない?」 「ん~そうだな。俺もなくして困ってた物があるしな。お願いするぜ」 「了解♪リトがなくして困っていた物って何?」 「唯から貰ったお揃いの携帯ストラップなんだ…3日前から見当らなくてずっと探してたんだ」 リトの言葉を聞くとララは手に持っているクルクルクロックのダイヤルを回し始めた。 「これでOK!後はクルクルクロックがリトの記憶を復元してくれるから」 「サンキュー。これで見つかりそうだよ。正直唯に色々と聞かれてまいってたんだよな~」 そう言うとリトは何かを思い出したのか自分の部屋に行ってしまった。10分も経たないうちに嬉しそうな顔をして戻って来た。 「ララ!あったよストラップ!本当にありがとうな!助かったぜ!」 リトの嬉しそうな顔にララも嬉しくなって笑顔になった。色々話してるうちに美柑が起きてきたので制服に着替える為に部屋に戻った。 皆で朝食を食べ終え学校に向かう。行く途中で唯が待っていた。 「おはよう。結城君」 今朝も寒かったけど、唯にとってはリトと会えるという想いが寒さえ感じさせないでいた。 「……」 「ちょっと!結城君!私が挨拶してるのにどうして黙ってるわけ?」 いつもだったら笑顔でおはようと返してくれるリトなのだが今日は何か様子がおかしい。 「あのーあなた誰ですか?」 「えっ?」 リトはララに誰だよ?と聞いて唯の方を見た。 「結城君!ふざけてるの!」 唯は声を大きくしてリトに言った。 「誰だよ?馴れ馴れしい。俺はお前の事なんか知らないって言ってるだろ?」 いきなりなことだったため唯は何も言う事が出来ずに俯き目には涙をうかべていた。 「ったく、朝からめんどくさいことにあっちまったな」 そう言うとリトはララと唯をおいて走って行ってしまった。 「ま、待って!結城君!」 唯の言葉もリトには届かず行き交う人の中に消えていった。唯は俯いてしばらくその場から動くことが出来なかった。 「結城君、どうして?」 リトに嫌われたのではないかと不安になる唯にララが優しく声をかける。 「今日のリト何か変だよね?唯にあんなこと言うなんて」 今にも倒れそうな唯に肩を貸し二人で学校へと向かった。 唯は学校でも何度もリトに話しかけたがリトは他のクラスメートと話していて唯の話を聞こうともしない。 放課後になってもそそくさと帰ってしまい、唯と顔を合わせることはなかった。 唯は一人寂しく帰ることになり、不安な気持ちでいっぱいだった。 リトと付き合い始めて一人で帰ることが少なくなり、自分がどんな遅くなってもリトだけは待っていてくれた。 暗い夜の帰り道もリトがいてくてたから安心できた。触れるリトの手の温もりを感じながら帰るのが唯にとってかけがえのないものとなっていた。 けれど、今はリトはいない。その寂しさに押しつぶされそうになりながら、家に帰った。 家に帰っても唯は部屋に閉じこもり一人考えていた。 「結城君、私のこと嫌いになったのかな?私がいつまでも素直にならないから…」 リトのことを考えると夜も眠れなくなる。あの日、リトが初めて自分に好きだと告白してくれた日、自分の想いをリトに言えた日、その日を思い出すたびに身体中が熱くなる。 二人の想いは通じ合い決して離れない絆になった。 けど、今その絆が消えてしまいそうになっていた。 消えてほしくない!リトとの思い出だけは失いたくない! その想いを胸に抱いて眠りについた。 翌朝 今日は学校も休みなため朝からどこかに出かけようと思い、着替えていると電話が鳴った 「…はい、もしもし?古手川です」 『あの…私、唯さんのお友達のララですけど、唯さんいますか?』 「ララさん?どうかしたの?」 電話の相手がララだということに驚いた。ララが自分に電話をしてくるなんて思いもしなかった。 『唯?よかった。リトのことで話があるから電話したんだ』 「結城君のこと?何?」 『実は昨日リトの様子がおかしかった理由がわかったの』 「えっ?」 『リトの様子がおかしかったのは、私の発明品のせいなの…』 「発明品?」 『うん、私が発明したクルクルクロックのせいなの。クルクルクロックは人間の記憶の復元が出来るの、昨日の朝リトが探し物をする時に使ったんだけどその時何かのトラブルで記憶を消去するプログラムが発動したみたいなの』 『記憶が消去されるプログラムは一時的なものだからすぐにリトの記憶を復元出来るよ』 「そうなの…わざわざ教えてくれてありがとう」 『うん!けど、一つ心配なことがあるんだ』 「心配なこと?」 『記憶を復元して唯のことを思い出すとは限らないの、もしかしたら唯のことを思い出せないかもしれない…』 ララの言葉に声が出なかった。リトが自分のことを忘れてしまう。セリーヌと一緒に行った海のこと、二人で買ったお揃いの携帯ストラップのこと、そして、自分に好きだといってくれたこと全部忘れてしまう。 「そんなの嫌……」 リトとの思い出が全部なくなってしまう。やっと想いが通じ合ったのに。唯の目に涙が溢れてきた。 「何か…方法はないの?」 電話越しの弱りきった唯の声にララも不安になる。 『一つだけ方法があるよ』 「教えて!何をすればいいの」 『二人の絆が強いことを証明すればいいよ』 「証明?証明って何をすればいいの?」 『リトの記憶が戻る瞬間に唯がリトにキスをすることなの』 「キス…」 『二人の絆が確かだって言うことを証明しなくちゃいけないの』 リトとは何度もキスをした唯なのだが、今回のキスは普段しているキスとは違う。 二人の絆を確かめるためにするキス、唯はそのキスの重要性に気がついた。 「わかったわ。これから結城君のお家に行くから」 『うん』 ララとの電話を切ると唯は急いでリトの家に向かった。 「唯。あがって」 「おじゃまします」! 唯は靴を揃えて家にあがるとララ言われてリト部屋のある2階に上がった。 リトの部屋に着くとララ手に持っているクルクルクロックのダイヤルを回した。 「唯!今だよ」 ララ合図に唯がリトに近づく。 「結城君、お願い思い出して」 そう言い終わると唯はリトにキスをした。 「リト今寝てるから起きたら全部思い出してると思う」 「そう」 唯はリトが起きるまで待ち続けた。一分ごとに時計を見ていたので待つのが長く感じた。 30分くらい経った頃ララが。 「唯。もう来てもいいよ」 と言ったのでリトの部屋に行った。 「唯!お前どうしたんだ?家に来て」 不思議そうに唯を見るリトに唯は泣きながら言った。 「もう!心配したんだから!バカ!」 「どうしたんだよ?急に泣き出して」 「バカ!バカ!バカ!結城君なんかもうしらないっ!」 リトは唯がどうして怒っているのかのわからずにいた。 「ごめん。唯、何か心配かけたみたいで」 「けど、よかった。結城君が私のことを忘れなくて」 「当たり前だろ!俺がお前のことを忘れるわけないだろ?」 「うん」 昨日の夜からリトのことが心配で全く眠れなかった唯は疲れ果ててリトのベッドで寝てしまった。 その寝顔を見ながらリトは言った。 「俺、絶対唯のことを離したりしねぇからな」 リトの腕の中で眠る唯に優しく布団をかけた。 「心配かけちまったみたいだな…」 リトのベッドで眠る唯の頭を撫でると 眠っている唯を起こさないように部屋を出た。 リビングではララがクルクルクロックを分解していた。 「リト目が覚めてよかった」 「お前は何をやってるんだ?それよりさ、どうして唯が家にいるんだ?」 「それはね…昨日の朝リトがクルクルクロックを使ってストラップを見つけたでしょ? その時にリトの記憶を消去するプログラムが発動して、唯のことを忘れててたんだ」 「そうだったのか」 「ごめんねリト。私のせいで唯につらい思いをさせちゃって…」 申し訳なさそうにするララにリトが言った。 「気にすんなって、それにララの発明品があったからストラップを見つけることが出来たんだぜ?本当にありがとうな!感謝してるぜ」 リトの言葉にララの表情も明るくなり、いつもの元気が戻った。 その顔にリトも嬉しくなり頬が緩んだ。 「そろそろ、美柑が帰ってくる時間だな」 リトは時計で時間を確認した針は12時を指したところだった。美柑は唯が来ていると知り、人数が増えたからといい昼食の買い物に行った。唯が来たのが11時ごろだったからもうそろそろ帰ってきてもいい時間だった。 「ただいま」 「おかえり」 リトが時計を見て10分も経たないうちに美柑が帰ってきた。手には大きな買い物袋を下げていた。リトが重いほうの買い物袋を持ち、冷蔵庫の前まで運んだ。 「ありがと、リト。ところで唯さんは目を覚ましたの?」 「いやっ、まだ寝てるよ」 「まだ寝てるよじゃないでしょ!あんた唯さんの側にいないと駄目じゃない!昨日唯さんをほったらかした分一緒にいないと駄目に決まってんじゃん」 「けどな~唯を起こすのも悪いだろ?」 「リト!唯さんがあんたのことどれだけ心配してくれてたと思ってんの?朝会った時に唯さんの顔を見たけど、多分唯さん殆んど寝てないと思うよ。きっとリトのことが心配だったのよ」 「私のことはいいから早く唯さんのとこに行ってあげなよ」 「わかったって、そんなに怒るなよな…」 「ったく、美柑のやつあんなに怒ることねぇのにな…」 リトはぶつぶつと文句を言いながら唯の寝ている自分の部屋の向かった。自分の部屋なのだが、今は唯が寝ているからかかなり緊張していた。 ノックをして部屋に入る。 「唯?起きてるか?」 「…ん?」 「悪い起こしちまったか?」 唯はリトが入ってくると乱れた髪を整え、まだ眠たい目でリトの顔を見た。 「結城君?どうしたの?」 「あのさ、美柑にお前の側にいてやれって言われたから、その…」 「美柑ちゃんに言われたから私のところに来たんだ?」 唯は冷たい目でリトを睨んだ。睨まれたリトは慌てて言い直す。 「いやっ、そのさ…俺も唯のことが心配だったから」 「ふーん」 唯は不満げな目でリトを見ると、まあいいわと言ってベッドから起き上がる。 「ところでさ、唯、お腹へってないか?美柑が昼飯の準備をしてるから一緒にどうだ?」 「うん」 唯は快く返事をすると、リトと二人でリビングに行くことにした。 「結城君、ちょっと待って!」 「ん?どうした唯?」 「…あのね、お、お願いがあるんだけど…」 「何だ?俺に出来ることなら何でもいいぜ?」 「う、うん。あのね…もう一回キスしてもいい?」 「えっ?」 「お願い、もう一度だけ結城君とキスがしたいの」 「わかったよ、キスしたら飯を食べに行くからな?」 「うん」 二人は唇を重ねる。 今までなんどキスをしてきたけど、唯の方からキスがしたいと言ったのは初めてだった。 リトと唯はお互いの気持ちを確かめ合うようにキスをした。 「じゃあ、そろそろ行くか?美柑が待ってるし」 リトは立ち上がると唯の手を握り、唯もそれに応えた。 昼食を食べ終え唯は美柑と後片付けを始めた。リトは雑誌を読み、リラックスしていた。 「それじゃあ、私そろそろ帰らなくちゃ」 時間はもう5時になっていた。 「唯さん、夕飯も食べていけばいいのに」 「ありがとう。美柑ちゃん、でも家族が心配すると思うから」 「そうだね、リト唯さんを送ってきなよ」 「そうだな、もう暗いし、唯を一人で帰すわけにはいかねぇもんな」 リトは唯を家にまで送ることになり、部屋に上着を取りに行った。 「おまたせ、んじゃ、行きますか~」 「うん」 夜の道を二人で並んで歩く、寒そうにしている唯にリトは自分の着ているをかけた。 「寒いだろ?これを着てろよ、温かいぜ」 「ありがとう」 「唯に風邪をひかれちゃ困るしな」 「でも、それじゃあなたが寒いじゃないの…」 「俺は平気だぜ!風邪なら前にひいたからな」 「駄目よ!私だって結城君が風邪をひくなんか嫌なんだから…」 そう言うと唯はリトに寄り添った。 「これで、ちょっとは暖かいでしょ?///」 「ああ、ありがとうな唯///」 二人はお互いの身体を温めあいながら夜の道を歩いた。 「あのさ、今日は本当にごめんな。お前に心配ばかりかけて」 「気にしないで、私もあなたのことが心配だったから。でもよかった元に戻って」 「俺、もう唯を哀しませるようなことはしないよ。だから、唯はいつも笑顔でいてくれないか? 俺、唯の笑顔が好きだから///」 リトは照れくさそうに唯に言った。その言葉を聞いて唯は嬉しくなった。 「私もよ、私もこれからもずっと結城君と一緒にいたい。どんなことがあってもあなたを信じるから」 「ありがとうな」 二人は再び唇を重ねる。お互いの想いを確かめ合い、絆を深めるために。 「浮気したら許さないんだから!」 「しねぇよ!俺にはお前がいるんだから他の子のことなんて考えねぇよ」 「本当に?」 「本当だって!」 「わかったわ、結城君を信じる。あなたを信じることは私自身を信じることになるから」 どんなことがあっても離れない、私たちは強い絆で結ばれているの。 二人ならきっと大丈夫、あなたがいるからきっと乗り越えられる。 冬の寒い夜にもリトと唯だけは温かい思いでいっぱいだった。 「絶対に離さないでよ結城君!」 「ああ、どんな時でも一緒にいような!唯」 二人の未来はまだ始まったばかり。二人の歩む道は同じ道に今重なり一つになった。 -Fin-
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不穏な予感の、早い風が吹いて、暗い雲が徐々に空を覆い出していた。 …何だか、あたしの気分を反映してるみたい。 「あ〜ちゃん、雷来そうじゃけえ、早よ帰ろ」 あたしは足早に歩きながら、自分の中の暗い感情を隠すように、出来るだけ明るい口調で言った。 「うん、ごめんね、ゆかちゃん、うちにつき合わせて」 「…何言っとるん。いつものことじゃろ」 あたしは笑った。あ〜ちゃんを安心させる為に。 あ〜ちゃんはワガママ天然娘に見せて、実は鋭い。あたしの声音で、あたしの感情の揺らぎをすぐに察する。 そしてもっとすごいのは、あたしの気分を読み取ったうえで、決して立ち入って来ないことだ。 あたしが自分の感情に触れてほしくないと望んでるとこまで、正確に読み取る…こわいくらいに。 だからあたしは、今ちょっとイライラしてるのは夕立が近いからだ、とあ〜ちゃんに思わせる為に、からかうような口調で、 「こんだけつき合ってあげとんじゃけえ、いい加減のっちへのプレゼントは決まったじゃろ」 「…うん、だいたい」 「でもまだ2ヶ月も先じゃけどね…気の早いことで」 「だ〜って、のっちのセンスってうちにはよう分からんけえ、あたりをつけとらんと…」 あ〜ちゃんはごにょごにょとそっぽを向いた。…可愛いなあ、あ〜ちゃん。 ここ最近、放課後はあ〜ちゃんに付き合って、のっちの誕生日プレゼントの下見…下見だよ!?2ヶ月も前なんよ!?ありえんじゃろ。 のっちとちゃんとつき合い出してから初めてのプレゼントだから、気合いを入れたいんだそうな。 あ〜ちゃんからのプレゼントだったら、のっちは何でも喜ぶのに。 それこそ使い古しのパジャマでも、涙を流してありがたく受け取ると思う…ってゆかがそんなことさせんけど。 「…でものっち、怒っとらんの?」 「へ!?何を!?」 「ここんとこ、ゆかがあ〜ちゃんの放課後独占しとるけえ…」 「あ〜、大丈夫じゃろ。うちとゆかちゃんのただならぬ関係を、のっちは知っとるけえ」 あ〜ちゃんは笑って、じゃれるように腕をからませてきた。 あたしの胸が騒ぎ出す。 なだめていた感情が、静かな嵐のようにわきおこる。 あ〜ちゃんは無邪気で。その無邪気さは、ゆかが何にかえても守りきると決めた、一等大事なもので。だからゆかはとうの昔に覚悟を決めた…のに。 ここんとこ、あ〜ちゃんを独り占め出来たから、ゆかは欲張りになってる。 あ〜ちゃんの幸せが、何より自分の望んだもので、あたし自身の幸せよりも尊くて、愛おしいもの。その考えに変わりは無くても。 時々、思うんよ。 何であ〜ちゃんは、あたしの下らない感情の動きは読めるのに、たった一つの想いには気づかないのかな。 そんなの、ゆかが全力で、全身全霊で隠しとんじゃけえ当たり前なんじゃけど。 分かっとるけど、どうしようもなく、身を切られるように感情が波立つことがある。 あ〜ちゃんの晴れやかな笑顔を見ると、愛おしさが暴力的に吹き荒れることがたまにあって。 …でもそんな通り雨のような感情で、あ〜ちゃんの頬を濡らすことを思うと、また身を切られるような痛みを感じて…結局、身動きがとれない。 いっそのこと何もかもなぎ倒してしまえたら。あたしの想いに心中させてしまえたら。…なんて、嫌な考え。 夏のうだるような暑さの中、不快指数は増すばかりで。不穏な嵐を自分の中に抱えてる。 ぽつんと、大粒の雨が降り出した。空はいつの間にか、すっかりと暗い雲に覆われて。 痛いような雨が、鋭く落ちてくる。遠くから迫ってくる雷の音。 「…あ〜ちゃん!」 「…ゆかちゃん!」 あたし達は同時に悲鳴のような声を上げて、お互いの手をぎゅっと握って、雨の中走り出した。 追いかけてくるような、雷の音。雨足が早くなる。 「と、とりあえずバス停に逃げ込もう…!」 あたし達がバス停に転がるように飛び込んだと同時に。 空を割く稲光と、とどろき渡る雷の音。近い! 「やだ〜!!」 「こ、こわい!!」 あたしとあ〜ちゃんはぎゅっと、抱き合った。また大きな雷鳴が響いて、悲鳴を上げてお互いにしがみついた。 バス停の頼りない屋根を激しく打つように雨は降る。空が割れて落ちてくるような、雷の音。 あ〜ちゃんの髪も制服も濡れてて。恐怖と興奮で汗ばんで、熱を帯びてる。 あたしはしがみついてくるあ〜ちゃんに、自分もしがみつきながら。 泣きそうに心の中で叫んだ。 雷が落ちるなら、ゆかに落ちて下さい。あ〜ちゃんには落ちないで下さい。 あたしが嵐を呼んだ気がして、怖くてたまらなかった。 ゆかが、あ〜ちゃんの不幸を望んだから。ゆかが、あ〜ちゃんを独り占めしたくなったから。 のっちのプレゼントを真剣に選んでるあ〜ちゃんが、けなげで可愛くて、そんな幸せそうなあ〜ちゃんに、あたしは…ひどいことを思ったんだ。自分勝手な愛しさが暴れてたんだ。 雷が、あたしの抑えきれなかった嵐のような感情への天罰に思えて。 稲光にあたしはビクっと体を震わせた。 そんなあたしをあ〜ちゃんは強く抱きしめた。 「大丈夫じゃけえ、ゆかちゃん」 少し震えるような声で続いたあ〜ちゃんの言葉に、あたしは泣きそうになった。 「大丈夫、あ〜ちゃんがおるけえ、ゆかちゃんには絶対に雷は落ちん」 あ〜ちゃんの手が、ゆかの背中にしがみつく。 あたしを罪に駆り立てるのもあ〜ちゃんなら、あたしを許し、救うのもあ〜ちゃんだ。 激しい雨にけぶる視界。雷が遠ざかる気配を感じながら。 あたしは、決して伝えるつもりはない想いをこめて、あ〜ちゃんを抱きしめた。 終わり
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ー1ー ドアが開き、バスからこなたが飛び出てくる。 「よっと。っとっと」 長い間座っていた為、足取りがおぼつかない。 「どうも~」 二人分の料金を払い、そうじろうが後に続く。 警笛を鳴らし、バスが去って行く。 「このすぐ近くなんだが…あ、あったあった!」 バス停から少し歩いた所に、目的の場所はあった。 山間の少し寂れた宿屋。強いて名前を付けるならボロ屋旅館。 それほどまでに廃れ、朽ち果てた、とまでは言わないが、 老朽化した宿に二人は到着した。 「大丈夫なの?お父さん」 「まぁ、まだやってるって事は、大丈夫だろ?行くぞ、こなた」 暖簾をくぐり戸を開けると、中は思った以上に綺麗だった。 入り口には花が生けられ、木彫の像や掛け軸、 奥には売店やゲームコーナーも見て取れた。 ボロ屋から一転、そこは極ありふれた、普通の旅館の様であった。 ー2ー 「ごめんください」 声をかけると、奥から着物姿の女性がやってきた。 「予約してた泉です」 「ようこそ、いらっしゃいませ。…お久しぶりですね、泉さん」 女性は優しく微笑んだ。 女性に案内され、床張りの廊下を進むと、『ぼたんの間』という部屋に到着した。 手際良くお茶の用意をし、二人にそれを差し出して、女性は去って行った。 「お父さん、知り合いなの?」 お茶を飲みつつ、こなたが聞いてきた。 そしてそうじろうも一口。 「昔来た事があってな。その時の女将さんがあの人だったんだ。 よく覚えていてくれたな」 「一人旅?」 「いや、俺とお前とかなたの三人だ。 お前はちっちゃかったからな。覚えてないだろ?」 「…うん」 少し寂しそうなこなた。 「そっか。いいとこだぞ?ここは」 ー3ー 仕事が一段落したのを機に、家族で旅行に出た事があった。 山に行くか海に行くかどちらか迷って、俺とかなたは こなたに行きたい方を選ばせる事にした。 「こなた、お山に行きたい!」 生憎あの頃のこなたは水が嫌いで、海には行きたがらなかった。 宿に入る前に牧場や動物園を散策し、疲れを忘れて三人で遊びまわった。 お昼は確か、美味いと話題だったうどん屋ですませたはずだ。 家族セットと言うのがあって、これが思った以上の大盛りで、 みんなで吹いた記憶がある。 体の小ささと反比例するかなたの胃袋、 こなたもうまうま言いながら、一生懸命頬張っていた。 なんとも微笑ましい光景だった。 「よくいらっしゃいました」 旅館に着くなり、ふくよかな年配の女性が俺達を迎えてくれた。この旅館の女将だ。 彼女は俺を見るなりこう言った。 「あの、失礼ですが、泉さんって、作家の泉さんですか?」 「え、ああ、まぁ、…そうですけど…」 ー4ー 聞けば、彼女はかなりの読書家で、俺の顔は 本に載ってた写真で知ったらしい。 まさかこんな所でこんな出会いがあるとは。 彼女は時間を見計らって、俺の元へ本を持ってくると、 そこから一人サイン会が始まった。 なかなかの情報通というか、俺の知らない業界の話や、 自分の事等、色々話してくれた。 その間かなたはこなたをあやしていたけど、 突き刺さる視線がちくちくと痛かった。 部屋を去る際、彼女は 「露天風呂を貸し切りにできますが、如何でしょう?」 と、問掛けてきた。 喜んで!露天風呂は温泉の醍醐味!断る理由は有馬温泉!! たまにあるんだよな。家族風呂ってんで貸し切りにしてくれる旅館。 幸いこなたも付いてきてくれて、風呂ながら、家族水いらず。 三人で洗いっこしたり、浸りながらの一杯も最高だった。 「なんかさ、こうつかってると、嫌な事とか忘れちゃうよな。 俺は世界一の幸せ者だよ。かなた、こなた」 「しやわせー!」 万歳をするこなた。 「もう、そうくんったら」 かなたも笑っていた。 幸せの一時、最高の休日だった。 ー5ー 畳に寝転がり、んー!と伸びをするこなたとそうじろう。 極めて平和的な、休日の昼下がり。 「こなた、ちょっと散歩に行かないか?」 横に寝そべるこなたをちら見し、そうじろうは声をかける。 「う~ん。いく~」 気だそうなこなたの返事。でもその声からは嫌嫌しさは感じられない。 いつも通りのこなたの返事であった。 よっ、と起き上がり、もう一度伸びをするこなた。 そんな娘の姿を見て、ほくそく微笑む父。 「何?娘を卑らしい目で見ないでよ!」 当のこなたも本気ではなく、それは日常のふざけ合い。 親子の、いたって普通のコミュニケーション。 「よっし、いくぞ、こなた」 すくっ、と立ち上がって、カメラ入りの小さなバッグを手に取るて いそいそと二人は部屋を後にした。 人気もなく静かなロビー。ゲーム機から流れるメロディ以外は音が聞こえない。 「あれ?お父さん、あれ」 こなたの指差した先に、壁に掛けられた一枚の写真があった。 仲の良さそうな、家族の記念写真。 それにはそうじろうかなた、小さなこなたに女将が写っていた。 「懐かしいな~。確か帰り際に頼まれたんだよ。一緒にお願いしますって」 四人の記念写真。旅館を背に四人が笑っている。 小さいこなたも勿論笑っていた。 「取っといてくれてたんだ…それにしても若いよな~ かなた、ほんとお前にそっくりだ。逆か?ははは」 写真の中のかなたは、しとやかに微笑んでいた。 ー6ー 旅館を出て裏道を少し行くと、その先に林道があった。 更に進むと、眼前は断岩絶壁。 頭上を遥かに仰ぐ、巨大な滝がそびえていた。 手前の縁には手摺が携えられ、東屋も建っている。 そこはさながら、憩いの場でもあった。 「凄いだろ。自然の壮大さを感じると言うか、想像が膨らむよな」 轟音を放ち、水が絶え間なく滝壺に落ちていく。 覆い茂る樹木が、しぶきを浴びて七色に煌めいていた。 まるで絵や映像作品、そのままの風景。 「そうそう、ここでな、かなたに高い高ーいってやったら、本気で怖がってな お前はきゃっきゃって喜んでたのに」 縁に立って、そうじろうは高い高ーいの仕草をして見せた。 「お父さん」 こなたの言葉と共に、風が吹き抜けた。 「ん?何だ?こなた」 少しだけ肌寒い、微風。 「この旅行ってさ、もしかしたら、お母さんとの思い出探しか、何か?」 こなたの顔は、風に吹かれて愁いていた。 ー7ー 「ここに着いてからお父さん、『かなたがな』『かなたがさ』って お母さんの話、よくしてる」 「え…いや…その…」 「私さ、お母さんとの思い出、全然ないから、少しだけ…悔しい」 「すまん…その、そんなつもりじゃなかったんだが…すまん、こなた」 「謝んないでよ。ていうか私もごめん。…悔しいけどさ、嬉しいよ。 色々なお母さんが知れて。 だからさ、もっと聞かせてよ。お母さんの話」 風が止んだ。こなたの顔と声も、いつの間にか元の明るさを取り戻している様だった。 「こなたぁ」 屈み、こなたの肩を抱くそうじろう。 瞳は潤み、今にも涙が溢れてしまいそう。 「もう、お父さんまでそんな顔しないでよ。 お母さんじゃないし、代わりにはなれないけでさ、 今は私がいるじゃん。今日も楽しもうよ。楽しませてよ。ね?」 微笑みながらぺちぺちと父の頬を叩くこなた。 「うぅぅ」 鳴咽、頭を垂れて娘の肩でそうじろうは泣いた。 「…も、もぅ、しょうがないなぁ…」 今度は親が子にする様に、頭を優しく撫でてあげる。 「俺は…俺は嬉しいよ!よし!お前ももう一度高い高いだ!」 「え?」 腰を掴み、こなたを掲げるそうじろう。 「ほ~らこなた。高い高~い」 「ちょ、お父さん!?マジで危ないって!お父さんってば!」 「高い高~い、高い高~い♪」 「も、もぉ…」 涙を流しながら、娘と戯れるそうじろうであった。 「(ちょっと恥ずかしいけど…たまにはね…って怖いよ!ホントに!!)」 ー8ー 夕食を終え、後は明日に備えて寝るだけ。 こなたももう寝ている。 俺は、考えていた。 迂濶。だったと思う。 この旅行はこなたとの旅行、そのつもりで来たはずなのに 思い出は思い出、そう割り切ってたつもりだったのに。 思いはつい、口を出てしまう。 あいつの事なら尚更だ。 こなたは笑ってくれていたけれど、やっぱり寂しいんだろう。 いつもそうだった。こなたを喜ばせたくって、あいつの話をしても 結局寂しそうな顔をさせてしまう。 こなたはあいつの温もりはおろか、声すらも覚えていない。 いくら求めても、相手がいるのは遥か先。 この世ではない。酷い話だ。 母親の役はできても、こなたの母親はあいつだけ。 「かなた、俺の選択、間違ってたかな」 首から垂らしたロケットペンダントを開けてみる。 あの頃のかなたが笑っていた。 「それ、お母さん?」 「うぉわ!?」 振り向いたらこなたがいた。 「相変わらず熱々ですなぁ~」 ニヤケルこなた。 「ああ。…付き合い出した頃な、交換したんだ。二人で」 「ノロケ話ですな」 ムフフと口に手を当て、こなたは笑っている。 ー9ー これ以上話すべきか、正直戸惑ってしまう。 「お父さんってさ」 「ん?」 「片時もお母さんの事、忘れてないよね」 「え」 唐突の発言。 「家にいる時もそうじゃん?いつも写真見てるし」 確かに、年がら年中あいつの写真見てるな。 「お母さん、幸せ者だよね。今でも一途に思われてるなんてさ」 「…こなたさ、寂しいだろ?俺が話しててもさ…」 ん~、と少し考え込むこなた。 「そりゃまぁ、寂しいと思う事もあるよ?でもしょうがないじゃん。いないんだし 今はお父さんの話だけで十分だよ。それに寂しいのはお互い様じゃん?」 お互い様… 「それで良いのか?」 「それしかないじゃん。お父さん再婚する気ないんだもん」 「断定かよ」 「お母さんと結婚した時点で確定してます」 「はは、まったく。まぁ、間違っちゃいないがな」 「でしょ?さってと、私はそろそろ寝るよ。 お父さんも早く寝なよ?おやすみ~」 「おぅ。おやすみ」 俺が思ってた以上に、こなたは強い子みたいだな、かなた。 明日は予定を少し変更して、「かなためぐり2006」を慣行しようと思う。 ー10ー 作家の朝は早い。 昼夜逆転がどうとかは置いておこう。 俺は練りに練った。今日のこなたとの予定。 あいつとの思い出を可能な限り、探し回った。 探す、元より頭にちゃんと残っているから、探すと言うより確認。 机上の物であるかの様に、手に取るように何があったのかわかる。 朝の起こされ方、食事のメニュー、帰路の会話、眠るあいつの顔。 流石は愛、あいつの事なら何でも記憶している。 「おはよ~、お父さん」 珍しくこなたが早起きしていた。 「おう!おはよう。今日は徹底的に巡るぞ!」 ガシッとガッツポーズを決めてみる。 「うん!」 こなたも元気だ。 「お父さん、ちゃんと寝た?目の下くまできてるよ?」 正直、ちゃんとは寝ていない。 色々回想していたら、その都度悶々としてしまって、眠れるどころではなかった。 だが辛くはない。むしろ気持はハイ。 よく言う言葉を使うなら、「ずっと俺のターン」 睡眠は帰ってからでもできる。 今はこなたとの旅を楽しみたい。 こなたに良い思い出を持ってもらいたい。 だから、今日は徹底的にあいつの事を知ってもらう。 ー11ー 「おはようございます。昨日はよく眠れました?」 8時を回った頃、女将さんが朝食を運んできてくれ。 「ええ、ばっちりです」 「ふふふ」 と、不敵に笑う女将さん。このくま面、ばれてるかも知れないな。 彼女との束の間の談笑、彼女は相変わらず俺の本を読んでいてくれていた。 写真もあの日からずっとあの場所にあり続けていて、 ロビーに本も揃えていてくれてるらしい。 こなたは不思議そうに俺達を見ていた。 「お嬢ちゃん、大きくなったわね。ほんと、お母さんそっくり」 えへへと照れ笑いするこなた。まんざらでもなく嬉しそうだ。 そう言えばかなたがいない理由、何も話していないけど、察してくれてるのかな。 食事を終えて、俺は聞いてみることにした。 ロビーはやはり静かだった。女将さんはカウンターで書き物をしていた。 俺は彼女に声をかけた。 「あの、かなた、いや、妻との事、ご存知だったんですか?」 突然声をかけてしまい、女将さんは少し戸惑っている様だったが 「はい、本で読みました。あっ、すいません。さっきは余計な事を…」 俺の方を向き、慌てつつもそう答えてくれた。 「いえ、娘も吹っ切れてるというか…本?」 あれ? 「ええ、ちょっと待ってて下さい」 と言うや否や、女将さんは本棚から1冊の本を持ってきた。 「これです。以前こられた後、その…」 ー12ー 『思い出の旅路』そうタイトルの付けられた本。 これは、あいつが逝った後、失意に沈みながらも、みんなのごり押しで出せた本だ。 あいつとの思い出を忘れない様、綴って綴って綴りまくった、 俺が俺を励ます為に書いた本。 でも、書いておいて、励ますどころか悲しみさ、侘びしさが増して、 あの頃から、読み返した事はあまりなかった。 「そっか…」 忘れちゃいけない本だった。 あいつとの馴れ初めや、色々な出来事がほぼノンフィクションで綴られている。 ー愛妻かなたに捧げるーその言葉から始まり、 締めの言葉はー沢山の思い出をありがとうー 後書きには本を出す経緯も載っていた。 あの頃の心境がよくわかる1冊。 正直、昔の作品に触れるのは苦手だ。むず痒いと言うか何と言うか。 「もう14年…娘も高校生になりました」 「お元気そうで何よりです。仲、よろしいんですね」 「娘はどう思ってるかは知りませんが、俺は世界一の幸せ者だと思ってます」 「うふふふふ、惚気ですか?」 こなたの事を話すといつもこうなってしまう。俺はホント馬鹿親だな。 「…いやぁ、ははは。でもホント、ここに来て良かったです」 「ありがとうございます。女将冥利に尽きます。正直心配しておりました。 ここに泊まっていただいたのも何かの縁。憧れていましたから…」 「お陰様で…父子共々立ち直ることができました」 こうも支持してくれる人が目の前にいる。何よりも嬉しかった。 わざわざ本も置いて、写真まで飾ってくれていて。恥ずかしいより、それ以上に嬉しかった。 「へへ、それじゃあ、その、準備がありますので」 「はい。それでは」 何かエネルギーを貰った気がする。何と言うか、最高の気分だ。 ー13ー 天気は快晴、絶好の行楽日和。 俺もこなたもうきうき気分。 「お父さん、ちゃんと着けてる?」 「ん?何を?」 「ロケットだよ、ロケット。昨日の」 「ああ。ほ~れ、いいだろう♪」 この旅行が終ったら、本を書こうと思う。 タイトルは『思い出の旅路2』…まんますぎるよな。 「こなた。まずは、ここだ!」 各所にラインや、赤丸のついたガイドブックをこなたに見せる。 動物園や渓谷、あいつとの思い出を一挙にまわる。 こいつの目に、耳に、あいつの生き様を叩き込んでやるんだ。 「1日でまわり切るの?」 「ん~、駄目だったら明日もあるし。問題ないだろ」 「そだね」 俺とこなたは、旅館と女将にしばしの別れを告げ、バスに乗り込んだ。 が、昨日のつけが遂に来てしまった様で… 「こなた、すまん。…眠気が…着いたら…起こして…」 「うん。降りるのは確か、○×△自然公園だよね。いいよ~。起こすよ~」 こなたの声が遠い… ー14ー 今日は待ちに待った家族旅行。 3人ともうきうき気分だ。 巷で噂の観光スポット、○×△自然公園に俺達は来ていた。 TVや雑誌で報じられている通り、一面赤や黄、オレンジに染まり 多くの人がその光景に心を奪われていた。 「うわぁ…凄く綺麗!そうくん!こなた!」 「お母さん、はしゃぎ過ぎだって」 「ははは。でも、見事な紅葉だよな」 「だね」 俺達も多分に漏れず、時を忘れて絶景に魅いっていた。 すると突然、こなたが俺とかなたの脇を抜け、走っていった。 「良いねぇ、絵になるねぇ、お2人さん。 1枚撮ってあげるよ♪」 そう言って俺達にカメラを向けるこなた。 「ほらほら、もうちょい寄って。そうそう、良い感じ。んじゃ、ハイ・チーズ! うん。良いのが撮れた♪そんじゃ、私も1枚…てぃ!」 更にこなたは自分に向けてシャッターを切った。 「おいおい、撮ってやるから。かなたとこなた、一緒に並んで」 「うん。ほら、こなた」 こうして見るとほんとに瓜二つ。まるで姉妹。背丈も変わらないし、髪も同じロング。 かなたがしとやかなのに対し、こなたは何というか。 「お父さ~ん、早く~」 見惚れてる場合じゃなかったな。 それから今度は、道行く人に頼んで、3人で撮ってもらう事にした。 まさに、両手に華、だな♪ ー15ー 「ちょっと!お父さんひっつきすぎ!」 「おいおい、親子なんだから良いだろ?」 「私も~、えーいっ♪」 仲が良いと言うか、周りの人に笑われてしまった。 秋の風情を楽しんだ後は、隣接された動物園見学。 動物園と言ってもそれ程大きくはなく、飼われている動物達も多くはないけど 2人とも大いに楽しんでくれたみたいだった。 ふれあいコーナーでは兎や小動物を抱き、馬にも乗せてもらった。 慣れない手で手綱を引き、落ちそうになりながらも必死でしがみつく2人。 2人して同じ行動をとるというのも、遺伝のなせる技なのかな。 お昼をとろうとランチコーナーに入った時、横からかなたの声が聞こえてきた。 「これからだよ、そうくん」 囁くような、かなたの声。 「…さん、起きて。…おーい、着いたよー?置いてっちゃうよー? オイ!オキロ!ソウジロウ!」 ー16ー 頬を何かが叩いてる。聞こえるのは、こなたの声? 「ん…あ…ああ?」 窓の外に、公園のゲートが見える。 「起きた?」 何てタイミングだ。 まるでかなたが教えてくれたみたいじゃないか。 「…ああ。ばっちりだ。よっし、行こう、こなた」 俺は数度自分の頬を叩き、喝を入れた。 こなた、すまん。俺、お前より先に、楽しい思い、しちゃったかも。 「うん…」 うつむくこなた。 「どうした?こなた?調子悪いのか?酔ったか?」 「ううん。私もさっちうとうとしちゃってさ」 「お前もか(笑」 「…そしたらさ、夢、見ちゃった」 「夢?」 ー17ー 「お母さんの夢。私達、3人で旅行してた。 お母さん、ほんと私にそっくりでさ、私より女の子っぽいと言うか もし生きてたら、あんな感じだったのかな…」 あれ? 「かなたはお前と違ってほんと、女の子って感じだったぞ。理想の女の子だ」 「もぅ!」 ぷーっと頬を膨らますこなた。あいつもよくやってたな。 そっか。こいつも見てたのか。 「案外正夢かもな」 「え」 「ほら」 そう言ってロケットの蓋を開けて見せた。 「お母さんが見せてくれたのかな」 「ああ、きっとそうだ。…よし!行こう!こなた」 「うん!」 俺達はバスを降りて公園の前に立った。 そこは夢で見たものそのもの。 「…さっき見たのとおんなじ…」 こなたも同じ、か。 俺は妙に嬉しかった。 不思議な感覚。 何となくだが、かなたが横にいる。 そんな気がしてならなかった。 「旅のクライマックスだ!行くぞ!こなた!かなた!」 『うん♪』 かなたの声が、聞こえた気がした。 ー18ー 最終日 「お世話になりました。そうだ、今回の旅を本にしようと思ってるんです。 完成したら送ります。良かったら読んでやってください」 「本当ですか!?ありがとうございます!楽しみにしてますね!」 興奮気味の女将さん。 本は、あの本の続きにしようと思う。 俺とかなたとこなた、3人の思い出。 今回は幸せ自慢だ。 帰りがけ、俺達は再び写真を撮った。 俺とこなた、そして胸のかなたの3人。 女将さんは、自重してくれた。 別れはいつも名残惜しいもの。親しい人なら尚更だ。 「また是非、いらしてください」 「ええ、また来ます」 女将さんに見送られ、俺達はバスに足を乗せた。 山道を走るバス。乗客は俺達以外いない。まるで貸し切り状態。 「お父さん、お母さんがつけてたロケットって、まだある?」 横でこなたが聞いてきた。 「当然」 なくす?棄てる?有り得ない。 「私が貰っちゃ、ダメかな。お母さんの写真入れて、持ってたいんだけど」 思いがけない告白。 「え…」 流石にこればかりは、答えに戸惑っちゃうな… 「ダメ?」 こなたに持っててもらう、娘だし、あいつの事を思っていてくれている。 それなら…。でもかなたは俺の嫁だ。 これは揺るぎない事実。 世の理。 ー19ー 「んーーーー」 答えが見付からない。 「ダメ…だよね。お母さんとの絆だもんね。良いよ。諦めるよ」 絆、それを娘に託すってのもあり、じゃあ 俺とかなたとの絆はどうなる? 難題だな、これは。 「お父さん?いいよ?諦めるてるよ?私」 そうか…諦めてくれるか… でもなぁ、かなた、どうすればいい?俺を導いてくれよ、かなた。 「おーい」 ん~、そうだな。旅は終ってないし、 答えは帰ってからでも良いよな?かなた、こなた。 「答えは、保留だな。お、こなた、見ろよ。猿がいるぞ、猿!」 「猿?あ、本当だ!野生ですな~♪」 バスは次の目的地目指して、ひた、走る。 ー20ー …よくよく考えたら、俺とかなたの絆って、こなただよな? …って事で、家に帰ったら、プレゼント、してやろうかな。 …許してくれるかな…かなた。 「お父さん!見て!原人の里だって!」 「そうそう、ここいらでな、色々見付かったらしいんだ」 「ロマンだねぇ」 こなた。この旅の思い出、忘れないでくれよ? あいつとの思い出、これから作る思い出、俺は忘れない。 何でも聞かせてやるから、足りなくなったら聞いてくれ。 な、こなた。 「お父さん見て!見て!」 「ほほぉー、凄いなぁ!こなた!」 延々と続く赤い山々。 俺達は、尽きる事のない自然の驚異に、目を奪われていた。 そして、こなたの目も、いつまでも輝いていた。 (終)
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――今から丁度2年前、鏡星高校が甲子園優勝する夏の大会前の事。 俺と山塚は二・三年を差し置いてどちらがエースとなるかで注目された時期があった。 そして監督が大会のオーダーを発表し終えると山塚が大きな声で監督に話す。 「待ってください!監督 ――奴は左投げのアンダースローですよ!? 中学時代の実績も得体が知れない彼なんかより……」 「これは私が決めたことだ、今の段階では山塚よりも弾の方が実力があるのは明白だ、そうであろう?」 当初、俺には一つの不安要素が挙げられていた、 それは左投げのアンダーから放たれるフォームだと右打者に球の出所が分かりやすく対応されやすい事である。 しかし球の出所が分かろうがそう易々と俺の球は打たれる事は無い。 その点を考えようが俺に比べ山塚はまだまだ実力不足であった。 「しかし……俺はエースになる為にここに来た!頑張ってきた! でも彼は入部してからまともな練習をしてないじゃないですか!」 「練習せずとも強くなっているじゃないか? 努力など誰でも出来るのだ、 私が欲しいのは“インパクト”なのだ、奴は存在だけでも話題になる逸材だぞ?貴様とは違ってな」 「……」 山塚は何も語らなかった、そして俺の方をキッと睨むとその場を走り去って行く―― 「やれやれ……、右のエースとして箱壬と2枚看板として活躍してもらいたかったが……あやつはまだ精神面がしっかりしておらん様だな」 「そうですか……、まあ監督の期待に沿えるよう!毎試合完封勝ちで行くんで起用お願いしますね!」 監督の心配をよそに当時の俺の目にはもう自分が甲子園で優勝する姿しか見ていなかった。 思えば、俺もこの頃はかなり調子に乗っていたのかもしれない。 周りから見れば俺は突如現れた英雄、プレーで皆を惹きつけるスーパースター。 自分で言うと小物っぽく見られてしまうが、俺は天才だった、誰にも負けなかったし負ける気もしなかった。 トップであり続けた俺は山塚の様に抗う事はしなかった、俺も奴も才能以外では然程変わらないというのにだ。 その後、大会前に何度か俺は山塚と会話する、 しかし山塚は俺を責めたりはしなかった、ただ口にするのはいつも通り“お前を越す”だの“練習をきっちりしろ”だのばかり、 山塚はそういう男だ、一見は自分がエースになるためにはどんな手段でも使うような男だが、実力を認める潔さはしっかりと持っていた。 そして一人一人に口うるさく話しかけることでチーム全体の向上心を上げる役割を果たしていたのだ。 他人には嫌われつつも山塚はチームを纏める素質があった、 しかし――そんな彼が一体何故…… ――グラウンドに戻り試合時間が刻一刻と迫ってきた、 会場には人が集まり始める、恐らく俺と山塚の対決を見たいが為にやってきた生徒達だろう。 観客から見れば新旧エース対決程度、しかし俺らにしてみれば命が掛かった知られない戦いなのだ、 とても観客の声に耳を貸す余裕など無かった。 そして、ついに奴らは来た―- 「よぉ……ちゃあんと集めてこれたんだなぁ……」 「山塚……」 鏡星のユニフォームを来た選手達が現れると観客の声が揚がる、 俺は山塚を睨みつけ左拳に力を入れる、一方の山塚はこの状況下の中、笑みを浮かべていた―― 一言俺が犯罪の事をほのめかすような事を言えばこの笑みはどうなるかも知らないで…… (待ってろよ……試合に勝ってその口から居場所吐かせてやる!) 俺がそう心の中で思う中、他の鏡星の選手は俺の姿を見て戸惑いを感じているかのようだった。 様子の違い、雰囲気の違い――いろいろあるだろうが俺が昔のような余裕のある人間ではなくなったからだろうか。 選手達は俺の方を不思議そうな目で見つめていた―― しかし、俺の球を良く知る厄介者となるであろう正捕手、今丘だけは別だった、 別な意味で見つめている……何か俺に期待するように。 それが一体何なのか、俺はまだ知るよしも無かった―― 第二十四話 母校 <戻 次> 第二十六話 侵食
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AHB/040 RR 遠い日の思い出 あなる/超平和バスターズ 女性 パートナー 素直なあなる/超平和バスターズ 女性 レベル 4 攻撃力 3500 防御力 5500 リミテッドアイコン 【ファイヤー】 【やっぱり…】《ロマンス》 【自】このカードが手札からリングに置かれた時、あなたのリタイヤがすべて《ロマンス》なら、そのターン中、このカードを+1500/+0し、相手のリングのカードのレベル1つにつき、さらに+500/+0。 【宿海って、変わんない】《ロマンス》 【スパーク】【自】あなたのベンチとリタイヤ置場に《ロマンス》がいるなら、あなたは相手のフィールドのカードを1枚選び、相手の控え室に置く。 作品 『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』 備考 2013年9月3日 今日のカードで公開 このカードをパートナーにしているカード 取得中です。 関連項目 取得中です。
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まったくスタクラ触ってないんで今通用するのかどうか知らないけど思い出話として忘れないうちに書いとく。まぁこのゲームバランス変わってもロジックは応用できるはず。 WoL後期のTvPにはよく研究しないと気付けない重要なノウハウがあった。 それはなにかというと、連続生産を途切れさせてはいけないという思い込みを捨てること。一見矛盾しているようなオーダーに合理性を見出すこと。 具体的にはBomber Styleの2 base 5 rax (Marine Marauder Medivac)をするときに、あるタイミングでMarine Marauderの生産を止めて早めに3rdを建て始めるということ。軍重視オーダーなのに、それまで緻密に連続生産していた軍の生産をピタリと止めて内政を早めてしまうという荒業。3rax 3rdでいいじゃないかと思うかもしれないけど、3raxは3rdに出たあとにraxを追加するラグの影響のせいで10-12分ごろに軍量に乏しい時間があって、5raxのほうが安定性も攻撃力もはるかに上だった。 肝心の生産を止めるタイミングだけど、Medivac3,4体目の生産を開始したころで、確かだいたい10 30くらい。このタイミングになるとBarracksのキューが生産完了間近あるいは一切入ってない。 どうしてこのタイミングかというと、これ以降生産を続けても、それで生まれてくるユニットはMedivac4体が前線についたタイミングで前線に着いておらず、Medivac4体でのプレッシャーの強さが変わらないから。もちろんMedivac2体の段階でのプレッシャーの強さにも影響しない。 3rd以降を見据えた展開ではテランはMedivac2体目が前線到着したタイミング、4体目が前線到着したタイミングの2つの強いタイミングでだけ戦えばいいので、3rdを遅らせることにメリットがほとんどなかった。そしてその数少ないメリットがあるシチュエーションも、相手がオールインだとかこっちがオールイン気味だとかで明白なトリガーがあるので、それを見たときだけ3rdを遅らせる分岐を選択すればいい話だった。 そうしてBarracksの生産をカットすると同時に、3rd候補地にSCVが到着してて、ミネラルが400たまり次第CCを建て始める。ほぼ同時にArmoryと2つ目のE-bayを建てる。その後は相手がColossusを複数体出すオーダーだったらVikingの連続生産を最優先したうえでMMMの生産を再開する。相手がHTオーダーだったらMedivacの連続生産を優先したうえでMMMの生産を再開する。Ghostを準備するタイミングはプレイスタイルによるのでお好み。 こうすることで軍量とテック・内政の伸びの両立ができた。ひたすら真面目に思考停止してMMMの連続生産を続けていると、2/2アップグレードは遅れるし、3rdは遅れるし、starportの回転率にも悪影響を与えることがあるしで散々だった。スキャンを一度も使わずにMULEを落としてればどれか2つは両立できたけれど、それは小さなリターンに見合わない完全なギャンブルだ。こういうTipsは「連続生産は維持しなければいけないもの」という思い込みを排除して、オーダーを意味のある最小の単位に分解して、どこまでが何の目的のために有用なのかを考えないと思いつかない。あるいは、プロの連続生産の途切れをミスと片付けずに意図を探ることでも発見できる。
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金サイガの時代は終わりを告げた - 名無しさん 2012-07-24 15 09 06 つい先日当てたばかりの金サイガが涙目なカードがまた一枚・・・ - 名無しさん 2012-07-24 15 57 01 TYPE無の天敵でありながら自身もまたTYPE無であるというのが面白い。TYPE無キラー同士で潰し合いが見られるか? - 名無しさん 2012-07-24 17 01 09 カットインがカードそのままというある意味画期的なカード - 名無しさん 2012-07-24 17 20 45 素直に言わせてもらうと、ふざけんな。この表示はねーよ - 名無しさん 2012-07-24 17 40 29 アルカナやアルマの水着姿も見たいです!(*><) - 名無しさん 2012-07-24 21 20 07 アルカナのコスチュームは下手な水着よりよっぽどエロい。だがやはり水着姿も見たいよね、うん - 名無しさん 2012-10-16 21 21 12 ゲットするまで長いが、金サイの対抗馬となるか? - 名無しさん 2012-07-25 01 40 13 戦闘表示では水着カリン単体だが、必殺技カットインではカードが画面を横切るだけという・・・不具合だな。バグ報告しよう - 名無しさん 2012-07-26 18 58 50 水着キリコかわいい! - 名無しさん 2012-07-28 19 32 05 金サイガと比べ同タイプの無にクリティカルで有利が取れる点と通常技の火力、速度で上回るため攻撃面はこちらが上か。ただ防御力は低いので若干打たれ弱い点には注意が必要 - 名無しさん 2012-07-30 22 57 44 カリンの羽が邪魔です(;><) - 名無しさん 2012-08-02 17 42 57 皆思ってるのに書かないんだろうが、あえて書く。キャラ名「一学期<夏休みの思い出>」ってなんだよ・・・思念体かよ - 名無しさん 2012-08-06 18 34 33 「カード名」な。変だけど、元のがコレなんだから仕方ない - 名無しさん 2012-08-07 01 39 49 それにしても柔らかいな、同カードがLV100同士正面でかち合ったら、凄まじい速度でチキンレースを展開する姿が目に浮かぶ。 - 名無しさん 2012-08-11 17 21 57 この柔らかさはカリンのおっぱいを表現しているのです - 名無しさん 2012-08-19 16 08 13 お、思い出が領空侵犯してきよる・・・! - 名無しさん 2012-08-28 00 00 15 お・・・おい!神修正入ったぞ! - 名無しさん 2012-12-11 18 10 43 なんかあった? - 名無しさん 2012-12-11 20 42 37 カットインがカリン様のどや腋に修正された - 名無しさん 2012-12-11 23 40 09 あー、戦闘開始のときに周辺景色がカットされたってことかな - 名無しさん 2012-12-11 23 52 39 思い出に攻撃されるって・・・ - 名無しさん 2012-12-21 20 56 04