約 1,297,199 件
https://w.atwiki.jp/suiginto/pages/54.html
794 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 01 01 01.46 ID 4h8UCWcY0 水銀燈とローゼンメイデンシリーズ 796 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 01 01 27.76 ID 4h8UCWcY0 「オウケイ!今週のアリスが決まったぜ!?」 立体映像スクリーンの中でスモークスーツを纏った派手な司会者が唾を飛ばしていた。 「最後の鋏の一撃は皆のハートにもズブリしてるだろ!? そう、今週のアリスはマスター小岩井の蒼星石ッ!」 拍手と歓声に虫カメラが背を向け、蒼星石を写した。 「アリスになれた感想をドウゾー!」 「マスター、僕、僕はもう戦わなくて」 「うん、アリガトー!いいね、ナイスコメント!おーっと、時間だ!」 蒼星石のコメントは途中で切られ、再び司会者がスクリーンに映し出されたが、 どうやらそろそろ番組終了時間らしい。 「そっれじゃーそういうことで、皆さんまた来週見てくれよNA!?ばいQ~」 カラーレーザーが空中を裂き、色で空間を染めた。 私はスクリーンの電源を切り、深く椅子に座り目を瞑った。 あの番組は好きじゃない。 本当は「激動21世紀オナホール職人達の夜明け」を見るつもりだったのだが、 運悪くあの番組を、しかも最後の方を見てしまい、完璧に見る気が削がれた。 私はそのまま深い眠りに落ちた。 夢の中で、あのローゼンメイデンシリーズ蒼星石のコメントの最後が流れた。 エアコンの風の音が部屋に沈み込んでいく。 801 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 01 16 13.42 ID 4h8UCWcY0 いつからだろうか、私達の生活にローゼンメイデンシリーズ(RMS)が関り出したのは。 最初は高所得者向けの愛玩用具だった。 それがいつからか子守用のベビードールとなり、大きなお兄さん向けの玩具となった。 昔はRMSでくだらない事をする人間は少なかった。この前の番組みたいなクダラナイ事だ。 大きなお兄さん達はRMSに違法改造を施し、金を賭けRMS同士で壊し合いをさせ、 また違う大きなお兄さんはRMSに性的欲求を満たす為の違法改造(ダッチドール改造)を施した。 802 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 01 21 09.27 ID 4h8UCWcY0 俺は、こういう人形は好きじゃない。 RMSには時々、驚くほど人間臭さを感じる事がある。 いや、それがプログラミングされた物だと理解はしている、 人間が人間臭さを感じるようプログラミングされてるだけだと。 しかし、痛い時に痛いと感じ、悲しい時に悲しいと感じるプログラミングは 人間の意志と変らないのじゃないだろうか。 807 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 01 36 37.72 ID 4h8UCWcY0 まっ、俺には関係がない話だ。 第一RMSは高すぎる、俺の手取りが24クレジットに対して RMSで一番安い物でも最低57クレジットはする、しかも中古でだ。 まったく、馬鹿げた値段設定だ。 それに付属品や服などを揃えると成ると150クレジットは超えるんじゃないか?もちろん中古でだ。 はあ、考えたら虚しくなってきた。会社行こ くそ、あのタイミングで仕事が増えるとかありえないだろ。 そもそも、この23世紀の世界で残業って何なのよ、残業って歴史の授業で習うだけだろ、普通。 私は道端に落ちていた空き缶をゴミ捨て場へと蹴飛ばした。 都市部分には掃除ロボジョイ君が沢山居るのだが、低収入者用区画までは手が回らないらしい。 「いっ」 空き缶がゴミ袋に落ちる音はせず、何か硬い物に当たる音と、人のうめき声が聞こえた。 しまった、と言うかゴミ捨て場に寝るなよ、当り屋かよ畜生! 「す、すみません、大丈夫ですか!?」 「うっ、あっあぁ、ゆるしてぇ、も、もう」 私は息を飲んだ。 ゴミ捨て場には人ではなく、一体のRMSが捨ててあった。 810 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 01 45 40.09 ID 4h8UCWcY0 RMS水銀燈は幻の素体と言われていた。 高所得者向けに作られていた時に、少し作られただけなのだ。 理由は簡単だ、製作コストが馬鹿高かった。 水銀燈はRMSシリーズで唯一単独飛行が出来る素体である、 羽の付け根に小型の反重力装置があり空を飛ぶ事が出来るのだ。 だが、小型の反重力装置は恐ろしく高い「ワオ、これじゃ新品がもう一台買えちゃうよボブ!」より高い。 反重力装置は飛行機等に使われているのだが、小型の物は軍隊にしか出回らない程凄い。 しかし水銀燈の人気は凄まじかった、中古、欠陥品がスカイネットオークションに出回ると サーバーダウンは当たり前と言われ、私には値段の見当も付かない。 820 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 02 00 50.16 ID 4h8UCWcY0 これは、RMS水銀燈じゃないか・・・・。 水銀燈素体の腹は何か大きな力で無理矢理潰されたように壊れており、 自慢の銀髪は薄茶色に汚れ、体のあちこちに焼け爛れたような痕が残っていた。 アリスゲームで負けたのか?しかし、捨てる理由が分らない。 「あ、あえっええっあ」 「壊れてる、のか?」 「なん、げ、何でもしま、しますから、許して、ゆるじで」 水銀燈がゴミ袋の上で股を開き両腕で自分の顔を隠した。 食道に昼食った火星蛙の肉がこみ上げてくる。 私は、その場から早く立ち去りたかった。あまりに酷過ぎる。 ゴミ捨て場から立ち去る。家に帰って冷たいシャワーを浴びて、全て忘れよう。 「ひっ、ゆる、ゆるして」 ゴミ捨て場に捨てられたRMS水銀燈の声が、いつまでも私の心に引っかかっていた。 829 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 02 21 42.16 ID 4h8UCWcY0 私は家で水銀燈の腹のパーツの破片を除去し、汚れを取り、爛れたような痕を コントロールクリームで平らにし、髪の毛を洗った。 彼女のドレスはボロボロで、修正箱の中でも元に戻らなかった。安物は駄目だな。 とりあえず私は自分のYシャツを着せた。 光り石に照らされ、腹が無い事が分るが裸よりましだろう。 私が水銀燈に何かしようとする度に、彼女は酷く怯えた。 「あ、あの、あなたが新しいマスターですかぁ?」 水銀燈が上目遣いで聞いてくる。 「いや、違うよ」 「ご、ごめんなさい、許してください」 大きく体を震わせ私に謝った。これだけの事で、この謝り方って何なんだよ。 「その、あなたを何とお呼びすれば、よろしいですかぁ?」 「マサユキでいいよ、何ならまーくんでもいい。」 「分りました、マサユキ様ですねぇ」 頷き確認する 「いや、マサユキだけでいい」 「で、でもぉ」 そんな事をして、私を殴るんじゃないか?そんな風に彼女の目には書いていた。 「俺はマサユキと呼ばれるかまーくんと呼ばれる事に性的興奮を感じるんだ」 適当にでっち上げる 「ま、まさゆき、さぁん」 さん付けか、まあ妥当な線だろう。 「これからよろしく、水銀燈さん」 835 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 02 42 02.57 ID 4h8UCWcY0 私は寝る前の晩酌でヤクルトを飲むのが楽しみだった。 もちろんヤクルト5兆だ。昔の人間は400を飲んでいたらしいね、可哀想に。 合成プラスチックに口をつけ一口飲む。 うん、美味い。 この独自のコクとまろやかさ、ヤクルトは最高だ。 その時水銀燈と視線が合った。 急いで私から目線を外し俯いた。そう言えば、公式設定にヤクルトが好きって書いてたな。 私は冷蔵庫からヤクルトをもう一本取り出し、彼女の頬に当てた。 水銀燈は思いっきり仰け反り「す、すみません!」と謝った。何に謝ってるんだ。 「どうぞ、冷えてて美味しいですよ」 「えっ、わ、私、飲んでもぉ?」 「ええ、どうぞ」 喉に消化装置があるはずだから、腹パーツがなくても問題ない。 水銀燈は暫く手を伸ばしたり引っ込めたりしていたが、 合成プラスチック容器に水滴が付着し始めた辺りでようやく私からヤクルトを受け取り口をつけた。 ゴクゴクと半分まで飲み、容器から口を離し、大粒の涙を流した。 「ご、ごめんなさぁい、いま、今泣き止み、止みます」 私は彼女を抱きしめ、頭に手を置いた。 水銀燈はビクンと震えた。 「いや、泣くといい」 最初は耐え、嗚咽を漏らしていたが、次第に嗚咽が大きくなりわんわんと泣き出した。 私は彼女の頭を撫でてやる事しか出来なかった。 848 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 02 57 57.30 ID 4h8UCWcY0 「マサユキさん、食器はここで良いのかしらぁ?」 水銀燈はあれ以来少し明るくなった。 未だに私が急に頭を撫でようと手を持ち上げたりすると、頭を抱えて座り込んでしまったりするが まあ、何とか楽しくやっていた。 「ええ、そこでいいですよ」と私は親指を立てた。このポーズはヨーガーと言うのだっけか? 私達はいただきますと朝食を食べ始めた。 今日は私が休みなので少し遅い朝食だ、心なしか水銀燈も嬉しそうに見えるが、それは俺の錯覚かな。 水銀燈は本当に美味しそうに食べる、見ているこっちが気持ちよくなるぐらいだ。 「あ、あのぉ、私の食べ方変だったぁ?」 Eパンを取り皿に戻し、膝の上で手をまごまごとさせる。 「いえ、美味しそうに食べてくれて嬉しいなあと、思いましてね」 「ほ、本当にぃ?」 「ええ」と私は頷いた。 どうやら、それで納得してくれたようだった。 「そんなに見つめられたらぁ恥ずかしいわぁ」 あっ、ごめんごめん 「いやね、水銀燈さんが可愛すぎてね」 「もぉっ、マサユキさんはすぐ人を馬鹿にするぅ」 「本当の事ですし、いいじゃないですか」 「やめてくださいよぉ」と顔を真っ赤にして抗議した。 しかし、本当に可愛いな。RMSが売れるわけだ。 861 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 03 14 45.81 ID 4h8UCWcY0 「いつまでもその格好じゃ、恥ずかしいでしょう」 私のYシャツ一枚で、椅子に座って本を読んでいた水銀燈に言った。 「そんな事ないわぁ、動きやすくて快適よぉ」 足をパタパタと動かし、白い太ももがチラリチラリと見える。 「まあ、それででしてね、ちょと水銀燈さんにプレゼントがあるんですよ」 「何かしらぁ」と期待を込めた視線で私を見つめた。 あれは、3日目の事だった。 863 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 03 16 30.10 ID 4h8UCWcY0 私がRMS好きのボンボンに量子電話で連絡を取り付け、彼の家に行って来た。 「やあお久しぶりだねマサユキン」 「やあ久しぶり」 俺を変なあだ名で呼ぶ癖は治ってないな、くそ。 「電話で話したと思うんだが・・・」 「あるよあるよ、置いてるよ。鞄と服だろ?」 何でも、鞄と服はオークションで騙されて買い取った物らしい。買う前に気づけよ。 「それより、本当にこんな物と交換でいいのか?」 私は一つの古い人形を取り出した。RMSの翠星石の人形だ 鞄と水銀燈の服だけでも、40クレジットはするはずなのだが・・・・。 「おおっ!本物だ!ありがたやありがたや」 彼はこの人形の前で祈祷を始めた、お祈りと言うのだったか。 「実家の倉庫に置いてあった物だから、状態はあまり良いと言えないのだけど」 「いやいや、本物ならそんなの関係ないって!」 彼の鼻息が荒くなってきた 「そもそも、RMSと言うのはだね」 「すまん、ちょとこの後予定が入ってるんだ。じゃ、鞄と服ありがとう」 「残念。それじゃあまたねマーキュン!」 その癖がなかったら、いい奴なんだけどな。 帰り際にRMS翠星石がドアの影からこちらを伺っているのが見えた。人見知り設定なのか? まあ、大体こんな感じだった。 864 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 03 17 37.99 ID 4h8UCWcY0 どうぞと私は彼女に電子カーテンで包装された鞄をプレゼントした。中には服を入れてある。 「わぁ、ありがとぉ」 彼女達RMSは鞄の中で寝る事によって、 ソフト面の不具合を治療する事が出来る。ハード面になると人工精霊と言う物が必要らしいが、 まあ俺の技術で何とか頑張ろうと思う。応援してくれ、色んな人。 「鞄を開いてみてください」 彼女は愛おしいように鞄の表面を撫でていた。 カチャリと鞄を開く。 水銀燈は中に入っていた、RMS水銀燈専用のドレスを手にとって見て、自分の胸に抱きしめ ぽろぽろと涙を零した。 「ありが、ありがとぉ、ありがとぉ」と泣きながら何度もお礼を言った。 「いいんですよ、それより着てみませんか?」 水銀燈は私が手渡したタオルで涙を拭き「うん」と答えた。 「その、出来たら後ろを向いてて欲しいわぁ」 それもそうか、これは気が利かなかった。 しかし、あそこまで喜んでくれるとは思わなかった、彼女達にとってドレスは存在意義の一つなのかもしれないな。 「そのぉ、もう大丈夫よぉ」 私は後ろを振り返り、水銀燈を見た。 どうかしらと両手を後ろに回し、微笑んでいた。 「とても似合ってますよ」 「ありがとぉ嬉しいわぁ」 昔の言葉で言うと、花のように可憐と言うのか。 ドレスに身を包み、微笑んだ彼女はとてもとても美しかった。 「あれ、寝る時は脱ぐんですか?」 「だってぇ皺がついたら嫌ものぉ」 今の世の中には便利な皺伸ばしライトがあるのだが、 Yシャツ姿も可愛いしこれはこれで良しとしよう。 870 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/14(火) 03 37 44.20 ID 4h8UCWcY0 水銀燈の初期設定は年上お姉さんタイプか女王様タイプらしい。 家に居る水銀燈はRMS蒼星石の気遣いお姉さんタイプのような設定になっている。 「水銀燈さん、ちょと高圧的な喋り方してくれませんか?」 「私がぁ?」 ええと頷く。 うーんと目を瞑り、自分の中の高圧的なタイプを想像したのか パチリと目を開き 「ま、マサユキ、ヤクルトを持ってきなさぁい」 両手を腰に当て、胸を張ってそんな事を言った。 なんか違うような。 「そうだな『ノロマは嫌いよぉ!』とか、こんな感じで」 「わ、わかったわぁ」 コホンと一つ咳払いをし 「ノロマは嫌よぉ」 「なんか、優しい感じが消えませんね」 「もう一度するわぁ」 まるでコーチとバレー部員だ、ロボットのパイロットに近いかもしれない。 「いや、このままで良いですよ」 「でもぉ」と私を見つめた。 「今のままが一番可愛いですよ」 水銀燈は顔を真っ赤にし「ばかぁ」と呟いた。 881 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 03 55 22.64 ID 4h8UCWcY0 その日のニュースはどのチャンネルでも同じ事を大きく取り上げていた。 『RMS蒼星石マスターを殺害、誤作動か?』 何でもアリスゲーム用に改造されていたドールらしく、自宅で蒼星石の稼動テスト中に 急に襲いかかって来たらしい。 専門家が言うには「違法改造されたドールで、人間と人形を見分ける装置が取り外されていた」との事だ。 私が独自に集めた情報によると、見分ける装置と言う物は最初からないらしい。 人間と同じだ、人間に敵味方を見分ける装置がないのと同じように、RMSにもついていない。 つまり、RMSの蒼星石が使用者を殺したいほど憎んだ結果がこれなのだ。 水銀燈は複雑な表情で3次元スクリーンを見つめていた。 結局、その蒼星石は記憶分野だけ抜き取られ処分された。裁判なんぞある訳がない。 882 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 03 56 36.47 ID 4h8UCWcY0 ID C1txbRNw0が今日のMVPだな 886 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 04 03 20.24 ID 4h8UCWcY0 また事件が起きた。 次は愛玩用のRMS翠星石がマスターの首を締め付けたらしいが、これは未遂に終わった。 翠星石はその場で使用者の手によって壊されたとの事。 愛玩用とあるが、違法にダッチドール改造された物だ。 つまり、行為中に行き成り首を締められ殺されそうになった。これが正しいらしい。 あの事件を境に同じような事件が相次いで発生していた。 彼女達は違法に改造した者、子供のように可愛がっていた者 RMSは見境無しに人に牙を向いた。 まるで、これが私達の復讐だと言わんばかりに。 890 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 04 12 27.64 ID 4h8UCWcY0 夜、私は椅子に深く座り込み物を考えていた。 カチャリと鞄が開く音がし、水銀燈が鞄から出てきた。 「ねぇ、マサユキさん」 「どうしました、寝れませんか?」 水銀燈は居間と寝室のドアの前に立っていた。 「私は、私はマサユキさんが好きぃ」 嬉しい事を言ってくれる。 「だから、だから私はマサユキさんを襲わないわぁ」 それはありがたい、空手道は習ってなかったんだ。 「ええ信じてますよ」と頷く 「だからぁ、だから私を捨てないでぇ」 水銀燈の声は後半涙声だった。 私は椅子から降り、水銀燈においでと両手を広げた。 彼女は私の腕の中に飛び込み 「もぉ、もぉ捨てられるのは、捨てられるのは嫌なのぉ」と泣いた。 「ええ、私はあなたを捨てません、絶対に」 水銀燈は暫く私の腕の中で泣き続けた。 釣られて私も少し泣いた。 894 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 04 20 37.12 ID 4h8UCWcY0 RMSは所詮人形。彼女達の反抗は次第に沈静化されてきた。 違法に改造されたRMS達が奮闘するも、特別警官隊達の前では無力だった。 警官隊の中にも何人か死傷者が居るとの話しだが、報道される事はなかった。 RMS達は確実に勢力を落とし、数を減らしていた。 人を襲わなかったドールも、企業が売値と同じ額で買い取る意思を示すと 彼女達が信じた使用者達に次々と売り払われた。 売るのを拒んだ人の家には特別警官隊が突入するだとか、そんなデマまで流された。 私に鞄とドレスをくれた友人宅が特別警官隊に突入され、彼は捕まりドールはその場で壊された。 900 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 04 29 45.31 ID 4h8UCWcY0 「いらっしゃい」 特殊繊維でつくられた繭が張られたカウンター内から陰気な声で店主が言った。 「銃が欲しいんだが、あるか?」 「それなら、そのブラスター銃がオススメだ」 5クレジットか、妥当かな 「お客さん、何に使うんだい」 特に興味なさげに聞いてくる。 「ああ、人形を撃とうと思ってね、最近物騒だろ?」 右手で銃の形を作り、撃つ仕草をした。 「そうか、これはサービスだ」 彼は光りエネルギーボルトを100発分サービスしてくれた。 「悪いね」と私は言い、店を出た。 入る時は気づかなかったが、ドアを開けると鈴の音がした。 チリリリン チリン 902 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 04 31 51.55 ID ryLM6S/oO そういえば、RMSにはばらすぃーは兎も角きらきーはいるのかな? 904 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 04 35 16.31 ID 4h8UCWcY0 蒼星石の事件が起きなければ新商品として発表される予定でした。 薔薇水晶は他の会社から販売されています。 908 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 04 39 29.58 ID 4h8UCWcY0 水銀燈は窓辺に立っていた。 翼を広げ、羽を振動させ黒い粒子が舞い落ちていた。 反重力装置が作動している。 「どこに行く気ですか?」 いつかと逆の立場だ、今度は私が居間と寝室の扉の前に立っていた。 「マサユキさんに迷惑はかけられないわぁ」 警官隊突入の話しの事だろうか 「それに、私は憎いの」 憎い? 「私を、こんな、こんな体にしたあいつが憎い」 「あいつを憎みすぎて、あなたまで殺したくなるわぁ」と彼女は言った。 「なら私を殺すといい」 水銀燈は私の方を振り返り「心にもない事を言わないでぇ」と言う。 「本当さ」 私は水銀燈を抱きしめた。 「本当に人が憎くなったら私を殺すといい あの時あなたを殺さず、生かし、人を憎ませてしまったのは私の責任だ」 「そ、そんな、私が憎いのはアイツだけでぇ・・・・・」 「なら、ソイツに向けている憎悪を俺に向けてくれ」 「は、はぁ?」と水銀燈が混乱する。 「水銀燈、僕は君の全てを独り占めしたい」 よりいっそう強く、水銀燈を抱きしめた 「おばかさぁん」と水銀燈が呟いた、彼女も私の背に手を回してくれていた。 911 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 04 45 02.73 ID 4h8UCWcY0 2日後特別警官隊から電話が掛かって来た。 「2日前おたくの窓辺にRMS水銀燈が立っていたと通報を受けましたが、本当ですか?」 「いえ、存じませんが」 「もしRMSを保有しているのであれば、本社の方に売るか処分してください、それではよい休日を」 ここで電話は一方的に切られた。 ついに、密告者まで出ていたのか。人間は汚い。 「誰からぁ?」 「昔の友達がツボに興味がないか、だってさ」 「買うのぉ?」 「買いませんよ」 君らの電話がなかったら、さらによい休日を過ごせそうだったんだけどね。 916 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 04 55 54.53 ID 4h8UCWcY0 ドアの蝶番が打ち抜かれ、ドアを蹴破り部屋の内部にプラズマガンが打ち込まれた。 刹那、強烈な音と光りが部屋を支配し、私の五感を狂わせる。 私はテーブルの影に隠れ殺傷モードでセットしたブラスターガンを撃った。 赤い光りが空気をメチャクチャに切り裂き、先頭の隊員のわき腹焼いた。 彼らは何か叫び、後衛から二人表れ、先頭の隊員を後ろに逃がそうとするが、 私はブラスターガンを連射。運良く他の突入班の隊員と後衛班の隊員を二人焼いた。 突入班の隊員はその場で倒れ動かなくなり、他の隊員は負傷した隊員を連れ 蜘蛛の子を散らすように扉から出て行った。 辺りは急に静まり返った。遠くから垂直離着陸可能な突入機の小さな駆動音が聞こえてくる。 水銀燈はクッションを抱きしめ私の後ろで震えていた。 「大丈夫ですか?」 「あなたが、居るからぁ」 「それは良かった」 通路側から隊員が私に交渉を持ちかけてきた。 「我々は特別警官隊の者だ」 知ってるよ 「その人形を引き渡したら私達は君の安全を保障しよう」 うそつけ、突入班の隊員の腰に光りエネルギーボルトの予備弾が見えるぞ 「安心してください、私は水銀燈さんを」 水銀燈が私の腕に調理用ナイフを突き立てた。 920 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 05 10 36.82 ID 4h8UCWcY0 「な、なぜ」 しかし水銀燈は何も答えない、ナイフから手を離し黙って私を見つめていた。 廊下側でもこちら側の異常を察知したのか、突入班の一人がプラズマライフルをドアから部屋に突っ込んだ。 私は相手に撃たれるより先に、玄関で倒れたままになっていた 突入班の隊員の腰にある予備弾を打ち抜いた。 青い光りが爆発し、玄関の周りを大砲でも直撃したかのように丸く吹き飛んだ。 爆発地点にあった突入班の隊員は炭のように全身真っ黒で人と言われなければ分らない。 私は水銀燈を抱き上げ、玄関を抜け、駐車場へと走った。 「なんで、何で私を連れていくのよぉ!」 途中で爆発音を聞いて駆けつけた隊員の一人をブラスターガンで焼いた。 「言ったでしょ、絶対捨てないって」 倒れた隊員の側を走り抜ける時、人形の破片のような物が彼から飛び出ている事に気づいた。 「馬鹿ぁ、まさゆきは馬鹿だよぉ、おおばかよぉ」 水銀燈は私のシャツに顔押し付け泣いた。 確かに俺は馬鹿だ、そしてこれは愚行だろう。 たかが人形一つの為に命をかけるのだ 「ねぇ、何であの時私を撃たなかったのぉ?」 しかしこれは『高貴な愚行』大切な人を助ける為、水銀燈が自らを犠牲にし私を刺したように、 「あなたの目が泣いていたから」 『人間』にのみ許された、自分の命を投げ打ってでも行動する価値がある『愚行』だ。人形には出来ない。 私は水銀燈をエア・カーの助手席に乗せ、エンジンを点けた。 「ねぇ、何処にいくのぉ?」 「どこか二人で暮せる場所に、さ」 921 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 05 10 52.38 ID 4h8UCWcY0 水銀燈とローゼンメイデンシリーズ 922 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 05 11 07.76 ID 4h8UCWcY0 終わりです、お疲れさまでした 912 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 04 48 02.37 ID C1txbRNw0 切ないよおおおお http //www.uploda.org/uporg960883.jpg それからさっきのやつかきわすれがあったので http //www.uploda.org/uporg960880.jpg 878 どうぞ つーかまとめサイトあったのか 928 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 05 19 58.51 ID 4h8UCWcY0 912は家に来てオレンジジュースか俺の尿を飲んでいいぞ! 931 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 05 22 43.00 ID 4h8UCWcY0 でも良かったよ、SF物が受け入れられて・・・(///) 986 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2007/08/14(火) 12 46 52.41 ID 4h8UCWcY0 おいす、おはよう ※挿絵 ID C1txbRNw0氏
https://w.atwiki.jp/suiginto/pages/110.html
1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/03/22(土) 00 06 26.17 ID ZS1SgYCd0 戦えど、戦えどなお私はアリスになれない、じっと手を見る。 「綺麗な手だね」 契約者の声が、水銀燈の直ぐ後ろからした。 彼女は見つめていた右手をそのままに眉をひそめる。 「それにしても、小さいね」 無造作に手が伸び、硬い男の指が、水銀燈の柔からかな手の平を 手首のその下から包み込んだ。 「触れないで」 と男の手を叩いて払う。 「あんた、少し馴れ馴れし過ぎるんじゃない?」 「あっ……ごめん」 3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/03/22(土) 00 10 35.07 ID ZS1SgYCd0 「少しは自分の姿を鏡に通して見てみなさいよ」 水銀燈は謝罪の言葉を意に介さないように立ち上がり、窓のアルミ枠に手をかけながら言う。 窓ガラスには空の青に透かされた水銀燈の顔が写っていた。 その表情は窓ガラスの様に、彼女の顔には写し出されていなかった。 「また戦いに?」 雲が流れ、陽の光と水銀燈の顔をガラスの上から隠した。 小さな手が窓を押し開け、男を一瞥した。 「きっも」 それだけ言うと、水銀燈は背から突き出た両の黒翼を広げ、灰が混じる青へ飛び立って往った。 6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/03/22(土) 00 13 04.34 ID ZS1SgYCd0 ゚ | ・ | .+o ゚ | ・ | o。 | *。 | *o ゚ |+ | ・゚ | o○+ | .|i・ o |* o○+ | |i |i | + ゚| o ○。 ・+ ・ l ゚| o ○。 * ・|*゚ + | ゚ |i | + ○ / ̄ ̄ ̄'',. | |! | o。! |! ゚o .* / ', | * ゚ | 。*゚ l ・ ゚ | {゚} /¨`ヽ {゚} |o ゚。・ ゚ *o゚ |! | 。.l トェェェェイ ', + *| 。 | ・ o ゚l .| |-ーー| ', *゚・ +゚ || |o |・゚ ,.‐-リ ヘェェェノ ', | ゚ | * ゚ l| / 、 \ + o.+ | ・ |l + ゚o i ` -、 _ \ ○・ |o゚ o○ | | ヽ. ヾ´  ̄ ヽ *。 ・| + ゚ o } } ヽ O。 O。 | | リ、 .. .. l 。 o+ |!*。| / `ー , ヘ .. | * |・ | ゚・ |/ / ... .. / / | ..... { | _|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_ > < /\ ──┐| | \ ヽ| |ヽ ム ヒ | | / \ / / | ̄| ̄ 月 ヒ | | \ _ノ _/ / | ノ \ ノ L_い o o > < 7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 15 21.10 ID ZS1SgYCd0 「そろそろ、カーテン閉めるよ」 ぼんやりと窓辺に立ち、空を見上げる水銀燈に声を掛ける。 西の空をほんの少しだけ残し、夜の帳が春風に揺れていた。 カーテンレールを滑る滑車の音が、夜から部屋を切り取った。 カーテンに伸ばした男の手が止まる。 水銀燈は何も言わず左を向き、そのまま真っ直ぐ部屋の角まで行くと静かに腰を下ろした。 その視線は男に向けられている。 まるで、道路の上で風に吹かれ、いつ車に轢かれるとも分からない ビニルの袋を見ているかのようだった。 「あー、ありがと」 男は、伸ばし、開かれた手を握り言った。 9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 19 19.27 ID ZS1SgYCd0 部屋の隅に置かれたストーブの赤く焼けた鉄が、部屋を照らしていた。 薬缶口からお湯がカップ麺へと注がれる。 水を足し、薬缶をストーブの上に置くと水滴が死ぬ音がした。カップ麺の蓋はシールで留められている。 春といえど夜はまだ寒い。 蓋を開けると、冷たさを含んだ湯気が鼻を湿らせた。 湿った鼻で感じるコンソメの臭いが食欲をそそる。 湯気をまとう刻みネギで飾り付けられた麺を持ち上げ、口をつける。 刺すような熱さが、一瞬。その後は味が程よく染み込んだ麺をすするだけなのだが──。 「食べる?」 水銀燈の視線の重さに箸を進める事が出来なかった。 10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 22 10.51 ID ZS1SgYCd0 「……別に」水銀燈が膝を抱きかかえ、顎を乗せた。 「お腹減らない?」 答えるのもさぞ面倒くさいと水銀燈が言う。 「あのねえ、私はローゼンメイデンよ? そんな犬の餌みたいな物を食べるわけがないでしょ。少しは物を考えて言いなさい」 「そうか」と男が返し、水銀燈の視線の中、外気に晒され冷たくなった麺をすすった。 時計の針が9時を指すまで、水銀燈は部屋の隅から男を見つめ、自分の鞄の中に何も言わずに戻った。 男はストーブの火を落とす。 熱が地に吸われる雨水のように引いていく中、彼は肘を付き、手の平に顎を乗せ、壁の一点を見つめていた。 顎に、薔薇の指輪の冷たい感触が触れている。 音がする。夜の冷たさが部屋を満たす音が。 11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 27 06.59 ID ZS1SgYCd0 夜にする為、昼を抜く。 空まで満たされていた昼が、徐々に地面に染み込み出していた。 「ただいま」 汚れが目立つドアを開き、部屋に入ると水銀燈が居なかった。それも鞄ごと。 部屋の何処かに隠れているのかと、キョロキョロと視線を動かすが見つからない。 そもそも隠れれる場所があるほど広い部屋ではない。 机の上に買ってきた物を置き、定位置に座る。 窓ガラスの向こうでは、夜が注がれ始めていた。 時計の針は9時を廻り、秒針が長針を追い抜いていく。 バタン。 誰も居ない部屋に扉が閉まる音が小さく響いた。 13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 31 04.63 ID ZS1SgYCd0 街灯の灯りが忙しなく点いたり消えたりを繰り返し、消えた。 青白い月明かりだけが、廃墟と化した教会を照らしていた。 男は公園や高架下や展望台。水銀燈が好きそうな所は一通り見て回ったが、 見つける事が出来なかった。 結局、この初めて彼女と出会った教会に足を運ぶ事になる。 ぎぃ。と分厚い木製の門が押される。 古カビと湿ったコンクリートの冷たい臭いがした。 破れた天窓から月明かりが差し込んでいたので、苦もなく辺りを見渡す事が出来る。 居た。 教会の真ん中に、彼女は居た。 14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 35 14.23 ID ZS1SgYCd0 肥大した黒い翼を持て余すかのように地べたに座り込み、閉じられた目の前の鞄を 恨めしそうに見つめ、時折苦しそうに声を漏らしていた。 水銀燈は男が入って来た事には気づいてはいなかった。 美しい。肥大した羽を、月明りに照らされている水銀燈を見て男は素直にそう感じた。 「どうしたんだ?」 男は水銀燈の肩に手をかけ言う。 そこで初めて男の存在に気づいた水銀燈は、男の顔に焦点が定まらない瞳を向け 「契約した……」と小さく口を動かした。 「大丈夫なのか?」と男が水銀燈の前髪が汗で張り付いた額に触れる。蒸された様に熱い。 「手を……のけなさい……」小さな手が力なく、額に添えられた男の手を押す。 「おい、そうじゃないだろ!」 「クソッ」既に水銀燈は苦しそうに目を閉じ、小さく唸るだけであった。 押し返そうとしたした水銀燈の手は、男の服をしっかりと握っていた。 15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 39 55.04 ID ZS1SgYCd0 次に水銀燈が目を覚ましたのは布団の中だった。 額がひんやりと気持ちがいい。 理由に手を伸ばす。額には冷えピタが貼られてある。 「何これ……」 「起きた?」 直ぐ傍の暗闇から声がした。 「寝とけって」 水銀燈が目を凝らし闇を見ると、契約した男が壁に背を預け座っていた。 羽の大きさは幾分かマシになっていたが、未だ鞄で眠れる大きさではないが、 熱や苦しさは引いていた。 16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 44 23.15 ID ZS1SgYCd0 「何で。何で私がここに居るの。何で私を連れてきたの」 水銀燈が問いかけ。「何でって」困ったように男が言う。 闇の中、赤い眼がじっと男の答えを待っていた。 「そりゃ、具合が悪そうだったし……それに、一緒に住んでたし……その、友達? みたいな……」 男の瞳が右へ左へと動く。 「友達?」と水銀燈が言葉を反芻する。 17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 47 14.30 ID ZS1SgYCd0 「ああ、いや、何でもない。っていうか寝ろよ、具合悪いんだろ。」 水銀燈の思考を断ち切ろうと男が言う。 開きかけた口を閉じ、言葉を探し水銀燈が言った。 「……寝れるわけないじゃない、ローゼンメイデンは鞄の中で眠るのよ? こんな安っぽくて、あんたの匂いが染み付いた布団でなんかで、寝れる訳ないじゃない」 「そうか。まあ、体を横にしているだけでも違うから、寝てたほうがいいよ」 男はそう言うと、水銀燈の額に貼ってある冷えピタを剥がし、 前髪を持ち上げ新しい物を貼った。その間、水銀燈は黙って男を見ていた。 19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 50 28.17 ID ZS1SgYCd0 「ねえ、えーと──」 「マサユキ」 「そう、マサユキ、その……」と水銀燈の語尾が擦れて消えた。 「何?」 「な、何でもないわよ。何でもないから。あんたも早く寝なさい」 言い終わってから、水銀燈は誰の布団で寝ているかを思い出した。 布団から抜け出そうとする水銀燈を止めた「いや、いいよ。それに、月見もしてたから」 水銀燈も言われて空を見る。 真ん丸の月に、薄っすらと雲がかかっていた。 「朧月だね」と男が小さく言った。 20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 53 19.58 ID ZS1SgYCd0 水銀燈は月に興味をなくし、男の顔に視線を戻すと視線が噛み合った。 男は、自分の袖を掴んでいた手を思い出した。 その手は、今は穏やかに重ねられ、その奥から男の眼を赤い眼が見つめている。 「何?」 「別に、何でもないよ」 「そう」 「寝なよ」 「アンタが寝なさいよ」 そんな二人のやり取りを、朧月が静かに照らしていた。 21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 56 03.47 ID ZS1SgYCd0 「そうだ、ケーキを買ってきているんだよね、一緒に食べよう」 「ケーキ?」と水銀燈が聞き返した。 「そう。水銀燈が食べれそうな物がよく分からなかったから、洋菓子をね」 「昨日一緒に食べたかったんだけど、ほら、水銀燈居なかったし」 水銀燈の羽は大分に落ち着いてきていた。後一晩もしない内に完治しそうである。 布団から体を起こしている水銀燈の元に、イチゴのショートケーキを皿に載せ運ぶ。 両手で皿を受け取り、じいっとケーキを見つめる水銀燈。 23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 00 58 20.03 ID ZS1SgYCd0 「もしかして、本当に物を食べれないの?」 小さな、銀のフォークを水銀燈渡そうとしながら、男が言った。 「いえ……そうね、頂こうかしら」 フォークを手に取り、ケーキを一口大に切り分け自分の口に運ぶ。 「……美味しい」 それを聞いた男は「そうか、良かった」と微笑んだ。 「じゃあ、紅茶でいいよね?」 水銀燈は何も言わず小さく顎を引き、またケーキを切り崩す作業に戻った。 24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 00 16.61 ID ZS1SgYCd0 紅茶の香りが、砂糖の残り香を柔らかく薄めていく。 水銀燈は小さな手で、大きなマグカップを包み込むようにしていた。 カップに触れている部分が赤くなっている。 「その羽は、その、戦いで?」 「ええ」 「……もう、痛くない?」 「おかげさまでね」と水銀燈が小さく微笑んだ。 紅茶の香りが時間と混ざり合い、ゆっくりと流れていた。 25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 03 32.20 ID ZS1SgYCd0 あれから、水銀燈の羽も完治し、連れている人工精霊の数も増え、 水銀燈の席も、部屋の隅から男の座る位置の正面となった。 「ねえ、マサユキ。ケーキはもうないの?」 水銀燈が目の端で、男の様子を伺いながら言った。 「昨日食べたじゃないか。まあ、また近いうちに買っとくよ」 「そう……それなら、まあ、別にいいのだけれど……」 残念そうに水銀燈が言う。 「ケーキ好きだったんだね」ニコニコと男が言った。 「違うわよ。マサユキが買ってくるから、私が食べてるんじゃない」 と顔を赤くしながら言った。「そうだったの?」 「そうよ。当たり前じゃない。私がケーキ? この水銀燈が? ばあっかみたい。 あんな、甘くて美味しいもの……好きな訳、ないじゃない……ほんと、ばっかみたい……」 「水銀燈は可愛いなあ」 「はっ、はぁ? あんた目がジャンクなんじゃないの!? それとも私がジャンクにしてやろうかしら!」 怒ったり、喜んだり、悲しんだりと水銀燈は忙しく表情を変化させていく。 少し精神が不安定なのかもしれない。 そんな水銀燈を男が眺めていると、バツが悪そうにそっぽを向いた。 26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 07 08.60 ID ZS1SgYCd0 「髪はねてるよ」と男が指摘すると、水銀燈は 「えっ、どこよ、どこ?」と自らの髪を撫で付けながらその背を鏡に写した。 「ほら、ここだよ」 男は水銀燈のヘッドドレスからピョコンと跳ねている髪の毛を撫でた。 「あっ」水銀燈が小さく吐息を漏らす。 何度撫で付けても、跳ねた髪の毛は元に戻らなかった。 撫で付けられている間、水銀燈は俯き、小さな羽がピクピクと動いていた。 「頑固な毛だな。櫛を持ってくるよ」 「い、いいわよ、持ってこなくても」 「でも」 水銀燈は自分で跳ねた毛を押さえ、羽を広げて飛び上がる。 「ちょっと用事を思い出したから、いくわ」 「お、おい待てよ」 男の静止を振り切って、水銀燈は光る鏡へと飛び込んだ。 27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 09 37.03 ID ZS1SgYCd0 緑の空を水銀燈が飛んでいた。剥き出しの大地には、角砂糖のような岩が転がっている。 あの時──マサユキが、自分の髪を梳かそうとした時──何で私は 逃げ出してしまったのだろうか? 『必要ない』と言えば済む話なのに、何故それが出来なかったのか。 これではまるで、恥らう乙女ではないか。 掠める風が水銀燈の頬から熱を奪う。 ドゴフゥ。角砂糖の岩の底から何かが吹き上げた。 土煙の中にその先端が見える。白い茨だ。 最後の敵、第七ドール『雪華綺晶』。 水銀燈は右の羽を巨大化、空を叩き強引に進路を変える。 既に彼女の中から暖かさは消えていた。 アリスになる為に。 茨の発信源へと、その身を黒い弾丸にした。 28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 13 12.19 ID ZS1SgYCd0 哂っていた。雪華綺晶は最期哂っていたのだ。 哀れむような笑みを、水銀燈は振り払う。 何わ共あれ、私はローザミスティカを全て集め、アリスへと成れたのだ。 あいつの驚く顔が見たい。きっと喜んでくれるだろう。 アリスへと成れた今なら、素直に髪を任せてもいいとも思える。 お父様に会う時、だらしない姿を見せたくもないし……。 倒してきた姉妹の事を思い出さないように、 思いでその身を満たし、契約した男の下へと急いだ。 全てを手にした、幸福で、至高の少女──アリス。 そう、私はアリスなのだ。 だが、彼女は二度と、契約した男『マサユキ』と出会う事はなかった。 二人が短い間だが、共に暮らした部屋に彼の姿は既になく、ローゼンだけが、 そこに居た。 29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 14 55.68 ID ZS1SgYCd0 契約していた男の名前を口に出しかけ、慌てて口をつぐむ。 「どうしたんだい、水銀燈」 「あっ……いえ、何でもありません、お父様」 「そうか、ならいい」とローゼンは手にしていた本に視線を戻した。 あの日、彼女が部屋に戻るとマサユキは居なくなっていた、居たが、そこには居なかった。 30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 17 14.71 ID ZS1SgYCd0 水銀燈は部屋へと通じる扉を見つけ、潜り抜ける。 見慣れた狭い部屋が、目の前に飛び込んできた。 「お帰り、水銀燈。いや、僕の──アリス」 水銀燈を出迎えた男はそう言った。 誰だ? 水銀燈は男と距離を取り、警戒を強めた。 「どうしたんだい、水銀燈? 父の胸に飛び込んでおいで。君は、僕のアリスだ。 君だけが僕に愛され、僕だけを愛する。さあ──」 父──つまり、己をローゼンだと言う男は手を広げた。 しかし、水銀燈には信じる事が出来ない。 彼女の瞳には、契約した男──マサユキにしか写っていないのだ。 いぶかしんで居ると、ローゼンは水銀燈にゆっくりとした歩調で近づいた。 「君は全ての姉妹を倒し、ローザミスティカを集めた。そうだろう?」 水銀燈は身を強張らせ頷く。 「そして、君は今。契約した男が自分が父だと言い、混乱している。そうだろう?」 ローゼンはしゃがみ、視線を水銀燈に合わせ言った。 「僕はね、直ぐ傍に居たんだよ。」 31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 20 27.57 ID ZS1SgYCd0 ローゼンは水銀燈の左手を取り、その手の平の上に薔薇の指輪を一つ、乗せた。 契約の時に使った指輪だ。現に、今ローゼンの左手薬指には指輪がなかった。 「そして、彼が今、ここにいる」 水銀燈は己から、ありもしない血の引く音を聞いた。 「僕はね、アリスが完成したら──ローザミスティカが全て揃えば──現れる事が出来るんだ。 そう作ったからね。さあ、もう僕が父だと分かっただろう? 父を抱きしめておくれ」 ローゼンが手を広げ、その胸に水銀燈を招く。 水銀燈はとことことローゼンの胸に歩み寄り、倒れ掛かるように抱きしめる。 その左手は硬く結ばれていた。 「おおっ、僕のアリス……!」 ローゼンが歓喜の声を上げたが、水銀燈は何も言わず、ローゼンを、己の父を抱きしめていた。 32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 24 58.56 ID ZS1SgYCd0 「ねえ、お父様」 水銀燈が、深く椅子にその身を預け、目を瞑っていたローゼンに話しかけた。 部屋は暗い。朧な月明りだけが照らしていた。 「なんだい、水銀燈」とローゼンが目を閉じたまま答えた。 「お父様は何もお食べにならないけれど、大丈夫なのですか?」 「ああ、大丈夫だ。」そう言ったローゼンの頬は、月明りのせいだろうか青白く見えた。 「そうですか……」 水銀燈はあっさりと引き下がった。 「水銀燈」 「はい」 「お前は私に食べさせるとしたら、何を食べさせる」 水銀燈の口が柔らかく弧を描いた。 「えっ、あ、そうですね……洋菓子など、どうでしょうか……?」 「美味しいですよ」と付け加える。 34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 29 04.09 ID ZS1SgYCd0 ローゼンは闇の中から水銀燈の表情を見つめ眉間に皺を寄せたが、 水銀燈にはそれが見て取れなかった。 「……そうだな、明日それを買ってこよう」 「本当ですか?」 月明りに水銀燈の銀の髪が舞う。 「ああ」 「イチゴのショートケーキが美味しいんですよ」と水銀燈はローゼンに、 他にどのケーキが美味しいだとか、付け合せの紅茶は何がいいかだとかを話し始めた。 ローゼンは相槌を打ってはいたが、その耳は夜の音だけを聞いていた。 冷たい夜が、部屋を満たす音だけを。 35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 33 00.99 ID ZS1SgYCd0 水銀燈が窓辺に腰を下ろし、窓枠に肘を、その手の平に上に顎をのせ小指を噛み、空を見ていた。 空は曇り、その表情は窓ガラスには写りこんではいない。 その姿をローゼンが眺めているが、水銀燈はそれに気づく様子もなかった。 「水銀燈」とローゼンが呼びかけた。 水銀燈は小指を、小さな白い歯から開放し、ゆっくりとローゼンの方に向き直った。 「はい、お父様」 「髪が跳ねているよ」とローゼンが指摘すると「すみません」と水銀燈が ヘッドドレスの──以前、男に撫でられた所を、優しく押さえた。 無論、跳ねている場所はそこではない。 ローゼンが小さく息を吐き「そこで待っていなさい」と洗面所へと消え、 戻ってきた時には、その手に櫛を握っていた。 「自分でします」 水銀燈の声を制するように「背中を向けなさい」とローゼンが言った。 36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 38 11.55 ID ZS1SgYCd0 櫛を水銀燈の銀の髪に当てた。 ローゼンがゆっくりと水銀燈の髪を梳る。 「身だしなみに気をつけるのも、アリスの務めだよ」 「はい、すみません、お父様」 水銀燈はローゼンに梳るままにされていた。 「お休み、水銀燈」 水銀燈は何も答えなかった。 ローゼンは水銀燈の髪を梳き終わると、水銀燈を抱き上げた。 カチャカチャと陶器が触れ合う音がした。 水銀燈を鞄の中に寝かせ、その手に人形の手には少しばかり大きい、 人間用の薔薇の指輪を握らせ鞄を閉じた。 「また、失敗か」 ローゼンの呟きは、明るさを失っていく部屋に虚しく吸い込まれ、消えた。 40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 40 44.12 ID ZS1SgYCd0 二ヵ月後、首を裂いた男の死体がアパートの一室で見つかった。 異臭がすると、住人が管理人に連絡し、発見されたのだ。 その部屋で人形が見つかったという話は聞かない。 そして今も、気づかれる事なく、契約には使われる事がない薔薇の指輪が、 鞄の中で水銀燈と共に眠っている。 41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: :2008/03/22(土) 01 40 55.15 ID ZS1SgYCd0 終わりです、お疲れさまでした 53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:sage :2008/03/22(土) 03 18 48.94 ID ZS1SgYCd0 / ̄\ | | \_/ カタ / カタ /  ̄  ̄  ̄\ ` ヽ 、 /\ / .\ /`ヽ、 ` ヽ、 ● ● \ どうやら、オプーナというゲームのミニゲームで / `ヽ、/ i (__人__) | 桃種先生書下ろしのローゼンメイデンの話が読めるらしいですよ…と `ヽ、 / i i、 ` ⌒´ ./ ! `ヽ、i i i ヽ、 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄i {`ヽ、 i i i#`ヽ ⌒ヽ、/ .ノi | `ヽi i i#### `ゞ_、_,,/ i `ヽ、 i i/ヽ// ` ヽ、 i
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/15765.html
スライム転生。大賢者が養女エルフに抱きしめられてます 登場人物 コメント 月夜涙によるライトノベル作品。 登場人物 カラナクシ(ひがしのうみ):マリン・エンライト テールナー:オルフェ・エンライト ニャスパー:二コラ・エンライト 夢特性:マイペース キュウコン:シマヅ・エンライト コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/enshutsu/pages/431.html
吉原 正行 【よしはら まさゆき】 スタジオ・ライブのアニメーター出身。 P.A.WORKS所属。 「八犬伝新章」参加中に美術監督を担当していた神山健治と出会い、その後徐々に演出にシフトしていく。 2000年に富山県のP.A.WORKS設立に参加。当初は堀川社長と二人のみだった。現同社作画部長。 神山監督作品の「攻殻機動隊 S.A.C」では1st、2nd GIGを通してPAのグロス回の演出を7本担当し、「精霊の守り人」「東のエデン」では副監督を担当し監督を補佐した。 通称‘大将’。トレードマークは黒の中折帽。通常はPAの東京スタジオ(小平市)勤務。 2013年PA制作の「有頂天家族」でテレビシリーズ初監督を担当する。 P.A.WORKS公式ホームページ/作画のとび箱「大将に聞いたこと」 有頂天家族公式/P.A.WORKSインタビュー(第1回/全4回) 「有頂天家族」放送開始記念!吉原監督&「攻殻機動隊」神山監督企画対談(第1回・その1) そこあに/「有頂天家族」特集Part1 #280(ネットラジオ、出演:監督 吉原正行さん・P.A.WORKS社長 堀川憲司さん 約53分) ■アイドル伝説えり子(TV/1989〜1990) 動画 1話 8話 16話 20話 26話 34話 39話 43話 ■魔動王グランゾート(TV/1989〜1990) 動画 6話 25話 ■魔神英雄伝ワタル2(TV/1990〜1991) 原画 16話 21話 動画チェック 26話 32話 37話 41話 動画 2話 10話 33話 37話 ■アイドル天使ようこそようこ(TV/1990〜1991) 動画 1話 21話 ■からくり剣豪伝ムサシロード(TV/1990〜1991) 原画 7話 13話 19話 23話 29話 36話 43話 47話 ■まじかる☆タルるートくん(劇場/1991) 原画 ■まじかる☆タルるートくん(TV/1990〜1992) 原画 27話 ■武者・騎士・コマンド SDガンダム緊急出撃(劇場/1991) 原画 ■きんぎょ注意報!(TV/1991〜1992) 原画 14話 19話 ■超幕末少年世紀タカマル(OVA/1991) 原画 1話 ■魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢を抱きしめて(TV/1991〜1992) 原画 22話 28話 ■幽★遊★白書(TV/1992〜1995) 原画 1話 3話 7話 13話 19話 27話 33話 35話 39話 42話 48話 54話 58話 66話 73話 ■姫ちゃんのリボン(TV/1992〜1993) 原画 13話 18話 23話 ■ムカムカパラダイス(TV/1993〜1994) 原画 41話 ■NINKU -忍空- ナイフの墓標(イベント上映/1994) 原画 ■THE 八犬伝 [新章](OVA/1993〜1995) 原画 6話 ■NINKU -忍空-(劇場/1995) 原画 ■NINKU -忍空-(TV/1995〜1996) 絵コンテ・作画監督・原画 41話 ■GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(劇場/1995) 原画 ■ハーメルンのバイオリン弾き(劇場/1996) 原画 ■時空冒険ヌウマモンジャ~(イベント上映/1996) 原画 ■機関車先生(劇場/1997) 原画 ■クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡(劇場/1997) 原画 ■クレヨンしんちゃん(TV/1992〜) 絵コンテ 290話C 293話A 298話B 303話B 306話A 作画監督 237話B 241話B ■映画 クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦(劇場/1998) 原画 ■季節を抱きしめて(PS/1998) 原画 イラストレーション ■スライム冒険記 ウルフくんがんばるの巻(イベント上映/1998) 原画 ■天使になるもんっ!(TV/1999) デザインワークス 原画 1話(梅芝五郎と共同) ■スライム冒険記 海だ、イエ~(イベント上映/1999) 原画 ■金田一少年の事件簿3 青龍伝説殺人事件(PS/1999) 絵コンテ・演出 ■メダロット(TV/1999〜2000) 絵コンテ・演出 9話 23話 36話 47話 52話 絵コンテ 12話 演出 19話 ■人狼(劇場/2000) 原画 ■SCANDAL(PS2/2000) メカニカル設定 ■人造人間キカイダー THE ANIMATION(TV/2000〜2001) 絵コンテ・演出 4話 12話 18話 ■機動天使エンジェリックレイヤー(TV/2001) 絵コンテ 7話 20話 ■WILD ARMS Advanced 3rd(PS2/2002) インサートムービー絵コンテ 原画 ■.hack//Liminality(OVA/2002〜2003) 絵コンテ 3話 演出 1話 ■攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(TV/2002〜2003) 絵コンテ・演出 3話 12話 18話 原画 22話 ■スクラップド・プリンセス(TV/2003) 原画 12話 18話 ■攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG(TV/2004〜2005) 絵コンテ・演出 4話 14話 21話 絵コンテ 18話 演出 26話 原画 2話 14話 21話 26話 ■攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(OVA/2006) 絵コンテ(神山健治と共同) 演出(橘正紀、河野利幸と共同) ■精霊の守り人(TV/2007) 助監督 絵コンテ 4話 5話 演出 26話 ■RD 潜脳調査室(TV/2008) 絵コンテ 7話 10話 演出 10話 ■東のエデン(TV/2009) 副監督 絵コンテ 1話(神山健治と共同) 3話 5話(神山健治、柿本広大、河野利幸と共同) 6話(神山健治、柿本広大、河野利幸と共同) 7話(神山健治、柿本広大、河野利幸と共同) 10話(神山健治、柿本広大、河野利幸、京極義昭と共同) 11話(共同) 演出 11話(共同) ■東のエデン 劇場版I The King of Eden(劇場/2009) 副監督 絵コンテ(河野利幸、柿本広大、京極義昭、神山健治と共同) ■東のエデン 劇場版II Paradise Lost(劇場/2010) 副監督 絵コンテ(京極義昭、柿本広大、神山健治と共同) 演出(柿本広大、河野利幸、新留俊哉と共同) ■マイの魔法と家庭の日(TV/2011) 監督 キャラクターデザイン(牧野博美と共同) 絵コンテ(政木伸一、柿本広大と共同) ■若手アニメーター育成プロジェクト PROJECT A「万能野菜ニンニンマン」(劇場/2011) 監督・原案・脚本・キャラクターデザイン ■Another(TV/2012) 絵コンテ 0話 4話 5話 ■劇場版 BLOOD-C The Last Dark(劇場/2012) 絵コンテ協力 ■有頂天家族(TV/2013) 監督 EDアニメーション 絵コンテ 1話 2話 3話 5話 6話 8話 11話 12話 13話 ■凪のあすから(TV/2013〜2014) 絵コンテ 24話 ■えくそだすっ!(OVA/2015) 絵コンテ・演出 ■クロムクロ(TV/2016) 絵コンテ 7話 ■有頂天家族2(TV/2017) 監督 EDアニメーション 絵コンテ 1話 ■ウマ娘 プリティーダービー(TV/2018) 絵コンテ・演出 OP ■さよならの朝に約束の花をかざろう(劇場/2018) 原画 ■劇場版 SHIROBAKO(劇場/2020) 原画 ■駒田蒸留所へようこそ(劇場/2023) 監督 コンテ ■天穂のサクナヒメ(TV/2024) 監督
https://w.atwiki.jp/sakuga/pages/222.html
吉原 正行 【よしはら まさゆき】 スタジオ・ライブ出身。 「八犬伝新章」参加中に美術監督を担当していた神山健治と出会い、その後徐々に演出にシフトしていく。 2000年に富山県のP.A.WORKS設立に参加。当初は堀川社長と二人のみだった。現同社作画部長。 神山監督作品の「攻殻機動隊 S.A.C」では1st、2nd GIGを通してPAのグロス回の演出を7本担当し、「精霊の守り人」「東のエデン」では副監督を担当し監督を補佐した。 通称‘大将’。トレードマークは黒の中折帽。 2013年P.A.WORKS元請作品の「有頂天家族」でテレビシリーズ初監督を担当した。 以前はPAの東京スタジオ(小平市)勤務だったが、 2019年時点ではPAの富山本社に在籍している。(ついにアニメスタジオでも働き方改革が始まった!~P.A.WORKS堀川社長に聞く〈前編〉より) P.A.WORKS公式ホームページ/作画のとび箱「大将に聞いたこと」 有頂天家族公式/P.A.WORKSインタビュー(第1回/全4回) 「有頂天家族」放送開始記念!吉原監督&「攻殻機動隊」神山監督企画対談(第1回・その1) そこあに/「有頂天家族」特集Part1 #280(ネットラジオ、出演:監督 吉原正行さん・P.A.WORKS社長 堀川憲司さん 約53分) (演出wiki様から引用) ■アイドル伝説えり子(1989~1990) 動画 1話 8話 16話 20話 26話 34話 39話 43話 ■ドラゴンボール(1986~1989) 動画 152話 ■魔動王グランゾート(1989~1990) 動画 6話 25話 ■ドラゴンボールZ(1989~1996) 動画 13話 20話 27話 33話 39話 46話 51話 66話 71話 ■魔神英雄伝ワタル2(1990~1991) 動画 2話 10話 33話 37話 動画チェック 26話 32話 37話 41話 原画 16話 21話 ■アイドル天使ようこそようこ(1990~1991) 動画 1話 21話 ■からくり剣豪伝ムサシロード(1990~1991) 原画 7話 13話 19話 23話 29話 36話 43話 47話 ■チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ(TV/1990~1991) 原画 10話 ■まじかる☆タルるートくん(劇場/1991) 原画 ■まじかる☆タルるートくん(TV/1990~1992) 原画 27話 ■武者・騎士・コマンド SDガンダム緊急出撃(劇場/1991) 原画 ■きんぎょ注意報!(1991~1992) 原画 14話 19話 ■OH!MYコンブ(TV/1991) 原画 12回 ■超幕末少年世紀タカマル(OVA/1991) 原画 1話 ■魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢を抱きしめて(1991~1992) 原画 22話 28話 ■幽★遊★白書(1992~1995) 原画 1話 3話 7話 13話 19話 27話 33話 35話 39話 42話 48話 54話 58話 66話 73話 39:陣がよっこらしょとあぐらをかくカットなど(「この人に話を聞きたい 第百六十一回」より) 58:小兎がフェンスの端で新体操のような動きをしているところなど(同上) 66:コエンマの周りの鬼がクニャクニャ動いているところなど。当時公開されていたディズニー映画「アラジン」の影響を受けて作画したそうである。(同上) 73:最後の追っかけっこ(同上) ■姫ちゃんのリボン(1992~1993) 原画 13話 18話 23話 ■ムカムカパラダイス(1993~1994) 原画 41話 ■NINKU -忍空- ナイフの墓標(イベント上映/1994) 原画 冒頭の回想シーン 事件が終わって一件落着、村人が帰ってきて「おとうちゃーん」なんて子供が駆け寄って、大団円みたいなところ(一部西尾鉄也氏が原画を描いている) (以上、西尾氏インタビューより。西尾氏・阿部記之監督対談も参照) ■THE 八犬伝 [新章](OVA/1993~1995) 原画 6話 ■NINKU -忍空-(劇場/1995) 原画 ■NINKU -忍空-(TV/1995~1996) 絵コンテ・作画監督・原画 41話 ■GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(劇場/1995) 原画 ■ハーメルンのバイオリン弾き(劇場/1996) 原画 ■時空冒険ヌウマモンジャ~(イベント上映/1996) 原画 ■機関車先生(劇場/1997) 原画 ■クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡(劇場/1997) 原画 ■クレヨンしんちゃん(1992~) 作画監督 237話B 241話B 絵コンテ 290話C 293話A 298話B 303話B 306話A 原画 217話C 233話A 237話B 241話B ■映画 クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦(劇場/1998) 原画 ■季節を抱きしめて(PS/1998) 原画 イラストレーション ■スライム冒険記 ウルフくんがんばるの巻(イベント上映/1998) 原画 ■天使になるもんっ!(1999) デザインワークス 原画 1話 ■スライム冒険記 海だ、イエ~(イベント上映/1999) 原画 ■金田一少年の事件簿3 青龍伝説殺人事件(PS/1999) 絵コンテ・演出 ■メダロット(1999~2000) 絵コンテ・演出 9話 23話 36話 47話 52話 絵コンテ 12話 演出 19話 ■人狼(劇場/2000) 原画 ■SCANDAL(PS2/2000) メカニカル設定 ■人造人間キカイダー THE ANIMATION(2000~2001) 絵コンテ・演出 4話 12話 18話 ■機動天使エンジェリックレイヤー(2001) 絵コンテ 7話 20話 ■WILD ARMS Advanced 3rd(PS2/2002) インサートムービー絵コンテ 原画 ■.hack//Liminality(OVA/2002~2003) 絵コンテ 3話 演出 1話 ■攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(2002~2003) 絵コンテ・演出 3話 12話 18話 原画 22話 ■スクラップド・プリンセス(2003) 原画 12話 18話 ■攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG(2004~2005) 絵コンテ・演出 4話 14話 21話 絵コンテ 18話 演出 26話 原画 2話 14話 21話 26話 ■キリンレモン77「SEVEN SEVENS 登場篇」(2005) アニメーション監督 ■攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(2006) 絵コンテ・演出(共同) ■精霊の守り人(2007) 助監督 絵コンテ 4話 5話 演出 26話 ■RD 潜脳調査室(2008) 絵コンテ 7話 10話 演出 10話 ■東のエデン(2009) 副監督 絵コンテ 1話(共同) 3話 5話(共同) 6話(共同) 7話(共同) 11話(共同) 演出 11話(共同) ■東のエデン 劇場版I The King of Eden(劇場/2009) 副監督、絵コンテ ■東のエデン 劇場版II Paradise Lost(劇場/2010) 副監督、絵コンテ、演出 ■マイの魔法と家庭の日(2011) 監督 キャラクターデザイン(共同) 絵コンテ(共同) ■若手アニメーター育成プロジェクト PROJECT A 「万能野菜ニンニンマン」(劇場/2011) 監督 原案・脚本 キャラクターデザイン ■Another(2012) 絵コンテ 0話 4話 5話 ■有頂天家族(2013) 監督 EDアニメーション コンテ 1話 2話 3話 5話 6話 8話 11話 12話 13話 ■凪のあすから(2014) 画コンテ 24話 ■えくそだすっ!(SHIROBAKO劇中アニメ)(OVA/2015) 絵コンテ・演出 ■クロムクロ(TV/2016) 絵コンテ 7話 ■有頂天家族2(TV/2017) 監督 EDアニメーション コンテ 1話 ■さよならの朝に約束の花をかざろう(劇場/2018) 原画 ■ウマ娘 プリティーダービー(TV/2018) 画コンテ・演出 OP ■劇場版SHIROBAKO(劇場/2020) 原画 ■駒田蒸留所へようこそ(劇場/2023) 監督 コンテ ■天穂のサクナヒメ(TV/2024) 監督
https://w.atwiki.jp/suiginto/pages/41.html
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 01 04 53.15 ID DckY/wAO0 はいもしもし、え?はあ、そうですね、じゃあ巻きます。はい、ぐるっと いやいやそんな事ないですよ、オーイエーロッケンロー 受話器越しに盛り上がる。 さっきから思ってたんですけど、あなた「くんくん探偵」に声が似てるって言われません? 電話が切られた。嫌な過去でも掘り当ててしまったのか。 しかし何だったのだろう、セールスの電話にしちゃ変だし アンケート調査と言った具合でもない。 運勢占いまでしてくれたし、悪い人じゃないと思うんだけど。今日のラッキーカラーは赤色らしい そんな事を考え受話器を下ろし、後ろを振り返ると一つの鞄が置いてあった。 何だ、これ 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 01 18 50.09 ID DckY/wAO0 私はとりあえず、鞄に耳を当て中の音を聞いてみる事にした 時計の音は、していない。 鞄だって安物とは思えないし。だいたい、何で私の部屋にこんな物が? 心当たりがない事もない、さっきの電話だ 長電話で私の注意を引き、その間に鞄を部屋のど真ん中に置く・・・・・・。 分ったぜおっちゃん、後はこの時計形麻酔銃で! 常識的に考えて無理だろ。スネークが本当に居るんなら話は別ですが まあ、爆弾でもなさそうですし 私は鞄を開く事にした。カチャリと軽い音がし鞄が口を開く 中には人形が一体、入っていた。 謎が謎を呼ぶ、CMの後解決したらいいよね 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 01 29 39.13 ID DckY/wAO0 鞄の中には銀色の長い髪が特徴的な黒いドレスを着た人形と、蝶の様な螺子巻きが入っていた。 観賞用の人形っぽいですけど、カラクリ人形なんですかね? 私は人形の螺子穴を探す事にした。人形を鞄から抱えだす ええ、スカートの中は理性が押し止めましたよ、ちょびっツを見てたら危なかったですけどね。 それにしても、柔らかいですね。肌が私の指を押し返す、シリコンでもこれは無理だろう 件の螺子穴は呆気なく見つかった、尾?骨辺りだ。 私は螺子巻きを挿しこみ、キリキリと螺子を巻く キリキリキリキリキリギリ、ギリ、ギギ ゼンマイは限界まで巻かないと気がすまない、チョロQでもそうだった。 ギ、ギッ、ガジとそろそろゼンマイのタップ音が聞こえてくる その時、人形がふいにこちらを向き、私の頬を平手で叩き 「巻きすぎで痛いのよ、ばかっ!」 人形が喋ったのだ。 ソッチ系の人御用達のカラクリ人形なんですかね 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 01 45 58.59 ID DckY/wAO0 ところで、家に何の用ですか? こっちが聞きたいわよぉ。そうですか この人形は私が進めた座布団には座らず、鞄の上に腰掛けていた。 確かに部屋は汚いけどさ、なんつーのかな。なあ? 「変な電話か手紙が、こなかったぁ?」 電話が来ましたよ。あなたが来るちょと前に それだわぁと眉間を人差し指でグリグリとする。疲れが溜まっているんですかね 「まだ、契約はしてないようねぇ」か、下半身の!? 私の左薬指を見、少し安心したように呟く。 「じゃあ、いつまでもここに居る理由はないわぁ、それじゃあねぇ、おばかさぁん」 彼女の羽が広がり、黒い粒子が舞い落ち、窓から夜の闇へと飛び出した 飾りじゃ、なかったのか。私はしばらく夜空を見上げていた。曇りだったが。 鞄、忘れてますね 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 02 00 52.55 ID DckY/wAO0 ああ、体が痛い。私は椅子で目を覚ました。 何故椅子で寝る事になったのか気になるだろ?話はこうだ あの日、人形が9時ごろ帰ってきた。鞄を忘れた事に気づいたらしい。 その鞄で寝ないと駄目なんですか、大変ですね 人形は私に「おじゃまします」の一言も掛けずに鞄に入る、親の顔が見てみたい 暫くそんな事を考えていたら急に鞄の口が開いた、何でも 「私が人間より下で眠るのは変だわぁ、だから鞄をベットの上に移動させなさぁい」 「ほうほう、つまり同衾と申すか」 「おばかさぁん、あなたには鏡を見る事をお勧めするわぁ」 負けたね、完全に私の負けだった。 人形はベットの上に置かれた鞄を満足気に眺め、鞄に入った その状態でスプリングが安物だとか、どんだけですか、ほんと。 「名前、何ですか?」 「はぁ?」鞄を閉じかけていた人形に尋ねる、いつまでも人形じゃ呼びにくい。 「名前ですよ名前、あるんでしょう?」 「水銀燈よぉ、ローゼンメイデン第一ドール水銀燈、覚えときなさぁい」 そう言うと彼女は彼女は鞄を閉じた。 とまあ、そんな感じで私はベットを追い出され、椅子難民となったのだ。 人形より下の人間って新ジャンルにならないかな、玄人マゾ御用達になるよ! 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 02 15 57.40 ID DckY/wAO0 彼女、水銀燈との生活で分った事がいくつかある。 乳酸菌飲料、特にヤクルとを好んで飲む。しかも400をだ。 朝は鳥が囀り始めたら起き、夜は9時ごろ鞄に入る 彼女と私が日中何をしているのかと言うと、ほとんど何もしていない、 ふらりと空に出て行く事もあれば、家で一日中本を読んでる事もある。 一度外に何をしに行くのか聞いてみた事があったが 「いつも何処に行くんですか?」 「あらぁ気になるぅ?」そりゃ、気になりますよ 「童貞ボクちゃんも、女の子に興味が出てくる年頃なのねぇ」 口元に歪んだ笑みを浮かべてそう返された。 つまり、完全に馬鹿にされ、煙に巻かれてしまうのだ。 罵倒されても苦痛にならない。これも彼女との生活で分った事です。 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 02 32 21.40 ID DckY/wAO0 気になりますか?私は家庭用ゲーム機で遊んでいた。 彼女は別にぃと言いながらも、私の背中越しにテレビ画面から目が離せないようだ。 ゲームのキャラクターが喋る。ミッションの内容がどうだとか、そな事なのだが 「えっ、箱が喋ったわぁ!?」いいよ、いいよそのリアクション100点満点だ、ズドーン! ゲーム画面に入り、コントローラーでロボットを動かす 「中にロボットが・・?」やべ、大好きだわこの子。 無事にゲームが終わり、私は水銀燈にテレビの説明をする事にした 「これはテレビと言いまして、中に人は居ません」 「そのぐらい知ってるわよぉ」 「え?」 「おばかさぁん」口元がプルプルと震えている、笑ってるのか そうでうよね、流石にテレビ知らないとかないですよね。 水銀燈は私をニヤニヤしながら見続けていた、口元が可愛いからいいけどさ。 その日から水銀燈の趣味にテレビゲームが加わった 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 02 44 41.30 ID DckY/wAO0 私は髪を拭いながら、脱衣所から出た。 ふう。風呂上りの脱力感には頭が上がらない、むしろ脱力感に飲まれるのがプロなのだ。 私は冷蔵庫から水を取り出した、氷も忘れない あれ、どうしましたか? 「なっ、ば、お、乙女の前なのよぉ、慎みなさいよぉばかぁ」 真っ赤にした顔を両手で顔を覆い、両手を太ももに挟み、シュンとうな垂れる。 パンツ一枚で出歩くのはよくないらしい。これは気づきませんでした、すみません 私はシャツを着た、流石に童貞乳首を晒すのはよくなかったようだ。 「これでいいですか?」やれやれと、肩をすくめポーズを決めた。 「ばかぁあ!パンツま、丸出しじゃなぁい!」 物を投げるのは、痛 やめてください。その時、私の頭にルービックキューブの角が当った。 あまりの痛さに思わずしゃがみ込む。こ、これはガチで痛い 小さな手が私のタンコブを撫でた だいじょうぶぅ?と水銀燈が撫でてくれていたのだ、顔から恥じらいの色は消え 真剣に私を心配してくれてるようだ。可愛いじゃないか 大丈夫ですよと返す、水銀燈の顔が優しく緩んだ。 でも、パンツ一枚はやめてねぇ。ですよね、善処します 私がパンツ一枚で生活する事はなくなった 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/08/06(月) 02 47 33.06 ID cc2NvdAT0 もしかして、「[[水銀燈をぎゅっと抱きしめたい]]」の人ですか? 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 02 51 16.17 ID DckY/wAO0 23 よくわかったね、正解だ 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 03 03 46.05 ID DckY/wAO0 冷蔵庫のオレンジ色の光りが私を照らした。 そのまま水を取り出し、コップで2杯飲んだ。俺の眠気はクライマックスだぜ 私は流しにコップを置き、ふらふらと自分のベットたどり着き、潜り込んだ。 何て言うのかな、凄い爽やかな気分だったね 久しぶりにベットで寝たら、こんな気持ちなんじゃないのかな。窓の外ではペーチュンチュン お、おっ、おっと背伸びをし、水銀燈と目が合った。 水銀燈が鞄の横に座って私を見つめている。照れるじゃないか 「マセガキ」 一言、こう呟いた。 いやその、寝ぼけて、清々しい気持ちで、鳥がとゅとゅとゅでして、その 「別にぃ、私はお姉さんだから気にしないわぁ」 お姉の所に変にアクセントをつけますね 「まぁ眠いなら、もっと寝てていいのよぉ?甘えん坊さぁん」 頭をさわさわと撫でられた。あーうん、こういうのもいいわ 私は再び眠りについた、水銀燈は横に座ったままだった。 「ふふ、おやすみなさぁい」 私が次に起きた時、冷蔵庫のヤクルトは全滅していた。 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 03 19 02.92 ID DckY/wAO0 ヤクルトぉ。はいただいま 私が言ったのは400よぉ?取り替えて。申し訳ございません、お取替えします 肩ぁ。へい、お客さんこってますね いったぁあぃ!馬鹿!もういいからベットまで運びなさぁい。OKマドモアゼェール 私は少し悩んだ、水銀燈をどうやってベットまで運ぶかでだ。 籠、却下だな二人居ないと出来ない、タクシーも駄目か、これは俺でも分かる 「なにしてるのよぉノロマは嫌いよぉ?」 「どうやってお嬢さんをベットにエスコートしようか、悩んでたんですよ」 「はぁ?抱っこもできないのぉ?本当におばかさんなのねぇ」 考えはしたんですが、怒られそうだったんですよね 私は水銀燈を抱かかえた。 「あら、初めてのくせに上手じゃなぁい」センキュウボス ベットまで運び、おやすみと言う。私は椅子に寝転び目を瞑り考える。 軽かった、彼女の体はとても、軽かった。 本当に、人形なんだな、と。 何故不機嫌だったかまでは分らなかった 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 03 34 00.63 ID DckY/wAO0 最近疲れてますね、どうしたんですか? 別にぃあなたには関係のない事だわぁ。気になりますよ だって、ボクの大切なお姉ちゃんなんだもん。完璧だ、目に獅子座流星群が走ってたよ。 うわ、きもっ。分ってたけどさ、オブラートに包もうぜ。 はぁ馬鹿らし、いいわぁ教えたげる。それは助かります 私、つまり人形が動く事に疑問を感じた事があるでしょぉ? 私以外にも同じような人形が居るのよぉ6対も。はあはあ、ローゼンシリーズって奴ですか そう、飲み込みが早い子は好きよぉ? 来たな、俺の時代が まあそれでねぇ、私達の命の源をね、取り合ってるの。 「は?」 「だからぁ動く為に必要なローザミスティカを取り合ってるの、聞いてなかったのぉ?」 「でも、それって、それを取られたら、死んじゃうんじゃ、ないですか?」 「人形だから死にはしないわぁ、でも人間で言うと、そうなるわねぇ」 「その、姉妹?でそういう事をするのは、よくないんじゃないですか?戦いは不毛ですし」 「・・・・・・あなたに、何が分るって言うの」 見て分るほどに不機嫌になった。しまった、これには口に出すべきじゃなかった。 「いえ、すみません。忘れてください」 「そうするわぁ」 私達の会話はこれで終わった。水銀燈は寝るまでコントローラーを放さなかった。 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 03 42 08.81 ID DckY/wAO0 うお、ちょと大腸が反乱を起した 鎮圧してくる 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 03 45 52.85 ID DckY/wAO0 あぶなかった 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 03 46 58.98 ID DckY/wAO0 その日私は食卓に豚肉やニガ瓜を使った料理を出した。 あら、今日はいつもと違うのねぇ。頑張りました どうやらニガ瓜を気に入ったようですね、また買っときます 「でも、今日はどうしてこんなに豪華なのぉ?」 ニガ瓜をポリポリ噛みながら聞いてきた、ごっくんしてから喋ってください 「いや、最近疲れてたみたいなんで精が付く物をと」 「あら、嬉しいわぁ」 ふふっと彼女が目を細めて笑った。 釣られて私も微笑む。こんな時間がいつまでも続けばいいのに。 あ、こらニンジンも食べてください 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 03 57 58.69 ID DckY/wAO0 鏡が急に光り、水銀燈が鏡から飛び出してきた。 か、仮面ライダー?ファイナルベントしちゃう? おばかさぁん、私達専用の通路よ。って、大丈夫ですか? 水銀燈の右羽が半分になっていた、顔からも脂汗を流し辛そうにしている。 メイメイ、と彼女が呟くと何処からともなく、赤い人魂の様な物が現れた、 ケセランパセランかもしれない。 メイメイは水銀燈の胸の前でチカチカと目まぐるしく点滅し出した。 そして、だんだんと光りの間隔が弱く、優しくなる。まるで、バイタルサインだ その頃には水銀燈の羽は修復され、いつもの顔に戻っていた。 「だ、大丈夫なんですか?」 「大丈夫よぉ、ちょとヘマしただけ、心配しないでぇ?」 「ですが、その」このままじゃ、命が 「約束、したわよねぇ」 水銀燈が夕暮れの空を見ながら呟いた。 「ええ、もちろん。いや、カルピスソーダのグレープフルーツ味を買いまして」 「あらそれは楽しみだわぁ」 私は急いで台所に向かった。何て言えばいいんだよ、くそ 水銀燈は炭酸を飲むたびに羽が震える 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 04 17 11.20 ID DckY/wAO0 夜。草木も寝静まった頃、鏡が光っていた。所々で波紋が広がる。 水銀燈は鏡の前に立っていた。 「いくんですか」私はベットから身を起し言った。 「ええ」 「また、明日の朝会えますか?」 水銀燈は私の方を見て、笑っているような、寂しいような、悲しいような なんとも形容しがたい微笑みを浮かべてくれた。 だけど、それはとても魅力的だった、形容できない魅力だ。 「あの、水銀燈さん」 何となく、頭の中で纏まり出した言葉を吐き出そうとする。 「ねぇ」 水銀燈が私の方に歩いてきた。彼女はベットに立ち私の顔に小さな手を添えた。 「明日もカルピスソーダグレープフルーツでお願いねぇ?」 そして、私の頬に小さな唇が触れ、蜜のような眠りに捕われる。 「おやすみなぁい」 私は言葉を伝える事が出来なかった。 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 04 32 41.21 ID DckY/wAO0 私は、漂っていた、どこまでも広がる緑色の海だ。 何で、ここに居るんだっけ。まあいいか、気持ちがいい 「こんばんは、ただ螺子を巻いただけの少年」 どこからか、声が聞こえた来た。 少年?ボクのチンコはズルムケだぜ 「それは勇ましい。ですが、このままで良いのですか?」 パチリ、パチリと申し訳程度に拍手が聞こえた。 「このままだと、失ってしまいますよ?」 失う?HDDのエロデータ、いや、違う。水銀燈の事だ。 そうだ、俺は水銀燈に伝えたい事があったんだ! 「会って話す、何を?」ばっか、男には言えないよ 「契約の指輪も持たないあなたが、何を伝えるのです?」 気になるだろ?俺をそこに案内してくれたら、通行客として、聞けるんだぜ? 「それは魅力的な提案。お受けしましょう」 私はいつのまにか、廃墟に立っていた。 「あとは、貴方しだい。本当に伝えたい事があるのなら、辿り着くでしょう」 私は体を伸ばし、ストレッチをする。 「ありがとう、くんくん探偵の声の人」おや、と少し関心する声がした。 私は走り出した。 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 04 44 24.30 ID DckY/wAO0 私は廃墟を抜け、森を走り、泉の前に出た。 空では水銀燈が翼を広げ、羽を飛ばしていた。敵は、あいつか? 息を整えながら、戦いの状況を見る。 水銀燈の羽は矢になり、そして龍となり赤い人形を捕らえるが、青い人形が剣で龍の首を落とす。 蔦が体を捕らえ、巨大な樹木が襲う、すでに彼女の左翼はなくなっていた。 4対1、これは戦いじゃない、ただのリンチだ。 「水銀燈!」 私は叫んだ。走って喉が枯れていたから、裏返っていたかもしれない。 場の視線が私に集まる。眼鏡は眼鏡がずり落ちるぐらい驚いてくれた。えーと、君は人間だよな? 水銀燈は直ぐ私から視線をそらし、赤い人形に羽を掃射する。 「水銀燈!俺は、言いたい事があって来た!」 赤い人形は羽をジグザグ運動で回避しながら、水銀燈との間合いを詰めていた。 「前に言ったよな、命が大切だって、ありゃ嘘だ、忘れてくれ」 息を大きく吸う 「俺は命が大切なんじゃない、お前が大切なんだ!」 水銀燈の羽の掃射が一瞬止まる、その隙を付き、赤い人形が水銀燈を殴り飛ばし、私のすぐ近くに墜落した。 「だ、大丈夫ですか!?」 地面から体を抱き起こす 「何で、あなたがここに?」 「今は逃げましょう、スタコラさっさです」 「だめよぉ」 「何故?」 「これは、私の誇りの戦いだから」 赤い人形がフワリと目の前に降りて来た。 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 04 52 11.17 ID DckY/wAO0 「人間、貴方は水銀燈のミーディアムかしら?」 否定をする。 「なら何故ミーディアムでもない貴方はここに?」 伝えたい事があったからだ。 「先ほどのアレね」ああ、そうだ 「私はあなたの後ろの人形、水銀燈に用があるの。用が済んだならそこを退きなさい」 私は水銀燈をチラリと見た、これじゃあ戦いって呼ぶ物すら起きないだろう。 「だめだ」 「だ、そうよ水銀燈。あなたはその、ただの人間の背にいつまで隠れ続けるつもり?」 少し違うな、俺が背中から出ないようブロックしてるんだ。 「それとも、薔薇乙女としての誇りも失って、ただのお人形さんになったのかしら?」 水銀燈が呻く、ノーノー!医師団はこれ以上の試合は危険と言ってマース! 「・・・・それなら、仕方がないわ。人間、今すぐその人形を連れ帰りなさい」 ああ、そうさせても「ふざけないでっ!!」水銀燈が背中から飛び出した。 「私は、ローゼンメイデン」 右翼が青い炎に変わる。 「私は、誇り高きローゼンメイデン第一ドール水銀燈!アリスになるのは、この私ッ!」 青い炎が赤い人形に襲い掛かる。 眼鏡が赤い人形を抱きしめ、指が光り、赤い障壁が現れ、炎を弾く。 そして、その炎と言う呪いは、水銀燈に返された。 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 04 57 48.32 ID DckY/wAO0 炎に包まれる。私は必死に火を消そうと服を脱ぎ、火を叩く。 何故だ、何故消えない?それどころか、服に火が燃え移る事さえなかった。 「無駄よ、人間」 赤い人形が眼鏡の腕の中から言う。 「それは、ただの炎ではない。水銀燈の呪い。ただの人間には消す事はできないのだわ」 契約か!私は水銀燈の腕を取り、指輪に口付けをした。 何故そうしようと思ったのかは分らない。今まで、何度も、何度も繰り返してきたような動作、そんな気がしたのだ。 これで。私の薬指が熱くなり、それで終わった。 「もう、無駄なのだわ」 私は、水銀燈を抱きしめた。もうそれしか出来る事がなかった。 冷たい炎が身を焼く。いや凍傷のように皮膚が壊死しているのかもしれない。 じわじわとその傷痕が幅を広げていく。 水銀燈の服が燃え落ち、白い皮膚が露になった 彼女は自分の腹部を、隠そうとする。腹が、ないのだ。 下半身が地面に倒れ落ち、私は彼女の上半身のみを抱かかえていた。 水銀燈が、口をパクパクとさせ、呟く。 「人間が、こんな事してて、いいのぉ?」 「人間だからやれるのさ」 私はニヒルに笑って返してやったが、水銀燈にはすでに見えてはいなかった。 それに、彼女の顔は私の顔のすぐ横にあったしね チュッと涙が焼ける音がした。 「おばかさぁん」 私と水銀燈を青い炎が静に妬いていた。 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 04 58 07.05 ID DckY/wAO0 気づいたらベットの上に寝ていた。 水銀燈と、水銀燈の鞄がないだけの、いつもと変わらない部屋。 あれは、夢だったのか? 私はシャツの首を伸ばし、胸元を見た。火傷のような、凍傷のような、そんな傷痕が見えた。 「夢じゃ、ない」 私は小さく口に出して呟いた。 目を閉じ、水銀燈を思い浮かべる、彼女は笑ったり、時には怒ったりした。 写真を撮っていなかったのは失敗だったな このままだと、いつか忘れてしまうだろう。 完全には忘れない、ジワジワとぼやけて行くのだ。記憶のインキが情報という水に滲み出してしまう。 私は押入れの奥に突っ込んだ絵画の道具を引っ張り出した。昔少し齧っていたのだ 「うまく出来るか、わかりませんが」 時間はいくらでもある、あのお嬢さんに構っていた時間を、そのまま使えばいい。 これは逃避活動だろう。でも、それでいい、逃げ切れる所まで逃げ切ればいいのだ。 「それに、上手に描かなきゃ怒られてしまう」 一人でクスクスと笑う。 その日以来、私の冷蔵庫には常にヤクルトがパックで冷やされている。 いつ、彼女が帰ってきてもいいように。 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 04 58 22.48 ID DckY/wAO0 水銀燈と契約したい 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 04 58 38.02 ID DckY/wAO0 終わりです、お疲れさまでした 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 05 02 26.21 ID DckY/wAO0 流れ的には 契約したい→抱きしメッツ!の水銀燈と青年→ ってな感じDESU 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 05 05 04.24 ID DckY/wAO0 言わない方が後味悪くてよかったかな、まあいいさ。 そんな事よりまとめの人が蝶やばい、なんつーかリアルタイムでまとまってる ヤバイ、宇宙ヤバイ神竜より多分強い。 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 05 05 04.24 ID DckY/wAO0 言わない方が後味悪くてよかったかな、まあいいさ。 そんな事よりまとめの人が蝶やばい、なんつーかリアルタイムでまとまってる ヤバイ、宇宙ヤバイ神竜より多分強い。 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/08/06(月) 05 08 53.23 ID oO65TV/e0 まとめのulr教えてくれないか? 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 05 09 47.13 ID DckY/wAO0 バットエンドは犬に食わせとけ、トゥルーエンドは鳥のエサだ。 ハッピーエンドしか俺達妄想族は興味がねえ! 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 05 10 22.61 ID DckY/wAO0 http //www37.atwiki.jp/suiginto/ そ、その、宣伝みたいで恥ずかしいけど(///) 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 05 13 57.68 ID 9AgCD/jnO うひょー これ読んで寝ます 1乙かれ 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 05 14 51.29 ID DckY/wAO0 ちゃんとまとめの人に感謝してアナルだしとけよ☆ミミs (::*::) 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 05 26 33.65 ID DckY/wAO0 じゃ、そろそろ本番行こうか 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 05 30 05.82 ID DckY/wAO0 前座(契約したい)でいい感じに温まってきただろ? だから、そろそろ本番に行こうぜ。 何の為に俺が溜めていたと思うんだい? 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 05 31 09.79 ID DckY/wAO0 水銀燈とフリルレロ 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 05 31 26.01 ID DckY/wAO0 フリルレロ、フリルレロ 私は水銀燈の目の前で先ほどから「フリルレロ」を連呼していた 時には優しく、時には激しく、そして、時には淫らに。 「う、うざいわぁ」と私から顔を逸らすのだが その度に私が蟹より軽いフッロワークで回りこみ 「フリルレロー」と言うのだ、された方はたまったもんじゃないだろう。 フリルレローフリルレローフ ふ 「ふ、ふ?」 途中で言葉がつまり、心配になる水銀燈。 「ふ、ふ フリルレロー」 ふぅよかったわぁと私がフリルレロと言うだけで、安心し出す始末 「フ、フリルレロ?」 「ふ、ふり、ふりるれろぉ?」 「可愛いな水銀燈は」 「も、もぉ、ばかぁ」 「フリルレロと言ったのはこの口ですかー?」 水銀燈のピンクの唇をつんつんと指先で突付いた。 突付いた指先をパクンと唇で咥える水銀燈、 まるでこれなら突付けないでしょぉ?と言わんばかりだ ああ、可愛い、本当に可愛い。 しかし、私は気づいていなかった。二人のラブラブ生活を監視する、一つの悪意を。 122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 05 47 17.87 ID DckY/wAO0 水銀燈の肩をとんとんと叩いて、振り向いた時にふにふにした頬を指先で突付く。 この闇のゲームのせいでスパルタは滅んだとも言われている。 水銀燈は可愛いな、何度やっても引っかかってくれる 引っかかるたびに、頬がムニッと押されエクボが強調され朱に染まる頬。 突付いた指先でそのまま弄ってやると水銀燈が目尻に涙を溜める所もプリティだよね! まあ、そんな風になったら止めて頭を撫でてあげるんだけどさ この撫でる時の手の平に伝わる、髪の感触も いや、話を戻そう。 私が本を読んでいたら、水銀燈が肩をトントンと叩いてきた 「どうしました?」 本当は分ってました、トントンゲームに参戦しそうな雰囲気は前からありましたから。 振り向く私、突付かれる頬 「うふふ、おばかさぁん」 どうやら、よほど嬉しかったようだ、つんつんと頬を突き続けていた 私は水銀燈の細く、白い指を口に咥え舌で指先を舐める。 最初は舌先で指先を舐める程度だが、爪の隙間に下を突っ込み、 舌の腹で指先を絡め取るように舐める。 水銀燈は私の肩から手を離さず、じっと耐えていた。 時折、ぴくんと体と羽を振るわせる。 一通り舐めた後で指先を開放する。トントンゲーム敗れたり 水銀燈はその場にへたれこむ、次に私がトントンゲームを仕掛けた時が楽しみだ。 だがこの幸せも長くは続かない。一つの悪意が私達を引き裂こうとしているのだ。 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 06 04 04.78 ID DckY/wAO0 夜。水銀燈が鞄に潜り込み夢の世界へと旅立っている頃、私は鏡の前に居た。 これは、初めて水銀燈に引っかかれた時の傷、これは・・・。 私は水銀燈との思い出の傷痕巡りをしていたのだ。 その時、鏡が光を帯び始めた。 声が聞こえてくるが、相手の姿は見えない。通信障害ですかね 私は、聞こえてくる声に耳を傾ける事にした。 「・・銀燈、鏡の前に居るようね。時間がないから簡単に言わせて貰うのだわ」 私は沈黙を守る。 「あなた、あのミーディアムと別れなさい。最近のあなたの行動は目に余るものがあるのだわ」 ほうほうそれでそれで? 「このままじゃ、乙女の純潔を、その、奪われて、しま・・・とにかく、悲しい結果になってしまうのだわ」 俺が水銀燈を悲しませる?笑止 「さっきから聞いていましたがね、私が水銀燈さんを悲しませる訳がないじゃないですか!」 行き成りの男の声に驚いたのだろう、返答がない内に一気にまくし立てた。 「ただ、ただ水銀燈さんと’いちゃつきたい’それが何故悪いんですか!?」 「あなたは、ミーディアム?水銀燈は?」 水銀燈が寝ている事を伝え、あなたは誰なのかと尋ねた。 「私は、真紅。ローゼンメイデン第五ドール真紅なのだわ」 なるほど、水銀燈に伝えてて欲しい事は? 「近い内に、会いに行くと、伝えて欲しいのだわ、オーバー」 鏡が光ることを忘れたかのように、普通に鏡に戻る。 別に来なくていいのに。 私は中断されていた、傷巡りの作業に戻った。 129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 06 11 57.34 ID DckY/wAO0 夜、何かあったのぉ?箸を器用に使い、朝食を食べている水銀燈に聞かれた。 ああ、なんか真紅さんが近い内に遊びに来るそうですよ? 嘘は言っていない、むしろ完璧に近いメッセンジャーだ、仕事も決まったな ふぅん、いつ来るかは言ってないのぉ?さあ、近い内としか まぁどうでもいいわぁと米に視線を落とす水銀燈。 私も朝食にとりかかる 「あっ」 「どうしましたか?」 水銀燈は私の頬についていたご飯粒を、 ひょいっと手に取り、パクリと口に含んだ。 「ご飯粒がついてたわぁ」 美味しそうに米粒を食べる水銀燈、俺は君を食っちまいそうだよ。 真紅さんが懸念するのも分りますよ、ほんと。 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 06 37 13.28 ID DckY/wAO0 ういっすただいま。私は近場の自動販売機から炭酸飲料を買ってきた。 もうどこに行ってたのよぉ探したんだからぁ。すみませんと冷たいボトルを頬に当てる ひゃんっとボトルの冷たさに驚く水銀燈。 もぉとか何とか言いながら炭酸飲料をコクコクと喉で飲む。結構嬉しかったらしい 飲み終えた頃、水銀燈の口から「ケプッ、ケプッ」と可愛らしい音鳴る 「ケプッもぉー聞いちゃケプッだめぇケプッ」 顔を真っ赤にしながらうーうーと唸る。 やっと落ち着いたのか、水銀燈が私に聞いてきた。 「何で、あなたは平気なのよぉ」 そりゃ、水銀燈さんみたいに一気に飲みませんからね ほらとボトルに残っている液体を見せた。 教えてくれれば良いのに、いじわるぅ!と機嫌を損ねてしまった。 私は水銀燈の膨らんだ頬を潰して1時間ほど過ごさせてもらった。ごちそうさま 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 06 58 43.37 ID DckY/wAO0 私は水銀燈を膝に抱かかえ、耳たぶの裏に唇を押し当て 生暖かい空気を吐きかけた。肩をすぼめくすぐったいわぁと身をよじる水銀燈。 私は首に、顎に唇を押し当て生暖かい空気を送り続ける たまに耳に息を吹きかける事も忘れない、それが俺のジャスティス 「もぅ!いい加減になさぁい!」と私の腕の中で体を捻り、私に正面から抱きしめられている格好になった。 二人の唇が驚くほど近い距離にあった。 距離に戸惑う二人、今まで色々してきたが、これは初めての経験だ、対処に困る。 持ち直しは水銀燈が早かった「仕返ししてやるんだからぁ」と私の頬や首筋に、私と同じように唇を押し当て 生暖かい空気を送る。こそばゆい 水銀燈が私の首筋から唇を離した時、銀色の線が唇と首を結んでいた。 彼女の唇はぬらぬらと陽の明りを受け光っている。 唾液に濡れた唇を、小さな舌でペロリと舐め取り、次は私の頬と唇間に唇を押し当て 生暖かい空気を送ってきた、空気は唇と皮膚の隙間から漏れ、私の口へと入ってくる。 唇の端と端が重なり合った。甘酸っぱい快楽が唇の端をなぞった。 私は抱きしめる腕が次第に下に下がっていくのを感じた、彼女の腰を両腕が滑り降り 柔らかな部分に達しようとした時、唇が離された。 彼女の胸は私の胸板に押しつぶされており、そこから暖かな感触が伝わってきた。 そして、どちらかともなく唇を寄せ、舌を伸ばせば互いの唇を舐め取れる距離になった時。 「ちょとま、待つのだわ!」 鏡から聞き覚えのある声の持ち主が飛び出してきた。 「それ以上すると、取り返しが付かない事になるのだわ!」 私達はそのままの姿勢で突然の乱入者を見やった。 恥ずかしいのか、水銀燈の羽がぴくぴくと震えだしてきた。 146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 07 19 35.61 ID DckY/wAO0 水銀燈は顔を真っ赤にし、私のシャツを握り締め、胸板に顔を押し当てた。 よほど恥ずかしかったのだろう、羽もプルプルと震えている。 「ちょ、ちょと!離れるのだわ!このままじゃ妊娠してしまうのだわ!」 真紅は水銀燈の肩を掴み私から引き離そうと躍起になっていたのだが、 水銀燈はいやいやと私の胸板で顔を横に振る。 「ちょと!あなたも手伝うのだわ!早く引き離さないと来週には子供が出来てしまうのだわ!」 いくら真紅が頑張っても引き離せないだろう、私も水銀燈を抱きしめていたのだ、 流石に人間の腕力には敵うまい。私は腕の中で水銀燈の体温が上がるのを感じていた。 「もう、もうおしまいなのだわ。誇り高き薔薇乙女の中から出来ちゃった婚するドールズが生まれるのだわ」 おいおいおいと泣き出した。 「そして子供はぐれて私の事をババア!と呼ぶのだわ、呼ぶのだわ」 「それはいったい、何処で勉強したんですか?」 あまりに偏っている。 「お昼の人間劇に決まってるのだわ、1時30分から始まる奴なのだわ」 ああ、なるほど昼ドラの濃い方か。私が一人納得していると、次は「お受験も考えないと」など一人で盛り上がってくれていた。 「子供は、どうやったら出来ると勉強しましたか?」 さあ、誤解を解く作業に入ろうか。 「男と女が抱擁し会って、せ、接吻したら来週には子供が出来てるのだわ」 おう、最近の昼ドラは過激だな。 「あのですね、子供と言うのは」 私が説明しようとし出したら 「・・・赤ちゃん、出来るのぉ?」 水銀燈が会話に参加してきた、私のシャツは握り締めたままだ。 「あたりまえなのだわ!一体どれだけの家族がそれで不幸になったと、思うのだわ思うのだわ!」 水銀燈はしばらく考えた後、私の唇に自分のそれを押し当てた。 真紅が言う接吻と言うよりは、歯と歯をぶつけ合っただけのような乱暴な物だった。 問題の元凶は床にへたり込み「ババアじゃなくて、お姉さまと呼ばれたいのだわ」と泣きながら震えていた。 水銀燈はと言うと、唇を離し、私の目を見つめ 「あ、あ、あなたぁ」 と蚊の鳴く声で呟いた。 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 07 24 32.92 ID LnKXpk7YO 1は真紅が嫌いなのかwwwwww? 151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 07 25 18.88 ID DckY/wAO0 嫌いじゃないけど、このテンションは真紅にしか無理だと思う 154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 07 33 54.76 ID TrW2Xj6jO 1はいつ寝るんだ 155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 07 39 39.00 ID DckY/wAO0 昨日の夜寝たよ 157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 07 45 02.37 ID DckY/wAO0 私の部屋は今、ちょと珍しい事態になっていた。 真紅は産まれて来るであろう子供に、どんな習い事をさせようか体育座りで考えており、 水銀燈は私の右胸に顔を置き、左胸に「の」の字を書いていた。 たまに乳首を通過して字を書くのは計算だろうか?悔しいけど感じちゃう 「ねぇ、名前はどうしましょうかぁ」 お腹を摩りながら私に聞いてくる、心なしか喋り方も柔らかくなったようだ。 「いやぁ、その」 なんと切り出そうか、切り口を間違えたら傷痕が増えるだろう、確実に。 「もぅ!ちゃんとしなさいよぉお父さんになるんでしょぉ?」 母は強いな、口を尖らせ抗議してきた。 「あなた、仕事は何をしてるのかしら?」 真紅が復活した。 「いや、その、無職、ですけど」 「きいいいい!!離婚なのだわ!裁判なのだわ!養育費を搾り取ってやるのだわ!」 地団駄を踏みお下げを振り乱す。 「だ、だめよぉ私はぜったい離婚なんかしないんだからぁ!」 私の首に腕を回し絶対離れない事をアピールする。 「それなら、仕方がないのだわ。姉妹一団で世話をするのだわ」 理解の早さも昼ドラなのか。 「そして盲導犬の子供を育てるボランティアをしてDVDで印税生活なのだわ!」 ワイドショーからも目が離せないタイプか、週刊誌とかも好きだろ? 「真紅ぅ・・・」 「いいのよ水銀燈、私達は今ひとつになるのだわ。さっきホーリエに各姉妹に連絡に行かせたのだわ」 ああ、これ以上広がると本当に取り返しがつかなくなる。 「あのですね、ちょと聞いてください」 「あら、あなたぁどうしたのぉ?」 「何なのだわ泥棒猫が何なのだわ」 水銀燈は胸を先ほどより胸を押し付けてきており、真紅はどこから取り出したのか 三角眼鏡を装着していた。いや、いいよどうせnのフィールドだろ? 私は彼女達に説明する事にした。水銀燈の表情を見たら、心がチクリと痛んだ。 161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 08 00 06.75 ID DckY/wAO0 「よかったのだわ、本当によかったのだわ!」 真紅は満面の笑みを浮かべていた。ババアがよほど恐怖だったと見える 「ほら、水銀燈も喜ぶのだわ!ヤンママにならなくて良かったのだわ!」 オホホホと口に手を当て奥様笑いを披露してくれた。 「う、うん そうねぇ」 水銀燈は俯いたままそう答えた、シャツを握り締めていた手がフルフルと震えていた。 「さあ、もう存分にミーディアムとの絆を深めるといいのだわ!」 今日は機嫌が良いからこの真紅が紅茶を淹れてあげるのだわと人の戸棚を勝手に漁りだした。 「水銀燈、大丈夫?」 「・・・うん」 俯いたまま答える。 私は水銀燈の顎を持ち上げる、彼女はホロホロと泣いていた。 「赤ちゃん、あなとの赤ちゃんが、作れうと おもっ、思ったの、にっ」 ヒックヒックとしゃくりあげる。私は彼女の涙で濡れた頬を指でたどってから強く抱きしめた。 暫くの間、水銀燈は私の腕の中で泣き続けた。 その間、台所では皿が2枚割れる音が聞こえてきた。 台所から戻ってきた真紅は私達を見るなり「あらあら、仲のおよろしいことで、オホホホ」と笑った。 水銀燈は私のシャツで涙を拭った後「とうぜんよぉ」と私の腕から離れた。 強く、なったな。俺はちょと寂しいぞ 172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 08 18 19.31 ID DckY/wAO0 よければ、1分間ぐらい黙祷してやってくれ 173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 08 22 22.91 ID DckY/wAO0 お茶菓子はビスケットだった、ガンガンに入ってる高級品だ。 「無職のくせにいい葉っぱを持ってるのだわ」 当然だ、嗜好品に金を使うのは中々楽しい。 カチャリ、カチャリと陶器の音が響く。昔、真紅は家事全般がからきし 駄目との事だったが、お茶を淹れる事は出来るようになったようだ。よかったな 「ねぇ」とクイクイと袖を引っ張る水銀燈。 「何で私の方を見てくれないのぉ?」 あ、いや。ちょと真紅さんの将来について考えていまして ふぅ~んまあいいけどぉとクッキーを一つ手に取る。 「あぁ~んしてぇ、あーん」 「え、あ 見られてますよ?」 軽く真紅の方を見る。 174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/08/06(月) 08 22 45.27 ID DckY/wAO0 「どうぞ、私はかまわないのだわ」 「ねっ?あぁ~んしてぇ」 あ、あーんと口を開け、クッキーを食べさせてもらう ガチャリとカップを受け皿に置く音が聞こえた。 「はぁいもう一まぁいどうぞぉ」 私は口を開き、クッキーを食べる、偶然その時に水銀燈の指も一緒に唇で挟んでしまった。 「もぉ、甘えんぼうぁん」 私の唾液がついた所をパクリと自分の口に含む。 「むかつくのだわ、なぜだかむかつくのだわ」 テーブルを挟んで向かい側の真紅がプルプルと震えていた 「あらぁ、あなたにも居たじゃなぁい」 ねぇーと私に振って来たので、ねぇーと返す。 「くうう!むかつくのだわ、本格的にむかつくのだわ!」 急に立ち上がり「JAMにあーんしてもらうのだわ!絶対にしてもらうのだわ!」と帰っていった。 何だったんだろうね。 「ふふ、わかんなぁ~い 銀にもあぁ~んしてぇ?」 とりあえず、ミーディアムとの絆を深める事はいいらしい。 「はい、あーん」 私は水銀燈に食べさせてあげた。 次へ
https://w.atwiki.jp/suiginto/pages/36.html
抱きしメッツが落ちてる…… -- 名無しさん (2007-08-01 23 41 33) お疲れ~この時間帯。10分で落ちちゃうのか(´・ω・`) -- 名無しさん (2007-08-02 00 02 56) 寝落ちした隙に落ちてるなんて・・・・・ 1乙! -- 名無しさん (2007-08-02 00 15 58) VIPまとめサイトで水銀燈を(ry 見つけた -- 名無しさん (2007-08-02 12 57 27) 一応まとめ終わったつもりで(見やすさなど、課題は多々あるけども)いたんで、欠けてる部分があれば教えてください>< -- 名無しさん (2007-08-03 08 28 30) ぎゅっと抱きしめたいの750以降がないと思うんだが・・・ -- 名無しさん (2007-08-03 12 30 29) 可及的速やかにログを補完するつもりがついつい読みふけてしまい気付いたら12時間経ってましたごめんなさいそして 1の新作に期待 -- 名無しさん (2007-08-04 00 45 40) おちゅ! -- 名無しさん (2007-08-04 01 16 19) 1お疲れさまでした!! -- 名無しさん (2007-08-07 17 07 03) AAが綺麗に再現できないのは@wikiの仕様みたいですCSS変えればなんとかなるのかな -- 名無しさん (2007-08-09 16 57 54) AAは暇を見て補完できれば・・・と。無理はしてません>< -- 名無しさん (2007-08-09 17 26 51) まとめの中の人は頑張り屋さんだな -- 名無しさん (2007-08-09 18 02 40) 「鳥です」の画像、 6が二つあるよね? -- 名無しさん (2007-08-09 18 43 00) なーんてこったい指摘サンクス -- 名無しさん (2007-08-09 18 55 26) AAと相性いいのでこのスタイルで行こうと思うんですけど、いかが? -- 名無しさん (2007-08-09 20 02 48) 見やすいでゆ! -- 名無しさん (2007-08-09 20 37 21) わざわざ乙です! -- 名無しさん (2007-08-09 21 00 38) じゃあしばらくこれで様子見します左上のアイコンとか変えられたらいいのに。 -- 名無しさん (2007-08-10 07 26 20) これはいいヤクルロ -- 名無しさん (2007-08-11 13 11 31) お疲れ様でした〜ノシ -- 名無しさん (2007-08-14 14 07 53) 元に戻った -- 名無しさん (2007-08-16 11 35 59) 今まで「pukiwiki風デザイン」ってのを採用してたのですがそれのデザインが変更されて何だか水銀燈っぽくないので戻しましたこのページの↓の方にサンプルをうpしたので気に入ったのがあれば言って下さい -- 名無しさん (2007-08-17 07 17 07) 俺もまとめの人の気分でいいと思う。唯個人的に気になったのはハートのやつかなwwwでもまーくんは甘い話ばかり書くわけじゃあないからこんとこは悩みどころかもwwww -- 名無しさん (2007-08-17 16 20 29) 別に怖くはなくね? -- 名無しさん (2007-08-19 11 05 28) ↑の米はまーくんだったのか盛り上がってる銀ちゃんスレには大抵まーくんがいるからなぁーそう、匂いでわかるぜ匂いで -- 名無しさん (2007-08-19 16 28 47) まーくんは……2度と銀様スレで正体を隠す事が出来なかった……名無しとコテの中間の生命体となり、永遠に水銀燈と暮らすことになるのだ。銀様スレでROMに徹しようと思っても、ディスプレイの前に居るだけで「まーくん!きさま、見ているなッ!」と言われるので……その内まーくんは名無しでいることをやめ、水銀燈と共に小説家になることに決めた。-- 名無しさん (2007-08-19 19 51 37) 明日アサ1で運び込みか引越しなんてブルジョワのやることだぜ -- 名無しさん (2007-08-23 23 44 04) これは・・・察しろってことなんですか -- 名無しさん (2007-08-30 09 26 10) リアルタイムも良いが過去ログも見逃したスレを見れるから良いな -- 名無しさん (2007-08-30 16 14 26) ジュウシマツです。ちょと引っ越し先が秘境でして、ネット開通まで1ヶ月近くかかるとの事でした。(ADSLも一ヶ月ぐらいかかるんだぜ?)そんなわけなんで、再開出来るとしたら9月後半だと思います。それじゃあ、またいつかお会いしましょう。ばいばいぷー☆-- 名無しさん (2007-08-31 09 00 48) ピッチも繋がらないとか困るのう( (●)ω(●)) -- 名無しさん (2007-08-31 16 30 15) じゃあ、あの引越しについての書き込みはやっぱりまーくんだったんですか?wwwww -- 名無しさん (2007-08-31 17 59 23) 見た感じまーくんだね9月後半まで新作楽しみにしてます -- 名無しさん (2007-08-31 20 50 57) 同棲したいに気付けなかったああああああorzbbs2chreaderと違ってJaneじゃあ次スレ検索がしずらいなあ……慣れの問題かもしれないけど。チラ裏スマソ -- 名無しさん (2007-08-31 23 22 54) 安価スレに張り付いてたから気付かなかったorz -- 名無しさん (2007-09-01 11 08 49) ソロモンよ、私は帰ってきたこれが、インターネットの風・・・・・・ -- 名無しさん (2007-09-10 10 31 38) 作者降臨・・・・・・? -- 名無しさん (2007-09-10 17 49 26) この書き込みで他の人だったらそれはそれでビックリ -- 名無しさん (2007-09-10 19 19 40) ま…まーくん…?まーくん!!! -- 名無しさん (2007-09-11 02 43 39) 今水銀燈の小説スレが立ってるがこれは…? -- 名無しさん (2007-09-11 21 14 45) まとめの人仕事HAEEE!GJだな -- 名無しさん (2007-09-16 11 25 25) 伊藤のせいで落ちたな -- 名無しさん (2007-09-16 17 40 32) てら中途半端wwwwwww -- 名無しさん (2007-09-17 21 43 02) スレタイやスレ序盤は他の水銀燈スレと同じフォーマットだから見逃した人のためにも一応収録はしておいたけど、本人は「これはまーくんスレじゃない」と言っているし内容も会話中心で、あんまり晒すのもどーかなと思ったのでキリのいいところでやめときました -- 名無しさん (2007-09-18 00 30 08) あれ全部まーくんの演出なんじゃね? -- 名無しさん (2007-09-18 00 56 08) また何かあったらその時はお願いします。そして新作をお願いします>< -- 名無しさん (2007-09-24 00 26 17) タイトルからして儚いね… -- 名無しさん (2007-09-30 03 34 16) # IL-2# ArmA この二つなに? -- 名無しさん (2007-10-02 22 10 20) シュトゥルモビークっていう超面白いレシプロ機フライトシムとアームドアサルトっていう超面白いリアル系FPS -- 名無しさん (2007-10-02 22 15 36) 銀ちゃんの一日中ブーツ履きっぱで蒸れ蒸れになった足で俺の咽頭をレイプしてほしい。じゅっぽり犯して欲しい。白癬菌を経口感染だ!かもすぞ! -- 名無しさん (2007-10-04 10 20 35) まーくんと管理人さんいつもお疲れ様 -- 名無しさん (2007-10-06 02 45 32) 保守で1000行くより、深夜ひょっこり現れて、朝方ころりと落ちるような そんなスレでもいいんじゃねーのかな。 スレが残ってたら、そのスレに書き込むのかも知れないけど、 落ちたら日を空けてスレ立てるんじゃない? 1以外の人が話を書き始めるのら、また別だと思うけれど…… -- 名無しさん (2007-10-06 12 33 47) 1の最近の話しって一人称? -- 名無しさん (2007-10-06 20 31 07) 水銀燈と夢はなんかイマイチだった。 -- 名無しさん (2007-10-08 00 49 40) リハビリだったんじゃね。一個前のスレとずいぶん間隔開いてるし。 -- 名無しさん (2007-10-08 01 04 48) ほんと、まとめの人は毎回おつかれさまやで・・・ -- 名無しさん (2007-10-08 21 38 01) まとめの人いつもご苦労様です -- 名無しさん (2007-10-08 21 43 06) まずはまーくんを労うべきだろ・・・・ 情交 -- 名無しさん (2007-10-08 22 00 45) 水銀燈「ねぎゅ」の144が抜けてるでござるよ!まとめ人は白華結晶嫌いでござるか! -- 名無しさん (2007-10-08 22 03 31) サンクスコ -- 名無しさん (2007-10-08 22 11 15) うそだろwwwwwwwwwwww -- 名無しさん (2007-10-10 09 10 09) ジュウシマツは病んでるな -- 名無しさん (2007-10-11 03 05 27) 「昼間寝ちゃったから目が冴えちゃってるわぁ…」はまーくんさんじゃないのですか? -- 名無しさん (2007-10-12 23 54 51) 違いまSU YO -- 名無しさん (2007-10-13 05 53 26) ニヤニヤ -- 名無しさん (2007-10-13 09 36 43) 50まで気づかなかったら、俺の勝ちね -- 名無しさん (2007-10-13 09 49 56) つまり50までに編集できればまーくんの後ろは頂き -- 名無しさん (2007-10-13 21 33 18) どうやら、俺の貞操は守られたようだ -- 名無しさん (2007-10-14 02 52 09) 「水銀燈がキモオタな俺と生活するとだな」はまーくんさんですね -- 名無しさん (2007-10-14 09 21 30) 正解だけど僕の貞操はあげないよ☆ -- 名無しさん (2007-10-15 01 52 31) さいきんみないな -- 名無しさん (2007-10-21 17 40 19) 忙しいんじゃね? -- 名無しさん (2007-10-22 00 06 11) スレタイを「銀」で検索する作業にも張り合いが出ないな -- 名無しさん (2007-10-22 07 09 45) AC6購入して、オンラインで飛ぶ奴ちょとこい -- 名無しさん (2007-10-28 12 57 42) 「腹なし水銀燈と俺物語」はまーくんさんかと思ったのだが。すぐ終わっちゃったけど。 -- 名無しさん (2007-11-01 23 24 24) いつもならもうちょっと粘りそう -- 名無しさん (2007-11-02 00 29 57) 今回はジュウシマツが逃げ切ったな -- 名無しさん (2007-11-03 07 34 43) うわあああ水銀燈を離したくないが落ちてるよおおお -- 名無しさん (2007-11-03 13 26 10) また、近い内に会いましょう -- 名無しさん (2007-11-03 22 35 37) ジュウシマーくんは希望 -- 名無しさん (2007-11-03 23 19 12) まとめの人忙しいのか? -- 名無しさん (2007-11-04 22 39 44) ネットゲームに忙しいです^^ -- 名無しさん (2007-11-05 03 07 51) 俺と360箱のオンラインで遊ぼうぜ -- 名無しさん (2007-11-05 07 48 26) 箱○も欲しいんだけど高いんだよね・・・ -- 名無しさん (2007-11-05 16 56 30) 離したくないおもしろかったよ。 マサユキが蒼星石の首折ってたら殴りこみに行ってたよ -- 名無しさん (2007-11-08 00 09 41) ジュウシマツ怒られちゃったな・・・ -- 名無しさん (2007-11-08 03 48 02) 水銀燈かわいいなああああああああああ -- 名無しさん (2007-11-15 01 37 23) だからこの時間帯は嫌いなんだ! -- 名無しさん (2007-11-19 23 48 37) ジュウシマツがスレ立てるようになってまだ半年も経ってないのか もっと前から立ててたような気もしたが… -- 名無しさん (2007-11-20 21 38 41) ふひひ、新参でサーセン -- 名無しさん (2007-11-24 22 42 01) 凄い嗅覚だな! -- 名無しさん (2007-11-28 10 57 15) レスポンスhaeeeeeeeeeeeeee -- 名無しさん (2007-11-28 19 22 21) いつのまにか広告が水銀関連ばっかになっててワロタ -- 名無しさん (2007-12-03 09 08 00) この前はルー大柴だたw -- 名無しさん (2007-12-04 00 11 58) 起きたら水銀燈が隣で寝てたのスレ はマーくんでは無かったの? -- 名無しさん (2007-12-08 14 36 29) わーお、すげぇや 正解だ -- 名無しさん (2007-12-08 19 34 31) まとめの人乙です -- 名無しさん (2007-12-13 00 01 25) かなり増えてきたな -- 名無しさん (2007-12-13 15 37 40) おっつ! -- 名無しさん (2007-12-14 11 04 18) 最近の十姉妹は手抜きだな -- 名無しさん (2007-12-15 17 02 29) 手抜きをしてる?逆に考えるんだ。 クリスマスに向けて大作を作ってるんだと考えるんだ。 -- 名無しさん (2007-12-15 20 33 48) いやいや、十姉妹は水銀燈とラブラブチュチュチュのリア充だからな・・・ クリスマスに表れるとは限らないぞ -- 名無しさん (2007-12-17 18 49 31) このリア充め……元旦は水銀燈とヤクルト餅でも食ってろ -- 名無しさん (2007-12-17 21 03 44) おお、なんぞこれ -- 名無しさん (2007-12-21 12 34 22) 読みやすくなったよ。 -- 名無しさん (2007-12-21 19 14 39) 結局クリスマスにもまーくん現れなかったな・・・・ -- 名無しさん (2007-12-27 10 12 44) 新年明けましておめでとうございます 今年こそ本気出す -- 名無しさん (2008-01-01 01 55 05) 明けましておめでとうございます 本気か!これは期待だな! -- 名無しさん (2008-01-02 00 26 08) さっきまでスレ残ってたけど… -- 名無しさん (2008-01-11 21 18 16) まーくんすげーよ -- 名無しさん (2008-01-11 21 34 01) へへ、てれるじゃないか・・・ -- 名無しさん (2008-01-12 11 56 25) まとめの人乙! -- 名無しさん (2008-01-23 00 43 11) 俺怠けすぎワロタ -- 名無しさん (2008-01-23 08 42 00) 編集人GJ -- 名無しさん (2008-02-01 13 25 56) 新作をちんちん長くして待ってるぜ -- 名無しさん (2008-02-08 02 25 20) 今日はバレンタインだぜ… -- 名無しさん (2008-02-14 01 24 02) あっ、だめだよ水銀燈。そんな所にチョコ落としたら体温でとけてぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ -- 名無しさん (2008-02-14 10 27 54) じゃあ俺も画面にチョコを塗ってペロペロペロペロ -- 名無しさん (2008-02-15 04 57 28) ( A`) -- 名無しさん (2008-02-17 01 57 17) 好きです -- 名無しさん (2008-02-21 01 04 50) 水銀燈の頭に抱きつきたい -- 名無しさん (2008-02-25 00 07 19) くんかくんかを読んだだけで涙が出てきた -- 名無しさん (2008-02-25 03 16 33) それは病気です -- 名無しさん (2008-02-25 19 22 16) なんだ病気か ロマンチストと勘違いしちゃったよ -- 名無しさん (2008-02-25 22 13 52) まぼろしまで読んできた やっぱり目から塩水が出る -- 名無しさん (2008-02-28 03 23 53) 水銀燈を離したくないを読んでたらいつの間にか 右手が股間で上下運動してた -- 名無しさん (2008-02-28 12 47 03) 「つかれた」読んだら俺までつかれた -- 名無しさん (2008-02-29 02 01 42) 「ねぇ、ぎゅってしてぇ」の正しいスレタイは「ねえ、ぎゅってしてぇ」なんだね -- 名無しさん (2008-02-29 04 13 09) 恥ずかしながら、帰ってきました -- 名無しさん (2008-03-05 13 35 57) これは新作の予感!! -- 名無しさん (2008-03-05 14 29 59) 俺をふぁっくしてくれ! -- 名無しさん (2008-03-05 22 21 10) お帰りなさいませ、ご主人様 -- 名無しさん (2008-03-06 02 02 38) まあああああああああああああくううううううううううううんんん -- 名無しさん (2008-03-15 00 07 12) 今日もスレタイ検索で引っかかるのはAA雑とラジオだけか・・・ -- 名無しさん (2008-03-15 05 21 19) ヤンジャン -- 名無しさん (2008-03-18 15 13 48) ニャー! -- 名無しさん (2008-03-18 22 49 26) いつも、本当にありがとうございます。期待される事はとても嬉しいです。 今まで音沙汰なかったお詫びとは申しませんが、今日やります。 日付が変わるか変わらない頃、お会いしましょう。 -- 名無しさん (2008-03-21 19 03 37) 楽しかったよ -- 名無しさん (2008-03-22 12 50 54) 落ちたのか -- 名無しさん (2008-03-22 20 07 38) 次回作にも期待 -- 名無しさん (2008-03-30 23 36 36) おお、まとめの人乙です -- 名無しさん (2008-04-03 06 06 12) もっと早く更新できれば良かったんですが>< -- 名無しさん (2008-04-03 20 55 03) 久々の更新だぜぇ -- 名無しさん (2008-04-05 16 25 21) そろそろ甘いのが来るんじゃないかと期待 -- 名無しさん (2008-04-15 03 54 06) 最近あんまり来ないよなぁ… -- 名無しさん (2008-04-21 03 04 28) 他のキャラで何か書いてるんじゃね? -- 名無しさん (2008-04-21 11 13 59) かいてません。愛した女性は一人だけです。 もちろん、これからも、ずっと。 -- 名無しさん (2008-04-22 00 16 24) カッコイイじゃねぇかこの野郎! -- 名無しさん (2008-04-22 13 46 31) 男の鏡だな -- 名無しさん (2008-04-22 17 22 45) 規制はいつまで続くのか -- 名無しさん (2008-05-08 06 41 24) 規制って? -- 名無しさん (2008-05-08 11 17 46) VIPの投稿規制だよファック! -- 名無しさん (2008-05-08 16 22 57) そう褪せんなよ 出来る男は常に代替手段を用意しとくもんだぜ -- 名無しさん (2008-05-09 01 05 00) 乳酸菌とってるぅ? -- 名無しさん (2008-05-29 03 34 50) 今宵もアンニュ〜イが発売中止だなんて…… -- 名無しさん (2008-05-31 13 43 04) まーくんショックで寝込んでんじゃね? -- 名無しさん (2008-06-02 02 59 20) まーくんまだー? -- 名無しさん (2008-06-14 20 50 17) くんかくんか言ってるスレがあるけど、あれは違う人かい? -- 名無しさん (2008-06-15 02 19 00) tigaimasuyo -- 名無しさん (2008-06-16 17 56 08) sumimasen -- 名無しさん (2008-06-16 20 08 24) とりあえず生きているみたいなので安心だ -- 名無しさん (2008-06-22 10 12 30) もう夏だな -- 名無しさん (2008-07-01 15 26 29) もう一年か -- 名無しさん (2008-07-01 16 10 22) まーくん元気かな -- 名無しさん (2008-07-07 10 37 37) 彼が元気に生活してれば、後はもうどうでもいいや -- 名無しさん (2008-07-08 06 15 30) でもやっぱり寂しいね -- 名無しさん (2008-07-09 01 44 11) まーくん… -- 名無しさん (2008-07-11 17 26 13) 近いうちに! -- 名無しさん (2008-07-15 02 34 48) なんとまことか。此れはしばらく眠れないぜ… -- 名無しさん (2008-07-15 04 22 40) メインの後には甘々なデザートの追加をヨロシク! -- 名無しさん (2008-07-15 23 28 55) 水銀燈復ッ活ッッ!俺大勝利!ありがとう!ありがとう! -- 名無しさん (2008-07-16 17 50 34) 水銀燈が復活したのでSSキボンヌ -- 名無しさん (2008-07-19 22 05 47) 8月なので何か祭り的なものをプリーズ -- 名無しさん (2008-08-11 11 59 38) そして終わる夏 -- 名無しさん (2008-08-27 23 16 29) あれから1年以上か・・・ -- 名無しさん (2008-08-29 21 16 10) あ、もどった -- 名無しさん (2008-09-17 19 38 32) 10月なので秋祭り的なモノをプリーズ -- 名無しさん (2008-10-01 00 20 07) リアルで死んだんじゃないかと不安になる -- 名無しさん (2008-10-26 17 40 20) どっかで生きてるだろ・・・・ -- 名無しさん (2008-11-10 02 14 51) 12月なので聖夜的なものをプリーズ -- 名無しさん (2008-12-02 01 05 44) 生きているのか? -- 名無しさん (2008-12-05 01 11 04) 水銀燈と 前半 -- 名無しさん (2008-12-10 21 24 09) 四次元生物は自由に時間を移動できると聞いた事がある。 ならば、物語の語り手はその物語に限っての四次元生物なのかもしれない。 -- 名無しさん (2008-12-10 21 24 22) 木漏れ日が、取り込んだばかりの布団の上で丸くなった水銀燈の頬を撫でていた。 蝉の声が聞こえる。山の中腹にあるアパートの二階からは、内陸部に大きく入り込んだ湾が一望でき、 入道雲が空の縁を囲むように伸びていた八月。夏である。 海面の乱反射に目を細め、足元で丸くなる水銀燈へと目を落とした。 寝たのか? 水銀燈は伸びをした姿勢のまま、呼吸に合わせて背中が小さく上下していた。。 水銀燈の髪の毛に指を通すと、銀の髪が絹の糸のように指を流れ落ちた。 僕は押入れからタオルケットを取り出し、起こさないよう水銀燈の背中に掛けようとすると 「……起きてるわよ」と水銀燈が瞼を薄っすらと開いた。 「そうだったの?」とタオルケットを掛け終え僕が言う。 水銀燈が「うん」と小さく頷いた。 僕は布団の隣に腰を下ろし、肘をちゃぶ台に顎を手の平に空を見た。 視界の端から、ゆったりと貨物船が流れた。 「そういえば水銀燈さ──」と視線を水銀燈に戻すが、すぐにまた空へと持ち上げた。 水銀燈の薄っすらと開かれていた目は優しく閉じられていた。隠された瞳は僕と同じ夏の空を見ているのだろう。 -- 名無しさん (2008-12-10 21 24 47) 話を少し前に戻す。 水銀燈がまだ居なく、古畑任三郎の再放送をやる時間帯に急な夕立にやられて、僕は近くの店に逃げ込んだ。 灰色の臭いがした。 辺りを見渡すと、古い時間ごと切り取られた物が、時間列をめちゃくちゃに棚に置かれていた。 ありふれた古美術屋だった。 つい先日、インスタントコーヒーと間違えドリップの粉を買ってしまい、 大慌てでろ紙だのなんだのを買い揃えた。揃えると揃えるとで、今度は豆を挽いてみたかったり、専用の薬缶が欲しくなったりした。 人の欲深さで棚の間を時間旅行すると、棚の隅に転がるくすんだ金のランプを見つけた。 紙の紐で取っ手の部分に500円の値札がつけられている。 一人用だしこのランプでも薬缶の代用になるだろう。何より先が細いのがいい。 適当に検討をつけ、雨が上がるのを待ち、代金を支払って店を後にした。 -- 名無しさん (2008-12-10 21 30 56) その夜、僕はランプを洗い水気を拭き取ると、細いランプの先から黒い煙が立ち上った。 ソレは人の形に纏まりはじめたかと思うと、いつのまにか目の前に、砂漠の民のように黒いローブで全身を覆った男が立っていた。 蒼く光る瞳で僕を見ていた。 僕は幻覚でも見ているのだろうか。 混乱していると「お前か?」と男の声がローブから発せられた。 「え? あっ、はあ、どうも」と阿呆のように僕が返すと「ならば願いを三つ言え、叶えてやる」と声のリズムを変えずに言った。 願い? 確かにランプと言えば三つの願いだが……。 「沈黙が願いか?」 「えっ、いや、ちょっ、ちょっと待ってください!」 「分かった。」 男は目を閉じる。それが合図だったかのように、辺りに深い静寂が訪れた。 先ほどまで聞こえていた蝉の声も、ピタリと止んでいた。 何だこれは、本当に願いが叶うのか? それなら──。 「あっ、あの、願いが決まりまし……た。」 おずおずと申し出ると、男は静かに目を開いた。 「いいですか? 言いますよ? ローゼンメイデンという物語に出てくる、水銀燈という人形の女の子と一緒に暮らしたい。 もちろん、共に愛し合っている、そんなな世界にしてくれ!」と相手の答えを待たず一息に言った。 男は、僕が言った事を奥歯の方で咀嚼し飲み込んでから「いいだろう。」と言った。 そうして僕は今、水銀燈と暮らしている。 -- 名無しさん (2008-12-10 21 34 17) 「ほらあ、探偵犬くんくん始まっちゃうじゃない!」 水銀燈がテレビの前で、むうと唸り「お茶はまだあ?」と僕を急かす。 「お湯がまだだよ」と僕はコンロの前で返した。 「早くしてよねぇ……」ソワソワと悲しそうな声を背中に受けつつ、薬缶の蓋を開けた。 湯気が額を湿らせる。こんなもんかなと僕はコンロの火を落とした。 しかし、茶葉がなかった。網の上にパラパラと、申し訳なさそうに茶葉が缶を滑り降りる。 「ねえ、まだぁ?」と水銀燈が急かす。テレビでは既にくんくん探偵のOPが流れていた。 「なんか茶葉が切れてた」 「右の戸棚は見たの?」 右? 僕は言われたままに右の戸棚を開く。どうだろう、確かに未開封の赤い茶葉缶が置いてあった。 何を勘違いしていたのか、ジャスミン茶を買おうとしていたのに、間違えて買ったセイロン茶だ。 「ほんとだ」水銀燈は見つけたのを確認すると、テレビへと意識を戻した。 「はい、おまたせ」と水銀燈にコップを差し出すと「ありがとねえ」と両手で包み込むようにコップを受け取った。 僕もコップの中身を溢さないよう注意して、横に腰を下ろした。 水銀燈はテレビを見ながら、ちびちびと紅茶に口をつけていた。 そういえば猫舌だったかな。結局、僕も水銀燈も番組が終わってから、すっかり冷めて苦くなった紅茶を一気に流し込んだ。 それから紅茶を淹れ直し、僕たちは番組が放った緊張感の余韻を楽しみながら、くんくん探偵の話しで盛り上がった。 -- 名無しさん (2008-12-10 21 39 34) 馬鹿みたいに蝉が騒いでいる朝だった。 だれか、殺虫剤を撒いてまわってくれ……。 僕の思いも虚しく、蝉は合唱を続ける。布団を頭から被り、じっとりと滲み出た汗で布団を濡らすと 水銀燈の呆れた声が聞こえた。 「……あんた、暑くないの?」 「暑いね」 難題に挑む哲学者のような声色で返す。 「でしょうね」 普段ならここに沈黙が訪れる間なのだろうが、今日はそれを蝉の合唱が埋めてくれた。 「出てきたら?」 僕はその時、並列世界について考えていた。隣の世界の僕は、その隣の世界の僕は、その隣の隣、はるか彼方に居る僕は 遮音性に優れた窓を締め切り、クーラーをガンガンに効かせ「今日は涼しいね」と眠気眼を擦ったりしているのだろうか? どこかの世界で熱と音に悩まされず、二度寝を楽しむ僕と、それを許す玉葱の皮の世界に殺意を覚える。 「ほら、出てきなさいよ」体が揺すられる。 「ほらほらほら」と頭を布団の上から掴み、がくがくがく。眠気が耳からがくがくがく。 「コラアァ!」と布団をムササビのように広げ勢いよく起き上がる。弾みで水銀燈が尻餅をついた。 「ちょっと、馬鹿! なにすんのよ!」と自分の尻を擦りながら水銀燈が抗議を飛ばす。 「夏なんだって!」 僕は水銀燈の上に布団ごと覆いかぶさり、ウスバカゲロウかの如く自分の巣(布団)へと連れ込む。 声にならない悲鳴をあげ水銀燈が暴れた。 -- 名無しさん (2008-12-10 21 45 07) しかしその程度では今の僕は止まらなかった。 布団の中で僕は汗で湿った体をフルに使い、水銀燈をとにかく揉みくちゃにする。 狂い咲きの花が、何の前触れもなくその身を散すかのごとく。 この狂い咲きも、また同じ道を辿こととなった。 「いたたたっ……」 僕は後頭部を擦りながら、汗で湿り、二人に絡みついた掛け布団から抜け出した。 二人で部屋の中を転がっている最中に本棚にぶつかった様で、上に置いてあった魔人のランプが落ちて僕の後頭部を直撃したのだ。糞ランプめ。 水銀燈が掛け布団の中から、ヘッドドレスも外れ、ぼさぼさになった頭をひょっこりと覗かせた。 じっとりとした半目で僕を見据えている。まるで「自業自得ね」と言わんばかりだ。 水銀燈は僕の頭に落ちてきたランプに視線を奪われていた。 彼女の目の奥に浮かぶ色が深水のように僕に染み込む。 そういえば、前にも一度似たようなことがあった。カレンダーを見た時だ。 どす恋~兄貴と俺のそいやっさ200X~と銘打たれたカレンダーで、商店街の福引で当てた物である。 水銀燈はそれと僕の顔とを交互に見やり、眉間に深く皺を寄せていた。 とてつもなく巨大な陰謀の臭いがする……。 ひとり物思いに耽っていると、水銀燈が口を開いた気がした。 「んっ?」 聞き返した時には既に水銀燈は掛け布団から抜け出しタンスの前に居た。 「ごめん、聞いてなかった」 「だっかっら、シャワーよシャワー。体がべたついてしょうがないわ。」 タオルを僕に見えるように振り、浴室へと消えた。 程なくタイルを水が打つ音が聞こえる。海から吹き上がった風が梢を揺らし、球児が白球を追いかける声を届けたがすぐさま蝉の声に掻き消された。 今日はまた一段と暑くなるかもしれない。 -- 名無しさん (2008-12-10 21 49 07) 突き上げてくるような寒さで目が覚める、夜明け前の薄暗さが辺りを包んでいた。 枕元の時計へと手を伸ばすが、空を掴むばかりである。 指先が冷たく硬いものに触れる。 目を凝らして見るとそれは、一面に敷き詰められた床石の一つであることが分かった。 驚いて身を起こし辺りを見回すと、崩れた石造りの家が立ち並び、白いものがほろほろと舞っていた。 「雪?」 空を見上げる。見上げた空には上へ崩れた建物が立ち並んでいた。 そこから延々と雪が舞い上がってきている。 どうやら僕は夢を見ているようだ。 -- 名無しさん (2008-12-10 21 50 48) 行く当てもないので、町の中心の方へと足を向けた。 歩を進めるうちに道が交じり合い、次第に太い道へと成る。 どうやら、中心部から放射状に道が伸びているらしい。 視界が開け広場が現れる。中央部からは朽木が聳え立ち、空の町を掴まんと皺だらけの指を伸ばしていた。 その指の一つに、水銀燈が居た。 彼女は僕に気づかず、僕が来る前からの格好で空を見ていた。 何故だかは分からないが、とても悲しそうに見えた。 隣に行きたかった。寒さで震える肩を抱きしめたかった。 だけど、出来なかった。 魔人の力で一方的に呼び出し、心まで書き換え隣に立った僕は卑怯者だ。 とてつもなく自分が恥ずかしく、それと同時に悲しくもなった。 彼女の視線の先には空はない、誰かがいるのだ、隣に立っていた誰かが。 そう、彼女の折れそうな体を抱きしめていいのは、自分ではないのだ。 -- 名無しさん (2008-12-10 21 53 58) 「ただいま」 「あら、お帰りなさい」 玄関を開けると、水銀燈が台所でコーヒーをドリップしていた。 組んだ腕をシンクにのせ、顎をその上に置いている。 「あなたも飲む?」と琥珀の滴を追いながら言ったから 「うん」と僕は答えた。 カップを手渡され「どうも、ありがと」と言った。 水銀燈は軽く微笑み、自分の指定席(リクライニング椅子)へと腰を落ち着けた。 両の手で包むようにカップを持っている。 「なあに? これ」 僕は机の水銀燈に近い所に小箱を置き、開けるように手で促した。 水銀燈は「なにかしら」とカップを隣に置き、小箱を手に取った。 「あら」中から出てきた物に少し驚いたようだ。 「アクセサリとかのほうが、女の子向けだとは思ったんだけど、どういうのがいいのか分からなくてさ」 水銀燈は箱から銀の懐中時計を取り出した。 蓋陶器の文字盤には手書きの花の模様、金彩が描かれている。 「だから時計なんかが無難かな、なんてね、思ったんだ。」 「私のために?」 「うん、気に入ってくれると嬉しい」 「ふーん、私のためにねぇ」とにまにまと僕の顔を水銀燈が見て「ありがと」と笑った。 「どういたしまして」 僕は淹れて貰ったコーヒーに口をつける。 水銀燈は他にも何か言いたげに懐中時計を両手で包み僕の顔を見ていたから、小恥ずかしくなりコーヒーに逃げたのだ。 胸が痛む、自分への誤魔化しだったから。 あの廃墟の町で感じたものが、日に日に胸の内を占める割合を増やしていた。 笑顔が痛い。君が淹れてくれたコーヒーはいつからこんなに苦くなったのだろう。 -- 名無しさん (2008-12-10 21 56 23) 夏の夜風は、春のそよ風に匹敵する。 ツクツクホーシはいつのまにかに身を隠し、夏虫が本格的に鳴き始める前の時間。 窓辺で胡座を組み、手の平に顎を乗せ、つながる肘を腿に置いた。 慣れ親しんだ格好だ。夜風が前髪を揺する。 蚊取り線香の匂いも、微かだが感じることが出来る風。 「何をしているの?」と水銀燈が聞き「ぼうっとしている」と僕が答えた。 ふうん。と水銀燈が僕の横に並んだ。 「ねえ、蛍見に行きましょうよ」 「蛍?」 「そう、蛍。」 突然蛍と言われても……いや、確かここいらに蛍が見れる場所が一つ二つあったな。 そこまでの道順を脳内に起こしていると、水銀燈から催促が出た。 「ほら、早くしないと飛び蛍の時間逃すわよ」 「ああ、そうだね。それじゃあ、行こうか。」 僕は手短に身支度を済ませると、水銀燈を抱きかかえて家を出た。 -- 名無しさん (2008-12-10 21 59 46) ジャリジャリと土を踏みしめる音が田園へと響いていた。 水銀燈は僕の腕に腰を置き、ゆるりと背中を胸に預けている。 「それにしてもよく知っていたね、ここいらに蛍が居るって」 「前に教えてもらったのよ」 「へえ……」僕は少しムッとした。 「なに、あんたもしかして"嫉妬"してるの?」 「いやァ──まあ、人並みに」 あははははと水銀燈は僕の腕の中で笑った。 なんて女だ……。 息も切れ切れに水銀燈は言葉を紡ごうとした。 「はっ、はは、ごめなさ、あはは、あーおかし」 「教えてくれた人は、この辺りに住んでたんだな」と話題の路線を変えようとする。 「そうねぇ──」と水銀燈は僕の顔を嘗め回すように見ていた。 「男の人だったわよ。それに、それなりに優しくて、いい男だったわ」 「ふうん」 「気にならないの? 前の"男"のコト」 「別に」と言うと「無理しちゃってぇ。男の嫉妬は格好悪いわよ?」と僕の顔を見上げながら肘で腹をつついてくる。 「はは、そろそろ着くよ」嫉妬の念を振り払う。 「ちょっとお、なに余裕ぶってんのよ」と僕の生えかけの顎ヒゲを引っ張った。 水銀燈にこんなゆるけた顔させるなんて、どこのどいつなんだよ、くそったれ。 僕はその男と水銀燈との関係が羨ましかった。純粋に。 -- 名無しさん (2008-12-10 22 06 17) 「こら、なんか言いなさいよ馬鹿」 「痛ッ」 鼻の下を握った拳の第二関節で殴られた。 「いきなり何するんだよ……」 打たれた所を擦りながら水銀燈に抗議すと、水銀燈が感嘆の息を漏らした。 何だ? 視線を同じ方に向けると、限りなく暗闇に近い闇の中で、緑の光が無数の弧を描いていた。 傍を流れる小川から水を引く田んぼ、水路を撫でる水の音、これらがすっかり竹林の影に覆い隠された場所。 僕らはここに二人っきりだった。 僕の腕は自然と水銀燈を抱いていた。 -- 名無しさん (2008-12-10 22 10 05) そういえば、僕はいったい"何を"魔人に願ったのだっけ。 水銀燈と……? -- 名無しさん (2008-12-10 22 10 27) 寝苦しい夜だったかもしれないし、そうじゃなかったのかもしれない。 そんな夏の夜だった。 空の高い所にある白月の光が窓辺を照らしていた。 昼の延長のような夜に、魔人を呼び出した。 二つ目の願いに、水銀燈を元の男の所に戻してやってくれと頼んだ。 「だ、そうだ」と魔人は男の後ろに声を掛けた。 振り向くと水銀燈は鞄から顔を出しこちらを見ていた。 水銀燈は幾ばくか逡巡し、口を開いた 「……私は、本当はあなたのことを──」が僕は水銀燈の唇に指を乗せた。 「今度会う時は……いや、会えることがあったら、もっとフェアな出会い方をしよう」 水銀燈は形のよい眉を曲げ、口の端を少し持ち上げ、唇を押さえた僕の指を小さな手で押し返し、包み込んだ。 「次に会う時は少し嫌な女かもしれないけれど、これで──」と自分指で唇を触り、それを僕の唇に押し付けた。 唇に押し当てた感覚だけを残し彼女は消えた、鞄ごと。 魔人は小波にゆれる月を見ていた。 水銀燈は最後に何を言おうとしていたのか。 月が西に傾き、白い帯が長く伸びた。 -- 名無しさん (2008-12-10 22 11 24) 僕は最後の願いとして、魔人の自由を願った。 魔人が出てくる話の最後には、魔人の自由を願うのが定番だからだ。 それに、水銀燈が居ない今、特に何を願いたいとも思わなかった。 魔人は夜の海のように蒼い瞳で僕をしばらく見た後、ランプと言葉を残し消えた。 「そういうことだったのか」 結局、ランプを薬缶代わりに使う事は一度もなかった。 -- 名無しさん (2008-12-10 22 12 06) 色を抜かれた、味気のない日常が始まる。 狭いはずの部屋がとても広く、世界の全てのように感じられた。 彼女の面影を探し本棚を漁るが何の収穫もなかった。 彼が探そうとしてたものは元から"この世界"にはなかった。 この世界は、彼が魔人に"望んだ世界"なのだから。 -- 名無しさん (2008-12-10 22 13 23) 広葉樹に残暑の陰りが色をつけた頃。 ドア付けポストに鉄を打つ投函音が響いた。 まきますか まきませんか -- 名無しさん (2008-12-10 22 15 37) 水銀燈と 前半 おわりです、お疲れ様でした。 -- 名無しさん (2008-12-10 22 16 11) え?え?!何このサプライズ最高 -- 名無しさん (2008-12-11 00 20 52) うほw -- 名無しさん (2008-12-14 03 54 30) おかえり -- 名無しさん (2008-12-16 18 10 52) なんという不意打ち… -- 名無しさん (2008-12-16 20 39 26) 鏡に映る白い息の下には、見覚えがある鞄が一つ置いてあった。 僕の鼻は何かを納得したように「ふん」と言ったが、実際の所はよくわからない。 鞄を見れば嫌でも思い出す。鞄の小さな主の事をだ。 さて、どうしたものかな。 脳みその中を、蛆がぐじゅぐじゅと音を立てながら這い回っているような感覚に陥る。 鞄を開ければ、お姫様の寝顔があるだろうし、閉じて腐敗した二人での生活が幕を開ける事になるのだろう。 腐った果実が一層甘い臭いを放ち無骨な手に己をもがせる様に、腐肉を混じり合わせるだけの生活は、とても魅力的だ。 しかし、このまま鞄を開けずにいたいとも思った。 腐敗の先に未来はないからだ。腐ったその身は蕩ける様に甘く、脊髄をしごくような甘い臭いを放つ。 腐った実は樹から嫌われる。翌日にも堕とされるだろう。運悪くその実を食べた者は腹を壊して死ぬだけである。 何処からとも漂う甘い臭いを嗅ぎ、味を想像するだけでも十分だとも思う。 だが、臭いは何時の間にかに無くなってしまうのだ。鳥の仕業か引力か、それともその両方なのか。 そして僕は思うのだ。 「ああ、あの果実はどんな味だったのだろうか」 後悔して生きるのなら、腐肉を食らって死んでしまいたい。 僕は腐敗し、蕩けきった実に手を伸ばした。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 03 13) 水銀燈と 後半 -- 名無しさん (2008-12-31 22 06 19) 留め具の冷たさが指先に伝わり、鞄が開いた。 水銀燈が身を丸め眠っていた。 遠足前の期待より不安が多く入り混じったような感覚は、胃の重りとなってズッシリとした物を下腹部に感じさせた。 可愛いらしい寝顔だ。どんな夢を見ているのだろうか? 僕はその夢を越える事ができるのか。 それから10分ほど過ぎた頃、彼女の髪は三つ編になっていた。 水銀燈がなかなか起きないので、僕は彼女の髪の毛を弄っていた。 三つ編の先で鼻をくすぐると、眉間が動いたような気がするが、気のせいだったかもしれない。 さて次は何をしようかなと考えていると、鞄の隅に螺子巻きを見つけた。 彼女は人形だったな。すっぱいような灰色が胸を撫でた。 僕は水銀燈を鞄から抱き上げ、長い髪を肩から前へと流した。 露となった白い背。開いたドレスの縁を飾り付ける黒いレースの毛先までもがしなやかだった。 水銀燈を僕に持たれ掛けさせた。彼女は首筋に牙を突き立てている吸血鬼のようにも見えた。 螺子穴に螺子を差込ゆっくりと巻いた。 ギリギリ、ギリギリ、ギリギリ。 彼女の体がビクンと脈打った。それから関節から動かすように手の平を僕の胸に置いて体を持ち上げる。 半分開かれた瞼から赤い瞳がこれまた半分覗いていた。 赤い瞳に焦点が戻る速度で、眉間に皺がより、「無礼」と頬を平手で叩かれた。 「あなたが螺子を巻いたのね……」 水銀燈は僕から距離を取り、腕のドレスで胸元を隠すようにして言った。 部屋を見回す「家畜小屋といい勝負ね」「はは、困ったお嬢さんだ。」 水銀燈は無知に気づかぬ者を笑うように鼻で笑った。 「あれ、水銀燈だよね?」 僕の問いに、顎を引いて頷いた。 「僕のこと覚えている?」 水銀燈は下から上に睨むようにさっと視線を動かし言った「知るわけないじゃない。」 なるほど、そうきたか……。彼女はもじもじと編まれた髪をといた。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 06 44) 肺を動かすだけでも、ギクシャクと音が出るような生活が始まった。 もっとも、そう感じていたのは水銀燈だけだったようだが……。 水銀燈は部屋の隅を自分の居場所と決めたのか、いつもそこに蹲って僕を見ていた。 紅葉が八月の月の色をしていた。 もうすっかり寒かろうと、水銀燈が席を外している間に厚めの座布団を置いた。 水銀燈は座布団を見つけると、僕の方を睨んだが知らん顔をすると黙って座布団の上に腰を下ろした。 彼女が鞄で寝ている間に座布団を部屋の中心へ少し動かしたが、翌日は元の様だった。 毛布を置いたら包まった。寒かったんだな、やっぱり。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 10 47) 「お茶でもどうだい」 僕は琥珀の色をカップに注ぎながら言うと、水銀燈は僕をミッと睨んだ。 「はい」 受け皿ごと水銀燈の前に置いた。 見ていたら飲みにくかろうと、僕はコタツの方まで引っ込んだ。 受け皿からカップを持ち上げる音がした。 首だけ動かして様子を見ると、両手でカップを包み込むように持って口をつけていた。 「変な奴」 紅茶の暖かさが水銀燈をほぐしたのか、彼女に一言呟かせた。 「ん?」 振り向くと、聞こえてるとは思っていなかったのか「あっ、ほ、ほら──」と視線ををさ迷わせ 「あれ。そう、あのランプよ。あんな変なランプ初めて見たわぁ。だっさあい」と言った。 誤魔化したそうにしていたので、追求するのはやめた。 「お菓子食べる?」 「いただこうかしら」 言い終わってから、はっとした表情を浮かべてまたそっぽを向いた。 僕は口を歪める様に苦笑いをして、受け皿の隣にクッキーを取り分けた皿を置いた。 閉じた茶葉は、湯を注げば時間と共に開くのだ。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 13 58) 目の前が真っ暗になりマットレスの上に倒れた。 最近、朝起きると貧血で倒れる事が多くなっていた。 四方に飛び散った自分が、ゆっくりと額から容器に戻った。世界が霞んでいた。 仰向けに転がり、朝が青に塗った天井を見た。 呼吸を整えていると、視界の端に水銀燈を見つけた。 彼女は鏡の前に立ち、じっと僕を見ていた。 「おっす」 返事は期待していなかったが、水銀燈が口を開いた。 「死ぬの?」 僕は一瞬、この貧血は水銀燈が関係しているのか? と思ったが、考えすぎだなと夢の残りに食わせた。 目を瞑る。夜の続きが瞼の裏にはあった。 「いつかはね」 「……そう」 水銀燈と一言二言交わすうちに、すっかり血は戻っていた。 今は逆に、程好い虚脱感が体を満たしており、とても心地がよい。 「人は脆いのね」 「そうだね、」「でも、それは君も同じだろ」 水銀燈が僕の言葉で苛立ったような気がしたが、特に気にはならなかった。 僕の目には、あの日見た雪が舞い上がる町へと続く夜しか映っていなかったから。 「いつか見た君は、とても脆そうに見えたけどね。抱きしめたらそのまま折れてしまいそうなぐらい」 「それだけ口が回るなら、しばらくは死ななさそうじゃなあい、」 「頭の方は、もうだめみたいだけれど……」と付け加えた。 水銀燈が自分の寝床に戻る音がした。 僕はもぞもぞと掛け布団の内に潜り込み、包み込む脱力感に身を任せることにした。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 15 43) ある朝の事である。起きると水銀燈がいなかった。 朝食の時間になっても鞄から出てこないということは、いないのだろう。 頬を手の平に乗せ、虚ろ虚ろとしていたら鏡が光り始めた。 光りの中から水銀燈が崩れ落ちるように床に倒れこんだ。 彼女は片羽を失っていた。咄嗟に駆け寄ると、水銀燈がこないでと言ったような気がした。 馬鹿か。僕は彼女を抱き上げた。 「おい、大丈夫か?」 彼女の顔は土色で、ただのビスク人形になろうとしていた。 「やめて」 抱きとめる腕を振り払おうと、小さな手が僕の腕に触れるが、それだけだった。振りほどく力も彼女には残されていなかった。 僕には彼女の細い体を抱きしめる事しかできなかった。 どうすればいいんだ。僕は、僕は──っ。 噛締めた砂の味、口の中が灰色だった。 「ねぇ」と僕の胸に埋もれた声がした。 何か言いたいのか? 彼女を抱きしめる腕の力を緩めると、腕の中から僕を見上げた。 「ねぇ、死んで?」 何かと聞き返そうと口を開いたが、細く小さい人差し指が僕の唇を縫い止めた。 唇に置かれた指の熱さとは異質の熱さ、氷の炎が左手薬指を締め上げた。 途端、猛烈な吐き気と頭痛に襲われ意識が飛んだ。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 20 37) すっかりと日も暮れた頃に目が覚めた。 辺りの暗さの原因の一つには、鉛の雲が空を覆っていたこともある。 水銀燈は僕の上で寝ていた。 僕は腹が減っていた。朝から何も食べていないからだ。 ちゃぶ台の上には冷たくなった朝食が二膳向かい合わせに置いてある。 水銀燈をどかして遅い朝食にしようと、彼女の肩に手をかけたら、閉じた瞼の端から涙が一筋零れた。 「くだらねえ」と僕は呟いた。 僕は彼女の背に手を回して目を閉じた。 手の平に、生えて間もないだろう羽根の感触が伝わった。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 21 28) 水銀燈の代わりに、毛布が僕の上にいた。 よく見れば水銀燈がいつも包まっていた物だ。 「あわ?」 阿呆のような顔で体を起こして、半開きの口から垂れた涎を手で拭うと冷たい物が唇に触れた。 「指輪……?」 確かに僕の左手薬指には、銀の指輪がはめられていた。 指輪を指から抜こうとするがびくともしない。 「無理に外そうとすると肉からそげ落ちるわよ」 いつのまにか目の前に、腕を組んで立つ水銀燈が居た 「無理には止めないけれど」と付け加えそっぽを向いた。 「あーいや、別に外さないけどね」 僕は角度を変えて指輪を見つつそう言った。よく見るとかなりかっこいいじゃないか、これ。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 21 41) 僕が卓に付いた時には既に、水銀燈分の朝食は空になっていた。それもそうだろう、僕も相当お腹が空いている。 冷たくなった米を口から胃に落としていると、水銀燈が対面に腰を下ろした。 何か言いたいようなむくれ顔で、ムスっと僕を見ているが、あえて声をかけなかった。 白菜漬けに醤油を垂らしていると水銀燈が口を開いた、 「ねぇ……あの」ごにょごにょと言葉の尻が、垂らした醤油のように消えてった。 「うん」と生卵を溶きながら僕は答えた。 「いい? 誰でも、疲れてるときは弱くなるでしょ?」 「あるね」 僕は溶き卵をご飯にかけた。 「だから、今朝の事はこれでおしまい。わかった?」 「あー、どうしようかなあ」 「なっ」 水銀燈が信じられない物でも見たかのように、身を固めた。 「嘘嘘、冗談冗談」 水銀燈は眉間に皺を寄せ、「ガキが……」と呟いた。 僕は今、今朝の朝食を食べていた。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 22 18) 肝心の水銀燈の羽根は、いつのまにか元の大きさになっていた。 「……まあ、でも一応は感謝してるのよ。一応はね……」 そう言った水銀燈は、自分の膝上で指を絡ませて赤い目は端までよっていた 僕はそれを見て、口元だけで小さく笑った。ニヒルに笑えたと思う。 「なによ、何か言いたい事でもあるわけ?」 「あるなら言いなさいよ。いいじゃない、聞いてあげるわ」と水銀燈がまくし立てる。 「いやね」ともったいぶると、何よと水銀燈が体を乗り出した。 「可愛いよ」 「は、はあ?」 「だから、君可愛いよ」 よく聞き取れなかったようなので言い直した。 「なに、え? アンタ本当に頭がジャンクになっちゃったんじゃないの?」 水銀燈は顔を真っ赤にしてあたふたする。相当混乱しているようだった。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 22 36) 「だから、そういう動作? かなり可愛いんじゃないかな。」 「ううっ」と水銀燈は唸り、俯いてしまった。 「こんな奴に契約の指輪──」 「え、何?」 「返しなさい!」 水銀燈が僕の左手に飛び掛った。 「うおあ」 思わず左手を持ち上げ空へと逃がす。 「じっとしてなさい!」 言い終わるが早いか、彼女は翼を水平に伸ばし突っ込んできた。 後頭部がズキンズキンと痛んだ。 水銀燈の衝突に耐え切れず、僕は水銀燈を抱きこむような格好で背中から倒れた。 朝を彷彿とさせる体制だ。違う所をあげるとすれば、水銀燈が僕の左手を捕まえようとしているので、僕がそれを阻止している所だ。 水銀燈の細い髪先がチクチクと顔に刺さる。 「あっ」と水銀燈が我に返った。 「変態! さわんじゃないわよ! ばか! 放しなさい!」 年頃? の娘が事故のような物とはいえ、男に抱きしめられているような格好でいるのは、抵抗があったのだろう。 何にしても、騒がしい女だ。部屋の隅でじっとしていた頃が嘘みたいだ。 僕から離れた水銀燈は衣服の乱れを直し、僕から胸元を腕で隠すようした。 水銀燈の左手に光るものを見つけた。 「あ、同じ指輪。」 水銀燈はしまったと手を背に隠した。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 23 08) 「なんだよ、ペアリングだから恥ずかしくなって返せって事なのか?」 「いや待てよ、左手薬指だし──」 「それ以上言うと、怒るわよ」 キッパリと水銀燈が言葉の先を遮った。 はぁ、と水銀燈は大きな溜息をつき「それは契約の指輪と言って、」と指輪について話し始めた。 「なるほど、精力を吸い取る力があるのか」 「ええ」僕の言い方に何か引っかかったようだった。 「じゃあ、貧血起こしてたのは精力吸い取ってたから?」 水銀燈は肯いた。 「でも、あの時は指輪してなかったよ?」 「……私は特別なのよ。指輪がなくてもある程度は奪える」 「なるほどなあ」 改めて自分の指に填められた指輪を見るが、力を吸い取るような指輪にはとてもじゃないが見えなかった。 薔薇の銀細工が施してあるのだが、葉の部分がグロテスクに開き、肝心の薔薇の花が小さく、何か別の生き物のようにも見えた。 「ふうーん」 しかし、今はそんな事よりも目の前の掃除だった。水銀燈が左手に飛びついて来た時に散らばった朝食の残骸をだ。 「手伝えよ」 「はぁ?」 「はあ……」 肺胞を絞るような溜息が出た。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 24 28) 「ここ置いとくわよ」 「ん」シンクに重ねられた食器が置かれた。 水銀燈が食器を下げ、僕が洗い物をしていた。 散らばった米や生卵の溶いた物の片付けは手伝ってくれなかったが……。 洗いの作業も終り、洗剤を水で流しながら「なあ、なんであんなに強引だったんだ?」と聞いた。 「まあ、言いたくないなら言わなくていいよ」 最後の食器の水を払いながら付け加えた。 「なんとなく……」 「うん」 「なんだか、あんたのこと良く知っているような気がしたっていうか、あんたならいいかな。って」 「そうか」 「うん」 水銀燈の声が弱かった。 「……迷惑だったかしらぁ」 「馬鹿。こんなイケメン捕まえれたんだぞ、もっと喜べよ」 振り向き、ニヒルなつもりの笑顔を向けた。 想像を裏切る答えに、水銀燈は毒気を抜かれたような秋空の顔をしていた。 「おばかさぁん。あなたこそ、私のミーディアムになれた事を光栄に思う事ね。あなたには身に余る事じゃなくって?」 軽口に乗ってくれた。 「そうだな、こんな可愛いお嬢さんに求愛されちゃったわけだしな」 薬指の指輪をチラチラと見せた。 「末代まで語り継いでもいいのよお? あっ、あなたで末代だったかしら?」 水銀燈はふふっと笑った。相手を言い含めた時に見せる特有の笑みだ。 「いやいや、君との子供が残せれば語り継げる可能性だってあるんだぜ」 「私と、子供……?」と水銀燈は口の中で言葉の意味を何度か噛締めてやっと理解し、 「ばあっか!」と吐き捨てた。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 24 41) 秋も終わろうとしていた。 刷毛で薄く延ばしたような雲は、その身を西風で肥やして鉛色になった。 たまに、蝉が思い出した様に一声二声冬を泣く以外はいたって普通の季節の移り目だった。 いや、一つ大事な事を忘れていた。今年はコタツが狭かった。 「ちょっとお、もっと端によせなさいよ」 水銀燈がガシガシとコタツの中で僕の足を蹴る。 「おいおい、さっきもそう言われて右端によせたばっかりだぜ?」 「そっちに足を動かしたくなったのよ。ほら、いいから早くどかしなさいよ」 口を開いている間にも、容赦なく足を蹴ってくる。 「しょうがねぇなァ」と渋々足をどかそうとすると、窓の外に緑の光りを見た気がした。 「なによ、どかさないの?」 「いや、……」 「はっきり喋らない男は嫌いよ」 「あー、蛍でも見に行かないか?」 「はあ?」蹴りを続ける足が止まった。 「蛍だよ」 「分かってるわよ。あのね、もう冬なのよ?」 肩を竦めて寒いのよとして見せた。 「ここら辺には冬でも蛍が見れる場所があるんだ。いこうぜ」 僕はコタツから這い出し、水銀燈の手をとった。 「ほら、着ないと寒いぞ」と半場強引に用意をさせた。 もそもそと服を着込んだ水銀燈を抱き上げ、あの日一緒に蛍を見た、あの場所へ。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 24 51) 竹林の影に隠れた水路には、ポツポツ緑の光りが燈っていた。 ほー、と珍しい物を見たと感心したような声を水銀燈があげた。 「俺は水蛍って呼んでる」 「水蛍?」と視線は緑の光りから放さず聞き返した。 「うん。本当の名前は知らないけど、水の中に居るから水蛍。」 「それなら、飛んでる蛍は飛び蛍?」 水銀燈は横目でちらっと僕を見た。 「そうだね、それで地面にいるのは土蛍。分かりやすいだろ?」 「そうね。でも、他の人の前では使わない方がいいわよ。無知を曝け出している様なものだわ」 「手厳しいね」と僕が言うと「ふふん」と鼻を鳴らし水蛍に視線を戻した。 星が竹林の隙間を、笹の葉の筋一本分も移動する前に、水銀燈が言った。 「地味ね」 「うん」 確かにだ、同意する。 「それに、寒い」 水銀燈が僕の腕の中で体を押し付けてきた。 抱きしめる腕に力を込める。 「ねぇ、一匹ぐらい連れて帰りましょうよ。水を入れた瓶の中に入れて、部屋を暗くしてコタツに入りながら見ましょうよ。」 「もちろん、あなたが足を左側に寄せて、だけれど」 「だめだよ」と僕が言うと顎を叩かれた。 「蛍の寿命は短いんだ。1週間を待たずに死ぬはずだよ。」 「そう……」 残念そうにする水銀燈の毛糸の帽子を被った頭に手を載せた。 「人の寿命も、短い。」 水銀燈は乗せられた手を頭で押し返すようにした。 「今度は、飛んでいる蛍が見たいわあ」 「もう少ししたら、見れるんじゃないかな」 「そうね、来年が楽しみ」 「いや、今年」 水銀燈が振り返ったが、すぐにくしゃくしゃと頭を撫でてやった。 報復がぺしぺしときた。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 25 31) 朝起きると水銀燈が居なかった。鞄ごと。 薄々は分かってはいた事だが、実際に経験するのとでは全然だった。 暖かいお茶を用意してこたつに足を突っ込んだ、広いコタツだった。 灯りを消して目を瞑ると、冬は直ぐ傍に居た。 ペーチュンチュンコロリ。雀も大変だね。 「あっ、」 聞きなれた声に瞼が開いた。 「ええっと、……起きるの早いのね」 姿見鏡の前で、不釣合いな大きさの鞄を横に並べた水銀燈が言った。 「自分で自覚あったの? 嫌な女だ、って」 僕の寝具の隣に鞄を置いている水銀燈の背に聞いた。 「……なんの話だかさっぱりねえ」 まあ、別にいいんだけどね。 「それと、その、なんだろうな」 なにかしら、と水銀燈が振り返った。 「また会えて嬉しいよ。お帰り。」 水銀燈は口をムニムニと動かして「ただいまぁ」と言った。 水銀燈も帰ってきたし、朝食でも作ろうかな。 コタツから抜け出して台所に立つと、水銀燈が僕の名前を呼んだ。 「ねえまさゆき」 振り返ると、「これからも、よろしくねえ。」 「ああ、こちらこそよろしくね。水銀燈。」 -- 名無しさん (2008-12-31 22 25 45) 水銀燈と 後編 終りですお疲れ様でした -- 名無しさん (2008-12-31 22 27 56) 今まで、本当にありがとうございました。 長い間音沙汰なしに席を外していたことについては、心よりお詫び申し上げます。 去年の7月から始めたこのシリーズですが、今回を持ちまして終わりです。 今まで読んでくれた人達、まとめてくれた人、月の初めにコメントを置いてくれた人。 あなた方が居なければ、こんなに長ったらしく続ける事叶わなかったです。 改めてお礼申し上げます。 さて、水銀燈と俺シリーズは終りですが、僕と水銀燈との生活は終りではりません。 これからは「水銀燈とそれから」と冠を代え、一区切りがつくまで話を続けるのではなく、 僕と水銀燈との生活をデッサンするような、日記に近い形で続けようとかと思います。 「もうこれ以上付き合いきれないぜ」という方は、今まで見せた終わり方からお好きなものを選び、それを最後としてください。 あなたの中の僕と水銀燈との物語はそこで終わります。 これからも僕らを見守ってくれるという方は、http //tosorekara.blog54.fc2.com/にどうぞ。 更新頻度は高めにする予定です。 今まで支えてくれたまとめの人、応援してくれた人達。 本当にありがとうございました。 またどこかで会える事を信じて。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 31 21) 水銀燈をぎゅっと抱きしめたい 終りです、本当にお疲れ様でした。 -- 名無しさん (2008-12-31 22 31 39) お疲れ様 あけましておめでとう -- 名無しさん (2009-01-03 02 01 10) お疲れ様でした だが俺のストーキングはまだ終わらない -- 名無しさん (2009-01-15 22 36 05) 大好き!まーくん大好き! -- 名無しさん (2009-01-29 04 02 11) たまに着てみたらこんなサプライズが 面白かったよ。ありがとう -- 名無しさん (2009-02-05 14 50 04) そや、ソは無くなってしまうん? -- 名無しさん (2011-02-11 21 23 46) まあ、気が向いたらうpったりしまちゅわ… -- 名無しさん (2011-04-26 05 21 08) りぼん始まるよ! -- 名無しさん (2011-11-07 23 41 48) 信仰心が試されている…!?(動揺) -- 名無しさん (2011-11-08 14 43 20) こことローゼンメイデン過去ログ倉庫見てると泣ける あの時代はもう帰ってこない -- 名無しさん (2012-06-26 00 35 33) 泣きたくなるけど未来を信じて今は泣かない -- 名無しさん (2012-06-28 00 14 47) アニメ化とアメリカって似てるよね -- 名無しさん (2012-11-20 23 21 47) アニメ化するね -- 名無しさん (2013-05-20 04 50 32) アニメは4巻までかな -- 名無しさん (2013-08-06 02 33 49) 連載が終わるとか聞いた -- 名無しさん (2013-11-23 01 41 07) これまで積み上げてきた物あってこそとは思いますが、 個人的に過去最高の回でした。本当によかった 雪華綺晶の世界が崩れていくシーンがね、もう… -- 名無しさん (2013-12-02 07 53 32) 「水銀燈とそれから」が消えてしまっていますね 残念です 過去ログ倉庫も縮小されていますし -- 名無しさん (2014-04-27 16 25 41) 残念ではあるけど、思い出はいつも胸の中にあるから寂しくないよ そんな強がりを言ってみる -- 名無しさん (2014-05-10 00 57 46) 筆を折ってしまったのだろうか それともまだどこかで小説を書いているのか -- 名無しさん (2014-08-19 10 15 19) 夢は夢のまま -- 名無しさん (2014-12-10 01 59 04) あれから何年も経ったけど、彼と彼女への感謝の気持ちは変わらない -- 名無しさん (2015-06-20 00 38 20) こういうのをずっと見てきてるから 昨今の二次創作の自分×相手に対しても あまり辛辣な感想持たないのかなとか思ったり しかし8年か・・・ -- 名無しさん (2015-06-26 15 26 44) http //mounatutarou.tumblr.com/post/124839594450/ -- 名無しさん (2015-07-25 12 49 08) 何だってんだ!嬉しいじゃないか! しかし上手く言えないけど不安感が増してきたね…大丈夫? -- 名無しさん (2015-09-06 00 24 20) どうも、ごぶさたしておりました。おかわりないようで わたしのほうは、ぼちぼちやっております -- 名無しさん (2015-09-16 21 35 23) ローゼンメイデン新連載始まるってよー! -- 名無しさん (2015-12-17 23 38 40) 久々に更新来てて嬉しい。超嬉しい。 -- 名無しさん (2016-08-17 12 07 04) 明けましておめでとう。今年も更新待ってる。超待ってるよ! -- 名無しさん (2017-01-05 02 11 57) 最近は小説家になろうとかカクヨムとか行くんだけど、まーくんもそっちで書いてたりするのん? -- 名無しさん (2018-01-30 10 56 02) 明けましておめでとうございます。 もうずっと、本当に長いこと(ほんとにごめんなさい)ご無沙汰しておりました。 結構前にパソコソがぶち壊れてから、書かなくなりました。 書かなくなる前は、有名どころの二次創作をちょこっと書いたくらいで、こちらはサッパリでした。 ですからなろうで書いてはいないのですが、最近なろう小説をオススメしてもらい、読んでおります。完読しておりませんけど、イリュージョニスト面白いですね。 他におすすめあったらおしえて( ´∀`)人 大きな画面でネットで辞書引きながら遅延なくバシバシ文字打ち込める環境を手に入れたら、また書きたいですね。チャオ! -- 名無しさん (2018-04-01 21 23 26) ヤッター!まーくんだー!あけおめー。 元気そうで安心したよ。 また書いてくれるの、いつでも待ってるから! なろうだとicecrepeさんの作品が好きだなぁ…。 イリュージョニストってのも読んでみるよ!ありがとう! -- 名無しさん (2018-04-04 13 51 29) アリュージョニストだった、恥ずかしい… もうこっちが長すぎて全然読めてないんですけど、アイスクレープ氏はプロなんですね。小学生みたいな、凄いなあ、と感想を素直に抱いてしまいました。教えてくれてありがとう! あなたも、何かお書きになられているのではないですか?勘違いならごめんなさい。もし正しければ読んでみたい -- 名無しさん (2018-04-12 23 23 10) アリュージョニスト!作者は最近さんであってるのかな? どれだろう…?って、めっちゃ探してたよw 早速読んでみたいけど大長編だねぇ。ゆっくり楽しんでみるよ。 icecrepeさんの話は、詳細で臨場感ある文章とキャラが魅力的で好きなんだよね。 残念ながら僕自身は物書きではないのだけれど、ファンタジーや二次創作で書きたい願望は有るんだ。 少しずつ書いてみようかな。きっと稚拙な文章になるだろうけど、まーくんに読んでもらえるなら頑張るよ! 気長に待っていてくれると嬉しいな…。 -- 名無しさん (2018-04-13 22 41 02) そう!その方です。「ちょっと」を「ちょと」と書き損じていたくらいだし、実際よくある勘違いインシデント。ヒロインの魔女二人が可愛くて頑張ってるけど、完読はいつになるやら… なるほど、これから書かれる方だったんですね。ぼくはてっきり、こんな所に居るくらいだから、カタギの人じゃないのかと( ´∀`)フフ ぼくでよかったらいつでも読むよ。気長に待つのは、戦闘妖精雪風で慣れてるからね! -- 名無しさん (2018-04-15 21 57 41) アリュージョニスト面白いね!読み始めたばかりだけど、睡眠時間がガリガリ削られていくぅ…。 そして僕が物語にハマるきっかけになるのは、今も昔も変わらずまーくんなのですよ! とはいえ、なろうやカクヨムを嗜む程度の若輩なので、戦闘妖精雪風までは知らなんですけど。ほんと戦闘機好きだねぇ。 それじゃあお言葉に甘えてじっくり書かせていただきます。忘れた頃に来るよ!また来るよ! -- 名無しさん (2018-04-17 23 21 04) そんな風に言って頂けるなんて、勲章ですよ。 戦闘妖精雪風は、戦闘機というよりも、機械と人間が互いを探り認め合う、いわゆる人外との恋みたいな奴です。完結済みのOVAもあって、こっちは作者旧来の著作っぽい締め方をしているので、無難な感じに落ち着いてるんですけど、雪風3作目アンブロークンアローで完全にこれまでを超えてきて、めちゃ熱いんです。特にラストが美しい。あと物理書籍はスマッホより視力の低下がゆるやかな気がするので、おすすめです。 じっくり書いてね、楽しみにしてるよ! 挫けそうな時は、逆噴射先生のコラムを読んで奮い立たせて。 でも(なるべく)忘れる前にきてね…( ´∀`) -- 名無しさん (2018-04-20 23 16 41) そんなに熱く、しかも人外との恋愛だなんて言われたら読むしかないじゃない! また連日寝不足街道を歩む事になりそうだ…。もちろん迷わず物理書籍を購入させていただくぜ。 逆噴射先生のコラムって何ぞや?とスマッホンで調べてみたけど…、調べた上で何だかよく分からないけど凄いねこの人。 忘れた頃とは言ったけど、アイディアまで忘れちゃうとマズイから、そう遠くない内に来るよさ。ヨロチク! -- 名無しさん (2018-04-24 01 07 00) もう七月ですよ、七月 -- 名無しさん (2018-07-18 00 06 19) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/25438/pages/2040.html
1 唯と和 2013/11/08 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14921/1383911588/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 唯和は律澪とは別の切なさがありますね。 -- (名無しさん) 2016-07-21 20 36 41 地の文が少し説明し過ぎで冗長。 ただ、和の深い愛情が感じられる。 -- (名無しさん) 2015-03-19 01 32 07 この人の唯和での和の独り語り?がいいね。 -- (名無しさん) 2015-01-11 21 08 51 内容は良い、唯和はお気に入りなので。 ただ文の改行というか塊が変則なので読みづらいのと少々くどい。 -- (名無しさん) 2013-12-01 22 46 48 そういうことおっしゃるなら見なければよろしい。 -- (名無しさん) 2013-11-12 03 16 29 和が留学でリストラ扱いされたら、けいおんキャラ自体がリストラされた -- (名無しさん) 2013-11-11 18 58 48 唯と和が大学編で別れる前のエピソードは無かったんで、貴重な作品だ。 -- (名無しさん) 2013-11-11 17 49 02
https://w.atwiki.jp/agr_katayoku/
ここはラグナロクオンラインChaos鯖で活動するギルド 「汝 片翼を抱きし者」ギルドのサイトです。 今日の閲覧者: - 昨日の閲覧者: - 2010/6/28 近状報告:2年ぶりに更新うっへっへwww…すいませんでした。 2008/7/16 近状報告:ダレカ、ワタシト、ショウガイタイオウ、カワッテクダサイィィィィィ 2008/7/7 近状報告:課金終了、早く入りたいけど… 2008/6/12 コメント機能つけました。 2008/6/11 ふつつかながらサイトを作成しました。&ギルド紹介、メンバ紹介作成しました。 バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、ラグナロクオンラインのmisyoあてのwisや話かけてください。 要望方法などは、のちのち色々追加しようと思います。 * 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/onirensing/pages/602.html
アーティスト:WANDS レベル:6(レギュラー版第4回は4) 登場回数:3(レギュラー版第4回、第13回、第18回) 挑戦結果 Mr.シャチホコ:成功(レギュラー版第18回)