約 95,914 件
https://w.atwiki.jp/h21fjhs/pages/56.html
絹旗「なっ……。もう一度言ってください超浜面」 浜面「いや興味ないって」 絹旗「もう一度言ってください超変態クソ浜面」 浜面「興味ないって」 絹旗「最終勧告です。もう一度言いやがれください超変態クソまみれバカ面」 浜面「そんなに見せたいのお前?」 絹旗「別にそんなことは言ってませんけど」 浜面「……じゃあなんだよ……」 絹旗「つまりですね。 パンツを見たいという欲求が超浜面の超低脳な脳みそにあるかどうかってことなんです」 絹旗「これは大変高尚な命題ですよ。浜面のわりには」 浜面「欲求に対する思考実験?」 絹旗「ええ、そうです。そうなんです」 浜面「お前さ、前から思ってたんだけど露出癖あるよな」 絹旗「ないですよそんなもん」 浜面「いやあるって絶対」 絹旗「ないです!」 浜面「前パンツ見せてきたじゃねえか。かわいいやつ」 絹旗「……、浜面のくせに生意気ですね」 浜面「いや、俺がどうとかじゃなくて」 浜面「そもそもだな、俺にはあれだ、滝壺っていう彼女がいるんだよ」 絹旗「知ってますけど」 浜面「知ってるだろ? なら話ははやい。そりゃもう電波と光が競争するときくらいはやい」 絹旗「同じ速度ですけど。というか時間と速度をごっちゃにしてますけど」 浜面「うるさいな」 絹旗「うるさいですよ私。SF好きですから」 浜面「……」 絹旗「……」 絹旗「……パンツ、見たくないですか?」チラッ 浜面「上目遣いはやめろ」 絹旗「それとも浜面はあれですか、パンツ自体には興味がなくて、 チラリと見える白い閃光にそそられるクチですか」 浜面「なんかそう言うとかっこいいな」 絹旗「でしょう」 浜面「チラリズム……、ってやつか。肝心なのは『見えそうで見えない』だよな。 ここで注意しなくちゃならないのは、みえそうで『見えない』ってことだ」 絹旗「そうです。見えたらお終いです。現実は厳しいんです」 浜面「悲観的だな」 絹旗「でも最近はモロリズムっていう概念も発達してきてるんですよ」 浜面「ほう?」 絹旗「これはチラリズムとは超異なる概念、言うなれば起死回生の逆転劇」 浜面「モロっていうからには、見えるのか」 絹旗「見えますよ。見えすぎて目がつぶれちゃいます」 浜面「そうかー。そりゃまあなんというか、日本人的な発想じゃないな」 絹旗「そうですか? 私はどうせ見るなら超鮮明に見たい派ですけど」 浜面「想像するところに奥ゆかしさがあるんだろ。それが色気ってもんだ。雅ってもんだ」 絹旗「超浜面」 浜面「え?」 絹旗「パンツ、見たくないですか?」チラチラッ 浜面「話きけよ。ってかもう見せてるじゃねえか。小刻みに」 絹旗「えへ」 浜面「かわい子ぶってもだめ」 絹旗「じゃあ逆に浜面に問います」 浜面「いや、お前さ。逆に逆にって、なんでもかんでも逆っていうなよ」 絹旗「む。私の発想転換に異議を申し立てるというのですか、超浜面のくせに」 浜面「ああ、申し立てるね。とかく近頃のやつは『逆に』って使いすぎだ。 逆ってなんだよ。正位置はどこだよ」 絹旗「この場合だったら、私のパンツとは逆の話題ですね」 浜面「パンツはいいよ。パンツ禁止」 絹旗「じゃあなんだったらいいんですか。浜面のくせに。ふんどしですか」 浜面「絹旗がふんどしつけたいなら別に止めはしないけど、今はそういう話じゃない」 絹旗「へえ」チラチラッ 浜面「だから見せるなって」 浜面「逆にってつければ発想の転換だ、と示してるような風潮があるだろ」 絹旗「まあ否定はしませんね」 浜面「その心は何か考えたことあるか」 絹旗「さあ」 浜面「チェス盤思考を濫用してるんだよ。 それで議論の突破口を見つけた気分になるんだ、人間ってやつは」 絹旗「逆説的に、って言い方も最近よく聞く気がします」 浜面「同じだな。逆に、ってアプローチをかけるのと、逆説的に、 ってアプローチをかけるのと、お前どっちがしっくりくる?」 絹旗「まあ超どっちもどっちですが、多少後者のほうが頭よさそうに聞こえます」 浜面「だろ」 絹旗「ほー、浜面のくせになんだか超理知的な表現を使いやがりますね」 浜面「えへ」 絹旗「いいこいいこ」 浜面「で、何の話だっけ」 絹旗「私が身につけるのがパンツがいいか、ふんどしがいいかっていう話です」 浜面「そうだっけ? まあそれでいいや」 絹旗「浜面は私の超かわいいパンツを見るのとふんどしを見るのと、どっちがいいですか?」 浜面「んー……。難しいな」 絹旗「バニーさんでもいいですよ?」 浜面「俺は確かにバニーさんは好きだが、勘違いするな。 バニーさんに身をつつんだ人間が好きなんだ。耳や尻尾や網タイツが好きなわけじゃない」 絹旗「バニーさんに身をつつんだ女の人は大好きなんですか?」 浜面「ああ、大好きだ。大好きすぎて鼻血でる。濃縮されたヤツがな」 絹旗「えっ」 浜面「えっ」 絹旗「その論法でいくと、私がバニーさんに身をつつんだら浜面は私のこと超大好きになっちゃいます」 浜面「そうかもな」 絹旗「そうですよ」 絹旗「滝壺さんに怒られちゃいます」 浜面「でも滝壺のバニーと絹旗とバニーだったら、やっぱり俺は滝壺だな」 絹旗「な、なんでですか。矛盾してます」 浜面「どこが?」 絹旗「だってさっき浜面は『バニーさんに身をつつんだ人間が好き』って言いました! 超いいました録音しました」 浜面「こら嘘をつくな」 絹旗「てへ」 浜面「んー。なら条件を足す。『バニーさんに身をつつんだ滝壺が好きだ』」 絹旗「む……、それだと私は滝壺さんじゃないので、 超クソ外道浜面に好きって言ってもらえません……」 浜面「だろ」 絹旗「くやしいです」 絹旗「! 絹旗超ぴかーん!」 浜面「ん、どうした。ひらめいたか?」 絹旗「これこそ発想力の為せる技です。 チェス盤をひっくり返します、逆説的に逆にパラドックスニーソックス」 浜面「魔術師になったのか、呪文か」 絹旗「オカルトモノは好きじゃないです」 浜面「だろうな、俺ら科学サイドだし」 絹旗「って、そうじゃなくて。いいですか浜面、私は実は滝壺なんです」 浜面「は?」 絹旗「だから、私は実は滝壺なんですよ」 浜面「何言ってんだお前?」 絹旗「絹旗っていう名前は嘘でした」 浜面「??」 絹旗「本当は私、滝壺最愛っていう名前なんです」 浜面「…………お前なあ。嘘はいかんよ嘘は」 絹旗「なんで嘘だって思うんですか?? 証拠は? 私がいつ絹旗最愛という名前であるという証拠を示しました? 浜面は調べたんですか??」 浜面「屁理屈を……」 絹旗「屁理屈というのは論破された負け犬の遠吠えなんです。 論理で戦うなら論理で勝利してください。ロジカルシンキン」 浜面「子供の発想じゃねえかそんなの……」 絹旗「さて、私は滝壺最愛ですよ? 浜面、超ぎゅーしてくださいナデナデしてください」 浜面「いや、パンツはどこいった」 絹旗「パンツ禁止。浜面が言いましたよ」 浜面「ううむ………」 浜面「……なんちゃってな」 絹旗「えっ」 浜面「条件を付け足すぞ、きぬh……、いや滝壺最愛」 絹旗「別に本当は絹旗なので絹旗でいいですよ」 浜面「いや、論理破綻するじゃんそれ」 絹旗「そこは大人の解釈をとってください超ザコ面」 浜面「まあいい。いくぜ。『バニーさんに身をつつんだAIMストーカーが好きだ』」 絹旗「ほう」 浜面「おっ、考えたよりも冷静だな。でもどうだ、これなら特定の人間を指す。 お前の能力は窒素装甲だろ? 一人につき能力は一つ」 絹旗「………」 浜面「ゆえに俺は滝壺が好きだ。以上、はい論破」 絹旗「うー」 絹旗「というか浜面」 浜面「ん」 絹旗「この勝負、なんだか私に不利な気がします」 浜面「? なんでだ?」 絹旗「だって浜面は条件を足すことで対象の範囲を狭めればいいじゃないですか。 私はそれを広げなくちゃならないんですよ?」 浜面「似たようなもんだろ」 絹旗「全然、超違います」 浜面「……うーん、そもそも俺は滝壺理后っていう個人が好きなんだ。 それをどんどん特定していってるだけであって、……つまり」 絹旗「つまり?」 浜面「俺お前のこと好きじゃないってこと」 絹旗「がーん」バキィッ 浜面「はいそこー、ショックを受けながら俺を殴らない」 絹旗「うーん、私のこと好きじゃないんですか、超クソカスゴミマスゴミ石原浜面は」 浜面「はいはいー、ネタには気をつけるのよ最愛ちゃん」 絹旗「~♪」 浜面「あぶねえな」 絹旗「では浜面、私のことは嫌いですか?」 浜面「いや、嫌いじゃねえよ」 絹旗「では好きですか?浜面」 浜面「いや、好き……ではないな」 絹旗「なんなんですか。浜面は本当に超浜面ですね。可決されますよ?」 浜面「やめなさいってば」 絹旗「てへ」 絹旗「浜面はこう言うんですね。『私のことは好きではない』、『だが嫌いでもない』」 浜面「うん、100点だな」 絹旗「どっちなんですか。それって二律背反です、矛盾してます」 浜面「してないぞ。好きでも嫌いでもない感情に名前をつければ成立する」 絹旗「む。なんですか、その感情は」 浜面「どうでもいい」 絹旗「がーん」バキボコグッシャア 浜面「はい最愛ちゃん俺をスクラップにしない」 絹旗「あぁん♪」 浜面「かわいくてもだめ」 絹旗「状況を整理しましょう」 浜面「俺が瀕死」 絹旗「いえ、それはいいです。それこそ超どうでもいいです」 浜面「うまくない」 絹旗「浜面は私のことを好きではない。嫌いでもない。どうでもいい。こういいましたね」 浜面「おう、言ったぞ」 絹旗「ならばこう返します、石原」 浜面「もうつっこまないからな」 絹旗「どうでもいい、なら、好きでもいいってことです」 浜面「……な」 絹旗「ふふふふ。これって間違ってませんよね? 超正論です。つまり大好きです浜面ぎゅーしてください」 浜面「さらっと告白するな」 絹旗「む。拒否するんですか? それはロジカルエラーを認めたことになりますよ?」 浜面「あのな絹旗。じゃあもう言うけど、俺は今滝壺と付き合ってるんだよ」 絹旗「はい、そうです知ってますうざいです滝壺さん嫌いばか浜面かえして」 浜面「え」 絹旗「う、うそです……。今のはエンストみたいなものです」 浜面「……でな。 少なくとも日本って国では一人につき一人しか彼女つくっちゃいけないことになってるんだよ」 絹旗「えーーーーーーーーーー!?」チラチラッ 浜面「パンツ禁止って言っただろが!!!」 絹旗「ほんとにーーーーーーーーー!?」チラチラッ 浜面「お前もう露出狂って背中に張って生活しなさい!!」 絹旗「なんということでしょう。 私の母国はいつの間にか政府によって自由を超奪われていたんですね……。絹旗しょっく」 浜面「うなだれても仕方ないだろ」 絹旗「でもそれって法律に明記されているんですか?」 浜面「……え?」 絹旗「されてませんよね」 浜面「お前な。法律に書いてないからやっていいなんてそんな理屈は通らないぞ」 絹旗「なんでです? 浜面としては念願のハーレムENDですよ。 この論法なら麦野も攻略できます。絹旗滝壺麦野、みんな揃ってアイテムじゃないですか」 浜面「お前、ほんとエグいよな」 絹旗「??」 浜面「自覚ねえのかよ!! 不憫すぎるだろ!!」 絹旗「……浜面は死姦癖まであるんですか。大物すぎます」 浜面「ねえよ」 絹旗「そもそもどうして私は浜面のこと好きなのに付き合えないんですか」 浜面「もうお前隠す気ねえな」 絹旗「パンツをですか?」チラチラッ 浜面「ちがうわ!」 絹旗「それってすごく理不尽です。私だって浜面のこと好きなのに。超好きなのに」 浜面「いや、なんかもう全くびっくりしないんだけど」 絹旗「浜面には私の愛を、絹旗最愛を受け止める覚悟がないというのですかっ!!」クワァッ 浜面「ドキドキもしねえし」 絹旗「なんでーなんでー浜面ばかばかー、好きなのにーやだやだー付き合いたいー」 浜面「ええい、ダダこねても駄目! 俺は滝壺と付き合ってんの!」 絹旗「……どうしてもだめ?ですか?」 浜面「だめ」 絹旗「じゃあどうしたら付き合ってくれるんですか?」 浜面「お前しつこいぞ。無理なもんは無理。俺は滝壺に尽くすってきめてんの」 絹旗「んー。じゃあ滝壺さんが浮気したら? この場合ルール違反です。 浜面クンにも浮気する権利が超発生します」 浜面「は?」 絹旗「私浜面なら愛人でもいいですよ?」 浜面「お前な、それはそれで色々と問題あるぞ。浮気したらやり返していいなんて……ん?いいのか?」 絹旗「いいんです、筋は通ってます」 浜面「……まー百歩譲ってそれでいいけど、滝壺みたいないい子が浮気するわけないじゃん」 絹旗「むー? なんで言い切れるんですか。感情論ですか。乙女ですか。超きもい」 浜面「きもくない。感情論っていうなら、ちゃんとした根拠もあるぞ。 滝壺は俺のために身を呈してくれた」 絹旗「ふっ」 浜面「?」 絹旗「これだから超浜面は。まるで女心がわかってませんねー」 浜面「なに?」 絹旗「女心と秋の空、といいます。意味わかりますか浜面。たきつぼりこうと秋の空、でもいいです」 浜面「滝壺の心は秋の空みたいに高尚だ」 絹旗「違います全否定します滝壺さんより私のほうがいい女です断言します 理由とかないですいい体してます脱ぎます」 浜面「おい」 絹旗「勢いあまりました」 浜面「やりすぎはよくないぞ」 絹旗「とにかく。女心っていうのはそれこそロジック抜きにして、ふらーっと変わっちゃうんですよ。 あまり信用しすぎないほうがいいのでわ?うふ」 浜面「はいはい、そんときはよろしくなー絹旗」 絹旗「こらっ。超浜面のくせにかわそうとしないでくださいばか」 浜面「なんだよ、まだつっかかってくるのかお前」 絹旗「だってまだ本題に入れてません」 浜面「?」 絹旗「浜面仕上はいいました」 浜面「なんか俺歴史上の偉人みたいな扱いになってるけど」 絹旗「俺は滝壺に尽くすって決めてると」 浜面「言ったな」 絹旗「言いましたね」 浜面「だから何だよ」 絹旗「ならば私は浜面に超尽くします。これで問題解決オールグリーンです」 浜面「いや、何も変わってねえよ」 絹旗「変わってますよ? 浜面と滝壺さんの仲がいいのはわかりました」 浜面「うん」 絹旗「くやしいですが私のことはどうでもいいと思ってるのもわかりました」 浜面「んー、……うん」 絹旗「さらに悔しいですが浜面が私のことをボロ雑巾のように ヤリすてしようとしてることもわかりました」 浜面「わからねえよ!」 絹旗「えっ。一晩限りのご奉仕も駄目なんですか? 超不憫です」 浜面「あのな、お前俺のこと鬼畜男みたいに思ってるだろ。そんなことしねえよ。何がボロ雑巾だ馬鹿」 絹旗「じゃあどうしてくれるんですか? 可愛く愛でてくれるんですか?」 浜面「そ、それもしません!」 絹旗「んー、じゃああれですか、放置したまま私を視姦するんですか。だいぶハードルあがりましたね」 浜面「お前の頭はいつからそんな妄想の世界を作り上げちまったんだよ……」 絹旗「だってーーー!! 浜面、付き合ってくれないじゃないですか」 浜面「うん」 絹旗「だから私が一方的に浜面に尽くさざるをえなかった。これならば非難もされません」 浜面「されるわ! 滝壺に怒られるっつーの!」 絹旗「大丈夫です、口は堅いですよ。もっというと舌の動きとかも上手いですよ私。ぺろりん♪」 浜面「やめろ」 絹旗「うーん……、どうしましょう。困りましたね」 浜面「いや、困ってるのお前だけ」 絹旗「つまり浜面は私と付き合うのも嫌だし、 ご主人様として私を奴隷にするのも嫌だし、ぺろりんされるのも嫌だと」 浜面「だーかーらー。嫌な訳じゃなくてさ。尽くすって決めたんだって」 絹旗「! 浜面……。もう一回言ってください」 浜面「は? ……尽くすって決めたんだって」 絹旗「そこじゃないです、その前です、浜面はやくはやく」 浜面「い……、嫌な訳じゃなくて……?」 絹旗「絹旗超ぴかーん!!(2nd) ふふふ、ここに来て墓穴を掘りましたねはーまづらぁ」 浜面「うっ……? な、なんのことだ?」 絹旗「ふっふっふ。とぼけても無駄ですよ。この私の耳には超届いていました」 浜面「???」 絹旗「ずばり浜面。嫌なわけじゃないということは、どういうことですか?」 浜面「……うぐ」 絹旗「ほらほらほらほら、言ってごらんなさい浜面。さあさあ超言ってごらんなさい」 浜面「い、嫌なわけじゃない……、ということはつまり……」 絹旗「……つまり………?」 浜面「……、で、でも俺には滝壺がいるし……」 絹旗「えー?だって浜面、私をぎゅーしたりちゅーしたり×××したりするの、嫌じゃないんでしょ?」 浜面「う」 絹旗「嫌じゃない、つまり、浜面は…… ……本当は……浮気してみたいって思ってるんです!!!」ドーンッ 浜面「うああああああああああああああああああああああああああああああああッ」 浜面「だ、だけどっ!! だけど絹旗!!」 絹旗「なんですか? この後に及んでまだ抵抗を続ける気ですか」 浜面「くっ……。わかったよ、認めてやるよ……。 そりゃあ俺だって健全な少年なんだから、浮気とか、ハーレムとか興味あるさ」 絹旗「エロマンガとか、暴力表現にもですか?」 浜面「あるよ!! くそっ、くそおおお」ガンガンッ 絹旗「いいんですいいんです、私は全部分かってますよ浜面」 浜面「でもな絹旗」 絹旗「はい?」 浜面「……、浮気したら……」 絹旗「したら?」 浜面「滝壺が怖いんだよおおおおおおおおおおおおおおおおお」 絹旗「あらまあ」 浜面「うぐ……えぐ……」 絹旗「浜面、涙超ふいてください。私のパンツで」スッ 浜面「ああ、すまねえ」 絹旗「ああん☆」 浜面「ってするかっ!」ポイッ 絹旗「冷静でしたね」 浜面「……とにかくな絹旗。滝壺がいる限り浮気はできないんだよ。 お前の気持ちは嬉しいけど、これが俺の精一杯だ」 絹旗「ふんふん。そうですか、それなら仕方ありませんね」 浜面「わかってくれたか。ありがとう絹旗。お前のそういうとこ、好きだぜ」 絹旗「お世辞はいいです。浮気はよくないですよね、やめましょう」 浜面「やっとお終いか」 絹旗「そうですね。浮気を定義しなおす時間です」 浜面「―――はい?」 浜面「あのー……絹旗さん」 絹旗「付き合うこともできず、浮気もできない。 ならば浮気ってどこから浮気なの? を再定義してみましょう」 浜面「お前は何を言ってるんだしかもノーパンで」 絹旗「何って論理です。議論を超展開するには道具の整備が必要ですよね。それが定義ってやつです」 浜面「浮気を定義しなおしてどうするんだノーパンで」 絹旗「ときに浜面。浮気って何ですか?」 浜面「えーと……辞書辞書……」ガサゴソ 絹旗「1 一つのことに集中できず心が変わりやすいこと。また、そのさま。 移り気。「―な性分で何にでも手を出す」 2 異性に心をひかれやすいこと。また、そのさま。多情。「―な人」 3 配偶者・婚約者などがありながら、他の異性に気がひかれ、関係をもつこと。「旅先で―する」 4 心が浮ついて、思慮に欠けること。また、そのさま。YAHOO辞書抜粋」 浜面「はや」 絹旗「科学サイドですし」 絹旗「さてこの場合でいくと、3の文言が私のいう所の超浮気ですね」 浜面「うん、まあ異性間での一般的な使い方だな」 絹旗「というわけで論破です。ちゅーしましょうえっちしましょう浜面」ギュッ 浜面「どわっ! いきなり抱きつくな! 説明しろ!」 絹旗「むー。負け惜しみですか? これは浮気じゃないです」 浜面「だから、なんでだよ」 絹旗「だって浜面と滝壺さんは配偶者でもないし婚約者でもないでしょ?」 浜面「う……。で、でもゆくゆくは結婚だって……」 絹旗「百歩ゆずって通しましょう。では次の文言は? 『他の異性に気がひかれ、関係をもつこと』」 絹旗「浜面はさっき言いましたね、私のことは好きでもないし嫌いでもない、どうでもいい、と」 浜面「うん」 絹旗「つまり浜面は私に気をひかれたりはしないってことです。 気がひかれ→関係をもつことが浮気ですから」 浜面「なんつー論法だ」 絹旗「ゆえに浮気は不成立です。 浜面、ちゅーしてください。大人のがいいです。目つぶっていいですか?」 浜面「ぐぬぬぬぬ……!!」 浜面「だ、だめだって絹旗…! こ、こらくっつくな」 絹旗「なんでなんで? あっ。大人のちゅーは嫌ですか? 確かに細菌が億単位で超行き交うっていいますし」 絹旗「でも私は平気です。浜面の超浜面な細菌なんて窒素装甲でバリヤーです」 浜面「そこじゃねえ」 絹旗「……もしかしてしてほしい人ですか? なら私が超やさしくとろけるハーモニーを超お届けします」 絹旗「だから浜面、浜面♪」キャッキャ 浜面「そこも違う! てかパンツはけ!」 絹旗「うう……、なんか下半身が冷えました……」 浜面「無茶するからだ」 絹旗「えっ。下半身をあっためてくれるんですか? 浜面の超えっち」 浜面「だーもう!」 浜面「いいか絹旗、よく聞けよ」 絹旗「パンツはくとこ見てますか? ちらちらりん」 浜面「なんなのこの子」 浜面「いくら俺だって女の子に抱きつかれてチューとかアレとかソレとか、無感動でできるわけねーだろ」 絹旗「ん、そうなんですか」 浜面「ああ、そうだよ」 絹旗「無我の境地ってやつには超至らないわけですか」 浜面「無理だね」 絹旗「ちょっとは反応しちゃうんですか」 浜面「あーするよ。しますしますー。ほら、これで浮気成立しちまうだろ」 絹旗「…………」 浜面「よってお前とはチューできません。滝壺がいるから付き合うこともできません。 要するに俺は滝壺が一番ってこと」 絹旗「…………」 浜面「すなわち、お前とはそういうことできないの。わかったか。まったく、これで全部論破だな」 絹旗「………どうしても付き合えないんですか?」 浜面「あーできないね」 絹旗「………浮気もできないんですか?」 浜面「できませーん」 絹旗「そうですか」 浜面「そうですよー」 絹旗「わかりました」 浜面「おう」 絹旗「―――なら、私が勝手にちゅーします」 浜面「!? むぐ………!?」 浜面「………な、なななななななななな」 絹旗「………ぷはぁ。ん、浜面の唇、やわらかいです、えへ」 浜面「お、おまおまおまおまおま……」 絹旗「ねー浜面、これって浮気ですか?」 浜面「は?」 絹旗「浜面は今私のこと考えてなかったし、不意うちでチューしました。これって浮気?」 浜面「そ、それは……」 絹旗「浜面が認知したら浮気になります。 かといって認知しなくてもキスした事実は消えません。どうします浜面? うふふ」 浜面「な、なんつー女だ……」 絹旗「さてどうしますか浜面。これって浮気? 浮気じゃない? どっちですか?」 浜面「…………ぐぐ」 絹旗「あ。黙るのはなしですよ。 語りえないことについては沈黙しなければならないっていう論理は却下します」 浜面「……まあ、今のはあれだ、不意うちだったからな」 絹旗「ということは超浮気じゃないんですか?」 浜面「じ、………事故だ」 絹旗「ふーんそういう言い方しますか。へーへーへー。ほーほーほー」 浜面「くそ、お前卑怯だぞ」 絹旗「♪」 55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 07 23 01.68 ID UVH7smGe0 浜面「滝壺になんて言おう」 絹旗「事故、っていえばいいです」 浜面「怒られそう」 絹旗「それくらい超覚悟してください、私の唇安くないんですから」 浜面「高くもないか」 絹旗「そうきますか。……まぁいいです、今日はこれくらいで許してあげます」 浜面「はっ? 今日は、ってなんだよ」 絹旗「だって浜面からまだちゅーしてもらってないです」 浜面「しねえよ!」 絹旗「次回までには浜面にちゃんとちゅーしてもらう論理を磨いておきます」チラチラッ 浜面「パンツ禁止だってば」 絹旗「そしてゆくゆくはえっちなことも論理という名の武器でさせてみせます」チラチラッ 浜面「どうでもいいけど、もう付き合うって選択肢はねえんだなお前」 絹旗「付き合うとかもうどうでもいいです。突き合えればいいです」 浜面「こら」 絹旗「ねー浜面」 浜面「なに」 絹旗「―――優しくしてくださいね///」 浜面「かわい子ぶってもだめ!!」 絹旗「えへ」
https://w.atwiki.jp/p_ss/pages/1838.html
Side.K その日は、のっちの家に泊まった。次の日も午前から仕事だったけど、放っておけなかった。 次の日、ちょっと早めに起きて、家に帰る仕度をして、のっちを起こす。 「のっち、のっち、」 「ん……。」 「今日も仕事でしょ?ゆか一旦家に帰るから。」 「んー……。」 「ちょ、のっち。起きなよ。」 「えー…まだ早いよ…。」 「だってこのまま二度寝許したら、絶っ対寝坊するでしょ。」 「うー……。」 ちゃんとベッドから出たのを見届けてから、のっちの家を出た。 家に帰って、仕事行く準備をして、また家を出る。 事務所の廊下で、あ〜ちゃんに会った。 「あ、ゆかちゃん。おはよー。」 「おはよ、あ〜ちゃん。」 あ〜ちゃんは、いつもと変わらない笑顔で、私に手を振った。そのまま二人で控室に向かう。 いつもと何にも変わらない、いつものあ〜ちゃんだ。 じゃあ一体、昨日は何があったんだろう……? 控室のドアを開けると、すでにのっちが来ていた。 ちょっとびっくり……まぁ、ちょっと早く起こしたんだし? 「あ、ふたりとも、おはよー。」 PSPから顔を上げたのっちは、いつもみたいに声をかけてくれたけど、目はひたすらあ〜ちゃんを追ってた。 ……そりゃあ、不安だよね。 「のっち今日早いんじゃね。どうしたの?」 「え……と、」 あ〜ちゃんは、全くいつもと同じ調子でのっちに聞いた。 戸惑って俯くのっちを見てた私は、咄嗟に口を出していた。 「あ、夕べ、ゆかがのっちの家に泊まったんだ。だから今朝、のっちを起こしてあげたんよ。」 そう言った瞬間。 本当に一瞬だけ。 あ〜ちゃんの目に、驚くほど冷たい光が宿ったのを、私は見逃さなかった。 「そうだったんだ。……のっち、ちゃんと自分で起きんさいや。もう。」 あ〜ちゃんはそう言って、すぐに笑った。 だけど、さっきの瞬間を見てしまった私は、頬が強張って上手く笑い返せなかった。 ねぇ、あ〜ちゃん。 あの一瞬、何を考えてたの……? Side.A 「そうだったんだ。……のっち、ちゃんと自分で起きんさいや。もう。」 そう言った私は、上手く笑えてる? これまでだって、ゆかちゃんがのっちの家に泊まるなんて、何度もあったのに。 それにゆかちゃんは、私とのっちのこと応援してくれていたのに。 だから、それくらい何にも心配することじゃないのに。 どうして、私は…… こんなに嫉妬に囚われるんだろう? のっちが浮気なんか、あるわけない。ありえないでしょう? そう自分に言い聞かせて、笑顔を取り繕った。 ねぇ、のっち。 あんまり、他の人のとこ、行かないでよ。 ねぇ、ゆかちゃん。 あんまり、のっちにくっついてないでよ。 そうじゃなきゃ、あ〜ちゃんは… 誰かを、壊してしまいそうだよ……。
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/125.html
『浮気(前)』 31KB 愛情 同族殺し 番い 群れ 希少種 自然界 人間なし 四作目 ひらひらと赤や黄の落ち葉が止まない雨のように降り続いていた。 跳ねればかさりと音がしない場所など無い山奥で、野生のゆっくりたちはそれは懸命に忙しく跳ね回っていた。当然その音は捕食者を呼び、彼らの冬越しカロリーの一部と化す個体も続出していたが、群れ全体の存続のためにゆっくりたちは休むことなく越冬準備を進めていた。 実りの秋。その豊かな食料源は厳しい冬を迎えるために自然が用意した前払いの恩恵とも言える。熊や狐や兎や鼠、数え切れない昆虫たちに野鳥の数々。そしてゆっくりにすらその恵みや厳しさは等しく平等に与えられる。 まりさ種が帽子いっぱいのきのこを頭に載せて右に行ったかと思えば、何匹もの昆虫を枝に串刺しにしたみょん種が左に行く。巣の資材にするのか枝や枯葉を運ぶありすもいれば、各ゆっくりに指示を飛ばすぱちゅりーがいる。 そんな中、長辺50cmはあるすぃーに食料を満載したちぇんが、晴れ晴れとした笑顔で車体を押していた。整備されてもいない山道なので当然車体はぐらつき、きのこや木の実といった食料はぽろぽろとよく零れる。それでもちぇんは器用に尻尾で食料を拾っては載せ直し、食料運びに専念するのだった。 やがてちぇんは洞穴が点在する集落に辿り着いた。盛んに働きまわっていたゆっくりたちがちぇんに気づき、わっと近づく。 「おかえり、ちぇん!」 「きょうもたくさんごはんさんをとってきてくれたんだね! ありがとうね!」 「とかいはだわ!」 「むきゅ、さすがはちぇんね!」 次々とかけられる賞賛にちぇんは首を振り、すぃーの車体を傾けた。満載の食料は地面に降ろされ、空になったすぃーにちぇんは飛び乗る。 「まだまだだよー。こんなくらいじゃむれのみんなをゆっくりさせるなんてできないんだねー。わかるよー。ちぇんはまたいってくるねー」 「ちぇん、もっとゆっくりしたらいいのぜ。このぶんだけでまりさがあつめたみっかぶんよりおおいんだぜ?」 「むれのみんながはたらけるわけじゃないんだねー。わかるよー。ちぇんはむれのみんなのおちびちゃんのぶんまでごはんさんをとらなきゃいけないんだよー」 「むきゅ、なにもちぇんだけでおちびちゃんみんなのごはんさんをあつめなくてもいいのよ」 「それに、ちぇんにもちぇんのおちびちゃんとおくさんがいるでしょ? かえってきたんだからかおくらいあわせないと、どんなにとかいはなはたらきをしても、いなかものだわ」 意気揚々と出発しようとしていたちぇんだが、みんなの引き止めに顔を曇らせた。 しかししばらくすると、その瞳に確かな決意を秘め、ちぇんはすぃーの車輪を回し始める。 「いなかものでもいいんだねー。わかるよー。ちぇんがいなかものでみんながゆっくりできるんなら、こんなにいいことはないんだねー」 そう言って、ちぇんを乗せたすぃーはがたがたと揺れながら危険なほどの速度で山を下っていった。 後には呆然とする群れのゆっくりたちが残された。 しばらくして、まだ赤ゆと呼べるサイズのちぇんとありすを連れた親ありすがちぇんを見送ったゆっくりたちの元へと駆け寄ってきた。 「ねぇ、いまちぇんのこえがきこえたんだけど!」 「あ、ありす。ゆぅ、ちょっとゆっくりしすぎちゃったね。ちぇんはもういっちゃったよ」 「ゆぅ~。せめておひるごはんさんくらいおうちでたべていけばいいのに……」 「わきゃらにゃいよー! ちぇんはおとーしゃんとゆっくちしちゃいよー!」 「おちょーしゃんのいなきゃもにょー!」 甘えたい盛りの赤ゆである赤ちぇんと赤ありすは、わんわんと泣き出した。親ありすとれいむが赤ゆたちをなだめるが、なかなか機嫌は直らない。 「おちょーしょん、あさごはんさんのときは、おひるにはあそんでくれるっていっちぇくれちゃもん!」 「しょうだよー! ちぇんをたきゃいたきゃいしゃんしちぇくれるっちぇいっちぇちゃよー! ちぇんはおぼえてりゅんだよー!」 そう主張するちぇんの子供たちを見て、先ほどちぇんを引き止めたありすとぱちゅりーがひそひそと話し始める。 「ねぇ、おさ。ちぇんのこと、いってしまったほうがあのこたちのためじゃないかしら」 「むきゅー。まだいってもわからないでしょう……それに、ちぇんももういちゆんまえよ。ぱちぇたちがかってにくちだししていいことでもないわ」 「そうね……」 群れのゆっくりたちは、ちぇんの行ってしまった方向を見つめ続けていた。 浮気 ちぇんはすぃーを止めた。 そこは湖の傍にある常緑樹の根元であった。ゆっくりたちにしかわからない程度に土がこんもり盛られており、かすかに死臭が漂う。 ここはちぇんが暮らす群れの共同墓地――墓だ。群れの中で永遠にゆっくりしたゆっくりはおかざりだけこの木の根元に埋められ、遺体は遺族の腹の中に収められる。そしてちぇんもまた、この墓の下に眠る一匹のゆっくりの餡子を体の中に宿した。 「れいむおかあさん、わからないよー。ちぇんはむれのみんなをゆっくりさせてあげられているのかなー?」 ちぇんの両親はらんとちぇんだ。れいむとは餡子を分けていない全くの他ゆんだった。それでもれいむが最期を迎えた時、群れの誰もがれいむの体をちぇんが食べることを止めなかった。 この群れの長は、ちぇんが生まれた直後までらんだった。高い身体能力と知能を持つらんは群れのみんなに長の大器として満場一致で迎え入れられた。らんもそれに応えて群れをまとめ、良きリーダーとして働いていた。 だがらんの番であるちぇんがいけなかった。自分の腹を満たすために群れの貯蓄食料を食べ漁る。自分の美貌を保つため群れの赤ゆを集めて潰し餡子風呂に浸かる。れいぱー同然にすっきりーをして、文句を言うゆっくりは容赦なくらんに処刑させる。でいぶですら可愛いものだと思えるほどに番ちぇんは暴虐の限りを尽くした。 当然、そんな番を止めるのは長であるらんの役目だ。だがちぇん種に特別甘いらん種の悪癖が出て「らんのちぇんをゆっくりさせないゆっくりはゲスだよ!」と宣言し、暴君へと変わり果ててしまった。群れ最強の実力と知恵を兼ね備えるらんに誰も反抗できず、多くのゆっくりが死んでいった。 そんな春のある日、長らんが忽然と消えてしまった。群れの誰もがそんなことを知る由も無かったが、一匹で狩りに出ていた時登山という名の山狩りに来ていた虐待鬼意山さんに捕獲されたのである。番ちぇんの影響で野生でありながら酢飯一粒残さずゲス色に染まりきったらんに感動を覚えた鬼意山は興奮で失禁寸前のお股をごまかすように蹴りをぶちかまし、顔面変形したらんを抱えて意気揚々と下山していった。 問題は、後に残された番ちぇんとその子供たちだった。長らん一匹で満足して帰ってしまった鬼意山だったが、売ればそれなりの金になったであろう赤らんや子らんが群れには残されていた。 希少種や基本種などという枠分けは人間が勝手にやったものだ。そんなもの当の本ゆんたちにはなんの関係もない。 いつまでたっても帰ってこない長らんが死んだと考えた群れのゆっくりたちは、虐げられた圧政の恨み晴らさんとばかりに番ちぇんもその子供たちも一匹残らず処刑することにした。 番ちぇんは髪もおぼうしも耳も尻尾も噛み千切られ、目玉をくりぬかれ、群れのゆっくりたち全員の体当たりを受けてボコボコにされ、共同墓地に入ることも許されず湖に投げ込まれて殺された。子供たちも大体似たような末路を辿ったが、番ちぇんが頭からぶら下げていた茎の赤ゆの処分にだけは意見が割れた。 ――この子供たちはまだあの長たちの悪い影響は受けていない。殺してしまうのは可愛そうだ ――だがあの長たちの餡子を受け継いだ忌むべき子だ。後に禍根を残さないためにも情けを捨てて葬るべきだ そういった二つの意見をぶつけているうちに、茎から赤ちぇんの姉妹が産まれ落ちてしまった。そしてもっとも「子供殺さずべし」を叫んでいたれいむが赤ちぇんを見て、母性本能に火が点いた。後はもう誰がどれだけ脅しても「れいむのおちびちゃんをえいえんにゆっくりさせるなら、れいむをさきにえいえんにゆっくりさせてね!」と譲らないれいむに気圧され、群れのゆっくりたちは条件を出して赤ちぇん姉妹を生き残らせる事を許可した。 それは一度でもゲスの吐くような言動、行動を起こせば容赦なく永遠にゆっくりさせるというものだった。 ちぇんは、その姉妹の内の一匹だった。そして唯一の生き残りでもある。 他の姉妹たちは立派に育てようとするれいむのスパルタ教育についていけなかった。溜まったストレスで死んでしまう者、溜まったストレスを発散するためにゲス化し、殺された者。それぞれ一匹ずつ。 れいむの期待に応えて成体ゆっくりまで育ちきったのは、ちぇん一匹だった。 「……にゃっ。くよくよしていたらだめなんだねー。ちぇんはもっとはたらかないといけないんだよー。わかるよー」 ちぇんは墓を見つめていた顔を上げた。 先代長の子供であるちぇんに対する風当たりは強かった。辛く当たる群れのゆっくりたちを決して憎まず、ゆっくりさせてあげれば必ず報われると育ての親であるれいむに教えられてちぇんは育てられた。 その結果、ちぇんは群れ一番の働き者として褒め称えられありすという番も手に入れることができた。しかしその頃には季節は越冬準備の秋となっており、より一層忙しく働かなければいけなくなっていた。 ちぇんも自分の子供たちをゆっくりさせてあげられないのは辛い。だがそれも冬が来るまでの辛抱だ。巣篭もりしている間にちぇんは子供たちと思う存分遊んであげるつもりだった。そのためにも群れの仲間のためにもちぇんは休むことはできないのだった。 「それじゃ、ゆっくりいく――わからにゃ!?」 すぃーに飛び乗ろうとした瞬間、宙に浮いて無防備になったちぇんめがけて横から勢いよく何かがぶつけられた。 ちぇんはごろごろと転がり、湖のほとりにまでさしかかり、回転が止まりかけた。 だがその頃には既に重力がちぇんの体を完全に捕らえており、その命を母親と同じように湖へ捧げようとしていた。 ちぇんは背中に湖面の冷たい水の気配を感じて、総毛立った。何かを叫ぼうとしたが、それすら間に合わない。 「もっと――」 「ちぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」 その時、茂みの方から黄金色の影が飛び出した。はっと我に返ったちぇんはとっさに体勢を立て直し、地面に歯を突き立て一瞬でも落下を緩めようとする。 黄金色の影はちぇんの尻尾にかぶりついた。そして力任せに引き上げ、ちぇんの体は陸へと投げ出された。 はぁー、はぁー、という九死に一生を得たちぇんの荒い息遣いが湖畔にこだました。 「無事か、ちぇん?」 「にゃ……あ、ありがとうなんだねー。わかるよー。だれかしらないけど、ちぇんのいのちのおんゆんなんだねー……?」 ちぇんはまだ興奮冷めやらぬ体を奮い立たせ、顔を上げた。 ぽかん、と表現するのがぴったりなほどちぇんの表情から感情が抜けた。 真っ白なおぼうし。そのおぼうしには数え切れないほどのお札が貼られ、耳に負担をかけないようとんがった三角形が二つ付いている。 金色の髪の毛。それはまりさ種やありす種のような色合いではなく、たわわに実った稲穂のような黄金色。 そして、後光が差しているのかと見紛わんばかりの美しい黄金の九つ尾。 ゆっくりらんと呼ばれるゆっくりが、ちぇんの前に立っていた。 「にゃ……?」 「どうしたちぇん? やっぱりどこか痛むのか?」 「らんしゃまあああ!? わからないよおおおお!?」 あんよが勝手にらんの方向へと飛び出そうとするのを理性で押し留め、ちぇんはチョコの中に渦巻いたゆっくりできない気持ちに混乱してそう叫ぶことしかできなかった。 らん種に対するちぇん種の愛情も異常だが、ちぇん種のらん種に対する愛情も勝るとも劣らない異常さを伴う。それは「ごはんをたくさんたべるとゆっくりできる」と同等、もしくはそれ以上のレベルで本能に刻まれたものであり、ちぇん種にとってらん種は抗い難い魅力を持った存在なのだ。 だが、このちぇんは父親であるらんに対する怨み言を群れのゆっくりたちに言い聞かされて育ってきたため、後天的に「ゆっくりらんはゆっくりできないゆっくり」と学習させられたのである。 結果、先天的な部分から湧き上がる愛情と後天的な部分から噴出する嫌悪感がチョコの中でない混ぜになり、ちぇんはパニック状態に陥った。 「わからないよ! わからないよおお! らんしゃまはわからないよおおおおおおおおおおおおおお!」 「お、落ち着けちぇん。パニックを起こすな!」 「わからないよおおおおおおおおおおお!!」 「待て! そっちは湖だ!」 再びちぇんは尻尾を噛み掴まれて、湖に飛び込もうとするのを寸前の所で止められた。完全に右も左も前も後ろもわからなくなっているちぇんはなおも暴れていたが、ちぇん種とらん種の体力の違いか、尻尾の痛みのせいか、先にちぇんがへばって気の抜けた饅頭のようにへたりこむ。 らんは怪訝な顔をしたが、落ち着かせるようにちぇんの髪の毛を舐めて毛繕いし始めた。 「初対面でびっくりするのは仕方ないな。らんはちぇんをゆっくりさせなくするつもりなんかないんだ。わかってもらえたかな?」 「ゆぅぅぅ……。ご、ごめんなさいなんだねー。とりみだしちゃったんだよー」 体を動かす元気が無くなり、かえって冷静さを取り戻したちぇんは改めてらんをゆっくりと見つめてみた。 湖面は秋の日差しを反射し、暗い山林をかすかに照らしていた。その光を浴びたらんの尻尾はまるで夜空に浮かぶ月のように美しい。 体の奥のチョコがどくどくと脈打つ感覚にどぎまぎしながら、ちぇんはらんへと話しかけた。 「ちぇ、ちぇんはこのちかくのむれのちぇんだよー。らんしゃまはどこからきたの?」 「まあ、ちょっと遠くからな。実はらんは、お嫁さん探しの旅の途中なんだ」 「にゃ? そうなのー?」 「ああ。らんが産まれたむれにはゆっくりちぇんがいなくてな……どうしてもゆっくりちぇんをお嫁さんに迎えたくて、婚活しているというわけなのだよ」 「こんかつさんはよくわからないけど、らんしゃまのたびのもくてきはわかったんだよー。ざんねんだけど、ちぇんのむれにいるちぇんはちぇんだけなんだよー。それに、ちぇんのむれはらんしゃまはきらわれているんだよー。ゆっくりしないで……ゆっ、は、はやく……でていったほうが……にゃあああ……」 言葉の途中で、ゆっくりできない気持ちに襲われたちぇんはぽろぽろと涙を零してしまった。 ちぇんの言葉に嘘偽りはない。群れのゆっくりたちが抱くらん種への憎悪は凄まじく、うっかり会話中にらんの名前を出しただけでもぷくー! されるくらいだ。このらんがちぇんの恩ゆんだと説明しても、下手をすればちぇんごと処刑されかねない。 だからこうしてすぐ立ち去ることをすすめるのが一番のはずだ。 はずだが、しかしそれが命の恩ゆんに対する態度だろうか。自分がとてつもないゲスに思えてきて、ちぇんは途方もなく悲しかった。 らんは泣き出したちぇんに驚き、頬を寄せてすーりすりしてくる。 「ちぇん、どうしたんだ。どこか痛いのか?」 「ちがうよ……わからないよー……ちぇんはらんしゃまにゆっくりしてもらいたいよー……」 「何を言っているんだ。らんは今、とてもゆっくりした気持ちだぞ?」 「にゃん? わからないよー?」 「だって、らんは今、ちぇんとお話しているじゃないか。こんなにゆっくりできることなんてない」 「らんしゃま……」 「なあちぇん。ちぇんさえよければ、らんのお嫁さんになってくれないか? そしてらんとちぇんだけのゆっくりプレイスでずっとゆっくりしたいんだ」 ちぇんは寒天目玉を白黒とさせた。あまりの急展開にチョコ脳の処理が追いつかず、たっぷり三分くらい視線を宙に泳がせて、らんの言葉の意味を理解したとたん茹で上がったタコのように顔を真っ赤にさせた。 「だ、だだだだだだだだめだよ! ちぇんには、ありすとかわいいおちびちゃんがいるんだよ! むれのみんなもゆっくりさせないといけないんだよ!」 「こーん……残念だけど、仕方ないな。それじゃあ、助けたお返しにというわけじゃないけど、一つ頼まれてくれないか?」 「わかるよー。たすけてくれたゆっくりにはそれいじょうのおかえしをするのがゆっくりできることだよねー」 「ちぇんはゆっくりしたゆっくりだな。お嫁さんにできないのが本当に残念だ。いや、すまない、この話は終わったことだったな。 らんは旅をしていると言っただろう? でも、さすがに冬も近い。一応越冬用の巣も確保したが、食糧がちょっと不安でな。ちぇんが迷惑しない程度に狩場を教えてもらいたいんだ」 狩場を教えろというのは、通常野生のゆっくりにとって宣戦布告、もしくは遠まわしに殺すと言っているも同然の脅しだ。と言ってもちぇんから見てらんは他ゆんの狩場を力ずくで奪い取るようなゲスには見えなかった。 ただ、ちぇんの狩場には当然群れのゆっくりたちが来る。そんなところにらんを向かわせるのは、やはり恩を仇で返すようなものだった。 ちぇんはチョコレート脳を必死で働かせ、命を助けてもらった恩を返し、なおかつ群れのみんなをゆっくりさせる方法を考えた。 そして、ちぇんはとてもゆっくりできるその答えを導き出した。 「らんしゃまのきもちはわかるよー! でもやっぱりかりばはおしえられないんだよー。わかってねー。そのかわり、ちぇんがらんしゃまのおうちにごはんさんをとどけるんだよー!」 「こん? いや、そこまでしてもらうと悪い。ちぇんはありすとかわいいおちびちゃんがいるんだろ? 群れのみんなをゆっくりさせないといけないんだろ? 流れ者のらんにそこまでする必要はない」 「ちぇんのおかあさんのれいむはいってたんだよー! ちぇんはみんなをゆっくりさせないといけないんだよー! みんなのなかに、らんしゃまをいれないなんて、やっぱりへんだよー! ちぇんはいのちのおんゆんのらんしゃまにおんがえししたいんだよー。わかってねー」 「ちぇん……こん、わかった。でも、ごはんさんくらいは自分で運ぶよ。ちぇんが持ってきたごはんさんは、この湖で受け取る。そうだな、毎日、このくらいの時間のお昼に。冬篭りするまで。そうしないか?」 「わかったよー。それじゃ、さっそくちぇんはかりにいってくるんだねー」 今度こそすぃーに飛び乗ったちぇんは、狩場に向かって行った。 らんはちぇんに向けた笑顔を貼り付けたまま、湖のそばに立っていた。 ……その様子を、二つの鋭い瞳が草むらからずっと伺っていた。 それからちぇんは母れいむの墓参りと一緒に、らんと出会う日々が続いた。 本来の用事は食糧の受け渡しだけなのだが、ちぇんに気を使ってなのか、らんは珍しい昆虫や栄養満点な子れみりゃの死体などを分けてくれる食糧のかわりに譲ってくれたりもした。 そして今までの生涯でらん種を見たことがなく、またらん種の特徴を聞くことも許されなかったちぇんはただらんと話しているだけで色々なことが次々にわかり、とてもゆっくりした気持ちになれた。 ちぇんはらんと色々なことを話した。自分の生まれのこと。群れのこと。小さい頃、群れのみんなから受けた冷たい目線のこと。永遠にゆっくりした姉と妹のこと……。 いつの間にか、ちぇんはらんと出会うお昼の時間がとても待ち遠しくなっていた。 「ちぇん、もういっちゃうの?」 「おちょーしゃん、もっちょゆっくりしちぇいっちぇね!」 「わきゃりゃにゃいよー? おちょーしゃんはじぇんじぇんゆっくちしちぇないよー」 すぃーに載せた食糧を家の中に入れたちぇんは、空になったすぃーに乗ろうとしていた。それを家族が引き止める。 ちぇんはありすの方へと振り返り、首を振る。 「ふゆさんはもうすぐなんだねー。ふゆさんがきたらちぇんもおうちでゆっくりするよー」 「でも、おひるごはんさんくらいおうちでゆっくりたべていってよ。そとでとったはしからたべるなんて、いなかものだわ」 「そのぶん、ありすがとかいはになってくれるんならちぇんはゆっくりできるんだねー。わかってねー」 「ちょっとまってちぇん……ありすのはなしはまだ……ちぇん!」 「おちょーしゃーん!」 ちぇんは妻子の声も振り切って、すぃーを走らせた。 狩場に辿り着いたちぇんはさっそくどんぐりやきのこなどを集め始める。そしてその作業の間、ちぇんはありすとの思い出を思い返してみた。 あのありすはちぇんと同じ今年の春生まれの若ゆっくりだ。小さい頃からとてもとかいはで、春先の頃はちぇんを見ても冷たい視線を浴びせるだけだった。 だが梅雨の雨の中、蓮の葉っぱの傘だけを頼りに幼い体で狩りをするちぇんの勇姿から、少しずつちぇんの評価は変わっていった。 そして夏の夜、まだ存命であった母れいむと暮らしていたちぇんの家にありすが一輪の花をくわえてやってきた。 ちぇんはありすにプロポーズされた。反射的に断ったちぇんだが、母れいむに諭されて考え直し、結局受け入れることにした。 夏の終わり頃、ありすと婚約したちぇんの姿に安心したのか母れいむはぽっくりと逝ってしまった。 それからしばらくして子供も授かったが、ちぇんは正直子供は春先に作りたかった。ちょっと冷えてきた夜、ありすのやや強引なすーりすりに成す術も無く、気が付いたらありすの頭に茎が生えていた。 すっきりー! の詳細な記憶もない。 ちぇんは考えた。自分は、本当にありすのことが好きなのだろうか。 「ゆっくりみんなが好きなゆっくりと夫婦になれるというわけでもないだろう」 そんなことをらんに話すと、そういう答えが返ってきた。 「らんの群れはそんなゆっくりばかりだった。らんはそれが嫌で逃げ出してきたから、ちぇんはとても偉いと思う」 「にゃにゃっ、そんなにほめないでよらんしゃま~」 「本当のことだろう? 今まで何匹かのちぇんに出会ってきたが、結婚したいとまで思うちぇんは結局いなかった。でもちぇんはらんが見てきた中で最高のちぇんだ。一番ゆっくりしているゆっくりだ」 「ほめたってなんにもでないってば、らんしゃま~~~~~///」 「本当に、なんにも出ないか?」 「にゃ?」 気が付けばらんの顔がやけに近くにあった。どきりとしたちぇんと頬を合わせ、らんはすーりすりする。 その、ちょっと固いけどくすぐったい感触にちぇんはありすのすーりすりとは別のものを感じた。 「たとえば……ちぇんの大事な所から、あまあまさんが出てきたりしないか?」 「ら、らんしゃま……わからないよー、だめだよー……」 「こーん。悪い悪い。ふざけすぎたな。それじゃ、らんはそろそろ帰るよ」 「あ、ま、まってらんしゃま!」 貰った食糧を帽子の中に詰め、家路につこうとするらんをちぇんは呼び止めた。 しかし何か言おうとしていたわけではない。ただ、今日の逢瀬の時間が終わるのが惜しくてとっさに呼び止めただけなのだ。 照れ隠しするようにちぇんは顔をうつむけて言った。 「あ、あしたもここであおうね! らんしゃま!」 「もちろんだ。ゆっくりしていってね、ちぇん」 昼日中、どれだけ走っても小麦粉の肌には冷たさを覚える。 これが冬というものなのかと、春先に生まれたまりさは恐怖した。 正確にはまだ冬ではないと、去年越冬を経験した壮年ゆっくりたちは言う。確かに冬になると雪という白くて冷たいふわふわしたものが落ちてくるというし、木々の枝は丸裸になるそうだ。その点まだこの山肌は紅葉が残っており、まだまだ秋は続いていると言える。 だが、野生のゆっくりたちにとってタイムリミットは近い。まりさはゆっくりしないですぃーに乗って去っていったちぇんの後を追った。 ――ちぇんからなんだかゆっくりしないにおいがするの ちぇんの番であるありすが、ふとそんなことを漏らした。ありすとは隣の家同士で幼馴染であったまりさは、それぞれ独立した後も交友が続き相談に乗ることも多い。 うだるように暑い日が続いた夏の日もそうであった。ちぇんへと好意を寄せるありすの相談に乗ったまりさは、周囲の目など気にせず思い切って告白することを勧めた。そうすることがちぇんのためにもなると言い切った。そう思う心に今も偽りは無い。 だが、まりさはできることなら自分でありすをゆっくりさせたかった。ありすがゆっくりできるのなら、ちぇんとありすが番になることも我慢できた。おかげでまりさは独身で、越冬も同じ独身の若ゆっくり仲間と過ごすというむさ苦しい結果になってしまったが、それでもありすがゆっくりできるのならまりさもゆっくりできた。 今、ありすはゆっくりしていなかった。ちぇんがゆっくりさせていなかった。まりさもゆっくりできなかった。 確かにちぇんは毎日毎日群れのみんなのためにたくさんの食糧を集めてきてくれている。しかしそのせいでちぇんはありすをどれだけ悲しませているかわかっていないのだ。 ありすは子供を作ることでちぇんの心を家庭に繋ぎ止めようとまでした。それでもちぇんは自分の家族とゆっくりすることは自分だけがゆっくりすることと判断したのか、群れ全体のために働き詰めに働いている。 まりさは、まだ自分の家族を持っていないがそれは違うのではないかと思う。 自分の家庭も満足にゆっくりさせられないゆっくりが、群れのみんなをゆっくりさせようなどというのは少々おこがましいのではなかろうか。ちぇんはそんなに自分が強くて優秀なゆっくりだとでも思っているのだろうか。 あのちぇんはまりさより十倍以上狩りが上手い。あのちぇんはまりさよりずっと速く走れる。そのうえすぃーまで持っている。群れの誰に聞いてもまりさよりちぇんの方がゆっくりしていると言うだろうし、まりさだってそう思う。 それでも所詮は一匹のゆっくりだ。ちぇんが本当に守れるものなんて、自分の家族ですら精一杯のはずだ。 まりさは、そういう内容の説教をしようと思ってちぇんの後を尾行していた。 (やっぱりすぃーにのったちぇんははやいのぜ……でも、ほうこうからだいたいわかったのぜ。ちぇんはみずうみさんのほうにいったんだぜ) まりさはちぇんを見失ったが、行き先の当ては掴めた。ちぇんが母れいむの墓参りによく行くことは、狩り部隊に含まれるゆっくりなら誰もが知っていることだった。 ちぇんのゆん生は辛いものだ。数少ない心からの味方であった母れいむを亡くして悲しんでいることを察していた群れのゆっくりたちは、ちぇんが墓参りしている時はあまり湖に近づかないことにしていた。 まりさはそれでも湖の方へと突き進んだ。母親の死を引きずっているというのであれば、昨日より明日を、失った家族より今の家族を見てやれと言うつもりであった。 だが湖のほとりで座り込むちぇんは、墓参りなどしていなかった。 まりさは目を見開く。先っちょだけ白い毛に覆われたちぇんの二本尻尾のそばに、黄金色に輝く九尾があった。 その真後ろの姿は黄金の炎が燃え盛っているような様だった。 まりさがその後ろ姿を見るのは生涯初めてだ。だが、親から受け継がれた餡子がそのゆっくりが何者であるのか教えてくれた。 「ゲスらん! ちぇんからはなれるのぜ!」 木の陰から飛び出したまりさはそう叫んだ。ちぇんとらんが驚いた顔でまりさを振り返る。 そしてまりさはとっさに声を出してしまったことを後悔した。らんは背中を見せて隙だらけだったのだから、後ろから湖に突き落としてやればよかった。らん種に対話など必要ない。見つけ次第即殺せとまりさは教えられていたはずだった。 「まりさ……?」 「勘違いしていないか? らんはちぇんとお話をしていただけだぞ」 「わかってるのぜ! らんはちぇんにわるいことをふきこもうとしていたんだぜ! おみとおしなんだぜ! いまどっかにいくならみのがすけど、これいじょうちぇんをたぶらかすんならむれのみんながあいてだぜ!」 「ひ、ひきょーものー! いったいいちでしょーぶしろよー!」 「ちぇん、なにいってるのぜ! やっぱりらんにへんなこといわれていたのぜ!」 まりさはじりじりと後退していた。威勢良く喧嘩を売ったはいいが、ちぇんの言うようにらん種と一対一で戦ってまりさが勝てるはずもない。ここはまず、群れのみんなに知らせるのが先決だった。 らんは困ったように眉根を寄せ、温和な声でまりさに話しかけた。 「ちぇんとらんはただの友達だ。やましいことも何も無いんだ。本当だ」 「らんはうそつきなのぜ! せんだいおさのらんはうそばっかりついて、たくさんのゆっくりをえいえんにゆっくりさせたんだぜ!」 「なあちぇん、ちぇんからもまりさに……あれ?」 横にいるちぇんに話しかけようとして、らんはすっとぼけた声を出した。らんを睨みつけていたまりさもいつのまにからんの傍からちぇんがいなくなっているのに気づいて、あれ? と左右を見回す。 すると、突然背中に焼けるような痛みが走った。 「ゆぎゃっ!?」 「あやまれ! らんしゃまにあやまれまりさ! らんしゃまはうそつきじゃないしゲスじゃないしグズのまりさなんかよりずっとずっとずうううううううっとゆっくりしているんだねー! わかれよー!!」 「ゆぐぅっ、ゆっ、ゆ゛っ゛!!」 背後からまりさに襲い掛かったちぇんはまず背中の皮を噛み切ると、すかさずまりさの頭上に飛び乗った。 鬼気迫る表情でちぇんは叫びながらまりさの頭上でピストン運動を繰り返す。 「らんしゃまのことをむれのみんなになんかおしえさせないよ! らんしゃまとちぇんのこいじをじゃまするまりさは――ゆっくりしねぇぇっ!!」 背中の皮から夥しい餡子を漏らして瀕死状態のまりさを、ちぇんは背後から体当たりで突き飛ばした。 餡子の糸を引きながらまりさの軽くなった体は飛び、湖にぽちゃんと落っこちる。 荒い呼吸をぜぇぜぇと漏らし、ちぇんは波打つ湖面を見つめていた。 そして殺気立った表情が徐々に弛緩してゆくにつれ、自分の足元に広がる餡子に気づき、湖面に浮かぶまりさの三角帽子に気づき、顔色が変わってゆく。 「あ……あ……ちぇ、ちぇん……ま、まりさを……えいえんにゆっくり……させちゃった……? わからない……よー……」 「ちぇん、ちぇぇぇぇぇん! しっかりしろ! わかっている、ちぇんはらんを守ってくれたんだな。ありがとう」 「らんしゃま……らんしゃまあああああああああ!!」 「大丈夫だ、ちぇんにはらんが付いているからな! 今度はらんの番だ。ちぇんのことはらんが守ってやるからな! とりあえず、この餡子からすぐ離れるんだ。死臭が付く。何、お墓参りをしていたんだからほんの少しの死臭が付くくらいのことは仕方ない。そう言えばみんなわかるはずだ」 ちぇんはらんと頬をすり合わせ、涙を流した。 とっさのことで、ちぇんも全く後先を考えていなかった。ゆっくり殺しはゆっくりできない。ちぇんは群れから追放されるだろう。そう思うととてもゆっくりできない気持ちに襲われたが、らんの尻尾に抱かれていると何もかもに守られているような気がしてちぇんはゆっくりした気持ちになれた。 らんはちぇんの顔を見つめて言う。 「いいかちぇん。まりさのことは何も知らない顔でいるんだ。あのおぼうしはらんがなんとかしておく。何も知らないフリをして、今まで通り狩りをして、今まで通りの時間に帰るんだ」 「にゃ……っ。わかったよらんしゃま。ありがとうね、らんしゃま……」 「こん。らんを守ってくれたんだろう? それならこっちが礼を言う方だ。ありがとうな、ちぇん……」 にこりとらんは微笑み、ちぇんもつられてにぱっと顔を輝かせた。 しかし、家に帰ったとたんちぇんの気持ちは再びゆっくりできないものになった。 「……ちぇん、ありすのともだちのまりさがまだかえってこないの」 「にゃ、にゃんだってー。わからないよー。どうしたんだろーねー」 「まりさはきょう、ちぇんとはなしをしにいくっていってたの? まりさとあわなかった?」 ちぇんは一瞬言葉に詰まった。らんは知らないフリをしろと言った。確かに言った。なら、ここは知らぬ存ぜぬを通すべきだ。 「し、しらないよー。あわなかったんだねー。わかってねー」 「そう……でも、もうよるもおそいしさがすとしてもあしたね……」 「まりしゃしゃんしんぱいなんだねー。わきゃりゅよー」 「まりしゃしゃん、ゆっくりしちぇちぇね……」 ありすと赤ゆはまりさの無事を本心から祈っているようだった。 翌日、夜が明けてからもちぇんは群れのみんなからまりさの行方を知らないか聞かれた。そのたび全身のチョコレートが冷え、ちぇんは気が気で無かった。みんなに疑われているのではないかと思うと朝食も喉を通らなかった。 ちぇんはまりさ捜索隊にいれられそうになったが、食糧集めも大事だと主張してなんとかそれは免れた。 一刻も早くらんと会い、相談したかった。 「そうか……。でも、どうせすぐ冬ごもりだ。春になったらみんなまりさのことなんて忘れているだろう」 「それはそうだけど……まりさはありすのともだちだったんだねー。もうおうちにかえってもちぇんはゆっくりできないんだねー。わからないよー……」 湖のほとりでちぇんは尻尾を垂らした。 らんは黙って湖を見つめていた。その横顔を見て、ちぇんはふと妙案を思いつく。 「らんしゃま……」 「こん? なんだちぇん?」 「らんしゃま、おねがいなんだねー。ちぇんをつれてにげて……」 「ちぇん……」 らんはそう言うと、九本の尻尾でちぇんの体を包み込んだ。 ちぇんはその日、初めてらんの住まうという洞穴まで行った。 「ゆぅ? こんなじかんにどうしたんだぜ? ちぇん?」 「ま、まりさをえいえんにゆっくりさせたはんゆんをしっているってゆっくりがみつかったんだよ!」 「ええっ!?」 夜遅くにまりさが暮らしていた独身若ゆが集まる洞穴をたずねたちぇんは、慌てた表情でそう切り出した。 同じ屋根の下に住む者同士、教えられたまりさは義憤に燃えてちぇんにたずねる。 「そのゆっくりはどこにいるんだぜ!」 「ちぇんのうしろにいるんだねー。いれてあげてもいいよねー?」 「もちろんだぜ。しっかりはなしを……」 ちぇんは自分の体を脇に避け、洞穴の入り口にらんを案内した。 らんはにこりと笑って挨拶した。 「ゆっくり死ね」 がぶりと大口を開けてらんはまりさをぼうしごと一撃のもとに噛み砕いた。そしてとどめを刺さずに体当たりをして洞穴の奥へと放り出す。 「ゆぎゃあああああああああああああああ!!」 「な、なんなのぜ?」 「ま、まりさ! しっかりするんだぜ! ゆっくりするんだぜばぁっ!?」 まりさの叫び声が洞穴いっぱいに広がった。それに釣られて洞穴の奥にいたまりさが続々と出てきたが、突然体に穴を開けて一匹のまりさが倒れる。 らんは洞穴の外に顔を向けていた。その頬にちぇんはすーりすりと頬擦りする。だがその背後からはまりさたちの阿鼻叫喚が響き始めていた。 洞穴の入り口はらんの九本尻尾が覆っていた。そしてその尻尾の先からは米粒が次々と出ては勢い良く発射され、洞穴の中を跳ね回っている。 ゆっくりらんの尻尾は稲荷寿司である。しかし同時にそれは米粒弾発射装置の役割も担っており、らん種の戦闘能力向上に大きく貢献している凶器だ。そして狭い空間内で乱射される弾丸から逃れるスペースというものは少なく、まりさたちはまんまとらんに誘われて洞穴の入り口近くに集められていた。 二、三分もするとまりさたちの絶叫も途絶え、洞穴からはむせ返るような小豆の匂いが溢れ出す。 「ありがとうちぇん。これでらんとちぇんはゆっくり冬を越せるぞ」 「わかるよー♪ らんしゃまのためならちぇんはなんだってしちゃうよー!」 らんはちぇんから食糧を貰っていたが、やはりそれでも越冬用食糧としてはやや苦しかったらしい。とてもではないがちぇんと一緒に暮らせるほどの食糧をらんは抱え込んでいなかった。 そこでらんが出した提案は、実にえげつない行為であった。 つまり、強盗。ちぇんとらんの目的は最初からこのまりさたちが集めた越冬用食糧であった。 洞穴の入り口まで持ってきたすぃーに食糧を載せ、ちぇんはらんの巣まで走った。ちぇんの家族も群れのゆっくりも既に寝てしまっている。騒ぐ家の住民は既にもの言わぬ饅頭だ。誰もちぇんを咎める者などいなかった。 「やったんだねー! さっすがらんしゃま! らんしゃまのたてたさくせんはかんっぺきっ過ぎるよー!」 「そうでもないさ」 「これでちぇんはらんしゃまといっしょにえっとうっできるんだね! わかるよー!」 もう明日から殺ゆんはんとして疑われているのではないかと怯える必要もないし、群れのみんなのためにあくせく働く必要もない。ちぇんはただ思いきりらんと愛を語り合えばいい。そう思うとちぇんは嬉しくて嬉しくてたまらなかった。 だが、らんの顔色はあまり優れなかった。 「……らんしゃま? どうしたの?」 「なあちぇん。……実はまだ、ちぇんに後一つだけやってほしいことがあるんだ」 「なんなのー? わからないよー? でも、ちぇんはらんしゃまのためならなんだってできちゃうよー。らんしゃまへのあいのためならちぇんにふかのうはないんだねー。わかるよー」 「そうか。それなら……」 らんは静かな洞穴の中で、囁くように最後の願いを告げた。 ちぇんはぽかんと口を開き、らんの顔を見返した。 「ら、らんしゃま……わからないよー? なんで……そんなことしなくちゃいけないのー?」 「ちぇんとらんがゆっくりするためには必要なんだ……わかってくれ」 「……わかるよ。わかるけど……」 「そうか。できないのなら……ちぇんの気持ちも、所詮はそこまでだったと――」 「や、やるよ! らんしゃま、ちぇんはやるんだねー! わかるよー!!」 嫌われたくない一心で、ちぇんは即座に思い直した。 そうだ。どうせ、群れから離れるのならもう関わることもない。むしろちぇんを探しにちょろちょろしてらんとの新婚生活を邪魔するに決まっている。 ならば何も知らない内に、永遠にゆっくりさせた方が良いだろう。 ちぇんの家族たちは。
https://w.atwiki.jp/testest-umigamedb/pages/740.html
2020年10月13日 出題者:UNDERTALE FNAFガチ勢ガスター タイトル:悲しみの向こうへ 【問題】 男はあるピンクの紫陽花を見て絶望した。何故? 【解説】 + ... 男は妻が帰って来ないので毎日浮気相手の家に行っていた。 すると浮気相手の家の庭に、普通なら毎年青色になる紫陽花が、鮮やかなピンクだったのだ。 その時、科学の教師をしていた男は状況を察した。 男の浮気相手は男の妻を殺した後、バラバラにして肥料として再利用したのだ。 妻の遺体を肥料として使ったので土地の地質が変化して土壌がアルカリ性から酸性に変わったのだ。 男はその事実に気づき、浮気相手に恐怖と絶望を抱き、その場を後にしたのだった 《知識》《瞬殺》《死》《ブラック》 配信日に戻る 前の問題 次の問題
https://w.atwiki.jp/suka-dqgaesi/pages/1963.html
485 :名無しさん@HOME:2008/07/11(金) 15 34 46 0 昔はトメと折り合い悪かったんだけど、ある日トメ不在中に、 ウトに襲われた。ギャーギャーさわぎまくってたらトメ帰宅。 私にのしかかるウトを見て、真っ青から真っ赤な顔になってわなわなと震えながら 「(ウトは浮気性)まさか息子の嫁にまで手を出すとは!」 と怒り狂いウトを襲撃。 私からウトをひっぺがして物凄い勢いで物をぶつけたり、傘や鞄で殴るける。 「待てこのクズがああ!」とトメが叫びながらウトを追い掛け回すのを、 wktkしながらついていったら、びびったウトが逃げ惑いながら警察に電話しようとした。 なので横から携帯電話奪って、家電の子機と一緒にベランダから投げてみた。 傘が折れてたたきにくそうだったので布団叩きを渡したり、 投げつけるものを渡したり楽しく協力。 派手にやった割りにはウトは2針縫う以外は軽い怪我で、 トメの指にヒビが入ってたのが納得いかなかった。 あれ以来ウトはすっかり大人しくなり、一人で安アパートに住んでいる。 ちなみに旦那が浮気しかけたときも、トメが「ゲスの父親と同じ轍を踏む気か!」と怒り狂い、 私がいくら追求してもふてくされていた旦那が号泣して土下座するまで、 叱り続けてくれた。 今、トメとは友達と姉妹を足したみたいなほどよい仲でしょっちゅう2人で出かけてます。 487 :名無しさん@HOME:2008/07/11(金) 15 40 15 0 485 戦友GJw 490 :名無しさん@HOME:2008/07/11(金) 15 43 31 0 485 GJ! 前にもいたよね、浮気性ウトにブチギレたトメさんに武器になるもの渡して焚きつけながら 「GO!」ってけしかけた嫁子さんw 491 :名無しさん@HOME:2008/07/11(金) 15 46 42 O 485 GJ!!仲良しトメ羨ましい。糞ウトは落ち込みトメとも仲良くなれてよかった!! 493 :名無しさん@HOME:2008/07/11(金) 16 54 37 0 485です。 GJありがとうございます。 ウトのことはトメからめちゃくちゃ謝罪されました。 トメは何も悪くないのに、こちらが恐縮するほどの平謝りでした。 騒ぎが収まってからウトは警察だ!とかほざいてましたが、 その前に私に襲い掛かったことを持ち出し、トメは嫁を助けようとしただけで、 捕まるのはお前だぞ!(実際はどうだかわかりません) と女2人で詰め寄ると、ペコペコしまくって、土下座してきました。 で、交渉して貯金やら年金その他全てをトメが管理することに。 今までお金があったから女遊びできたわけで、一人でアパート暮らしし始めてからは、 女の影もなく、孤独な一人暮らしと家事に疲れ「お前だけだ」とトメに何度も凸。 そのたびに2人でいびってたら、今じゃすっかり一人さびしい余生を過ごしてるようです。 被害者気取りなのが多少気に入りませんがね。 494 :名無しさん@HOME:2008/07/11(金) 16 57 15 0 493 捕まるのはお前だぞ!(実際はどうだかわかりません) 実際に 493が訴えれば確実にお縄になったよ。 495 :名無しさん@HOME:2008/07/11(金) 16 58 20 0 暴行未遂で目撃者も傷んだから24すれば良かったのに・・・ 正当防衛を主張すれば、注意はされるかもしれないが 女性ふたりはお咎めなかったはずだよ。 ウトメは離婚してないの? 499 :名無しさん@HOME:2008/07/11(金) 17 24 31 0 485です。 通報すればよかったんですかね。 そのときはそこそこやり返したし、お金や色んな権利書を丸ごとトメと分けれるし、 自分もやり返したこと責められたらどうしよう?と思ったので。 ウトは老い先短いしね。無知ですみません。 離婚はしないみたいです。お金がらみではないですね。 トメはお金を無駄遣いするタイプではなく、自分の年金だけで暮らしていけると思います。 トメが離婚はみっともないと思っているのと、自由にしたら他の女性に迷惑かけるかもしれないから、 とのことです。なのでウトの死亡待ちです。 酷い目にはあいましたが、トメと仲良くなれたことは凄くよかったです。 ウトを追い出してから、トメはすっかり丸くなっていつもにこにこしてます。 嫌がらせなどはされたことはないのですが、ウトのせいでつんつんしてました。 それではここらへんでお暇させていただきます。 次のお話→503
https://w.atwiki.jp/toho_yandere/pages/2381.html
Q スカーレット姉妹と古明地姉妹の共通点は何か? A 姉と付き合って妹と浮気すると次の日の朝にバレること Qもう一つの共通点は? A 妹と付き合って姉と浮気すると、バレた次の日の朝を拝めないこと 幽香にとっては人間は二種類に分けられる ○○と其れ以外 Qなら、○○に好意を寄せるライバルは? A貴方害虫を人間扱いするの? 三人の男が自分の妻を自慢していた。 「僕の妻の紫は、能力で何でもしてくれるんだ」 「いやいや、僕のさとりは、いつも俺の考えていることをしてくれるんだ」 「甘いね。うちの奥さんは、俺が浮気した時には、苦しませずに一思いに殺してくれるぜ」 ある日魔理沙が○○に言った。 「今から、○○に弾幕を見せてやるぜ。」 そうしてアリスの家に電話を掛けて言った。 「○○が余所の女の家にいるぜ。」 次に魔理沙は○○にこう言った。 「今から○○にスペルカードを見せてやるぜ。」 やはりアリスの家に電話を掛けて言った。 「○○が余所の女の家に泊まっていたぜ。」 その後魔理沙は○○に笑いながらこう言った。 「今から○○にラストスペルを見せてやるぜ。」 そしてアリスに電話を掛けてこう言った。 「○○は実は私の家に居るんだぜ。」 四季映姫にはルールがある 1、○○は常に正しい 2、○○は常に間違ってない 3、2が疑わしい時は、1に戻ること ある日妖夢と咲夜と鈴仙の三人が、誰が一番早く恋人を作れるか競争した。 妖夢は真面目に交際をして、一ヶ月で恋人になった。 咲夜は時間を止める能力を駆使して、偶然を装うことで、一週間で恋人を作った。 鈴仙は○○を物陰に引っ張りこんで、一時間後に出てきた。 ○○「ハイ、ボクはレイセンのコイビトです、ボクはレイセンのコイビトです、コイビトです、コイビトで…」 ある日○○は守矢神社で願い事をした。 ○○「神奈子様、どうか私を天狗にして下さい。」 神奈子「其れはちょっと不味いから、他の願いにしてくれないかい。」 ○○「では、神奈子様、早苗さんのストーキングを止めさせてくれませんか。」 神奈子「わかった。君をどうにかして天狗にしてやろう。」 寺子屋で作文の授業があり、チルノはミステリー、恋愛、宗教の三つをテーマにする ように慧音に言われた。五分後にチルノが書いた作文はこうだった 「おお、神よ!知らない女が布団の中にいるぞ!」 Q 幻想郷でヤンデレの被害が一番少ない月は? A 2月 Q ○○が落とした財布を拾うのは次の内誰か? サンタクロース、大人の吸血鬼、欲の皆無な赤白 A ○○の後をつけていた早苗 早苗「外界の刑務所では、脱獄防止の為に、have a hopeと書くらしいですよ」 霊夢「だから、結婚式で幸いあれって言うのね」 魔理沙「○○、良いニュースと悪いニュースが有るぜ」 ○○「良いニュースから聞きたいな」 魔理沙「私と付き合ってくれないか?」 ○○「そいつは最高だ!」 魔理沙「その代わり、一生外には出れないぜ」 ○○とアルコールの共通点 1 嬉しい時に欲しくなる 2 悲しい時に気分をまぎらわせたくなる 3 無いと禁断症状が出る ○○がプルタブを開けるのに、苦労する咲夜に言った。 ○○「咲夜、ナイフ使ったら?」 咲夜「あら、今度は誰を始末したらいいの?」 霊夢と魔理沙が話をしている所に、アリスがやって来た。 霊夢「アリス、今度妖怪百匹と、○○を殺す事にしたわ。」 アリス「何て事を言うの霊夢!○○には傷一つ付けさせ無いわ!」 霊夢はニヤリと笑い、魔理沙の方を向いて一言 「ほらね、誰も妖怪の事なんて気にしないでしょう。」 Q 紅魔館と人里の衝突の可能性は? A 無い。○○が脱走しない限りは Q 妖夢の告白が成功して、恋人が出来たのは何故? A ○○の選択の余地を物理的に「断ち」「切った」から Q ○○が自宅の電球を取り替えるには、何人の人手が要るか? A 0人。何時の間にか新しい電球にすりかわっているから。 鈴仙「○○、悪いニュースと良いニュースがあるわ。」 ○○「悪いニュースから聞くよ。」 鈴仙「貴方はこの部屋から出られないわ。」 ○○「なんて事だ!それなら一体何が良いニュースなんだい?」 鈴仙「私以外何も分からなくなるから、大丈夫よ。」 小鈴「○○に良いニュースと悪いニュースがあるわ。」 ○○「良いニュースは何かな?」 小鈴「阿求が死んだわ。」 ○○「やったぞ!遂にあのヤンデレが先に死にやがった!」 小鈴「さっき転生したそうよ。」
https://w.atwiki.jp/baseoresama/pages/16.html
※急須事件とは…酔っ払っているあいだに奥さんがいなくなること。 2005年6月9日、俺様スレPart3の375の書き込みからひとつの小さな事件が起こった…。 http //mimizun.com/search/perl/dattohtml.pl?http //mimizun.com/log/2ch/base/ex13.2ch.net/base/kako/1117/11170/1117077270.dat 375 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 01 14 32 ID 09FSREj3O (゚Д゚) オレもネル!383 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 07 18 40 ID 09FSREj3O (゚Д゚) オキタラ、カミサンガイネエ!蒸発か? 384 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 08 49 50 ID 2pOsNmhg0 |Д゚) 今日一番の注目は 383386 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 09 20 39 ID vVlyqH4b0 |∀・) 383のその後の報告を待つスレはここですか? 387 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 10 37 29 ID 09FSREj3O (゚Д゚) 電話もつながんねぇ!泥酔して帰ったからか?記憶もねえ。 388 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 12 11 15 ID 2pOsNmhg0 |Д゚) なんだかいやーな空気が… 383 387 389 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 12 25 28 ID 09FSREj3O (゚Д゚) 電話に出ねえ!俺が昨日カキコミした形跡があるが記憶がねえ! 390 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 12 49 24 ID ELIr6qkI0 389 |゚д゚) 記憶がなくなるくらいの泥酔状態でここに来ていたとは、よほどこのスレが気になってるとみた 391 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 15 12 44 ID QBZPlXhX0 375 名前:代打名無し@実況は実況板で 投稿日:2005/06/09(木) 01 14 32 ID 09FSREj3O (゚Д゚) オレもネル! 383 名前:代打名無し@実況は実況板で 投稿日:2005/06/09(木) 07 18 40 ID 09FSREj3O (゚Д゚) オキタラ、カミサンガイネエ!蒸発か? この6時間の間に一体何が・・・・? 392 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 15 16 14 ID SpFG8im30 |゚д゚)まさしく 383の状況は「俺様の家には俺様しかいない」状態だな まあ何だ、がんがれ…394 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 15 32 34 ID ELIr6qkI0 375の時点でいなかった可能性も否めない396 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 21 44 06 ID 2pOsNmhg0 |Д゚) 383はその後いかがですか? 現場の東海林のり子さ~ん! 397 :宇宙の野球 ◆dhKMvSPACE :2005/06/09(木) 21 44 56 ID 4T/rWqDT0 もと現場の東海林です 398 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 04 33 ID QBZPlXhX0 |Д゚) 383よろしければ、その後を聞かせてください。気になって寝れん・・・ 399 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 05 20 ID 09FSREj3O カミサンハケ━━(゚∀゚)━ン! ジッカニ イター! (´・ω・`)オレノウワキモ ハケーンサレテタ・・・ バンジー急須だな。おいしいお茶がはいりますた 400 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 11 55 ID JsPihSea0 399 トリップつけて明日からも続きキボン 401 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 13 32 ID I0UBsR/jO 399 おまいが浮気したのが(・A・)イクナイ!!ンジャマイカ!! ( ・д・)チネ…403 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 16 21 ID QBZPlXhX0 399 |゚д゚) 浮気していたのでつか・・・。それは流石に・・・。 404 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 16 52 ID 09FSREj3O (゚Д゚) 今日は酒飲んでねぇから大丈夫だが、何か寂しい。 ところでトリップについて教えて。何だそれ。 何かしてないとすごく不安だ。 とりあえず下げとく。408 :カッタデー:2005/06/09(木) 23 22 12 ID ELIr6qkI0 399 フォローガンガレ デモ ウワキ イク(・A・)ナイ 409 :宇宙の野球 ◆EdNunXZwxk :2005/06/09(木) 23 31 38 ID 09FSREj3O こうですか? 410 :宇宙の野球 ◆dhKMvSPACE :2005/06/09(木) 23 37 28 ID 4T/rWqDT0 409 いや、あの、名前は真似しないで…できれば… 411 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 38 13 ID JsPihSea0 409 コテハンまで真似ることはない。 名前欄、「宇宙の野球」というのは外して♯・・・・だけでOK 412 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 38 34 ID ELIr6qkI0 409 宇宙の野球 は入れなくておk。 407と区別つかなくなるw 名前#ランダムな文字列 ↑の名前の部分はなんかハンドル考えるか、なしでもいい。 #は半角で必ず入れて、その後はパスワードみたいなもの。 個人を特定するものだから、自分が分かりやすい好きな文字列を入れるとヨイ。 413 :急須です。 ◆06wA5ODEak :2005/06/09(木) 23 39 40 ID 09FSREj3O あ、すいません。そうするものだとばかり・・。 これならいいですか? あと、あんまり上げると辛くなってきました、いまさらながら。 414 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 40 41 ID 2pOsNmhg0 |Д゚) まあ、見つかってなにより。犯罪とかに巻き込まれていたら一大事 |Д゚) …自業自得とはいえ、明日からガンガッテ下され 415 :宇宙の野球 ◆dhKMvSPACE :2005/06/09(木) 23 42 41 ID 4T/rWqDT0 |_ |C |_ |∀・) <今更だが浮気はいくない。 ホンキナラ… 416 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 44 26 ID ELIr6qkI0 413 (*゚д゚)b バッチシok 417 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 45 22 ID JsPihSea0 413 OKです。明日からも名前欄にそう書いてから 書き込んでくれるとうれしい。 418 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 48 33 ID QBZPlXhX0 413 |Д゚)今後貴方がどうするつもりかは分かりませんが、ガンガってください・・・。 419 :急須です。 ◆06wA5ODEak :2005/06/09(木) 23 49 48 ID 09FSREj3O オーケーですか。これから飯食べます。 今日はそんなことで飯喰ってなかったので。 あと、みんながsageてくれると嬉しいのですが。 状況報告はしますんで。 420 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/09(木) 23 56 53 ID 2pOsNmhg0 |Д゚) sageたいのはやまやまだけど「人気のないときに age 」るスレだからなぁ・・ |Д゚) 急須さんにレスするときはsageでやります 421 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/10(金) 00 03 50 ID zJjKnzjb0 |д゚)ノシ 420に同意 422 :急須です。 ◆06wA5ODEak :2005/06/10(金) 01 05 14 ID C2Bv6flIO そうですね。勝手なこと言ってすいませんでした。 みなさんの邪魔をすると悪いので、これでお別れすることにします。 トリップの付け方を教えてくれた人ありがとう。 (゚Д゚) オレもネル!なんてしてたころが遥か昔のようです。記憶ないけど。 では。このスレはずっと見ています。おもしろいので。424 :代打名無し@実況は実況板で:2005/06/10(金) 01 10 15 ID zJjKnzjb0 422 |・ω・`)ノ ・・・ムリニ ヒキトメナイケド、マタ オイデネ
https://w.atwiki.jp/kappappa/pages/14.html
前章では、「LTP」と「ウミガメスレ」というものの大枠を考えてみました。 しかし、ウミガメスレは産まれた時から「なんでもあり」という点を無視できない存在であったように思います(1-4章参照)。 この章では、前章で挙げた幾つかの点や風変わりな問題を例に挙げながら色々と検討していきたいと思っています。 【2-1.典型的な水平思考型のLTP】 LTPはそもそも水平思考型のパズルゲームの意味であることは、既に述べました。 それと同時に、住人は垂直思考を含むことを望む事も述べています。独断なんですけどね。 では、水平思考重視の「典型的LTP」とはどのような問題があるのでしょう? さてそこで実力の無いカッパに替わって原点さんの出番ですよ。 天上天下絶対無敵の存在である大原点サマの問題を私如きが云々するのは大変恐れ多い事なのですが、私が一番好きな原点さんの問題を解剖し、「水平思考型LTP」を検討してみることにします。例によって無許可ですが気にしません。 まあ、流石の原点さんといえども失敗したことはあるんで、あまりビビリ過ぎる事はないでしょう。 ウソです、スミマセン原点さん、アウアウ ======================================= ★★ ウミガメのスープ ★★ 3杯目 351 名前: ◆v7Ij2cLg 投稿日:02/07/30 10 20 ある男が車を運転していた。その途中でふと車をUターンさせ、自宅に戻り、妻を射殺した。 どういうことか。 ======================================= これがその問題(巻末例題1)ですが、この問題、何故か良問入りしてません。気にしないことにしましょう。 また、この問題はこれからネタバレしていくので気になる人は先に過去ログを読むが吉です。 1)問題文の検討 まずこの問題文でいえることは 状況が明瞭で判り易い ・男の行動が不可思議である ・人が死ぬ ・問題文が簡潔である 等等の長所が見られます。 問題文の長短よりは具体性を重視するカッパではありますが、充分な条件を示した上でなら問題文は簡潔な方がいいと思っています。無駄の無いと言う事は美しい事です。 2)途中経過の解説 過去ログみたら、まあ皆ageまくるわ言いたいこと言うわ何も考えてないわでカオスもいい所なんですが、大勢がワイワイたかって解いてて凄く楽しそうでもあります。 最初の内に正解に至る重要なキーワード(妻の浮気)は出ているのですが、「何故それを男が知ったのか?」が判らず迷走しております。 実話だっつのに「男はニュータイプですか?」といったネタなのか本気なのか判らないレスまで付く有様。 出題から46分で正解が出ていますが、この時の原点さんは「正解です」とは言っても、解説を貼ってはいません。 今だと案外瞬殺されそうな気もしますし、原点さんにしてはちょっと引っ張った感じのある問題ではあります。 3)問題の検討 この問題の解説は巻末に貼るとして、問題を検討してみましょう。 謎はズバリ「何故男は妻を突然殺す気になったのか」で、フラグ(註:フラグ---問題文中に示されている、解答に至る為のキーとなる言葉 や部分@カッパ用語・亀回路で言う所の「クルー」に近い)は「車」「突然Uターン」「妻」「射殺」です。 1.男は突如、妻を殺すため引き換えします。 2.何故ならば、妻を殺すだけの理由が出来たからです。 3.その理由とは、妻が浮気をしていたからです。 4.男はそれを今の今まで知らなかった。だからこそ知った今、突如として引き返して殺すことにしました。 5.何故それを「今」知ったのか? 6.車でラジオを聞いていたからです。 7.では何故ラジオを聞いていてそれが判ったのか? 8.ラジオ番組で家に電話してクイズに答えたら懸賞差し上げますって番組聞いてて、男の家に電話がかけられ、見知らぬ男が電話に 出たのをカーラジオで聞いたから、です。 ↑この最後の所はちょとややこしい感じもしますが、実質1行の問題文を思索することによって(言い方を替えれば論理の積み重ねによって)ここまでの解答に至れるという問題文の洗練ぶりは見事だと思います。 因みに途中で「ケータイで女の浮気を知ったのですか?」という質問が出ていますが、コレがYesだとわざわざ「車」というアイテムを出したのにその設定が生かされないので、カーラジオで知った、という解答の方が優れているのは明白かと思います。 この問題は垂直思考はあまり使わない、典型的水平思考型LTPといってよい気がします。 確かに1つ事実が明らかになるにつれ、新たな垂直式の思考が展開されて質問が産まれる訳ですが、垂直思考による結果が最適であるか否かが出題者に託されているため一人で解く事が出来ず、垂直思考より水平思考による事実の確認と真相の解明が圧倒的に重視されているからです。それに何を言ったって、パソの前で一人で問題に対するレスを考えてる時点で垂直思考って出ますしね。 これで回答者の答えの方がよっぽど面白い、という出題者泣かせな展開になるとアレなんですが、この問題は原点さんの解答が良く出来ているため、回答者は心地よく原点さんの進行に委ねる事が出来る訳です。 また、問題の最初に解くべき謎と状況が明瞭に示されているため解く方向性がはっきりしており、フラグが上手く仕込まれているため質問も思いつきやすい点も素晴らしいですね。 それでいて解答そのものは容易に思いつくものではないので適度なボリューム感もあるという理想的問題だと考えます。 私は垂直思考をある程度含んだ方が面白いと思っている方ですが、この様に洗練された問題を見ると、LTP、引いてはウミガメスレにおける良問とはかくあるべしといえる気もします。というか、これだけ具体的な状況を示して解くまでの時間もそれなりにかかるという水平思考型の問題を作るとなると、私の手に余りますね、ハイ。そもそも今まで純粋な水平思考問題作った事あるのかな、モイラ。 流石はLTPモンスターの原点さんです。 ただ一方で回答者の方も回答慣れしてくるので、現況では水平思考偏重型の問題はよほどのものでないと瞬殺される可能性も高いと思います。 かなり練りこんで考え込んで出題するようにしましょう。 私には無理ですが。 【2-2.垂直思考型の問題】 LTPとは垂直・水平両思考を必要とするものなのであることは、1章で述べました。 しかし、なんでもありなこのスレでは垂直思考重視型(=推理パズル型)の問題も出ています。ちょっと検討してみましょう。 推理パズル型の出題者さんといえば、私はまっさきに↓この方が思いつきます。 ======================================= 【コテハン名】 モナー部長&ぃょぅ警官@瞬殺 【 出現時期 】 初登場は54杯目 【 出没時間 】 夕方~夜? 【 代表作 】 「零下20度」54杯目 【 特徴等 】 名は体を表すのか瞬殺問題を連発。皆に一時の癒しをもたらす。 そして56杯目(時間にして30時間)で消える(?) まさか存在自体も瞬殺とは思いもよらなんだ。 (以上雑談板コテハン図鑑スレより抜粋) ======================================= この人、問題文が長くて状況を詳しく書くし、重要ポイントが光り輝いているくらい目立つんでホント瞬殺くらいまくってました。 巻末に例題2として問題をあげているので、お暇な方は見てみてください。 でもこの人、キャラが天然で面白くて、しかも問題文が潔いため、すごく住人に愛されてましたww マヂですよマヂ。 完全推理パズルタイプの宿命として、双方向性を発揮する間もなく瞬殺されていたモナー部長さんですが、その時のスレのやりとりや和んだ空気は、これもまた一つのLTPの理想形------LTPは勝負ではない------を体現しているともいえます。 では、少し長く持った推理パズル問題の実例を見てみましょう。(巻末例題3) ======================================= ★★ウミガメのスープ★446杯目 いつもあがとうです 919 :名前:メキシコに吹く熱風 ◆cB6e2YGLXQ :2005/05/18(水) 22 32 48 ID BgwFKXYC0 問題:「船上の死体」 太平洋を豪華客船での旅行中、客船の甲板でA氏の死体が見つかった。 近くの手すりに血痕が残っており、最初はA氏が足を滑らせ甲板の手すりに頭を打って 死亡したのかと思われたが、船医の調べでA氏の頭は鈍器のようなもので殴られた後、 死体を偽装するため手すりに再度頭を打ち付けた事が判明した。 A氏は大金持ちであったが、誉められた方法で金を稼ぐ人物ではなく方々から恨みを買っており、 この船内にもA氏を殺したいほど憎んでいる人物は3人いた。 しかし船長はこれの事件が殺人事件だと判断するや否や、容疑者3人の中の内の一人、 A氏の息子を即逮捕した。 A氏の息子は親子仲が悪く、また借金に苦しんでいる事実もあり動機は充分だったのだが、 他の動機がある人物を全く無視して息子を逮捕したのは、何故か? ======================================= この問題、特殊な知識が必要なんでその点が非常にひっかかるんですが、とりあえず解答に必要な事項は問題文に明記されています。 この人とは知り合いなので、遠慮なく問題及び答えが出るまでの経緯を検討してみる事にします。 出典:推理狂謎の事件簿2 藤原宰太郎著 青春出版社 P75「甲板に残された死体」 出題開始:919 正解:959 解説:963→出題から正解までのレス40・因みにたぶんへびよけ 正解レスまでに要したY/N・Yes8ケ(ぐらい)・No18ケ(ぐらい) 出題から正解レスまでの時間:17分58秒・解説まで21分08秒 「終ってみれば知っていた」回答者多し・有名なネタだった模様 まず、この問題は出典から見ても解答から見ても推理パズルと考えてよいでしょう(垂直思考のみで解ける)。 そしてYesよりNoの方が圧倒的に多い、この事は「質問がことごとく却下され、解答に近づいていかない」傾向を示しています。水平思考を使っても答えに近づいていかないという、回答者がストレスを感じるパターンです。皆さん注意しましょう。 最後突然完全解答が出たのでおそらくへびよけだと思うのですが、逆にへびよけされなかったら(Noの数から見ても)グダグダになったおそれがあり、その主な理由はズバリ「ある一点に気づけば解けるが、逆に言えばその一点以外は不必要な、水平思考によるアプローチの余地が少ない問題」だからと判断できます。へびよけされずに最後まで行ったっとしても正解は突然出たことでしょう。 推理パスルでもモノによればそれなりに長く持たせる事が出来るしLTPらしくもできるのですが、LTPの魅力である水平思考=双方向のやりとりを楽しむ、という点で問題が無いとは言い難いのもまた事実でありましょう。 「推理パズル」を出題する場合、あえて「水平思考」の出番ができるような余地を上手く作り、「キチンとしたLTP」にした方が、出題者・回答者双方にとってよい問題になるようです。 別の例を出してみましょう。 論理的推理の代表格的な問題としてよく引き合いに出される問題に、ハリイ・ケメルマンの「9マイルは遠すぎる」という小説があります。 筆者が14年かけて書き上げたというだけあって、論理の積み上げは非常に見事で推理小説としては素晴らしい出来であり、私も2回くらいはパズル本でこの問題を見たことがあります。(以下巻末例題4) ======================================= ★★ ウミガメのスープ ★★ 6杯目 55 名前: ◆.LRIXJag 投稿日:02/08/06 14 22 『9マイル歩くのは容易なことではない。 ましてや雨の中となるとなおさらだ。』 この、いつ誰が逝ったとも分からない言葉から 論理的に引き出せる推論とはなんでしょう? ======================================= この有名すぎる問題は上記のようにウミガメスレの超初期に出されていますが、過去ログ見たら当時はマナーとかがメチャクチャだったこともあってLTPとして成り立っていませんでしたw しかしこの問題は今だしてもやはりいい問題にはならないような気がします。 それは問題文があまりに洗練されていることもありますが、ひたすら個人の推論を重ねていくだけなので出題者とのやりとりの必要性が無いからです。 出題者の仕事は、回答者の推論が正しいかどうかの判定とヒントを出すだけになってしまうでしょう。 こう考えると、一言で論理的といっても、水平思考型の論理的と垂直思考型の論理的ではやはり大きな隔たりがあるように感じてなりません。 で、今更ですが、上記の熱風さんの問題にはちょっと欠点があります。 その辺は次で触れますが、欠点がありつつそれを無視して書いた文をちゃんと読んで下さった皆様、まりがとうございます。 【2-3.ひらめき型の問題】 何度も書いてますが、ウミガメスレではLTP、推理パズルに留まらない範囲からの出題がなされています。 2-2章では、推理パズル型(垂直思考型)の問題を検討してみましたが、他にも「重要な一点が判ればほとんど正解」という傾向の問題があります。 「叙述問題」と「問題文そのものが引っ掛けになっている」問題(長すぎるので以下「ひっかけ問題」とします)です。 ひっかけ問題と叙述問題の共通点は、「回答者の錯誤を生み出すような問題文構成」になっていて、かつ「ある重要な叙述ポイントを見破れば大きく正解に近づく」ことが挙げられます。亀回路で言う所の、「トラップ型の問題」といっしょです、多分。ここではこの2種の問題をひっくるめて「ひらめき型問題」と呼ぶ事にします。 ======================================= (ひっかけ問題の例:巻末例題5:) 58杯目:103 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/09/24 19 47 医者と弁護士が一緒に昼食をとっていたとき、 医者が突然 「ああ、神様、家内が来ています。」と叫んだ。 弁護士は銃を取り出して医者を撃った。なぜだろうか。 ======================================= ↑この問題は結構有名らしく、私もトリック本やジョークの本でお目にかかったことがありますから、古くからあるモノなのでしょう。 ある事実に気づけば即解答に結びつくもの、それがひっかけ問題と考えています。 一方の「叙述問題」は、水平思考で周囲を埋めていけるが叙述の点を見破らないと正解にはたどり着けないものを指すものとします。 個人的に、叙述問題は長文で局所的に勘違いを起こさせる表現を用いているもの、ひっかけ問題は問題文全体で勘違いを起こさせるもの、という傾向もあると思います。 ただ、私は今回無理やり叙述問題とひっかけ問題の2つに分類しましたが、叙述問題も問題文全体の流れがあって局所的技巧が光るのであり、またひっかけ問題も何気に錯誤を生じる表現を使っているので(例題4だと「医者」「弁護士」がそれに当たる)厳密に分けるのは無意味かつ無理であるとも考えます。 賢明な方は「おいおいカッパ、その分類の仕方だと先の熱風の問題もひっかけ問題に入るんじゃネーノ?」という事に気づいたかもしれません。 ありていに言えば、あの問題はひっかけ問題に入ってもおかしくない気がしますです、ハイ。 しかし他の人の問題をあんまりアレコレ検討するのも流石に気が引けるし、一応推理パズルと言えるかなあと言う事で「推理パズル」としました。実にいい加減ですが気にしないで下さい。 で、この「ひらめき型問題」ですが、これらは叙述の部分を見破れば大きく正解に近づきますし、叙述ポイントを探す行為は水平思考というよりは垂直思考寄りであると考えます(文章に秘められた錯誤を招くポイントを見破る作業になるため)。ですから、(正解へのある段階までに至る時間の違いはあれど)突然正解になる可能性が非常に大きい問題と言えます。 しかし一方でひらめき型問題では、叙述ポイントを正しく見破ったかどうかは出題者に確認しないと確信が持てない面も大きく、純粋な垂直思考問題とは言い難い面もあります(特に「叙述問題」でその傾向が顕著)。 推理パズルとともにまとめて比較すると 推理パズル・・・特に問題文に錯誤を招く記述は無いが、一撃で解かれる可能性がありうる。垂直型 引っ掛け問題・・・問題文に錯誤を招く記述があり、一撃で解かれる可能性がありうる。垂直型 叙述問題・・・問題文に錯誤を招く記述があるが、水平思考をも用いる為、見破っても一撃では解き難い という感じでしょうか。所詮思いつきなので、細かい突っ込みは無しでお願いします。 では、「ひらめき問題」こそがウミガメスレの良問への近道なのかというと、私は疑問を感じざるを得ません。 何故なら、ひらめき型問題は正統派問題が存在しているからこそ回答者が引っかかるのであり、例えば全問題がひらめき型問題ばかりだとすると回答者が引っ掛かることはなくなってしまうでしょう。 藤川球児(高知県人)は変化球もいいらしいですが何をいってもその決め球はストレート、変化球もストレートがあってこそ生きる、という関係に似ていると個人的には思いますが、ひっかけ問題にも叙述問題にも名問題は存在しているし好きな問題があるのも事実です。 ついでですので、巻末に私の思い出深い「引っ掛け問題」と「叙述問題」を掲載します(巻末例題6・7)。 引っ掛け問題(例題6)の方は、良問入りしてますし良く出来ていると思うのですが、たまたまフィーリングがあったためか後で読んだ時、一瞬で見破ってしまいました。 叙述問題(例題7)の方は、リアル参加してて心底やられたと悔しい思いをした問題です。あんまりやられた感が強すぎたため、良問推薦しなかったボキを許して下さい、出題者さん。これはいい問題でした。 私はいい出題者さん(正確には私好みの出題者さん)が出るとライバル意識をかきたてられるのですが、熱風という出題者が産まれたのはこの出題者さんにダレがナンバー1か教えてやらんといかんな、と闘争心が湧き上がったからです。この人がスレに戻って来てくれると嬉しいなあ。 なんかダラダラした上ヘタな文章になってしまいました。 亀回路の2.2章の方がよほどキレイにまとまっているので、皆さんそちらを見るが吉です。 【2-4.推理小説とLTPの深くて暗い絆】 1-3章で、推理小説には垂直思考と水平思考が含まれている、と書きましたが、そのことについて考えてみます。 推理小説の側に立ってその全体で考えれば、水平思考型の推理小説は「そういうものも含まれる」程度といって良いかもしれません。 推理小説の王道といえば、エラリィ・クイーンに代表される(実はあまり推理小説読んでないので他に思いつかないだけ)、全ての手がかりを文中に示す「パズラー」タイプといえるでしょうが、長い歴史の中で色々なタイプの推理小説が産まれました。 今ではどっかのスレといっしょで「あらゆるタイプの推理小説は出尽くした」と言われ、トリックそのものよりも話の構成や登場人物の心理状況に重きをおいたもの、ドキュメンタリー風のものなど色々なスタイルが推理小説に含まれているようです。 そんな推理小説の中で、水平思考そのものが小説内で特に重要な位置を占めているジャンルがあります。 「安楽椅子探偵」です。 因みに前述の「9マイルは遠すぎる」もケメルマンに言わせると安楽椅子探偵だそうです。 安楽椅子探偵型の小説の流れは 1.ある人物が探偵役に不思議な話をする 2.探偵役と人物の質疑応答 3.解決 というものが主体となっているように思います。 この流れの安楽椅子探偵型で私がすぐに思いつくのが、アシモフの「黒後家蜘蛛の会」と都筑道夫さんの「退職刑事」で、前者は黒後家蜘蛛の会のメンバーが探偵で(と言っても解決するのは必ず会の執事のヘンリーですが)ゲストが謎の提供者、後者は退職した刑事である老人(=探偵)に、これまた刑事である息子が行き詰まった事件を相談する、というスタイルになっています。 謎の提供者がいてやり取りの末(←水平思考)聞き役が解決する(←垂直思考)------どこかで聞いたような話ですね。特に黒後家の方は、やり取りの役割を担う人間が多いので、更にどっかで聞いた話に近づきます。 安楽椅子探偵型の小説で、上記2番の「探偵役と人物の質疑応答」は大変重要であるように感じます。 いきなり全ての情報を晒してしまうと勘の鋭い読者に一発で見破られてしまう可能性があるため、謎を提示した後に情報を小出しにして一気に解決しカタルシスに導くというテクニックが好まれているのでしょう。 なんと、実は我々が遊んでいたLTPとは、とっくの昔に推理小説が通過した場所だったのです! LTPとは安楽椅子探偵小説をリアルタイムでやりとりしているだけなのです! LTPは推理小説の1ジャンルなのです! 本当にそうなのでしょうか? LTPとはむしろ推理パズルから時代とともに発展・進歩したものであり、そのゲーム進行なども含めて考えると別物と考えていいものに進化していったものだと考えるほうが妥当のように思います。 ただ、核となる部分で多くの共通点を持つのもまた事実でしょう。 推理小説が兄、LTPが弟、の様な関係である面は否定しきれない気がします。 ~~~~~~~~ティータイム~~~~~~~~ 私はミス・マープルものを読んだ事がないのでハッキリした事が言えないのですが、安楽椅子探偵で有名なマープルものでは上記3段階の2.のところが「マープル婆さんが近所で起きたちょっとした事件を話す」という形式を取って読者にヒントを与えているようですので、必ずしもやり取りがあると言い切れないみたいではあります。 また、マープルは「ミステリの女王」アガサ・クリスティーの作品ですから、安楽椅子探偵型でありつつもパズラータイプなのかも知れません。 誰か詳しい人、よろしくです。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【2-5.特殊なLTPについて~50セントちゃり~ん問題~】 良くも悪くもウミガメスレ=LTPスレと言い切れない事は、住人の多くが気づいている事だと思います。 今までに出た、簡単に思いつく特殊問題(この場合、あまり出ていない出題形式の意味)には以下の様なものがあります。 AAを貼って問題とする アドベンチャーゲーム風 絵のリンクを貼って、問題文の謎を解く 写真を貼って、「これは何か?」を明らかにする 個人的には上の3つはLTP(絵の奴は垂直思考のウェイトが大きいですが)、下1つがクイズに近いと思います。 さて、私が特記したい特殊問題があります。 良問入りしている、いわゆる「50セントちゃり~ん」問題です。 例によって以下に無断掲載(巻末例題8) ======================================= 「50セントちゃり~ん」68杯目 29 名前: ◆NSUz8c6mtQ 投稿日:02/10/07 23 52 この出題者に質問する人は、必ず「50セントやる」と言って下さい。 でないと質問に答えません。 サンプル 「ほい50セント。男は人間ですか?」 出題者「オレは人間だよ」 【問題】「白痴の乞食」 オレはNYの盛り場に陣取る白痴のコジキだ。50セント硬貨が大好きだ。 「1ドル硬貨と50セント硬貨の好きな方をやる」と言われたら、50セント硬貨をもらう。 「5ドル紙幣と50セント硬貨の好きな方をやる」と言われても、50セント硬貨をもらう。 「10ドル紙幣と50セント硬貨の好きな方をやる」と言われても、50セント硬貨をもらう。 なんでオレがこんなに50セント硬貨が好きなのか、当ててみてくれ。 50セントくれなきゃ質問には答えてやらないぜ。 ======================================= この問題は、出題者さんがLTPの本だかサイトだかで拾って来たと言ってた記憶があるんですが時間が無いのと面倒くさいのとで探しません。皆さんよろしく。 確かに双方のやりとりがあって---というよりやり取りが無いと正解にたどり着けないタイプの問題なのでLTPというのも判るのですが、私はこれはむしろ「バーベット」に近い気がしてなりません。 バーベットと言われてもピンと来ない人も多いかと思います。 簡単に言えば、アメリカなどの外国の酒場で行われる、ジョーク混じりの引っ掛けクイズと思って貰ったらよいのではないでしょうか。 大体トリックに引っかかった場合、酒の一杯もおごることになるのが普通のようです。 例: 酒場で男AがBに言う。 「これまで誰も見たことがないものをお前に見せ、その後2度と見れないよう消して見せるぜ」 Bはまんまと引っかかり、こういいます。「そんなものがあるものか」 Aは出来たらビールを奢るようBに求め、Bもこれを引き受けます。 おもむろにAは手近にあったクルミを叩き割り、中身を出します。 成る程、これは今まで誰も見たことがないものです。 そしてその後、Aはこれを食べてしまいます。 これで2度と同じモノはみれません。 例文からも判るように、バーベットは相手の「騙されるテクニック」が非常に求められるものです。 これが日本人に今ひとつ浸透していないのは、例文のトリックなどでは日本人は「やられた!」と思えない人が多いからではないか、と手品師の松田道弘さんはおっしゃっております。 また、見知らぬもの同士で行われることも多い様なので、ジョークを楽しむ土壌がないと双方が不愉快な思いをするだけになってしまい、バーベットの楽しみどころかやらない方がよいことになってしまいます。 結局バーベットは騙し騙されを楽しむものです。 松田さんはアメリカ人に比べて日本人は手品やジョークを楽しむこともヘタだといっています。「楽しむ」ことより「見破る」ことに主眼を置いてしまいがちなのだそうです。 そう言われると、私も心当たりが無いでも無いのがツライところなのですがw バーベットの説明が長くなりましたが、雰囲気はつかめて貰えたのではないでしょうか。 では本題。 このスレではジョークを元ネタにした問題は非常に多く出されているのですが、バーベットに分類されるのではと思える問題は、私はこの「50セントちゃり~ん問題」しか思いつきません。 一見出題者がなりきりで演じているだけかと思いきや、ちゃんと出題者と回答者の「50セント」のやりとりがあってこその解答になっている点が非常に秀逸であると思います。 双方向性が重要なウェイトを占めるLTPにおいて、やりとりと解答の両方を充分に満足させるタイプの問題として稀有な例でしょう。 私がこの問題をバーベットだと強く思う理由は、「これ実際酒場で出来るんじゃないの?若しくはやってるんじゃないの?」という気がしてならないからです。なんかの映画に出てきたり、NYの場末の酒場あたりでやってそうじゃないですか。え?そう思うのは私だけですかそうですか。 ただ、こんなことを言うのはヤボもいい所なのですが、実際のホームレスの方は多分10セントくらいでこれをやりそうだなという気もします。 バーベットであるかどうかは私の妄想の域を越えないのですが、この問題における出題者・回答者双方のやり取りと解答への一連の流れだけをみても、やはりこの問題は特記するに値するものだと思います。 最後に良問推薦された時の皆さんのレスを紹介しておきます。 良問集!より: 210 名前: ウミガメ信者 投稿日: 2002/10/11(金) 01 08 50セントちゃり~ん問題とカネのありかを吐いたのに殺された男の話を推薦する。 ただし漏れは後で読んでこれはイイ!!とおもっただけなので、リアル参加の方のご意見伺いたい。 賛否が1:1くらいなら、良問入りさせてよいと個人的には思っているが 211 名前: ウミガメ信者 投稿日: 2002/10/11(金) 01 13 50セントちゃり~んに賛成。リアルタイムっす。 問題としては簡単な方だけど、参加者を話に巻き込む演出がすごく楽しかったね。 212 名前: 格上サングラス(6EPmc1Pg) 投稿日: 2002/10/11(金) 01 13 50セント問題、名無しで参加してました(w あれはひとつの形式としてとても面白かったから、良問入り賛成です 213 名前: ウミガメ信者 投稿日: 2002/10/11(金) 03 29 金のありかを吐いたやつって手話のやつ?あれ面白かったね。漏れも一票。 50セントちゃり~んはオリジナリティも含め一票。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1831.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370070429/ ―― 誰にだって苦手な人というものはあるでしょう。 例えば、昔から男性の視線を身体の一部分に感じてきた少女にとって、男性というのは苦手な相手になるでしょう。 またあまり人とベタベタするのが好きではない女の子にとって、必要以上に馴れ馴れしい相手には身構えしたくなるはずです。 或いは自分にとって唯一友人といっても良い相手と急速に仲良くなっていく姿を見て、 なんとなく嫉妬めいたものを感じるのもあり得ないとは言えません。 ―― そして、私にとって須賀京太郎という人はその全てを満たす人物でした。 「あー…終わったぁ…」 そう言って、須賀君は背もたれに大きくもたれかかりながら、大きく息を吐きました。 その顔に浮かぶ疲労感は根強く、彼がそれだけ集中していた事を感じさせます。 しかし、それだけではないのは須賀君が未だ麻雀に対して初心者だからでしょうか。 手探りながらでも、強くなっている実感にその頬を緩めているのが伝わってきます。 「お疲れ様。ほら」 「お、ありがとな」 だからこそでしょう。 一人ネト麻をやっていたゆーきがすぐさま須賀君に対してお茶を差し出しました。 それに一つ感謝の言葉を返しながら、須賀君はそっとそれを呷り、喉を潤していきます。 その様にゆーきが妙に嬉しそうな顔をする姿から私はそっと目を背けました。 ―― 須賀君はこの清澄で唯一と言っても良い男子麻雀部員です。 そして同時に唯一の初心者である彼はもうこの部活に馴染んでいました。 まるで最初からそうあるのが当然であったかのように、皆と距離を詰め、親しげに話すようになっていたのです。 唯一の異物と言っても良い立場を感じず、あっという間に馴染んだその様は私にとって理解できないものでした。 ―― 勿論…私にだって須賀君が悪い人ではない事くらい分かっています。 その軽口や金色の髪、そして不真面目そうな顔つきからは考えられないくらい真面目である事もまた分かっているのです。 麻雀に対しても真剣で、一局ごとに色んなことを吸収しようとしているのが伝わってきていました。 ですが、それでも…一足飛びに仲良くなっていっている軽々しい彼の様子はどうにも共感出来ません。 あまり友達が多いとは言えない私にとって、それは異物にも映るほどでした。 「『和』もお疲れ様。やっぱ強いな」 「…ありがとうございます」 私が彼を警戒する大きな理由が、その呼称でした。 今まで父親以外の男性にそんな風に呼ばれた事がない私にとって、それは違和感を感じさせられるものです。 ですが、ゆーきが名前呼びを許している以上、あんまり強く拒絶しても部内の雰囲気を悪くするだけ。 それが分かっているが故にいちいち、口に出しはしませんが…正直、そうやって馴れ馴れしく呼ばれるのは苦手でした。 「俺ももうちょっと勉強しないとな」 「京太郎の頭の出来じゃ幾ら勉強したってのどちゃんには敵わないじぇ」 「なんだと優希!」 「きゃー襲われるぅー」 そんな私からはほど遠いはしゃいだゆーきの姿に私は内心でそっとため息を吐きました。 確かにゆーきは前々からテンションが高く人懐っこい子ではありましたが、こんな風にはしゃいだ所なんて見たことがありません。 お淑やかという訳ではありませんが、その活発さは私が友人としてついていけるレベルに収まっていたのです。 しかし、今のゆーきにはそんな姿がまるで見て取れません。 まるで私の知らない部分を花開かせるような姿に胸に微かな痛みが走りました。 「ほら、はしゃいでないで片付けを手伝って」 「…ほら、優希の所為で怒られたじゃないか」 「今のは誰がどう考えても京太郎が悪いじぇ」 「仲ええなぁお前ら」 そんな二人の様子に先輩二人も微笑ましい視線を向けていました。 私も…そうするべきなのでしょう。 ですが、そう頭の中で分かっていても、私は二人からそっと視線を背け、逃げるように片づけを始めました。 ―― 本当は私にだって分かっているのです。 自分が須賀君に感じいているものの殆どは嫉妬なのでしょう。 自分の知らない友人の姿を引き出した彼に…私は嫉妬しているのです。 しかし、そうと分かっていても、自分の胸の内に横たわるようなぐちゃぐちゃした感情はなくなりません。 それに一つため息を吐きながら、私は荷物を纏め終わりました。 「あ、そうだ。どうせですし、親睦会でもやりません?」 「何がどうせなんじゃ?」 「俺の最下位脱出を記念して…なんてどうですかね?」 冗談めかして言う須賀君の顔には若干、誇らしそうなものが混ざっていました。 まるで子どものようなそれは今日初めて三位になれた事がよっぽど嬉しかったのでしょう。 褒めてもらいたそうなオーラを撒き散らすようにして、その笑顔を浮かべていました。 「そうね。そろそろ新入部員も望めない時期だし…いいかもしれないわ」 「よっしゃ」 「でも、最下位脱出記念…なんて情けない事言わずに早く一位になってみなさいよ」 「無茶言わないで下さいよぉ」 情けなさそうに言う須賀君に、部長さんもクスリと微笑みを浮かべます。 からかうように言っているだけで、決して本気という訳ではないのでしょう。 そもそも経験者ばかりの卓で初めて一週間ちょっとの須賀君が最下位を脱出出来ただけでも凄い事なのです。 それでもこうやってからかうのは、そうやってからかっても大丈夫な相手なのだという認識が部長さんの中にあるからでしょう。 「わしも今日は特に用事はないぞ」 「私も大丈夫だじょ。でも、親睦会やるならタコスがある場所が良い!」 「はいはい。後で携帯で探してやるから座っとけ。んで…和は?」 「…私…は…」 気軽にそう訪ねてくる須賀君の言葉に私はそう言い淀みました。 両親が共働きで忙しい私にとって、家に帰った後にやるべき事というのは少なからずあるのです。 しかし、一日くらいそれをサボったところで両親に何も言われたりしないのは目に見えていました。 だからこそ、ここで頷くのは何の問題もなく…私の理性もまたそうするべきだと訴えていたのです。 「…ごめんなさい。今日はやらなきゃいけない用事がありまして…」 しかし、私は思ったよりも感情的な人間であったのでしょう。 頭ではそうするべきだと分かっている事をねじ曲げて‥・そう嘘を吐いてしまいました。 そんな自分に胸の奥底からドロドロとした自己嫌悪が沸き上がってきますが、一度、口にした以上、どうにもなりません。 「そっか。んじゃ、親睦会は今度にしますか」 「そうね。やっぱり全員が揃ってこそのものでしょうし」 「あ…」 そんな私の嘘の所為で、親睦会そのものがなくなってしまう。 それに思わず声をあげましたが、かと言って何か出来る訳でもありません。 「私抜きでやって下さい」なんてあまりにも不自然ですし、私だってそれを望んでいる訳ではないのです。 私だって須賀君さえいなければ、喜んで親睦会に参加した事でしょう。 「…ごめんなさい」 「気にするなって。用事があるなら仕方ないし」 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、須賀君がにこやかにそう返しました。 そこには一片の悪意もなく、私の嘘に気づいた様子もありません。 だからこそ、良心の呵責を感じる私にゆーきが一瞬、気遣うような視線を向けました。 それに私は気づかない振りをしながら、ギュッとカバンを握りしめ、隠すように胸元へと寄せるのです。 「それじゃ和の時間も危ないでしょうし、今日はもう解散しますか」 「うぃっす」 部長さんの言葉に各々が頷きながら、解散する麻雀部。 その中で私とゆーきは途中まで帰り道を同じくしていました。 中学で一緒になってから、そのまま清澄に来た私達の家はそれほど離れていないのです。 方角的にはほぼ同じで、だからこそ、清澄に進学しても私たちの帰宅は常に一緒のままでした。 「…」 「…」 けれど、そこに本来あるべきにこやかな会話というものは一切ありませんでした。 勿論、普段であればゆーきの方から色々な話題を紡ぎ、場を和ませてくれるのです。 しかし、今の彼女からはそのようなアクションはありません。 代わりにゆーきは私の顔をチラリと見て、心配そうな表情を浮かべるのです。 ―― 本当は…私から何か言うべきなのでしょう。 しかし、ゆーきとは違い、あまり話題の豊富なタイプではない私に場を和ませるようなネタと言うのは思いつきません。 ましてや、今の私はさっき吐いた嘘への自己嫌悪がまだ止んでいないのです。 未だ思考がグチャグチャになり、気を抜けばため息を漏らしてしまいそうな私に…そのような余裕はありません。 悲しいかな、これまでずっと受け身であった事に対する経験値不足が、こうして土壇場で現れてしまっているのです。 「あの…のどちゃん?」 「…どうしました?」 夕焼けが差し込む春の帰宅路の中、二人で作る沈黙を破ったのはやっぱりゆーきの方でした。 しかし、その声にはいつものような快活さはなく、何処か伺うようなものです。 普段のゆーきからは到底、考えられないそれに私は心の中が強張るのを感じながら、そう返しました。 「のどちゃんは…京太郎の事嫌いか?」 「それは…」 そんな私の確信を突く言葉に、疑問は殆どありませんでした。 まるで確認するようなそれに…私が応えられるはずがありません。 だって、どれだけ私が鈍いと言っても、ゆーきが須賀君と仲が良いのは明白なのですから。 そんなゆーきの前で嫌いとはっきり言ってしまえば、誰よりも彼女の方が困ってしまうでしょう。 「……」 しかし、その一方で私はそれに対して否と応える事が出来ませんでした。 さっきはあんなに簡単に嘘が吐けたはずなのに、今の私の口は閉ざしたまま動きません。 そんな私の顔をゆーきは数秒ほど見つめてから、ゆっくりと口を開きました。 「…京太郎は良い奴だじぇ」 「分かってます…」 これが本当に嫌なだけの人であれば、私はこんなにも思い悩む事はなかったでしょう。 しかし、彼はこうして一週間ちょっとで皆と仲良くなりました。 同じ女であり経験者である私の方が浮いているようにも感じられるその速度は、ゆーきが言う通り、彼の人徳がなすものなのでしょう。 しかし、だからこそ、私は自分とはまったく違う生き方をしてきた彼を認められず、どうしても彼に対して身構えてしまうのです。 「…ああやってのどちゃんに構うのだって、本当は仲良くなりたいからなんだ」 「分かって…ます…」 須賀君はとても良い人です。 それこそ…部活にまだ馴染み切れていない私に対してお節介をするくらいに。 ああやって親睦会と言い出したのも、決して自分が褒めて欲しいからだけではないのでしょう。 勿論、それが一片もなかったとは言いませんが… 私が見せるぎこちなさを解消しようというのが主目的だったのは皆の姿からも伝わっていました。 ―― だって…部長さんと染谷先輩の都合が合うなんて滅多にないんですから。 部長さんは学生議会議長として忙しいですし、染谷先輩は実家の手伝いがあります。 勿論、お互いに部活の時間は捻出くれていますが、片方がいない日も珍しくはありません。 少なくとも、部活後の余暇が揃って空いている日なんて言うのはこの一週間ちょっとの間には一度もなかったのです。 それなのにたまたま口にした親睦会に出られるか怪しい二人が、たまたま大丈夫だなんて簡単に信じられるはずがありません。 ―― 誰がこれを考えたのかは分かりませんが…。 しかし、その目的は私が一方的に須賀くんへと抱いている苦手意識の解消であるのはほぼ間違いありません。 何せ、わざわざ親睦会なんてやらずとも、既にゆーきも須賀君も十分過ぎるくらいに麻雀部に馴染んでいるのですから。 当時は冷静さを失って、そんな事にも気づきませんでしたが…少しは頭も冷えた今ならば、それを察する事も出来ました。 「…それでものどちゃんが京太郎の事が苦手だって言うんなら…私から伝えるじぇ」 「えっ…」 しかし、ゆーきのその言葉は私にとって予想外もいいところでした。 だって、それはゆーきにとってとても辛い言葉なのですから。 仲の良い二人が不仲のまま放置するだなんて根が人懐っこい彼女にとっては到底、耐えられる事ではないでしょう。 「のどちゃんに無理して貰いたくはないし…」 「ゆーき…」 そうやってそっと肩を落とす彼女に…私は今回の仕掛け人が彼女である事に気づきました。 思えば須賀君が三位になった時もゆーきはかなり彼の事を援護していたのです。 普段から集中力を切らして後半から失速する気来がある彼女のミスだと思っていましたが、どうやらそれはキッカケ作りのものだったようです。 それに感謝と共に申し訳なさを感じながら、私はそっと口を開きました。 「…大丈夫…ですよ」 「のどちゃん…」 その言葉は自分でも思った以上に硬いものでした。 まるで無理している事をアピールするようなそれにふと肩を落とします。 しかし、それでも私はもうその言葉を撤回するつもりはありませんでした。 この長野で唯一と言っても言い友人をここまで悲しませて、そのままになんて出来ません。 せめてゆーきが動いてくれた分は…私もまた誠意を見せなければいけないでしょう。 「ちょっとずつになると思いますけれど…でも、頑張りますから」 とは言え、すぐさまその成果が出るなんて私も思っていません。 まだ彼に対する苦手意識がなくなった訳ではありませんし、警戒心も残っているのですから。 やる気になったとは言え、未だ残るそれらを解消していくのに時間が必要なのは目に見えていました。 「…本当?無理してない?」 「無理なんてしてません」 嘘です。 本当はちょっぴり虚勢を張っています。 けれど、それを口にするような情けない真似をゆーきの前で見せたくはありません。 だって、ゆーきはこうやって私に伺うように言うくらい私に心砕いてくれていたのですから。 それに対して何のアクションも取っていない状態で、弱音なんて口にしたくありません。 「でも…ダメだった時はフォローしてくださいね」 「勿論だじぇ!」 私の言葉にゆーきはニコリと笑いながら、握り拳を作りました。 ゆーきらしいその明るい笑みに私もまた釣られて笑みを浮かべてしまいます。 そうやってお互い笑いあった瞬間、私たちは何時もの分かれ道へと着いてしまいました。 「もしセクハラされたら私にすぐ言うんだじぇ!私がコテンパンにしてやるからな!」 「ふふ…ええ。その時はお願いしますね」 シュシュッと自分で口にしながらシャドーボクシングの真似事をするゆーき。 その背中が夕日が照らす道の向こうへと消えるのを見送ってから、私もそっと歩き出します。 その心の中にはさっきまでの自己嫌悪はなく、なんとなく気持ちも晴れやかです。 それを消して私に前へと向く勇気をくれた彼女に心の中で感謝を告げながら、私は夕飯の準備をする為にスーパーへと向かったのでした。 …… ………… ……………… ―― とは言っても、そう簡単に自分の心を変える事なんて出来ません。 そう思い知ったのはさらに数日後の休日の事でした。 アレから須賀君は私に何度も話しかけてくれていましたが、やっぱりぎこちない反応ばかり返してしまうのです。 勿論、以前からは多少、態度も柔らかくなったと自負していますが、それはきっと私だから分かる事なのでしょう。 実際、私の対応に須賀君はたまに傷付くような反応を見せるようになっていました。 ―― 本当…仲良くなるのって大変です…。 気性があまり積極的ではないのと、これまで転校が多かった所為もあって、私には数えるほどしか友人と言えるような人はいません。 しかも、そんな彼女らと知り合えたのは彼女たちの側から積極的に構ってくれていたからでした。 運良く自発的に動かないままかけがえのない友人を作れた私にとって、積極的に誰かと仲良くなるというのは初めての挑戦です。 ―― まだ…諦めた訳ではありませんけれど…。 まだ挑戦した回数も少なく、成果が出るような期間、続けた訳ではないので諦めるつもりはありません。 しかし、その一方でこれまで積極的に私へと関わってくれたゆーきたちの凄さを肌で感じる日々でした。 気性の違いという言葉では説明しきれないそれに改めて彼女たちへの感謝を感じるほどです。 ―― その一方で…焦りのようなものを感じているのですけれど。 そんな彼女たちとは対照的に、まったく遅々として進まない私と須賀君の関係。 勿論、こういったコミュニケーションの経験値が少ない私が焦っても仕方のない事なのだと分かっています。 しかし、自分の知る彼女たちの堂々とした姿と自分の情けない姿というのはどうにも比較してため息を漏らしてしまうのでした。 「…はぁ」 そうやって私がため息を漏らすのは昼下がりの駅前広場です。 今日も両親は仕事で帰ってこず、一人で食事や家事を済ませなければいけません。 けれど、それをする為に必要なものを幾つか切らしており、こうして買い出しに出てきた訳です。 ―― 普段はそんな事ないんですけれどね…。 基本的に日用品の類は切らす前に補充するようにしていました。 しかし、ここ最近は良くも悪くも須賀君との事で頭がいっぱいでろくにチェック出来ていなかったのでしょう。 お陰でこうして切らしていた事にも気づかず、なくなってから買い物に出る羽目になったのです。 勿論、私も女の子なので買い物そのものは嫌いではありませんが、 そうやってちょっとした事で余裕をなくしてしまう自分が何とも情けなく思えるのでした。 「ねぇ、そこの君」 「…え?」 そんな私に話しかけてきた声に私は思わず聞き返しながら視線をそちらに向けました。 そこに居たのは何とも怪しいワインレッドのスーツを来た青年です。 恐らくですが、年の頃は20ちょっとといったところでしょう。 その顔はまだ若々しく、顔立ちも爽やかそうな好青年に見えました。 ―― …嫌な感じです…。 しかし、それに対して好意的なものを感じないのはそこににやついたものが張り付いていたからでしょう。 まるで下心が滲み出るようなそれを私は決して見間違うはずがありません。 これまでそんな男性の視線や表情に晒され続けていた私には、そういった感情は敏感に伝わってくるのです。 どれだけ爽やかそうな顔に隠したとしても、それは変わりません。 ―― だから…男性なんて…嫌いなんです…。 そんな青年の興味が私の一部分 ―― 人並み以上に育った胸にあるのは分かっていました。 さっきからその視線はチラチラと私の胸に向けられ、その度に下卑た下心が強くなっていくのを感じるのですから。 そして…それは何もこの人に限った話ではありません。 私の知る男性というのは父親というものを除いて…同じような反応を見せるのですから。 勿論、この人のように露骨な反応は珍しいものの、多かれ少なかれ男性は私の胸をジロジロと見るのです。 「君、綺麗だねー。何処の子?」 「…急いでいますんで」 そんな青年から逃げようと足を早めますが、彼はずっと私の横に付き纏っていました。 それに突き放すような言葉を向けますが、彼は諦める事はありませんでした。 一見、爽やかそうな表情をその顔に貼り付けながら、下卑た視線を私へと向け続けるのです。 そのあまりの不快感に吐き気さえも覚えましたが、青年はまったく構う様子はありません。 馴れ馴れしく様子で私へと話しかけ、私の中の不快感を刺激するのです。 「ねぇ。人助けと思って話だけでも聞いてくれない?」 「お断りします」 勿論、私はこの人の人となりは分かりません。 しかし、その性根が決して褒められたものではないのははっきりと伝わってくるのです。 そんな人の話を進んでいくほど私はお人好しでも世間知らずでもありません。 きっとろくでもない話であるのは分かっているのですから、一刻も早くこの人から開放されたいのが本音でした。 「そう言わずにさー。君ならきっと思いっきり稼げるって」 「~~っ!」 瞬間、ぐっと手首を掴まれる感触に私の頭の中は不快感で一杯になりました。 気持ち悪い。汚い。嫌だ。 そんな感情が奥底から沸き上がって、思考が滅茶苦茶になってしまいます。 代わりに不快感に反応した私の感情が、その身体を動かしてその頬を張り倒そうとして… ―― 「あっれー?カレンじゃん。こんなところでどうした?」 「え…?」 そんな底抜けに脳天気な声。 聞き覚えのあるそれに身体が硬直し、視線がそちらへと惹きつけられます。 そこにいたのはラフな私服に身を包んだ須賀君でした。 いつも通りの軽い感じで近寄ってくる彼に私は反応できず、私は呆然と須賀君を見つめていました。 ―― だって私は…カレンなんて名前ではないのですから。 勿論、人違いなんて事はありません。 私も須賀君もお互いに目立つ容姿をしているので、見間違えるはずがないのですから。 例え、世の中に自分のそっくりさんが複数いると言っても、こんな長野の片田舎で出会う事はまずないでしょう。 「んで…この人誰?なんで俺の恋人の手ぇ握ってる訳?」 「え…あ…」 瞬間、ギロリと睨めつける須賀君の雰囲気は何時もとまったく違いました。 普段は軽そうな容姿の中に熱意と真面目さを混じらせる須賀君からは想像も出来ないくらい荒々しいものだったのです。 まるで本当に性根まで不良になってしまったようなそれに私の身体は強張り、どうして良いか分からなくなってしまいました。 「アンタ何処の人?まさか浮気相手とかじゃないよな」 「いや…俺は…」 「そうじゃないならとっととどっか行ってくれないか?」 「…分かった」 凄むような須賀君の言葉に青年はそっと手を離して去っていきました。 何処かおずおずとしたそれは気圧されていると言うよりは面倒になったのでしょう。 さり際に舌打ちをするその様には反省の色がまったく見えません。 それに一つ胸の奥で怒りが湧き上がるのを感じた瞬間、私の腕はそっと引っ張られました。 「…ついでだし、ちょっとお茶しようぜカレン」 「あ…」 そう行って私の手を握る須賀君の手は、熱いものでした。 微かに手汗が浮かぶそれはきっと緊張していたが故なのでしょう。 格好からして明らかに堅気の人ではなかったのですから…それも当然です。 実際、周囲には人がいたにも関わらず、割り込んできてくれたのは須賀君だけでした。 その上、普通ではない相手を凄んで退散させたとなれば、手汗の一つもかくでしょう。 ―― でも…嫌じゃ…ないです…。 これがさっきの青年の手だと思ったら、今すぐ振りほどきたくなります。 しかし…これが私を不器用ながらも助けてくれた人の手だと思ったら、振りほどくのが悪い気がしました。 勿論、ベタつく手汗は不快ですし…男性に手を握られていると思うと居心地が悪くなるのは変わりません。 ですが、どうしても振り解く気にはなれず、私は素直に彼の後ろに着いて行きました。 「ほんっっっっっっっっっとうにごめん!!!!!」 「あ…」 そんな私達が広場から離れ、住宅地へと足を踏み入れた瞬間、須賀君は私の手を離し、がばっと頭を下げました。 今にも土下座しそうなその勢いに私は何を言って良いのか分かりません。 そもそも、未だ状況の困惑から立ち直り切れていない私には須賀君が何に対して謝罪しているのかさえ分からなかったのです。 「な、何で謝るんですか…?」 「勝手に手を繋いだ挙句、恋人呼ばわりしたら…そりゃ怒るだろ」 それを素直に口にする私の前で、須賀君は顔を下げたままそう返しました。 しかし、私はそれに対して怒りも何も持っていません。 幾ら私でもそれが私を助ける為の方便だと言うのは分かっているのです。 それを無視して彼に謝罪を求めるほど私は恥知らずな女ではありません。 「しかも、手汗ベタベタで気持ち悪かっただろ?あぁ…もう…せめてちゃんと拭いときゃよかった…」 「…クスッ」 後悔するようにそう付け加える須賀君の言葉に余裕はまったくありませんでした。 もしかしたら、私以上に今の状況に動揺しているのは須賀君かもしれない。 そう思うと妙に微笑ましくなって私の口から笑みが漏れてしまいます。 まるで…ゆーきの時と変わらないリラックスしたそれに自分で違和感を感じた瞬間、須賀君の顔ががばりと上がりました。 「今、和笑った!?」 「え…?」 「あー…くっそ…見逃したかぁ…」 残念そうに言いながら、須賀君はその頬を僅かに掻きました。 何処か罰が悪そうなそれはまるで悪戯がバレた子どものようです。 まるで大きな子どものようなそれに私が微笑ましいものを感じた瞬間、須賀君が漏らすように口にしました。 「優希の奴が和の笑顔を絶賛するから一度、見てやろうと思ってたんだけどなぁ…」 「…ぜ、絶賛って…」 ゆーきが私の事を必要以上に持ち上げるのは別に今に始まった事じゃありません。 しかし、そうやって他人にまでそれを口にしていると思うと顔に熱が集まるのを感じます。 カァァと羞恥を示す自分を見られるのが嫌でついつい視線を背けますが、須賀君の視線が私から外れる事はありませんでした。 「と、ともかく…別に私は怒ってなんてないですから」 「それなら良いんだけど…でも、悪かったな」 そんな須賀君を誤魔化すように口にする私に彼は再び謝罪の言葉を口にしました。 私は良いと言ったのに再び告げられるそれは彼が本当に気に病んでいるのを感じさせます。 それは恐らく私がこれまで須賀君と碌な信頼関係を構築出来ていない所為なのでしょう。 恐らく…ゆーき相手なら、彼がこれまで気に病む事はない。 そう思うと自分が逃げてきた現実を突きつけられるようで、なんとなく重苦しいものを感じました。 「それで…和は何をするつもりだったんだ?」 「えっと、お買い物に…」 それでも須賀君に応える声は何時もよりもスムーズなものでした。 さっき助けられた事で心を許すようになったのか、或いはまだ自分の心が混乱しているのか。 どちらかは自分にも分からない私の前で、須賀君は申し訳無さそうな表情を浮かべました。 「あー…それじゃ俺も付き合って良いか?荷物持ちくらいならするし」 「え…でも…」 「アイツがまた狙ってきたら面倒だしさ」 そう付け加える須賀君の言葉に私の背筋はブルリと震えました。 胸の底から蘇るような気持ち悪さに恐怖混じりの寒気を覚えるのです。 それに私は反射的に自分の身体を抱きしめますが、それは中々、なくなってはくれません。 もし、あの時に須賀君が現れなければどうなっていたかと考えるだけで…恐ろしくて堪らなくなるのです。 「あ…悪い。怖がらせるつもりはなかったんだ」 「い、いえ…」 そんな私に謝罪の言葉を向ける須賀君に、私は首を振りました。 確かに須賀君の言葉で恐怖が蘇ってきたのは事実ですが、それは私を護る為。 最悪の事態を考えての事なのですから、悪い事はありません。 寧ろ、それをまったく考慮していなかった私の方が油断しすぎと言われるべきでしょう。 「でも…須賀君は良いんですか?」 「あぁ。俺はどうせ暇つぶしにTUT○YAに寄るだけのつもりだったし」 そうあっけらかんと返す須賀君の表情に嘘はありません。 どうやら本当に暇つぶしの為に出かけていたみたいです。 それで丁度、私のピンチを救ってくれたなんてまるで少女漫画か何かみたいで現実感が湧きません。 しかし、今もまだ私の中に残る不快感がさっきの出来事を嘘だと思わせず…私に小さくうなずかせるのです。 「じゃあ、お願いします」 「あぁ。ドーンと任せてくれよ、お姫様」 「お、お姫様って…」 そう返す須賀君の言葉に私の顔は再び朱を混じらせました。 羞恥の色を強くするそれは仕方のない事でしょう。 誰だって突然、男性にお姫様呼ばわりされたら照れるか怒り出すものでしょう。 そして、私に怒るほどの気概なんてなく、こうして羞恥に頬を染めてしまうのでした。 「女の子は誰でもお姫様なんだって幼馴染が言ってた」 「そんな訳ないじゃないですかもう」 キリリと顔を引き締めて自慢げに言う須賀君に呆れるようにそう返しました。 けれど、そこに嫌なものが混じっていないと思うのは…きっと気のせいではないのでしょう。 だって、私の顔は何時もよりもリラックスして…自然に笑みを浮かべられているのですから。 流石にゆーきに対するものほどではなくても…昨日までのように強ばってはいません。 ―― このままいけば…少しは改善出来るかもしれません。 不幸中の幸い…なんて言えるほど何かトラブルがあった訳ではありませんが、しかし、今の私の状態は僥倖と言っても良いくらいでした。 強張ってぎこちない返答を返す事はなく、幾分、素直に感情を表す事が出来るのですから。 それが何時まで続くのか分かりませんが、今の間に距離を縮めておくのは悪い事ではないはずです。 ―― 須賀君は意外と買い物に手馴れていました。 いえ、より正確に言うのであれば、『誰かと買い物に行く事に慣れていた』のです。 ほんの小さな事でも話題を見つけ、話し出してくれるのですから。 基本的に私は頷いたり、須賀君の質問に答えるくらいでしたが、それでも彼の隣に居て退屈はしませんでした。 いえ…一人で手早く済ませるはずの買い物が意外に伸びて、 夕方前までズレこんでしまった事を考えれば…私はそれをきっと楽しんでいたのでしょう。 「いやー色々と買ったな」 「…すみません」 そろそろ日も落ちてしまいそうな住宅地で、私はそう謝罪の言葉を紡ぎました。 それは勿論、私が買ったものの殆どを須賀君が持ってくれているからです。 私も幾つか手荷物を持っていますが、それは須賀君の運んでくれている量とは比べ物になりません。 自分の持つ手提げのカバンよりも多少、重い程度なのですから。 「あ、違うんだ。一家まるごとってなるとこれだけ買うもんだなーって思ってな」 それを軽々と運ぶ須賀君の顔は晴れやかでした。 昨日まで私に向けられたものよりも幾分、明るいそれは彼の中の緊張が解けている事を感じさせます。 流石にゆーきに対するそれよりもまだ距離がありますが、以前のように傷ついた様子を見せる事はありません。 ―― そして…それは私も同じでした。 ほんの数時間。 たったそれだけの時間を須賀君と過ごしただけで私は以前のような嫌悪感を捨て去っていました。 勿論、男性という事なので完全に警戒心をなくした訳でもありません。 実際、須賀君もたまに私の胸をチラリと見て、すぐさま視線を背けるのですから。 しかし、それに関して呆れながらも「仕方がない」と思う程度には、私は須賀君に心を許し始めていました。 「買い置きを切らしちゃってたので…」 「はは。和もたまにはそういうミスをするんだな」 「ぅ…す、須賀君には言われたくありません。…この前もチョンボしてたじゃないですか」 「うぐ…まぁ、その通りなんだけど…」 とは言え、私はまだ須賀君との距離を測りかねているのが現実でした。 ゆーきに対してはもうちょっと素直になれるのについそうやって意地を張ってしまうのです。 勿論、それはからかうような須賀君の言葉にも、私の負けず嫌いな気性にも原因があるのでしょう。 そうは思いながらも、中々、それを改善する事が出来ませんでした。 ―― こんなので…良いんでしょうか…? 今まで生きてきた中で原村和という少女はこんな風に意地を張る少女ではありませんでした。 自分で言うのも何ですが、基本的に感情の起伏は少ない方であり、落ち着いていたはずなのです。 しかし、それがまるで嘘みたいに須賀君の前だと意地を張ってしまう。 まるでゆーきのように自分の違う部分を引き出されるような感覚に違和感と疑問を覚えていました。 「実際、意外だったんだよ。和って何でも完璧なイメージがあったし」 「そう…でしょうか…?」 勿論、私は完璧でも何でもありません。 寧ろ、ドン臭くて色々と失敗も多い方なのですから。 実際、須賀君に対しては失敗ばかりでもう目も当てられないくらいなのです。 さらに、距離と関係を測りかねている事を思えば、完璧なんて程遠い言葉でしょう。 「はは。まぁ、勝手なイメージだったってのは今日の事で良く分かったよ」 「む。それどういう意味ですか?」 しかし、そう思いながらも、からかうような須賀くんの言葉は看過出来ません。 元が負けず嫌いなのもあってついつい強気な言葉を向けてしまうのです。 それに須賀君はクスリと笑いながら、口を開きました。 「何処にでもいる普通で可愛い女の子って事だよ」 「か、可愛いって…」 その外見にそぐわない軽い言葉に私の頬はついつい赤くなってしまいます。 勿論、須賀君がそれを冗談で言っている事くらい私にだって分かっていました。 文脈的にも、そして微かににやけたその表情も、それを示しているのですから。 しかし、それでも私の紅潮はなくならず、ついぷいっと顔を背けてしまうのでした。 「そういう所が可愛く見えるんだよな」 「も、もう!そ、そういう事言わないでください…!」 そんな私を微笑ましそうに見る須賀君に私は強い言葉を放ちました。 しかし、須賀君の視線は私から外れず、赤くなった顔を見られてしまうのです。 それを隠したいという欲求が湧き上がりますが、しかし、私の両手も荷物で塞がっていました。 代わりにこれみよがしに大きなため息を吐きましたが、須賀君の微笑ましそうなそれが強くなるだけでした。 ―― あの人に言われても…こんな風にはならなかったのに…。 あの広場で出会ったしつこい青年にも私は可愛いと言われていました。 しかし、それは不快感を煽るだけの言葉でしかなく、気恥ずかしさに繋がる事などなかったのです。 ですが…須賀君に言われると妙に胸の中がムズムズとして居心地が悪くなってしまうのでした。 不快感とはまた違ったその何とも言えない感覚に私は一つ決意しながら、須賀君の方へと向き直るのです。 「私も今日、一つ分かった事があります」 「ん?」 「…須賀君は割りと外見通りの性格をしてるって事です」 仕返しをするように放った言葉は割りと本心でした。 少なくとも軽い性格でなければ、こうも簡単に女の子の事を可愛いだなんて言わないでしょう。 勿論、それを差し引いても真面目で一生懸命な性格をしているとは思いますが、やっぱりその軽さは否定出来ません。 それが嫌であるかはまた別問題ですが、私の中で須賀君はもう『軽い人』にカテゴライズされたのでした。 「可愛い子に可愛いと言って何が悪いのか。いや、ない」 「何やら断言してますけれど…それは決して一般的ではないと思いますよ」 きっぱりと自信満々に言い放つ須賀君に私はジト目と共にそう言いました。 しかし、彼の無意味に自信に溢れた姿は決して揺るぎません。 どうやらこの程度では彼のポリシーは変わらないようです。 別に変わって欲しいなどと分不相応な事を思っていた訳ではありませんが、ここまで意思が硬いといっそ呆れてしまいます。 「でもさ。それなら誰にだったら可愛いって言っても良いんだ?」 「そ、それは…」 純粋に尋ねてくる須賀君に私は思わず言葉を詰まらせました。 確かに可愛いと思った相手に可愛いと言わなければ、誰にだって言えません。 正直が無条件に肯定される訳ではありませんが、さりとて嘘を吐く事が正しい訳ではないでしょう。 そんな私にとって一つだけその言葉を肯定出来る関係が浮かびあがりましたが、それを口にするのは中々に勇気がいる事でした。 「こ、恋人…とか…ふ、夫婦とかです!」 「かーわーいいー」 「う、うぅぅぅ…」 それでも勇気を振り絞って口にした私の前で須賀君はニコニコと笑いながらそう言います。 何処か冗談めかしたそれは、私にとって予想通りなものでした。 これまでの須賀君とのやり取りを考えれば、そうやってからかわれるのは目に見えてたのですから。 しかし、それでも、こうしてからかうように言われるとまた胸の奥底から恥ずかしさが沸き上がってくるのです。 「でも、それなら、恋人になりたい!って思ってる子が居ても、可愛いって言っちゃいけないのか?」 「そ、その辺りは…ふ、二人の親密度によるんじゃないでしょうか…」 そんな私に再び尋ねてくる須賀君の言葉に私は曖昧な言葉でそう誤魔化してしまいました。 そもそも何かはっきりとした目安があって、こんな事を言っている訳ではないのです。 私が口にしているのはあくまで自分の価値観であって、絶対的に正しいものではないのですから。 そんな風に突っ込まれても困る訳ではありませんが、曖昧な答えしか返す事が出来ないのです。 「わざわざ告白なんてしなくても、恋人に近い親密度なら可愛いって言っても良いって事か?」 「え、えぇ。それくらいだったら…まぁ…」 ですが、そんな私の言葉でも、須賀君は一応の納得はしてくれたようです。 特に具体的な何かを示した訳ではない私の言葉に神妙そうに頷いていました。 その姿を見る限り、さっきの言葉は私を虐める為ではなく、単純に疑問を口にしていたのでしょう。 何処か子どもっぽいそれが妙に可愛らしく思えた私はそっとその頬を緩め… ―― 「じゃあ、和にとって『可愛い』ってのは告白に近い言葉なんだな」 「ふぇ!?」 瞬間、告げられる須賀君の言葉に私はマヌケな声を返してしまいました。 だって、それは私が須賀君の事を可愛いと思っていた事を見抜いているようなタイミングだったのです。 そんなオカルトなんてあり得ないと分かっていても、ついつい心臓がドキンと跳ね、動悸も激しくなってしまいました。 「和?」 「あ…ぅ…そ、そうです!そういう事です!!」 そんな私を心配そうに尋ねる須賀君に私は強くそう言い放ちました。 それに須賀君が首を傾げるのが視界の端で囚えましたが、そちらを見る事は出来ません。 何せ、今の私の心臓はバクバク鳴って、頭の中も冷静ではないのですから。 ゴチャゴチャになった今の状態で須賀君を見れば、また変な事を言われるかもしれません。 「だ、だから、もう可愛いとか言わないで下さい」 「えー…でもなぁ…」 それを防ぐ為に先手を取るように口にした言葉。 それに須賀君は迷うように言いながら、視線をそっと彷徨わせました。 何処か迷うようなそれは数秒ほど続き、私達の間に微妙な沈黙を流します。 「俺は和ともっと親密になりたいし」 「ふぇ…?」 瞬間、告げられる予想外の言葉に私はそう問い返しながら、須賀君へと視線を向けました。 そこには私と同じくらいに頬を赤く染めながら、視線を真正面に固定する彼の姿があるのです。 さっきまで可愛いと気軽に口にしていた彼と同一人物とは思えないそれに思わず私の胸はトクンと脈打ちました。 自分でも一体、何なのか分からないそれに疑問を感じる間もなく、私の思考は真っ赤に染まってしまいます。 「な、なな…ななななな…っ!」 しかし、そんな私が紡ぎ出そうとする言葉はロクに意味を持ちませんでした。 ただの音の羅列でしかないそれに私自身の混乱と困惑が深まっていきます。 それも…仕方のない事でしょう。 だって、私が今、されたのは遠回しの告白も同然なのですから。 勿論、それそのものでは特に深い意味はないただの独り言です。 しかし…これまでの『可愛い』連呼や、価値観のすり合わせを経た今、告げられるそれは告白以外の何者でもなくって… ―― 「ば…っ!ち、違うって!べ、別に恋人になりたいとかそんなんじゃなくってな!」 「だ、だだだ…だって…」 それを須賀君が否定しますが、中々、信じる事は出来ません。 だって、さっき恥ずかしそうに口にしたそれは…私からすれば『可愛い』よりも遥かにハードルの低いものなのですから。 それをどう捉えられるかを知っていなければ、あそこまで逡巡する必要はないでしょう。 少なくとも私の価値観ではそうとしか捉えられず、こうして否定めいた言葉を口にしてしまうのです。 「お、俺はただ…和とも友達になりたいだけだ」 そんな私の前で須賀君が平静を取り戻し始めました。 その言葉にはまだ気恥ずかしさが残っているものの、さっきのような逡巡や困惑はありません。 そして、そんな彼に引っ張られるように私もまた少しずつ冷静に戻り、須賀君の言葉を素直に咀嚼できる余地が生まれるのです。 「友達…?」 「そ。折角、部活が一緒になったんだから、部活仲間ってだけじゃ寂しいだろ」 あっけらかんと口にする須賀君の言葉は私にとって大きな衝撃でした。 それは私にとってはあまり馴染みのない…いえ、もっと言えば、まったくなかった考え方なのです。 勿論、それは部活が一緒になった仲間のことを軽んじているからなどではありません。 私にとって先輩二人も…そして中学の頃の後輩たちもすべからく大事に思っているのですから。 ―― …でも、それはあくまで『部活仲間』としての範疇です。 勿論、彼女たちに何かあれば、私も協力するでしょう。 しかし、それが友達かと言えば、私の中では首を傾げざるを得ません。 何かあった時に手を貸すのは吝かではありませんし、率先して動くでしょうが、それは私の中では友達ではありません。 やっぱり『部活仲間』としての括りで纏まっているのです。 ―― でも…須賀君は違う…。 いえ、もっと言えば、多分、ゆーきも同じタイプなのでしょう。 人懐っこく社交的な彼女は私以外にもたくさんの友人を持っているのですから。 それはきっとこうやって誰かと仲良くなる事を肯定的に、そして日常的に行えるからでしょう。 そう思うと…とても疎外感めいたものを感じて、妙に寂しくなってしまうのでした。 「まぁ、和は美人だし、下心がないとは言わないけどさ」 「…やっぱりあるんじゃないですか…」 「しょうがないだろ。その辺は男なんだし、可愛い子を見かけたらお近づきになりたいって思うのが普通だって」 まるでそれを隠す事ではないと言わんばかりにカミングアウトする須賀君に私はジト目を向けました。 しかし、彼の調子は変わらず、その表情も当然だと告げるようなものから変わってはいません。 一体、何処の『普通』かは分かりませんが、それは須賀くんにとってごくごく当然の事のようです。 それに一つ理解できないものを感じた瞬間、私の視界に自宅の姿が入って来ました。 「あ、あそこが私の家です」 「そっか。悪いな。ここまで来ちまって」 そう須賀君が謝罪するのは私の家を知ってしまったからなのでしょう。 けれど、今更、その程度を気にするほど、私は須賀君を嫌悪してはいませんでした。 そもそも、彼が私の家を知ったからと言っていかがわしい事を企むような人とは最初から思っていません。 私が須賀君を警戒していたのはそういう事ではなく、もっと根本的なものなのですから。 「いえ…それよりこちらこそ荷物持ちをさせてすみません」 「これくらいお安いご用だって。それに和と仲良くなれるって役得もあったしな」 「もう…軽すぎですよ」 そうは呆れるように言うものの、正直、須賀君の言葉は同感でした。 色々ありましたが、こうして関係が正常化へと進んだのは何よりだと私も思っているのですから。 流石にそれを役得だと称するのはちょっと違う気もしますが、まあ、そう言われて悪い気はしません。 須賀君もまた私と仲良くなろうとしてくれているのが伝わってくるのですから当然でしょう。 「さて…それじゃここまで来たらもう変わらないし、扉の前まで運ぶけど…」 「…折角ですし、お茶を飲んで行きませんか?」 「んー…」 須賀君はここまで荷物を運んでくれただけではなく私のボディーガードも兼ねてくれていたのです。 そもそも最初助けてくれたお礼もまだちゃんとしていませんし、ここはお茶の一杯でもお出しするべきでしょう。 そう思っての言葉は須賀君の迷うような声に打ち消されてしまいました。 てっきり二つ返事でうなずかれると思っていた私はそれに微かな驚きを感じます。 「いや、止めとくよ。親御さんいないのに男あげるのはまずいだろうし」 「でも…」 その風貌からは想像も出来ないくらい真面目な言葉に私は思わずそう返してしまいました。 私だって須賀君の言葉がある意味では正しいという事くらい分かっているのです。 ですが、それでもここで何も返せないまま、須賀くんと別れるのはやっぱり心苦しいものがありました。 今日は私がお世話になりっぱなしだった分、少しくらいはお礼がしたいのです。 「あー…じゃあ、今度一緒に買物に付き合ってくれないか?」 「買い物…ですか?」 そんな私に須賀君から齎された条件は、首を傾げるものでした。 だって、私たちはついさっき一緒に買物に出かけたばかりなのですから。 何か欲しいものがあったのなら、その時に買えば良かったのです。 しかし、それでもこうして日をあらためて口にするのは… ―― 「ま、まさか…で、デート…ですか?」 「そうだって言ったらどうする?」 「ぅ…それは…」 意地悪そうな須賀君の言葉に私はどう応えていいか分からなくなります。 し、正直、まだデートとかそういうのは早いと思いますし…ま、まだ人となりも分かっていません。 いえ…そ、もそもそういう事を理解する為のデートなのかもしれませんが、 で、でも、まだ出会って10日ちょっとでそれは…あまりにも早すぎではないでしょうか。 ですが…私の買い物に付き合ってくれたのに…須賀君の買い物に付き合わないて言うのはおかしな話ですし… ―― 「はは。冗談だよ」 「え…?」 「幼馴染が新しいブックカバー欲しいって言ってたからそれを和に選んで欲しかっただけだ」 「ぅ…」 瞬間、ようやくからかわれたという事を悟った私の顔が赤く染まっていきます。 けれど、それはさっきとは違い、羞恥と共に悔しさを強く秘めるものでした。 それはきっと今の私の狼狽がさっきとは比べ物にならないほど大きいものだったからなのでしょう。 そう冷静に理解しながらも私の感情は止まらず、ついつい強い力を込めて唇を開いてしまうのでした。 「す、須賀君!!」 「おぉ、怖い。んじゃ、コレ以上、怒られない内に退散するわ」 「あ…」 そう言って須賀君は私の家の前にあるポストにそっとビニール袋をかけました。 そのまま早足でさっさと立ち去っていくその姿に私は何を言えば良いのか分かりません。 怒っていたのに呼び止めるのは変ですし、かと言ってこのまま見送るのも何か違います。 しかし、そうは思いながらもからかわれていた困惑から中々、立ち直る事の出来ない私の口からは中々、言葉が出て来ませんでした。 「あ、ありがとうございました!」 数秒後、私の口から出てきたのは結局、何の変哲もないお礼の言葉でした。 本来であればもっと早くに口にするべきであったそれに須賀君は振り返らずに右手をあげてパタパタと振りました。 何処か格好つけているようにも見えるそれに私の悔しさは萎えていき、クスリと小さな笑みを浮かべます。 それは須賀君の姿が曲がり角の向こうに消えるまで続いていました。 「さて…と…」 そうやって須賀君を見送った後は、荷物を家へと搬入し、片付ける作業が残っています。 しかし、日頃からそれをやっている私にとってそれは決して苦痛ではなく、ごく普通なものでした。 それに今日は色々と嬉しい事もあったので足取りは軽く、しなければいけない家事もするすると進んでいきます。 勿論、それは別に須賀君にデートに誘われたからなどではなく、と言うかそもそもアレはただの買い物で… ―― ―― あれ…そう言えば… そこでふと思い至ったのは須賀君が私を買い物に誘った理由でした。 幼馴染にブックカバーを買うのに…女の子を連れて行く…と言うのは一体、どうしてなのか。 そもそも未だに交流がある幼馴染というくらいならば趣味も把握している事でしょうし、相手の趣味も知らない私を誘うメリットなんてありません。 それでも…こうして私のことを誘ったのは…恐らく…その幼馴染が…須賀君とは違う存在だからなのでしょう。 ―― …何を考えているんでしょう、私。 例え…例え、須賀君に女の子の幼馴染が居た所で何の問題もありません。 寧ろ、そうやってプレゼントを送る幼馴染が居る事に微笑ましさを感じるべきなのです。 しかし…私の胸は微かにチクリとした痛みを覚え、どうにもそんな気分にはなれません。 それを家事の忙しさを理由に思考の奥へと押し流しながら、私はその日を無事平穏に過ごしたのでした。 …… ………… ……………… ―― 須賀君は基本的にその傍に誰かがいる人です。 遠巻きに見ていてもはっきりと分かるくらい須賀君は何かの中心近くにいる人でした。 友人も多く、話題の引き出しも多いタイプなのですから当然でしょう。 流石にクラスみんなの人気者、という程ではありませんが、お調子者で人が良い彼を悪く思っている人はあまりいないようです。 ―― …そんな事にも今まで気づかなかったんですね…。 同じクラスになってからもう二週間も経つのに、私はそんな事にさえ気づいていませんでした。 勿論、新しい環境に慣れるので必死だった…というのもありますが、それはあまり言い訳には出来ないでしょう。 それは須賀君も同じであるのに彼はもうクラスに馴染みきっているのですから。 勿論、得手不得手はあるとは言え、そんな様子にさえ気づかなかったのは 自分のことで頭が一杯だったと言う理由では補え切れないものでしょう。 「のどちゃん?」 「…はい?」 瞬間、私の耳に届いたゆーきの声に私の意識は現実へと引き戻されました。 昼休みの教室では何人かが机を合わせて歓談しながら食事をしています。 その中には須賀君の姿もあり、男子たちと昨日のドラマの話で盛り上がっていました。 「また京太郎の事見てる?」 「ま、またってなんですかまたって」 ジトーと私に目を向けながら、怪しむように言うゆーきに私はついそう取り繕ってしまいます。 勿論、そうやって取り繕ったところで私がさっきまで須賀君の事をじっと見つめていた事に変わりはありません。 しかし、それでもこうして否定するのは、そんな風に言われるほどジロジロと見ていないからです。 「…最近ののどちゃんは良く京太郎の事をチラ見するじぇ」 「そ、そんな事あり得ません」 須賀君とのわだかまりが大分、解消されてからたまにその姿を視線で追う事があります。 街中でチラリと見えた金髪が須賀君ではないかと考えた事は一度や二度ではありません。 しかし、それはあくまでもたまにというだけで、毎時間やっている訳ではないのです。 精々、休み時間の内、二回に一回くらいの頻度でしょう。 「怪しいなー…」 「べ、別に何もありませんってば」 そうやって怪しむゆーきには広場で須賀君に助けてもらった事は既に告げてあります。 しかし、その終わり際にデートに誘われた事は結局、言えないままでした。 そもそも冷静になって考えれば、アレは冗談であった可能性は決して低くないのですから。 もし、そうだった場合の事を考えると立ち直れなくなりそうで、私は彼女にそれを伝えていないままでした。 「その割には…京太郎とは殆ど話さないしー?」 「ぅ…た、たまたま…です」 そしてそれを確認しようにも私は彼が目の前に立つとついつい逃げてしまうのです。 たまに彼を見る私と視線がぶつかり、私の元へと須賀君が歩いてきてくれる事もありますが、その瞬間、私はそこを離れるのでした。 仲良くなるどころか以前よりも悪化した自分の様子に、内心、ため息が尽きません。 しかし、それでも須賀君に対する態度を改善する事は出来ないままでした。 ―― それをゆーきに相談しようにも…原因が原因ですし…。 須賀君の前に立つとデートの約束を思い出すから、逃げてしまうんですけれど、どうしたら良いですか。 今の私の状態を端的に相談しようとすれば、きっとそんな言葉になる事でしょう。 しかし、これをそのまま口にすれば、ゆーきにデートのことを黙っていたことがバレてしまいますし、何より気恥ずかしくて堪りません。 「もしかして京太郎に何かされた?」 「別に…そういう訳じゃないです」 心配そうに尋ねるゆーきに私はそっと首を振りました。 確かにされたと言えばされた訳ですが、それをここまで引きずっているのは私なのです。 今もこうして男子と仲良さそうに話す須賀君はいつも通りですし、私が意識しすぎなのでしょう。 しかし、そうは思っても自分の態度を改善する事は出来ず、部活でもぎこちない様子で彼と接してしまうのでした。 「じゃあ…京太郎の事嫌いになった?」 「そっ…そんな訳ありません」 変に意識してしまっているのは事実ですが、それは決してマイナスのそれではありません。 寧ろ、わだかまりが消えつつある今、彼の良さをちゃんと受け止める事が出来るようになっているのですから。 勿論、その軽さに色々と思うところがない訳ではありませんが、嫌いになったりするはずがありません。 「だったら、ちゃんと話した方が良いじぇ。アレでいてアイツ結構繊細だからな」 「そう…なんですか?」 「そうそう。実はこの前も私に『最近、和から避けられてるんだけど理由知らね?』ってメールで泣きついてきてたしな」 「そ、そうですか…」 しかし、そんな私の態度はまったく逆に受け取られてしまっているようです。 実際…こうしている今は普通にしているものの、ゆーきにメールで聞くほど傷ついているのでしょう。 そう思うと胸の奥は申し訳なさで満たされますが、かと言って自分を抑え込める自信というのはやっぱりありません。 どうしても彼の前に立つと理性が感情を上回り、みっともない姿を晒してしまうのです。 「とりあえず『理由は聞いてない』って素直に返しといたけど…本当に何もないんだな?」 「強いて言えば…私の心の問題なので…須賀君には何の非もありません」 「じゃあ…そうやってメール送るけど…良い?」 「お願いします」 それを認めるのは恥ずかしいですが、かと言って認めないままだと話は進みません。 それに私とて、このまま須賀君に誤解されたままというのは心苦しいのです。 せめてそうやって傷つく事がないように…ゆーきにはフォローしておいて欲しい。 そんな友人任せな自分に自己嫌悪を感じますが、須賀君のアドレスも知らない私にとって彼と連絡を取る手段がありませんでした。 「ほいほいっと…」 「…行儀悪いですよ」 そんな私の前で携帯を取り出してポチポチを打ち始めるゆーき。 しかし、彼女の目の前で広げられているお弁当箱には未だおかずが残っていました。 簡素なお箸をその口に咥えて携帯を使うその様は、決して行儀は良いとはいえません。 そうして私のために素早く動いてくれるのは嬉しいですが、それを咎めないという事は出来ませんでした。 「こういうのは早め早めが一番だじぇ~」 お箸を咥えながら器用にそう言いながら、ゆーきはそっと携帯をしまいました。 その数秒後、須賀君が携帯を胸元から取り出したところを見るに、どうやらちゃんと送信出来たみたいです。 それに一つ内心で安堵しながら、私はそっと視線をお弁当箱へと戻しました。 須賀君を見ていた所為で普段よりもさらに進んでいない昼食を口へと運んだ瞬間、私の目の前でゆーきが驚いたような表情を浮かべす。 「…あ」 「え?」 その表情に反応した私がゆーきの視線をたどれば、そこには見慣れた男子制服がありました。 まだ新品の匂いを残すパリっとしたその制服はこうして椅子に座った私たちの二倍近くあります。 立っている私よりもさらに二回りほど大きいその人は何処か申し訳なさそうに私の横に立ち、その頬を掻いて… ―― 「っ~~~~~!!!!」 それを認識した瞬間、私の顔が真っ赤に染まり、椅子を蹴飛ばすように立ち上がります。 そのままだっと駆け出す私の胸には気恥ずかしさしかありませんでした。 あんな話を聞いたのにまったく学習しない自分に自己嫌悪が湧き上がる隙間すらありません。 衝動にも近いその感情に突き動かされ、私は廊下へと飛び出しました。 「和!!」 「ひゃぅ!?」 しかし、そんな私を須賀君が追いかけてくるのです。 今まで逃げたら追いかける事はなかった彼の思いもよらない反応に私は小さく声をあげました。 そのままそっと視線を後ろに向ければ、そこには凄まじい勢いで、私を追いかける彼の姿があります。 元々、私は運動が得意ではなく、また体格的にも劣っている以上、追いつかれるのは時間の問題でしょう。 ―― でも、でもでもでもでも…! ゆーきが一体、どんなメールを送ったのかは分かりませんが、きっと須賀君は怒っているのです。 私の勝手な都合で逃げまわり、ろくに話もしない私の事を怒っているのでしょう。 そう思うとどうしても足を止める事が出来ず、私は必死になって走り続けました。 まるで自分にとって最悪な現実から逃げるように…ひたすら手足を動かし続けていたのです。 「くそ…!和!止まってくれ!」 そんな私の後ろで須賀君がそう声をあげますが、私が止まれる訳がありません。 そうしてしまったら最後、私にとってつらい現実が追いついてくるのですから。 折角、仲良くなれて友達になりたいと言ってくれた人に嫌われたという…苦しい現実が。 それから逃げる為であれば普段、苦手な運動でも頑張る気力が湧き上がり、私の身体に力をみなぎらせるのです。 「…くそ!止まらないと最終手段使うからな!!良いんだな!!」 まるで最後通告のような須賀君の言葉を聞いても、私は止まりませんでした。 一体、須賀君が何をするつもりなのかは知りませんが、それはきっと私の後ろに迫る現実よりも辛いという事はないでしょう。 それが自分が逃げ続ける為の言い訳なのか、或いは本能的に何かを察知したのかは私にも分かりません。 事この期に及んでも私の中にあったのは気恥ずかしさと辛さだけだったのですから。 「和は!!!!世界一!!!!可愛い!!!!!!!」 「ふぇええ!?」 しかし、それが瞬間、全て驚きに塗り替えられてしまいました。 それも…当然でしょう。 だって、その瞬間、廊下に響いたその声は私の予想の斜め上を遥かにかっ飛んでいくものだったのですから。 廊下を駆ける私達を怪訝そうに見つめていた生徒たちも ポカンとするくらいのそれは私がその場で足を止めるののには十二分過ぎるものでした。 「お淑やかなのに気が強いところも可愛い!意外と家庭的なのも可愛い!恥ずかしがる顔も最高に可愛い!」 「ちょ、ちょっと…す、須賀君!?」 しかし、そんな私を見ても尚、須賀君がその恥ずかしい言葉を止める事はありません。 それに私が後ろを振り返った瞬間、彼の身体はもうすぐそこにありました。 元々、殆ど無いに等しかったリードを一瞬の逡巡で詰められてしまったのでしょう。 そう理解した時には彼の手が私の手首を掴み、逃がすまいと握りしめました。 「よぉおおおやく捕まえたぞ、この不良娘」 「ふ、不良はそっちじゃないですか。ろ、廊下を走って…」 「和がにげなきゃ俺も走らなかったっての」 それに心が怯えながらも私はそう強気に返しました。 しかし、その程度で怯むような須賀君ではありません。 見事に正論で打ち返しながら、小さく肩を落としました。 「とにかく…話を聞いてくれ」 「…でも…」 こうやって捕まえられてしまった以上、私に逃げるつもりはありません。 いくら暴れたところで須賀君から逃げられないのはもう分かっているのですから。 しかし、それが話を聞く気に繋がるかといえば、決してそうではありません。 平静こそ装っているものの、さっきの空恐ろしい感覚はまだ私の中に残っていたのですから。 「…俺の事が嫌いならそう言ってくれ。それならもう二度と付き纏ったりしないから」 「…それ…は・…」 何処か辛そうな響きを混じらせるその言葉に私は思わず言葉を詰まらせてしまいました。 さっきゆーきがメールを送ってくれたと言っても、その不安全てを解消出来た訳ではないのでしょう。 実際、私がこうして逃げ出してしまったのだから、それも当然の事でしょう。 そう思うと驚きに固まった心の奥から良心の呵責が湧き上がり、胸の締め付けるのです。 「…須賀君こそ嫌いにならないんですか?」 「どうして俺が和のことを嫌いになる必要があるんだよ」 「だって…私…こんな風に何回も逃げて…」 私はそうやって逃げる事で須賀君が傷つくと分かりながらも、逃げるような最低の女なのです。 正直、それだけでも嫌われるに足る理由でしょう。 その上、最後通告を聞き入れず、結果的に須賀くんにも大恥を書かせてしまったのですから嫌われない理由がありません。 「それは俺が何かやらかしたからなんだろ?それを謝罪こそすれ嫌いになる必要あるか?」 「え…?」 しかし、須賀君はまるでそんな事考えた事もないとばかりにあっけらかんとそう口にしました。 心からそう思い込んでいるらしいそれに私は思わず呆然とした声を返してしまいます。 ですが、それを見ても須賀君の表情は変わらず、その表情には不思議そうなものさえ混じっていました。 それに私が安堵を感じた瞬間、足元からふっと力が抜け、その場に座り込んでしまいそうになるのです。 「おっと…大丈夫か?」 「え…えぇ…」 そんな私を腕で支えながら聞いてくるその身体は意外と逞しいものでした。 文化系とは言え、やっぱり男性な所為か、女性のものよりも遥かに硬いのです。 それに羞恥とも何とも言えない感情が湧き上がり、顔が赤く染まりました。 しかし、そうやって抱きとめられるのは決して嫌ではなく、ドクドクと鼓動が激しくなる事すら…何処か心地良いもののように思えるのです。 「それで…まぁ…俺が言いたい事は…だ」 「は、はい…」 そんなドキドキの中、気まずそうに告げる須賀君の言葉に私は緊張しながら頷きました。 これまで逃げる私を見送るだけで決して追いかけなかった彼に一体、どんな事を言われるのか。 それを思うと不安が湧き上がり、妙に落ち着かなくなってしまいます。 それでいて…期待めいた何かがあるのは…一体、どういう事なのでしょう。 自分でも分からないその感情に私がそっと胸中で小首を傾げた瞬間、彼の唇がそっと動き出しました。 「心の問題とか言われて…ほっとける訳ないだろ」 「須賀君…」 ポツリと漏らすその言葉は心苦しそうなものでした。 私の不用意な言葉で彼が傷ついているのはほぼ間違いないようです。 そう思うとまた胸の痛みが大きくなりました。 しかし、それだけではない…と思うのはその中に嬉しさが混ざっているからなのでしょう。 須賀君にそうやって気にしてもらえたと思うと妙に胸の辺りが暖かくなってしまうのでした。 「難しいと思うけど…俺に出来る事があったら何でも言ってくれ…って言いたかったんだ」 「あ、ありがとうございます…」 そう付け加える須賀君の言葉に私は赤くなった顔で小さく頷きました。 しかし、それでも彼の行動全てを説明する事は出来ません。 だって、それは全てメールを送れば済むものなのですから。 ゆーき越しに伝えてもらえれば問題ないそれを伝える為にこれだけの大事をしでかしたとはあまり思えないのです。 「…でも、それだけの為にわざわざお友達放っといて近寄ってきた上に…廊下まで追いかけたんですか?」 「だ、だって…昼飯食ってる時だったら逃げないと思ったし…流石に何度も逃げられると腹が立ってさ…」 そう誤魔化すように言う須賀君の言葉は、恐らく本心なのでしょう。 しかし、その一瞬、その瞳が泳いだ事を私は見逃しませんでした。 その言葉は嘘ではないにせよ…須賀君が何か隠している事がある。 それを見て取れるその態度に私が反射的に口を開きましたが、しかし、何を言って良いかわかりませんでした。 「それより…連絡取れないのは困るし、アドレス教えてくれるか?」 「う…はい…」 そうやって逡巡している間に須賀君はそっと胸元から携帯を取り出しました。 そのまま携帯を操作するのはきっと赤外線機能を呼びだそうとしているのでしょう。 それに合わせて私も携帯を取り出しますが、赤外線機能の呼び出し方を完全に忘れていました。 基本的に限られた人ばかりと交流を深める私にとって、そんな機能は滅多に使わないものだったのです。 「和?」 「あ…お、お待たせしました…」 そう須賀君が私に尋ねてくれてからようやく私はその機能の使い方を思い出しました。 そのまま携帯の高さを合わせて数秒。 お互いのプロフィールの送受信が終わった事を知らせる画面に、私は内心、安堵のため息を吐きました。 「よし。んじゃ…これで逃げられても大丈夫だな」 「ぅ…そんな事言わないでくださいよ…」 確かに事実とは言え、そうやってからかわれると顔が恥ずかしさでまた紅潮してしまいます。 勿論、須賀君はそんな私を見たがっていると分かっていても、ついつい私は反応してしまうのでした。 けれど…そんな自分があまり嫌ではない…と思うのは一体、どうしてなのでしょうか。 「悪い。でも、まぁ…もう逃げる様子はないみたいだけど」 「え…?」 そう須賀君に言われてから私はようやく手首が解放されているのに気づきました。 そもそもそうやって解放されていなければ携帯の操作なんて出来ません。 しかし、色々と切羽詰まっていた私はそんな事にさえ気づく余裕がなかったのです。 そう思った瞬間、手首の周りが急にズキリと疼き、反射的にそこを抑えてしまいました。 「あー…悪い。痛かったか?」 「い、いえ…そんな事ありません」 須賀君が私を捕まえるときに手加減してくれていた事なんて最初から分かっているのです。 本気で握りしめられていればきっと私は今頃、痣が出来ていた事でしょう。 しかし、私が見る限り、手首には痣がなく、赤くなってもいません。 最初こそしっかりと握られたのは事実ですが、それは痣を私に残すほどのものではなかったのでしょう。 「それなら良いんだけど…」 「良くないじぇ」 「「えっ…」」 瞬間、割り込んできたその声に私と須賀君は同時に驚きの声をあげました。 聞き慣れた特徴的な語尾に視線をそちらへと向ければ、そこには見慣れたゆーきの姿があったのです。 しかし、その頬は微かに膨らみ、まるで子どものように不機嫌さをアピールしていました。 ―― まぁ…それも仕方のない事でしょう。 ある程度、ゆーきには事情を言っているとは言え、一緒に食事をしている友人がいきなり席をたって逃げ出したら良い気はしません。 その上、ようやく探したと思った二人が勝手に仲直りしていたら、面白いはずがありません。 私だって逆の立場だったら、決して拗ねたくもなるでしょう。 「さっきの可愛いとか言うアレは一体、何だったんだじぇ?」 「あ、いや…それは…」 しかし、そう思う私とは裏腹にゆーきの視線は須賀君へと向けられていました。 ジトーと不機嫌さを込めるようなそれに須賀君は申し訳なさそうに口を開きます。 しかし、それから何かしら言葉が出る事はなく、数秒ほど沈黙の帳がその空間を支配しました。 「京太郎の評判が下がるのは良いけど、のどちゃんの評判まで下がったらどうするんだ!この!この!!」 「ぬあぁ!」 「ゆ、ゆーき。そんな風に怒ってあげないでも…」 そんな須賀君の態度に我慢出来なくなったのでしょう。 ゆーきはぴょんと須賀君に飛びつくようにして、その頬を引っ張りました。 勿論、それはゆーきなりに手加減しているものだと分かっているものの、人前でそんな事をするのは流石に可哀想です。 特に今回は逃げた私が一番の原因なのもあって、そうやって須賀君ばかりを責めて欲しくはありません。 「甘いじぇ。のどちゃんはもうちょっと周りを見るべきだ」 「周り…?」 そんなゆーきの言葉に私はここがようやく廊下である事を思い出しました。 瞬間、頭の中がサァと急激に冷え込んでいくのを感じます。 お陰で今までずっと自分と須賀君にしか向いていなかった意識が周りへと向けられました。 「…バカップルめ」 「くそ…もげてしまえ…!」 「リア充爆発しろ…!」 「良いなぁ…」 「まだ始まったばっかりなのに…羨ましい…」 そんな私の耳に届いた声はやっかみ半分、羨ましそうなものが半分でした。 しかし、例えどちらであったとしても、周囲から私たちへと視線を向けられているのは確かです。 勿論、今までのやり取りも…全部、聞かれていたのでしょう。 そう思った瞬間、羞恥心が一気に燃え上がり、私の思考を埋め尽くしました。 「はぅ…」 「ほら!京太郎が馬鹿な事言った所為で思いっきり誤解されてるだろー!」 「わるひゃった。はんしぇーしてる」 「反省で足りるかああああ!」 そんなオーバーヒートする私の横でグイグイとじゃれあうようなやり取りをする二人。 それに羞恥心の奥で羨ましいものを感じながらも、私は動けないままでした。 まるでタスクが処理限界近くにまで溜まったパソコンのように思考の動きも鈍いのです。 そしてまた二人もじゃれあうようなやり取りをするのに必死で、逆に周囲の注目を集めているのに気づいていません。 ―― 結局、私たちはそのまま数分ほど周囲の視線に晒され、一年の名物トリオとして一日で名を馳せてしまったのでした。
https://w.atwiki.jp/matome-tera/pages/118.html
ピース ◆/YAHYIwsKk 今朝までラブラブだったのに、家に帰ってきたら突然怖い顔をした妻から「(怒っている理由は)自分の胸に聞け」と言われ、出て行かれてしまったピース。 情報が少ないうえ、まったく心当たりがないというピースに住民もお手上げ。 とにかく妻と話し合えとの結論に達した。 話し合いの結果、嫁友人がピースと女性が一緒にいるのをみたのを嫁に話し、浮気だと思った嫁が出て行ったのだった。 しかしその相手は嫁の妹で、誤解も解けてハッピーエンド。 【過去の過ち】逃げられ寸前男の駆け込み寺232【者によりけり】 181 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2008/02/16(土) 21 52 52 相談いいかな? 183 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 21 57 42 お願いします 【差し支えの無い範囲で以下の情報提供を】 ・詳しい悩みの内容(必須) 夕方俺が帰ってきたら、嫁が怖い顔をしててどうかしたのか聞いたらいきなり「自分の胸に聞け!」と言って出ていった 多分着替えの入った鞄を持ってたので、実家に帰ったのかと思ったが、来ていないとの返事 携帯は出ない、自分の胸にと言われてもサッパリわからない、今朝までラブラブだったのに… ・最終的にどうしたいのか(必須) 仲直りしたい ・相談者の年齢と職業、収入 26会社員 400 ・配偶者の年齢と職業、収入 25会社員 300 ・子供の有無、いるなら人数と年齢、性別 無し ・住まいは持ち家か賃貸か 賃貸アパート ・親と同居かどうか 別居 両方親とも近距離 ・結婚年数 今月で1年 ・離婚歴がある場合はそれも記入 無し 【後出し厳禁!】 ・バクチ、浮気、暴力(肉体的、経済的)、借金、酒や薬物等の依存症、病気などの 通常離婚理由として十分な原因がある場合は必ず最初に打ち明けてください。 辛口のレスが付くこともありますが、想像力を駆使し、冷静に相談に臨んでください。 麻雀(決まった友人と小遣い内で)以外無し、酒は週3~4夫婦で、 家計は嫁管理、小遣い3万 187 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/02/16(土) 22 02 54 浮気も借金も無いんだが、誤解でもあったのだろうか?わからない 麻雀は休日の日中しかない、月2~3回188 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/02/16(土) 22 03 40 1、頼まれていたことをすっかり忘れていた。 2、近距離別居の親と何かがあった。 3、隠し事がばれた ぱっと思いつくものはこれだな。 190 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 22 04 12 187俺ですスマン 出会い系なんかしてない、嫁一筋だ 196 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 22 08 25 出て行ってから落ち着いて考えたのだがホントに心当たりないんだ 俺親となんかあって、胸に聞け!って言う? 飲み屋は極偶に行くが名刺はもらわない 携帯見られても全然構わん 203 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 22 11 29 俺は女にもてるタイプじゃない、やっと嫁をつかまえたんだ だったら毒の時もてたかった やっぱ親か? 207 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 22 15 37 毒兄が実家にいる、同居はないと思うんだが… 結婚記念日は来週、たいしたものじゃないがプレゼントはもう用意している 209 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 22 17 09 ちょっと実家に電話してみる ウチの家電NDないんだ 217 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 22 31 57 スマン俺の聞き方が悪いのか何にもわからんかった、それとも親が上手いだけか? 最近連絡ないから用もないけど電話した 最近ウチに来た? とか言ってみたがヘタレでスマン 毒兄がセクハラ…正直ワカラン、釣り命でウチには引っ越しの時来ただけ 親は彼女くらいと心配してるようなんだが 236 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 22 43 29 215(NTTのサービスで136にかけると最終着信番号の通知してくれるのがあるから試してみたら?) ぐぐったら地元の工務店だった、ナントカホーム 仕事は残業もあるがそれでも激遅にならない限り待ってくれてる 俺が早い時は作ることもある よくある家事か? 兄の不満は聞いたことない、、むしろ誰かお世話(ry 親はどうなんだろ、右から左にしてたかも レス遅スマン 250 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 22 50 58 胸に聞け!、はやはり俺自信か俺のフォロー不足しか考えられんよな 今日は二人休み、朝起きて布団でイチャイチャした、セクロスなし 昼前に麻雀に行った、出るときはキスした 機嫌よく見送ってくれたんだけど 257 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 22 54 41 昔の彼女の写真は処分したはず、あっても実家だと思う… パソコンエロは公認、呆れてるけど参考にしたりもする 義理チョコはもらったが安心してたみたい←おそらく安物ばっか 268 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 23 02 25 兄いるのにリフォームして俺が金出して同居するの?あっちのほう稼ぎ良いと思うんだが 今、兄にその辺電話してもおk? 嫁実家に電話しても普通にいないって言われた、何回もできないだろ? 272 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 23 06 14 9時くらいにメシ食ってうだうだして11時に家を出た 18時過ぎに帰った、普通メシの準備くらいはしてるのに手つかず レス漏れしてない?あったら教えて 280 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 23 11 24 工務店はただのセールスだと思うんだが、違うのか?親が勝手に暴走は考えたくない 電話はチョコチョコ着歴残してる、メールも こんな大喧嘩つか喧嘩にもなってないけどしたことない、客観的にまだ逃げられではないのか? 284 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 23 16 35 家事は共稼ぎにしては多分してない方 洗濯はするが畳めない メシは作るけど俺が先に帰ったときと休日の偶に 部屋の掃除はしないけど手伝いはやる、風呂とトイレは俺がやる こんな感じ 288 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 23 21 12 嫁の友達の連絡先はわからない 少ないが共通の友人には聞いたが誰も事情は不明だった 293 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 23 26 28 じゃあもう今日はどうにもならんのか ホントになんなんだ スマン落ちて考える294 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/02/16(土) 23 28 23 293 嫁の安否が心配なら、無礼を承知で嫁実家に今から電話。 嫁親から安否確認してもらえ。恥ずかしいけどな。 295 名前:ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日:2008/02/16(土) 23 28 33 戻ってスマン 電源きれたみたいなんでそちらに…と話した 落ちます 614 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/17(日) 02 42 06 戻って良いかな? 621 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/17(日) 02 44 35 落ちた後、兄に電話したらリフォームの話なんて欠片もないと笑われた その後、嫁母から電話が掛かってきた 実は嫁が夕方から実家に帰ってきているが、心配させるために口止めされてたとのこと 大荒れで酒を飲みながら俺が浮気してる、と騒いでいるとのこと 見かねて事実を確認するために嫁に内緒で電話したがホントに浮気しているのか?と 俺は全力で否定、どういう内容を嫁はいっているのか聞いたが支離滅裂でよくわからないが 俺の浮気の現場を誰かが見たと嫁にチクったらしい とにかく今から行くと言ったが、大荒れなので明日にしてくれとのことで了承した どういうことなんだかサッパリわからん なかなか前の相談者が捌けないので寝ちまおうと思ったが、全然寝られんのでまた来ました ちょっと混乱気味で変な文章スマン 644 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/17(日) 02 52 00 待ってる間に考えたんだが 俺が女といて浮気に間違えられた 俺のそっくりさんが女といた 俺が二重人格 くらいしか考えられない どんな状況かは嫁に聞かなければわからない 吐き出しでスマン チクった人は心当たりない 664 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/17(日) 03 00 01 なんにしても嫁の安全が確認できてほっとしてる 俺は嫉妬されるほど仕事できるわけじゃない 前にも書いたが男前でもない 昔の彼女は未確認だが結婚したときいている 679 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/17(日) 03 09 08 嫁のことを軽く避難もされてるけど、あえて言えば俺は嬉しいと思っている 俺の熱意に負けて結婚してくれたのかもしれない、と思う部分もあったから 嫉妬してくれているなら素直に嬉しい 誤解が上手く解ければいいのだが 688 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/17(日) 03 17 23 嫉妬というのは、嫁が浮気した俺に妬いてるという意味です 他人からの嫉妬はいやです ただ嫌われて陥れる、というのは完全否定できるかと言われればNoです 689 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/17(日) 03 19 29 あと支離滅裂は、嫁が言ってることが支離滅裂だそうです 直接聞いたわけではないので まだ嫁と話はできていません 692 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/17(日) 03 21 56 スマン吐き出させてもらって落ち着きました なんとか寝られると思います 895 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/17(日) 09 52 16 今嫁が泣きながら電話してきた、なんかわからんが ごむううぇぇぇんなざぁぁい って言ってる 何があったか?嫁実家行ってくる 書き逃げスマン、後でまた 「レスは」逃げられ寸前男の駆け込み寺 233 「よく読め」 26 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/18(月) 12 21 14 すみません、昼休みにコソッと 仲直りしました、昨日は嫁が放してくれず報告できませんでした 夜に改めて報告しますが誤解された経緯だけで良いのでしょうか? 128 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/18(月) 19 30 34 下書きしたらダラダラしてて惚気も入ってるので要点だけ抜粋しますた 義父の車が到着、嫁実家家族勢ぞろい。 助けてもらって全員でアパートへ。 テーブルを囲む。以下が経緯。 土曜午後、嫁が友達と電話した。友達は2日前、 俺と嫁が一緒にいるところを見たが声は掛けなかった。 嫁はそれは自分ではない、その状況だったら浮気に違いない。 帰って来たら尋問しようと思っていたが、顔見たらキレた。実家帰る! 翌朝、妹が事情説明。その女は自分だと。 それを聞いて嫁は俺に電話。 結局、悪人は誰もいなかったことは良かった。 あと、今回の件は実家には内緒にしておきます。 135 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/18(月) 19 41 20 冷静になって自身のレスを改めて見直して、ちょっとイカンなと思った。 みんなに対し礼を失していた。申し訳ない。 改めて 皆さん、申し訳ございませんでした。そして、ありがとうございます。 皆さんのおかげでアワアワしていたのが落ち着くことができました。 やり方を間違うともっと大事になっていたかもしれませんでした。 本当にありがとう 141 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/18(月) 19 48 21 妹は嫁の妹です、嫁実家に同居 放してくれず>べったりくっついて、PC前に座ったら俺とPCの間に来て邪魔する イレにもついてくる、って感じです 145 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/18(月) 19 53 05 べったり>昨日だけです、普段はそんなことないです 愛し(ryまで言ったもので 150 名前: ピース ◆/YAHYIwsKk [sage] 投稿日: 2008/02/18(月) 19 59 56 俺が妹と買い物してた 友人は、俺の顔は見えたが女の顔はみえなかった、背格好は嫁 俺と一緒にいる女=嫁の筈 と処理した