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桜 54KB 悲劇 理不尽 差別・格差 群れ 自然界 ドスは登場しません… 『桜』 序、 「ゆゆっ!! ゆっくりできないゆっくりがいるのぜっ!!」 まりさの声を皮きりに数匹のゆっくりが集まってくる。その数は五匹程度のものだったが中央ですすり泣くゆっくりの体の大 きさとは比較にならず、その威圧感たるやまるで襲いかかってくる壁のようにも感じる。 「やめちぇにぇっ!! やめちぇにぇっ!!! こっちこにゃいでにぇっ!!!」 コロシアムの中央で怯える死刑囚のようにキョロキョロと辺りを見回しながら涙声を上げるのは、ピンポン玉サイズよりも少 し大きくなったくらいの赤ちゃんゆっくり。ボロボロの赤いリボンに泥で汚れた顔。赤れいむは警戒しながら同じ場所をくるく ると回転していた。 「おめめがみえないなんて、ぜんぜんゆっくりできてないのぜ!!」 「おお、あわれあわれ」 赤れいむは盲目だった。人間社会であればそれを理由に迫害するなど言語道断であるが、ゆっくりの社会ではありふれた日常 のワンシーンだ。 「やめちぇよぉぉぉ!! いちゃいことしにゃいでぇぇぇ!!!」 草の中に身をうずめてぷるぷると震える赤れいむのリボンをまりさが咥えて持ち上げる。 「ゆんやああああああ!!!!!」 あんよを右に左にくねらせ抵抗するも、まりさの捕縛から逃れることはできない。まりさは赤れいむのリボンを咥えたまま、 「ゆっくりできないゆっくりは……っ!」 「やめちぇえぇぇぇぇぇ!!!!」 「ゆっくりしねっ!!!」 唐突に叫んで赤れいむを草むらに叩きつける。これが都会だったら赤れいむはコンクリートに叩きつけられて致命傷を負うか、 最悪の場合即死していたとしても不思議ではない。 「いちゃいよぉぉぉぉぉ!!!」 柔らかい草むらの上で赤れいむが転がりながら泣き叫ぶ。見た目よりも赤れいむのダメージは大きなものではない。痛いのは 体ではなく心のほうだ。 まだまだ小さな赤れいむに理不尽な暴力を振るうのは事もあろうに群れの成体ゆっくりたちである。飾りを失ったゆっくり。 体になんらかの障害を負ったゆっくり。そういう状況下に置かれてしまったゆっくりは例外なく他のゆっくりから迫害を受ける。 「やめてねっ!! やめてねっ!!! れいむのかわいいちびちゃんをいじめないでねっ!!!」 盲目の子れいむが自身を唯一守ってくれる存在である、母れいむの声を聞きつけて大声で泣き出す。 「おきゃああああしゃああああああん!!!」 「ゆっくりやめてねっ!! ちびちゃんがいやがってるよっ!!! ぷっくうぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」 我が子の痛々しいまでの声に怒りを露わにする母れいむ。一対五であるにも関わらず、母れいむに飛びかかろうとするゆっく りは一匹もいない。母れいむを恐れているわけではなく、“同じゆっくり”に対して攻撃を仕掛けようとするのを躊躇している だけだ。 「れいむ! そんなゆっくりできないちびちゃんはさっさとすてて、まりさたちといっしょにゆっくりくらすのぜ!!」 捨て台詞を吐き、連れだって森の奥へと跳ねていく五匹のゆっくり。母れいむはその後ろ姿が視界から消えるのを確認したの ち、すぐさま赤れいむの元へと駆け寄って頬を舐めてやる。 「ちびちゃん! ぺーろぺーろ……」 「ゆーん……ゆーん……」 「ちびちゃん、もうだいじょうぶだよ! ちびちゃんをいじめるわるいゆっくりは、おかあさんがおいはらったよ」 安心させようと母れいむが声をかけるが赤れいむはなかなか泣き止まない。おろおろとし始める母れいむのいる方向に向かっ て赤れいむが口を開いた。 「おきゃ……しゃん……っ!!!」 「なぁに? ちびちゃん。 こわかったんだね? でも、もうあんしんしていいよっ!!」 「れーみゅを……しゅてにゃいで……」 「…………っ!!」 捨てるわけがない。こんなに可愛くて優しい愛する我が子を捨てたりするものか。母れいむはそれを言葉でなく心で伝えよう と赤れいむに対して力強く頬をすり寄せた。 その少し荒っぽくも温かい母れいむのすーりすーりに赤れいむがようやく涙を止める。まだ、ぐずってはいるものの落ち着い てきたようだ。 「ゆぐっ……ひっく……ゆぇ……」 「ごめんねっ! ごめんねっ! ずっとちびちゃんのそばにいてあげなかった、おかあさんがわるいよ!」 「ゆぅ……れーみゅ……ゆっくち……、ゆっくちしちゃいだけにゃのにぃ……」 先刻の叫び声よりも、その言葉は母れいむの心の奥を深く抉った。 母れいむは赤れいむを器用に頭の上に乗せると、ずりずりとあんよを這わせて森の入り口付近にある巣穴へと向かって行った。 その道中においても森のあちらこちらから他のゆっくりの視線を感じる。赤れいむもそういったものには敏感なのか、身をすく ませている。 (おめめのみえないちびちゃんは、ゆっくりできないよ) (あんなのがむれにいるなんて、ぜんぜんゆっくりしてないのぜ) (とかいはなありすに、いなかものがうつってしまうわ) (むきゅきゅ……はやくむれからでていけばいいのに……) ゆっくり界の差別は激しい。蔑まれる対象に対して感情を露骨にぶつけるため、人間のそれよりもタチが悪い。 このゆっくりの行動理由には諸説ある。“単に弱いものいじめが好き”とされる説などがそれに当たるが詳しいことは分かっ ていない。一説には“群れの秩序と安寧を守るための本能による行動”とするものもあるが、お世辞にもゆっくりがそれほど高 尚な思考を持って動いているとは到底思えない。 そう。到底、思えない。 一、 早朝。 まだ群れのゆっくりがどれ一匹たりとも起きていない森の中、白い息をぽつぽつと吐きながら土の上を這う母れいむの姿があ った。母れいむは余程のことがない限り跳ね回ったりしない。 ゆっくりにとって跳ねるという行為は体内の餡子を多く消費してしまう。そうなれば集める食料を増やさなければならない。 母れいむは効率よく狩りを行うことができなかった。まりさ種は帽子の中に食料を入れることができるし、ありす種は器用な舌 先で草を編んだ籠を作ったりする。ぱちゅりー種は他のゆっくりが知らないような食べ物を選定することができた。 しかし、れいむ種にそう言った類のスキルは皆無である。弁護するならば、れいむ種は“けっかいっ!”と呼ばれる巣穴のカ ムフラージュを得意とするがその力が発揮されるのはパートナーがいてこそである。 母れいむには、まりさ種のつがいがいた。そのまりさは人間によって面白半分で痛めつけられ最後には殺されてしまった。そ れはつい一週間前の出来事である。その時、まだ赤れいむは母れいむの頭から伸びる茎にぶら下がってゆらゆらと揺れていた。 母れいむ、母まりさの両者ともがこれから産まれてくる数匹の赤ちゃんゆっくりと一緒に幸せに暮らす日々を夢見ていた。 そんな儚い夢は本当に一瞬で消えてなくなってしまったのだ。 つがいであるまりさを殺され、茎に実った赤ゆは次々に潰されていった。人間たちは笑っていた。目の前で赤ちゃんを潰され 泣き叫ぶ母れいむを見て。転げ回るぐらいに笑っていたのだ。最後に残った赤れいむはシャーペンの先端を両目に刺されて放置 された。 小学生たちのストレス発散がゆっくりに向けられるような時代である。わざわざ森の中に入ってきてまで野生のゆっくりを潰 して遊ぼうとするのだ。恐ろしい世の中である。 赤れいむの目は生まれながらに見えなかったわけではない。それならば不謹慎ではあるが諦めがついた。何一つとして落ち度 がないにも関わらず奪われた我が子の光を思うと、怒りや悔しさを通り越してただ涙だけが溢れてくる。 「ゆっくり……ごはんさんをあつめるよ……!」 不器用な母れいむが見よう見まねで編んだ草の籠はボロボロである。何度やっても失敗ばかりでようやくそれらしく編むこと ができた籠も、籠と呼ぶにはおこがましいような酷い出来栄えのものばかりであった。 季節は晩秋。 来るべき冬に向けて越冬のための食料を少しでも多く集めなければならないこの状況下で、母れいむの抱えたビハインドはあ まりにも大きく心のどこかでは既に諦めかけてさえいる自分もいた。僅か一週間足らずで激変してしまった生活に慣れるには、 母れいむにとってあまりにも大きな難題だったのである。加えてゆっくりにそれほどの順応性などない。 「れいむ……」 不意に後ろから話しかけられた母れいむがびくん、と体全体を震わせながら恐る恐る振り返る。そこには金髪に赤いカチュー シャをつけた成体のゆっくり―――ありすがいた。母れいむとありすは幼馴染である。あの忌まわしい事件以来、こうして会う のは初めてだ。 「ありす……」 「れいむ! これをつかっても……いいのよ?」 ありすの上から目線はいつものことだ。幼いころからありすがそういう性格だったことを知っている母れいむは、そんなあり すのもの言いに対して腹を立てたりしない。それどころか幼馴染の自分に対する気遣いに心の奥がじんと熱くなるのを感じた。 目の前に置かれた草で編まれた籠は、隙間なく編み込まれている。口で咥えるための取っ手までついていた。 「ふ……ふんっ! そんないなかものな“かごさん”じゃ、あつめられるごはんさんもあつめられないわ!」 普段ならここでそっぽを向いて走り去っていくありすだが、母れいむを見つめたままだ。母れいむがぽろぽろと涙をこぼす。 ありすは泣いていた。母れいむのまりさを失った悲しみを汲んで泣いているのだ。 「ありす……っ!! ありすぅぅぅ!!!!」 「このいなかものっ! れいむがないてばかりいたら、ちびちゃんがかわいそうよ!」 頬をすり寄せながら涙を流す二匹。聞けば、ありすは母れいむのことをずっと心配していたらしい。群れのゆっくりから迫害 を受けていたことも知っていた。なんとか助けてあげたかったが、他のゆっくりにいじめられるのが怖くてあんよが動かなかっ たそうだ。“――――ありすは、とかいはじゃないわね……”と言葉を結び、少しだけ苦笑してみせた。それから一言だけ謝る。 母れいむもありすも、群れがどういう組織でゆっくりがどういう生き物かは十分に理解している。二匹とも、自分と深い間柄 にないゆっくりが群れから迫害されていたら、傍観者に徹していたか一緒になって差別をしていたかも知れない。それを分かっ ているからこそ、母れいむは群れのゆっくりたちに何も言うことができないのだ。 「ありす……ゆっくりありがとう。 でも、はやくおうちにかえったほうがいいよっ」 言葉の意味するところはありすにも理解できた。二匹のやり取りを見ているゆっくりがいれば、ありすまで差別の対象とみな されてしまう危険がある。 「れいむ……! こまったことがあればいつでもいいなさいっ!」 そう言ってぴょんぴょんと跳ねて去っていくありすの後姿を見て、母れいむはまた一筋涙をこぼした。 巣穴に戻ってきた母れいむの視界にまだ眠っている赤れいむの愛らしい寝顔が映る。“ゆぴぃ……ゆぴぃ……”と寝息を立て るその様子は障害なんてどこにもないかのように思えてしまう。母れいむは赤れいむを起こさないようにゆっくりゆっくり巣穴 の中を這って、集めてきた食料を奥に敷いてあった葉っぱの上に並べていった。 芋虫や花、木の実などが備蓄されていく。しかし、冬を越すには到底足りるような量ではない。母れいむと赤れいむの二匹だ けとは言え突き付けられた現実はあまりにも厳しいものであった。 (ゆっくり……どうしよう……) ありすの編んでくれた籠は少し大きめに作ってあった。これで食料集めの効率も少しは上がるだろう。それでも冷たい北風は 冬の足音がもうすぐそこまで来つつあることを告げている。時間的に間に合わない可能性が高いのだ。母れいむが溜め息をつく。 「ゆ……くち……」 赤れいむがもぞもぞと動きだす。瞼を開くと灰白色の瞳が現れた。その目に光は届いていないのだろう。赤れいむは体を一瞬 だけぶるっ、と震わせると、 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇっ!!」 元気よく朝の挨拶をした。 「ゆっくりしていってね!!!」 それに応える母れいむ。 「にょーびにょーびしゅりゅよっ!」 そう言ってゆんゆんと体を伸ばし始める。同じ姿勢のままでいると体内の餡子と皮が固まってしまい、動きづらくなってしま う。のーびのーびはそうならないように体を伸縮させて中身を流動させるための、朝の体操のようなものだ。 「ちびちゃん、あさごはんさんをいっしょにむーしゃむーしゃしようね!」 「ゆっくち~~~~♪」 母れいむが赤れいむの頬に自分の揉み上げを当てる。“こっちだよ”という合図だ。ずりずりと懸命に這いながら母れいむの 元へとやってくる。赤れいむの顔に小さな芋虫が触れた。舌を出して器用に芋虫を口に運ぶ。 「むーちゃ、むーちゃ……しあわちぇぇぇ!!!」 屈託のない笑顔。母れいむはこの笑顔を見るためだけに必死で生きていた。せめてもの救いは赤れいむが少食であったことだ ろう。暴飲暴食をしない赤れいむは育てやすいちびちゃんであった。 食事を終えた赤れいむに、母れいむがお歌を歌ってやる。赤れいむはその歌声に頬を緩ませ幸せな気分で満たされていった。 昨日は日向ぼっこをしに外に出たのがまずかったのだろう。母れいむもつい食料集めをしてしまった。反省の意を込めて、今日 は赤れいむとずっと一緒にいてあげるつもりだった。 「ゆゆ~ん♪ おきゃあしゃんのおうたしゃんは、ゆっくちできりゅにぇ」 「ゆゆっ……♪ ゆっくりうれしいよ……っ!!」 互いの頬を寄せ合い仲良く過ごす二匹の巣穴に来客者が訪れる。 「れいむ……はいってもいいかしら?」 突然の声に震えだす赤れいむ。母れいむも赤れいむの前に立ちはだかり警戒心を露わにする。入り口には“けっかいっ!”を 張っているはずである。並みのゆっくりであればそれを見破ることなどできないはずだ。母れいむの頬を冷や汗が伝った。 「むきゅぅ……なかなか、いいおうちね」 巣穴の中に入ってきたのはぱちゅりーだった。最近、群れにやってきたばかりの元・飼いゆっくりである。事情はよくわから ないが飼い主に捨てられ森を彷徨っていたところ、この群れにたどり着いたらしい。人間と関わった時間が長かったのか、ぱち ゅりーの知識は豊富で群れ中のゆっくりに歓迎された。虚勢を施されているため赤ちゃんを産むことはできないが、群れの参謀 としてリーダーまりさと共に暮らしている。 そんな本物の“森の賢者”であるぱちゅりーの前に母れいむの“けっかいっ!”は何の意味も成さなかったのだろう。 「むきゅっ。 ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇっ!!!」 穏やかな口調で挨拶をするぱちゅりーに親子ともどもお決まりの挨拶で応える。 「こんなところにおうちがあるなんて、ぜんぜんきづかなかったのぜ……」 そんな事を言いながら巣穴の奥に入ってくる別のゆっくりの這う音が聞こえてくる。母れいむが再び緊張した面持ちになる。 ぱちゅりーは笑って母れいむに“心配はいらない”と呟いた。 れいむ親子の巣穴に入ってきたのは群れを束ねるリーダーまりさだった。体格は並みの成体ゆっくりと変わらないが、群れの ゆっくりを想う行動や姿勢が仲間の信頼を集め、数代に渡って受けつがれてきたゆっくりぷれいすの若きリーダーとなっている。 特に喧嘩が強いわけでもなく、“けっかいっ!”を見破るほどの洞察力もないが、みんなリーダーまりさの事が大好きだった。 「れいむ……ゆっくりごめんなさいなのぜ……」 母れいむの前に現れたリーダーまりさが俯きながら口を開く。母れいむには目の前のリーダーまりさが何を謝っているか皆目 見当がつかなかった。ぱちゅりーがリーダーまりさの横で説明を始める。 ありす同様、リーダーまりさもぱちゅりーもれいむ親子の不幸を知っていたこと。それにより、れいむ親子が群れから迫害を 受けていること。ここまでは先刻のありすの言葉とほぼ同じである。 「むきゅぅ……まりさとぱちゅのふたりで、なんとかしてむれのみんなにやめさせようとしたのだけれど……」 その場では頷いていても、れいむ親子への迫害がなくなることはなかったのだと言う。群れのリーダーと参謀は、その事を謝 罪するためにれいむ親子のおうちへとやってきたのだった。 「それで……れいむはどうなるの……?」 悪い予感を感じる。母れいむは自分が群れから出て行くように言われるのだと思っていた。自然に涙が溢れてくる。泣きじゃ くる母れいむの元にリーダーまりさが跳ね寄る。 「れいむ! かんちがいするんじゃないのぜっ! れいむもそこのちびちゃんも、ぜったいにむれからおいだしたりしないのぜ!」 母れいむが涙を流しながらリーダーまりさに目を向ける。力強い視線が母れいむを捉えて離さない。 群れのリーダーとは言え思考が並みのゆっくりであれば、母れいむはすぐにでも群れを追放されていただろう。しかし、この リーダーまりさは違った。群れの中にいる全員のゆっくりがゆっくりできるようなゆっくりぷれいすを目指しているのだ。当然、 その中には障害を負わされてしまった赤れいむも、それを一生懸命育てようとしている母れいむも含まれている。 「ゆっくち……できりゅ?」 不意に赤れいむが尋ねる。その質問に対してはぱちゅりーが答えた。 「むきゅん! かならず、ゆっくりさせてあげるわ!!」 その一言に表情を輝かせてその場でたむたむと小さく跳ね始める赤れいむ。 「ゆっくち! ゆっくち!!!」 嬉しそうにはしゃぐ赤れいむの頬を母れいむが泣きながらぺーろぺーろしてあげている。 リーダーまりさとぱちゅりーは、当面やがて訪れる冬に向けてれいむ親子の分の食料もなんとか集めてみると約束して巣穴を 出て行った。 「ありがとう……! ありがとう……っ!!!」 感謝の言葉はいくら口に出しても途絶えることはない。母れいむはあの日以来初めて“悔しい”とか“悲しい”以外の感情で 涙を流していた。 二、 ゆっくりぷれいすで最も広い場所。そこに群れ中のゆっくりたちが集められた。円を描くように待機しているゆっくりの数は 百には満たないものの、その数の多さを感じさせるには十分である。 「ゆ……ゆゆゆ……」 その中央でがたがた震えているのは母れいむ。どのゆっくりとも目を合わせないように視線を泳がせている。傍らにはリーダ ーまりさが控えている。 「いったいなんなの……?」 「れいむをいじめているのがばれたのかしら……?」 「むのうなおやこを“せいっさいっ!”するのかもしれないわ……むきゃきゃ!」 ぼそぼそと小声で話をしているのが母れいむにまで届く。何を言っているのかはわからないが、自分たちのことを何か言われ ているのは間違いないようだ。あんよが震える。 「みんなっ!! ゆっくりきくのぜっ!!!」 リーダーまりさが母れいむの一歩前に出て叫ぶように口を開いた。鶴の一声でそれまで口々に騒いでいたゆっくりたちが一斉 に静まり返る。 「ここにいるれいむは、いっしょにくらしていたまりさと……もうすぐうまれるはずだったちびちゃんを“にんげんさん”にこ ろされたかわいそうなゆっくりなのぜ!!!!」 その事を知っているゆっくりもいたが、知らないゆっくりもいた。群れがざわつき始める。 「そんなれいむを……よってたかっていじめて……それでみんなはゆっくりできているのぜッ??!!!」 リーダーまりさが怒鳴りつけるように問いかけた後、反応を示さないゆっくりたちに向かってそのまま言葉をつなぐ。 「まりさには……みんなのほうがよっぽどゆっくりできていないようにみえるのぜ!!!!」 睨みつけるリーダーまりさの目は真剣そのものだ。どのゆっくりも下を向いたまま動かない。リーダーまりさの言葉は群れの ゆっくりたちにとって重くのしかかる。リーダーまりさに全幅の信頼を寄せていればこそだ。一匹一匹がリーダーまりさの問い かけに思考を巡らす。 リーダーまりさが深く呼吸をした。 「れいむのことをほかのゆっくりよりもだいじにあつかえとはいわないのぜ……」 その言葉に母れいむを含めた全てのゆっくりがリーダーまりさに視線を向ける。 「ただ……。 せめて、むれのなかまのゆっくりの、あんよをひっぱるようなまねだけは――――するななのぜ!!!!」 群れ中のゆっくりたちが目を閉じてリーダーまりさの叱責に怯える。母れいむはリーダーまりさに対しても、群れのゆっくり たちに対しても申し訳ない気持ちでいっぱいだった。自分のせいでリーダーまりさを怒鳴らせてしまい、群れのゆっくりたちが 怒られてしまう。そう思いながらもどうすることもできない母れいむは唇を噛み締めて俯いているしかない。 「……まりさのはなしはおわりなのぜ。 みんな! もうすぐふゆさんがくるから、たべものをしっかりあつめて“えっとう” にそなえるんだぜ!! ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!! ゆっくりりかいしたよ!!!」×87 ぴょんぴょんと散っていくゆっくりたち。 リーダーまりさの心配そうな表情は変わらない。その場の返事だけはいいのがゆっくりだ。自分も含めて群れの仲間もそうい うものだということをリーダーまりさは理解している。 「まりさ……」 不安そうに母れいむが寄ってくる。リーダーまりさも軽率な返事は返さない。今回の一件がある程度の抑止力にはなるだろう。 しかし冬が終わり、やがて春が訪れた時にれいむ親子への迫害が完全に無くなっているかどうか、と問われれば答えはノーだ。 喉元過ぎれば何とやら。それが特に顕著なゆっくりであればなおさらの話である。 「れいむ……。 もしよければ、ちびちゃんをぱちゅりーにあずけるのぜ……?」 これからごく僅かな時間で越冬に備えた食料を蓄えねばならない。盲目の赤れいむの世話をしながらではその作業がままなら ないのではないか。それを懸念しての意見である。当然、母れいむは顔を横に振った。 「そこまでめいわくはかけられないよ……」 「……じゃあ、どうするのぜ? いまのままじゃ――――」 その時。 どこからともなく聞こえてくる優しいメロディが風に運ばれて二匹の元へと届いた。温かく、でもどこか寂しげな……お歌。 「……ちびちゃん……」 母れいむが呟く。その言葉にリーダーまりさは驚きを隠せない。思わず質問する。 「この、おうたは……れいむのちびちゃんがうたっているのぜ……?」 無言で頷く母れいむの姿を見て、リーダーまりさは自分の巣穴を凝視する。確かにお歌はその中から聞こえてきているようだ。 生後一週間とはとても思えない声量と歌唱力。才能の片鱗を見せつけるかのような透き通った歌声に、先ほど散っていったはず のゆっくりが数匹きょろきょろと辺りを見回しながら戻ってくる。 しかし、そのお歌はすぐに終わってしまった。がっかりしたような表情で広場から去っていくゆっくりたち。 「ちびちゃんは……あんまりながくはうたえないんだよ……」 「どうしてなのぜ?」 「うたのつづきが……おもいうかばない、っていってたよ……」 リーダーまりさは驚きを隠せないでいた。あれほどのお歌を即興で歌っていたというのだろうか。思わず身震いしてしまう。 光を奪われたことによって瞼は常に閉ざされたままだが、赤れいむは容姿端麗なゆっくりであった。成長すれば群れの花とし て他のゆっくりたちが放ってはおかなかっただろう。群れ一番の歌姫となれる資質を秘めていたかも知れない。 母れいむとリーダーまりさはずりずりとあんよを這わせながら赤れいむとぱちゅりーの待つ巣穴の奥へと向かった。巣穴の中 で楽しそうにぱちゅりーと遊んでいる赤れいむを見て、母れいむが思わず安堵の溜め息を漏らす。 「むきゅ! とってもきれいで、ゆっくりしているのよ」 「ゆゆーん! れーみゅも、さくらしゃん……みちゃきゃったよ!!」 リーダーまりさが備蓄してあった食料の中からキノコと芋虫を取り出して、れいむ親子に振舞う。その準備をしながら二匹の 会話に混ざる。 「なんのおはなしをしているのぜ?」 「むきゅきゅ……。 れいむとおちびちゃんがすんでいるおうちのちかくに、きれいなさくらがさくのをおしえてあげたのよ」 「さくら……?」 初めて聞く単語に母れいむが顔をかしげる。 ぱちゅりーは飼いゆっくりとして二年間も人間と同じ時を過ごしていた。銀バッジを取得していたぱちゅりーは頭も性格もよ く、厳しく躾けられてもいたため飼い主と仲良く暮らしていたそうだ。ぱちゅりーとその飼い主は群れのある森の近くで暮らし ていたため、一人と一匹でよくこの辺りまで散歩にきていたらしい。 そのとき、満開になった桜を初めて見たのだ。あまりの綺麗さに言葉を失っていたぱちゅりーに飼い主が桜の話をしてくれた。 春になると咲くこと。それを見ながら気の合う仲間と一緒に美味しい物を食べたりするのを“お花見”ということ。 飼い主がぱちゅりーに教えてくれた事はたくさんあったが、桜に心を奪われていたぱちゅりーにとってはこの話が一番記憶に 残っている。 話をするぱちゅりーの表情も、話の内容も楽しそうで母れいむは思わず笑顔になった。久しぶりにゆっくりした時間を過ごし ているように思える。リーダーまりさはそんな母れいむの横顔を見て少しだけ安心した。 まだ“れいむはちゃんと笑えるんだ”と分かっただけでも嬉しくなった。同時に、リーダーとしてこの笑顔を自分が守ってみ せなければならないことを強く決意する。 「それにしてもおちびちゃんは、おうたがじょうずね。 ぱちゅ、びっくりしちゃったわ」 「おきゃあしゃんが、いつもれーみゅにうちゃってきかせちぇくれりゅおうたしゃんのほうがじょうずだよっ」 母れいむが恥ずかしそうに頬を染める。ゆっくりのお歌は一子相伝であり親ゆっくりの歌ったメロディを子ゆっくりが覚えて、 それを自分なりにアレンジしていくことで新しいお歌となる。ゆっくり界において、一つとして同じ歌はないのだ。れいむ親子 のお歌のメロディも、母れいむの母親の。そのまた母親の代からずっと続いてきたものである。余談ではあるが、母れいむをつ がいに選んだ母まりさも、母れいむの歌に聞き惚れて恋に落ちたのであった。 「ゆ! それじゃあ、はるさんがきたらみんなで“おはなみ”をするのぜっ!!」 リーダーまりさの提案に表情を輝かせるのは赤れいむである。ぱちゅりーから聞かされた、とても楽しそうでとてもゆっくり できそうな“お花見”を自分たちもできるかも知れない。それを想像するだけで心が躍り出す。そんな嬉しそうな表情を見せら れては、母れいむもぱちゅりーも承認せざるを得なかった。元より、反対するつもりなどなかったのだが。 三、 ありすから貰ったかごを口に咥えた母れいむがその中に食料を入れていく。ここ数日はぱちゅりーが食料を分けてくれていた ので、狩りに向かう前にしっかりと朝食を食べることができるようになっていた。おかげで狩りの効率も上がり、巣穴の中に貯 められた食料は少しずつではあるが増えてきている。 (さむいけど……ゆっくりがんばるよ!) 冷たい風が容赦なく母れいむの頬を刺す。群れのゆっくりたちは食料集めが終わったのかほとんど外に出ていない。 朝夕は特に冷え込みが激しくなってきた。ゆっくりは皮や中身の餡子が寒さで固まってしまうと動けなくなる。動きが鈍くな ってしまう前に巣穴に戻らねばならないのだ。そのため狩りの時間は限られてしまう。 陽が高いうちに少しでも多くの食料を集めねばならない。母れいむはぴょんぴょんと飛び跳ねて巣穴まで戻ってきた。かごに 食料が入りきらなくなったのだ。 「ゆあ……」 母れいむが立ち止まる。巣穴の“けっかいっ!”が壊されていた。咥えていたかごを草の上に落とす。 「やめちぇよぉぉ!!! れーみゅたちのごはんしゃんがあぁぁぁぁ!!!」 巣穴の中から赤れいむの悲痛な声が聞こえてきた。母れいむが巣穴の中に飛び込む。そこには数匹のゆっくりがいた。事もあ ろうに母れいむが死ぬ思いで集めた食料を食い散らかしている。 「どぼじでごんな゛ごどずる゛の゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ッ!!!!!!」 母れいむが巣穴の中で叫ぶ。赤れいむは無事のようだった。母れいむの声のした方向に向かって跳ねてくる。 「れいむたちばっかりずるいのぜ!」 「りーだーからたすけてもらってばかりなんて、とかいはじゃないわ」 「やめてえぇえぇえぇえ!!!! ごはんさんをむーしゃむーしゃされたら、ふゆさんをこせなくなっちゃうよぉぉぉ!!!」 「だまるのぜ! ゆっくりできないちびちゃんも、むのうなれいむも、ゆっくりできなくなればいいのぜ!!!」 「わかるよー! れいむたちがいなくなっても、ちぇんはこまらないんだねー!!!」 言葉の暴力によって心が打ちひしがれる。母れいむは悔しさのあまり涙を滝のように流していた。赤れいむも声を上げずに泣 いている。 「ぱちゅりーのあとをついていって、せいかいだったんだねー」 「うっめ! これめっちゃうっめ! ぱねぇ!!」 「あんまりたべてばっかりじゃだめよ。 すこしはもってかえらないと」 必死になって集めた食料がどんどん消えて無くなっていく。狭い巣穴の中で喧嘩をするわけにはいかない。巻き込まれた赤れ いむがケガをしてしまう可能性がある。それ以前に、三匹の成体ゆっくりを相手に喧嘩を挑んでは自分の身すら危うい。目の前 で繰り広げられる略奪行為をただ眺めることしかできなかった。 「ゆ~! いっぱいたべたからうんうんしたくなってきたのぜ! ……すっきりー!!」 「もう! まりさったらとかいはじゃないわ!!」 巣穴の中央でうんうんを捻り出すまりさの顔はあまりにも醜悪なものであった。悪臭が漂い始める。赤れいむは母れいむの髪 の中に隠れた。母れいむは涙を流すのみである。 「こんなくさいおうち、はやくでていくんだねー……」 ちぇんの言葉を皮きりに三匹はぞろぞろと巣穴の入り口へと這って行った。 「ゆふん!」 「……っ!」 すれ違い様、母れいむの顔に唾を吐きかけるまりさ。それを見て三匹はゲラゲラと笑っていた。 巣穴の中を静寂が包む。食い荒らされ、奪われた食料の残りに目を向ける。 「……ゆぐっ……」 思わず唇を噛み締め嗚咽を漏らす。母れいむは悟った。もう絶対に冬を越すことはできない。二匹に春は訪れない。 普段なら赤れいむに心配をかけまいと気丈に振舞うことのできる母れいむだったが、今日に限っては涙が止めどなく溢れてく る。悔しさのあまりに全身の震えが止まらない。それは赤れいむにも伝わっていることだろう。抑えようにも嗚咽を止めること はできない。本来なら赤れいむの前で母親である自分が泣きだすなどあってはならないことだ。赤れいむの不安を取り除いてあ げるのが自分のやるべきことではないのか。自問自答しながら、母れいむはただひたすらに泣いた。自分の無力さを嘆いて。あ まりにも理不尽な仕打ちを呪って。誰にぶつけることもできない冷たく暗い感情を涙に変えて流すことしかできなかった。 「どうして……ッ?! れいむたちなんにもわるいことしてないのにっ!!!! みんなひどいよっ!! どうしてれいむたち ばっかりこんなめにあわないといけないのっ?! ……もうやだぁっ!!! おうちかえる!!!!!」 そんなことを喚き散らしながら泣き狂う母れいむ。赤れいむはそんな母親の悲痛な声を聞いているのが辛くて堪らなかった。 「おきゃーしゃ……。 おきゃーしゃん!! ゆあああん!!! ゆっくち! ゆっくちぃぃぃ!!!!!」 赤れいむは何とかして母れいむに落ち着いてもらいたかった。しかし母れいむの位置を知る手掛かりは泣き声しかない。下手 に近寄れば踏み潰されてしまう危険すらある。ただひたすらにおろおろするばかりだった。そんな赤れいむの姿が母れいむの視 界に入る。小さな体。閉ざされた目尻からは涙が細く伝っている。自分を心配してくれている事が痛いほど理解できた。 (ちびちゃん……っ! ごめんねっ!! ごめんねっ!!! ゆっくりさせてあげられなくてごめんねっ!! ごめんねっ!!!) 赤れいむの姿が滲む。顔全体を左右に振ってきょろきょろと母れいむを探し続ける様子が痛々しい。母れいむの呼吸が少しず つ荒くなっていく。 ――――そんなゆっくりできないちびちゃんはさっさとすてて、まりさたちといっしょにゆっくりくらすのぜ!! いつか聞いた言葉。その言葉がまるで囁かれるかのように母れいむの記憶に蘇る。 「おきゃーしゃあん!! どきょぉ? どきょお?!」 母れいむが泣きじゃくるのをやめたせいか赤れいむには母親がどこにいるかわからないらしい。母れいむは虚ろな視線を赤れ いむにぶつけたまま切れ切れに呼吸をしていた。冷や汗がだらだらと頬を伝う。赤れいむに向けられた慈悲の瞳はまるで無力な 自分自身の姿を覗きこんでいるかのようだ。その瞳が狂気の色に染まってゆく。 泣きじゃくる赤れいむ。自分自身。 何も見えずにその場で右往左往するしかない赤れいむ。自分自身。 それでもなお必死に生きようとする赤れいむ。 ……生きようとした、自分自身。 そこに鏡があるから、映し出された自分の心を見て辛い思いをするのだ。ならば、その鏡を壊してしまえばいい。涙が一粒、 二粒頬を伝い落ちる。 (――――ちびちゃん……。 えいえんに……ゆっくりしていってね……っ!!!!!) あんよに力をかける。 「おきゃああああしゃああああああああん!!!!!!!!!!」 その小さな体のどこから今の声を出したのだろうか。歌姫の資質を持っていた赤れいむは、幼いとはいえ成体ゆっくり顔負け、 あるいはそれ以上の声量を誇る。凄まじい音の衝撃が巣穴の壁に反響して母れいむの体を……いや、心を震わせた。 「れーみゅ……っ!! ごはんしゃん、むーしゃむーしゃできなくちぇもいいきゃらっ!!! おにゃかがすいちぇもがまんで きりゅよっ!!!! もっちょがまんしなきゃいけにゃいなら、もっちょがまんしゅりゅよっ!!!」 母れいむが言葉を失う。今、この赤れいむは何と言ったのだろうか。聞き違いでなければ“もっと我慢しなきゃいけないなら、 もっと我慢する”……そう言ったように聞こえる。文字通り目を丸くした母れいむが赤れいむに尋ねた。 「ちびちゃん……? どういうことなの……?」 赤れいむがその母れいむの声のする方に顔を向ける。 「もっと、むーしゃむーしゃ……したかったの?」 「ゆぐっ……ひっく……、ゆ……ゆんっ……!」 頷く赤れいむ。母れいむは瞼を閉じたまま泣き続ける赤れいむに釘づけである。二の句を継げないでいる母れいむに赤れいむ が恐る恐るといった様子で言葉を続ける。 「おきゃーしゃん……ごはんしゃん……たくしゃんとっちぇくりゅのは……たいへんだちょ……おもっちぇ……しょれで……。 しょれで……っ!! ごめんなしゃい!! れーみゅ……れーみゅ……ほんちょは……もっちょ、むーちゃむーちゃしちゃくて ……っ!!!」 恐らく、赤れいむはこんなことを言うつもりではなかったのだろう。表情の端々から後悔の念が汲み取れる。 少食などではなかったのだ。それは母れいむの“思い込み”だった。しかしそれは仕方のない事でもある。生まれて一カ月も 経たない赤ちゃんゆっくりが母親ゆっくりに対してそんな気遣いをできるわけがないはずだ。母れいむの目から涙が更に溢れて くる。本当に申し訳なさそうに泣いている赤れいむを見ると心がギシギシと音を立てて軋む。気付かなかったのだ。赤れいむの 優しさに。赤れいむを何とかして育てることしか頭になかった……、あるいは考える余裕がなかった母れいむにその健気な姿を 見ることはできなかった。 日々の辛い生活。群れの仲間からの過酷な仕打ち。最愛のまりさの忘れ形見であるたった一匹の我が子。 それらすべてが、母れいむを盲目にさせていた。こんなに近い場所にいる赤れいむの親を想う強い気持ちにさえ、気づいてあ げることができなかった。 「おきゃーしゃ……」 赤れいむの元に駆け寄り頬をすり寄せる。赤れいむがどんな表情をしているかはわからない。わからないが、そうせずにはい られなかった。心の奥から流れ出す数多の想い。感謝と、懺悔と、後悔と……その全てが入り混じったような複雑な気持ち。 「ゆゆーん……しゅーり……しゅーり……」 母れいむのすーりすーりに応えるように頬を動かし始める赤れいむ。母れいむの愛情が赤れいむに浸透していく。その想いが 旋律となって赤れいむの口から流れ出した。 泣きながらその“お歌”を聴いている。親子ともども泣き疲れて眠るまで……赤れいむの優しく儚い……“お歌”は続いた。 四、 「おきゃーしゃあああん!!! おきゃーしゃあああん!!! やじゃ……っ!! れーみゅは……おきゃーしゃんといっちょ にゆっくちしちゃいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」 リーダーまりさの巣穴の奥から赤れいむの叫び声が聞こえる。母れいむは決して良くはない頭で一生懸命考えた。赤れいむを どうするか。もはや自分一人ではどうすることもできなかった。それでも、母れいむは赤れいむと一緒にゆっくりと生きていた かった。どれだけ辛い目に逢おうとも、赤れいむと一緒であれば絶対にゆっくりすることができる。そう信じて、赤れいむをリ ーダーまりさとぱちゅりーに預けたのだ。 「れいむ……はるさんがきたら、ちびちゃんといっしょにむかえにいくのぜ……」 「ゆっくりりかいしたよ……」 振り返らずに答える母れいむの後姿を見てリーダーまりさは何か声をかけようとしたが、言葉にならなかった。ずりずりとあ んよを這わせてその場を去っていく母れいむを見ていることしかできないリーダーまりさは、自分の無力さを呪っていた。 「おきゃーしゃん!! おきゃーしゃん!!! ゆんやあああああ!!!!!」 赤れいむの声が聞こえなくなるまでは絶対に振り返らない。母れいむはそう決めていた。そうしなければ、すぐにでもリーダ ーまりさの巣穴の中に飛び込んで、赤れいむを咥えて自分たちの巣穴に逃げ込んでしまうような気がしていたから。そんな事を 思いながら、泣くのを堪えながらあんよを動かしているのに。赤れいむの悲痛な声はいつまで経っても聞こえなくなることはな かった。 ようやく。赤れいむの声が聞こえなくなったときはもう自分の巣穴の傍まで来ていた。振り返る。ぼろぼろと涙が溢れだす。 (あいたい……っ!! ちびちゃんにあいたい……っ!!!!) 「じぶんでそだてられないからって、りーだーにちびちゃんをあずけるなんて……さいていのげすゆっくりなのぜ」 「?!」 気がつくと数匹のゆっくりに囲まれていた。 「りーだーはみんなをゆっくりさせるためにがんばっているのに、ふたんをふやすなんてとかいはじゃないわ!」 「れいむ! あんなゆっくりできないちびちゃんなんかいらないのぜっ!!! おめめがみえないんじゃなんにもできないのぜ! ごはんさんだってじぶんであつめられないし……そんなやくにたたないゆっくりと、ずっといっしょにゆっくりしたいなんてい うゆっくりもいないのぜ!!」 「むきゅ! もりのけんじゃのぱちゅがおしえてあげるわ! あのちびちゃんには、ゆっくりさせてあげるひつようなんてない のよ! だって、だれもゆっくりさせてあげることができないんだもの!!」 辛辣な言葉が雨のように降り注ぐ。その“雨”に打たれながら体を震わせ涙をこぼす。言いたいことはたくさんあった。たく さんあるのにそれを言葉に出すことはできない。余計な体力を使うのは惜しまれる。そんな言い訳を頭の中で巡らせながら、何 事もなかったかのようにその場を立ち去ろうとする母れいむ。ゆっくりたちはそれを許さなかった。 「むしするななのぜぇぇぇぇぇ!!!!」 一匹のまりさが体当たりで母れいむを弾き飛ばす。ごろごろと転がった母れいむが木にぶつかって止まった時には、ゆっくり たちによるリンチが始まっていた。 「りーだーをゆっくりさせないゆっくりはしねっ!!!!」 ちゃちな大義名分である。本音は抵抗するだけの力もなく、仕返しを企てる仲間もいないゆっくりに対して一方的な暴力を振 るっていたいだけのくせに。それで自分は強いと……正しいと思い込みたいだけのくせに。繰り返される体当たり。それでも致 命傷を与えないようにだけは気をつけているのが理解できる。同族殺しはゆっくりできないのだ。それが“せいっさいっ!”で ないことを窺わせている。弱者を虐げることで、一時の“ゆっくり”に酔っているだけのことなのだ。 母れいむが解放されたときは山の向こうに夕日が沈みかけていた。気温がぐんぐん下がっていく。それに比例するかのように 母れいむの体温も下がっていった。自分の体の内側が……外側が思うように動かなくなっていくのが理解できる。それは恐ろし いことだった。だが同時に安心している自分もいた。このまま目を閉じていれば、永遠にゆっくりすることができるだろうか。 誰にも迫害されずに、日々を生き抜くためにゆっくりできなくなることもなく、幸せな時を過ごすことができるようになるのだ ろうか。それはあまりにも甘美な誘惑。全てに疲れ果てていた。母れいむのゆん生をまるっきり変えてしまったあの日から時間 は決して経ってはいない。しかし、この過酷な日々はゆっくりにとっては地獄そのものであり、延々と続く迫害は母れいむの居 場所さえも奪っていった。 「れいむ……。 もう、えいえんに……ゆっくりしたいよ……」 願いを呟く。それは誰に対しての願いだったのだろう。殺されたつがいのまりさか、育ててあげられなかった赤れいむか。寒 さは体力を奪い母れいむの意識を徐々に掻き消していく。 「もっと……ゆっくりした、か……――――」 「れいむ!!! れいむ!!! ゆっくりしていってね!!! ゆっくりしていってね!!!!!」 薄れゆく意識の片隅。懐かしい友の声が聞こえる。夢か現か。今の母れいむにとってそれはどうでもいいことだった。閉ざさ れてしまった瞳には何も映らない。 「れいむ!! とかいはじゃないわっ!!! はやくおめめをあけなさい!!!!」 叫びながら母れいむを揺するありす。返事をしない母れいむの揉み上げを咥えて引っ張る。ありすは独身ゆっくりだ。巣穴の 中に母れいむをかくまっても文句を言うような輩はいない。 「……れいむっ!! れいむっ!!!」 「ゆ……く、り……」 「とかいはだわっ! はやくありすのおうちにきなさいっ! ごはんさんくらいなら、むーしゃむーしゃさせてあげてもいいの よっ?! なにかってにえいえんにゆっくりしようとしてるの?! ばかなの? しぬのっ?! し、しなせたりなんかしない んだからっ!!!!」 矢継ぎ早に激励しているのか罵倒しているのかよく分からない口調でまくし立てる。ありすはべそべそ泣いていた。母れいむ の目から涙がこぼれる。自分のために泣いてくれる相手がいるということがどれほど嬉しくて幸せなことか。視界の中にありす を入れたことで安心したのか、母れいむはそのまま深い眠りに落ちてしまった。ありすは気を失ったかのように眠り続ける母れ いむを自分の巣穴まで運ぶと、頬をすり寄せたりぺーろぺーろと舐めたりしながら看病をした。母れいむが目覚めた後、すぐに 食事を与えることができるように葉っぱの上に芋虫やキノコを並べていく。ありすにとって母れいむは幼馴染だ。他者と付き合 うことが苦手なありすが心を許せる数少ない存在。 「ゆ……ゆ……ゆ……」 苦しそうにうめき声をあげる母れいむ。うなされているのだろう。ありすは何とかしてその苦しみから母れいむを救ってあげ たいと願ったが、夢の中にまで手を差し伸べてあげることはできない。巣穴の中。母れいむの隣。冷や汗をかきながら辛そうに 眠る母れいむを見ていることしかできなかった。 母れいむが目覚めたとき、すぐ傍にありすがいた。泣き疲れて眠ってしまったのか寝息を立てている。ありすの巣穴は入り口 からの距離が比較的短い。月明かりが母れいむの周囲を照らしていた。葉っぱの上に置かれた芋虫やキノコ。ありすが用意して くれたのだろう。母れいむはそれに口をつける気にはなれなかった。不意にこれまで少ない食事を我慢して自分を気遣っていた 赤れいむのことを思い出したからだ。 「ちびちゃん……きづいてあげられなくて、ごめんね……」 「れいむ……?」 母れいむのつぶやきにありすが目を覚ました。ぐいっと顔を近づける。虚ろな眼差しでありすを見つめる母れいむ。ありすが 安堵の表情を浮かべた。疲れ切ってはいるが、母れいむの瞳はまだ生きている。それが嬉しくてまた泣きそうになってしまうが、 それよりも先に言っておきたいことがある。 「れいむ。 ちびちゃんをりーだーにあずけた、っていうのはほんとうなのかしら……?」 「ほんとうだよ……」 「そう……」 「……ありも、れいむのことをゆっくりできないゆっくりだっていいたいんでしょ……?」 「ち、ちが……」 「れいむだって! ちびちゃんといっしょにゆっくりしたいよ!! でももうごはんさんをちびちゃんのぶんまであつめられな いんだよっ!! せっかくあつめたごはんさんもほかのゆっくりにむーしゃむーしゃされてなくなっちゃったよ!!! それな のに、ぜんぶれいむがわるいの?! どうして? どうしてれいむばっかりがこんなめにあわないといけないのっ?!!」 「れいむ! おねがいだからおちついて!!!」 「ゆあああああん!! もうやだ!!! れいむも、ちびちゃんも、えいえんにゆっくりしちゃえばいいんだあああ!!!!」 鋭い音が巣穴の中に響いた。母れいむが自分の身に何が起こったのかを理解するのに一瞬のタイムラグが生じる。頬と後頭部 に鈍い痛みが感じられた。ゆっくりと視線をありすに向ける。ありすは震えながら、泣きながら、母れいむのことを睨みつけて いた。母れいむの顔が青ざめていく。違うのだ。ありすにこんな事を言うつもりはなかった。 「どおしてそんなこというのっ?!」 言葉を失う。ありすの問いかけに対して何も答えることができない。巣穴の中を静寂が包んだ。 「れいむ。 あなたにはきこえないのかしら?」 「……ゆ?」 母れいむが意識を巣穴の外に向ける。静まりかえった森の向こう側。乾いた空気に乗って微かに何かが聞こえてくる。母れい むが巣穴の外に這い出た。夜の風が頬を撫でる。 ……ゆー、ゆー……ゆぅ……♪ 歌声だった。忘れるわけもない透き通った声と聞き慣れたメロディ。この歌を歌っているのは赤れいむだ。リーダーまりさの 巣穴からここまでどれほどの距離があったであろうか。巣穴の外で歌い続けているのかも知れない。まるで、自分の傍から離れ てしまった母れいむに歌で呼びかけているかのように感じた。人間には決して理解することのできないゆっくりのお歌。しかし、 ゆっくりはその歌詞を理解することができる。冷たい草むらに突っ伏し母れいむは声も出さずに泣き続けた。 「れいむ。 おねがいだからもうあんなこといわないで。 あなたがいなくなったら、ありすもちびちゃんも……りーだーだっ てかなしむわ……。 あなたをわるくいうゆっくりもたくさんいるけれど、あなたのことをだいすきなゆっくりもいるっていう ことを……ゆっくりりかいしてね?」 「ゆぐ……ぅ、ゆぇぇ……ゆ……く、り……りかい……したよ……」 ありすは少しだけ口元を緩めると母れいむの頬にすーりすーりをした。 (れいむのちびちゃん……あなたのきもちは、きっとおかあさんにとどいているわ) 次の日も。そのまた次の日も。赤れいむのお歌が聞こえてきた。 ありすづてに聞いた話によると、赤れいむがお歌の練習をしたいと言い出してぱちゅりー監督のもと巣穴のすぐ近くで歌い続 けているらしい。最近では赤れいむの歌声を聴くために姿は見せないものの群れのゆっくりがやって来ているそうだ。そのお歌 は、赤れいむから母れいむへ送るこの世に一曲しかないお歌だった。群れのゆっくりたちもまた、ゆっくりの子である。今はも う永遠にゆっくりしてしまった母親ゆっくりへの思いを馳せてしまうのか、涙するゆっくりが多いと聞く。 真冬になっても赤れいむは歌い続けた。今頃は成長して子ゆっくりぐらいの大きさになっているかも知れない。そんな久しく 会わない愛しの我が子の姿を瞼の裏に浮かべては小さくすすり泣く日々。この地域は冬と言っても昼の間はそれなりに気温が高 くなる。おかげでこのわずかな時間を狙って狩りに出れば、効率は悪いものの一日を何とか生きていくぐらいの食料を集めるこ とはできた。 赤れいむはお歌を歌い続けることで群れのゆっくりたちにその存在を認められつつあった。 毎日、毎日、歌い続けた結果であろう。少しずつ認識が変わっていったのだ。いや、赤れいむ自らが変えていったと言うほう が正しいのかも知れない。自分の力で道を切り開いていこうとする赤れいむに応えるかのように、母れいむもまた一匹だけで冬 を越すことを望んだ。ありすに冬の間だけでも一緒に暮らしてはどうかと誘われたが断った。事情を聞いたありすは少しだけ悲 しそうな顔をして嬉しそうに「れいむはとかいはなゆっくりだわ!」と言ってくれた。 母れいむ。赤れいむ。ありす。リーダーまりさ。ぱちゅりー。 それぞれの思いを乗せて季節は少しずつ巡っていく。春の足音が聞こえてくるようになっても、赤れいむはお歌を歌い続けて いた。暖かくなってきたある日。母れいむの巣穴の前に芋虫や木の実、草やキノコが置いてあった。ころころと笑いながらあり すが説明をする。この食べ物は群れのゆっくりたちが置いていったらしい。母れいむは本当にうっすらと笑みを浮かべた。 (……ちびちゃんの、おかげだね……) 助けなければならない。自分の命に替えてでも。そんなことを思いながら赤れいむと過ごしてきたつもりだったが、助けられ たのは自分のほうだった。群れのゆっくりの心にも届いたのだろう。赤れいむが母れいむを想う気持ちの深さや、強い絆を。母 れいむが一匹だけで冬を越そうとしてる話もまた、リーダーまりさたちの周りにまで届いていた。 (ちびちゃん……) (おかあさん……) ((ゆっくり……あいたいよ)) やがて……森に春が訪れた。 五、 ある日、母れいむの巣穴にぱちゅりーがやってきた。相変わらず母れいむの結界は見破られているようだ。 「れいむ……はるさんがきたら、おはなみをするっていうはなしをおぼえているかしら?」 「ゆっくりおぼえてるよ」 「もう、さくらがさいているわ……ちかいうちにおはなみをしようとおもうのだけれど、そのときあずかっていたちびちゃんを れいむにかえすわね」 「ゆっくり……りかいしたよ」 「むきゅ……もしかして、こわいのかしら?」 「…………」 「だいじょうぶよ。 ちびちゃんはれいむのことをおこったりなんてしてないわ。 はやくおかあさんにあいたい、ってそれば っかりよ」 「ゆぁ……」 「むきゅきゅ……ぱちゅもちびちゃんがいたら、れいむのきもちがわかるようになるかもしれないけれど……」 ぱちゅりーは元飼いゆっくりだ。ペットショップで避妊と去勢を行われているため、赤ちゃんを作ることはできない。ぱちゅ りーは母れいむに向かって「あなたはしあわせなゆっくりだわ」と言っていた。赤れいむにあんなにも愛されて。赤れいむをこ んなにも愛することができて、幸せだと。どんなに離れていてもお互いに親子として生きていけることが羨ましくて仕方がない と。 ゆっくりに暦の概念はないが四月に入った。桜の花が咲き乱れている。母れいむはそれをぼんやりと眺めて「あれがぱちゅり ーのいっていたさくらかな」などと想いを巡らせていた。風が吹くと桜の花びらが宙を舞う。 「ゆっくり……きれいだよ」 リーダーまりさが母れいむの巣穴にやってきた。今日は兼ねてから計画のあった花見の日だ。花見をする予定の場所は比較的 母れいむの巣穴の近くにあったため、先にやってきたリーダーまりさが迎えにきたのだ。母れいむは、まるでマリッジブルーの 花嫁のような面持ちで巣穴の外に出た。春の陽気が母れいむを包む。 「れいむ……ほんとうによくがんばったのぜ」 「……ちびちゃんのほうが、もっとがんばっていたよ」 「それじゃあ、ふたりともがんばっていたのぜ!」 嬉しそうに笑うリーダーまりさにつられて笑ってしまう。一呼吸置いてから、言葉を返す。 「ゆっくり……ありがとう」 連なってぴょんぴょんと飛び跳ねる二匹。花見の会場にはまだ一匹のゆっくりもたどり着いてはいなかった。原っぱの真ん中 で立ち止まった母れいむとリーダーまりさは、澄み切った青空を見上げていた。リーダーまりさが呟く。 「れいむ……いままでつらいおもいをさせてごめんなさいなのぜ……」 「……りーだーはわるくないよ」 「むれのみんなをゆっくりさせてあげるために、りーだーになったのに……まりさひとりじゃなにもできなかったよ……。だか ら……ゆっくりごめんなさいするのぜ」 少し背の高い草が風に揺られて二匹の頬をくすぐる。春が二匹に「もっと笑って」と言っているように聞こえた。しばらくし て、ぽつりぽつりと群れのゆっくりが森の中から出てきた。どのゆっくりも幸せそうな顔をしている。長く辛い冬を乗り越えた 喜びをわかち合っているかのようだ。母れいむは思わず目を背けてしまう。リーダーまりさが力強い声で、 「れいむ。 どうどうとしているのぜ」 「で……でも……」 微かに震える。リーダーまりさが頬を押しつけてそれを阻む。 「ゆわぁ……とってもきれいだね……!」 数匹のゆっくりがはしゃぎながら二匹の元へとやってくる。去年の春も桜を見ていたゆっくりはいたが、今年の桜は格別美し く見えた。きっとぱちゅりーから色々な話を聞かされていたからだろう。少し離れた位置からありすもぴょんぴょんと跳ねてく る。リーダーまりさの指導の賜か群れのゆっくりは全員越冬に成功していた。群れの規模が大きすぎないことも要因の一つとし て挙げられるかも知れない。何ヶ月ぶりかに再会した群れの仲間たちは思い思いにゆっくりしていた。久しぶりに動かした体を 伸ばしてみたり、日差しで暖められた草の上をころころと転がったり。幸せなゆっくりぷれいす、ここにありと言わんばかりの 光景が目の前に広がっている。花見のために群れのゆっくりたちが持ってきたのは越冬時の残りや、ここ数日で集めてきたたく さんの食料。花見の席でミミズを見つけたゆっくりはそれを食べるのに夢中になっていた。 「むきゅ……」 「…………!!」 母れいむの視界の中央。運動は得意でないぱちゅりーがゆっくりとこちらに向かって這ってくる。そのすぐ横。バレーボール ぐらいの大きさに成長した子ゆっくり。まだ成体と呼べるサイズにまでは達していない。 ぼろぼろと涙が溢れてくる。群れのゆっくりたちも無意識のうちに母れいむとぱちゅりーの間に道を空けていく。まるでヴァ ージンロードだ。その道の真ん中。自分の元へと向かってくる子れいむ。体が大きくなっても、あの頃のままだ。ずりずり、ず りずり。あんよを這わせて少しずつ進む。母れいむとの距離が縮まっていく。やがて、子れいむがぴたりとあんよを止めた。 「おかあ……さん?」 舌足らずな口調が抜けた子れいむが口を開く。泣きたくなるのを必死に堪えていた。ぱちゅりーがれいむ親子ににっこりと微 笑んだ。 「ちびちゃん。 おかあさんは、あなたのめのまえにいるわ」 「おかあさん……! おかあさん……っ!! ゆぁ……ゆぅ……っ!!!」 「ち……ちびちゃ……」 言い終えるか終えないかのうちに母れいむが飛び出す。群れのゆっくりたちはその様子を固唾を飲んで見守っていた。ありす は目にうっすらと涙を浮かべていた。リーダーまりさは穏やかな笑みを浮かべていた。ぱちゅりーは三カ月近く一緒にいたちび ちゃんが母れいむの元に帰って少し寂しそうだが、嬉しそうだった。 「おかあさん!!! おかあさん!!! れいむはれいむだよっ!!! ゆっくりしていってねっ!!!!」 「ちびちゃん!! ちびちゃんっ!!!!」 「おかあさん……っ!! れいむ……さびしかったよぅ……っ!!! ゆーん……ゆーん……っ!!!」 子れいむの涙がぼろぼろと頬を伝う。それをぺーろぺーろと舐め取りながら頬をすり寄せる母れいむ。子れいむの涙は懐かし い味がした。本当は群れのゆっくりたちも二匹の再会を祝福してあげたいところだったが、これまで自分たちが行ってきた仕打 ちを思うと素直に駆け寄ることができない。しかし、れいむ親子にとってそんなことはどうでもよかった。長い長いすーりすー り。冬の間中行うことができなかったすーりすーりをただひたすらに繰り返す。二匹の表情はとてもゆっくりしていた。 だが。 「ゆゆっ?! にんげんさんっ!! ここはまりさたちのゆっくりぷれぶりゅびゅあっ!!!!!!」 突然の悲鳴に全てのゆっくりが一斉に振り返る。 「……ゆ? ……ゆゆ?」 一匹のまりさが潰されて死んでいた。そこから視線を少し上にずらすと十数人の人間たちが見える。 「事前調査の報告書よりも多くないか?」 「野生ゆっくりの一斉駆除なら業者に任せて欲しいもんだぜ……」 「業者は手が回らないんだろ。 町の中心部の野良ゆっくり狩りで忙しいだろうからな」 ぱちゅりーが青ざめた表情を浮かべる。リーダーまりさも危険を感じ取っていた。人間たちは市役所の職員である。手にはバ インダーが握られていた。それに挟まれた紙には“桜祭り計画案”との文字が見える。人間たちはこの場所で夜桜を見ながらの 祭りを計画していたのだ。冬の間に計画が固まり、何度か現地に足を運んでいた。まだ群れが本格的に越冬を始める前の話であ る。ゆっくりの群れが付近に棲息していることは調べられていた。 「みんなっ! ゆっくりしないでにげるのぜっ!!!!」 リーダーまりさが声をかけたときにはもう遅かった。数人の男たちが一斉に動きだして巨大なグリーンネットの中にゆっくり たちを閉じ込めたのだ。網のそこかしこから、自由を奪われたゆっくりたちの泣き叫ぶ声が聞こえてくる。 「ゆあああっ!!! やめてねっ!! やめんぎゅびゅぇっ!!!!!!」 そこから一匹一匹丁寧に潰されていく。パニックに陥ったゆっくりたちにこの網から逃れる術はなかった。そんな阿鼻叫喚の 地獄絵図の片隅でれいむ親子はがたがた震えていた。目の見えない子れいむはぴったりと母れいむに寄り添って離れない。次々 と潰されていく群れのゆっくりたちを見て、リーダーまりさとぱちゅりーはおぼろげながらに理解した。もう、この群れは終わ りだ、助からない……と。 「おかあさん……? どうしたの……? ゆっくりできない……?」 「だいじょうぶだよっ!! ちびちゃんっ!!! おかあさんがそばにいるからねっ!!!」 震える子れいむに力強く頬を押し当てて誰へ向けるともなく頬に空気を溜める。既に群れの三分の一ほどのゆっくりが潰され ていた。リーダーまりさが叫ぶ。 「にんげんさあああんっ!!! まりさが、このゆっくりたちのりーだーなのぜぇぇぇぇぇ!!! まりさたちはここでおはな みをしようとしていただけなんだぜぇぇぇぇぇぇッ!!!!」 「こりゃ驚いた。 もともとこの辺にお菓子かなんかをばらまいて集まったところを一網打尽にする計画だったが、お前らの方 から集まってきてくれるとはな。 それはともかくゆっくり如きが花見だとは笑わせる。 お前らなんかに見せる桜なんてねー よ。 一生穴ん中で暮らしてろ」 「どぼじでぞんなごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ??!!!」 複数のゆっくりたちが人間のもの言いに叫び声を上げるが片っぱしから潰されていく。ゆっくりたちの話を聞くつもりはなさ そうだ。当然だろう。桜祭りの最中に屋台の匂いにつられてふらふらと入り込んでもらっては困る。さすがに会場の中で駆除を 行うわけにはいかない。あくまで、桜祭り当日までに群れを殲滅させる必要があるのだ。また、それが市長からの指示であった。 「あぁ……まりさの……むれが……。 ゆっくりぷれいすが…………っ!!!」 泣き続けるリーダーまりさの前に人間が立ちはだかる。がたがたと震えているリーダーまりさの後ろから優しいメロディが聞 こえてきた。 「ゆ?」 「何だ……?」 ゆー……ゆぅゆーーーゆぅ……ゆうゆゆゆうぅ~~♪ 「ちびちゃん……?」 母れいむの隣で、子れいむがお歌を歌い始めた。目が見えていないので群れがどういう状況にあるかを分かっていないのだろ うか。そんなことはないはずだ。潰されて泣き叫ぶゆっくりたちの悲鳴は聞こえているはずである。 「むきゅっ……ちびちゃん……もしかして……」 ぱちゅりーが呟く。子れいむは自分のお歌を聴いてもらって人間たちにゆっくりしてもらおうと考えていたのかも知れない。 あるいは、既に死を悟り、お歌に込めたメッセージを母れいむに伝えようとしているのだろうか。 「あっははははは!!!! なんだそりゃっ!! これがゆっくりのお歌ってやつかっ! 想像以上に酷いな!!! こんな雑 音聴きながら食べ物食い散らかすのがお前らの花見かっ!!! これだから、ゆっくりってやつは!」 人間たちの言葉は難しくてゆっくりたちにはよく分からない。だけれども、子れいむのお歌を馬鹿にされていることだけは理 解できた。それが悔しくて仕方がない。ゲラゲラと笑い続ける人間たちの雑音で子れいむのお歌がよく聴こえないのも癇に障る。 「ちびちゃんのおうたをばかにするななのぜええええええ!!!!!!!」 リーダーまりさの叫びを号令に群れのゆっくりたちが一斉に反撃を試みた。それでも形勢が逆転するようなことはない。次々 と餡子を飛び散らしていくゆっくりたち。叩き潰され、踏み潰され、ただの一匹たりとも人間に一矢報いることはできなかった。 一番槍を買ってでたリーダーまりさも潰されていた。幼馴染のありすはどこにいるか分からないが既に潰されていることだろう。 半数が壊滅してしまった群れのゆっくりたち。絶叫が響く地獄の中で、子れいむはお歌を歌い続けていた。その傍らでぱちゅ りーが泣き崩れている。嗚咽混じりの涙声で、 「ぱちゅが……ぱちゅが、おはなみのはなしなんてしたから……っ!!!」 人間がれいむ親子の前に現れた。母れいむは泣きながら威嚇をしている。姿形は違えど、目の前にいるのはかつて最愛のまり さと子れいむの姉妹を永遠にゆっくりさせて、子れいむから永遠に光を奪った憎き人間。 「ちびちゃんにはゆびいっぼ――――ッ??!!!!!!」 飛びかかろうとした母れいむの脳天に先の尖ったスコップが振り下ろされ、真っ二つに顔がちぎれ飛ぶ。あまりにも一瞬ので きごとであった。いつのまにか生き残ったゆっくりたちは人間に包囲され、徐々にその数が減っていく。母れいむはぶるぶると 震えながら子れいむの元に這い寄ろうとする。 「ち……びちゃ…………」 切れ切れに呼吸をしてた母れいむも、剣スコで何度も顔を突き刺されてようやく物言わぬ饅頭となった。既にぱちゅりーも殺 されていた。お歌を歌い続ける子れいむに男たちが近寄る。それでも臆することなくお歌を歌い続ける子れいむを見て人間たち が気付いた。このゆっくりは目が見えないのだと。だから、どうだというわけでもなく、ひと思いにスコップを振り下ろす。 子れいむは顔の形を崩されて中身を爆散させる最後の一瞬まで、お歌を歌い続けていた。 ――お母さん、いつもれいむの傍にいてくれてありがとう。 ――ごめんね。 れいむはお母さんのお顔を思い出せないよ。 ゆっくりできないゆっくりて言われるのも仕方がないね。 ――でも、お母さんのお顔を想像することはできるよ! ――れいむが苛められて泣いてるときに柔らかいほっぺたで、すーりすーりしてくれたよね? ――れいむの流した涙を温かい舌でぺーろぺーろしてくれたよね? ――れいむが寒いってわがまま言ったときは髪の毛の中に入れてくれたよね? ――おうちの中でもお外でも、お母さんはずっとれいむに笑いかけてくれてたんだよね? ――お友達は一人もいなかったけど、お母さんがいてくれたから……ちっとも寂しくなんてなかったよ! ――ねぇ、どうして? ――どうしてお母さんはれいむを捨てようとしなかったの? ――お母さん一人だったら群れのみんなだって仲良くしてくれたと思うよ。 ――それでもれいむはお母さんと一緒にいたかったら、“捨てないで”なんて言っちゃったよ。 ――わがままなれいむを許してね? ――お母さん。 ――れいむのことを好きでいてくれてありがとう。 ――れいむはおめめが見えないから、お母さんが永遠にゆっくりしちゃったら生きていけないね。 ――だからそのときは、れいむもお母さんと一緒に永遠にゆっくりするよ。 ――こんなことを言ったら怒られるかな? ――お母さん。 ――れいむの優しいお母さん。 ――れいむを一人で育ててくれた強いお母さん。 ――ゆっくりしていってね……!!! ――お母さん……大好きだよ。 第一回の桜祭りは地元住民の協力もあって大いに盛り上がり、大成功を収めた。その日は夜遅くまで音響設備を使ったカラオ ケ大会や催し物が行われた。発電機の凄まじい音を掻き消すかのように楽しそうにはしゃぐ来場者。飲み、食い、歌い、踊り。 思い思いに花見を楽しんでいた。 その翌朝。 桜祭りの会場に投げ散らかされた数多のゴミを回収する地元住民たちはそれぞれ悪態をついていた。 「まったく……。 昨日はカラオケがうるさくて夜も眠れんかったわい……食べ散らかすだけ食べ散らかしておいて、ろくに片 付けもしやせん……。 これだから最近の連中は……」 おわり 日常おこりうるゆっくりたちの悲劇をこよなく愛する余白あきでした。 余白あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 話自体は面白かったけど最後の取って付けたような人間批判が微妙だった 人間側の醜さを強調することでゆっくり側の美しさを引き立てる演出だとはわかってるけどね -- 2014-03-21 07 23 35 人間がゴミそのもので萎えた -- 2013-08-02 10 49 08 いいね ゆっくりがお花見だとか歌姫だとか、親子愛だとか気持ち悪いとしか思えなかったので そんなの関係ねえって感じでサクサク殺されていく様が爽快だった -- 2013-05-29 03 30 59 救いはないと思ったが、無常にも一気に収束する流れは素晴らしかった ありすも既に叩き潰されているだろう、はゾクっとした -- 2012-10-26 15 11 17 くっそおおおおクズ人間を殺したくなったああああああ -- 2012-07-31 20 31 29 はーいゲスも非常識人間もしまっちゃおうね~ -- 2012-05-05 16 33 24 中盤の親れいむの巣を襲撃したゲス共が制裁されてないのはおかしい。報告せずに泣き寝入りしたのだろうか。最終的に全滅したので良かったが。 -- 2011-09-21 01 20 31 良くも悪くも本能に忠実、か・・・ -- 2011-03-02 01 08 41 ↓なんかすごく真をついた言葉だな・・・そうだよな・・本能ってそうなんだよな・・・うまく言えんがとてもハッとしました。 -- 2010-12-17 22 54 00 本能は思考ではない -- 2010-12-17 08 28 11 子れいむが潰される描写も見たかったな。セリフ付で。 -- 2010-12-12 11 46 41 こんな屑の集まりじゃほっといても簡単に滅びそうなもんだがな -- 2010-09-28 19 23 38 何の前触れも容赦もなく殺されるのがゆっくりの日常。人間登場の結末は良かった -- 2010-09-07 17 30 27 ゆっくり共には幸せになる資格も権利も一切無い。不幸=ゆっくりだ。 -- 2010-09-06 14 21 54 いーや、絶対に糞饅頭共は虐殺!!ハッピーエンドなんてありえない!!でも人間もゴミはきちんともちかえろうよ。マナーは守んなきゃな。 -- 2010-08-31 08 46 16 無理にバッドエンドにすることもないと思うがね -- 2010-08-31 02 16 30 人間の駆除が余計だったという意見が多いようだけど俺はあったほうが断然いいなあ。 -- 2010-08-16 13 05 41 ゴミはきちんとかたずけような。 -- 2010-07-29 21 44 58 所詮野生≒ゲスだな -- 2010-07-27 17 53 25 人間はなかったほうがよかったかもね。 でもおもしろかった -- 2010-07-25 10 36 12
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「ふたば系ゆっくりいじめ 567 やくにたつ/コメントログ」 ヤンデレなのかいな〜 -- 2010-04-19 00 51 01 で・・・? -- 2010-06-08 21 59 37 やんでれいむ -- 2010-07-05 14 54 37 類は友を呼ぶ。クズの周りにはクズが集まる。 -- 2010-07-10 17 52 43 人間でもクズ男に尽くす女がいるんだよな それにヤンデレ要素が加わったのか -- 2010-08-09 23 34 37 なんで人間来た後急にれいむの態度変わったん? -- 2011-05-12 17 15 58 続きがないとか・・・・・・・SSで続きの期待を煽っても仕方ないってわからないのかね 作者クズすぎ -- 2012-07-22 16 01 35 要するに、何がしたいん? -- 2012-09-16 14 24 50
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山岳救助レンジャー部隊 〔冷覇〕 12KB 虐待-いじめ パロディ 飾り 駆除 野良ゆ 希少種 現代 お目汚しにどうぞ、短めです 山岳救助レンジャー部隊 〔冷覇〕 マーラーあき 過去書いた物 ・ふたば系ゆっくりいじめ 716 中華料理店 麻辣 ・ふたば系ゆっくりいじめ 726 16匹の子まりさ ・甘味処 ゆうか ・ふたば系ゆっくりいじめ 806 16匹の子まりさ11/16 ・ふたば系ゆっくりいじめ 820 私立! 亜瑠徒中学校野球部 ・ふたば系ゆっくりいじめ 832 私立! 亜瑠徒中学校野球部~マネージャー編~ ・ふたば系ゆっくりいじめ 847 美味しい水羊羹の作り方 ・ふたば系ゆっくりいじめ 895 ゆっくり童話~まりさ太郎~ ・ふたば系ゆっくりいじめ 909 ちょっとした憂さ晴らし ・ふたば系ゆっくりいじめ 923 甘味処 ゆうか~聖戦の巻~ ・しつこく小ネタ・・・これあげたら長編仕上げなきゃ ・子まりさsの続き書いてる最中に尊敬してる作家様の越冬ネタのss見て即興で書いた、後悔はしていない ・〔冷覇〕はヒャッハーと読みます・・・が、れいぱーと読んでも問題ないです 実家の方では 冷たい=ひゃっこい と言うのです・・・ ―――ある晴れた日 雪の積もった山のふもとには大勢の男達が並んでいた 「全員、整列!」 ザッ ザッ 長官と思われる男の掛け声で1ミリの狂いもなく配置に付く。 「各班、点呼!」 「A班、クリア!」 「B班、問題ありません!」 「C班、異常なし!」 「D班、鬼瓦が居ませんが後は揃ってます!」 「ウム、そうだった・・・鬼瓦は今日葬式に行く為に休暇を取ったのであった 言うのを忘れていてスマンな」 「コホン・・・ではこれより救助訓練を開始する!」 『サー、イエッサー!』 「今回はこのクソ寒い中参加した貴様等の心意気を汲んで〔ミッション:YUGYAKUラリー〕を行おう!」 『ヒャッハァー!!』 〔YUGYAKUラリー〕 各班5人が山を登りながら越冬中のゆっくりの巣を探し そして各ゆっくりのかざり、あるいはそのものを集めつつ頂上を目指すポイントラリー 肝心のゆっくり自体は生かすも良し死なすも良し 虐待鬼井山で編成されたこのチーム独特の訓練法である。 しかも一番多くのポイントを取った班は翌日有給扱いで休めるので余計に気合が入っていた。 因みにポイント配分は れいむ=親のリボン5つで1ポイント、子のリボン8つで1ポイント まりさ=親のぼうし3つで1ポイント、子のぼうし5つで1ポイント、ドスのぼうしは1つで5ポイント ありす=親のカチューシャ1つとぺにぺに1つで1ポイント、子のカチューシャ3つで1ポイント ぱちゅりー=親のぼうし1つで1ポイント、子のぼうし4つで1ポイント ちぇん=親のぼうしとしっぽで2ポイント、子のぼうしとしっぽ2セットで1ポイント みょん=親のリボンとぺにぺにで2ポイント、子のリボン2つで1ポイント 他希少種、捕食種は生け捕りで10ポイント、死体で2ポイント 希少種の生け捕りに限り胴付ならその倍となり、捕食種の胴付なら1・5倍になる。 通常種の胴付? 即殺です。 「各員、位置に付け!」 ザッ ザッ ザッ・・・ 『準備、完了しました!』 「よーし、行けぃ!」 『イィーヤッハァァーーー!!』 ―――1時間後・D班 「おーい、居たか?」 「いや、こっちはサッパリだ」 「こっちも居やしない」 「以下同文」 ただでさえ1人足りないのにクジでビリを引いた為出立したのが最後になってしまったD班はゆっくりを見つけられないでいた。 「どうする?このままノーポイントだと罰ゲームだぜ」 「鬼瓦もこんな時に休まんでもな・・・」 「俺らの班じゃ一番見つけるの上手いもんな」 「まあしょうがないだろ、親父さんが亡くなっちまったんだし」 『だよなぁ・・・』 通常、自衛隊や救助部隊は親の死に目に会えないとされてはいるが鬼瓦の場合は事情が違った 何せその父親はこの救助部隊〔冷覇〕の設立者であったからである。 「ま、愚痴ってても仕方がない・・・とにかく探しながら上を目指さんと」 「だな・・・」 「でもよ、その前にちょいと一服しね?」 と、班員が鞄を下ろしてタバコを出そうとした時・・・ 「ゅぅぅ・・・」 『・・・!!』 後ろからゆっくりが現れた。 そしてD班の前に辿り着くと同時にバタッと倒れた。 『これは・・・胴付さなえだ!(しかも全裸だぜヒャッハー!!)』 「おい、どうした?しっかりしろ!」 「かなり衰弱しているな・・・ヤバイぞ」 「おい、その置いた鞄からユギャリースオレンジ100%とゆっくり治療キットを出してくれ、すぐに治療する!」 「お、おう!」 10分後・・・ 胴付さなえは回復し、意識を取り戻した。 「あぶないところをたすけていただいてありがとうございました」 「いいっていいって」 「大した事じゃないし」 「でも何でまたボロボロになってたんだ?(しかも全裸で)」 「良ければ話してみてくれないか?」 「はい・・・じつは」 話によるとこの胴付さなえはでいぶとまりさの間に生まれたゆっくりらしく 越冬の為に貯めた餌を食い尽くし、つがいのまりさと子まりさまで食べたでいぶにあまあま探せと言われ山を行ったり来たりしていたという・・・。 「確かにゆっくりは出産の時親と違う種類ができたりするけど・・・」 「その上胴付とか・・・まさに奇跡」 「どうする班長?」 「そうだな・・・なあさなえちゃん、良ければそのでいぶの家まで案内してくれるかな?」 「あ・・・はい、わかりました」 更に10分後、そのでいぶのおうちに到着した。 「ここがおはなししたゆっくりプレイスです」 「ありがとう、お礼にこれをあげるよ」 そういって班員はラムネを食べさせ、さなえを眠らせた。 「よし、直ちにハサミと火炎放射器を用意せよ!」 『ヒャッハァー!』 「準備出来たぜ班長!」 「何時でも燃せるぜ!」 「このハサミに切れぬゆっくりなぞいない!」 「よし、作戦開始!」 『イィーヤッハァァー!』 掛け声と同時に班長はけっかいっを蹴り壊す。 「でいぶのげっがいっざんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 『ゆんやぁぁぁしゃみゅいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』 そして総員は穴の中からでいぶと子れいむ3匹を引きずり出し、中に残っていたまりさのぼうしを回収 そして布団代わりにされていたさなえの服も回収した。 「はなせジジイ、でいぶをゆっくりさせろぉぉぉおおおおおおお!」 『くしょじじいはしゃっしゃちょれいみゅちゃちをはなちちぇにぇ!ゆっきゅりできにゃいよ!ぴゅきゅー!!』 「いい度胸だなゴミ饅頭、まさか俺達に勝てると思ってるのか?」 「プックスクス、ドスかゆうかならまだしもでいぶごときが俺達に?」 「どう育てばそんな自信がつくの?訳わかんねー」 「おお、あわれあわれ」 『あーっはっはっはっはっは!』 「んがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁわらうなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 『みゃみゃはちょっちぇみょちゅよいんだよ!あやみゃりゅんにゃりゃいみゃのうちじゃよ!』 「あー笑った笑った」 「ひっさしぶりに笑ったぁー」 「んじゃ鬼ヶ原、サクッと取ってやれや」 「へーい」 言われると同時にハサミを構えていた班員は飾りのリボンを切り取り、回収袋に入れた。 「でいぶのきゅーてぃーなおりぼんさんがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 「れいみゅにょおりぼんしゃんかえしぇー!」 「おりぼんしゃんもじょっちぇきちぇーーーーー!」 「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁゆっきゅりできにゃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 「よーし、仕上げるぞ・・・鬼叉、火炎放射器構え!」 「へーい」 そう言うと班長はでいぶの口をこじ開けてその中に子れいむ3匹を入れておうちに戻す。 そしてでいぶが出れない様に入り口が半分塞がるぐらいの大きい石を置く。 やがて口の中から子れいむが出て来たのを見計らって 「Fire!」 「ヒャッハァー!汚物は消毒だぁ!!」 合図と同時に火がでいぶ達を包み込んだ。 「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「あちゅいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」 「ちゃしゅけちぇーーーーーーーーーーーーーーーー!」 「もうやじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 焦げ臭い臭いがしだした所で火を止め、積もっていた雪で消火活動を開始する。 火が消えた辺りで中を見ると・・・ 「が・・・っは・・・ぁ・・・」 もう中には焦げたでいぶと消し炭になった子れいむがいるだけであった。 「ん・・・」 入り口を完全に埋めた辺りでさなえが目を覚ました。 「あれ?さなえはいったい・・・」 「大丈夫かさなえ?」 「あ、おにいさん・・・おかあさんたちにはあえましたか?」 「ん、ああ・・・会えたよ、それじゃここでの用事は済んだし一緒に行かないか?」 「あ、はい・・・それじゃあいきましょうか」 「よーし、では次の獲物を探しながら頂上を目指すぞ」 『ブラジャー!』 ―――更に2時間後のD班 「どうだー?何かいたか?」 「子れいむ5匹・・・かざり奪った後腹が膨れるまで雪を詰め込んでおうちの出入り口をガチガチに固めました」 「親れいむ4匹・・・かざり取って高めの木の枝に刺してやりました」 「ゆっくりはいませんでしたがまりさのおぼうし1つ入手しました」 『肝心の班長は?』 「子まりさだけのおうちからぼうしを5つ・・・後、おたべなさいした食い残しの親のぼうしを1つ 取った後は踏んでゆん生終わらせてやった」 「えっと・・・これで合計24ポイントか」 「せめてビリにならない為には後16ポイントは欲しいっすね・・・」 「でももう頂上が目前っすから・・・この辺で見つけないと」 「この辺にいないかな・・・一発逆転の大物が」 そして回りを見渡していると声が聞こえてきた・・・ 「ぁっぁぁん・・・」 『・・・んん?』 「何でこんな所で艶っぽい声が・・・」 「やば・・・今の声に俺の紳士が反応を・・・」 「あ、俺も・・・」 「制限時間はまだ猶予があるし・・・見に行くか?」 『意義無し!』 D班は声のした方へと向かった、そして見た物は・・・ 「ぁぁああん・・・このいたいぐらいにつめたいゆきがてんこのあんよとあにゃるをしげきして・・・きもちいぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 胴はないが希少種のてんこであった。 そしてD班全員がその場で脱力した・・・。 「安心した様なガッカリした様な・・・」 「でもあいつを捕まえれば後6ポイントに」 「あ、そうかてんこも希少種だっけか」 「そうと決まれば・・・」 「はぁ、はぁ、きもちよかったぁ・・・」 『ヒャッハー!捕獲だぁ!』 「って、きゃーーーーーーーーーーーーー!」 5分後、てんこは捕獲された・・・。 「と、まあそういう訳でな・・・付いて来てはくれんか?」 「ぅぅ・・・べつにそれはいいんだけど・・・」 「けど?」 「あの・・その・・・」 「???」 「いっしょにいくかわりに、てんこをいっぱいいじめてねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 『・・・(ああ、そういえばてんこって例外なくドMなんだっけ・・・)』 D班全員がその場で硬直した・・・。 「とりあえず・・・これで目標まで後6ポイントだな」 「ですね」 「なあてんこ、お前には仲間とかいないのか?」 「いるよ?」 『マジか!?紹介してくれ!』 「いいよ、じゃあついてきて」 そして10分後、てんこのゆっくりプレイスに到着した。 「ただいまー」 「じゃおーん(おかえりー)」 『めーりんかよ!』 ~てんこ説明中~ 「ってわけなんだけどさ・・・いっしょにいかない?」 「じゃおー(いいよ)」 「おにいさんたち、めーりんもいっしょにいってくれるって」 『マジっすかい!ありがとうめーりん!!』 「じゃおーん(そのかわりゆっくりさせてね)」 「よぅし、目標ポイントを上回ったし頂上へ行くぞ!」 『応!』 ―――D班・ゴール直前 「よし、後はここを真っ直ぐ行けばゴールだ!」 「到着したら終わりか・・・何か物足りないな」 「まあしょうがないだろ、1人足りない上に最後に出発したんだし」 「いいじゃんか、残り物に福があったんだからよ」 そしてゴールまで後10メートルとなった時・・・ 「むきょ!そこのにんげん、とまりなさい!」 『あぁ?』 1匹のぱちゅりーと1匹のドスまりさが現れた。 「おまえたちがむれのみんなをえいえんにゆっくりさせたのはわかってるのぜ!」 「むきょきょきょ、ドスにせいっさいっされたくなければあまあまをおいていのちごいするのよ!」 「なあ・・・ひょっとしたら」 「ああ・・・」 「他の班の奴ら・・・だろうな」 「とばっちりかよ・・・別に問題ないけど」 「なにコソコソをしてるのぜ?はやくあやまってあまあまをよこすのぜ!」 「それともドススパークでゆっくりされたいの?」 「よし、大鬼、任せるから好きにしな」 「いいんですかい?俺1人で殺っちゃって」 「いいよー」 「っつーかドスの相手するのめどいから俺はパス」 「了解、じゃサクッと・・・逝かせるか!」 班員は上着を脱ぎドスの眼前までダッシュで近づいた。 「・・・・・・・・・・・・え?」 「ヒャッハー!ドス狩りだぁ!!」 そう叫んだ班員はドスにサバ折り(抱きついて相手の背骨をへし折る相撲の技)をかけた。 「っぎ、があ、(ギュゥゥゥゥゥゥ・・・)ぎゃぁああああああああああああああああ!!」 「ドスー!むっきゅりしてないではやくあすとろ・・・」 ブチッ・・・ドサッ(ポイッ)ドスン ドスまりさはあすとろんをする前に・・・千切れて死んだ。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・むきょ?」 「っふぅー、後は・・・」(ガシッ) 「む・・・むきゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」 班員はぱちゅりーを掴んでぼうしを取った。 「やめて!ぱちぇのおぼうしとらないでぇぇぇぇぇぇぇぇええええええ!!!」 そして・・・そのまま手頃な木に叩き付けた。 「たすけブェッ!!(グチャッ)」 「班長ー、おまけで6ポイントゲットしましたぜー」 「おー、ご苦労」 「流石だな大鬼、元大関なだけはある」 「よし、じゃゴールするか」 『応!』 そして、結局D班は合計50ポイントを獲得し2位であったが 1位だがドスの存在に気が付いていながら放置したB班が失格、0ポイント扱いとなって繰り上がりトップとなった。 そして・・・ 連れて来た胴付さなえは鬼叉が面倒を見る事になった。 全員が俺こそがと喧嘩しかねない勢いで話し合ってるのを見たさなえが見かねて指名したので誰も逆らえなかった。 てんことめーりんは大鬼が世話をする事になった。 大鬼の住んでいるアパートの周辺に野良ゆっくりが増えたので防犯の為に それとてんこがめーりんと一緒がいいと言って聞かなかったからだ。 「よーし、明日は特別休暇になったし・・・D班全員、ふもとの甘味処でトップになったお祝いをするぞ!」 『ヒャッハァー!班長サイコー!!』 翌日、それを聞いた鬼瓦が逆ギレして暴れて謹慎処分となるがそれはまた別のお話・・・。 ~~Fin~~ トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 悪くないね -- 2011-01-26 15 58 00 「希少種」ではなく「希少種愛で」と書いておいてくれるとありがたい。 -- 2011-01-21 15 21 08 雪山での遭難経験がある俺が加われば無敵のチームになれる。 ぜひ入部させてくれ! -- 2010-12-19 01 45 28 くっ、胴付さなえとか羨ましすぐる…! しかし、火炎放射器背負って冬の登山するってどんなれすきゅーなのよw -- 2010-11-30 20 49 03 稀少種愛でなら書いといてや。不愉快。 -- 2010-11-28 00 23 21 素敵なお兄さんたちだ。でも… >通常種の胴付? 即殺です。 もったいねーよ。くれよ -- 2010-08-10 00 50 34 この素敵な部隊に入りたい・・・ -- 2010-08-09 23 31 38
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「ふたば系ゆっくりいじめ 42 今と昔.TXT/コメントログ」 考察系SSか…ジェノサイド分もっとよこすんだぜ! -- 2010-09-04 19 52 29 積みじゃなくて詰みだよ!ゆっくりりかいしてね! -- 2011-08-22 09 16 49 そうか、ゲスはおれらのせいでうまれたのかー そーなのかー -- 2011-09-19 10 58 21 これはこれでイイな。こういうの好きだなー。 -- 2013-08-16 18 14 29
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「ふたば系ゆっくりいじめ 45 かってます?/コメントログ」 1200℃って大抵のものが炭になる温度だよな -- 2010-08-01 19 08 05 ダイヤモンドですら、燃えるくらいじゃなかったっけ? -- 2010-09-04 20 02 48 まにあってますっつっといて、しっかり利用してんじゃねえか -- 2011-01-17 18 04 22 らんしゃまぁぁぁぁぁ!!!!!! -- 2011-03-09 22 22 23 1200℃だと瞬間的に焦げるのでは? -- 2011-10-23 19 11 08 いくら卵黄塗っていても12時間はもたんだろw -- 2011-12-21 19 32 18 1200℃www -- 2012-03-26 17 08 51 1200度というと、身近にある金属で言えば、アルミニウム・銅・銀・金などが溶ける温度だな -- 2012-12-11 13 03 13 あれ?らんって希少種だよねどうせならちぇんをらんの前でゆっくり殺しちぇんを売買すれば一石二鳥だねーわかるよー すんまへん -- 2013-04-01 04 47 15 ↓ちぇんを売買ではなくてらんを売買ではなくて? -- 2018-09-27 17 08 41
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カラッと晴れた夏のある日、私は自分の家の縁の下を覗いていた。 案の定、ゆっくりまりさが私の家の縁の下で、昼寝をしている。 この時期のゆっくり達は、こんな晴れた日は、涼しく風通しの良いところで昼寝をしていることが多い。 もうおわかりだろうが、私の趣味はゆっくりいじめだ、今日もゆっくりで遊ぶため、哀れな犠牲者を探していたのだ。 起こさないように気をつけながら、ゆっくりを引きずり出す。 しっかり寝ていることを確認してから、帽子を慎重に、取り上げる。 とりあえず、下準備は出来た。 起こさないよう、気をつけながらゆっくりまりさを元の場所に戻しておく。 とてもいい顔で寝ている、きっと楽しい夢でも見ているのだろう。 私は、ゆっくりまりさの帽子を持って、家の中に入る。 死んだゆっくりれいむの、髪飾りを縫い付けた帽子を返してやって、仲間達に嬲り殺しにされるのを見るのは楽しそうだ。 しかし、今回はそれはしない、まずはこの帽子をスーパー袋の中に入れる。 そして、三角コーナーの中に入っていた野菜や、カビの生えたパン、傷んだ挽肉、豆腐、納豆などを帽子の中に投入する。 最後に、カップラーメンの残り汁を帽子の中に注ぎ、よく割りばしでかき混ぜる。 スーパー袋の口を結んで、密閉された、透明な箱の中に入れておく。 準備が整うと、私は表に出てみた、思ったとおりゆっくりまりさが必死に何かを探している。 笑いを堪えながら、私はゆっくりに声をかける。 「やぁ、どうしたんだい?あまりゆっくりしていないけど。」 「まりさはゆっくりしてるよ!ほっといてね!」 おお、怖い怖い、だいぶイライラしているようだ。 「もしかして、帽子を無くしたのかい?」 「!!なくしてないよ!まりさはぼうしあるよ!」 見え透いた嘘を吐くゆっくりだ、懲らしめてやらねば。 「嘘はいけないなぁ、僕も協力して探してあげるよ。」 「それじゃあゆっくりさがしてね!」 あぁ、探してやるとも、ゆっくりとね。 しばらく探すふりをしていたが、そろそろ頃合いだろう。 何気ない風を装って、ゆっくりに話しかける。 「もしも帽子を無くしたんだったら大変だよね、仲間から苛められちゃうよ、このまま外にいたら危ないよね。」 「ゆっ!」 「生きたまま切り裂かれて、食べられちゃうよ。」 「ゆっ!いやだよしにたくないよ!ゆっくりしたいよ!」 顔を真っ青にして、首?いや、体を振っている。 「もしよかったら、僕の家に来たらどうかな?帽子は僕が探してきてあげるから、外にいるよりきっと安心だよ 帽子が見つかるまで、家でゆっくりしていきなよ。」 「ほんとう!じゃあおにいさんのいえでゆっくりしてあげるよ!」 相変わらず上から目線だな、それからしばらくの間、ゆっくりと生活を共にした。 しかし、このゆっくりは本当に腹立たしい奴だ。 口を開けば「ぼうしはみつけた!ゆっくりしてないでさがしてきてよ!」だの、「とっととごはんをよこしてね!」だ。 ゆっくりに感謝の気持ちなど望んではいないが、さすがにこれはイライラした。 しかし、ここで自制心を失って殺してしまっては面白くない。 当初の予定は、一週間かけるつもりだったが3日もすれば匂い、いや臭いがつくはずだ。 ゆっくりのウザさに3日間耐えたに耐えた私の心には、どす黒い何かが渦巻いている。 良し、今日こそゆっくりまりさに帽子を返してやろう。 3日ぶりに、ゆっくりまりさを外に出した、二人が初めて出会った時のようなすっきりとした晴天だ。 「まりさ、ついに君の帽子を見つけたよ。」 「ゆっ!ゆっくりしないではやくもってきてね!」 「それじゃぁ、取ってくるからゆっくり待っていてね。」 「ゆっくりまってるよ!」 ぴょんぴょん跳ねながら喜んでいる。 あぁ、今返してあげるからね。 ゴム手袋、マスクを装備して、あの禁断のスーパー袋の中のまりさの帽子を見てみる、マスク越しでも鼻が曲がるような臭いがする とりあえず、中の腐った食料を出す、まるでヘドロのような物体が出てきた。 帽子はというと、所々カビが生えており、色も茶色に変色している、この帽子を見てあのゆっくりがなんと言うか楽しみだ。 外で跳ねているゆっくりに、スーパー袋ごと帽子を投げつけてやった。 「ぎゅぅ!いたいし!くさいよ!なにするの!」 少々へこんだ体で、ぷくーと膨らんで怒りをあらわにしている。 無視して、ゆっくりまりさを押さえつけて、帽子をつかむゴム手袋とはいえ、触りたくないな。 「君はおっちょこちょいだからね、二度と無くさないように、帽子を体に縫い付けてあげるからね。」 「ゆ゛っ!まりさのぼうしはそんなにきたなくないよ!」 ゆっくりはどんなに汚くても、自分の飾りはすぐに分かる、本当に嘘つきなゆっくりだ。 「あはは、本当に君の帽子じゃないのかい?」 「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ!う゛るざいゆっぐぅりだまれぇ!」 無視して、針と糸で体に帽子を縫い付ける。 「ぎゅ!ぎゅ!ぎゅ!いだい!いだいじぃぐざいよ!ばなじでゆっくりはなしで!」 「動くな、皮が破けて死ぬぞ。」 私の言葉が理解できたか分からないが、皮が破けないギリギリの力でひっぱてやると大人しくなった。 しっかり頭に帽子を固定できたか確認した後、軽く蹴り飛ばしてやった。 3日間、一緒に暮らしたゆっくりに、別れの言葉をかけてやろう。 「もう帽子を無くすんじゃないぞ、元気でな!」 「うるさい!じじいはゆっくりせずにすぐしんでね!」 ゆっくりまりさが、林の中へ逃げていく。 本当はもっといじめるつもりだったが、十分すっきりさせてもらった。 それに、私が直接手を下すより、あいつは野生で生きていく方がより苦しむだろう。 ゆっくりは意外に綺麗好きだ。 あんな薄汚い帽子をかぶったゆっくりはある意味、飾りなしのゆっくりより嫌われ迫害されるだろう。 ここ数日、ゆっくりの世話にかかりきりだった、今日はゆっくり休もう。 そんなことを思いながら 私は家に帰った。 臭い付きゆっくり(下)?に続く。 後書き 今回は、虐待成分が少なかったので、すっきり!したかった方は、期待を裏切ってすみませんでした。 次回は、精神的に臭い付きをいじめたいと思います。 ちなみに、fuku1063ゆっくりカーニバル fuku1069ゆっくりカーニバル修正版 なども、書かせていただきました。 fuku1063ゆっくりカーニバルは、非常に読みにくいので、読んでいただけるのであれば fuku1069ゆっくりカーニバル修正版が、多少読みやすくなっていますので、こちらをお読みください。 このSSに感想を付ける
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あまあまスイッチ 39KB 【注意】 冗長です ネタ被りはご容赦を ある日、近所に住む菓子職人が箱一杯の飴を持ってきた。 時々あることなのだが、こいつが持ってきたものが美味かった例がない。 「美味しかったら店に並べるに決まってるだろう」 「正直者はホントむかつきますね。てか何で俺のとこに?」 「君なら使い道があると思ったんだけど」 「自分とこのゆっくりの餌にするべきだそうするべきだ。だからもって帰れ」 こいつの家には菓子の材料用のゆっくりが大量にいる。 どうせこの飴もゆっくりが材料なのだろうし、還元すればいいだろうに。 「あれらの餌にこういうものをやると、次から餌を食べなくなるんだ。 死んだほうがマシ、と思うのかは知らないけれど、餓死されるのは困る」 「だったら飼いゆにやれば? この前子供が産まれたらしいじゃないの」 「ゆっくりの餌にゆっくりをあげるとか、よくそんなひどい事言えるね」 「どうせ巡り巡ってゆっくりの腹に収まるのに。ショートカットくらいいいんじゃね?」 「それについてはあんまり触れないでくれよ」 「とにかく産業廃棄物なら産廃業者にお願いするのが世の中の常識であり俺んちに不法投棄すんな」 「わかったよ。はいこれ」 わさビーフ1袋。 なめとんのか。 「ふぉまえふぉふぁいふふぁふぃっふぃりふぁなふぃふぉふふぇふぁいふぉいふぇふぁいふぉうふぁな」 「食べるか喋るかどっちかにしてくれよ」 食べた。 「じゃあそれが代金ってことでよろしく頼むよ。たまにはうちのケーキでも買いに来てよ」 「甘いものは嫌いなんだよ」 ホントにどうすんだ、この飴玉ども。 今は家にゆっくりはいないし、愛で兄の家に持っていくとデブが蘇るし。 森に持ってってばら撒いても、ゆっくりがしあわせーとか言い出すとムカツクし。 ああ、不法投棄とか言われるのも勘弁だな、また警察で説教されたくない。 とりあえずネットでも見ながら使い道考えるか…。 「…はっ!?」 気がついたら一心不乱にクリック連打していた。 げに恐ろしきサイトがあったもんたい。 クリックするとお金がもらえる。 いや、別に本当にもらえるわけじゃない、表示される単位が「万円」というだけだ。 そして、たまに死ぬ。 これも当然本当に死ぬわけじゃないし、死ぬと金額がリセットされる。 ただこれだけの、リアルとは何の関係もないスイッチを、気付けば1時間もクリックしていた。 なんかこう、欲望の琴線に触れるストレートすぎる内容にハートが鷲掴みされたのだな、うん。 で、ここで思いついた。 これ、ゆっくりにやらせたら面白いんじゃね? 【あまあまスイッチ】 「という仕組みのものなのだよ」 「にんげんさん、どこむいてはなしてるの?」 という事で場所は家の裏手の森を奥深く進んだところ。 規模の大きな複数の群れなど、結構な数のゆっくりが住んでいるので、こいつを置くにはちょうどいい。 さすがに俺が張り付いて観察するわけにはいかないので、開けた場所に機械を置いた後、周囲を観察できるように仕掛けをした。 盗撮用の、無線で映像を飛ばせるタイプのカメラと、盗聴用の無線マイクをセットでだ。 大した距離を伝送できるわけではないが、中継器を置いてそこから有線すれば、後は自室に居ながらにして観察し放題だ。 手持ちの小型モニタを確認すると、カメラに向かって話していた俺の顔が映っている。 スピーカーは切ってあるが、横のレベルメーターが動いているので問題は無いだろう。 振り返ると、俺がその辺にいたゆっくりに声をかけて集めさせた群れが大集合している。 後はこいつらに仕組みを教えて帰るだけだ。 「そこのぱちゅりー、ちょっといいか?」 「むきゅ、ぱちぇになんのごよう?」 「お前ら全員が仕組みをきちんと覚えられるかわからんからな。 もちろん全員に説明はするが、お前には近くでよく見てもらう」 「むきゅ、そういうことならしかたないわね」 のんびりと這って近付いてきたぱちゅりーを抱えあげると、群れの中の1匹が声を上げた。 「ずるいよ! ぱちゅりーがあまあまさんをひとりじめするよ!」 いきなりこの調子でげんなりするが、今だけはちょうどいい。 「よし、じゃあお前。そう、そこのれいむ。お前に最初にあまあまをとらせてやろう」 「ゆ! さすがかわいいれいむはちがったね!!」 当然他のゆっくりからはブーイングの嵐だが、全員分のあまあまがあると言って黙らせる。 ウソは言っていない。 全員が生きて帰れるかは別問題だが。 「じゃあ、よく聞けよ、お前ら」 「「「ゆっくりきくよ!!」」」 まずは機械の外観から。 見た目には巨大なコーヒーメーカーだ。 上のコーヒーを抽出する部分に相当する場所が、飴玉タンクだ。 押し付けられた飴玉が、片栗粉をまぶした上で全部入っている。 片栗粉は飴玉同士の貼りつき防止のためだ。 最近涼しくなってきたし、近頃雨も少ないので、中で融けたりして出てこなくなるということは当分無いだろう。 下のポットを置く部分に相当する場所はスイッチになっている。 耐久性と誤動作防止の関係上、子ゆっくり程度の重量では反応しないが、これについては致し方ない。 ここに大人のゆっくりが乗ると、スイッチが反応して仕組みが作動する。 「れいむ、ここに乗ってみろ」 「ゆっくりのるよ!」 れいむはぽよんと飛び乗ったが、そんな勢いをつけなくても重さだけで反応するように出来ている。 スイッチが沈み込むと、中の機械が動く音が聞こえた。 ガコン! カラカラカラ…コトン 「ゆ、まんまるさんがでてきたよ!」 「それがあまあまさんだ」 「ゆゆっ!! ゆっくりたべるよ!! むーしゃ…がだいいいいいいいいいいいいいい!!!」 まあ、飴の歯で飴玉かじったらそうなるよな。 ていうか教えるの忘れてた。 「くそじじいいいいいい!! こんなのたべられないでしょおおおおおおお!?」 「悪い悪い。それはむーしゃむーしゃするんじゃなくて、ぺーろぺーろするあまあまさんなんだ」 「ゆゆ? ぺーろぺーろ…ししししあわせええええええええええええええ!!」 最初は飴玉を地面に置いたまま汚らしく舐めていたれいむだが、転がって食べにくいのに気がついたのか、すくい上げて頬張った。 しあわせーな顔がムカツク。 「むきゅ、あそこにのるとあまあまさんがでるのね。りかいしたわ」 「ま、それだけじゃないんだけどな」 「きゅ?」 「れいむ、そこで跳ねてみろ。あまあまさんがもっとでるぞ」 「ゆゆ!? ゆっくりりかいしたよ!」 聞くが早いか、れいむがぽゆんぽゆんとその場で飛び跳ねる。 跳ねるたびに出てくる飴玉を、跳ねながら器用に舌で拾い上げて口の中に放り込んでいく。 「しあわせーーー!!!」 周囲で見ているほかのゆっくりたちも、我慢できずに機械に群がってくる。 その時、それは起きた。 「…9、10」 「ゆべっ!!?」 元ネタだって死ぬことがあるんだから、この機械でも死なないはずが無い。 れいむは機械正面から飛び出した何本もの鉄槍に貫かれていた。 「「「ゆうううううううううううううううううううううううううう!?」」」 「むぎゅっ!? えれえれえれ…」 「おっとっと、こいつに死なれたら困るな」 ショックで吐き出したぱちゅりーの口元を押さえ、落ち着いたところでオレンジジュースをかけてやる。 その間に、れいむを串刺しにしていた鉄槍は機械の中に戻り、代わりに横から板が振るわれ、れいむの死体を弾き飛ばした。 死体に居残られると次のゆっくりが怯えて機械を使わないかもしれないので、そのための処置だ。 「…に、にんげんさん! なんなのこれはああああああ!?」 「実はな、これはゆっくりの神様からお前たちに持って行ってほしいと頼まれたんだ」 「むきゅ!?」 「ゆっくりしているゆっくりにご褒美だってな。 でも、ゆっくりの神様でも、どうしてもご褒美だけには出来なかったそうだ。 だから、時々罰があるようにもなっているんだ」 「むきゅう…そうだったの…」 こんな出鱈目でも信じるから餡子脳って素敵です。 ちなみに時々は時々だ、具体的には10回に1回。 こんな機械に乱数出すためにだけ電子機器乗せるの面倒だったので、歯車でカウントして定期的に罠が発動するようになっている。 どうせ3以上は数えられない餡子脳が相手だ、連中には乱数も同然だろう。 こうして準備は整った。 ぱちゅりーに群れ全体への説明を任せて、俺は家に戻った。 [初日] 「ゆうぅ…あまあまさんたべたいよ…」 群れの大半がこんな調子だった。 死んだれいむのしあわせー!な様子を見ているので、やはり自分も食べたいのだろう。 だが、死んでしまうのも間近に見たので、怖くてスイッチを押すことが出来ない。 「ゆん! まりさがあまあまをたべるよ!!」 機械を遠巻きに囲んでいる群れをかき分けて、1匹のまりさが機械に寄っていった。 このまりさ、狩りの腕前は群れ随一だが、おつむのダメさ加減も群れ随一。 「まりさまってね! えいえんにゆっくりしちゃうかもしれないんだよ!」 「まりさはとってもゆっくりしてるよ! だからだいじょうぶなんだよ! そんなこともわからないの?」 とまあ、こんな調子である。 群れのみんながはらはらしながら見守る中、ためらいも無くスイッチに飛び乗った。 ガコン! カラカラカラ…コトン 「ゆゆーん、しあわせー!!」 出てきた飴をひとつ頬張ると、まりさは意気揚々と巣に帰っていった。 こうなると後は早い。 「つぎはれいむがたべるよ!」 「ありすがさきよ!」 「まりさもたべたいんだぜ!」 「「まりさはさっきたべたでしょ!!」」 「それはまりさじゃないんだぜえええええええ!!」 「わからないよー!!」 次を争って群れ全体が一斉に機械に迫っていく。 遠景からのカメラの画像は、波が押し寄せていくようだった。 「や、やべっ! おざな…おさばびゅううっ!!」 「いぢゃい!! じんじゃう!! じにゅううううううう!!」 そのあちこちで、勢いに押されて潰れていくゆっくりが多発する。 「あまあまざん! じあわぜ! じあばびゃああああああああああああ!!」 爆心地であるスイッチの地点はなおひどいことになっていた。 スイッチに乗ることが出来たゆっくりも、四方八方から押し寄せるゆっくりの波に一方的に押し潰される。 運良く逃げる、などと期待できるような生易しい状態ではない。 全方位から来るゆっくりの津波から逃げられるはずも無い。 「そこまでよ!!」 ぱちゅりー渾身の大声で群れの動きが止まったとき、機械の周囲は潰れたゆっくりで埋め尽くされていた。 [2日目] 「やれやれ、これは手間だな…」 実に群れの3割が潰れ死んだ大惨事の翌日、俺は機械に積もった餡子の掃除に来ていた。 正直、欲望に忠実なゆっくりの性格を甘く見すぎていた。 「どうしてこんなことに…」 「全くだ」 隣では最初に機械の説明をしたぱちゅりーが嘆いている。 「にんげんさん、おねがいがあるわ」 さらにその隣から声をかけてきたのはありす。 このありすが、ぱちゅりーたちの群れを統治している長だった。 「ありすのむれに、とかいはじゃないゆっくりがたくさんいることがわかったわ。 せっかくのごほうびだけど、みんながゆっくりできなくなるからもってかえってほしいの」 おお、なかなか賢いありすだ。 ドスでもないのにこの規模の群れを率いているだけはあるということか。 なんでも昨日は群れの赤ちゃんの面倒を見るために残っていたが、ぱちゅりーに呼ばれて今日は来たらしい。 こいつがあの場にいればあんな混乱は無かったと思うのだが、ままならない。 「そうは言ってもな、神様からのお願いだから、俺が持って帰るわけにはいかないさ」 「ゆぅ…」 神様にかこつけているが、要するに機械の引越しをするのが面倒くさいだけだ。 別の群れに持ち込んだところで、初日の大混乱は大して変わらないだろう。 だったら、学習したこの群れに継続使用してもらったほうがいい。 「神様がせっかくくれたご褒美なんだぞ、お前がみんなをまとめて使わせればいいんじゃないか?」 「ゆううぅぅ…」 こんな感じで言いくるめて、機械を押し付けて帰った。 「ゆぅ、どうしようかしら…」 ありすは困っていた。 参謀のぱちゅりーに聞いた話によれば、昨日は群れの誰も彼もがご褒美に押し寄せたという。 特別に素行の悪いゆっくりだけ、というわけではないのだ。 今日は群れの誰もここに来てはいないが、いずれ誰かがここに来る。 そうすれば、先を争って殺到するようになるのも遠くない。 来てはいけないと制限することもできるが、いずれは破綻するだろう。 今群れに強いているすっきり制限がみんなにかけている負担を、ありす種の長だからこそ理解できた。 この上あまあま禁止などといっては、群れの統治が立ち行かなくなるだろう。 「ゆっ! ゆっ!」 そんなことを考えている間にゆっくりが1匹やってきた。 昨日の大混乱の引き金になった、あのまりさだ。 「ちょ、ちょっとまちなさいまりさ! どこにいくの!」 「ゆ、おさ? まりさはあまあまをとりにいくんだよ!」 「だ、だめよまりさ! いま、あのあまあまさんをどうするかかんがえているのよ!」 「あまあまはかみさまがくれたんだよ! みんなのものだよ! おさのものじゃないのになにいってるの?」 そう言って、長ありすの言うことなど全く聞かずに、まりさは機械に向かって跳ねていった。 「むきゅ、これはもうしかたないわ、おさ」 「ぱちゅりー…」 「むれのじゅうちんでこうたいで、かみさまのごほうびをみはるしかないわ。 そうしないと、きのうみたいなことになるとおもうの。 ぱちぇはもう、あんなのみたくないわ」 「そうね……そうするしかないわね」 「しあわせー!!」 無事に飴玉を手に入れたまりさが歓声を上げている。 それを聞きながら、長ありすと参謀ぱちゅりーはため息をついた。 [3日目] 昨日の長と重鎮たちの会議で、機械に見張りが付くことに加え、もうひとつだけルールができた。 それは「あまあまさんをもらいに行ったら、次は太陽さんが2回上がるまでもらいに行けない」だ。 一度に機械に集まるゆっくりを少しでも減らすための策で、参謀以外に重鎮の中にもう1匹いるぱちゅりーから提案された。 「これなら、ならぶのはだいたいはんぶんくらいですむわ。 むれのみんなも、このくらいならがまんできるとおもうわ」 早速群れにはルールが伝えられ、見張りの言うことを聞かないと群れから追放という罰も伝えられた。 不満を言うものがないでもなかったが、群れの大部分が一昨日の惨禍の当事者だけあり、そのことを持ち出されては黙って従った。 「まりさはきょうもいくの?」 「もちろんいくよ! れいむはいかないの?」 「みんないっぱいならんでるから、あしたにするよ」 「ゆん、じゃあまりさはれつさんにならぶよ!」 「れいむはかりにいってくるね!」 こうして重鎮ぱちゅりーの目論見通り、列を成すのは群れのおよそ半分のゆっくりたちだった。 今日の見張り担当はちぇんで、長い列を前後に走り回って割り込みやけんかを仲裁していった。 「しあわせー!」 「しあわせー!」 「しあわせー!」 「ゆびゃああああああああああああああああああ!!」 こんな具合に、適度に悲鳴をはさみながら、列は徐々に短くなっていく。 と、その列が半分ほどになった頃。 「ねえ、ちぇん」 「よんだんだねー?」 順番になったれいむが見張りちぇんを呼んだ。 「あのね、あまあまさんはたくさんもらってもいいの?」 「にゃ?」 このれいむは初日に、実験台になったれいむがスイッチの上で何度も飛び跳ね、あまあまをたくさん出していたことを覚えていた。 「れいむのはにーのまりさは、あのときにつぶれてえいえんにゆっくりしちゃったよ。 れいむのおうちにはおちびちゃんたちがいるよ。れいむはかわいそうなしんぐるまざーなんだよ。 れいむはおちびちゃんたちみんなのぶんのあまあまさんがほしいよ!」 「にゃにゃにゃにゃ!? ちぇんにはわからないよー!」 実を言うと、これは重鎮たちは誰も考えていなかった。 神様のご褒美は時々罰が出ることもあって、その時には永遠にゆっくりしてしまう。 なので、余計なリスクを負ってまでたくさんほしいというものが出るというのは想定外だったのだ。 「ちょ、ちょっとまってほしいよ! おさにきいてくるよー!」 そう言ってちぇんは長の巣目指して跳ねていったが、れいむはそれを待ってはいなかった。 あまあまさんを出してしまえばこっちのもの、そういう短絡的な思考でスイッチに飛び乗った。 「れいむー! おさがいいって……にゃ?」 ちぇんが戻ってくると、れいむはいなかった。 れいむの後ろに並んでいたありすが、顔を青くして震えている。 「ありす、れいむがどこにいったのかおしえてほしいよー?」 「れいむは……」 「……にゃっ!?」 ありすの見る先をちぇんも追うと、そこには体中を穴だらけにしてなお息のあるれいむが転がっていた。 「れいむううううううううううううう!?」 「…どぼぢで……でいぶは…がわいぞうな……じんぐ……まざー…な……に…」 駆け寄ったちぇんに恨み言を残して、れいむは永遠にゆっくりした。 この有様を見ていたゆっくりたちは、理解した。 かわいそうだとかは関係ない、ゆっくりしていないゆっくりは永遠にゆっくりさせられる、と。 もちろんそれは思い込みで、実際は10匹ごとに1匹が淡々と殺されるだけだ。 だが、機械を神様のご褒美と信じているゆっくりたちは、目の前の出来事を関係ありそうなことと結び付けて考えた。 「あ…ありすは、あまあまさんはいいわ。ゆっくりかえるわ…」 とかいはじゃない、とかいはじゃないと繰り返しつぶやきながら、ありすは列を離れて帰っていった。 リスクを考えられる頭の良い個体は、自分が本当にゆっくりできているかに悩み、列を離れていった。 残ったのは、自分がゆっくりできていると信じて疑わないゆっくりばかり。 「ゆぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!」 その後1匹が犠牲になり、都合4匹の犠牲でこの日を終えた。 [7日後] その後も頭の良い個体から列に並ばなくなり、比較的おつむが残念な個体ばかりが列に陣取るようになっていた。 一度にもらえるだけもらっても構わないという長のお達しもあり、その手の個体は死ぬまでスイッチの上で飛び跳ねる。 こうしてこの頃になると列に並ぶゆっくりは片手の指で足りるほどになっていたのだが、この日は様子が違っていた。 いつもの面々に加えて、やけに悲愴な面持ちのゆっくりが混じっているのだ。 「おちびちゃんたち……かならずあまあまさんをもってかえるよ……」 これらは、この機械が原因で親を失い、孤ゆとなった子供たちを引き取ったゆっくりたちだった。 このゆっくりたち自身も子供を抱えており、そこに親類の子供を引き取ったため、餌がとても足りていない。 そのゆっくりできない毎日の慰めに少しでもと、あまあまの列に並んだのだ。 「ゆげえええええええええええええええええええええええええええええええ!!」 「ゆごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 結果は語るまでもない。 ゆっくりは子沢山だ、自身の子供に加えて親類の弧ゆまで引き取れば、10匹を超えるのが当たり前だ。 都合10匹以上もの子ゆっくりに行き渡るように、あまあまを用意しようとすればどうなるか。 こうして数日のうちに、善良だがあまあまの誘惑に抗えない個体が全滅することになる。 [14日後] 「どうだった、おさ?」 「だめね…みんなはなしをきいてくれないわ」 戻ってきた長や参謀、重鎮たちに声をかけたゆっくりたちは、長の返事にうつむいた。 長たちを待っていたのは、群れの弧ゆ院を担当するゆっくりたちだ。 群れの中で弧ゆが爆発的に増加し、弧ゆ院では育てきれなくなったのだ。 その弧ゆたち、総勢100匹あまり。 わずか2匹の弧ゆ院担当ゆっくりで賄いきれるはずもない。 弧ゆ院として用意された大きめな巣穴には収まりきらず、空き家となった巣のいくつかに分散して暮らしている。 それらの巣を順番に回り、世話をするのだが、とても足りない。 ぺーろぺーろでの身繕いは2,3日に1度が精一杯で、餌を届けるだけでほぼ1日が終わってしまうのだ。 その、餌の問題のほうが遥かに深刻だ。 2週間前、弧ゆ院の子供たちは10匹もいなかった。 それが、たったこれだけの間に群れの成ゆが半減し、弧ゆが10倍となる事態となったのだ。 単純に考えて、狩り手が半減したのだから、群れ全体の集める餌の量も半減している。 だが、すっきり制限のおかげで、孤ゆの数は幸い100匹で済んでいるとも言え、今なら群れ全体の協力で支えられないこともない。 しかし、長たちによる説得は失敗に終わった。 長たちの命令に従順な善良個体は、このときすでに全滅に近い状態だった。 残っているのは、ご褒美のあまあまに通い続ける極わずかな生き残りと、早々にあまあまを諦めた比較的頭の良い個体たちだ。 まず、あまあまに通い続ける個体たち。 これはダメだ、端から当てには出来ない。 すでに味覚があまあまで破壊されており、以前にはご馳走だったおはなさんやいもむしさんさえ受け付けなくなっているという。 また、あまあまへの中毒症状も出ており、性格も攻撃的になっていて、群れでの生活に支障が出ている。 数少ない例外が、あの最初に自分からあまあまを取りに行ったまりさだったが、先日とうとう永遠にゆっくりさせられてしまった。 彼女らがあまあまに通い続ける限り、いずれ同じように永遠にゆっくりしてしまうだろう。 そして比較的頭の良い個体たちだが、これらが実に始末が悪い。 そもそも彼女らがあまあまを諦めたのは、ゆっくりしていないゆっくりは永遠にゆっくりさせられる、という思い込みからだ。 つまり彼女らには、自分がゆっくりしていないゆっくりだという自覚が、多少なりともある。 自己中心的な、あからさまに言ってしまえばゲスの素養があるゆっくりだと、彼女らはこの時に自分で認めてしまったのだ。 それからというもの、彼女らは徹底的に保身に走っている。 今のこの現状を予測できたものも少なくないのだろう、彼女らは決して身内の弧ゆを引き取らず、自分の子供だけを養ってきた。 そしてまだ秋も始まったばかりだというのに、今冬篭りをはじめても十分なほどの食料を溜め込んでいた。 当然、その食料は長たちには秘密だ。 その上で、冬篭りが出来なくなると、弧ゆたちへの援助を求める長の要求を跳ね除けた。 「おさ、けつだんしないといけないわ」 「でも……でも、ぱちぇ!」 「むきゅ、わたしだってつらいわ。でも、このままだとみんな、ふゆをこせないわ」 参謀ぱちゅりーが長に迫っているのは、間引きだ。 今は長と参謀が弧ゆの世話を手伝い、重鎮たちが狩りに奔走することで辛うじて食い繋いでいる。 だが、冬に備えての蓄えとなると絶望的だ。 日ごろのわずかな備蓄自体、弧ゆの急増のために吐き出してしまったのだ。 参謀ぱちゅりーの言うこともわかる。 長ありすは群れの長の子として生まれ、先代の長ありすから徹底的に長の心構えを叩き込まれてきた。 その教えの中には、大を生かすために小を捨てるというものもある。 だが、長ありすにとっては群れのみんなは全て家族で、それを切り捨てることなど今まで考えたこともなかったのだ。 「…ひとつだけ、かんがえがあるわ」 声を上げたのは、群れのみんなにご褒美のあまあまに並ぶことを許したとき、ルールをひとつ加えた重鎮ぱちゅりーだった。 今ではあまあまに通うゆっくりが減ったため、監視もルールも無くなっていた。 が、次の参謀と目されている重鎮ぱちゅりーの発言に、皆が注目した。 「そ、そんなことできるわけないでしょおおおおおおおおおおおおお!?」 「ぱちゅりーのいってることがわからないよーーー!!」 「でも、ぱちゅりーにはこれくらいしか、みんながふゆをこせるほうほうはおもいつかないわ」 「ゆーーーーん……」 「……やるわ」 「おさ!?」 「みんながえいえんにゆっくりしないですむなら、それをやりましょう」 [15日目] 夜まで続いた会議の翌日、長ありすの群れから重鎮ちぇんが跳ねて行った。 向かう先は、神様のご褒美をはさんで群れの反対側、この森で2番目に大きい──今では最大の群れだ。 「ちぇんはとなりのむれのちぇんだよ! おさにあわせてほしいよ!」 その声に、この群れのゆっくりたちが集まってきた。 ちぇんを囲んで遠巻きに集まり、特に近寄って来ようとはしない。 ひそひそと何事か話しながら眺められることに居心地の悪さを感じながら待っていると、その壁を割って1匹のまりさが現れた。 「まりさのむれになんのようなのぜ?」 「ちぇんのおさから、おくりものをしにきたんだよー」 そのちぇんの言葉に長まりさが眉をひそめる。 隣の群れとは餌場を巡って対立することが多く、こんな贈り物の申し出など今までに無かったからだ。 「じつは、ちぇんのむれにたいへんなことがあったんだよー」 「たいへんなこと?」 ちぇんは参謀ぱちゅりーに教わったことを思い出しながら話していた。 曰く、隣の群れの長は疑い深いから、まずこちらの弱みを話して、それに対するお願いということにしろと。 そのためにみんなで考えた言葉を、長まりさの態度に注意しながら一つ一つ話していった。 「そうなんだよー。 はぐれれみりゃがやってきて、むれのみんながたくさん、えいえんにゆっくりしちゃったんだねー」 ここで長まりさがにやりと笑う。 隣の群れの勢いが弱まったのなら、この秋は餌場を拡大することが出来る。 今年の冬は楽に越せそうだ、と。 「それでおねがいがあるんだよー。 おとなのみんなはへっちゃったけど、こどもはたくさんいるからたいへんなんだねー。 だから、ちぇんたちのむーしゃむーしゃぽいんとにはこないでほしいよー」 「ゆ? それはできないそうだんなのぜ! まりさたちだって、ふゆさんをこすのはたいへんなのぜ! ごはんさんはあるところからとるんだぜ! ひつようだったらちからずくなのぜ!」 「ただとはいわないよー。そのためのおくりものなんだねー」 そのちぇんの台詞を長まりさが鼻で笑い飛ばす。 「ゆっはっは! おもしろいことをいうのぜ! ちぇんがどこにおくりものをもってるのか、まりささまにはみえないのぜ!」 「ここにはないんだよー。あんないするからついてきてほしいんだよー」 罠かもしれない、そう構えた長まりさだったが、道々ちぇんの話を聞くうちに、見るだけ見てみようという気持ちになった。 何でも、ゆっくりの神様がご褒美にくれたあまあまだという。 ただあまあまさんを出すだけでなく、時々罰があるというのが気に入らないが。 ともかく、本当にあまあまだったら、ちぇんたちの群れのいうことを聞いてやってもいい。 あまあまがあればゆっくり出来る、つらい冬篭りを楽しく過ごせるかもしれない。 「これなんだよー」 ちょうど、長ありすと長まりさのそれぞれの群れの真ん中辺りに、それはあった。 ここに置かれたのはお兄さんの計算ずくなのだが、それについては今は触れない。 銀色にぴかぴかしたそれは、普通の森の中にあるものではない。 長まりさが街に出たことがあれば、人間の実物などを見て、これが人間に関係するものと気付けたかもしれない。 だが、生まれてからずっとこの森で過ごしてきた長まりさには、この見たことの無いものが神様のものだと信じてしまった。 「こうするとあまあまさんがでてくるんだよー」 そう言ってちぇんが平らな部分に飛び乗ると、小さな丸いものが出てきた。 ちぇんはそれを長まりさの前においた。 「これがあまあまさんだよー。ぺーろぺーろしてみてほしいよー」 「ゆん、どれどれ。 ぺーろぺーろ……ししししあわせえええええええええええええええ!!!」 「むーしゃむーしゃすると、かたくてゆっくりできないんだよー。 おくちにいれてぺーろぺーろしてるといいんだよー」 「むぐむぐ、んぐ……ふぃあふぁふぇええええええええええええええええ!!!」 一心不乱にあまあまを食べる長まりさの反応に、ついて来た取り巻きたちが驚いている。 そして、自分も食べたいと、物欲しそうな顔を長まりさに向け始めた。 「ゆぐん、しあわせー!!だったのぜ!! みんなもたべるといいのぜ!!」 「ちょっとまってほしいよ!!」 長まりさの言葉で機械に取り付こうとしたゆっくりたちが、一斉に不機嫌な目をちぇんに向ける。 自分の言葉を止められた長まりさも同じだ。 だが、これは参謀ぱちゅりーに特に言われたことなので、ちぇんも言わないわけにはいかなかった。 「そのあまあまさんは、ときどきばつがあってえいえんにゆっくりすることがあるんだよ。 それはおぼえておいてほしいよー」 「それはさっききいたのぜ!」 「じゃあ、このあまあまさんはまりさたちのものなんだよー。 ちぇんたちのおねがいもきいてほしいよー」 「ああもうわかったのぜ! むーしゃむーしゃぽいんとはいまのままでいいのぜ! まりさたちはあまあまでいそがしいからさっさとかえるんだぜ!!」 「というかんじだったんだよー」 「むきゅ。ありがとう、ちぇん。おつかれさま」 群れに戻ってきたちぇんを出迎え、一通り話を聞いてから参謀ぱちゅりーはねぎらいの言葉をかけた。 隣の群れの長まりさの反応は、大体ぱちゅりーたちが予想したとおりだった。 「でも、わからないよー」 「どうしたの、ちぇん?」 「となりのおさは、こわいけどかしこいんだよー。ほんとうのことにきづくかもしれないんだよー。 ちぇんたちのむれにせめてこないか、しんぱいなんだよー」 ちぇんの心配とは、長ありすの群れが激減した原因がご褒美のあまあまだと、隣の群れに気付かれるかもしれないということだ。 そのときに罠にはめた報復をされるのでは、と恐れているのだ。 「むきゅ、それはしんぱいないとおもうわ」 「にゃ? どういうことなのかおしえてほしいよー」 「となりのおさがかしこいからよ」 [20日目] 長まりさは満足していた。 こんな素晴らしいあまあまをもらえるまりさは、きっと特別な存在なのだと感じていた。 隣の群れの後というのが気に入らないが、それも大したことではない。 どうせ隣の群れは、神様のご褒美を使いこなせなかったのだろう、その程度なのだ。 「ゆん! さっさとくるのぜ!」 「いやああああああぁぁぁぁぁぁぁ…」 長まりさと取り巻きたちに、1匹のありすが連れられてきた。 このありすは群れの掟を破って、群れ以外のゆっくりとすっきりしようとしたのだ。 「ごべんだざいぃぃ、もうじばぜんんん…ゆるじでぐだざいいいいぃぃぃぃぃぃ…」 この群れで罰を受けるということは、すなわち永遠にゆっくりするということだった。 そのため、ありすは自身の末路を悟りながらも命乞いを続けていた。 「ゆふん、まりささまのいうことがきけるなら、ゆるしてやってもいいのぜ!」 「ゆ?」 「まりささまがいいというまで、あそこではねることができたら、ついほうだけでゆるしてやるのぜ!」 「ゆぅ…もうすぐふゆさんがくるのに、ついほうされたらゆっくりできなくなっちゃうわ…」 「ゆあーん!? ばつをうけたいというなら、まりささまはかまわないんだぜ!!」 「ゆぴいいいいぃぃぃぃぃ!! やりばずうううぅぅ!! だがらだずげでぐだざいいいいいい!!」 長まりさに凄まれたありすは、泣きながらスイッチに飛び乗った。 何か出てきたが、今はそんなものを気にしている場合ではない。 こんなところで跳ねるだけで命が助かるなら、いくらでも跳ねる。 だからありすは長の合図も待たずに飛び跳ね始めた。 「ゆっ! ゆっ! ゆっ! ゆっ! ゆっ! ゆっ! ゆっ! ゆっ! っゆぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 ありすが飛び跳ねていた場所は、ご褒美のスイッチの上だった。 長まりさは、群れの罪ゆっくりの処刑をここで行うことにしたのだ。 長まりさの群れでは恐怖政治が敷かれている。 群れの勃興期には見せしめの処刑を頻繁に行っていたが、それも群れの規模が大きくなりすぎた今では逆効果だった。 締め付けすぎると、その分反発も強力になるからだ。 そのため、処刑は取り巻きたちだけで密室で行っていたが、これがなかなかに手間がかかる。 動けない程度に痛めつけてから群れから離れた穴に閉じ込め、誰も助けに来ないように死ぬまで見張るのだ。 直接手を下してしまっては、死臭が体についてゆっくり出来なくなる。 だからこんな手順を踏んでいたが、面倒なので別の方法を考えていた。 そこに、神様のご褒美がやってきた。 罪ゆを簡単に処分できる上にあまあままでもらえる、まさに一石二鳥のご褒美だった。 中から出てきたあまあまは、1個ずつ取り巻きに分け、残りは長まりさの分となる。 初めての日に取り巻きが1匹、永遠にゆっくりしてしまったが、今となってはそれもいい教訓だ。 取り巻きの誰もがこのやり方に文句を言わず、1匹でこっそりあまあまを取りに来ようとすることもない。 群れの一般のゆっくりには、神様のご褒美のことは教えていない。 元々、特別なご馳走が手に入っても長まりさの総取りだったので、ちぇんの話をきいたゆっくりたちも気に留めていない。 知っている取り巻きたちは、今のやり方で十分に満足している。 長まりさも、全てがうまくいっていることに満足だった。 だから長まりさは気付かなかった。 あまあま欲しさに微罪で罰せられるゆっくりが増えていたことに。 物陰で様子を伺っている視線があることに。 「…ゆ、いったよ」 物陰の視線は、長ありすの群れの重鎮まりさだった。 その後ろには重鎮みょんと重鎮ちぇんの姿もある。 3匹の視線の先には、隣の群れの長まりさ一行がいる。 あまあまを手にして帰っていくところで、もう少し待つと完全に見えなくなった。 茂みの陰から姿を現した3匹は、それぞれ朴の木の落ち葉をくわえている。 向かった先は処刑されたありすの死骸。 持ってきた落ち葉をその隣に重ねると、ありすの死骸を落ち葉の上に乗せた。 「じゃあ、さいしょはまりさとみょんがはこぶよ」 「わかったみょん」 「ちぇんはみちをみるんだね。わかるよー」 そうして3匹は、ありすの死骸を運んでいった。 弧ゆたちの食料にするためだ。 当然、同属食いの禁忌はこの群れの中にもある。 だが、何にでも例外はある。 過去に群れが飢餓に陥ったとき、餓死した仲間の死骸を食らって生き延び、そこから再興して今の群れがある。 長も参謀も重鎮たちも、そのことは代々引き継ぎ、群れの歴史として知っているのだ。 だから重鎮ぱちゅりーは、この非常時を乗り切るために提案したのだ。 群れの中から死骸を出すのは抵抗があるし、何よりこれ以上の死ゆは出したくない。 ならば、他の群れから死骸を調達すればよいのでは? さすがに死骸をくれなどと真正直に話しては、群れ全体がゆっくり出来ないとして敬遠されてしまう。 だから、神様のご褒美を隣の群れに送ったのだ。 きっと隣の群れでもあまあまに目がくらんで、死ゆを出してでも手に入れようとするだろう。 その死骸を、こっそり頂戴するわけだ。 惨めだなどと嘆いている場合ではない、100匹もの弧ゆの命がかかっているのだ。 もちろん同属1体分のあまあまなど、100匹の弧ゆの前には焼け石に水だ。 なので、これは普段なら食べないような美味しくない草さんに混ぜて出される。 これは不要に舌を肥えさせないためでもあるが、死骸を死骸と思わせないための処理と、少ない餌を可能な限り補うことも兼ねている。 今も他の重鎮たちが、手伝ってくれない群れの仲間の代わりに、必死になって狩りをしているのだ。 正直なところ、このままではまともに冬を越せる個体は少ないだろう。 それでも、まともな成ゆが壊滅状態の長ありすの群れでは、次代のために弧ゆたちの命を諦めるわけにはいかないのだった。 [25日目] 「ゆっくりできないおさはでていってね!」 「ゆっくりできないおさはでていってね!」 長ありすは窮地に陥っていた。 群れのゆっくりに、死骸を集めていることを知られてしまったのだ。 群れで生き残った頭の良いのゆっくりたちは、豊かな餌場を少ないゆっくりで独占しているうちに、完全にゲスとなっていた。 冬の蓄えをたっぷりと溜め込んだ上での日々のたっぷりの餌に、我慢することをどんどん忘れていった。 また、長たちも弧ゆのために日々奔走しており、誰もそれを正すことが無かった。 そしてある日、あるゆっくりが、長たちが何か隠していることに気付いた。 思えばあれほどの数の弧ゆが、誰も永遠にゆっくりすることなく育っている。 長たちはとてもゆっくりした餌場を、自分たちに秘密にしているのでは? そう勘繰ったのだ。 そして、見たものは死骸をあさる重鎮たち。 ゆっくりを食べるゆっくりはゲスだ、ゆっくりしていない。 だからあの弧ゆたちは全部ゲスだ。 ゲスを育てる長たちもゲスだ。 ゲスは群れにいらない、出て行け。 そういうことだ。 長たちはぱちゅりー種まで含めても10匹ほどで、弧ゆたちのための重労働で疲れきり、栄養状態も悪い。 対して群れのゆっくりは、ぱちゅりー種を除いても20匹あまりで、長たちより一回りも大きいほど肥えていた。 群れのゆっくりの子ゆまで含めれば数は圧倒的で、一斉に襲い掛かられては弧ゆも含めて全滅は必至だった。 「…いきましょう、おさ」 「ゆぐっ…ゆうううぅぅぅぅぅぅ……」 父祖の地を追われる長の心境、如何ばかりか。 長ありす以下、重鎮・弧ゆを合わせて総勢100匹以上。 この日、あても無く群れを去っていった。 [27日目] 「どういうことなんだぜえええええええええええ!?」 神様のご褒美の前で、隣の群れの長まりさが激昂していた。 罪ゆを処刑したのに、あまあまが出てこないのだ。 何かの間違いと思った長まりさは、立て続けに3匹を処刑した。 だが、あまあまは全く出てこなかった。 この日、ついに機械の中の飴玉が尽きたのだ。 「どういうことなの、おさ!」 「ありすもあまあまさんがほしいわ!」 取り巻きたちが騒いでいるが、無いものはどうしようもない。 長の巣にためてあるあまあまを使うか? いや、あれはダメだ、あれは冬篭りの間に長のかわいいおちびちゃんたちが食べるのだ。 だが、このままでは取り巻きたちの収まりが付かない。 どうすれば。 「…となりのむれがわるいんだぜ!!」 「「「ゆ!?」」」 短い時間で必死に考え、長は隣の群れに転嫁することを選んだ。 「このごほうびは、さいしょとなりのむれがつかっていたのぜ!! やつらがつかわなければ、あまあまがでなくなったりしなかったはずなのぜ!」 「ゆーん、そういうものなのかしら?」 「そうにきまってるのぜ! となりのむれがまりささまたちのぶんのあまあまをたべたのがわるいんだぜ!!」 「ゆ、なんだかそんなきがするよ!!」 「だからとなりのむれをせいさいしにいくんだぜ!!」 「「「ゆ゛!!?」」」 勢いに乗りすぎた長まりさがとんでもないことを言い出した。 今まで隣の群れとは小競り合いはあっても、全面戦争にまで発展したことは無い。 長まりさの周りで安穏と暮らしていた取り巻きたちは、自分に危害が及ぶようなことを経験したことが無い。 だから、自分が死ぬことがあるかもしれない事態に驚いた。 「お、おさ! れいむはあまあまさんはいらないから、せいさいはかんがえなおしてほしいよ!」 「ゆぁーーーん!? れいむはとなりのむれのすぱいなのかぜ!?」 「ぢぢぢぢがうでじょおおおおおおお!? せいさいはれいむがゆっくりできないからやりたくないよおおおおお!!」 「うるさいうるさい!! やるといったらまりささまはやるのぜ!! げすのむれはねだやしにするのぜ!! いますぐもどってせんそうのじゅんびをするのぜ!!」 踵を返して群れに戻ろうとする長まりさの後姿を、取り巻きたちは暗澹たる思いで見ていた。 元々取り巻きたちは、長の周りで調子のいいことを言っているだけでゆっくりできるので、そうしていただけだ。 それが、本当に戦争になってしまったらゆっくりどころではない。 実際には元長ありすの群れはすでに群れとして機能していないので、一方的な蹂躙で終わるだろうが、それを長まりさの群れが知る由は無い。 どうやって群れから逃げ出そうか、何を持って逃げ出そうか、どこへ逃げていこうか。 顔を真っ赤にした長の後ろで取り巻きたちが顔を青くしているとき。 「まつんだよ!!」 「ゆぅーーーん?」 長まりさ一行の前に、1匹のゆっくりが立ちふさがった。 厳しい目をした、長とは別の若いまりさだった。 「どうしてかってにこんなところにくるのぜ! せいさいされたくなかったらさっさとむれにかえるんだぜ!!」 「まりさはしっているよ! おさたちがここで、みんなをあまあまにかえていたことを!」 「それがどうしたのぜ! ざいゆっくりはせいさいされてとうぜんなのぜ!! ついでにあまあまがでてきても、かんけいないのぜ!!」 「じゃあ、きょうえいえんにゆっくりしたありすはなにをしたの!? きのうえいえんにゆっくりしたれいむは!? そのまえのぱちゅりーは!?」 「ゆぎっ!?」 長まりさは咄嗟の言葉に詰まった。 ここ数日はあまあま欲しさに、ほとんど言いがかりで罪ゆを仕立て上げていたからだ。 「ぱちゅりーはまりさのおかあさんだったよ! とってもかしこくてゆっくりしたおかあさんだったよ! れいむはまりさのいいなずけだったよ! とってもやさしくてゆっくりしたれいむだったよ! ありすだって……それを…それををををををををををを!!」 「ゆがああああああああああああああああああ!! うるさいうるさい!! まりささまはおさなのぜ!! えらいのぜ!! おさにさからうげすはしねええええええええええええ!!」 言うが早いか、長まりさが目の前の若まりさに飛び掛る。 だが、若まりさはそれを冷静に避けると声を上げた。 「いまだよ!」 「ゆん!?」 長まりさは横から飛び出してきた影に気付いた。 気付いたが、そこまでだった。 「ゆっくりしねみょん!!」 ざくっ 「ゆっぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 横の木陰に潜んでいたみょんが口にした木の枝で、長まりさは貫かれた。 「ゆばあああああああああああ!! だれがばりざざばをだずげろおおおおおおおおおおお!!」 「むりだよ」 「ゆ!? ゆびゃあああああああああああああ!! いぢゃいいぢゃい!! おずなあああああああああああ!!」 枝に貫かれたままの体を若まりさに押され、長まりさは悲鳴を上げる。 そうして無理矢理後ろを向かされて、目に入ったのは木の枝で武装したゆっくりに囲まれた取り巻きたちだった。 「だ…だずげで……おざ…」 「ゆああああああああああああああああ!! おばえらがばりざざばをだずげるんでじょおおおおおおお!? ばがなの!? じぬの!?」 「しぬのはおまえだよ」 「ゆ゛っ!?」 若まりさは長まりさから枝を引き抜くと、長まりさの上に飛び乗った。 「ゆぴゃあああああああああああああああああああああ!! でぢゃう!! あんごでぢゃう!! やべで!! だずげでええええええええ!!」 「いのちごいなんてきかないよ」 「どぼぢで!?」 「どうしてそんなこときくの? ばかなの? しぬの?」 「ばりざはばがじゃな……ゆぎょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! 若まりさは何度も長まりさの上で飛び跳ね、念入りに押し潰していった。 やがて長まりさの声が聞こえなくなり、目玉も潰れて真っ平らになり、土に混じって原形を留めなくなるまで、何度も、何度も。 「おまえたちはむれにつれてかえるよ」 「おでがい…いのぢだげば……」 「おまえたちのしょけいは、むれのみんなでするよ」 「「「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」 [30日後] 隣の群れあたらしい長となった若まりさは、長ありすが統治していた群れを訪れた。 長まりさの苛烈な統治で半減してしまった群れの安堵を担保するために、平和条約を結ぶためだ。 そして、隣の群れの現状を見て愕然とした。 これ程広大なゆっくりぷれいすに、いるのはわずかに十数の家族だけで、その誰も彼もがゲスだった。 聞けば、長たちはゲスが追い出したという。 賢く立派な長がいると評判で、いつか移り住みたいと思っていた若まりさの理想郷の、現実がこれだった。 ゆっくりの群れなんて、どこもこうなのかもしれない。 長まりさに家族の全てを奪われた若まりさは、復讐を終え、理想の結末を見、全てが空しくなった。 こうして、隣の群れはわずか3日で新しい長を失った。 この後、統率を失ったゆっくりたちが餌場を巡って散発的に争っていたが、やがて来た冬が全てを雪の白の下に包み隠してしまった。 いずれ来る春に新しい秩序が生まれるかは、その時にならないとわからない。 [後日] 「いや、なかなかドラマチックだったね」 観察記録の編集を終えた俺は、ため息混じりにつぶやいた。 もちろん、満足満腹のため息だ。 2つの群れの中央に機械を置いたのは、機械を巡って群れ同士が醜い争いでもしてくれないかと期待してのことだった。 だが、現実は俺の予想をはるかに超えて劇的だった。 こんなおもしろいものを俺一人で見るのはつまらない。 最近、愛で兄が虐待に目覚めたので、これを見せて反応を見てみよう。 愛でと虐、どちらに振れるかはわからないが、どっちにしても面白いだろう。 面白いといえば。 モニタの画像を切り替える。 赤外線カメラの白黒画像に映っているのは、長ありすとその御一行様だ。 裏手の広大な森は、人里近いにもかかわらず純野生種に極めて近いゆっくりを観察できる、貴重な土地だ。 そこであれほど大きな群れを維持できた長ありすを使い捨てるのはもったいない。 以前別の実験のために誰も住まなくなってしまったゆっくりぷれいすに、人間の仕業と気付かれないように誘導したのだ。 長ありすたちは、かつて熊の巣穴だった場所で冬篭りをしている。 かつての主は、猟友会の手にかかってすでにこの世にはいない。 巣穴の置くにはたっぷりの餌が溜め込んである。 数年は放置されていたゆっくりぷれいすなので、餌だけはたっぷりと集めることができたのだ。 当然、それだけでは100匹以上の群れを維持できない。 なので、森に仕掛けたあれこれの罠を使い、適正と思える数にまで俺が間引いた。 新作の罠の動作確認にもなり、一石二鳥だった。 長たち大人のゆっくりの輪の中で、30匹ほどの子ゆっくりが眠っている。 全てが冬を越せないとしても、これだけの数がいれば、春には新しい群れとして機能し始めるだろう。 その新しい群れは、一体どんなドラマを見せてくれるのだろう。 来るべきその時のために、新作の開発に余念は無い。 (完) 作者:元ネタ → 「98%の確率でお金がもらえるが、2%で死ぬボタン」 (記事:ttp //internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/20090916_315857.html) 作者は898万円で死にました。 by (め)の人 想定以上に長くなったので、せっかくなので拙作一覧もつけておきますね。 ふたば系ゆっくりいじめ 166 ゆっくり繁殖していってね! ふたば系ゆっくりいじめ 179 にんげんさんはゆっくりできない ふたば系ゆっくりいじめ 203 まりさのだいじな ふたば系ゆっくりいじめ 207 ゆっくりせいいをみせてね! ふたば系ゆっくりいじめ 215 ゆっくりほいほい ふたば系ゆっくりいじめ 219 ゆっくりアップダウン ふたば系ゆっくりいじめ 244 ぽんぽんいたいよ ふたば系ゆっくりいじめ 251 ゆゾンデートル ふたば系ゆっくりいじめ 255 れいむのラッキーライフ ふたば系ゆっくりいじめ 259 れいむのアンラッキーライフ ふたば系ゆっくりいじめ 262 目と目で通じあう ふたば系ゆっくりいじめ 269 約束しよう ふたば系ゆっくりいじめ 278 れいむの性格改善教室 めーりんあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 最高の作品の1つに出会えた -- 2012-11-19 01 41 10 俺1億5000万超えた! -- 2011-05-30 20 15 12 物語性が素晴らしいなぁ。 仕掛けも良いが、その後のゆっくり達の考えも素晴らしい -- 2010-10-03 22 05 02 すごく完成度が高くてゆっくりできたよ! こういう読み応えがある作品はうれしいね! -- 2010-07-31 09 05 47 面白かった! こういうのを読みたかった -- 2010-07-11 12 10 34 フォローは『あの向こうへ』をどうぞ -- 2010-03-07 02 18 18
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「ふたば系ゆっくりいじめ 365 久城学園の夜/コメントログ」 めーりんは無事なんだね!良かったよ!! -- 2010-07-09 12 51 01 理事長って男だよね? ねぇ?がなんか好きだ -- 2010-07-17 00 31 20 阿呆まりさざまぁww 町ゆっくりに迷惑かけただけかぁ -- 2010-10-08 16 58 12 理事長って怪談レストランっぽい話し方だね -- 2011-08-04 00 26 17
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「ふたば系ゆっくりいじめ 386 最終地獄/コメントログ」 でめたしでめたし -- 2010-05-25 20 32 32 期待しちゃったよ!! そして、こういう作品は好きだ! -- 2010-06-10 01 03 19 やったー!お兄さん、カッコイー!! -- 2010-06-30 06 29 48 やだ…カッコイイ/// -- 2010-11-03 22 50 28 かっこいいんだか馬鹿なんだか…… -- 2011-08-16 12 22 29 地震と放射能か・・・こんな話を気にせずかけた時代が懐かしい -- 2011-09-26 22 59 58 ↓そうだよな、今じゃ不謹慎で叩かれるし・・・傷跡は未だに残ったまま・・・ -- 2013-01-23 04 20 22 泣いた -- 2013-03-09 02 46 06 俺福島県民なんだけどこれからは原発には無数のうにゅほがいるんだと思うわ。うにゅほの出した放射性物質だと思っとく…ちょっと萌え -- 2013-05-02 18 42 01 この部屋にでいぶやゲスまりさいれてみたらどうなるかなwww -- 2014-05-28 20 50 51 完全にハルクになっちゃったじゃないですかー!! すげぇ・・・ -- 2014-08-01 10 18 34
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相対価値 3KB 虐待-いじめ 小ネタ 野良ゆ 都会 現代 初投稿です 虐めてません 短いです。 人間の発言は「」、ゆっくりの発言は『』を使っています。 読み難さ回避でゆっくり発言にも漢字を混ぜてます。 ていうか虐待してねぇ。 _______________________________ 1: 『おにいさん、れいむのおちびちゃんを見ていってね!』 『『きゃわいきゅってごめんにぇ!』』 あー、野良ゆっくりか。 このパターンは間違いなく 『ゆゆっ! れいむのおちびちゃんを見てゆっくりできたでしょ!』 『『ゆっきゅり!』』 『ゆっくりできたんだからお礼にあまあまちょうだいね! たくさんでいいよ!』 『『ちょーりゃいにぇ!』』 うぜぇ。 潰す…のは靴が餡子まみれになるから避けたいし… うむ。 「なんで?」 『ゆゆっ?! おちびちゃんを見てゆっくりできたでしょ!』 「うん、まぁ」 当然ウソだ。 『だったらとっとあまあ「で、なんであまあまあげなきゃいけないの?」 『ゆぎぃぃぃぃ! なにいっでるのぉぉぉぉ!! ゆっぎゅりでぎだらお礼するのがどうぜんでじょおぉぉぉ!!』 「お礼か。 なるほど、当然だな」 ヨダレだの尿だの撒き散らしてキモい。 ウザい上にキモい。 寄るんじゃねぇ汚饅頭。 『ゆふん! 理解したならとっととあまあまよこしてね!』 「ふーん、でもさぁ…」 「ペットショップに行けばキラキラした最高に可愛いおちびちゃんをタダで見放題なんだよ?」 『『『ゆ”っ?!』』』 「君達はお外で暮らしているからしかたないんだけど、ごはんを集めるのが大変でおなかいっぱいに食べられない日があったり、 寒くてゆっくり出来ない日があるんじゃないのか?」 「そこいくとペットショップのおちびちゃんは毎日ごはんを沢山むーしゃむーしゃしてるし、 ぬくぬくさんと玩具のいっぱいあるお部屋でいつも何の苦労も無く最高にゆっくりしているよ!」 「残念だけど…れいむのおちびちゃん達はペットショップのおちびちゃん達と比べたらゆっくり不足であんまり可愛く無いなぁ」 「もっともっと可愛いおちびちゃんがタダで見られるのに、それ以下のおちびちゃんを見せられても…ねぇ?」 『―――――――――』 『おかーしゃん、どおちたにょ? おかーしゃ…』 2: 『おにいさん、れいむのおちびちゃんを見ていってね!』 『『きゃわいきゅってごめんにぇ!』』 あー、野良ゆっくりか。 このパターンは間違いなく 『ゆゆっ! れいむのおちびちゃんを見てゆっくりできたでしょ!』 『『ゆっきゅり!』』 『ゆっくりできたんだからお礼にあまあまちょうだいね! たくさんでいいよ!』 『『ちょーりゃいにぇ!』』 うぜぇ。 潰す…のは靴が餡子まみれになるから避けたいし… うむ。 「悪いが可愛くない」 『どぼじでそんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉ!!!! じじぃは目がくさってるんだね!!』 「まぁ落ち着きたまえ、これには理由があるんだ」 「おちびちゃんは可愛いか?」 『とうぜんだよ!』 『とうじぇんりゃよ!』 「じゃあカラスのおちびちゃんは可愛いか?」 『ゆゆっ、カラスさんはゆっくりできないよ! かわいくないよ!』 『『きゃらしゅしゃんは、ちね!』』 「人間のおちびちゃんは可愛いかい?」 『かわいいわけないでしょ! なにいってるの? ばかなの? しぬの?』 『『ばきゃにゃの?』』 「という訳だ」 『ぜんぜんわからないよ! じじぃは誤魔化さないではやく説明してね!』 『『とっととしりょ!』』 「つまりさ、人間もゆっくりも、自分と似ているおちびちゃん”しか”可愛いと思わないんだよ」 『ゆ”っ?! で、でも』 「実際にれいむはゆっくり以外のおちびちゃんは可愛くないって言ったじゃないか。 それはれいむがゆっくりだから当然の事なんだよ」 「同様に、人間は人間のおちびちゃんしか可愛いと思わないんだ」」 あーあ、ポカーンとしちゃって。 じゃあ飼いゆっくりは何なんだとかツッコミどころはあるんだけど、絶対だと信じていた価値観が破壊されて思考停止してしまったようだ。 「じゃ、僕は行くよ。 今度からはゆっくりにおちびちゃんを見せてあまあまを貰うといいよ!」 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る お兄さん・・・・ゆっくり対策の本を出版しようよ売れるよ -- 2012-07-26 16 33 52 ↓ニーサンw でも本当の事だな素晴らしい言い返し方だ -- 2011-10-24 21 17 51 ↓↓だが無意味だ -- 2011-09-08 21 08 51 めずらしく人の話を聞くゆっくりだな -- 2011-07-29 13 03 37 良い返しだ。感動的だなw -- 2010-11-28 16 08 43 でいぶだったら、そんなのいいから潰れてくれ、でおk -- 2010-09-16 18 06 59 破滅への第一歩「そんなのいいからあまあまよこせえええええぇぇぇぇえ!」 でなんでも切り抜けちゃうからな -- 2010-09-12 01 10 07 これれいむだからうまくいったけどでいぶなら無理だな。 -- 2010-08-19 03 35 13 納得いきました。 -- 2010-07-29 19 41 56 なるほどー。そういう返し方があったか。盲点だったわ。 -- 2010-07-12 10 01 50