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前:嗚呼、我等地球防衛軍(第46話〜第50話) 次:嗚呼、我等地球防衛軍(第56話〜第60話) 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第51話 艦艇不足に苦しむボラーは地球と取引を行い、旧ガトランティス帝国軍艦艇と引き換えにハイパー放射ミサイルの技術を含む ディンギル帝国製の技術を地球側に提供した。 詳細な内容が書かれた書類を議長室で読み終えた議長は、書類を机に置くと苦笑した。 「また真田&大山コンビの仕事が増えたわけだ。まぁ仕事がないよりはマシと思ってもらうしかないな」 お疲れ気味の本人達が聞いたら激怒しそうな内容をのたまう議長に、秘書はすかさず突っ込んだ。 「増やしたのは議長でしょうに……このままだと真田さん、過労死するのでは?」 「万が一の事態に備えて医療体制は整えている。それに名無しの技術者だって頑張っているから、負担も極端には増えないだろう。 それに……」 「それに?」 「不幸というのは皆で分かち合うものだろう?」 議長の前にはこれから読まなければならない書類が積まれていた。 これでも可能な限り減らされたのだが、それでも防衛軍の三軍(宇宙軍、空間騎兵隊、地上軍)を統括するとなると仕事量が 半端ではないのだ。 「私が幸せだったら、少しは他人を思いやる余裕もあるんだが……」 (うわ、この人、最悪だ……) 黒い笑みを浮かべる議長を見て秘書官は腰が引けた。 「……冗談だ。そう引くな」 「冗談には見えません。むしろ本気に見えます」 (半分は本気だがな。くそ、この地獄から逃れるためには、仕事の効率をもっと向上させなければならないか) そう小さく呟くと、議長は右手にある書類に目を向けた。 「第9艦隊の新設と3個艦隊を基幹とした攻性部隊の創設……これを進めないと」 十十十艦隊計画と並行して、議長は遠隔地にある敵本拠地への侵攻を考慮した攻性部隊の創設を提唱していた。 第7艦隊、第8艦隊(臨時編成から常設へ)、第9艦隊(新設)の3個艦隊を中核とし、これにα任務部隊等の独立部隊を加えた 遠征軍をもって敵本拠地を攻略(又は殲滅)するというのが議長の主張だった。 「それやったら、もう防衛軍とは言えないのでは?」 日系の実力者からはそんな声が出たが、北米や欧州出身の白人層からは高い支持を受けた。 彼らは殴られっぱなしで泣き寝入りする民族ではない。 「一発ぶん殴られたら、百発以上殴り返して、相手の足腰が立たなくしてやる!」 それが彼らのクオリティだった。 北米州は必要ならアリゾナやアイオワなどの新造戦艦を攻性部隊に加えることも躊躇わないという始末だ。 尤もそこには些か生臭い理由もあった。そしてその理由を議長は悟っていた。 (ヤマトやムサシ並の活躍をさせて、連邦内部での発言力を強化したいのだろう……) 極東州、いや日系が連邦政府内部で幅を利かせるのはヤマトの活躍による物が大きい。 日本がガミラス戦において力を温存させることに成功させていたこと、日本の宇宙艦隊が地球復興の立役者になったことも大きいが やはりガミラス本星を滅ぼした上、イスカンダルからコスモクリーナーDを持ち帰ったという功績は誰も否定できないものだった。 さらに最近では日系人が主流を占める防衛軍がガトランティス帝国をほぼ無傷で撃退するという戦果を挙げている。 かつての大国群が、「この辺りで自分達の立場を回復させたい」と思うのは当然の流れだった。 「まぁ良い。この際、何でも利用してデザリアムを二重銀河ごと滅ぼしてくれる。何しろボラー軍は当面役に立たんからな」 議長としてはボラーを対デザリアム戦役で盾に使おうと考えていたのだが、その目論見は水泡と帰した。 故に防衛軍を少しでも強化するしかなかった。 「ま、3個艦隊と言っても自動艦が多いから、引き立て役にされて壊滅しても被害は最小限に抑えられる」 「黒すぎますよ、議長……」 「多少、黒くないとやってられないぞ。 まぁ転生者仲間には、いや一人でも多くの宇宙戦士たちに、生きて地球に帰ってきてもらいたいとは思っているよ。 そう、今後のためにも」 一方、仮想敵とされたデザリアム帝国は極秘裏にボラー連邦に接触を行っていた。 尤もボラー連邦は、イスカンダルで防衛艦隊によって一方的にボコボコにされたデザリアム帝国軍の実力を疑問視しており 頼りにならないかも知れない国と一緒になって地球と敵対するつもりはないと伝えた。 「あの狂戦士共と戦いたいのなら、自分でやってくれ。(今は)そちらに味方する気はない。 ただ、地球に与して積極的に敵対するつもりも(今のところ)ない」 これがボラーの本音だった。 だがサーダはそれでも十分と判断した。 「対地球戦争で邪魔をしないというだけでも十分でしょう」 スカルダートはこれを聞いて嘲笑する。 「それにしても、何と薄情な連中だな。友好国をこうも簡単に見捨てるとは」 「いえ、むしろ彼らは地球ならば単独で我々を退けることが出来ると思っているのでしょう。 兵を引くのも、下手に巻き込まれて被害を受けるのを避けたいというのが本音かと」 「そして、ついでに我々と地球が消耗すれば良いということか。舐められたものだ」 「ですがここで短期間で地球を占拠できればボラーは手のひらを返して勝ち組に乗ろうとするでしょう。彼らもガミラスとの 戦いで受けた損害を補填したいと思っているようですし。そして仮にそうなれば他の星系にいる地球軍を始末しやすくなります」 この言葉を聞いた時、スカルダートは一瞬だが逡巡した。地球を叩くべきかどうかを。 だがボラーが弱体化し、地球が事実上孤立無援となっているのは絶好のチャンスとも言えた。 波動エネルギーを使う天敵を一刻も早く叩き潰し、加えてその生命力を手に入れるというのは、種として衰えつつある デザリアム人にとって余りにも魅力的だった。 「……よかろう。参謀本部に命じて、短期間で地球を陥落させる作戦を立案させる。情報は集まっているのだろう?」 「はい。ですが地球を制圧した後、次はボラーが脅威になるのは事実です。工作を進めておく必要はあるかと」 「良いだろう」 こうしてデザリアムは地球攻略に向けて本格的に動き出す。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第52話 議長の必至の根回しもあってか、第9艦隊の新設と、第7~9艦隊の攻性部隊化が決定された。 そして転生者たちにとっては究極の切り札である『あの男』が現場に復帰することになった。 その人物は防衛軍司令本部の長官室で、長官直々に辞令を受けることになる。 「沖田君、病み上がりですまないが、地球のために再び頑張ってくれ」 「判っています。藤堂長官」 沖田十三。イスカンダルへの航海を成功させた英雄。 どんな不利な状況においても不屈の闘志と冷静さを失わず戦い続け、デスラーさえも一目置く男が長い入院生活を終えて戻ってきたのだ。 「沖田君には第7艦隊司令官兼タケミカヅチ艦長に就任してもらいたい。これに伴い、古代進艦長代理を正式にヤマト艦長に任命する」 「了解しました」 「第7艦隊には自動戦艦や、ガトランティス帝国軍の艦艇などが配備されている。 自動戦艦は実験部隊である第01任務部隊で問題点を可能な限り潰しているが問題が発生する可能性はある」 「判っています。初めての試み故に問題は多いでしょう。しかし解決できないものはないと思います」 沖田はこのとき、デザリアムとの戦いは不可避であると判断していた。 故にいずれ訪れるであろう大反抗では、乗員の消耗を気にしなくても良い無人艦や、遠征に適している旧ガトランティス帝国軍の艦が 必要になると考えていた。 「とりあえず第7艦隊は訓練漬けでしょう」 「必要な資材については優先して送る。これは議長や防衛会議も同意している」 かくして第7艦隊は土方の訓練並にハードな訓練を課されることになる。 この一方で、改装中のヤマトとムサシの下に、2隻の戦艦が送られることになった。 「新しい艦を配備すると?」 α任務部隊司令官である古代守は、ムサシの第一艦橋のメインパネルに映る藤堂長官に尋ねた。 この質問に藤堂はすかさず頷く。 『そうだ。議長はα任務部隊に大きな期待を掛けておられるそうだ。 一部では過剰との意見もあったのだが、α任務部隊には主力戦艦2隻、『アーカンソー』と『ロイヤル・オーク』が配備されることになった」 「これで戦艦3隻、攻撃型空母(ムサシ)1隻の4隻。かなりの打撃力ですが、護衛艦は?」 『主力戦艦2隻が護衛艦のようなものだ。この2隻は波動砲を搭載せず、引き換えに装甲を厚くしている』 「波動砲を搭載しない?」 『そうだ。波動砲を撃つ前と撃った直後、艦は無防備になる。それをフォローするための艦だ。試作として2隻建造された。 何しろ波動砲に頼り切るのが危険ということがこれまでの戦役、特にガトランティスとボラーの戦いで誰の目にも明らかになったからな。 勿論、波動カードリッジ弾などの波動兵器も多数揃えている。火力は十分だろう』 「しかし、石頭たちがよく納得しましたね」 『心底納得はしていないだろう。だが何かしら手は打たなければならない。その一環だ』 「正規艦隊で大々的には取り組めない。だから独立部隊のα任務部隊でテストをしてみると?」 『そういうことだ。新装備のテストは第01任務部隊でも出来るが、やはり実戦データも必要になる。君達なら使いこなしてくれると 議長も考えているようだ。それとコスモファントムも優先して送ると言われている』 「了解しました。議長の期待に応える為にも、全力を尽くします」 こうしてα任務部隊はさらに強化された。 だが梃入れはそれだけではなかった。何とこの度、ズォーダー大帝さえ脅威と見做していた超能力者・テレサが正式にヤマトクルーとして 乗り込むことになったのだ。尤も表向きは超能力者と言うことは伏せているが……。 また空間騎兵隊も強化され、斉藤を筆頭に『2』の主要な面子が送り込まれた。 沖田艦長復帰やα任務部隊への梃入れの状況に関する詳しい報告を、議長室で聞いた議長は満足げに頷いた。 「山南さんは植民地星防衛の指揮を執ってもらわないといけないし、土方長官は太陽系防衛の任務から外せないが……まぁフルキャストだな」 議長の言葉に秘書は頷く。しかしすぐに懸念を口にする。 「ここまで充実すると、あとが怖そうですが……」 この言葉に議長は少し固まった。 「……二重銀河が吹き飛ぶ以上のことでも起きると?」 「否定は出来ないのでは?」 「ははは、まさか。銀河が消えてなくなる以上の大惨事なんて起きないだろう。いくら何でも……」 そう言いつつも、議長は不安に駆られた。何しろ彼らは色々と前科がありすぎた。 「……いや、さすがに無いだろう。波動融合反応がいくら凄くても宇宙を崩壊させるようなことはないだろう」 さすがに銀河が吹き飛ぶ以上の大災害を想像できなかった。そして議長はそこで話を切る。 「あとは重核子爆弾だな。出来れば太陽系外で迎撃したいが……」 「難しいのでは?」 「いやこちらに何時到着するかがある程度判れば何とかなる可能性はある。 劇中では太陽系の各惑星の基地が次々に叩かれていたことから、地球を含む各惑星が直線上に並ぶ時期と考えることができる。 重核子爆弾の能力からしても、正しい選択と言えるだろう」 「では?」 「その時期に特に警戒態勢を敷く。 もしも太陽系に侵入されて一部の惑星の基地が全滅しても、基地に配備したロボットが詳細な報告を行うようにする。 そうすれば各基地の要員を退避させる口実にもなる」 そこまで読まれていることを知る由も無いデザリアム帝国は、地球の速やかな占領のために重核子爆弾を地球に向けて発射した。 さらに地球本星攻略を担う地球攻略艦隊も出撃していく。ただしその艦隊はゴルバこそないが、当初の予定より大幅に増強されていた。 「一気に叩くのだ。油断はならん」 スカルダートは通信機越しに、巨大戦艦ガリアデスに乗る攻略艦隊司令官カザンにそう命じた。 命令を受けたカザンは自信満々に答える。 「お任せください。あの星をすぐに我が帝国の版図に加えてみせます」 かくしてデザリアム戦役が始まる。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第53話 天体観測の結果、議長は太陽系の各惑星がほぼ直線上に並ぶ時期を特定した。 これを受けて議長は様々な理由をつけて(でっち上げて)、その時期にあわせて特別警戒を行うように根回しをした。 一部の人間はこれに不審に感じたものの、その理由を理解している転生者たちは、ガトランティス戦役を上回る戦乱に なるであろうデザリアム戦役がいよいよ始まることを理解した。 連邦政府ビルの一角で行われる転生者たちの密談も、デザリアム戦役の話題でもちきりだった。 「いよいよですな」 転生者たちは、迫り来るデザリアム戦役に緊張を隠しきれなかった。 「議長、防衛軍はどのように彼らを迎え撃つおつもりで?」 「まずは情報収集だ。太陽系外で重核子爆弾や敵の侵攻艦隊を察知するためにパトロール艦隊を増派する。 発見次第、艦隊を派遣して目標を破壊。艦隊決戦は基地からの支援が期待できる太陽系外縁で挑む。 太陽系外で訓練中の第7艦隊も呼び戻しているから、タイミングを合わせれば敵艦隊を前後で挟撃できる。 ただし重核子爆弾によって派遣した艦隊が無力化される可能性もある。 もしも乗員の生体反応が消滅すれば、コンピュータに自動報告させた後、簡易量産型アナライザー(以降、Mライザー)と 自動操縦システムで土星基地に帰還させる」 「太陽系外での発見や迎撃に失敗した場合は?」 「不本意だが、外惑星基地に犠牲になってもらうことになる。 11番惑星基地や冥王星基地などが潰されたら、即座に各艦隊を出撃させて迎撃だ。波動砲で叩き落す。 仮に重核子爆弾の攻撃可能範囲が波動砲の射程以上だった場合は、アイルオブスカイの波動直撃砲やデスラー艦の瞬間物質移送装置で 波動砲をチャージした状態の自動戦艦を送りつけて叩き潰す。そして残存艦隊を集結させ、敵侵攻艦隊に決戦を挑む」 「なるほど……勝算はどの程度ですか?」 「状況が流動的なので一概には言えない。ただ太陽系各惑星の基地や防衛艦隊の戦力を考慮すれば……5割以上と判断している」 「これだけ準備して5割ですか……」 「戦争は水物だ。まぁ仮に防衛軍が壊滅してもヤマトがあれば、地球は生き残れるだろう」 この言葉に誰もが複雑な顔をする。 自分達の努力を嘲られているような感覚を覚えたのだ。 「まぁ犠牲を少なくし、一人でも多くの将兵が家族の元に帰れるように努力しよう」 こうして地球防衛軍は厳重な警戒態勢を敷いて重核子爆弾を迎え撃つ体制に入る。 各艦隊は訓練の名目で出港準備を急ぎ、各基地も防空体制を強化していく。準戦闘配備と言っても良かった。 「さぁ来るなら来い。今度こそ、防衛軍主力で叩き潰してくれる」 しかしそんな議長の思いを他所に、予期せぬ事態が起きようとしていた。 それは相変わらず土星で訓練中のヤマトから始まった。 「地球に危機が?」 「はい」 テレサはその超能力でもって地球に迫り来る危機(重核子爆弾)のことを察知したのだ。 さすがに具体的には何かとまでは断言できなかったが、それでも島を始めとして主なヤマトクルーの面々はテレサの言葉を 信用した。 「古代」 島は古代に顔を向ける。これを見た古代は頷くとすぐに口を開く。 「判っている。参謀本部や防衛軍司令部が各惑星の艦隊を訓練の名目で出航させているのも、何か関係があるのかも知れない」 「つまり政府は何かを知っていると?」 「その可能性はある」 この古代の意見を聞いた真田は頷く。 「確かに。ボラーか、それとも何か公表できない情報源から情報を得たという可能性はある。 危機について何も公表しないのはパニックを警戒しているのか、それとも危機が本当に来るかどうか断言できないか…… いずれにせよ何か事情があると考えたほうが良い」 「『政治的判断』という奴ですか。しかしそれで犠牲が出たら」 「その辺りは議長もわかっているはずさ。そうでないなら、ごり押しして訓練を名目にした警戒態勢なんて敷かないだろう」 この真田の言葉にヤマトクルーも納得した。 ヤマトのよき理解者(笑)であり、後援者でもある議長の評価はヤマトクルーの中ではすこぶる高かったのだ。 「守の奴からも聞いたのだが、議長は防衛軍司令本部とも話をして、パトロール艦隊を太陽系外に増派している。 あと噂なのだが、議長が警戒しているのはデザリアム帝国らしい。二重銀河を支配する帝国だから、帝国の威信にかけて 復讐戦を仕掛けてくるのではないかと踏んでいるようだ」 そこで南部が納得したかのように頷く。 「だから、うちに戦艦を護衛する戦艦なんて送ってきたと?」 「だろう。議長はどうやら、我々を扱き使うつもりのようだ。全く人使いが荒い」 真田は苦笑する。 しかしそんな真田とは対称的に、古代は渋い顔だった。 「ですが真田さん、パトロール艦隊は危機のことを知らないんですよね? そんな彼らに本気で敵が襲い掛かったら……」 「……犠牲は避けられないだろう」 「ヤマトとムサシなら」 「無理だ。防衛軍司令本部はα任務部隊は練度の向上に務めることを命令してきている。それに新型機の訓練だって十分ではないだろう?」 「それは……」 「ふむ……だが確かにパトロール艦隊が報告する前に包囲殲滅されるという可能性は否定できん。 救援に出れるように手は打っておくべきかも知れないな。よし守にも話をしてみよう」 こうしてα任務部隊は動き出す。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第54話 「長官、ヤマトとムサシの航空戦力があれば太陽系外縁での哨戒もこなせます」 『ふむ……』 α任務部隊司令官・古代守は太陽系防衛艦隊司令官である土方に対して、太陽系外縁での哨戒を兼ねた訓練計画を提案していた。 ムサシのメインパネルに映る土方は難しい顔で聞き返す。 『だが君達はわかっているのかね? 防衛軍司令本部はα任務部隊の練度向上を命じているのだぞ?』 「判っています。太陽系外縁への移動中に訓練を行います。訓練スケジュールは今から送ります」 送られてきたスケジュールを見て土方は驚いたような顔をした。 そこにはかなりの過密スケジュールが記されていたからだ。 『こんな訓練をして大丈夫なのか?』 「土方さんの扱きに比べればマシだと思っています」 『くっくっく。言うようになったな』 「それに……この程度の訓練に耐えられないのであれば、生き残るのは難しいでしょう」 『ふむ……』 土方も実戦になる可能性があることを判っていた。 宇宙戦士としての経験、そしてその経験から培われた嗅覚が戦の気配を感じ取っていたのだ。 『……よし。良いだろう。α任務部隊は太陽系外縁に向かってくれ』 「ありがとうございます」 『それと太陽系外縁には丁度、第8艦隊が訓練中だ。何かあった場合は、第8艦隊と協力して動いてくれ』 このとき、第8艦隊司令官(原作ヒペリオン艦隊司令)は少し嫌な予感を覚えたのだが、彼らはそれを知る由も無かった。 「了解しました」 こうしてα任務部隊は一路、太陽系外縁に向かった。 こうして地球圏最強(最凶)の部隊が太陽系外縁に向かっているとは露も知らないデザリアム帝国艦隊は、威風堂々と いった様子で地球に向かって進撃していた。 「これだけの大艦隊をもってすれば、地球なぞ一ひねりだ」 兵士達は口々にそう言いあったが、司令部の面々はアンドロメダ星雲の覇者であったガトランティス帝国首脳を討ち取り 侵攻部隊も壊滅に追いやった地球に対して全く油断していなかった。 ボラー連邦の情報から、地球艦隊が絶対に侮れない相手であることも彼らは理解していた。 「重核子爆弾で各惑星基地と駐留艦隊を無力化するしかあるまい」 イスカンダルで地球の1個艦隊によってゴルバを含む艦隊が手も無く捻り潰されたことから、司令官カザンは地球艦隊を 侮ってはいなかった。 「本隊は重核子爆弾が露払いしたのを確認して前進。加えて別働隊は迂回し地球本星を突き、重核子爆弾の地球到達を支援する」 地球侵攻部隊はデザリアム帝国が動員できる機動戦力の大半であった。その数は防衛艦隊を超え、ガトランティス帝国軍艦隊に 迫るものがあった。故に彼の戦術は非現実的ではなかった。加えてデザリアム帝国軍艦艇は高いステルス性を持つ。防衛軍が混乱 していればその懐に潜り込むのは不可能ではない。 しかしそれについて懸念を示すものがいた。 『兵力の分散になるのでは?』 画面の向こうから聞こえるミヨーズの言葉を、カザンは嘲笑う。 「これだけの艦隊を有機的に運用しない方が非効率的だ。それに地球軍が予想もしない新兵器をもっていたら、どうする?」 『……』 「地球の首都を一刻も早く制圧し、奴らを降伏させるのだ」 こうして彼らは進撃する。 すでに自分達の来襲が予知されていることも、そして最凶の戦艦が近づいていることも知らず。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第55話 アンドロメダ級戦艦2番艦『ネメシス』を旗艦とした第8艦隊は太陽系外縁で訓練に励んでいた。 勿論、転生者である第8艦隊司令官(以降、8F司令)は議長から内々に、デザリアム戦役が勃発する可能性が 高いことを知らされていた。このため十分な量の武器弾薬を訓練宙域に持ち込んでいた。 加えて周辺を探索しているパトロール艦隊へも定期的に連絡をとって、不意打ちされないように注意を払っていた。 「第8艦隊が矢面に立つとは……」 重核子爆弾の存在とその破壊力を知っている8F司令は、気が気でなかった。 そんな中、太陽系防衛艦隊司令長官である土方から一つの連絡が入る。 「ヤマト、いやα任務部隊が?!」 艦長席で8F司令はひっくり返りそうになった。だがすぐに態勢を整えると通信士に確認した。 「そんな予定は聞いていないぞ? 何かあったのか?」 「訓練の一環だそうです。不測の事態が起きた場合、α任務部隊を指揮下に入れて行動をとるようにとも」 「……(嫌な予感しかしね~)」 自身が感じた悪寒の正体はこれかと思い、8F司令は頭を抱えた。 「……判った」 しかし自分が何を言っても変えられない。議長も部隊の運用を一々指示出来ない。 (連中をうまく使うしかない。ここはむしろチャンスと思って行動するべきだろう。そうチャンスと思って……) しかし彼の脳裏に過ぎるのは、ここぞとばかりに暴れまわるヤマトメンバーだった。 デザリアム帝国という敵と相対するとなれば、彼らの戦力は確かに頼もしいのだろう。 だが暴れすぎて、『別』の問題を引き起こす可能性が高かった。だがそれ以上にタイミングを間違えれば、自分は 主人公達を奮い立たせるための生贄役になる可能性があるという問題があった。 「(第8艦隊の仇とか言って暴れるヤマトクルーか)……すまないが、胃薬と頭痛薬、それと水を用意しておいてくれ」 「?……は、判りました」 こうして8F司令が頭痛を覚えつつも、太陽系外縁では歓迎会の準備が進んだ。 そして運命の時は訪れる。そう、パトロール艦隊が太陽系に接近する謎の物体を捕らえたのだ。 この緊急報告は直ちに地球防衛軍統合参謀本部にも伝えられた。 「そうか。遂に来たか」 「防衛軍司令本部はただちに迎撃を指示。加えて土方司令長官は全地球艦隊を臨戦態勢へ移行させました」 秘書の報告に、議長は満足げに頷く。 「まずは第一関門突破だ。α任務部隊が前線に赴いたのが気になるが……まぁ彼に任せよう」 餅は餅屋だった。少なくとも議長は勝つためのお膳立てを行った。 もはや細かい前線の指揮は現場に任せるしかない。しかし彼にやれることもあった。 「地球本土防衛艦隊も臨戦態勢へ移行させろ。それと万が一の場合に備え、政府首脳の避難準備も進める」 「了解しました」 万が一、防衛軍が敗北すれば地球本土は制圧される。 その場合に備え、政府首脳を植民惑星かボラー連邦へ脱出させ、徹底抗戦を図る用意に彼は取り掛かった。 「さて、どうなるか……」 議長がそんな呟きを漏らしたころ、太陽系外縁ではパトロール艦隊が哀れにも重核子爆弾の餌食となっていた。 普通ならそれで艦隊は行動不能になっていただろう。 だが議長主導で行われたMライザーの配備によって艦隊は何とか宇宙のゴミになることなく、冥王星基地へ自動で帰還を開始した。 それも艦内の様子を細かく報告しつつ。 そしてその報告を聞き、さらに謎の飛行物体に関する情報を分析した真田と大山は一つの結論を下した。 『間違いない。あれはハイペロン爆弾だぜ』 大山の言葉にヤマト、ムサシなどのα任務部隊、通信機越しに報告を聞いていたネメシスのクルーの間で驚きの声が広がった。 尤も8F司令だけは少し表情を引きつらせていたが。 (何で、それだけで判るんだ? いや……もう良いか。そんなものなんだろう。多分) もはや突っ込む意欲も無い男は、話を続けた。 「だとすると近寄るのは危険だ。パトロール艦隊はなすすべも無くやられたのだから」 この言葉にヤマトクルー、特に古代進は悔しそうな顔をする。 それを慰めるように8F司令は言う。 「……まぁ彼らの死体は手厚く葬ろう。幸い、遺体は艦と共に戻ってくる」 宇宙戦争での戦死者は大半が宇宙の塵となるか、宇宙葬で母星には戻れない。 故に遺体が戻ってくれば、遺族への慰めにもなる。 『はい』 だがそこでさらなる凶報が飛び込む。そう、退避中のパトロール艦隊がデザリアム艦隊に攻撃されたのだ。 クルーを失い、反撃できないままパトロール艦隊は宇宙の塵と化す。しかしそれはα任務部隊の面々の怒りを煽るものだった。 「……どうやら敵はハイペロン爆弾で艦隊を無力化し、その後に侵攻するつもりのようだ。聞くまでもないが、あの爆弾は?」 『針路から、間違いなく地球に向かっています。そしてこのままでは太陽系の各主要惑星を通過します。これでは』 その後の真田の台詞を8F司令は遮った。 「判った。司令本部、太陽系防衛艦隊司令部、統合参謀本部にも報告し退避命令を出してもらう。 そして……我々はあの爆弾を迎撃する。あのような兵器が地球に命中すれば人類は滅亡してしまう」 危険な任務だが反論は無かった。 こうして防衛艦隊は迎撃準備に入ろうとしたのだが、そこで一人の女性が手を挙げた。 『私にも協力させてください』 彼女の名はテレサ。 本来ならこの場にいるはずの無い彼女が、デザリアムにとって予期せぬ展開を引き起こそうとしていた。 前:嗚呼、我等地球防衛軍(第46話〜第50話) 次:嗚呼、我等地球防衛軍(第56話〜第60話)
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前のゲーム | 次のゲーム クリア条件 : エンディング画面を見る 開始時間:2007/01/30(火) 10 14 51.99 終了時間:2007/01/30(火) 11 16 06.09 ~STORY~ プロ野球選手になることを目指すプレイヤーは犬に噛み付かれたり、 怪獣に踏み潰されたり、そそうをしたり、女の子に興奮したり、その他 もろもろの数奇な運命を辿りながら、野球の厳しさを教わるという 人生ゲームと野球ゲームの夢のコラボレーションです スタート画面 かつのり大興奮 エンディング画面
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ああ、ほんじつもかいてんぎり【登録タグ NexTone管理曲 VOCALOID hanzo あ シュラ種種種 初音ミク 曲】 作詞:シュラ種種種 作曲:hanzo 編曲:hanzo 唄:初音ミク 歌詞 ひょんなことから名刀もらった 棚からズバッとぼた餅だったわ 鋭い刃の裏に潜む愛 さっきまでモンシロチョウがとまってた 前のめりになってくるっと宙を舞う 描いた曲線記しておけよ 青春ノートの2、3ページに そーいや、あの娘の返事はまだかなぁ 恋人と手をつなぐように 片手に刀をギュッと握りしめ 真空切り裂く刹那の3回転 くるくる奇数が奏でるラプソディ 前のめりになってくるっと宙を舞う 描いた曲線刻んでおけよ 頭から突っ込むかもしんないけど 足から突っ込む可能性も否めない カモミールハーブの香りする 優美な風が吹き抜けた 心地よい季節を告げたのに あの娘の返事はもうこない コメント 好きだああああ -- 名無しさん (2011-08-16 21 12 29) 意味不明な歌詞で笑わした上に、真面目な歌詞でトドメの一撃。まさに必殺回転斬りである。よく分からん。でも好き。 -- 龍奇 (2011-10-24 17 52 08) 足から突っ込む可能性でなぜかツボったorz -- キクノ (2012-02-02 08 40 18) なんかよくわからんのに好きwww -- みかん (2012-03-24 22 16 39) なんか、好き‼ -- 花華 (2013-02-07 19 09 39) 意味わからんが好きだなwwww足から突っ込む可能性w -- パテ (2014-01-23 06 00 33) 名前 コメント
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前:嗚呼、我等地球防衛軍(第6話〜第10話) 次:嗚呼、我等地球防衛軍(第16話〜第20話) 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第11話 ボラー連邦のべムラーゼ首相は、首相官邸でバース星に収容されているシャルバート信者の囚人達が蜂起したこと、 そして彼らが地球連邦という新興国家の戦艦を襲撃したという報告に激怒した。 「即刻、囚人達を処刑せよ!」 宇宙の神を自称するべムラーゼからすれば、シャラバート信者の蜂起というだけでも気に食わない。 それに加え彼らが他国の戦艦を、それも自国の国民を救助してきた船を襲撃したことでボラー連邦の面子を傷つけたとの 事実は怒りを煽るのに十分だった。新興国家の戦艦『ヤマト』は被害について苦情を言っている。 「弱小の新興国家の分際で、偉そうに」 べムラーゼは不機嫌そうな顔をするが、さすがに無視はできなかった。そんな彼に側近が自身の意見を述べる。 「閣下、彼らはこの事件を口実にして連邦との交渉の糸口にするつもりかも知れません」 「ほう? このボラーと対等に口を利こうというのか?」 「彼らは銀河系辺境で発達した文明圏に属しています。我々のことを詳しく知らないのでしょう。口頭で説明しても 完全に信じるのは無理かと。また未確認情報ですが、彼らは『あの』ガミラスに勝った国家とのことです」 「ほう?」 ガミラスが敗れたという情報はボラーにも届いていた。 「信じられんな。だがそれが事実だというなら……利用する価値はありそうだな」 「はい。オリオン、ペルセウス腕への進出の口実にもなります」 「バース総督府に、丁重に扱えと伝えておけ。それと……特使と艦隊を派遣する用意を進めよ。我がボラーの偉大さを 地球人に見せ付けるのだ」 べムラーゼは戦争をするつもりはなかったが、新興国家に舐められるつもりはなかった。 ヤマト艦長はバース総督府と交渉の末、相応の補償を得た。また同時に交渉の取っ掛かりを得た。 ヤマトがやったような人命救助に関する話や船の寄港に関する話し合いに持っていくことに成功したのだ。 最終的に外交官の仕事になるものの、ヤマト艦長の功績は大きいと言える。 「さっさと帰るぞ」 交渉でクタクタになった艦長は、用事が済んだとばかりに地球への帰途につくことにした。 だがこの際、ボラー連邦はバース星艦隊と特使も同行したいと申し込む。 「べムラーゼ首相も地球との友好関係の構築を望んでおられるのです」 バース星総督の言葉に、艦長は独断で判断できないとして連邦政府の指示を仰いだ。 勿論、この話を聞いた連邦政府は困惑した。何しろ無碍に断れないが、まだ友好的とは決まったわけではない 勢力を地球本星にまで招くわけにはいかない。 「外惑星のどこかで会談できないだろうか?」 大統領の意見は安全保障上当然だった。 防衛軍首脳部も太陽系防衛の要であり、最終防衛線と考えている土星、そしてそれより内に招くのは危険が大きい と判断した。その結果、天王星での会談を打診することが決定される。 また会談の護衛のために天王星の第5艦隊に加え太陽系外縁を受け持つ第1艦隊、空母部隊が護衛に付き、万が一の 事態が起きた場合、すぐに応援にいけるように土星基地には他の艦隊から抽出された艦から構成される部隊が集結する ことになる。 「確か西洋占星術では、あの星は支配星。確か意味の中には『変化』もあったな……可能な限り地球にとって 好ましい変化にしたいものだ」 参謀長は防衛軍司令部で、天王星で地球とボラーの特使が会談をするという決定を聞き、そう呟くと すぐに書類に目を向ける。 「あとは……ムサシ。この機動戦艦を戦力化せねば」 古代守を艦長に頂く新型戦艦の完成は目の前だった。 こうして地球防衛軍が歓待の準備を進めている頃、参謀長達転生者にとって目下最大の敵であるガトランティス帝国軍は 太陽系外縁で活動を活発化させていた。 地球侵攻の尖兵であるナスカ艦隊は積極的に周辺の探索を進めていた。 「ナスカ司令、件の戦艦『ヤマト』がどこにいるか分りました」 高速中型空母『エウレカ』の艦橋で報告を受けたナスカは副官に顔を向けて尋ねる。 「どこだ?」 「銀河系中心方向から地球に向かっています。ですが、我が国が知らない勢力の艦隊が同行しているとのことです」 「何だと?」 この予期せぬ報告は直ちに都市帝国に居る大帝ズォーダーに知らされる。 参謀長であるサーベラーは予期せぬ報告に眉を顰めるが、ズォーダーは余裕綽々だった。 「構うことはない。征服の楽しみが増えたではないか」 ヤマトやそれを超える戦艦を多数保有する地球。そして地球とは異なる別の星間国家。 アンドロメダ星雲を征服したズォーダーからすれば相手に不足は無かった。 こうしてガトランティス帝国はボラー連邦さえ敵にして地球侵攻と銀河の征服を行うべく動き出した。 『では手始めに、奴らの実力を量るためにヤマト、そして同行する艦隊に攻撃を仕掛けます』 この後、ナスカ艦隊はヤマトとボラー連邦艦隊に対して攻撃を開始する。 それは大規模な星間戦争の開幕を意味するものでもあった。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第12話 ヤマト艦長はガトランティス帝国軍による襲撃を警戒して、コスモタイガー�で常に艦隊周辺の索敵を行っていた。 (原作どおりなら、もうそろそろ奴らが仕掛けてきてもおかしくない。警戒は必要だ。 不意打ちを喰らってお陀仏という事態だけは避けなければ……) ヤマトの艦長に就任するのは死亡フラグ�。そのことを理解しているが故に艦長は慎重だった。 片や、ヤマトクルーは艦長の気合の入れぶりに違和感を感じていた。 特にそれを感じていた古代は食堂で真田に話しかけた。 「真田さん、艦長は何者かによる襲撃を警戒しているんでしょうか?」 「総督府や囚人達の情報からボラー連邦は戦争はしていないし、対抗する国家もない。だとすればガミラス残党だろう」 「ガミラスですか」 「ああ。これから国交を結ぼうとする相手の国の特使を襲われたら大変だ」 「……あんな国と国交を結ぶことになるんでしょうか」 バース星で捕まえた囚人から得た情報は古代たちにとっては衝撃的なものだった。 特に青臭いところがある古代にとっては、ボラーの政治体制は危険なものに見えた。 「だからといって喧嘩するわけにもいかない。まだ、ガミラスのように喧嘩を吹っかけてきているわけじゃない」 「……」 原作の古代なら過激な行動にでるところだったが、兄と沖田艦長が生きていることが、そんな行動を抑止していた。 「今は特使を太陽系に送り届けることに集中しようぜ、古代」 近くで話を聞いていた島が、そう纏めるように言うと、古代は頷いた。 「そうだな」 だがその直後、周辺を警戒していたコスモタイガー�が謎の飛行物体から攻撃を受けたとの情報が入り ヤマトは戦闘配置が敷かれることになる。 ヤマトとボラー連邦艦隊が攻撃を受けたとの報告は直ちに地球防衛軍司令部にも伝えられた。 「状況は?!」 参謀長は問いにスタッフは慌てて答える。 「はい。本日、地球時間1210に謎の飛行物体から攻撃を受けました。コスモタイガー隊が応戦中とのことですが 数が多く対処しきれないと。ボラー艦隊からも戦闘機が緊急発進しましたが……」 参謀長はすぐに藤堂長官に顔を向けた。 「長官」 「分っている。太陽系外惑星艦隊で動ける部隊を直ちに向かわせてくれ。それと太陽系の各艦隊に警戒態勢を」 「了解しました」 地球防衛軍は全部隊を直ちに警戒態勢に移行させた。参謀長達の事前の準備もあり、その移行は非常にスムーズであった。 「新たな敵が現れるかも知れんな」 「長官、幸いムサシの就役も間近です。長距離航海ができ、多数の艦載機を搭載できるムサシがあれば、太陽系外の調査も スムーズにいくでしょう」 「ふむ(さすが参謀長だ。やはり彼には司令部で頑張ってもらわないと)」 自分がどのように思われているかなど露も知らず、参謀長は今後のことを考える。 (ガトランティスが仕掛けてきた、ということだろう。だとすればボラーは自動的にこちら側につくことになる。 あの気難しい首相閣下が大人しく引き下がるわけがないからな。ボラーの空母部隊が来てくれれば非常に助かる。 盾代わりにはなるだろうし) 参謀長は自分の目論見が成功しつつあると見て内心でほくそ笑む。 (さて後は……生きて帰って来いよ、艦長) だが参謀長がそう願っているころ、ヤマトは激戦の中にあった。 「敵機、3時の方向から接近!」 森雪の報告を受けて艦長は迎撃を命じる。 「パルスレーザー、撃ち方開始! ボラー艦隊は?!」 「迎撃機を出しています。ですが劣勢のようです」 「くっ」 ボラー連邦艦隊やバース星艦隊からも迎撃機が出ているが、状況は良いとは言えなかった。 何しろボラー連邦軍は実戦経験に乏しい。加えて平和が長く続いたせいで、将兵も弛緩している。訓練こそ積んでいた ものの練度では防衛軍よりも劣る。まして……。 (ラジェンドラ号を除けば名無しキャラで、ダンボール装甲。これでは……) ミサイル数発で次々に轟沈するであろうボラー連邦の軍艦の姿を幻視して艦長は焦った。 コスモタイガー隊は必死に防戦しているものの、すでに少なくない数の攻撃機がボラー艦隊にも攻撃を仕掛けている。 ヤマトにも先ほどから何機もの攻撃機が取り付いて攻撃を浴びせている。ヤマトは過剰と思えるほど搭載した対空用の パルスレーザーで攻撃機とミサイルを叩き落し、残ったミサイルも島の神業的操縦で回避していた。 だがボラー艦隊に同じ真似はできなかった。いや、ヤマトを比較にするのは間違いなのだが、それでも彼らの機動は 防衛軍の通常部隊と比べてもお粗末だった。 (回避運動が遅い! 何をやっている!) 火力で支援しようにも、艦隊周辺は混戦状態。下手に撃ったら同士討ちになる。原作では味方に当ることはなかったが この状況ではボラー連邦軍の艦載機に当る可能性が高かった。 「……古代、コスモタイガー隊の3分の2をボラー軍の支援に当ててくれ」 『ですが』 この直後、遂にボラー連邦軍の戦艦1隻、駆逐艦1隻が多数のミサイル攻撃を受けて轟沈する。 「(やはりダンボール装甲だな)命令だ。このヤマトは簡単には沈まん」 『了解』 古代のコスモゼロを含めてヤマト艦載機の3分の2がボラー艦隊の支援に向かう。 これによってボラー連邦軍の被害は軽減される。しかし同時にそれはヤマトが被弾する危険性が増すことを意味していた。 実際、コスモタイガーが離れた後、5発ものミサイルがヤマトに命中。うち1発が第三艦橋に被害を与える。 「技術班は修理を急げ! 防衛軍司令部からの返答は?!」 「応援を派遣したとの事です!」 相原の言葉に、艦長は頷くとクルーを鼓舞する。 「そうか。諸君、もう暫くの辛抱だ。ここを凌げれば反撃に出れる!」 一方、司令官ナスカは相手の防空能力を量ることが出来たとして艦上機による攻撃を停止し、続けて戦艦4隻と駆逐艦8隻を 差し向け砲撃戦を行おうとしていた。 「ヤマトはデスラーの言ったとおり手強い。だが、あの艦隊は大したことはないな」 「はい。どうやら銀河系制覇の最大の障害は地球になりそうです。それと通信傍受の結果、あの艦隊はボラー連邦と言う 国の艦隊であることが判りました」 「ふむ。大帝へのよい土産になりそうだ」 こうしてヤマトにとって久しぶりの砲撃戦が始まる。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第13話 ナスカ艦隊による航空攻撃でボロボロになったボラー連邦艦隊は艦隊の立て直しに懸命だった。 喪失艦は戦艦1、駆逐艦1のみであったが戦艦1隻、戦闘空母1隻、駆逐艦3隻が大破(後に自沈処分)、他の艦も軒並み 被害を受け、無傷の艦は皆無。また艦載機の消耗も少なくない。このため立て直しは難航した。 「壊滅ではないか!」 旗艦である空母の艦橋でボラー連邦艦隊司令官は呻くが、実際にその通りだった。 「恥の上塗りどころではないぞ……」 ヤマトが居なかったらボラー艦隊は全滅していたかも知れなかった。この失態を知られたら彼は破滅だった。 あの冷酷な独裁者であるべムラーゼが、このような失態を犯した人間を生かしておくはずが無いからだ。 「くそ。何としても報復しなければならない。偵察機を出して何としても犯人を見つけ出すのだ!」 身の破滅を避けるには、何としても落とし前をつける必要がある。そのため司令官はそう厳命した。 だがそれにレジェンドラ号のラム艦長が反発する。 『今は艦隊の立て直しを優先するべきです。また沈んだ艦の乗組員の救助も』 「放っておけ! 今は反撃が先だ!! これはボラー連邦軍司令官としての命令だ! それともバース星軍人の君は 私の決定に従えないと?」 司令官はラム艦長の反対を押し切るどころか、立場を利用して脅した。 ボラー連邦の保護国であるバース星の軍人であるラム艦長に逆らう真似は出来なかった。 『了解しました』 「では頼むぞ」 しかしその直後、下手人であるガトランティス艦隊が姿を現すことになる。 ヤマトのメインスクリーンに12隻の艦隊が映し出される。 「敵艦接近。距離10.5宇宙キロ!」 森雪の報告を受けて艦長は頷くと攻撃を命じた。 「砲雷撃戦用意。目標、前方の敵艦隊。敵大型艦を先に叩く」 「了解! 主砲発射用意。ターゲットスコープオープン!」 古代の指示は直ちに第1砲塔、第2砲塔に飛ぶ。 そして南部が詳細な指示を出す。 「方位-5度、上下角+3度」 この指示をもとに主砲が旋回し、砲身が持ち上がる。 さらに敵艦隊が10宇宙キロにまで近づくと、細かい微修正が行われる。だがこの光景を見ていた艦長は心のうちで 呟く。 (大和の本来の運用方法がベースになっているというべきか……普通はマニュアルよりも機械にやらせたほうが 間違いが無いんだが……いや職人芸は未だにコンピュータを凌駕することもあると考えたほうが良いのだろう) そんなことを考えている内に、照準のセットが終る。 「発射!」 古代がそう言った直後、第1砲塔、第2砲塔が斉射した。46センチショックカノン砲から放たれたエネルギーは 寸分違わずガトランティス帝国軍の戦艦に命中し、目標を轟沈させた。 「一撃か……(やはりダンボール装甲だな。いやこちらの攻撃力が高すぎるだけか?)」 「続いて発射用意」 艦長の内心など露知らず、古代は攻撃を続ける。 ガトランティス艦隊も回転速射砲で応戦するが、こちらには当ることはなかった。逆にヤマトの反撃を呼び 次々に撃破されていく。 ガトランティス軍は駆逐艦で接近戦を仕掛けようとするが、すでに3隻の戦艦が撃沈されており、勝ち目がない のは明らかだった。 一方のボラー連邦軍は未だにガトランティス軍を射程に捉えておらず、ヤマトの長距離砲(衝撃砲)の攻撃に 唖然となるだけだった。 「凄まじい……」 ラム艦長はこの長距離にも関わらず、敵を余裕で撃破するヤマトの姿を見て衝撃を受けた。 これほどの高火力を持ち、高い防御力と多数の艦載機を搭載する戦艦はボラーでもあまり見たことがないのだ。 「彼らのような国と早めに友誼を結べば、バースもあのようなことにならなくて済んだんだろうか……」 そんなラム艦長の呟きを他所に、ガトランティス艦隊は足早に撤退していく。 さすがのナスカもこれ以上の被害は耐えられなかった。 「ヤマトは確かに恐るべき敵だ」 瞬く間に大戦艦3隻を沈められたナスカは、改めてヤマト、そして地球防衛軍を難敵と見做した。 「だが、あのボラー連邦軍は大したことはない。我が軍は全力で地球攻略を行うべきだろう」 ナスカの意見はこの場のガトランティス軍人の共通認識であった。 「これ以上の長居は無用だ。引き上げる!」 しかし、地球防衛軍は敵を見逃してやるほど慈悲深くなかった。 「敵機接近!!」 「何?!」 救援のために派遣された地球艦隊から発進したコスモタイガー�が彼らを発見したのだ。 「あれが下手人か!」 地球艦隊司令官はコスモタイガー�から届けられた映像を見て立ち上がった。 「攻撃隊発進! 金剛と榛名は全速で接近し砲撃戦に持ち込む!!」 このときいち早く到着したのは主力戦艦『金剛』『榛名』と戦闘空母『サラトガ』『レキシントン』、巡洋艦2隻、駆逐艦8隻から なる艦隊だ。ヤマトとの戦闘で消耗していたナスカ艦隊からすれば死神に等しい陣容だった。 「だ、脱出だ! 急げ!!」 慌てて脱出しようとするナスカだったが、早期警戒機仕様のコスモタイガー�までがナスカ艦隊周辺をうろつくようになると どうやっても逃れることができなくなった。 さらに敵艦隊発見の報告はヤマトにも齎される。 「反撃の時だ!」 加藤の言葉にヤマトのコスモタイガー隊も士気を上げる。 「いくぞ!!」 こうしてナスカ艦隊は哀れにも(自業自得とも言えるが)防衛軍艦隊とヤマトから発進した攻撃隊によって袋叩きにあうことになる。 戦艦は1隻残らず沈没。ナスカが乗る高速空母エウレカは沈没こそ免れたものの、ミサイル攻撃で速度が半減。護衛の駆逐艦も満身創痍 という状況になる。 「くっ……た、大帝に何と言ってお詫びをすれば良いのだ」 だが彼が言い訳を考える必要はなかった。このあと全速で急行してきた金剛と榛名のショックカノン砲によって彼の乗るエウレカは 集中砲撃を受け轟沈したかだ。 かくして太陽系外縁部で行われた会戦は地球防衛軍の勝利で終ることになった。 だがそれは同時に、新たな敵が現れたことを克明に示していた。地球連邦に残っていた楽観論は完全に一掃され、地球は新たな脅威に 備えて軍拡を進めることになる。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第14話 満身創痍とも言うべきボラー連邦艦隊は、地球防衛艦隊の護衛の下、太陽系に到着した。 当初は強硬な姿勢を貫こうと考えていたボラー連邦特使であったがガトランティス帝国軍によって一方的に味方艦隊が叩かれた上に ヤマトの圧倒的戦闘力を見せ付けられたことから、強硬な姿勢など取れるわけが無かった。 天王星軌道で開かれた会談の席(会場は地球側が用意した豪華客船)でボラー連邦の特使は、防衛艦隊の健闘を褒め称えた。 「地球は素晴らしい戦艦や軍人をお持ちのようだ。羨ましい限りです」 「いえいえ奇襲にもかかわらず、ボラー軍も健闘したと聞きます」 地球側の特使はそう言ってボラー連邦の面子をつぶさないように努力した。 尤も新興国家の小国から配慮されても、ボラー連邦が失った面子が戻るわけがなかった。実際、べムラーゼは怒り狂っていた。 「何だ、この醜態は!」 ボラー軍高官は揃って震え上がった。目の前の怒れる独裁者の機嫌をさらに損なえば、首が物理的に飛ぶのだ。 「これは奇襲であったのが原因かと」 「奇襲されること事態が無能の証拠だ、馬鹿者が!」 言い訳を切って捨てるべムラーゼ。 「軍は気を緩めすぎているのではないのかね?」 「そ、そのようなことは……」 「ふん。だがこの失態は大きいぞ。ボラー連邦軍が大したことがないと思われれば反体制派が勢いづく。 まして地球の戦艦がボラー連邦の1個艦隊に匹敵する実力があるなど知られたら、地球と連携しようとするかも知れん」 「で、ですが本国艦隊を派遣すれば地球など一撃で下して見せます」 「当たり前だ。だが、問題は我がボラーの体面を傷つけた愚か者だ。連中の正体は?!」 「ふ、不明です。地球側は捕虜を取ったようですが」 「何としても情報を引き出せ!」 軍の高官は転げるように部屋を後にした。それを冷たい視線で見送った後、べムラーゼは小声で呟く。 「……ガミラスに勝ったのは伊達ではないということか。地球の評価を改める必要があるな」 こうしてボラー連邦は、新興国家であるはずの地球連邦をある程度認めるようになる。 地球防衛軍は正体不明の敵艦隊を撃滅したことに鼻高々だった。 味方の損失艦は皆無。一方で空母3隻、戦艦6隻を含め21隻を撃沈していた。3隻の駆逐艦を逃したが完全勝利だった。 参謀長もこの結果に安堵した。 「漂流していた敵機のパイロットを尋問した結果、敵はガトランティス帝国軍ナスカ艦隊であることが分った」 この参謀長の報告に、転生者たちは遂に来たかと頷いた。 ちなみに密談の場所は関係者が忙しくなったので、集まりやすいメガロポリスにあるレストランの一室になった。勿論、貸切だ。 「だがこれでナスカ艦隊は壊滅だ。潜空艦こそ撃破できなかったが、取りあえずは先手を取ったのでは?」 「そうだ。これで太陽系内の安全は当面は確保できた。資源とエネルギー供給も安定する」 「あとは艦隊増強です。無人艦隊整備も前倒しすべきかも知れません」 これらの意見を聞いてから、参謀長は堪える。 「まずは奴らの出鼻はくじけた。だが安心は出来ん。何しろ相手にはまだ前衛艦隊が居るし、デスラー率いるガミラス残党もいる。 あと無人艦隊はまだ無理だ。色々と試行錯誤する必要がある」 「では従来のとおりに?」 「そうだ。アンドロメダ級3番艦、4番艦、5番艦の建造を急ぐ。6番艦以降は間に合わんが、建造の準備は進めておく」 「『しゅんらん』建造のため、ですか?」 「そうだ。デザリウム戦役になった場合、改アンドロメダ級は必要だ」 参謀長は次の戦役も見据えていた。 「もうそろそろ、テレサの通信が来るだろう。土方総司令や藤堂長官と連携して防衛会議を動かす。皆も協力を頼むぞ」 「そういえばヤマトの艦長はどうするつもりです? 本人はかなり疲れていましたが」 「彼は今回の功績から、艦隊司令官に転任してもらうことにした。ガトランティス戦役のヤマトは……古代艦長代理に任せる」 「主人公補正に期待ですか」 「あんな無茶な運用ができるのは彼しか居ない。それに……何れはムサシと組ませることを考えている。 これで悪い意味での暴走は抑えられるだろう」 「ムサシと?」 「ああ。ヤマトとムサシを組ませて、独立部隊『α任務部隊』を作ろうと思う」 「……スパ○ボですか」 そしてこの密談の後日、予定通りテレサの通信を傍受することになる。 転生者たちは再び動き出した。 捕虜から得た『ガトランティス帝国がアンドロメダ星雲を支配する帝国であること、その艦隊が銀河系にも進出してきている』 との情報は防衛会議にも衝撃を与えていたので軍備増強に関わる話し合いで反対意見は出なかった。 「ボラー連邦、ガトランティス帝国。どちらも強大な国家です。これに対抗するには今の防衛軍では戦力不足です」 土方の意見を否定できる人間は居なかった。 ボラー連邦軍は確かに無様であったものの、ただ1戦のみでボラー軍恐れるに足らずと判断するのは危険であった。 またガトランティス帝国軍の艦載機は、地球側の機体よりも遥かに多くのミサイルを搭載できるとの情報も危機感に拍車を掛けた。 「ガトランティス帝国軍の戦艦や空母は、地球のそれより遥かに大型。また速射砲の発射速度も速く火力も侮れん」 土方の意見に参謀長はすかさず頷く。 「また大型空母があるということは、恐らく我がほうよりも遥かに多くの艦載機を運用できることを意味します。 航空戦に敗北すれば波動砲を撃つ機会さえない。ですが、幸いにもボラー連邦は多数の空母を持っています。 彼らの力を得られれば助けになるでしょう」 しかし、防衛会議出席者のうち数名が渋い顔をする。 「だが恐怖政治を敷く国だ。下手に招き入れたら大変なことになるのでは?」 「判っています。ですが毒は毒をもって制すという言葉もあります。幸い、先方はガトランティス帝国への報復を望んでいます」 異星人を異星人に嗾けることを主張する参謀長に、何人かが顔を顰めるが積極的な反対意見はなかった。 相手の政治体制がどうであれ、国益に適うのであれば利用するために手を結ぶ……それは当然のことだった。 「それと謎の通信を傍受しました。ガトランティス帝国に関する情報かも知れません。ヤマトを調査のために派遣しようと思います」 「しかしヤマトを派遣して防衛体制は大丈夫かね?」 「ムサシが就役するので大丈夫です。それに、何か情報を得られればボラーとの取引に使えるかも知れません」 かくして防衛会議は大幅な軍備増強を急ピッチで進めること、そしてヤマトを調査のために派遣することを決定した。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第15話 ヤマトがテレザートに向かって発進するころ、いよいよ防衛軍というか参謀長期待の星である機動戦艦『ムサシ』が就役した。 収束型波動砲1門、46センチショックカノン6門という火力を持ちながら、60機もの艦載機とヤマトを超える航空機運用能力を 持ち、さらにヤマトの打たれ強さを受け継いだこの戦艦なら、来るべきガトランティス戦役で活躍できると転生者たちは考えた。 「まぁ昔なら航空戦艦なんて中途半端な品物でしかないんだが」 「気にしたら負けだよ。そういう世界と思ってくれ」 「……参謀長、もう少しオブラートに包んで言ってくれ」 まぁ何はともあれ、ムサシは艦長古代守の下で猛訓練に励む。 ヤマト並のマニュアル操作ができるということは、逆にそれだけの高い技能を要求される。 一部の人間からは「ただでさえ人手が足らないときに、やたらと高スキルの乗り手を要求する艦なんて作るなよ」と言われるほどだ。 だが勿論、転生者たちは気にしない。 「(原作の過密スケジュールに対応するには)この程度の無茶ができなかったら何も出来ん」 参謀長はそう嘯き、ひたすらに幕僚達と訓練計画について協議した。 いくらハードが優れていても、ソフトが脆弱だったら意味が無いのだ。 「土方総司令には頑張ってもらわないと」 勿論、この参謀長の姿勢は土方や宇宙戦士訓練学校の山南には好感触だった。 ヤマトの勝利を機械力の勝利と謳う馬鹿政治家や、拡散波動砲に依存する防衛軍の戦術を懸念していた男達にとっては、このような 男が後方に居るのは心強いことだったのだ。 「あの男は前線の人間のことをよく判っている」 見舞いに訪れた土方の言葉を聞いて、病室のベットに横たわっていた沖田は頷く。 「でしょうな。彼ほど頼りになる男はいない。それに前線に出るのも厭わない勇気がある」 「彼には長官のサポートをしてもらわないと。防衛会議のお偉方と遣り合うには彼のような存在が必要だ」 「防衛軍は連邦政府が統制する。だが政府が正しい統制をできなければ意味がない」 本土決戦に傾いていた頃を沖田は思い出す。 ガミラスとの本土決戦を主張する人間達に引きずられ地球各地で本土決戦が叫ばれている頃、参謀長は将来のことを憂い、ヤマトの 建造を根回しした。またイスカンダルにヤマトを送り出す手筈を整えた。加えて地球復興や防衛軍再建でも大きな功績を残している。 また今回は新たな脅威、ガトランティス帝国に対抗するためにボラー連邦という一大星間国家と手を結ぶ切っ掛けを作った。 常識的に考えると途方もない政治手腕と先見性だった。 「我々もある程度、政治家と付き合うべきなのでしょう。ですが私には到底そんな真似は出来ない。私は船に乗るのが仕事です」 「私もです。鬼教官などと言われているが、政治家との付き合いとなれば参謀長の足元にも及ばない」 二人の男は自分が戦場で戦うことしか出来ない職業軍人でしかないことを理解していた。 故に参謀長のような男は非常に重要だった。いくら彼らが艦隊を整えても、政府や司令部が無能では悪戯に死者を増やすだけだ。 「だが彼にも敵はいる」 「でしょう。藤堂長官やこれまでの功績によって押さえられているが」 「それゆえに、我々のような前線の人間が彼を支えることも必要だ。だが私はまだ動けない」 「勿論、我々が支える。古代艦長も同意見だ」 勿論、これは土方だけの意見ではなかった。宇宙艦隊の主流派、今の実戦部隊を支えているのはガミラス戦役の末期を生き抜いた 男達だ。その彼らは誰もが参謀長の功績を理解していたのだ。 「……頼みます」 沖田はそう言って頭を下げる。 かくして、参謀長の発言力はさらに増すことになる。 引き換えに彼の希望である輝かしい出番が回ってくる可能性はさらに低くなったが…… 前:嗚呼、我等地球防衛軍(第6話〜第10話) 次:嗚呼、我等地球防衛軍(第16話〜第20話)
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嗚呼。それにしても酒が欲しい…… ◆AZWNjKqIBQ 振るう暴力を裁きの雷と言い放ち、自身を神と名乗る傲岸不遜な男――ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ。 狂王の実験場に落とされて間もなく一つの命を奪い、月の出る夜空に哄笑を響き渡らせる。 そのけたたましい笑い声にか、それとも彼の足下に転がる死体から広がる異臭のせいか、 そこに一人の男が近づいて来ていた。 簡素な着物に赤いスカーフを纏った長身の東洋人。 片方の手にバックを提げ、もう片方の手には水筒を吊ってゆっくりと道を歩いてくる。 様は静かであったが、その細い瞳に映るは剣呑な揺らめき。 その男の名は戴宗。国際警察機構、最強の九大天王が一人――神行太保・戴宗。 自分に酔っていたムスカも、影の中から月明かりの元へと踏み出されればその男に気付く。 「……なんだ東洋人か。私の世界には必要ないな。ここから帰り次第国ごと滅ぼしてやろう」 無礼で挑発的な発言。だが、戴宗はそんな相手の不遜な態度を無視して静かに問うた。 「こいつをやったのはお前さんかい?」 戴宗が指す「こいつ」とは、勿論彼の眼前に横たわる黒焦げた遺体のこと。 細い目が見つめる先には、まだ若かったであろうと思われる小柄な亡骸が薄煙を上げている。 「神に逆らった愚か者の末路だよ」 にへらと笑いながら答えるムスカの眼には、狂気と自信が満ち溢れ爛と輝いている。 一方、そんな彼へと向けられる戴宗の眼は至って静。 ――何時何時此の身が如何なろうと、何処で死のうと誰も悲しまない。だから、如何な任務にも耐えられる。 戴宗が仲間に繰り返し聞かせた言葉であり、また彼自身にとっての矜持でもあり覚悟。 彼は今までこの言葉の通りに生きて来たし、これからもそうであることは変わりはない。 命はすでに国際警察機構に預けた身。例え、死を賭せと命じられても迷いなく殉じる覚悟が彼にはある。 が、しかし! 眼前に横たわる少年はそうではなかったはずだ。いや、ここにいる誰もが! 訳も解らぬままに見知らぬ場所に落とし込み、素性も知らぬ同士を殺し合わせるあの男――螺旋王。 奴も勿論許す事ない大悪。いずれは落とし前ををつけさせなければならぬ! して、目の前の男。神と嘯き、自分勝手な都合で年少の者をいとも容易く殺めたこいつ。 混乱する機に乗じ、跳梁跋扈して己が勝手な願いを達成せんと無辜の者を襲うこいつ。 こんな奴を何と言う? 簡単明瞭! たった一言――外道と言う。 ◆ ◆ ◆ 戴宗は片手に提げたバックを落とす。 続いてもう片手に持った虎柄の水筒から一口取って喉を鳴らすと、それも地面に落とす。 そして、空いた両手を握り締め、ゴキリを音を鳴らすと一歩前へと足を踏み出した。 「このラピュタ神に素手で挑もうというのかね?」 対するムスカは、眼前に迫る相手の心の内に秘めたものが読めぬのか余裕綽々。 相対する者の返事を待たずして手を突き出し、稲妻を走らせた。 ドンッ、と響く音とともに身動き一つ取らなかった戴宗の身体に薄煙が上がる――が、それだけだ。 神を名乗る男はこの時初めて目を見開き、意も介せぬように歩みを止めぬ相手にたじろいだ。 戴宗が一歩前に出れば、一歩下がる。もう一歩前に出れば、もう一歩下がる。 神の雷が通じない。何故か――と、ムスカは困惑する。だが真実はそうではない。 雷だからこそ通じないのだ。 国際警察九大天王。その末席に身を置く神行太保・戴宗。またの名を――『人間発電機』 ピタリと足を止め次いで突き出された戴宗の拳が、ブンという羽虫の様な音と共に薄い光を纏う。 その原理はムスカが背負うエレキテル――電磁誘導装置、それと同じ。 異なる点を挙げるならば、 エレキテルの方はあくまで誘導装置であって蓄電はできても、それ自体では発電することができぬと言うこと。 そして逆に、戴宗の有する特異な能力はその名の通り自らの身体で以って電気を起こす事ができる。 その発電量。例えば目の前の総合病院。それが使用に必要とする量を賄うことも容易い。 戴宗の全身を駆け巡る電流は身体の中で螺旋を描き、強力な電磁力を発生させる。 そして、エレキテル同様に大気を操り戴宗は拳の先に電磁場によって作り上げた気の拳を纏う。 これが人間発電機と呼ばれる戴宗の力。名づけて――噴射拳。 彼は内に巡る膨大な電力を雷として発するのではなく、己が身体を武器とするために操る。 九大天王の中でも単純戦闘に特化した能力で、末席と言えど、こと単一同士の格闘戦となれば一、二位を争う。 仇敵であるBF団の十傑集においても、彼と格闘戦を演じられるのは衝撃のアルベルトのみと言われるぐらいだ。 その有形無形の圧力に、戴宗と対峙するムスカの頬に冷や汗が垂れる。 しかし、彼もまた伊達に神を名乗る男ではない。 一度効かぬなら二度目を。二度目も効かぬなら三度目をと、再び稲妻を空中に奔らせた――が! 彼の目の前で、戴宗が姿を消した。 放たれた稲妻は虚しく宙に霧散し残光だけを残す。 サングラスをかけているので、閃光に視力を奪われたなどということはない。しかし、見失った。 戴宗は何処に? 霞と消えたか。いや、彼はムスカの背後に立っていた――。 戴宗は常に人間発電機と呼ばれはしない。彼を呼ぶものは皆こう呼ぶ――神行太保、と。 神行法。それが今の一瞬の種明かし。 強力な電磁の力を脚へと転じればその脚力は常軌を逸し、駆ける速さは音の速さにも達する。 先に拳へと発した様に、気を足元に置けばその歩み神をも目を見張る。故に神行法。 この能力こそ、文字通り彼の右に立つ者は居ない。故に彼は呼ばれる――神行太保・戴宗、と。 彼がそれに気付くよりも疾く戴宗は拳を突き出し、ムスカに衝撃の一撃を見舞った。 神の鉄槌ならぬ、義憤の鉄拳。喰らったムスカはアスファルトの路上を何度も転がる。 次いで倒れた者を鞭打つように降り注ぐのは、爆散したエレキテルの残骸だ。 車に跳ねられた様な衝撃に、指一本動かせなかったムスカではあったが この期に及んでなお彼の傲慢な姿勢は変わらず、あくまで不敵。その態度は崩さなかった。 「……き、貴様。神に向かって拳を振るうとはこの身の程しらず、め。報いを、受けるぞ」 対する戴宗は一つ嘆息すると、その手をムスカの額へと伸ばす。 「お前さんには、ちぃと眠ってて貰うぜ」 瞬間、電流が戴宗よりムスカへと流れ出し、その衝撃が不敵なムスカの意識を奪った。 「……やーれやれ、だ」 そう一人ごちると、戴宗は気絶したムスカと小さな遺体を抱え上げ目の前の病院へと入り込んだ。 ◆ ◆ ◆ 冷たいコンクリートの床の上。狭くて暗い物置の中にムスカの身体を横たえると 戴宗は彼が持っていた荷物の検分を始めた。 すでに死んでいた少年――エドの遺体はここではなく霊安室へと預けてきている。 そして、外道であるムスカの命を奪わないのは、何も情けからという訳ではない。 いるかどうかは知れぬが、あの少年の身内や仲間がここにいるやも知れない。 ならば、仇は譲るべきだと……そう考えた結果であった。そして、いなければその時こそ自分が討てばよい、とも。 「なんだこりゃあ……」 まず鞄に手を差し込んで最初に出てきたのが、大量のチョコレートだった。 確かにチョコレートはエネルギー豊富で、この様な状況ならばありがたいものかも知れなかった。 だが、大酒呑みの戴宗はどちらかと言えば辛党で、甘いものは好みではない。 「酒でも出てくりゃあ、ありがたいんだがなぁ……」 とは言いながらも、一つ包みを剥がしては口に放り込む。 世界最強候補の一人である戴宗ではあったが、ここに来てより何やら調子が悪い。 腹が減っているわけでもないというのなら、やはり酒抜きのせいかと戴宗は考える。 よもや何らかの術のせいかも知れぬが、そうなると戴宗には手が出ない。戴宗は根っからの武闘派だ。 「……言ってみるもんだな」 と、戴宗がバックから抜き出した手には一本の洋酒の瓶が握られていた。しかし――、 「空っぽかよぉ……」 残念ながら、もうすでに封は開けられており、中身も失われた後だった。 戴宗は他にもないかとバックを漁るがもう出てこず、空になった瓶を逆さに振るも一滴も酒は垂れてこない。 漏れてくるのは僅かに臭う山葡萄の香りのみ……。 「……未練だぜ」 考えれば、あの男はこの酒を飲んでいたのか。しかし、あのような妄言が飛び出すとはどんな悪酔いか。 どうせ碌なものではない――そう考えを切り替え、戴宗は酒瓶への未練を払う。 一通り検め終わると戴宗は曲げていた膝を伸ばし立ち上がる。 その手にはチャラチャラと音を立てる細長い投げナイフが幾本も握られていおり、 「こいつは没収……」という訳で戴宗のバックの方へと収められた。 戴宗は物置部屋を出る際に、床に投げ出されたムスカの方を見やる。 ピクリともしない。死には至らないが相当の電流を流し込まれている。 戴宗の見立てでは、気を取り戻すのに半日。それから身体を動かせるまでにもう半日。そういう按配だ。 それでも、一応と扉に安物の鍵を掛けて戴宗はその場を離れた。 「衝撃の旦那に、十傑集がもう一人。それなのに、こちらときたら俺一人かぁ……」 その上、まだまだ未知の存在が多数いるという……。最初に出会った男が男だっただけに気は滅入る。 せめて一清でもいれば釣合いが取れるのに、と考えても詮無き事。 「……まずは、酒だな」 暗澹たる思いを胸に、戴宗は病院を出て月夜の下を一人歩いていった。 【D-6/総合病院近く/1日目-深夜】 【神行太保・戴宗@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】 [状態]:若干の疲労 [装備]: [道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-[握り飯、3日分][虎柄の水筒(烏龍茶)]) アサシンナイフ@さよなら絶望先生×11本 戴宗に支給された何か(1~3つ)※戴宗は確認しています [思考]: 基本:不義は見逃さず。悪は成敗する 1.どこかで酒を調達したい 2.死んでいた少年の身内や仲間を探す 3.半日ごとぐらいにムスカの様子を見に病院へと戻る 最終:螺旋王ロージェノムを打倒し、元の世界へと帰還する ※登場時期は、アニメの1話開始直前です ◆ ◆ ◆ パタン……と、薄い扉が閉まる音がしてからしばらくのこと。 戴宗に痛めつけられ、ピクリとも動けなかったはずの男が弱々しいながらも身体を起こした。 「よ、よくも……あいつめ。私は神なんだ、ぞ」 サングラスの位置を直すと、男――ムスカは彼を痛めつけた東洋人が去った扉を睨み付ける。 「……しかし、幸運の女神はまだ私を見放してはいないようだ」 何故、ムスカが戴宗の鉄拳や電撃を受けたにも関わらず、こうも早く回復できたのか? 鉄拳の一撃は元よりそれ程の威力は込められてなかった。戴宗の目的はあくまで武器を奪う事だったからだ。 しかし、次の電撃はそうではない。殺しはしないまでもそう簡単には回復できないだけの量を戴宗は込めた。 ムスカは自信の両の手の平を見つめる。エレキテルの力ではあるが、何度かここから雷を放ったのだ。 その雷――何故、ダメージになるのか? 答えは簡単。電気抵抗がそこに熱を生み出すからだ。 電流が全身を駆け巡ることによって発生する熱。それによって、一人の少年は命を失った。 そしてその雷を放ったムスカは、エレキテルのもたらす二次作用として電流に対する抵抗が少ない体質へと 変質していたのだった。 それは、エレキテルを装備し全身に電気を纏う者に対する、エレキテル装置そのものの電磁ガード。 その不可視のフェイルセイフが、あの時エレキテルが破壊された直後も身体に少し残っていたのだ。 結果、ムスカの身体を駆け巡った電流は地に拡散し、戴宗の意図したものよりもはるかに少ないものとなった。 何度か手を握り身体が動く事を確認すると、ムスカはズボンの裾に手を伸ばして、 隠し持っていた1本の投げナイフを取り出した。 僅かながらに焦げが浮いてはいるが、使用に当たっては問題ない。 「待っていろよ。神への反逆は、神罰を持って迎えられる事を貴様に思い知らせてやる」 そう言うと、ムスカは自分の鞄を背負いなおし、ナイフを片手に扉へと立ち向かった。 【D-6/総合病院・物置部屋の中/1日目/黎明】 【ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ(ムスカ大佐)@天空の城ラピュタ】 [状態]:激しく疲労、背中に打撲 [装備]:アサシンナイフ@さよなら絶望先生 [道具]:デイバック、支給品一式(食料-[大量のチョコレート][紅茶])、葡萄酒の空き瓶 [思考]: 基本:すべての生きとし生ける者に、ラピュタ神の力を見せつける 1.まずは、この部屋より脱出する 2.東洋人(戴宗)に復讐する 3.パズーらに復讐する 最終:最後まで生き残り、ロージェノムに神の怒りを与える ※エドワード・エルリック(@鋼の錬金術師)の遺体は病院の霊安室に移動されました ※エドワード・エルリック(@鋼の錬金術師)の荷物は病院の前の道路上に放置されています 時系列順で読む Back 私がみんなを知っている Next 失ったもの/失いたくないもの 投下順で読む Back ラッド・ルッソは大いに語り大いにバトルロワイヤルを楽しむ Next 紙は舞い降りた 神行太保・戴宗 080 紙視点――そして紙は舞い落ちた 007 ラピュタの雷 ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ(ムスカ大佐) 066 蘇れ、ラピュタの神よ
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前:嗚呼、我等地球防衛軍(第1話〜第5話) 次:嗚呼、我等地球防衛軍(第11話〜第15話) 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第6話 西暦2201年1月。残された国々はガミラス戦役の反省から国連を強化した地球連邦政府の樹立を決定した。 残された有力国を中心として、地球は幾つかの州に再編されることになる。 人類同士でいがみ合っていては異星人に対抗できないという考えは誰しも持っていたので、極端な反対はなかった。 しかし主導権を手放すかどうかは別だった。 原作以上に力を蓄えてしまった日本はアジア州へ編入されることはなかった。他国は日本の生産力と科学力がアジアと 結びつくことを恐れたのだ。 アメリカは日本と中国と手を組むのを警戒した。ロシアも隣国であり、伝統的に覇権思想の強い中国が日本と 同じ州になるのを嫌がった。中国は日本を取り込むことを目論んだものの、米露欧の反発で頓挫する。 「ここまで異星人にボコボコにされたのに、まだ隣国と争うか?」 防衛軍司令部で報告を聞いた参謀は呆れ顔だった。同席していた艦長服を纏った男は肩をすくめる。 「まぁ史実よりも余裕があるせいでしょう」 「全く……それにしても復興スピードが速いな。さすが、ヤマトの世界のだけはある」 各国は確かに主導権争いに血眼になっているが、参謀達が根回しした防衛艦隊再建は承認していた。ガミラス帝国の 残党が襲撃してくる可能性は否定できなかったのだ。彼らも再び地球を焼かれるのは御免だった。 すでに巡洋艦クラスの軍艦の建造と配備に並行して、太陽系各所で防衛拠点の建設も行われていた。 「まぁあれだけ壊された戦艦がすぐに直り、毎年壊滅する宇宙艦隊がすぐに復活する世界ですので。 23世紀の脅威の科学力といったところでしょうか」 「人的資源の補充は無理だがな。正直、20年は必要だろう」 そう言うと参謀は話題を変える。 「日本政府はアジア州への編入ではなく、極東州の形成という形に持っていくことにしたそうだ」 「極東州ですか?」 「ああ。まず弱体化したロシアから樺太と北方領土を買い取り日本領に編入。そして日本と台湾で極東州を形成する」 日本政府は近隣諸国の合併に熱心な国を横目にして、自国周辺の再編を最小に留めた。 彼らが目指す先は地球ではなく宇宙の彼方だった。勿論、地球復興のために努力はするが州を必要以上に大きく するつもりは皆無だった。むしろ太陽系の再開発、そして外宇宙探索を重視していた。 「連邦の首都はどこに?」 「当面は日本。メガロポリスだろう。だがあまりこちらが独占しすぎると外野が煩い。首都の名誉はいずれ欧米に譲る 必要があるだろう。特にアメリカは、かつての地位にご執心だからな」 旧アメリカ合衆国を中心とした北アメリカ州は虎視眈々と復権の機会を狙っていた。 ロシアとEUが主体となったユーラシア州は復興を優先しつつも、弱体化しているアフリカ州や無人と化した地域へ介入する チャンスを伺っている。アジア州ではインドと中国が綱引きを繰り返していた。 「地球防衛軍は宇宙軍と空間騎兵隊のみになる。恐らく陸海空軍は各州の州軍という形になるだろうな」 「緩やかな連邦制、夜警国家が関の山ですな。アメリカ合衆国程度に団結できれば御の字だ」 「そうだ。当面は日本人にとって負担が大きい世界になりそうだ。何しろ防衛軍は一番被害が少ない日本人が主力を担う必要がある。 産業界、その後押しを受ける政治家とも喧嘩することになる」 「だとすると無人化、省力化は不可避ですな」 「ああ。ラジコン戦艦、いや自動戦艦を採用しないといけないだろう。景気が回復し民間の活力が増せば増すほど、軍人を削れという 声が大きくなるのは目に見えている」 復興が加速し、人手が足りなくなる状態では軍拡など不可能だった。産業界から総スカンを買うし、市民も反対するだろう。 彼らはより良い生活を求めているのだ。 しかし今後、幾度も異星人に襲われることを知っている転生者としては軍拡に手は抜けない。そうすると行き着く先は原作同様の 省力化、自動化、無人化だった。 「原作の防衛軍はそれなりに合理的だった、というわけですな」 「相手が悪すぎたのだろう。何しろ相手はディンギルを除いて全て強大な星間国家だ。勝てたのだけでも奇跡に等しい」 「さすがヤマトといったところでしょうか」 「だろう。だがヤマト1隻のみに期待することは出来ん」 「では?」 「新兵器開発を急ぐと同時に、戦艦整備を中心とした次の防衛艦隊整備計画とは別枠で、新型戦艦と新型戦闘空母建造を 司令部に上申する」 「……『ムサシ』と『シナノ』ですか」 「大和型戦艦三姉妹が揃えばかなりの打撃力になる。それにボラー連邦との接触のためには長い航続距離を持つ船が要る」 「外宇宙探索任務も兼ねると」 「そうだ。不測の事態は避けなければならん。それに……うまくすれば将来、ヤマト3姉妹のうち、どれかに乗れるかも知れん」 「……それが本音では?」 発足した地球連邦政府は戦艦整備を主眼とした新たな防衛艦隊整備計画を採択した。 復興のために必死な各国からすれば、乾いた雑巾を振り絞るかのような負担であったが、大きな文句は言えなかった。 何しろ人類の80%以上がついこの間死んだのだから。 そして何より日本が『ムサシ』と『シナノ』を復活させることを発表したことも、防衛軍再建に関与させた。何しろ今や 地球を救ったヤマトは防衛軍の象徴であると同時に日本の躍進の象徴でもある。 日本が大和型戦艦三姉妹を全て復活させるというのは途方も無いインパクトであった。 「いつまでも日本に地球の守護者を気取らせられん!」 各州、特に北アメリカ州は負けてられんとファイトを燃やす。 かくして参謀も意図せぬところで急速な軍拡が実現することになる。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第7話 転生者たちは来るべきガトランティス帝国との決戦に備えて、地球防衛艦隊整備計画を力強く推進した。 尤も一部の人間は「ダンボール装甲の艦隊で大丈夫か?」と危惧する者もいたが、アナライザーの簡易量産型の ロボットをダメコン要員として大量配備すること、さらに万が一の場合はマニュアル操作によって艦を操作することが できるようにすることで誰もが妥協した。 「凝った艦を作っていたら間に合わん」 参謀が全てだった。何しろガトランティス帝国はすぐに来る。現状の地球で大量生産できる艦でないと意味が無いのだ。 「アンドロメダがやられたのは、中枢が破壊されて操作不能に陥ったからだ。逆にマニュアル操作に切り換える ことが出来れば、タイタン基地には帰還できた可能性はある。この戦役で、2隻のアンドロメダ級が生き残れば 後の戦役も随分と楽になる」 余裕が出来たこともあり、アンドロメダ級戦艦は2隻が同時に建造されることになった。 転生者たちとしては2番艦であるネメシスには収束型波動砲を搭載したかったのだが、波動砲の大火力による 敵艦隊撃滅に拘る人間を説得し切れなかった。 「何はともあれ、原作よりも戦力は強化できる。ムサシには収束型波動砲を積めたからよしとしよう」 しかしこのとき数名が、特に防衛軍の関係者が顔を顰める。これを見た参謀は嘆息する。 「……まだ根に持っているのか? 仕方ないだろうに」 「それは根に持ちますよ。ムサシを航空戦艦にするなんて」 ヤマト級2番艦となるはずのムサシは、連邦内部の取引でキエフ級空母をモデルとした航空戦艦として 建造されることが決定された。設計図を見た転生者は「PS版かよ」と謎の突っ込みを入れたという。 「純粋な宇宙戦艦となると他の州が煩かったんだ。それに次世代の空母の実験という名目があれば予算も得やすかった」 「ではシナノは?」 「ムサシの運用経験を基にして本格的な宇宙空母にすることにしたそうだ。建造は……早くともガトランティス戦役後だ」 「下手したらペーパープランで終りそうですね」 防衛艦隊再建が進められる中、参謀は人事部に艦隊勤務を希望した。 何しろこれから来るのはあのガトランティス帝国。そしてこれを迎え撃つのは最盛期の地球防衛軍。大艦隊決戦になる のは目に見えている。 「今こそ、目立つとき! この目に優しい緑色の軍服から、黒色の渋いコート(艦長服)にクラスチェンジするときだ!」 しかし彼の望みは敢え無く却下される。 「な、何故ですか、長官!?」 長官室で参謀は防衛軍長官である藤堂に詰め寄るが、返答は非情だった。 「防衛軍再建のためには、君のような宇宙戦士が必要だからだ」 「ですが防衛艦隊再建は順調です。私が居ないからと言っても……」 「私は君の軍政家としての能力を買っているのだ。逆風の中、ヤマト計画を根回しして実現。人類復興の第一歩となった 『特急便』、さらに太陽系の治安回復や防衛軍再建に大きな貢献を果たした君を戦場に出すのはリスクが大きすぎる」 一言で言えば「お前はこれからもデスクワークをやれ」であった。 「し、しかし前線は指揮官が……」 「古代君(兄の方)が居る。それに温存していた日本艦隊の指揮官もいる。いずれ沖田君も復帰できる。 君が出て行く必要はない」 「……」 「それに彼らも言っていたぞ。君のような頼りになる人間がいるから、自分達は安心して戦っていられるのだ、とな」 ダメだしだった。参謀は肩を落として長官室を後にする。 この様子を見ていた古代(進)や真田は意外そうな顔をしていた。 「真田さん、あの人が?」 「ああ、ヤマト建造を実現させた名参謀だ。ガミラス戦役のころから切れ者参謀として名を馳せている」 「しかし安全な司令部に務めているのに、あんなに前線に出たがる人がいるなんて」 「彼も立派な宇宙戦士、そういうことなんだろう。沖田艦長や土方教官も彼のことは褒めていたよ。前線の言うことに 真摯に耳を傾けて、自分達をサポートしてくれる人物だと」 事情を知る人間からそれば突っ込みどころが満載だった。 しかし事情を知らない人間からすれば、参謀はまさに後方で働くために生まれたような人間であったのだ。 かくして参謀は、これまでやったことが原因で前線に出る道を閉ざされることになる。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第8話 防衛軍再建の功績で参謀は参謀長にクラスチェンジした。 これによって防衛軍総司令部では確固たる地位を参謀(元)は得た。だがそれは同時に防衛会議などの上位組織と 駆け引きする時間が増えることを意味しており、彼が希望した晴れやかな舞台とは真逆の仕事だった。 「来る日も来る日も、書類と会議ばかりか」 参謀長は相変わらず密談の場として使っている地下都市の防衛軍司令部でため息をついた。 「仕方ありません。軍隊というのはそんなものです」 「いいじゃないか、君は。新しい概念の戦術の研究に余念がない。ガトランティス艦隊が来ても活躍できるだろう」 「命がけですよ。数分で『ヒペリオン艦隊壊滅!』なんて言われる可能性だってあるんですから。尤も防衛艦隊を 壊滅させた戦術で、敵を迎え撃つっていうのは燃えますが」 眼鏡をかけた男はそう不敵に言った。参謀長は一瞬、彼の背後に謎の踊りを踊る老人の姿を幻視したが気にしない ことにした。 「防衛会議では楽観的なお偉方が多くて、こっちは大変だよ。 あの長官は人望は厚いし、決断力もあるが……政治力については心もとないからな~」 「そこをサポートするのが参謀、いえ参謀長の仕事でしょうに」 「ふん。体のいい、厄介ごと処理だ。全く、どいつもこいつも文句ばかり言いやがって。まぁここで不満を言っても 仕方ない」 そう言って彼は気分を切り替える。 (取りあえず目の前のガトランティス戦役を乗り越えることに全力を注ぐことにする。これを乗り切ればまだ 華々しく活躍できる機会はあるはずだ) 彼は諦めが悪かった。 「経済状況は? 防衛艦隊を強化するには、経済の再建が必要不可欠だ」 参謀長の質問に、連邦政府高官となった元日本政府高官が答える。 「各州の再建は急ピッチで進んでいる。また防衛軍再建にも意欲的だ。おかげで次の防衛艦隊整備計画も予算が確保できる 見込みだ。しかし……」 「その代わりに、横槍も煩いと?」 「ああ。まぁ何とか押さえているが……やはり外圧であるガミラスが消えたことは大きいな。ボラー連邦のような国家が あることが判れば、危機感を煽れるし、防衛軍強化ももっとスムーズにいくだろう」 次の週、防衛会議では防衛軍長官の藤堂と参謀長から太陽系外の星域の探索が提案された。 「我々は太陽系外の情報は無知に等しい。もしもガミラス、いやそれ以上の敵対勢力が居たら目も当てられない」 「ガミラス帝国の残存艦がゲリラ攻撃を仕掛けてくるとしたら太陽系外に基地を作る可能性が高いでしょう」 「万が一に備えて、地球外で移民できる惑星を探索させるべきです。出来なくとも新たな資源を発見できれば大きな利益になる」 「備えあれば憂い無しとも言う。危機管理の重要性はガミラス戦役のことからお分かりでしょう?」 参謀長はそう言って出席者を説得した。太陽系の開発こそ最重要と考える人間も少なくなかったが、ガミラス戦役の恐怖を 逆手にとって参謀長は説得した。何しろガミラスは本星こそ壊滅したものの残存戦力は侮れない。 また全く未知の敵対勢力がいる可能性も否定できず、藤堂の強い要望と事前の参謀長の根回しもあって防衛会議は太陽系外の 探索を承認した。この任務にはガミラス戦役の武勲艦であり、長距離航海が可能なヤマトが当てられることになった。 ちなみに艦長には暴走の危険がある古代進ではなく、完結編では地球艦隊司令官を務めていた男が就任することになった。 「栄転おめでとう」 参謀長は軽い嫉妬交じりでそういったが、本人(勿論転生者)は激怒した。 「お前は俺を殺すつもりか?! ヤマトの艦長なら古代兄にでもやらせればいいだろう! PS版じゃ大活躍じゃないか!」 「彼には別の任務がある。それにヤマトはTV版のように改装して出撃させるぞ。旧式化はそこまで気にしなくても」 「違う。ヤマト艦長そのものが死亡フラグじゃないか。歴代ヤマト艦長は、古代弟を除いて殆ど死んでいるんだぞ!」 劇場版を含めるとヤマトの艦長というのは死亡率が高い。第一艦橋が被弾しない代わりの人柱ではないかと思えるくらいだ。 死ななくても大怪我する可能性が非常に高いポストと言えるだろう。まぁ第三艦橋勤務に比べれば遥かにマシと言えるが……。 「くそ、俺にも主人公補正があれば!」 「そんなものは名無しキャラにあるわけないだろう。ああ、それと間違えるなよ。爆雷波動砲はまだ無いからな」 「言っておくが、あれは『拡大』波動砲だ。聞きづらいが……」 「そうか……しかし普通の波動砲と何が違ったんだ?」 「知らん。あっという間に全滅したからな、地球艦隊。完結編の戦艦は結構好きだったんだが」 何はともあれヤマトは再び地球から飛び立つことになる。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第9話 原作同様に改装され戦闘力を大幅に強化されたヤマトは、未知の世界である銀河系中央を目指して飛び立った。 と言っても艦長は最初から目的地や状況を知っていたが……。 「バース星か」 ヤマトの艦長室でヤマト艦長となった男は原作を振り返る。 「バース星はボラー連邦の保護国となっていたな。まぁラム艦長のように、バース星人も軍人として起用されていたから 奴隷化まではされていないようだが……」 ガミラス帝国やガトランティス帝国は人類の奴隷化か絶滅を突きつけたし、ディンギル帝国は人類殲滅、デザリウム帝国は人類の 肉体を手に入れようとしていた。この四ヶ国については交渉の余地がない。 「まぁ新興国家だから舐められるのは間違いないだろうが……ガミラスを打ち破ったという実績を強調すれば、何とか なるやも知れん。しかし相手はあの気難しい独裁者だ。少しでも機嫌を損なえば大変なことになる。全く面倒な仕事だ。 まぁ古代弟は、兄と沖田艦長が生きているおかげで、少しは気性が穏やかだ。私が気をつけていればあの首相と口論する ようなことはないだろう」 そういった後、彼は艦長室を後にした。 何しろヤマトは改装を受けたものの、その後の訓練は十分とは言えないのだ。 不測の事態に備えて、練度を高める努力は必要だった。 「私が人柱にされないためにも頑張らなければ」 ヤマト艦長という死亡フラグを押し付けられた男は割を必死だった。 一方、地球防衛軍はアンドロメダ、ネメシスを完成させた。2隻はただちに訓練に取り掛かる。またアンドロメダ級の 3番艦以降の建造も進められている。 また航空戦艦(転生者の間では機動戦艦と呼称)であるムサシの建造も進められていた。ヤマトに比べて太くなった 艦体を利用して60機もの艦載機を搭載できる。また飛行甲板が広いこともありヤマトよりも余裕を持った運用が可能 となっている。 武装もほぼヤマトに準じるものであり46センチショックカノン砲こそ前部2基6門に減じたが、パルスレーザーは 針鼠のように搭載されている。さらにアンドロメダ級と同様にダメコン要員として簡易量産型アナライザーが多数搭載 されており、ヤマトに迫る防御力を持っている。ちなみにヤマトでは何故か第一艦橋の上にあった艦長室は撤去され 変わりにレーダーやセンサーなどの索敵用の機材が詰め込まれた。 総合的な能力ではヤマトを超えるのではないかとさえ、関係者の間では囁かれていた。 「あとは長距離航海任務に適した巡洋艦が建造できれば完璧なのだが」 ドックでムサシを見上げて参謀長はため息をつく。 地球防衛軍はこの時点では沿岸海軍に過ぎない。 またイスカンダルまでの航海で波動砲が活躍したこと、また拡散波動砲が実用化できたことで防衛軍の戦術は波動砲 に依存している。おかげでやたらと波動砲を艦に搭載したがる風潮があった。 「空間磁力メッキと同様の技術を敵が持っていた場合に備えて、航空戦、砲雷撃戦の研究、それに新たな対艦、対空兵器の 開発が急務だな。他の新兵器も開発を急がなければ」 波動カードリッジ弾、コスモ三式弾の開発は急ピッチで進められていた。 ガトランティス帝国戦までには何とか間に合う見込みだ。だがそれでもガトランティス艦隊とは絶望的な差がある。 「前衛艦隊に勝てても、次は都市帝国、それに巨大戦艦が相手。些か荷が重い。 やはり……可能ならばボラー連邦を、ガトランティス戦役に引きずり込むのが望ましい」 戦術で勝つための算段をしつつも、参謀長は戦略で状況の打開を目論む。 「だが……太陽系に来る、無礼な客人を歓待する用意もしないとな。我々のホームに入り込んでただで帰れると思うなよ」 太陽系に侵入して防衛軍の撹乱を行うであろうナスカ艦隊の早期の捕捉と撃滅は必須だった。 足元の安全なくして決戦はない。 「それにしても金星基地を叩かれただけで、エネルギーが全ストップはないな」 原作で金星基地を叩かれただけで、あっさり機能が停止した地球の体制のもろさを思い出して参謀長は頭痛を覚えた。 勿論、この世界では万が一に備えてバックアップを取っているし、地下都市に臨時のエネルギー供給施設もセットして いる。仮に地上の施設が爆撃されても何とかなる。 「まぁ金星基地襲撃を防げれば言うまでも無い。コスモタイガー�の早期警戒機仕様を配備しておこう」 コスモタイガー�の早期警戒機の生産は急ピッチで進んでいる。 有利に戦うには、まずは先に相手を見つけなければならない。これはこれまでの戦訓から明らかであり、反対はなかった。 また地球側に余裕があることもこのような装備の充実を可能にした。 参謀長としては11番惑星にも艦隊をおきたかったのだが、さすがに人員と予算の面から無理だった。しかしそれでも 定期的にパトロール艦が派遣され周辺を警戒するようにし、非常時に備えて偵察衛星、通信衛星も多数設置している。 「参謀長は心配性ですな」 防衛軍司令部ではそう囁かれるほどなのだから、どれほど力を入れているか分る。 「当面やることだけでも太陽系防衛体制の強化、テレサの通信の傍受の準備、ボラー連邦との交渉の用意、他にも色々と全く 地味な仕事ばかり増える」 彼の地味な仕事(重要度は高い)に終わりが来るのかは、誰にも分らなかった。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第10話 紆余曲折の末、ヤマトは取りあえずバース星にたどり着いた。 途中でトラブルで遭難していたボラー連邦船籍の輸送船のクルーを保護していたこと、そしてボラー連邦の警備隊の 攻撃に反撃せずに通信を呼びかけ続けたことで、ある程度信用され、ヤマトは総督府から寄港の許可を得た。 ヤマトクルーは新たな宇宙人(それも人型)との遭遇や人が住める惑星の発見から、少しテンションを上げていた ものの彼らの上司である艦長は気が気でなかった。 「さて、いよいよか」 ヤマト艦長は己を奮い立たせる。ファーストコンタクトは何とかなったが、相手はソ連みたいな国なのだ。 油断などできるはずがない。 「蛇が出るか、鬼が出るか」 艦長がそう覚悟した後、輸送船のクルーを助けてくれたことへの感謝の印として総督府での会食へ招待された。 最初、艦長は古代のみを連れていくつもりだったのだが、古代の提案で第一艦橋のメンバーや佐渡先生まで連れて 行く破目になった。所詮、名無しキャラでは主人公の押しには勝てなかった。 「これが補正とでも言うのか……それとも歴史の修正力とでも言うのか?」 嘆息しつつも、艦長は彼らを連れて総督府に赴いた。勿論、不用意な発言は慎むように厳命していたが。 バース星総督府の会食でヤマトクルーはボラー連邦についての説明やバース星が保護国になった経緯について 説明を受ける。 「ようするに侵略したってことじゃ?」 「胡散臭くないか?」 非常に小さな声でであったもののヤマトクルーの発言に顔を引きつらせそうになる艦長。彼らの発言が聞こえて いたらと思うと気が気でない。 (こ、この連中は……そういえば原作でも命令無視はよくあったよな……はぁ~原作で防衛軍首脳がヤマトクルーを 厄介者扱いした理由が判るよ) だが何とか場の空気を悪くすること無く、会食は終った。 「次に想定されるのは、囚人による襲撃だな」 原作の設定どおり強制収容所がある場合は、囚人達による襲撃が予想される。警戒は必要だった。 原作との乖離によって、相手が持っているのが衝撃銃だけとは断言できない。ここで下手にヤマトクルーを死傷 させるとガトランティス戦役に支障が出る可能性がある。 「戦闘班、及び空間騎兵隊は警戒体制をとれ」 ヤマトには万が一に備えて空間騎兵隊も同乗していた。勿論、斉藤はいないが、陸戦になっても十分に戦える ようになっている。 「ここで囚人達の暴挙を口実にすれば、交渉の糸口になるか?」 そして予想通りやってきた囚人達は、古代率いる戦闘班と空間騎兵隊の攻撃によって成す術も無く撃滅される ことになる。何しろ相手は衝撃銃、こちらはコスモガンやレーザー自動突撃銃なのだ。勝負にならない。さらに 陸戦のプロである空間騎兵隊さえ居る。大人と子供の喧嘩だ。 「彼らは一体、何だったんでしょうか?」 古代はそう疑問を呈する。勿論、艦長は知っていたが教えるわけにはいかない。 「装備や練度からして正規軍ではない。だとすれば犯罪者か、テロリストだろう。どちらにせよ、軍服を着用せずに 戦闘行為をした以上、テロリストとして処分するしかない。生き残った者は尋問する。準備をしておけ」 「は!」 生き残った囚人の尋問の最中に、ボラー連邦軍バース星警備隊隊長であるレバノスが訪れて謝罪した。またその後に 刑務所(本当は強制収容所)からの脱走者の引渡しを要請した。 勿論、艦長は断ることは無かったが、囚人達による被害について話し合いをしたいと伝える。レバノスは少し逡巡した後 頷いて艦を後にした。 「何とか交渉の取っ掛かりになれば良いが。ああ、それにしても頭と胃が痛い……全く、何でこんな面倒なことを」 この不幸な艦長は不平不満を漏らしつつ、自室で薬を飲んで暫く休んだ。 だがヤマトからの報告を受けた地球連邦政府は休むどころではなくなっていた。何しろ銀河系の半分を支配する 広大な星間国家が居ることが明らかになったのだ。 ガミラスが居なくなったことで気を緩めていた政治家や防衛軍高官は無様なまでに慌てふためいた。一部の 高官は「ヤマトを超える戦艦を持っているのだから恐れる必要は無い」と主張したが、防衛軍司令部の会議の席で 参謀長はそんな意見を切って捨てる。 「相手がガミラスより強大であったらどうする? それにガミラスは多方面に戦線を抱えていた。だが彼らには それが無いのだ。地球より優勢な生産力を背景にして、大量の物量で押し寄せられたら大変なことになる」 「では、手が無いとでも?!」 「ないことはない。そのためのアンドロメダ級の大量建造だ。それに太陽系の防衛計画の策定も進めてある」 参謀長は万が一に備えて(実際はガトランティス戦役に備えて)、土星空域での決戦を考慮した防衛計画を 策定していた。これがあればガトランティス艦隊が攻め込んできても、土方が独断で戦力を土星に集めなくても 済む。 「しかし敵を攻め滅ぼすのは難しい。何しろ、こちらは太陽系周辺での戦いを想定しているのだ」 「ですが敵を撃退しつづければ」 「防戦一方となると息切れする可能性があるぞ。それに再度の総力戦は地球経済にも悪影響を与える。 こちらにできるのは、地球は簡単に滅ぼせるような勢力ではないことを向こうに示し、相手が戦争しようとする気を なくすことだろう。幸い、ガミラスに勝ったという実績もある」 実際には言った以上のことを考えていたのだが、それは口に出来ない。 (さすがに、いきなり彼らと同盟を組むとか、最悪の場合は傘下に入るとは言えんからな~) そんな参謀長の考えを知ることなく、藤堂は深く頷いた。 「参謀長の言うことは最もだ。今の地球は戦争よりも復興と成長が必要だ。 万が一の事態に備える必要はあるが、最初から喧嘩腰になるのは拙い。しかし必要以上に弱腰になることもない」 藤堂の言葉に不満そうな人間も黙り込む。それは参謀長にないカリスマのなせる業だった。 こうした地球防衛軍の姿勢から連邦政府も次第に落ち着きを取り戻す。 一部の高官はガミラス戦役の悲劇を繰り返さないために不可侵条約のような条約を結べないかとさえ主張する。 「戦争にならないように、交流を深める必要はあるだろう」 「相手が格上の存在として交渉するしかあるまい。幸い、ガミラスのように『絶滅か、奴隷化か』を要求して きているわけでもない。多少は話が出来るだろう」 「それに広大な星間国家と交流ができれば外需が見込めます。いきなり大規模な貿易はできないでしょうが、我が国の 産業を強化した上で交流を重ねれば……」 大統領を含めた連邦政府の高官たちは、大統領府でボラー連邦に関する情報の収集を行う事、そして国交を開く 準備をすることを決定する。 だがその後、一人の軍人についての話題になる。 「しかしあの男、やりますな」 「ああ。彼が言ったように探査計画をしていなかったら、あのような国家があることなど分らなかった。 アンドロメダ級戦艦を建造しただけで宇宙の守護者を気取っていた自分が恥かしい」 「こうなると、ボラー連邦以外にも広大な星間国家がある可能性は否定できませんな。参謀長が進めていた 太陽系防衛計画が役に立ちそうです」 「何にせよ、恐るべき先見性だな。政治家の能力もある。防衛軍の参謀長に留めておくのは勿体無いかも知れん」 参謀長が前線で華々しく活躍する日は、また遠くなりそうだった。 前:嗚呼、我等地球防衛軍(第1話〜第5話) 次:嗚呼、我等地球防衛軍(第11話〜第15話)
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前:嗚呼、我等地球防衛軍(第51話〜第55話) 次:嗚呼、我等地球防衛軍(第61話〜第65話) 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第56話 パトロール艦隊を撃滅したとの報告を受け、デザリアム帝国艦隊総司令のカザンは満足げに頷いた。 「重核子爆弾は期待通りの成果を出したようだ」 最初、パトロール艦隊が退避していくのを見て、地球人が何らかの方法で重核子爆弾を無効化したか、その威力を低減させた のではないかという考えが過ぎったのだが、生命反応が無かったことから自動で動いていることが判った。 故にカザンは全艦隊に進撃を命じる。 「本隊は前進。別働隊も進ませろ。一気に地球人の本星を叩く」 こうして進んでいくデザリアムの大艦隊。 「前衛部隊より報告。地球艦隊が出動し、重核子爆弾の前方に展開した模様」 「ふん。無駄なことを」 そう言いつつも、カザンは前衛部隊に地球艦隊を牽制するように命じる。 「本格的な攻勢はしなくても良い。重核子爆弾に波動砲を打ち込まれないようにさせすれば良い」 重核子爆弾の耐久力は高く、ショックカノン程度では打ち抜かれない。 たとえ波動カードリッジ弾でも、装甲を突き破り、内部にまで到達しなければ何とかなる。 「地球人め、イスカンダルで我々に歯向かったことを後悔するが良い。 そして帝国に歯向かった代償として、その肉体を帝国繁栄のために差し出すのだ」 そして自分は、地球攻略を成し遂げた名将として栄達する……そんなことをカザンは考えていた。 だがそんな彼の思考は、異常を知らせる報告によってかき消されることになる。 「た、大変です。つ、通信機に異常なエネルギーが!」 「何?!」 敵艦隊が襲ってこないことを確認した8F司令は直ちに重核子爆弾迎撃に取り掛かった。 「作戦は成功のようだ」 8F司令は嘆息した。 「まぁ地球のネットワークを焼ききるほどのエネルギー波を送られたら、堪ったものではないだろうな」 原作ではテレサは宇宙の危機を伝えるメッセージを地球のネットワークを焼ききる程のエネルギーを籠めて送った。 ガトランティスの妨害を突破してメッセージを送るためなのだが、逆に言えば、そのエネルギーを転用すれば敵の 通信を撹乱することも出来ることを意味する。 「これだけの大規模ECMをなそうとすれば、どれだけの労力がかかることか」 議長の献策で、地球では大出力のエネルギーが流れ込んでもネットワークが焼ききれないように対策がされているが これを対策していないデザリアムは……。 「……α任務部隊と駆逐艦の用意は?」 「すでに完了しています。いつでもいけると」 「それでは第二段階へ移行する。 諸君。彼らは遥々、太陽系にまで足を運んでくれたお客だ。土足で上がってきたマナーに欠ける客だが、客であることには変わりない。 彼らが一生忘れえぬ思い出になるように心を籠めた歓迎にするぞ」 「「「了解!!」」」 一方、ヤマトでは島がそわそわした様子で舵を握っていた。 「落ち着けよ、島」 「でも、古代。また彼女に負担をかけることになる。それに政府に彼女の能力が詳しく知られたら……」 「判っている。だが彼女の意思でもあったんだ。彼女を信じるんだ。それに8F司令は議長と交流がある。議長なら彼女の能力を伏せる ことは出来るだろう」 彼らはテレサの能力を詳しく知られることを恐れた。もしも政府がその能力を知ればテレサを排斥するか、利用しつくそうとするかも 知れないからだ。8F司令はそんなヤマトクルーの考えを理解し、議長と協力して彼女の能力を極力伏せることを約束した。 (議長にも苦労してもらうさ) そんな8F司令の考えも知らないα任務部隊の面々は、理解のある上司に恵まれたことに感謝した。 「……そうだな。でも彼女の好意に甘えてばかりではいられない」 この言葉に真田が頷く。 「そうだ。ここを何とか切り抜けて、自分達で地球を守れるような力をつけなければならない」 「頑張りましょう。真田さん」 古代は艦長室から独力で大規模な電子攻撃を仕掛けているテレサに感謝しつつ、作戦開始を命じる。 「駆逐艦、発進!」 地球側の作戦はいたってシンプルだった。 テレサの能力で相手の目耳を撹乱している隙に、無人にした3隻の駆逐艦を超高速で重核子爆弾にぶつける。それだけだ。 ただし無人にした駆逐艦は波動エンジンを暴走させるようにセットしてある。つまり、駆逐艦は1種の巨大な爆弾になっているのだ。 無人化した駆逐艦なら、重核子爆弾の影響は受けない。さらにテレサの力で目耳を撹乱された敵艦隊ではまともに迎撃できない。 デザリアムの作戦が破綻した瞬間だった。 「た、大変です。地球の小型艦が重核子爆弾に突っ込んできます!」 前衛部隊は慌てふためいた。 「何?! 迎撃しろ!!」 「だ、ダメです。通信機から流れ込んだエネルギーが艦の他の回路にも流れて」 「こ、これが地球人の新兵器でも言うのか?!」 こうしてデザリアムの切り札であったはずの重核子爆弾は、呆気なく宇宙の塵と化した。 そして太陽系外縁での戦いは次の段階に移行する。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第57話 「……重核子爆弾の破壊に成功せり、か」 統合参謀本部でその吉報を聞いた議長は安堵した。 何しろ、これでデザリアム戦役で負ける可能性は大幅に減じたからだ。 しかしながら、この時点で議長は警戒を緩めつもりはなかった。デザリアム艦隊はステルス性に秀でている。 「あとは別働隊による地球本土直撃を警戒しなければ」 直前まで無人艦隊が発見できなかったほどのステルス性を考慮すれば、彼らが自分達の懐に潜り込んでいても 不思議ではないのだ。 「防衛衛星、無人艦隊、第01任務部隊。この組み合わせなら戦うことも可能だが、やはり奇襲は避けなければな」 こうして地球防衛軍は隙の無い防衛体制で、デザリアム艦隊による奇襲に警戒した。 この厳重な警戒態勢によってデザリアム艦隊は、想定よりも慎重な行動を強要されることになる。この時点で彼らが 反転していれば戦局は違う展開になっていたかも知れない。 だが奇襲のために無線封鎖を行っていた上、本隊はテレサによるジャミングで混乱していたため、本隊の状況など 知る由も無かったのである。 そして本隊はデザリアム帝国軍健軍以来最悪の状況で、戦闘民族(命名:ボラー)の襲来を受けることになった。 「ええい、落ち着け! 通信回線を遮断しろ! 予備に切り換えろ!!」 カザンは必死に体勢を立て直そうとするが、すでに流れた膨大なエネルギーはデザリアム艦隊の各艦の回路に 大きな打撃を与えていた。回復するにはもう暫くの時間が掛かると思われた。 だがその暫くの時間が彼らにとって致命傷となる。 「た、大変です! 地球軍の艦載機が11時の方向から接近しています!」 「何?! 迎撃しろ!!」 「ダメです。各艦、まだ回復しきっておらず、直掩機は先ほどの異常でまともに動けません!」 彼らが慌てふためく様子は、攻撃隊でもわかった。 「敵さんはまともに動けんようだ。ここで落とされたら末代までの恥だぞ!」 ヤマト戦闘機隊隊長の加藤を総隊長とした防衛軍攻撃隊は、まともに動けないデザリアム艦隊に襲い掛かった。 まばらに、それも照準も定かでない砲撃など歴戦のパイロット達からすれば、恐れるに足らないものだった。 加えて新型のコスモファントムはコスモタイガー以上の搭載量と機動力を有している。彼らは対空砲火を悠々と 掻い潜り、波動ミサイルを使って片っ端からデザリアム艦艇を撃沈していく。 「前衛部隊は何をしている?!」 カザンの疑問も最もだった。 だがその疑問に対する回答は過酷な物だった。彼らはネメシスの拡散波動砲によって壊滅させられ、残存艦は 第8艦隊によって包囲殲滅されていたのだ。 「もはや虐殺だが、叩けるときに叩かせてもらう」 8F司令は人の悪そうな笑みを浮かべて、さらなる攻撃を命じる。 偵察機の報告から、敵艦隊が防衛軍全艦隊よりも大規模であることが判明していた。故に手加減は不要だった。 そして艦載機によって散々に叩かれて炎上するデザリアム艦隊にトドメを刺すかのように波動砲の発射準備に掛かる。 「第8艦隊、及びα任務部隊は波動砲発射隊形を取れ!」 勿論、この動きを見たカザンは地球艦隊が波動砲を発射しようとしていることに気付く。 「ま、拙い。このままでは全滅する!」 カザンはこのとき、少しでも時間を稼ぐために地球側に降伏をつげ、相手の攻撃が弱まった内に体勢を立て直すことを 思いついた。卑劣な策としか言いようが無いのだが、それ以外の方策を彼は思いつかなかった。 「ち、地球艦隊に通信を繋げろ!」 だが、その彼の策はあっさり無に帰す。 「ダメです。まだ通信回線が復活していません!」 「何をしているのだ! すぐに連中と回線をつなげるのだ!」 総司令官の無様すぎる姿に多くの兵士は落胆した。そして同時に自分達の最後を悟った。 (もうダメか……) こうして必死に体勢を立て直そうとしていた兵士達を巻き添えにして、巨大戦艦ガリアデスと共にカザンは宇宙の塵となった。 波動砲による攻撃でデザリアム艦隊は全体の半数近くを喪失した。だがそれでも尚、半分は残っている状況だ。 そして残された艦隊を掌握した第2特務艦隊司令官ミヨーズは、カザンとは比べ物にならない切れ者だった。 「無様な!」 怒りつつも、彼は指揮系統を立て直そうとした。彼らは漸く艦の機能を回復することが出来たのだ。 しかし艦の機能が回復したからと言って、ミヨーズは現状のまま戦い続けることはしなかった。 「全艦、反転。太陽系から撤退するぞ!」 「逃げるのですか?!」 「このままでは全滅するだけだ。ただし我が艦隊は殿となる。特に、この艦なら味方を逃す盾には十分な役割を果たせる」 彼が乗るガリアデス級戦艦は改装前のヤマトの主砲を弾き返すほどの防御力と、多数の艦載機を運用できる優秀な艦だった。 「我々が全滅するようなことがあれば、デザリアム帝国軍は大打撃を受ける。それだけは避けなければならん」 こうして不屈の闘志と驚異的な指揮能力で、ミヨーズは動ける艦を掌握して地球艦隊に戦いを挑む。 円盤型戦闘機、イモ型戦闘機を発進させて制空権の奪還に励む傍ら、重防御のガリアデス級戦艦を前面に立てて砲撃戦を 展開していく。加えて巡洋艦も懸命に第8艦隊に迫り、彼らを撹乱する。 「駆逐艦陽炎、沈没!」 「巡洋艦五十鈴大破! 戦列を離れます!!」 「戦艦加賀、速度低下!」 「くっ、さすがに簡単に負けてはくれないか」 8F司令官は舌打ちする。 「α任務部隊は?!」 「苦戦中とのことです」 それでもα任務部隊の動きは通常の部隊とは一線を画していた。 戦艦を護衛する戦艦『アーカンソー』と『ロイヤル・オーク』は波動砲を撤去した代償に得た高い防御力でヤマトやムサシと 共にデザリアム艦隊と渡り合い、ヤマトとムサシは信じられないほどの高い命中率で波動カードリッジ弾をデザリアム艦隊に撃ち込み 彼らを宇宙の塵としていく。 (主人公補正、恐るべし……性能的には、このネメシスや主力戦艦だってそんなに引けは取らないのに) 乾いた笑みを浮かべそうになる8F司令。 そんな彼の思いを他所に、主人公、いや主要キャラの貫禄を見せ付ける光景が広がることになる。 「第7艦隊が来援しました!」 そう、土方長官よりも先に太陽系外から沖田艦長率いる第7艦隊が駆けつけたのだ。 こうして地球防衛軍が誇る最新最大の巨大戦艦『タケミカヅチ』の初陣となる太陽系外縁海戦は最終幕を迎える。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第58話 駆けつけた第7艦隊は戦艦タケミカヅチ、主力戦艦6隻、戦闘空母3隻、巡洋艦8隻、駆逐艦24隻を中核とした大艦隊だった。 旗艦タケミカヅチは改アンドロメダ級であり、主力戦艦も主砲やエンジンを大幅に強化されている。その戦闘能力は防衛艦隊でも 最高峰と言えた。そしてそんな凶悪な打撃力を秘めた部隊が哀れにも逃げ惑うデザリアム艦隊に襲い掛かる。 「拡散波動砲発射!!」 沖田の指示の下、タケミカヅチの艦首に備え付けられている三門の拡散波動砲は、撤退しようとしていたデザリアム艦隊を狙い打った。 集束型波動砲ならまだ逃れることもできただろうが、アンドロメダ級を越える出力で、さらに散弾銃のように広範囲をカバーできる タケミカヅチの拡散波動砲からは逃れることなど出来なかった。 「うわぁあああ!!」 「た、助けてくれ!」 脱出しようとしていたデザリアム艦艇は、タキオン粒子のシャワーを浴びて、次々に跡形も無く吹き飛ばされていく。 だがそれだけの破壊をなしても、タケミカヅチはすぐに戦場に躍り出る。防衛軍最高の出力を持つ波動エンジンを搭載するからこその 荒業であった。 「敵の残存戦力は?」 「戦艦8、巡洋艦33、護衛艦52です」 沖田はふむと頷くと、スクリーンに映る敵艦隊を凝視する。 そこにはα任務部隊と第8艦隊相手に、味方を逃そうと勇戦するデザリアム艦隊の姿があった。その戦いぶりはかつてガミラス戦役の 際に勇戦した地球艦隊に勝るとも劣らない果敢なものだった。 (ドメル将軍もそうだったが、宇宙にはあれほどの将がいるのか。宇宙は広いな) 沖田は彼らの姿に心を打たれるが、かといって手加減することはない。 「よし。トドメを刺す。全艦突撃!」 ガミラス戦役で勇名をはせ、イスカンダル遠征と言う史上最大の偉業を成し遂げた英雄『沖田十三』。そして勇将の下に弱兵なしと言う 言葉を体言した艦隊の将兵達は、その力を思う存分に招かざる客であるデザリアム艦隊に叩きつけた。 デザリアムが誇る巨大戦艦ガリアデス級戦艦であっても、タケミカヅチの51センチショックカノンは防ぎきれない。 さらに装甲を突き破って、内部で炸裂する波動カードリッジ弾は次々とデザリアム艦艇に致命的ダメージを与えていった。 「すごいな」 「ああ。これが新造戦艦か」 ヤマトクルーもタケミカヅチの戦闘力に感心した。 南部は51センチ砲の威力を見て羨ましげに言う。 「すごい威力ですよ。あれだけの破壊力があれば、大抵の敵の装甲は撃ちぬけます」 古代進も頷く。 「そうだな。それにあの艦には沖田艦長、いや沖田提督がいる。だからこそ、これだけ強いんだろう」 デザリアム側も必死にタケミカヅチを攻撃するが、戦略指揮戦艦であり、スペック上は防衛軍最高の防御力を持つ タケミカヅチを黙らせることは出来ない。 「地球軍の戦艦は化物か!?」 デザリアム帝国軍将兵が慄き、恐慌状態になっていく。 そして恐怖に支配された軍隊が勇将率いる精鋭を止めることなどできる筈が無く、彼らは獲物に成り下がっていく。 「おいおい、呆けている場合じゃないぞ。沖田艦長の前だ。無様な真似は出来ないだろう?」 この真田の台詞に誰もが苦笑し、決意を新たにする。 「そうだな。よし、突撃開始! コスモファントム隊も補給完了後に直ちに発進する。俺も出るぞ!」 こうして心強い援軍を得たとばかりに、α任務部隊は再攻勢に出る。 哀れなのはデザリアム艦隊だった。脱出させようとした部隊の多くは、タケミカヅチの拡散波動砲によって灰燼と帰した。 残存部隊は必死に戦っているが、増援として現れた新手の艦隊(第7艦隊)によって後方を脅かされている。もはや勝敗は 明らかだった。 「機関出力低下!」 「全砲塔使用不能!」 「格納庫で火災発生!! 消火が間に合いません!!」 ミヨーズは目を瞑った。 もはや勝敗は明らかだった。加えて彼のが乗る艦の命脈ももはや尽きようとしている。 「……ミヨーズ司令、敵艦隊より入電が」 「つなげ」 モニターには第7艦隊司令官沖田の姿があった。そして沖田は通信が繋がったことを確認すると話し出す。 『もはや勝敗は決した。これ以上の戦いは我々も望まない。降伏して欲しい』 「……」 『我々は諸君を捕虜として丁重に扱う用意がある』 それは沖田の独断だけでなく、8F司令も同意したものだった。その証拠として第8艦隊やα任務部隊も攻撃を一時的にだが 停止させている。 それは彼らなりの誠意だったが、ミヨーズは簡単には頷かない。 「沖田提督、我々は祖国を守る義務がある。簡単に降伏は出来ん」 『……』 「……ただ残った艦から将兵を退艦させる時間は頂きたい」 こうして停戦が結ばれることになる。 辛うじて生き残ったデザリアム艦艇から多数の将兵が地球側の艦船の収納される。だがその中にミヨーズの姿はなかった。 「地球防衛軍は強かった。ガミラスとガトランティスを退けた実力は本物だったというわけか」 第2特務艦隊司令ミヨーズは自沈する乗艦と運命を共にする。 そしてこの巨大戦艦が沈む際に放った閃光が、太陽系外縁海戦の終幕を告げる。 デザリアム帝国軍は参加した全ての戦艦、巡洋艦を失った。6隻の護衛艦が何とか離脱できたが、それだけだった。 さらに太陽系に潜り込んでいた別働隊は、異常を察知して引き返そうとしたが、運悪く土方長官の太陽系防衛艦隊と遭遇し殲滅される。 こうしてデザリアム帝国の地球侵攻作戦は完全な失敗に終わった。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第59話 地球侵攻艦隊全滅……この凶報にデザリアム帝国本国では激震が走っていた。 「全滅だと?! 馬鹿な、あれほどの戦力で攻め込んで返り討ちにあっただと?!」 総統府で報告を受けた聖総統スカルダートは、衝撃のあまり暫しの間、呆然となった。 サーダもこの凶報には取り乱し何度も確認を取らせた。 「誤報ではないの?!」 しかし何度確認しても報告は変わらない。カザン、ミヨーズなど主だった将帥は討ち死にし、辛うじて生き残ったのは護衛艦のみ。 デザリアム帝国軍は健軍以来最悪の大敗を喫したのだ。 そしてこの大敗北はデザリアム帝国の戦略環境を一気に悪化させた。自由に動かせる戦力の大半が一気に失われたため、デザリアムが 抱える各戦線の戦況が急激に悪化したのだ。 「ゴルバを各戦線に分散して派遣するしかありません」 「地球侵攻は断念し、直ちに防衛体制を構築するしかありません。現状ではこちらから手出しをするのは不可能です」 デザリアム帝国軍参謀本部はそう結論を下した。 その報告にサーダはいきり立つが、どうすることも出来なかった。彼らは敗北を喫したのだ。それも最悪の敗北を。 「ボラーが手出し無用と判断した理由がよく判った。確かに地球人は恐ろしい存在だ」 「……如何しましょう?」 「無限β砲の配備を急がせよ。新造艦で防衛線を再構築する」 「それでは地球は?」 「暫くは手は出せぬ。全ては守りを固め、艦隊を再編してからだ」 デザリアムが受けた傷は深い。このためデザリアムは防衛に専念することにした。 しかしこれまで抱えていた戦線では次第に綻びが見え始めており、デザリアムを巡る状況は悪化しても改善する見込みはなかった。 一方、太陽系外縁海戦でデザリアムの大艦隊をほぼ一方的に全滅させたことで、地球ではお祭りモードだった。 「地球連邦万歳!!」 「防衛軍万歳!!」 史上稀に見るパーフェクトゲームで侵略者を叩き潰したという事実は、多くの地球人に勇気を与えていた。 その一方でこの大勝利の立役者となった第7艦隊、第8艦隊、α任務部隊は脚光を浴びた。沖田、8F司令、古代兄弟の武名は 世界中、いやボラー経由で銀河系各地に伝わった。 だがそれ以上に、デザリアム戦役を予期して、予め手を打っていた防衛軍統合参謀本部議長は賞賛を受けた。 「さすがだ。議長」 「いえ、当然のことをしたまでです」 連邦大統領や連邦政府関係者、連邦各州のお偉いさんとの会食やら会談で褒め称えられた議長だったが、内心では危機感が強かった。 (気のせいか、もう前線に出れない気がする) 夢の黒コートが遠ざかる光景が議長の脳裏に映し出される。しかしそんな光景を振り払うと議長は口を開く。 「いえいえ、賞賛は前線で命を賭けて勇戦した将兵が受けるものです。私は後方に居ただけです」 「謙遜かね?」 「いやいや本音ですよ」 そう言って彼は現場を持ち上げる。 「議長は攻勢部隊の編成を進めているようだが、やはりデザリアムに?」 「はい。やられっぱなしでは舐められます」 「しかし相手は40万光年彼方の暗黒銀河に居る帝国だ。まして3個艦隊による遠征となると問題が多い」 「判っています。ですがやらなければなりません。必要なら私は議長の職を辞し、遠征艦隊司令になっても良いと思っています」 「議長、それは降格人事になるぞ?」 「問題ありません」 実は議長の本音だったのだが、誰もがリップサービスにしか受け取らなかった。 ただしイザとなれば自ら死地に飛び込む覚悟はあるという決意表明は、さらに現場の支持を集めた。 防衛会議や参謀本部の面々は人気取りと言って陰口を叩いたが、議長が優れた戦略家であることは認めており、議長は後に 彼らから「戦術レベルの仕事は現場にさせ、議長は後方で全体を纏めるべき」と諫言されることになった。 「……もう私は前線に出れないかも知れん」 執務室で凹む議長。そんな議長に秘書が突っ込む。 「……いえ、恐らくかなり前からそうだったと思いますよ?」 「……マジで?」 「はい。前線の方々も議長の『デスクワークの能力』を信用されているようですし」 さらに落ち込む議長。 「どいつもこいつも……」 制服組TOPとは聞こえはいいが、厄介ごとを押し付けられる役職でもあった。 防衛会議と実戦部隊との関係を良好な物とするために奔走し、関係省庁や政財界とも付き合って軍の予算や発言力の確保に務め、 それでいてボラー連邦やデザリアムとの戦いに備えた戦略の立案などもしなければならない。 勿論、彼一人でするのではないのだが、激務であることには間違いない。だがその職務を誰からも望まれているとなれば、彼一人の わがままなど通らないだろう。 「くっこうなったら仕方あるまい」 「後方で活躍されると?」 「ああ。くっ、さらば黒コート」 血涙を流して残念がる議長を見て、秘書官は「どれだけ艦隊司令官になりたかったんだ」と呆れたが、議長が艦隊司令官に なることを夢見ていたことを知っていたので強くはいえなかった。 「ただし艦隊指揮は諦めても、観艦式の観閲官程度なら問題ないはずだ」 「それが譲歩ですか」 「そうだ。幸い、政府はこの大勝利を喧伝し、防衛軍の戦力を誇示するために大規模な観艦式の開催を考えているそうだ。 その観閲官に立候補する程度なら問題ないはずだ」 「どれだけ戦艦が好きなんですか……」 「軍人、いや宇宙戦士としてなら、まして前世の記憶があるのなら一度は夢見るものだろう? この大宇宙の中、大艦隊を指揮して戦うというのは」 「……」 「今では見果てぬ夢だがね。やれやれ、適性職種と希望する職種は一致しないことがあることは判っていたが……」 議長は苦笑した。 「まぁ良いさ。私は私にできることをする。それだけだ」 そして彼は動き出す。 『嗚呼、我ら地球防衛軍』 第60話 地球とデザリアムが大騒ぎしている頃、ボラー連邦は今回の地球防衛軍の大勝を聞いて地球人=戦闘民族という認識をより 強固な物にしていた。 「負けないとは思っていたが、これほどの一方的勝利を得るとは」 べムラーゼは信じられんと言わんばかりの顔で、秘書に尋ねた。 「地球軍の損害は本当にこれだけなのか?」 「はい。地球防衛軍の戦艦、空母の損失は0です。巡洋艦3隻、駆逐艦7隻、パトロール艦6隻、航空機32機が失われたそうですが」 「………」 太陽系外縁海戦では地球防衛軍とデザリアム帝国の戦力比は1対5以上だった。 それにも関わらず、防衛軍は一方的にデザリアム艦隊を全滅に追いやったのだ。それは彼の常識を超える事象だった。 「我が軍で同じことが出来るかね?」 「……恐らく無理かと」 「ふん。あの役立たず共が地球防衛軍の半分でも仕事が出来れば、こうも無様なことにはならなかったものを!!」 ガルマン・ガミラス連合軍に大敗したことでボラー連邦はボロボロだった。 べムラーゼはその責任を追及されており、このままでは失脚すらあり得る状況だ。不甲斐無い軍部への怒りは頂点だった。 「連邦構成国は?」 「動揺が広がっています。反主流派の構成国の中には地球と独自の接触を望む国もあるようです。他にも不穏な動きが報告されています」 属国を守れぬ盟主に意味は無い。これまでボラーの支配を受け入れていた国々は自国の安全確保のため、そして万が一ボラー連邦が 崩壊した時に備えて地球連邦への接触を開始しようとしてた。 「押さえつけろ! 何としてもだ!!」 「はい」 「それと軍の再建状況は?」 「地球から購入した艦艇の訓練は順調です。またスターレン級戦艦の建造も進んでおり、後2ヶ月で3隻のスターレン級が配備できます」 「あと2ヶ月で4隻は完成させろ。機動要塞も用意を急げ。次はこのわし自らが出てガルマン・ガミラスを叩き潰す」 「デザリアムはどうしますか?」 「地球人が自分で何とかするだろう。ガミラスのように母星を壊滅させるか、白色彗星のように砕くかは判らないが」 ボラー連邦が慌しく動いている頃、旧ビーメラ星に築かれた第二帝星の総統府では、デスラーが今後の戦略を練っていた。 「デザリアム、我々に苦渋を舐めさせた連中が敗れたようだな」 「やはり我々の最大の敵は地球防衛軍、そしてヤマトのようです」 母星を壊滅させられたガミラスにとって、最大の怨敵は地球であった。 勿論、最初に手を出したのは彼らなので逆恨みもいい所なのだが……。 「ふむ。だが彼らとの決着は当面、後だ。ボラーとの戦いも、暫くは防御に専念し足場を築く」 旧ビーメラ星にはガルマン・ガミラス帝国が再建されつつあった。 またここを拠点として銀河系のあちこちに進出して、反ボラー連邦勢力の取り込みも進めている。ボラー連邦の弾圧のために 反ボラー勢力は弱体化を余儀なくされていたが、ボラー連邦自体がガミラスとの戦いで弱ったことで再び息を吹き返していた。 これらの勢力を糾合すれば一大勢力となる。 しかしその前に地球防衛軍が出てくると、デスラーの目算が狂うことになる。 「だが、地球人の目が銀河系中央に向くと面倒なことになる」 「はい。この場合、デザリアム帝国を応援しなければなりませんが……」 デスラーなどガミラス人にとってデザリアム帝国はヤマトには劣るものの、叩き潰すべき怨敵であった。 尤もその怨敵と再び合間見えることはないだろうと言うのが彼の考えだった。 「この調子では、デザリアムが敗れるのも時間の問題だろう」 ガミラス人、いやデスラーには、ヤマトが自分以外に敗北する姿が想像できなかった。 そしてもはやデザリアムの敗北(下手をすれば母星滅亡)は確定事項だった。 「地球人がデザリアムと戦っている内に、銀河系内部の足場を固めなければならん。工作を急がせよ。 それとボラーの動きに気を配れ。あれだけ負けたのだ。いずれ再戦を挑んでくるだろう」 デスラーはべムラーゼの意図を正確に見抜いていた。 「そのときが、奴らの最後だ」 デスラーは壁のモニターに映る銀河系を見上げて、ニヤリと笑った。 前:嗚呼、我等地球防衛軍(第51話〜第55話) 次:嗚呼、我等地球防衛軍(第61話〜第65話)
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