約 2,765 件
https://w.atwiki.jp/sentairowa/pages/92.html
【名前】矢車 想 【登場作品】仮面ライダーカブト 【本名】矢車 想(やぐるま そう) 【異名/愛称/コードネーム】マスクドライダーザビー、マスクドライダーキックホッパー 矢車さん(加賀美、影山)矢車(天道、三島、田所)アニキ(影山) 【年齢/性別】27歳 男性 【人称】自分→俺 後輩→苗字呼び捨て 上司→○○さん 影山(やさぐれ時)→相棒 【立場】対ワーム秘密対策組織ZECT本部直属精鋭ゼクトルーパー部隊「シャドウ」隊長 ザビーの資格者、後にキックホッパーの資格者、影山瞬の直接の上司、後に義兄 【身体的な特徴】身長179?58?(やさぐれ前はコレより数?重かったらしい) 精鋭部隊の隊長として鍛えられている。優男だが眉が凛々しく知的な印象。 スーツ姿が多い。よく手の入れられた印象の茶髪。トップや襟足長めのヘアスタイル やさぐれてからは右袖のない黒い皮のロングコートに黒い皮パンツ ネックレス等の刺々しいデザインのシルバーアクセサリー数点 所々破れた白いタンクトップ、左足にのみ拍車がついたブーツを着用 右肩から二の腕にかけて大きな傷跡が1本走っている 髪色は黒。前髪、襟足は長いままサイドは短く刈り込まれていて 顔つきもかつての甘さは消え非常に精悍なものに変わっていた 【精神的な特徴】隊長時代は部下思いで調和と協調性、チームプレーを重んじる紳士的な性格 精神的にはあまり強い方ではない模様。 やさぐれて後は全てにやる気をなくし積極的に戦いに参加することはなくなる 【技術/特殊能力】訓練を受けていて(射撃訓練込み)生身でもある程度戦える。小隊の指揮。 料理はかなりの腕前で麻婆豆腐対決で1度天道を破っている。 ザビーの時はパンチ主体の戦闘スタイルだったが やさぐれ後はガードまで足を使うキックのみの戦闘スタイルに変化 【紹介】シャドウを率いるザビーの資格者として登場。ザビーに選ばれる前から田所も納得するほど 精鋭部隊の中でも抜きん出て優秀な人格者だった。座右の銘は「完全調和(パーフェクトハーモニー)」 スタンドプレーを嫌い非常に部下思い。彼の指示の元、各隊員が整然と行動し ワームを倒していく様は加賀美を感動させ、一時期「矢車の元で働きたい」と田所の元を離れるほど。 料理が趣味でかなりの腕前。よく手料理を部下に振舞っていたがその味はやはり完全調和で それぞれの材料が主張することなく互いを活かしあう味付けらしい。 豆腐料理対決では審査員役のひよりの味の好みが出たとはいえ天道に勝っている。 スタンドプレーの塊のような天道とは馬が合わず、カブト抹殺指令が下ったため完全に対立。 一度はカブトを倒しベルトを破壊するが、それまで失敗や挫折を経験したことがなかったのか 復活したカブトを前にらしくなく動揺。彼を再び倒すことに固執するあまり自ら完全調和を乱し 部下を見捨て犠牲にする行動に走ったためザビーゼクターに見放され資格を失う。 新たにザビー、及びシャドウ隊長となったかつての部下、影山瞬に騙され作戦に利用された挙句 「不協和音」と言い放たれ切り捨てられるとその後しばらく物語から姿を消していたが いきなりかつてのスマートさ柔和さは微塵もないワイルドなやさぐれ姿で登場。 王蛇並みにダルそうに出自が謎のゼクターでキックホッパーに変身。圧倒的な強さをみせつける。 失敗続きでシャドウから放逐された影山を「弟になれ」と拾いホッパーゼクターを与えると 互いに「アニキ」「相棒」と呼称。全てに興味をなくし自虐的な発言を繰り返しながら無目的に ワームと戦ったりカブトやガタックと交戦してみたりと完全に世捨て人のような生活を送る。 好きだった料理からも遠ざかってしまい橋の下でカップラーメンをすすったりしていた。 この頃にため息混じりに彼が吐いた数々の名台詞は一世を風靡(?)している。 唯一執着し続けた影山の事は何か裏があるのかと思いきや本当に弟として可愛がっていたようで ため息をつきながらも常に行動を共にし、なんだかんだ言いながら面倒を見ていた。 負けて帰ってきた影山の仇討ちにカッシスワーム戦に参戦した際はぶっつけ本番で天道、加賀美と トリプルライダーキックを決めてみせるなど戦闘のセンスは例えやさぐれても超一流。 その後再び世界と向き合おうと旅立ちを決意した矢先に影山がネイティブに変容。 絶望した彼の望み通りにライダーキックを放つ。 影山の生死は不明だが(諸説あり)その傍らに寄り添っていた矢車のその後の行方は描かれていない。 【関連アイテム】ザビーゼクター、ホッパーゼクター、麻婆豆腐、カップラーメン(塩、味噌)
https://w.atwiki.jp/aousagi/pages/1321.html
名前 エルヴィス・天崎 読み エルヴィス・アマサキ 性別 男 年齢 28歳 身長・体重 174cm・60kg 搭乗機 所属 民間人 ICV 一人称 私 かつて姫川グループで活躍していたコンピュータエンジニア。親しい者には「エル」と呼ばせている。 一昔前にはロボットを自律稼働させるプログラムを自作して発表し、その完成度の高さで世間を騒がせた。 人並み外れた頭脳の持ち主であったが、数年前に社を去り、作家に転向。今は姫川邸に住みついている。 まあ、雅宗の幼馴染という時点であとはなんかもう予想できるよね。 重度のスイーツジャンキーで、普段からなにか甘いものを食べていないと落ちつかない。 たった半日お菓子を絶っただけで禁断症状を発するといえば、どのくらいの程度かわかるだろう。 天才的な頭脳の持ち主だが、幼少時から雅宗とゴドウィンの二人とつるんで悪さをしていたので、セットで「三馬鹿」と呼ばれる。 冷静で誰に対しても丁寧語で話すので、物腰柔らかな優男に見られがちだが、その本性は腹黒く悪戯好きである。 例を挙げると、雅宗不在の隙に彼が進めていたギャルゲーをバッドエンド直前でセーブしたり、コントローラーの十字キーをジョイスティックに改造したり、各所に隠されていたエロ本を見つけて机の上に積んだり等等。 悪質ではあるが、他の二人と比べると大人しい方である。マジで。 実は数年前にカードゲームを題材にした漫画を執筆し、有名週刊誌で連載開始。たちまちアニメ化されるほどの人気漫画になる。 さらには作品中のカードゲームを販売し始めたところ、こちらも大ヒット。漫画自体は完結したが、外伝作品や続編アニメの原案、TCGのイラスト執筆などの仕事を続けており、今なお人気の売れっ子作家である。 ただ、顔出しすることはまったくなく、正体が謎の漫画化として知られている。 周りには「なんのことはない中堅作家」と言っているので、大人気作家であることを知っている人間は少ない。 が、姫川邸でそれを知らないのは雅宗だけだったりする。 締め切りは間に合うか間に合わないかの瀬戸際まで先延ばしにするので、編集に優しくない。 雅宗同様、民間軍事会社に放り込まれてた時期があるのでアトラスの操縦ができる。 もっとも、対アトラス戦よりは対コンピュータ戦に強く、ハッキング等によって敵の指揮系統を奪取、あるいは麻痺させる戦略を好んで執っていた。 また、蛇戦争時に『史上最悪の兵器』を開発し、実際に使用したと言われているが、その詳細は不明。 こうなると文系なんだか理系なんだかよくわからないが、どちらも興味が向いた時に取り組んでおり、けっこう気分屋。 ちなみに8歳年下の嫁がいる。 「糖分が足りませんね……カルピスくれませんか。薄めないでいいです、原液でください」 「締め切りは……明日から本気出します。気が向いたときに。明日は明日で、今じゃないですし」 「内緒にしてた理由? 黙ってた方が面白いじゃないですか」 「さて、雅宗が留守のうちに、ゲームのメモリーカードを空のやつと入れ替える仕事をしましょうか。起動したときの顔が楽しみですね」 +『史上最悪の兵器』 コンピュータ関連における天才だったエルヴィスが開発した兵器は、始めは兵器ではなく、ただのコンピュータだった。 タキオンコンピュータ。光を越える速度で移動する粒子、タキオンを制御して計算を行う、宇宙唯一のコンピュータである。 このコンピュータは時間を超越した計算を可能としており、これまでのスーパーコンピュータが演算に何十年とかけていた演算を1秒足らずで叩きだす。 その神さえ超えた超高度計算能力の全てを攻撃に転化したのが、最悪の兵器「コンピュータ・デストロイ・システム(CDS)」である。 タキオンコンピュータの時空超越演算あってこそ成立するこのシステムは、対象となるコンピュータを、そのプログラムの形式に関わらず、あらゆる手段を以って電子的に完全破壊する。 恐るべきは、標的となったが最後、対抗する術が存在しないことである。 たとえ人類の頭脳を遥か超越したプログラムだったとしても、時間を越えた計算能力を持つCDSは、その対抗策を刹那より短い間に導き出して実行できる。 唯一の欠点は「コンピュータで制御されたものにしか通用しない」点であるが、現在の人類の生活は、コンピュータという高度な計算機械によって成立している。 人類の文明そのものを一方的に破壊することが可能なCDSは、紛れもなく最悪の兵器だと言える。 今はどこかに封印されているらしい。
https://w.atwiki.jp/cityofmagicalgirl/pages/40.html
「まあ嬉しい!お姉さん照れちゃうわぁ」 名前 蔵間 貢 (くらま みつぐ) 年齢 18歳 身長 175cm 体重 65kg 好きなもの 可愛いもの、イケメン、甘味 嫌いなもの 紫外線、うにょうにょしてる虫全般 趣味 裁縫、料理、お洒落 願い 女の子になること キャラの特徴 □容姿サラサラの茶髪はショートウルフカット。デンマーク人の祖父譲りで翡翠の瞳を持つ。江風高校の制服を規定通りに着用。私服はシンプルなものが多く一見すれば優男風。右耳にはシルバー製のチェーンピアス。片方が緑の飾り石付きで、もう片方はイヤーカフなタイプ。□ハート恋する乙女という名のオカマ。それなりの外見があるにも関わらずステータスを女性らしさに全振りした人。言動、行動はまさしく女性そのもの。だが外見も声も男なため端から見たら多分キモイ。スポーツマン系の男性がタイプで女性は基本恋愛対象にならない。恋愛相談いつでも受け付けます。■コスチューム腰迄伸ばされた栗色の髪は毛先がくるりと内巻きのカールが特徴的。(魔力で編んだエクステ?)緑褐色の民族衣装風ワンピースドレスを着用。長袖で袖口にいくほどゆったりとした感じに。スカート丈は膝下10cm位で一部スリットが入っている。白タイツに仏葛模様の茶色ショートブーツ。腰迄届くレースのヴェールを目深に被り、その上からワンピと同色のカチューシャを装着して固定している。身体のラインを隠すような服装とヴェールのお陰で辛うじて“魔法少女らしさ”をキープ。大体声でバレるが。因みに衣装は100%彼の趣味で構成されている。 得意・苦手な魔法、必殺技や特技 魔法で風を操ることが得意で主に攻撃と飛行、それから結界の形成に応用する。探査は並より下くらいで防御は苦手、治癒と念話は使用できない。属性的には肌が火傷したら困っちゃう等の理由で火の魔法が苦手。主に小規模な塵旋風から最大威力では大規模な竜巻を起こすなど風属性メイン。魔法の威力が強力になる分だけ消費する魔力の量は増えていく。元から魔法の火力が高めな分若干燃費が悪いため、魔力を温存させるために弓矢に風を纏わせることで燃費を抑えつつ、風魔法単体程の威力ではないものの、そこそこの攻撃力をキープして立ち回ることが可能。弓矢でも"溜め"をすることによって更に強力な風を放つことができる。飛行についてはジャンプのタイミングに周囲の風を操って通常では有り得ない跳躍をしたり、高所からの着地の衝撃を緩和したり。基本美しさ重視だったりする。《 Arrow af Jade - 烈風射るは翡翠の矢 -》蔵間の固有技。弓矢と溜め技の最高威力を掛け合わせた奥義。巨大な竜巻とそのエネルギーを弓矢に纏わせて前方へと放つ。イメージとしては放たれた矢を中心に横向きに竜巻が発生、前方にだけ多大な被害を及ぼす。避けられたら攻撃は少ししか当たらない。魔力を殆ど消費するので一撃必殺、そして一度使ったら自分も死にかける技でもある。 道具・魔具 《翡翠色の弓矢》魔法で操った風を操ることが出来る弓型の魔具。全長は150cm前後で典型的なロング・ボウの形状。素材は白木がベースで持ち手に翡翠色の触り心地のいい布を巻いている。金色のリボンで上下共蝶々結びで縛って布がずれないようにしっかりと固定。弓矢は矢筒に入れるのではなく任意で出現させる。同時に出せるのは最大で五本迄。弓矢の形状は至って普通だが羽根の部分だけグリーンと謎の配色になっている。 概要 私立江風高等学校の生徒で一昨年デンマークからやって来た帰国子女。でも日本語ペラペラ。幼い頃は病弱だったらしく小学校を一年留年した経験アリ。それから自他共に認めるオネエ系男子である。転入当初からオネエ口調でジャパニーズサムラーイな男子生徒達にすりよる姿は、当時のクラスメイト達の中で未だに(一部の男子生徒にはトラウマとして)色褪せない伝説となっている。そんなフリーダムな彼だが自分が男であるということに深刻な悩みを抱えていた。女の子らしく振る舞ってもそれは本物の女の子の可愛さや美しさには勝てない。どんなに本気で想いを伝えてもネタだろって笑われてしまうのがオチ。しかしそんな風に落ち込んでいるときに、偶々星のかけらを手にいれたことによって魔法少女となる。大好きな人の理想の女性になるべく女の子になるという願いを叶えるため日々奮闘中。願いはあくまでも女の子になること“だけ”を望んでいる。理想の女性になるのは自分の力だけで成し遂げる予定だとか。
https://w.atwiki.jp/rnext/pages/109.html
Riders Fight!(前編) ブォォォォォン……ブォォォォォン…… 空が本来の明るさを取り戻した頃に、バイクの排気音が響き渡る。 時たまカーブがあるが、それを除けばほぼ直線な道路を突っ走る、真っ赤な――あまりの速さに閃光にすら見える――バイク。 その赤い車体に乗り、たった一人で夜明けの道を突き進む男、一文字隼人は急いでいた。 改造人間や、それ以外の未知の存在がうようよいるこの戦いで――――自分と共に呼ばれている女性、緑川あすかが生き残れる可能性は限りなく低い。 自分達と違って彼女はただの人間、故にこの場では身体的に劣る側にいる。 本郷や信頼できる人物に保護されているといいが……そう上手くいくとは限らない、だからこそ、今自分が走っているのだ。 別にこの気に乗じてあすかを手に入れようなんて気はない。他人の女に手を出すほど、おちぶれちゃいない。 だけれど――――惚れたよしみだ、本郷に預けられるまでは――――俺が迎えにいってやるよ。 ◆ 「城戸さん、彼らを連れて逃げてください。」 荒野で龍騎がダグバに対し構えながら告げる。 最も、中身は本来の持ち主である城戸真司ではなく、ここでデッキを使った本郷猛なのだが。 変身したのは半ば賭けに近かったが、その賭けに勝つ自身はあった。 「け、けどそのデッキ使い方分かるんですか!?」 「大丈夫、使い方はさっきのを見てて大体把握したよ。それに……」 これは半分嘘だ。カードを使うのは分かっているが、どれがどの効果を発揮するのかは全く分からない。 だが自分にとって不利なカードは入っていないだろう。そう考えての発言だ。 「それに……話し合いが不可な以上、これ以上被害を広げないためにもここで叩く。」 その言い分に納得したのか観念したのか、真司は途方に暮れているヒビキと大介、それにあすかを連れて立ち去った。 ……去り際にあすかがこちらを睨んでいた気がするが、今はそれどころではない。 改めてダグバに向き直る龍騎。全身を白く染め上げ、ちりばめられた金の装飾がそれを覆う。 各部の突起も然ることながら、ベルトの部分にある顔らしき文様は特に存在感を見せ付けていた。 (一筋縄で行きそうにないな。) ベルトからカードを引き抜き絵柄を見る――――そこには所謂、青龍刀が描かれていた。迷うことなくドラグバイザーへと読み込ませる。 ―― SWORD VENT ―― 「ハァッ!」 電子音声と共に現れた剣を取り、龍騎がダグバへと斬りかかる。 その剣先はまるで予想されていたかのようにダグバの手に収まり、流される。だがここまでは予想通り。 ドラグセイバーでの一撃が効かないといるや否や、すぐさま左腕に持ったサソードヤイバーを叩きつけた。 肉を切り裂く音がして、白い胴体に僅かな切れ目と共に赤い血が走っていく。鋼のように鍛えようと、制限下ではこのようなものだ。 血だまりが出来るほどに広がり、夜明けの光には不釣合いなほどよく映えた。 しかし、ダグバ本人は蚊にでも刺されたかのようにそれを振り払い、龍騎のマスクを両手で掴んだ。 「グッ、ァッ」 マスク越しに本郷の呻きが漏れた。幾ら本郷が改造人間といえど相手はグロンギの長、究極の闇。 たった一人で太刀打ちできる相手ではない。そもそもここまで互角に戦えた事の方が不思議なのだ。 ―― NASTY VENT ―― 直後、血だまりから全身を装甲で覆った蝙蝠が飛び出したかと思うと、口からの超音波でダグバを攻撃し始めた。 本来、蝙蝠の超音波は暗闇で正確に位置を把握するためのものだが、これはそんな生易しいものではない。完全に攻撃に特化したものだ。 その攻撃で微かに顔をしかめ、龍騎を蝙蝠目掛けて投げつけた。もちろん、成すすべも無く両者は激突する。 「大丈夫ですか!?」 駆け寄ってきたのはハナが変身したナイトだ。さっきのナスティベントも彼女の計らいであった。 「ああ、ありがとう。」 差し伸べられた手を取って立ち上がりながら答える本郷。マスクが軽くひび割れているが、この程度問題にすらならない。 問題なのは相手の尋常じゃない強さだ。こちらの攻撃はまるで効かないのに、向こうからの攻撃は一つ一つがとても重たい。 「二人でもいいよ……どうせ、僕を笑顔に出来るのはクウガだけなんだから。」 ダグバが残念そうに愚痴る。そのクウガとやらが何者かは知らないが、彼と互角に戦えるほどのものだろう……と、本郷は結論付けた。 「互いの話は後に回しましょう、まずは……」 「ええ、あのイマジンを抑えなきゃ!」 「……イマジン?」 「ああ、えっと、後で話すわ!」 途中で話を切り上げて、ナイトが走り出す。途中でダークバイザーにカードを差し込んだ。 ―― SWORD VENT ―― 天から降りて来たおよそ剣とはいえない――寧ろ突撃槍に近い――武器を手に取り、ダグバに突き刺す。 やったか、と思う暇もなくダグバの腕が伸びてくる。体の心をずらしてあたかも剣が突き刺さったかのように見せたのだ。 ナイトへと迫るその手は二本の剣によって防がれる。それに目を見張る間もなくダグバの顔面に踵落としが決まった。 「これで、貸し借りなしだね。」 「……ええ!」 少し距離をとって並び立つ二人のライダー。きっとその仮面の下には笑みが浮かんでいるのだろう。 ハナはその仮面の下で思う。良太郎やバカモモ、それに他の皆も、戦っている間はこんな感じだったのかな……と。 だが思い出に浸っている暇はない。ダグバの両の拳が迫ってくる、一度あたればそこで終わりだ。 二人は同時に同じカードを読み込ませ、衝撃に備えた。 ―― GUARDVENT ―― ―― GUARDVENT ―― 龍の腹部を模した盾が右の拳を押さえ、ダークウイングが変化した鎧が左の拳を受け止める。 けれども、ダグバの顔から余裕の色は消えない……本郷はこの理由を、直後に知る事になった。 「なっ!?」 盾が、鎧が音を上げて燃え始めた。ダグバが超自然発火能力を使ったのだ。 すぐさま盾を捨て、二人は各々の武器での攻撃に切り替える。軽い金属音がしただけで、どれも決定打とはなりえない。 ドラグセイバーがダグバの首を切り落とさんと進む――――だが手刀で阻まれ、もう一方の手で刀身を砕かれる。 両手が開いた隙に、ウイングランサーが今度こそダグバの脇腹を貫いた。だがダグバの猛攻を止めるにはあまりにも弱すぎた。 「ふふふ……痛いよ、でも……クウガにはまだ足りない。」 呟いたかと思うと、ナイト目掛けてダグバが特大の頭突きをお見舞いした。あまりの衝撃に思わずランサーから手を離してしまう。 少し力を入れただけでランサーを引き抜き、地で悶えているナイトへと向ける。 ―― ADVENT ―― 「GAAAAAAAAA!!」 龍騎がカードをベントインし、電子音声が鳴り響く。続けて耳に入るのは赤き龍の咆吼。 ランサーの切っ先がナイトに当たる寸前、ドラグレッダーの放った火球がダグバを包み込む。が、これしきでダグバの猛攻は止まらない。 腕を一振りして炎を払い跳躍。ドラグレッダーの背に飛び乗り、両肘の突起を突き立てた。バリン、と鏡の割れるような音と共に突起が突き刺さった場所に亀裂が広がる。 ドラグレッダーが鏡へと逃げ込み、ダグバが飛び降りる。短時間でドラグレッダーをここまで痛めつけられるのは、そうそういるものではない。 「さぁ、続きを……?」 突如ダグバの白い肌が歪み、元の青年の姿へと戻ってしまう。変身制限の十分間が経ったのだ。 好機とばかりににナイトが冥府の斧を投げつける。一方龍騎はサソードヤイバーを手に飛び掛った。 だが青年は軽くそれを避けると、二人に背を向けて歩き出した。 「待てッ!」 「時間が来た。だから、今はおしまい。」 龍騎が止めようとするが、青年はまるで遊びに飽きたかのような雰囲気を感じさせた。 「またね、仮面ライダー。今度会うときはもっと僕を笑顔にしてね。」 それだけ言い残し、ダグバはすたすたと行ってしまった。白い影が砂煙に隠れてしまい、後には誰もいなくなった。 龍騎やナイトも追いかけようとするが、直後の出来事に気をとられてしまう。 ―― ADVENT ―― ダグバの存在をかき消すように鳴り響く電子音声、だがドラグバイザーもダークバイザーもベントインした様子は無い。 再びダグバの残した血だまりから何かが飛び出す。今度は蝙蝠ではない、エイだ。赤い体と長い尾を持つ大きなエイ。 呆気に取られている三人を尻目に、エイに降りたつもう一人の人影。弁髪の様な飾りが揺れ、口を開く。 「――――そのデッキを城戸に返せ。」 ◆ そこを手塚海之が通りかかったのは、本当にただの偶然だった。 乃木に敗れてから、ずっと当ても無く歩き続けていたらいつの間にか早朝になってしまった。 そのまま一人で最初の放送を聞こうとしていたとき、二つの爆音が耳に入る。 急いでその場に駆けつけると、そこにいたのは数人の人だかり……というには少しばかり少なかったが。 いたのは二人の男と一人の女。二人の戦士――――その姿には見覚えがある、忘れてなるものか。あのライダーを。 脇に隠れていた男は特にどうでもいいが、気になるのはライダーと戦っている白い怪物。モンスターに近いが理性も働くらしい。 そして、最後の一人。自分がこの道に走って、唯一守ると決めた男。その名は―――― (……城戸、真司……ッ!!) ――――城戸真司。何の苦も無く浮かんできた名を自分の中で反芻する。 だがここで疑問が生まれる。何故龍騎に変身しているのが城戸真司ではないのか。 確かにデッキ自体があれば、その中身は誰でもいい。自分が――――雄一のデッキを使い、変身しているように。 ……とすると、今、城戸真司は無防備なのでは? その可能性に思い至ったとき、手塚は全身の血が逆流するような不快感を覚えた。 本当なら支給品等の護衛方法に結びつくのだろうが、この時の手塚には真司を見つけたことと真司が危機に晒されている事とが重なって冷静な判断力を失っていた。 ――――ならば、成すべき事は一つ。その危機を一刻も早く排除するのみ、だ。デッキを奪還し真司の下へと送り届ける。 支給されたペットボトルを取り出し、空中へと放り投げる。 それは一定時間上へ上へと上り続け、やがて思い出したかのように止まり、地上に吸い込まれるが如く落ちていく。 ペットボトルが手塚の前を通り過ぎるその瞬間――――刹那、手塚の手に持ったカードデッキが妖しく輝いた。 落ちた衝撃でペットボトルの中身である飲料水がぶちまけられ、大地に吸収される。その場所を踏みしめるのは装甲に包まれた足。 朝焼けを反射し淡く煌く水面。そこに写るのは赤い鎧に身を包む、歪んだ道化、悲劇の戦士――――仮面ライダーライア。 一歩一歩進むごとに自分が戻れない道を歩いているような錯覚に襲われる……上等だ、元より戻る気などない。 倒すのは龍騎とナイトだけ。白い怪物は勝手に参加者を始末してくれるだろう。 ――――いつの間にか、己の手を汚す事を躊躇っている自分に嫌気がさした。怪物に汚れ役を押し付けようとしている、自分に。 最後に真司が他の人を連れて逃げる姿が見えた。これで自分の姿を見られることはない、と少しだけ安堵する。 「……俺が、運命を変えて見せる。」 誰に言うでもなく呟く言葉は決意の表れか、己への悔恨か。それは誰にも分からなかった。 ◆ 「ククク……ハハハハハ!! いい、実にいいぞ!」 激戦地からほんの少し離れた茂みの中、一人で狂気の笑いを上げるのは志村純一、不死生命体アンデッドの一人。 彼は物陰から戦いを見ていたのだが、自分の予想遥かに超え、且つ自分に有利な事態になってきた事に笑いを抑え切れなかった。 確かに本郷や真司がそれなりに戦う力を持っていたのもある、それも装着者を選ばないあのカードデッキは魅力的だ。 だがそれ以上に志村の興奮を誘ったのは、ダグバの存在。彼は白い怪物に変化し、二人に襲い掛かった。 ――――と、ここで一つ思い出してほしい。志村は、今まで出会った参加者に、何を言っていただろうか。 長田結花に伝えた情報は何か。 本郷猛に聞かせた言葉は何か。 城戸真司を乗せた口車は何か。 ……そう、『白い怪物と剣崎一真は共に殺し合いに乗り、尚且つ組んでいる』である。 そして、ダグバが変化した姿は何か? 白い怪物である。この情報を知り、かつダグバと交戦した参加者は、何を思うだろうか? きっとこう思うだろう。『こいつこそが、剣崎一真と組んでいる白い怪物なのでは』、と。 ――――つまり、自分に対しての疑いの目を自然になくす事が出来るのだ。 集団の中で疑心を生み出す者にとって、疑いを持たれないと言う事は最も有利なアドバンテージ。 元よりアルビノジョーカーとしての姿はなるべく見せるつもりはないが、どうして使用せざるを得ない状況では信頼がそれをカバーしてくれる。 既にカミキリムシのような外見、とは伝えてある物の戦っている間は無理にでも集中せざるをえない。故にそこまで考えは回らないだろう。 それにその情報が人から人へ伝わる事によりいつしかあの怪物を覆う包囲網が出来上がる。邪魔になればそれを使って排除すればいい。 自分の掌の上で全てが踊る――――こんなにおかしい事は無い。そう思うと笑いを抑える事など出来なかった。 「よぉ、アンタ、無駄に楽しそうだな。」 「ハハハハ!!……ッ!?」 突然背後から話しかけられ、咄嗟に牽制を取りつつ脇へと飛ぶ。志村がいつの間に迫られたのかと思う間もなく次の言葉が飛んできた。 「戦いの横で高笑い……いい根性だが、誇れたもんじゃないな。」 そういって口元に意味深な笑みを浮かべる優男。自分の本性を見透かされたようで志村は思わず歯軋りする。 こいつは策に嵌りにくいタイプだ。何でも疑って掛かり、尚且つ信用失わない程度に馴れ合う。最も面倒な相手だ。(少しばかりリスクが高いが、ここで始末するか。) 僅か数秒で結論を叩き出す。逃げられる前に、誰かと接触する前にこいつを殺す。 グレイブバックルを構え、カードを差し込む。もう何度も繰り返してきた行為だ。 「変身!」 ―― Open Up ―― 走りながらベルトを操作し、現れたオリハルコンエレメントを潜り抜けて剣を振るう。が、まるで予想していたかのごとく優男はそれをかわした。 お返しとばかりに足払いで体制を崩され、そこから右ストレートをもろに食らった。それも生身の相手に、だ。 痛みを訴える体を無視して立ち上がらせ、グレイブラウザーを投擲。しかしその先にあの優男はいない。 「どこだ……ガッ!?」 後頭部を襲う衝撃、一瞬目の前が真っ白になる。軽く脳震盪を起こしたようだ。 倒れる直前にグレイブラウザーを回収し、杖代わりとして立ち上がる。立ち上がった先にいたのは、軽くステップを踏みながら構える濃緑の戦士。 「いきなり敵意むき出しか、まあ、俺もお前は気に食わないがな。」 ホッパー二号――――仮面ライダー二号が地を駆け、拳がグレイブラウザーと触れ合う。それが、開戦の合図になった。 ◆ 039 太陽背負う闘神 投下順 040 Riders Fight!(後編) 039 太陽背負う闘神 時系列順 040 Riders Fight!(後編) 031 激闘の幕開け 志村純一 040 Riders Fight!(後編) 031 激闘の幕開け ン・ダグバ・ゼバ 040 Riders Fight!(後編) 031 激闘の幕開け 本郷猛(R) 040 Riders Fight!(後編) 031 激闘の幕開け 城戸真司 040 Riders Fight!(後編) 031 激闘の幕開け 日高仁志 040 Riders Fight!(後編) 031 激闘の幕開け 風間大介 040 Riders Fight!(後編) 031 激闘の幕開け ハナ 040 Riders Fight!(後編) 031 激闘の幕開け 緑川あすか 040 Riders Fight!(後編) 025 牙と知恵 Devil-Action 一文字隼人(リメイク) 040 Riders Fight!(後編) 022 運命は未だ定まらず 手塚海之 040 Riders Fight!(後編)
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/19250.html
登録日:2012/06/27 Wed 18 05 56 更新日:2024/07/07 Sun 06 34 30 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 うえきの法則 かませ ウーゴ カプーショ カプーショチーム ニコ マリオ 宮田幸季 普通に強い 松風雅也 浅川悠 神谷浩史 能力者 豪華声優陣 カプーショチームはうえきの法則の二次選考で登場したチームのであり、三次選考でも登場する。 ヒデヨシの神候補であるザックの指示でヒデヨシを仲間に引き入れるために彼の孤児院に出現、植木とヒデヨシに敗北する。 ●チームメンバー カプーショ(CV 浅川悠) カプーショチームのリーダーで「自分の声を冷凍ガスに変える力」の能力者。 同じ意味の言葉を繰り返す喋り方をする。 レベル2は「赤い冷凍ガスを吐き、凍らせた物を自身の攻撃に対して極端に脆くする」という強力なもので、神器攻撃をデコピン一発で粉砕した。 ヒデヨシの他人の声でも似顔絵に変換できる能力に目をつけ、仲間に引き入れようと植木を圧倒するも、新たな神器である旅人に閉じ込められて自身が氷漬けになる。 植木とグラノの戦いを観戦したときは、チームリーダー同士のバトルのスケールにビビっていた。 ただし、カプーショ自身決して弱いわけでは無い。 ニコ(CV 松風雅也) 「美しい髪をドリルに変える力」の能力者。 ナルシストな性格の優男。 ドリルはダイヤをも砕き、時速300キロという異常なスピード、及び無音で移動可能と豪語。 潜れば無敵に近いが、植木に地中に潜る前に倒されるという無慈悲な決着を迎えた。 後述の罰にはショックを受けていた。 ウーゴ(CV 宮田幸季) 「ゴムボールを濃硫酸に変える力」の能力者。 ゴムボールが命中した壁を一瞬で溶解させるなど殺傷能力は随一。 「あれあれ?」が口癖。 かなりアブナイ能力を所持しており、ヒデヨシを捕まえようとするも、彼の能力に翻弄されて倒される。 マリオ(CV 神谷浩史) 「体をスーパーダイナミックエレガントボールに変える力」の能力者。 わかりやすく言えば巨大ビリヤード玉である。 見た目のアホさと裏腹に直撃すれば立ってられるものはいないと言われている強力な能力。 何かと大袈裟な名前をつけるのが癖。 植木の百鬼夜行に突かれ、園庭を乱反射した後にニコの掘った穴に落下した。 ●その後の活躍 三次選考ではマリリンチームに瞬殺され、彼女たちの強さを印象づける役割になる。 続く植木チーム戦ではアノンの妨害によって植木チームは試合に間に合わず、不戦勝を収める。 他にはバロウチームには敗北、グラノチームには勝利と2勝2敗と結果はまずまず。 実際、マリリンチームに負けた彼らを植木も「強かったはず」と評価した。 ●余談 三次選考脱落時の罰は「結構早めにハゲる」。 これにはニコがショックを受けていたが、マリオにはあまり影響が無いであろう。 脱落したため、罰が確定してしまった。 ●協力者 ザック(CV 市川治) ヒデヨシの神候補で元々彼の担当だったネロの後任。 ヤクザやカプーショチームとつるんでたいようの家を潰そうとしていた天界人。 かなり悪質な性格だが、カプーショチーム撃退後にヒデヨシにボコられた。 練りに練ってから追記・修正に追記・修正してやるよ。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 植木チームに負けてからはほぼ空気だったがアニメでは試合を見ての台詞が増えたりゴーストのスト解除を解説したりなど地味に出番が増えた -- 名無しさん (2021-12-30 22 24 48) ロベルト十団のメンバーの劣化能力しか無いイメージ。しかも作中の描写からもカプーショ以外は十団のメンバーに劣っている戦力しかなさそうにみえます。 -- 名無しさん (2022-10-13 23 45 49) いや、ニコが強過ぎるだろ。十団半分以上倒せそう。カプーショも防御回避ムズイし。 そしてかなりヤバい能力を平気で人間に投げまくれるウーゴがサイコ。 -- 名無しさん (2022-11-13 02 41 38) 初戦はヒデヨシいなかったら勝てなかったし少なくともカプーショは確実に弱くない。 -- 名無しさん (2023-02-17 10 24 55) ザック、市川治さんだったんかい… -- 名無しさん (2023-11-24 20 50 13) ↑3マリオのビリヤード玉も当たったら一瞬でヒデヨシがダウンするレベルだからね -- 名無しさん (2024-04-20 19 10 13) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/jyakiganmatome/pages/1331.html
「……ああ、萌葱…無事でいてくれ………」 応接間のソファに座って頭を抱えるのは三島 健吾。 仙堂 萌葱の婚約者で在る。 「落ち着いてください三島さん。今、全力を挙げて捜査を行っているところです 大丈夫ですよ。邪気街の警察の腕を信用してください」 その肩を叩いてなだめているのは及川 健介警部。 僕とは事件でたびたび顔を合せており、手柄を横取りされ続けているためか 何かと僕につっかかってくる困った人物だ。 現在、僕とアシュリーは萌葱の監視をセブンに任せ、三島邸の応接室にて彼らと同席している。 無論、関係者では無いので追い出されそうになったものの、萌葱に関する情報をきわどいところまでちらつかせ 探偵と言う職業も生かし、強引に捜査の席に割り込んだのだ。 この調子で僕の事務所に萌葱が監禁されているところまでばれてしまえば、確かに不味いのだが そのギリギリのところまで踏み込む事、そして僕の立場を利用することで、僕に対して疑いがかかることを避けている。 いきなり訪ねてきて、失踪した婚約者の事を調べていたとぬかし、有益な情報を提供すると強引に割り込んできた 小娘の探偵。 見るからに怪しいが、怪しすぎて逆に疑いから外れるというパターンだ。 まあ、こんなことをする誘拐実行犯は居ないだろうし、警察とはたびたび面識があるから、僕が探偵だと言う事実は 説明しなくても信用を得られている。 あとは口八丁手八丁。 「…おねえちゃんは詐欺師になったほうが向いてたと思う」 「…法に触れる方法で金を稼ぐのはちょっとね」 どの口が言う、と言われかねない。 「でも、あの萌葱っていう人の監視、コッコに任せて良かったの?」 「そういえばアシュはそう呼んでたね。でもこの場合はあいつのほうが良いんだ」 そう、セブンなら彼女の傍に置いておくには適任だ。 僕たちはここで「犯人」を探す事に専念する。 「……やっぱりあの部屋にいながら殺人なんて出来るわけないよね。あの人、戦えるような能力持ってないんでしょ?」 他に聞こえない程度の小声で話しかけてくるアシュに、僕は頷いて答える。 そう、あの部屋にいながらこの場にいる三島 健吾を殺すのは不可能だ。 ならば、『ホワイダニット』 なぜ。 「……それを確かめるためにここに来た」 改めて、この部屋に居るすべての人物に目を向ける。 目の前の優男は萌葱の婚約者、三島 健吾。 彼女にこれから殺される予定の人間、ということになっている。 その後ろに立つ汚い親父が警部、及川 健介。 狡い男で、事件の解決よりもいかにして自分が手柄をあげるか考える男。 いわゆる上座に当たる席に座る、禿げたちょび髭の親父は三島 典之。 三島コンツェルンの会長にして、健吾の父親に当たる。 その横の席に座る、厳かな白髪の老人は千堂 秋水。 杖をつくような歳なのに萌葱を作ったのは20年前、エロ爺だ。 「……健吾、萌葱、婚約関係にあるどちらも片親か…珍しい共通点だな」 警部、及川の背後に控える二人の刑事。 ガタイの良いほうは佐々木 尚。ひょろっとした頼りなさそうなのは志波 行人。 いつも及川とともに現場に居合わせるコンビだ。 「こいつらに関しては、良いか…いつもの顔ぶれだね」 当主、典之の両サイドに盆をもって控えるのがこの館のメイド二人。 眼鏡に三つ編みの春咲 可憐。 黒いボブカットの篠宮 椿。 どうやら可憐のほうが年上らしく、椿は少々、メイドにしては抜けたところがあるようだ。 そして。 「でもお姉さまって、本当にさらわれたのかしらね」 この僕と同年齢くらいの、無駄に鋭い少女。 萌葱の妹、仙堂 逢歌。 こいつが非常に面倒臭い。 「だってそうでしょう?誘拐事件なのに身代金も要求してこないなんて。 行方不明になって二週間もたってから手紙が届いたのもなんだか不自然だわ」 「なにを言いだすんだい、逢歌さん。君は何が言いたいって言うんだ」 「別にちょっと疑問に思っただけですわ、お義兄さま。小娘の戯言と聞き流して?」 この生意気な態度は周囲もたびたび悩まされているらしい。 が、それ以上に僕を悩ませるのはこいつの無駄な洞察力の高さだ。 僕のところに萌葱が居ることを感づくとしたら、間違いなくこいつが最初になるだろう。 彼らに加えて僕と、アシュリー。 これにて舞台に役者はそろったことになる。 犯人になる予定の彼女、仙堂 萌葱を除いては。
https://w.atwiki.jp/tenban/pages/40.html
プロフィール 表記 :April Cipher 本名 :篠村 真/シノムラ マコト 種族 :人間 性別 :男 年齢 :21 誕生日 :10月27日 身長 :169cm 体重 :52kg 保持属性 :無 好きな物 :戦闘 酒 パイプ 煙草 楽しいと感じれる事象 他人の不幸 苦手な物 :何もない時間 楽しくない事象 自身の不幸 爵位 :平民 所属 :オワリノ國猛兵隊4番戦闘隊タマガイ隊 コールサイン:タマガイ1 階級 :少佐 イメージCV :神谷浩史 魔術 白獣狂乱 / パブリック・エネミー 詠唱:これは生物の欲で生まれた悪、これは人間が望んで創りし悪、そしてこれこそが!貴様らが欲した絶対悪!これこそが!私を型成す原初の力!貴様らが望み、欲し、決めつけて創り上げた絶対悪をご覧あれ! 合金にて作られた自身より一回り大きい人型のロボットを一機具現化させる魔術。 これは中に入り外部装甲として使用も可能。 また術者の意思で動かすことも可能。 足は無く、推進装置が左右に二つずつ腰に着いており、背中にジェット型推進措置が二つ、真ん中に何らかの砲身と思わしきものが一つ。 武装は長くて右手のレーザー砲を内蔵してある剣と左手の盾のみ。 硬度はそこそこある。 また無詠唱の際は部分展開、一部複製も可能。 なお詠唱した状態で長時間(概ね1時間以上)居ると、解いた後しばらく精神に異常が起きる 主な症状は加虐体質となり見境がなくなる また思考もおぼろげのようで発せられる言葉も無作為で理解が難しく、かつこちらの言葉も理解することが困難 一時的なものであるため、時間が経てば解消するが無関係な者が巻き込まれる可能性がある またこの術を使ったさいは、左目から赤みが消え、術を解けばまた左目が赤くなる。 本人曰く、向こうに目が移って視界が見えてるとのこと。 人物 元少年兵元懲罰兵 幼少期、周囲の人間から騙された両親に、身代わりのように売られて幼い頃から軍事に関わる。 能力はまずまず…ではあるが、度重なる不遇にて考える事をやめてしまったため周りの少年兵達から手柄を取られやすかったり嵌められやすかったりし、結果的に上からの評価自体は最悪であった。 本人自体、言葉通り何も考えてなかったため特に反抗等しなかったが…ある時に煙草という嗜好を何者かに教わり、それが楽しいと感じる。 以降、タバコ以外にもあれやこれやと試し始め、楽しいを集め出したが、それを良く思わない集団が彼の遊びを奪おうとし、返り討ち…どころか全員を殺害。 その件によりエイプリルは懲罰兵となり、無茶な任務を続けさせられた。 主に単独行動での作戦か、単独行動にならざるを得ない状況が多く、死線を潜り抜けて行く内に能力が上がり、魔術も相まって『白い獣』と畏怖…というより気味悪く思われていた。 数年後、懲罰部隊から抜けるも行く宛無く軍事に戻る。 名前はこの際に偽名を名乗り始める。 意味合いは『春に生まれた不要なモノ』 功績を鑑みて少佐の階級と小隊を得たが、入隊志願者が居らず単独小隊と日々を過ごしてる最中、事実上亡命したルーブと出会い、面白そうと言う理由でスカウト。 少佐の権限で入隊させた。 現在は上層部の独断で人員を派遣するから大人しくしていろと言われるも反抗。 領主の信鞘が直々に言うことにより場が収まり、しぶしぶ大人しくしている…恐らく。 人間との出会いの運がかなり無く特に幼少期ではそれが酷かったため、思考を停止していたこともあり、基本的に考えて物事をするのが苦手 またそういう者ばかりだったため、人間=好き勝手にして好き勝手に嘆く生き物、という認識を持っており(多少は学んだため)表面上は優男ではあるが、実際はかなり本能に忠実。 (逆に本能に忠実であるため、関心を持てば普通に接する) 食べたい時に食べ、寝たい時に寝て、戦いたい時に戦い、殺したいように殺し、どうでもいい事柄に関してはその時の気分で決める。 本人曰く、「どの人間もそれをしていて楽しそうだから真似をしている」とのこと 自身の事を絶対悪と自己暗示しており、詠唱にもそれが窺え、さらにそれを産んだのは過去の環境、人間達とし、奴らが望んだ結果と思いながら、自らが動く事により不利益を被る相手の顔を楽しみながら戦っている。 「サイコパス?いいえ、ただの獣です。彼らが望んだ、好きなように蔑み、好きなように叩け、好きなように陥れることが叶う…彼らが創った絶対悪だ」
https://w.atwiki.jp/reply7delusive7play/pages/30.html
時代はまあ近未来、地球に似たとこ。突然変異の能力者やらサイボーグやら宇宙人やら悪魔やらが好き勝手暴れるもんだから治安最悪な世界。政府はそれらの対策のために囚人たちに「減刑と引き換えの命がけの任務」を持ちかける…系のアレ。今回はその囚人だよ!罪状とかいう @emXX_CnXXXXX コマンダー:未認可兵器保有により国家転覆を図ったとして収監。自身は宇宙艦隊所属の軍人である、と主張をしているが、現在そういった存在は確認されておらず、所属も毎回変わり、軍属記録もないため妄言と判断。しかし戦闘力と胆力は歴戦の戦士のそれである @_naXXXX_ ヴォルテイジ:発電所の破壊により収監。人工心臓と義手をつけているが未知の技術により詳細不明。また破損のためか充電が不完全で、長時間電気が流されないと死に至る。人間離れしたタフさと怪力を誇り、また放電なども可能。減刑ではなく完全な人工心臓との交換が願い @AvXXXXXXX エニグマ:罪状不明。ただ『厳重に収監せよ』と記述があったが後に削除。柔和な優男。任意の認識を曖昧にする能力がある。影響下にある文字や画像などを認識できなくすることから、壁をすり抜けたり複数の異なる物質を混ぜる、などができる。協力的なため現状維持 @kaXXX_pXXXX パイパー:複数人物の洗脳・扇動により収監。若い女。監獄は内部の気体を看守が吸わないように徹底すること。甘い香りの煙を発生させ操る。煙に触れたものを知覚でき、軽いものであれば動かすことが可能。またこの煙を吸い込むと一種の催眠状態に陥るため要注意 @kaXX_rXX エイリアス:不法侵入より収監。若い男。どのような場所、状況においてもいつの間にか様々な道具を所有し行使できる。道具に関しては煎じた薬草、剣、弓、液体の入った瓶など、どこかファンタジーを思わせるものばかり。未確認の協力者がいる可能性有り、厳重警戒を。 @RiX_XX クォーツ:殺人罪で収監。先の細い若い男。体表に淡く光る水晶のような物質を生成する特異体質。非常に硬度が高く、鋭いため要注意。また長く触れているものであれば周囲のものにも生成できるため直接触れ合わないこと。生成に関しては頻度が多いと貧血に似た症状が出る模様 @KoXXXXXXXXXXXXX イグザンプル:国家転覆の容疑で収監。若い男。一度見聞きしたものを完璧に記憶し、また一度記憶したものならば学問、武術、技術を問わず、完全に再現する技能を持つ。看守のクセ、身体的弱点などを短時間で見抜かれるおそれがあるため面会は禁止。 @reX_nXX リングス:器物損壊により収監。幼い少女。周囲にあるものを自身を中心として浮遊させ周回させることが出来る。周回速度は彼女の意思によって操作できるが、感情が昂ぶると速度が上がり、自衛のためか暴走気味に発動することもあるため扱いは慎重に。収監はむしろ保護 @LiXXX_X バジリスク:傷害事件により収監。若い少女。竜のような尾、肘から先が翼、膝から下が猛禽の脚になっている。また視線を合わせた相手の筋肉をごく短時間ながら強い緊張状態に陥らせることができる。直接目を見ないこと。また男性に対し強い敵愾心を見せるため女性看守を @shXXX_aXXXX スレッド:テロの扇動により収監。若い男。指先から黒い繊維を生成できる。強度が高く、僅かながら切断能力もある。またこれをコードのように用いることで電子機器に直接接続し操作、ハッキングができるため、電子機器を近くに持っていかないよう厳重注意 @hitXXXXXXXXXXXX リキッド:殺人罪で収監。性別不定。体を液状化する能力を持つ。液体の状態であっても自在に行動し、分裂することもできる。そこから元の人型に戻れるが、全く別人になることも可能な他、人間以外の別の動物になることもできるが、質量は無視できない。 @kouXXXXXXXXXXXX ガスト:器物損壊、傷害罪で収監。少女。手のひらと足の甲に溝のような器官があり、ここを風を切るように振るうことで突風や弱いカマイタチを起こすことが出来る。この風は命中箇所にまとわりつく性質が有り、直撃すると動きを阻害されるので要注意 @gulXXXXXX コフィン:機密拡散危機で収監。蛹や甲殻類を思わせる外殻で全身が覆われている。外殻は鋼鉄に似て非常に硬度が高い。外殻の一部が開き、そこから放たれる複数の虫それぞれの周辺状況を即時共有することで広域の把握が可能。このような外見だが遺伝子的には人間と同一
https://w.atwiki.jp/yaruoperformer/pages/1022.html
`ーァ ノ / Λ \ \`、 / / // / ∧ 丶 ゛\ / / 彡 / // /⌒\\ \ \ ー=彡-=7 彡 ノ/ / / ァ=--\\ ミ ミ 、 \ / / / ´ ′ / ′ 丶 ミ \ ⌒ー ミ ゙ ′ / ,/ / j `7=ー' ー=ミ、 / / /′/ / } // -=ニ三竺彡 / イ / /〈//彡 ゙ ` /´ ー=ミ \ ⌒ ノ⌒ア´ ゝミ\ ‐ァ′/{ \ミ=ー\ / // ` \ `く,__ '′ / -ーァー=彡 | // /} /j{ ≫ ., イ ´{ |/ j{_彡゙ j/ j{ 从{ (_ > 、 〃/ V ′ { / i{ / i| `ヽ `彡 ′ \,jI斗<ミ r 、 {′ | l i|i { ,,x≪~≧s。., |i ′ | l i|i { ,x≪ 〇 ~''< ; ; ; |i ′ 、jI斗 i|i≫'~ ; ; ; ; ; ≧s。., ~'' 从-| ≫''~;;/ 、jI斗f彡 \ ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ≧s。., /ーニリ ≫''~ ーv'゙=≦___ ; ; \ 〇 \ ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ノjI斗≦~^!ァ7 ≫''~/〇 /´ // ; ; ; ; ; \ \ ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ア´ー===≦~{ -// / /, / O // ; ; ; ; ; ; ; ; ; \ \ ; ; ; ; ; ; ; ; ; j{⌒≧==ミv-{z/ハ/ // ′ // ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; \ O ;;x≪⌒ j{ -=ニ_,ニニi{リ/r/〇 // ; ;/ // ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; \ x≪⌒ j{ -=〈八__,リr/;〈 // ; ; ; ;/ // ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;x≪⌒ j{ -= }!二二/x;; ;\/ ; ; ; ; ; ;/ O // ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;;x≪⌒. j{ -= リ二ニ/ ≫x゙ ; ; ; ; ; ; ; / //; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;;x≪⌒ j{ r=彡二r′ ⌒≫x; ; ; ;ー; ;==≦ ; ; ; ; ; ; ;x≪⌒ 名前:ヴォルフラム 性別:男 原作:狼の口~ヴォルフスムント~ 一人称:私 二人称:さん付け 口調:丁寧語/慇懃無礼 AA:狼の口~ヴォルフスムント~.mlt ハプスブクル家から関所ヴォルフムントに派遣された代官で通行管理の責任者。 優男だが冷酷非情なサディストで密行者を見抜く術に長ける。 AAとしては原作における彼の末路を描いたシーンまでAA化している。 末路以外のAAが30枚以上ある。後ろ姿1枚のほか、紙を手に持っているAAが1枚あるのが嬉しい。 会話用バストアップや目元、顔アップが大半だが、武器を構えたAAが3枚ある。 キャラ紹介 やる夫Wiki Wikipedia アニヲタWiki ニコ百 ピクペ 登場作品リスト タイトル 原作 役柄 頻度 リンク 備考 イムバドゥの悪魔 オリジナル 地球帝国宰相 脇 まとめ やる夫Wiki 完結 君はスペオペ宇宙で掴み取るようです オリジナル 帝国海軍少佐 脇 まとめ R-18 安価完結 ギャンブる冬優子 オリジナル 憧憬園の管理人、偽札ゲームの相手 脇 まとめ rss 完結 転生者やる夫は異世界で魔族と頑張るようです オリジナル 元貴族 脇 まとめ 予備 R-18G あんこエター ぼっち・ざ・そーどますたー オリジナル ハザード連合の財務大臣 脇 まとめ R-18 安価あんこ ミリオンクエスト~MP100万で異世界攻略~ オリジナル コロシアムの支配人の貴族 脇 まとめ 予備 レミリアは世界を旅するようです オリジナル 地の国の狼の口の代官 脇 まとめ rssWiki やる夫Wiki 安価 完結 短編 タイトル 原作 役柄 リンク 備考
https://w.atwiki.jp/tarowa/pages/91.html
堕天使の微笑 ◆ew5bR2RQj 地図で言うD−9の北端。 付近にあるのは牧場と、深い森のへ入り口。 何も無いと言っても差し支えの無いような場所に、一人の少女は降り立った。 彼女の名は水銀燈、容姿は一言で言えば美麗。 豪華な装飾の施された黒いドレスに身を包んでおり、その長い銀色の髪は夜空から射す月光を反射するほど。 何も無いこの場所に降り立つには勿体無い美貌だろう。 しかし彼女は不機嫌ではなく、むしろ上機嫌。 今の機嫌を表すかのように妖艶な笑みを浮かべていた。 彼女の機嫌がここまで良い理由はただ一つ。 このバトル・ロワイアルというゲームに、彼女の宿敵と呼べる人物が三人も参加していたからだ。 それは真紅、翠星石、蒼星石の計三人。 この三人は彼女の妹であるにも関わらず、宿敵として立ちはだかっているのである。 何故、実の妹が宿敵なのだろうか。 それを説明するには、彼女達の生い立ちから説明しなければならない。 ―――――――――――――――――――――――― 彼女達は水銀燈自身も含め人間ではなく、数百年前に天才人形師ローゼンによって作成された生きる人形であった。 名称はローゼンメイデン、彼女達はローザミスティカと名付けられた命を与えられ、 人形でありながら人間と同じように活動することがが出来るのだ。 そして彼女達は、今もどこかにいるローゼン――――お父様に会うことを夢見続けている。 これだけ聞けば、彼女達は随分と華やかな存在に見えるだろう。 しかし彼女達は決してそんな存在ではない。 彼女達には逃れることの出来ない、重すぎる宿命が課せられているのだ。 アリスゲームという名の、ローザミスティカの奪い合い。 ローザミスティカを全て集めれば、彼女達はアリスと呼ばれる完璧な少女に昇華することが出来る。 そしてローゼンは、アリス以外の前に姿を見せることはない。 つまり彼女達がローゼンに会うには、他の姉妹の命を全て我が物にしなければならないのだ。 故に、姉妹達は戦いあう。 それぞれが自らに宿る力を駆使し、他の姉妹を攻撃する。 真正面から攻撃を仕掛けたり、謀略を張り巡らせたり、必死の思いで逃げ回ったり。 彼女達の命であるローザミスティカが奪われれば、人間と同じように彼女達はその生命を終える。 だから敗北するわけにはいかず、戦う意思が無くとも力を行使しなければならない。 これが彼女達が背負わされた宿命の正体だった。 ドール達の中にはアリスゲームに消極的な者もいるが、水銀燈は積極的に行動しており、 他の姉妹達に何度も攻撃を仕掛けている。 それゆえ彼女は迷うことなく、行動方針を決定することが出来た。 (みんなジャンクにしてあげるわぁ……) 全ての参加者を殺害し、お父様に会いに行く。 これが彼女の行動方針だった。 (でもこのゲーム……一筋縄ではいかなそうね) 水銀燈は好戦的な性格だが、決して無計画というわけではない。 今回も闇雲に襲い掛かる真似はせず、綿密な策略を立てることにした。 理由は彼女達以外の参戦者、未知数の実力を持つ者が多数存在する。 そんな実力者達に下手に立ち向かい、返り討ちにあってしまえば笑い話にならない。 幸い彼女の能力は武器に依存するものではなく、背中の黒羽を駆使するもの。 その点では他の姉妹に比べて、一歩有利である。 だが、まだ足りない。 敵は姉妹だけではないのだ、この殺し合いを勝ち抜くのは生半可な努力では到底不可能だろう。 しかし決して無理と言うわけではない。 このゲームの鍵となる支給品を収拾し、使いこなせば二歩も三歩も有利になれる。 残念なことに彼女の支給品は、何の変哲の無い農作業用の鎌に杖とメロンパンと言う残念な組み合わせだったが、 他の参加者から支給品を巻き上げれば、全く問題は無い。 彼女はその翼で空中から奇襲を仕掛けることも出来るため、この方針は適していると言えた。 (当分の間は誰かから道具を奪い取って、殺せそうなら殺すって感じがいいかしらぁ。真紅や翠星石達は絶対に殺すけどぉ) 真紅達は彼女にとって憎むべき仇敵であると同時に、自身の能力を向上させる道具でもある。 他の姉妹ローザミスティカを自身に取り込めば、身体能力は上昇するうえに、その姉妹の特殊能力まで習得出来るのだ。 自分の悪評を広められると行動し難くなることもあり、危険を犯してでも抹殺する必要のある存在だった。 「待ってなさい、真紅、翠星石、蒼星石。必ずジャンクにしてあげるからぁ」 支給された鎌を握り締め、ゆっくりと宣言する水銀燈。 その表情は堕天使の微笑で彩られていた。 ―――――――――――――――――――――――― 彼女が殺し合いに乗るのを決意してからおよそ一時間。 森の中に潜む弱者を狩るため、彼女はD−9から西へ移動していた。 そして薄暗い森の中で、学生服を着た少年を見つける。 背丈はおよそ180センチ、男子学生の平均からするとやや高い程度だが、 人形であり身長が100センチにも満たない彼女にとっては、随分と巨大な存在に見て取れた。 しかし彼女が圧倒されることなど無い。 満面の笑みを浮かべながら月夜に舞い降り、少年の背後に舞い降りた。 「止まりなさい」 背後から言葉を受けて、体を反転させる少年。 この時彼女は初めて少年の顔を見たのだが、思わずぞっとしてしまった。 少年の顔自体は、誰もが口を揃えて美形と評価できるものだ。 知的で端正でどこか女性的な顔立ちだが、髪型は見るものに威圧感を与えるオールバック。 一見似合いそうにない組み合わせだが、それすらも様になっている。 だが彼女の目には、少年の容姿など入っていなかった。 彼女の目に映っているのは、少年の瞳。 磨かれた鏡のように彼女を映すその瞳は、まるで感情が通っていないかのように冷たく感じられた。 「…………」 少年は言葉を吐き出さず、表情に変化は無い。 けれども自分に対し即座に攻撃を加えない様子から、とりあえず安堵することが出来た。 「あなた……名はなんていうの?」 十数秒の沈黙を破り、あくまで自然に名前を聞き出す水銀燈。 「桐山……桐山和雄」 それに対し少年―――桐山和雄は低くは無いが威圧感のある声で答えた。 名前を聞き出してから十数秒、また静寂が訪れる。 その間も桐山は表情も姿勢も変えることなく、ただ暗闇に佇んでいた。 彼女の持つ鎌に視線を注ぎながら。 「これが気になるの? ごめんなさぁい でもこの場で何の武器も持たずに行動するのはお馬鹿さんじゃなくって?」 そう言いながらも、鎌をデイパックに仕舞う水銀燈。 その姿を見届けた桐山は、興味を失ったのか視線を彼女の顔へと戻した。 彼女の目的を達成するには、自身を桐山に信用させなければならないのだ。 彼女の目的は、彼から様々な情報を引き出すこと。 このゲームの参加者の中に彼女の知り合いがいるように、桐山にもいるかもしれない。 さらに自分に会う前の情報等を得ておけば、何かと役に立つ可能性があるのだ。 「それで……いくつか質問があるのだけれど構わないかしら?」 彼女の質問に対し、桐山は表情を変えず頷いた。 「私に会う前に何があったか教えなさい」 「……オレはずっとこの辺を歩いてただけで、誰かに会ったのもお前が初めてだ」 質問に対する桐山の返答は、彼女の期待を大きく下回るもの。 この回答で得られた情報は、皆無と言っても正しいだろう。 「つまらないわねぇ……じゃあこのゲームに貴方の知り合いは参加しているのかしら? もし居るならば、名前と簡単な情報を教えなさい」 質問を受けた桐山は、デイパックから名簿を取り出し説明を始める。 「オレの知っている人間は――――」 彼が指差した名前は稲田瑞穂、織田敏憲、千草貴子、三村信史の四人。 どれも平凡な、日本人の名前であった。 「……他に知っていることはないの?」 「無い」 「……そう、残念ねぇ、質問はこれで終わりよ」 予想以上に収穫が少なかったことに彼女は肩を落とし、つまらなそうに溜め息を吐く。 強襲を警戒しながら出てきたにしては、割りに合わない結果であった。 (つまんない男ねぇ……) 桐山の背中を見ながら、心中で呟く水銀燈。 彼女が『質問はこれで終わりよ』と言った直後、彼は『そうか』と一言だけ残し去っていってしまったのだ。 彼がもし何かに長けた人間で利用価値があったならば、彼女は同行するつもりであった。 しかし彼に面白味など存在せず、所持していた情報も殆ど意味が無い。 となれば、彼をどうするかなど彼女の中で決定していた。 ――――殺す。 飾りのように伸びていた翼を伸ばし、空中へ浮き上がる。 そして桐山へ向けて翼を構え、こう告げた。 「ジャンクになりなさぁい!!」 彼女の怒声と共に桐山へと飛来する大量の黒い羽。 それは鋭利な刃物のように変化しており、まさに矢の雨と言わんばかりの攻撃である。 普通の人間がこの丸腰の状態でこの攻撃を受ければ、平気ではいられないだろう。 普通の、人間ならば。 「――――ッ!?」 桐山はふわりと背後を振り返って彼女を一瞥する。 その間に一枚の羽が彼の右上腕に突き立てられるが、 残りの弾丸は、全て回避してみせたのだ。 まるで最初から予知していたかのように、鮮やかに宙を舞いながら。 思いがけない事態に、彼女は唖然とする。 だがそれだけでは終わらない。 彼女に発生した一瞬の隙を突いて、桐山は一気に眼前へと迫ってきたのだ。 (いけない……!) 危機を直感して、腹の前で腕を交差させる水銀燈。 刹那、物凄い衝撃が体全体を襲い、彼女は数メートル後ろに吹っ飛ばされた。 「くっ……このぉ!」 空中で旋回し体勢を立て直した後、翼を広げてさらに上昇する。 吹っ飛ばされた事が幸いし、彼女が苦手とする接近戦からは脱出することが出来た。 (あんな力をただの人間が出せるなんて……) ズキリと痛む右腕を左手で押さえながら歯軋りする水銀燈。 防いだにも関わらず桐山の一撃は、左腕、そして身体にまで均等に及んでいた。 彼女が知る桐山と同年代の少年は、思わず嘲笑したくなるほど貧弱であり、 一般人と比較しても身体能力が上であるローゼンメイデンには、とても敵いそうに無かった。 しかし桐山和雄は何かが違う。一般人とは何かが。 その証拠に初見であるはずの彼女の攻撃をほぼ完璧に回避し、そのうえ迎撃まで成功させている。 普通の人間で無いのは、もはや明確だろう。 続いて発せられる一撃、浮遊する彼女にその強靭な脚力を披露するかのように飛び上がる。 ただのジャンプにも関わらず飛距離は彼女の元まで届いている、やはり只者ではない。 「人間のくせに……」 四本の揃えた指先を彼女に向けている。貫手と言う技だ。 切っ先は彼女の急所を的確に捉えており、今まさに貫こうとしている。 「舐めるんじゃ……ないわよぉ!!」 向けられた手の甲を蹴飛ばし、貫手の軌道を逸らす水銀燈。 桐山の貫手はその正確過ぎる狙い故、直線的になっていたのだ。 さらに彼女は空中を自由自在に動けるのに対して、彼は脚力で飛んだだけ。 彼女に強大なアドバンテージが存在する以上、彼の手が届かないのは最初から決まっていたのだ。 (この私を愚弄するなんて……絶対に許さないわぁ!) 目を見開いた彼女は、鋭い視線を桐山に叩きつける。 無理も無い、彼の放った先ほどの貫手。 あれが本気で命中すると思っていたのならば、翼を持つ彼女を確実に見縊っている。 それはプライドの高い彼女にとって許せないことであったし、自身の製作者であるローゼンを侮辱されたも同然。 彼女はそれを許容できるほど、温情のある人物ではないのだ。 「死になさいッ!!」 彼女は語気を強め怒りを露わにしながら、勢いを失い落下していく桐山に翼を向ける。 そのまま激情に任せ、再び黒羽の弾丸を放とうとした――――その瞬間。 体中の怒りが霧散し、頭に上っていた血が急速に冷めていくのを感じた。 空中を落下する桐山が彼女を睨みつけているのだ、黒光りする銃口と一緒に。 (う、うそ……!?) 彼女の頬を一滴の冷や汗が通り過ぎる。 いつの間に用意したのか、という疑問を彼女が抱く前に、 パン、と乾いた音と共に銃口から一発の鉛球が迸った―――― ――――少年が一人、虚空を眺めている。 いや、正確には虚空に揺らめく白煙の流れを目で追っているのだ。 銃口から漏れ出るその煙は、白いせいか暗闇の中でも存在を主張していた。 だが、それよりも目立つ者が一人。 白銀の髪は夜という世界に光を生み出し、漆黒の服は闇によく馴染んでいる。 姿だけを見れば、彼女はやはり優雅だ。 しかし今の彼女の瞳孔は大きく見開き、吐息は乱れている。 容姿とは対照的に、今の彼女は優雅と言う言葉からは程遠い存在だった。 「全く……やってくれたわねぇ……」 彼女――――水銀燈は肩で息をしながら言葉を吐き出す。 宙に浮いているその身体に傷は見当たらないが、彼女はまるで致命傷を負ったかのように顔面を歪めていた。 桐山の拳銃が銃弾を吐き出した瞬間、彼女は攻撃体勢を解除し翼を強引に羽ばたかせた。 その結果彼女の身体は左に1メートル程逸れ、銃弾を避けることに成功したのだ。 銃弾は数秒前まで彼女の額があった部分を通り抜け、そのまま闇夜に消えていく。 それを見届けた後に、先ほどの桐山の貫手が拳銃を所持しているのを気づかせないための囮だということに気づいた。 (これからどうしようかしらぁ) 彼女は思考を展開しようとして、すぐに現実に引き戻される。 桐山は彼女に考える時間を与えるほど、甘い性格ではないのだ。 「くっ……」 再び翼を広げ、銃口から逃げようとする水銀燈。 引き下がることが出来ない以上、彼女は戦うしかないのだ。 しかし銃口はどこまでも彼女を捉えて離さない。 数秒間の逃亡撃が繰り広げられた後、二発目の銃弾が放たれた。 破裂音が周囲に響き渡り、銃口から弾丸が発射される。 弾丸は回転しながら、一瞬、一瞬のうちにどんどん彼女へと接近して―――― 突然、緑色の輝きを放つ宝玉へと変化した。 「どうなってるの一体……」 彼女は何が起きたのか理解できず、思わず混乱してしまう。 桐山もそれは同じなようで、虚を衝かれたように口を大きく開けていた。 そのまま二人の時間が停止し、十数秒ほど過ぎた後。 「そこの二人、お止めなさい!!」 声を張り上げて二人を制止しながら、一人の男が戦場に乱入してきた。 (な、なんなの、この男……) 息を切らしながらこの場に訪れた男を、空中から見下ろす水銀燈。 見たところ桐山より若干身長は低めで童顔、優男と言った風貌だ。 しかしこの男の目は顔に似合わず、幾戦もの修羅場を掻い潜ったかのような目をしている。 「そこの貴方、銃を降ろしなさい、さもないと……」 優男は宙に浮く八つの宝玉を桐山の周囲に浮遊させ、行動を制限する。 桐山も周囲を見渡し脱出不可能と悟ったのか、素直に銃を降ろした。 (運が回ってきたようねぇ、この男……利用しないわけにはいかないわぁ) おそらく優男は勘違いをしていて、彼の中では桐山が危険人物で自分が襲撃を受けた被害者。 彼を利用して桐山を殺害してしまえば、一気にこの場を掻い潜りぬけられるだろう。 一瞬でここまで頭を回転させ、救援を要請しようとした直後。 予想外の形で、彼女の作戦は失敗を告げることになる。 「貴女は……す、水銀燈!?」 こちらを見上げた優男が急に狼狽し、彼女の名前を読み上げる。 その様子を見て、彼女の中に一つの予想が生まれた。 この男は自分のことを知ってるのではないか、と。 そして、最悪の形で予想は的中してしまう。 「あすか君!!」 素早い動きで、この場に現れる小さな影。 シルクハットを被った赤と緑のオッドアイ、青を模した服装。 聞き間違えるはずも無い、声。 水銀燈と同じローゼンメイデンの第四ドール、蒼星石だ。 情勢は水銀燈にとって最悪と言っていいだろう。 利用しようと思っていた優男―――あすかは桐山の拘束を解き、八つの宝玉を空中に待機させている。 さらに先ほどまで自分を追い詰めていた桐山、そして仇敵である蒼星石。 一人一人なら撃破することが出来たかもしれない。しかし今は三対一。 どう考えても、彼女の不利は否めなかった。 (……この私が追い詰められるなんて……) 目の前にいるのは、多少の危険を犯してでも抹殺しておきたかった相手。 だが今は、多少と呼べる状態ではないのだ。 ただでさえ化け物染みた運動能力を持つ桐山に、 未知の特殊能力を持つあすかに、同じローゼンメイデンである蒼星石が加わったのだ。 「…………」 幸い今の彼女は空を飛んでおり、撤退するには最適の状態。 「あすか君、早く!!」 「ええ、分かってます」 蒼星石の掛け声と共に、八つの宝玉が彼女へと迫り来る。 逡巡している時間は、無い。 「覚えてなさいッ!」 黒羽の弾丸を飛ばし、宝玉の動きを鈍らせる水銀燈。 さらに弾丸を発射した勢いを利用し、高度を上げ、 戦場から、飛び去っていった。 ―――――――――――――――――――――――― 「まさか私が無様に逃げ去ることになるなんて……」 苦々しげに、そして自嘲的に笑む水銀燈。 彼女は西の方に逃亡し、D−7エリアの木に腰を掛け身を休めていた。 彼女の中で逃亡したという事実がぐるぐると駆け巡っていく。 高貴な性格である彼女は、無様に逃げ出した自分を許すことが出来ないのだ。 「くっ……」 ズキッと両腕、とくに右腕が痛みを訴える。 身体に受けた痛みは既に回復したものの、直接触れられた両腕はまだ衝撃が残っていた。 「この落とし前は必ず付けさせてもらうわよ」 そうは言ったものの、どうすればよいのだろうか。 おそらく桐山は、あの二人と手を組み同行することになるだろう。 三人もの参加者を一網打尽にするには、それなりの支給品、あるいは協力者が必要になる。 蒼星石のローザミスティカは確実に奪取しておきたい代物であるし、どうすれば―――― 『――この声が聞こえますか。僕の声が聞こえますか。』 「……!?」 突然流れ始める声、拡声器でも使用しているのか辺り一帯に響いている。 『僕は……北条、悟史と言います。この声が聞こえている人は聞いてください。 僕は今、妹を探しています。北条沙都子と言います。 沙都子は……妹はこんなところに呼ばれて、酷く怯えていると思うんです。 この声が聞こえた人は、どうか妹を、沙都子を探してください!! すごく自分勝手なことを言っているのかもしれない…… でも、僕にとっては、大事な、本当に大事な妹なんです……っ!! どうか、妹を探すのを、手伝ってくださいっ!! それから、これを聞いているのがレナ、魅音、詩音……さんだったら、 あるいは、沙都子自身が聞いているなら、僕のところに来てくれ!! 僕は今、地図でいうとC-7にいるんだ。 頼む!!必ず来てくれっ!! ……僕は絶対――』 『僕は絶対――戻るんだ、あの笑顔がある世界に!!』 北条悟史という人間の、仲間を集う声。 それは確かに、ここにいる水銀燈の耳に届いた。 【一日目黎明/D−7 木の枝の上】 【水銀燈@ローゼンメイデン(アニメ)】 [装備]農作業用の鎌@バトルロワイアル [所持品]支給品一式 メロンパン×5@灼眼のシャナ、ルイズの杖@ゼロの使い魔 [状態]両腕に軽症、疲労(小) [思考・行動] 1、出会った人間から情報を収集した後、利用出来そうなら利用する。 2、利用出来そうに無い場合は殺害(ローゼン勢は多少の無理はする)、最低でも支給品は奪いたい。 3、桐山和雄、橘あすか、蒼星石には必ず復讐する。 4、悟史の呼び掛けに対してどうするか…… [備考] ※参戦時期は蒼星石のローザミスティカを取り込む前です。 「申し訳ありません、事情も知らずいきなり拘束してしまって……」 時間は僅かに遡り、D−8エリア。 先ほどの戦いにおいて、銃を所持していたという理由で否応なしに拘束してしまったことに対して、 橘あすかは謝罪を述べていた。 彼は先刻、蒼星石を襲撃した拳銃使いを取り逃がしている、 故に、拳銃使いには最善の注意を払っていたのだ。 最も蒼星石に確認し、彼女を襲ったのが桐山ではないと判明したのだが。 「……オレは別に気にしていない……」 桐山も言葉の通り別気にしてはいないが、それでもあすかは頭を垂れ落ち込んでいる様子。 彼は先ほどから自分の行動が空回りしてばかりなのだ。 「和雄君も気にしてないって言ってるんだし、もういいんじゃないかな? 水銀燈を取り逃がしたのは心残りだけど……あれ? 和雄君、右肩に羽が刺さってるよ」 あすかを宥めていた蒼星石は、桐山の右上腕に刺さった羽に気づき指摘する。 指摘され右腕に目をやった桐山は、無表情のまま刺さった羽を抜き取り地面に叩き落した。 「「な……」」 いきなりの桐山の行動に、蒼星石とあすかは揃えて言葉を詰まらせる 「だ、大丈夫!? いきなりそんなことしたら……」 溢れ出る鮮血を見て、思わずうろたえる蒼星石。 傷口からは血が噴出し、制服に染みを作っていっている。 だが当人である桐山は、まるで他人事のように平然としていた。 「そうだ、僕に治療をさせてください!」 そう言うと同時に周囲の地面や木が消滅し、再びあすかの周囲に八つの宝玉が発生する。 「大丈夫です……すぐ終わりますから」 桐山の額に宝玉のうちの一つを宛がい、力を送り始める。 宛がわれた宝玉は呼応するかのように輝きを増し、そして数十秒後に離れていった。 「僕のエタニティエイトで貴方の治癒力を促進させました、すぐに効果は現れないと思いますが……」 「エタニティエイト……?」 無表情だった桐山がこの宝玉に興味を抱いたのか、感心したような目付きで問いてくる。 「あ、すいません、アルター能力の説明が遅れました、アルターと言うのは――――」 『――この声が聞こえますか。僕の声が聞こえますか。』 彼がアルター能力を説明しようとしたその瞬間、先ほど水銀燈が聞いていた声が彼等の耳にも届き始める。 それを聞いた三人の顔は、三者三様に染まっていた。 あすかは呆然と、蒼星石は心配し、桐山は無表情。 しかし彼等にもまた、しっかりと悟史の声は届いていた。 桐山和雄には、幼い頃の事故のせいで感情というものが欠落していた。 だからか、彼が大東亜共和国いた頃にこれと同じような催し物に参加した時も、 人を殺してはならないという価値観も存在しないためか、彼はかつてクラスメイトであった人間を十五人も殺害してみせた。 しかし真に恐ろしいのは、彼が殺し合いに乗る経緯。 彼はコイントスの裏表で行動方針を決定し、そのまま実行に移したのだ。 ここからも彼の適当さ加減が伺える。 そして、これが本題。 彼は今回、どのようにして行動方針を決定したのだろうか。 ――――答えは『最初に会った参加者を真似ること』 最初に会った参加者、つまり水銀燈。 彼女の行動方針は遭遇した参加者から情報を聞き出した後、利用出来るなら利用、出来ないなら殺害。 実際は違うのかもしれないが、彼はそう解釈していた。 つまり今の彼は、再び殺し合いに乗っている。 それには、同行者である橘あすかも蒼星石も全く気づいていない。 今ここに、最低最悪の殺戮マシーン桐山和雄が再臨した。 冷たい仮面の下に、堕天使の微笑を浮かべながら。 【一日目黎明/C−8 西側】 【桐山和雄@バトルロワイアル】 [装備]コルトパイソン(4/6)@バトルロワイアル [所持品]支給品一式、コルトパイソンの弾薬(24/24)、ランダム支給品0〜2(確認済み) [状態]右上腕に刺し傷、治癒力向上(どの程度かは不明) [思考・行動] 1、遭遇した参加者から情報を聞き出した後、利用出来るなら利用、出来ないなら殺害する。 2、とりあえずは蒼星石、あすかに同行する。 3、悟史の呼び掛けはどっちでもいい。 [備考] ※本編死亡後からの参戦です。 ※蒼星石、あすかとは名前以外の情報は交換していません。 【蒼星石@ローゼンメイデン(アニメ)】 [装備]防弾チョッキ@バトルロワイアル [所持品]支給品一式、シザースのデッキ@仮面ライダー龍騎、ランダム支給品(確認済み)0〜2 [状態]健康 [思考・行動] 1、南の市街地にある図書館へと向かう 2、自分と蒼星石の仲間(カズマ、劉鳳、クーガー、かなみ、真紅、翠星石)を集めて脱出する 3、襲ってくる相手は容赦しない 4、悟史の呼び掛けに対してどうするか…… ※無印本編終了後〜トロイメント開始前からの参戦です ※nのフィールドにいけない事に気づいていません 【橘あすか@スクライド(アニメ)】 [装備]エタニティエイト [所持品]支給品一式、ランダム支給品(確認済み)0〜2 [状態]健康 [思考・行動] 1、南の市街地にある図書館へと向かう 2、自分と蒼星石の仲間(カズマ、劉鳳、クーガー、かなみ、真紅、翠星石)を集めて脱出する(出来ればかなみ優先) 3、襲ってくる相手でも、出来れば戦わずに和解したい 4、悟史の呼びかけに対してどうするか…… 時系列順で読む Back 悲劇、決意、そして覚悟 Next 三人寄れば……一体どうなる? 投下順で読む Back 弱肉強食の理 Next ウィッチ×ブレイド GAME START 水銀燈 047 スザク と 銃口 桐山和雄 064 危険地帯 012 苦労をするのはいつだって良識ある常識人 蒼星石 橘あすか