約 23,423 件
https://w.atwiki.jp/monsters/pages/176.html
関連 → ヤンマとアカネ 虫の甲斐性 859 ◆93FwBoL6s.様 戦いの余韻が残る体を、ベンチに預けた。 爪に付いた砂と土を払ってから、手近な自動販売機で買ってきた樹液ベースのドリンクを開け、喉に流し込んだ。胃の中に冷たく甘い液体が満ちていくと、少し温度の上がった体液も冷めていき、全身の高揚感も落ち着いた。 昼下がりの太陽の下、公園のベンチに座るヤンマは、背もたれと座面の間から出した長い腹部を揺らしていた。縄張り争いのために昆虫人間と戦うことは日常の一端だが、勝ち負けは半々なので、勝てると当然気分が良い。ヤンマは飛行能力に長けているが、反面ウェイトがない。だから、体格が大きく重量のある甲虫相手では不利だ。今回ヤンマに絡んできたチョウ人間のように身の軽い相手ならば、ヤンマ程度の腕力でも簡単に吹っ飛ばせる。大分痛め付けたので、当分この近辺には姿を現さないだろう。この調子で、縄張り争いを勝ち続けられれば良いが。 「おう、鬼の字じゃねぇか」 野太い声を掛けられ、ヤンマが複眼を上げると、三メートル近い巨体の人型のヘラクレスオオカブトが立っていた。 「ヘルさんじゃないっすか。どうしたんすか、こんな昼間に」 ヤンマが腰を上げて体をずらすと、ヘラクレスオオカブトは左隣に座り、巨体に見合った重量で座面を軋ませた。 「俺は夜の生き物だが、たまにゃ日差しを浴びねぇとおかしくなっちまうからな」 ヘラクレスオオカブトは中左足に抱えていたセカンドバックを開け、昆虫人間用のタバコを出して火を付けた。 「鬼の字、お前もやるか?」 「いや、遠慮しとくっす。俺は嫌いじゃないんすけど、匂いが残ってるとあいつがうるさいんで」 ヤンマが差し出されたタバコの箱を押し返すと、ヘラクレスオオカブトはツノを揺すって笑った。 「相変わらずだなぁ、お前は」 豪快な笑い声を放つヘラクレスオオカブトを見つつ、ヤンマは顎を噛み合わせた。半笑い、といったところだった。この街に住む昆虫人間ならば、彼のことを知らない者はいない。通称ヘルと呼ばれているが、本名は解らない。本虫が名乗らないし、それ以前に誰も知らないからだ。唯一解っていることは、日本生まれではないことだ。鬼の字、という通称は、ヤンマの名字の鬼塚から来ている。決して、ヤンマが鬼神の如き強さを持っているからではない。 ヘルは強い。ヤンマでは足元にも及ばない。見た目通りの腕力もさることながら、巨体に似合わぬ敏捷性が武器だ。この街に来たばかりの頃、絡まれたので挑んでみたが三秒で負けた。だが、妙に気に入られて可愛がられている。ヘルは人間主体のヤクザと連んでいるらしいので、行く行くはそちらに引き込まれるのでは、と冷や冷やしている。だが、その点を除けば実に気の良い男で、顔を合わせるたびにヤンマのどうでもいい話を腰を据えて聞いてくれる。 「だが、女ってのはいいもんだよなぁ。特に人間はな」 人間のタバコよりも渋みの少ない煙を顎の隙間から漏らしながら、ヘルは背もたれに寄り掛かって板を鋭く鳴かせた。 「あったけぇし、柔らけぇし、花みたいな良い匂いがする。鳴き声だって、獣よりも可愛気があって虫よりも艶がある。俺も昔は人間の女を囲っていたが、あいつはもう堅気の女だからな。だが、今でもたまに思い出しちまうよ」 「一度人間に慣れちまうと、虫のメスには欲情出来なくなりますよね」 「違いねぇや。俺が言うのもなんだが、虫ってのはどうにも硬くて面白味がねぇんだよなぁ」 タバコを顎の隙間から外してベンチ脇の灰皿に押し付けたヘルは、黒光りする複眼でヤンマを見やった。 「そんで、鬼の字。仕事は見つかったのか?」 「一応は。でも、今の仕事は繋ぎっすよ。見ての通り、昼間は時間があるんで、ちゃんと探すつもりっす」 「そうかぁ。次は長続きするといいなぁ」 頷いたヘルは、二本目のタバコを顎に挟んで火を灯した。 「お前は幸せだよ、鬼の字。最初から堅気で生きているんだからよ」 「堅気ってほど堅気じゃないっすよ。今だって、虫とやり合ってきたばっかりなんすから」 「それでも、俺に比べりゃ随分マシだ」 ヘルは顔を逸らし、尖ったツノで晴れ渡った空を示した。 「俺は虫だ。武器であり盾だ。そこから先に行こうとしても、なかなかどうして上手く行かねぇもんでなぁ」 「そう、っすね」 心当たりがないわけではなく、ヤンマは言葉を濁した。人に合わせて出来上がった社会では、虫は弾かれてしまう。ヤンマが就職後三ヶ月でクビになったことなど、日陰の世界で生きるヘルの身の上に比べれば大したことはない。彼から聞き出したこともなければ聞かされたこともないが、ヘルの言葉の端々や立ち振る舞いからは苦労が窺えた。 「んで」 ヘルは顎を引き、上左足の爪でヤンマを指した。 「で、って?」 「だからよ、お前は女がいるんだろ?」 「そりゃ、いますけど」 「そいつとどうなりてぇんだよ、鬼の字は。結婚する気だったら、さっさとやっちまった方が身のためだぜ」 ヘルに迫られ、ヤンマは腰を引いたが長い腹部がベンチに引っ掛かってしまった。 「考えてないことはない…んすけど、今のままじゃいくらなんでも切り出せないっすよ…」 「女ってぇのは可愛いが面倒な生き物でよ、態度で示そうが金や物を与えようが満足しねぇんだよ。だから、その気 だったら言っちまえ。じゃねぇと、不安になったとかなんとか言われて浮気されて、捨てられるかもしれねぇぜ?」 「あかっ、いや、あいつに限ってそんなこたぁ!」 腰を上げたヤンマがヘルに掴み掛かりそうになると、ヘルはぐいっとヤンマの頭を押さえた。 「俺の経験を侮るんじゃねぇぞ、鬼の字。女ってのは信用ならねぇ、だがそこが面白い」 「でも…言うのはなぁ…」 頭を押さえられたヤンマが項垂れると、ヘルはヤンマの羽を痛めない部分を選んで背を叩いてきた。 「言うだけなら金も掛からねぇし、手間も掛からねぇじゃねぇか。ちったぁ恥ずかしいけどな」 「その恥ずかしいのが問題なんすよ」 「とにかく頑張れや、鬼の字。その女がそんなに大事なら、首輪でも指輪でも付けとけ」 あばよ、とヘルはセカンドバッグを抱えて立ち上がり、公園を後にした。取り残されたヤンマは、足元を見つめた。茜に限って、ヘルの言うようなことがあるわけがない。あってたまるか。あったら泣ける。死ねる。生きていられない。けれど、そこまで思っているのに、結婚しようと言う勇気が湧かない。結婚したいとは思うが、言葉に出来ないのだ。考えてみれば、好きだと言ってやったことも少ない。爪の本数で足りる回数だ。そう思うと、ますます不安に駆られる。 「首輪…」 途端に、裸に首輪一つの愛玩動物の如き茜が脳裏に浮かんでしまい、慌てて払拭して独り言を言い直した。 「指輪、なぁ」 今まで茜にプレゼントしたものには、まだなかったはずだ。去年の誕生日に贈ってやったのは、ぬいぐるみだった。元々、茜は趣味が子供っぽい。というより、成長していない。背格好も標準よりも小さめで、嗜好も幼い頃と変わらない。だから、ヤンマの方もつい幼い頃の感覚になってしまい、茜へのプレゼントも態度も幼馴染みが相手のそれである。 これではいけない。焦燥感と危機感を抱いたヤンマは立ち上がろうとしたが、長い腹部が背もたれに引っ掛かった。つんのめりながらベンチから離れたヤンマは、空き缶をゴミ箱に投げ込んでから、指輪を探すべく街中に飛び出した。 茜に好きだと言おう。そして、結婚を申し込もう。 テーブルには、小さな箱が鎮座していた。 風呂場からは茜の鼻歌が漏れ聞こえ、心なしか居間の空気も湿って生温い。ヤンマは、ひたすら箱を睨んでいた。エメラルドグリーンの複眼に映るのは、赤いビロード張りの小箱だった。恐る恐る爪先を伸ばし、蓋を開けてみる。光沢を帯びた白い布が張られた内部には、店で見た時と変わらぬ姿のピンクの宝石が填った指輪が収まっていた。だが、五秒と直視出来ずに箱を閉めた。意味もなく息が荒くなってしまい、腹部を膨らませながら、その箱を掴んだ。 「何やってんだ、俺…」 指輪の入った小箱を押し入れの奥に隠し、ふすまを閉めてから、ヤンマは頭を抱えた。 「もっと何やってんだー!」 隠してどうする。見せなければ意味がない。プレゼントしなければ意味がない。だが、恥ずかしくて見せられない。指輪を買った時も逃げ出したいほど恥ずかしかったが、今の方が十倍恥ずかしい。体液が沸騰して脳が煮えそうだ。 「何騒いでんの?」 脱衣所と廊下を隔てるドアが開き、バスタオルを被った茜が顔を出した。 「なっ、なんでもねぇよ!」 ヤンマが上擦った声を上げると、茜は濡れた髪を拭いながら訝しげな目を向けた。 「ふーん」 茜は顔を引っ込めて、脱衣所のドアを閉めた。しばらくドライヤーの轟音が続いた後、茜は居間に戻ってきた。喉を潤すために水を一杯飲み干してから、茜はヤンマに向いた。ヤンマは居たたまれなくなって、触角を揺らした。平静を装うために胡座を掻いて座ったが、ちっとも落ち着かない。それどころか、恥ずかしすぎて気が狂いそうになる。 好きだと言うだけなら、と思うが、胸郭が震えない。汗が出ないはずなのに、嫌な汗が出ているような錯覚に陥る。俺ってこんなに根性なかったっけ、とヤンマが凄まじい自責の念に駆られていると、茜が胡座の上に腰を下ろした。 「ヤンマ」 茜はヤンマの胸に寄り掛かると、上目に睨んできた。 「賭け事は絶対にしちゃダメだからね?」 「そんなもん、してねぇよ。そもそも注ぎ込む金がねぇだろうが」 「だったらいいんだけど」 「俺を信用しろよな」 ヤンマは中両足で茜の腹部を抱き締め、背を曲げた。 「してるってばぁ」 茜がくすぐったげに身を捩ると、ヤンマは石鹸の匂いが零れる襟足に触角を寄せ、顎を開いて細長い舌を伸ばした。汗の代わりに水気が残る首筋にぬるりと這わせると、茜は喉の奥で小さく声を漏らし、ヤンマの上右足に腕を絡めた。 「…したいの?」 恥じらいと期待の混じった目で見つめられ、情欲に駆られたヤンマは先程までの葛藤を押し込めた。 「されたいんだったら、ちゃんと言え」 「意地悪」 茜がむくれると、ヤンマは中両足で茜のパジャマと肌着を捲り、控えめな乳房を柔らかく握り締めた。 「んっ」 「風呂に入る前の方が良かったかもしれねぇな」 「そっちの方が嫌だよぉ…」 茜が頬を染めて俯いたので、ヤンマは中両足の爪の腹でまだ尖っていない先端を押し潰した。 「俺は好きだけどな。茜の味がする」 「私はそれが嫌なの! ヤンマの変態!」 「ひっでぇな」 ヤンマは少し笑いながら、刺激を受けて充血した茜の乳首を爪の腹で挟んでやった。 「あうんっ!」 「さあて、今日のは何だ」 ヤンマは茜の腰を浮かせると、上両足でパジャマのズボンを引き下ろして脱がせ、その下着を見下ろした。可愛らしいピンクのハート柄でワンポイントのリボンが付いていて、高校二年生が身に付けるものにしては幼い。 「なんだよ、またこんなガキ臭いの買ったのか」 「いいじゃないの、好きなんだから!」 茜はパジャマの裾を下げて隠そうとするが、ヤンマは上両足で茜の腕を押さえ、腰を上げて腹部を前に出した。 「まあ、いきなりスケスケの紐パンなんか履かれても困るしな」 腹部の先端を持ち上げたヤンマは、太い針に似た生殖器官を外骨格の中から出すと、茜の足の間に差し入れた。茜は足を閉じようとしたが、ヤンマの生殖器官の先端が下着に届いた。陰部を探るように、クロッチを撫でていった。そして、生殖器官の先端が肉芽に引っ掛かった。茜が喉の奥で喘ぎを殺すと、ヤンマは茜の顎を掴んで顔を寄せた。 「んで、どうされたい?」 「すぐに入れちゃ、やだ…」 「そりゃどうしてだ」 「すぐに終わっちゃったら、なんだか勿体ない気がして」 「言うじゃねぇか」 ヤンマは顎の中に舌を収めると、上両足で茜の両足を広げ、生殖器官の先端で硬くなり始めたクリトリスを押さえた。茜は鼻に掛かった声を漏らし、ヤンマに縋る。指よりも爪よりも太く硬い先端で押し、潰してやると、茜の声が増した。だが、下着は外さない。直接触れれば刺激も高まるのだろうが、どこまで焦らしてやれるかという気分になっていた。熱く柔らかな膣内に生殖器官を押し込みたい衝動に駆られながらも、ヤンマは茜の乳首ではなく乳房全体をこね回した。 「う、あ、はぁ、ふぁあっ」 茜は目を潤ませ、悩ましく息を荒げる。自分自身の潤いで下着が濡れた感触に、ひどい羞恥心に駆られてしまった。乳房だけを弄ばれると、尖った乳首に触れられないのがもどかしい。けれど、それを口にするのは耐えられなかった。いつものことながら、息を荒げているのは茜だけだ。ヤンマは表情が窺えない上に、欲情しているかどうか解らない。彼の生殖器官は外骨格なのでどんな時でも硬く、力強い。言葉に滲み出ている時もあるが、そうではない時の方が多い。だから、自分だけ欲情しているようで情けない。茜は乾いた喉に唾を飲み下してから、ヤンマの生殖器官を両手で包んだ。 「ん…」 長い腹部を持ち上げた茜は、ヤンマの生殖器官に舌を這わせた。唾液を塗り付けるように、何度も何度も舐める。 「がっつくなよ、ちゃんと入れてやるから」 ヤンマがにやけると、茜は振り向いて言い返した。 「だって、私だけ気持ち良くなってるみたいで悪いんだもん」 「いつものことじゃねぇか。それに、俺が気持ち良くねぇなんて言ったことはねぇぞ?」 「でもさぁ」 茜が不満げにむくれたので、ヤンマは彼女の腰を持ち上げて四つん這いにさせた。 「だったら、こうすりゃ文句ないだろ」 「んあっ!」 下着の足回りから冷たい異物を差し込まれ、茜は目を丸めた。 「すっかり出来上がってんじゃねぇか」 下着の中に滑り込ませた舌先で膣内を探ったヤンマが笑うと、茜は恥じらって目を伏せた。 「だって…」 「茜、少し太ったか? 尻回りの肉が前に比べて厚いんだが」 「こんな時にそんなこと言わないでよ! 確かにそうだけど!」 茜が二つの意味で赤面すると、ヤンマは成長途中の臀部を覆う薄布をずらし、顎を開いて浅く噛んだ。 「この肉が胸に付けばいいんだがなぁ」 「ちょっ、ヤンマ、どこ噛んでんのー!」 茜が慌てると、ヤンマは白い太股にも顎を寄せ、ほとんど力を入れずに噛んだ。 「この前、肩に噛み跡付けたら文句言ったじゃねぇか」 「だって、体育で着替える時に見えちゃうんだもん! あ、足だって、スカートじゃ隠れないよ!」 「他の奴に見せなきゃいいだけだろ。スカートの中なんて、そうそう見えるもんじゃねぇ」 「そうだけど、でもぉ!」 茜は困り果てるが、ヤンマは唾液の糸を引きながら顎を太股から放した。 「茜は俺の縄張りだ」 「もお…」 茜は頬を張っていたが、ヤンマの生殖器官を掴んで引き寄せ、歯を立てた。だが、ヤンマは特に反応しなかった。外骨格越しに伝わる感触には気付いたようだが、それ以上はない。それが少し不満だったので、顎に力を入れた。だが、歯応えが強すぎて逆に茜の歯が痛んだ。茜が己の力の無さに苛立っていると、陰部に深く舌が滑り込んできた。 「ああぁっ!?」 「別に痛くはないが、俺のを噛むんじゃねぇよ。心が痛む」 「ヤンマが悪いんだから、先に噛んできたのはヤンマの方じゃない!」 「俺はいいんだ。虫だからな」 「何それ、意味解らないぃいいっ!」 茜は言い返そうとしたが、後半は上擦ってしまった。触手のように暴れ回る舌が、茜の弱い部分を的確に責めてくる。こうなっては、もう何も出来ない。手足から力が抜けてしまい、ヤンマが与えてくる荒っぽい性感が背筋を駆け上った。 「あ、あぁ、それ、ダメぇ、そこダメだってばぁあ」 「ダメだからやるんだろうが」 「や、それじゃ、やだぁああ」 ヤンマの長い腹部にへたりこんだ茜が首を左右に振ると、ヤンマは舌を止め、ぬるりと引き抜いた。 「どう、嫌なんだ?」 「うー…」 茜は視線を彷徨わせたが、腰を捩った。 「ヤンマのが、いい」 「具体的には?」 「なんで今日はそんなに意地悪なの? もお、ヤンマなんて」 茜はむくれながら突っ伏したが、消え入りそうな小声で漏らした。 「…大好き」 大嫌い、と言おうとした。けれど、どうしても言えなかった。茜はそんな自分を不甲斐なく思いながら、身を起こした。ヤンマも起き上がったが、いきなり抱き締めてきた。今し方までの態度とは異なる態度に、茜は戸惑ってしまった。 「や、ヤンマ?」 「あーもう、俺の方が我慢出来ねぇ!」 ヤンマは茜を放すと、肌着ごと茜のパジャマを脱がしてしまうと、畳の上に押し倒した。 「入れる! イカせる! 出来れば泣かせる!」 「え、何、なんで?」 茜がきょとんとすると、ヤンマは彼女の下着をずり下ろし、腹部を曲げて生殖器官を伸ばして濡れた陰部に挿入した。途端に茜の体が跳ね、喉が反らされた。ヤンマは茜の滑らかな背に爪を立てないように気を遣いながら、抱き寄せた。生殖器官を包み込む肉の壁は、焼けそうなほど熱い。生殖器官を前後させると、茜の発する喘ぎが次第に高くなった。 「ヤンマぁ、もうっ、わたしぃっ!」 一際高い声を放ち、茜はヤンマにきつく抱き付いたが、だらりと手足を投げ出して胸を上下させた。 「イッちゃったぁ…」 「茜」 弛緩した茜を見つめ、ヤンマは自然に迫り上がってきた言葉を口にした。 「好きだ」 茜は潤んだ目を見開いたが、細め、柔らかく頬を緩めた。 「うん。私も大好き」 言えた。やっと好きだと言えた。この上ない達成感に包まれたヤンマは、ぎちぎちと顎を鳴らしながら茜を抱き締めた。達したことで脱力している茜はヤンマにしなだれかかり、外骨格に頬を擦り寄せてきて、それがまた非常に可愛かった。そのせいで妙なスイッチが入ってしまい、ヤンマは茜を膝の上に載せたまま再度挿入し、射精しそうになるほど責めた。そして、宣言通りに茜を泣かせるほど責め立ててしまい、事が終わった頃には茜は疲れ果てて気絶するように寝入った。 我ながら、頑張りすぎてしまった。 そして、こっぴどく怒られた。 隣室のベランダの手すりに腰掛けたヤンマは、ぎりぎりと顎を鈍く軋ませていた。ため息を吐けないから、その代わりだ。壁の薄い安普請故に事の次第をある程度把握している祐介は、ベランダの手すりに寄り掛かり、呆れつつも笑っていた。当の茜は、祐介の恋人であるリビングメイルのアビゲイルと連れ立って買い物に出掛けたので、今は男二人が残っている。ひどく落ち込んでいるヤンマにベランダから呼び出されたので、試験勉強を一時中断し、気分転換を兼ねて話を聞いたのだ。 「そりゃお前が悪い」 ヤンマが話し終えると、祐介はきっぱりと言い切った。 「こんなつもりじゃなかったんだがなぁ…」 ヤンマは爪の間で赤いビロードの小箱を弄びながら、触角を下げた。 「結局こいつも渡せず終いだし、肝心なことは言えないし、茜には当分は禁欲だって言われるし、マジでどうしようもねぇな」 「茜ちゃんの機嫌が直ったら渡せばいいじゃないか」 「ああ、気合い溜めて頑張ってみらぁ。んで、お前の方はどうなんだよ?」 「どう、って」 「アビーだよ。祐介はアビーと一緒になるつもりなのか?」 自分の苦しみを少しでも分け与えてやろうとヤンマが言うと、祐介は語気を弱めた。 「そりゃ…先のことを考えていないわけじゃないが」 「じゃあ、さっさと指輪でも何でも渡して実家に連れて行け!」 「それがなぁ…」 祐介は眉を下げ、唇の端を歪めた。 「うちの親に電話してアビーのことをちょっと説明したら、速攻で反対されちまってさぁ。親父なんか、家にも連れてくるなって」 「なんでだよ?」 「アビーがリビングメイルだからだろ。死人っぽくないけど、一応死人だからな。それが気持ち悪いんだとさ」 「そんな偏見、アビーに会って料理でも喰わせれば一発で吹っ飛んじまう」 「俺もそう言ったんだけど、聞いちゃくれなかったよ」 前途多難だ、と嘆いた祐介に、ヤンマは彼の肩を叩いた。 「頑張ろうぜ、祐介」 「言われなくたって」 一人と一匹は顔を見合わせると、力なく笑い合った。こればかりは、自分自身の力で解決しなければならないことだ。祐介の場合は他者の助力が受けられるかもしれないが、ヤンマは違う。自分で言い、渡さなければ何の意味もない。だが、結婚を申し込むどころか茜を怒らせてしまった。情けなさ過ぎて、今日だけは縄張りを守る気にもならなかった。普段は下らないことでも強気に出るくせに、肝心な時がダメだ。自責に次ぐ自責で沈んだヤンマは、小箱を握り締めた。 次こそは、甲斐性を見せなければ。 ↑ 名前 コメント すべてのコメントを見る タグ … 人間♀ 和姦 昆虫類 !859◆93FwBoL6s. *人外アパート
https://w.atwiki.jp/monsters/pages/227.html
人外アパートのキャラの話ですが、連中の住むアパートは一切出てきません。ちょっとダウナーで流血描写もありますが、昆虫人間×人間の和姦です。 ヘラクレスオオカブトとソープ嬢859 ◆93FwBoL6s.様 吸いたくもないタバコを吸い、体液を濁らせる。 昆虫人間は呼吸器官が上半身には備わっていないのだから、顎にタバコを挟んで吸ったところで何の意味もない。本当にタバコを吸いたいのなら、腹部の両脇に並ぶ気門のどれかにタバコを差し込んで吸い込み、体内に回すべきだろう。だが、それをしたことは一度もない。人間の真似事のように口で吸い、味覚器官で味だけを吸い尽くし、残りは吐き捨てる。我ながら無意味だとは思うが、どうにも止められなかった。タバコの灰を落としてから、曲がったフィルターを顎に挟んだ。 ヘルは、人型のヘラクレスオオカブトである。頭と胸から太いツノが生え、外骨格は黒と金、全長は三メートル近くある。乗用車など軽く持ち上げられ、爪を振るえば鉄板をも叩き潰せ、至近距離から鉛玉を撃たれても掠り傷しか付かない。昆虫人間の中でも並外れたパワーとタフさを誇るが、有り余る力を真っ当な方向に生かせているとは思っていなかった。というより、ヘル自身が生かす術を見出そうとしていない。長らくヤクザの用心棒に落ち着いているのも、そのためだった。 夜更けの歓楽街は、猥雑だが居心地が良い。ヘルのような、収まりどころを見出せない人外も多く歩いているからだ。己の知性や理性を否定した文句で春を売る獣人の娘達。従順さを売りにしている機械の娘達。そんな娘達を買う男達。呼び込みの男が通り掛かった男を捕まえては格安の値段を持ち掛けるが、それが嘘であることは誰もが知っている。どこもかしこも金と性が入り乱れ、卑猥な言葉が並ぶ看板が淫靡に輝き、酒と女の生臭い空気が雑居ビルから流れていた。 その雑居ビルの間から垣間見えた路地裏に、ヘルは触覚を向けてから複眼を向けた。甲高く引きつった声がしたからだ。頭上で瞬く赤と青のネオンサインを上右足で遮ってから闇に目を凝らすと、何人もの男達が固まって何かを蹴っていた。それが蹴られるたびに呻きが上がり、肉が叩かれる鈍い音が繰り返されているが、ヘルの他は誰も目を留めなかった。歓楽街では見慣れた光景であり、日常の一部だからだ。下手に助けて面倒事に巻き込まれるのは、誰だって嫌だ。ヘルはそう思い、二本目のタバコを吸おうとしたが、風体の悪い男達が揃って上げた下品な笑い声がビルに反響した。それが外骨格の表面に生えた体毛をくすぐり、音として伝わってきたが、全身の神経が逆立つような不快感が募った。 「…ああ、くそ」 別に助ける気はない。ただ、鬱陶しいのだ。ヘルはぎちぎちと顎を軋ませて苛立ちを吐き出しながら、大股に歩いた。ビルとビルの間に転がっていた空き缶を蹴散らしながら近付いていくと、人間の男の匂いが触覚をごってりとなぞった。それが更に不快感を呷り、ヘルは本格的に苛立った。それでなくても、今日はヤクザの若頭に顎で使われて機嫌が悪い。若頭が囲っている女に組の力量を見せつけるためだけに呼び出され、荷物持ちもさせられ、一日中連れ回されてしまった。だから、今日は酒も飲まずにさっさとアパートに帰るつもりでいたのだが、このまま放っておくのは何か後味が良くなかった。 わざとらしく足音を立ててヘルが近付くと、男達が振り返った。路地裏に押し込められていたのは、薄物を着た女だった。衣服としての意味を成さないキャミソールを一枚着て紐同然のパンツを履いているだけで、裸足の足の裏は汚れていた。仕事を終えて間もない淫売の女だろう。ヘルは吸いかけのタバコを顎で噛み潰し、ツノを見せつけるように頭をもたげた。 「おい」 「ヘルさん!」 男達の中の一人が歩み出し、ヘルに近付いた。ヘルが雇われている組の下っ端だった。 「今、お帰りっすか」 「おう。んで、そいつはなんだ」 ヘルが顎をしゃくると、ぐったりしている女は近くの男に腕を掴まれて引き摺り上げられた。 「ぅ、あ…」 「こいつ、借金も返しちゃいねぇのに逃げようとしたんですよ。んで、締めておこうかと」 下っ端はヘルに擦り寄り、いやらしく笑った。 「バラす気か?」 「すぐにはバラしませんよ、マワしてからじゃねぇと勿体ないじゃねぇっすか」 「どういう女だ?」 「大した女じゃないですよ。顔はそこそこだけど体はショボいし、客を取るのも下手で、本番始めるようになっても稼ぎが悪くって」 「大体解った」 ヘルは下右足の爪先を女の顎に引っ掛け、その顔を上げさせた。 「あ…」 反射的に唇を開いた女は、頬や額にいくつも痣の出来た顔を向けてきた。辺りの暗さも手伝って、その表情は窺えない。助けを求めるようなこともせず、震えることもせず、己を諦観しているようだった。言葉も発さず、逃げ出すような気配もない。ヘルの背後からどぎついネオンの光が差し込み、女の顔を縁取っていた。しばらく眺めて、ふと、誰かに似ていると思った。 若い頃に好きだった人間の女に、面影が似ていた。その女はこちら側の人間ではなく、明るい日差しが似合う女性だった。用心棒としてヘルが出入りしていた、バーを装った違法賭博場の近所にある花屋の店員で、見かけるたびに挨拶してくれた。それがただの社交辞令だと解っていても嬉しくて、ヘルも挨拶を返していたら、顔見知りになって言葉も交わすようになった。彼女は、ヘルが知る女達に比べれば純粋で清潔で、立ち上る匂いも化粧や酒のそれではなく、心地良い花の匂いだった。だが、知り合って半年も経たないうちに、彼女は幼馴染みと結婚してその街を去ってしまい、ヘルとの接点も完全に失った。顔を合わせている時はなんとも思わなかったが、彼女がいなくなってから、ヘルは少しだけ彼女が好きだったことを知った。 この女は、その女性に似ている。だが、彼女ではない。彼女は目元に愛嬌のあるホクロがあり、この女よりも背が低かった。別人だと認識しても、尚、ヘルの胸中はざわめいた。決して爪の届かぬ、穏やかな世界への羨望が振り払えていないからだ。 「俺が飼う」 ヘルはタバコを吐き捨てて踏み躙ると、上右足で女の腕を掴んだ。 「飼う? 飼うって、そいつをですか?」 男達がざわめいたが、ヘルは抵抗すらしない女を担ぎ、一笑した。 「お前ら人間は、俺の同族をカゴに入れて飼うだろう。だから、その逆をしてやるだけだ」 ただ、それだけのことだ。ヘルは生温い体温を滲ませる女を肩に載せると、繁華街から程近い自宅アパートに向かった。その間も、女は黙り込んでいた。それが少しばかり物足りなかったが、暴れられて泣き喚かれるよりも余程楽だと思った。 部屋に戻ったら、まず何をしよう。酒を浴びるか、適当な物を胃に詰め込むか、気晴らしに拾ってきた女を犯してみるか。そういえば、人間の女を抱くのは久し振りだ。だが、体格に相応の逸物が備わっているヘルが相手では壊してしまうだろう。昔に囲った女も、慣らして慣らしてようやく挿入出来たほどだ。すぐに出来ないのが残念だが、それもまた面白いかもしれない。 どうせ飼うなら、慣らしてやらねば。 女の名は、葉月と言った。 だが、女は自分の名前以外のことを話さなかった。ヘルも知りたいとも思わなかったので、問い詰めることもなかった。ヘルは葉月を飼い始めたが、普通に囲っているのとなんら変わらず、接し方も飼い主と愛玩動物というわけではなかった。服を欲しがればいくらでも買わせ、外に出たければ連れ出し、物を食べたければ食べさせるが、ただ一つ制限を与えていた。 いついかなる時も、ヘルが求めてきたら拒むなと。月経を迎えていようが、空腹だろうが、眠かろうが、疲れていようが、お構いなしに組み伏せて服を引き剥がす。その中で葉月の体を慣らし、ヘルの逸物を受け入れられるように仕立て上げた。人間の体は、外骨格に覆われた昆虫人間に比べれば融通が利く。皮も伸びれば肉も広がるので、回数を重ねて拡張させた。 ヘルにとって、女とは暖かな袋だ。血と脂肪がたっぷりと詰まった肉の固まりでしかなく、執着を抱くほどの存在ではない。花屋の店員のような例外は彼女一人だけで、後は皆、同じだ。相手にしてきたのが水商売や淫売だからかもしれないが。 その日も、ヘルは朝方に帰宅した。用心棒の仕事は夜の仕事なので、夜行性であるカブトムシにとっては好都合だった。他の組から目を付けられているキャバクラに入り浸り、いい加減な味の酒を飲み、店で起きる些細なトラブルをねじ伏せる。そんなことを繰り返しているうちに夜が明け、判で押したように同じ化粧をした娘達が退勤したので、ヘルも帰ることにした。 アパートに戻ると、葉月は寝室である和室で大人しく眠っていた。水を求めて冷蔵庫を開けると、夕飯が作られていた。腹は減っていなかったので皿を手に取ることもなく、ミネラルウォーターのボトルを取ってキャップをねじ切り、流し込んだ。酒で膨張した胃袋に水が馴染み、染み渡ると、夜の間に煮詰まった体液も薄まったので、ヘルは腰を下ろして胡座を掻いた。 「落ち着かねぇな」 葉月を飼い始めたのはヘル自身だが、部屋に誰かが居るということに未だ慣れない。 「ああ、くそ」 冷蔵庫の中の夕食。他人の体温で僅かに暖まった空気。かすかな気配。それが、狂おしいほど息苦しい。 「おい」 空のペットボトルを投げ捨てたヘルは立ち上がり、乱暴に襖を開けた。 「あ…」 葉月は物音で目を覚まし、布団から身を起こしてヘルを見上げた。 「お帰りなさい、ヘルさん。ご飯、あるけど」 「いらん」 「そう、じゃあ…やっぱり、アレ?」 葉月は布団の上に座り、寝乱れた髪を指で整えた。ヘルが買い与えたパジャマを着ているが、大きすぎて袖が余っている。連れ込んだ当初は痩せぎすだった体も、まともに食べて寝させたおかげで肉付きが良くなり、顔付きもふっくらと優しくなった。人目を引くほどの美人ではないが、穏やかで愛想のある顔をしている。雰囲気も表情も、薄汚い淫売には似合っていない。日中の明るい公園で我が子の手を引いて歩いていたり、夕方の商店街で買い物をしていたりする方が、余程しっくり来る顔だ。 「そのままでいい」 ヘルは葉月を引き倒し、葉月の体温が強く残る布団に押し付けた。 「うん」 葉月は抗うこともなく、ヘルに覆い被さられた。大きすぎる襟元から覗く白い首筋に顔を埋め、舌を伸ばしてざらりとなぞる。カブトムシの舌は、元々は樹液を吸うための口が発達したものである。だから、舐めることよりも吸い取ることに長けている。葉月自身も意識していないほど薄く滲んだ汗を吸い、首筋から耳を舐め、髪に隠れた襟足をまさぐりながら、パジャマをめくる。肌着も着けずに寝ていたのか、すぐに乳房が現れた。乳房にも腹部にも、ヘルの顎によるいびつな噛み痕が付いている。たっぷりと丸い乳房には赤黒い線があり、まだカサブタが剥げていない。首筋から顔を上げたヘルは、その噛み痕を舐めた。 「ひうっ」 ざらり、ざらり、と硬い毛のような味覚器官が生えた舌をなぞり、ずりゅりとカサブタを引き剥がす。 「んぎっ」 古い血の下から新しい血が膨らみ、細く抉れた傷口が開いて肉の切れ目が露わになる。 「あ、ぁあ、いぁ、あっ…んっあぁっ」 少しずつ滲み出る血を吸うと同時に乳房の傷口を擦り取るように舐められ、葉月は両手足を突っ張ってシーツを歪めた。白い肌は痛みが生じた脂汗が伝い、葉月はきつく目を閉じていたので、ヘルはツノを上げて上左足で葉月の顎を掴んだ。 「俺を見ろ」 「ご、ごめんな、さいぃ…」 唇を歪めながら葉月が謝ると、ヘルはその頬に爪先を食い込ませてから、口元に一本の爪を差し出した。 「ん…」 葉月は素直に口を開き、ヘルの爪を口に含んだ。鋭利な部分に触れると舌を切ってしまうので、側面を丁寧に舐めた。葉月の唾液が滴るほど潤ったことを確かめてから、ヘルはその爪を下げ、既に脱がしておいた葉月の下半身に添えた。爪の先端で抉ってしまうと陰部もろとも肉が裂けてしまうので、べとべとに濡れた爪の背を葉月の性器に擦り付けてやった。乳房を舐め回している際に分泌された愛液が唾液に混じり、ぢゅぶぢゅぶと粘ついた泡を立て、葉月は甘い声を殺した。 「ん…ぁ…」 「どら」 ヘルは葉月の性器から爪を外すと、足を広げさせ、その太股に噛み付いた。 「ぐぇあっ!」 唐突に訪れた激痛に葉月は仰け反り、目を見開いた。ヘルは脂肪の付いた内股を噛み締める顎に、更に力を込めた。葉月は声にならない声を上げて自由の利く片足を撥ねたが、ヘルはその足を難なく押さえ付け、骨と筋の存在を感じた。このまま思い切り力を込めれば、筋肉も骨も噛み千切れるだろう。ヘルにはそれだけの力があり、葉月には防ぐ術はない。 「あ、ぅああああっ」 ヘルの顎を伝い、血が落ちる。赤黒い飛沫がぼたぼたとシーツに散り、汗の匂いに蛋白質と鉄の匂いが重なる。 「へぇ、へるさぁん、痛い、痛いよ、痛いよおおおっ!」 悲鳴にも似た愉悦を上げ、葉月は乳房を揺らして胸を上下させた。 「この辺はまだ噛んでなかったからな。痛覚が傷んでねぇんだろ」 楽しくなってきたヘルが笑みを交えて零すと、葉月は自由の利く左足を曲げ、ヘルの下右足に絡めてきた。 「ヘルさん、お願い…」 「言われるまでもねぇよ」 ヘルは葉月の内股から顎を外して血をぞんざいに拭ってから、陰毛の下でひくついている膣と赤く充血した肉芽を認めた。血と等しい温度の澄んだ体液がとろりと一筋溢れていて、血の飛沫がいくつも出来たシーツに無色の染みを新たに作った。恥じらいすらなく、葉月はヘルを見つめた。ヘルは食欲を呼び起こさせる血を飲み下してから、生殖器官を体内から出した。 「ああ、痛いんだ、痛いんだぁ…」 これから訪れる苦痛を期待し、葉月は弛緩した。妙な性癖だとは思うが、ヘルにとっては都合が良いので文句はなかった。色も形も大きさもビール瓶のようだと称された生殖器官を見せつけると、葉月は目を輝かせ、ヘルの下腹部に顔を埋めた。外骨格そのものを円筒形にしただけの生殖器官に何度もキスをし、舌を這わせながら、葉月は自身を淫らに慰めていた。だが、その方法は荒っぽい。三本の指を突っ込んでは引き摺り出し、を繰り返しているだけで、ヘルの方が余程丁寧だった。 「んふ」 顔や顎までべとべとに汚しながら口淫した葉月は、赤く濡れた唇を舐めた。 「足、開け」 ヘルが命じると、葉月は横たわり、真新しい傷口から血が溢れる太股を躊躇いもなく広げた。そこに、生殖器官を添える。 「ぅがあああぁっ!」 ずぶり、と一息で押し込むと葉月は汗ばんだ喉を反らし、目尻に涙を滲ませた。だが、まだ半分ほどしか入っていない。ヘルの生殖器官は、葉月の二の腕よりも一回りも太いからだ。全部収めたとしたら、葉月の腹は容易く割けてしまうだろう。現に、半分入れただけで葉月の下腹部には縦長の膨らみが出来ている。葉月はその膨らみを見、だらしなく頬を緩めた。 「あは…」 「そら、行くぞ」 ヘルは粘液の絡み付いた生殖器官を前後させると、葉月の上げる声が甲高くなり、涙と汗に涎を混ぜるようになった。シーツに縋っていた手をヘルに回し、物理的に奥まで入らない生殖器官を最深部に導くように、腰に足を巻き付けてきた。 「ヘルさぁん、ああ、ヘルさぁんっ!」 「お前は物好きだ」 呼吸も乱さずに葉月を責めながら、ヘルはその頬の汗と涙と舐め取った。 「痛いのがそんなにいいなら、いずれ手足を喰い千切りながら犯してやろうじゃねぇか」 「それ、きっと凄く気持ちいい…」 うっとりとした葉月は、ヘルの首に腕を回してしがみついた。 「だが、手も足もなくなっちまったら、誰がこの部屋を片付ける?」 「ひいんっ!」 ヘルが中両足で葉月の腰を掴んで捻ると、葉月は体を強張らせた。陰部から異音がし、拡張された入り口が少し裂けた。 「あ、あぐぁっうっ」 裂けても尚、ヘルが腰を捻り続けると、上半身を横に曲げた葉月は息を荒げた。 「そういうの、嬉しいの?」 「解らん」 捻った腰を元に戻したヘルは、葉月の体の上に這い蹲った。 「私も、解らない」 葉月は目を上げ、間近に迫ったヘルの漆黒の複眼を見つめた。 「そうか」 ヘルは触覚を揺らして汗の匂いを存分に味わってから、上両足で葉月を抱き寄せた。こうしなければ、深く入らないからだ。葉月はヘルの背に汗でぬるついた手を回し、苦痛を待ち受けた。中両足で腰も抱き寄せてから、ヘルは下半身をぐっと曲げた。足の中から上がる葉月の悲鳴が高ぶり、強烈な快楽に掠れていく。幾度も幾度も前後させると、葉月はヘルに噛み付いてきた。人間の顎では昆虫人間の外骨格に傷も付けられないので、いつも放っておく。よがるのは良いが、泣き叫ばれては面倒だからだ。 葉月は泣きながら、幸せそうに達する。一度だけで終わらせるのは惜しくなってしまったので、それからも何度も責め立てた。葉月の内股の傷から流れる血が止まっても、シーツに付いた体液が乾いても、カーテンから差し込む日差しの色が変わっても。 事を終えたのは、再び夜が始まりかけた頃だった。布団の上に横たわる葉月は傷だらけで、新たな傷がいくつも出来ていた。ヘルは血も体液も拭い取らずに葉月の傍に胡座を掻き、水の入ったコップを渡すと、葉月は怠慢に起き上がってコップを受け取った。喉を鳴らして水を飲み干した葉月は、涎と涙が乾き切っていない頬を手の甲で擦り、枕元に投げ捨てられたパジャマを取った。 「そういえば、今日、何も食べてなかった」 パジャマの上だけを着た葉月は、全身の虚脱感に紛れそうになっていた空腹に気付いた。 「俺もだ」 酒が抜けていなかったせいで、感じなかったのだ。タバコに火を灯しながらヘルが呟くと、葉月は言った。 「でも、お腹一杯」 「何がだ」 「痛いのが」 葉月はとろりと顔を緩め、真新しい噛み痕が目立つ内股に触れた。 「色んな人に一杯お金をあげて、一杯一杯痛くしてもらったけど、ヘルさんのが一番痛くて大きいから好き」 「お前、どうしてそこまでされたがるんだ? 散々しておいて何だが」 「私、空っぽだから。何も出来ないのに、色んなことが怖いから。だから、痛いと嬉しいの。生きてるって感じるから」 「解らないでもない」 ヘルは触覚を汚す紫煙を感じながら、平坦に答えた。外骨格が焼け付くような危険に身を晒していれば、生を感じられる。だから、いつまでたっても足を洗えない。ヤクザ同士の抗争や縄張り争いに噛むのは、危うい世界に浸っていたいからだ。この世界には、ヘルの身の置き場はない。元々は観賞用として日本に密輸入された幼虫で、羽化した直後に脱走したのだ。親の顔も知らず、故郷の土の味も知らず、同胞の名も知らない。我が身にあるのは凶暴さと強靱さだけで、他は何もない。争いを求めるのは、せめて痛みは知りたいからだ。共通項が出来たな、と、ヘルは妙なところで喜んだが、腹の内に止めた。 「立てるか」 ヘルが葉月を見やると、葉月は腰をさすった。 「まだ、だるい」 「だったら、しばらく休んでろ。昨日の夕飯でも温めてやる」 「え、でも…」 葉月が意外そうに目を丸めると、ヘルは襖を開けた。 「俺はお前を飼ってるんだ」 襖を閉め、ヘルは一人恥じ入った。酒は抜けたはずなんだが、と自嘲したが、きっと性交の高揚感が抜けていないのだ。これまで、葉月を慣らすために何度か抱いたが、時間が経つのも忘れて犯したのは初めてだ。だから、それだけのことだ。 「ヘルさん」 襖が細く開き、葉月が顔を覗かせた。疲れ、汚れてはいたが、葉月は嬉しそうだった。 「んだよ」 照れ隠しにヘルが語気を荒げると、葉月は襟元を直して肌を隠した。 「ご飯、一緒に食べよう?」 「…仕方ねぇな」 ヘルが苦々しげに吐き捨てると、着替えるね、と葉月は襖を閉めた。ヘルはタバコを噛み潰し、灰皿にぐりぐりと埋めた。余計なことを言うんじゃなかった、と後悔したがもう手遅れだ。仕方なく、一日遅れの夕食を準備しようと冷蔵庫を開けた。二人とは裏腹に一日中冷え切っていた料理を取り出し、電子レンジで温め返しながら、ヘルは葉月が出てくるのを待った。 葉月の体温によって暖められたヘルの体温が入り混じった生温い空気を、火を消し損ねたタバコから上る紫煙が汚した。温まりつつある夕食。葉月の体温で緩やかに温まった空気。確かで甘ったるい気配。そのどれもが、狂おしいほど悩ましい。 飼い慣らされたのは、葉月だけではなさそうだ。 ↑ 名前 コメント すべてのコメントを見る タグ … 人間♀ 和姦 昆虫類 !859◆93FwBoL6s. *人外アパート
https://w.atwiki.jp/monsters/pages/250.html
骨まで愛して 859 ◆93FwBoL6s.様 須賀倫太郎は、鎧塚祐介の学友である。 祐介と同じく地方から上京して進学し、奨学金とアルバイトで喰い繋いでいるので共感出来る部分が多いので、 おのずと親交を深めていた。選択している講義も似通っているので頻繁に顔を合わせることもあり、大学で出来た友人の中でも特に仲が良いと言えるだろう。しかし、彼の趣味だけは頂けない。暇さえあれば近隣の心霊スポットに繰り出しては大量に写真を撮り、怪しげなことが起きたならば声高に話すという、巷で氾濫している怪談のオチで行方不明になる登場人物のような趣味なのだ。だから、これまでも冷や冷やしながら彼と付き合ってきたのだが。 「……取り憑かれたんだ」 祐介のアパートを訪れた須賀倫太郎は、暗澹たる面持ちだった。 「見りゃ解る。自業自得だ」 祐介は一切同情せず、アビゲイルの入れたコーヒーを啜った。祐介の後ろに慎ましく控えている銀色の女性型全身鎧、 アビゲイルはマスクを押さえて微笑んだ。 「あら、とてもスマートな方ね」 「とりあえず、ダイエットの必要がない相手だとは解った」 祐介は、倫太郎の背後で膝を揃えて座っている骸骨を見ずにはいられなかった。生前は両目が填っていたであろう眼窩からは頭蓋骨の裏側が覗き、鼻の穴と綺麗に揃った歯と顎の奥には緩やかにカーブした脊椎が繋がり、骨盤が広めで全体的に骨がほっそりしているので、もしかしたら女性なのかもしれない。肉体が死しても魂が鎧に癒着したアビゲイルを見慣れているおかげで、祐介にはそういうものだと理解出来る感覚が備わっていたが、そうでなければ大いに困っていただろう。実際、心霊スポット巡りが趣味であるわりには慣れていない倫太郎は辟易していた。 「一昨日の夜にな、廃病院に行ったんだ。デジカメ持って原チャ飛ばして、写真撮りまくってたんだ。いつもだったら肝試しに来た連中がいるんだけど、その日に限って誰もいなくてさ。その辺でおかしいって思えば良かったんだが、 超ラッキーとか思って一人で乗り込んでったらさぁ、こいつにいきなりしがみつかれて、そのまま……」 悲劇的な仕草で顔を覆う倫太郎の背後で、それまで黙っていた骸骨が可愛らしい声で言った。 「私は何もしていないのに、色んな人が騒ぎ立てるから目を覚ましちゃったんです。あの病院、山奥だから静かだし、 ひんやりして湿っぽくて気持ち良かったからお気に入りだったのに、毎日毎日騒がれちゃ引っ越したくもなります。 だから、取り憑いたなんて心外です。落ち着く場所を変えたと言って下さい」 「だからって、なんで俺なんだよ!」 「だって、気に入っちゃったんです」 倫太郎の嘆きを無視し、骸骨娘は微笑むかのように上顎と下顎を薄く開いて頬骨に細い指先を添えた。 「肝試しに来る若者とかカップルとかと違って大人しいし、たまにお供え物をしてくれるし、写真を撮る前も後もちゃんと断ってくれるしで、心霊スポットに来る人間の中では結構良心的だったんです。だから、その……」 「その気持ち、解るわぁ」 アビゲイルはもっともらしく頷いたので、祐介はちょっと笑った。 「そりゃ、アビーは誰よりも解るだろうさ」 リビングメイルも骸骨も、根本的な部分では似通っているのだから。骸骨娘は畳の上にもしっかりと座っているし、 玄関のドアも開けたので、きちんと実体を持っている化け物、つまりはアンデッドということだろう。ここ最近、人魚と同棲中の大学一年生の魔術師見習いである岩波広海から魔法絡みのことを教えてもらっているので、祐介も多少は知識の幅が増えてきた。それもこれも、愛するアビゲイルのためであるのだが。 「私、あの病院で長いこと標本にされていたんですよ。何十年も前に病気で死んじゃったんですけど、その頃は珍しい病気だったらしくてサンプルとして保管されたんです。でも、いつのまにか病院は潰れちゃって、私の家族も骨を引き取りに来なかったらしくて、箱の中で何十年もじっとしていたんです。で、ある日突然目が覚めたので箱の外に出てみたら、病院が心霊スポットになっていたんです」 骸骨娘はアビゲイルが人数分出したコーヒーに手を付けようとしたが、肋骨から擦り抜けてしまうので手を下げた。 「あ、まだ名乗っていませんでしたね。私、神戸斜里っていいます」 「お願いだから離れてくれよ、正直迷惑だ、病院でも墓の下でも帰ってくれ」 陰鬱な目を上げた倫太郎に、骸骨娘、斜里は身を捩ってがしゃがしゃと骨を鳴らした。 「そんなこと言われても困っちゃうー。ここからあの病院までの道なんて解らないしぃー。帰りたくなぁーい」 「あらまあ、可愛らしい我が侭ね」 アビゲイルが笑うと、倫太郎は頭を抱えた。 「そりゃ食費は掛からないかもしんねーけど、こんなの無理だっつの。骨だぞ、骨。何も出来ねぇよ!」 「案外出来ると思うぞ」 「お前と一緒にすんじゃねぇや、この鎧フェチ」 「その認識は間違いだ。俺はアビーが好きなのであって、鎧そのものが好きだというわけではない」 祐介が真顔で言い返すと、倫太郎は少女のように照れるアビゲイルを一瞥してから、ぐったりと肩を落とした。 「鎧塚ならなんとか出来そうな気がしたが、間違いだった。そもそも話にならねぇ」 「何よーもう、失礼しちゃう。こんなに可愛い女の子に迫られてるのに、ちっとも喜ばないなんて」 不服げに胸を張る斜里に、倫太郎は頭痛を堪えるように額を押さえた。 「その顔がないんじゃ、可愛いかどうかすらも解らないだろうが」 「骨格だけってことは、いくらでも脳内補完が効くってことだろ。胸だろうが尻だろうが自由自在だ」 「他人事だと思いやがって」 「とにかく、須賀が捲いた種だ。自分でなんとかしろ。いや、種を撒き散らすのはこれからかな?」 「おぞましい冗談を言うな」 祐介の軽口に倫太郎は頬を引きつらせると、アビゲイルが斜里にヘルムを向けた。 「なんだったら、斜里ちゃんに色々と教えてあげましょうか? 柔らかい部分がなくても、男の人を喜ばせられるものよ」 「わあ、いいんですかぁ! よおし、頑張っちゃうぞ!」 斜里がはしゃぐと、剥き出しの関節が擦れ合った。倫太郎は本格的に頭が痛くなってきたらしく、死人同士の際どいガールズトークを聞き流しながらテーブルに突っ伏した。祐介は気持ち悪いほど優しい笑顔を浮かべながら、倫太郎の肩を叩いてやると、倫太郎はゾンビのような呻きを漏らした。倫太郎の気持ちも痛いほど解るが、慣れるまでの問題だ。 こちらの世界に足を踏み入れてしまえば、もう戻れない。 骨の髄まで愛されてしまえばいい。 ↑ 名前 コメント すべてのコメントを見る タグ … 人間♂ 非エロ 骸骨 !859◆93FwBoL6s. *人外アパート
https://w.atwiki.jp/monsters/pages/261.html
人外アパートの番外編でヤンマと茜が主役ですが、河童と村娘とも繋がっています。 昆虫人間×少女の和姦ですが、茜がちょっとだけ清美にいじられます。 関連 → ヤンマとアカネ・河童と村娘 鬼と山神 859 ◆93FwBoL6s.様 濃い青空、そそり立つ入道雲、けたたましいセミの声。 縁側に座ってスイカを囓り、甘い果汁ごと種も啜り込む。瑞々しい青臭さを触角と舌の双方で感じ取りながら、鬼塚ヤンマは隣に座る秋野茜の様子を複眼で捉えていた。子供の頃から変わらず、茜はスイカを食べるのが下手だ。種なんて飲み込んでしまえばいいのに、いちいち取り出すものだから手がべたべたになっている。顎から伝った汁気が首筋にまで垂れているし、ハーフパンツを履いた太股にも赤い雫がいくつも落ちている。 「おい」 ヤンマはスイカが載っていた盆から濡れ布巾を取り、茜の顎から首筋に掛けてぐいぐいと拭いた。 「何すんの、もう」 茜は乱暴に拭かれた肌を手の甲で擦り、むくれた。ヤンマは残った皮も食べてから、自分の爪を拭いた。 「見るに見かねたんだよ。いつになったらスイカを喰うのが上手くなるんだ、お前は」 「いいじゃん、別に。ヤンマには関係ないじゃん」 「ガキ臭ぇんだよ」 「そのガキ臭いところが好きなくせに」 「馬鹿言ってんじゃねぇ」 ヤンマは茜の頭を小突くと、茜はにやけながらスイカの残りを頬張った。そうは言うものの、反論出来ないのが悔しい。 「ここ、なーんにも変わらないねぇ」 裸足の足をぶらぶらさせながら、茜は実家の庭先から見える風景を一望した。 「何百年も同じだったんだ、これから先も同じなんだろうよ」 ヤンマは下両足を組んで胡座を掻き、透き通った四枚の羽を下げた。実が膨れてきた稲穂が揺れる田んぼと、ナスやキュウリがたわわに生る畑、爽やかな風が吹き下りてくる深緑の山。肺に入れる空気は澄み渡り、嗅覚をなぞる臭気も田舎のものだ。ちょっと車を走らせて街中に入ればそれなりに栄えているが、ヤンマと茜が生まれ育ったのは郊外の集落だ。見知った顔ばかりで構成された狭い世界だが、居心地は悪くない。都会に比べれば、明らかに時間の流れが遅かった。 二人揃ってお盆休みに帰省することにもすっかり慣れた。酒の席で鬼塚家と秋野家の親から結婚を急かされるのも、茜が高校を出るまでだと半笑いで言い返すのも、茜が親の気の早さに呆れるのも、双方の親戚から夫婦扱いされるのも。 「明日は神社のお祭りだっけ」 スイカを食べ終えた茜が皮を渡してきたので、ヤンマはそれを躊躇いもなく喰った。 「毎年のことだから、もうなんとも思わねぇけどな。大した祭りでもねぇし」 「神隠しに遭わないように気を付けなきゃね」 「つっても、あれは三十年近く前の話だろ? 茜の母さんの同級生の女子が祭りの途中で行方不明になったのは」 「でも、それっきり見つかってないんだもん。きっと、神様に気に入られちゃったんだね」 「この辺の川じゃなくて、山の沢に泳ぎに行ってたらしいしなぁ。だから、あっち側に引っ張られちまったんだな」 例年通りの会話を交わし、ヤンマは二切れ目のスイカを囓った。神隠しに遭った娘の話は、この集落ではリアリティのある怪談だ。数年前、市町村合併によって大きな市に吸収される前は、この集落を含めた一帯は小さな村だった。その頃、一人の女子中学生が祭りの夜に突然姿を消した。その名は河野清美といい、活発で明るい性格で誰からも好かれていた。泳ぎも上手く、神隠しに遭う直前には水泳大会で好成績を残すほどだった。だが、彼女は何の前触れもなく姿を消した。その後、十年に一度と言われる記録的豪雨が降ったために捜索を始めるのが遅れたせいか、何度捜索を行っても遺骨すら見つからなかった。だから、毎年のように大人は子供に言い聞かせる。夏の山に入るな、山神に隠されてしまう、と。 「隠されちゃったらどうする?」 茜は口元の汚れを拭ってから、ヤンマに寄り掛かってきた。 「俺は鬼だぞ。引き摺り出せるに決まってんだろ」 ヤンマは茜を押し返さず、姿勢を保った。茜は笑い、ヤンマの冷たい外骨格に頬を寄せた。 「ただのでっかいトンボのくせに。でも、その時はよろしくね」 「言われるまでもねぇ」 ヤンマはぎちりと顎を擦り合わせ、茜を抱き寄せた。鬼塚一族が鬼として扱われていたのは、人外の存在が人間社会に馴染みきっていなかった時代のことだ。ただの巨大なトンボだと知られてからは敬われも恐れもしなくなったが、そうなる前は本物の鬼だった。遠い昔、正体を突き止められなかったもの、人智の及ばないもの、天変地異は名を与えられて妖怪となっていたという。だから、ただの巨大なトンボだと知らしめられる前は、鬼塚一族も人間から見ればあちら側の住人だった。 もしも、そのままだったらどうなっていただろう。茜を始めとした集落の人間から恐れられたら、ヤンマは鬼と呼ばれるに相応しい男になっていたのだろうか。茜もヤンマを恐れたりするのだろうか。前者はともかく、後者は有り得ないだろう。茜は幼い頃からヤンマにべったりで、ヤゴだった頃も成虫になってからも一度も恐れたことはない。だから、ヤンマが本物の鬼と化していたとしても、茜は同じことをしていたに違いない。そして、行き着く先も変わらないはずだ。 ヤンマはヤンマで、茜は茜なのだから。 祭り囃子に巫女の舞、縁日、御輿。 何もかもが例年通りで、目新しいものはない。出店も見慣れた顔触れで、テキ屋が地元の子供達と親しげに会話する様もいつものことだ。山神に奉納するために舞う巫女は、醜女の面を被り、祭事用の豪奢な扇子を広げている。神楽を演奏する神官達は神楽鈴を鳴らし、おごそかな雰囲気を醸し出している。篝火と提灯の明かりが本殿を朱色に染め上げ、非日常を見事に生み出していた。本殿を見下ろす御神木がざわりと葉を揺らし、夜気混じりの風が熱っぽい祭りの空気を乱した。 奉納の舞が終わり、見物客達が去っていくと、境内の人混みは少し落ち着いた。ヤンマは短い触角を動かして空気の流れを感じ取りつつ、左上足を掴んで片足立ちしている茜を見下ろした。 「一旦帰るか? そんなんじゃ、歩くに歩けねぇだろ」 「うー……」 浴衣姿の茜は、千切れた鼻緒を持って片方の下駄をぶら下げていた。 「でも、まだ来たばっかりだし。出店だってほとんど見てないもん。そんなのつまんない」 「だからって、俺に捕まって片足ケンケンしてるつもりか? サンダルでもスニーカーでもいいから、履き替えてこいよ」 「浴衣にサンダルって格好悪いじゃん。そっちの方がやだよ」 「俺の方が嫌だ。お前の体重を片方に受けっぱなしだと、筋がイカレちまいそうだ」 「あー、ひっどーい。そんなに重くないって言って、いつも抱えて飛ぶのはどこの誰?」 「あれとこれとじゃ具合が違うんだよ。とにかく帰るぞ、すっ転んで泣かれると後が面倒だ」 ヤンマは茜を引っ張り、歩き出した。茜は不満げだったが、ヤンマの肩を借りて石段を下り始めた。最初、茜は片足だけで跳ねて下りようとしたが、バランスが悪すぎるので観念して裸足で石段を踏んだ。行き交う人々に足を踏まれないように、ヤンマは茜を庇いながら狭い石段を下っていった。茜の足元が気になっていたので下を向いていると、複眼の両脇を過ぎる人影が不意に失せた。本殿で打ち鳴らされている太鼓の音も縁日のざわめきも遠ざかったかのように聞こえなくなり、心なしか空気も冷え込んだ。石段の両脇の杉林から響き渡っていたセミの声も沈黙し、木々の隙間から見える空の色も暗くなっている。日没が過ぎたばかりだというのに、星も見えないほど濃い闇に支配されていた。 「……あれ?」 茜も異変に気付いて足を止め、ヤンマは触角を曲げた。 「とにかく下りるぞ」 早くこの場を去らなければ、拙いことになる。根拠はなかったが、外骨格の裏側にざらついた違和感が貼り付いている。茜の足取りが遅すぎるので横抱きにし、軽く羽ばたきながら石段を駆け下りていくが、いつまでたっても石段が終わらない。子供の頃に茜と一緒に段数を数えた時には五十五段だったのを思い出したので頭の中で数えるが、百や二百を超えても終わらない。石段の先に地上は見えず、振り返っても縁日どころか鳥居も見えない。 「ヤンマ」 不安げに縋ってきた茜に、ヤンマはぎちっと顎を噛み合わせた。 「心配するな、大したことはねぇ」 空まで出れば、どうにかなるはずだ。そう思い、ヤンマが羽を震わせて飛び上がろうとするが、空気がいやに粘ついて羽で叩いても手応えがなかった。びいいいいん、と羽音だけが空しく響き、下両足の黒い爪は石段を噛んだままだった。 「鬼だ」 不意に頭上から声が掛かり、ヤンマは茜を強く抱いて身構えた。複眼が動くものを捉えたので視点の中心を据えると、杉の木の枝に人影が腰掛けていた。白い半袖ブラウスに紺色のプリーツスカート、白いハイソックスにローファーを履いた中学生らしき少女だった。その顔は、行方不明者として張り出されている色褪せた写真と同じだった。 「鬼か」 また別の声が聞こえたので複眼を向けると、反対側の杉の木の根本から、音もなく異形が姿を現した。皿の載った頭に鋭いクチバシ、甲羅、水掻きの張った指、ぬるりと湿った緑色の肌。成人男性ほどの体格の河童だった。それを見た途端、ヤンマは羽の震えが止まった。近付いてはならない、見てはならない、と生き物の本能が喚き、関節という関節が固まって身動き出来なくなった。逃げなければならない。しかし、どこに逃げればいいのか。 「鬼の子とその伴侶よ」 ぺちょり、と水気を含んだ足音を立て、河童はヤンマに歩み寄った。 「おぬしらは、山神に見初められてしもうた。相も変わらず、困った御方よの」 「退屈だから、山まで連れてこいって言われちゃった。全く、人使いが荒いんだから。あれ、神様使いかな?」 「どちらでも良かろう」 河童が少女を見やると、少女は身軽に枝から飛び降り、ヤンマと茜の進行方向を塞ぐように立った。 「てなわけだから、ちょっとだけ付き合って? やることやったら、ちゃーんと現世に返してあげるから」 「あんた、まさか、河野清美……?」 ヤンマが後退ると、少女は明るく笑った。 「うん、そうだよ。私ね、タキの奥さんになったの。あ、それとね、山に入ってからは名前を呼び合っちゃダメだよ。山神様に名前を教えちゃうと、本当に帰れなくなっちゃうからね」 「や、やる、って何を?」 茜が怖々と清美に尋ねると、清美はちょっと言いづらそうに頬を掻いた。 「えーと、C……かな?」 ヤンマは辛うじて意味が解ったが、茜にはさっぱりだったらしくきょとんと目を丸めていた。大昔の隠語でセックスだが、なぜ、そんなものを神様が求めているだろう。確かにそういったものが御神体になっている神社も多いが、この集落の神社は山岳信仰の色合いが強く、御神体も山そのものだ。だから、不可解でならず、ヤンマはぎちぎちと顎を軋ませてしまった。タキと呼ばれた河童は心底呆れているらしく、頭の皿から水を零さずに頭を横に振っている。清美も気まずいのか、茜を覗き込んでは励ましていた。事態の不可解さと相手の要求が理解出来ないのか、茜は困りすぎて半泣きになってヤンマに縋り付いてきた。ヤンマも似たような心境だったが、うっかり逆らって山神に祟られたくはない。どうせ、家族のいない間に事を致すつもりでいたのだから、それが少し早まったと思えばいいだけだ。 ギャラリーがいなければ、もっと良かったのだが。 清美とタキに先導されて昇ると、間もなく石段が途切れた。 あれほど長く伸びていたはずの石段がほんの数段で終わったが、鳥居もくぐらず、境内に出なかった。その代わりに二人を待ち受けていたものは、小さな石碑が入り口に据えられた洞窟だった。いつのまにか小雨が降り出していて、ヤンマは窒息しかねないので慌てて洞窟に入った。茜は鼻緒が切れた下駄ともう一方の下駄も脱いで手に提げ、ヤンマに続いて洞窟に入り、恐る恐る中を見回した。外が狭いわりに中は意外に広く、清美の寝床なのか、柔らかな青草を重ねた上に木綿の布地が被せてあった。だが、空気がやたらに重たく、ヤンマは雨水で気門が詰まったのかと疑うほどだった。辛うじて吸い込めても、雨上がりの匂いを煮詰めたような青臭さと泥臭さばかりで苦しくなった。茜も息を詰め、ヤンマにぴったりと体を寄せていた。 「山神さまぁー、お連れしましたよーう」 清美が軽い足取りで洞窟の奥に向かうと、タキは二人に甲羅を向けて胡座を掻いた。 「儂は何も見ぬ、聞かぬ。今宵の祭りは、山神に捧ぐものであるからな」 「ほんに鬼の子じゃのう」 清美の背後、一際重たく凝った闇から、草色の浴衣に白い面を被った女、山神が歩み出してきた。 「おぬしは鬼塚の子よの。あれはほんに跳ねっ返りでのう、妾の手に負えぬ輩であった。おぬしは、その血を連ねておるわ」 「……俺の名字、知ってんじゃねぇか」 ヤンマが顔をしかめるようなつもりで顎を開くと、清美が苦笑いした。 「下の名前まで知られなきゃ大丈夫だから」 「じゃ、じゃあ、本当にヤ、鬼だったの?」 茜はヤンマの名を言いかけて飲み込むと、山神は茜の目前に面を被った顔を突き出した。 「鬼でなければ鬼と呼ばれぬ。娘、おぬしは百姓の子か。小綺麗にしておっても、血に染みた泥の匂いは隠せぬわ」 「そんなんはどうでもいいっすから、なんで俺らを連れてこさせたんすか」 ヤンマは茜を背に隠して山神から遠ざけると、山神はす、と身を引いた。 「清滝之水神の嫁に伝えさせたじゃろうに、忘れてしもうたんかえ。妾は暇で暇で仕方のうてのう」 「だから、今、神社でお祭りをやっているんじゃないんですか?」 茜が言うと、山神は袖で口元を押さえた。 「あんなもの、何百年と見せられては飽きもする。故に、妾はもっと心躍るものが見とうてのう」 「無茶振りにも程がないっすか」 「無茶だろうと粗茶だろうと、神の願いを叶えるのが現世の者共の役割じゃろうに」 「で、でも、やることやったらちゃーんと代償ってのがあるんすよね? ギブアンドテイクで」 「常世から現世に五体満足で戻してやろうと言うておろうに、何が不満なのかえ。それ以外に望むものがあるならば、御魂でも寄越してくれぬかのう。さすれば、叶えてやらぬでもないが」 「……すんません」 相手が悪すぎた。ヤンマが素直に引き下がると、山神は洞窟の奥に戻り、腰を下ろした。 「さあ、妾を楽しませておくれ。鬼の子よ」 そう言われても、すぐに出来るものでもないのだが。清美に促され、ヤンマと茜は草の上に布を敷いた寝床に座らされた。心地良い夏草の匂いが立ち上り、並みの布団よりも柔らかく、寝心地は悪くないので、何をしたとしても大丈夫そうだった。茜はヤンマの前に正座したが、目元に涙を溜めていた。気持ちは痛いほど解るので、ヤンマは茜を抱き寄せて慰めた。二人きりなら慣れたものだから、恥じらいはあっても躊躇いはない。だが、この場には山神がいるし、清美もタキも傍にいる。誰も彼も初対面だが、かといってそう簡単に吹っ切れられない。ヤンマの胸部に頬を押し付けている茜は、恥じらいではなく怯えが顔に出ていた。安心させてやりたいが、ヤンマも不安と畏怖で上手い言葉が出てこなかった。 「ちょっとごめんね」 清美は茜の背後に腰掛けると、後ろから茜に腕を回した。 「山神様、手伝ってあげてもいいですか?」 「良きかな」 膝を崩して頬杖を付いている山神が頷くと、清美は固まっている茜を優しく抱いた。 「鬼さんもごめんね。服の上だけにしておくから、あんまり妬かないでね?」 大丈夫だから、と清美は茜の耳元で囁いてから、腕を緩めて茜の控えめな胸を掴んだ。 「うひゃっ」 茜が身を跳ねると、清美は浴衣の布越しに乳房を揉みほぐすように手を動かした。 「うわ、可愛いなぁ」 自分でもヤンマでもない手に体を探られるのが恥ずかしく、茜は発熱したかのように赤面した。浴衣の袂が広げられると、襦袢の上からさすってきた。清美はほとんど力を入れずに撫でるだけに止めていたが、緊張と恐怖で気が立っていた茜には充分だった。女でなければ解らない力加減で丸みをなぞられ、刺激に応じて尖った乳首の先端を軽く押され、おまけにヤンマが真正面から見ている。茜はくらくらするほど頭に血が上り、前のめりになってヤンマの胸に顔を埋めた。 「やだぁ、恥ずかしい……」 「安心しろ、見ている方も恥ずかしい」 ヤンマは茜の顔を上げさせ、ぐばりと顎を開いて舌を伸ばした。喘ぎを殺すために唇を引き締めていた茜は、冷たい舌先で唇を舐められると、唇を少しだけ開いた。その間にすかさず滑り込ませ、絡めると、雨水よりも重い水音が反響した。 「こっちはどうかな?」 清美は茜の緩みかけた膝を割らせて裾を開き、クロッチの上から人差し指を這わせた。 「んぁっ」 薄い羽で掠められたような、弱く繊細な愛撫だった。それを何度も繰り返されると、茜は吐息が弾んできた。 「う、ふぁっ、あっ」 「ほらほら、見てるだけでいいの?」 清美は茜の襦袢も広げて肌を曝させると、茜は居たたまれなさそうに顔を背けた。罪悪感と背徳感が入り混じる横顔に、ヤンマは妙な感情がざわめいた。自分だけのものだと思っていた茜が、河童の嫁だという少女の手で感じさせられている。状況が状況だし、女同士なので、嫉妬するのはおかしいと思ったが、腹の底がむず痒い。そして、泣きそうになっている茜が無性に可愛らしく、自分以外の愛撫を受ける様は初々しささえある。 「ほぅら」 清美の手が、これ見よがしに茜の浴衣の裾に覆われた太股を撫で下ろす。茜のショーツのクロッチはうっすらと湿り、あの匂いが零れ出している。ヤンマは茜の腰に回した長い腹部を巻いてぐいっと引き寄せると、清美は呆気なく手を離してくれた。ヤンマの元に戻ってきた茜は気まずそうに身を縮めたが、汗ばんだ首筋に舌を這わせると上々の反応が返ってきた。 「あうぅんっ」 「俺じゃなくても楽しめるみたいだな?」 ヤンマがにやけながら毒突くと、茜はふるふると首を横に振った。 「そうじゃないよぉ、見てるからだよ」 「俺が見せられてたんだよ」 「違うよぉ……」 茜はヤンマの逞しい腰に腕を巻き付け、硬い外骨格に口付けを落とした。 「お前は俺が好きなんじゃなくて、ただ、いじられるのが好きなだけなんじゃねぇの?」 「んひっ!」 裾の下から入り込ませた腹部の先端で陰部を小突くと、茜は悲鳴に似た声を上げた。 「違う、違うよぉっ」 「さあて、どうだかな」 ヤンマは顎を広げて威嚇とも笑みとも取れる表情を見せると、茜は眉を下げた。 「怒ってるの?」 「怒っちゃいねぇ。どうにも面白くねぇだけだ」 「相手は女の子だよ、それに仕方ないことだって、ぁん!」 言い返してきた茜の陰部に、ヤンマは腹部の先端から飛び出させた生殖器を抉り込ませた。 「女だろうが何だろうが、自分の女をいいようにされて嬉しい男がいるかよ」 上両足ではだけていた浴衣の袂を完全に押し広げ、ブラジャーをずり上げると、日焼けしていない白い乳房が零れた。茜は唇を歪め、ぎゅっと目を閉じた。ヤンマはこれ以上の成長が望めなさそうなものを噛み千切るかのように顎を開き、硬く充血した先端を舌で舐め上げた。同時に、ショーツを破らんばかりに生殖器も突き立てる。 「うぁああっ!」 「なんか面倒臭ぇな」 ヤンマは中右足で茜のショーツを下げると、茜は片足を上げて引き抜いた。 「うん……」 「見せるってんなら、こうした方がいいじゃねぇの?」 ヤンマは茜の体を背中から抱えて持ち上げ、山神に向けて両足を広げさせた。途端に、茜は羞恥で硬直した。 「やっ、やだぁっ! これ、恥ずかしいなんてもんじゃないよ! 末代までの恥レベルだよぉ!」 「神様に連れ去られてこんなことをさせられている時点で恥だろうが」 「そりゃ、そうだけど」 茜は首筋を甘噛みしてきたヤンマを横目に、山神を窺った。洞窟の中には明かりはほとんどないが、不思議と山神の姿はくっきりと浮かび上がって見えた。山神自身が発光しているのかもしれない。だから、きっと、茜の濡れた陰部もよく見える。幼子が小便をさせられるかのような格好にさせられたせいか、陰部に溜まっていた愛液がてろりと落ちた。何も収まっていないのが物足りなくて、無意識に入り口の筋肉がひくつく。顔を覆ってしまいたくなったが、両手首はヤンマの爪によって押さえられた。洞窟の冷えて湿っぽい空気が火照った肌に優しい。 「ほれ、早うせぬか」 山神は冷ややかな面の奥で、かすかに目を細めた。 「あぁ、あっ、ぅああっ!」 濡れてはいたが解されていない陰部に硬い生殖器を押し込まれ、茜はびくんと痙攣した。 「ひぃんっ!」 ぐいっと生殖器が上がり、膀胱を裏側から押される。 「あ……?」 だが、続きはなかった。茜が訝ると、ヤンマは茜の耳朶をべろりと舐めた。 「俺ばっかりがやってもつまんねぇだろ。好きに動いてみろよ」 「うっかり出しちゃっても、知らないからね?」 茜は腰を落とし、ヤンマの生殖器を根本まで飲み込んだ。 「あ、はぁっ……んっ」 満足げに熱い吐息を零した茜は、練るように腰を回し始めた。分泌された愛液もこね回されているのか、肉と水気が交わる音が重なる。見られて焦らされて煽られたせいか、足元に滴る雫が普段より多く感じる。次第に腰が浮くようになり、擦り合わせる速度も速まっていく。足を広げていては辛かろうとヤンマが膝の上に座らせると、茜は一層激しく動いた。 「ね、ねぇっ」 「ああ?」 ヤンマが聞き返すと、茜は夢中になるあまりに唇の端から涎を落としていた。 「こんなんでっ、いいのかなぁ? だって、これぇ、私達だけが気持ちいいのにぃっ!」 「それは神様の勝手だろう、よ!」 「くぁあんっ!」 ヤンマが強く奥を突くと、茜は仰け反った。 「少なくとも、俺は楽しい」 「うん、うんっ」 茜は何度も頷き、腰を止めようとしなかった。背中に胸郭が接しているヤンマの声と外骨格の軋みしか聞こえず、視界もぼやけて山神の姿もよく見えない。けれど、見られている。視線がありとあらゆる部分に刺さり、素肌で草に触れたかのようにちくちくする。鮮明なのは、痺れるほど熱した陰部から駆け巡る情感ぐらいだった。汗と愛液でとっておきの浴衣が汚れても気にならないほど、ヤンマに貫かれていたかった。山神の言う通り、鬼というなら確かに鬼なのだろう。 人間と違って、絶対に萎れないのだから。 気が付くと、揃って御神木の傍にいた。 悪い夢でも見ていたかのように頭が重たく、疲労が全身に蓄積している。ヤンマに寄り掛かる茜も同じらしく、寝苦しげに眉根を寄せていた。山と神社を隔てる石垣に腰掛けているので、本殿の屋根越しに祭りの明かりと喧噪が届いていた。途中までは覚えているのだが、展開が変だった。茜の下駄の鼻緒が切れていたから、履き物を変えるために一旦帰ろうと石段を下りた。だが、石段を下りても下りても終わりが訪れず、何かおかしいと思っていたら、神隠しに遭った河野清美と清滝之水神という名の河童が現れ、洞窟に連れ込まれ、山神と思しき者の前で。 「……ひっでぇ夢」 そんなに溜まってたのかよ俺は、と自嘲しながらヤンマは茜を支えようとすると、茜は急に目を開けた。 「ひゃああああっ!」 唐突に悲鳴を上げた茜は石垣から転げ落ちるように駆け出し、顔を覆ってしゃがみ込んだ。 「何これ何あれ何なの何なの何なのー、恥だよ恥すぎるよ恥ずかしいなんてもんじゃないよ有り得ないよぉー……」 浴衣の襟から覗く茜の首筋は赤らんでいて、耳元まで血が上っていた。 「おい、大丈夫か」 ヤンマが恐る恐る声を掛けると、茜は涙目で振り向いた。 「へ、変な夢、見ちゃった。石段が終わらなくて、いきなり真夜中になって、女の子と河童に洞窟に連れ込まれて、そしたら」 「俺もだ。ていうか、あれは夢だよな? 夢じゃなきゃいけないよな? 山神の前で一発ヤらされるなんてのは」 「夢だと思いたい、けどぉ」 茜は立ち上がったが、ふらりとよろけて小さな祠に縋った。足に力が入らないのか、少し乱れた裾の下で茜の膝は細かく震えていた。ヤンマが見るに見かねて茜を支えると、茜はヤンマの胸に額を当てて俯いた。 「凄く、気持ち良かった」 「右に同じ」 ヤンマは茜の乱れぶりを思い起こしただけで、腹部の先端から生殖器が出そうになった。 「すぐに正夢にしてやらぁ」 ヤンマは身を屈め、茜と舌を交えるキスをした。夢の余韻なのか、少し触れ合っただけで茜は早々に息を弾ませた。膝も折れそうになり、甘ったるい声で名前も呼んできた。これで我慢出来る方がおかしいよな、とヤンマは茜を横抱きにして羽を震わせて浮き上がると、茜のつま先から鼻緒が切れた下駄が転げ落ちた。一度降下してその下駄を拾ってから、再度浮上して夜の闇に紛れるように飛んだ。今日はどちらも祭りの用事で家人が出払っているので、遠慮することはない。 樹齢千年近い御神木の上を過ぎて境内を通り越し、鳥居を通り過ぎる瞬間、複眼の端に草色の浴衣と白い面が掠めた。見えていたのは一瞬にも満たないはずなのに、ヤンマの脳裏には面の奥で笑みを浮かべる目が鮮明に焼き付いていた。とりあえず山神は満足してくれたらしい、とヤンマはほっとしたが、今更ながら怖くなった。山神の所在を確認することすら恐ろしくなり、ヤンマは力一杯羽ばたいて実家を目指した。 神様に関わるのは、二度とごめんだ。 ↑ 名前 コメント すべてのコメントを見る タグ … 人間♀ 和姦 昆虫類 !859◆93FwBoL6s. *人外アパート
https://w.atwiki.jp/monsters/pages/172.html
関連 → ヤンマとアカネ リビングメイルと苦学生 8 859 ◆93FwBoL6s.様 目が覚めたら、彼女はいなかった。 眠ったつもりはなかったのに意識が落ちていて、腕の中にいた彼女の上半身が残りの部分と共に消えていた。その代わりに毛布が掛けられ、右手の傷が手当てされ、丁寧な字で書かれたメモがテーブルの上に残っていた。 ごめんなさい、ありがとう。大好きでした。と、広告の裏に書かれ、署名はなかったがアビゲイルの字だと解った。手紙をもらうのは初めてかもしれない、と場違いなことを考えながら、祐介は三行の言葉を何度となく読み返した。寝起きのせいか頭が重たく、思考が働かない。今すぐに部屋を飛び出したいのに、手足がだるく、力が入らない。きっと、アビゲイルは方法は解らないが体を治し、目覚めた魔剣ストームブリンガーを携えて戦いに赴いたのだろう。目的は間違いなく、アーサーなるリビングメイルを倒すためだ。それを止めるべきか否か、祐介は考え込んでしまった。 魔剣ストームブリンガーは、素人目に見てもおぞましい武器だ。破壊出来るものなら、一刻も早く破壊するべきだ。けれど、同時にアビゲイルが破壊されることも目に見えている。アビゲイルのことだ、己の身を犠牲にしかねない。そうなれば、今度こそ取り返しが付かない。祐介は勢い良く立ち上がったが、頭がふらついて足を踏み外しかけた。ふすまに手を付いて姿勢を直し、祐介が玄関に向かうと、廊下側からドアが開かれて軽薄な挨拶が飛び込んできた。 「ちーっす! 兄貴いるっすかー!」 水色の外骨格を持つ昆虫人間、シオカラだった。シオカラは祐介に気付くと、あれ、と表札を見直した。 「あ、サーセン、こっちはアビーさんちだったっすか」 「確か、シオカラ、だったっけ」 祐介がシオカラを見上げると、シオカラはきちきちと顎を鳴らした。 「そうっす、シオカラっす。つか、兄貴どこっすか?」 「ヤンマなら、さっき出ていったんだが。何か用か?」 「俺っち、今日兄貴に草毟りの手伝いしろって呼び出されたんすけど、マジダルいから超シカトしてたんすよー。でも、来ないと後でアイアンクローの刑かなーって思って来てみたんす。なのに兄貴いないなんて、マジ有り得ねーっす」 「そうだ、アビーを見なかったか?」 「アビーさんっすか? あー、それならさっき見たかもしんねーっす。なんすか、ケンカでもしたんすか」 「そうじゃないんだが、とにかく知っているなら教えてくれ!」 祐介がシオカラに迫ると、シオカラは半歩身を引いた。 「てかなんすか、マジ慌てすぎっすよ。俺っちがさっき見た時は、アビーさん、公園の方に向かってたっすよ。長物持って」 「ありがとう、シオカラ!」 祐介はスニーカーを突っかけて玄関から飛び出したが、鍵を忘れたことを思い出し、一旦部屋の中に駆け戻った。バッグの中からキーホルダーを引っ張り出し、鍵を掛けてから、シオカラに再度礼を言って階段を駆け下りていった。 住宅街を息を切らして駆けながら、祐介はアビゲイルを求めていた。会いたくて会いたくて、疲労など吹き飛んでしまう。今を逃したら、二度と会えなくなってしまいそうな気がする。それだけは嫌だ。彼女が傍にいない日々など有り得ない。煩わしい時もあり、鬱陶しく思うこともあったが、それ以上に愛おしい。あそこまで無条件に慕ってくれるのは彼女だけだ。ひどく傷付いた姿を見て、ようやく自覚したのだから遅すぎるぐらいだ。けれど、まだ手遅れではないと思いたかった。 好きだと言われるのは、気分が良かった。真っ向から好意を注がれるのも嬉しかったが、返すのが照れ臭かった。毎日同じ部屋で暮らして、同じ時間を過ごして、同じ価値観を共有していると、面と向かって話すのが恥ずかしかった。だから、嬉しくてもろくな言葉を返さなかった。好きだと言わなくても、アビゲイルはそれ以上に祐介に好きだと言ってくる。何もかも、アビゲイルに甘えていた。いつまでもそんなことでは、いくらアビゲイルでも愛想を尽かされてしまうだろう。 アビゲイルを探し出したら、真っ先に何を言おう。好きだと言うのか、部屋に帰ろうと言うのか、それとも他の言葉を。そんなことを考えながら走った祐介は、シオカラの言葉通りに緑地公園に到着したが、目に飛び込んだ光景に息を止めた。急激な運動による負担とは違った意味で、肺と心臓が痛んだ。緑地公園に植えられた木々が枯れ、葉が全て落ちていた。春先なのに、まるで冬の光景だ。汗ばんでいた肌が総毛立ち、血液が冷える。膝が震えたが、振り切って駆け出した。 きっと、ここに彼女がいる。 彼は、書き置きを読んでくれただろうか。 手にした刃は数百年前と変わらず重たく、冷たい。アビゲイルに触れてきてくれる彼の手とは、正反対の温度だった。目の前に立つ金色の聖騎士は、怯えを隠し切れていない。眩く輝く剣先が僅かに震え、かすかに装甲が鳴っている。彼もまた、愛する者を守りたいだけなのだと解っている。中世時代も現代も、アーサーは愚かしいほど誠実な男だ。けれど、ここで剣を引くわけにはいかない。アビゲイルの手中に魔剣ストームブリンガーがある以上、彼は敵なのだ。守りたいものが近しくても、聖剣と魔剣は交わらない。そして、その使い手同士も、憎しみ合うことしか許されない。 「私はね」 枯れ葉を掻き乱し、アビゲイルは踏み出した。 「好きな人が出来たのよ」 魔剣を横たえて乾いた地面を蹴り、身を躍らせた。 「記憶も力も封じた私は、私が私でいられる場所に行きたいと願ったの。そしたら、私はこの街に倒れていて、そして」 ぎちっ、と黒い切っ先でアーサーの首を押さえたアビゲイルは、静かに述べた。 「祐介さんに出会ったのよ」 「ぐぁあっ!」 刃が接した部分が黒く焼け、アーサーは首を押さえて後退った。金色の指の下ですぐに傷が塞がり、元に戻った。 「だが、貴様は魔女! どれほど人を愛そうと、我が祖国を滅ぼした罪は消えない!」 「私だって馬鹿じゃないわ、それぐらい解っているわ。それでも、祐介さんを好きになってしまったんだもの」 悠長な足取りでアーサーに近付きながら、アビゲイルは漆黒の剣を構えた。 「私はずっと、女の子になりたかったの。王子なんかじゃなくて、どこにでもいる女の子に。男の人を好きになって、 その人のことをお世話して、一緒に暮らしていたかっただけなのよ。祐介さんは私のことを邪険にする時もあるけど、 私のことを女の子として扱ってくれたわ。それが、どんなに嬉しかったか!」 枯れ葉を巻き上げながら振られた漆黒の魔剣を、アーサーは白く輝く聖剣で受けた。 「それは私とて同じこと! 真夜は私を聖騎士としてではなく、一人の男として受け入れてくれたのだから!」 「それが解っているなら、なぜあなたは私を斬ったの? あなたさえ私を斬らなければ、私は!」 聖剣を弾き飛ばしたアビゲイルは、悲痛な叫びを上げて魔剣を振り抜いた。 「祐介さんの傍にいられたのにぃいいいいっ!」 アビゲイルを中心に、黒い衝撃波が重たく放たれた。アーサーは素早く聖剣を横たえてそれを防ぐが、押された。土と葉を散らしながら後退ったアーサーは、息を呑んだ。アーサーの背後以外の枯れた木は、皆、倒されていた。アビゲイルが剣を下げると、円形に斬られた木々は次々に地面に転がり、鈍い震動を立てて枯れ葉を吹き飛ばした。 「だから、あなたは命を懸けて償わなければならないのよ」 倒れた木々の表皮が乾き、ひび割れていく。死者の匂いが充満した風が緩く吹き付けると、ぴしり、と木々が砕けた。大地に根付いた切り株にもひびが走り、砕け、割れる。地面に触れると砂と化し、木々で出来た砂山が出来上がった。生命を吸うどころか、その姿さえも奪っている。数百年の眠りの間に、ストームブリンガーは飢えに飢えているようだった。 「私は貴様に殺されるわけにはいかん!」 畏怖を勇気で塗り潰し、アーサーは己を奮い立てた。 「私は真夜に謝っていない! 私が償うべきは貴様ではなく、真夜なのだ! 聖騎士たる者、愛する聖女に義を尽くさずに 死ねるものか!」 「あら、そう。御立派ね」 少しも褒めていない口調で吐き捨てたアビゲイルは、死した砂粒の付着した切っ先を掲げた。 「けれど、勝つのは私よ!」 魔剣が質量を増し、柄が伸び、アビゲイルの右腕に溶けていく。銀色の装甲が黒に侵され、魔女と化した。 「さあ…行きましょう、ストームブリンガー」 「目覚めよ、エクスカリバー!」 アーサーは聖剣と鞘を重ね合わせ、声を張った。聖剣の柄が右腕を柔らかく包み込み、巻き付き、切っ先が手と化す。聖剣の柄が開いて左腕を覆い、馴染むと、左腕全体が一回り以上大きくなり、分厚い盾を備えた強化武装と化した。それまでは聖剣にしか現れなかった白い光が、アーサーの金色の体から溢れ出し、死した木々の砂すらも煌めかせた。 「うふふふふふ」 漆黒の魔女は笑みを零し、駆け出した。アーサーは懐に飛び込もうとした彼女を受け止め、弾き、激しく斬り結んだ。光と闇、白と黒の火花が散る。漆黒の刃が光を纏った装甲を削り、潔白な刃が闇を吸った装甲を斬り、傷付け合った。双方の力は拮抗し、押したところで押し返され、攻めたところで攻め返される。このままでは、持久戦にしかならない。だが、あまり戦いが長引けばどちらの体も持たない。死者でもなければ生者でもない両者では、負担に耐えられない。 「神よ! 今こそ、魔を退ける力を!」 アーサーは右腕の聖剣でアビゲイルの右肩を貫くが、潔白な刃が真逆の力によって焼かれ、灰色の煙が立ち上った。激しい痛みが右半身を駆け抜けたが、引き抜きたい衝動を堪えてアビゲイルを地面に押し倒し、左腕の盾を上げた。込められるだけの力を込めた盾を、漆黒の刃に押し付ける。鉄板に水を浴びせたような音が弾け、アビゲイルが跳ねた。 「いや、いや、祐介さあんっ!」 潔白な刃に切断されかけた右腕を押さえ、アビゲイルは頭を激しく振った。 「魔女の分際で誰かを愛せただけでも幸福だと思え! だが、貴様は誰にも愛されることはない!」 アーサーは光り輝く盾を漆黒の刃に抉り込ませ、刀身が歪むほど体重を掛けた。 「そんなこと、解っているわよ!」 聖なる盾と鬩ぎ合う魔剣を睨み、アビゲイルは引きつった声を上げた。 「だから、私はあなたと戦うのよ!」 アビゲイルの左腕が白く光る盾を掴み、女とは思えぬ腕力で魔剣と盾を引き離していった。 「私は祐介さんを幸せにしたいのよ! だけど、あなたと聖剣が在る限り、あなたは何度でも私を襲うわ! だから、 私はあなたを殺さなければならないのよっ!」 じゅうじゅうと左手が溶けるのも厭わずに聖なる盾を外させたアビゲイルは、溶解した左腕を下げ、立ち上がった。 「愛されるだけが、女の幸せじゃないのよ」 乾いた砂に黒い雫が垂れ落ち、煙の筋が昇った。ぐにゅりと左腕が膨らみ、溶け落ちた左手と下腕が再生した。アーサーは聖なる盾を突き出すが、アビゲイルの左手に握られた部分が黒く変色し、そこだけは白い光も及ばない。触れられた時に力を吸収されたばかりか、穢れに浸食されている。その部分が増えれば、アーサーとて命が危うい。一瞬にも永遠にも思える緊張が張り詰めていたが、乾いた砂を蹴り上げる足音が聞こえ、アビゲイルは剣を下げた。 「あ…」 アビゲイルはアーサーに躊躇いもなく背を向け、声を張った。 「来ないで、祐介さん!」 「アビー!」 死した林を駆けてきた祐介は、息を切らしながら歩調を緩め、笑った。 「良かった、体、直ったんだな」 「近付かないで、祐介さん! 私を見ないで!」 アビゲイルは魔剣の生えた右腕を背に隠し、顔を左手で覆った。 「そうか、貴様がこの女の妄執の主か」 アーサーは右腕の聖剣を翳し、祐介を遮った。 「我らの戦いは、古より定められしもの。貴様がこの女の何であろうと、妨げられるものでもなければ収められるもの でもない。早々に立ち去るがいい。それが最良だ」 「俺はアビーを迎えに来たんだ」 祐介が歩み出すと、アーサーはアビゲイルの前に立ちはだかった。 「ならん! この女は今ここで倒さねばならぬのだ! それこそが聖騎士の」 使命、と言い切る前に、アーサーの胸が黒い刃に貫かれた。金色の装甲を包んでいた光が途切れ、瞬き、失せる。生身の人間の血液に良く似た溶けた金属の糸を引きながら、漆黒の刃が引き抜かれ、アーサーが前のめりに倒れた。 「祐介さん…」 金色の筋が絡む魔剣を下ろし、アビゲイルは祐介を見定めた。 「どうして、私なんかを迎えに来たのよ?」 「アビー。ごめんな」 祐介は畏怖で外れそうになる視線を彼女に据え、汗ばんだ拳をきつく固めた。 「お前のこと、今まで蔑ろにしてた」 「そんなことないわ、祐介さんは私を女の子にしてくれたわ!」 「都合良く利用してたってだけだ」 「家事だって、私がやりたかったからしていただけよ! 祐介さんが気に病むことはないわ!」 「ていうか、俺も気付くのが遅いんだよ」 祐介は状況に見合わない照れ混じりの笑みを浮かべ、言った。 「アビー。好きだ」 アビゲイルの中で、魔剣が叫ぶ。戦え。殺せ。命を喰らえ。だが、その声が聞こえなくなるほど、その声は良く聞こえた。彼の発した声が風に乱されて消えてしまうのが、悲しいほど辛かった。祐介の目は揺るぎなく、黒い魔女を見据えていた。アビゲイルは両腕をだらりと下げ、漆黒の剣先を灰色の砂に埋めた。埋めた部分からまた色が失せ、黒ずんでいった。 私もあなたが好きよ。愛しているわ。そう言ってしまえば、彼を抱き締めてしまいたくなる。だが、この体では触れられない。聖剣の力に守護されたアーサーでさえも、今のアビゲイルに触れれば命が吸い取られるのだから、祐介など一瞬で死ぬ。血の一滴も残さずに、祐介は死ぬだろう。アビゲイルは首を横に振りながら身を引くが、祐介は迷わずに近付いてきた。 「アビー」 「来ないでぇえっ!」 アビゲイルは頭を抱え、ずしゃりと灰色の砂に座り込んだ。体が触れた砂が、全て黒ずみ、穢れていく。 「私に触ったら、祐介さんは死ぬわ! だから、来ないで!」 「アビー。今日の夕飯、何にする?」 「今はそんなこと、どうでもいいじゃない!」 「どうでもよくない。それで、何にするつもりだったんだ?」 「え、っと…」 アビゲイルは冷蔵庫の中身を思い出し、手早くメニューを考えた。 「昨日特売だったお魚の煮付けと、菜の花のお浸しと、春キャベツの御味噌汁、かしら。あ、浅漬けも作れるかも」 「じゃ、そろそろ帰って準備しないとまずいんじゃないのか? もう五時前だぞ」 「でも、今はそんなことを言っている場合じゃ」 祐介はアビゲイルの前に屈み、包帯の巻かれた右手を差し伸べた。 「俺はお前の作った夕飯が食べたい。だから、一緒に帰ろう」 「祐介さん…」 アビゲイルはその手を見つめていたが、顔を伏せ、肩を震わせた。 「今時、そんな口説き文句で落とされるのって、私ぐらいしかいないわよ?」 今すぐに、祐介の手を取ってあの部屋に帰りたい。狭くて古い部屋だが、その空間に詰め切れないほどの幸福がある。けれど、彼の手を取ったら、アビゲイルは命を奪う。魔剣ストームブリンガーが暴れ出し、祐介の心臓を貫くことだろう。帰りたい。けれど、帰れない。アビゲイルは身が裂かれそうな気持ちで祐介を見つめていたが、アーサーに振り返った。 「あなた、まだ生きているわよね?」 「無論だ」 聖剣を支えにして起き上がったアーサーは、穴を開けられた胸を押さえ、再生させた。 「ストームブリンガーを殺して」 アビゲイルは右腕と一体化した魔剣を横たえ、滑らかな刃に金色の聖騎士を映した。 「私はあなたを殺したかったけど、祐介さんの前で誰かを殺すわけにはいかないわ。けれど、今、この場から逃げても 何も始まらないし終わらないのよ。だから、あなたのエクスカリバーでストームブリンガーを貫いて」 「言われるまでもない!」 アーサーは聖剣に白い光を纏わせ、祐介を一瞥した。 「…許せ」 金色のつま先が砂を抉り、巨体が躍り出た。身動ぎもせずに直立しているアビゲイルの右腕に、潔白な刃が迫る。白と黒の電流が跳ねて弾け、漆黒の刀身に純白の剣先が埋まり、貫き、その奥にある魔女の胸も易々と貫いた。厚みのある胸が破れ、背中から切っ先が現れた。双方の力が混じり合い、溶かし合い、ぼたぼたと金属が滴り落ちる。雨の滴よりも大きく、血よりも重たい雫を散らしながら、聖剣を引き抜かれたアビゲイルは魔剣を失った右腕を下げた。 「うふふふ…。ちょっと、痛かったわね…」 右腕自体がずるりと溶けて柄が外れ、刀身が全て砕けた魔剣が足元に転がり落ちた。 「好きよ、大好きよ、祐介さん…」 「アビー…」 祐介が近寄ると、装甲の色が元に戻ったアビゲイルは、祐介に左手を伸ばしたが、その手が取られる前に倒れた。腰に下げていた魔剣の鞘が外れて転げ、溶けた魔剣の海にヘルムが沈む。膝を折った祐介に、アーサーは言った。 「その女は、私と同じように魔剣の力で長らえていた。だが、その魔剣が滅びた今、その女を生かす術はない」 「なんとかならないのか?」 アビゲイルの横顔を見つめながら祐介が呟くと、アーサーは両腕の融合を解き、鞘を掲げた。 「この鞘は、あらゆる傷を癒す力を持っている。しかし、この女は魔剣に穢れすぎている。使ったところで、反発し合う かもしれん。剣が潰えても鞘と柄は残っている、もしもこの女と共に魔剣自体も蘇りでもしたら」 「その時は、またあんたがアビーと戦えばいい。そのための聖騎士と聖剣なんだろうが!」 「だが…」 アーサーは鞘と祐介を見比べ、語気を強めた。 「ならば、奇跡は求めるな。所詮、聖と魔は相容れぬもの、穢れが浄めを上回ることも少なくない」 「その時は、喜んで魔剣に喰われてやるよ。俺は、それぐらいしか出来ることがないんだ」 「酔狂な男だな」 「そんなこと、とっくに自覚してる。何せ、相手はリビングメイルだからな」 祐介はアーサーに向き直り、言い切った。 「頼む。アビーを助けてやってくれ」 「魔剣の操り手を癒すことなど、聖騎士には許されぬ愚行だが、これもまた騎士道だ」 アーサーはアビゲイルの傍に膝を付き、その身の上に鞘を置いた。 「聖剣エクスカリバーよ。どうか、今ばかりは魔女の罪を許し、その身を癒してくれたまえ」 鞘はアビゲイルに触れた部分から薄く煙を昇らせたが、アーサーの願いを聞き入れたのか、白い光を放ち始めた。貫かれた背と胸の傷が金属に埋められ、溶け落ちた右腕が再生していくが、アビゲイルの意識は戻ってこなかった。戦闘による細かな傷も全て埋まり、新品のような輝きを得たが、アビゲイルは声を発することも動くこともなかった。祐介は彼女の肩に触れるが、やはり反応はない。アーサーは彼女の上から鞘を外すと、エクスカリバーを収めた。 「私には、これが限界だ」 「充分だよ。ありがとう、アーサー」 祐介はアビゲイルの傍らに膝を付くと、滑らかなヘルムを撫でた。いつもと変わらないはずなのに、ひどく冷たかった。祐介は身を屈めてアビゲイルの顔を起こさせ、そのマスクに唇を当てた。砂と灰が入り混じった、切なく苦い味がした。抱き起こそうとしても、アビゲイルの方が体重があるので上半身を起こすだけで一苦労で、支えるだけでも大変だった。見かねたアーサーが手を貸そうとするが、それを遮り、祐介は渾身の力を込めて腰を上げ、アビゲイルを立ち上がらせた。 銀色の全身鎧を引き摺る青年と、彼らに距離を置いて歩く金色の聖騎士が死んだ林から出ると、見慣れた顔が待っていた。祐介がアパートを飛び出した後にシオカラが連絡して回ったらしく、シオカラ、ヤンマ、茜、真夜が公園の出口に揃っていた。 「おう、生きてたか」 ヤンマは祐介が肩に担いでいるアビゲイルを見、アーサーを見、祐介に尋ねた。 「んで、何がどうなったんだよ」 「まあ、色々とな」 祐介はアビゲイルを一旦下ろし、縁石に座らせた。 「私は聖騎士の使命を果たし、魔剣を滅ぼし、魔女を討った。それが罪だと言うのなら、私を裁いてくれ」 アーサーは泣き腫らした真夜の前に膝を付き、エクスカリバーを彼女の前に置いた。 「我が聖女よ。君の美しさを曇らせてしまった私は、万死に値する。葬られるのならば、せめて君の手で」 「いいのよ、アーサー。私もいけなかったのよ。あなたの気持ち、全然考えてなかった。私の方こそ、ごめんなさい」 「だが、君は私を嫌いだと」 「そんなわけない。あの時は訳が解らなかったから、言い過ぎちゃったのよ。ごめんね、アーサー」 真夜はぐしゃりと顔を歪めてアーサーの前に跪き、アーサーの首に腕を回して抱き付いた。 「ああ、真夜…。愛している」 アーサーは真夜を抱き寄せ、声を殺して泣く彼女を宥めた。 「祐介兄ちゃん。アビーさん、どうなったの?」 茜が不安げに尋ねてきたので、祐介はアビゲイルを撫でた。 「今は少し眠っているだけだ。すぐに目を覚ますよ」 「そっか。うん、そうだよね」 茜は内心の不安を払拭するように笑み、アビゲイルの肩に触れた。 「アビーさん、お疲れ様。今はゆっくり休んでね」 「祐介。アビー、俺がアパートまで運んでやろうか?」 ヤンマが歩み寄ってきたが、祐介は首を横に振った。 「いや、俺が連れて帰る。俺の彼女だからな」 「つか、やっぱそうなんすか。てかマジっすか、マジパネェっす」 シオカラは状況が把握出来ていないのか、けたけたと笑った。ヤンマはシオカラを小突いてから、祐介に向いた。 「頑張れよな」 何するんすか兄貴、つかマジ痛っ、と喚くシオカラの頭を掴んで引き摺りながら、ヤンマは茜と連れ立って行った。アーサーは祐介とアビゲイルに別れの言葉を丁重に述べてから、真夜に伴われて、真夜の自宅へと戻っていった。その場に残されたのは祐介とアビゲイルだけとなり、祐介は彼女の隣の縁石に腰を下ろして、その肩を抱き寄せた。がしゃり、と装甲を鳴らしながら頭を預けてきたアビゲイルを支えながら、祐介は西日に染まった街並みを眺めた。 考えてみたら、二人で一緒に外に出たのは数えるほどしかない。それも、近所の店で買い物をしたぐらいだった。一緒に出掛けたこともなければ、連れ出したこともない。アビゲイルが目覚めたら、好きなところに連れて行こう。明るいことを考えていても、目の奥が熱くなる。死んだわけではないのだ、と思っても、顎が震えて変な声が漏れる。 好きだ。好きだ。大好きだ。それなのに、アビゲイルは動かない。すぐにでも起きてほしいのに、起こす術がない。堪えきれない嗚咽を漏らしながら、祐介はアビゲイルを力一杯抱き締め、愛おしいリビングメイルの名を呼び続けた。 だが、彼女は起きなかった。 今日もまた、良い天気だ。 目の端に染み入る朝日が眩しく、生温い眠気が退いていく。布団から離れるのが名残惜しかったが、起き上がった。薄手の掛け布団をめくり、窓を開ける。昼間の暑さが想像出来るような暖かな風が舞い込み、カーテンを揺らした。祐介は鳴る寸前だった目覚まし時計を止めてから、剥がれた掛け布団にしがみついている銀色の全身鎧を見下ろした。滑らかな装甲に朝日が跳ね、天井や薄い壁や畳に光の粒が散り、新鮮な光が彼女の輪郭を柔らかく縁取っていた。 「起きろ、アビー」 祐介が声を掛けると、女性型の全身鎧は小さく呻きながら顔を起こし、ヘルムを擦った。 「あら、もう朝…?」 「にしても、良く寝てたなぁ。いつもなら、俺より早く起きるのにな」 「だって、祐介さんたら、私の弱いところを全部知っているんだもの」 恥じらってヘルムを伏せたアビゲイルに、祐介は目覚まし時計を指した。 「アビー、もう六時半だぞ」 「え、あ、きゃあ!」 朝ご飯用意しなきゃ、とアビゲイルは慌てて立ち上がり、寝室から出ようとしたがふすまを開け損ねて顔を打った。もういやぁん、と拗ねたように呟きながら、アビゲイルは寝室兼勉強部屋を出ていき、居間を抜けて台所に入った。祐介はにやにやしながら寝間着のジャージから普段着に着替え、居間に入ると、ベランダに派手な虫が立っていた。 「おーす」 「なんで朝っぱらから人んちのベランダにいるんだ」 祐介がヤンマを睨むと、ヤンマはがちがちと顎を鳴らした。 「細かいことは気にするな」 「むしろお前が気にしてくれ」 「朝刊の配達が終わったから帰ってきたんだよ、それ以外の理由があるか」 ヤンマはベランダに腰掛けて下両足を組み、台所で忙しく働くエプロン姿のリビングメイルを見やった。 「んで、アビーはどうだ?」 「変わりはしない。何がどうなったって、アビーはやっぱりアビーなんだ」 祐介はヤンマと同じようにアビゲイルの背を見つめ、頬を緩めた。 「俺の自慢の彼女だ」 魔剣ストームブリンガーを操る魔女アビゲイルと、聖剣エクスカリバーに選ばれし聖騎士アーサーの戦いから一ヶ月が過ぎた。アーサーとの死闘の末に魔剣を破壊させたアビゲイルは、自身もひどく負傷し、聖剣の鞘の力で傷は再生したが目覚めなかった。 それから一週間、祐介はアビゲイルを愛した。声を掛け、キスをして、抱き締めて、時には彼女が求めてきたようなこともした。効果があるとは思えなかったが、何もしないよりは気が楽だったのだ。そして、一週間目の朝、アビゲイルは目を覚ました。しかし、アビゲイルは祐介を見ても名を思い出せず、名を呼ばれても反応が鈍く、ヤンマと茜に会わせてもぼんやりしていた。アーサーと真夜にも会わせてみたが、やはり反応は同じだった。聖剣エクスカリバーを見せても、立派ねぇ、としか言わなかった。新婚臭いエプロンを見ても、首を傾げるばかりだった。よくよく確かめてみると、アビゲイルはまたも一切の記憶を失っていた。魔剣を操っていたことも、祐介と共に暮らしていた半年間のことも、過去のことも、魔剣が滅ぶと同時に吹き飛んだようだった。 過去のない空っぽの鎧と化したアビゲイルは、家事のやり方もさっぱり忘れていて、とんちんかんな行動ばかり取っていた。祐介や茜が教えてやれば上手く行くのだが、教えなければ当てずっぽうでとんでもないことをするので、子供も同然だった。けれど、積み重ねていけばなんとかなるもので、三週間もすればアビゲイルは以前のアビゲイルのように勘を取り戻していた。料理の才能も蘇ったらしく、手付きは危なっかしいが味は確かな料理を振る舞ってくれ、茜らとも以前のように仲良くしている。 「あら、ヤンマさん、おはよう」 アビゲイルはヤンマに気付くと手を止め、ベランダにやってきた。 「おーす」 ヤンマは上右足を挙げてから、顎を広げた。 「昨日もきっちり可愛がってもらったみたいだな?」 「そうなのよぉ、祐介さんったらもう凄いんだからぁ」 うふふふふふっ、と悩ましげに身を捩ったアビゲイルを、祐介は小突いた。 「そういうことは話すなってこの前言っただろうが」 「でも、なんだか勿体ないわ」 「朝っぱらから暴露するようなことじゃない。それと、このままだとまた味噌汁が焦げるぞ」 祐介がガスコンロの上で煮立っている鍋を指すと、アビゲイルは台所に駆け戻った。 「いやぁんっ」 「んじゃな、祐介。色々と頑張れよ」 ヤンマはにやにやしながら自室のベランダに戻り、待ち受けていた茜と甘ったるい会話を交わしていた。 「言われなくても頑張るさ」 祐介は小さく呟き、具材が煮えた鍋の中で味噌を溶いているアビゲイルの背を見つめていたが、玄関に視線を投げた。玄関の傘立てには、本数の増えた安っぽいビニール傘に混じって、鞘だけを残した魔剣ストームブリンガーが刺さっていた。その鞘と共に魔剣の破片が付いている柄をアーサーの手を借りて回収したのだが、その後の処分に困り果ててしまった。ただ捨てたのでは、また戻ってくる。だが、このままアビゲイルの手元に置いておくのは危険だ、と関係者全員で考え込んだ。 そんな時に現れたのが、バイオノイド、多田ショウゴだった。彼にも経緯を一通り話したのだが、まるで信じてもらえなかった。アビゲイルの記憶が吹っ飛んだことだけは信用してもらえたが、聖剣やら魔剣やら何やらは、それ二次元ですか、と一蹴された。ストームブリンガーの柄を捨てる方法を探していると言ったら、多田は自分の仕事先がゴミ処理場で、柄は粗大ゴミだと言った。とにかく危険だから徹底的に処分してくれ、と全員で力説すると、多田は気圧される形でストームブリンガーの柄を引き取った。その後、多田から放射性廃棄物コンテナに混ぜて恒星投棄用ミサイルに載せてやった、との、本当に徹底された報告を受けた。 鞘だけを手元に残したのは、鞘には魔剣の主を癒す力があるためと、それがなければアビゲイルが活動出来ないからだ。アーサーとエクスカリバーが一つであるように、アビゲイルとストームブリンガーも一つだ。だから、捨てることは出来ない。 「祐介さぁん、準備出来たわよ」 アビゲイルは味噌汁を入れた汁椀と白飯を盛った茶碗を並べ、食卓に付いた。 「さあ、冷めないうちにどうぞ」 「食べるのは、アビーが先だ」 祐介はアビゲイルを引き寄せ、そのマスクにキスをした。祐介が離れると、アビゲイルはマスクを押さえて俯いた。 「うふふふふ」 アビゲイルは顔を上げ、可愛らしく小首を傾げた。 「私、幸せよ」 表情が見えなくても、アビゲイルの言葉には喜びが滲んでいた。祐介も自然と顔が緩み、訳もなく笑い出したくなった。せっかくの朝食が冷めてしまっては台無しなので、祐介は幸せを噛み締めながら、彼女の作った朝食を食べ始めた。アビゲイルは祐介が食べる様をじっと眺めてくるので、少し気恥ずかしくなったが、それを邪険にするのは惜しかった。愛情の籠もった真摯な視線を注がれながら、祐介は熱い味噌汁と炊き立ての白飯と脂の乗った焼き鮭を味わった。 少し大変なことがあったが、振り出しに戻ってきた。回り道をしたが、結局、行き着く先は最初から決まっていたのだ。朝起きたら隣に彼女がいて、夜帰ってきたら彼女が待っていて、手を伸ばせば彼女に届く。それが何よりの幸せだ。週末に予定しているデートのことは、まだ話していない。行き先は茜と真夜に相談して決めたが、喜んでくれるかどうか。だが、二人一緒なら、間違いなく楽しいはずだ。アビゲイルは祐介が好きで、祐介もまたアビゲイルが好きなのだから。 それだけで充分だ。 ←・↑ 名前 コメント すべてのコメントを見る タグ … !859◆93FwBoL6s. *人外アパート
https://w.atwiki.jp/monsters/pages/164.html
怪文書 2 3-672様 「…………で、なんなんだ、この怪文書は」 「いや……ハルカが最近、悩んでいたようだったからな。お前はけしてマイノリティではないと言う事の証明に」 「マイノリティなのは自覚してるから電波垂れ流すな」 「ちなみに私はマイノリティではないぞ。恋に落ちてしまえば種族など関係あるものか。 私の場合、たまたまハルカがヒトだっただけだ。だがハルカはハルカだし、例えハルカがどんな種族であろうが、私はハルカを娶りたい」 「………………」 「……ハルカ? おーい、はーるー」 「うっさい死ねッ!!」 私は身長3,40センチほどの奴を蹴り飛ばすと、そのまま部屋を飛び出した。 元々丸っこい体をしていた分、ゴムボールのようにぼよんぼよんとよく跳ねる奴を見送って。 「ま、待て、ハル……ガフッ」 ……あ、倒れた。 わかってる、マイノリティであることは嫌でもよくわかってるんだ。 いつもいつもあのぬいぐるみ野郎は、歯の浮くような、砂糖水に蜂蜜とメープルシロップを溶かし込んだ上キャラメルで仕上げたような事をよく言う。 顔が熱くてしかたがない。きっと私の顔は真っ赤になっていることだろう。 お互い過去に何があったか知らないし、未来にどうなるかなんてわからない。 それでもあいつは、ただ私にそんなことばかりを言う。 何でそんなに私を好いてくれるのかわからない。 私には誰かを好きになる資格なんてないのに。 鼻の奥がつうんと痛くなった。花粉の季節も過ぎたのに。 ぴちゃりと頬が濡れたかと思うと、急に足元の影が大きくなった。夕立だ。 「……ハルカ」 軒先で雨宿りしていた私に、奴が話しかけてきた。何故か、私の傘を引きずって。 「初めて会った時も、こんな風だったな」 私は何も言わない。言う事もない。 「なあ、ハルカ。……その、すまない」 何も言わない。 「確かに、私の言動も問題だったかもしれない。だが……」 何も、言わない。 「私がハルカを好きなのは、本当だ。それは、初めて会った10年前から変わらない、何も」 何も―― 「戻ってきて、くれないか? 私たちの家に」 ………… びちゃびちゃに濡れた彼をおんぶして、私は傘を差した。 「すまんな、ハルカ。重くて持てなかった」 「いや……別に、それはいいよ」 私たちはどしゃぶりの雨の中を、アパートへと戻っていった。 ↑ 名前 コメント すべてのコメントを見る タグ …
https://w.atwiki.jp/vipdetyuuni/pages/2363.html
「──────────狩りの時間だ」 プロフィール 名前 梅澤 性別 男 年齢 20 血液型 O型 能力分類 【特殊系】 使用属性 対人外 戦闘スタイル 魔術 誕生日 8月6日 身長 170 体重 測ったことない 趣味 狩猟 トラウマ まだ無い 所属 未定 能力 【人外罰式】 人外に絶大なダメージを及ぼす波長を魔力に変換することによって魔術を行使する対人外魔術師 レスチャージによって技の威力範囲が変動する 1レスチャージ 【ファースト・レイ】 初級魔術の威力のボール状の魔力の塊を複数生成し射出 2レスチャージ 【セカンド・レイ】 触れている物体に対人外の属性を付加する 発動レスを除いて3レス有効 3レスチャージ 【サード・レイ】 対人外の波長を自由な形に具現化できる。新たに巨大な腕を作るなり矛にするなり自由である。 ただし拳銃等弾を要するものは弾が出ないのであしからず 発動レスを除いて3レス有効 4レスチャージ 【ヘル・レイ】 全方位に対人外の波長を衝撃波に変換して攻撃できる 範囲は半径30m 5レスチャージ 【ヘヴンズ・レイ】 地面に巨大な魔方陣が描かれその中に居るものに対して絶え間ない光線による攻撃 威力は人外が掠っただけでも激痛である。クリーンヒットするならばその部分は瞬時に消え去る 初期装備:絶対に壊れない杖 概要 魔法使いであり、かつ化け物を殺してその報酬で生活するという典型的なハンター。 別世界で転移魔術を行使したら、行き着く先がズレてこの世界に偶然飛ばされた。 持ち物 杖 先端に玉が埋め込まれ、内部に不死鳥の尾羽が入れられた長い杖。を円滑に発動するための媒体となっており、『不壊』の魔法がかけられている。そのためいかなる衝撃にも耐え、異能を受け付けず、絶対に壊れることがない。 プロテインバナナ味 【筋肉爆誕】から貰ったなんの変哲もない普通のプロテイン。箱で貰った。以外とうまい。 〜狩猟の記録〜
https://w.atwiki.jp/src_review/pages/26.html
3話までプレイしての報告。つーかここまでが限界です。ごめん。 シナリオ ヘルシングベースにオリキャラを投入したシナリオ。局所的に月姫が混じる。 原作知ってないと、1~2話は何やってるかわからないレヴェル。 セリフ回しも拙く、演出も無いに等しい。 一応フォローしておく。 20話あたりのeveファイルを覗いてみたが、割とマシなレベルに向上していると思う。 ただ、そこまでプレイする気にはなれなかった。 戦闘 大味。 超射程P兵器、援護技能が特徴。普通に戦っていればまず死なない。 ヒント機能もあるので、戦闘が苦手な人は覗いてみてはいかがか。 あと人外は前にやたことがあるんでちょいと補足 二つに分かれたルートが合流する辺りから笑えるようになる 12話辺りから主人公が三枚目に変身 有彦と「ソウルメイト」の誓いを交わし、横島を加えてハンサムでモテる「モテ男男爵」と戦いつづける「もてナイトキッズ」を結成する 前半のつまらなさを吹き飛ばすほど強烈です、我慢してやってみてくださいな ちなみにモテ男達の本拠地は「ハンサムキャッスル」 もてない男達の為に悪の集団「ハンサムブレイカー」と戦いつづける彼ら三勇士をきみ達の魂に刻み込め!(特撮風 彼らの弱点は「橘あすか」その玉の凄さに気力がどんどん下がる下がる(w そう、男の価値って言うのは数でもなく大きさでもなく変幻自在でもないのです つかこの作者、最初からこの路線で行けばアクロス並みのシナリオになると思うんだが ヘルシング?何それおいしいの? まじめに書くと序盤の演出関係が特に酷い 一例を挙げると第五話、ルークとアーカードの決闘がずっと会話だけ…当然右クリでふっ飛ばしましたが SRCの長所はこういう所での映像表現ができることだと思うのですが如何? 完結したら手直ししてほしいな こんな所でどうでしょうか 最初はどこにでもある初心者シナリオ、尺も短く演出もダメダメ ただしシナリオ中の作者の成長がわかり、最初の分岐と月姫編のラストあたりでかなり上達してることがわかる でも最初は目立たなかった主人公がどんどんでしゃばるのがちょっとな・・・ 皮肉なことにオリ主人公がでしゃばればでしゃばるほど面白くなる、ある意味やりにくいシナリオ 後つけ設定満載で隠された力なんかもお手の物 月姫編のラストで原作ヒロインとくっ付くというオリ主にあるまじき行為に及ぶ まぁそれまでの描写などがよかったので(俺は)嫌悪感少なかったが 30話でそれが無かったかのようにオリヒロインとくっ付くハァ?な展開に 戦闘は主人公側がインフレしていくのでぬるめ オリ主人公がでしゃばりすぎなのが後半特に目に付く シナリオのレベルは前半ダメダメ、後半まずまずといったところ オリ主人公が前に出れば出るほど面白くなるという評価しにくいシナリオ 他の原作の描写などは結構しっかりしてる(特にヘルシングやスクライド、月姫など) 原作踏み台などはほとんどないが オリ主人公がリーダー面してのさばってるのに我慢できない人にはオススメできない これももう何回も指定されてなかったか。 月姫・GS美神・スクライドをメインに、思い出したころにJOJOとヘルシングなシナリオ。 〇 原作再現ベースに適度に if や他作とのクロスを練りこんだ安心できるストーリー。 拡張で本家スパロボみたいな雰囲気のシナリオは結構珍しい × クロス先がほとんどオリ主人公。なんにでも首を突っ込み解決の糸口となる 主人公の大々々活躍ぶりが素敵。あと不幸勝負は痛いからやめれ 〇 主人公・横島・有彦による「もてナイトキッズ」結成 × 割とすぐ後に主人公がモテくさる × 4P5P当たり前で多数のザコから集中砲火を喰らいまくるので 最強の味方キャラである主人公を単騎で突っ込ませる以外の戦法をとると たいがい被害が出る まとめ もてナイトキッズ最高。 普通の人は思いついても実行しないこのセンスを、これからの日本は大事にしていってほしい 【】ぐらい付けぇや。つかこれ指定されすぎじゃねぇ? 後半のレビューが見たいとかにしては話数指定もないしさー。 【人外魔境伝】 まず最初にeveファイルとmapファイルがシナリオフォルダ直下に置いてあってびびる。 最近は別フォルダにまとめておくのが主流よね。 読んで頂戴!.txtによれば1.6系列の本体が要るようだけど、とりあえず現行安定板でも動作はした。 とりあえずステージ1.eveから。 最初はヘルシングの最初の話にオリキャラ交えて原作再現っぽい。 ヘルシング信者なのでちょっと期待する。 が、タイトルコールのwaitが長くて萎える。 引用以外のアーカードの台詞に「らしさ」が感じられず更に萎える。 初っ端からオリキャラが大活躍っぽいことして誉められてて萎え果てる。 すまないがここで気力が尽きた。 昔、中盤以降良くなるとかいうレビューも見た気がするが、そこまでやる気にはなれない。 完結してる点は評価に値するとは思う。 糞レビュー乙。>俺 281 :280:2006/03/06(月) 13 53 25 ID VABnXA9+0 「人外魔境伝」 プレイした事が無い人へ 軽いノリとベタな熱血展開、クセのある参戦作品。 文章力、戦闘デザインには荒削りな所も見受けられるが、原作イベントの調理センスは高い。 時折突拍子もないギャグシナリオが挿入される事がある。 参戦作品が大体把握できているならやって損はない。 途中までプレイしている人へ 元々更新ペースがしっかりしている事で高く評価されていたが、 最近では残念な事に1eveあたりの分量が減少傾向にあり、更新を追う身からすれば物足りない事も多い。 1話あたりの分量が減ったせいかシリアス/ギャグのバランスが崩れてしまい、以前に比べるとメリハリが無いと感じる。 また、同じ理由で通常なら1つのeveで数キャラ処理されるようなアップグレードイベントが、キャラごとにeve分けされてしまっている。 更新を待った挙句に、似たような展開のアップグレードシナリオが続くのには閉口。 最新10話 主要な原作イベントはJOJOの柱の男戦。ただし、賛否の分かれる結末かも。 ギャグシナリオとなる53話は程よくはっちゃけていて楽しめる。 ここ最近はオリキャラが数、展開ともに多めになっており、版権作品はまとめてギャグ担当になりがちな傾向も。 原作イベントを全て消化してしまった作品ばかりなので仕方がないかもしれないけれど。 イベントが残っているという点で現在進行中のスクライド展開には期待したいところ。 最後に。今10話分程まとめてやりなおしたら昔と変わらず面白かった。 更新を追うより、まとめて遊ぶ方が良いようだ。 210 :名無しさん(ザコ):2013/01/02(水) 09 43 43 ID 8jgy5GMQ0 おまっ、ちょっ、またそんな長くて古くていろんな意味で根気のいるものを! えー、では【人外魔境伝】。 プレイ当時のことを思い出しながら総評で。 シナリオ概要 SRCが1.6時代の版権等身大共闘シナリオ。全72話完結済み。 登場作品はHELLSING、スクライド、月姫、GS美神と当時ホットだった作品が概ね網羅されている。 ジョジョ第二部が割と珍しいか。リリース当時はユニットアイコンすら揃ってなかったと思う。 あと雑多な小ネタは多い。 ストーリー ストーリー概要にある通り、主人公がHELLSINGに入隊したところから始まる、いわゆる退魔系。 概ね参戦作品をなぞった展開なのだが、後半に行くにつれ大胆なアレンジが目立つ。 とはいえ多分に私見も入るが、あまり料理の上手い部類ではない。 オリ勢のでしゃばり方が凄いし、クロスオーバーもどちらかといえば無理矢理感が漂う。 ただ当時はアイコンもデータも揃いが悪かったので、 オリジナルでとにかく欠けたピースを補ったがゆえ、という部分も無くはない、と思う。 ギャグは、まぁ……合う人なら評価する部分だと思う。私は合わなかったが。 戦闘 全般的に攻撃力が高く、P兵器の射程が長めの独自バランス。 序盤は過度に楽だが後半はキツい。正直に言えば大味。 あ、あと敵もSPを使う。 演出 最初は無きに等しく、序盤は原作を知らないと何がなんだかわからないであろうシーンさえある。 ただ、徐々にレベルアップはしていく。 それでも今やSRC全体で見て目を剥くほどではないが……。 ぶっちゃけると オリがやたらにでしゃばり、戦闘は大味。演出もそこそこ。 ギャグは波長が合うかどうかによるが、まぁ総評として面白い、とは正直言えない。個人的には。 ただ、それでも全72話という長編でありながら完結したという一点は間違いなく評価に値する。 演出や文章力など向上できるところは向上しつつ、 賛否あったであろうシナリオの路線は作者自身悩んだ跡が見て取れるがそれでも貫徹しきっている。 あと何より、これだけ合わない私でも完走させるだけのの「力」みたいなものはある。 一度手に取ってみる価値はあるんじゃなかろうか。 211 :名無しさん(ザコ):2013/01/02(水) 10 29 41 ID .P8wOPdc0 乙、72話完結ってやっぱ凄いと思う。見習いたい 212 :名無しさん(ザコ):2013/01/02(水) 16 43 33 ID ImzEZ0sc0 おつです 小ネタによその作品持ってきたりする事も、ハリマオの財宝を追えとかの なんというか、プレイしてみて個人的に、将軍作品に似た雰囲気を感じました ……そういや、DreamCross上でやるといった人がいたが、結局スルーされたかな 213 :名無しさん(ザコ):2013/01/02(水) 19 18 41 ID K/bRiO0E0 乙 少し擁護すると1.6系時代のシナリオに演出を指摘するのは少々酷だとは思うな ただこれだけの長編をシナリオ内容もマトモに完結させられるのは希少だ 214 :名無しさん(ザコ):2013/01/03(木) 23 37 44 ID EiqRCERo0 70話はスゴいが そこまであるとちょっと気軽に遊んでみようっつう気にも中々ならんな回し
https://w.atwiki.jp/jinroutouhourp/pages/138.html
●はじめに みなさんは、どの役職をやりたいですか? あるいは、やりたくないですか? るる鯖のアンケートによると、一番人気は占い師。不人気なのは人狼、妖狐、共有だそうです。 狼や狐は嫌だ~という意見は、東方RP村でもわりと見かけます。(人外が一番いいよ!という人もいますが) どう立ち回ればいいのか分からない、すぐ人外バレしてしまうから苦手、という人。 勝負事である以上、やっぱ勝ちたい。なので、勝率の少ない人狼陣営、妖狐陣営にはなりたくないな、という人。 単純に、イマイチと思っていたり、自分の肌に合っていない、という人。 いろいろ理由は有ると思います。 ですが、ちょっとまってください。本当に人外はダメでしょうか。 このコーナーでは、人外をやる面白さと、その意義を伝えたいとおもいます。 なにより、大体4分の1の確率で、人外陣営になるのです。どうせなら、人外ライフをエンジョイしてみませんか? なお、ここでは主に狼について書きます。狂人は狂人でいろいろあるので。狐についても触れます。 ●人狼のすゝめ そもそも、狼陣営とは何なのでしょうか。村の敵? ゲーム的にはそうですが、ここはプレイヤー的に考えましょう。 コレを書いている人は、ゲームの仕掛け人、謎解きの問い掛け人だと思っています 噛みというアクティブ行動で村人に挑戦状を叩きつけているのです。 貴方達がいないと、ゲームが始まりません。タイトルコールにもなっているあたり、主役は人狼なのです。 村人が、噛みについて議論したり、怪しい人物を吊るしあげたりしている時。狼である貴方は、こう思っているはずです。 「ちがうよ~、あいつを噛んだのは、そんな理由じゃないんだな~」 「げ、こいつ俺を疑ってる。なんでバレたんだ・・・」 貴方達の挑戦に、村人が右往左往している時のニヤニヤ感、してやったり感。 疑われている時の、ドキドキ感、やべぇ感。 いずれも、狼陣営ならではの、ヒリつくような感覚です。 おそらく、この感覚を楽しめるかどうかが、人外を好むかどうかの分かれ目なのではないでしょうか。 そして、村人陣営と決定的に異なる点。それは、絶対に信頼できる味方が確実にいる、これに付きます。 共有? 相方は二日目昼のトークにも参加出来ないじゃないですか・・・。 もう一人の狼を、相方、と呼ぶように、二人はプリキュ・・・固い絆で結ばれています。 村人にはありません。なぜなら、信頼したい相手、信じた相手が、村陣営とは限らないからです。 「一緒に頑張ろう」素直に、疑うこと無く、こう言える相手がいる。疑心暗鬼の渦中にあって、これはとても心強いことです。 自分がヘボで相方の足を引っ張るのが心配? 大丈夫、多分相手もそう思ってます。 大切なことは、ミスをする心配ではなく、自分ができることをやり遂げることです。 潜伏が苦手だ、と思うなら、騙りにでてみましょう。相方は、貴方を全力でアシストしてくれるはずです。 あるいは、切り捨てを提案してみるのも一興です。相方は、グレスケであなたを上位に持ってくるでしょう。 結果貴方が吊られて、霊能が●を出せば、それは相方の信頼アップに繋がります。 狼にとり、無意味な動きというのは余りありません。貴方が不自然で疑われたとしても、 結果的に相方が目立たず疑いから外れているのなら、それはそれで十分仕事をしているのです。 注意すべきはライン繋ぎくらいでしょう。(騙りに出ている相方を不自然に真を推す、とか) また、狼をやることは、あなたのスキルアップにもつながります。 それは、視点を広げられる、ということです。噛み一つとっても、そこには様々な思惑があります。 なぜその人が襲われたのか。狼視点で考えてみましょう。なぜその人を退場させるのか。 そこんところを考えることができれば、村陣営でも、狼陣営でも、上手く立ち回れるのではないでしょうか。 そのためにも、狼視点というのは非常に重要です。 村視点と狼視点では、みえているものが全く違うといっても過言ではありません。 人外だけを吊って終わった村が、正義村とか言われるように、結局のところは狼は敵役、やられ役です。 であるならば、できるだけ手強く、魅力的な敵役となるのはいかがでしょうか。 倒されるだけのエネミーではなく、ヒーローと対等なダークヒーローとなるのです。 そして、勝った時に、相方狂人ありがとう。負けた時に、相方狂人すまない。 仲間達に、心からこれが言えるのも、強い絆で結ばれている狼陣営ならではです。 どうです? 狼陣営も、そんなに悪いものではないと思いませんか? ●妖狐のすゝめ 10人以上いる中で、ただ独り。村陣営からも、狼陣営からも駆り立てられる。占われて負け確定。吊られて負け確定。 噛まれても死なないのはいいのですが、翌朝から、妙に貴方を吊りたがるやつが出てきます。 「やってられるかヴォゲー!」叫びたい気持ちはよくわかります。 狼以上に不利でヤバイ、それが妖狐なのですから。 では、妖狐はダメなのか? そんなことはありません。 これらの特徴故に、如実に貴方の知力体力時の運が試される、素晴らしい役職なのです。 勝利の美酒も、敗北の苦味も、全てあなた一人のもの。背徳? 14D猫ってあんまり・・・。 狼が、裏の主役、ダークヒーローであるなら、狐はトリックスターといえます。 貴方は、何かをする必要はありません。その言動、そして存在そのものが、ひとつの謎かけなのです。 孤独な闘いをやり遂げた時の、「やったぜ!」感。 誰も貴方を疑っていない時の「ウププ」感。 真っぽい占いに予告票飛ばされた時の「\(^o^)/」感。 他のどんな役職でも味わえない、シビれるような感覚です。 占われたら負け。ならば占われなければいい。 吊られたら負け。ならば吊られなければいい。 噛まれたら(多分)負け。ならば噛まれなければいい。 交戦規定はただひとつ、生き残れ。 ていうかこれ、狩人と同じなんですよね。なので、あいつは狩り狐目、そう言われたりします。 そもそも、妖狐だからといって特別なコトって要らないんですよね。普通に村人してればいいわけなので。 そしてそれは、さほど難しいことでもないのです。 大抵の場合、完グレで最後まで残ってる村人、いますよね。あのポジですよ。 まあ、妖狐については、あまり書くことはありません。村人をやっていればいいのです。 狼と、妖狐代わりに狩人でも探しておきましょう。 もうひとつ、妖狐でないと絶対に出来ないことがあります。それは、「被第一呪殺」の称号です。 占いを引いた第一犠牲者に、初日呪殺を食らう。妖狐として最高にオイシイですよ。それだけ、ですが・・・。
https://w.atwiki.jp/gundamfamily/pages/2335.html
人外居酒屋ざくれろとは、日登商店街にある居酒屋の名前である 概要 その名の通り人外キャラのみが入店を許される居酒屋で、人間の入店は基本お断りである。 主にハロや三璃紗の侠(おとこ)達、ELSなどが常連客。 元ネタ 関連項目 ハロ ELS コメントはこちら 名前 コメント すべてのコメントを見る