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俺「ストライクウィッチーズだね 529-621 <翌日> ~大洞窟 地底湖~ 「この崖を登るのか?」 昨日飛びおりた崖のふもとに俺とマルセイユはいた。 「ええ、そうです。出口はあそこ以外しらないし、 ここらへん一帯を歩きまわりましたけど上に行けそうな道はありませんでしたから。」 「そっか……仕方ないか。」 「ええ、仕方ありません。だから、はい。」 そういって俺はマルセイユに向かって背中を向けてしゃがむ。 「……何をしてるんだ?」 「なにって、ティナさんをおぶるんですよ。まだ体が本調子じゃないでしょう?」 たしかに一晩寝たことで昨日よりは体調が良く、歩くことも出来るが、 いまだに手足に痺れが残っているのも事実だ。 「それに、昨日のことでさらに負担が増えてるでしょう?その、特に腰が///」 そういって俺はあさっての方向に顔を向ける。 マルセイユは顔を赤らめながら自身の体調を改めて調べなおした。 腰はたしかに痛かった。それだけでなく股にはまだ何か挟まってるような違和感がある。 昨日はシた回数は7回。いささか自分でもやりすぎたかもしれないと思った。 「///……わかった、頼む。」 そういってマルセイユが俺におぶさろうとしたその時 「っ!ティナさん、危ない!!」 突然遥か上の天井が崩れたのだ、 岩と砂が地底湖に着水して波がふたりに襲い掛かる。 「くぅっ!」 マルセイユがとっさに張ったシールドのおかげでふたりは無事ですんだ。 「いったい何が?」 「ティナさん、あれ見てください。」 俺が天井を指差していう。 「あれは……」 ~サハラ砂漠 上空~ 「みつからないわね、入り口。」 圭子がそういってため息をもらす。 昨日の晩、マティルダにマルセイユたちが生きていると聞かされた将軍達は、 朝一番でその旨をオアシス中に発表した。 そして、彼女達をみつけるための志願者を募ると、なんとオアシスの兵士全員が手を上げた。 それどころではなく、情報を聞きつけたアフリカ全将兵が、ふたりの捜索に全力をあげることを誓った。 おかげで、マティルダがだいたいの場所をつかんでいることもあり、 いったんは地下に潜る入り口を見つけることが出来たのだが、それが問題だった。 なんとその入り口は入ってすぐに崩落しており、それ以上先に進めなかったのだ。 崩落は意図的に行われた形跡があった。おそらくあのネウロイのしわざだろう。 そのため自分達は他の入り口を探すしかなかったのであるが、これが一向に見つからなかった。 「はぁ、こうしてる間にもふたりがどうなってるかわからないのに……」 自分の無力さにいらだつ圭子。その彼女に声をかけたものがいた。 「ケイ!ちょっと来てちょうだい。」 ライーサである。 彼女はマルセイユと俺が消えたのは自分が不甲斐なかったせいだ、 とオアシスのテントで塞ぎこんでいたが、 将軍達の発表を聞いてからは、休む間を惜しんでこの砂漠の空を飛んでいた。 「どうしたの?」 「マティルダがティナたちを見つけたって言ってるの!」 「!!……わかった案内して。」 ライーサに続いて飛んでいくと砂漠の真ん中に、 ウィッチ隊やマルセイユを探すのに手伝ってくれているオアシスのみんなが集まっていた。 「ハンナたちを見つけたって聞いたけどどういうこと? ふたりとも地下にいるんじゃなかったの?」 「ああ、そうだ。鷲の使いと少年は地の底にいる。」 圭子に尋ねられたマティルダがそう言った。 「それじゃあ……なぜこんなところで集まってるのかしら?」 「それはこの下にふたりがいるからだ。」 「は?この下!?」 「そうだ、この真下に鷲の使いたちはいるのだ、おいそこのお前。」 「は、はいなんでしょう!」 突然呼びつけられて驚いた真美が答える。 「この下の岩は他のところよりも薄い。 お前の力ならこの下に通じる道を作れるはずだ。頼めるか?」 マティルダは真美の手に持たれた40mm対空砲を指してそういった。 「……わかりました、やってみます!みなさんは安全なところまで下がっててください。」 そういって真美は上昇を始める。 砲弾の威力に急降下での落下のエネルギーを加算するためだ。 適当な高度に達した後、砲を真下に向けてかまえる。 「すぅ……はぁ……よし。」 深呼吸して精神を集中させ、魔法力を手に持つ砲に魔法力を込めていく。 砲身に、ことさら砲弾にその魔法力を自身の制御力の限界を詰め込んだ。 「……行きます!」 掛け声とともにストライカーの推力を下にむけて急降下を始める。 そしてぴったりと狙いをあわせて引き金を引いた。 「でゃああぁぁあああああ!!」 撃ち出された砲弾は戦艦の主砲にも匹敵するほどの威力をもって地面に突き刺さり、 ドゴオオォオオンン!!! その下の岩盤をも打ち砕いた。穴は次第に広がり、砂がなかに流れ込んで行く。 「やった!」 「すごい……」 「へぇ~やるもんだねぇ」 その光景にみんなが口々に称賛を口にする。 「……よし、これからマルセイユたちの救助のためにあの穴に飛び込むわ。 ライーサ、準備はいい?」 「いつでも!」 「それじゃぁ、突入!!」 ~大洞窟 地底湖~ 「ケイ!ライーサ!」 「いったいどうして?」 天井に開いた穴から飛び込んできたものの正体にマルセイユたちは驚きの声を上げる。 「マティルダのおかげよ、彼女があなた達の居場所を特定してくれたの、あの穴は真美のおかげね。」 「ティナ……ふたりともほんとに無事でよかった!」 感激したライーサの瞳からは嬉し涙があふれ出している。 「うん、俺のおかげでね。じゃぁふたりとも、ここから出してくれないか?」 「わかったわ、いま……危ない!」 4人にむけて一条の光線が打ち込まれる。 咄嗟に張ったライーサのシールドがそれを弾いたことで全員無事ですんだ。 「あれは!」 圭子の視線の先を辿ってみると、 「KYSYAAAAA!!!!!」 そこにはあのネウロイが壁の一部を突き破ってこちらに顔を覗かせていた。 ソレは怒りに満ちていた。 やっとミツケタ!それは自分の視界に捉えたものをみてそう思った。 あのいまいましい小物にご馳走を奪われてからずっと、 マナの波動をたよりに探し続けていたがようやく見つけることが出来た。 よくみるとあのウィッチのほかに2体ウィッチがいるのがわかった。 この怒りを納めるにはあのウィッチだけじゃ足りない。 あの2体も捕まえて喰ってやる! そう激情に囚われながら目の前の壁の残りを破壊することを始めた。 「ちぃ、こんなときに!」 悪態をつき歯噛みする圭子そんな彼女に俺が声をかける。 「……圭子さん、ライーサさん、ティナさんを連れて先に脱出してください。」 「何をする気?」 聞かなくてもわかってはいたがそれでも尋ねてしまう。 「僕があいつを抑えます。その間に逃げてください。」 真剣に、覚悟を決めた表情で俺がそういった。 「駄目だ!!」 「ティナ?」 俺の言葉にマルセイユが声を荒げる。 「ひとりで残るなんて、そんなの駄目だ!俺も一緒に行こう?」 親においていかれそうになってその足に縋りつく子どものような表情で彼女はそういった。 「そうですね……そうしたいです。」 「なら、」 「でも駄目なんです。」 マルセイユの声をさえぎって俺が続ける。 「今逃げようとすればあいつは必ずビームを撃ってきます。 圭子さんはシールドが張れないし、いまのティナさんのでは強度不足です。 ライーサさんだけじゃ全員を守りきることはできませんから、 だれかがのこって足止めする必要があるんです。」 こうしている間にもどんどんネウロイは壁を壊していく。 「でも、だからって俺を残して行くなんて、そんなの嫌だ!」 「……ありがとう。でももう時間がありません。おふたりとも、ティナさんをお願いします。」 「……わかったわ、すぐ迎えに戻ってくるからそれまで待ってて。さぁハンナ、行くわよ。」 「いやっ、絶対に嫌ぁ!!」 「ティナさん!お願いです。あとでどんなことでもしますから……だから……」 駄々をこねる彼女に俺は必死に頼み込む。 しばらくして、ようやくマルセイユは現状を認めた。 「……わかった。絶対だからな、絶対、生きて帰ってきて……」 「はい、約束です……では、彼女をお願いします。」 「分かった、気をつけてね。」 そういってライーサにマルセイユを抱えて、圭子とともこの地底湖から脱出していった。 「SYAAAAAAAA!!!!」 ようやく壁を全て取り払ったネウロイが触手をマルセイユたちに飛ばそうとする。 が、 「はあぁぁあああああ!!」 俺がその触手をハンマーで叩き落して阻止する。 そのあいだに彼女達は地上を目指して上昇していった。 「GYAAAA!!」 ネウロイはそれ見て悔しそうに叫んだあと、自身を邪魔した俺に憎悪を振り向けた。 「さぁ、お前の相手はこの僕だ!しばらくの間付き合ってもらうぞ!!」 俺はハンマーを背負いなおすと、ネウロイに向かって駆け出した。 ~地上~ 俺の足止めのおかげで無事に地上に出る。 地上にでると、マルセイユの姿を確認したアフリカの将兵たちに歓声があがった。 ライーサは圭子にマルセイユを預け、再び穴の中に飛び込もうとする。 「!!」 しかしそれは出来なかった。 自分達を追って穴の中から無数の小型ネウロイが飛び出してきたのだ。 それ自体と、それの迎撃のために飛び交う砲弾のせいで穴に近づくことすら出来ない。 「俺君……無事だといいけど……」 とにかく彼を助けに戻るにはあれをなんとかしなくてはならない。 そのためにも、彼女は目の前の激戦地に飛び込んでいくのだった。 ~地下~ 「でぇええりゃ!」 一振り、また一振りと俺はハンマーを叩きつけていく。 そのたびにネウロイの触手は吹き飛び、断ち切られるが、隙をみつけて俺もまた吹き飛ばされる。 「ぐはっ、はぁ、はぁ、うぉおおお!!」 全身をバラバラにされるような衝撃に耐え、かつて与えられた超回復能力で傷を修復して ふたたび立ち向かう。しかし時間が経つにつれて回避よりも被弾の割合のほうがふえてくる。 「まだまだぁ!!」 このままやっていてはいずれ負けるかもしれない。 でも天井の出入り口があの状態じゃ援軍も脱出も望み薄だ、 そうなるとなんとか自分だけで目の前の奴を倒さなくてはならない。 「ぐぅ、うわっ!」 撃ち出されたビームを避わしきれず、ハンマーで受け止める。 膨大なエネルギーを受け止めたハンマーは耐え切れず爆散した。 「 !! しまったっ、ぐおっ」 その爆発で体勢が崩れた俺をネウロイの触手がとらえ締め上げる。 ソレは苛立っていた。 けっきょくウィッチたちは取り逃がし、いまも取り返そうとしているが上手く行かない。 しかしようやくあの忌々しい小物を捕らえることができた。 こいつは恨みもこめてじっくりと咀嚼してやってかけらも残さず養分にしてやる。 そう決めてソレは俺をもち上げ口元へと持っていった。 「クソ、どじった。さっさと離せ!!」 俺はかろうじて動かせる手を使って手榴弾を取り出し、安全ピンを抜こうとする。 この手榴弾は対ネウロイ用の特別なものでふつうのものよりずっと爆発力がある。 数日前知り合ったとある人がくれたものだ。 これで自分もろとも触手を吹き飛ばそうとしたが、その前に動きがあった。 「な、何を……ああ、そういうことか……僕を食べる気だな。」 目の前には口を大きく開けて自分を飲み込まんとするネウロイがいた。 その口の奥にコアの輝きがみえる。 それを見て俺は嘲笑った。 「ははは、馬鹿め、弱点を自分からさらしてくれるとはね。」 そういって手に持った手榴弾をネウロイの口の中に放り込んだ。 「そういえば、こういうときはいい言葉があるってパットンのおじさんが言ってたっけ。 なんていうんだっけな、ああそうそう……アスタラビスタ(地獄で会おうぜ)ベイベー!」 ドゴォォオオオオンンンン!!!! 弾殻にしこまれたヒヒイロカネが、炸薬に染み込んだ聖油の魔力を帯びて強力な刃となり、 ネウロイのコアを粉みじんに消し飛ばす。 その瞬間、今まで欲望の赴くままにマナを喰らってきたネウロイ溜め込んだエネルギーが暴走し、 とてつもない爆発を引き起こす。 爆発の衝撃で洞窟全体にヒビが入り、洞窟が崩落をはじめた。 俺はその爆発で吹き飛び、壁に打ち付けられると崩れてきた岩に足を挟まれる。 それだけでは済まず、頭の上から自身を押しつぶすには十分すぎるほどの岩が振ってきた。 「あちゃぁ、これは……ごめんティナさん、約束、守れそうにないや……」 そういって俺は目を閉じてくるだろう衝撃にそなえるのだった。 ~地上~ 「くっ、きりがない!!」 穴から這い出してくるネウロイたちは叩いても叩いても次から次へとゴキブリのように あらわれる。迎撃にあたっていたウィッチたちに目立った被害はないが、 オアシスの通常戦力部隊にはかなりの被害がではじめている。その時…… ゴオオォォオオオンンン!! とても大きな音が突然あたりに響き渡り渡った。 その爆音とともに穴から光が吹きだし、それと同時にネウロイたちが形を崩して消滅していく。 「なにが起こったの……?」 圭子が呆然として呟く。 「決まってるさ、俺がネウロイを倒したんだ!」 その彼女にマルセイユが嬉しそうに言った。 「そっか……じゃぁ彼をこの地上に戻してあげなきゃね。」 「ああ、そうしようって……うそ……」 視線を戻した先にある例の穴の付近で異変が起きる。 穴の周辺に大きなヒビが入り、なおも拡大していく。 そしてそのひび割れた部分から崩落を始めたのだ。 「地面が崩れるぞ!総員退避ーー!!」 周囲に展開していた地上部隊が一斉に後退する。 「あ、ああ……助けなきゃ……俺を、俺を助けなきゃ!」 「は、ハンナ!もう無理よ!!」 圭子は手を伸ばしてうわごとのように呟きながら、 自身の腕の中から這い出ようとするマルセイユを押しとどめる。 「そんなことない!今からでも間に合うから、ねぇケイお願い!」 「ハンナ……いいえ、無理よ。 あそこまで崩れてしまったらあの下にいた彼はもう……」 「うそ、うそ、うそっ!だって俺は約束してくれたもの、 絶対に生きて帰ってくるって、なんでもしてくれるって……」 「ハンナ……」 泣き崩れてしまう彼女に圭子はかける言葉をもたなかった。 再び視線を地上に戻すと、大きく陥没した地面に砂が流れ込み、再び何もなかったかのように埋まっていく光景が拡がっていた。 「うそつき……俺の、大嘘つきいいいぃっ!!」 マルセイユの悲痛な叫びがこの青く澄んだサハラの空を駆け巡っていった。 <1942年 10月 某日> ~エジプト カイロ連合軍軍病院~ 「ハッ!……はぁ、はぁ……夢、か……」 病院のベットに横たわりながらマルセイユが呟く。 ここはエジプトのカイロ市内にある病院で、 自分はつい先日新型ストライカーを使って戦闘中に事故にあい、 この病院に運び込まれたのだ。 「もう何度目かな、あのときの夢をみるのは……」 体を起こしてベットの頭の部分の淵に寄りかかるように座りながらそう呟く。 あのとき、結局俺は帰ってこなかった。 自分だけでも助かったことに周りのみんなはよかったと口々に言ってくれたが、 自分にはそうは思えなかった。 それからだった。 医療魔法による治療を受けて、 ケイやライーサが止めるのも無視してすぐに戦場に戻り、 あんなに大好きだった酒もタバコもやる暇を惜しんでただひたすらに戦場の空を飛び続けた。 そうしていないと、悲しみで押しつぶされそうだったから。 現に何度も今の夢をみて夜中に飛び起き、そのたびに疲れ果てるまで泣いていた。 そうしているうちに撃墜スコアは伸び、 スエズ奪回作戦「スフィンクス」では、 一日の撃墜記録を更新するほどの鬼神のような戦いぶりを見せつけ、 戦場の兵士達を勇気付けることになり、結果、スエズは奪還され、カイロは解放された。 その戦績を称えられて階級も中尉から大尉に昇進したが、 自分は何一つ嬉しくなかった。 昇進祝いとして新型ストライカーが贈られてきて、 そのあとすぐに戦闘になったためにそのストライカーを使って戦場に向かったが、 その戦場で自身の使い魔が死んでしまった。 幼い頃に契約し、かなりの老齢であったあの気高い大鷲は、 ひたすらに戦場に出続けるマルセイユに文句もつけずに付き従い、その負担に耐え、 そしてその結果、彼は自身の寿命を使い果たしてしまった。 使い魔のサポートを受けられなくなった自分は魔法力を暴走させて気絶し、 ライーサたちに抱えられるようにして戦場を離脱したのだった。 「もう、戦うことも出来ないんだな……これから、どうしよう……」 ベットのシーツを握り締めてそう呟く、 使い魔の大鷲を失ってしまった悲しみはたしかにある、 だがそれ以上にあのとき俺を助けられなかった悲しみがいまでも彼女に襲い掛かっている。 でももうそれを誤魔化すこともできないのだ。それが怖かった。 しばらくそう考えていると、コンコンと部屋のドアをノックする音がした。 「誰?……はいっていいぞ」 その言葉をうけて部屋のドアが開く。 「こんにちはハンナ、気分はどうかしら?」 入ってきたのは圭子だった。 「ケイか……なんの用?」 「お見舞いにきまってるでしょ。 ついでにあなたの容態について医者の先生から聞いてきたわ。 そうとう無理してたらしいわね。」 「……」 そういわれても、事実ゆえになにも言い返せないマルセイユはだまりこんでしまった。 「はぁ、気持ちはわからなくもないわ……ずっと荒れてたものね。 でももう無理はやめてちょうだい……もうあなただけの命じゃないんだから。」 「えっ……?」 心のそこから心配してくれることがわかる感じでケイが自分を諭してくれた。 が、そのなかに含まれていた違和感にマルセイユが疑問の声をあげる。 「私だけの命じゃないって、どういうこと?」 「気づいてなかったの?まったく……三ヶ月よ。」 「三ヶ月?」 なおも疑問を発するマルセイユに圭子は苛立ちながら言い放つ。 「妊娠三ヶ月!まったくほんとに自覚してなかったの、あなた!?」 「ええっ!?そんな、なんで?」 「なんでって、そりゃ、やることやったからでしょうが。」 「そんな……だってまだ一回しか!……まさかそれが?」 「心当たりあるのね……相手は俺、でしょ?」 こくり、とマルセイユは頷く。 あのとき抱いてもらったときの種が自分の中に芽生えているなんて、思いもしてなかった。 「……そっか、そうなんだ……わたし、ひとりじゃなかったんだね。」 自分のお腹をなでながら、マルセイユは涙を流す。 その涙はいままでのような悲しみからのものでなく、 彼が自分に残してくれたものに対する嬉しさから流れるものだ。 「まったく……みんなハンナのことずっと心配してたんだからそれはないんじゃない?」 ま、仕方ないのかもしれなかったけど、 といいながら圭子は今日何度目かになるため息をついた。 「ごめん……でも、私お母さんになっちゃうのか、これはもう泣いてらんないな。」 マルセイユの顔にかつての大胆不敵な笑みが帰ってくる。 「ええ、そうよ。ハンナお母さん?」 その表情に圭子も笑みで返したのだった。 1942年11月、晴れて病院を退院したマルセイユは、 ウィッチとしての戦闘能力の喪失を理由に、 周囲に惜しまれながらも軍を退役し、ノイエ・カールスラントにその身を移した。 その2年後、新たな使い魔と契約を交わした彼女は再び軍に復帰。 再編された統合戦闘団「アフリカ」に戻ってくる。 帰ってきた彼女はそれまでのブランクを感じさせないほどの強さでふたたびアフリカの空 を駆け巡った。 ある時、とあるゴシップ紙の記者が、この「アフリカ」を取材した際、 マルセイユが、彼女に似た幼子を抱えてあやしていたのを目撃したが、 彼女の周りの説得(脅迫)によりそれを記事にすることはなかった。 これにて不死身の少年と砂漠の星の物語は幕を閉じる……かにみえた。 <1945年 ロマーニャ> ~501戦隊基地 エントランス~ 今日この日、この場所ではひとりの少女が箒を片手に掃除をしていた。 彼女の名前は、宮藤芳佳。 この基地に所属する501統合戦闘航空団「ストライクウィッチーズ」のメンバーだ。 その彼女は現在、情けない表情で箒を左右に振っている。 「とほほ、なんでこうなっちゃうのかなぁ……」 彼女は先日、地中海で襲撃を受けた扶桑国遣欧艦隊を救う際に、 無断で新型のストライカー「震電」を使用した。 結果艦隊の損害は軽微で済んだのだが、彼女の無断借用を罰しないわけにはいかない。 そうして彼女は上官である坂本から、基地中の掃除を命ぜられたのだった。 「いくら罰だからって、この基地全部は広すぎるよ~(泣)」 とはいえ、いくら文句をいっても始まらないので続きをはじめる。 その時だった…… ガサッ 「ふぇ?」 ガサガサッ 突然彼女の近くの茂みが動き出したのだ。 「な、何?だ、誰かいるんですか!?」 手に持った箒を握り締めながら茂みにむかって問いかけてみる。 すると茂みの向こうからぼろぼろの服とマントをまとった男が現れたのだ。 「だ、誰?」 「うあ~っ、やっと人に会えた! すみません、ちょっと道に迷っちゃって、 よければアフリカのトブルクまでの道を教えてもらえませんか?」 「……はい?」 芳佳は一瞬何を言われたのかわからなかった。なので問いかけてみることにする。 「あの、アフリカって……」 「はい、あ、申し遅れました。僕の名前は「俺」統合戦闘団「アフリカ」の者です。どうぞよろしく」 「はぁ、こちらこそ?」 それは、マルセイユがこの基地にやってくる、3時間前の出来事だった。
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俺「ストライクウィッチーズだね 529-621 <翌日> ~大洞窟 地底湖~ 「この崖を登るのか?」 昨日飛びおりた崖のふもとに俺とマルセイユはいた。 「ええ、そうです。出口はあそこ以外しらないし、 ここらへん一帯を歩きまわりましたけど上に行けそうな道はありませんでしたから。」 「そっか……仕方ないか。」 「ええ、仕方ありません。だから、はい。」 そういって俺はマルセイユに向かって背中を向けてしゃがむ。 「……何をしてるんだ?」 「なにって、ティナさんをおぶるんですよ。まだ体が本調子じゃないでしょう?」 たしかに一晩寝たことで昨日よりは体調が良く、歩くことも出来るが、 いまだに手足に痺れが残っているのも事実だ。 「それに、昨日のことでさらに負担が増えてるでしょう?その、特に腰が///」 そういって俺はあさっての方向に顔を向ける。 マルセイユは顔を赤らめながら自身の体調を改めて調べなおした。 腰はたしかに痛かった。それだけでなく股にはまだ何か挟まってるような違和感がある。 昨日はシた回数は7回。いささか自分でもやりすぎたかもしれないと思った。 「///……わかった、頼む。」 そういってマルセイユが俺におぶさろうとしたその時 「っ!ティナさん、危ない!!」 突然遥か上の天井が崩れたのだ、 岩と砂が地底湖に着水して波がふたりに襲い掛かる。 「くぅっ!」 マルセイユがとっさに張ったシールドのおかげでふたりは無事ですんだ。 「いったい何が?」 「ティナさん、あれ見てください。」 俺が天井を指差していう。 「あれは……」 ~サハラ砂漠 上空~ 「みつからないわね、入り口。」 圭子がそういってため息をもらす。 昨日の晩、マティルダにマルセイユたちが生きていると聞かされた将軍達は、 朝一番でその旨をオアシス中に発表した。 そして、彼女達をみつけるための志願者を募ると、なんとオアシスの兵士全員が手を上げた。 それどころではなく、情報を聞きつけたアフリカ全将兵が、ふたりの捜索に全力をあげることを誓った。 おかげで、マティルダがだいたいの場所をつかんでいることもあり、 いったんは地下に潜る入り口を見つけることが出来たのだが、それが問題だった。 なんとその入り口は入ってすぐに崩落しており、それ以上先に進めなかったのだ。 崩落は意図的に行われた形跡があった。おそらくあのネウロイのしわざだろう。 そのため自分達は他の入り口を探すしかなかったのであるが、これが一向に見つからなかった。 「はぁ、こうしてる間にもふたりがどうなってるかわからないのに……」 自分の無力さにいらだつ圭子。その彼女に声をかけたものがいた。 「ケイ!ちょっと来てちょうだい。」 ライーサである。 彼女はマルセイユと俺が消えたのは自分が不甲斐なかったせいだ、 とオアシスのテントで塞ぎこんでいたが、 将軍達の発表を聞いてからは、休む間を惜しんでこの砂漠の空を飛んでいた。 「どうしたの?」 「マティルダがティナたちを見つけたって言ってるの!」 「!!……わかった案内して。」 ライーサに続いて飛んでいくと砂漠の真ん中に、 ウィッチ隊やマルセイユを探すのに手伝ってくれているオアシスのみんなが集まっていた。 「ハンナたちを見つけたって聞いたけどどういうこと? ふたりとも地下にいるんじゃなかったの?」 「ああ、そうだ。鷲の使いと少年は地の底にいる。」 圭子に尋ねられたマティルダがそう言った。 「それじゃあ……なぜこんなところで集まってるのかしら?」 「それはこの下にふたりがいるからだ。」 「は?この下!?」 「そうだ、この真下に鷲の使いたちはいるのだ、おいそこのお前。」 「は、はいなんでしょう!」 突然呼びつけられて驚いた真美が答える。 「この下の岩は他のところよりも薄い。 お前の力ならこの下に通じる道を作れるはずだ。頼めるか?」 マティルダは真美の手に持たれた40mm対空砲を指してそういった。 「……わかりました、やってみます!みなさんは安全なところまで下がっててください。」 そういって真美は上昇を始める。 砲弾の威力に急降下での落下のエネルギーを加算するためだ。 適当な高度に達した後、砲を真下に向けてかまえる。 「すぅ……はぁ……よし。」 深呼吸して精神を集中させ、魔法力を手に持つ砲に魔法力を込めていく。 砲身に、ことさら砲弾にその魔法力を自身の制御力の限界を詰め込んだ。 「……行きます!」 掛け声とともにストライカーの推力を下にむけて急降下を始める。 そしてぴったりと狙いをあわせて引き金を引いた。 「でゃああぁぁあああああ!!」 撃ち出された砲弾は戦艦の主砲にも匹敵するほどの威力をもって地面に突き刺さり、 ドゴオオォオオンン!!! その下の岩盤をも打ち砕いた。穴は次第に広がり、砂がなかに流れ込んで行く。 「やった!」 「すごい……」 「へぇ~やるもんだねぇ」 その光景にみんなが口々に称賛を口にする。 「……よし、これからマルセイユたちの救助のためにあの穴に飛び込むわ。 ライーサ、準備はいい?」 「いつでも!」 「それじゃぁ、突入!!」 ~大洞窟 地底湖~ 「ケイ!ライーサ!」 「いったいどうして?」 天井に開いた穴から飛び込んできたものの正体にマルセイユたちは驚きの声を上げる。 「マティルダのおかげよ、彼女があなた達の居場所を特定してくれたの、あの穴は真美のおかげね。」 「ティナ……ふたりともほんとに無事でよかった!」 感激したライーサの瞳からは嬉し涙があふれ出している。 「うん、俺のおかげでね。じゃぁふたりとも、ここから出してくれないか?」 「わかったわ、いま……危ない!」 4人にむけて一条の光線が打ち込まれる。 咄嗟に張ったライーサのシールドがそれを弾いたことで全員無事ですんだ。 「あれは!」 圭子の視線の先を辿ってみると、 「KYSYAAAAA!!!!!」 そこにはあのネウロイが壁の一部を突き破ってこちらに顔を覗かせていた。 ソレは怒りに満ちていた。 やっとミツケタ!それは自分の視界に捉えたものをみてそう思った。 あのいまいましい小物にご馳走を奪われてからずっと、 マナの波動をたよりに探し続けていたがようやく見つけることが出来た。 よくみるとあのウィッチのほかに2体ウィッチがいるのがわかった。 この怒りを納めるにはあのウィッチだけじゃ足りない。 あの2体も捕まえて喰ってやる! そう激情に囚われながら目の前の壁の残りを破壊することを始めた。 「ちぃ、こんなときに!」 悪態をつき歯噛みする圭子そんな彼女に俺が声をかける。 「……圭子さん、ライーサさん、ティナさんを連れて先に脱出してください。」 「何をする気?」 聞かなくてもわかってはいたがそれでも尋ねてしまう。 「僕があいつを抑えます。その間に逃げてください。」 真剣に、覚悟を決めた表情で俺がそういった。 「駄目だ!!」 「ティナ?」 俺の言葉にマルセイユが声を荒げる。 「ひとりで残るなんて、そんなの駄目だ!俺も一緒に行こう?」 親においていかれそうになってその足に縋りつく子どものような表情で彼女はそういった。 「そうですね……そうしたいです。」 「なら、」 「でも駄目なんです。」 マルセイユの声をさえぎって俺が続ける。 「今逃げようとすればあいつは必ずビームを撃ってきます。 圭子さんはシールドが張れないし、いまのティナさんのでは強度不足です。 ライーサさんだけじゃ全員を守りきることはできませんから、 だれかがのこって足止めする必要があるんです。」 こうしている間にもどんどんネウロイは壁を壊していく。 「でも、だからって俺を残して行くなんて、そんなの嫌だ!」 「……ありがとう。でももう時間がありません。おふたりとも、ティナさんをお願いします。」 「……わかったわ、すぐ迎えに戻ってくるからそれまで待ってて。さぁハンナ、行くわよ。」 「いやっ、絶対に嫌ぁ!!」 「ティナさん!お願いです。あとでどんなことでもしますから……だから……」 駄々をこねる彼女に俺は必死に頼み込む。 しばらくして、ようやくマルセイユは現状を認めた。 「……わかった。絶対だからな、絶対、生きて帰ってきて……」 「はい、約束です……では、彼女をお願いします。」 「分かった、気をつけてね。」 そういってライーサにマルセイユを抱えて、圭子とともこの地底湖から脱出していった。 「SYAAAAAAAA!!!!」 ようやく壁を全て取り払ったネウロイが触手をマルセイユたちに飛ばそうとする。 が、 「はあぁぁあああああ!!」 俺がその触手をハンマーで叩き落して阻止する。 そのあいだに彼女達は地上を目指して上昇していった。 「GYAAAA!!」 ネウロイはそれ見て悔しそうに叫んだあと、自身を邪魔した俺に憎悪を振り向けた。 「さぁ、お前の相手はこの僕だ!しばらくの間付き合ってもらうぞ!!」 俺はハンマーを背負いなおすと、ネウロイに向かって駆け出した。 ~地上~ 俺の足止めのおかげで無事に地上に出る。 地上にでると、マルセイユの姿を確認したアフリカの将兵たちに歓声があがった。 ライーサは圭子にマルセイユを預け、再び穴の中に飛び込もうとする。 「!!」 しかしそれは出来なかった。 自分達を追って穴の中から無数の小型ネウロイが飛び出してきたのだ。 それ自体と、それの迎撃のために飛び交う砲弾のせいで穴に近づくことすら出来ない。 「俺君……無事だといいけど……」 とにかく彼を助けに戻るにはあれをなんとかしなくてはならない。 そのためにも、彼女は目の前の激戦地に飛び込んでいくのだった。 ~地下~ 「でぇええりゃ!」 一振り、また一振りと俺はハンマーを叩きつけていく。 そのたびにネウロイの触手は吹き飛び、断ち切られるが、隙をみつけて俺もまた吹き飛ばされる。 「ぐはっ、はぁ、はぁ、うぉおおお!!」 全身をバラバラにされるような衝撃に耐え、かつて与えられた超回復能力で傷を修復して ふたたび立ち向かう。しかし時間が経つにつれて回避よりも被弾の割合のほうがふえてくる。 「まだまだぁ!!」 このままやっていてはいずれ負けるかもしれない。 でも天井の出入り口があの状態じゃ援軍も脱出も望み薄だ、 そうなるとなんとか自分だけで目の前の奴を倒さなくてはならない。 「ぐぅ、うわっ!」 撃ち出されたビームを避わしきれず、ハンマーで受け止める。 膨大なエネルギーを受け止めたハンマーは耐え切れず爆散した。 「 !! しまったっ、ぐおっ」 その爆発で体勢が崩れた俺をネウロイの触手がとらえ締め上げる。 ソレは苛立っていた。 けっきょくウィッチたちは取り逃がし、いまも取り返そうとしているが上手く行かない。 しかしようやくあの忌々しい小物を捕らえることができた。 こいつは恨みもこめてじっくりと咀嚼してやってかけらも残さず養分にしてやる。 そう決めてソレは俺をもち上げ口元へと持っていった。 「クソ、どじった。さっさと離せ!!」 俺はかろうじて動かせる手を使って手榴弾を取り出し、安全ピンを抜こうとする。 この手榴弾は対ネウロイ用の特別なものでふつうのものよりずっと爆発力がある。 数日前知り合ったとある人がくれたものだ。 これで自分もろとも触手を吹き飛ばそうとしたが、その前に動きがあった。 「な、何を……ああ、そういうことか……僕を食べる気だな。」 目の前には口を大きく開けて自分を飲み込まんとするネウロイがいた。 その口の奥にコアの輝きがみえる。 それを見て俺は嘲笑った。 「ははは、馬鹿め、弱点を自分からさらしてくれるとはね。」 そういって手に持った手榴弾をネウロイの口の中に放り込んだ。 「そういえば、こういうときはいい言葉があるってパットンのおじさんが言ってたっけ。 なんていうんだっけな、ああそうそう……アスタラビスタ(地獄で会おうぜ)ベイベー!」 ドゴォォオオオオンンンン!!!! 弾殻にしこまれたヒヒイロカネが、炸薬に染み込んだ聖油の魔力を帯びて強力な刃となり、 ネウロイのコアを粉みじんに消し飛ばす。 その瞬間、今まで欲望の赴くままにマナを喰らってきたネウロイ溜め込んだエネルギーが暴走し、 とてつもない爆発を引き起こす。 爆発の衝撃で洞窟全体にヒビが入り、洞窟が崩落をはじめた。 俺はその爆発で吹き飛び、壁に打ち付けられると崩れてきた岩に足を挟まれる。 それだけでは済まず、頭の上から自身を押しつぶすには十分すぎるほどの岩が振ってきた。 「あちゃぁ、これは……ごめんティナさん、約束、守れそうにないや……」 そういって俺は目を閉じてくるだろう衝撃にそなえるのだった。 ~地上~ 「くっ、きりがない!!」 穴から這い出してくるネウロイたちは叩いても叩いても次から次へとゴキブリのように あらわれる。迎撃にあたっていたウィッチたちに目立った被害はないが、 オアシスの通常戦力部隊にはかなりの被害がではじめている。その時…… ゴオオォォオオオンンン!! とても大きな音が突然あたりに響き渡り渡った。 その爆音とともに穴から光が吹きだし、それと同時にネウロイたちが形を崩して消滅していく。 「なにが起こったの……?」 圭子が呆然として呟く。 「決まってるさ、俺がネウロイを倒したんだ!」 その彼女にマルセイユが嬉しそうに言った。 「そっか……じゃぁ彼をこの地上に戻してあげなきゃね。」 「ああ、そうしようって……うそ……」 視線を戻した先にある例の穴の付近で異変が起きる。 穴の周辺に大きなヒビが入り、なおも拡大していく。 そしてそのひび割れた部分から崩落を始めたのだ。 「地面が崩れるぞ!総員退避ーー!!」 周囲に展開していた地上部隊が一斉に後退する。 「あ、ああ……助けなきゃ……俺を、俺を助けなきゃ!」 「は、ハンナ!もう無理よ!!」 圭子は手を伸ばしてうわごとのように呟きながら、 自身の腕の中から這い出ようとするマルセイユを押しとどめる。 「そんなことない!今からでも間に合うから、ねぇケイお願い!」 「ハンナ……いいえ、無理よ。 あそこまで崩れてしまったらあの下にいた彼はもう……」 「うそ、うそ、うそっ!だって俺は約束してくれたもの、 絶対に生きて帰ってくるって、なんでもしてくれるって……」 「ハンナ……」 泣き崩れてしまう彼女に圭子はかける言葉をもたなかった。 再び視線を地上に戻すと、大きく陥没した地面に砂が流れ込み、再び何もなかったかのように埋まっていく光景が拡がっていた。 「うそつき……俺の、大嘘つきいいいぃっ!!」 マルセイユの悲痛な叫びがこの青く澄んだサハラの空を駆け巡っていった。 <1942年 10月 某日> ~エジプト カイロ連合軍軍病院~ 「ハッ!……はぁ、はぁ……夢、か……」 病院のベットに横たわりながらマルセイユが呟く。 ここはエジプトのカイロ市内にある病院で、 自分はつい先日新型ストライカーを使って戦闘中に事故にあい、 この病院に運び込まれたのだ。 「もう何度目かな、あのときの夢をみるのは……」 体を起こしてベットの頭の部分の淵に寄りかかるように座りながらそう呟く。 あのとき、結局俺は帰ってこなかった。 自分だけでも助かったことに周りのみんなはよかったと口々に言ってくれたが、 自分にはそうは思えなかった。 それからだった。 医療魔法による治療を受けて、 ケイやライーサが止めるのも無視してすぐに戦場に戻り、 あんなに大好きだった酒もタバコもやる暇を惜しんでただひたすらに戦場の空を飛び続けた。 そうしていないと、悲しみで押しつぶされそうだったから。 現に何度も今の夢をみて夜中に飛び起き、そのたびに疲れ果てるまで泣いていた。 そうしているうちに撃墜スコアは伸び、 スエズ奪回作戦「スフィンクス」では、 一日の撃墜記録を更新するほどの鬼神のような戦いぶりを見せつけ、 戦場の兵士達を勇気付けることになり、結果、スエズは奪還され、カイロは解放された。 その戦績を称えられて階級も中尉から大尉に昇進したが、 自分は何一つ嬉しくなかった。 昇進祝いとして新型ストライカーが贈られてきて、 そのあとすぐに戦闘になったためにそのストライカーを使って戦場に向かったが、 その戦場で自身の使い魔が死んでしまった。 幼い頃に契約し、かなりの老齢であったあの気高い大鷲は、 ひたすらに戦場に出続けるマルセイユに文句もつけずに付き従い、その負担に耐え、 そしてその結果、彼は自身の寿命を使い果たしてしまった。 使い魔のサポートを受けられなくなった自分は魔法力を暴走させて気絶し、 ライーサたちに抱えられるようにして戦場を離脱したのだった。 「もう、戦うことも出来ないんだな……これから、どうしよう……」 ベットのシーツを握り締めてそう呟く、 使い魔の大鷲を失ってしまった悲しみはたしかにある、 だがそれ以上にあのとき俺を助けられなかった悲しみがいまでも彼女に襲い掛かっている。 でももうそれを誤魔化すこともできないのだ。それが怖かった。 しばらくそう考えていると、コンコンと部屋のドアをノックする音がした。 「誰?……はいっていいぞ」 その言葉をうけて部屋のドアが開く。 「こんにちはハンナ、気分はどうかしら?」 入ってきたのは圭子だった。 「ケイか……なんの用?」 「お見舞いにきまってるでしょ。 ついでにあなたの容態について医者の先生から聞いてきたわ。 そうとう無理してたらしいわね。」 「……」 そういわれても、事実ゆえになにも言い返せないマルセイユはだまりこんでしまった。 「はぁ、気持ちはわからなくもないわ……ずっと荒れてたものね。 でももう無理はやめてちょうだい……もうあなただけの命じゃないんだから。」 「えっ……?」 心のそこから心配してくれることがわかる感じでケイが自分を諭してくれた。 が、そのなかに含まれていた違和感にマルセイユが疑問の声をあげる。 「私だけの命じゃないって、どういうこと?」 「気づいてなかったの?まったく……三ヶ月よ。」 「三ヶ月?」 なおも疑問を発するマルセイユに圭子は苛立ちながら言い放つ。 「妊娠三ヶ月!まったくほんとに自覚してなかったの、あなた!?」 「ええっ!?そんな、なんで?」 「なんでって、そりゃ、やることやったからでしょうが。」 「そんな……だってまだ一回しか!……まさかそれが?」 「心当たりあるのね……相手は俺、でしょ?」 こくり、とマルセイユは頷く。 あのとき抱いてもらったときの種が自分の中に芽生えているなんて、思いもしてなかった。 「……そっか、そうなんだ……わたし、ひとりじゃなかったんだね。」 自分のお腹をなでながら、マルセイユは涙を流す。 その涙はいままでのような悲しみからのものでなく、 彼が自分に残してくれたものに対する嬉しさから流れるものだ。 「まったく……みんなハンナのことずっと心配してたんだからそれはないんじゃない?」 ま、仕方ないのかもしれなかったけど、 といいながら圭子は今日何度目かになるため息をついた。 「ごめん……でも、私お母さんになっちゃうのか、これはもう泣いてらんないな。」 マルセイユの顔にかつての大胆不敵な笑みが帰ってくる。 「ええ、そうよ。ハンナお母さん?」 その表情に圭子も笑みで返したのだった。 1942年11月、晴れて病院を退院したマルセイユは、 ウィッチとしての戦闘能力の喪失を理由に、 周囲に惜しまれながらも軍を退役し、ノイエ・カールスラントにその身を移した。 その2年後、新たな使い魔と契約を交わした彼女は再び軍に復帰。 再編された統合戦闘団「アフリカ」に戻ってくる。 帰ってきた彼女はそれまでのブランクを感じさせないほどの強さでふたたびアフリカの空 を駆け巡った。 ある時、とあるゴシップ紙の記者が、この「アフリカ」を取材した際、 マルセイユが、彼女に似た幼子を抱えてあやしていたのを目撃したが、 彼女の周りの説得(脅迫)によりそれを記事にすることはなかった。 これにて不死身の少年と砂漠の星の物語は幕を閉じる……かにみえた。 <1945年 ロマーニャ> ~501戦隊基地 エントランス~ 今日この日、この場所ではひとりの少女が箒を片手に掃除をしていた。 彼女の名前は、宮藤芳佳。 この基地に所属する501統合戦闘航空団「ストライクウィッチーズ」のメンバーだ。 その彼女は現在、情けない表情で箒を左右に振っている。 「とほほ、なんでこうなっちゃうのかなぁ……」 彼女は先日、地中海で襲撃を受けた扶桑国遣欧艦隊を救う際に、 無断で新型のストライカー「震電」を使用した。 結果艦隊の損害は軽微で済んだのだが、彼女の無断借用を罰しないわけにはいかない。 そうして彼女は上官である坂本から、基地中の掃除を命ぜられたのだった。 「いくら罰だからって、この基地全部は広すぎるよ~(泣)」 とはいえ、いくら文句をいっても始まらないので続きをはじめる。 その時だった…… ガサッ 「ふぇ?」 ガサガサッ 突然彼女の近くの茂みが動き出したのだ。 「な、何?だ、誰かいるんですか!?」 手に持った箒を握り締めながら茂みにむかって問いかけてみる。 すると茂みの向こうからぼろぼろの服とマントをまとった男が現れたのだ。 「だ、誰?」 「うあ~っ、やっと人に会えた! すみません、ちょっと道に迷っちゃって、 よければアフリカのトブルクまでの道を教えてもらえませんか?」 「……はい?」 芳佳は一瞬何を言われたのかわからなかった。なので問いかけてみることにする。 「あの、アフリカって……」 「はい、あ、申し遅れました。僕の名前は「俺」統合戦闘団「アフリカ」の者です。どうぞよろしく」 「はぁ、こちらこそ?」 それは、マルセイユがこの基地にやってくる、3時間前の出来事だった。
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268 名前:名前が無い程度の能力 投稿日:2006/09/14(木) 23 43 43 [ eW/IyXTE ] 霊夢に最強の攻撃力と不死身の体を与えて、その代わりに 毎日妖怪に襲われるような呪いをかけてやりたい。 果てるところなく続く妖怪との戦いに疲れ果てた霊夢が 気持ち悪いのよ!! 醜い外見も 鼻につく悪臭も 喚き呻く声も! こっちが食事中でもッ・・・ぐっ・・・うぅっ! 何してようが関係無しに襲ってきて! 博麗の巫女にどれだけ恨みがあるかなんて! 私の知ったことじゃないっ! 私からは何もしていないのに! 一日中、目一杯の殺意を向けられ! 死ぬまで襲って来るなら・・・ 殺すしかない・・・! 例えそれで、恨みの輪が広がっても・・・ 勝てるわけないじゃない! 馬っ鹿じゃないの!? 力の差を考えろっていうのよ!! 私は博麗の巫女よ!?幻想郷の規律を犯すものを討てるように出来ているの! 無数の妖怪が殺意を刃にしようが、私をどうにも出来ない! そういう決まりだから私は敗れない! 私は殺されない!私は殺し続ける! 私は無敵なのよ!?どこを探しても私に勝てるモノなんていない! 傷すら付けられない!無敵だって決まっているもの! 何千何億の妖怪も問題にならない力! こんなっ・・・! こんな力ぁっ! 私が!いつ!! こ ん な 力 が 欲 し い な ん て い っ た あ ー ー っ !!! _,,..-‐- 、 ,. " ヽ. ,.-‐- 、 / , i `ヽ、 / i i _,.>__ィ "=--─- 、 | i _,.-,ゝ "` `ヽ. | ア / / ハ ト、 ヽ. ヽ i | `/ / / / | /、 ; 、 !,,_ヽ ! ; i ,! , 7 i iV,.イ/ ヽ、! ___ヽ! i/-‐ "く / .i | !/ヽ!_ "´ ,,,oヽ ___! ` ,. -──- \i i i "´ ___ |「 |___,,..- "´ /r┬┐_,i_ヽ . , i o゜" r "´ \ L____! | / ..lニlニl | ヽヘ「,」 ! ヽ. ! l | ハ ! i .. ニlニ 人 O !,.人 !,_____,,,..,.-、i ,.イ ! り / !/ | ノ ヽ ヽ ヽ 。 | ;ゝ>.、ァヽ. i. ; ハ ! /イ / < | リ`ヽ.r7i i ̄i. , 、レ | _,i__ |/ | !ハ ! ,/ヽ. ! |/-‐┐ i ,T7 i ヽ/ i ヽ. /| . レ と泣き喚く様を見てニヨニヨしたい
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条件バードブラギの詩Lv10
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特殊連携(戦闘デモ) [#ob72211a] 特殊連携(その他) [#o94ef718] 汎用連携 [#rccc1481] 特殊連携(戦闘デモ) インターミッションで設定しておかないと成立しない条件は赤字で表記 戦闘デモ 機体 武器 キャラ 備考 『白熱戦』 ガンダムガンキャノンガンキャノン ビームサーベルビームライフルビームライフル アムロ・レイカイ・シデンハヤト・コバヤシ 『光る宇宙』 ゲルググエルメス ビームナギナタビット シャア・アズナブルララァ・スン 『進出ス!』 ガンダムEz8陸戦型ガンダム陸戦型ガンダム ビームライフル100㎜マシンガン / ミサイルランチャー100㎜マシンガン / ミサイルランチャー シロー・アマダテリー・サンダースJr.カレン・ジョシュワ 『光芒』 ガンダム4号機(Bst)ガンダム5号機(Bst) メガ・ビームランチャージャイアント・ガトリング ルース・カッセルフォルド・ロムフェロー 『水天の涙』 ガンダム7号機RX-81スタンダードアーマーRX-81ライトアーマー ビームライフル(強)ショートビームライフルヘビーライフル ユーグ・クーロシェリー・アリスンヒュー・カーター 『水天の涙』 イフリート・ナハトザクIIザクII ナハト・ブレードザクマシンガンザクマシンガン エリク・ブランケアイロス・バーデフリッツ・バウアー 『不死身の第四小隊』 ジム・カスタムジム・カスタムジム・キャノンII ジム・ライフル アルファ・A・ベイトベルナルド・モンシアチャップ・アデル 『大気層に乗って』 百式ガンダムMk-II(エゥーゴ仕様) ビームサーベルハイパーバズーカ クワトロ・バジーナカミーユ・ビダン 『ヤザンの陰謀』 ハンブラビ(MS)ハンブラビ(MS)ハンブラビ(MS) 海ヘビ or フェダーインライフル海ヘビ or フェダーインライフル海ヘビ or フェダーインライフル ヤザン・ゲーブル ラムサス・ハサ※ ダンケル・クーパー※ ※スカウト不可。なのでENEMYのみ可。 シナリオC08「メメントモリ攻略戦」増援1で対峙。増援直後、ヤザンの右2マスにGUEST機。高確率で発生する。 『ジェリドの背後』 ガブスレイ(MS)ガブスレイ(MS) ビームサーベルフェダーインライフル ジェリド・メサマウアー・ファラオ 『熱血のマシュマー』 ザクIII改リゲルグ ビームサーベルビームライフル マシュマー・セロイリア・パゾム マシュマーは強化でも可。だが、差異は無い。 『アクシズの戦闘』 ZZガンダムZガンダム ダブルビームライフルハイパーメガランチャー ジュドー・アーシタルー・ルカ 『宿命』 νガンダムリ・ガズィ(MS) ビームサーベルビームライフル アムロ・レイケーラ・スゥ 『仰ぎ見る刻』 α・アジールヤクト・ドーガ(ギュネイ専用機) ファンネル クェス・パラヤギュネイ・ガス 『信頼と忠節』 リゼル(MA) ※ ジェガンD型 ビームライフル 誰でも ※リゼル(指揮官機)は不可 『蒼い宇宙』 スタークジェガンジェガンD型ジェガンD型 ビームサーベルビームライフルビームライフル 誰でも 汎用連携は下記参照。 『クロスボーン侵攻』 ガンダムF91ビギナ・ギナヘビーガン ビームサーベルビームライフルビームライフル シーブック・アノーセシリー・フェアチャイルドビルギット・ピリヨ F91が最大稼動状態だと残像を出しながら右手にビームライフル、左手にビームサーベルを持った演出に変化する 『敵意という名の隣人』 クロスボーン・ガンダムX1 ※ クロスボーン・ガンダムX3 ザンバスタームラマサブラスターなど キンケドゥ・ナウトビア・アロナクス ※ ※ X1はマント無し。 X1改は非対応。 ※トビアの容姿は無印。 ビーム・ムラマサブラスターでも可 『天使たちの昇天』 リグ・コンティオゴトラタン ビームサーベルメガビームキャノン クロノクル・アシャーカテジナ・ルース 『希望の未来へレディ・ゴーッ!!』 ゴッドガンダムライジングガンダム 石破天驚・ゴッドフィンガーなど必殺必中ライジングアローなど ドモン・カッシュ(超強気以上)レイン・ミカムラ 爆熱ゴッドフィンガーでも可ヒートナギナタ、ライジングフィンガーでも可 『流派東方不敗は王者の風よ!』 ゴッドガンダムマスターガンダム 爆熱ゴッドフィンガーダークネスフィンガー ドモン・カッシュ東方不敗マスター・アジア 強気以下 『月に吠える』 ∀ガンダム ※ カプル ビームライフルクロー ロラン・セアック ※ ソシエ・ハイム ※∀ガンダム(能力解放)は不可 ※女装不可。青服(シナリオA05のGUEST)も不可 『悟りの戦い』 コレン・カプルカプルカプル ロケットパンチ / マシンキャノン / 連装ミサイルマシンキャノン / 連装ミサイルマシンキャノン / 連装ミサイル コレン・ナンダー ※ ソシエ・ハイムメシェー・クン ※タイツ姿不可 『オーブの底力』 M1アストレイM1アストレイM1アストレイ 71式ビームライフル アサギ・コードウェルマユラ・ラバッツジュリ・ウー・ニェン M1アストレイ(シュライク)でも可 『オーブの底力』 カラミティガンダムフォビドゥンガンダムレイダーガンダム(MA) ケーファー・ツヴァイ / トーデスブロック / スキュラ / シュラークニーズヘグツォーン / 80mm機関砲 / アフラマズダ オルガ・サブナックシャニ・アンドラス ※ クロト・ブエル ※ ※ユニットの順番とパイロットの順番が違うので注意 レイダーガンダムはMSでも可。その際の仕様武器はツォーンのみ対応。 『終わらない明日へ』 フリーダムガンダム(ミーティア)ジャスティスガンダム(ミーティア) 120cm高エネルギー収束火線砲など キラ・ヤマトアスラン・ザラ MA-X200ビームソード以外対応 『戦いを呼ぶもの』 カオスガンダム(MS)アビスガンダム(MS)ガイアガンダム(MS) 何でも スティング・オークレーアウル・ニーダステラ・ルーシェ 『星を見る者』 ストライクノワールブルデュエルヴェルデバスター ビームブレイドなどビームガンなどガンランチャーなど 誰でも ノワールはビームライフルでも可。デュエルはサーベルとバルカン以外なら対応バスターはバヨネット以外なら対応 『悪意の矛先』 ガンダムスローネアインガンダムスローネツヴァイガンダムスローネドライ GNビームライフルなどGNファングなどGNハンドガン ヨハン・トリニティミハエル・トリニティネーナ・トリニティ アイン・ドライはGNビームサーベル以外ツヴァイはGNビームサーベル・GNバスターソード以外に対応ネーナ・トリニティ(A.D.2312)は不可 『悪意の矛先』 GN-XGN-X GNビームライフルなど セルゲイ・スミルノフソーマ・ピーリス 2人でOKGNロングライフルでも可 『たぎれ!戦慄の暴将』 ガンダムガンダムDXガンダム試作3号機ステイメン 何でも 劉備ガンダム曹操ガンダム孫権ガンダム 『不死鳥の如く』 フェニックスガンダム※フェニックス・ゼロ フェザーファンネルメガビームキャノン マーク・ギルダーエリス・クロード ※フェニックスガンダム(能力解放)でも可 『戦いは誰のために』 リグ・リングザンスパイン ショットクロー光の翼など カチュア・リィスシス・ミットヴィル ビームファンでも可 『戦いは誰のために』 ネティクス量産型νガンダム ビームサーベルインコム シェルド・フォーリーマリア・オーエンス 『交わることの無い願い』 ストライカー・カスタムガンダムベルフェゴール 何でもストライククロー or リミッター解除 ビリー・ブレイズラ・ミラ・ルナ 『ジェット・ストリーム・アタック』 ドムドムドム 何でも ガイアオルテガマッシュ リック・ドムでも可 『世界が眠る日』 ∀ガンダム(能力解放)ターンX 月光蝶 ロラン・セアック ※ ギム・ギンガナム ※女装不可 特殊連携(その他) インターミッションで設定しておかないと成立しない条件は赤字で表記 機体 武器 キャラ 備考 ジム・カスタムガンダム試作1号機フルバーニアンジム・キャノンII ビームサーベルビームライフルジムライフル サウス・バニングコウ・ウラキチャック・キース リック・ディアス(赤) リック・ディアス(黒)※ リック・ディアス(黒)※ ビームサーベルビームピストルビームピストル クワトロ・バジーナアポリー・ベイロベルト ※赤は不可。なのでGUESTのみ可。 シナリオA01「木馬 出航ス!」で参戦。 百式 リック・ディアス(黒)※ リック・ディアス(黒)※ ビームサーベルビームピストルビームピストル クワトロ・バジーナアポリー・ベイロベルト ※赤は不可。なのでGUESTのみ可。 シナリオB09「ジャブローの風」で参戦。 リック・ディアス(赤)ガンダムMk-II(エゥーゴ仕様) ビームサーベルビームライフル ※ クワトロ・バジーナカミーユ・ビダン ※百式との連携ではハイパーバズーカだが、リック・ディアスとの場合はビームライフルでないと不可。 百式Zガンダム ビームサーベルビームライフル クワトロ・バジーナカミーユ・ビダン クロスボーン・ガンダムX1 ※ クロスボーン・ガンダムX2 ※ ヒートダガー or ビームザンバーバスターランチャー キンケドゥ・ナウザビーネ・シャル(U.C.0133) ※ マント無し。 X1改は不可。 ※ マント無し。 X2改は不可。 フリーダムガンダムジャスティスガンダム ハイマット・フルバーストフォルティスビーム砲 キラ・ヤマト ※ アスラン・ザラ ※ ※両方ともC.E.71かC.E.73なら発生する。片方だけ別だと発生しない ストライクフリーダムガンダムインフィニットジャスティスガンダム フルバーストモードハイパーフォルティス キラ・ヤマト ※ アスラン・ザラ ※ ※両方ともC.E.71かC.E.73なら発生する。片方だけ別だと発生しない グラハム専用ユニオンフラッグカスタムオーバーフラッグオーバーフラッグ プラズマソード新型リニアライフル新型リニアライフル グラハム・エーカー ハワード・メイスン ※ ダリル・ダッジ ※ ※スカウト不可。なのでENEMYのみ可。 シナリオA10「オペレーション・メテオ」増援1で対峙。増援直後、グラハムの右1マスにGUEST機。高確率で発生する。 アヘッドアヘッド・スマルトロンアヘッド GNサブマシンガンGNサブマシンガンGNサブマシンガン バラック・ジニン ※ ルイス・ハレヴィアンドレイ・スミルノフ ※スカウト不可。なのでENEMYのみ可。 シナリオD01「ソロモンの牙城」ブレイク2回目1ターン経過後に出現。 敵が連携を行わないので通常プレイでは見ることができない模様。 アヘッド・スマルトロンアヘッド GNビームサーベルGNサブマシンガン ルイス・ハレヴィアンドレイ・スミルノフ トルネードガンダムトルネードガンダム ビームライフル or ビームサーベルビームライフル or ビームサーベル ビリー・ブレイズラ・ミラ・ルナ トルネードガンダムトルネードガンダム ビームライフル or ビームサーベルビームライフル or ビームサーベル マリア・オーエンスシェルド・フォーリー 汎用連携 突撃担当1機と支援担当2機が揃えば発生。 支援担当2機で射撃→突撃担当1機が後方から突撃→通常攻撃という流れになる。 担当 機体 武器 キャラ 備考 突撃 アムロ専用Zプラス ビームサーベル or ビームライフル アムロ・レイ MA形態で突撃 アムロ専用ウェイブライダー ビームライフル Zプラス ビームサーベル or ビームスマートガン アムロ・レイ以外 MA形態で突撃 ウェイブライダー(Zプラス) ビームスマートガン リ・ガズィ(MS) ビームサーベル 誰でも B・W・S形態で突撃 リ・ガズィ(B・W・S) 大口径ビームキャノン リゼル(隊長機・MS) ビームサーベル or メガ・ビームランチャー MA形態で突撃 リゼル(隊長機・MA) メガ・ビームランチャー リゼル(MS) ビームサーベル or ビームライフル MA形態で突撃 リゼル(MA) ビームライフル スタークジェガン ビームサーベル or ビームライフル ダブルオーライザー GNツインランス or GNソードIIビームサーベル トランザムライザー GNツインランスビームサーベル or ライザーソード ダブルオーライザー(最終決戦仕様) GNソードIII or GNソードIIIビームサーベル トランザムライザー(最終決戦仕様) GNソードIII or ライザーソード アリオスガンダム(MS) GNビームサーベル or GNツインビームライフル アリオスガンダム(MA) GNビームシールドクロー or GNツインビームライフル アリオスガンダムGNHW(MS) GNビームサーベル or GNキャノン アリオスガンダムGNHW(MA) GNビームシールドクロー or GNキャノン トルネードガンダム ビームサーベル or ビームライフル フェニックス・ゼロ ビームサーベル or メガビームキャノン ビームライフル不可 フェニックスガンダム ビームサーベル フェニックスガンダム(能力解放) ビームサーベル or バーニングファイア ハルファスガンダム ビームサーベル or バーニングフレア 担当 機体 武器 キャラ 備考 支援 アムロ専用Zプラス(MS) ビームサーベル or ビームライフル アムロ・レイ Zプラス(MS) ビームサーベル or ビームスマートガン アムロ・レイ以外 リゼル(隊長機・MS) ビームサーベル or メガ・ビームランチャー 誰でも リゼル(MS) ビームサーベル or ビームライフル スタークジェガン ビームサーベル or ビームライフル ジェガンD型 ビームサーベル or ビームライフル ジェガン ビームサーベル or ビームライフル ケルディムガンダム GNビームピストルII ケルディムガンダムGNHW GNビームピストルII GNアーチャー(MS) GNビームライフル トルネードガンダム ビームサーベル or ビームライフル フェニックス・ゼロ ビームサーベル or メガビームキャノン ビームライフル不可 レギナ バインダーシールドライフル
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■デラーズ・フリート Mission Lv FIELD 地形タイプ 作戦目的 ガンダム強奪 C トリントン 地上 敵機を殲滅せよ 追撃部隊奇襲作戦 D トリントン 地上 ミデアを撃墜せよ 熱砂の攻防戦 C キリマンジャロ 地上 コンテナを回収地点に運搬せよ/HLVを護衛せよ ガンダム、星の海へ C 暗礁宙域 宇宙 敵戦艦を撃沈せよ 蒼く輝く炎で B 月面 宇宙(重力あり) 試作1号機Fbを撃墜せよ/ヴァル・ヴァロを護衛せよ 策謀の宙域 B 宙域 宇宙 敵機を殲滅せよ/戦艦離脱まで護衛せよ 観艦式襲撃 B ソロモン宙域 宇宙 敵戦艦を撃沈せよ/敵機を殲滅せよ ソロモンの悪夢 B ソロモン 宇宙 敵機を殲滅せよ コロニー制圧 A 宙域 宇宙(重力あり) 敵機を殲滅せよ 新しき理想 A 宙域 宇宙 敵機を殲滅せよ 激突戦域 A 月面 宇宙(重力あり) 敵機を殲滅せよ 強襲、阻止限界点 A 宙域 宇宙(重力あり) 敵の突破を阻止せよ 宇宙の蜻蛉 S 宙域 宇宙 友軍艦を護衛せよ/敵機を殲滅せよ 駆け抜ける嵐 S 地球近郊 宇宙 敵機を殲滅せよ 星の屑 S 地球近郊 宇宙 敵機を殲滅せよ ガンダム強奪 敵MS ジム改(砂漠戦仕様)×12、ザクⅡF2型×06、ガンダム試作1号機×02 追加ボーナス 試作1号機撃墜 10000、敵エース機撃墜 10000 クリアポイント [SS]69000 [S]57720 [A]52270 クリア報酬(機体) ザクⅡF2型[B][A]:ザメル クリア報酬(パイロット) なし 2ラウンド。アルビオンからの強奪作戦に成功したガドーの2号機を守りながら、 追撃部隊を破壊するミッション。 敵PTにはバニングやコウ、キース、カレントなどが搭乗するがほとんどはジム改に乗っている上、 ガドーも積極的に攻撃をするのでイージーなミッション。 追撃部隊奇襲作戦 敵MS 陸戦型ガンダム×02、ガンタンク×03、ジム改(砂漠戦仕様)×04、パワード・ジム×01、ザクⅡF2型×05、ミデア×01 追加ボーナス 敵エース機撃墜 10000 クリアポイント [SS]49160 [S]41240 [A]36090 クリア報酬(機体) ザクⅡF2型(ビッター専用)[A]:ドム・トローペン[B] クリア報酬(パイロット) なし 連邦の2号機追撃部隊に対し、奇襲をかけ足止めするミッション。 ミデアを破壊した後、安全地帯に逃げればクリアだが殲滅した方が高ランク。 パワード・ジムにはY・ビコックが、ザクⅡF2型にはエリオットが乗っている。 熱砂の攻防戦 敵MS ジム改(砂漠戦仕様)×02、ザクⅡF2型×02、ジム・スナイパーⅡ×01、ジム・カスタム×01、ガンダム試作1号機×01 追加ボーナス 物資回収 10000、敵エース機撃墜 10000 クリアポイント [SS]48410 [S]44160 [A]42370 クリア報酬(機体) ドラッツェ クリア報酬(パイロット) なし HLV打ち上げ前に散乱したコンテナを回収運搬し、迫り来る敵を駆逐するミッション。 打ち上げ後、敵1号機にはコウが、ジム・カスタムにはモンシアが乗り襲ってくる。 ガンダム、星の海へ 敵MS ジム・キャノンⅡ×02、ジム・カスタム×03、ガンダム試作1号機×01、サラミス改×02、アルビオン×01 追加ボーナス 試作1号機撃墜 10000、敵エース機撃墜 10000、敵艦撃沈 10000 クリアポイント [SS]71000 [S]62660 [A]----- クリア報酬(機体) なし クリア報酬(パイロット) なし 宇宙へ飛び立ったアルビオン隊への強襲戦。アルビオンを沈めると一応クリア。 敵からはベイト、アデル、モンシア、バニングといった不死身の第四小隊の他、 チャック、コウも登場する。コウの1号機は何故か動きが緩慢。バランサーがいかれてるのか? 蒼く輝く炎で 敵MS ガンダム試作1号機Fb×01 追加ボーナス 友軍機護衛 10100、敵エース機撃墜 10000 クリアポイント [SS]41000 [S]36240 [A]29010 クリア報酬(機体) リック・ドムⅡ、ゲルググM[S]?:ヴァル・ヴァロ クリア報酬(パイロット) なし 月面で1号機Fb一機相手に戦うミッション。友軍にヴァルヴァロもいるので、 かなり戦いやすいミッション。逆の0083連邦ミッションではこうはいかない。 策謀の宙域 敵MS ガンダム試作1号機Fb×01、ジム・キャノンⅡ×02、ジム改×04、ジム・カスタム×01、ザクⅡF2型×03 追加ボーナス 友軍艦護衛 10000、敵エース機撃墜 10000 クリアポイント [SS]53000 [S]47280 [A]45630 クリア報酬(機体) なし クリア報酬(パイロット) なし ザンジバル(リリーマルレーン)とムサイ後期型(ニーベルング)を護衛しながら、 迫り来る敵を駆逐するミッション。最期に警告音が出てバニングとコウが襲ってくる。 観艦式襲撃 敵MS ジムコマンド(S)×01、ボール×04、ジム・キャノンⅡ×01、マゼラン改×01、サラミス改×09 追加ボーナス 敵エース機撃墜 10000、サラミス改撃沈 10000 クリアポイント [SS]78100 [S]69110 [A]67450 クリア報酬(機体) なし クリア報酬(パイロット) なし よりどりみどりな艦隊を多く沈め、旗艦のサラミス改を破壊するミッション。 火力がモノをいうミッションなので火力の弱いマシンガンや弾速の遅いバズーカのみでは苦労する。 ソロモンの悪夢 敵MS Aルート:ボール×02、ガンダム試作1号機Fb×01、ジム・キャノンⅡ×01、ジム改×06、ジム・カスタム×02、ザクⅡF2型×06、サラミス改×04、自動砲台×26Bルート:ボール×02、ガンダム試作1号機Fb×01、ジム・キャノンⅡ×05、ジム改×07、ジム・カスタム×04、ザクⅡF2型×05、サラミス改×04、自動砲台×06 追加ボーナス Aルート:試作1号機Fb撃墜 10000、敵発見回避成功 10000←2面でガトーが来る(2面開始から1分経過)前に砲台を全滅Bルート:試作1号機Fb撃墜 10000、敵エース機撃墜 10000 Aルートクリアポイント [SS]85010 [S]73350 [A]----- Bルートクリアポイント [SS]83890 [S]64300 [A]----- クリア報酬(機体) Aルート[C]:ゲルググM(シーマ専用)Bルート[B]:ゲルググM(シーマ専用) クリア報酬(パイロット) なし 分岐条件 AB同時出現 2ルート3面ミッション。 Aはガドーの2号機を護衛するミッション。2面開始から1分が経過すると、ガトーが登場する。それまでに自動砲台を全て叩いて、ボーナスを入手したい。 Bは敵を引きつける陽動ミッション。 1、3面は共通。3でコウのFbとやりあう。3面ではコウの他にキースのジム・キャノンⅡも登場している。 両ルートともSSを取るコツは最初の戦艦を開始と同時に瞬殺する事。 高ランク取りはノイエ・ジールのサブ射撃あたりがオススメ。 コロニー制圧 敵MS ボール×18、固定砲台×07、固定砲台(ミサイル)×08、ガトル×08、ジッコ×07 追加ボーナス 短時間撃破 10000 クリアポイント [SS]55000 [S]41950 [A]41280 クリア報酬(機体) なし クリア報酬(パイロット) なし コロニーを制圧する為に、外壁の固定武装および援軍を破壊するミッション。 多くのオブジェクトを倒すだけの作業ミッション。旧ジオンの戦闘艇ガトルが何故か登場。 新しき理想 敵MS ジム改×07、ジム・カスタム×04、ジム・クゥエル×01、ザクⅡF2型×06 追加ボーナス 敵エース機撃墜 10000 クリアポイント [SS]48690 [S]39590 [A]35620 クリア報酬(機体) なし クリア報酬(パイロット) なし ムサイ改を護衛しつつ敵を倒すミッション。 最期にジム・カスタム2機を従えたジム・クゥエルが登場する。このクゥエルがしぶとい。 激突戦域 敵MS ジム・スナイパーⅡ×05、ジム改×03、ジム・カスタム×03、ザクⅡF2型×06、マゼラン改×03 追加ボーナス 敵エース機撃墜 10000、敵殲滅 10000 クリアポイント [SS]83010 [S]59470 [A]----- クリア報酬(機体) なし クリア報酬(パイロット) なし 月面戦。重力があるので戦いやすい。 SS狙いなら増援で出現する戦艦を瞬殺する。 強襲、阻止限界点 敵MS Aルート:ジム・キャノンⅡ×03、ジム改×10、ジム・カスタム×05、ザクⅡF2型×10、ガンダム試作3号機×01Bルート:ジム・キャノンⅡ×03、ジム改×07、ジム・カスタム×04、ジム・クゥエル×03、ザクⅡF2型×08 追加ボーナス Aルート:敵突破阻止 10000、敵エース機撃退 5000Bルート:敵突破阻止 10000、敵エース機撃墜 10000 Aルートクリアポイント [SS]68040 [S]52380 [A]48160 Bルートクリアポイント [SS]68240 [S]56040 [A]53070 クリア報酬(機体) なし クリア報酬(パイロット) なし 分岐条件 A出現後、敵を殲滅するとB出現 2ラウンドミッション。 Aルートではコロニー外宙域で、ノイエジールとともに試作3号機に挑む。 Bルートではコロニー内市街で、クゥエル3機に挑む。 宇宙の蜻蛉 敵MS ジム改×05、ジム・クゥエル×02、ガンダム試作3号機×01、ゲルググM×06、ガーベラ・テトラ×01、リリーマルレーン×01 追加ボーナス 友軍艦護衛 10000、敵戦艦撃沈 10000、敵エース機撃退 10000 クリアポイント [SS]73640 [S]63620 [A]60390 クリア報酬(機体) ガーベラ・テトラ クリア報酬(パイロット) [A]:シーマ・ガラハウ 戦艦を護衛しつつ、造反したシーマ艦隊と連邦軍の両方を相手にするミッション。 ガーベラの乱射マシンガンは比較的脅威。 駆け抜ける嵐 敵MS Aルート:ジム改×07、ザクⅡF2型×09、ゲルググM×08、ガンダム試作3号機×02、マゼラン改×02、バーミンガム×01、サラミス改×04、Bルート:ジム改×06、ジム・クゥエル×03、ザクⅡF2型×04、ゲルググM×03、ボール改修型×08、ガンダム試作3号機×02、ゲルググM×03、マゼラン改×05、サラミス改×01 追加ボーナス Aルート:敵エース機撃墜 10000、敵殲滅 10000Bルート:敵エース機撃墜 10000、攻撃目標破壊 10000 Aルートクリアポイント [SS]105080 [S]76920 [A]71190 Bルートクリアポイント [SS]100560 [S]73330 [A]----- クリア報酬(機体) なし クリア報酬(パイロット) なし 分岐条件 Aルート目標地点出現後しばらくするとBルート出現 2ルート3ラウンドミッション。Bルートはソーラシステム管制艦を破壊するミッション。 SS狙いならMAP1は戦艦瞬殺→試作3号機瞬殺。 MAP2もA・Bともに戦艦瞬殺を心がければ楽。 星の屑 敵MS ジム改×08、ジム・クゥエル×04、ザクⅡF2型×09、ゲルググM×09、サラミス改×15 追加ボーナス 大量撃破 10000 クリアポイント [SS]151470 [S]89620 [A]84300 クリア報酬(機体) [S]:ガンダム試作2号機0083 デラーズ・フリート ルートクリア:ノイエ・ジール「星の屑」クリア+0079でジオン公国を選択し、「ソロモン防衛戦」でBルート[S]:リック・ドム(ガトー専用) クリア報酬(パイロット) [A]:アナベル・ガトー 連邦艦隊の猛攻をかいくぐり、瀕死のノイエジールを一緒にアクシズ艦隊に合流するミッション。 ガドーを生かしたい気持ちはわかるが、かなり困難。尚、ガドーをメインパイロットとして出撃すると、 瀕死のノイエジールが瀕死のリックドムⅡとなる。 ※クリアポイントは小さな値を更新してください。
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プロフィール 名前:レンドロット・エゼルディール 年齢:不詳(肉体は23歳) 性別:男 身長:180センチ 体重:76キロ 性格:投獄される前はひどく高飛車で傲慢だったが、今はそれどころでは無いため大人しくなっている。協調性は無く、人付き合いは受動的で、基本的に自分から関わろうとしない。あまり人を好きにならないが、恋愛ごとに関しては超がつくほどのツンデレ。少しナルシスト気味で、また、利己的。 外見特徴:金髪碧眼、ポニーテール、常に眉間にシワがよっている 職業:(元)将軍、魔導士 趣味:特になし 特技:料理(特にケーキ作り) 好き:自分、バナナケーキ、可愛いもの 嫌い:人間 宝物:特になし 特殊な能力:竜血を浴びたことによる不死身、不変。 長所:端正な顔立ち、死なない、ずっと若い 短所:いつも何かしらイライラしてて短気で人間を見下しがちで性格が悪い。不変の若さゆえに子供っぽい。 秘密:刑務所の外に置いてきた共犯者を愛していること 成し遂げた偉業、善:古代語で書かれた魔導書の解読、将軍として戦を勝利に導いたこと 起こした事件、罪:革命未遂(内乱罪) 後悔してないこと:不死身になったこと 後悔していること:多すぎる 備考:誕生日は12月5日。人の名前を覚えることが苦手で、友達だと思っている相手以外のことは頑なに名前で呼ばない。ロザリアだけは例外で、半ば照れ隠しで「格下」と呼んでいる。 交友関係、家族等 家族構成は両親と兄がひとり。 レンドロットの才能に嫉妬し続け遂に限界が来た実兄リグレットが肉親ごと実家周辺一帯を滅ぼしたため、家族の記録はレンドロット本人の記憶以外にもう何も残っていない。 友人は片手で数える程。 ほとんどが亜人、もしくは生まれる過程が人として正しくないものばかり。 過去 両親ともに地位も実力もある高名な魔導士だった。幼少期は離れで魔導書に囲まれながらエルフのメイドに育てられる。 魔導士育成学校に入学。が、この頃から既に協調性のなさが見え、友達と言えるような存在は1人もおらず、単独行動ばかりしていた。 運動も同様に、この頃から苦手としている。 首席で卒業した後、『竜狩り』として名を上げる。 竜の血を浴び続ける生活をしていたらいつの間にか不死身になっていた。 久しぶりに実家に帰るも、竜を何体も殺せるほど強くなったレンドロットに今までの嫉妬が爆発した実兄リグレットが究極魔法の発動未遂をしでかし、実家周辺が文字通り滅ぶ。 それでうっすらと人間嫌いになる。 それから竜を狩って、竜肉を食べて、素材を友人である猫系獣人のジューン(当時5歳)に売らせ、自分はケーキ目的以外に森から出ないという生活を20年ほど続ける。 そんな生活をしていたせいもあって、対人スキルは底辺中の底辺。 ジューンは幼少期からレンドロットを反面教師にして育ったため、社交的なしっかり者になった。 頭数の減少により狩りを続けることが難しくなったため、ジューンが奨めてきた王国への従軍を渋々決意。ついでに王都に引越しもさせられた。なんだかんだあっという間に将軍の地位まで登り詰める。 しかしある日、ジューンが「将軍に付きまとう害獣」として人間に惨殺されたことで、人間嫌いを修復不可能なレベルに拗らせる。 つまり、革命(ただの国王殺し)を行おうとしたのは復讐(狙われた現国王からしてみればものすごい八つ当たり)である。 それからまたかなりの年月が経った頃、後に共犯者となる無才の闇魔導士ロザリア・ゲイルハート(別称・格下)と出会う。 ロザリアと共謀して国家転覆を謀る。 やはり2人だけでは限界があったようで、王に致命傷を与えるが革命自体は失敗。 当初の約束は「死なば諸共」だったが、レンドロットがその約束を一方的に破ってロザリアは逃がされる。 それが原因でロザリアはレンドロットを呪った。ちなみに呪いの媒介としたものは過去にこっそり食わせた自分の片目。 現在 12次元刑務所に魔力封じの首輪をつけられた上で収容。処刑できなかったので無期懲役。ロザリアがかけた呪い(頭痛)にも悩まされている。 多少丸くなった。 まとめ 中の人がMMO(ミト〇スフィア)や育成着せ替えゲーム(エル〇リ、アル〇トピア)で作ったキャラクター。それを基とする自創作キャラの流用。 中の人の性癖が傲慢な男のためこんな感じになった。 格下ちゃん 名前:ロザリア・ゲイルハート 年齢:20歳 性別:女 身長:162センチ 体重:48キロ 性格:陰気で口数は少ない方。悪魔と人間の間に生まれた亜人。精霊の寵愛を受けているのに才能がないことをコンプレックスに思っており、精霊に嫌われているが凄まじい才能を持つレンドロットに対して自己中心的な愛情を抱いている。 外見特徴:銀髪赤眼、ロングヘア、黒眼帯 職業:魔導士 趣味:レンドロットの監視(刑務所内の盗視) 特技:人を呪うこと 好き:蝶、薔薇、レンドロット 嫌い:恋敵、コーヒー、レンドロット
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登録日:2014/11/03 Mon 10 15 29 更新日:2024/03/18 Mon 20 12 35NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 DM コモン デュエル・マスターズ デュエル・マスターズ プレイス バニラ ヒューマノイド ボルベルグ・クロス・ドラゴン←大嘘 不死身←だがロリに負ける 不死身男爵ボーグ 宮城一貴 波瀾万丈(環境において) 火文明 「わかるか。相手よりでかい武器を持ってるやつが勝つんだよ。」――不死身男爵ボーグ 《不死身男爵ボーグ》とは、デュエル・マスターズのクリーチャーである。 概要 DM-01で登場したヒューマノイド。 不死身男爵ボーグ 火文明 (2) クリーチャー:ヒューマノイド 2000 見ての通りのバニラであり、一応コストに見合った基礎パワーは持っている。 軽量ヒューマノイドであるため自身が殴る意味はあまりない。フレーバーではでかい武器を自慢しているが、その自慢の武器を振るってもかわいいロリっ娘ひとり倒せない。どころか相打ちにすらならず返り討ちに遭う。というかパワーが低すぎてぼっち状態の真実の王 ヴィヴァルディにも焼かれる。というか当時から光のブロッカーに《蒼天の守護者ラ・ウラ・ギガ》が1コストP2000で存在していたこともあり、ややビッグマウスにも思える。 同弾の《喧嘩屋タイラー》(2コストP1000のPA+2000)のようなパワーアタッカーを持ってすらいないため、一体どのへんがご自慢の力なのかさっぱりである。ちなみにタイラーもタイラーでビッグマウスなきらいがあるが。 しかもDM-02でボーグたちの相棒である《小さな勇者ゲット》が登場したが、素のパワーが2000でPA+1000とほとんどボーグやタイラーの上位互換のスペックだった。一応強制攻撃デメリットこそあるが、気になる頃には死んでるか進化してるのであまり問題ないだろう。 ボーグの機神装甲が《機神装甲ヴァルボーグ》である。 機神装甲ヴァルボーグ 火文明 (3) 進化クリーチャー:ヒューマノイド 5000+ 進化-自分のヒューマノイド1体の上に置く。 W・ブレイカー 攻撃中、このクリーチャーのパワーは、バトルゾーンにある他の火のクリーチャー1体につき、+1000される。 だがこのヴァルボーグにボーグ自ら進化することはなく、当時でももっぱらゲットが進化していたようである。特にゲットはDM-19で《機神装甲ヴァルゲットIII》が登場したが基本ヴァルボーグに進化する形に。 「何でも話せる相棒に出会えたことを心から感謝しているさ。」――小さな勇者ゲット 背景ストーリーでは良い相棒のようだが、実際のデッキではぶっちゃけ対抗馬(それもほぼゲットに軍配が上がる) 2コストヒューマノイドの枠は次々に優秀なものが登場しており、やがてはゲットすら使われなくなる。 進化クリーチャーのコストを下げる《爆裂B-BOY》や、ボーグの完全上位互換にしてcipセルフバウンス要員にもなりうる《斬込隊長マサト》といった今でもヒューマノイドデッキで活躍する面々が登場。そんな時期にもかかわらず、一方のボーグは何を血迷ったかこのままのスペックで再☆録。 遥かな年月を経て、あの伝説の男が帰ってきたぁぁぁぁ!――炎舌実況ミラクル・ショー(*1) B-BOY「伝説って?」 ボーグ「ああ!」 コロコロコミック連載『ケシカスくん』ではケシカスくんがこのカードをボルベルグのプロキシにした(マジックで書いただけだが)。 一応同一性保持権の問題からカードに別のカード情報を書き込むことは法に抵触する可能性があるが(枠の黒塗りなどは問題ない)、このようなネタにされるだけ作者に名前は覚えてもらっていただけ良かったと言えるだろうか。 実際背景ストーリーを元にした漫画ではそこそこ登場してたりする。 現在の採用について 現在は同型再版ながらヒューマノイド爆であり、《熱血提督ザーク・タイザー》にひっかかる《爆斬刀 ダルモア》やアウトレイジではあるがP2013の《巳年の強襲者 コブラ》がいるため、バニラビートですら採用は厳しい(そもそもバニラビートで活躍したいなら3コストバニラが優先される)。 赤単ヒューマノイドもゲットやマサトならともかくボーグは採用されない。というかダルモアですら活躍の場は…。 といっても 現在ボーグが採用されないといっても、それは過去のボーグである。 ボーグだってE3やDSの頃には成長しているのだ。では、成長後の姿を見てみよう。 喧嘩伯爵ボーグ 火文明 (1) クリーチャー:ヒューマノイド 3000 このクリーチャーは、可能であれば毎ターン、クリーチャーを攻撃する。 このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。 クリーチャーしか殴れないものの破格のコストパフォーマンス。というか悩まされてきた1コストブロッカーを殴り返しできる。 ただし自身は相手にタップされているクリーチャーがいなければうごけず、いれば強制攻撃なのは注意。 しかしボーグはこんなものでは終わらなかった。 続いて登場したのは… 鬼神!ヴァルボーグなう 火文明 (3) 進化クリーチャー:ヒューマノイド/ハンター 6000 進化-自分のハンター・クリーチャー1体の上に置く。 W・ブレイカー ( ゚д゚)なう どうしてこうなった。 一応強くなったけど、ハンター限定進化。もちろん、ハンター速攻ではめちゃくちゃ活躍できる破格のスペック…なのだが、名前がいろいろと酷い。 当時のツイッターネタにひっかけたカード群はだいたい名前が残念である。唯一とも言える例外が《アクア監視員 リツイート》である。…ってさっきリツイートさんが言ってたよ。(実際は《ツイート》もなかなか秀逸な名前なんだけどね) だが、それでもボーグは終わらない。 地獄のケンカボーグ 闇/火文明 (2) クリーチャー:ヒューマノイド/ハンター/エイリアン 4000 マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。 弱かったり積極的に動けなかったり名前をいじられたりといろいろな地獄を見てきた故に闇の力を得たのか、はたまた単に赤黒ヒューマノイドを売ってる時期故にこうなっただけかはわからないが、基礎パワー4000の多色バニラとして帰ってきた。 優秀な種族を3つも抱え、しかもいずれも闇と火のクリーチャーが優れているという良待遇。赤黒ヒューマノイドではヴァルボーグや鬼丸「爆」などの進化元にもなれるという大出世を遂げる。「身軽かつオニ強!!」というフレーバーそのままの活躍を見せる。しかも素でも殴れる(赤黒ヒューマノイドではこの点も重要である) おまけにこいつの登場は上記で返り討ちにされたロリっ娘やダルモアやコブラよりも早いE2である。もう弱いとは言わせない! ちなみに相棒ゲットもリメイクされたがそちらはハンターデッキにより特化した能力となっている。汎用性ではこちらが上であり、かつての相棒の下位互換ポジションを避ける形となった。 余談だがDM-10にはこんなクリーチャーもいる。 ボーグのリボルバー 火文明 (2) クリーチャー:ゼノパーツ 2000 サイレントスキル SS-パワー2000以下のクリーチャーをすべて破壊する。 見ての通りボーグの所持品のリボルバーだが、サイレントスキルで自分含めて敵の軽量獣を除去できるために主人よりかつては優れていた。 …というか、主人すら焼き払ってしまうおっそろしいリボルバーだった。 現在は主人が強化されたため、自分だけ死んで主人は生き残る。よかったねボーグ。 ちなみにDM-01で同じサイクルで登場したのが《アクア・ビークル》である。彼はボーグ以上にパワーがなかったが…? 漫画・アニメでの活躍 ボーグは『デュエル・マスターズ』でTCGが移行した最初のデュエルで最初のターンに登場したクリーチャーだったりする。つまり作中最初のクリーチャー。アニメでは鉄球の破壊力が絶大であること、何度倒れても立ち上がるという不死身要素を語られる。それでもP2000とかこの世界どーなってんの また赤いマントはいくつもの戦場をくぐり抜けた勇敢さの証なんだそうで。どうやってくぐり抜けたんだろう… ケンカボーグとしては弟の勝太が使用している。 『DMファイター焔』ではヴァルボーグが登場。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ケシカスくんで不死身男爵ボルベルグクロスドラゴンが出てきたな。 -- 名無しさん (2014-11-03 10 38 32) ↑書き足してみた -- 名無しさん (2014-11-03 10 43 38) 昔はなんとなくこっち使ってたなぁ -- 名無しさん (2014-11-03 12 27 15) 確か原作漫画がギャザからDMに移行した最初のデュエルの、神殿の白凰戦で勝舞が最初に出したクリーチャーだっけ?なんか懐かしいな -- 名無しさん (2014-11-03 13 45 42) 貧弱だったり名前が酷かったりするけど裏返してみればそれは愛されてるってことでもあるんだよな。でもなうだけは許さない -- 名無しさん (2014-11-03 21 14 28) やっぱ名前のインパクトのおかげでみんなの心に残ってる気がする -- 名無しさん (2014-11-03 22 48 02) 不死身男爵ボーグ星人 -- 名無しさん (2014-11-04 01 48 34) 爆獣博士メテオが出たおかげで12枚体制が可能に。水火バニラヒューマノイドとか組めるんじゃね? -- 名無しさん (2016-06-30 22 19 23) 機神装甲ヴァルディオスの進化元 -- 名無しさん (2021-12-16 22 57 26) 名前 コメント
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怪物――もはや『怪獣』と称すべき規模の存在の咆哮が鳴り響いている。 それは、東京都内。少なくとも23区内全域に聞こえるものだった。 とある財団組織が『SCP-682』と番号を与えた名もなき怪物は、自らの願望を叶えていた。 怪物が望むのは人間の虐殺。 そして、虐殺………文字通りの、人類種の滅亡を望んだ存在である。 マスターの平坂黄泉を殺害したものの、依代としての肉片を吸収し、蓄え、魔力を捕食で補っている為、奇跡的に現界を保っている。 思うがままに、ある意味では夢であった人類に死を与え続ける。 そんな獣でも、僅かに恐れている相手が唯一――どういう因縁か定かではないが――実在していた。 殺戮の王として近日まで降臨する刺青男・アベル。 聖杯戦争において『バーサーカー』として召喚された戦士。 彼もまた、不死身の爬虫類の襲来を知らぬものではなかった。 東京都葛飾区にある不動総合病院。 数刻前まで殺人会場と変貌していた悲劇の舞台で、彼方より聞こえた唸り声に耳を傾けていたアベル。 その傍ら。神隠しの少女が酷く動揺する。 「え………? なに??」 彼女は怪物の存在を把握していない。 同じく、人間の死体を貪る梟も顔を上げて、首を傾げていた。 アベルだけが分かる。 何と言う事だろう。アベルが幾戦も死闘を繰り広げ、それでもなお打ち滅ぼせなかったあの獣が。 不気味なほどアベルが待ち望んだ。アベルが求めたものばかりが集う、夢の世界であった。 だけど。 アベルは、脳裏に『隻眼の王』を過らせ、曇った表情をする。 もしかすれば、時間がない。 あの怪物が全てを破壊し、全て代無しにしてしまうのならば……急がなければ。 悟ったアベルが静かに語る。 「アレは間もなく、この土地の全てを喰らい尽くすだろう。そうでもしなければ止まらず、終わりもしない。 酷く―――残酷ではあるが、成す術はない。かつて私も奴を完全に仕留めることは叶わなかった」 まるで世界の滅亡を悟ったかのように、アベルは冷淡な様子である。 梟も、生半可な気持ちで耳を傾けてはいない。 逆に普通ならば危機感を持つべきだ。 アベルですら打破不可能の相手を、一体どのように打ち滅ぼせばいいのだろうか。 至って冷静な雰囲気の中。神隠しの少女だけが絶望した。 「そんな……どうすれば………」 東京が終わる? 少女の努力は虚しく終わり、聖杯戦争愚か、全てを破壊する怪獣を倒す手立てがない。 アベルは、意味深に指を加える梟に尋ねた。 「――君の名は」 意外にも初めてその疑問が梟に投げかけられる。 狂ったバーサーカーが律儀に質問に応答するか定かではない為か。あるいは、真名を明かさぬよう惚けられるか。 それ以外の理由があっても、誰も聞く事は無かった。 マスターの沙子ですら、不思議と問いかける場面がないほど。 大きく目を見開いた人喰いが、漸くその名を呟く。 「タキザワ」 「……そうか。タキザワ………カインを消しに行こう」 ちょっとした遊びに誘うかのように、アベルが言った。 驚く他ない。神隠しの少女が言葉を失うのも無理はない。 アベルの言葉に人喰いの―――滝澤が、ポカンと間を開けてから、皮肉を込めた嘲笑を上げた。 「マジかよ。アベルくん、正気か? クソ兄貴に構ってる場合じゃないんですけどォ?」 「君は『この世界』を救うつもりじゃないだろう」 君は『救世主』か? 清々しいほどのアベルからの投げかけに、滝澤は悪魔めいた笑顔を浮かべた。 「何で俺がここに居る連中(食料)を助けなきゃいけねェんだよ」 「なら早く奴を始末してしまおう。もう全てが終わるのさ」 「ヒ……ヒヒヒッ! 頭おっかしィ、アベルくん。――――最ッ高!!」 愉快な人喰いと殺戮者を前に、神隠しの少女が呆然とするのは仕方がない。 普通だったら、あの怪物相手に奮闘するべき状況である。なのに、彼らはどうしてかまるで視界にすら入っていない。 さらに言えばアベルは、撃ち滅ぼすべき『カイン』すら中間地点だと認識していた。 アベルが見据えているのは。 たった一人。 あの『隻眼の王』だけだ。 ◇ 同じ葛飾区内。ここでも大混乱が生じていた。 不動高校の学生寮にいたアイリスも、管理人からの呼び掛けにより緊急避難を余儀なくされる。 咄嗟に、携帯端末と愛用のカメラ(SCP-105-B)だけを手にとって。 私服の恰好で、他の学生たちと共に移動を開始した。 しかし、避難と言えども。どこへ避難すれば安全だというのか……… アイリスは、向こうで暴走を開始している怪物に心当たりが大きくあった。 だけど、同時に一体どうすればソレを倒せるか不安で仕方ない。 念話で江東区の博物館で待機していたセイバー/ナイブズと早急なやりとりを交わす。 不死身。 あらゆる手段を以てしても『死』を与えられなかった怪物。 だが、アレそのものがサーヴァントではない。サーヴァントによって召喚された存在なのだ。 ナイブズが冷静に念話で応じる。 『召喚したサーヴァント……それかマスターを殺せば、消滅するだろう。何もアレを直接滅ぼす必要はない』 (ならいいけど……) アイリスが不安なのは、あの『不死身の爬虫類』は単純に『死なない』だけの脅威ではない事。 死を脱しようと進化しているのではなく。 死を与える存在を憎悪し、復讐するかの如く抗う精神。 その凶暴性が問題であった。 簡単に、サーヴァントかマスターを倒せば良いと言うが。 ナイブズは、一度だけ確認したライダー/幼女と、そのマスターの平坂黄泉の二人を、どうやれば捕捉できるだろうか。 あれほど暴走されては、至近距離に位置するだけ命の危機に瀕する。 恐らく離れた場所に、傍観を徹している可能性はある……が。 (神隠しの……あの子。私が直接会う訳にはいかない。でも……まだ、あそこに居るなら………) アイリスは『神隠しの少女』の安否を心配する。余裕を持つ暇すら無駄だとしても、思う部分が少なからずあった。 彼女自身、無力に等しい。 けれどもナイブズは江東区の……アベルの『棺』を破壊する為に移動している。 博物館に居座っていた人間も姿を消して、逃走を試みている。 アイリスを含めた都民たち。 中には乗用車を強引に走らせ、一目散に逃げようとする者。 区内にある東京拘置所からも脱走者及び、受刑者が警察官を押しのけて雪崩のように駆け抜ける。 生にしがみ付こうと醜く抗う地獄の亡者。 東京都民は、まさにそんな姿だった。 「はぁ……はぁ……! ど、どこに避難すればいい!?」 「そりゃ、この辺の近くってなら『不動高校』……か?」 「馬鹿野郎! 学校になんか避難するな! 行ったって意味ねぇだろうが!!」 「ならっ……どうすりゃいいんだよおおぉおぉっ!!」 しかし、彼らには往くアテが無いのだ。 通常ならば東京都からの脱出を目的とすればいい。しかし、この『東京』の外に他県は愚か、世界が何も存在しない。 NPCは東京に居続ける事を余議なくされている。 故に彼らは、泣き喚く術しか持たないのである。 まさしく、アベルが見越した通り。全てが終わりを告げていた。 そんな中。 「そうだ! あそこだ!! 奥多摩の方に向かえばいい!」 誰かが混乱する群衆の中で叫ぶ。 えっ? と、人々が僅かに静まる一瞬の隙をつくかのように、続けて他の誰かが吠えた。 「奥多摩だ! そうじゃなくても、八王子の方に行こう!」 ざわざわする東京民たち。 だけども、彼らは納得していた。 この世界の東京には外がない。飛行機も、電車も、全てが無意味。だったら、確かにそうである。 奥多摩方面へ向かうべきだ。 自然に満ち溢れたあそこならば、沢山の人間が向かっても問題ない。 「よし……あっちだ! 奥多摩だ、奥多摩に行けばいいんだ!!」 「みんな、走れ!!」 本能に従順な動物じみた大移動をする人間たち。 きっと、ナイブズが眺めれば醜態を晒している風にしか感じられない光景。 アイリスは、一連の流れに『違和感』を抱えながらも、大移動する彼らに紛れ。あの怪物から距離を取る事を考える。 濁流の光景。 洪水はせき止められず、威力をそのままに大地に広がり、全てを飲み込み、滅ぼす。 少年が一人だけ、誰にも流される事なく。 むしろ、流れに逆らって歩んでいる。 「……なにを、しているんだ。俺…………」 咳き込む少年。 なんだか意識も朦朧としている。 彼は、聖杯戦争のマスターが一人。安藤と呼ばれる少年。 腹話術で『東京』にいる人々を救ったところで、何も意味なんかないのに。 けど、やらなきゃいけない気がして……… 「マスター……動けませんか」 サーヴァントであり、アベルがとっとと始末しようとする忌まわしき罪人・カインが呼びかける。 どこか虚ろな風に安藤は言う。 「少し、疲れただけ……だと思う。それより、あの怪物は倒せないのか……?」 「………」 カインは、如何にあの爬虫類が規格外な存在かを重々承知している。 絶対的な破壊力を持つサーヴァントがいたとしても。 アベルのような勇猛な戦士が居たとしても。 完全に滅ぼすのは困難を極める筈だ。 故に、カインは言うのはまだ理解の範囲で可能な手段だった。 「恐らく……マスターを倒す。それが最善策となるでしょう。尤も、マスターの捜索もこの状況では……」 「だけどっ………このままじゃ聖杯戦争どころじゃない! 何か、方法を考えるしかない」 マスターがどこにいるか。 あの怪物をどうするか。 何か、何も出来ない訳がない! 『考える』 安藤が持つ唯一の武器を信じ、戦略を張り巡らせるのだった。 ■ 「不味いな……」 港区方面でかつての東京のシンボル『東京タワー』を捕食する爬虫類を横目に、明はメアリーを抱え、移動を続けていた。 あれほど巨大になった化物を、相手にした事は……ない。 確かに、明は数多の巨体の怪物を倒してきたが、アレはそれのどれとも異なる。 建築物や生命を喰らい、今もなお肥大を続ける。手に負えない怪物。 詳細を知らない明であっても、あの怪物に時間を与え続ける事が、ますます討伐が困難にさせると理解できた。 しかし、まずメアリーをどこかに避難させなくては。 明自身のマスター……カラ松は、まだ葛飾区にいるなら安全だろう。 否。 ここで安全も何もない。他の場所より幾分マシなだけだ。 『おい――おい! メアリー、返事しろ!!』 「ザック」 その時。メアリーが我に帰るような反応を見せた。 彼女のサーヴァント、アサシン/ザックからの念話である。 あれからどうなったのか? まだアベルを殺害していないのだろうか? 色々疑問は絶えないが、ザックもメアリーも、そんな状況ではなかった。 ザックの他、ルーシーと沙子のいるランドセルランドでも異変が明らかである。 外の騒ぎよう。地響きはすぐ近くに感じた。 ランドセルランドのある文京区は、怪物が暴走する付近にある区域。近いも遠いもあった話ではない。 (今……あの大きなトカゲから逃げてる) 『オメェも呑気だな! 取り合えず、俺んところに来い!! あーなんだ、ランドセルランド?ブンキョーク?って所』 (うん、わかった。………ザック) 『あ?』 (ザックは、あの大きなトカゲ。倒せる?) 『マトモな成人男性がどーにかできると思ってんのか』 (……ううん。教えてくれてありがとう) なんだか、ザックのもどかしい罵声が聞こえたようなメアリーは、納得した。 精一杯の威勢で「殺せる」なんて言わない辺り。やはり、ザックは嘘をつかない人間だと理解する。 メアリーは明に対して話しかけた。 「あのトカゲって、倒せるの?」 「間に合えばな。それでも、俺だけで倒すのは難しいかも分からねェ」 「……私、一人でザックのところに向かう」 まさかメアリーから言いだすとは、明も予想外な展開に多少の戸惑いを垣間見えさせる。 果たして、同盟として成立可能なのか? だが、事実。メアリーを戦場に連れていくほど、明は余裕がない。 仮に明がメアリーを盾にしてでもメアリーに価値があるか。 彼女は、アベルでも『人喰い』のマスターではなく、包帯男のマスターなのだ。 メアリーは更に明言する。 「ザックは無理だって。だから代わりに倒して欲しい」 「そうか……」 即ち、実力的な問題。 アイザック・フォスターが英霊として召喚された身でも『ジャック・ザ・リッパー』並に突出した実力は秘めていない。 マトモな成人男性もとい。一般男性が、ちょっとばかり力を得た程度。 正直、あのアベルを殺害すると宣言するには似つかわしくない存在。 うちはマダラが、警戒愚か視界にも入れない英霊。 無駄に張り合わなければ、明も余裕で倒せる位の相手。 同盟を組む価値があるかも怪しい。 必要なければ、メアリーをここで殺してしまえば……? しかし、カラ松の言葉を思い出す。 マスターを殺害する理由……明はメアリーをアスファルトで舗装された地面に着地させ、尋ねた。 「一つ聞きたい。聖杯を求めるつもりは、あるか」 「……ない」 だって、ザックが「ない」と答えたから。 嘘じゃない。 メアリーは言葉にせずとも、心の中で深く繰り返す。 明は、手元に幾つもの化物を葬ってきた『丸太』を出現させる。恐らく、あの怪獣に通用する武器に違いない。 あれほどの相手は、不思議な事に昨日の夜、死闘を繰り広げたキャスターよりも絶望的だ。 しかし、アベルたちやザックですら手に負えない相手を、一体誰が倒す? 最早、聖杯戦争じゃない。世界そのものを喰らおうとする怪物を打ち滅ぼさなくては。 「よし。余計なことを考えないで、サーヴァントと合流しろ。最悪、令呪でサーヴァントを呼べ」 「うん」 無力なメアリーは避難する人々と共に、大地を駆け抜ける。 そして、明は怪物を相手するべく逆方向へ駆けだした。 皮肉にも、かつて人類の為、化物と死闘を繰り広げる……あの日々のようだと、明は痛感した。 □ 面倒な事態だ! 念のため、織田信長は確認の一つとして政府関係者へ連絡を取った。 自衛隊などの配備。ミサイルなどの攻撃許可。世界規模の国家攻撃ではない、交渉の余地もない怪物相手だ。 あらゆる手段において総理の決定を求められる一大事。 政府関係者が、異例の事態に無反応な訳がない。 案の定。 まだ政府関係者は目覚めた頃合い。しかも、早朝のハプニング。 対応を始めろと要求する方が無理のある話か。 信長が連絡を取ろうとすれば、電話回線が混雑しているせいで一向に連絡が叶わない。 「いざって時に限って混乱してマトモに対応出来んとは、是非も無いわ! しゃーないか、セラス!」 『はい! 宝具使用許可をお願いします!!』 「許可する。問題は狙撃する位置だが……できるか」 『場所を捜索しています。狙撃準備整い次第、攻撃開始します!』 手慣れたようにアーチャー/セラスからとの念話が交わされた。 彼女は、巨大砲を所持しており、それは怪物を攻撃するに相応しい武器と呼べるだろう。 が……セラスは吸血鬼。 折角、昇り始めた太陽が邪魔となって、満足に実体化が不可能な状況だった。 巨大トカゲを攻撃可能な位置……まずはそこを確保しなくては! そんな千代田区では、警察が対応に追われていた。 アベルの一件により人数が大幅に減らされてしまったり、アサシン/曲識の宝具で疑心暗鬼が生じていたが。 怪獣が出現したとなれば、話は別である。 メアリーを保護していた警察関係者も、パニック状態の市民を誘導する。 「パトカーを使用するな! 渋滞を招かないように誘導を徹底しろ!!」 「ん!? おい、待て!! そこの君……!」 誘導に必死だった警官も、あまりの光景に声を上げてしまう。 一人の少年が、高校生の少女を担いでいる。 図体に似合わない無謀な行動だ。どうして彼女を担げるかも不思議で堪らない。 何よりも。 その少女は、神原駿河。テロリストのアベルに共犯した重要参考人の一人だった。 警官は改めて少年に言う。 「何をしているんだ! 君!!」 「こ……このひとは、うごけないんですっ! ひとりじゃ、にげることもできません!! ぼくが、つれていきます!」 「駄目だ! 彼女は重要参考人なんだ。未成年とはいえ……」 「なら! ぼくのかわりに、かのじょをつれていってください! おねがいします!!」 「分かった! 分かったから、君は逃げるんだ! ご両親は!?」 警官たちが強引に神原駿河を持ち上げ、仕方なしに彼女を地面に置くのだ。 それを見て少年――今剣は、いよいよ我慢の限界だった。 「いますぐ! いますぐです!! みなさん、はやくにげてください!! かのじょをつれて、みんなにげてください!」 「……私達の仕事は市民を守る事なんだ。ここに残らなくては」 「うう……!!」 「緊急だ! 首相の車が通る! 全員全力で道を開けろ!!」 千代田区には『総理大臣官邸』が存在する。 即ち、首相の執務の拠点。そこから政府関係者が一斉移動を開始したとの報告が、現場でされた。 首相は、日本の要となる重要な人物。 群れなす民よりも大事な、このような緊急事態だからこそ生きるべき存在だ。 恐らく『総理大臣官邸』でアベルの対策会議が行われていたか。あるいは、他の重要課題の為か。 ともかく、彼らは怪物の魔の手から逃れるべく、東京23区からの脱出を試みようとしている。 「え……ま、まって」 「ほら! 君も逃げて!!」 市民を押しのける警察関係者。 強引に今剣を引っ張る警官。 一体どうして逃げないのか、このままでは死んでしまう。 このままでは、駿河も逃げる事が叶わない! 「なら――かのじょを、スルガを!!」 「それはいいから! 君は逃げるんだ!!」 「っ…………! うそつき!!」 思わず今剣は激怒した。 少年とは思えない形相に警官も思わず、手離す。 今剣は、再び神原駿河を担ぎあげ、制止の声に耳を傾けず。全力で走る。 「しなないでください、スルガ! ぼくと、ルーシーといっしょに、もとのせかいにかえるんです!!」 次の瞬間だった。 不死身の爬虫類が飛び込んで来たのは――― ● 爬虫類――人間が認識するに巨大トカゲ――は、大きく跳躍をし、突進してきたのだ。 高速で大地と激突した瞬間。 大地震に匹敵する揺れと、大爆発が起きたかのような衝撃が襲いかかる。 無力な人間は、踏み潰され。あるいは吹き飛ばされ、倒壊する建築物の下敷きとなったり…… 理由は様々だが、彼らは犠牲となってしまう…… 高槻泉は、杉並区にそびえ立つ高級マンションから怪物の暴走を眺めているのだった。 彼女のサーヴァント。アヴェンジャー/メルヒェンの話を耳に傾けながら。 それもまた【衝動】のある物語である。 「強い恨みか……ま、差し詰め人間に虐げられた存在。哀しき獣だろう」 『全ての生きた人間に復讐をするよりも、個人のみに意識した復讐が強いように、復讐の念が分散されるのは本来よくはないが…… 彼、と呼ぶべきだろうか。その恨みの強さは格別だ。よほどの所業を受けたと察するよ』 先ほどまで祭り騒ぎの如く拡散されていた動画。 彼の殺戮者・アベルとの奇跡の対話としてあらゆる場所で上げられている。 しかし、悠長に視聴しているのは高槻くらいではないだろうか。 「さて。この状況……君はどうするつもりかね」 すると。 ドタバタ慌ただしい物音が高槻のいる階層で響くと、乱雑にインターホンを鳴らす者が。 呑気な動作で高槻が最新の映像機能で玄関先の人物を確認できるもので、ひぃひぃと息を切らす男性を目にした。 実際、その生きた姿を確認すると複雑な心情の高槻。 彼女の中で、沈殿していたドス黒い感情が浮上するのを覚えた。 『た、高槻先生!?』 「おぉ、今日の予定はなんだったかな。打ち合わせ?」 『何言ってるんですかっ! 早く逃げて下さいよぉっ!!』 ここからの眺めは格別だよ、とその担当編集者である男性と高槻が会話を交わす。 地上に残っているホット・パンツとランサー/アクアは、駅から携帯端末を回収し終えていた。 彼女たちのいる中野区は、被害が未だ及んではいないものの。 巨大トカゲが、ちょっとした気まぐれで接近してくる可能性は全く否定できない。 「ランサー……戦えるか」 『ちょいと休ませて貰って、離れた位置から「ブラックブラックジャベリンズ」で仕留めてやる。 その間に、ホット・パンツ。お前は遠くに逃げな。一撃でも喰らえば一溜まりもないよ』 「……あぁ」 無論、そのつもりしかなかった。あんなもの、ホット・パンツは一瞬で捕食されて終わり。 正真正銘、サーヴァントでしか相手に出来ない規格外の怪物。 聖杯戦争以外にも、全てを無に帰すべく召喚したと連想されてしまうソレに。 絶望を抱いている場合じゃない。 彼女たちは、己の欲望が為に『聖杯』を求める以上、あの化物を倒す他なかった。 ◎ 考える。 僅かな手段を考えるしかない……! アーチャー/ロボひろしは、強大な敵を前にマスターを失い、宝具の使用不可な状況にも関わらず諦めを捨てない。 何かまだ手が残されている! 倒せない化物なんかこの世にいないように、巨大生物を倒す術は確かにあるだろう。 「そうだ……!」 史上最悪を召喚したサーヴァント。 皮肉にも、平坂黄泉のライダー/幼女によって召喚された存在。 だが、ひろしは平坂の死や、幼女が怪獣を召喚したことをまだ知らない。 むしろ。平坂を見失ってしまい。トド松より以前に捕食されのをタイミング的に把握できていなかった。 最低。平坂や幼女が召喚したものではない、と判断してしまう。 彼は、居る訳もない未知なるサーヴァントとマスターの捜索を続行していた。 マスターを失った。 そのマスターを友として認識していた怪物が捕食したことに、幼女は困惑を続けていた。 彼女は哀しみを深く覚えている。 どうにか、怪物へ制止をかけようとするが、もはや騎乗する為に怪獣の一部に掴みかかるので一杯一杯。 最終的にはいとも簡単に振り飛ばされてしまう。 幼すぎる彼女が試みる手段は、あまりにも無謀だが諦めない精神は、他のサーヴァントと匹敵する筈。 そして、文京区にあるランドセルランド。 この世の終焉に等しい情景を脇に、ルーシーは沙子が入っている事を確認し、大き目のその鞄を閉めれば。 何とか持ち上げることに成功する。 力仕事こそザックに任せるべきだが、彼がサーヴァント……敵に遭遇した際、邪魔にならないようしなくては。 ルーシーは、文句も言わず。自分で沙子を運ぶ事を決心した。 恐ろしい怪獣の進撃。 つい先ほど、ソレが一気に接近した為、ルーシーは体を震えあがらせる。 情けない話だが。アベルや滝澤が戻ってくれば、あの怪物を倒せるかもしれないと希望を抱くルーシー。 当のアベルに、そのような気力はないとも知らずに。 涙を浮かべならが必死に生きようと、自分自身に言い聞かせるルーシー。 訳も分からない憐れみを見せつける少女に、ザックは舌打つ。 結局、人喰いからの念話が来る事は無かったし。メアリーはともかく、アベルは帰って来ない。 何か思い出したザックは、独り口にする。 「まさか……死んでるんじゃねーだろうな」 それはアベルに対してではない。人喰いの方にだった。 ○ 「パチンコ警察風に連行はともかく、大丈夫なのかブラザー。俺の無罪が魅力によって晴れた……」 「いーから早く!!」 一方、葛飾区の警察署にいるカラ松は実に呑気なものだ。 外が劇場版・大怪獣バトルチックな光景と化しているとは露知らず。 兄弟たちに連行、もとい救出された彼は、葛飾区内を逃げ惑う人々で一面が覆われていると把握した。 これこそ、映画の撮影に見えなくない状況。 「デカパン博士ー!? くそー! 先に逃げたのか!?」 周囲を見回すおそ松が、あるものを発見した。 おそ松一行が警察に連行された際、同じくして移動させられたカーマシンが放置されている。 怪獣に驚いて博士だけは一目散に逃亡してしまったのだろう。 むしろ、カーマシンが起動可能な状態で放置されているのは幸運か。 「こいつは! デカパン博士の『ベストフレンド』!! ……待て、俺の時みたいに暴走しないだろうな?」 すっかり警戒心に満ち溢れたカラ松。 十四松だけは通常通りの十四松らしく「さっきちゃんと動いてたから大丈夫大丈夫!」とフォローした。 一目散に操縦席に座ったおそ松は、エンジンを起動させる。 「とにかくコレで逃げるしかないだろ!」 「あー……ブラザー達。不安だから一応確認させて貰うが、警察から出て大丈夫なのか? あと、一体何が起きている?」 「説明は後でするから、早く! カラ松兄さん!」 「アッハイ」 チョロ松に急かされて、というか全員が「とっとと動けよ。クソニート(お互い様)」な表情をするものだから。 仕方なくカラ松は乗車する他ない。 五人も乗車したせいか、自棄に動きが遅い『ベストフレンド』だが、人間の足よりは大分マシと思われる。 逃げ惑う人々の思考は結局のところ同じだ。 車で逃げるのが速いのは当然であり、誰もがそれに頼ろうとするせいで渋滞が巻き起こっていた。 おそ松たちは苛立ちを覚えるのは当然だ。 「こんな時に!!」と憤りを露わにするおそ松だが、散々社会に貢献する働きを避けていた彼らが 一般人に譲りを与える時が今なのかもしれない。 同じように苛立ちや不満を爆発させ、罵声が飛び交う車で埋め尽くされた道路に、カラ松も異常だと理解できる。 車の合い間を通りぬける人々を見た一松が冷静に「これ走った方が速くない?」と呟く。 兄弟たちも無言の同意を交わし、一斉に『ベストフレンド』から降りた。 まるで、大規模なマラソン大会のワンシーンだと言われても違和感のない。 圧倒される光景にも関わらず、歪なほど緊張感を覚えるカラ松。 遠くからまた音が聞こえる。 カラ松は音を怪獣の遠吠えであると理解していなかったのだ。 「……ん!? あれはカラ松ガール!」 幸運か不幸か、カラ松は人混みの中。同盟相手の二宮飛鳥の姿を捕らえた。 正確には車内にいる飛鳥を発見できた………だが。 このまま、車の彼女を呼びかけたかったものの。どうやって呼び出そうか? 彼女は家族と共に避難を試みているようだ。 カラ松相手に家族が「娘とどのような関係ですか!」と問い詰められれば、冗談めいた言い訳でやり過ごせる自信がない。 「しかし、このまま……はっ! なんてことだ!!」 一瞬、目を離したすきにカラ松は兄弟を見失ってしまったのだ。 どうやって人混みの中。探し出せば!? 幾ら顔が同じでも、こんな状況で悠長に人探しなんて…… カラ松が迷っていれば、飛鳥が何か気付いたように車から飛び出す。 家族は、車での逃走を諦めたのだろうか。 否。違う。 家族はそういう目的だが。飛鳥自身は、怪獣以外の異変に注目していたのだ。全力で人混みをかき分ける。 道路に植えられた木々――急激に朽ち果てて往く、その情景。 飛鳥が、人の濁流に呑まれそうなのに逆らう。 彼女の手を引っ張ったのは、アサシン/零崎曲識。 「アサシン!?」 「マスターも気付いたのだろう。あれだ」 曲識が率先して誘導する先には―――少年を背負って移動するサーヴァントが。 彼の移動と共に、折角妖桜が巻き起こした冬を耐えしのんだ草花が、平等に死んでいった。 飛鳥の視認により『アサシン』というクラス名が判明した。 だけど、飛鳥はとっくにその真名を理解している。 誰よりも早く逃げるサーヴァントに、飛鳥が叫んだ。 「待ってくれ! カイン!!」 飛鳥の声は、阿鼻叫喚の地獄の中で澄んだ音色として響き渡る。 それは……彼女が『アイドル』であるが為に会得した一つの技術かもしれない。 どんな状況であれ、誰かに何かを伝えたい強い意志が形となった。 声はカインに届き、彼は振り返る。 意識を失ってカインに背負われていた少年・安藤にも。 飛鳥と接触しようとするカラ松にも。 そして―――………… 「………カイン」 彼の最悪の弟であるアベルにも―――………… 「カァイィィィィンッ!!! 貴様ァ!!!」 植物の腐食を目印にしたのは飛鳥だけではなかった。アベルと、彼と同行する滝澤の瞳にも映った。 えっ? と頭上を見上げた人々は、アベルにとって邪魔でしかない。 着地するなり一帯を一掃したのである。 あっさり出来あがった地獄の風景に、飛鳥とカラ松は戦慄した。 それこそ草木を刈り取る些細な動作で人間を虐殺するアベルは、決して愉快な心情ではない。 かといって、カインに憎悪を剥き出しに怒り狂っている訳でもない。 憎しみがないと言えば嘘になるが、アベルは邪魔でしかない障害を消そうと行動するだけ。 人間の殺害によって前進するアベル。 テロリストなど、怪物の存在でかき消されていただけで人々は呆然と恐怖に飲み込まれていた。 アベルに続いて滝澤が、狂気じみた動きで先回りし。あっさりとカインを蹴り飛ばす。 ダメージの反射など物ともしない滝澤が、痛みを無視しながら。『赫子』をカインに突き立てる。 咄嗟に、カインはマスターの安藤を手離す。 胴体を貫かれた激痛が走る。それは滝澤も同じだろうが、彼は狂喜を浮かべたまま、告げるのだ。 「おォいおいおい、痛てェの? こんな程度で? 痛みは感じちまうってかぁぁ!?」 「が……はっ……! ま、スター………!!」 苦しむカインの視線の先には、地面に投げ飛ばされた安藤。 何とか立ち上がろうとする彼にアベルの刃が迫るのだ。 『腹話術』をアベルに………! 安藤が決死の能力の使用をするが、全く無意味である。 現場に居合わせた飛鳥と曲識、カラ松も寸劇に成す術が無かった。 無力とは、まさにこれを指し示すのだろう…… そして――― ● ―――緊急通達を開始します。 現時点までに生き残ったサーヴァントの方々、おめでとうございます。 賛辞のお言葉はさておき……皆さま、この『東京』で発生している異常事態をご理解している前提で話を進めさせて貰います。 私ども、主催者も可能な限りサーヴァントの皆さまに、快適な聖杯戦争を堪能させたく。 出来る限りの制限、抑止などを留めた所存です。 しかしながら……今、ライダーが召喚しました宝具により、舞台である『東京』の空間そのものに支障を来す。 そう判断をし、先ほど私――先導アイチが直接、ライダーのサーヴァントに警告を行いましたが。 警告を無視。さらには緊急修正の不可能な段階までの破壊活動が続けられております。 具体的には――現時点で東京都23区の大規模な破壊。及び、今後の破壊規模の予測。 東京都に所属する政府関係者及び重要機関責任者の死亡、限度以上の警察関係者の死傷者。 東京都民の緊急修正対応の間に合わない死傷者の予測……など。 総合しますと、このまま聖杯戦争続行が困難の危機に立たされております。 そこで……… 私ども主催者の決定により―――ライダーとその宝具の討伐クエストを開始します。 そして、皆さま方。 現時点で戦闘可能なサーヴァント全てにこれを命じます。 どうやら、心良く思わない方もいらっしゃるようですが、ご理解の方をお願いします。 これより私が『イメージ』を通じ、皆さま方に令呪を使用いたします。 ……… 先導アイチが使用する令呪は、遺体から回収した令呪である。 裁定者/ルーラーのクラススキルとしてある、全サーヴァントに使用可能の絶対命令を下せる特殊な令呪。 ではない。 ならば、どうするというのか? イメージ。 この場合はサーヴァントと繋がりのある『マスター』を通じて、令呪を使用するという荒技なのだ。 故に。マスターを失ったロボひろしは、令呪は受けられない。 だけども。 聖杯戦争を続ける為に、夢を終わらせない為に、世界を終わらせない為にも―― これより正真正銘、奇跡の幕が開かれる事となるだろう。 「令呪を以て、全サーヴァントに命じます――東京を破壊する怪物を打倒せよ!」 ◎ サーヴァントには令呪が使用された、という自覚が残る。 ルーラーとは異なる手段を用いる令呪の命令。 だが、厳密にはイメージでマスターと通じ合い。そして令呪を使用。 とは言え…… 先導アイチは戦況を冷静に監視していた。 元より『不死身の爬虫類』を討伐しようとしていたサーヴァント――セラス、宮本明、そしてアクア。 彼らは既に怪物周辺に存在し、攻撃するべく準備を整えていた。 令呪が、むしろ糧となった。 一方。 全く怪物に見向きもしないか、あるいは早急に対応しようとしないサーヴァント。 これらは案外多く存在している。 『対魔力』のないアサシンクラスのザックや曲識、カインなどは個々に不満を抱きながらも。 抵抗する術も無く移動するハメとなってしまった。 高ランクの『対魔力』を所持するナイブズに関しては、動向次第で令呪を更に使用する判断もアイチにはある。 だが、恐らくナイブズもその程度の読み合いは可能だった。 無理な抵抗はなく、仕方なしに江東区から離れている。 そして――― 「お………お、おいぃっ……! どうしたんだ……?!」 東京都葛飾区。 情けない松野カラ松の声が自棄に響いた。 最早、怪物の騒動で誰も彼もが『逃げ』に徹底し、そこにはカラ松と飛鳥、安藤……そして――アベルの存在があった。 アベルは『対魔力』じゃない。バーサーカーのスキル『狂化』によって抵抗する。 満足に動けないが、ブレードで安藤を狙うべく、その場で留まっていた。 皮肉ながら令呪に逆らえない滝澤が、嫌々に移動しつつ叫ぶ。 「アベルくん、早く殺しちまおうぜ! もう少しじゃねぇか!」 状況が飲み込めない飛鳥は、既に立ち去ってしまった曲識と念話を交わす。 (これはどういう事態なんだい……?!) 『先導アイチが令呪を使用した。全てのサーヴァントに対し、あの怪物を打倒しろと。 流石の僕も、文字通り実物の怪物を相手するのは、今回が初めてになるが………』 (アベルが、令呪に逆らっているんだ!) 『………それは不味いな。先導アイチが再度令呪を使用する手もあるが……最悪の場合』 だけど、曲識も令呪を使用されて、どうする手立てもない。 ましてや、あの最悪な強さを誇るアベル相手に、少女の強さしかない飛鳥がどうしろと? 第一。彼女は邪魔をしないと『約束』してしまった。 これがアベルとカインの最期ならば、そうだったなら、抗わず。納得するしか手段はないのだろう。 渾身の抵抗の末、アベルはヤケクソ気味にブレードを投擲する。 銃弾に匹敵するスピードで、刃が安藤に迫った。 ……ところが、ブレードはアスファルト舗装がされた地面に深く突き刺さった。 この距離の攻撃をアベルが失敗したのではない。 全く予想外。令呪によってサーヴァント達が討伐令に強制参加されたと知ったのは、飛鳥だけではなく。 カラ松もだった。 これより『不死身の爬虫類』を倒すと明から念話で(漸く)説明を受け。 彼が『東京』で発生する異常全てを把握したのと同時に、一つの希望を獲得したのである。 ならば――アベルが安藤の殺害だけに手一杯だとしたら! カラ松が、安藤の体をちょっとでも引っ張る事は可能ではないか!! たったそれだけで、安藤への攻撃を回避させられるのだ。しない訳がない。 「き……決まったあああああぁぁあぁぁぁっ! どうだ、カラ松ガール!!」 聖杯戦争で情けない姿を晒し続けるほど軟な男じゃない。 借りを作ったのだから、これで安藤のサーヴァントと協力が出来るかもしれない。 あるいは、聖杯を譲って貰える。……のは都合のいい話過ぎるが。 ともかくカラ松は、ようやっと聖杯戦争において輝きを取り戻したのだ。 華麗に飛鳥へドヤ顔を見せつけたつもりだったが、実際目が合うのは例の殺戮者・アベル。 人生で経験した事も無いほどの殺意を間近に感じたカラ松は、やはり一瞬にして震えあがる情けない男である。 「あ、いや。その」 「お前は殺す」 サァーと血の気が引く感覚を全身で味わったカラ松が、いつ卒倒しても不思議じゃない。 不自然なほど素直にアベルが踵を返したのは、恐らく先導アイチが『二画目』の令呪を使用したのだろう。 脱力に見舞われたカラ松が地面で座り込む隣。 咳き込む安藤に対し、飛鳥は話しかけた。 「大丈夫かい………?」 「あ……あぁ………そっちの人も、ありがとうございます」 何とか礼を述べた安藤。カラ松は返事の代わりに、弱々しいうめき声を漏らした。 悠長にはしていられなかった。 アベル達――サーヴァントが集結を余議なくされた要因である怪獣。 まず、あれを何とかしなくては…… フラフラと立ち上がる安藤。飛鳥は少女であるが、彼の肩を貸そうとする。 周囲を見回すが、アベルの出現に恐怖が感染した為か。車に乗車していた人々も皆、どこかへ逃げ去っており。 もしかしたら、逃げ遅れた人間が現れるだろうか? 飛鳥は、深呼吸する。 ライブ本番前で緊張をほぐすかのように。 「ここから離れないと……すまない。車を運転して欲しいんだ」 飛鳥の頼みはカラ松に向けられていた。彼の方は、ワンテンポ遅れてリアクションを起こす。 それから平静を取り戻したい一心で、相変わらずの痛々しいカッコつけを見せつけた。 「ふ……フッ、運転なら俺に任せろ。カラ松ガール……だが、この状態じゃ時間がかかるぞ」 「歩いて移動するより大分マシじゃないかな。彼の方は無理に動けないようだしね」 アベルによって地で動かなくなった死体を、嫌でも目につけながら飛鳥とカラ松で安藤の肩を貸し。 鍵をつけたまま放置されている乗用車一台に乗り込んだ。 こんな緊急事態。ましてや、偽りの『東京』の秩序に逆らう抵抗を抱いている余裕すらない。 成るべく迅速に彼らは車を発進させ、道路の空いたスペースを利用しながら現場を離れる。 カラ松と飛鳥が、どうにか落ちつけたのは。 兄弟たち、家族の死体が転がっていないと分かったせいか…… 「折角ならブラザーたちと合流したいところだが……その、なんだ? こういう場合、避難先はどこだ?」 「普通だったら隣接する他県方面に避難するはずさ。尤も、この聖杯戦争の舞台は東京都しかない。 家族も知り合いも、全てが偽物。東京以外の世界は存在しないからね」 「な、なんだと!? 偽物っ……? そうだったのか!?」 「えっ。知らなかったのかい?」 思わず飛鳥が聞き返す。 一方のカラ松は、ある意味の衝撃が走っていた。 ここが実際の『東京』じゃない? 兄弟たちも本人じゃない?? 偽物……? なら、自分が起こした犯罪。焼失した家。何もかも無意味で……… 変に気が抜けてしまうほどカラ松は、酷く安堵するのだった。 「じゃあ……本物のブラザーたちは?」 「変な表現だけど、元の世界……本物の『東京』で生きているだろうね。 そう言えば、本物の世界では僕たちは行方不明扱いなのかな? ……フフ、呑気に想像している場合じゃないのに、不思議だよ」 そう微笑む飛鳥の存在が、奇妙にカラ松を安心させた。 彼女がアイドルたる所以の和ませなのか。分からずともカラ松は、先ほどのアベルからの殺意を忘れるかのように気を保つ。 だったら、尚更。それこそ聖杯戦争を生き残れば大勝利! 前向きな姿勢でカラ松はハンドルを握った。 「他県もないとなれば、電車も飛行機も駄目……『ここ』のブラザー達はどこへ消えたんだ」 「確か――……誰かは知らないけど『奥多摩』方面に向かおうとしていたね」 「流石に遠過ぎだろ!?」 「あくまで方角を指し示していたと思うよ。即ち『23区』からの脱出さ」 「なるほど……」 偽りの人間たちが移動可能な範囲は『東京』に限られている。 奥多摩方面に『しか』避難する行く先がないということ。 尤も、そちらまで怪物が襲撃してきた場合は、誰にも分からないが…… 飛鳥が助手席から外の様子を伺う。まだこちらまで怪物の襲撃範囲は及んでいないが、この状態が続くとは思えない。 カラ松は、落ち着きを取り戻したせいか、こんな不満を呟いた。 「だったら、俺達を一旦避難させてくれよ……」 「?」 「要するにこの『東京』そのものがヤバイってことだろ? 俺達の安全を第一に考えない方がどうかしてるぜ」 先導アイチを含めた主催者が、どこから傍観しているか定かではないものの。 聖杯戦争を続行させるには、マスターの存在が重要の筈。 だったら――カラ松の言う通りに、マスターを避難させるべきだろう。 彼らの会話に息を切れ切れの状態で、後部座席で横たわっていた安藤が割り込む。 「俺も………ずっと、考えていた。この『東京』はどうなっているのか………主催者たちは、どこにいるかを」 例え『東京』自体におらずとも。 どこから聖杯戦争を監視し続けているなら……そして『東京』に脱出するのを禁止されている事。 安藤は、考えた末。一つの結論を導いた。 「この世界が、どういう構造なのか……分からない。けど………先導アイチ達は『東京』の外にいると思う」 突然な話に、飛鳥とカラ松は反応に困るが、安藤は話を続ける。 「単純な話……俺達の避難を優先させるのは当然だし………主催者が直接俺達を移動しなくとも 例えば『東京』の外へ避難して良いと……誘導させればいい………それをしないのは、あいつらの都合が悪いから」 飛鳥が恐る恐る加わった。 「だけど、必ずしもそうとは限らないだろう?」 「主催者は『東京』の外へ脱出した場合『始末』をすると言っていた。 ……だから、少なくとも『東京』の外まで監視している事になる……『東京』の外で俺達を観測している そういう構造なら、納得できるんだ……まるで、地球儀を観測しているみたいに」 想像すれば不気味である。 しかしながら、カラ松は戸惑いながら安藤に返事をした。 「な、なかなか興味深い話だが、今は関係ないだろう? 偽りとはいえ、俺達は『東京都』の命運の狭間にいるんだぜ」 「いや……『ある』! ……あの……怪物を倒す方法………それを考えた………!」 □ 「何と言う事でしょうか……! こちらは上空より生中継しております!! 御覧下さい……もう地上は原型を留めていません! 建物は全て怪獣が喰らい尽くしてます!」 東京都上空。 ヘリコプターから『不死身の爬虫類』の破壊活動を熱弁するアナウンサー。 彼ら以外にも、この光景を撮影しようと無事だったヘリコプターを利用する者が現れた。 興味本位が無くも無いが。彼らは報道人生を賭けて、世紀末じみた大事件を1人でも多くの人間に知って貰おうと必死なのである。 「怪物は……どうやら墨田区方面に向かっています! 現在、怪物は墨田区方面に進行中…… ん……? あれは!? カメラ! あそこのビルの上……誰かいます!?」 アナウンサーが驚愕するのは無理もない。 高層ビルの屋上に1人。誰かが立ちつくしているのを発見できた。 それが何者かは分からない。雨や雪すら降っていない快晴にも関わらず、レインコートを身に纏い。 フードを被っているせいで顔は確認が難しかった。 何より。 その人物が背負う巨大過ぎる砲台に、全てが沈黙するだろう。 まるで、怪獣規模を破壊させる為だけに作られたようなえげつない武装。 アーチャーのクラスに相応しい姿。 セラス・ヴィクトリアの宝具。 ―――拠点防衛用長々距離砲撃戦装備 ハルコンネンⅡ――― 人間には所持不可能の重量・345キロを悠々と持ち上げるセラス。 二丁の砲身を両手でかまえ、怪物に砲打撃を開始したのだった。 連続射出される弾は遠くから眺めれば花火の一種と説明されても何ら違和感のない。 それほど、赤く真っ直ぐな軌道を上空に描きながら、怪物に命中させた。 怪物との距離は決して近いものじゃない。 彼女の射撃位置からでは、怪物もそこそこの小ささに見えてしまう位の遠距離。 だが、セラスは的確に命中させている。怪物に直撃するたび、黒煙が繰り返し立ち上る。 怪物も黙っている訳が無い。 セラスの攻撃を幾度も受け続けるが、段々と鱗に厚みが増してくるのだ。 異常極まりない怪物の圧倒的な存在そのものが、セラスを嘲笑しているかのよう。 彼女も理解したらしく、砲台を操作すると背後で待機し続けていた弾筒が満を持して登場を果たす。 ―――広域立方体制圧用 爆裂焼夷 擲弾弾筒 「ウラディミール」――― 放たれた二つの閃光。 余裕で身動きせず、高層ビルを捕食していた不死身の爬虫類を真っ直ぐ捕らえる! 直撃した刹那。 ボッと大きく炎上する周囲と、見るもおぞましい怪物。黒煙に包まれ、誰も彼もが怪物へのダメージを期待してしまう。 ヘリコプターで実況するアナウンサーや、スタッフたちも漫画のような光景に唖然としていた。 何とか正気を取り戻しながらアナウンサーは話す。 「あ……えっ……こ、これは自衛隊の新兵器なのでしょうかっ!? とにかく、怪物に直撃しました!!」 遠くから炎上に胸を躍らせながら、マスターの信長が言う。 「セラス! やったかっ!?」 『まだです!!』 ダメージは与えた。 けれども傷は直ぐに癒えようと、怪物の鱗が別の生命体の如く蠢いているのをセラスは目で分かる。 信長は思わず舌打つ。 例え、セラスの攻撃が有効であっても、信長の魔力が限界だった。 令呪で魔力を補うのも一つの手段だが……信長は、戦場から離れた位置にいる為、セラスに問いかけるしかない。 「なら、他のサーヴァントはどうだ。令呪で強制収集されたってなら、そろそろ現れる頃だろ!」 信長の読み通りだ。 怪物が、ギロリとセラスを睨み注目する中。 東京都内を犇めく建物に隠れ、魔力を一点に集中させていたサーヴァントが一騎。 ランサー・アクア。 彼女はセラスの攻撃を無駄にはしないと、宝具を解き放った。 「ブラックブラックジャベリンズ!!!」 漆黒の大槍が、死を運ぶ死神のように駆け抜ける。 アクアの可能な限り、最大最強の魔力と威力を誇る一撃は怪物に衝突するのだった。 周囲に風圧を巻き起こし、周辺を飛来していたヘリコプターですら満足にコントロール不可能に近い状況に陥る。 怪物そのものだけではない。 高層ビルを含めて、些細な物体ですら完全に破壊をする。 「どうだあああぁぁっ!!」 ガリガリと怪物の体を削る音が響く。 されど、怪物は吹き飛ばされまいと肢体を支えるべく、奇妙なトゲを生やし、地面に突き刺した。 最低でも肉体が離れず。留まったものの。完全に肉体に大穴が開けられていた。 魔力を大分使いきってしまったアクアだが。 破壊し尽くした眼の前の光景に、僅かに満足を得た。 「……へっ、馬鹿だね。このくらい、あたし一人で十分――」 「油断するな!!」 すると、アクアの元に丸太を手にした男が出現する。 一見すれば棒切れでしかないソレを、男――宮本明が攻撃を防ぐかのような構えをアクアの前で行えば。 肉体を分離した怪物の上半身が、アクア達の方へ飛び込んで来たのだ。 ゴオンッ!と鈍い効果音が響けば『丸太』と『不死身の爬虫類』が互角に衝突したという、財団も真っ青な光景が広がる。 宝具ではあるが、やはり『丸太』だ。 そして、英霊とはいえ生身で巨大化しつつある途中の怪獣相手だ。 重みに明は耐えるのが限界の状態である。 (抑えきれなッ……!!!) 「おっさんッ!!」 咄嗟に、アクアがアメ玉一つ分だけだが、それで怪物を押し込んでみせる。 ハァハァと荒い呼吸をしながら、明が我に帰れば『丸太』に凹み……否、捕食された痕跡があった。 明にとってはこれ以上にない信頼できる武器であった『丸太』が、いとも簡単に……! 例えるなら、世界樹の枝のような神秘性。アーサー王の『エクスカリバー』に匹敵しうる約束された勝利が。 それだけで十分、明へ絶望を与えられた。 アクアは思わず舌打つ。 「あれで生きているのかい! 今度は頭をぶっ飛ばすしかなさそうだね」 「いや……よく見ろ。お前の攻撃で傷一つ、ついちゃいない……」 怪物が周辺にあるあらゆる物体を口に放ると、肉体が修復されていく。映像で早送りするかのような光景。 あの怪物は、全てに適応するべく幾度となく変化を続けるのだ。 恐らく『ブラックブラックジャベリンス』は通用するとしても、通常の『スパイシードロップ』が効くか怪しい。 二騎のサーヴァントが次なる手を模索する前に。 「作品No.9――『雲梯』」 重低音の旋律が大音量の爆音で、再生途中の怪物に襲いかかる。 怪物が先ほどと異なり、衝撃に耐えきれなかったのではなく。肉体全体に響いた。 衝撃波が。 上半身のみの怪物は簡単に肉体を回転させつつ、後方へと吹き飛ばされる。 直接のダメージはないものの。『サーヴァント』としての威力に相応しいレベル。 大の人間を吹き飛ばせるが人間レベルなら、英霊ならば怪物くらいは吹き飛ばされる訳だ。 「悪くない」 それを行ったアサシン・零崎曲識が頷いたのは、怪物に対しての宝具の威力……ではなく。 彼が手にしていた『コントラファゴット』への感想。 以前、マスターの飛鳥に要求した楽器。 令呪であのような命令をされたが『怪獣を倒すに必要な武器の調達』は可能だった。 即ち――怪物の討伐をするに辺り、必要不可欠となる行動は許されるようだ。 警備も盗難も二の次になる緊急事態だ。楽器が一つ失われても、まさしく『悪くない』状況だろう。 改めて曲識が、明と魔法使いの少女を視認してから言う。 「丸太のアサシン。お前のマスターから『作戦』は聞いているか?」 「……作戦?」 「いや、すまなかった。カラ松は運転中でそれどころじゃないらしい……どうあれ、僕のマスター…… 正確には他のマスターがある『作戦』を提案してくれたんだが。中々なものだ。 僕もあの怪物を倒しきる自信がハッキリ無いから、是非とも協力して欲しい。丸太のアサシンとそこの少女」 あの、どうしようもない化物に有効な作戦など、存在するのか? 曲識から伝えられた事実に困惑する彼ら。 アクアは半信半疑に問いかける。 「いきなり出てきて何様か知らないけど、本当に通用するんだろうね。その作戦」 「確実に通用するとは思うが……まぁ、僕が信用されていないのは承知の上で話を持ちかけている」 「……そうかい。だったら、具体的にはどうするのさ」 「あの怪物を倒さない。それが『作戦』だ」 ■ 「どうしたら……」 神隠しの少女・あやめは、途方に暮れていた。 彼女は、もはやそうするしかないし。どうすることも叶わない状況である。 怪獣を倒す術もなく。役に立てるかも怪しいうえ、さっさと立ち去ってしまったアベルや滝澤に比べて。 直ぐにでも怪獣の元へ駆けつけれる身体能力だって皆無なのだ。 だが、そんな彼女の前に救世主が現れる。 「やはり、まだ居たか」 「!」 セイバー・ナイブズが、不動総合病院の敷地に舞い降りた。 本来ならば、今なお破壊活動を続ける『不死身の爬虫類』のいる方面とは真逆の位置におり。 令呪に逆らっている状態のはずだが。 彼は何ら影響なく、涼しい顔でここへ至った。 怪物の討伐には『神隠しの少女』が必要だ……そのように判断した為、令呪に縛られる事はないらしい。 どこか怯えた表情をする彼女に、ナイブズは相変わらずの冷酷な雰囲気で話す。 「ここから移動するぞ」 「は、はい」 どういう目的であれ、あやめもここから移動するべきと判断する。 いざ、ナイブズと共に病院から離れていくと、都市から物々しい破壊活動が騒音となって聞こえた。 あやめは、恐れ慄くようにナイブズの腕で体を震わせる。 きっと、自分は能力を駆使し、ナイブズの気配をかき消して、あの怪物を倒す他ないのだ。 怖いけども、やるしかない。自分にしか出来ないのだから…… 「……あれは何だ」 しかし、実際のところ。 ナイブズは、怪物が暴走している地帯で起きる破壊が――怪物の仕業ではないと気付いたのである。 意味が分からない。怪物の代わりに破壊を繰り返すのは、集結したサーヴァント達。 先ほど、怪物に対して強力な一撃をぶちかましたアクアが。 サンタクロースのように、鞄からアメ玉を無数にばらまきつつ。一斉に爆発させる。 目標である怪物は、むしろ傷が癒えてしまっている。 上空から地上の風景を目にしていたアナウンサーも、驚きの声を上げたのだ。 「先ほどとは一変! 謎の集団による都心部の破壊活動が開始されております!? これじゃまるで、大地の破壊神だーー!!」 困惑するのは信長も同じだった。 令呪で行動が制限されている以上。恐らく彼らは怪物を倒すべく、何か起こしているのだろうが。 全く以て意図は分からない セラスが現場から状況を念話で伝える。 『マスター! サーヴァントたちが建造物を破壊し続けています!! このままでは怪物の周辺にある全てが破壊されてもおかしくありません!』 「おい、トカゲは。あのクソトカゲはどうしている」 『えッ………はい。傷が癒えて、もう体は完全に修復した状態です。まるで意味がありません。もう一度、私が攻撃した方が……』 「違う! 怪物の方は今、何をしているかと聞いている」 『……食べて、ますね。周辺にある色々な物を』 俄かに信じがたいようにセラスは言う。 怪獣ならば光線を口から吐き出したり、歩行するだけで大地を鳴らし、あらゆるものを踏み潰し。 眼前の建造物を破壊し尽くのみ。 怪物が、その破壊活動の一環として高層ビルの捕食を行っていたが。 ――そうか! 信長は理解した。 恐らく、破壊活動をするサーヴァントたちも同じであろう。 「セラス。火を放て」 『……火!? あの私、そういう宝具は』 「さっきの巨大おっぱい砲をもう一度周辺にぶぁーーっとぶっ放すんだよ! それで火の手が上がる!! 火が上がれば車も燃えるし、ちっとは生えてる草木にも火が移る」 『あの、どういう意味があるんですか』 「奴らの狙いは――『魔力』だ」 『魔力……』 「あのトカゲが建物やら何やら喰っとるのは破壊目的ではなく、魔力補給だとすればどうだ」 『!』 即ち。 並の魔力だけで、あれほどの脅威的な不死性を持つ生物の召喚は耐えられない。 破壊と同時に魔力の補給を続けるならば、あの『捕食』には意味があった。 令呪やマスターとサーヴァントの魔力以外で存在を保つ方法。 セラスはもう一度『ハルコンネンⅡ』を構えた。 狙いは、怪物ではなく―――『東京』そのものへと……… ◇ 車で移動を続ける安藤たちは『作戦』を話し合っていた。 「凄ェ……まさか、そんな方法があったとはな…………」 安藤から『作戦』を聞かされ、カラ松は関心してしまった。 怪物を倒さずに殺す方法。それは魔力切れ。 捕食という名の破壊で魔力を補っている事は、安藤がカインから聞かされた情報の一つ。 あの怪物――『不死身の爬虫類』の特性。無機物ですらエネルギーとして変換させ、捕食する異常性から推測したもの。 確信はないが、恐らくはそうだ。 安藤が、少々咳き込みながら話を続ける。 「怪物は今……墨田区付近にいるらしい………海に面していないから、怪物がそっちに逃走する心配は無い」 しかし――問題は。飛鳥が言う。 「向こうもタダでやられる訳がないさ。怪物が移動してしまう場合はどうするんだい」 「……俺のアサシンが止める」 正しくは、令呪で怪物の進行方向にカインを移動させる。最悪、ダメージを反射できるかもしれない。 あの怪物の突進を受けただけで相当のダメージが予想できた。 安藤も半ば、消費する魔力を不安に感じる。 先ほどから体の調子が悪いのは、きっと魔力のせいではなく……『腹話術』か? 胸を片手で抑えつつ。安藤は何とか話を続けた。 「間違いなく、怪物も俺達の作戦に気づくはずだ……そこを狙う! 俺のアサシンが足止めしたところを、サーヴァントたちで集中攻撃するんだ……」 「OKだ。俺の令呪の一つや二つを使う時が来たようだな」 痛々しくカッコつけするカラ松を脇に、安藤は「それと」と一つだけ加える。 「怪物を『地面に叩きつけるように』攻撃して欲しい」 「ん……? どういうことだ?」 「……怪物を『地下』へ叩き落として欲しい。そう言った方が正しいのかも…… それで怪物の動きを止めて、確実に倒せる形にしたいんだ……」 飛鳥が「なるほど」と納得する。 「つまり、落とし穴のようなものだね?」 「あぁ……」 安藤は、確かな緊張感を胸に、考察を思い返す。 ――ここが偽りの『東京』で、主催者たちがこの外にいる可能性…… ここが本物の『東京』じゃないとしたら……ここは『地球』じゃないって事になる。 だったら……… 所謂『基盤』のこと。 作られた『東京』は何の土台で創作されたものだろうか? 安藤たちのいる『東京』……この地面は一体『何』で構成されている? 少なくとも、それは『地球』なんかじゃない。 ――そう……主催者達が作った人工的な『土台』! 地下を貫けば、外の景色が確認できる!! 怪物を『東京』から排除したうえで……この世界がどうなっているか……全貌が分かるはず………! そして、地下の――外の景色はどうなっているのか? そこに先導アイチの姿は? 他の主催者は? それ以外にも何か、重大な秘密があるのでは?! 怪物を倒すと同時に、安藤は全てを知るための決死の作戦を考えついたのである。 でも。 安藤も分かっている。 怪物と同じだ。空間に支障を来す行為……最悪、先導アイチからストップがかかる可能性もある。 これは………賭けなのだ。 このままの勢いで、明たちが怪物を『東京』から叩き落とすか。 先導アイチがそれを制止するべく念話をするのか。 故に、安藤は飛鳥とカラ松には伝えていない。 安藤の思惑に巻き込まれているだけで、察しないならば先導アイチ達の警告からは免れるだろう。 例え……これで俺が死んだとしても…………… (潤也………) 俺の代わりにお前が、やってくれれば。 安藤は知らない。 彼の弟は、最悪の弟によって葬り去られた事を。 そして、安藤自身。腹話術の酷使で命を削っている事を―― ◆ (アベル……!?) セラスの宝具によって炎上した東京の都市。火の海の中。カインは周囲を見回した。 理由が分からない。 安藤の念話によれば、カインを襲った滝澤やアベルも、すでにこちらへ向かっている筈なのに。 彼らは姿を現さない。 そもそも、カインの知るセイバー/ナイブズも怪物の周辺に居る様子がなかった。 何より。アベルに関すれば、あの『不死身の爬虫類』と幾度に渡って死闘を繰り広げた相手。 聖杯戦争の……しかも、先導アイチに命ぜられたとは言え。 夢のような舞台を目の前に、何故戦う意思を見せないのか? 怪物は二の次で、カインの殺害を優先させたいだけか? 否。 カインは、重要な使命を全うしようとしている。 先導アイチが、これはライダーのサーヴァントの宝具だと説明していた。 財団の情報を全て網羅するカインだからこそ、心当たりがあったのだ。 きっと、どこかに『彼女』がいる。 「おーい! あの怪物を召喚したサーヴァントのマスターを探してるのかー!?」 驚いた事に、カインの上空からその声は響き渡った。 ロボットのアーチャー/ひろしは、怪物が起こした余波を喰らったせいでボロボロの恰好なまま。 『単独行動』で未だに現界を保っている。 プロペラに変形させていた足を元に戻しつつ、ひろしはカインの脇で着地した。 カインは機械染みた声色で「いえ」と答えた。 「私は……サーヴァントの方を捜索しております。あの怪物を召喚した英霊に心当たりがあるのです」 「なに? 本当か!」 「特徴だけですが……私の記憶上ならば、三歳ほど少女で花柄のワンピースを着た――」 「その子……見た事あんぞ! でも。あの子が怪物を召喚したってのかよ!?」 ひろしは、怪物の脇で呆然としていた幼女を思い出す。 平坂黄泉のサーヴァント。 天と地の差がある存在。怪物と幼女の組み合わせに戸惑うのは当然かもしれない。一見結びつかない。 一方、カインはその幼女が『不死身の爬虫類』に騎乗した記録を確かに記憶していた。 安藤は『不死身の爬虫類』を倒す作戦を決行しているが。 酷い話。アレを倒しきる確証は、カインはまるでなかった。 逆に最悪の結果を招く事になるだろう。だから、あの幼女を探す他ない。 カインは、ひろしに話す。 「彼女にどうにか怪物を止めて貰うべきだと、私は判断します」 「そうか………情けねぇが俺も……マスターが居なくてな。宝具も使えない以上、なにもできねぇ。あの子を探すのを手伝うよ」 マスターが居ない。 もしかすれば――カインは、ある考えに行き着くものの。深く言及はしなかった。 今は、ひろしと協力して幼女を見つけ……最悪は……… 黒い思惑が渦巻く中。 怪物の周辺にある物体のほとんどが僅かなゴミ程度しかなくなっている。捕食するには、あまりに少な過ぎる位に。 低く唸る怪物。 カインはもう限界と判断し、ひろしに言う。 「私達が足止めをしている内に、どうか彼女を!」 「あぁ! そっちも頑張ってくれ!!」 カインが神経を集中させて、安藤にいつでも念話できるよう構えている。 怪物が炎上しつづけ、崩落していく。けれどもまだ原型が残る建造物を喰らおうと睨む。 そして――瞬間的な疾走。 あの巨体でここまで素早く動けるのか。衝撃波や風圧だけで建造物が破壊され、怪物の大口が開く。 「―――よし! こっちに来たぞ!!」 待ってましたと言わんばかりに、怪物が飛び込んで来た方向で待ち伏せしていた明。 彼の傍らには『丸太』。基本的な抱えられるほどの大きさの比ではない、巨大な『丸太』が存在していた。 セラスやアクアが破壊活動を続けた傍ら。明は、カラ松からの令呪ブーストで得た魔力を有難く使用し、これを出現させる。 まるで『槍』にも等しい形状と巨体のソレは、車輪が備え付けられ。 如何なる弓矢の雨が降ろうともビクともしない頑丈さを持つ。 故に、いくら英霊の身でも1人で動かすべき代物ではなかった。 この時ばかり、明は曲識に呼びかけた。 「燕尾服のアサシン! 頼む、なるべく勢いをつけてくれ!!」 「あぁ、問題は無い。僕もマスターから魔力を得たからな」 巨大丸太の後方に位置する曲識が、コントラファゴットで衝撃波を発生させる。 衝撃波によって巨大丸太は凄まじい勢いで。それも怪物と同等の速度で発進したのだった。 まるでロケットのような軌道に、上空のヘリコプターで傍観していた人間たちは皆「凄ェ!」の感想しか脳裏に浮かばない。 怪物も、魔力が満足にない為か。 避けようとはせず、丸太に直撃してしまう。 明たちと別方向で怪物を待ち構えていたアクアとセラス。 セラスは広範囲の攻撃となる『ハルコンネンⅡ』ではなく、『ハルコンネン』で怪物に接近し、弾丸を発射させた。 怪物を見事地面に叩きつけた形だったが。 怪物は『捕食』を始めたのである。その地面を―――……… 限界まで魔力を蓄えたアクアは、大きく吠える。 「おっさん達! 一度、離れな!!」 アクアの魔力を感じ取った明たちは、咄嗟に怪物周辺から離脱した。 漆黒の槍が、再び煌いた。 ● 「あー……マジでムカつくんだよ、こーいうの」 包帯男の英霊、アイザック・フォスターの一番の問題は『精神汚染』や逸話にも語られるよう炎がトラウマである件でもなく。 仲良しこよしが尤も彼に不可能な行為だったのだ。 その象徴として『反骨の相』のスキルまで備わっている。 アイザックことザックを、令呪による強制討伐を命じたのは先導アイチの失態であろう。 第一、あんな怪獣を殺す経験も無い。(自称)マトモな成人男性が怪物を倒す術がないと、ザックも分かっている。 彼はそこまで馬鹿じゃない。 結論として、彼はどうしたらいいのか分からなかった。 最初から協力して倒しましょう、なんて事すら想像しない上。 恐らく並のサーヴァントと比較して優れているとは言えない彼は、逆に足を引っ張りかねなかった。 だが――ザックはそこまで詳細に考えてはいない。 彼は馬鹿なので、怪物をどうやって倒せるか。それを思いつかないので、不思議な事に全く動く必要が無かった。 嫌々、サーヴァント達が暴れる周辺で途方に暮れているザック。 「――君のことだ。そうなるとは分かっていたよ」 「!」 そんな彼の元に現れたのが、アベル。 殺戮者は、忌々しい兄や宿敵である爬虫類を差し置いて、『直感』を頼って、ここまで来た。 ザックが戦力になれるか否かを見極める意味合いも込められ、令呪に反することなくザックと合流できたのだ。 一瞬だけザックは目を見開いたが、遅れて言う。 「おい! アベル、何やってたんだよ!」 「カインを殺し損ねた」 「そうじゃねーだろ! カインじゃなくって、なんだ、別の野郎ぶっ殺しに向かったんだろうが!!」 「奴のマスターの顔は記憶した。次は殺す」 相変わらず支離滅裂な会話を繰り広げつつ、アベルは直ぐにでも踵を返してしまう。 とにかく、一度だけでも話が出来ればいいと彼は思っていたから。 ザックがやはり戦力にはならないと理解してしまった以上。 二画の令呪を使用されたアベルには、精一杯の会話だったのだ。 「アベルくん。アイチきゅん怒らせたから、令呪二つも食らってるんだぜ」 嘲笑しながら立ち去った殺戮者を傍観していた滝澤。 苛立ったザックは、意味不明なアベルに対して言及を止めて、人喰いの化物に対して吠えた。 「一つ聞きてぇんだが、あの電話した野郎は殺したんだろうな。オイ」 「センセー、ザックきゅんが指示に従いませぇ~ん」 「あぁ!? テメェも結局、念話しなかっただろ!」 「スナコちゃん、寝てるし」 自分の失態をマスターのせいにする滝澤だったが。ふと、鼻につく何かを感じた。 枯れ草に鉄錆を含ませた様な匂いだ。 どこかで嗅いだ記憶はある。 滝澤の記憶に残っているのは、病院での出来事。そこでそんな匂いを嗅いだ気が…… 似たような悪臭が、東京都内に犇めいているならまだしも。記憶にある不動総合病院から離れた位置でも漂うのに、疑問を抱く。 大きな瞳で周囲を見回した滝澤が、どうにか捉えたのは――あるサーヴァントだった。 まるで、アベルが怪物の方へ駆けて行ったのを、見計らったような…… 絶妙なタイミングで登場するコートを纏った男。彼は怪物の居る方面へ建物を飛び越え、移動をしている。 文句を垂れるザックを傍らに、滝澤は指を加えようとしたが……止めた。 ――悔いのないよう、今を生きなさい。 「………………………………………………ザックくん、お留守番できるだろ」 「……あ?」 「お留守番。一度くらいやったことないの」 「ねぇよ」 「じゃあ、初めてのお留守番だな」 漆黒の槍が輝いた瞬間を目にした滝澤は、何もザックに詳細を教えず駆けていく。 彼は馬鹿ではないが、あまり考えてはいなかっただろう。 しかし、幾つか確証はあったのだ。 何だかんだ。アベルが『不死身の爬虫類』の討伐をする事や。 他にも――コートのサーヴァントはきっと元より、怪物を倒す事を考えていないだろう事を。 滝澤自身がやろうとしている行為に、意味がない事も。 それでも ○ 「え………?」 アクアの放った『ブラックブラックジャベリンズ』は間違いなく怪物に直撃した筈。 だが、彼女は困惑の声を口にしていた。 ハァハァと耳触りな吐息をする明が、冷や汗を流しつつ驚愕していた。 「まさか…………食ったのか……!? 今のをッ!!!」 そう。 10個のアメ玉によって構成されていた漆黒の槍は、魔力に満ち溢れた――言わばエネルギーの集合体。 形のある宝具、とは言い難い存在だった。 だからか、怪物が大口で『ブラックブラックジャベリンズ』を飲み込んだと同時に、ゴクンと吸収してしまったのである。 無論。怪物の肉体が膨張するほどの爆発が内部で起きた様子はあった。 最悪な事に『不死身の爬虫類』は、膨大な魔力としてアクアの宝具を糧にしたのだ!! 衝撃的な展開に、アクア自身も。 周囲のサーヴァントたちも、勝機を見失いそうになる。 「いや……まだだ! 無駄にしてたまるか!!」 明はまだ原型を留めている巨大丸太を駆使しようとしたが、怪物は固い鱗にヒビが入り。 バリバリと、ガラスを踏み潰したかのような効果音が響き渡れば。 毒々しい表面から、綺麗サッパリ傷一つない新たな怪物の姿がヌッと現れる。 丸太にしがみ付きつつ明は、冷静に判断した。 「脱皮したのか、チクショウ………」 こんな調子ではいよいよ怪物を倒しきるのは不可能だ。 だが、諦める訳には早すぎる。 もう一度だけ、マスターに令呪を求めるべきか? ここで使い果たしてもいいと? 自分達の宝具は……果たして怪物に通用できるのだろうか? 怪物の尾が全てを薙ぎ払うかのように振りかざされた。 残った魔力を込め、明が巨大丸太を盾として利用するが相当の衝撃が入った。 明は吹き飛ばされる事はなかったが、先ほどと立場が代わり、今度は明が丸太の下敷きとなって地面に叩きのめされる。 そして―― どういう訳か、怪物も地面に叩きのめされた。 未知なる能力で押しつぶされたように、怪物は明たちの猛攻以上の威力で地面に這いつくばっている。 安藤のアサシン。 カインが、令呪によって巨大丸太の上に移動させられた為だった。 無論。怪物にダメージが跳ね返ったのと同じく、カインには全身の肉体が押しつぶされる激痛が襲いかかり。 安藤も魔力消費に身を苦しませているだろう。 しかし、これこそが安藤とカインが狙っていた瞬間。 異常に反応したのは曲識。 巨大丸太の上で苦しむカインを発見し、行動に出た。 とにかく――地面に落とすのは先決であろう。しかしこの場合……曲識はここで気付く。 この怪物を地中に落としてしまってもいいのだろうか? と。 (……いや。悪くない) むしろ、それしか手段は残されていないのだ。 曲識は再びコントラファゴットを手にとって演奏を開始する。 衝撃波でどこまで地面を破壊できるか。対人ならまだしも、地面相手になど無謀すぎた。 だけど―――チャンスは今しかない……! 巨大丸太から降りたカインは、再び怪物に動きが無いか警戒し続けた。 さらに、一筋の血色の線が上空を走り、巨大な砲を捨てた女吸血鬼・セラスが到着する。 巨大丸太にセラスの影が纏わり、そのまま高々と持ち上げるのだ! 明は叫ぶ。 「凄ェ! 奴に刺すつもりか!!」 「で りゃ あ ああ あっ!!!」 やはり対化物用の神秘性のある丸太だ。 鋭利に加工された槍の形状と化した巨大丸太は、強靭な厚みを帯びた怪物の鱗に刺さる。 アクアの宝具以来、怪物に明確な大ダメージを与えられただろう。 しかしなお、怪物は死なない。 最早、常識のように全員が理解していた。魔力を消費しつくさなければ、怪物を滅ぼせないものだと 渾身の速さで漸く現場に駆け付けたアクアが、僅かな魔力を込めたアメ玉を出来る限りの数を手にしていた。 「くっ………こ、これで……最後だ!」 ―――マテリアル・パズル『スパイシードロップ』――― 大規模な爆発と錯覚するのは無理もない。 砂煙が舞い上がり、広範囲の破壊。それも大地を破壊する為の攻撃でしかない威力。 全ての収束の末。安藤の思惑通りに地面は崩落した。 地下街へ落下。 そして――地下鉄へ怪物の巨体と共に、周辺のサーヴァントが落下。 このままの勢いで、さらなる地下へ……… 影で丸太を抑えていたセラスに衝撃が走る。 丸太に向かって、何かが衝突した。 そのせいで丸太はさらに怪物を貫き、地中に切れ目を生み出し、先導アイチが注意した破壊を促すものだった。 巨大丸太に立つ存在…… 「アベル!!!」 殺戮者の名前を吠えたのは『不死身の爬虫類』の方だった。 アベルが降り立った丸太に向かって拳のラッシュを繰り出したのである。 怪物が肉体の形状を変化させる前に、丸太を怪物の肉体に貫通させ、そのまま全てを破壊しつくのみ。 最悪。丸太を破壊する勢いで――否! もう丸太の耐久が残っているか、否かの問題!! 怪物の足場として存在する地中が崩壊するかの話だ! そして、時は訪れる――― ◎ 時系列順 Back ショーは続けねばならぬ Next 踊る聖杯戦争~東京23区から脱出せよ!~ 投下順 Back ショーは続けねばならぬ Next 踊る聖杯戦争~東京23区から脱出せよ!~ ←Back Character name Next→ 039 ヒトクイロマンチスト~隻眼の王の帰還~ アイリス=トンプソン 041 踊る聖杯戦争~東京23区から脱出せよ!~ セイバー(ミリオンズ・ナイブズ) 038 其れでも、お征きなさい仔等よ ホット・パンツ ランサー(アクア) 040 ショーは続けねばならぬ 今剣 アーチャー(ロボひろし) 織田信長 アーチャー(セラス・ヴィクトリア) ライダー(SCP-053) 039 ヒトクイロマンチスト~隻眼の王の帰還~ あやめ 安藤 アサシン(カイン) 040 ショーは続けねばならぬ 松野カラ松 アサシン(宮本明) 033 until death do them part 二宮飛鳥 アサシン(零崎曲識) メアリー 039 ヒトクイロマンチスト~隻眼の王の帰還~ アサシン(アイザック・フォスター) ルーシー・スティール バーサーカー(アベル) 桐敷沙子 バーサーカー(滝澤政道) 040 ショーは続けねばならぬ 神原駿河 038 其れでも、お征きなさい仔等よ 高槻泉 アヴェンジャー(メルヒェン・フォン・フリートホーフ)