約 1,037 件
https://w.atwiki.jp/crosstherubicon621/pages/126.html
もう恐るるな、灼熱の太陽を、怒り厳しき冬の嵐を。 ―――ウィリアム・シェイクスピア『シンベリン』 おはよう、こんにちは、さようなら、おやすみなさい。 目覚めは陽光とベッドの匂い、昼はオリーブの緑と枝がしなる様と風があり、夕日は山並みを燃やし、柔らかなベッドと温かい家がある。 ピレネーの山並みと草花の香り、摘みたてのレモンが鼻をくすぐり、鳥と虫は天と地を気楽に生きている。素敵な素敵な、素晴らしき世界。 たとえそれが試験管の中の夢幻であったとしても、その夢幻は他でもない自分のもの。それは他の、誰のものでもないものだ。 懐かしい記憶を思い起こして自分の感情を悪戯に擽りながら、ヴァージニアはバルデスの持ってきた書類に署名した。 「部隊運用管理は変わらずあなたに任せるわ、バルデス。お願いね?」 「多忙は慣れています。実働に関する現場指揮はスキャットバックが上手くやるでしょうから、問題ありません」 「彼のことは信頼してるのね」 「能力はある男です。手元に置いておいて損はありません」 「うんうん、時間が取れたら一人一人と会ってみたいものね」 オフィステーブルの表面をそっと指先で撫でながらヴァージニアが言うと、バルデスは唇をへの字に曲げる。 「今のは、ご冗談と受け取っておきましょう」 「あら、結構本気で言ってみたのだけれど。そう蔑ろにされちゃうと悲しいわね」 「失礼ながら直言をすると―――」 すぅっと深く息を吸いながら、バルデスは上司に対して眉をひそめ、ぐっと顎を引いて目を細めた。 「―――私は、あなたほど強気ではいられない。そのような些事でルシエンテスに付け入る隙を作りたくないのだ」 目の前に立つ男の言葉に、ヴァージニアは微笑む。 笑っている場合ではないというのは、アーキバスに所属していて内部事情に興味がある者なら、誰だって知りえるはずだ。 アーキバス本社と先進開発局の政治対立は、惑星封鎖機構から一部C兵器技術の開示があったことから始まっている。それまでの生体CPU化技術と無人機体技術が向上し、先進開発局とファクトリーの技術的な向上心と好奇心、そして野心をも目覚めさせた。先進開発局はそのコア理論への揺り戻しな姿勢から脱却し、今やルシエンテスに率いられた一勢力として動き始めている。 そうした存在に対処するために、ヴァージニアもバルデスを介して懲罰部隊という手駒を保持しているのだ。ルシエンテスがUNAC部隊を有しているのと同じように。 そんな情勢の真っただ中の、その中心に居るにも拘らず、ヴァージニアは変わらずに微笑んでいる。 「ありがとう、バルデス。私、そういう直言大好きよ」 「直言はしかるべき時になされるべきであり、常用されるべきではない。仕込みの短刀は隠されてこそ意味と衝撃を持つものだ」 「そうかもしれないわね。ああ、虚飾に塗れた上辺を虚しいと思っても大事にする、そんなあなたも大好きよ」 「それも、ご冗談と受け取っておきます」 「あらあら。まったくつれないのね、冗談なんかじゃないのに」 「それこそ、ご冗談でしょう」 肩をすくめ、バルデスは署名された書類を手に取り、そのまま背を向けてオフィスから出て行った。 ヴァージニアは椅子の背もたれにぐっと体重を預けつつ、閉じていく扉に向かって微笑みながら口添える。 「冗談じゃないわ、私のウォルシンガム」 オフィステーブルの上に置かれた時計が鳴る。 次の予定がヴァージニアにはあった。 昼の時間帯、大抵の人間が食事を取りに行く中、今日のヴァージニアは自室に客人を呼んで楽しい時間を過ごす。 ヴァージニアの予想通り、籠一杯の御菓子とワンホールのチーズケーキ、陶磁器のカップとソーサー、それと瓶入りの蜂蜜を見た瞬間のジュスマイヤーの顔は見ものだった。 しばらくその顔を眺めていたい感情がないではなかったが、ヴァージニアはすぐに二つのカップにレモンティーを注いで蜂蜜を垂らし、それを匙でかき混ぜる。茶は温かい方が美味い。 「なんだか来るたびに持て成しが豪華になってない? あとで請求書送ってきても知らん顔して燃やすわよ?」 「実はうちの部隊には便利な妖精さんみたいな人がいてね。その人はペイロード管理と重心調整のプロなんですって」 「……バーンズのこと言ってるんならマジで笑えないわ。あのキャラで有能とかウザ過ぎるでしょ」 ダルそうな顔をしつつジュスマイヤーは用意された席に座り、とりあえず籠の中の御菓子を鷲掴みにしてソーサーの周りに散らした。 キラキラと金色に光る包み、袋越しにもシナモンの香りが漂うスティック状の菓子、色とりどりの焼き菓子が入った小包。 どれもこれもルビコンでは通常見ることすら叶わない代物だ。こうした嗜好品は星外企業由来のものだと相場が決まっている。 武器兵器に続いてこんなものまで持ち込んでくるなんて大したものだ、とジュスマイヤーが小包を開けて水色の焼き菓子―――マカロンを一つ口に入れると、まあ腹立たしいことに美味い。 気味の悪い色付けがされているのに口の中に広がる感触は柔らかく、サクッとしていながらもしっとりとした味わいを感じるものだ。実に腹立たしい。 「面白くて良い人なのよ、彼」 そんなジュスマイヤーの表情の変化を見て取れるヴァージニアは、レモンティーの香りを楽しみながらにこやかに言った。 ジュスマイヤーはマカロンを二つ三つを食べつつ、思った。 三枚目なキャラと見た目をした自称便利な男が本当に便利な男であることが、なぜここまでイラっとするのだろうか。 とりあえず、腹立たしくイラっとしたのでジュスマイヤーは口の中のものを飲み込み、残りをレモンティーで流し込む。 ―――これも美味いのだ。悔しいことに。 「面白くて良い人でも肌身を重ねるくらい親密になれるかは別なの。ヴァージニアには分からないわよね、ヴァージニアなんだもの」 鼻を鳴らしながらそう言ってやっても、ヴァージニアは嫌そうな顔をしない。むしろ、楽しそうに微笑む。 余裕たっぷりと言うか、自信満々だ。懐が深いというレベルではない。底が見えない。優し気で、怒らず威圧せず、いつも静かに笑っている。 「あらあら、手厳しいわ。でもそうね、たしかに私は肉体関係と親密さの繋がりがよく分からないかもしれないわね」 「女王陛下におかれましては、たとえ性的知識と経験が豊富でもそのまんまな気がいたしますわよ。ホント、子どもの御守を押し付けられたベビーシッターの気持ちとか考えてみたら」 「でもベビーシッターは子供の御守をするのがお仕事よね」 「つい数か月前まで銃向けあってたとこの女にそれ頼む感性が分かんないっての」 「冷静に考えれば分かるはずよ。だって、あなたはあの子も私も殺せないでしょ?」 「………あんたら二人ってマジで腹立つわね」 「あとバルデスとヘイレンだとあの子には不足だもの。私も立場で縛りが多いし、何よりあの子は厳密にはウチの会社のものじゃないしね」 そう言いながらヴァージニアはテーブルナイフでチーズケーキを切り分けていき、皿にそれを乗せてジュスマイヤーの前に置いた。 黄色い飾り気のないケーキの一切れにフォークを通して、その欠片を口に運ぶと、しっとりとした感触と味わいがジュスマイヤーの口に残った。 「だからあなたなのよ、ジュスマイヤー。あの子の、イレヴンの調子はどう?」 「狼の檻に恐竜の幼体を置いておいて、その恐竜の調子はどうって聞くのヤバいわよ。相変わらずよ、鼻が利いて勘も良くて、考えてないのにどこが上座か理解してますって感じ」 「調子が良さそうで何よりだわ。―――でもそうね、イレヴンが恐竜なら私はなんなのか、ちょっと興味あるわね」 「あなたはライオンよ。じっと座ってこっちを見てるやつ」 「良いわね、ライオン。勇敢さや権力の象徴よ」 「獅子に見つめられる狼の気持ちにもなってみなさいよ。ったく」 「大丈夫よ。私は狼の毛皮に懸賞金なんて掛けないから」 ふふふ、と上機嫌そうに笑うヴァージニアを努めて無視して、ジュスマイヤーは目の前のケーキと御菓子と茶を楽しむ。 いくら皮肉を言っても食ってかかってもこの女帝は自分の座った玉座から降りないのは、もう分かっている。そこもイレヴンと似ている点だ。出て行け、どっかへ行けと言ったところで、この二人はこちらをじっと見つめて言うに決まっている。私が嫌ならお前が出て行けばいい、だとかなんとか。 とはいえ、ヴァージニアはイレヴンよりも経験と知識がある。見透かされているのは腹立たしいが、ヴァージニアはその上で人間との触れ合いを、人間的な機微を楽しんでいる節がある。それはともすればポアンカレ気味な能天気さにも見えるが、彼女はそうした性善説なものは信じていない。人間讃歌を信じている。ジュスマイヤーにとって非常にムカつくことに、ヴァージニアは人間を愛しているのだ。 じゃれたがるライオンを前にしても美味いものは美味い。甘いものは甘い。食べて飲むのを挟みながらジュスマイヤーはヴァージニアと他愛のない皮肉の応酬を繰り返す。 あんまりにもそれが続くので、食べることに集中したくなったジュスマイヤーは楽しそうな顔のヴァージニアに言った。 「今日のアンタ、なんか饒舌じゃない?」 「そうでしょ? この後、ルシエンテスと打ち合わせがあるの」 「あぁ………」 それを聞いた瞬間だけ、さすがにジュスマイヤーもヴァージニアに同情した。 本当に同情できているのかなど、分かるはずもなかったが。 NEXT 関連項目 V.I ヴァージニア V.VII バルデス V.VI ジュスマイヤー 言及のみ スキャットバック V.VIII バーンズ V.III ヘイレン V.V イレヴン V.II ルシエンテス 投稿者 狛犬えるす
https://w.atwiki.jp/seadra-library/pages/209.html
ベンチに座ったルノーの煩悶は続く。 (そ、そうだ・・・それだけじゃなかった。あの後確か・・・) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 「・・・・・ぐ・・・・ぇ・・・・・」 ドサッ、と最後のテロリストが地に倒れ伏した。 そのテロリストを見下ろしているのは、鋼の様な肉体を黒いボンデージスーツで覆った男だった。 (・・・へ、ヘンタイだー!!!!) 子供心にもルノーはそう思った。 カルロスが倒れた後、忽然とその場に現れたボンデージ男は瞬く間にテロリスト達を鎮圧してしまった。 重火器で武装した男達を相手に、たった一人で素手でだ。 「命までは取らん。これから裁きを受け、自分たちが犯した罪を償うがいい」 腕を組んだボンデージ男がテロリスト達を見下ろして言う。 そこへ新手のテロリスト達が現れた。 「・・・奴です!!」 「くそっ!! やっちまえ!!」 テロリスト達が重火器をボンデージ男へ向ける。 「・・・・・・・・愚かな」 バッと片手を上げたボンデージ男が掌をテロリスト達に向けた。 「ならば受けるがいい!!! ボンデージファイナルスーパーレーザー!!!!!」 ボンデージ男の気迫のこもった叫びに、テロリスト達が一斉に身構えた。 「・・・・・・・・・・・・・・」 ルノーもダンテを抱きしめたまま、固唾を呑んで状況を見守った。 しかし、何も起こらない。 「・・・ハッタリか!? ナメやがって!!」 そうテロリストの1人が叫び、再度銃を構えたその時、テロリスト達の1人が持っていた通信機にビービーと呼び出し音が鳴った。 通信を受けたそのテロリストが顔面蒼白になる。 そしてフラフラとリーダーらしき男に歩み寄った。 「・・・た、隊長・・・本部が・・・本部が・・・謎のレーザー攻撃で跡形も無く消滅したそうです・・・」 それだけ辛うじて告げると、そのテロリストはがっくりと両膝を地に突いて項垂れた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 (・・・・うわああああああああああボンデージのレスラーの記憶だよこれ!!!! 銃士になろうとかそういう動機の欠片も感じられねーよ!!!) 両手で頭を抱えてあうあうと身体を揺するルノー。 そんな悶えるルノーを、やや離れた場所からジェーンが見ていた。 「おーおー悩んでますなぁセンパイ。でもまだまだこんなモンで終わりじゃないもんねー」 瞳を輝かせると、ニヤリと笑うジェーン。 「テッテー的にいじめちゃいますよ。覚悟しちゃってよねん」 ポン!!パン!!とクラッカーの音が鳴り響いて紙吹雪が舞った。 お帰り、と皆が拍手する。 上座の2人、魂樹とマチルダは照れ臭そうだ。 テーブルにはケーキと豪華な料理が並んでいる。 今日は2人の退院祝いなのだった。正確にはマチルダは魂樹よりも2日早く戻って来ていたのだが・・・。 彼女達のもう1人の仲間・・・ジュデッカさんと言ったか・・・はこの場にはいない。 誘ったのだが遠慮されたそうだ。 彼女の事だけは未だによくわからない。話題に名前が挙がると魂樹の表情が曇るのが気になるところだ。 「さあ皆ミートローフは行き渡ったかな」 ミートローフを切り分けて皿を配っていた武蔵山氏が言う。 「今日は奮発して、マツタケの土瓶蒸しもあるのよ」 笑顔でエリスが言った台詞に、シイタケマンがガァン!とショックを受けていた。 「・・・華やかだな」 居並ぶ女性陣を前にグラスを手にしたラゴールがふと呟いた。 そうだな、と同意する。 「誰かを伴侶に選んで身を固める気はないのか?」 何気ない一言だった。 しかしフロアの空気は一瞬でピシッと凍りついた。 なんでこんな硬直が発生するんだ・・・? 動揺しつつも、そういうつもりはないよと返事をする。 談笑している皆の中で、小声で交わされているやり取りだった。 しかし何故だろう、私は周囲に自分たちの会話を全神経を集中して聞き取ろうとしている人がいるような気がする。しかも複数・・・。 「まだ、ユカリの事を引きずっているのか。あれは不幸な出来事だったが、もう何十年も前の話だ」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 それでも。 それでもあの出来事を過去の事として片付けてしまうわけにはいかない。 言い訳がましいが、それでも私は彼女を愛していたよ。 ・・・そしてその彼女の未来を奪ったのは、他ならない私自身なのだからな。 そう言って私は自嘲する様に笑った。 笑った・・・つもりだったが、自分がきちんと笑顔を作れているのか自信がが無かった。 銃士隊事務所が朝を迎える。 寝ぼけ眼で歯ブラシをくわえて自室から出てきたカミュが見たものは、ミーティングルームをウロウロしているジェーンだった。 「・・・っかしーなぁ・・・落とすとしたらここだと思うんだけどなぁ」 ブツブツと言いながらテーブルの下やスチールの棚の下の隙間を覗き込んでいる。 「何やってんだお前?朝っぱらからよ」 声をかけるとジェーンは「うわっち!!」と驚いて飛び上がった。 「あー、リーダーちょうどよかった。見ませんでした? 私ここで落としたんじゃないかって・・・」 言いながら自分の首の周囲でちょいちょいと手で輪の形を作るジェーン。 「手首に巻いてたんですよねぇ~。落とすとしたら昨日リーダーぶん殴った時だと思うんだけど」 「・・・何だ? まあ悪いが俺は何も見てねえよ」 何かを無くして探しているらしい。 「ここじゃないのかなぁ・・・? ハー困った困ったコリャコリャ」 「ま、何を探してるのかは知らんがそれはそれとして仕事はきちんとやってもらうぞ」 言いながらカミュがスチール棚から1冊のファイルを取り出してポンと長テーブルの上に放った。 「共和国勢力外の、門に関係してると思われる重要人物をリストアップしてある。お前とルノーは今日はその人物の所在を確認してリストに間違いがないかチェックしてきてもらうぞ」 「あっれ・・・随分ヌルい仕事回してくるんですね? それってアレですか、やっぱしルノーセンパイがまだ本調子じゃないからなんですかね。『クロガネのカミュ』とか呼ばれて恐れられててもやっぱ人の子ですかリーダー。それともあれですか、ロリですかロリなのか!」 「うるせええええええええええ!!!!!!!! 黙って行ってきやがれ!!!!!!!!!!!!」 爆発したカミュの怒号に背中を押されてジェーンがミーティングルームを飛び出した。 「しょうがないなぁ。今はセンパイ探して仕事を片付けちゃって・・・」 ふいに足を止めて自分の左手を見るジェーン。 その手はパリパリと青白くスパークしていた。 「・・・やばいやばい。今はまだ帰れないのよねぇ。やる事残ってるしさ」 ぎゅっと手を握り締めてスパークを打ち消すと、ジェーンは再び歩き始めた。 その日、ルノーは仕事をサボるつもりであるビルの屋上で時間を潰していた。 ところがそこをあっさりとジェーンに見つかり、仕事へ連れ出されてしまった。 「ハイハイハイ、しゃきしゃき働いてくださいねー。センパイ逃げたら私の仕事倍になるんスから」 ジェーンの言葉がルノーをより一層憂鬱にする。 「ってーより・・・・」 と薄笑いを浮かべてルノーを見るジェーン。 「本気でもうやる気ないんだったら、帰国した方がいんじゃないっスか?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ルノーは反応も反論もしない。 「『一生懸命やったのに、だけど勝てなかった。しょうがないだろ』って言いたいんスよね? センパイは」 「!!」 今度はルノーが反応した。 瞳を見開いてジェーンを見る。 「その通りだと思いますよ? センパイほんと一生懸命戦いましたし、それでもアイツのがずっと強かったワケっスからしょうがないですよ。ここで帰ったって誰にも何も文句言われませんって」 ヒラヒラと扇ぐように手を振るジェーン。 「・・・私は・・・」 ジェーンに何か言いかけてルノーが口を開いたその時、 「何やってんだお前ら・・・通りの真ん中でよ」 そう2人にカミュが声をかけてきた。 「リーダーお散歩ですか? 今日はいーお天気ですしねぇ」 ジェーンが笑って言う。 「・・・ンなわけあっかバカヤロ。俺はこれから港の部下どもに本国に送るこいつを届けにいくとこだ」 カミュが手にした書類の入った茶封筒を見せる。 「お前らも早く続き・・・」 カミュが通りに面したレストランの中を目にして言葉を止めた。 そこには大龍峰がいた。 ジェーンとルノーもその事に気が付く。 「あー・・・ダメっスよダメよリーダー。大人になろうね自重自重。次は殺されますよ。先日アイツ私がちょっかいかけてキレさせてあるんで」 ジェーンがカミュにそう諭す。 「わかってるってえの・・・」 カミュがタバコを1本取り出してくわえるとライターで火を着ける。 そのまま3人とも言葉が無くなる。 カミュが紫煙を吐き出すフーッという音がやけに大きく響いた。 そしてカミュはフッと苦笑すると、まだろくに吸っていないタバコを地面に落として踏み消した。 「やっぱ・・・大人になるってのは難しいなぁ」 そういうとジェーンの胸にポンと書類を押し付けるカミュ。 「悪ぃ、ちっと持っててくれや」 そう言うとカミュはネクタイを緩めつつ、レストランの方へ歩いていく。 「だから殺されますってリーダー」 その後姿に呆れたように声をかけるジェーン。 「心配無用・・・今度は勝つ!!!」 振り向かずに力強く言うカミュ。 「根拠は?」 「・・・無い!!!」 否定も力強かった。 「ダメだこりゃ・・・なんとかに付ける薬はありませんねぇ。そう思いません? センパイも」 「・・・あ・・ああ・・・」 殺される、そう思ってカミュを捕まえようと前に出たルノーの肩をガシッとジェーンが掴んで止めた。 「ダメダメ・・・行かせられませんよ。私の目の前で2人とも殺らせるわけにはいきませんからね」 ジェーンの台詞にぎょっとしてルノーがその顔を見た。 ジェーンは笑っていない。その表情は真剣だった。 「・・・犠牲になるのはリーダー1人で十分ですんで、センパイは行かせられません」 耳の奥にジェーンの言葉が冷たく響いて、その場にルノーが立ち竦んだ。 第21話 3← →第21話 5
https://w.atwiki.jp/chisato_ojosama/pages/354.html
前へ ずっと話し込んでいたら、さすがに夜風で部屋が冷たくなってきた。舞波さんはクシュンと小さなくしゃみを1つすると、チェストからブランケットを引きずり出して、2人の足を隠すように広げてくれた。どうやら、まだ話は続くらしい。 「少し前に、お嬢・・・千聖のお父様の大きなお祝い事があって、それまで全く関わりのなかったうちの家族も、招待されたんです。 私はこんな状態だし、両親だけ行く予定だったけど、是非出席をとお願いされてしまって。そこで、初めて千聖と出会いました。」 ***************** “「舞波ちゃん、勉強はどう?」 「忙しい時期でしょう?友達はできたの?」 某高級ホテルの、結婚式でしか使われないような庭園レストラン。 硬直するお母さんの手をテーブルの下で握りながら、私は目の前のご婦人に、学校には行っていないんです、返事をした。この人、誰だっけ。・・・父方の叔母さんの小母さん、だったかな。 さっきお母さんが、私が学校に行っていないっていう説明をしていたはずだけど・・・それでも私に、直接聞かなければ気が済まなかったのかな。変な人。 「まあ、可哀想。うちの姪子はね、舞波ちゃんと同い年で、おかげさまで進学校に合格して、今日は部活で忙しいから来れなかったけれど・・・あぁ、ごめんなさい。こんな話、辛いわよね?」 「いえ、別に。お気になさらないでください。」 私のリアクションが予想と違ったのか、その人はあからさまにつまらなそうな顔をして、目の前のテリーヌに乱暴にフォークを刺した。 やっぱり、来ないほうが良かったのかな。 自分が何を言われても別に大丈夫だけれど、お母さんやお父さんが辛そうなのは嫌だと思う。どうして私がこの宴に呼ばれたのかよくわからないし、気持ち悪くなったとか適当な理由をつけて、そろそろ退席する準備をしようかな。 せっかく東京に出てきたのだから、こんなところでモヤモヤしていないで、両親と観光に行った方がよっぽど楽しそうだ。 「ご歓談中、失礼いたします。石村舞波さんでいらっしゃいますか」 「あ、はい。」 そんなことを考えていると、ふいに後ろから声をかけられた。黒いスーツにリボンタイの初老男性――今日はあちらこちらで同じ服装の人を見かけるから、執事さんだろうか――が、振り向いた私に一礼して、スッと青い封筒を差し出してきた。 「千聖お嬢様から、こちらをお預かりして参りました。」 「私に?」 「出来れば、早めに目を通していただきたいとのことです」 「はぁ・・・」 私は横目で、上座に陣取る家族の方を伺い見た。 本日の主役である、精悍な顔立ちで存在感のある凛々しい旦那様。 次々挨拶に訪れる客人に、愛想良く対応する美しい奥様。傍らの揺り籠では、赤ちゃんが眠っている。 そして、その隣に座っているのが、この手紙の差出人である、千聖お嬢様だった。 男の子みたいに短くそろえられた髪。旦那様譲りの小麦色の肌。中学2年生と聞いていたけれど、それよりもずいぶん幼く見える。 せわしなくキョロキョロ動くビー玉みたいな目が可愛くてジッと見つめていると、思いっきり視線がぶつかってしまった。 「あっ」 「あっ」 かなり席は離れているけれど、同時ぐらいにお互い息を呑んだのがなんとなくわかった。 「舞波?」 「ちょっと、外出てくるね。」 私が席を立つと、視界の隅っこで、千聖お嬢様も慌てて立ち上がったのが見えた。ジュースでもこぼしちゃったのか、軽い悲鳴と奥様の叱咤の声が聞こえる。 その声を背に、一足先に私は中庭へと足を運んだ。 美しい草花に囲まれたベンチで目を閉じてぼんやりしていたら、さっきまでの少し沈んでいた気持ちが落ち着いてきた。 そろそろ、来るかな? なんとなくそう思って、目を開けて姿勢を正した。 ジャストタイミングだ。数秒遅れて、蔦の絡まる柱の陰から、千聖お嬢様がよたよたと歩いてきた。慣れないミュールのヒールが憎らしいのか、困った顔で何度も踵と地面を見比べている。 「千聖お嬢様、こんにちは。はじめまして」 「きゃっ!」 いきなり声をかけたから、驚かせてしまったらしい。小柄な体が派手によろける。 私はベンチから離れて、よろけた千聖お嬢様を受け止めるように手を差し伸べた。 「あ・・・」 一瞬、触れた肩が強張った。そっか、触られるのは苦手なのかな。あまり気を使わせないよう、なるべく自然に手を離して、「大丈夫ですか?」と声をかけた。 「えと、はい、大丈夫です。支えてくださって、ありがとうございます。」 緊張しぃなのか、お嬢様はほっぺたを赤くして、若干モゴモゴした口調になっていた。 「あの、舞波さん。ありがとうございます。」 「え?」 「だって、お手紙、すぐに読んでくださったのでしょう?だからここに・・・・」 そう話しだしたお嬢様は、私の手元に視線を移すと、不思議そうな顔をした。 「あら・・?読んでいらっしゃらないの?でも、それならどうして?」 しまった。もらった手紙を持ったままにしていたから、シールでしっかり封をした、開けられた形跡のない封筒が、お嬢様の目にとまってしまった。 執事さんに聞きましたとか、言い訳できなくもなかったけれど、なんとなくこのお嬢様には嘘をつきたくなかった。・・・というより、話してもいい、となぜか思えた。自分の、特殊な能力のことを。 「お嬢様。話半分で聞いていただきたいのですが、実は私・・・」 「・・・そう、だったの。とても勘がすぐれているのね。だから、千聖のお手紙の内容が、読まなくてもなんとなくわかってしまった」 丁度話の区切りがついたところで、お嬢様は微笑した。 ライトイエローのドレスから伸びるお嬢様の小麦色の足が、庭園の土を軽く蹴って、二人乗りのブランコが緩やかに動く。 「驚いたわ。お呼び出しした場所までわかるなんて」 「なんとなく、ですけど。イメージが沸いてくるんです。」 驚いたとはいうものの、私の能力の話を聞いても、お嬢様は特別大きなリアクションは起こさなかった。最初は両親でさえ軽くパニックを起こしたというのに、この反応は新鮮だった。 「まるで、魔法使いのようね。千聖のクラスにも、魔法に憧れている方がいるのよ。あんまり話したことがないけれど・・・きっと、すぎゃ・・彼女が聞いたら、うらやましがるわね。」 「でも、百発百中ではないんですよ。外れれば人に迷惑をかけるし、あんまりお見せするものではなかったですね。すみません、不注意でした。」 私が頭を下げると、千聖お嬢様は不思議そうな顔をした。 「どうして?失敗は誰にでもあることでしょう。千聖も走るのがとても得意だけれど、転んでビリになってしまうこともあるわ。舞波さんもせっかく素敵な力をお持ちなのだから、失敗を恐れることはないと思うけれど・・・ きっとその能力は、人を笑顔にする素敵なものなのではないかしら。・・・舞波さん?どうなさったの?」 「いえ、あの・・・」 あまりにも予想外なお嬢様の言葉が心に刺さって、私は身動きが取れなくなってしまった。ここ数年、淡々と、心を揺さぶられることなく生きてきた私にとって、リハビリもなにもかもすっ飛ばしたいきなりの激情だった。 「舞波さん?」 「あ・・・すみません、何かそんな風に言ってもらえるなんて、びっくりして、目から鱗っていうかっ」 何とか場をつなごうとして口を開くと、昂ぶっていた神経がそうさせたのか、いきなり涙があふれた。 「ごめ、ちょっと、すいません、私ったら」 「まあ。舞波さんたら、目から鱗じゃなくて涙が零れてしまったのね」 私の目じりを、お嬢様が優しくハンカチで拭いてくれる。バニラのいい香りがした。 「あのね、舞波さん。今日ここに舞波さんを強引にお誘いしたのは、私なの。」 「どうして・・・?」 「わからないわ。お父様から、遠縁の親戚で年の近い方がいるって聞いたときに、なぜか無性に会いたくなったの。きっと、素敵なお友達になってくださるような気がして。これは、きっと千聖の超能力ね。舞波さんに出会えてよかった」 お嬢様はそう言って、ウフフと笑った。 「よかったら、これから千聖のおうちに遊びに来ない?ここから近いの。車で10分ぐらいよ。せっかくお友達になれたのだから、もっと千聖のことを知って欲しいわ。」 「でも」 「お願い。ね、舞波さん?舞波さんのお父様とお母様にも、千聖からお願いしてみるから」 「ウフフ、わかりました。では、2人で交渉してみましょう。」 「本当?嬉しい。後で妹弟のことも紹介するわね。そうね、まずは、会場に戻りましょう。」 千聖お嬢様はパァッと明るい表情になって、勢いよくブランコを飛び降りた。 「もう、お嬢様ったら、ミュールで危ないですよ」 「大丈夫よ。早く行きましょう、・・・舞波、ちゃん」 「もう、そんなに急かさないでくださいって。・・・・千聖。」 一歩間違えれば大変な無礼にもなるけれど、きっと、これがお嬢様の望み。案の定、お嬢様・・千聖は少し目を丸くした後、目をくしゅっと細めて笑った。 「やっぱり、舞波ちゃんはすごいのね。千聖の自慢のお友達だわ。」 まるで羽でも生えているように、軽やかな足取りで、千聖は走る。その背中を見つめ追いかけながら、私は初めて、この能力を持って生まれてきたことに心から感謝した。 次へ TOP
https://w.atwiki.jp/ruqs/pages/24.html
例会記録 日々の例会の記録など。 前期は2回生以上の上回生、後期は1回生の企画がメイン。 2013年度後期 日程 企画名 企画者 企画書 2月 13日(木) グリザイアのなんとか杯 神野 2月 11日(火) EQIDEN2014 メンバー選考会 西浦・藤井・柿沼 1月 8日(水) 斉藤 12月25日(水) 井上・中島克 12月21日(土) 総会 12月18日(水) 前田 12月14日(土) 山本り 12月11日(水) 川西 12月 7日(土) 長谷川 12月 4日(水) 石野田 11月27日(水) 半田 11月23日(土) 藤新 11月20日(水) 松田 11月13日(土) 伊良部 10月23日(土) 山本ゆ 10月19日(土) 辻野 10月16日(水) 澤 10月12日(土) 小池田 10月09日(水) 松崎 10月05日(土) 八木 10月02日(水) link_anchor plugin error 画像もしくは文字列を必ずどちらかを入力してください。 高山 2/13(木) グリザイアのなんとか杯 神野企画 やはり合宿中もイケメンだった神野による企画。 1R 果実 -LE FRIUT DE LA GRISAIA- 30問のペーパークイズ。制限時間は企画名にちなんで、PCゲーム『グリザイアの果実』のオープニングテーマである飛蘭のシングル『終末のフラクタル』(約4 43)2回分だった。 2R 迷宮 -LE LABYRINTHE DE LA GRISAIA- 1Rの上位から順に3つのコースを選べるコース別クイズ。各コース60問限定。各コース上位3名が4Rに進出。コースは以下の通り。 「-グレースケール-」 10○4×の上座クイズ。1Rの順にボタンに就き、問題に正解すると2ランクアップ。1位席で正解すると3○、2位席か3位席で正解すると2○、4位席以下で正解すると1○が付く。誤答すると最下位席に転落し1×。最下位席で誤答すると2×が付く。 このコースで武澤、澤田、松崎の3名が4R進出。 「-ワールドエンド-」 このコースを選んだ全員が30ポイント持った状態で始まるアタックサバイバル。1問正解ごとに他の人のポイントを-1。誤答の場合自分のポイントを-2し、さらに1休。 このコースで西浦、石野田、半田の3名が4R進出。 「-創世のタナトス-」 2○2×1人抜けを繰り返し、勝ちぬけた人に3ポイント、その他の人に○の数-×の数のポイントが入る。また、このポイントは0以下にならない。ポイントが10に達したら勝ち抜け。 このコースで柿沼、田﨑、高山の3名が4R進出。 3R 安息 -LE RESTA DE LA GRISAIA- 2R敗退者のみで行われる敗者復活ラウンド。このラウンドで3名が復活できる。ルールはローリングで3○1×で40問限定。1Rの順位順に並び、上位5人までがボタンに就く。問題の正解者を除いてボタンに就くメンバーを入れ替える。×に厳しいルールに加えなかなかの難問もあり、トビの人も多かった。 ここで中島克、井上、伊良部の3名が復活。 4R 方舟 -LE ARCHE DE LA GRISAIA- 2Rを勝ち抜けた9名と3Rで復活した3名の計12名で行う早押しボードクイズ。40問限定。押して正解で+4/不正解で-2、押さずに正解で+1/不正解で0を加算する。10問ごとに締切を設け、その時点で下位2名が脱落し、ポイントをリセットする。ポイントが同じ場合は1○1×を行い脱落者を決定する。40問終了時に最後の脱落者を決め、残った4名が5Rに進出。 このラウンドで武澤、松崎、柿沼、石野田の4名が決勝進出。 5R 楽園 -LE EDEN DE LA GRISAIA- n○m×の早押しクイズ。nはセット数で、mは1から始まり、3セットごとに1増える。例外として9セット目は10○4×のルールを適用する。決勝進出者4名は敗退者を獲得し、チームを作る。決勝進出者はチームから1人選出し、1度だけボタンに就かせることができる。3セット先取した人が優勝。 最終的には井上とコンビ押しをしていた武澤が優勝をもぎ取った。 【ペーパー1位】西浦、武澤 20/30点 【優勝】武澤 【W.A.】『THE IDOLM@STER』(今年の1月25日に『輝きの向こう側へ!』という劇場版も公開された/、765プロダクションを舞台としたアイドル育成ゲームは何でしょう?) 2/11(火) EQIDEN2014 メンバー選考会 西浦・藤井・柿沼 1st round ① ローリング EQIDEN本番と同じ12個の早押しボタンを使って行う、【1〇1×】早押しクイズ 初めにボタンにつく順は当日ランダムに決める ボタンを点けると、正解・不正解にかかわらず待機列最後尾へ。正解 +2 pt、不正解 -2 pt 30問ごとに解答席を総入れ替えする 合計600問限定 3問連続スルーの場合は全員交代とする 順位判定基準はポイント→正解数→誤答数 ――ここまでのポイント上位 16人が 2nd round 進出―― 選考会の第1ラウンドはローリングクイズ。EQIDENで求められる力である、「基本問題」を、「できるだけ誤答せず」「確実に」「早く」「押して」「正解する」という条件をよく反映したルールとなった。 38○3×と、圧倒的正解数と誤答の少なさで70ポイントをたたき出した武澤が首位を獲得した。2位から6位には神野、長谷川、前田、荒樋、田崎と手堅く正解を重ね、誤答を防いできた面々が並び、8位以下に並ぶ澤田、石野田、鈴木、松崎とは正解数こそ並ぶ状況ではあったものの、誤答数で差をつける格好となった。特筆すべきは7位の田本であるが、「ボタンをつけた回数」という意味では圧倒的首位であることには間違いはないのだが、35○と首位に肉薄する正解数をたたき出したものの、16×という正解数によってポイントを下げた。 ともかくも、必要とされる基本問題の知識を動員し、しっかりと押すべきところで押せたかで明暗が分かれるラウンドとなった。 その他の通過者:高橋、井上、内藤、高山、半田 2nd round 総当たり 一対一で総当たりの、【2〇2×】早押しクイズ。対戦は 8組同時に行う 同時に行ったすべての対戦の決着がついてから次のセットを行う 勝ち点は、勝利:3点、敗北(1〇):1点、敗北(0〇):0点 開始時に 9 - n 点のボーナスが与えられる( n はローリング順位) 順位判定基準は「合計勝ち点」→「1st round のポイント」→「勝利数」 ―― 1~6位の 6人は EQIDENメンバーに決定、7~10位は最終決戦へ―― 「同時に多くの人数がボタンについている」というEQIDENで意識しなければならない状況を感じさせるような、総当たりクイズ。16人の進出者が自分以外の15人とすべて戦うという長丁場である。先のラウンドと違い、大きなひずみを後半になって取り戻すことはできないため、戦略を意識しつつも確実に勝ちを積み重ねていかなければならず、また絶対的な能力も反映されてしまう、という厳しいラウンドであった。 ここでも首位を獲得したのは41点をたたき出した武澤であった。勝負には負けてもほとんどの対戦で1○以上を保持しており、堅実な点数の獲得が功を奏した格好となった。アドバンテージの少なさにもかかわらず、武澤と同点で2位となったのが田本であった。勢いのある押しで計13人に勝利し、ポイントを積み上げたのは知識と押しの強さの賜物であろう。 その他の通過者:石野田、前田、神野、荒樋…勝てる試合に堅実に勝ち続けた結果がもたらした勝利である。 最終決戦進出者:松崎、内藤、澤田、長谷川 最終決戦 ( )問限定の【1〇1×】の早押しクイズを何セットか行う(…問題数は非公開) 各セット1位と2位のみを決定し、1抜けに2点、2抜けに1点が与えられる ×を負ったものは-1点 トビ残りの場合はどんな状況であっても1点しか与えられない 全セット終了後、得点の高い2人が勝ち抜け ―― EQIDENメンバー 10人が決定―― 前ラウンドで7位~10位に残ったメンバーから2名を選出する最終決戦。各セット1○1×という非常にスピーディーな展開を見せた。半分にしぼられる、というプレッシャーの中、見事勝ち抜けることができたのは松崎(33点)、澤田(32点)の両名であり、長谷川(21点)、内藤(15点)と差をつけた。4名とも誤答数にはさほど差はなかったが、2抜けであろうと積極的に点を積み上げられたかどうかという点で差をつける結果となった。 こうして選出された8名と企画者の藤井、柿沼がEQIDEN2014のメンバーとして選出され、選考会の幕は閉じられた。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8274.html
前ページゼロのチェリーな使い魔 フリオニール達が「スカボロー」の港でルイズとワルドを待ち伏せしていた頃 ルイズとワルドの乗った船がフリオニールの想像通り空賊の軍艦に拿捕されていた。 捕まえた船にトリステインの貴族が二名同乗していたので、賊はとりあえず軍艦の船蔵に 軟禁し、賊の一人がアルビオン行きの目的を問いただすときびすを返して蔵から出て行った。 空賊なんぞに屈服してたまるものか、と毅然とした態度を崩さないルイズにワルドが 「いいぞ、ルイズ。さすがは僕の花嫁だ」 すっと近づき肩を抱いて励ます。ポイントを稼ごうと躍起になっているようだ。 しばらくすると先程の賊が二人の元へやってきて 「お頭がお呼びだ」 船長室へと案内した。 狭い廊下を通り細い階段を上るとある一室の中へ入るよう促された。二人はドアを開けて 中を見渡すと豪華なディナーテーブルがあり、上座に派手な服を着飾り水晶の付いた杖を 握った男が鎮座しているのを確認した。恐らく元メイジの船長だろう。 「さぁ、名前を言え」 「大使としての扱いを要求するわ」 ルイズは恐怖に震えながらも空賊のお頭に一歩も引くことはなかった。 押し問答の末、このお頭こそがアルビオン王国の皇太子ウェールズ・テューダーその人で あることが判明した。 ウェールズは賊に扮した変装を解き、拿捕は敵の補給路を絶つ為であることを弁明すると 「アルビオン王国へようこそ大使殿。君達を試すような真似をしてすまかった。外国に 我々の味方がいるなど夢にも思わなかったのだよ」 歓迎の挨拶と無礼の謝罪をした。 ルイズとワルドは居住まいを正し自己紹介を済ますと、 「アンリエッタ姫殿下より密書を言付かって参りました」 ルイズは胸のポケットからアンリエッタの手紙を取り出した。 恭しくウェールズに近づき手紙を渡そうとしたルイズだったが 「あの・・・失礼ですが、本当に皇太子様ですか?」 躊躇いがちに伺った。するとウェールズはクスクスと笑い出し 「さっきまでの変装を見ていれば無理もない。僕はウェールズさ。何なら証拠をお見せしよう」 ルイズの指にはめられた指輪を見つめて言った。 この指輪はアンリエッタがルイズに手紙を託す際に困った時の旅の資金にでも、とプレゼントした ものでルイズはこれから一体何が起こるのか好奇心に駆られた。 ウェールズは自身の薬指に光る指輪を外すとルイズの手をとりアンリエッタの指輪に 近づけた。二つの宝石は共鳴し合い虹色の光を放った。 「僕の指輪はアルビオン王家に伝わる『風のルビー』だ。君が嵌めているのはアンリエッタの 『水のルビー』。そうだね?」 ルイズはコクリと頷く。ウェールズは微笑を浮かべ 「水と風は虹を作る。王家の間にかかる虹さ」 大使を労った。ルイズは改めて謝罪の言辞を述べ手紙をウェールズに手渡す。 ウェールズは大事そうに手紙を受け取り花押に接吻すると封を開け便箋を取り出した。 真剣な表情で手紙を読み耽るウェールズ。途中驚いたように目を見開いた瞬間があったが 最後の一行まで読み終えるとルイズとワルドを笑顔で見つめ 「了解した。しかし、姫より返して欲しいと頼まれた物は今手元にはない。ニューカッスルの 城にあるのだ。僕の宝物だからね。多少面倒だがお二人にはご足労願いたい」 ニューカッスルまで同行するように促した。 ローブをまとった怪しい男と対面するフリオニール達。 「いいんじゃない?そのかわりガゼネタ掴ませたら承知しないわよ!」 キュルケは他に当てがあるわけではないので、ラ・ロシュールから出港した船に男女一組の 貴族が乗っていて昼頃にはこのスカボローに到着しているはずである旨をローブの男に 伝えると金貨10枚を支払った。 持ち逃げされたら困るから、という理由でフリオニールがローブの男に付き添うことになり 約束が違うとゴネるローブの男の袖を引っ張ってレストランから出て行った。 フリオニールはローブの男と共に波止場をはじめ裏通りのカジノなど人が集まる場所へ 出向いて聞き込み調査をしたが目ぼしい情報を得られなかった。 どういうことだ!と怒るフリオニールにローブの男はおずおずと 「お客さん、何かの勘違いではありませんかね」 「そんなことはない!ラ・ロシェールの発着場には船はなかったんだ!」 「でしたら賊に捕まったとしか・・・」 「やっぱりそうか!?くそっ!」 「・・・お客さん、これは噂なんですがね・・・」 ローブの男は顔を近づけると小さな声で 「王党派が空賊に化けて反乱軍の物資を横取りしているそうな」 「本当か!?」 「まぁ、あくまでも噂ですし実際に目撃したものはいませんがね」 「王党派はどこにいるんだ?」 「はぁ、ニューカッスル城に篭って最後の抵抗をしてますが」 フリオニールは「ご主人様」からアルビオン行き同行を言いつけられたが何の用事で出向いて いるのかまでは判らない。 王党派が味方であるにせよ敵であるにせよニューカッスルへ行けば手がかりが得られる かもしれない、と顎に手を当てて思考を巡らせていたが意を決して 「ニューカッスルまで案内してくれ!」 「しかし、あそこは今激戦区ですよ?」 「かまわん!」 「じゃあ、保険金としてあと金貨40枚を」 ローブの男は右手を差し出し甲高い笑い声を発するのであった。 フリオニールはローブの男を伴って波止場のレストランへ戻り今後の対応を協議する。 行き違いになっては困るのでキュルケを留守番役とし、とりあえず様子見という形で フリオニール、タバサ、ローブの男の3人が出向くことになった。 留守番に文句を言うキュルケを懸命に宥めている間にシルフィードが夕日を背にやってきた。 立派な風竜を目の当たりにしローブの男はゴクッと唾を飲むと 「いやぁ、立派なドラゴンですな。これなら明日未明にはニューカッスルに着くでしょう」 お世辞を言いつつ保険金の催促をした。 やってられない、とばかりにキュルケは憤然と財布から金貨10枚を抜き出すとローブの男に 乱暴な手つきで渡した。 ローブの男は提示した金額より低い額を渡されたので文句を言おうとしたが、このような ドラゴンを飼い慣らしている連中はきっと只者ではないと考え直しひひひっ、と薄気味悪い 声を出して金貨を受け取った。 その日の夜 ルイズはニューカッスル城に無事到着しウェールズからある物を受け取ったことにより この度のミッションの折り返し地点まで来た筈なのだが何故か物憂げな表情だった。 無理もなかった。アンリエッタより受けた密命は以前、アンリエッタがウェールズに送った ラブレターを取り戻すことだったのだ。しかも内容は始祖ブリミルに誓った愛の告白が 刻まれている。始祖に誓う愛は婚姻の際の誓いである。アンリエッタがこれから嫁ごうと するゲルマニアの皇室にその手紙が伝われば重婚の誹りを受けて婚約解消となってしまう。 そうなればゲルマニアとの同盟関係も破談しレコン・キスタへ小国トリステイン1国で 立ち向かわねばならなくなるだろう。 アンリエッタは王女としての責務を果たそうとしウェールズはそれを認め自ら身を引こう としている。 深い絆で結ばれているのに引き裂かれる数奇な運命。アルビオン王家を窮地に追いやった レコン・キスタと呼ばれる反乱軍に対する怒りがルイズの心にふつふつと湧いた。 しばらくして怒りが治まると自身の使い魔がハルケギニアへ来る前にそのような組織に 属していたことをふと思い出した。 (あいつ、何やってるのかしら!?) ラ・ロシェールではぐれて以来顔を見せないフリオニールに対し不安と苛立ちを募らせる ルイズの元へワルドがやってきた。 「さぁ、ルイズ。これからパーティだ」 「ええ」 ルイズは一言返事をするとワルドと共に大使を歓迎するパーティ会場へ足を運んだ。 宴も終わり宮廷内が静けさを取り戻した頃 ニューカッスル城近郊まで到着したフリオニール達はシルフィードでこれ以上進むと捕らえられて 尋問を受けることになるだろうと考え徒歩で森の中を抜けることにした。 しばらく歩き兵隊に見つかることなく辛くも城外までたどり着いたが、城は軍艦や大勢の 兵士に取り囲まれていて落城一歩手前の様相だ。 森の木陰に隠れながら本当にここにルイズがいるのだろうか?と半信半疑になるフリオニールに ローブの男が 「着きましたぜ。さぁ、宝物庫目指して頑張りましょうや」 揉み手をして言った。この男の目的が火事場泥棒であることを理解したフリオニールと タバサはジト目でローブの男を見る。 男はひひひっ、とバツの悪そうな笑いを発すると 「何なら私がこっそりと中の様子を偵察してきましょうか?」 城へ忍び込むと言い出した。どうする?とタバサにアイコンタクトをとるフリオニール。 「え~と、桃色の髪の小柄な少女と羽帽子をかぶった口ひげの大男ですね」 ローブの男は再確認するようにぶつぶつ呟くと例によって右手を差し出した。 しかたがない、とフリオニールは背中のデルフリンガーを外して男に差し出す。 「これ、新金貨20枚で買ったんだ。本当はもっと値が張るらしい」 「あ、相棒!この俺っちを身売りするなんてひでぇじゃねぇか!」 「我慢してくれデルフ!あとでルイズさんに頼んで買い戻すから!」 「こんな怪しい奴に渡して大丈夫かよ・・・」 ローブの男は口元をニヤつかせてデルフリンガーを受け取ると 「私の記憶が確かならば通用口は向こうですな。では行ってきまっせ。もしお目当ての 人がいれば「外でお友達が待っている」と伝言しときますよ」 闇夜に消えるように静かに城壁に近づいて行った。 前ページゼロのチェリーな使い魔
https://w.atwiki.jp/trinity_kristo/pages/680.html
大乗仏教では特に般若波羅蜜(智度)が、空の思想や菩薩の在り方とともに重要な用語として位置づけられ教説されたこと、如来蔵説が唱えられたことなどがある。 これは、衆生皆菩薩・一切衆生悉有仏性・生死即涅槃・煩悩即菩提などの如来蔵思想や、釈迦が前世において生きとし生けるものすべて(一切衆生)の苦しみを救おうと難行(菩薩行)を続けて来たというジャータカ伝説に基づいて、自分たちもこの釈尊の精神(菩提心)にならって六波羅蜜の概念の理解を通じ善根を積んで行くことにより、遠い未来において自分たちにもブッダとして道を成じる生が訪れる(三劫成仏)という修行仮説や死生観(地獄や空色を含む大千世界観)へと発展していった。そうした教義を明確に打ち出した経典として『華厳経』、『法華経』、『浄土三部経』、『涅槃経』などがある。 これらの経典は、釈迦の死後500年以上経ってから書きはじめられたものであり、釈迦が生前語っていたという形式によって書かれているが、実際に釈迦が語った言葉であるとは考えられていない。(キリスト教での外典に近い存在である) 大乗仏教で読まれる仏典 大乗でも読まれる上座部仏典 パーリ仏典と共通の口頭伝承のお経である。 『蛇喩経 Alagaddūpama-sutta』(パーリ語経典中部第22経)〔『筏喩経』~『中阿含経』(大正蔵26)第54巻第200経『阿梨吒経』より抜粋〕:目的と手段を取り違えた場合に起こる悲惨さを説く。 『箭喩経(小マールキヤ経) Cūḷamālukya-sutta』(パーリ語経典中部第63経)〔『中阿含経』(大正蔵26)第221経『箭喩経』、『箭喩経』(大正蔵94)〕:釈迦が、比丘マールキヤプッタに「毒矢のたとえ」で有名な説法をする。 『戒香経』(大正蔵117)、『雑阿含経』(大正蔵99)第38巻『比丘相応』、『別訳雑阿含経』(大正蔵100)第1巻:仏戒を持つ男女は、その徳の故に、ふくいくとして遠くまでよく薫り、何のような香木、華果にも勝れる。 ただこれだけの事を述べた経。 『央掘摩経(アングリマーラ経) Aṅgulimāla-sutta』(パーリ語経典中部第86経)〔『鴦掘摩経』(大正蔵118)、『鴦崛髻経』(大正蔵119)、『央掘魔羅経』(大正蔵120)〕:『アングリマーラの物語』として有名である。 『等見品第三十四(二)』~『増一阿含経』(大正蔵125)第26巻:『琉璃王経』(大正蔵513)とほぼ同内容。 大乗仏典 主にサンスクリット語で書かれた経典の漢訳である。 アシュバゴーシャ『仏所行讃 Buddhacarita』〔曇無讖 訳『仏所行讃』(大正蔵192)〕:古代インドの仏教詩人アシュバゴーシャ(馬鳴<めみょう>)のサンスクリット叙事詩『ブッダチャリタ』を漢訳したものであり、ゴータマ・ブッダの生涯を語っている。 『大品般若経序品』~『Pañcaviṃśatisāhasrikā-prajñāpāramitā Sūtra』の鳩摩羅什 訳『摩訶般若波羅蜜経』(大正蔵223)第27巻: 『般若波羅蜜多心経 Prajñā-pāramitā-hṛdaya』〔玄奘三蔵 訳『般若波羅蜜多心経』(通称『般若心経』)(大正蔵251)〕:『菩薩が全ての生き物の幸福を追求するとき生ずる、あらゆる困難に打ち勝つ智慧』という意味である。 『法華経 Saddharma Puṇḍarīka Sūtra』〔鳩摩羅什 訳『妙法蓮華経』(大正蔵262)、竺法護 訳『正法華経』(大正蔵263)、闍那崛多・達磨笈多共訳『添品妙法蓮華経』(大正蔵264)〕:「正しい教えである白い蓮の花の経典」の意。仏法について説いた経典。 『華厳経 Avataṃsaka Sūtra』〔東東晉天竺三藏佛馱跋陀羅 訳『大方廣佛華嚴經』(大正蔵278)、于闐國三藏實叉難陀 訳『大方廣佛華嚴經』(大正蔵279)〕:「大方広仏の、華で飾られた(アヴァタンサカ)教え」の意。「大方広仏」、つまり時間も空間も超越した絶対的な存在としての仏という存在について説いた経典である。 『勝鬘師子吼一乗大方便方広経 Śrīmālādevī-siṃhanāda Sūtra』(通称『勝鬘経』)〔『勝鬘師子吼一乗大方便方広経』(大正蔵353)〕:王妃という在家の女性を主人公とする経典。 『浄土三部経』:『無量寿経 Sukhāvatī-vyūha』〔『大宝積経』(大正蔵310)より菩提流志 訳『無量寿如来会』、康僧鎧 訳『無量寿経』(大正蔵360)、支婁迦讖 訳『無量清浄平等覚経』(大正蔵361)、支謙 訳『阿弥陀三耶三仏薩楼仏壇過度人道経』(大正蔵362)、法賢 訳『大乗無量寿荘厳経』(大正蔵363)〕 『阿弥陀経 Sukhāvatī-vyūha』〔鳩摩羅什 訳『阿弥陀経』(大正蔵366)、玄奘 訳『称讃浄土仏摂受経』(大正蔵367)〕 『観無量寿経 Amitāyurdhyāna Sūtra』〔『観無量寿仏経』(大正蔵365)〕 『弥勒六部経』『上生経』〔沮渠京声 訳『観弥勒菩薩上生兜率天経』(大正蔵452)〕:釈迦が、弟子弥勒が兜率天(とそつてん)に生まれ変わると予言し、その通りになる。 『下生経』〔竺法護 訳『弥勒下生経』(大正蔵453)、鳩摩羅什 訳『弥勒下生成仏経』(大正蔵454)、義浄 訳『弥勒下生成仏経』(大正蔵455)〕:将来、兜率天での修行を終えた弥勒がバラモンの子として下生し、悟りを開いて弥勒如来になる。 『成仏経』〔鳩摩羅什 訳『弥勒大成仏経』(大正蔵456)〕 『弥勒来時経』(大正蔵457) 『維摩経 Vimalakīrti-nirdeśa Sūtra』〔『維摩詰経』(大正蔵474)、『維摩詰所説経』(大正蔵475)、『説無垢称経』(大正蔵476)〕:内容は中インド・ヴァイシャーリーの長者ヴィマラキールティ(維摩詰、維摩、浄名)にまつわる物語である。 『四十二章経』(大正蔵784):仏教最初の漢訳経典とされる経典。 竜樹=ナーガールジュナ『根本中頌 Mūlamadhyamaka-kārikā』〔青目 釈『中論』(大正蔵1565)〕:戯論が無意義にして害多きことを示すを唯一の目的とする書。 偽経と疑われるもの 『大般若経理趣分』~『大般若波羅蜜多経 Mahāprajñāpāramitā Sūtra』の玄奘三蔵 訳『大般若波羅蜜多経』(通称『大般若経』)(大正蔵220)第578巻:西遊記でおなじみの三蔵法師(玄奘三蔵)がインド(天竺)に仏教の真理を求める旅によって得られた経典がこの『大般若波羅蜜多経』であり、ここには生きとし生けるもの、命あるものすべてが共存して行くための重要な教えが書かれている。『空』の思想が根本として説かれており、般若は智恵を意味し、智恵は人間の本来の持っている力を最大限に引き出すことが出来る。その『大般若経』全600巻の心髄を表わしている経である。 『大悲心陀羅尼』〔『千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経』(大正蔵1060)など〕: 鳩摩羅什 訳『梵網経盧舎那仏説菩薩心地戒品第十』(通称『梵網経 Brahmajāla Sūtra』)(大正蔵1484):上巻は菩薩の階位である四十種類の法門を述べたものである。下巻は十重四十八軽戒と呼ばれる禁戒を述べたもので、父母に孝順であることなど、中国的な内容が見られる。パーリ仏典の『梵網経』とは全く関係がない。 鳩摩羅什 訳『大智度論 Mahā-prajñāpāramitā-śāstra』(大正蔵1509):摩訶般若波羅蜜経27巻の解説書であり、仏教全体の解説書でもある。 『舎利礼文』:仏陀釈尊が御入滅し、火葬された後に残された遺骨、いわゆる仏舎利に対する、礼敬の意を述べた文言である。よって、狭義でのお経、つまり仏陀の言動録である経典ではない。 日本の大乗仏典 『答叡山澄法師求理趣釈経書』 親鸞聖人『正信念仏偈(正信偈)』:親鸞聖人の「教行信証」の最後に出てくるもので、「教行信証」のエッセンスともいわれる。 『曹洞教会修証義』:在家信者と僧侶のための「曹洞宗教化の標準書」と呼ばれ、法要・葬儀・施食会などで読経される。 密教仏典 『般若波羅蜜多理趣百五十頌 Prajñāpāramitā-naya-śatapañcaśatikā』(通称『理趣経』)〔玄奘三蔵 訳『大般若波羅蜜多経』(通称『大般若経』)(大正蔵220)より『大般若経理趣分』、不空 訳『大楽金剛不空真実三摩耶経』(大正蔵243)〕:理趣とは、道筋の意味であり、「般若の知恵に至るための道筋」の意味である。他の密教の教えが全て修行を前提としている為、専門の僧侶でないと読んでもわからないのに対し、『般若理趣経』は行法についてほとんど触れておらず、一般向けの密教の入門書という位置づけだと考えられている。 『大毘盧遮那成仏神変加持方等経の帝釈天と名付くる法門 Mahāvairocanābhisaṃbodhivikurvitādhiṣṭhānavaipulyasūtrendrarāja nāma dharmaparyāya』〔『大毘盧遮那成仏神変加持経』(通称『大日経』)(大正蔵848)〕:宇宙の真理を体現する法身仏である大日如来が、菩薩の代表である金剛薩たちの質問に答えるという形式で書かれている。 『金剛頂経(真実摂経) Vajraśekhara Sūtra』〔『不空訳『金剛頂一切如来真実摂大乗現証大教王経(大教王経)』(通称『金剛頂経』)(大正蔵865)〕: WEB大正新脩大蔵経目録 つばめ堂通信 http //www.horakuji.hello-net.info/dhyana/texts/zou-agon_kyou/index.htm 2017-08-09 お経にはどんな種類がある
https://w.atwiki.jp/tousounokeitou/pages/484.html
『ギンガに旅立て、ミト王子』-2 作者・ユガミ博士 26 バードランド星・領主の館*** その夜、バルバンのアジトとなっている領主の館では酒盛りが行われていた。 その上座の位置にはバルバンの幹部である銃頭サンバッシュと闇商人ビズネラ が酒を飲んでいた。 サンバッシュ「もっと、酒だ。酒を持って来いー!。」 ビズネラ「サンバッシュさん、酒の飲みすぎは体の毒ですよ。」 サンバッシュ「うるせー!、今は飲みてー気分なんだよ。」 そう言って、サンバッシュは部下が持ってきた酒を飲んでいった。 サンバッシュ「(Gショッカーだが何だが知れねぇが、俺達がバルバンが 何で、こんな所にいなきゃいけねぇんだ?。船長の命令だから 仕方がねぇが、ギンガマンに借りを返せねぇとはよ・・・。)」 現在、バルバンはGショッカーのエドン国侵攻のためにこのバードランド星を 占領した。だが、サンバッシュは2度も自分達を地獄へと葬ったギンガマンに 復讐が出来ない事に苛立っていた。 ヤートット「ヤートヤートット。」 サンバッシュ「何!?、侵入者だと。」 ビズネラ「早くここに連れて来なさい。」 ヤートット「ヤートット。」 ヤートットは侵入者を連れてきた。その侵入者は背の低い老人とシルクハット をかぶった背の高い中年の男性の2人組みだった。 背の低い老人「こりゃー、離さんか!。このわしを誰だと思っている、 エドン国家老カミシモノカミ・ゴクロータ・アリフレテルド・ バルジャンじゃぞー!。貴様等ー、エドンの者ではないな。 この星で何をしておるー!。」 ビズネラ「エドン国の家老ですと。」 サンバッシュ「ほう・・・、そいつが本当なら後で利用できそうだな。 こいつらを牢屋にぶちこんどけ。」 バルジャン「何をー!、あっ、離せ。」 ジンナイ「旦那様、落ち着きましょうよ。」 バルジャン「こりゃー、ジンナイ。お前は何故、そういつものんきなんじゃ。」 バルジャンと従者のジンナイは牢屋へと連れて行かれた。 サンバッシュ「全く、やかましい爺さんだったな。おい、この星の女に 酌させろ。」 サンバッシュの命令の後、フードをかぶった女性達が酒盛りをしている ヤートット達を酌するのであった。 27 だが、その女性の1人がかなりの巨体で、顔を見てみるとひどい醜さだった。 おもわずヤートット達も・・・。 ヤートット「ヤート(オエー)。」 吐き気がした。お気づきの方もいるであろう。ここにいる女性はミト王子達 御一行の変装である。王子達がバルバンを引き付けている内に、J9が奴隷 となっているバードランド星の住民を逃がす算段となっている。 ビズネラ「ん・・・。何だか眠気が。」 ヤートットA「ヤ~~ト。」 ヤートットB「zzz。」 酒には睡眠薬が仕込まれており、バルバン達は次々と眠り始めた。そして、 全員眠りについたと確認するとミト王子達はフードを脱いだ。 スケさん「どうやら、全員眠ったようですな。」 ミト王子「うん、後はJ9が住民の皆を開放するだけだね。」 サンバッシュ「何を開放するって?。」 ミト王子御一行「!?」 ミト王子達は驚いた。眠っていたと思っていたサンバッシュが起きていたのである。 サンバッシュ「俺は色んな修羅場を今まで、くぐってきたんだ。眠り薬ぐらい 気づかない程馬鹿じゃあねぇぜ。テメェら、起きやがれー!。」 バン!バン! サンバッシュは銃を天井に向かって撃ち、その銃声で他のバルバン達は 目を覚ました。 サンバッシュ「侵入者だ。この場で処刑だー!。」 カクさん「王子、これは戦うしかありませんな。」 ミト王子「こうなっては仕方が無い。行くぞ、スケさん、カクさん、 シノブさん。」 スケさん&カクさん&シノブ「「「応!。」」」 ミト王子達は剣を取り出して、バルバンとの戦闘が始まった。 ミト王子「とりゃぁぁぁ。」 ヤートットA「ヤト~~~。」 カクさん「どすこ~い。」 ヤートットB「ヤートット。」 シノブ「ハッ!」 ヤートットC「ヤートット。」 ミト王子達の攻撃にヤートット達は次々と倒されていった。 サンバッシュ「喰らえ!。」 サンバッシュの銃弾がミト王子に向かって放たれた。 28 ズキューン だが、別方向からの銃弾がサンバッシュの銃弾の弾道を外した。 その銃弾が放たれた方向を向くと、そこにはJ9の面々が終結していた。 コルシザー「サンバッシュ様、あいつら脱走者を逃がした一味ですぜ。」 サンバッシュ「貴様らは、何者だー!。」 アイザック「宇宙の始末屋、コズモレンジャーJ9だ。」 お町「奴隷となっているバードランド星の住民はもう開放済みよ。」 キッド「後はあんた等の始末だけさ。」 言うやいなや、J9はそれぞれの武器で、コルシザーを攻撃した。 キッド「これは対エイリアン用の銃弾だ。受け取りな。」 お町「そして、これは対エイリアン用の小型爆弾よ。」 ズキューン! ドカーン! コルシザー「ぐわぁぁぁ。」 コルシザーは倒れた。 サンバッシュ「コルシザー!、テメェ等よくも・・・。」 ミト王子「さぁ、おとなしく降参しろ。」 サンバッシュ「クッ・・・『サンバッシュさん』ビズネラか。」 いつのまにか消えていたビズネラからサンバッシュに通信が入った。 ビズネラ『例の物の準備が整いました。いつでも出撃できます。』 サンバッシュ「良し。」 そう言うとサンバッシュは隠し通路へと消えていった。一方、コルシザー の方も再び立ち上がり、懐からボトルを取り出した。 コルシザー「バルバエキス!。」 コルシザーはボトルの蓋を開けて、中に入っているバルバエキスを飲んだ。 バルバエキスはバルバンの魔人達が持つ巨大化ができる液体である。 ただし、服用した者は自らの命を縮めるという副作用があるため、最後の 手段なのである。 コルシザー「効くぜー。」 アイザック「いかん、皆すぐにここを離れるんだ。」 コルシザーは巨大化し、建物は崩れていった。ミト王子達とJ9は アイザックの指示によって何とか事なきを得た。 29 スケさん「王子、あれを。」 ミト王子「ん!?。」 スケさんの指差す方には宇宙戦艦が上空を浮かんでいた。そして、その戦艦 から一体の人型ロボットが現れた。そのロボットの姿は何と、サンバッシュ そっくりの姿だった。 サンバッシュ「どうだ、ビズネラに特別に作らせた俺専用の戦闘ロボット、 その名もサンバッシュロボだ。本当はギンガマン相手に使う つもりだったが、試運転に相手させてやるぜ。」 スケさん「王子。」 ミト王子「うん、クロス・ソード。」 アイザック「ボウィー、ブライサンダーを寄越してくれ。」 ボウィー『OK。ちょっと待ってね。」 ミト王子は腰に下げてある剣を上に向けて、宇宙船POUH号に搭載されて ているエースレッダー、コバルダー、アオイダーを呼び出し、アイザックは ブライサンダーを呼び出し、J9は中へ乗り込んだ。 スケさん「控え、控え、控えおろー。こちらにおわすお方こそ、 トクガー16世、エドワード・ミト王子なるぞ。」 ビズネラ「何ですと!?。」 サンバッシュ「あの小僧が。ウソならもっとましなウソをつくんだなぁ。」 ミト王子「ならば、しかとその目で見よ。行くぞ、スケさん」 スケさん「応。」 ミト王子「カクさん。」 カクさん「応。」 ミト王子「クロス・トライアングル。」 ミト王子達の乗る3機のロボットはそれぞれ変形を開始した。エースレッダーは 頭部・胸部へ、アオイダーは両腕・腹・腰へ、コバルダーは両足となった。 その3機が縦に合体していき、エドン国が誇る最強のロボット、ダイオージャと なった。そして、胸のエドン国王家の証であるエンブレムが光輝いた。 コルシザー「ははー。」 サンバッシュ「馬鹿か、エドン国の住民じゃねぇだろー!。」 コルシザー「あ、つい・・・。スイマセン。」 思わずコルシザーは頭を伏せてしまい、サンバッシュに起こられる。 アイザック「我々も行くぞ。ブライシンクロンマキシムだ。」 アイザックの掛け声に、ブライサンダーはシンクロン原理によって巨大化し、 戦闘機ブライスターにさらに変形して、スーパーロボット・ブライガーと なった。ブライガーはダイオージャの隣へと降り立ち、サンバッシュ達と 睨み合う。この戦いの勝者は如何に。 30 ○ミト王子御一行→J9と協力して、奴隷となったバードランド星の住民を 開放。ダイオージャに乗り込む。 ○コズモレンジャーJ9→ミト王子御一行と協力して、バードランド星の 住民を解放し、ブライガーに乗り込む。 ○バルジャン・ジンナイ→バルバンに捕まる。 ●銃頭サンバッシュ→専用ロボット・サンバッシュロボに乗り込む。 ●闇商人ビズネラ→サンバッシュロボを用意する。 ●コルシザー→J9にやられた後、バルバエキスを飲み、巨大化する。 【今回の新登場】 ○バルジャン(最強ロボダイオージャ) エドン国の家老で王子の世話役を勤める元気なご老人。口うるさいのが玉にキズ。 本名は“カミシモノカミ・ゴクロータ・アリフレテルド・バルジャン”。 ○ジンナイ(最強ロボダイオージャ) バルジャン付きの従者。宇宙船の操縦者。 ●銃頭サンバッシュ(星獣戦隊ギンガマン) サンバッシュ魔人団のリーダー。銃とバイクと愛用する。部下共々、ノリと 思いつきで行動する。調子の良い性格をしている。 ●闇商人ビズネラ(星獣戦隊ギンガマン) 協力な武器を作って売り歩く武器商人。右腕に光線中を仕組んでいて、バルバ エキス入りの弾丸を魔人に撃ち込み、巨大化させる為の巨大化銃なるものを もっている。星獣を鋼星獣に改造した張本人。バットバスとは旧知の仲で 財産が没収された後、彼の作戦参謀となったが終盤に見限られる。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/3170.html
登録日:2011/12/13 Tue 12 33 27 更新日:2024/04/29 Mon 21 26 38 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 ひみつ道具ではない アクマロ一派 アベコンベ アヤカシ スーパー戦隊シリーズ ライオン 今週の怪人 侍戦隊シンケンジャー 入れ替え 入れ替わり 外道衆 尊厳破壊 怪人 戦隊怪人 戦隊悪役 檜山修之 火車 筋殻アクマロ アベコベ! アベコベ! アベコンベ! アベコベ! アベコベ! アベコンベ! 入替王 アベコンベ 恐怖! 絶望! 死へのカウントダウン! 参上! 恐怖の 新たなアヤカシ その名は入替王! ア! ベ! コ! ベ! アベコンベ! ―これは、人類を恐怖に陥れた、熱いアヤカシの物語である。 △メニュー 項目変更 -アニヲタWiki- 第二十七幕 入替人生 いれかえじんせい フハハハ!つまらねぇ物ほど、入れ替え甲斐があるってもんだ…… アベコンベとは、『侍戦隊シンケンジャー』に登場したアヤカシの一人。 CV:檜山修之 【概要】 上下あべこべの顔の様な、渦巻く雷雲の様な姿のアヤカシ。 胸に上下に目があるライオンのような顔があり、そこから喋る。 後半の幹部『筋殻アクマロ』の一派として登場。(*1)血祭ドウコクも知らないアヤカシで、アクマロ登場前に露払いとして出陣した。 一人称は「あっし」。べらんべえ口調で話しており全体的に性格は威勢のいい江戸っ子。 主君であるアクマロを主と呼んで敬うなど、外道衆としては忠義は高め。 ルーツは『火車』。 【能力】 武器は上下に刃のついた長巻『筋雲重長巻(すじぐものかさねながまき)』を持ち、胸の口からは火球を打ち出す。 両手の触手を伸ばし、先端に付いた針で刺した相手の魂を入れ替える能力を持つ。 この手の能力はたいてい人と人を入れ替えることが多いが、こいつはそんな生っちょろいことはしない。 アクマロが進出する先駆けにと人間世界に乗り出し、手当たり次第に道行く人の魂を物と入れ替えていった。 そう、こいつは非生物とすら人格を入れ替えることが可能なのだ。 そして駆け付けたシンケンジャー達の魂までも、物と入れ替えてしまう。 殿→招き猫 茉子→扇風機 源太→寿司 流ノ介→小便小僧 流ノ介ェ…… またアベコンベの入れ替えの犠牲者は『入れられた物』のポーズをとる。 これにより、小便小僧と入れ替えられた流ノ介の身体は、小便小僧のポーズを、あろうことかことはの前でとってしまう。しかもいい笑顔で。 そのせいで流ノ介は堂々と股間を晒す羽目になってしまった。 と、このように非常にシュールかつギャグ色全開の様相を生み出したが、外道衆がそんな面白いギャグ展開を引き起こすだけの存在であるはずもなく…… 物になっちまった人間は、人間から物としか扱われやせん。何しろ喋れねぇんですからねぇ! 人間達はそれと知らずに、人の命を奪ってしまう。知ってても知らなくても、人殺しは人殺し…… この世を!人が人の命を奪う『地獄』にしてみようってんでぇ! 実は人間の魂が入った『器物』のダメージは本人への苦痛となり、人間の魂が入った『器物』が壊されると被害者も死ぬ。 この特徴こそがアベコンベの能力の肝。魂を移し替えた器物を破壊してしまえば、如何にシンケンジャーであろうと呆気なく死んでしまう。 初戦では招き猫に丈瑠の魂を移し替えると、招き猫の方を破壊してさっさと仕留めようと目論んでいた。 劇中では入れ替えられた人達の、「いつ壊されるかわからない」「何か言いたくても言えない物になってしまった」といった恐怖で、三途の川の水を増やしていき、裏の狙いと合わせて不機嫌だったドウコクを愉快にさせている。 【活躍】 アベコンベとの初戦を終えたシンケンジャー勢はというと、招き猫のポーズのままの殿を上座に、流ノ介は小便小僧ポーズのままトイレに放置、源太in寿司は痛みかけたりとかなりカオス(*2)。 しかも源太in寿司は、ラップをかけ冷蔵庫に入れられる途中で放置、さらに猫が迫るという大ピンチに。 その後アベコンベが再度人間界に繰り出すと、二人で戦う事を決意した千明とことはが対峙、再戦する。 アベコンベは仲間と同じように入れ替えてやろうと千明に針を向ける。 が 千明の捨て身の作戦で、自分と入れ替えられてしまう。 千明inアベコンベは「元に戻す方法を教えろ」と、アベコンベin千明を入れ替え能力を使い、サッカーボールに入れて蹴っ飛ばす等の拷問を加えて翻弄。 観念したアベコンベin千明は、自身の弱点をシンケンマルで攻撃し、入れ替えられた魂を元に戻した。 身体は戻ったが致命傷を受けたアベコンベは、身体が戻ったスーパーシンケングリーンの『真・木枯らしの舞』で倒された。 恥の掻きっ放しで終われねぇ! 終わってもらわなきゃ困るんだよ! 続く二の目も、二人が操るダイカイシンケンオーであっという間に撃破された。 その後無事元の身体に戻ったシンケンジャー勢だが、殿は招き猫ポーズを写メされてたり、源太は寿司恐怖症になったり、流ノ介は茉子姉に避けられてたりと、戻った後もロクな目に遭ってなかった。 茉子は…「身体バッキバキ」と訴えたのみで比較的マシだった(「よかった…扇風機で」) 【余談】 『火車』は常に人間の身体を狙う火を纏ったネコのような化け物らしく、アベコンベの火球と「魂を入れ替えよう」と人間を狙う様子がそのルーツだとされている。 アベコンベを演じた檜山修之氏は、前年の『炎神戦隊ゴーオンジャー』および後年の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』でも、戦隊ヒーローと入れ替わってしまった怪人役を演じている(前者は事故に近いものであったが)。 また、アベコンベの胸にライオンの顔(*3)があるが、過去に檜山氏が主役を演じた勇者王ガオガイガーの主役ロボット・ガオガイガーの胸にも、ライオンの顔がある。 某猫型ロボットのひみつ道具にも同じ名前の道具があるが、あちらの能力は『機能・属性の逆転』。入れ替えとはまた違う。 なお、リメイク版パワーレンジャーサムライにはこの回をリメイクした「trading places」という回がある。ほぼ原作に準じているが、文化の違いや設定等を考慮してか、レッドは招き猫ではなくノームの置物に、ブルーはしょんべん小僧ではなくオルゴールのバレリーナに、ゴールドは寿司ではなく魚に入れ替えられている(唯一ピンクは原作と同じ扇風機)。またグリーンのいじりや写真撮影の的にされたのはレッドではなくブルーだった。 追記・修正は、魂を入れ替えられた物が壊されないうちにお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ドラえもんのひみつ道具に似たような名前があったな・・・。 -- 名無しさん (2014-02-01 20 23 20) 戦隊ではもはや恒例行事、デカブルーが犯罪者と入れ替えられデリートの危機に遭ったり、ゴーカイジャーでは似た能力の行動隊長が「地球の首脳陣とスゴーミンを入れ替えて地球を明け渡させる」計画をしていたり(実際入れ替わったのはにルカとハカセだけで済んだが) -- 名無しさん (2014-02-01 20 28 45) キョウリュウジャーのは入れ替わりよりデーボス学園の方がメインといえる珍しい事態に -- 名無しさん (2014-02-01 21 27 53) ギャグ系になりがちな入れ替わりネタを恐怖系にしたところが凄い -- 名無しさん (2014-05-12 20 56 14) 冒頭の歌止めろwww -- 名無しさん (2014-10-30 18 39 52) ルパンレンジャーで戦隊ヒーローと入れ替わったこいつと声が同じな怪人が出てた -- 名無しさん (2019-02-18 01 21 42) 一番↑ そういえば先駆者となるひみつ道具の方はまだ記事化されていないんだよね -- 名無しさん (2019-05-19 11 40 26) ワタシ、伝承ルーツは「アベコベ」だけに「天邪鬼」かと思ってた...「ナリスマシ」と同様に、鬼太郎でもカシャ×入れ替わり騒動があったから・・・それで気付くべきだった。 -- 名無しさん (2019-05-19 12 47 18) 今日久しぶりにこの話見た この回の千明凄いカッコイイ 初めて見た時はチャラ男キャラのイメージ変わった話だったなあ -- 名無しさん (2019-06-08 10 11 54) 怪人の中の人が前作で似た回の怪人を演じていたり、戦隊メンバー自らが怪人と体を入れ替えるというシーンから、前作の体入れ替え回のパロディとして作ったっぽいね。 -- 名無しさん (2019-06-08 20 53 30) 檜山さん戦隊怪人する時は大抵ギャグ回説w -- 名無しさん (2019-06-08 23 17 21) つべのサムネの破壊力w -- 名無しさん (2019-06-13 01 02 11) ある意味最大の被害者は小便小僧に入れ替えられた流ノ介だな -- 名無しさん (2019-08-15 10 26 10) 源ちゃんが危うく猫に食われそうになって発した絶叫があまりに迫真過ぎて笑っちゃう -- 名無しさん (2020-01-28 11 26 16) 空き缶にされた女の子が潰される直前で、源太と同じくらい危なかったと思う。 -- 名無しさん (2023-08-31 21 38 26) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/stairs-okai/pages/358.html
ずっと話し込んでいたら、さすがに夜風で部屋が冷たくなってきた。舞波さんはクシュンと小さなくしゃみを1つすると、チェストからブランケットを引きずり出して、2人の足を隠すように広げてくれた。どうやら、まだ話は続くらしい。 「少し前に、お嬢・・・千聖のお父様の大きなお祝い事があって、それまで全く関わりのなかったうちの家族も、招待されたんです。 私はこんな状態だし、両親だけ行く予定だったけど、是非出席をとお願いされてしまって。そこで、初めて千聖と出会いました。」 ************ “「舞波ちゃん、勉強はどう?」 「忙しい時期でしょう?友達はできたの?」 某高級ホテルの、結婚式でしか使われないような庭園レストラン。 硬直するお母さんの手をテーブルの下で握りながら、私は目の前のご婦人に、学校には行っていないんです、返事をした。この人、誰だっけ。・・・父方の叔母さんの小母さん、だったかな。 さっきお母さんが、私が学校に行っていないっていう説明をしていたはずだけど・・・それでも私に、直接聞かなければ気が済まなかったのかな。変な人。 「まあ、可哀想。うちの姪子はね、舞波ちゃんと同い年で、おかげさまで進学校に合格して、今日は部活で忙しいから来れなかったけれど・・・あぁ、ごめんなさい。こんな話、辛いわよね?」 「いえ、別に。お気になさらないでください。」 私のリアクションが予想と違ったのか、その人はあからさまにつまらなそうな顔をして、目の前のテリーヌに乱暴にフォークを刺した。 やっぱり、来ないほうが良かったのかな。 自分が何を言われても別に大丈夫だけれど、お母さんやお父さんが辛そうなのは嫌だと思う。どうして私がこの宴に呼ばれたのかよくわからないし、気持ち悪くなったとか適当な理由をつけて、そろそろ退席する準備をしようかな。 せっかく東京に出てきたのだから、こんなところでモヤモヤしていないで、両親と観光に行った方がよっぽど楽しそうだ。 「ご歓談中、失礼いたします。石村舞波さんでいらっしゃいますか」 「あ、はい。」 そんなことを考えていると、ふいに後ろから声をかけられた。黒いスーツにリボンタイの初老男性――今日はあちらこちらで同じ服装の人を見かけるから、執事さんだろうか――が、振り向いた私に一礼して、スッと青い封筒を差し出してきた。 「千聖お嬢様から、こちらをお預かりして参りました。」 「私に?」 「出来れば、早めに目を通していただきたいとのことです」 「はぁ・・・」 私は横目で、上座に陣取る家族の方を伺い見た。 本日の主役である、精悍な顔立ちで存在感のある凛々しい旦那様。 次々挨拶に訪れる客人に、愛想良く対応する美しい奥様。傍らの揺り籠では、赤ちゃんが眠っている。 そして、その隣に座っているのが、この手紙の差出人である、千聖お嬢様だった。 男の子みたいに短くそろえられた髪。旦那様譲りの小麦色の肌。中学2年生と聞いていたけれど、それよりもずいぶん幼く見える。 せわしなくキョロキョロ動くビー玉みたいな目が可愛くてジッと見つめていると、思いっきり視線がぶつかってしまった。 「あっ」 「あっ」 かなり席は離れているけれど、同時ぐらいにお互い息を呑んだのがなんとなくわかった。 「舞波?」 「ちょっと、外出てくるね。」 私が席を立つと、視界の隅っこで、千聖お嬢様も慌てて立ち上がったのが見えた。ジュースでもこぼしちゃったのか、軽い悲鳴と奥様の叱咤の声が聞こえる。 その声を背に、一足先に私は中庭へと足を運んだ。 美しい草花に囲まれたベンチで目を閉じてぼんやりしていたら、さっきまでの少し沈んでいた気持ちが落ち着いてきた。 そろそろ、来るかな? なんとなくそう思って、目を開けて姿勢を正した。 ジャストタイミングだ。数秒遅れて、蔦の絡まる柱の陰から、千聖お嬢様がよたよたと歩いてきた。慣れないミュールのヒールが憎らしいのか、困った顔で何度も踵と地面を見比べている。 「千聖お嬢様、こんにちは。はじめまして」 「きゃっ!」 いきなり声をかけたから、驚かせてしまったらしい。小柄な体が派手によろける。 私はベンチから離れて、よろけた千聖お嬢様を受け止めるように手を差し伸べた。 「あ・・・」 一瞬、触れた肩が強張った。そっか、触られるのは苦手なのかな。あまり気を使わせないよう、なるべく自然に手を離して、「大丈夫ですか?」と声をかけた。 「えと、はい、大丈夫です。支えてくださって、ありがとうございます。」 緊張しぃなのか、お嬢様はほっぺたを赤くして、若干モゴモゴした口調になっていた。 「あの、舞波さん。ありがとうございます。」 「え?」 「だって、お手紙、すぐに読んでくださったのでしょう?だからここに・・・・」 そう話しだしたお嬢様は、私の手元に視線を移すと、不思議そうな顔をした。 「あら・・?読んでいらっしゃらないの?でも、それならどうして?」 しまった。もらった手紙を持ったままにしていたから、シールでしっかり封をした、開けられた形跡のない封筒が、お嬢様の目にとまってしまった。 執事さんに聞きましたとか、言い訳できなくもなかったけれど、なんとなくこのお嬢様には嘘をつきたくなかった。・・・というより、話してもいい、となぜか思えた。自分の、特殊な能力のことを。 「お嬢様。話半分で聞いていただきたいのですが、実は私・・・」 「・・・そう、だったの。とても勘がすぐれているのね。だから、千聖のお手紙の内容が、読まなくてもなんとなくわかってしまった」 丁度話の区切りがついたところで、お嬢様は微笑した。 ライトイエローのドレスから伸びるお嬢様の小麦色の足が、庭園の土を軽く蹴って、二人乗りのブランコが緩やかに動く。 「驚いたわ。お呼び出しした場所までわかるなんて」 「なんとなく、ですけど。イメージが沸いてくるんです。」 驚いたとはいうものの、私の能力の話を聞いても、お嬢様は特別大きなリアクションは起こさなかった。最初は両親でさえ軽くパニックを起こしたというのに、この反応は新鮮だった。 「まるで、魔法使いのようね。千聖のクラスにも、魔法に憧れている方がいるのよ。あんまり話したことがないけれど・・・きっと、すぎゃ・・彼女が聞いたら、うらやましがるわね。」 「でも、百発百中ではないんですよ。外れれば人に迷惑をかけるし、あんまりお見せするものではなかったですね。すみません、不注意でした。」 私が頭を下げると、千聖お嬢様は不思議そうな顔をした。 「どうして?失敗は誰にでもあることでしょう。千聖も走るのがとても得意だけれど、転んでビリになってしまうこともあるわ。舞波さんもせっかく素敵な力をお持ちなのだから、失敗を恐れることはないと思うけれど・・・ きっとその能力は、人を笑顔にする素敵なものなのではないかしら。・・・舞波さん?どうなさったの?」 「いえ、あの・・・」 あまりにも予想外なお嬢様の言葉が心に刺さって、私は身動きが取れなくなってしまった。ここ数年、淡々と、心を揺さぶられることなく生きてきた私にとって、リハビリもなにもかもすっ飛ばしたいきなりの激情だった。 「舞波さん?」 「あ・・・すみません、何かそんな風に言ってもらえるなんて、びっくりして、目から鱗っていうかっ」 何とか場をつなごうとして口を開くと、昂ぶっていた神経がそうさせたのか、いきなり涙があふれた。 「ごめ、ちょっと、すいません、私ったら」 「まあ。舞波さんたら、目から鱗じゃなくて涙が零れてしまったのね」 私の目じりを、お嬢様が優しくハンカチで拭いてくれる。バニラのいい香りがした。 「あのね、舞波さん。今日ここに舞波さんを強引にお誘いしたのは、私なの。」 「どうして・・・?」 「わからないわ。お父様から、遠縁の親戚で年の近い方がいるって聞いたときに、なぜか無性に会いたくなったの。きっと、素敵なお友達になってくださるような気がして。これは、きっと千聖の超能力ね。舞波さんに出会えてよかった」 お嬢様はそう言って、ウフフと笑った。 「よかったら、これから千聖のおうちに遊びに来ない?ここから近いの。車で10分ぐらいよ。せっかくお友達になれたのだから、もっと千聖のことを知って欲しいわ。」 「でも」 「お願い。ね、舞波さん?舞波さんのお父様とお母様にも、千聖からお願いしてみるから」 「ウフフ、わかりました。では、2人で交渉してみましょう。」 「本当?嬉しい。後で妹弟のことも紹介するわね。そうね、まずは、会場に戻りましょう。」 千聖お嬢様はパァッと明るい表情になって、勢いよくブランコを飛び降りた。 「もう、お嬢様ったら、ミュールで危ないですよ」 「大丈夫よ。早く行きましょう、・・・舞波、ちゃん」 「もう、そんなに急かさないでくださいって。・・・・千聖。」 一歩間違えれば大変な無礼にもなるけれど、きっと、これがお嬢様の望み。案の定、お嬢様・・千聖は少し目を丸くした後、目をくしゅっと細めて笑った。 「やっぱり、舞波ちゃんはすごいのね。千聖の自慢のお友達だわ。」 まるで羽でも生えているように、軽やかな足取りで、千聖は走る。その背中を見つめ追いかけながら、私は初めて、この能力を持って生まれてきたことに心から感謝した。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/2568.html
フタバ=スズキ八代目竜将軍が高級料亭『ハナブサ亭』へやってきたところ、ちょうど屯していた岡っ引たちが引き上げていくところだった。 彼自身はいつものように威厳も何もあったものではない着流し姿である。 それでも役人ともなれば将軍閣下の顔を覚えていない者などおらず、横を通るたび一様に略式ではあるが礼を欠かさず行っていく。 「なんでぇこりゃあ」と気の抜けた声を漏らした将軍はハナブサ亭の白塗りの塀沿いに歩を進め、門を潜ろうとしていた町方同心を捕まえた。 横合いからかかった無遠慮な声に鋭い視線を向けた魚人の同心は将軍と分かると態度を一転、背に鉄棒が入ったように姿勢を正す。 わけを聞かれて同心が口を開いたのと、その“わけ”が運び出されるのはだいたい同じ拍子だった。 岡っ引たちに縄をかけられて連れて行かれるのはいかにもごろつきといった風体の男たちだ。 ハナブサ亭の枯山水で構成される雅な庭園からぞくぞくと運び出されていく男たちは何故か皆氷漬けとなっている。 肉体の一部につららが垂れ下がっていたり、はたまた全身が霜で覆われていたり。それだけで何者の仕業か理解するのに時間はかからなかった。将軍にとっては。 「ガンセのやつ、無茶をしやがって」 苦笑いと共に同心と岡っ引たちを労って店の敷居を跨ぐ。 凍えているせいで威勢の悪いごろつきたちの罵声を背中に聞きつつ岡っ引の最後のひとりとすれ違い、玄関で待っていた女将に「よう」と手を上げて挨拶した。 深々と頭を下げた居住まいの美しい女将とはしばらくの付き合いである。“会合”に『ハナブサ亭』を使いだしてもう久しい。 ハナブサ亭に降って湧いた災難の火種となったのは我々だろうという限りなく正しい推測から女将に謝罪しつつ、ドニー杉で出来た廊下を女将の背を追って渡っていく。 木張りの廊下にひんやりとした空気が漂っているのは普段通りだが、どことなくその温度がいつものそれより低い気がするのは先程のごろつきたちの様子を見たからだろう。 やがて到着した巨大な襖―ハナブサ亭は外来の客のことも考え天井がかなり高い―を女将がしずしずと開けたところ、大規模の会食場には既に3人の待ち人が酒盃を空けていた。 一歩踏み入れて開口一番、将軍はその中のひとりに若干非難めいた口調で声を掛けた。 「おいガンセ!てめぇこの店に迷惑かけてんじゃねぇよ! 店のもん何にも壊さなかったろうな!」 ミズハミシマの陸と海を繋ぐ海神気道橋や祀り舞台を一望できる最も位の高い部屋を雷鳴のような笑い声が満たす。 「は は は は は ! てことは表のを見たかい殿様よォ!安心しろよォ、どいつもこいつも店の門前で片付けてやったぜェ? クロツグの透破どもが張ってるてのに馬鹿な連中だぜェ!」 げらげらと豪快に笑う凶悪な人相の鱗人を含めた、6つの瞳が一斉に将軍の方を向く。 小さな影、大きな影、途方も無く巨大な影。それぞれがフタバ=スズキ将軍を待っていた者たちだった。 「ガンセ……お前な! そういう楽しげなことを一人でやっちまいやがって!どうして俺を待たねぇ! 待てよ、そうか伝令をよこしたのはお前だったなクロツグ?お前か!『少し遅れてやってこい』と俺を仲間外れにしやがったのは!」 「確かに大樹様にそうお伝えしたのは“私ら”のひとつですが、発端は“私ら”ではありません。 そこの図体のでかい腹黒です」 将軍の恨みがましい視線を事も無げに受け流し、小さな影はそのすぐ横に“聳え立っていた”巨大な影をちらりと睨む。 「そりゃあ、まあ、そうでしょう上様。 あんな大立ち回りの最中に上様をお呼びするわけには、まあ、いかんでしょうよ。 いくら上様が喧嘩を買いたげになさっていてもそれをお咎めするのが拙の仕事ですし、それにそもそもの言い出しっぺはガンセですよ。なあ、ガンセ?」 巨大な影が苦笑交じりにじろりと対面の席に座る鱗人に瞳を向けると、若干ばつが悪そうに頬をかきつつその男は釈明を始めた。 「ま、まあなァ? 元を正せば俺が招いちまった連中だしよォ?ケジメつけんのは俺の仕事ってもんよォ、いくら殿様でもそんなことをさせるわけはいかねぇわなァ。 しかし詳しいことは後で話すがァ、これで今日の俺様の『議題』は無くなっちまいやがったぜェ。となりゃあ、俺はここにタダ酒飲みに来ただけってわけだァ! は は は は は は は は !」 男の長く裂けた口がにんまりと歪み、手のひらよりも大きな盃になみなみ注がれた酒を勢い良く喉の奥に流し込んだ。 三者三様、ひとつとして似た性質のない人格たち。席の上座へ向かって畳を踏みながら将軍は喉の奥で笑った。 この凸凹とした三人組こそミズハミシマに名高い三将。水精霊の寵愛を一身に受ける者。フタバ=スズキ八代目竜将軍が懐刀にして最強の切り札たち。 《凍えのガンセ》、《煙りのクロツグ》、《流れのキザン》。 敬意と畏怖を込めて遍く民たちに《三本槍》と称される、万夫不当の猛将たちである。 「そら、いつまでもじゃれてんじゃねぇよ! いつもの《サツキ会》、始めっぞお前ら!とりあえずは好きなだけ飲み食いしやがれ!」 部屋の最も奥に設えられた席へ将軍がどっかと座り込むと、3つの影が一斉に居住まいを正したのだった。 「あの方々の定例報告会、《サツキ会》にあなたがお料理を運ぶのは初めてだったわね」 厨房で料理の配膳を待っていた新入りに女将が再三の忠告を行った。 台所に忙しさはない。今日は貸し切りだからだ。ただ、奇妙な緊張感があった。張り詰めているようで緩んでもいる。 それはあのフタバ=スズキという将軍の人となりが生み出しているものなのか。 「知っての通り、フタバ=スズキ八代目竜将軍と《三本槍》の方々による個人的な近況報告会がサツキ会よ。 公的な会合ではないけれど、ミズハミシマという国の運営の一端を担っている大事なものなの。 あなたはここで働きだして1年だったわね。将軍様が是非新人には経験を積ませよとおっしゃるからあなたにお料理をお届けさせるけれども、くれぐれも注意するのよ。 それから………」 鱗人の女将の口が酸っぱくなるほどの注意を受けた後、ようやく送り出されたのがつい先程のこと。 さぞや真剣な顔つきで話し合いが進められているのだろう―――とは、この料亭の誰もが思わないことだ。 なんせ――――普段のサツキ会は、スズキ将軍の幹部たちの報告会と称した酒飲み会でしか無いのを皆知っている。 「さて、さっきも言った通りよォ。あの残党共が俺の懸念材料としてここに持ち込む議題だったわけよォ。 ヤツらはゴリガシラのジジイの領地で悪どいシノギをやってた極道でよォ、アクロ組てんだがァ…調子にに乗ってこの竜宮城下にも足を伸ばしてきたってわけだ。 勿論乗り込んでぶっ潰してやったんだがちょいと逃しちまっててよォ?そいつがちと心配だったんだがァ…。 何のことはねェ、俺に仇討ちしかけてきやがったがなァ。網を張ってないわけねェってのになァ!は は は は は !」 鱗人の横に座り『瑠璃海老の酒蒸し』を配膳すると「ありがとよ」と男臭い笑い方で礼を言ってそのまま殻ごとばりばり食べ始めてしまった。、 鎧のように分厚く硬質な光を放つ鱗の下に巨岩のように盛り上がった筋肉を閉じ込め、そしてそれと同等かそれ以上にいかつく大きな顎を持った大男。 下は紺色の袴、上は着物を肩に羽織っただけの裸といった装い。着物は金糸をふんだんに使ったひどく派手な錦模様で、男の人となりを示しているかのようだった。 背中側を黒々とした体皮が覆っているが喉から腹にかけては目の覚めるような美しい淡黄色であり、額から盛り上がった瞳には獰猛な荒ぶる意思の中にどこか静やかな知性が宿っている。 それらも相まってただの乱暴な傾奇者と思わせぬ何かを感じさせる男だった。 名をガンセ。ミズハミシマ最大の護りを敷かれる竜宮城下には3つの奉行所『竜宮奉行』があるが、その全体を統括する立場にいる重臣である。 薙刀《轟丸》を有し、水精霊の亜種たる氷精の加護を一心に受ける実力者のひとり。歯向かった者は尽く氷漬け、《凍えのガンセ》。 「ゴリガシラのジジイもカンカンさァ!は は は は ! 手を焼いていた連中がようやく見せた弱みだ、今頃やっきになって潰しにかかってんじゃねェかァ?ゲコゲコうるさく鳴いて奉行所に怒鳴りつけてる最中だろうさァ! なあクロツグ!てめェの“海風”はどういう風向きだァ?」 「……およそあなたの想像通りに“風”は吹いているようだ」 ガンセの対面の席に折り目正しく正座で座っている小さな、とても小さな影からそれは発せられていた。さほど大きくはないのによく通る声だった。 「今ゴリガシラ公の使者がこちらに向かっている。支部壊滅の報を受けて竜宮奉行所とアクロ組撲滅の協力体制を取りたい、という旨を持ってな。 ガンセ、すぐにもあなたの元にも報がやってくるだろう。これはあなたの管轄だ。 “私ら”のひとつによれば、そういうことだ」 空になっているお猪口に酒を注ごうとすると「いただこう」と女はお猪口を片手で支えつつ、己の見解を述べた。 2メトルはゆうにあるだろうガンセと比べれば何回りも小さい。銀糸による飾りがあるので辛うじて喪服には見えぬ黒い着物を来た小さな姿だ。 しかし、その姿もまた特異。服の飾りにある銀糸の美麗さが霞むほど美しい、銀の髪。そこから冷気を発しているように錯覚するほどだ。 公務においては短髪にすら思えるほど複雑に編み込んでいる髪も今は解いて肩口まで垂れ下がっている。誰もが羨むような艶やかな髪。 その髪の中から突き出ているのは髪とはまた違った艶やかさを放つ白亜の角だ。二又に分かれたその角が彼女を竜人なのだということを示している。 褐色のきめ細かい肌を視線でなぞっていけば細面に二つ並んでいる藍色の目に行き当たる。深海のように昏い蒼さに宿る冷たさだけで姿全体から感じる線の細さが引き締められて余りある。 細面から刃の切れ味すら感じるのに纏う雰囲気は深山にかかる濃霧のように不気味さを持った女だった。 華奢で一見若枝のような危うさが四肢にはあるのにその実は手先の指一本、つま先の爪ひとつまで全身が是凶器である。それだけの実力無しにこの席にいることは許されない。 《煙りのクロツグ》、竜宮島における隠密忍軍の頂点。 首長オトヒメと主従関係を結び領地を分けられた諸侯たる『海守』たちの全ての領地に“海風”を飛ばし、それに飽き足らず世界中に“風”を吹かせるミズハミシマの耳の長。 先に話に上がっていたゴリガシラも南部の海守だが、当然その“海風”は彼の元へも吹き付けている。既に届くはずの情報の内容もすっぱ抜かれて使者より先にここへ届いているのがその証拠だ。 ぐい、とお猪口に注がれた酒を飲み干したクロツグは、落としていた視線を上げる。見つめられれば多くの胸をざわめかせる藍の瞳がガンセを見た。 「……………ところで、たった今しがただが。 “私ら”のひとつがお前が吹き飛ばした残党共の残りの行き先を捉えたぞ。 お前、“私ら”が張ってるのを知ってわざと何人か逃したろう」 「………俺が出向くかァ?」 先程からこの部屋には自身しか足を踏み入れていないのに、いかにしてその情報を得たのか――驚く新人給仕を他所にガンセの目が鋭い光を帯びる。 ただそれだけでこれまでの豪快奔放とした態度から冷たい刃の温度まで下がる。火でありながら氷。冷たくありながら熱い。ガンセという男の有り様だ。 上座で腕組みをするフタバ=スズキ将軍と、ぐい呑みを摘んでいたキザンの視線もクロツグに集中する中、ことりと小さな音を立てて膳にお猪口をクロツグが置いた。 「必要ない。“私ら”で処理をする。 追って沙汰は知らせよう。それでよろしいでしょうか、大樹様」 「おう、任せるぜ。“海風”に間違いはねぇだろう。いいな?ガンセ」 「殿様がそう言うなら、俺ァ何も言うことは無ェよ」 「………では、大樹様。途中ながら暫しの退席をお許し召されよ」 クロツグが双方からの断りを得た途端、新人給仕は視界の違和感に目を瞬かせた。 室内に立ち込め始めるは、霧。最初は薄っすらと、しかし白墨が流し込まれるように急激に濃く漂い始める。 やがて視界もおぼつかなくなった。室内だというのに右も左も分からなくなる―――と。 控えめに、だが確かに新人給仕の手を引く力がある。大きい。樫の枝でも差し向けられたかのような。 この濃霧の中ではただひとつの確かな感覚だ。思わずぎゅっと握りしめていれば、霧は徐々に晴れていく。 実時間では20秒も無かったのではなかろうか。晴れた先、新人給仕が見たのはこちらに手を差し伸べるキザンの姿と、その横に座っていたクロツグの空席だ。 「……いつものように霧に“溶けやがった”か。はっは、奴らも不幸だな」 「まったくだぜ殿様ァ。 俺が行ってりゃ氷漬けになるだけで済むってのによォ。クロツグが行きゃァ容赦なしだぜェ」 「まぁ、これで一安心だねぇ。後始末は頼むよガンセ? ああ。もう大丈夫だよ。クロツグは足取りを掴ませないことに関しては徹底しててね。でも、まあ、こうしてみると結構派手だよねぇ」 遥か上、天井すれすれから人を安心させる緩やかな視線が差し向けられ、ようやく我に返って新人給仕は飛び退いた。 2対の手槍、《竹割長光》。それを腰に帯びた《煙りのクロツグ》率いる隠密忍軍は噂ばかりの先行する謎の多い存在だ。 筆頭のクロツグは水精霊でも特殊な亜種と縁があり、時に天候すら操るという眉唾な話もある。 ………しかし謎という点では。その横に座っていたこの巨漢も、さして変わらないかもしれない。 ただ、座っているというよりは聳え立っている、と言ったほうが表現としては近いものだった。 それは小さな山だ。大柄な鱗人であるガンセが横にいても遠近感が狂うほどの巨漢だ。 「まぁ、クロツグが帰ってくるまでに拙の話をしようか。 ……あ、お酒注いでくれる?はは、まあ、ありがとう」 へらり、と気の抜けるような笑顔は新人給仕の頭上2メルトルも上に浮かんでいる。 身の丈3メトル、いや3メトル50サンチはあるだろう。白い格子の中に淡い黄色の斑点を宿した独特の模様で皮膚は覆われている。 服装は華美すぎず質素すぎずといったもので、ところどころ装飾のある乳白色の羽織に黒の袴という出で立ちだ。 例えるなら巨大な巌がミズハミシマの正装を着こなしているようなものだが、圧倒的な存在感にも関わらず見た目ほど圧迫感を感じさせないのはこの巨岩の内面がそうさせるのかもしれない。 ちびちびとぐい呑みを傾けながら全員を見下ろすその瞳は身体に反比例するように小さく、だがしかし険しさはない。穏やかな光を湛えていた。 トロールの平均身長すら超えるこの男は、だがしかしトロールではなく、ミズハミシマでは珍しい高級官吏を担っている魚人である。 猪首から映える扁平とした頭からぐつぐつと大釜が煮立つ音が響く。“小さく”笑っているのである。 「で?キザンよ。 お前からはどうだ?オオミズチノトゲマロの爺さんと顔つき合わせて金ぶん取ってくるのがお前の仕事だが、うまくいってんのかい」 「いやあ、まあ、上様。あの方はさすがですねぇ。 先日海将棋のお手合わせをしたのですが、あの翁公はああ見えて攻めっけの強い戦いっぷりでして」 「うへえ。俺ァ、あの爺様とはなるべく顔合わせたくねェや。 よくやるぜ腹黒野郎。お前じゃなきゃあの爺様の相手は務まんねェ」 「はは。まあ、でも、ある程度は、ね」 ちらりとキザンの流し目が新人給仕に送られる。 口が堅いことで知られるハナブサ亭でも、給仕がいる場所では出来ない話、ということらしい。そこでようやく新人給仕はこの場に居付きすぎたことに気がついた。 慌てて失礼しましたと詫びを入れ退出しようとしたところで、「ところで」とキザンの話が再開した。 「で、ここからは正味の本題。 まあ、来ますよ――――海嵐」 途端、どっと溜息がふたつ上がった。フタバ=スズキ将軍とガンセのものだ。この場にクロツグがいれば…溜息はしなかったかもしれないが、やれやれと頭を振るくらいはしたかもしれない。 嵐たる『海嵐』を察知することなど、誰にもできることではない。だが、この場にいる男は別だ。この、《流れのキザン》は特別だ。 十字槍《波潜》の持ち主キザンは“流れる”水精霊に愛された男である。彼が一声かければ海中の水精霊が耳元に囁くのだ。海流の行方を。 「………やれやれ、いつ来る?」 「4日もすれば勢いも出てくるでしょう。そう水精霊は言ってますよ。 というわけで、お二人はよろしくお願いしますよ」 「そろそろ時期だとは思ってたがなァ………しゃーねーやァ。 ここから帰ったら3つの奉行所に出回りゃなァならねェな。アクロ組残党どころの話じゃ無くなってきちまいやがったァ。殿様ァ?」 「おう。俺の名前で全国に注意報を発布させるぜ。 今年もなんとか乗り切らにゃならねぇな。ガンセ!竜宮城下は頼んだぜ!」 「応よォ殿様、竜宮城の城下じゃなにひとつ損害を出させやしねぇよォ」 「よし。キザン!」 「まぁ、発布する内容の草案を考えなければなりませんねぇ。こっちで考えておきますがよろしいでしょう?上様」 「ああ、任せるぜ。 あとはクロツグが戻り次第………」 会談の場は突如として海嵐の対策会議所となりつつある。 酔漢の顔つきから一転、国の運営を司る者の表情となった三人を後に、失礼しましたと新人給仕は襖を閉めるのであった。 「『あちら』は海嵐の会議の真っ最中、か?」 1本1本運んでいたのでは間に合わないため、酒瓶の入った木箱ごと運ぶ決心を固めた新人給仕に後ろから声がかかる。 誰もいなかったはずの場所からだ。思わず振り返れば、柱の影からどろりと沸き立つような冷ややかな影がある。 装いを変えたクロツグだった。着込んでいた着物ではなく、いかにも忍びといった軽装。 請け負った仕事をもう終わらせてきたというのか。新人給仕の顔を見たクロツグは然りと頷く。 「だろうな。時期が時期だし、キザンが早めに予定を合わせてきたのはそういうことだろう。 “私ら”のひとつを忍ばせても即座に感知する化物しかあの場にはいないが、そのくらい“風”が流れてこなくても予測はつく。 “海風”を全国の海守へ差し向ける必要があるな。毎年のことだが面倒な仕事だ。手配しておくか………」 こりこりとこめかみを揉んでいたクロツグが新人給仕の視線に気づく。 給仕としては、絡繰や人形に似た作り物めいたクロツグが人間らしい仕草をしているのがどこか可笑しかったのだ。 ふん、とクロツグの細面が鼻息をついた。不快そうな感情はない。 「“私ら”とて面倒は面倒さ。海嵐については注意を細部まで行き渡らせよというのが首長オトヒメ様の厳命だ。 本当の意味で全国を駆けずり回らねばならん。“海風”の速度はミズハミシマで一等だからな。全く、忍びが飛脚の真似事とは聞いて呆れる」 物陰で腕組みをしたままクロツグが話を続ける。意外と公的な場以外では饒舌な性分なのかもしれない。 「だが不満はない。大樹様、フタバ=スズキ八代目竜将軍様にはな。 その一点でガンセとキザン、あの人知を超えた化物どもも結束しているのだろうよ。 ……いかんな、喋りすぎだ。秘密は口が裂けても割るつもりはないが、引き換えどうでもいいことなら滔々と喋ってしまうのは“私ら”の悪い癖だ」 気を取り直すように軽く咳払いするとふいに酒瓶の入った木箱をクロツグはひょいと担ぎ上げた。 慌てて止めてもまるで聞き入れもしない。すたすたとサツキ会の面々が待つ宴会場へ歩き去っていく。 鱗人である自分よりひとまわりも小さなその竜人の背を見ながら、新人給仕はふと思う。 ――――もしかしたら、愛想が悪いだけでいい人なのかもしれない。この人も。 久しぶりの将軍配下登場。ミズハミシマ最高戦力の面々もしっかりキャラが立っていて時代劇めいた光景が浮かんでくる。言い回しや語句もしっかりそれっぽくてちょっとほっこりする流れにわむ -- ((代理)) 2016-10-15 21 53 00 適度な騒ぎと緊張感のあるそこそこ平和な世の中のミズハミシマは時代劇のテンプレだな -- (名無しさん) 2016-10-15 23 49 49 三本槍と将軍がそろうと大岩三つに囲まれた細い女性ということに?VIP部屋も思わず手狭に -- (名無しさん) 2016-10-16 20 39 05 上でドンと構えているんじゃなくて細々と働いているのな三本槍 -- (名無しさん) 2016-10-27 06 58 52 今のミズハミシマの治安や統治レベルってどれくらいなんだろうね。いっぱいある島はそれぞれ自治区みたいなものなんだろうか -- (名無しさん) 2016-12-19 08 54 12 異世界の文化レベルや国家体制から成熟度合いは人間が思っている以上に進んでいるのかも知れない。ノスタルジックと現代の合わせたものみたいだ -- (名無しさん) 2017-03-28 19 05 03 名前 コメント すべてのコメントを見る