約 1,036 件
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/874.html
口元に手を当てたまま動けない俺の前で、上座の気配がぶわっと膨れ上がった。 隙間風に煽られて、ゆらゆら揺れる灯の炎が、壁に映る影も揺らす。 つるりと丸いはずのその頭部に、戦装束さながらの角が生えているように見えるのは、俺の気のせいか。 普段なら口先八寸でごまかすところだけど、目の前の気配には、生半可な小細工なんか 通用しそうもない迫力があった。 背中にたらりと汗が流れる。超ヤバイ。人生最大の危機かもしんない。 「ほうほうほう!やはりそうであったか!」 「……おや、お館様、いやあの、これはですね、なんていうかその」 「はっはっは、気にするな。お前たちはいわば、許婚の身であるしな。うむ」 ことさら明るい笑い声が、余計に怖い。 鷹揚にうなずきながら、腰を浮かせてずいと身を乗り出す。 そしてお館様は、まるで獲物を前にした虎のような顔で、笑った。 「で、どこまでやった」 ヤバイ。 ちょっとだけど無理やり指入れちゃいました、とか言ったら、確実にお婿にいけない体にされる。 「えー……えへへー?」 笑ってごまかそうとしたけれど、火に油を注いだだけだった。 笑顔の口元がさらにつりあがる。ああ俺なんか今日、不覚だらけ。 「ふっ。ふっふっふ」 「あ、ははははは」 「わっはっはっはっは!」 「うわははははは!」 「ぐわーっはっはっはあ!」 「いやはははははちょっと口に触っただけです!」 がしっと床に手をつき叫べば、眼前の気配が少しだけ揺らいだ。 よし、だましの技術は、話に真実をちょっと混ぜるのが味噌だ。頑張れ俺様! 「ほんとそれだけです!てか、それも完璧じゃなかったし!」 「……まことか?」 「天地神明に誓いまして!」 平身低頭、ここぞとばかりに言い募り、誠実そのものの顔ではっしと見据える。 まだ疑り深い目をしながら、ようやくお館様は腰を下ろした。 じろじろと俺の顔を眺め回していた視線が、また口元で止まる。 「するともしや、それも幸村か?」 腫れて熱っぽい顎を指され、俺は仕方なく、ええまあ、とうなずいた。 「接吻は、破廉恥らしいです」 「はっはっは、あやつらしいのう!」 まったくですね。 そうかそうかといやに嬉しそうにうなずきながら、お館様は手に持っていた柿にかじりついた。 上機嫌に三口で食べきり、ぽいと器に投げ出されたへたには、柔らかい実がまだ少しだけ、へばりついていた。 ほっとすると同時に、ちょっとだけむかっときた。 普段ならそんなの押しつぶすところだけど、どうせ俺様、今日は不覚だらけだし。 「……お館様ー。何度も言いますけど、そういう行儀の悪い食べ方やめてくださいよー。 旦那に悪影響なんですってばー」 ことさら嫌味ったらしくねちねちと言うと、薄暗い明かりに光る顔が、実に面倒くさそうにしかめられた。 「お前もしつこいのう。わしは幸村に、柿の食べ方など教えたことはないというに」 「そんな言い訳通用しませんよー。大体ねー、お館様以外に、柿の実丸ごと、剥きもしないで三口で食べる人間なんかいるわけないでしょ。俺様ねえ、そういうお行儀の悪いことは許せないっていうか」 「幸村ではないわい」 面倒くさそうに最後の一つを器から取り上げ、ぽんと宙に放り投げる。 暗い明かりを受けて、薄い皮が鮮やかな輝きを放った。 「わしが柿の実の食い方を教えたのは、お前じゃ」 (おう、そこの童。お前じゃ、こっちにこい。柿を食わんか) (……忍びは、主の前ではものを食べません。お許しを) (仕事中でもあるまいし、かたいことをいうな。そら、一番うまい食い方を教えてやるぞ) (佐助、これ、このままでは食べられぬ。剥いて) (姫様、いいこと教えてあげるよ。柿の実の一番うまい食い方はねー) 佐助×幸村(♀)26
https://w.atwiki.jp/denjihahanzai/pages/194.html
. 在日利権ネットワーク > [Safety_myth_is_thought_induction_of_Koreans_in_Japan] (2016/03/27) 在日勢力のなかには、「すでに日本は支配した」、あるいは「日本人をこの国から追い出せ」などと主張する過激な人たちもいます。彼らは日本人になることを拒み、日本を敵国として、いまだに天皇(法的な正しい呼び名は天皇陛下)を敵の代表としてみています。在日は天皇制の廃止を主張したり、在日の人口が増えて日本人よりも多くなれば、天皇は少数民族の首長になりさがる、などと主張しています。 日本から天皇制がなくなっても、日本が崩壊するようなことはありません。また、韓国の全人口は約5,000万人ですから、すべての韓国人が日本へ移住しても、在日約100万人を除いた1億2,600万人の日本人には勝てません。北朝鮮の約2,500万人を合わせても足りません。 仮に天皇を暗殺しようにも、皇族の家系は2,600年前の神武天皇から始まったというのは証拠の乏しい話ですが、少なくとも7世紀から存在していたことは明らかとなっていて、現在まで血縁者は大量に存在します。暗殺などで天皇制を揺るがすことは不可能でしょう。 日本の天皇は現在でも、イギリス女王が同席する際に上座を譲るなど、世界最古のロイヤルファミリーとして世界の王族からも敬意を払われています。天皇暗殺などを計画する不貞な者がいるとすれば、その罪が世界的にどれほど重いものとなるか想像もつきません。 天皇制についてともかく、在日勢力の反日教育では、天皇が巨大な敵の象徴とされていることは間違いないでしょう。 日本社会は安全神話という言葉を信じ、日本人はそれが表す平和な社会に自分たちが暮らしていると信じています。この認識はマスコミの大半を支配している在日勢力が、日本人を支配するために植えつけた、思想誘導に過ぎません。 在日勢力は、日本人に日本が平和であると思い込ませ、米軍の追い出しや自衛隊の軍縮を実現させようとしています。沖縄基地問題のデモ参加者には朝鮮人や中国人が、韓国語や中国語のプラカードを掲げている姿がたびたび報道されています。 日本の軍縮で最も利益を受けるのは、特亜、韓国、北朝鮮、中国の政府・軍関係者なのです。日本国内の米兵による犯罪行為などは、限定的な被害にすぎず、現在の日米の監視技術を考えれば、防ぐことは簡単なことです。米兵自身も凶悪な犯行がすぐに発覚してしまうことくらいは理解していることでしょう。 現在の日本では、在日批判や嫌韓思想が盛り上がるたびに、在日マスコミは様々な方法で日本人の怒りを沈静化しようとしてします。テレビ番組やCMで「やさしくなろう」、「あらそいをやめよう」、といった優しさの強調や紛争の抑制、闘争心の抑制を意図した放送が盛んに行われています。それもBPO(在日マスコミ関係者が運営する放送倫理機構)のような倫理・道徳の代弁者であるような組織の権威を利用してまでして行っています。 日本人が親切でマナーがよいことは世界中に知られています。「優しくしろ」などと在日に言われるまでもなく、優しいのです。在日が日本人に求めている優しさというのは、単なる在日犯罪への温情であり、不正行為を見逃させるための方便にすぎないでしょう。 現在も、北朝鮮が仮にミサイルの照準を日本に合わせれば、日本はいつで攻撃を受ける状態になっています。そのミサイルには核兵器を乗せた核ミサイルとなる可能性もあります。在日特権の廃止を求める日本人勢力による在特会は、シバキ隊などという在日朝鮮系暴力団から暴力行為を受けています。さすがに警察も暴力団の暴力は見逃がしませんので、シバキ隊からは多数の逮捕者が出ています。これが今の日本の現状なのです。(2016/03/22, 2016/03/27) 参考:軍事問題 … 日本は世界10位の軍事大国 (2016/03/28)
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/933.html
723 名前: ファイナルファンタズム ◆6/PgkFs4qM [sage] 投稿日: 2007/10/07(日) 23 43 42 ―――目で見るのではない。感じるのだ。 自然と浮かんでくる余計な雑念をはらい、一寸先の世界を幻視する。 ……それは例えるのなら綱渡り。一瞬の機微、自身との戦い。 恐れるな、勇気を持て。 指先から震えが止まらない。慎重に、乙女の肌に触れるが如く、慎重に関節を動かすんだ。 繊細に先端の糸を手繰り寄せる。これは非常に脆いものだ。強すぎても弱すぎてもいけない。 ビーンと振動が指から腕、肩、そして脳へと達する。あと一息だ。よし…………。 「フィィィィィッシュ!!!」 ざっぱぁん 街を大きく横切る堀から元気な魚が飛び出してきた。地面に打ち上げられたというのに、ビチビチと跳ね回っているのがその証拠。―――まったく、手こずらせちゃって! その反動で逃げられては拙いので、急いで魚籠に放り込む。すると先に中に入っていた魚どもが体を振って歓迎した。……釣ってから6時間が過ぎようというのに、この世界の生物はどれも相当強い生命力を有している。 …………それと今傍を通り過ぎたカップルが俺のことを不思議そうに見つめてきたけど、勘弁して欲しい。今の叫びがヘンなのくらい自覚しているよ……。 「よし、っと。これで数えて60尾くらいかな……。ふーっ、釣りなんて久々にやったけど、結構楽しいじゃん」 つい時間も忘れて熱中してしまった。本日未明から釣りを始めたのだが、もう日は最上へと昇っている。家で待っているあの食いしん坊もお腹を空かせている筈だ。 ……はじめに言っておくと、この大量の魚は全部食糧として釣った訳ではない。 ―――この世界には競売というシステムが存在し、免許も何もない素人がモノ…………薬、食糧、自作の手芸品などを、管理者を関して売ることが出来る。 競売、といってもそれは元の世界の競売とは少しルールが違い、出品者が商品に決まった値をつけ、落札者がその値段で商品を買うという、まぁ言ってしまえばフリーマーケットのようなものだった。 最初それを知った時には、食中毒やらの心配はしないでいいのか、と懸念したものだが、どうやらこの世界の住人たちはそんな細かいことを気にしない性質らしい。 それで何故俺が釣りをしているかというと、この釣った魚を競売に出品して金にする、という寸法だったりする。 「釣れた魚は全部堀ブナか。ラッキー、高値で売れるぜ」 所詮只のフナのくせしてここでは妙に価値が高い。その割には拍子抜けしてしまうほど簡単に釣れてしまうので、儲け放題だ。今の所個人的七不思議のワーストワンである。 ……とはいえそれも1ダースほどはウチの食欲魔人の胃に納まってしまうのだが。頑張れ、俺。 釣れた魚が新鮮な内に、今日も大繁盛である競売の窓口へと向かう。うん、凄い人ごみ。今日も大繁盛だ。 ―――以前係員の人に「ナマモノなんて出したら腐らないのか?」という質問をしたのだが、どういう保存法を行っているかは極秘らしい。冷蔵庫なんてない筈だけど……まる? 競売の係員へ引き渡し、出品手続きを済ます。こういった手軽さもこの競売の魅力だ。 あとは出品証明書を発行してもらい、後日商品が売れた時ここにそれを持っていって売上金と交換し、取引は終了となる。 「さて、早く帰ろう。腹空かせて待ってる奴がいるからな」 今日の昼飯である食材もここで買い揃え、足早で我が家であるモグハウスへと直行。 ……天を見上げればさんさんと輝く大要。――それにしても時間を忘れていたのは拙かった。怒ってなきゃいいんだが……。 長い路地を抜け、急いでモグハウスの入り口へ飛び込み我が家へと向かう。番号確認、鍵オーケー。ついでに言い訳スマイルもオーケー。さあ、行くぞ―――。 ガチャ 「すまない、待った?」 「―――遅いぞ、シロウ」 ずずーんと我が家の上座へ居座る少女。うわ、すごい睨んでる……。 ―――ウチの小さな王様のご登場である。 Ⅰ:―――俺は彼女を娘として育てることにした Ⅱ:―――俺は彼女を妹として育てることにした Ⅲ:彼女は只の同居人である Ⅳ:―――俺は彼女を未来の恋人として育てることにした(後の光源氏である) 投票結果 Ⅰ 0 Ⅱ 1 Ⅲ 1 Ⅳ 5 決定
https://w.atwiki.jp/toho_yandere/pages/1769.html
むわっとする血の”におい”、彼にとっては非常に不快な臭いだった。しかも、彼の鼻に襲い掛かるこの臭いは、血だけではなかった。 失禁や、吐しゃ物や。そういった汚物の臭いも血と混じっているのが感じ取れた 彼は、この不快な臭いに対して。口元と鼻筋を押さえて、吐き気を必死にこらえて。 広間の中央に打ち捨てられて、虫の息で晒される三人の姿を。努めて、視界から外していた。 しかし、臭いの方はそうは行かなかった。 鼻の中に襲い掛かってくる、強烈な異臭が。これが現実の物だと言う事が、彼に対して突き付けられていた。 しかも、なお悪い事に。臭いに苦悶の表情を浮かべる彼とは打って変わって。 彼以外の里人と言えば。皆一様に、何かを誇っている。 わははと、口を大きく開けて。すえた臭いを腹一杯に吸い込む所か。わざとこの、彼にとっては不快極まりない臭いを嗅ぐ者までいる。 まるで理解が出来なかったし、理解が追いつくことも未来永劫無いであろう。彼は、再び絶句するしかなかった。 信じられない事だったが。彼にとっては“臭い”と感じるこの“におい”が。 彼以外の、私刑に参加した者たちからすれば。それは、高揚感を奮い立たせる“匂い”に変っているのだった。 同じ物を嗅いでいるはずなのに。彼は臭いと感じ、彼以外はそうとは感じていない。 この“におい”を何かの勲章のような。そんな履き違えた感情が、彼以外の人間の心中を支配していた。 これならば、まだ永遠亭で。一人で硬い椅子の上を座布団で誤魔化しつつ。 無理にでも、寝て過ごしていたほうがまだいくらかマシだったのではないか。 会話の相手も、それが敵意とはいえ、理解できる物しか持っていない。 だが、今の彼には。理解不能なものしか見えていなかった。 永遠亭の連中や教師のまねごとをする化け物が。人の形をした何かなら、今のこいつらは人の振りをした何かにしか思えなかった。 たった一晩。目を離していた隙に、一体何があったのか。 彼は、自分の価値観が根底から覆されるのを感じていた。 「こいつら、どうしましょうか?」 臭いと、余りにも大きすぎる衝撃とで。彼は立ってこそいるが、何も考えられない状態にまで追いやられてしまっていたから。 誰かが、喋りかけるまで。意識が現実の世界に帰ってこれなかったし。 帰ってきた後も、頭が再び動き出すまで、少しばかり時間を食ってしまった。 「やっぱり……始末するべきですよね?」 なので、意見や止める間も無く。こいつらは、また行き過ぎようとした。 “ですよね?”などと、疑問形で聞いているくせに。全てを言い終わる前に、部屋の隅に置いてある獲物を手に取ろうとしていた。 あれでやったのか。確かに、素手と蹴りだけでは付かなさそうな傷がいくつも見受けられる。 入っていきなり、虫の息のチンピラを見た物だから。辺りに注意が向かなかった。 いや、今はそれはさしたる問題ではない。今は必要でない思考を、頭を振って打ち消す。 「待て!待てと言っているだろうが!!」部屋の隅に無造作に置かれている獲物に群がる者たちに。必死で彼は声を浴びせた。 一度の忠告で止まってくれたのは有難かったが。それは決して、彼の言葉の意味を理解してくれたからではない。 むしろ、何を言っているのか分からない。そういう反応をされた方がマシだったかもしれない。 少しばかり。彼が何故に「待て」と言ってきたのか。その言葉の意味を、しばらく彼以外の面々は考えていた。 「ああ!ああ、そうですな!これは失礼を……」 誰かが、何か思い当る所があったのか。過剰なくらいの平身低頭さで謝罪の念を言葉に込めるとともに。 彼に対して、獲物を渡してきた。 「違う!そう言う意味じゃない!!」 どうやら、自分も参加させろ止めは自分に刺させろと。そういう風に受け取ってしまったようだ。 見れば、群がろうとしている者も。信じられない勢いで、後ずさっていた。 「死人は駄目だ!人死には出しちゃならん!!それぐらい、分かってくれ!!」 彼以外は、人一人所か、三人も殺めようとしているのに。全くそれに対する戸惑いや躊躇がない。 むしろ、楽しんでいる節すらある。 「お前ら!一体どうしたいんだ!?全く分からんぞ!?」 「それは……貴方様の手伝いはおろか、見捨てて逃げるような真似をしたこいつらを……」 確かに、逃げて一人っきりにされた事は。確かに少しばかり腹に据えかねたが。 ハナっから、運ぶ時だけの手数としか考えてい無かった部分もあったから。少し寝れば、忘れる程度の癇の虫でしかなかった。 「良いんだよ!ハナっから、残ってくれるなんて期待してなかったんだから!!」 「それよりもだ。一気に三人も人死にが出てみろ!あの世話好きでお節介な化け物にばれたらどうする!」 彼のこの言葉に。彼以外は、ハッとしたような表情を浮かべた。 「死体を隠すのは……お前らなら出来るだろうな!でもだ、こいつらは年柄年中、問題児なんだぞ!」 「問題を全く起こさなくなったら!あの化け物にばれかねんぞ!!」 自分でも、もうちょっと上手い言い訳があるだろうと。そう思わないでもなかったが。 者達は、ハッとした表情から。唸るような表情、そして青ざめるような表情に。コロコロと移り変わっていた。 「確かに……それは、思い浮かびませんでした」 思慮の浅さを詫びるように。深々とした礼をしてきた。 彼の足元には、何人かの人間がすがりつくように。有難うございます、有難うございますと。泣きながら礼を言っていた。 「お前も頭を下げろ!」 中の一人が、虫の息のチンピラから一人掴んで、頭を畳にこすりつけさせて。土下座の体勢を無理矢理作った。 思い出した。確か、こいつらは。あのチンピラ共の親や兄弟と言った親族だ。 一人が、虫の息のチンピラに無理に土下座の体勢を作らせたものだから。他の二人の親族も、その行動に続いた。 「もう良い。もう良いから……気になどしとらんから……頼むから、こいつらを早く治療してやれ」 膝をついて、頭を下げる者達と同じ目線になって、何度も何度も。徐々に、泣きそうな表情に変わりながら。 彼は懇願するように、チンピラに対する乱暴な扱いを止めるように言い聞かせたが。 余程の深い感謝と、申し訳なさを感じているのだろう。何度頼んでも、頭を下げるのをやめてくれなかった。 「良いから!早く、そいつらを治療が出来る所にまで連れて行け!!」 何度、その乱暴な扱いを止めるように懇願しても。聞いていないかのように、同じ行動しか取らない物だから。 ついに、彼は激昂してしまった。 激昂して、大声を上げた彼の姿に。周りに集っていた者達は、恐れおののいた。 特に酷く恐れた表情と姿を晒したのは。勿論、件のチンピラの親族であった。 「ヒイイィ!!」と、甲高い悲鳴を上げて。飛び退いたかと思えば、また頭を擦り付けて。 「お許しください、お許しください」と、何度も何度も。許しを請うと言う行動しか見せなかった。 「だからッ!もうそれは良いと言っているだろうがぁ!俺の言葉が分からんのか!!」 「早く、そいつらを!何処かに連れて行って治療しろと言っているんだ!!」 「死んだら貴様らのせいだぞ!!」最後のこの言葉が、余程効いたようだ。 別に、最後の言葉に。言った彼にとっては、深い意味などなかった。ただ、周りはそうとは捉えなかった。 最後の言葉で、チンピラの親族は、三人のチンピラが死んだら今度は自分たちが責めを追うと思い込んでしまい。 「急げ!急げええ!!」と、蜘蛛の子を散らしたように。三人を担いで、外に走り去っていった。 最後の方は、もう言葉になどなっていなくて。文字で形容することの難しい、雄叫びじみた悲鳴だった。 そのまま、彼は者達の手によって半ば強制的に。他の年寄連中や、まとめ役をやっている者達を押しのけて、一番の上座に座っていた。 席に座った後も、者達は異常なほどに気を使い。茶を出して来たり、茶菓子をどっさりと付けてきたり。 何も言わなくても、完成されて行く異常なまでの歓待の姿に。 彼はただただ、頭を抱えるしかなかった。 勿論、彼に対して異常なまでに気を使うようになったこの者達が。 彼が頭を抱える姿に、ざわつかない筈がなかった。 曰く「入れた茶の、湯加減はお気に召しましたでしょうか」 曰く「茶菓子がお口に合わないものでしたでしょうか」 曰く「それとも、何か不手際や足りないものがあったでしょうか」 などなどなど……彼に対する気遣いは、留まる所を知らなかった。 彼は口を開けないでいるのだったが。段々と、この者達は懲りもせずに。またきな臭い空気を作りだし始めた。 茶を入れた人間や、茶菓子を用意した人間、上座を用意した人間。 彼の接待を買って出た人間達を、殊の外なじり始めた。 黙っていたら、また。彼の機嫌を取るために、誰かを殺そうとしかねない。 仕方なく、彼は口を開くしかなかった。 「待て……」 ただ一言、そう言っただけなのに。者達は、極度の緊張感を持った表情と姿勢になった。 本当に、彼に対して、異常なまでの気遣いだった。 この様子に、彼は大きな溜息を付きたかった。 でも、押し殺した。 「別に……何かのせいで不機嫌になってるんじゃない。ちょっと、考え事をしていただけだ。これからの事で」 誰かが、頭を下げた。お殿様に対してやるように。それに誘発されて、他の者達も。仰々しく、頭を下げだした。 壮観な光景だった。気味が悪かった。また、大きな溜息を付きたくなった。 でも、押し殺した。彼の心中を、またおかしな方向に捉えかねないから。
https://w.atwiki.jp/maoyu/pages/22.html
<前2-4へ|次3スレ目へ> 魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」2-5 966 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 14 55 42.77 ID I63MLpWkP 魔王「それにしても」 じぃー 勇者「?」 魔王「なんだそのざまは」 勇者「そのざまって?」 魔王「ぼさぼさではないか」 勇者「なにが?」 魔王「そこでじっとしておれ。わたしが梳かしてやる」 勇者「ああ、髪か。いいじゃんよ。そんなの」 魔王「よくない。自覚を持て」 勇者「へいへい」 しゅるん、しゅるるん 魔王「むぅ、もっふもふだ」 勇者「ちゃんと拭いたよ」 魔王「判ってる。これは趣味だ」 勇者「なんだかなぁ……。面倒くさくない?」 魔王「これがいいのだ。だがしかし、 いささか長くなってきたようだな。気にならぬか?」 勇者「んー。目に刺さると戦闘中困るな」 968 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 15 02 11.70 ID I63MLpWkP 魔王「明日は、その……あれだろう?」 勇者「ああ、開門都市の連絡議会だ」 魔王「行くのだろう?」 勇者「あー。一応な。黒騎士が魔王の名代として出てるから 何とかかんとか、形になってるわけで」 魔王「それはそうだが」 勇者「なんだ、なんかまずいのか?」 しゅるん、しゅるるん 魔王「まずくはないのだが、そのぅ、火竜王がな」 勇者「あー。あいつか? 確かに最初に会ったときは 聞き分けのない頑固親父だったけれど、最近は協力的だぞ? 特に娘が周辺魔族代表として、連絡議会の議員になって 開門都市に住むようになってから、文句は言ってきてないぜ?」 魔王「や、それが問題の中心なんだが」 勇者「?」 魔王「あー。こほんっ。こほんっ。会議が終わったら まっすぐ帰ってくるのだぞ?」 勇者「いや、今回は街の大通りで縁日をやるっていうから」 魔王「縁日?」 971 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 15 07 56.96 ID I63MLpWkP 勇者「東方のお祭りらしい。傭兵将軍の提案でな」 魔王「ふむ」 勇者「色々無料で、安いけれど珍しい食い物をだしたり 夜に明かりをとも灯したりするんだってさ。 あと、囃子とか言う音楽を流すんだと」 魔王「交流が目的か」 勇者「うん、人間商人と魔族の関係はまだぴりぴりしてるしな。 これでも、この間の商店焼き討ちの頃よりは随分 マシになったんだけどなぁ」 魔王「占領して、植民地にする意味がわかったか?」 勇者「あー。身にしみたよ」 魔王「今回は不幸な事例だがな。人間の聖鍵軍の統治が あまりにもひどかったのが災いしたな」 勇者「商人が魔族をあまり酷く扱ってこなかったのと 東の砦将の評判が悪くなかったことだけが救いだよ」 972 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/08(火) 15 20 00.01 ID I63MLpWkP 魔王「少し落ち着いてくれればいいが」 勇者「まぁ、なんとかするさ。こっちは魔王の代理だ。 上座に座って睨んでるだけで、大抵の議員はよい子になるって」 魔王「ふむ、そうか……。ところで今回の会議の議題は?」 勇者「傷病者治癒と保護の観点から病院を建てたいと」 魔王「ほう、良い着眼点だな」 勇者「火竜公女の発案でな。慈善事業ってわけじゃないけど 火竜族から資金の半分と、加工用の石材を供出しても 良いって云う打診を受けて居るぞ。 この工事で大量の作業者が必要だし、それで周辺の 貧しい魔族が街に流入して、言葉は悪いけれど “悪い感情が薄まる”効果を期待して、とか」 魔王「公共工事か。その経済効果に着目するとは 瞠目すべきセンスだな」 勇者「それで、なんか縁日にもみんなで行くそうだ。 火竜公女はそういってたぞ? 林檎飴がどうとか。 帰りはそれで遅くなりそう」 魔王「へー」 勇者「顔を見せて住民の不安を払拭するのも役目なんだと」 魔王「へー」 ページトップへ <前2-4へ|次3スレ目へ>
https://w.atwiki.jp/continentofrainbow/pages/26.html
客は口ひげを蓄えた恰幅のいい壮年の男だった。母の手によって意匠のように接がれてはいるが、やはり接ぎ当ては接ぎ当てのあたった綿入れを着ている父よりは、よほど良い着物を着ていた。 少女がとっさにした挨拶に、上座に座る客と父が同時に少女のほうへ顔を向けた。少女は妙に自分に注目する二つの視線に戸惑って、その場に棒立ちになってしまう。 「突っ立ってないできちんと挨拶せんか」 父の言葉に、呪縛が解けたように少女はその場にひざをついて頭を下げた。 「こんにちは、今日はまんずよくいらっしゃいました」 おずおずと頭を上げて上目遣いで客と父を交互に見る。 「これが上の娘で」 「ふむ。聞いているより少々年幼いようでねぇですか……しかしまぁめんこい娘さんだ」 「こう見えても今年学堂を終えますだよ。丁度今日は修了の日で」 ほほうと関心した客は、少女が手にしている札に注目した。 「おぉ。それは朱札でねぇかね。勉学も得手は重宝だの」 少女は赤面して、得意な気持ちを隠してうつむいた。 「いンや、まんず机に向かってばっかりで困った娘で……お屋敷に上げる時にはよく働くよう言い聞かせますんで」 お屋敷に上げるという父の言葉に、少女は手元を見ていた視線をがばっと父に移す。 「おと……」 父は慌てて余計なことは言わせまいと少女の言葉を遮った。 「挨拶したらお前は下がってお母の手伝いしてな」 口をつぐまされた少女はしばらく父の顔を睨み付けてから、奥歯をかみ締めつつ、すごすごと土間へ下がって引き戸を閉めた。 「あ……早かったんね、おかえり」 手ぬぐいを頭に巻いて、小脇に柿の甘漬の入った瓶を抱えた母が土間に入ってきた。外の貯蔵庫から取ってきたのだろう。 「……ただいま」 その顔をみて、母は少女が既に客に会ったのを悟ったようだった。それでもいつもと変わらぬ様子で瓶を土間に置くと、客用の上等な皿を長持から出して作業台の上に置き、瓶の中身を二、三綺麗に盛り付ける作業を続けた。 少女はその様子をじっと見て、言い出す言葉を捜しているようだった。 「……お母」 「うん?」 少女の方も見ずに母はやけに間延びした返事をした。 「見て。ワシ、朱札貰っただ。一番だったンよ」 少女は母の方へ行き札をその目の前に突きつけた。母は困ったようにそれを見て、またすぐに作業に戻ってしまう。 「良がったね。いい記念になったべ」 「記念でねえっ。上の学校サ行けるンだよ!老師のお墨付きだもん!」 少女は母の袖に食い下がる。母は手を止め、眉を寄せて少女の顔を見た。 「何言ってンだ。勉学なんて何の役に立つンね?そんな余裕はウチにはねえの解るべ」 「けど!」 「シッ。声が高いべ」 「けど……どこだか知んねけど、奉公サ上がって一生女中で終わるより、上の学校サ行けばもっと……」 「奉公にはださねえ」 少女の顔にぱっと希望の色が浮かぶ。 「そンだら……」 「旦那さんがお前ば嫁に貰ってくれる。ありがたいことだべ」 「よ、嫁……!?」 あまりのことに少女は目の前がチカチカして、机に手をついた。 「嫁ってあんなお父より年嵩な……っ」 その様子に母は笑って、今度は煮立った湯を急須に入れる作業を始めた。 「旦那さんの嫁でねえ。若旦那だべ」 「そったらことどっちでも同じだ!ワシは……ワシは……っ」 いきなりに自分の将来が、これから死ぬまでの道筋が勝手に決められてしまった事に、どうしようもない戸惑いと憤りを感じて少女は立ち眩んだ。 「旦那さんのお店はここいらじゃちょっとした材木問屋だし、こげな小せえ細工職人の家のお前が若奥さんになれるなんて……こったら幸せはねえべ」 妙に母の声は遠く聞こえたが、しかしそれも聞いていない様子で少女はふらりと立ち上がった。 「大丈夫け?」 母が心配そうに声をかけたが、少女はその顔も見ずに出口へ向かった。 「……水、飲んでくる」 次へ -
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/1052.html
111 名前: まおっこ6 投稿日: 2007/08/28(火) 00 07 08.33 ID SZrx6O1i0 あらすじじゃないよ! あらすじという名の変態だよ! 魔王ジーク女体化・魔力喪失 ↓ 勇者エル来訪 ↓ ジーク「私は捕らわれた姫です(嘘)」 エル「mjd」 ↓ 付き人パラディンが魔力喪失の謎を解明 ↓ 魔力を取り戻す為にジーク達は旅に出ることに ← 今ここ 113 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2007/08/28(火) 00 08 25.11 ID SZrx6O1i0 真夜中の城内で、卓上のろうそくだけでの、なんとも薄暗い、気味の悪い会議が始まっていた。 上座にはジークがちょこんと座っている。 かつて魔界を治めていた男だが、今では華奢な少女となっている。 ジークを中心にして、魔王軍の幹部達が席についていた。 ジークの右側にはパラディンが。 左側には筋肉の鎧を身にまとった大柄な魔族、タナトスが座っている。 114 名前: まおっこ6 投稿日: 2007/08/28(火) 00 08 54.82 ID SZrx6O1i0 幹部達の中の、メガネをかけたインテリ風の魔族が口を開いた、 「やはり精鋭少数の隊を作り、護衛に当たらせるのが一番かと」 「ふむ……」 口に手を当て、考え込むジーク。 皆はジークが答えるのを待っていたが、タナトスはお構いなしに、 「はいはいはい! 俺の隊がその任務につくぜ!」 手をあげて騒ぐその姿は、小学校低学年の授業風景に似ていた。 「っるさいわよ単細胞」 「な、何だと!」 露出の多いセクシーな魔族が、ショッキングピンクの髪を指に巻き付けながら一喝した。 ジークはその間も何か考え込んでいるようだった。 115 名前: まおっこ6 投稿日: 2007/08/28(火) 00 09 44.66 ID SZrx6O1i0 「はぁ……」 小さなため息をついたのは、魔王軍の参謀、パラディンだ。 分厚いローブと深く被ったフード。 おまけに長い髪のせいで顔はほとんど見えない。 「皆さん。私に一つ、提案があります。聞いてください」 パラディンが口を開くと、騒ぎ立てていた者たちが一斉に口を閉じた。 この発言力の高さはパラディンが他の幹部からも一目置かれているということに他ならない。 しかしこの後のパラディンの発言によって、会議はさらに荒れることとなる。 116 名前: まおっこ6 投稿日: 2007/08/28(火) 00 10 16.86 ID SZrx6O1i0 「――という訳です」 「ふざけんな!」 最も早く噛みついたのは、やはりタナトスだった。 「あんな奴とジーク様を一緒にしておけるか!」 続けて、先ほどタナトスと言い合いをしていた魔族達も反論する。 「そうよパラディン。危険が大きすぎるわ。ただでさえ筋肉バカのおもりをしなきゃいけないのに」 「何だと!」 「ほっほっほ、お主自覚あったのか?」 「こ、この老いぼれが!」 「やめろ!」 117 名前: まおっこ6 投稿日: 2007/08/28(火) 00 10 58.78 ID SZrx6O1i0 とっくみあいにまで発展しかけた会議は、ジークの一声にで静まった。 魔族達は渋々と席に座る。 「先ほど、パラディンが言ったことだが……」 パラディン以外の魔族達は、どうせ案は却下されるだろうとたかをくくっていた。 だから、次にジークが口にした言葉によって、その場の空気が凍ったのである。 「私は良案だと思った。この作戦でいこうと思う」 ギャグアニメやドリフだったら、この辺りでチーン、というSEが入るだろう。 ここでは代わりにタナトスの「えぇ……」というか細い声が入った。 119 名前: まおっこ6 投稿日: 2007/08/28(火) 00 12 30.75 ID SZrx6O1i0 「作戦は明日決行。うまくいったら明後日、”嘆きの森”に向けてこの城を発つ。隊の編成はパラディンに任せる。以上だ。解散」 一方的に解散を宣言し、ジークは一人席を立った。 長い銀髪を翻し、さっそうと会議室を後にするジーク。 続けてパラディンも、ジークを追うように会議室から出て行った。 残された者たちは、ただ呆然とするしか出来なかった。 ~to be continued~
https://w.atwiki.jp/jyakiganmatome/pages/1331.html
「……ああ、萌葱…無事でいてくれ………」 応接間のソファに座って頭を抱えるのは三島 健吾。 仙堂 萌葱の婚約者で在る。 「落ち着いてください三島さん。今、全力を挙げて捜査を行っているところです 大丈夫ですよ。邪気街の警察の腕を信用してください」 その肩を叩いてなだめているのは及川 健介警部。 僕とは事件でたびたび顔を合せており、手柄を横取りされ続けているためか 何かと僕につっかかってくる困った人物だ。 現在、僕とアシュリーは萌葱の監視をセブンに任せ、三島邸の応接室にて彼らと同席している。 無論、関係者では無いので追い出されそうになったものの、萌葱に関する情報をきわどいところまでちらつかせ 探偵と言う職業も生かし、強引に捜査の席に割り込んだのだ。 この調子で僕の事務所に萌葱が監禁されているところまでばれてしまえば、確かに不味いのだが そのギリギリのところまで踏み込む事、そして僕の立場を利用することで、僕に対して疑いがかかることを避けている。 いきなり訪ねてきて、失踪した婚約者の事を調べていたとぬかし、有益な情報を提供すると強引に割り込んできた 小娘の探偵。 見るからに怪しいが、怪しすぎて逆に疑いから外れるというパターンだ。 まあ、こんなことをする誘拐実行犯は居ないだろうし、警察とはたびたび面識があるから、僕が探偵だと言う事実は 説明しなくても信用を得られている。 あとは口八丁手八丁。 「…おねえちゃんは詐欺師になったほうが向いてたと思う」 「…法に触れる方法で金を稼ぐのはちょっとね」 どの口が言う、と言われかねない。 「でも、あの萌葱っていう人の監視、コッコに任せて良かったの?」 「そういえばアシュはそう呼んでたね。でもこの場合はあいつのほうが良いんだ」 そう、セブンなら彼女の傍に置いておくには適任だ。 僕たちはここで「犯人」を探す事に専念する。 「……やっぱりあの部屋にいながら殺人なんて出来るわけないよね。あの人、戦えるような能力持ってないんでしょ?」 他に聞こえない程度の小声で話しかけてくるアシュに、僕は頷いて答える。 そう、あの部屋にいながらこの場にいる三島 健吾を殺すのは不可能だ。 ならば、『ホワイダニット』 なぜ。 「……それを確かめるためにここに来た」 改めて、この部屋に居るすべての人物に目を向ける。 目の前の優男は萌葱の婚約者、三島 健吾。 彼女にこれから殺される予定の人間、ということになっている。 その後ろに立つ汚い親父が警部、及川 健介。 狡い男で、事件の解決よりもいかにして自分が手柄をあげるか考える男。 いわゆる上座に当たる席に座る、禿げたちょび髭の親父は三島 典之。 三島コンツェルンの会長にして、健吾の父親に当たる。 その横の席に座る、厳かな白髪の老人は千堂 秋水。 杖をつくような歳なのに萌葱を作ったのは20年前、エロ爺だ。 「……健吾、萌葱、婚約関係にあるどちらも片親か…珍しい共通点だな」 警部、及川の背後に控える二人の刑事。 ガタイの良いほうは佐々木 尚。ひょろっとした頼りなさそうなのは志波 行人。 いつも及川とともに現場に居合わせるコンビだ。 「こいつらに関しては、良いか…いつもの顔ぶれだね」 当主、典之の両サイドに盆をもって控えるのがこの館のメイド二人。 眼鏡に三つ編みの春咲 可憐。 黒いボブカットの篠宮 椿。 どうやら可憐のほうが年上らしく、椿は少々、メイドにしては抜けたところがあるようだ。 そして。 「でもお姉さまって、本当にさらわれたのかしらね」 この僕と同年齢くらいの、無駄に鋭い少女。 萌葱の妹、仙堂 逢歌。 こいつが非常に面倒臭い。 「だってそうでしょう?誘拐事件なのに身代金も要求してこないなんて。 行方不明になって二週間もたってから手紙が届いたのもなんだか不自然だわ」 「なにを言いだすんだい、逢歌さん。君は何が言いたいって言うんだ」 「別にちょっと疑問に思っただけですわ、お義兄さま。小娘の戯言と聞き流して?」 この生意気な態度は周囲もたびたび悩まされているらしい。 が、それ以上に僕を悩ませるのはこいつの無駄な洞察力の高さだ。 僕のところに萌葱が居ることを感づくとしたら、間違いなくこいつが最初になるだろう。 彼らに加えて僕と、アシュリー。 これにて舞台に役者はそろったことになる。 犯人になる予定の彼女、仙堂 萌葱を除いては。
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/873.html
「……と、いうわけで、織田も豊臣も今のところは大人しいもんです。あと特別なことって言えば、毛利と長曾我部の縁組くらいで」 当主同士の婚姻だから、西の結びつきは強くなるでしょうけど、と肩をすくめると、そうじゃなと呟いて、お館様も小さく肩をゆすった。 夜半も過ぎたこの時刻、夕暮れ外を吹き荒れていた風もすっかりやみ、辺りは耳が痛いほどの 静寂に包まれていた。時折、隙間風に灯の火が、じりじりと低い音を立てるくらいだ。 武田屋敷の最奥にあるお館様の部屋は、相変わらず戸も障子も閉め切られていた。 部屋の隅には明かりが灯されているけれど、小さすぎて、余計闇が濃く見える。 ただ、上座でてかてか輝く僧形の頭だけは、いつもどおり明るい。 「とはいえ、あそこは両家とも中央の覇権には興味がないようじゃしな。九州の押さえにでもなればむしろ願ったりじゃ」 薄く笑う顔に、こっちも、ですねえと笑ってうなずく。 「ま、結論としては、日本全国おおむね平和でしたってことで」 以上、佐助の敵情ご報告でした、と頭を下げる。 ご苦労であったとうなずいて脇息に寄りかかると、お館様は手元の器に手を伸ばした。 朱塗りの器の中には、熟れきった柿の実が二つ、三つ。暗い明かりに、つやつやした表面を光らせている。 もうこんな季節だし、今年は多分これが最後だろう。 「呼び出しが遅れてすまなんだな。うっかりこんな時刻になってしまったわい」 「上杉の御使者が来てたんでしょ?大した報告じゃないし、忍びにお気使いなんか無用ですよ」 へらりと笑えば、ふむと鼻を鳴らして鋭い視線が俺を眺めた。 「まあ、平和で何よりじゃが。そこそこ苦労もあったようだな」 「はい?」 「それよ。佐助が手傷を負うとは珍しい」 青くなっておるぞと口元を指差され、あ、これですかと押さえた瞬間、びりりと鈍い痛みが走った。 さっき確認したときは唇が切れて、顎に痣くらいだったけど、やっぱ腫れてきたらしい。 なんか口が開きにくいと思ったんだよねえ。 「いやー、不覚を取りまして」 もう一回へらりと笑った俺の顔を、鋭い視線が妙にじっくりと眺める。 ちょっと気になりだしたころ、お館様はようやく目をそらして、大事にせいよ、と呟き、柿の実にかじりついた。 夜目にも赤いかじり口から、とろとろした汁が滴る。熟れて蕩けた柔らかな実。 「……そうじゃ。縁組で思い出したが、幸村の婿取りな。あれを、今年のうちに済まそうと思う」 そろそろ退出しようかな、と天井を眺めた時、ふいにかけられた言葉に、俺は慌てて視線を戻した。 一瞬目を離しただけなのに、柿の実はもう、へたと種だけになってる。うーん、相変わらずの早業だ。 「あ、そうなんですか。それじゃ大忙しですね」 「身内のことじゃし、そう派手にはせぬがな。お前もそのつもりでおれ」 「はいはい、いつでもどうぞ。俺のことはお気使いなく」 日にちが近づいたら、他の任務は入れないでくださいねー、と笑って手を振る。 柿の種を弄んでいたお館様の手の動きが、ぴたりと止まった。 薄暗い明かりを受けて、いやにぎらつく目に、穴が開くほど見つめられる。 逸らすわけにもいかないんで、大人しく受けるけど、お館様は瞬きもしないで俺を凝視したままだ。 あの、なんか尻がむずがゆいんですけど。 「……ほう!」 「はい?」 「ふうむ」 感心したようなうめき声を上げて、乗り出していた体を戻すと、お館様はまた脇息に寄りかかった。 種を放り出し、二つ目の柿を手に取って、今度はそれを手の中で転がしだす。 その間も、目線は俺に合わせたままだ。 「……あのー、なにか?」 「ううむそうか。……ときに佐助、幸村にはもう会うたか?」 「へ?あ、はあ、時間があったんで、ご報告の前にちょっと」 「ほうほう」 またもや感心したようにうなずく頭が、てかてかと眩しい。 なになに、なんなの?てか、すっごい居心地悪いんですけど。 「えーと、お館様?」 「うむ。ところで佐助よ、ここじゃがな」 「は?」 視線をぴたりと据えたまま、また俺の口元を指す手に、つられて切れた唇に手を当てる。 「紅がついておるぞ」 「え?そんなもんつけてなかっ」 言葉と一緒に時間が止まった。 猿飛佐助、一生の不覚。 佐助×幸村(♀)25
https://w.atwiki.jp/summer-yoshinoya/pages/89.html
千葉県 店舗一覧 55店(2012/08/23現在)公式 千葉県-A 店舗一覧 12店(2013/08/01現在) 千葉県千葉市 編集 ★●クリア・△予告有・×未達成・■参考記録(★はメインメニュー) 千葉市 × 千葉末広街道店 千葉市中央区末広3-17-1 × 千葉中央店 千葉市中央区富士見町2-22 星野ビル Pなし × 千葉祐光町店 千葉市中央区祐光2-4-5 × 14号登戸店 千葉市中央区登戸2-3-8 × 都町店 千葉市中央区都町2-2-5 ★ こてはし台店 千葉市花見川区大日町1363 × 千葉さつきが丘店 千葉市花見川区犢橋町1102-3 ★ 14号線幕張店 千葉市花見川区幕張町1-7780-1 ★ JR稲毛西口駅前店 千葉市稲毛区稲毛東3-18-5 Pなし 5-1時 ※高難易度店舗 ★ 千葉モノレール天台駅前店 千葉市稲毛区轟町5-5-24 × 古市場店 千葉市緑区古市場町624-1 5-25時 ※高難易度店舗 × プレナ幕張店 千葉市美浜区ひび野2-4 プレナ幕張1F 8-22時 ※高難易度店舗 千葉県その他地域の店舗一覧 千葉県千葉市を編集する 千葉県-B 店舗一覧 43店(2013/08/01現在) 千葉県その他地域(千葉市以外全部) 編集 ★●クリア・△予告有・×未達成・■参考記録(★はメインメニュー) 千葉県その他地域 ★ 市川駅前店 市川市市川1-8-2 市川駅前荒川ビル1F Pなし × 市川鬼高店 市川市鬼高3-14-11 ★ 行徳相之川店 市川市相之川2-6-2-3 × 中山競馬場前店 市川市若宮3-48-3 ※店名酷似の「JRA中山競馬場店」あり注意 × JRA中山競馬場店 船橋市古作1-1-1 8-16時 レース開催日のみ ※高難易度店 ※店名酷似の「中山競馬場前店」あり注意 × 習志野台店 船橋市習志野1-9-23 × 西船橋店 船橋市西船4-21-17 千成ビル1F Pなし ★ 船橋市場町店 船橋市市場2-2-28 × 船橋二和東店 船橋市二和東6-2-22 ★ 船橋本町店 船橋市本町3-36-34 Pなし × ららぽーとTOKYO-BAY店 船橋市浜町2-1-1 10-20時 ※高難易度店 × カインズホーム木更津店 木更津市中島398 7-23時 ※高難易度店 × 木更津駅前店 木更津市富士見1-1-1 7-23時/Pなし ※高難易度店 × 北小金店 松戸市根木内26 × 松戸古ヶ崎店 松戸市古ヶ崎4-3522-2 × 松戸西口店 松戸市本町20-2 Pなし × 松戸東口店 松戸市松戸1230-1 ニュートウキョウセブンプラザ Pなし × 松戸みのり台店 松戸市稔台8-1-6 × 新京成八柱駅店 松戸市日暮1-1-2 7-23時/Pなし ※高難易度店 × 16号線下三ヶ尾店 野田市下三ヶ尾404-8 × 16号線野田店 野田市船形猪穴2850-1 × 128号線茂原店 茂原市長尾字芝向2502-1 ★ 51号線成田店 成田市東町109-1 × パビリオン成田店 成田市ウイング土屋80 5-25時 ※高難易度店 × 佐倉ユーカリが丘店 佐倉市上座1205-1 × 126号線東金店 東金市南上宿字5丁目38-30 ★ 習志野藤崎店 習志野市藤崎4-3-15 × 16号線柏店 柏市柏931-15 × 柏西口店 柏市旭町1-4-18 Pなし × 柏東口店 柏市柏1-5-19 Pなし × 16号線若柴店 柏市若柴5-10 × カインズホーム市原店 市原市根田740 × 16号線五井店 市原市白金町4-8 × 流山店 流山市加4-1643 × 八千代台西口店 八千代市八千代台西1-10 Pなし × 16号線米本店 八千代市米本2161-2 6-24時 ※高難易度店 ★ 6号線我孫子店 我孫子市並木5-10-6 7-23時 ※高難易度店 × 鎌ヶ谷店 鎌ヶ谷市道野辺本町1-2-3 5-26時 ※高難易度店 × 浦安駅前店 浦安市北栄1-17-16 Pなし × やなぎ通り浦安店 浦安市北栄1-622-1 Pなし × 16号線袖ヶ浦店 袖ヶ浦市神納1-20 × ジョイフル本田千葉ニュータウン店 印西市草深字原1921 9-21時 ※高難易度店 × 296号富里店 富里市七栄127-7 千葉県千葉市の店舗一覧 千葉県その他地域(千葉市以外全部)を編集する .