約 1,036 件
https://w.atwiki.jp/kinotakelegend/pages/192.html
3/2 斑虎編 479 名前:斑虎[sage] 投稿日:2013/03/10(日) 22 17 19.80 ID I16Q4jzfo [21/22] とりあえずごちゃごちゃした池袋を進みながらスレを確認。なんとかサイゼリヤにはたどり着いたが、如何せん店内は人が多くて入っても見つかる気がしない。ということでSOSを出して三分、途中で本当に一号か分からないので確認しに一旦外に出て、戻ってきたところでシューさんと参謀に遭遇。黒ニット被って待ってるとスレで落としといたので、集「あれ、黒のニット帽……」斑「(おろ?)……あ、参謀だ」というわけで確信。初対面だけどもシューさんと参謀の見分けは即座につきました。だって参謀ですしおすし。シューさんは流石にシューさんらしいイメージ通りというか、期待を裏切らないというか。やっぱシューさんだなあと思う明るい方でした。カリスマっすよカリスマ。やはり俺では役者が足りん。参謀は……どうなんだろうなぁ?なんちゅーか何時も通りだったかなー。スレの参謀を倍速にした感じかなー。参謀だなあと心中とても納得してたりしてました。さて話戻ってサイゼに突入。791さんとつばきちに挨拶して割りと緊張しながらとりあえず着席。コーラ飲みながら雑談に花を咲かす、うん、多分咲かしてた。それこそスレの話に社長の話、我らがロッテの話(これは場が暗くなるからそんなに多くない)。一番印象に残ってんのは「今日は大戦出れそうにないから¢に頑張ってもらおう」ってことで一致したことかなー。あと加古川さんに会いたいとかいろいろと。シューさんに水持ってきた参謀にドリンクバーでの闘い方を伝授してもらったりもした。流石参謀俺達に出来ないことを(ryその内緊張も抜けてきて、よく考えたら昨日今日初めて話したわけではないんだから気張ってもしょうがないなと思って自然体に。それが許されるかなりあっとほぉむ(?)な空間だったと思います。さてそんなこんなで抹茶が行方不明になったので参謀とシューさんが救出へ寒風の中に飛び出す。その間手持ちぶさたになった我々きのたけ表面良識組は、抹茶にあったらどうしようとか笑っちゃうだろうなとか予想できないとか(ここまで全部俺)、参謀のもみあげとか参謀の予想以上のキャラの濃さとかを談義しながら791さんの鶴の一声でイタズラモードへ。結果的にガムシロ2つとレモンを参謀のジンジャーエールの中に投入しました。痕跡はつばきちがすごい完璧に隠蔽しました。そっから帰ってくるまで大分時間があったので、その間につばきちが予想外に変態だったことを発見したりしてました。791さんは明るく朗らかないい人でした。鬼畜だけど。容赦ねえけど。「文面では濃さがわかんないもんだね」とかなんとか仰ってましたが貴女も相当のものでございます。椿さんはエネループ。エネループ。さてその後抹茶と埼玉さんが合流。抹茶は抹茶でした。とても安心しました。なんというかど真ん中だと思ったらムービングファストで外されてファールになった感覚でした。意味わからん?俺もだ。ちなみにゆのっちバッグは控え目でしたが、聞いてもいないのにグッズをひょいひょい出してきて流石抹茶ちゃだなとおもいました。まる。埼玉さんは予想外にでかかったなぁ。色々と話したかったんですが人数多いし時間もそれほどなかったので断念。今度機会がまたあればその時にでもって感じですかね。さて7人という大世帯になったため店員さんにお願いして机を一個合体させ、本オフ会の立役者である抹茶が上座に。集「これ実は下座なんじゃないか」ジンジャーエールを(完全に無反応で)飲み干した参謀がシューさんから逆襲を食らったりしながら、主に抹茶苛めに花が咲きました。・具体例791さんがこええええええええええええええとか抹茶は何処まで落ちるのか……昔は……とかことしはだいじょうぶですかねえわれらがろっては……とかそんなこんなで割りとサックリ時間が経ち、抹茶がエレベーターに挟まれるなどのアクシデントを挟みながら俺だけ解散。ちょっと行ってフと後ろを振り向くと、遠目から見たきのたけは凸凹でしたが何だか楽しそうでした。年齢層バラバラでこんだけ価値観違う(よね?そもそもきのたけだしね?)人達が一同に介して楽しく話せるっていうのはなかなかないことでしょうし、ましてや初対面のくせしてあんなに穏やかに自然体でいれるっていうのはきのたけならではなのかなぁと思います。この色々と物騒な情報社会で、ネットの中だけど培った交遊でも、立派な繋がりなんだなあと実感した一時でした。個人的にはとても何か実りのあるオフ会で、お会いできたことに感謝したいです。是非次は西でやってみたいとか思いました。以上日記帳でした。
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/178.html
ラノで読む 双葉学園高等部2年1組の菅 誠司はレスキュー部の部長で、変人である。 このような認識から、同級生たちは彼女が予算編成時期を前にして双葉学園生徒会…醒徒会に呼び出しを受けたことを、あまり意外と感じていないようだった。どうせ何か問題を起こしたのだろう、と。 このあたりは当の本人も同様で、いつかこうして呼び出されることもあるだろうと考えてはいた。が、 「……醒徒会は暇なのかしらね」 醒徒会室前の廊下。壁に貼られた掲示物を興味なさげに眺めながら誠司は呟く。醒徒会からの呼び出しは放課の30分後を指定してあった。他に用事もないため、まだ時間がある。 前世紀末から今日まで続く、正体不明の怪物…ラルヴァと、異能力者の戦い。双葉学園と学園醒徒会は、その最前線に立つ集団のひとつだ。 そんな醒徒会が、今から在籍部員わずかに2名の部に対し、わざわざ時間を割いて査問を行うという。誠司には、そんなことをするだけの価値がこの部にあるとは思えないのだった。 自分が創立した部に対する評価としてはあまりに後ろ向きであるが、彼女は至極真っ当な評価だと考えていた。 彼女が部長を務めるレスキュー部はその名の通り、主に双葉学園が関わる事案に際して起きる災害への対処活動を目的として創立された。 ラルヴァ絡みで火事などが起きた場合の避難誘導や、逃げ遅れた人や負傷した戦闘部隊員を力業で救出したりといったことが主な活動内容である。 レスキューといえばもう少し組織的に行われるべきだ、と本人たちも考えてはいる。 しかし双葉学園では対ラルヴァ戦闘での負傷者救助なども戦闘部隊で行っており、専門部署を編成するには至っていないのが現状だ。 学園は実質、災害活動は既存の専門家に任せておけばいい、という立場であるとも言える。これは所属する生徒も似たようなもので、カリキュラム的にも、そしてレスキュー部の予算的にも示されていた。 レスキュー部の部員は現在、部長を含めても2名。しかもノウハウも経験も全くない。顧問は部活動にほぼノータッチの、形だけのものだ。 そうして普段やっていることと言えば、現場に勝手について行き、現場で独自に判断して、可能な限りのことをするという、個人プレイに毛の生えたものだった。 平時であるせいか、醒徒会室前は人通りもまばらだった。グラウンドから運動系の部活の掛け声が遠く聞こえてくる。 平和であれば、少々変なことも教えている只の学校でしかない。確か結構偏差値も高かったな、などと誠司は入試前の記憶まで掘り起こした。そして、実際にはその数値にあまり意味はないのだろうな、とまで想像した。 彼ら生徒が武器を取り戦いに赴くとき、特別差し止められるような場合を除いて、レスキュー部はそれに同行することにしている。 そこに学園の要請であるとか、戦闘部隊の同意というものはない。上位指揮系統もない。 つまり彼女たちは、ラルヴァの出現区域での避難誘導や救出活動をほぼ独断で行っていた。 だが誠司は、細心の注意を払って活動しているつもりである。避難誘導は火事や事故を理由にしているし、自分たちの所属を示しかねない情報は隠蔽。戦闘部隊の邪魔をする気はないし、事実そうならないように努めていた。 正直なところ彼女は、問題になったら部が存続できないと考えている。 ラルヴァの情報は秘匿すべし。この大原則を破っていたら、そもそも学園に在籍することも難しいのだから。 そもそも2人でできることは高が知れていた。 数も可能性も想定しにくいという点から、戦闘区域に迷い込む民間人の方がまだ懸案事項だろう。醒徒会が我々を構う意味は薄い。 ……もっとも独断専行していることは事実だ。だからその点について(言いがかりや悪意ある捏造を含め)苦情が挙がっている可能性は否定できない。往々にして人の恨みというのは、受け手にとって不条理なものだから。 ますます自己に没入し、誠司の目は壁の掲示物を上滑りしていた。同様に思考も絡まり、情報の無さも手伝って無意味な憶測が増えていく。情報が足りていないのだ。 その内これ以上は無意味と思い至ったか、誠司は短くよし、と気合を入れ、思索を断ち切る。 今までのように、どうにかなるだろう。そう考えているのか、表情はいつも通りだ。 瞼に少し力がないため覇気に欠ける。しかし諦念を知るかのように、そこに迷いは見えない。 彼女はそうして静かに、醒徒会室の扉をノックした。 結果として、彼女の予想は半分当たっていたと言えるだろう。 査問は醒徒会長、藤神門御鈴が上座に座り、会計監査、エヌR・ルール、そして書記の加賀杜紫穏が左右に陣取って質問を行う形となった。 加えて言えば、藤神門御鈴は興味なさげに髪を弄んでおり、実質ルールのみが口を開いた。 わざわざ呼び付けたにしては醒徒会側のやる気がない。誠司はそう感じ、やはり渋々時間を割くことになったのでは、と考えた。 だがルールの質問は的確だ。 「この先月の戦闘区域における活動、如何なる根拠で行っていいと判断したのか?」 「行為の根拠でしょうか。それとも出動そのものの根拠でしょうか」 「後者だ。ぼくが言いたいことが分かるか」 誠司は答えなかった。答えてやるのは、有利な行動ではないと考えてのことだろう。 「…我々はラルヴァに対する作戦行動の指揮を任せられている。君たちの行動は我々によって制限されるべきだっただろう」 「醒徒会はラルヴァに対する戦闘部隊の編成、作戦立案と実施を担当する。あくまで戦闘行為に関する指揮権能力だと認識していましたが」 誠司は詭弁を述べることが苦手ではない。 「我々は部の活動の一環として救助活動を行い、それは我が部が有する顧問によって担保されるものと解します」 そして、いざという時に権威をかさに着ることを厭うこともない。 ルールの対面で記録を付けていた加賀杜紫穏が、誠司の言に棘を感じてか顔を上げる。が、何も言わずに再び書面に目を落とした。 ルールはサングラスの下でわずかに瞑目したのち、上座の藤神門へと視線を向ける。 その時誠司はようやく、幼き醒徒会長からの視線に気付いた。先刻までの雰囲気とは違う、何かを洞察するかのような眼。 ……誠司からは死角だったが、膝の上では猫の白虎が行儀良く丸まっていた。普段からは珍しいことに、鳴き声を上げることもない。 そのまま数秒。誠司にとっては、学生の頂点たる彼女を、こうしてまじまじと見る機会は初めてだった。 しかし藤神門御鈴は何も言うことはなく、ルールに目で返事をする。そして、再び興味を失ったように髪を弄り始めてしまった。 「……まあいい。菅くん、きみの意見についてはこちらでも吟味することにしよう。次にレスキュー部が副部長を置いていない件についてだが――」 追及はなかった。査問はうって変わって、当たり障りのない内容へと移っていく。 それを語る必要はない。『ルール』の名に違わぬ内容だった、とだけ示しておこう。長いから。 そうして結局、殆ど何も結論せぬままに、査問はお開きとなった。 「…それで会長。帰してしまって構わなかったのですか」 誠司が退出してしばらく。ルールは終始一言も発することがなかった会長へと言葉をかけた。加賀杜紫穏はまだ記録を終えていないらしい。時折内容を思い出すようなしぐさをしながら、書き物を続けていた。 実のところルールは、藤神門のアイコンタクトの意味を計りかねていた。 ……というのも、今日になって『会長たる者がゆうべんでは、言葉が軽んじられるのだ』と会長が言い出したのが、そもそもの始まりだった。 沈黙は金と確かに言う。そうは言っても査問は円滑に進めなければならない。結果的に、こうしてルールだけが喋る形になってしまった。 「かまわん」 今日一日は同じ方針で行くのか、藤神門はそれだけ言って再び口を噤む。にわかに沈黙が降りた。 「…あ、ええーと、随分とズケズケ言う人だったね!」 加賀杜がなんとか間を持たせるために口を開く。 自分で言い出した手前がんばってはいるが、本来藤神門御鈴にとって、黙っているのは暇で仕方がないのだろう。 威厳を出そうとするのはいいが、暇つぶしに髪を弄くっているようでは本末転倒だ。 退屈を紛らわす会話を続けることが、加賀杜に出来るせめてものフォローだった。 「そうだな。だがルールを犯す人間ではないようだ」 エヌR・ルールはサングラスを押し上げながらそう答える。彼は加賀杜ほど気を使っているわけではないが、いつものもったいぶった話し方が話題をわずかばかり引き伸ばす結果になった。 「そりゃまたどうして?」 「菅くんは決められたルールを利用した。もしぼくがノーを突きつけていれば、彼女は表向き従っただろう」 彼女はあくまで合法的に活動することを望んでいるし、その利点を理解している。 ……ある意味では、レスキュー部は醒徒会の下につくことも良し、としていたのかもしれない。 ルールは彼女の態度をそう分析した。醒徒会という後ろ盾は、彼女たちにとって悪いことではないからだ。 だからこそ、あれだけ強気だったのではないか。それほどに無頓着で思い切りのいい答弁ではあった。 「うーん、よくわかんないな。校則って、都合のいいときにだけ利用したりしない?」 「……。まあ、彼女に問題はないだろう。 それで会長、例の件ですが―」 加賀杜との話を切り上げて、ルールは本題の裁可を仰ぐべく上座へと目を向ける。が、 「にゃー?」 「にゃー」 ……耐え切れなかったのか。会長は、遊んでいた。 <蛟の話> 「というわけで菅くん、よろしく頼む」 「もう少しマシな冗談でないと笑えませんよ。平たく言うとお断りです」 「あなたが…すいません、名前で男の方だとばかり」 「女性とは思えないほど愛想がないから気にすることはないさ、秋津くん。正しい認識だ」 「大丈夫、この名前で女性だと思う方がむしろ異常だから。あと、他の人はまだしも先生にだけは言われたくありません」 「この通り優しい先輩だから何でも尋ねるといい。それじゃ、頑張りなさい」 「ですから嫌です。拒否します」 「特待は正式な決定なんだ。それに醒徒会の方からも、是非とお願いされている。まあ、前例がないわけではないし。君自身にも悪い話ではないよ」 「……」 「秋津 宗一郎です。…よろしくお願いします」 醒徒会の呼び出しから、大体一週間後の昼休みのこと。 以上のようなやりとりの末、私はこの特待生とやらの世話をすることになっていた。非常に納得いかない。 「…あの、ご迷惑だったですか?」 職員室を出てからしばらくの後。 午後の授業へと向かう途中で、後ろからついて来ていた秋津くんがそう尋ねてきた。授業前の廊下はがやがやと騒がしかったが、そこでも彼の声はよく通る。 彼は3つ下で、背も私の目線までしかない。ただどこか粛然とし、大人びても見える。着物が似合いそうだ、などとくだらないことを思う。 「…私にとっては実のある話かもしれないそうだから。だから、気にすることじゃない」 私は苦笑しながらそう誤魔化した。あのやり取りなら気にしても変ではない。自分の存在が迷惑をかけているのではないか、と。 ……本当は、今すぐにでもはっきりと言ってやるべきなのだろう。 私が、誰かの指導ができるような、ご大層な生徒ではないのだということを。 「そうですか」 だがその僅かに安心したような微笑みと、またすぐに表れる張り詰めた顔が、私に言葉を躊躇わせていた。 ……彼、秋津 宗一郎は今年から中等部2年に転入した生徒で、成績優秀であるから特待生として高等部実技授業への一部参加を認められた。ついては指導相談役として君を指名する。というわけで頑張って。 春出仁先生の話を総合するとこんなところだ。 特待生制度があったこと自体初耳で、色々と突っ込みたい部分は多い。が、この際些細なことだ。 一番納得できないのは、よりによって異能力なしの人間に預けることである。正直人選ミスか、書類の手違いだとしか思えない。 私はからかわれているのだろうか。とんでもない難物の管理を押し付けられた可能性も否定できない、と思った。 結果としてその懸念は半分当たっていた。ただし、より厄介な方向で。 秋津くん初の参加となった午後の能力開発の授業は、別に私のような無能力者とされる生徒だけを対象にしているわけではない。 異能力はラルヴァ同様、その種類・様態・質は千差万別だ。そして異能力の殆どは本人の精神、意志によって制御されるものだとされている(少なくとも、無意識の状態で発動する異能力は稀であるそうだ)。 人が精神でコントロールするということは、機械のような安定した出力を得ることが困難なケースが多いということでもある。 異能力を利用可能なものとするためには、何よりも人類にとって制御可能な力であることが求められている。故に、異能力に関する授業は、そのコントロール能力を養うことを大目標のひとつとしていた。 ところがその研究といえば、ろくでもないものも多々混じっている。カリキュラムには、それこそ前時代的なPK・ESP養成訓練のようなものまであった。要するに裏返したトランプを当てるとか、そういう胡散臭い方法のことである。 もっとも確認された異能力者が研究に十分な数になったのは、ここ10年ほどのことだ。未だ研究途上、試行錯誤を続けている段階と思えば、仕方のないことかもしれない。 今回の授業も私にとっては今ひとつ合理性に疑問のあるやり方で、コップの水に対して何か能力で働きかける、という訓練だった。 一応、異能力者もコントロール能力を養うという形で参加している。大体は、各々に異能力を凝らしてコップを倒したり、壊したりするくらいだが。 そうして私は、彼の異能力を見ることになった。 幽霊を視ることの出来ない私に、冷気の残像を見せるほどの極低温。 それはおよそ有機生命が生きることの出来ないだろう、死の世界を作り出す力だ。 その力はうねり狂う龍の如き姿をしている。それが秋津 宗一郎の異能力。 「……」 室内が霧で煙り、周囲がにわかに浮き足立つ。教師まで呆気に取られているところを見ると、彼の能力について詳しいことは知らなかったようだ。そして私も、この結果を予想外のものとして見ていた。 コップの水には波紋さえできていない。 霧状の何かが通り過ぎたと見えた刹那、微動だにせず凍り付いてしまっていた。 懸念は半分外れていたようだ。 彼の素質は、私へのからかいなどという冗談で済まされるものでは断じてない。 「おい、見えたか今の」 「いや…」 「……蛇?」 私も大体そんなところだと思う。よほど『視力』が良くない限り、冷気の影で想像するしかないのだろう。 彼は大仰な身振り手振りもなく、コップに軽く視線を向けただけでそれを成していた。 もっとも彼の異能力は、実際にはコップのみならず周囲の大気や、コップの置かれたテーブルまでも凍てつかせてしまっている。 コントロールを養うという観点から言えば若干マイナス点だろう。だがそれ以上に、周りの人間からするとちょっとした恐怖だ。ともすれば自分をあっさり殺せるかもしれない異能力者が、コントロールを絞りきれていないのだから。 そして存分にその能力を見せ付けた秋津くん当人はというと、こんな授業は時間の無駄だとでも言いたげな顔をしていた。 幼いゆえの優越感でも感じていればまだ可愛げがあった。ほめてほめてという顔でもしていた方が、いくらかまともに見えただろうに。 やがて教師が何とか場を持ち直させ、秋津くんに形ばかりのアドバイスをして授業はおしまいになった。 私は、その様子に一抹の危うさを感じると同時に、少なくとも『難物』という予想は正しかったな、などと考えていた……。 蛟の二 へ 作品投稿場所に戻る トップに戻る
https://w.atwiki.jp/parabura/pages/103.html
「毘沙門天よ、私はかえってきたぁー!!」 パーソナルデータ http //dragoncage.upper.jp/parabura/hero_list/list.cgi?id=133 mode=show 寺の住職、阿藤影勝が、暦オタ外国人女性ニーナ・ベル・グリーブスとの間に作った娘。 結果、古くは長尾の血を引き毘沙門天を祀る阿藤家の血筋と、母の強烈な趣味の影響を受けた色んな意味でのサラブレッドで、更に後付でユニセックスな趣味を持つ事から、偏った解釈の下、上杉謙信の異名を持つ(本人割と気に入っている)。 また、学業と自寺院の手伝い、更に〈DUST〉の職務に趣味の時間、全てをこなしており、学業中や寺院の生活では質素倹約に、〈DUST〉の仕事や趣味の時間にはすべてを開放して最高の状態を維持するよう努める全力少女。 スポーツの盛んな県立金河高等学校に通っているが、水泳が少し得意な程度で学校の成績は人並み。 悪魔憑きとしての力も必要に迫られなければ使用せず、部活動にも参加していない。結果として、片目が深緑であることで多少話題になる程度の目立たない女子として暮らしている(と、少なくとも本人は思っている)。 好き 夢の中の少年、戦国、ガン○ム、ねこ、プラモ、フィギュア、その他アニメゲーム等。 嫌い 勝者無き戦い。蟲。 名前 アナベル・G・阿藤は、父側の姓・阿藤と、母側のミドル・ファミリーネームの、ベル・グリーブス、そして名前のアンナをあわせたもので、正式には、アンナ・ベル・グリーブス・阿藤。親しいものの中にはアン、アンナと呼ぶものも居る。 経歴 生誕から一貫して寺院での生活をしてきたため、日ごろは倹約に努め質素に過ごす事をよしとする、非常にまじめな性格。 また、一見矛盾しているかのように見える、ガノタ、及び、それに類する趣味については、得難き友人達との「楽」の日常であるとして、常に全力で楽しむこととしている。 悪魔憑きとしては半年前、突如現れた織田を名乗る人物に命を狙われ、その際白昼夢を見てブリガンダインに覚醒。 この際、白昼夢の中に現れた少年(とてもかわいい。自分にショタ属性がある事を認めざるを得なかった。)や、その結果、一番好きなMSに似通ったの自分の変身形状から、最近は「二次元は信じていれば現実となる!」と豪語し、プラモデルやフィギュアを集めては“大切な人”と呼んで、部屋の上座に飾っている。 同時に、阿藤家の一人娘であり、このような力に目覚めた自分は、上杉謙信の、更に遡れば、毘沙門天の、生まれ変わりであると信じて疑わないようになった。 後に色々な意味で〈DUST〉に保護され、戦国武将を前面に出している同年代DUSTコマンド真田ユキムラの存在を知り、上杉謙信の異名を持つ者としてはライバル意識を燃やし始めている。 戦闘スタイル 戦場全体を見て敵を制する。自称、毘沙門天の加護。 住居 毘沙門天を祀る由緒ある寺、阿藤寺。 境内の掃除は基本的にアナベルの役割となっており、参拝客の多い土日の前、金曜の夜は、〈DUST〉の仕事でどんなに遅くなっても完璧に掃除をする。 また、アナベルがついつい面倒を見ているうちに、僧房の縁の下に次々と猫が住み着き、掃除を大変にするのは理解しつつも邪険には決してしないため、今では世間住民から“猫屋敷”と呼ばれるほどになっている。(野良猫と踊れ/m7iさんで設定追加) 他キャラクターとの関係 名前 感情 呼び方 コメントなど 真田ユキムラ 好敵手 真田殿 未だ会ったことは無いが、強敵に違いない。 浦木 光太郎 興味 ウラキ君 宿命とも呼ぶべき名と変身形態を持つ男。未だ未熟だが……。 白川 静 信頼 シズカ殿 信頼の置ける将の一人。 タニア・カーター 恐怖 カーター殿 よもやあのような変身形態をとる悪魔憑きが居ようとは……だが……。 高柳&桜木&清命 笑劇 高柳殿/桜木殿/清命殿 事実は小説よりも奇なり。二次元世界>>>現実世界を実感させてくれる人物達である。 他NPCとの関係 名前 感情 呼び方 コメントなど 周防 嘉久 敬意 周防殿 大都市希園の〈DUST〉を束ねる将。彼から学ぶべき所は多い。 室阿 礼二 庇護 青年 弱さにつけ込まれた被害者の一人。ケアが必要だ。 謎の女 憤怒 謎の女 死者を冒涜し、人の尊厳を貶める不埒な輩。 <苦情等あればこちらに> 毘沙門天の加護ぞある!! -- アナベル・G・阿藤 (2011-01-24 29 29 29) 加護しました -- ビシャモンティ (2011-01-26 18 19 55) 毘沙門てぃ・・・? 何者だ!! -- アナベル・G・阿藤 名前 コメント カウンター: - / 今日: - / 昨日: -
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/1968.html
がんばれゴエモン2 連絡用掲示板・議論スレ-32~34 32 :がんばれゴエモン2:2016/07/04(月) 20 48 36 ID ??? がんばれゴエモン2 1989年ファミコンで発売されたアクションゲーム。 最初のステージ以外は通行手形を取得しなければ先に進めない、ステージクリアするたびに小判を長屋にばらまく。 捕まったゴエモンは同じ牢屋にいたエビス丸に、からくり城の財宝について聞き、それを目指して旅立つ。 ステージ1 城 牢から逃げて、役人を蹴散らしながら牢屋を脱出するゴエモンとエビス丸。さらに町中に出る。 ボスとして「相撲ロボ庄屋壱号」が最後に現れる。大きな相撲ロボで、ちょんまげカッターを飛ばしながら、近寄る。 ダメージを与えると頭が外れ、中身の庄屋がレバーを操作しているのが見える。ここから横に球を飛ばす。倒すと土下座。 ステージ2 九州 中華風の敵などがいるステージ。 ステージ3 四国 鳴門の渦潮などがあるステージ。 ステージ4 中国 町中や山道のステージ。 ボスとして大きな空中に浮かぶ桃「モモザンヤ」が関所前に出てくる。割れて子鬼を飛ばしてくる。 ステージ5 近畿 城下町のステージ。 ステージ6 中部 飛び地などのステージ。 ステージ7 関東 海側のステージ。大仏や神社などが背景にある。後半は城内へと入る。 最後に白の殿様が上座に鎮座している。 「わしがこの城の殿様だ、とっても偉いのだ。よくここまで来たのぉ。 でもね、ここはからくり城ではないんだよぉぉぉん。もっと北の方にあるのだ、どうだ参ったか。 はっはっはっはっはっはっ、ところで命は助けてね。」殴りつけるゴエモンとエビス丸。 …かくして、からくり城を目指す過酷な旅は、まだまだ続くのであった。 ステージ8 東北 背景が山のステージ。後半は雪が積もり、階段をジャンプでひたすら上る場所も。 ボスとしてイタコの婆さんが魂を呼び「ブラックゴエモン&ブラックエビス丸」を呼びだす。こちらと同じ攻撃。 ステージ9 蝦夷 雪に覆われたステージ。 ボスとしておおきな熊の「ヒグマの赤丸」が登場。こちらに突撃してくる。 ステージ10 からくり城 ラストステージ。城の中は迷路になっており、無限ループの通路も。正解の通路を見つけ上へと登って行く。 またボスが途中の部屋で、ボスがそれぞれ待ち受ける。 大砲を頭につけ、こちらによりながら爆弾や大きなボールを飛ばしてくる「大砲坊主」。 まんまグラディスのボス「ビッグコア」。頭に傘をつけたからくり人形、皿を飛ばしてくる「こて丸」。 手足の生えた大きな般若のお面、ジャンプしながら斜めにレーザーを放つ「般若」。 そして最後に武者鎧をつけたモアイ「モアイ将軍」。左右に動きながらリングビームを撃ってくる。 実はこれは立体映像で隅の二つのカメラを破壊すると、正体を現す。 モアイ将軍が消え、現れたのはホッピングをつけた殿様からくり権座衛門、この状態だとダメージを与えられ倒せる。 33 :がんばれゴエモン2:2016/07/04(月) 20 49 04 ID ??? エンディング ゴエモン「これがからくり城の財宝か」 エビス丸「でへでへ、何がはいってまんのやろ。楽しみでんなぁ」 ゴエモン「それではお宝を拝ませて、もらいやしょうか」 ゴエモンが箱を開けると光が放たれ、エビス丸の頭が割れる。目が飛び出し驚くゴエモン。 ゴエモン「えびちゃん…」 するとエビス丸が美女に変身した。ゴエモンはキリッとした顔になる。 エビス丸「ゴエモンさん、ありがとうございます。やっと元の姿に…」 ゴエモン「いやいや、とんでもありません。しかしなぜ、あのような…」 エビス丸「はい、実は…、からくり城のお殿様に嫁になれと迫られ。断ると変身からくりの術で、あのような姿に」 エビス丸「財宝があるなどと、長い間ゴエモンさんを騙してごめんなさい」 ゴエモン「なにをおっしゃる兎さん。あなたのような美しい方の為なら。はあ、はあ、はあ…」顔がでれでれになる。 エビス丸「どうなされました」 ゴエモン「いいえ、なんでもございません、お嬢さん。それはさておき、これからどう……」 エビス丸「はい、国へ帰ろうかと…」 ゴエモン「そうか…それがいい」 エビス丸「本当にどうも、ありがとうございました。さようならゴエモンさん」 ゴエモン「でへへへへ…」また顔がでれでれになるゴエモン。 エビス丸「さようなら、ゴエモンさん」 スタッフロール。踊るゴエモンとエビス丸。完 34 :名無しさん:2016/07/04(月) 20 50 57 ID ??? 投下終了。ちなみにエビス丸が女と言う設定は無かった事になっている
https://w.atwiki.jp/teikokuss/pages/1331.html
帝都 アル・カディア出征後 (2) シナプス卿は、一目でわかった。 通用口に建つその姿は、思っていたよりも歳をとっていた。それでもまっすぐに背を伸ばし、腰の後ろに手を組み、厳しい目でルキアニスとマルクスを見ていた。ルキアニスたちが門を叩いたあと、先の老女が慌てて主人たる彼を呼びに行ったのだろう。彼は地黒で背は高い方で、ほぼ白髪の髪はきちんと整えられている。 「拙宅に何用かな」 それは冷たい声色で、それだけでルキアニスはどう応じればよいかわからなくなっておろおろしてしまうのだけれど、マルクスはぴしりと背を伸ばし、エリウス・XX・シナプス卿であられましょうか、と問う。自分たちは帝國軍人であることを告げた。先の出征地がアル・カディアであることを告げ、その折に、このルキアニス・アモニス上騎がアリア・ケイロニウス・ケルトニア殿下に伴われた近衛騎士卿より、シナプス卿への伝言を預かっている、と言う。 よくもまあこういう時にあれだけ臆せずに話ができるものだと思う。シナプス卿は、アル・カディアよりの伝言、と聞いて強く眉をひそめる。思い当るところが無いというより、思い当ることに何かしら怒りを感じたという風に。 訳が分からない。ルキアニスは手紙を届ければ、きっと喜ばれるだろうと思っただけだ。もう帰りたい、と思い始めた時、シナプス卿は言った。 「いかにも自分がシナプスである。心当たりはないが、ここで受ける話でもなかろう。はいりたまえ」 彼はくるりと隙の無い動きで通用口に背を向ける。彼の屋敷は静かだった。 マルクスの実家に比べると確かにずっと小さく、彼の実家からすれば前庭とその少し奥くらいまでしかないように思える。庭には馬小屋らしいものはあったけれど、馬の姿は無い。すっかり隠居した、という風だ。 その庭はきちんと掃き清められ、同じように屋敷の中もきちんと整頓されていた。小さな花瓶には花が活けられている。あの老女が行っているのだろうなとルキアニスは思った。シナプス卿が導く先は、応接のための部屋だった。組椅子に囲まれた小卓がある。 「座りたまえ」 言いつつ、シナプス卿も上座の組椅子へと腰掛ける。 「間違いではないのかね」 彼はそう言った。アル・カディアへ行ったものらとは、もちろん面識はあるが、報せや手紙を送り合うような間柄ではない、と。マルクスはルキアニスへと目をやり、ルキアニスはあわてて言った。 「確かにエリウス・XX・シナプス卿へと伺いました。手紙への宛先にも間違いなくそうあります」 鞄を開き、手紙を示す。宛先は確かにシナプス卿宛てであるし、差出人はデキムス・コンスタンティヌス・デラムィウスとなっている。シナプス卿はそれを見て、しかめる、に近いほど眉を寄せる。 「・・・・・・」 ふいに彼は顔を上げる。手紙を突き返されるかも、とルキアニスは思ったのだけれど、彼は辺りを見回し始めた。すまん、と言って立ち上がり、扉の方へと向かってゆく。 「わしの眼鏡を持ってきてくれぬかね。それからお茶も頼みますよ」 シナプス卿は何事も無かったように戻ってきて、また上座の組椅子へと腰掛ける。おほん、と咳ばらいをした。 「確かに奴との面識はある。だが奴がわしに手紙を寄越す所以がわからぬ。君は、聞いていないのか」 マルクスは、自分は手紙を預けられたわけではなく、手紙を預かったこちらのアモニスの伴いに過ぎない、と応じる。アモニスは帝都のものではなく、旗本街の様子が判らぬゆえ、案内のようなものだと。ルキアニスは応える。 「手紙の中身については伺っておりません。ただ私の手によって、シナプス卿に直に渡すように、とのことでした」 あのとき、手紙を受け取った時、デラムィウス卿は笑みを浮かべた。何かありげに思えたのだけれど、あのときにはどういう事なのかわからなかった。今のようなことになると、わかっていたのだろうか。その上でここに使いに遣らせたのだろうか。 「・・・・・・」 居心地の悪い時がじりじりと流れ、やがて扉が叩かれ、開かれる。 先の老女だった。お茶のお盆を携えた彼女は、ルキアニスとマルクスをまじまじと見て、あら、と明るい声を上げた。先の声とは全然違う。そしていそいそとお茶をマルクスとルキアニスの前に置くと少し退いて、先ほどはお騒がせいたしました、などと頭を下げる。 「軍人さんがお二人で抱き合ってるように見えてしまいましたもので、これはもう、世間というものは、どうなってしまったものかと」 「それは後にしてもらってもでかまわんかね」 シナプス卿は柔らかく言う。 「眼鏡をくださらぬか」 「はい、お待たせいたしました」 厚い硝子の眼鏡を受け取り、シナプス卿は鼻にかける。手紙を手に取り、まだ封蝋がそのままであることに気付くが、老女はすぐに封切を手渡す。まるで夫婦のようだけれど、そうではないらしい。 「それでは、失礼いたします」 老女は退き、シナプス卿はうんうん、とうなずきながら手紙を広げる。何が書いてあるのか、ルキアニスは本当に知らない。そもそもシナプス卿とデラムィウス卿は親しいのだとばかり思っていた。 シナプス卿はゆっくりと手紙の文字を追っているようだった。 「・・・・・・」 しばらくして、彼は手紙から顔をあげ、眼鏡をはずす。何も言わず椅子の背に身を預け、目を閉じる。 そのまま軽く天井を仰いでいる。何を思っているのだろう。不意にその顔に苦笑の色が浮かぶ。 「奴め、お互いに老い先短かろう、などと書き寄越しおった」 それはルキアニスとマルクスに向けてではなく、別の誰かに向けたような柔らかい口ぶりだった。シナプス卿は目を開き、それからルキアニスを見る。 「アモニス君、と言ったか」 「はい・・・・・・」 「行き掛かりについてはわかった。私の方にもいささかの予断があったことは認める。あるべからざる行いで、不愉快な思いをさせただろう。それについては詫びよう。このとおりだ」 シナプス卿は椅子の背から身を起こし、ルキアニスたちへ向けて深く頭を下げて見せる。 「・・・・・・」 驚いて、ルキアニスには返す言葉も無い。困ってマルクスを見るのだけれど、マルクスは静かにシナプス卿を見ているだけだ。仕方なくルキアニスは問うた。 「あの、お手紙には、何と書かれていたのですか」 シナプス卿はゆっくりと頭を挙げる。それから笑みを浮かべる。 「彼奴の褒め言葉だ」 困惑ばかりがルキアニスにはある。彼は言う。 「奴は君を大変褒めておった。遠矢を二本、それも夜に通して来たと書いてきおった。奴が褒めるというのはそれなりのものだ」 ルキアニスは驚き、それから、そこまで褒められるほどだったろうか、と思いもした。確かに遠矢を二本射た。夜の連絡で、全周陣地で、こちらが来ることを知らぬところへだった。連絡そのものは上手く行った。だから陣地に収容されて、そこの指揮官と対面できた。指揮官が手紙の差し出し主のデラムィウス卿だった。そう言えば、褒めてくれていた気はする。シナプス卿は続ける。 「疑いなどせぬよ。奴がどんな男なのか、儂も承知しておる。奴そのものをどう思うかは別にして、な」 「・・・・・・はい」 「君にとって迷惑かもしれぬが、一つ、儂の願いを聞いてはもらえぬか」 「どんな事でしょうか。自分たちはもう、アル・カディアに行くとは思えません」 「そちらは無用だ。彼奴の狙いは君をここへ、儂のところへ導くことであったようだからな。儂の頼みとは、それとは違うことだ」 「はい・・・・・・」 「君に何事か困りごとがあったとして、君が捨て置かれることなどまず無かろうが、もしも、誰に言えば良いか判らぬようなことがあったならば、ぜひとも儂に聞かせなさい。これは儂から君への頼みごとであると考えてほしい。たとえば、そこの若いのに捨てられて行く当てもない、などというときなどな」 ははは、とシナプス卿は笑った。 「そこだけは冗談だ。悪く受け取ってくれるな」 応えかねてルキアニスはまたたく。マルクスは良く聞き取れませんでした、というような知らぬ顔をしている。そういう事が上手い。シナプス卿は静かに続ける。 「儂とデラムィウスとの間には、まあ、いささかながら相容れぬものがあってな。それは今日の今にあっても変わらぬ。認めえぬ相手ではないが、な」 彼は言う。強敵は、何者よりも良くわかるものだ、と。 「いや、君らにとっては迷惑な話であろう。君にも擁護者はおられよう。どなたか聞いても構わぬかね」 ルキアニスは少し迷い、マルクスを見る。問われているその擁護者というのは、マルクスの父上様だ。マルクスを見ると、他に気取られぬくらいにわずかに、片方の眉をあげて、つまりは何で俺に聞くんだと言いたげだ。 ルキアニスが、ケイロニウス・レオニダス侯爵の名をそっと伝えると、シナプス卿は、静かにうなずく。 「そうか。良い御縁のようだな」 「はい」 「その御縁に横から入り込むつもりはない。だが君はいまでも弓をやっておるのだろう」 「いえ、あまり・・・・・・」 「それはもったいないことだ。身につけるには時が要るし、身につけたならばかならず役に立つ。それで奴を驚かせたのだろう」 シナプス卿は愉快そうに笑う。 「ぜひともつづけたまえ。そのために入用なものがあれば、微力ながら儂から手伝わせていただこう。儂からの頼みと思って受けてほしい。とはいえ君はもはや立派な軍人だ。この老人に出せるいくばくかの金子などどうということはあるまい。しかし、儂もデラムィウスも、その技についてはいささか覚えがある」 それに、とシナプス卿は笑みを浮かべる。それまでのどこか老いをうかがわせる笑みとは違う、力強さを秘めた笑みを。 「儂にも矜持というものがまだ残っていたようだ」と。 というわけで、思いつきがちゃんと形になったかどうか不安だが、 ルキの部活、弓匠、黒騎士のルキアニスふたたび、を繋ぐエピソードになった、と。 デラムィウスは貴族で、近衛騎士団の重鎮であったので、彼と「喧嘩」できるキャラは同じく貴族でなければならないんだけど、ちょっとその辺の造形が甘かったので若干のもんにゃり感はある。 デラーズはシナプス艦長を知らなかったので、身分差があってもいいんだがねい。 シナプス卿とデラムィウスはたぶん流派が違い、つまり派閥も違っていた。派閥争いをしている暇は無かっただろうから、若いころに競り合って、以後期するものがありながら、シナプス卿は何らかの責任を問われて退役、デラムィウスは近衛騎士団の事実上の解体を見ながら、アル・カディアに骨を埋める。 手紙の内容は、ルキたちが見てもごく普通の、戦況についてある程度詳しく書き送ったものにしか読めないはず。
https://w.atwiki.jp/treborsp/pages/179.html
第1番 鏡宝寺 佐倉市六崎791 043-486-2900 第2番 玉蔵院 佐倉市神門532 第3番 広福院 佐倉市大篠塚767 廃寺 第4番 慈眼寺 佐倉市小篠塚570 第5番 宝鏡院 佐倉市木野子258 廃寺 第6番 円妙院 佐倉市上別所175 第7番 新照寺 佐倉市太田1457 043-484-2316 第8番 宝金剛寺 佐倉市直弥172 043-498-2515 第9番 養昌寺 佐倉市石川154 043-484-0315 第10番 円城寺 佐倉市城672 無住? 第11番 正光院 佐倉市高崎554 第12番 西光寺 佐倉市下勝田285 廃寺 第13番 圓林寺 佐倉市寒風辺田22 廃寺 第14番 密蔵院 佐倉市寺崎字新小路2960 043-484-1395 第15番 宝寿院 佐倉市天辺180 第16番 観音堂 佐倉市宮本219 廃寺 第17番 大聖院 佐倉市鏑木町1-661 043-484-1682 第18番 周徳院 佐倉市鏑木町1-622 043-486-0366 第19番 勢至堂 佐倉市米戸199 廃寺 第20番 不動院 佐倉市八木212 廃寺 第21番 全養院 佐倉市馬渡874 第22番 東泉寺 佐倉市太田1741 第23番 吉祥寺 酒々井町本佐倉687 043-496-2304 第24番 善養院 佐倉市馬渡874 043-498-4473 第25番 宗徳寺 佐倉市臼井台字寺前1277 第26番 西教寺 佐倉市江原新田91 廃寺 第27番 子ノ権現 佐倉市寒風辺田107 第28番 東慶院 佐倉市大蛇東慶院前720 廃寺 第29番 圓応寺 佐倉市臼井田町966 第30番 満蔵院 佐倉市本町 廃寺 第31番 勝全寺 佐倉市鏑木町1147 第32番 養福寺 佐倉市長熊397 廃寺 第33番 自性院 佐倉市大蛇86 廃寺 第34番 多宝院 佐倉市直弥172 廃寺 第35番 万福寺 佐倉市吉見510 043-487-4071 第36番 観音堂 佐倉市羽鳥1017 第37番 万福寺 佐倉市吉見510 043-487-4071 第38番 浅間社 佐倉市六崎890 第39番 延光院 佐倉市高崎554 廃寺 第40番 光徳院 酒々井町本佐倉字根古谷 廃寺 第41番 天神社 佐倉市吉見782 廃寺 第42番 地蔵堂 佐倉市吉見185 廃寺 第43番 観音堂 佐倉市生谷490 廃寺 第44番 圓福寺 佐倉市吉見510 廃寺 第45番 正光寺 佐倉市畔田400-1 第46番 地蔵堂 四街道市成山59 廃寺 第47番 阿弥陀堂 佐倉市生谷437 廃寺 第48番 光勝寺 佐倉市臼井字小笹台1236 043-487-3108 第49番 長榮寺 佐倉市石川156 廃寺 第50番 吉祥寺 四街道市小名木内釜160 廃寺 第51番 普門院 佐倉市羽鳥字台1044 043-484-2830 第52番 印東寺 佐倉市馬渡大内670 廃寺 第53番 阿弥陀堂 佐倉市羽鳥1090 廃寺 第54番 延命寺 佐倉市馬渡874 廃寺 第55番 三島稲荷 佐倉市直弥172 廃寺 第56番 妙見堂 佐倉市六崎小山崎1061 廃寺 第57番 勝寿寺 佐倉市弥勒町95-1 043-484-2307(勝胤寺) 無住? 第58番 周徳院 佐倉市鏑木町1-622 043-486-0366 第59番 薬師堂 四街道市和田 廃寺 第60番 祥福寺 四街道市長岡379 廃寺 第61番 専榮寺 佐倉市生谷507 第62番 天神社 佐倉市吉見782 廃寺 第63番 西教寺 佐倉市江原新田91 廃寺 第64番 成福院 佐倉市飯重924 第65番 熊野権現 佐倉市飯重924 廃寺 第66番 常福寺 四街道市山梨479 廃寺 第67番 薬師堂 千葉市若葉区旦谷町232 廃寺 第68番 善光寺 四街道市鹿渡字坊作334 043-432-9335 第69番 浄光寺 佐倉市羽鳥1110 廃寺 第70番 清光寺 酒々井町本佐倉206 043-496-0739 第71番 権現社 佐倉市吉見782 廃寺 第72番 福寿院 四街道市鹿渡字坊作334 043-432-9335 廃寺 第73番 少林寺 佐倉市吉見190 廃寺 第74番 成福院 佐倉市飯重924 元「東福院」 第75番 善通寺 千葉市若葉区旦谷町232 廃寺 第76番 普門院 佐倉市六崎871 043-484-1682(大聖院) 無住? 第77番 西福寺 佐倉市大篠塚840 第78番 清久寺 四街道市亀崎鍛冶内370 043-423-9818 第79番 道祖神社 佐倉市上代 廃寺 第80番 薬師堂 四街道市上野129 廃寺 第81番 嶺南寺 佐倉市新町字仲町74 043-485-1475 第82番 林正寺 佐倉市上座68 廃寺 第83番 圓福寺 佐倉市吉見510 廃寺 第84番 成就院 佐倉市飯重924 廃寺 第85番 蓮花寺 四街道市栗山450 第86番 東泉寺 佐倉市太田1741 第87番 阿弥陀堂 四街道市亀崎鍛冶内370 第88番 常楽寺 佐倉市臼井田町24
https://w.atwiki.jp/teikokuss/pages/394.html
暗闇の中に光が生まれた。座卓と思しきそこに数人の男女が現れる。 一団の中で上座に座る、機械式眼鏡をかけた一人の老人が口を開いた。 「デウス・エクス・マキーナはカメリア殿を主と認めた。お前の幻視通りか、ユニアよ。」 その眼鏡越しの視線の先には座卓の光に照らされていた一人の女性。 「幻視がなくとも、ここに来るところまでは予想通りでした、父上。」 彫刻家が美の結晶として彫りあげたようなその顔から、低い男の声がした 「彼女は森の国の血こそ引いているものの、ケルトリアの皇統とは縁が無かった筈だが。」 「その筈です。魔導師としては現在の帝国でも十指に入ると思いますが。」 「御霊はそちらを重視したのやも……いや、ないな。」 老人は視線を動かし、暗闇の中で光に照らされている小柄な影を見つめる。 「我が孫よ、何か聞いているか?」 そこに座っていたのは子供だった。少年とも少女とも見える美しい外見をしている。 「『彼女を主と認める。私には彼女が必要だ』とだけ。」 歳相応の声と不相応の落ち着きで子供は質問に答えた。 「ふむ……。」 「しかし。」 再び考えを巡らせる老人に別の男が無精髭を撫でつつ口を開いた。 「デウス・エクス・マキーナの覚醒と解放。教会と魔導師ギルドが黙っちゃいませんな。」 この中で唯一軍の制服を着ている男には、現状を面白がっているような表情があった。 「後者はともかく、死者への敬意より『浄財』とやらを重んじる連中などどうでもよい。」 本当にどうでもよい、という声音で老人が国内最大の宗教勢力を切り捨てる。 「我々も外の一部からは同列と見られていますよ? あるいはもっと悪いものと。」 その態度が虚勢ではない事を知っている男は、苦笑しつつ老人の言葉に応えた。 「貴族と教会と魔導師と商人が徒党を組んで葬儀商売、とでもか?」 言葉にある種の諧謔味を混ぜて老人が返す。 「先祖と死後の供養を盾に無言の脅迫、もつけましょう。」 「私達の真意を理解しない者が多いのは一門がここに居を定めてから変わらないのでしょうか?」 二人の会話を聞いていた子供の口から達観した、あるいは諦観したような言葉が悲しげに漏れた。 「ある程度に誤解されるのは仕方ないが、それが私達に害をなさないようにすべきだ。」 それを宥めるように女性が話す。低い男性の声はどうやら地声らしく、顔との落差が凄まじい。 「その通りだ。そしてこれもまた昔から我らがしてきた事なのだ、我が孫よ。」 女性の言葉を補足して、老人は子供を諭す。 「はい、お爺様。」 まだ座卓の上からは顔程度しか見えない子供は頷いた。 「ともあれ。」 今まで何を言わなかった別の者、壮年の男性が口を開いた。 小さいが人をひきつける瞳に顎鬚を生やした精悍な顔立ちをしている。 「これからはどういたしますか、父上?」 「かの御霊が認めたのだ。我らの採る道は既に決まっている。」 外した普段掛けている日よけ眼鏡を見ながら、男性が老人の決断に応える。 「レイヒルフトが喜びましょう。ならば私と父上はカメリア殿と共に帝都に戻らねばなりますまい。」 「で、あろうな。ユニア、留守と孫を預ける。」 「はい、父上。」 「いってらっしゃいませ、お爺様、伯父様、お父様。」 女性と子供が見送りの言葉を発する。 「……ところで。我が友ながら、彼の進む道は我ら一門にとって甘いとは限りませんぞ?」 男性が日よけ眼鏡を顔に戻しつつ老人に告げる 「時は移り行く。人と国は変わる。諸行は無常だ。」 その警告に老人は、どこか詩か宗教句めいた言葉を返した。 「――ならその変化に自分で関わってしまえばよい、ですか。」 「その点は今までと変わらないわけですな。」 兄弟と思しき同じような声で、男性と男はその句に答え。 「ただ死者と御霊への敬意を旨として。」 三人の言葉を引き継いで、女性が詠うように唇を動かし。 「そうだ。それを守ってきたからこそ、我々は今まで生き延びたのだから。」 そして老人が最後に論を結んだ。 「では、これにて解散とする」 老人は会合の終りを宣言。次々と光と人影が消え、彼と子供のみとなり。 「我が孫よ。」 二人きりとなった時、老人は先ほど言霊を紡ぐ様子を見守っていた子供に声を掛けた。 「はい、お爺様。」 「これから帝国も我が一門も大きな流れに身を任せることになろう。 お前のその能力はその中でかならず役割を果たす。今は自らを磨くが良い。」 「……はい、お爺様。」 そして光は消え、暗闇には誰もいなくなった。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/8219.html
238:635:2022/10/05(水) 17 27 55 HOST 119-171-248-234.rev.home.ne.jp 銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです欧州大戦その十四 SUMOUとはMATSURIである 海峡はただただ静かだった。 完全に日が落ち、夜の帳の降りた海峡に煌々と明かりを照らす艦が一隻。 日米の将兵の英霊達とアルビオンと戦っていた筈の毒竜もソレが完全に始まると共に静かに佇みその艦の甲板を見つめ、 その姿と艦をアルビオンと対州要塞姫、そして蛭子命がモスラにも例えられた姿で見守っている。 その艦の飛行甲板に集められた各国海軍の将兵はその状況を戦々恐々かつ困惑した表情で見つめる。 自分たち戦っていた筈なのになんでこんな状況になっているのかと。 甲板にはシートが引かれ座布団が置かれた席が幾つも設けられ各国艦艇乗員、硫黄島で戦った日米の将兵の英霊らそして特攻機に乗せられていた幼子達。 一段と高い席には海兵隊司令官たる将と王妃マリー・アントワネット傍らにはジャンヌ・ダルクが控える。 その側には鳩がおり司令官が凄く緊張している。 そして人々が集められた人集りの中央、強襲揚陸艦イオージマの飛行甲板にはジャービスら艦娘やバタビア沖棲姫達深海棲艦達が車座に座り、 その車座の中央には甲板を南北に分ける様に並行する二つの線が設けられていた。神事の場の証、即ちこの場は土俵である。 木同士を打ち付ける音が甲板に響き渡る。 ブルードレスを纏う海兵隊員が現れ甲板を手に持つ拍子木を打ち鳴らし一行を先導してきた。 一行の先頭を行くのは翼を生やし鎧を纏う世界を分ける神の名を与えられた艦娘ジェーナス。その手には蛭子命より賜った軍配を掲げる。 元の姿と余り変わらないが何故か見事なハクトウワシの描かれた化粧廻しを締め露払いを務めるのはギリシャ神話の狩人オリオン、 その腕力はケルベロスの顎すら砕くという。 最後尾は鞘に入れた九偉人が一人ヘクトールの槍でもある聖剣デュランダルを持ち此度ヘクトールとの魂継ぎを行ったイゼイラ人アインビル、 その片腕は呪いの影響で切断されサイボーグ化されている彼はエリア51という文字とサマルカ人の描かれた化粧廻し締めている。 そしてオリオンとアインビルの間には旭日旗と星条旗が描かれていた廻しをした日ノ本が怪異殺しの日下開山、 藤原秀郷…伝説に語られる名を俵藤太! その三人が化粧廻し(私物)をしているのを見て満足そうに司令官は頷く。 ちなみに提供元の欄にはU.S.Marinesの文字が刺繍されている。 なお流石に綱はなかったので艦内に保管されていた未使用の係留ロープを使用したがこれは繋ぎ止めるという意味で意味があると秀郷は笑っていた。 土俵の際に立つ秀郷の両脇には露払いのオリオンと太刀持ちのアインビルを控えさせジェーナスが土俵中央より退くと前に出る。 そして神々や司令官、王妃を前に柏を二度打つと四股を三度踏む。 四股を踏む度に観客よりよいしょお!と掛け声が飛ぶ。 柏手を打つ度、四股を踏む度に艦が揺れ五度に渡り穢が祓われる。 それだけで甲板の者らの精神が昂ぶってくる。 それもそうだろう相撲とは神事であり神事とは祭祀とは即ち祭り。 そして祭りとはRiteだけでなくCarnivalでもある。老若男女皆騒ぎ楽しむものだ。 彼は示す、驕り高ぶらずされど威風堂々と。天よ、神々よ御照覧あれ。これぞ俵藤太の土俵入り、と。 俵藤太により見届けた八百万百の神々と将軍と貴き青き血の方に示された。今よりこの場は神事の場、神天上覧相撲英仏海峡場所。 「ひがあしいいオリぃぃオンんんんん…!にいしいぃぃアインビルううぅぅぅ…!」 日本駐留時代に覚えたのであろう日本語で海兵隊員が扇を持ち名を呼ぶ。 「うっし!行くか、手加減はしねえぜ?」 「創造主オリオン、胸をお借りします!ですが…。」 「ああ…。」 最初の対戦はオリオンとアインビルという英雄同士の対決。 しかし両人とも相撲の作法(ルール)は知らずせいぜいテレビの大相撲を見たくらいでちらりと土俵の外で胡座をかく秀郷に目をやる。 239:635:2022/10/05(水) 17 28 33 HOST 119-171-248-234.rev.home.ne.jp 「急所撃ちなし、足裏以外を付くか外に出れば負け…力比べを披露する場だ。その程度で良かろう。礼を忘れなければ良し! 我ら武士はもとより古き神々の相撲までもルール無用の力比べだぞ?なあに土俵を穢さなければ良い良い。」 豪快に笑いながらそんなことを言うのは土俵脇に陣取る秀衡、その傍らには童子達を侍らせている。 その声に頷き相対する二人、互いに地面に両手をつけ睨み合う。 「はっけよい!のこった!!」 ジェーナスのその声と同時に僅かに早く突進するオリオンであったがアインビルがイゼイラ人特有の身の軽さで馬跳びの要領でオリオンを躱した結果 「のわわわわぁぁぁぁ!?」 その勢いのまま土俵から飛び出てしまい観客の中に突っ込むという事態になった。 「アインビルの勝ちぃぃぃぃぃ。」 「「「「うぉぉぉぉぉぉ!!」」」」 伝説の英雄を異星人とはいえ現代の人間が下した。 その事実にやんややんやの大喝采。 それを見て秀郷は捲し立てる。 「はっはっはっ!天晴である!さあさあ次々!次は誰が立つ?アインビルに挑戦でも、誰かと戦いたいでも良いぞ、ん?」 その言葉に一人の日本兵が秀郷に歩み申し出る、ただ一言「再戦を…」と。 指名するは硫黄島で死闘を演じた相手であるアーリントンより来た米海兵隊の者。 あの時と同じ鉄と物量で全てを焼き尽くした一方的であり互いが血みどろの戦いではなく、 兵(つわもの)同士の力比べで雪辱を果たさんと口少ないその背が何よりも雄弁に物語っていた。 そしてその言葉に応じ海兵隊員が歩み出る。 「ハハハ因縁の対決という訳か。」 秀郷は面白そうに笑うがその脇よりぐ~~っとたくさんの大きな音が重なる。 全員が振り向けば顔を赤くした童達が栄養失調から細くなった腕で腹を抑えていた。 王妃、海兵隊司令始めその場の全員が痛ましい顔をするが秀郷は笑いその空気を吹き飛ばす。 「腹が減ったか?海兵隊の将軍殿、この船の料理人達をお借りしたい。この童達にたらふく旨いもんを食わせてやりたい。 何、材料はこちらで提供するし宴も祭祀の様なもんだ。ああ、他の者らも料理の腕に覚えがあれば申し出てくれ。」 海兵隊員が山程のデカい肉の塊を焼き始め、美食で知られるフランスやイタリア艦の乗員らが無限に出る海山の幸に挑み、 イギリス艦の乗員達は菓子やフル・ブレックファストを作り始め甲板は屋台の並ぶ夜祭の様相を呈してきた。 材料は秀郷が龍神より賜った無限に米の出るわ海の幸山の幸の出るわの俵と鍋。 しかしその実態は兵士達の戦場、挑む敵は全世界共通の厄災である飢餓。 それより幼子達を救うための戦いだ。 「慌てるな!全員分あるから好きなだけ食え!」 「こっち焼けたぞ!テメー野菜も食え!野菜も!」 幼子らは我先にとそれらを腹に収め食材に込められた神秘でどんどん血色が良くなっていく。 しかし、その間も幼子らは土俵に声援を送るのを欠かさない、その姿に秀郷は顔を綻ばせる。。 「日本の勝ちぃ~!」 「これで何回目?」 「海兵隊しっかりしろー!」 240:635:2022/10/05(水) 17 29 24 HOST 119-171-248-234.rev.home.ne.jp わぁぁぁっと歓声が上がる。 やはり相撲は日本の独壇場。 ここまで英仏海峡場所、このイオージマの戦場で米海兵隊相手に帝国陸軍は連戦連勝、我が方の圧倒的戦果である。(大本営発表) それに我慢できず今を生きる海兵隊の、強襲揚陸艦イオージマの乗員が前に出る。 「祖父さんをコケにされたままでなるものか!俺が行く!」 「行けー!」 「父祖の仇取ってくれ!!」 現役海兵隊員の登場にアーリントン・生者含め海兵隊員がやんややんやの大喝采、皆のその手にはしっかりと肉の塊とアルコールが握られている。 全員アルコールが頭を回っている。それを見てそれもまた良しと笑う秀郷。 「でやー!」 「海兵隊の勝ちぃ!」 「おお!勝ったぞ!」 生者達が戦場に出ると途端に戦況は変わる。 一方的だった戦いは五分まで戻され歓声が上がり祭りの熱狂は更に増し酒の量が増え皆気分が緩んでくる。 すると他国の艦の乗員らも状況を忘れ参戦する。 「いけえ!レスリングで鍛えたジョンブル魂見せてやれ!」 「パリジャンならライミー共に負けんじゃねえぞ!!」 日本が英国と、米国が仏国と、国の違う者らが純粋に力を競い合い笑い合う。 その光景を見て満足気に頷く秀郷であったが難しい顎をさする。 「良き良きこれぞ祭りぞ。しかし天津日の故事に習ったが【出てくる】には些かまだ足りぬか。」 その視線の先には総当りで最後まで残った半裸の英国軍人の姿、英国紳士魂が秘訣らしい。 『あのお姫様…。』 『どうかしたのかしら?』 そんな中、秀郷が上座を見ればマリー・アントワネットの下へおずおずと近寄る幼子らがあった。 子供の一人がマリーに耳打ちしふむふむと頷くマリーは隣の司令官と話をするが司令官は難しい顔をしている。 そこでマリーは上座を降りると秀郷の下へと降りてくると秀郷に頼み事をする。 幼子達が相撲を取りたいと言っていると、その後ろでは幼子達が秀郷に頭を下げる。 「「「お侍さん!お願いします!」」」 美味いもの食って気力が充実し祭りの熱気に当てられたのだろう。 その瞳は力強くここ来た時よりも生気に溢れ顔色も良い。 「競え!競え!大いに競え!これなるは祭りぞ。女、童関係なし!」 秀郷は笑う、童の相撲もまた神事である。 それに惹かれ【出てくる】だろう。己が子なのだから。 そして横綱とならば祓えるだろう。人の業を。 241:635:2022/10/05(水) 17 29 54 HOST 119-171-248-234.rev.home.ne.jp 以上になります。転載はご自由にどうぞ。
https://w.atwiki.jp/goldenlowe/pages/70.html
10:00 閣下出撃w(開店と同時) 12:18 ウチ出撃w タイミングよく快速に乗車 13:00 集合 JR大阪 中央改札・・・あまりの人の多さで流されそうな・・・w ミヤさん着陣、オレンジ色が夏らしい アンレにTEL、閣下大勝・アンレ辛勝・ルカ惨敗の模様 「はよー来いw」と催促TEL 本隊と合流し、にゃたさんも合流 14:00 暑さに負けつつ「とりあえず喫茶店w」 閣下とケーキセットでモンブランを食すw タバコ半箱消化ww 閣下と大海戦の取組みやサルベージについて語るw 14:55 (ノ゚ο゚)ノ オオオオォォォォォォ- 「もうすぐ3時やんw いこかw」 JR環状線へ移動しながらケンさんのPKを待ち受けるもなかなか合流できずw 暑さにめげそうになりながら、合流後に大阪城公園駅へ。 灼熱の大阪城へ着くと、「ケンさんカキ氷っ」コール ついに来た! 大阪城!・・・入場料600です。 閣下『何人?』 一同『6人』 閣下『よっしゃ』とまとめ買いするも安くはならずw しかも、入場券を順に渡していくと閣下の分がないいw 閣下『おいおいおいおいワシのないやんw7人か』 人数数え間違いww 大阪城内はクーラーが微妙に効くも人多す。 天守閣制覇、展示観ながら順次離脱w ウチは途中の夏の陣パネルで毛利勝永の説明に見入る・・・。 キョロ o(..=) (=・・=) (= ¨ )oキョロ 皆どこいったぁああww ハグレル・・・・・w もうでちゃったかなっと、外へ一気に離脱し( ̄ー ̄)y-~~~ 駒まわし演技を広場でやってる髭のサムライ爺を観賞w あとで、「エディ」ってなまえだと知るwwww (日本人とばかり思ってたw) 順次合流し、来た道を戻るw 駅についけば既に17:25w 17:30 ジョコさんからメール&TEL攻撃w 集合時間には未だ電車内www 毎度の如く、スケジュールより時間遅れるw 17:45 梅田でwol丼・ひろっち丼・アイメル錠と合流 ジョコ「宝石屋のそば」 ウチ「靴屋の前w」 ジョコ「えぇえぇえどこ?どこ?」 ウチ「紀伊国屋の入口前から下がったところに皆いるw」 とヒタスラ怒涛の人波の中、合流する。 18:15 花心に着く、焼肉スタートw 閣下より一言ww 閣下「ワシに振るなよwww」 えーと・・・・肉消費率高すぎwww 下座のウチ呼び出しベル押し捲りで担当のジャニ系青年は右往左往w 閣下・ケン・ジョコ・ひろっち・ミヤ・ウチ 「上座」□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ アンレ・ルカ・にゃた・wol・アイメル 閣下「オレンジじゅーーーす」w wol「冷酒ーー」 アイメル「うーーろん茶下さい」 実際、この20分ほどの間にビンビール約15本程度空になってたりw 商会・海戦・海鮮w・銀7等々の話題でそれぞれ花が咲く。 アンレ未だ銀英伝原作制覇してないことが発覚! 20 00 担当「ラストオーダーでふ」 閣下トドメの「おれんじじゅーーーす」ww 20 45 惜しみつつ閉会 20 50 クラさんよりTEL参戦 やはりでたSEIJIです約1名w 色付き襲撃計画が着々と進むw 21 00 東通商店街を闊歩しつつ、ラウンドワンへww ひろっち丼・アイメル錠 翌日を鑑み離脱 酔っ払いボーリングw しかし2時間待ち(==; スルーで桜橋方面へ移動。 その間にゃたさんと冒険のあり方について論議w 21 40 DDハウス手前付近の居酒屋へ突入2次会w なんとなく焼きおにぎりw しかしそこに罠があああああw 来るわ来るわの大量の食べ物w 店員「パイナップルお待ち」・・・5個もあるやんwww カウンターから座敷側へ移動、まもなくビンゴゲームw 焼きおにぎり食べながら韓国語をDJ風に使うオニーサンのコール開始。 ルカさん2等入賞、にゃたさん3位入賞w ゴールデン・ルーヴェが1~3等のビンゴで2つを制覇w 23 10 タイムアップ! 駅へ移動。 23 20 梅田駅動く歩道付近のマクド看板前でウダウダwww 記念撮影3連正射ww そして、解散といいつつウダウダwwww 23 40 解散w ウチ・ケンさん・にゃたさん・ジョコさん・ミヤさんはJRへ ICOCA使わず切符買うww 閣下は愛機ブリュンヒルトをちゃんと押して帰っただろうか?w などど思いつつ、改札前でミヤさんと別れる。 ちょうど普通電車_| ̄|○ が到着乗車 0:12 某駅ホームでにゃたさんと別れる。 ウチ「この電車に乗れば京都までいけるから」 ケンさんとウチはタクシー乗り場 そこで分かれて駐輪場へw 押して帰るww そして・・・・DOLへONwwwww 閣下「おそい!ww」 ウチ「ぬがーーww」 スカンジナビア西で採集・ルビー磨き ベルゲンで128%↑w こづかい稼ぐ 2:50 就寝(_ _)Zzz といことで、時間的ウダウダはいつものことでルーヴェ・クオリティですww 遠いところから遠征してくださった方、いつもの方、皆様楽しいひと時を有難うでした。 時間調整しきれず幹事としては遺憾な限りです(^^; ということで次回は年始、新年会OFFが予定されております。 ジョコさん 幹事よろしくwwwww 副商会長から指名します。 いずれにしても、みんなアリガタビーム!!(ノ・_・)‥‥…━━━☆ピーー
https://w.atwiki.jp/jfsdf/pages/37.html
橙色のランプの明かりに照らされた部屋の中に、十数名の魔道師が集まっていた。ほとんどが年老いた者であったがぽつりぽつりと若者も散見された。紫色のローブで統一された彼らの顔には皆、並々ならぬ危機感が滲み出ていた。 「つい先日、フォリシアの前線基地が壊滅した、と」 「さすがに凄まじいな、異界の軍は。陸から一兵も差し向けることなく、鉄の鳥から何やらを放り投げるだけで、三千人からが守備する砦が瓦礫の山か」 ぼそぼそと囁き合う魔道師達は一番の上座に座す老人の視線を窺いながら、ひそやかに飛び交う噂を交換し合った。 「これほど我々の想像を超えているとなると、異界の大国は皆、世界を滅ぼす力を持つというのもあながちホラ話ではないのかもしれん」 「迷い人が語った『太陽の矢』の話か?百里を一瞬にして焼き尽くすという…いやいや、あれはいくらなんでも突飛過ぎる」 「しゃくに触るが、我が魔道評議会も彼らの前ではヒヨっ子同然よ…」 世界の全ての魔道師、魔法機関を『名目上』統括する魔道最高評議会。各国の軍に所属している魔道師は、事実上独立していて彼らが操るのは不可能なので『名目上』となっている。今は軍以外の魔道師が加入して国際的に影響力を及ぼすロビイストのような組織となっていた。 ここに各地の代表が急遽召集され臨時会合が開催されていた。議題はもちろん、この世界に侵入した自衛隊と呼び寄せたボレアリアに関してである。 「ボレアリアからの魔法研究員の緊急退避の件についてだが、何か意見は?」 上座で睨みを利かしていた、白い口ひげを胸まで生やした長老が一言発すると、途端に話し声は静まった。皆渋い顔で下を向いた。 「…僭越ながら」 評議員の中では比較的若手の強硬派が静かに、しかし怒気を込めて異を唱えた。 「何故禁を破った者が大手を振って歩き回り、我々が尻拭いせねばならんのですか!?フォリシアはじめ周辺各国がボレアリアの領土を掠め取ったのがそもそもの発端であるとしても、禁忌であった異界との交流を行ったことは許されることにあらず!徹底して排除すべきかと」 「ほう、徹底的に排除とは…評議会が実行部隊を組んだとて、所詮年寄りばかり。まともな戦闘力の頭数など数えるほどだ。どうされるね?」 少し意地悪く聞いてみた長老であったが、次に出てきた若手の言葉に顔色を変えた。 「長老ともあろう方が次元結界をご存じないはずがない」 「それはならんっ!下らん話を持ち出しおってこの若造!」 言葉が終わるか否かのうちに彼は若手を怒鳴りつけた。そして怒りに任せてそのまま言葉を畳み掛けた。 「儂に意見するのであれば!何故異界が『親』と呼ばれているのかくらい勉強してからにせい!」 一旦言葉を切ると、荒げた息を整えて彼は続けた。 「…数百年前、次元の歪みが極大化し安定した穴がそちこちにできてしまったとき、一度使ったのだ。侵入に対処するためにな。穴が消えるまでの十年間でこの世界はどうなったと思うね?」 長老は深く皺のよった人差し指を若手に向けて、ゆらゆらと動かした。 「飢饉が続き、魔法は弱く日々の使用に耐えなくなった…次元結界で異界とこちらを封じてしまえば、異界から供給される地精も遮断されてしまう。さればやがて大地の緑も枯れ果て、砂漠と岩だけの地になろう。地精が枯れれば魔素も枯れ、いずれ全ての魔法は徐々に効力を失っていく。…よいか、異界は我々が無くとも生きていける。しかし我々は異界が無ければ生けていけんのだ」 評議会の中でもかなりの上層部でなければ知らなかった事実を長老自らが明らかにし、席はにわかにざわめきたった。この場に揃っている評議員の中でも、知っていたのは半数に満たなかっただろう。多数の餓死者を出した責任について問われるのを避けるため、ひたすらに秘匿しておいた汚点なのである。 「しかし、このままでは異界の軍に世界中を蹂躙されかねん訳で。何とかして出て行ってもらわん事には…長老」 今まで黙っていた重鎮の評議員が不安気な口調で長老に訴えた。 「うむ。今となっては諸国に領土を返還させる代わりに、ボレアリアには異界と手を切ってもらう…他あるまいな。徹底抗戦などと阿呆が宣う間に隅から隅まで制圧されてしまうわ。どのみち困難な交渉だが…では最高評議会副議長ヴィアーノ・パーブルジュージ」 「はっ」 少し頭に白髪が混ざり始めた五十代頃の男が一歩前へ出て、長老の前で頷いた。 「交渉の総責任者を命じる。本当は儂が行かなければならんのだが、この老体が持ちそうにないのでな…頼む」 「できる限り力を尽くさせて頂きます」 彼は長老に深々と頭を下げた。 晴れ上がった青空の下、十数キロ先の敵フォリシア軍国境防衛隊に榴弾が雨あられと降り注ぐ様子を、陸自の偵察ヘリOH-1が悠然と観察していた。 整然と並んでいた槍と弓を持つ歩兵、精悍な馬を揃え全身を鎧に包んだ騎馬隊が、空中から飛んでくる金属片に次々と体を切り裂かれてバラバラの肉片に変わり、血だまりがそこいらにできた。たちまち隊列は乱れ、隊長の静止も聞かず後方へと逃げ出す兵で溢れていった。平地の野原に陣取っていた敵軍はひとたまりもなかった。戦闘が始まってたった数十分で、退路にある街へ退却を始めた。 蟻の隊列が水をかけられて方々に散っていく様を思い浮かべながら、ヘリの隊員は落ち着いた様子で自陣に様子を報告した。 「敵兵は散り散りに敗走している模様です」 短髪を後ろに撫で付けた頭に横細眼鏡、中肉中背といった風貌の指揮官、鐘田一佐は指令車の中で二、三度うなずいた。 「やはりまともな飛び道具がないと野戦は相手にならないね、当たり前だけど」 「残存兵は拠点の町ホートゥサイルに逃げ込んだ模様です」 「さて、市街戦は…相手の距離に入っちゃうから、いくらうちが精鋭揃いとはいってもあんましやりたくないねぇ。どういう事をやってくるかわかんないし」 少し考え込んで、彼は現地のアドバイザーとしてこの西方方面隊に招聘された魔道師を側に呼んだ。二十代程度と見られる黒いローブを着た若い魔道師が目の前の席に座り、目深に被っていたフードを脱いだ。 「街中に逃げ込みましたか」 鐘田は肩をすくめて言った。 「正直なところ、敵兵を町から追い出すいい方法がなければ、町ごと焼き払っていぶり出すことになるが。こっちの世界には条約も何もないし…市街地まで行って敵兵を一軒一軒探すのは危険度が高すぎてね。隊員がたくさん死ぬといくら報道統制を行っても遺族が騒ぐ…隊員の命は大切だ。いろんな意味でね」 若い魔道師は予想していたこととはいえ、多数の死傷者が出ることだけに顔を曇らせた。 「投降を呼びかけては?」 鐘田は彼の目を見て、顔色一つ変えずに言った。 「魔道師は後ろ手に縛っても牢に閉じ込めても攻撃できるのだろう?危なすぎるよ…まあ、我々も鬼ではない。町から出てくれさえすればいいんだ。どこまでも追っていって殺すなんてことはやらない。彼らや町民が逃げるための時間は取ろうと思う。我々はこの国の言葉を知らないから、君がビラを書いてくれ。空から撒く」 腕時計にちらりと目をやりながら、彼は時間の猶予を頭の中ではじき出した。 「明日の夜までだ。明後日の朝、町を焼き払う」 天空の鉄の鳥から降ってきた紙の内容を読んで、町の人々は仰天した。大八車に家財道具を乗せて逃げ出す者、覚悟を決めて自宅に居座る者、街角で泣き叫ぶ者など、たちまち町中が混乱の渦に巻き込まれた。 逃げ込んだ兵士は町の要所要所に瓦礫でバリケードを築き、民家を接収して迫り来る自衛隊を迎え撃とうと待ち構えていた。が、ビラを読んで皆、愕然とした。炎にまかれて死ぬのは嫌だ、と町民にまぎれて逃げ出す兵士もいた。 町の集会所として使われていたこじんまりとした寺院には、数十人からなる軍の魔道師部隊が陣取っていた。ほとんどの者は戦力差に疲れ果て絶望していたが、そのうちの数人はまだ目を輝かせて、魔法具と偵察用の猛禽をいじっていた。 「とにかく近付く前にやられてしまうのでは仕様がないわけだ。攻撃の射程を何とかしなくては」 「さて、いくら魔法の訓練を受けているとはいえ、鳥に魔法具発動の念が通るかどうか」 目の前に置かれた水晶球に呪文を唱え念を込めると、かごの中の鳥の腹に巻きつけた魔法具がぱっと光った。魔法具に込められた発光魔法が起動したのを確認して、彼らはおおっ、と感嘆の声を遠慮気味にあげた。 鳥がまぶしさでぎゃあぎゃあと暴れ、騒がしくなった。周りの憔悴した仲間達が次々と彼らの方に注目し始めた。彼らは鳥をなだめながら、次に起こすべきアクションについて考えを巡らせた。 「これで戦えるか?」 「無理だろ。一回使ったら巻き添えで死ぬだろうに、使い物になる鳥なんてせいぜい数百…偵察用だから仕方ないんだが。新しいのを飼育してる間に都まで奪られちまうわな。まあ使い方によっては一矢、てとこか」 企みに加わっていた魔道師の一人は諦めとも思える笑みを浮かべて息をついた。 「異界の軍のお陰で気付いたってのは皮肉なもんだ。鉄の鳥が爆発する武器を積んで飛んでくるなら、鳥で魔法具を運ぶこともできるだろう──戦なんて最後は大軍が入り乱れてぶつかり合うもんだとばかり思っていた──」 一通り意見を交し合うと、彼らは周囲に事情を説明した。最初は関心のなさそうだった仲間も次第に興味深く話に耳を傾けるようになった。 絶望的な戦の展望を少しでも有利なものとするため、この画期的な方法を誰かが軍の首脳部まで伝えに行かなければならない。発案者の二人が町を離れ、首都まで引き返すことになった。残る魔道師隊長が気丈に二人を励ました。 「間に合うかわからんし無駄かもしれんが、我々はこれから降雨の魔法陣を書いて少しでも抵抗する。無事に都まで帰ってくれ」 これ以上の逃亡兵は許さん、と息巻く守備隊長の目の前で先程の実験をやってみせ、なんとか町を出る許可をもらうと彼らは町を出る民衆にまぎれて町を後にした。 数日後の道すがら、噂で拠点の町が全滅したと耳にした。