約 4,073,313 件
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/108.html
過去ログ http //ex14.vip2ch.com/news4gep/kako/1269/12698/1269876593.html 『風呂上がり』黄泉川「ああー、すっきりしたじゃん」ホカホカ一方通行「タオル一枚で出てくンな、うぜェ」黄泉川「ははーん、色っぽいあたしの姿に興奮してるじゃん?純情じゃん、年頃じゃん」ウリウリ一方通行「……(無駄なモノは反射、と)」カチ←光のベクトル操作で黄泉川の首から下にモザイク黄泉川「…………」ウリウリ一方通行「…………」ジー黄泉川「…………」ウリ一方通行「…………」ジー黄泉川「…………」ウ一方通行「…………」ジー黄泉川「……そんなに見られると恥ずかしいじゃん///」一方通行「…………」ジー黄泉川「……き、着替えてくるじゃん!」バタバタ一方通行「(勝った)」カチ打ち止め「うー、やっぱり胸は大きいほうがいいのかなってミサカはミサカは自分の体に落胆してみる」芳川「後で愛穂に送ってあげましょう」パカッ←先ほどまでの黄泉川と一方通行の構図 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 「家主の立場」 打ち止めの場合打ち止め「えへへー、ヨミカワー!ってミサカはミサカはいきなり突進!」ダキツキッ黄泉川「ん、よしよし」ナデナデ打ち止め「えへへ、ヨミカワはお母さんみたいだねってミサカはミサカは甘えてみる」黄泉川「……ありがとじゃん(複雑な気分だけど)」芳川の場合芳川「愛穂、私はあなたのこと……」黄泉川「?どうしたじゃん改まって」芳川「お母さんだと思ってる、扶養的な意味で」黄泉川「出てけ」一方通行の場合黄泉川「一方通行はあたしのことどう思ってるじゃん……?」一方通行「あン?…………オマエはオマエだろォが(面倒臭ェ)」黄泉川「……一方通行あああぁぁぁ!」ギュウ!一方通行「むがっ!?抱きつくな!離せェ!」ジタバタ ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 「無題」 打ち止め「肩車して!ってミサカはミサカは背中に張り付いてみる」ヨジヨジ一方通行「俺の体を登るンじゃねェよ!」黄泉川「おっ、あたしもあたしも!」ガバッ一方通行「ぐあああっ!し、しがみつく、なァ!」ヨロヨロ芳川「面白そうなことしてるわね、私も混ぜてもらえるかしら?」一方通行「……重量オーバーでェす」フラフラ芳川「……私のことを言ってるの?」ガバッ打ち止め「ごめんねってミサカはミサカは介護する」一方通行「……」黄泉川「悪いのは桔梗じゃん」一方通行「全員悪いっ!」芳川「そうね、キミもちゃんと鍛えるべきだわ」一方通行「俺を含めるなァ!」 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 「無題」 一方通行「…………」カチャカチャ←杖の整備芳川「…………」ボー一方通行「…………」カチャカチャ芳川「…………」ボー一方通行「……なァ」芳川「…………」ボー一方通行「…おィ、聞いてンのか」芳川「…………」ボー一方通行「おい、芳川!」芳川「何、わたしに言ってたの?」 一方通行「それぐらいわかれよォ頭ボケてンですかァ?」芳川「失礼ね。それで一体何?」一方通行「とぼけンじゃねェよさっきから何で人の頭に顎乗せてるンだよ重いンだよ」芳川「人より頭を良く使ってるからかしら?」一方通行「最近のオマエは日がな一日ゴロゴロしてるだけじゃねェかよ」芳川「聞こえないわね」一方通行「やっぱりとうとうボケが始まったかァ」芳川「打ち止めだって同じようにしがみついたりしてるじゃない」一方通行「クソガキはまだオマエと違って軽いンでなァってさらに寄りかかるんじゃねェよ」芳川「もやしなキミじゃレディ一人の体も支えられないの?」グデー一方通行「やっすい挑発だなァ?」芳川「ほらほら、『当ててんのよ』ってやつやってあげようか?」フニフニ一方通行「そろそろ反射すンぞ。……本当に何なンだよ?」 芳川「んー、人肌が恋しい?」一方通行「疑問系かよ……打ち止めでも抱えてろよ」芳川「打ち止めはお出かけしてるわ。それに抱き寄せるよりこうやって一方的に寄りかかるのがいいのよ」スリスリ一方通行「クソガキより他人に依存してやがるなァオマエは」イライラ芳川「キミこそ打ち止めたち(MNW)に依存して生活してるじゃない」ペター黄泉川「…………」ジー芳川「あら、愛穂。羨ましい?」黄泉川「(それもあるけど)いやぁ……前動画で見た猫とハムスターのコンビを見てるようで微笑ましいようなハラハラするような」一方通行「誰がハムスターですかコラァ!」芳川「(まだどっちがハムスターかなんて言ってないのに)ふふふ」ゴロニャン一方通行「顎でつむじをぐりぐりするンじゃねェ地味に痛ェ!」 後日一方通行(猫……か……)ボーチラッ芳川「……」←ソファに座り紅茶を飲んでいる一方通行(芳川はペルシャ……いや、そんな威厳のある姿はしてねェな……ロシアンブルーってところか……?)打ち止め「ねーねー、今日のおやつはなーにーってミサカはミサカは目を輝かして尋ねてみたり」黄泉川「もうすぐ3時だから、それまでの秘密じゃんよ」打ち止め「えー」一方通行(なら打ち止めは……小鳥、シロブンチョウ……手に乗ってくる奴……いや、アホ毛とかほっぺとかは、むしろオカメインコか……)一方通行(さしずめ黄泉川は……犬だな…………緑色の犬はいねえ……やっぱ警備員だしドーベルマンが無難かァ)一方通行(…………) ホワワワワアアアァァァン打ち止めインコ「ぴーぴー!もう三時だよってミサカはミサカは急かしてみたり!ぴー!」バサバサバサ黄泉川犬「わかったわかったわん。冷蔵庫からケーキ出すからお皿の用意してほしいわん」パタパタ芳川猫「……良い天気にゃ。今日は絶好の昼寝日和にゃー」ゴロゴロワンワンピーピーニャーニャーホワワワワアアアァァァン打ち止め「あの人がなんだかぼんやりしてるよってミサカはミサカはなんとなくほのぼのしてるように見える一方通行をまじまじ見たり」黄泉川「桔梗と同じで眠たいんじゃないか?おーい一方通行、ケーキいらないじゃん?」芳川「起きなさいハムセラレータ」一方通行「誰がキャンベルハムスター(アルビノ)だっ!」打ち止め「…………」黄泉川「…………」芳川「…………」一方通行「…………あ」芳川「……ウサセラレータのほうが良かったかしら?」 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 「無題」 黄泉川「通行止めに対してあたしと一方通行のカップリングは少なすぎるじゃん」 打ち止め「だって原作での絡みやヒロイン的振る舞いはミサカが一番だもんってミサカはミサカは現実を突きつけてみる」 芳川「アクセロリータ(笑)」 黄泉川「あたしだって教師かつ警備員として頑張ってるじゃん」 打ち止め「ミサカとは共に苦境を乗り越えてきた絆があるんだよってミサカはミサカは胸を張ってみる」 芳川「実験時代からだから付き合いは私が一番長いわ」 黄泉川「美人で巨乳なお姉さんって需要はあるはずじゃん」 打ち止め「可愛さと天真爛漫な性格であの人を支えるんだよってミサカはミサカは大事なのは体じゃないと言ってみる」 芳川「意外性、堕落系お姉さんとして支えてもらうポジションがあるわ」 黄泉川「あたしはアイツを引き取った身じゃん!一度預かったからには責任があるじゃん!」 打ち止め「ミサカの力が無いとあの人は生活できないんだよ!ってミサカはミサカは自分の重要性を猛アピール!」 芳川「それなら私は身を挺してあなたと一方通行を助けたわ」一方通行「最近どいつもこいつも俺を険しい目で見てきやがる……ハッ、今更何言ってンだ、所詮俺はクソッタレの悪党、穏やかな関係なンざ……」ブツブツ ------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 「無題」 芳川「一方通行、お金ちょうだい」スッ一方通行「あン?何で俺がオマエに金出さなきゃいけねェンだよ働けニートが」芳川「ああ・・・実験計画が途中で頓挫しなければ私は今も研究者として何不自由なく暮らせたのに・・・」ヨヨヨ一方通行「・・・・・・ほらよ」スッ芳川「一方通行、そこのお菓子取って」ゴロゴロ一方通行「死にてェのか?起き上がれば自分で取れる距離じゃねェか」芳川「うっ、天井に撃たれた傷が」ゴホゴホ一方通行「(クソがァ・・・)・・・たまには起きろよ」ヒョイ芳川「ネトゲ内のコミュで打ち止め自慢や私の実績自慢、妹達の生い立ち語りをしてたら何故か家が武装集団に包囲されたわ」サササ一方通行「と言いつつ何故俺の背に負ぶさるンですかねェ!?だあァっ逃げるぞォ!」カチスタコラ ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「名前で呼んで」 一方通行「(卵に牛乳……)……」←黄泉川に言われてお買い物トウマートウマー一方通行「何だぁ……?」スタスタインデックス「とうまーとうまー!どこに行ったのー!」一方通行「いつぞやの暴食シスターじゃねェか。」インデックス「とうまーとうまーお腹すいたんだよー!」グスワイワイ マイゴ? ガヤガヤ一方通行「……おィうるせェぞ」インデックス「?あっ、いつぞやの白い人!とうまを探して欲しいんだよ!」一方通行「とうまァ?」 ・・・・・・・・・インデックス「それでね、とうまったら私のこと放っといてまた飛び込んで行ってね……あ、これも欲しいかも」ポイポイ一方通行「だからさっきから勝手に人のカゴに入れてンじゃねェよ……」インデックス「細かいことは気にしないほうがいいんだよ!それよりとうまは何処にいるのかな?」一方通行「知らねェよ。大体オマエ、三下とはどういう関係なンだ?」インデックス「とうまはとうまだよ?んーと、……今は家族みたいなもの、かな?」一方通行「家族、ねぇ……」インデックス「後スフィンクスも家族なんだよ!早く家に帰って家族でご飯を食べたいんだよ」一方通行「さっきみたいにとうまとうまって叫ンでみりゃあ出てくるんじゃねェか?(音は反射して)」カチインデックス「そうしてみるんだよ!とうまとうまとうまとうまとうまとうまとうまとうまとう(ry」ギャーギャー・・・上条「だああっ人の名前を公衆の面前で連呼するんじゃないっ!」ダダダインデックス「あっとうま!やっと見つけたんだよ!」一方通行「(本当に来やがった)よォ、三下……」カチ上条「ん?よう一方通行じゃないか」 ・・・ 上条「悪いなぁ、インデックスの菓子まで買ってもらって」一方通行「商品棚に戻すのが面倒臭かっただけだ。気にすンな三下」インデックス「ありがとう白い人!とうまも見習うべきかも」一方通行「悪いと思うならこのガキのことぐらいちゃんと見張っておくんだな三下ァ」インデックス「ガキって言わないでほしいよ!インデックスなんだよ!」プンプン一方通行「じゃァオマエも白い人って言うのをやめやがれ」上条「はは、すいませんね、なんだか」ポリポリ一方通行「だから気にすンなっつってンだろ三下」上条「そんなに三下三下って言うなよなー、俺にも名前があるんだからよ……」一方通行「あァ?……そげぶ太郎、だったか?」上条「上条さんはそんな名前じゃありません!?」インデックス「とうまはとうまっていうんだよ!」一方通行「悪かったァそげぶとうま」上条「違いますううう!」・・・・・・・・・ ガチャ一方通行「…………」スタスタアイホーキキョウーアハハ アラアラ一方通行「(騒がしいな)……?」打ち止め「あっ一方通行!おかえりーってミサカはミサカはキキョウの膝から飛び降りておかえりのハグをしてみたり!」ギュッ黄泉川「お帰りじゃん」芳川「お帰り。お買い物ご苦労様」一方通行「纏わりつくンじゃねェクソガキ……キキョウ?」ニモツオキ打ち止め「?ヨシカワの名前だよ?ってミサカはミサカは忘れんぼなあなたにキキョウの名前を再確認させながら見上げてみるんだけど」一方通行「そんなこたァわかってる。何でオマエが芳川のことをそう呼んでるのか気になったンだよ」打ち止め「新しい愛情表現だよ!ってミサカはミサカは話題に乗り遅れてるあなたに簡潔に答えてみる」一方通行「何だそりゃァ?」黄泉川「ほら、あたし達は家族じゃん?」 黄泉川「一方通行や打ち止めには関係無いことかも知れないけど、あたしや桔梗のこと苗字で呼ぶのはなんだかよそよそしい感じがするじゃん?それで打ち止めに名前で呼んでみるよう言ってみたんだ。良ければ一方通行も……」テレテレ一方通行「馴れ馴れしく名前で呼べって言うのかよ。オマエの言うとおりこっちは名前なンてあってねェようなモンだからよォ、苗字がどうとか気にしてねェよ。」黄泉川「う……」打ち止め「ミサカは打ち止め(ラストオーダー)が自分の名前だって思ってるよ?ってミサカはミサカは自信を持って言ってみる」一方通行「チッ……オマエらだって俺やコイツが、オマエらのことを苗字で呼ぶことは気にしてねェンじゃなかったのか?」黄泉川「ま、まあ物は試しでお願いしてみただけじゃんよ……」一方通行「馬鹿馬鹿しィ。」スタスタ黄泉川「……悪いこと言っちゃったじゃん?」シュン打ち止め「あの人は恥ずかしがってるだけだと思うよってミサカはミサカはアイホを励ましつつあの人の後を追ってみる」タタタ黄泉川「…………」芳川「落ち込まないで。一方通行は純粋に今までの呼び方でも想いを込めてるって言いたかったのよ。それに、あの子達と私達の関係や、私と愛穂の関係はそれぞれちょっと違うでしょうしね」黄泉川「桔梗……ありがとう」 ・・・・・・・・・一方通行「…………」ゴロン打ち止め「ねぇ、いい加減機嫌治してアイホに謝ろうようってミサカはミサカは説得してみる」一方通行「うっせェな、大体クソガキ、オマエだって黄泉川や芳川のこと苗字で呼ぶのに慣れ親しンでたろ。それとも何か?苗字で呼ンでた頃はアイツらに距離を取ってたのかよ?」打ち止め「うぅん、そんなことないけど……ってミサカはミサカは言葉を詰まらせてみる……」一方通行「そンな些細なことじゃ何も変わンねェってこった」ゴロン一方通行「ケッ……」一方通行「…………」~~((インデックス「とうまはとうまだよ?んーと、……今は家族みたいなもの、かな?」))~~~~((黄泉川「ほら、あたし達は家族じゃん?」))~~一方通行「…………(家族…………か)」・・・・・・・・・ 翌日ガチャ黄泉川「あ……」一方通行「……」黄泉川「あ、一方通行……昨日は悪かった」一方通行「……いや」黄泉川「はは、ちょっと配慮が足りなかったじゃん?反省「いや」一方通行「……」黄泉川「……あ、一方通行?」アセアセ一方通行「ン…」黄泉川「……(怒ってる?)」一方通行「昨日は……」黄泉川「…………」一方通行「…………」ウツムキ黄泉川「…………」一方通行「昨日は……言い過ぎた」チラリ黄泉川「!」一方通行「悪かった………………愛穂」 黄泉川「…………っ!!?」一方通行「……どォした?」カオアゲ黄泉川「うっいやっ…あ、そのっ…!」一方通行「愛穂?」黄泉川「!~~っ!!」ドキッ一方通行「ほンとォにどうし」黄泉川「いやああははもういいじゃん昨日のことはっ」バシンバシン一方通行「痛ェっ!?」黄泉川「お互い様じゃん済んだことはもう水に流すじゃんところで買出しに行ってくるじゃん留守番よろしくなっ!?」ダダダ バタン!一方通行「あっ、おィ…………何だァ?」 ・・・・・・・・・ガチャ黄泉川「…っく…ふ…」パタン黄泉川「はっ…あ……」ハー…ハー…黄泉川「あふ…………」黄泉川「…………あーもう」ズル…黄泉川「………………何が」ズルズル黄泉川「「今までの呼び方でも想いを込めてる」だよ、桔梗のヤツ」ペタン黄泉川「んぅ…はあ…」ハー黄泉川「………………」黄泉川「……………っ」ボオオッ黄泉川「~~~~~(全然距離が違うじゃん…)」グシグシグシグシ・・・・・・・・・ その後、戻ってきた黄泉川の嘆願により、一方通行と打ち止めの黄泉川たちの呼び方は元通りとなる呼び名が変わることで距離が縮まるのか逆によそよそしくなるのかそして、黄泉川が熱を冷ましている間に同じ体験をした芳川は、どう受け取ったのかそれらは解明されぬまま謎となるのだった終わり おまけグループ土御門「早いな、一方通行。今日の仕事なんだが……」一方通行「……なァ土御門。オマエの下の名前はなンだ?」土御門「?……元春だが」一方通行「…………」土御門「…………?」一方通行「……で、仕事はなンだ、元春」土御門「!?」ゾワワアアッ一方通行「おィ元春?」土御門「…………俺にそっち系の趣味はないぞ」サササッ土御門「今日の仕事は延期だ」ボロボロ海原・結標「「?」」一方通行「…………」ムスッその頃の黄泉川家打ち止め「ヨミカワ達を名前で呼んだ次の日から一週間、夕飯はてっちり、フカヒレスープ、満漢全席に北京ダック……ミサカはミサカは黄泉川の炊飯器に恐怖してみる」ゲプー芳川「嬉しいことがあったんでしょうね」打ち止め「それに、なんだか部屋の物がどこにあるかわからなくなっちゃったってミサカはミサカは部屋の有様を見渡してため息をついてみたり」ハァ芳川「気持ちの整理がつかないんでしょうね」おわり -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「それぞれの結婚様式」 黄泉川と結婚した場合黄泉川「こんな時間まで寝てるんじゃないじゃんっ」バサァッ一方通行「……うるせェな、なンだってンだよ黄泉川」黄泉川「今はもう鈴科愛穂じゃん、いい加減黄泉川っていうのやめるじゃん」一方通行「チッ、わかったよ愛穂ォ」黄泉川「あ、あう……恥ずかしいじゃんよ//」テレテレ一方通行「一体どうしろってンだよ……」黄泉川「そんなことより今日も警備員の仕事に行くじゃん!」一方通行「はいはい行ってらっしゃいお休みィ」モゾモゾ黄泉川「だから起きるじゃん!あんたも行くじゃんよ」バサァッ一方通行「チィッ、なァンで俺があんなボランティアに参加しなきゃいけないンですかァ?」黄泉川「そんなこと言ってちゃっかり教員免許も取ってるくせに。可愛い奥様を守るじゃん」ツンツン一方通行「黙れ、……つまらねえ事件だったら帰っからな」スルスル黄泉川「ふふ、頼りにしてるじゃん旦那様っ」チュッ一方通行「そのかわり夕飯は炊飯器以外も使えよ」黄泉川「うっ、……善処するじゃん」一方通行「いい加減炊飯器と俺抜きで料理覚えやがれ」 打ち止めと結婚した場合一方通行「……今帰ったぞォ」ガチャリ打ち止め「遅いわよっ!今まで何チンタラしてたのよっ!ってミサカはミサカは嬉しげにダーリンを出迎えてみる」一方通行「……まさかこうなるたァなァ……」打ち止め「ご飯とお風呂、一体どっちにするのよっ早く決めなさいよね!そ、そ、そ、それともミサカとか……ってミサカはミサカはモジモジしてみる」一方通行「……メシィ」打ち止め「!ふ、ふん、だ、誰も期待なんてしてなかったんだからってミサカはミサカは少し残念に思ってみる」一方通行「…………」カチャカチャ打ち止め「…………」ジー一方通行「……メシ冷めンぞ」打ち止め「っ!い、今食べようと思ってたのよ!指図しないでよねってミサカはミサカはあなたのコップにお茶を足してみる」コポコポ一方通行「ご馳走様ァ」打ち止め「ふん、こんな美女が毎日美味しいご飯作ってあげてるんだからせいぜい感謝しなさいよねってミサカはミサカはピカピカのお皿に歓喜を隠しきれなかったり」一方通行「だから本音漏れてるって……」打ち止め「賞味期限切れたケーキがあるから処理しなさいよってミサカはミサカは順番待ちして買った評判のケーキとコーヒーを用意しに行く」パタパタ一方通行「育て方間違えたかなァ……」 芳川と結婚した場合芳川「一方通行や、飯はまだかのぉ」一方通行「……何も変わらねェなァ……」トントン ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- →黄泉川家短編集その1の2
https://w.atwiki.jp/divingshop/pages/1763.html
ハックルベリーツアー 〒531-0072 大阪府大阪市北区豊崎3-10-2 I Fビル1F http //www.diving-boss.jp/
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/109.html
最終決戦を制した上条勢力。 魔術、科学の「世界の崩壊」を望まぬ者達の活躍と、覚醒した三人の超能力者と一人の幻想殺し、三人の聖人と二対の天使によってアレイスター率いる敵を撃破した。 そして、禁書目録は上条当麻に別れを告げる。 「とうま、私はこれから壊れ果てた世界を直す為に、いろいろな所を旅しなきゃならないの」 なら俺も付いて行く、上条がそう言うが、禁書目録は止める。 「とうまは短髪…みことを護るって約束があるでしょ!だから、これでお別れ。…とうまと逢えて楽しかったよ!もう会えないかもしれないけど、とうまはみことと幸せになってくれなきゃ嫌かも!…かおり達が呼んでるからそろそろ行くね!」 「禁書目録……。あぁ、わかった。それじゃあ、運が良かったら一万二千年後にまた会おうぜ!」 飛びきりの笑顔で禁書目録は去っていった。 「インデックス…笑ってたけど辛そうだったわね…」 「美琴…。そう、だな。…それじゃ俺達も行きますか!」 「どこに!?」 「決まってんだろ。美琴の両親に挨拶だよ」 絶対能力者の一人、御坂美琴の叫び声が木霊した。 「皆さん、それでは宜しいですね?」 「はい、火織」 「もちろんだよ」 「良いのよなー」 その他大勢のアニェーゼ部隊や、天草式のメンバー、女子寮のメンバーが神裂の問いに答える。 「それじゃあかおり、行こ!」 禁書目録はその先頭に立ち、世界を直す長い旅に出た。 「舞夏ー、今帰ったにゃー」 「やっと帰ってきたなー。正直…帰って来ないかと…思ってたん…だぞ…」 「ごめんな…舞夏」 とある学生寮では感動の再開を果たし、 「さてと、絶対能力者と言えど、修行を怠ってはならねーな!」 またある場所では一人の熱血漢が修行を始め、 「またパシリかよ…」 とあるマンションでは平和に暮らす少女と、それを守る無能力者が居て、それぞれが勝ち取った平和を楽しもうとしていた。 そして─。 「本当にこの道で合ってンだろうなァ?」 「ミサカが嘘付くわけ無い、ってミサカはミサカは断言してみる!」 絶対能力者の中でも最強の一方通行と、彼を支え続けた打ち止めが、ある目的地を目指していた。 「確かこっちだったよな」 「ね、ねぇ…本当に行くわけ?」 「ん?あぁ。俺は一秒でも早く美琴と一緒になりたいからな」 「…バ カ」 後に世界を救った英雄として語り継がれる上条当麻と、生涯、彼を支え続ける妻となる御坂美琴もある目的地を目指していた。 「そこだな」 「そこか」 ここで二組の足は止まった。 「あなた方もここに用事ですか…って一方通行!?」 「奇遇ですね…って当麻!」 「あら、打ち止めも一緒ね」 「わーいお姉様!ってミサカはミサカは久しぶりの再開にはしゃいでみる!」 上条当麻と一方通行は驚き、御坂美琴と打ち止めはさも当然のように抱き締めあう。 「えーっと、一方通行もご挨拶的な?」 「そういう当麻もかァ?」 こういう時だけ仲良しな二人。最終決戦で互いに背中を預け合った仲である。 「そ、それじゃあ行くぞ…」 「あ、あァ…」 ピンポーン、とチャイムを鳴らす上条。 程なくして一人の女性が出てきた。 「どちら様ですかーって白い子…確か一方通行 君に当麻君、 それに打ち止めちゃんに美琴ちゃんじゃないの!どうしたの?」 御坂美鈴。上条と一方通行を結び付ける一因の女性だ。 「今日は大切な話があって来ました」 「同じく。重要な用件なンだよ」 「そ、そんなに改まって…美鈴さん困っちゃうな…。と、とりあえず上がって」 いつもとは違う雰囲気の二人に気圧される美鈴。ひとまず家の中に入るように指示する。 「一方通行、第一段階はクリアだな」 「次が難関なンだよな」 家の中に二人は入っていく。 どうやら二人は共同戦線を張るつもりらしい。 「お姉様ー、この二人はいろいろ正反対なのに中身は一緒だったりするよねー、ってミサカはミサカは面白がってみたり」 「そうね。ま、そこが二人の良いとこなのよね」 打ち止めと美琴は、二人の後を追う。 御坂家にお邪魔する上条と一方通行。美琴と打ち止めは実家に帰ってきた。 「さて、何の用だ?上条当麻君に一方通行君。まぁ、そこに座りなさい」 美鈴に案内され、居間にやってきた上条と一方通行は、そこに待ち構えていた一人の父親ー御坂旅掛のオーラに体が硬直する。旅掛に言われた通り、テーブルを挟んで旅掛の向かい側に正座する二人。 「きょ、今日はお義父さんに話があって来ました」 「同じく。大切な用件があって来ました」 上条の隣には、美琴が。 一方通行の隣には打ち止めが座っている。 「ふむ…君達の意志は本気のようだ。声色を聞けばわかる。だが、君達にお義父さん、等と言われる筋合いはない」 その一言に背中に冷や汗が流れる二人。 「しかし、君達の話を聞かせて貰おう」 旅掛は、いつの間にか美鈴が煎れていたコーヒーを一口飲み、言い放った。 「最初に一方通行君から聞かせて貰おうか」 指名された一方通行は一瞬、少しだけ震えたが、自分の意志を旅掛に伝える。 「お、俺は今日、打ち止めを貰いに来ました!」 「却下だ。どうやら君は敬語と言うものを知らないのかな?そんな奴に打ち止めは任せられない」 次は当麻君、と言われ上条は深呼吸する。隣の一方通行が俯き、涙を溜めたのが見えた。 意識を集中させて宣言する。 「答えは却下だ。挨拶に来たというのに、なんだ?そのボロボロの服は。挨拶に来るならもっとマシな格好で来るべきだな」 正論を突きつけられ、反論出来ない二人。 「…悪い、一方通行……仇取れなかった…」 「…別に構わねーよ……」 「用件が済んだなら帰りたまえ」 意気消沈する二人を見て旅掛は帰ることを勧める。 無言で立ち上がり、玄関に向かおうとする二人。 (このまま帰ったらいつまで経っても了承はしないぞ?良いのか?若造共…) 旅掛は二人の背中を見つめ、問い掛ける。 「なぁ、一方通行」 「なんだ当麻」 「俺は諦めが悪いようだ」 「奇遇だなァ。俺もそう考えてたとこだ」 上条と一方通行は旅掛に背中を向けたまま、会話を交わす。 そして─。 「俺は美琴を貰う!」 「俺に打ち止めを寄越せっ!」 振り向き、吠える。 「なっ…当麻…」 「一方通行…」 覇気を取り戻した二人に美琴と打ち止めが驚く。 が、それに驚いたのは二人だけではない。美鈴と旅掛も同じだ。 「何度言っても無駄だ。却下だ」 その答えは予想通りとも思われる表情の上条と一方通行。 「そうだと思ったぜ」 「演算無しでもわかるってことだなァ」 満身創痍。まさしくこの言葉が合う二人だった。 深呼吸をして意識を高める上条と一方通行。 「俺は何度も打ち止めに救われたァ。そして今日もコイツに救われた…。最初は鬱陶しいと思ったこともあったがよォ、いつの間にか俺は打ち止めが居ねェと寂しくなっちまうんだよ。だから俺から打ち止めを取り上げるんじゃねェ!…それでも却下するってェなら俺は打ち止めをかっさらって行ってやンぞ!」 拳を握り締め、自分の想いを旅掛にぶつける一方通行。 「良くやった一方通行…次は俺の番だッ!俺は美琴を愛してる…。最初から愛していたわけじゃない。だけど!学園都市で過ごして行く中で美琴は俺の掛け替えのない存在になった!これからも美琴と一緒に居たい!それでも却下するなら…その幻想は俺がぶち殺す!」 一方通行に続き、上条が想いをぶつける。 二人は互いに拳と拳をぶつけ合い、行動を賞賛した。美琴と打ち止めは初めてみる想い人の一面に圧倒されていた。 「全く…若いって良いよな」 黙って聞いていた旅掛が動く。 「お前達は本当に娘達を幸せに出来るんだな?」 勿論、と二人は頷く。 「もし幸せに出来なかったら覚悟しておけよ?俺は容赦しないからな。美琴、打ち止め。幸せになるんだぞ」 その言葉を聞いた4人(+話を聞いていた美鈴)は最高の笑顔になった。 激闘を終え、御坂家を後にした4人は学園都市まで戻ってきた。 「なぁ一方通行」 「あァン?」 「良かったな、了承貰えて」 「てめェもな、当麻」 二人はどちらともなく右手を差し出し、握手していた。 「ホント、無茶苦茶よね…あの二人」 「でもそんな当麻お義兄さんに惚れたんでしょーってミサカはミサカは悪戯に質問してみるー!」 「なっ…アンタねぇ!…そう言う打ち止めもそこに惚れたのよね」 「ギクッてミサカはミサカは姉妹の遺伝子は怖いって思ってみたりー!」 御坂美琴の体細胞クローンの打ち止め。しかし美琴の妹達である打ち止めだが、一生を共に歩む男性は違った。が、本質は似たようなものだったりするのだが。 「そういえばアンタ、さらっと当麻義兄さんとか言わなかった?」 「だってお姉様の旦那様は義兄になるわけだよ、ってミサカはミサカは当たり前のことを言ってみる」 この一言が、夕日をバックに未だ握手し続ける旦那達に波乱を呼ぶことになるのだが、それはまた別のお話し。
https://w.atwiki.jp/7244/pages/28.html
「クカカカカッ!……面白ェ 面白ェよテメエ さァてテメエは何回死ねば俺のもとに辿りつけるんだァ!?」 ベクトル反射により無数の瓦礫や小石が凄まじい速度で飛来する。 目前に迫るそれは喩えるならば銃口を無数に並べたショットガンのよう。 無数の凶弾に正面から相対した都城王土は微塵も躊躇うことなく飛び込んでいった。 小石を弾き飛ばし、砂利を叩き落とし、鉄材を蹴り飛ばす様はまさに獅子奮迅という言葉が相応しい。 だが。 それでもなお一方通行の放った嵐のような弾幕は凶暴で獰猛で分厚かったのだ。 「ぬっ!?」 小さな小さな小石の欠片が都城王土の爪先を撃った。 そして、その機を逃さんとばかりに暴風雨が都城王土を蹂躙する。 グシャグシャと耳を塞ぎたくなるような人体の破壊音。 脇腹に鉄材がめり込み、首筋を小石がえぐりとり、砂利が肉に食い込んでいく。 だがしかし、それでも都城王土は止まらない。 数瞬か数秒か数分か。 時間という概念すら置き去りにしたような刹那の刻。 都城王土は、その身体に降り注ぐ凄まじい破壊と引換に。 ついに。ようやく。念願の。 一方通行の目の前、数メートルに辿り着いた。 それはつまり都城王土の拳が届く射程圏内ということである。 . 「どら、待たせたな。 これより退屈はさせんぞ?」 ボタボタとおびただしい血を垂らしながら、それすら些事であると言わんばかりに都城王土が笑った。 「はァ~… よくもまァそのザマで生きていられるもんだわなァ?」 心底感心したというふうに目を見開くは一方通行である。 それは、目前に立つ満身創痍の金色の男に対する彼なりの賛辞であった。 そして都城王土はそんな賛辞を当然と受け止めて返事をする。 「俺が行くと決めて俺が行くのだ。 あれしきの妨害など問題にならん。 避けれないのならばそのまま突き進むまでのことよ」 そう言って尊大に笑う都城王土。 だが、それを聞いた一方通行は何処か苦しそうに決定的で残酷な事実を言い放った。 「…けどよォ 忘れてねェか? オマエの拳は俺には届かねェんだよ」 そうなのだ。 例え一方通行の暴虐の化身のような嵐を抜けようと。 その先にあるのはベクトル反射という無敵の盾。 どれほどの犠牲を払ったとしても、ただの拳でこの堅牢な要塞は破れはしない。 砲撃もいわんやと言わんばかりのその拳が“直撃”すれば、それこそ一方通行の身体など一瞬の痛みを感じる間もなく生体活動を停止するだろう。 だが、それは反射膜を超えたらという有り得ない話である。 「確かによォ大層な威力だわなァ …けどそンなこたァ関係ねェ。 オマエが俺に触れでもしたらよォ …全身の血管と内臓が根こそぎ破裂して死ぬぜェ?」 そして、さらにもう一つ。 「テメエは“アイツ”じゃあねえ そこンとこァとっくのとうに確認済みだ」 “アイツ”とは誰のことかなど都城王土は判らない。 だが、目前に立つ白髪紅眼の男の言っていることは事実なのだろうと都城王土は理解した。 「…ふむ。 つまりだ。 おまえは何が言いたい?」 そう促し、先を問う都城王土に一方通行は静かに答える。 「あァ テメエは死ぬ思いをしてここまで辿りつきゃしたが… ザンネンなことにここが行き止まりなンだわ」 しかし、それを聞いた都城王土はとても楽しそうに笑った。 「…行き止まりだと? 面白いことを言うな」 ゆっくりと拳を握り締め 「生憎、俺はどこぞの生徒会長みたいに武術に聡いわけではない。 だから俺はただ俺の気の向くままに全力で貴様を殴るとしよう」 弓矢のように振り上げたその拳を見て、一方通行は吐き捨てるようにこう言った。 「……馬鹿だなテメエは」 「ぬんっ!!!!」 裂帛の気合と共に都城王土の握りしめた拳が一方通行の顔面めがけて繰り出された。 人智を超えた速度と威力はもはや武術などが及ぶ域ではない。 それはまさしく一撃必殺の兇器である。 だが…その拳が一方通行に届くことは無かった。 薄皮一枚の反射膜。 けれど、その薄皮一枚の反射膜こそが一方通行を学園都市最強の能力者たらしめている原点なのだから。 「ぐっ!?」 くぐもった呻き声と共に拳を放ったその姿勢のまま全身から血を吹き出す都城王土。 パシャリと軽い音をたてて吹出した血が一方通行の服に飛び散る。 「…ホント 馬鹿だなァテメエは 言ったよなァ? 俺に触れれば死んじまうってよォ?」 どこか寂しそうな口調でそうポツリと呟く一方通行。 チラリと横目で意識を失ったまま倒れている子供を見る。 何故金髪の男があの子供を眠らせたのかなど、今更判るわけもない。 先程までの胸の高揚感は既にどす黒い感情に変わり、一方通行の胸の中心に鎮座していた。 . 「…チッ 意地なんざはらずに逃げ出しゃあよかったのによォ…」 そう呟くと踵を返す一方通行。 「服…汚れちまったなァ このまま帰りゃあのガキがギャーギャーうるせえンだろうが…」 けれど今はそんな事もどうだっていい。 服が血で汚れたならばまた買えばいい。 それよりも胸に渦巻く重圧感から逃れることのほうが先決だ。 まるで逃げるようにこの場を去ろうとして。 一方通行の足が止まった。 “何故服に血が付着している?” 薄皮一枚の反射膜は一方通行の全身を覆っているのだ。 つまりそれが意味することを一言でいうならば。 “シャツに血液が付着することなどありえない” 何も考えること無く、何も考えられず、一方通行は己の胸に付着した血液を払った。 腕の動きにあわせて、血液がピチャリと地面に落ちる。 そして…赤い血が付着していたはずのシャツはシミひとつない普段の姿を取り戻していた。 シャツに血が付いているわけでもない。 金髪紅眼の男の血液という残滓が逆らうように“反射膜”の表面に付着している? その時だった。 意味が判らず硬直しきった一方通行の背に朗々たる声がかかったのだ。 「 『 待 て 《 マ テ 》』」 「俺をおいて一体何処に行くつもりなのだ?」 「……ンだとォ!?」 動けない、振り向けない。 指先ひとつすらピクリとも動かない。 知っている。 一方通行は知っている。 さっきのは『王の言葉』 声の主は金髪紅眼の自分によく似た“馬鹿野郎”に間違いない。 ベクトルを反射し動くことも忘れ、立ち尽くしたままの一方通行にやれやれ、といった独り言が風に乗って届いた。 「ふむ、“攻撃がヒットする瞬間に回復する”か。 俺にしては不安ではあったがどうやら“再現”はできたようだな」 「……よォ? どういうことだァ? 教えやがれよなァ」 背を向けたまま、何故か親しげとも取れる調子で。 一方通行がそう背後に立っているであろう男に声をかけた。 そんな問いかけを聞いて。 フン!と耳にたこができるほどの笑い声と共に男は言った。 「あぁ…そういえば言ってなかったか。 俺の身体は筋肉、骨格、神経はもとより循環器、呼吸器、血液に到るまで改造されているようなものでな」 ――ここで少し二人の少女の事を説明をしなければならないだろう。 箱庭学園特待生2年13組の二人の異常者《アブノーマル》。 名瀬夭歌と古賀いたみという少女のことだ。 名瀬夭歌。 少女の名は偽名である。 真の名は黒神くじら。 その姓が示すとおり箱庭学園生徒会長黒神めだかの親族であり。 そして、名瀬夭歌は人体を生物学的に改造するというただ一点においては完璧超人と呼ばれる黒神めだかですら及ばない域に達しているのだ。 古賀いたみ そんな名瀬夭歌と出会ったのが古賀いたみという少女だった。 常人であり、一般人であり、平凡な人生を過ごしてきた彼女はそのありふれた人生を変えるため、あえて己の身体を実験台として名瀬夭歌に捧げた。 “異常”に対する“異常”な憧れだけが“異常”なただの女の子。 だが、だからこそ古賀いたみは名瀬夭歌の非人道的という言葉すら生温い人体改造を耐え切ることができたのだ。 その古賀いたみの身体スペックは、途方も無いハイスペックである。 彼女は箱庭学園生徒会長黒神めだかを“圧倒”した。 亜音速で動き、100kgの鉄球が頭頂部に直撃してもケロリとし、果ては箱庭学園そのものを引きずる膂力を発揮することができる黒神めだかを“圧倒”したのだ。 例えそれが人格を失い空っぽのままの黒神めだかであろうとも、その事実は揺らぎない。 ましてやその時の古賀いたみは“ガス欠状態”の身体のままだったのだから本来のスペックなど想像するだに馬鹿馬鹿しい。 そして…都城王土はその古賀いたみの異常《アブノーマル》を“強制的に取り立てた”のだ。 それは、都城王土の特異性《アブノーマル》であり。 それは、黒神めだかですら不可能なことである。 無尽蔵の電力《アブノーマル》、『創帝《クリエイト》』という名の異常《アブノーマル》をもつ都城王土だけが掴むことの出来る答え。 ならば、出来ない訳がない。 目の前にいる白髪紅眼の男は先程、『王の言葉』をベクトルでねじ伏せたのだ。 ならばそれは必然。 ベクトルの反射を異常《アブノーマル》でもって強引に力尽くでねじ伏せることくらい、都城王土に出来ないわけがない。 都城王土はベクトル反射で裏返っていく血液を血管を内臓を上書きするように、“己”の意志でもって“己”の回復力で無理やり塗りつぶしたのだ。 「さっきキサマはこう言っていたな? ここが行き止まりだと」 紅い煙が都城王土の身体から湧き立っていた。 それは破壊と再生の繰り返しで極限まで酷使された細胞が発火寸前まで熱をもち、付着している血液を次々と蒸発させたものだ。 「確かに…過去の俺は王道を踏み間違えた。 行き止まったのだ」 都城王土の胸に飛来するは己が手を地につけて己が非を認めたときのことである。 . 「だが」 それでもこの男は、都城王土は立ち止まらない。 「今の俺が進むは“王道”ではない。 “覇道”だ。 ならば俺の“覇道”に行き止まりなどあるわけがなかろう」 こいつの馬鹿さ加減はどこかのヒーロー気取りの三下かよ、と一方通行は思いながら可笑しそうに笑った。 「ハッ! そいつァ随分とまァ大層な道だなァおい!」 そう背で返事をして。 ようやく一方通行は気付いた。 いつの間にか身体に自由が戻っていたのことに。 「おいテメエ… 何考えてやがンだァ?」 ゆっくりと、振り向きながら一方通行がギョロリと都城王土を見据える。 その視線を受けて都城王土はゆっくりと拳をかざした。 「言ったはずだろう? 俺の“覇道”に行き止まりなどないのだ」 つまりそれが意味することは。 まるで焼き直しのように再度拳を振りかざす都城王土。 「貴様が俺の“覇道”の行き止まりというならばだ。 俺はそれを正面から突破して粉砕して圧潰して押し通るまでのこと」 つまり、それは先程の展開を再度繰り返すということ。 「今の俺をさっきまでの俺と思うなよ? 俺は常に進化しているのだ。 もはや俺ですら今の俺がどこまでいけるか定かではないのだ」 笑いながら都城王土が拳をギシリと握る。 どれほど威力があろうとも反射膜が破られるはずがない。 「カカカカッ! 上ッ等じゃねェかァ!!!」 だというのに、一方通行は心地良い爽快感を感じていた。 首筋からは小さな電子音が聞こえる。 その音が意味することはとっくのとうに判っている。 そう、バッテリー切れだ。 脳の演算機能を外部に頼っている一方通行はチョーカー型の補助演算装置のバッテリーが切れれば、反射どころか歩くことすらままならなくなるだろう。 この男と戦闘を始めて何分たったのだろうか。 3分? 5分? 10分? もしかすると数秒も残っていないのかもしれない だが、それでも一方通行は退かない。 もう一方通行は。 アクセラレータは負けるわけにはいかない。 決して負けるわけにはいかないのだ。 脳裏にちらつくのは絶対に守ると決めた少女の影。 その少女と。 そして己に誓うように一方通行が静かに自らの非力さを認める。 「チッ…確かにこのザマじゃあ学園都市最強は返上だわなァ…」 だが、数瞬後、それは反転。 凄まじい気迫と共に一方通行が吠えた。 「けどよォ…それでも俺はあのガキの前じ…ゃ最強を名乗り続けることに決めてんだよォォ!!!!」 目の前の男が全てを押しつぶすというならば。 ならば自分は全てを跳ね返すだけのこと。 もはや侮りはしない。 この男の拳が届かないなどとは思っていない。 例外ならば既に味わっている。 敗北ならば既に経験している。 「…なるほど。 その気迫ならばわざわざ“俺の言葉”を解く必要など無かったな」 一方通行を見て感心したように都城王土がそう呟いた。 . 「名乗れ。 そして覚えておけ。 俺が、俺こそが都城王土だ」 相手を侮っている笑みではない。ただ己の好敵手に対してそう都城王土が自分の名を告げた。 それを聞いて、立ち向かっていた一方通行は満面の笑みを浮かべる。 「カカカッ! 一方通行《アクセラレータ》って呼んでくれよなァ! 王ォォォォ土くゥゥゥン!!!」 それを聞いて都城王土が満足そうに頷いた。 「なるほど。 いい気概だ。 どれ…歯を食いしばれよ“一方通行《アクセラレータ》”。 俺の拳が貴様の心の臓腑に届けばそれで全ての終わりだぞ?」 ギシリと神鉄のように固く固く拳を握りしめる都城王土。 「敬意を持って貴様の全てを簒奪してやるからありがたく思え」 それに相対した一方通行は両の手を広げ、大地を踏みしめる。 「いいぜェ…… 俺を打ち破るっつーなら…俺から全てを奪うっつーなら…」 先程まで浮かべていた歪な笑みではない。 まるで子供のように目を光らせて一方通行が吼えた。 「今俺がァ!テメエのその思い上がった幻想をブチ壊してやンよォ!!!」
https://w.atwiki.jp/relatetrekker/pages/516.html
【疾走する狼】あろっく C039
https://w.atwiki.jp/etcranking/pages/3347.html
大阪市営地下鉄御堂筋線 説明 路線基本情報 正式名称 高速電気軌道第1号線 略称 御堂筋線 カラー 臙脂色 起点 江坂駅 終点 中百舌鳥駅 駅数 20駅 営業距離 24.5km 駅間距離 1.225km 路線地図(Aが江坂駅、Bが中百舌鳥駅) youtube動画 北大阪急行 江坂→千里中央 Kitaosaka Kyuko 駅紹介 駅番号 M11 駅名 江坂駅 所在地 大阪府吹田市 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 設置済み AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 未設置 備考 北大阪急行千里中央駅まで直通運転 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M12 駅名 東三国駅 所在地 大阪府大阪市淀川区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 未設置 エスカレーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 設置済み AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M13 駅名 新大阪駅 所在地 大阪府大阪市淀川区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 設置済み(車いす対応) AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M14 駅名 西中島南方駅 所在地 大阪府大阪市淀川区 駅施設 エレベーター 地上~改札 同一階 改札~ホーム 未設置 エスカレーター 地上~改札 同一階 改札~ホーム 設置済み(車いす対応) AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M15 駅名 中津駅 所在地 大阪府大阪市北区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 設置済み AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M16 駅名 梅田駅 所在地 大阪府大阪市北区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 設置済み(車いす対応) 改札~ホーム 設置済み AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 未設置 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M17 駅名 淀屋橋駅 所在地 大阪府大阪市中央区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 設置済み(車いす対応) 改札~ホーム 設置済み(車いす対応) AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M18 駅名 本町駅 所在地 大阪府大阪市中央区 駅施設 エレベーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 設置済み(車いす対応) AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M19 駅名 心斎橋駅 所在地 大阪府大阪市中央区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み(車いす対応) AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M20 駅名 なんば駅 所在地 大阪府大阪市中央区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 設置済み(車いす対応) 改札~ホーム 設置済み AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M21 駅名 大国町駅 所在地 大阪府大阪市浪速区 駅施設 エレベーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 設置済み(車いす対応) 改札~ホーム 設置済み(車いす対応) AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M22 駅名 動物駅前駅 所在地 大阪府大阪市西成区 駅施設 エレベーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 未設置 エスカレーター 地上~改札 設置済み(車いす対応) 改札~ホーム 設置済み(車いす対応) AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 未設置 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M23 駅名 天王寺駅 所在地 大阪府大阪市阿倍野区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 設置済み(車いす対応) 改札~ホーム 設置済み(車いす対応) AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M24 駅名 昭和町駅 所在地 大阪府大阪市阿倍野区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 設置済み AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M25 駅名 西田辺駅 所在地 大阪府大阪市阿倍野区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 同一階 エスカレーター 地上~改札 設置済み(車いす対応) 改札~ホーム 同一階 AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M26 駅名 長居駅 所在地 大阪府大阪市住吉区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 設置済み(車いす対応) 改札~ホーム 設置済み(車いす対応) AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M27 駅名 我孫子駅 所在地 大阪府大阪市住吉区 駅施設 エレベーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 同一階 エスカレーター 地上~改札 設置済み(車いす対応) 改札~ホーム 同一階 AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M28 駅名 北花田駅 所在地 大阪府堺市北区 駅施設 エレベーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 設置済み AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 未設置 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M29 駅名 新金岡駅 所在地 大阪府堺市北区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 未設置 改札~ホーム 設置済み AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 駅番号 M30 駅名 中百舌鳥駅 所在地 大阪府堺市北区 駅施設 エレベーター 地上~改札 設置済み 改札~ホーム 設置済み エスカレーター 地上~改札 設置済み(車いす対応) 改札~ホーム 設置済み AED(自動体外式除細動器) 設置済み 誘導・警告ブロック 設置済み 誘導チャイム・音声誘導装置 設置済み 公式サイトへ サイト 駅周辺地図 駅構内図 外部リンク 大阪市営交通局 駅紹介(公式サイト) Wikipedia(大阪市営地下鉄御堂筋線) 公式サイトより引用 トップページ
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/690.html
*―*―* 《――本日の実験はこれにて終了だ。 御苦労、帰っていいぞ》 一方通行「あァ……」 一方通行(一日約百人ペースで、いつの間にやら三〇〇〇人越えか……) 一方通行(クソッ……日々募るのは焦燥感だけじゃねェか……) 一方通行(せめて『樹計図の設計者』がどこにあンのかさえ掴めれば……) 「…………」ウィーン 一方通行「あァ、後片付けかァ……派手にやっちまったからなァ、ヨロシク……」 一方通行(オマエ、しっかり死ンどけよ……) 「……あなたが、被験者一方通行」 一方通行「……オマエ、なン号だァ?」 09982号「本日培養器から取り出されたミサカ09982号です。 と、ミサカは個体番号を口にします」 一方通行「……そォかよ。 片付けは言われた通り、しっかりやれよ。余計なことはすンな」 09982号「はい」 一方通行「…………」 一方通行(コイツの初仕事はこれか……チッ、胸糞悪ィ……) 一方通行「もォ一度言っとく、ちゃンと言われた通りになァ……」ポンッ 09982号「……何故、ミサカの頭に手を置いたのですか? と、不思議に思ったミサカは問いかけます」 一方通行「あァ……なンとなくだよ……」 一方通行(つい、普段『妹達』に接するように……なンて言えるかよォ……) 一方通行(待ってろよ……オマエもすぐにこンな実験から解放してやる……) *―*―* 02000号「糧食の調理は我々に任されています。 あなたは下がっていてください。 と、ミサカ02000号《ミレニアム》は絹旗最愛に言い捨てます」 00893号「ミレニアム……ププッ……。 このミサカは何をカッコ付けているんでしょうか? と、ミサカは疑問に思います」 02000号「00893号《ヤクザ》は黙っていてくれませんか? と、ミサカ02000号は独り言ちます」 01000号「くだらない言い争いはやめてください。 というか、ミレニアムとは西暦を千年単位区切ったものですよ。 と、同じくミサカ01000《ミレニアム(笑)》であるミサカは、大人の対応を見せます」 00721号「おい、今ミサカのことバカにした奴はあとで実験室まで来い。 と、ミサカはドスの利いた声で怒鳴ります」 00311号「個性が強いのも考えものですね。 と、ミサカ00311《サイアイ》は呆れ気味に零します」 00101号「読み方が超無理矢理ですね。 と、ミサカ00101《おいおい》はツッコミます」オイオイ 絹旗「くっくっくっ、超いいんですか? 一方通行と一つ屋根の下に暮らし、同じものを食べている私を超ぞんざいに追い出してしまって……」 02000号「……な、なんだってー! と、ミサカは驚愕の事実に驚きます」 00101号「おいおい、今はそこじゃないだろ。 と、ミサカはツッコミます」 01000号「ええ、つまりあの方の好物を知っている、ということです。 と、ミサカは今一つ理解力の足りないミサカ達に説明します」 00721号「零太さんは毎回ミサカ達の作ったものには、『うめェ』と素っ気なくではありますが、そう言ってくれますよ。 と、ミサカは対抗心を燃やします」フンッ 絹旗「それはあなた達が超答えを急かした結果、あの超過保護な一方通行が零した感想に過ぎません」 00311号「……お、教えてください、 と、ミサカは第三の母である絹旗最愛にいち早く取り入ります」 00893号「あんなエノキみたいなののどこがいいんだか。 と、ミサカはコーラを献上します」 00101号「お前ら……見損なったぞ……。 と、ミサカは絹旗最愛の肩を揉みます」 *―*―* 一方通行「なンでこんな食卓が茶色いンだァ……? オイ、調理班っ! 出て来ォいっ!」 「「「「「「…………」」」」」」 一方通行「どォして、こんな肉肉肉の肉尽くしなンだァ……? 正直に言え、怒らねェからよォ」 「「「「「「………この人のせいです。 と、ミサカ一同は(ry」」」」」」 絹旗「え、ち、違います! 超違いますよ!」 一方通行「どォせ、オマエが余計な入れ知恵したンだろ……あのなァ、バランスってもンを知らねェのか……」 絹旗「それをあなたが言いますか」 一方通行「はァ……オイ、『妹達』」 「「「「「「は、はい!」」」」」」 一方通行「どれも美味そォだ、ありがとよォ……」 (*1))))) 一方通行「だがなァ、通常これはオマエらが喰うもンだ。 他の妹達を見てみろ、こンな肉ばっかで嫌そォな顔してンじゃねェか」 (抜け駆けですか……) (裏切り者に制裁を……) (ミサカも怒られたいです……) (なんとか悪世羅さんの隣を……) 「「「「「「う、う~ん……」」」」」」 一方通行「ほら、さっさと謝ってこい。 それと、アホモアイ……」 絹旗「……?」キョロキョロ 一方通行「オマエ以外いねェだろ! あとでお仕置きだ」 00112号「ズルい! と、ミサカは光の速さでお仕置きされたさに飛びつきます!」 一方通行「がァっ!?」ガシャッ 絹旗「反射しないところがまた……超過保護ですよね……」 芳川「ほらほら、何やってるの。早く食べちゃいなさい」 *―*―* 絹旗「それで、また超過保護が発動して……」 00001号「そこが悪世羅・零太さんのいいところです。 と、ミサカは笑みを零します」 一方通行「……ところで、リハビリの方はどォだ?」 00001号「順調です。と、ミサカは報告します」 一方通行「そォか、あンまり無理はすンなよ」 00001号「はい。ですが、ミサカは調整に来ている妹達以外の施設にいる妹達に、早く会いたいです。 と、ミサカは心情を吐露します」 一方通行「その施設にいる妹達も、早くオマエに会いてェっつってたぜ」 00001号「本当ですか!? と、ミサカは顔を綻ばせます」 一方通行「あァ、本当だ」 絹旗「それにしても、超溜まっていってますね。 この雑誌やら漫画やら……」 00001号「どれも悪世羅・零太さんにいただいた大切なものです。 と、ミサカ微笑みます」 一方通行「あァー……捨てたっていいンだからなァ……」 00001号「いいえ、捨てません。 と、ミサカは断言します」 絹旗「……師匠! 私も超読みたい本があるのですが!」 一方通行「自分で買え」 絹旗「…………」 一方通行「オイ、何か欲しいもンはねェのか? そォだ、気分転換も兼ねて売店にでもどォだ?」 00001号「大丈夫です、あなたが買ってきてくれたお菓子がありますから。 と、ミサカはパンパンに張り詰めたビニール袋を指差します」 一方通行「そォか、必要なもンがあったら遠慮なく言えよ」 絹旗「…………」 *―*―* 絹旗「ただいま帰りました。 って、布束さんまだ帰ってきてないんですね」 一方通行「あァ……そォいやァ研究所を出てすぐに用事があると言って別れたンだったなァ……」 絹旗「またATMでしょうか? 最近一緒にコンビニへ行った時もよく……」 絹旗(はっ! この状況は……) 一方通行「俺は寝るゥ、飯はいい……。 勝手に作るなり外で喰うなりしろ……」バタリ 絹旗「ひっひっひっ、今夜は寝させまんよ! 散々蔑ろにされていた私を超構ってください!」 一方通行「…………」スースー 絹旗「早っ――!?」ズサーッ 一方通行「…………」スースー 絹旗「……おーい、超起きてくださーい。 ……ねぇっ、起きてっ、起きてっ!」ユサユサ 一方通行「…………」スースー 絹旗「この野郎、私が超かわいこぶって起こしてあげたというのになんですか! いえ、実際かわいいんですけどね」 一方通行「…………」スースー 絹旗「…………」 絹旗(超疲れてるんでしょうか……?) 絹旗(正直、この計画が上手くいくとは思えません。 ですが、超信じていますよ……) 一方通行「…………」スースー 絹旗(おやすみなさい)ツンツン *―*―* 芳川「あら、早いわね」 布束「おはよう」 一方通行「あァ、オマエらこそ早くからご苦労なこったァ」ヒラヒラ 絹旗「おはようございます」 芳川「…………」 一方通行「なンだよ、他人の顔をジロジロジロジロとォ……」 芳川「いえ、ただ良い傾向だと思ってね」 一方通行「はァ? またわけ解ンねェことを……。 さァて、今日も今日とてぱっぱと殺ってやりますかァ……」 天井「それがだな……」 一方通行「ンだァ、歯切れの悪ィ……よォやく今日から屋外実験に入るっつゥのによォ……? 口頭でも文書でもいいから、とっとと概要を寄越せ」 天井「本日予定されている屋外実験に使おうとしていた場所なんだが、 悉く虫螻共が跳梁している状況でな……」 一方通行「そンなことかよ……。 おら、さっさとその虫螻共《スキルアウト》が跋扈してるっつゥう場所を吐きやがれ」 芳川「物騒ね……事後処理も含めて色々と面倒なことになるから、やめておきなさい……」 天井「ああ、何分数が多すぎるしな。 ということで不本意ではあるが……」 一方通行「数が減っちまうって、わけかァ……クソ虫の分際で、俺を煩わせやがって……」 天井「間違ってもっ、勝手な行動に出るんじゃないぞ!」 一方通行「オイオイ、人殺しが今更何ヘタレたこと抜かしてるンですかァ?」 天井「ひっ、人殺しはオマエだ! 私はあくまで穏便かつ正確に、そして完璧を目指しているに過ぎない! この実験はなんとしてでも、必ず成し遂げなければ……」ブツブツ 一方通行「そォかいそォかい……」 絹旗「私、この人超嫌いです……超キモイです……」ボソッ 一方通行「あァ、珍しく気が合うじゃねェかァ……」ボソッ 芳川「せっかく暇ができるようなのだから、たまにはあなたの好きなコーヒーでも飲みにいったら?」 一方通行「そンな余裕かましてられるほど俺は暇じゃねェンだよ」 布束「たまには休息も必要よ。 倒れてしまっては元も子もないわ」 絹旗「超同意です」 一方通行「チッ……姦しい女共だなァ……」 絹旗「っ……! お二人はあなたのことを超心配していってくれてるんですよ」 一方通行「あァン、そンなこと誰が頼ンだ?」 絹旗「くぅー! うーっ!」ジダンダッ 天井「……実験関係者でもない女を連れて来るなと何度言えば解るんだ」ブツブツ 一方通行「あン……?」 絹旗「どうも」ペコリ 天井「この学園都市では女だとしても、いや、ましてや年端の行かない子供だとしても油断してはならない。 そんなことも解らないで、頂点と呼ばれているのか……?」 一方通行「……コイツは俺の女だ。なンか文句あっかァ?」 「「――!?」」 天井「なっ、オ、オマエ……布束はどうする……!?」 一方通行「あァン……コイツも俺の女で問題ねェだろ……」 天井「まったく、最近のガキは……」ブツブツ 絹旗「…………」ジトーッ 一方通行「なァに睨ンでンだ……?」 布束「俺の女……? 俺の女……」 芳川「あら、誰か忘れていない?」サラッ 一方通行「金でも積まれない限り、誰がババアなンざ相手にすっかって話だ……」 絹旗「それだと俗にいう逆援ってやつになりますよ」 一方通行「まァ、実際いくら積まれてもお断りだけどなァ」 芳川「あ、あなた達ぃ……」ピキピキ 絹旗「超ピキッてますよ」 一方通行「アレだ、更年期障害ってやつだろ」 芳川「…………」プルプル 布束「芳川さん、彼の冗談を間に受けないでください」ギュッ 芳川「一方通行に腕を絡ませたあなたに言われたくないわ……!」 絹旗「では、私は超肩車で」ピョイッ 一方通行「とことンガキだっ……なァ……」ヘナヘナッ 絹旗「超沈んでいってますよ! ほら、超しっかり!」バシバシッ 天井「いつからここは幼稚園に成り下がったんだ……」 芳川「私はまだ……っ歳よ……」ブツブツ *―*―* 一方通行「……よォ、五分前行動たァ感心だァ」ゴクッゴクッ 04000号「現在、時刻は九時二五分。 被験者一方通行は所定の位置に就いてくだs――」バタッ 一方通行「おーおー、すまねェ……我慢出来ずに汁が零れ落ちちまったみてェだ……」 04000号「ぁ……コーh……?」 一方通行「脳天直下で御陀仏、って寸法だったけど……案外上手くいかねェもンだなァ……」シュタッ 04000号「まd……開始z……」 一方通行「今回はこういう内容なンだよ、残念だったなァ。学習したかァ? じゃ、〆は血祭りといきますかァ……」ガシッ 04000号「――――」ブシュウゥッ 一方通行「終了ォっと……」 04000号「――――」 一方通行「……そのまま動くなよ」 04000号「…………」コクッ 一方通行「ミサカネットワークとの接続はしっかり切れてるかァ?」 04000号「……はい」 一方通行「……、よォし。こりゃあどうやらマジで監視はねェようだなァ。 オイ、出て来ていいぞ」 「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン。 と、特殊メイクアップアーティスト部隊所属であるミサk」 一方通行「静かにしろォっ!」 04000号「――!?」 「すみません……どうかお許しください……。 この日のために学んだ特殊メイク技術をようやく生かせると思って、はしゃいでしまいました。 と、ミサカは肩を落としたまま道具を取り出します」チャキッ 一方通行「あァ、頼ンだぞ」 04000号「……その口調に、その顔はミサカと同じ『妹達』ですか?」 00008号「そこに気付くとは、やはり天才か……。 と、ミサカ00009号は己の変装技術の未熟さを誤魔化します」ペタペタクイックイッ 一方通行「ちゃっちゃっとやっちまえ……」 00008号「ミサカは褒めて伸びる子なのです。 どうです、この見事な傷の出来具合は? と、ミサカは完成度の高さに胸を張ります」エッヘン 一方通行「よくやったよくやったァ……だから、手ェ休めンな……」ナデナデ 04000号「…………」 一方通行「……オマエの演技も上出来だったぜ」ナデナデ 04000号「……なんでしょう? この胸の高鳴りは? と、ミサカhッ!?」 00008号「おい、新入り。お前だけが特別ではないんですよ。 と、ミサカはベラを突き立てて妹いびります」 一方通行「コイツの代わりに仮死薬飲みてェか……?」 00008号「ちっ、反省してまーす」ペタペタヌリヌリ 04000号「これが社会の厳しさいうものなのですね。 と、ミサカは若干涙目で戦きます」 一方通行「あァー……よしよし……」ナデナデ 00008号「…………」グサッ 04000号「つぅ……」 一方通行「だからやめろっ!」 *―*―* 絹旗「超完成です!」 滝壺「科学の力のお陰だね」 絹旗「うっ……たしかにルーはそうですけど、超私なりの工夫をしたんですよ」 滝壺「ペロッ……これは牛乳にケチャップにソース」 絹旗「わっ、解るんですか?」 フレンダ「結局、弟子は師匠には適わないって訳よ」 絹旗「そんなことありませんよ。 いつの日か一方通行を超殴り倒してみせます」 フレンダ「滝壺と絹旗のことだって……」 麦野「そうなってくれると助かるわねー」 フレンダ「ああ、なるほどね……」 絹旗「じゃあ私はこれで。 残ったものは食べていいですよ、超感謝しつつ」 滝壺「うん、きぬはた。ありがとう」 フレンダ「早く一方通行を墜としt」 絹旗「超うるせーっ!」バタンッ フレンダ「あ~あぁ……いいなぁ、楽しそうで」 麦野「うかれちゃって……必ずこっち戻って来ることになっているのにね……。 いっそ忘れさせてあげればいいか」 フレンダ「どうやって?」 麦野「殴る?」 滝壺「やめて、ふれんだ」 フレンダ「え? 私?」 麦野「まぁ、七月中に仕事には復帰してもらおうかしら。 あまりブランクが長いと迷惑になるだけだから」 *―*―* 一方通行「…………」バタンッ 絹旗「お、おかえりなさい。超お疲れです」 一方通行「あァ……」 絹旗「あの、それで今日は……」 一方通行「俺は寝る……飯は勝手にしろ……」ゴロンッ 絹旗「あ、はい……了解です……」 一方通行「はァ……畜生ォ……」 絹旗(超しょうがないですよね。 超ハードスケジュールですし、うん、そうですよ……) 絹旗「って、どこの倦怠感夫婦ですか!」 一方通行「……はァ?」 絹旗「いや……なんでも……」 一方通行「そォかよ……」 絹旗(……カレーどうしよう。超わざわざ米まで炊いたんですよ) 一方通行「…………」 絹旗「……あの、ところで、体術を仕込むっていうのはどうなったんですか?」 一方通行「認めたくねェけど、今は手一杯だァ……」 絹旗「そうですよね……」 一方通行「……、オイ」 絹旗「はい?」 一方通行「小腹が空いた」 絹旗「……し、仕方ないですね! この超美少女絹旗さま特製のスペシャルカレーをご馳走してあげましょう!」 一方通行「ほォ、そりゃあ楽しみだ」 絹旗「そこで座って待っててください。 あっ、寝たらサンドバックの刑ですよ!」 一方通行「あァ、解った解ったァ……」 絹旗「どうですか!?」 一方通行「…………」モグモグ 絹旗「どうなんですか!?」ウズウズ 一方通行「……カレー?」 絹旗「それは見た時点で、ていうか私が言った時点で解ってるでしょう……」 一方通行「…………」パクッ 絹旗「…………」 一方通行「……うめェ」 絹旗「……本当ですか!? 本心からですか!? 目を見て! ほらっ、超見て!」 一方通行「……まァ、うめェ」 絹旗「その『まァ』は余計です!」 一方通行「いいからオマエも喰えっ!」 絹旗「アーン」 一方通行「…………」パクッモグモグ 絹旗「……せめて何らかのリアクションをください」 一方通行「……ほら、喰えよ」ヒョイ 絹旗「…………」パクッモグモグ 一方通行「どォだ?」 絹旗「それはもちろん、私が作ったものですから……もう一口」 一方通行「ほら」ヒョイ 絹旗「……もうひほふひ」パクッモグモグ 一方通行「おら」ヒョイ 絹旗(味見した時より、超美味しいですね……)パクッモグモグ 絹旗(……超冷静になってみて考えてみると、私はなんて恥ずかしいことをしていたんでしょうか)キュッキュッ 絹旗(嬉々として一方通行にカレーを食べさせてもらって)ジャー 絹旗(傍目から見たら、超仲の良い兄妹って感じですか? それとも……あり得ません!)ジャー 絹旗(フレンダや麦野にあんな風にからかわれたからって、いくらなんでも超単純過ぎます……)ジャー 絹旗(……何やってるんでしょうか、私は)ジャー 一方通行「オイ、どうした?」 絹旗「え、いえ! なんでも!」ジャー 一方通行「そォか、とりあえず水止めろ……うるさくて寝れやしねェ……」 絹旗「あ、はい……」 一方通行「…………」ゴロンッ 絹旗(あとでベッドに移してあげましょうか。 その方が疲れも取れますしね) 絹旗(……私の方が超姉っぽいですね) 絹旗(でも、どちらかといえば私は超甘えたい方で……って、何を考えてるんですか、私!) 絹旗「あぁ……顔が超熱いです……」 一方通行「ン……また風邪かァ……?」 絹旗「ちっ、違います! いいから気にせずに、とっとと寝てください!」
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/99.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・一方「…」ヒリヒリフレンダ「…絹旗が本気だったら頭が潰れたトマトみたいになってたわよ」絹旗「…」フレンダ「…しっかし…これじゃ駄目ね…バーベル持ち上げるのに10kgのバーで挫折したようなもんね」絹旗「人のことをバーベルっていうのやめてくれませんか?頭潰しますよ?」 一方(…)一方(…能力を使えば簡単に持ち上げられる…だが使いたくねェ)一方(……そりゃァ俺が麦野さンの好みの男になるためってのもあるが…そォじゃねェ)一方(俺が麦野さンを持ち上げる…麦野さンを支えてやれるかどォかだ……)一方(…オシ)一方「オイ、チビガキ。もう一回やンぞ」絹旗「え!?」フレンダ「大丈夫なの?」一方「…意地があるンだよ…男の子にはなァ!!!」絹旗「らびっと…」フレンダ(あー…1+1を答えられないアニメの主人公みたいな台詞ね)一方「ォラ、早く手ェ回せ」グイッ絹旗「ちょっ……重いとか言わないでくださいよ!?」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 一方「クッ……もォ一度いくぜ…」絹旗「だ、大丈夫ですか?」フレンダ(かっこいい台詞言ったと思うけどやることは女子中学生を持ち上げる事だもんなぁ…)一方「スゥー……ンがあああああああああああああァ!!!!!!!!」グォッ絹旗「ひゃぁっ!!」フレンダ「おー!持ち上がったー!」一方「ハァ…ハァ……クカカッ!一旦持ち上げちまえばこっちのモンだなァ!あンまし重くねェぞォ!!」絹旗「ちょっ!…まぁいいでしょう。超がんばりましたね」フレンダ「ま。よく出来ましたって所ね」一方「まァな。…よっ」サッ絹旗「あ…どうも(…もう少し抱っこしててくれてもいいじゃないですか…まったく…)」フレンダ「いやー、それにしてもいきなり持ち上がるものね」一方「コツを掴めばこっちのモンだ……膝を曲げて腰を落とす…腕で持ち上げようとすンから駄目で 体の前を上げようとするときに体の後ろ側を落とせば持ち上がる…体で持ち上がるってやつだ」絹旗「…それって普段無意識に重たいものを持ち上げる人なら出来そうですが」フレンダ(やっぱりどっかの坊ちゃんだから重たいもの持ったことないのね)一方(ずっとベクトル操作で重力や腕の力を変えてたかンな…体の使い方なンて気にもしなかったぜェ…) 一方「ンで…麦野さンはコイツのどン位重てェンだ?」フレンダ「…それ麦野の前で言ってみ?包丁か何かで刺されるわよ」一方「…気ィつけンぜ…」絹旗「まぁ…体重はそんなに変わらないと思いますよ」フレンダ「でも絹旗と違って出てるところは出てるって訳よ」絹旗「フレンダ。私がお姫様だっこしてあげますよ」フレンダ「嫌よ。どうせあんたの事だからパイルドライバーとかかけるんでしょ」一方「ン…こンな時間か。オィ、麦野さンと滝壺を起こしに帰ンぞ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一方「ンじゃ、テメェら滝壺起こしに行け。俺ァ麦野さンを」フレンダ「いやいや、私が」絹旗「あなた達だと麦野が色々と危ないと思いますので私が行きます」一方「…まァいいけどよ…ンじゃ金髪。テメェが滝壺起こしに行け」フレンダ「いやいや、そこはあんたが行きなって…料理の配膳やっとくから」一方「そォかい。そンじゃ忘れた頃にかかりそうな罠に気ィつけンぜ」フレンダ(くそっ…ラビットって罠や危険に対する察知力が半端じゃないわね…) 一方「オィ、起きろ」コンコン一方(…相変わらず起きねェか)一方「邪魔すンぜ」ガチャ滝壺「…」スースー一方「…ン、やっぱ罠か…見えてンのは全部ダミーで本物はドアが閉まった時に出てくるな」一方「オラ、起きr…ン?(…ここで滝壺持ち上げられたら麦野さンももしかしたら…)」一方(…)一方(まァ、寝込み襲う訳じゃねェし…やってみンか。とりあえず布団剥がすか)バサッ滝壺「…」スースー一方(…まず…指を組ませて首にかけて…)滝壺「ん…」一方(起きンか?…まァ変な事じゃねェしいいよな)一方(肩に手ェ回して…膝に手ェ入れて…)一方(腰を落としてっと…結構コイツ軽そォだな…) 一方「(オシ…)スゥー…ンガアッ!!!」グォッ滝壺「…」スースー一方(あァ?…簡単に持ち上がるよォになりやがった…コツ掴ンだのかァ?)一方「…ククク…カカカカッ……!!こりゃァいけるンじゃねェのかァ!?カカカッ!!」滝壺「…ん…らびっと?」一方「おォ、悪ィな。こンな体勢でy」ちゅっ滝壺「……あれ?」一方「…あァ?」滝壺「…本物だ」一方「……とりあえず顔でも洗ってけ…ドアは閉めンなよ」滝壺「うん」トテトテ一方(……寝ぼけてたのかァ?……人の頬にキスしといてアイツ何も思わねェのかよ…) 一方(…まァ…麦野さンじゃねェけど悪くねェな)一方(待てよ…麦野さン…?)一方(……)一方(…)一方()一方(あああ…!!!)一方(がぎぐっ……!)一方(げっ…!げっ…!げっ…!)一方(ごごごっ……!)一方(チビガキ…!やっちまったァ…!迂闊…!圧倒的迂闊…!ミスを…!チビガキに行かせるべきじゃなかった…!)一方(…チクショォ。まァいい…明日は…カカカッ!)麦野「ん…なんだか寒くなってきたわね…」絹旗「麦野ー…って珍しいですね。今日起きてるなんて」麦野「あーおはよう。まぁスポンサーからの依頼っていうモーニングコールがあったからなぁ」絹旗「で、今日は仕事ですか」麦野「そ。まぁ後で伝えるわ。とりあえずご飯にしましょ」 作者コメントすみませんラビットの最後の台詞は「明日の寝起きには」って事です。麦野の誕生日は「今日」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「「「「「ごちそうさまー」」」」」麦野「はいはい聞いてー。今日は仕事があるわよー」フレンダ「やった!最近腕が鈍ってきたと思ってたとこでさー」絹旗「で、概要は?」麦野「まぁ、簡単に言ってしまえばあるブツが狙われるからそれの警護ね」絹旗「今日から警護ですか」麦野「そ。襲ってくるまでずっと待機。でも早めに襲ってきたらぶち殺してオシマイ。結構給料良いわ」一方(チッ…早めに叩かなきゃ駄目じゃねェか…)麦野「…でもブツが結構やばいものらしくてねー…学園都市の機密にかかわるものだとかだって。 だから他の暗部組織が強奪しに来る可能性は高いわ。滝壺。今回はあなたも来なさい」滝壺「わかった」フレンダ「で、結局そのヤバイ物って何よ」麦野「まぁ…なぜ連中が狙ってるかよく知らされてないけど どうも素粒子を掴めるものらしいわ」 作者コメントだいぶ原作の話の改変、独自解釈を混ぜてありますのでご容赦下さい。画面の女「…という訳で、超微粒物体干渉吸着式マニピュレーター。コレを守る事」フレンダ「…ピンセットって言う割には冷蔵庫みたいな形ね」絹旗「きっとそのうち冷蔵庫から本物のピンセットみたく超小型化されるんじゃないでしょうか」麦野「あんたらそろそろ静かに聞きなって…」画面の女「それじゃ回線を切るわよ」プツッ一方「…そろそろ場所だ。麦野さン、どォすンだ?」麦野「今回は1週間の定時警備ね。私がピンセットのある部屋の待機場所にいるわ。今日はフレンダと組む 絹旗と滝壺はラビットの車で待機。一日毎にフレンダと絹旗のポジションは交代」絹旗「…私一人で滝壺を守ってていいんですか?」麦野「あら嬉しくないの?一人前って事なのに」絹旗「…そうじゃないですけど…」麦野「…フー…いい?惚れた奴には命掛けるもんなんだよ」絹旗「ちょ!麦野!」一方(惚れたやつに命掛ける?麦野さンは俺の為に危険を冒して任務してンだよなァ?…って事はよォ… つまり俺ァ麦野さンに惚れられてるかもしンねェよなァ!!)ニタニタ絹旗「ちょ!ちょっと!ラビット!!超勘違いしないでくださいよ!!私は別にラビットの事なんか…」一方「ち、違ェっての!!俺ァ麦野さンが心配で…」絹旗「えっ」一方「…はァ?」フレンダ(……麦野と二人っきりだけど、このコントが見れないのは惜しいなぁ…)滝壺(…柏餅食べたいなぁ) 麦野「それじゃ行って来るわ。行くわよフレンダ」フレンダ「あいよー」一方「…麦野さン、金髪」麦野「?」フレンダ「何よ」一方(…)一方「……気ィ付けろよ」麦野「…?…ぷっ、あははははははは!!はー…わかったわかった。せいぜい気をつけるわ」フレンダ「あんたねぇ…麦野に向かって何言ってるのよ…」一方「…あァそォだったな。悪ィ」麦野「はー……ラビット」麦野「ありがとね」一方(!)麦野「それじゃ。勤務終了まではここで待機ね。じゃ」バタン一方「…」滝壺「…らびっと?」絹旗「そんなに嬉しかったんですか?」一方「あ、あァ…」絹旗「…?」一方(……チクショォ、何も不安が無ェのに…何で嫌な予感がすンだよ…) 一方「…とりあえず弁当と飲み物取ってくンぜ。お前ら何が良いンだ?」絹旗「え、えーっと。じゃあミルクティーで」滝壺「…ほうじ茶」一方「あァ…行って来ンぜ」ガチャ滝壺「…」絹旗「ハァ…麦野の誕生日に仕事とはついてませんね」滝壺「うん…でも誕生会は仕事終わったらやろう?」絹旗「ええ、そうですけど…麦野にも秘密でしたからね…ちょっと残念に思ってるかもしれませんね」滝壺「…」絹旗「思えば…アイテムで誰かの誕生日を祝おうとするっていうのも初めてですね…」滝壺「らびっとが説教してからだね」絹旗「あの時からアイテムも変わりましたよ…なんだか壁が壊れた感じです」滝壺「…きっとらびっとは今までも何か大きな壁を壊してきたんじゃないかな」絹旗「…壁、ですか」滝壺「多分、らびっとが杖を突いてるのもそのせいなんだと思う」 麦野「さてと…」フレンダ「やっと二人っきりねー!麦野ぉー!」麦野「はいはい。二人っきり二人っきり」フレンダ「もー…つれないなぁ…」麦野「大体アンタにはラビットが居るんでしょ?」フレンダ「…は?」麦野「アンタ達昨日は隠れてデートしてたじゃない」フレンダ「だから違うって!」麦野「あーあー。私ってばラビットに恨まれるかしらねー。彼女との時間を取っちゃって。 ラビットもあんた等好きだしアンタ達もラビット好きだしねー」フレンダ「(ハァ…仕方ない)…もしかして麦野ってさ」麦野「ん?」フレンダ「私達に嫉妬とかしてる?(ここはカマかけて探りを入れつつ話題を転換ね)」麦野「…」フレンダ(…あれ?地雷?)麦野「…」バチン!バチバチバチバチッ!!フレンダ「ヒィッ!!ちょ、ちょっと待って!そんなつもりじゃ!」麦野「ハァ…違うっての。ホラ」フレンダ「…これは?……能力?」麦野「レベル5ってのは最高地点だけど最終地点ではない…開発し尽くしたって訳じゃないって事よ」フレンダ「…なるほど。使いようによっては使えるわね」麦野「さ、アンタもさっさと準備にとりかかりなさい」フレンダ「あいよー…って(さっきの話を上手くごまかされた気がする…)」 絹旗「…」滝壺「…」絹旗(…麦野といい滝壺といい気まずいですね…)滝壺(…)絹旗(フレンダとなら別に気まずくは無いと思いますが…)滝壺(…)絹旗(ラビットとだったら……気まずいでしょうね…)滝壺(…)絹旗(…)チラッ滝壺(…)ボー絹旗(…何を考えているんでしょうかね)滝壺(チョウチョって小さい体でどうやって飛んでるのかな…)絹旗(うーん…何を考えているかわかりませんね)滝壺(…)絹旗(…いい機会ですし、ちょっと訊いてみますか)絹旗「あの、滝壺」滝壺「なに?」絹旗「滝壺はラビットの事、好きなんですか?」滝壺「うん、好きだよ」絹旗(…ある意味超予想通りでしたが…正直訊いてどうするって感じですね)滝壺「?」 絹旗「ラビットが麦野が好きだっていうのは?」滝壺「知ってるよ」絹旗「…そうですよね」滝壺「…でも」絹旗「でも?」滝壺「…人が人を想う事に見返りは求めない」絹旗「!」滝壺「私はらびっとを支えたいし、応援してる」絹旗「…そう、ですよね」滝壺「…だからといって」絹旗「…?」滝壺「…(……)」絹旗「…なんですか」滝壺「…うさぎさんはね、動物の中で一番性欲g」絹旗「それはもういいですっ!!…まったく」一方「チクショォ…弁当重てェ……いや、これもチビガキを抱っこした要領でやりゃァ良いンだ… この持ち方も何か工夫すりゃァ良い持ち方があるハズだぜ…」 ガチャ一方「…ォラ、弁当と飲み物だ」絹旗「どうも。ご苦労さまでした」滝壺「ありがとう、らびっと」一方「チッ…結構研究所の売店ってのは遠いンだな」絹旗「あ…やっぱり私が行っておいた方がよかったでしょうか」一方「テメェは滝壺を守ンなきゃだろ。それにこォいうのは三下の仕事だ」滝壺「…いただきます」ハムハム 一方「それに、体のトレーニングになンしなァ」絹旗「あー、今日やった麦野を抱く練習ですか」滝壺「!!…ゴホッ!」一方「オイオイ、大丈夫かァ?」滝壺「うん…大丈夫」絹旗「!!(これは…滝壺…あの時の仕返しです)」絹旗「そうそう。今日の誕生日の超サプライズでラビットが麦野を抱くんですよ」滝壺「!!」 一方「あー…まァな?」滝壺「らびっと…それ本当にやるの?無理やりやったら麦野傷つくよ?」一方「あァ。確かに麦野さンは嫌がるかもしンねェが…まァ怒ってもせいぜいビンタか暫く口聞いてくれなくなンかだろ」滝壺「…お願いらびっと、それだけは考え直して」一方「あァ?なンでだよ。わざわざ今日のために練習したンだぜェ?」滝壺「練習…?」絹旗「ええ、私が今朝、ラビットの逞しい腕で抱かれました」滝壺「」一方「オイオイ、逞しいってそンな…」絹旗「いいえ、私がラビットの首に手を回したとき、心なしか首周りも逞しく思えました」滝壺(らびっとの首に手を…)一方「まァ…抱えンのに随分苦労したけどよ」滝壺「か、抱えるって…」絹旗「そうです。(あ、ラビットが持ってきたこの弁当って)俗に言う駅弁ですね」滝壺「」 絹旗「さ、早いところ食べましょう。冷めてしまいます」モキュモキュ一方「オゥ」モグモグ滝壺「…」一方「オイ、食わねェのか」モグモグ絹旗「食べないと体に毒ですよ?」モキュモキュ滝壺「い、いただきます」ハムハム絹旗「いやー、まったく…ラビットは本当にうさぎ並みですね。一回抱くたびにすごく体力消耗するのに 終わってすぐに『もォ一回だァ!』って何度も私を求めてきたじゃないですか」モキュモキュ滝壺「」ポロッ一方「オイ、飯こぼしたぞ。気ィつけろ。(うさぎって体力あるもンなのかァ?)」モグモグ滝壺「う、うん…」ヒョイッ パクッ一方「普通に拾って食うな」モグモグ絹旗(あれだけ言ってもまだ…案外精神力強いんですね、滝壺…)モキュモキュ一方「あァ、お姫様だlt」絹旗「あー!ラビットォー!それは一般的に『お姫様…』ではなく『姫始め』と言うのが普通ですよぉ!!!」一方「そォなのか。ンじゃチビガキ、後で麦野さンに姫始めする練習させてくれ」滝壺「」絹旗「ええ、構いませんよ(ふふふ滝壺…これで私の苦痛がわかりましたか)」滝壺「………らびっと」一方「あァ?」滝壺「姫始めがまだで練習って事は、絹旗とは本番までやってないってこと?」 絹旗(がぎぐっ……!!しまった!耳年増が脳内で暴走した結果臨界超えましたかっ…って何言ってるか自分でもわかりませんが)一方「オイ、チビガキ…練習って言ったけどよォ…本番ってのは麦野さンを抱くことじゃねェのか?」滝壺「そっか、らびっとは知らないんだね」一方「!!お前は知ってンのか!」絹旗「ちょ!ラビット落ち着いてください!」一方「テメェ、姫始めってのは本番があるとか聞いてねェぞォ!!」滝壺「…多分きぬはたは本番をする事が怖かったんだと思う」絹旗(…なんか面白そうなので黙ってましょう) 一方通行(今更年上好きとか言えねェよなァ・・・) 3スレ目その1
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/665.html
スザク、戦いのあと ◆EXBRaAFchM D-6エリア東南端 駅前商店街 六者が入り乱れた激戦。 三人の女が去り、 三人の男が残った。 真田幸村の遺体を野晒しには出来ないと駅前に戻った枢木スザクを待って、 男達は商店街の一角の病院に身を寄せた。 サーヴァントライダーと豹変した神原駿河の存在がなし崩し的に協調体制を取らせたのだ。 何よりスザクとレイには傷の治療と休息が、一方通行には能力が使用可能になるまでの時間が必要であった。 「むっ……このユンケルという飲み物は、何ともっ……!」 「隣の薬局で一番高かったヤツだ。滋養強壮、疲労回復……ま、気休め程度に飲ンどきな」 スザクの左腕とこれまで放置していたレイの肋骨の処置を済ませ、 一方通行が調達してきた栄養ドリンクを片手に昼食を取りつつ情報交換、 次いで今後の方針を話し合おうとした矢先、 第二回放送が始まる。 ◇ ◇ ◇ 名簿に十三本の線を引いたペンを置かぬまま、スザクはそっと眼を閉じる。 レイは栄養ドリンクを、一方通行は缶コーヒーを飲みながら待つ。 ペンを置き、眼を開く。 「今後の方針を、決めましょう」 スザクの提案は二つ。 一つは第三回放送時に象の像へ行くまで行動を共にするということ。 一方通行が即座に難色を示したが、 右のスザクが「ライダー以外にも強敵は多い。共に戦って欲しい」と力を込めて語れば 左のレイが「お前の目的がゲームの破壊ならば別れることに益は無い」と淡々と述べる。 良く似た声色の二人にさながらステレオ音声で説得されると、一方通行も考える。 先刻のライダー、黒服の女の二人組と神原駿河という超常の力を持つ者達との連戦は 一方通行に一時間の不能状態という致命的な隙を生じさせている。 もし強敵が間をおいて襲い掛かってきたなら……為す術はない。 現在分かっているだけでも明智光秀、ライダー、黒服の女、神原駿河に織田信長とバーサーカー……。 死者と禁止エリアは更に増え、 強敵と遭遇する可能性は一層高まっている。 加えてこの二人、学園都市の警備員(アンチスキル)共より遥かに腕が立ちそうだ。 枢木スザクをゼクスに引き合わせたらどうなるか、多少興味もある。 当面の同道は自分にとって確かに有益と言える。 …………だが、あくまで当面のことだ。 象の像に集う顔ぶれ、それを見届けた後は好きに動く。 その為にも何か武器を使うことを考えるべきだろうか……。 そう心に呟いて、一方通行は頷いた。 そしてもう一つ。 このバトルロワイアルにおいてもっとも重要な支給品。 首輪探知機。 それがこの場にある。 再会を約して別れた者達。 真田幸村、セイバーは再び集うことなく斃れ、 阿良々木暦の行方は知れない。 デュオ・マックスウェル 両儀式 敵のアジトへ調査に向かった二人。 約束の12時を過ぎたが今は何処にいるのか。 アーチャー 脅威的な身体能力と深い洞察力を持った戦士。 彼の動きはこのゲームの破壊の鍵となるかもしれない。 C.C. 不死の魔女。 共にゼロレイクイエムの遂行を誓った同志。 しかしこの島において彼女の不死は完全なものでは無いかもしれない。 そして神原駿河 天真爛漫…………明るく笑い、大好きな先輩達に会えることを楽しみにしていた少女。 包帯に隠されていた獣の腕と虚ろな瞳。 まるでギアスに掛かったかのようなあの状態は……。 「首輪探知機の充電が完了し次第、探知機で周辺を調べ状況に応じて待機、移動を判断します。 それまでに準備を整えましょう」 静かな声でレイが応じる。 「枢木スザク。 お前は、俺に『自分の結果を見届けろ』と言ったな」 「ええ。見せます。 その為にも、今を生きます。 僕も、貴方も」 レイから一方通行に目を移すと 「さっきの二人のネタは割れた。次は確実に殺る。 その探知機の結果次第で仕掛けさせて貰うぜ」 そう言って、空き缶をゴミ箱に投げ入れた。 ◇ ◇ ◇ 三人は物資を調達しつつ駅前へと向かう。 病院で救急救命セットを。 金物屋ではスザクが切れ味鋭い包丁と鉈、それに工具一式を。 パチンコ屋に入ったレイが銃声を数発響かせた後大量のパチンコ玉を持って出てくると、それを一方通行が融通して貰う。 コンビニエンスストアでは一方通行が缶コーヒーの並ぶ冷蔵庫に歩み寄り、 デイパックに幾らでも物が入ると知ったレイは手当たり次第に商品を放り込む。 ライダーの石化能力は消耗が激しいなどの理由で多用出来ず、恐らくは頭部や胴体部からの石化も出来ない。 黒服の女の念動力は対象を視認する必要がある。至近距離でも物体をばら撒いて視界を封じてしまえば……。 一方通行の戦闘分析を受け、スザクは窓際に並ぶ雑誌類をデイパックに詰め込んだ。 そして───────── 赤ハロと同型のハロ達が制御する建設重機で騒がしい駅前ロータリー 幾枚かの壁を挟み静けさに包まれたビルの一室で 枢木スザクは真田幸村の首を────切断した。 『クルルギドノ! クルルギドノ!』 ビルを出たスザク目掛け駅の方向からハロが跳ねて来る。 「ハロ、どうだった?」 『ダメダッタ! ダメダッタ!』 ハロを連れて駅へ行っていた一方通行に目をやる。 「駄目でしたか」 「いや、会話は成立してなかったが形は同じだ。挿げ替えれば───」 『オトウトジャナイ! オトウトジャナイ! イモウトジャナイ! イモウトジャナイ!』 「うるせェ!」 「ハロ、少し静かにしてくれるかい」 『リョウカイ! リョウカイ!』 スザクが手を広げると、飛び込んで大人しくなる。 「……はまっているヤツを引っ剥がせばソイツで動かせるだろうが、ああいう重機ってのは速度が遅ェンだ。 乗っ取るってアイデアは悪かねェが、歩くのとそう変わらねェだろうぜ」 それに喧しいしな、と付け加える。 レイの報告も芳しくなかった。 「あの機械を運んできたような物は無かった」 「つまりアイツらはドコからか──多分B-4の駅だろうが──トロトロと来たってワケだ」 どうやら移動手段の確保はならないようだ。 商店街にはサイクルショップもあったが……一方通行とレイは自転車に乗れなかった。 「仕方ありません。当面は歩きですね。 レイさん、首輪探知機は?」 「充電は完了している」 『ジュンビカンリョウ! ジュンビカンリョウ!』 目を合わせ、頷く。 レイが起動スイッチを押すと探知機のディスプレイに複数の光点が浮かび上がった。 [D-6/駅前/一日目/日中] 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュR2】 [状態]:疲労(大)、左腕骨折(処置済み)、「生きろ」ギアス継続中 [服装]:ナイトオブゼロの服(マント無し) [装備]:ベレッタM1934(8/8)、GN拳銃(エネルギー残量:中) 、鉈@現実 [道具]:基本支給品一式、ノートパソコン@現地調達、赤ハロ@機動戦士ガンダムOO、9mmショート弾(22発) 救急救命セット@現実、柳刃包丁@現実、工具一式@現実、雑誌@現実×多数、首輪 [思考] 基本:この『ゲーム』を破壊し、ゼロレクイエムを完遂する。 1:探知結果を元に移動・待機を判断する。 2:首輪を外せる技術者を探したい。 3:ルルーシュに危険が及ぶ可能性のある要素は排除する。 4:神原さん……。 5:第三回放送時に『E-3・象の像』へと向かう。 6:明智光秀、織田信長、平沢憂、バーサーカー、ライダー、黒服の女(藤乃)に用心する。 7:確実に生きて帰る為の方法を探す。 [備考] ※ラウンズ撃破以降~最終決戦前の時期から参戦。 ※主催が不思議な力を持っていることは認めていますが、死者蘇生が可能という点は全く信じていません。 ※もしかしたら『敵のアジト』が『黒の騎士団のアジト』ではないかと少し疑っています。 ※三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランを政宗と神原から聞きました。 ※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。また、ビデオメールの送信元と受信時間を確認しました。 ※アーチャーとC.C.が行動を共にしていることを知りました。 ※政宗、神原、レイ、アーチャー、一方通行と情報を交換しました。 ※飛行船についての仮説を一方通行から聞きました。 ※神原は絶対遵守のギアスの影響下に類似した状態にあると推測しました。 ※ライダーの石化能力と藤乃の念動力についての分析を一方通行から聞きました。 【救急救命セット@現実】 病院で調達。 医者が使う本格的な物。基本支給品の応急処置セット以上の処置が可能。 【柳刃包丁@現実】 金物屋で調達。 大量生産品ではない、最高品質の鋼を鍛え上げた刃渡り30cm、先端の鋭い刺身用包丁。 本職用でお値段は十万円以上。重さは250gほど。 【鉈@現実】 金物屋で調達。 刃渡り18cm、腰から下げられる鞘付き。重さは500gほど。 【工具一式@現実】 金物屋で調達。 一通りの工具が揃っている。 【雑誌@現実】 コンビニで調達。 藤乃の念動力対策としてコンビニの雑誌類を全て回収。 【レイ・ラングレン@ガン×ソード】 [状態]:疲労(大)、肋骨を数本骨折(処置済み)、左肩に銃創(処置済み)、脇腹に浅い銃創(処置済み)、ツッコミ属性獲得? [服装]:武士のような民族衣装(所々破損) [装備]:レイ・ラングレンの銃@ガン×ソード [道具]:基本支給品一式×1、デイパック、ドラグノフ@現実(10/10)、 GN首輪探知機@オリジナル、平バール@現実、 麻雀牌@咲×31個、ユンケルスター@現実×8、パチンコ玉@現実×大量、コンビニの商品多数(内容は後の書き手さんにお任せします) [思考] 基本:もう少し生きてみる。 1:枢木スザクの『結果』を見届ける。 2:あるものは使う。 [備考] ※参戦時期は第8話~第12話のどこかです。 ※ブラッドチップ・3ヶ@空の境界は円形闘技場に置いてきました。 ※三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランをスザクから聞きました。 ※スザク、神原、アーチャー、一方通行と情報を交換しました。 ※飛行船についての仮説を一方通行から聞きました。 ※ライダーの石化能力と藤乃の念動力についての分析を一方通行から聞きました。 【ユンケルスター@現実】 薬局で調達。 小林製薬が自信を持って提供する栄養ドリンク「ユンケル」シリーズの最高級品。 20種類の生薬を配合。効能は滋養強壮、肉体疲労他。お値段一本50mlで4,078円。 【パチンコ玉@現実】 パチンコ屋で調達。 腰に下げた巾着袋には50個ほど、デイパックには大量に。 パチンコ玉一個の重さは5gほど。 【コンビニの商品多数】 コンビニで調達。 手当たり次第にデイパックに放り込みました。何があるかは後の書き手さんにお任せします。 【一方通行@とある魔術の禁書目録】 [状態]:健康 [服装]:私服 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、缶コーヒー×12、ランダム支給品×1(確認済み)、パチンコ玉@現実×多量、缶コーヒー各種@現実×多数 [思考] 基本:このゲームをぶっ壊す! 1:探知結果を元に行動する。 2:強敵との連戦を懸念。 3:何か武器が必要か……? 2:第三回放送時に『E-3・象の像』へ行くまではスザク、レイと行動を共にする。 5:スザクがゼクスの言うリーダーに相応しい人物か少し気になる。 6:打ち止めを守る(※打ち止めはゲームに参加していません) 7:缶コーヒーの新規開拓でも……。 8:機会があればプリシラの遺言を伝える。 [備考] ※主催側で制限を調節できるのではないかと仮説を立てました。 ※飛行船は首輪・制限の制御を行っていると仮説を立てました。 ※ゼクス、政宗、神原、プリシラ、スザク、レイと情報を交換しました。 ※ライダーの石化能力と藤乃の念動力の制限を分析しました。 【缶コーヒー各種@現実】 コンビニで調達。 一方通行が飲んだことの無い銘柄を集めました。味が気に入らなければ投擲用にするつもりです。 [補足] ※D-6の駅周辺ではハロが制御する建設重機が多数、瓦礫撤去及び線路復旧作業を行っています(当然工事現場並みに騒がしいです)。 建設重機には操縦席が無くハロ以外では動かせません。 またこれらのハロは工事作業以外のことが出来ない様プログラムされています。 ※D-6の駅前ロータリーに面したビルの一室に真田幸村の死体があります。 時系列順で読む Back 飽く迄も愛してくれる? Next secret faces 投下順で読む Back 飽く迄も愛してくれる? Next メメしい野郎共の詩 164 疾走する本能(後編) 枢木スザク 191 言葉という無限の刃(前編) 164 疾走する本能(後編) レイ・ラングレン 191 言葉という無限の刃(前編) 164 疾走する本能(後編) 一方通行 191 言葉という無限の刃(前編)
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/147.html
事の始まりは少女の何気ない一言だった。 「ショッピングというものに行ってみたいってミサカはミサカは頼んでみたり」 「あァ?」 茶色いショートカットの少女は病院のベットに掛かるテーブルの上に乗っていた。 青色のワンピースに身を包み、頭頂部から出ている一本の毛が風も無いのに揺れている。 其れに対して眉を顰めるのは少女の目の前でベットに横たわる白髪の少年だ。 見ただけでは男か女か判別不可能の中性な顔立ちと体つき。 学園都市内にその異名を轟かす白の最強能力者―――"一方通行"。 その最強の能力者は現在、目の前の少女を見て面倒臭そうに首を傾げていた。 少女は一方通行の次の言葉を待つかのように輝いた瞳で一方通行を見ている。 「……」 「お?お?もしかして好感触?ってミサカはミサカはかなーり期待してみる」 「寝ろ」 「いえーい!なんか久しぶりに聞いたよ、ってミサカはミサカは久しぶりに拳をつき上げてみたり!」 打ち止めはヤケクソ気味に拳を天に向かって突き出すが、一方通行はそれを面倒臭そうに見ていた。 「そもそも、俺ァまだ動けるような状態じゃねェだろうがよォ」 一方通行は八月三十一日にとある事件に巻き込まれ普通なら死んでもおかしく無いような傷を負っている。 その事件とは、この目の前の少女―――"打ち止め"を中心に起こった事件だった。 とある研究員が埋め込んだウィルスに侵されていた打ち止めを一方通行が自らの傷と引き換えに助けた。 端的に言ってしまえば、そんなところだ。 その間にも色々な話が詰め込まれているのだが、今は割愛するとしよう。 しかし、そのウィルスを消す際に記憶も一緒に消去された筈の少女は事もあろうに自らその記憶を補完して こうして目の前でにこやかな笑顔を一方通行へと向けていた。 その上、何故か事件の後も済し崩しに一緒にいる形となっていた。全く持って謎である。 「あ、その点については大丈夫、ってミサカはミサカは胸を張りつつ言ってみる」 「あン?」 打ち止めはなにやらベッドから飛び降りると病室の隅へと向かう。 其処には何時の間にやら黒い紙袋が置いてあった。 怪しい。とにかく怪しい。 レベルを強いて言うならば、開けるな危険のオーラを醸し出すほどの怪しさだ。 というか、黒い紙袋なんてとてもじゃないが普通の生活では滅多に御目にはかからないだろう。 そして、打ち止めはご機嫌に鼻歌を歌いつつ黒い紙袋の封を開け、中へと手を突っ込んだ。 暫く中を探っていた打ち止めだったが、何か見つけた様に笑顔になり、腕を紙袋から引っこ抜く。 その手にあるのはチョーカーの様な黒い帯の付いた小型の携帯音楽プレーヤーのようなものだった。 じゃーん、と黒い帯の先に付いた小さい棒状の機械の様な物を揺らしつつ一方通行へと向き直る。 「何だァそりゃ」 「演算補助のための変換機ってミサカはミサカはもったいぶらずに答えて見る」 加えて言うが一方通行は八月三十一日の事件で傷を負い、その最強の所以たる能力の大半を失っている。 現在ではこの視線の先でほれほれ、と楽しそうに変換機と呼ばれた物体を揺らす少女と、 その姉妹の様な存在である"妹達"によって演算能力の大半を補っている状態だったりする。 「よし」 「おぉ、アナタがそこまで良い笑顔を見せるなんて始めてかもってミサカはミサカは喜びを体で表現してみたり」 一方通行は彼を知る者が見たならば、即座に裸足で逃げ出すようなとてつもなく良い笑顔で頷きを一つ。 「そこに直りやがれ、クソガキ」 「ひゃっほう、やっぱりこうなるのねー!ってミサカはミサカは現実から目を背けずに嘆いてみる」 打ち止めは其の場でよよよ、と座りながら手で顔を隠して嘘泣きをし始めた。 一方通行は気にせずに寝転がり、頭まで全身を布団で包んで寝る準備をし始める。 「あーッ!ってミサカはミサカは指差して驚いて見る!人が嘆いているのに放置して寝ようとするだなんて、 それでも人なの!?ってミサカはミサカは抗議してみたり!というか、これはアナタのためでもあるんだよー! ってミサカはミサカは必死に叫んでみる!」 「あン?俺のためだァ?」 「そうそう、ってミサカはミサカは内心ホッとしつつ正座してみる」 今まさに飛び掛らんとしていたのか、打ち止めはベッドに掛かるテーブルの上に乗っていた。 そのまま打ち止めは正座しつつ目を閉じて腕を組み、尤もらしく何度か頷く。 「実はリハビリも兼ねてたりするのってミサカはミサカはあのカエル顔のお医者さんが言ってたって言ってみる」 ほほゥ、と一方通行は改めて体を起こし、打ち止めを見やる。 「で、本音は?」 「暇だからどこかに連れてって、とミサカはミサカは正直に本音を――って、ふぎゅっ!?あ、やめてやめて。 布団でくるむのは御勘弁をってミサカはミサカはなんだか前も言ったことあるような台詞を言ってみるー!」 結局カエル顔の医者が回診に来るまでこの馬鹿騒ぎは続くのであった。 ○ そして現在。 「なんで、こうなりやがンだァ!いきなり蒸発するかァ、普通よォ!?」 多くの人々が出歩く街の中心で、病院着から私服に着替えた最強の能力者は天に向かって叫ぶ。 詰まるところ、連れ添いであるはずの打ち止めと完全無欠に離れ離れになっていたのだった。 その叫びを聞いて一部過去に彼を襲撃して返り討ちになった不良達がすいませんでしたー!、等と 叫んで逃げて行くが、一方通行はそれらは全く気にせずに周囲を見渡した。 見渡す限りの人、人、人、馬、人。 見事に人だらけである。正直気が滅入った。 打ち止めの身長はそこらの小学生と変わらない。 この人の多さでは埋もれてしまい、見つけるのはとてもでは無いが無謀というものだ。 しかし、一方通行は、そんな事など知らないとばかりに足を動かし始める。 「あァ、なンでこンなトコで居なくなりやがンだァ……俺に恨みでもありやがンのかァッ!?」 恨み言を吐きつつ、一方通行は身体の状態も気にせず突っ走りはじめた。 速い。 地面に敷き詰められたアスファルトを砕くとまではいかないが、相当強い踏み込みの音が周りに響く。 その音に驚き、道を開ける人々。 一方通行は打ち止めを探して周りを見渡しつつ、モーゼの十戒の様に割られた人の群れの中を走っていく。 しかし、それでも人の流れというものは常に変化するものだ。 「きゃぁっ!?」 突如響く悲鳴。 走ってでもいたのか、開いた道のど真ん中に飛び出して一方通行にぶつかり、勢い良く尻餅をつく少女。 「あァ?悪りィな、ぶつかっちまったかァ?」 一方通行はそれを見て、自らにかかる慣性を適当に反射分散させて急ブレーキをかけた。 一応、一方通行も僅かばかりの礼儀作法というものは身に付けているのだ。 それでも、打ち止めと出会ってから大分マシになったという程度だが。 「あたた……うぅ、あなた、あぶな――ひッ!?」 「あン?」 少女は一方通行の姿を見るといきなり怯えた表情になり、固まってしまった。 一方通行は訝しげな顔をして目の前の少女を見る。 紺色の、前のチャックを開けたジャージを着込み、長髪を後ろで二つに結った髪型。 その髪の下には今にも泣き出しそうな怯えた少女の顔。 どこかで見た事があった、と一方通行は思う。しかも、極最近に。 「ひ、あ……」 一方通行が首を捻りながら誰だったか、と考えている間、少女は起き上がろうともせずに固まっていた。 どうやら腰が抜けているようだ。 ちなみに一方通行には怖がられる心当たりはありすぎる程あったりするので相変わらず気にしてはいない。 その間にも一方通行は思考を走らせ、記憶を掘り起こす。 学園都市最高の頭脳を持つ一方通行の記憶力は伊達では無い。 目の前の少女と一致する姿を検索する。 そうして数秒後、該当したのは―――、 「あァ、そうだ。オマエはあれか。あン時の三下かァ?」 ビクリ、と少女の肩が跳ね上がる。 少女は咄嗟に立ち上がって逃げようとするが、一方通行はそれを許さない。 逃げようとする少女の両肩を掴むと、少女が以前に見た事があるような邪悪な笑みを浮かべて言った。 「丁度良い。オマエ、確か"空間移動"出来たよなァ?ちょっとやって貰いてェ事があンだけどよォ」 一方通行の目の前では、少女が寒さに震えるハムスターの様に涙目で凄い勢いを付けつつ頷いていた。 突然だが、結標・淡希は"空間移動"の亜種である"座標移動"という珍しい能力の持ち主である。 簡潔に言えば、手で触らずとも物体を座標Aから座標Bまで移動させる事が出来るという能力だ。 しかし、結標の肩をガッシリと掴んでいる最強――"一方通行"の能力はその更に上を行っている。 その能力とはあらゆる力の"ベクトル"の操作。 ありとあらゆる攻撃を跳ね返し、己の力を倍加する能力はまさに最強の名に相応しいものだ。 その最強は現在結標の肩をガッシリと掴んでいた。 その表情はとても嬉しそうだ。 まるで獲物に狙いを付けた肉食動物の様な獰猛な笑み。 ……あ、死んだ。 結標は知らず絵的に真っ白になった。 金属を叩く音でも鳴らしたら良く響きそうな程の静寂が満ちる。 周囲の雑踏などまるで気にしない。 というか、まるでどこかのステージの様に結標と一方通行の居る場所は開けていた。 なんだか他人が遠い。 今居るのは狩人と獲物の二匹のみである。アデュオス、この世。こんにちはあの世。 一方通行は魂の抜けている結標の肩から手を離しつつ、凶悪な笑みを引っ込めた。 どうやらもう逃げる心配は無い、と思ったようだ。 魂が抜けたままの結標は勿論、なんの反応も寄越さない。 「ンじゃ、いっちょ高く飛ばせ」 いきなりの命令系。 この少年、能力どころか性格まで理不尽のようだ。 ハッ、と一方通行の声をきっかけに意識を三途の川付近に飛ばしていた現実へと戻ってくる結標。 見上げてみれば、辺りをキョロキョロと見回している一方通行が目に入った。 何か探し者だろうか、と結標は呆然とした頭で首を傾げるが、その様子に気づいた一方通行は、 「トロトロしてねェでさっさと飛ばせ」 「と、飛ばす?」 イライラしたような視線を向けられて思わずたじろぐ。 結標は状況を理解しようと脳が全力回転するがまだ結果を導き出すまでには至っていない。 地響きがしたと思ったら誰かとぶつかり、注意の一つでもしてやろうかと思ったら、目の前には最強の能力者。 これはなんの悪夢だろうと思う。 「だァーから、とっとと飛ばせつってンだろォが!」 「は、はひっ」 声が思わず上擦る。 しかし、結標は、そんな事すら気になら無い程混乱したまま能力を行使した。 勿論そんな状況で使った能力が上手く行くはずもなく。 「……」 一方通行がぽふ、と地面に着地した。 総飛距離十センチ。結標・淡希、夢の新記録である。 「あァ~……」 一方通行は呆れた様な顔で声を出した後、表情をすぐさまとてつもなく良い笑顔に切り替る。 そして、結標を首だけ動かして見下ろし、 「よォし、いっぺン死んでみっかァ?」 「ごごごご、ごめんなさいぃー!」 涙目のまま左右へと凄い勢いで顔を横に振る結標。 それにしてもこの結標、ビクビクである。 「次はねェと思え?」 「うぅぅ……なんなのよぉ……」 良い笑顔のまま肩を叩く一方通行。なにやら肩がビリビリと痺れる。 顔を向けて見れば、なにやら一方通行の手から青白い火花が出ていた。 「生体電気って、やろうと思えば結構出力出るンだよなァ」 「つ、謹んで受けさせていただくであります、ハイ!」 尻餅をついたまま思わず敬礼をしてしまう。 かなり間抜けな格好の上に涙目と合わさって何やら一種の同情すら感じさせる光景だ。 実際、周囲の人々の哀れみの視線が痛い。 「悪りィな。ちっとバカがどっかにいっちまったもンだからよォ」 「悪いと思うなら最初から―――」 「血行を良くしてやンのもオツだよなァ?」 「と、飛んでけーっ!」 即座に計算式を組み上げて一方通行を空高くに"座標移動"させる。 先ほどまで一方通行が立っていた位置の遥か上空で、彼は何かを探すように周囲を見渡している。 ……そういえば、"バカ"って誰の事かしら……? 目の前から一時的にとは言え、悪夢が消え去り少しはまともな思考になる。 一方通行が探すような重要人物。 ……まさか、あの資料に載っていた女の子? 写真で見た一方通行を支える少女が脳裏に浮かぶ。 成る程、必死になるわけだ。 あの少女が居なくなればあの学園都市最強は最強ではいられないのだから。 そう、仮初でも"目的"が無ければ生きていられない、今の結標の様に。 「……」 少しだけ。ほんの少しだけ、何故だか結標は一方通行に親近感を覚えた。 ……何を馬鹿な。一方通行は復讐すべき敵なのよ。敵。 頭を振ってその考えを振り払う。 罅割れた心を支えるために必死になって否定する。 それを認めたらまた心が砕けてしまいそうだから。 「っと、いやがらねェ。あのクソガキ……どこに行きやがったンだァ?」 唐突に軽い足音を立てて着地してくる一方通行。 十何メートルは飛ばしたはずなのにほとんど音も無く着地してくるなんてやっぱり化物だ。 一方通行はコチラへと向き直り、何故か少しだけ驚いた顔をする。 何かおかしい事でもあっただろうか、と首を傾げるが該当件数は零だ。 ふと、一方通行は表情を切り替える。 予想もしない表情、僅かながらも自然な笑みを漏らすものへとだ。 「あァ?まだ居やがったのか、三下」 「は、え?」 思わぬ一方通行の表情と言葉に呆然とする。 それもそうだろう、先程まで一方通行は遥か上空だったのだ。 そんな状態で人探しとなれば、下にいる雑魚の事など、彼が気にすることはまずないだろう。 それでも結標は逃げずに残っていた。 心配されたとでも、一方通行は思ったのだろうか。 実際はそんな事考えてもおらず、ただ単に考え事に耽っていただけなのだが。 「まァ、取り敢えずはだ――」 一方通行はそのまま愉快そうに背を向け、片手を上げた。 そのまま一歩歩き出して、呆然とする結標へと声をかける。 「――"アリガトウ"ってなァ。手伝い、感謝するぜ、三下」 思わぬ発言だった。 絶対にお礼なんて言うはずが無いと思っていた人物からの不意打ち。 しかし、結標は何故か少しだけ、ほんの少しだけその言葉に妙な安らぎを覚えた。 今はまだその妙な安らぎこそが結標の求めるもの、必要とされたいという願いの延長だという事も わかってはいないのだが――確かに結標の心に一つの強い願望が生まれた。 その少しの、ほんの少しの妙な安らぎを、もっと欲しいと思ってしまったのだ。 だから、計算なんかよりも先に体が動いた。 「ちょ、ちょっと待って!」 「あン?」 気づいた時には結標は何故か一方通行の腕を掴んでいた。 キョトンとした顔で振り向く一方通行。 弾き飛ばされないトコロを見ると、どうやらぞんざいに扱う気はないらしい。 「なんだァ、三下。もう用はねェぞ?」 「そ、そうじゃなくて……」 思わず手を離して、もそもそと結標は口の中で呟く。 一方通行は呼び止められた事に少しだけイライラしているようだったが、 取り敢えずはその様子を訝しげに見るだけだ。 結標は深呼吸を一つ。思い切り勢いをつけて一方通行を指差しながら告げる。 「わ、私も人探しを手伝うから、携帯番号教えなさい!」 「……はァッ?!」 間を置いて、考えを纏め、思わず間抜けな声を雑踏の中で上げる一方通行。 もう結標にも何がなんだかわからなかった。 ○ 「あれ?ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」 青いワンピースを着込んだ幼い少女は、とある歩行者用道路の上で可愛らしく首を傾げた。 薄い茶色というよりもオレンジ寄りのショートカットに頭頂部で揺れる髪の毛。 ただいま現在進行形で自分で絶賛迷子中の"打ち止め"はうーん、と唸り始める。 「やっぱり離れ離れになってるんだなぁ、あっはっは、ってミサカはミサカは自暴自棄になってみる」 腰に手を当て、豪快に笑う打ち止め。 色々いっぱいいっぱいなのだ。 「はぁ……って、ミサカはミサカは一人寂しく溜息をついてみたり」 しかし、その強がりもいつまでも続くわけでは無い。 一頻り笑った後に来る虚無感。簡単に言えば虚しいだけだったりする。 「待てや、この馬鹿猫ぉおおおお!何時まで走らせる気だ、ぜぇぜぇ、おおおおおお!」 何か暑苦しい叫び声が打ち止めの向いている方向。 その右側に並ぶビルの間、恐らくは路地裏へと続く道から気合の声と共に凄まじい足音が聞こえてくる。 そして飛び出してくる毛並みの良い猫とツンツン頭の少年。 一瞬何事かと思ったが、ツンツン頭の少年の方には覚えがあった。 打ち止めが直接会ったわけでは無い、しかし、確かに覚えがある顔だ。 約一万人の同じ遺伝子を使って作られたクローン"妹達"。 その一万人が己の能力を使い構成するミサカネットワークにより、打ち止めは少年を知っていた。 上条・当麻。 その右手に"最強"であろうと殴り倒すような力を秘めた"最弱"だ。 つい数週間前に起こった事件でも"妹達"の一人、一〇〇三二号、御坂妹が世話になった少年だった。 「うぉおおおおおおおーッ!」 太陽を背景に猫へと飛び掛る少年。 そのまま見事に猫を抱きしめ、地面を二転、三転。停止する。 「……ミサカはミサカは思わぬデッドヒートに言葉を無くしてみる」 「あだだだ、つぅ、肘擦り剥いたぁ~」 むしろ其の程度で済んでいるのはおかしいと思うのだが。 呆然としている打ち止めを余所に猫を抱きかかえて起き上がる少年。 打ち止めはそれよりも先に動きを取り戻し、少年へと駆け寄った。 そのまま笑顔で頭を撫でている少年へと声をかける。 「大丈夫?ってミサカはミサカは優しげに心配してみたり」 「ん?あぁ、大丈夫って、ミサカ?ミサカって……ってうぉい、御坂妹が小さくなってやがる!?」 「む、失礼な。これでも一応ミサカは立派なレディだよ?ってミサカはミサカは胸を張りつつ主張してみる」 猫が暴れるが上条は全く動じない。 というよりも目の前の小さくなった御坂妹こと打ち止めに視線が釘付けになっていた。 「ど、どういう事でせうか!?これは狸型ロボットの新兵器のせいでございますか!?そうなんですね!?」 「あのー、もしもーし、聞こえてるー?ってミサカはミサカはジト目で手を振ってみたり、聞いて無いですか、そうですか、 ってミサカはミサカは疲れたように肩を落としてみる、よよよとミサカはミサカは嘘泣きもしてみたり」 暫くの間、猫が暴れる音と、少年の叫び声、そして少女の落胆の声が響いていた。 道を行く人々が変な視線を送ってくるが気にしもしないそんな二人と一匹の組み合わせであった。 一方其の頃、かなり離れた場所で結標が一方通行に対してある種の爆弾発言を放っていたのを打ち止めは知らない。 学園都市のとある商店街。 其処を疾風のように走り去る一つの人影があった。 「ああぁあああああ―――ッ!」 馬鹿みたいな叫び声が商店街に響く。 道を行く人々の幾人かが驚きの表情で人影を見るが、その時には既に遥か遠くに走りさった後だった。 その人影の正体――結標・淡希は顔を真っ赤にして走っていた。 結標は数十秒前までの出来事を思い起こす。 『あァ?なんで俺がオマエに携帯の番号なんか―――』 『良いから教えて!』 あの爆弾宣言から暫く固まっていた両者だったが、先に沈黙を破ったのは一方通行の方であった。 しかし、一方通行の発言はすぐさま結標の悲鳴にも似た叫びに掻き消される。 結標は自分でも何を言っているのかわからなくなりつつも、必死に一方通行を睨みつける。 顔を真っ赤に染めた涙目の表情で迫られ、流石の最強も怯んだのか渋々と言った感じでポケットに手を突っ込む。 一方通行の取り出した携帯を見るなり、結標も慌ててジャージの上着ポケットから携帯を取りだす。 そして、互いの登録情報を交換して即座に、 『そ、それじゃ、見つかったら連絡するわ!じゃあね!』 『あ?って、速ェな、ォイ!?』 そのまま背を向けて走り去っていってしまったというわけだ。 そして、現在に至る。 正直なトコロ、結標は混乱していた。 一体自分は何を考えているのか、それすらもわからないのだ。 いや、本当はわかっているのだろう。 しかし、それを認めてしまっては、それをキッカケに己の心を"以前"の様に自分で壊しかねない。 それとは別の理由もかなりの割合で混じっている気もするのだが、それには目を向けようともしない。 ……これは敵の情報を知るため!知るためなのよ! そう自分に言い聞かせてなんとか心の均整を保つ結標。 その間にも彼女の疾走は止まらない。 ついには商店街を抜け、道路へと出た。 目の前にはアスファルトで固められた道路とそれを渡るための横断歩道。見上げてみれば信号が設置してある。 結標は信号を碌に見ずにそのまま横断歩道を渡りきる。 途中、なにやら叫び声と共に車のクラクションが鳴り響く。どうやら赤信号だったらしい。 渡った場所から少し走ると今度は緑が豊かな公園へと突入した。 と、ふと其処で結標は足を止める。 そして、ジャージの上着ポケットから携帯を取りだす。 二つ折りになるタイプの携帯を開き、幾つか操作をして電話帳を開いた。 緊張のためか顔が真っ赤になっているが、それは走ったせいだと自分を納得させた。 「えぇっと……一方通行の電話番号は……」 確認、確認、と携帯を弄り回す結標。 そういえば本名知らないわね、などと思いつつ見覚えの無い名前を探して行く。 暫くの間、平日のためか誰も居ない公園に携帯のボタンを押す電子音が響いた。 しかし、一方通行の本名と思わしきものは一向に見つかる気配が無い。 ……? 首を傾げる結標。 もう一度見るが、やはり見慣れた感じのする名前しか並んでいない。 例えば、一方通行とか。 「………」 見間違えたのかと、目を擦ってもう一度画面を見直す。 『一方通行 プロフィール』 「って、そのまま!?」 期待を大きく裏切る変化球に思わず叫びを上げる結標。 まさか呼び名をそのまま自分の携帯に登録するなど夢にも思わないだろう。 面倒臭がってこんな風にしたのだろうか、それとも名前すら忘れたか。 後者はなさそうなので恐らくは前者だろう、と結標は結論を出すと携帯を閉じて上着へと仕舞った。 深呼吸を一つ。 酸素を取り入れ、冷静になるため、脳を正常化させた後、すぐさま全力回転させ始める。 よし、と気合を入れるために声を上げる。 まずは状況の整理。 一つ、少女を探しだして、一方通行に連絡する。 二つ、少女から一方通行の弱点を聞きだす。 三つ、少女を一方通行へ引き渡し、褒めて貰う。 実は未だに冷静ではない思考の結標であったが、全く気にする様子もなく顎に手を当てて考えるポーズをとる。 ……問題はどうやってあの子を探すかよね。弱点を聞きだすとしたら一方通行より先に見つけなきゃいけないし。 一方通行がアレだけの上空から探したのに見つからなかったのだ。 恐らくは、かなり遠く。 もしくは何かビルの影になる様な場所に居るかのどちらかだろう。 取り敢えずは、 「足を使うしかないわね」 そう言って結標は早速一歩踏み出す。 何か踏みつけた。 「ひゃぁっ!?」 「だーうー」 何事か、と結標は妙な感触のした地面を見る。 其処にはなにやら白い衣装に身を包んだ少女が倒れていた。 なにやら力無く倒れる少女の身を包む衣装は良く見れば昔見た本に乗っていた修道女の服の様にも見える。 その暫定修道女は情けない声を上げつつ、コチラを見やる。 「お~な~か~す~い~た~」 「……」 捨てられた子猫のような目と言うのが、この場合の表現としては正しいだろう。 実際、少女の脇の下辺りから子猫が出てきて『いきなりすまないね、お嬢さん』的な視線を送っている。 この場合、飼い主と猫と見るべきだろうが、なんとなく結標には逆に見えた。 猫が保護者で少女が子猫っぽいのだ。 「おなかすいたって言ってるんだよ?」 「えぇっと……」 今度は体を引き摺るようにしてコチラへと方向転換する少女。 猫の方はしっかり少女の背中の上に避難している。 「……」 目の前の少女はなんなのだろうか、と結標は考える。 ……シスター、かしら?神学系の学校はこの辺りには無かったと思うけど。 それにしても妙な衣装だと思う。 なにしろ妙に豪奢な布を強引に安全ピンで止めている様な状態なのだ。 見た目としてはかなり豪華さと仕上げのバランスが悪い。 なんらかの意味合いがあるのだろうか、と結標が少女を凝視していると少女は、 「あのー、もしもし、聞いてる?」 「あ、ごめんね。なにかしら?」 ハッと思考の海に埋没していた結標は現実に戻ってくる。 それと同時に困ったような笑みを浮かべて目の前の暫定修道女である少女の目を見た。 綺麗な碧眼に腰まではありそうな銀髪。 どこをどう見ても日本人ではなさそうであったが、どうやら日本語は通じるようだ。 「えっと、とうまが道端で困ってたおばあさんの猫を探して走り去っちゃったから、お昼ご飯がないの」 とうま、というのはどこかで聞いた事があったが、取り敢えずは保護者の事だろう、と結標は納得する。 「大変ね。それで、私はどうすればいいのかしら?出来る限りの事なら手伝うわよ?」 すっかり子どもの相手モードに入った結標は笑顔を浮かべつつ腰を落として少女の顔を見る。 整った可愛らしい顔だ、と結標が評価を下していると少女はパッと顔を輝かせるように表情を変えた。 要求の予想は大体ついていた。 恐らくは、保護者である"とうま"という人物を一緒に探して欲しいとかそういうものだろう。 見た目でしか判断出来ないが、この年頃の少女は強がりと同時に寂しがり、怖がりでもあるのだ。 ……人探しなら、コチラの探し人も見つけられて一石二鳥というものだし。 結標は頭の中で人探しの計算も整えつつ、少女の次の言葉を待つ。 少女は流石に初対面の人になにかを要求するのは躊躇っているのか、モジモジとした後、 「ほ、ほんとう?」 「ええ、本当。お姉さんになんでも言ってみなさい?」 やはり躊躇いがちに聞いてくるが、結標は至って笑顔で応える。 こういう子の相手は怖がらせてはいけない。 笑顔で、優しく語りかけて上げるのが重要なのだ。 「それじゃあ……」 言葉を続ける少女。 なんとなく力がさっきより失われているようにも見える。 そして、飛来した少女の言葉は少々結標の予想とは違うものであった。 「なにか、食べ物を分けてほしいかも……げふ」 その言葉を最後にまた倒れ伏す少女。 暫しの間。 それほど長く無い間の後結標は思わず頬を書きつつ困ったような表情で苦笑いを一つ。 なんだか今日はまだまだ忙しくなりそうであった。 ○ 「つまりアナタはおばあさんにこの猫を届けるの?ってミサカはミサカは並んで歩きつつ聞いてみる」 「ミサカはミサカは、って重複してるよなぁ――まあ、そうだな。家までの地図も貰ってるし」 打ち止めと上条・当麻はとある商店街の道路を並んで歩いていた。 先程、上条が歩道で、ついに猫を捕獲した時に出会ったのだが、最初は随分と驚いた。 なにしろ、知っている少女が頭二つ分ほど縮んだように見えたのだ。 それはもう、新手のスタンド攻撃とかそういうものかー!などと意味不明な事を叫びそうになるほどだった。 なんとか落ち着き、自己紹介を済ませ、逃げようとした猫を確保するのに数十分。 随分と時間が経ってしまった。 周りでは、昼時だからか、この都市の象徴は科学だというのに無駄に熱い売り文句を叫ぶが響いている。 『安いよ安いよ!今ならこのサーモンピンクの河豚から取り出した実験食材がたったの――』 訂正しよう、やはり此処も例に漏れず科学万歳な場所のようだ。 その事実に半場安心しつつ、上条当麻は隣に並ぶ少女を見やる。 つい一ヶ月とちょっと前に知り合った少女達、御坂妹を含む約一万人の"妹達"。 その"妹達"全員に会ったわけでは無いが、この目の前の少女はなんとなく"妹達"の中でも特殊な気がした。 なんとなくあの"妹達"独特の雰囲気とは違い、妙に活発的な雰囲気が漂っているのだ。 今も物珍しそうに辺りを見回しては、変な物に興味を惹かれているようだ。 「おぉ、あれなんて中々格好良いかも、ってミサカはミサカは埴輪を見つつ目を輝かせてみる!」 本当に楽しそうだなぁ、と上条は笑顔で打ち止めの指さした方向を見る。 其処には、山積みにされた、妙にリアルに人の顔を模した埴輪があった。 正直、それが山積みになっている景色は不気味を通り越してある意味、荘厳だ。 「はは……」 思わず笑顔が引きつる上条。 やはりこの少女の感性は特殊で、少々斜め上に行っているようだ。 「おぉ、あれも珍しい!ってミサカはミサカは駆け寄って行ったりするー!」 楽しそうに左右に展開する店の前に飾られた展示品などの前を行ったり来たりする打ち止め。 どうやら出かけたりするのは稀らしい、と上条は微笑ましい光景を見つつ思う。 猫が腕の中で欠伸をかく。 どうやら追いかけている間に良きライバルとかそういうものと思われてしまったらしい、妙に友好的だ。 「まぁ、取り敢えずは……」 今日は平和だなぁ、と何か記憶の隅で蠢く白い悪魔の存在を敢えて忘れつつ、上条は空を見上げる。 取り敢えずは商店街の空はテントの様な物で隠されていて見えなかった。 視線を戻せば、打ち止めがまだまだ元気そうに走り回っていた。 そういえば、と上条は頭の隅に引っかかった事を言葉にする。 「そういやさ、お前、一体誰と此処まで来たんだ?」 「あ、そうそう。とミサカはミサカはアナタの下へ戻ってきつつ頭の中で情報を整理してみたり」 独特な口調にもそろそろ慣れ始めた上条の腕の中で猫が鳴く。 再び上条の横に並んだ打ち止めは自分が何故一人で居たか、何故相方が迷子になったか。 その理由を、色々改変しつつ話始めるのであった。 ○