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黒茨の手枷 (一応、一日くらいは迷ってみたんですがね。) あんな言われ方をして我慢が出来る程大人ではなくて。 きっと風も冥がそうだとわかっている。 それでもああとしか言えない、不器用な人。そんなところが愛おしかった。 丁度、目の前の男のように。 (成程。) これは風が警戒したのも頷けた。 そうですね、風。確かに私は出会いたての貴方に言いました。 貴方は私の知る人に似ていると。 冥はどこか泣きそうな、諦めたような目で微笑した。 赤い瞳に映るのは紛れもない。否定のしようもない。 リヒルト・シュテンバーグその人だった。 「…マイヨール…か?」 少し震えた声が忌まわしい名を呼んだ。 冥は応えられない。その名前は冥にとって、死の象徴。 代わりに冥は一瞬で間合いを詰めた。至近距離で目が合う瞬間、冥の口端が釣り上がる。 『サイコキネシス』。樹の身体はふわりと持ち上げられ、頭から地面に叩きつけられた。 「ッが!!」 勢いよく叩きつけられた身体は反動で跳ねあがる。それを無理矢理抑え込むように、冥は胸元を思いきり踏みつけた。 瞳孔の開いた、金の瞳。対照的に赤の瞳は、ゆっくりと細まった。 「何しに来たんです?」 今でも吐きだせる冷たい声色に、内心吐き気がした。 「殺されにきた…と判断してよろしいですね。ぬけぬけと私に姿を見せるのですから。」 吐き気を押し殺すように、足に力を込める。 「女王陛下 ディアルガ様 の命は…未だ続いているんですよ?」 嗚呼、嗚呼、嗚呼。 こんな自分は、おしまいにしたはずなのに。 どうして呼び起こそうとするのだろう。廃墟という羊水から桃が樹が引きずり出す。 お前たちはもう現われるな。お前たちがいるから『ルワーレ』が表に出る。 私は『ルワーレ』じゃない。『ルワーレ』なんていらない。 私は、『冥』のままでいたいんだ! …これで最後、これで最後だから。どこかで自分をなだめる声がした。 今の私は彼を追い払うためだけの、最後の『ルワーレ』。 近付けば殺すと脅しておけば、彼は逃げ続けるだろう。今までのように。 「…そうか。」 ぽつり、樹が呟いた。 「そうだな、やっぱり、お前しか、いない。」 気がつくと樹は一切冥に怯えてない。それどころか穏やかな微笑さえ浮かんでいる。 腕を、樹は伸ばした。 差し伸べるように、救いを求めるように、樹は冥へとまっすぐ、腕を伸ばした。 「マイヨール、俺を断罪してくれ。」 頭の理解が追いつかなかった。冥は固まったまま樹を見る。 「…何、ですって?断罪?」 「そう。俺の罪を誰よりも知ってるのは、お前だから。」 大陸中の罪なき同胞を死に追いやった瞬間。 確かに冥は立ち会わせていたけれど。 「全部、思い出した。思い出したってことは、忘れていた。忘れて、全部忘れて楽になろうとしたんだ。逃げていたんだ。酷い、話だ。」 今更ながら、彼の全身にこびりつく黒い血痕が目に入る。 「だから、逃げていた時に得たものを全部返した。捨てた。殺した。大事な人も。…それでも駄目だった。新しい罪をひとつ生んだだけ。」 わかるだろ?樹が笑う。血のように赤い冥の瞳を、今の樹は恐れない。 「殺してくれようとした人がいた。その手をとればちゃんと死刑を受けられた。それも、駄目だった。俺はどうしてか、逃げた。」 死刑を、桃の手を拒絶した樹の手は 今、まっすぐに冥へと向けられている。 「マイヨール…俺はお前の"駒"、だよな。」 駒は持ち主の所有物。そう、自殺できない本当の理由は深く植え付けられた従属。 日なたから影へ連れてこられたあの日から。元の場所を粉々に砕かれたあの日から。 樹が立てる場所は、瓦礫の塔しかない。 泣きそうに笑う樹は、さっきの冥の顔と似ていた。 「俺はお前の手じゃないと、死ねないんだ。」 『これで、最後。』 さっきまで冥を宥めていた声が、音もなく崩れていった。 赤い瞳孔がゆっくりと開く。冥は遅まきながら思い知った。樹は、ジュプトルは、リヒルト・シュテンバーグは、決して自分を解放しないだろう。 『ルワーレ』は、あまりにも人の生きる道を歪めすぎた。 今更後悔する気はないけれど。生きる為の選択だと今でも言えるけれど。少なくとも。 最後どころではない。生み出した業がひとつでも在る限り、それはいつまでも影のようにつきまとう。影がその名を呼ぶ限り、『ルワーレ』はいなくならない。『冥』ではいられない。 ひとつでも、在る限り。 消えたとしたら。 気がつくと髪先から紫色の火花が散り、樹の首へと絡まっていた…。 どんっ! どこからか飛んできた衝撃が、火花を丸ごと吹き飛ばした。 とっさに二人は飛び退る。どんっ、どんっ!尚も降り注ぐ攻撃を二人は避け続けた。 地面に着弾してしぶきとなる、水でできたリング。 それを見て、少しだけ目を瞠ってから、樹は小さく微笑んだ。 「…今日は撤退、するか。」 ふわり、なびいたポニーテールが冥の頬をかすめる。振り向いた頃には声しか残っていなかった。 「―――またな。」 あれだけの血を浴びていた男の声は、この後に及んであどけなかった。 全て聞いていた静葉は、物影から出ることすらできなかった。 過呼吸な呼吸。未だ寒い背筋。とっさに二人を止めてはしまったけれど。 (……樹…さん。) 今はまだ、彼にかける言葉すら見つからない。
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一つの話 二人の話 作者:蟻 ◆vA0bquCiP2 一つの部屋に二人はいた 一つの部屋で二人は泣いた 一つの部屋で二人は笑った 一つの部屋で二人は二人だったけれど一人だった 一つの部屋で一人は二人だった 二人の桜は散って咲いた 二人の海は引いて満ちた 二人の森は赤くて緑だった 二人の雪は溶けては積もった 一つの部屋は二人の部屋で 二人の部屋は一つの部屋だった 二人は部屋で一つになった 一人から二人になり一つの部屋で時間は過ぎた 二人は一人にもなれた 二人は三人にもなれた それなのに 二人は一つの部屋で二人だった いつまでも二人だった もう二人しかなかった 一人になっても二人は二人だった 二人は確かに一つだった いつまでも一つだった
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装備可能ジョブ 駆出 魔術 僧侶 大魔 神官 吟遊 部位 種類 コスト 売却値 最大Lv スキルと効果 進化 腕 魔装 4 25 5 なし 木綿の手袋 基礎能力 HP - MP - 物攻 - 俊敏 - 魔攻 1 回避 - 回魔 - 命中 - 物防 1 会心 - 魔防 2 属性 なし 基礎能力(LvMAX) HP - MP - 物攻 - 俊敏 - 魔攻 5 回避 - 回魔 - 命中 - 物防 2 会心 - 魔防 6 属性 なし ルーン生成 生成結果 確率 のルーンⅠ % のルーンⅠ % のルーンⅠ % のルーンⅠ % のルーンⅠ % のルーンⅠ % のルーンⅠ % のルーンⅠ % セット装備 セット効果 麻のハット なし 麻のローブ・上 麻の手袋 麻のローブ・下 麻の靴 障害耐性 毒 0.0% 妨害 0.0% 混乱 0.0% 麻痺 0.0% 暗闇 0.0% 睡眠 0.0% 幻惑 0.0% 封印 0.0% 石化 0.0% 即死 0.0% 属性耐性 物理 0.0% 魔法 0.0% 火 0.0% 冷 0.0% 水 0.0% 雷 0.0% 土 0.0% 光 0.0% 風 0.0% 闇 0.0%
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全ての雨が空中で停止していた。 まるで時間を止めたかのように雨が微動だにせず動きを止めている。 そんな停止した雨の中を進み歩く黄金の甲冑を纏った男がいた。 彼の名は黒崎一誠、仮面ライダーコーカサスに変身し クロックアップによって時間の流れを操作し あたかも時間が止まっているかのように見えるのだ。 数秒ほど経ったタイミングでクロックアップは解除され 停止していた雨は再び降り続ける。 「妙な事になってますね」 屋内に入った黒崎一誠は変身を解除し近くにある椅子へ腰かけた。 変身した理由はライダーシステムに異常が無いかの確認、それと 単に白いタキシードを雨や泥で汚したくない、という理由である。 その結果、クロックアップの使用時間が普段より短くなっている事と ハイパーゼクターがどこかへ消えてしまっている事に気が付いた。 「あの老婆の仕業ですか。小癪な真似をしますね」 主催者たちにはくだらぬ小細工を仕掛けた罪をその血で償わせよう。 だが今は他にやらなければならない事がある。 「森嶋帆高、あの少年を始末すればそれで終わる」 信憑性は定かではないが老婆の言う事が本当なら一人の少年の命を奪うだけで 他の全ての参加者が助かるという事になる。 「……それでは面白くありませんね」 黒崎一誠、彼は自分が頂点に君臨さえしていれば 人類が滅びようと何とも思わない究極のエゴイストである。 会場に集められた幾人の猛者達を目にして生かすつもりなど無かった。 「参加者達はあの少年の命を奪おうと、または保護しようと動くでしょう。 必然的に少年の周りに強者が集まる事になる」 森嶋帆高は殺さない。 むしろ囮として生かし、彼に近づく参加者を狩り続けよう。 そして他の全ての参加者が死に絶えた後で最後にこの少年を殺し 唯一の勝利者となった私一人が生還すればそれでいい。 「他に強者はいらない。最も強く、最も美しいのは私だけです」 懐から取り出した青い薔薇を見つめる。 薔薇は最強の証、即ち薔薇に愛された私こそが最強。 【黒崎一誠@仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE】 [状態] 健康 [装備] カブティックゼクター [道具] 基本支給品、ランダム支給品×1、青い薔薇 [思考・状況] 基本方針:全ての参加者と主催者の殺害。 1:森嶋帆高の確保。 2:森嶋帆高を囮として利用し、他の参加者を狩る。 [備考] ※参戦時期は原作登場前です。
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チャイムの音がした。 瞼を開いた斗貴子の瞳に最初に飛び込んできたのはカズキの顔だった。 カズキもこちらを見つめている。 どうやら斗貴子と同様に、覚醒したままに眼を閉じていただけのようだ。 まひろを失って以来、こんな眠れぬ時間を幾夜過ごしてきただろう。 そして、あとどれくらいの時を経れば、平穏な眠りを取り戻せるのだろう。 斗貴子はカズキから視線を逸らし、枕元の時計を見遣る。 ――午前二時二十九分。 「誰だ……? こんな時間に……」 斗貴子は不機嫌そうに眉をしかめる。 「俺が出るよ……」 「いい。私が出る」 身体を起こしかけたカズキを制し、斗貴子が起き上がった。そして彼の頭にぽふりと手を置き、 力無い笑顔を浮かべる。 「キミは早く寝るんだ。明日から仕事に行くんだろう?」 「うん……ごめん……」 斗貴子は相変わらずの力無い笑顔のまま、パジャマの上からカーディガンを羽織り、 リビングのインターホンに向かった。 少しずつ。少しずつ良い方向に向かうのだ。 人は大きく集うと異常になるが、良い方向に向かうのは一人ずつでしかない。 斗貴子は思う。 あの事故の晩から今日までの自分達を取り囲んだ、この世の黒禍。 それは“他人の意”と言い換えてもいいかもしれない。 “善意”に“悪意”。それに“興味”。そして最も厄介だった、あらゆる生業を持つ者達の“使命感”。 それらに飲み込まれていたこの数日間はまるで身動きなんて取れなかった。意識も身体も。 けれども、カズキは立ち上がろうとしている。だから、自分もそうあらなければ。 だが―― “二人一緒” すぐにこの言葉が浮かぶ。 そして、それは確実に心を、精神を深く深く抉った。 外面を取り繕えば取り繕う程、内なる乱れはそのうねりを増していく。 限界は、近い。 斗貴子はインターホンの受話器を取り、ぶっきらぼうな声で言い放った。 「どちら様ですか?」 返事は無い。 イタズラなのだろうか。 それとも、ただでさえ低くて常に不機嫌さを漂わせた斗貴子の声質に、深夜の来訪者が 気後れしているのだろうか。 受話器の向こう側からはやや乱れた息遣いらしきものが聞こえてくるだけだ。 苛立ちを募らせた斗貴子はつい語気を荒げる。 「おい、何のイタズラか知らんが――」 そこまで言うと斗貴子の怒声は、聞き慣れた懐かしさを、それでいて何故かおぞましさを 感じさせる声に遮られた。 『ただいま……』 その声が耳に飛び込むと同時に、背中に氷柱を押し込まれたと錯覚せんばかりの悪寒に襲われた。 この声は。 声は小さく、何らかの雑音が混じっている為、多分に聞こえづらいが。 この声は。 「ま、まさか……! そんな!」 『お義姉ちゃん……』 まただ。 日常的過ぎて聞き慣れた、この声。 いつの間にか呼ばれ慣れた、この言葉。 “今”の家族以外に身寄りなど無い自分をこう呼ぶのはあの子しかいない。 「き、きっ、キミは……――」 斗貴子の脳裏に様々な光景が浮かぶ。 遺体安置所でシーツをめくった、あの瞬間。 死化粧を終えた彼女が棺に入れられる、あの瞬間。 そして、火葬炉から出てきた白い欠片達。 そんな筈は無い。そんな筈は無いのだ。 いや、しかし。 確かに自分はあの時、願った。願ってしまった。 それはほんの七、八時間程前の事だったか。 確かに願ったのだ。 「――まひろちゃん、なのか……?」 『うん、そうだよ……。ごめんね、こんなに、帰りが遅くなって……。私、悪い子だね……』 可愛らしい謝り方だ。 わざとそう演じているのではなく、彼女生来の性格が自然、そうさせるのだ。 この義妹の邪気の無い振る舞いに、幾度も喉元から出掛かった苦言や説教の類を引っ込めて しまった覚えが、斗貴子にはある。 だが、今は違う。 彼女のこの声に身震いが止まらない。 微笑ましい思い出もどこかへ消し飛んでしまった。 『でも、怒らないで……? 右脚、が、動かないから、上手く、歩けなかったの……。首が、 フラフラして、顔がすぐ、後ろ、向いちゃうし……』 喋り声は所々で不自然に途切れ、そこにゴボリとうがいをするような耳障りな音が混じる。 『ねえ、お義姉ちゃん……早く、ここ、開けて……? 外は、寒いよ……』 斗貴子の胸には喜びなどこれっぽっちも湧いてこない。 戦慄。 それ以外の何ものでもない。 大好きだった義妹が帰ってきてくれた。確かに帰ってきてくれた。 斗貴子の望みは聞き入れられ、まひろはこの世に生き返らされたのだ。 ただし、今の彼女の声からは、斗貴子が期待していたあの天使のような愛らしさは微塵も 感じられない。 まひろは、ある意味そのままの姿で帰ってきた。 潰され、砕かれ、引き千切られ、命の灯火が消える、その寸前のままの姿で。 『私、お義姉ちゃんの、淹れてくれる、ココアが飲みたいな……。温かくて甘――』 ゴキンという骨の鳴る音と共に、まひろの言葉が途絶えた。 多少の間と耳障りな醜声の後、また言葉が戻ってくる。 『――あ、あっ、あ゙あ゙……。ごめ、んね……右の顎が、すぐ、外れちゃうの……』 斗貴子は身震いを止められない。 その震えは受話器にまで伝播し、何度も細かく顎を打つ。 “エントランスを開けていいのだろうか” 家族の帰宅という場面ならば思う筈の無い、そんな疑問が斗貴子の頭に浮かぶ。 (ダメだ! 絶対に開けるな! わからないのか? こんな“もの”はまひろちゃんじゃない!) 斗貴子の本能の声が自答する。 そこに理性や家族愛などというものが差し挟まれる余地は無い。 斗貴子という人間を成り立たせている、最も奥深くにある原始的な働きが、開ける事を 明確に拒否している。 (外にいる“もの”を入れるな!) と、そう叫んでいるのだ。 その時、横からスッと伸びた手が、人差し指が“開錠”のボタンを押した。実にスムーズに。 寝ていた筈の夫がいつの間にか後ろに立っていた事に、斗貴子は気づいていなかった。 「カズキ!? な、何を……」 非難の声を上げながら振り返る斗貴子が見たカズキの顔は―― 「だって、まひろが帰ってきたんだよ? 早く中に入れてあげないと……」 ――笑っていた。 何故、笑っていられるのか。 今までのやり取りを聞いていなかったのか。 いや、それ以前に死んだ人間が帰ってくるなどという事を、そんなに簡単に受け入れられる ものなのか。 更にはその眼。斗貴子を見つめるカズキの眼。 “笑顔の形”に歪められた口元に相反して、眼の色は突き刺すような冷たさを帯びている。 何故だ? 何故、カズキは私をこんな眼で見る? まさか。やはり。そうなのか。 “知っている” やはりカズキは知っているのか? 知っていたのか? 私が彼女を生き返らせた事を。 私が彼女を殺した事を。 私がいつも不満に思っていた事を。 不満? 不満って何だ? 私は幸せだったのだ。 あの暮らしに満足していた。 あの三人家族の暮らしに幸せを覚えていたんだ。 不満なんて無い。そんな筈は無い。 そんな筈は無い不満なんて無い不満なんてそんな筈は無いそんな筈は無い不満なんて無い筈は無い。 突如―― ドン! とドアを打つ金属質の音が玄関からリビングへと響いてくる。 それはやがて、ひどくゆっくりとしたリズムのノックへと変わった。 「……!」 リビングのドアを開け、慄然とした面持ちで玄関のドアを見つめる斗貴子。 あの向こうにはまひろがいるのだろう。変わり果てた姿で。 いや、“元の姿”と言ってもあながち間違いではないのかもしれないが。 斗貴子はゆっくりと玄関のドアに近づく。 素足に履いたスリッパがまるで鉛のように重く感じられた。 「ま、まひろちゃん……?」 やや沈黙があり、外のまひろが答えた。ひどく哀しげな問い掛けと共に。 『お義姉ちゃん……。どうして、開けて、くれないの?』 「あ……あ、開けられない……」 また二人に沈黙の帳が下りる。 ふとドアがカリッという小さく不快な音を発した。そう、まるで爪で金属を引っ掻いたかのような。 その音が発せられた直後、まひろは問い掛けを再開した。 だが今度は哀願ではない。幾分、怨嗟が込められているように聞こえる。 『お義姉ちゃんは、私なんて、いない方がいいって、思ってるの?』 「馬鹿を言うな! そんな訳は無いだろう! まひろちゃんは、私の可愛い、義妹だ……」 語尾が頼りなく弱々しい。確かにまひろは可愛い義妹“だった”。では“今”のまひろはどうか。 『お兄ちゃんと、二人きりに、なりたいの?』 「……」 答えられない。ドアを隔ててすぐ傍にいる義妹を気遣う返答さえも、今の斗貴子には困難なのだ。 『お兄ちゃんを、一人占めにする気、なの?』 「ち、ちが――」 斗貴子の否定を遮るように、まひろは三度問い掛けた。 『だから、私を殺したの……?』 「……!」 ダ カ ラ ワ タ シ ヲ コ ロ シ タ ノ ? 言葉を失うしかなかった。 義妹は、自分の命を奪った者が仲の良かった義姉だという事を認識している。 黙り込んでしまった斗貴子に、まひろは途切れがちにまくし立てた。醜悪な音を伴わせて。 『ねえ、そうなの? お義姉ちゃん……。お兄ちゃんと、二人きりになりたいから、私を殺したの……? お義姉ちゃん、そうなの? だから、私を、殺したの? そうなの? そうなの? そうなんでしょ? でも、ごめんね。私、帰って、きちゃったよ。お義姉ちゃんは、残念かも、しれないけど……。 フフッ、アハハッ。また、三人で暮らせる、よ。 もう一度、三人、家族に、戻れるよ……?』 「斗貴子さん……」 ワナワナと全身を震わせたまま沈黙を守る斗貴子に、カズキが声を掛ける。 その声には妻の挙動に対する訝しげな色が込められている。 夫の呼び掛けが引き金になったのか、斗貴子は部屋中どころか隣室にまで届きそうな程の 大声で叫んだ。 「やめろォ!!」 激しい呼吸に肩を上下させる斗貴子はフラフラと歩を進め、そして両掌をドアに当てた。 冷たい。 まるでこの向こうにいる義妹のようだ。 「もう、やめてくれ……。まひろちゃん……キミはもう、死んでいるんだ……」 『何言ってるの……? 私、生きてるよ……? お義姉ちゃんが、生き返らせて、くれたんだから……』 まひろの言葉が斗貴子の胸に刺さる。 自分の犯した罪の重さはもう充分にわかっていた。 それでも、その犠牲者であるまひろの口から罪状を宣告されると胸が絞めつけられる。 「私の間違いだったんだ……。私が馬鹿だった……。キミを生き返らせるべきではなかったんだ……」 静かに、小さく、頭を左右に振る斗貴子。 「あの頃には、もう戻れない……戻れないんだ……! キミも、私も、カズキも……」 少しの静寂の後、ドアの向こうからしゃくり上げるような泣き声が聞こえてきた。 言うまでも無い。まひろのものだ。 泣いている。泣いている。あの子が泣いている。あの女の子が泣いている。 身勝手な大人達の思惑に振り回され、無邪気な心を傷つけられ。 『ずるいよ、お義姉ちゃん……ずるい……』 斗貴子は寄り掛かるように頭をドアに付けた。 「すまない、まひろちゃん……許してくれ……」 ギュッと眼を閉じ、眉根を寄せる。 彼女の眼から頬にかけて、一筋の涙が伝い落ちた。 『許さない!!』 ドォン! と一際大きくドアが打ち鳴らされた。 「ひっ!」 あまりの驚愕に斗貴子はドアから飛び退り、玄関のタイルに尻餅を突いた。 『許さないよ! 絶対、許してあげない!! 私を邪魔にするお義姉ちゃんなんて大嫌い! お兄ちゃんを一人占めするお義姉ちゃんなんて大嫌い! 私を殺したお義姉ちゃんなんて大ッ嫌い!! さあ、開けて! 早く開けてよォ!!』 今までに聞いた事が無いまひろの怒声と共に、ドアは激しく、力強く、狂ったように何度も 何度も打ち鳴らされる。 斗貴子は動けない。身体の震えは最高潮に達し、カチカチと歯が鳴る。 「ま、まひろ、ちゃ……」 まひろは激怒と憎悪を込めてドアを叩き続け、叫び続ける。 『開けて! 開けて開けて開けて! 開けろォ!!』 斗貴子の耳にはまひろの声が低く、野太くなっていくように聞こえた。 まるで正気を失った中年男性の声を思わせる。 「う、うあ……うわああ……」 フッと斗貴子の視界に影が差した。 動けない斗貴子の横にカズキが立っていた。顔は“あの”笑顔のままで。 気づくと、彼の手がドアロックにかかっている。 「やめろ! カズキ!」 カズキがロックを外すと同時に、凄まじい音を立ててドアが開かれた。 だがチェーンに阻まれ、ドアは15cm程しか開けられない。 そこに、“手”が現れた。 至る所が擦り剥け、爪も割れ、痛々しいまでに血だらけだ。 手はドアをしっかと掴んでいる。 そして、“髪”。 あの長い癖毛の茶髪はバサバサに乱れ、何箇所も血や泥で固まっている。 その髪の隙間からは、“眼”が覗いている。 大きく大きく見開かれた眼。爬虫類のように瞳孔が縮小した眼。 憎しみに満ちた視線でこちらを射る眼。 『お兄ちゃん……お義姉ちゃん……』 「うわああああああああああ!!!!」 斗貴子は半狂乱に悲鳴を上げながら、武藤兄妹に背中を向けて四足獣のように這いずり、 逃げ出した。 向かった先は夫婦の寝室だ。 荒々しく押入れの戸を開け、中の物を放り投げ、懸命に何かを探す。 どこに仕舞ったか。夕方の時はすぐ見える場所に置いておいたのに。 “あれ”が。“あれ”だったら。“あれ”ならば。 やがて斗貴子が見つけた古ぼけた木箱。 ひったくるように取り出し、蓋を開ける。 中には、手首の手首の辺りから切断された、黒い毛に覆われている干乾びた小さな手のミイラ。 “猿の手”がある。 「み、三つめの願い、三つめの願いは……――」 舌がもつれて上手く言葉が言えない。 斗貴子は猿の手を取り出して握り締める。 そして絶叫した。心の底からの訴えを。三つめの願いを。 「――二つめの願いを無しにしてくれ! 取り消してくれ! 早く!」 まひろの叫び声がどんどん大きくなっていくような気がする。 もう、すぐ後ろに来ているのかもしれない。 すぐ後ろで斗貴子に―― 「早くしろォ!!」 急に辺りは静寂に包まれた。 時が止まったかのように思える。 もう、まひろの声も騒ぎ立てる物音も聞こえてこない。 聞こえてくるのは、斗貴子の嗚咽だけ。 ただ、それだけだった。 [完]
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#nofollow #norelated 参加の手引き [#yb3cc73e] イベントについて [#b12d2c9b] 滞在地について [#e6faf978] ペティットと巡礼団との行き来について [#v299c566] コメント(編集案・情報等) [#c99e87ee] 参加の手引き 1.巡礼団の現在位置や状況を掲示板にて確認をお願いします。 ペティットから非常に離れたところであったり、通常の手段では辿り着けない場所に迷いこんでしまっているかも知れません。 2.「巡礼者のオーブ」を利用するか、その他の手段によってキャラクターを巡礼団へと合流させます。 (勿論、現地で生活しているキャラクターとしての参加等も可能です) 3.世界チャットにて、普段通りにロール。 イベントについて 巡礼期間中に行われるイベントについては、各参加者に行って頂きたいと考えております。(主催も参加者の一人としてイベントを行わせて頂きます。) 巡礼団が訪れた先で行われているお祭りや戦闘、ダンジョン探検など、内容は何でも構いませんし、短期長期も問いません。 好きなことをやりましょう。 「滞在地」「メインイベント」の決定について(通称:「この街を舞台にしたイベントしたいから次ココに来てね!」システム) スケジュール上において「未定」となっている場合、メインイベントの主催様が次の滞在地を(メインイベント予約済みのもの以外から)指定することが可能です。 滞在地が通常訪れると思われない場所にある等の場合は主催(都一郎P)までご連絡下さい。 前月メインイベントのオチで移動したり、道中のハプニングが発生することでしょう。 ※注意点 基本的に、巡礼団はイベントが終了しているかどうかに関わらず次の街へと移動しますので、その旨ご了承下さい。 (もしイベントが終了しなかった場合でも、巡礼団から一時的に離脱してその場に留まることも可能です) イベントそのものが移動する形式(賞金首が行く先々で邪魔をしてくる等)はご自由に行って頂いて構いません。 イベントは月に幾つ行って頂いても構いませんが、訪問先の移動を含むイベントを当月の「メインイベント」と呼称させて頂きます。 ひと月に2度以上の移動を含むものや、訪問先が特殊な(通常の旅路では訪れそうもない)場所の場合は、主催(都一郎P)へご連絡下さい。 「メインイベント」以外のイベントを「サブイベント」と呼称させて頂きます。「サブイベント」はメインイベントと関わり有無問いません、自由に行って頂ければと思います。 滞在地について ご自由に作成頂いて構いません。(基本的にはひと月に1度の移動を計画している為、訪れることが出来ない場合が御座います) 街だけでなく、山や草原、海辺など何でも登録して頂けます、是非とも自分の訪れてみたかった(皆に訪れて見て欲しい)場所を作成して頂ければと思います。 どんな場所でも構いません。例え危険な場所であったり、通常の手段では訪れることの無い場所(無人島など)でも、(主催(都一郎P)にご連絡頂ければ)巡礼団は何らかのハプニングによって訪れてしまうことでしょう。 イベントを絡めずとも、登録するだけ登録して頂くことも可能です。 もしかしたら誰かが、その場所を舞台としたイベントを行うかも知れません。 ※注意点 フリー場所設定板に地域を「西世界」最寄りを「フライルー地方」として登録をお願いします。 フリー場所設定板に登録された滞在地について、メインイベントの利用を考えている場合は「メインイベント予約済み」と記入をお願いします。 この記入が無いものにつきましては、どなたでも自由にメインイベントの舞台として利用可能なものと扱われることをご了承下さい。 ペティットと巡礼団との行き来について 企画として、ペティットから遠方へと旅をしているという趣旨を損なわぬ為、以下の手段を利用して頂くことを推奨しています。 「巡礼者のオーブ」 聖地への巡礼を志す者へと授けられるオーブ。 巡礼の最新到達点(巡礼団がそのとき滞在している街)と、任意の場所(ペティット街)を限られた人数だけ行き来する事が出来るワープアイテム。 1ヶ月に3人まで利用可能です。(利用する場合は当記事のレス「巡礼者のオーブ利用者リスト」にご記入下さい) 往復で1回となります。 往路復路で別々のキャラが利用可能です。 毎月1日に回数制限はリセットされます。 巡礼団は基本的にペティットから離れて行きます。 ペティットから遠く離れてしまい、直ぐには行き来が出来なかったり ときには、通常の手段では辿り着けない場所に迷い込んでしまっていることもあるでしょう。 けれど、ペティットに居るキャラが巡礼に途中から参加したかったり、大切な人との記念日に街へと戻りたい場合に是非お使い頂ければと思います。 ※注意点 「巡礼者のオーブ」以外の手段による巡礼団への合流・離脱を禁止するものではありません。 キャラクターの事情に沿った手段を用いて頂いて構いません。 また、「巡礼者のオーブ」という手段があるのにペティットへと戻らぬことについての批難はご遠慮をお願いします。 あくまでも参加・離脱を容易にし多くの方に気軽に楽しんで頂く為の手段と捉えて頂ければと思います。 コメント(編集案・情報等) 名前 コメント
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父の手形 ヴィンセント専用のアクセサリー。 ウィルヘルムが付けた、拳による熱い漢の手形。
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一人では解けない 真実のパズルを抱いて。 ◆Wott.eaRjU 漆黒――備えられた窓ガラスから見える光景。 感想――特に思う事もない=時刻を考えれば可笑しくない。 感覚――問題なし=綺麗に磨かれた通路を歩きながらそう感じた。 感触――やけに軽い。当然だ。普段手にしている銃とは違い過ぎる。 結論――前進。内に秘めた感情を馬に見立てて、力づくで乗りこなす。 恨みごとを言っても銃が変わる事もない。 爆発しそうな不満が広がる――ガラにもなく、押し込んだ。 この感情をぶつけてやろう。発散してやろう。ブチ撒けてやろう。 歪みゆく表情――昂揚感/充実感が全身を満たす。 自然に両手に力が籠る。この場での仮初の相棒。 自分の代わりに誰かの血を奪う存在――ソードカトラス/ベレッタM92カスタム。 グリップを握り、まるで大切なものを抱擁するように――但し、相手の事は考えずに力強く。 歩く。周囲に目を配って/辺りを窺って/獲物を捜して――ある到達点へ。 男――ラズロは病院のドアを開けて、暗闇に身を投じた。 「しけてんなぁ……ガキの死体しかねぇ」 呟き。隠しきれない落胆を思わずぼやく。 受付口付近で見かけた一体の死体。 ジョルノ・ジョバァーナ――ラズロにとって知らない/興味もない相手。 故に碌な反応も見せずに通過。 否、生きている相手と出会えなかった事への嘆き――唾を溜めて、弾かせる。 収まらない衝動/苛つき/激情を絶えず胸中に。 名簿で見かけた、知っている顔を思い浮かべる。 ヴァッシュ・ザ・スタンピード/ニコラス・D・ウルフウッド――殺すべき存在。 己の師/恩人/即死を確認――裏切り者、ウルフウッドによって首が有り得ない方向に曲がった男。 マスターC(チャペル)の無念が疼く。 一刻も早く殺せと騒ぐ――ラズロはそれら全てを受け入れた。 「来いよ、あんまり俺を退屈させるんじゃねぇぞ……。 俺がグシャグシャにしてやるから出て来いよ……この際だ、生きてるヤツなら誰でもいいんだからよぉッ!!」 だが、ラズロの意思に反するように生憎、格好な対象は居ない。 人どころか一匹の犬すらも居なく、まるで生物が生きている心地すらもしない。 違和感。自分が立っている場所に対する疑問が疼く。 しかし、即座に振り払う――自分の目的には些細な事。 眼につく参加者の殲滅/皆殺し/ヴァッシュとウルフウッドの始末を達成する。 単純な指令(オーダー)。もう一人の自分、甘ちゃんリヴィオなど出る幕もない。 あまりにも大きな才能のために、一つの肉体に二つのナンバー――人格を持ちし男。 リヴィオ・ザ・ダブルファング+ラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デス――揺るがない二人一組(ッーマンセル)。 ヘマをかますわけがない。そんな事は許されない/許せない。 マスターチャペルの仇を討てぬ自分など――認められない。 故に歩を進める/暫く歩き続けながら首を回す。 常人とは較べものにならない感覚で、周囲を索敵。 強化改造された身体と感覚――『ミカエルの眼』による賜物。 刹那、何かを勘づく。何かが周囲に――そこで突然の意識の中断が起きる。 「おおおおおおおおっとぉ! 遂に見つけたあああああぁ! この俺以外の参加者にいいいいいいいッ!! 俺は今、確かに己の幸運を感じている! こんなにも速く、誰かを見つけられたコトをなあああああああッ!!」 馬鹿でかい声。駆け込むように跳び込んできた男によって。 半ば呆れた表情を浮かべるラズロの前に現れた男――ストレイト・クーガー。 図書館を抜けた後、歩行、走行、そして疾走とも取れる爆走を経てやって来た。 特徴的なサングラス――怪しい。 青と白のコントラストが目立つ制服――更に怪しく思う。 猛烈な速度を押し殺し、サッと体勢を整える挙動――怪しいなんてものじゃない。 背中に義手を生やし、左顔面に刺繍を施しているラズロは自分の事を棚に上げて、そう思った。 だが、そんなどうでもいいような事を考えた時間――ほんの少し。 口角をニィっと吊り上げて、ラズロは近づく。 「……あんたの名は?」 「俺はストレイト・クーガー! 誰よりも速さを追い求める男だッ! そういうお前さんの名前はなんていうんだ?」 「ラズロ。リヴィオとも書かれてるけどな。まぁ、いいや。 五月蠅ぇ奴だがなんでもいい……相手してくれや、おっさん」 銃を握る手に力を込める――無言の合図。 いつでもやれる/自信の現れ/ブチ殺す用意は既にOK。 浮かべた表情が意味するのは殺意が籠ったGOサイン/突撃(ガンホー)。 眼の前の男を舐めるように眺め回す。 観察――自分とどこまでやれるかの見積もり。 『おっさん』――何故だかその言葉を言った途端、酷く男が衝撃を受けたようだった=つまらない発見。 そう、つまらない――瞬時に抱いたラズロの感想も同一。 男には銃器や刀類など見たところ武器が何一つない。 徒手空拳に優れているのか/自分のように身体に特殊な改造が施されているのか=沸き立つ疑問。 だが、その疑問も直ぐに無意味なものになるとラズロは確信している。 何故なら今から自分が殺すから――100%の正しい回答を持っているのもまたラズロ自身。 「……なるほど、これはちょっと俺の目論見が違ったというコトだな。 オーケー、わかった。このストレイト・クーガーは逃げも隠れもしない! お前に見せてやろうおおおおおおおおッ!!」 身構えるラズロに呼応するかのようにクーガーが腰を落とす。 荒れ果てた大地――ロストグラウンドの治安の維持を目的とする組織=HOLY。 入隊の経緯はある引き換え条件によるためだが、それでもクーガーは一流のHOLY隊員。 目の前の男がこの殺し合いに乗っていると判断し、排除に乗り出す。 長く、鍛え抜かれた両脚――クーガーの全て。 クーガーがこの世で最も信じるものを織りなす。 まるで削り取られたように消失したもの――黒々とした大地の一角。 次第に広がる粒子がクーガーの周囲で群れを成す――虹色の煌めきが暗闇を照らしてゆく。 訝しむ。思わずラズロの表情が、目の前の出来事に訝しむように歪む。 己の常識を超えた何か――視覚した超常現象がラズロのクーガーへの印象を転覆。 咄嗟に突き出した右腕――ソードカトラスの銃口が向かう先はクーガー。 「ラディカルグッドォッスピイイイイッドオオオオオオオオオオーーー!! 脚部限定ッ!!」 全身を経て、凝縮した虹色の発光が一点へ進む――クーガーの両脚に集まる=それは形成の証。 ピンク色の装甲に覆われた脚部が一瞬の内に出現。 発現の理由――高次物質変換能力、通称“アルター”によるもの/唯一無二の力。 そのアルター能力を持つ者こそがアルター使い――そしてクーガーはAクラスのアルター使い。 アルターの形成が終るや否や、クーガーが己の存在を誇示するかのように駆け出す。 踏みしめる力は強大且つ、最速の速度で直進。 一瞬の内に舞い上がる砂埃の理由――消失/発進/一直線への跳躍。 大きく見開かれたラズロの眼が意味するものは驚き。 いつのまに近寄ったかすらも、確かな実感が湧かないクーガーの速さ。 予想外/侮った――舌打ちをしながらラズロは後方へ身を飛ばす。 ラズロが蹴り飛ばした大地の上方で唸りを上げるもの――メタリックパープルの蹴撃。 クーガーの右脚による上段回し蹴りが宙を切り裂く。 「舐めるなァッ!」 一方、後ろへ跳び退いたラズロ――怒声一発。 食い入るように見つめる人影/クーガー/気に入らない男――躊躇う筈もない。 今まで何の役目を果たせていない己の武器――沈黙のソードカトラス。 ラズロも碌な時間も掛けずにソードカトラスを向ける。 流れるような動き/無駄のない動きがラズロの突出した技術を匂わす。 ラズロの本来の得物は三挺の、それも最凶の個人兵装といえる代物――パニッシャー。 普段使いなれた銃よりも遥かに軽い得物を手の中で廻し、力を込めてトリガーを引く。 止められる術はない。 鉛玉/弾丸/死への誘いの使いがクーガーの肉体に減り込む――否、それは所詮ラズロの観測。 「遅い! 俺に較べたらあまりにもスロウリィ!」 陽気とも取れる声色でクーガーが叫び、次に何かが弾け飛ぶ音が響く。 音の正体――クーガーがお返しと言わんばかりに、振りぬいた左脚に弾き飛ばされた銃弾の成れの果て。 そう、その場で再び上段――但し、左脚による回し蹴りでクーガーは銃弾を蹴り飛ばしていた。 理由――先程、リヴィオが己の感覚の鋭さによって、大きくバックステップを取ったのが幸い。 依然、十分に開いた距離/ラズロの射程内/クーガーにとっては遠い両者の空間に流れる静寂――たった一瞬の事。 何も起きないわけがある筈もなく、男達は互いに動く。 ソードカトラスの銃口を横に寝かせ、片腕を突き出す――ラズロの追撃。 軽く腰を落とし、両手を地につかせて、一気に飛び出す――クーガーの疾走。 「どうせ死ぬんだ、ならチョロチョロ動くんじゃねぇよ!」 ラズロの足元では空の薬莢が瞬く間に大地で跳び跳ね、その数は一本ではなく、無数。 たんたんと、一定の音程を刻んでいくかのように音を鳴らすそれらに追従するもの――鉛玉。 今度は一発一発ではない/弾の数もこの際考えない/やり慣れた連射を瞬く間にやってのける。 鬼気迫る勢いで走り込むクーガーには遠距離の攻撃手段はない。 ならば、距離を取りながら銃撃を行うのがセオリー――だが、ラズロはその場に留まる。 ラズロには余裕がある/小細工なども要らない/マスターCの教えを請うた自分が負ける事など夢にも思わない。 只、クーガーに無数の弾丸を叩き込む事がラズロの意識を支配する。 ぶれる事もない弾道が示す――ラズロの揺るがない自信/意思。 やがて何発もの銃弾とクーガーの身体が、一直線にぶつかるように交わる。 青と白の制服の下に潜む肉体から噴き出すものは赤い飛沫――しかし、止まらない。 クーガーの速さは止まらず――寧ろ加速(ヴェロ)を以って増していく。 まるでそれが当然であると示すかのように。 「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」 身を逸らしたが、左肩に受けた銃弾を気にせずに走り抜けるクーガー。 二人を隔てる距離――近い、近づく、更に近づき――やがて終着を迎えた。 左脚を振り上げて、抉り取るように振り抜く軌道が一閃。 ラズロの脇腹に迫る左脚の勢いは当に弾丸の如く。 依然としてソードカトラスの引き金を絞っていたラズロ――故に新たにクーガーの右脇腹の辺りに銃弾が食い込む。 だが、それはラズロの逃げ道が塞がれた事と同義。 ぎりぎりまでトリガーを引き続けていたツケ――回避のための距離の喪失。 咄嗟にラズロは両腕を交差させ、ソードカトラスの銃身でクーガーの蹴りを受け止める。 息をつく暇もない――横殴りで襲い来る蹴撃によって、火花に包まれたソードカトラスがギシギシと軋みだす。 衝撃を逃がす――半ば本能的に/反射的に受け止めた腕を下へ=間に合わない。 完全に抑えきれなかったため、ラズロの身体が宙に吹き飛ぶ――が、地には落ちない。 不慣れな体勢のまま、ラズロは更に射撃を続行。 ミカエルの眼による強化改造にお陰で、蹴り飛ばされた衝撃も気にする程でもない。 引き金を絞る度に、腕から伝わる感覚――発砲の感触に身を委ねがら笑う=心地よい。 自分が今、この場に生きているような/必要とされているような心地に胸を躍らせる。 「遊びは終わりだ、そろそろ使わせてもらうぜッ!」 重力に引かれたままの状態での射撃、そしてクーガーの技量によりそれ以上の銃弾は当たらない。 だが、ラズロの表情に浮かぶものは――依然、余裕。 何故なら、未だにラズロには隠し手ともいうべき武器がある。 手に持つだけでわかる、この威力は――本物だ。 エンジェルアームの弾丸――禁忌の疫災/禁断の兵器/生みだすは凄惨な光景。 未だラズロは知らない/月すらにも穴を開ける程の威力を発揮する武器を用いれば、勝敗を決するのは容易い。 殺すべき標敵共――ウルフウッドとヴァッシュの二人に全弾撃ち込みたかったが、気が変わった。 既にカートリッジを装填し終えている、もう一挺のソードカトラスに眼をやる。 思わず零す、にやけ顔――我慢出来ない/抑えられない/衝動が止まらない。 この銃に込められた弾丸を放てば、この五月蠅い男はどういう顔を見せるのか。 出来れば一瞬で終わるのではなく、じわじわと苦しまないだろうか――ラズロの密かな希望。 望み通りに叶うか否か――確認のために、余裕に浸りながら力む。 数秒もせずに弾き出すはエンジェルアームの弾丸――だが、それよりも更に速く動くものがそこにはあった。 「終わりだと!? ああ、確かにそうだ! 否定はしない! 俺はお前のその言葉に完全なる肯定で答えよう! 但し! それはお前の終わり――衝撃のおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」 予想――緩んでいたラズロの想定していた場所よりももっと近い。 ソードカトラスを見入ったために生まれたラズロの一瞬の油断――十分な時間=最速の男にとっては。 一度、ラズロの前を横切る/助走をつけて駆け抜ける――最速の域に達するため=MAXIMUMの領域。 あまりにも早く、前に突き出す両脚の動きなど終える筈もない――クーガーが最速の男と言われる理由。 咄嗟に現実に引き戻され、ラズロは余裕をほんの少し、かなぐり捨てて構える。 鋭敏な感覚を振り絞り、直ぐに狙いをつけ直すラズロ――しかし、消失(ロスト)。 理由――ラズロの予測を越え、既にクーガーは更なる高みを以って跳んでいたため。 クーガーの両脚に形成されたアルターを視界の隅に捉える程がやっとの事――そして叫ぶ。 吐き出す言葉は猛々しく、軽薄な印象は持たせない――持たせる筈もない。 彼の身体を包む虹色のアルター粒子が/サングラスの下に潜ませる鋭い眼差しが嫌でも物語る。 クーガーが未だHOLYに入隊する前、彼を兄貴と慕った男――一人の反逆者(トリーズナー)。 彼の自慢の拳による名称の由来――本家本元の一撃を見舞う体制に入るクーガー。 瞬時に大きく跳躍していたクーガーの身体が駒のように回転――暴風すらも巻き起こせそうな勢い。 対するラズロも負けじと咆哮に似た声を上げ、腕を突き出すがクーガーには最早聞こえない/興味がない/聞く必要もない。 答え――既に完成しているのだから。 そう。そのキーワードはとても単純―― 「ファーストブリットオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」 大音量の掛け声と共に、ラズロの身体に飛び込む。 繰り出すは回し蹴り――だが、今までのものとは衝撃も速さも段違い。 “ファーストブリット”――クーガーが持ちし技の一つ。 ラディカルグッドスピードの圧倒的な速度から撃ち出される一撃は正に弾丸(ブリッド)の如く。 脇腹をしたたかに蹴りつけられたラズロの身体が、これまた強大な加速に引かれて吹き飛ぶ。 グングンと止まる事も知らずに、クーガーから離れていくラズロの身体。 そんな最中、ラズロの身体はふいにある一帯――大きく広がった湖に飛び込む。 既に戦闘を経て、互いに立つ位置をエリアE-6に移していた二人。 怒りで顔を引き攣らせながら、ラズロは只、流水に飲まれていく事となった。 ◇ ◇ ◇ 「……ヘマかましたなぁ」 湖に突き飛ばされる屈辱。 ずぶ濡れになった身体で地上へ這い上がる。 ファーストブリッドの衝撃は確かに大きかったが、ラズロの身体には異常ともいえる自修復の力がある。 制限により未だ痛みは残るものの、動かすのも支障はない。 たが、意外にもラズロの表情はどこか淡白なもの。 水を被った事によって、逆に頭が冷えたのかもしれない。 表面上は、あくまでも表面上は冷静さを保つラズロ。 残弾を気にしながら、獲物を求めるためにラズロは再び歩き出す。 「マスター、聞こえてるか? もう一人ぶっ殺してぇヤツが出来たんだ……もう一人、すげぇ気にいらねぇヤツが……」 先程の男、ストレイト・クーガーへの恨みは忘れずに。 【E-7/湖付近/黎明】 【リヴィオ・ザ・ダブルファング@トライガン・マキシマム】 [状態]:健康。ラズロ状態。 左脇腹に痛み有り。ずぶ濡れ。 [装備]:M92AFカスタム・ソードカトラス×2(@BLACK LAGOON)、45口径弾×10.45口径エンジェルアーム弾頭弾×24(@トライガン・マキシマム) [道具]:支給品一式、.45口径弾24発装填済みマガジン×4、.45口径弾×24発(未装填) [思考・状況] 1:片っ端から皆殺し。 2:ヴァッシュとウルフウッドを見つけたら絶対殺す。 あとクーガーも。 3:機を見て首輪をどうにかする。 4:ギラーミンも殺す。 【備考】 ※原作10巻第3話「急転」終了後からの参戦です。 「まあ、なんだ。あれじゃあ当分動けないに違いない。結果オーライというコトにしておこう」 ラディカルグッドスピードを解除し、クーガーが呟く。 銃弾を受けた個所はアルターで防ぎ、既に血は止まっている。 クーガーの表情にうっすらと浮かぶのは、ラズロを仕留めきれなかった事に関する心残り。 たとえ己の速さが普段通りではなかったとしても、かなり手強い相手だったラズロ。 だが、そう言っても仕方がない――何故なら既にラズロを見失ってしまったのだから。 ならばどうするか――考えるまでもない疑問に答える。 一秒でも無駄にする事なく、最速の名に恥じぬように――クーガーは動き出す。 「蛇ヤロウは当然、倒す。だが、それだけが俺の仕事じゃない。そう、そして既に一枚は張り終えた! 一枚は何処かに張って、残りの一枚は俺が持っていれば他の人達に最速で情報を伝えるコトが出来る! ああ、完璧だ! まさに完全調和……パーフェクトハーモニーと言うのに相応しい!!」 蛇ヤロウ――本土側のアルター使い/いけ好かない奴/倒すべき相手=無常矜持。 あんな特徴的な名前がこの世に二人も居るとは思えない。 きっとこの場でも何か碌でもない事を企てているのだろう――ならば止めなければならない。 また、クーガーが握りしめるのはボロボロな二枚の紙――彼に支給されていたもの。 本来は同じものが三枚支給されていたが、クーガーが言うように一枚は既に張り付けてある。 その場所は病院。判り易いように入り口のドアのど真ん中に――ラズロとの闘いを終えた後に行った。 何故なら、一人でも早くこの情報を知っておいて貰いたかったから/丁度地図の真ん中に位置していたから。 人の良さそうな顔だが、共に書かれた文字が本当であれば気にしないわけもいかない。 そして、クーガーは意を決したかのように走り出す。 (カズマ、劉鳳……無茶はするんじゃねぇぞ……!) 自分が見出した希望――ロストグラウンドの、アルター使いの未来を切り開いてくれると思わせた二人。 カズマ、劉鳳の二人の身を密かに案じながら。 【E-5/南西部/黎明】 【ストレイト・クーガー@スクライド】 [状態]:健康 、左肩、右脇腹などに銃弾による傷(アルターで処置済み) [装備]:HOLY部隊制服、文化的サングラス [道具]:支給品一式 不明支給品(0~1) ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚 [思考・状況] 1:ジラーミンに逆らい、倒す 2:無常、ラズロ(リヴィオ)、ヴァッシュには注意する 3:カズマ、劉鳳、橘あすかとの合流。弱者の保護。 4:ヴァッシュの手配書を何処かに貼り付け、もう一枚は自分で持っておく。 【備考】 ※病院の入り口のドアにヴァッシュの指名手配書が貼ってあります。 ※ジラーミンとは、ギラーミンの事です 誰も居なくなったエリアF-6。 無音――生物が居るわけでもなく、特に可笑しくもない。 そう。誰も居なくなった筈であったのに――唐突に何もない空間から一人の少女が姿を現した。 「……あんなん反則ちゃう? わたしなんか勝てるわけないやん……」 ピンクを基調とした制服を着込んだ小柄な少女が、意気消沈といった様子でそう呟く。 春日歩――知人も一人も居なく、この場に集められた別段普通な女子高生。 黒のストレートヘアーが印象的な、どこか危なっかしい印象を抱かせる少女。 転校初日に大阪と安直な渾名を付けられた過去を持つ――只、関西の方から越してきた理由=なんの捻りもない。 そして歩――大阪に支給された品は石ころ帽子なる代物。 様々な制限はついているが、掻い摘んで言うと自分の姿を消してくれる道具。 大阪はその石ころ帽子を使って、観察していた。 そう。先程まで闘い続けていた二人の男――クーガーとラズロの闘いを。 まあ、途中からは更に戦闘の進行も速まり、全てを観たわけでもないが。 それでも、大阪の気を削ぐ事に十分であった。 「近づこうにも無理や、絶対無理……怖くてなーんもできへんかったし……」 死にたくはない。 ならばこの殺し合いで生き残らなくてはいけない。 よって一人でも参加者を減らすために、大阪は漁夫の利を狙おうとした。 そこまでは良かった――少なくとも大阪はそう思っている。 いや、ぼーっとした事に定評がある大阪にしてみれば、かなりいい判断の部類に入るだろう。 だが、足りなすぎた/開きすぎていた/次元が違った――大阪と二人の何もかもは。 体格の問題はいうまでもなく、クーガーが誇る速さも、ラズロの持つ射撃技術も大阪にとってはこの上ない脅威そのもの。 もし、奇襲が失敗すれば自分が無事に逃げられるわけがない――そう思うと近寄る事すらも出来なかった。 隙を見せれば不意打ちの銃弾でも喰らわせてやろうと思っていたのに。 そして大阪は今後について考える。 金髪の少年――ジョルノ・ジョバァーナ/大阪の知らない男の子を、殺せた時程に今後も要領良くいくだろうか。 絶対に無理だとは言い切れないが、上手くいく保障もどこにもない。 たった一回の失敗で全てが終わる――もう二度とあの学校に登校するのも叶わない。 一癖も二癖もあるが、大切な友達とも会う事すらも出来ない。 認めたくはない未来――必死に振り解くかのように大阪は歩を進めた。 一つだけ、気になる事が大阪にはあったから。 「……こーんな優しそうな人やのに、悪い人なんやね……信じられへんなぁ、わたし……」 両眼をまん丸に見開いて大阪は見つめる――一枚の貼り紙=先程クーガーが張り付けた何か。 まさに心底驚いたと言わんばかりに驚きにそまった表情を浮かべて、じっと見入る。 そこには一人の男の顔写真が載っていた。 何故か読める、記された金額の凄さ――男がどんな悪事をやってきたのだろうか思わず考える。 赤い、まるで血のように赤いコート――あんまり趣味は良くなさそう。 お洒落の一環であろうと思われるピアス、そしてホクロ――だけど、不思議とあまり怖い印象はない=寧ろ優しそうとも思える。 こっちが恥ずかしくなってくる様な満開の笑顔――こんな笑い顔を間近で見せられたら碌に会話も出来ないかもしれない=信頼には充分。 そう、大阪には自分の目の前に映る写真の男が危険人物――賞金を掛けられた指名手配者であるという事に驚きを隠せない。 思わず右腕を伸ばし、写真の口元の方へ手を伸ばす。 何かを求めるように/探るような手つきで/撫でるように小さな右手が動く。 「けど――こないな人ですらも悪いコトしたんや。きっと騙して、油断したとこを……だからこんな紙に貼り出された……。 わたしがあの男の子を殺したみたいになぁ……」 だが、その手は止まり、ゆっくりと離れゆく。 大阪にはこの状況で誰かを信じられる程の余裕はなかった。 きっとこんな馬鹿げた殺し合いに反感を抱く人間は居るだろう。 しかし、人の嘘を見破るのは口で言うほど簡単ではない。 友達の他愛のない冗談ですらも、真に受ける事が度々ある大阪には――特に難しい。 更に日常とは違い、一度見誤れば待つものは死という概念――既に自分が一人の少年を殺した事実が重く圧し掛かる。 罪悪感がないとは言えない。 だけど、いきなりこんなヘンテコな場に呼び出されれば――半ば、強引に自らの行動を正当化する。 何故ならこれからも、自分が選んだ過酷な道を進むのには必要な事だから。 「そうやーしっかりせなあかん、しっかり……しっかり……しっかり……しっかり――」 やがて大阪は歩き始める――足取りはフラフラと非常に危うい。 だが、その小さな胸に秘めた意思はしっかりとしている。 生き残る――非常にシンプル且つ難しい目的。 ぶつぶと暗示のように呟く大阪は次の獲物――油断さえしてくれたら自分でも倒せそうな相手を探しに行く。 出来れば二人以上で、疑心暗鬼をも引き込めそうな集団が良いかもしれない。 そこまで考えて、大阪はふと振り返る。 暗闇の先――先程、十分に鑑賞した男の手配書。 その男こそ行く先々で常にトラブルを巻き起こし、ついた渾名は『人間台風』。 そのため、一種の災害と見なされ、今は懸賞金が掛けられていない人物。 更に、大阪が考えるような犯罪染みた事に手を染めていない――名はヴァッシュ・ザ・スタンピード。 「しっかりな」 そんなヴァッシュの笑顔が今の大阪にとって、何故だかとても眩しいものに見えた。 【E-5 病院近く/1日目 黎明】 【春日歩@あずまんが大王】 [状態]:健康、心神喪失状態 [装備]:グロック17@BLACK LAGOON(残弾15/17、予備弾薬51)、石ころ帽子@ドラえもん [道具]:支給品一式×2 不明支給品(1~4) [思考・状況] 1:生き残るために全員殺してギラーミンも殺し、現実に帰る。 2:あまりにも強そうな相手とは関わらない、あくまでも不意をつけば倒せそうな相手を狙う。 3:お人よしの集団に紛れるのもいいかもしれない 4:ラズロ(リヴィオ)、ヴァッシュを警戒。 【備考】 ※サカキを榊@あずまんが大王だと思っています。 ※『石ころ帽子について』 制限により、原作準拠の物から以下の弱体化を受けています。 大きな物音、叫び声などを立てると、装備者から半径30m以内にいる者はそれを認識する。 鍛えた軍人レベル以上の五感を持つ者に対しては、上記の制限(距離、"大きな物音、叫び声"の判定)がより強化される。 (具体的には、より遠い距離、微かな気配でも装備者の姿が認識されやすくなる) さらに、常人のそれを超えた五感を持つ者に対しては完全に無効。 時系列順で読む Back 残されたものは一つ Next 今はただ、顔を上げ 投下順で読む Back 残されたものは一つ Next 今はただ、顔を上げ TRI-P OF DEATH リヴィオ・ザ・ダブルファング 海賊ロロノア・ゾロvsアルター使い劉鳳 ストレイト・クーガー ストレイト・クーガー 終わらない夢 不倶暗雲 春日歩 鳥だ!飛行機だ!いや、ドラだ!
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【種別】 霊装 【元ネタ】 北欧神話。 本編で語られていた通り、 雷神トールがある戦いにおいて、女巨人グリーズ(グリズ、グリッドとも)から道具を借りたエピソードを基にしている。 借り受けたのはグリダヴォル(Grídarvöl)という杖、ヤールングレイプル(Járngreipr)という一対の鉄の手袋、 メギンギョルズ(Megingjörð)という力帯の三点セット。 ちなみにグリダヴォルというのは「グリーズの杖」という意味。 Wikipedia- トール Wikipedia- グリーズ 【初出】 十七巻 【解説】 『新たなる光』が製造した、北欧神話の伝承を基とした霊装。 メンバー全員が所持しているため、最低で4本存在する。 形状的には1,5メートル前後の金属シャフト製の槍。 太いシャフトの中に細いシャフトを収納できるようにすることで携帯性を増している。 先端には40センチ程の刃が上段に3本、下段に1本取り付けられ、 槍の下端に取り付けられた自転車のブレーキのようなレバーを操作することで開閉できる仕組みになっている。 刃を開いた状態はまるで4本指の掌のようであり、 閉じることで実際に『粉塵』や『炎』といった不定形のものを『掴み取る機能』を持つ。 『新たなる光』の面々は全員が華奢な女の子のため、 トールの力を得ようにも、雷の大槌ミョルニルを解析した霊装ではヘビーすぎて扱いづらい。 そのため「一度だけ『女巨人』から武器を借りた」という逸話を分析し、 ミョルニルとは別の方面からトールの力を再現したのがこの霊装である。 彼女らはトールの本質を『農耕神』と位置付け、雷撃は自然を司る神が持つ天候制御能力と解釈しており、 雷撃のような「攻撃的な能力」以外の農耕神の力を振るうための武器として『鋼の手袋』を用意した。 一方で女巨人が提供した3点の道具はそれぞれ、 「腕力を増強させる力帯」「極めて巨大な破壊力を生む鉄の棍棒」「鉄の手袋」 として捉えている。 「鉄の手袋」だけは神話内での役割が不明瞭だが、 『新たなる光』のメンバーは『高威力の霊装を正確に操るためのインターフェース』として解釈している。 霊装名の『鋼の手袋』はその形状と合わせ、ここから取っているのだろう。 そして、ここまでで挙げた神話上の特性や『新たなる光』メンバーの体格などを考慮し、 「何なら、全部まとめたワンセットの霊装を用意したほうが楽じゃない?」 という思想の元、全ての機能を統合したのがこの霊装の正体である。 作中でも実際にこの装備1つで、 「怪力の加護」 「不定形のものを『掴み取る』」 「『知の角杯』を加えることで雷撃を操る」 という多彩な機能を発揮している。 更に、パーツ・バランスの調整によって新たな機能を追加することも可能であり、 ロシアで上条に合流したレッサーは、 『赤いレーザー光のようなものが飛び出し、それに当たった物を遠隔からでも掴み取って振り回せる』 機能を追加していた。 遠隔操作でありながら高度1万メートルを飛翔する音速爆撃機を苦もなく捕らえるという高性能化であった。 しかし、上条の作戦に説明無く使用されて地面を3キロほど音速で引き摺られて大破。 改造の際のデータは記録されていなかったためにバランス・調整の再現も不可能。 結果、修繕こそ出来たものの、通常仕様に戻ってしまった。
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白金無一人(ないと) 性別:男 所属:無所属 所持武器:鏡のように磨き上げられた刀 攻撃力:13 防御力:5 体力:6 精神力:6 フリースキル 貯金:0 特殊能力『秘剣・夢幻鏡面殺(ひけん・むげんきょうめんさつ)』 能力効果: 隣接2マスの範囲内1人に即死効果(凄惨な死)精神攻撃。能力発動成功後に戦線離脱 能力説明: 刀を巨大な鏡に変じ、見た者に自身の最も見たくない自分の姿を見せ、さらにそれを相手の魂に反射する。 相手は鏡像に魂を蝕まれ凄絶な死の絶叫を上げる。最早剣技と言うのもおこがましい絶技。 能力発動成功後、結果如何に関らず「報酬分の仕事はしたかな。契約完了」と言い残して戦場から離脱する。 [発動率79%成功率0%] <計算式> 基本成功率100 即死攻撃-100 凄惨な死-10 隣接2マス0.6 補正1精神攻撃100 補正2戦線離脱20(40の半分) FS0 精神攻撃ボーナス25 一発OKボーナス10 100-((100+10)×(1+0.6))+100+20+25+10=79 キャラクター説明 生徒会、番長グループどちらにも属さず報酬次第でどちらにも味方する傭兵魔人。 報酬によっては雇われ生徒会長になることも雇われ番長になることもある。 貯金はせずにキャッシュは全て持ち歩く主義。何故か新幹線と名古屋を恐れている。 外見は眼鏡をかけた柔らかい雰囲気の華奢な少年。 「場合によっちゃ番長も生徒会長もぶん殴ってみせるよ。でも、新幹線だけは勘弁ね」