約 3,392,831 件
https://w.atwiki.jp/wiki9_eroparo/pages/245.html
ロックマンシリーズでエロパロ PART2 http //sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1118312530/ 種別/SS創作 分類/作品単独 検索ワード/X、DASH、ZERO、EXE 過去スレ ロックマンシリーズでエロパロ
https://w.atwiki.jp/www-iris/pages/2110.html
ナビの分類 シリーズ共通 バトルネットワーク ロックマンエグゼ バトルネットワーク ロックマンエグゼ2 バトルネットワーク ロックマンエグゼ3 ロックマンエグゼ4 トーナメントレッドサン/ブルームーン ロックマンエグゼ5 チームオブブルース/チームオブカーネル ロックマンエグゼ6 電脳獣グレイガ/電脳獣ファルザー ロックマンエグゼ トランスミッション ロックマンエグゼ バトルチップGP/N1バトル ロックマンエグゼ ファントム オブ ネットワーク ロックマンエグゼ レジェンド オブ ネットワーク ロックマンエグゼ オペレートシューティングスター アニメに登場したナビ ナビの分類 ネットナビ ゼロウイルス ダークロイド イモータル アステロイド (アニメオリジナル) ゾアノロイド (アニメオリジナル) ファントムナビ (アニメオリジナル) シリーズ共通 ロックマン (ロックマン) ブルース (ロックマン3) ロール (ロックマン) ガッツマン (ロックマン) グライド (ロックマンDASH2) フォルテ (ロックマン7) ノーマルナビ (エグゼオリジナル) ヒールナビ (エグゼオリジナル) バトルネットワーク ロックマンエグゼ 所属なしウッドマン (ロックマン2) シャークマン (エグゼオリジナル) スカルマン (ロックマン4) アイスマン (ロックマン) WWWファイアマン (ロックマン) ナンバーマン (エグゼオリジナル) ストーンマン (ロックマン5) カラードマン (エグゼオリジナル) エレキマン (ロックマン) ボンバーマン (ロックマン) マジックマン (同名ロボットがロックマン フォルテに登場するが厳密には元ネタではない) 隠しナビファラオマン (ロックマン4) シャドーマン (ロックマン3) バトルネットワーク ロックマンエグゼ2 所属なしトードマン (ロックマン4) ゲートマン (公募ナビ) サンダーマン (エグゼオリジナル) スネークマン (ロックマン3) ヒートマン (ロックマン2) ゴスペルエアーマン (ロックマン2) クイックマン (ロックマン2) カットマン (ロックマン) シャドーマン ナイトマン (ロックマン6) マグネットマン (ロックマン3) フリーズマン (ロックマン7) フォルテ(コピー) 隠しナビ(プロテクト系) ファラオマン ナパームマン (ロックマン5) プラネットマン (エグゼオリジナル) フォルテ その他テッポウダマ バトルネットワーク ロックマンエグゼ3 所属なしメタルマン (ロックマン2) キングマン (公募ナビ) パンク (ロックマンワールド3) WWWフラッシュマン (ロックマン2) ビーストマン (エグゼオリジナル) バブルマン (ロックマン2) デザートマン (エグゼオリジナル) プラントマン (ロックマン6) フレイムマン (ロックマン6) ドリルマン (ロックマン4) ウラランキング登録ナビセレナード=S (エグゼオリジナル) ミストマン (公募ナビ)(ホワイト版ウラランク2位) ボウルマン (公募ナビ)(ブラック版ウラランク2位) コピーマン (エグゼオリジナル)(ウラランク3位) ウラランク4・5・6位 ウラランク7位 ウラランク8位=ビーストマン ウラランク元8位 ウラランク9位 ウラランク10位 (ランキング争いのヒールナビ4人組) 隠しナビダークマン (ロックマン5) ヤマトマン (ロックマン6) フォルテGS ロックマンエグゼ4 トーナメントレッドサン/ブルームーン トーナメント参加ナビデンサンバトルトーナメント/シティバトルトーナメントポンタくん(ユウコのナビ・ノーマル) ガンテツのナビ(ヒールナビ) ガッツマン ファイアマン アクアマン (ロックマン8) ナンバーマン タップマン (ロックマン3) スパークマン (ロックマン3) イーグルトーナメント/ホークトーナメント味太のナビ(ノーマルナビ) クラッシャー(リキのナビ・ヒールナビ) ロール ウインドマン (ロックマン6) メタルマン ウッドマン バーナーマン (ロックマン フォルテ) ビデオマン (公募ナビ) レッドサントーナメント/ブルームーントーナメントボマーのナビ(ノーマルナビ) ジュア(ポレポレのナビ・ヒールナビ) サンダーマン サーチマン (ロックマン8) ジャンクマン (ロックマン7) ブルース コールドマン (ロックマン フォルテ) ケンドーマン (公募ナビ) ネビュラシェードマン (ロックマン7) レーザーマン (公募ナビ) ロックマンエグゼ5 チームオブブルース/チームオブカーネル チーム所属ナビチームオブブルースメンバーブルース マグネットマン ジャイロマン (ロックマン5) ナパームマン サーチマン メディ (エグゼオリジナル) チームオブカーネルメンバーカーネル (ロックマンX4) ナイトマン シャドーマン トマホークマン (ロックマン6) ナンバーマン トードマン 所属なしフットマン (公募ナビ) ネビュラブリザードマン (ロックマン6) シェードマン クラウドマン (ロックマン7) ダークロックマン コスモマン (公募ナビ) ダークブルース ダークカーネル 隠しナビスワローマン (公募ナビ) ロックマンエグゼ6 電脳獣グレイガ/電脳獣ファルザー リンクナビヒートマン アクアマン スラッシュマン (ロックマン7) テングマン (ロックマン8) エレキマン トマホークマン キラーマン (エグゼオリジナル) グランドマン (ロックマン フォルテ) チャージマン (ロックマン5) ダストマン (ロックマン4) WWWブラストマン (後にロックマン11にて同名のロボットが登場) ダイブマン (ロックマン4) サーカスマン (公募ナビ) ジャッジマン (公募ナビ) エレメントマン (公募ナビ) カーネル その他コジローのネットナビ 明日太のネットナビ アイリス (ロックマンX4) 伯爵 (ボクらの太陽) Gビースト/Fビースト ロックマンエグゼ トランスミッション 初出のナビニードルマン(ロックマン3) ブライトマン(ロックマン4) ソードマン(ロックマン8) グラビティマン(ロックマン5) スターマン(ロックマン5) ゼロ(ロックマンX) ゼロウイルス感染者ファイアマン ガッツマン アイスマン クイックマン エレキマン その他カラードマン ファラオマン シャドーマン ブルース フォルテ ロックマンエグゼ バトルチップGP/N1バトル 主人公キャラクターターボマン(ロックマン7) リング(ロックマン4) ロックマン ロール ガッツマン ブルース 「1」登場ナビナンバーマン カラードマン ファイアマン アイスマン ウッドマン エレキマン スカルマン シャークマン マジックマン シャドーマン フォルテ 「2」登場ナビクイックマン エアーマン ヒートマン フリーズマン ゲートマン サンダーマン スネークマン トードマン マグネットマン ナイトマン 「3」登場ナビプラントマン フラッシュマン キングマン ビーストマン メタルマン フレイムマン フォルテGS ロックマンエグゼ ファントム オブ ネットワーク 所属なしハットマン(ロックマン フォルテ) ガッツマン ロール キャッシュデータファイアマン(キャッシュデータ) アイスマン(キャッシュデータ) ウッドマン(キャッシュデータ) シャドーマン(キャッシュデータ) ブルース(キャッシュデータ) ジャミングマン ドリルマン(キャッシュデータ) ロックマンエグゼ レジェンド オブ ネットワーク ノーバディ側リバース トロイ ネットパトロール他ライドマン ブルース ハットマン シナリオボス達サンダーマン アクアマン サーチマン トマホークマン フレイムマン ロックマンエグゼ オペレートシューティングスター 流星のロックマン(敵・対戦相手としてはSSロックマン) クロックマン アニメに登場したナビ 『ロックマンエグゼ』ブレイクマン ホエールマン シャイニングマン カットマンブラザーズ カットマン長老 リーグマン サヌキマン 『ロックマンエグゼAXESS』シルク プリズマン 『ロックマンエグゼStream』スラー シャインマン 『ロックマンエグゼBEAST』トリル イエティマン シャーベットマン 『ロックマンエグゼBEAST+』ゼロワン
https://w.atwiki.jp/comeback_rockman/pages/25.html
-闘いへの伏線- 少し・・いやかなりの出血だ。 油断した・・。情けない。 なんとかベースまで帰りたいけど・・・ そこまで行ける自身は全く無かった。 意識が薄れていく・・。 駄目だ・・・今此処で気を失っちゃ・・・。 駄目・・・だ・・・待って・・・。 「気が付いたかい?」 よく本やドラマなどで聴く台詞。 生で聴くのは初めてのこの台詞に、彼の意識はしっかりと覚醒した。 急いで身体を起こしたため、全身がキリキリと痛み、思わず「うっ・・」と呻いてしまった。 「無理しちゃ駄目だよ」と、再び語りかけてくる声に、彼はゆっくりとした動作で辺りを見回した。 色々な機器が立ち並ぶ。オイルの特特の臭いが鼻を付いてくる。 自分が中央の寝台に寝かされている事を確認して、 彼-ロックマン・セイヴァーはここがどこかの研究所だと言う事を理解した。 「こ・・ここは・・?」 未だにキリキリと痛む身体を抑えつけて、セイアは声を絞り出した。 「あぁ・・・」と、先程の声がして、不意に自分と同程度の年齢の少年が顔を覗き込んできた。 黒髪を背中程度まで伸ばしていて、それを一つに縛った、蒼い瞳の少年。 「ここは俺の研究所。まだ身体の方は痛む?」 「えっと・・なんとか大丈夫・・みたい」 少年のペースに乗せられて、セイアは思わずそう答えた。 「凄い怪我だったね。直すのに苦労したよ」 微笑して、少年はクイッと親指で、部屋の端のカプセルに収納されたセイアのアーマーを指さした。 あれ程ボロボロになっていたアーマーが、少し名残があるが、完全に直っている。 「えっ・・そんな・・僕のアーマーはそんな簡単に・・・」 「ふふん。まぁややっこしい事は言いっこ無しだよ」 何者なんだ?この子は。 自分のアーマーはエックスとゼロのDNAデータで構成されている。 それを修理できるのは、自分を創ったゲイトと・・・後はエックス達の構造を熟知した者しかいない。 しかしエックス達の身体構造はブラックボックスだらけであり、今の世の中で完全に解析した者はいないと言うのに。 「それより・・気が付いて良かった。いきなり道端に倒れてるんだもん。ビックリしちゃったよ」 「うん・・助けてくれて・・・どうもありがとう」 あれからどれくらい経ったかわからない。 しかし自分は、街で巨大メカニロイドが暴れていると言う通知を受け、 それを止める為の任務に出ていたのだ。 秘密裏の軍事用メカニロイドだろう。強力だった。 周囲の被害を確認しながら、時にはメカニロイドの攻撃を身体で受け止めて、 住民たちを護るつもりだった。 しかし、無差別攻撃を繰り返すメカニロイドが破壊した高層ビルの下に、 何人かの人達が残っていた。 もはや考えるよりも前に動いていた。そして気が付いたときには、ビルの下敷きになり、大幅なダメージを受けていた。 最近はメンテナンスもロクにしていないアーマーは頼りにならず、最終的にメカニロイドを倒したものの、 受けたのは致命傷だった。 通信機も全て破壊されたため、自分の足でベースへ帰らなければならなかったが、途中で気を失って・・。 そこから先の記憶が無い。 「いや・・いいよ。お蔭でいいもの見せてもらったしね」 「・・・はは・・・」 思わず苦笑いがこぼれた。 「君コーヒー好き?入れて上げようか」 「うっ・・・うん・・じゃあ・・貰おうかな」 セイアの返答に、満足そうに頬笑んだ少年は、背後のコーヒーメーカーをガチャガチャと弄る。 セイアは寝台の近くのイスに、自分のハンター制服がかけてある事に気が付いて、 おもむろにそれを着込んだ。 「そう言えばまだ名前を言ってなかった。俺はウィド・ラグナーク。宜しく」 「僕はロックマン・セイヴァー。もう一つの名前は徳川 健次郎。みんなにはセイアって呼ばれてる」 「そっか。宜しく。セイア」 渡されたコーヒーを手にとって、セイアは「宜しく。ウィド君」と返した。 カップを両手で握って、ゆっくりと喉に通す。 淹れたてで暖かい。少し苦みがあるが、その味はセイアにとっても美味しいと感じるものだった。 「ウィドって呼び捨ててでいいよ」 「うん・・ありがとうウィド」 「どういたしまして」 セイアは飲み終えたカップをどこに置こうか迷った。 それに気が付いたのか、ウィドがカップを受け取って、部屋に備えられたキッチンに放り込んだ。 良く見れば綺麗に片づいている。 同じ年ごろだと言うのに、自分の部屋は・・。 そこまで思って、セイアはコツンと片手で頭を小突いた。 改めて今まで兄に頼っていた自分を恥ずかしく思った。 「さて・・・じゃあ俺はパーツの片付けでも・・」 「あっ・・・僕も手伝うよ」 セイアのアーマーを修理した時のパーツだろうが? 確かに少し焼け焦げた破片のような物が転がっている。 セイアは寝台から「よっ」と降りて、とりあえず手近に落ちている破片を拾うため、 その場に屈み込んだ。 「あっ・・駄目だよまだ・・!」 ウィドが言ったときには、セイアは「うっ」と呻いていた。 傷口がまだ塞がっていない。 「うっ・・・ごめん・・」 「とりあえず片付けは俺がやるから。君は寝ていていいよ」 ウィドに促されて、セイアは「ごめんね」と呟いて、今まで寝ていた寝台に上がった。 ウィドが投げてくれた毛布を受け取って、全身を包む。 「普段は丈夫でも・・怪我してるときくらいはジッとしていな」 「うん・・・」 そう軽く返す。 毛布の温もりが偉く心地よい。 さっきまで眠っていたというのに、再び睡魔が襲ってきた。 強敵だ。勝てない。 「もう少し寝てな」 「ありがとう・・」 その時にはもう睡魔が意識を侵食した後だった。 ウィドに修理してもらったアーマーを返してもらってから、大体六時間が過ぎようとしていた。 ウィドの技術を目を見張るモノがあり、自分の身体の方の怪我も、もう殆ど全快している。 とりあえずメットの通信機でベースに通信を入れた。 どうやら「生死不明」と大騒ぎしていたようだ。 ベースにはすぐに帰ると伝えておいた。 明日にでも帰ろうと思っている。 「ごめんね。色々と世話になっちゃって」 アーマーを外しながら、セイアは申しわけなそうに呟いた。 先程から世話しなくキーボードを叩いていたウィドは、視線をモニターに向けたまま、 「いやぁ・・・こっちは好きでやってるんだから・・・気にしなくていいよ」と言った。 キーボードのEnterを押し込んで、ウィドはぐるりとイスを回転させて、 セイアと目を合わせた。 「見れば見るほど興味がわいてくるよ。君は」 「そ・・・そうなんだ・・」 最後に髪の毛を掻き毟って、セイアは汗笑いの様な表情を作った。 この子の目は本当に輝いているな。 「また怪我したらいつでも来なよ」 「あはは。怪我したらね」 ハンターの制服を着込んで、セイアはスッと立ち上がった。 研究室の出口に向かって、数歩足をすすめる。 「今までありがとう。怪我もアーマーも治してもらって。 僕は帰るよ。僕はイレギュラー・ハンター第十七精鋭部隊副隊長。いつもそこにいるから」 「あぁ。ボクもいつもここにいる。来たくなったらいつでも来いよ」 ヒラヒラと手を振って、セイアは自動ドアを擦り抜ける。 しかし、セイアの視界に蒼い空が広がる直前に、 もっと別の感覚がセイアに突き刺さっていた。 攻撃的で凶暴な・・・殺気。 「くっ!!」 わけのわからない殺気に、セイアは転送したメットをウィドに向かって投げつけた。 直線的に飛翔するセイアのメットは、ウィドの数cm前で、金色のくもの巣に絡め取られた。 これは・・ライトニング・ウェブ!? 「なっ・・!」 「お前は・・・お前は・・!」 すぐにウィドの真横に滑り込み、絡め取られたメットを引きちぎって、深く被る。 セイアがバスターを向けた先-研究室の天井には、見覚えのある一体のレプリロイドがぶら下がっていた。 蜘蛛のような外見をし、外見通りくもの巣に身を吊るす。 このレプリロイドには見覚えがあった。そして、それは意識するよりも前に、セイアの口から滑り出た。 「ウェブ・スパイダス・・・!?」 セイアがその名を口にすると、スパイダスは感情の籠もらない機械音で笑い声を上げた。 ここで闘うのはマズイ。しかもウィドは戦闘型ではない筈だ。 なんとかして外におびき出さなければ。 「コノ攻撃・・・躱セルカ!?」 兄から聴いたのと同じ台詞を吐いて、スパイダスは再び黄金のくもの巣を放ってきた。 それをサーベルで下から上へ斬り裂いて、すぐに跳躍し、スパイダスに蹴りを入れる。 間近で見たスパイダスの全身は、データに残っているとはなんとなく違っていた。 そう・・まるで強化されたような装甲だ。色彩も何か違う。 「セイア・・!」 「君は非戦闘タイプだ!下がってて!」 駆け寄ってきたウィドを片手で制して、セイアは蹴り落としたスパイダスを、そのまま乱暴に屋外へ殴り飛ばした。 「ここは僕が闘う!」 黄金のくもの巣-ライトニング・ウェブ。 大量の出現する子蜘蛛。 その全てがレプリフォース対戦時とは大きく異なった威力の為、セイアは多少戸惑った。 子蜘蛛をバスターで撃ち落としながら後退すると、 既に背後にしかけられていたライトニング・ウェブに全身を雁字搦めにされた。 「くっ・・・!」 外れない。堅い。 追加装備だろうビーム砲の閃光が、一気にウェブごとセイアの全身を包み込んだ。 しかし、その閃光の中で、セイアは懸命にライトニング・ウェブを引きちぎった。 チャージしたバスターを真っ直ぐに向ける。 「喰らえ!!」 蒼と紅の閃光が、防御のために張られたライトニング・ウェブを貫いて、 スパイダス本体を打ちつける。 今が勝機だ。 セイアは直ぐ様サーベルを引き抜いて、大きく跳躍した。 残像を残す蒼の閃光剣を、一気に振り下ろす! 筈だった。 振り下ろす瞬間、セイアは「うっ・・」と小さく呻いた。 唐突に走った激痛に、サーベルが手の中から落下し、地面で乾いた音を立てる。 全身が痺れたような感覚がする。 まだ怪我が治りきってなかったのか・・。 セイアが見せた一瞬の隙に、スパイダスは「ギギギ」と笑い、 強化されたライトニング・ウェブで、再びセイアを雁字搦めに絡め取った。 「やばい・・・!」 引きちぎろうにも、力が入らない。 今、この状態で攻撃を無防備な箇所に受けたら、幾らこのアーマーでも致命傷だ。 「くっ・・!」 露出したフェイス部分に向かって、スパイダスのビーム砲がチャージされる。 少しずつ光が宿っていく銃口に、セイアの頬を一滴の汗が滑った。 やられる・・・!! その瞬間、目の前で閃光が爆ぜた。 が、爆裂したのは自分の身体では無かった。 状況の把握出来ないセイアの目の前で、グラリとスパイダスの身体が崩れ落ちた。 「だから無茶するなって言ったんだよ。危ない危ない」 「えっ・・・ウィド・・・?」 雁字搦めのまま立ち上がれないでいると、不意にセイアの視界にウィドの顔が滑り込んできた。 片手には一丁のレーザー銃。まだ煙が上がっている。 見るからに高出力のレーザー銃。上がっている煙をフッと吹き消すと、 ウィドはレーザーメスでライトニング・ウェブを切開してくれた。 「君は・・非戦闘タイプじゃ・・」 「誰も一度もそんな事言ってないぜ?ははは」 立ち上がったセイアは、少し複雑そうな表情を作った。 不思議な子だ。ウィドは。 「とっ・・・とりあえず・・ありがとう。また助けてもらって」 「まぁいいってこと・・。それじゃあ・・・また来いよ」 「うん。さようなら。また今度」 アーマーを脱着し、セイアはヒラヒラと手を振ると、少し沈みかけてきている太陽の方向に向かって、 ゆっくりと歩み始めた。 破壊されたスパイダスの身体から、 まるで生命体のように蠢く一体のレプリロイドでもメカニロイドでも無い機体が密かに離脱したことは、 セイアもウィドも知らない。 そうこの時は、セイアにもウィドにも・・・ これが新たなる闘いのほんの前奏曲《プレビュート》だと言うことは知るよしも無かった。 「さて・・強化システムでも作ってるとしようかな。また・・厄介なことと一緒に来そうだし」 ウィドはたった一人、研究室でそう呟いた。 密かに笑みをこぼして。
https://w.atwiki.jp/rockmanzx2ch/pages/103.html
ロックマン・モデルA ロックマン・モデルA 解説 グレイの武装バスターショット通常ショット 一段階チャージ チャージショット(S) 二段階チャージ チャージショット(L) ホーミングショットディフュージョンレーザー アッシュの武装レーザーショット通常ショット 一段階チャージ チャージショット(S) 二段階チャージ チャージショット(L) ホーミングショットコネクションレーザー 特殊能力ギガクラッシュ トランスオン雷属性のトランス 炎属性のトランス 氷属性のトランス 無属性のトランス 解説 属性 無 グレイまたはアッシュがライブメタルモデルAでロックオンした状態。 ダッシュや壁蹴り、チャージショットといったアクションが可能になる。 比較的火力は低いが、他の形態より若干チャージ速度が速いという利点がある。 グレイとアッシュで微妙に性能が異なるが、相違点は各項で別個説明する。 また、ライブメタルゲージ(LMゲージ)はトランスオン各形態を含め全てこのモデルAと共通。 LMゲージ3秒ごとに1メモリずつ回復する。 公式の基本アクションの項に、なぜかライフゲージの色が違うモデルAが存在する。 両者に共通し、チャージショットにロクゼロ時代から待望の声も少なからずあった 「フィニッシュ時の貫通・抉れグラフィック」つまりバスターフィニッシュが搭載された。 グレイの武装 バスターショット 豆、各種チャージ合わせて画面内に3発まで発射可能 通常ショット ダメージ2 ダッシュ中3 球状の弾を画面上に3発まで連射可能。 効果音は同じで音が低め。 一段階チャージ チャージショット(S) ダメージ6 立ち豆の3倍、ダッシュ豆の2倍の威力。 トドメ時に敵を貫通する。 二段チャージまでが短いので狙って使う必要はあまり無い。 二段階チャージ チャージショット(L) ダメージ10 敵を貫通し直進する大きく青いバスターショットを放つ。 ZXバスターのように螺旋状の弾がつくような派手さは無く、 無印やX1のオーソドックスなチャージバスターに近い。 もっと身近な例で言えばロックマン・モデルXのチャージ2段階目やダブルチャージの1発目と同じ。 ホーミングショット サブ攻撃ボタンでサーチが徐々に展開、放すと攻撃。 正面斜め上方から斜め下方までのサーチ範囲に捉えた敵をロックオンする。 ロックすると赤い照準が表示される。 一度に8体までロック可能で、敵の出す破壊可能な弾なども含まれる。 グレイ・アッシュ両者ともホーミングショットを使用するときにライブメタルエネルギーを2消費する。 一度に多くの敵をロックオンすればするほど威力が上がる。 ボスにホーミングショットを使った際の無敵はチャージショットで貫通する。 メイン武器に連動して発射されるのを利用してもいいが、距離によっては上手く行かない。 モデルA使用時にボス戦で一気に攻めたい時に重要。 ディフュージョンレーザー ダメージ7~11 銃口より放たれる拡散するレーザーでロックした敵を一斉同時攻撃する。 弾の速度はアッシュよりやや遅め 俗称レイストーム。 (同名シューティングゲームより。両者共レーザーの演出が似ているため。) アッシュの武装 レーザーショット 豆、各種チャージショットの発射制限がそれぞれで独立している また弾の消失の条件が違うらしく画面外に出ても弾が消滅しないため実質射程が最長 バスター系では最速 通常ショット ダメージ3 細長い楕円形の弾を画面上に2発まで連射可能。 常に3なのでグレイよりも立ち連打時の威力が高い。 一段階チャージ チャージショット(S) ダメージ6 威力は通常の二倍で、敵にトドメを刺した場合貫通する。 二段チャージまでが短いので、意識して使う場面は少ない。 二段階チャージ チャージショット(L) ダメージ8 一撃で倒せる敵を貫通し、壁や天井、床で反射するレーザーショットを放つ。 壁判定があるブロック(輸送列車の壊せるタンク4つ、最終ステージの赤いブロックなど)のヒット判定と同時に壁判定にショットの攻撃判定に当たると貫通しない、反射する。 最初に壁に当たる時は下向き45度の角度で、以降直角に反射する。 斜面に当たった場合などは例外で、45度以外の角度が付く場面も多い。 7回まで反射する(8回目に壁に当たると消える) 通常のレーザーショットと太さが同じため、バスターショットより敵を巻き込み難い。 ゼロ3のリフレクトレーザーと違い、上ボタンを押しても上方向には跳ね返らない ちなみに、ロックマン3に登場した特殊武器「ジェミニレーザー」に酷似した性能である。 ホーミングショット グレイよりサーチ範囲が横に広く(0.5キャラ分ほど)、縦に狭い。 コネクションレーザー ダメージ7~11 ロックした敵を連鎖的に電撃のようなレーザーで攻撃する。 連鎖なので時間差があり多点同時攻撃ではないところがグレイと異なるが、 グレイのものよりも弾速が速いため、 時間差攻撃であることがさほど大きな欠点とはなっていない。 ロックした順番とは逆の順番でヒットする 特殊能力 ギガクラッシュ ダメージ1×10 ライブメタルゲージがMAXの時にのみ、ゲージを全て消費して使用可能。 前作でO.I.S発動に使っていたAボタンを押し続けるとサイトを展開。 展開し切ってからボタンを放すと無敵状態となり、銃を乱射し画面全体に10回の攻撃を行う。 サイト展開中も移動は行え、ダメージを受けても解除されない。 ライブメタルゲージの最大量はアイテムの取得によって増えるが、 再び満タンになるまでの時間が延びるだけで威力は変わらない。 弱点部位にギガクラッシュがヒットすると最初の一発だけダメージ+1、フルヒットは11ダメージしかない グレイとアッシュで威力などの性能に差は無い。 トランスオン ボスを倒して入手したデータを使用し、各ボスに変身(トランスオン)する。 それぞれの形態における能力は各ページで紹介する。 雷属性のトランス ローズパーク テスラット ヘリオス 炎属性のトランス ディアバーン カイゼミーネ アトラス 氷属性のトランス クロノフォス バイフロスト テティス 無属性のトランス アーゴイル コンドロック シャルナク ロックマン・モデルZX ロックマン・モデルa モデルAのアイデアの元になったと思われる「彼」、つまりアクセルには 当初「自身と同等の大きさの者にしか変身(トランス)できない」という設定があったが、 コマンドミッションによりほぼ形骸となった。 あくまで設定のみだが アクセルはこの能力で自己修復する事が可能(Uカプスタッフコメント) モデルAがその特性を受け継いでるかは不明。 ちなみに顔の傷はその特性でも直せない謎の傷という伏線であるとも明言されている。
https://w.atwiki.jp/vip_rockman/pages/40.html
448 :Irregular's Elegy :佐賀暦2006年,2006/11/01(佐賀県職員) 23 10 26.48 ID EVsBXzyI0 「――同じ部屋で良い」 高級感を漂わせる装飾と、機能美を感じる設計をされた広い空間。 中央に女性の裸婦像が置かれたホール。 赤い絨毯を敷き詰めたロビー――森林を抜け、近隣に存在した街のホテルに二人は居た。 カウンターに笑顔で立つ従業員のレプリロイドに、マンドリラーが当然とばかりに言い放った。 時刻は深夜。 訪ねるには非常識な時間だが、宿泊場所は別である。 バレッタで髪を纏めた少女のレプリロイドが、かしこまりましたと答え、端末を操作する。 「同じ部屋って……」 腕を組むマンドリラーの後ろに立つエックスが、彼女の背中に困惑した顔と声を投げた。 「何か問題があるのか?」 横目で少年の顔を受け止める。 マンドリル型の巨大なボディは、玄関付近で鉄色のカーゴに乗せられていた。 丸型な数体の運搬用メカニロイドによって移動されている。 「いや、一応、僕は男なんですけど……。そんでもって、お姉さんは女だし……」 胡乱な瞳を真正面からは受けれず、視線を逸らすエックス。 次に映ったのは、全裸の女性の彫像。 頬を赤らめ視線を引き剥がし、最終的に少年の視界は、真紅の引き物に落ち着いた。 451 :Irregular's Elegy :佐賀暦2006年,2006/11/01(佐賀県職員) 23 11 59.47 ID EVsBXzyI0 「意味が解らん。お前は節約という言葉を知らないようだな」 エックスの言葉に片眉を曲げ、マンドリラーが呆れる。 そこでカウンターの少女が、後ろの棚から鍵を取り出し、客である彼女に手渡した。 「どうも」 「ごっゆくり」 軽い応対を終え、釈然としない顔をするエックスを促し、与えられた部屋に向かった。 「はー、やれやれ」 小さなボストンバックを寝台に投げ、マンドリラーが溜め息をつく。 果物の入ったボウルが置かれた机が居間の窓際に。 その両端に配置される椅子に、どっかりと座り込んだ。 「――何をやってるんだ」 空色をした長袖の首元を緩めながら、玄関でそわそわする少年に声をかける。 「いや……良いのかなぁ、って」 エックスは躊躇しながらも、しかたなく部屋の奥へと足を進める。 「もう2時か……」 マンドリラーは、壁にかけられる時計の針に辟易した。 そして自分のシャツに手をかけると、突然、少年の前で脱ぎだす。 当然、ぎょっとするエックス。 454 :Irregular's Elegy :佐賀暦2006年,2006/11/01(佐賀県職員) 23 14 24.29 ID EVsBXzyI0 酸欠したかのように口を開閉するのを尻目に、腰からベルトを引き抜く。 「疲れたなぁ、もう」 ジーンズのズボンを脱ぎ捨て、ピンクのショーツも引き下ろした。 下半身には何も纏わなくなった。 淡く生えるピンクの恥毛から、エックスは慌てて顔を抑える。 豊かな乳房を覆う下着も剥ぎ取り、一糸纏わぬ女性が居間で完成した。 「シャワー浴びてくる。――何やってんだ、さっきから」 「こ、こ、こっちのセリフです……!」 両目を手で覆い右往左往する少年。 マンドリラーは珍獣でも見たかのような顔をし、風呂場に向かった。 白い足が脱衣所を横切り、浴室のタイルを踏む。 シャワーのノズルを捻って、お湯の奔流を精練された身体に浴びせた。 蛇口から吹き出るシャワーが床を叩く音は、リビングにまで届く。 居間に突っ立つ青き少年は、今度は耳を押さえ、煩悩を制御するよう努めた。 「ありえない」 常識の無い女性に対する呟きを漏らし、彼女の帰還までテレビを観賞している事に決めた。 シャワーは、深夜のバラエティ番組の音で聞こえなくなる。 456 :Irregular's Elegy :佐賀暦2006年,2006/11/01(佐賀県職員) 23 15 52.28 ID EVsBXzyI0 バナナを口にしながら、エックスは椅子に座り、机に肘を突いてくつろいだ。 湯浴みは意外に早く、数十分もしない内に全身に湯気を漂わせるマンドリラーが戻ってきた。 「予想はしてましたけど、ね」 嘆息するエックス。 マンドリラーは肢体にバスタオルこそ巻けど、衣服を着ないまま現れたのだ。 「何だ」 「いえ、なんでも」 疲れに目頭を押さえ、両手を挙げる。降参のようなポーズで出迎えた。 半裸の女は首を傾げながら、髪をもう一つのタオルで乾かす。 「お姉さん……」 急にトーンを落とし、真面目な顔をしたエックスの瞳が、まともにマンドリラーへと向けられた。 「――解ってるよ。私の事だろ」 巻かれたバスタオルを剥がし、髪と同じ色の乳首が載った乳房が零れる。 生まれたままの姿のままベッドに向かい、シーツを纏って寝転んだ。 「私は本をよく読むんだ。――意外かもしれないがな」 少しだけ頬を染め、恥ずかしそうに呟いた。 粗雑な性格と、非常識極まる行動からは、とても想像できない趣味だ。 458 :Irregular's Elegy :佐賀暦2006年,2006/11/01(佐賀県職員) 23 17 48.65 ID EVsBXzyI0 「今の電子化されたのじゃなくて、紙媒体の本が好きだ」 ベッドに投げられたバッグから、大判の本を取り出す。 可愛い絵の載る表紙から察するに、絵本のようだった。 「私の力は大きすぎて、制圧や捕縛向けじゃない。ハンターの頃は、だいたい待機任務だったよ」 絵本をめくり、マンドリラーは苦笑する。 エックスは、彼女とあまり任務をこなしていなかった事を思い出した。 「それで、暇を持て余すのに読書をしてた」 絵本を閉じてバッグに戻す。 「イレギュラーが今回の事件に蜂起した時も、絵本なんか読んでたね」 桃色の長い髪をかき上げ、マンドリラーは過去への光景に目を細める。 エックスは事件という単語に、幻痛を胸の奥で感じた。 「――数日前にアルマージが、採掘場からかなり古びた本を持ってきた」 再び鞄をまさぐり、白い腕は本を掴み取る。 先ほどのそう古くない絵本とは違い、えらく年季の入った本がエックスの視界に現れる。 「内容は、現実にはありえない物でな。――まぁ、ファンタジーに分類される〝小説〟だと……思ってた」 時の流れに沿り、黄ばむ表紙を撫で上げる。 埃や虫ですら出そうな本を、思案顔で見つめるマンドリラー。 その彼女の言葉に、少年は違和感を覚えた。 461 :Irregular's Elegy :佐賀暦2006年,2006/11/01(佐賀県職員) 23 20 52.04 ID EVsBXzyI0 「思ってた?」 「これは小説じゃなくて、日記……いや、調査記録なんだよ」 シーツを抱き寄せ、マンドリラーが視線を窓に移動する。 カーテンを引いてないガラスの戸からは、漆黒の空と、この街の煌びやかな生活光が見える。 「青いレプリロイドが世界を何度も救う……何かの伝説、もしくは誰かの妄想としか考えられないな」 自分の言葉に苦笑しながら、彼女はこの本の見解を述べた。 青いレプリロイド。 話の人物と同じ色であるエックスの顔は、怪訝なものだった。 「事実、そんな世界的な事件は聞いたことも無いし、本部のデータベースにも存在していなかったしな」 マンドリラーは事も無げに言って、話を一旦切る。 寝台の背もたれに寄り掛かり、両手を下腹部の辺りで組んだ。 「隊長は間違っていない」 再開した時には、マンドリラーの話は本の考察から離れ、内容が変わる。 「人間の汚い部分は良く知っている。本を読むだけにな」 またも、胸に痛みが走るエックス。 軍服を着込んだ少女の事を思い出した。 「レプリロイドだけの世界に、私は惹かれた」 「お姉さん……」 ――イレギュラー達の目標。 異端と化した同僚たちの顔が思い浮かび、自分を罵倒する。 462 :Irregular's Elegy :佐賀暦2006年,2006/11/01(佐賀県職員) 23 23 54.64 ID EVsBXzyI0 俯くエックスは、泣き出しそうな顔をした。 膝に置かれ両手に力を込め、涙するのを必死に堪えた。 「安心しろ。敵ではない、そう言ったろ」 マンドリラーは少年に笑いかける。 その言葉で、エックスは幾分安堵した。ほっとした顔を床から上げる。 「私は騙されていた。――クワンガーにな」 笑みが消え、忌々しげな表情。 「採掘場。あそこで、人間と離別した形のレプリロイドの世界を〝建設〟する。――そう聞いていた」 「…………え?」 「オクトパルドが死んで、やっと隊長に〝久しぶりに〟会えた」 聞き覚えの無い話。 少年は困惑し、マンドリラーは話を続ける。 「世界中の人間を虐殺して作り上げる……私はそんな事は聞いていない」 彼女の怒りをたたえた双眸が、虚空を睨む。 合点がいく。確かに彼女は騙されていたのだろう。 エックスはマンドリラーの心情を考えると、居たたまれなくなった。 「それ……で」 「――問い詰めた。結果が、あのワン公がキレて、森で追いかけっこだ」 自嘲する。 結局、彼女の求めた答えは得られなかったのだろう。 寝転ぶ女の態度が、エックスをそう結論付けた。 463 :Irregular's Elegy :佐賀暦2006年,2006/11/01(佐賀県職員) 23 25 35.44 ID EVsBXzyI0 「隊長は……隊長なんだろうか……」 ―――徐々に壊れている。 ライトの言葉が真実味を帯びてくる。 無意識に、隊長、とエックスは心の中で呟いていた。 「話を本に戻そう」 握られた本を揺らす。本当に埃が舞った。 「確かに、隊長の思惑と私のが食い違ったのが、一番の理由だが――」 思慮深げなマンドリラーの瞳が、一世代を超えていそうな本の表紙に移る。 「それを後押ししたのは、この本なんだ」 彼女はいったん躊躇い、そして言葉を吐く。 「これに書かれているのは、事実なんじゃないか……」 「……? どういう、ことでしょう?」 少年は首を傾げる。 「青いレプリロイドが世界を救う」 夢物語の一節を紡ぐ、マンドリラーのピンクの唇。 世界を救う――エックスには願ってもない事だ。 「最後のページだ」 マンドリラーが、触れば分解してしまいそうな本を放り投げる。 エックスは慌てて椅子から立ち上がり、放物線の先を受け取った。 464 :Irregular's Elegy :佐賀暦2006年,2006/11/01(佐賀県職員) 23 28 02.19 ID EVsBXzyI0 彼女に従い、本の最終ページを開いた。 <調査対象DRN.001ロックマン> 「……馬鹿な」 頭をハンマーで殴打された感覚。 少年の口から漏れたのは、事実否定の声。 「お前が普通のレプリロイドでない事は、入隊時から薄々感じてはいた」 自分の名が書かれた本。 空想である筈の、青いレプリロイドが世界を救う物語。 ――自分は一体何者だろうか。 そう考えた所で答えは出ない。 音を立てて回る思考による頭痛だけが、少年に返ってきた。 「妙にハンター本部からの待遇がいい。何故か、隊長やクワンガーが固執する」 完成には程遠いパズルのピースが少しだけはまる。 「そして、特Aだったイレギュラーを三人屠った――その力」 ――その力は、自分が求めたものではない。 愛情を感じていた同僚を破壊し、救えた者は誰一人として居ない。 466 :Irregular's Elegy :佐賀暦2006年,2006/11/01(佐賀県職員) 23 30 51.11 ID EVsBXzyI0 「確信……とはいかないが、伝説のレプリロイドがお前であるとは思っている」 「僕は――」 「――ただの、下らん悪戯かもしれないがな」 マンドリラーの珍しい茶化したような物言い。 沈痛な顔が掻き消え、思わず鼻白むエックス。 「だが、本当にそうなのであれば、この混沌とした世界を救えるだろうな」 彼女は天井を仰ぎ見、何かに希望を見出していた。 「人間はそこまで好きじゃない……しかし、隊長の作戦は間違っている」 決意を宿した顔が、まともにエックスにぶつかる。 本を手にしたまま立つエックス。 その首が縦に振られた。 「私はそれを止める。それが〝部下〟であった私の使命だ」 片手を拳にし、マンドリラーは自分の力を誇示するように、天に力強く向ける。 「お前が伝説のレプリロイドじゃなくても良い」 屈強な態度とは反対に、とても優しげな笑みを浮かべるマンドリラー。 「間違いを正す……ハンターの初歩的な任務――どうする? 受けるか?」 姉のような存在。 差し伸べられた選択肢は、自分が何であるかなどの疑問を二の次にする。 マンドリラーの問いに、エックスは彼女に負けないぐらいの笑顔で応えた。 535 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/11/02(佐賀県教育委員会) 03 09 42.91 ID kIjG+1N10 与えらた一室。 寝台がある居間など、一般的には狭いイメージがあるが、この部屋はその例から漏れる。 ダンスでも踊れそうな広さを持つリビングが、窓から射し込む朝日に照らされる。 「うわぁー」 目覚めたエックスの最初の言葉は、時節の挨拶ではなく、部屋に対する驚愕だった。 気づくのが遅いが、裸になるマンドリラーや驚くべき事実などで、そこまで及ばなかったのだ。 「おはよう……」 「うわぁー!!」 驚愕の次は悲鳴。 理由は隣のベッドから抜け出てくる。 両腕を挙げ背筋を伸ばす裸の女が起床。豊かな乳房が風船の様に揺れた。 腕でシーツを煩わしそうに打ち払い、シミの無い白い肢体がエックスに挨拶する。 「お前は朝からうるさいな」 「――お姉さんが、朝からおかしいんですよ」 ぼりぼりと髪を掻きながら、不愉快げな表情をするマンドリラー。 エックスも気分を害する。 彼女は立ち上がると、その足で部屋の備え付け冷蔵庫に向かい、牛乳が入った瓶を取り出した。 536 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/11/02(佐賀県教育委員会) 03 12 22.39 ID kIjG+1N10 「これも料金の内だよな。――飲むか?」 「いえ」 片手で誘いを断る。 マンドリラーは肩を竦め、乳白色の液体を飲みながら椅子に座った。 「服着てくださいよ」 「何で?」 とても、昨夜に元気付けてくれたレプリロイドと、目の前の非常識の塊が同一人物とは思えない。 朝から痛む頭を振り、エックスはシーツを再び被ると、夢の世界へと旅立った。 「歩いては帰れないものな」 二度寝の終着点は、時計が12を指す昼時。 机に地図を広げ、思案顔をしたマンドリラーが最初に視界に入った。 さすがに服を着ており、黒いシャツに男物のジャケットを羽織っていた。 自分より様になる彼女の服装に、エックスの心情は軽い鬱となった。 「どうにかして足を探さなければ。当てはあるか?」 横に振られる少年の首。 逃走したヘリは何処へやら、どうしたものかとエックスも倣って悩やむ。 顎に手を当て、考え込むマンドリラー。 力強さも、知性も感じるその姿に、エックスは尊敬の意を再認識させられる。 537 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/11/02(佐賀県教育委員会) 03 16 26.11 ID kIjG+1N10 「参ったな。あまり公共の機関を使用したくない」 断続的に地図を指で叩きながら、口を開く彼女は本当に困っているようだ。 昨日の犬型が口にした、処刑部隊というのが気になるのだろう。 自分の危険よりも、大量の人が居る場所で戦いたくない、そんな思いを彼女の横顔から感じ取った。 唐突の来訪者を知らせる音。 部屋の扉が、穏やかにノックされた。 「はい? あ、僕が行きますね」 立ち上がろうとするマンドリラーを手で制し、エックスがベッドから降りて、玄関に向かう。 ニスを塗られた木で出来た、鮮やかな扉に魚眼は無い。 だが、敵が自分の存在を知らせる行動を取るだろうか。 「はーい」 エックスは自分の問いを否定し、とりわけ警戒もせずドアを開けた。 「こ、こんにちは」 入り口の向こうには、腰の低いレプリロイドが揉み手をしながら立つ。 自分の記憶に無く、エックスは訝しげな目で、前に立つ人物の身体を上から下まで眺める。 だが、ガスマスクのようなメットで彼の存在を思い出した。 538 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/11/02(佐賀県教育委員会) 03 20 25.85 ID kIjG+1N10 「――あ。パイロットさんか」 「そ、そうです……! パイロットさんです」 彼は、エックスが追われる身のマンドリラーと出会った際に、搭乗していたヘリの操縦士だった。 置いてきぼりにした、というのでバツが悪いのだろう。操縦士は顔を床に、チラチラとこちらを見てきた。 「どうかしたんですか?」 あの状況では仕方ない――エックスは特に怒りをぶつける積もりも無く、操縦士に疑問を投げた。 怒っていないと気づいたパイロットは、少年に聞こえるぐらい安堵の息をつく。 「いえ、その、エックス様はどうしてるのかなぁ、と逃げ出した手前……気になりまして」 その態度に微笑する少年に、操縦士はここを訪ねた理由を話し出す。 「そしたら、近くのホテルでエックス様のカードが使われてるって、本部から連絡が来たものですから……」 「なるほど。――どうぞ」 自分の居場所が知れた理由に合点がいったエックスは、扉を全開にし、他の話を聞くため部屋に入るよう招く。 操縦士は頭を下げて礼をし、居間へ進む。 「誰だそいつは」 彼を出迎えるもう一人のレプリロイド。 リンゴを齧るマンドリラーが、エックスに尋ねる。 「イ、イレギュラー!?」 彼女の姿を目にしたパイロットの悲鳴は、少年の説明よりも速い。 驚きに飛び上がりながら、腰から無骨な自動拳銃を引き抜いた。 隙無く銃口をマンドリラーの頭部に向ける流れは、腐っても彼がハンターの一人であるのが解った。 539 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/11/02(佐賀県教育委員会) 03 22 25.26 ID kIjG+1N10 「待って下さい! お姉さんは違うんです!」 自分のボディを射線に挟み、エックスは声を張り上げて抗議する。 青の装甲越しに銃を向けらている当のマンドリラーは、緊張感に欠けた欠伸をした。 「ち、違う? スパーク・マンドリラーは、イレギュラーに認定されて……」 エックスの言葉に、操縦士はあたふたと面白いように慌てる。 それに合わせて拳銃の銃口が、海を漂うクラゲのように揺れた。 「違うんです!!」 拳銃を叩き落し、エックスは必死の形相で彼の行動を阻害する。 結局二人のもみ合いは、説明せんと、マンドリラーが口を開くまで続けられた。 「そう、だったのですか……」 穏便に収まる場。 イレギュラーの説明を真に受けるのは、ハンターとしての力量を問われるが、この状況では歓迎すべき事だ。 古書からエックスの名が出たという所だけ省き、マンドリラーは操縦士に全てを打ち明けた。 「混乱させて、すまなかったな」 「いえ、こちらこそ銃なんか向けまして……」 お互いの非を詫びあう二人。それを胸を撫で下ろし、見つめるエックス。 541 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/11/02(佐賀県教育委員会) 03 24 58.47 ID kIjG+1N10 「君はヘリのパイロットらしいな。ここにはヘリで来たか?」 「勿論ですよ。一度他のところで給油してから来ました」 マンドリラーがリンゴを再び齧り、和解したパイロットに尋ねる。 彼は頷き、窓に向け指をさす。 黒い手袋に覆われた人差し指の先に、彼の回転翼機が見える訳ではないが、とりあえず二人は納得する。 「そりゃ良かった。生憎と、本部までの交通機関で悩んでいたんだ」 得心顔のマンドリラー。 用が無くなった地図をたたんで、ジャケットの内ポケットに入れる。 「あぁ、なるほど。お安い御用です。直ぐに、本部へお送りいたしますよ」 彼女の説明を受けたパイロットが、処刑部隊の事を加味し、本部への送迎を快く引き受けた。 お任せくださいと力強く頷くパイロットに、エックスとマンドリラーは顔を見合わせ笑う。 「なら、急ぎましょうか」 パン、と手を打ち合わせ、ヘリの操縦士はいそいそと部屋を後にしようとする。 「昼飯……どうするかな」 その背中で、マンドリラーは己の満たされない腹をさすりながら、ぼそっと呟いた。 それを聞きとがめたエックスが微笑し、彼女の肩を叩く。 544 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/11/02(佐賀県教育委員会) 03 30 18.32 ID kIjG+1N10 「何処かで買って、機内で食べましょうよ」 「ジャンクフードは嫌だからな」 エックスはますます笑みを広げた。 操縦士の腕が扉のノブにかかる。 廊下へと出るドアは押し開かれる前に――部屋へと吹き飛んだ。 蝶番がもぎ取られ、茶色の扉と一緒に宙へ投げ出されるパイロット。 マンドリラーが舌打ちし、エックスが姿勢を低くしながら右腕をバスターに変える。 「な、何だ……お前等……」 圧し掛かる扉をどけながら、ガスマスクのレプリロイドが呻く。 マスクの楕円形の視界に、蹴りを放った体勢の人影が入る。 人影は紫色をしていた。 その後ろに、対極な背丈を持つ二人。 「よぉ、こんな所に隠れてたのかぁ……。えぇ!? ――エックス!!」 「ヴァヴァ……!」 パープルカラーのレプリロイド――VAVAが残忍な笑みを浮かべて、部屋へと踏み出した。
https://w.atwiki.jp/vip_rockman/pages/34.html
3 :Irregular’s Elegy:2006/10/21(土) 17 34 36 「エックス………」 廊下に出ると、待ち受けたのは、白衣を着た小柄な少女だった。 腕を組み、思案顔で壁にもたれかかっていた。 少年の良き理解者――Dr.ライトだ。 「ライト博士……こうやって、顔を合わせるのは、結構久しぶりですね」 どこか無理をする微笑をし、エックスは少女に近づく。 ライトのは疲労と、他の感情か何かで、幼い顔立ちはやつれていた。 自分の顔も同じなんだろうな、と思いながら、少女の隣に立つ。 「あぁ、久しぶりだ。4日……いや、5日ぶりぐらいか」 顎を引きながら、ライトが頷く。 高速道路の事件。そして、イレギュラー事件発覚から、今までの期間はそう長くは無い。 「長く感じるもんだな、一週間も経っていないのか」 年不相応な言葉を紡ぎながら、少女は苦笑する。つられて、エックスも苦い笑みを浮かべた。 「いろいろ、ありましたから………」 その声には、少年の心には、いったいどれほどの感情が篭められているのか。少女には計り知れない。 どんな言葉をかければ良いのだろう。そう自問したが、答えは易々と出ない。 「――そうだな……」 結局、ライトは頷く事しかできなかった。 「また、どこかに飛ぶんだろ? 折角だから、食堂で一緒に食事でもするか」 せめて、その重みを軽くしようと思ったのだろう。エックスを食事に誘う。 少年は蔭のある顔を、頷き、薄く笑う事によって振り払った。 4 :Irregular’s Elegy :2006/10/21(土) 17 36 09 気持ちを軽くさせようとしたライトだが、会話は結局この事件の事になる。 「シグマの事は聞いたんだな…………。ケイン博士と話していたという事は」 ご飯と焼き魚――普通の昼食セットを前に、白衣の少女が口を開いた。 きちんと手を合わせて、食事に取り掛かる。 「君が帰還する前に、私も話をしたんだ。――正直、おどろいたよ」 エックスにも同じ物が配膳され、焼かれた魚に箸を突き入れた。 「まさか、本部があんな事を………」 信じられない、と少女は続ける。 ライトの顔色を伺いながら、エックスは黙って箸を進めた。大きな後悔を顔に映した老人を思い出す。 「シグマが討伐後、受けたカウンセラーの情報を見た」 コップに注がれた水を喉に傾け、小さな口を潤す。 雪のように白い髪をかき上げながら、ライトは呟いた。 「―――徐々に壊れていると、私は推測している。…………結果を見て、そう印象を受けた」 手を止め、顔を料理ではなくエックスに向ける。 緑の瞳は黒の瞳とぶつかった。 「レプリロイドのAIは、人間と同じく、一度バグが起きると致命的な所まで〝堕ちる〟事例がある」 顎をさすり、物憂げな表情を作るライト。 エックスは言葉を介せず、黙って頷いた。 「複雑な機構で〝作られた〟心は、その造型故に、ドミノ倒しのように崩壊する可能性を秘めているんだ」 人気の無い食堂に、暗く沈んだ少女の声だけが小さく通る。 「大きな心の傷というバグは、莫大に繁殖するウィルスのような物…………」 少女のような顔から目を逸らし、ライトの首は虚空に回る。 「彼女が討伐後、そしてイレギュラー事件発足後、そしてアイシー・ペンギーゴに接触した時………」 瞳は遠くへ。 5 :Irregular’s Elegy :2006/10/21(土) 17 38 07 「そして………今現在の奴の心理状態が、当時と同じものだとは思えない」 緑の光は現実へと戻り、再び、エックスに向けられた。 「というと?」 疑問の意を首に宿し、少年は横に傾げる。 「彼女は何の信念もなく、人間を滅ぼす事だけに執着しているのでは無いだろうか」 簡単には受け入れられない事実。 だが、エックスも薄々とは気づいていた。 狂気をみせるイレギュラーに、そしてシグマの態度。 「第17部隊隊長、シグマ。あれほどの指揮官が、途中で自分の考えに少しでも疑問を持たないのはおかしい」 マンドリラーに処刑を命じたと思えば、クワンガーに戦闘の手ほどきを行うよう命令する。 そして、最近ではオクトパルドを使い、自分の元へと向かうよう迎えを出した。 「もしかしたら、もう………」 ライトの憂慮は、杞憂で終わるような、無にもつかない物ではないのだろう。 少女の表情と言葉が、それを裏付けていた。 「――どちらにせよ、僕は隊長の所へ行きます。そうするしか、他にありません」 エックスは、これで話は終わりだ、とばかりに打ち切った。 顔色をほとんど変えず、少女もその言葉に頷いた。 「あぁ、それしかないな。…………奴の居場所については、現在調査中だ。おって連絡する」 「えぇ」 少年の使命――それは世界を救う事。 その結果は誰が喜べるものとなるのか。 救われるのは人間か、レプリロイドか、それともイレギュラーか。 自分という存在と生を捨ててまで、何かに固執したイレギュラーに救いがなければ、なんと悲しい世界のだろう。 6 :Irregular’s Elegy :2006/10/21(土) 17 39 32 異端の哀歌。 銃声と砲撃と怒号で奏でられる協奏曲は、イレギュラーの絶望と狂気で紡がれる。 そして、その曲の終わりには、世界の終わりか、異端の死しかない。 「治療ができない……? どういう事ですか!?」 白い部屋で、中性的な声が響く。 ケインとライトとは違う〝白衣〟を着たレプリロイド達に、エックスは詰め寄った。 医務室、手術室を備えた医療練。手術室の一つに、少年は居た。 詰問する横には、ガラス張りの小部屋があり、そこにベッドが置いてある。 そこに眠るのは赤きレプリロイド――ゼロ。 エックスはライトと別れた後、少女の様子を見に来たのだ。 「電力の問題です。ここ最近、世界全土で電力不足が………」 医師のレプリロイドが重い口を開ける。 「おそらく、イレギュラーが発電所を乗っ取った事が原因でしょう」 隣の医師も言葉を引き継ぎ、前に立つエックスに説明した。 「こればかりは………我々の手には…………」 レプリロイドは、申し訳なさそうに頭を下げた。 「ゼロの調子はどうなんですか……?」 医師の行為を手で制し、エックスは眠りにつく少女の顔を見ながら、容態を問う。 もう一人が首を振った。 「芳しくありませんね。受けた損傷は大きいし、何より傷口から海水が入ってしまっている」 持っていたカルテファイルを揺らしながら、医師のレプリロイドもゼロを見つめる。 7 :Irregular’s Elegy :2006/10/21(土) 17 43 31 「電力を使わない応急的な治療はしているのですが、あまり効果は出ないでしょう」 お手上げだ、という感情が二人の医師から漏れる。 「そう、ですか………」 エックスは二人に礼を言い、足早に手術室を出た。 「確かに……! 飛ぶんだろ、とは言ったよ!!」 吹き荒れる、作り出された風。 本部後部にあるヘリポート。ハチ型ヘリが出発の時を待ち、背中のローターを回す。 「だが、今日だとは知らなかったな!? ………ひゃう!?」 白衣が風によって翻り、ライトは慌てて裾を押さえた。 前方を青いボディがヘリに向かって歩く。その後ろに続く少女。 身体と同じ色の空が、二人の真上に広がっていた。 「ゼロが危ないんです」 少年は後ろを振り向き、自らが戦地に向かう理由を教える。 「あぁ、そうらしいな! 本当にお前は忙しい奴だ!!」 ローター音と、耳を掠める風音がうるさい。故に少女の声は、大きなものになる。 エックスはヘリに乗り込み、少女が機体の横に立つ。 「気をつけろよ。お前はいつだって、優しいやつだ」 決意を宿した顔を横から覗き込み、囁くライト。 8 :Irregular’s Elegy :2006/10/21(土) 17 46 54 「それが、仇となる時がある。――仲間が敵だと解ったら…………もう躊躇うな」 青い肩を優しく叩き、見送る。 できれば一緒に行きたいのだが、邪魔と言う名の役にたつだろう。 「新調した無線だ。あと、オペレーターの性格も人間味があるように再設定したよ」 取り付ける型の黒い通信機を渡し、最後にライトはニヤリと笑ってみせる。 気付けの言葉にエックスも微笑んだ。 「無事だけを祈る。またな、ロック」 もう一つ、ピンクのハンカチーフで包まれた箱を渡し、ヘリの操縦者に手を振る。 操縦の命を司ったレプリロイドは頷き、操縦桿を引き下げた。 エックスが箱の内容を聞く前に、ライトに背中を向けられ、乗り込んだヘリも上昇する。 結局、基地が小さく見える所まで上昇した際に、その箱を開けた。 中には、紙片に可愛いらしい文字で〝夕飯だ〟と表記された――お弁当だった。 115 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 06 26 36.01 ID Gs1tqUN70 「ルート42進行中。問題無し」 『――本部了解。発電所までの航路を維持せよ』 目下に広がるのは、何時ぞやの大森林。 緑の絨毯が広がる平地を5つの黒い影が突き進む。 エックスを乗せたハチ型ヘリ等は、問題の発電所に向かっていた。 アイシー・ペンギーゴとの戦闘後に通過した森を青き少年は、無感情に眺めていた。 そこでカメリーオとマンドリラーに奇襲される。 発電所を占拠し、国家的被害を引き起こしたのは片割れのイレギュラーだろう。 エックスはこれから起こる戦闘に、嘆息した。 「ルート43進行中」 斜陽が全ての光景を赤に。 早朝に本部に付き、昼過ぎに出発した少年が飛ぶ空は、西に沈みつつある日によって染められていた。 夕日を眩しそうに目を細めながら、鉄の座台に深く腰掛けるエックス。 「夜までには、発電所に着くかと思いますがね」 随時本部に進行状況を連絡する操縦者が、後ろを振り返って言い放つ。 エックスはそれに頷き反し、直ぐに夕方の森へ視線を戻した。 116 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 06 28 59.62 ID Gs1tqUN70 「ルート47進行中」 『了解。航路を維持せよ』 ライトは何を夕食にしているのだろうか――そんな事を弁当を開きながら、エックスは考える。 蓋を開けると、半分をご飯で満たした普通のメニューだった。 「愛妻弁当ですか?」 操縦士がからかうでもなく、単なる疑問か世間話として投げてくる。 「いえ、餞別……かな」 歯切れ悪く言い、料理に手を合わせて箸を持つ。 本部にいる夕飯の作成者に感謝し、エックスは取り掛かった。 「ルート48進行中。特に問題は――何だ?」 状況報告を単調に続けたパイロットが、初めて怪訝な声をあげる。 『どうした? 1号機。何か問題でも』 操縦桿の横に備われた無線から疑問が放たれ、エックスも玉子焼きを掴む箸を止めた。 「高速で移動している熱源を確認したんだ。――誰かが追われて……いるのか?」 言葉尻をあやふやに、パイロットは森林の異変を告げた。 エックスが機体の両横に空いているハッチから身を乗り出す。 赤い木々の間。 操縦者の言葉通り、確かに大柄な影が複数の何者かに追跡されていた。 118 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 06 32 47.66 ID Gs1tqUN70 二つの小さな青の炎を吐き出しながら、森林を疾走する巨大な影。 ブースターで移動するライドアーマーの群れだった。 それが大きな人影を追い詰める。 もっとよく見ようと更に身体を傾けるエックス――彼の頭部を紫電の放流が掠める。 目を見開き驚愕するエックスの視線が、桃色の電撃の先を見、そして発せられた森に移る。 「クソっ!? 何だ今のは!!」 罵声を放つパイロットによってハチ型のヘリは大きく傾く。 下方から電撃が連続して放たれる。 こちらを狙っているのかと思ったが、森林に吹き荒れる爆発からそうではないようだ。 腕が電糸に毟り取られ、ライドアーマーの一つが吹き飛ぶ。 ライドアーマー達が、連続する電撃の合間を縫いながらブーストする。 またも巨体が雷の洗礼を受け、軽く宙に浮いて爆発する。散乱した破片が木々を焦がした。 電流の球体や滝が次々に吐き出される――その最中。 ピンクの明滅によって、大柄な逃亡者の姿がやっと露になった。 「マンドリラーのお姉さん!?」 逃亡者の名をエックスが叫ぶ。 今、彼女の元に向かっていた少年に、予期せぬ状況でマンドリル型の女性が現れた。 突然の登場に白黒する間もライドアーマーが倒れ伏す。 119 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 06 35 28.49 ID Gs1tqUN70 「スパーク・マンドリラー? 奴はイレギュラーだろう。どうして、敵が敵に追われているんだ」 エックスの言葉にパイロットが困惑して、ヘリを揺らす。 黄色でペイントされた機体は、前進する戦闘現場から離れるつもりのようだ。 爆裂する紫電。粉砕される森と大地――そして敵。 エレクトリックスパークを受けた土木作業用の機械が、巨体の胸に大穴を空けられ四散する。 夕暮れの森は爆発と騒音に溢れかえっていた。 「逃げるが勝ちって言葉は、レプリロイドの辞書にも載ってるんだぜ」 「待ってください。僕、降ります」 ガスマスクのようなメットの操縦者の肩に手を置き、エックスは逃走に待ったをかけた。 追跡劇の意味は解らないが、とにかく状況を確認しよう。そんな思いが少年の胸裏に生まれる。 「俺はここで死ぬような器じゃな――え?」 ぶつぶつと呟くパイロットが独白を止め、後ろの信じられない言葉を吐く人物に振り返る。 「降ります。ちょっと高度を下げてください」 青き少年は、真面目に言ってるとばかりに頷いた。 「あぁ、戦争時の冗談ですか。俺だって知ってます。昨日やってた映画で――」 下から響く轟音をBGMに、パイロットの方が冗談と取れる発言をして場を濁す。 エックスはそんな彼に眉根を寄せた。 「何言ってるんですか。早く高度を下げてください」 溜め息をつき、顎で降下を促す。 爆音は激しくなり、とうとう火柱も上がった。 120 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 06 38 06.84 ID Gs1tqUN70 「冗談じゃ――」 尚もしぶる操縦者に呆れ、エックスは蹴りを放ち、操縦桿にブーツの裏を叩き込む。 「うおおおおおおおお!?」 機体が激しく揺れ、一瞬の重力異常。少年の身体が少しだけ浮き上がった。 ハチ型ヘリはエックスの意思通りに急降下する。 「それじゃ、行ってきます」 木々の高さと同じぐらいまで降りる機体。 挨拶するエックスはハッチの淵に指をかけ、着地場所を見極めた。 戦闘場所から数十メートルという所で、その身を空へと投げ出す。 「おおおおお!? い、行ってらっしゃいませぇぇええぇ!! 畜生ぉおぉ!!」 その背中を、機体を安定させようと奮闘するパイロットの罵声が叩いた。 飛び降りるエックス。 真下の木の幹に片足を突き出す。 木片を散らし、煙をあげて降下速度を緩める。 大木を滑るようにして、地面に着地。 むっとした青臭い匂いと薄暗い緑の光景が、視界と鼻腔に飛び込んできた。 爆発音は止まない。右辺から響く戦闘の証。 同僚だった女性の事を思い、エックスは緑色の世界を駆け出す。 122 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 06 42 35.56 ID Gs1tqUN70 すぐに彼女等は見つかった。 移動しながらの攻防を繰り広げる、マンドリラーと数体の巨体な影。 「お姉さん!!」 エックスが先行する大きなレプリロイドに大声をかける。 「……お前は!? ――しつこいぞ!!」 丸いマンドリルの瞳が驚きを帯びるが、右手から急襲したライドアーマーに電撃を浴びせる余裕はあった。 「単刀直入に聞きます。どうしたんですか!?」 バスターで援護射撃しながら、エックスは足を止める彼女に近づく。 頭部部分が操縦席の巨体。 そこに座るアーマーソルジャーの頭部を、ばら撒かれたエネルギー弾が貫通した。 「忙しいから後でいいか!! いいな!?」 両手に桃色に光る電撃を溜め、周囲へ一気に放つ。 エレクトリックスパークの嵐が、ブーストで迫り来る敵と森を席巻する。 三体のライドアーマーが消し炭になり、操縦者も同じ運命を辿って絶命した。 「いいですよ!! でも、これだけ聞かせて下さい!!」 ライドアーマーは、遠距離武器が無いのが弱みである。 声を張り上げながらエックスは射撃し続け、間合いを詰める敵を攻撃。 「――敵ですか?」 少年の言葉には悲哀。 バスターを撃ちながらも痛切な瞳が、横に立つ女性のメット部分に向けられた。 123 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 06 46 13.07 ID Gs1tqUN70 その思いに飲まれたのか、マンドリラーの一瞬の逡巡。 「違うよ……多分な。――しつこい、と言っただろう!!」 腕から電流の唸りを放つ彼女の曖昧模糊な言葉。 しかし、エックスには充分だった。 優しさを感じさせる笑みを浮かべ、マンドリラーを果敢に援護する。 ライドアーマーは一撃も見舞う事無く、数を減らし続けた。 「随分と手間をかけさせてくれる……」 突如響き渡る、鋭い声。 凶悪な圧迫感を纏った存在が、二人の前に木々の間から悠然と現れる。 大型の犬――そうエックスの目には映った。 マンドリラーが荒々しく舌打ちし、両手を構えて身構えた。 「私が、自ら手を下した方が得策か」 とことこと前に進む紫紺のボディ。 二人の敵意に満ちた視線を、牙を剥き出しにしたメットが打ち払う。 四足のレプリロイド。エックスの記憶には無かった。 間合いを大きく作るのか、途中で歩みを止め、犬型がぱっと立ち上がる。 ――眩い光。 瞬きほどの光の放射から、仁王立ちする少女が出現する。 124 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 06 50 04.71 ID Gs1tqUN70 犬を模したメットは帽子のように上げられ、パープルカラーの頭髪が肩まで垂れる。 女と少女の中間に位置する、綺麗に整えられた顔が晒された。 「あんたが、わざわざ出張るとはな……」 狩猟を行う犬の瞳――緑の視線が、両腕に電撃を纏うマンドリラーに向けられる。 エックスは訳がわからず目前に立つ少女を見つめた。 全身だった彼女の装甲は肩と手足に留まり、小ぶりの胸元に布の帯を何重にも巻いた装い。 下半身にはベルトとショーツで構成された衣類――ガーダーベルトを身に着ける。 どちらかと言えば幼い目鼻立ちに、その服装は倒錯感を少年に与えた。 「こうなるのは予定外だが――」 彼女が鼻面を獣のように寄せ、こちらも戦闘態勢を取る。 マンドリラーはいよいよ緊張し、エックスもそれに合わせてバスターの銃口を向けた。 「わふっ! ――スパーク・マンドリラー。シグマ様に叛旗を翻したその罪――」 またも光り、濃厚色の装甲に身を包んだ猟犬の姿を再現。 「死で償ってもらおう」 前足から爪が飛び出し、大きな影が獲物に飛び掛った。 303 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 20 50 03.77 ID Gs1tqUN70 紫紺の身体が疾風となる。 その速度は、対峙していた間合いなど意味をなさない。 マンドリラーの太い首筋に、鋭く生えた牙が喰らいつかんとした。 左右に跳ぶ二人。 大きく空いた空間を犬型の前足が粉砕する。散らばる土塊。 エックスは跳び下がりながら、エネルギー弾を連続して放つ。 猟犬はその場で回転。 数十に列を成すエネルギーは、旋回するボディに弾かれ跳弾した。 鋭角に吹き飛ぶ銃弾が、木々に撃ち込まれるなどして周囲を貫いた。 「馬鹿が。よく考えて戦え」 慌てて伏せ、それを避けるエックスと、罵声を吐いて両腕で弾くマンドリラー。 防御と回避を同時に行った猟犬が、旋回の速度をそのままに、悲鳴をあげる少年に突進する。 矢のように飛び込む犬型。 前方から銃撃が、後方から網のような電撃が迫るが、器用に宙で回転して避ける。 「わふっ!」 嘲りを牙が乱立する口元に――犬型はエックスの顎に回転する前足を叩き込んだ。 打ち払われ、ボールのように身を投げ出す青いボディ。 308 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 20 53 06.08 ID Gs1tqUN70 少年の身体が地面に激突するよりも速く、猟犬はマンドリラーに接敵する。 マンドリルの太い腕が振るわれ、紫紺色の犬に雷の嵐が降り注ぐ。 津波のような電撃を放つ異端。 しかし――その一本、一本の電糸の隙間を、地面を跳ね続けて避ける異端も存在した。 エレクトリックスパークの牽制は無に還り、猟犬の接近を許す。 「死ね」 目と鼻の先で死の宣告を送り、今度こそ首元に牙を向けた。 が、何を思ったのか攻撃を中止し、素早く後退した。 犬型のメットを光弾が掠める。 「解せんな、マンドリラー」 空中で回転する身体。 器用に四足で着地し、犬型が言葉をかける。 「何がだ」 マンドリラーは返答しながら電撃を放ち、猟犬を遠ざけようとした。 桃色の電流が空を焼き、付近の地面を粉々にする。 彼女の思惑通り、紫紺の身体は回避に専念し、間合いを大きく取らざる負えなくなった。 「シグマ様、クワンガー……その少年に何かを期待しているようだが、私には何も感じない」 首を少しだけ捻り、猟犬は地面を所在無く引っ掻いた。 エックスは顔に困惑の色を広げ、バスターを構えたまま行動を起こさない。 309 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 20 55 23.12 ID Gs1tqUN70 しかし一人頷くと、右腕のバスターをチャージする。 後ろ足で地面を蹴り、凄まじい力が猟犬を空へと飛ばす。 その足元を撫でるように、溜められたチャージショットが通過した。 「わふっ! シグマ様の命だからこそ、この反乱分子に牙を剥かないが、私は納得する事が出来ない」 マンドリラーは何も答えず沈黙する。 着地する猟犬は疑問を吐露するのを続けた。 「マンドリラー、貴様も何かを期待している。何故だ――私には理解できない」 沈黙は継続する。 夕日は既に落ち、辺りは暗闇に満ちてきた。夜虫がこの状況に関せず、思い思いに鳴きだす。 「最強たるシグマ様の部隊に歯向かってまで、期待すべき事なのか」 ひらりと身を捻る猟犬の足元に、電気の槍が突き刺さる。 語る最中での不意打ちも、彼女には意味が無いようだ。 「お前には理解できんよ。――命令に従う事しか出来ない、お前には」 更に間合いを広げた犬型に、マンドリラーは馬鹿にするでもなく、どこか哀れそうに言った。 沈黙。 マンドリラーと紫紺の犬が黙り、虫も鳴き止む。 何を言っているのか解らないエックスも、事の進行を黙って見守った。 312 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 20 58 32.11 ID Gs1tqUN70 「……承知した」 事件の首謀者に仕える狗は、一体その言葉を受け何を思ったか。 エックスとマンドリラーには解る筈もなく、猟犬自身のAIで自己完結する。 そして短く返答し、再び闘いに挑む。 唸りをあげる四つの獣足。 マンドリラーは、エレクトリックスパークを地面に叩きつけ、爆裂と紫電の煙幕を作り出す。 「わふっ!」 「おおおおおおっ!!」 犬型が中空でボディを前回転させる。 白とピンクの帳から巨大な両腕を死角から突き出し、掴みかかるマンドリラー。 電撃を纏った二つの丸太腕と、回転刃となった身体が激突する。 闇の森を、散らばる火花が黄色く彩る。 数瞬の拮抗の後、両者は磁石の両極のように離れた。 「その巨体――伊達では無いらしいな」 「お互いな」 賛美とは取れない皮肉の応酬。 狗の皮肉に注ぐ光弾の雨。 エックスのショットが五月雨のように撃たれ、猟犬の周囲に着弾する。 だが光の雨も、紫紺のレプリロイドの機動力には敵わず、虚しく自然を打ち壊しただけに止まった。 315 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 21 01 25.03 ID Gs1tqUN70 ちらりと犬型は少年に獣の瞳を向け、素早くマンドリラーに直る。 「どうやら、無傷で倒すのは難しいらしい」 互いの力量を見極めた上での判断。 「分が悪い。ここは退かせて貰おうか」 数ある選択肢の中で、裏切り者を狩る猟犬は撤退を選んだ。 マンドリラーが腕を降ろし、攻撃の体勢を解いた。 しかしメットの瞳は、未だ警戒と敵意を宿している。 「だが反逆者、スパーク・マンドリラー。命永らえると思わぬことだ」 森へと踵を返す犬型が振り向き、辛辣な言葉を吐いた。 「直ぐに、貴様を御しやすい処刑部隊を編成する」 全身を震わせるエックス。 嫌な想像――無惨に破壊されるマンドリラーの姿が脳裏に広がる。 腕を組む当の本人は、鼻を鳴らしただけで取り合わない。 「わおんっ! 別れは早いうちに済ませておけ」 一声唸り、疾風となる猟犬は二人の前から掻き消えた。 「大きなお世話だ、いぬっころ」 マンドリラーの啖呵が森の奥へと放たれ、鈴虫の声と同じく拡散した。 319 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 21 03 57.36 ID Gs1tqUN70 猟犬が去り、場の空気が弛緩する。 エックスは力尽きたように膝をついた。 「助けられたな」 『援護に感謝いたします』 開閉される胸部の装甲。漏れた女の声と電子音声。 マンドリル型のボディから、桃色の髪をした女性が現れた。 白い指を持つ両手に、操縦桿が握られている。 少年が困った顔をする。 「僕、あんまり援護できませんでした」 「いや、助かったよ」 エックスの憂慮を払拭するように、口元に薄い笑みを浮かべたマンドリラー。 「僕は……。いえ、それよりもお姉さん……どうして――」 上空から今まで培ってきた疑問を、ぶつけようとする。 しかし、それはマンドリラーの背伸びと、艶のかかった声によって阻害された。 「あー、疲れたぞ。話は腰を落ち着ける所ででも良いか?」 「そう……ですね。うん。――えぇ、構いません」 自分にも重く圧し掛かる疲労に、エックスは彼女の提案に同意した。 321 :Irregular's Elegy:佐賀暦2006年,2006/10/30(佐賀県民) 21 07 19.39 ID Gs1tqUN70 何処で話すか。 マンドリラーに背中を向け、考え込む。 ハンター本部が最適なのだろうと考えていた所で、自分が何でやって来たかを思い出す。 ハチ型のフォルム、冗談を言うパイロット。 「あ、ヘリ」 二人の空には、無限の数を持つ星達と、白く綺麗な月。 ――5機のヘリコプターは影も形も無かった。 「………………僕ね。乗り物とか、女性に恵まれた事無いんです」 暗く沈んだ顔を振り向け、人生の不満をぶつけてみるエックス。 「………………そうかい」 『同情いたします』 対する応えは、どちらも冷たかった。
https://w.atwiki.jp/3dspxz/pages/22.html
参戦作品解説 3社に及ぶ多数のシリーズがクロスオーバーするプロジェクトクロスゾーン。 その全てを網羅している人は少なく、そんな「PXZに興味があって登場作品の事を簡潔に知りたい」という人のための解説ページ。 各作品のネタバレを含む項目もあるので閲覧の際はご注意下さい。 カプコンバイオハザードシリーズ デビルメイクライシリーズ ヴァンパイアシリーズ ストリートファイターシリーズ ロックマンXシリーズ ロックマンDASHシリーズ デッドライジングシリーズ 魔界村シリーズ サイバーボッツ ジャスティス学園シリーズ セガ戦場のヴァルキュリア3 サクラ大戦シリーズ バーチャファイターシリーズ シャイニング・フォース イクサ スペースチャンネル5シリーズ エンド オブ エタニティ ダイナマイト刑事シリーズ ゾンビリベンジ ファイティングバイパーズシリーズ バンダイナムコテイルズ オブ ヴェスペリア 鉄拳シリーズ .hackシリーズ ゼノサーガシリーズ スーパーロボット大戦OGシリーズ ゴッドイーターシリーズ ワルキューレの冒険シリーズ 無限のフロンティアシリーズ ナムコクロスカプコン ゆめりあ PXZオリジナル カプコン バイオハザードシリーズ デビルメイクライシリーズ ヴァンパイアシリーズ ストリートファイターシリーズ ロックマンXシリーズ ロックマンDASHシリーズ デッドライジングシリーズ 魔界村シリーズ サイバーボッツ ジャスティス学園シリーズ セガ 戦場のヴァルキュリア3 サクラ大戦シリーズ バーチャファイターシリーズ シャイニング・フォース イクサ スペースチャンネル5シリーズ エンド オブ エタニティ ダイナマイト刑事シリーズ ゾンビリベンジ ファイティングバイパーズシリーズ バンダイナムコ テイルズ オブ ヴェスペリア 鉄拳シリーズ .hackシリーズ ゼノサーガシリーズ スーパーロボット大戦OGシリーズ ゴッドイーターシリーズ ワルキューレの冒険シリーズ 無限のフロンティアシリーズ ナムコクロスカプコン ゆめりあ PXZオリジナル
https://w.atwiki.jp/comic8/pages/4449.html
ロックマン8をお気に入りに追加 情報1課 <ロックマン8> #bf 外部リンク課 <ロックマン8> ウィキペディア(Wikipedia) - ロックマン8 Amazon.co.jp ウィジェット 保存課 <ロックマン8> 使い方 サイト名 URL 情報2課 <ロックマン8> #blogsearch2 成分解析課 <ロックマン8> ロックマン8の99%は海水で出来ています。ロックマン8の1%は回路で出来ています。 報道課 <ロックマン8> 「CAPCOM Pro Tour 2021」フランス&スペイン&ポルトガル大会2は12月5日(日)AM0 25より! アジア-東大会2結果発表 - PR TIMES 「自分を救うのは…自分だけ」不退転の漢、天開司が見せる心意気【バーチャルタレント名鑑】(インサイド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 140以上のアニメ作品が無料公開となる「YouTube Anime Weekend」が開催!「ONE PIECE エピソードオブ東の海」をはじめ劇場作品なども(IGN JAPAN) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『ロックマンX DiVE』 ロックマン.EXE(サイトスタイル)&ロール.EXEが新登場!3種のロックマン エグゼ カプセルを開催! - PR TIMES 鷹岬諒「ロックマン」単行本未収録作品が1冊に、100ページを超える描き下ろしも - コミックナタリー 【TEPPEN】新カードセット「Mission of Ruin」実装! - PR TIMES 「三国志ロワイヤル」,8周年を記念したイベントやキャンペーンが開催 - 4Gamer.net 『ロックマンX DiVE』 ハロウィン仕様のロール&シグマが初登場!ハロウィンイベント開催!! - PR TIMES 『ロックマンエグゼ』シリーズはなぜ面白かったのか? 20周年を迎えた今、「難しいゲーム」という『ロックマン』のイメージを塗り替えた偉大な名作を振り返る(電ファミニコゲーマー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『ロックマンX DiVE』 まもなく正式サービス1周年!アニバーサリーイベント&キャンペーンを実施! - PR TIMES 「ロックマン」を体感ゲームとして開発できるプログラミングキットを展示 - 窓の杜 ファミコン『ロックマン3 Dr.ワイリーの最期!?』が発売31周年、即死ギミックだけじゃない“処理落ち”の難敵 - ふたまん+ 『モンハンライズ』ロックマンコラボイベ配信開始!『サンブレイク』発表を記念したアイテムパックも - Game*Spark 『ロックマンX DiVE』“リュウ”、“春麗”が参戦決定!『ストリートファイターV』コラボは本日(9/22)より開催 | スマホゲーム情報ならファミ通App - ファミ通App 『ロックマンX』新作が半年でオワコン化!? 課金システムでゲームバランス崩壊… - まいじつ 『モンハンライズ』のガルクが『ロックマン11』のラッシュに! オトモガルクの重ね着装備が手に入るイベントクエストが9月24日より配信 - ファミ通.com 『ロックマンX DiVE』 「流星のロックマン」カプセル&イベントステージ開催! - PR TIMES 名作ゲームに潜む「隠れダジャレ」たち 大人になった今見るとジワる!(マグミクス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース カプコン、『ロックマンX DiVE』で浴衣姿のレヴィアタン初登場! 「2021納涼!夜森に灯る祭提灯 納涼のレヴィアタン」カプセル開催 | gamebiz - SocialGameInfo 『ロックマンX DiVE』 浴衣姿のレヴィアタン初登場!「2021納涼!夜森に灯る祭提灯 納涼のレヴィアタン」カプセル開催! - PR TIMES モトロックマンがストリートライダーのためのファッションブランド「ride rich」の取り扱いをスタート - バイクブロス ニュース 『ロックマンX』より、「セカンドアーマー」「マックスアーマー」プラモデルが、あみあみ限定購入特典付きで予約受付中!! - PR TIMES 『ロックマンX DiVE』 オリジナルポーチが当たる「夏休み!!自由研究キャンペーン」第2弾開催! - PR TIMES 「auスマートパスプレミアム クラシックゲーム」にロックマンメガワールドなど2作品が追加 - 4Gamer.net 「RTA in Japan Summer 2021」が開幕。『SEKIRO』『デスクリムゾン』『CUPHEAD』『リングフィットアドベンチャー』『ドラクエ8』の名前も(電ファミニコゲーマー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『ロックマンX DiVE』 ゲーミングPC・デバイスブランド「Legion」とコラボレーション決定! - PR TIMES 映画『フリー・ガイ』が名作ゲームにインスパイアされたポスターを公開 ネタ元に「どうぶつの森」やGTA、マイクラなど - IGN JAPAN 『ロックマンX DiVE』 「スーパーフォルテ」がプレイアブルで登場!!DiVEフェス開催! - PR TIMES 「メダロットS」×「ロックマンエグゼ」シリーズのコラボが8月5日に開始。ロックマンなどをモチーフにしたメダロットが登場 - 4Gamer.net 『ロックマンX』ゼロとエックス(セカンドアーマー)のプラモデルがAnimoにて予約販売開始! - ファミ通.com 『ロックマンX DiVE』 水着姿のフェラムとトロンが参戦!「DiVEサマーフェス2021」カプセル開催! - PR TIMES 『ロックマン』シリーズや『大神』、『ドラゴンズドグマ』などカプコンタイトルが最大87%オフ。PSストアとニンテンドーeショップで“CAPCOM SUMMER SALE -July- が開催! | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com - ファミ通.com 『モンスターハンターポータブル 2nd G』や『ロックマンDASH 鋼の冒険心』などカプコンのDL版PSPタイトルが500円に価格改定 - IGN JAPAN 『ロックマンX』“エックス”の1/12スケールフィギュアが再販。エックスバスターなどの差し替えパーツが付属 - ファミ通.com メガドライブ「ロックマン メガワールド」の北米版が互換カートリッジで初の物理化。処理落ちの改善も - 4Gamer.net ボイスコミック『ロックマンエグゼ』20周年新装版重版記念スペシャル動画 続々公開! - uzurea.net Netflixオリジナルアニメシリーズ『バイオハザード:インフィニット ダークネス』7月8日(木)、全世界独占配信決定!! - PR TIMES 『ロックマンX DiVE』で『ベビースター』とのスペシャルコラボイベントが開催決定! - PR TIMES ダッシュやチャージバスターも再現可能!『ロックマンX』エックスのプラモデルがコトブキヤより再販! - 電撃ホビーウェブ 『ロックマンX DiVE』ハーフアニバーサリー記念。これから始めるプレイヤー必見のお得なキャンペーンや、初心者向け攻略をお届け! - ファミ通.com 「ロックマン」や「メガドライブ」とのコラボマスクや2way刺繍ワッペンなどが「GRAPHT GAMING LIFE」より販売中 - GAME Watch 「ロックマンX DiVE」オリジナルキャラ“渾然たるアイリス”が登場 - 4Gamer.net 「ロックマン」や「デビル メイ クライ」シリーズなど,カプコンのPS4/Switch/3DS用DLソフトが対象のGWセールがスタート - 4Gamer.net 『ロックマンエグゼ』シリーズ生誕20年を記念して、全281曲収録のサウンドBOXが各種音楽配信サイトで配信開始。カプチューンの1stアルバムもリリース - ファミ通.com 鷹岬諒 『新装版 ロックマンエグゼ 全8巻』 重版決定!連載開始20周年 - uzurea.net 「ロックマンX DiVE」のノーダメージクリアキャンペーンに「エグゼ」のキャラで挑戦。勝利のカギはビッグストレートとフミコミザン? - 4Gamer.net 「ロックマンX DiVE」の公式LINEスタンプが登場。エックスやオリジナルキャラのリコ,ヴィラら全40種類を収録 - 4Gamer.net 『ロックマンX DiVE』 本郷奏多に続け!?ノーミスクリアチャレンジで「オリジナルワイヤレス充電器」をもらおう! - PR TIMES 「GRAPHT GAMING LIFE」×「モンハンライズ」、ハイクオリティ刺繍ワッペンを3月26日に発売! - GAME Watch 「ロックマンエグゼ」20周年記念企画。直撃世代の筆者が,思い出と共に全ナンバリング作品を振り返る - 4Gamer.net 「ロックマンX DiVE」,最大150連無料で引ける“アジア版1周年記念”ラッキーカプセルが開催 - 4Gamer.net 3月3日(水)よる8時から『モンスターハンターライズ』『帰ってきた 魔界村』『カプコンアーケードスタジアム』などを紹介! - PR TIMES 「ロックマンX DiVE」でROG Phone 3などが当たる“ユーザー全員対象!大抽選会!”を実施 - 4Gamer.net 【ロックマン】好きなナンバリング作品TOP10が決定 名作と名高い「ロックマン2 Dr.ワイリーの謎」が第1位!【2021年最新投票結果】(1/2) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 『ロックマンX』風ローグライトACT『30XX』は前作から正統進化!新要素「メガモード」で初心者も安心【爆速プレイレポ】 - Game*Spark 『ロックマンX DiVE』 パティシエ姿のアイリス&シエル登場!「どきどきバレンタインカプセル」開催! - PR TIMES ニンジャ×ロックマン×ドラキュラな2D高難易度アクション『CYBER SHADOW』レビュー - IGN JAPAN 「ロックマンX DiVE」にSクラスキャラ“アブソリュートゼロ”が登場 - 4Gamer.net 「ロックマン」に「ストリートファイター」 「RETRO STATION」10タイトルが遊べる - J-CASTニュース 「ロックマンX DiVE」に“マグマード・ドラグーン”が本日参戦 - 4Gamer.net 『ロックマンエグゼ ファントムオブネットワーク』非公式リメイク開発中止、権利者の求めに応じる。携帯アプリ限定配信だった幻の『エグゼ』外伝 - AUTOMATON 「ロックマン」シリーズと「ストリートファイター」シリーズから人気タイトルを収録した新型ゲーム機「RETRO STATION」が予約開始! - PR TIMES 「ロックマン」33周年を記念してギャグコミック化プロジェクトが始動 - 4Gamer.net 『ロックマン』が発売された日。カプコンを代表する人気アクションゲームシリーズ【今日は何の日?】 - ファミ通.com 『ロックマンX DiVE』 『バトルネットワーク ロックマン エグゼ』イベント&カプセル開始!! - PR TIMES カプコンから8インチ画面一体ゲーム機? 『レトロステーション』がAmazonに掲載 - Engadget 日本版 11月4日(水)よる8時から『モンスターハンターライズ』『ロックマンX DiVE』ほかを紹介 - PR TIMES 懐かしの「ロックマンX」の世界がスマートフォンで蘇る!「ロックマンX DiVE」ファーストインプレッション - GAME Watch 10月21日(水)よる8時から『モンスターハンターワールド:アイスボーン』『ロックマンX DiVE』『バイオハザード7 レジデント イービル』を紹介! - PR TIMES スマホ用「ロックマンX DiVE」2020年秋に配信決定 - GAME Watch ロックバスター装着! 「ロックマンVR 狙われたバーチャルワールド!!」体験レポート - GAME Watch 開発スタッフに聞いた『ロックマンエグゼ』製作秘話。次回作の可能性は...... - テレビ東京 【明日配信終了!】ゲームアーカイブス版『ロックマン8』、『ロックマンX4』、『ロックマンX5』、『トロンにコブン』をお求めの方はお早めに! - STARTT.jp PSアーカイブスで展開中の『ロックマン』作品が一部配信停止へ。スピンオフ『トロンにコブン』も対象に - ニコニコニュース PSアーカイブスの『ロックマン8』『X4』『X5』『トロンにコブン』が12月13日に配信終了へ - インサイド 【連載】遊び逃している名作ゲームはありませんか?『ロックマンクラシックスコレクション1+2』/ゴールデンゲームハンマー第5回 - STARTT.jp 『ロックマン11』8大ボスの残る2体“ツンドラマン”と“アシッドマン”を紹介 - 電撃オンライン ついに8ボスが出揃った! 『ロックマン11 運命の歯車!!』ステージリポート【TGS2018】 - ファミ通.com 『ロックマン11 運命の歯車!!』の前に振り返りたい、“もう1つの9作目”=『ロックマン&フォルテ』 - リアルサウンド シリーズ8作品がPS4®に! 「ロックマンX アニバーサリー コレクション」の『1』と『2』が7月26日同時発売! - PlayStation.com 『ロックマン クラシックス コレクション 2』本日発売! 「カプコンTV!」発売記念生放送もお見逃しなく! - PlayStation.com シリーズ後期の4作品を収録! PS4®『ロックマン クラシックス コレクション 2』8月10日発売決定! - PlayStation.com 「ロックマン」が一人称視点で遊べる!? 「メガマン:8ビット・デスマッチ」 - ギズモード・ジャパン ボンボン連載の漫画「ロックマン8」新装版が復刊決定!カバーは出月こーじ描き下ろし - iNSIDE PSNゲームアーカイブスで『ロックマン8』『X4』『X5』『トロンにコブン』『バトル&チェイス』配信決定 - iNSIDE 情報3課 <ロックマン8> #technorati マンガとは マンガの33%は厳しさで出来ています。マンガの30%はカルシウムで出来ています。マンガの25%は元気玉で出来ています。マンガの9%は毒物で出来ています。マンガの1%は月の光で出来ています。マンガの1%は毒電波で出来ています。マンガの1%は魂の炎で出来ています。 28589.jpg?_ex=300x300 s=2 r=1 ヨスガノソラ 春日野 穹 -すくみず 楽天売れ筋ランキング レディースファッション・靴 メンズファッション・靴 バッグ・小物・ブランド雑貨 インナー・下着・ナイトウエア ジュエリー・腕時計 食品 スイーツ 水・ソフトドリンク ビール・洋酒 日本酒・焼酎 パソコン・周辺機器 家電・AV・カメラ インテリア・寝具・収納 キッチン・日用品雑貨・文具 ダイエット・健康 医薬品・コンタクト・介護 美容・コスメ・香水 スポーツ・アウトドア 花・ガーデン・DIY おもちゃ・ホビー・ゲーム CD・DVD・楽器 車用品・バイク用品 ペット・ペットグッズ キッズ・ベビー・マタニティ 本・雑誌・コミック ゴルフ総合 ページ先頭へ ロックマン8 このサイトについて 当サイトは漫画のタイトル毎にインターネット上の情報を時系列に網羅したリンク集のようなものです。ページをブックマークしておけば、ほぼ毎日その漫画のタイトルに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
https://w.atwiki.jp/vip_rockman/pages/15.html
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 15 22 04.00 ID aICqBPyB0 『エックス……』 北極の端。 戦闘終了から三時間後。エックスを迎えに来たヘリが着陸し、回転翼を回す。 ヘリの乗務員が救急キットやら、エネルギータンクをてきぱきと設置し、仮設のテント型待機所を作った。 エックスに声をかけるのは、その設備の一つである無線からだ。 「アイちゃん………」 『エックス。大体の話は、戦闘中の無線で把握している……その、なんだ……』 声の主、ライトは言葉を紡ぎづらい。 『彼女は……何者かの手によって、イレギュラーにされてしまったんだな………』 「その前に……人間が先にアイちゃんに酷い事をした……!! そうだろ!?」 エックスは自身の沈黙を、大声で破った。 『あ、あぁ……その事については、本部に問い合わせてる。ケイン博士も尽力をつくしてくれるそうだ』 エックスの怒りに、ライトの声は沈痛なものになった。 『その、彼女なんだが……彼女から、妙なチップを確認してな』 「…………………」 興味無いとばかりに、またも沈黙するエックス。 『どうも、まとも思考を分断したり、遮断したりする物らしくて……』 ライトは、気にせず続ける。喋るしか、何もないというのが本当のところなのだろうが。 『<怒り>と<憎しみ>のプログラムを解除する物でも、あるらしいんだ』 「まさか……」 『もともとは、極地基地の人間が彼女に暗い闇を植えつけたのだろう。だが、しかし……』 「アイちゃんから聞いたのは、『至極まともな事』を言ってるレプリロイドだと思ったけど?」 エックスらしくなく皮肉げに言った。 至極まともな事――薄汚い人間に復讐する事という事だろう。 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 15 39 20.77 ID aICqBPyB0 『そんな、エックス………』 ライトが悲しげに呟いた。 「はっきり言えば、ボクだってそのレプリロイドに賛同したいぐらいだ!」 エックスは、自分のやりきれない思いをライトにぶつけた。 「あんた達みたいに、小さな女の子によってたかって乱暴する奴らに尽くすぐらいならね!!」 「だいたい――」 『………グスッ………ヒック……そんな事……言わないでよぉ……ヒック……』 エックスの主張を妨げたのは、ライトのすすり泣く声だった。 「は、博士?」 エックスは怒鳴るのをやめ、落ち着きが無くなる。 『ひどいよぉ……そんな事……グスッ……いわれたらぁ………』 「あ、いや、その確かに……博士は悪くないですよね……その他の人間だって」 少し不本意な意見ではあるが、博士を取り持つエックス。 『ちゃんと説明してるのにぃ……ヒック………わたしだってぇ』 「ごめんなさい! ごめんなさい! ほら、ブーブーですよ! 泣くのはやめてくださぁい!」 映像通信では無いのだが、エックスはどこからか自動車の玩具を取り出し、自らの手のひらで動かした。 「落ち着きましたか? ボクは落ち着きました」 『すまん。取り乱した』 半時間ほどエックスは、泣き出すライトと格闘して、やっと勝利を収めた。 「チップの話を聞きましょう。それが本当なら、そのレプリロイドも許せない」 心を入れ替えエックスは険しい顔をし、虚空を睨んだ。 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 16 08 52.69 ID aICqBPyB0 『チップの形は、Σの文字に似た型でな。本部に検証を急がせているが、とにかく非合法の物であるのは確かだ』 シグマ。一瞬、何かがよぎったがエックスは気にしなかった。 「それで、みんなを操っていると……ヴァヴァもかな…………」 エックスは、この世界のどこかに居る同僚を思い出した。 『解らん。だが、高速道路の事件でも、すべてのイレギュラーにこのチップを確認した』 「という事は……解決しなければならない事は二つあるんですね」 エックスは玩具の自動車を放り投げ、無線に向き合う。 「アイちゃんに酷い事をした連中の処分――こちらは博士に任せます……本当は自分でやりたいけど」 『あぁ、任された』 ライトは厳粛に、その願いを聞き遂げた。 「もう一つは、チップの真意を緑のレプリロイドに聞く事」 『あぁ』 「ボクは、まだアイちゃんに声をかけておきながら、チップを使って操る意味が解りませんが――」 女性にも見える中世的なエックスの顔が、大きな決意に染まる。 「人間だって良い人はいる。それを皆殺しにするなんて酷い事は、ボクがさせません」 『エックス……』 「とにかく、本部に帰ります。――もう、泣かないで下さいね?」 エックスは子供にするような笑いを浮かべ、言う。 『…………バーカ』 ライトもふてくされながらも、どこか笑うような響きのある答えをした。 ヘリに乗り込むエックスの背に、ライトの独り言がテントに響く。 『一つ、疑問がある。情報部はアイシー・ペンギーゴが第13極地部隊の隊長を殺したと報告した』 『だが話によれば、実際に奴を殺したの緑のボディのイレギュラーだ』 『別に……それがどうこうって訳では無いんだが。どうも……」 46 名前:Irregular's Elegy[] 投稿日:2006/10/07(土) 16 40 48.63 ID aICqBPyB0 北極の海を逆戻り。 エックスはハチ型ヘリに揺れ、冷たい北極が小さくなるのを眺めている。 迎えに来たヘリは三機。エックスは三号機に搭乗していた。 残りのヘリは護衛の意味とEタンクなどの物資が積まれている。 「それ、なんですか?」 ヘリのパイロットが、エックスが弄ぶ何かを見止め、声をかけた。 正方形の小さなチップ。ペンギーゴの記憶と記録、そして彼女自身だ。 「お守りです」 エックスは遠景から顔をそらさず、短く答えた。 「お噂は聞いています、エックスさん。B級でありながら、すごい活躍だとか」 「どう……でしょう? 活躍どころか、取り返しの付かないものを失ってると思いますが」 北極の海を抜け、大陸に差し掛かる辺りでまたも声をかけてきたパイロットに、エックスは自嘲するように言った。 「謙遜なんかしないで下さい。俺、エックスさんに感謝がしたいんです」 後半の部分は聞き取れなかったのか、パイロットのレプリロイドは朗らかに感謝の意を述べた。 「感謝、ですか……?」 エックスは予期せぬ言葉に目を白黒させながら、返答する。 「えぇ、高速の事件ですよ。あそこに俺の一人娘が居ましてね。あの駐車場でエックスさんが撃退しなければ、娘が居る道路までイレギュラーが来たって言うじゃありませんか」 「は、はぁ……」 撃退したのはゼロではないだろうか、とエックスは頭をよぎるが、パイロットの口は止まらない。 「家内を戦争で失っていましてね。俺にとって、娘はかけがえのない大切なレプリロイドなんです」 「そう……ですか」 かけがえのない、という所でエックスは身を引き裂かれる思いをした。 ヴァヴァ、ペンギーゴ。彼女達は何故、自分の敵になるのか。 「心から感謝します。エックスさん」 パイロットは操縦してる身でありながら、コクピットでお辞儀をした。 47 名前:Irregular's Elegy[] 投稿日:2006/10/07(土) 17 07 55.52 ID aICqBPyB0 ヘリのルートは、森林の上を通過する形になっていた。 ロボット工学が進む現代に、今だ残る大自然。多種多様な木々と緩やかなカーブを描く川が美しい。 「Aランクも夢じゃないですよ――おっと通信」 パイロットは後ろのエックスに微笑みかけながら言い、操縦席の無線を受けた。 『三号機、聞こえるか』 「感度良好。おや、これはケイン博士。いかがいたしました?」 老体でありながら、威厳を全く損なう事のない声。険しい顔をしたケイン博士が映像通信に出た。 『諸君らの真下にある森林で問題が発生した』 針葉樹などの大木による緑の絨毯が地平線まで続く。 『どうやら森林を捜索していた部隊が遭難したらしい』 無線を良く聴く為、エックスは操縦席に身体をさし入れた。 『連絡が全く取れない状況で、本部は非常に困惑している。エックス君を向かわせてくれ』 「ご冗談でしょう? エックスさんは怪我をした状態で、その本部に帰投するんですから」 パイロットのレプリロイドは、少し憤慨したように反論した。 行きのヘリとオペレーターに比べ、かなり感情が豊かなレプリロイドである。 「ケイン博士」 エックスが声をあげた。 『怪我は北極の所であらかた修理したな。どうだろうか?』 「えぇ、問題ありません。部隊が遭難してるんですね」 エックスは両肩を竦め、青いボディを晒した。 『救助班を編成するにはイレギュラー事件も重なり、かなりの遅れがでている』 「行きましょう。ボクは構いません」 エックスは頷いた。パイロットは何かを言おうとしたが、結局、言葉としては出なかった。 『すまん。無理を言うつもりはないのだが』 表情の変わらないケインが言う。エックスは険しい表情しか見た事が無い。 「そうですか……解りました。全機、問題発生現場までルートを変更」 パイロットは諦め、機体を右方向に旋回させた。 51 名前:Irregular's Elegy[] 投稿日:2006/10/07(土) 17 38 45.46 ID aICqBPyB0 「良いんですよ」 疑問気に見上げるパイロットに、エックスは笑みを返した。 ローターを鳴り響かせ、本部のルートを反れる森林の奥に向かう三機のヘリ。 『ここら辺だな』 巨大な滝を抜け、真下に熱帯林を控える所で二号機からの通信が入る。 『現場付近に到着』 先行していた一号機が前進を停止し、三機共にその場でホバリングする。 『探すったって、どこから――』 一号機の愚痴は、乱入した緊急通信によって遮られた。 『た、助けてくれ!! イレギュラーが……クソっ!』 切羽詰った声が、操縦席に響く。 「調査班か!! おい、大丈夫か!?」 『俺達………捜索隊は、洞窟付近の草原に……早く』 パイロットの声が聞こえないのか、遭難者は自分等の居場所を苦しげに呟く。 「急ぎましょう!」 ブツンと鈍い音を立て切れる通信に、エックスは焦った声で叱咤した。 三機は高度を下げ、慌ててその草原とやらに発進する。速度を上げて突き進むハチの影。 すぐにその草原というのは確認できた。 山を抉る洞窟の前に、大きく開ける草原。手付かずの遺跡の痕跡が、黄緑の広場に散らばっている。 『攻撃を受けている様子は無いが……』一号機が呟く。 『辺りを捜索――っ!?』 「遭難者は無事でしょうか……」 エックスは心配げに、パイロットに問いかけた。 「大丈夫ですって、いざとなったらエックスさんが――」 『三号機!! 高度を上げろ!!』 パイロットの言葉を絶叫で遮断した二号機は、空中で爆発し、破片と炎で草原を真っ赤に染めた。 57 名前:Irregular's Elegy[] 投稿日:2006/10/07(土) 18 07 21.53 ID aICqBPyB0 突然の事態に、驚く三号機の二人。 『――こいつは! 三号機、直ぐに――』 一号機は三号機に注意を促し、そして下方から飛来した『棘』に貫かれた。 貫通し、一瞬だけ全ての動きが止まるヘリ。遅れて爆発しながら重力に引かれ、二号機と同じ運命を辿った。 「な、なにが………」 『間抜けがノコノコやってきた! 馬鹿を引き連れ、やってきた! いやっほう!!』 呆然とするエックスに、緊急通信がかかる。 『救助の通信をしたのは、この俺様さ! 天才的な俺様さ! きゃっほう!』 『第9レンジャー部隊所属、スティング・カメリーオを確認』 『あれあれ、何か悩んでる? お悩みかい? だが、安心しな――』 洞窟から、歩んでくるレプリロイド。その姿はカメレオンの様をしていた。 『死んだら、全て解決するぜぇ!! いっーやっほう!!』 カメリーオは予備動作無しに跳躍し、なんとヘリの操縦席に張り付いた。 「こんちは!!」 左右非対称に回す両目を持つメットが、フロントガラスいっぱいに広がる。 濃緑のカラーのボディの下に、機嫌良く揺れる尻尾。その尻尾の先には無数の棘があり、これでヘリを撃墜したのだろう。 「エックスさん、降りて!!」 前に居るパイロットが叫ぶ。 「え!? あ、あなたは!?」 「俺は大丈夫です! ヘリのパイロットのプロですよ? さぁ、先に下りて!!」 エックスの疑問の声にこの状況でも笑いかけ、レプリロイドは機体を斜めに揺らした。 急激に傾く機体。エックスは足元を取られ、機体から身を投げ出される。――数メートルの落下。 「パイロットさん!?」 落下し、地面と接触と同時に回転しながら止まるエックス。 エックスの問いは、三号機の爆破で答えられた。 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 19 24 34.16 ID aICqBPyB0 機体の破片が散乱し、全てが分解。 火炎と一緒に、焼け焦げたヘリとパイロットの残骸が草原に降り注いだ。 「………なんて酷い事を!」 先ほどまで喋っていたパイロットを思い出し、エックスは空に向かって怒鳴った。 「はーい!!」 能天気な声と共に、濃緑でカラーしたレプリロイドが降ってきた。 「やっほー、元気ー?」 「ふざけないでください!!」 一喝し、カメリーオの馬鹿にした挨拶を一蹴した。 「あーあー、これ? 俺様の戦果の事? 仕方ないじゃないか、君と二人きりになりたかったんだからさぁ!!」 戦闘用の腕がカメレオンのメットが取り、普通のレプリロイドよりかはボケた感じのする少女の顔が現れる。 「きゃー言っちゃった、言っちゃった!」 ニヤリでは無く、意外にも可愛らしくニンマリとしながらカメリーオははしゃぐ。 それと一緒に、髪型のポリシーなのか右だけにある小さな三つ網が揺れた。 「は、はい?」 意味が解らず、この状況の中でエックスは困惑する。 「俺様ことボクは、エックス君。君に用があったのだ!! いやっほう!」 三つ網と尻尾が揺れる。カメリーオは、倒れるエックスを見下した体勢から、飛び跳ねながら踊った。 着地から、身体を地面に引き剥がす事が出来ないエックス。下手に動けば、どうなるのであろうか。 「ボクことワタシは、第9レンジャー部隊! きっての実力者!!」 三つ網が揺れる。 「なのに本部はこう言った! 泣き出すワタシに、ハンター組織はこう言った!」 踊るのをやめ、カメリーオは大人になれない顔を近づける。 「野心家で毒舌! 狡猾な性格! 人望が薄い嫌われ者! 隊長になる資格は無いってさ! ひゃっほい!」 「自分を評価しなかったハンター組織へ復讐するために、イレギュラーになったと?」 自分にある喜劇を話したいのか、悲劇を話したいのか解らないカメリーオにエックスは疑問をぶつける。 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 20 32 46.24 ID aICqBPyB0 「そういう事さ! よくある事さ! いつだって! 誰だって!」 時計の振り子のように、揺れる小さな三つ網と武器である尻尾。 「ありません!! ボクに用があるなら、ボクだけ呼べばいいじゃないですか!!」 「憎むべき組織!! 憎むべき隊長!! こいつらには、一泡ふかせなければならないね!! だよね!」 エックスの怒れる顔から離すと、またも踊りだすカメリーオ。 「そのためには、エックス!! 君が、必要だい!! 必要不可欠なんだい!!」 踊りの最中で、カメリーオは回転し、同時に尻尾を振り薙ぐ。 ボディに引かれる尻尾。その先から無数の棘――カメレオンスティングが発射された。 エックスは地面を蹴り上げ、慌てて伏せの体勢から飛び上がる。 高速で飛来した緑に光る棘は、地面を虚しく貫いた。 エックスは跳びながら射撃。カメリーオの頭部に向けるが、カメリーオも逸早く跳び下がっていた。 「本部から評価されている、お前を殺せば!! 本部も納得!! 納得した本部を、俺様が壊滅!!」 遺跡の一部であった柱だけの建造物に逃げ込んだカメリーオが、叫びながら射撃。 「一人称を定着して下さい!!」 間合いを取る為、カメリーオから離れるエックスが、それを撃ち落としながら叫んだ。 「ちょっと傷ついた!! ボクの涙の分だけ、死ね!!」 傷ついたといいながら、微笑むカメリーオはカメレオンスティングを草原に撒く。 矢尻状に飛ぶ棘を、エックスはバスターを連射し、軽々と全てを弾く。 「これでレンジャー部隊? なんだか手ごたえが無い気が……」 呟くエックス。またも急接近する凶器をエネルギー弾が弾いた。 弾いたそばから、棘が降りかかる。 エックスは急旋回し、目標を失い地面に刺さるスティングを無視して、カメリーオに向かって走った。 数百メートルの距離を駆けるエックス。撒かれるスティングはジグザグに走行し、いとも簡単に避けた。 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 21 09 03.79 ID aICqBPyB0 「うわぁ、愛の突進だ!!」 カメリーオは飛び上がり、立ち位置から離れようとするが、もう遅い。 エックスは、ダッシュ中にチャージされたバスターをカメリーオに向け、放つ。 遺跡の柱も爆散させながらも、エネルギー弾は突き進み、カメリーオのボディに当たった。 「……いたいいたい」 カメリーオは吹き飛ばされ、地面に転がる。 「こんなはずじゃ………マンドリラーの姐さーん!!」 脇腹の被弾箇所に手を当てながら、カメリーオは助けを呼んだ。 「馬鹿が……自分で殺ると言っておきながら。とことん使えん奴だ」 不機嫌な声が聞こえたと、意識する前にエックスはカメリーオから離れた。 何かが降り注ぎ、辺りを爆撃する。 吹き上がる土くれ、捲れあがる地表。 エックスは我武者羅に逃げる。 「面倒だから、早めにカタを付けるぞ。恨むな、エックス」 ハスキーな声がかかり、大きな人影が現れる。 『第17部隊所属特A級ハンター、スパーク・マンドリラーを確認』 ピンク色の電撃を両腕に纏いながら、突き進むレプリロイド。 マンドリル型のイレギュラーが、同僚のエックスに向かってエレクトリックスパークを放った。 「お姉さん――ぐっ!!」 雷の球体は、反れる事無くエックスに真っ直ぐ飛び。驚愕していたエックスに直撃した。 『機体異常を報告。ボディ、動作不能。再活動まで――無線サービスダウン』 「簡単だったな。面倒じゃなくて良かった」 満足したのか、マンドリラーの胸部部分が開き、中からピンクの長髪で片目を隠した女性が現れる。 「森林は大嫌いだ……暑くて面倒だからな。クーラーの効く発電所に戻りたい」 継続して雷が纏う青いボディを見つめながら、マンドリラーは右手で自らの顔を扇いだ。 148 名前:Irregular’s Elegy[] 投稿日:2006/10/07(土) 21 40 34.76 ID aICqBPyB0 「おなかが減ったから、電気だ。――おい、使えない奴。電気だ」 「えぇ!? ここ、熱帯雨林!! 電気なんか、ねぇ!! ……………な、ないですよ!!」 こちらも余波で倒れていたカメリーオが、飛び跳ねながら抗議する。 「本当に使えない……暑い」 マンドリラーは失望したように言い放ち、扇がない腕でボディを探ると、団扇を取り出した。 「死んではないな。だが、悪いがここをお前を打ち倒せと命令を受けた」 マンドリラーがボディの両腕に力をこめ、エレクトリックスパークを溜める。 「弟のような奴だったが、それ以前に私は17部隊のレプリロイドだからな」 特に感情のこもらない顔で、マンドリラーは言った。 「さらばだ」 「待ちな」 突然、上空からかけられた声に、凍ったように動作を急停止するマンドリラー。 マンドリラーが空を見上げる前に、何かのタンクが投げつけられる。名称には『液体窒素』と表記されていた。 やっ、とマンドリラーがらしくなく小さく悲鳴をあげるまえに、上からのバスターがタンクを貫通。 そして、物理的に凍る。 「うぉぉぉ!! やっぱり凍った!!」 『バラストタンク、オイルタンク、共に凍結。動作不可能』 「黙れ! そんな事は解っているんだ! 馬鹿AIめ!」 ガチャガチャと操縦桿を振り回すが、マンドリラーのボディは微動だにしない。 「二対一とか、卑怯だぜ? イレギュラーさんよ」 混乱するマンドリラーを馬鹿にした声が、空から降りた。 「お前は…………ゼロ!?」 凍りつき、指一本すら動かせないボディに入る少女が乱入者の名を叫んだ。 『動作不可能』 「黙れ!!」 叫ぶ、マンドリラー。だが、ゼロに遅れ降り立った鷲型のレプリロイドの姿にまたも凍りついた。 170 名前:Irregular’s Elegy[] 投稿日:2006/10/07(土) 22 19 56.28 ID aICqBPyB0 「もう、やめてやってくれ。マンドリラー、カメリーオ」 『第7空挺部隊元隊長、ストーム・イーグリードを確認』 羽ばたきながら、地面に降下したレプリロイド。 ワシの形のメットの下にある藍色をしたポニーテールが風に揺れ、金色の二つの瞳が悲嘆に揺れた。 「イーグリード!! 貴様!!」 マンドリラーが尚も操縦桿を振り回しながら、激しく詰問する。 「――デスログマーはどうした!? 与えられた計画は!?」 疑問を目前のイーグリードに叩きつけるが、その本人は地面にうつむき答えない。 その態度がマンドリラーの怒りを誘い、操縦桿を更に動かした。 「なるほど……そうか。貴様等は友人関係だったな!」 合点がいったのか、マンドリラーは勝ち誇ったように、自分の推理を叫んだ。 「ゼロめ!! どこまでも、私らの邪魔をしおって!!」 「おいおい。俺が悪いのかよ……」 腕を組み突っ立つゼロが呆れたように呟いた。 「たぶらかし、そちら側に引き込むとは――ふざけおって!!」 怒り狂ったマンドリラーは、団扇を二人に投げつけるが、形状のせいか届かない。 「女が女をたぶらかして、何が楽しいんだよ。たぶらかすなら………なぁ?」 意味ありげに笑い、顔を倒れるエックスに向ける。 「ゼロ……」 感電から、若干復活したエックスが苦しげに答える。 「無事かよ、お人よし。……全く無茶しやがって。俺がいなきゃ駄目だな、お前は」 流れる長髪をかき上げながら、ゼロはニヤリとした。 「ボクを忘れないで!! といいながら、暗殺!!」 事態を伺っていたカメリーオが、飛びながら緑に光る棘を発射した。 高速の凶器。それら全てが、巻き上がる竜巻に吹き飛ばされた。 「弱点なのに………ブーメルさんみたいに、うまく暗殺できないね!! だね!!」 188 名前:Irregular's Elegy[] 投稿日:2006/10/07(土) 22 51 53.59 ID aICqBPyB0 「やめな、カメレオン。俺は容赦しないぜ?」 「まだ、メットの舌って攻撃があるよ!! でも、やめる!! ………や、やめます!!」 事の渦中にいる4名から離れ、倒壊していない遺跡の柱に張り付くカメリーオ。 それに向け、ゼロは笑いながらバスターの照準を合わせた。 「殺れ、カメリーオ!! 死ぬまで、攻撃しろ!! 動けぬ私の代わりに!!」 『動作不能』 「何故だ!!」 操縦桿と無線と格闘するマンドリラーは気付かない。 自分の顔を。自分の身体を。そして、この大草原を覆う黒い影。 「ぬにに!! 姐さん!! 姐さん!!」 「何だ、電波!! 私は忙しい――」 マンドリラーは、辺りが薄暗くなっている事にやっと気付く。 慌てて胸のスイッチを押し、ボディに並ぶライトを光らせた。 ペカペカと、赤、青、黄に移り変わる景色の真上。 ゼロが勝ち誇ったように、右手の人差し指を挙げた。 「お前の言ってた奴だよ。これ見て、帰りなダイナモ女」 旗艦デスログマーがその常識を超えた巨大さで、全てを覆い隠していた。 エックスが驚く。マンドリラーが、悔しげに唸る。 突風に揺れるポニーテールを抑える、イーグーリードはずっと悲しげだった。 唸りにも聞こえる突風の中で、舌打ち。 カメリーオだけが、普段の姿とは思えぬ険しい顔し、本当に忌々しげに舌を打った。 「どうするよ、スパーク・マンドリラー。まだ、やるのか?」 ゼロの背中に、降下してきたデスログマーのハッチが垂れ下がる。 イーグーリードは、悲しげにマンドリラーを見ながら、エックスを抱き上げた。 200 名前:Irregular's Elegy[] 投稿日:2006/10/07(土) 23 21 21.64 ID aICqBPyB0 「………行け。どこへでも……クソッ、忌々しい私のボディ」 首を逸らし、ふてくされるようにマンドリラーは吐き捨てた。 「では、お言葉に甘えて」 その言葉に満足したゼロは、いち早くハッチに乗り込む。 「マンドリラー……私は」 エックスを抱きかかえるイーグーリードは、未練ある顔でマンドリラーに声をかけた。 「覚えていろ」 そんなイーグリードに気にせず、短く怨嗟の言葉を紡ぐ。 「今度会ったときは、私の電気がお前の神経回路を犯しつくす」 マンドリラーの侮蔑は、イーグーリードを深く傷つけた。 「機械に生まれた事を後悔しながら、死ね。イーグーリード……裏切り者め」 最期の呪いの言葉を背中に受けながら、イーグーリードは段々と上昇するハッチに身を入れた。 「いや、助かったなぁ。エックス、イーグリードに感謝しておけよ? あと俺にもな」 高度2万メートルの世界。旗艦デスログマーは、夜の闇を悠然と突き進む。 「ありがと、ゼロ。イーグリードさんも、どうもありがとうございます」 中にある遊覧室で、三人は円形のテーブルをソファで囲んでいた。 エックスは、ふてぶてしく寝転びながらクッキーを齧るゼロに微笑んだ。 エックスの礼に、イーグリードは言葉にはせず、右手を挙げて答えた。 「ゼロ………」 イレギュラーのはずの、イーグリード。それが、何故かゼロの仲間になっている。 エックスは説明を求めるように、ゼロに視線を向けた。 「ん? あぁ、イーグリードの事か?」 ゼロはその本人の目の前だと言うのに、説明しようとする。 「俺とイーグリードは親友。それだけさ」 寝転び天井を見るゼロは、脚を組み替えながら、簡単に答えた。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/4850.html
トロンにコブン 【とろんにこぶん】 ジャンル アクションバラエティ 対応機種 プレイステーション 発売・開発元 カプコン 発売日 1999年7月22日 定価 6,090円(税込) プレイ人数 1人 周辺機器 アナログコントローラ(振動機能)ポケットステーション対応 セーブデータ 1ブロック使用(最大5ファイル保存可) レーティング CERO B(12才以上対象)※ゲームアーカイブス版より付与 廉価版 PlayStation the Best for Family2000年7月27日/2,940円 配信 ゲームアーカイブス2014年12月17日/617円(税込) 判定 なし ロックマンシリーズリンク 概要 ストーリー 特徴 評価点 問題点 総評 余談 概要 フリーランニングRPG『ロックマンDASH 鋼の冒険心』のスピンオフ作品。基本的なストーリー・世界観は『DASH』本編の記事を参照。 時系列は『DASH』の数ヶ月前の出来事であり、本編では敵役として登場した空賊「ボーン一家」を主役としたエピソードが描かれる。 本作では基本的に、トロンが開発した乗り込み型戦闘ロボットの「グスタフ」を操縦する形でアクションを行う。 コンフィグで変更も可能だが、移動・ジャンプ・ショット・ロックオンといった基本動作の多くが、ロックマンDASH本編のロックの操作感と共通している。 ストーリー 空賊稼業の傍ら、大型空中戦艦「ゲゼルシャフト号」の製造に精を出していた空賊「ボーン一家」新たな母艦は概ね完成を迎え、ボーン一家長兄ティーゼルは久々の超大物ミッションへと出撃する。陸上用戦闘ロボ「グスタフ」に乗り込んだティーゼルは、秘宝が眠ると噂されるライシップ島の「ナッカイの遺跡」を目指し進軍していた。しかし事態は急転。ティーゼルと弟ボンは、空賊「ロース一家」の刺客グライドと交戦の末に捕縛・連行されてしまうのだった。 ボーン一家長女の主人公トロンと配下の40体のコブン達は、かつてティーゼルがゲゼルシャフト号の製造資金調達のため悪徳金融を営む「ロース一家」から多額の借金をしていたことを知り驚愕するも、借金のカタとしてロース一家に捕まった兄ティーゼルと弟ボンを救うべく、ライシップ島の各地を舞台に、さまざまなミッション(悪事)でゼニーを集め借金返済に勤しむ。 特徴 本作は空賊ボーン一家の借金返済物語であり、ロース一家への借金を完済することが目的である。その額、実に300万ゼニー。(*1) ミッションの目的は全てお金。DASH本編の様にディグアウトで金稼ぎをするも良し、悪党らしく強盗を企んでも良し。手段を問わず300万ゼニーを溜めさえすれば良い。 オープニングミッションとファイナルミッション以外に以下のミッションが用意されている。 銀行をおそえ!! = アクション = 警察を追い払いつつ町を襲って銀行の金塊などの財産を強奪するミッション。 コンテナをうばえ(2)! = パズル = 仕掛けを利用しつつ目的のコンテナを奪うミッション。取らなくてもクリアできるボーナスコンテナもある。 重量物の運搬に特化したグスタフタンクを操縦し、マス目状に仕切られたマップ内でコンテナを上手く運ぶというパズル。 また、コブンが賢ければヒントを聞ける。 ある程度金が溜まってイベントが起こるとさらに難易度が上がった2も遊べるようになる。 お宝をディグアウト! = RPG = 人々と話したりリーバードなどの敵を倒したりしながらお宝を手に入れるミッション。 ジャンル表記はRPGとなっているが、実際はフラグ管理によるアドベンチャー要素の強い主観視点アクションとなっている。 グスタフに乗り込むのではなく、小型ボーンメカのフェルケルを遠隔操作して攻略する。グスタフ同様に指揮弾を使える。 このミッション限定のコブン用ボーンメカ、コブンモールも登場する。 ナッカイの遺跡 = フリーアクション = オープニングでティーゼルがディグアウトに挑もうと意気込んでいた古代遺跡「ナッカイの遺跡」を探索し、リーバードを倒しつつ伝説の秘宝を手に入れるミッション。 唯一完全クリア後も何度でも赴けるミッションでもある。またクリアに至らずとも、入口に戻ることで回収したアイテムを持って帰還できる。 動物をつかまえろ! = アクション = ある程度金が溜まってイベントが起こった後に行けるミッション。 敵を撃破しつつ動物を手に入れるのが目的のミッション。 狙われた動物は逃げるので素早いコブンを連れて行く必要がある。 カジノでひともうけ!? = カジノ = ある条件を満たすことで行けるようになる隠しミッション。 ギャンブルなので金が溜まるかどうかは運である。 大型空中戦艦「ゲゼルシャフト号」内で描かれる、「トロン・ボーン」と1号~40号の個性豊かな「コブン」達ボーン一家の生活シミュレーション。 ゲゼルシャフト号には様々な部屋があり、それぞれの部屋では兵器開発や特訓を行ったりが出来る。画面には常にトロンが表示されており、コブンとの会話でイキイキとした感情を見せてくれる。 コブンは同じ性格が一つも無く、どれも様々な能力・個性を持っている。勿論全員に話しかけることが出来るし、会話をすることで才能に目覚めたり、能力を強化することが可能。またコブン達は3Dで常に動いており、コブン達が普段どんな仕事をしているか眺めることが出来る。 評価点 様々なジャンルのミッションがあり飽きにくい。 また、全てのミッションをクリアしなくてもゲームはクリアできる。隠しミッション以外の全てのミッションをクリアすると…? 個性豊かな40体のコブンが登場する。 最初のうちは全員揃わないが、基本的にミッションをクリアするたびにゲゼルシャフト号の修理も進み、その度にコブン達も増えていく。 一部を紹介すると、「こうげき」が高く戦闘で活躍するコブン。「かしこさ」が高く的確に助言をくれるコブン。兵器開発に優れたコブン。大した能力はないが食堂で皆の為に働くコブン。エッチが目覚めたことでトロンのベッドで跳ねるだけのコブン。等々……。 それぞれ特殊能力と「こうげき」「すばやさ」「かしこさ」の初期値及び最大値が決まっている。 そのためミッションによりどのコブンを特訓し連れていくかが重要になる。 特にグスタフが出撃するアクション系ミッションの場合はグスタフに載せるコブンの特殊能力が「狙撃」でないと苦戦しやすい。 またミッションに連れて行かないと「さぼり」のパラメータが上がることがあり(連れて行くと下がる)「さぼり」が最大値になると「さぼり」を下げるアイテムを与えるかおしおきしないとミッションに出撃できなくなる。 あるアイテムを渡すことでお気に入りコブンを選べる。そのコブンは頭のパーツが赤くなるため、一目瞭然。能力値の上限も上がる。 ロックマンDASHのスピンオフらしいアクション。 グスタフはロックと違って機動力はないが動きはそこそこ軽快で、重い物を引っこ抜いて投げるという、ロボットらしい豪快なアクションができる。 またロックマンDASHでは空賊から街を守るというミッションがあるが、今作では逆に建物を破壊するなどして、街を荒らして回る快感が楽しめる。 ミッション中の施設やオブジェクトなどに指揮弾を撃ち込むと、着弾地点にコブンが向かって行き様々なアクションを見せてくれる。例えば、木に向かって撃つと木を揺らしてリンゴを落とし、海の中ならコブンが魚を入手してくるなど芸が細かい。 敵に向かって指揮弾を撃つと敵に特攻していく。大抵は返り討ちにあうが、攻撃能力を持つコブンを敵に向かわせると、強力なバズーカや爆弾で攻撃してくれる。 グスタフを強化する要素も健在。 資金や材料の他にコブンを育てる必要があり一筋縄ではいかなくなったぶん強化しきったときの達成感もひとしおである。 問題点 ミッションは一つを除いて有限であり、条件を満たす(主にレベル3までクリアする)と二度と遊べなくなる。 攻略本では「隠しミッションも無限に遊べる」とあるが実際は条件が違うだけで限りがある。 ファイナルミッションでは、強制的にお気に入りコブンが狙撃になるので、平凡なコブンをお気に入りコブンにすると苦戦してしまう。 能力が狙撃でなくても狙撃扱いになるのが救いか。 バグなのか、ある場所に移動することで容易にラスボスを攻撃すらさせずに倒せてしまう。 特訓はポケットステーションがないと2種類のみ。 そのため、「かしこさ」はミッションかアイテムで上げるしかない。 パラメータを上げるアイテムは偵察で無限に手に入るのが救いか。 またある程度シナリオが進むまで本編の特訓で上げられるコブンは一部のみである。 ある部屋はコブンどれか1体をわざと「さぼり」が最大値にしないと開放されない。 コブンは40人もいるので、よほど入念な管理かアイテムを使わない限り、クリアまでに「さぼり」が最大になってしまうのでほぼ問題はない。その部屋自体「さぼり」を下げるだけが目的の部屋である。 開発費を自動で下げてくれる超レアアイテムがあるのだが、開発アイテムが一つだけ異様に高くなってしまうというバグがある。 その一つはなくても「かしこさ」を最大値まで上げることでどうにかなるのが救いか。そのアイテム自体が高額で売却可能なので、売ってしまえば解決はする。ただしコレクターにとっては再入手が非常に面倒である。 総評 良くも悪くもミニゲームの詰め合わせであるが、ロックマンDASHらしいアクションの楽しさ、スピンオフならではのキャラの掘り下げと言った魅力がある。本編では見られないロック以外のディグアウター達の姿も描かれ、よりDASHの世界観を楽しませてくれる出来となっている。 DASHシリーズのファンなら押さえておいて損はないだろう。 余談 公式サイト(現在は閉鎖)ではラスボス戦だけモザイクがかかっているがその前の前座のボス戦やラスボスが映っているシーンにはモザイクがかかっていなかった。 電撃プレイステーションDとのコラボ企画でコブン41号こと「電撃コブン」が仲間になるセーブデータが配布された。 電撃コブンは非常に高いパラメータを持つがお気に入りコブンに指定することはできない。 PS版の『ロックマンDASH2』のサブイベントにて、コブンからロックに充てられた手紙に「42番目のコブンになって欲しい」というものがあり、この42番目というのは電撃コブン(41号)のことを意識した記述と思われる(後の移植版では内容が少し変更されている)。 今作で、トロンのグスタフを操縦して戦うという戦闘スタイルが確立された。以降何らかのゲーム(*2)でトロンが登場して戦う際は、大抵の場合トロンはグスタフに乗って戦う。 今作の敵役ロース一家の幹部でオネエなキャラクター「グライド」は、DASH2で「グライド一家」として独立して登場する。下っ端のシタッパーが移籍。 そしてロックマン エグゼにて、「綾小路やいと」の使用ナビ「グライド」になった。尤も、名前とイメージカラー以外は元キャラの片鱗も見られないぐらいにアレンジされている。 本作には次回作『ロックマンDASH2』の体験版のディスクが付属している。タイトルは『ロックマンDASH2 エピソード1 「ロールちゃん危機一髪!」の巻』。 『DASH2』が「エピソード2」なので、オリジナルストーリー収録のこの体験版は「エピソード1」という事になっている。『トロンにコブン』本編が『DASH1』の前日譚である為、「DASH1の前と後の話を両方楽しめる」という趣旨であった。 尚、この「エピソード1」ではトロンがボスとして登場する(*3)。つまり本作『トロンにコブン』はゲーム本編の主人公を同梱のおまけゲームで倒すという、悪役キャラのスピンオフならではの奇妙な構図になっている。 後に『DASH2』のPSP版にも収録された。