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ヤンデレホテルへようこそ 前編 ヤンデレホテルへようこそ 後編 ヤンデレの娘さん 転外 やんでれほてるのこわれもの
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210 :痴漢とヤンデレさん [sage] :2008/11/24(月) 21 46 25 ID PAUjoIRi 先週、電車の中でいつものように女子高生を触っていたら。 その子が急に積極的になった。俺としてはラッキーだったので堪能した。 しかし、その日から俺はその子に付き纏われるようになった! そして…俺は彼女専用の痴漢にさせられてしまった。 「もし、他の子を触ったら腕切り落とすわ。私だけ見て。」なんて説得されたら誰だって了承する。 そして、通い妻となった彼女は俺の飯から夜の性交渉まで管理してくれる。 俺達の関係は、痴漢と獲物だった筈なのに…どこで間違えたんだ… 注.痴漢は犯罪です
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ヤンデレ やんでれ 【その他の単語】 09-03-31最終更新 random_imgエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。 「ヤンデレ」とは、女性キャラクターの性格を表現する単語。 一般的には、特定の男性に好意を持っている(「デレ」)反面、何らかのきっかけがあるとその好意が暴走し精神的に病んだ状態(「ヤン」)になる、という形になると思われる。もっとも、ファンの間で発生した単語であるらしく、そのためその定義や範囲は明確ではない。 概要 「ヤン」は精神的に病んだ状態、「デレ」は好意を持っている状態を指し、その両面を合わせもつ性格を言う。また、「ヤン」は「デレ」が暴走した結果陥るのが通常。 典型的には、主人公に対して恋愛感情を(しばしば露骨に)示すが、何らかの出来事(ライバルの存在が示された時など)をきっかけにその感情が暴走、感情のままに盲目的に行動する、という形のキャラクター造形となるか。感情の暴走は主人公の独占欲から主人公やライバルに対し暴力的行動に及ぶ、という場合もある。 「ヤンデレ」がジャンルとして成立したのは、2005年のアニメ「SHUFFLE!」およびゲーム「スクールデイズ(スクイズ)」がきっかけであったらしい。 前者のヒロインは「ヤン」状態にいわゆる「空鍋」を行い、後者はヒロインが凶行に及ぶルートが話題となった。特に、「スクイズ」は07年のアニメ版でもヤンデレ故に凄惨な行動に及ぶという内容で、放送直前に起きた事件(京田辺警察官殺害事件‐Wikipedia)の影響で地上波での放送が事実上打ち切りになったこともあって(いわゆるnice boat.事件、この内容自体をそう呼ぶことも)、スクイズのヒロインである桂言葉(かつら・ことのは)がヤンデレ界の女王的存在となっている。 余談 個人的見解としてはヤンデレは、ヤンデレは女性の独占欲を強調した表現ではないかと思われる。そうだとすれば、ネタ的であっても流行した背景に、「女性から独占欲の対象になりたい」という男性の感情があるのかもしれない。 なお、ヤンデレの「ヤン」状態は、精神医学的に見た検証などがされない(されるはずがない)ため科学的根拠は無い。 むしろ、「お昼のドロドロの修羅場ドラマ」的なノリから来る、ネタ的な要素が強いと思われる。もっとも、現実にいたとすればストーカー予備軍、それもストーカー殺人とかしてしまうような危険な部類のストーカーの予備軍である。 さらに余談だが、ツンデレの「ツン」も「デレ」の裏返しと考えれば、ヤンデレ・ツンデレのいずれも「デレ」の裏返しであり、どう裏返したかの差にすぎない、とも見うるのではないだろうか。 動画検索 「ヤンデレ」でタグ検索 「ヤンデレ」でキーワード検索 「ヤンデレ」の含まれるタグの一覧 → 検索結果 関連タグ ヤンデレCDと会話させるシリーズ (タグ検索 → 検索結果) random_imgエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。 動画 sm42SHUFFLE19話なんとsm42は「ニコニコ最古のヤンデレ動画」。 http //www.nicovideo.jp/watch/sm42 School Days 第12話 「スクールデイズ」 ラストシーン や行の単語一覧にもどる 「その他の単語」関連の単語の一覧にもどる トップページにもどる - -
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680 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 49 38 ID eE7Ry3FM [2/15] ガキの頃の俺は、割と聞きわけの良い子供だったと思う。 ただし、「聞きわけの良い」というのは「全くわがままを言わない」という意味である筈も無く。 後から考えてみると驚くほどのわがままを言うこともあった。 そんな時の夢を、時々見る。 今日の夢は、3歳くらいの時のこと。 保育園へ俺を預けようとする親に、俺が駄々をこねている。 ―――いっちゃやだ!――― 幼い俺が涙と鼻水をたらしながら言うのである。 それに対して、親は何と言っているのかは分からない。 なだめているのかもしれないし、わがままを言うなと叱っているのかもしれない。 現在の俺自身はその光景を他人事のように見ている。 ―――おとうさんはぼくのことなんてきらいなんだ!――― 親に向かって、小さな俺が一方的に言葉をぶつける。 今思えば残酷なものだ。 妻を亡くした親にとって、俺はたった一人の家族なのに。 ―――おとうさんはぼくよりもおしごとのほうがすきなんだ!――― どこの奥さんだよと現在の俺、この光景を客観的に見ている俺がツッコミを入れる。 親が俺とほとんど一緒に居られないほど頑張って働いていたのは、他ならぬ俺の為だと言うのに。 ―――もっといっしょにいて!――― 小さな俺が悲痛に叫ぶ。 ―――もっとやさしくして!――― 小さな俺がわがままをぶつける。 ―――もっと愛して!――― 心から、欲しいものだから。 そこで、ふと、小さな俺の姿が歪んだ気がした。 歪んで消えて、代わりに1人の少女が立っている。 細い肢体に艶やかな黒髪。 緋月三日。 昨日からお付き合いを始めた、俺の恋人。 ―――愛してくれなきゃ、――― その緋月が両手いっぱいに凶器の束を持っていた。 ―――私を殺してあなたも死にます――― その全ての凶器を現在の俺、その光景を客観的に見ている俺に向かって振り上げて――― 681 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 50 38 ID eE7Ry3FM [3/15] 「うどわぁ!」 そして、俺は自分の情けないと共に跳ね起きた。 ごちん! 「ぐあ!」 「ぎゃう!」 二人の額が勢いよくぶつかり、思わず悶絶。 って、「二人」? 俺は額の痛みを我慢しつつ、頭突きをかましてしまった相手を見る。 「…い、痛いです…」 部屋の中で痛みに悶えている制服姿の黒髪和風少女、緋月三日。 期せずして、夢の中で俺に凶器を振り上げていた相手だった。 …まだ夢の中じゃあるまいな。 そう思って頬を引っ張ると、しかし確かな痛みがある。 それ以前に額が痛い。 つまり現実である。 …何で、昨日付き合い始めたばかりの恋人が俺の部屋に居るんですか? 「ええっと、ひづきん?」 困惑しながら、昨日ノリでつけたあだ名で呼びかける。 「…お、おひゃようございます…」 「おはよう。ってか、痛いのに無理して喋んなくて良いから…。今、氷とってくるね」 そう言って台所からビニール袋に氷をつめたものを用意して、緋月の額を冷やす。 「…朝からこんな情熱的な一撃を頂くとは思いませんでした」 「あはははは…。ゴメン」 額を冷やしながら涙目になっている緋月に謝る俺。 って、そう言う話では無く。 「そう言えばひづきん。どうしてこんなところに?」 「…光ある所に影があるように、御神くんの行くところに私がいるのです」 「…どっちが影やねん」 無駄に恰好良い台詞だった。恰好よすぎてシチュエーションに合わないどころか答えになって無いが。 「つまりはおはようのご挨拶にと」 「ああ、なるほど。鍵は親が行きがけに開けてくれたんかな?」 俺の親、御神万里(ミカミバンリ)。多忙を極めるメイクアップアーティストで、特に今は某特撮番組の役者さんの担当だとかで、撮影開始時間の関係で最近は死ぬほど朝が早いのだ。 「…はい、お母様のお陰で入れました。……ピッキングではどうにもならなかったので」 「それは犯罪だ!」 「…窓から入ろうとも思ったのですが…」 「それは危険だ!」 ってかお母様って…ああ、ウチの親のことか。 その呼び名、かなり誤解入ってるんだけどなァ… と、タイミング良く俺の携帯電話にメールが入る。 682 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 51 03 ID eE7Ry3FM [4/15] 6 05 from:親 件名:パパよぉん 本文: こんなカワイイ彼女がいたならアタシに報告しなさいヨ☆ イマドキこんなにアナタのことを想ってくれるコはいないわよぉ? カノジョ、大切になさいネ♪ どれだけ恋をバーニングさせても良いけど、避妊はキチンとなさい。相手の為にも。 あと、今夜はサバミソでヨロ!ヒロくんのドラマ見てたら食べたくなっちゃったわン。 「オッケー。サバの味噌煮ね」 了解、と返信する。 御神万里、その生物学上の性別は男である。 「…お母様、素敵な方ですよね」 「まぁなー…」 オカマのクセにパッと見分からないんだものな。 フツーに男に口説かれることもあるらしいし。 「そうだ、緋月。ご飯まだなんじゃない?」 「…だ、大丈夫です」 ぐぅ~ 緋月の腹から、言葉とは裏腹な音が聞こえる。 「遠慮するなよ、恋人なんだしー」 「……はい」 顔を真っ赤にして答える緋月。 「んじゃ、すぐ用意するから、ダイニングルームで待っててくれる?」 そう言った俺の頭からは、さっきの夢の内容などすっかり消えていた。 683 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 51 25 ID eE7Ry3FM [5/15] サクッと制服に着替えると、俺は台所に向かう。 隣のダイニングでは、緋月が朝食を今か今かと待っている。 ちなみに、俺の母は俺を産んですぐに亡くなっており、もう一人もご存じのとおりもう仕事に出かけている。 だから、この家にいるのは俺と緋月の二人だけだ。 「今日の朝食はホットケーキでございますー」 食卓にお皿を並べ、俺は言う。 「いただきます」 「…いただきます」 手を合わせ、緋月がホットケーキを小さく切り取り、控え目に口に運ぶ。 「…すごく、美味しいです…」 「よろこんでもらって何より」 緋月の言葉に偽りは無いようで、次々にホットケーキを口の中に放り込む。 こんな美味しそうに自分の作ったものを食べてもらうのも、久しぶりである。 何か緋月の目もキラキラしてるし…。 片親ゆえに必要に迫られて身に付けた料理スキルに感謝したのも久しぶりかもしれない。 自然頬がゆるむ。 「お姉様の作った物よりずっと大きくて柔らかくて…」 「緋月って、お姉さんいるんだ」 ホットケーキを美味しそうに食べる緋月に、俺は頬笑みながら言った。 言われてみれば納得である。 「三」日という名前も三日月からの連想だけでなく、三番目に生まれた子供だからかもしれない。 「はい、二日(ニカ)お姉様とおっしゃって…」 そこで、雷に打たれたような顔になる緋月。 「お姉様ごめんなさいごめんなさいもう我が侭しません言いませんですからお仕置きはやめてやめてやめて~~~~!」 「ちょ、緋月!?」 何か、トラウマスイッチが入ってしまったらしい。 その後、錯乱した緋月を落ち着かせるのには、少し時間がかかった。 …名前出すだけでトラウマを思い出すって、どれだけおっかないお姉さんなんだろう。 684 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 51 50 ID eE7Ry3FM [6/15] その後、俺達は二人連れだって学校に向かっていた。 普段は1人か、途中から葉山と登校しているので、女の子と2人でというのは中々新鮮なものがある。 ちなみに下校時も葉山と一緒。 ホモか、俺らは。 …しっかし、良く見るとウチの学校の生徒にもカップルっぽい連中は多いものである。 イチャついてたり、手つないでいたり、チューしてたり、ナイフ持って追いかけっこしてたりと色々な奴らが居る。 こっちも対抗して手くらいつないでみたりする。 「…み、御神くん、私達って周りからどう見えると思いますか?」 俺の隣を歩く緋月が、顔を赤らめ、上目遣いで見上げながら聞いた。 小柄な緋月に対して、俺の身長は無駄に高いので、緋月が話しかける時はどうしてもそんな体勢になる…と、思う。 これを計算でやっていても恐ろしいが、天然でやってるとしても恐ろしい。 つまり、その、うん、…萌え。 「んーと、同じ学校に通う仲の良い兄妹…って冗談冗談」 俺の答えに緋月が結構真面目に涙目になったので、からかうのをやめる。 「…ひどいです御神くん。もちろん、私は一日(カズヒ)お兄ちゃんのことが大好きですけど…」 「お兄ちゃんって…、いきなり萌え属性を追加するなよ…」 「?」 ブラコンて… もしかして、俺に告白したのって、その一日さんに似ていたからじゃないだろうなぁ… だとしたらちょっと悲しい。 そんなことを緋月に言うと、 「…そんなこと、無いですよ?」 そう、緋月は穏やかに言った。 「…それは、一日お兄ちゃんのことは大好きですけど、御神くんほどではありません。それに、一日お兄ちゃんと御神くんは、全然違う感じです…。堂々としていて、頭が良くて…。あ、でも、背の高いところは似てるかもしれません」 どこか柔らかい表情でそう言う緋月。 その表情には、どこか兄に対する親愛の念が感じられて… 「…ふぅん」 「嫉妬!?嫉妬ですかそうなんですね!?」 ぶっきらぼうな俺のリアクションに、緋月が過剰反応する。 「いやいやいや」 手を横に振って誤魔化す俺。 …実は、結構図星だったり。 無理矢理でも話をそらそう。 「あ、でも、お兄さんの呼び名は『お兄ちゃん』で、お姉さんには『お姉様』なのな」 俺の言葉に凍りつく緋月。 「……あの人、いえあの御方は恐れ多くて『お姉ちゃん』なんて呼べません」 ガタガタ震えながら緋月は言った。 「…呼べないのか」 一体どんな人なんだろう。 まぁ、緋月とのお付き合いを続けてれば、彼女の『お兄ちゃん』や『お姉様』とも会う機会もあるかもしれない。 ……双方とも気が合う気がしないけどな! 685 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 52 56 ID eE7Ry3FM [7/15] 「よぉ、みかみん…ってウゲェ!緋月!?」 教室に着くと、葉山正樹が居た。 「よーはやまん、朝から挨拶が御挨拶だな」 「…」 気軽に手を上げて応じる俺に、上目遣いで葉山を睨む緋月。 横に居るだけでも負の念を感じるようだ。 「こら、ひづきん」 「ひぎぃ!」 ぎゅむ、と髪を引っ張る。 「あれは葉山も悪いけどさ、少しは仲良くしようとなさいな。睨んでばかりじゃ上がる好感度も上がんないよー」 「痛い痛い痛い痛いごめんなさいごめんなさいだから髪引っ張らないでくださいぃ!」 「ハッハッハッ!良い気味だな緋月三日!」 「葉山…」 高笑いを上げる葉山をジト目で見る俺。 お前も仲良くする気無いなぁ… その時、 「お前も仲良くするのだ~!」 ガバッ!と葉山と緋月をまとめて抱きしめたのは、クラスメイトの少女だった。 髪は短髪、茶色がかった色は水泳部だからか。 細身ではあるが、適度に鍛えられていて不健康な印象は無い。 ニコニコ笑う彼女のことは、去年も俺や葉山と同じクラスだったので、割と知っている。 「ぐぉぇ!朱里!?抱きしめると言うよりラリアットみたいになって痛いんですけどぉ!?」 その少女、明石朱里(アカシアカリ)に対して、葉山がギブアップの動作を取る。 「胸当ててんだから文句言わない!」 「…いや、お前の胸って正直無いに等しいからありがたみが無…ギブギブギブ~!」 …はやまん、言ってはならんことを。 「でさ、みっきー!」 明石は緋月の方に目を向ける。(こちらはほとんど締まって無い) ってかみっきー?ああ、緋月三日→三日→みっか→みっき→みっきー、か。 どうやら、緋月と明石は随分仲が良いらしい。(「隣の席だからな」と横で葉山が言っている) 「話は聞いたよ。ってか、噂は聞いたよ。やったじゃん、大好きな御神ゲット出来て!」 俺はぽ○もんか。 「…はい、これも朱里ちゃんが大桜の噂を教えてくれたお陰です」 「それ以外にも、色々情報流したけどね~。アタシも頑張った甲斐があったよ!」 「…対価は、いずれ」 「期待してるよん!」 最後の方、微妙にワルいふいんき(変換不可)なのは気のせいか? 「ってか、噂って?」 「誰と誰がくっついたとか、そう言うのはフツーに噂になりやすいよ?アタシが事情通なのも差し引いても。アンタらが付き合いだしたことはもう全校生徒が知ってるんじゃない?」 俺の答えに対して明瞭に答える明石。 「なるほど~」 「今頃、何人の女生徒が涙をのんでるんだろうね!」 「人をジゴロみたいに言うなよ~」 俺と明石がそう言う横では、またまた負のオーラをまき散らす緋月が。 686 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 53 52 ID eE7Ry3FM [8/15] 「…全校生徒…、女生徒…、つまり全校生徒が泥棒猫…、全校生徒が敵…!これは殺すしか!」 「ンな訳あるか」 ぎゅむ! 「ひぎぃ!」 俺は再度髪を引っ張る。 「つーか、俺も信用無いよなぁ。付き合ってるってのにそう簡単によそのコにホイホイなびくような軽い男だと思われてたなんて、お兄ちゃん悲しい…」 よよよよ、と泣き真似をしてみる。 「たかだか付き合って1日で信頼関係もへったくれも無いんじゃないかな、ひそひそ」 「よりにもよって告白への返事が『いいよー』だったもんなー、ひそひそ」 「…なんで『お兄ちゃん』なんですか、ひそひそ」 「そろそろホントに泣いていい、俺?」 3人が3人、あまりにもあんまりなリアクションを取ってくれやがる。 …つーか、いわゆるヤンデレ的対応って、基本的に意中の相手への信用が無いよな。 いや、往々にして男の方が悪かったりするけど。 「マジメな話、うまくいくようにアタシの方で『イイ』噂を流しとくから大丈夫だとは思うけどね!」 不気味なくらいニッコリ笑って言う明石。 …どんな噂だ。 「…ありがとうございます、朱里ちゃん」 「いやいや~」 「…対価はいずれ」 「期待してるよん」 だから、対価って何だ。 「ま~そんな心配しないでよ、彼氏クン。親友からボッたくるほど、アタシは鬼じゃないよ。ただ、必要なモノを必要なだけ欲しいだけ!」 グッと親指を立てる明石。 …不安だ。 「なぁ、緋月。イザとなったら俺を頼りなよ」 「…ありがとうございます」 「…信用無いね、アタシ」 その時、予鈴が鳴り響く。 「んじゃ、アタシらはそろそろ自分の席に戻るね!ばいびー、正樹!」 「…………また、授業後に」 元気よく戻る明石に、超名残惜しそうな緋月。 「緋月と明石って仲良いのな」 席に戻る二人を見ながら 「あ~、俺もあんま知らんかったわ」 俺の言葉に返すのは葉山だ。 「あ、そうなの?」 「まーなー。やっぱ幼馴染でも、女子側のことは分かりづらくなるしなァ…」 「幼馴染!?」 なんだその今時ゲームでしか聞かないようなフレーズは。 「言ってなかったか?俺と朱里はガキの頃から家近くて、学校も同じなんだよ」 「ゲームとかだったら、そのままゴールインだけどなー」 「無い無い。お互い腐れ縁、付き合い長い友達くらいにしか思ってねーよ」 ひらひら手を振る葉山。 そうは言うが、普通それでも離れていくものではないのだろうか。 だから、高校になっても親しい異性の幼馴染なんてのはゲームくらいにしか居ないわけで… 親しくするにも、親しくあるにも相応の理由と努力があるわけで… 「もしかして、もしかしなくてもそう言うこと、なのかな」 もしそうなら、恋人の友達の恋愛成就を反対する理由は無いかな、と思った。 え、葉山の意志? ……それはそれ、これはこれ。 687 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 54 56 ID eE7Ry3FM [9/15] お昼の時間 「ひづきんひづきん、一緒にご飯食う~?」 俺はゆるゆると緋月の席の方に近付く。 「ラブラブだな、お前ら。いっそそのまま二人の世界に入って、俺にとばっちりが来ないようにしてくれよ?」 葉山は何を言ってるんだろう? 「お前も来るのよ?」 「当然のように怖いコト言うなよ!?」 ガタンと立ち上がりオーバーリアクションをとる葉山。 「じゃあ間を取ってアタシも仲間に入るじぇい!」 そう言うのは明石だ。 実は俺の方から提案するつもりだったのだが、その前にノッて来てくれたようだ。 「…では、私は購買でパンを」 そう言っていそいそと教室から出ようとする緋月。 その行動に、なぜかとてもとてもとてもとても(中略)とてもイラっときた。 お前は… 「………」 ぎゅむ! 「ひぎぃ!今無言で全力で髪引っ張りましたよね!もしかして結構怒ってますか怒ってますねそうなんですね!?私そんな悪い事言いましたかごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 「お前は今すぐ『告白の巻』を読み返せ」 「メタなことを!?」 「取りあえず、お前はもう離さない」 「何と言う求婚!?って、髪の毛をどうするんですかぁ!?」 そう言う緋月の髪を、この場から離れないように無理矢理机に結びつけ、俺たちはそれぞれの机を1カ所に集める。 「もしかして、彼氏クンの方がヤンデレ度高い?」 「そりゃ、あんなのと付き合う位だからな…。俺らはアイツを見誤ってたのかもしれん」 なぜか俺達を見て失礼なことを言う明石と葉山。 「…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい私のような雌犬にはご飯なんていらないんですねそうなんですね…」 「自分のこと雌犬言うな」 そう言って、俺は緋月の前に弁当箱と飲み物を置く。 「…え?」 「…弁当、これからは俺が作るって言ったでしょ?」 「…冗談だと思ってました」 「こっちは忘れられたかと思った」 「…ありがとうございます」 そして、互いに手を合わせていただきます。 「ところで、アタシらで考えたことがあるんだけど!」 食事中にビシっと手を上げる明石。 「何の話ー?あ、緋月、そっちのスプーンはデザートに使ってくれ」 「あ、はい…」 「椅子に縛ってたせいで髪、ちょっと乱れてるな。ブラシ持ってきたから髪梳いて良い?」 「…はい」 「話を聞けー!」 ビシっとツッコミを入れる明石。 基本、俺らはボケ属性なので彼女や葉山のようなツッコミが居るとマジ助かる。 「さっき、みっきーと話してたんだけど!」 「何をー?」 緋月の髪をすきながら、相槌を打つ俺。 しっかし本当に良い髪してるな、このままずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと梳いていたいくらいだ。 「おい、みかみん。瞳からハイライト消えかかってるぞ」 「おっと危ない。それで、明石、何だって?」 「アタシら4人で、この週末、どっか出かけないかって話よ!」 くじけそうになりながらも、ずびし、と力強く宣言する明石。 688 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 56 03 ID eE7Ry3FM [10/15] それに葉山がブーイングをかます。 「何でこのカオスな面子なんだよ!」 「良いじゃない、暇でしょ、どうせ」 明石の言葉に、「まぁそうだがよ…」と引き下がる葉山。 俺の方は、特に反対する理由も無い。 「次の土曜は俺も暇だけどなー。ひづきんはどう?」 「…はい、私も大丈夫です。それにしても、何だか…」 そこで、緋月は一瞬何かを思い出すように宙に目を泳がせ… 「男女四人デ出カケルナンテ、何ダカだぶるでーとミタイデスネ」 「オヤ、言ワレテミレバソウダネ、みっきー」 緋月と明石が棒読みでしらじらしく言う。 …何この小芝居。 いやまぁ、「そういうこと」なんだろうが。 「そりゃ無ーよ!ハブとマングースが仲よくダンスする位無ーよ!」 空気を読まない男、はやまんがロクでもないツッコミを入れる。 …うわぁ、コイツ酷ぇ。 明石の表情も一瞬ひきつった。 鈍感も過ぎると罪なのな…。俺も人のこと言えないけど。 「ま、まぁ、参加する面子の内二人はお付き合いしてるんだし、ダブルデートと言えばダブルデートなんじゃない?」 「俺ぁ認めて無いけどな…」 じっとりとした目を向ける葉山。 「何でそんなイジワル言うかなー」 「俺が去年一年間、どんっっだけ緋月の視線(プレッシャー)に耐えてきたと思ってきたんだよ!これだから鈍感は…」 うわぁ…、葉山の最後の一言に、明石がスゴい目で葉山を見てる。 「…ゴシュウショウサマ」 「心が籠もってねぇ!」 「…いや、だって…」 「「「ねぇ?」」」 俺と明石、加えて緋月の台詞がハモった。 「何で!?」 葉山が抗議するが、奴の言葉を聞く者はいなかった。 689 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 56 38 ID eE7Ry3FM [11/15] その後ゆるゆると授業を受け、俺は放課後もまたゆるゆると過ごしていた。 「…御神くん、一緒にかえ…」 「御神センパイ!料理部に助っ人お願いします!」 「ん~、良いよ~、でも俺なんかで皆の助けになるかなぁ?」 「何言ってるんですか、先輩くらい料理できる人ウチの学校にそうは居ませんよぉ」 「持ち上げるねー。まー、そこまで言わせちゃったら来ないわけにもいかないかー」 「「「ありがとうございまーす」」」 「んじゃ、そう言うことだから、緋月またねー」 「………御神くん」 料理部部室(家庭科室)にて 「んーと、そこはもっとこう手早く軽快な感じでー」 「はい、センパイ!」 「あ、そんな力入れちゃダメだよー。趣味の料理なんだし、もっとお気楽極楽にね」 「オレ、彼女に手料理作るためにこの部に入ったです!アイツが『イマドキ料理もできない男なんてダサい』って言うから…!」 「なら、その相手のことを考えて作ってみると良いよー。それだけでも、楽しくなって色々出来ることが見えてくるし。…今朝の俺がそうだったようなそうでなかったような」 「そう言えば御神君!御神君が女の子と付き合いだしたなんてウソよね!」 「…あ、それホント」 「そんなァ!今『御神×葉山』本を書いてるのに!」 「ええっと…、どこにそんな需要が?」 690 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 58 12 ID eE7Ry3FM [12/15] 部活時間終了後 「うーん、今日もゆるゆるした一日だったなぁ」 「…どこがですか?」 料理部の皆さんと一緒に家庭科室を出ると、後ろから恨めしげな視線が。 「もしかして待っててくれたのー?」 振りかえると、予想に違わず緋月がいる。 あまりの負の念に、料理部員や他の生徒が軽く引いている。 「…見てました、ずっと」 「ウン、何と言うか、ゴメン」 部活時間中ずっとほっぽっちゃってたからなぁ…。 「…そんなに女の子に囲まれたいんですか?」 「人をジゴロみたいに言うなよー。大体、彼女持ちがそんな願望抱くと思う?」 「…お母さんが言っていました。恋人とは蝶のようなもの。その美しさにどれだけ魅了されても、つなぎとめておかなければすぐにどこかへ行ってしまう、と」 「独特なカンジで人差し指を掲げて言うあたり、お前も好きだね。その手のネタ」 大仰なBGMが欲しいところだ。 緋月の瞳からハイライトが消えていなければ、だが。 「…となればこの部活、潰すしか…!」 「逆に潰されるパターンだよな、お前の体力的に」 「うう…」 否定できないのか、黙り込む緋月。 「でも、本当にゴメンねー、不安にさせて」 くしゃ、と俺は愛おしげに緋月の頭をなでる。 「…安い台詞、なのです」 「埋め合わせは、必ずするよ」 「今して下さい」 「時々鋭いよな!」 今回の緋月は、中々機嫌を直さない。 放っておかれたのがよほど嫌だったのだろう。 いやまぁ、緋月の言うことも分からんでも無い。 愛して欲しい相手が他のことにかまけていると、実際はどうあれ、まるで相手から愛されていないような気になってしまうものだ。 ウチは片親で、昔から親が留守がちだったから、その気持ちはよくわかる。 今朝の夢では無いけれど。 「分かった。何が欲しい?」 「御神くんが」 691 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 58 35 ID eE7Ry3FM [13/15] 瞬時に切り返した緋月の言葉に、一瞬言葉に詰まる。 …うん、聞いてる方が恥ずかしくなる台詞をナチュラルに言ってくれるよな。 「俺はもう上から下までお前のモンだよ。特にご飯とかご飯とか!」 俺は照れをごまかすため、ことさらにおどけて言った。 「なら、その証拠を見せてください」 「何を!?」 「…キス、してください」 …まったく大胆な。 いや、相変わらず頑張りすぎな。 まぁ、どっちにしても恥ずかしい台詞を言わせちゃったのは俺が悪いわな。 今回といい、告白の時といい、何のかんので彼女にリードされっぱなしな気がする。 お前にリードされっぱなしなのは、これっきりにしなきゃな。 俺は返事の代わりに少し身をかがめ、自分の唇と緋月の唇を重ねる。 柔らかい、と当然の感想。 あまりに心地よい感触に、一瞬我を忘れそうになる。 て、言うか忘れた。 主に理性を。 そして、理性を失った欲望が緋月の奥を求める。 「…!」 いきなり俺の舌が口の中に侵入してきて、緋月が驚きに目を見開く。 けれど、それを拒絶することなく、自分の舌とからめる。 何分そうしていただろう、と思った時にふと気がつく。 濃密な触れ合い。 この会話は、部活終了直後から始まっているわけで。 周りには料理部の皆さんだけでなく、他の生徒もいるわけで。 そして、彼らは俺らの姿をガン見してたりするわけで。 「…」 「…」 ええ、もう。 それに気付いた時には恥ずかしさで悶絶しましたよ、二人して。 692 名前:ヤンデレの娘さん 交際の巻[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 22 59 02 ID eE7Ry3FM [14/15] おまけ あるいはその夜の通話記録 「チュー!?ディープなチュー!?それも白昼堂々公衆の面前で!?アタシはみっきーのことそんなやらしい娘に育てた覚えはありませんザマスよ!」 「ななななな!?炊きつけたのは朱里ちゃんじゃないですか!?『泥棒猫たちの前でキスの1つでもかませば排除完了っしょ!』ってぇ!?」 「はっはっはっ!そぉんなジョークを真に受けるなんて、みっきーも素直すぎて笑っちゃうな!」 「明らかに『やれ!』的な流れでしたよ!」 「でも、ヤじゃ無かったでしょ? 「…それは、そうですけど」 「だったら終わりよければすべてよし!」 「…。…ところで、そちらはどうだったんです?」 「ウン、お陰さまで久々に正樹と一緒に二人きりで帰れたよ。それもこれもみっきーが御神を引きつけてくれたお陰だね!アイツ、いつも御神と帰ってたんだもの、男同士で何が楽しーのやら。」 「…私も、あの後なし崩し的に一緒に帰れましたから。…恥ずかし過ぎてほとんど会話ありませんでしたけど」 「アハハハハハ!」 「笑いすぎですよぉ!」 「いやぁゴメンゴメン。お互い権謀術数の限りを尽くしてるのにウブでウブで…。こっちも、キンチョーしちゃって気の聞いた会話なんて全然だったよ。…笑っちゃうよね。裏じゃ正樹に胸キュンな女子を噂使って引き離したりと汚いこともしてるのにさ」 「…でも、それは…」 「ま、そだね」 「「それだけ好きだから」」 「…ねぇ、朱里ちゃん」 「何、みっきー?」 「これからもがんばりましょう、お互いに」 「だね」 通話終了
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病んでいるデレでヤンデレ。元々は「ツンデレ」から派生したネットスラングである。 主人公に惚れており(デレ)、ストーリーの進行に従って明らかになる何らかの事情により、 精神的に病ん(ヤン)でしまうキャラクター、及びその状態のことを指す。 ヤンデレ状態になると、恋愛対象に対して異常なまでの愛情(あるいは依存心・独占欲)から、常軌を逸した行動を取るようになる。 代表的な(かつ、最悪の場合の)行動としては、主に対象に対するストーカー行為を行ったり、監禁したり、殺害したりする。 (自身を傷付けるケースもあるが、この場合は自罰・自傷癖、あるいは単にヤケクソと呼ぶ事が多い) 勿論、それらの行動をとる本人からすればそれは「愛情表現」である。 あるいは「SHUFFLE!」の芙蓉楓、「ひぐらしのなく頃に」の園崎詩音、そして言葉のように、 恋愛対象は傷つけずに、それを奪おうとしたり傷つけようとする相手のみを攻撃するケースもある。 (ニコニコで有名なキャラはこちらのパターンが多い) こういった行動をする状態を「黒化」または「黒○○(ヒロインの名前)」と言われたりすることが多い(例:暗黒長門、黒言葉様)。 しかし、定義が定まっていないジャンルであり、ヤンデレ扱いされているキャラのファンは、そのキャラに ヤンデレというレッテルを貼られる事を嫌う者も当然いる。よって、乱用はしない方が無難である。 ちなみにデレは脳内で補ってる可能性もあるので注意。 (そもそもニコニコで有名な暗黒長門はファンによる二次創作から生まれた存在である) 最近成立した単語というイメージが強く珍しいキャラクター類型であると思われがちだが、 「女性の嫉妬や恨みが暴走する物語」は人類の歴史と言ってもいいほど古くから存在し、キャラクター類型としては むしろありふれた存在である。 「School Days」の桂 言葉はその草分け的存在。 彼女のゲーム中における常軌を逸した行動の数々で「ヤンデレ」の言葉が生まれ、 同作のTVアニメ版でさらに異常な行為を見せた事で一つの萌えジャンルとして完全に確立された。 この功績(?)により現在では彼女を「ヤンデレクイーン」と称する者も多いが、物語の展開上 彼女をヤンデレと称する事に疑問を呈するファンや製作スタッフも少なくはない(詳細は彼女個人の項を参照)。 恋愛対象に対する独占欲が強い、という点においてはむしろ世界のほうがヤンデレに近いといえる。 このヤンデレ人気を反映してか、最近は様々な病み方をしたヤンデレ美少女のドラマを収録した 「ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD」も発売された。 最近のニコニコ動画ではこのCDに収録されたキャラと他作品の人気キャラの掛け合いのMADが人気を呼んでおり、 ニコニコRPGでも35話でこのCDの中からヤンデレ妹がラスボスの一部として登場した。 関連動画 言葉と共に鬱になりましょう。 正しいヤンデレ? ニコニコ最古のヤンデレ?動画。(正直楓もヤンデレかどうかは微妙) 昔話のヤンデレ
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736 :ヤンデレの娘さん 転外 ぺぇじぇんと◇9znZNYtb1U:2011/06/14(火) 23 02 22 ID 5bzKfcHY それは、別れと出会い、そのそれぞれのそれ以前。 それは、御神千里と緋月三日が夜照学園高等部に進級する以前。 開幕前の舞台で演じられる物語。 10人が10人振り向く美少女と言うものは実在する。 氷室雨氷に言わせれば、一原百合子がそれにあたる。 それは、2人が恋愛(同性愛)関係にあるが故の身びいき、というわけではない。 現に今、この夜照学園高等部校舎屋上の、雨氷のいるほんの数メートル先で、 「好きだ、一原!付き合ってくれ!」 「ゴメン、無理!」 というやり取りが行われている。 ちなみに、前者が2人のクラスメートの男子(名前は覚えていない、雨氷にとって百合子以外は些事である)、後者が手を合わせている百合子である。 男子と百合子はその後も二言三言言葉を交わしていたが、「無理なものは無理、だからしょうがない」という百合子のキッパリとした態度にトボトボと屋上を去って行った。 どうして無理なのか、というところまでははっきりと説明していないし、できない。 百合子が同性愛者であるという秘密が不用意に知れ渡ったら、どのような偏見の目にさらされるか分かったものではない。 だから、彼女らの関係はよほどのことが無い限り、よほど信頼のおける相手以外には秘密にしておこう、というのがこの頃の2人の共通認識だった。 「お疲れさまでした、一原さん」 「どーも、うーちゃん」 男子が去ったのを確認して、雨氷は物陰から出て百合子に声をかけた。 ちなみに、『うーちゃん』とは百合子から雨氷に対する長年来の愛称である。 2人は小、中、高と行動を共にしている幼馴染同士でもあるのだ。 もっとも、雨氷の方は照れ臭くて人前で百合子の愛称を使うのを止めてしまっていたが。 高校生にもなって『ゆーちゃん』という愛称を使うのはいささか以上に勇気が必要なのだ。 「なんつーか相変わらず、男の子(トモダチ)の告白を断るのは心苦しいわよねー。てか何度目だっけ、こう言うの?」 「今月に入って10件目かと」 「多いわね……」 「ええ、まるで盛りの付いた犬のようです」 「妹ならぬ、くらすめえとは思春期、ってトコね」 「殺しておきましょうか、今の彼」 「クラスメート相手に何サラっと恐ろしいコト言ってるのよ」 とはいえ、それは無理ならぬことではあった。 高等部に進級したときに、綺羅星のごとき美少女達が来たと学校中の話題をさらったからだ。(これは、2人と中等部からの学友たちが彼女らの美貌を伝え広めたからでもある。女子は噂好きなのだ) 結果、百合子と雨氷は双方ともに男子からの注目を集めることとなった。 特に、美人で明るい百合子に年頃の男子が惹かれるのは当然のことと言えた。 当然の、ことと…… 「……やっぱり、殺しておきます」 「いやいやいや」 スッと学生鞄の中に手を入れ、歩きだそうとする雨氷の肩を百合子が掴んだ。 細くたおやかな百合子の指の感触を味わいたいのを我慢しながら、雨氷は口を開く。 「だって、盛りの付いた雄犬が、いつ一原さんを性的な意味で害するか分かったものでは……」 「さすがにそれは無いわよ、エロゲじゃあるまいし」 とはいえ、と百合子は続けた。 「私も考えてはいたのよねー。前々からの思春期男子ーズから無駄で無意味にモテちゃうのには。彼らにも悪いし……」 異性愛者なら嬉しい悲鳴と言ったところなのだろうが、同性愛者であり、男性を友人としか見れない百合子にとっては本当に困った状況だった。 同性愛者であることを知らない男子の友人たちを結果として騙しているようで、本気で悪いと思っているらしい。 雨氷に言わせれば、百合子にそんな気を遣わせる男子達が悪いのだが。 「あんな連中、気に病むことはありません。どうせ、一原さんの体目当てに決まっています」 「まー、何割かはそういう下心はあったでしょうね。思春期的に考えて」 「やっぱり殺してきます、今まで告白してきた連中全員」 「だから駄目だって」 再度肩を掴まれた。 「なら、どうしろと」 無表情なりに不満を顔に出す雨氷に、百合子は不敵な笑みを浮かべた。 「私に良い考えがある」 「失敗しそうな台詞ですね」 何故か野太い声を作って言う百合子に雨氷は思わず突っ込みを入れた。 「台詞(ソレ)は気にするな、よ。これは私の考え、どれ程のものかは実行してみれば分かるわ。とりあえず着いてきて」 そう言ってクルリ、ときびすを返す百合子。 答えは聞いてないということらしい。 737 :ヤンデレの娘さん 転外 ぺぇじぇんと◇9znZNYtb1U:2011/06/14(火) 23 03 58 ID 5bzKfcHY 「上級生の教室に向かうのですか?」 「流石に今回ばかりは身内だけじゃどうにもできそうにないものね。ヘルプを求めてみるつもり」 「今考えたんですか?」 「ウン、今考えた」 相変わらず感情で生きている娘であると、雨氷は思った。 階段を下り、上級生の教室へ向かうらしい百合子の少し後ろを、雨氷は着いて行った。 上級生クラスのある階の廊下を威風堂々、足早に進む百合子と彼女の一歩後ろを行く雨氷に、上級生の男子たちが振り返る。 上級生のクラスの階に、一年生の百合子たちが着たことへの驚きや、とびきりの美少女である百合子と雨氷への注目が一気に集まる。 その視線に、雨氷は顔をしかめそうになるのを何とか抑えた。 こうして好意と好色(と雨氷は感じている)の視線が普通に集まっているということは、自分と百合子の性質が知られておらず、彼らと同じ異性愛者だと思われているということでもある。 それは、今現在においては雨氷の、ひいては百合子の身が守られているということでもある。 人は、自分とは違うモノに対して決して優しくなど無いのだから。 もっとも、当の百合子はどこ吹く風。 目的地に向かってズンズンと大股で歩む。 他人の目に対して、百合子はあまりにも無頓着だった。 無防備、とも言えるし、雨氷はそう感じていた。 『なればこそ―――』 と、雨氷は思う。 『一原さん―――ゆーちゃんは私が何としてでも守らなくてはならない』 両手で持った学生鞄を握りしめ、強く思う。 信念と呼んで良いほどに強く。 それは、今はまだ学校の違う百合子の所のボンクラ妹達(恋敵にしてある意味では同志)にはできない役回りだから。 それが、自ら望んだ役回りなのだから。 百合子の方はそんな雨氷に気付く様子も無く、ある上級生クラスの教室のドアをガラリと開く。 「ちわーッス!緋月先輩居ますかー!?」 そんな百合子の派手で唐突な登場に、上級生たちの視線が一瞬驚きに変わる。(雨氷は、その一歩後ろで控えめに一礼した。最低限の礼儀である。) 驚かなかったのは、たった1人。 髪の色は鴉の濡羽。 瞳の色は深淵な黒。 それとは対照的に肌は陶磁器のように白い。 顔立ちは、性別を感じさせない位に整っていた。 一原百合子が10人が10人振り向く美少女なら、その男は100人が100人振り向くような美形だった。 緋月一日 役割は、生徒会長。 百合子と負けず劣らず破天荒な彼は些細なきっかけで親しくなっていた。 少なくとも表面上はそのように見えると、雨氷も思っていた。 友人と歓談していた一日はその顔立ちに似つかわしい優雅な所作で席を立ち、雨氷たちの方に向かってくる。 「雷鳴のような大音声を上げずとも、僕には十分に聞こえるぞ、一原」 見ただけで女性を虜にしそうな美しい笑みを浮かべ、一日は言った。 その完璧なまでに美し過ぎる笑みに、雨氷はむしろ不快感を覚え、眉をしかめそうになる。 あまりに完璧すぎて、作り物にしか見えないのだから。 「あっはー、すいません。でもでも、私のモットーは元気爆発頑張ぞー、なんで。何事も派手に愉快にしなきゃ気が済まないというか自然にそうなっちゃうと言うか?」 「良くわからんが、まぁいい。それで、今日はどう言った要件だ?」 女子的なハイテンションでまくしたてる百合子に動じることなく、先を促す一日。 ちなみに、他の先輩たちはもうそれぞれの行動に戻っている。 「今暇ですか?」 「暇と言えば暇だな」 「ンじゃ、ちょっち外良いっすか?」 「教室では駄目なのか?」 「人多いじゃないですか、ココ」 「確かに、少々観客が多いな」 一日の言うように、教室内には未だ生徒が多く残っていた。 勉強会を開く勤勉な者もいれば、取り留めの無い会話をしている者も多い。 ふと、雨氷の眼にクラスメイトと話をしている1人の女生徒が映った。 738 :ヤンデレの娘さん 転外 ぺぇじぇんと◇9znZNYtb1U:2011/06/14(火) 23 04 20 ID 5bzKfcHY 百合子たちと負けず劣らず、いやそれ以上に目立つ外見の女生徒。(何しろ金髪である) 名前は確か、鬼児宮フィリア。 外国人とのハーフであると同時に大会社の社長令嬢である。(夜照学園は、学費が平均よりも高くないのにも関わらず、施設やカリキュラムのレベルが非常に高いとされるので、様々な層の生徒が入学してくるのである) また、とんでもない美少女であり、誰がつけたか『月光の君(レディ・クレセント)』という通称まである。余談だが、その通称がつけられた当時、高等部では遅れてきた『マリ見て』ブームのただ中だったとか。 以前噂を聞いて、何の漫画だと思ったきりだった先輩だったが、なぜか眼に付いた。 まっ白な右手を頬にあて、雨氷たちから少し離れた席で友人たちと優雅に談笑しているだけの彼女が、なぜか彼女がこちらの方を見ているような気がしたのだ。 「つーワケで緋月先輩はお借りしますんで、夜露死苦!」 一日と話をしていた先輩たちにそう言う百合子の台詞に、雨氷は意識を戻される。 「何だ、一原。お前も緋月にコクんのか?」 話しかけられた先輩が、冗談めかして百合子に言う。 「あっはー。それは無いですよ」 「そんなことはありません」 百合子と雨氷がほぼ同時に否定する。 「ンじゃま、クレヨンしんちゃん曰く『じゃ、そう言うことで』」 「『じゃ、そう言うことで』だそうだ」 百合子のおふざけに一日が笑顔でのり、雨氷が軽く一礼した。 そういうことってどういうことだよー、という上級生のツッコミを背に受けながら3人は教室を出る。 去り際に、雨氷は軽くフィリアの方を見た。 右手を頬にあて、穏やかな笑みを浮かべながら友人たちと談笑している。 こちらの方を見てさえいない。 なのに、なぜか。 突き刺すような殺気を向けられているような気が、した。 739 :ヤンデレの娘さん 転外 ぺぇじぇんと◇9znZNYtb1U:2011/06/14(火) 23 05 22 ID 5bzKfcHY 「こんなところで良いか」 不自然なまでに人気の無い廊下の隅で、指揮者のように手を広げる、やはり完璧すぎる所作をしながら一日は言った。 「はい、オッケーっす」 「それで、用事というのは何かな?」 百合子の言葉に美しい笑顔を浮かべ、一日は聞いた。 計算しつくされた、美しい笑顔。 美しすぎるからこそ、その笑顔が演技であることが雨氷にははっきりと見えた。 だから、 「その前に、無礼を承知で言わせていただきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」 百合子の一歩前に出て、雨氷は言った。 「どしたの、うーちゃん?」 不思議そうな顔をする百合子。 「僕は構わないが」 雨氷の眼光に動じることなく一日は言った。 この場合、動じる様子を見せることなく、と言うべきなのだろうが。 「折角人がいない、緋月先輩もご冗談のような演技はお止めになってはいかがですか?」 淡々と、しかし不躾とも言える一言を、雨氷は叩きこんだ。 「演技、か」 笑顔を崩さず、一日が言った。 「ええ。一原さんは軽妙軽薄な言葉を使わせていただきましたが、私たちは何も無意味無目的に、緋月先輩に来ていただいたわけでは無いので。むしろ、とても重要なお願いをしたいと思っています」 実のところ、雨氷はその話の詳細を知らないのだがソレはともかく。 「ですから、そのような演じきられた、嘘で塗り固められた態度と笑顔を向けられると、はっきり言って―――」 一瞬、逡巡してから雨氷は言葉を続ける。 「不愉快です」 雨氷自身でもどんな顔をしているのか分からなく様な思いを叩きつけられ、しかし一日は演技を崩すことなく、その中性的な顔を困ったような形に変えた。 「不快不愉快不都合と言われても、正直いささか困るところではあるな」 一日はそんな台詞を言った。 「困る、ですか」 「ああ。僕にとって演じるというのは呼吸よりも当り前のことだからな」 「確かに、緋月先輩が演劇部の花形(スタァ)でいらっしゃるのは存じておりますが―――」 「ああ、違う違う。そういうことじゃない。むしろ逆だ。僕が演劇部の役者なのは単純に当然の帰結だ」 「当然の帰結、ですか」 「ああ、僕の知り合い風に言うと…トウゼンノキケツ…という奴だ」 言ってから、一日は「やっぱり使いづらいな」と顔をしかめた。 「人が複数人集まれば、そこはもう舞台だ。演じるべき状況があり、演じるべき役割がある。状況に則し、他人の言葉(セリフ)に合わせ、自身も行動する。それはもう演技だ。『この世は舞台、人は全て役者にすぎない』プラトン以来の常識だろう?」 そう言う一日の姿は、確かに舞台上で見るものと変わらなかった。 変わりようが、無かった。 「とはいえ、安心はしても良い。その演技の裏側に悪党の顔が潜んでいるとかそう言った役柄では無いからね、僕は。君たちの願いには真摯に真剣に対応するし、必要とあれば全力で力を貸そう」 「という役回り、ですか」 「そう言うことだ。何せ、生徒会長だからな」 自分の役は自分が一番把握しているよ、と一日は言った。 『やはり、不愉快』 と、雨氷は学生鞄をギリと音がするほど握りしめて思った。 感情というのものを完全に度外視した、一日のもの言いに。 740 :ヤンデレの娘さん 転外 ぺぇじぇんと◇9znZNYtb1U:2011/06/14(火) 23 06 23 ID 5bzKfcHY 「あー、そろそろ良いッスか?」 と、そこへ百合子が言った。 「今の話を聞いてましたか、一原さん」 「ごみん、何か難しそうなこと言ってたから後半聞き流してた」 雨氷に対して両手を合わせて百合子が言った。 「ともあれ、何でも言ってくれ、一原。生徒会長とはそういう役だ」 「んじゃー、遠慮なく言っちゃってぶっちゃけちゃいますね」 微妙にかみ合ってるのかいないのか分からないトークだった。 「私、みんなにカミングアウトしようとか思っちゃってるんですよ」 「カミングアウト?何を」 「私、レズなんです」 「レズか」 動じない一日だった。 「格調高く言って、百合なんです」 言わなくて良い。 「そうだったのか?」 「言ってませんでしたっけ?」 「聞いてないな。聞こうともしなかったが」 「言おうともしませんでしたしね」 「それで、君の望みとは?」 「ジブンで言うのも難ですけど私ちょっとモテるじゃないですか、男子に。無駄に」 「らしいな」 「さすがに、先輩ほどじゃないですけど。学園の女子全員をフッた先輩ほどじゃ」 「それは噂だ。話半分に聞いておいて欲しいな」 「ういっす。で、ですね、私らの場合、男子にモテても問題じゃないですか、っていうかヤバいじゃないですか」 「確かにヤバいな、男子の方が」 「だから、いー加減どうにかしようかと思ってですね―――」 そこで、百合子は軽く勿体をつけた。 自身の『良い考え』、現状をひっくり返す秘策を彼に伝えるために。 「全校生徒の前でカミングアウトしようと思うんですよ」 ゴン、という音が雨氷の耳朶を打った。 それが、自分がひっくり返って頭を打った音だと気付くのに数秒かかった。 「ちょ、大丈夫、うーちゃん?」 「頭が痛いです」 「そりゃそーでしょーよ、あんな盛大に頭からズッこけたら。あ、今日のパンツは黒なんだ」 「二重の意味でです……」 あと、パンツを覗かないで下さい、と起き上がって身なりを整えながら雨氷は言った。 頭の痛みが引いてくると、逆に怒りが沸いてくる。 「って言うか貴女は馬鹿ですか!?今の今まで信頼できる相手以外には苦心と腐心と細心の注意を重ねて自身の秘密を隠し続けてきたというのに!?しかもそれを!?全校生徒の前でカミングアウト!?学校中の生徒を敵に回しますよ!?」 「うん、それに関しては返す言葉も無いわね」 「だったら何でそんなことを!?しかもこの不愉快な男にまで!?」 一日を指差しながら雨氷はまくしたてた。 普段の冷静沈着の仮面が完全に取れているが、そんなことを気にしている余裕はない。 「それはね、うーちゃん」 興奮しきった雨氷を落ち着かせるように、諭すように百合子は言った。 741 :ヤンデレの娘さん 転外 ぺぇじぇんと◇9znZNYtb1U:2011/06/14(火) 23 06 53 ID 5bzKfcHY 「私の性癖を知れば、確かに嫌な気分なる人は出てくると思うわ。でも、だからって隠し続けてると、男子の友達に望みの無い以上の恋をさせて傷つけちゃう」 珍しくまじめな表情で、百合子は言う。 「どちらにせよ、人を傷つけるなら、私は自分の心のままに生きたい。生きられるようにしたい」 百合子はそうキッパリと言ったのだった。 その表情を、雨氷は美しいと思った。 恋愛関係にあるが故の身びいきかもしれないが。 それでも、その百合子の姿を、男とか女とか、恋愛とかそうでないとか関係なく、1人の人間として美しいと思ったのだ。 「……惚れた弱み、ですね」 「何か言った?」 「いえ、何も」 小さく呟いた言葉を誤魔化し、雨氷は嘆息しながら言葉を続ける。 「分かった。分かりました。貴女がそこまで思って考えた上での結論ならば、私は何も言いません。言ったところで貴女が考えを変えるとも思えませんし。それにどんな状況でも私のすることは変わりません」 手にした鞄を握りなおし、雨氷もはっきりと言う。 「例えどんな時でも、私は貴女を愛し、貴女を守ります」 その雨氷の言葉に百合子は笑みを浮かべた。 「頼りにしてるわ、うーちゃん」 「ええ、任せてください、ゆーちゃん」 何年か振りに互いに愛称で呼びあい、2人は手を取り合った。 「互いの絆を確認しあう良い場面の最中に難だが―――結局、一原は僕にどんな役を所望なんだ?」 半ば話から取り残された形になっていた一日が、無駄に様になった苦笑を浮かべつつ言った。 「貴方なんて背景の木がお似合いです」 割り込まれたことに不愉快な視線を向ける雨氷。 それをまぁまぁと落ち着かせながら、百合子は一日に言う。 「先輩には役と言うか背景と言うか、それよりも場を提供して欲しいんですよ。私の秘密を全校生徒にカミングアウトする場みたいなのを」 「劇場主の役、いや大道具担当、といったところか?」 「どうせやるなら、派手にやりたいですからね。具体的には今度の全校集会の時とか、生徒会長の言葉とかの時間の間とか後とかで、私が壇上に上がる時間とかをちょっとで良いので作っていただけないかな、と。ちょー裏方になってしまって申し訳ないんですけど。」 「ふむ…」 百合子の言葉に、思案顔になる一日。 「ふと疑問に思ったのだが、それを僕に断られたらどうするつもりだったんだ?その上、俺は君たちの秘密を知ってしまった」 「あー、それは考えてませんでした」 「しかも、労力の割に僕個人には何のメリットも無いという」 「それも考えてませんでした!」 「…思ったんだが、一原は『愚者』のタロットも驚くような大馬鹿者なんじゃないか?」 冗談めいた口調で、一日は言った。 「だが、そうした馬鹿は嫌いではない。協力しよう」 そのまま笑顔を浮かべ、一日は言った。 雨氷たちが見た彼の表情の中で、一番砕けたものに見えた。 「その代わりと言っては難だが、こちらからの条件として、今後入学してくる、僕の一番下の妹には手を出さないことでも約束してもらおうかな?」 「可愛いんスか!?」 新しい女の子の話題にさっきまでの真剣な表情が嘘のように目を輝かせる百合子。 「…手出すなっつったよな…」 「ハイ、ワカリマシタデゴザイマス」 かなり本気でドスの効いた口調で言う一日に、思わずカタコトで答える百合子。 どうやらこの男、かなり筋金入りのシスコンらしい。 742 :ヤンデレの娘さん 転外 ぺぇじぇんと◇9znZNYtb1U:2011/06/14(火) 23 08 31 ID 5bzKfcHY 「まー、ジョークはともかく。その下の妹さん?もウチの学校に入学されるんですね。上の妹さんに続いて」 「…とても冗句には聞こえなかったが…、まぁその予定だ。入試への学力面でも問題ないが、色々あっていささか人見知りが過ぎるというか何と言うか。僕無しでは呼吸もままならないのではと、我が妹ながら今後が心配なところだ」 やれやれだ、と大げさな仕草で一日は言った。 そう言いながらもどこか嬉しそうなのは、よほど下の妹とやらが好きだからなのだろう。 ちなみに、もう1人の妹(剣道部エース)の方とは犬猿の仲。時折口げんかをしている姿を雨氷たちも見たことがある。 何だ、この態度の落差は。 「分かりました!そう言うことなら、もし下の妹さんが入学してきたら、後のことは私らに任せて下さいな!」 パン、と手を叩き百合子が言った。 「ほぅ…」 疑わしいとまではいかなくとも、こいつ冗句で言ってるんだろうな、という目を向けてくる一日 「いやマジで。私にもこんなに可愛いわけが無いってくらい可愛い妹いるんで、先輩の気持ちがちょい分かりますし。先輩が卒業した後でも、その妹さんのことは大船に乗ったつもりで任せてください!」 「…ふむ…」 あっさりとそう言った百合子に、一日は目を丸くしていた。 人の恋人に向かって何信じられないみたいな顔してるんだこの野郎とか馬鹿の顔してるんじゃないとか雨氷は内心思わないでもなかった。 「いや、そう言ってくれると正直嬉しいな。『僕は良い後輩を持った』などと手垢のついた台詞が必要なくらいだ」 本当に嬉しがっているのかは、雨氷には判断がつかないが。 「いえいえ、こんくらいお安いゴヨーダーGT……かは分かりませんけど、私がやりたくてやりたいって言ってるだけですから」 「だとしてもだ。何せ…」 笑みを浮かべて一日は言う。 「僕も、妹達といつまで一緒に居てやれるか分からないからな…」 そう言う一日は、達観したような、強い意志さえ感じさせながらも、どこか寂しげに見えた。 「まぁ、兎に角だ。君の望みは聞いた。時間を作るのはそう難しくは無いだろう。後は、あまり角が立たないように生徒会の者達や先生方とのコンセンサスを取っておかないとな」 「先生たちには、英語のエリちゃん先生からお願いします。あのヒト、何故か何かと私らに良くしてくれるんで。まぁ、この後、私らからもお願いしてみますけど」 エリちゃん先生、というのは百合子たちのクラスの授業を持っているエリス・リーランドという若い教師だ。明るく聡明だが何故か何かと百合子『だけ』を贔屓するのが玉に瑕だった。 「心得たよ」 そう言って、一日は指揮者のように手を広げた。 「さぁ、こんな所で閉幕といこうか。この世は全て仮面劇(ページェント)。また明日この舞台で会おう」 そう言って、彼は去っていく。 「ええ、それじゃまた」 その後ろ姿に手を振りながら、百合子はふと言う。 「あ、先輩。同じ仮面なら、仮面劇より全員参加の仮面舞踏会の方が人生多分楽しいッスよー!」 「面白い見解だな、覚えておこう」 一瞬だけ振り返り、笑顔を浮かべて一日は夕闇の中に消えて行った。 743 :ヤンデレの娘さん 転外 ぺぇじぇんと◇9znZNYtb1U:2011/06/14(火) 23 09 14 ID 5bzKfcHY おまけ 「さって、これからが忙しくなるわねー」 一日と話をしてすぐ後、しんと静かな階段を降りながら、踊り場で大きく背伸びをして百合子が言った。 「そうですね。先生のところに行くのもそうですが、実際に何を言うか原稿を組まなくてはいけませんし、一原さんのとなると必然的に私のことにも触れざるを得ませんし……」 「んー、単に私がレズなんですーって言うだけで良いと思うけどねー。詳しいこととか、うーちゃんのことまで突っ込まなくても」 「もう少し考えてください。それに、貴女だけを矢面に立たせるつもりはありませんよ。って言うか、ここまでハイリスクなことしなくても良かったのでは?」 「リスクの無い人生なんてつまんないじゃない。人生はちょっとしたダイボウケンだもの」 「訳がわかりま……」 突き刺さるような殺気が、雨氷を射抜いた。 「!?」 反射的に後ろを振り返る雨氷。 同時に、放課後だというのに自分たちの周りには誰一人として他の生徒がいないことに気付く。 いや、1人だけ。 階段の上を見上げると、そこにたった1つだけ人影があった。 夕闇に映える、白い肌。 金色の髪。 頬に当てられた右手。 レディ・クレッセント 鬼児宮フィリア 「緋月さんと何を話していたのかしら」 フィリアが口を開いた。 口には笑みさえ浮かべているが、決して声を荒げているわけではないのに、拒否することを許さない響きが、彼女の声にはあった。 「鬼児宮先輩、相変わらずお美しいですねー。って、いつの間にいらしたんスか?」 フィリアの殺気だった雰囲気に気づいているのかいないのか、百合子が怪訝そうな声で言った。 「答えてくれないかしら、一原百合子さん、氷室雨氷さん」 頬にあてられた右手の細い指が神経質そうに動く。 「答えなくてはいけませんか?」 百合子の一歩前に出て、雨氷が言った。 「答えられないようなことなの?」 フィリアは笑顔を崩さずに答えた。 ただ、頬にあてた指がまた神経質そうに動いた。 カリ、と。 「や、別に別に答えられないよーなってワケじゃ・・・・・・」 「緋月先輩には、少々個人的な頼みごとを聞いていただいていました」 空気を読まない百合子の能天気な声をさえぎり、代わりに雨氷は答えた。 「頼みごと、個人的な、ねぇ・・・・・・」 雨氷の言葉をかみ締めるように、フィリアは言った。 頬の指がまた、カリカリと神経質そうに動く。 頬をかいているのだ。 所謂『お嬢様』であるフィリアには、およそ似つかわしくない素振りであった。 笑顔とは対照的に、『お嬢様』然とした所作を捨てるほどに苛立っているのだろうと、雨氷には見えた。 だが、何故そこまで苛立っているのかが分からない。 分からないからこそ、不気味。 「それで、その頼みごとというのは何なのかしら?」 「・・・・・・」 744 :ヤンデレの娘さん 転外 ぺぇじぇんと◇9znZNYtb1U:2011/06/14(火) 23 11 00 ID 5bzKfcHY 答えることに躊躇する。 うかつな答えを返しては、自分たちの秘密について話さないわけにはいかなくなる。 百合子はそのあたりの覚悟をとうに決めているようだが(何も考えていないだけかもしれないが)、雨氷は未だ慎重だった。 迷っていると言っても良い。 味方か敵か分からない相手(ほぼ確実に後者!)に話すには、あまりにもリスクが高い。 雨氷は脳みそをフル回転させていた。 「何なのかしら?」 そんな雨氷たちに対して、頬を神経質そうにかきながらフィリアは一歩ずつ近づいてくる。 「何なのかしら何なのかしら何なのかしら?」 カリカリと頬をかく音がやけに大きく聞こえる。 「ねぇ、早く答えて頂戴答えてくれないかしら答えてよ答えなさいよ答えて答えて答えて答えろ」 カリ、カリカリカリカリ・・・・・・、と血が出るんじゃないかと言う勢いで頬をかくフィリア。 「答えないの答えないんだ答えないなら・・・・・・・!」 カリカリカリカリカリガリガリィ! 半ば反射的に動いていた。 雨氷は常に持ち歩いている学生鞄、その隠しポケットから大振りなナイフを取り出し、フィリアの攻撃を受け止めていた!! ナイフのグリップごしに重い衝撃がビリビリと伝わる。 「駄目じゃない氷室さん、そんなモノを学校に持ってきちゃぁ・・・・・・。校則違反よ一日に嫌われるわよぉ」 確実に雨氷の心臓を狙った『攻撃』―――右手の袖口から取り出した『何か』を受け止められたフィリアは言った。 自らの爪で頬から血を流し、口元にはその場に見合わぬ笑みが浮かんでいた。 「先輩こそ、ソレは校則違反じゃないんですか?」 「ああこれ?これはただのペーパーナイフよ。ペェェェエパァァァアナァァァアイフ。知ってるでしょ?」 再度互いに距離をとり(どちらかと言えば雨氷たちのほうが下がった形だった)、手の中の凶器をくるくると弄ぶフィリア。 確かにソレは雨氷たちの知るペーパーナイフと同じシルエットを持っていたが、ずっと厚みがあり、縁の部分は鋭くとがっている。 とどのつまり、グリップの無いただの刃を、フィリアは刃の腹の部分で持っていた。 『って、ただのナイフじゃないですか!?』 思わず叫びたくなるのをこらえる雨氷。 「ねぇぇぇえ、それよりも一日と一体何を話してたのか、私まだほとんどなぁぁぁあんにも聞いてないのぉぉぉぉお。いい加減一秒も早く教えてよぉぉぉぉお」 明らかな狂気の色を瞳に浮かべ、フィリアは言った。 「誰が言うか!」 即答の後再度飛び掛る雨氷。 「お前はゆーちゃんの敵認定決定!ゆーちゃんは私が守る!だからお前を全力を持って打ち貫くのみ!!」 「あらそぉぉぉぉお!?」 ガキィン、と再度刃が打ち合う。 続けざまに二度三度と振るうが、いずれもフィリアの『ペーパーナイフ』もといナイフに受け止められる。 受け止められただけではない。 フィリアは雨氷が『自分はこう動く』と考えたのとそっくりそのまま同じ動きでナイフを振るい、雨氷の攻撃を受けていたのだ。 まるで鏡写しの様に。 「一体何の・・・」 「冗談ですか、とかじゃないわよぉ?私はこれでも戦う技術を持たなぁぁぁい」 「はあ!?」 フィリアの発言に素っ頓狂な声を上げてしまう雨氷。 雨氷はこれまで、様々な手段で百合子に近づく者たちを排除してきた。 比較的穏便に済む相手もいれば、屈強な男もいた。 だから、様々な交渉手段―――つまりは闘うための訓練を重ねてきた。 そんな雨氷が素人に遅れをとる道理は無いはずだった。 本来なら。 745 :ヤンデレの娘さん 転外 ぺぇじぇんと◇9znZNYtb1U:2011/06/14(火) 23 11 27 ID 5bzKfcHY 「だから貴女の動きを演じさせてもらったのぉぉぉぉお」 「演じる・・・・・・、『仮面劇(ページェント)』」 フィリアの言葉に、ふと一日が口にした言葉を思い出した。 「一日はそう呼んでくれてるわ、ね!!」 再度、フィリアが動く、雨氷と全く同じ動きで。 違ったのは雨氷より一瞬だけ早いこと!! 「うーちゃん!?」 後ろから、百合子の悲鳴が聞こえる。 何とか後ろに跳んだお陰で、致命傷はまぬがれた。 ただ、雨氷の制服と肌は切り裂かれ、赤い血が滲んでいる。 「あぁぁぁあ、助けとかは期待しないでぇぇぇね。ココはちょっとした人払いの技術を使わせてもらってるからぁぁぁあ」 「人払い・・・・・・?」 「あなたたちも、さっきまで同じ技術(モノ)の恩恵を賜っていたはずよ。不思議に思わなかった?放課後の廊下を誰一人通らなかったことに」 そう言えば、先ほどの会話で随分騒いだのに、誰も通らなかった。 「あれが、意図的に・・・・・・?」 そうだとしたら、一体どんな手管を使ったというのだろう。 「そう、あの時やったのは一日だったけどねぇぇぇえ。お陰でどこで何を話してるのか分からなくて大へぇぇぇんだったのよぉぉぉお?」 あの不愉快な男の技術を『演じた』とでも言うのだろうか。何という出鱈目な、と思う間もなくフィリアが再度距離を詰め、ナイフで切りかかってくる! いや、これはフェイント!? 「が!?」 腹部に叩き込まれた膝蹴りに、眼鏡が吹き飛び、一瞬頭の中が真っ白になる。 「ばいばぁぁぁい」 無防備になった雨氷の首筋に向かって、フィリアのナイフが振るわれ――― 「鬼児宮先輩、ストップ!言います!」 その瞬間、百合子の声が響いた。 「へぇぇぇえ。でも、このコさぁぁぁあ、私を敵だって言ってたけどぉぉぉお?」 雨氷の首の皮一歩手前でナイフを止め、フィリアは百合子に言った。 「敵じゃありません。だって、私たちは先輩の恋愛の邪魔、しないですもん」 え、と雨氷は言いそうになった。 「ふぅぅぅうん?」 ス、と雨氷からナイフを離し、フィリアは言った。 「……え?」 あっさりとした対応に、雨氷は思わず呟いた。 どういうことなのだろうか。 と、いうかそう言うことなのだろうか。 「ぶっちゃけ、先輩は緋月先輩のことが好きなんですよね?」 「……」 百合子のストレートな言葉に、フィリアが沈黙する。 それが、これ以上のない答えだった。 「好きな男の子が女の子に呼びだされて気になんのは分かりますけど、先輩が心配するようなことは全然ですよ。何たって、私らレズですから」 「嘘をつくなら、もっとマシな嘘をついたらぁぁぁあ?」 「いや、マジでマジで。先輩のことなんて生まれる前からマジラブってたくらいですから」 「それは生まれる前から出直してきなさぁぁぁいな。何せ、こっちは一日のことを前世から好きだったくらいの勢いだもの」 「そりゃ残念っす」 肩をすくめて百合子は言った。 普通に残念そうだった。 あんな告白でオーケーされると思ったのだろうか、百合子は。 と、言うか雨氷としては自分の前で他所の女に堂々と告白とかしないで欲しかった。殺したくなる。 746 :ヤンデレの娘さん 転外 ぺぇじぇんと◇9znZNYtb1U:2011/06/14(火) 23 11 47 ID 5bzKfcHY 「まぁ、そう言うことなら許してあげる」 「あ、話した内容とか言った方が良いですか?」 「それはどうでも良いわよ」 狂気めいた雰囲気を薄れさせ、しかし冷めた様子でフィリアは言った。 「私と一日のことに関係が無いなら、何もかもどうでも良い」 そして、そう吐き捨てるように言ったのだ。 そして、ナイフをくるりと弄び、懐に仕舞う。 「全く、無駄な時間を使ってしまったわ」 ため息交じりにフィリアは言った。 まるで雨氷達のせいと言わんばかりだが、雨氷としてはむしろフィリアのせいで災難に会ったという気分だ。 「じゃあ、また。もう二度と会いたくは無いけど」 「そんなこと言っちゃってさては先輩ツンデレですねいやなんでもないですごめんなさい」 フィリア(と雨氷)にすごまれ、平謝りする百合子。 「ああ、そうそう。もし本当に一日に恋愛的な意味で近づいたら、その時は殺させてもらうから」 なんでもないように言うフィリア。 「あっはー。そりゃ嘘でも本当でもありえないですよ。私×鬼児宮先輩ルートならともかく」 「だから、それこそありえないわよ」 そう言って、今度こそフィリアは去っていった。 それと時を同じくして、雨氷達の耳に人の話し声が聞こえてきて、やがて階段を行き来する生徒の数が増えて行く。 「傷とか大丈夫、うーちゃん」 「こんなのかすり傷ですよ。……それにしても、あらゆる意味で出鱈目な女でしたね」 フィリアの姿が消えたのを確認してから雨氷は言った。 「いや、それうーちゃんだけは言っちゃいけないと思う」 まるで雨氷がマトモでないかのように言う百合子。 失礼な。 「それにしても・・・・・・」 珍しく思案気に、というより迷うように百合子が言った。 「緋月先輩と鬼児宮先輩、大丈夫なのかしら」 「大丈夫、といいますと、何が?」 「色々よ。上っ面を見る分には分からなかったけど、あの2人、何て言うかこう、とっても危なっかしい気がしてね」 危なっかしい、というのは雨氷には分かる。 自分を役者と自己規定し、本心がどこにあるのか分からないあるのかすら緋月一日。 他者を傷つけることに一片の躊躇も無い鬼児宮フィリア。 いや、後者に関しては雨氷も似たり寄ったりの部分はあるけれども。 一日とフィリア、双方共にかなり極端な精神性の持ち主であることは間違いが無いようだった。 今でこそ辛うじてバランスが取れているが、2人が揃ってその精神のバランスを崩したら、一体どんなことになるのだろうか。 「どうなるか分からないことを考えても仕方ありませんよ。それに、そこから先はあの2人の問題。私たちにはどうしようもないことでしょう」 「まぁ、そうだけどね」 「どの道、卒業されれば無関係になる相手ですし」 「まぁ、薄情ね」 冗談めかして言う百合子。 そして、2人は中睦まじく放課後の廊下を歩いて行った。 それからほどなくして、百合子たちのカミングアウトがなされ、学園中が騒然とすることになるのは、また別の話。 そして、百合子の一日とフィリアに対する危惧が現実となるのも、また別の話だ。 それは、別れと出会い、そのそれぞれのそれ以前。 それは、御神千里と緋月三日が夜照学園高等部に進級する以前。 開幕前の舞台で演じられた物語。
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846 名前:ヤンデレ☆レモン[] 投稿日:2012/08/31(金) 19 00 24 ID BOOwjX5Y 3話 御崎「いいよ、でも私は死なない。限度すぎてるし殺すわ」 ザクッ 御崎は泰知を刺して殺した 樹理「何でこんなことをするんだよ?」 御崎「だって、あなたに近づいてるのは意地汚くて、ただの馬鹿 なのよ。貴方が腐っちゃうわ・・・・・・」 御崎はそういって席に着いた ある日の事 俺が3日親がいない1日目の夜の事 ピーンポーン 樹理「はいはーい」 ピーンポーン 樹理「うざいなぁ、もう押さないでください!」 ピーンポーンピーンポーン インターホンの音がうるさいので開けたら バターン 一瞬でドアが開いた 御崎だった 御崎「こんばんわ!樹理君一緒にご飯食べない?」 樹理「え?いいけど・・・・・・」 俺は御崎を家に入れて御崎が持ってきていたおかずを食べた 樹理「うっ!」 俺は急に苦しくなった 御崎「どうしたの?もっと食べてよ・・・・・」 おかずの中にやばいものが入ってんだ この中には薬が入っていた あいにく、飲み込みはしなかったが・・・・ 御崎「毒薬飲まなかったんだ・・・・」 毒薬? 俺は御崎と一緒にいたくなくなって俺は席を立ち、家を出ようとした 樹理「俺、トイレに行ってくるな・・・・・・」 御崎「ふーん」 御崎はそういって席で待っていた 俺はその間にトイレに行って トイレの窓から逃げた 続く
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853 名前:ヤンデレ☆レモン[] 投稿日:2012/09/01(土) 10 49 53 ID dryYok3E 4話 俺は親友の和馬の家に行った 和馬「OK!あいつが来たら教えてやるよ。ケータイの音で」 樹理「あぁ、サンキュー!」 俺は窓の近くしかもそこから出ると警察 これなら御崎を警察に突き立てることができる ピるるるる ケータイが鳴った 御崎「ねぇ和馬君、ここに樹理君が来なかった?」 和馬「来てないけど、どうしたの?」」 御崎「嘘ついたからお仕置きね・・・・・」 ザクッ 和馬は刺されて死んだ 俺は窓から逃げて警察官に行った そして御崎の事を言った 警察「それは大変だ、すぐに君を保護しときますよ」 俺はほかの警察に守られてとうとう御崎がここへ来た 御崎「樹理君、どうして嘘ついたの?私がこんなにも樹理君が好きな のに・・・・好きだからあなたを殺すよ・・・・・」 樹理「っひ」 警察「大人しくしないと牢屋域ですよ!」 グサッ ザクッ 御崎は警察を何人も刺して俺を守っていた警察も全員殺してしまった 御崎「ゲームオーバーだね・・・・・」 俺は警察署を抜け出て逃げまくった 逃げて逃げて生きたいから・・・・ 俺は家に駆け込んでカギもしめた 御崎「開けてよ・・・・開けてよ・・・・・」 御崎はインターホンの前でそう言う 樹理「い・・・・嫌だ!開けるものか!」 御崎「ドアをぶち破ってでもあなたを殺してやる!」 俺は庭に行って裸足で家を出た 続く
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ヤンデレの小説を書こう! 0001dat (Page1 Page2 Page3 Page4 Page5) ヤンデレの小説を書こう! 0002dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0003dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0004dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0005dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0006dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0007dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0008dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0009dat (Page1 Page2 Page3 Page4) Page5) ヤンデレの小説を書こう! 0010dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0011dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0012dat (Page1 Page2 Page3 Page3) ヤンデレの小説を書こう! 0013dat (Page1) ヤンデレの小説を書こう! 0014dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0015dat (Page1 Page2 Page3 Page4 Page5) ヤンデレの小説を書こう! 0016dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0017dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0018dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0019dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0020dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0021dat (Page1 Page2 Page3 Page4) ヤンデレの小説を書こう! 0022dat ヤンデレの小説を書こう! 0023dat ヤンデレの小説を書こう! 0024dat ヤンデレの小説を書こう! 0025dat ヤンデレの小説を書こう! 0026dat ヤンデレの小説を書こう! 0027dat ヤンデレの小説を書こう! 0028dat ヤンデレの小説を書こう! 0029dat ヤンデレの小説を書こう! 0030 ヤンデレの小説を書こう! 0031 ヤンデレの小説を書こう! 0032 ヤンデレの小説を書こう! 0033 ヤンデレの小説を書こう! 0034 ヤンデレの小説を書こう! 0035
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655 :ヤンデレの薬 [sage] :2007/12/08(土) 12 16 08 ID PIiB+h1R 「つ、ついに出来たぞ…」 俺は薬学部の6年生。卒論も落ち着いたしなんだか面白いことはないかなと思って ヤンデレの薬なるものを開発した。 理論はあかせないが、是を飲んだ女の子はたちどころにヤンデレになる。 あとは臨床をするだけ。ちなみに中和剤も同時に開発した。 これを友達の彼女に飲ませて、あとは楽しむことにしようか… ふふふ、あいつがこれから困る姿を想像するとにやけてしまうぜ… どうなるのかな…リアルで空鍋とか見れるのかな… そうかそのためには誰かけしかけないと… 俺の頭の中では壮大なドッキリ大作戦を遂行するかのような感じで考えていた。 そう、これは壮大なドッキリなのだ。そう考えると悪いなという意識が薄れていくから恐ろしい。 「修君ー♪」 「うお、加奈かよ…」 俺の彼女加奈。すんごい可愛いがちょっと天然すぎるところがある。 だが勉強で疲れた俺を癒してくれる自慢の彼女さ。 「あれれー修君なにしてたの?」 「うん?ちょっと暇だったからね、将来のためのお勉強」 「へー新しいお薬」 「そー言うこった。ま、学生の作ったものだからな、効果とうは保障しないがな」 「どういう効果が出るの?」 「相手のことがたまらなく好きになるんだ。もう周りが見えなくなるくらい」 「飲むー♪」 そういうと加奈は薬(が溶けた液体)が入ってるビンを音速と見まごう速さで掠め取り、 おれが止める前に…飲み干した。 「加奈ーーーーーー!?」 「あー別に何にも変わらないよ」 すぐには効果は現れないようだ。だが万が一ということもある。中和剤を… 「加奈!早くこれを飲むんだ!」 「えー?」 「いいから!」 俺は急いで中和剤を飲ませた。 これで一安心のはず。いやー参った、参った。やっぱ悪いことは出来ないねと。 …あれ、俺はたしか中和剤は右に置いたんじゃなかったっけ… 加奈は確か右のほうを最初に…!!!!! そうういえばさっきから加奈のふいんき(←なぜか変換できない)が変わってる気がする!? 「やばい!加奈!しばらくは俺のそばから…」 そのとき運悪く誰かが研究室にやってきた。 「やっほー修君♪」 手遅れ。ゲームオーバー。 俺の研究室仲間の女の子が元気に入ってきた。 そして加奈の目が変わった。 656 :ヤンデレの薬 [sage] :2007/12/08(土) 12 17 50 ID PIiB+h1R その後、修君と呼ばれる男の簡易的な日記には。 12月3日 ヤンデレの薬を加奈に飲まれてしまった。その後入ってきた研究室仲間一人がショック症状で病院にいくことになった。 すまん、俺のせいで… 12月4日 中和剤の複製を開始。早くしなければ被害が… 12月6日 クリスマスの予定について聞かれた。まるで2人きりじゃないと殺あれるような勢いで。 当然空かす。まだまだ死にたくない。 12月11日 あれからいろいろあったが、何とか中和剤が完成。これでなんとかなる! 3日3晩こもりきった甲斐があった! 12月12日 やばい。研究室にこもってたことを誤解された。 とりあえず部屋に逃げ込む 12月13日 激しく部屋のドアをノックされる。だが出たらいけない。出たらそれこそ命が危ない。 12月16日 ノックされる時間が日に日に長くなっていく。俺も発狂しそうだ。 食料も切れかけてる。篭城はもはや限界か 12月17日 なんだか加奈が目の前にいるような気がする。 実際はドアをノックしているのが加奈なのに… なんでだ。目の前でなんで、なんでとずっと言ってる感じがする。消えろ、消えてくれ。 12月18日 悪かった俺が悪かった、謝るから、謝るから…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい… 12月18日 あぁぁぁぁぁぁ帰れよぉぉぉぉぉ。 悪かった、俺が悪かったからぁぁぁぁぁぁぁぁ いいかげんにしてくれよぉぉぉぉぉぉぉ 12月19日 かゆ、うま ここからは途切れている。 この日以降修君と呼ばれる男の所在は確認できていない。 勢いでやってみた。反省はちょっとだけしている。 こんなことやってないではやく続き書けとね俺orz