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シオン・アスタールとは、伝説の勇者の伝説シリーズに登場する人物の1人。 声優 ドラマCD版 平川大輔 アニメ版 小野大輔(少年期:小橋知子)(韓国版:ガン・スンジュン) 概要 名前 シオン・アスタール/Sion Astal 年齢 20歳(最新刊での年齢) 出身 ローランド帝国 家族 父(先代ローランド帝国国王)、母(既に他界)、他兄弟がいる 特記事項 『勇者』 主な異名 極悪非道王(その他いろいろ派生)、シオン・アホターレ(シオン・バカターレなど)、英雄王 銀色の長髪、金色の鋭い眼、均整の取れた容姿を持つ。 ローランド帝国の前王の妾腹の生まれ。 前王を革命によって排し、わずか19歳でローランド帝国王となる。 ライナやキファと同じ、ローランド帝国王立軍事特殊学院の出身。 ライナが獄中で書いた「昼寝王国を作るためには?」を読み、争いの無い平和な国を作るため、 平和な世界を作るため、ライナとフェリスに勇者の遺物探索を命じる。 2人が、ローランド帝国を裏切らないよう、同時期にミルクを『忌破り』追撃隊に入隊させ、 ルークを付けさせて、2人の監視をさせた。 ルシルによって『勇者』『アスルード・ローランド』の力を得てしまったために、 『勇者』として『寂しがりの悪魔(ライナ・エリス・リード)』の片割れである『すべての式を解く者』(ライナ)を取り込むか、 親友であるライナを救うために殺すかで葛藤を起こし、ライナと決別をする。 経歴 16~7歳ごろにローランド帝国王立軍事特殊学院に入学。 ロクサヌ平原でエスタブール王国の魔法騎士団50人を、たった1人で倒したという実績から、軍部に昇進。 (実際はライナによる) 19歳のとき、ラッヘル・ミラーとともに革命を起こし、ローランド国の王となる。 関連項目 ローランド帝国 英雄王 『勇者』 登場人物一覧
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第二章-第一幕- ゼン・ヴィレッジ消滅 第一章-第三幕- 第二章-第二幕- ロバートがレオナを仲間に加えた直後辺りの頃、 壊滅したとされるゼン・ヴィレッジへと足を運んでいた ウォルフ王子は、明らかに不機嫌な顔をしていた。 まず露骨に気に入らないのは、 ウォルフ王子当人も聞かされていなかった ゼン・ヴィレッジ独自の惑星アース純血種限定定住政策の事である。 そんな馬鹿げた考えが未だに残っているとは思ってもいなかった。 あげくが迫害を末にロバートを招いての自滅である。 ウォルフ王子でなくとも、リアルに頭痛がしても仕方が無い。 その次に気に入らないのは村人の媚び諂う態度である。 異能者として自分達を嫌っているくせに、いざとなると、頼り、 平気で頭を下げてくるそのプライドの無さが気に要らなかった。 自らがクソ真面目な男、と評するのに相応しく、 曲がったことは決して許すつもりのないウォルフ王子だった。 随伴しているマリー=ジーニアスもそのウォルフ王子の空気を 感じ取って、神経質になっていた。 いくら自分の国の領民とはいえ、許せない事は許せない。 その思いが、ウォルフ王子という人物を端的に現している。 「ですから、村人達の生活の場の保障をお願いしますぞ!」 「そーだそーだー!」 自分達で災いを招いておいてのこの態度である。 本来の被害者であるギャラガー夫妻は、悔しさをこらえて ジッと押し黙っている。ロバートに言われた通り、 何を言われようと最後まで事態を見守る覚悟なのである。 「……いいでしょう」 一拍置いてから、ウォルフ王子は頷いた。 「おお、では、村の再興を! 純血種達の村を再び!」 「黙りなさい!!」 遂に怒りが頂点に達したウォルフ王子が叫ぶ。 気迫だけで周囲の生き物が死んでしまいそうであった。 「あなた達のような身勝手な思想を放置してはおけない。 一人残らずバラバラの地域に移住させるから覚悟しなさい!」 「そんな殺生な! 我々はこれ以外の生き方を知らぬ! 異能者達の住む場所になど送り込まれて、 我々が迫害されない保障など、どこにもありますまい!」 村長がめいっぱい抗議するが、意にも介さない。 「それは人という生き物を知らぬ愚者の台詞! 人の事をあなた達は改めて考えてくる必要がある! 人に揉まれ、人に溺れ、人に塗れて出直して来なさい!!」 鶴の一声を発してから、恐慌している村人は放置して、 ウォルフ王子は手だけでマリーを招き、 肝心のギャラガー夫妻のもとへ歩み寄る。 「ウォルフ=テオ=ザン=アームⅣ世です」 (まあ必要は無いが)軽く自己紹介してから、頭を下げる。 「今までこのような不法行為を見つけ出す事が出来ずにいた 我が身の不明と不徳、どうかお二方にはお許しいただきたい」 突然の態度に、こちらはこちらで恐々としている。 「いえ、そんな恐れ多い……!」 「どうか頭をお上げ下さい、王子!」 「そして、娘さん……エナ=ギャラガー嬢を、 我等勇者軍は、全身全霊、魂魄一片たりとも残さず、 すべての本音と本心をもって、歓迎致します」 そしてマリーが前に出る。 「それと同時に、あなた達も勇者軍の扱いになります。 相応の責任と義務、そして権利を伴いますこと、お覚悟を」 「私達が……」 「勇者軍!?」 寝耳に水であった。ロバートからはそんな事実は語られなかった。 だがここまで深く踏み込んでしまっているのだ。 たとえ影であれ脇役であれ、もはや逃げ出すという選択肢は、 もはやギャラガー夫婦には無いのであった。 「参りましょう。もうこのゼン・ヴィレッジは消滅しました。 彼等も、あなた達も、新しい人生を歩みましょう」 そう宣言して、さっさと歩き出すウォルフ。 マリーも、そしてギャラガー夫婦も後を追うのだった。 その直後、端末にメールが届いた。 追わなければならないはずのロバートからだ。 「……また新入隊員ですか。彼も新しい仲間を引き入れるなら こちらの人事部を通してからにしてくれればいいのに」 と言いながらも、自分の権限で了承するウォルフ王子とマリー。 追う者、追われる者の関係であっても、 根本的に勇者軍同士である事に変わりは無い。 新しい仲間、しかも有能な人材を拒む理由は無かった。 「レオナ=タブーフィールダー。ランスファイター、ね」 軽く確認してマリーも頷く。 ぴぴぴっ! 更に情報端末に通信。緊急コールだ。 「マリー、ギャラガー夫婦を城下街へお連れして下さい。 私は緊急コールにまず最優先で対応します」 「分かった、頼むぞ! さあ、急げ!」 「は、はい!!」 マリーは二人を連れて走り出した。 端末を開いて、通信の主との話を始める。 「カイトだ、救援要請を聞いたかい、ウォルフ王子」 「聞いていません。カイトさん、内容を!」 「アーム城に暫定的に設置された 情報支部が攻撃を受けているようだね。 侵入者は一名だが、サブメンバーにひけを取らない強さで、 城兵や、援軍に寄越したウチの兵も手を出しあぐねている。 申し訳ないが、至急、救援に向かってもらえるかい?」 「分かりました、今すぐ行きます!」 通信を切って馬笛を吹き、愛馬を呼ぶ。 「はっ!」 そしてひらりと飛び乗ると、ウォルフ王子は愛馬の腹を蹴った。 「城まで全力疾走です、行きますよ!」 彼と愛馬は駆け出す。エリックの援軍も期待は出来ない。 一時帰宅中なので仕方が無いといえた。 「勇者軍に真っ向から一人で仕掛けるとは……何者です!?」 焦燥感に駆られつつ、ウォルフ王子は帰り道を急ぐ。 ロバートを追跡出来ない事にも困っていたが、 本拠地が襲撃されてはそれどころではないからである。 アーム城と城主であるウォルフ王子に訪れた危機は、 彼の到着を待つかのように、着々とゆっくり進行していた。 <第二章-第二幕-へ続く>
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序章-導入部- 序章-第一幕- 惑星アース。そこはかつて『地球』などと呼ばれ、 唯一の水と、緑と、命の惑星などと呼ばれた生命の楽園である。 だが、そこに住み着いた最初の者は、いわゆる 生命体とは言い難い霊的な存在である 『神族』と『魔族』と呼ばれる者達。 だが、生命の神秘はそれとは無関係に、 草木を、鳥を、獣を、魚を、虫を、 そして最大の住民たる『人間』を産み出したのであった。 しかし最大の住民たる『人間』は争いを生み、 大地を荒らし、海を汚す。 先住民たる『神族』『魔族』は 互いの争いさえやめてしまう程に、 地球の荒廃は目に余るものがあり、そして悲劇は起こった。 『西暦最終戦争』と呼ばれる戦いである。 その中に『魔神王』と呼ばれる地球管理用特殊生命体と、 異なる星からやって来た初の人間型生物 『アルファ=ストレンジャー』による 戦いがあった事を知る者はそう多くはないのであろう。 その後『竜族』『亜人族』『怪物族』 『精霊族』『妖精族』と呼ばれる 新たなる生命の萌芽が『魔神王』によって撒かれ、 新たなる世界『惑星アース』が再構築されていくのであった。 地球人口の9割以上の死滅という悲劇の裏で…… そうして時代が移り『宇宙暦』には 『アルファ=ストレンジャー』の子孫、 『ザイン=ストレンジャー』による 史上最強の私設軍『勇者軍』が発足、 数々の難事件を解決すると共に、 人類は遂に宿敵『魔神王』と和解、 それに伴い、勇者軍もその体質を変え、自衛組織へと変貌した。 それから更に数千年の時が過ぎ『銀河暦』となってからも 『勇者軍』の激務は留まる事を知らず、様々な難題を ほぼ独力で打破していく実績と歴史は 一般人の敬意と畏怖の対象となり続けていた。 時はC・C3537。相も変わらず人類は戦争したり、 同盟したり、時には平和を享受してみたりと 生態系の一部としての行いを止める事はなく、 他のナインサークルと呼ばれる種族達も同様だった。 かの『ノア戦役』から2000年以上も未来の話である。 また、その長い歴史の中では人類の知識の範疇を超えるような 戦乱もしばしば起こってきたが、究極の知的生命体であり、 勇者軍という存在を抱える人類は、異変のたびに、それらを 強引にねじ伏せて、今日まで歩んできたのであった。 そんなC・C3537のある日、勇者軍リーダーが 勇者軍そのものに対し、反逆行為を行ったとの報告。 その『彼』にしてみれば反逆は日常茶飯事であったが、 人類史上最強の私設軍筆頭にして、 勇気と、技と、機知との象徴であり、絶対勝利の勇者が 反逆者そのものであるとあっては、 勇者軍人事部も慌てざるを得なかった。 彼の名はロバート=ストレンジャー。 彼は自身を『絶対反逆者』と称する男である。 勇者軍には極めて稀な凶暴性と、残忍さ、狡猾さ そして同時に誰よりも強い人間臭さを持つ彼をしても、 その後起こる自身、そして惑星アースへの異変は予測出来なかった。 そんな彼自身の事情そのものを無視して、彼の戦いは始まる―― だが、またもこう言わねばならない。 この物語さえも、伝説の一端に過ぎない―― その定型句を彼自身が認めるかどうかは別にして、だが…… <序章-第一幕->
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第三章-第二幕- 現れる敵 第三章-第一幕- 第三章-第三幕- 勇者軍の内輪揉めは膠着状態に陥りつつあったが、 それでも過激な攻防が繰り広げられていた。 (ただし、クロカゲとポメは除く) 「どうした! その程度か!?」 マリーの槍が凄まじい勢いでロバートを攻め立てる。 「手前ェ、こっちが本気じゃないと知っててわざと!」 「貴様が剣を持っていないのが悪い!」 「俺が使いたがらないのを知っていてその態度かよ!」 「それを慢心というのだ、悔いろ!」 「ぬぐぉッ!?」 マリーの槍がロバートの腕に突き刺さる。 派手に振り回されて、地面に叩きつけられた。 「カオスリキッドを使っていないだけありがたく思え!」 「こ……の……!」 反抗してはみるが、武器の質の差は歴然としている。 素直に敗北を認めるしかないところだった。 エナもウォルフ王子に押し切られつつあった。 どうしてもカウンターアタックに偏りがちなエナを、 ウォルフ王子は攻撃的な攻めで押し切りつつあった。 「ううッ!」 「ふむ、まあこんなものでしょう。 むしろよくそこまで凌ぎ切ったものです。 素直に、賞賛に値します……ね!」 どんッ! 「きゃうッ!?」 斧の柄で殴打され、大きく転倒するエナ。 「エリックさん、大丈夫ですか!?」 すぐさまエリックの援護へ向かうウォルフ王子、 ロバートを倒したマリーもそちらに向かう。 「えっ、二人ともやられてるッスか!?」 突然の事態にびっくりするレオナ。 「そこまでだ、レオナ!」 「エリックから離れるんだ!!」 ウォルフ王子と、マリーが出てきた。 更に、そこら辺から適当に、ポメを抱いたクロカゲも現れる。 エリックを数に含めなくても三対一、あまりにも不利だ。 「くっ、万事休す……ッスね!」 ナノマシンも打ち止めだ。まだ放射量のコントロールが 上手にいかないので、全部使い切ってしまった。 補充にはそれなりの時間がかかってしまう。 両手を挙げて武器を捨てるレオナだった。 「ギブアップするッス。だからド突かないで欲しいッス」 「勝負あったな」 一応の治療を受けたものの、ロバートは不機嫌顔、 エナに至っては泣きそうである。 それを懸命にレオナが宥めていた。 「まあなんだかんだ言っても信賞必罰とは言うし、 出来ればほとぼりが冷めるまでは、私としては ロブ達には謹慎していてもらいたいが、どうだろう?」 「…………それは、お前の本意か?」 「いいえ、全然?」 あっけらかんとした顔でウォルフ王子が答える。 「なら別にいいじゃねぇか」 「それでも一応世間体というものがありますからね。 出来る事なら世間が大人しくなる数十日だけでいいから、 やはり大人しくしておいてもらいたいところです」 「くだらねぇ」 唾を吐き捨てるロバート。行儀が悪い。 「ロブ、貴様!!」 マリーが詰め寄ろうとするが、そこまでだった。 ざんっ! 一同が座っている場所に大剣が叩き込まれる。 気配らしい気配はほぼ無かった。 にも関わらず、勇者軍一同は見事な回避を見せた。 「何だ、貴様は!」 ロバートが怒鳴るが、相手は答えない。 強い青の原色がやたらと目立つ鎧を着た騎士だった。 勇者軍一同には見覚えが無い相手だ。 「……答えんな。とにかく一時休戦でどうだろう、ロブ?」 「エリックのおっさんが言うんじゃ、しゃあねえ!」 見たことのない敵を相手に、 かつての追う者、追われる者が意思を一致させた。 <第三章-第三幕-へ続く>
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第一章-第二幕- 状況 第一章-第一幕- 第一章-第三幕- 「では、これから勇者軍の内部をお見せします。 原則的に部外秘の情報となりますので、勇者軍として活動する以上、 スカウトの時などを除き、あまり口外はしないで下さいね?」 アーム王家王女のユイナ姫が先頭に立ち、 施設などの案内を開始する、という事態に話は進んでいた。 よほどの緊急時か、任務中でもなければ、本来は こうして基本的な事を説明して回るのが勇者軍の慣例である。 「了解です、大佐殿!」 勇者軍の一員となったことを誇らしく思う故の行動なのか、 ソニアは一分の隙も無い見事な敬礼をして見せる。 しかし、それに対し、ジルベルトも、 シエルも、そして当のユイナ姫さえ ぽかーん、と口を半開きにして呆然としていた。 「……へ?」 どうやらすべったらしいと分かると、ソニアがたちまち不機嫌になった。 「……ぐ、軍隊でしょ!? 敬礼とか上官への敬意とか、 なんかそういうのって大事じゃないの!? 違うの!? ねぇ!」 ジルベルトの腕をぐいぐいと引っ張って 猛抗議を開始したソニアに対し、シエルは黙ったまま嘆息し、 持っている杖で軽く小突いてやった。 「だから。お兄ちゃんに言っても筆談しか出来ないんだってば」 胸ぐらを掴まれ、がっくんがっくんと無抵抗に揺さぶられる ジルベルトを見かねて、ユイナ姫はすぐさまフォローする。 「ごめんなさいね、あまり見慣れない光景だったもので。 勇者軍は基本的に自衛目的だけの組織だから そこまで堅苦しくないんです。 むしろゆっくりくつろぐぐらいの気分で 話を聞いてもらえると嬉しいです」 「……ふうん、変なんだ。勇者軍って」 肩透かしを食らったソニアは、 胸ぐら掴みあげていたジルベルトを放す。 理不尽な暴行にさっそくジルベルトは半泣きになりそうだったが、 それをシエルが優しくなだめてやっているのを見ると、 どっちが兄だか姉だか分かりにくいことこの上ないのだった。 ちなみに身長もわずかながらシエルの方が高いのではあるが。 「こちらは人事部。勇者軍の人事を担当する支部です」 「支部? アーム城なのに本部じゃなくて?」 ソニアの疑問に、続けてユイナ姫が返答を続ける。 「ええ。あくまで本部の定義は、 総帥エリシャ=ストレンジャー様の 所在地、という事になっておりますので。 あ、ちなみにジル君のお母様ですけど」 「へーえ」 にわかにジルベルトがストレンジャー家筆頭である 『勇者』だという事が信憑性を帯びてきたことの方に、 ソニアは感心した。 やはり見た目的には一番頼りないのは変わらないのだが。 「原則的にジル君は、平時はここに所属し、緊急時には 作戦部に所属、という兼務状態になっていますね」 「そうなんだ」 「でも勇者軍のスカウト体制は非常に柔軟で、 現地スカウトの例なんて枚挙に暇がありません。 あなたも結局はその一人なんですよ」 ユイナ姫の説明にうんうん、と頷くソニア。 反面、特に喋る事もないジルベルトとシエルの兄妹は割と暇そうだ。 「ランドルフさん、います?」 「おお、どうされたのですか、ユイナ姫」 ランドルフ、と呼ばれた初老と言ってもいい男性が姿を現した。 「この人はソニア=メーベルヴァーゲン。 今日付けで作戦部所属になります。 データベースへの登録をしておいていただけると助かります。 履歴書などの書類関係は後日郵送しますので、まずはそれだけ」 「了解しました」 きびきびと仕事をこなすランドルフと呼ばれた男は すぐに引っ込んで行った。 基本的にデスクワークばかりなのだろうか、 身体もたるみがちのようである。 それは気にせず、ユイナ姫は歩を進め始めた。 「じゃ、次に行きましょうか」 「ここが情報本部です」 「情報部?」 「そう。情報部の本部はその時代、状況によって常に変移します。 数年前ぐらいまではシャンゼリー王国に本部を置いていましたが、 現在は暫定的にアーム城を本部としている状態です」 「何をする仕事なの?」 「文字通り情報を集める仕事、というと分かりやすいかしら。 彼等の持ってきた情報を後で嫌でも見ることになるから、 詳しい説明は省いておきますね、ソニアさん」 「ふーん」 ユイナ姫は更に歩を進める。 「ここは研究支部。技術研究などを行っていますよ」 「わー、メカがいっぱい」 ソニアは普通に感嘆した。数年前に観光で見た、 スーパーコンピュータ『メシア』3号機も 凄まじい規模であったが、こちらも素人目には まったく分からない配線や基板などが散乱し、 さながらジャンク屋よろしくという様相を呈している。 完成品と思われる小型ロボット達もせわしなく動いており、 中には等身大サイズの人型ロボットまでいたりする。 「シルヴィアさん、いますか?」 シルヴィアと呼ばれた女性が姿を現した。 年頃も体格もジルベルトやシエルとそう大差は無さそうであるが、 顔立ちのせいなのか、いる環境のせいなのか、 どことなく知的な印象を見せてくれる緑の髪の少女である。 「はいはい」 「自己紹介してくれます?」 ソニアがとりあえず質問してみると、 少女は質問を質問で返してきた。 「その前にあなたはどちら様でしょう?」 微妙な会話のズレにとまどいながらもソニアは応じた。 「ソニア=メーベルヴァーゲン軍曹よ。 本日付けで勇者軍入りしたの」 「あ、じゃあお仲間さんですね」 身内と分かると、ぺこりと頭を下げる。 「シルヴィア=スターリィフィールド曹長です、 よろしくお願いします」 「よろしく」 がっちりと握手する。どうやらマイペース分過多のようだが、 割と自分と相性が良さそうだと判断し、ソニアは安心した。 ようやくシエルがそこで口を開いた。 「アドマイヤーは? いつも一緒じゃなかったの?」 「あの子は自立心を持った正真正銘のスーパーマシンノイドです。 いつまでも私の下に縛り付けておけないんですよ。 だから、あの子はもう自由の身なんです」 「そう……で、あなたは今回の作戦、参加しないの? いつまでも昼行灯かましてる場合じゃないでしょ? あなただって、堂々たるメインメンバーの一人だし」 「そうしたいところだけど『スプレッダー』の撒き散らす 謎の病原菌の解析と対策を立てる方が先なんです。 私が参戦するとしたら、それが終わってからかも」 「そう。頼りにさせてもらうわよ、シルヴィア」 「首を洗って待っててね」 どことなく微妙に噛み合わない会話に ジルベルトは一人首をかしげる。 (『首を洗って』は文法的におかしいと思うんだけど) という文章を書いてユイナ姫に見せると、彼女も苦笑した。 「そうね、ジル君。まあいつも通りかしら。どこかズレてるのは」 どうやら『首を長くして』と言いたかったらしいが、 どうもド忘れらしいと分かると、 シエルは一人肩をすくめるのだった。 「そして、ここが作戦本部です」 ユイナ姫が最後に案内したのは、会議室らしきところだった。 「作戦本部は基本的にアーム城から移る事はありません。 もっともアーム城自体が破壊でもされれば話は別ですけど」 ユイナ姫が皮肉ったのは、数十年前に起こった 『アームキラー戦線』についてである。 勇者軍史上稀に見る負け戦で、旧アーム城も破壊されている。 この際に新築されたのが現在のアーム城なのである。 「さて、ソニアさん。あまり時間に余裕がありませんので、 可能な限り話を端折って説明させていただきます」 「分かったわ、ユイナ姫」 「ランドルフさん、資料とモニタを」 「はい」 ついてきたランドルフという男の手際のいい作業により、 モニタに惑星アース全体の地図が映し出され、 ソニアには勇者軍専用特製情報端末が渡された。 「勇者軍専用独自規格情報端末第31世代型のVer.8.8です。 それがあなたの身分証明書代わりなので、大事に扱って下さいね。 作戦書類もその端末にデータとして配布します。 完全音声入力対応と、操作ナビゲート機能も完備ですので、 音声ナビの指示に従って操作を実行して下さい」 「おおお」 えらくハイスペックな個人用情報端末に 感動しながらいじくってみると、 作戦書類と思わしき文書が端末のモニタに表示される。 「勇者軍は……いえ、現在惑星アースの全生命体は 惑星アース外より突如飛来した生命体、コードネームは 『スプレッダー』の魔手によって脅かされている状況にあります」 「スプレッダー?」 シエルが間に入って説明する。 「あなたがウチの仔猫、大福を預かっている間に、 アルマ・タウンで破壊の限りを尽くしていた怪獣みたいなモノよ」 「怪獣、って。そんなナンセンスな」 『比喩や冗談じゃないんだ』 情報端末を通して、ジルベルトからメールが来る。 この近距離でいちいちメールとはわざわざご苦労なことである、と ソニアは内心思ったが、それもジルベルトのテレパスで 読まれており、ジルベルトはひそかに苦笑した。 (『スプレッダー』の幼生体を今日 倒してきたんだけど、写真を見て欲しいんです) そのジルベルトのメールの後に モニタに映し出された醜悪なフォルムの まさしく怪獣と言うほかない、奇怪な生命体にソニアは身じろぐ。 「これがスプレッダー……? 大きいのね。家を薙ぎ倒しているわ」 「お兄ちゃんが倒した奴よ。それでも幼生体なのよね」 「親玉がいる、ってこと?」 ソニアの質問に、シエルは頷き、説明をユイナ姫に再度委ねた。 「スプレッダー本体は大気圏突入の最中に 幼生体、すなわち子供を産み、 惑星アースの各地にばら撒き、自身もしっかりと着陸しました。 今、全世界で暴れているのはその幼生体達なんです。 勇者軍をはじめ、シャンゼリー王国、 各冒険者ギルド、各国連合軍などの 活躍によって、被害は最小限に食い止められていますが、 アルマ・タウンのように甚大な被害を受ける町が後を絶ちません」 モニタには次々と破壊された施設や都市などが映された。 まさに白い画用紙に、黒い筆で一筋だけ線を描いたかのごとく、 一直線に破壊された光景は不気味極まりない。 「奴等の生態は謎だけど、知性はそう高くないと思われるわ。 基本的に広い場所を探して一直線に突き進む事が多いし、 その進路中に都市なんかがあれば、 もちろんそれも前進するのみよ。 まさにデカいだけの虫、といった風情ね。見た目だけは」 シエルが苦々しい顔で毒づく。 (『幼生体だけなら』大した事はないんです。惑星アースの 全員がそれこそ力を結集すれば、 そう遠くない未来に片付くはずなんです。 大きいだけに、隠れようとしてもそう融通も効かないはずですから) ジルベルトのメールに、全員が頷く。 それぐらいの事はソニアにも理解が出来た。 勇者軍の言う事が本当ならば、勇者軍の力が無かったとしても、 事は比較的簡単に済んだであろう、という事も。 「問題は親玉よね。幼生体なんか比較にならない巨体の上に、 なんか得体の知れない病原菌を空気感染させるから、ったく!」 「病原菌?」 穏やかではない話である。そうなると話はより一層難しい。 「命がけで情報部が持ってきたサンプルを シルヴィアが解析したところ、 何故か惑星アース外生命体の媒介するウィルスのくせに、 どうも勇者軍メインメンバーの一部の血液成分に、それに対抗する 免疫が存在しているらしいのよ、もうワケ分からないわ」 (いい事か悪い事かは微妙ですけどね) ジルベルトも微妙な心境でメールを打つ。 「その解析にシルヴィアさんもいっぱいいっぱいなんです。 ともかく、アーム王家王女として、 そして勇者軍メインメンバーとして 私の出した結論は一つ。どういうルートでどう動こうとも、 最終的にはスプレッダーの幼生体を生み出した本体を駆逐し、 その身体からサンプルの再度の採取、そして免疫抗体の採取を 共に第一、第二目標として動きます、そしてその旨を 全勇者軍メンバーに速やかに伝達、総員態勢で対処に当たります!」 ユイナ姫が高らかに宣言すると、 ジルベルトも、シエルも無言で頷く。 戦いの気配が理解できでもするのか、 大福、きなこ、みたらし、黒ごまの 四匹の仔猫達も、テーブルの上で行儀良く整列していた。 (これが、勇者軍の作戦……ッ!) ソニアは身の引き締まる思いで立ち上がった。 いよいよ戦いが始まろうとしているのである。 自分の置かれた状況に、不安と高揚がない混ぜとなった 複雑な気分で、その振るうべき拳を握り締めた。 ジルベルトからのメールが直後に来る。 (緊張するかもしれないけど、大丈夫。 僕と、僕の仲間達が守りますから) ジルベルトは気負いもしていない。 これが格の差なのか、と本能レベルでソニアも察知した。 間違いない。この少年、ジルベルトこそ世界最強の『勇者』なのだと。 そしてジルベルトは、そこで初めて口を開いた。 戦いの幕開けに向けて。勇者軍の筆頭として。 「行こう、みんな。そしてソニアさんも」 珍しく口を開いたジルベルトに対し、 「お兄ちゃんも流石に気合が入る? 喋るなんて珍しいわね」 「そこがジル君のいいところですから♪」 「ようやく口を開いてくれたのね。信頼してもらえたって事かしら」 シエル、ユイナ姫、ソニア、三者三様でのリアクションを返す。 不安まみれの出撃となりそうではあったが、 戦力的に勝てない要素もそう多いわけではない。 人類は自らの手で希望を勝ち取るために生きる生物である。 そしてそれを絶対勝利に導くためには、 あと3つの偉大なる力『メインメンバー』と、 多くの力『サブメンバー』を要するという事をソニアが知るのは、 もう少し先になりそうであった。 第一章-第三幕-
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第四章-第三幕- 狐が如しカイト 第四章-第二幕- 第五章-第一幕- シアンナイトを撃退したローザは、無事にロバート達と合流、 後に、寄港したブルー・ワイズマンMk-Ⅰへと乗船した。 艦長の私室では、優雅に艦長であるカイト=ワイズマンが のんびりと読書とお茶を楽しんでいたりした。 「やあ、来たね。みんな」 何やら朗らかな笑顔で一同を出迎えるカイト。 その様子に、ジト目で見つめるロバート。 「やあ、君がロバートだね?」 「あんたがあのカーティスの子孫、カイトか。 一度会ってみたかったんだ」 「ははは」 本を畳んで立ち上がるカイト。 「僕は子孫と言っても拾われっ子だからね。 ワイズマン家の慣習なんだけど、知らないかな?」 「……そうなのか?」 「いや、本当に知らなかったんですか?」 ロバートの問いに呆れてツッコむウォルフ王子。 「そんな事はどうでもいいんだ。あんたはこれについて、 何か感銘を受けたりしないのか? カイトさんよ」 そう言ってロバートが取り出したのは、 カイトの遠い祖先である、カーティスの著書だった。 当時の勇者軍に対する彼の立ち位置などを記した自伝であった。 これには彼が反逆者であったこと、 その状態から再度勇者軍に迎えられ、以降尽くしたこと、 反逆者であった独自の経験から常に重宝されたことなど、 後の世の若者のための指針として名高いヒット本である。 だが、読む事無く、カイトはその本も返した。 「今更読む必要は無いよ。僕も読んだことがあるからね」 ニコリと微笑むカイト。 「僕としては、この本から感銘を受けることはないよ。 僕の座右の銘は『安全第一』だからね。 反逆なんて危ないことはしないに越した事はない。 でも君は違う。僕とは違うからね。そうだろ?」 「俺の反逆は……する必要があると感じるからだ。 惰性で生きていれば、きっと、俺は堕落する」 「ならば君はそれでいいんじゃないかな。 ……あるいは、君は不満かもしれないけど」 「いや、いい。絡むようにして悪かった」 素直に頭を下げるロバート。 「ロバートさんが謝った……」 その光景に驚いたエナ。彼女の知っているロバートは そんな事をしそうには見えないからだった。 とりあえず進路は旧シャンゼリー王国領内、カルナード港へ。 深度800メートルほどを保ったまま、巡航速度で移動開始した。 カイトは、何やらロバートと楽しげに話している。 「ロバート、悪いがそのマントを見せてくれないかい? 君の趣味のものだと思うが、僕も気になる」 「おお、このセンスが分かるのか。 いやぁ、あんた粋な男じゃねぇか」 「来る者拒まず、去る物追わずでニュートラルに、 粛々と任務遂行していると、面白みが無くてね。 こういう物は好きなんだ。あと歴史書とかもね」 「いい趣味じゃないか」 「そうかい?」 何やら意気投合したようである。 ロバートなりに、何か感じ入るものもあったのだろう。 憧れていたカーティスの一族とあれば、無理も無い。 「にこやかな人ッスねー」 レオナが感心するが、ローザとエリックが首を振る。 「あれはポーズだ、新入り」 「あれで恐ろしく計算高い策士だからな。 未来でも予知してるんじゃないかとたまに思うぐらいだ」 「そうなんスか?」 「さっき、俺がシアンナイトに襲撃された話をしただろ。 俺を市街地の外に誘導しつつ、外部操作型の誘導ミサイル8発を 全弾、奴に向けて叩き込ませる準備をしていたんだ。 最終的に8発とも命中している。俺への被害は無しで、な ぶっちゃけて言うなら、俺は敵に回したくない。あんな腹黒は」 「……人は見かけによらないモンなんスねー」 「まあ、味方への人当たりはいいしな。敵に回すと怖いけど」 エリックも嘆息する。 マリーはクロカゲと話していた。給料の話だ。 「お前は……この船に乗っている間の全ての時間に対して 給料を請求するつもりでいるのか? 流石にあつかましいだろ」 「我……寝る……時間……給料……省け……!」 「……まあそれなら構わんのだが」 「使い道の無い……金……忍び……無用!」 「わ、分かった」 圧倒的な迫力にちょっと引くマリーであった。 ウォルフはエナと話している。 「ところでこれから探す予定のアンリエッタ王女って、 一体どんな人なんですか? 知っています?」 「いや、私も知らないんですけど…… まだ年端もいかない少女らしいですよ」 「亡国の王女ですか……大変ですねー」 実際、そのアンリエッタ王女と会ってからが 大変だという事を、この時点のエナに知る術は無かった。 そして、そのまま2日経過。 カルナード港近海まで到着したブルー・ワイズマンは浮上、 速やかに接舷の準備に入るのだった。 シャンゼリー王国は滅び、新たな国家が始まる。 だがその新国家も既に亡国への道を辿ろうとしているとは、 誰も予想していない状況の推移であった事だろう…… <第五章-第一幕-へ続く>
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第二十九章-第二幕- 民政部の真意(前編) 第二十九章-第一幕- 第二十九章-第三幕- 勇者軍主力部隊は、アンノウン・ベビーの説得に 半分成功しかけたものの、アンノウン・ベビーの知能の問題で 惜しくも逃走されてしまう。そこに民政部兵士の報告を受けた ヴェルファイア首相以下、民政部幹部六名が登場した。 「さて、それでは先陣を切らせてもらうか、突撃だ、行け」 ヴェルファイア首相は、自ら先陣を切る。 愛竜コモドが唸りをあげ、またしても突撃してくる。 「来るか! 騎兵と動物は退けーッ!」 ヴァジェスの指示で一部の味方を退却させようとしたが、 そうはいかない、とばかりに次はレオンハルトと、 その愛馬であるエルトリオンが動く。 「悪いが多対一を大人しくやるつもりもないのだよ。 乱戦に付き合ってもらうぞ、勇者軍!!」 エルトリオンが退いた騎兵部隊へ向かって突っ込む。 それを合図に、残り四名も一斉に動き出した。 「ちぃっ、最初から乱戦に持ち込む腹か!」 コンラッドがミミックマンの攻撃を捌きながら愚痴を垂れる。 ミミックマンはコンラッドを模倣しきっている。 「乱戦が自分達だけの得意技と思うんじゃねぇ!」 相変わらずの見事なモノマネである。挙動まで同じだ。 「気持ち悪いんだよ、その技ッ!」 「ならば、こういうのはどうだっ!」 ミミックマンは瞬時にリゼルへと化けてみせる。 「姿はモノマネですが、 こういうオリジナルもあります! ロスト・マジック! バスターキャノン!」 「何ぃっ!?」 バスターキャノン。失われし魔法の一つ。 無属性魔法同士を掛け合わせる事で、 より柔軟性に長けた魔法として放つ術である。 バスターは単体低威力魔法。キャノンは単体中威力魔法。 つまりバスターキャノンとは、中威力のまま、 低威力魔法並みに牽制と乱射が出来てしまう魔法なのだ。 それ故に魔力の消耗も激しいはずだが、彼の得意技のようでもある。 「コンラッドさん、退いて!」 そこにフローベールとバスクが乱入する。 「騎兵のモノマネは出来ないはず!」 「そこがお前の弱点なのは分かってる!」 コンラッドが別の方面へ攻撃対象を切り替え、 二人同時に仕掛けようとしたが、ミミックマンは動じない。 「サウザンドビジョン!」 ミミックマンが猛烈に分身し、その全てが別個のモノマネをする。 驚異的という他無い魔技であった。しかも騎兵が混じっている。 前回の弱点は払拭されていたようだ。 「えっ、何!?」 「分身! 実体があるのか!?」 実体は無かったようだが、分身の群れから本物が躍り出る。 どうやったのか知らないが、ペガサスまでモノマネ済みだ。 「一身是槍・雀蜂の舞!」 「一身是槍・雀蜂の舞!」 フローベール、ミミックマン、本物と偽者の同じ技が 真正面からぶつかり合う。スピードが速すぎて常人には理解不能だ。 「あうッ!」 「そこだ!」 続いてバスクに化けてそのままフローベールを追撃にかかる。 「俺のデータにはお前の技も入っている。通用しない!」 バスクの口調で騎乗したまま襲い掛かるミミックマン。 「そうはいくか! 今こそ俺の技の真価の発揮される時!」 バスクは棒を握り、下馬して縦方向へ回転しながら突撃した。 「何っ!?」 ミミックマンはその鮮やかな動きに見惚れた。 あわよくば自分のものにしようと欲をかいたのだ。 それが、間違いである。 どががッ! 数発ほど縦回転の攻撃が決まり、そのまま着地することなく、 バスクは棒を垂直に突き立て、そのまま横回転を始めた。 ずがががッ! 反動と勢いで棒を回転しながら昇って行くバスク。 頂点に達したところで棒を引っこ抜き、 そのまま大きく横になぎ払いで叩きつける。 「究極! 縦横無尽撃!」 ずがんッ! 「がっは!」 ミミックマンは大きく吹き飛び、起き上がれなくなった。 「凄い……」 フローベールも驚いたが、これが地下で学んだ技なのだろう。 それを納得し、すぐさま次の戦いへ動こうとする。 だが、バスクは騎乗するなり、いきなり横転する。 「バスク!?」 フローベールが手を貸そうとすると、ベアトリスも横転した。 「ブービートラップ!?」 ギースが察知し、すぐに罠の解除に向かう。 「ゼクウ、ギースの援護を!」 セシリアの指示でゼクウが援護に向かう。 だが、そのゼクウに手斧が飛んできた。 「愚!」 ゼクウはその斧を素手で白刃取りしてみせる。 手裏剣を叩き込むと、そこからフィアナ=マーベルが出てきた。 迷彩の得意な女幹部である。随分と久しぶりだ。 だが、フィアナは更に迷彩をかけて動いてくる。 肉眼ではほとんど確認不能なレベルなのは相変わらずだ。 「はははは、インビジブル・トラップを食らいなよ!」 ゼクウが激して動こうとした瞬間、転倒する。 いつの間にか、新たな罠が仕掛けられているのだ。 どうやら迷彩のまま動いて、気付かれぬ間に罠を仕掛けている。 それに引っ掛かり次第、得意の手斧が飛んでくるという技だ。 見れば、シエルなど他数名も引っ掛かっている。 「地上からでは埒が明きません。ヴァジェスさん!」 イシターがヴァジェスを呼ぶ。 「ドラグーン化を解くんだな、分かったぜ!」 ヴァジェスはワイバーン形態に戻る。 すると、イシターがひょいとその上に乗っかってきた。 「おい、ドラゴンナイト気取りか!?」 「いい策を思いついたんです。説明は後! 上へ!!」 「お、おう!」 ヴァジェスはイシターを乗せて飛翔。 空中に踊り出ると、イシターの指示が飛ぶ。 「合図で、レーザー・ブレスを! 今!!」 「がぁぁぁぁッ!」 ヴァジェスのレーザー・ブレスと同時に、 イシターはミスト・ブレスを吐く。 猛烈な霧が周囲にたちこめ、それをレーザーが加熱。 ずどがぁぁぁぁぁぁぁぁん! フィアナがいると思しき周辺で大規模な水蒸気爆発。 「いました、そこです! ヴァジェスさん!」 「おうよ!」 意図がようやく読めたヴァジェスはそのまま突貫。 槍から棒へ持ち替えたイシターが騎乗したまま殴打。 フィアナはようやく戦闘不能に陥ってくれた。 その頃にはようやく、罠から味方が脱出をし始めていた。 「ふう、ようやく片付いたか」 一息ついたヴァジェスとイシターだったが、そこに ミサイルが叩き込まれ、まともに被弾するヴァジェス。 「ぬぐぁッ!?」 「ヴァジェスさん!? 一旦下がりましょう、このままでは!」 「分かってる、くそっ!」 仕掛けてきたのは『ホークマンEXエディション』に搭乗している メロウ=クミンだ。ミサイルも機体からのものである。 「二名、離脱。次のターゲットはどこ?」 冷静に次の目標を探すメロウ。目に付いたのは 懸命にシエルを救助中のジークと、ライナス、リュミエルの三名だ。 「仕掛ける」 それだけ言うと、メロウは機体の高度を下げ、 一気にライナスへと襲い掛かる。ヒートランスだ。 「カオスリキッド、発動!」 ライナスはすぐに反撃態勢に入り、ヒートランスを一刀両断。 「やる」 すぐに距離を取り、メロウはアサルトライフルを 三点バースト射撃にしてライナスを狙い撃ちにする。 「くっ、こう距離を取られてちゃどうしようもないわ!」 リュミエルも反撃の術を持たない。 「支援に入るわ!」 ルシアが弓での応射を行う。だがメロウはすぐに背中の バックパックから何らかの武器を取り出した。 「ワンバウンドミサイル、投擲」 ホークマンEXの腕がミサイルを地面に叩きつける。 バウンドした直後、点火してミサイルが襲い来る。 それまでの軌道が無茶苦茶で、撃ち落とすのは無理だった。 「させない!」 リュミエルが必死に防御結界で防護。 ルシアにかろうじて反撃の隙を作らせてやった。 だが、ワンバウンドミサイルが次々と叩き込まれる。 リュミエルの防御結界も限界に近い。 「疾風剣!」 が、ライナスが前に出てワンバウンドミサイルを切り刻む。 これにより、リュミエルの負担が大きく軽減された。 「今だ!」 「今よ!」 二人の声援を受け、ルシアはボイルドアーチを準備。 すぐさま狙いを絞り、精密射撃で叩き込む。 「ボイルドアーチ!」 動力ケーブルらしきものを正確に撃ち抜いたのか、 ホークマンEXエディションはパワーが無くなり、墜落。 「敗北ね」 あくまでも冷静なまま、メロウは速やかに脱出した。 これで、メロウも戦闘不能になったに等しい。 敵は残り三名、しかし勇者軍も多数の負傷者を出している。 乱戦は多大なる混乱を生み出しつつ、推移する―― <第二十九章-第三幕-へ続く>
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勇者の霊視証言 2009年4月13日THE荒らし ◆xqlNKJ6FBEその1 2009年4月20日ぱんくん◆cJY5MT6AVU 2009年4月26日サンショウウオ◆B63gYKJKEY&pino◆noir.rksEQ&しぐなむ◆ibRbHXNcxw&ひのと◆hinotoatMIその1 2009年3月29日THE荒らし ◆xqlNKJ6FBEその1 2009年2月27日ぽに◆DMVtSSFzcgその1 2008年6月10日Yenn ◆3qDMUSp0ng 2008年5月2日ムタロウ ◆iwr.CbaKEE & ひのと ◆hinotoatMI & ポポロン ◆wycmxKO9B. 2008年5月2日ひのと & 柚子茶 & 上海蓬莱 & マカロニ & えら呼吸その1 2008年5月19日柚子茶 ◆NsScf91H.Y 2008年5月20日上海蓬莱 ◆urfQ7AEfjs 2008年4月21日柚子茶 ◆NsScf91H.Y
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