約 2,473,956 件
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/182.html
2012年2月17日 日本ミステリファンが集う韓国のWebサイト「日本ミステリを楽しむ」(일본 미스터리 즐기기)で実施されたミステリランキングの結果を紹介する。 2週間ほど前に紹介した「ハウミステリ」のランキングは2011年に韓国で出版されたすべてのミステリ小説(韓国国内作品・翻訳作品)が対象になっていたが、「日本ミステリを楽しむ」のランキングはその名の通り、2011年に韓国で出版された日本ミステリが対象になっている。 関連記事:韓国のWebサイト「ハウミステリ」で実施された2011年ミステリランキング (2012年2月2日) Index 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2011年 [발표] 우리가 뽑은 2011년 일본 미스터리 (2012-02-12) 対象: 2011年に韓国で翻訳出版された日本のミステリ小説。全105タイトル(「日本ミステリを楽しむ」調べ)。 有効投票者数: 46名 投票方法: 各自が持ち点10点を好きな3作品に自由に振り分ける(「5点・3点・2点」でも「8点・1点・1点」でも、とにかく好きに振り分けてよい)。46名×10ポイントで総計460ポイント。 結果発表: 2012年2月12日 順位 point(s) 投票者数 タイトル 作者 年 韓国語タイトル 翻訳者 備考 1位 109 pts 25人 奇想、天を動かす 島田荘司 1989年 기발한 발상, 하늘을 움직이다 ハン・ヒソン(한희선) 2位 32 pts 12人 山魔の如き嗤うもの 三津田信三 2008年 산마처럼 비웃는 것 クォン・ヨンジュ(권영주) 3位 31 pts 9人 カラスの親指 道尾秀介 2008年 까마귀의 엄지 ユ・ウンジョン(유은정) 4位 20 pts 7人 密室殺人ゲーム2.0 歌野晶午 2009年 밀실살인게임 2.0 キム・ウンモ(김은모) 5位 20 pts 6人 追想五断章 米澤穂信 2009年 추상오단장 チェ・ゴウン(최고은) 6位 18 pts 6人 倒錯の帰結 折原一 2000年 도착의 귀결 クォン・イリョン(권일영) 7位 17 pts 4人 乱反射 貫井徳郎 2009年 난반사 キム・ソヨンB(김소영) 8位 15 pts 4人 魔球 東野圭吾 1988年 마구 イ・ヒョクチェ(이혁재) 9位 14 pts 5人 叫びと祈り 梓崎優 2010年 외침과 기도 キム・ウンモ 10位 13 pts 4人 サバイバー・ミッション 小笠原慧 2004年 서바이버 미션 キム・ソウン(김소운) 13 pts 4人 鼻 曽根圭介 2007年 코 キム・ウンモ 12位 12 pts 2人 忌館(いかん) ホラー作家の棲む家 三津田信三 2001年 기관 호러작가가 사는 집 キム・ウンモ 13位 11 pts 4人 続巷説百物語 京極夏彦 2001年 속 항설백물어 クムジョン(금정) 14位 11 pts 3人 悪の教典 貴志祐介 2010年 악의 교전 ハン・ソンネ(한성례 ) 15位 10 pts 4人 ロートレック荘事件 筒井康隆 1990年 로트레크 저택 살인 사건 キム・ウンモ 16位 10 pts 3人 プラチナデータ 東野圭吾 2010年 플래티나 데이터 イ・ジョンファン(이정환) 17位 9 pts 2人 とり残されて 宮部みゆき 1992年 홀로 남겨져 パク・トヨン(박도영) 18位 7 pts 2人 Another 綾辻行人 2009年 어나더 ヒョン・ジョンス(현정수) 7 pts 2人 戻り川心中 連城三紀彦 1980年 회귀천 정사 チョン・ミヨン(정미영) 20位 6 pts 2人 カササギたちの四季 道尾秀介 2011年 가사사기의 수상한 중고매장 キム・ウンモ 6 pts 2人 星降り山荘の殺人 倉知淳 1996年 별 내리는 산장의 살인 キム・ウンモ 6 pts 2人 完全恋愛 牧薩次 2008年 완전연애 キム・ソニョン(김선영) +23位以下の作品 - クリックで展開 23位以下の作品 23位(5pts、3人) - 『おまけのこ』畠中恵、샤바케 4 24位(5pts、1人) - 『白光』連城三紀彦、백광 25位(4pts、2人) - 『掌の中の小鳥』加納朋子、손 안의 작은 새 26位(4pts、1人) 『タロットの迷宮』小笠原慧、타로의 미궁 『日暮らし』宮部みゆき、하루살이 『夜行観覧車』湊かなえ、야행관람차 29位(3pts、1人) 『館島』東川篤哉、저택섬 『虹果て村の秘密』有栖川有栖、무지개 끝 마을의 비밀 『完全犯罪に猫は何匹必要か?』東川篤哉、완전범죄에 고양이는 몇 마리 필요한가 『完全なる首長竜の日』乾緑郎、완전한 수장룡의 날 『クラインの壺』岡嶋二人、클라인의 항아리 『水の眠り 灰の夢』桐野夏生、물의 잠 재의 꿈 『密室・殺人』小林泰三、밀실. 살인 『夏、19歳の肖像』島田荘司、여름, 19세의 초상 『4ページミステリー』蒼井上鷹、4페이지 미스터리 38位(2pts、1人) 『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉、수수께끼 풀이는 저녁식사 후에 『コールドゲーム』荻原浩、콜드게임 『シューマンの指』奥泉光、손가락 없는 환상곡 『制服捜査』佐々木譲、제복 수사 42位(1pts、1人) 『ツナグ』辻村深月、츠나구 『厭な小説』京極夏彦、싫은 소설 2010年 [발표] 우리가 뽑은 2010년 일본 미스터리 (2011-02-14) 対象: 2010年に韓国で翻訳出版された日本のミステリ小説。全98タイトル(「日本ミステリを楽しむ」調べ)。 有効投票者数: 35名 (前年までは100人以上が投票していたが、この年は投票参加法を複雑にしたため一気に投票者数が減っている) 投票方法: 2011年版と同じ。35名×10ポイントで総計350ポイント。 結果発表: 2011年2月14日 順位 point(s) 投票者数 タイトル 作者 年 韓国語タイトル 翻訳者 備考 1位 69 pts 18人 密室殺人ゲーム王手飛車取り 歌野晶午 2007年 밀실살인게임 キム・ウンモ(김은모) 2位 39 pts 13人 首無の如き祟るもの 三津田信三 2007年 잘린 머리처럼 불길한 것 クォン・ヨンジュ(권영주) 3位 27 pts 7人 名探偵の掟 東野圭吾 1996年 명탐정의 규칙 イ・ヒョクチェ(이혁재) 4位 19 pts 7人 沈黙の教室 折原一 1994年 침묵의 교실 キム・ソヨンB(김소영) 5位 19 pts 6人 冤罪者 折原一 1997年 원죄자 キム・ソニョン(김선영) 6位 17 pts 6人 儚い羊たちの祝宴 米澤穂信 2008年 덧없는 양들의 축연 チェ・ゴウン(최고은) 7位 17 pts 5人 鬼の跫音 道尾秀介 2009年 술래의 발소리 キム・ウンモ 8位 15 pts 2人 鉄鼠の檻 京極夏彦 1996年 철서의 우리 キム・ソヨンA(김소연) 9位 14 pts 5人 愚行録 貫井徳郎 2006年 우행록 イ・ギウン(이기웅) 10位 13 pts 4人 双頭の悪魔 有栖川有栖 1992年 쌍두의 악마 キム・ソニョン ※この年の結果は10位までしか公表されていない。 2009年 우리가 뽑은 2009년 미스터리 공식 집계 발표 (2010-02-06) ※この記事は会員登録しないと見られないようです 対象: 2009年に韓国で翻訳出版された日本のミステリ小説。約100タイトル。 有効投票者数: 111名 投票方法: 2011年版と同じ。111名×10ポイントで総計1110ポイント。 結果発表: 2010年2月6日 順位 point(s) 投票者数 タイトル 作者 年 韓国語タイトル 翻訳者 備考 1位 213 pts 56人 告白 湊かなえ 2008年 고백 キム・ソニョン(김선영) 2位 63 pts 17人 警官の血 佐々木譲 2007年 경관의 피 キム・ソニョン 3位 62 pts 19人 私が殺した少女 原尞 1989年 내가 죽인 소녀 クォン・イリョン(권일영) 4位 61 pts 18人 天使のナイフ 薬丸岳 2005年 천사의 나이프 キム・スヒョン(김수현) 5位 60 pts 16人 生ける屍の死 山口雅也 1989年 살아 있는 시체의 죽음 キム・ソニョン 6位 40 pts 10人 新世界より 貴志祐介 2008年 신세계에서 イ・ソニ(이선희) 40 pts 10人 松本清張傑作短篇コレクション 松本清張 - 마쓰모토 세이초 걸작 단편 컬렉션 イ・ギュウォン(이규원) 宮部みゆき編 8位 38 pts 13人 巷説百物語 京極夏彦 1999年 항설백물어 クムジョン(금정) 9位 37 pts 10人 隠蔽捜査 今野敏 2005年 은폐수사 イ・ギウン(이기웅) 10位 35 pts 10人 向日葵の咲かない夏 道尾秀介 2005年 해바라기가 피지 않는 여름 キム・ユンス(김윤수) 11位 29 pts 10人 噂 荻原浩 2001年 소문 クォン・イリョン 12位 27 pts 10人 イニシエーション・ラブ 乾くるみ 2004年 이니시에이션 러브 ソ・スジ(서수지) 13位 23 pts 7人 斜め屋敷の犯罪 島田荘司 1982年 기울어진 저택의 범죄 ハン・ヒソン(한희선) 14位 19 pts 6人 私が彼を殺した 東野圭吾 1999年 내가 그를 죽였다 ヤン・ユノク(양윤옥) 15位 19 pts 5人 江戸川乱歩全短篇 2 江戸川乱歩 - 에도가와 란포 전단편집 2 キム・ウニ(김은희) 日下三蔵編 19 pts 5人 人体模型の夜 中島らも 1991年 인체 모형의 밤 ハン・ヒソン 17位 18 pts 6人 扉は閉ざされたまま 石持浅海 2005年 문은 아직 닫혀 있는데 パク・チヒョン(박지현) 18位 17 pts 6人 新宿鮫 大沢在昌 1990年 신주쿠 상어 キム・ソンギ(김성기) 19位 16 pts 5人 あかんべえ 宮部みゆき 2002年 메롱 キム・ソヨンA(김소연) 20位 15 pts 6人 悪夢の観覧車 木下半太 2008年 악몽의 관람차 キム・ソヨンB(김소영) 15 pts 6人 どちらかが彼女を殺した 東野圭吾 1996年 둘 중 누군가 그녀를 죽였다 ヤン・ユノク 東野圭吾作品を訳しているヤン・ユノクは漢字表記「梁潤玉」。カタカナ表記は「ヤン・ユンオク」とされる場合もある。 2008年 [발표] 우리가 뽑은 2008년 미스터리 공식 집계 발표 (2009-11-11 ※再投稿記事) ※この記事は会員登録しないと見られないようです 対象: 2008年に韓国で翻訳出版された日本のミステリ小説。約100タイトル。 有効投票者数: 110名 投票方法: 2011年版と同じ。110名×10ポイントで総計1100ポイント。 結果発表: 2009年?月?日 順位 point(s) 投票者数 タイトル 作者 年 韓国語タイトル 翻訳者 備考 1位 149 pts 34人 贄の夜会 香納諒一 2006年 제물의 야회 ハン・ヒソン(한희선) 2位 105 pts 32人 インシテミル 米澤穂信 2007年 인사이트 밀 チェ・ゴウン(최고은) 3位 104 pts 31人 倒錯のロンド 折原一 1989年 도착의 론도 クォン・イリョン(권일영) 4位 75 pts 25人 GOTH リストカット事件 乙一 2002年 GOTH 고스 クォン・イリョン 5位 69 pts 18人 楽園 宮部みゆき 2007年 낙원 クォン・イリョン 6位 66 pts 22人 ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎 2007年 골든 슬럼버 キム・ソヨンB(김소영) 7位 59 pts 17人 そして夜は甦る 原尞 1988年 그리고 밤은 되살아난다 クォン・イリョン 8位 44 pts 14人 霧越邸殺人事件 綾辻行人 1990年 키리고에 저택 살인사건 ハン・ヒソン 9位 43 pts 17人 悪意 東野圭吾 1996年 악의 ヤン・ユノク(양윤옥) 10位 42 pts 12人 犬神家の一族 横溝正史 1951年 이누가미 일족 チョン・ミョンウォン(정명원) 11位 32 pts 9人 さまよう刃 東野圭吾 2004年 방황하는 칼날 イ・ソニ(이선희) 12位 30 pts 11人 第三の時効 横山秀夫 2003年 제3의 시효 キム・ソンギ(김성기) 13位 26 pts 8人 孤島パズル 有栖川有栖 1989年 외딴섬 퍼즐 キム・ソニョン(김선영) 14位 26 pts 6人 黄金を抱いて飛べ 高村薫 1990年 황금을 안고 튀어라 クォン・イリョン 15位 17 pts 5人 回廊邸殺人事件 東野圭吾 1991年 회랑정 살인사건 イム・ギョンファ(임경화) 16位 17 pts 4人 ドグラ・マグラ 夢野久作 1935年 도구라마구라 イ・ドンミン(이동민) 17位 11 pts 4人 象と耳鳴り 恩田陸 1999年 코끼리와 귀울음 クォン・ヨンジュ(권영주) 18位 10 pts 3人 震える岩 霊験お初捕物控 宮部みゆき 1993年 흔들리는 바위 キム・ソヨンA(김소연) 10 pts 3人 悪人 吉田修一 2007年 악인 イ・ヨンミ(이영미) 20位 9 pts 4人 慟哭 貫井徳郎 1993年 통곡 イ・ギウン(이기웅) 2007年 [집계] 2007년, 우리가 뽑는 일본 미스터리 소설 (2008-02-01) 対象: 2007年に韓国で翻訳出版された日本のミステリ小説。約70タイトル。 有効投票者数: 89名 投票方法: 各自が順位を付けて3作品を選ぶ。1位=3点、2位=2点、3位=1点で集計する。 結果発表: 2008年2月1日? 順位 point(s) タイトル 作者 年 韓国語タイトル 翻訳者 備考 1位(2作品) 52 pts 暗黒館の殺人 綾辻行人 2004年 암흑관의 살인 クォン・イリョン(권일영) 1位(2作品) 52 pts ZOO 乙一 2003年 ZOO キム・スヒョン(김수현) 3位 49 pts 殺戮にいたる病 我孫子武丸 1992年 살육에 이르는 병 クォン・イリョン 4位 39 pts OUT 桐野夏生 1997年 아웃(2007年版、1999年版) キム・スヒョン 5位 37 pts チーム・バチスタの栄光 海堂尊 2006年 바티스타 수술 팀의 영광 クォン・イリョン 6位 28 pts ルパンの消息 横山秀夫 2005年 루팡의 소식 ハン・ヒソン(한희선) 28 pts ぼくのミステリな日常 若竹七海 1991年 나의 미스터리한 일상 クォン・ヨンジュ(권영주) 8位 21 pts 名もなき毒 宮部みゆき 2006年 이름 없는 독 クォン・イリョン 9位 19 pts ダーク 桐野夏生 2002年 다크 クォン・イリョン 10位 17 pts ハサミ男 殊能将之 1999年 가위남 キム・スヒョン 17 pts 放課後 東野圭吾 1985年 방과 후 ク・ヘヨン(구혜영) 12位 13 pts ユージニア 恩田陸 2005年 유지니아 クォン・ヨンジュ 13 pts 残虐記 桐野夏生 2004年 잔학기 キム・スヒョン 13 pts 孤宿の人 宮部みゆき 2005年 외딴집 キム・ソヨンA(김소연) 15位 11 pts グレイヴディッガー 高野和明 2002年 그레이브 디거 チョン・セロム(전새롬) 11 pts 悪魔の手毬唄 横溝正史 1958年 악마의 공놀이 노래 チョン・ミョンウォン(정명원) 17位 9 pts ハードボイルド・エッグ 荻原浩 1999年 하드보일드 에그 ソ・ヘヨン(서혜영) 18位 7 pts 赤朽葉家の伝説 桜庭一樹 2006年 아카쿠치바 전설 パク・スジ(박수지) 7 pts スナーク狩り 宮部みゆき 1992年 스나크 사냥 クォン・イリョン 20位 6 pts 中庭の出来事 恩田陸 2006年 호텔 정원에서 생긴 일 オ・グニョン(오근영) 6 pts 魔神の遊戯 島田荘司 2002年 마신유희 キム・ソヨンB(김소영) 6 pts 赤い指 東野圭吾 2006年 붉은 손가락 ヤン・ユノク(양윤옥) 2006年に出版された日本ミステリを対象とするランキングは実施されていない。なお、2006年に韓国で翻訳出版された日本のミステリ小説は約30タイトルだった。それが翌年の2007年には年間約70タイトルとなり、2008年以降は年間100タイトルほどのペースが続いている。
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/67.html
2010年4月17日 最終更新:2011年6月22日 どこかの出版社で邦訳してくれないかなあと個人的に思っている作品のタイトルをただ並べていくコーナー。 (長編・短編とも、現在入手可能なもの、または公式サイト上で読めるものを挙げる) 1.長編 台湾推理作家協会所属の推理作家による2作品を挙げる。(両方未読) (1)『冰鏡莊殺人事件』(氷鏡荘殺人事件) 林斯諺(りん しげん、リン スーイェン) ネット書店 博客來書籍館:『冰鏡莊殺人事件』(2009年9月) 第1回(2009年)島田荘司推理小説賞で最終候補に残った3作のうちの1つ。受賞作『虚擬街頭漂流記』は台湾・中国・日本・タイで刊行されるが、最終候補作は台湾と中国以外での刊行予定はない。 作者の林斯諺は1983年生まれ。作品の講評は、『オール讀物』2009年11月号掲載の島田荘司「いま、アジアのミステリーに何が起きているのか」で読むことができる。 (2)『鎧甲館事件』 冷言(れいげん、レンユエン) ネット書店 博客來書籍館:『鎧甲館事件』(2009年2月) 島崎博推薦作品。作者の冷言は1979年生まれ。 2.中短編 すでに長編の邦訳が出ている寵物先生と、上でも紹介した林斯諺の作品を挙げる(既読)。 (1) 寵物先生(ミスターペッツ) 短編 「名為殺意的觀察報告」 (殺意という名の観察報告) http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010328692 (絶版) 短編 「犯罪紅線」 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010370313 すでに文藝春秋より邦訳『虚擬街頭漂流記』(長編本格ミステリ)が刊行されている作家さん。 1980年生まれ。 2作品とも、台湾の推理作家が推理小説を掲載しているブログ「台灣推理夢工廠」(台湾推理夢工場、http //mysteryfactory.pixnet.net/blog)で読むことができる。 (2) 林斯諺(りんしげん、リンスーイェン) 中編 「淚水狂魔」(涙水狂魔) http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010413044 女性を誘拐してその涙を集める犯人と、それを追う女性刑事(主人公)・男性刑事(補佐役)のコンビ、という配役で進むストーリーだが、台湾推理作家協会所属の作家ということでただのサスペンスに終わるはずがなく、通常なら不可能に思えるあるトリックを、仕掛けを二重にすることで可能にさせるという本格推理の技巧が冴える作品になっている。 キャラクターもストーリーも非常に良く、勝手に全訳して日本のどこかの出版社に送りつけようかと思ったほどの作品。 関連記事 台湾ミステリ 読書案内 台湾ミステリについて知るための資料リスト このアジアミステリを邦訳してほしい! 中国ミステリ編 韓国ミステリ編 台湾ミステリ紹介 目次へ
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/159.html
2011年9月3日 2011年10月15日:増補(詳細はページ最下部の「台湾ミステリ史 中編 更新履歴」参照) 『台湾ミステリ史 中編』(第四章)では、1977年から1990年代半ばまでの台湾ミステリ界の動向を紹介している。 島崎博氏は1977年を「実質的な台湾の推理小説元年」としており、1977年から1984年までを準備期、1984年から2000年までを第一期、2001年以降を第二期としている。 ※「台湾ミステリ史 前編」(19世紀末~1970年代)と「台湾ミステリ史 後編」(20世紀末~21世紀初頭)は未完成です。 目次 台湾の言語と文字に関するごく簡単な注釈 台湾ミステリ前史 (第一章~第三章 要約) 第四章 1970年代末~1990年代半ば: 林仏児(りん ふつじ)と『推理雑誌』の時代第一節 1977年: 松本清張『ゼロの焦点』の翻訳刊行 第二節 1984年: 台湾初の長編推理小説 林仏児(りん ふつじ)『島嶼(とうしょ)謀殺案』と『推理雑誌』創刊 第三節 1987年: 台湾における日本ミステリの第1次ブーム 第四節 1988年~1992年: 林仏児推理小説賞 参考文献 台湾ミステリ史 中編 更新履歴 台湾の言語と文字に関するごく簡単な注釈 台湾で刊行されている小説で使われているのは「台湾語」ではなく、日本で言うところの「中国語」である。たとえば、「台湾では日本の推理小説の台湾語版がたくさん刊行されている」といった言い方は誤りである。 中国で画数が省略された漢字が使われていることは、テレビのクイズ番組などでもたまに取り上げられるのでそれなりに知られていると思う(たとえば中国では、「学習」を「学习」と書く)。一方、台湾や香港ではそのような省略した漢字は使われておらず、日本で言うところの「旧字体」が今でも使われている(たとえば「学習」を「學習」と書く)。中国で使われている漢字は簡体字(かんたいじ)、台湾や香港で使われている漢字は繁体字(はんたいじ)と呼ばれる。 台湾ミステリ前史 (第一章~第三章 要約) 台湾の推理小説の歴史は、1898年に台湾の新聞『台湾新報』に連載された『艋舺(もうこう)謀殺事件』(日本語作品)(艋舺(もうこう)は台湾の地名、現在の萬華(ばんか)【注1】)及び、1909年に『漢文台湾日日新報』に連載された「恨海(こんかい)」(中国語作品)に始まり、必ずしもその数は多くなかったが、20世紀前半は日本語および中国語で創作探偵小説が発表されていた。この時期に台湾で探偵小説を発表した人物は、まず日本人から挙げると、江戸川乱歩がデビューしたのと同じ1923年に創作探偵小説を発表し始め、3年間で中短編計15編を発表した座光東平や、鉄道関連の職員だった福田昌夫、第二次世界大戦末期に長編探偵小説『船中の殺人』や《龍山寺の曹老人》シリーズを林熊生(りん ゆうせい)という台湾人風の名前で発表した台北帝国大学医学部教授の金関丈夫(かなせき たけお、1897-1983)らがいる。彼らは日本語で作品を執筆・発表しているので、これらは台湾ミステリ史の前史であるのと同時に、日本のミステリ史の一部分でもある。一方、中国語で探偵小説を執筆した台湾人作家としては、武侠小説を執筆しながら数編の探偵小説を発表した李逸涛(り いっとう、1876-1921)、モーリス・ルブランのルパン物『虎の牙』の翻案も行った魏清徳(ぎ せいとく、1871-1953)、小学生の椿孝一が算数の能力で警察を助けるという児童向け探偵小説を書いた謝雪漁(しゃ せつぎょ、1886-1964)らがいる。また、台湾人の医学博士・葉歩月(よう ほげつ、1907-1968)は、終戦後の1946年に2冊の日本語単行本、『探偵小説 白昼の殺人』と『科学小説 長生不老』を刊行している。 ほかにも、台湾にホームズがやって来て事件を解決するという作品(餘生「探偵小説 智闘」『台南新報』1923年、中国語)や、臍皮乱舞・大舌宇奈児・無理下大損・正気不女給というどこかで聞いたような名前の執筆陣によるリレー小説「連作怪奇探偵小説 木乃伊の口紅」(『台湾鉄道』1934年、日本語)【注2】など、興味深い作品が書かれている。 終戦後、1946年10月25日に新聞・雑誌での日本語の使用が禁止され、葉歩月のような日本語で執筆していた台湾人作家は発表の場を失ったが、上海や香港からは探偵雑誌が輸入され、主にアメリカのパルプマガジンから作品を翻訳していた『藍皮書(らんひしょ)』(1946年7月上海で創刊、1949年5月に休刊、1950年に香港で復刊)【注3】などが人気を博した。1949年、大陸で中華人民共和国が成立し国民党政府が台湾に移ってくると、海外からの出版物の輸入が難しくなり、台湾独自の探偵雑誌がいくつか創刊された。多くは長続きしなかったが、1951年に創刊され10年以上【注4】続いた『偵探雑誌(ていたんざっし)』【注5】のような雑誌もあった。この雑誌の作品は9割がパルプマガジンからの翻訳だったが、作品に作者名は付されず、訳もめちゃくちゃで低俗なものだったという。この時期は、散発的に台湾人作家によりスパイ小説などの推理小説の一種が発表されることはあったが、専門的に推理小説を執筆する作家は生まれなかった。 注1:萬華は2010年に邦訳が刊行された台湾の推理小説、寵物先生(ミスターペッツ)『虚擬街頭漂流記』の舞台でもある。 注2:それぞれ、江戸川乱歩、大下宇陀児、森下雨村、正木不如丘のもじりだろう。 注3:江戸川乱歩は1956年から1958年ごろにかけて、香港版『藍皮書』を定期購読している。 注4:「台湾における日本ミステリー出版事情」では「10年以上」となっているが、『2009 本格ミステリ・ベスト10』に掲載された同じ講演のまとめでは「20年以上」となっている。 注5:単に『偵探』と書かれる場合もある。また日本語の文献では、『探偵雑誌』とされている場合もある。 第四章 1970年代末~1990年代半ば: 林仏児(りん ふつじ)と『推理雑誌』の時代 【同時期の中国の推理小説については「中国ミステリ史 第四章(1970年代末~1990年代)」を参照のこと】 第一節 1977年: 松本清張『ゼロの焦点』の翻訳刊行 戦後、台湾では外国文学の翻訳が制限されていたが【注6】、1975年に蒋介石(Wikipedia)が死去すると、規制は少しずつ緩んでいった。そして1977年4月、林白出版社から松本清張『ゼロの焦点』が翻訳刊行される(台湾国家図書館のデータを見ると、同出版社からは1969年にも『ゼロの焦点』が翻訳出版されている。訳者は同じ)。林白出版社はその後、この『ゼロの焦点』を第1巻とする《松本清張選集》の刊行を1979年に開始。1980年(1979年?)には叢書「推理小説系列(シリーズ)」(推理小說系列)(~1994年、全115冊)を創刊し、清張以外の日本の推理小説も刊行していった。台湾で「推理小説(トゥイリー シアオスオ)」という外来語が定着し始めたのはこの時期である。1986年(1987年?)には別の会社も日本のミステリの翻訳出版に参入するが、それまでは日本ミステリの翻訳出版は林白出版の独占状態だった。林白出版社が1977年から1986年までに刊行した日本ミステリの翻訳本は約70冊である。島崎博氏は、林白出版社が『ゼロの焦点』を翻訳刊行した1977年を、「実質的な台湾の推理小説元年」だとしている(島崎博インタビュー4、p.1110)。 日本語では「探偵小説」という語は、「古き良き時代」のロマンにあふれた作品群をイメージさせるが、台湾では「偵探(ていたん)小説」という語には、パルプマガジン翻訳時代の低俗なイメージが付きまとうという。そのため、日本の雑誌『幻影城』で「探偵小説」という語を積極的に使った島崎博氏も、台湾では「偵探小説」という言葉は使っていない。 欧米の推理小説では、1978年に星光出版社がイアン・フレミングの007シリーズの作品を刊行。続いて、1981年に水牛出版社がフランクリン・ディクスン(Franklin W. Dixon)の少年向け推理小説・ハーディ兄弟シリーズを刊行。1982年(1983年?)には遠景出版社がクリスティー全集を刊行し、続いて1986年にはE・S・ガードナーのペリー・メイスンシリーズの刊行を始めた。クリスティー全集はよく売れたという。 注6:一方で児童向けの推理小説は出版されていた。1950年代には台湾の東方出版社(社長:林呈禄)から児童向けのホームズ全集、ルパン全集が刊行され、海賊版が数種類出るほどの人気を博していたという。また、同社は1960年代初頭にはクイーンやカー、アイリッシュ、ミルンらの推理小説も児童向けに刊行している。 日本の推理小説の受容に関するもう一つの証言 【2011年10月15日加筆】 以上で提示した台湾の推理小説元年に関する説明は島崎博氏の証言に基づくものである。1977年に台湾で刊行された松本清張『ゼロの焦点』が日本の推理小説の最初の翻訳単行本で、それ以降台湾では「推理小説」という語が次第に使われるようになっていったというもので、島崎氏は21世紀になってから各所で同じように説明している。ところが、ほかならぬ島崎氏自身がこれとは大きく異なる証言をしている文献がある。日本の雑誌『推理界』の1968年7月号に掲載された島崎氏の「台湾の推理小説」という記事である。この記事で島崎氏は以下のように述べている。 島崎博「台湾の推理小説」『推理界』1968年7月号 映画007が話題になってから、007が翻訳され、推理小説の出版はさかんになった。いままでホームズとルパンの二全集しかなかった翻訳ものも、007の外、クリスティ選集、スピレンの全作品など出版された。 日本作家の長編も、新聞の副刊(文芸欄)によく翻訳連載されるようになった。そのうち単行本になったのは、 白髪鬼(江戸川乱歩著、洪明訳) 地獄の傀儡(江戸川乱歩著、永思訳) 魔鬼の標誌(江戸川乱歩著、方圓客訳) 蜘蛛人(江戸川乱歩著、余蔭訳) 霧影魅影(角田喜久雄著、金美訳) 死神的地図(島田一男著、何年訳) 神秘之門(高木彬光著、摩斯訳) 魔弾的射手(高木彬光著、何年訳) 猫影踪謎(仁木悦子訳、許振江訳) 黒色的喜馬拉雅山(陳舜臣著、刘慕沙訳) などがあるが、訳名を見て、原作名を推理するのも楽しみである。 これを見ると、日本のミステリの単行本は松本清張『ゼロの焦点』以前にも刊行されていたことが分かる。クリスティや007シリーズなどの欧米ミステリの翻訳出版も、後の島崎氏の説明よりもずっと早くに行われていたようである。 またこの記事で島崎氏は、台湾では「偵探小説」という言い方をすると説明した後に、「「推理小説」が使われるようになったのは、最近のことで、これは日本の影響である」と述べているので、『ゼロの焦点』が翻訳される10年近く前の時点で、すでに台湾で「推理小説(トゥイリー シアオスオ)」という語が使われていたことが分かる。 この記事によれば1968年当時、台湾には『偵探』(『偵探雑誌』から改題)、『偵探之王』(『偵探小説専号』の後進)、『偵探世界』などの探偵雑誌があり、日本の作品も翻訳されていた。また、文芸誌『文壇』(1952年創刊)も手当たり次第に日本の新刊雑誌から推理小説を翻訳していたという。台湾における日本の推理小説の受容については、もう少し詳しく調べてみる必要がありそうだ。 同時期の他のアジア地域の動向 対岸の中華人民共和国では、1970年代末に文化大革命が終結すると翻訳ミステリブームが起こり、欧米の黄金時代の推理小説から日本の社会派推理小説、さらにはソ連や東欧諸国の推理小説まで各地の作品が翻訳刊行された。特に松本清張や森村誠一などの日本の社会派作品は人気を博した。 韓国では1977年、欧米ミステリの叢書《東西推理文庫》全126巻(日本語からの重訳)と、《河西推理選書》全36巻(江戸川乱歩『孤島の鬼』『陰獣』、横溝正史『本陣殺人事件』、松本清張『点と線』『ゼロの焦点』『砂の器』、森村誠一『高層の死角』『人間の証明』『野性の証明』などのほか、韓国オリジナル作品も含む→ラインナップ)の刊行が始まり、韓国ミステリ中興の祖である金聖鍾(キム・ソンジョン)の活躍も相まって、推理小説ブームが訪れた。この時期の東アジアでは、日本のみならず台湾・中国・韓国と各地で日本の社会派推理小説が読まれていたことになる。 日本では1975年から1979年にかけて、島崎博氏が編集長を務める探偵小説専門誌『幻影城』が刊行されていた。 第二節 1984年: 台湾初の長編推理小説 林仏児(りん ふつじ)『島嶼(とうしょ)謀殺案』と『推理雑誌』創刊 『ゼロの焦点』を翻訳刊行した林白出版社の創設者は、1960年代に詩人・純文学作家としてデビューし、いくつかの雑誌の編集者なども務めた林仏児(りん ふつじ、1941- )である。彼は1984年4月、同社から自身が執筆した推理小説『島嶼(とうしょ)謀殺案』を刊行する。この作品は、台湾初の長編推理小説だと言われている(異論もある、後述)。そして同年11月、林仏児は林白出版社の子会社として推理雑誌月刊社を立ち上げ、台湾ミステリの草創期に大きな役割を果たすことになる月刊の推理小説専門誌『推理雑誌』を創刊する(誌名は単に『推理』と書かれる場合もある)。 『推理雑誌』は、6割が日本ミステリ、2割が欧米ミステリ、残りが台湾オリジナルのミステリと評論というものだった。林仏児に『推理雑誌』を創刊するよう勧めたのは、1979年の『幻影城』休刊後、台湾に戻っていた島崎博氏である【注7】。 島崎博インタビュー1、p.330 『推理雑誌』は今年(二〇〇四年のこと)の十一月でちょうど創刊二十周年になるのですが。その社長というのが、呑み友達だったので、ぼくともう一人の友人が彼に勧めたんですよ。推理雑誌を出しなさいと。それ以前の台湾のミステリーは、『推理雑誌』の親会社の林白出版社からで年平均四冊しか出てなかったんです。この頃の事情は『毎日新聞』【注8】の方に書きました。 『推理雑誌』の創刊に当たって、ぼくがけしかけたんです。そうしたら、雑誌が創刊したときに勝手に顧問にされてしまいました。 なお、この時『推理雑誌』の顧問には島崎氏のほかに、香港の推理作家・SF作家の倪匡(げい きょう)【注9】や、のちに島田荘司推理小説賞の最終選考委員を務める文芸評論家の景翔らも名を連ねている。 『推理雑誌』に掲載された作品は基本的に無断翻訳だったが、林仏児が日本の推理作家側と連絡をとった場合もあるようである。山村正夫『推理文壇戦後史 4』【注9】(1989年)によると、『推理雑誌』第21号(1986年7月号)には仁木悦子が林仏児にあてた手紙(1986年5月19日付)の原文とその中国語訳が掲載されているという。仁木悦子の手紙は『推理文壇戦後史 4』にも転載されているが、その文面から判断するに、林仏児は1986年の5月頃またはその少し前に、世田谷の仁木悦子邸を訪れているらしい。仁木悦子は、「台湾で多くの読者の方に私の作品を読んでいただけるということは、こんなにうれしいことはございません」などと記している。 注7:島崎博氏は1979年12月5日、一時帰国のつもりで台湾に帰郷した。しかし、帰国の5日後に台湾で大規模な民主化要求デモ――美麗島(びれいとう)事件(Wikipedia)が起きると、島崎氏は事件とは無関係だったにも関わらず当局に目を付けられ、出国できなくなってしまった。この後、日本のミステリ界では島崎氏は「消息不明」とされる。1987年~1988年ごろに一度その消息が明らかになり連絡もついたが、しばらくするとまた連絡がとれなくなり、帰国後の島崎氏についての詳細が明らかになるには1979年から数えて実に約25年の歳月を待つ必要があった。 注8:島崎博「台湾 冬の時代経て、今、第2次ブーム 日本ミステリー小説事情」(『毎日新聞』2004年12月28日夕刊 6面) 注9:邦訳に『貓(ねこ) -NINE LIVES-』(徳間文庫、1991年、「衛斯理(ウェイスリー)」名義)がある。 注10:山村正夫『推理文壇戦後史 4』には、『推理雑誌』第23号(1986年9月号)に掲載された島崎博氏のインタビュー記事が抄訳されている。そこには島崎氏の言葉として「五十を過ぎた私には、二つの目標しかありません。一つは日本の推理小説を書くこと、もう一つは、台湾の現代文学史を書くこと」と書かれている。これを受けて山村正夫氏は、「氏の自説にもとづく日本の推理小説の創作を、ぜひ一日も早く読みたいものである」と書いているが、「日本の推理小説を書くこと」というのは『推理雑誌』の誤植であり、実際は「日本の推理小説史を書くこと」だったことが島崎博インタビュー3で明らかになっている。 林仏児の台湾ミステリ界への貢献 林仏児(林佛兒/りん ふつじ)は1941年12月10日生まれ。1960年代に詩人・純文学作家としてデビューし、雑誌の編集者を務めながら作品を発表した。1968年に林白出版社を創設(「林白」は彼の筆名の一つ)。1970年代から1980年代初めにかけては、同社から『北回歸線』(1980年)(2009年版)などの中間小説(最近はあまり聞かないが、純文学と大衆小説の中間的な作品を指す日本の用語)を刊行した。 林仏児が創設した林白出版社は、1977年に松本清張『ゼロの焦点』を刊行して以来、年に数冊のペースで日本ミステリの出版を続ける。1984年4月には、林仏児自身も推理小説『島嶼(とうしょ)謀殺案』を同社より刊行した。同年11月、島崎博らの勧めで『推理雑誌』を創刊、編集長となる。1985年から1986年にかけて同誌に社会派推理小説『美人(びじん)、珠簾(しゅれん)を捲(ま)き』(美人捲珠簾)を連載(単行本刊行は1987年5月)。先に『島嶼謀殺案』を台湾初の長編推理小説だと紹介したが、この『島嶼謀殺案』は中編程度の分量だとして、『美人、珠簾を捲き』の方を台湾初の長編推理小説だとする説もある(『島嶼謀殺案』を台湾初の長編推理小説としているのは島崎博氏、『美人、珠簾を捲き』を台湾初の長編推理小説としているのは台湾推理作家協会所属の評論家・杜鵑窩人(とけんわじん)氏)。1987年には『推理雑誌』誌上で自らの名を冠した林仏児推理文学賞を創設。1980年代末にはカナダに移住し、『推理雑誌』の編集の一線から退く(完全に関わりがなくなったわけではないようである)。1991年にはカナダ華文創作協会(加拿大華文寫作協會)を設立し初代会長になった。推理雑誌に発表した推理小説関連のエッセイ等は、『心緩緩航行』に収録されている。 2007年には、台湾ミステリの発展過程や、そこで林仏児が果たした役割などを論じた研究書『推理小說研究-兼論林佛兒推理小說』が刊行された。 (林仏児の経歴については、台北市文化局の林仏児紹介ページなどを参照した) 林仏児は日本ミステリの出版や『推理雑誌』の創刊、林仏児推理文学賞の開催などで台湾ミステリ界に大きな貢献をしたが、推理小説の創作は少なく、前述の長編2編以外には、短編「東澳之鷹」と「人猿之死」があるだけである。『島嶼謀殺案』と『美人、珠簾を捲き』は2009年末(2010年年初?)に復刊されており、前者には「東澳之鷹」と「人猿之死」も収録されている(『島嶼謀殺案』2009年版、『美人、珠簾を捲き』2009年版)。 島崎博氏は林仏児の推理小説4作品の中で、最後に書かれた『美人、珠簾を捲き』を最も高く評価している。この作品は、2001年には中国で第2回北京偵探推理文芸協会賞の長編賞を受賞している(「中国ミステリ史 第六章 第一節」参照)。 林仏児『美人、珠簾を捲き』(1985-1986)あらすじ台湾人の葉青森(よう せいしん、36歳)は、数年前に日本人の阿部一郎と組んで、台湾の特産品や衣服を輸出する事業を立ち上げた。2か月に1回は日本に出張するが、出張の際には必ず韓国を経由している。韓国では2年前に、レストランチェーンの株主の朴仁淑(パク・インスク)と知り合った。葉の母親は既に死去しており、葉は現在は、台湾の高級住宅街の大邸宅に妻と子供2人と、父親の葉丹青(よう たんせい)とともに暮らしている。葉が日本に出張している時、事件は起きる。葉の父の葉丹青が、台湾の自宅寝室で殺害されたのだ。そして、日本に出張していた葉も突如行方知れずになり、数日後に韓国の仁川(インチョン)港で死体となって発見される。なぜ父と子は、台湾と韓国で同時に殺害されることになったのか。そしてその後、葉丹青の行きつけの喫茶店の従業員女性が殺害される。葉親子の殺害事件との関係は……? 第三節 1987年: 台湾における日本ミステリの第1次ブーム 1977年の松本清張『ゼロの焦点』の出版以来、台湾における日本ミステリの出版は林白出版社の独占状態だったが、1986年(1987年?)には皇冠出版が日本ミステリの出版に参入する。そして1987年3月には、希代書版から島崎博氏が作品選定および序文・解説の執筆を担当した『日本十大推理名著全集』全10巻が一挙に刊行される。 日本十大推理名著全集江戸川乱歩『黒蜥蜴』 横溝正史『獄門島』 高木彬光『破戒裁判』 土屋隆夫『危険な童話』 松本清張『時間の習俗』 仁木悦子『林の中の家』 佐野洋『透明受胎』 笹沢佐保『空白の起点』 森村誠一『高層の死角』 夏樹静子『遠い約束』 島崎氏はこの全集の企画を引き受けるにあたって、「必ず10冊出す、解説を付ける、訳者紹介を付ける」という3つの条件を出版社に飲ませたという。この当時、台湾では翻訳小説に解説を付ける習慣はなかった。また、訳者紹介を付けたのは、訳者にも責任感をもってもらおうという考えからだった(1950年代~60年代のパルプマガジンの翻訳の頃は、訳者の名前は示されないのが普通だった)。 その後希代書版からは、同年から翌年にかけて、『日本名探推理系列』全10巻と『日本推理名著大展』全8巻が刊行される(ラインナップは、Wikipediaの島崎博氏の項目(リンク)で見られる)。この2つの叢書も島崎氏が手掛けたものである。 これらの日本ミステリの叢書の成功により、他の出版社も日本ミステリの出版に参入し、台湾における日本ミステリの第1次ブームが訪れる。この第1次ブームでは、2、3年間で約200冊の日本ミステリが翻訳刊行された。この時の人気作家のトップ3は、松本清張、西村京太郎、赤川次郎であった。主な叢書に、前述の林白出版社「推理小説系列(シリーズ)」のほか、皇冠出版社の「日本金榜名著」シリーズ(1987年~1992年、全80巻)などがある(こちらのサイトが全80巻のリストを掲載している)。 しかし、このころの台湾の単行本は200ページほどが一般的で、それ以上になると訳者や編集者が勝手に一部をカットしてしまっていた(島崎氏は、カットされないように自分の企画では短い作品を選んだという)。そのため、謎解き部分はあるのに事件の部分が省略されていたり、あるいは事件は描かれているのに謎解き部分がカットされていたりと、ひどい訳書が多々あった。また、翻訳自体にも問題があり、「江戸川乱歩」が「江戸川を散歩する」と訳されるようなこともあったという(島崎博インタビュー4、p.1110)。そのため次第に読者が離れていき、2~3年でブームは終わった。日本ミステリのブームが去ると、今まであまり人気のなかった欧米ミステリが次第に読者に受け入れられていく。1990年代は欧米ミステリは好調だったが、日本ミステリは年10冊ほど刊行の低迷期になった。 第四節 1988年~1992年: 林仏児推理小説賞 1987年には『推理雑誌』創刊3周年を記念して林仏児推理小説賞(林佛兒推理小說創作獎)が創設された。短編推理小説を募集するもので、年1回のペースで全4回行われた。主な受賞者に、思婷(してい)(第1回大賞)、余心楽(よ しんらく)(第2回大賞)、葉桑(よう そう)(第3回大賞)、藍霄(らんしょう/ランシャウ)(第2回第3席)らがいる(ここでは「第一名」(第一席)または「首奨」を「大賞」と呼んでおく)。なおこの賞は応募を未デビューの新人に限ってはいない。上記の4人も、受賞以前にすでに『推理雑誌』に別の作品が掲載されたことがあった。 毎年上位入賞するのはほぼ同じ面々だったため、第4回を持って終了となった。 大賞受賞者第1回(1988年)大賞受賞者 - 思婷(し てい/スー ティン/Si Ting)(1948 - )1948年4月1日、中国福建省生まれ。本名は陳文貴。1978年に香港に移住し映画やドラマの脚本家として活動。1986年、短編「神探」で『推理雑誌』に初登場。1988年、暗号を扱った短編「死刑今夜執行」で第1回林仏児推理小説賞の大賞を受賞。ほかに、「最後一課」で第2回第2席、「一貼靈」で第3回審査員特別賞。『推理雑誌』では1986年から1991年にかけて計6編の短編を発表した。1989年に台湾に移住。1998年以降は北京で暮らしている。1993年のテレビドラマ『包青天』(中国語版Wikipedia)の脚本などで高名で、時代劇の脚本の第一人者と呼ばれている。 第2回(1990年)大賞受賞者 - 余心楽(よ しんらく/ユー シンロー/余心樂/Yu Xinle)(1948 - ) 『有栖川有栖の本格ミステリ・ライブラリー』(角川文庫、2001年8月)に短編「生死線上」(1990)が収録されている。1948年6月4日、台湾生まれ。本名は朱文輝。1975年よりスイスに居住。スイスのチューリッヒ大学卒業。1989年、「松鶴樓」で『推理雑誌』に初登場。1990年、スイスの快速列車を題材にしたアリバイ物「生死線上」で第2回林仏児推理小説賞の大賞を受賞。ほかに、「真理在選擇它的敵人」で第3回佳作。『推理雑誌』では1989年から2000年にかけて7短編と1長編(『命案的版本』、連載中断後2001年の単行本版で完結)を発表した。1992年に林白出版社より刊行した『推理之旅』は、台湾初の長編本格推理小説だと言われている。緻密に組み上げたロジカルな本格ミステリを得意とする。ほかの長編作品に、『命案的版本』(2001年刊行)がある。2008年には短編集『洗錢大獨家』(本名の朱文輝名義)を刊行した。 第3回(1991年)大賞受賞者 - 葉桑(よう そう/イエ サン/Ye Sang)多作で知られる推理作家。その浪漫的な筆致は連城三紀彦になぞらえられることもある。『推理雑誌』では1988年から2000年にかけて短編36編を発表している。1988年、「再一次的死亡」で第1回林仏児推理小説賞佳作。1990年、「遺忘的殺機」で第3回大賞を受賞。単行本に『愛情實驗室』(1991年)、『耶誕夜殺人遊戲』(1991年)、『遙遠的浮雕』(1992年)、『魔鬼季節』(1992年)、『顫抖的拋物線』(1993年)などがある。 連城三紀彦の影響を受けたということは本人もエッセイに書いている。葉桑にとって連城三紀彦の短編集『戻り川心中』(台湾では1985年に出版)は、「推理小説は一回読めば充分」という自分の思い込みを打ち破ってくれた作品集で、創作に行き詰まると何度も読み返し、その影響を受けた作品もいろいろ書いているという。また一方で、自分の創作の方向を決定づけたのは『推理雑誌』に掲載された夏樹静子や山村美紗、仁木悦子ら日本の女性推理作家の作品だったとも語っている。 連城三紀彦の短編集『戻り川心中』がこの上なく好きで、この短編集は、「推理小説は一回読めば充分」という自分の思い込みを打ち破ってくれた作品なのだという。創作に行き詰まると何度も読み返し、その影響を受けた作品もいろいろ書いているそうだ。(本人のエッセイより) 第4回(1992年)の大賞は荘仲亮(そう ちゅうりょう/ジュアン ジョンリアン/莊仲亮/Zhuang Zhongliang)の「M16A2與M16」だが、この作者はこの1作のみで消えてしまったようである。なお、第1回から第3回までは、受賞作(佳作含む)を集めた単行本がそれぞれ刊行されている(『林佛兒推理小說獎作品集1』、『林佛兒推理小說獎作品集2』、および第3回の受賞作を集めた『遺忘的殺機』)。 『推理雑誌』に登場したそれ以外の重要作家禄文(ろく ぶん/ルー ウェン/祿文/Lu Wen)1986年から1988年にかけて、『推理雑誌』で6編の短編ミステリを発表。その作品は、香港が舞台となっており、科学トリックの使用に特徴があった。台湾で女性の探偵を起用した初の作家でもある。この作家については、香港の華僑だということしか知られておらず、経歴もその後の消息も不明である。 藍霄(らん しょう/ラン シャウ/Lan Xiao)(1968 - )講談社のアジア本格リーグで長編『錯誤配置』(原著刊行2004年/邦訳2009年)が刊行されている。1967年6月4日、台湾の澎湖諸島に生まれる。まだ高校生だった1985年、『推理雑誌』に「屠刀」が掲載されデビュー。その後しばらく間が空くが、1990年、第2回林仏児推理小説賞の第3席となった第2短編「医院殺人」で復帰。『推理雑誌』では1996年までに計12短編を発表した。邦訳された長編『錯誤配置』は、1990年から藍霄が発表している秦博士シリーズの長編第1作。台湾ではほかに長編第2作『光與影 A Maze Murder Case(光と影)』(2005)、長編第3作『天人菊殺人事件』(2005)が刊行されている。 ネット上ではblueというハンドルネームを使っている。2004年には島崎博氏が台湾のミステリファンと交流する模様をサイトにアップし、島崎博氏が日本ミステリ界に「発見」される契機をつくった。2005年2月に台北で行われた国際ブックフェアでは、有栖川有栖・藍霄・島崎博氏の3人の座談会が行われた。 既晴(き せい/ジー チン/Ji Qing)(1975 - )1975年、台湾生まれ。1995年、『推理雑誌』に「考前計劃」が掲載されデビュー。『推理雑誌』では1997年までに計3短編を発表した。英米ミステリも日本ミステリも原文で読みこなし、評論家としても力を発揮。2001年には、台湾推理作家協会の前身となった台湾推理倶楽部を創設。人狼城推理文学賞を設けて新世代の推理作家を次々と発掘し、台湾ミステリ界に多大な貢献をした。代表作は、2000年に自費出版し、2004年に大手出版社より再刊された『魔法妄想症』。この作品は藍霄『錯誤配置』巻末の玉田誠氏の解説によれば、「悪魔の召喚によって死体が動き出すという、島田荘司の『眩暈』を彷彿とさせる幻想的な謎に、不可能犯罪趣味と魔術的装飾を凝らした長編小説」である。本格ミステリからホラーまで多彩な作風を見せる。ほかの著作に、『請把門鎖好』(2002年、第4回皇冠大衆小説賞受賞作)、『別進地下道』(2003)、『網路凶鄰』(2005)、『超能殺人基因』(2005)、『修羅火』(2006)、『病態』(2008)、『感應』(2010)、短編集『獻給愛情的犯罪』(2006)がある。 2005年には芦辺拓(と島崎博氏)、2006年には綾辻行人(と島崎博氏)、2007年には島田荘司とそれぞれ会談している。 以上の6人の作家は、『台灣推理作家協會傑作選 1』に掲載された巻頭解説で、台湾推理作家協会所属の評論家・杜鵑窩人(とけんわじん)氏が特に重要な作家として挙げている6人である。一方、同解説で杜鵑窩人氏は、必ずしも好ましくないものとして、「風俗派」推理小説の存在にも触れている。これは、社会派のあとにうまれたある推理小説群を指して日本で使われた「風俗派」という用語と同じ意味だと考えてよい。必ずしも謎解きなどの要素がメインになっていない作品群である。なお島崎博氏によれば、林仏児の作品も『美人、珠簾を捲き』以外は風俗派推理小説に分類される。 風俗派林崇漢(りん しゅうかん/リン チョンハン/Lin Chonghan)(1945- ):画家。推理小説の単行本は『收藏家的情人』(林白出版社、1986年)のみ。ほかに、『推理雑誌』で変格推理小説を7編発表。 杜文靖(と ぶんせい/ドゥー ウェンジン/Du Wenjing)(1947- ):新聞記者。サスペンスフルな風俗派推理小説で知られる。作品に、『情繭』(林白出版社、1986年)と『墜落的火球』(1987年)がある。 楊寧琍(よう ねいり/ヤン ニンリー/Yang Ningli)(1966- ):作品に、『童話之死』、『藝術謀殺案』、『要命的5日』、『鑽石之邀』、『心魂』、『失去觸角的蝴蝶』などがある。 葉建華(よう けんか/イエ ジエンホア/Ye Jianhua):作品は1999年刊行の『殺意的空中迴廊』(林白出版社)のみ。この作品は、日本の紀伊半島を舞台にした旅情推理もので、日本の警察が頭を悩ませているところに台湾から引退した刑事がやってきて事件を解決するというストーリーだという。 1980年代から1990年代にかけては、台湾では長編推理小説の創作はあまり多くなく、収穫と言えるものはさらに少なかった。既晴氏作成・杜鵑窩人氏監修の「台灣推理文學年表」では、重要作品として1984年から1997年まででは32作品が挙げられているが、そのうち長編作品は、林仏児『島嶼謀殺案』(1984)、『美人、珠簾を捲き』(1985-1986)、余心楽『推理之旅』(1992)の3作だけである(正確に言えば、もう1編、1994年のところで藍霄『天人菊殺人事件』が挙げられているが、この作品が出版されて一般の推理ファンの目に触れたのは2005年のことである)。 【台湾では1990年代後半になると、日本の社会派推理小説や『推理雑誌』ではなく、欧米ミステリあるいは漫画やドラマなどをきっかけにミステリ愛好者になる人が増え、ミステリの普及が進む。またインターネットの普及もあり、ミステリファンはネット上のサイトや掲示板に集い、情報交換をするようになる。そして2000年、台湾ミステリの第一期を終了させ、第二期の幕開けの契機となった「時報推理小説賞事件」が起きる。/『台湾ミステリ史 後編』(未作成)に続く】 参考文献 台湾ミステリ史 参考文献 (新しいウィンドウで開きます) 台湾ミステリ史 中編 更新履歴 2011年9月3日:公開 2011年10月15日:第四章第一節に「日本の推理小説の受容に関するもう一つの証言」を追加。 『台湾ミステリ史 前編』(19世紀末~1970年代) 『台湾ミステリ史 中編』(1970年代末~1990年代) ←今見ているページ 『台湾ミステリ史 後編』(1990年代末~21世紀初頭)(未公開) 『読書案内』
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/224.html
2013年6月22日 最終更新:2014年7月31日 ※ページタイトルは「非英語圏作品一覧」としたが、中南米やアフリカ、アジアの作家(およびアジア系の作家)が英語で書いたミステリも含む。 Index フランス・ベルギー ドイツ・スイス イタリア 北欧 中南米 アフリカ アジア フランス・ベルギー フランス語で書かれたミステリの邦訳。 16 ジョルジュ・シムノン メグレ罠を張る 峯岸久 1976年4月 HM16-1 ポケミス408 メグレと老婦人 日影丈吉 1976年11月 HM16-2 ポケミス622 31 ボアロー&ナルスジャック 影の顔 三輪秀彦 1976年8月 HM31-1 ポケミス475 死者の中から 日影丈吉 1977年6月 HM31-2 ポケミス278 悪魔のような女 北村太郎 1996年7月 HM31-3 ポケミス130 44 シャルル・エクスブライヤ 死体をどうぞ 三輪秀彦 1977年3月 HM44-1 ポケミス925 58 ガストン・ルルー 黄色い部屋の秘密 日影丈吉 1978年8月 HM58-1 ポケミス237 黒衣夫人の香り 日影丈吉 1979年3月 HM58-2 ポケミス238 オペラ座の怪人 日影丈吉 1989年5月 HM58-3 79 ミシェル・グリゾリア 海の警部 篠原義近 1982年3月 HM79-1 1978年ミステリ批評家賞 殺人海岸 佐宗鈴夫 1982年7月 HM79-2 82 ルイ・C・トーマ 死のミストラル 岡村孝一 1982年7月 HM82-1 ポケミス1267 / 1976年ミステリ批評家賞 92 J・P・マンシェット 危険なささやき 藤田宜永 1983年10月 HM92-1 173 レイモン・マルロー 春の自殺者 岡村孝一 1992年7月 HM173-1 ポケミス1258 213 ブリジット・オベール マーチ博士の四人の息子 堀茂樹、藤本優子 1997年2月 HM213-1 森の死神 香川由利子 1997年6月 HM213-2 1997年フランス推理小説大賞 鉄の薔薇 堀茂樹 1997年10月 HM213-3 ジャクソンヴィルの闇 香川由利子 1998年4月 HM213-4 カリブの鎮魂歌 藤本優子 1999年10月 HM213-5 闇が嚙む 香川由利子 2000年3月 HM213-6 雪の死神 香川由利子 2002年2月 HM213-7 異形の花嫁 藤本優子 2003年5月 HM213-8 死の仕立屋 香川由利子 2004年6月 HM213-9 神のはらわた 香川由利子 2006年5月 HM213-10 247 トニーノ・ベナキスタ 夜を喰らう 藤田真利子 2001年4月 HM247-1 266 ミシェル・クレスピ 首切り 山中芳美 2002年7月 HM266-1 2001年フランス推理小説大賞 280 ドミニク・ディアンス プティ・ベーゼ 山中芳美 2003年8月 HM280-1 292 ティエリー・ジョンケ 蜘蛛の微笑 平岡敦 2004年6月 HM292-1 私が、生きる肌 平岡敦 2012年4月 HM292-2 【『蜘蛛の微笑』改題・新装版】 312 モーリス・ルブラン 怪盗紳士ルパン 平岡敦 2005年9月 HM312-1 カリオストロ伯爵夫人 平岡敦 2005年8月 HM312-2 奇岩城 平岡敦 2006年5月 HM312-3 水晶の栓 平岡敦 2007年2月 HM312-4 ルパン、最後の恋 平岡敦 2013年5月 HM312-5 ポケミス1863 313 フィリップ・ベッソン ぼくは死んでいる 稲松三千野 2005年9月 HM313-1 400 カミ 機械探偵クリク・ロボット 高野優 2014年2月 HM400-1 ポケミス1837 フランス・ミステリのアンソロジー HM102-1 ジョルジュ・シムノン他『フランス・ミステリ傑作選1 街中の男』(長島良三編、ハヤカワ・ミステリ文庫、1985年4月) - 11編収録「街中の男」ジョルジュ・シムノン(長島良三訳) 「犬」ボアロー&ナルスジャック(長島良三訳) 「トンガリ山の穴奇譚」カミ(堀内一郎訳) 「見えない眼」スタニスラス=アンドレ・ステーマン(武田満里子訳) 「七十万個の赤蕪」ピエール・ヴェリ(篠原義近訳) 「羊頭狗肉」フランシス・ディドロ(川口美樹子訳) 「悪い遺伝」フレデリック・ダール(長島良三訳) 「壁の中の声」ミシェル・グリゾリア(篠原義近訳) 「つき」ルイ・C・トーマ(長島良三訳) 「殺人あ・ら・かると」フランソワーズ・サガン(長島良三訳) 「自殺ホテル」アンドレ・モロワ(長島良三訳) HM102-2 カトリーヌ・アルレー他『フランス・ミステリ傑作選2 心やさしい女』(長島良三編、ハヤカワ・ミステリ文庫、1985年5月) - 10編収録「ロドルフと拳銃」ノエル・カレフ(野口雄司訳) 「階段に警官がいる」トーマ・ナルスジャック(堀内一郎訳) 「対案」ピエール・ボアロー(佐々木善郎) 「ピエトルモンの夜」クロード・アブリーヌ(篠原義近訳) 「すてきな片隅」ローラン・トポール(篠原義近訳) 「甘い、甘いミュージック」クロード・シャブロール(長島良三訳) 「罠」ジルベール・タニュジ(谷亀利一訳) 「葬送爆弾」ジャン・フランソワ・コートムール(篠原義近訳) 「心やさしい女」カトリーヌ・アルレー(長島良三訳) 「金の斧」ガストン・ルルー(川口美樹子訳) おまけ:ハヤカワ文庫NVのフランス・ミステリ ルネ・ベレット『わが体内の殺人者』(高野優訳、ハヤカワ文庫NV、1992年5月) ジャック・ミリエズ『人類博物館の死体』(香川由利子訳、ハヤカワ文庫NV、2009年10月) - 2008年フランス冒険小説大賞 フランク・ティリエ『シンドロームE』【上下巻】(平岡敦訳、ハヤカワ文庫NV、2011年11月) 『GATACA』【上下巻】(平岡敦訳、ハヤカワ文庫NV、2013年5月) ドイツ・スイス ドイツ語で書かれたミステリの邦訳。 263 フリードリッヒ・デュレンマット(スイス) 約束 前川道介 2002年5月 HM263-1 ポケミス593 380 ゾラン・ドヴェンカー(ドイツ) 謝罪代行社 【上下巻】 小津薫 2011年8月 HM380-1,2 ポケミス1850 ※ポケミス版と同時発売 2010年フリードリヒ・グラウザー賞 おまけ:ハヤカワ文庫NVのドイツ・ミステリ アキフ・ピリンチ『猫たちの聖夜』(池田香代子訳、ハヤカワ文庫NV、1997年11月) ※文庫化 ザビーネ・ティースラー『チャイルド・コレクター』【上下巻】(小津薫訳、ハヤカワ文庫NV、2008年1月) フランク・シェッツィング『深海のYrr(イール)』【上中下巻】(北川和代訳、ハヤカワ文庫NV、2008年4月) - 2005年ドイツ・ミステリ大賞第2位 『黒のトイフェル』【上下巻】(北川和代訳、ハヤカワ文庫NV、2009年2月) 『砂漠のゲシュペンスト』【上下巻】(北川和代訳、ハヤカワ文庫NV、2009年8月) 『LIMIT(リミット)』【全4巻】(北川和代訳、ハヤカワ文庫NV、2010年6月-7月) 『沈黙への三日間』【上下巻】(北川和代訳、ハヤカワ文庫NV、2011年3月) イタリア イタリア語で書かれたミステリの邦訳。 286 マルチェロ・フォイス 弁護士はぶらりと推理する 草皆伸子 2004年1月 HM286-1 中編(短めの長編)2編収録(『いかなるときでも心地よきもの』、『空から降る血』)。『いかなるときでも心地よきもの』は1998年シェルバネンコ・ミステリ大賞受賞、2003年英国推理作家協会(CWA)エリス・ピーターズ賞(最優秀歴史ミステリ賞)ノミネート。 おまけ:ハヤカワ文庫NVのイタリア・ミステリ ルカ・ディ・フルヴィオ『ディオニュソスの階段』【上下巻】(飯田亮介訳、ハヤカワ文庫NV、2007年9月) 北欧 北欧の言語で書かれたミステリの邦訳。 354 オーサ・ラーソン(スウェーデン) オーロラの向こう側 松下祥子 2008年8月 HM354-1 赤い夏の日 松下祥子 2008年10月 HM354-2 黒い氷 松下祥子 2009年5月 HM354-3 373 ラーシュ・ケプレル(スウェーデン) 催眠 【上下巻】 ヘレンハルメ美穂 2010年7月 HM373-1,2 契約 【上下巻】 ヘレンハルメ美穂 2011年7月 HM373-3,4 交霊【上下巻】 岩澤雅利、羽根由 2013年12月 HM373-5,6 381 スティーグ・ラーソン(スウェーデン) ミレニアム 1 ドラゴン・タトゥーの女 【上下巻】 ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利 2011年9月 HM381-1,2 文庫化 ミレニアム 2 火と戯れる女 【上下巻】 ヘレンハルメ美穂、山田美明 2011年11月 HM381-3,4 文庫化 ミレニアム 3 眠れる女と狂卓の騎士 【上下巻】 ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利 2011年12月 HM381-5,6 文庫化 384 サラ・ブレーデル(デンマーク) 見えない傷痕 高山真由美 2012年8月 HM384-1 385 ユッシ・エーズラ・オールスン(デンマーク) 特捜部Q 檻の中の女 吉田奈保子 2012年10月 HM385-1 ポケミス1848 特捜部Q キジ殺し 吉田薫、福原美穂子 2013年4月 HM385-2 ポケミス1853 特捜部Q Pからのメッセージ 吉田薫、福原美穂子 2013年12月 HM385-3,4 ポケミス1860 390 ヨハン・テオリン(スウェーデン) 黄昏に眠る秋 三角和代 2013年3月 HM390-1 ポケミス1846 398 ヴィヴェカ・ステン(スウェーデン) 静かな水のなかで 三谷武司 2013年11月 HM398-1 夏の陽射しのなかで 三谷武司 2014年1月 HM398-2 煌めく氷のなかで 三谷武司 2014年3月 HM398-3 405 アンデシュ・デ・ラ・モッツ(スウェーデン) 監視ごっこ 真崎義博 2014年7月 HM405-1 おまけ:ハヤカワ文庫NVの北欧ミステリ A・J・カジンスキー(デンマーク)『ラスト・グッドマン』【上下巻】(岩澤雅利訳、ハヤカワ文庫NV、2012年6月) 北欧関連の英語作品(ハヤカワ・ミステリ文庫) デイヴィッド・ヒューソン『キリング』全4巻(山本やよい訳、HM388-1,2,3,4、2013年1月~4月)デンマークの大ヒットミステリドラマをイギリスのミステリ作家が小説化したもの。(他出版社で「デヴィッド・ヒューソン」表記の著書あり) 中南米 241 ホセ・ラトゥール(キューバ) 追放者 酒井武志 2001年2月 HM241-1 原語:英語 2000年エドガー賞最優秀ペーパーバック賞ノミネート ハバナ・ミッドナイト 山本さやか 2003年3月 HM241-2 原語:英語 273 ダニエル・チャヴァリア(ウルグアイ、キューバ) バイク・ガールと野郎ども 真崎義博 2002年11月 HM273-1 原語:スペイン語 2002年エドガー賞最優秀ペーパーバック賞 366 パブロ・デ・サンティス(アルゼンチン) 世界名探偵倶楽部 宮崎真紀 2009年10月 HM366-1 原語:スペイン語 『追放者』はスペイン語で作品を発表していたホセ・ラトゥールが初めて英語で書いた作品。『ハバナ・ミッドナイト』も英語作品。 アフリカ 371 ロジャー・スミス(南アフリカ共和国) 血のケープタウン 長野きよみ 2010年6月 HM371-1 原語:英語 2010年ドイツ・ミステリ大賞第2位 はいつくばって慈悲を乞え 長野きよみ 2011年3月 HM371-2 原語:英語 392 デオン・メイヤー(南アフリカ共和国) 追跡者たち 【上下巻】 真崎義博、友廣純 2013年6月 HM392-1,2 原語:アフリカーンス語 2012年英国推理作家協会インターナショナル・ダガー賞ノミネート 関連情報デオン・メイヤー『追跡者たち』と同日発売のハヤカワ文庫SF、ローレン・ビュークス『ZOO CITY(ズーシティ)』(和爾桃子訳)も南アフリカ共和国の作家の作品。帯には「ハードボイルドSFミステリ」とある。 アジア アジア系作家も含む。 50 エドワード・アタイヤ(レバノン) 細い線 文村潤 1977年5月 HM50-1 原語:英語 ポケミス131 259 ジョー・シャーロン(中国出身アメリカ在住の作家) 上海の紅い死 【上下巻】 田中昌太郎 2001年11月 HM259-1,2 原語:英語 2001年エドガー賞最優秀新人賞ノミネート作 369 フランシー・リン(アメリカ出身在住、台湾系アメリカ人) 台北の夜 和泉裕子 2010年1月 HM369−1 原語:英語 2009年エドガー賞最優秀新人賞受賞作 ジョー・シャーロンの漢字表記は裘小龍(きゅう しょうりゅう)。中国語読みは「チウ・シアオロン」。 関連ページ 非英語圏ミステリ各種リスト 非英語圏ミステリ各種リスト 1ポケミス非英語圏作品一覧 創元推理文庫海外ミステリ非英語圏作品一覧 年間ミステリランキング 非英語圏作品一覧 非英語圏ミステリ2013年の邦訳出版一覧 非英語圏ミステリ各種リスト 2北欧ミステリ邦訳一覧 南欧ミステリ邦訳一覧 フランスのミステリ賞受賞作の邦訳一覧 フランス・ミステリ必読30冊(『ミステリマガジン』2003年7月号)
https://w.atwiki.jp/retroadventure/pages/278.html
1982年 1983年 1984年 1985年 1986年 1987年 1988年 1989年 1990年 1991年 表参道アドベンチャー スパイ大作戦 ダイヤモンドアドベンチャー 宝ビルアドベンチャー ミステリーハウス マイクロキャビン版 ミステリーハウスⅡ 南青山アドベンチャー 1982年 1983年 1984年 1985年 1986年 1987年 1988年 1989年 1990年 1991年
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/113.html
2012年6月13日 『韓国ミステリ史 第四章』では、1980年代から20世紀末までを扱っている。 目次 第四章 1980年代~20世紀末: 韓国ミステリ界の隆盛期第一節 韓国ミステリクラブから韓国推理作家協会へ(1)韓国推理作家協会の創設(1983年) (2)韓国推理作家協会主催 韓国推理文学賞 受賞作一覧 (3)韓国推理作家協会と日本推理作家協会の交流 第二節 スポーツ新聞や雑誌での新人作家発掘(1)スポーツ新聞の新春文芸公募 (2)『小説文学』長編推理小説公募 (3)『季刊推理文学』と金来成推理文学賞 第三節 ミステリ専門の出版社も登場(1)国産ミステリ出版の活況 (2)ミステリ読者の団体「韓国ミステリクラブ」の結成 (3)翻訳ミステリの出版 (4)苦戦するミステリ雑誌 第四節 20世紀末: 出版不況の影 第五節 邦訳された1980年代~20世紀末の韓国推理小説 参考文献 第四章 1980年代~20世紀末: 韓国ミステリ界の隆盛期 第一節 韓国ミステリクラブから韓国推理作家協会へ (1)韓国推理作家協会の創設(1983年) 1970年代半ばからのキム・ソンジョン(金聖鍾)の活躍やその後の翻訳ミステリ叢書の創刊ラッシュなどにより、韓国では推理小説の読者層が大幅に拡大され、推理小説ブームとなった。この時期の韓国での推理小説ブームは日本の新聞でも取り上げられている。 新聞記事「純文学の韓国でなぜか推理小説ブーム」朝日新聞1981年10月1日朝刊、6面 韓国の読書界にちょっとした異変が起こっている。推理小説は育たない、という定説を破って、最近、韓国人作家の推理小説がやたらに売れるようになったのである。純文学中心の韓国文壇では、まだ異端者的存在だが、学生やサラリーマン層に圧倒的な支持を受けている。(中略)ブームの火付け役は、"韓国の松本清張"といわれる延世(ヨンセ)大出身の作家金聖鍾(キム・ソンジョン)氏。 (原文は振り仮名なし) 同記事内にはキム・ソンジョンの写真付きインタビュー記事もある。もっとも、キム・ソンジョンの作品が初めて邦訳されるのはこの20年後の2001年(『ジャーロ』2001年夏号)になってからである。 このような推理小説ブームの中、1972年に結成されていた韓国ミステリクラブが母体となって、1983年2月8日、韓国推理作家協会(한국추리작가협회)が設立される。初代会長は韓国ミステリクラブでも会長を務めた英文学者のイ・ガヒョン(李佳炯)(이가형)。なお2代目会長にはイ・サンウ(李祥雨)(이상우)が就任し、1991年から2005年まで15年間会長を務めた。その後、3代目会長(2006-2008)にキム・ソンジョン(金聖鍾)(김성종)、4代目会長(2009-2011)にイ・スグァン(李秀光)(이수광)が就任し、2012年にはカン・ヒョンウォン(강형원)(本名はカン・ヒョング [姜亨求、강형구])が5代目の会長に就任している。韓国推理作家協会の当初の会員数は30人ほどだったが、20世紀末には80人ほどになっている。 韓国推理作家協会の当初の主な事業は、韓国推理文学賞(한국추리문학상)の選定・授与や、アンソロジー『韓国優秀推理短編コレクション』(한국 우수 추리 단편 모음집)の編纂だった。韓国推理文学賞の第1回(1985年)の大賞はヒョン・ジェフン(玄在勲)(第二章参照)、第2回(1986年)の大賞はキム・ソンジョン(金聖鍾)(第三章参照)が受賞している。 『韓国優秀推理短編コレクション』は1984年に刊行されたのが最初で、1986年にVol.2、1987年にVol.3、1989年にVol.4が刊行されている(収録作一覧)。1998年からは、韓国推理作家協会の編纂でアンソロジー『今年の推理小説』(올해의 추리소설)が毎年夏に刊行されている。1998年版のみ、『コリアン・ミステリ 韓国推理小説傑作選』(バベル・プレス、2002年)というタイトルで邦訳が出ている。(1990年~1997年にもアンソロジーの刊行があったかもしれないが確認できていない) 1988年からは毎年夏に、ミステリ作家とファンの交流イベント夏季推理小説学校(여름추리소설학교)を開催している。2011年の第24回夏季推理小説学校は7月29日から7月31日にかけて開催され、「歴史推理小説を知る」「日本の推理小説のすべて」などの講義が行われた。 写真:「日本の推理小説のすべて」の講義 - 『ハヤカワミステリマガジン』の歴史が紹介されている(韓国推理作家協会会員の推理作家チョン・ソッカ(鄭石華、정석화)氏のツイートより) また、2002年創刊の『季刊ミステリ』(계간 미스터리)は韓国推理作家協会が編者を務めている。『季刊ミステリ』は韓国内外の短編推理小説や評論、最新のミステリニュースなどを掲載するほか、短編ミステリおよび評論を募集する季刊ミステリ新人賞(계간 미스터리 신인상)により新人発掘も行っている。2008年冬号に掲載された季刊ミステリ新人賞受賞作、ソン・シウ「親友」(좋은 친구)は『ハヤカワミステリマガジン』2012年2月号に訳載されている。 (2)韓国推理作家協会主催 韓国推理文学賞 受賞作一覧 ※受賞作で邦訳されているものは1作もない ※この賞はいまも続いているが、ここでは1990年代までのものを示す ※新人に対する賞は「新人賞(신인상)」とされた時期と「新鋭賞(신예상)」とされた時期があるが、このページでは「新人賞」に統一する ※韓国推理作家協会会員の推理作家ソン・ソニョン氏のブログ記事「歴代韓国推理文学賞、新人賞、その他受賞作整理」(2010年10月6日)を参照した ※大賞の受賞には韓国推理作家協会の会員で、かつ推理小説の創作活動を5年以上していることが条件となる。新人賞には特に条件はなく、会員以外でも受賞できる。(『韓国推理作家協会 会員手帳 1993』「推理文学賞授賞規定」参照) 韓国推理文学賞 大賞 韓国推理文学賞 新人賞 第1回(1985年) ヒョン・ジェフン(玄在勲、현재훈)(1933 - ) 『絶壁』(절벽) チョン・ギュウン(鄭奎雄、정규웅)(1941 - ) 『影絵遊び』(그림자 놀이) 第2回(1986年) キム・ソンジョン(金聖鍾、김성종)(1941 - ) 『悲恋の火印』(비련의 화인) チョン・ヒョヌン(鄭賢雄、정현웅)(1949 - ) 『女子大生殺人事件』(여대생 살인사건) 第3回(1987年) イ・サンウ(李祥雨、이상우)(1938 - ) 『悪女、二度生きる』(악녀, 두 번 살다) ユ・ウジェ(柳禹提、유우제)(1955 - ) 『夜』(밤) 第4回(1988年) ノ・ウォン(魯元、노원)(1931 - ) 『危険な外出』(위험한 외출) ハン・デヒ(韓大煕、한대희)(1952 - ) 『華麗なる情死』(화려한 정사) *注1 第5回(1989年) イ・ウォンドゥ(李源斗、이원두)(1938 - ) 『暴君の朝』(폭군의 아침) カン・ヒョンウォン(강형원)(1956 - )キム・サンホン(金尚憲、김상헌)(1955 - ) 『青い王冠』(푸른 빛 왕관)『恍惚のゲーム』(황홀한 게임) 第6回(1990年) - - アン・グァンス(安光洙、안광수)(1955 - ) 『死刑特急』(사형 특급) *注2 第7回(1991年) ハン・デヒ(韓大煕、한대희)(1952 - ) 『憤怒の季節』(분노의 계절) チャン・セヨン(張世娟、장세연) 『広開土魔王』(광개토 마왕) 第8回(1992年) カン・ヒョンウォン(강형원)(1956 - ) 『ソウル・エッフェル塔』(서울 에펠탑) イ・テヨン(李泰栄、이태영) 『悪魔の駆け引き』(악마의 흥정) 第9回(1993年) ユ・ウジェ(柳禹提、유우제)(1955 - ) 『不死鳥の迷路』(불새의 미로) カン・ジョンピル(姜鍾弼、강종필)(1960 - ) 『都市の誘惑』(도시의 유혹) 第10回(1994年) イ・スグァン(李秀光、이수광)(1954 - ) 『死者の顔』(사자의 얼굴) ペク・ヒュ(白恷、백휴)(1960 - ) 『楽園の彼岸』(낙원의 저쪽) 第11回(1995年) イ・ギョンジェ(李慶載、이경재)(1928 - ) 『日本を裁判する』(일본을 재판한다) チャン・グニャン(張根亮、장근양) 『核心』(핵심) 第12回(1996年) - - - - 第13回(1997年) ペク・ヒュ(白恷、백휴)(1960 - ) 『サイバーキング』(사이버 킹) ファン・セヨン(黄世鳶、황세연)(1968 - )チェ・チョリョン(최철영) 『美女ハンター』(미녀 사냥꾼)『赤き十字架のコウモリ』(붉은 십자가 박쥐) 第14回(1998年) - - - - 第15回(1999年) キム・ヨンサン(金容相、김용상)(1942 - ) 『殺人者の仮面舞踏会』(살인자의 가면무도회) チェ・サンギュ(崔尚圭、최상규) 『悲しい出会い』(슬픈 만남) *注1 『華麗なる情死』および『華麗なる情事』の両方の意味をかけたタイトル(「情死」と「情事」がハングルでは同じ表記) *注2 『死刑特急』ではなく『私刑特急』かもしれない(「死刑」と「私刑」がハングルでは同じ表記) 1984年にも韓国推理文学賞が実施されており、チョン・ゴンソプ(鄭建燮)(정건섭)(1944 - )が長編推理小説『罠』(『덫』玄岩社、1983年)で新人賞を受賞している。授賞式は1984年2月7日。このときの主催は韓国ミステリクラブだったようである。チョン・ゴンソプは『罠』をはじめとして初期にはアリバイトリックなどを用いたクラシカルな作品を発表したが、1980年代後半からはスパイ小説『死の天使』(죽음의 천사)などに代表されるスリラーを発表するようになった。邦訳に、大韓航空機爆破事件を題材にした長編小説『真由美 最後の証言』(光文社、1988年)がある。 主な大賞受賞者 第1回(1985年)大賞受賞者 - ヒョン・ジェフン(玄在勲)(현재훈)(1933-1991)第二章参照。邦訳なし。 第2回(1986年)大賞受賞者 - キム・ソンジョン(金聖鍾)(김성종)(1941 - )第三章参照。韓国推理作家協会3代目会長(任期:2006年~2008年)。邦訳に『最後の証人』(論創社、2009年)、『ソウル 逃亡の果てに』(新風舎文庫、2005年)、「帰ってきた死者」(『ジャーロ』2001年夏号)、「失踪」(『コリアン・ミステリ』)。 第3回(1987年)大賞受賞者 - イ・サンウ(李祥雨)(이상우)(1938 - )韓国推理作家協会2代目会長(任期:1987年~2005年)。新聞記者出身の作家。『スポーツソウル』や『スポーツトゥデイ』などのスポーツ新聞の創刊やその経営に携わっている。1961年に新聞連載『新・林巨正伝』(歴史小説?)でデビュー。ミステリではチュ・ビョンテ警官シリーズなどで知られる。1987年、『悪女、二度生きる』(악녀, 두 번 살다)で第3回韓国推理文学大賞。『悪女、二度生きる』と『犬と詩人』はベストセラー。ほかに、初心者向けミステリ入門書『イ・サンウの推理小説探検』などの著書がある。エドガー・アラン・ポーの翻訳もしている。邦訳に「地獄への道行き」(『コリアン・ミステリ』)。 第4回(1988年)大賞受賞者 - ノ・ウォン(魯元)(노원)(1931 - )スパイ小説の第一人者。KCIA(韓国中央情報部)の元局長という異色の経歴の作家。50代なかば過ぎから推理小説を書き始めた。ペンネームの「ノ・ウォン」は「no one」(=誰でもない)から来ている。1988年、『危険な外出』(위험한 외출)で第4回韓国推理文学大賞。『背信の季節』(배신의 계절)はテレビドラマ化され話題になった。ほかの代表作は『三号庁舎』、『夜間航路』など。邦訳に「ブラック・レディ」(『コリアン・ミステリ』)。 第10回(1994年)大賞受賞者 - イ・スグァン(李秀光)(이수광)(1954 - )韓国推理作家協会4代目会長(任期:2009年~2011年)。1983年デビュー。推理小説のほか、歴史小説も多く発表している。1994年、『死者の顔』(사자의 얼굴)で第10回韓国推理文学大賞。邦訳に長編実録小説『シルミド 裏切りの実尾島』(ハヤカワ文庫NV、2004年)、「その夜は長かった」(『ミステリマガジン』2000年10月号)、「月夜の物語」(『コリアン・ミステリ』)。 (3)韓国推理作家協会と日本推理作家協会の交流 1984年3月、東京で開催された国際ペン大会に当時の韓国推理作家協会会長だったイ・ガヒョンが韓国代表として参加し、その機会に中島河太郎と面会している。この面会の様子は中島河太郎が『日本推理作家協会会報』1984年6月号(No.426)掲載の記事「李会長訪問」で伝えている。また正確な年は分からないが、その数年前には中島河太郎は韓国ミステリクラブ総務のファン・ジョンホ(黄鐘灝、황종호)と何度か書簡のやり取りをし、面会もしている。 1990年代に入ると日韓の推理作家協会の交流が活発になる。1990年8月に韓国推理作家協会の代表団が来日。1992年6月には、韓国・釜山(プサン)市海雲台(ヘウンデ)の推理文学館(추리문학관)(1992年3月開館)で日韓の推理作家協会の交流会が行われ、日本推理作家協会からは生島治郎、山村正夫、豊田有恒、麗羅、大沢在昌、西木正明が参加した。 推理文学館前での日韓推理作家集合写真(韓国側の参加者、クォン・ギョンヒ氏のブログ記事) - 1枚目の写真は1992年3月の開館式の日のもの。2枚目の写真が1992年6月8日の日韓交流会の日のもの。 1993年5月には韓国推理作家協会の代表団が再度来日。しかし残念ながら、この後交流は途絶えている。これらの交流をきっかけに、1993年には韓国で日本推理作家協会推薦・韓国推理作家協会編訳『日本サスペンス傑作選』(일본 서스펜스 걸작선)が刊行されている。山村美紗、赤川次郎、小泉喜美子、阿刀田高、夏樹静子、戸川昌子、多岐川恭、原尞、森村誠一、生島治郎、大沢在昌、麗羅(収録順)の短編を収録。同年に韓国で『韓国サスペンス傑作選 金来成(キム・ネソン)から権敬姫(クォン・ギョンヒ)まで』(한국 서스펜스 걸작선 김내성에서 권경희까지)が刊行されているが、これは日本では翻訳刊行されなかった。 詳細記事:日本推理作家協会と韓国推理作家協会の交流 (1990年代) 韓国推理作家協会と台湾の推理作家の交流 1989年には、台湾の推理作家・林仏児(りん ふつじ)の招待で韓国推理作家協会の一団が訪台している。韓国の推理作家イ・サンウ氏のブログでその際の写真を見ることができる(リンク先、上から6枚目の写真)。「歓迎韓国推理作家協……」と書かれているのが読める。 イ・サンウ氏の説明によれば、写真は後列左から、キム・サンホン(金尚憲)、イ・ガヒョン(李佳炯)、イ・サンウ(李祥雨)、イ・ギョンジェ(李慶載)、林仏児、キム・ナム(金楠)、チョン・ヒョヌン(鄭賢雄)、前列左から、ハン・デヒ(韓大煕)、パク・ヤンホ(朴養浩)、キム・ソンジョン(金聖鍾)、ユン・フミョン。(前列一番右の人物は不明) ちなみに林仏児(りん ふつじ)は1980年代の台湾ミステリ界における最重要人物である。詳細は「台湾ミステリ史 中編」を参照のこと。 第二節 スポーツ新聞や雑誌での新人作家発掘 (1)スポーツ新聞の新春文芸公募 このころの韓国では推理小説のメインの発表の場は新聞だった。韓国最初のスポーツ新聞である『日刊スポーツ』(일간 스포츠)(1969年創刊)は1970年代からキム・ソンジョンらの推理小説を掲載していたが、ソウルオリンピック(1988年)の開催決定や1982年のプロ野球発足などでスポーツ新聞の発行部数が増大し、これも推理小説の読者の増加に拍車をかけた。一方、大手の新聞では文学作家による推理小説が掲載されるようになった。『中央日報』や『韓国日報』などには、チョ・ヘイル(趙海一、조해일)(韓国語版Wikipedia)、キム・ソンイル(金成一、김성일)(韓国語版Wikipedia)、イ・ビョンジュ(李炳注、이병주)(韓国語版Wikipedia)、パク・ポムシン(朴範信、박범신)(韓国語版Wikipedia)らが推理小説を連載した。パク・ポムシンは韓国推理作家協会の会員にもなっている。邦訳に『掟』(角川書店、1989年)(原題『틀』)があるが、これはミステリではない。 1985年創刊の『スポーツソウル』(스포츠 서울)は推理小説を掲載しただけでなく、1986年から新春文芸公募に推理小説部門を置き、短編推理小説を公募した。邦訳のある作家ではファン・セヨン(1995年受賞)とイ・ウン(1996年受賞)がここからデビューしている。なお『スポーツソウル』の創刊を主導したのは、のちに韓国推理作家協会の会長にもなるイ・サンウである。イ・サンウは新聞記者出身の作家で、いくつかのスポーツ紙の創刊や経営に携わっている。 ファン・セヨン(黄世鳶)(황세연)(1968 - )1995年、短編ミステリ「塩化ナトリウム」(염화나트륨)が『スポーツソウル』新春文芸公募・推理小説部門に入選してデビュー。1997年、『美女ハンター』(미녀사냥꾼)で韓国推理文学賞新人賞を受賞。2011年、短編「スタンリー・ミルグラムの法則」(스탠리 밀그램의 법칙)で韓国推理文学賞の黄金ペン賞(황금펜상)(2007年新設の短編賞)を受賞。長編の邦訳に『第二次朝鮮戦争勃発の日 D-DAY』(扶桑社ミステリー、2004年)、短編の邦訳に「天の定めた縁」(『ミステリマガジン』2000年10月号)、「本当の復讐」(『コリアン・ミステリ』)がある。 イ・ウン(李垠)(이은)1996年、短編ミステリ「ほくろのあるヌード」(점이 있는 누드)が『スポーツソウル』新春文芸公募・推理小説部門に入選してデビュー。2003年に長編ミステリ『誰がスピノザを殺したか』を発表し、本格的な作家活動を始めた。2007年には美術商である自身の知識を活かした長編ミステリ『美術館の鼠』(邦訳2009年、講談社《アジア本格リーグ》)を発表。以来、『不思議な美術館』(수상한 미술관)(2009年)、『美術館占拠事件』(미술관 점거사건)(2011年)などの美術業界を扱ったミステリを主に発表している。 チョン・ソッカ (鄭石華)(정석화)(1965 - ) ※カタカナでは「チョン・ソクファ」「チョン・ソックァ」とも表記されうる2000年、短編ミステリ「夫をひどく愛する女」(남편을 지독히 사랑하는 여자)が『スポーツソウル』新春文芸公募・推理小説部門に入選。それ以前から編集業のかたわら作家活動をしており、1999年には同年公開の韓国映画『シュリ』(쉬리)のノベライズを担当。このノベライズ本は同年のうちに邦訳『シュリ ソウル潜入爆破指令』(文春文庫、1999年12月)が出ている。オリジナル作品の邦訳はない。 (2)『小説文学』長編推理小説公募 1983年10月15日、小説文学社から不定期刊行物『ミステリ』(미스터리)が出版された。2号まで刊行されたのち、3号からは同社の出版する雑誌『小説文学』の別冊付録となっている。なお2号では「ミステリ」は副題となって『推理小説 ミステリ』(추리소설 미스터리)というタイトルになっており、別冊付録のときは単に『推理小説』というタイトルになっていたようである。掲載内容は国内外の短編ミステリや評論。日本の作品では、1号に森村誠一「魔少年」、2号に同じく森村誠一の「侵略夫人」が訳載されている。 『推理小説 ミステリ』2号と、小説文学1984年12月号別冊付録『推理小説』の書影 (推理作家のイ・サンウ氏のブログ記事、2011年7月8日) なお小説文学社からは1983年、森村誠一の『狼たちの夜会』(流氷の夜会)が出版されている。当時の新聞広告には、「日本推理小説の天才森村誠一が日本の『小説宝石』と韓国の『小説文学』に同時連載した作品『狼たちの夜会』は連載中、両国の推理小説読者たちを熱中させた」と書かれているが、この日韓同時連載が正式に許可を取ったものだったのかは分からない。韓国が万国著作権条約に加盟したのは1987年のことである。 『小説文学』は長編推理小説の公募も実施した。第1回(1985年)はユ・ウジェ(柳禹提)『死のセレナーデ』(죽음의 세레나데)が受賞、第3回(1987年)はカン・ヒョンウォン『証券殺人事件』(증권살인사건)が受賞した(『証券殺人事件』は後に『見えざる手』(보이지 않는 손)に改題)。 ユ・ウジェ(柳禹提)(유우제)(1955 - )1985年、長編ミステリ『死のセレナーデ』が『小説文学』第1回長編推理小説公募で受賞作となりデビュー。1987年、『夜』で第3回韓国推理文学賞新人賞受賞。1993年、『不死鳥の迷路』で第9回韓国推理文学大賞受賞。邦訳に短編「敵と同志」(『コリアン・ミステリ』)がある。 カン・ヒョンウォン(강형원)(1956 - )本名はカン・ヒョング (姜亨求、강형구)。弁護士を務めながら作家活動を行っている。1987年、長編ミステリ『証券殺人事件』(後に『見えざる手』に改題)が『小説文学』第3回長編推理小説公募で受賞作となりデビュー。1989年、『青い王冠』(푸른 빛 왕관)で第5回韓国推理文学賞新人賞受賞。1992年、『ソウル・エッフェル塔』(서울 에펠탑)で第8回韓国推理文学大賞受賞。2012年1月より、韓国推理作家協会の5代目会長を務める。作品の邦訳はない。 (3)『季刊推理文学』と金来成推理文学賞 1988年12月にはキム・ソンジョンが『季刊推理文学』(계간 추리문학)を創刊。さらに創刊号で、長編推理小説を公募する金来成(キム・ネソン)推理文学賞を立ち上げた。 『季刊推理文学』創刊号(1988年冬) 表紙・目次等の写真 『季刊推理文学』3号(1989年夏) 表紙・目次等の写真 創刊号は金来成を特集しており、「初めて発掘公開する金来成の短編ミステリデビュー作」というあおり文句のもと、日本のミステリ雑誌『ぷろふいる』1935年3月号に掲載された金来成のデビュー作「楕円形の鏡」(日本語作品)の韓国語訳が掲載された。ほかに金来成の変格短編「霧魔」(拙訳)や、金来成についての評論なども掲載されている。創刊号には特集記事以外では座談会「韓国推理文学の展望」や韓国内外の短編ミステリが掲載され、日本の作品では松本清張「証言」が訳載された。 『季刊推理文学』は韓国の初の推理小説専門誌だとされている。1980年代末から1990年代にかけて韓国ではいくつかのミステリ雑誌が創刊されているが、どれも長続きしていない。『季刊推理文学』も1991年9月発行の第10号(1991年秋号)を最後に休刊となっている。金来成推理文学賞も全3回【注】で終了した。 金来成推理文学賞 受賞作一覧 受賞者 タイトル 第1回(1990年) クォン・ギョンヒ(権敬姫、권경희)(1959 - ) 『痺れた指先』(저린 손끝) 第2回(1991年) イ・スンヨン(李勝寧、이승영)(1963 - ) 『ミス・コリア殺人事件』(미스코리아 살인사건) 第3回(1992年) イム・サラ(林紗羅、임사라)(1963 - ) 『愛するとき、そして死ぬとき』(사랑할 때, 그리고 죽을 때) 韓国の江戸川乱歩ともいわれる金来成(キム・ネソン)(韓国ミステリ史特別編参照)の名を冠した金来成(キム・ネソン)推理文学賞は長編推理小説を公募する新人賞で、受賞作は推理文学社から刊行された。なお金来成の名を冠した文学賞にはほかに、金来成の死去直後に制定された来成(ネソン)文学賞(1958-1960、非公募、京郷新聞主催)があるが、これは推理小説の賞ではない。 金来成推理文学賞の受賞作で日本語に翻訳されているものはない。『コリアン・ミステリ 韓国推理小説傑作選』(バベル・プレス、2002年5月)には、第2回受賞者のイ・スンヨンの短編「隠しカメラ」と第3回受賞者のイム・サラの短編「標的」が収録されている。 第1回受賞者のクォン・ギョンヒ(権敬姫)氏のブログ記事へのリンク第1回金来成推理文学賞授賞式の写真 右から3番目がクォン・ギョンヒ(権敬姫)氏 受賞作『痺れた指先』の書影など 受賞時に新聞に掲載されたインタビュー記事 1(スポーツソウル1990年4月25日)「日本の作家の三島由紀夫の『金閣寺』が特に好きで、推理小説ではイギリスのアガサ・クリスティ、日本の森村誠一、韓国のキム・ソンジョンの作品を多く読んで来た」と紹介されている。 受賞時に新聞に掲載されたインタビュー記事 2(民主日報1990年5月3日)記事では「韓国初の女流推理作家」などと書かれている。またインタビューに答えて「暴力やセックスを排し、知的なゲームを中心にし、社会問題などを提示しながら文学性の高い推理小説を書いてみたいと思っている」ということを語っている。 金来成推理文学賞はいわば韓国版の江戸川乱歩賞とでも言えると思うが、第1回金来成推理文学賞でのクォン・ギョンヒの受賞と、公募制になった最初の回の江戸川乱歩賞(1957年)での仁木悦子の受賞は、単に女性作家ということ以外にもいろいろとオーバーラップする点があるように思えて興味深い。 注:金来成推理文学賞は李建志(り けんじ)「現代韓国ミステリの思想と行動(上)」(『創元推理 20号 人形の夢』2000年10月)では全4回の公募があったとされている。韓国推理作家協会の公式サイトでは全3回とされており、メールで問い合わせたところ、第4回の募集は行われていないとの回答を得た。 第三節 ミステリ専門の出版社も登場 (1)国産ミステリ出版の活況 キム・ソンジョンやイ・サンウの作品がベストセラーになると、明知社(명지사)、現代推理社(현대추리사)、推理文学社(추리문학사)、南島出版社(남도출판사)などの推理小説専門の出版社も登場する。そしてそれらの出版社や、ほかに小説文学社、ヘネム出版、ヘンニム出版などが国産ミステリを多く出版した。 韓国のミステリファンのDELIUS氏がまとめた以下のページで、1980年代の韓国の国産ミステリの新聞広告を見ることができる(翻訳ミステリも数点含む)。 1980年代の推理小説新聞広告 (1980年~1986年) (2011年12月1日)キム・ソンジョン(金聖鍾)やチョン・ゴンソプ(鄭建燮)などの推理作家の作品の広告のほか、パク・ポムシン(朴範信)やイ・チョンジュン(李清俊)などの文学作家が書いた推理小説の広告も見られる。4枚目の写真は森村誠一『狼たちの夜会』(流氷の夜会)の広告。10枚目の写真はフレデリック・フォーサイス『第四の核』、12枚目の写真はロバート・ラドラム『(?)』およびケン・フォレット『獅子とともに横たわれ』の広告。 1980年代の推理小説新聞広告(1987年~1989年) (2011年12月1日)キム・ソンジョン(金聖鍾)やチョン・ゴンソプ(鄭建燮)のほか、ヒョン・ジェフン(玄在勲)、イ・サンウ(李祥雨)、ノ・ウォン(魯元)、カン・ヒョンウォン、ハン・デヒ(韓大煕)、『季刊推理文学』の広告などが見られる。2枚目の写真はジョン・ガードナーの作品の広告。 1996年には韓国推理作家協会の企画による国産ミステリの選集《韓国ミステリコレクション》(全23巻20作品、高麗院メディア)も出版されている(ラインナップ)。 (2)ミステリ読者の団体「韓国ミステリクラブ」の結成 【2012年6月20日追加】 1990年7月、韓国推理作家協会が主催する第3回夏季推理小説学校に参加したミステリファンの約20名が中心となり、ミステリ読者の団体である韓国ミステリクラブ(한국미스터리클럽)が結成されている。主な目的はミステリの読者の拡大と、ミステリの批評の場の提供。同年のうちに会報の発行も開始しており(1991年説もあり)、年末までに会員数は200名近くになっている。1992年に韓国推理作家協会が作成した小冊子では、当時の韓国ミステリクラブの会員数は約350名とされている。 韓国ミステリクラブ制定 推理文学読者賞 受賞作一覧 受賞者 タイトル 備考 第1回(1992年) イ・スンヨン(李勝寧、이승영)(1963 - ) 『ミス・コリア殺人事件』(미스코리아 살인사건) 第2回金来成推理文学賞受賞作 第2回(1993年) イ・スグァン(李秀光、이수광)(1954 - ) 『その日のことは誰も知らない』(그날은 아무도 모른다) 第3回(1994年) イ・イナ(이인화)(1966 - ) 『永遠なる帝国』(영원한 제국) 邦訳2011年、文芸社 ※イ・スグァンの受賞作は『その日のことは誰も知らない』ではなく『憂国の目』(우국의 눈)とも言われる。詳細不明。 ※イ・イナの経歴をネット上で検索してみると、「推理文学読者賞」(추리문학 독자상)ではなく「推理小説読者賞」(추리소설 독자상)受賞となっている。第3回から賞の名称が変わったのかもしれない。 ※1994年2月に韓国ミステリクラブ会長となったパク・ヒョンサン(박형상)のブログの写真(リンク)を見ると、第4回・第5回も実施されたことが分かるが、受賞者が誰だったのかは分からない。第4回と第5回は「推理小説読者賞」という名称になっている。また、第6回以降が実施されたのかは不明。 イ・イナの『永遠なる帝国』は1993年に韓国で出版されベストセラーになった作品。正祖(チョンジョ、在位1777~1800)時代の宮廷での変死事件に始まるミステリで、映画化もされている。『ハヤカワミステリマガジン』2010年10月号の洋書案内コーナーや、『創元推理』20号(2000年10月)および『創元推理21』2001年夏号(2001年5月)に掲載された李建志「現代韓国ミステリの思想と行動」でも紹介された作品である。 この韓国ミステリクラブは少なくとも1994年までは存続したようだが、その後の活動については不明である。 (3)翻訳ミステリの出版 1970年代末からの翻訳ミステリ叢書の出版ブームも終わりを見せず、1980年代から1990年代にかけては主に以下のような叢書が出版されている。 この時期の主な翻訳ミステリ叢書《自由推理文庫》(자유추리문고)(1986年、全50巻、自由時代社) - SFも数冊含む。日本の作品なし 《アガサ・クリスティー・ミステリー》(1985年~1990年、全80巻、へムン出版社[해문출판사]) 《Qミステリ》(1989年~1992年、全46巻?、ヘムン出版社) - 日本の作品は森村誠一『人間の証明』 《キム・ソンジョン精選 最新世界推理小説》(1982年~1993年、全16巻、大作社・推理文学社) 《キム・ソンジョン選ミステリシリーズ》(1988年~1993年、全16巻、南島出版社) 1990年代以降、翻訳ミステリの出版に大きな貢献を果たした人物にミステリ研究家・翻訳家のチョン・テウォン(鄭泰原)(정태원)(1954-2011)がいる。高麗院メディアのミステリ・シリーズ(全20巻)、時空社のエラリー・クイーン選集(全20巻)など、およそ500冊の企画、出版に携わり、そのうち70冊ほどを自ら翻訳している。英語だけでなく日本語にも堪能であり、1990年代には中島河太郎と書簡のやり取りをしていた。2000年代になってからは東野圭吾『白夜行』、首藤瓜於『脳男』などを翻訳している。 1980年代の韓国では、日本の作家では1970年代に引き続き、松本清張、森村誠一、梶山季之が人気を博した。『日本文学翻訳60年 現況と分析 1945-2005(일본문학 번역 60년 현황과 분석 1945-2005)』(召命出版、2008年)(邦訳なし)によれば、1980年代の韓国で多く翻訳された日本の作家(推理作家以外も含む)は順に、三浦綾子、森村誠一、梶山季之、松本清張、井上靖、遠藤周作、曽野綾子、落合信彦である。それらの作家に数では及ばないが、1980年代前半には西村京太郎、西村寿行、笹沢左保らの作品の翻訳も始まっており、1990年代にかけてそれぞれ10冊から15冊程度翻訳出版されている。 同書を見ると、1990年代には村上春樹と村上龍が翻訳数の1位・2位となっており、推理作家では森村誠一、梶山季之とともに赤川次郎が上位に入っている。赤川次郎の作品が最初に韓国語に翻訳されたのは1980年代前半だが、1990年代末に三毛猫ホームズシリーズを中心として多くの作品が訳された。 1999年には韓国・テドン出版より日本推理作家協会・韓国推理作家協会共編の日本の短編ミステリのアンソロジー『Jミステリ傑作選』(J미스터리 걸작선)(全3巻)が出版されている。この翻訳を担当したのは前述のチョン・テウォンである。 早川書房『ミステリマガジン』2000年10月号では「コリアン・ミステリ・ナウ」と題する韓国ミステリの特集が組まれている。この号に掲載の記事で、2000年当時の韓国における日本ミステリについてチョン・テウォンは以下のように書いている。 鄭泰原(チョン・テウォン)「韓国ミステリ事情」(『ミステリマガジン』2000年10月号) 最近は綾辻行人の〈館シリーズ〉、鈴木光司『リング』『らせん』、東野圭吾『秘密』『白夜行』などの人気が高い。少年物では『名探偵コナン』、『金田一少年の事件簿』が若者の心を摑んでいる。 綾辻行人の作品が最初に韓国語に翻訳されたのは1997年で、《館シリーズ》第1作の『十角館の殺人』から第6作の『黒猫館の殺人』までが鶴山文化社より同時刊行された(なおその後、21世紀になってから十角館、水車館、迷路館、時計館は再刊されたが、人形館と黒猫館は再刊されておらず、入手難の状態が続いている)。東野圭吾の作品が最初に韓国語に翻訳されたのは1999年である。 また、島田荘司の『占星術殺人事件』は1990年代の韓国では異なるタイトルで三度出版されている。最初は1991年で、タイトルは『顔のない時間』(얼굴없는 시간)とされていた。翌1992年には『アゾート』(아조트 )というタイトルで同じ出版社から刊行され、1997年には原題を直訳した『占星術殺人事件』(점성술 살인사건)というタイトルで、また同じ出版社から刊行されている。 (4)苦戦するミステリ雑誌 ミステリの単行本や叢書の出版はそれなりに活況を呈していたが、ミステリ専門誌の出版は必ずしもうまくいかなかった。前述のとおり、1988年12月にキム・ソンジョン(金聖鍾)が中心となって創刊した『季刊推理文学』は、約3年後の1991年9月発行の第10号(1991年秋号)で休刊となっている。ただこれは、この時期の韓国のミステリ雑誌としては比較的長く持った方だった。1990年1月に創刊された『月刊推理小説』(월간 추리소설)(途中で『月刊推理小説ダイジェスト』[월간 추리소설 다이제스트]に改題)は、同年4月号(第3号)をもって休刊となっている。1994年4月にはチョン・テウォン(鄭泰原)が編集長を務める『月刊ミステリマガジン』(월간 미스터리 매거진)が創刊されたが、この雑誌も1年も持たず、1994年4月号から1994年11月号までの全8冊で刊行を終えている(韓国国立中央図書館の蔵書は全8冊だが、ネット上では全部で9冊出ているという情報もある/未確認)。1997年には韓国語版『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』(엘러리 퀸 미스터리 매거진)と韓国語版『アルフレッド・ヒッチコック・ミステリ・マガジン』(알프레드 히치콕 미스터리 매거진)が創刊されたが、どちらも年内に2冊出ただけで休刊となっている。 『月刊推理小説ダイジェスト』1990年4月号(最終号)の表紙・目次写真 (推理作家のイ・サンウ氏のブログ記事、2011年6月22日)目次の写真を見ると、江戸川乱歩「月と手袋」が連載小説として訳載されていたことが分かる(完結したのかは不明) (なお2012年現在は、韓国推理作家協会編のミステリ雑誌『季刊ミステリ』の刊行が2002年の創刊以来続いており、2012年春号で通巻35号に達している) 第四節 20世紀末: 出版不況の影 1990年代後半から、アジア通貨危機(1997年)などによる出版不況が韓国ミステリ界に影を落とし始める。創作を発表する場が減り、出版点数も激減。国産ミステリが1年に10冊も出ない低迷期に入る。長編推理小説賞を公募していた金来成推理文学賞は1993年に終了していたが、2000年代に入るとスポーツ新聞の短編ミステリの公募もなくなってしまい、新人のデビューも難しくなった。 次章で扱う内容をやや先取りして言えば、その後翻訳ミステリのファンの増加で韓国におけるミステリ出版は再び活気を見せ始めるが、韓国の創作ミステリ界はそこから取り残されたような形になってしまった。韓国の創作ミステリ界がこの停滞から抜け出す兆しを見せ始めたのは、ここ3、4年のことである。 第五節 邦訳された1980年代~20世紀末の韓国推理小説 原著刊行1981年:金聖鍾(キム・ソンジョン)『ソウル 逃亡の果てに』(祖田律男訳、新風舎、2005年)(原題『나는 살고 싶다』) 原著刊行1988年:鄭建燮(チョン・ゴンソプ)『真由美 最後の証言』(李鍾相[イ・ジョンサン]訳、光文社、1988年)(原題『마유미 최후의 증언 언니 미안해』) 原著刊行1993年:イ・イナ『永遠なる帝国』(武田康二訳、文芸社、2011年12月)(原題『영원한 제국』) 原著刊行1997年:朴商延(パク・サンヨン)『JSA 共同警備区域』(金重明[キム・ジュンミョン]訳、文春文庫、2001年5月)(原題『DMZ』) ※映画の原作小説(映画のノベライズ本ではない) 原著刊行1998年:『コリアン・ミステリ 韓国推理小説傑作選』(祖田律男ほか訳、バベル・プレス、2002年5月) - 短編13編収録。韓国推理作家協会編、1998年版『今年の推理小説』の翻訳。 『コリアン・ミステリ 韓国推理小説傑作選』の収録内容は「韓国ミステリ 読書案内」を参照のこと。ほかに『ミステリマガジン』2000年10月号に韓国の短編ミステリが4編訳載されている。(以下のあおり文句は目次より引用) 『ミステリマガジン』2000年10月号 (特集 コリアン・ミステリ・ナウ)「その夜は長かった」 李秀光(イ・スゴァン)(※当ページではイ・スグァンと表記)――霊魂となって現世を彷徨う男の悲哀 「天の定めた縁」 黄世鳶(ファン・セヨン)――妻が盗み見た、殺人計画を綴った夫の小説 「精神病を引き起こす脱毛剤」 白恷(ベク・ヒュ)(※当ページではペク・ヒュと表記)――画期的新薬の恐るべき副作用とは!? 「妻を守るために」 李源斗(イ・ウォンズ)(※当ページではイ・ウォンドゥと表記)――癌ノイローゼの男を待ち受ける皮肉な運命 参考文献 韓国ミステリ史 参考文献 (新しいウィンドウで開きます) ※便宜のためWikipediaのリンクを貼っている箇所がありますが、Wikipediaを情報源としては使用していません。 『韓国ミステリ史 第一章』(20世紀初頭~1930年代) 『韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)【1】』 『韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)【2】』 『韓国ミステリ史 第二章』(1940年代~1960年代) 『韓国ミステリ史 第三章』(1970年代) 『韓国ミステリ史 第四章』(1980年代~20世紀末) ←今見ているページ 『韓国ミステリ史 第五章』(1990年代末~21世紀初頭)(未公開) 『読書案内』
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/188.html
2012年5月12日 大きな地図で見る 「オランダの推理小説」というものが日本でことさら取り上げられることはほとんどない。オランダの外交官・東洋学者・探偵作家のロバート・ファン・ヒューリック(1910-1967)は例外的に日本での知名度が高いが、その作品が「オランダの推理小説」だと意識されることはあまりないだろう。ファン・ヒューリックは中国を舞台とするミステリを英語で執筆していたからである。 とはいえ、オランダと日本の推理小説界の因縁(?)は浅くない。西洋の探偵小説が初めて日本語に翻訳されたのは江戸時代末期だとされるが、その翻訳探偵小説はオランダの作品だったのである。また、江戸川乱歩は前述のロバート・ファン・ヒューリックと親しい付き合いがあったほか、日本ではまったく無名のオランダの探偵作家W・G・キエルドルフと手紙のやり取りをしたりもしている。以下では日本との関係をメインに、オランダ推理小説の歴史を紹介する。 関連記事:「オランダ語に翻訳された日本の推理小説/ミステリ」(2012年5月12日) Index 江戸時代に邦訳されたクリステメイエルの短編探偵小説2編 江戸川乱歩とオランダの探偵作家の交流 W・G・キエルドルフによるオランダ探偵小説略史(20世紀初頭~1950年代) 1960年代以降の主なミステリ作家 オランダ推理作家協会とフランドル推理作家協会 江戸時代に邦訳されたクリステメイエルの短編探偵小説2編 今から151年前、江戸時代末期の西暦1861年(明治元年は1868年)、洋学者の神田孝平(たかひら)(1830-1898)がオランダの短編探偵小説(または探偵実話)2編を和訳している。これが西洋の探偵物の最初の邦訳だとされている。神田孝平自身がつけた訳題は「ヨンケル・ファン・ロデレイキ一件」と「青騎兵并(ならびに)右家族共吟味一件」。1997年に西田耕三氏が神田孝平の訳文を現代語に訳して出版した際には、タイトルは「ヨンケル・ファン・ロデレイキ殺人事件」、「青騎兵とその家族の捜査の顚末」としている。現代語の方が分かりやすいので、以下、これらの作品については西田耕三氏の訳題を使うこととする。 「ヨンケル・ファン・ロデレイキ殺人事件」と「青騎兵とその家族の捜査の顚末」の作者はオランダのヤン・バスティアン・クリステメイエル(Jan Bastiaan Christemeijer、1794-1872)。この2編は、1820年に出版のクリステメイエル『刑事裁判および人間の過失の実録からなる文書』(短編5編収録、訳題は宮永孝氏に拠る)に掲載されたのが最初だと目されている。その前年にはクリステメイエルの同様の趣旨の短編7編を収録する本が出版されており、1830年にはその2冊を合わせた全12編収録の本が出版されている。神田孝平はこの1830年出版の本から2編を選んで翻訳したのである(この1830年版はGoogleブックスで全ページ閲覧可能)。 この2編は神田孝平が1861年に翻訳してからすぐに広く世間に知られた訳ではなく、最初は写本の形で回し読みされた。「ヨンケル・ファン・ロデレイキ殺人事件」の方は1877年から1878年にかけて「楊牙児(ヨンゲル)ノ奇獄」というタイトルで雑誌『花月新誌』に連載されたのが世に出た最初で、1886年には『和蘭美政録 楊牙児奇談』(Googleブックスで全ページ閲覧可能)というタイトルで出版されている。これらは神田孝平の訳文のまま世に出た訳ではなく、一部が省略されるなど他人の手が加わっていた。なお、エドガー・アラン・ポー(1809-1849)の「モルグ街の殺人」が初めて邦訳・新聞掲載されたのが1887年、須藤南翠(1857-1920)の「殺人犯」の発表が1888年、黒岩涙香(1862-1920)の「無惨」の発表が1889年である。「ヨンケル・ファン・ロデレイキ殺人事件」の邦訳が世に出たのはそれらよりも早かったことになる。 「青騎兵とその家族の捜査の顚末」の方は、1892年に『日本之法律』に「探偵小説 青騎兵」というタイトルで連載されたのが世に出た最初である(川戸道昭氏の論文「ミステリー小説のあけぼの」で明らかにされた)。同時期に『日本之少年』にも連載された。のちに『新青年』1931年4月号にも掲載されている。 さて、探偵小説の嚆矢とされるエドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」が発表されたのが1841年なので、クリステメイエルの作品はそれよりも早いということになる。法政大学教授で、原典およびクリステメイエルについての詳細な調査を行った宮永孝氏は論文「楊牙児(ヨンケル)奇獄」(2011)で以下のように書いている。 ポーの先の探偵小説【注:「モルグ街の殺人」】が活字となる二十年ほど前に、オランダにおいてちゃんとした探偵小説が存在したのである。が、オランダ語といった特異な言語のせいか、世間の注意をほとんど惹かず、また大して問題にもされず、こんにちに至っている。 同論文(こちらで全文閲覧可能)の末尾には、宮永氏による 「ヨンケル・ファン・ロデレイキ殺人事件」のオランダ語原典からの翻訳「ヨンケル・ファン・ロデレイケ一件――別名 喜劇の表題(タイトル)によって発覚した二重殺人事件」が付されている。気になる方は、ぜひこちらで実際に読んでもらいたい。 なお、中島河太郎氏は宮永孝氏の調査結果を紹介しつつ、「日本探偵小説史」で以下のような見解を示している。 中島河太郎「日本探偵小説史」『日本探偵小説全集12 名作集2』創元推理文庫、1989年2月、p.609-610より引用 ともかく日本の最初の翻訳探偵小説の身許がようやくつきとめられた。原作は一八二〇年刊行のオランダの作品となると、ポオの「モルグ街の殺人」より、さらに遡ること二十年あまりである。肝腎の原著者については皆目分らないし、また構成の上から眺めても、果たして小説として書かれたか疑問が残らないわけではない。「楊牙児」は(――ネタばれ――)に趣向があり、「青騎兵」は二つの事件を交錯させ、他人を陥れようと種々のトリックを弄するおもしろ味はあるが、ともかく推理的部分は薄弱で、本格的構成はポオに譲らなければならない。 西田耕三氏による神田孝平の訳文からの現代語訳(「ヨンケル・ファン・ロデレイキ殺人事件」、「青騎兵とその家族の捜査の顚末」)は、西田耕三編『日本最初の翻訳ミステリー小説 吉野作造と神田孝平』(耕風社、1997年)に収録されている。「青騎兵とその家族の捜査の顚末」が現代語で読めるのはおそらくこの本だけだろう。なおこの本には、神田孝平が和訳した「ヨンケル・ファン・ロデレイキ一件」と「青騎兵并(ならびに)右家族共吟味一件」、および1877年に『花月新誌』に掲載されたバージョンの「楊牙児ノ奇獄」も収録されている。 おまけ:なお、SFで最初に邦訳されたのもオランダの作品だそうだ。北原尚彦『SF万国博覧会』(青弓社、2000年)によるとその作品は、ジヲス・コリデスの『新未来記』。1868年に近藤真琴によって訳され、その10年後に刊行されたとのこと。横田順彌『日本SFこてん古典』にあらすじ紹介などがあるそうだ。 江戸川乱歩とオランダの探偵作家の交流 江戸川乱歩(1894-1965)がオランダの探偵作家のロバート・ファン・ヒューリック(Robert van Gulik、1910-1967)と交流があったというのはよく知られた話だろう。ファン・ヒューリックは中国の裁判小説に題材をとった狄(ディー)判事シリーズ(ハヤカワ・ミステリで全作品邦訳されている)で知られるが、外交官・東洋学者でもあり、日本語・中国語に堪能だった。乱歩は1949年の大みそか、高島屋の古書展でファン・ヒューリックが中国語から英訳した『Dee Goong An』(狄(ディー)公案)を入手。乱歩はこの中国の探偵小説を「長篇本格探偵小説の体をなしていて西洋のガボリオやボアゴベイに比べても、大して見劣りしない」(探偵作家クラブ会報第33号、1950年2月)と称賛している。乱歩は古書店の店主を通じてファン・ヒューリック本人とも連絡を取り、1950年5月の土曜会(探偵作家クラブの月例会)に招いたりもしている。その模様は、雑誌『宝石』に掲載の座談会「中国の探偵小説を語る」(1950年9月号)で読むことができる(ロバート・ファン・ヒューリック『柳園の壺』[ハヤカワ・ミステリ、2005年]巻末にも一部再録)。なおファン・ヒューリックはオランダの推理作家だが、作品は英語で執筆した。最初の創作"The Chinese Maze Murders"の邦訳が『迷路の殺人』と題されて英語版に先駆けて出版されたのは1951年のことである(2009年刊のハヤカワ・ミステリ版のタイトルは『沙蘭(さらん)の迷路』)。 乱歩は1957年、ファン・ヒューリックの仲介で、オランダの探偵作家のW・G・キエルドルフ(Wilhelm Gustave Kierdorff、1912-1984)と手紙のやり取りをしている。キエルドルフが乱歩に送った手紙によれば、キエルドルフは1956年、オランダの探偵作家クラブであるジェフリー・ギル・クラブ(Geoffrey Gill Club)を創設。会員は約50名。クラブの名称になっているジェフリー・ギルとは、オランダ探偵小説の創始者とされるイファンス(Ivans、本名:Jakob van Schevichaven、1866-1935)の作品で主人公を務めるイギリス人探偵の名前だという。乱歩のもとにはこのジェフリー・ギル・クラブの機関誌『MYSTERIE-Detective』も送られてきている。キエルドルフは機関誌の第3号で日本の探偵小説と探偵作家クラブについて紹介したいと書いているが、それが実現したのかは分からない。キエルドルフは乱歩のほかにも、フランス版EQMMの編集長のモーリス・ルノール(Maurice Renault)、アメリカのドナルド・A・イェイツ(Donald A. Yates)、デンマークのシャーロック・ホームズ・クラブ創設者のヘンリックセン(Henriksen)、フランス在住のペルシャ人フレイドン・ホヴェイダ(Fereydoun Hoveyda、邦訳書に『推理小説の歴史はアルキメデスに始まる』[東京創元社、1981年]等)、オーストラリアの探偵作家アーサー・アップフィールド(Arthur Upfield)など、世界中の探偵小説関係者と連絡をとっていたようだ。キエルドルフが乱歩に送った最初の手紙の原文(英語)は、日本探偵作家クラブ会報第133号(1958年9月)に全文掲載されている。乱歩とキエルドルフの手紙のやり取りがどれぐらい続いたのかは分からない。乱歩はキエルドルフの最初の手紙に対して「詳しい返事を出しておいた」(日本探偵作家クラブ会報第119号、1957年5・6月)と書いているので少なくとも1度は返信したようだが、お互い手紙を1通送ったきりで終わってしまったのかもしれない。 乱歩は海外のミステリ事情の紹介に熱心で、1960年11月の日本探偵作家クラブ会報第158号では英国推理作家協会(CWA)会報1960年8月号の記事を紹介している。それによれば、オランダのジェフリー・ギル・クラブのJacqueline Kempeesが英国推理作家協会に、オランダの推理小説界を紹介する手紙を寄越してきたのだという。英国推理作家協会に寄せられたこの手紙では、ジェフリー・ギル・クラブの会長はピム・ホフドルプ(Pim Hofdorp)とされていた。乱歩は気付いていなかったと思われるが、ピム・ホフドルプというのはW・G・キエルドルフの筆名であり、つまりホフドルプとキエルドルフは同一人物である。 ところで、W・G・キエルドルフとは一体何者だったのだろう。オランダ語版Wikipediaの記事をGoogle翻訳で英語に直すという不確かな方法に頼って紹介すると、W・G・キエルドルフは1912年2月4日生まれ。ピム・ホフドルプ(Pim Hofdorp)という筆名で、1959年から1980年にかけて、オランダのハーグを舞台とする推理小説シリーズを発表した。このシリーズにはハーグについての地誌学的・歴史学的知識がふんだんに盛り込まれていたそうだ。1984年6月9日逝去。残念ながら、その作品の邦訳はない。 W・G・キエルドルフによるオランダ探偵小説略史(20世紀初頭~1950年代) 『探偵倶楽部』1958年7月号にはW・G・キエルドルフの「オランダの探偵小説」という記事が載っている。キエルドルフが乱歩に送った最初の手紙の原文(英語)を読んでみると、その手紙にはキエルドルフがフランス語で書いたオランダ探偵小説略史が同封されていたことが分かる。手紙によれば、モーリス・ルノールが創設したフランスの探偵小説愛好クラブ Club Mystère Fiction の会誌に寄稿したものだという。『探偵倶楽部』に載った記事は、おそらくはこれを翻訳したものだろう。ちなみにネット上を検索してみたところ、Club Mystère Fictionの会誌の目次を紹介しているページがあった(リンク)。キエルドルフの寄稿"Le Roman policier aux Pays-Bas"(オランダの探偵小説)はClub Mystère Fictionの会誌の第5号(1955年11月・12月)に載ったようである。 この時期には乱歩は探偵雑誌『宝石』の編集長となっていたので、キエルドルフの原稿がライバル誌である『探偵倶楽部』に載ったのは少々不思議である。 以下、W・G・キエルドルフ「オランダの探偵小説」に従って、オランダの1950年代までの探偵小説略史を紹介する。 この記事によれば、オランダ探偵小説の創始者であるイファンス(Ivans、本名:Jakob van Schevichaven、1866-1935)は1910年にデビュー。この特異な筆名は本名の一部を拾って作られたものである(J + van + S → Ivans)。イファンスの探偵小説で探偵役を務めるのは、シャーロック・ホームズそっくりのイギリス人名探偵ジェフリー・ギル(Geoffrey Gill)。ワトソン役はオランダの法学博士ウィレム・ヘンドリクス。ジェフリー・ギルの探偵譚は1930年までにオランダ国内に10万人の読者を獲得し、北欧の言語にも翻訳されたという。 イファンスの後継者とみなされていたのが探偵作家のハファンク(Havank、本名:Hendrikus Frederikus van der Kallen、1904-1964)。この筆名はイファンスの筆名と同じやり方で作られている(H + van + K → Havank)。ハファンクはパリ警視庁のシルヴェール警部(Silvère)とその助手シャルル・カルリエ(Charles C.M. Carlier、通称Schaduw[影、シャドー])を主人公とする探偵小説を執筆。2人はヨーロッパ各地で活躍。時にはオランダが舞台になることもあったが、基本的にはフランスが舞台の作品が多い。 大手出版社のブルーナ社が1947年、新人探偵作家発掘のためのコンテストを開始。これによりオランダの探偵小説は飛躍することになる。受賞者の中で特筆すべきはアムステルダムの新聞記者、ヨープ・ファン・デン・ブルーク(Joop van den Broek、1926-1997)。彼の受賞作の『ナドラのための真珠』(Parels voor Nadra、1953)は、ジャカルタの質屋で盗まれた真珠の財宝が主題になっている。この作者はアメリカのハードボイルド、特にミッキー・スピレーンの影響を受けていたという。同時期には、ベルト・ヤーピン(Bert Japin)、アプ・フィッセル(Ab Visser)、ハリエット・フレーゼル(Harriët Freezer)、エリーネ・カーピット(Eline Capit)、ボプ・ファン・オイエン(Bob van Oyen)など続々と若手の探偵作家が登場している。 ちなみにブルーナ社は、ミッフィーで知られるディック・ブルーナ(Dick Bruna)の父が経営していた出版社である。ディック・ブルーナはブルーナ社の推理小説のペーパーバックの表紙デザインを手がけており、その数は2000点以上にのぼるという。その一部は輸入雑貨店assistonのサイトのこちらのページや、古書店dessinのサイトのこちらのページなどで見ることができる。 前述のハファンクの作品もブルーナ社から出版されており、ディック・ブルーナが装丁を手がけていた。ハファンクの作品は邦訳がなく、日本のミステリファンの間でその名はまったく知られていないと思うが、この名前は日本のディック・ブルーナファンの間では有名であるらしい。「ハファンク」と日本語で入力して検索してみると、結構な数の情報がヒットする。 ハファンクは創作のほかに英米探偵小説のオランダ語への翻訳も行っていた。1961年に出版された江戸川乱歩のオランダ語訳短編集『Griezelverhalen uit Japan』の編訳者でもある。もちろん日本語からではなく、1956年に出版された江戸川乱歩の英訳短編集『Japanese Tales of Mystery Imagination』から重訳したものだろう。この乱歩のオランダ語訳短編集もブルーナ社から出版されており、ディック・ブルーナが装丁を手がけたようだ。表紙イラストはこちらで見られる。同社より1981年に新装版が刊行されているが、表紙を見てみると、乱歩の名前よりもハファンクの名前の方が目立っている(リンク)。 ほかの特筆すべき作家に、W・H・ファン・エームラント(W.H. van Eemlandt、本名:Willem Hendrik Haasse、1889-1955)がいる。彼は1953年、65歳で探偵作家デビュー。アムステルダム司法警察のアールト・ファン・ハウトヘム警視(Aart van Houthem)を主人公とする探偵小説シリーズを1953年から1955年の3年間で12作発表した。1955年11月逝去。その作品はドロシー・L・セイヤーズと比較されることもあったというが、キエルドルフは、むしろジョルジュ・シムノンのメグレ警部ものと共通する点が多いと述べている。なお、娘のヘラ・ハーセ(Hella Haasse、1918-2011)もミステリ作家ではないが有名な作家で、父よりも早くデビューしている。ヘラ・ハーセの作品は邦訳される予定があるらしい。 キエルドルフ「オランダの探偵小説」に記述されているのはここまでである。この記事はW・H・ファン・エームラントの1955年11月の死去に言及があり、また1955年のことを「去年」と書いていることから、1956年に執筆されたもの(または1956年に発表することが予定されていたもの)だと推定できる。この記事がClub Mystère Fictionの会誌の第5号(1955年11月・12月)に載ったとする推定とは辛うじて矛盾しない。または、乱歩のもとに送られてきたのは、キエルドルフがClub Mystère Fictionの会誌に寄稿したものに少々加筆したものだったのかもしれない。 1960年代以降の主なミステリ作家 1960年代以降のオランダのミステリ界について、日本で知られていることは少ない。ここでは邦訳のある作家について紹介する。 ヤンウィレム・ヴァン・デ・ウェテリンク(Janwillem van de Wetering、1931-2008)はオランダに生まれ、南アフリカ共和国、イギリス、日本、コロンビア、オーストラリアなど世界中を渡り歩く。日本を訪れたのは哲学の勉強を通して禅に興味を持ったためで、京都で一年半ほど座禅三昧の日々を過ごしたという。その後オランダに帰国して警察官となり、1975年、40代で推理作家デビューした。代表シリーズはアムステルダム警察のフライプストラ警部補(Grijpstra)とデ・ヒール巡査部長(de Gier)のシリーズで、日本では第4作まで邦訳されている。ほかに、日本人の斎藤警部が主人公の短編作品などもある。 ティム・クラベー[ティム・クラベとも表記](Tim Krabbé、1943- )はウェテリンクより10歳以上年下だが、デビューはティム・クラベーの方が早い。1967年にデビューし、現在も執筆活動を続けている。1995年には、前年発表の『マダム・20』(邦訳1996年、青山出版社)でオランダ推理作家協会の黄金の首吊り輪賞を受賞している。邦訳は『マダム・20』のほかに、『失踪』(邦訳1993年、日本放送出版協会)と『洞窟』(邦訳2002年、アーティストハウス)がある。 トーマス・ロス(Tomas Ross、1944- )はオランダ推理作家協会創設の主導者で、会長も務めた人物。本名はウィレム・ホーヘンドールン(Willem Hogendoorn)。1980年ごろから政治小説やサスペンス小説を発表しはじめた。1987年、1996年、2003年に黄金の首吊り輪賞を受賞。1990年にはスウェーデンの推理作家マイ・シューヴァルと合作した『グレタ・ガルボに似た女』がスウェーデンの出版社から刊行されている(邦訳は1993年、角川文庫)。この作品は、それぞれが一章ずつ書き、その原稿を粗訳とともに相手に送り、送られた方がそれに自分なりに手を加えて、また翻訳をつけて送り返す、という方式で執筆されたもので、完成までに3年かかったという。マイ・シューヴァルはマルティン・ベックシリーズの共同執筆者であった夫のペール・ヴァールーが1975年に死去して以来創作から遠ざかっており、『グレタ・ガルボに似た女』は15年ぶりの新作となった。 《世界のミステリ》を特集した『ミステリマガジン』1999年3月号にはオランダの推理作家、クリス・リッペンの短編「芸術」が掲載されている。クリス・リッペン(Chris Rippen、1940- )は48歳で推理作家デビュー。1991年に発表した第2作"Playback"で翌年、オランダ推理作家協会の黄金の首吊り輪賞を受賞。『ミステリマガジン』1999年3月号に短編が掲載された当時にはオランダ推理作家協会の会長も務めていた。 ところで、オランダの南に隣接するベルギーの北半分(フランドル地方)ではオランダ語が使用されており、もちろん、オランダ語で推理小説を執筆している作家もいる。クリス・リッペンの作品の邦訳が載ったのと同じ『ミステリマガジン』1999年3月号には、オランダ語で作品を執筆するベルギー人作家ボブ・メンデスの短編「国王への報告書」も掲載されている。ボブ・メンデス(Bob Mendes、1928- )は1989年に会計士の仕事を辞めてから本格的に執筆活動を開始。1993年には"Vergelding"(復讐)でオランダ推理作家協会の黄金の首吊り輪賞を受賞。1997年には"De kracht van het vuur"(火力)で再度同賞を受賞した。 ベルギーの推理作家としてはジョルジュ・シムノン(Georges Simenon)とスタニスラス=アンドレ・ステーマン(Stanislas-André Steeman)が有名だが、二人はベルギー南部の出身で、創作活動にはフランス語を使用した。 オランダ推理作家協会とフランドル推理作家協会 オランダ推理作家協会(Genootschap van Nederlandstalige Misdaadauteurs[略称 GNM])は1986年創設。同年より毎年、オランダ語で書かれた年間最優秀のミステリ作品に黄金の首吊り輪賞(Gouden Strop、公式サイト)を授与している。この賞の名前は先に言及したヨープ・ファン・デン・ブルーク(Joop van den Broek、1926-1997)が1982年に発表した『黄金の首吊り輪』に由来する。Gouden Strop賞は『ミステリマガジン』1998年4月号p.53では「黄金の首吊り輪賞」、1999年3月号p.35、p.61では「金の投げ縄賞」という訳語が使われている。また、2008年11月号p.66では単に「オランダ推理作家協会賞」とされている。このページでは仮に黄金の首吊り輪賞という訳語を使用しておく。 オランダ推理作家協会は1997年より、年間最優秀新人にシャドー賞(De Schaduwprijs、公式サイト)を授与している。この賞の名前はハファンクの作品に登場するシャドーに由来する。オランダ推理作家協会が主催する賞にはほかに、GNM巨匠賞(De GNM Meesterprijs)がある。 オランダ推理作家協会(GNM)が1986年に創設されたのち、1991年にはベルギー北部のオランダ語使用地域(フランドル地方)でフランドル推理作家協会(Genootschap van Vlaamse Misdaadauteurs[略称 GVM])が創設されている。フランドル推理作家協会は2002年より、オランダ語で執筆された年間最優秀のミステリ作品にダイヤモンドの弾丸賞(Diamanten Kogel)を授与している。前述のボブ・メンデスは2004年、"Medeschuldig"でダイヤモンドの弾丸賞を受賞している。2004年以降、ダイヤモンドの弾丸賞の対象にはオランダの作家の作品も含まれるとされた。 フランドル地方の推理小説を対象とするミステリ賞としては、フランドル推理作家協会が主催するダイヤモンドの弾丸賞以外に、エルキュール・ポアロ賞(Hercule Poirotprijs)というのもある。 関連リンクオランダの推理作家一覧 - オランダ語版Wikipedia フランドル地方の推理作家一覧 - オランダ語版Wikipedia 邦訳されたオランダの推理小説/ミステリ (日本のamazon内に作成したリスト) 関連記事 江戸川乱歩と交流のあった海外ミステリ作家の紹介オランダのロバート・ファン・ヒューリック、W・G・キエルドルフ(当ページ) ソ連のロマン・キム 韓国の金来成(キム・ネソン) ミステリ略史オランダ(当ページ) ソ連/ロシア スペイン・ポルトガル・中南米 イタリア チェコ推理小説略史 インド推理小説探求・受容史
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/72.html
■■韓国で2008年に刊行された韓国オリジナルミステリ27タイトル全紹介(3)■■ 歴史ミステリ編 2010年4月8日 ■過去を舞台にして、架空の事件を扱うもの 『朝鮮科学捜査隊 別巡検』イ・スグァン(李秀光)、2008年8月 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8996047813 舞台は19世紀末。テレビドラマのシナリオを元にした本。韓国版CSIとして人気を博したドラマだとか。 『王の密使 日本幕府潜入事件』ホ・スジョン、2008年7月 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=899164340X 江戸時代。朝鮮通信使が京都に到着した晩、将軍直属の武士が首を切られて死んだ状態で発見される。朝鮮通信使は、幕府の権力争いに巻き込まれる…。 『モーツァルト殺人』キム・ジヨン、2008年6月 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=899307402X ■史実の謎を探るタイプのミステリー 韓国の歴史上の暗殺事件など、実際にあった事件をもとにしたミステリー。 『広開土太王碑 太王の恋人 ヨファの秘密文書』ジョン・ヒョヌン、2008年7月 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8954418589 舞台は現代+高句麗の時代の謎。 『私は告白する 鄭道伝暗殺ミステリー』イ・ジェウン、2008年1月 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8959132802 鄭道伝(チョン・ドジョン)1342年~1398年。 『訓民正音の秘密 世子嬪奉氏殺人事件』キム・ダウン、2008年10月 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8984988936 ハングルを制定した際の文書「訓民正音」。 『外奎章閣図書の秘密』1、2巻 チョ・ワンソン、2008年6月 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8960780375 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8960780383 奎章閣(けいしょうかく)は図書館。 ■東洲斎写楽関連 『色 写楽』キム・ジェフィ、2008年6月 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8989456029 『写楽 金弘道の秘密』ペク・クンナム、2008年9月 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8985411071 (ちなみに、2008年8月には高橋克彦『写楽殺人事件』の韓国語訳も刊行されている。) http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8992524153 韓国の歴史ミステリでは、イ・ジョンミョン『風の絵師』全2巻(早川書房、2009年)が邦訳されている。 古代朝鮮半島を描いたドラマがヒットして、日本にもファンがいるみたいですから、こういうのが訳されれば一定の需要はあるかもしれません。ただ、日本ミステリ・欧米ミステリなどを普段読んでるミステリ読者がこういう作品を読みたいかというと、そうでもなさそうな気がします(個人的には、この辺りの分野にはあまり興味がない)。 残り3。 ラストは国際サスペンス編。 韓国ミステリ紹介 目次へ
https://w.atwiki.jp/nintendods-adventure/pages/15.html
推理・ミステリー系アドベンチャーゲーム発売一覧 発売済 発売予定 発売済 発売日 タイトル ジャンル 価格(税込) 備考 2005.02.24 アナザーコード 2つの記憶 推理・ミステリー 探索・脱出 5040 2005.03.24 探偵・癸生川凌介事件譚 仮面幻影殺人事件 推理・ミステリー 5040 2005.09.15 逆転裁判 蘇る逆転 推理・ミステリー 5040 2006.04.13 おさわり探偵 小沢里奈 推理・ミステリー 5040 2006.05.25 SIMPLE DSシリーズ Vol.8 THE 鑑識官~緊急出動!事件現場をタッチせよ~ 推理・ミステリー 2800 2006.06.15 逆転裁判 蘇る逆転 Best Price! 推理・ミステリー 3129 2006.07.13 プロジェクトハッカー~覚醒~ 推理・ミステリー 4800 2006.10.26 逆転裁判2 Best Price! 推理・ミステリー 3129 2007.01.25 ウィッシュルーム 天使の記憶 推理・ミステリー 探索・脱出 4800 2007.02.15 DEATH NOTE キラゲーム 推理・ミステリー 5229 2007.04.05 名探偵コナン 探偵力トレーナー その他 推理・ミステリー 5040 脳トレ 2007.04.12 逆転裁判4 推理・ミステリー 5040 2007.05.01 おさわり探偵 小沢里奈ぐっどぷらいす 推理・ミステリー 2415 廉価版 2007.05.24 おさわり探偵 小沢里奈 シーズン22/1 里奈は見た!いや、見てない。」 推理・ミステリー 5040 2007.05.31 SIMPLE DSシリーズ Vol.15 THE 鑑識官2~新たなる8つの事件をタッチせよ~ 推理・ミステリー 2800 2007.07.12 DEATH NOTE Lを継ぐ者 推理・ミステリー 5229 2007.07.19 探偵 神宮寺三郎DS いにしえの記憶 推理・ミステリー 3990 2007.08.23 逆転裁判3 Best Price! 推理・ミステリー 3129 2007.09.27 地獄少女朱蘰 推理・ミステリー伝奇・ホラー 5040 2007.10.11 DS西村京太郎サスペンス 新探偵シリーズ『京都・熱海・絶海の孤島 殺意の罠』 推理・ミステリー その他 3990 2007.10.11 大人のDSミステリー いづみ事件ファイル 推理・ミステリー その他 5040 2007.10.25 SIMPLE DSシリーズ vol.25 THE 交渉人 一滴の血も流さずに事件を解決せよ!」 推理・ミステリー 2800 2007.10.25 探偵・癸生川凌介事件譚 仮面幻影殺人事件Genki the Best 推理・ミステリー 2940 廉価版 2007.11.29 SIMPLE DSシリーズ Vol.27 THE 密室からの脱出~THE 推理番外編~ 探索・脱出 推理・ミステリー 2800 2007.12.20 サバイバルキッズ 小さな島と大きな秘密!? (学校・社会)生活 探索・脱出 推理・ミステリー 5229 2008.02.07 「L the ProLogue to DEATH NOTE 螺旋の罠(トラップ) 推理・ミステリー 探索・脱出 5229 2008.02.21 刑事J・Bハロルドの事件簿~殺人倶楽部~ 推理・ミステリー 3990 2008.02.28 赤川次郎ミステリー 夜想曲-本に招かれた殺人- 推理・ミステリー 伝奇・ホラー 恋愛(♂♀向け)]] 3990 2008.02.28 DS電撃文庫ADV バッカーノ! 推理・ミステリー 伝奇・ホラー 5040 2008.03.06 花と太陽と雨と -終わらない楽園- 推理・ミステリー 探索・脱出 3990 2008.03.19 タイムホロウ TIME HOLLOW 奪われた過去を求めて 推理・ミステリー 5229 2008.04.03 名探偵コナン 消えた博士とまちがいさがしの塔 その他 推理・ミステリー 5040 間違い探し 2008.04.17 逆転裁判蘇る逆転(NEW Best Price!2000) 推理・ミステリー 2100 廉価版 2008.04.17 逆転裁判2(NEW Best Price!2000) 推理・ミステリー 2100 廉価版 2008.04.24 探偵 神宮寺三郎DS きえないこころ 推理・ミステリー 3990 2008.04.24 DS湯けむりサスペンスシリーズ フリーライター橘真希『洞爺湖・七つの湯・奥湯の郷』取材手帳 推理・ミステリー 3990 2008.04.24 逆転裁判3(NEW Best Price!2000) 推理・ミステリー 2100 廉価版 2008.04.24 逆転裁判4(NEW Best Price!2000) 推理・ミステリー 2100 廉価版 2008.04.24 Days of Memories2-デイズ オブ メモリーズ2- 恋愛(♂向け)推理・ミステリー伝奇・ホラー 5040 2008.06.05 DS山村美紗サスペンス 舞妓小菊・記者キャサリン・葬儀屋石原明子 古都に舞う花三輪 京都殺人事件ファイル 推理・ミステリー 3990 2008.06.12 魔人探偵脳噛ネウロ ネウロと弥子の美食三昧推理つき グルメ&ミステリー 推理・ミステリー 伝奇・ホラー 5040 2008.06.26 ひぐらしのなく頃に絆 第一巻祟(たたり) 推理・ミステリー 伝奇・ホラー 3990 2008.07.03 リクとヨハン~消えた2枚の絵~ その他 推理・ミステリー 4800 2008.07.10 SIMPLE DSシリーズvol.42THE廃屋病棟~呪われた病院からの脱出~ 伝奇・ホラー 探索・脱出 推理・ミステリー 2800 2008.08.21 シグマハーモニクス 推理・ミステリー 5490 RPG 2008.09.11 テレジア theresia -Dear Emile- 探索・脱出 伝奇・ホラー 推理・ミステリー 5040 2008.09.18 落シ刑事 ~刑事さん、私がやりました~ 推理・ミステリー 3990 2008.10.23 ガリレオ 推理・ミステリー 3990 2008.11.13 いかもの探偵-ikatan- 推理・ミステリー 5040 2008.11.13 赤川次郎ミステリー月の光-沈める鐘の殺人- 推理・ミステリー 3990 2008.11.13 DS西村京太郎サスペンス2 新探偵シリーズ 『金沢・函館・極寒の峡谷 復讐の影』 推理・ミステリー 3990 2008.11.27 ひぐらしのなく頃に絆 第二巻想(そう) 推理・ミステリー 伝奇・ホラー 3990 2008.11.27 SIMPLE DSシリーズ Vol.45 THE 密室からの脱出2 探索・脱出 推理・ミステリー 2800 2008.11.27 刑事J・Bハロルドの事件簿~マンハッタン・レクイエム&キス・オブ・マーダー~ 推理・ミステリー 4400 2008.11.27 レイトン教授と最後の時間旅行 その他 推理・ミステリー 5040 2008.12.18 江戸川乱歩の怪人二十面相DS 推理・ミステリー 伝奇・ホラー 5040 2008.12.18 藤堂龍之介探偵日記 琥珀色の遺言 ~西洋骨牌連続殺人事件~ 推理・ミステリー 3990 2008.12.18 おさわり探偵 小沢里奈 シーズン2 1/2 里奈は見た!いや、見てない。(ぐっどぷらいす) 推理・ミステリー 2625 廉価版 2008.12.25 チーム・バチスタの栄光 真実を紡ぐ4つのカルテ 推理・ミステリー 5040 発売予定 発売日確定ゲーム 発売日 タイトル ジャンル 価格(税込) 備考 2009.01.22 犬神家の一族 推理・ミステリー 伝奇・ホラー 5040 2009.02.05 名探偵コナン&金田一少年の事件簿 めぐりあう2人の名探偵 推理・ミステリー 5040 2009.02.12 探偵 神宮寺三郎DS 伏せられた真実 推理・ミステリー 3990 2009.02.19 DS内田康夫ミステリー 名探偵・浅見光彦シリーズ 副都心連続殺人事件 推理・ミステリー 4179 2009.02.26 超名作推理アドベンチャーDS レイモンド・チャンドラー原作 さらば愛しき女よ 推理・ミステリー 5229 2009.03.05 SIMPLE DSシリーズ Vol.47THE 推理 -新章 2009- 推理・ミステリー 2800 2009.03.05 相棒 DS 推理・ミステリー 4980 2009.03.26 ゴルゴ13 ファイルG13を追え 推理・ミステリー 5229 2009.03.26 ケータイ捜査官7 DS バディシークェンス 推理・ミステリー 5040 2009.04.23 ラストバレット 推理・ミステリー 戦闘・冒険 5040 狙撃 2009.05.28 逆転検事 推理・ミステリー 5040 発売日未定ゲーム 発売日 タイトル ジャンル 価格(税込) 備考 2009.02月 東京トワイライトバスターズ~禁断の生贄帝都地獄変 推理・ミステリー 伝奇・ホラー 5040 2009年春 Another Time Another Leaf 鏡の中の探偵 推理・ミステリー 5040 2009年春 AGAIN FBI超心理捜査官 推理・ミステリー 2009年春 八つ墓村 推理・ミステリー 伝奇・ホラー 5040 2009年内 スローンとマクヘールの謎の物語 推理・ミステリー 新発想ストーリーパズル 未定 ひぐらしのなく頃に絆 第三巻螺(らせん) 推理・ミステリー 伝奇・ホラー 未定 ひぐらしのなく頃に絆 第四巻絆(きずな) 推理・ミステリー 伝奇・ホラー 未定 ツキビト 推理・ミステリー 未定 逆転裁判5 推理・ミステリー 未定 シルバー事件 未定 シルバー事件25区 発売未定ゲーム 備考 タイトル ジャンル 価格(税込) 備考2 現状海外のみ MYST 探索・脱出 推理・ミステリー 現状海外のみ Unsolved Crimes 推理・ミステリー 現状海外のみ Mystery Case Files MillionHeir 推理・ミステリー
https://w.atwiki.jp/library801/pages/62.html
[あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ] [作者不明] あ行 あ行の更新日:2008-12-20 赤江 瀑 「獣林寺妖変」(『ニンジンスキーの手』所収)「オイディプスの刃」 赤川 次郎 「ひまつぶしの殺人」《三毛猫ホームズシリーズ》 芥川 龍之介 浅田 次郎 「輪違屋糸里」 我孫 子武丸 「腐蝕の街」「屍蝋の街」「三人のゴーストハンター」「まほろ市の殺人 夏―夏に散る花」 綾辻 行人 「黄昏の囁き」「暗闇の囁き」「十角館の殺人」「黒猫館の殺人」「本格ミステリー館にて」《館シリーズ》「Nightmare Project YAKATA」(綾辻行人監修ゲーム) 鮎川 哲也 《三番館シリーズ》 有栖川 有栖 「マジックミラー」「蝶々がはばたく」「幻想運河」「暗い宿」「絶叫城殺人事件」「海のある奈良に死す」「『ABC』殺人事件」「マレー鉄道の謎」「46番目の密室」「まほろ市の殺人 冬―蜃気楼に手を振る」《火村&アリス(国名)シリーズ》《学生シリーズ》 泡坂 妻夫 「赤島砂上」《亜愛一郎シリーズ》 伊坂 幸太郎 「重力ピエロ」「アヒルと鴨のコインロッカー」 いしい ひさいち 石田 衣良 「池袋ウエストゲートパーク 」 稲垣 足穂 乾 くるみ 「Jの神話」 犬丸 りん 「おじゃる丸」(漫画・アニメ) 岩崎 正吾 「探偵の冬あるいはシャーロック・ホームズの絶望」 Van Dine,S.S. S・S・ヴァン・ダイン 「僧正殺人事件」「カナリア殺人事件」 Winslow,Don ドン・ウィンズロウ 「ストリート・キッズ」「カリフォルニアの炎」 歌野昌午 「死体を買う男」 内田康夫 《浅見光彦シリーズ》 浦賀 和宏 「時の鳥籠」 江戸川 乱歩 「孤島の鬼」「乱歩打明け話」《明智小五郎(少年探偵団)シリーズ》 Ellroy,James ジェイムズ・エルロイ 「血まみれの月」「LAコンフィデンシャル」「キラー・オン・ザ・ロード」「アメリカン・タブロイド」《ロイド・ホプキンズ シリーズ》《LAシリーズ》 逢坂 剛 「百舌の叫ぶ夜」 大倉 崇裕 「無法地帯」 大沢 在昌 《アルバイト探偵シリーズ》《佐久間公シリーズ》 太田 忠司 「Jの少女たち」《狩野俊介シリーズ》《霞田志郎シリーズ》 岡田 鯱彦 『岡田鯱彦名作選 噴火口上の殺人』 小川 勝己 「彼岸の奴隷」 小野 不由美 「屍鬼」 か行 か行の更新日:2008-12-20 笠井潔 「オイディプス症候群」「哲学者の密室」「サマー・アポカリプス」「群衆の悪魔」《矢吹駆シリーズ》 風間一輝 霞 流一 「スイカの脅迫状」(『ミステリーアンソロジー 誘拐』所収)「ウサギの乱」 カプコン 「逆転裁判」(ゲーム) 北方 謙三 《ブラディ・ドールシリーズ》《約束の街シリーズ》 北川 歩実 「僕を殺した女」「お喋り鳥の呪縛」 北森 鴻 「旅人の真実」(『桜宵』所収) 木下 さくら 「魔探偵ロキ」(漫画) 木原 敏江 「摩利と新吾」(漫画) 京極 夏彦 「姑獲女の夏」「鉄鼠の檻」「陰摩羅鬼の瑕」「薔薇十字探偵の慨然」《京極堂シリーズ》 霧舎 巧 《あかずの扉研究会シリーズ》 Queen,Ellery エラリー・クイーン 《国名シリーズ》 Cook,Thomas H. トマス・H・クック 「闇をつかむ男」 倉阪 鬼一郎 倉知 淳 「まほろ市の殺人 春―無節操な死人」「星降り山荘の殺人」「壺中の天国」《猫丸先輩の事件簿シリーズ》 Christie,Agatha アガサ・クリスティー 「ヒッコリー・ロードの殺人」「そして誰もいなくなった」《名探偵ポワロシリーズ》 栗本 薫 「魔界水滸伝」 Crais,Robert ロバート・クレイス 《探偵エルヴィス・コールシリーズ》 黒川 博行 「疫病神」「国境」「二度のお別れ」「雨に殺せば」「八号古墳に消えて」「暗礁」「蒼煌」 黒崎 緑 《しゃべくり探偵シリーズ》 古 龍 「多情剣客無情剣」 古泉 迦十 「火蛾」 幸田 真音 「eの悲劇―IT革命の光と影」 Coben,Harlan ハーラン・コーベン 「カムバック・ヒーロー」「Darkest Fear」(洋書)「Gone for Good」(洋書)《マイロン・ボライターシリーズ》 五條 瑛 「スノウ・グッピー」「バラの行方」「断鎖 Escape」「3way waltz」《仲上所長シリーズ》《鉱物シリーズ》 古処 誠二 「UNKNOWN」「未完成」「少年たちの密室」 Connolly,John ジョン・コナリー 「死せるものすべてに」 Connelly,Michael マイクル・コナリー 「ザ・ポエット」 小林 泰三 近藤 史恵 「ガーデン」《歌舞伎シリーズ》 今野 敏 《東京ベイエリア分署 安積警部補シリーズ》《STシリーズ》 さ行 さ行の更新日:2009-06-20 坂木 司 「青空の卵」 佐久間 智代 「Lovely Style3」(漫画) 佐々木 譲 「愚か者の盟約」 佐々木 倫子 「動物のお医者さん」(漫画) 佐藤 友哉 「クリスマス・テロル」 佐野 洋 「偽りの肌」「指の時代」 篠田 真由美 「翡翠の城」「原罪の庭」「未明の家」「センティメンタル・ブルー」《建築探偵シリーズ》 柴田 よしき 「聖なる黒夜」「消える密室の殺人―猫探偵正太郎上京」「月神の浅き夢」《村上緑子(RIKO)シリーズ》 島田 荘司 「占星術殺人事件」「異邦の騎士」「竜臥亭事件」「御手洗潔のメロディ」「数字 錠」「水晶のピラミッド」「眩暈」「ロシア幽霊軍艦事件」「魔神の遊戯」「御手洗潔のダンス」「最後のディナー」「伊根の龍神」「セント・ニコラスの、ダ イヤモンドの靴」「石岡和己攻略本」「ネジ式ザゼツキー」「疾走する死者」(『御手洗潔の挨拶』所収)「紫電改研究保存会」(『御手洗潔の挨拶』所収) 「糸ノコとジグザグ」(『毒を売る女』所収)「本格ミステリー館にて」「摩天楼の怪人」《御手洗潔シリーズ》 島田 荘司 (編集) 『21世紀本格―書下ろしアンソロジー』『御手洗パロディ・サイト事件』 清水 義範 「CM殺人事件~躁鬱探偵コンビの事件簿2~」「W殺人事件~躁鬱探偵コンビの事件簿6~」《躁鬱探偵コンビの事件簿シリーズ》 殊能 将之 「黒い仏」「美濃牛」「ハサミ男」「樒/榁」 George,Elizabeth エリザベス・ジョージ 《リンリー警部シリーズ》 城平 京 「スパイラル ~推理の絆~」《スパイラルシリーズ》 新城 カズマ 《浪漫探偵・朱月宵三郎シリーズ》 新堂 冬樹 「カリスマ」「ろくでなし」「無間地獄」 真保 裕一 「奪取」 図子 慧 鈴木 光司 「リング」 Stout,Rex レックス・スタウト 《ネロ・ウルフシリーズ》 清涼院 流水 「彩紋家事件」「秘密室ボン」《JDCシリーズ》 Sayers,Dorothy Leigh ドロシー・L・セイヤーズ 「雲なす証言」「因業じじいの遺言」(『顔のない男』所収)「ナイン・テイラーズ」「誰の死体?」《ピーター卿の事件簿シリーズ》 蘇部 健一 「六枚のとんかつ」「木乃伊男」 た行 た行の更新日:2008-12-20 高木 彬光 「わが一高時代の犯罪」《神津恭介シリーズ》 高階 良子 「ドクターGの島」(漫画)「真珠色の仮面」(漫画) 高里 椎奈 「銀の檻を溶かして」《薬屋探偵妖綺談シリーズ》 高田 崇史 「東照宮の怨」「試験に出ないパズル」《QEDシリーズ》《千葉千波の事件日記シリーズ》 高野 和明 「13階段」 高橋 克彦 「ゴッホ殺人事件」 高村 薫 「晴子情歌」「李歐」「わが手に拳銃を」「レディ・ジョーカー」「マークスの山」「照柿」 竹本 健治 「ウロボロスの偽書」「狂い壁狂い窓」「定本ゲーム殺人事件」「ウロボロスの基礎論」 日明 恩 「それでも、警官は微笑う」「鎮火報」 司 凍季 《一尺屋遙シリーズ》 柄刀 一 「サタンの僧院」「幽霊船が消えるまで」「殺意は砂糖の右側に」《天地龍之介シリーズ》 筒井 康隆 「ロートレック荘事件」 テレビ朝日 「TRICK」(テレビドラマ)「TRICK-劇場版2-」(映画) Doyle,Sir Arthur Conan アーサー・コナン・ドイル 《名探偵ホームズシリーズ》 Dostoevskii,Fedor Mikhailovich ドストエフスキー 「カラマーゾフの兄弟」 富永 太郎 な行 な行の更新日:2008-12-20 中井 英夫 「虚無への供物」「とらんぷ譚」 夏 緑 《続少年探偵彼方シリーズ》(漫画) 西風 隆介 《神の系譜シリーズ》 鳴海 章 《ゼロシリーズ》 西尾 維新 「クビツリハイスクール」「クビシメロマンチスト」 西澤 保彦 「依存」《匠千暁シリーズ》 西村 京太郎 「特急『白鳥』十四時間」《十津川警部補シリーズ》 貫井 徳郎 「鬼流殺生祭」「妖奇切断譜」「慟哭」《症候群シリーズ》 Norfolk,Lawrence ローレンス・ノーフォーク 「ジョン・ランプリエールの辞書」 乃南 アサ 「殺意・鬼哭」「涙」 法月 綸太郎 「法月綸太郎の功績」《法月綸太郎シリーズ》 は行 は行の更新日:2008-12-20 萩原 朔太郎 橋本 治 『蓮と刀』 馳 星周 「不夜城」「鎮魂歌」「虚の王」「雪月夜」「ダーク・ムーン」「夜光虫」 畠中 恵 「しゃばけ」 服部 まゆみ 「この闇と光」 花村 萬月 「猫の息子」《王国物語シリーズ》 はやみね かおる 《名探偵夢水清四郎事件ノートシリーズ》 原 りょう 《私立探偵沢崎シリーズ》 Peters,Ellis エリス・ピーターズ 「聖女の遺骨求む」「修道士の頭巾」「ハルイン修道士の告白」「死を呼ぶ婚礼」「氷のなかの処女」「憎しみの巡礼」《修道士カドフェルシリーズ》 東川 篤哉 「学ばない探偵たちの学園」 東野 圭吾 「鳥人計画」「密室宣言」「探偵ガリレオ」 東山 彰良 「ワイルド・サイドを歩け」 氷川 透 「人魚とミノタウロス」 樋口 明雄 「狼は瞑らない」 平岩 弓枝 「犬のいる窓」 Hill, Reginald レジナルド・ヒル 《ダルジール&パスコーシリーズ》 Hildick, Edmund Wallace エドモンド・ウォラス・ヒルディック 《マガーク少年探偵団リーズ》 Ferrars,Elizabeth エリザベス・フェラーズ 《トビー&ジョージシリーズ》 福井 晴敏 「亡国のイージス」「終戦のローレライ」「川の深さは」 藤木 稟 「上海幻夜 七色の万華鏡篇」《朱雀十五シリーズ》 椹野 道流 《鬼籍通覧(法医学教室奇談)シリーズ》 藤原 伊織 「テロリストのパラソル」「ひまわりの祝祭」 Francis,Dick ディック・フランシス 「混戦」《競馬シリーズ》 Proust, Marcel マルセル・プルースト 「失われた時を求めて」 Hall,Parnell パーネル・ホール 「絞殺魔に会いたい」「脚本家はしんどい」《スタンリー・ヘイスティングズシリーズ》 Poe,Edgar Allan エドガー・アラン・ポー 「モルグ街の殺人事件」 ま行 ま行の更新日:2008-12-20 Martin,David Lozell デイヴィッド・マーティン 「死にいたる愛」 舞城 王太郎 「煙か土か食い物」「暗闇の中で子供」「熊の場所」「鼻クソご飯」「世界は密室でできている」「九十九十九」《奈津川家シリーズ》 牧野 修 「三人のゴーストハンター」 松岡 弘一 「鳥肌」 松浪 和夫 麻耶 雄嵩 「痾」「あいにくの雨で」「交換殺人」(『21世紀本格』収録)「まほろ市の殺人 秋―闇雲A子と憂鬱刑事」「木製の王子」《メルカトル鮎の事件簿シリーズ》《名探偵木更津悠也シリーズ》 三津田 信三 「ホラー作家の棲む家」「作者不詳 ミステリ作家の読む本」「蛇棺葬」 宮部 みゆき 「今夜は眠れない」「夢にも思わない」「魔術はささやく」《緒方雅男&島崎俊彦シリーズ》 紫式部 「源氏物語」 森 博嗣 「女王の百年密室」《犀川&萌絵シリーズ》《Vシリーズ》《女王シリーズ》 森 雅裕 「モーツァルトは子守唄を歌わない」 や行 や行の更新日:2008-12-20 山村 美紗 「マラッカの海に消えた」 ゆうき まさみ 「機動警察パトレイバー」(漫画) 夢野 久作 「ドグラ・マグラ」「少女地獄」 横溝 正史 「悪魔が来りて笛を吹く」「金田一耕助の冒険」(映画)「犬神家の一族」《金田一耕助の事件簿シリーズ》 横山 秀夫 「第三の時効」「影踏み」《D県警シリーズ》 吉村 達也 《志垣警部+和久井刑事シリーズ》 ら行 ら行の更新日:2008-12-20 わ行 わ行の更新日:2008-12-20 作者不明 作者不明の更新日:2008-12-20 「文藝別冊 江戸川乱歩―誰もが憧れた少年探偵団」 ▲PAGETOP 今日: - 昨日: - 合計: -