約 4,126,527 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4502.html
私ことルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが、幾多の『サモン・サーヴァント』の魔法の失敗の末に召喚したのは、一本の大樹であった。 大人が数人がかりで手を繋がなければ抱えられない程に太い幹。上を見上げれば、天を覆い隠す天蓋の様に枝が伸び、葉が覆い茂っている。 幹の近くに立つ者に圧倒的な存在感を与えるが、不思議と威圧感の様なものは感じさせず、母の腕に抱かれるかの様な安心感を与えてくれる。 普段から私を『ゼロ』など呼び称し小馬鹿にしていた人たちも、目の前に現れた圧倒的な存在感に認識が追い付かずに唖然としていた。 「…はは、ただの木、…じゃないか。お、驚かせやがって」 誰かがそんな言葉を吐くが、今はあまり気にならない。ふふん、あんたの足元にいる小動物に比べれば、たとえ動物じゃなくても私の召喚した“これ”の方が断然凄いじゃない。 「ミ、ミス・ヴァリエール…。『サモン・サーヴァント』は成功のようですね…。あとは、『コントラクト・サーヴァント』を…」 私の隣へとやって来た頭の天辺が大分寂しい事になっている教師、ミスタ・コルベールが、心の動揺を抑えつつも、私に次の行動を促す。 無論私は『コントラクト・サーヴァント』をすべく大樹へと近づく。出来れば動物であった方が良かったとは思ったが、“これ”はどちらかといえば『当たり』の部類であろう。 そう自分を納得させて、私は大樹の根元へと歩を進めた。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 そうスペルを唱えつつ、私は大樹の根元より幹を見上げたその時…。 「え…?!」 今、大樹に埋(うず)まるかの様に、女の子の姿が…。 ……え? あれ? あ…、ああ、『コントラクト・サーヴァント』の途中だったわね。 早く『契約』しなきゃ。 私は急かされるかのように唇を幹へと押しつけ、大樹を『使い魔』とした。 これが自分の人生を大きく変えてしまうものだとは、この時は知るよしもなかった。 ◆◆◆◆◆◆◆ 「ん…」 私は睡眠状態から意識を覚醒させていく。 意識は浮上へと向かっていくが、体の方はとある理由でちょっとした疲労感を感じていた。 あの大樹を『使い魔』として以降、どうにも夢見が悪い。 夢の中で何かと酷い目に遭うのである。 怪我とはいい方で、最終的に死亡する事も多々ある。 その他、女性として酷い目に遭う事もある。 夢というのは大抵曖昧なものが多いものだが、私が見るようになった夢は、まるで誰かの経験を追体験しているかのように現実感があるのである。 今までで一番に酷いのを挙げるとすると。 ある時、私は家族をエルフに攫われてしまう。攫われたのは母であり、しかもその母はだいぶ以前より毒薬によって心を壊されていた。 私は母を取り戻すべく単身エルフに挑むが、敵うはずもなく敗れ去り、自分自身も囚われの身となってしまう。 そして、私も母と同じ毒薬を飲まされ…。 …そこまで回想し、私は止めた。あまりに鮮明に過ぎるあの夢を思い出したら、狂ってしまう気がしたからだ。 ちなみに今日見た夢の内容はというと……。 下着を替えないとね…、と思案し、私は顔が熱くなるのを感じた。 朝食の時に聞いた話なのだが、隣国ガリアにて、内乱とも呼べるような政変があったらしい。 主格であるガリアの王女とその従姉妹によって、王都および王宮は非常に短時間に制圧され、拘束された国王は退位させれた後に幽閉されたとの事だ。 聞く話によると、王女とその従姉妹は非常に険悪な仲であったらしい。 その従姉妹の実家は、両親を国王によって破滅させられたらしいとの噂があるので、頷ける話である。 しかし、紆余曲折はあったが二人は和解。王女は自分に愛情を向ける事の無かった父を倒すべく、従姉妹は両親の仇である伯父を倒すべく行動した。 内乱ともいえる政変は成功裏に終わり、王女は女王に即位し、その従姉妹は若くして宰相の座に就いたとの話だ。 そうそう、聞く話によると、宰相の座に就いたその者は、なんとこの『トリステイン魔法学院』の出身であるらしい。 確か二つ名は、『雪風』と呼ばれていたとの事だ。 ん? あれ? 『雪風』って、何処かで聞いたような…。 えっと、確か…、『雪風』のタバ…。 「おはよー、ルイズー!」 と、私が思案していると、背後から抱き付きつつ底抜けに明るい声で挨拶され、思考は中断された。 「おはよう、シャル。今日も元気ね」 私は“いつも変わらない調子の”その級友に挨拶をする。 彼女の名前はシャルロット。愛称はシャル。使い魔召喚の儀式のあった日以降に、何となく親しくなった。 私と似た様な桃色の髪を腰まで伸ばしており、印象としては元気な雰囲気であるが、どこにでもいそうな女の子である。 「どうしたの? 何か考え事でもしてたの?」 「ん? いや、特に何でもないわ」 私はそう答える。 そういえばシャルって、私が考え事をしている時に良く声を掛けて来るような…。 ん、あれ? 私、さっき大事な事を考えていたような…。 ん~、まあ、簡単に忘れたって事は、そんなに大事じゃないかな。 「ルイズー、もたもたしてると、授業に遅れちゃうよー!」 「うん、わかったわ」 少し先に歩くシャルを追い、私は教室にへと向かった。 ◆◆◆◆◆◆◆ 『トリステイン魔法学院』は『トリステイン学園』と名称を変更した。 何故かというと、魔法以外の専門学科も教えるようになってきたからである。 『トリステイン魔法学院』の頃の校舎を中央校舎とし、周囲にはそれぞれの学科の校舎が広がっている。 これまで通り魔法学を教える魔法学校舎。軍事関連の人材を育成する兵学校舎。商業や工業に携わる者を輩出する産業校舎などが立ち並んでいる。 その他、商店街、工場、病院、練兵場、美術館、闘技場、植物園、要塞、大牢獄、謎の遺跡、不思議空間、ダンジョン入口などがある。 後半に学業には関係無さそうなのが混じっているが、有るものは有るんだから余計な事は気にしない方向で。 で、現在の体制にになって一番変わった事は、貴族以外でも入学できるようになった事であろう。 入学金と授業料を支払えれば、平民でも貴族と机を並べて授業を受けられるのである。 もっとも、貴族の特権意識の表れか、貴族館だなんて施設が有ったりもする。 入学金と授業料は平民でも何とか払える様な金額であり、学園に奉仕する事で支払いの代わりにしたり、学園内で働きながら支払う事が出来るので、生徒の数は一気に増えた。 ところで、これ以上は受け入れ無理って思っていると、いつの間にか施設が拡張してたりするからフシギー。 先ほど、政治学の授業で隣国ゲルマニアの話が出てきた。 ゲルマニアの皇帝が崩御した際、後継者問題で大いに荒れたらしい。皇帝自身がハッキリと後継者を指名しなかったのが問題であったとか。 そして、群雄割拠の内戦へと突入されるかと思われていたが、事態は急速に収まった。 女皇帝の即位によって。 皇帝の座に即位した女性は、元々は地方領主であった。 後継者問題で荒れる国内で、彼女は手元に有用な人材を掻き集め、機を見て一気に皇帝にまで上り詰めたとの事だ。 ちなみに彼女が集めた人材とは、その多くがこの『トリステイン学園』の出身であるとの事だ。 あと、その女皇帝も同じ出身であるらしい。 確か、二つ名は『微熱』とかいったっけ…。 ん? あれ? 『微熱』って、何処かで聞いたような…。 えっと、確か…、『微熱』のキュ… 「ルイズー、ごはん食べに行こー」 と、私が思案していると、シャルが背後から抱きつきつつ底抜けに明るい声を掛けてきた。 「ああ、シャルじゃない。さっきの授業で寝てたくせに、お腹は減るのね」 私は先ほどの授業を思い出し、溜め息をつく。 「減るのは減るんだから仕方が無いじゃない。んー、何か難しい顔してたけど、何か悩み事?」 「ん? いや、別に何も…」 んー、何か大事な事を忘れてる様な… まあ、大事な事なら、その内にでも思い出すでしょ。 「ま、とりあえず…。今日こそ学生食堂の幻のクックベリーパイをゲットするわよッ!」 「おおーッ!!」 そう声を上げ、私とシャルは駆け出した。 ◆◆◆◆◆◆◆ 「…イズ、ルイズ、起きないと午後の授業に遅れちゃうよ」 私は声を掛けられて意識を覚醒させていく。 ああ、そういえば昼食後に私の『使い魔』である大樹に寄り掛かって休んでいたっけ。そして、そのまま寝ちゃったのね。 「ん、おはよ」 私はそう言いながら、目の前にいる『トリステイン学園』の制服を着た“エルフの少女”に挨拶をした。 「起きたね? じゃあ、遅れないようにしなさいよー」 そう言うと、エルフの少女は校舎へと歩き出し、私は長い耳を揺らしながら歩いて行くエルフの少女を見送った。 現在、人と先住種族は融和の時代を迎えていた。 その一環として『トリステイン学園』はエルフのみならず、翼人や獣人の生徒が多く在籍している。 しかも、『聖地』にあった『門』が研究されると、異世界に繋がってしまい、最近では『天界』、『魔界』、『地球』などからも交流の一環として生徒を受け入れている。 学園の憩いの場となっている大樹の根元から辺りを見回すと、ありとあらゆる種族が見て取れた。 そうそう、自然とあらゆる種族を受け入れる形となった『トリステイン学院』は、中立性を確立する為に、トリステイン王国から都市国家として独立する事となった。 まあ、経済的にも独立採算が出来ていたし、ドラゴンともガチで正面から殴りあえる教師や生徒を戦力として擁していたし、遅かれ早かれこうなっていただろうと云われていたし、その機運も醸成されていた。 まあ、トリステイン王国も規模の大きくなり過ぎた学園を扱いかねていたし、丁度良かったのかもしれない。 近々には独立を記念したパーティーが開催される予定であり、トリステイン王国からも現国王が御列席されるという。 トリステイン王国の現国王は、王国の中興の祖とも謳われたウェールズ王とアンリエッタ王妃から見れば曾孫にあたる方で…。 方で……。 えーと、あれ? 何かおかしい様な…。 私はまだ『トリステイン学園』の在校生だよね? 何でアンリエッタ様に曾孫まで…。 「ルイズー、午後の授業に遅れるよー」 と、私が考え事をしていると、シャルが声を掛けてきた。 いつもと同じ様に。 そう、“いつもと同じ様に”だ。 何百、何千、何万と繰り返した、“いつもと同じ様に”だ。 「どしたの~、ルイズ?」 声を掛けてくるシャルの顔を、私は食い入る様に見つめた。 「ルイズ? 私、そういう趣味は無いよ?」 何を勘違いしたか知らないが、シャルは体をくねらせる。 「あ、ああああ、あ…、思いだしたわ」 もう、百年以上も前の記憶が鮮明に頭に浮かびあがった。 そうだ、今、私の背後に有る大樹と『コントラクト・サーヴァント』を行う時に、大樹に埋(うず)まるかの様に姿を見せたのは…。 シャルこと、私の目の前にいるシャルロットであったはずだ。 「あ~、もしかして…、気づいちゃった?」 シャルは、にゃはは、と笑いながらそんな事を言う。 「ええ…、シャルがこの大樹に宿る精霊である事。この『トリステイン学園』守護精霊であること。…そして」 私は一旦言葉を切る。 頭の中は、溢れ返る記憶が大氾濫を起こしている。 その乱流を乗りこなし、私は理性を何とか保つ。 「私が疑問を持つ度に、シャルが記憶の改竄を行っていたって事にね」 気が付くと、私の心は冷静になっており、不思議と激昂はしていない。 「あ~、やっぱり、そろそろ“いじる”のにも限界かぁ」 シャルは困った様な顔をしていた。 そんなシャルを見て、私はあまり怒りの様なものは感じていなかった。 シャルと『契約』した影響で、この身は半ば精霊化しており、老いとは無縁になっている。 シャルもそうなのだが、この学園が存続する限り不滅の存在になっている。 「ねえ、ルイズ?」 「な、何?」 シャルが私の目を覗き込んでくる。 「この学園は、“楽しい”かな?」 私は一番初めの記憶を思い出す。 シャルとの一番初めの記憶にして、一番初めに忘れてしまった記憶だ。 『ねえ、そこの貴方、“ここ”を楽しい場所にするのを手伝ってみない?』 そして私は、『契約』してくれるなら、と理解もせずに承諾したのだった。 私は色々と思いだす。 シャルがこの世界に存在し続ける為には、召喚者である私が必要であった。 その際に、私は精霊とほぼ同列の存在へと昇華したのだが、問題があった。 有限の時しか生きられない存在は、無限ともいえる悠久の時を過ごすと、心が摩耗して壊れてしまうのであった。 シャルが記憶を改竄し続けたのは、私を護る為であった訳である。 「ああ、うん、シャル。この学園は、凄く素敵で楽しいわ」 そう言うと、シャルは、顔をほころばせ笑顔になる。 「あのさ、ルイズ…。記憶の方はどうする? 少し無理すれば、まだ…」 「はい、そこまで。もう大丈夫よ。これからはシャルと同じ時を過ごし、同じ思い出を紡いでいけるわ」 私は右手を差し出す。 「だから、この『トリステイン学園』を世界一の…。いえ、あらゆる世界で一番の学園にしてやりましょッ!」 「うんッ! わかったわルイズ」 シャルは私の手をがっちりと握り返し、威勢良く答えた。 「んじゃ、改めてこれからもよろしくねシャル」 「はい、私からもよろしくお願いしますね」 私ことルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、16歳と千数百ヶ月。 『トリステイン学園』の一生徒にして、学園の守護精霊のマスターであり、裏の学園長をやってます。 『トリステインの森の中、始まります』 おわり。 戻る
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2778.html
むかしむかしのお話です。 日本には「だいだらぼっち」という大きな大きな男が住んでいました。 甲州の土を集めて山を作ったのが富士山で、そのため甲州は盆地になったとか、 ある時びっくりして涙を流したら浜名湖になったとか、 羽黒山に腰掛けて、鬼怒川で足を洗ったなど、とにかく大きな巨人であったようなのです。 その上巨大なだけではなく、鉄を扱う方法を人々に教えてあげたり、 日本という国の形を今のようにしたりと、とても賢くて強かったと言います。 なにより、だいだらぼっちは子供達と仲の良い、優しくて気のいい男なのでした。 けれど、いつの頃からかだいだらぼっちの姿はこの国から消えてしまいました。 いったい、何処に行ってしまったんでしょうね? <トリステインの踏鞴法師> ルイズが呼び出した使い魔は、とにかく大きな使い魔でした。 それは「天を突くほど」というのが比喩では無い程の巨大な黒い男。 右手を伸ばせばゲルマニア領まで届き、一歩二歩と踏み出せば火竜山脈に到着する。 契約するためにタバサの竜に乗せてもらって、半日飛び続けてやっと頭までたどり着く。 立っているだけで日が翳り、脚にぶつかった雲が雨を降らせるので、時々移動しないと農作物に被害が出てしまってルイズも困る。 そんな、大山脈も膝丈までしか届かないような巨人だったのです。 けれどその大男は、見た目に反して賢くて優しい巨人でした。 巨人は目の前に飛んでいたちいさな竜と二人の女の子に向かって、自分の事を「だいだらぼっち」だとそっと名乗ります。 名乗った時に口から飛び出た突風に飛ばされたルイズ達を慌てて手の平でそっと掴んで、 おそるおそる地面に降ろす姿など、こっけいにすら見えたと言います。 その時女の子達が無事で良かったとおんおん泣いたせいで、トリステイン魔法学院の隣には大きな湖が出来たのでした。 だいだらぼっちは人の世界の仕組みもよく理解していて、 海でクジラをひょういと捕まえてメザシのようにバリバリ食べたり、火竜山脈の火竜をペロリとたいらげてしまう事はあっても、 人が飼っている牛や馬、騎士の竜やメイジの使い魔に手を出すような事は決してしなかったと言います。 そんなこんなで、だいだらぼっちと魔法学院の人々は仲良く暮らす事ができていたのでした。 そんなある日、幼馴染がすごく大きな使い魔を召喚したと聞いて、トリステインの王女さまが学校へやってきました。 アルビオン浮遊大陸にある、昔好きだった人に渡した恋文を貰ってきて欲しいと言うのです。 それを聞いていただいだらぼっちは、ひょういと平地を一跨ぎして、アルビオンを掴み取りました。 そのままぐいっと引っ張って、アルビオンを王女さまの所に持ってきます。 王女さまは突然現われた王子さまと再会を喜びわんわん泣きましたが、また別れないといけないと言います。 なんでもアルビオンにはレコンキスタという人達がいて、アルビオンを自分の物にするために王子さまを殺そうとしていると言うのです。 そこでだいだらぼっちはアルビオンの端と端を持って、ペキリと二つに折ってしまいました。 その片方を王子さま達が、もう片方をレコンキスタ達が取って、半分ずつにすれば良いと言うのです。 王子さま達はすっかり感心してしまいましたが、納まらないのはレコンキスタです。 アルビオンの半分どころか、世界の全部を欲しがっていたレコンキスタは、船団を組んでもう半分のアルビオンに攻めてきます。 大きな船が100隻、ちいさな船まで数えれば500隻という大軍です。 その着になればトリステインの端から端までをひと月で燃やしてしまえる大艦隊です。 しかし、だいだらぼっちは慌てず大きく息を吸い込み唇をすぼめて、ひゅうい!と思い切り息を吹きかけます。 途端にどんな台風よりも強くて恐ろしい風がまきおこり、大艦隊をそらの彼方に飛ばしてしまいました。 レコンキスタが居なくなったので平和になったアルビオンの人達は、だいだらぼっちにお礼をしたいと言いました。 そこで、だいだらぼっちは国中のお米を貰う事にします。 あつめたお米を、ラグドリアン湖から掬った水と一緒に火竜山脈の火山に入れて、だいだらぼっちはお米を炊きました。 炊き上がったご飯を丁寧に潰して、とてもたくさんの「のり」を造って、それを使って二つに割ったアルビオンをくっつけたのです。 アルビオンの人達はとても喜び、王子さまとトリステインの王女さまは、それを記念して結婚したそうです。 それからしばらく平和に暮らしていただいだらぼっちとルイズでしたが、ガリアという隣の国の王様がルイズを攫おうとしました。 しかもなんと、お母さんに酷い事をするぞとタバサを脅して、誘拐させようとしたのです。 子供が大好きなだいだらぼっちは、これには怒りました。 だいだらぼっちはひょういと一跨ぎでガリアの首都リュティスまで行くと、街を跨いで踏ん張ります。 そうして、大きな身体に見合った、大きな大きなウ○コをお城の上から落としたのです。 悪い王様は困ってしまって、やがてゴメンなさいもうしませんと泣き出しました。 おかげでタバサのお母さんは助けられたので、だいだらぼっちはウ○コを海に流したそうです。 そんなだいだらぼっちの活躍で、やっと平和がきたと思ったのですが、またまた問題が起こってしまいます。 サハラの砂漠に住むエルフという人達が、だいだらぼっちを攻撃しに来たのです。 でもだいだらぼっちは大きいし、なにより大地の化身であったので、エルフの魔法はちっとも効きませんでした。 それでも彼等はだいだらぼっちを虚無の使い魔と呼び、悪魔である虚無の担い手と使い魔をやっつけると息巻いています。 よくよく聞けば、サハラには悪魔の門というものがあって、そこから何か困った物が出てくると言っていました。 しかもその門は、だいだらぼっちやルイズが居ると開いてしまうかもしれないのでした。 そこでだいだらぼっちは、またもサハラをひょういと一跨ぎ。 シャイターンの門を引っこ抜いて、手の平でコネて潰してしまうと、ウ○コと同じように海へポイっと捨ててしまいました。 こうして今度こそ平和になったハルケギニアで、だいだらぼっちはずっと皆と仲良く暮らしたそうです。 ゼロのルイズと呼ばれていた女の子も、おおきな使い魔を召喚したちいさな魔法使いとして、 「ちびのルイズ」と呼ばれながら、だいだらぼっちと共に皆と仲良く暮らしましたとさ。 めでたしめでたし。
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/5660.html
autolink() ZM/WE13-10 カード名:トリステインの騎士 サイト カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:2 コスト:1 トリガー:1 ● パワー:2500 ソウル:1 特徴:《使い魔》?・《武器》? 【起】●助太刀3000 レベル2[① 手札のこのカードを控え室に置く](あなたはフロントアタックされている自分のキャラを1枚選び、そのターン中、パワーを+3000) ノーマル:テファに乱暴するなッ! パラレル:うるさい。爆発は、必ず阻止する! レアリティ:C illust. 普通の助太刀3000。 同作品には他にも3種類の助太刀3000があるがこのカードは《使い魔》?を持っており、 助太刀3000の中で唯一揺るぎない信頼 ルイズ、無意識の力 ルイズ、司令官 アンリエッタ等の能力の対象になっている。 そのため前述のカードを採用しているデッキであればこちらを使用すると良いだろう。 パラレル版はイラスト・フレーバー共に別。
https://w.atwiki.jp/pswhitediamond/pages/20.html
☆通常イベント ★好感度イベント ♪好感度アップ音 黒竜との戦いイベントの時にシールから『ホーリーアーマー』がもらえる。防御200魔法防御64の有能防具。 獅子の月 1日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン ※リステインの家にいるジャンかガルテンと話すと現れる 夜 〃 クレアの家 ☆リステインとクレア/「川魚のミートボール」♪ 2日 朝 城下町 いざない亭/酒場 昼 〃 病院/ロビー 夜 マイスフォレスト リステインの家 3日 朝昼 エメラルドリゾート 指輪亭/受付 夜 〃 〃/酒場 4・5日 朝昼 マイスフォレスト 墓地近く ☆巣から落ちた小鳥/選択肢「持って登ろうか」♪ →イベント終了後、ガーデンに移動 夜 〃 リステインの家 6日 夜 城下町 いざない亭/客室 7日 朝 マイスフォレスト ☆買い物/「持ってあげる」♪ 昼 〃 ガーデン 夜 〃 リステインの家 8日 朝昼 〃 ガーデン 夜 〃 リステインの家 9日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン 〃 ★好感度低い状態でガルテンと話すと【山の中の花畑】を教えてくれる 夜 〃 リステインの家 10日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン ★夢の話/「寝不足かい?」♪♪ 夜 〃 リステインの家 11日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン 夜 〃 リステインの家 12日 朝 城下町 病院/ロビー 昼 城 庭園 夜 マイスフォレスト リステインの家 13・14日 朝~夜 マイスフォレスト リステインの家 ★ユージアの花/「摘んできてあげる」→【カルディナ草原】に行ける 15日 朝 マイスフォレスト ガーデン 昼 エメラルドリゾート 指輪亭/受付 夜 〃 〃温泉→客室 16日 朝 マイスフォレスト ガーデン 昼 フェイル 劇場 夜 マイスフォレスト リステインの家 17日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン 夜 〃 リステインの家 18日 夜 マイスフォレスト リステインの家 19日 朝 マイスフォレスト 作業小屋 昼 城下町 カフェ 夜 マイスフォレスト リステインの家 20・21日 朝昼 フェイル 劇場前 ★黒竜と白竜「行く」♪♪ 20日/夜 〃 やどり木亭/客室 21日/夜 〃 劇場前 22日 夜 マイスフォレスト リステインの家 ★夢の話♪♪(23日まで) 23日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン 夜 〃 リステインの家 24日 朝 マイスフォレスト リステインの家 昼 〃 ガーデン 夜 〃 リステインの家 25日 朝 城下町 昼 城 庭園 夜 城下町 いざない亭 ★着替え/「うれしいな~」♪→「ノックしない」 26日 朝 マイスフォレスト リステインの家 昼 〃 ガーデン 27日 朝 マイスフォレスト ガーデン 昼 エメラルドリゾート 指輪亭/ロビー 夜 マイスフォレスト リステインの家 28日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン ★夢の話/「元気を出して」♪♪ 夜 マイスフォレスト リステインの家 乙女の月 1日 王国軍記念日 朝昼 城下町 カフェ前 ★リステインとルシオン♪(2日昼まで) 夜 城下町 いざない亭/客室 2日 朝昼 城下町 カフェ前 夜 マイスフォレスト リステインの家 3日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン 夜 〃 リステインの家 4日 朝昼 マイスフォレスト リステインの家 ★リステインとディック♪♪ 夜 〃 〃 5日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン 夜 〃 リステインの家 明日メルとブルーメン山の花畑に行くと言う 6~8日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン ★ガルテンと話すと【花畑の小道】に行けるようになる♪♪♪♪ 〃 リステインの家 イベント後に移動 夜 〃 〃 9日 朝昼 エメラルドリゾート 指輪亭/ロビー 夜 〃 リステインの家 10日 リステインの誕生日 朝~昼 マイスフォレスト リステインの家の前 ☆【リステインの誕生日】選択肢「行く」♪♪♪♪♪ 〃 リステインの家 イベント後に移動 夜 〃 〃 11日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン 夜 〃 リステインの家 12日 朝~夜 マイスフォレスト リステインの家 ★【リステインの夢の中】♪♪ 13・14日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン 夜 〃 リステインの家 15~17日 朝昼 マイスフォレスト ガルテンの家 ★ガルテンと話すと【山の中の花畑】に行けるようになる♪♪※1 夜 〃 リステインの家 18・19日 朝昼 マイスフォレスト リステインの家 ※1【山の中の花畑】に行けるようになる★♪※2 〃 〃 ガーデン 夜 〃 リステインの家 20日 朝昼 マイスフォレスト ガーデン 夜 〃 リステインの家 21日 ※2【山の中の花畑】★告白イベント 22~25日 朝~夜 マイスフォレスト リステインの家 ★【黒竜と戦う】ホーリーアーマーがもらえる
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6969.html
「ねぇ 先輩。」 「なんだ 亀公。」 「何か、何処かから『呼ばれてる』って気がしない?」 「奇遇だな。俺も さっきから・・・」 グォオオオオオオー 『な、何だぁ!』 その時 デンライナーは、召喚の鏡に突入した。 《トリステインの電王》 ああ、始祖ブリミル様。これは 何の罰なのですか?私がナニをしたと言うのでしょうか。 失敗すれば落第の 使い魔召喚の儀式。生まれて初めて成功した 魔法。なのに… (どうして こんなヘンなのばっかり 4匹も召喚しちゃったんだろう。) 初めに現れたのは、平屋の建物程の胴体を持つ 大蛇。(「列車」というモノらしい) その中から降りてきた、赤・青・黄色に紫の 4匹の鬼。(「イマジン」だそうだ) 私の知っている鬼(オーガ)みたいな筋肉オバケじゃないけど、角もあるし やっぱり怖い! そんな 可哀そうなオンナノコの気持ちを全く無視して(13回も失敗して 時間を浪費した私も悪いと思うけど)、コルベール先生は至って事務的に言う。 「さあ 早く『契約の儀式』を済ませてください。」 すると、 「「「契約~ぅ?」」」 何故か 鬼達の方が驚いていた。顔を寄せ合って 何かヒソヒソと話し合っている。 U「ねぇ先輩、ボク達の契約って、」 M「ああ 良太郎の件で もう終わってるはずだよな?」 R「ね~ね~、ボクは?」 K「お前もカイの奴との最後の決戦で 頑張っとったから OKってことなんじゃろうな。」 M「まあ こうして呼び出されちまったワケだし、二度目の契約をしちゃぁイケナイなんてのは 聞いたこともねぇしなぁ。」 K「よっしゃ。」 U「それじゃ」 R「せ~の!」 「「「「お前の望みを言え!」」」」 ルイズ「へっ?!」 びっくりした。召喚した使い魔から 唐突にこんな事を言われるなんて、考えたことも無かった。 だから つい 答えてしまった。 「私 強くなりたい! 強くて 立派で すごいメイジになって、もう誰からもバカにされない様になりたい!!」 M「よ~し判った!」 U「任せて。『メイジ』ってのは何だか知らないけど、『強くする』ってのは得意だから。」 K「おうっ。『良太郎』も オレらが鍛えたお陰で すっかり逞しくなったからのう。」 R「わ~い♪」 この瞬間 彼らの言う「契約」が成立してしまったらしい。 なぜか 自分の将来が すっごく不安になった。 (当然 この後 ちゃんとした契約も済ませたわよ!) こうして 彼らとの日々が始まった。 列車は、「オーナー」とかいう人が乗って 何処かへ帰っていった。 ただ 彼らの専用車両4台は置いていった。校庭の端に停めてあって そこで寝泊りしているらしい。 (だって 私の部屋に5人も寝られないもん!) みんな 見かけは怖いけど、基本的には『いい鬼』だった。 喧嘩っ早くて乱暴者 だけど何故か憎めない「モモタロス」 女ったらしで嘘つきで だけど(女の子には)とっても優しい「ウラタロス」 涙もろくて力持ち 加減知らずがタマにキズな「キンタロス」 身体は大きいのに中身はお子チャマ やんちゃ坊主の「リュウタロス」 ついつい怒ってしまうこともあるけれど、毎日が すごく楽しくなった。 ああ、始祖ブリミル様。ありがとうございます。この4人と出会わせて頂いて。 いつの間にか、初めて会った時と まるっきり逆のことを思うようになっていた。 あの日までは… 私の使い魔とギーシュ・グラモンが決闘!? と聞いて 慌てて広場へ向かった。 なんでも 自称プレイボーイのエロガキが、香水の壜を落としたことからフタマタがばれて、その腹いせに平民のメイド シエスタをイジめていたらしい。 その後の展開は 大体想像がつく。涙にキンタロスが過剰反応し、ウラタロスがシエスタを慰め、リュウタロスがギーシュに文句をいい、モモタロスがギーシュをブン殴ったんだろう。 まぁ あいつら強そうだし 4人もいるんだから、ギーシュごときに遅れをとるとは思わないけど、勝手に決闘なんか受けちゃって ご主人様を何だと思ってるのよ~! 始まる前にヒトコト文句言ってやらなくちゃ。 そう思って急いだので なんとか開始前に間に合った。 「ちょっと あんたたち、なに勝手な事やってるのよ!」 主人の威厳を見せようと、キツめの声で怒鳴ってみたんだけど 「おぅ ルイズ。ちょうどいい。今 亀公に呼びに行かせるとこだったんだぜ。」 全然 効いてない。 「ご主人様、さっ こちらへど~ぞ。」 真面目にそう呼んでくれるのは ウラタロスくらいだ。 なぜか 最前列でギーシュと向かい合っているモモタロスの隣まで 引っ張っていかれた。 「じゃ コレ持って。」 銀色の箱のようなものを手渡された。それをウラタロスが私の腰の辺りに押し付ける。すると 箱から金属の帯が伸びて 腰を一周した。大きな飾りバックルの付いたベルトだった。 「次はパスね。落としたり 無くしたりしちゃダメだよ。」 今度は 長方形のブ厚いカードを渡された。 「それじゃ 頑張ってね、ご主人様。」 えっ 頑張れって、それ一体どういう意味よ! 「フフフッ お前達 逃げずに来た事は褒めてやろう。」 ギーシュだ。私が広場に着いたことで 決闘を開始する気になったらしい。が、 「チョイ待ち」モモタロスが流れを止める。 「そこの小僧、周りの連中も よーっく聞け!。 てめえがどんな力を持ってるのか知らねえが、こんなチンケな喧嘩、俺達にしてみりゃあ『勝って当然』ってなもんだ。 そんなんじゃ つまんねぇだろ。 そこでだ、今回は この『ご主人様』が、直々にクゾガキの性根を叩き直してくれるそうだ! まぁ 俺達は使い魔だから 色々と手助けはさせてもらうがな。 周りのヒマ人共も、それでイイかぁ!」 「うおぉぉぉお~」 「よく言ったルイズ!」 「安心しろ。骨は拾ってやる。」 「ドーンといけ!そして ドーンと散って来い!」 「ギーシュ、ここまで言われたんだ。手加減なんざイラネッ、ぶっ殺せ~」 ギャラリーは一気にヒートアップした。ギーシュも 目がマジだ。 (馬鹿タロス!何を言い出すのよ!! 私じゃ勝てるわけ無いじゃない。でも もう『やめる』なんて とても言い出せる状態じゃないし…) 「なあルイズ。お前さん、契約の時に『強くなりたい』って言ってたよな。 いい機会だ。お前を強くしてやるよ。 強いってのが どんなもんか、体験させてやるよ。 まずは パスをベルトに翳すんだ!」 「僕はこれでも紳士だからね。直接女性を殴るなんて事は したくない。 だが 女性同士なら 構わないだろう。 行け!僕の『戦乙女』!!」 ギーシュ得意の 青銅ゴーレム ワルキューレが一体 拳を振り上げながら私に向かってくる。 外観が女性像だからって、素手よりよっぽど酷いじゃないのぉ! こうなったら 馬鹿モモの言った、「強くしてやる」ってのを信じるしかない。 パスをベルトの前に持っていった その瞬間、私の身体は 銀色の鎧に包まれていた! なにこれ? あのベルトとカード マジックアイテムだったの! ゴーレムの攻撃。ダメッ 避けられない!きゃぁ ガツーン。 痛い! あれ? 思ったほどじゃない。青銅のカタマリに殴られたのに…? 「いいかルイズ、それが『電王 プラットフォーム』だ。 腕っ節は生身のお前さんと大差ねえが、防御力は上がってる。女ゴーレムの拳なんざ 屁でもねぇ!」 「それじゃ 負けないかもしれないけど、勝てもしないじゃないの。どうすんのよ?」 「任せとけって。お楽しみは これからだ!」 そう言って モモタロスの姿が消えた。幽霊みたいになったモモタロスの気配が、私の中に飛び込んで来た。 同時に、赤い色の追加装甲が空中に現れ 胸を覆っていく。赤い仮面が 頭を這うようにして装着される。 ギャラリーにざわめきが広がる。銀色の鎧は、錬金の一種かと思って見ていたんだろうけど、今度の姿には そんなモンじゃないナニかを感じたんだと思う。 そして私は、奇妙なポーズをとって こう叫んでいた。 『あたし 参上!』 〔くぅ~! 久しぶりだが、やっぱイイぜ 変身は!!〕 (なによ なによ、なんでアンタが私の中にいるのよ?) 〔大声出すな、俺とお前は一心同体なんだからよ。 今の俺達は 『電王 ソードフォーム』だ。このフォームなら お前が俺の力を使って戦えるんだ。 お前のやりたいように動いてみろ。サポートは俺がしてやる。〕 そう言いながら モモタロスは私の身体を操って ベルトから箱のような物を取り外して 剣のような物を組み立てた。 『行くぜ行くぜ行くぜぇー』 (なんだか判んないけど、やってやるわよ!) 私は めちゃくちゃに剣を振り回した。 ズバッ。 わっ、斬れた 斬っちゃった! 青銅のワルキューレが、上半身と下半身に 真っ二つ!! なんて気持ちイイの?! 『ギーシュ こんなもんでオシマイってことは、まさか無いわよね?』 あまりの事に あっけにとられていたギーシュも、我に返って バラの杖を構える。 「もちろんだ。 君にこれほどの力があると判れば、全力で行かせてもらうよ!」 杖が舞い 花びらが散る。 今度は6体のワルキューレが それぞれ剣や槍などの武器を持って現れた。 〔よーし こいつらまとめて『新・俺の必殺技 パート1』で!〕 〔残念でした。次は僕の番だから 先輩はここまで。〕 〔おわっ チョット待て 亀ぇ~〕 ウラタロスが入ってきて、モモタロスが押し出されちゃった! 同時に 追加アーマーと仮面も、青いものに変わった。 『私に 釣られてみる?』 まだ ワルキューレ達は動かない。また変身した私を警戒しているのかしら。 (ウラタロス、私に あのガングロ色ボケ女みたいなセリフ 言わせないで!) 〔まあまあ とりあえず説明すると、今の僕達は『電王 ロッドフォーム』〕 見ると 持っていた剣が 長い棒のような物になっていた。 (ロッドって 魔法の杖のこと?) 〔うーん これは、杖っていうより サオかな。〕 そう言ってロッドを振る。相手に届くような距離じゃないのに。 すると 先端の部分がワルキューレに向かって飛んでいく。ロッドとの間は 光る糸のようなもので繋がっている。 飛んでいった先っぽが、一体のワルキューレに当たった。 〔ご主人様 大物が掛かりましたよ〕 (そうか、これ 釣竿ね!) 下に向けていたロッドを 思いっきり高く跳ね上げる。釣れた釣れた ゴーレムが釣れた! ついでに ゴーレムを下ろす時 隣のゴーレムにぶつけて 二丁上がり。 堪らないわ~! 〔それじゃ キンちゃん 後はドーゾ〕 〔おう 待ちかねたで!〕 キンタロスのアーマーは 黄色っていうか金色。 モモやウラのマスクは、桃や亀っていうのが なんとなく判ったけど、キンタロスのこれは 判らない。何だろう? 『あたしの強さに お前が泣いた。涙はコレで 拭いておけぃ。』 チリ紙の束をギーシュに向かって放り投げる。いつに間に用意したのよ! 「くそっ!」 すかさずゴーレムが襲い掛かってくる。でも そんなのモノともしない すごいチカラ! ロッドから手斧に変形した武器を 無造作に横振りするだけで 当たったゴーレムが吹っ飛んでいく。 壁にぶつかって 動かなくなる。 槍を持ったゴーレムが迫ってきた。 〔お嬢 ジャンプや!〕 (はい!) キンタロスの力が使えるお陰で ワルキューレ達の頭の遥か上まで飛び上がれた。 〔思いっきり振りかぶるんや〕 落下する。真下のワルキューレに手斧を振り下ろす。 〔どや、これが「ダイナミックチョップ」や!〕 今度は 縦に真っ二つ! う~ん 快感! 〔残りはリュウタ お前の分じゃ。〕 リュウタロスのアーマーは やっぱり紫。胸のプレートが跳ね上がっていて 一番カッコイイかも。 〔ルイズちゃん、一気に片付けるよ〕 (いっちゃえ~!) 武器は銃に変わっていた。 『あんた達 ぶっ壊すけど イイわよね? 答えは 聞いてない!』 残り2体のゴーレムに向けて 弾丸を叩き込む。連発式の上に すごい威力! 青銅なんかじゃ防ぎきれなくて 穴だらけ。 撃ち終わったら バラバラになっちゃった。 もう 最高!! 〔じゃあ 最後 決めちゃって!〕 変身が解除された。銀色の鎧も消えていた。 ギーシュは 腰を抜かしてヘタり込んでいた。もう 抵抗するすべは無い。 私は その正面に立って 杖をギーシュの鼻っ先に突き付けて 言った。 「まだ、やるの?」 「……参った……」 やった 勝った 勝っちゃった! ゼロと呼ばれ、落ちこぼれと馬鹿にされ続けた この私が、勝ったんだ!! 「この勝負、ルイズの勝ちだな。どうだ!」『異議な~し』 モモタロスの勝利宣言に その場の誰もが応えた。 「じゃぁ 『トリステイン魔法学院バトル 初代チャンピオン』は、ルイズちゃんに決~定!」 リュウタロス 何を言い出すのよ!? 「文句のあるモンは、かかってこんかい! ウチの嬢ちゃんは だれの挑戦でも受けるで!」 キンタロス 止めて~。なんだか 皆の雰囲気が変わってきたじゃないの。 「はいはい 受付は こちら。 もちろん 女の子の挑戦者も 大歓迎だよ。」 ウラタロス あんたまで。 「ならば、僕はたった今 再戦を申し込む!リベンジマッチだ。」 「ひっこめギーシュ、負けたヤツは後回しに決まってんだろ!」 「フフフ・・・ルイズに勝てば、俺がチャンピオン!」 「ウォォオ!学院の王者は この俺様だぁ!!」 えぇぇぇ ウチの学校の男子って、実はこんなにワイルドな連中だったのぉ!? ちょっとキュルケ、なんでアンタまで拳を握り締めてんのよ? タバサ、貴女の目の奥で 怪しく光ってるモノはなんなのぉ? 嫌ぁぁぁ、シエスタまで、準備運動とか始めないでぇぇぇ~ 「どうしましょう、オールド・オスマン。」 遠見の鏡で 一部始終を見ていたコルベールは、学院長に問いかけた。 「うーん いいんじゃないの。 皆 楽しそうだよ。校内に活気も出るし。」 「しかし 貴族同士の決闘というのは…」 「その辺は大丈夫。『Kファイト』とでも名づけて学校公認にして、実行委員会でも決めてやれば、そのうち自然にルールとかも出来てくるから。」 「そ そのネタは、危険人物を召喚してしまう可能性があるので、先日 禁じ手にされたハズでは?」 「そうだったかのう。 ところで、キミの方の用件は 何だったかな。」 「はぁ、ミス・ヴァリエールの使い魔のルーンの件なのですが。 あれは 伝説のガンダー……いや もういいです。今日 それを貴方と検討する気力は無いです。 またにします。」 「うむ そうしてくれ。どうやら、これから忙しくなりそうじゃからのう。」 ああ、始祖ブリミル様。これは 何の罰なのですか?私がナニをしたと言うのでしょうか。 「ルイズ、強くなるには 場数を踏むのが一番だぜ!」 「幸い この学校には、血の気の多い人が多いみたいだし。」 「おう よりどりみどりやな!」 「目指せ ルイズちゃん 世界一!ってね。」 使い魔達は 私の事を思って 一生懸命にやってくれてます。 『強くて 立派で すごいメイジになって、もう誰からもバカにされない様になりたい』 なんて 高望みをしたのが いけなかったのでしょうか? 私は 平凡な女の子です。普通に魔法が使えるようになれば それで充分です。 だから お願いです。 『平和な日々を 返してください!!』 終
https://w.atwiki.jp/zerolibrary/pages/58.html
【解説】 トリステインの国立魔法学院。 三年制の学院で、同じ学年でも年齢が違う生徒は沢山居る。 中央の本塔を取り巻くように五つの塔が並んでいる。 それぞれが火の塔、水の塔、風の塔、土の塔で、最後の一つが生徒達の寮塔。 正門から入り本塔を挟むように反対側にあるのが火の塔。
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/593.html
autolink() ZM/W03-079 カード名:トリステインの王女 アンリエッタ カテゴリ:キャラクター 色:青 レベル:1 コスト:1 トリガー:1 パワー:5000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《王族》? 【永】他のあなたの《武器》?のキャラが2枚以上なら、このカードのパワーを+1000。 【自】アンコール[手札のキャラを1枚控え室に置く](このカードが舞台から控え室に置かれた時、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、このカードがいた枠にレストして置く) R:貴族としての誇りを失う事は死も同然!私が軍隊の指揮をとります SP:降伏はありません! レアリティ:R SP illust.ヤマグチノボル・メディアファクトリー/ゼロの使い魔製作委員会 《武器》持ちと並んだときパンプできる能力とアンコールを持っている。 作品限定では自らの《王族》を生かしたアニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン、 ヴァイスサイドでは《魔法》を生かした金の閃光フェイトやセンターガード ティアナといった《武器》持ちかつ強化という後衛もいるので、 一緒に組むことで【ミハネム】ほどではないが高パワー+アンコールという強力な前衛となる事が出来る。 永続効果が発動せずともパワー5000でアンコール持ちというだけで地味ながら堅実な動きが期待できる良カード。 とはいえ、他作品にはレストデメリットだけで同じ性能を整えてしまう朝倉 音姫もいるため強いかといわれれば難しいところなのだが。 ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 銃士隊隊長アニエス 0/0 1000/1/0 青 絆 ・関連ページ 《武器》?
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8752.html
超能力学園Zよりバーニー&ペイトン召喚 トリステイン魔法学院Z-01 トリステイン魔法学院Z-02 トリステイン魔法学院Z-03
https://w.atwiki.jp/kenkyotsukaima/pages/48.html
謙虚な使い魔~アンドバリの呪縛~ ゲルマニア皇帝、アルブレヒト三世と、トリステイン王女アンリエッタの結婚式はゲルマニアの首都ヴィンドボナで行われる運びであった。 式の日取りは三日後のニューイの月の一日に行われる。 そして本日、新生アルビオン政府の客を迎えるため、トリステイン艦隊がラ・ロシェール上空にて停泊していた。 昼の刻を過ぎた頃、空の彼方から『レキシントン』号率いるアルビオン艦隊が静々とラ・ロシェール上空へと降下してきた。 「『ロイヤルゾヴリン』号、いや、今は『レキシントン』号か。こうしてトリステインのフネとも並ぶと、流石アルビオン最大の艦といったところだな」 タルブの砂浜でウェントゥスは一人呟いた。 タルブの村に滞在してひと月近くになるウェントゥスは、この親善訪問の行く末を固唾呑んで見守っていた。 側に立つ黒鷲の使い魔の視界を借りて、ウェントゥスの目には各艦隊の様子が鮮明に映る。 「やはり、戦力差で言えば、トリステインだけでは圧倒的に不利だな」 ラ・ロシェール上空に並ぶ両国艦隊の性能、数、操舵の技術を見比べれば、その差は歴然だった。 空軍艦隊のみならず、地上軍でもトリステインはアルビオンのものより遥かに劣るだろう。 トリステイン王国の軍備は貴族を主軸としているため、流石にメイジの質と数ではハルケギニア随一の座は譲らないが、貴族連盟を通じて貴族メイジの数を増やしたレコン・キスタも負けてはいない。 「しかし、あと三日もすればトリステインとゲルマニアの軍事同盟が確固たるものになる。そうすればあの叛徒どもも手がだせないだろう。そしてその時、アンは…」 ウェントゥスはその先を口に出さず、呑みこんだ。 トリステインが現状のアルビオンに対抗するためには、これが最善の策であると散々自分に言い聞かせていた。 しかし、アンリエッタの式の日が近づくにつれ、何ともいえぬ焦燥感にウェントゥスは悩まされていた。 その気持ちを察したのか、黒鷲が「クァ……」と寂しそうに鳴き、主人の腕をその嘴でつつく。 「ああ、大丈夫だ。ただのつまらない未練だ。わかっているさ、今の彼女を迫りくる敵から守ってやれるのはこの杖を握る手ではなく、ゲルマニアの兵力だ」 実際、帝政ゲルマニアの兵質はトリステインとは対極に、平民の兵士を数多く揃えている。 金を積めば誰でも貴族の地位を買う事ができると言ったハルケギニアでは異例な政治体制を取っているため、金払いの良い軍人を目指す平民も数多く、それがメイジの少ないゲルマニアの戦力を底上げしている。 メイジ主体のトリステインと兵士主体のゲルマニアが同盟を結べば、新生アルビオンが脅かす事は実質不可能であるのは歴然である。 (……ハルケギニア統一を謳うレコン・キスタが、このまま黙って指を加えて式を見過ごすはずはないとは思ったが、こうしておとなしく訪問に応じるからには、トリステインが軍事同盟を結んだ事で諦めたのか?) その時、『レキシントン』号の大砲から火が噴き、煙が上がる。 実弾は込められていない、火薬を爆発させるだけの礼砲だ。 数秒の間をおいてから、鈍く、重い爆音が遠く離れたウェントゥスの耳にも届く。 ビリビリとした振動が肌で感じ取れる程だ。 (アルビオンの時とは違うカノン砲を載せているな。統一の野望を諦めた所が、新型の大砲を引っ提げて親善訪問にやってくるものだろうか?) いよいよきな臭くなってきた、と感じたウェントゥスは使い魔を促し、ラ・ロシェール上空へと飛ばした。 黒鷲の目を通じて、アルビオン艦隊を間近で見たウェントゥスは奇妙な点に気がついた。 新型の艦隊を揃えたアルビオン艦隊の最後尾に、使われなくなって久しい旧型艦『ホバート』号の姿があった。 (新型大砲を搭載して、威圧目的の砲艦外交であらば、なぜ時代遅れの『ホバート』号を連れてくる必要がある?) 黒鷲を艦隊の周りを旋回させて、『ホバート』号を注意深く観察すると、何やら乗組員の様子がおかしい。 『ホバート』号の乗組員達は退出用のボートに<フライ>の魔法をかけ、フネを乗り捨てている。 その時、トリステイン艦隊旗艦の『メルカトール』号が答砲を撃ち始める。 どん、どん、どん、と一定の間隔をおいて『メルカトール』号が空砲撃ち続けていると、突然『ホバート』号から火災が発生する。 『ホバート』号は見る間に高度が下がって行き、艦に炎が広まり、木っ端微塵に爆発した。 『ホバート』号は自分達で点けた火災で、あたかもトリステインの砲撃によって落とされたかの様に演出したのだ。 「馬鹿な!このような事で大義名分を得ようと言うのか、レコン・キスタは!」 ウェントゥスは驚愕する。 すでにこの事態を計画していたか、アルビオン艦隊の『レキシントン』号は既に込められた実弾にて、『メルカトール』号に向けて一斉射撃を行う。 辺りに響き渡る轟音と共に、『メルカトール』号に砲弾が着弾する。 マストが折れ、甲板に大穴が開く。砕け散った木片がバラバラと空に撒かれる。 ウェントゥスは眼下に目をやると、傭兵団の数隊が合流し始め、蟻の大群のように一斉にタルブへと向かっていた。 「ぬかった、傭兵どもの言う『タルブ』とはこの事だったのか!レキシントンの街を占領した様に、今度奴等はタルブを足がかりとするつもりか!」 大洋に面し、フネも直陸出来るほどの広い砂浜を有するタルブは、侵略の増援を送り込むのに絶好の場所であった。 王国の防衛隊が守るラ・ロシェールの街と違い、小さな村しかないタルブであれば大した抵抗も受けないであろう事もレコン・キスタは考慮済みなのだろう。 「まずいな、あと数刻もすれば傭兵どもがここにやって来ると言うのに、この様子であれば王宮の方は何も対処していないのだろうな……」 ウェントゥスは口笛を吹き、使い魔を呼び戻すと同時に、タルブの村へと駆けだす。 「急がねば、時間が無い!」 トリステイン王宮に、国賓歓迎のためにラ・ロシェール上空に停泊していた旗艦『メルカトール』号を含むトリステイン艦隊が全滅したとの報がもたらされた。 時同じくして、アルビオン政府から宣戦布告文が王宮に届けられた。 『貴国ハ不可侵条約ヲ無視シ、理由モ無ク我艦ヲ攻撃シタ事ニ、神聖アルビオン共和国政府ハ憤慨ノ意ヲ表ス。自衛ノ為神聖アルビオン共和国政府ハ、トリステイン王国政府二対シ宣戦ヲ布告ス』 ゲルマニアへのアンリエッタの出発でおおわらわだった王宮は突然の事に騒然となった。 すぐさま大臣や将軍達が集められ会議が開かれた。 しかし、会議は紛糾するばかりで少しも進展しない。 口々にアルビオンに急使を送りトリステインの先制攻撃が誤解である事を正すべきであるとか、ゲルマニアに急使を派遣し軍事同盟に基づいて軍の派遣を要請すべきであるとか意見はでれども、結論までには達せず、悪戯に時間ばかりが流れてゆく。 会議室にアンリエッタの姿もあった。 これから馬車に乗り込み、式のためにゲルマニアに向かう所であったので、純白のウェディングドレスに身を包んでいる。 アンリエッタは忘れ去られた人形の様に、会議室の上座に茫然とした表情で会議の行く末を見守っている。 「我が方は礼砲を発射しただけだと言うではないか!偶然による事故であると言う事を早急にアルビオンに打診すべきだ!」 「そうだな、全面戦争へと発展する前に、アルビオンに特使を派遣し、双方の誤解が生んだ遺憾なる交戦であったと言う事を明らかにして置くべきだ」 現状の政務を取り仕切っているマザリーニ枢機卿も、このアルビオンに特使を送る案に頷き、賛同した。 その時、急報が入った。伝書フクロウによってもたらされた書簡を手にした伝令が会議室に飛び込んだ。 「急報です!アルビオン艦隊は降下して占領行動に入りました!」 「場所はどこだ?」 「ラ・ロシェール近郊のタルブの砂浜のようです!」 「なんだと!?よりによってあのタルブだと!?確か領主が不在の地であったな。これはやっかいだぞ」 伝令はまだ続ける。 「なお、身元不明の傭兵の数隊が同じくタルブへ向かっているとの事です!」 「傭兵団だと?王宮が傭兵を雇い集めていたとは聞いてないぞ。貴殿は知っておりましたか?」 隣に座る有力貴族に、話を振られた白髪の老獪そうな印象を与える貴族は首を振った。 「さて?このリッシュモン、その様な報告は今まで聞いておりませぬなあ……」 シエスタは幼い兄弟達を抱きしめ、寺院の天窓から空を不安げな表情で、炎の様に赤く染まる夕焼けの空を見つめていた。 先ほどウェントゥスの報を受けて、タルブ村の住人は寺院へ集められていた。 最初は突然の事に家から離れたがらない村人もいたが、アルビオン艦隊から飛来した火竜の騎士隊にドラゴンのブレスで村を焼かれ始めると、皆は異を唱えることなくウェントゥスの誘導に従い、寺院まで避難してきたのだ。 村人の何人かは以前イージスが飾られていた所に向かって祈っている。 中には村の御神体がいなくなったために村に不幸が訪れたと嘆く者もいた。 「何が起こっているの?お姉ちゃん」 幼い弟や妹達がシエスタにしがみつき訪ねる。 「大丈夫よ、すぐに怖い事は終わるわ」 シエスタは兄弟達を安心させようと言ったが、自分自身もぶるぶると震えていた。 ウェントゥスは村の全員が無事寺院に避難できた事を確認次第、寺院の扉を閉め、一人だけ外に出て何かをやっている様だった。 光を取り入れるための天窓しか無いため、中からは外の様子がまったく確認できないが、時折外から不気味な風を切る様な音が聞こえてくる。 ヒュー、ヒューと鋭く鳴る、その身も凍りそうな冷たい音が、シエスタ達の不安を煽る。 夕刻を過ぎても、王宮の会議室では未だに不毛な会議が続けられている。 「やはりゲルマニアに軍の派遣を要請しよう!」 「竜騎士隊全騎をもって反撃してみては?」 「いや、攻撃したらそれこそアルビオンに全面戦争の口実を与えてしまう、ここはやはり特使を派遣すべきだ」 一向にまとまらない会議に、マザリーニも、結論を出しかねていた。 彼は未だに外交による解決を望んでいたが、どうも現状ではそれは難しいようだ。 怒号が飛び交う中、アンリエッタは薬指に嵌めた『風』のルビーを見つめた。 人形の様に黙って佇む自分の姿を今ウェールズが見ていたら彼はどう思うのだろうか? 優しい彼の事だ、アンリエッタを責める様な事は一言も言わないだろう。 軽い冗談の一つも言って、気を紛らわせようとしてくれるだろう。 アンリエッタが大好きだったあの屈託の無い笑顔を浮かべて「なに、心配ないさ。私にいい考えがある」とでも頼もしい事を言ってくれるに違いない。 しかし、彼はもういないのだ。 レコン・キスタの手によって彼はもういなくなってしまった。 「タルブの村、炎上中!なお身元不明の傭兵隊はアルビオンの占領行動に加わったようです!」 その急使の声で、アンリエッタの中に何かが弾けた。 (これ以上、あの者達の好き勝手にさせるものですか!) アンリエッタは突如立ち上がる。 途端、会議室は静まり返り、一斉に視線は王女へと注がれた。 「姫殿下?」 「あなた方は恥ずかしくないのですか?国土が敵に侵されていると言うのに、同盟だの、特使だのと騒ぐ前にする事があるでしょう」 「しかし、姫殿下、我らは不可侵条約を結んでおったのだ、偶然の事故が生んだ誤解から発生した小競り合いですぞ」 「偶然の事故にしては随分と都合よく、アルビオンに味方する傭兵が集められる事ですわね。もとより条約を守るつもりもなかったのでしょう。時を稼ぎ、我々の虚を突くための口実に過ぎません。アルビオンは明確に戦争をする意思を持って、全てを行っていたのです」 「しかし、姫殿下……」 「我らは何のために王族、貴族と名乗っているのですか?このような危機の際に会議を開くためだとでも言うのですか?ですがこうしている間にも民の血は流され、大切なものを奪われていくのですよ。その力無き彼らを守るために我ら貴族の務めではありませぬか?」 誰も、言葉を返せなかった。 「あなた方は怖いのでしょう?大国アルビオンに反撃をくわえても勝ち目は薄い。そして敗戦後、反撃を率いた者として責任を取らされたくないと。ですが、そうしてアルビオンに恭順して生きながらえ、傷ついた民の前に立ち、尚も貴族と名乗るつもりですか?」 「姫殿下」 マザリーニがアンリエッタをたしなめるが、アンリエッタは言葉を続けた。 「よろしい、ならばわたくしが率いましょう。あなた方は好きなだけこの会議室で踊っていればよろしいですわ」 アンリエッタが会議室を飛び出した。 マザリーニや数名の貴族が王女を押しとどめようとした。 「なりませぬ!姫殿下!お輿入れ前の大事なお体ですぞ!」 「結婚一つで今ある危機を救う事ができますか?今この国を救える者がいるのであれば、連れてきなさい、わたくしは幾らだってその方と結婚してみせますわ!」 マザリーニを押しのけ、中庭にでたアンリエッタは叫んだ。 「わたくしの馬車を!近衛!参りなさい!」 聖獣ユニコーンが繋がれた王女の馬車が引かれてきた。 アンリエッタは馬車からユニコーンを一頭外し、自分のドレスの裾を縦に引き裂くと、ひらりとユニコーンの上に跨った。 「これより全軍の指揮をわたくしが執ります!各連隊を集めなさい!」 状況を知った魔法衛士隊の面々が集まり、一斉に敬礼する。 その様子をぼんやりと見つめていたマザリーニは、天を仰いだ。 彼もいずれアルビオンとは戦になる事は薄々感づいてはいた。 しかしまだ軍備が整わない今、小を切っても負ける戦をしたくはなかったのだ。 そのために時間を稼ぐべくマザリーニが傾注した外交努力も今となっては泡となり消えていた。 姫の言うとおり、今は会議室で騒ぐ時ではない。 国のため、民のためにすべき事があるのだ。 次々と幻獣に跨る魔法衛士がアンリエッタのあとを追って駆け出して行く中、一人の貴族がマザリーニに近づいて耳打ちした。 「枢機卿、特使の派遣の件ですが……」 マザリーニは被った球帽をその貴族の顔に叩きつけた。 「おのおの方!馬へ!姫殿下を一人行かせたとあっては、我ら末代までの恥ですぞ!」 その日の夜、トリステイン魔法学院にて。 明日の朝には、式に出席するために出発すると言うのに、ルイズは未だに詔を完成する事ができないでいた。 自分の詩心の無さを呪うルイズだったが、それ以上にアンリエッタの事を考えると素直に祝福する言葉が思い浮かばなかった。 自室で未だに白紙の『始祖の祈祷書』と睨めっこを続けているルイズを横目に、ブロントは昼間ギーシュのゴーレムの訓練で余った矢を集めて、一つに束ねているところであった。 未だに<レンジャー>の扱いが慣れないと言う事で、訓練に使うためギーシュは矢を張りきって生成したまでは良いが、百数本程の矢を<錬金>したところで精神力を使い果たし、倒れてしまい、訓練どころではなくなってしまったのだ。 そんな訓練の様子を見ていたモンモランシーは呆れて、「ギーシュとはもう別れたから」と何だかんだ言いながらも、ギーシュを部屋まで運び込み、甲斐甲斐しく世話をしているようだ。 矢を一束に纏め終え、鞄に仕舞った時、部屋の窓がコツコツと叩く音がする。 ルイズとブロントが窓に目をやると、大きな黒鷲が窓を嘴でしきりに突いている。 ブロントが窓を開くと、黒鷲は慌てふためくようにバサバサと翼を振りまきながら部屋に入るなり、「クァ!クァ!」と激しく鳴く。 黒鷲はすかさずブロントに飛びかかり、しきりに足の爪でブロントに突きだす。 「おい、やめろ馬鹿!」 「待って、ブロント。足に何か付いているわよ」 ウェントゥスの使い魔の足に、紙が釣り糸で括り付けてあった。 それにルイズが気づいた事を理解したのか、黒鷲はクイックイッと首で頷き、大人しく床に立ち止まり、紙が巻かれた足を差しだす。 ルイズは釣り糸を机にあったペーパーナイフで切り、くしゃくしゃになった紙を広げ、中身を読み上げた。 「えーっと、『タルブにアルビオン軍襲来。村人は寺院に匿い、これを死守す。恥を偲び、友の助力求む -風より-』って、何ですって!?」 黒鷲は「クァ!」と返答すると、窓枠に飛び上がり、そこから学院の使い魔の宿舎へと滑空する。 「マジでふざけンなよ!」 部屋のドアをバタン!と音を立ててブロントがイージスとデルフリンガーを携えて駆け出す。 「あ、ちょっと!待ってよブロント!」 ルイズも『始祖の祈祷書』を手に取ると、ブロントのあとを追った。 ブロントが寮の塔を降りて外に出ると、先ほどの黒鷲がタバサの風竜シルフィ―ドの頭に乗って、ブロント達を待っていた。 ウェントゥスの使い魔にすでに言い包められたのか、シルフィードはその場に屈み込み、きゅい、と鳴いて、ブロント達に乗るようにと頭で背中を差す。 「シルフィード、何をしているの?」 タバサだった。 キュルケが突然シルフィードを借りたいとしつこくタバサに頼みこんできたので、タバサは渋々シルフィードを呼んだが、いつまで経ってもやってこないので探しに来たのだ。 主人に気づかれないようにこっそりと抜け出して、ブロント達を送るだけのつもりであったシルフィードは慌てふためく。 タバサはシルフィードの角を掴み、建物の陰まで引っ張って行く。 「どういう事?」 「うー、今タルブの村が大変なのね!ブロントさんが行かないといけないのね!早く行かないと、おいしい丸ごとツナがもう食べられなくなってしまうと鷲さんが言っていたのね!」 シルフィードの頭の上に乗った黒鷲が「クァ!ククァ!」と鳴く。 「きゅい、お姉さまも気にいっていたあのサラダも、皆全部燃えちゃって食べられなくなると言っているのね!」 タバサはしばらく考え込んで、答えた。 「……なら行っていい」 「本当!お姉さまありがとなのね!あらん、お姉さまはついてこないの?」 「眠い」 タバサは寝間着姿で、眠そうに目を擦っている。 寝ていた所をキュルケに突然叩き起こされたのである。 「じゃ行ってくるのね!すぐ戻ってくるね!きゅいきゅい!」 シルフィードはその巨体を揺らしながら、のしのしとブロント達の下へと歩いて行く。 韻竜の頭に乗った黒鷲が優雅に翼を開いて、タバサに向かって一礼をする。 ルイズとブロントを乗せたシルフィードが飛び立ち、西の空へと向かうのを見届けた。 寮の自分の部屋に戻ろうとしたタバサが飛び出てきたキュルケにぶつかる。 「きゃ、あ、タバサ!シルフィード見つかった?」 「貸した」 「ブロントさんとヴァリエールがこんな夜中に二人きりで出かけたのよ!早く追いかけ……って、ええ!?あんた、シルフィードをこのわたしにだって貸出したりした事無かったじゃない!?どうしたのよ」 キュルケはタバサの肩を掴み、ぐいぐいと揺らす。 タバサは首をかくんかくんと揺らしながらぼそっと呟く。 「貸し借り、これでゼロ」 第22話 「鎖と絆」 / 各話一覧 / 第24話[前編] 「追憶の風に抱かれて」
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4441.html
(先の戦争でのルイズの歌声を想像しつつ↓) 『トリステイン愛国行進曲』 1.見ヨ東方ノ 空アケテ 旭日高ク 溌剌ト 希望ハ踊ル トリステイン オゝ晴朗ノ 朝雲ニ 聳ユル王城(シロ)ノ 姿コソ 金甌無欠 揺ルギナキ 我ガ王国ノ 誇リナレ 2.起テ一系ノ 大君ヲ 魔法ト永久ニ 戴キテ 臣民ワレラ 皆トモニ 御稜威ニ副ワン 大使命 往ケ系統ヲ 宇(イエ)トナシ 世界ノ人ヲ 導キテ 正シキ平和 打チ立テン 理想ハ花ト 咲キ薫ル 3.イマ幾度カ 我ガ上ニ 試練ノ嵐 猛ルトモ 断固ト守レ ソノ正義 進マン道ハ 一ツノミ アゝ悠遠ノ 始祖代ヨリ 轟ク歩調 受ケ継ギテ 大行進ノ行ク 彼方 王国恒ニ 栄エアレ ―――――――――― 元ネタ:『愛国行進曲』 ちなみに原曲は内閣情報部(当時)の方針により 著作権フリーだった為、幾つも種類があります。