約 440,010 件
https://w.atwiki.jp/naoya-card/pages/717.html
ゼロの魔術師 直也 零属性 零直也・切り札 自分の場の零直也を2体破壊することで場に出せる。 この直也を場に出したとき、相手の場のすべての直也のアタックを0にする。 1ターンに1度、相手の場のアタックが0の直也を1体破壊できる。[対抗] この直也が場を離れたとき、デッキから零属性カードを1枚手札に加えることができる。[ターン1] アタック/0
https://w.atwiki.jp/nicorpg/pages/3363.html
MF文庫Jから刊行されている著者ヤマグチノボルのライトノベルシリーズ。 平凡な高校生・平賀才人がある日突然、魔法学院の生徒でありながら魔法の才能がまるで無い 「ゼロのルイズ」によって異世界「ハルケギニア」に召喚されてしまい、 ルイズに使い魔として使役されるはめになるというストーリー。 ちなみにルイズは才人を「犬」扱いする。 登場人物や物語内で発生する事件などは、多くを映画「三銃士」などの原作である小説『ダルタニャン物語』から取っている。 それゆえ登場人物名も、ブルボン朝期の人物にちなむものが多い。 関連用語 ルイズドラゴン
https://w.atwiki.jp/zeromoon/pages/68.html
前ページ次ページゼロの白猫 虚無の曜日。それはハルケギニアの人間達が最も愛しているだろう曜日。全人類に与えられた休息のための日である。 よってトリステイン魔法学院も授業は休みとなり、教師も生徒も貴族も平民も分け隔てなく英気を養い、次の日に備えるのだ。 寮の自室で黙々と本を読み続けるタバサも、例外なく虚無の曜日を愛していた。誰にも邪魔されず気兼ねせず読書に没頭できるこの時間を。 そんな時間がノックの音に邪魔される。トントントンと部屋に響くノックの音。親愛を表すのはノック三回。 しかしタバサにとっては煩わしい事でしかない。とにかく彼女は干渉されることを嫌うのだ。なので相手が諦めるまで居留守を決め込むことにした。 とんとんとんとん。ノックの音はしかし止まない。ノックの主はタバサが部屋にいることを確信しているのだろう。中々帰る様子が無い。 タバサは彼女の身長よりも大きな杖を取り出し、魔法を使うことにした。誰にも邪魔されず本の虫になるために。 杖を振るうと、ノックの音が聞こえなくなった。彼女が使った魔法は風系統の魔法、『サイレント』。周囲の音を消してしまう魔法である。静けさを好み、風のメイジである彼女はこの魔法を愛用していた。 そうしてまた読書に戻るタバサ。ページをまくる音すら消えた無音の中で、眼鏡の奥の目を輝かせて紙の上を踊る文字に没頭していく。 数ページ本をまくったところで、タバサは自分の傍に誰かがたったことに気付く。顔を上げて確認すると、其処には褐色肌の長身女性が居た。キュルケだ。 ドアには『ロック』の魔法で鍵をかけていた。にもかかわらず部屋へ入ってきたという事は、『アンロック』の魔法で開錠してきたらしい。両方ともコモンマジックであるため、メイジなら誰でも使うことができる魔法だ。 ちなみに、『アンロック』を学院内で使用することは重大な校則違反なのであるが、キュルケにはそんなことは些細なことらしい。 不法侵入を果たしたキュルケはタバサに身振り手振り交えながら話しかけているようだが、『サイレント』の魔法の効果が未だ続いているためタバサに声は聞こえてこない。 仕方なくタバサは『サイレント』を解除した。読書の邪魔をする輩には『ウィンド・ブレイク』でも使って部屋から退場してもらうところだが、タバサの友人であるキュルケは数少ない例外だった。 「ターバーサっ♪ 出っ掛けっましょっ♪」 「虚無の曜日」 友人の誘いを短く簡潔な言葉で断るタバサ。簡潔すぎて意味が伝わりにくいが、キュルケには伝わったので問題ない。タバサは休日はとにかく本を読んで過ごしたいのである。 しかしキュルケは動じず、座っているタバサに後ろから抱きついた。ルイズより小柄で細いタバサの体はキュルケの長身に簡単に覆われてしまう。そしてキュルケのメロンのような乳房がタバサの青髪頭に乗りかかって形を変える。重い。 「あなたにとって虚無の曜日が読書の日であることは知ってるわ。けどたまには街までおいしいものを食べに行ったりしてもいいと思わない?」 「学院で十分」 「そういわないで。パイと紅茶のおいしい店があるのよ。奢ったげるから行きましょ?」 タバサは少し考えた。奢りでおいしいものが食べられるのは確かに魅力的だ。それに本は移動、食事の最中に読んでいれば今と読むスピードは変わるまい。なにより、この友人の誘いを断るのに消費するエネルギーは、承諾した場合に消費するそれより遥かに大きいと判断した。 小さく頷いて椅子から立ち上がり、窓を開ける。そして口笛を吹くと窓から身を躍らせた。タバサの行動の意味を察し、キュルケもそれに続く。 5階の窓から落下する彼女達を、口笛を聞いて飛んできた風竜が受け止めた。タバサの使い魔、シルフィードである。 「相変わらずあなたのシルフィードは惚れ惚れするわね」 キュルケが感嘆の声を漏らしているのを聞きながら、タバサはシルフィードに王都に飛ぶように指示を飛ばす。それが終わると先ほどの本の続きを読み出した。 「そういえばヴァリエールも何処かに出掛けてるみたいね。馬に乗ってるのを見たわ」 キュルケが何か言っているが、タバサにはどうでもいいことだ。高スピードで流れる風も気にせず、シルフィードの背びれにもたれながら本の世界に没頭していった。 「到着、と」 馬に乗って揺られること数時間。城下町のトリスタニアにルイズ達はやってきていた。目的は彼女の好物、クックベリーパイ。 しかしルイズ一人が食べるためにここまでやってきたわけではない。夢でレンに提案した通り、彼女の働きの報酬としてクックベリーパイを与えるために来たのだ。自分も久しぶりにパイを食べようと思っている。 レンは馬に固定した籠に入れていた。馬で走っている道中、少し鳴いていたが仕方あるまい。レンを抱いて乗馬はできないし、猫のレンが馬に乗れるわけも無い。 「さ、行くわよ」 ルイズは籠を開けてレンを掴み出そうとする。が、それよりも早くレンが籠から飛び出した。 「あ、ちょっとこら!?」 飛び出した勢いのままレンは走り出した。とととっと駆けるレンはすぐ傍の路地裏に入ってしまう。 「レン! 何処行く気よ!? これからクックベリーパイを食べに行くって言ってるでしょ!?」 慌てて猫に向かって叫びながらレンを追うルイズ。まずい。猫の動きは素早く機敏だ。こんな路地の多い城下町ではぐれた場合、うまく合流できるかは非常に妖しい。レンが入った路地に向かってルイズは急ぐ。 「お待たせしました、マスター」 角を曲がろうとしたところで、路地から出てきた人物に行く手を遮られた。 ルイズの足が止まる。完全にそいつに目を奪われていた。レンを追わなければ、という考えは吹っ飛んでいた。だって目の前に居るのだから。 「あ、あああ、あたあんあんたたたたた」 「北斗神拳ですか?」 むしろルイズはYOU『に』SHOCK!! 「あんた、何でその姿なのよぉ!?」 「似合いませんか? この帽子。マスターの様子からして耳は隠すべきだと思いましたので、用意しておいたのですが」 レンは真っ白で淵だけが黒い、大きなベレー帽のような帽子を着用している。成程、確かにすっぽり被されているそれは彼女の長耳まで覆い、帽子を被っている限りエルフと疑われることはまず無いだろう。 だが問題はそこではない。レンは今帽子を着用している、いやできる状態になっている。つまり、夢の中で見た銀髪の幼女の姿になっている、という事で――。 「あんた夢以外じゃ人型になれないんじゃなかったの!?」 「あら、そんなこと言った覚えはないけれど? 言わなかったかしら?」 そういった人間型のレンは、自分が仕掛けた取って置きの悪戯が成功した子供の笑いを浮かべていた。くすくすくすと実に楽しそうだ。 無論、ルイズが楽しいわけは無い。瞳と眉と肩をいからせてレンを糾弾する。 「言ってない! 絶対ゼッタイ聞いてないわよ私! っていうよりあんたわざと言ってなかったでしょ!?」 「落ち着いてくださいなマスター。周りの人の迷惑ですよ?」 確かに、大声で幼女に向かって叫ぶ貴族の姿は通りを歩く人々の視線を集めていた。そんな言葉でごまかされるルイズではなかったが、ひとまず声は抑える事にする。 「……つまり、あんたいつでも人型になれるのね?」 「代価無しに、というわけにはいかないわよ? この姿になるのは魔力、いえ精神力を消費するから」 「ならなんで今までは猫だったのに、今は人になるのよ?」 「猫の姿じゃお店に入れないじゃないの。今日は私にクックベリーパイを食べさせてくれるんでしょう?」 「それだけ!?」 「それ以外に理由が必要なの?」 いつもの不敵な笑顔で答えるレン。しかしルイズは納得できない。じーっとジト目でレンを睨む。 「ほらほら、そんな顔してると可愛い顔が台無しよ? 早く行きましょう」 「何よ、そんな言葉で誤魔化されないからね」 そう言ったものの、何時までもこんなところで口論していても意味が無いことくらいルイズも承知している。時間を無駄にする前に移動することにした。べ、別に可愛いって言われたのが嬉しかったわけじゃないんだからね! 未だぶすっとした顔で歩いていくルイズの後ろを楽しそうに笑いながらついていくレンであった。 「着いたわよ」 「へぇ、ここがそうなの」 少し歩いて二人は目的の場所へ着いた。パイの形をした看板が目を引き、一目で喫茶店の類と推察できる。レンはなにやら店名の書かれた看板をじっと見つめている。何かおかしなことでもあるのだろうか。 「店名がそんなに珍しいの?」 「そうじゃなくて。そういえば私、こっちの文字が読めないんだな、って」 「え、そうなの? その割りに流暢に喋るわね」 「私は向こうの言葉を喋ってる筈なのよ? 喋ったり聞いたりする言葉が勝手に翻訳されてるみたい。あの召喚ゲート、たいした物ね。ま、それは後。とにかく入りましょ」 「そうね。財布は持ってるわね?」 「勿論。落とすようなドジはしないわよ」 「スリも多いんだから気をつけなさいよ?私の今月分のお小遣いが入ってるんだから」 「それなら貴女が持ったら?」 「従者がいるときはそいつに持たせるのが貴族の基本なの」 「そういうものなの?」 そんな会話を交わしながら二人はお店へ入る。ドアを開けると、からんからんとベルの音がまず二人を迎えた。 店員に案内されて二人は席に着く。それなりに大きいテーブルに二人は向かい合って座っていた。昨夜の夢の位置と同じだな、とルイズは思った。 「ご注文はお決まりでしょうか?」 「クックベリーパイをワンホール。それと紅茶を二人分ね」 「かしこまりました。少々お待ちください」 注文も終わって、後はパイが届くのを待つのみだ。 となると、やることと言えば目の前の幼女と話すくらいしかない。つとレンの顔を見ると、彼女のほうから話しかけてきた。 「スリが多いって言ってたけど、この街治安が悪いの?」 「そんな事無いわ。トリステインの城下町よ? 一番治安は良いわよ。けど、魔法を使うスリもいるから、そういうやつに狙われると一瞬よ」 「メイジは貴族なんじゃなかったの?」 「貴族じゃないメイジもいるのよ。没落した貴族が仕事が無くて泥棒まがいの事に身をやつしたり、色々あるのよ」 「ふーん。そうそうルイズ。私、この姿で貴女の使い魔と紹介される気はないから、そこの所はよろしく」 「はあ!? 何勝手に決めてるのよ!」 「ルイズ、私はこちらでは珍しい使い魔なのよね?」 「そうだけど、それがどうしたのよ」 「こちらにも居るでしょ? レアな道具とか動物とかを見境無く集めるような人ないし機関は」 レンの言葉で、 自分の姉の一人、エレオノールが所属している魔法アカデミーの事を思い出す。正直あまり良い噂は聞かない。新しい魔法の為にはいかなる犠牲も厭わないとか、実験と称して珍しい生物を解剖してしまうとか。 身内の事を悪し様に言いたくは無いが、そんな所にレンの存在が気取られた場合、さっくり彼女を持っていかれてしまうかも知れない。もってかないでー。 「居るのね?」 「……ええ。良く知ってたわね」 「珍しい物を自分の物にしたがる人間は何処にでも居るという事よ。とにかく、そういうところに気取られると面倒でしょう?」 「せっかくクラスメイトたちに自慢してやろうと思ったのに……」 そんな会話をしているうちに、大皿に乗ったクックベリーパイがテーブルに運ばれてきた。パイから漂う爽やかな匂いにルイズの胸が躍る。レンも食い入るようにしてパイを見つめている。 「それではいただきますね」 「ちょ、レン!」 ルイズの声も聞かずにレンはクックベリーパイに手を伸ばすと、がぶっと齧り付く。その瞬間。ぴょこんと彼女の帽子から猫耳が飛び出した。 「!?」 「なかなかね。ショートケーキほどじゃないけど」 ルイズがパイを食べる前だったのは幸いだった。もし先にパイを食べていた場合、向かいに座るレンがパイまみれになっていたことだろう。 「……何よ?」 変な顔をして自分を見ているルイズに、咀嚼し終えたパイを飲み込んでレンは聞く。 ルイズはごしごしと自分の両目を擦って、改めてレンの頭を見る。相変わらず彼女の頭部には白い帽子が乗っかっているだけだった。 「い、いいえ、何でもないわ」 「ルイズは食べないの? 冷めるわよ?」 「食べるわよ! それより、あんたご主人様より先に食べるなんてどういうつもりよ。おまけに手掴みで食べるなんてマナーがなってないわよ」 「このパイは私の働きへの褒美でしょう? なら私が先に食べるのが道理というものよ。それにフォークやナイフで切るとパイの形が崩れるし、中身がはみ出るじゃない」 そう言いながらレンはまたパイを一口。さくりと小気味よい音がルイズの耳にまで届く。 確かにパイをナイフで切ると、綺麗に切れずにパイ皮が破れてしまうことは往々にしてある。それでも手掴みで食べる、なんてことは両親の躾が厳しかったルイズに許せるものではない。 「横倒しにしてから切れば良いのよ。ほら、こうやって」 ルイズも一片パイを取ると、自分の取り皿にパイを横に立ててナイフを入れた。成程、パイ皮が散らばることなく綺麗に切り取られる。そのパイにルイズはフォークを突き立てレンに見せた。 「ね? 綺麗に切れるじゃない。あんたのやり方だと手にクックベリーが付いちゃうわよ」 「横にするとお皿にソースが残って勿体無いわ。手に付いたのは舐めちゃえば……」 「だから行儀が悪いって言ってるの!」 ルイズの言葉も気にせずに、レンは親指に付いたジャムをぺろりと舐め取る。その仕草に愛らしさも感じたが、しっかり躾をしなおさねばとも思う複雑なルイズだった。 だがその前に、何は無くともクックベリーパイである。久しぶりに食べる好物をルイズも楽しみにしていたのだ。先程フォークで切ったパイを口に運ぶ。 「~~~っ♪」 ザクッとしたパイの歯ごたえのあと、プチュクチュと口の中で潰れていくクックベリー。パイの香ばしい風味とクックベリーの甘酸っぱさが渾然となって歓喜に震えるルイズ。 あっという間に一切れを食べ終え、大皿のパイへと再びフォークを伸ばす。その時、ふと自分の事をパイを齧りながら見ているレンに気がついた。相変わらず手掴みである。 「どうしたのよ?」 「別に。ただ幸せそうに食べているな、って」 笑いながら言うレンにちょっと恥ずかしくなり、俯いてしまう。何だ、自分だって美味しそうに食べているくせに。 二つ目を食べ終えたレンは右手にべっとりついてしまったクックベリーに赤い舌を這わせている。手首から指先までゆっくりと長い舌を蠢かせている様は、無邪気さと淫靡さの同居する矛盾した光景。 こんな風にパイとお茶に舌鼓を打って四方山話に花を咲かせる。それは楽しい時間だった。公爵家の産まれでありながら、落ちこぼれでしかもプライドは高かったルイズ。今まで親しい友達ができなかったのだ。 こうやって気の置けない相手とお喋りをしながら食事をする。学院の皆が普通にやっていることをルイズは生まれて初めて体験していた。 順調にパイを減らしながら会話を楽しむ二人。とても穏やかな時間が流れる。 そこでルイズはもっとこの使い魔自身の事について聞かねばならないと思い出した。何しろこの使い魔、性格が悪い。 「レン。あんたもう私に隠してることは無いわね?」 「嫌ですわマスター。私、今まで隠してた事なんて一つもありませのに」 「よく言うわ。人になれる能力は言わなかった癖に。他には黙ってることは無いの?」 「そうだ。これは言ってなかったわね。私が存在するためには、マスターまたは他の魔術師からの魔力が必要になるから」 「どういうことよ?」 「分かり易く言うと、私は誰かの精神力がないと生きていけない、と言う事よ」 「ちょっと! 大事じゃないそれ!」 思わず椅子から立ち上がってレンに向かって叫ぶ。自分の生死に関わることを何故最初に言わないのだ、この大馬鹿は!? しかしそんなルイズに淡泊な口調でレンは言う。 「やっぱり知らなかったのね」 「あんたが言わなかったからでしょ!?」 「私が居た世界では当たり前のことだったからよ。こっちの使い魔が向こうと全然違うのを思い出したからひょっとして、と思ったの」 レンの落ち着き払った態度を見て、ひとまずルイズも椅子に座り直す。 「普段は貴女から精神力を貰ってるから別に問題ないわ」 「そう……って、それって私が魔法を使えなくなるって事じゃないの?」 「極僅かなものよ。一晩眠ればすぐに回復するわ。けど、大きな魔術を使ったりした場合は貴女に回復を頼むかも知れないわ。これは絶対に譲れないからね」 「分かったわ。生死に関わるんじゃ断れないわね。で、どうやったら回復できるの?」 「それは――」 「あら、ルイズじゃない。珍しいわね、あなたが誰かと一緒に居るなんて」 レンの言葉が来店した女性の言葉に遮られた。ルイズの顔が思いっきり不機嫌になる。つまり、彼女の仇敵キュルケだった。 「何? 何か用?」 「同級生を見かけたら声くらい掛けるじゃない。あ、店員さん? ミートパイワンホールと紅茶二つ、お願いね」 「ちょっと! 何で私たちのテーブルに座るのよ!」 「だって他は一杯じゃない。どうせ相席なら知り合いの居る所のほうがいいでしょ?」 「私は良くないわよ! せっかくのクックベリーパイをなんでツェルプストーと一緒に食べなきゃいけないのよ」 ごねるルイズだが、マイペースにキュルケは聞き流す。そして、ルイズと同席している白い幼女に目を向けた。 「初めまして。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーよ。こっちの娘はタバサ。あなたのお名前は?」 「アルク・ド・ブリュンスタッドと申します。以後お見知りおきを」 立ち上がってキュルケたちに会釈するレン。その自己紹介に眉をひそめたのは勿論ルイズだ。 「ちょっと、レ「良いじゃないルイズ。貴女のクラスメイトなんでしょう? 友情を深めるには良い機会じゃなくて?」 ルイズは二重の意味で渋面になる。一つは彼女がアルクと名乗ったこと、もう一つはルイズにキュルケ達との相席を促したことに。 片目を閉じてウィンクするレン。どうやら突っ込むな、という意思表示らしい。 レンの同意を得て、キュルケとタバサが椅子に座る。キュルケはレンに興味があるようで、隣のレンに話しかけ始めた。 「ブリュンスタッド……。聞かない家名ね?」 「無理もありませんわ。山奥の領地ですもの。知っている人の方が少ないでしょう」 (領地って何よ!? あんた猫でしょうが!?) ルイズは即座に心の中で突っ込みを入れる。反応は良いが突っ込みの角度が甘い。吉本に入るにはまだまだである。 「あなた、魔法学院では見た事ないわね。まだ通える年齢じゃないのかしら? ……まあ、見た目通りじゃない年齢の娘もいるけど」 「キュルケ。何でこっちを見ながらそんなことを言うのかしら?」 「そんなの聞くまでも無いでしょ、ルイズ」 「なんであんたが答えてるのよレン!!」 怒鳴るルイズにけらけらとキュルケは笑う。レンも口に手を当てくすくすと笑っている。タバサは我関せずと本を読んでいた。 「ところで、その娘はアルクちゃんでしょう? なんであなたの使い魔の名前が出てくるの?」 「え、いや」 「ルイズ、確かに私は真っ白な服だけど、貴女の使い魔と間違えるのはひどいのではなくて?」 さらっとフォローを入れるレン。ルイズがレンの名前を言い間違える事は想定済みだったようである。 だがルイズは感謝の気持ちなど浮かばない。そもそもこの使い魔が勝手に自分の出自を捏造している事が原因なのだから。 「成程? ルイズったら随分自分の使い魔に首っ丈なのね」 「そうなのです。今日は随分彼女からレンのことを聞かされましたわ」 「あっはっは! まあ仕方ないかもね。ゼロのルイズが初めて魔法を成功して召喚した使い魔だもの。それにメイジにとって使い魔は大切なパートナー。ベタベタ甘やかすメイジも珍しくないしね」 「だ、そうよ? もっと貴女の使い魔の事、大事にしてあげなさいな」 「どの口が言うのかしらあんたは……」 ルイズはすらすらと出てくるレンの口上に呆れる。大事にしろ? ツェルプストーの人間と楽しく話すような奴なんて敵だ敵! けしてこの恨み忘れぬ、と不機嫌にレンを睨みながらパイを口に放りこみ、お茶で流し込んだ。 「ルイズ、もっと味わって食べなさいよ。勿体無い」 「うっさい。あんたもとっとと食べなさい。これ以上ここに居ても不愉快なだけよ」 「出るの? もっと食べましょうよ。こっちに来るのって時間かかるじゃない」 ざくざくとクックベリーパイを齧りながらレンが言う。ツェルプストーと同席など御免蒙るが、ルイズもまだ食べ足りないというのは同感だ。 「なら何か買って帰ればいいわ。そこの店員。スコーン6つ、持ち帰り用に包んで」 「随分食べるわねえ。甘いものばっかり食べると太るわよ?」 「お生憎様、私は余分な肉なんて付かないの。あんたこそ肉ばかり食べてると今以上に脂肪の塊になるわよ」 「へえええ、言ってくれるじゃない、胸の脂肪もゼロのルイズ?」 一触即発。緊迫した空気が辺りに漂う。ルイズとキュルケは地獄の底から響くような不気味な笑い声を上げながら睨み合う二人。ふっふっふっと哂いながら目は憤怒に染まっている。タバサは相変わらず本を読んでいる。 そして、レンは。 「ルイズ」 「何よ!?」 視線を激しくぶつけていたキュルケからレンの方へ顔を向けると、目の前にレンの顔があった。その至近距離にルイズが反応する前に。 ぺろり。 「っ!?」 「ジャムが付いてたわよ。貴族ならもっと身嗜みに気を使いなさいな」 呆然とするルイズ。キュルケも少し驚いたらしく、今までルイズに向けていた敵意を霧散させてレンを見ている。そしてタバサはまだ読書にいそしんでいた。 何をしたのかといわれれば、ルイズの口についていたクックベリーのソースをレンが直接舌で舐め取った、それだけである。 しかし、レンが舌を這わせた場所はルイズの口の周り、つまり限りなく唇に近い場所だったわけで。遠目から見ると、まるでいきなり二人の少女が口付けをしたようにも見えたわけで。店の人間の視線は今、ルイズとレンに一点集中している。 「こ、こっここここの大バカぁあぁああああ!?」 「五月蝿いわね、綺麗に食べない貴女が悪いんでしょ」 「手掴みで食べてるあんたが言わない! だだ第一今あんたべろって、べろって!!」 レンの舌は肉食の猫ゆえか、自分のそれよりかなりザラザラしているように感じられ、舐められた瞬間、ぞわわっとルイズの背筋を何かが走った。 レンに舐められた場所を押さえながら真っ赤になって喚きたてるルイズと、意地悪な微笑を浮かべながら軽くあしらうレン。そんな二人を見てキュルケが堪え切れないとばかりに吹き出した。 「ぷ、あはっはっはは! さ、最高! あなた最高よアルクちゃん!」 「お褒めに預かり光栄ですわ」 「何普通に返してるのよ!? ああもう、さっさと出るわよ! お菓子出来てるわね!?」 レンの手を引っつかむとルイズは強引に立ち上がる。貴族の癇癪に怯えている店員からお菓子を引っ手繰ると、レンから渡された金貨をテーブルに叩きつけた。 「ほら行くわよレン!」 「またね~、アルクちゃん」 「はい、ごきげんよう」 「い・く・わ・よ!!」 ひらひらと手を振るキュルケに構わず店を飛び出すルイズに連行されるレン。ちなみに、ここに至ってもタバサは本から目を上げる事をしなかったとさ。 「もう、もっとゆっくり食べたかったのに」 「キュルケが傍に居るのにあんなところに居られるわけないでしょ! あんたもキュルケと馴れ馴れしくしない! ヴァリエール家とツェルプストー家の因縁は前に話したでしょ!?」 「さあ、どうだったかしら? 私、猫ですから憶えてませんわ」 道幅4~5メイルほどの大通りを大股で進むルイズ。その後ろを白い幼女のレンが続く。 憤って騒ぐルイズをレンは軽く笑いながらあしらう。只でさえ沸点の低いルイズ。この使い魔の自分のからかうような口調に血圧が許容量を超えて上昇していた。 「あんた、学院に帰ってからのお菓子抜きね」 「何でよ」 「ご主人様に隠し事をしてた罰、キュルケとお喋りしてた罰、ご主人様の顔を舐めた罰よ!」 「私へのご褒美だったんじゃないの?」 「もう十分食べたでしょ! これは私の分よ!」 「それを全部? 本当に太るわよ、マスター?」 「……あんた、お菓子だけじゃなくて食事も抜き!」 「ちょ、ちょっと私を飢え死にさせる気!?」 この使い魔もご飯抜きは辛いらしい。先ほどの余裕をなくしてルイズに詰め寄ってくる。 ぎゃあぎゃあ騒ぎながら街道を歩く少女二人。女三人集まらなくても姦しい。 「ひどいわルイズ!」 「どうしても欲しいのなら今から挽回しなさい。はいこれ持つ!」 店から持っていたお菓子の入っている袋をレンに押し付ける。しぶしぶと受け取るレン。ずんずん先行するルイズの後を付いていく。 歩きながらルイズは先ほどから疑問に思っていることをぶつけた。 「レン。さっきの自己紹介、あれ何? ブリュンスタッドって何よ?」 「ああ、あの名前は私の前の契約主の名前よ。言ったでしょ? この姿で貴女の使い魔と知られる気はないって」 確かに、あの場でレンと名乗るのは少しまずかったかもしれない。自分の白猫と目の前の幼女が同名なのは偶然とさせても、このレンの姿だとルイズの白猫は簡単に連想できてしまう。 「貴族の名前にしたのは貴女の為よ。ルイズは平民と一緒に食事してた、ってキュルケとかに知られるのは嫌なんでしょ?」 「まあ、そりゃそうね」 「そういうわけよ」 「……ねえ、どんなメイジだったの、そのアルクって人は?」 「あいつはメイジじゃないわよ」 「ええ? だってその人の使い魔だったんでしょ? 使い魔を持てるならメイジだったんでしょ?」 「あいつが人間だったならとっくに使い魔の契約なんて破棄してるわよ。もっとめんどくさい存在で、私もどれだけ契約破棄に苦労した事か……」 レンは何やら遠い目で昔を偲んでいるようである。口はへの字になっており、どう見ても楽しい思い出ではなさそうだった。 ルイズは理解できない。そのアルクとかいう奴は、メイジどころか人間でもない?ならいったいなんだと言うのか。想像力を働かせる彼女の脳裏に思い浮かんだのは、今は帽子で隠れているレンの長耳だった。 「人間じゃないなら、まさかエルフ……とか?」 「違うでしょうね。あいつは耳は普通の人の耳だったわよ。けど、エルフよりももっと強いと思うわ」 「エルフより強いって……!? 一体何なのよその人は!?」 「吸血鬼よ」 レンから簡潔に述べられた答えに、しかしルイズは顔に疑問符を浮かべる。 「吸血鬼? そりゃ吸血鬼は怖いけど、エルフより強いって言うのは言い過ぎでしょ」 「ルイズ、貴女が知ってる吸血鬼はどんな種族?」 「そうねー、知識でしか知らないけど、日の光が苦手で、エルフ程じゃないけど先住魔法を使える、狡猾で残忍、あとグールを使役する。これくらいかしら」 「あいつは、まず日光の下を自由に動けるわ」 「え゛!?」 「それと馬鹿力ね。キュルケの使い魔のフレイム、だっけ? あんなの素手で潰されるわね」 「えええ!?」 「あとこの前言った魅惑の魔眼持ちね。その瞳で見たならどんな相手でも意のままに操れるわ。他にも色々凄いわよ」 「……」 ルイズは言葉が出せない。なんだその吸血鬼は。日の光をものともせず、サラマンダーを潰せるくらいの怪力で、相手の目を見たら体の自由が利かなくなる? インチキの塊のような能力ではないか。 普通の吸血鬼でもメイジは苦戦するのに、そんな奴スクウェアクラスのメイジでも倒せるかどうか。見た事のないレンの元主人とやらに戦慄するルイズ。 「一番の違いだけど。あれは血を吸わないわ」 「は? それじゃ吸血鬼じゃないじゃない」 「言いたいことは分かるわ。けど吸血鬼なの。吸血鬼なのに血を吸わない。そんな変な奴よ」 ルイズの考えが混乱する。血を吸わない吸血鬼? そんなものいるわけないじゃないか。 「それ、やっぱり吸血鬼じゃないでしょ」 「別に信じなくて良いわよ。貴女が会う事は絶対ないから」 「そんな事言っても気になるわよ」 この生意気な使い魔が自分の前に仕えていたという吸血鬼。興味を抱くなと言うのは無理な話である。だがレンはその吸血鬼の事をあまり話したがっていないようだった。 「ルイズ。次は何処に行くとか決めてるの?」 「ちょっと、話の途中よ。……でもそうね、ここからなら服屋が近いかしら。ちょっと寄っていきましょうか」 「了解しましたわ、マスター」 「それで、他には特徴はないの、その吸血鬼」 「まだその話? そうねえ、あとは」 人差し指をあごに当ててレンは軽く考え込む。そして何かを思いついたのか、ルイズに向かって一言。 「色ボケね」 「さ、帰りましょうか」 大分日が傾いた王都トリスタニア。ルイズとレンは街の入り口までやってきていた。 「それじゃ、私は猫になってくるわね」 「そうね、荷物があるから二人乗りは厳しそうね、あんた小さいとはいえ」 「一言余計よ、ルイズ」 そう言って細い路地へと向かうレン。その後姿を見ていると、 「ねえレン。あんたその姿のままがいいとか言う事はないの?」 そんな疑問がルイズの口からこぼれた。その言葉にレンはルイズの方へ振り向いて答える。 「別にそんな事は思わないわね。猫の姿、この姿、どちらも私だもの。それに――」 「それに?」 「いえ、何でもないわ」 薄い微笑を浮かべながら言葉を切るレン。その顔がルイズは妙に気になった。 「言いなさいよ。それに、何?」 「だからなんでもないわ。もう暗くなるわよ。夜道は危ないわ、急ぎましょ?」 「あ、こら!!」 無理やり話を終わらせて路地へと入り込むレン。その後を追うルイズだが、そこは白猫になったレンが佇んでいるだけだった。 「……何よ、ほんと隠し事が多い奴ね」 不機嫌にしかめっ面になりながらレンを持ち上げる。睨んでやってもレンがは鳴きもせず、人の言葉をしゃべる事もなかった。 それ以上の追求はこの場では無駄だ、とルイズは判断すると、レンを持って馬へと歩き出した。 だからルイズは知らない。レンが徒に人型にならない一番の理由は、ルイズに下らない雑用を押し付けられないが為だという事に。 3時間ほど馬を走らせ、無事学院へルイズとレンはたどり着いた。家に帰るまでが外出である。 夕食の後、持ち帰ったスコーンを自室で頂く事にする。そわそわしながらお茶が運ばれてくるのを待つ。こういう時、まだかなまだかなと待つ時間も楽しみの一つだ。 そして待望のノックの音が響く。コンコンコンコンと4回、主に礼儀が必要な際に行う回数である。 「失礼します、紅茶をお持ちしました」 「ええ、入りなさい」 許可を出すと、トレイにティーセットを乗せた黒髪のメイドが入ってきた。それはこの前浴室で会ったメイド、シエスタだった。 「あら、あんただったの。奇遇ね」 「は、はい。それでは紅茶をお煎れします」 「お願いね」 お湯で温められた2つのティーカップに、数分間ポットの中で旨みが抽出された紅茶が注がれる。とぽとぽとぽ、という音と共に心が落ち着く香りが漂う。 「ご学友とお茶会でしょうか?」 「まあ、そんな所よ」 「それでは失礼致します」 「あ、ちょっと待ちなさい」 ルイズはお茶を煎れ終わったシエスタを呼び止める。 指示を待つメイドに、ルイズは買ってきたスコーンを一つ差し出した。 「あげるわ。とっときなさい」 「……よろしいのですか?」 「ちょっとしたお礼よ。遠慮する必要は無いわ」 「ありがとうございます! それでは頂戴します……?」 シエスタがルイズからスコーンを受け取ると同時、シエスタは自分の足下に目を向ける。そこにはシエスタの脚をはっしと両前脚で抱えているレンが居た。 「ど、どうしたのレンちゃん?」 「レン、はしたないわよ。さっさと放してあげなさい」 ルイズにはこの白猫の行動の意味が読めた。自分の分のスコーンが減ることを危惧しての行動だろう。 そのお菓子を持ってかないでー、という言葉は無くとも理解できる。思わずニヤニヤ笑ってしまうルイズだった。 「ほら、離れなさいっての」 ルイズはがしっとレンを掴みあげる。ルイズに拘束されてもレンはまだ諦められないらしく、じたばた手足を振って抵抗していた。シエスタはそんなレンを微笑んで見守っている。 「それでは失礼致します」 「ご苦労様」 使用したティーセットとお駄賃のスコーンを持ってシエスタが退室する。 ドアが閉まって彼女の足音が部屋から遠のくまで、レンはじっとルイズを見上げていた。そして足音が完全に聞こえなくなると、何の前触れも無く一瞬で人の姿になった。 ちょっとびっくりしたルイズだが、レンの不機嫌そうな顔を見て心に余裕が生まれていた。意地悪く笑いながらレンに言う。 「へえ、そういう風に変身するんだ。ほんとに一瞬なのね」 「ルイズ、なんであの娘にあげちゃったのよ」 「あら、私は全部私とあんたで食べるなんて言ってないわよ。それに全部はあげてないでしょ。数を減らしてあげただけのご主人様に感謝なさい」 「なんて、ひどい……! あれだけ荷物持ちをさせておいて……!」 初めて見るレンの怒り顔である。しかしルイズにはなんだかそれが見た目相応に子供っぽくみえて、恐れるより面白いと思ってしまった。 本当に、甘いものが絡むと素の反応になるんだな、とルイズは実感した。 「さ、紅茶が冷めるわよ。入れたてが一番おいしいんだから頂きましょ」 「食べ物の恨みは絶対忘れないからね!」 恨めしげに言いながらレンはスコーンを齧る。そんなレンを肴に、ルイズはシエスタの煎れた紅茶とスコーンを愉しむのだった。 「ん~~っ、眠い……」 お菓子を食べ終わり、風呂から上がったルイズは自室に戻ると着替え始めた。生地の薄いネグリジェになると、ベッドに倒れこむ。 レンは床の上に敷かれた毛布に寄りかかって丸くなっていた。ふて寝かもしれない。 毛布は、今日街で買ったものの一つである。色々と買い込んだので最後の方では小柄なレンが荷物持ちに四苦八苦していた。 布団の柔らかさに包まれながら、ルイズは呼吸に合わせて膨張、収縮を繰り返す毛玉を見つめる。そして今日の事を思い出していた。 従者ではない、使い魔と一緒の街の散策。一緒にお菓子を食べて紅茶を飲む。こんなのつい数日前までは想像もしなかった。 (結構いい使い魔じゃないの……私の使い魔は……) キュルケに余計な邪魔をされたものの、今日はいい日だった、と思いながら、ルイズは押し寄せる睡魔に身を委ねる。深い眠りに落ちたルイズは、その日夢は見なかった。 前ページ次ページゼロの白猫
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6095.html
家庭教師ヒットマンREBORN!より獄寺隼人を召喚 ゼロのヒットマン 01話 ゼロのヒットマン 02話
https://w.atwiki.jp/amusu/pages/202.html
ゼロの使い魔レビュー (ジャンル:ラブコメ、ファンタジー) 評価 点数の判定基準の意味はこちら ストーリー キャラクター 声優 グラフィック 14点 11点 23点 20点 合計68/100点 感想 所謂、男の為の萌えアニメ。と言ったところでしょうか。 この言葉を聞いた時点で駄目だと思った人は見ないほうが良いかもしれません(笑) 最初見たとき、ルイズと才人以外全然目立たなくなりそうだな、とか思っていたのですが、 予想とは違うストーリー展開で良い意味で裏切られました。 才人とルイズの掛け合いが面白い。掛け合い部分の演技力はとても素晴らしいです。 しかし、シリアス調の時に若干演技が微妙になる場面があった。残念。 最後の方は駆け足でしたが、1クールですし、まあ仕方ないですね。 アニメ公式サイト
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/263.html
授業が始まって数十分、極力周りを見ないように黒板の文字のみに集中していた。 『成る程…こちらでは光と闇の属性に関しては未だ言及がなされていないのか。』 この時点で真面目に授業を受けているのが『ウル』だけになってしまった様だ。 もともと『おさらい』である上、使い魔も貴族もほとんど悪夢にうなされていた事を考えれば 半数以上が『舟を漕いでいる』状態も仕方が無いというものだ。現に教師・『赤土』のシュヴルーズも よくよく見れば歯を食いしばりながら授業を続けて…? あいつの左手…まさか釘かナイフを刺している!?もはや天晴れと言うしかない状況でシュヴルーズは ルイズを指名して『錬金』をやってみせるように言った。 この時誰からも異論が出なかったのは『舟を漕いでいる者』が約半数、 残りの半数は『目を覚ますには丁度良い』とか『危険を進言する気力が無い』とかそんな状態だったからだ。 そしてルイズは不本意ながらも期待通り、 ドォーーーン!!! とやってしまったのである。 目は覚めたし、教室は半壊したし、授業は潰れたしで喜ばれたのである。 無論、感謝の意を表した者はもれなく(と言っても3人だが)ドォン!と吹き飛ばされて医務室送りである。 ちなみに教室の後片付けはみんなが手伝ってくれました。『舟を漕いでいる者』が約半数だったせいかもしれないが。 そして若干遅めの昼食。 食堂に辿り着いたときには騒動が始まっていた。 手近の者から聞いた話を要約すると ギーシュという男のポケットから特徴の有る小瓶が落ちたので平民のメイドが拾った これをきっかけに二股がばれて女性二人から両方の頬に平手打ちを喰らった 浮気している事を『棚』の遥か上にまで上げてメイドに謝罪と賠償を要求 見ず知らずの人間なら無視する所だろうが、詰問されているメイドがシエスタだった事もあって良く聞こえるように 「そもそもの問題はすぐにバレる様な浮気をしていた貴様にこそ有るのではないのか?」 詰問に夢中なギーシュの背後から言ってやった。 「何だね君は?あぁ『ゼロのルイズ』が呼び出した平民というのは君か。」 「それが何か?」 「やれやれ、『ゼロのルイズ』は自分の使い魔のしつけも満足にできないのか?」 「我が主・ルイズは関係ない。我が信念の元に貴様に抗議しているだけだ。」 「ほぉぅ、ならばそこの平民の為に決闘でもすると言うのかね?」 「良かろう、ならば決闘だ。」 余りに速すぎる展開に食堂が静まり返る。 「よろしい、ヴェストリの広場で待っている。死にたくなければこの学院から逃げても構わんぞ。」 「誰にモノを言っているつもりだ?」 next ゼロの破壊神6
https://w.atwiki.jp/animefate/pages/20.html
(ああ! 腹が立つ! 腹が立つ! 腹が立つ! 死ね! 全員死ね! 心の中で笑ったやつ! わたしを馬鹿にしたやつ! あの場にいた全員! 残らず死ね!) 彼女の怒りはたとえ偉そうな騎士の尻を蹴り上げたとて収まらない。 壁に必殺パンチ、王冠蹴り上げスツールを破壊し、花瓶投げつけ文鎮ぶん投げ腹立つ腹立つ。 破壊活動は疲れるだけで一切無為。部屋が荒れて困るのはわたし。かえって苛立ちが募るだけ。死ね。 学院付きのメイド達だって内心わたしを馬鹿にしてる。そうに決まってる。 わたしが連中の立場なら笑う。まず笑う。魔術の使えない魔術師がいたら絶対笑う。 そもそもの原因はタバサにある。あの人形娘が大鷹なんて召喚したりしなければわたしもその気にならなかった。 人形娘が大鷹ならわたしは獅子くらい召喚してしかるべきじゃない。 ま、かるーく鉄仮面のビビッた顔見てやろうと思ったわけよ。なのに結果これ。 なめてるの? なめてるんだね? 何よこれ。なにも召喚できないってなによそれ。馬鹿。死ね。 彼女の名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 ヨーロッパ西部に位置するトリステイン王国屈指の名門貴族であるヴァリエール公爵家に生まれ、 全世界の魔術師を束ねる魔術協会総本部、ロンドン『時計塔』と肩を並べる名門トリステイン魔術学院に席を置く。 この学院では進級試験として、使い魔召喚の儀式を行う。 使い魔はサモン・サーヴァントの術で召喚されるが、使い魔は魔術そのものが決定するとされ、術者本人は相手を選ぶ事ができない。 召喚される使い魔は多くの場合ヨーロッパに生息する動生物などで、術者の系統と近しい物が召喚されるケースが多い。 サモン・サーヴァントは一度限りの試験であり、再びサモン・サーヴァントを行うことは許されない。 そもそもなにも召喚できないと言った事例はまず滅多に起こることではなく、『ゼロのルイズ』はトリステイン魔術学院史の恥部として名を残すこととなった。 『錬金! あ! ボカーン! 錬金! あ! ボカーン! 失敗です! ゼロだけに失敗であります!』 『ルイルイルイズはダメルイズ。魔法ができない魔法使い。でも平気! 女の子だもん……』 『ゼロのルイズ』の蔑称は、幼少時から魔術に失敗し続けたため、彼女の魔術の才能が皆無であるとされたことから付けられた。 しかし魔術で失敗しているから劣等生というわけではなく、人一倍頭の回転が速い彼女は実践座学ではほぼ学年トップの成績を収めている。 そんなルイズにとって自分より少し魔術ができるだけの、たいした家柄でもない生徒たちに見下されバカにされることほど頭にくることはなかった。 そんな折に始祖ブリミルはルイズに絶好の機会を与える。 発端は郵便課の手違いだった。 学院長オールド・オスマン宛てのその手紙には、近く極東の地で行われる魔術の競い合いに、学院長の推薦する人物一名を選出してほしいとの旨が記述されていた。 その『聖杯戦争』なる競技の詳細をルイズは徹底的に調べ上げ、その驚くべき内容に興奮を隠せなかった。 セイバー・アーチャー・ランサー・ライダー・キャスター・アサシン・バーサーカー。 無限の願望機『聖杯』の力を借り過去未来異世界、様々な世界の英雄を7つのクラスに別け現界させ、使い魔として戦わせる命懸けのバトルロワイアル。 野蛮な行為であるが、ルイズが名誉を挽回するためにはまさに天が与えた好機と思えた。 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが聖杯のもたらす栄光を掴んだとき、これまで散々彼女をバカにしたクラスメイトたちはみな足元に平伏し羨望の眼差しを送ることだろう。 勝利の栄冠を得た自分を夢想しながら、その日のうちにルイズは荷物をまとめトリステインから極東の島国、日本へと飛んだ。 ――11月20日 ルイズの寝覚めは最悪だった。 極東におけるヴァリエール家別邸、フランソワーズ城。 森に囲まれたこの城に辿り着くまでがまず大変だったし、長年放置されていた別邸は汚れも溜まり、とてもじゃないが住めるような状態ではなかった。 使用人の一人や二人連れてくるんだったと早くも後悔しながらルイズは掃除を始める。 しかし洗濯から掃除まで何から何まで使用人任せにしていたルイズにその労働はあまりに過酷だった。 結局使用する予定だった部屋の掃除を諦め、使用人が使う小ぢんまりとした部屋に荷を置いた。 夕食を取ろうとしても備蓄された食料は缶詰以外食用に適さない状態となっており、薪を切らねばならないとあっては暖炉で温まることもできない。 だがそんな先日の不快感も右手の甲を見れば吹き飛んでしまう。今朝浮き出た、サーヴァントを従えるマスターたる証、『令呪』がはっきりと宿っている。 冬木の地にあり、充分な魔術の素養を持つ自分を聖杯が見逃すことはなかったということだ。当然のことと言え頬が緩んでくるのを抑えきれない。 ルイズは暖かなベッドから抜け出すと寝巻きを着替え準備を始める。 『ゼロのルイズ』という名を終わらせ、そして新たな自分が始まるための一歩。 サーヴァント召喚の儀式のための準備を。 水銀を用い、フランソワーズ城礼拝堂に模様を描く。模様には一切の歪みやムラはない。 座学ではトップの成績を誇るルイズが慎重に慎重をきして作り上げた召喚陣なのだ。 ミスタ・コルベールがこの場にいればきっと満点をくれたことだろう。 「告げる――。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に!」 クラスメイトたちの嘲笑、『ゼロのルイズ』という不名誉な二つ名。 私の受けた屈辱を何倍にもして返してやる。あいつらに吠え面かかしてやる。 「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ!」 大気に含まれる純然たる魔力が身体に流れ込んでいく。 だが足りない、まだ足りない。こんなものでは強力なサーヴァントは召喚できない。 自身のキャパシティを越える膨大な魔力を抽出し、限界まで加速させていく。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! 神聖で、強力な使い魔よ! 我の運命(さだめ)に従い、導きに応えよ!」 召喚の模様が輝きを放ち、次いで巻き起こったのは雷鳴でも突風でもなく閃光を伴う大爆発。 始祖ブリミルが描かれたステンドグラスは震え、儀式のために用意した祭壇は跡形もなく砕け散る。 失敗――。あってはならない言葉がルイズの脳裏に浮かぶ。 「――ほっほ、これはまた可愛らしいマスターに喚び出されたものですなぁ。」 もうもうと巻き上がる煙が収束し、そこに佇むのは初老の男性。 モノクルをかけた、1000人中999人が執事と断言するであろうその姿。 「えっ――ちょ、そんな……これって……」 「我がクラスはアサシン。真名はウォルター・クム・ドルネーズ。聖杯を臨むものとして、微力ながらお仕え致しましょう。」 面食らうルイズを前に老人は忠節を示すかのように甲斐甲斐しく礼をする。 アサシン――暗殺者のサーヴァント。しかもお爺ちゃんって……。 ルイズが夢想していたのもちろん最良のサーヴァントと呼ばれるセイバーであり、自分こそがふさわしいと確信していた。 召喚には成功したものの、理想と現実のあまりの違いに身体から力が抜けていく。 「少々乱暴な召喚でしたが供給される魔力量は充分。 差し当たっては諸所の確認などを済ませたいのですが……お嬢様、如何がなされました?」 僕に対する返答をすることなく、ルイズはゆっくりとその意識を手放していく。 ――聖杯戦争。何百年も昔から繰り返される大儀式。 参加すれば他の6人を排除しなければならない生き残りをかけた戦い。 聖杯戦争がいつから始まったのかは分からない。 ただこの冬木の土地に聖杯が在るとされ、過去何人もの魔術師たちが技を競い合ったという。 目的はただひとつ、聖杯と呼ばれる宝具を手にせんがため。 聖杯に選ばれた魔術師はマスターと呼ばれ、マスターは聖杯の恩恵により強力な使い魔を得る。 それが聖杯戦争と呼ばれる儀式、魔術師たちによる争奪戦。 7騎のサーヴァントが揃った時、聖杯戦争は開始される。 もう時間がない。 最後のマスターがいつ現れるかは分からないけれど、それはもうすぐそこまで迫っている――。 「ん――――うぅ……?」 怠い……召喚の時にかなりの魔力を持っていかれた。 ぼんやりとしたままベッドから起き上がり、時計を確認すると正午少し前を指している。 召喚の儀式を行ったのが午前5時だから、たっぷり6時間は寝た計算になる。 「おや、お目覚めになられましたかなお嬢様。 寝覚めに紅茶は如何ですか? それとも寝起きはコーヒー派だったり? お望みであれば軽食などご用意いたしますが……。」 わたしのサーヴァントはすぐそこにいた。 うん、なんだろう。いろいろ言いたいけどまず部屋がすごく綺麗になってる。 長年積もり積もった汚れが消失し、建築されたであろう当時の美しさを蘇らせている。 シーツも下ろしたてみたいで……そもそもこの部屋は昨日寝た使用人用の犬小屋みたいな部屋じゃない。 城の主人(つまりわたし)が使うための、一番立派な部屋。 「誠に勝手ながらお嬢様にふさわしい私室として少々手を入れさせていただきました。 他に食料、茶葉なども不足しておりましたので、お嬢様のポケットマネーより必要経費を頂戴した次第。 汚い部屋がお好きだったり、悪魔城のような居城がよかったと申されるならば令呪を用い、いかなる刑罰でもお与えください。 私めの不徳がなすこととして、いかなる処罰でも受けましょう。」 こうまでされると感心を通り越して感動を覚える。 貴族として従者やメイドはたくさんいるけどこんな完璧な執事は初めてだ。 もし執事のランクがあるなら間違いなくA+になるだろう。 くぅ――、とお腹がなった。 そういえばまだ朝食も済ませていない。 わたしの虫の音を聞きウォルターは笑うと、“すぐにご用意いたします”と部屋を後にした。 理想とは少し、いやかなり違うけど悪くない。少なくとも従者としては文句ない。 それに今更やり直しなんてできないんだから、うじうじ悩んだってなにも始まらないのだ。 サーヴァントを召喚したばかりの今日は満足に動けそうにない。 本格的な戦いは明日からにして、今日はウォルターと今後の方針を話し合うことにしよう。 『ゼロのルイズ』と『使い魔』の物語はこれより始まる。 7人のサーヴァントと7人の魔術師の、聖杯戦争という物語が……。
https://w.atwiki.jp/zeromoon/pages/60.html
前ページ次ページゼロの白猫 幾度もの失敗の果てに、爆発して巻き起こる煙が晴れた後に鎮座していたのは。 猫だった。 「や、やった! 遂に使い間の召喚に成功したわよ!」 「「「な、なんだってーーー!?」」」 ころしてでもうばいとる。 という考えがルイズを取り巻く生徒たちの頭に浮かんだかどうかは第三者にとっては定かではない。ぶっちゃけどうでもいい。 まあそんな考えが浮かんだ可能性はゼロといっていいだろう。ハルゲギニア大陸のトリステイン魔法学院の生徒たちは皆使い魔の召喚に成功し、ただ一人残ったルイズの度重なる召喚失敗に飽き飽きしてもう帰りたいと思っていたところなのだ。 兎に角、ヴァリエール公爵家が三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは『サモン・サーヴァント』に成功したのだ。 「何度も……何度も失敗したけど、こんな綺麗な白猫を……!」 利発そうな子猫だった。 小さいながらもきりっとした体躯はどこか気品のようなものすら感じられる。見るからに手触りの良さそうな真っ白い毛並みに瞳だけがルビーの様に真紅だ。そして首に巻かれたこれまた白いリボン…… 「……リボン?」 そう、白猫の首には野良猫にはない、誰か人間に着けられたと思しき白いリボンが巻かれていた。 「なんだよルイズ! 呼んだのは何処かの誰かの飼い猫かよ!」 「うぅううるっさい! 例え誰かの飼い猫だろうと私が呼んだからには私の使い魔なの!」 「……ちょっと失礼しますよ、白猫さん」 ひょい、と頭部の寂しいコルベール教師が白猫を持ち上げる。その際じたばたと白猫は暴れたが、コルベールは力づくで抑え込んで全身をくまなく視姦する。 「……大丈夫のようですね。この猫には使い間のルーンはありません。誰かの使い魔ということはないようです。ミス・ヴァリエール。どうぞ契約の続きwぁいたぁ!」 噛み付き、猫爪、後ろ回し蹴りのコンボが鮮やかに決まる。猫好きの皆さんならお分かりだと思うが、猫の爪の鋭さは馬鹿にできない。血が出ます。 お怒りの白猫(雌だった)は華麗な連激を決めると、とっとと捕獲者の腕から離脱する。そのまま遠くへ走り出しそうな白猫をあわててルイズは捕まえる。 「ま、待ちなさい! まだ『コントラクト・サーヴァント』が終わってないっての!」 危なかった。ちい姉さまこと、カトレアになついていた猫に逃げられた経験がなかったらルイズも逃走を許していたかもしれない。召喚しておきながら契約せずに逃げられました、なんて笑い話にもならない。 『サモン・サーヴァント』で自分に相応しい使い魔を召喚、そして『コントラクト・サーヴァント』で呼び出した使い魔と契約する。この二つを経て召喚の儀は完成するのだ。 この使い魔の召喚、契約は失敗できない。しくじれば問答無用で留年の運命まっしぐらなのだ。猫だけに?更にルイズにとっては自分の不名誉な渾名を払拭する絶好のチャンスでもある。必ず成功させねばならかった。 興奮して鼻息も荒いルイズだが、そんなルイズに両腋から持ち上げられた白猫は、意外にもおとなしくしていた。ただじっとルイズを見ていた。真っ赤なその眼で、まるでルイズを吟味するかのように。 そんな猫の瞳に違和感を覚えるルイズだったが、ちんまりとした猫の愛らしさ、しっとりさらさらと滑るような手触りの滑らかさ、何より生まれて初めて魔法が成功した歓喜には些細な事と、いざ使い魔との契約に臨む。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 契約の呪文を唱え、白猫のω口へ唇を付ける。ノーカウントのファーストキスの感想は、猫の鼻って湿ってるな、だった。 「……」 その間、ずっと猫はおとなしくしていた。が、しばらくしてばたばたと暴れ、ルイズの手から逃れてのたうち回る。使い魔のルーンが体に刻まれているのだろう。直接体内に呪を書き込むので対象にはそれなりの痛みが走るのだ。 「……ッ!」 ようやく治まったのか、白猫がふらりと体を上げる。白猫の胸部には使い間の証のルーンが確かに刻まれていた。 「ふむ、珍しいルーンですな」 白猫の攻撃から立ち直ったコルベールは白猫の胸のルーンを興味深げに眺め、さらさらと書き留める。猫は突然の激痛に警戒を強めたらしく、尻尾と全身の毛を逆立たせてコルベールやルイズを睨んでいる。 「痛かったのは分かってるわよ。でもそういうものなんだからしょうがないじゃない」 悪いと言いつつも謝罪の言葉を述べないのは貴族の気高さ、あるいは傲慢さからくるものか、はたまた彼女の気性故か。 「さて、これで全員無事に使い魔の召喚が終わりましたな。みなさんご苦労様です。では、これにて解散!」 コルベールの終了の合図で生徒たちは「ようやく終わったか」という安堵の元、ふわりと浮いてそれぞれの部屋へ向かっていく。そんな生徒たちを白猫はただでさえ大きい瞳を真ん丸にして、ルイズへの怒りも忘れたように見つめている。何か驚くことでもあったのだろうか。 「さあ、私たちも行くわよ」 そう言ってルイズはひょいと白猫を持ち上げ、両腕を胸の下でしっかり固定させ、その上に猫を乗せる。腕と胸で作られた簡易ベッドだ。猫は自分の体をべたべた触られることを習性として好まない。そんな猫をおとなしく運ぶためにカトレアが行っていたのがこの抱き方だ。 このやり方なら猫に触られることに対する不快や警戒感を抱かせることは少ない。抱いている方は猫を撫でることはできないが、かりかりと喉や頬を掻いてやることはできる。 抱き方が功を奏したのか、ひとまず腕の中で白猫はおとなしくしている。すたすたと自室に向かうルイズの腕の中で、白猫は両目に二つの月を写していた。 「さて、私はルイズ! ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ! まずはあんたの名前を決めないとね!」 使い魔の召喚と契約が成功して――ルイズにとっては生涯初の魔法成功である――上機嫌のルイズが部屋に入って宣言する。 「どんな名前がいいかしら? 白いからシロ……じゃ安易すぎるわね、なんか犬っぽいし。じゃあヴァイスとか? でもなんか雌向きじゃない響きね、コレ。いっそ赤い目だしルビーとかスカーレットとか言うのもいいかも……」 現在のルイズの状態を形容すると、まさに有頂天と言う言葉が当てはまるだろう。懸命に自分の使い魔を名付けようとするルイズだったが、その時ふとこの猫が何処かの飼い猫である可能性を思い出した。 「リボンに名前とか書いてないかしら?」 首に巻かれたリボンを調べてみるが、名前はおろか飼い主の手がかりになりそうなものも何一つなかった。 (ひょっとして捨て猫とか?でもこんな可愛い猫を捨てたりするかしら……) しばらく思案したが、結局結論は使い魔の契約を交わした以上、飼い主の元に戻してやることはできないだろう、ということだった。 「いい? あんたが何処の飼い猫だったかは知らないわ。でも私の使い魔になったからには今までのことはスパッと忘れて私のために働いてもらうからね!」 盗人猛々しいとも取れるこの発言に白猫は半眼で主人を見つめている。 「うーん、名前どうしようかしら。寝る前に名前だけでも決めときたいんだけど……」 何故か猛烈な眠気がルイズを襲っていた。失敗とはいえ魔法を相当使い続けたことと、初めて呪文が使えた興奮から来た疲れだろうか、と思いながらルイズはベッドに腰掛け、そのままくたりと横になってしまう。 「だめよ……だめ駄目……この猫に立派な名前をつけてあげるんだからぁ……」 ベッドの柔らかさに受け止められて夢の中へ旅立とうとしている少女は、 (そんな事考える必要はないわ。私にはちゃんと名前があるもの) と、聞いたことない誰かの声を利いた気がした。 「……ここ、ドコ?」 ルイズがまず発した一言だった。 トリステイン魔法学院の自室のベッドにいたはずが、気がついたら白一色の世界に立っていたのだ。呆然とするのも無理はない。 そこは雪原だった。見渡す限り純白の世界。遠くには木々が生えているが、これまた雪に覆われている。ルイズの後ろには自身が示してきたと思しき足跡のみが続いていた。 だがその足跡は地平線から続いており、どこから自分が歩いてきたのか、どこまでこの雪原が続いているのか見当もつかない。そもそもルイズには歩いてきた、という実感すらないのだが。 雪があることから現在地がアルビオンということも考えたが、その仮説は空を見上げたときに粉砕された。 天頂にかかる月が『一つしかなかった』のだ。 ルイズの、いやハルケギニアの世界において空の月は二つである。天空の月が増えたり減ったりするなど聞いたこともない。ありえない状況が重なりすぎ逆に冷静になるルイズの頭の中で、これらの状況を全て説明できる答えが浮かんだ。 「そっか、コレ夢なんだ」 「ええ、その通りですわマスター」 独り言に答えを返されぎょっとして声のした方を向く。 いつの間にか、この雪原と同じ色を纏った幼女が立っていた。 外見からして年齢は10歳前後といった所か。身長はルイズより10サントは低い。しかしてその体つきに反し、幼いその顔に浮かぶのは妖艶ともとれる、妖しい大人の表情だった。 上から下まで白一色の上着と靴下、ブーツに、上着の下の肌着と一体となっているスカートのみが黒。頭には大きなこれまた白いリボンが付けられており、胸あたりまでの長さの銀色の髪を彩っている。その髪から覗く三角形の耳。 「え、エルフ!?」 人間よりも長い尖り耳はエルフの代表的な特徴。そして人間とエルフの関係は極めて悪い。白い幼女の尖った耳に気づいたルイズは警戒態勢をとり、いつの間にか手にした杖を向けていた。そんなルイズの様子を幼女は冷めた目で見つめていたが、 「貴方が言うエルフがどんなものなのかは知らないけど、私は夢魔よ。エルフじゃないわ」 と答えた。 「む……夢魔? それにさっきマスターって……」 エルフではないと言われて少しだけ落ち着いたのか、ルイズは目の前の幼女に言葉を投げる。その言葉を受け取った幼女はスカートの両端を摘んで広げ、恭しく一礼した。 「この姿では初めまして、マスター。私、夢魔のレンと申します。以後お見知り置きを。今宵お互いのことをよく知るためこの席を設けさせていただきました。急なお呼びだしになったことをお許し下さいまし」 その発言に、ルイズは混乱している頭を何とか整理して会話を繋げる。 「夢魔……って言ったわね? ってことはこれは、夢? あんたがこの世界……っていうか夢を作ったって言うの? あとマスターってなによ? 私は夢魔の主人になった覚えなんてないんだけど」 「まあ冷たい。自分の方から接吻しておきながらその言い分は傷つきますわ」 「は? 何訳分かんないことを……」 言っている内にルイズは気づいた。 この幼女――レンといったか――の白一色の容姿に紅い瞳。更にルイズから口づけしたと言い、自分をマスターと呼ぶ存在。これらのことを総合すると、思い浮かぶのは。 「あ、あんた……まさか」 「お察しの通り。先程貴方に胸にルーンを刻まれた白猫で御座いますわ」 うっすらと笑みを浮かべながらレンはルイズに答える。 だがルイズはその笑みを見てもちっとも安心することはできなかった。レンが浮かべている笑みは暖かみがある笑みではない。逆に向けられた者に警戒心を抱かせる類の笑みだった。 「さっきはとっても痛かったわ。呼び出した相手に了承も問わず問答無用で体にルーンを刻むんだもの。なんて非常識。まあ別世界なら互いの常識が食い違うのかもしれないけど」 「いや、それはしょうがないじゃないの。痛かったのは悪かったと思ってるけど……別世界って何よ?」 「今言った通りよ。私は月が一つしかない世界から来たの」 上を指さしながらレンは言う。その先には先程見たとおり、一つだけの月が鎮座しており、雪原を淡く照らしていた。 「いや、これはあんたが作った夢なんでしょ?なら月を増やしたり減らしたりできるんじゃないの?」 「面白いことを考えるのね。けど今いる世界は私の世界よ? 苦労してわざわざ月の数をいじる必要が全くないわ。私の世界に矛盾を作っても居心地が悪くなるだけじゃない」 「だけじゃない、といわれても……分かんないわよ」 「それに貴方達、さっき何の臆面もなく魔術を使ってたじゃない。空を飛ぶ、なんて目立つことを何の躊躇もなく。私が居た世界ではあり得ないわ」 「はぁ? なんで魔法を使うことを躊躇しなきゃいけないのよ? あと魔術じゃなくて魔法よ、ま・ほ・う!」 「そう言う発言があるからここは別世界だと分かるんだけど……。あ、貴方は確かに魔法使いと言えるのかもしれないわね」 何がおかしいのかレンはくすくす笑っているが、ルイズにとっては何を言っているのかちんぷんかんぷんで、誉められているのか貶されているのかも分からない。レンは一応誉めているようだが。 「ところで、いつまでその格好でいるの? 立ったままというのも何だし、座りなさいな」 レンはそういって傍にあった椅子に腰掛ける。ルイズは仰天した。つい先程まで確かにそこに椅子など無かったからだ。 「あ、あんたその椅子どうしたの!?」 「座りたかったから出しただけよ。驚くことじゃないでしょう? ここは夢の中なんだから。貴方だって必要なときに杖を出せたでしょう?」 そう言ってルイズにも椅子を勧めてくる。この椅子の出現もルイズは知覚できなかった。釈然としないながらもレンと向かいあって座る。 レンは椅子の肘掛に左腕を置き、右肘を立てて右手に顔を乗せ、右脚を大きく回して足を組む。組んでいる最中もルイズから下着が見えたりはしない。絶対領域である。 正に悪女のポーズだが、見かけと性格が比例していないこの幼女は恐ろしくサマになっている。しかしまるで使い魔らしくない。この態度ではどちらが主人かわからないではないか。憮然とするルイズが何かを言う前にレンが先に話しかける。 「それで……ええっと、ルイズだっけ?」 「そうよ。って様を付けなさいよ使い魔」 「覚えてたらね? それで使い魔と言っているけど、貴方は私に何を望むの?」 「そうね、使い魔は主人と一心同体の存在よ。まず主人の目や耳の代わりとなることができるわ」 「感覚の共有ね。こんな感じかしら?」 レンが何かを呟くと、いきなりルイズの右目にルイズ自身が写った。 「こ、これってレンの!?」 「ええ、私が見ている物よ」 自分の視界が左右異なっている事実に驚愕しながら喜ぶルイズ。だから、自分がレンと視界を共有したのではなく、レンが自分と視界を共有させたという事実にこの場で気が付くことができなかった。 「やるじゃない!さすが私の使い魔ね! 他には、マジックアイテムの原料になる苔とか、硫黄とか、もしくは秘宝とかを見つける能力を持った使い魔も居るわ」 「そういうのは専門外ね。ルイズの魔術は『作ること』が得意なの?」 「……いや、そういうわけじゃないけど」 「なら不要ね。良かったじゃない」 「……まあそうなんだけど」 ルイズの場合、作ることに特化していないだけではないことが問題なのだが。その部分は誤魔化して次の質問を出すルイズ。 「後は主人の身を守ることよ。これが使い魔にとって一番の役目となるんだけど……」 ルイズはレンをじっと見つめる。自分より身長も体の起伏も小さい幼児体系の使い魔。とても力が有りそうには見えない。 まして猫の時ではメイジはおろかその使い魔にさえあしらわれるだろう。それでも一縷の望みを託して聞いてみる。 「レン、あんた戦う事ってできる?」 「余り得意じゃないわね。前に仕えてたヤツは護衛なんて必要ないスペックを有してたし」 「……やっぱり、元の主人が居たのね?」 レンに別の主人が居たことを確信し、予想していたとはいえルイズの顔が曇る。レンが首に巻いていた、人間の姿の今は頭につけているリボン。 あの装飾品は以前に別の主人が居たことの証明だったのか。それなら自分はこの使い魔と主人の中を引き裂いてしまったことにならないか―― 「居たわ。三行半叩き付けてやったけど」 「へ?」 「そしたら腹いせとばかりに追ってきて。逃げてる途中で鏡みたいなのにぶつかったら貴方の前に出てきたわけ。いいタイミングだったわ」 「ええ?」 「私としては紳士的な男性が新しい理想のマスターだったんだけど、危ないところを助けてもらったようだし。使い魔の契約を了解したわけ」 「……」 三行半、というのがルイズにはよく理解できなかったが、つまり前の主人とは仲違いした、ということだろうか。 「ええーっと……その、前の主人のことはほっといていいわけ?」 「全く問題ないわ。元々契約だけで仕事なんて無かったもの。流石にあのバケモノも異世界へ渡る術なんて持ってないでしょうし、宝石の老体の助けでもない限り追ってくることもないでしょうね。それで、いつまで使い魔の契約は続くの?」 「私かあんたのどちらかが死ぬまでよ」 「一生ものの契約、ね。死ぬ意外に解く方法は?」 「無いわよ。解除の呪文なんて無いわ」 「……そうなると、召喚した者を召還する魔法も無い、なんてオチ?」 「ええ、そうよ」 この答えにレンは考え込む様な仕草をする。そんな様子に気づいているのかいないのか、ルイズは話を進める。 「とにかく、私の使い魔になったんだから帰るなんて事は良いでしょう? その怖いご主人様にも会わなくてすむんだし」 「……確かにあの怪物には会いたくないけど、もう向こうに戻れないというのはちょっとね。アイツとの決着も付いてないし。本当に元の世界へ帰る方法は無いの?」 「だから無いってば。第一別の世界から来たっていっても信じられないわよ」 ルイズにしてみればレンの言うことは突拍子もなく、すぐに鵜呑みにすることは不可能だった。 この使い魔は恐ろしく珍しい種族であると言うことは理解できたが、月が一つしかない世界から来た、と言われても信じられるわけがない。 自分が育ってきた世界の常識を捨てて『はいそうですか』と言えるルイズは思考停止しているわけでもなく、また頭が柔らかいわけでもなかった。 そんなルイズの言い分に、レンは一つ溜息をついて話を続ける。 「……分かったわ。とりあえず行く当てもないし、契約もしてしまったし、貴方の使い魔になってあげる」 「何であんたが偉そうなのよ。ご主人は私でしょうが!」 「その代わり、ルイズ」 「だから主人を敬いなさいっつーの!」 「短気ね、それじゃ一人前のレディには程遠いわよ?」 「あんたねぇぇぇえ!!」 「落ち着きなさいったら。とにかく、貴方の使い魔になるし、仕事もやってあげる。けど、その代わり貴方も主人としての役割を果たし、私を養うこと。それと私が元の世界へ行き来する手段を探すこと。これが条件よ」 「だからそんな方法聞いたこと無いってば」 「貴方が知らないだけで他の人が知っている可能性もあるでしょう? 兎に角調べなさい。でないと……」 「でないと、なによ」 聞いてくるルイズに、レンは目を細め、唇を三日月のように歪め、囁く。 「吸 い 尽 く す わ よ」 なにを、とは聞けなかった。いや、分かってしまった。何を、ではなく、何もかも吸い尽くす。後に何も残さない気なのだ、と。宣告されたとき、直感で分かってしまったのだ。まるで蛇ににらまれた蛙である。逆らっても無駄な、圧倒的なナニカ。 今更のようにルイズは思う。ひょっとして目の前のこの幼女は、自分の想像もつかないほど恐ろしい存在なのではないか……!? 「……あ」 声が出ない。悲鳴を上げることもできない。まして呪文を唱えることなんてできない。そんなことをしたが最後、一瞬でルイズの人生は終わる。助けを呼ぼうにも、ここは夢の中だという。そんな所で誰が助けに来てくれるというのか――― 「ちょっと、別に今吸おうとしてるわけじゃないわよ? こんなので怖がってたらこの先やっていけないわよ?」 プレッシャーが霧散した。 レンはくすくすと笑っているが、ルイズはそれどころではない。全身を冷や汗が伝い、体温が明らかに下がっている。 ルイズはようやく理解した。こいつは危険だ。夢魔、といっていたがそのとおりだ。魔性の存在だ。しかも今になるまでそのことを悟らせなかったのだから始末が悪い。その辺りはルイズの人生経験が足りないせいかもしれないが。 「……わ、わかったわよ、明日から先生達に聞いてみるわ」 「結構。正式に契約成立ね」 その言葉と共に辺りが薄暗くなってゆく。驚くルイズだが、ぼやけていく世界の中ではうまく行動できない。 「安心なさいな。目が覚めようとしているだけよ。それではごきげんよう。起きたらまた貴方の部屋でお会いしましょう」 「ちょ、ちょっと待っ―――」 ルイズの制止の声は、世界と共に暗闇に呑まれてしまった。 前ページ次ページゼロの白猫
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7754.html
イナズマイレブンから、雷門メンバー(イプシロン改戦前)召喚 キャラクターはアニメを元にする ゼロのイレブン-01
https://w.atwiki.jp/aisare/pages/42.html
ゼロの使い魔 当ページの訪問者数 合計 - 人 本日 - 人 昨日 - 人 ルイズ 【引退】 【参加:第6~15回】 【選手権戦歴】 初参戦した第6回で15位にランクインしたが、その後は苦戦が続いている。 釘宮病三大感染源の一角であり、人気はあるはずだが、愛されでは低迷している。 【成績】 + ここをクリック \ 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 本戦 ― ― ― ― ― 15位 42位 38位 70位 ― pt ― ― ― ― ― 4195 137 675 868 ― \ 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回 本戦 99位 ― ― ― 135位 引退 pt 93 ― ― ― 1276 ― 予選 66位 47位 pt 1978 5154 タバサ 【引退】 【参加:第8~12回】 無口で読書が好きな魔法使いの女の子で「雪風のタバサ」の二つ名を持つ。某キャラと容姿や設定が似ており、本動画では某キャラがゲスト出演している。つるぺた。 ニコニコ動画にうpされた「添い寝シリーズ」で一部の人に大人気である。 【成績】 + ここをクリック \ 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 本戦 ― ― ― ― ― ― ― 44位 93位 ― pt ― ― ― ― ― ― ― 453 121 ― \ 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第20回 本戦 85位 ― ― pt 658 ― ― 予選 91位 引退 pt 311 ―