約 4,199,269 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4737.html
前ページ次ページ使い魔はじめました 使い魔はじめました―第10話― ルイズ、サララ、キュルケにタバサにチョコは トリステインの城下町を歩いていた シルフィードは町に入れないので、少し離れたところで待機している 「うわぁ、人が多いねえ! でも、道が狭くない?」 チョコが感嘆の声をあげながらも首を傾げる サララも、自分が居た町よりずっと人間が多いのに、 道が狭いことを疑問に思って、ルイズに問うた 「ここはブルドンネ街。トリステインでも一番大きな通りよ。 この先に宮殿があるから、道が狭いのよ」 ますます分からない、と言うように一人と一匹はさらに首を傾げる 「サララったら、随分平和なトコから来たのね。 ほら、道が狭かったら、敵が一度に攻めてこられないじゃない」 キュルケの説明に、ようやく合点がいく 確かに、広くなっているところでは敵にぶつかりにくいが、 狭い一本道では敵にぶつかってしまうことがある おそらく、宮殿を守るためにはそれが都合がいいのだろう 「それで、武器屋が最初で良いんだっけ?」 「武器屋? 何の用があるのよ」 キュルケに聞かれて、背中に背負っている袋を示す 武器が高く売れるらしいので、買い取ってもらおう、と思ってることを告げる 「ふぅーん、あなたって本当、何でも取り扱ってるのねえ」 頬に手を当てて、感心したようにキュルケは言った 「えーっと、ピエモンの秘薬屋の近くだから……」 ルイズはポケットから地図を取り出して確認する 「秘薬屋はこっち。ついてきて」 「え、ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」 タバサがスタスタと歩き出したので、慌ててその後を追った 狭い路地裏、悪臭が鼻をつき、ゴミや汚物が道端に転がっていた 「うえ~きたなぁい。 サララ、ルイズ、早く行こうよ」 綺麗好きなチョコが嫌悪感を露にしながらサララを急かす 「だから、あまり来たくないのよね」 四辻を過ぎた辺りで、タバサが銅で出来た看板を示した 「あそこ」 四人と一匹は、石段を上り羽扉を開け、店の中に入った 店の中は昼間だというのに薄暗く、ランプの灯りがともっていた 壁や棚に、所狭しと剣や槍が乱雑に並べられ、立派な甲冑が飾ってあった ああ、なんだかとても懐かしい空間だ、とサララは息を吸い込んだ ほんのりと香る木や、カビや、鉄なんかの匂い それは、この間までサララの住んでいた場所にとてもよく似ていた 店の奥で、女四人と猫一匹、という客人を胡散臭げに見ていた親父は、 ルイズ達の胸元の星の印に気がつくと、ドスの聞いた声を出した 「貴族の旦那方。うちはまっとうな商売してまさあ。 お上に目をつけられるようなことなんか…… あ、こいつぁ失礼。お客様でしたか」 言葉尻が愛想を含んだものにころっと変わったことを 今度はルイズ達が訝しがった 「ちょっと、何で客だって分かったのよ」 「へへ……まぁ、長いこと仕事やってますとね、ピンときまさぁ。 特に……、同業の方がいらっしゃいますからね」 そう言って、サララに目をやる サララは、店主と目を合わせると、にっこり笑った 今日は購入じゃなくて、買取だが構わないか、と尋ねる 「承知しやした。でもまあ、トリステインにその名あり、と言われた武器屋だ。 値段に関しての交渉は、上手く行くと思いなさんなよ」 その言葉を受けてもなお、サララは微笑んでいた 右手の指には、トネリコの木から作った指輪がはめられている これがある限り、上手く行くだろう、と思っていた じゃあ、これとこれを、と袋の中から鉄で出来た斧と三叉の槍を取り出す 「ほぉ、中々いいモン出してきたじゃねえか。お前さん、旅の商人かい」 今の所は店はありません、などと相槌を打つ 「ふんふん……こっちの斧が50エキュー。 こっちの槍が、150エキューってとこかな。 あ、いや待てよ。こりゃあ固定化がかかってねえな。 もうちょいひいて、45と140、ってとこか」 これって相場くらいなんですか? とルイズに尋ねてみる 「私が剣の相場なんか知るわけないでしょう」 ルイズは呆れたように眉をしかめた でもまあ、これだけあれば足りるかな、と納得しかけた所で 一番大事な商品を出すのを忘れていたのを思い出す 「お、何だい? この剣も買ってくれ? ああ、見せてみ……!!」 すらり、と取り出された剣を見た瞬間、主人の顔色が変わった 「こいつは、じ、嬢ちゃん、これを何処で! いや、何処でだっていい、こいつぁすげえぜ……」 一見、それはただの古ぼけた剣だがやはり歴戦の?武器屋 その剣の価値を即座に見抜き……ため息をついた 「悪いが、ウチじゃあ買い取れねえよ。値段が付けられねえ。 どっかの好事家にでも売り飛ばせればそれなりの値は張るだろうが……」 店主は悲しそうに寂しそうに名残惜しそうに盛大にため息をついた その時、店の中に店主のものとは違う低い男の声が響いた 「おいおい、どうしたってんだ、テメエらしくもねえ! いつもならテキトーぶっこいて買い叩いてんじゃねえか!」 店内に響いた声の出所を探して、彼らはうろうろと辺りを見回した 客は、彼女達しかいないようだし、店の奥から聞こえたわけでもない 「な、何よ今の声は……」 「どこに目ぇつけてやがる! ここだここだ!」 サララは、声がする方へ歩み寄った それは、乱雑に積み上げられた剣の中から聞こえていた その内の一本が、カタカタと鍔を鳴らしていた 「やいデル公! 黙ってろ! 武器屋には武器屋のプライドってのがあんだよ!」 店主がその剣へ向けて叫んだ 「あれって、インテリジェンスソード?」 ルイズがそちらに目を向けた 「へえ、その通りでさあ。全く、どこのどいつが 剣を喋らせるなんてこと始めたんですかね……」 店主はまた大きなため息をつく サララとチョコはその剣を見ていた 「へぇ、こっちじゃ、喋る剣って売ってるもんなんだね。 ボクたちのところじゃ、怪物扱いだけど」 「黙ってろこのネコ!」 「ネコにネコって言ってもけなし言葉にならないよ……。 チーズに、お前腐ってるぞ、って言うようなもんじゃないか」 「うるせえ!」 ギャアギャアとうるさい剣だが、サララは興味が沸いた 試しに手に取ろうとしたのだが……ここで問題が生じた デル公と呼ばれた剣は、筒状の容器に他の剣と一緒に縦に入れられている また、ルイズと同じくらいのサイズの大剣だ 手が、届かなかった 「あら、サララ。その剣が見たいの?」 サララの意図に気づいたキュルケに問われ、コクコクと頷く 「いいわ、とってあげる。……結構重いわよ、気をつけて」 両手でそこからデル公を取り出すと、キュルケはサララに手渡した それを受け取り触れると、額のルーンが熱を持つのが分かった おそらく、光ってるんだろうな、と思う 剣の本当の名、デルフリンガーと、付加された特殊能力が頭に流れ込んでくる その能力を知った途端、サララは思わず言葉を失った 『魔法吸収』魔法が主な戦闘手段であるらしいハルケギニアでは この能力は相当脅威になると思われる 両手に構えたまま、その錆びた剣を撫でた 「ん……この感じ? おでれーた! 嬢ちゃん『神の本』か」 神の本? と首を傾げる 「まあいいや。嬢ちゃん、俺を買え」 「えー、こんな錆びた剣買うの? ボクやだよ。うるさいし」 「何だと、この毛玉!」 「け、毛玉だって! 何さ、このガラクタ!」 ぎゃあぎゃあとケンカする一本と一匹 ルイズがそれを聞きながら思わず頭を抱える 一方サララは、デルフリンガーをどう入手するかしばし考えこんだ それから、ちらりとカウンターの方を見やる 店主は、こちらとカウンターの上の剣を交互に見やっていた その行動を見て、サララの腹づもりは決まった 多分、デルフリンガーは世界に一本しか無い剣だ それと比べれば、あの剣など安いものだろう サララは決意して、デルフリンガーを携えてカウンターまで歩いた タバサは、自分より小柄な彼女が大剣を引きずることもなく ひょいひょい扱っていることに、かすかに驚きの表情を見せた 「(……魔法は使えないけれど、ひょっとして、強い?)」 カウンターまで歩くと、サララは店主にニッコリ笑いかけた 斧と槍をそちらの言い値で買って欲しい それから……このデルフリンガーと、その剣を交換で そう告げた瞬間、店主の目がらんらんと輝いた 「へぇ、本当におよろしいんで? そっちのデル公と この剣とじゃ、大分価値が違うと思いやすが! いいんですね、本当にいいんですね! 毎度どうも!」 物凄く高いテンションで、サララの前に金貨を積み上げる 「ちょっと多いんじゃないの?」 横で見ていたルイズが訝しげに問いかけた 「なあに、ここで色をつけなきゃ武器屋の名がすたるってんでさあ! ああそうそう、そいつは、鞘に入れておけばおとなしくなりますから!」 サララはデルフリンガーの鞘を受け取る 「毎度どうも! またお越しくだせえ! 嬢ちゃん相手にだったら 幾らだってサービスしやすよ!」 お店が潰れない程度でお願いしますね、とサララは答えた 「じゃ、今から他のとこも回るんでしょ? 早く行きましょ」 「ねえサララ、あなた、もっと可愛い服も買った方がいいわよ」 「ちょっと! サララは着せ替え人形じゃないんだからね!」 「サララー、早く行こうよー」 彼女達が去ったのを見送った後で、店主は改めて剣を見る ゲルマニアのシュペー卿が鍛えた業物ほど輝いてはいない だが、これはそれ相応の歴史を背負った剣に違いない そう、まさに伝説の一品と呼ぶに相応しい 店主はウキウキと紙とペンを取り出してきて、しばし悩む それから、さらさらと文字を書いた後で、店の表に画鋲で止めた 「売るにしろ売らないにしろ、宣伝はしておかねえとな」 満足げにその貼り紙を見ながら頷くと、店内にスキップで戻っていく 『伝説の剣 はじめました』 そう書かれたチラシがパサパサと風に揺れていた 前ページ次ページ使い魔はじめました
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6132.html
前ページ次ページ使い魔はじめました 使い魔はじめました―第17話― 翌朝。ルイズとサララは朝もやの中佇んでいた。 ルイズの額には、血管が青白く浮き出ている。 「遅いわね……! 何をしてるのよギーシュは!」 その声に明らかに怒りを含ませながらルイズは呟いた。 きっともうすぐ来ますよ、とサララはとりなしつつ、ため息をついた。 約束の時間は過ぎているのだが、ギーシュは待ち合わせ場所へ来ない。 「ああもう、姫様から承った大事な任務だっていうのに、 何をしているのかしらあいつったら!」 頬を膨らませてブーブーと文句をこぼす。 「彼なら来ないよ」 「何ですって!」 朝もやの中から聞こえた声に、ルイズは不機嫌さを隠さずに返した。 現れたのは一人の長身の貴族だった。羽帽子を被っている。 ルイズの顔がさあっと青ざめ、ついで瞬時にりんごのように赤く染まる。 「わ、ワルドさま……」 「久しぶりだな! ルイズ、僕のルイズ!」 ワルドと呼ばれた彼は、人なつっこい笑みを浮かべるとルイズに駆け寄り抱え上げた。 「相変わらず君は羽のように軽いね!」 「……お恥ずかしいですわ」 普段とは違って、随分としおらしい様子をしている。サララとチョコは目を丸くした。 「あ、えっと、紹介しますから降ろしてくださいな、子爵様」 一人と一匹の視線に気がついて、ルイズは照れくさそうに微笑む。 「ええと……私の使い魔、いえ、パートナーのサララと、そのパートナーのチョコです」 「姫殿下から話は伺っているよ。はじめまして。 僕の名はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。 魔法衛士隊、グリフォン隊で、子爵だ」 気さくな感じで、ワルドはサララに近寄った。 「今回の任務に、君たちと同行するよう姫殿下から命じられてね。 君たちだけではやはり心もとないし、かといって、 多くの人員を動かすわけにもいかない。そこで僕が選ばれたのさ」 それは心強いです、ありがとうございます、と答えながらもサララは首を傾げた。 「おや、何か聞きたいようだね。……ああ、ルイズと僕の関係かい? 幼馴染でね、親が決めた婚約者同士なのさ」 ルイズさんはまだこんなに若いのに? と驚いた。 「貴族の女子の結婚は早いのよ。……一部に例外もあるけど」 最後の方はぼそりと呟いた。どうやら心当たりがあるらしい。 「はは、そういうことさ。……え、ミスタ・グラモンが来ない理由かい? ……この任務を遂行するには少しばかり、その……、口が軽そうだと思ってね。 僕の一存で断りを入れたんだ。まずかったかな?」 少し考え込む。……特に問題はないと思うと伝えた。 「そうかい。それならよかった。さて、では出発しようか」 「あ、それじゃあサララに馬を出さないと……」 「大丈夫だよ、一緒に乗って行こう。羽のように軽い女の子二人増えても、 僕のグリフォンは飛んでいけるよ」 口笛を吹くと、朝もやの中から立派なグリフォンが現れた。 鷲の頭と上半身に、獅子の下半身がついた幻獣である。立派な羽も生えている。 ワルドはひらりとグリフォンに跨ると、ルイズに手招きした。 もじもじしながらも、ルイズはワルドに抱きかかえられグリフォンに跨った。 「さて、次は君の番だよ」 サララはそう言われ急いで近寄った。しかし、はた、と足を止めワルドを見上げる。 「……どうかしたのかな?」 人のよさそうな彼の笑顔の横に、うっすらと白いモヤが見えた気がしたのだ。 ダンジョンの中、体か精神に異常をきたしているときに見えるモヤ。 まばたきしたら消えてしまいそうな薄さで、それが存在しているように見えた。 「ちょ、ちょっとサララ! なんでワルド様の顔を見つめてるのよ!」 何を勘違いしたのか、ルイズが顔を真赤にしながら叫ぶ。 少し、顔色が悪そうに見えたので、と慌ててごまかした。 「ふむ? 今朝はちょっと冷え込んだからかもしれないね」 ワルドはそう答えると、ひょいとサララを抱えて座らせる。 「ちょっと、ボクを忘れないでよね!」 チョコがひらりとサララの膝に乗るのを確認すると、手綱を握った。 「では諸君、出発だ!」 グリフォンは助走をつけると、勢いよく空へ飛び立った。 ルイズ達が出発して数時間後。太陽は高々と真上にあった。 「さて……彼女らは大丈夫かのう」 学院長室でオスマン氏は書類を処理する合間にぽつりと独りごちた。 アンリエッタからルイズ達に与えられた任務を聞き、当初は不安であったものの、 サララの実力を思い返して、大丈夫だろうと納得した。 しかし、魔法の使えぬ少女二人とドットメイジの旅路は、 やはり心配になってしまうのである。 「ミス・ロングビルにでも護衛を頼むべきだったかのう」 そんな風にして悩んでいた時、ドアがけたたましく叩かれた。 「入りなさい」 オスマン氏が答えると、一人の少年が転がるように飛び込んできた。 「失礼いたします、オールド・オスマン!」 少年を見て、オスマン氏は思わず叫んだ。 「ミスタ・グラモン? 君は確か王女殿下の任務に出たはずでは!」 面喰らったのも無理はない。そこにいたのは、ギーシュだったのだから。 「ああ、姫殿下の任務のことをご存知なのですね。実は……」 ギーシュは、自分が何故ここにいるのかを説明した。 任務に出るため荷物をまとめ、いざ部屋を出ようとした時。 王女殿下からの使者を名乗る人物が彼の部屋を訪れたのだ。 何事か、と扉を開いた瞬間、『眠りの雲』と思しき魔法によって 意識を奪われて今まで眠っていたのだという。 「ああ……、まさか姫殿下の任務が、誰かにバレていたなんて……! 裏切り者がいるとは! きっとアルビオン貴族の暗躍です! 」 意気消沈するギーシュを、オスマン氏は慰める。 「ミスタ・グラモン。既に杖は振られたのじゃ。 今さら嘆いてもどうしようもあるまい。 我々に出来ることは、ただ待つことだけじゃて」 そう告げながら、オスマン氏は空の向こうを祈るような気持ちで見つめた。 オスマン氏の心配は、ラ・ロシェールに着くまでは取り越し苦労だった。 背後でイチャイチャしている二人に、サララとチョコが うんざりした以外、彼らの旅に特に支障はなかった。 出発した日の夜には、既にラ・ロシェールに到着していた。 彼女らは『女神の杵』亭という街で一番上等な宿をとった。 貴族相手の宿だけあって、テーブルは顔が映りこむほどピカピカだ。 こんな上等な宿に泊まったことのないサララは、そわそわしている。 「んもー、みっともないわね。ちょっと落ち着きなさいよ」 そんなサララを見て呆れたようにルイズは息をついた。 流石に、一日グリフォンに乗りっぱなしだったのでクタクタである。 そこに、『桟橋』へ交渉に行っていたワルドが戻ってきた。 困ったような顔をして席につく。 「アルビオンへ渡る船は、明後日にならないと出ないそうだ」 「急ぎの任務なのに……」 ルイズは口を尖らせる。サララとチョコはほっとした。 どうやら、明日は早起きせずにすみそうだ。 しかし疑問が湧き上がり、サララはそれについて尋ねた。 「え? 何で明後日まで出ないのかって? 明日はスヴェルの月夜……、 二つの月が重なる日だ。その翌朝がアルビオンが最も、ここに近づくんだよ」 「近づくって、そんな大陸が動いてるわけじゃあるまいし、意味わかんない」 チョコの言葉をもっともだと思いつつも、きっと風とかが関係してるんだろうな、と サララは動かない頭でぼんやりと考えをめぐらせた。 風の調子がいいと船や竜は早く進める。季節によって風も違う。 明後日はよい風が噴く日なのに違いないんだろうと自己完結した。 「さて、じゃあ今日はもう寝ようか。部屋はとってくれたんだろう?」 「ええ、私とサララが相部屋で、ワルド様がお一人」 ルイズが渡した鍵を、ワルドが微笑みながら受け取る。 「ありがとう。いくら婚約者とは言っても、結婚前に同じ部屋に寝ては、 君の母上に八つ裂きにされてしまいかねないからね」 ははは、と笑って告げた後で、ワルドは真剣な眼差しでルイズを見つめた。 「しかし……二人でしたい、大事な話がある。 寝る前に少し、僕の部屋へ来てくれないか?」 その目の奥に不気味な光があったことに、疲れていたサララも 顔を真赤にしていたルイズも気づくことはなかった。 「ねえ、サララ。あのワルドって人なーんか妙じゃない?」 チョコがベッドの脇に置かれた籠の中であくびをしながら尋ねた。 猫をベッドに入れないでください、と宿の人に言われたためだ。 「何ていうか……紳士すぎるよね。優しすぎる」 悪いことじゃないのに何故心配するのか、と答える。 「サララったら、そういうとこお人よしなんだから。 うーん、でもボクもどこがおかしいとは言えないんだよなー。 普通、こういうお仕事の時って、何か邪魔が入ったりするじゃない? でも今回は、ぜんぜん、なーんにもないんだもん」 その言い草に、サララは苦笑いをこぼす。 要は、折角意気込んで出てきたのにドキドキ感がなくてつまらない、と言いたいらしい。 妙なところで自分に似てるなあと思いながら、その頭を撫でる。 確かに、普段の仕事であれば盗賊に襲われたり、モンスターに襲われたり、 必要なアイテムが見つからなかったり、と一筋縄ではいかない。 でもまあ、たまにはこんな風にのんびりした仕事があってもいいだろう。 そう答えを返したが、やはりまだ不満そうだった。 「……疲れてるからこんなこと考えちゃうんだろうね。 ふぁ……おやすみ、サララ」 しかし眠気に負けたのか、大きなあくびを一つすると、そのまま寝息を立て始めた。 サララは、ワルドの部屋に出かけたルイズを待とうかと思ったが、 あまりに疲れていたため、早々に寝ることにした。 ここは山の中だが、港町だと聞いている。きっと見たこともない商品が たくさん売られているに違いない。許可をもらえたら、 街の中を見て回ろう……そう考えながら、サララは眠りに落ちていった。 前ページ次ページ使い魔はじめました
https://w.atwiki.jp/robloxkouryakuwiki/pages/53.html
顔がアンクロックされました@brokrp なぜ、文字のあとに@brokrpとついているのか。wiki内で同じような名前がある場合のための識別コードです。ページを間違わないためのコードがついてます。また、有名なゲームだと数字がついていないのが本家となります。数字が1より大きかったら偽物です。 購入URL https //www.roblox.com/game-pass/13489552/Faces-Unlocked 価格 120Robux 詳細 アバターエディタですべての顔にアクセスできます。パスは無期限です。 タイプ パス 最終アップデート 2020年12月21日 作者 Wolfpaq@Wolfpaq その他 グッド数 6,706 マイナスグッド数 2,151
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3688.html
前ページ次ページ使い魔はじめました 使い魔はじめました―第三話― どうにか部屋まで戻ってきた二人と一匹 もっとも、先程こけた際にルイズは後頭部をぶつけて気絶し、 二人を探しにきたコルベールに部屋へ運び込まれた、 という顛末があったため、すっかり夜中になってしまっていた 「ううー……」 まだ痛む頭を撫でつつ、メイドに持ってこさせた サンドイッチを食みながら、ルイズは改めて自分の召喚した 使い魔とその使い魔に目を向ける 二人はぽかんと口を開けたまま外を眺めていた 「ねえねえ、見てサララ!月が二つあるよ!」 窓から身をのりだした猫が驚愕の声をあげている 「何当たり前のこと言ってるのよ」 「だって、ボクらの居たとこには月は一つだけだったもの」 こくこくと頷き、それに同意するサララ 自分が育った村でも、店を開いていた町でも月は一つだった 「もしかしてここ、ボクたちが居たのとは違う世界なんじゃない?」 チョコのその言葉にサララは考え込む 月が二つ、箒が無くても飛べる魔法使い 部屋の中を見渡せば、見たこともない作りの調度品で溢れている その可能性は十分あるだろう 「はあ?違う世界って何よ?月が一つ?馬鹿にしてるの?」 イライラしているらしいルイズの言葉に慌てて首を左右に振る 「……もういいわ。とりあえず、あんたらが何処から来たのかは、 この際置いておきましょ。ここに座んなさい」 テーブルを挟んで椅子に座り、主と使い魔は向かい合う 「改めて確認するけれど、『サララ』と『チョコ』ね」 一人と一匹を順番に指差してルイズが名前を確認する 「で、あんたはマジックアイテムを売る商人をやっていた」 「そーだよ。ねえ、ぼくたち、元の場所に帰りたいんだけど」 「無理ね」 ルイズはチョコの言葉を一蹴する 「どうして?」 「だって、サララは私の使い魔になったんだもの。 額に、ルーンが刻まれたはずよ」 サララはそっと髪の毛の下の額に触れる 確かに何か文字のようなものが刻まれている手触りだ あんまり人に目から上を見せないとは言え、ちょっといやだなあ、と思った 「使い魔とメイジは一心同体!あんただってそれは分かるでしょ?」 「う」 人差し指で鼻を突かれて、チョコは言葉に詰まった 「確かに、それはわかるよ。 ぼくだって、サララのパートナーだもの」 「でしょ?」 勝ち誇ったようにルイズは告げる 「それで、よ。使い魔のものは主のもの、よね」 ずい、とルイズは身をのりだし、サララに詰め寄る 「あの鍋の中のマジックアイテムも、私のもの、よねえ? ねえ、そうよね、見てもいいわよね?」 たじろいだサララがうっかり頷いたのを確認すると、 ルイズは椅子から立ち上がり、鍋にかかった梯子に手をかける 「さあ、一体どんなものがあるのかしら! ご主人様が確認して……え?」 鍋を覗き込んだルイズは、そこが真っ白に輝いてるのを見た 「何これ?一体どうなって……きゃあ!」 身を乗り出したルイズが、 そのままバランスを崩して鍋の中に転げ落ちる 「わわっ!まずいよサララ!早くあの子を助けないと!」 チョコに急かされて、サララは慌てて 鍋の中から出ている梯子に手をかけた鍋の中へと入っていった 梯子を降りたサララは、きょろきょろと辺りを見回し、 目を回しているルイズを見つけ、慌てて抱き起こす 「うう……あ、あれ?私一体?」 自分の状況が掴めないルイズが目を白黒させた 「もう、うっかりしてるなあ。鍋の中に落ちるなんて」 「ううう、うるさいわね!」 チョコに怒鳴ってから、ルイズははた、と気がつき辺りを見渡した そして恐る恐る、チョコとサララに向き直る 「ここ、何処?」 「だから、鍋の中」 再び、視線を巡らせる そこには異様とかしか呼べない光景が広がっていた まるで、巨大なデコレーションケーキだった 自分達の存在は、さながらその上に置かれた砂糖菓子の人形である 「な、な、何なのよ、これはあああ!!説明しなさいよ、ねえ!!」 パニックになったルイズを見つつ、チョコはあっさり言い放つ 「魔女の大鍋の中は、こーいう風になってるもんなんだよ。 不思議だよねえ。入れたアイテムはどこにしまわれてるんだろ?」 可愛らしく首を傾げるチョコ こーいう風になってる、と言われてもルイズは動転したままだ 「な、鍋の中って!嘘!だってあんなに天井?が高いじゃない!」 見上げた上部は、どこまでも続いているような気がした このまま戻れないのではないかと、 ちょっと泣きたくなりかけた時だった 「……って、ちょっと待ちなさいよ。鍋の中を知ってるってことは、 あんた、この鍋の中入ったことあるの?」 サララは、つい、とすぐ側にある梯子を指差す 「……出られるの?」 首を縦に振り肯定の意を示したサララを見て、 ルイズは何となく気恥ずかしくなり、顔が真赤に染まってしまう 「だ、だったら先に言いなさいよ、もう……」 照れ隠しのようにぱっと起き上がると、梯子に手をかけ昇り始める 「(びっくりした……)」 部屋に戻ってからも、まだルイズの心臓はドキドキしていた あんなに高く見えたのに、梯子を何段か昇れば、 あっさり元の自分の部屋へ帰ることができたのだ 一体、どんな仕組みになっているのだろうか 「ねえ、あんたたち」 鍋から出てきた彼女達に声をかける 「あんたたちが、別の世界から来たかもしれないって、信じるわ。 だって、ハルケギニアにはそんな変な鍋、存在しないもの」 「やーっと信じてくれた?」 チョコがやれやれ、といった様子でため息をつく 「それよりさあ、使い魔やるにしても、 とりあえず一度、元の場所に帰してくれないかなあ」 サララもそれには同意だった 使い魔をやると決めたのは自分だが、 せめて、引越しとか休業のお知らせをしないと 常連客たちが心配するだろう 「……無理よ」 「どうして!」 ルイズは困った顔でサララ達に告げた 「だって、あなたたちの世界と、 こっちの世界をつなぐ魔法なんてないもの」 「じゃあ、どうしてぼくらは来られたのさ!」 「そんなの知らないわよ!……召喚魔法は、ハルケギニアのものを 呼ぶ魔法だし……サモン・サーヴァントは、 使い魔が死なない限り、二度と使えないんだもの……」 段々声が小さくなっていくルイズ じっと聞き入っている彼女らは、多分困っているのだろう 魔法が使えないことで苦労するのは自分も痛い程知っている その上、いきなり知らない場所に連れて来られたのだ せめて、自分が有能なメイジであれば、 彼女らを召喚せずにすんだのでは? などと考えて、落ち込んでしまう 「んー……じゃあ、しょうがないかな?」 あっさりと開き直ったチョコにがくっと、なるルイズ 「……あんたたち、それで、いいの?」 「サララがやるって決めたんだし、今の所、元の世界に 帰る方法もない。じゃあ、使い魔やるしかないじゃないか」 今までだって、行き当たりばったりで様々な目に遭ってきたが、 いつだって、何とかなっていた きっと、今度も何とかかなるだろうとサララとチョコは考えた 「そ、そう、ならいいのよ!ああ、それじゃあ、使い魔が 何をしなくちゃいけないか教えてあげるわ!」 無い胸を張って、ルイズが告げる 「魔法媒体じゃないの?」 首を傾げるチョコを否定する 「そんなことしないわよ。 まず、使い魔は主人の目となり耳となる能力を与えられるわ」 「できそう?」 「……さっきから試してるけど無理ね。人間だからかしら?」 もっとも、見えた所で視界は悪そうよね、という言葉は飲み込んだ 「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ」 それを聞いた瞬間、サララは満面の笑みを浮かべた そういったことなら、自分の得意中の得意だ 仕入れるよりも、ダンジョンで拾ったアイテムの方が確実に多い 「……そーいうのなら得意だよ。 ぼくら、よく、ダンジョンに潜ってたもの」 「ダンジョン?」 訝しげな顔をしたルイズを見てサララは戸惑う 「あ……もしかして、ダンジョン、ない? 薄暗い洞窟でさ宝箱とかあって」 チョコが恐る恐る尋ねた 「……ない、わねえ。じゃあ、無理かしら」 その場に、三つのため息がこぼれる 特にサララのため息が一番大きかった 多少危険ではあるが、仕入先として重宝していたダンジョン それが無いのでは、迂闊に道具を使うことも売ることもできない これは商売人として大きな痛手である 「で、最後なんだけど……使い魔は主人を守る存在よ。 その能力を使って、主人を敵から守るのが 一番の役目……なんだけど」 「あ、そっちも大丈夫だよ」 さらりとチョコが告げる 「大丈夫、って……あのねえ、強い幻獣だったら、 並大抵の敵には負けないけど、 あんたらなんか、カラスやカエルにだって負けそうじゃない」 苛立たしげに言うルイズに、チョコは小さな胸を張る 「ぼくはともかく、サララなら大丈夫さ。カラスやカエルどころか、 ドラゴンにだって、サラマンダーにだって負けるもんか!」 「ふーん……」 疑いの眼差しをサララに向けるルイズだが、思いなおす 「そうね。あんたには、さっきのアレみたいな マジックアイテムがあるんだもの。 ひょっとしたら、ひょっとするかもしれないわね。 ……でも、そんな機会は、きっとあんまりないわ」 だから、とルイズは指を立てた 「掃除、洗濯なんかの雑用もやってもらうわよ!」 「あちゃー、やっぱりかあ。ぼく手伝わないからね、サララ」 チョコの言葉を聞いて苦笑しながらも、サララは頷いた どうせ、頼る相手は目の前の彼女しか居ないのだ だったら、精一杯のことをやるだけである 「ふわ……喋ったら、疲れちゃったわ」 ルイズはあくびをした 「ぼくたちだって疲れちゃったよ。 ねえ、ぼくたちは何処で寝たらいい?」 その言葉にルイズはしばし考え込む 普通の使い魔なら宿舎、あるいは床だが 相手は自分とそう年も変わらないであろう少女だ 「……しょうがないわね。一緒に寝てもいいわよ」 そう言いながらルイズは服を着替えていく 「もーちょっと恥じらいを持った方がいいんじゃない?」 「猫と同性の前で何を恥らえって言うのよ。 あ、これ。明日洗濯しておいて」 下着をサララの方に放るともぞもぞとベッドに潜り込んだ 「朝になったら起こしてね、おやすみ」 ぱちん、と指を鳴らしランプを消すと、 あっという間に小さな寝息を立てだした 「はあ……なんだか、大変なことになっちゃったね、サララ」 くぁ、と小さくあくびをするとチョコはルイズの枕元に飛び乗る 「サララも、早く寝た方がいいよ……。 明日からは、もっと大変になるだろうから……。 んー、ふかふかのベッドだな……」 組んだ前足に頭を乗せて、チョコも寝息を立てだした 着替えがあればよかったのに、と思いながら、 サララも帽子を脱ぎ、エプロンをはずしていく コトリ、と何かがポケットから床に落ちた 見れば、広場で拾っておいた、占いカードと日記帳である サララは手に取った日記帳を開き床に置くと、 挟んでおいた羽ペンでさらさらと今日の出来事を記していく 魔女の世界には、日記をつけておけば、例え天変地異があっても そこからやり直せるという言い伝えが残っているため、 大事なことの前後には、日記をつけておくクセがあった 月明かりが元の世界より明るく、ランプがなくとも十分だった 『『ハルケギニア』という場所に召喚されて、 ルイズという少女の使い魔:パートナーになった 元の場所に戻れるかはわからないけれど、ちょっとワクワクする まるで、ダンジョンで新しい階層に潜る時のよう』 それだけ書くと、日記帳を閉じる それから、思い立って、占いをしてみることにした 占いカードの内、『最後のカード』を除いた十三枚のカードを よくシャッフルし三つの束にする その三つの束のいずれかの一番上のカードを選ぶという ごくごく簡単な方法で明日はどんな日か占う占い方だ 手にとったカードは、『Ⅰ:水晶玉』 『水晶玉』の暗示する意味を、頭に思い浮かべる 『完成』、『完全』そして……『未来』 三つの意味の中で、これが一番しっくりくる気がした あの町で初めてやった占いでも同じカードを引いたことと、 初めてのお客様から始まったあの町での暮らしを思い出す 二つの月が輝くこの異世界で、自分と、チョコと そして彼女には、どんな『未来』が待っているのだろうか そう考えながら、ベッドに潜り込むと、サララは眠りに落ちていった 前ページ次ページ使い魔はじめました
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3616.html
前ページ次ページ使い魔はじめました ―使い魔はじめました 第二話― ルイズが打ちひしがれている間に、サララは鍋に駆け寄ると 倒れていた梯子をかけ直し、鍋に手を入れる どういう理論になっているかは分からないが、この鍋は、手を突っ込むだけで 中に入っている道具と、その数が認識できるのだ どうやら、無くなった道具も、壊れた道具もないようで胸を撫で下ろす 大切な商売道具だし、何より先祖伝来の品である 壊れてしまった日には顔も知らない先祖たちに申し訳が立たない 「さて、ミス・ヴァリエールと、そちらのお嬢さん。あなた方も、教室へ……」 「あの……ミスタ・コルベール」 軽く痛む頭を押さえながら、ルイズは彼に話しかけた 頭を押さえた拍子に取り落とした猫が騒いでいるがとりあえずスルー 「どうしたのですか、ミス・ヴァリエール?」 「……この猫が言うには、彼女はその、魔女、つまりメイジなんだそうです」 足元のチョコを恨めしい顔でにらみつけた後、先程聞いた事実を報告する 「何と……」 予想外だったらしく、コルベールはルイズとサララの顔を交互に見やる 「失礼ですが、お嬢さんは貴族ですか?」 コルベールの問いに、サララは首を横に振る 貴族なんて呼べるのは、吸血鬼の伯爵様と王様たちしか知らないけれど、 少なくとも自分がそうでないことだけは確かである 「だんじょんの町とやらで商人をやってた、ってこの猫「チョコ」……チョコが」 ちょっとうんざりしたような顔で、ルイズは名前で訂正する 「私には、何も喋っているように聞こえませんが……ああ!」 訝しげにしていたコルベールが、ひらめいたような顔をする 何となく頭の上でランプが灯ったようだ 「その猫はこちらのお嬢さんの使い魔ですよね。 おそらく、こちらのお嬢さんを経由して、精神がリンクしているんでしょう」 彼の説明にルイズは成程、と納得する 暗記するほど読み込んだ教科書の『使い魔の能力と役目』のページには、 『使い魔は主と精神をリンクし、会話することが出来る』と書かれていた ならば、使い魔の使い魔とも、きっとリンクできるのだろう 「ふうむ……しかし、だんじょん、とは聞かぬ名の町ですな よもや……東方の……いや、しかし……」 ぶつぶつと呟き出すコルベールを尻目に ルイズはサララという名らしい少女に目をやる 自分が困惑しているというのに、彼女は鍋に手を突っ込んで何を ボーっとしているのだろうか、腹立たしくなってきた 「えーっと、あんた、サララだっけ?何やってるの?」 そう聞かれてルイズの方に顔を向けるサララ 鍋の中身の確認を、と言おうとしたが答える前に勝手に話し始める 「なんで、由緒正しいヴァリエール家の三女が……。 あんたみたいな、まほ……何処のものともしれない 田舎者を召喚しなくちゃいけないのよ?」 魔法の使えないメイジ、と言おうとして思いとどまった 魔法を使えない苦しみは、自身が一番良く知っている わざわざ、それを口に出して言うこともあるまい 「ねえ、それよりボク疲れたんだけど」 チョコがルイズの足元で不平の声を上げた 「もう少し敬意を払いな……って、猫にそんなこと求めても仕方ないわね。 ミスタ・コルベール!」 未だに思考の海に沈んでいるらしいコルベールに呼びかける 「つまり……あ、ああ、失礼。どうしましたかな、ミス・ヴァリエール」 はっとして、ルイズの問いに反応する 「あの、私達先に部屋に戻ってもいいですか?」 サララが梯子を降りて鍋の横に立つのが見えた 「あんな大きな鍋を持って教室に行くわけにも行かないでしょう?」 平民を連れ、鍋を持って教室に入ったら、あの同級生達が また笑い転げるに違いない それは避けたかった 「そうですね、しかし、あの鍋を運べるのですか?」 コルベールは二人を交互に見比べる 「あ……」 ルイズはしまった、というような顔をした これが他のメイジならフライなりレビテーションであの鍋を動かせるが か弱い女二人とついでに猫ではあんなもの運べまい 「あ、それなら大丈夫だよ。ね、サララ?」 チョコが問うのにこくりと頷くと鍋の中から篭手を取り出す それを片腕に装着すると、ひょい、と鍋を持ち上げた 「「え?」」 ルイズとコルベールがその光景を見て困惑する 小柄な少女が自分の身長よりも大きいであろう巨大な鍋を軽く持ち上げたのだ 「あれ?占いカードと日記が落ちてるよ! 鍋の陰になってて分からなかったけど」 チョコ言われて、その存在に気がついたサララは 一旦鍋を下ろすと日記と占いカードを拾いパンパン、と汚れを払う 「ね、ねえ、い、今の何したの?」 「何って……知らない?怪力の篭手。力が上がるやつ」 「ししし、知らないわよ!何そのマジックアイテム!」 マジックアイテム、という言い方に首を傾げるが まあ、魔法のかかった道具であることに違いはない 場所が違うと流れる商品も違うのだろうと、サララは一人で納得する 珍しいということは、高く売れるのか、いや、 入手が難しいから、あまり簡単に売るわけにも、と パチパチと脳内で算盤を弾いている辺り、商人である 「……ふむ、確かに見たことのないマジックアイテムですな。 さて、私はもう教室に戻りますね。お二人と……そちらのチョコくんは、 ミス・ヴァリエールの部屋でこれからを話し合ってください」 コルベールはレビテーションを唱え、学院に向かって飛んでいった 「いいなあ、箒も無しに空が飛べてー。ね、君は飛ばないの?」 そうチョコに言われて、ルイズはギクリ、とした顔をする 「う、うるさいわね!あんたらは、歩いてくるんだから、合わせてあげてんのよ! ほら、学院はこっちよ。とっとと来なさい!」 「あ、待ってよー!おーい!」 チョコがその後を歩くのを、サララも慌てて追おうとする 先程拾った日記と占いカードは、ワンピースのポケットにしまう そして、ひょいと鍋を抱えるがそこでふと違和感を感じる 確かにこの篭手は、着けたものの腕っ節を強くするが 自分がこの鍋をこんなに軽く感じる程、効果があっただろうか? 少し悩むが、まあいっか、と笑顔を作りえっちらおっちらと 自分の『ご主人様』になるらしい少女の後を追いかける 「早く来なさい!もたもたすると、置いていくわよ!」 サララの額に刻まれたルーンが、ぼんやりと光を放っていたことに 気がつくものは、その場には誰も居なかった 鍋を抱えた少女と猫を引き連れ歩きながら、ルイズは内心ドキドキしていた 「(見たこともないマジックアイテム……ひょっとしたら、 私、当たりをひいたんじゃないの?)」 商人だと言うからには、まさかアレ一つだけ、ということはあるまい あの鍋から取り出したからには、あの鍋も何らかのマジックアイテムなのだろうか? 「(占いがどうのこうの、って言ってたからには、もしかしたら、 未来予知もできちゃったりするマジックアイテムもあるの?)」 必死に抑えているが、ついつい顔がニヤける 彼女の想像の中ではあらゆるマジックアイテムを使いこなす自身が 拍手喝采で迎えられている様子が浮かんでいる 「(それに……)」 次に浮かんできたのは、病弱な自身の姉の姿である 「(ちいねえさまを治せるマジックアイテムもあるかも……)」 相当遠くから来たらしい自身の使い魔とその使い魔を肩越しに見る 巨大な鍋がフラフラしている 頭にハテナマークを浮かべていたルイズだが、さっと青ざめる 落ち着いて考えれば分かることではないか 大体、彼女は帽子と前髪で元からそんなに視界がよさそうではないのに 自分の身長よりも大きな鍋を抱えているのだから 間違いなく彼女は 「わあああー!サララー、危ないーーー!!」 前が見えていない!! 『ガシャーン』 少し日が暮れてきた空に二人の少女と一匹の猫の悲鳴が響き渡った 前ページ次ページ使い魔はじめました
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1609.html
ワルド「我々はここに集まってきた訳だ」 オスマン「崇高なる目的の為、絶対に失敗は許されない為。儂らはその為に集まった…」 ワルド「人は我々を罵るだろう、見下すだろう」 マリコルヌ「それでも…手に入れたい物があるんですね?」 ワルド「我等が掴む栄光そしてそれを手に入れる為の物…」 ワルド&オスマン「「タバ茶『恋のパッションフルーツ味(惚れ薬効果アリ)』」」 マリコルヌ「そんなに難しく言わなくても、要は『ホレ薬で彼女作っちゃおう』って事ですよね?」 今此処、誰にも使われていない空き教室に三人の変態が集まった。 『三年ペド組ワルド先生&セクハラ校長&変態生徒!!』 ワルド「やっぱり狙ってる人被ってたら問題あるからね~」 面倒臭くなったのか、先程とは打って変わっておちゃらけた口調で話し始める変態一号。 オスマン「取り合えず儂はロングビル先生を狙っておるんじゃが…皆は誰を狙っとるんじゃ?」 ワルド「勿論ルイズに決まってるじゃないですか?校長先生。あのロリ…ゲフンゲフン可愛らしい容姿、幼児体…ゲフンゲフン愛らしいプロポーション、どれをとっても最高じゃないですか?」 うっとりとした口調で自分の想い人の素晴らしさ(?)を口にする姿は誰がどう見ても『キモい』としか思えなかっただろう。 実際… オスマン「うっわあ…ペドフィリア丸出し、流石の儂も本気で引くわ…」 変態二号は引いていた、本気で引いていた。 ワルド「ペドフィリアじゃありません校長、私はフェミニストです。大体私とルイズは十歳位しか歳が離れていませんが校長先生は孫ってレヴェルじゃねーぞ!?って位離れてるじゃないですか!!」 オスマン「ふざけんじゃねーぞ!?儂とお主を一緒にするんじゃない!!このロリドが!!!」 ワルド「五月蝿え!!この好色爺が!!!いい歳こいて女の尻を追いかけるんじゃねーよ、さっさと隠居しろボケ爺!!」 オスマン「このジャン・ジャック・フランシス・ド・ロリド、ロリて益々変態と言う事かなwww」 ワルド&オスマン「「………プッ………フハハハハハハハハ!!ハーハッハッハ!!」」 ワルド&オスマン「「やんのかコラァ!?」」 ぶっちゃけ『どっちもどっち』と正常な思考を持った人間なら考えるだろうが、悲しいかな変態二人は双方共に『私(儂)が正義だ!!』と言わんばかりに瞳を怒りに燃えさせていた。 マリコルヌ「校長先生、ロリ…じゃなくてワルド先生落ち着いて下さい!僕達は喧嘩する為に集まったんじゃないんですよ!?」 二人を止めようとしたのは変態三号。まともな事を言ってはいるがこいつも結局変態、現代風に言うなら『キモオタ』的存在である。 ワルド「そう言えばそうだった…すまないマルコメ君、私達が間違っていた。でも後で殺す」 マリコルヌ「マリコルヌです先生、あと殺すのは勘弁してください」 オスマン「すまなかったマルコム君、儂らは豚でもない間違いを犯す所じゃった…」 マリコルヌ「マリコルヌです、その『豚でもない』っていうのは『とんでもない』の誤字ですよね?うっかり間違えただけですよね?」 オスマン&ワルド「「名前なんて飾りだよマリオ君!そんな下らない事より…マーシー!!君の狙ってる女子の名前を聞こう!!!」」 さっきの喧嘩はどこへ行ったのやら…今変態一号・二号は完全に意志を一つにしてマリコルヌに問いかけた。 マリコルヌ「もうわざとですよね?名前間違えるの。誰だよマーシーって…ええとホレ薬を誰に使うかの事なんですけど…」 静 ま る 教 室 マリコルヌ「僕はぶっちゃけ使う気ありません」 や る 気 の 無 い 三 号 ワルド&オスマン「「な、なんだってぇ―――――――――!?嘘だろ、承太郎!?」」 驚 く 変 態 一 号 ・ 二 号 マリコルヌ「マリコルヌです…っていうかもう原型無視ですか。だって買うときはテンション上がってましたけど、いざ買ったら…もうどうでも良くなっちゃって…それに危ないじゃないですか?」 意外ッ!それは『通販で運動器具を買ったは良いけど、家に届いた瞬間やる気が無くなったかの様な思考』!!! ワルド&オスマン「「何が危ないんだ?マルコメヌ」」 マリコルヌ「マリコルヌです、絶対後で酷い目見るのエピタフなくても見え見えですよ…よく考えて下さい。」 マリコルヌ「今まで雰囲気良い人同士なら兎も角、そんな雰囲気もフラグもない人間同士がいきなり付き合い始めて、しかも片方が異常なくらい愛情表現してたら『どう考えても、ホレ薬です本当に有難うございました』丸出しじゃないですか?絶対怪しまれますよ。」 『ルイズもロングビル先生も知り合い多いから絶対バレます。そして探られます。』と付け加えるマリコルヌ。 マリコルヌ「それにホレ薬の効果が切れた後、絶対殺されますよ?」 マリコルヌ「校長先生想像してください、ゴーレムに潰される自分の姿を。ワルド先生想像してください、爆殺&彼女の使い魔に殺される自分の姿を。」 押し黙る変態一号&二号。 マリコルヌ「どうにかしてホレ薬の効果を持続させる(でも手持ちの薬はいずれ無くなる)効果が切れた時、相手に殺されずに生き残る(ほぼ無理でしょうけど)。両方やらなくちゃならないのが『変態』の辛い所です。覚悟は良いですか?僕は覚悟しません」 それにしてもこのマリコルヌ、わりと冷静である。 マリコルヌ「どうします?お二人とも?」 ワルド&オスマン「「決まってるさ、マリリン…」」 マリコルヌ「(もう名前はどうでも良いか…)」 ワルド改め『ザ・ニューロリド』&オスマン改め『究極好色生物オスマン』「「覚悟、完了」」 おめでとう!!二人は進化した!!! マリコルヌ「ワルド先生…校長先生…?」 ザ・ニューロリド「『覚悟』とは………………… 犠牲の心ではないッ!」 究極好色生物オスマン「『覚悟』とは!! 暗闇の荒野に!! 進むべき道を切り開く事だッ!」 マリコルヌ「…………」 ザ・ニューロリド&究極好色生物オスマン「「解ってくれたか?『マリコルヌ』くん」」 変態一号と二号は『本気』の目をしていた。 マリコルヌ「僕の名前を間違えない?本気なんですね……お二人さん…」 ザ・ニューロリド&究極好色生物オスマン「「Exactly(その通りでございます)」」 マリコルヌ「よく解りました……お二人の覚悟が本物だと。そして…」 マリコルヌ「てめーらがどうしようもないマヌケって事がなァ――――!!」 ウジュルジュルッジュルルという音と共にマリコルヌの顔が崩れ… ラバーソール「これが俺の本体のハンサム顔だ!!」 中からハンサムな男が現れた。 ルイズ「ご苦労様、ラバーソール。あとできちんとご褒美あげるわ」 ゼロのルイズが現れた!! ザ・ニューロリド&究極オスマン「「ゲェ――ッ!ルイズ!?この計画が筒抜けだったんですか…?」」 一号&二号は逃げ出した…しかしゼロのルイズに回り込まれた!! ザ・ニューロリド&究極オスマン「「もしかして…バレてたんですかァ―――――!?」」 このバトルからは逃げられない!! ルイズ&ラバーソール「「大量にホレ薬買い占めて目立つに決まってるのに今更バレる・バレない考えるアホどもを始末する、事前にマリコルヌを始末して成り代わっておく。両方やらなきゃならないのが『忠実な使い魔』の辛い所だよな(よね)。覚悟は良いか?俺(彼)は出来ている」」 ずっとルイズ&ラバーソールのターン!!! ザ・ニューロリド&究極オスマン「「ヤッダアバアアアアアアアアアアア――!!!!!!!」」 変態達は全滅した… 実は出番無かったマリコルヌ ルイズの命令でラバーソールにフルボッコにされたが、ルイズのお情けで一応生きてる。でも『再起不能』 ザ・ニューロリド 予告通り、爆殺&食い殺されるがギャグキャラなので死なない。けど半生半死で『再起不能』 究極好色生物オスマン 同上+ルイズとラバーソールがロングビル先生に密告してたので後でゴーレムに潰された。ワルドと同じく半生半死で『再起不能』 ルイズ きちんとホレ薬は処分した(後で肉片がおいしく頂きました)。 ラバーソール ルイズからの報酬(実はルイズがワルド達から『命の代価』としてむしり取ったお金なのでルイズの懐は痛んでない)で満足。結構このコンビ相性良いのかもしれない。 タバ茶『ザリガニも食ってパワーアップッ!味』出た!!! &『三年ペド組ワルド先生&セクハラ校長&変態生徒!!』改め『ハンサム顔の使い魔』完!!!
https://w.atwiki.jp/uadnee/pages/391.html
セクハラ疑惑が提起され、物議を醸している俳優チョ・ジェヒョンがtvNドラマ「クロス」に第12話まで出演する。 チョ・ジェヒョンがセクハラ疑惑を認めたことにより、制作陣は彼の出演終了を早めるために努力しているが、劇中の比重が大きく、とても大変だったという説明をした。制作陣はチョ・ジェヒョンが演じたコ・ジョンフンの登場を最小化する方法で、彼の出演分量を減らしている。 「韓国ドラマ クロス DVD 」側は「昨日(27日)放送された10話の場合、コ・ジョンフンの分量を40分から20分に減らし、ドラマの流れが不自然な部分があった点を謝罪したい」と話し、「コ・ジョンフンが12話で抜けることができる、最小限の分量のみ登場するように編集する予定」だと伝えた。 演劇界を経て1989年にKBS公採13期タレントとしてデビューしたチョ・ジェヒョンは「ハッピー・トゥゲザー」「ピアノ」「雪だるま」「ニューハート」などのドラマと「島」「悪い男」「木浦(モッポ)は港だ」「逆鱗」などの映画、「EQUUS」「キョンスク、キョンスクのお父さん」「タンポポ、風になって」などの演劇を通して活躍した韓国ドラマ Mother DVD 。また大学路で劇団と劇場を運営しており、映画「私一人で休暇」を演出したりもした。 最近セクハラの加害者として名指しされ、物議を醸しており、公式謝罪文を通して「私は罪人だ。大きな傷を受けた被害者の方々に頭を下げて謝罪する」と明らかにした。 先週末、俳優チョ・ジェヒョンさんの事務所が発表した立場により、当初16話で死を迎えるコ・ジョンフン(チョ・ジェヒョン)の配役を12話で出演が終了するように脚本を修正しました。バッドガイズ2 DVD 該当の俳優が務めている配役の出演終了をもっと早めようと努力しましたが、ドラマの主人公としての比重がとても大きく、困難が多かったのも事実です。恋する泥棒 DVD 次週放送される11~12話では、ドラマの中でコ・ジョンフンが12話で抜ける最小限の分量のみ登場するように編集する予定です。 既に放送された9~10話の場合、ドラマのストーリーの流れを理解できる線で、ドラマの中のコ・ジョンフンの登場シーンを最大限に減らして、分量を最小化しました。 該当の配役の単独ショットは、フルショットまたは相手俳優のリアクション映像に代替し、代替カットのないシーンに限り、やむを得ず単独ショットを入れました。昨日放送された10話の場合、その分量を40分から20分に減らし、ドラマの流れが不自然な部分があった点、謝罪致します。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7926.html
前ページ次ページ使い魔はじめました 使い魔はじめました――第19話―― 参ったなあ、とサララは頭を抱えたくなった。 今、彼女の目の前に立つのは数十人程の傭兵の群れである。 「おうおう、ようやく出てきたようだな!」 頭に氷の入った袋を乗せた男は、確か昼間戦った傭兵だ。 彼を先頭にして、腕っぷしの強そうな奴らがそれぞれの得物を構えている。 「もー、あいつら何でここが分かったんだろー」 横で盛大なため息と愚痴をチョコがこぼす。 彼女が何故こんな目にあっているのか、それは時を少し遡る必要がある。 宿に帰ったサララ達は、ルイズと一緒に夕食を取った。 ワルドに結婚を申し込まれたと聞いた衝撃でワインを吹き出しで怒られたり、 恋愛対象は居ないのか? と聞かれてそんなのは居ないと答えたサララを見て、 数人の知人をチョコが心の中で慰めたり、 ゲルマニアの噂を聞いて、カエルが苦手なルイズが身震いをしたり、 彼女達なりに楽しいお喋りをしながらの夕餉だった。 それが中断したのは、にわかに階下が騒がしくなったからである。 ワルドが報告して曰く、『この店に居るピンク髪の小娘を出せ!』、と 傭兵達が口々に騒ぎ立てているという。 逃げるのも迷惑になるしなあ、と渋々ながら彼女は彼らの前に姿を見せた。 そして、今に至る。 「で、どうするのかね、サララくん?」 ワルドが呆れるような面白がっているような声を上げる。 サララは、少し悩む。何故ここがバレたのか、思いを巡らせていた。 恐らく、誰かが自分がこの宿に泊まっていることをバラしたのだろう。 でも一体誰が、何のために? 考えても答えは出ない。 「ははは! どうしてここが分かったのか、って言いたげな顔だな! 親切な野郎が教えてくださったんだよ! 何でもその方はテメエらをアルビオンへやりたくねえらしいなあ!」 「……ご親切にわざわざどーも」 チョコが呟く。それは、彼らに居場所を教えた相手への言葉か、 あるいは聞いても居ないことをべらべらと話す彼らへの言葉か。 隣でルイズも呆れているし、ワルドは呆れを通り越して頭を抱えている。 とにかく、貴族派の妨害みたいですね、と緩んだ空気を引き締めるように告げる。 「う、うむ。そのようだな。僕とルイズは一足先に桟橋へ向かおう。 明日出る船なら、ある程度準備は終わっていて飛べるはずだ」 「え! でもワルド様、それじゃサララは!」 「大丈夫だよ、こんな奴らすぐにやっつけちゃうから」 何でもないことのように、ケロリとした顔でチョコが言った。 サララもそれに続いて笑顔で頷く。 「……分かったわよ」 ルイズは思い出す。その笑顔は、フーケのゴーレムに立ち向かった時と同じもの。 だから、その笑顔を信じよう、と思った。 「すぐよ、すぐ追いつきなさい! ご主人様の命令なんだからね!」 はい、と笑って、サララはルイズを見送った。 「ふふん、よくわからんが今生の別れは済んだようだな。 すぐ追いつく、というのは創作の世界ではすぐ死ぬ奴の台詞だ!」 傭兵の先頭で、アーカイブが高らかに宣言する。 そして、傭兵達がいっせいに襲い掛かってきた。 だがサララは臆することはない。相手はただ魔法と武器に少々長けただけの人間。 魔王の目玉や魔王の腕、そして魔王そのものに比べれば 比べるのも失礼な程度の実力であろうと推測する。 ……まだ、サララ本人は魔王と戦ったことはないけれど。 数の暴力を相手にするなら、こちらも手数を増やせばいいだけの話だ。 かちゃり、と手にした鉄の扇を開き、鳴らす。 さて、久しぶりのまともな戦闘だ。体が鈍ってなければいいが、と。 そう思いながら、それを迎え撃たんとするサララの顔には、笑みが浮かんでいる。 「でえりゃっ!」 上段から振り下ろされた剣を、鉄の扇で受け止める。 「なっ」 大男は、どこにそんな膂力があるのか驚いているようだ。 その隙を見逃すサララではない。 きぃん、と剣を弾き返し、間髪入れずその腹部を扇で殴る。 鉄で出来ているだけあって、そのダメージは割りと深く、男がうめき声をあげる。 それをきっかけとして、サララは他の敵の胸元へ一気に飛び込む。 襲いくる彼らの攻撃をひらりとかわしながら、手にした得物で流れるように殴る。 見様によっては一種の舞踏のようであった。 「ぐっ、ちきしょうが、ふざけやがって……!」 「女子供だと思って手加減してやりゃあ、調子に乗りやがって!」 男達が呻きながらもサララを睨みつける。 その視線を受けて、サララは笑った。その手には、一つの糸車が握られている。 からからと、それを鳴らす。鋭い男達の目元が、段々と和らぐ。 否。それは、眠りに落ちているのだ。糸を一つ紡ぎ終える頃には、 男達は地面に伸びて盛大ないびきをかいていた。 「珍しいね、サララがこういうアイテムきちんと使うなんて」 いつまでも力押しダメでしょう? ……手加減できるか分からなかったし、と サララは、チョコの問いかけに笑みを見せた。 「……まあいいけど。今からなら、二人にもすぐ追いつけるよ」 「ルイズは大丈夫かしら……」 桟橋の階段を駆け上がりながら、ルイズが呟く。 ああは言ったものの、やはり心配なのだ。 「もし彼女達が追いつけなかった場合、置いていくことも考えなければいけないよ」 「そんな!」 ルイズが反論しかけた時、二人の後ろから足音が聞こえた。 サララ、と叫ぼうとしたルイズの体は、宙に舞い上がった。 「ルイズ!」 ワルドが杖を構えて叫ぶ。彼女を抱えたのは、白い仮面を被った男だった。 「ちょっと、何よあんた、離しなさいよ!」 ルイズがじたばたと暴れるが、男はその手を離さない。 「く! ルイズを離せ!」 ワルドが呪文を唱え、今まさに魔法を放たんとしたその瞬間。 ふっ、と何かが彼の頬を掠めて飛んでいく。 一振りの剣が、男の仮面に当たった。 予想外の攻撃に、男はうろたえ、壊れかけた仮面を片手で抑える。 「サララ!」 ルイズが、剣が飛んできた先を見て叫ぶ。 剣を投擲した体勢そのままに、サララは、遅れてすいませんでした、と嘯く。 「ラナ・デル・ウィンデ!」 ワルドの風の槌が困惑しきっている男を吹き飛ばす。 その衝撃で、男はルイズを手放し、よろめく。 階段から足を踏み外しながらも、男も呪文を唱えた。 「デル・ウィンデ」 男の杖から、幾つもの風の刃が飛んでくるのが分かる。 そしてその刃は、サララを狙っている。 サララは、素早く袋からデルフリンガーを取り出し、構えた。 「ナイスタイミングだぜ、相棒!」 しゅう、と音を立て、魔法はその刀身に吸い込まれていった。 「……まさかもう追いついてくるとは思わなかったよ。 だが、助かった、ありがとう」 「ほ、本当よ! もう少しで大変なことになったかもしれないんだからね!」 恐怖をかき消すように口を尖らせるルイズに、はい、とだけ答えておく。 「それにしても……、これは投擲用の剣ではないと思うんだが」 ワルドが、水色の刀身をしたその剣を拾いまじまじと眺める。 ちょっと魔法の力が籠った剣なんです、とサララは答えた。 「ふむ。興味深いが今は詮索している場合ではないね。さ、フネへ急ごう。 サララくんには、殿を頼んでいいかな」 ええ、とサララが答えてから、三人は駆け出した。 「……ね、サララ」 チョコがサララの耳元で囁く。 「あの剣での攻撃、随分、あいつに効いたみたいだったね」 前を行く二人に勘付かれない程度に、サララは頷く。 あの男の背格好、あの剣が効いた理由、そういったことを考える。 その視線の先に、ワルドの背中をしっかりと捉えながら。 前ページ次ページ使い魔はじめました
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/419.html
既に完全に日も暮れた街道、キタロー達は学園へと向かっていた。 行きはルイズと馬で走った道だが、今は合流した(というか、された)キュルケとタバサと共に歩いている。 理由は簡単。全員満腹だからだ。 そんな有様で馬や風竜に乗って帰り道を急げば、一歩間違えて大惨事になりかねない。 特に・・・力ない表情で馬を引くキタローはそれが顕著だ。 仲良くケンカするルイズとキュルケの喧騒さえも気にする余裕が無いらしい。 ただ、時折水色の髪の少女の方を見ては何とも微妙な表情を浮かべたりはしていたが。 (あの髪の色の女の子に凄い物を食べさせられるのは、宿命なのかな・・・?) それは、幾つかの買い物の後、夕食を料理店で食べていた時の事だ。 その細身の身体に似あわぬ食欲を発揮するキタローに、タバサはあるモノを差し出した。 無論キタローはそれを何の疑いも無く口にして・・・ あっさりとベルベットルームに直行した。 イゴったとも、戦闘不能に陥ったとも言う。 ちなみに今のステータスはポイズン状態だ。歩いているだけで体力がごっそり減っていく。 何故かディスポイズンや毒消しも通用しないので、瀕死になる度にスキルでこっそり回復しかない。 なんとなくHPだけではなくSPも減っている気がするのは・・・気のせいだと思いたい。 (はしばみ草・・・ミステリーフードの上を行くなんてなんて・・・あんな味は風花のお弁当以来かな・・・) 同じ水色の髪の少女からの洗礼に、何とも因縁めいたモノを感じるキタロー。 (そういえば・・・) 思うように動かない身体に鞭打って、未だ(傍から見れば微笑ましい限りの)口ゲンカを続けるルイズとキュルケを見る。 ルイズはピンクつながりとツンデレ風味がゆかりを思い起こさせる。 あの赤毛と見事なプロポーション・・・炎と氷の違いはあるが、キュルケと美鶴も似ている気がする。 後は、アイギスが・・・あの機械の身体と人以上の優しい心を持った少女が居れば、S.E.E.Sのメンバーがそろったかのような錯覚を起こしそうだ。 ・・・え?男性陣? ガキ先輩とコロちゃんは普通に一軍ですよ? 肉先輩とテレッテと腹黒半ズボンに用はありません。寮で留守番していてください。 (そういえば、ギーシュってテレッテに空気が似てたな・・・) 今一決め切れない所に似た物を感じたのは確かだ。 友人として付き合うのは楽しそうだが・・・ キタローがそんな事を考えているころ、そのギーシュはあの決闘のあった広場に居た。 夜の闇に紛れながら、あの少年との戦いを思い出す。 あの決闘からギーシュの環境は少し変化を遂げていた。 まず一つ。 ケティから盛大に振られた。 これは無理も無い。 二股をかけていた奴が悪い、と周囲からは散々はやし立てられたし、自分でも仕方ないと思っている。 ただ、あの少年からは男女間の考え方について、『複数の女の子との関係は男のロマン』との共通点で一致を見た後、 「中途半端な仲だとそうなるよ。行き着くところまで行っておかないと」 などと言う妙なアドバイスをもらったが。 かわりに、モンモランシーとの関係は維持できた。 まぁ、散々土下座させられて、向こう数週間分の仕送りを費やすほどのプレゼントをしたけれども。 そしてもう一つ・・・あの少年の操った幻影。 あれを見てから、ギーシュは何とも言えない違和感を自分自身に感じるようになった。 何と言えばいいのだろうか? 自分以外の自分の存在とでも言うべきだろうか? 今も形になりきれない何かが自分の内から溢れそうで、夜中だというのに居ても居られずこの場所へとやってきたのだ。 「・・・ふっ、僕としたことが、熱くなっているのか・・・」 薔薇の造花を片手に自嘲するギーシュ。 誰かギャラリーがいたら、たった一人広場で自分に浸る彼に回復の魔法をかけたくなる事だろう・・・主に脳へ。 決闘に負けたのがそんなにショックだったのか、と。 とはいえ、ギーシュを表立って笑うものは、あの決闘に負けた今でも殆ど居なかった。 ドットクラスの魔法使いなのは変わらないが、かと言って彼の操る7体のゴーレムをどうにかできる者は、学生ではめったに居ない。 むしろ、あの決闘で見せたゴーレムの一糸乱れぬ陣形と連携に恐れを抱いた者が多かったと言える。 魔法使いとしての評価は、決闘以前よりもむしろ上がっていたのだ。 (彼にはある意味感謝するべきかも知れない。僕にとっても、あの決闘はいい経験だったよ) 夜空に浮かぶ二つの月を見上げ、自分に酔いながら気の利いたことを言おうとして・・・ ズズン・・・ 「な、なんだ!?・・・なんだぁぁぁぁ!?」 低く重たく響く音に、さっきまでの姿をあっさり捨てて狼狽する。 そんなギーシュを気にした様子も無く、それは学園の敷地に忽然と姿を現していた。 見上げるほどに巨大な土のゴーレムが。 『土くれ』のフーケと言えば、最近トリステインの城下町を騒がす神出鬼没の怪盗として有名だ。 正体も、姿も年齢も性別も一切不明。明らかなのは強力なメイジだと言う事だ。 最低でもトライアングルクラスの実力を持つとされるその力は、巨大なゴーレムを操り魔法で強固に保護された壁も土くれに変えて通り抜けると言う。 その異名の由来でもある。 その土くれのフーケは、今大変急いでいた。 理由は簡単。長い間下準備してきた標的を狙えるのが、今夜くらいしかないと解ったからだ。 (あんな凶暴なガーディアンが居るんじゃ、おちおち忍び込めないじゃない!) 目深にフードを被り、顔の輪郭さえも隠したその怪盗は昼間の恐怖を思い出し身震いする。 あの強力な金細工のゴーレムが普段警護している限り、忍び込もうとしても、ゴーレムで強引に強奪しようとしても目当ての宝物に辿り着けるかさえ怪しそうだ。 それに、もう一体・・・あの生きているとしか思えない『メアリ』も、いざとなれば何をしてくるか。 あの宝物庫の住人が居る限り、今回目指す『銀の小杖』と『黒の円柱』の奪取は絶望的かと思われた。 (でも、案外運は巡ってくるものね・・・あの『2体』が今夜は学長に呼ばれるなんて) つまり厄介な守護者は今夜宝物庫に居ないと言う事。 ならば、少々強引でもこのチャンスを生かすしかない。 フーケは土くれのゴーレムの両拳を鋼に変えると、本塔へと近づけさせた。 そのまま、力任せに宝物庫辺りの壁を殴りつける! ゴガ~~~~~~~~~~ン!!!! あたり一面に響き渡る巨大な破壊音。 しかし流石に由緒正しいトリステイン魔法学園の宝物庫の壁だ。 一発殴った程度ではヒビさえ入らない。 だが、フーケは今夜のチャンスを逃すつもりは無かった。 今度はゴーレムの拳を鋭角に尖った槍のようなモノに変えて、再び殴らせる。 ガジュッ!!!ガジュッ!!! 立て続けに何度も何度も。流石にこれには堅牢な壁も持たなかったらしく、見る見る無残に穴を穿たれてゆく。 宝物庫の壁に人が通れる穴が出来るのも時間の問題のようだった。 (いけるわ!これで長い間セクハラに耐えてきた苦労が報われるのよ!!) 思わずフーケはこれまでの苦労を思い出す。 毎日行われるセクハラ、セクハラ、セクハラ・・・故郷で待っているあの子を思って、辛くても必死に耐えてきた。 正直露骨にモーションかけて来るコッパゲにもウンザリしていたし、苦労する割には少ない給料に落胆したりもした。 それが、ようやく実を結ぶのだ。 (まっててね、ティファニア!帰ったら二人で美味しいもの食べましょうね!) もう半ば今夜の獲物を売り払って故郷に帰っている気になっっていたフーケ。 だから、気付けなかった。 巨大なゴーレムの足元。夜の闇に隠れて何モノか達がせっせとゴーレムの足に向けて攻撃を仕掛けている事に。 夜空をまさしく風のように駆け抜ける影と、同じく大地を駆け抜け学園へと急ぐ影とを。 フーケにとって、散々な夜が幕を明ける・・・
https://w.atwiki.jp/antiqrm/pages/224.html
【ラジオの国のアリス、問い合わせ】のその後 トランプコーナー終了、代わりにお茶紹介 関連:【ラジオの国のアリス】【ラジオの国のアリス、問い合わせ】 「ゴールデンウィークと言えば○○」の言葉から始まった第21回は、 お馴染みの杉山紀彰さんと最上嗣生さんをゲストにお送りしていきます! そして「ラジオの国のアリス」も遂に21回目。 今まで行っていたトランプは終了して、今回からリスナーさんオススメのお茶をご紹介するお茶会の時間をお送りします。 今回のお茶は初めての中国茶です! 果たしてどんなまったりトークが聴けるのでしょうか~?! 乙女@QuinRose(クインロゼ) アンチスレ65 423 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 12 31 56 ID ??? ラジオまともになってるのかね。 トランプは終了して、オススメのお茶を紹介するコーナーに変更。 424 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 12 32 28 ID ??? ロゼラジオ、今日からトランプ無しだな ゲストは相変わらずかわらないが ↓コピペですまん↓ ≫「ゴールデンウィークと言えば○○」の言葉から始まった第21回は、 ≫お馴染みの杉山紀彰さんと最上嗣生さんをゲストにお送りしていきます! ≫そして「ラジオの国のアリス」も遂に21回目。 ≫今まで行っていたトランプは終了して、今回からリスナーさんオススメのお茶をご紹介するお茶会の時間をお送りします。 ≫今回のお茶は初めての中国茶です! 果たしてどんなまったりトークが聴けるのでしょうか~?! 425 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 12 34 39 ID ??? なんでお茶?って思ったけど一応ゲームでお茶会するからなのか 盛り上がらなそうなコーナーだなぁw 426 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 12 39 00 ID ??? 視覚ネタで声優実況なのは変わらないなw カップの底に指令文字が書いてあるんですね、わかります 449 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 14 32 17 ID ??? ≫424 ちゃんとトランプ終わったのか 聞いてないから改善してんのか知らんがよかったよかった 451 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 14 36 09 ID ??? 中国茶って作品に関係あるのか? スタートくらい作品に関連したもの使わね? にんじん茶とかにすればまだ… 454 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 14 43 57 ID ??? ≫451 人参のペーストが入った紅茶とかも、あるよ 人参の砂糖を入れる紅茶とかもある キャラメルとかチョコとかフレーバーティもいろいろとある 紅茶は奥深いんだよね 453 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2008/05/07(水) 14 37 16 ID ??? wikipeからコピペしたあの虫が齧った自然の神秘な紅茶にすればいいのに 【本家Wikiのソースはこちら】 取得元 ⇒ http //www38.atwiki.jp/antiqr/pages/121.html 取得元更新日時 ⇒ 2008/07/27 (日) 18 35 05 登録タグ:クローバーの国のアリス ジョーカーの国のアリス ハートの国のアリス 声優