約 2,135,455 件
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1080.html
解決編をラノで読む 解決編その1へもどる 6 夢を見なかった。 目が覚めたときには白い天井と、泣きながらぼくを見下ろしているアキ姉の顔が見えた。白い壁に白いシーツに白いカーテン。鼻を刺激する清潔な匂い。ここはどうやら病院のようだ。そうか。ぼくはあの後倒れて運ばれてしまったようだ。 「中也くん、目を覚ましたのね。本当によかったわ……」 アキ姉はそう言ってぼくの身体を思い切り抱きしめてくる。涙で顔をくしゃくしゃにしていて、目も真っ赤だった。痛い。痛いよアキ姉。体のあちこちが折れているのに抱きついてくるなって。でもぼくは、そう文句を言う前に、 「ごめんアキ姉。また心配かけて」 自然とそんな言葉が口に出た。それは|嘘の言葉《ペテン》ではなくぽつりと出た本心の言葉。ぼくはアキ姉の頭を撫で、頬に軽くキスをした。するとアキ姉は驚いたように顔を真っ赤にして跳びはねた。 「もう、中也くんずるい! そんなことされたらお姉ちゃん怒れないじゃない!」 「へへ。先手を打ってやったよ。いつものお返しだ」 ぼくは顔を赤くして俯くアキ姉の頭を撫でようと手をシーツから手を出そうとするが、ずきりと激痛が走った。 「駄目だよ中也くん無理しちゃ!」 ぼくの右手の指には包帯が巻かれている。 奥瀬裕也によって切り落とされた人差し指が確かにそこにあった。 「よかったね中也くん。すぐに救急車が来て処置してくれたおかげで指もちゃんとくっつくって」 ぼくも自分の指を見て安心した。指が無ければ食事の時や勉強とのときに困るからね。 「……龍之介は?」 ぼくは大怪我を負っていた龍之介の安否が気になっていた。あれだけの怪我だ。もし死んでしまっていても不思議じゃない。 「龍くんはね、今もまだ集中治療室だって……。でもなんとか一命は取り留めたってお医者様が言ってたからきっと大丈夫よ」 ぼくはそれを聞いて安心する。龍之介のことだ。即死じゃない限りあいつは死なないだろう。ゴキブリ以上に生命力の強い奴だから。 「姉さん。ちょっと喉渇いたから飲み物買って来てくれないか」 「うん。わかった。じゃあ中也くんの好きなおしるこおでんジュース買ってくるね!」 ぼくがそう頼むと、とびきりの笑顔でアキ姉は病室を飛び出て行った。そしてぼくもゆっくりと痛む身体を立ち上がらせ、病室を出ていく。 アキ姉がいると面倒だ。 今のうちに済ましてしまおう。 ぼくはそのへんを歩いていた看護師に浅木先輩《・・・・》の病室を教えてもらい、その病室まで壁に手をつけながら歩いていく。 ぼくより大怪我の浅木先輩も入院しているだろうと踏んだがどうやら正解のようだ。 なんとか浅木先輩の病室へ辿りつき、ノックをする。 「はあい。どうぞ」 すると、中から女の子の声が聞こえてきた。 がらりと引き戸を開けると、虚ろな目でベッドに横になっている浅木先輩と、それを看病していた野村さんがそこにいた。 「あっ、中也さん。大丈夫なんですか?」 「うん。彼よりよっぽど軽傷だよ。それよりちょっといいかな」 「あっ、はい。でもちょっと待って下さい」 野村さんは浅木先輩の折れた両腕に自分の手を重ねていた。そして驚くことにその手は薄く光っている。 これは異能、か。 「治癒能力者《ヒーラー》なのかい、野村さんは」 「はい。傷をちょっと癒す程度ですけど……。こんなのこんな大怪我にはほとんど意味無いものですけど、私にできるのはこれくらいですし……」 それを聞いて足りなかったパズルのピースがそろいぼくは確信《・・》した。誰が青鬼で、誰が赤鬼なのかを……。 「野村さん。ぼくは今起きたばかりだからよくわからないんだけど、奥瀬先輩はどうなったの?」 「はい。今は警察病院にいるみたいですけど、異能犯罪者として裁かれると思います。それにしても今でも信じられないです。まさか奥瀬先輩がストーカーだったなんて……。しかもあっくんをこんな大怪我させて……。二人は親友だったのに……」 野村さんはまた涙を流している。ぼくはそれを見ていられなかった。 「野村さん、浅木先輩は大丈夫?」 「はい。命に別条はないですけど、恐怖と奥瀬先輩に裏切られたことがショックだったみたいで、ずっとこんな調子なんです」 浅木先輩はぼけっと口を開け、どこを見るでもなくずっと目を開いたままだ。そこに光はなく、物悲しさを感じさせる光景だろう。生憎ぼくは同情なんて概念がよくわからないのでかける言葉が見つからないが。 「それに、あっくんはもうこれで完全にプロボクサーの道が断たれてしまいました。もう二度とリングに立てないってお医者さんが……」 両手両足を完璧に折られ、心も閉ざしてしまった浅木先輩を、野村さんは愛おしそうに眺めていた。 「大丈夫だよあっくん。私がいるから。私がずっとそばにいてあげるから」 その瞳は慈愛に溢れ、一生浅木先輩に尽くすことを決意しているように見えた。まるで聖母のように、浅木先輩の頬を優しくその細い指でなぞっている。 ぼくは浅木先輩の傍に近寄り、虚ろな目をしている浅木先輩の耳元に言葉を贈る。 「“ストーカーの正体はあなたの親友の奥瀬裕也でした。ですが安心してください。ストーカーは逮捕され、もうあなたたち二人を邪魔するものはいません。末永く幸せになってください”」 それだけを告げると、ぼくは野村さんにぺこりと頭を下げ、病室を出ていく。 これでいい。 これでハッピーエンド。 これで大団円。 もう事件は終わりだ、解決だ。最高だね。 真実《・・》なんて糞喰らえだ。 ぼくは病院の庭に出て、爽やかな風に触れ、青空を見上げた。とても清々しい気分だ。 ぼくがぼんやりとそうして病院の庭で空を見ていると、突然背中に激しい衝撃が走る。 あまりに突然のことにぼくはそのまま地面を無様に転がっていく。ただでさえ怪我をしているのに、そのせいでさらに体中が痛い。その上誰かがぼくの腹を思い切り蹴り、うめくぼくの顔面をさらに蹴りあげた。 ぼくは血を流し地面に仰向けに寝転がり、ぼくを蹴った人物を見上げる。 その女は魔女のような黒いとんがり帽子に、真っ黒なドレス(いわゆるゴスロリファッションというものだ)を着込んでいる。黒い髪を太い三つ編みにして、大きな隈のある目を厳しく細め、ぼくを見下ろしていた。 厚底のブーツを履いていて、つま先のあたりにぼくの血がこびりついている。 その魔女みたいな女をぼくは知っている。知りすぎているくらいに知っている。 「やあユキ姉。久しぶり」 「ええ、久しぶりね愚弟。相変わらず殺してやりたいくらい可愛い顔をしてるわね」 エピローグ(あるいは回答編という名の蛇足) 夏目《なつめ》雪緒《ゆきお》。 夏目家の長女にして恐るべき魔女。夏目五人兄弟最強の女。 ぼくはユキ姉に引きずられて、無理矢理ベンチの上に座らされた。 ユキ姉は自販機で温かい飲み物を買い、ぼくの隣へと座る。アキ姉と良く似た綺麗な顔立ちをしているが、まったく穏やかさもなく、氷のように冷たい表情をしている。 「ありがとうユキ姉」 そう言ってユキ姉が持ってきたホットコーヒーを手に取ろうとしたが、その手の甲に爪を立てられ、血が出た。 「いてえ!」 「これはあたしのよ。お前の分のわけないじゃない」 澄ました表情のまま、ユキ姉は冷たい風が吹く庭で、一人でコーヒーを飲みほした。 「はあ、温まるわ」 「鬼だなユキ姉。ぼくパジャマのままでくそ寒いんだけど」 「あら、あなた自分で買ったらどうなの」 「財布なんてもってないって……。まあいいや」 ぼくは鼻血を袖で拭い、ユキ姉を見つめる。ユキ姉は普段自分のマンションに引きこもっていて、普段学園にも顔を出さないし、ぼくもユキ姉と直接会うのは半年以上前だ。なのになんでここに? もしかしてぼくや龍之介のお見舞い? いや、それはありえないか。絶対にあり得ないな。 なぜならユキ姉には優しさが欠けているから。 ぼくに感情が理解できないように。 龍之介に痛みが理解できないように。 アキ姉に悪意が理解できないように。 ユキ姉は『優しさ』が理解できない。 ユキ姉もまた、夏目家の呪われた性質を持っているのだ。 ユキ姉は自分にも他人にも絶対的に厳しくする。甘えやぬるま湯を絶対に許さず、幸福という概念すらも否定する。 それが夏目雪緒という存在だった。 「ユキ姉。なんでここに来たんだ。何が目的だ」 ぼくがそう尋ねると、ふっと目を瞑り、真っ赤な唇を動かして答える。 「愚弟の尻を拭いによ」 「なんだって?」 「中也。あんたは甘い。甘すぎるのよ。偽善と言ってもいいわ。いいえ、賢治お兄様の言葉を借りれば、そう、ペテンね」 「――っ」 そう言われ、ぼくは何も言えなくなってしまう。 なぜだかわからないがユキ姉は気付いている。真実に。 「何を言ってるのさユキ姉……」 「誤魔化しても無駄よ。探偵部のあの気持ちの悪い男から話は聞いたわ」 「朝顔くんか。なんで部外者に依頼のことを話しちゃうんだよ……」 ぼくは思わず溜息をついてしまう。口が軽すぎだよ朝顔くん。ユキ姉にそんなことを話したら嬉々として踏み込んでくるんだから。 「あら部外者だなんて心外ね。龍之介に探偵部を作れって言ったのはあたしよ。言わばわたしが探偵部のボスってところね」 「げっ、本当かよ……」 ならぼくたちの行動は全部ユキ姉に筒抜けなのか。いやだなそれ。本当に。 「そ、それで。ぼくの何が偽善だっていうんだよユキ姉。犯人の奥瀬裕也が逮捕されてめでたしめでたしだろ」 「そうね。あんたは嘘は言っていないわ。でも本当のことを言っていない。そうね?」 ぼくはどきりと心臓が高鳴るのを感じた。 「な、なんのことさ」 「ストーカーは、真犯人は|野村桃子自身《・・・・・・》だということをよ」 ユキ姉は淡々と告げた。 ユキ姉もぼくと同じ真実に辿りついていたのだ。 全部なにもかも野村さんの自作自演だということに。 そう、野村さんこそが“赤鬼”だったということに。 「甘いのよあんたは。真実を隠したところでその先に未来はないわ」 「何言ってんだよユキ姉。野村さんがストーカーだなんてありえないだろ。なんでそんなことをしなくちゃいけないんだよ」 それでもぼくは真実から目を背けたくて思わず反論してしまう。無駄だというのに。 「それがあり得るのよ。むしろそうじゃなきゃ辻褄が合わないの」 ユキ姉はぐいっとホットコーヒーをぽいっと投げ捨てて近くにあったゴミ箱に見事に入れ、容赦なく言葉を続ける。 「浅木昭雄が犯人ではなく、奥瀬裕也がもし犯人なら野村桃子の部屋に侵入したり、盗聴器や盗撮カメラを仕込むことは不可能だわ。それが全部野村桃子の自作自演なら納得できるでしょう」 「そ、そんなの何かをして侵入したかもしれないだろう。それにぼくたちを襲って、そして掴まったのは紛れもなく奥瀬裕也だ。それが何よりもの証拠だろ」 「そうね、あなたたちを襲い、浅木昭雄に大怪我を負わせたのは確かに奥瀬裕也でしょう。風邪をひいたふりをしていたのは声を誤魔化すためだし、アリバイがあったと言っていても彼のような身体能力者なら凄まじいスピードで寮と野村桃子の寮を一瞬で移動することくらい容易でしょう」 「そうだね。きっとそうやって奥瀬裕也はぼくたちを襲ったんだ……」 「けど、そこで奥瀬裕也が犯人となると矛盾が出来るわね。そう、龍之介がつけたはずのスタンガンの痕が奥瀬裕也の顔にはなかった」 「……」 「なぜ怪我が消えていたか。そんなのは簡単よ、治癒能力者《ヒーラー》に治してもらったに決まってるわ。ここは常識が通じない双葉学園ですもの。そして、彼の近くにいる治癒能力者は彼女しかいないわね」 「……野村さん」 そう、野村さんが治癒能力者だと知り、ぼくもこの真実に確信が持てたのだ。 |野村さんと奥瀬先輩がグルだということに《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》。 ストーカーの被害はすべて野村さんの狂言で、それを狂言だと悟られないように奥瀬先輩はぼくたちや浅木先輩を襲ったのだ、|野村さんのために《・・・・・・・》! 「恋に臆病だったのは浅木昭雄じゃなくて野村桃子のほうだったのよ。浅木昭雄の気を引くために、正義感の強い彼の気を引くためだけに彼女はストーカーの被害を受けていると嘘をついたのよ。最初はほんの少しの小さな嘘だったのがエスカレートしたのね。野村桃子の思惑通りに浅木昭雄は彼女の力になり、二人は付き合い始めた。でもそんな嘘をついて出来た関係性は長くはもたない。野村桃子は嘘をついた罪悪感もあり、ストーカーの被害がなくなったら浅木昭雄は自分から離れるのではないか。正義感の強い彼は、ストーカーの被害がある限り自分の傍にいてくれるのではないかと思い始めたのね」 その時の野村さんの気持ちはぼくにはわからない。だけどきっとそれは胸を潰されるほどの不安だったのだろう。狂言がエスカレートするほどにまで追い詰められていったのだ。 「疑心暗鬼に駆られた野村桃子は、自分の狂言が浅木昭雄に疑われていると思い込み始めたのよ。いえ、実際に浅木昭雄は疑ってたのかもね。そうして思いつめた彼女はとうとうとんでもないことを始めたの」 「奥瀬……先輩か。なんで奥瀬先輩が協力したのかぼくにはわからない。ユキ姉はそれも知っているのか?」 「知ってる、というよりは想像ね。でもわかるわ。恋する者の気持ちはあんたには解らないでしょうけどね。愛する人のために自分を犠牲にする。そう『泣いた赤鬼』の青鬼のようにね」 確かにぼくは恋愛感情というものが理解できない。だからわからない。ふられた奥瀬先輩がなんで犯罪に手を染めてまで野村さんの狂言に協力したのかを。 「奥瀬裕也も野村桃子の狂言に気付いていたのね。そして野村桃子に協力すると言ったのでしょう。彼女からすれば奥瀬裕也の行動が理解できなかったでしょうけど、それでも彼にすがるしかなかった。そこで彼は彼女に言ったのよ『第三者にストーカーの存在を認めさせるのだ』ってね。そこで奥瀬裕也は野村桃子に探偵部のことを話し、ストーカー退治の依頼を持ちかけた。そして奥瀬裕也があなたたちを襲い、ストーカーの存在を認めさせ、浅木昭雄を信用させようとしていたのよ」 そうだ。だからあのレインコートを着込み、ぼくが野村さんの寮を出るタイミングを知っていたのだ。恐らく野村さんから電話で聞いたのだろう。 「でも問題が起きた。ただ脅して終わるだけだったのに、あんたたちは反撃をした。それが誤算だったのね。そして顔に怪我をして、困った奥瀬裕也は野村桃子に傷を治してもらったわけよ」 小さな火傷程度なら、きっと野村さんの能力でも治すことが出来たんだろう。それこそが奥瀬先輩と野村さんが繋がっている確信になった。 「探偵部のあなたたちは脅しても怖がるどころか余計に首を突っ込んできた。きちんと調査されれば狂言だってバレるのは時間の問題。そう奥瀬裕也は考えたのね。だからもっと決定的にするために浅木昭雄も、あなたたちも、徹底的に壊してしまおうとしたのよ」 奥瀬先輩はどんな気持ちで野村さんの“青鬼”になったんだろう。 愛する人を他人の物にするために、自分が消えても相手を幸せにするために鬼になった奥瀬先輩。その気持ちはぼくにはわからない。だけどきっとそれは全員にとって幸福なことではないはずだ。 でもこの真実を語れば、奥瀬先輩が作った野村さんの幸せは消えてなくなる。 この事件で一番の被害者は浅木先輩だろう。自分を壊した親友と、それを頼んだ恋人に気付かず、その愛を受けて生きていかなければならない。 「それでユキ姉。その想像が真実だとして、ユキ姉はどうするつもりなの。なぜこの病院にきたんだ」 ぼくは嫌な予感がしてユキ姉の顔を覗いた。 そこには恐ろしく冷徹な目をした魔女がいる。総ての幸福を、偽りを許さない、絶対的な厳しさを持った目だ。 「決まってるじゃない。野村桃子と、浅木昭雄にこの真実を話すのよ」 「――!」 「偽りの幸福をあたしは許さない。偽りの言葉をあたしは許さない。偽りの愛をあたしは許さない」 そう呟くユキ姉の言葉は雪のように冷たく、ぼくの背筋を凍らせていく。 「甘えやぬるま湯は徹底的に破壊する。それがあたしの役目だから。野村桃子と浅木昭雄が偽りの幸福に身を任せているのなら、完膚なきまでに叩き伏せる」 「そんな、ユキ姉――」 「だってそうでしょう。真実を知った先にこそ真実の愛があり、真実の幸福がある。それに耐えられない愛なんて最初から存在しなくていいわ」 顔をぼくに近づけ、ユキ姉は冷たくそう言い放った。 確かに偽りで作り上げられた幸福や愛は長く持たないだろう。それでも奥瀬先輩が必死で作り上げた野村さんの幸福を、ユキ姉は壊そうというのだ。 そんなこと、許していいのか。 奥瀬先輩の犠牲も、浅木先輩の怪我も、全部無駄になる。 だけどぼくには何が正しいのかわからない。 ユキ姉が言うこともきっと正しいのだろう。 ぼくにユキ姉を止めることはできない。止める言葉を持たない。 「じゃあまた会いましょう中也。あたしは野村桃子のところへ行くわ」 そうしてユキ姉はベンチから立ち上がり、ゆっくりと病院の中へと入っていった。ぼくはただそれを見送るしかない。 ユキ姉の真実をどう受け取るかは、彼らに任せるしかないのだろう。 「ちゅーやくーん」 遠くからぼくを呼ぶ声が聞こえる。 ユキ姉と入れ違いに、アキ姉がホットコーヒーを持ってぼくのもとまで駆け寄ってきた。ぱたぱたと長い黒髪を風に揺らし、寒そうにコーヒーを自分の頬に当てている。 「もう勝手に動いちゃ駄目じゃない! まだ安静にしてなきゃ!」 アキ姉はぷりぷりと怒りながらぼくの隣に座った。そうしてぼくの手にぎゅっとホットコーヒーを握らせ、 「あったかいね」 と、頬を赤らめてそう言うアキ姉を、少しだけ可愛いと思った。 ほんの少しだけ奥瀬先輩の気持ちがわかったかもしれない。きっとこれが愛おしいということなんだろう。 ぼくはアキ姉の肩を抱き寄せ、身を寄せ合った。 「どうしたの中也くん。さっきから変だよ?」 アキ姉は驚き、赤面していた。ぼくはそれに答えず、しばらくの間そうやってじっとしていた。 するとアキ姉もぼくの肩を抱いて、目を瞑っている。 人の温もりも、ホットコーヒーも、この冷たい空気の中では心地いい。 こうしている間だけ、自分が生きているとぼくは実感できた。 おわり トップに戻る 作品保管庫に戻る
https://w.atwiki.jp/sentai-kaijin/pages/2336.html
「それを言っちゃ~おしまいよ」 【名前】 バラペテン 【読み方】 ばらぺてん 【声/俳優】 大河内浩 【登場作品】 超力戦隊オーレンジャー 【登場話】 第43話「切り札は七変化」 【所属】 マシン帝国バラノイア 【分類】 マシン獣 【モチーフ】 占い師、テキ屋、寅さん(本名:車寅次郎) 【詳細】 バラノイアが開発したマシン獣。人間態はフーテンの熊。 人間態でもオーレンジャーと互角以上に戦える程の戦闘力を発揮する。 額の水晶は相手を吸収し、光弾を発射する事ができ、口からは火炎を放つ。 口が達者である為、手始めに新田家に水晶を買わせ、大勢の人々の水晶による現実逃避を目論む。 人間態として手始めに新田家の主婦に水晶玉を500円で売り付け、大勢の人々を集めると言葉巧みに丸め込もうとする。 しかし、オーレンジャーの邪魔が入り、一時場所を変えようとするが、追い付かれた為に自ら応戦する事になり、オーレンジャーに追い詰められた為に撤退を余儀なくされるが、5人の変装作戦により誘き出されてしまい、オーレバズーカを受け敗北。 その直後、巨大化エネルギーを注入されて巨大化する。 オーブロッカーを口からの光弾で攻撃するが、ツインブロッケンサンダーで額の水晶を破壊され、最期はダイナマイトタックルを受け爆散した。 【余談】 後半には珍しくコミカルなマシン獣となっており、身体全体がニヤけたような顔となっている。 人間態は『男はつらいよ』の寅さんのパロディとなっている。 デザイン絵では股間部分にボンバー・ザ・グレートに忠誠を誓った証のマークがある。
https://w.atwiki.jp/bkneko/pages/1602.html
キャラクター一覧|ALLキャラ進化表|デバフもち|クリティカルもち|小判&ドロップもち|キャラダメージ表 + ガチャキャラ一覧 ガチャ(レア)【体当たり(キャラ)|弓(キャラ)|魔法(キャラ)|ため(キャラ)|サポート(キャラ)】 ガチャ(激レア)【体当たり(キャラ)|弓(キャラ)|魔法(キャラ)|ため(キャラ)|サポート(キャラ)】 ガチャ(超激レア)【体当たり(キャラ)|弓(キャラ)|魔法(キャラ)|ため(キャラ)|サポート(キャラ)】 ※限界突破のステータスは上限解放が記載されていないものは未解放状態での値です ※限界突破のステータスは推測値ですので+-10ぐらい前後する場合があるかもしれません。(参考までに オキク キャラガチャ「千本花月」にて出現するキャラ。 オキク ペテン師オキク 謀略のペテン師オキク キャラ名 タイプ 属性 レアリティ レベル 体力 攻撃力 CP オキク 体当たり 闇 レア 20 426 206 150 ペテン師オキク 体当たり 闇 レア 20 1095 374 240 謀略のペテン師オキク 体当たり 闇 レア 30 4053 821 240 限界突破 +20 7295 1478 220 オキク ペテン師オキク 謀略のペテン師オキク マジックスキルオキク ペテン師オキク 謀略のペテン師オキク ダッシュ+9ファーストリキャスト30%短縮(闇)(召喚回数3回以下)闇属性攻撃25%増加光属性の防御力ダウン10%中(闇)(バトル開始30秒以内)光属性をスピードダウン15%中(闇)(バトル開始30秒以内) ダッシュ+12ファーストリキャスト40%短縮(闇)(召喚回数3回以下)闇属性攻撃50%増加光属性の防御力ダウン20%中(闇)(バトル開始30秒以内)光属性をスピードダウン25%中(闇)(バトル開始30秒以内) ダッシュ+15ファーストリキャスト50%短縮(闇)(召喚回数3回以下)闇属性攻撃100%増加光属性の防御力ダウン40%中(闇)(バトル開始30秒以内)光属性をスピードダウン50%中(闇)(バトル開始30秒以内) 進化素材表 オキク 降臨の書3 ペテン師オキク 降臨の書・真3 神竜の紅玉1 竜のウロコ3 謀略のペテン師オキク 説明 偽女神のオキク。 予知能力を持ち女神と崇められるコスモスを騙るペテン師。 当然ながら未来予知なんてできるはずもなく、求められた際には口から出まかせにそれっぽいことを言ってごまかしている。 女神と崇められるコスモスを騙るペテン師。 なんかすごい力があるように見せるため、黒子ネコに後ろから頑張って持ち上げてもらっている。 威厳のために人前では彼をアゴで使うが、裏では頭が上がらないらしい。 黒子ネコとは腐れ縁の悪友で、些細ないたずらから大きな悪事まで二人でやってきた。 最近は偽コスモスで程々に稼いだ資金を元手に、二人で次のペテンの策を考えている。 備考
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1079.html
解決編をラノで読む 問題編にもどる 5 その後ぼくたちは商店街の喫茶店で落ち合った。 ぼくと龍之介《りゅうのすけ》の前には、おどおどと辺りを気にしている野村《のむら》桃子《ももこ》さんがちょこんと居心地悪そうに座っている。朝顔《あさがお》くんは用事があるそうでどこかへ行ってしまった。彼がいると話が面倒なので、ちょうどいいのだが。 犯人は浅木《あさぎ》昭雄《あきお》。龍之介は野村さんに電話でそう告げた。そのまますぐこの場所を指定し、わけも話さず切ってしまったようなので、野村さんはとても泣きそうな、動揺したような表情をしている。『不安』という感情のときはああいう顔をすればいいのだろうか。龍之介はぼくにも黙ったままなので、わけがわからないままだ。 「あ、あの龍之介くん。あっくんがストーカーってどういうこと?」 運ばれたドリンクにも手をつけず、野村さんは身を乗り出すように龍之介に尋ねてくる。当然だろう、自分の恋人がストーカーだなんて、そんなことあるものなのだろうか。周りの客たちの視線を気にしながら野村さんは龍之介の言葉を待った。 キッと龍之介を見据える野村さんと対照的に、龍之介は目の前にあるメロンソーダを一気に飲みほし、どんっと勢いよくテーブルにグラスを置いた。そしてにやりと笑い、その緩い口を開く。 「答えは簡単だ。桃子ちゃんを護ってくれる勇敢な騎士《ナイト》様の浅木昭雄は、同時に桃子ちゃんを恐怖に陥れるドラゴンだったのさ」 龍之介のその言葉を聞き、野村さんは理解しがたいといった顔をしていた。ぼくもそれを聞いてもまったく意味がわからなかった。それはつまり―― 「自作自演……ってことか?」 その言葉をぼくが発すると、なぜか野村さんはびくっと肩を震わせた。 「そうだ。浅木昭雄の自作自演だよ。これは全部浅木昭雄が桃子ちゃんに好かれるためにやっていたことなんだよ」 「どういうことだ。なんでそんなことを……?」 「兄貴にはわかんねーだろうよ。人を好きになるってことはそういうことだ。相手に振り向いてもらうためにならなんだってできる。それが恋だ」 恋――か。それは確かにぼくにはわからない。感情のないぼくは、人を好きなる『恋愛感情』すら持っていないのだから。肉親である、自分の身体の一部のような存在であるアキ姉となら平気だけど、他人と手を触れたり、ましてや唇や身体を重ねるなんて想像するだけで吐き気がする。心の読めない相手のことを信頼なんかできるわけもない。 「お前はわかるってのか龍之介」 「わかるよ。俺は好きな相手のためなら殺されてもいいし、それを邪魔するやつはたとえ神様だろうが殺してやる。生憎、そこまで惚れ込める女とは出会ったことねーけどな」 龍之介は右耳の三連ピアスをいじりながら不敵に笑っている。いつも色んな女の子と一緒にいるけど、龍之介からすればそれは総てただの遊びなのだろう。性欲処理程度にしか思っていないのだろう。そんなこいつが誰かに殺されたいと思うほど愛せるのか甚だ疑問だが、今はそんなことどうでもいい。 「あ、あの。龍之介くん。全然わからないよ、キミが何言ってるのか……」 「恋人を疑いたくなる気持ちはよくわかる。だけど俺はストーカーを退治しろと桃子ちゃんに言われた。だから真実を暴いてやるさ。いいか、これは簡単な話なんだ。桃子ちゃんの部屋に盗聴器と盗撮カメラを仕込める人間なんて、それこそわずかしかいない」 「そ、それは……」 野村さんは何も言えず、じっと黙ってしまった。落ち込んでいるのだろうか。それとも恋人に対しての疑いを抱き胸が痛いのだろうか。それとも怒っているのだろうか。よくわからない顔をしている。もう少しわかりやすく感情を顔にだしてくれないと、ぼくには野村さんがどんな感情を今抱いているのか、想像もできなかった。 しかし盗聴器に盗撮カメラか。確かに十を超える数があの部屋には仕掛けられていた。あれを仕掛けることは容易じゃないだろう。あの部屋の死角を理解し、長時間あそこにいられる人物。ましてや女子寮に怪しまれずに入れる男といえば確かに限られる。 「そう、恋人の浅木なら桃子ちゃんと部屋にいる時、桃子ちゃんがトイレとか席を立った時にちょっとずつ仕掛けたりできるはずだ。盗聴器や盗撮カメラはいっぺんに仕掛けられたんじゃなくて、こうして機を見て徐々に仕掛けられたものだと俺は思う」 龍之介は楽しそうにテーブルを指でこつこつと叩き、じっとりとした目つきで戸惑い震えている野村さんを見ていた。黙っている野村さんを気にせず、淡々と自分の推理を展開していく。 「浅木昭雄がなんでそんなことをしてたかって? それはね、桃子ちゃん。キミのことが好きだったからさ。桃子ちゃんにストーカーが付きまとうようになったのは浅木昭雄と付き合う前だったよね。無言電話がかかってきたり、誰かに後ろをつけられたりしてたらしいじゃないか」 「え? はい……」 「それも浅木昭雄の仕業だよ。浅木昭雄は桃子ちゃんがボクシングの試合を見に来た時から一目惚れしてたんだ。だけど女に無縁だった暑苦しいボクシング部のあいつらが真っ当に女の子と接することなんてできない。そこで浅木昭雄は無い頭で考えたんだ」 「それが、自作自演……か」 「そうだ。兄貴も知ってるだろ、『泣いた赤鬼』の話を。それと同じように、女に不良を絡ませて、そこを助けに入って好感度を上げるなんて大昔からあるベタな方法だよ。でも、浅木昭雄にとっての“青鬼”である奥瀬《おくせ》裕也《ゆうや》もまた、桃子ちゃんのことが好きだった」 また野村さんはびくりと身体を震わせた。 そう、野村さんの恋人である浅木先輩の親友で、ボクシング部の同輩である奥瀬先輩もまた、野村さんに一目惚れをしていたのだ。同じ女を好きになった親友同士、そこにどんな思いが生まれたのか、それはぼくにはわからないだろう。 「そ、そんなことまで調べたんですか?」 「まあね。最初は桃子ちゃんにふられた奥瀬がストーキングの犯人だと思ったけど彼には無理だね。ともかく浅木は奥瀬が桃子ちゃんに告白したと知って、桃子ちゃんを手に入れるために奥瀬に協力を仰ぐことができなくなってしまった。そこで浅木は、自らが“赤鬼”であり“青鬼”であろうとしたわけだ」 「なるほどな龍之介。つまり浅木は、桃子ちゃんの気を引くためにストーキングをして怖がらせ、そして自分はあたかも姫を守る騎士のように振る舞っていたってわけか」 ぼくがそう言うと、龍之介はぱんっと手を打ち、「その通り」と笑った。 「ストーカーという恐怖で不安になってるときに、ボクシング部のエースなんて頼りがいのある男が傍にいてくれたら女の子としては心強いだろう。浅木もそう思ってたのさ。実際は最初から桃子ちゃんも浅木のことを好きだったわけだから、こんな小細工をしなければこんなややこしいことにはならなかったんだよ」 龍之介は馬鹿馬鹿しいといったふうにそう吐いて捨てた。最初からお互いのことを解っていればこんなことにはならなかったのだろうか。ぼくのように人の気持ちがわからない人間でなくても、こうして人と人はすれ違う。皮肉なもんだな。 「そんな、そんなわけないわ! あっくんはストーカーなんかじゃない!!」 「でも浅木以外に犯人はいない。彼以外にキミの部屋に細工で来た奴はいないはずだ。全部浅木昭雄の自作自演だったんだよ」 龍之介は大げさに手を上げ、ウェイトレスを呼びとめてメロンソーダのおかわりをしていた。そんな龍之介を、野村さんは酷く細い目で睨みつけていた。その瞳には涙が浮かび、唇をぎゅっと噛んでいる。ああ、あれはどういう表情なんだろう。怒りか、悲しみか、悔しさか、やるせなさか。それともその総てを露わした顔なのか。 ずっと信じていた恋人のその優しさが嘘だと叩きつけられて、野村さんの頭はぐちゃぐちゃになっているのかもしれない。 だがこれでストーカー騒ぎも収まるだろう。 ……いや、ぼくたちは大事なことを忘れてないだろうか。 「おい龍之介。勝手に浅木先輩を犯人にこじつけているが、彼の顔に火傷の痕はあるのか?」 「は? そんなの確かめるまでもなく浅木が犯人だろう」 「お前があまりに自信満々だったから思わず飲まれかけたが、お前の推理は少し暴論じゃないか?」 「俺が間違ってるってのか兄貴。じゃあ確かめてみようぜ!」 ぼくの言葉に少し苛立ったのか、龍之介はむっとしている。ああ、そうだ。こいつはバカだった。こんなやつが推理できるわけがない。ぼくはうんざりして溜息をついた。いつもそうだ、龍之介は気が早く、いつも結論を急いで失敗する。兄であるぼくがそれを止める必要があるだろう。 「火傷……何の話ですか?」 野村さんが不安そうにぼくたちの話しに入ってきた。そうか、そういえば彼女はぼくたちが襲撃されたことを知らなかった。さっき会った時も、ぼくたちの顔を見て顔を青くしていた。 「ああ、言い忘れてたけど俺たちストーカーらしき人物に襲撃されたんだよ。それでこのざまだよ。でもなんとか反撃に成功した。スタンガンで顔を焦がしてやったんだよ。だから犯人は顔に小さな火傷を負っているはずだ」 そう龍之介が投げやりに言うと、野村さんは少しだけ考え込み、そして再び顔を上げた。 「そ、そんなことがあったんですか……。昨日、あの後にあっくんが来てくれましたけど、どこにも怪我なんてしてませんでしたよ」 「え?」 その言葉に、龍之介はぽかんとした表情になってしまった。 龍之介は自分の推理を過信していたため、一番大事なことを忘れてしまっていたようだ。まったく、いつもこうだ。龍之介は何かを言い当てたことがない。 「そ、そんなわけない。浅木昭雄が犯人に決まってる!」 「で、でもでも。あっくんは本当に怪我してなかったんですよ」 「そ、そんなの――」 「やめろ龍之介。全部お前の早合点だ。お前の推理は穴だらけなんだよ。確かに浅木先輩が犯人ならすんなりと解決するが、それはそれだけの話だ。決定的じゃない」 ぼくがたしなめると、龍之介はちっと舌打ちをしてそっぽを向いてしまった。悔しいのか知らないが短気すぎなんだよ。そうやって怒ったり拗ねたりできることが、羨ましいなんて別に思わないけど。 「野村さん。それでも一応確認のために浅木先輩と会わせてもらえないかな。一応挨拶もしておきたいし」 ぼくたちはまだ一度も浅木先輩と顔を合わせたことがない。それなのにこうして犯人扱いするのは早計だろう。龍之介の推理も完全に間違いかどうかもまだ否定できない。少しでも疑いがあるのなら晴らすべきだろう。 「え、でもあっくん今日は前の試合の疲れで家で寝てるって……」 「“でも彼だってぼくたちみたいな連中と彼女がこうして会ってるなんてきっと良く思ってないよ。今後のことも相談したいし”」 「わかりました。あっくんの家に電話してみます。」 ぼくが|嘘の言葉《ペテン》をかけると、野村さんは渋々携帯電話を取り出して番号をぴっと押していた。軽いものだ。 「あ、あのあっくん? 私だけど――え? 誰あなた……」 電話先の人物に話しかける野村さんの顔がさっと青くなっていく。唇も震え、目を剥き、怯えた様子だった。明らかにまともじゃない。誰がその電話に出たんだ。不審に思いつつただ見ているだけのぼくとは違い、野村さんの異変に気付いた龍之介は身を乗り出していた。 「貸せ! なんの電話だ!」 龍之介は野村さんから携帯電話を奪い取り、自分の耳に当てて怒鳴り散らす。 「お、お前は誰だ! 浅木昭雄なのか!?」 ぼくは龍之介の顔に自分の顔を近づけ、一緒にその電話の声を聞き取ろうとした。 すると、電話の向こうからくぐもった声が聞こえてくる。 『浅木昭雄のようになりたくなければ、もう二度と野村桃子に近寄るな』 ぞくぞくするような低い声が耳を伝い、龍之介は冷や汗を垂らしていた。その声はまさしくぼくたちを襲撃したあのレインコートの人物と同じものだ。そして、その携帯の向こう側から「助けてくれ……」という苦痛にまみれた声がかすかに響く。 ぶつりと電話は切られ、ぼくたちはそこに立ちつくしかなかった。ぼくたちは顔を見合わせ、驚愕を共有する。 「兄貴……今のは……?」 「わからない。だけど浅木先輩に何かあったことは間違いないだろうな……」 ぼくが携帯電話を野村さんに渡すと、やはりそれを受け取る手はとても震えていた。ガチガチと歯を鳴らし、涙はもう洪水のように溢れている。 「あ、あっくんが、あっくんが……!」 「落ちついて野村さん。浅木先輩のところに行こう。場所を教えてくれないか」 泣いて震える野村さんを面倒だと思いつつそう尋ねると、彼女は目を吊り上げぼくに向かって水をぶっかけた。冷たい。 「あ、あなたなんでそんな冷静なの! あっくんが……あっくんが危ないかもしれないのよ!」 ぼくのブレザーは水に濡れ、じんわりと染み込んでいく。これは、怒っているのか。怒りの意思表示なのか。なんでこの女はそこまで怒っているのだろうか。意味がわからない。 ぼくが焦ったりあわてたりしても何の意味もないじゃないか。なぜ女という生き物はこれほどまでに感情的なんだろうか。理解できない。したくもない。気持ち悪い。 「おい兄貴、落ちつけ。そんなフォークを持ってどうするつもりだ」 龍之介の刺すような静かな声でぼくは我に変えた。いつのまにかぼくの右手にはファミレスのフォークが握られている。なんだこれ。ぼくが握ったのか。なんで。フォークの切っ先は野村さんの目に向いていた。野村さんはとても怯えた目でぼくを見ている。やめろ、そんな目でぼくを見るな。 「……野村さん。早く浅木先輩のところへぼくたちを連れて行って下さい」 ぼくはなんとか表情を取り繕い、頬の筋肉を動かして笑顔を作る。満面の笑みだ。きっととても優しい笑顔ができているはずだ。だが野村さんは身体が固まって動けないようだった。それを見かねた龍之介が、野村さんの手を引っ張る。 「桃子ちゃん。ほら、深呼吸して。さあ行こう」 龍之介は無理矢理野村さんを外に連れていく。ぼくは仕方なくここの代金を払い、その後を追った。思わず握っていたフォークを財布と一緒にポケットに入れてしまったことに後で気づいた。 意外にも浅木先輩が住んでいるところは寮でもアパートでもなかった。 小さいがしっかりとした作りの一戸建てだ。両親と住んでいるのだろうか、と思ったが、どうやら借家らしい。だけど学生の一人暮らしで家一つ借りるなんて贅沢だな。聞いた話では浅木先輩は結構いいとこのぼっちゃんらしい。それでいて好男子で彼女がいてボクシング部のエースで、奥瀬先輩のような親友がいる。なんとまあ羨ましいことだな。まったく最高だね。火をつけたくなるね。 野村さんは狂ったようにチャイムを何度も何度も押し、扉をどんどんと叩いて中にいるはずの浅木先輩を呼んでいた。 「あっくん! あっくん返事して!」 喉が破れるのではないかと思うくらいにそう叫んでいたが、中からはなんの返事もない。もしかして家にはいないのだろうか。もうどこかへ連れ去られたのだろうか。しかしドアも綺麗な作りだな。庭もある。あっ、ツバメの巣があんなところに。 「兄貴、こっちだ!」 龍之介の声が聞こえ、ぼくはちらりとそっちを向く。龍之介は庭に踏み込み、そこに置いてあった金属バットを手に取っていた。 「何してるんだ龍之介。今から野球でもするのか。ぼくはスポーツなんてやりたくないぞ。そういえば子供の頃よく賢治兄さんとキャッチボールをしたなぁ。なあ龍之介、覚えてるか?」 「今はそんな話してる場合じゃねえだろ兄貴! ガラス割って中に侵入するぞ!」 なにを慌てているのか、龍之介はそう怒鳴りながら、大きな窓のガラス戸に向かって金属バットを振り下ろした。しかし強化ガラスのようで一度や二度では中々割れなかった。それでも龍之介が何度もバットを叩きつけるうちにひびが入り、そのひびに向かって龍之介は足を振り上げ、足の裏を全力で蹴りつけた。 すると激しい音を立ててガラスは割れ、破片があたりに飛び散った。その破片が龍之介の身体に刺さり、傷を増やしていくが龍之介は気にしていないようだった。 「痛そうだな」 「残念ながら痛くねーよ。おい兄貴、中に入るぞ」 その言葉に従い、ぼくは青い芝から土足で浅木先輩の家に侵入していく。土足でもなければ砕けたガラスの破片を踏んでしまうかもしれないから仕方ないだろう。 「ああ、野村さん。キミはここで待っていたほうがいいかもしれないよ」 立ちすくむ野村さんに、ぼくはそう言った。だけど彼女はふるふると首を振り、「私も行きます」と涙ながらにそう呟いた。 「そう、じゃあ気をつけてね。ぼくたちの後ろにちゃんとついてきなよ」 ぼくはどんどん中へ進んでいく龍之介のあとをついていく。じゃりじゃりとガラス片を踏む感触が足を伝い、柔らかなカーペットの上を歩いて行く。窓から上がったそこはリビングで、大きなテレビと、大きなソファが置いてある。 家の中はしんっと静まり返っており、まるで何年も人が住んでいないのではないかと錯覚するほどに寂しい雰囲気だった。だけど確かにさっきまで人がいたようで、飲みかけのお茶が入ったコップや、脱いでそのまま放置されている衣服が転がっている。どうやら少なくともさっきまで誰かがここにいたのだろう。 しかしリビングだけでぼくのアパートよりも広いじゃないか。こんなところに一人で住んでいるのか。逆に息がつまりそうだな。 「兄貴、俺から離れるなよ。もしまだストーカーが中にいるなら、この間みたいに襲ってくるかもしれない」 そう言って龍之介はポケットからスタンガンを取り出してぼくに投げてよこした。それを落とさずになんとか手に取ると、ずっしりとした感触が手に広がる。違法改造のスタンガン。まともな人間相手なら後遺症が残りかねないほどの電圧を流せるものだ。ぼくは暴力沙汰が苦手なので、できるだけ使わないようにしよう。暴力なんて野蛮な行為は論理的じゃない。そんなのは賢治兄さんや龍之介に任せておけばいい。 「どこだ、浅木昭雄でもストーカーでもいい、誰か返事しやがれ!」 龍之介は大声で叫び、金属バットで壁を叩きながら部屋を見て回った。人が隠れていないかあっちこっちをひっかきまわし、蹴り飛ばし、家の中はぐちゃぐちゃになっていく。 「はぁ……はぁ……。ちっ、どうやら一階には誰もいないみたいだな。となると――」 龍之介は階段を見つめる。二階、か。 「もしかしたら寝室で眠ってるかもしれません……」 野村さんは恐る恐る龍之介にそう言った。恋人の家を荒らし放題にされてかなり衝撃を受けているようだ。 「ふうん寝室ね。桃子ちゃんと浅木先輩の蜜部屋に俺たちが入っていいのかねぇ」 龍之介は何を想像しているのかニヤニヤと笑い、野村さんは少しだけ顔を赤らめうつむいている。 「いいから上に行こう龍之介」 「へいへいわかりましたよ」 ぼくたちは団子状態になりながら一段一段階段を上って行く。二階の部屋はいくつもある。まったく、なんでこんなに部屋がいるんだろうか。理解に苦しむ。ぼくたちは野村さんが指さした浅木先輩の寝室の扉の前までやってきた。龍之介はもうノックすらせずにドアノブに手をかけ、開けようとした。だが、扉には鍵がかかっているようで、ガチャガチャとノブを回しても一向に扉は開かない。 「ちっ、兄貴、桃子ちゃん。下がってろ」 龍之介はがっつりと扉を何度も蹴り、やがてその扉はめりめりと音を立てて無理矢理こじ開けられた。中はカーテンが締め切られているのか、薄暗く、ひんやりとした空気が流れ込んでくる。まるで地獄の蓋が開かれたかのような冷気。そして中からは「うう」といううめき声がかすかに聞こえてくる。 「あっくん!」 野村さんがそう叫び、ぼくたちを押しのけて部屋の中に入っていく。 ぼくも龍之介も部屋の光景を見て声を失う。 部屋の中には確かに浅木先輩がいた。 だけど浅木先輩のその端正な顔は苦痛に歪み、滝のような汗を噴き出してうめいている。 それもそのはずだ、恐るべきことに浅木先輩の両手両足はあり得ない方向にすべて折れ曲がっていたのだから。そして口にはティッシュを丸めたものが大量に突っ込まれ、顔じゅうに殴られた痕がある。激痛のあまり涙をだらだらと流していて、ぼくたちを見て驚いたような安堵のようなよくわからない表情をしている。 彼の顔のまわりには小さな白い粒のようなものが転がり、赤い液体が床に零れている。あまりに非現実な光景なため、それが彼の折れた歯と、口から溢れ出た血であることに気付くまで少し時間がかかった。 「へへ、こりゃえげつねえ。四肢も、歯も全部折られてるのか。痛いだろうな。きっとすげえ痛いんだろうな」 龍之介はそんな浅木先輩を見て羨ましそうにそう呟いていた。 「あっくん……酷い……だれがこんなことを……」 恋人の無残な姿を見て、野村さんはどうしたらいいのかわからないようにただ涙を流し、狂ったように彼の口に突っ込まれたティッシュを吐き出させていた。そんな野村さんの白い指は彼の地で汚れ、その手で涙を拭おうとするから彼女の顔は血と涙で酷い事になっている。 「どう思う兄貴」 「ん、何がだ?」 龍之介が考え込むような顔でぼくを見ていた。 「この部屋は鍵がかかってた。中から錠を下ろすだけのやつみたいだから外からはかえないよな?」 「ああ……」 「じゃあなんでこの部屋には鍵がかかってたんだ」 「浅木先輩がかけたんだろ。ストーカーに襲撃されたからこうしてここに籠ってたんじゃないのか?」 「腕も足も歯も折れてるのにか? 無理だろ」 確かに。 じゃあ誰がこの部屋に鍵をかけたんだ。 いや、もしかしてまだこの部屋にストーカーがいるんじゃないのか。 ぼくがそう考えていると、浅木先輩は必死に何かを訴えるように口を動かしていた。 「うへ……うへ……」 歯が折れているせいなのか何を言っているのかよくわからない。間抜けな絵だ。 「どうしたのあっくん。もう大丈夫だよ。今救急車呼ぶから――」 野村さんがそうなだめていると、浅木先輩は必死に目線を上へ向けていた。 「うへえ……うへ!」 上―― そう、浅木先輩は「上!」と叫んでいたのだ。 それを理解したぼくたちは、ばっと天井を見上げた。 そして、そこにはまるで、蜘蛛のように高い天井に張り付いている男がいたのだった。 レインコートに身を包み、マスクをして、鷹のような鋭い眼だけが僕たちを見下ろしている。 「きゃあああああああああああ!!」 恐怖と動揺のあまり野村さんは泣き叫び、ぼくも龍之介もそこから視線を外すことができなかった。だがレインコートの男は容赦なくぼくたちの眼下に飛び降りてくる。 どしんとその男は着地し、ぼくたちをぎろりと睨む。男の後ろにいる野村さんはがたがたと震え、瀕死の浅木先輩に抱きついている。 「手を引け、と言ったはずだが」 マスクの下からくぐもって聞こえる低い声でそう言い、背がぼくや龍之介よりも高いせいで、天井から降りてきた今でも見下ろされている形になっている。 ぼくはこんな状況でも『恐怖』を覚えなかった。ただぼんやりと目の前の光景が自分とは無関係のもののような気がしていた。 だが龍之介はそうではないようで、苦々しい顔をして負けずとその男を睨み、金属バットを強く握っている。 「手を引けだあ、このストーカー野郎……」 龍之介は金属バットを両手で振り上げ、そのレインコートの男に向かって突貫を開始した。無茶だ。相手は恐らく異能者、非能力者が相手になるものか。 「死ねストーカーやろおおおおお!」 雄たけびを上げて龍之介は男に向かって金属バットを振り下ろす。 金属の反響音が部屋に響き、ぼくの耳を刺激する。しかし振り下ろされた金属バットを、その男は腕で防御し、金属バットは完全に折れ曲がってしまっていた。 「ちっ――化物め」 腕で金属バットを防いだ男はまったく平気なようで、そのまま腕を薙ぎ、金属バットを弾き飛ばした。音を立てて金属バットは床を転がっていく。 「よせ龍之介!」 「うるせえ! こんなこけにされて下がれるかよ!」 龍之介はポケットからサバイバルナイフを取り出した。こいつは一体いくつ凶器を持ってるんだ! 「ぶっ殺してやる!」 龍之介はナイフを振り回すが、レインコートの男はそれを上半身の動きだけですべて紙一重で避けていく。あれは、ボクシングのフットワークに似ている。 格闘の素人である龍之介では分が悪い。だがぼくはその二人の戦いに割って入る事はできない。 「避けるんじゃねえ!」 男の動きをなんとか読んだ龍之介は、ナイフを男の心臓向けて突き出す。だが、男はあろうことかばっと手のひらでそれを受け止めたのだった。 「なっ――」 ナイフの切っ先をぎゅっと握り、龍之介が必死で引っ張ってもぴくりとも動かない。圧倒的な力の差。異能者と非能力者。そこには絶望的な差がある。 「よせ龍之介、逃げるんだ!」 「うるっせえええええ!」 龍之介は必死にナイフを引き離そうとするが、レインコートの男は龍之介の腕を逆に引っ張り、そのまま思い切り腕を押していく。そして―― 「え……?」 龍之介の腕はレインコートの男によって自分の腹に押しつけられていた。 そして、自分の手に握られているナイフで、自分の腹を刺してしまうことになっていた。 ざくりとナイフは龍之介の腹部に吸い込まれるように深く突き刺さっていく。後ろで見ていた野村さんが大声で叫び、ぼくもそれを茫然と見ているだけしかなかった。 「てめ」 龍之介は何かを言いかけたが、レインコートの男はそのまま龍之介のシャツの襟をぐっと掴み上げ、そのまま全力で部屋の窓に向かって龍之介を放り投げた。人間一人を片手で投げ飛ばすなんて普通の人間ではありえない。ぼくは身体系能力者の圧倒的なまでの純粋な暴力に、ただ立ちつくすしかなかった。 窓ガラスに叩きつけられた龍之介はそのままガラスを突き破り、二階の窓から落ちて行ってしまったようだ。どすんという激しい音が響く。ナイフで腹部を刺され、二階から落ちてしまっては龍之介もただでは済まないだろう。下手したら死んでるかもしれない。それでもぼくは恐怖も怒りも悲しみも湧いてはこない。ただぼんやりと、ああ、死んだのかなって考えるだけだった。 でもどうすればいいのだろうか。 このまま走って逃げるか。しかし間違いなくそれでも追い付かれるだろう。 ぼくは手に持っていたスタンガンのスイッチを入れる。青い火花が音を立てて光る。やるしかない。 ぼくは無言でレインコートの男に向かってスタンガンを叩きつけようと駆けるが、男は素早くぼくの身体に突進してきた。 「――っ!」 ぼくの手からスタンガンは離れ、どこかへと飛んでいってしまう。だがそんなことを気にしている余裕がないほどの衝撃がぼくの身体に走る。めしめしと肋骨が折れ、内臓が傷ついていく。激しい痛みがほんの一瞬の間に頭に流れ込んでくるようだった。 その突進をまともに受けたぼくは壁に激突し、その壁すらも激しく砕けるほどに吹き飛んでしまう。壁を突き抜け廊下に転がり落ちたぼくは、もう指一本も動かせないほどにめちゃくちゃに身体を壊されてしまっているようだった。 なんでぼくがこんな目に会わなければならないんだろうか。 ぼくはただ龍之介の手伝いをしていただけだ。 ただのストーカー退治をするだけの話だったのに。 なんでこんな痛い思いをしなければならない。 理不尽じゃないか。 理不尽だ。 「まだだ。まだ終わらない。来い」 苦痛で気絶しかけたぼくを起こすように耳元で男は囁いた。 ぼくの襟首を引っ張り、倒れているぼくを無理矢理引きずって行く。なんだ。どこへ連れていくつもりなんだ。 いやだ。痛いのはもうごめんだ。もう眠らせてくれ。 殺せ。 生きてたって苦痛なだけだ。早くぼくを殺してくれ。 気絶もできないぼくは、まるで現実逃避をするかのように頭の中がマヒし、夢をみているかのように奇妙な映像が頭に浮かんでくる。 もしかしたらこれは走馬灯というものなのかもしれない。 そうだとするならば、いよいよぼくは死ぬのだろう。 目を閉じるぼくの瞼の裏に、母さんの姿が浮かんでくる。相変わらず母さんの顔は薄ぼけているが、その澄んだ小鳥のような声だけがレコードのように再生されていく。 死にたい。そうぼくは母さんに言ったことがある。無表情でそう言うぼくを見て、母さんはとても悲しそうな顔をしていた。あの時のぼくは悲しみと言う概念すら理解していなかった。だから母さんがそんな顔をしていても悲しんでいたなんて思いもしなかった。 でも母さんはぼくの髪をくしゃくしゃっと撫で、ゆっくりと言い聞かせるように言葉を紡いでいった。 あなたたち五人は、|私とお兄ちゃんの子供《・・・・・・・・・・》なんだから。絶対に死ぬなんて言っちゃ駄目よ。精一杯生きて。どんなに辛くても―― だからぼくは生きようと決めた。母さんを泣かせないために。 だけどその母さんも死んだ。だからもうぼくに生きる理由なんてないんだ。でも、ぼくが死んだらアキ姉はどうなるんだろうか。悪意を理解できないアキ姉を、誰が護るんだろうか。 ただひたすらアキ姉の顔が頭に浮かんでくる。穢れを知らない天使のような笑顔でぼくをいつも抱きしめてくれるアキ姉。ぼくが死んだら悲しんでくれるかな。ああ、悲しいってどんな気持ちなんだろう。 アキ姉のためにもぼくは生きなきゃいけないだろう。どれだけ呪われていても、狂っていても、壊れていても。 ぼんやりと夢と現実を行き来するぼくをレインコートの男は容赦なくぼくを廊下に引きずりまわし、階段を降りていく。がんがんと階段の角がぼくの背中を打ちつけていく。痛い。痛い。 廊下を降り終わったレインコートの男は、ぼくを引きずりながらキッチンへと向かっていった。何をするつもりなんだ。がちゃがちゃと食器棚をいじくりまわす音が聞こえる。そしてしゅらっという背筋を冷やすような金属の音が耳に届く。 振り返った男の手には、包丁が握られている。 男の目と同じようにギラギラと輝いているように見えた。 「な、なにを……?」 ぼくがなんとか声を絞りだして尋ねるが、男は答えない。ぼくの襟首を掴んでいた手をぱっと離し、ぼくはフローリングの床に頭を打ち付けてしまう。 そんなぼくを男は包丁を握りしめながらただ見下ろしている。ゆっくりと膝を下ろし、ぼくの身体の上に馬乗りになり、ぼくの右手を握りしめ、無理矢理手のひらを広げさせていた。何をする気なのか、なんとなく察しがついた。 男はぼくの手のひらを床に押し付け、包丁をその人差し指に向かって振り下ろした。 「あああああああああああああ!!」 信じられない痛みが指に走り、血が飛び、そして指が第二関節部分から飛んで行くのをぼくはスローモーション映像を見るかのように眺めていた。痛みのせいで喉が破けるほどの叫びを上げるが、レインコートの男はまったく動じず淡々と切り落とされた指を眺めていた。 切られた指先からは洪水のように血が流れ、床は鮮血に染まっていく。どくんどくんと脈うち、指から火が出ているみたいに熱い。身体から離れた指は、まるでトカゲのしっぽのように見えた。 「痛いか。この痛みを記憶しろ。そしてもう俺たちに近づくな」 低い声で脅しつけてくるレインコートの男。 それでもぼくは恐怖を感じることができなかった。ただ痛みが脳を支配しているだけだ。 ぼくが黙りこくっていると、今度は中指に包丁を当てていた。 まずいな。このままじゃぼくの指は全部なくなってしまうんじゃないか。 奴にボクのペテンはきかない。奴はぼくの話を聞く気がないからだ。 いや、まてよ。ならこいつの興味の引く話しをすれば、あるいは―― 「“ぼくは、お前が誰か知っている!”」 なんとかそう叫ぶと、レインコートの男はぴたりと包丁を持つ手を止めた。もう少しで骨が切断されるところだった。 「…………」 「“あんたは、なぜこんなことをする。復讐か? こんなことをしても何の意味もないよ”」 「お前に何がわかる……」 しめた。奴はぼくの言葉に耳を向けている。痛みで集中できないが、ぼくは必死で今回の一連の出来事を頭で整理していく。 そうだ。 恐らくこのレインコートの人物はあの人に間違いない。 もしその通りならなぜこんなことをする。なぜだ。考えろ。考えるんだ。 頭の中に昨日の出来事が浮かんでくる。そしてふっと頭の中でパズルがかちりとはめ込まれる音がした。 「そうか、そうなんだな……」 「何を呟いている」 ぼくはレインコートの男を睨み、ゆっくりとその言葉を放つ。 「ストーカーの正体は――――だ」 その名前を口にした途端、男の目にはっきりと動揺の色が映ったのをぼくは見逃さなかった。だが、その目はすぐに殺意に変わり、包丁を振り上げている。 「それを知られた以上、俺はお前を生かしてはおけなくなった……」 だが、ぼくにはその一瞬の動揺で十分だった。 ぼくはポケットに手を入れ、その中にあるものを握りしめる。ぼくは顔に向かって振り下ろされた包丁の切っ先を紙一重で避け、がつんと床に包丁が刺さる。直撃は免れたが耳は切り裂かれてしまい、鋭い痛みが走った。 だけどそんなことを気にしている暇はない。ぼくはポケットに突っこんでいた右手と、握った|それ《・・》を取り出し、レインコートの男の眼球に向かって思い切り突き刺した。 「あががあああああああああああああああああああああああ!!」 男は絶叫を上げ、手に持った包丁を落とし、両手で顔を押さえていた。彼の右目には、ぼくが突き刺した|フォーク《・・・・》が伸びている。 そう、思わずファミレスから持ってきてしまったフォーク。これがなければどうなっていたかわからなかった。男は突然右目の視力を奪われたことと、その激しい痛みでパニックを起こしている。だがそのおかげでぼくから身体を離し、痛みから逃れるようにあたり構わず暴れている。 ここぞとばかりにぼくは重い身体を無理矢理起こし、切り落とされた指を持って走った。 途中何度か転びそうになったが、なんとかふんばり、玄関に向かって走る。この家から出ればあとは誰かが駆けつけてくれるに違いない。廊下を走り、すぐに玄関が見えた。だが後ろからは、 「許さねえ! 絶対に殺してやる!!」 という叫び声が聞こえ、どしどしと足音が聞こえる。まずい。すぐに追いつかれる。そうすれば確実に殺される。 ぼくは必死に手を伸ばし、玄関の扉に手をかける。だが扉は開かない。そうだ、鍵がかかっているのか。ぼくは錠を下ろすのをもどかしく思いながらもなんとか扉を開け放った。すぐ後ろにあの男の息が聞こえてくる。 走れ。 逃げろ。 玄関から飛び出ると、真っ赤な夕日が目に差し込んできた。それは血のように本当に真っ赤だった。 そして、門の向こうからありえない物が迫ってくるのをぼくは見た! |それ《・・》は凄まじいスピードでぼくたちに向かって直進してきていた。危険を感じたぼくは咄嗟に横に飛びのいて庭の芝生に倒れこむ。 そこには二階の窓から落ちていった龍之介の姿はない! ぼくがばっと後ろを振り返ると、|それ《・・》は轟音を上げて驚愕し立ちつくしていたレインコートの男と激突する。 |それ《・・》は車だった。 そう、自動車がこの家に飛び込んできてレインコートの男をアクセル全開で轢いたのだ! 自動車はその男に激突したまま家の玄関にまでぶつかり玄関は完全に崩壊し崩れ去っていく。自動車もクラッシュしたせいで煙を上げて壊れてしまっている。その瓦礫と自動車に挟まれ、レインコートの男はぴくりとも動かなくなってしまっていた。 ぼくは唖然としながらもその自動車に近づいていく。 その運転席にはフロントガラスに頭をぶつけ、大量の血を流しながらも、にやりと笑っている龍之介の姿があった。 「お、お前何してんだよ……」 龍之介は腹にナイフが刺さったままで、激突の衝撃で左腕が折れたらしく、ぷらんぷらんと揺れていた。 「へへ、あの後すぐに起き上がって、自動車盗んできたんだよ。最高だろ兄貴」 「ああ、お前は最高な弟だったよ。もう少しでぼくも轢かれるところだったけどな」 ぼくは呆れながらも、死にかけの弟に感謝をしていた。痛みを感じない龍之介は、二階から落とされようが腹を刺されようが自動車をクラッシュさせようが気絶しないのだろう。おかげでぼくたちは助かった。 一連の騒ぎを聞きつけ、辺りには野次馬が集まってきていた。誰かが通報したらしくパトカーや救急車の音が聞こえてくる。 これで事件は解決だ。 「兄貴。俺もう限界かも。さすがに血を流しすぎて目の前が暗くなってきた……。犯人の正体教えてくれよ。気になって熟睡できねーぜ」 龍之介の言葉を聞いて、ぼくはゆっくりと自動車と瓦礫に挟まれているレインコートの男のところへと向かう。 さすが異能者だけあって、かすかに呼吸をしていて気絶はしているものの死んではいないようだった。 ぼくはその男のマスクとフードを思い切り引きはがす。 その素顔を見て龍之介も驚いていた。 「レインコートの男の正体は、奥瀬裕也だ」 解決編その2へすすむ トップに戻る 作品保管庫に戻る
https://w.atwiki.jp/majicaa/pages/2960.html
/^^/^^^^^\___ . /{// / / /\ // ∧ / /⌒^\ニ=- ∧ / -/____}{___ \ニ=-- \ / _{_tチ八}こフ -\ニ=-- \ / /^__^_ -\ }二ニ=-- -\ / {_____.\ \ }ニ=-- / 〕 -{ {人{ {\} -/=- / / ̄ ̄\八{ニ人{ニ∧ -/=- \/ _/  ̄}=} _} -/=- \/ } \__]\__ノ_} /=- { / \_)\)_ノ /∧ニ=-- ∧ } } 人____,/∨∧ニ=- /∧ / -/\___人{ __/∨∧ニ=- /∧ \/ -/\______{_,_厂} //∨ノ}ニ=- \ /∧ }/ /二( \ニ=-{ } {ノ∨∧ニ=-\)\ /∧ }/ -/ニニ(\ニ=-{ } {_,ノ∨∧ニ=--  ̄\ ∧ {/ ⌒∨=ニ\二=-{ } {ニニニ\_)\ニ\ \ ∧ ∨ニ二\=-{ ∧_{ニ二二\く\ニ\ -\ / ∧ ∨二二二/{ }__}ニニニニ二\ソ\ ∧_人 -\ . / //∧ ∨ 二二{/{ {ニニニニニ二二\く\}/⌒\\\} / //∧ ∨=ニニニ{ {_{ニニニニニニニニ\ソ\ -} }-ノ} . / /∧ } } }=ニニニ/{ { {ニニニニニニニニニニ=-=-ニ)'二ニ=-- Sidisi's Pet / シディシのペット (3)(黒) クリーチャー — ゾンビ(Zombie) 類人猿(Ape) 絆魂(このクリーチャーがダメージを与えると、さらにあなたはその点数分のライフを得る。) 変異(1)(黒)(あなたはこのカードを、(3)で2/2クリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。これの変異コストで、これをいつでも表向きにしてもよい。) 1/4 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/reinachan_nico/pages/5.html
れいなちゃんとは、金魚の糞であり、雑魚であり、裏切られ者(下記参照)であり、ガキのたまり場である
https://w.atwiki.jp/reinachan_nico/pages/3.html
カウンター 今日 - 人 昨日 - 人 合計 - 人 現在-人が閲覧中。 ここの管理人のコミュニティco2410506 更新履歴 取得中です。
https://w.atwiki.jp/reinachan_nico/pages/2.html
メニュー 初めに
https://w.atwiki.jp/kakureminshu/pages/58.html
首相退陣、夏めどの意向 閣僚に明言、「先送り」否定http //www.asahi.com/politics/update/0604/TKY201106040511.html 菅直人首相は4日、菅内閣の主要閣僚と電話で会談し、今夏の早期退陣を受け入れる意向を伝えた。首相は辞任意向を表明した後、具体的な時期を明言せずに先送りするかのような姿勢をみせてきたが、政権幹部からも早期退陣論が相次いだため、自らも受け入れざるを得ないと判断した。今年度第2次補正予算などを8月前後に成立させ、退陣する意向だ。 首相は主要閣僚との電話会談で、早期退陣を求める鳩山由紀夫前首相と交わした「確認事項」を取り上げ、「文書に書いてある思いはわかっている」と説明。自らの会見発言や国会答弁に与野党から「退陣先送り」との批判が出ていることにも触れ、「そういうつもりで言ったのではない」と明確に否定した。 首相は同夜、民主党の石井一選挙対策委員長と首相公邸で約1時間半会談。6月中旬にも成立する公算が大きい復興基本法案と、2次補正や特例公債法案に言及し、「一つも止めることはできない。(自ら)やりきる」と語った。 枝野官房長官の発言要旨http //www.jiji.com/jc/c?g=pol_30 k=2011060400272 枝野幸雄官房長官が4日、民放のテレビ番組で発言した主な内容は次の通り。 今の政治は大変申し訳ない状況で、国政にいる立場として大変申し訳なく、恥ずかしく、責任を感じる。 (首相が民主党の)代議士会で言った通り、震災(対応)に一定のめどを付け、そう遠くない時期に若い世代に責任を引き継ぎたいという(首相の)思いは重たい。首相という重い責任を今担っているという文脈の中で言っているので、(地位に居座る)気持ちは全くない。(退陣が)そんなに遅い時期であるというのは、誰がどう聞いてもない。 首相の(記者会見で述べた福島第1原発の)冷温停止の話は、(辞める時期のめどでは)ないことははっきりしている。 (退陣が)何月何日なのかは、(政策遂行上)本当に辞める直前までは自分の口から言えないのは、首相の責任、立場として当然だ。ただ、そんなに長く居座るような気持ちは首相には全くないと思う。 首相として(原発事故の避難住民の帰宅を)見極めるまで続けることはないことははっきりしている。(9月に予定される日米首脳会談に)首相は自分が出るという趣旨のことは言っていない。 菅直人とその片棒担ぎの枝野が、舌の根も乾かないうちに、性懲りもなくペテンを放言した。6月2日に行ったペテンと全く同じパターンである。 ・具体的な時期を明言していない。 →「めど」というのは時期を明確にしている日本語ではない。 ・9月の日米首脳会議に出るという趣旨のことは言っていない。 → 明言していない。勝手な妄想をさも事実のように放言し、ペテンにかけている。出ないという趣旨のことについて明言されていない。 ・そもそも明言したという根拠、証拠が全くない。 →菅が発言した映像がない。紙に書いた署名入りの宣誓書もない。 ・そもそもこの話自体、ただの噂であり、菅が言ったかどうか定かではない。 先日、日本国に対して行ったペテンと何も進歩がない。それが通用すると思っている菅、枝野に学習能力、知能が機能していない証拠であろう。 この国難において、学習能力、知能が伴わない人間が首相やその右腕としてのさばっていること自体、日本復興を遠ざける凶悪行為である。 また、同じように岡田もペテンを振りかざし始め、民主党議員の面々も相変わらず被害者のふりをして具体的な菅直人の問責を言っているが具体的な日程を決めていない。 まして、問責決議を受けた仙石を担ぎ出そうなどというありえない行為を平然とやらかしている。 いつも通りの民主党のペテンパターン、およびどさくさまぎれにさらに悪事を働くパターンそのものを展開している。 岡田民主幹事長、菅首相辞めねば退陣進言=自民・石原氏「一日も早く」http //www.jiji.com/jc/c?g=pol_30 k=2011060500029 岡田もいつもの通り、思わせぶりのことを言っておきながら、土壇場になって野党に妨害するなと逆切れをするパターンを繰り返しています。 相変わらず学習能力、知能がありません。
https://w.atwiki.jp/daydawn/pages/1717.html
---私が最初に見た風景は、燃え盛る部屋と、割れたガラス。 最初に聞こえてきたのは、剣戟と魔法の音。 焼けつく匂いが、『戦争』を実感させる。 そして、傍らに横たわる兵士が、私に向かって言った。 "生き延びろ" ---私はその言葉に従い、外に向かって走り出した。 プロフィール 名前 コーシカ(KOSHKA) 通称名 『姫将軍』コーシカ 種族 魔族 性別 女性 年齢 14歳? 出身 戦国劇場:輝星国 身長 152cm 体重 44kg 星 ★★★★ 所属 人軍 クラス構成 メイン 魔導士 サブ 魔女医 エクストラ ロゴス 追加サブ 兵士 追加サブ2 錬金術士 上級 将軍 ステータス 筋力 D 知力 B 器用 D 敏捷 D 感知 B 精神 A データ ヒメッ キャライメージ イメージアイコン オーキス(グランブルーファンタジー) テーマ曲 LEFT ALIVE 歌詞 「私は姫将軍。そして戦場の火を消す者」 外見 黒いワンピースに小さなシルクハットを被った、銀髪の美少女。 表情の変化に乏しく無愛想に感じるが、感情表現が下手なだけ。 外見に似合わず貧乏。おんぼろの長屋の一角を借りて薬屋を営んでいる。が、知名度不足と本人の技術不足で客は殆どいない。 これだけでは出稼ぎが足りないので、遊郭街で「出会い酒場」のウェイトレスとしてアルバイトをしている。 また、『光星』という名前の大型の人形を傍に置いている。 + 『光星』 名称:『光星』 イメージアイコン:輝星・空式(BORDER BREAK) 高さ2.5mほどの、白を基調とした二足歩行型人形。 戦ではコーシカが魔力を贈り、『光星』が魔法を放つ。 (データ的には光の弓相当の愛用品) 普段は邪魔にならない場所に置いているか、周囲の景色に溶け込む形で待機している。 人格 「……お菓子、食べる?」 凛とした静かな佇まい、その有様は姫のよう…… という訳ではなく、マイペースで世間知らず。感情表現が下手なのもあり若干人見知り。 慣れた相手には徐々に話すようになる。 但し、戦の時は別。的確に指示を飛ばし、容赦なく攻撃をし、戦を勝利に導く。 + 行動範囲 行動範囲 柾良城 武将棟、食堂、研究区画 柾良城下町 侍町 武家屋敷街 足軽町 遊郭街、桜花広場、茶屋『あけぼの』 町人地 柾良大合同商店、屋台裏道、左膳通り、銭湯「かぽん」、長屋『本能路』 寺町 寺子屋通り 城下町郊外 長馬山展望台、国境付近 来歴 「私、お姫様だったの。滅んでしまったけど」 ジパング南東部にかつて存在した『輝星国(てるぼしのくに)』の姫君、と彼女は名乗っている。その振舞いも姫らしいが、貧乏。 ---しかし、『輝星国』の姫に『コーシカ』という人物は存在しない。 多く居る姫君の内の一人、と本人は言うが……? + 1.ロゴスについて コーシカの身体はロゴスと呼ばれる、封印指定の技術が使用されている。 柾良軍上層部の一部と当主は知っているが、それ以外には口外されていない。 この技術は柾良でも、輝星国の物でも無い技術で、出元は不明。当人も詳しくは知らない。 + 2.マキナ端末 黒い長方形の板のような形状をした端末。 普段は『光星』の胴部のスロットに搭載されている。 詳細不明。 + 3.滅んでしまった国 国名:輝星国(てるぼしのくに) 代表:輝星 佳孝 娘:輝星 天美 概要:柾良国に近い、ジパング南東部の低めの山岳地帯にあった小国。 占星術・錬金術・人形技術が盛ん。錬金術と人形技術によって、少ない兵力を補う『人形兵団』が主な戦力。 規模こそ小さいが、召喚者の持つ技術・技法をいち早く取り入れつつ、柾良国と同盟を結ぶことで国を維持していた。 ーーー数ヶ月前、どこかの国の襲撃を受け、滅ぶ。 + EX.たまかずらの易 たまかずらの易 本人、他人、善人、悪人、愛人。助くるべき人がいる。 その人のためなら地に逆らい天に抗うこともあるだろう。 貴女は人の愚かさをその身で知っている。 貴女が何故ここで生きているのか。 人軍に行き、その道を示しなさい。 Pick Up 一 人 連 携 による魔法アタッカー。おまけの攻撃バフ。 将軍になると識別できる。はず。 + データ詳細 コーシカはロゴスという特殊なエクストラクラスを所持した、魔法アタッカーです。 戦闘では中衛に立ち、《一人連携》で連携スキルを一人で使えるようにし、《さんみいったい》等の強力な連携スキルを放ちます。 使用回数とMPコストの重さから、ミドルは《ソウルブレイカー》による遠距離単体攻撃をメインに戦います。 セットアップでは主に、同じ隊列にシーン中ダメージ上昇を与える《集団戦闘》を使用します。 上級に入った後は《知将》《大采配》《蒼天陣》を取得し、《集団戦闘》を全域に付与するようになります。また、エネミー識別も可能になります。 反面、多少の蘇生スキルはあるものの、防御能力は高くなく、普通の魔導士の域を出ません。 要するに?→スキルが特殊な、範囲魔法アタッカー。 + 真実 真実の一端 コーシカはロゴス技術とマキナ技術を利用して作られた実験体。 コーシカの身体は『輝星国』の姫、『輝星 天美』。 『輝星 天美』の脳にあった人格・記憶は別の物体にログとして保管され、身体に残った人格・記憶は全て《フォーマット》を受けて消失している。 コーシカは実験の際に入れられた仮想人格であり、『輝星 天美』の人格・記憶を元に作られている。 『輝星国』を襲撃したのは、『寅牛国』の一派。主犯となる『博士』は逃亡している。 + 1.関連人物 1 被験者リスト 被験者K:某国の少年。制圧時に確保。肉体の運動補助機能に使用。 被験者O:某国の騎士。制圧時に捕縛。肉弾戦闘スキルのコピーに使用。 被験者S:某国の少女。制圧時に確保。感情コントロール機能に使用。 被験者H:某国の魔法使い。王族の血縁者。制圧時に捕縛。魔法行使スキルのコピーに使用。 被験者K-2:某国の傭兵。制圧時に捕縛。指揮スキルに使用。 実験体A:某国の姫。死亡寸前の身体を改造。脳の情報をデバイスに保管。 2.フォーマットにより記憶をリセット。BMデバイス用の『素体』として改造。 3.仮人格のインストールを実行。仮人格の名称は『KOSHKA』とする。 + 実験体A:輝星 天美 名前:輝星 天美(てるぼし あまみ) 性別:女 種族:魔族 立ち絵:オルキス(グランブルーファンタジー) 「私は”姫将軍”!どーんと任せて!」 「お菓子食べる?大丈夫、いーっぱい持ってるから!」 山岳地帯の小国『輝星国』の第一王女。 明るく活発的な少女。人に頼られるのが好きだが、抱え込みすぎる癖がある。 錬金術と人形技術に長け、魔力の素質もあることから『人形兵団』の将軍も兼任している。 ついた二つ名は”姫将軍”。民から愛され、民のために動く姫君。 ーーー数ヶ月前、『輝星国』が滅亡する際、命を落とす。 死亡し、魂が消える寸前になった身体は、襲撃した組織が回収して実験に利用された。 天美の人格・記憶をコピーし、それを元に作り出された仮想人格がコーシカである。 「私ね、ハッピーエンドが大好きなんだ」 2 製作者 名前:ツィーゲ 性別:不明 『KOSHKA』とBMデバイスの製作者。『不死を超える不死』を作るために、輝星国を襲撃した主犯。 + 2.マキナ端末の真実 マキナ端末の設定 名称:BMデバイス(バイオ・マキナ・デバイス) 形状:長方形の板(スマートフォン程度) 説明: 生体マキナ端末。生きた人間の脳を摘出し、加工し、作り上げたマキナ端末。 所持者の魔力・反応速度・制御技術を飛躍的に向上させる。 但し、マキナ端末の『指定された所持者以外使用できない』という量産に不向きな特性が解決できておらず、 使用するためには高い適合率が必要。 コーシカは『BMデバイスのために作られた実験体』である。 このBMデバイスは、『姫に近しい親しい者たち、5人の脳』を使用されて作られている。 『KOSHKA』 『もう居ない6人の、頭文字を取った名前』