約 36,460 件
https://w.atwiki.jp/quizbc/pages/1018.html
No.0251 天真爛漫マロマル No.0252 ホーリードラゴン No.0253 白炎龍ホーリードラゴン No.0254 天空龍ホーリードラゴン No.0255 聖界の守護龍セイクリッドブレス No.0256 鉄巨人ラーヴァデイン No.0257 憤怒の鋼鉄ラーヴァデイン No.0258 焦焔の鉄塊ラーヴァデイン No.0259 獄炎の紅鉄ラーヴァデイン No.0260 歌い手ヒサギ No.0261 可憐な歌姫ヒサギ No.0262 天使の歌声ヒサギ No.0263 星海の響奏ヒサギ・シンフォニー No.0264 妖精シズク&カグヤ No.0265 双水精シズク&カグヤ No.0266 双流神シズク&カグヤ No.0267 蒼茫の対星シズク&カグヤ No.0268 蒼騎士カトレア No.0269 疾風の蒼騎士カトレア No.0270 天空の蒼騎士カトレア No.0271 蒼の彗星カトレア・ラインハルト No.0272 閃騎士ガイアス No.0273 雷鳴の閃騎士ガイアス No.0274 天雷の閃騎士ガイアス No.0275 光芒の彗星ガイアス・エクレール
https://w.atwiki.jp/quizmagicianblackcat/pages/1482.html
双水精 シズク&カグヤ 属性 水 MAX Lv 50 Aスキル トライマジック++ 潜 在 能 力 (1段階) (2段階) ランク A HP 1,369 Sスキル 水の紋章 (7) (3段階) (4段階) コスト 19 攻撃 1,346 進化元 妖精 シズク&カグヤ (B+) (5段階) (6段階) No.0265 種族 ? 編集 進化先 双流神 シズク&カグヤ (A) (7段階) (8段階)
https://w.atwiki.jp/gundo/pages/35.html
第8話 兆し 予告とサブタイトルが違うんですが・・・ 今回も何かありそうだ Aパート 道の奥からやってくるムサシとロウニン。 手前の道から透けて見えている。 天守閣で絵を描く豊臣秀頼 足を滑らす石田三成。わざと手を離しているように見えるが 秀頼を突き落とそうとする三成。 秀頼「南蛮渡来の西洋絵筆、気に入ったぞ」 カットごとに違う上様の絵。 Σ (゚Д゚;)スケッチブック!? 上様は姉萌えらしい。 何故か並んでいる。肘枕は透明のものがあるようだ。 何処からともなく鞭の音と声が聞こえる不思議なカット。 突然フサフサになる。 道のど真ん中で座り込む三人。 馬も何を食べているのか? ムサシ「うまいな、このまんじゅう」 おにぎりだろう Bパート 異様な走りをする馬たち。 護衛のはずなのにカグヤの後ろに隠れるダンジョウ。 カグヤ様の空中戦。滞空(というか浮遊)時間およそ14秒。 タクアン和尚に勝るとも劣らない落ちながらの戦いっぷりにその実力を見て取る事ができる。 ダンジョウ「カグヤ様・・・かっこいい~」 髪型がまた変化し、口の上のヒゲがなくなる。 手刀でアヤカシカラスを叩き斬るカグヤ様。強い。 カグヤが連れ去られても微動だにせず、じっとこちらを見つめる馬。 拡大してみた。 左右の目が不自然だ。 秀忠「牛が引いていないのに牛車が進んでおる。それもものすごい速さだ。」 ロウニン「簡単なことよ。あの牛車、アヤカシの力で動いている。」 滑り降りて… どう見てもすぐにぶつかる位置に着地。 でも余裕をもって攻撃。 ムサシが歩いて行った後、突然画面の方に接近するロウニン。 気絶をしているが眉間にシワが寄るほど目をつぶっている。 次回予告 時代は闘う巫女なのか
https://w.atwiki.jp/tohofight/pages/1993.html
※名前は外見に従います。 勝負に先立ち、咲夜はスカーレット姉妹に女子プロレスについて説明をする。 曰く、姉妹はベビーフェイスだから技を受ける側である。 曰く、痛くなくても痛そうに振舞う事が必要である。 曰く、観客へのアピールは忘れずに。 咲夜と輝夜が入れ替わっている事を知らない姉妹は素直に受け止め、試合当日を迎えた。 文々。新聞紙面より 昨日、東方ファイト会場にてレミリア&フランのスカーレット姉妹vs プリンセス・カグヤ&サクヤ・ザ・リッパーのタッグマッチが行われた。 身体能力的に有利と思われた姉妹だったが、そこはファンサービスなのか、 カグヤ・サクヤコンビの技を片端から受けては可愛い悲鳴を上げ、会場は妖しい熱気に包まれた。 しかし開始30分、サクヤがレミリアに執拗なサブミッションをかけるに至り、何故かフランとカグヤが意気投合。 フランがレミリアを血祭りに上げ、カグヤはサクヤをサブミッションで極め、 最後はフランとカグヤによる混成タッグが勝ち名乗りを上げた。 (なお、この試合の模様は写真集として近日発売予定です) 翌日 咲夜「うーん……やはり今一つでしたね」 レミィ「あら、昨日のダメージはもう無いの?」 咲夜「はい、流石に自分の体でないと、完全には極められませんでした」 レミィ「でもまさか、咲夜の中身がアイツだったなんてねぇ」 咲夜「それについてはご安心を。たっぷり痛めつけましたから」 レミィ「……?」 輝夜「うぅぅ……なんで技をかけただけでこんな筋肉痛に……」 永琳「単なる運動不足です。自業自得ですよ」 輝夜「人の体だと思って好き勝手してくれちゃって……!」 永琳「それを姫が言いますか……」 結果:各人が色々と暴走した結果、互いにチームが解散してしまい、無効試合。
https://w.atwiki.jp/dangeroussstree/pages/41.html
最終話/産めよ、増えよ、地に満ちよ 思い出したくもないことではあるが――少し昔の話をしよう。 おれが、親父のもとで「木を切って」いた時代の話だ。 まだ15かそこらのガキだったと思う。 その日、おれはたしか、いつものように親父たち大人が率いる林野庁の破壊樹伐採本部隊とは少し離れたところで駆除作戦にあたっていた。 知ってのとおり、破壊樹は生息した土地を物理的・暴力的にぶち壊すだけにとどまらず、周囲の生態系を、なんと言うか――変質させてしまう。 平凡な日本の山奥だったにも関わらず、ジャングルからツンドラまであらゆる地域の植物がはびこったり、それどころかどんな図鑑にも載っていない新種が見つかったり…… それでも、天までそびえ立つ巨大な破壊樹そのものに挑むよりもずっと危険は少なかったから、そいつらをなんとかするのは自然とおれら子供を含む若者連中の仕事になったわけだ。 今にして思うと、大人たちがおれを破壊樹本体に決して近づけなかったのは、もうひとつ別の理由があったのかもしれない。 つまるところ――おれは結局のところ、破壊樹についてなにも知らなかった、ってことだ。 不穏な空気を感じたのは、おれがひとりで報告に戻ってきたときだ。 大人たちが騒がしいのは普通のことだが、いつものバカ笑いとはなんだか雰囲気が違っていた。 誰かがケガをしたとか、トラブルがあったとかとはまた違う。 喧騒、怒号――そういったあるべからぬものを遠くで聞き取ったおれは、ひそかに物陰にかくれ様子をうかがうことにした。 そして、見てしまったんだ。 親父たちが輪を作って取り囲む中に……傷ついて座り込む銀髪の女を。 おれはその女性と目が合ってしまった。 よく磨いた鏡のように透き通る美麗な顔は、しかし、殴られたように腫れ上がっていて―― その目は、怒りをたたえているようにも、すべてを諦めているようにも見えた。 親父たちが視線の先に気づいて振りかえる前に、おれは一目散に逃げ出していた。 見てはいけないものを見てしまったような、うしろめたい気分だった。 夜になってから小屋に帰っても、おれの覗きに気づいていたのかいないのか、親父はそしらぬ顔で何も言おうとはしなかった。 吐きそうだった。 男手ひとつでおれを育て上げた、陽気な、休日には昼間っから酒を山ほどかっ食らって高いびきをかくバカ親父の――家族の顔が、おれの知らない、なんだかとてもおぞましいものに思えた。 そこから先のことはあまり覚えていない。 とにかく、うんざりだった。 すべてを壊す破壊樹も、さらにそれをぶっ壊す親父のことも…… そんなことを考えていたからか、おれはつい、なんとはなしに聞いてしまった。 「なあ……おまえ、家族とかいたりするのか」 「な、なんですかヒューマン。藪から棒に……」 さすがに唐突すぎたのか、おれの問いかけにカグヤも少々困惑したようだった。 「あやしい……怪しすぎる……急に私の素性が気になるだなんて……ハッ!? まさかあの女ヒューマンだけに飽きたらず、誇り高きこのカグヤちゃんまでもを毒牙にかけようというのですか!? 愚かな! 私の美しさこそが罪つくりとはいえ、原始生物たるバカヒューマンの性欲はほんっとうに底なしですね! 恥を知りなさい!」 「ちげーよアホエルフ! よくそこまでベラベラとデタラメに口が回りやがるな! 舌ァ噛むぞアホ!」 言うんじゃなかった。 狭い車中に響きわたる銀髪アホエルフのキンキン声が、尻の下でガタガタと揺れるクソ固いシートとグルになっておれのストレスを最大限に刺激した。 世界で最悪の住居環境があるとすれば、それは確実に今ここ、この車内に間違いないだろう。 「……はあ。最悪です。朝までずっとコイツと二人だなんて……なんで私がこんなことしないといけないですか」 「おれのセリフだよ……つーか、その助手席には一番最初にカナタさんが乗る予定だったんだよ! 初めてのデート……近づく二人の距離、ふとした瞬間に手と手が触れて……ロマンスに満ちたおれの人生計画を、クソーッ!」 「……だんだんわかってきましたが、お前はヒューマンの中でもかなり気持ち悪いタイプのヒューマンなのですね」 おれはアホエルフの口から漏れ出る雑音を無視した。 ああ……言い忘れていたが、おれたち二人はいま夜の山道をオンボロトラックで突っ走っている真っ最中だ。 年代もののディーゼルエンジンをアメと鞭で引っぱたいて、全速力で東京へと向かっている。 カナタさんとの幸せな時間に突如としてあらわれた闖入者。 自称・日本国内閣総理大臣安部晋三――本人いわく本物らしい――が言うことには、かいつまんで言えば、おれがなんとかしないと世界がヤバイ、らしい。 より正確に言えば、おれとカグヤふたりが、とのことだ。 世界各地の大都市で、反ヒューマン主義のエルフどもが特大の破壊樹を爆発させる。 そんな大規模なテロ計画を聞きつけたのが、実行日の前日――つまり今日だったから大騒ぎだ。 猫の手も借りたいといったところか、なんと仰々しくも「破壊樹の専門家」として、なにも知らないにひとしいおれが現場にかつぎ出されることになってしまった。 それもこれもあのクソ親父が、いつもの調子であることないこと適当こきやがった結果に違いないから、なおのこと最悪だ。 とうぜん最初は断ろうとした。 だが、結局は首を縦に振らざるを得なかった。 世界の危機とまで言われてはさすがに黙って見過ごすわけにはいかず――なにより、安倍晋三がその手に拳銃を持っていたからだ。 カグヤはといえば、これはほとんど人質にとられたに等しいかっこうで犯人グループとの交渉役に引っぱり出された。 おれにとってはほんとうに驚きだったが、カグヤはこれでも、こんなんでも、おれたちヒューマンに友好的な部類のエルフらしい。 同時多発テロとはいってもたかだか10かそこらの都市破壊なんぞではヒューマンは全滅しないし、逆にエルフの立場を追い詰めるだけの自殺行為だと――そんな小学生でもわかる理屈を、狂信的な連中に向かって、とうとうと教鞭をふるう役目を負わされてしまった。 「……」 その当人は先ほどの騒ぎがうそのように、黙りこくって夜空の満月を見上げている。 アホエルフはアホエルフなりに、思うところもあるのだろう。 きっと。 ちなみに、おれのところに現れた安部晋三は本物らしいが、テレビによく映る霞が関の安部晋三もこれまた本物らしい。 本物の日本国内閣総理大臣安部晋三が全国各地に同時に存在して、思念体だかなんだかでひとつにつながっているらしい。 こっちの安倍晋三は、話を終えた直後、地面に溶け込むように消えてしまった。 もう、おれにはどうなっているのかよくわからん。 月光が照らす夜道を、おれたちは走った。 青白い光に満ちたやわらかな夜の空気を、鮮烈なヘッドライトがぶしつけに切り裂いていった。 「……私の、母は」 カグヤは窓の外に顔を向けたまま、ぽつりぽつりと話しはじめた。 「とても……厳しい人でした。記憶に残る母の顔は、怒っているものばかりです。私はそんな母親からまるで逃げるように、家を出たんです。そのあとのことは……私にはわかりません」 「そうか」 いつもの尊大なアホエルフの態度とはうってかわって、しおらしい様子でカグヤは言った。 「会いたいと、思ったことは?」 「……わかりません。少なくとも、今は」 それ以上は聞けなかった。 長い沈黙に耐えかねて、おれが車内ラジオの電源をつけようとしたときだった。 砂利道の振動とはまた違うあのイヤな感触が、尻の底から伝わってきたのは。 「……っ!? ヒューマン、これっ……!」 「うお、ヤベェ! 揺れ、また……クソが! 畜生!」 おれは足元のブレーキを全力で踏み込んだ。 車体が前につんのめって、おれたち二人はしたたかにフロントガラスに額をぶつけることになったが、それどころではなかった。 このあとすぐに、あの轟音が続けてやってくるに違いないからだ。 座席の上でうずくまり、頭を抱えて耳をふさぐ。 案の定、ひと呼吸もしないうちに大地をまるごとひっくり返すような音と振動がおれたちを襲った。 だが以外にも、20秒かそこらの短い時間で、すぐにそれは収まった。 なんだ。ただの地震か――という淡い期待を打ち砕くかのように、顔を上げたおれの前に、それはたしかに屹立していた。 「……偶然、じゃねェよな……クソが……」 ――巨大な、キノコだった。 おれはチェーンソーを手にすると、カグヤといっしょにおそるおそるトラックから降りた。 空を見上げると、15mほどもヒョロヒョロと天に伸びた柄がおれたちの進む山道をふさぎ、まるく開いた傘は満月を覆い隠して月夜に黒いシルエットをかたち作っていた。 「こいつも、破壊樹だってのかよ……」 「……そうだと思います。でも、なぜ……」 そして、先にそれに気が付いたのはカグヤの方だった。 「……! あ、……あああ…………」 さらに空を見上げたカグヤの視線の先。 その声はおれたちの頭上から聞こえた。 「……やれやれ、まったく手間をかけさせる。探したぞ」 真夏の夜の蒸し暑い空気に、そいつの凛とした声はよく響いた。 つられてそっちに目を向けたおれも、ようやくその姿をみとめた。 「さあ、来い。帰るぞ、カー・ア・タ=グヤァ……我が不肖の娘よ」 キノコ型破壊樹の巨大な傘の上に威風堂々とたたずんでいたのは、足の先まで届くかという長い銀髪を月光におどらせた絶世の美女――エルフだった。 いや、姿かたちがどうこうというより、問題は。 「娘……ムスメって言ったか、あいつ!? なあ……」 となりを振りかえったおれが見たものは、体じゅうの血という血がすべて抜けきったかのように蒼ざめたカグヤの顔だった。 「う、うそ……なんで。そんな、……お母、様……」 「お、おい、どうした! しっかりしろよ!」 あわれなほどに錯乱し、ばかみたいに口をぽっかりと開けたカグヤの肩に手をかけようとしたときだ。 「――触るな!」 上空から放たれた鋭い怒声に、おれの全身は凍りついた。 「穢らわしい手で娘に触れるな。虫けら。おまえらのような存在が、高貴なるわれらエルフに毛の先一本たりとも近づけると思うな」 妖しいまでに美麗な顔立ちからは想像もつかないその悪辣な罵声を、おれは真正面から受けてしまった。 そして、いまになってようやく理解した。 あのとき、親父たち大人が、なにと戦っていたのか。 取りまく世界をまるで知らない15歳のおれに、なにを隠したかったのかということを。 理由なき敵意。 純粋なる悪意。 ああ、これこそが戦争なんだ、と。 「……なあ、ゆっくりでいい。ゆっくりと息を吸って、吐いて、そうして呼吸が落ち着いてから、こたえてくれ。あの、なんというか……ちょっとばかりクレイジーなご婦人が、おまえのおふくろさん……で、間違いないんだな」 カグヤはいまだに小さく震えていたが、いくぶんか整った口調でおれの問いかけにこたえた。 「……はい。カー・マ・マ=キルラ……私の、母親、です」 少々頼りなくはあるものの、二本の足でしっかりと立ち、強大な存在にむかって視線を投げかえすカグヤの姿に、おれはほっとすると同時にひとひらの勇気をもらった。 勇気をもって、おれは降りそそぐ敵意に相対した。 「……おい、おばさん。おれの声が聞こえるか。どうもあんたが、例の反ヒューマン主義エルフってやつらしいな」 挑発めいたおれの口調に母エルフは眉をひそめたが、すぐに冷酷な声色に戻った。 「とうぜんだ。もう耳にしているのだろうが――明日、貴様らヒューマンは滅びる。私は死にゆくヒューマンどもの手から、娘を取り戻しに来た」 おれは、即座にキレた。 「ハァ!? 取り戻すだあ? こいつの方がおれん家に勝手にやってきたんだろーが! つーか家をブッつぶされてんだこっちは! 念願のマイホームだぞ! 泣くぞ!」 はるか頭上から見下すエルフの目には、豆粒の大きさでわめきちらすおれの姿がさも滑稽に映ったことだろう。 だが、そんなのは知ったことか。 「そもそもだ、そうだ、カグヤの勝手だろ! 取り戻すだのなんだの、てめーの娘をモノ扱いしてんじゃねーよ! カグヤが帰りたいって言ったのか? カグヤに聞いたことあんのか? あんたについていきたいって一言でも言ったのかよ!」 カグヤは驚きと困惑が入り混じった視線をこちらに向けた。 正直、おれは自分で自分が何を言っているのかよくわからなくなっていたし、冷静に考えるとだいぶ私情が入っていた気がする。 だが、そんな勢いまかせの強弁は高慢なエルフの精神的防壁を崩すのに一役買ったようだ。 「カグヤ……だと? なんだそれは。貴様らヒューマンどもがそんな低俗な呼び名で我が誇りある血族を汚すな! その娘の名は、カー・ア・タ=グヤァ! 神より祝福を受けしエルフの御名だ!」 「だーかーらー、カグヤ本人がそのあだ名がいいって言ったんだよ! たとえそのご立派な名前で呼んだからって、ちゃんとカグヤと正面向き合って会話したことねーだろ、おまえ! えーと……名前なんだっけ……ママカグヤ!」 「私の名はカー・マ・マ=キルラだ……! 二度と間違えるな、ヒューマン!」 「うるせーっ! 知るか!」 まあ、見方を変えれば、ただ単に猿レベルの口ゲンカに高貴な高貴なエルフ様を引きずり下ろしただけとも言える。 そんないっこうに出口の見えない諍いに嫌気がさしたのか、ママカグヤが動いた。 「……もういい。時間の無駄だ。娘は連れ帰らせてもらう。無理矢理にでも!」 ママカグヤは長い銀髪をひるがえして、巨大キノコの傘から飛び降りると……魔法のように空中に静止した。 いや、違う。 その足元には、降り注ぐ月光から投げかけられる周囲の木々の影に同化して、白と黒のまだら模様におおわれた小山のような存在があった。 「うお……なんだこいつは! 最初から、ずっといたってのか!」 「……パンダです! あれは、お母様のしもべ! エルフが使役するサーヴァントパンダです!」 白黒の山に、火山の噴火口のような深紅の裂け目が咲いた。 あまりの大きさに、それがパンダの口だと気が付くのに、すこし時間がかかった。 そのすぐあとに、咆哮が響いた。 山一つをまるごと揺るがすような、ぐるおおおおおおうという、そんな唸り声だった。 「……やってみろよ」 おれは恐怖心を、怒りでもってむりやりに塗りつぶした。 おれ自身を奮い立たせるように、チェーンソーのエンジンを入れた。 ドッ、ドッ、という振動が、おれの心臓の鼓動と一緒になって全身に血流を巡らせているかのように感じた。 「かかってこいよ、ああ!? おい熊公! たかが動物園のアイドルのぶんざいで、山育ちのおれに勝てると思ってんのかよ! おれはなあ、漢字も書けねえガキのころから熊狩りやってんだぞ! 親父のせいで!」 そんなおれに、エルフはただ冷笑で返した。 「熊……? ああ、なんだ。パンダベアーのことを言っているのか。見くびられたものだな」 カグヤが背後からおれの腕にしがみついた。 その手は、はかなげに弱々しく震えていた。 「違います……お母様のあれは、そんな可愛らしいものではないのです。カー族の当主に代々受け継がれる、エルフの秘宝ともいうべき存在――」 そうだ。 おれはかすかに疑問に思っていたのだ。 こんな明かりすらまばらな山道なのに、あの女はどうやってここまで来たんだ? 聞いたことがある。 パンダやシマウマの白黒模様は、身を隠すためではなく、形の境界をあいまいにすることで群れの数や大きさを誤認させるものであると。 ぐるるるると、モノトーンの塊が喉の奥で唸った。 そしてみるみるうちに姿を変え、左右へと大きく展開した。 それは根元から放射状に広がり、おれたちを取り囲むように天球の半分を覆い隠した。 途方もなく大きな、翼だった。 カグヤは言った。 「幻想古神竜・パンドラゴン……!」 おれはくり返した。 「幻想古神竜・パンドラゴン!!?」 一瞬だった。 あっけにとられたおれが反応すらなにひとつできないうちに、そいつは地面を蹴っていた。 その巨体からは信じられないほどのスピードで、白黒の怪物は低空をカッ飛んだ。 音すらも切り裂く、最新鋭のジェット戦闘機なみの突進におれはなすすべもなく、ただ風圧だけでふっ飛ばされ、砂利道をころがされた。 「……きゃあああぁっ!」 ぶざまに起き上がったおれが見たものは、鋭い爪の生えた毛だらけの手で器用にもカグヤを握り抱え、翼を広げて宙に静止する巨竜の姿だった。 「さらばだ、ヒューマン。もう二度と会うことはないだろう」 パンドラゴンの背に立ち、エルフは冷たく言い放った。 「おい、待て! カグヤ、無事か!? おい!」 「ヒューマン……」 空中に束縛された状態で、カグヤは苦しげにうめいた。 そして、絞り出すようにおれに告げた。 「すみません、ルカ。あなたを巻き込んでしまって……私のことはもう、忘れてください。あなたは、どこか遠くへ逃げて。被害の及ばないほど、遠くへ。あなたの大切な人と一緒に……」 「……そうかよ」 圧倒的な敗北だった。 すべてを奪われ、みじめにひとり放り出された。 打ちひしがれるおれには、だが、たったひとつだけ残されたものがあった。 「……ふざけんな」 決まっている。 怒りだ。 おれ自身にもおさえることのできない、腹の底から沸き立つ憤怒だ。 「……そうやってトンズラこくつもりかよ、カグヤ! おい! ふざっけんな! そうはさせねえ。戻ってきやがれ! 一発殴らせろ! 死ね!」 「な、……え……ええ? ……えええ!?」 おれは腹の底から叫んだ。 「逃げろだあ? バカ野郎! 忘れたのか! おれが逃げ帰る家なんてもう地球上のどこにもねえんだよ、てめーのせいで! 許さねーからな、おれは!」 「こ、このタイミングでそれ……? じゃなくて! なに、やってるんですかあ!」 そんなものは見てのとおり。 おれはふたたびチェーンソーの動力に火を灯したのだ。 「愚かな。いまさらそんな玩具でなにができるというのだ」 手の届かない上空から余裕しゃくしゃくの冷笑を投げかけるママカグヤに、おれは親切にも教えてやった。 「なにができる、だあ? 決まってんだろ! チェーンソーはなあ……」 チェーンソーの刃を高速回転させたまま、おれは全速力で駆けた。 やつ自身が山道に生やした巨大キノコ型破壊樹。 その根本へと。 「な……」 「木を切るためにあンだよ!」 キノコの根本、斜め上45度からチェーンソーを叩き込む。 続けて水平にも切り込みを入れると、大きなくさび形の破片が破壊樹から吹き飛んだ。 「受け口よし!」 すぐさま幹の反対側に回り込むと、さっきより少しだけ上の位置に深くまで刃を入れる。 「追い口よし!」 最後に、おれは百雷のごとき怒りをこめて、中空に浮かぶドラゴンにむかって破壊樹の幹を思いきり蹴飛ばしてやった。 「これが由緒正しきヒューマン様の伐倒技術だ! 覚えとけ、クソエルフ!」 15m級の巨大な幹が、めきめきと音を立てて、一直線にパンドラゴンへと倒れ込む。 「……くっ。小癪なことを……!」 だがさすがは名門エルフ家の当主といったところか。 ママカグヤの駆るパンドラゴンは空中で巧みに身を翻すと、襲いかかる破壊槌のごとき一撃をすれすれで避けた。 破壊樹は周囲の木々を巻きこみながら、轟音とともに砂ぼこりをたてて倒れこんだ。 「だが、しょせんは猿の悪あがき。どうということは……なに!?」 「これで終わりなわけねーだろ、ボケ!」 お高くとまったエルフの顔が、はじめて恐怖と驚愕の色に凍りついた。 まるく開かれたその両目に映るのは、空中に斜めにうち倒された破壊樹の幹を坂道代わりにして、全速力で這い登ってくる一台のオンボロトラック。 そしてアクセルを全力で踏みしめつつ開け放たれたドアから半身で車体にしがみつく、憤怒の形相をしたおれの姿だっただろう。 「え、あぶ……ちょ、ちょっと! やめ! あぶ!」 宙吊りにされているカグヤが、間抜けな声でなにか不明瞭なことを口走った。 おれは笑った。 いい気味だと思った。 坂の頂点で、おれは大きくハンドルを切った。 もちろん、空中で静止したままあぜんとしているドラゴンのあほ面へと向かってだ。 トラックは大きく宙に跳ね、3.5トンの質量兵器となって獲物へと踊りかかった。 直後、激突があった。 その瞬間、おれはとてつもない衝撃をくらって空に放り出された。 鈍化した時間感覚のなか、夏の大気にふきすさぶ冷風がここちよかった。 逆さになったまま空を見上げると、そこにはご自慢の白黒まだらの翼を無残にへし折られたドラゴン、そしてそこから放り出されたふたりの銀髪エルフの姿があった。 どこまでも丸い満月が照らす夜の中を、おれたちは落ちていった。 さいわいなことに、落下した先には木々や柔らかい草が生い茂っていたから、おれは全身をひどく擦りむいたものの大ケガには至らなかった。 アホエルフ親子も、なにやらうめき声を上げながら起き上がろうとしている。 あのドラゴンはといえば、おれたちから少し離れたガケの下、この世の終わりかとおぼしきけたたましい騒音でわめきちらし暴れまわり、周囲の地形を変えまくっている。 とても近づけやしないが――こちらに再び襲いかかる元気はありゃしないだろう。 「おーい、大丈夫か。なんとかなったな。よかったよかった」 草の上にへたりこむカグヤへと向かい、かがみこんで手を伸ばしたときだった。 パン、という乾いた音とともに、おれの頬に焼けた鉄のように熱い衝撃が走った。 一瞬なにが起きたかわからなかった。 顔を正面へ戻すと、そこには会心の平手打ちをおれに叩き込みつつ、両目いっぱいに涙をたたえたカグヤの顔があった。 「……しんっっっじられない! なんてことするんですか! 死ぬところだったですよ! バカですか! バカなのですね! なにが、なんとかなったな、ですか! ほんと、偶然たまたま奇跡的にうまくいっただけで、ひとつ間違えたらトラックとドラゴンに押しつぶされて全員ともどもグチャグチャのミンチになってたでしょう! エルフとヒューマンの合い挽き肉ですよ! 冗談にもならないです! もうほんとバカ! バカ! ルカ!」 ひと息であらんかぎりの罵倒をしつくすと、カグヤはぜえぜえと肩であらく息を吐いた。 じんじんとした痛みが、ようやくおれの頬にじんわりと染みこんできたのがわかった。 「……ムカついたか?」 「あったりまえです!」 おれは、ぽんぽんとカグヤの頭をはたきながら言った。 「それでいい。そっちの方が、おまえらしいよ」 カグヤはそんなおれの手を乱暴に振り払って立ち上がり、吠えた。 「うううう……あぁー! もおおおお!」 おれたち二人は互いにののしりあい、ケンカし、じゃれあって争った。 そこにゆっくりと近づく足音があった。 「……なめるな、ヒューマン。貴様らなど……我が、誇りある……一族の足元にも……」 全身疲労困憊、ほうぼうの体で足元すらおぼつかないママカグヤだ。 それでもよくべらべらと口が回るあたり、さすがは親子だ。 「……カー・ア・タ=グヤァ。何をしている。そのヒューマンから、離れろ……さあ、来るんだ。思い出せ。我らがエルフの、栄光あるかつての日々を……いまが、それを取り戻すときだ。来い。カー・ア・タ……」 直後、おれの耳元で雷のようにつんざく絶叫が響いた。 「うるっ……さあーーーーい!!」 おれは心底おどろかされた。 ママカグヤも、そんなおれの3倍はおどろいていた。 もちろん、その大声はカグヤのものだった。 「なにが栄光! なぁーにが誇りですか! 娘っこひとりまともに育てられないくせに! お母様……いまこそ申し上げます! 私はこれまで、あなたがおっしゃっている理想も信念もなにもかも、これっぽっちも理解したことなんかありません! ヒューマンもエルフも知ったことじゃない。ましてや命令なんて、これっぽっちも聞く必要ないのです!」 「お、おい……グヤァ。なあ。話を」 「うるさいと言ったでしょう!」 ママカグヤは、いままでの尊大な立ちふるまいからは想像もできないほど、みじめに狼狽していた。 背筋をちぢこませたその姿は、なんだかひと回りもふた回りも小さく見えた。 カグヤは振りかえり、おれに向かって言った。 「……ヒューマン。あなたは知らないでしょうから、教えてあげましょう。お母様らの計画にもあるとおり、我々エルフにはシェルターバンブー……ヒューマンの言う破壊樹の、爆発的な成長のトリガーを動かす力があります。そしてここが要ですが……実は、世界中のありとあらゆるシェルターバンブーは、地中の根を介してすべて一本につながっているのです」 いたずらをたくらむ子供の顔で、カグヤは笑った。 ははあ、と、おれもそれでピンと来た。 こいつがいったい、なにをしでかそうとしているのかを。 カグヤは両方の手のひらを地面へとかざした。 その手が、満月の光を受けて、皮膚の内側から淡く輝いているような気がした。 おれとカグヤの立つ地面の底が、沸騰しているようにボコボコと泡立っているのを感じた。 「親切なことに、だれかさんがこうして手の届くところまで根の先を持ってきてくださいましたし。ね、お母様……これだけの大計画にはさぞ準備にご苦労なされたことでしょう。たっぷりと時間をかけて溜めに溜めこんだ、世界中の街をまとめて破壊するほどの発芽エネルギー……それをいま、ここでまとめて使い切ってしまったら、いったいどうなるでしょうね?」 ママカグヤの顔が、さっと青ざめるのが見えた。 「……おい、よせ。そんなことをすれば……わかっているのか! グヤァ! おまえも、無事では済まないぞ! よせ!」 おれは、けらけらと笑って、背後からカグヤの肩に腕を回した。 「ちょ、ちょっと! ヒューマン。な……なれなれしいですよ!」 「いいぜ。やってやれ。おれも付きあってやるよ。あのおふくろさんに、特大の一泡をふかせてやろうぜ」 いいところのお嬢様には、こういうときどんなセリフを言うべきかわからないだろう。 だから、おれは耳打ちして教えてやった。 「……そうか。おまえか、ヒューマン! おまえが……離れろ! 私の娘に近づくんじゃない! 穢らわしい!」 「遅えよ、バカ」 大地が鳴動した。 爆音を響かせながら、おれたち二人の立つ位置を中心として、半球を取り囲むように破壊樹のシェルターが出現した。 カグヤとおれは、この世界から切り離されようとしていた。 「グヤァ。やめろ。やめてくれ。頼む、グヤァ……行かないで」 壁の向こう側へと消えつつあるママカグヤにむかって、おれはカグヤのかわりに中指を立ててやった。 おれたちは、二人で声を合わせて言った。 「「クソくらえ」」 足元で凄まじい大爆発が起こった。 全身を押しつぶす強烈な加速度の負荷に、おれは一瞬で気を失ってしまった。 夢を見ていた。 夢の中で、おれはどこまでも暗い虚空をさまようひとつぶの種子となっていた。 そいつは生まれ故郷から遠くとおくはなれたところで、ひとりぼっちになっていた。 やがて、暗闇のずっと先に小さく映るものがあった。 近づけば近づくほど、そいつは目の前でどんどんと大きくなっていく。 青く輝く、きれいな星だった。 そいつが広げた見えない手にからめとられているのだと、気づいたときにはもう遅かった。 逃れることはできなかった。 暗黒のはるか向こうにある郷里に想いを馳せながら、おれは無慈悲な重力に引かれて落ちていった。 「……そうか」 いま、はじめて理解した気がする。 破壊樹はどうして、あれほどまでに高く、空へ空へとその幹を生やすのか。 なにを求めて、そんなにも必死で手を伸ばしているのかを。 「帰りたかったんだな、おまえも。故郷(いえ)へ。宇宙(そら)へーー」 「――カ。ルカ! 起きてください! ねえってば! おーきーてー!」 そこで、おれの意識はむりやりに覚醒させられた。 肩をがくがくと乱暴に揺さぶられて最悪の目覚め方をしたおれの目の前には、慌てふためくアホエルフのまぬけ面があった。 草むらの上で上体を起こす。 見上げると、ひろく開かれた空にはきらめく星々をたたえた暗闇が広がっていた。 「なんだよ、まだ夜中じゃねえか……」 「なーにをのんきなこと言ってやがるです! あれ! あれを見てください!」 おれはカグヤの指差す方向を見た。 そこには、夢で見たものと同じ、宝石のように輝く青い星が浮かんでいた。 「は……?」 地球だった。 あぜんとするおれを尻目に、カグヤは頭を抱えて嘆いた。 「とんでもないことになっちゃったですよ……ああ、バカヒューマンの口車に乗せられたばかりに……やっぱりその場の怒りなんかにまかせてカッと行動するんじゃなかったああぁ……」 よくよく見れば、暗黒の空に浮かぶその青い星からは、なにか細い糸のようなものが一直線に伸びていた。 上から下へと目でたどっていくと、その終端は白く乾いた大地に広がる緑なす草むらの中心に、特大の円柱となってさかさまに突き刺さっていた。 さかさまの、樹の幹だった。 「……ぷっ」 おれは思わず吹き出してしまった。 「くく……ははは、やるじゃねえか、なあ! こいつはすげえ! こんなすげえ彫刻は生まれてこのかた見たことねえぞ! 芸術家のおれがかたなしじゃねえか、おい! さんじゅう……38万キロだぞ!? 地球から月まで、一直線に……すげえよ、なあ! 負けた! 一本とられたよ、畜生! アッハッハッハ……」 「なに笑ってるんですかあ!」 おれは笑った。 腹の底から、おかしな気持ちがむくむくと湧いて出て湧いて出てしょうがなかった。 呼吸もできないほど、手をたたき、足をバタつかせて笑いころげた。 「『天より伸びよさかしまの樹』……ってところか? なあ……くく。あっはは、はあ、はあ……」 「だーかーらー、もうなに言ってるんですかあ……」 どうやらアホエルフには、おれの高尚な芸術的センスは理解できないようだ。 それにしても、この樹の繁殖能力というやつはほんとうにとんでもない。 見渡す限りの不毛の大地にほんの一瞬で根を張り、子孫を増やし、月面の真空をまるごとさわやかな風の吹く大気で満たして……世界を丸ごとひとつ、作ってしまったのだから。 「なあ……世界樹。楽しいだろ。壊すとか傷つけるとかじゃなく……作るってことは」 おれの周囲にはやわらかな静寂が広がっていた。 木々の葉をさざめかせる風だけが世界のすべてだった。 長い長い旅路の果てに、ようやく腰を下ろして落ち着ける場所を見つけたような、そんな気分だった。 あるいは、そこには、やかましく騒ぐ高慢ちきなエルフがひとりくらい、そばにいてもいいのかもしれない。 それは、世界樹と呼ばれていた。 終 SSツリーリンク 初回 第2回 第3回 第4回 最終回 第一話/高橋ルカ 第二話/かぐや姫 第三話/パンダ 第四話/親父 (このSS)
https://w.atwiki.jp/magamorg/pages/10723.html
凛精ヒロイン・カグヤヒメ 自然 SR (6)6000 スノー・フェアリー ■メタモーフ(自分のマナゾーンに7枚以上カードがあれば、この呪文は次の[MM]能力を得る) [MM]このクリーチャーがバトルゾーンを離れるとき、代わりに自分のマナゾーンのカードを3枚選び、墓地においてもよい。 ■W・ブレイカー (F)貫けない、通らない、届かない。神の力を纏う十二単は、絶対防御と行っても過言ではない。 作者:Astral その昔、まだ私のHNがODAだったころに作った、デンドロビウムを違う形で復活。名前は花の名前からきてます。冠詞は気にしない。 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hachiohicity/pages/90.html
基本情報 “仏の御石の鉢”夏目熾凪 “ほとけのみいしのはち”なつめ・おきな ブリード クロスブリード シンドローム エンジェルハィロゥ/ハヌマーン ワークス/カヴァー FHセルリーダー/作家 生年月日 不明 性別 男性 身長 182cm 体重 76kg 作者 みーくん 「面倒だが……カグヤ様のためだ」 経歴 エイト・クィーンが一人”カグヤ”に仕える”泡の海”FHセルリーダー。和装に身を包んだ面倒くさがりな男。人智を超えた感覚の鋭さと戦闘センスを持つ。その感覚の鋭さは建物の外から防音室の中の音を拾い、肌に触る風の動きで敵の動きを予測するほどである。その超感覚を生かした情報収集では並大抵のセキュリティは意味を成さないだろう。 対人関係 ”カグヤ” 面倒事を嫌う彼が唯一面倒を見る相手。そこには上司と部下以上の関係性が垣間見える。 戦闘スタイル 彼の持つ異常な感覚の鋭さを十全に活かした速度に特化した戦い方をする。こと戦いにおいては彼こそが最強であるという声も少なくない。 キャラクターシート 130点:https //charasheet.vampire-blood.net/(実際には個別ページのURL) n点:https //charasheet.vampire-blood.net/ 関連項目 ”泡の海” ”カグヤ” みーくん エイト・クィーン エンジェルハィロゥ キャラクター クロスブリード ハヌマーン 五人の皇子 夏目熾凪 年齢不詳 月の海 泡の海 FH
https://w.atwiki.jp/gundo/pages/38.html
第11話 城盗り勝負 よくある事、よくある事。 Aパート 口パクしているキャラクターと声が完全に合わなくなる。 まるで腹話術のようだ。 老化が激しい夢姫。 手を後ろに回しているがどう見ても縛られていない。 倒れていた夢姫はどうやって起き上がったのか。 カグヤと夢姫の位置関係もめちゃくちゃ。 そして、あまり豪快にあぐらをかくのはどうかと。 刃が逆だが、いつもの事。 また面白い動きをする入道の腕。 本当に人形なんじゃないだろうか。 前回は六角棍だったのがバットになっている。 「舐めるな~!」 罠にあっさりひっかかりながら言うセリフではない。 この握り方では力が入らないと思うが・・・。 あらゆるところから迫り来る壁。どういう原理? 「簡単なことよ。この壁、アヤカシの力で進んでいる」 銃弾をはじく根津。映像だとどう見ても蜂の巣になっている。 「ここは俺にまかせて早く行け!」的な場面。 いや、ほんとそうなんだってば! 金属製なのにしなりすぎ。 早く先に進めばいいのになぜか延々とトゲを折り続ける。 顔ひろっ。 目だけで誰か推測するのはMUSASHIでは詮無き事。 毎度毎度、走り方がぁゃιぃ二人。珍しくロウニンの顔がゴリラのようだ。 Bパート 水平移動をする真田幸村。 わけの解らない落ち方をするロウニン。 「かっこわり~。」 小早川と話しているハズだが明らかに違う人になっている。 間違ったのに気が付いて画面を暗くして誤魔化したのか? 木製の階段が縄製に変わる斬新な演出。 しかし音は最初から縄梯子の音。 鬼となった小早川。 ムサシは鬼の長い試練の末鬼にならなかったのに 小早川はいとも簡単に鬼の試練に負けてしまった。 小早川なのでアゴに「小」と描いてある 夢姫「小早川様!」 何故小早川だと分かった? それ以前にお前こそ誰だ。 カグヤ「どうやら安心する相手ではないみたいです……影を見て」 それ以前の問題である。 真田幸村を助けるムサシ。 しかしどう見ても弾丸の飛んでくる方向に突き飛ばす。 次回予告 文字が予告の間出っぱなし。 あれ?小早川は? というかBS-iで次の週に放送されたのは… 小早川秀秋の鬼化 心が鬼化した小早川がカグヤと夢姫の前に現れた場面は本来、 姿が人間のままの小早川の影に角が生えているのを見て、鬼化したのにカグヤが気付く という話のはずであった(夢姫は人間のままの小早川の姿を鵜呑みにして安堵)。 しかしBS-iの本放送では小早川が姿まで鬼化してしまい、 どう見ても鬼の姿の小早川に対するカグヤや夢姫の反応がおかしなものになってしまった。 更にアニマックスで再放送される際には、小早川の姿は人間のままに修正されたが、 今度は影の角まで消してしまい、カグヤが鬼化に気付いた訳が分からなくなってしまっている。 参考:http //www.youtube.com/watch?v=yQCAF2vwfOk
https://w.atwiki.jp/hyon/pages/785.html
854 :佐白 :2008/05/20(火) 23 18 45.99 ID CJbaKv60 『シガレット→しがれっと』第十一話 2限目の講義室に入ると、4年間一貫の講義なだけに、去年とメンバーは殆ど代わっていない。見知った顔を見つけたが、すぐに近づくのも変な気がして、適当な席に腰を降ろした。 教室の前のドアから、カグヤが入ってきた。カグヤが教壇に立つなり、周囲が騒がしくなった。それもそうだ、元々この講義の講師はじいさん教授。それなのに、胸元がきわどい白いワイシャツに黒いスーツ でビシッときめた美人がいきなり入ってくれば当然だ。 「お、おい、この講義を担当してるのって確か片岡じいさんだよな?」 「なんで片岡先生じゃなくて、あんな見たこと無い人が教壇に立ってるのよ」 「でもかなり美人じゃね?新任の講師かなぁ」 カグヤの唐突な出現に他の学生達は困惑しているようだった。カグヤに対する意見は様々だったが、やはり見たことの無い美人講師という点が大半学生の興味を独占していた。 「はい、静かにしてください。私は急な都合により片岡教授からこの授業を任された高狭かぐやです。急な講師の変更でみなさんが動揺するのも解かりますが、任された以上は責任を持って一年間みなさんに講義をしていきたいと思っています。どうぞよろしく」 最後に、カグヤは学生達に向ってお得意の営業スマイルを見せ付けた。きっと殆どの男子学生が、この瞬間彼女の手に落ちてしまっただろう。 「それと、片岡先生のゼミも私が担当することになっています。片岡ゼミを取っている学生は安心してください」 「よっしゃー!!!」 突然、聞き覚えのある歓喜声が教室に響き渡った。声の主は俺の親友である木村高弘だった。高弘は明るい性格でノリが良いことから、俺にとっては最高の悪友だった。さらに付け加えると、とんでもない女好きだ。 「ちょ、高弘!恥ずかしいでしょ」 隣の席から高弘を小声で制したのは、これまた悪友の日比野明美が座っていた。彼女はショートカットで性格もボーイッシュな感じの女の子であり、反面ものすごい心配性でもあった。俺と高弘が馬鹿をやっては明美が叱る、大体こんな関係を俺たちは幼稚園の頃から続けていた。 そして、明美の隣にはもう一人、女子学生が座っていた。 「あ・・・・・・、琴美・・・・・・」 855 :佐白 :2008/05/20(火) 23 19 50.35 ID CJbaKv60 俺は思わずつぶやいてしまった。明美の隣に座っていたのは、俺が思いを馳せている女性、佐宗琴美だった。彼女は大学から俺ら3人の輪に入ってきた唯一の人間だった。彼女は俺たち以外に友達を作ろうとはせず、同じ講義の時は必ず俺の隣の席で静かに座っていた。しかし、俺が彼女に告白し、彼女がそれを断ったことでこの関係は崩れてしまったと俺は勘違いしていただけに、彼女がちゃんと高弘や明美の横に居ることに安堵した。 ちなみに、どういうめぐり合わせなのか、俺たち4人は全員同じゼミ──片岡ゼミに組み込まれている。 そして、カグヤの講義が始まって30分が経過した。周りの学生──特に男たちは必死に講義を受けている。俺はというと、片岡教授よりも小難しく早口な講義のせいで眠気と格闘をし始めていた。まぶたが重く、こくこくと何度も船を漕ぐ。 「(あー、だめだ。相手はカグヤだし寝ちまおう)」 そう思ったが最後、俺は机に突っ伏すと眠りに入ってしまった。 ──なんだ?なんかふわふわするぞ? 目を開けると、俺は何もない空間に一人浮いていた。ここは一体どこだろう。もう一度目を瞑る。もう一度目を開いたとき、俺はさっき居た空間ではなく、見たことも無い部屋のソファーに座っていた。 「カグヤ、ご飯よ。お父さんを呼んできて」 どこからとも無く、優しそうな女性の声が頭の中に入ってきた。この懐かしさのある声は、どこかで聞いたことがあるような気がする。そんなことを考える間に、俺は無意識の内に見知らぬ扉の前に移動していた。自分の意思とは関係なく、そのドアをノックする。 「父さん、ご飯ができたみたい」 「わかった。もうすぐ仕事が一区切りするから、先にリビングに行って待ってなさい」 見知らぬドアの向こうから、厳格で、でもどことなく優しさが含まれた声が頭の中に入ってきた。この声も聞き覚えがある。 俺は一体どうしてしまったのだろう。俺の意識はあるのに、体はまるで別物の様にまったく言うことを聞かない。そんな時、ふと窓のほうに視界が移った。外はもう夜なのか真っ暗で、窓ガラスには俺の姿が映し出されていた。 その姿は、正しく今の俺の姿だった。少しだけ違うのは髪が金髪である、それだけだった。 ──こら。 どこからか、若い女性の声が聞こえる。これは・・・・・・、これはカグヤの声だ。 ──こら、起きなさい。 ああ、なんだって?愛の告白ならあとでしてくれ。帰国チケットは受け取ってやるから。 ──帰国チケット?何を言ってるのよ・・・・・・はぁ。仕方の無い奴ね。 バシーン! 「あいたー!!!」 後頭部に突然激痛が走り、俺は思わず体を起こした。 856 :佐白 :2008/05/20(火) 23 20 36.35 ID CJbaKv60 「あ、あれ?」 教室には、既に講義が終わったのか学生は一人も居らず、目の前にただ一人、白く綺麗な額に青筋を浮かべたカグヤが仁王立ちをしていた。 「あ、あっれ~?もう講義は終わったのかなぁ?」 「そうね、アンタが1時間も爆睡している間に、とっくに終わったわよ。それにしても良い度胸ね?今の講義であんなに堂々と寝たのはアンタだけよ」 カ、カグヤさん!?マジギレですか?目が全然笑ってないです。 「いや、ほら、あれだ!さっき講義とかをサポートしてくれるって言ったじゃん!?」 プチっと、何かが切れたような、嫌な音が聞こえた。 「アンタね・・・・・・、サポートするとは言っても、無条件で単位あげられる訳ないでしょ!!サポートはあくまで最小限って本部からも通達が来てるし、甘えるんじゃないわよ!!」 「は、はいぃぃ!すみません・・・・・・」 「とにかく、今日は帰ったらたっぷりとシゴいてあげるわ。覚悟なさい」 今夜は徹夜が確定した瞬間だった。 「そうそう、次のゼミの時間は健康診断だから、早く支度しなさい」 「あー、そっか。新学期の初めはそれがあったっけね・・・・・・ん?」 「今は同じ女子とはいえ、あまり他の女の子をジロジロ見るんじゃないわよ」 俺は今、この一言を大声で叫びたいね。 「(キターーーーーーーーーーーーーーーーーーー!)」
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1694.html
空と春(後編)/ゾンリー 「おはよう!」 「おっはよーカグヤちゃん」 「おはよー、カグヤちゃん」 「おはよう。カグヤちゃん」 三者三様の「おはよう」を受けながら三人の輪の中へ。転校初日から三日。少しずつこの町の生活にも慣れてきた私は、学校生活を満喫していた。 「そういえば今日理科の小テストじゃなかった?」 「ひなたちゃん、この前補習受けてたよね……」 「ふっふっふ、今回はちゃーんと復習してきたから完璧! なんなら勝負してもいいよ~?」 にやり顔のひなたちゃんに、心の底から驚いたような表情ののどかちゃんとちゆちゃん。 「そう言うってことは、随分と自信があるようね」 「ふわぁ、負けないよ!」 「私も私も! 理科は得意なんだ」 四人で笑いあってると、校門はすぐそこに。けれど歩調を遅らせる必要なんてどこにもない。 「えーじゃあさ、一番点数低かった人が一番高い人のお願い一個聞く罰ゲームってのは?」 「自分の首絞めることになっても知らないわよ……?」 「ふふっ、面白そう!」 • そして。 「どおぉぉぉぉしてぇぇぇぇぇぇぇ……!」 ひなたちゃんが九十二点、のどかちゃんとちゆちゃんが横並びで九十六点。そしてなんと、私が全問正解の百点! ということで……。 「ほらひなた、言わんこっちゃない」 崩れ落ちるひなたちゃんを苦笑交じりのちゆちゃんがなだめる。 「カグヤちゃん、お願いはどうする?」 「うーん、そうだなぁ……」 几帳面に間違った箇所の修正を終えたのどかちゃんに言われて、迷う。 「うぅどうか神様カグヤ様優しいの、優しいので願いしますぅ」 「アハハ……あ、こういうのはどう? 『カグヤっち』呼び……なんて……」 言ってて自分で恥ずかしくなっちゃった。まるでステージの上で眩いライトに照らされているかのように、顔が熱くなる。 直後、テスト用紙を放り投げたひなたちゃんに抱きつかれた。 「もちろんだよ! 『カグヤっち』」 「じゃあ……私も、カグヤ」 「?」 ちゆちゃんにも呼び捨てにされて、思わず目を見開く。やっと、みんなと一緒の目線に立てた気がして、目が潤んだ。 「わーごめんカグヤっち、痛かった?」 「ううん、なんだか嬉しくって……」 「じゃあ私も呼び方変えてみようかな? カ、カグ……んー、カグヤん?」 珍しくおどけるのどかちゃん。三人同時に吹き出して、腹を抱える。しかものどかちゃんはいたって真面目だから、余計に面白くって。 「ちょっとのどかっち! なにカグヤんって?!」 「もぅのどか笑わせないでよー」 「えー、いいと思ったんだけどなぁー」 「アハハハ、カグヤんなんて初めて呼ばれたよ」 その後も、私の呼び方についてはしゃいでると、教室の人気がなくなってることに気づいた。 「あれ、次移動教室じゃなかったっけ?」 「あわっ、いつの間に」 「よしじゃあ行こ、カグヤん」 「それ採用なの??」 「いやぁ冗談冗談」 • こっちに来てからもうすぐ一週間をむかえる、金曜日。お母さんの調査の方も順調みたいで、「追加調査だー」って夜遅くまで帰ってこないこともしばしば。 今日も学校から帰るとスマホにお母さんからのメッセージ。 『すまない、今日も遅くなりそうだ』 寂しい……って思わないわけじゃ無いけど、私とお母さんの夢のためだもん。そのためなら、この位我慢できる。 「とは言うものの……今日はりりちゃん、お母さんとお出かけだって言ってたよね」 独り言が狭い部屋に物悲しく響く。気丈に振る舞ってはいても、胸の下あたりが沈んだように重くなった。 『?♪』 不意の着信音にはっと視線を戻す。リズム良く震えるスマホの画面に表示されていた名前は、ちゆちゃん。 「もしもし」 『あ、カグヤ? ちょっといいかしら』―― • 着信から十数分後。夕暮れに染まるアスファルトを駆け抜けて、上がった息が白く寒空に溶けていく。 「ちゆちゃん!」 「カグヤ!」 出迎えてくれたちゆちゃん。私は、旅館沢泉に来ていた。 「今日はよろしくお願いしますっ」 • 『ご迷惑じゃなければなんだけど……今からウチに来ない?』 「えっいいの?」 『じつはお客様にお出しする予定の料理が余ってしまって。せっかくだし、温泉も紹介したかったし……どうかしら?』 「行きたい行きたい? 丁度ね、今日お母さん夜遅くなるっていうから困ってたの」 足をブラブラさせながら、耳にあてたスマホに神経を集中させる。 『それなら……泊まりに来ない?』 • ついさっきの通話を反芻しながら、旅館の裏口を通ってちゆちゃんの部屋に。取り急ぎまとめた着替えを入れたショルダーバッグを一旦置いたところで、お盆を持ったちゆちゃんが戻ってきた。 「ありがとう、助かっちゃった」 「こちらこそ。それに、一度は泊ってほしかったし。まあ……客室じゃないのだけれど」 「ぜんっぜん! わぁ畳懐かしい~!」 井草の感覚を味わいながら、住んでいた家の寝室を思い出す。暖房で温められた畳はぽかぽかで、夜なのに日向ぼっこしてるみたい。 「お腹空いたでしょ? ついでにいろいろ貰ってきたから、あったかいうちに食べましょ」 お盆にかけられた布巾を外すと、まるで旅館で出てきそうな料理の数々。実際旅館なんだけどね。 「おいしそう……!」 「カグヤはいつもどうしてるの? 遅くなるってことは我修院博士お忙しいんでしょう?」 並ぶ料理はどれもお客さんに出す予定だったものだからか、見てるだけで美味しさが伝わってくるようだった。 「うん。だからいつも隣に住んでる子と一緒に食べてるんだ。その子も親の帰りが遅くてね、りりちゃんっていうんだけ」 「りりちゃん?」 食い気味に身を乗り出してきたちゆちゃん。その珍しく驚いた表情に圧倒されながらも、「知ってるの?」と聞き返す。興奮したように話そうとする彼女を、空気を読まない私のお腹の音が遮った。 「わーごめんごめん、続けて?」 顔を真っ赤にして話の続きを催促する私。それにツボったちゆちゃんは、ひとしきり爆笑した後、お櫃からホカホカのご飯をお茶碗に盛り付けてくれた。 「うぅーありがと……いただきます」 一番気になっていたお刺身を一口。さっくりとした脂身と、ねっとりとした甘みのある赤身がコクのある醤油と最高にマッチして、無意識にご飯へ手か伸びる。続いて、茄子の天ぷら! サクッと小気味い音を立てた途端に感じるみずみずしさ。岩塩が優しいお茄子の甘さを引き立てて、これまた最高。 「すごい……こんなにおいしいの初めて!」 「ふふっ、よかった」 「そうだ、話のつづき! ちゆちゃんってりりちゃんと知り合いだったの?」 一旦お箸を止めて続きを催促。ちゆちゃんは温かい緑茶を啜ると、「少し前の出来事なんだけどね」と前置きしてことの顛末を話してくれた。 • 「そんなことがあったんだね……」 「ヒーリングガーデンに帰る前までは、私もペギタンを連れて時々行ってたんだけど……最近行けていなかったから」 「うん、ちゃんと学校のことも話してくれるし、今日だって、お母さんとお出かけするんだ?って楽しそうだったから、大丈夫だと思うよ」 安堵したような表情のちゆちゃん。私は最後のお味噌汁を飲み干して、「ごちそうさまでした」と手を合わせた。 • 「おぉ~広い!」 温泉特有の蒸気にあてられながら、裸足で平たい石畳の上を歩く。夜風が洗った後の身体に直撃して、私たちは足早に岩で囲まれた湯船に向かった。 「「あったか~い」」 トロトロのお湯に四肢を揺蕩わせて、力を抜く。家のお風呂とは違う非日常感も、このリラクゼーション効果の前ではまるで無力で、私は岩に背中を預け、大きく息を吐いた。 「気持ちいぃ……毎日こんなお風呂入ってるの?」 「流石に家のお風呂と旅館の温泉は別よ。使ってるお湯は一緒だけどね」 髪を下ろしたちゆちゃんと肩を触れ合わせながら、話題は東京の温泉施設について。 「向こうは、あんまり温泉旅館って無いわよね?」 「うん。温泉はあるけど、ホテルとか旅館になってるところはあんまり無いかな……スーパー銭湯とかって聞いたことない?」 「確かに! 旅館よりはそっちのイメージが大きいわね」 「でしょ! あーあ、近所にもこんな旅館できればいいのに」 掬い上げたお湯を満点の星空に透かしてみる。手から零れ落ちる光が優しくて、私はもう一度お湯を顔に流した。 • 「それじゃあ、電気消すわね」 「うん」 ちゆちゃんが紐を引っ張るタイプの電気を消して、目を開けてるのに視界が真っ暗に染まる。それも暫くすると慣れてきて、ちゆちゃんのシルエットくらいなら判別できるようになった。 「……ありがと。今日は誘ってくれて」 「どうしたの? そんな改まって」 寝返りをうつ私。お日様の匂いに包まれたお布団が、小さく擦れる音を立てた。 「私、こっちに来てから何かしてもらってばかりだなーって」 「そんなこと無いわよ」 「ううん。そして、私は何もお返しできてない……」 小さな自嘲にも似たため息が、音もなく漏れ出す。 「……私は、カグヤが嬉しそうだったら、楽しそうだったらそれで十分なんだけどな」 「ちゆちゃん……」 「さ、もう寝ましょ? 朝は六時に起きてランニングの予定なんだけど……」 ちゆちゃんからの提案。私はその小さな無力感のせいなのか、勢いで「私も行きたい!」と即答した。 「それじゃ決まりね。おやすみ」 「うん、おやすみ」 その朝、ランニングで悲鳴を上げたのは言うまでもない……かな。 それから数日後の放課後、土曜日じゃないけど、今日は午前授業(半ドン)の日。 「ひーなたちゃん」 「お、カグヤっちー」 平光アニマルクリニック前に集まった二人。ちゆちゃんものどかちゃんも日直の仕事が残ってて、後から合流。 「いっよーしそれじゃあ~、ゆめぽーとに出発!」 「おーっ!」 ひなたちゃんが教えてくれた「裏道」を進んでいけば、目的地まで十数分ほどらしい。かわいい花が咲き乱れるその道を進みながら、私は前を行くひなたちゃんに声をかけた。 「ねぇ」 「んー?」 「ひなたちゃんはさ、何かしてほしいこととか……ない?」 ちょっとストレート過ぎたかな? と思いつつ、ひなたちゃんの返事を待つ。彼女は少し悩んだ後「特に無いかなー」って両手を伸ばした。 「って、急にどしたの?」 「あー、えっと」 このままはぐらかしてしまいたい欲求をぐっと抑え、駆け寄って手をつなぐ。 「んーん、なんか、皆にお返ししたいなーって」 「何それめっちゃ偉いじゃん! よし、私も手伝う……てか手伝わせて!」 「もー、それじゃお返しの意味ないよ。でも、ありがと! ひなたちゃんが手伝ってくれるなら百人力! といっても、何すればいいか全く思いつかないんだけど……」 二人して口を尖らせ、考える、考える、考える……。結局何も思いつかないままゆめぽーとに到着したところで、私たちはひとまず目の前のショッピングを楽しむことにした。 「いよーし、まずはこの店! カグヤっちはさ、どのブランドで買ったりする?」 「私、撮影でもらった物だったり、マネキンそのままだったりするから……実はあんまり詳しくないんだ、あはは」 「うっそマジー?」 「マジマジ。前に東京で買ってもらった服、すっごく可愛くて、ついそればっかり。アレンジとかできるのほんと凄いと思う!」 そんな話をしながらも、既にひなたちゃんの腕には大量の洋服が。 「ほうほうほう、嬉しいことを言ってくれるねぇ。それじゃあ一皮むけますか!」 それを言うなら「一肌脱ぐ」じゃないかな……なんてツッコミは手渡された洋服に塞がれて。私は言われるがままに試着室へと向かった。 「おまたせ!」 勢いよく試着室のドアを開けて、くるっと一回転。まだまだ練習中のポージングを決めて、ひなたちゃんの反応を伺ってみた。 「いい! やっぱカグヤっち最高だよ!」 「ひなたちゃんのファッションセンス、流石だよ。デニムのフレアパンツで大人っぽさと脚を細長く見せていて、フリルの襟付きブラウスで可愛さも表現してる!」 「コメント百点! ……ってこれだああああああああああ! カグヤっちこれだよ!」 「え、どれどれ?」 「これだよこれ、ファッション! モデルやってるんだからファッションショーで決まりっしょ!」 次々におしゃれな服を私にあてがいながらハイテンションのひなたちゃん。 (ファッションショー……かぁ) ずっとお仕事でやってきたけど、思えば誰かのために自分からなんてやったこと無かったな。私の中に、小さな好奇心が生まれた。 「それ、賛成、大賛成!」 「でしょ? じゃあいろいろ買わないとじゃない~?」 「これは買うしかないねぇ~」 うわぁ、私もひなたちゃんもカメラに映せないような、悪の組織みたいな表情しちゃってるよきっと。 「おーい、ひなたちゃーん、カグヤちゃーん」 「おまたせー」 「お~っ、これはいいタイミングに来ましたなぁ? カグヤ殿」 「そうですなぁひなた殿」 「ど、どうしたの……?」 「この二人、意外と危険だったのかも……」 「「ふふふふふ……」」 のどかちゃんとちゆちゃんも巻き込んで、一世一代の大ショッピング。言葉の通り端から端まで行ったり来たり、時折あまーいスイーツで休憩をはさみながらも、空が真っ赤に染まるまで私たちは洋服を私の体にあてがっていた。 • もう残された時間は多くない。ファッションショーの準備は急ピッチで進んでいく。……まあ、今日は小テストの勉強会も兼ねてるんだけど。 「じゃあ次の問題、『ありきたりなさまを表す言葉。明治中期まで続いた句合が語源』」 「はい!」 「カグヤちゃん」 「月……月……並み?」 「せいかーい」 「やった!」 「ふふ、今日はこのくらいにしとこっか」 国語の教科書を勢いよく閉じて、代わりに一冊のルーズリーフを開く。そこにはファッションショー兼お別れパーティの計画がびっしり。 「カグヤちゃん、お料理のほうはどう?」 「うーなんとか! りりちゃん先生様様だよ」 そう、今回の料理はぜーんぶ私が作るんだ。りりちゃんに頼み込んで、絶賛修行中。 「あ、お母さんとお父さんに許可取れたよ~。家使ってもいいって」 「ありがと! じゃあ会場はのどかちゃん家で」 「そうだ、お客様からもらった花火あるんだけど、よかったらやらない?」 「いいね、やろうやろう!」―― • 準備と学校生活であっという間に時間は過ぎていき、とうとう修了式。 「えー、皆さんご存じの通り、我衆院さんは今日で東京に戻ります。それじゃあ……我衆院から一言お願いします」 「はい」 これで最後だと木で出来た机をそっと撫でて、席を立つ。でも来週のパーティーがあるから、お別れって感じはあんまりしなくて。 「この中学校で過ごした二週間、絶対に忘れません! これから受験とか大変だと思うけど、体調に気を付けて頑張ってください! 私もまた遊びに来ますっ」 湧き上がる拍手。円山先生も涙ぐんでるけど……だめだめ、まだ泣くような時じゃない。 「カグヤちゃん、また来週ね~」 「バイバーイ」 「うん、またね!」 そう、本番は来週。でも今だけは、この学校との別れを惜しんでもいいよね。 • 「カグヤっち、こっちは準備OKだよ、どうぞ」 トランシーバー代わりのスマホ通話越しにざわめきが伝わってくる。 「うん、こっちも大丈夫。どうぞ」 「よしじゃあカグヤっちのタイミングで行っちゃって!」 通話終了のSEが耳元で鳴って、大きく深呼吸を一つ。みんなと隔てられた扉を開けて、私は勢いよく飛び出した。 「みんなー! 今日は……そして今日まで本当にありがとう! ひなたちゃんプロデュースの特別なファッションショー名付けて『すこやかコレクション』、いっくよー!」 仲間内の歓声が妙に心地よくて、すぐにモデルの感覚を取り戻していく私。 「まずはこれ、ピンク色のギンガムチェックスカートに白いジャケット。これだけだと結構纏まりがないんだけど、中に着た深緑のシャツが一つにまとめているんだ!」 控室で早着替えをしている裏で、私がつくったお料理が運ばれる。運んでくれるのは、私のお師匠りりちゃん先生。 「続いて~、桃色を基調としたお花柄のワンピース! ちょっと子供っぽいかなーとも思ったけど、流石ひなたちゃん、ハットを被れば意外にピッタリでしょ?」 みんなのお父さんやお母さん、円山先生も思い思いのお酒を手にもって「おぉ~」と良いリアクション。 「どんどんいくよ、これは前開きの黄色いパーカーにボーダーシャツとデニム生地のショートパンツ。シュシュを使って元気はつらつなポニーテール風!」 「厚底サンダルとシースルースカートの組み合わせ! あえてシンプルなアクセサリーが透明感を引き立ててるんだよね~」 その後もくるりくるりとカグヤ七変化。その度にみんなの驚く顔と瞳が私の目の前できらきらと輝きを放っていく。 「さあさあ、パーティはこれからだよ、楽しんでいってね!」 お酒で顔を赤らめたお母さんの慈しむ表情に、私はとびっきりの笑顔ではにかんでみせた。 「いたいた」 一人ベランダで黄昏ていると、のどかちゃんが乳酸菌飲料の注がれたグラスを両手に持ってこちらの方に。私は差し出された片方のグラスを受け取って、カチンと小さく打ち鳴らした。料理でお腹いっぱいのはずなのに、後を引かない爽やかな甘味が自然と喉の奥へ流れ込んでいく。 「……カグヤちゃん、今日はありがとう」 「ううん、私だけじゃないよ。ちゆちゃんにりりちゃん、ひなたちゃん、そしてのどかちゃん。みんなが居たから、今日のパーティーは成功した」 「でも、その中心になって動いてくれたのは……カグヤちゃん、貴女なんだよ」 のどかちゃんの優しく包み込むような笑顔が夕日に照らされて、私の胸の中がじんわりと温かくなる。肩の力を抜いた私は、「ありがと」とのどかちゃんの方へ肩を寄せた。 「大人の皆さんは、すっかり出来上がっちゃったみたいだよ」 「ふふっ、お母さん久々のお酒で二日酔いにならないといいけど」 「うちも。でも、そういう機会じゃないと飲まないから」 「「ねー」」 親ラブな私たちの思いを知ってか知らでか、お母さんとのどかちゃんの両親の楽しそうな会話が遠くで聞こえる。 「……私、みんなに恩返しできたかな?」 オレンジ色に染まった芝生が、風に吹かれてサワサワとそよぐ。直後、真下からりりちゃんの大きな笑い声が聞こえてきて、私達は顔を見合わせて微笑んだ。 「ふふっ、聞くまでも無いんじゃない?」 「……うんっ」 いつの間にかグラスの中身は二人とも空になっていて、ベランダからまっすぐ見える海岸線が、ゆっくりと淡い紫色に染まっていく。 「あ、一番星」 「えーどこどこ? あ、あった!」 明るく浮かぶ光の粒。それは今日という特別な一日を祝福してるようで、同時にその終わりを告げているようで。 「いよいよ明日、かぁ……なーんか全然、そんな気しないんだよね」 「私もだよ。でも、同じ空の下で繋がってるから……なんて」 照れたようにはにかむのどかちゃん。気づけば空は随分と暗さを増していき、部屋から洩れる明かりでようやく、彼女の表情が伺えるくらいの明るさになっていた。 「……なんて、ベタすぎたかな?」 「あ、のどかちゃん、ベタじゃなくて……」 「「月並み!」」 キレイにハモって、同時に吹き出す。 「アッハハハ! ううん、でもその通りだよね。東京じゃ、こんなきれいな星は見えないかもだけど、同じ空の下にいる。それに、もう二度と会えないわけじゃないし」 「うん! また絶対、東京に行くね。やくそく」 真っ暗な手元で数回指をぶつけながら、小指で指切りげんまん。 「そうだ、せっかくなら皆で色んな所に旅行行きたいな」 「ふわぁ~それもいいね! カグヤちゃんだったらどこに行きたい?」 「三重かなぁ? 実はね、シュークリームの生産量が日本一なんだって! のどかちゃんは?」 「えーとじゃあとびっきり飛んで……北海道とか沖縄とか! 一度飛行機乗ってみたいんだぁ」 まだまだ冷えるベランダで肩を寄せ合いながらそんな話をしていると、階段をトントントントンと上ってくる音が。 「あー二人ともこんなところにいたー!」 「風邪ひいちゃうわよ?」 音の主は、心配して私たちを捜しに来てくれたちゆちゃんとひなたちゃん。その手には、季節外れの花火セットが握られていた。 「わ、花火だ!」 「ふふ、今ね、みんなで旅行行きたいねーって話してたんだぁ。ちゆちゃんとひなたちゃんは何処に行きたい?」 一階へと戻りながら、話を広げるのどかちゃん。意外なことに、二人とも即決だったみたいで。 「私は兵庫。温泉の有名どころは抑えておきたいもの」 「はいはいはいはい! 私はねー福岡! だって美味しいものいっぱいあるんでしょ~、行ってみたいよねぇ」 旅行の話は尽きないけど、玄関ではみんなが蝋燭と水入りのバケツを用意してお待ちかね。 「カグヤお姉ちゃーん」 「はーい! みんな行こ」 「よっしゃ花火だー!」 各々好きな色の花火を手に取って、火をつける。鮮やかな閃光とともに、火薬の匂いが鼻孔をくすぐった。 「ねぇ、次はこれやってみない?」 私が取り出したのは花火の代表格、線香花火。カラフルな「こより」といった風体のそれを、私は三人に手渡した。 「じゃあ誰が一番長く残せるか勝負だ!」 「またー? 二連敗しても知らないわよ?」―― • あの後、案の定二連敗を記したひなたちゃん。楽しい時間ほどあっという間に過ぎて行って、心地よい疲労感とともに迎えた、引っ越し当日。 「カグヤお姉ちゃん……ほんとに行っちゃうんだね」 「うん……ごめんね」 通いなれたアパートの階段。その裏側で、りりちゃんの頭をそっと撫でる。 「ううん、大丈夫だもん!」 (本当に、強い子だなぁ) りりちゃんの目じりに浮かんだ水滴(なみだ)。私はそれを小指で拭って、ポケットから取り出した花のヘアピンを、そっと彼女の前髪に付けた。 「……!」 「よく似合ってるよ」 スマホの内カメラでりりちゃんを映す。「なんだか自分じゃないみたい」とはしゃぐ姿に、一安心。 「それじゃ、行くね」 「待って!」 そんな私を呼び止めたのは、りりちゃんでも、りりちゃんのお母さんでもなく…… 「のどかちゃん! ちゆちゃんにひなたちゃんも!」 「よかったぁ間に合って」 三人とも息が荒く、ここまで急いできたことが伺える。 「もー、ひなたが遅刻するから……」 「ほんっとゴメン! 作ってたら夢中になっちゃってさ」 「作る?」 不思議そうに首を傾げる私に、ひなたちゃんは一冊のノートを差し出した。 「これ、私流のファッションアレンジまとめてみたんだ! 開けてみて」 ページを開くと、昨日のファッションショーで着たコーディネートの解説が。蛍光ペンでアンダーバーが引かれてて、とってもわかりやすい。 「次は私。これ、よかったら車の中で食べて」 ちゆちゃんから受け取ったのは、風呂敷に包まれたお弁当箱。中身を聞いたら「開けてからのお楽しみ」ってはぐらかされちゃった。 「私、ちゆちゃんみたいにお料理上手じゃないし、ひなたちゃんみたいにファッションセンスもないから……これ」 のどかちゃんからは、淡い桃色のお花があしらわれたフォトフレーム。その中を見ると、写真の代わりに手紙が入っていた。 「は、恥ずかしいから車の中で読んでほしいな……」 「……うん。ありがとう」 感情が高ぶって、うまく言葉が出てこない。本当はもっと、素敵なこと言えたらよかったのに。 「ねぇ、フォトフレームなんだから、みんなで写真撮らない?」 そう提案した私は、お母さんにカメラを起動したスマホを渡して、皆のもとへ駆け寄る。 「ほら、もっと寄って寄って!」 おしくらまんじゅう状態に固まった私たち。 お母さんがスマホを構えると、全員でおそろいの横ピース! 図らずも全員っ被ったそのポーズにひとしきり大笑いして、ようやく踏ん切りがついた私は、大きなリュックを背負い車へと歩き出した。 「みんな……またね!」 来た時よりも多くなった荷物に後部座席を占領されながら、自動車が緩やかな坂を上っていく。ずっと手を振ってくれていた皆もすぐに見えなくなって、カーオーディオから流れ出す懐メロがなんだかやけに胸に響いた。 ちゆちゃんからもらったお弁当(豪華な天むすだった!)を二人で平らげて、きちんとお手拭きで手を拭いてからフォトフレームの手紙を取り出す。 『カグヤちゃんへ 一緒に過ごしたこの三週間、良い思い出が多すぎて、いきなり何を書こうか迷っています。 東京でカグヤちゃんに出会って、色んなことがあって。こうしてまた会えたことが何よりも嬉しかったです。ぎゅうぎゅうのベンチで一緒にお弁当食べたり、めいさんのカフェでプチパーティしたり、小テストの点数で勝負したり、ファッションショー開いてもらったり、ってほんとにキリがないくらい。だから、カグヤちゃんとのお別れは少し……ううん、とても寂しい。 そうだ、このフォトフレーム、自分で作ってみたんだ。ダイヤモンドリリーっていうお花なんだけど、カグヤちゃんの髪の色とそっくりなんだ。花言葉は……自分で調べてみて! 最後になっちゃったけど、体に気を付けて、元気で過ごしてね。カグヤちゃんの行く先が、希望と夢にあふれていますように。 花寺のどかより』 彼女の声で再生されるその手紙に見つけた、三粒ほどの小さな水シミ。それを優しくなでていると、私の頬をツーっと何かがつたっていく感覚。それが涙だと分かった途端、目頭が熱くなった。 (おかしいな? ちゃんと笑顔でお別れできたのに。ちゃんと……またねって言えたのに) せっかくもらった手紙に、一つ、二つと新しいシミが増えていく。だんだんと潤んでいく視界に、太陽の光がやけに眩しく突き刺さって。 「……コンビニで、写真プリントアウトしていくとするか」 「うんっ……!」 三週間ぶりの懐かしい制服に袖を通して、これまた懐かしい通学かばんを手に取る。 「お母さーん、私先行くね~」 棚の上に置かれた、「また会う日を楽しみに」の花言葉を冠した花のフォトフレームに入れられた三週間前の写真。私はあの時の感覚を思い出しながら、使い古したローファーに履き替えた。 「行ってきまーす!」 ドアを開けた途端に、歓迎するような陽光。それを体いっぱいに浴びながら、階段を下っていく。 高く、どこまでも続く青空と、これからまた始まる青春。それらに想いを馳せながら、私は精一杯の握りこぶしを突き上げて、走り出した。 「生きてる……って感じー!」 (終)