約 1,605,931 件
https://w.atwiki.jp/bknd/pages/11.html
2006年8月から配信開始。 2010年2月現在、XPで配信している。 主に配信しているゲームはアクション、RPG、ギャルゲー、エロゲー、競馬ゲー、バイオハザード4、バイオハザード5と様々。 配信初期はPSXを使用してPS2配信を行っていたが、 PSXのあまりのツンツンぶり(ディスクを読み込まない)に新しくPS2を購入。 2008年10月現在、PSXは録画マシンとして現役の模様。 TAが大好き。 ポエマー、プロポエマー、エロポエマー、官能小説家とも呼ばれる。 2007年10月19日にゆげと記念すべきスカイプ初通話。3時間もの間談笑した。 JRA騎手・幸英明の大ファン。 好きすぎる為に馬券購入の中心にするほどだが、儲かったかどうかは定かではない。 2009年の幸馬券の回収率は106%だった模様。 大会では自己記録を塗り替える事が多く、その成長具合は素晴らしい。 バイオハザード4ではサドラーを4時間ナイフで切って打開、 初代熱血硬派くにおくんではほんだを2時間攻撃し続けて打開、 地球防衛軍3ではシナリオ52「烈火」(難易度:INFERNO)を12時間プレイして打開と、たまに根性配信をする。 フラグ立て名人。バイオ4でのフラグはバイオハザード4欄を参照。 マリオ等のアクションゲームをプレイ中、バカンダ「安全運転で行こう」⇒死亡フラグ 岩男Pのイベント参加中に「調子良いな」の書き込み⇒直後に落下してティウン バカンダ「やっとエンディングかぁ・・・」⇒エンディングじゃない バカンダ「次はラストシナリオか!」⇒ラストシナリオは出現しなかった バカンダ「これはAランクが取れた!」⇒Bランク バカンダ「ラリホーはやめてね!」⇒悪魔の騎士からラリホーで眠らされて撲殺。その10分後に再度ラリホーで眠らされて撲殺。 バカンダ「竜王戦は勝率9割」⇒ラリホーで眠らされて撲殺、回復するターンをミスッて激しい炎で焼かれる 高マラTA中「棄権はしないで下さい ><」⇒見事に棄権してポエムを書く 不思議TTAでは直前にお払いをしたにも関わらず、幸せの箱がある27Fでモンスターハウスを呼び込む 突発ドラえもんTA中、開拓編のボスがいる部屋へ通じるドアがバグって出現せずに涙目 八苦マリオ初見TA、無限1UPの状態に持ち込み、バカンダ「時は来た!!」⇒甲羅がマリオに当たって死亡 ロックマン2TA中「これは自己ベストいけるでしょう!」⇒ブービーム戦の途中でアイテム3号のエネルギーが切れて閉じ込められる。 「ゲームオーバーになったらE缶消えるんですよね?大丈夫か・・」⇒ブービーム戦でやらかしてゲームオーバーに。 ロックマン2ルート固定TA中、「順調だなぁ」⇒ワイリー1で死亡、「ワイリー3は大丈夫」⇒針に刺さって死亡。 EDFTA中、「ゴリアス厳禁!自爆厳禁!」⇒発言して1秒後に自爆して死亡する。 戦国ランスプレイ中「(相手国が)来てくれたら良いんですけどねぇ」⇒同ターンに伊賀と上杉に宣戦布告される。 戦ヴァルTA中、「昨日、手榴弾が旗に当たって跳ね返って爆死したんですよね」⇒投げた手榴弾が障害物に当たって跳ね返ってくる。 バウンティソードをプレイ中「これはもう貰ったも同然!」⇒3人のニンジャから分身斬りでフルボッコ、ゲームオーバー。 バイオ2TA中、POISONの出だしを歌ったり、バカンダ「誰が毒になるんでしょうね」⇒自分が蜘蛛から毒を喰らう DECOMP閉会式にて、打開本数7位(9本)で、主催者のろすたから「タイムアタック好き過ぎるで賞」を受賞する。 イベント「岩男2TA」にて、ゲーム開始22秒で死亡という最速死亡記録を樹立。 バイオUCの為に購入したWiiザッパーを、UC配信を1度しただけでBボタン部分を壊す猛者。 初めて買って貰ったゲームは、ジャレコから発売された「落っことしパズル とんじゃん!?」 ちょっとした書き込みにも敏感に反応する。また、その時の気分(仕事の疲れ等)が配信に出ることが多い。 その割にはバカンダ自身の発言にリスナーが傷つくことに関しては鈍感。 アンサガのジュディ編を、ジュディのタイマン状態(残りは死体)で念願の初打開。 キミキス配信中、星乃結美のピュアハートぶりに「ええ娘ですね」を配信を終えるまでに20回近く発言。 某0先生による、不思議TTAの選手紹介 「立ち回りは悪くないのに、階段やモンスターハウスの引きが悪くて追い詰められているのはなぜだろう? 直前で悪いプレイを引き、お払いをしたらしいがその効果はいかに?」 ⇒担当トルネコ区間3位、チーム成績4位という結果を残す。 配信終了前に曲や動画を流そうとしてPCが固まることがあり、急に何も聞えなくなったらその予兆。 やらかし神に執りつかれており、払っても払っても憑依されるかわいそうな子。 山岡士郎・海原雄山 歴史的和解記念 美味しんぼTA中、 バカンダ「今日はレスが無いなぁ、実況しようがないゲームだからなぁ」 ⇒ニコキャスの設定を大爆笑カレーのスレに設定していて15分間気が付かなかった・・・・。 第4回KTA中、休憩時にツクール作品の「亀」を見た瞬間にプレイ中だったホーリー・ダイヴァーがバグッて止まってしまう。 バカンダ「毒団子とか流行語ありましたね」⇒毒まんじゅう SIREN配信中に突然カレンダーが落下して絶叫する。 バイオ4TA中、DQのフローラの話題やスレに投下されるODA画像に爆笑⇒自己ベストを9分下回るタイムで大惨敗。 加山雄三のモノマネに自信アリらしい。 DQ1TA中、バカンダ「ダースドラゴンを1ダース下さい」 ( ^ω^)・・・ ネガキャンとはバカンダ曰く「ネガティブキャンセルの略ですね」。 バイオ4TA中、飴が尽きたのでわかさ生活のブルーベリーアイを「食べて(※)」吐きそうになる。 ※=本来は水と一緒に「飲む」もの たこ焼きを食べる際に「たこ」を抜いて、「焼き」だけ食べる派。 涙腺弱め(´;ω;`)ウッ・・・ お気に入りワードに反応してみっちゃん(苺ましまろのキャラ)が叫ぶ。 たまにキャッシュ(アンサガのキャラ)も冒険に誘って来る。 ストⅡターボをエドモンド本田の百烈張り手で打開(主に攻撃とバリアに使用)。 アマガミ配信中、中多紗江の主人公に対する溺愛ぶりに「ええ娘ですね」を配信を終えるまでに30回近く発言。 「ヒロイン」を好む傾向があり、なぜかそのキャラは影が薄いか、世間ではあまり人気が無い。 キミキス「星乃結美」、Sugar+Spice!「春瀬歌(ハモ)」、闘神都市Ⅲ「羽純・フラメル」、 ダンジョンクルセイダーズ2「エンデ」、アマガミ「絢辻詞」、戦場のヴァルキュリア「アリシア・メルキオット」、 恋文ロマンチカ「秋月桔梗」、サクラ大戦「真宮寺さくら」 ダビスタTA優勝時、最下位だった高みへのポエムのお題「無邪気さと我がままな性格もあり、たまにやんちゃして怒られてしまう使い魔」 激神フリーザTA参加中、ボタン連打でギニューにドラゴンボールを間違って渡してしまい、30分のロス。 配信外で箱○にレッドリングが表示されたが、配信中に祈るように電源を入れると正常に稼動、復活する。 海でのオションション経験あり。 バカンダ「エロシーンは10分が相場」 第3回ダビスタ新春杯優勝時、最下位だったカムへのポエムのお題「ずぶ濡れスチュワーデス ~淫獄のエクスタシーフライト~」 女の子の腹筋が大好物。
https://w.atwiki.jp/holygrailwar-junne/pages/144.html
※ このページはあなたの楽しみをスポイルする可能性があります 本編未読の方は先に本編を読むことをおすすめします。 手っ取り早く情報を得たい方は↓ (ED後の戦闘は撃破数・死亡回数などにカウントしないものとします) +第十三次聖杯戦争 第十三次聖杯戦争 サーヴァント&マスター 一日目 二日目 三日目 剣 セイバー・リリィ vs『バーサーカー』vs『アサシン』 岸波白野(女) 槍 カルナ vs『バーサーカー』vs『アサシン』→敗退 間桐慎二 弓 アタランテ 言峰綺礼 騎 イスカンダル 衛宮切嗣 魔 玉藻の前 ラニ=VIII 暗 百の貌のハサン vs『ランサー』→勝利 『バーサーカー』と同盟 vs『セイバー』→撤退 貴女 狂 ランスロット vs『ランサー』 『アサシン』と同盟 vs『セイバー』→撤退 衛宮士郎 中盤戦 サーヴァント&マスター 四日目 五日目 六日目 剣 セイバー・リリィ vs『アサシン』&『バーサーカー』→敗退 岸波白野(女) 槍 カルナ 間桐慎二 弓 アタランテ vs『アサシン』&『バーサーカー』→敗退 言峰綺礼 騎 イスカンダル 『キャスター』襲撃→失敗、敗退 衛宮切嗣 魔 玉藻の前 『ライダー』から襲撃→勝利拠点を失う vs『アサシン』&『バーサーカー』→敗退 ラニ=VIII 暗 百の貌のハサン vs『アーチャー』→勝利 vs『キャスター』→勝利 vs『セイバー』(一回死亡)→勝利 貴女 狂 ランスロット vs『アーチャー』→勝利 vs『キャスター』→勝利 vs『セイバー』→勝利 衛宮士郎 終盤戦 サーヴァント&マスター 七日目 ED -- 剣 セイバー・リリィ -- 岸波白野(女) 槍 カルナ -- 間桐慎二 弓 アタランテ -- 言峰綺礼 騎 イスカンダル -- 衛宮切嗣 魔 玉藻の前 -- ラニ=VIII 暗 百の貌のハサン vs『バーサーカー』→勝利 vs『七代目』→勝利、聖杯獲得vs『両儀式』→敗北 -- 貴女 狂 ランスロット vs『アサシン』→敗退 -- 衛宮士郎 サーヴァント 所要日数 死亡回数 撃破数 マスター殺害数 令呪使用 最高感情 聖杯 百の貌のハサン 7 1 5(2) 0 0 『愛情』 ○
https://w.atwiki.jp/sakuyataityo/pages/376.html
´  ̄ ̄ ̄ ` / \ / \ / 丶 .′ ,, ´ ハ , ,, ´ .', ′ ,' / .‘, } . .′ , ′ ,小 ! .| l , i| >'’ ハ i i ′ | i. . i| .> ´ / ‘; .! . ! ' ,,-‐…¬ | i. . i| _ _> ´ / ‘; ! ! / / ヽ.. .. | i. . i|'´__`===ー一ノ / Ⅵ j/ / | l i. . i|ヾ 付芯ー! / '^ー‐- | ,ノi| / │ Ⅵ i. . i|  ̄` / 仡ヲヽ,′ .. .i|、 おい、いいのかよイスカンダル! /`ヾ | / ⅵ .j!i|// . / / `¨ / ..i|ハ ,,---.、_,.ィ \.. ..| l ∨ !j|// . / ..i| '. 勝手に売り飛ばして…… / \ \ | |! Ⅵ|.lト、/ . ,,- .. _ u. イ! i| ハ / ,. -- 、 \ \. . | |l l l|,リ 、\ ゝ .,_/ ,. < !! ! / i! j、 / _,.ノ ′ ヽ 、 \ | |ヘ__/| {_>‐>‐‐< / リリ /| ,′ / ー- ., / / ′ │, 丶 、 ,ィ \ ハ ∨ニ>≦≫''`ヽ / | i / レ' / > { 「`| .! |ノ \ } >、´ \ ‘, /ニニニニ/ / `´ ''" / ,, ´ 【先代王の監視役 ウェイバー・ベルベット】 先代王の監視役。 イジューレ温泉編エピローグ(8日目)に初出。 現在イジューレ星の別荘でイスカンダル&タイガ夫妻と一緒に生活中。 先代王の監視が主たる任務のはずなのであるが、 なぜかイスカンダルが大人買いしている映像作品BOXなどを全て鑑賞させられている等の被害にあっている。 (イスカンダル本人はほぼ見ないのだが、内容を確認したい時に、しつこく聞いてくるため。)
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/2243.html
【元ネタ】史実 【CLASS】ランサー 【マスター】 【真名】エウメネス(カルディアのエウメネス) 【性別】男性 【身長・体重】175cm・65kg 【属性】秩序・中庸 【ステータス】筋力C+ 耐久B 敏捷A 魔力C 幸運D 宝具B 【クラス別スキル】 対魔力:C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 【保有スキル】 軍略:C+ 一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。 自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。 仕切り直し:C 戦闘から離脱する能力。 また、不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。 僭称封じ:B+ 王権(皇帝権含む)に関連するスキル・宝具の効果を無力化するユニークスキル。 ただし、相手がAランク以上のカリスマスキルを持つ場合、このスキルは効果を発揮しない。 マケドニア王家の唯一の擁護者と言われ、彼が生きている間は誰も王を名乗れなかった逸話がスキル化したもの。 【宝具】 『亡王の威(コイロス・スロノス)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:0~99 最大捕捉:1000人 征服王が用いた黄金の玉座。 真名を開放することで、自身も含めた自陣営全員に、Aランクのカリスマに相当する恩恵が与えられる。 また、LUC判定を失敗するまで連続して行い、成功した回数に応じた規模の軍勢を召喚することができる。 この宝具は発動から3ターン後に消滅し、その効力も失われる。 【Weapon】 【クシュストン】 ヘタイロイ騎兵が用いた長槍。 本来は騎乗戦に用いるもので、白兵戦では長大さが時として害にもなるが、 エウメネスは徒歩戦闘でも自在に使いこなす。 【解説】 フィリッポス二世、イスカンダルに仕えた人物。狡猾で言葉巧みだったとされる。 イスカンダルの死後に勃発したディアドコイ(後継者)戦争では 自身の権力基盤の弱さから王家を擁護する立場に立つが、部下の裏切りにより暗殺された。 前半生は不明瞭な点が多く貧困層の馭者の子ともされる。 ともあれ、フィリッポス二世に見出されたてマケドニアの書記官となり、続くイスカンダルの下でも同様の職務を務めた。 イスカンダルの東征では、ペルディッカスの後任として騎兵の指揮を任される、 婚姻により王家の縁戚となるなど王の信頼は厚く、 詳細はほとんど分かっていないながらも、かなりの軍功を挙げたと考えられている。 一方でマケドニア人ではないために家中の反発を買うことも多かったようである。 イスカンダルの没後は、大王の遺児を擁していたペルディッカスに接近。 しかし、イスカンダルと同道したペルディッカスと、イスカンダルの留守を守っていたアンティパトロスの対立が武力抗争に発展したことで、 彼はペルディッカス派としてアンティパトロス派に属していた友人クラテロスと戦うことになる。 不仲だったネオプトレモスの裏切りはあったものの、エウメネスは戦勝を挙げ、クラテロス・ネオプトレモスを敗死させる。 しかし、後ろ盾であったペルディッカスが暗殺されたこと、人望の厚いクラテロスを殺したことで反感を買ったことにより、 一転、追討される身となる。 友人アンティゴノスに追い詰められ、ノラで籠城戦を行った(一度は降伏したとも)エウメネスだが、 アンティパトロスが病没し、アンティパトロス派が分裂すると、これに乗じてノラを脱出。 勢力を盛り返し、大王の親衛隊である銀楯隊を含む大兵力を掌握した。 しかし、マケドニア人でないことや、兼ねてから家中の反発も相まって、軍団は彼に心服せず、 部下から多額の金を借り入れる(裏切れば回収不可能になる)、 軍議の場にイスカンダルの椅子(空席)を置き、御前会議の形式を取るなど、あの手この手で軍団の統制を図ったが、 あまり成果は上がらなかった。 それでもアンティゴノスとの戦いでは、その将才によって一進一退の攻防を繰り広げるが、 銀楯隊の指揮官アンティゲネスらに裏切られ、アンティゴノスに捕らえられる。 アンティゴノスは友人であったエウメネスを幕下に加えるつもりであったが、 これに反感を抱いたアンティゴノスの家臣たちの手で暗殺されたという。 エウメネスの死によってマケドニア王家はその擁護者を失い、 やがて家臣たちが王を名乗り殺しあう、血みどろの大戦争へと発展していった。
https://w.atwiki.jp/marurowa/pages/253.html
Testament of circle◆YhwgnUsKHs 「よし、こんなところで大丈夫かな」 「ああ。ありがとな、チョッパー」 「べ、別に褒められたって嬉しかねーぞ♪このやろが♪」 「はぅ~。素直じゃないチョッパーくんかぁいいよぉ」 「はっはっは!まったく愉快な奴らよのう」 ある民家の一室。 そこで4人の人物がテーブルを囲んで座っていた。 筋骨隆々とした大男。赤を基調とした帽子、服をまとった少年。少年の腕に包帯を巻く二足歩行のトナカイ。ゆったり とした白い服を着ている少女。 彼らがここにおいて一堂に介するまでは、ちょっとした騒乱があった。 ***** 始まりは、ある支給品だった。 白いパンツにも見えるそれから生えた男の首。 白服の少女、レナはそれを不可解に思いつつも警戒し、その脚に隠れるトナカイ、チョッパーは生えている首を見て顔 を蒼白にして震えているしかなかった。 男が2人を見つけ、『お前達、こんなところに潜んでおるのか?』など質問したが、二人は答えない。男、ライダーこと イスカンダルが更に質問をしようとしたとき。 突然、イスカンダルが『避けろ!』と叫び、次の瞬間にはパンツのようなものが射出するかのように、その中からイス カンダルの全身が、飛び出した。 レナとチョッパーは慌てて避け、結果イスカンダルは民家の壁に激突……する直前、その壁に強引につっぱりのように 手を突き出し、壁に激突させ勢いを相殺。そのまま何事も無かったかのように着地して見せた。 その腰に、しがみついて目を回した少年、レッドと共に。 後で聞いたところ、ポケットに吸い込まれそうだったイスカンダルを助けようとしたが、力及ばずに吸い込まれてしまっ たらしい。 その後、レッドが怪我をしている事に気付いたチョッパーが彼に怪我を治させてくれるよう提案。その際に、レッドが 自分たちに戦う意思が無い事を2人に告げ、レナもまた同じ事を宣言。結果、今の状態に至る。 ちなみに寝ていた男を起こさないよう、話は隣の客間で行われている。 ***** 簡単な自己紹介を済ませた後、話題はレッドの傷の話に移った。 ちなみに、左肩の刺し傷や背中の擦り傷は民家を探して見つけた救急箱の消毒薬や包帯でチョッパーが簡易的な治療を 行った。本当ならば、もっと本格的な医療道具を使って左肩の傷を塞ぎたいらしいが、なぜか裁縫道具すらこの民家では 見つけることができず、それは諦めるしかなかった。 だが、話の中心は傷自体ではなく、それがついた経緯だった。 「ひでえ……」 「レッドくん……」 チョッパーとレナは絶句するしかなかった。 サングラスの男に襲われ、一時は追い詰めたものの、その後は嬲るように一方的にされたこと。とどめを刺される瞬間、 知り合いの少女イエローに庇われ逃げる事ができたこと。そして、イエローが死んだ事。全てが、今のところ絶対的な敵 意に襲われていない2人にとっては悲惨であり、残酷であり、『殺し合い』という状況を改めて認識させるものになった。 イスカンダルも、既に聞いたその話に嫌がるでも飽きた様子を見せるでもなく、神妙な面持ちで聞いていた。 「その後……フィーロっていう、帽子にスーツの人に会って、その人に……励まして、もらった、んだと思う。 信用できる人だよ。その人の紹介で、クレアっていう赤い髪の女の人も信用できるみたいだ」 「フィーロにクレア……この2人かな?かな?」 レナが名簿を取り出して、『フィーロ・プロシェンツォ』『クレア・スタンフィールド』の2人の名前を指差す。名簿を 見る限りでは、他に同じ名前の者はいない。 「多分。きっと恋人同士なんだと思う。やけに自信満々だったから」 「は、はぅ~。こ、恋人同士の熱い信頼……レナ、顔赤くなっちゃうよぉ」 「レ、レナ……そこでなんでおれを抱きしめるんだ~」 「レナよ、それ以上抱きしめると医術師が窒息するぞ」 いつの間にか膝の上に座らされていたチョッパーが抱きしめから逃れると同時に、イスカンダルが別の話を切り出した。 「この小僧が余と出会う前に遭遇したのは以上だ。余はこの小僧が始めて見た参加者だ。 まったく、あれだけ轟音を響かせてやったのに誰も出てこんとは」 「……それって、もしかして数時間前のバイクの音のこと、かな?かな?」 「おお。それだ、それ。なんじゃ、聞いていたのなら出でこんか軟弱者」 「出られっかぁ!! おれ、あの音を聞いて怪物が叫んでるかと思ったんだぞ!? 怖かったぞー!」 「レナも、男の人を助けてからその音を聞いて、だから会わないようにこの民家に入ったんだよぅ」 「まったく……」 「いやおじさん、俺もバイクの大きな音なんて聞いたらまずは隠れると思うなぁ」 レッドが呆れた顔でレナとチョッパーに同意した。 同時に、レナの言葉に気になる点に気付いた。 「助けたって、さっき寝てた男の事?一体どういうこと?」 「えっと、近くの川で倒れてたのを見つけたの。誰かに撃たれたみたいで……」 「大丈夫なのか?その人」 「うん。支給品が銃弾を防いでたから。あと、レナはここに運んだだけで、具体的に濡れた服を乾かせたりとかはチョッ パーくんが指示してくれたの」 「へえ……凄いんだな、チョッパー」 「!! だ、だから褒められてもうれしくねーって言ってんだろこのやろが♪なめんじゃねーぞ♪」 「かぁいいよぉ~!」 「おーい。堂々巡りだぞ、お前達ー」 その話を聞くと、イスカンダルはその大ぉな腕を組み、3人を見据えた。 サングラスの向こうの瞳に、何かこれから話を切り出す気配を3人は感じた。 「ふむ。この状況で見知らぬ男を助ける胆力を持つ娘。医療に精通する珍獣、か。まったくもってここは面白い場よ。 余の呼び出しに応じなかった事は目を瞑っておくとして……ふむ」 そして、イスカンダルは至って真剣な顔つきで。 「お前達、余の臣下にならぬか?」 ***** 男は目を覚ました。 男は朝がけに自分の武器を振り回そうと思った。 男は枕元にそれがないことに気付いた。 男は自分がいる状況を思い出した。 男は自分が撃たれたことを思い出した。 男は自分が室内にいることに疑問を思った。 男は自分が裸だということに気付いた。 男は自分の貞操が奪われてしまったのか、と鬱状態に入った。 男はそうしたら俺の子供ができて世界人口が増えるからいいじゃないか、と躁状態に入った。 男は隣の部屋からの声に気づいた。 男は会話に聞き耳を立て、自分が2人の者に助けられた事を知った。 男は更に会話を聞いた。 男は会話の流れが不穏なものになったことに気付いた。 男はその原因の声を聞き分けた。 そして男は、とどめの声を聞いた。 「そうか。余の臣下とならぬということは……お前は余の敵ということになるぞ、医術師」 男は、飛び出した。 ***** 「悲しい、悲しい話をしよう……俺はどうやらこの女性とこのふかふかチビに助けられたらしい。言わば命の恩人A、B と言える。もちろん確証はできないが、撃たれた俺は川に落ちたはずだから俺が気絶しながら川から這い上がれる夢遊病 患者でない限り、この2人がやはり命の恩人ということになる。ところが目覚めればどうだ? その命の恩人Bが危機に 陥っているという悲しい状況だ。俺にはわかる。あんたはあの時間違いなく敵意を晒した。俺も震えるような本気の敵意だ。 これはどういうことだ。俺の命の恩人の命が脅かされるという事はつまり俺の命を助けた命が脅かされ脅かす命を俺の 命が脅かし俺の命を助けた命が脅かされ俺の命……。 …………すこし混乱したが、つまりは……消えろ、おっさん」 突然部屋の襖を開けて現れたさっきまで寝ていた金髪の男。 イスカンダルが瞬時に気付き、腕を動かしたが……気付けば、その額に大きな銃が突きつけられていた。 だが……金髪の男の眼前にも、イスカンダルの大きな拳が突き出されたまま 止まっている。 そんな一触即発の光景を、レナもチョッパーもレッドも見ているしかなかった。 何故こんな事になったのか、と誰かが考えた。 きっかけは恐らく、イスカンダルの勧誘だったのだろう。自分の臣下にならないか、と。 レナとしては、イスカンダルの助力を得られるならばそれも手か、と思った。イスカンダルの体躯は頼りにするには充 分のもの。後で約束を反故にしてもいいだろうし、今は少しでも対抗力を高めたほうがいいと思ったからだ。 けれど、チョッパーは違った。彼は既に海賊であり、麦わらの船長ルフィと共にグランドラインを共に行く決心をした。 だから、イスカンダルの臣下に入れ、という勧誘には拒否を示した。 その時、イスカンダルがチョッパーに向け、敵意を向ける。その気迫たるや、他の3人の言葉を呟く事すら許さなかったほどだ。 そしてその次の瞬間、この状況に至る。 「お前、起きたのか?」 「ああ。礼を言っておこう命の恩人B。いや、礼はこいつを追い払うことで済ませようか」 「追い払う事ができる、という前提で話を進めるつもりか?」 「ああ。人を殺すのは好きじゃないが、人を壊すのはOKだ。追い払うことなんてさらにOKだ。OK二つ分、つまりOOKKと言える」 「言えないと思うかなぁ」 互いに銃と拳を突きつけあっている状態にも関わらず、暢気に話す2人。 「いきなり飛び出してきた動き……貴様、かなりの手練と見た」 「おっと先に言っておくが、さっき聞いた質問をしても俺の答えも命の恩人Bと同じだ。俺はラッドの兄貴以外の下につく気はない」 「ラッド?ああ、最初の時にギラーミンの奴に恋人を殺されていた男だな」 「ああ。ついでに忠告してやる。お前みたいなタイプはラッドの兄貴の1番嫌いなタイプだ。見つかったらまずお前は殺される」 「ほう?それは面白い」 それでいて互いに抜き差しならない雰囲気を漂わせ、嫌が応にも緊張感がその場に満ちていた。 だが、テーブルを叩く音がその空気をぶち壊し、二人がそちらに目を向けた。 そこには、手をテーブルに叩きつけて2人に真剣な顔を向けているレッドがいた。 「何してるんだよ! 今俺たちがいがみあってる場合じゃないだろ!? 今は殺し合いに乗らない皆で力を合わせなきゃ! 出ないと、今もイエローみたいに殺されている人が…!」 「そ、そうだぞ! おれは臣下っていうのには入れねえけど、協力はするぞ! な! それでいいだろ!?」 レッドの説得にチョッパーも追従し、なんとか2人を諌めようとする。 だが、イスカンダルはふう、と一息つく。 「そうはいかん。確かに協力し団結する事は即ち強力である、というのには余も同意しよう。だがな、余にも信条がある。 戦うならば、余の軍勢と主催との対決だ。それ以上の勢力はいらん」 「つまり……従わない場合は、ここで殺す、ということですか?」 今まで沈黙を守っていたレナが、今までと違った口調でイスカンダルに問いかける。 レナの今までと違った眼差しにイスカンダルはふっと笑った。 「どう取るかはお前達次第よ」 「そうですか。なら……私はイスカンダルさんに一つ言いたいことがあります」 「ほう。言ってみよ。だが、この征服王に物申すというならば、つまらん事だった場合……相応の覚悟をしてもらおう」 「わかりました」 「命の恩人A。話なんて聞く必要は」 「ちょっと黙っててください」 「…………」 イスカンダルの目が鋭くなった。 今なお金髪の男(ちなみに今ので少し欝になった)に銃を突きつけられているにも関わらず、イスカンダルは不敵な笑 い、それでいて鋭い眼でレナを見据える。 イスカンダルは見抜いている。レナの中にある何かを。 他の2人に比べて冷静に見えるレナに燃える何か。そしてその裏にあるもの。 レナは一息つき、そしてイスカンダルに真正面から目を合わせた。 「イスカンダルさん。私たちを臣下にしたいなら……あなたの力を、私たちに見せ付けてください」 ***** 「…………ここで、この家屋を吹き飛ばせという気か?」 「違います。私たちが見たいのは、貴方のあらゆる力です。 それを、私たちにこれから見せてほしいんです」 「回りくどいのは好かん。はっきり言え」 「じゃあ言います。私たちと一緒に来てください。 その過程で、あなたの力を見せ付けて、私たちを臣下になる気にさせてください」 レナとイスカンダル。 2人がテーブルを挟みにらみ合う。 しかも、イスカンダルは金髪の男によって銃を突きつけられている状態で、だ。 「『なる気にさせる』か。つまり、この2人には、今の主君以上の器を見せつけろ、そういうことか」 「はい。1番偉い人なら、言葉で言うより、実際に見せ付ける事ができると思います。 それとも、できないって言いますか?」 「…………舐めるな、娘よ」 イスカンダルの敵意が一層膨れ上がる。表情こそ剣呑なそれだが、目だけは笑っていない。 その気迫に、レナの顔にも冷や汗が浮かぶ。 本当なら逃げ出したい。けれど、それを抑えてでも今、ここでこの4人は繋げとめておきたい。 それは直感に近い。けれど、それこそが最善だと思える。 「余は征服王イスカンダル。余の振る舞い、行動で臣下を生むなどかつては常時の事であった。 だが、それだけでは余がお前達と行動するには理由が薄いぞ」 「……もう一つ。逆の理由があります」 「言ってみよ」 2人の舌戦を3人は静かに見ている。 2人の間には口出しをできない空気が漂っていた。 拳も剣も銃もない。けれど、そこには確かに激しい何かがあった。 「貴方も、私たちを見極めてください。私、レッドくん、チョッパーくん、あと……」 「グラハムだ、命の恩人A」 「グラハムさん。貴方の臣下に相応しいかどうか、こんなところで判断するのは、王として早急じゃないんですか?」 「ふむ」 「これから、殺し合いに乗りたくない私たちの先には、多くの危機が待っていると思います。そういった危機の中で、人の真価は見えると思います。 その中で、互いに互いの力を見極める。その上で、貴方は私たちを臣下にしてみせる。できなければ、貴方の力不足。……どうですか?」 「……小僧ども」 イスカンダルがここでレッドとチョッパーに目を向ける。 自分たちに話が来た事で2人が少し竦む。 「お前達は構わんのか? この娘が言っているのは、要は危険の中にわざわざ飛び込むということなのだぞ?仲間からすれば、迷惑以外の何物でもあるまいて。 もう一度聞く。お前達は構わんのか?」 「……構わない」 イスカンダルの目をまっすぐ見てそう言い切ったのは、レッドだった。 その瞳にあるのは、レナとも少し違う輝き。 敵と立ち向かう、『戦う者』たる瞳。 「何事もなく帰れるなんて思ってない。きっと色んな敵が待っているんだと思う。 それでも、俺はイエローに誓ったんだ! きみの命を守るって。だから、俺はレナの提案に乗る。おじさん、俺たちと一緒に来てくれ」 「医術師、お前はどうなのだ?」 イスカンダルに目を向けられたチョッパーは、少し顔を俯かせていた。 だが、意を決したように顔を上げたチョッパーは、もう怖がりの目をしていなかった。 イスカンダルはほくそ笑む。 (まったく。良い眼をした者ばかりおる) 「おれは……できれば、そういうのは避けれたらいいな、って思ってる。だって、人が傷つかないには越した事ないんだ。 でも……そうは行かないことがある、っておれは知ってる。困難がおれたちに降りかかってくるなら、おれ達はそれに 全力で立ち向かわなきゃいけないんだって。 おれは、絶対ルフィたちと一緒にあの海へ戻る! そして、こんな殺し合いも絶対みとめねえ! イスカンダル。おれはルフィの下を離れたくないけど……もし、お前が本当に凄い奴だったら……おれ」 「そんなに辛そうな顔で言うでない。結論は先で構わん」 「……ありがとな」 チョッパーの答えを聞いたイスカンダルは、再び腕を組む。 そして、3人を見つめる。 「よかろう。このイスカンダル。お前達と暫くの時行動を共にし、お前達を見極め、そして余の力を知らしめようぞ。 必ずや、お前達全員我が臣下としてみせる。言っておくが、自分の身は自分で守れ。お前達を試す以上、そこまで面倒は見んぞ」 「わかってる」 「わかった」 「望むところ、かな」 3人がそれに決意の篭った瞳で応える。 イスカンダルは思う。 (静かなる炎。戦う者。命を尊ぶ獣。どいつもこいつも、魅力的この上ない!) だからこそ征服のしがいがある。 自らの力を示す事で、こやつらを征服してみせる。 イスカンダルは、自然と笑みがこぼれるのを止められなかった――。 「…………悲しい、悲しい話をしよう…………俺だけ何も聞かれていない」 『あ』 ***** 「イスカンダルさん。人が悪い、かな?かな?」 「む?」 部屋の隅で金髪の男、グラハムが『そうか、俺はいつも空気をぶち壊す事ばかりしていたから空気の恨みでいつのまに か空気になってしまっていたのか。くそう、ならば今俺はどうやって呼吸をしているんだ。そうか、今俺は吸っている空気 と一緒になって世界に溶け込んでいっているに違いない。おのれ世界、俺という存在を吸収してどこにいこうという気だ』 と呟き体育座りで落ち込んでいるのをレッドとチョッパーが励ましている横で、レナがイスカンダルにそっと囁いた。 「ああやってグラハムさんを誘き出して……あの敵意に私たちがどう反応するのか、見たかったんだよね?」 「あの男の乱入は予想外だ。まさか、そこまで分かっていてああ言ったのか?」 「流石にそこまで余裕はないかな?かな?」 「読めん娘よ」 笑顔で首を傾げるレナに、イスカンダルは笑みを浮かべる。 と、突然『ああ、そうだ!』と叫ぶ声がして、2人はそっちを見やる。 そこには笑顔で立ち上がるグラハムと、それを見て唖然とするレッドとチョッパーがいた。 「楽しい、楽しい話をしよう!俺は今世界と共になった、空気になった!つまりは俺がどこにでもいる人間に必要な要素 の一つになったってことじゃないか!人間は空気がなければ生きられない! これが楽しくなくて何が楽しい! 空気万 歳だ!さあ、踊ろう命の恩人B!」 「え?ちょっ、あっ、うおおおおおお!?」 「チョ、チョッパーー!?」 「…………何なのだろうな、あ奴は」 「レナもよくわかんない、かなぁ……」 ***** 「そうだ!」 改めて5人でテーブルを囲んだ時、チョッパーが突然声を張り上げた。 「一体どうした医術師」 「せっかく俺たち、仲間になったんだし」 「余はあくまで見極める為の同行よ。仲間とは少し違う」 「俺はこのおっさんを認めてはいない」 「うううううううう……」 イスカンダルに警戒心むき出しのグラハムに、チョッパーが少し涙目になる。 レッドとレナがなんとか元気付け、話の続きとなった。 「その証を作ろうと思うんだ!」 「証?」 「つまり、私たち、あるいは私たちと志を共にする人たちの、その意志の証明、ってことかな?かな?」 「そう!」 「でも、証ってどういうことだ?」 「ちょっと待っててくれ」 チョッパーが自分のデイパックを寄せ、中を探る。 4人が静かにそれを見ていると、チョッパーが中から何か取り出しテーブルの上に置いた。 それは、救急箱から取り出した包帯とメモ用の紙、筆記用具だった。 「これはおれ達が前にやったことなんだけどさ。まず、腕の手首とかにこういう印をつけるんだ!」 チョッパーが筆記用具でメモに『×』の印を書く。 それを見たイスカンダルはやや冷ややかな口調。 「それを我らの協力者の証とするのか? 確かに、それならば別行動をしていた時に出会ったとしてもわかりやすいが、 だがそのようなもの、一見で証だとわかりやす過ぎる。マネでもされたらどうするのだ」 「へへーん。ところがそうじゃねえんだ」 チョッパーは徐に包帯を掴むと、それを自分の右手に巻きつけた。 一目では腕のを怪我したようにしか見えない、手首の布。 「……なるほどのう」 「へえええ。チョッパーくん凄い!」 その意図を悟ったイスカンダルとレナが感心した風な声を上げる。 対して、グラハムとレッドはイマイチ分かっていないらしい。 仕方なく、レナが説明に回る。 「手に書き込んだ印の上に、さらにこの包帯を巻くの。もし、仲間だって偽ろうとする人がいたら、複数の人が包帯を手 に巻いてたらそれが証だと思うでしょ?」 「あっ」 「うん。でも、下の印には気付かない。本当の印は、レナたちから本当に聞かないとわからない。だから、包帯さえ取 っちゃえば、その人が本当に仲間なのかどうか、すぐにわかるの。 だから、本当に信用した人にだけこの印を教えれば、仲間が本当に信用した人だってすぐにわかる」 「理解した。しっかり理解したぞ命の恩人A。そして凄いじゃないか命の恩人B」 「ほ、褒められたってうれしかねーっての♪」 「医術師、そろそろそのパターンに変化はないのか」 チョッパーは身を悶えつつも、かつての事を思い出していた。 この方法は、かつて自分たち麦わら海賊団がアラバスタにて敵に変装の能力者がいることから考えた方法だ。けれど、 今やあの証はただの判別の為の物ではない。 (おれは、皆と仲間になりたい。臣下につけとか言うけどイスカンダルもいい奴らしいし、レナはちょっと怖いけどいい奴だ。 レッドもおれのこと『ポケモン?』とか言うけど、イエローって子のことを思ってるのは本当だもんな。グラハムはこん なおれの為に武器を持って飛び出してくれた。だから、この証で、みんなとの仲が深まればいいな、って思うんだ) かつて、海で腕を突き上げた記憶、それが彼の心にありありと蘇っていた。 「しかし……この印は気に入らん」 「え?」 「他の集団のお下がりというのはどうもな」 「はう……レナも、ちょっと『×』は縁起が悪いかなぁ」 「え?え?」 「俺も、もうちょっとなんか元気がでそうなのが」 「え?え?え?」 「命の恩人B。悲しい話だが、俺もそう思った」 「そ、そんなぁ~~」 ずーん、と落ち込むチョッパーを尻目に、イスカンダルはこめかみに拳を押しやり、何か考えているようだった。 やがて、閉じていた目を開き、自身の筆記用具とメモを取り出すと、簡単に何かを書きこんだ。 「そう落ち込むな。アイデア自体が悪いとは言っておらん。ただ、仮初とは言えそれは主催に敵対する我らが旗印となるもの。 ならば、我ら独自の物がいいとは思わんか?」 「え?」 「主催どもに見せ付ける我らが意志の表れよ。……『×』は縁起が悪いといったな、娘」 「う、うん」 「ならば……こちらはどうだ?」 イスカンダルがメモを4人に見せ付けた。 そこには4人もよく知るある図形があった。 至ってシンプルで、至って描きやすい。 彼の言うとおり、『×』と対極にある、その図形。 「『○』……」 円形。丸。 一筆書きで書ける簡単なシンボル。イスカンダルが描いたのはそれだった。 「そうだ。円形。これくらい着飾っていない、単純な印もよかろう。 どうだ? 縁起は悪くなかろう。 それに、こいつには我が野望の意味も込めてある」 「野望って?」 「余にはこいつがいつか手に入れる世界にも見えるのでな。 奴らを倒した暁には、余は世界を手に入れる。その野望もまた、ここには含んであるのだ」 そう言うと彼は、筆記用具の中からサインペンを出し、自分の右腕の手首に『○』を描きこみ、突き出した。 「この印を是とし、余の眼に晒されるを良しとするならば腕を突き出せ。 イスカンダルの名において、臣下を見極めるべく、お前達に余を主と認めさせるべく、この印が下に行動を共にする事を誓おうぞ」 「俺は……もちろん、いいよ。 でも、俺にはその印、俺たちの勝ち星に見えるな。もちろん、負け星は……ギラーミンだ!」 レッドがそれに続き、サインペンで『○』を右腕に書き込み、突き出す。 「俺も誓う! イエローの命も意志も無駄にしない為に、ここにいる皆と一緒に必ず生き残って、帰るって! そのためなら、どんな困難にだって戦ってやる!」 「うーん。×も良かったけど……でも、『○』もいいな!! おれには、太陽に見えるぞ! おれたちを照らして、船の行き先も照らしてくれる真っ赤な太陽だ!」 言いだしっぺのチョッパーも『○』を書き込むと、かつてのように突き出した。 「おれも誓うぞ! 命は大事なんだ。それを踏みにじる殺し合いなんてみとめねえ! 絶対止めてやるんだ! 仲間と、一緒に!」 「チョッパーくんが太陽なら、レナは月に見えるかな、まん丸お月様。 なんでか、いざやるぞ、って思ったら満月が想い浮かんだの。理由はそれだけ」 レナも同じく○を腕に描き、突き出す。 「レナも誓うよ。必ず帰る。あの平和な雛見沢に。……部活のみんなと、ここにいる皆、どこかにいる反抗する人たちと一緒に」 「…………」 「お前さんはどうする?別に無理してせんでもいいぞ」 「笑えない、笑えない話をしよう……勝手に決めるな、おっさん。 その印のように、大きな穴を体に開けて欲しくなければな」 イスカンダルを見て嫌々な顔をしていたが、サインペンを取ると素直にその腕に印を書き込み突き出した。 「あんたが仕切っているようなのは気に入らないが、命の恩人2人は俺が守ってやる。仇で返すようなマネはしない。 それに、ラッドの兄貴を悲しませた主催共に反抗する気持ちは俺も同じだ。 俺も誓ってやる。この殺し合いそのものを、俺が壊してやる。そう、丸い大穴では済まさない、完全に壊してやる。 本来形のないものを壊すのは性に合わないが、ラッドの兄貴のためなら、そんな無理はひっこめてやる」 「よかろう。ならば、各々それぞれの誓い、そしてこの印が元に! あらゆる困難に立ち向かおうではないか! 優勝を狙う輩、弱者を弄ぶ外道者、そして果てには主催者よ! 来るなら来るがいい! ただし、その愚行には相応の罰があると知れ! 共に往こうではないか! この印を持つに相応しい同士を捜しに!」 高らかにイスカンダルが叫ぶ。 突き出された5本の腕。 そこに描かれる『○』印。 5つの誓い、5つの意味、5つの魂をその元に。 それを見つめる者たちの顔には、ほのかに希望というものが覗いていた。 そんな、希望を。 絶望の蛇は、舌をなめずり嘲笑う。 ***** 「良い事を聞いてしまいましたねぇ~~!」 静かな図書館の一室で、その独特な口調の声は鳴り響いた。 声の主は、スーツにサングラス、白髪というこれまた独特な容貌の男、無常矜侍。 その足元にはフッシーという四足歩行のポケモンがおり、そこから伸びた蔓がすぐ前に落ちている白い布でできたもの の中に伸びている。 無常の腕には腕時計のようなものがついている。腕時計と違うのは、時計がある場所に、黒くて小さなカタツムリに似た 生物がくっついているところのみ。 無常矜侍が図書館でレッドを見つけたのは全くの偶然だった。 自分に圧倒的な力があり、優勝を目指すのが難しくないのは間違いない。 だが、気になることはあった。先ほど手に入れた『ポケモン』の存在だ。 無常は今までこんな生物は見たことも聞いた事もない。少年のアルター、ではないようだし、無常はこの存在に酷く興味を抱いた。 そこでまずは情報を集めよう、と図書館に向かっていた。 図書館を見つけた際に、入っていくレッドの姿を見かけた。 (おやおやおや。庇った人間が死んだというのに元気ですねぇ) ニヤニヤとしながらその様子を物陰から確認した無常は、すぐに入らず図書館の入り口を見られる民家に一旦身を潜めた。 後を追って今度こそ殺す事も考えたが、図書館の前にあからさまに止められたバイク。それが彼を押しとめた。 もし中にいるのが自分のような優勝狙いの者ならばレッドは殺される。無常が手を下す必要はない。 レッドと同じようなやる気のない奴ならば、一緒に出てきたところを仕留める。いくらいようとも自分の前では有象無 象。何の問題もない。 要は泳がせるということだ。小魚を釣らず、それを食おうとする大物を狙う釣り人のように。 だが、大分時間が経とうとも一向に誰も出てこず、戦闘の音すらしない。 痺れを切らした無常は、アルター発動の準備をしつつ、図書館の中へ入った。 朝日が差し込んできた図書館の中を捜し歩いたが、バイクの持ち主はおろか、レッドの姿すら見つからなかった。 裏口でもあるのかと思ったが、そんなものはなかった。 どこに行ったのか、と考えた無常の目に、床に無造作に落ちている白いものが眼に入った。 掴みあげれば、ポケットに見えるそれ。中に何やら空間が広がっているのは見てわかった。 だが、無常はそこに迂闊に顔をつっこんだりはしない。支給品の正体がわからないならば、慎重に対処した方がいい。 そこで、無常は『道具』を最大限に使う事にした。 レッドから奪ったフッシーとやらをボールから出し、自分に対して使われたつるのムチを出すように命じた。無常は技 名を知らないので、フッシーはどうすればいいか迷っていたが、そこは無常なりの『躾け』で、やっと蔓を出すことに成功した。 (やはり生きている道具には傷みで教えてやるのが1番ということですよぉ) フッシーの体の数箇所には浅い、それでも痛みを伴う怪我が刻まれている。無常のアルターによるものだ。 そうして、蔓を出させた無常はその先に、電伝虫というカタツムリのような生物を結びつけ、ポケットの中に電伝虫と 共に蔓を伸ばさせた。自分は腕に黒い電伝虫と装着する。 これは無常の支給品の一つで、盗聴用の黒電伝虫と盗聴器用の電伝虫のセットだ。黒電伝虫は盗聴の名の通り、自分か ら言葉を伝える事はできない。できるのは、向こうからの音声をこちらに伝える事だけ。盗聴器用もまた、向こうの音声 を聞き黒電伝虫に伝えるのみで、受話器がついておらず向こうにこちらからの音声が伝わる事はできない。 つまり、完全に盗聴器の代わりにしかならない電伝虫のセットだ。 無常はコレを使い、この空間の先を探ろうとした。もちろん、勢いよくではなく、慎重にポケットを覗き込み、遠くに見える光の先に出ないように。 果たして、黒電伝虫から音声が聞こえてきた。 『悲しい、悲しい話をしよう』 (いやぁ、すっかり元気になられたようで! 彼女はやはり死んだようですねぇ。お悔やみ申し上げましょうか、ハハハハハハ!!) 向こうから聞こえてくる、レッドを含めた5人分の音声を聞きながら無常は愉悦に浸っていた。 スペアポケットの口ギリギリの電伝虫が5人の会話を逐一無常に伝えていく。 だが、会話の内容はだんだんと深刻になってくる。彼の表情も、自然と変わる。 更に愉悦を含めた笑いに。 (いいアイデアです! ええ! この無常矜侍、素直に感服いたしました! 素晴らしい! ああ素晴らしい! ですが……それを私に聞かれていたのは、ざぁんねんでしたぁ!) 無常は○印のアイデアを全て聞いていた。それを主催に対抗する者の証にする、と。 「そうとなれ、ば」 無常はフッシーをボールに戻し、電伝虫も回収すると、くるりと踵を返した。そのまま図書館の入り口まで向かう。 ここでポケットを通り、5人を強襲するのは難しくはない。自身には強力なアルター能力がある。5人程度、いくらでもなんとかできる自信はある。 だが、それでは面白くない。 (ほのかに芽生えた希望、それをここで刈り取ってしまってはねぇ。 希望を伸びるだけ伸ばし、育つだけ育て、そしてそこで無慈悲に刈り取る! その時最高の希望は最悪の絶望へと姿を変えるのです! アッハハハハハ!なんと甘美な未来でしょうか!想像しただけで胸がお!ど!る!) 自分が得た情報はいくらでも料理の仕様がある。 優勝狙いの者どもに、それとなく教えて奴らを騙すよう仕向けてもいい。 別の反抗者に、印は優勝狙いたちの同盟の証だと誤情報を流してもいい。 全ては、自分の掌の上。 自分の存在は全く悟らせないためにこの場は早急に去る。 バイクやポケットがある以上、奴らが戻ってくる可能性は高い。 希望が踏み潰される事を直前まで知らない方が、無常は絶望が深いと考えたからだ。 「アハハハハハハハ! アーッハッハッハッハッハ!!」 無常は大きく高笑いしながら、図書館の外へと出た。 その眼には、絶望に染まる者たちの顔だけが見えていた。 【B-4 市街地 民家内 1日目 早朝】 【チーム名:○同盟】 1:主催者の打倒。 2:出会い、信用した相手に印のこと(腕に○の印を描き、その上に包帯等を巻く)を教える。 3:サングラスにスーツの男(無常)を警戒。フィーロ、クレアという女性を信用(グラハム以外) 【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】 [状態] 健康 右腕に○印 [装備] 小型レンチ 包帯 [道具] 支給品一式 未確認支給品1~3 ドライヤー [思考・状況] 1 とりあえずはグラハム・チョッパー・イスカンダル・レッドと行動する。 2 部活メンバーと合流したい(ただし、積極的に探すかは保留) 3 何とかして首輪を外したい 4 イスカンダルの勧誘は保留。 ※チョッパーから軽く自己紹介を受けました。ルフィたちやクロコダイルの情報はまだ知りません。 ※幻聴はとりあえず消えましたがまた出てくる可能性があります。 ※屋敷から見える街道に誰かが通るかもしれないと意識をしています。 ※濡れた服はドライヤーで乾かしました。 ※屋敷の洋服ダンスのなかからグラハム用のかぁいい服を見つけてきました。 【トニートニー・チョッパー@ONE PIECE】 [状態] 健康 人獣型 腕に○印 [装備] なし 包帯 [道具] 支給品一式 確認済支給品0~2、 タオル、救急箱 [思考・状況] 1 グラハム・レナ・イスカンダル・レッドと行動する。 2 グラハムの様子を見る。 3 ルフィたちや巻き込まれた人たちと合流する。クロコダイルは倒す。 4 ギラーミンを倒し、脱出する。 5:イスカンダルの臣下になるかはとりあえず拒否。 ※レナからはあまり情報を受けていません。圭一たちについての情報は知りません。 ※参戦時期は不明。少なくともCP9編以降。 【グラハム・スペクター@BACCANO!】 [状態] 健康? 腕に○印 [装備] 包帯 [道具] 支給品一式、(うち磁石は破損)、スペアポケット@ドラえもん 海楼石の網@ONEPIECE、二重牙@トライガン・マキシマム、かぁいい服(詳細不明) [思考・状況] 1 レナ・チョッパーを助ける。 2:イスカンダルに敵意。 3 殺し合い自体壊す 4 ラッドの兄貴と合流、兄貴がギラーミンを決定的に壊す! 5 イスカンダルの勧誘は断固拒否。 ※後遺症等があるかどうかはわかりません。 ※元の青つなぎを着ています。かぁいい服はデイパックに入れました。 ※二重牙は枕元においてあったチョッパーのデイパックから借りたものです。 ※4人の会話を途中から聞いたので、レッドたちがクレアを信用していることを知りません。 【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】 [状態]:健康 腕に○印 [装備]:張維新の衣装とサングラス@BLACK LAGOON 包帯 [道具]:基本支給品一式 きせかえカメラ@ドラえもん きせかえカメラ用服装イラスト集 イリアス英語版 各作品世界の地図 [思考・状況] 1:バトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。聖杯で望みを叶えて受肉する。 2:レナたち4人を見極め、自らの力を示す為に同行する。 3:四次元ポケットとバイクを回収しに図書館へ戻りたい。 4:首輪を外すための手段を模索する。 5:有望な強者がいたら部下に勧誘する。 6:アーチャー(ギルガメッシュ)を警戒する。 【備考】 ※ヤマハV-MAXセイバー仕様@Fate/Zeroは図書館入り口に停めてあります。 ※四次元ポケット@ドラえもんは図書館の中に放置されています。 ※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。 ※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。 本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。 ※レッド・レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。 【レッド@ポケットモンスターSPECIAL】 【状態】:疲労大 背中に擦り傷、左肩から出血(両方とも簡易治療済み) 腕に○印 【装備】:包帯 【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0~2個(確認済み。モンスターボール・スコップなどの類はなし) 【思考・行動】 1:殺し合いを止める。必ず生き残る。 2:ライダー・レナ・グラハム・チョッパーと仲間を捜す。ただし慎重に。 3:ある程度はライダーを信用していますが…。 3:赤い髪の『クレア』に会ったら、フィーロの名前を出す。 4:絶対に無常からフシギダネと取り戻す。 【備考】 ※参戦時期はポケモンリーグ優勝後、シバの挑戦を受ける前です(原作三巻) ※野生のポケモンが出てこないことに疑問を持ってます。 ※フシギダネが何故進化前か気になっています ※ライダーと情報交換を行いました。 ※『クレア』をフィーロの彼女だと勘違いしています。 ※後回しにしていますが図書館にあったパソコンに興味 【D-4図書館/一日目 早朝】 【無常矜持@スクライド(アニメ版)】 【装備】:ハンドガン@現実 予備段数×24 【所持品】:基本支給品一式×2、不明支給品0~3個(確認済み)フシギダネ(モンスターボール)@ポケットモンスターSPECIAL 、 黒電伝虫と受話器なしの電伝虫のセット@ONE PIECE 【状態】:健康 【思考・行動】 1:殺し合いで優勝する 2:○印の情報を利用する。 3:カズマ、劉鳳、クーガー、あすかの始末 4:レッドや同行者たちとはまた会いたい 【備考】 ※ポケモンは一度モンスターボールから出し、10分が経過すると強制的にボールへ戻ります。再び使用するには2時間の経過が必要です。 また、基本的にはボールの持ち主の指示に従います ※何処へ向かうかは次の書き手さんにお任せします。 ※○印と包帯の情報を知りました。 ※レナ・チョッパー・グラハム・ライダー(イスカンダルのみ)の名前は知りましたが顔は知りません。 二重牙(ダブルファング)@トライガン・マキシマム リヴィオ・ザ・ダブルファングの愛用武器。 二つの大きな銃身を繋いだような形をしており、前後同時射撃が可能な代物。 黒電伝虫と受話器なしの電伝虫のセット@ONE PIECE 盗聴用で通話はできない黒電伝虫と、受話器がついていない電伝虫のセット。 時系列順で読む Back 荒城の暁 Next 吉良吉影は挫けない 投下順で読む Back 荒城の暁 Next 吉良吉影は挫けない Back Next 戦いへの想い 竜宮レナ どす黒い穴のその向こう側へ 戦いへの想い トニートニー・チョッパー どす黒い穴のその向こう側へ 戦いへの想い グラハム・スペクター どす黒い穴のその向こう側へ 戦いへの想い ライダー(征服王イスカンダル) どす黒い穴のその向こう側へ 戦いへの想い レッド どす黒い穴のその向こう側へ 思い出の中で 無常矜侍 どす黒い穴のその向こう側へ
https://w.atwiki.jp/holygrailwar-junne/pages/86.html
※ このページはあなたの楽しみをスポイルする可能性があります 本編未読の方は先に本編を読むことをおすすめします。 手っ取り早く情報を得たい方は↓ (ED後の戦闘は撃破数・死亡回数などにカウントしないものとします) +第六次聖杯戦争 第六次聖杯戦争 サーヴァント&マスター 一日目 二日目 三日目 剣 ガウェイン レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ 槍 ディルムッド・オディナ vs『キャスター』 vs『キャスター』→敗退 ??? 弓 ギルガメッシュ vs『バーサーカー』&『キャスター』→敗退 遠坂凛 騎 イスカンダル イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 魔 メディア vs『ランサー』→撤退 vs『ランサー』(一回死亡)→勝利 vs『アーチャー』(一回死亡) 衛宮士郎 暗 ハサン・サッバーハ(五次) 間桐慎二(間桐桜) 狂 呂布 vs『アーチャー』→勝利マスター生存判定失敗 間桐雁夜 中盤戦 サーヴァント&マスター 四日目 五日目 六日目-1-2 剣 ガウェイン vs『キャスター』→敗退 レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ 槍 ディルムッド・オディナ ??? 弓 ギルガメッシュ 遠坂凛 騎 イスカンダル (vs『キャスター』→勝利) イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 魔 メディア vs『セイバー』→勝利 vs『ライダー』→敗退(一回死亡)----朝から再開 衛宮士郎 暗 ハサン・サッバーハ(五次) 間桐慎二(間桐桜) 狂 呂布 間桐雁夜 終盤戦 サーヴァント&マスター 七日目 八日目 ED 剣 ガウェイン レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ 槍 ディルムッド・オディナ ??? 弓 ギルガメッシュ 遠坂凛 騎 イスカンダル vs『キャスター』→敗退 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 魔 メディア vs『ライダー』→勝利優勝 vs『アサシン』(一回死亡)→勝利 vs『初代』→勝利、聖杯獲得vs『両儀式』→敗北 衛宮士郎 暗 ハサン・サッバーハ(五次) vs『キャスター』→敗退 間桐慎二(間桐桜) 狂 呂布 間桐雁夜 マスター 所要日数 死亡回数 撃破数 マスター殺害数 令呪使用 最高感情 聖杯 衛宮士郎 8 4 4 0 0 『愛情』 ○
https://w.atwiki.jp/multiple/pages/439.html
「AAAALaLaLaLaLaLaLie――――ッ!!!!」 瓦礫に砂塵吹きすさぶ町並みに大英雄の咆哮が響き渡る。 そしてイスカンダルと御坂美琴を乗せてアスファルトを踏み砕く神馬ブケファラスの蹄音。 その進む先は竜巻の如き豪風、その中心。 待ち構える怪物の名はミュウツー。 台風の語源となった神話の怪物テュポーンのように、旋風巻き起こるそのど真ん中で立ちはだかる。 轟ッ――――と風がさらに力を増す。 人をやすやすと吹き飛ばすその威力は、神馬の突撃すら風のみで踏みとどまらせる力を持つ。 「ぬう!」 「おっさん、どいて!」 増幅された豪風に対して、踏みとどまるブケファラス。 手綱を引くイスカンダル。 そしてその背から顔を出す御坂美琴。 「何をする気――」 「ぶっぱなす!」 イスカンダルが問う間に、青白い火花を帯びたコインが、一直線に空間を貫いた。 美琴の代名詞たる超電磁砲だ。 一筋の閃光が道路上を渡って疾走、音速の壁を越えた衝撃波が空間を揺さぶる。 だが、それをミュウツーは風の壁で跳ね返す。 「んならあッ!」 あっさりと弾かれた。だがそれにショックを受けるほど、今の美琴のメンタルは弱くない。 今度はコインを三枚ほど取り出し、連射。 またも青白い火花とソニックブームの衝撃音がビル街に轟いた。 ガォガォガォン――! 直撃音。だがその音質に違和感。 三つの音が一つに重なった甲高い反射音。 そこから一瞬遅れてあちこちのビルが破砕、瓦礫をばらまく。 本体には当たっていない。 いったいどうすれば届くというのか。 だが――、 「弱まった!」 「よし、行けぇブケファラスよ!」 主たるイスカンダルの命令に神馬は大きく嘶き、そしてわずかの時間、弱まった逆風の中を再び駆けだす。 牽制に何度も超電磁砲を放ち、風の威力を殺しながら美琴がんだ。 「正直、そろそろ電池切れだわ。一気にケリつけるわよ!」 「ふん、心得た!」 激戦続きで、美琴の能力の根源である電気はとっくの昔に枯渇しつつある。 それでも真紅から譲り受けた支給品である改造スタンガンからの補給で、どうにかここまでもたせる事ができた。 だがそれがいつまでもつか、と美琴は考える。相手は風だけで近寄ることすらままならない力を持っている。 しかも自分の必殺技であるはずの超電磁砲すらあっさり弾き返し、連射が牽制程度にしかならない。 (――あの白い外見といい、アイツを思い出すわね……ったく) 学園都市第一位。 因縁の相手。 妹達を一万人以上も虐殺した白髪の殺戮鬼。 怒りのままに、殺す気で撃った超電磁砲を跳ね返され、手も足も出ず。 一方通行――――、 「――それでも今のあたしは、止まってなんかいられないのよ!」 相手に手を出させないよう、間断なく三連射。 超電磁砲はもともと連射にむかず、三点バーストを繰り返すのはきついが、そこは多少の無理でどうにかこなす。 しかし電力の枯渇は間近だ。それだけはどうにもならない。 「頼んだわよ、おっさん」 「おうよ!」 敵との相対距離は30メートルほど。 ここが間合いだ。ついに届いた。 ブケファラスが飛ぶように駆け走る。 神馬は強烈な向かい風を切り裂き、一足飛びで白い怪物へ肉迫する。 「我が名はイスカンダル――!!」 大音声で名乗り、象剣ファンクフリードの一撃を大上段から振るう。 怪物がそれを真っ向から受け止める。 強烈な衝撃が、怪物の足元に位置するアスファルトに蜘蛛の巣状のひびを生んだ。 そのときイスカンダルは見た。 怪物がその手に持つ、風に包まれた不可視の刀身――黄金の聖剣。 紛れも無い、騎士王が伝説を刻んだ幾多の戦場で共にあった、約束された勝利の剣。 かつて真っ向勝負で自らの戦車を打ち砕いた、兵を、軍を、城すら打ち砕く、その名はエクスカリバー。 「貴様がなぜそれを持っているかは知らん! だが――!」 間髪入れず二撃目。 もう一方の手に持つ槍、破魔の紅薔薇。 怪物はそれをいつの間にか手にした巨大なスプーンで受け止めた。 「やるのぉ!」 「……!」 膠着状態だ。 だが、イスカンダルは感じていた。 黄金の剣が青白く輝きを帯びた風を纏っていることに。 今までの旋風とは別の、殴りつけるような圧を帯びた風が生まれ始めていたことに。 そして結論を得た。 いかに竜巻でも美琴の超電磁砲を跳ね返すなど不可能だ。 跳ね返したものの正体は、これだ。 いや、竜巻と青い剣風の合わせ技。 『爆ぜろ、風王結界』 「ぐぉ……!!」 跳ね返される――と、イスカンダルは予感した。 ブケファラスの巨体が浮き上がり、足元定かでない感覚。 一瞬後に馬ごと吹き飛ばされるであろう、と。 「――!!」 だが、その一瞬に予測を打ち破ったのは美琴だった。 その手に構えるのは、いつのまにかイスカンダルの荷物から取り出した、無骨なスーツケース。 ケースの横っ腹に空いた大穴を怪物に向けている。 その大穴は砲口だ。 真紅の鉄杭――クリムゾンネイルを放つ砲口だ。 その凶悪な砲口が火花を散らす。 美琴の電磁力だ。 大砲の弾よりも巨大な鉄杭が、美琴の力でさらに加速するクリムゾンネイル・レールガン――!! 「いっけぇぇ――――――――ッッ!!!!」 その炸裂音は爆撃。 弾頭が音速を超えた衝撃波がさらに上乗せされる。 イスカンダルはとっさに美琴を抱きかかえ、ブケファラスにしがみつく。 感覚がおかしくなるほどの轟音を至近距離でくらい、神馬は大きくよろめいた。 だが主人をその背から振り落とすような真似はしない。 爆心地と呼べる場所から10メートルほど後ずさり、なんとか踏みとどまった。 「無茶なことをしおって……!」 イスカンダルは顔をしかめた。 砂塵が巻き起こり、視界を遮る。敵はどうなったのか確認できない。 では味方はどうかというと――、 「ぎぃっ……!」 「脱臼か!? バカモノめ! だから無茶だと――」 撃った瞬間の強烈な反動で、美琴の手首の間接が外れていた。 魔人の武具たるクリムゾンネイルを、身体的には一般人の枠をでない美琴が撃てば、こうなるのは自明の理。 だがイスカンダルが驚愕するのはここからだった。 外れた関節が見る間に元度入りになっていく。 「まさか貴様も不死身とやらなのか……」 「いやぁ私もよく分かんないけどね……今、この状況なら丁度いいじゃない。ほら――」 美琴が顎で敵の方を指し示した。 見れば砂塵は晴れ、その向こうに敵の姿がある。 美琴の撃ち放った必殺の鉄杭は、怪物の肩部分を大きく抉り取っていた。 だがその傷もまるでフィルムを逆再生するように塞がってしまう。 常識を超えた再生能力をあちらも持っているということだ。 「どいつもこいつも……!」 「……ま、だから丁度いいってわけよ。これ、借りてくわね」 プケファラスから飛び降り、そして地に落ちていたクリムゾンネイルのスーツケースを担ぐように持ち上げ、敵へと一歩踏み出す美琴。 怪我をしても治らない人間は前衛で戦わなくてもいい。 自分ならばいくら傷ついても何とかなるだろう。 そう考えて、美琴はイスカンダルの前に出る。 だがもちろん、それを黙って良しとする征服王ではない。 「待てぃ!! 貴様が考えていることぐらい察しがつくが、余がそんなつまらん考えに乗ると思うか!!」 「……別にどうだっていいでしょ。あたしが勝手にやるのよ。だからアンタもそんなに戦いたければ好きに……」 「無論、そのつもりだ。だが暫し待て。余はどうしてもあやつに聞かねばならんことがある」 王の威厳を漂わせた重い声だった。 自分のみならず、誰かの命運を背負って放つ言葉だ。イスカンダル個人ではなく、アレクサンダー大王としての言葉。 その声を無視できずに立ち止まる美琴の横にブケファラスの轡を並べ、そして征服王は再生をほとんど終えた敵をまっすぐに睨む。 「我が名はマケドニアの征服王イスカンダルなり――!!」 相手はその名乗りに応えない。 ただ聖剣とスプーンを構え、そして再び風を生む。 その風に砂塵が舞う。 ブケファラスのたてがみが風に踊り、イスカンダルのマントがはためく。 その姿がまるで歴史映画のようだ、と美琴は思った。 「我が盟友、獣の耳をもつわらべを、アルルゥを殺したのは貴様に相違ないか!!」 「――ッ!!」 怪物がその言葉を聞いて、大きく揺れ動いたのを美琴は見た。 イスカンダルは巌のような迫力を保ったまま動じず、さらに問う。 「相違ないのか? 余はその答えをどうあっても聞かねばならん。どうなのだ!!」 『………………そのとおりだ』 先刻と同じ、聴覚を無視してテレパシーで頭に届く声。 怪物はやや俯き加減で、初めてイスカンダルの問いに応える。 「ならば更に問う。なぜ一度は攫っておきながら殺した。その理由を語る気はあるか?」 『………………ない』 美琴が見上げれば、イスカンダルの表情には大きな険があった。 この偉丈夫は怒っている。その怒りがさらに声を重くする。 「理由を語り、その行動を悔いるならば事情を聞いてやらんでもない。だがそうではないと。そう答えればどうなるかも分かっているのだな」 『語る気はない。「オレが」そう決めたからだ。それは何があっても揺らがない』 「よかろう――」 イスカンダルが発した最後の言葉は死刑宣告だ。裁判は終わった。 あとはその剣を振りかざし、首を落とすだけ。そう決めた審判の一声だった。 こいつは王だ。たった独り、だがその独りの王だ。 王は王である限り、独りであっても、万民の王であっても、その意思を揺るがすことはできない。 「ならば名乗れ!! かつて盟約を交わしたアルルゥの死に報い、その魂を安んじるために、このイスカンダルが貴様を討ち果たす! アルルゥを殺した貴様は何者だ! 揺らがぬ決意があるのなら、それに懸けて堂々たる名乗りを上げてみよ! 名乗れ、怨敵よ!!」 『オレは…………オレの名は…………ミュウツーだ!!』 怪物が名乗った。 同時に旋風が巻き起こる。 僅かに青白い輝きを帯びた白銀の旋風が、再び竜巻となって、砂塵を、瓦礫を舞い上げる。 「うわぁ!」 「捕まれ美琴よ!」 「ご、ごめん! 助かった!」 「構わん。お主も盟友だからな」 吹き飛ばされかけた美琴を抱えてブケファラスの背に乗せてから、イスカンダルは確固たる意思をこめて巨大な竜巻を睨んだ。 相手は聖剣を携えた竜巻の怪物。災害の権化たる神話の竜そのもの。 稲妻の姫を抱き、王は大いなる勇気と、そして亡き友との誓いをもって竜退治に挑む。 「ミュウツーよ! 改めて名乗ろうぞ! 我が名は――――征服王イスカンダル!!!!」 ◆◆◆ 青銀の暴風がビル街の瓦礫を巻き上げ、そして地に叩きつける。 ミュウツーの操る風は、もはや災害そのものだった。 その風に挑む二人と一頭は、時折ビルに身を隠しながら、常に移動し、反撃のチャンスを伺う。 イスカンダルがクリムゾンネイルの銃身を支え、美琴が加速させる鉄杭のレールガンは、敵の強力な暴風に阻まれて届かない。 もっと近い位置から撃たなくては、先刻のようにはいかない。 だが近づけない。 かといって、ぼやぼやしているとたちまち瓦礫の雨を叩きつけられる。 圧倒的な暴風のせいで機動力も十全とはいかない。 「このままでは埒があかんぞ、美琴よ!」 「わかってる!」 この瓦礫の雨と竜巻を超えて、再びミュウツーへと近づかなければならない。 策はある。だが電力が足りない。 充電用のスタンガンのスイッチを押す。 しかし、既に十分な電力は残っていなかった。 美琴は舌打ちして、スタンガンをアスファルトに投げ捨てる。 「作戦に必要な電力がもうないのよ。チャンスは一度、あってもギリギリ二度が限界だわ」 「博打だな」 「ええ」 「だが、この状況では是非もなかろう」 それが一かバチかの作戦でも、できないならばともかく、できるならばやるしかない。 そのチャンスを、この手でモノにするしかないのだ。 「そうよね。じゃあ、いくわよ」 「おう。美琴よ、思うように埒を開けよ」 合図とともに二人を乗せたブケファラスが駆け出した。 たちまち突風と瓦礫の雨が降り注ぐ。 まともに眼すら開けていられない暴風域の只中で、美琴はイスカンダルの背から、風の向こうのミュウツーを見る。 竜巻の壁がまるで空間を歪めている様で、はっきりと敵の姿を可視化できないほどだ。 この嵐を超えていかに近づくか。 「いくわよ!」 「おお!」 イスカンダルがクリムゾンネイルを構える。 彼の膂力ならば美琴のように脱臼することはないだろう。美琴の仕事は砲身に手を沿え、電磁力で加速させてやるだけでいい。 「1、2、3、二発発射!」 美琴の合図とともにイスカンダルが引き金を引く。 二発の鉄杭が火花と放電に伴うオゾン臭を撒き散らして突貫する。 それは竜巻の中心に届くかに思えた。 だが。 ――轟! 竜巻の中心が爆ぜた。 そして鉄杭が跳ね飛ばされて一発は近くのビル壁へ、もう一発はアスファルトへ突き刺さる。 ミュウツーの反撃。 路上に止めてあった乗用車が、まるで冗談のように宙を舞い、数台まとめて降り注ぐ。 だがその間にブケファラスは移動し、すでに次弾の発射準備が完了していた。 「1、2、3、もっかい二発発射!」 またも電磁加速されたクリムゾンネイルが二発。 またも竜巻の爆発。 またも赤い鉄杭がビル壁や地面に突き刺さる。 「いくわよ、ありったけ――!!」 崩れかけたビルの屋上に飛び移り、そこから残弾を全てミュウツーへ向けて撃ち下ろす。 文字通りの鉄杭の雨。 美琴の超電磁砲の連射限界は、確認してある限りは八発。 その八発を一気にぶちかました。 それを敵は爆発的な暴風で押し返す。 二つがぶつかり合う音は、風の爆烈音。 うねるように、または跳ねるように、鉄杭は風に跳ね返され、周囲に突き刺さる。 一発目――逸れて地面へ。 二発目――またも逸れて地面へ。 三発目――跳ね返されてビル壁に突き刺さる。 四発目――逸れて地面へ。 五発目――跳ね返されてそのまま飛んでいった。 六発目――逸れて地面へ。 七発目――わずかに逸れてそのまま敵の背後へ。 そして――八連射のラスト一発がついに壁を貫く。 「やった……!」 美琴は声を絞り出し、小さくガッツポーズ。 正真正銘の限界までの連射で、美琴の疲労はいよいよ極限に達しようとしている。 そしてイスカンダルも美琴の様子を見て、それを察していた。 ここが勝機。絶対に逃してはならない。 「よくやった! あとは任せよ、美琴! 良き臣民の働きには応えてやらねばな!」 「ちょ、誰が臣民……!」 「AAAALaLaLaLaLaLaLie――――ッ!!!!」 美琴を置いて、五階建てビルの屋上から、イスカンダルは神馬の手綱を握りしめ、一切の躊躇を見せることなく竜巻のど真ん中に飛び込んだ。 暴風のガードは相当に弱まっている。 その証拠に、先ほどまでは見えなかった敵の姿がはっきりと確認できる。 クリムゾンネイルに右肩のあたりを抉られ、だがたちどころに再生しつつあるミュウツーの姿だ。 動かぬ右手の代わりに左手でスプーンを前に突き出し、迎撃の構え。 そんな不完全な状態で征服王の渾身の一撃を防げるものではない。 「どおりゃっ!」 『――ッ!』 ファンクフリードの一撃でミュウツーの体勢が大きく揺らいだ。 イスカンダルはそこを狙って容赦なく第二撃を打ち込む。 ――が、そこでミュウツーの背中から、予測の外の斬撃が襲う。 「なんとぉッ!」 間一髪、破魔の紅薔薇で受けた。 それは尻尾で掴んだエクスカリバーだった。 千切れかけた右手から尻尾へと受け渡し、背中ごしに一撃。 かろうじて肩口を掠めただけで凌いだイスカンダルは獰猛な笑みを浮かべた。 「やるのォ、貴様! 強いではないか!」 『……!』 黄金の剣と紅の槍の鍔迫り合い。 純粋な力ではイスカンダルが勝るようだ。 徐々に押し込んでいく。 だが、ミュウツーには風の加護がある。 『爆ぜろ、風王――なに!?』 エクスカリバーの爆風で吹き飛ばそうと真名を開放しかけ、そこでミュウツーの表情が歪む。 それを見てイスカンダルがニヤリと笑った。 爆風が発生しない。 イスカンダルがそれを封じたのだ。 「ランサーとセイバーの戦いを見ておいたのが、こんな所で役立つとは僥倖、僥倖!」 鍔迫り合いの体勢のまま、さらにぐいぐいと押し込む。 破魔の紅薔薇の能力は魔力封じ。 この力で、聖剣が発生させる魔力の風を抑え込んでいるのだ。 かつて第四次聖杯戦争で、本来の槍の持ち主であるディルムッドが、まさにこのエクスカリバーの風を封じたのをイスカンダルは見ていた。 それがここで生きるとは――――イスカンダルは戦いの流れがこちらに来ていると踏む。 ここで押し込む。そして押し切る。 距離を取られては、また竜巻の壁に阻まれる。 道を切り開いてくれた美琴はもう限界だ。故に次はない。 ここで絶対に逃がしてはならない。 とことんまで押し込み、このまま甲冑組み打ちの間合いで叩き伏せるのみ―― 「ぬぅん!」 「ガブッ……!」 イスカンダルは鍔迫り合いから、槍を握ったままの左手を捻り、そのまま敵の顔面に叩き込んだ。 テレパシーではなく、顎を殴られて物理的に発した悲鳴を、ミュウツーが上げる。 さらに右手のファンクフリードを振り上げ、そのまま押しつぶす構えだ。 だがそこで尻尾に足をとられる。 「むう!」 『ガアッ!』 そのまま馬から引きずり下ろされる。 敵は主人のいないブケファラスを切り捨てようと聖剣を振りかざす。 「下がれ、ブケファラス!」 イスカンダルの命令によって、神馬は霊体化して姿を消した。 間一髪、何もなくなった空間を黄金の剣閃が切り裂いたのはその直後。 眼前の獲物を殺し損ねたミュウツーの眼がギロリと、地を這うイスカンダルに向く。 砂塵まみれの偉丈夫は、自分を地に伏せたその尻尾を決して離さぬよう握り締めながら立ち上がった。 「やる。やるな、貴様。流石に強いわい」 『……』 至近距離。 野獣のような笑みの征服王。 一方、全く表情を変えず、視線で純粋に殺意のみを叩きつける怪物の眼光。 「そこまでの強さがありながら、なぜわざわざアルルゥを殺めたのだ」 『……』 「争いを望まぬ子だった。か弱い童だった。貴様ほどの漢が殺さなくてはならん理由はなかったはずだ」 『……』 イスカンダルの瞳は笑っていない。 怒りと悲しみをこめた眼で、まっすぐにミュウツーを見極めようとしている。 「本当に貴様が殺したのか。今、余の心中には疑問が渦巻いている。貴様があの童を殺すような奸物だとはどうにも考えられん」 『オレだ。オレが殺した。貴様がどう思っていようが、それが真実だ』 「なにか理由があるのか。あの時、殺そうと思えば攫うことなどせず殺せた。なぜ攫った。なぜ殺した。真実は何だ」 『……』 命のやりとりの中で、王の眼は戦いとは別のものを見ていた。 ミュウツーがアルルゥを殺したという場面を誰かが見ていたわけではない。 ただミュウツーがそうだと言った。それだけだ。 『オレが、アルルゥを殺すようには思えないだと? ……なぜそう思う。今、この瞬間にも、オレは貴様を殺そうと考えているぞ?』 「余には、貴様が殺戮を楽しむような輩には見えん。ならば戦いには理由があるはずだ。戦いにもならぬ童を殺すのならば、なおのこと」 『それを聞いてどうするというのだ。聞いたところでどうにもなるまい!』 「あるのだな、理由が」 イスカンダルは握っていた尻尾を離す。 全身に纏っていた殺気が霧消する。 「もし、貴様が本当に殺したとしてもだ。理由があってやむなく殺したのであれば、貴様を倒したところでアルルゥの弔いにはならん」 『貴様……!』 殺気をこめて睨むミュウツーに、征服王は雄大にひとつ頷き、そしてその大きな手を差し出した。 「貴様の理由とやらを話せ。それを明らかにせねば、余が戦う理由はないからのう」 『そんなことは関係ない! アルルゥをどんな理由で殺そうと、オレが今、貴様らを皆殺しにすることとは関係ないんだッ!!!!』 ◆◆◆ ――ああ。 オレに理由なんてないんだ。 オレがミュウツーとして生まれたことにあるのは他人の都合、他人の理由だけだ。 自分の理由なんてない。 ギラーミンどもの都合で踊らされただけだ。 流されて、考えず、流されて、考えまいとして。 そのツケを今更オレに払えなんて言うのか。 レッドもイエローもいなくなった。 もうオレの居場所なんてどこにもない。 それでもオレにツケを払えっていうのか。 生まれようとして生まれたわけじゃない。 戦いたくて戦ったわけじゃない。 流されたくて流されたわけじゃない。 殺したくて殺したわけじゃない。 こんなところにいたくて、オレは生きてるわけじゃない。 だから、せめて、オレはオレの終わりを自分で決める。 それだけは、それだけは、オレから奪わないでくれ。 ――――すまない、アルルゥ。 ◆◆◆ 『――オレは、』 「む?」 いくばくかの沈黙があった。 征服王は怪物の言葉をただ、待った。 ビルの上からそれを見下ろす満身創痍の美琴も、固唾を呑んで見守った。 そしてついに解き放たれた声。 『オレはいでんしポケモン、ミュウツー』 『戦うために作り上げられた戦闘生命体』 『改造されて、兵器として生まれてきたオレは生物ですらない』 『だから戦うために理由なんかいらない』 『殺すために理由なんかいらない』 『戦う』 『殺す』 『しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね』 この時点でイスカンダルも、美琴も理解していた。 ミュウツーは怪物になったのだと。 怪物は人と言葉を交わさない。 人の意を解さない。 それほどまでの殺意。 それほどまでの狂気。 追い詰められた獣。 『しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね 目の前にいる、モノ、全て、しんでしまえ――――――――!!!!』 ◆◆◆ 出会ったときの最初の一声は――――、 「ミャー」 …………だった。 「あんた、私のクローンなわけ?」 「はい」 気味の悪い都市伝説。 超能力者量産計画。 学園都市ならば、そんな馬鹿げた科学技術が実現できないとはいいきれない。 いつか自分と同じ遺伝子を持つクローンが目の前に現れるんじゃないか。 下らない噂と一蹴しながら、心のどこかでそういうことを考えて怯えていた。 でも、実物が現れてみると、こんなあっさりな感じで――――、 「そこの双子、姉妹ゲンカはよくねーぞ」 「コイツは妹じゃないっ!」 「オイオイ冗談でもそんなこと言うもんじゃないぞ」 アイスクリーム屋のおじさんに姉妹と間違われて、アイスをもらったり。 「オイッ」 「何のことでしょう? と、ミサカはチョコミントの爽やかな余韻を楽しみつつシラを切ります」 そのアイスを盗み食いされたり。 「うん。鏡で見るより分かりやすいし客観視できるわね。こうして見ると結構アリって気も……」 「いやいや、ねーだろ。とミサカは、ミサカの素体のセンスに愕然とします」 「なっ何おう!」 缶バッジ取り合って。 「それにコレは――――お姉様に頂いた、初めてのプレゼントですから」 これじゃまるで本当の姉妹みたいじゃない。 『「妹達」を運用した絶対能力者への進化法』 『二万体の「妹達」との戦闘シナリオをもって絶対能力者への進化を達成する』 『第9982次実験』 『開始時刻』 『八月十五日』 『21 00』 悪ふざけにも程があるわ。 私を殺すとか、代わりにクローンを使うとか、レベル6進化計画とか――――、 「――――さようなら、お姉様」 別れ際の言葉が頭から消えなくて、杞憂であって欲しいと願いながら追いかけた。 人気のない、寂れたビル街の狭間に存在する裏路地。 橋を降りてコンテナ置き場へ。 そこで見たものは――――、 「何で……何でこんな計画に加担したの?」 「アァ? 何だイキナリ」 「答えて! それだけの力があって……無理やりやらされてるわけじゃないんでしょ! こんなイカレた計画に協力する理由は何!? あの子に恨みでもあったわけ?」 「……理由? 理由ねェ。そりゃあ――」 イカレた最強の能力者。 不吉な気配を漂わせるアルビノの白髪。 顔面をばっくり裂いたような狂った笑み。 学園都市第一位。 そして――――、 「何よ……それ……絶対的な力? ムテキ? そんな……そんな事でッ……アンタはッ! そんなッ!」 まるで子供が無邪気に虫の足をもぐように。 そして飽きたら無造作に捨てるように。 付け根から引きちぎられていた。 コンテナ置き場の砂利の上にどうでもいいみたいに捨てられていた。 血塗れの。 あの子の。 脚。 「そんなモノのために、あの子を殺したのか――――ッ!!!!」 ◆◆◆ . …………アンタ達……何なの……? おかしいよ……何でこんな計画に付き合ってるの? 殺されちゃうのよ? こんなの……ワケわかんない………… ――――何でよ!! 生きてるんでしょ!? 命があるんでしょ!? アンタ達にも……あの子にもッ!! 「ミサカは計画のために作られた模造品です」 「作り物の身体に借り物の心、単価にして十八万円の――――」 「実験動物ですから」 ◆◆◆ 【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】 [状態]:だいぶ再生した 多大な喪失感、大きな動揺、≪体内:全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero≫ [装備]:薔薇の指輪@ローゼンメイデン、ナース服、コイン。 [道具]:基本支給品一式(食料一食、水1/5消費)、病院で調達した包帯や薬品類 コイン入りの袋(装備中の物と合わせて残り59枚)、タイム虫めがね@ドラえもん、首輪(ジョルノ) 真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、蒼星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン ARMS『騎士(ナイト)』@ARMS、真紅の左腕(損傷大)、不思議の国のアリス@現実他、いくつかの本、ナースキャップ [思考・状況] 0:アイツと戦う 0:そん次、ライダーの同盟者と合流。 1:首輪を解体できそうな人物(第一候補はグラハム)を探す。 2:一人でも多くの人を助ける、アイツの遣り残した事をやり遂げる。 3:人は絶対に殺したくない。 4:自分と関わり、死んでしまった者達への自責の念。 5:上条当麻に対する感情への困惑。 6:ライダーと行動する。 【備考】 ※参加者が別世界の人間、及び参加時期が違う事を聞きました。 ※会場がループしていると知りました。 ※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました。 ※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。 ※地下空間の存在を知りました。地下にループ装置があるのではと推察しています。 ※会場は『○』の形に成っているという仮説を立てています。 ※全て遠き理想郷(アヴァロン)が体内にあることを知りません。 ※ラッドの事を『原石』(天然の能力者)かも知れないと考えています。 ※参加者についての情報は以下の通りです。 協力できそうな人物:レナ、沙都子、梨花、ゾロ、チョッパー、アルルゥ、佐山、小鳥遊、グラハム、ウルフウッド 直接出会った危険人物:ゼロ、ラズロ(リヴィオ)、メイド(ロベルタ)、宇宙人(ミュウツー) 要注意人物:白仮面の男(ハクオロ)、ヴァッシュ、水銀燈(殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める) ※首輪の機能について、以下のように考えています。 確実に搭載されているだろう機能:「爆弾」「位置情報の発信機」「爆破信号の受信機」「脈拍の測定器」 搭載されている可能性がある機能:「盗聴器」「翻訳機」 ※首輪は何らかの力によって覆われていて、破魔の紅薔薇にはその力を打ち消す効果があると考えています。 ◆◆◆ ――――オマエはこれより戦いの神になる…… ――――オマエは最も多くの死を振りまき…… ――――ついには屍の山の頂上で息絶える…… ――――地獄からの使者となろう!!!! ◆◆◆ 【E-5 /2日目 黎明】 【ミュウツー@ポケットモンスターSPECIAL】 [状態]:全快、首輪解除、制限解除 [装備]:約束された勝利の剣@Fate/Zero [道具]:基本支給品×3<アルルゥ、仗助、ミュウツー>、どこでもドア@ドラえもん(残り1回)、 第一の湖の鍵(E-)第二の湖の鍵(-5) 不明支給品(0~1)<仗助>、ひらりマント@ドラえもん トウカの刀@うたわれるもの、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、機殻剣『V-Sw(ヴィズィ)』@終わりのクロニクル [思考・行動] 1:戦って死ぬ。不退転。 【備考】 ※3章で細胞の呪縛から解放され、カツラの元を離れた後です。 念の会話能力を持ちますが、信用した相手やかなり敵意が深い相手にしか使いません。 ※V-Swは本来出雲覚にしか扱えない仕様ですが、なんらかの処置により誰にでも使用可能になっています。 使用できる形態は、第1形態と第2形態のみ。第2形態に変形した場合、変形できている時間には制限があり(具体的な時間は不明)、制限時間を過ぎると第1形態に戻り、 理由に関わらず第1形態へ戻った場合、その後4時間の間変形させる事はできません。 第3形態、第4形態への変形は制限によりできません。 ※概念空間の存在を知りました。 ※首輪解除による制限解除により、支給品に課せられた制限まで解除されるかは後続の書き手に任せます。 【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】 [状態]:魔力消費(中)、腹部にダメージ(小)、全身に傷(小)および火傷(小)、腕に○印 [装備]:包帯、象剣ファンクフリード@ONE PIECE、破魔の紅薔薇@Fate/Zero、 エレンディラのスーツケース(残弾30%)@トライガン・マキシマム [道具]:基本支給品一式×3、無毀なる湖光@Fate/Zero イリアス英語版、各作品世界の地図、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース 探知機(故障中)、 [思考・状況] 0:ミュウツーと戦う。 0:そん次、グラハム、沙都子との合流地点へ向かう。 1:バトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。 2:首輪を外すための手段を模索する。 3:北条沙都子を守る。 4:サーヴァントの宝具を集めて戦力にする。 5:有望な強者がいたら部下に勧誘する。 【備考】 ※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。 ※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。 本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。 ※レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。 ※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。 ※自分は既に受肉させられているのではと考えています。 ※ブケファラス召喚には制限でいつもより魔力を消費します。 ※北条沙都子もまずは同盟に勧誘して、見極めようとしています。 ※現在の魔力残量では『王の軍勢』をあと一度しか発動できません ※別世界から呼ばれたということを信じました。 ※会場のループを知りました。 ※オープニングの映像資料を確認しました 【改造スタンガン@現実】 真紅から美琴に渡った。リミッターをはずしており、生命に危険なレベルまで電力を上げることができる。 電池切れでE-5に捨てられた。
https://w.atwiki.jp/marurowa/pages/373.html
力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 終演を迎えし惨劇の舞台。 死者は4人。 残された者は9人。 1人は北の場にて休息を選び、1人も休息を選び北の場から去った。 そして、南の場には今6人の参加者が存在する。 3人はこの会場で作られた1つの○の元に誓いを立てた者達。 ○は一度別れここに集った。ただし2人の欠員アリ。 2人は長い間行動を共にした2人。 その間には固い信頼関係が存在していた。会ってまだ12時間も経っていないとしてもだ。 最後の1人は慢心と傲慢を貫く王。 従者は斃れ今彼はまた1人となった。 1つの惨劇が終わった場で、彼らは何を決するのか。 そして残った2人はどう動くのか。 ***** 南劇場ホール内。 劇場全てのホールと比べれば最も小規模なホールだ。 能や歌舞伎などの日本演劇の為に作られた舞台には桧が使われ、横に伸びた欄干が目を引く。 背面には松をあしらわれており和風舞台に恥じない様相だ。 もっともここにいる者でその舞台に目を惹かれている者はいはしないのだが。 「圭一……そんな、圭一!!」 100年の運命を越えた少女、古手梨花。 数多くの短い期間を繰り返した結果身体には不釣合いな大人びた本性を獲得してしまった彼女も今のこの事態にはなりふりを構わず動揺していた。 目の前には自らの運命を変えてくれた少年、前原圭一がいる。彼女が会いたかった仲間の1人だ。 だが、彼の足はぐちゃぐちゃに粉砕されており、その目は閉じられてもう目覚める気配はなかった。 「圭一……そんな、そんなぁ!!」 終わったはずだった。 繰り返される悲劇はもう終わったはずだった。仲間たちの手によって。 『繰り返される悲劇』の間なら、仲間が死んだとしても平気だった。どうせ次がある、という冷酷な諦めがあった。 だけど、もう悲劇は終わってしまったのだ。 もう仲間が蘇る事はない。 羽入の力を頼ろうにもここで話せた試しも見つけられた試しもない。 主催によって羽入の介入が阻まれているのか、羽入が殺されてしまったのかは分からない。 わかることは1つ。『次』はもう望めない。この牢獄では。 抜け出したはずの牢獄の外にあったのは、さらに過酷な牢獄だったのだ。 「梨花ちゃん……」 その圭一を手で支えていた少女は目の前で泣き崩れる梨花をただ見ているしかできなかった。 やっと会えた2人の仲間。だが、その状況は極めて最悪だった。 静かに燃え上がる蒼い炎、竜宮レナはこんな巡り会わせをした神を呪った。 よりにもよってなんでこんな。 それぞれの同行者、トニートニー・チョッパーとニコラス・D・ウルフウッドもただ黙っていた。 チョッパーは辛そうに、ウルフウッドは無表情にしながらも本当の感情はサングラスに隠しながら。 そして残る2人は。 「そろそろその耳障りな騒音を止めぬか小娘が」 金色の英雄王、アーチャーことギルガメッシュは冷徹な目で梨花を見てそう告げる。 「お、おいこら!」 あまりに梨花のことを考えない発言にチョッパーが思わず文句を言おうとしたが口をレナがすかさず封じたためそれはできなかった。 (な、なにすんだよレナ!) (ダメチョッパーくん!あの人、多分イスカンダルさんが言ってたアーチャーだから!) (え!?) 小声で告げられたその言葉にチョッパーの動きが止まった。 イスカンダルに教えられていた『遭遇したら迷わず逃げなければならない』相手。 赤い双眼に金色の髪。鎧こそ情報と違うがまず同一人物だろう。 そう考えるとチョッパーの体から冷や汗がダラダラ溢れ出した。 とんでもないのに『おいこら』と言ってしまったと。 自分を見つめる冷たい視線にチョッパーは自分の死を嘆き始めた。 「まあまあ英雄王。あまり余の同盟相手を脅してやるな」 「フン。貴様は相変わらずだな征服王。別に脅した訳ではない。そこの珍獣が勝手に恐れをなしたのだ」 そんなチョッパーに救い船を出してくれたのは征服王、ライダーことイスカンダルだった。 それに対してアーチャーは既知のサーヴァントに対して呆れた視線を向ける。 「まさかまたも貴様と合間見えるとはな。相変わらず夢を見ているらしい。我が目を醒まさせてやったというのに」 「生憎夢を見進むのが我が性分なのでな。というか英雄王、貴様が『また夢を見るといい』と最期に言ったのではないか」 「『我が庭で』だ。ここは我が庭から切り取られたか、あるいは模造された偽りの庭よ。このようなところで見るなと言っている」 「んな細かい事は……あーあー、すまんかったから空間を揺らめかせるな」 レナとチョッパーが2人のやり取りを呆然と見ていた。 仲が良いような、悪いようなやり取り。 そういえばライダーはアーチャーを危険だとは言っていたが『悪い奴』とは言っていなかった。 どちらもあまり変わらないような気もするが。 「まあお前たち。とりあえず各々言いたい事はあるだろうがな。一先ずここは情報交換といかんか? そこの少年についても話を聞いておきたいしな」 イスカンダルが場を取り成す形で他の5人を見渡しそう言った。 レナとチョッパーは元々別れていた仲間だから当然なので、言葉の相手は梨花、ウルフウッド、ギルガメッシュだ。 「ほう、征服王。まさか我と対等に情報交換などできるつもりか? 今再び眠りにつかせてやってもいいのだぞ?」 「まあ焦るな英雄王。貴様とて大人しくしたがって殺しあうつもりなどなかろうに。聖杯戦争とは状況が違うのだからな」 「……フッ。まあいいだろう。今の我は気分が良い」 そう言ってギルガメッシュは圭一の死体を見やった。 それを見ての表情はまさに喜悦。 当然それを見て不快な気分を抱く者などここにほとんどいるはずなく、ただ呆れるイスカンダルだけだった。 「哀れな雑種どもに餌をくれてやるも悪くない」 「本当に相変わらずだなおい……お前たちも構わんか?」 ギルガメッシュをなんとかなだめたイスカンダルはウルフウッドに目を向けた。 先刻からイスカンダルとギルガメッシュに警戒を向けている男。恐らくはかなりの手練だろうとイスカンダルは踏んでいた。 ウルフウッドは圭一の傍で膝を突いている梨花を一瞥すると、憮然とした顔で答えた。 「ワイは構わん。今はそれが最善やろうしな。こっちもさっきの現象について説明が欲しいところやさかい」 そう大人しく言うが、ウルフウッドの視線は厳しい。 特にギルガメッシュに対して。 さっきの『耳障り』に関して彼も怒っていたのだろう。 チョッパーと違い何も言わなかったのは、ただギルガメッシュの実力とその気性を既に知っていたからだ。 「よし……さて。では何から始めるとするか」 ***** 圭一の死体を寝かせやっと泣き止んだ梨花を含め6人はホール内で向かい合った。 ギルガメッシュだけはわざわざ舞台の上に乗って見下ろす形だったが。 最初に語りだしたのはイスカンダルだった。 レッドと共に橋にてハクオロ、園崎魅音、砂の男、電気の少女に遭遇した事。 「魅音!?」「みぃちゃん!?」「それクロコダイルか!?」 その話に反応したのは梨花、レナ、チョッパーの3人だった。 「ああ。すまんなレナ。余は間に合わなかった。だが娘は強大な相手に最後まで立ち向かっておったぞ。同行した男の為にな」 「みぃちゃん……」 「お人好し、なんだから…!」 「それと医術師。おそらくその者で間違いはないだろうな。尤も余が川に落ちた後戻った時にはもう死んでいたがな」 「あのクロコダイルを倒せる奴がいるのか……」 電撃を受け川に落ちたこと。 戻ってみるとそこにはクロコダイルの死体とハクオロ、レッド、そして重傷の男が居た事。 男が令呪を持っていたこと。 「令呪だと?……成程」 次に反応したのはギルガメッシュだった。 「心当たりがあるのか?」 「ああ。そ奴は騎士王、セイバーのマスターだ。名簿を見る限り間違いあるまい。その男は放送前に死んだのだろう? ならば確定だ。第2回放送でその男の名が呼ばれたのだからな」 「話を先取りするな。……まさかあの娘のマスターがあの男だったとはのう」 「我が仕留める前にやられるとは、所詮雑種か。不憫な奴よ言峰は」 「監督役がどうかしたのか?」 「此方の話だ」 レッドが男を助ける為劇場へ向かった事。 そして―― (……ハクオロ。余はお前を諦めてはおらんぞ) 「マスターの男をハクオロが殺害した。余が少し離れている間にな」 「「「えっ!?」」」 「……」 イスカンダルの発言にレナ、梨花、チョッパーが驚愕し、ウルフウッドはただライダーを見ていた。 ギルガメッシュは意外そうにしながらも笑みを浮かべる。 「ハクオロを弁護はしておく。あの男にも大切な者がいた。その者たちはここで散った。マスターの男と少女の行動は危険と取られても充分だった。 ハクオロはもしもその男が――という疑念を捨て切れなかったのだ。余が問答無用で襲われたのも事実ではあるしな」 「で、でも話も聞かないでなんてひどすぎるだろ!」 「チョッパーよ。その男は既に3人、いや魅音という娘を入れれば4人も失っていたのだ。これ以上大切な者を失う事に堪えられなかったのだろう」 「う……」 「あ奴はその後我らと共に行動はできないとし別れた。我らを信用できなかったのではない。 あ奴は自分にその資格がないと言ったのだ」 「そんな……」 「ククククッ!あの男の最期としてはこれほど滑稽なものもあるまいなあ。 もし言峰が全てを見ていたとしたら果たしてこの最期に言峰は満足したのか……いや、恐らく無理であろうな。 ハクオロと言う男を壊したがるかもしれんが、あ奴の乾きは満たされまい」 「だからさっきから何の話だ?」 「気にするな。そこで終わりか?」 「ああ。その後は皆わかっての通りだ」 「ワイと梨花は知らん話やぞ」 「あー、そうさなぁ……」 「ちょっと待ってイスカンダルさん」 レナがイスカンダルに問いかけた。 「さっきの話じゃレッドくんがここに来てないとおかしいよね?でも、レナたちは会ってないんだよ?だよ?」 「!!」 レナの言葉に梨花の肩が震えた。 「レッドが劇場に向けて飛んだのは間違いない。……リカと言ったな。お主何か知っておるのか?」 「あ、あ……」 梨花の異常にすぐ気づいたイスカンダルが梨花に向かって聞く。 梨花は怯えた顔で答えようとしたが、その肩を抑える手があった。 「ニコ、ラス……」 「それについてはワイらの話で教えたる。こいつとワイは朝の4時あたりから一緒におったからほとんど情報は一緒やし。 ワイが言ったほうがスムーズやろ。ここで起こったことは他の奴の話で聞くとするわ」 「わかった。ならば……」 「ウルフウッドでええ」 「ウルフウッドよ。報告を頼む」 「ワシはおどれの部下か……まあええわ」 2番目に語りだしたのはウルフウッドだった。 桜田ジュンの死体を見つけたこと。 遊園地前で梨花と出会ったこと。 赤髪の男に襲われた事。 ルフィという少年に出会い、火傷顔の女に襲われ、ルフィが死んだ事。 「ルフィ~~~~~!ルゥフィ~~~~~~!!」 「喧しい珍獣だ。あの下女、我と会う前に斯様なことを仕出かしていたとは」 「火傷顔って……あの女の人、チョッパーくんの仲間まで」 「あ奴がなあ」 その話に反応したのは梨花とウルフウッド以外の4人全員だった。 しかもその相手は火傷顔の女だ。 もっとも2人はそれに対してあまり反応はなかった。 「ああ……そこで死んでるのを見つけた時は驚いたわ」 ウルフウッドが見やると、座席の陰に倒れている人影があった。 隻腕で顔に火傷傷のある女、バラライカだった。 「隻腕ながら最期まで戦士として我らが軍勢に立ち向かった。仕留めた英霊達の進言もあってな。 そ奴はできる限り無事で帰還させた」 「別に粉々にしても構わんかったんやけどな」 バラライカのデイパックはその処置のおかげか傷はなかった。 軍勢に自ら突っ込んでしまった無常のデイパックは大分ひしゃげ、中の物がいくつ無事かわからない状態だった。 「……」 「チョッパーくん……」 チョッパーは無言で泣きながらバラライカの遺体を見ていた。 殴り飛ばしたかった。問い詰めたかった。何で殺したんだ。なんでルフィを殺したんだ、と。 でもその相手はもういない。もうそこで死んでいる。 その遺体を殴るなんていうのはしてはいけない行為だ。 問いかけても答えてくれはしない だからチョッパーは自分を止めた。 悔しくて悲しくて目の前が涙で何も見えそうになっても。 ***** 「どうやって殺したんかは後で聞くとしてや……その後は」 ウルフウッドは続きを話し出した。 ギルガメッシュと遭遇して劇場へ誘導された事。 そこで赤い帽子の少年と白スーツの男と遭遇したこと。 「レッドだ!」「レッドくんだ!やっぱり劇場に来てたんだ」 「むぅ……白いスーツだと?」 反応したのは○同盟の3人。レッドと見て間違いない少年の情報が出たのだから当然だろう。 だが、イスカンダルの反応だけは違った。レッドではなく、白スーツの男に対して。 「なあその男。くしゃくしゃの髪にいい笑顔で死なないと思っている奴を殺したいとか言っていなかったか?」 「最初の条件しか当てはまる気はせえへんけど……殺人大好きですって顔はしとったな」 「そう、か」 「ちょ、ちょっと待ってイスカンダルさん!それってまさか!」 レナが顔を青くした。 イスカンダルの告げた情報がある人物の情報と同じだったのだ。 仲間の兄貴分であるはずの男に。 「危険だという可能性は充分あったのだがな。おそらくはラッド・ルッソというグラハムの兄貴分で間違いないだろう」 「っ!!」 その結論にレナとチョッパーの顔は曇った。 ここまで来れば予想はつく。 レッドは劇場の近くまで来ていた。なのに、ここにいない。 そしてさっきの梨花の動揺。レッドと共に居たのは危険である可能性がある人物。 導き出される予想は最悪のもの。 2人にとって信じたくないもの。 なぜなら―― 「そいつにその子供は殺された」 殺人者は、大切な仲間の兄貴分なのだから―― 「レッド……お前は最後まで他者の為に生きたのだな……すまん」 ウルフウッドに渡された、残されたレッドの両腕を抱えながらライダーは目を瞑った。 イスカンダルとて歴戦の猛者。仲間の死など幾千も越えてきた。 それでも、たとえ臣下ではなかったとしても、自分を信じ同盟を結んだ少年の死を悼まない理由にはならない。 残された腕には黒いグローブと包帯。その下には○の印がある。 (最後までお前は我らの誓いの印を守ったのだな。 偶然にしても故意にしても、お前は誓いを残したのだ。 レッド。お前の意志、無駄にはせぬ) イスカンダルはレッドの明確な死、そしてその加害者がグラハムの友人だという残酷な事実に打ちひしがれるレナとチョッパーを見やった。 「レナ、医術師。いつまでも悲しんでいるわけにはいかんだろう」 「でも……でもよぉ! レッドを殺したのがグラハムの兄貴だなんて、そんなのねえだろ!!」 チョッパーが悲しそうに言う。 これを知ったらグラハムはどう思うだろうか。 グラハムが命の恩人と言うのはレナとチョッパーだ。だがレッドに対してもグラハムは好印象を持っていた。 ラッドの凶行を知ったらグラハムはどうするのだろうか。 その二人の前にイスカンダルは容赦なくそれを突き出した。 「っ!」 「ああっ!」 それはレッドの右腕。端が炭化した無残な、生々しい腕。 それを容赦なく目の前に見せ付けると、有無を言わさずイスカンダルは吠えた。 「目を背けるな!見よ!これが我らの同胞の遺したものだ! 成れの果てと呼ぶか! いや、違う! レッドは死しても守ったものだ!」 包帯を取り、その下の○印をさらけ出す。 レナに、チョッパーに、心配そうに見ていた梨花に、続きをしあぐねていたウルフウッドに、退屈そうにしていたギルガメッシュに。 「我らが誓いの証を守り抜き、2人の命を守ったレッドにふがいないと思わんのか! 泣くのもよかろう。残酷な事実に悲しむのもよかろう。 だが! それは懸命に尽くしたレッドへの侮辱だ! 奴の遺志が言っているであろう。必ず目的を果たせと。後を託すと。 余はそう受け取った! お前たちはどうだ? この印を見ても尚、ここで泣き、耳をふさいで全てを否定する気か!」 ライダーが啖呵を切りレッドの腕を掲げる。残された○の印を掲げる。 『でも、俺にはその印、俺たちの勝ち星に見えるな。もちろん、負け星は……ギラーミンだ!』 「そうだ……おれ達、まだ勝ってねえ。おれ達、勝ち星をあげなくちゃいけねえんだ!」 「うん……レッドくんに笑われちゃうよ。こんなところで止まってたら」 「左様。止まっていてはそれまでだ。前へ進むのだ。遺志を胸に、前へ」 レナとチョッパーは涙を拭い見上げた。 その顔に満たすは、意志。 レッドの分まで必ず成し遂げるという、意志。 2人は立ち直り、それをイスカンダルは満足そうに見つめた。 「で、続きええか?」 「空気読みなさい」 ***** 「で、その後そいつから逃げて北のホールまで逃げて…………」 「ニコラス?」 話の続きをしていたウルフウッドは少し顔を歪めると、一呼吸置いてから。 「リヴィオっちゅう……顔馴染みと戦闘になった。そいつを倒してラッドをぶったおした梨花を連れてこっちまで逃げてきたってわけや」 「ちょっとニコラス!! 誰が倒したって!?」 「梨花ちゃん、意外に……」 「こ、こええ」 「ちがーーーーーう!! 上から天使の人形が降って来てたまたまそいつの腕をぶったぎったのよ!!」 「ほう。なかなか強運を味方にしているな娘。だが、その話真か?」 「えっ!?」 ギルガメッシュの指摘したのは目の前でラッドの腕が切られたにしては梨花の服に血がまったくついていないと。 この指摘でウルフウッドと梨花は今まであった違和感に気づいた。本当ならば気づいていて当然だがあまりに周りの状況変化が激しすぎて気づけなかった。 血まみれだったはずの梨花がいつの間にか全く血痕がついていない。 ウルフウッドは確かに血塗れになった梨花を見ているが、髪にも肌にも服にすら一滴の血痕もない。 コレに関してはほとんどの人員が首をかしげた。 ただ1人を除いて。 (いつの間にか消え失せた血痕、か……もしや) 不死の酒により不完全な不死を得ているギルガメッシュだ。 一度指を切りその再生を確かめていたギルガメッシュには消え失せた血について心当たりがあった。 速度こそ遅かったがまるで生き物のようにもとの場所に戻っていく血。垂れた場所には染み1つなく。 となれば、そのラッドも不死者ということになる。 (説明書では『喰う』ことができるとあったが……雑種の薄汚い記憶を我に刻み込むなど話にもならん。 汚い肉を我に食せと?) ギルガメッシュは不完全な不死者であるラッドを喰らう権利を持つ。 だがそれを行使する気は全くなかった。 ラッドが不死者だということは一応覚えておくとするが、それを他の者に教える気はなかった。 「おい、どうしたんや。これで話は終わりやぞ。まだ疑うんか?」 「ああまだおったのか。もう良いぞ。先の疑いは我の中で解決した」 「おいおい英雄王。自分で勝手に納得するな」 「自分達で答えを得ろ、雑種共」 「あーったく……」 頭をがしがしと揺すりながらイスカンダルはレナとチョッパーに目を向けた。 「次はお前たちに頼みたいのだがな。さっきの話で出たグラハムの小僧はどうした?」 「そ、それは……」 「私が言うよチョッパーくん」 そう言ってレナがこれまでの経緯を語りだした。 劇場近くまで南下してきたが誰にも出会えなかったこと。 ホテル近くで片目の男に遭遇した事。 説得したが叶わず逃走を選択した事。 グラハムがその相手をする為残った事。 劇場まで逃げたが放送のショックで手間取っている間にカズマに追いつかれてしまったこと。 チョッパーが奮闘しレナが援護しなんとかカズマを倒したこと。 そこに火傷女と無常という男が乱入してきたこと。 英雄王と征服王が乱入した事。 征服王が宝具『王の軍勢』で2人を倒したこと。 以上がレナの口から語られた。 「なるほどのう」 「足止めを買って出ていながら果たせんとは。無能な雑種だ」 「…………」 「なあ、梨花もワイもよくわからんのやが……ほーぐ、って何や」 レナの説明でイスカンダルが補足した部分についてウルフウッドが口を出した。 「おお、そうさなあ。簡単に言えば……『必殺技』か?」 「簡単に言いすぎや。まるでわからん」 「要は余や英雄王の切り札と言ったところか。余のはまあ、特殊な結界内に敵を閉じ込め軍勢で一掃する、といったところか」 「…………わけわからんが、あんたとは一戦交えたくあらへんってことはわかったわ」 「我は破ったがな」 「わざわざ言わんでよいというに……レナ、チョッパー」 イスカンダルの言葉に2人の体が固まる。 自分達は結局ノルマをこなせず、それどころかグラハムを見捨ててきてしまったのだ。 ここで同盟を破棄されても仕方ないかもしれない。 そう思った。 「よくやったな」 「え!?」 「え、で、でもおれ達……ノルマこなせなかったんだぞ!?」 賛辞と共に2人の頭を撫でたイスカンダルに2人は驚いた。 「それを言ったら余も同じであろうが。それに余はレッドを死なせている。 片目の男相手にお前たちが善戦したのに比べれば余の方が情けない戦果であろう」 「で、でも! イスカンダルのほーぐがなかったらおれ達……」 「珍獣……それはつまり我d」 「その前に危機を救ったのはそこの英雄王だ。余は最後に仕上げをしたに過ぎん。よってお前たちを非難する資格はない」 「イスカンダル……」 少し悲しげにレッドの腕を見るイスカンダルに二人は決意する。 今度こそ、不甲斐ないマネはしない、と。 あの軍勢の光景を見て、2人にはいつの間にかイスカンダルへの信頼が芽生え始めていた。 「グラハムに関しては後に回すとして……で、英雄王。残るは汝だけだぞ?」 「フン。結局碌な情報がなかった気もするがな」 ここまで話を聞いてもなお不遜な態度に『もしやこのまま自分は何も言わない気か』と他の4人が警戒した。 それに対してギルガメッシュは不快そうな顔をする。 「舐めるなよ雑種共。言ったであろう。我は今気分が良いと。見世物もそれなりであったし、良いだろう。 お前たちに我が情報を拝聴する権利を与えよう」 (なあ、ここまで言わないと教える気になってくれないのか?) (そういう奴なのだ。ここは諦めろ) チョッパーとイスカンダルのひそひそ話に対して軽くにらみつけた後、ギルガメッシュが経緯を話し始めた。 もっとも話の間の空気は最悪なものだった。 圭一を屈服させ従者としたこと。ここでレナと梨花が不快そうな顔に。 電車でゾロを発見し情報を頂いた後電車から落としたこと。ここでチョッパーが怒り出しそうに。 ゾロから聞いた佐山、小鳥遊、蒼星石の名前。 降りた駅で出会った真紅という人形、クーガーという男について。誰か忘れられたような気がするが気のせいだ。 図書館で出会った下女ことバラライカ。 マンションで梨花、ウルフウッドと接触。 その後中央劇場へ移動し、今に至る。 ギルガメッシュの唯我独尊自由奔放外道な一路を聞いた皆は (ひどいかな?かな?) (ひ、ひでえ) (酷いわね) (ひどいな) (本当に相変わらずだのう英雄王よ) 彼の語った旅路は正直『ひどい』としか苦笑して言うしかできないようなものだった。 「にしても他にも集団で対抗する者たちがいようとはな。是非臣下にしたいものだ」 「出会えればの話だがな。さて情報交換は終えた。 次は品だ。お前たちの所持品、全てここに晒して貰おう」 ギルガメッシュの不遜な物言いに流石に慣れてきていた一同も顔を不審にゆがめる。 だが梨花とウルフウッドは知っている。目の前の男が支給品だったというのに梨花を盗人と言い処刑しようとしたことを。 「レナ……お願い言う事を聞いて」 「でも…」 「レナよ。ここは素直に従おうぞ。こっちとしても好都合だ。余の神威の車輪を持っているやも知れぬからな」 「わ、わかった……」 イスカンダルの進言に2人も渋々従い、5人は支給品をデイパックから取り出しその場に並べた。 梨花は修道服、サクソフォンを、レッドのデイパックから巨大銃、銀の杖を。 ウルフウッドは手持ちの拳銃、ショットガン、木の実、グルカナイフ、コイン。 レナは梨花のと同じ巨大銃、包帯、ドライヤー。 チョッパーは包帯、救急箱、タオル、竹とんぼ型の機械。 イスカンダルは、小型カメラとイラスト集、大きな十手、包帯、イリアス、拳銃の予備弾のみ、奇妙な木の実、そして―― 「そ、それって悪魔n「なんだそれは」 木の実に反応したチョッパーを遮りギルガメッシュが見つめたのはイスカンダルが図書館から寄せ集めてきた地図の束だった。 「おおこれか? 一応図書館から寄せ集めてきたのだがな。話にならんのだ。1st-Gだのグランドラインだのノーマンズランドだのカントーだのまるで地形がバラバラで、 しかも我らが知識にある世界の地図とはまるで違う。おまけに規模も統一されておらん。 世界規模かと思えば雛見沢という街であったり学園都市だかの都市であったり極めつけはワグナリアとかいうレストランの見取り図だ。 冬木の地も混じっておるし、何が何やら…………どうしたのだお前たち」 愚痴をこぼしていたイスカンダルは他の者の様子に思わず動きを止めた。 興味深そうに嗤うギルガメッシュ以外の4人がぽかん、としてしまっているのだ。 「どうしたのだお前達」 「えっとね、イスカンダルさん。実は――」 **** 「うむむむむ。なるほどのう」 4人から告げられた事実に、さすがのイスカンダルも唸らずにはいられなかった。 なにしろ自分が架空の物だと思っていた地図がここにいる者たちの故郷の世界だったというのだから。 チョッパーはグランドライン。ウルフウッドがノーマンズランド。梨花、レナ、圭一が雛見沢。 思えば今までの話でそれぞれの故郷についてはあまり話が無かった。 同盟結成時もイスカンダルは地図のことをすっかり忘れていて話には出なかった。 「これで確実になったということなのか?英雄王」 「そうだろうな。『いくつもの世界から呼び寄せた』というギラーミンの言がな」 今まではどこか絵空事とも思っていた言葉。あの状況下では聞き逃していた言葉。 それが本当だったということがここで判明した。 そうと判ると各々は自分達の故郷について詳しく語った。 「悪魔の実に海賊時代……」 「荒んだ星……」 「昭和の時代に精神病とな」 「英霊に戦争……」 結果は見てのとおり……各々唖然とするしかなかった。 「フン。別に大して変わらぬ。我としては参加者共を見て大体予想は付いていたしな。何か根底にある物が異なると」 「いやいや大きく変わるぞ。これが確かならば……。 全ての世界、征服せずにはいられまい!」 「そこかーーーーーー!?」 目をキラキラとさせるイスカンダルにチョッパーが顎の骨が外れんばかりに驚いた。 「夢を見飽きん男め。そんなことよりまだ物品の確認の途中だ」 「え?でも、これで全部じゃ」 「たわけ。まだあの下女と雑種の荷物が残っておろうが」 そう言っていつの間に持っていたのか、バラライカと無常のデイパックをイスカンダルに向けて放り投げた。 それを掴むとイスカンダルが意外そうにギルガメッシュを見た。 「ほう……あれか?あの2名を殺したのは余だからこれはあくまで余の戦利品というわけか?」 「わかっているなら早く出せ」 「あーわかったわかった。変な所は一本通す奴だ本当に」 そう言ってデイパックの中身を無造作に出す。 無常のものはいくつか壊れていてその欠片がガラガラと降り注ぐ。 どうやら拳銃や受話器、カタツムリのような生物(チョッパー曰く電伝虫)が使い物にならないらしい。 使えそうなものを全員で見ていく。 「な……」 「あーーーーーー!!」 その途中、ウルフウッドが口を開けたまま凍りつき、チョッパーが嬉しそうな声を上げた。 「ど、どうしたのニコラス!」 「ど、どうしたのチョッパーくん!!」 梨花とレナがそれぞれに心配して駆け寄った。 「い、いや……な、なんでもあらへん」 「はぁ!?」 そう言ってウルフウッドがその紙切れをデイパックに突っ込んでしまった。 梨花が抗議するがそれを彼は聞かない。 (なんでこないなとこであのトンガリの手配書なんて見つけなあかんねん) なんだか腐れ縁もココまで来ると、という感じである。 一方チョッパーは 「これ、ランブルボールだ!!」 そうチョッパーが嬉しそうに見せたのは金色の小さな玉のようなものだった。 悪魔の実の波長を狂わせる、チョッパー自作の劇薬だ。 これを使えばチョッパーは7段階の変形ができ戦闘力もアップする。 「よかったねチョッパーくん!」 「ああ!」 レナも一緒に喜んでくれている。 だが、チョッパーはその笑顔に隠しているものがあった。 (ランブルボールは……4つ、か。ランブルボールの効き目は3分。短時間に続けて使う事はできない。 連続で2つ使うと上手く変形がコントロールできなくなって、3つ使うと――) チョッパーはその時が来ない事を祈った。 3つ使えば、自分は自制できない『何か』を起こす。 くれはは言っていた。『あれは本当の怪物だよ』と。 だから、その時は来ないで欲しい。 けれどもし、回りにレナもイスカンダルもいない時だったら―― (おれは……今度こそ守るんだ!!) 時系列順で読む Back Working×Walking×Warning Next 力-Strength-(後編) 投下順で読む Back Working×Walking×Warning Next 力-Strength-(後編) Back Next Deus ex machina ―終演― ギルガメッシュ 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― 竜宮レナ 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― トニー・トニー・チョッパー 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― カズマ 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― 古手梨花 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― ニコラス・D・ウルフウッド 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― ミュウツー 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― ライダー(征服王イスカンダル) 力-Strength-(後編)
https://w.atwiki.jp/multiple/pages/303.html
力-Strength-(前編) ◆YhwgnUsKHs 終演を迎えし惨劇の舞台。 死者は4人。 残された者は9人。 1人は北の場にて休息を選び、1人も休息を選び北の場から去った。 そして、南の場には今6人の参加者が存在する。 3人はこの会場で作られた1つの○の元に誓いを立てた者達。 ○は一度別れここに集った。ただし2人の欠員アリ。 2人は長い間行動を共にした2人。 その間には固い信頼関係が存在していた。会ってまだ12時間も経っていないとしてもだ。 最後の1人は慢心と傲慢を貫く王。 従者は斃れ今彼はまた1人となった。 1つの惨劇が終わった場で、彼らは何を決するのか。 そして残った2人はどう動くのか。 ***** 南劇場ホール内。 劇場全てのホールと比べれば最も小規模なホールだ。 能や歌舞伎などの日本演劇の為に作られた舞台には桧が使われ、横に伸びた欄干が目を引く。 背面には松をあしらわれており和風舞台に恥じない様相だ。 もっともここにいる者でその舞台に目を惹かれている者はいはしないのだが。 「圭一……そんな、圭一!!」 100年の運命を越えた少女、古手梨花。 数多くの短い期間を繰り返した結果身体には不釣合いな大人びた本性を獲得してしまった彼女も今のこの事態にはなりふりを構わず動揺していた。 目の前には自らの運命を変えてくれた少年、前原圭一がいる。彼女が会いたかった仲間の1人だ。 だが、彼の足はぐちゃぐちゃに粉砕されており、その目は閉じられてもう目覚める気配はなかった。 「圭一……そんな、そんなぁ!!」 終わったはずだった。 繰り返される悲劇はもう終わったはずだった。仲間たちの手によって。 『繰り返される悲劇』の間なら、仲間が死んだとしても平気だった。どうせ次がある、という冷酷な諦めがあった。 だけど、もう悲劇は終わってしまったのだ。 もう仲間が蘇る事はない。 羽入の力を頼ろうにもここで話せた試しも見つけられた試しもない。 主催によって羽入の介入が阻まれているのか、羽入が殺されてしまったのかは分からない。 わかることは1つ。『次』はもう望めない。この牢獄では。 抜け出したはずの牢獄の外にあったのは、さらに過酷な牢獄だったのだ。 「梨花ちゃん……」 その圭一を手で支えていた少女は目の前で泣き崩れる梨花をただ見ているしかできなかった。 やっと会えた2人の仲間。だが、その状況は極めて最悪だった。 静かに燃え上がる蒼い炎、竜宮レナはこんな巡り会わせをした神を呪った。 よりにもよってなんでこんな。 それぞれの同行者、トニートニー・チョッパーとニコラス・D・ウルフウッドもただ黙っていた。 チョッパーは辛そうに、ウルフウッドは無表情にしながらも本当の感情はサングラスに隠しながら。 そして残る2人は。 「そろそろその耳障りな騒音を止めぬか小娘が」 金色の英雄王、アーチャーことギルガメッシュは冷徹な目で梨花を見てそう告げる。 「お、おいこら!」 あまりに梨花のことを考えない発言にチョッパーが思わず文句を言おうとしたが口をレナがすかさず封じたためそれはできなかった。 (な、なにすんだよレナ!) (ダメチョッパーくん!あの人、多分イスカンダルさんが言ってたアーチャーだから!) (え!?) 小声で告げられたその言葉にチョッパーの動きが止まった。 イスカンダルに教えられていた『遭遇したら迷わず逃げなければならない』相手。 赤い双眼に金色の髪。鎧こそ情報と違うがまず同一人物だろう。 そう考えるとチョッパーの体から冷や汗がダラダラ溢れ出した。 とんでもないのに『おいこら』と言ってしまったと。 自分を見つめる冷たい視線にチョッパーは自分の死を嘆き始めた。 「まあまあ英雄王。あまり余の同盟相手を脅してやるな」 「フン。貴様は相変わらずだな征服王。別に脅した訳ではない。そこの珍獣が勝手に恐れをなしたのだ」 そんなチョッパーに救い船を出してくれたのは征服王、ライダーことイスカンダルだった。 それに対してアーチャーは既知のサーヴァントに対して呆れた視線を向ける。 「まさかまたも貴様と合間見えるとはな。相変わらず夢を見ているらしい。我が目を醒まさせてやったというのに」 「生憎夢を見進むのが我が性分なのでな。というか英雄王、貴様が『また夢を見るといい』と最期に言ったのではないか」 「『我が庭で』だ。ここは我が庭から切り取られたか、あるいは模造された偽りの庭よ。このようなところで見るなと言っている」 「んな細かい事は……あーあー、すまんかったから空間を揺らめかせるな」 レナとチョッパーが2人のやり取りを呆然と見ていた。 仲が良いような、悪いようなやり取り。 そういえばライダーはアーチャーを危険だとは言っていたが『悪い奴』とは言っていなかった。 どちらもあまり変わらないような気もするが。 「まあお前たち。とりあえず各々言いたい事はあるだろうがな。一先ずここは情報交換といかんか? そこの少年についても話を聞いておきたいしな」 イスカンダルが場を取り成す形で他の5人を見渡しそう言った。 レナとチョッパーは元々別れていた仲間だから当然なので、言葉の相手は梨花、ウルフウッド、ギルガメッシュだ。 「ほう、征服王。まさか我と対等に情報交換などできるつもりか? 今再び眠りにつかせてやってもいいのだぞ?」 「まあ焦るな英雄王。貴様とて大人しくしたがって殺しあうつもりなどなかろうに。聖杯戦争とは状況が違うのだからな」 「……フッ。まあいいだろう。今の我は気分が良い」 そう言ってギルガメッシュは圭一の死体を見やった。 それを見ての表情はまさに喜悦。 当然それを見て不快な気分を抱く者などここにほとんどいるはずなく、ただ呆れるイスカンダルだけだった。 「哀れな雑種どもに餌をくれてやるも悪くない」 「本当に相変わらずだなおい……お前たちも構わんか?」 ギルガメッシュをなんとかなだめたイスカンダルはウルフウッドに目を向けた。 先刻からイスカンダルとギルガメッシュに警戒を向けている男。恐らくはかなりの手練だろうとイスカンダルは踏んでいた。 ウルフウッドは圭一の傍で膝を突いている梨花を一瞥すると、憮然とした顔で答えた。 「ワイは構わん。今はそれが最善やろうしな。こっちもさっきの現象について説明が欲しいところやさかい」 そう大人しく言うが、ウルフウッドの視線は厳しい。 特にギルガメッシュに対して。 さっきの『耳障り』に関して彼も怒っていたのだろう。 チョッパーと違い何も言わなかったのは、ただギルガメッシュの実力とその気性を既に知っていたからだ。 「よし……さて。では何から始めるとするか」 ***** 圭一の死体を寝かせやっと泣き止んだ梨花を含め6人はホール内で向かい合った。 ギルガメッシュだけはわざわざ舞台の上に乗って見下ろす形だったが。 最初に語りだしたのはイスカンダルだった。 レッドと共に橋にてハクオロ、園崎魅音、砂の男、電気の少女に遭遇した事。 「魅音!?」「みぃちゃん!?」「それクロコダイルか!?」 その話に反応したのは梨花、レナ、チョッパーの3人だった。 「ああ。すまんなレナ。余は間に合わなかった。だが娘は強大な相手に最後まで立ち向かっておったぞ。同行した男の為にな」 「みぃちゃん……」 「お人好し、なんだから…!」 「それと医術師。おそらくその者で間違いはないだろうな。尤も余が川に落ちた後戻った時にはもう死んでいたがな」 「あのクロコダイルを倒せる奴がいるのか……」 電撃を受け川に落ちたこと。 戻ってみるとそこにはクロコダイルの死体とハクオロ、レッド、そして重傷の男が居た事。 男が令呪を持っていたこと。 「令呪だと?……成程」 次に反応したのはギルガメッシュだった。 「心当たりがあるのか?」 「ああ。そ奴は騎士王、セイバーのマスターだ。名簿を見る限り間違いあるまい。その男は放送前に死んだのだろう? ならば確定だ。第2回放送でその男の名が呼ばれたのだからな」 「話を先取りするな。……まさかあの娘のマスターがあの男だったとはのう」 「我が仕留める前にやられるとは、所詮雑種か。不憫な奴よ言峰は」 「監督役がどうかしたのか?」 「此方の話だ」 レッドが男を助ける為劇場へ向かった事。 そして―― (……ハクオロ。余はお前を諦めてはおらんぞ) 「マスターの男をハクオロが殺害した。余が少し離れている間にな」 「「「えっ!?」」」 「……」 イスカンダルの発言にレナ、梨花、チョッパーが驚愕し、ウルフウッドはただライダーを見ていた。 ギルガメッシュは意外そうにしながらも笑みを浮かべる。 「ハクオロを弁護はしておく。あの男にも大切な者がいた。その者たちはここで散った。マスターの男と少女の行動は危険と取られても充分だった。 ハクオロはもしもその男が――という疑念を捨て切れなかったのだ。余が問答無用で襲われたのも事実ではあるしな」 「で、でも話も聞かないでなんてひどすぎるだろ!」 「チョッパーよ。その男は既に3人、いや魅音という娘を入れれば4人も失っていたのだ。これ以上大切な者を失う事に堪えられなかったのだろう」 「う……」 「あ奴はその後我らと共に行動はできないとし別れた。我らを信用できなかったのではない。 あ奴は自分にその資格がないと言ったのだ」 「そんな……」 「ククククッ!あの男の最期としてはこれほど滑稽なものもあるまいなあ。 もし言峰が全てを見ていたとしたら果たしてこの最期に言峰は満足したのか……いや、恐らく無理であろうな。 ハクオロと言う男を壊したがるかもしれんが、あ奴の乾きは満たされまい」 「だからさっきから何の話だ?」 「気にするな。そこで終わりか?」 「ああ。その後は皆わかっての通りだ」 「ワイと梨花は知らん話やぞ」 「あー、そうさなぁ……」 「ちょっと待ってイスカンダルさん」 レナがイスカンダルに問いかけた。 「さっきの話じゃレッドくんがここに来てないとおかしいよね?でも、レナたちは会ってないんだよ?だよ?」 「!!」 レナの言葉に梨花の肩が震えた。 「レッドが劇場に向けて飛んだのは間違いない。……リカと言ったな。お主何か知っておるのか?」 「あ、あ……」 梨花の異常にすぐ気づいたイスカンダルが梨花に向かって聞く。 梨花は怯えた顔で答えようとしたが、その肩を抑える手があった。 「ニコ、ラス……」 「それについてはワイらの話で教えたる。こいつとワイは朝の4時あたりから一緒におったからほとんど情報は一緒やし。 ワイが言ったほうがスムーズやろ。ここで起こったことは他の奴の話で聞くとするわ」 「わかった。ならば……」 「ウルフウッドでええ」 「ウルフウッドよ。報告を頼む」 「ワシはおどれの部下か……まあええわ」 2番目に語りだしたのはウルフウッドだった。 桜田ジュンの死体を見つけたこと。 遊園地前で梨花と出会ったこと。 赤髪の男に襲われた事。 ルフィという少年に出会い、火傷顔の女に襲われ、ルフィが死んだ事。 「ルフィ~~~~~!ルゥフィ~~~~~~!!」 「喧しい珍獣だ。あの下女、我と会う前に斯様なことを仕出かしていたとは」 「火傷顔って……あの女の人、チョッパーくんの仲間まで」 「あ奴がなあ」 その話に反応したのは梨花とウルフウッド以外の4人全員だった。 しかもその相手は火傷顔の女だ。 もっとも2人はそれに対してあまり反応はなかった。 「ああ……そこで死んでるのを見つけた時は驚いたわ」 ウルフウッドが見やると、座席の陰に倒れている人影があった。 隻腕で顔に火傷傷のある女、バラライカだった。 「隻腕ながら最期まで戦士として我らが軍勢に立ち向かった。仕留めた英霊達の進言もあってな。 そ奴はできる限り無事で帰還させた」 「別に粉々にしても構わんかったんやけどな」 バラライカのデイパックはその処置のおかげか傷はなかった。 軍勢に自ら突っ込んでしまった無常のデイパックは大分ひしゃげ、中の物がいくつ無事かわからない状態だった。 「……」 「チョッパーくん……」 チョッパーは無言で泣きながらバラライカの遺体を見ていた。 殴り飛ばしたかった。問い詰めたかった。何で殺したんだ。なんでルフィを殺したんだ、と。 でもその相手はもういない。もうそこで死んでいる。 その遺体を殴るなんていうのはしてはいけない行為だ。 問いかけても答えてくれはしない だからチョッパーは自分を止めた。 悔しくて悲しくて目の前が涙で何も見えそうになっても。 ***** 「どうやって殺したんかは後で聞くとしてや……その後は」 ウルフウッドは続きを話し出した。 ギルガメッシュと遭遇して劇場へ誘導された事。 そこで赤い帽子の少年と白スーツの男と遭遇したこと。 「レッドだ!」「レッドくんだ!やっぱり劇場に来てたんだ」 「むぅ……白いスーツだと?」 反応したのは○同盟の3人。レッドと見て間違いない少年の情報が出たのだから当然だろう。 だが、イスカンダルの反応だけは違った。レッドではなく、白スーツの男に対して。 「なあその男。くしゃくしゃの髪にいい笑顔で死なないと思っている奴を殺したいとか言っていなかったか?」 「最初の条件しか当てはまる気はせえへんけど……殺人大好きですって顔はしとったな」 「そう、か」 「ちょ、ちょっと待ってイスカンダルさん!それってまさか!」 レナが顔を青くした。 イスカンダルの告げた情報がある人物の情報と同じだったのだ。 仲間の兄貴分であるはずの男に。 「危険だという可能性は充分あったのだがな。おそらくはラッド・ルッソというグラハムの兄貴分で間違いないだろう」 「っ!!」 その結論にレナとチョッパーの顔は曇った。 ここまで来れば予想はつく。 レッドは劇場の近くまで来ていた。なのに、ここにいない。 そしてさっきの梨花の動揺。レッドと共に居たのは危険である可能性がある人物。 導き出される予想は最悪のもの。 2人にとって信じたくないもの。 なぜなら―― 「そいつにその子供は殺された」 殺人者は、大切な仲間の兄貴分なのだから―― 「レッド……お前は最後まで他者の為に生きたのだな……すまん」 ウルフウッドに渡された、残されたレッドの両腕を抱えながらライダーは目を瞑った。 イスカンダルとて歴戦の猛者。仲間の死など幾千も越えてきた。 それでも、たとえ臣下ではなかったとしても、自分を信じ同盟を結んだ少年の死を悼まない理由にはならない。 残された腕には黒いグローブと包帯。その下には○の印がある。 (最後までお前は我らの誓いの印を守ったのだな。 偶然にしても故意にしても、お前は誓いを残したのだ。 レッド。お前の意志、無駄にはせぬ) イスカンダルはレッドの明確な死、そしてその加害者がグラハムの友人だという残酷な事実に打ちひしがれるレナとチョッパーを見やった。 「レナ、医術師。いつまでも悲しんでいるわけにはいかんだろう」 「でも……でもよぉ! レッドを殺したのがグラハムの兄貴だなんて、そんなのねえだろ!!」 チョッパーが悲しそうに言う。 これを知ったらグラハムはどう思うだろうか。 グラハムが命の恩人と言うのはレナとチョッパーだ。だがレッドに対してもグラハムは好印象を持っていた。 ラッドの凶行を知ったらグラハムはどうするのだろうか。 その二人の前にイスカンダルは容赦なくそれを突き出した。 「っ!」 「ああっ!」 それはレッドの右腕。端が炭化した無残な、生々しい腕。 それを容赦なく目の前に見せ付けると、有無を言わさずイスカンダルは吠えた。 「目を背けるな!見よ!これが我らの同胞の遺したものだ! 成れの果てと呼ぶか! いや、違う! レッドは死しても守ったものだ!」 包帯を取り、その下の○印をさらけ出す。 レナに、チョッパーに、心配そうに見ていた梨花に、続きをしあぐねていたウルフウッドに、退屈そうにしていたギルガメッシュに。 「我らが誓いの証を守り抜き、2人の命を守ったレッドにふがいないと思わんのか! 泣くのもよかろう。残酷な事実に悲しむのもよかろう。 だが! それは懸命に尽くしたレッドへの侮辱だ! 奴の遺志が言っているであろう。必ず目的を果たせと。後を託すと。 余はそう受け取った! お前たちはどうだ? この印を見ても尚、ここで泣き、耳をふさいで全てを否定する気か!」 ライダーが啖呵を切りレッドの腕を掲げる。残された○の印を掲げる。 『でも、俺にはその印、俺たちの勝ち星に見えるな。もちろん、負け星は……ギラーミンだ!』 「そうだ……おれ達、まだ勝ってねえ。おれ達、勝ち星をあげなくちゃいけねえんだ!」 「うん……レッドくんに笑われちゃうよ。こんなところで止まってたら」 「左様。止まっていてはそれまでだ。前へ進むのだ。遺志を胸に、前へ」 レナとチョッパーは涙を拭い見上げた。 その顔に満たすは、意志。 レッドの分まで必ず成し遂げるという、意志。 2人は立ち直り、それをイスカンダルは満足そうに見つめた。 「で、続きええか?」 「空気読みなさい」 ***** 「で、その後そいつから逃げて北のホールまで逃げて…………」 「ニコラス?」 話の続きをしていたウルフウッドは少し顔を歪めると、一呼吸置いてから。 「リヴィオっちゅう……顔馴染みと戦闘になった。そいつを倒してラッドをぶったおした梨花を連れてこっちまで逃げてきたってわけや」 「ちょっとニコラス!! 誰が倒したって!?」 「梨花ちゃん、意外に……」 「こ、こええ」 「ちがーーーーーう!! 上から天使の人形が降って来てたまたまそいつの腕をぶったぎったのよ!!」 「ほう。なかなか強運を味方にしているな娘。だが、その話真か?」 「えっ!?」 ギルガメッシュの指摘したのは目の前でラッドの腕が切られたにしては梨花の服に血がまったくついていないと。 この指摘でウルフウッドと梨花は今まであった違和感に気づいた。本当ならば気づいていて当然だがあまりに周りの状況変化が激しすぎて気づけなかった。 血まみれだったはずの梨花がいつの間にか全く血痕がついていない。 ウルフウッドは確かに血塗れになった梨花を見ているが、髪にも肌にも服にすら一滴の血痕もない。 コレに関してはほとんどの人員が首をかしげた。 ただ1人を除いて。 (いつの間にか消え失せた血痕、か……もしや) 不死の酒により不完全な不死を得ているギルガメッシュだ。 一度指を切りその再生を確かめていたギルガメッシュには消え失せた血について心当たりがあった。 速度こそ遅かったがまるで生き物のようにもとの場所に戻っていく血。垂れた場所には染み1つなく。 となれば、そのラッドも不死者ということになる。 (説明書では『喰う』ことができるとあったが……雑種の薄汚い記憶を我に刻み込むなど話にもならん。 汚い肉を我に食せと?) ギルガメッシュは不完全な不死者であるラッドを喰らう権利を持つ。 だがそれを行使する気は全くなかった。 ラッドが不死者だということは一応覚えておくとするが、それを他の者に教える気はなかった。 「おい、どうしたんや。これで話は終わりやぞ。まだ疑うんか?」 「ああまだおったのか。もう良いぞ。先の疑いは我の中で解決した」 「おいおい英雄王。自分で勝手に納得するな」 「自分達で答えを得ろ、雑種共」 「あーったく……」 頭をがしがしと揺すりながらイスカンダルはレナとチョッパーに目を向けた。 「次はお前たちに頼みたいのだがな。さっきの話で出たグラハムの小僧はどうした?」 「そ、それは……」 「私が言うよチョッパーくん」 そう言ってレナがこれまでの経緯を語りだした。 劇場近くまで南下してきたが誰にも出会えなかったこと。 ホテル近くで片目の男に遭遇した事。 説得したが叶わず逃走を選択した事。 グラハムがその相手をする為残った事。 劇場まで逃げたが放送のショックで手間取っている間にカズマに追いつかれてしまったこと。 チョッパーが奮闘しレナが援護しなんとかカズマを倒したこと。 そこに火傷女と無常という男が乱入してきたこと。 英雄王と征服王が乱入した事。 征服王が宝具『王の軍勢』で2人を倒したこと。 以上がレナの口から語られた。 「なるほどのう」 「足止めを買って出ていながら果たせんとは。無能な雑種だ」 「…………」 「なあ、梨花もワイもよくわからんのやが……ほーぐ、って何や」 レナの説明でイスカンダルが補足した部分についてウルフウッドが口を出した。 「おお、そうさなあ。簡単に言えば……『必殺技』か?」 「簡単に言いすぎや。まるでわからん」 「要は余や英雄王の切り札と言ったところか。余のはまあ、特殊な結界内に敵を閉じ込め軍勢で一掃する、といったところか」 「…………わけわからんが、あんたとは一戦交えたくあらへんってことはわかったわ」 「我は破ったがな」 「わざわざ言わんでよいというに……レナ、チョッパー」 イスカンダルの言葉に2人の体が固まる。 自分達は結局ノルマをこなせず、それどころかグラハムを見捨ててきてしまったのだ。 ここで同盟を破棄されても仕方ないかもしれない。 そう思った。 「よくやったな」 「え!?」 「え、で、でもおれ達……ノルマこなせなかったんだぞ!?」 賛辞と共に2人の頭を撫でたイスカンダルに2人は驚いた。 「それを言ったら余も同じであろうが。それに余はレッドを死なせている。 片目の男相手にお前たちが善戦したのに比べれば余の方が情けない戦果であろう」 「で、でも! イスカンダルのほーぐがなかったらおれ達……」 「珍獣……それはつまり我d」 「その前に危機を救ったのはそこの英雄王だ。余は最後に仕上げをしたに過ぎん。よってお前たちを非難する資格はない」 「イスカンダル……」 少し悲しげにレッドの腕を見るイスカンダルに二人は決意する。 今度こそ、不甲斐ないマネはしない、と。 あの軍勢の光景を見て、2人にはいつの間にかイスカンダルへの信頼が芽生え始めていた。 「グラハムに関しては後に回すとして……で、英雄王。残るは汝だけだぞ?」 「フン。結局碌な情報がなかった気もするがな」 ここまで話を聞いてもなお不遜な態度に『もしやこのまま自分は何も言わない気か』と他の4人が警戒した。 それに対してギルガメッシュは不快そうな顔をする。 「舐めるなよ雑種共。言ったであろう。我は今気分が良いと。見世物もそれなりであったし、良いだろう。 お前たちに我が情報を拝聴する権利を与えよう」 (なあ、ここまで言わないと教える気になってくれないのか?) (そういう奴なのだ。ここは諦めろ) チョッパーとイスカンダルのひそひそ話に対して軽くにらみつけた後、ギルガメッシュが経緯を話し始めた。 もっとも話の間の空気は最悪なものだった。 圭一を屈服させ従者としたこと。ここでレナと梨花が不快そうな顔に。 電車でゾロを発見し情報を頂いた後電車から落としたこと。ここでチョッパーが怒り出しそうに。 ゾロから聞いた佐山、小鳥遊、蒼星石の名前。 降りた駅で出会った真紅という人形、クーガーという男について。誰か忘れられたような気がするが気のせいだ。 図書館で出会った下女ことバラライカ。 マンションで梨花、ウルフウッドと接触。 その後中央劇場へ移動し、今に至る。 ギルガメッシュの唯我独尊自由奔放外道な一路を聞いた皆は (ひどいかな?かな?) (ひ、ひでえ) (酷いわね) (ひどいな) (本当に相変わらずだのう英雄王よ) 彼の語った旅路は正直『ひどい』としか苦笑して言うしかできないようなものだった。 「にしても他にも集団で対抗する者たちがいようとはな。是非臣下にしたいものだ」 「出会えればの話だがな。さて情報交換は終えた。 次は品だ。お前たちの所持品、全てここに晒して貰おう」 ギルガメッシュの不遜な物言いに流石に慣れてきていた一同も顔を不審にゆがめる。 だが梨花とウルフウッドは知っている。目の前の男が支給品だったというのに梨花を盗人と言い処刑しようとしたことを。 「レナ……お願い言う事を聞いて」 「でも…」 「レナよ。ここは素直に従おうぞ。こっちとしても好都合だ。余の神威の車輪を持っているやも知れぬからな」 「わ、わかった……」 イスカンダルの進言に2人も渋々従い、5人は支給品をデイパックから取り出しその場に並べた。 梨花は修道服、サクソフォンを、レッドのデイパックから巨大銃、銀の杖を。 ウルフウッドは手持ちの拳銃、ショットガン、木の実、グルカナイフ、コイン。 レナは梨花のと同じ巨大銃、包帯、ドライヤー。 チョッパーは包帯、救急箱、タオル、竹とんぼ型の機械。 イスカンダルは、小型カメラとイラスト集、大きな十手、包帯、イリアス、拳銃の予備弾のみ、奇妙な木の実、そして―― 「そ、それって悪魔n「なんだそれは」 木の実に反応したチョッパーを遮りギルガメッシュが見つめたのはイスカンダルが図書館から寄せ集めてきた地図の束だった。 「おおこれか? 一応図書館から寄せ集めてきたのだがな。話にならんのだ。1st-Gだのグランドラインだのノーマンズランドだのカントーだのまるで地形がバラバラで、 しかも我らが知識にある世界の地図とはまるで違う。おまけに規模も統一されておらん。 世界規模かと思えば雛見沢という街であったり学園都市だかの都市であったり極めつけはワグナリアとかいうレストランの見取り図だ。 冬木の地も混じっておるし、何が何やら…………どうしたのだお前たち」 愚痴をこぼしていたイスカンダルは他の者の様子に思わず動きを止めた。 興味深そうに嗤うギルガメッシュ以外の4人がぽかん、としてしまっているのだ。 「どうしたのだお前達」 「えっとね、イスカンダルさん。実は――」 **** 「うむむむむ。なるほどのう」 4人から告げられた事実に、さすがのイスカンダルも唸らずにはいられなかった。 なにしろ自分が架空の物だと思っていた地図がここにいる者たちの故郷の世界だったというのだから。 チョッパーはグランドライン。ウルフウッドがノーマンズランド。梨花、レナ、圭一が雛見沢。 思えば今までの話でそれぞれの故郷についてはあまり話が無かった。 同盟結成時もイスカンダルは地図のことをすっかり忘れていて話には出なかった。 「これで確実になったということなのか?英雄王」 「そうだろうな。『いくつもの世界から呼び寄せた』というギラーミンの言がな」 今まではどこか絵空事とも思っていた言葉。あの状況下では聞き逃していた言葉。 それが本当だったということがここで判明した。 そうと判ると各々は自分達の故郷について詳しく語った。 「悪魔の実に海賊時代……」 「荒んだ星……」 「昭和の時代に精神病とな」 「英霊に戦争……」 結果は見てのとおり……各々唖然とするしかなかった。 「フン。別に大して変わらぬ。我としては参加者共を見て大体予想は付いていたしな。何か根底にある物が異なると」 「いやいや大きく変わるぞ。これが確かならば……。 全ての世界、征服せずにはいられまい!」 「そこかーーーーーー!?」 目をキラキラとさせるイスカンダルにチョッパーが顎の骨が外れんばかりに驚いた。 「夢を見飽きん男め。そんなことよりまだ物品の確認の途中だ」 「え?でも、これで全部じゃ」 「たわけ。まだあの下女と雑種の荷物が残っておろうが」 そう言っていつの間に持っていたのか、バラライカと無常のデイパックをイスカンダルに向けて放り投げた。 それを掴むとイスカンダルが意外そうにギルガメッシュを見た。 「ほう……あれか?あの2名を殺したのは余だからこれはあくまで余の戦利品というわけか?」 「わかっているなら早く出せ」 「あーわかったわかった。変な所は一本通す奴だ本当に」 そう言ってデイパックの中身を無造作に出す。 無常のものはいくつか壊れていてその欠片がガラガラと降り注ぐ。 どうやら拳銃や受話器、カタツムリのような生物(チョッパー曰く電伝虫)が使い物にならないらしい。 使えそうなものを全員で見ていく。 「な……」 「あーーーーーー!!」 その途中、ウルフウッドが口を開けたまま凍りつき、チョッパーが嬉しそうな声を上げた。 「ど、どうしたのニコラス!」 「ど、どうしたのチョッパーくん!!」 梨花とレナがそれぞれに心配して駆け寄った。 「い、いや……な、なんでもあらへん」 「はぁ!?」 そう言ってウルフウッドがその紙切れをデイパックに突っ込んでしまった。 梨花が抗議するがそれを彼は聞かない。 (なんでこないなとこであのトンガリの手配書なんて見つけなあかんねん) なんだか腐れ縁もココまで来ると、という感じである。 一方チョッパーは 「これ、ランブルボールだ!!」 そうチョッパーが嬉しそうに見せたのは金色の小さな玉のようなものだった。 悪魔の実の波長を狂わせる、チョッパー自作の劇薬だ。 これを使えばチョッパーは7段階の変形ができ戦闘力もアップする。 「よかったねチョッパーくん!」 「ああ!」 レナも一緒に喜んでくれている。 だが、チョッパーはその笑顔に隠しているものがあった。 (ランブルボールは……4つ、か。ランブルボールの効き目は3分。短時間に続けて使う事はできない。 連続で2つ使うと上手く変形がコントロールできなくなって、3つ使うと――) チョッパーはその時が来ない事を祈った。 3つ使えば、自分は自制できない『何か』を起こす。 くれはは言っていた。『あれは本当の怪物だよ』と。 だから、その時は来ないで欲しい。 けれどもし、回りにレナもイスカンダルもいない時だったら―― (おれは……今度こそ守るんだ!!) 時系列順で読む Back Working×Walking×Warning Next 力-Strength-(後編) 投下順で読む Back Working×Walking×Warning Next 力-Strength-(後編) Back Next Deus ex machina ―終演― ギルガメッシュ 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― 竜宮レナ 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― トニー・トニー・チョッパー 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― カズマ 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― 古手梨花 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― ニコラス・D・ウルフウッド 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― ミュウツー 力-Strength-(後編) Deus ex machina ―終演― ライダー(征服王イスカンダル) 力-Strength-(後編)
https://w.atwiki.jp/multiple/pages/440.html
ポケットモンスター ゴールデンソード&シルバーストーム ◆SqzC8ZECfY 「AAAALaLaLaLaLaLaLie――――ッ!!!!」 瓦礫に砂塵吹きすさぶ町並みに大英雄の咆哮が響き渡る。 そしてイスカンダルと御坂美琴を乗せてアスファルトを踏み砕く神馬ブケファラスの蹄音。 その進む先は竜巻の如き豪風、その中心。 待ち構える怪物の名はミュウツー。 台風の語源となった神話の怪物テュポーンのように、旋風巻き起こるそのど真ん中で立ちはだかる。 轟ッ――――と風がさらに力を増す。 人をやすやすと吹き飛ばすその威力は、神馬の突撃すら風のみで踏みとどまらせる力を持つ。 「ぬう!」 「おっさん、どいて!」 増幅された豪風に対して、踏みとどまるブケファラス。 手綱を引くイスカンダル。 そしてその背から顔を出す御坂美琴。 「何をする気――」 「ぶっぱなす!」 イスカンダルが問う間に、青白い火花を帯びたコインが、一直線に空間を貫いた。 美琴の代名詞たる超電磁砲だ。 一筋の閃光が道路上を渡って疾走、音速の壁を越えた衝撃波が空間を揺さぶる。 だが、それをミュウツーは風の壁で跳ね返す。 「んならあッ!」 あっさりと弾かれた。だがそれにショックを受けるほど、今の美琴のメンタルは弱くない。 今度はコインを三枚ほど取り出し、連射。 またも青白い火花とソニックブームの衝撃音がビル街に轟いた。 ガォガォガォン――! 直撃音。だがその音質に違和感。 三つの音が一つに重なった甲高い反射音。 そこから一瞬遅れてあちこちのビルが破砕、瓦礫をばらまく。 本体には当たっていない。 いったいどうすれば届くというのか。 だが――、 「弱まった!」 「よし、行けぇブケファラスよ!」 主たるイスカンダルの命令に神馬は大きく嘶き、そしてわずかの時間、弱まった逆風の中を再び駆けだす。 牽制に何度も超電磁砲を放ち、風の威力を殺しながら美琴がさけんだ。 「正直、そろそろ電池切れだわ。一気にケリつけるわよ!」 「ふん、心得た!」 激戦続きで、美琴の能力の根源である電気はとっくの昔に枯渇しつつある。 それでも真紅から譲り受けた支給品である改造スタンガンからの補給で、どうにかここまでもたせる事ができた。 だがそれがいつまでもつか、と美琴は考える。相手は風だけで近寄ることすらままならない力を持っている。 しかも自分の必殺技であるはずの超電磁砲すらあっさり弾き返し、連射が牽制程度にしかならない。 (――あの白い外見といい、アイツを思い出すわね……ったく) 学園都市第一位。 因縁の相手。 妹達を一万人以上も虐殺した白髪の殺戮鬼。 怒りのままに、殺す気で撃った超電磁砲を跳ね返され、手も足も出ず。 一方通行――――、 「――それでも今のあたしは、止まってなんかいられないのよ!」 相手に手を出させないよう、間断なく三連射。 超電磁砲はもともと連射にむかず、三点バーストを繰り返すのはきついが、そこは多少の無理でどうにかこなす。 しかし電力の枯渇は間近だ。それだけはどうにもならない。 「頼んだわよ、おっさん」 「おうよ!」 敵との相対距離は30メートルほど。 ここが間合いだ。ついに届いた。 ブケファラスが飛ぶように駆け走る。 神馬は強烈な向かい風を切り裂き、一足飛びで白い怪物へ肉迫する。 「我が名はイスカンダル――!!」 大音声で名乗り、象剣ファンクフリードの一撃を大上段から振るう。 怪物がそれを真っ向から受け止める。 強烈な衝撃が、怪物の足元に位置するアスファルトに蜘蛛の巣状のひびを生んだ。 そのときイスカンダルは見た。 怪物がその手に持つ、風に包まれた刀身――黄金の聖剣。 紛れも無い、騎士王が伝説を刻んだ幾多の戦場で共にあった、約束された勝利の剣。 かつて真っ向勝負で自らの戦車を打ち砕いた、兵を、軍を、城すら打ち砕く、その名はエクスカリバー。 「貴様がなぜそれを持っているかは知らん! だが――!」 間髪入れず二撃目。 もう一方の手に持つ槍、破魔の紅薔薇。 怪物はそれをいつの間にか手にした巨大なスプーンで受け止めた。 「やるのぉ!」 「……!」 膠着状態だ。 だが、イスカンダルは感じていた。 黄金の剣が青白く輝きを帯びた風を纏っていることに。 今までの旋風とは別の、殴りつけるような圧を帯びた風が生まれ始めていたことに。 そして結論を得た。 いかに竜巻でも美琴の超電磁砲を跳ね返すなど不可能だ。 跳ね返したものの正体は、これだ。 いや、竜巻と聖剣の剣風の合わせ技。 聖剣の魔力を風に乗せて操っている。 『爆ぜろ、念風結界(ストライク・ウェーブ)!』 「ぐぉ……!!」 跳ね返される――と、イスカンダルは予感した。 ブケファラスの巨体が浮き上がり、足元定かでない感覚。 一瞬後に馬ごと吹き飛ばされるであろう、と。 「――!!」 だが、その一瞬に予測を打ち破ったのは美琴だった。 その手に構えるのは、いつのまにかイスカンダルの荷物から取り出した、無骨なスーツケース。 ケースの横っ腹に空いた大穴を怪物に向けている。 その大穴は砲口だ。 真紅の鉄杭――クリムゾンネイルを放つ砲口だ。 その凶悪な砲口が火花を散らす。 美琴の電磁力だ。 大砲の弾よりも巨大な鉄杭が、美琴の力でさらに加速するクリムゾンネイル・レールガン――!! 「いっけぇぇ――――――――ッッ!!!!」 その炸裂音は爆撃。 弾頭が音速を超えた衝撃波がさらに上乗せされる。 イスカンダルはとっさに美琴を抱きかかえ、ブケファラスにしがみつく。 感覚がおかしくなるほどの轟音を至近距離でくらい、神馬は大きくよろめいた。 だが主人をその背から振り落とすような真似はしない。 爆心地と呼べる場所から10メートルほど後ずさり、なんとか踏みとどまった。 「無茶なことをしおって……!」 イスカンダルは顔をしかめた。 砂塵が巻き起こり、視界を遮る。敵はどうなったのか確認できない。 では味方はどうかというと――、 「ぎぃっ……!」 「脱臼か!? バカモノめ! だから無茶だと――」 撃った瞬間の強烈な反動で、美琴の手首の間接が外れていた。 魔人の武具たるクリムゾンネイルを、身体的には一般人の枠をでない美琴が撃てば、こうなるのは自明の理。 だがイスカンダルが驚愕するのはここからだった。 外れた関節が見る間に元どおりになっていく。 「まさか貴様も不死身とやらなのか……」 「いやぁ私もよく分かんないけどね……今、この状況なら丁度いいじゃない。ほら――」 美琴が顎で敵の方を指し示した。 見れば砂塵は晴れ、その向こうに敵の姿がある。 美琴の撃ち放った必殺の鉄杭は、怪物の肩部分を大きく抉り取っていた。 だがその傷もまるでフィルムを逆再生するように塞がってしまう。 常識を超えた再生能力をあちらも持っているということだ。 「どいつもこいつも……!」 「……ま、だから丁度いいってわけよ。これ、借りてくわね」 プケファラスから飛び降り、そして地に落ちていたクリムゾンネイルのスーツケースを担ぐように持ち上げ、敵へと一歩踏み出す美琴。 怪我をしても治らない人間は前衛で戦わなくてもいい。 自分ならばいくら傷ついても何とかなるだろう。 そう考えて、美琴はイスカンダルの前に出る。 だがもちろん、それを黙って良しとする征服王ではない。 「待てぃ!! 貴様が考えていることぐらい察しがつくが、余がそんなつまらん考えに乗ると思うか!!」 「……別にどうだっていいでしょ。あたしが勝手にやるのよ。だからアンタもそんなに戦いたければ好きに……」 「無論、そのつもりだ。だが暫し待て。余はどうしてもあやつに聞かねばならんことがある」 王の威厳を漂わせた重い声だった。 自分のみならず、誰かの命運を背負って放つ言葉だ。イスカンダル個人ではなく、アレクサンダー大王としての言葉。 その声を無視できずに立ち止まる美琴の横にブケファラスの轡を並べ、そして征服王は再生をほとんど終えた敵をまっすぐに睨む。 「我が名はマケドニアの征服王イスカンダルなり――!!」 相手はその名乗りに応えない。 ただ聖剣とスプーンを構え、そして再び風を生む。 その風に砂塵が舞う。 ブケファラスのたてがみが風に踊り、イスカンダルのマントがはためく。 その姿がまるで歴史映画のようだ、と美琴は思った。 「我が盟友、獣の耳をもつわらべを、アルルゥを殺したのは貴様に相違ないか!!」 「――ッ!!」 怪物がその言葉を聞いて、大きく揺れ動いたのを美琴は見た。 イスカンダルは巌のような迫力を保ったまま動じず、さらに問う。 「相違ないのか? 余はその答えをどうあっても聞かねばならん。どうなのだ!!」 『………………そのとおりだ』 先刻と同じ、聴覚を無視してテレパシーで頭に届く声。 怪物はやや俯き加減で、初めてイスカンダルの問いに応える。 「ならば更に問う。なぜ一度は攫っておきながら殺した。その理由を語る気はあるか?」 『………………ない』 美琴が見上げれば、イスカンダルの表情には大きな険があった。 この偉丈夫は怒っている。その怒りがさらに声を重くする。 「理由を語り、その行動を悔いるならば事情を聞いてやらんでもない。だがそうではないと。そう答えればどうなるかも分かっているのだな」 『語る気はない。「オレが」そう決めたからだ。それは何があっても揺らがない』 「よかろう――」 イスカンダルが発した最後の言葉は死刑宣告だ。裁判は終わった。 あとはその剣を振りかざし、首を落とすだけ。そう決めた審判の一声だった。 こいつは王だ。たった独り、だがその独りの王だ。 王は王である限り、独りであっても、万民の王であっても、その意思を揺るがすことはできない。 「ならば名乗れ!! かつて盟約を交わしたアルルゥの死に報い、その魂を安んじるために、このイスカンダルが貴様を討ち果たす! アルルゥを殺した貴様は何者だ! 揺らがぬ決意があるのなら、それに懸けて堂々たる名乗りを上げてみよ! 名乗れ、怨敵よ!!」 『オレは…………オレの名は…………ミュウツーだ!!』 怪物が名乗った。 同時に旋風が巻き起こる。 僅かに青白い輝きを帯びた白銀の旋風が、再び竜巻となって、砂塵を、瓦礫を舞い上げる。 「うわぁ!」 「捕まれ美琴よ!」 「ご、ごめん! 助かった!」 「構わん。お主も盟友だからな」 吹き飛ばされかけた美琴を抱えてブケファラスの背に乗せてから、イスカンダルは確固たる意思をこめて巨大な竜巻を睨んだ。 相手は聖剣を携えた竜巻の怪物。災害の権化たる神話の竜そのもの。 稲妻の姫を抱き、王は大いなる勇気と、そして亡き友との誓いをもって竜退治に挑む。 「ミュウツーよ! 改めて名乗ろうぞ! 我が名は――――征服王イスカンダル!!!!」 ◆◆◆ 青銀の暴風がビル街の瓦礫を巻き上げ、そして地に叩きつける。 ミュウツーの操る風は、もはや災害そのものだった。 その風に挑む二人と一頭は、時折ビルに身を隠しながら、常に移動し、反撃のチャンスを伺う。 イスカンダルがクリムゾンネイルの銃身を支え、美琴が加速させる鉄杭のレールガンは、敵の強力な暴風に阻まれて届かない。 もっと近い位置から撃たなくては、先刻のようにはいかない。 だが近づけない。 かといって、ぼやぼやしているとたちまち瓦礫の雨を叩きつけられる。 圧倒的な暴風のせいで機動力も十全とはいかない。 「このままでは埒があかんぞ、美琴よ!」 「わかってる!」 この瓦礫の雨と竜巻を超えて、再びミュウツーへと近づかなければならない。 策はある。だが電力が足りない。 充電用のスタンガンのスイッチを押す。 しかし、既に十分な電力は残っていなかった。 美琴は舌打ちして、スタンガンをアスファルトに投げ捨てる。 「作戦に必要な電力がもうないのよ。チャンスは一度、あってもギリギリ二度が限界だわ」 「博打だな」 「ええ」 「だが、この状況では是非もなかろう」 それが一かバチかの作戦でも、できないならばともかく、できるならばやるしかない。 そのチャンスを、この手でモノにするしかないのだ。 「そうよね。じゃあ、いくわよ」 「おう。美琴よ、思うように埒を開けよ」 合図とともに二人を乗せたブケファラスが駆け出した。 たちまち突風と瓦礫の雨が降り注ぐ。 まともに眼すら開けていられない暴風域の只中で、美琴はイスカンダルの背から、風の向こうのミュウツーを見る。 竜巻の壁がまるで空間を歪めている様で、はっきりと敵の姿を可視化できないほどだ。 この嵐を超えていかに近づくか。 「いくわよ!」 「おお!」 イスカンダルがクリムゾンネイルを構える。 彼の膂力ならば美琴のように脱臼することはないだろう。美琴の仕事は砲身に手を沿え、電磁力で加速させてやるだけでいい。 「1、2、3、二発発射!」 美琴の合図とともにイスカンダルが引き金を引く。 二発の鉄杭が火花と放電に伴うオゾン臭を撒き散らして突貫する。 それは竜巻の中心に届くかに思えた。 だが。 ――轟! 竜巻の中心が爆ぜた。 そして鉄杭が跳ね飛ばされて一発は近くのビル壁へ、もう一発はアスファルトへ突き刺さる。 ミュウツーの反撃。 路上に止めてあった乗用車が、まるで冗談のように宙を舞い、数台まとめて降り注ぐ。 だがその間にブケファラスは移動し、すでに次弾の発射準備が完了していた。 「1、2、3、もっかい二発発射!」 またも電磁加速されたクリムゾンネイルが二発。 またも竜巻の爆発。 またも赤い鉄杭がビル壁や地面に突き刺さる。 「いくわよ、ありったけ――!!」 崩れかけたビルの屋上に飛び移り、そこから残弾を全てミュウツーへ向けて撃ち下ろす。 文字通りの鉄杭の雨。 美琴の超電磁砲の連射限界は、確認してある限りは八発。 その八発を一気にぶちかました。 それを敵は爆発的な暴風で押し返す。 二つがぶつかり合う音は、風の爆烈音。 うねるように、または跳ねるように、鉄杭は風に跳ね返され、周囲に突き刺さる。 一発目――逸れて地面へ。 二発目――またも逸れて地面へ。 三発目――跳ね返されてビル壁に突き刺さる。 四発目――逸れて地面へ。 五発目――跳ね返されてそのまま飛んでいった。 六発目――逸れて地面へ。 七発目――わずかに逸れてそのまま敵の背後へ。 そして――八連射のラスト一発がついに壁を貫く。 「やった……!」 美琴は声を絞り出し、小さくガッツポーズ。 正真正銘の限界までの連射で、美琴の疲労はいよいよ極限に達しようとしている。 そしてイスカンダルも美琴の様子を見て、それを察していた。 ここが勝機。絶対に逃してはならない。 「よくやった! あとは任せよ、美琴! 良き臣民の働きには応えてやらねばな!」 「ちょ、誰が臣民……!」 「AAAALaLaLaLaLaLaLie――――ッ!!!!」 美琴を置いて、五階建てビルの屋上から、イスカンダルは神馬の手綱を握りしめ、一切の躊躇を見せることなく竜巻のど真ん中に飛び込んだ。 暴風のガードは相当に弱まっている。 その証拠に、先ほどまでは見えなかった敵の姿がはっきりと確認できる。 クリムゾンネイルに右肩のあたりを抉られ、だがたちどころに再生しつつあるミュウツーの姿だ。 動かぬ右手の代わりに左手でスプーンを前に突き出し、迎撃の構え。 そんな不完全な状態で征服王の渾身の一撃を防げるものではない。 「どおりゃっ!」 『――ッ!』 ファンクフリードの一撃でミュウツーの体勢が大きく揺らいだ。 イスカンダルはそこを狙って容赦なく第二撃を打ち込む。 ――が、そこでミュウツーの背中から、予測の外の斬撃が襲う。 「なんとぉッ!」 間一髪、破魔の紅薔薇で受けた。 それは尻尾で掴んだエクスカリバーだった。 千切れかけた右手から尻尾へと受け渡し、背中ごしに一撃。 かろうじて肩口を掠めただけで凌いだイスカンダルは獰猛な笑みを浮かべた。 「やるのォ、貴様! 強いではないか!」 『……!』 黄金の剣と紅の槍の鍔迫り合い。 純粋な力ではイスカンダルが勝るようだ。 徐々に押し込んでいく。 だが、ミュウツーには風の加護がある。 『爆ぜろ、念風――なに!?』 エクスカリバーに纏わせた爆風で吹き飛ばそうとして、そこでミュウツーの表情が歪む。 それを見てイスカンダルがニヤリと笑った。 爆風が本来の威力を発揮しない。 イスカンダルがそれを封じたのだ。 「ランサーとセイバーの戦いを見ておいたのが、こんな所で役立つとは僥倖、僥倖!」 鍔迫り合いの体勢のまま、さらにぐいぐいと押し込む。 破魔の紅薔薇の能力は魔力封じ。 この力で、聖剣が発生させる魔力を抑え込んでいるのだ。 魔力の上乗せがない、ミュウツー単独の念風であれば、どうにか踏みとどまることができる。 かつて第四次聖杯戦争で、本来の槍の持ち主であるディルムッドが、まさにこのエクスカリバーの風を封じたのをイスカンダルは見ていた。 それがここで生きるとは――――イスカンダルは戦いの流れがこちらに来ていると踏む。 ここで押し込む。そして押し切る。 距離を取られては、また竜巻の壁に阻まれる。 道を切り開いてくれた美琴はもう限界だ。故に次はない。 ここで絶対に逃がしてはならない。 とことんまで押し込み、このまま甲冑組み打ちの間合いで叩き伏せるのみ―― 「ぬぅん!」 「ガブッ……!」 イスカンダルは鍔迫り合いから、槍を握ったままの左手を捻り、そのまま敵の顔面に叩き込んだ。 テレパシーではなく、顎を殴られて物理的に発した悲鳴を、ミュウツーが上げる。 さらに右手のファンクフリードを振り上げ、そのまま押しつぶす構えだ。 だがそこで尻尾に足をとられる。 「むう!」 『ガアッ!』 そのまま馬から引きずり下ろされる。 敵は主人のいないブケファラスを切り捨てようと聖剣を振りかざす。 「下がれ、ブケファラス!」 イスカンダルの命令によって、神馬は霊体化して姿を消した。 間一髪、何もなくなった空間を黄金の剣閃が切り裂いたのはその直後。 眼前の獲物を殺し損ねたミュウツーの眼がギロリと、地を這うイスカンダルに向く。 砂塵まみれの偉丈夫は、自分を地に伏せたその尻尾を決して離さぬよう握り締めながら立ち上がった。 「やる。やるな、貴様。流石に強いわい」 『……』 至近距離。 野獣のような笑みの征服王。 一方、全く表情を変えず、視線で純粋に殺意のみを叩きつける怪物の眼光。 「そこまでの強さがありながら、なぜわざわざアルルゥを殺めたのだ」 『……』 「争いを望まぬ子だった。か弱い童だった。貴様ほどの漢が殺さなくてはならん理由はなかったはずだ」 『……』 イスカンダルの瞳は笑っていない。 怒りと悲しみをこめた眼で、まっすぐにミュウツーを見極めようとしている。 「本当に貴様が殺したのか。今、余の心中には疑問が渦巻いている。貴様があの童を殺すような奸物だとはどうにも考えられん」 『オレだ。オレが殺した。貴様がどう思っていようが、それが真実だ』 「なにか理由があるのか。あの時、殺そうと思えば攫うことなどせず殺せた。なぜ攫った。なぜ殺した。真実は何だ」 『……』 命のやりとりの中で、王の眼は戦いとは別のものを見ていた。 ミュウツーがアルルゥを殺したという場面を誰かが見ていたわけではない。 ただミュウツーがそうだと言った。それだけだ。 『オレが、アルルゥを殺すようには思えないだと? ……なぜそう思う。今、この瞬間にも、オレは貴様を殺そうと考えているぞ?』 「余には、貴様が殺戮を楽しむような輩には見えん。ならば戦いには理由があるはずだ。戦いにもならぬ童を殺すのならば、なおのこと」 『それを聞いてどうするというのだ。聞いたところでどうにもなるまい!』 「あるのだな、理由が」 イスカンダルは握っていた尻尾を離す。 全身に纏っていた殺気が霧消する。 「もし、貴様が本当に殺したとしてもだ。理由があってやむなく殺したのであれば、貴様を倒したところでアルルゥの弔いにはならん」 『貴様……!』 殺気をこめて睨むミュウツーに、征服王は雄大にひとつ頷き、そしてその大きな手を差し出した。 「貴様の理由とやらを話せ。それを明らかにせねば、余が戦う理由はないからのう」 『そんなことは関係ない! アルルゥをどんな理由で殺そうと、オレが今、貴様らを皆殺しにすることとは関係ないんだッ!!!!』 ◆◆◆ ――ああ。 オレに理由なんてないんだ。 オレがミュウツーとして生まれたことにあるのは他人の都合、他人の理由だけだ。 自分の理由なんてない。 ギラーミンどもの都合で踊らされただけだ。 流されて、考えず、流されて、考えまいとして。 そのツケを今更オレに払えなんて言うのか。 レッドもイエローもいなくなった。 もうオレの居場所なんてどこにもない。 それでもオレにツケを払えっていうのか。 生まれようとして生まれたわけじゃない。 戦いたくて戦ったわけじゃない。 流されたくて流されたわけじゃない。 殺したくて殺したわけじゃない。 こんなところにいたくて、オレは生きてるわけじゃない。 だから、せめて、オレはオレの終わりを自分で決める。 それだけは、それだけは、オレから奪わないでくれ。 ――――すまない、アルルゥ。 ◆◆◆ 『――オレは、』 「む?」 いくばくかの沈黙があった。 征服王は怪物の言葉をただ、待った。 ビルの上からそれを見下ろす満身創痍の美琴も、固唾を呑んで見守った。 そしてついに解き放たれた声。 『オレはいでんしポケモン、ミュウツー』 『戦うために作り上げられた戦闘生命体』 『改造されて、兵器として生まれてきたオレは生物ですらない』 『だから戦うために理由なんかいらない』 『殺すために理由なんかいらない』 『戦う』 『殺す』 『しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね』 この時点でイスカンダルも、美琴も理解していた。 ミュウツーは怪物になったのだと。 怪物は人と言葉を交わさない。 人の意を解さない。 それほどまでの殺意。 それほどまでの狂気。 追い詰められた獣。 『しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね 目の前にいる、モノ、全て、しんでしまえ――――――――!!!!』 ◆◆◆ 出会ったときの最初の一声は――――、 「ミャー」 …………だった。 「あんた、私のクローンなわけ?」 「はい」 気味の悪い都市伝説。 超能力者量産計画。 学園都市ならば、そんな馬鹿げた科学技術が実現できないとはいいきれない。 いつか自分と同じ遺伝子を持つクローンが目の前に現れるんじゃないか。 下らない噂と一蹴しながら、心のどこかでそういうことを考えて怯えていた。 でも、実物が現れてみると、こんなあっさりな感じで――――、 「そこの双子、姉妹ゲンカはよくねーぞ」 「コイツは妹じゃないっ!」 「オイオイ冗談でもそんなこと言うもんじゃないぞ」 アイスクリーム屋のおじさんに姉妹と間違われて、アイスをもらったり。 「オイッ」 「何のことでしょう? と、ミサカはチョコミントの爽やかな余韻を楽しみつつシラを切ります」 そのアイスを盗み食いされたり。 「うん。鏡で見るより分かりやすいし客観視できるわね。こうして見ると結構アリって気も……」 「いやいや、ねーだろ。とミサカは、ミサカの素体のセンスに愕然とします」 「なっ何おう!」 缶バッジ取り合って。 「それにコレは――――お姉様に頂いた、初めてのプレゼントですから」 これじゃまるで本当の姉妹みたいじゃない。 『「妹達」を運用した絶対能力者への進化法』 『二万体の「妹達」との戦闘シナリオをもって絶対能力者への進化を達成する』 『第9982次実験』 『開始時刻』 『八月十五日』 『21 00』 悪ふざけにも程があるわ。 私を殺すとか、代わりにクローンを使うとか、レベル6進化計画とか――――、 「――――さようなら、お姉様」 別れ際の言葉が頭から消えなくて、杞憂であって欲しいと願いながら追いかけた。 人気のない、寂れたビル街の狭間に存在する裏路地。 橋を降りてコンテナ置き場へ。 そこで見たものは――――、 「何で……何でこんな計画に加担したの?」 「アァ? 何だイキナリ」 「答えて! それだけの力があって……無理やりやらされてるわけじゃないんでしょ! こんなイカレた計画に協力する理由は何!? あの子に恨みでもあったわけ?」 「……理由? 理由ねェ。そりゃあ――」 イカレた最強の能力者。 不吉な気配を漂わせるアルビノの白髪。 顔面をばっくり裂いたような狂った笑み。 学園都市第一位。 そして――――、 「何よ……それ……絶対的な力? ムテキ? そんな……そんな事でッ……アンタはッ! そんなッ!」 まるで子供が無邪気に虫の足をもぐように。 そして飽きたら無造作に捨てるように。 付け根から引きちぎられていた。 コンテナ置き場の砂利の上にどうでもいいみたいに捨てられていた。 血塗れの。 あの子の。 脚。 「そんなモノのために、あの子を殺したのか――――ッ!!!!」 ◆◆◆ …………アンタ達……何なの……? おかしいよ……何でこんな計画に付き合ってるの? 殺されちゃうのよ? こんなの……ワケわかんない………… ――――何でよ!! 生きてるんでしょ!? 命があるんでしょ!? アンタ達にも……あの子にもッ!! 「ミサカは計画のために作られた模造品です」 「作り物の身体に借り物の心、単価にして十八万円の――――」 「実験動物ですから」 ◆◆◆ 【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】 [状態]:だいぶ再生した 多大な喪失感、大きな動揺、≪体内:全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero≫ [装備]:薔薇の指輪@ローゼンメイデン、ナース服、コイン。 [道具]:基本支給品一式(食料一食、水1/5消費)、病院で調達した包帯や薬品類 コイン入りの袋(装備中の物と合わせて残り59枚)、タイム虫めがね@ドラえもん、首輪(ジョルノ) 真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、蒼星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン ARMS『騎士(ナイト)』@ARMS、真紅の左腕(損傷大)、不思議の国のアリス@現実他、いくつかの本、ナースキャップ [思考・状況] 0:アイツと戦う 0:そん次、ライダーの同盟者と合流。 1:首輪を解体できそうな人物(第一候補はグラハム)を探す。 2:一人でも多くの人を助ける、アイツの遣り残した事をやり遂げる。 3:人は絶対に殺したくない。 4:自分と関わり、死んでしまった者達への自責の念。 5:上条当麻に対する感情への困惑。 6:ライダーと行動する。 【備考】 ※参加者が別世界の人間、及び参加時期が違う事を聞きました。 ※会場がループしていると知りました。 ※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました。 ※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。 ※地下空間の存在を知りました。地下にループ装置があるのではと推察しています。 ※会場は『○』の形に成っているという仮説を立てています。 ※全て遠き理想郷(アヴァロン)が体内にあることを知りません。 ※ラッドの事を『原石』(天然の能力者)かも知れないと考えています。 ※参加者についての情報は以下の通りです。 協力できそうな人物:レナ、沙都子、梨花、ゾロ、チョッパー、アルルゥ、佐山、小鳥遊、グラハム、ウルフウッド 直接出会った危険人物:ゼロ、ラズロ(リヴィオ)、メイド(ロベルタ)、宇宙人(ミュウツー) 要注意人物:白仮面の男(ハクオロ)、ヴァッシュ、水銀燈(殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める) ※首輪の機能について、以下のように考えています。 確実に搭載されているだろう機能:「爆弾」「位置情報の発信機」「爆破信号の受信機」「脈拍の測定器」 搭載されている可能性がある機能:「盗聴器」「翻訳機」 ※首輪は何らかの力によって覆われていて、破魔の紅薔薇にはその力を打ち消す効果があると考えています。 ◆◆◆ ――――オマエはこれより戦いの神になる…… ――――オマエは最も多くの死を振りまき…… ――――ついには屍の山の頂上で息絶える…… ――――地獄からの使者となろう!!!! ◆◆◆ 【E-5 /2日目 黎明】 【ミュウツー@ポケットモンスターSPECIAL】 [状態]:全快、首輪解除、制限解除 [装備]:約束された勝利の剣@Fate/Zero [道具]:基本支給品×3<アルルゥ、仗助、ミュウツー>、どこでもドア@ドラえもん(残り1回)、 第一の湖の鍵(E-)第二の湖の鍵(-5) 不明支給品(0~1)<仗助>、ひらりマント@ドラえもん トウカの刀@うたわれるもの、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、機殻剣『V-Sw(ヴィズィ)』@終わりのクロニクル [思考・行動] 1:戦って死ぬ。不退転。 【備考】 ※3章で細胞の呪縛から解放され、カツラの元を離れた後です。 念の会話能力を持ちますが、信用した相手やかなり敵意が深い相手にしか使いません。 ※V-Swは本来出雲覚にしか扱えない仕様ですが、なんらかの処置により誰にでも使用可能になっています。 使用できる形態は、第1形態と第2形態のみ。第2形態に変形した場合、変形できている時間には制限があり(具体的な時間は不明)、制限時間を過ぎると第1形態に戻り、 理由に関わらず第1形態へ戻った場合、その後4時間の間変形させる事はできません。 第3形態、第4形態への変形は制限によりできません。 ※概念空間の存在を知りました。 ※首輪解除による制限解除により、支給品に課せられた制限まで解除されるかは後続の書き手に任せます。 【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】 [状態]:魔力消費(中)、腹部にダメージ(小)、全身に傷(小)および火傷(小)、腕に○印 [装備]:包帯、象剣ファンクフリード@ONE PIECE、破魔の紅薔薇@Fate/Zero、 エレンディラのスーツケース(残弾30%)@トライガン・マキシマム [道具]:基本支給品一式×3、無毀なる湖光@Fate/Zero イリアス英語版、各作品世界の地図、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース 探知機(故障中)、 [思考・状況] 0:ミュウツーと戦う。 0:そん次、グラハム、沙都子との合流地点へ向かう。 1:バトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。 2:首輪を外すための手段を模索する。 3:北条沙都子を守る。 4:サーヴァントの宝具を集めて戦力にする。 5:有望な強者がいたら部下に勧誘する。 【備考】 ※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。 ※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。 本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。 ※レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。 ※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。 ※自分は既に受肉させられているのではと考えています。 ※ブケファラス召喚には制限でいつもより魔力を消費します。 ※北条沙都子もまずは同盟に勧誘して、見極めようとしています。 ※現在の魔力残量では『王の軍勢』をあと一度しか発動できません ※別世界から呼ばれたということを信じました。 ※会場のループを知りました。 ※オープニングの映像資料を確認しました 【改造スタンガン@現実】 真紅から美琴に渡った。リミッターをはずしており、生命に危険なレベルまで電力を上げることができる。 電池切れでE-5に捨てられた。 **時系列順で読む Back オレはここに在り Next 投下順で読む Back オレはここに在り Next Back Next オレはここに在り ミュウツー [[]] オレはここに在り 御坂美琴 [[]] オレはここに在り ライダー [[]]