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前ページ次ページゼロとさっちん 「あの人たちは嫌い」 とルイズの言われて、「うん」とさつきは静かに頷く。 二人の視線の先には、最後の宴を優雅に楽しむ貴族たちがいる。そうだ。最後なのだ。 もうすぐ、明日にもあの人たちはみんな死んでしまうのだ。 ここはアルビオン王国の首都ロンディニウム。 ルイズと彼女の使い魔であるさつきは、ここにアンリエッタ王女の使いとしてやってきていた。 目的は「手紙の回収」である。 革命騒動に王党派は風前の灯と見られていて、その任務は圧倒的な困難なものになると思われたが―― 任務そのものは半ばだが成功した。 どうやって貴族派に囲まれた城に潜り込もうかと思案のしどころであったが、アルビオン行きのフネを襲った空賊がアルビオンの王党派のフネであるという幸運があり、さっさと城に入り込めて、回収もできた。 そうなればとっとと帰ってもよかったのだが。 「今夜が最後の宴だ。この国を訪れた最後の大使として、ぜひともその宴に出てくれたまえ」 とか言われたら、でないわけにはいかないのだった。 そんなこんなで宴で適当にアルビオンの貴族たちの相手をしていたさつきであったが、壁の花をしているご主人様が気になって話しかけた時、最初の言葉を言われたのだった。 しばらく黙り込んでいた二人であったが、やがてルイズは。 「ねえ、サツキ……いくらあなたでも、五万もの大軍はどうにもならないわよね」 と聞いた。 「いくらなんでも一人では……対軍レベルとか対城レベルとかの魔術とか体術があるってシオンに聞いたことがあるけど……」 自分にはそういうのは使えない、とさつきは言う。 というか、対軍とかってどういうのだろうかと思ってたりする。拳の一撃で軍隊をぶっとばせたりするのだろうか。 いつかはさつきにもそういうことができるかもしれない、とシオンは言っていたが。 『さつきの資質は過去の二十七祖に匹敵します。力を積み重ねればあるいは彼らに並べる存在規模を得ることができるかもしれません』 (ごめん。さっぱり解からないよ、シオン) エジプトの錬金術師と路地裏同盟を組み、死徒になった当初よりは知識を得ている彼女ではあるが――つい最近まで一般人だった悲しさか、相棒のいうところの神秘だのなんだのというのは、まったくもって把握しづらいのである。 それでもあれこれと聞いていると、吸血鬼の能力とかがなんとなく解るようになってはきているのであるが……。 「相棒、あんまり気に病んだって仕方ないぞ」 今の相棒が、彼女の背中から語りかけてくる。 鞘に入れてたら喋れないので、この魔剣デルフリンガーは少し鯉口を切った状態になるように細工をしていた。 どうしてそういうことをしているのかというと、さつきが何をするのもハルケギニアでは不安だから、助言者としてのデルフリンガーを必要としているからであるが。 「貴族だの王族だのってのは、民のために戦うために存在しているんだ。その民からそっぽむかれちゃあ、意義もないってことなんだろうさ」 「だから、ただ滅びるために戦えるの?」 貴族としての意義を失うというのはどういうことは、そういうことなんだろうか。 ルイズは黙って二人の話に耳を傾けていたが、 「ウェールズ様だけでも、なんとか説得したいわ」 と呟いた。 さつきは「うん」とだけ答えた。 ◆ ◆ ◆ 「結婚式を?」 宴も終わり、すべてが寝静まっているかのような城の中でぼんやりと外を眺めていたさつきは、通りがかったワルドに話しかけられた。 ラ・ロシェールで力試しとばかりに決闘を挑まれたが、二人の力は互角であった。 グリフォン隊の隊長として体術と魔法をともに練り上げてきた熟練のスクエアメイジたるワルド子爵と、死徒として力をつけつつあるさつきは、以来、認め合っている仲である。 まあ、つい先日の話ではあるのだが。 その短い時間にさつきはワルドの心中に激しい何かを抱えているのを感じ取ったが、あまり気にしていなかった。怖いものを身の内に隠しているというのならば、彼女の好きな遠野志貴がまさにそうだったし。彼の眼差しがずっとルイズに向けられているのも解っていた。 だから。 (ルイズさんがとても気になるんだね) と好意的に捉えていたりする。 そんなこんなで話しかけられたのならば相手もするし、その内容が彼女の〝ご主人様〟に関わることならば積極的に関わろうとするのにも吝かではないのだった。 で、ワルドの用件というのが「ルイズと結婚式をあげる」というものであったりするわけだが。 「結婚式――明日には開戦なんじゃないですか?」 「時間はあると思うよ」 ワルドにいわれると、そういうものかとさつきは思う。 思ってから。 「戦場の結婚式かー」 呟いていた。言葉からして、とてもロマンがある。 「立会人には、ウェールズ殿下を頼んである」 「王子様に?」 それは、ますますロマンだ。 「君はどうする? 私としては、ルイズの使い魔――というよりも、友人として是非とも参加して欲しいのだがね」 「そうですね……親戚のおねえさんの結婚式とかは出たことあるけど、お友達の結婚式というのはまだないですし」 なんといっても、まだ高校生なのだ。 少し思案してから 「……私みたいなのでもいいのなら――あ、やっぱりこっちの結婚式でも、エスコート役の人っているんですか?」 「エスコート? いや、いないな」 「ブーケを投げたりとかもしないですね」 「投げる? それもしないな」 「……うーん」 実に残念そうに首を傾げていたさつきだが、やがて「うん」と強く頷いた。 「解りました! 私も結婚式に出席します」 「そうか。それは本当にありがたい」 ワルドは笑った。それは実にいい笑顔に見えた。 さつきも笑った。 明日にこの城の人たちはみんな死ぬ。 そんなところで結婚式を挙げるなどというのは。、あるいは不謹慎なのかもしれない。 だけど、とさつきは思う。 そんな時だからこそ、最後に祝福された恋人たちがいてもいいのではないかと。 きっと二人はこの日のことを決して忘れないだろう。 祝福する人たちも、それを想いながら死んでいくのだろう。 それはとても悲しくて辛いことなのかも知れないが―― 「あ、ひとつだけ条件があります」 思い出したように、しかし真摯な言葉と眼差しでさつきはワルドを見た。 ワルドもまた静かな眼差しで応える。 「ルイズさんを、絶対に幸せにしてください」 勿論だとも、と子爵は言った。 それは……約束の言葉だった。 前ページ次ページゼロとさっちん
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チャップ・アデル 番号 階級 NT値 戦艦 航空 車両 MS MA 049 中尉 ‐ × ○ ○ ○ × ランク 指揮 魅力 射撃 格闘 耐久 反応 E D 7 6 10 4 5 5 C 8 7 11 5 6 6 B 9 8 12 6 7 7 A 10 9 13 7 8 8 S 11 10 14 8 9 9 参入条件: 地球連邦軍第二部 ティターンズ結成イベント以降、任務中でないときに連邦版からグラフィック変更 ティターンズ 最初からいる ティターンズ・シロッコ 最初からいる 味方会話キャラ:なし 敵戦闘時会話キャラ:なし 友好キャラ: 専用機:なし 寸評:バニング隊長亡き後(連邦編では死なないが)も隊長に腕立てをさせられること恐れている元アルビオン隊の良識派のちょび髭 射撃がそれなりなので、原作どおりジムキャノン2にでも乗せておこう。
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前ページ次ページとりすていん大王 トリステイン大王 8回目 「ぼんくらじゃねーーー!!」 ええと、いきなりのことで驚かれてるでしょうが、今回はトリステイン王宮からお話が始まります 冒頭で大声を張り上げていたのはトリステインのお姫様 アンリエッタ姫です どうやらお姫様という職業は酷くストレスが溜まるようで 「ああん!!誰が好き好んで狒々爺の花嫁になるかぁ!!」 自分の部屋のベットの上でガクガクと頭を振りながら不満をぶちまけているアンリエッタ姫 これでも姫なんです 「ちくしょぉ!!都合のいい貴族どもがぁ!!ひがみしか言えねえ平民がぁ!!」 手当たり次第に部屋の物を破壊していくアンリエッタ姫 ですから姫なんですよ 「がぁああああ!!むかつく!!レコン・キスタ!!無能言う奴ら!!」 ベットの上でガンガンとストンピングするアンリエッタ姫 ・・・・・・本当に姫なのか?どっかのパンクロッカーじゃないのか? その時、激しく侍女をスパンキングしていた手をお姫様は止めて、呟いたのです 「そうだ、魔法学院に行こう」 と、言う訳で 「お久しぶりですね、ルイズ」 「どぉいう流れなのよーーー!!」 ルイズの抗議もどこ吹く風とアンリエッタ姫はお父さんとティーセットなんかを優雅に飲んでる訳です 「しかし驚きましたわ、まさかルイズがモンモランシー伯を召喚していたとは」 「ははは・・・・・彼女の真の使い魔が見つかるまでの代役だよ」 ピコピコと手を振って謙遜するお父さんとほほほと口元を隠して笑うお姫様・・・・・・ああ、よかったお姫様だ そんな時、お姫様の顔が明らかに曇りました それはもうワザとらしく 「ど、どうかなさったんですか?姫様?」 「私、結婚する事になったのよ ルイズ」 明らかにその結婚は嫌だと顔にしているお姫様を見てルイズもどう声をかけようか悩んでいると 「アンリエッタ姫、お気持ちはお察しします」 お父さんが神妙な顔でお姫様を慰め始めました それをお姫様も真剣に聞きます ルイズは完全に蚊帳の外です 「あたし・・・幼馴染なんだけど・・・主役じゃあないの?いらない子なのかしら あはは」 「お父さん話したら長いから 無駄よ もっとしっかりしなさい」 モンモランシー親子によるアンリエッタ姫とルイズのカウンセリングは深夜までおよんだのでした 次の日の早朝、 「さぁ!!アルビオンに向けて出発だ」 「いやいや!!ちょっと待って!!いつの間にそんな事に」 答え:昨日の夜にお父さんがお姫様に手紙回収を頼まれたからです 「と、言う訳だよ わかったかな?」 ふわふわと浮かびながらお父さんとモンモランシーはルイズが再起動するのを待ってました なんとか再起動を果たしたルイズですが何か引っかかるモノがあります 「って ちょっと待って、なんでモンモランシーまで魔法なしで浮いてるの?」 確かにモンモランシーは魔法なしでお父さんの様に宙にぷかぷか浮いてます そのもっともなルイズの疑問にモンモランシーはちょっと首を捻って考え込むと 「金髪縦ロールですからーー」 「答えになってねーー!!」 ルイズの絶叫が響きました その時お父さんが笑いながら種を明かしてくれました 「娘はこれをつけていたのだよ」 そう言ってお父さんはちょっと大きな箱から何かマジックアイテムを出してきました それはなんだか奇妙な楕円の二つ一組になった つけおさげみたいなモノでした 「これは頭に取り付けると空を飛ぶ事の出来るマジックアイテムだよ」 モンモランシーは髪で隠れて見えなかった同じモノをルイズに見せました 「これをつけるとお父さんと同じ速度で空が飛べるよ」 それを聞いたルイズが目をお星様のようにしてつけたのは言うまでもありません さっそくつけてさっきまでの悩みはどこかに吹き飛ばしてルイズはビシリとアルビオンの方向を指差しました 「待ってなさい!!アルビオン!!このルイズが速攻で問題解決よー!!おーほほほ」 ガチョン ガチョン 発進準備完了!! ルイズ行きまーす 五分後・・・ 「しゃ・・・しゃぶい・・・ヒ・・ひえ・・・ひひ」 「く、空気が・・・空気・・・うす・・・・・・・・・・」 「だ、大丈夫かい?ルイズとミス・モンモランシ」 調子に乗っておもいっきり高く飛んだルイズとそれを追っていったモンモランシーが空気の薄さと寒さで死にかけました 後から追ってきたワルド伯爵のグリフォンに二人そろって寝込んでしまったので仕方なく一行はラ・ロシェールから船で行く事になったのです 続く 前ページ次ページとりすていん大王
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アルビオンの街の一つ、街ロサイスは、首都ロンディニウムの郊外に位置している。 ここはアルビオンの、特に空軍にとって重要な街であり、そこかしこに無骨で巨大な煙突が建ち並んでいた。 ハルケギニアで工業技術の秀でた国と言えばゲルマニアだが、空の上に浮かぶアルビオンも造船技術では引けを取らない。 煙を吐き出している煙突は、巨大な工場らしき建造物から伸びており、工場の中では真っ赤に溶けた鉄が鋳型に流し込まれているところだった。 アルビオンの皇帝となったオリヴァー・クロムウェルは、お供の者達を引き連れて、工場の建ち並ぶロサイスの街を視察していた。 その中にはワルドの姿もあり、視線だけを動かして周囲を観察していた。 トリステインには無かった巨大な造船工場は、アルビオン国王のおふれに始まる。 百年以上昔、首都ロンディニウムでは大火事が発生し、木で出来た家々は消し止める間もなく次々に燃えていった。 当時の国王は、住宅を石造りにして火事に対処せよとおふれを出し、その結果、森林は傷つけられることなく残った。 アルビオンは、驚くほど木材資源が豊富なのだ。 ワルドは、満足そうに胸を張って歩くクロムウェルを見て、少し目を細めた。 しばらく歩いていると、三色の旗が目に入ってきた。。 現在、空軍の発令所となっている赤レンガの大きな建物には、レコン・キスタの旗がはためいている。 その背後には、天を仰ぐような巨大なテントが見える。 だが、それはテントではなく、アルビオン空軍本国艦隊旗艦『レキシントン』号だった。 雨よけのための布が風を受けて、震えていた。 クロムウェルは、発令所から少し離れた場所で、戦艦を見上げている軍服姿の男を見つけ、楽しそうに声をかけた。 「なんとも雄大で頼もしい戦艦ではないか、このような艦を与えられたら、空と地を自由にできるような気分にならんかね? 艤装主任」 「わが身には余りある光栄ですな」 艤装主任と呼ばれた男は、少し気の張りがないような、あまり気乗りしていないと思えるような口調で答えた。 「サー・ヘンリ・ボーウッド君、君は革命戦争のおり、巡洋艦で見事二隻の敵艦を撃破して見せた。君はいかなるときも軍人として冷静だと聞いている」 「軍務に従ったまでのことです」 「ほう!いや、おごり高ぶらぬ態度は美徳だな。旗艦の艦長にはふさわしい!」 端で会話を聞いていたワルドは、ふと違和感を感じたが、アルビオン空軍の慣習を思い出して納得した。 確か、アルビオンでは、戦艦の艤装主任は、艤装の終了したのち、艦長へと就任する。 王立空軍ではなく、レコン・キスタ空軍となった今でも、その慣習はそのまま残っているのだろう。 「見たまえ。あの大砲を!」 クロムウェルは、戦艦の側面から突き出た大砲を指差す。 「きみへの信頼を象徴した新兵器だ。アルビオン中の錬金魔術師を集め、鋳造した長砲身の大砲だ!」 ボーウッドは、新兵器と聞いて、クロムウェルの指さす方を見た、そこには確かに真新しい砲門が姿を見せている。 「いいかね主任、設計主任の計算では、あの砲の射程は………」 調子良さそうに喋っていたクロムウェルの歯切れが悪くなると、すかさず脇に控えていた長髪の女性が、クロムウェルの言葉を代弁した。 「トリステイン、ゲルマニアの戦艦が装備するカノン砲と比較し、おおよそ一・五倍の射程を有します」 「おお、そうだったな、ミス・シェフィールド」 ボーウッドはシェフィールドと呼ばれた女性を見た。 二十代半ばに見えるその女性は、どこか冷たい雰囲気を漂わせていた。 マントを着けていないので、メイジではないのだろうかと疑問に思ったところで、クロムウェルがボーウッドの肩に手を置いた。 「彼女は遙か東方『ロバ・アル・カリイエ』から、優れた未知の技術を我々に伝えてくれた。言わば我らの同士だ」 「東方ですと?」 ボーウッドは少し胡散臭そうに聞き返したが、カノン砲の鋳造技術を思い返し、むむ、とうなった。 「エルフより学んだ技術を我々にもたらしてくれるとは、実に頼もしい!艤装主任、きみも彼女のともだちになるがいい」 「…はっ」 ボーウッドはつまらなそうに頷いて、シェフィールドと握手を交わした。 それが終わるとシェフィールドは、レキシントンの船内へと続く階段へと向かっていった。 ワルドは、ボーウッドの仕草を逐一見て、彼の心情を想像していた。 ボーウッドは心情的には王党派寄りだが、軍人として忠実であるために、上官の命令に従い、王軍に弓を引いたのだと想像できた。 ワルドもまた、つまらなそうに鼻を鳴らしたい所だったが、訓練された軍人としての仮面が、それを押さえた。 「この艤装が完了すれば、『ロイヤル・ソヴリン』号にかなう艦は、少なくともこのハルケギニアの何処を探しても存在しないでしょうな」 貴族派の革命によって『ロイヤル・ソヴリン』は『レキシントン』と名を変えていたが、あえて旧名を呼んだ。 生粋の軍人であるが故に、革命で王軍に弓を引かざるを得なかった男の、皮肉だった。 「ミスタ・ボーウッド。アルビオンにはもう『王権』(ロイヤル・ソヴリン)は存在しないのだ」 「そうでしたな」 ボーウッドは、わざと興味なさそうに返事をした、正直なところクロムウェルには早く何処かに行って貰いたかった。 クロムウェルの口調といい、態度といい、戦略といい、すべてが下品に思えた。 その下品さの一つが、この戦艦の艤装を急がせる理由だった。 「ゲルマニアとトリステインの結婚式とはいえ、戦艦に新型の大砲を積んでいくとは、下品な示威行為と取られますぞ」 クロムウェルをはじめ、現在のアルビオンを統治する『神聖アルビオン共和国』の閣僚達は、レキシントンに乗って、トリステイン王女とゲルマニア皇帝の結婚式会場へと移動する。 その際、あえて新型のカノン砲を、見せびらかすように積んでいくのだから、下品といわれても仕方がない。 だが、下品といわれたクロムウェルは、むしろそれを誇らしげに思っているかのごとく、唇をゆがめて気味の悪い笑みを漏らした。 「ああ、きみには、この『親善訪問』の概要を説明していなかったのだな」 そう言って、クロムウェルはボーウッドの耳に口を寄せると、ぼそぼそと何かを呟いた。 すると、ボーウッドは表情こそ変えなかったものの、目にみえて顔を青ざめさせ、クロムウェルに言い返した。 「バカな!そのような破廉恥な行為は…!」 だが、それすら気にした様子もなく、クロムウェルは事も無げに呟く。 「軍事行動の一環だ」 「トリステインとは、不可侵条約を…!」 ボーウッドがついには怒りを顕わにし始めたので、ワルドと他数人のメイジが、一歩前に出る。 ワルドが杖を手にかけたところで、クロムウェルがそれを制止した。 「かまわん、説明が遅れたのは私のミスであった。…しかし、ミスタ・ボーウッド。それ以上の政治批判は許されぬ。議会の決定、余の承認を経た正式な『政治的外交』だ」 「ぬ………っ。アルビオンは、恥を晒すことになりますぞ…!」 ボーウッドは、悔しそうに呟いたが、クロムウェルの周囲にいるメイジ達を見て、言葉を窄めてしまった。 ワルドは除くが、クロムウェルの周囲を警護していたのは、革命戦争の折に戦死したはずのメイジ達だったのだ。 ボーウッドは、つい数週間前、目の前に立つメイジ達の戦死に際して、敬礼を捧げていたのをハッキリと覚えていた。 「艤装主任…いや、艦長殿。彼らも『親善訪問』には諸手を挙げて賛成してくれているのだよ」 クロムウェルの言葉を聞いて、メイジ達は一斉ににやりと笑った。 ボーウッドは、力なく膝ついた。 メイジの一人が、ボーウッドの手を取って、ボーウッドを立たせた。 触れられた手が異様に冷たくて、ボーウッドは背筋に冷たいものを感じた。 それからクロムウェルは、ボーウッドのいる場所を離れ、レキシントンの艤装をより近くで見るために歩き出した。 かつての仲間達も、死んだはずの仲間達も、トリステインの魔法衛士の隊服を着た男もそれに続いた。 その場に取り残されたボーウッドは、恐怖か何かから来る寒気で身体が震えるのを止められなかった。 ボーウッドは『水』系統のトライアングルであり、生物の組成、治癒にかけてはエキスパートではあるが、死人を蘇らせる魔法などは想像の範疇を超えていた。 彼らは、精巧なゴーレムなのかもしれないと思ったが、掴まれた手から生気の流れを感じた。 ボーウッドは、『水』系統の使い手だからこそ、共に戦った仲間達の『生気の流れ』が別人のものではないと感じたのだ。 神聖皇帝クロムウェルは、『虚無』を操り、生命を操る……。 ただの誇張された噂話だと思っていたが、もし本当に『虚無』のメイジであり、もし『死者を蘇生』させる魔法があったとしたら…… 「……あいつは、ハルケギニアを、生命をどうしようというのだ」 ボーウッドは、震える声で呟いた。 しばらくの間、戦艦の外周を見て回ったクロムウェルは、傍らを歩くメイジ…ワルドに話しかけた。 「子爵、きみは竜騎兵隊の隊長として『レキシントン』に乗り組みたまえ」 「あの艦長殿の目付け、というわけですか?」 ワルドの憶測を、クロムウェルは首を横に振って否定した。 「あの男は、頑固で融通の効かぬ男だからこそ信用できる。余は魔法衛士隊を率いていた、きみの能力を買っているだけだ。竜にのったことはあるかね?」 「ありませぬ。しかし、わたしに乗りこなせぬ幻獣はハルケギニアには存在しないと存じます」 「ふむ、だろうな…」 クロムウェルはワルドに向き直った、ワルドは、無いはずの左腕…いや、左腕に取り付けられた義手を、右手で撫でていた。 「…子爵、きみはなぜ余に従う?」 「わたしの忠誠をお疑いになりますか?」 「そうではない。ただ、きみは余に何も要求しようとしない、何も、だ」 ワルドは、静かに笑顔を見せつつ、首から下げたペンダントを右手で握りしめた。。 「閣下の進まれる道を、間近で見たいと…そう思っただけでございます」 「ほほう、余の道の先には『聖地』しかないがな」 「わたしが探すものは…そこに、そこにあると思いますゆえ」 そう言って、ワルドは首から提げられたペンダントを、無意識に握りしめた。 「信仰か?」 「…かも、しれませぬ」 「ふむ、欲がないな。」 少しの間、考え込むように視線を下げた後、ワルドは笑みを浮かべて呟いた。 「いえ、閣下。わたしは世界で一番、欲深い男です」 一方、トリステインの王宮では、アンリエッタの私室に女官や召使が忙しそうにしていた。 結婚式でアンリエッタが身に纏うドレスの寸法を合わせ、細かな部分を仮縫していたのだ。 傍らでは、太后マリアンヌがそれを見つめていた。 アンリエッタは未完成な純白のドレスに身を包んでいたが、表情は決して明るくなかった。 仮縫いのため、アンリエッタへと着心地はどうかと質問する縫い子たちの声にも、曖昧に頷くばかりだった。 それを見たマリアンヌは、縫い子や女官達を下がらせて、アンリエッタと二人きりになった。 「愛しい娘や。元気がないようね」 「母さま」 アンリエッタは、椅子に座っているマリアンヌに近寄ると、ひざまずくように姿勢を下げた。 下着姿で母の膝に頬をうずめると、マリアンヌはアンリエッタの頭を撫でた。 「望まぬ結婚なのは、わかっていますよ」 「そのようなことはありません。わたしは幸せ者ですわ」 その言葉とは裏腹に、アンリエッタの表情はどこか曇っていた。 「………愛おしい夢は、いずれ冷めます、熱が過ぎればいずれ忘れていきましょう」 「母さま、夢ではありませんわ」 マリアンヌは首を振った。 「恋は、はしかのようなものです、陽炎のような夢に浸っていては、王女としての勤めを果たせませんよ」 「陽炎では…ありません」 「あなたは王女なのです。夢でも陽炎でもないのなら、もう泣くのはおやめなさい。そんな顔をしていたら、民は不安になるでしょう」 「わたくは…なんのために、嫁ぐのでしょうか?民と、国の未来のためなのでしょうか…」 アンリエッタの言葉に、マリアンヌは首を横に振った。 「国と、民と、貴方自身のためでもあるのです」 「…私自身のため、でしょうか」 マリアンヌは、諭すように、静かに語った。 「レコン・キスタのクロムウェルは、皇帝を名乗りました。野心豊かな男です。聞くところによると、かのものは『虚無』を操るとか」 「私も、その話は聞きましたわ」 「…『虚無』がまことなら、恐ろしいことなのですよ。過ぎたる力は人を狂わせるのですから」 「過ぎたる…力…」 ふと、アンリエッタの脳裏にルイズの姿がよぎる。 ルイズは、今ごろはラ・ロシェールからアルビオンにたどり着いている頃だろう。 アンリエッタに『私は食屍鬼を作らない』と約束するルイズの姿は、どこか儚げだった。 ルイズは、自分の力を知っているからこそ、その力に振り回されぬように自制しているのだろうか? 『吸血鬼』であり『虚無』… この事に限っては、枢機卿と協力して、母にも、誰にも知られぬようにしていたのだ。 「野心にとりつかれた男が、軍隊を得て大人しくしているとは思えません。不可侵条約を結んでも同じ事です、軍事強国のゲルマニアにいたほうが、あなたの身は安全なのですよ」 アンリエッタは顔を上げた。 そして母の前で居住まいを正すと、母に頭を下げた。 「……申し訳ありません。わがままを言いました」 「いいのですよ。貴方の”夢”は、貴方の側には居られないと思いますが、貴方の幸せを誰よりも願っているのですよ」 「…はい」 そして、マリアンヌは立ち上がり、母と娘は抱き合った。 一方、港町ラ・ロシェールからほど近い森の奥では、シエスタが木の上で身を潜めていた。 タバサはシエスタの手から伸びたツタの先端を握りしめて、木の陰で何かを探そうと集中している。 ふたりは、タバサの足下から数えて約20メイル先の建物に意識を向けていた。 そこには廃墟となった寺院があった。 敷地面積は、トリステイン魔法学院の本塔と同じぐらいのだろうか。 錆びて朽ちかけた鉄の柵、倒れた円柱、割れたステンドグラスを見ると、かつては見事な建造物だったとわかる。 かつては、ここに村があり、この寺院は村の中心的な役割があった。 何百年か前に起こった、ゲルマニアとトリステインの戦争で、この村は燃やされてしまった。 とは言っても、非戦闘員の住む村落を無碍に燃やすことは、ゲルマニアでも禁じられている。 この村は、荒くれ者達や、自称『傭兵』達、もしくは盗賊達に荒らされてしまったのだ。 戦争も終わり、一応の平和が訪れたが…もはやこの寺院を訪れる人間は居なかった。 不意に、門柱の近くにある木から、ドォン!という音が響いた。 タバサとは別の場所に潜んでいるキュルケが、木に火の魔法を当てたのだ。 そして、どかどかと足音を立てながら、何者かが寺院の中から飛び出してきた。 この寺院を住処にしている、オーク鬼の群れだった。 「ぶひ」「ギィ」「ぶごっ、ぶごごっ!」 十匹にもなるオーク鬼の群れが、寺院の中から姿を現し、鼻を鳴らして互いに会話していた。 シエスタはガサガサと、わざと音を立てながら木から飛び降りた。 かなり高い位置から飛び降りたのだが、木の葉に波紋を流して吸い付き、勢いを殺しながら降りたのでダメージは無い。 それを見たオーク鬼達が一斉に「ブギィ!」と叫び、シエスタへと走り寄ってきた。 シエスタは、ワインや水を使って生命の波を探知するように、蔓草を通じてタバサに波紋を流していた。 すると、『風』を得意とするタバサの身体に変化が起こる。 まるで周囲を流れる微弱な風が、自分自身の指先になったかのように、敏感に、鮮明に、『生き物が持つ波紋』を感じられるのだ。 「ラグーズ・ウオータル・イズ・イーサ・ウインデ……」 タバサは小声だが、しっかりとした発音でルーンを詠唱し、『ウインディ・アイシクル』を放った。 タバサの隠れている木、その木の前に立つシエスタ、それらを一切傷つけることなく氷の槍が四方八方から飛来し、オークの群れへと殺到する。 先頭に立つオーク鬼の身体を貫通し、後ろのオーク鬼までを串刺しにして、氷の槍が砕け散る。 タバサが次に唱えた『エア・ハンマー』は、氷の破片を三匹目に殺到させ、オークの身体を穴だらけにした。 と、その様子を見ていた他のオーク鬼達が驚き、戸惑う、何匹かは寺院の中に戻ろうとしたが、寺院の中に居たのは青銅で作られたゴーレム、ワルキューレだった。 寺院の入り口は人間より二回り以上大きいが、オークにとっては丁度良い大きさだった。 その入り口を槍を構えたワルキューレが塞いでいたのだ。 「ぶぎ!」「ぎぎ、ぶごっ」 鼻を鳴らしてオーク鬼が会話する、その様子はまるで「おい、どうする?」と相談しているかのようだった。 事実、そうなのだろうが、その僅かな合間が命取りだった。 寺院の入り口から飛び出したワルキューレが、オーク鬼の持つ棍棒一振りでグシャグシャに潰されたが、左右に突然現れたワルキューレに両脇腹を槍で貫かれ、一匹が絶命した。 すかさず右からキュルケの炎が飛び、左からキュルケの使い魔フレイムの炎が飛ぶ。 更に一匹、二匹と焼かれていき、残った五匹は悲鳴を上げた。 そのうち一匹が、シエスタに向かって棍棒を投げた、オーク鬼の腕力は人間よりはるかに強く、まともに棍棒を受ければシエスタは肉片になってしまうだろう。 だが、シエスタは逃げなかった。 すかさずマントに手をかけると、内側のとある箇所を握りしめて波紋を流した。 するとマントはシュッ、と音を立てて円錐形に形を変え、その頂点をオーク鬼に向けた。 投げられた棍棒は、マントの表面を流れる『弾く』波紋により、あらぬ方向へと滑り飛んでいった。 残る、オーク鬼五匹。 かれらは、その腕力と獰猛さで人間の子供を食らうので、人間達から恐れられていたが、今は違った。 残忍な狩人であるオーク鬼達が、今は狩られる側に回っていたのだ。 シエスタは、マントを元の形に戻すと、両手の力を抜いた。 波紋を蔓草に流し、タバサの手から蔓草を巻き戻す。 「…いきます」 シエスタの言葉に、タバサとキュルケ頷いた。 オーク鬼に向けてシエスタが駆け出す、それは端から見れば自殺行為にも等しい。 メイジでもない人間が、素手でオークに立ち向かうなど、あまりにもバカげている。 シエスタに一番近いオーク鬼もそう考えたのだろう、ブヒ、と鼻を鳴らして右手を振り上げ、シエスタに向けて振り下ろした。 …だが、吹き飛ばされるはずのシエスタは、左手の指一本でオーク鬼の手を止めていた。 「ブゴ?」 きょとん、とした目で、オーク鬼は自分の手を見た。 か弱い人間をはじき飛ばすこともできない、それどころか、その指から自分の手が離れないのだ。 「ぶごぉ!?」 オーク鬼は、左手でシエスタを殴ろうとしたが、それよりも一瞬早く、シエスタの手から『波紋』が流された。 オーク鬼の身の丈は二メイルほどあり、大きさから考えて体重は人間の五倍ほどあると予測できる。 その身を、動物から剥いだ毛皮に包んでおり、棍棒などで武装していることがある。 知能は高いが、その豚のように突き出た鼻から、オーク鬼は二本足で立った豚と表現されている。 一般に、オーク鬼は太った体つきをしているが、ただ太っているわけではなく、相当量の筋肉が脂肪の下を埋め尽くしている。 人間の腕力をはるかに超えるその力は、今回ばかりは、かれらの弱点となった。 ベキベキベキベキと音が響く、オーク鬼の背中が、まるで弓のように反り返り、自分の背骨を砕いていたのだ。 オーク鬼の後頭部が地面に触れると、綺麗な曲線を描いがブリッジが完成した。 動物特有の発達した背筋が、自分の意志に反して過剰に収縮し、自分自身の骨を自分で砕いてしまったのだ。 他のオーク鬼達は、その姿に驚き、言葉…と言うよりは鳴き声を失った。 同胞の一人が、奇妙に丸まって全身の骨を砕かれ、絶命したのだ。 誰かが「ブゴッ」と鳴き声を上げると、残るオーク鬼四匹が後ずさった。 目の前にいる平民の少女…もっとも、オーク鬼達に『平民』と言っても分かりはしないが…杖を持たずに仲間を殺したこの少女が、恐ろしくなったのだ。 「ブギィ!」「ゴア!」「ビギーッ!」「ブゴオ!」 残された四匹のオーク鬼は、ちりぢりに逃げ出そうとした、しかし、キュルケのフレイムボール、タバサのエア・カッター、サラマンダーの炎、シエスタの波紋疾走にて打ち倒された。 オーク鬼が全て退治されたのを確認すると、屋根の上で身を潜めていたギーシュが、すっくと立ち上がって薔薇の造花を掲げた。 「フッ、これがトリステイン貴族の実力さ」 キザったらしく髪の毛をかき上げたギーシュだったが、そこに突然の風が襲った。 ばさっ、ばさっ、と音を立ててシルフィードが寺院の庭に着地したのだ。 風に煽られたギーシュは寺院の屋根から滑り落ち、そのまま地面に激突した。。 「ゴフッ!?」 「ギ、ギーシュ!大丈夫?」 シルフィードの背に乗っていたモンモランシーが慌てて飛び降り、ギーシュに駆け寄る。 頭を膝の上に乗せて膝枕の形になり、ギーシュの頭に手を当てて、優しくさすった。 「ああ…モンモランシー、白魚のような君の手が痛みを忘れさせてくれるよ」 「ギーシュ…」 二人の様子を見ていたキュルケとシエスタだったが、もう勝手にやってろと言わんばかりに首を横に振って、寺院の中へと入っていった。 タバサは、シルフィードに背中を預けると、いつも持ってきている本を読み始めた。 「この寺院の中には、祭壇があって、その下にチェストが隠されてるそうよ」 「祭壇ですね…あれでしょうか?」 キュルケの指示に従って、シエスタが祭壇を探したが、そこにはチェストなど影も形もなかった。 キュルケがレビテーションで祭壇をどかすと、その下には人一人が入れそうな空間があり、小さなチェストが置かれていた。 「ここの司祭が、寺院を放棄して逃げ出すときに隠した、金銀財宝と伝説の秘宝『ブリーシンガメル』があるって話よ?」 キュルケが得意げに髪をかきあげる、シエスタは蔓草を使ってチェストを引き上げると、床に置いた。 「ブリーシンガメルって、どんな物なんでしょう?」 シエスタが訪ねると、キュルケは手に持った地図を開き、そこに書かれた注釈を読んだ。「えっとね、黄金でできた首飾りみたいね。聞くだけでわくわくする名前ね! それを身につけたものは、あらゆる災厄から身を守ることが……」 シエスタがチェストの中を見ると、そこには色あせた装飾品や、がらくたしか入っていなかった。 その晩、一行は寺院の中庭でたき火を取り囲んでいた。 モンモランシーは、ギーシュと一緒にいられるのが嬉しいらしく、ギーシュに寄り添っては離れより沿って離れを繰り返している。 ギーシュもまた、モンモランシーの前では毅然とした態度を取ろうと心がけていたが、いかんせん膝枕の感触を思い出しては時々鼻の下を伸ばしている。 キュルケは、紙の束…よく見ればそれが地図と判る…をたき火の中に投げ入れた。 その様子を見て、ギーシュがふぅ、とため息をついてから、しゃべり出した。 「なあキュルケ、これで七件目だろう。地図をあてにして、お宝探しなんて…苦労しても何も見つからないじゃないか」 モンモランシーも、ギーシュの言葉に頷いた。 キュルケはどこからか手に入れた『宝の地図』を頼りに、宝探しをして小遣いを稼ごうと画策したのだ。 シエスタとタバサを連れて行ければいいと思っていたが、困ったことにギーシュがついてきてしまった。 どいやら、この間シエスタに決闘を挑んでしまった罪滅ぼしらしいが、それを聞いたモンモランシーまでもが参加することになった。 女三人とギーシュ一人である、モンモランシーが何か危惧するのは当然だろう。 キュルケは、モンモランシーは『水』系統の使い手であり、怪我をしたときに彼女が居ると有利だと考え、五人での宝探しが始まったのだ。 だが、一攫千金の宝探しなど、そうそう簡単に実現できるはずもなく、一行はことごとく偽のお宝を掴まされていた。 「何よ、あらかじめ言っておいたじゃない。この地図の『どれか』は本物なの『かも』しれないって」 「いくらなんでも、廃墟や洞窟にいる化け物を苦労して退治して、得られた報酬が銅貨数枚とガラクタだけじゃ、割にあわんこと甚だしいよ!」 ギーシュはそう言って、薔薇の造花を口にくわえ、中庭に敷いた毛布の上に寝転がった。 「そりゃそうよ。化け物を退治したぐらいで、ほいほいお宝が入ったら、誰も苦労しないわ」 俄に険悪な雰囲気が漂い始めたところで、シエスタの明るい声が響いた。 「みなさーん、お食事ができましたよー!」 たき火の火を使って、シエスタが調理していたのは、彼女の故郷独特のシチューだった。 深めの皿にシチューをよそる、シエスタが言うには、この形の皿を『チャワン』というらしい。 一人一人にシチューを渡すと、ほんのりと良い香りが鼻を刺激する。 「へえ、この草はハーブだったのか、雑草かと思っていたが…」 ギーシュがシチューを頬張りながら呟くと、モンモランシーがシチューをかき回して、中に入っている野草や肉の臭いを確かめた。 「…これはウサギ肉と、ハシバミ草の一種ね、もしかしてタバサに頼んで乾燥させていた草って、これ?」 「はい、乾燥させてから煮込みなおすと、アクが出てハシバミ草の苦みはほとんど無くなるんです、やりすぎると香りまで飛んでしまうのですけど」 「物知りねえ、この間貴方の故郷…タルブ村に行ったときに食べた、ヨシェナヴェに味付けが似てるわね」 キュルケが感心したように呟く、すると、タバサもそれに続いて「美味しかった」と呟いた。 「あら、二人ともシエスタの故郷に行ったことがあるの?」 モンモランシーが空になったお椀を差し出しながら聞く、シエスタはお椀にシチューをよそりながら答えた。 「はい、私が魔法学院に入学させて頂くことになった時、キュルケさんと、タバサさんが手伝って下さったんです」 「そうよ、ああ、あのワイン美味しかったわね。タルブ村にまた行きましょうよ、タバサもヨシェナヴェはお気に入りでしょ?」 キュルケの言葉にタバサが頷く。 「それに、最後に残った地図も、タルブ村の近くを示してるもの、最悪でもワインだけ貰って帰ってくればいいわ」 「最後のお宝って何よ、またインチキじゃないの?これ以上宝探しを続けても収穫はないと思うわよ。それに…ギーシュも疲れてるみたいだし」 キュルケは宝の地図を放り投げて、モンモランシーに渡した。 「…『竜の羽衣』って、何?」 シエスタが驚いて顔を上げ、モンモランシーが持った宝の地図を見つめた。 「…竜の羽衣ですか?そんな、あれはお宝なんてものじゃありません」 「知ってるの?」 「はい、あれは…コルベール先生が授業で言っていた、魔法を使わずに動くものらしいんです、でも今は壊れて…なんの価値もないと思います」 シエスタの言葉に、キュルケが驚いた。 「魔法を使わずに動くって、あの、『蛇くん』のこと?ホントにガラクタじゃない」 「…私も、最初はそう思っていたんです。けど…」 シエスタが竜の羽衣について話しだす。 皆は、はじめ胡散臭そうに聞いていたが、シエスタのマントが滑空する原理や、コルベール先生の開発した『ゆかいな蛇くん』の話をするにつれ、皆シエスタの話に夢中になっていた。 より原理的に完成された『エンジン』の存在。 他にもプロペラ、揚力、抗力、機関銃、合金、速度…それらの話を聞いていくうちに、タバサを除く皆の目に活力が見えてきた。 それらは曾祖父の日記に、理論と共に書かれていた。 それが正しければ、まさしく竜の羽衣はハルケギニアの技術を遙かに超えた『マジックアイテム以上のマジックアイテム』なのだ。 更に、シエスタの曾祖父がそれに乗ってタルブ村にやって来たと聞いて、皆は面白そうに目を輝かせた。 「面白そうじゃない!壊れていてもいいわよ、それ、竜の羽衣を一度見に行きましょう。」 キュルケがそう言うと、皆もそれを了承したのか、一様に頷いて肯定した。 「じゃあ、今日は早く寝ましょう、あのワイン美味しいのよね…楽しみだわー」 ワインの味を思い出して、キュルケは楽しそうに呟くと、傍らで本を読んでいたタバサも小声で呟いた。 「楽しみ」 「貴方はワインじゃなくてハシバミ草でしょう?」 「…」 タバサが無言で頷くと、皆が一様に笑い出した。 嵐の前の、つかの間の平和が、彼らを包んでいた。 To Be Continued→ 戻る 目次へ
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前ページ次ページzeropon! 第10話 真夜中の訪問者 二つの月が草木を明るく照らす、そんな夜のこと。 その日の昼間、貴賓が招かれた学院では使い魔のお披露目会が開かれていた。 各人が思い思いの方法で、召喚した使い魔を披露する中、 ルイズとパタポン達は歌劇『ぱたぶランカ~愛のしもふりにく~』を上演。 その物悲しくもハートフルでバイオレンスな物語は観客を魅了。 最後にはスタンディングオベーションの喝采を浴びるほどだった。 このお披露目会に気を良くしたルイズは、夕食後、自室でメデンが持ってきた、 銘酒『パ王』を景気よく飲んでいた。 コン、コン…コンコン ルイズの部屋の扉がノックされる。 ルイズの相手をしていたメデン。こんな夜更けに誰だろうか? 既に草木も寝ようとする夜更け。訝しみながらも 「どうぞ、扉は開いております」 と、入室を促す。かちゃり、と静かに開いた扉から現れたのは、 フードを目深に被った女性。彼女は後ろ手に扉を閉める。 次に取り出したのは一本の杖。その様子を見て身構えるメデン。 しかし振られた杖には攻撃の意思はなく、一度光るとそれきりのまま 再びしまわれる。そして彼女はその顔を隠すフードを外した。 「どこに聞き耳をたてる者がいるかわかりませんからね」 現れたその顔をメデンは知っていた。見たのは今日の昼間。 お披露目会の会場の貴賓席。その中にいた王族の一人。 その姿は一輪の気高き花。王国の至宝。 「貴方は、王女さま?」 彼女はアンリエッタ・ド・トリステイン。この国の王女である。 彼女のことをメデンはルイズから聞いていた。 ルイズと彼女は幼い頃、共に過ごしていたらしい。 いわゆる幼馴染である。そんな二人だがやはり王女という 身分が妨げになっているらしく久方ぶりの再会なのであろう。 と言って、椅子に座るルイズにガバリ、と抱きついたアンリエッタ。 「ああ!おひさしぶり、ルイ、酒臭っ!」 と叫ぶとルイズから身を急いで離す。 よくみればルイズの傍らの一升瓶に入ったパ王。 度数45度と書かれたそのビンの中身は既に半分空いており、 そして、それを手酌するルイズの瞳はがっつりと据わっていた。 「ええと、る、ルイズ?」 恐る恐るルイズの顔を覗くアンリエッタ。それをぐいんっ、と 頭を振って睨み付ける。 「ひいっ?!」 ビクリっと身をすくめるアンリエッタ。彼女に差し出されたのは一杯の酒。 先ほどルイズが手酌した一杯である。 「飲んで」 ずずいっと、据わった目を向けながら杯を押し付けるルイズ。 「え、いや、ルイズ、私、お酒は…」 「飲んでくれないの?」 途端、今まで据わっていた目がうるうると潤みだす。 その目はまるで小動物のような愛らしさ。 アンリエッタは思い出した。 この目だけはダメだ。この目をされると何も断れなくなる。 子供の頃のおままごと。彼女が今と同じように差し出してきたのは 泥水のワイン。そして同じ瞳で彼女は言う『飲んで』と。 それを飲み干したばかりに三日三晩かけて死に掛けた。 そして再び今、彼女は 「いただくわ、ルイズ」 自ら死地に飛び込んだ。 一時間後… 「あはははは!」 「あはははは!」 部屋に高らかに響く哄笑。 あげているのはもちろんルイズ、そしてアンリエッタ。 高らかに杯を上げて乾杯をしては飲み干していくその様を見て、 メデンはため息をつき、あきらめたように部屋を後にした。 残ったのは酔いどれ×二匹。 結局、朝まで続いたこの狂宴、朝になり姫が居ないことに気づいた 摂政マザリー二が部屋にやってきて、 「酒臭っ!」 と叫ぶまで続いた。 「ううううう、あたまいたいー」 ふらふらと、パタポン砦の前まで現れたルイズ。 それを心配そうに支えながらメデンが傍らにいる。 二日酔いのまま、なぜルイズがここに来たのかというと、 アンリエッタが完全に酔う前にルイズにお願いしたことにあった。 曰く「アルビオンのウェールズ皇太子に宛てた恋文を取ってきてほしい」とのことだった。 アンリエッタにお願いされたルイズは使命感から安請け合いしていたが、 アルビオン…この地名にメデンは覚えがあった。 情報収集に使っているフーケから聞いた情報の中、 現在のアルビオン、クーデターが起こっているとの情報があった。 貴族派と呼ばれるクーデター軍は既にアルビオンの大半を手中に収めているらしく、 既に王城付近に押し込められた王党派と呼ばれる正規軍が弱弱しい抵抗をしているだけらしい。 このような場所に神ルイズを行かせるのは危険である。 しかし、二日酔いの状態で意地でもいく、と言い張る彼女を説得するのは難しかった。 それにこのことはパタポン族全体にもかかわることであった。 トリステインが現在推し進めている王女アンリエッタと、隣国ガリアの王との婚姻。 これが事の発端である。これは小国であるトリステインが戦火が拡大するアルビオンへの牽制。 そしてこの先、動乱が起こりつつある世界を生き残るための政策である。 これを進める上で、ウェールズに送っていた恋文などが公になれば 進めている全ての事が無駄になる。 それを危ぶんだ上でのアンリエッタの依頼なのであろう。 トリステインが戦火にさらされればパタポン族、そしてもちろんルイズにも火の粉が及ぶ。 ならば、今のうちに…とメデンは考えていた。 極秘任務のためと思いつつ頑張ってルイズがふらふらと砦の前に着くと、 「おそいわよ!ルイズ」 「五分で仕度」 「さあ!姫の依頼を果たそう!」 なんかたくさんいた。 「…キュルケ、タバサは慣れたからもういいわ。…だけど何でギーシュもいるのよ!」 「はははは!簡単なことさ!昨日の夜、モンモラシーに夜這いをかけたら窓から放り出されてね! 地面で伸びていたらたまたま姫君が通られたから後をつけただけさ!」 轟然と胸を張るギーシュに、ルイズ必殺の拳が顔面に叩き込まれる。 しかしそれは黒い影に防がれる。 「な!私のルイズ・ナッコーが!?何者?!」 ルイズの拳を防ぐそれは…モグラだった。巨大なモグラが二人の間に地面から現れ、 ルイズ・ナッコーをその前脚で受け止めている。 「ああ!ヴェルダンディー!ナイスだ!」 どうやらこのモグラ、ギーシュの使い魔らしい。モグラにひし、と抱きつくギーシュ。 「おのれええ!」 地団太を踏んだルイズが、愛情表現のキスを行うギーシュごと爆発で吹き飛ばそうとしたとき、 突然の突風にモグラことヴェルダンディーごとギーシュが吹き飛ばされた。 「僕のフィアンセに手を出さないでもらおうか」 その突風と声の持ち主は上空から舞い降りた。 それは一頭のグリフォン。猛禽の頭と獅子の巨躯を併せ持つその獣は ハルキゲニアでも誇り高く獰猛な種である。 そしてその猛獣を従えてその男は地に降り立った。 機能的な服装。腰に挿した実用的なレイピアの如き杖。 服に包まれた身体は薄くも強靭そうな筋肉に包まれている。 精悍な顔には薄く髭があり、そしてその眼はそれこそグリフォンのようだった。 「な、何者だ!僕とヴェルダンディーをよくも!だいたい手を出してきたのは 貴方の婚約者のヴァリエええええええ?!婚約者?!」 素っ頓狂な声を上げるギーシュ。キュルケもタバサも驚きに目を見開く。 「あなた誰?」 キュルケが不審げにその男に尋ねる。 「おっとこれは失礼。私はグリフォン隊隊長ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。 アンリエッタ王女の命により参上した」 皆が一様に驚く中、彼はきょろきょろと周りを見渡す。 「ところで…僕の愛しのルイズはどこかね?」 優雅に聞くワルド。そのワルドにキュルケは腕を組んだまま指だけでその方向を指す。 ルイズがいた。モグラとギーシュと一緒に吹き飛ばされていた。 さあっと顔が青くなるワルド。それはそうだろう。婚約者を吹っ飛ばしたのである。 ぐったりしたままのルイズ。傍らにいるのはメデン。メデンは静かにルイズに向け手を合わせ、 その後ぱんぱんっと手を叩く。砦から一匹のキバポンが荷車を引いて現れた。 だがそのキバポン、顔にオレンジ色の面をつけていた。 それは召喚されたときメデンの傍らにいたパタポン、ヒ・ロポンである。 彼はからからと荷車をルイズの横につけると、ひらりと馬から降りて、 メデンと共にうんしょ、うんしょと荷車にルイズを積む。そしてメデン、ヒ・ロポンがつみ終えたのを見ると、 キュルケ、ギーシュもパンパンと土を落として馬に乗る。タバサも使い魔の蒼い竜に乗る。 皆、無言でメデンを後ろに、ルイズを荷車につんだヒ・ロポンについていく。 からからと無情の音をたてて進む一行。やがて門からは見えなくなった。 取り残されたワルドは…数刻経ってからとぼとぼと、グリフォンに乗り込み 一行の後を追った。 前ページ次ページzeropon!
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前へ / トップへ / 次へ 午後の授業は全て中止され、歓迎式典の準備に当てられた。 準備が終わると生徒は全員正装し、正門で整列をさせられた。 街道を4頭立ての馬車が粛々と進んでいる。金の冠を御者台横につけ、ところどころに金銀白金でできたレリーフ。 そして、つけられたユニコーンのマークが国際警察機構ユニコーン……じゃなくて王女の馬車であることをしめしていた。 よく見れば馬は紋章と同じ、ユニコーンが勤めている。無垢なる処女しかその背に乗せぬユニコーンは、なるほど王女の馬車に ふさわしい。 その後ろにマザリーニ枢機卿、さらに2台の周りを王室直属の近衛部隊魔法衛士隊が固めている。男の貴族は皆その任に就く ことを望み、女の貴族は皆その妻となることを望むという。トリステインの華やかさの象徴であった。 だが、その華やかさの裏で、馬車の中は苦悩に満ちていた。 アンエリッタ王女も、さきほど乗り込んで来たマザリーニ卿も、ある一つの苦悩を共有していた。 『アルビオンにおける動乱』 革命なるものを行い、アルビオン王家を打ち倒そうとする運動があの浮遊大陸で起こっているという。その勢いたるや尋常のもの でなく、今にも国王を縛り首にしそうな勢いだという。おまけに、革命の勢いに乗ってハルケギニアを征服、一気に聖地を奪還 しようとすらかんがえているという噂もある。 そもそも、王女とゲルマニア皇帝との婚姻も、この外患に対抗する手段として行われるものであった。 そしてもう一つ。 王女は誰にも打ち明けていないが、もう一つの憂慮があった。 ただ、その憂慮は何とかなるかもしれない。そう考えてもいた。 ちらっと窓の外を見る。外からは見えないが中からは見えるようにレースのカーテンが引かれている。そこから外にいるだろう目的の 人物を探す。腕には先ほど授与条件が変わったといわれたシュヴァリエ授与者名簿が乗っている。 だが、グリフォンにのった、『閃光』なる二つ名のグリフォン隊隊長しか見えず、外を覗くのをやめる。たしか、マザリーニ卿の腹心と いっていた人物だ。 王女は何かをジッと思案しているようであった。 その後の式典は実に華やかなものであった。 唯一の気がかりであったオスマンは曖昧に戻らず無事に任を終え、王女は学院へと入って行った。 その周囲を固める警備の物々しさは、フーケのことがあり万一あるを考えた布陣であった。 その中に、特に異彩を放つ1人の男の姿。 背の高い、髭を生やした男であった。 見事な羽帽子をかぶった、精悍な顔立ちの若い貴族。グリフォンにまたがり、胸に同じ刺繍を施された黒いマントを羽織っている。 ルイズもキュルケも、その男をボーっと見ている。タバサだけが黙々と「サルでもかける漫画教室」なる本を読んでいる。 『なるほど、ああいう男が好みなのか。』と、バビル2世は思った。 優雅で華やかな式典は終わった。 バビル2世はなぜかぼーっとしたままのルイズやロデムたちと部屋にいた。 「こいつはあれだな。お医者様でも草津の湯でも、お釈迦様でも治せない、ってやつだ。」と、デルフ。 「どこでそんな言葉を知ったんだ。恋の病であることは間違いないだろうな。」と、バビル。 『ご主人様、すこしはショックを受けてもよいのでは?_』と考えているロデム。 と、そこへノックの音。 「誰だ?」 透視をすると、真っ黒な頭巾をすっぽりかぶった……アンエリッタ王女だ。 間違いない、昼に見た王女だ。偽者でないことは、高貴さというか伝わってくるオーラでわかる。 「ルイズ、王女様がきたようだよ。」 慌てて言うバビル。が、まあ、この程度では全く動じないので、慌てても普段とあまり変わらない調子で言う。 ようやくその一言でルイズが気づき、 「は?あんた何を馬鹿な…」 ドアがノックされた。規則正しく。はじめに長く2回。それから3回。 ざっと気をつけをし、急ぎドアの前まで行く。 バビル2世は、まあ使い魔の仕事だろうと、恭しくドアを開いた。 入ってきた王女は杖を振り、ディティクトマジックを使う。盗聴防止魔法だ。 「どこに耳が、目が光っているかわかりませんからね。」 王女が頭巾を取る。ルイズが慌てて膝をつく。 バビル2世は、警護は立っておかないとまずいだろうと考え、ドアを閉めて窓際へ移動した。ロデムはデルフを咥えていつの間にか ベッドの下へ潜り込んでいる。 アンリエッタは涼しげな、心地よい声で言った。 「お久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ。」 翌朝、食事を取っていると、バビル2世はシエスタに声をかけられた。 「ファイアさん、なんだかおつかれですね?」と。 疲れもするだろう。なにしろあのあとルイズの部屋で、王女がアルビオン大陸という空中国家の王子、ウェールズ王子に渡した 一通の手紙(おそらく恋文かなにかだろう、とバビル2世は思っている。)を取り戻してくれ、ということだけを伝えるのにえらいことに なったのだ。というのもギーシュが覗き見していたせいで、察知したロデムが飛び出てきてギーシュの首筋に噛み付く、黒豹を見て 驚いた姫は気絶しそうになる、ギーシュは泣き叫ぶ、デルフの刃が欠ける、オスマンが徘徊し始めて極秘に回収される、と一番 寝ただけで回復していた今までには珍しいほど疲労していた。 結局、ルイズとバビル2世、それにおまけでギーシュがついてくることになった。話によるともう1人、頼れる人間が加わる、との ことである。この件はなにぶん極秘に、ということで、ウェールズ王子宛の手紙と、旅費用に水のルビーをいただいた。 「場所は?」とルイズに聞くと、「ロプロスでいけばあっという間よ!」とのお答え。 「でも、ギーシュもいるんだが。あと、もう1人加勢が来るらしいじゃないか。」 「あ、忘れてたわ。そうね、ならラ・ロシェールまで行って、船に乗るしかないわね」 とのこと。なんでも空飛ぶ船があるらしい。さすが魔法の国。 「で、場所は?」と改めて聞くと、「あのヨミの基地があったとこからすぐよ。」 というじつにファジーなお答え。まあ、そう遠くなさそうだしいいか。 「まあ、いろいろあってね。」 シエスタに曖昧に答えると、そうですかと深くは追求してこない。できた娘だ。 「あ、そうだ!」 となにか思いついたらしく、シエスタがえへへと柔らかな笑みを浮かべ、胸の前で手を合わせ叫んだ。バビル2世はひっくり返りそう になった。 「な、なんだい、いきなり?」 「ファイアさん、わたしの村に来ませんか?」 一気にしゃべる暇を与えずまくしたてるシエスタ。 「あのね、今度お姫様が結婚なさるでしょ?それで特別にわたしたちにもお休みが出ることになったんです。でもって、久しぶりに 帰郷するんですけど、よかったら遊びに来ません?いい気分転換と療養になりますよ。ファイアさんに見せたいんです。あの草原、 とっても綺麗な草原。」 「い、いや…」姫様からの極秘任務があるのをいうことはできない。この好意に対し、どうやったら傷つけずに断れるか思案する。 「ラ・ロシェールって町のすぐ近くにあるんです。タルブっていうんですけどね、村の名前。」 「ラ・ロシェールだって?」 ラ・ロシェールの近くなら、むしろシエスタの故郷に遊びに行くという名目で出発するのがいいかもしれない。それならいっそアルビオン まで足を伸ばして、というふうにアルビオンへ行く名目ができ怪しまれないだろう。 「わかった、考えておくよ。」 何はともあれルイズに一応相談しないと、へそ曲がりだからふてくされて「そんなの駄目に決まってるでしょ!」と言い出しかねない。 だが、シエスタは 「本当ですね!?約束ですよ!絶対、絶対、行きましょうね!」 バビル2世が行くと返事してくれたと思ってしまったようだ。さて困った、うまい具合に切り出さないと。 場合によっては催眠術を行使してでも納得させるしかないだろうな、と思うバビル2世であった。 なお、ルイズは渋りかけたので催眠術を使う嵌めになった。まあ内心いい方法だと考えていてくれたのだろう。 ギーシュにも一応連絡したが、こちらは素直に認めた。可愛い女の子がいるかも、とでも思ったのだろうか。 前へ / トップへ / 次へ
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+ 〔人類の脅威〕特性持ち一覧 Class Rare Name 剣 4 葛飾北斎 分 4 メカエリチャン メカエリチャンⅡ号機 降 5 アビゲイル・ウィリアムズ 葛飾北斎 楊貴妃 アビゲイル・ウィリアムズ〔夏〕 ヴァン・ゴッホ ジャック・ド・モレー 詐 5 オベロン エネミー - 讐 - ゴルゴーン(7章) - スペース・イシュタル(バトル・イン・ニューヨーク 2019) ? - 量産型メカエリチャン ? - 空想樹の種子 ? - 空想樹 月 - BBホテップ(2018夏イベ敵?) 降 - BBB(2018夏イベ敵) 分 - 羅刹王・髑髏烏帽子蘆屋道満 槍 - アルビオンの竜骸 剣 - 魔犬バーゲスト 狂 - 祭神ケルヌンノス 詐 - オベロン 狂 - ダゴン 術 - 暗黒の仔山羊 降 - ORT
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アルビルダ 【人称】 一人称→「」 二人称基本→「」 【関連人物への呼称】 【能力】 元北欧のお姫様で元海賊。 のびのびと海賊行為に励んでいた所、 日本軍に捕らえられ、卑劣な変態の東郷に 犯されて性奴隷にされてしまった(本人談)。 ……要は所謂、重度の厨二病を患ってしまった ちょっとアレな人。 伝説に憧れており、いつか勇者になるのが夢。 こういう時期って割とあったよね、幼稚園児くらいに… ちなみにお姫様だったのは本当。 女子人気投票脇役なのに第1位な伝説。