約 632,112 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1340.html
「ゆ~~~~~♪」 うだるような暑さ。 今年の夏も一段と暑い。 形だけの入道雲が山の向こうに見え隠れする、夕立もなかなか訪れないので、暑さは耐え難いものとなっていた。 ゆっくり達も例外ではない。 この暑さでは、文字通りゆっくりするしかないゆっくり達はそれぞれ日陰に隠れてべたーーっとしている。 「れーむーー。あついねーーー!」 「こーゆーときはゆっくりしてよーーね!」 普段の口調からは程遠い、のんびりした口調で互いに会話をするゆっくり霊夢と魔理沙。 特に魔理沙は、黒い帽子の所為で余計に熱いようだ。 「こんにちは!! ゆっくりしていってね!!!」 「「?」」 そんな中、元気よく挨拶をしてくる男。 「おじさん。きょうはまりさたちはここでゆっくりするよ~」 幾らゆっくりと言えども、この暑さの中で元気にゆっくりする気はない。 「だいじょうぶ!! おじさんもこんな暑い中でげんきにゆっくりできないよ!! 冷たいアイスをもってきたんだよ!!」 「ゆゆ!! あいす!!!」 「おじさん!! それってつめたいの?」 冷たいと聞いてゆっくり達は元気よく飛び上がる。 どこにそんな元気が有るのかは知らないが、暑苦しく男の足元に摺りついてくる。 「うん! ちょっとたべてみるかい?」 そう言って、男はアイスキャンディーを二つに折ってそれぞれの前に捨てた。 「むしゃ? ……!! ゆゆ!! おいしー!! おじさんこれおいしーよ!!」 「うっめ!! めっちゃうめーーーーー!!!」 ひんやりと冷たいアイスにがっつく二匹。 「ゆ~~~~♪ しあわせーーーー!!!!」 あっという間に食べ終わった二匹。 余程美味しかったのか、直ぐにおかわりを要求してくる。 「おじさん!! もっともっとちょうだいね!!!」 「はやくまりさたちにもってきてね!!!」 「はいはい! でも僕は大勢のゆっくりに味わってもらいたいんだ。だから沢山ゆっくりを呼んできてね!!」 そうしたら、もっといっぱいアイスをあげるよ。 男の言葉を聞いて、元気よく森の中へと消えていく。 数刻後、そこには溢れんばかりのゆっくりがひしめき合っていた。 その数およそ100匹。 パチュリー・アリス・さくや。 多くの種類のゆっくりが親子、親友の垣根を越えて駆けつけたのだ。 もっとも、全員が暑さでゆっくりしているが。 「おじさん!! みんなつれてきたよ!!!」 「はやくまりさたちにあいすちょうだいね!!!」 先ほどの二匹が、ラフな格好をした男に駆け寄る。 「うん!! それじゃあ皆の分は家にいっぱいあるから、おじさんのお家まで行こうか」 男は集まったゆっくりに声をかけると、全員を加工場の大型冷凍庫へ運んでいった。 「ゆゆ!! すずしいね!!!」 「ゆっくりできるよ!!」 全員をその中へ入れる。 うだるような暑さの中に居たゆっくり達は自分から中へ入って行った。 それを確認して男は厳重に鍵をかけその場を去っていった。 「ゆ~~♪ ゆゆっゆ~♪」 「おかーしゃんじょ~ず~♪」 「とかいはのありすはこんなすずしいへや、よくはいってるよ!!!」 「むっきゅ~♪ かいてき~♪」 「おぜうさま!! おぜうさま!!!」 アイスのことは忘れて冷凍庫の中でくつろぐゆっくり達。 しかし、強力な冷凍庫はガンガンと中に入っている饅頭を冷やしていく。 「ゆ~、ちゅべたい!! つべたいよーーー!!!」 初めに騒ぎ始めたのは赤ちゃん達だった。 それが次第に年長者、大きいモノへと伝染していく。 「!! つめたい!! ゆっくりあけてね!!!」 「おじさん!! まりさたちをたすけてね!!!」 「とかいはのありすはじゃくれーぼーしゃにはいるよ!!!」 「むいきゅーーーー……」 「「ぱちゅりーーー!!!!!!」」 一番最初に息を引き取ったのはゆっくりパチュリーだった。 「ゆーーーー!! ……」 赤ちゃん達がそれに続く。 こうなるとゆっくりどころではない。 大勢の親ゆっくりや力のあるゆっくりが全員で入り口にタックルを仕掛ける。 「こんなのかんたんだよ!!」 「そうだよ!! おじさんはひとりであけられたもんね!!」 「みんなで力をあわせればかんたんにあくよ!!!」 「「「そーれ!!!」」」 しかし、厳重に施錠されたそのドアは、商品になった冷凍団子を取り出すまで開く事が無かった。 一方、紅魔館でも似たような光景が繰り広げられていた。 「さくやーーー!! あづいーーー!!!」 食欲をそそる良いにおいを滴らせているのはゆっくりれみりゃのグループ。 全員が体中から肉汁を滴らせている。 「はいはい! れみりゃさま!! ぷっでぃ~んですよ!!!」 「ぷっでぃ~~んいりゃない!!! ぽいするの!!」 「つめたいのがいいにょ!! しゃくやのばぁ~か!!」 プリンを全て蹴散らして、再度お菓子を要求する。 「そうですね!! それでは、よく冷えたゼリーをお持ちします」 「う~♪ ぜっりぃ~♪」 「「「「ぜっりぃ~♪ れみ☆りゃ☆う~♪ にぱー♪」」」」 全員でポーズを決める。 その度に、顔から肉汁がはじけ飛ぶ。 「かわいいですよ!! れみりゃさま!! すぐおもちしますね!!」 「う~~!! はやぐもっでぎでぇ~♪」 全速力で厨房に入り、人数分のゼリーを作り冷やす。 そして新しい高級な皿に載せる。 ここまで時間を止めて居たので掛かった時間は0分、後は運ぶだけだ。 「あら? さくやさん!! 丁度良かったです」 またしても曲がり角で小悪魔とかち合った咲夜。 聞けば、今回はパチュリーではなく、レミリアが神社に行って巫女に冷たいものでも作って来いと仰っていたとの事。 他ならぬレミリアの命令に逆らう事はできない。 ゼリーを小悪魔に預け、咲夜は急いで神社に飛んでいった。 「うう~~~~おそいじょ~~~♪」 れみりゃはずうずうしくも屋敷内に上がりこんでいた。 一行が歩いた後には汁だまりができている。 「うう~~~!! ぜっりぃ~~~♪」 そんな一行が漸くゼリーを見つけたらしい。 もっている人は違うが、お構いなしに足元に群がる。 「う~♪ はやぐちょ~だい!!」 「れみりゃのぜりだどぉ~♪」 「う~♪ た~べちゃうぞ~♪」 「いいえ♪ これは私とパチュリー様とレミリア様の分ですよ♪」 にこやかな笑みを浮かべて宣言する小悪魔。 しかし、肉まんたちは納得がいかない。 「ちがうのーーー!!! それはれみりゃたちのーーーー!!!」 「れみりゃはこーまかんのおじょーさまだどぉーーー!!!!」 「おまえにゃんkぁざぐやにいいづけでやるーーー!!!」 「はやぐぜっりぃーーーーちょーだい!!!!」 「「「「ぜっりぃーーーーー♪」」」」 「「「「!!!! う゛あ゛あ゛ーーーーーーー!!!!!!」」」」 直後、後方から飛来した多数のグンニグルによってその場で串刺しになるれみりゃ。 その攻撃に、ぜっりぃ~コールよりはましの悲鳴コールが沸き起こる。 「ああああーーー!! ざぐやーーー!!!」 「ざぐやーー、ごわいひどがいるどぉーーー!!!!」 「ぜっりぃ~~~~もっでぎでーーー!!!!」 「うるさい!!」 その悲鳴コールの張本人、レミリア・スカーレットが勢いよく全ての肉まんの四肢をむしり取る。 「うっぎゃーーー!! う!! うぐぐ!!!」 「まったく! うるさいったらありゃしない」 むしり取ったそれを、れみりゃの口に無理去り放り込み終えたレミリアが小悪魔に呟く。 「そうですね。ああ、どうぞ! 美味しいですよこのゼリー♪」 「そう。パチェの所に戻ったら頂くわ。それよりもコイツらどうしようかしら? ちょうど咲夜はいないし」 「うっ!! う!! ……」 「しゃ!! しゃぐやーーー!!」 開かない口で、何とか言葉を発しようとするれみりゃ達。 そんな滑稽な様子を見ながら、レミリアはアレコレ思案する。 「それなら良い方法がありますよ!!」 「? なにかしら?」 「きょうは土曜丑の日です!!」 その日の紅魔館の夕食は、美鈴が腕によりをかけて作った沢山の中華料理が並んだ。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1378.html
「じゃあ、そのおまんじゅうは食べられるの?」 「ええ、結構美味しいんですよ」 闇の妖怪ルーミアと、パチュリーの従者である名も無き小悪魔。 あまり接点のなさそうな2人だが、仲は良いらしく、楽しげに話していた。 「ゆっくりかー……お腹空いたから、一匹食べてみたいな」 「どこにでもいるから探してみるといいですよ。見つけたら、軽く洗ってからいただくのがオススメです。焼いていただくと、とても良い香りがして素敵ですね」 「焼いたおまんじゅう……美味しそうだなー」 ルーミアがよだれを垂らしそうな声色で呟くと、タイミング良く腹がきゅるるるる、と鳴る。 「あ、あのさ小悪魔! それで、そのおまんじゅうが沢山いるところってどこなの?」 「どこにでもいますよ。ちょっと周りを見渡したら、10匹や20匹はすぐ見つかります」 明らかに話を切り替えようとしているルーミア。その顔は、微妙に赤く染まっている。 小悪魔は、内心妹の様に思っている可愛らしい友人に、ニコニコと笑いながら教えてやった。 「じゃ、じゃあ探してみるね! ありがとう小悪魔!」 ばいばーい、と手を振るが、すぐに周りを真っ暗にしてしまったので何をしているか分からない。 だが、そんな事はおかまいなしに小悪魔も笑顔で手を振り、図書館へと戻っていった。 『ルーミアとゆっくり』 「ゆっくり~♪ ゆっゆっゆっくり~♪」 「「「ゆっきゅり~♪ ゆゆゆゆゆっきゅり~♪」」」 ゆっくりれいむの親子が楽しそうに飛び跳ねている。 風がさらさらと草を揺らし、暑すぎない程度に太陽が輝いている、そんな最高のゆっくりデイ。 親子は、今この時がずっと続いて欲しいと思いながらゆっくりとすごしていた。 だが、幸せな時は永久に続くものではない。 「ゆゆ? おかーしゃん、ゆっきゅりへんなのがきゅるよー」 「おかーしゃん、あれなーに?」 一匹の子れいむが何かを見つけたらしく、怖そうに親れいむにくっつきつつ訴える。 親れいむが視線の先を見ると、何やら真っ黒くて丸い物体がふらふらしながら動いていた。 「ゆっ? おかーさんもわからないよ!」 「まっきゅろだね」 「きょれなんだろー?」 「ゆうー……みんなきをつけてね、ちかづいたらだめだよ」 きゃいきゃいと、オバケ屋敷の幽霊でも見ているかの様に怖がりつつも楽しそうに騒ぐ子れいむ達。 親れいむは、そんな子れいむ達をたしなめつつ、黒い物体が何なのか見極める様な厳しい顔で見つめている。 「ゆっ? ちかづいてきゅるよ!」 黒い物体が段々と自分達の所に近づいてきていると分かったゆっくり家族は、流石に緊張した。 「きょないでよ! ゆっきゅりあっちいってね!」 「ゆっ! ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ! ゆっくりどっかいってね!」 気味が悪そうに親の近くに集合する子供、体を大きく膨らませて子供を自分の後ろに隠す親。 ゆっくり親子は、奇妙な黒い物体の真正面に立ちはだかり「どっかいってね!」「こっちこないでね!」などと言いはじめた。 黒い物体は、そんな必死なゆっくり達をあざ笑う様にどんどん近づいてくる。 「ぎゅううううう! ぎょないでよおぉぉぉ!」 「ゆっぎゅりあっぢいぎぇえええぇぇぇぇぇ!」 「さっさとべつのところにいってね! ゆっくりしね!」 どんどん近づいてくる黒い物体。ゆっくり達は、もう声も出ないほど震え上がり、腰でも抜かしたのか一歩も動けないでいる。 ゆっくり親子が、黒い物体に立ちふさがった事自体が間違いであると気付いたのは、闇の中に閉じ込められてからだった。 「「「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁ!!! ぐらいよおおおぉぉぉ! ごわいよおおおぉぉぉ!」」」 暗闇の中にいる恐怖。いつどこから何が襲ってくるか分からない。 「ゆぎゅ!?」 ぶちゃっとアンコが飛び散る音と温かい何かが頬に張り付く感触。どのゆっくりかは分からないが、一匹殺されたらしい。 もしかしたら、この闇の中にゆっくりれみりゃやゆっくりフランなどの捕食種がいるのかもしれない……ゆっくり親子は、あまりの恐怖から意識を失った。 さらさらと草の揺れる音で、親ゆっくりは目を覚ました。 「ゆー、ゆー……ゆっくりしていってね!」 起き抜けで、即座にいつもの鳴き声をあげるのは、生物的な習性だろうか。 「みんな、ゆっくりおきたよ。きょうは、なにをしてあそぼうかなぁ、あかちゃんも……??」 なぜ眠っていたか忘れていたらしく、寝ぼけ眼で周囲に語りかけていた親ゆっくりだったが、思い出した途端、素早く辺りを見始めた。 すでに辺りは真っ暗になっており、いつ捕食種が現れてもおかしくない。 親ゆっくりは、せめて一人だけでもと祈る様な気持ちで声を張り上げた。 「どご!? どごにいるの!? れ”い”む”のあがぢゃあ”あ”あ”ぁぁぁぁぁんんん!!!」 「ゆぎゅ……おかーしゃん、いるよー」 ノドが張り裂けるかの様な悲痛な叫びに答えて、一匹の子ゆっくりがぴょんぴょん飛び上がった。 「みんな……みんな……ぶじだっだのぉ!?」 「「「ゆっきゅりげんきだよー!!!」」」 良く見ると、全員いるらしい。 先ほどやられた子も含めて何匹かいなくなっているのかもしれないが、それでも無事な子ゆっくりはまだまだいる。 更に、ぴょんぴょんと飛び跳ねる子ゆっくり達に外傷はほとんどない。 一匹若干元気がないが、そのゆっくりの傷すら、小石にぶつかった程度の軽い傷だ。 命に別状はないし、数時間ゆっくりしていたらすぐに治るだろう。 ――これで、またみんなでいっしょにゆっくりできるよ。 親ゆっくりは、心の底から安堵し、大きく息をついた。 「もうくらいから、ゆっくりおうちにかえろうね!」 「「「おうちでゆっきゅりしようね!」」」 笑顔でぴょんぴょんと飛び跳ねるゆっくり一家。 後ろから今の騒ぎを聞きつけたゆっくりフランが追いかけている事に気付いたのは、もう絶対に逃げられなくなった後の事だった。 「お腹すいたなー」 ルーミアは、いつもの様に自分の周りを闇で覆い、食べ物を探してふらふらと飛び回っていた。 しばらく何も食べていないらしく、お腹から可愛らしく「くきゅるるる」などと聞こえてくる。 その音をきっかけとして、少し休む事にしたらしい。 闇を出すのとは違い、飛ぶためには栄養が必要だ。 「休憩休憩。ふぅ」 のんびりと地面に降り立ち、原っぱに座った。 上品に座っているその姿は、良家のお嬢様に見える。……姿を見るためには、闇の中で目が見える必要があるが。 「そういえば、さっきのは何だったんだろう?」 可愛らしく小首をかしげて、妙な声の事を思い出す。 ふらふらと飛んでいたら「ゆぎゃあ」とか何とか聞こえてきた。 それほど時間を開けずに「ゆぎゅっ!?」という声と、甘いニオイが鼻を刺激したのだが、どこから聞こえたのか、甘いニオイはどこから漂っているのか分からず、結局そのまま通り過ぎた記憶。 「あれは食べられるものだったのかなー?」 そうだったら惜しい事をした。 ルーミアは、憮然とした表情でバタバタと足を動かして、先ほど見逃した食事の事を悔やんだ。 少しの間足をバタバタさせてから、ルーミアは気を取り直した。 ――ご飯は他にもあるし、もうすぐ暗くなるから、何か食べるものが見つかるかもしれないもんね。 周りの闇を解くと、既に日は落ち、暗くなっている。 「休憩おしまい。ご飯はどこかな~?」 のんびりと飛びながら食事を探すルーミアの目に、口元を黒く汚したゆっくりフランが見えた。 「こんばんは。あなたは食べてもいいおまんじゅう?」 感想で東方キャラを希望されて書いた。せっかくなので精神的いじめをやってみようと思ったらこうなった。今は次のSSを考えている。 なお、私は全ての東方シリーズはプレイしていないため、人称や設定など間違っている部分もあるかもしれません。 不快に感じた方は、ご容赦下さい。 by319 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4033.html
作品の後ろにある文字の説明はジャンルマークについてに纏めてあります。 作者名の改名は、お気軽にお申し出下さい。ご自分で編集して変えていただいても問題ありません。 作品の一覧追加も、漏れがありましたらお気軽にお申し出下さい。これまたご自分で編集していただいても問題ありません。 は~わ行で始まる作者別はがくれれみりゃの人 バスケの人 春巻 パロ饅 半年ROM 羊の羽 避妊ありすの人 副工場長れいむの人 古本屋 古緑(ブン殴りあきから改名) 抹茶アイス まりさ大好きあき まりさつむりの人 味覚障害の人 ミコスリ=ハン 水半分 ムクドリの人 ムラッけ木槌 森に魚を求めるの人 ユ~カリ ”ゆ虐の友”従業員 ゆっくりいくさんはフカヒレまんだと思う人 改め ゆいふ人 ゆっくり飾りゴージャスの人 ゆっくり制裁マニア ゆっくりな人 ゆっくりハンターの人 ゆっくりボールマン ゆっくりボールマン2世 ゆっくり饅頭大好きの人 ゆっくりまんじゅうの人 ゆっくりモンスターズの人 ゆっくりレイパー ユユー ○ーメンぶっかけ祭の人 れみりゃが大嫌いな人 ロウ 六人 ロベルト は~わ行で始まる作者別 はがくれれみりゃの人 はがくれれみりゃの作品集 バスケの人 バスケの人の作品集 春巻 ゆっくりいじめ系545 挙の歳末_1 ゆっくりいじめ系546 挙の歳末_2 ゆっくりいじめ系547 挙の歳末_3 ゆっくりいじめ系696 SSC ゆっくりいじめ系1667 SSC part.2 ゆっくりいじめ系1833 SSC part.5 ゆっくりいじめ系2102 それでも、ゆっくりは要求る。(前篇) パロ饅 パロ饅の作品集 半年ROM ゆっくりいじめ系1174 頭 ゆっくりいじめ系1298 ありすをいじめる。 ゆっくりいじめ系1439 ゆっくりいじめる ゆっくりいじめ系1444 いっぱいいじめる ゆっくりいじめ系1455 ちょっぴりいじめる ゆっくりいじめ系1457 短編にほん ゆっくりいじめ系1515 こいじめ ゆっくりいじめ系1614 たいとるがおもいうかばない。 ゆっくりいじめ系1698 羊の羽 ゆっくりいじめ系637 木まりさで永久機関そ性無 ゆっくりいじめ系767 おしつぶし虐家無 ゆっくりいじめ系839 赤い靴 ゆっくりいじめ系1127 ありすほいほい ゆっくりいじめ小ネタ189 新製品 避妊ありすの人 避妊ありすの人の作品集 副工場長れいむの人 副工場長の作品集 古本屋 古本屋の作品集 古緑(ブン殴りあきから改名) 古緑の作品集 抹茶アイス 霊夢×ゆっくり系4 ゆっくりれいむと霊夢そ ゆっくりいじめ系94 ゆっくりまりさとおうち虐そ無 ゆっくりいじめ系216 ゆっくりれいむとおいしい味虐無 ゆっくりいじめ系235 ゆっくりまりさと泣いた赤鬼前編虐無 ゆっくりいじめ系247 ゆっくりまりさと泣いた赤鬼中編そ性無 ゆっくりいじめ系253 ゆっくりまりさとないた赤鬼 後編虐そ無 まりさ大好きあき まりさ大好きあきの作品集 まりさつむりの人 まりさつむりの人の作品集 味覚障害の人 味覚障害の人の作品集 ミコスリ=ハン ミコスリ=ハンの作品集 水半分 ゆっくり加工場系9 幻想郷滅亡の日 復 その他 ゆっくり大戦 そ その他 広告主そ 性 その他 yukkuri_jaketそ ゆっくりいじめ系195 yukkuri_bean虐制共捕性家 その他 yukkuri_sisugita_kekkaそ ゆっくりいじめ系661 ずんぼー虐性 ゆっくりいじめ系819 嫌われありすの一生虐家捕無 ムクドリの人 ムクドリの人の作品集 ムラッけ木槌 ムラッけ木槌の作品集 森に魚を求めるの人 森に魚を求めるの人の作品集 ユ~カリ ユ~カリの作品集 ”ゆ虐の友”従業員 ”ゆ虐の友”従業員の作品集 ゆっくりいくさんはフカヒレまんだと思う人 改め ゆいふ人 ゆっくりいじめ系554 -森の彼女とゆっくり知恵比べ-そ無 ゆっくりいじめ系585 -森の彼女と逆襲のゆっくり-制無 ゆっくりれみりゃ系いじめ39 VSれみりゃ制 ゆっくりいじめ系656 -森の彼女と孤独のグルメ-虐料 ゆっくり飾りゴージャスの人 ゆっくりいじめ系113 ゆっくり飾りゴージャス虐家無 ゆっくりいじめ系167 ゆっくり飾りシャッフル復家無 アリス×ゆっくり系10 ぼくのかんがえたさいきょうのしてんのう虐性 ゆっくり制裁マニア ゆっくりいじめ小ネタ584 制裁 ゆっくりな人 ゆっくりな人の作品集 ゆっくりハンターの人 ゆっくりいじめ系29 ゆっくりハンター 制 妹紅×ゆっくり系1 ゆっくりたちのトラウマの夜前篇 制家料 妹紅×ゆっくり系2 ゆっくりたちのトラウマの夜後編虐 ゆっくりいじめ系121 ゆっくりふぉんでゅ その他 あたっく おぶ ざ きらー ゆっくりそ 紅魔館×ゆっくり系20 ゆっくりはまさに世紀末 ゆっくりボールマン ゆっくりボールマンの作品集 ゆっくりボールマン2世 ゆっくりボールマン2世の作品集 ゆっくり饅頭大好きの人 ゆっくりいじめ系47 ぐちゃぐちゃゆっくり天国 虐 アリス×ゆっくり系8 アリスのぐちゃぐちゃゆっくり駆除 制 ゆっくりいじめ系68 お母さん霊夢の受難そ家 ゆっくりまんじゅうの人 ゆっくりまんじゅうの人の作品集 ゆっくりモンスターズの人 ゆっくりいじめ系142 ゆっくりモンスターズ1虐無 ゆっくりいじめ系178 ゆっくりモンスターズ2虐無 ゆっくりレイパー ゆっくりレイパーの作品集 ユユー ユユーの作品集 ○ーメンぶっかけ祭の人 ○ーメンぶっかけ祭の人の作品集 れみりゃが大嫌いな人 ゆっくりれみりゃ系いじめ32 俺はれみりゃが嫌いです その他 ゆっくり殺しノート ロウ ロウの作品集 六人 ゆっくりいじめ系2018 夏の庭先 ゆっくりいじめ系2154 町内の動物 ゆっくりいじめ系2336 禁断★実験 ゆっくりいじめ系2361 町内の動物2 ゆっくりいじめ系2398 冬の山にて(前編) ゆっくりいじめ系2399 冬の山にて(後編) ゆっくりいじめ系2516 町内の動物3 ゆっくりいじめ系2726 兄弟の暇つぶし ロベルト ロベルトの作品集
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2158.html
※ヤンデレに対して不快を感じる方 ※ゆっくりを野生動物として扱われるのを不快に感じる方 ※捕食種設定を不快に感じる方 ※ゆっくりの戦闘シーンを不快に感じる方 ※酷い目に遭ってしまうゆっくりがいるのを不快に感じる方 ※素晴らしい小説を求めている方 は、この小説に合いません。 申し訳ありませんが、ゆっくりお引き返しください。 それでも良ければどうぞ (注)今回は時系列が分かりにくくなっている場面があります。 同じセリフが2度出ているところがありますが、その場面は同じ場面(時間)だということです。 同じセリフを違う場面で言っているということはありません。 ミリィは夢を見ていた。 紅魔館にいる胴なしだった頃の自分。 そして自分の隣にいる同じく胴なしのまんまぁ。 咲夜は、まんまぁは事情があって遠いところに行ってしまったと言っていた。 何故自分だけを置いていってしまったのか。 いつ帰って来てくれるのか。 だが、今はそんなことはどうでもいい。 今は夢の中のまんまぁと一緒にいたい。 まんまぁに甘えたい。 まんまぁとお話がしたい。 まんまぁとあまあまを食べたい。 まんまぁとゆっくりしたい。 夢の中のミリィのまんまぁはいつも満足そうに笑っていた。 「ふ、ふりゃんだ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!」 「…うぁ?」 その声でミリィは夢から覚めた。 ミリィのゆっくり冒険記 第四話 「うぁ?」 ミリィは上半身を起こし、ふくよかな手で目をこすりながら辺りを見渡す。 「う~?」 自分と一緒にゆっくり寝ていたはずの子まりさがいない。 その時 ぐるるるぅぅぅぅぅぅぅぅ 発信源はやはりミリィのお腹だ。 お腹も空いたミリィは、御飯集めも兼ねて子まりさを探そうと立ち上がった。 昨日、まりさが眠った後、子まりさを抱いたまま御飯探しを始めた。 しかし、ミリィが食べられそうな御飯はなかなか見つからなかった。 それは当然だろう。ミリィにとって、外で食べられる御飯というのは決して多くはない。 咲夜のあまあまなお菓子しか食べたことがないミリィは、すっかり舌が肥えてしまっていたからだ。 野生のれみりゃ種ならばゆっくりを捕食するのだが、ミリィはそんなものを食べたいとは全く思わなかった。 雑草や虫などは食べるかどうかという発想すらなかった。 なかなか食べられそうな物が見つからず、空腹も限界に達しようかという時に、この界隈を見つけたのである。 この界隈はミリィでも食べられるあまあまな木の実や花の蜜が豊富にあった。 ほとんど外に出たことがないミリィにとってはどれも未知の物だった。 しかし、背に腹は代えられぬと思いきって木の実に齧りついたところ「しあわせ~!!!」と思わず叫ぶくらいあまあまだった。 勿論、普段食べている咲夜の料理には到底及ばないものであったが。 空腹のミリィにとって、ここは楽園のように思えた。 ついでにゆっくりさくやがいてくれれば最高だったのだが、それはさすがに贅沢というものであった。 あまあまな木の実をたくさん食べたことでとてもゆっくり出来たので、昨日のミリィはとてもゆっくり眠ることが出来たのであった。 時間にして1分程歩いていると、昨日も獲った木の実がある木までやってきた。 「うっう~♪」 木に生えている木の実を食べようと翼をはためかせ、飛翔する。 目的の木の実を獲り、木の枝に座って手を合わせて 「いただきま~す♪」 と言って木の実に豪快にかじりつく。 その味はとても美味ではあったが、二口目がかじられることはなかった。 ミリィは木の枝の上から見てしまったからだ。 自分が昨日連れてきた子まりさが、ふらんによっていたぶられている場面を。 このままじゃいけない、そう思ったと同時にミリィは叫びながらふらんに向かって突進していた。 「だめぇ~~~~~~!!!!!」 ふらんは一瞬驚いた。 ピンク色の物体が自分に向かって突進してくるからだ。 だが、そのピンク色の物体の速度は速くなかったので、その突進を冷静に回避し、逆にその物体に上から体当たりを仕掛けた。 「ふぎゃっ!!!」 そのピンク色の物体は、自分が先ほどまでいたぶっていた子まりさの隣に墜落した。 ふらんは一瞬怒りの表情を浮かべた。 自分が何よりも楽しい獲物をいたぶっている時間を乱入者に邪魔されたからだ。 しかし、物体が何かを確認した時、狂ったような歓喜の表情を浮かべた。 その丸々とした物体がふらん種の姉妹種に当たるれみりゃ種だったからだ。 ふらん種は獲物をいたぶることでゆっくり出来るという性質を持っているが、その獲物がれみりゃ種だった時は、その快感は他のものとは比べようもつかなかった。 では、ふらんはれみりゃを使ってどのようにゆっくりするのか。 仮に野生のゆっくりれみりゃとゆっくりふらんが戦ったとする。 もし野生のれみりゃが勝つことになれば、まず間違いなくふらんはれみりゃの食物と化すだろう。 何故なら、ふらんの中身はあま~い餡子なのだから。 甘味を求める捕食種にとって、最高の御馳走となる。 逆に野生のゆっくりふらんが勝ったらどうなるのか。 ゆっくりふらんも主食は甘味である。 しかし、れみりゃの中身は肉だ。 ふらんの食べ物とはなりえない。 では、ふらんはれみりゃをどうするのか。 それは… れみりゃを…『飼う』のだ。 ふらんは高所に自身の住居を置く。 その住居までれみりゃをお持ち帰りするのだ。 れみりゃをお持ち帰りしたふらんが最初に必ずやることは、れみりゃの羽を千切ることだ。 羽を千切られたれみりゃは、ふらんの巣から逃げ出せなくなってしまう。 そうして動けないれみりゃを、ふらんは死ぬまで飼い続ける。 時には一緒にあまあまを食べてゆっくりし、時にはれみりゃを攻撃してその泣き顔を見てゆっくりする。 特に、あの丸々とした大きな下ぶくれ顔に他の饅頭より手応えのある肉質、そして汚れを知らないような笑顔を壊す瞬間がふらんにとって非常にゆっくり出来るものだった。 しかし、そのような扱いをされたれみりゃには絶大な負担が生じる。 肉体的にも、精神的にもだ。 そのような行為が多くのふらんによって為された結果、れみりゃ種の個体数の減少にも繋がったのだ。 このふらんもその例外ではなく、歓喜の表情を浮かべながら震えている。 「おにぇえしゃま!おにぇえしゃま!おにぇえしゃま!あしょぼ!あしょぼ!ふりゃんとあしょんでぇぇぇぇ!!!」 あまりの興奮のせいか舌が回っていない。 狂ったような歓喜の表情を浮かべたままれみりゃに体当たりを仕掛けた。 「ふぎゃっ!!!」 ミリィは背中とお腹が痛かった。 ふらんに突進をかけたものの逆にふらんの体当たりが背中に直撃し、お腹から地面に墜落してしまったからである。 「う~…いたいいたいなのぉ…」 しかし、墜落したおかげで地面で怯えている子まりさの近くまで来ることが出来た。 子まりさは 「ゆっくりやめるんだぜ…ゆっくりやめるんだぜ…」 と目を瞑ったまま震えていた。 ミリィは地面にうつ伏せの状態のまま子まりさを片手に持って状態を確認する。 見たところ、傷だらけではあるが餡子は出ていなかった。 ミリィは安心した様子で子まりさを両手で包みこみ、優しく声を掛ける。 「もうだいじょ~ぶだぞぉ♪」 その屈託のない笑顔で子まりさが安心できるように頭をなでてやる。 この子まりさにはゆっくりしてもらいたかったから。 しかし… 「おにぇえしゃま!おにぇえしゃま!おにぇえしゃま!あしょぼ!あしょぼ!ふりゃんとあしょんでぇぇぇぇ!!!」 という声が聞こえたと同時に、ミリィの背中にまたもや衝撃が走った。 「ぶへぇっ!」 胴なしふらんの全身を使った体当たりをまともに食らったのだ。 ミリィはあまりの痛みに泣き出しそうになってしまう。 しかし、ミリィはそのことより手の中の子まりさのことが心配だった。 子まりさが安心できるように、片手で撫でながら優しげに声をかけた。 「もうだいじょ~ぶだぞぉ♪はやくにげるんだぞぉ♪」 そのなでなでは子まりさにとってとてもゆっくり出来た。 子まりさは目を開ける。 目の前の笑顔がとても輝いて見えた。 しかし、 「ぶはっ!」 ミリィがまたも背中に体当たりを食らい悲鳴をあげる。 子まりさはミリィの予想外の優しさとふらんの恐ろしさに混乱して、動くことが出来なくなっていた。 ふらんは腹が立っていた。 それも当然だろう、狂おしいほど愛しい姉が自分のことを見ようともせず、あろうことかただの獲物でしかない子まりさなどに構っているからだ。 そんな状況で姉をいたぶっても何も面白くなかった。 姉にこちらを見てもらうようにするにはどうすればいいかふらんは考えた。 答えはすぐに出た。 あの子まりさを潰せば姉は自分を見てくれるだろう。 そして、その時にどのような表情を見せてくれるかということを考えた時に、ふらんはまたも興奮した。 そうと決まればこんな子まりさに手加減してやる必要もない。 後で姉と一緒に食べよう。 そんなことを考えながら、子まりさから仕留めようと体当たりを仕掛ける。 「だめぇっ!」 子まりさに仕掛けたはずの体当たりだったのだが、またもミリィによってそれは阻まれてしまった。 ミリィが子まりさをうつ伏せの状態となっている自身の体の下に入れたのだ。 勢いが止まらず、今度はミリィの頭に体当たりする羽目になってしまう。 何故こんなものを庇うのか、こんなものなどさっさと捨てて自分と追いかけっこをしてくれればいいのに。 ふらんは目の前の光景に苛立っていた。 その時、ふらんには姉の腹の下から金色の丸い物が出てきたのが見えた。 それは憎むべき敵、子まりさであった。 ふらんはニヤリと笑いながら、苛立ちを子まりさをぶつけるかのように、今度は自身の全力のスピードの体当たりを子まりさに仕掛ける。 「おねーさまとふらんのおあそびをじゃまするまりさはゆっくりしねぇ!」 「だめぇっ!」 ミリィはふらんが子まりさを狙っている事を察知した。 子まりさを右手で自分の背中の下に入れることでふらんの攻撃から庇う。 後頭部に鋭い衝撃が走る。 「うぅ…」 今度は後頭部にふらんの体当たりを食らったミリィ。 れみりゃ種はゆっくりにしては強靭な生命力を持つので、ふらんが相手でも簡単にやられることはない。 だが、頭を狙われれば別だ。 ゆっくりにとっての頭とは、人間と同じく急所なのだ。 背中の痛みよりもミリィにはずっと堪えた。 だから気付かなかった。 自分が子まりさを手から放してしまったことを。 そして、その子まりさが自身のお腹の下から出てしまったことを。 「おねーさまとふらんのあそびをじゃまするまりさはゆっくりしねぇ!」 その言葉が聞こえると同時に、子まりさが餡子を吹き出しながら吹っ飛んだ。 痛みに耐えながらのミリィでは、ふらんの全力の体当たりに反応出来なかった。 ミリィが吹き飛ぶ子まりさの姿を見た時、脳裏に何かの光景が蘇った。 「ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!」 何かが胴なしれみりゃを一方的にその拳で殴りつけている。 「い…いたいぞぉ!やめてぇ~!!」 攻撃を受けている胴なしれみりゃが悲鳴を上げるが、それでも攻撃は止まない。 「ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!」 呪いのように同じ言葉を叫びながら、『それ』は殴り続ける。 そして、胴なしれみりゃが動かなくなったと判断すると、『それ』は右手を空中にかざした。 かざした手の中には1メートル以上はあるだろう、紅い槍状の武器が現れた。 紅い槍はかなりの重さがあるように見えるが、『それ』はよろめくことなく、紅い槍を真っ直ぐに構える。 「ゆっくり…しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」 そして、その叫びと共に紅い槍は胴なしれみりゃに向かって放たれた。 「うあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」 ミリィの突然の叫びにふらんは一瞬空中で静止する。 ふらんが我に返った時、先ほどとは段違いの速度で飛ぶミリィが目の前に迫って来ていた。 ふらんはミリィの全身を使った体当たりをまともに受ける。 「ゆっくりできないふらんは…」 ミリィが咆哮を上げる。 「ゆっくりしねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!」 後書き 楽しい記憶よりもつらい記憶の方が人間は忘れやすいそうです。 ゆっくり風に言えば、ゆっくりする為に。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1847.html
前 「それじゃさっそくレッスンを始めましょう!」 「うー! それよりゆっくりするどぉー! れみりゃはつかれたんだどぉーー!」 私は家にれみりゃを連れ込み、地下室へと案内する。 そこは、ブリーダー時代に作ったゆっくり用の生活ルームだ。 6畳ほどの部屋に、ゆっくりが生きるために必要なものは一通り揃えてある。 「なにしてるんだどぉー! さっさとぷっでぃんもってくるんだどぉー!」 れみりゃは、部屋に入るなり、私に悪態をつきだした。 移動に疲れたことで、機嫌が悪くなっているのだ。 もっとも、実際たいして疲れているはずはない。 森からここまで、私が抱っこしてきてあげたのだから。 「いいの? そんなワガママばかり言っていると"おぜうさまこうほ"になれないわよ?」 「だぁーめぇー! れみりゃはおぜうさまこうほになるのぉー! ぷっでぃんもたべるのぉー!」 「……それじゃ、レッスンが終わったらプリンを食べさせてあげるわ」 「う~! おねーしゃんケチケチだどぉ! それにおぶぁかさんだどぉ~♪ プリンじゃなくてぷっでぃ~んだどぉ♪」 「ふふふ、ぷっでぃ~んね……覚えておくわ」 どんなに悪態をつかれようが、ゆっくりに馬鹿にされようが、私の気分が害されることはない。 何しろ、これでようやく押さえ込んでいて暗い欲望を解放できるのだから。 私の胸は、怒りどころか、幸福感と興奮で満たされていた。 「……う~? なにしてるんだどぉ?」 れみりゃは、ふと私の行動に疑問を覚えたようだ。 その時、私は手にローションを塗っていた。 "互いの"肌が荒れないようにするための処置だ。 「これは、レッスンの準備よ。これをやらないと、ゆっくりできないの」 「う~~、れみりゃはゆっくりしたいどぉ……」 "ゆっくりできない"という言葉に過剰反応するれみりゃ。 れみりゃ種といえど、やはりゆっくりに違いはないのだ。 (もっとも、この場合"ゆっくり"することが幸せとはかぎらないでしょうけど) 準備を整え、私はれみりゃを抱え上げて、地下室の備え付けのベッドへつれていく。 「それじゃ、レッスンを始めるわよ」 「う~♪ れっすん~れっすん~♪」 私はベッドに腰掛け、その膝の上にれみりゃを座らせる。 そして、片腕をれみりゃの胴に回してしっかり抱きしめる。 まるで、少女がクマのヌイグルミを抱きしめるように。 (……少女、というのは我ながら無理があるか) 私は苦笑して、もう片方の手をじっと見つめる。 一度はこの"手癖"を、"病気"を呪ったこともあった。 (だけど、もういい。もう押さえつけはしない) 私は、自分の手にそう念を送ってから、すぅーと息を吸い込む。 そして、己の衝動を解放した。 「いくわよ、れみりゃ」 私は、れみりゃの下ぶくれた顔の下側、頬から下あごにかけてのラインに手のひらをあてる。 そして、押すように引っ張るように、撫でるようにスリスリするように、手のひらを動かし、 極上の料理を舌の上で転がすように、れみりゃの下ぶくれを手のひらで転がしはじめる。 それは、人間が太った人の下あごの脂肪をからかう時によくやる動作に似ている。 "たぷたぷ" まさにそんな擬音が相応しい行動。 私は、リズムを刻みながら、れみりゃの下ぶくれを"たぷたぷ"し続ける。 「うー?」 たぷたぷ。 「おねーしゃん、なにしてるんだどぉ?」 たぷたぷ。 「くしゅぐったいどぉー♪」 たぷたぷ。 「我慢してね、このレッスンに耐えられないようじゃおぜうさまこうほにはなれないわよ」 「う~~~♪ れみりゃおぜうさまこうほになっちゃうどぉ~~~♪」 笑顔で応じるれみりゃ。 私がたぶたぷと手を動かすのにあわせて、れみりゃも「たぁ~ぷたぁ~ぷ♪」と楽しそうに口ずさむ。 (さて、その余裕がいつまでもつかしら?) ゆっくりが私の"たぷたぷ"を嫌がる理由の一つ。 それは、私が"たぷたぷ"する場所が、主に頬から下あごにかけての部位にあたるからだ。 種族ごとの差はあるが、そのあたりにはゆっくりにとっての生殖器官や出産口、 胴無しゆっくりの場合はさらに跳ねるための運動器官や排泄器官までもが集まっている。 言わば、ゆっくりにとって、もっとも大事で敏感でデリケートな部分なのだ。 そこに刺激を与え続けられては、ゆっくり達も堪らない。 殴られるのとも撫でられるのともスッキリとも違う、 極めて異常な感覚を、ゆっくり達は感じるらしい。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「うーうー♪」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「たぷたぷだどぉー♪」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「う、うー♪」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「う、うぅー、たぁーぷ、たぷ」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「うぅ~~~~っ」 れみりゃの顔に、徐々に戸惑いとも嫌悪ともとれる色が浮かび始める。 だが、私は構わず"たぷたぷ"を繰り返す。 「う~~~、お、おねーしゃん」 「ん、なに?」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「れ、れみりゃ、そろそろゆっくりしたいどぉー♪」 額にうっすら汗を浮かべながら、こちらに微笑みかけるれみりゃ。 だが、私はそれを軽くいなす。 「う~~~、なんでむしするんだどぉ!」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 (ああ、やっぱりいい……) たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「う~~~! はやくやめるんだどぉ~~~!」 徐々にれみりゃの顔から笑みが消え、抵抗が増していく。 しかし、抑圧された衝動を解放した私に、その叫びが届くことはない。 (すばらしい! とまらない! とめられない!) たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「いうこときかないと、た~べちゃうぞぉ~~っ!」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「う、うそじゃないどぉー! ほんとにほんとにたべちゃうぞぉーーっ!?」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「ぎゃお~~~っ! ぎゃお~~~~っ!!」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「ううう~~~っ! さ、さくやぁ~~~~!」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「うぁぁぁーーー! やめるどぉぉぉーっ!!」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「はなすんだどぉーー! もう、おうちかえるぅーーーっ!!」 とうとう、れみりゃは泣き叫びだし、私から逃れようとジタバタ暴れ出す。 しかし、ガッチリと抱いた私の手から逃げることはできない。 「あら、おぜうさまこうほになりたくないの?」 「いやぁぁぁーーっ! れみりゃはおぜうさまこうほになるのぉーーーっ!」 「それじゃ、この程度の"たぷたぷ"で音を上げちゃダメよ?」 「やだやだやぁ~~~! たぷたぷはいやだどぉ~~~っ!」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「ぷぎゃぁぁぁ! もうやめてぇぇぇーーっ!! たぷたぷやぁだぁ~~~~っ!!」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「やめろぉぉーー! やめるんだどぉーーー!」 「だめよそんな言葉、はしたない」 「はしたなくないどぉーー! れみりゃはえれがんとでぷりてぃーなれみりゃだどぉーーー!」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「……ふふふふ、いいわよれみりゃ。……とってもいい!」 「あばばばばばばばっ!」 体をピクピクさせ、口角から肉汁の泡を吐き出して苦しむ、れみりゃ。 しかし、私は自分の顔がニヤけるのを止められない。 そして、"たぷたぷ"する手もまた、止まらない。 「うあ、うあ、うあぁ……」 やがて、れみりゃは暴れ疲れて静かになる。 かわりに、目尻に大粒の涙を浮かべながら、顔を真っ赤にして苦悶しだした。 「うぅ~~~れみりゃへんになっちゃうどぉ~~~はしたないどぉ~~~~」 どうやら、"たぷたぷ"され続けたことで、 専門用語でいうところの「スッキリ」をしているのに近い感覚を覚えだしているようだ。 「おかしぃどぉ……れみりゃのおからだがへんになっちゃうどぉ……」 不快感と悦楽。 タブーを犯すが如く背徳感と、未知の行為への恐怖と期待。 それらの感情がないまぜとなって溢れだし、れみりゃの体を支配していく。 「うぁ~~うぁ~~~! ぞくぞくだどぉ~~~! ぞくぞくがきちゃうどぉ~~~!」 「ふふふ、いいのよれみりゃ、その感覚に身をまかせなさい」 れみりゃの様子を楽しむが如く、私は"たぷたぷ"するリズムを上げていく。 自分の襲う未知の感覚に翻弄される、れみりゃ。 「うぁぁぁ! こあいぃーーー! こあいどぉーーっ!」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「ぎゃぁぁおぉぉぉぉぉーーーーーっ!!!」 突如、奇声ををあげるれみりゃ。 そして、それを境に気を失ってしまう。 「……はぁ、はぁ、はぁ」 気付くと、私の息はずいぶんとあがっていた。 ずっと"たぷたぷ"しどおしの手は赤くなり、痙攣している。 けれど、その痛み苦しみ以上に、 私の胸はマグマのように熱い快楽で満たされていた。 (いまわしい手癖……いまわしい病気……でもそんなことどうだっていい……) だって。 それ以上の幸福感が、私の体を貫いているから。 「ふふふ、れみりゃ……これからも私を楽しませてね」 私は、優しくれみりゃの髪を撫でてやった。 * * * それから、私とれみりゃの"たぷたぷ"生活は朝も夜も関係なく続いた。 そして何日目かの朝、私はれみりゃの異変を目にすることになる。 「ど、ど、ど、どういうことなんだどぉ~~~!?」 れみりゃは困惑し、オロオロと慌てふためいている。 私はというと、そんなれみりゃを、ただ静かに眺めていた。 その"異常"は確かに珍しいケースだったが、決して有り得ないことではない。 故に、私はいつも通りれみりゃに接することにする。 たとえ、れみりゃの下ぶくれ顔が昨晩までの"倍以上"になっていようと。 「どぉーしてれみりゃが、にんっしんしてるんだどぉ~~~っ!?」 そう、れみりゃの肥大した下ぶくれ顔は、 まさしく胴体付きゆっくりれみりゃの妊娠した姿そのものだった。 「おめでとう、れみりゃ」 私は、心ない祝福を贈る。 しかし、当のれみりゃはそれどころではないようだ。 「な、なんでだどぉー、れみりゃ、すっぎりしでないどぉー……」 れみりゃは、肥大化した下ぶくれ顔を、重たそうにして苦しんでいる。 自分の体がどうなってしまったのか、この重たい下ぶくれをどうすればいいのか、わからないでいるのだろう。 「こ、こあいどぉ……れみりゃのおからだ……どうなっちゃったんだどぉ……」 よく見ると、れみりゃは小刻みに震えていた。 "すっきり"もしていないのに妊娠してしまうのは、確かに常軌を逸した事態だろう。 もし同じような状況に陥れば、人間だって困惑し、まともではいられないかもしれない。 けれど、私は知っている。 人間ならまだしも、ゆっくりならばこういうことも起こり得ることを。 詳しいことはまだ研究中らしいが、 ゆっくりの妊娠というのは性行為をともわなくとも起こることらしい。 私が以前読んだレポートによると、 人間の手で半日ほど振動を与え続けられたゆっくりが、子供を宿したこともあるという。 故に、私が"たぷたぷ"を長時間続ければ、もしかすると妊娠することもあるのではないか? それは、私がブリーダーをやっていたころから、頭の片隅で思っていたことだった。 そして、その仮定はどうやら正しかったようだ。 「大丈夫よ、れみりゃ。私に任せておけば元気な赤ちゃんを産めるわ」 「……う、うぅ~~? あ、あがぢゃん~~~?」 不思議そうな顔をするれみりゃ。 どうやら、妊娠のショックと、肥大化した下ぶくれ顔の重みが苦しくて、 "赤ちゃんが産まれる"という肝心な部分を失念していたらしい。 「れみりゃ~、もしかしてまんまぁになるどぉ~?」 「そうよ、あなたは親になるんだからしっかりしなきゃね」 "赤ちゃんが産まれる" "自分が子供達のママになる" れみりゃは、それをゆっくり理解し、落ち着きを取り戻していく。 「うっう~♪ れみりゃあかちゃんうんじゃうどぉ~♪ れみりゃそっくりでかぁ~いいいどぉ~♪」 「私も協力は惜しまないわ。がんばりましょう!」 私はフレンドリーにれみりゃに近寄った……つもりだった。 が、私の申し出に対し、れみりゃはむすぅ~と頬を膨らませる。 「だぁ~めぇ~! おねーしゃんはゆっくりできないひとだどぉ!」 「そんなことないわ。私はゆっくりできる人よ?」 「しんじないどぉー! こーなったのもぜんぶおねーしゃんがれみりゃをゆっくりさせないせいだどぉ!」 どうやら、ここ数日間の"蜜月のたっぷり生活"で、私はすっかり信用を無くしてしまったらしい。 「おねーしゃんはれみりゃのいうこときいてればいいんだどぉー!」 「だから言ってるじゃない、協力は惜しまないって」 「だったらぁー! さっさとれみりゃとあかちゃんのためにぃ、ぷっでぃ~んもってこいだどぉ!」 「いいわよ、赤ちゃんが生まれたら持ってきてあげる」 「うー! れみりゃはいまたべたいんだどぉー! さっさともってくるんだどぉ!」 「そうね……それじゃ、今は"ぷっでぃ~ん"よりもっと良いものをあげるわ」 「う~? なんだどぉ?」 「それはね……」 私は両手を広げ、れみりゃの退路を塞ぎながら近寄っていく。 「そ、そこでとまるどぉ! こっちきちゃダメだどぉ!」 私を警戒し、壁際へ逃げ去るれみりゃ。 私は口角を歪ませながら、れみりゃを追い詰めていく。 「く、くるなぁ~~っ! くるんじゃないどぉ~~~っ!」 れみりゃは、口では抵抗しつつも、私の雰囲気に気圧されてペタンと地面に座り込んでしまう。 「あっちいけぇーー! あっちいくんだどぉーーっ!!」 両手をグルグル振り回す、れみりゃ。 私は、舌なめずりをしてから、れみりゃを捕まえて抱き上げる。 「うああああっ! はなせぇーーっ! れみりゃのぷりてぃぼでぃーはなすんだどぉーーっ!!」 「だめよ……これから妊娠祝いに良い物をあげるんだから」 私はベッドの上に腰掛けて、れみりゃを膝の上に座らせて抱きしめる。 そこまでくれば、れみりゃもこれから何をされるのかわかったのだろう。 より一層、抵抗を強めていく。 「いいものいらなぁーい! そんなのぽーいぽーい! おねーしゃんもぽーいするのぉ! ぽぉーい!」 「遠慮しなくていいのよ、れみりゃ」 「えんりょしてないどぉー! おねーちゃんのぶぁーかぶぁーーか!」 私は、腋ではさむようにれみりゃの肩を押さえ込むと 左右両方の手を、肥大化した妊娠れみりゃの下ぶくれ顔にあてがう。 「や、やめるんだどぉ~~~! いやぁ~いやぁ~~~!」 「さぁ、妊娠祝いの特別サービス! 両手たぷたぷよ!」 「たぷたぷやだぁぁぁ~~~~っ!」 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 「うわ、あ、うあ、うああああっ!」 妊娠して肥大化したれみりゃの下ぶくれを、 揉みしだくように、こねまわすように、さするように、私は両手で"たぷたぷ"していく。 いつも以上の激しい"たぷたぷ"に、ガクガク体を震わせ息もたえだえで苦悶する、れみりゃ。 「いいわ! 妊娠していっそう"たぷたぷ"しがいが増したわ!」 「や、やめてぇ~~~! あがぢゃんがゆっぐりでぎないどぉ~~~っ!」 「大丈夫よ! 赤ちゃんはきっとゆっくりしているわ! ううん、それ以上に"たっぷり"しているはずよ!」 「ちがうどぉぉー! そんなのぜんぜんえれがんとじゃないどぉーーー!!」 "赤ちゃんがたっぷりしているはず"という私の言葉に、 れみりゃは強い拒否反応を示す。 「おねがいあがぢゃん~~! ゆっぐりうまれでぇ~~~!」 れみりゃは、涙を流しながら体内の赤ん坊に話しかける。 「ゆっくりよりこっちのが気持いいわよね~♪ ほぉーらたぷたぷたぷたぷ~♪」 「うぎぃぃぃ! やべどぉぉっ! あがぢゃんだまじじゃだべぇぇぇ!」 「ねぇー赤ちゃん♪ こんなおぜうさまのなりそこないはほっといて一緒に"たっぷり"しようねぇ~♪」 「ぎゃぼぉぉーーー! でびりゃばぁ、でぃっばなぼでうじゃまだどぉーーーっ!!」 激しい"たぷたぷ"と、嗚咽混じりで、れみりゃの言葉は既にまともな発音を得ていない。 私は、そんなれみりゃの様子を楽しみながら"たぷたぷ"振動を加えつつ、体内の赤ん坊をあやしてからかう。 「ほぉ~ら、たぷたぷ~♪ たぷたぷぅ~♪」 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 日が沈んで、月が昇って。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 月が沈んで、日が昇って。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 雨が降って、風が吹いて。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 さんさん太陽が照りつけて。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 それからまた、日が沈んで月が昇って。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 それからまた、月が沈んで、日が昇って。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 そうして月日が経った頃。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 「う、うぎぃぃーーー! うまれるぅぅぅ! うまれちゃうどぉぉーー!?」 私に抱かれながら"たぷたぷ"され続けていた、れみりゃが突如叫び声をあげた。 近頃はすっかりぐったりして、「…ぅー、ぅー」としか言わなかったのに。 「あ、あがじゃんがぁーー! でびりゃのあがじゃんがぁーーーー!」 どうやら、れみりゃは産気づいたらしい。 極限まで肥大化した下ぶくれの底部が、ピクピクと脈打ち始めている。 「いだい~~! いだいどぉ~~っ! あがじゃんゆっぐりじないでででぎでぇ~~~!」 私は出産経験が無いのでわからないが、人間にとってもゆっくりにとっても、 体内から新たな生命を産み落とすというのは、相当な苦痛を伴うものらしい。 れみりゃは、いきみながら、必死に赤ん坊を産みだそうとしている。 「そうよ! お母さんのためにもゆっくりしないで、"たっぷり"でてきてね!」 「ぎゃぼぉぉぉぉ~~~っ! よげいなごどいうなどぉぉ~~~っ!」 私の応援は、どうやられみりゃのお気に召さなかったらしい。 仕方ないので、私は"たぷたぷ"を繰り返すことで、出産を励ますことにある。 「た、たぶたぶじゃべぇぇぇぇーーー!!」 「ほらほら、がんばりなさいれみりゃ!」 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 「うあ、うぁ、うぁぁ、ぁぁ、うぅぁ」 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 「うっ!? ううううーーっ!?」 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 たぷたぷ。たぷたぷ。 「う、うううううううーーーーーーーっ!!!」 ビクン! れみりゃの体が大きく揺れ、 叫び声と同時に下ぶくれの底辺から赤ん坊が飛び出した。 赤ん坊は、クッションの効いた床に落ち、ころころ転がっていく。 やがて、よちよちと四つんばいの姿勢をとり、ゆっくりと目を開いていく。 「……う~?」 不安と期待と希望を込めて、あたりをみまわす赤ん坊。 ピンク色のベビー服のようなもので身を包んだそれは、 まごうことなきゆっくりれみりゃの赤ん坊・通称べびりゃだった。 「うぁーー……、うぁーー……、うぁーーー……」 親となったれみりゃは、いきみ続けた反動で息を荒げ、口からは肉汁の泡をこぼしている。 が、少しずつ平静を取り戻していき、自分が産んだ赤ん坊を見ると、目尻に涙を浮かべて喜びの笑みを浮かべた。 「うううう~~~♪ やったどぉ~~~れみりゃのあかちゃんだどぉ~~♪ か~わいいどぉ~~~♪」 感動の声を上げるれみりゃ。 その声に反応して、べびりゃがれみりゃを見上げ……首を傾げた。 「みゃんみゃぁ~?」 「う~~♪ そうだどぉ~~ママだどぉ~~♪」 「う~~♪ みゃんみゃぁ~ぶちゃいくなおかおだどぉ~~♪」 「……う?」 れみりゃは、べびりゃが何を言っているのか理解できいようだ。 一方、べびりゃは親の戸惑いなど知らず、キャッキャとはしゃいでいる。 「う、うー? あ、あかちゃ~ん、ママはおぜうさまこうほになるんだどぉ~、ぶちゃいくなんかじゃないどぉ~?」 「みゃんみゃぁへんなおかおだどぉ~♪ ちわちわぶちゃいくだどぉ~♪」 「ううーっ!?」 聞き間違いではなく、我が子が自分をブサイクだと言っていることを知ったれみりゃ。 その顔は途端に暗澹としていく。 「……そうね、確かにブサイクね」 「お、おねーしゃんまでなにをいいだすんだどぉー!?」 私は、れみりゃを抱き上げて立ち上がり、鏡の前まで連れて行く。 れみりゃは、鏡で自分の姿を見ると、バカにしたように笑い出した。 「う~~~♪ ひんどぉいおかおだどぉ~~♪ こんなぶちゃいくなれみりゃみたことないどぉ~~♪」 鏡に映ったれみりゃは、顔の下側から気持ち悪いほどダランと皮が垂れ下がっている。 そして、顔自体もしわくちゃで、醜く変形してしまっていた。 れみりゃは、それが自分の姿だとは認識できないようだ。 だから、私は事実をありのままに、ゆっくり教えてあげることにする。 「それ、あなたよ」 「……う?」 「ね? あなたブサイクでしょ?」 「……う、うそだどぉ」 「う~~♪ みゃんみゃぁ~のおかお~みれたもんじゃにゃいどぉ~~♪」 「うがぁーーーーーん!」 れみりゃは、鏡に映ったブサイクなれみりゃが自分だと知り、呆然と立ち尽くす。 肉汁の泡をブクブク吹き出しながら、何かをブツブツ呟くれみりゃ。 「……"たぷたぷ"の後遺症ね。肥大化した皮や内組織が変形して、戻らなくなってしまったのね」 私の呟きも、今のれみりゃの耳には届いていなかったようだ。 一方、べびりゃの方は、私が発したとあるキーワードに耳ざとく反応した。 「うっうー♪ たぷたぷぅ~たぷたぷぅ~♪」 「あら? あなたは"たぷたぷ"してほしいの?」 「う~~♪ たぷたぷしゅきしゅきぃ~♪」 "たぷたぷ"その忌まわしき言葉を聞いた親れみりゃが、反射的に叫んだ。 「だべぇぇぇ! だぶだぶはだべだどぉーーー!」 「うるちゃいどぉ~! ぶちゃいくなみゃんみゃぁはだまってるどぉ♪」 「あ、あがじゃんひどぃぃぃぃ! ぞんなごといっちゃだべぇだどぉぉーーー!」 (あのれみりゃ、もう限界か……) 気が狂ったように叫ぶれみりゃを見て、私は"たぷたぷ"する対象を切り替えることに決める。 優しくべびりゃを抱きかかえ、ベッドの上にこしかける。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「う~~♪ きもちぃぃどぉー♪」 きゃっきゃとはしゃいで喜ぶ、べびりゃ。 (どうやら、私の狙いは成功したようね) 胎内にいたころから"たぷたぷ"し続けたことによって、 このべびりゃは"たぷたぷ"に抵抗を感じなくなっているのだ。 そう、このべびりゃこそ、私が私の悪癖のために生み出した、世界で1匹のれみりゃに他ならない。 「やべでぇぇぇ! あがじゃんだぶだぶじじゃだべぇぇぇ!!」 「う~~! ぶちゃいくはしぃーなの! れみりゃはおねーしゃんにたぷたぷしてもらうどぉ~♪」 「うぁぁぁぁっ! あがじゃんだばざれるなどぉぉぉーーっ!!」 たぷたぷ。 たぷたぷ。 たぷたぷ。 「うふふ、あなたは最早ただのれみりゃじゃないわね」 「うー?」 「そう、あなたは"たっぷりれみりゃ"・・・・・・すなわち"たっぷりゃ"よ!」 「う~~~♪ えれがんとぉーなひびきだどぉー♪」 私の命名に喜ぶ赤ん坊。 べびりゃ改めたっぷりゃは、私に微笑みかけてこう言った。 「たっぷりしていってねぇ~ん♪ ……だどぉ♪」 おしまい。 ======================== ≪あとがき≫ すみません、こんなに長くなるとは…。 これ書いている間、異様に眠かったので、誤字脱字等結構あるやもしれません。 「モ○ダーあなた疲れているのよ…」とどこからか声が聞こえた気がします。 何卒、ご容赦下さい。 by ティガれみりゃの人 ======================== このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1816.html
※俺設定注意 英国人を貶める表現が出てきます。注意 ヨーロッパ北西部のとある島国。 雲をついて林立する摩天楼。 暗闇を照らし出すイルミネーションは、そこが世界でも有数の大都市であることを示している。 並び立つビルの合間に時折見える建造物は、中世の古雅をそのままに残す。 夜の帳から街を守るように覆う霧は、それ自体が歴史と伝統を物語っているようにも感じられた。 そう、ここは霧の都とも名高い王都・倫敦。大英帝国の栄誉ある首都である。 千年以上も昔からそうしていたように、今日も霧の古都は優雅に、だが眠ることなく夜を過ごす。 街灯に照らし出された街中では、今も人が行き交い、昼も夜も変わらないようにすら見えた。 霧と繁栄に包まれた王都に、だが自然は何の贔屓も無く接する。 今日は満月。淡い光を湛えた月が倫敦をやさしく照らしだす・・・筈だった。 何かが。何かが月を覆っている。 雲ではない。つい先ほどまで、月はその顔を地上に向けていたはずだ。 霧でもない。濃霧と名高い倫敦の霧は、今日はその名を裏切って淡く街を包んでいるだけに過ぎない。 ならば、一体何が。 影だ。 とてつもなく大きな影が、月・・・いや、空そのものを覆いつくしている。 まるで黒い絨毯のように、空は真っ黒に染まっている。 いや、大きいのではない。 多いのだ。 何か小さな影が、それこそ無数に集まってこの空を塞いでいた。 一体何が?鳥か?蟲か?蝙蝠か?あるいは、他の何かか? それは、ゆっくりだった。 蝙蝠の羽を持った空飛ぶ肉まん・・・・・・ゆっくりれみりゃ。 一匹は三十センチに満たないそれが、群れに群れてこの空を満たしている。 勿論、王都にいる人間達がそれに気付かぬはずは無い。 彼らは一様にポカンと口をあけながら空を見上げ、この異常な光景を見続けている。 『お、おい!?ありゃ一体なんだ!!(※)』 『何だ・・・蝙蝠・・・?いや、違う・・・人の、頭・・・?』 (※彼らの言語は日本語に通訳しています) ゆっくりは世界規模で見るなら非常に分布している領域は小さい。 日本と、台湾に少々。あとは世界にいるかいないかといった所だろうか。 英国人たちがこのけったいなナマモノを知らないのも当然といえた。 一匹のれみりゃがふと街を見下ろした。 光り輝く建造物の合間に、人間達を見咎める彼女。 そして理解した。あれこそは、我々の食料だということを。 それは本能に刻まれた記憶。 血を啜り永遠の命を手にする吸血鬼の宿命。 かつて海を越えてこの王都にやってきたドラキュラ伯爵のように、彼女達もまた獲物の血に飢えていた。 「うー!!」 一声、高く鳴く。 一斉に集まるれみりゃたちの視線。 彼女は羽根を使い、器用に眼前の人間達を指した。 そして彼女の同胞達も思い出す。 吸血鬼の矜持を。捕食者の悦びを。そして目の前にいる者に、何を理解させるのかを。 そうだ。 偉大な先人がそうした様に、我々もこの霧の都を恐怖に突き落としてやる。 この優雅な都市を、地獄の釜の底に化けさせてやる。 何をすべきか理解した彼女達は、一斉に急降下を始めた。 狙うはあの人間達。あの赤い血がたっぷり詰まった美味しいご馳走だ。 その思いを胸に、彼女達はおのおの狙いをつけた人間に襲い掛かる。 空から落ちてきた無数の肉まんたちが、この街にいる全ての人間に対し襲い掛かってきた。 『う、うわあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』 『あああああああああああああああああああああ!!!!・・・・・・あ、あれ?』 途端、素っ頓狂な声を出す英国人達。 一体何がどうしたというのであろう。 確かに、彼らは襲われていた。 彼らの周りにはれみりゃたちが群がり、それそれがその牙を身体に突き立てようとしてくる。 だがれみりゃ達の攻撃は通用しなかった。 それは当然である。なんと言ってもゆっくりなのだ。 いくら捕食種で牙持ちだろうと、それが通用するのはゆっくりまで。 人間の肌を突き破るような鋭利な牙を彼女達は持っていないし、咬合力が足りないせいでどうしても甘噛みのようになってしまう。 結果、彼女達は人間の周りを飛び回りじゃれ付いているようにしか見えなかった。 所詮ゆっくりなんてどこまでいってもこんなものだ。 「うーうー♪」 「たーべちゃうぞー!」 パタパタと羽音を鳴らし飛び回りまくる彼女達。 いつもならば笑って見過ごすはずの英国人達も、今回ばかりは事情が違った。 いつの間にか空を覆って何故か自分達に襲い掛かってきた人間の頭部をデフォルメしたような変な生き物。 空一面を覆い尽くすほどのれみりゃたちに攻撃されて、心穏やかにしていられる人間は少ない。 加えて、いきなり攻撃してきたのもまずかった。彼らの心にはこの変な生き物=害獣のイメージが付いてしまった。 あと、なんかムカついたりイライラしたりした。それはゆっくりだからしょうがない。 結果、いろいろな事情が複雑に絡み合った末に一人の男性がブチ切れた。 目の前を飛び回り群がってくるこのウザイ饅頭に我慢がならなくなったのだ。 『うるっせえええええええええぇぇぇぇ!!!!死ねぇい!!!』 「うべらぎゅぼっ!?」 怒りをそのまま拳に込めた彼の正拳突きは、あっさりとれみりゃの口を貫通し、中を抉り通し、後頭部から手を突き出させるに至った。 当然と言えば当然の結果。人間を怒らせればゆっくりなんてこんな風に蹂躙されるしかない。 『貴様らもだっ!!死に晒せァ!!』 「う゛あ゛っ!!?」 「ぶべぇっ!!」 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 続きざまに拳を振るい、蹴りを見舞う彼。 やはり木っ端のように引き千切られ、死んでゆくれみりゃ達。 そんな彼の狂気が伝染したかのように、次々と他の人々もれみりゃを血祭りに上げてゆく。 『喧しいぃわゴラァ!!貴様らなんぞこうしてくれるわァ!!』 『キャオラッ!!』 『死ねぇッ!!死ね死ね、死んじまえェッ!!』 『英国人ブリーカー!!死ねぇ!!』 「「「「う、うあああああああああーーー!!!?」」」」 叩き潰す者、蹴り殺す者、切り裂く者、引き裂く者それぞれだ。 ぶっちゃけかなり怖い。 当のれみりゃ達からしてみれば、これは極めつけの悪夢だった。 何故自分達の攻撃が通用しない? 何故自分達が殺されているのだ? 何故、何故?自分達は吸血鬼のはずなのに? 当たり前のことだが、彼女達は吸血鬼などではない。 あくまで彼女達のモデル、レミリア・スカーレットが吸血鬼である。 そこん所を勘違いした結果が今の惨状だ。特に同情すべきところは無い。 かくして狂気は広がり続け、今や霧の都は肉汁の香り漂う肉まんペーストの都へと変貌を遂げていた。 最早れみりゃ達に怯える者などただの一人もいない。 皆が皆、外に出てれみりゃを狩りまくっている。かなり頭の悪い光景といえるだろう。 そんな中、最初にれみりゃをぶち殺した男性がまたもや何かに気付いた。 一番最初に狂気に染まった彼は、またしても最初に一段上へと昇り詰めたのだ。 この匂い。一体なんだ。 このたまらなく食欲をそそる匂い。 美味しそう。 匂いの発信源であるれみりゃを掴み、彼は一口ガブリといった。 皆さんは決して初めて見かけた動物を食べたりしちゃ駄目だぞ! そして口の中に広がる肉汁。そして脳髄に届く電気信号。そして・・・・・・ 『う、う、う、旨い、旨いぞおおおおおおおおォォォォォォォッッッッッ!!!!!!!!』 この街を揺るがしかねないほどの大音声で、叫んだ。 元々英国人の食べ物は貧相である。 食えるものといったら朝食と紅茶と、そのお茶請けとフィッシュアンドチップスくらいであろうか。 とにかく彼らは毎日毎日貧相なもんしか食ってないのだ。 そんな折、彼はれみりゃという味の衝撃と出会った。 まさしく衝撃。まさしく驚天動地。 一体自分は今まで何を食べていたんだ。そんな思いに囚われるほどの極上の美味。 ベシャベシャに茹でられた野菜とか大量の芋揚げとかウナギゼリーだとか日本人からすれば毎日拷問ともとられかねない メニューに慣れきった彼には、それほどれみりゃが素晴らしく思えたのである。 もっと食いたい。 もっと、もっとだ! もっと輝けええぇぇぇぇぇ!!! 狂気に浸されすぎて何を考えているか分からなくなった彼が取った行動は、さらにれみりゃを食うことであった。 今まで握っていた拳を開き、突き通すから掴み取るの動作へ。 そして齧り取り、咀嚼、飲みこむ。結局れみりゃが死ぬのは変わらなかった。 『旨い旨い旨い旨い旨いィィィィィィィ!!!!! もっとだ!もっと食わせろ!! 足りない足りない足りない足りない足りないィィィィィィィィィィィィィィッッッッ!!!!!!』 あふれ出る狂気をそのままに、彼は疾走り出した。 ここに一匹の狂った修羅が誕生したのである。 やはりこの狂気も広がり続け、古都は魔都、いや狂都と化した。 『ヒャッハー!我慢できねぇ、虐待だァ!!』 『うっめ!これめっちゃうっめ!!』 『むーしゃむーしゃしあわせー!!』 『んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』 虐待をする者、貪り食う者、そしてHENTAIに目覚めた者。 最早正気の者は一人もいなかった。 彼らは己が欲望のまま虐め、食い、そして犯す。 英国紳士という名の変態の完成である。 死んでもお近づきにはなりたくない。 れみりゃ達もまた狂気の世界に足を踏み入れ始めていた。 極め付きの悪夢のはずが、それより更に上があったのだから仕方ないと言えばそうなるだろう。 最早彼女達に吸血鬼の矜持など一欠けらも残ってはいない。 人間が彼女達の餌だなどという認識は根底から覆されている。逆だったのだ。何もかもが。 自分達は人間の餌で、殺され嬲られ食われ犯され―――搾取されていくのだ。 窮地に立ったれみりゃ達に残された手段などひとつも無い。 いや、あった。たった一つだけ残った最後の手段。 今は砕け散った吸血鬼の矜持と同じく本能に刻まれた言葉。 それさえ呼べば、この悪夢も終わる。 それさえ呼べば、もうこんなこあいひとたちに虐められなくてすむ。 だから呼ぼう。最後の、最後に残されたこの言葉―――! 「ざ、ざぐやああああああ!!!!だずげでえええええええええええええええ!!!!!!」 当然、さくやは来なかった。 彼女達の悪夢はまだまだ始まったばかりである。 今狂都と化した倫敦では約750万の人々が暮らしている。 その全ての―――なんと子供でさえも―――住民が、今は狂いれみりゃ達を殺す一騎当千の殺饅機械となったのだ。 750万×1000の威力の前には、空を覆うほどのれみりゃの数も些か分が悪い。 人々が空とぶ饅頭を捕まえ、虐殺してゆく光景はまさに英国無双といった有様だった。 夜が明けるまでに彼らはれみりゃ達を皆殺しにし、翌朝なんでこんなことをしたのだろうと後悔の念に襲われたり、 虐待の高揚感が忘れられずいろいろ調べて日本に渡ってくる人がいたりするのだが、それはまた別のお話。 「―――――はっ!」 「どうした、鬼威惨!」 「い、いや・・・鬼意山、それがな。何かを感じ取ったのだよ」 「むぅ・・・?何かとは、一体・・・・・・」 「うむ・・・・・・。ここより遠く離れた異郷の地で、我等と志を共にする者が数多く生まれた、様な気がしてな」 「何言ってんだ厨二病乙」 「ちょ、お前!お前も途中までノリ良かったじゃねぇかよ!」 「いやでもそれはないわ」 「ですよねー」 おわり ――――― あなたのおじいさまは せまりくるれみりゃをちぎっては食いちぎっては食い 正に英国無双といったありさまで 近づくゆっくりを片っ端から真っ二つにして最終的に 全身に爆弾をくくりつけて敵のドス共全てごと吹き飛んだそうです これはひどい、書き溜めです。 大富豪のとき誰かが言ってたお題「英国無双」を勝手に書いちゃいました。 ごべんなざい。 あと上の出来事は本当なので新しいヘリの代金お願いしますね。 おねがいしますね。 今まで書いたもの ぱちゅりーばたーをつくろう! ゆっくりしたおかーさんにごはんをあげよう! そっくりれいむで遊ぼう! ゆっくり再調教 ゆっくりぱらのいあ なにこれ・・・。 函の中 ゆっくり○○○りー ゆっくりすっぱいよ! ゆーぶつえん ゆっくりにひたすら足焼きしてみた このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3141.html
「ゆっゆ~♪」 「ゆ~♪」 れいむは巣の中で子ども達と一緒に宝物を眺めてにやにやと笑いあっていた。 「おや、なんだいそれは?」 「ゆ!?」 その時、突然巣の入り口から人間が覗き込んだ。 人間はゆっくり達の宝物を面白そうに眺めていた。 「あんなガラクタ大事にしてんのか…」 ゆっくりの宝物というのは比較的まるくて綺麗な小石や人間が出したゴミといったものだった。 こんなものでもゆっくりにとっては珍しく大事なのだ。 「ゆー!ここはれいむのおうちでこれはれいむのたからものだよ! ゆっくりでていってね!」 れいむは勝手に巣をのぞく男に対してぷんすかと怒り男はそれを無視して 顎に手を当てて考え込みながらぱっとひらめいたかのように自分のかばんの中を漁って 母れいむ二匹分くらいの箱を手渡した。 「宝物をそのまま置いておくなんて無用心だろ こっからこの中に入れるといいよ そうすれば取られない」 そう言って箱の上部の500円玉くらいの大きさの穴を指差した。 「ゆ!?おにいさんありがとう!ゆっくりもらっていくね!」 「ゆっくちありがちょう!」 男はゆっくり立ちに御礼を言われると笑顔で返して 箱を置いて去っていった。 「ゆ~♪これであんしんしてゆっくりできるよ☆」 れいむは嬉しそうに宝物の小石やゴミクズを口に咥えると箱の中にいれていった。 「おかーしゃんおかーしゃん!たかりゃものだけぢゃなくちぇごはんもだいぢだよ!」 「ゆ!ほんとだ!れいむのあかちゃんはやっぱりあたまがいいよ!」 子れいむにいわれてれいむは今度は食べ物を箱の中に入れていく。 食料を全て入れてれいむはほっと一息ついた。 「ゆ~こんどこそゆっくりできるよ…」 「う~~~~☆たーべちゃうぞー☆」 「ゆううううううう!?」 そんなれいむの巣に突如ゆっくりれみりゃが襲い掛かった。 「たーべちゃうぞー!」 「たちゅけておかあしゃああああああん!!!」 このままでは子れいむ達が真っ先にれみりゃに食べられてしまうだろう。 迫り来るれみりゃを見ながられいむははっと思いつく。 この大事なものを入れる箱の中に子ども達を入れれば子ども達は安全だ尾t。 「あかちゃんたちはこのはこのなかにはいってね!」 さっと子れいむ達を咥えると穴にぺっとだしてさらに上から押し込んだ。 「ゅぅぅぅぅぅう!?いちゃいよおかあしゃあああああん!!」 「がまんちてねえええええ!!」 穴が小さすぎたのか子れいむ達は痛みに悲鳴を上げるが今はそんなことを構っている暇は無い。 れいむは三匹の子れいむ達を即座に押し込んでいった。 「う、うー?」 れみりゃはさっきまでいた子れいむ達が箱の中に隠れてしまい困ったように辺りを探した。 「ゆううう!ここはぜったいにとおさないからゆっくりでていってね!」 立ちふさがるれいむを見てれみりゃはそれをむんずと掴んだ。 「これまずいからいりゃない!ぽいっするど!ぽいっ!」 「ゆうううううう!?」 「しゃくやー!ぷっでぃーんもっでぐるどー」 もとより子れいむ以外食べる気がなかったのか母れいむを投げ捨て、れみりゃはその場を立ち去った。 「ゆぅぅぅ…あぶないところだったよ…」 れいむはれみりゃに投げ飛ばされて痛む体を起こしながらほっと溜息をついた。 「ゆ、もうだいじょうぶだよ!ゆっくりでてきてね!」 「ゆー♪おかあしゃんしゅごーい!」 「さっしゅがぁ♪」 「おかあしゃんだいちゅき!」 子ゆっくりたちは歓声を上げて母の元へと行こうと箱の中を歩き回った。 「「「どうやってでりゅのおおおおおおお!?」」」 「ゆううううううううう!?」 それから一月が経った。 「ごはんをもってきたからゆっくりたべてね!」 巣に帰ったれいむは真っ先に箱の中に餌を入れていく。 「…むーしゃむーしゃ」 「…しあわ」 「じぇんじぇんしあわせじゃないよおおおおおおお!!!」 あれから子れいむ達は毎日のように泣いていた。 箱の中は穴以外から光は入らず非情に薄暗く、換気もろくに出来ないため常にじめじめとしていた。 鉄で出来た箱の内壁は冷たく重々しく、心までゾワゾワと冷ましていく。 箱の中はゆっくりとは全く無縁の場所だった。 「だちて!だちてえええええええ!!」 一匹の子れいむがドンドンと壁に体当たりを繰り返す。 「やめてね!ゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「も゛う゛ゆ゛っぐり゛でき゛な゛い゛い゛い゛いいいい!!」 箱の中に子れいむの叫びが木霊した。 「ゆ゛ぐぐぐ…ごべんね…ごべんね…!」 れいむは箱に耳を当てて中の会話を聞きながらぎゅっと目をつぶり涙した。 もし自分が箱の中に入れたりしなければこんなことには もし自分がこの鉄の箱をひっくり返して中のものを取り出せれば れいむはこころの底から後悔した。 さらに二ヶ月の月日が経った。 都合、三ヶ月もの間子れいむ達は過ごしたことになる。 「ごはんをもってきたからゆっくりたべてね!」 「「「……」」」 ここのところもはや三匹は何も喋らずにただただご飯を食べるだけであった。 その姿を見ながら元気だった頃の子れいむ達の姿を思い出してれいむの頬を涙が伝った。 「どぼぢで…ごんなごどにぃぃぃぃ…」 悲痛なれいむの声を聞いて、通りすがりの男がすっと巣の中を覗き込んだ。 「なにしてんだ?」 あの箱をれいむたちに与えた男である。 「うわああああああああああ!!!」 思わずれいむは男の顔面にむかって体当たりした。 「うわっぷ!?な、なにすんだよ!?」 「おばえのぜいで!おばえのぜいでぇええええ!!」 「おにいざんがごのばごをわだずがらでいぶだぢがあああ!!!」 子れいむたちも男の出現を悟って思わず溜まっていたものが爆発して罵声を投げかけ始めた。 「な、まさかお前子どもまで箱の中に入れたのかよ!?」 男は酷く驚いたようだった。 「でいぶのあがぢゃんぢゃんどだぢでねえええええ!!」 男はこの箱ならゆっくりには取り出せないだろうと思って軽いいたずらのつもりでこの鉄の箱を手渡したのだが まさか子どもを入れてしまうなんて思いもよらなかった。 「わかったわかった、出してやるって…」 流石に男も気の毒に感じて手を貸してやることにしたのだった。 「あ、あぢがどおおおおおおおおおお!!!」 れいむは嬉し涙を流して男の足に頬をこすりつけて感謝した。 「要はひっくり返せばいいんだよ…重いな」 男はよっこいせと箱を持ち上げるとごろんとさかさまにした。 「ゆぐ!?」「ゆうう!?」「ゆっくりまわしぎゃあ!?」 中のものもごろごろ壁に当たりながら転がり、箱の穴が下側に向いた。 「さ、その穴からでな」 男は思っていたより重いのか少し声を震わせながら早く出るよう子れいむ達に促した。 「ゆっくりでてきてね!」 れいむはこれ以上ないという笑顔で子れいむ達の脱出を待った。 箱の中から子れいむ達が動きあう音がする。 「「「でれないよおおおおおおおおおお!!!」」」 「ど、どおいうことおおおおおおおお!?」 三ヶ月という時間は子れいむ達が成長するのに充分すぎたのだ。 500円玉程度の穴を通るには子れいむ達は成長しすぎていた。 「ぢゃんどだぢでね!でいぶのあがぢゃんぢゃんどだぢであげでね゛!」 「これ、加工場に働いてる兄貴から失敗作貰っただけだから加工場行かないと取り出すのは…」 「がごうじょういやあああああああああああ!!!」 子れいむ達が加工場という単語を聞いて泣き喚いた。 「ほがのぼう゛ぼうぢゃんどがんがえでよ゛おおお!!!」 子れいむ達が出られるという希望を打ち砕かれてれいむは半狂乱になって男に噛み付いた。 目は血走り、怒りに震えている。 「し、しるかよ!」 男は箱を投げ捨ててれいむを引っ剥がすと一目散に走り去った。 男にとっていくら同情したからといってこれ以上は面倒なだけだった。 「ゆぎゃあああああ!」 「いだいいいいい!!」 子れいむ達は箱を乱暴に投げ出されて壁に体を打ち付けて悲鳴を上げた。 「ま゛っでよおおおおお!ゆ゛っぐり゛だぢでえええええええ!」 れいむは男の後を追ったが遂にその男とふたたび出会うことは無かった。 「もういやあああああ!」 「ごごがらだぢでええええええ!!」 子れいむ達の悲鳴だけが箱の中から漏れ出していた。 それから月日は経って、子れいむ達が箱に入って一年がたった。 もはや親子の間で会話さえなくれいむが箱の中に餌を入れ それを黙々と子れいむ達が食べるだけという生活が続いていた。 成人間近の子れいむ達の食料を集めるためにれいむは奴隷のように働き続けた。 もはや他のゆっくりとの親交もなくただただひたすら食料を集めるだけ れいむの楽しみなど全く無くゆっくりせずに汗水たらす日々だった。 れいむはなみだも枯れ果てた目で箱を見つめる。 「ぉかあさん…」 その時、小さな小さなくぐもった声が箱の中から聞こえた。 「…!?どうしたの?ゆっくりしていってね!」 久々に聞いた子どもの声にれいむは慌てて箱をよじ登って穴を覗き込んだ。 「ぜまぃぃ…!」 「ゆ!ごべんね!いつかかならずだしてあげるからがまんしてね!」 れいむはいつも言っていた文句ながらも久々に子れいむと会話が出来て 嬉しそうに答えた。 「ちがうのぉぉお…!」 しかし子れいむの声は苦しみに満ち、切実だった。 「いぎ…でぎ…だい…」 「ぐるじぃぃ…!」 「ゆ!?どういうこと!?ゆっくりせつめいしてね!」 箱の中は限界に来ていた。 成長した子れいむ達により完全にぎゅうぎゅう詰めになり息をするのも困難なほどで 三匹は顔をつき合わせて穴に向かって口を開いていた。 もう後ろを振り返ることも出来ないだろう。 いや、横も無理か。 動かなくていいぶん発育だけは非常によかったのが仇になった。 ぶくぶくと太り成人以上のサイズになった三匹にもはやスペースは無かった。 次の日 何とかしなければと思いながらも結局何も思いつかなかったれいむは また食事を運ぶことを繰り返した。 「ぉか…さ…」 この前よりさらに苦しそうなか細い声が聞こえ、慌てて箱を覗き込む。 するとそこには赤黒い何かが広がっていた。 「ど、どおいうこと?!」 「はやくれいむのおくちにたべものいれてね!!!」 箱の中の赤黒い何かがうごめいたかと思うと子れいむの元気な声が返ってくる。 「ゆ!?ひょっとしてこれおくちなの? そんなところにいたらほかのみんながたべられないよ! ゆっくりどいてあげてね!」 「うるさいよ!むのうなおかあさんはゆっくりしてないではやくごはんよこしてね!」 「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおお!?」 子れいむの突然の暴言にれいむは驚愕した。 「こんなことになったのはおかあさんのせいなんだからおかあさんのいうことなんてきいてられないよ! おかあさんはれいむたちみんなしぬかれいむにだけでもごはんをあげるかとっととえらんでね!!」 「ゅ…」 「た…ぅぇて…お…ぁ…ん…」 子れいむの怒声と押し潰された他の二匹のか細い悲鳴が聞こえてくる。 「ゆ、ゆぅぅぅう…!」 れいむは悩んだすえに、他の二匹にないて謝りながら餌をあげることにした。 その顔には苦渋の色だけがあった。 それから三日ほど経った。 「……」 れいむは陰鬱な気持ちで箱の前へと歩いていった。 その姿はまるで死刑執行代への道を歩む死刑囚のように項垂れていた。 「おかあさん!はやくごはんちょうだいね!おなかすいてゆっくりできないよ!」 「ゆーおなかすいたああああああ!ゆっくりしてないでえええええええ!!」 しかし二匹の呼び声を聞いてその表情はぱぁ、っと明るくなった。 「ゆ!なかなおりしてくれたんだね!みんなでゆっくりごはんたべようね!」 れいむは三匹の子達が仲直りして押し潰すのをやめてくれたのだと想い喜びに震えながら穴を覗き込んだ。 「ゆ…?」 しかし穴の中からは甘い香りと真っ赤に開かれた二つの口があるだけだった。 甘い香りは一体どこから来たのかとれいむは目を皿の様にして必死に見回した。 何度か角度を変えると光の具合が変わり、その原因がわかった。 「どぼぢでええええええええ!?」 穴の前を占領していた子れいむが顎の下を食い破られて死んでいた。 「れいむたちのごはんをとるわるいれいむはやっつけたよ!」 「だからおかあさんはやくごはんちょうだいね!!!」 「ゆっぐりいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」 れいむの中に一挙に恐怖の感情が沸き起こった。 自分の家族を自分で喰らったこの子達は本当に自分の仲間なのかという疑問がわきあがる。 その疑問や恐怖を仕方なかったんだと理性が必死に押さえつけた。 感情を押し殺して、れいむの箱の前にただ餌を運ぶだけの日々がまた始まった。 「ぐぢゃいいいいいいいいいいい!」 「むじじゃんごわいいいい!おがあじゃんだずげでよおおおおおお!!」 「……」 食いちぎられた子れいむの死体は腐って、悪臭を放ち いつの間に入り込んだのか虫たちが集り始めていた。 れいむの耳にはそんな状況に身をよじって助けを求める子れいむ達の悲鳴を 聞き入れる気力さえなかった。 ただただ餌を与えるだけである。 数日後、男が巣の中をのぞいた。 一瞬、箱を渡した男が来たのかと思ったがよく顔を見ると別人だった。 ひょっとしたら箱の開け方が分かって助けに来たのかと思ったのにぬか喜びだったのかと れいむはまた死んだ魚のような目で俯き溜息をついた。 「その箱、開けに来てやったぜ」 「「「ゆ゛!?」」」 「弟に前なんとかならないかって頼まれててな 工場の道具持ち出すと色々とまずいんだが弟があんまりに憐れそうに言うんで遂に折れてきちまったよ。」 その男は箱を渡した男の兄であるようだ。 罪悪感を感じてた弟が兄に頼み込んで、重い腰をあげたというところのようだ。 「あ、あぢがどおおおおおおおおおおお!!!」 れいむは押し殺していた感情が爆発して涙を流した。 この箱に囚われた生活がやっと終わるのだ。 「やっどでれるよおおおおおおおお!」 「おねえちゃん!おかあさん!おそとにでたらいっぱいあそぼうね!!」 子れいむ達は顔を見合わせて嬉し涙を流しながら笑いあった。 れいむもその仲のいい姿をもうすぐ見れるのだと思って嬉しくて嬉しくて仕方が無かった。 今までの全てが報われたとれいむは思った。 「加工場製作のチェーンソー、切れないものはあんまり無いぜ!」 男が背負っていた巨大な機械の紐を引っ張るとその刃が回転し始める。 その刃を箱に添えると火花と不思議な金属音が鳴って、箱の上部が切り開かれた。 「ゆぎゃあああああああああ!!!」 「でいぶどりぼんがあああああああああ!!!」 その際子れいむの頭の皮が少し削れ、悲鳴を上げた。 「あ、わるいわるい」 男は悪びれなくニヤリと笑った。 「きをつけてね!」 「わかったわかった、今だしてやるから…あ」 男は顔をしかめた。 「ゆ?どうしたの?はやくだしてあげてね!」 「「だしてね!」」 「ちょっと見てろ」 そう言うと男は死んだ子れいむの体を掴み引っ張った。 ベリベリと音を立てて壁に皮を残して子れいむの死体がちぎりとられた。 「ゆげええええええええ!!!」 凄惨な我が子の姿にれいむは餡子を吐いた。 「な、なんでごどずるのおおおおお!!」 そしてすぐに抗議をした。 男は残念そうに首を横に振る。 「皮が壁に完全に癒着しちまってるよ 取り出したら今みたいに皮剥がれて死ぬね 諦めろ」 男は両手を上げてお手上げのポーズをとった。 「どおいうごどおおおおおおおおおおおおお!?」 「ぢゃんどだぢでよおおおおおおおおおおお!!」 子れいむ達が話が違うと悲鳴を上げ男に飛び掛ろうとした。 しかし今は動ける空間があるにも関わらず一歩たりとも二匹は動くことが出来なかった。 「ま、人生そううまくいかないってこったな」 男はやれやれとチェーンソーを抱えて去っていった。 「「おいでがないでえええええ!!!ゆっぐりぢでいっでよおおおおおおお!!!」」 子れいむ達の叫びに男は一度だけ振り返って残念そうに眉をしかめたがそれだけだった。 「ふ、ふひひひひひひひいひひひ…ゆっくりぃ…ゆっくりぃ…」 れいむに至っては、絶望の淵で目の前にぶらさげられた希望を打ち砕かれて遂に心に異常をきたした。 しかしその顔は幸せそうでもあった。 なにせこうやって何もせずにゆっくりしているなど一年ぶりにもなるのだから。 子れいむ達も直に何もかも諦めてゆっくりしだして家族みんなでゆっくりできるようになるだろう。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1993.html
〜ゆっくり達の生涯『加工場の日常編 にくまん工程』〜 前書き(と言う名の注意書き) 加工場の職員として人間が登場します。 ぺに、まむ、うん、しー設定は使用しておりません。 「加工場の日常編」の続編となりますが、各SSは単体で完結しておりますので以前の物を読んでいなくても問 題ありません。 〜にくまん工程〜 「うーうー! 」 1匹のにくまんこと、ゆっくりれみりゃが元気よく夜空を飛んでいる。 空中でホバリングしながら何かを探すように地面をキョロキョロと見回している。 「・・・・・うー♪ 」 何かをみつけたれみりゃは笑顔で鳴き声を上げた。 そして、ある木の根元めがけて急降下する。 そこにあるものは・・・・・。 ガサガサ・・・・・ゴソゴソ・・・・・ 不自然に盛られた木の葉や木の枝を慎重に退かしていく。 ・・・・・ガサガサゴソゴソ・・・・・ 音が止むとそこにはポッカリと口をあけた木の洞が姿を現した。 翼をたたみ、音を立てないように洞の中へ入っていく。 「ぅ〜♪ 」 れみりゃは洞の中に居たあるものを笑顔で見つめている。あるものとは・・・・・。 「ゆぅ〜・・・・・ z z z z z ・・・・・おちびちゃ〜ん♪ ・・・・・。」 「むにゃ〜・・・・・z z z z z ・・・・・れいむぅ〜♪ だいす・・・・・。」 そこにはれいむとまりさが身を寄り添いながら幸せそうに眠っていた。 れみりゃは翼を邪魔にならない程度に広げると2匹の饅頭に向けて牙をキラ〜ン! と輝かせる。 カプッ♪ 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! 」 まりさは頬に走った激痛に一瞬で目を覚まし、悲鳴が巣穴中に木霊する。れいむはというと・・・・・。 「・・・・・z z z z z ・・・・・ゆふふふ♪ くすぐった・・・・・。」 まったく目を覚ます気配は無かった。 なんとも図太い神経をしているゆっくりである。 「う〜う〜♪ 」 「やめでえぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! ながみずわないでえぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! 」 まりさは必死に抵抗しようとするが、捕食種相手では既に勝負は決まっていた。 気持ちよさそうに眠っているれいむのすぐ横でまりさはどんどん中身を吸われ、しおれていく。 「・・・・・れ・・・・・い・・・・・む・・・・・に・・・・・げ・・・・・。」 薄れゆく意識の中、まりさはつがいのれいむに向けて必死に迫り来る危機を知らせようとしている。 しかし・・・・・。 ザクッ! 「っ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! 」 れみりゃの牙がまりさの両目をえぐり取っていた。 中身の大半を失ったまりさにはもはや悲鳴を上げる力すら残っていなかった。 「う〜う〜♪ 」 れみりゃはもちもちなまりさの目をおいしそうに頬張っている。 まりさの目のあった部分からは餡子が涙に溶けた薄茶色の液体がどくどくと溢れ出している。 「うー♪ 」 れみりゃは最後の仕上げとばかりに、まりさの体内に残った餡子を吸っていく。 この時、すぐそばまで迫った死の恐怖からまりさの餡子の糖度は最高潮に達していた。 「う〜♪ 」 れみりゃは今日一番の笑顔でおいしそうにまりさの中身を吸い尽くした。 れみりゃの横には、帽子と皮だけになったまりさのデスマスクが転がっている。 「うー! 」 れみりゃはまだ満足しておらず、すぐに次の標的を定める。 「・・・・・まりさ・・・・・ずっと・・・・・ゆふふふふ♪ ・・・・・。」 既にこの世に居ないつがいの名前を寝言で呼びながら、れいむは気持ち良さそうに眠っている。 れみりゃはふしだらに開けた口からよだれを垂らし、呑気に眠るれいむへと近づいていく。そして・・・・・。 「ゆっぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! だずげでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! ! ! 」 れいむの苦痛に歪む悲鳴が巣穴中に木霊した。 「うっう〜♪ 」 おなかがいっぱいになり、ご機嫌なれみりゃは笑顔で寝床に向かって飛んでいる。 しばらく飛んでいると遠くの方からなにやら鳴き声がれみりゃの耳(?)に入ってくる。 「う〜♪ 」 1匹のれみりゃが笑顔で横から姿を現した。 どうやらこのれみりゃも満足な獲物を捕らえる事に成功し、寝床へ帰る途中のようだ。 「うっう〜♪ 」 「う〜〜〜♪ 」 「う〜う〜♪ 」 複数のれみりゃ達が様々な方向から合流し、最終的には数十匹の群れとなり夜空を飛んでいた。 れみりゃ達は皆同じ方向に向かって列をなすようにして飛んでいる。 しばらくするとれみりゃ達の前方に視界を覆いつくす大きな壁が現れる。 「「「「「う〜♪ 」」」」」 れみりゃ達は嬉しそうな鳴き声を上げると壁にあいた穴へと次々に入っていく。 そう、この穴こそれみりゃ達の“おうち”である。 ゆっくりは“おうち”というものに対し非情に強い執着心を持つナマモノである。 これは捕食種れみりゃにとっても同じ事である。 このれみりゃ達もまた、無作為ではなく自分が“おうち”と決めた穴へと入っていっているのだ。 「う〜〜♪ 」 あの呑気なれいむを仕留めたれみりゃも同じくして自分の“おうち”へ入っていく。 “おうち”へ入ったれみりゃは器用に翼を折りたたむと落ち葉や干草で出来たベッドの上に体をうずめていく。 「う〜♪ ぅ〜・・・・・z z z z z 。」 朝日が昇る頃、お腹がいっぱいになったれみりゃ達は気持ちよさそうにゆっくりと夢の中へ旅立っていった。 「・・・・・z z z z z ・・・・・ぅ〜♪ ・・・・・。」 れみりゃが可愛らしい寝顔で気持ち良さそうに眠っている。 毎日十分な獲物を手に入れ、満足のいく“おうち”に住む事ができている。 れみりゃにとって最高にゆっくりできる環境が整っていた。 しかし、その永遠に続くと思われた至福の時も終わりを告げようとしていた・・・・・。 ・・・・・カチャッ・・・・・ 「・・・・・う〜? 」 僅かに聞こえた金属音に気付き、れみりゃは寝ぼけ眼で“おうち”の中を見回している。・・・・・次の瞬間! ガシッ! 「うー!? 」 突如れみりゃは何者かに捕まれ、まったく身動きができない状態に陥ってしまった。 そしてれみりゃは驚愕する、なんと自分の寝床にしている“おうち”の最深部に大きな穴がポッカリ開いてい たのだ。 「うー! うーーー! 」 れみりゃは体をジタバタさせ抵抗しようとするが、抵抗も空しくれみりゃはポッカリと開いた穴に引きずり込 まれていった。 「うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! ! ! 」 れみりゃの悲痛の叫びが小さな“おうち”に木霊した。 「・・・・・う〜? 」 れみりゃは見知らぬ場所で目を覚ました。 とりあえず目をキョロキョロさせ周囲の様子をうかがうが、すぐに自身の体に起こった異変に気が付いた。 ガタガタガタ・・・・・ガタガタガタ・・・・・ 「うー! うーうーうー! 」 れみりゃの体は固定され、まったく身動きが取れなくなっていた。 「お、起きたか、それでは出荷前の最終作業に移るかな。」 背後から聞こえる声にれみりゃは恐怖する。 そう、今まで味わった事のない狩られる側の恐怖を・・・・・。 スッ・・・・・ 「う〜!? うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! 」 れみりゃは頭が軽くなったのを感じ、すぐに理解した。 ・・・・・大切な帽子が無くなった。 帽子を取り戻そうと目一杯体を動かして束縛から逃れようとする。 しかし、無情にもれみりゃの身は自由にならず更なる悲劇へと駒を進めていく。 スパッ! スパッ! 「う! うあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! 」 れみりゃの体に激痛が走った。 そして目で確認する事ができなくても、れみりゃはすぐに何が起こったのか理解する。 ・・・・・・・・・・翼の感触を失った。 「うあ゛っ! うあ゛っ! うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! 」 体中を駆け巡る激痛、恐怖から逃れようとれみりゃは必死に暴れようとする。 しかし体は固定されており、身動き一つ取れない。 「うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ・・・・・うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ・・・・・。」 れみりゃが悲しげな鳴き声を上げた時だった。 カシャン 「うー! 」 コロコロコロコロコロン 体の束縛が解け、れみりゃはこの場から少しでも遠くへ逃げようと転がりだす。しかし・・・・・。 ガシッ! 「うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! 」 あっさりと捕まったれみりゃは悲痛な叫び声を上げる。 そしてれみりゃはそのまま狭い箱の中へ押し込められてしまう。 箱のサイズはれみりゃより一回り小さく、押し込まれたれみりゃはまったく身動きが取れない。 「うーーーーー! うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ・・・・・・・・・・。」 箱のフタがゆっくりと閉められ、れみりゃに外の音はほとんど届かなくなってしまった。 「・・・・・ぅ〜・・・・・。」 狭くて暗い箱の中、れみりゃが弱々しい鳴き声を上げる。 まったく身動きが取れない箱の中に押し込められたのであっては仕方のないことである。 「・・・・・ぅ〜・・・・・ぅ〜・・・・・ぅ〜・・・・・。」 間隔をあけ、れみりゃは不機嫌そうに鳴き声をあげる。 翼の生えていた部分がムズムズして気になって仕方がないのだ。 れみりゃは通常種に比べて再生力が高く、たとえ翼を失っても数日後には元通りになっている。 今れみりゃはまさに翼が再生しようとしているのだが、箱にきっちり収まっているため壁が翼の再生を邪魔し ているのだ。 ガタンッ!・・・・・ゴト・・・・・ガッ!・・・・・ 「・・・・・ぅ〜!・・・・・ぅ〜!・・・・・。」 時々箱に伝わってくる震動もれみりゃのストレスを更に上昇させていった。 光が差し込まない箱の中、時間の間隔は既に麻痺していた。 「・・・・・ぅ〜・・・・・・・・・・。」 ひょっとしたら自分は一生このままなのかもしれない、そんな不安がれみりゃの脳裏によぎった時だった。 「やっと届いたみたいね♪ えーと何々? この度は・・・・・・・・・・。」 「う! 」 突如うっすらと聞こえた声にれみりゃは元気を取り戻す。 「うー! うー! うーーーーー! 」 自分はここにいる! 助けてくれ! と必死に鳴き声をあげた。 そして願いが届いたのか箱に震動が加わる。 ガタッ!・・・・・パカッ! 「う〜〜〜〜〜♪ 」 久しぶりに見た外の世界にれみりゃは満面の笑みで鳴き声をあげた。 「うふふ♪ さすが加工場の製品ね。こんなにも活きがいいなんて♪ 」 れみりゃが閉じ込められていた箱を開けたのは人間の女であった。 女は笑顔でれみりゃの体を優しくつかむと、慎重に箱の中かられみりゃを救出した。 「う〜♪ う〜♪ 」 助けてくれた人間に向けてれみりゃは何度も何度も笑顔で鳴き声を上げた。・・・・・しかし。 「ではさっそく♪ 」 「う〜?」 コトンッ!・・・・・カチャンッ! 「うー! 」 れみりゃは閉じ込められていた箱程ではないが、再び狭い入れ物の中へ入れられフタをされてしまった。 なんとか脱出しようとするが、翼を失っているため思うように体が動かず悪戦苦闘している。 カチッ! 「うー! うーーー! 」 小さな音が鳴ったが、脱出しようと必死にもがくれみりゃには届いていなかった。 体を転がらせて壁にぶつかるがもともと狭い入れ物の中のため、たいした反動も得られず無駄な努力に終わっ た。 シュ〜〜〜〜〜! 「うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! ?」 しばらくすると白い煙がれみりゃを包み込み、入れ物内の温度はみるみるうちに上昇していった。 「うあぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! うあぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」 れみりゃは体中を覆う熱気にもがき苦しんでいる。 そして内部の温度は更に上昇し・・・・・。 「う、う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ・・・・・・・・・・」 すさまじい断末魔を残し、れみりゃのゆん生は幕を閉じた。 -------------------------------------------------------------------------------------------------------- 〜加工場&消費者サイド〜 -------------------------------------------------------------------------------------------------------- 「A−3はちょうど良い頃合です。」 「B−1はあと2、3日といったところでしょうか。」 加工場のとある1室、職員達が大きな壁にあけられた窓の中を注意深く覗いている。 その窓の奥にあるもの、それは・・・・・。 「ぅ〜・・・・・ぅ〜・・・・・z z z z z ・・・・・。」 1匹のれみりゃが気持ちよさそうに眠っていた。 そう、ここではれみりゃ達が自然に近い形で養殖されているのだ。 餌場となるのは自然の森を模した大規模な施設となっている。 天井はガラス、壁には森の風景が描かれており、職員の出入りを除き完全に閉ざされた空間となっている。 そのため、れみりゃ達が勝手に外へ飛んで行ってしまう可能性は0であった。 れみりゃはれいむやまりさなどの通常種とは違い、数が少ない希少種である。 また特殊な条件の下でしか子供を産まないため、通常種のように安易に数を増やすことができない。 飼育にはそれなりのコストがかかるため徹底した管理の下、自然に近い形で飼育する事で品質をより向上させ 価値を高めているのだ。 そのため、養殖物であってもそれなりの値段となってしまうが需要は高い。 もちろんれみりゃ達は自分達が養殖されていることなど知る由も無い。 職員達が覗いている窓はNITORI印の特製マジックミラーとなっている。 こうして職員達はれみりゃ達に気づかれること無く毎日状態を観察することができているのだ。 「よし、A−3、A−7、・・・・・・・・・・は出荷時期だな。皆大切な商品だ、慎重に扱うんだぞ。」 班長の男が指示を出すと、職員達は慣れた手つきで作業に取り掛かる。 カチャッ マジックミラーの窓は扉にもなっており、職員は静かに手を中に入れるとれみりゃをしっかりとつかみ上げる。 ガシッ! 「うー! ? うー! うーーー! 」 突然つかまれたれみりゃは当然すぐに目を覚まして暴れようとする。 しかし、移動手段の要である翼を上手く押さえ付けているため逃げられる事はまずなかった。 慣れた手つきで職員は窓の外にれみりゃを運び出す。 「うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! ! ! 」 れみりゃは悲痛な鳴き声をあげるが、職員はまったく気にすることなく作業を続ける。 窓から取り出したれみりゃをすぐに定番の透明な箱に閉じ込める。 この透明な箱、通常のものとは1箇所だけ違うところがある。それは・・・・・。 シュ〜 箱の側面に開いた小さな穴から職員は白いガスを注入する。 「うー! うー! ぅー! ぅー! ・・・・・z z z z z ・・・・・。」 箱の中で大声を出し暴れていたれみりゃはあっという間に夢の中へ旅立っていった。 れみりゃ達の“おうち”の各所で同じ様な光景が繰り広げられていた。 職員は眠っているれみりゃ達を出荷の最終作業を行う部屋へと運んでいく。 そして眠っているれみりゃの全身を丁寧に洗浄し、作業台の上に乗せ逃げられないようにしっかり固定する。 「・・・・・う〜? 」 ガタガタガタ・・・・・ガタガタガタ・・・・・ 「うー! うーうーうー! 」 れみりゃは起きてすぐに逃げ出そうとするが、当然体が固定されているので身動き一つ取る事はできない。 「お、起きたか、それでは出荷前の最終作業に移るかな。」 職員はれみりゃに背後から近づくとれみりゃの帽子に手を伸ばす。 「う〜!? うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! 」 帽子を失ったれみりゃは“返せ! ”とばかりに大声で鳴くが、職員は気にすることなくナイフに手を伸ばす。 スパッ! スパッ! 見事なナイフさばきでれみりゃの翼を綺麗に剥ぎ取った。 「う! うあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! 」 当然の反応ではあるが、れみりゃは激痛に襲われ悲鳴を上げている。 この翼は別の場所で燻製にされ、珍味としてれみりゃと一緒に出荷される。 眠らせたまま作業を行わないのには当然理由がある。 既にれみりゃの中身はかなり上質なものへと仕上がっているが、高級食材としてはまだ完全ではない。 そう、まだ身の引き締まった肉としての食感が足りないのだ。 れみりゃは恐怖や苦痛により通常種同様中身の質を変化させることができる。 職員が姿を見せずに作業を行うのも、恐怖を煽りより上質な身の引き締まった肉へと変化させるためである。 「うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ・・・・・うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ・・・・・。」 れみりゃの顔からはいつもの笑顔は消え、泣き顔へと変わっていた。 カシャン 職員は箱詰めするため、れみりゃのかせを外す。 「うー! 」 好機とばかりにれみりゃは転がって一目散にその場から逃げようとする。 当然職員は予想済みであり、両手で傷をつけないようにれみりゃをつかみ上げる。 「うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! 」 そして商品箱の中へ泣き顔のれみりゃを丁寧に収める。 この時、気を付けなければならない事は目を傷つけないように細心の注意を払う事である。 目を傷つけると著しく品質が落ちてしまうためである。 箱の大きさはれみりゃのサイズより一回り小さい。 それは翼の再生を阻害させ、消費者に届くまで常にストレスによる苦痛を与え続けるためである。 「うーーーーー! うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ・・・・・・・・・・。」 職員がフタを閉じるとれみりゃの声が一切聞こえなくなった。 出荷中の鳴き声による騒音を回避するためである。 こうして今日もれみりゃが高級食材として出荷されていく。 「すいませ〜ん、加工場からのお届け物です。」 とある民家にれみりゃの入った箱が届けられた。 民家の主は興奮気味に付属のメモを読み上げる。 「やっと届いたみたいね♪ えーと何々? この度は加工場特製“まるごとゆっくりれみりゃ”をお買い上げいただき誠にありがとうございます。 内容物 れみりゃ1匹 下ごしらえ済み、まだ生きているので注意(丸ごと蒸し焼きにするのがオススメです。) れみりゃの帽子1個 (食べることはできませんが貴重なれみりゃの帽子です。お好きなようにお使い下さい。) れみりゃの翼の燻製 左右1枚ずつ(歯ごたえ抜群の燻製です。お酒のおつまみのどうぞ。) ※本製品はあくまで食品として出荷されたれみりゃです。 ペット用としては不向きですのでご注意下さい。 開封後は早めにお召し上がり下さい。 開封後にエサなどを与えてゆっくりさせると味の低下につながります。 万が一製品に不備がございましたらすぐに返品、交換を承りますので加工場の方へご連絡下さい、か。」 メモを読み終えた主は少々緊張しながられみりゃの入っている箱のフタへと手を伸ばす。 「いよいよご対面ね、かなりの期間待ったわね。さすがに緊張するわ。」 ・・・・・パカッ! 「う〜〜〜〜〜♪ 」 箱を開けると満面の笑みのれみりゃが元気良く鳴き声を上げた。 「うふふ♪ さすが加工場の製品ね。こんなにも活きがいいなんて♪ 」 主は慎重にれみりゃの体をつかむと箱からゆっくり取り出す。 「う〜♪ う〜♪ 」 れみりゃは満面の笑みで主に向けて鳴き声を放っている。 (・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・じゅるり♪ ) 「ではさっそく♪ 」 「う〜?」 主はれみりゃを少し大き目の蒸し器へセットする。 コトンッ!・・・・・カチャンッ! 「うー! 」 カチッ! フタを閉めるとれみりゃが大きな鳴き声を上げたが、主は気にすることなく火を入れた。 「うー! うーーー! 」 カタカタカタ! カタカタカタ! 中でれみりゃが暴れているのか蒸し器が小刻みに揺れ始めた。 蒸し器は丈夫な金属製であるため重量もそれなりにあり、転がる事しかできないれみりゃにとって自力での脱 出は不可能であった。 故に主は安心して蒸し上がる瞬間を今か今かと待ち続けている。 「うぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! ?」 蒸し器の中からは驚きの混じったれみりゃの声が響いてきた。 「どうやら蒸気が充満し始めたようね♪ 」 フタの隙間から白い蒸気があふれ始める。 「うあぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! うあぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」 時間が経つにつれ、れみりゃの苦しむ鳴き声はどんどん大きくなっていく。そして・・・・・。 「う、う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ・・・・・・・・・・。」 すさまじい鳴き声を残し、蒸し器は静かになった。 「うわ! びっくりした! どうやら蒸し上がりのようね♪ 」 主はミトンを装着するとゆっくりと蒸し器のフタを開ける。 ・・・・・パカッ! 驚愕の表情を浮かべたまま固まっているホカホカれみりゃが完成していた。 「うわぁ・・・・・話には聞いていたけど確かに見た目はアレね。」 皮が破れないようにれみりゃを慎重に皿へ移し、テーブルまで運んでいく。 主は椅子に腰掛けると、緊張した面持ちで頬のあたりを軽くむしり取り口へと運ぶ。 パクッ! 「! ! ! ! ! ! ! ! ! ! おいし〜〜〜♪ ♪ ♪ 口中にお肉の旨味が一気に広がっていくわ! さすが普通の肉まんとは大違いね。」 かなりのサイズであったが、主はあっという間にペロリとれみりゃを平らげた。 「ふぅ、おいしかったわ♪ もうお腹一杯。」 主は少し苦しそうな表情で同封されていた翼の燻製と帽子を見つめながら口を開く。 「翼は酒の肴にするとして、この帽子どうしようかしら・・・・・?」 少しの間考え込んだ主であったが、特に思いつかなかったためとりあえず帽子は押し入れにしまったのであった。 こうして養殖れみりゃは女性のお腹の中へ消えてゆき、そのゆん生に幕を閉じたのであった。 にくまん工程 END にくまん繁殖工程へ続く 作成者:ロウ 後書き 初めましての方、お久しぶりの方、本作品を最後まで読んでくださりありがとうございます。 個人的にですが、れみりゃは語呂が少ない方が可愛いと思っています。 そのため、私の書くSSのれみりゃはほとんど「うーうー! 」としか鳴きません。(希少種は除く) 「加工場の日常編」はまだまだ続きそうですが、ゆっくりと書いていきたいと思います。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/988.html
※現代社会に当然のようにゆっくりがいます。 ※オリ設定満載です。 ※ぬる虐めです。そして割と愛で気味です。 ※fuku2278.txtの続きですが、読まなくても問題はありません。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そんなご時勢ゆえ、こんなものが出現するのも時間の問題だったといえる。 ゆっくりと遊べるアトラクションパーク“ゆー園地”はこの夏オープン!ゆっくり好きのみんなは絶対に来てね! そんな馬鹿馬鹿しいキャッチフレーズに騙される物好きというのは意外と多いもので、ゆー園地はゆっくり連れの人々でごった返していた。 「おにーさん、たのしみだね!」 右を向けばやや小柄な青年の肩に乗ったまりさが瞳を輝かせ・・・ 「れいむゆっくりあそぶよ!」 左を向けば父親と並んで歩く12歳前後の少年に抱きかかえられたれいむが腕の中で飛び跳ねている。 「「ゆっきゅりー!!」」 どうやら私の前の女性は本来同伴不可の赤ちゃんゆっくりを連れてきているようだ。 「たのしいところなんだねー、わかるよー!」 後ろのほうからはちょっと珍しい種の・・・確かゆっくりちぇんの期待に満ちた声が聞こえてくる。 あたり一面ゆっくり馬鹿だらけ。 かく言う私もその一人・・・とは言いがたいところなんだけど、傍から見れば十分にゆっくり馬鹿に見えるんだろう。実に心外だ。 今私たちが目指している場所、『ゆー園地』はその名の通りゆっくりと飼い主が一緒に楽しめる遊園地。 最高時速25kmのジェットコースターや最高到達点15mの観覧車、顔饅頭だらけのお化け屋敷などの素敵なアトラクションが盛りだくさん。 しかもこれで入場料は大人1人3000円のゆっくり1匹につき500円。フリーパスだとその2倍。 ・・・・・・・・・・ちょっと責任者出て来なさい。 「れいむー、たのしみだねー!」 そう言いながら私の右肩で緩みきった間抜け面をさらしているのはゆっくりまりさ。 「ゆっくりしようねー」 まりさに返事をしたのは左肩に乗っているゆっくりれいむ。ちなみに、まりさのつがいで子どもが6匹いたりするが子どもはサイズの関係で入場禁止なので友人宅に預けている。 こっちは入場料や、恐らく中に入ったらこいつらが欲しがるであろう食べ物なんかの出費を考えるだけで頭が痛いのに、なんとも気楽な連中だ。 「おねーさん、ゆっくりあるいてね!」 そして、抱きかかえられたまま私のお腹に顔をうずめて怯えているのはもう1匹のゆっくりまりさ。 こいつは非ゆっくり過敏症なる珍妙な症状を持っていて、時速3km以上の速度で移動するものを見ると気絶してしまう。 しかも、ふざけた事に自分自身の落下速度が3kmを超えると気絶してしまうので這って移動することしか出来ない。 そんな有様だから私が普通に歩くだけでも気絶してしまう。そのため、仕方なくこうやって視界を塞いで連れ歩いているのだ。 何で私がゆっくりなんかのためにここまでせにゃならんのか・・・。 「はぁ・・・」 何度目になるかもわからないため息をついた時、ようやくゆー園地に到着した。 入場した私たちはまず手近にあったメリーゴーラウンドに乗った。 ここのメリーゴーラウンドは四つん這いになったメイド服の妖精少女が木馬代わりという実にシュールな代物だ。 木馬の台数は15台程度。ゆっくりが乗ることを前提に作られているので全体的に小ぢんまりとした造りで、ゆっくり用の台座がメイドの頭に設置されている。 そして、回転速度も非常に遅い。時速2kmくらいしか出てないんじゃないか、これ? 「おーい、まりさ。これならあんたでも大丈夫だろ?」 せっかく連れてきたんだから楽しんでもらおうと思って過敏症まりさに声をかける。 「ゆゆっ!ほ、ほんとうに?!」 そして、その言葉を信じたまりさは恐る恐る外へ目を向ける。 エレエレエレエレエレ・・・ すると、視界に飛び込んできた普通に歩いているお兄さんを見て嘔吐、気絶してしまった。 ・・・だめだこりゃ。 念のため用意しておいた透明のビニール袋で過敏症まりさの嘔吐を受け止め、まりさ自身もそこに放り込んでおく。 「はぁ・・・仕方ないか。アンタらだけでも楽しみな?」 「いわれなくても~」 「ゆっくりたのしんでるよ~!」 流石と言うか何と言うか、言われるまでもなく2匹はゆっくりしていた。 「ゆ~ゆ~ゆ~、ゆ~ゆ~♪」 「ゆゆっ~ゆゆ~♪」 こっちはどうしようもないほど退屈だというのにむかつくほど楽しそうだ。 その姿を見ていると、何故か頬をつねりたくなってくる。いや、そう思ったときには既にれいむの頬をつねっていた。 「ああ、くそっ!うっとうしい!」 「はひふふほ、ほへーひゃん!」 「ゆゆっ!おねーさんゆっくりやめてあげてね!」 「うるさーい!私も少しは楽しませろ~!」 周囲の人たちが騒いでいる私たちの様子をチラチラと伺っているような気がしたが、メリーゴーラウンドが止まるまでずっとつねり続けてやった。 「あっはっは・・・ごめんごめん。ちょっと調子に乗りすぎた」 酷くふてくされて頬を膨らませているれいむに苦笑しながら右手を自分の顔の前にかざして謝る。 「ぷんっ!れいむ、やめてっていったのに!やめてくれなかったおねーさんなんてきらいだよ!」 「まりさもやめてっていったのにどうしてやめてくれなかったの!?おねーさんひどいよ!ぷんっぷんっ!」 ついでにパートナーのまりさもふて腐れている。 「う~ん・・・おわびにお菓子買ってあげるから、それで許してくれ」 「お菓子」という単語に反応したれいむとまりさはちらりと私のほうに目を向ける。 が、すぐにそっぽ向いてしまった。 「おかしなんかにつられないよ!」 「れいむほんとうにおこってるんだからね!」 しかし、そう言いつつもこちらの様子をちらちらと伺う2匹。やっぱりお菓子が気になるらしい。 その様子を見て、私はある作戦を思いついた。 「ねえ、まりさぁ、許してよぉ~。許してくれたら美味しいお菓子を買ってあげるからさぁ~」 「ゆ、ゆぅぅぅうう・・・」 作戦名『各個撃破』。2匹をいっぺんに懐柔しようと双方が双方の気持ちを汲んで、自分も良からなく茶という意識を芽生えさせるためなかなか上手い行かない。 しかし、1匹ずつならどうだろうか?それも直接つねられた訳ではないから比較的怒りの軽いまりさを重点的に攻める。 「ね、まりさ、お願い?」 と、許しを請いつつまりさの抱きつく。 饅頭に詫びながら胸を押し付ける女ってのは傍から見たらどういう風に見えるのだろうか? 「ゆぅ・・・しかたないね!あやまるんならゆるしてあげるよ!」 「おお~!ありがと~、まりさぁ~!」 自分でも気色の悪いとしか思えないような猫なで声でまりさに感謝の意を伝えつつ、今度は頬ずりをした。 「ゆぅ~!おねーさん、おかしわすれないでね!」 「もちろん忘れないよ♪やっぱりまりさは優しいなぁ」 「ま、まりさのばかあああああああ!どほぢででいぶをみずでるのおおおお!!」 「ゆゆっ!?みすててないよ!おねーさんをゆるしてあげただけだよ!」 「でいぶがゆるぢでないのどどぼぢでがっでにゆるずのおおお!まぢざなんでぎらいだよ!」 「ゆぅ!?どぼぢでぞんなごどいうのおおおおお!」 気がつけば私そっちのけで痴話げんかを始めてしまった。 「まりさ~、だいすきだよ~♪」 「まりさもだよ~♪」 痴話げんかを始めてからものの42秒ほどで仲直りした馬鹿2匹は、不快指数を高める何かを撒き散らしていた。 「あ~、暑苦しい暑苦しい・・・」 腕の中で鬱陶しいくらいいちゃいちゃしている2匹から目をそらしつつ、私は適当に何か食べられそうな場所を探していた。 「何かないかなぁ?」 しかしこのゆー園地って施設は、ゆっくりも入場可の癖に無駄に広い。 そのくせアトラクションの数はそれなりに多いのだが一つ一つが小さめだし、休憩所になりそうなところも少ない。 更に敷地内がほとんど舗装されていなくて、結構大きな石ころなんかがごろごろ転がっていたりする。 「はっはっは、れいむは鈍臭いな~♪」 「おにいざああああん!まっでえええええええ!!」 そんなわけで、飼い主に運んでもらえず、自力で移動せざる得ないゆっくり達はみんな痛みを堪えて涙目になっている。 「・・・もしかして、私甘すぎる?」 そんな風にぼやいたとき、運よく園内の地図を見つけた。 「適当に何か食べれそうなところは・・・お、あったあった」 「ゆ?おねーさん、なにがあったの?」 「まりさたちにもゆっくりおしえてね!」 いつの間にかいちゃいちゃタイムを終えていた2匹は首をかしげながら上目遣いで私に質問をする。 「ん、ゆーくりーむだってさ。どんなものかは知らんけど、多分シュークリーム的な何かだ」 「「ゆゆっ!しゅーくり-むってなに!?ゆっくりできるもの?」」 「ハモるな、鬱陶しい。ん~、まあ、そうだな・・・アンタらの基準で言えばゆっくり出来るものだな」 「「ゆ~っ!おねーさん!ゆっくりいそいでゆっくりできるものをたべにいこうね!」」 ゆっくりできる、と聞くや否や、2匹は満面の笑みを浮かべていまだ見たことの無いゆーくりーむなるものを催促し始める。 「はいはい、わかったわかった」 そう言って私がゆーくりーむ販売店目指して歩き出したとき、どこかでゆっくりの悲鳴が聞こえた。 「ゆぎぃいいいいいいい!?おにーざん、でいぶのあんよがあああああ!!」 「ん、どうしたんだい?・・・おや、ガラス片が落ちてたみたいだね。それにこんな深手を負ったんじゃ歩けそうに無いね」 「おにいざあああああん、あのおねえざんびだいにでいぶをだっごぢでええええ!」 「やだよ。重いし暑苦しいし」 「ゆぎいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」 やっぱり私は甘すぎるようだ。それにしてもガラス片が落ちていたというのは笑えないな・・・。 「こ、これが・・・ゆーくりーむ・・・」 私は思わず喉を鳴らしてしまった。しかし、美味しそうだからではない。 「ご、ごんあのだべでないよおおおおおおおおおお!!」 「どぼぢでごんなごどずるのおおおおおお!!」 2匹にいたっては泣き出してしまった。ちなみに、過敏症まりさは歩いている途中に目を覚ましたが、また気絶してしまったのでリアクションは皆無。 私達の前に差し出されたそれは、こんがりと底部を焼かれたテニスボールサイズの子ゆっくりまりさだった。 子ゆっくりの口の中にはスライスされた美味しそうなイチゴが並んでいる。それもあまおう2つ分くらいの量だ。しかし、それをこの子ゆっくりが食べることは無い。 なぜならその子の口には歯が一本も無く、口の両端にキノコの山のビスケット部分のようなものがつっかえ棒としてはめ込まれているから。 れいむ達を怯えさせているのはそれだけではない。この子は・・・目も失ってしまっていた。そして、その空洞には右目に生クリームが、左目にはカスタードクリームがねじ込まれている。 「あ・・・ぁああぁ・・・」 しかし、このような悲惨な姿にされてもなお、この子ゆっくりは死んでおらず、時々うめき声のようなものが漏れ出してきた。 「・・・・・・いくらなんでも、これは引くわ」 確かにゆっくりのテーマパークの名物らしい代物ではあるが、どう見ても悪趣味すぎる。 「・・・・・・って言っても1つ600円もしたんだし、捨てるわけにもいかないか」 「ゆっ!?おねーさん、このこをだべぢゃうの!?」 「だめだよ、おねーさん!このごをゆっぐぢだづげでね!!」 当然といえば当然だが、2匹は私がその子ゆっくりを食べることにさえも強い抵抗感を示していた。 「って、言われてもなぁ・・・この子どう見てももう助からないよ?歯も目も無いし、足も使い物にならないし・・・」 目が無い、歯が無い、足が動かないのうちのどれか一つくらいならまだしも、3つセットでは流石にどうしようもない。 それに、よしんば助かったとしてもこれ以上ゆっくりを養う経済力を私は持ち合わせていないのだ。 「こんなんでも飼ってくれる物好きはそうそういないだろうしなぁ・・・」 やはり、さっさと楽にしてやるのが一番だろう。 そう結論付けた私はその子ゆっくりにかじりついた。 「「ゆぎゃ!?おねええざあああん!!なにぢでるのおおおおお!!」」 「む~しゃむ~しゃ・・・う、美味い!?」 ゆーくりーむは想像を絶する美味さだった。あまり甘いものが好きでない私でも普通に食べられる。 不味くない、決して不味くないぞ。見た目はかなりアレだけど。帽子があるので手が汚れないのもポイント高いな。 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「うっめ、これめっちゃうめぇ!」 私に散々文句を言っていた2匹は「供養だと思って食べてやれ」といったらしぶしぶ食べ始めた。 ただし、しぶしぶだったのは最初だけ。一度口に入れてからはもうノリノリだ。 「ははっ、そんなに美味しかったんならまた買うかい?」 「ゆゆっ!もういらないよ!」 とはいえ、流石に生きた同属を食うのはもう勘弁願いたいらしい。 「そうか。じゃあ、気を取り直して・・・次はアレに乗ろうか?」 私は最高時速25kmというジェットとは程遠いジェットコースターを指差した。 「うおあああああああああああああ!!」 最高時速25kmとか言った奴出て来い!どう見ても普通のジェットコースター並みの時速に達してるじゃないか! 位置エネルギーを得るために高く高く昇りつめたゆっくりれみりゃと呼ばれる種の形をしたマシンが落下を始めた瞬間、頭の中はゆー遊地の公式ホームページのゆっくりコースターの解説への怒りでいっぱいになった。 「ゆぎゃああああああああああああああ!!」 「ゆぎぃぃいいいいいいいいい!!」 ジェットコースター恒例の悲鳴の中にゆっくりの叫び声も混じる。 少し落下が落ち着いたところで隣のゆっくり用の座席にくくりつけられているれいむ達を見ると、今にも吹き飛ばされそうな格好のまま見たことも無いような壮絶な形相で悲鳴を上げていた。 ちなみに帽子やリボンはどう考えても落下しそうだったので私が持っている。 「「「「ゆぎゅううううううううう!?」」」」 「「「「ゆげええええええええ!?」」」」 加速したマシンが右へ左へ振られるたびにゆっくり達が悲鳴を上げる。 「おにいざあああああああああん!だしゅげでええええええええええ!!」 落下し手からしばらく走行し、ある程度速度が落ちたところで前の席のお兄さんのれいむが泣き言を口にした。 2つ目の山を登り始めたころに聞こえてきたそのれいむの言葉を皮切りに、ほかのゆっくり達も泣き声を上げる。 「おねえざあああああああああん・・・!」 それはうちのれいむとまりさも例外じゃなかった。過敏症まりさは言うまでもなく気絶中。 「ははっ、大丈夫だって。私がついてるんだから安心しな」 「ゆぅ・・・まりさがんばるよ!」 「よしよし、いい子だ」 しかし、そうは言いながらも私はある不安を隠せないでいた。 最初のキャメルバックが一番高く、そこで得た位置エネルギーを運動エネルギーに変えてマシンを走らせるのが一般的なジェットコースターの仕組みだ。 摩擦でエネルギーを消耗してしまうので、大抵の場合1つ目のがいちばん高いのだが・・・このジェットコースターは2つ目の山が一番高い。 そんな構造は最初の位置エネルギーのみ走行しているならば不可能。だが、最近はリニア式の加速を用いることで、途中でも加速することが出来るらしい。 何が言いたいかというとだ・・・このマシンはさっきより高いところから落ちる、つまりさっきより加速がつくってこと。 「れいむ、まりさ、来るぞ!」 その言葉と同時に身構える2匹、というかマシン上の全ゆっくり。 「ひゃあああああああああああああああ♪」 「きゃあああああああああああああああ!」 「ゆぐええええええええええええええ!?」 「ゆぎょおおおおおおおおおおおお!?」 「うぎゃあああああああああああああああ!?」 「ゆべええええええええええええええ!?」 「ゆうううううううううううううう!?」 搭乗者の悲鳴が園内に一斉に轟く。人間のほうは案外余裕がある。私だって速いとわかっていればさほど怖くはない。 が、ゆっくりのほうはそうも言ってられないらしい。 あるゆっくりはエレエレと中身を撒き散らし、また帽子を被ったままだったあるまりさは帽子を失ってしまっていたが目先の恐怖でそのことに気づけないでいた。 またある小柄なゆっくりぱちゅりーは完全に意識を失ってしまっていた。 初めて見る胴体付きのゆっくりゃと呼ばれるゆっくりもぼろぼろ涙を零しながら悲鳴を上げていた。 しかし、各々恐慌状態に陥ったゆっくり達を乗せたマシンはゆっくり達の都合なんてお構い無しにメインのループに差し掛かっていく。 そして、あっという間に転地が逆転していた。 「「「きゃああああああああああああああ!!」」」 ジェットコースターとはこういうものだと理解している人間は余裕綽々。悲鳴を上げているがみんな妙に楽しそうだ。 「ぢぬううううううううううううううう!!」 「おぢるうううううううううううう!!」 「ゆっぐぢでぎないいいいいいいいいい!!」 「もっどゆっぐぢぢだがっだよおおおおおお!!」 が、ゆっくりはそうは行かない。高速で駆け抜けた直後の天地が逆転したその光景に死さえも覚悟していた。 悲鳴を上げていないのは気絶してしまっているゆっくりぱちゅりーとうちの過敏症まりさくらいだろう。白目をむいてぶくぶくと泡を吹いている。 ループから抜け出し、直線に差し掛かったところでようやくゆっくり達は安堵のため息をつく者も居たがマシンの軌道はそこに追い討ちをかけた。 前触れのない3度目の急降下。と言っても前の2回のキャメルバックの際に残しておいた位置エネルギーを使っているだけだから、ちゃんとコースを確認しておけば予想できることだけど。 だが、もちろんそんな器用なことをゆっくりに出来るはずもなく、予期せぬ加速に恐怖した全てのゆっくりが内容物を吐き出した。 エレエレエレエレエレエレ・・・・・・ エレエレエレエレエレエレ・・・・・・ エレエレエレエレエレエレ・・・・・・ エレエレエレエレエレエレ・・・・・・ エレエレエレエレエレエレ・・・・・・ 吐き出されたそれらが酷く手抜きな舗装しかされていない敷地内の地面に落下した時には、ジェットコースターは余剰エネルギーを熱にして発散し、搭乗口へと到着していた。 「おかえりだど~♪」 そう言ってジェットコースターから降りた母親に飛びついたのは胴体付きゆっくりれみりゃの子どもだった。 「うぅ~・・・ま~まはきぼぢわどぅいんだど~・・・」 しかし、ジェットコースター酔いで足元のおぼつかない母れみりゃは子どもの体当たりを受け止めることが出来ず、転んだ拍子に階段から転げ落ちていった。 「うぎゃああああああああああああああ!!」 「いだいーーーーー!!いだいどおおおおおおお!!」 その隣ではさっき帽子を落としてしまったまりさが泣き叫んでいる。 「おにいざあああああああああん!まりざのぼうぢがないよおおおおおお!!」 「あっはっは!新しいのを買えばいいじゃないか!」 「ぞれじゃゆっぐぢでぎないよおおおおおお!!」 帽子は固体識別のために必要なのだが、このお兄さんはそのことを知らないのだろうか? まあ、他人の家のゆっくり事情に首を突っ込むのも野暮なので放っておこう。 「おにーざぁん・・・でいぶをはやぐおろぢでええええ!?」 声のしたほうに視線をやると、怪我しているらしく足に当たる部分に包帯を巻いているれいむが自力で降りられないため、飼い主に助けを求めている。 が、飼い主は次の乗客と思しき女性と話をしていた。 「おや、ゆっくりを連れて来ていらっしゃらないんで?」 「いえ、連れてきてたんですけど・・・ちょっと倒れてしまって・・・」 「でしたらうちのれいむと一緒に乗ってあげてください」 「良いんですか?」 「まだ乗るって聞かないんですよ。でも俺は十分堪能したんで・・・」 「だったら、喜んで借りさせていただきますね。ありがとうございます」 哀れ。ゆっくりれいむはナンパのだしにされた挙句、もう一度乗ることが決定してしまった。 「む・・・むぎゅううううう・・・」 そんなお兄さんの足元を飼い主の女性に連れられておぼつかない足取りで通り過ぎていくのは気を失っていたゆっくりぱちゅりー。 げっそりとやつれたその表情にはどこか同情を誘うものがある。 「さ~って!ぱちゅりー!次はフリーフォール行くよ!!」 が、絶叫ものが好きらしく、テンションが上がりすぎた主人はぱちゅりーのコンディションなどお構い無しに次のアトラクションへと向かっていった。 「・・・・・・あんたら、優しい飼い主でよかったね」 いまだにジェットコースターの恐怖で震えている腕の中の2匹にそう呟き、さっきれみりゃが転げ落ちた階段を下りて行った。 「むきゅ!そこのかわいいゆっくりさん、ぱちゅりぃといっしょにすっきりするのよ!」 今私の腰掛けているベンチは高さ的は70cm程度でどう見てもゆっくりの跳躍力で乗ることは不可能。形状的は骨組みの金属製のパイプそのままで、座ると言うよりも少し腰を預ける程度の用途のものだ。 そのゆっくりではまともに座ることも出来ない皆ベンチに腰掛け、膝の上にまりさとれいむを乗っけてゆっくりしていると、目の前に胴体つきのぱちゅりー種が現れた。 「いきなりすっきりを要求するってのはどうよ?」 などと突っ込みつつも、れいむとまりさを膝から降ろして、そのぱちゅりぃの前へとつかつかと歩いて行く。 後ろからゆっくりにとってはそこに置かれること自体が既に苦行に等しいベンチの上にいるれいむとまりさの「おねーざぁん、れいぶおぢぢゃうううう!」とか「ゆっぐぢでぎないよおおお!」という悲鳴が聞こえてくるが無視無視。 それから、身をかがめて目の高さを合わせてぱちゅりぃの表情をしげしげと眺める。 「むきゅ!口では抵抗してても体は素直ね!」 すると、何を勘違いしたのかぱちゅりぃは私の胸に猛然とパンチを繰り出し始めた。 どうやら、このぱちゅりぃは私の胸とゆっくりの区別がつかないらしい。相当おつむが残念なようだ。 もちろん、ゆっくりの中でも虚弱なぱちゅりぃの攻撃なんて痛くもかゆくもないけど、何となく鬱陶しい。 というか、見ず知らずのゆっくりにいきなり胸をしごかれて嬉しいのはごく一部の変態お姉さんくらいだろう。 「むきゅ・・・むきゅ!むきゅ・・・!ぱちゅりぃのろんりてきなてくにっくはすごいでしょ?」 などと抜かしながら1匹で勝手によがって、頬を紅潮させていくぱちゅりぃ。 私の冷めた視線にはまったく気づいていない。 「いまにもすっきりしそうでしょ?ぱちゅりぃのてくすごいでしょ?」 どこまでも自分の技巧を信じて疑わず延々と私の胸にパンチ(愛撫のつもりだろうか?)を繰り返す。 「すごいほっぺよ!こんないやらしいほっぺしてるゆっくりはじめてよ!」 なるほど、ゆっくりにとって頬の柔らかさは人間の胸に通じる何かがあるらしい。 「はあぁはぁ・・・」 そんな感じで自分だけ勝手に盛り上がっているぱちゅりぃの表情はどんどん奇天烈なものになっていく。 きっとゆっくり同士なら欲望を刺激するいやらしい表情なのかもしれないが、残念ながら人間の私には「うわぁ・・・きもい」と言う感想しか浮かんでこなかった。 「鬱陶しい!」 胸を殴打し続けるぱちゅりぃに突っ込みのでこピンをお見舞いしてから、首根っこを掴んでれいむ達が座っているベンチへ連れて行く。 れいむ達は落ちまいと必死にプルプルしているが、まだ助けなくても大丈夫そうなのでぱちゅりぃをベンチに無理やり座らせて説教の一つでもたれようとしたその時・・・ 「お姉さん、ちょい待ちぃ!うちの子苛めたらあかん!」 垢抜けない感じのおさげ眼鏡の少女が飛んできた。 「ん、飼い主?」 「せや、飼い主や!その子はうちのペットやさかい、苛めたらあかんよ!」 「そうかそうか、飼い主か。じゃ・・・」 その偉く賑やかな飼い主にぱちゅりぃが私の胸に対して働いた狼藉を虚実交えて説明してあげた。 「このドアホを好きなようにしてください!」 物分りのよいお嬢さんだ。事情を理解したらすぐにぱちゅりぃを差し出してくれた。 「むきゅ!?どほぢえええ!!でばぢゅでぃーなにぼぢではないわよーーー!!」 「やかましいわっ!訴えられたらどないするつもりやってん!?」 「ははっ、ちょっと叱ってやろうと思っただけだから」 私に代わってぱちゅりぃにお仕置きのコブラツイストをかけている彼女をなだめてから、ある提案をした。 「それでも気が済まないんなら・・・荷物持ちにでもなってもらおうかな?」 と言っても、持たせられるものはれいむとまりさと過敏症まりさの入った袋くらいなのだけど。 「かしこまりました、お姉さま!不肖の女子高生、由栗 珠緒とそのペット・・・全力で荷物持ちをさせていただきます!」 そんなわけで妙な連れができた。 「くぉら、ぱちゅりぃ!何ちんたら歩いとんねん!」 「むぎゅううううううう!おもいいいいいいいい・・・!」 れいむとまりさを抱きかかえて今にも死にそうな表情でふらふらと歩いているぱちゅりぃに容赦ない叱責が飛ぶ。 「お姉さまを待たせたらうちが容赦せえへんからなぁ!」 いつの間にかお姉さまになってるよ、私。そっちの気は基本的に持ち合わせていないんだけどなぁ。 「ん~・・・ちょっとお腹すいたから何か食べてかない?どうせ観覧車までもうすぐなんだし、急ぐこともないだろ?」 「・・・お姉さま、気ぃ使ってへん?」 「使ってない使ってない。本当にお腹がすいただけだから」 厳密には半分が気遣い、もう半分が本当にお腹がすいただけといったところだけど。 ぱちゅりぃが力尽きて転んだら、れいむ達も怪我しかねないし。 「そうですかぁ~・・・せやったらあっこのゆっくりゃの肉まんが美味しいですよ~!」 と言われ、彼女の指差すほうを見てみると、親と思しき大きめの胴体付きれみりゃが子どもれみりゃの四肢をもいではそれを肉まんに加工していた。 どうやらそれらの子どもはみんなれみりゃの子どもらしい。 その子どもの数総勢121匹。とにかく機械的に出産を繰り返させられたことは火を見るより明らかだった。 「でびりゃのあがぢゃんでづぐったおいぢいにぐまんはいりまぜんがあああああああ!!」 「「「「「「ままぁー!!いだいいいーーー!いだいーーーー!!」」」」」」 その子ども達も我が子を捌く母れみりゃもみんなずっと涙を流し続けている。なんとも悪趣味な。 しかし、ほかの客からはなかなか好評なようで・・・ 「こどもをうるなんて。おお、おろかおろか」 「あのれみりゃはなにしてるんだど~?」 「あのれみりゃはね、悪いことをしたお馬鹿さんだからお仕置きをされているんだよ」 「まぬけなんだど~♪」 「ひっどいかおね!まったくとかいはじゃないわ!」 などなど、口々に目の前の捕食種の不遇を馬鹿にして楽しんでいた。 「おねーさん!あのれみりゃかわいそうだよ!」 そんなことを口にするのはようやく追いついたぱちゅりぃに抱きかかえられている我が家のれいむ。 なんていい子なんだろうか。おねーさんは感動した! 「よっしゃ!それでは珠緒、行きますっ!」 ぱちゅりぃが追いついたことを確認した珠緒は早速肉まんを買いに行った。 「肉まん5つお願いします!」 「はいよ、5つね。れみりゃ!!」 「いやだああああ!でびりゃのあがぢゃん、うぎゃ!」 やはり、我が子の四肢を引きちぎるのが苦痛なのだろう。売店の床にぺたんと座り込んでじたばたと手足をばたつかせる。 が、そんな抵抗をしたところで何の意味もなく、ただ蹴り飛ばされただけだった。 「お客さんを待たせたらダメだろ?」 「いだいーーーーーー!!」 「もっとお仕置きして欲しいか?」 「いやでずうう!やりまずううううう!!」 泣き叫びながらも、手を床について起き上がったれみりゃは近くの子どもの右足を引きちぎる。 「うぎゃああああああああああああああああ!!」 それと同時に子どもの悲鳴がこだました。 「床に手をついたら手を洗え!!」 ごもっとも、といって良いのかいけないのか? またしてもれみりゃは店主に殴られた。そして、泣く泣く引きちぎった四肢は汚い手で触ったために破棄されてしまった。 そんな調子で5分後には製作工程を知らなければ美味しそうな肉まんが私達の手元に届けられた。 ゆーくりーむの時と同じようなやり取りの後で、肉まんを食べ終えた私達は早速観覧車に飛び乗った。 15mどころかどう見ても50mはありそうな気がしたが、公式ホームページの情報が当てにならないのは先刻承知済みなので気にしないことにする。 「ゆうううう!おねーさん、たかいよ!」 「ゆぅぅぅうううう!おねーさん、こわいよ!」 「むきゅうううううう!ぱちゅりーはこわぐないわよ゛!」 どう見ても怖がっています。が、その気持ちもわからなくはない。 この観覧車は恐ろしいことに足元や座席部分が透明の板で出来ているのだ。 人間の私や珠緒でも床があるとわかっていても怖いのだからあ、ゆっくりたちにとってその恐怖は計り知れないものだろう。 しかし、しかしだ。観覧車と言う乗り物。これはゆっくりと上っていく優雅さを楽しむ人もいるのだろうが、残念ながら私はそういうタイプではない。 たまに居るだろ?意味も無く揺らしてみたり、落ちたらどうなるだろうとか呟く奴が。 実は私はそういうタイプなのだ。 「なぁ、れいむ?いきなり止まって動かなくなったらどうしようか?」 「ゆぎゅ!?ゆっぐりやべでね、おねーざん!ごわいごどいわないでね!」 既に涙目。高所はあらゆる生き物が本能的に怖がると言うが、どうやらゆっくりもその例に漏れないらしい。 「でもさ、風が吹いたりしたら・・・こんな風に」 言いながら体を揺らしてゴンドラを左右に振る。 「やべでええええ!おねえざあああん!」 「ははっ、大丈夫だって」 どうやら私はゆっくりより馬鹿らしい。高いところに来てテンションが上がっていたため自重しない。 「ゆ~ら、ゆ~ら・・・」 「ゆううううううううううううううう!!」 「ゆぎいいいいいいいいいいいいいいい!!」 「むぎゅうううううううううううう!!」 ゆっくり達は私や珠緒にへばりついて泣きじゃくる。しかし私は自重しない。 この恐怖のひと時は観覧車から降りるまで、つまり15分いっぱい続いた。 「おねーさん、ひどいよ!ぷんぷんっ!」 「まりさたちすごくこわかったんだからねっ!」 そういって2匹は頬を膨らませる。しかし、文句を言いながらも私のひざの上に居るのはご愛嬌。 その隣ではぱちゅりぃも2匹に倣って頬を膨らませていたが、珠緒に「お姉さまに失礼や!」などとぶん殴られていた。 「いやぁ、悪い悪い。帰りにスルメ買ってあげるからそれで勘弁してくれ」 あまり悪びれた様子もなく頭を掻きながら謝る私を見た2匹は苦笑を浮かべ「まあ、それでこそおねーさんだししかたないか」と言って許してくれた。 ゆっくりに理解されるのは地味にむかつくものがあるが、今は気にしないでおこう。 「ありがとう」 頭をなでると2匹ともうれしそうに目を細める。その様子を伺いながら近くの時計を見ると18時をさしていた。 「お姉さま、もうすぐパレードや!」 そう言いながら立ち上がった珠緒はさっさとパレードのコースへと行ってしまう。 「こらこらぁ~、先に行くなよ~」 苦笑しながら2匹を肩に乗せ、過敏症まりさの入った袋を持ち、ぱちゅりぃの手を握って彼女を追いかける。 「・・・なんだ、これ?」 珠緒に追いついた私の目の前で繰り広げられる光景は私の想像を絶するものだった。 まず、先頭に必死に逃げ回るゆっくり達。 「これじゃゆっぐぢでぎないよ!!」 「わからないよー!!」 「ゆぎゃあああああああああ!!」 などなど、思い思いの悲鳴を上げながら阿鼻叫喚の一部として頑張っている。 「待つんだど~♪」 「うっう~♪」 「まぁま~、もっとゆっくりあるくんだど~」 などなどのん気な様子で先頭集団を追いかけるのはゆっくりれみりゃの群れ。 「うーっ!美味しいんだど~♪」 この子達に捕まった先頭集団のゆっくりは食べられてしまう運命にあった。 「「「「「ゆっくりしね!」」」」」 更にその後ろを追いかけるのはゆっくりふらんと呼ばれるはじめてみる種族。 この種族はれみりゃを捕食するほか、捕らえたゆっくりをいたぶる習性があるらしい。 「やべでえええええええ!」 「でいぶのあがぢゃんだべないでえええええ!」 あるふらんはれみりゃに馬乗りになってただひたすら殴り続けている。 またあるふらんは母れいむを足で押さえつけて子どもを一匹一匹食い殺して居る。 そして、またあるふらんは・・・竹やりを持った男性に虐待されていた。 その男性はパレード最後の集団『虐待お兄さんズ』の一人だ。 「ゆっくりしろモーニング!」 「ひゃあ!我慢できねぇ!虐待だぁ!」 などなど、各々の虐待愛を口にしながら目に付いたゆっくりを片っ端から嬲って行く。 更にエキサイトしたギャラリーが自分の手にしたゆっくりたちを投げ込んだり、パレードに乱入してゆっくりを虐待し始める。 「おねーざん、どぼぢでえええええええええええ!」 「やべでええええ!でいぶなにもぢでないよおおおおお!!」 「わがらない!わがらないよー!!」 「はっはっは!家や街中だと人目があるし、森や山の中でも後始末が面倒だけど・・・ここなら思いっきり虐待できるぜぇ!!」 「ごめんね、まりさ・・・私本当は・・・ずっと貴方のことを嬲り殺したいと思っていたのよぉぉぉぉおおおお!!」 園内の各所で繰り広げられる虐待祭り。 物の数分もしたころには園内が餡子臭で満たされ、餡子に汚されていた。 「・・・・・・ゆがががが・・・が・・・」 「ゆげぇ・・・ゆ゛ゆ゛・・・」 あまりに衝撃的な後継を目の当たりにして気を失ってしまった2匹をさっきよりきつく抱きしめながら、隣にいる珠緒の表情を伺う。 「ああぁ・・・すごいわぁ・・・」 頬に手を当てた格好のままぱちゅりぃにチョークスリーパーをかけている彼女は恍惚の笑みを浮かべていた。 「・・・ねぇ、珠緒?」 「なんですか、お姉さま?」 「ここって・・・ゆー遊地だよね?」 「ちゃいますよ。ここは虐待家と捕食種のパラダイス『うー園地』ですよ」 おわり ---あとがき?--- ゆっくりが現代社会にいたところで世間体のせいで虐待できないだろうな、と思ってこんなものを書いてみました。 とにかく話の展開にぶつ切り感あふれるのが気になるところ。 急に登場したオリキャラ「由栗 珠緒」は某所での悪乗りの産物・・・っ!! byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1535.html
「かりすま☆ふぁいたー」 ・独自設定のれみりゃが出てきます ・れみりゃのみです ・中の餡以外の設定(髪、歯等)はゆっくりと同一という事にして補完おります 冬ももうすぐと言う秋の終わり。街のゆっくり達はこぞって越冬用の食料の貯め込みに精を出し、それも終わりを迎えようとしていた時期の事だった。 晴れたのどかな昼下がり、少し遠くでガシャン!と音がした。 暫くすると中から3つのシルエットがヌッと現れる。 「う~☆なかなかいいところなんだど~!ここをおぜうさまのこーまかんにするんだど~☆」 「う~☆う~☆」 「まんまぁ~おなかがすいたど~☆ぷっでぃ~んがたべたいど~☆」 とてとてと走ってくる体つきのれみりゃが二匹とパタパタと羽根をせわしく動かして飛ぶ通常のゆっくりれみりゃが一匹づつ、笑顔のままで家屋に入ってくきた。 体つきれみりゃの片方は体がふた回りほど小さい、恐らく二匹とも一番大きいれみりゃの子れみりゃなのだろう。 親れみりゃの両手にはこぶし大の石があった。これで侵入したのだ。 そう、これは世にも珍しい「れみりゃのおうち宣言」である。 このれみりゃ達は周辺のゆっくりを襲っていた中で、ゆっくり達が「おうち」と称して大きな建物の中に入っていく様を何度も目撃した。越冬場所どころか明日の寝床すらもふらんに奪われて見つからない状況であるれみりゃ達は、ゆっくりに習ってここを自らの根城にして越冬するという腹積もりなのだ。 早速中に入ったれみりゃ一家は辺りを見回して何か食べ物はないか探す。そして遥か上のテーブルの上に果物が置かれているのを見つけると、羽をパタパタと動かして飛び始めた。 「ぷっでぃ~んじゃないけどなかなかおいしそうなんだど~☆」 「う~☆おなかすいたどぉ~!もうがまんできないど~!」 「う~!」 テーブルの上に置いてあった他の物をなぎ倒してバナナとみかんが置いてある皿の上に飛び乗ると、皮を口で噛みちぎりながら顔を直接つけて果物を食べ始めた。 「おいじいど~☆ぷっでぃ~んじゃないけどかりすまなおぜうさまにぴったりのでなーなんだど~☆」 「あまあまなんだど~☆おいじいど~☆」 「う~う~!」 テーブルの上に置いてあるバナナやみかんなどの果物類をグッチャグッチャと咀嚼しながら貪り食い、あたりに食べかすや皮等の生ゴミをばらまき、挙句の果てには 「れみりゃにふさわしいような「こーでねーと」するんだど~☆」 と言いながら辺りの丁度類をなぎ倒し、座布団をひっくり返しては部屋を荒らしていった。 時間にして約3分、ある意味凄まじい速さである。 そして全ての事をやり終えたのか、雑多に色々な物が積み上げられた場所に陣取ってゴロゴロと転がり始める。野良生活のお陰で服はススが付いた様に汚く、帽子もくにゃくにゃで変な汁の様な物がついて非常に汚い。 足の裏など黒いどころかぬるぬるとした何かに覆われて、歩く度に見事な足跡が付く始末だ。 「う~☆おなかいっぱいなんだど~☆おちびちゃんたち、しょくごのだんすをおどるど~☆」 「わかったんだど~☆」 「う~☆」 れみりゃ特有のコミュニケーション「だんす」は食後の運動と言う側面もある。様は体を動かしてさっさとうんうんとしーしーを出して身を軽くし、いつでも飛べるようにすると言う習性だ。 「「れみ☆りゃ☆う~☆」」 「う~☆」 体をくねくねと動かしながら踊りと称した奇妙な動きを始めるれみりゃ一家。家主が帰ってくれば即刻加工所行きだろう。 しかし家主がタイミングよく戻ってくるはずもなく、辺りはまるで台風が過ぎ去ったあとの様に散らかっており、れみりゃたちの足跡や汚れ、泥やほこりなどが部屋中にベタベタとくっついて部屋が非常に汚れてしまっていた。 まさに暴挙としか言いようのない行為だ。だが、れみりゃ達のおうち宣言はここで止まる事となる。 ドンっと音がしてれみりゃ達の目の前に一匹のれみりゃが降ってきた。 帽子には金に輝くバッジが付いており、見た目も小奇麗にしている。いわゆる飼いゆっくりと言う奴だ。 れみりゃは少々珍しいが飼いゆっくりとしても確固たる地位を確立しており、まりさ種やありす種の様に言う事を聞かずに暴れ回ったり、勝手にすっきりをしたりしないのでなかなか人気がある。しかしこのれみりゃはそんじょそこらのれみりゃとはわけが違う事は、この後明らかとなる。 「う~?なかなかいいれみりゃなんだど~☆おぜうさまのけらいにしてやるんだど~☆」 「わかったらさっさとぷっでぃ~ん☆をもってくるんだど~☆」 「う~!」 全くたじろがずに口々に勝手な事をのたまうれみりゃ達、ゆっくりれみりゃの方は脅しの様にパタパタと羽根を動かし脅すかのように周りを飛び始める。ある意味勇気があるのかもしれない。 ゆっくりと片膝をついた状態かられみりゃが立ちあがった。今、目の前で勝手な事を言っている大れみりゃと大きさは変わらないが、一味違うオーラを醸し出している。 れみりゃはじろっとれみりゃ一家を一瞥するとその重い口を開きはじめる。 「うるさいど、かってにれみりゃのかいぬしのこーまかんにはいってきておいてなまいきなくちきくんじゃないど」 何とも素っ気のない言い草だ。おぜうさまを自称するれみりゃ一家が穏便に済ますはずもなく。辺りは一触即発のムードとなった。 「そのたいどなんだど~!けらいのくせになまいきだど~!」 「が~お~!た~べ~ちゃ~う~ぞ~!」 いつ家来になったのかは全く持って不明だが、自分より格下が無礼な物言いをするのが許せないのだろうか。大れみりゃが声を荒げて怒り出した。それと同時に子れみりゃの方は手を大きく広げてとてとてと走りだす。 両手をあげるポーズは脅しと捕食の意味があると言われている。どちらが上かを知らしめようとしているのだろう。 しかし野生のれみりゃや街ゆっくりには通用しても、このれみりゃには通用しない。ゆっくりと歩き出し、子れみりゃと距離が近くなったと思うと大きく手を上げて構え、足をすっと前に出した。 「くちでいってもわからないれみりゃはこうだど!」 「た~べ~ぶぎゃああああああ!!」 れみりゃから繰り出された鋭いローキックが子れみりゃの右足に突き刺さる。 子れみりゃの右足はあり得ない方向へくの字に曲がって、同時に子れみりゃもそのまま崩れ落ちた。ホカホカとしたジューシーな肉マンの中身が少量飛び出しており完全に足が折れたようだ。 「いだいどおおおおおおおお!!れびりゃのぶりじーなあじがああああああ!!」 大げさに泣き喚いているが実はさほど深い傷ではない。れみりゃは中枢餡が破壊されない限りは例え腕や足が無くなっても時間がたてば物とに戻るほどの再生能力を有しているためだ。 「れびりゃのおぢびぢゃんがあああああ!?なにずるんだどおおおおおお!?」 「うるさいど!こぎたないてでれみりゃにさわるんじゃないど!」 大れみりゃの方がれみりゃに飛びかかって体をがっちりと掴んだ。ちょうど四つ組みの様な形になる。 カリスマあふれるおぜうさまのおちびちゃんに手を出しておいて許せるはずがない。このまま噛みついてどちらが強いかを思い知らしめさせてやる。と考えていた大れみりゃだがその行動は起こす前に頓挫してしまう。 大れみりゃは突如体が浮遊感に包まれるのを感じた。 視界が上を向いていると思った途端に叩き連れられたような衝撃が大れみりゃを襲う。 「ぶぐっ!」と声を出した。衝撃の後に襲ってくるのは凄まじい激痛。 「い、い、いだいどおおおおおお!!」 親子そろって仲良くゴロゴロとのたうち回る大れみりゃと子れみりゃ。傍から見れば実にシュールな光景だ。 何をされたのか大れみりゃの思考では全く理解できなかった。 何のことはない。れみりゃがしたのは簡単な投げ技で、がっちり組んだ状態から足をすくって投げた、ただそれだけのことだ。 頭を押さえて転がる大れみりゃに対し、間髪入れずにれみりゃは大きく足を上げてそのまま大れみりゃの顔に足を踏み降ろす。 「ぶぎゅっうぼらぁっ!?」 れみりゃの凄まじいストンピングを食らい、大れみりゃの肉まんの皮でできた顔がまるでトランポリンのように一瞬潰れた。 足をどけると顔が少しへこんだ大れみりゃが口から肉汁と少量の餡を吐き出して苦しんでいる。れみりゃはゆっくりと大れみりゃの上に馬乗りになると、腕を交互に振り下ろした、一回、二回、三回と 「ぶぎゃあ!ぶぎゅっ!いだ、いだいどおおおおおおお!ざぐやああああ…あぶ!?」 一回目で砂糖細工の歯が数本へし折れ、二回目、三回目で中の餡が不規則に移動したのか痣の様に腫れだした。 れみりゃが四回目に腕を振り上げた時、右手に鋭い痛みが走った。思わず右腕の方へ視界を向ける。 「う~!?なんだど!?」 「う~っ!う~っ!」 胴なしのれみりゃ、ゆっくりれみりゃがれみりゃの腕に噛みついたのだ。 ゆっくりを主食にするだけの事はあってれみりゃと言うのはかなり噛む力が強い。まずゆっくりを捕まえてから引っ掻いたり、地面に落としたりして弱らせてから噛みつくために人間に対して噛みつくことは殆どないのでゆっくりと同じぐらいの力だとよく勘違いされている。そもそも掴んだ瞬間に叩き潰されるので結局脅威というわけでもなんでもないわけだが 結構丈夫なゆっくりの小麦粉の皮すらも一撃で噛み千切るれみりゃの噛みつきを、まだ生まれたてのゆっくりれみりゃとはいえ食らったのだ。痛くないはずがないがれみりゃはすぐに大れみりゃの上からいったん離れると空いた手でゆっくりれみりゃの片翼を掴んで引っ張り始めた。 「う~っ!う”!?」 「さっきからぱたぱたうるさいのはおまえかど~!みみざわりなおとをたてるんじゃないど~!」 ミチミチと音を立てて肉まんの皮でできた翼が破れていく。三分の一ほどになった時に一気に力をこめてひっぱるとバリっと音がして翼が完全にもぎ取られた。 「そのきたないくちをはなすんだど!うー!」 「う”う”う”~~~~ッッッ!!」 翼をもぎ取られたショックから苦悶の表情を浮かべ手を口から離すゆっくりれみりゃ。その機会を逃さずれみりゃはゆっくりれみりゃの頭に手を添えると一気に片膝を立てて叩き降ろした。 「う”ぼ!?」 グシャっと言う音が鳴り響く。片羽のゆっくりれみりゃは地面に底部を叩きつけられ潰れたトマトの様に底部がグシャグシャに潰れた。底部にはかなり大きい亀裂が入った様で、ジューシーな肉マンの餡が湯気を立てて飛び出ている。 ゆっくりは中の餡子やクリーム、具入りの肉餡が三分の一以上流れ出るとゆっくりとしての活動を終えると言われている。つまりどれほどの裂傷を負っても動かない限りは中の餡が抜ける事はないので大事には至らないと言う事だ。 怪我の功名と言う奴だろうか、底部も潰れて羽も片方無くなったゆっくりれみりゃはその場で肉汁の脂汗をかきながら残った羽をパタパタと動かしてクネクネと体を揺らしているだけでその場にとどまっている。 「おぢびぢゃん!うごいぢゃだめだどおおお!じっどじでるんだどおおおおお!」 大れみりゃの方が這いつくばりながら叫ぶ。聞いていたのか聞こえていないのかはたまた動けないのかは知らないが、ゆっくりれみりゃはただ羽を動かして苦しそうに体をくねらせるばかりでその場から張り付いたように動かない。 大れみりゃの声を遮る様にれみりゃが宙を舞った。 「うーっ!れみりゃすたんぷだどー!」 「う”~!う”う”う”べぇ!!」 れみりゃが渾身のフットスタンプでゆっくりれみりゃの上に飛び降りた。 一瞬にしてゆっくりれみりゃは肉マンの餡を辺りにまき散らして肉マンの皮と肉マンの餡がグズグズに混ざった何かになり果ててしまった。いかに再生能力の高いれみりゃ種でもここまでされれば再生不可能だ。 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!?おぢびぢゃんんんんんん!!??」 「さっきからぎゃーぎゃーうるさいんだど!しずかにするんだど!」 「ぶぎぇえええ!!」 更にれみりゃは返す刀で穴と言う穴からジューシーな肉汁を撒き散らして喚く大れみりゃを蹴りあげた。下膨れの顔にめり込み、もんどり打って後ろに倒れて叫びながらドタドタと手足を投げだして苦しんでいる。 大れみりゃが転がりまわっているのを見て一息つこうとするれみりゃ。しかしまだ一匹残っていると言う事を失念していた様だ。後ろから足音がするのを察知して一気に身を翻す。 「う~!!ざっきはよぐもやってくれたんだど~!もうゆるさないど~!」 そこには先ほどの子れみりゃが立ち上がって声をあげていた。まだ実力差を理解していないのか、完全に治った体で両手をあげてやる気があるのかと言いたいぐらいの速度で走りかかってくる子れみりゃ 子れみりゃにとっては全速力なのだろうがそんな物はれみりゃにとってはスローモーションだ。れみりゃは懐に一気に飛び込むと目にもとまらぬ三連コンビネーションを子れみりゃに叩き込む。 「う~!しゅっしゅしゅ!だど!」 「が~お~!た~ぶべ!ばばばぁ!?」 右ストレート、左ボディ、右ストレートと叩きこまれた子れみりゃは膝から崩れ落ちて顔を抑えて足をドタドタと動かして転がりまわった。あまりに強い打撃を一気に食らったのでそのショックもあってか立ち上がる事が出来ないのだ 「いだいどおおおおおお!!ざぐやああああ!!」 倒れて転がる子れみりゃに近づき、れみりゃは子れみりゃの帽子をはぎ取った。所々泥の様な汚れが付いており、変な臭いがして持っていて気持ちのいいものではない。 「う~…へんなにおいがするんだど~…それにヌラヌラすててきもちわるいんだど~…」 気づいた子れみりゃは再び立ち上がり手を伸ばしてれみりゃに飛びつく。れみりゃにとって帽子とは「おぜうさま」の象徴、それを奪われると言う事はゆっくりの飾りが奪われるのと同じで、同じ捕食種からの苛烈な暴力にさらされると言う事だ。 その為痛む体に鞭打って必死に立ち上がって前のめりに突っ込んでくる。 「れびりゃのぶりじーなおぼうじがああああああ!!がえずどおおおおお!!」 「うるさいんだど!」 れみりゃはバックステップで距離を取ると子れみりゃの頭に手を添えてヒザを突き上げて当てた。強烈なヒザ蹴りが子れみりゃの下膨れの顔に突き刺さる。 「がえずんだどばぁああああ!!ぶぎゅうう!!ぶごぶ!ぶぶううう!?いだいどおおお!!ま”ん”ま”ぼぉお!?」 ヒザ蹴りの嵐を受けて子れみりゃが力なく前のめりに崩れ落ちた。れみりゃは帽子を両手に握ると力をこめて破り出す。 バリバリと音を立てて破れていく子れみりゃの帽子。 全身が小汚いれみりゃ達だが、帽子だけは比較的手入れしておいたのだろうか、それでも前述したように汚い事には変わりいが、ボサボサの砂糖細工の髪や異臭を放つ体に比べればよっぽど綺麗だ。 当然子れみりゃも見上げてれみりゃに向かって叫び始める。 「やべるんだどおおおお!!れびりゃのおぼうじやぶらないでぼじんだどおおおお!!」 「かってにおうちをあらしておいてかってなこというなどー!おうちをうばうときはうばわれるかくごでむかうのはゆっくりでもれみりゃでもじょうしきだど!」 子れみりゃの叫びも空しく一気にバリっと音がした後真っ二つに破れてしまう帽子、れみりゃは帽子だった布きれを子れみりゃの目の前に放り投げた。 「あ”あ”あ”あ”あ”…!!れびりゃのおぼうじがあああ…!もとにもどるんだどおおお!う~!うううう~!」 這いつくばって二つに分かれた帽子をグイグイとくっつけ頭に載せてはまた別れて落ちるを繰り返して穴と言う穴から涙とも涎ともつかないような肉汁を垂れ流す子れみりゃ。 それはれみりゃ達の良く口にする「かりすま」など微塵も感じられない光景だった。 れみりゃは一気に倒れている子れみりゃの足がわに回り込んで両手で子れみりゃの両足を掴むとグルグルと体を回し始める。 「うー!れみりゃすいんぐだどおおおおお!!」 最初は地面にゴンゴンと当たっていたが、しだいに勢いがついて凄まじい速度で振り回される子れみりゃ。 ただのジャイアントスイングではない。辺りにはれみりゃ一家が「こーでねーと」と称した丁度類が大量に置かれているのだ。 障害物がある場所で振り回されればどうなるかはおのずと分かるだろう。子れみりゃもそれを悟ってかかなり狼狽していた。 「ごわいどおおおおお!!ざぐやあああああがっ!ぶぎょ!まわざないでぼじいいどぼぇ!ぶぎ!ぶぶ!?ぶぼぶ!ぶぎゅああああ!!」 「うううううううう~~~~~!!」 観葉植物の鉢植えや倒した壺、陶器の置物などに容赦なくブチ当たり、その度に餡を吐き出す子れみりゃ。既に両腕がおかしな方向に曲がっている。最初にぶつかった時点で折れたのだ。 どんどん餡を吐き出す子れみりゃ。このままではいかにれみりゃと言えども餡を吐き出して死んでしまうだろう。 しかしれみりゃは手を止めない。止めとばかりに手を離してブン投げる。 「ぽ~い!だどーッ!」 「ま”ん”ま”あ”あ”あ”ばぎゅ!」 勢いよく頭から突っ込んだ子れみりゃは壁にブチ当たり壁前面に肉まんの餡が広がる。そのままずるずると落ちると手足をピクピクとさせていたが、やがて動かなくなった。 「つぎはおまえだど~!」 手をポキポキと鳴らして大れみりゃに近付くれみりゃ。 大れみりゃは青ざめた顔でずるずると後ずさりをする。 先ほどまでの威勢はどうしたのかしーしーを垂れ流しながらガタガタと震えて後ずさりを続けている。 「ぐるなどおおおお!!おでがいだどおおおお!!ざぐやあああああ!ざぐやあああああ!!」 「わかってないんだど~「さくや」はほんとうのかり☆すまじゃなきゃあらわれないんだど~、おまえのようなかってにおうちをあらすようなやつはかりすまでもおぜうさまでもないただのこぎたないれみりゃなんだど~」 「ぢがうどおおおおおお!!れびりゃはがりずまあぶれるおぜうざまだどおおおおおおお!!こぎだなぐなんがないどおおおおおおおお!!」 自らの根幹にかかわる部分を突かれて反乱狂になって叫ぶ大れみりゃ れみりゃは左アッパーを大れみりゃに打ち込む。肉まんの皮でできた下膨れの下顎がメリっとへこんで拳がめり込む。 「ぶぎゃ!いだいどおおおお!!」 「さいごにいってやるど、おまえは「おぜうさま」でもなければ「かりすま」でもないんだど~、じぶんのからだをみるんだど!ふくはぼろぼろ、ぼうしもくたくた、かみもぼさぼさ、それになんかくさいど!ばっじもついてないしおぜうさまとなるべききひんもれいぎもないど!」 そう言いきった後にさらに右フックを大れみりゃに叩きこむ。 「ぶぎぇ!ぢがうどおおおおおおお!!ぢがうどぢがうどぢがうどおおおおおお!!れびりゃはかりずまでおぜうざまなんだどおおおおおおお!!ぎだなぐなんがないどおおおお!!ばっじだってぞのぎになればどれるんだどおおおおおおおお!」 「だまるど!だったらいますぐ「さくや」とやらをつれてくるんだど!かいゆっくりになってばっじをとってくるんだど!」 れみりゃの右フックを貰いふらふらとよろめきながらも声をあげて辺りを見渡す。 「ざぐやあああああああ!!ざぐやあああああああ!!ぐるんだどおおおおおお!!おぜうざまにばっじをもっでぐるんだどおおおお!!」 必死に声を上げる大れみりゃ。荒唐無稽な話だが当の大れみりゃは真剣だ。当然の如く響くのは風の音と大れみりゃの声だけであった。 「どうじでごないんだどおおおおおおおお!!ざぐやあああああぶんぎゃっ!」 れみりゃは身を翻して大れみりゃを一本背負いで投げ倒す。背中から地面に叩きつけられ、腕を取られて抑えられている子れみりゃにれみりゃはこう言い放った 「いくらよんでもこないど!うそつきはおぜうさまでもかりすまでもないど!さいしょからおまえみたいなきひんもなければぷらいどもないれみりゃにおぜうさまたるしかくなんてないんだど!」 そう言いきると腕を離して距離を取るれみりゃ。 れみりゃの言葉を聞いて、遂に観念したのか大れみりゃは地面を額にヘコヘコと擦りつけて肉汁の涎と涙を流しながら許しを請い始めた。 「あ”あ”あ”あ”!ごべんなざいどおおおおおおおお!!ゆるじでぼじいんだどおおおおおおお!!れびりゃがわるがっだんだどおおおおおおお!!」 さっきまでしーしーで辺りを汚し、挙句の果てに耳をつんざくような騒音を出していた大れみりゃを許すはずもなく、れみりゃは大れみりゃの頭を踏みつけるとグリグリと踏みにじってこう言った。 「かってなこというのもたいがいにするどー!かってにおうちせんげんしたあげくにおうちをあらしてゆるしてくださいなんて、そんなつごうのいいことがとおるとおもってるのかど!」 「ぞんなあああああああ!!おでがいだどおおおおお!!だずげでぐだざいどおおおおおおお!!」 「だまるど!だれがかたづけるとおもってるんだど!」 れみりゃは帽子をはぎ取ると細かくビリビリと破き始めた。それを見た大れみりゃは足にすがりつき、ゆっくりで言う所の「すーりすーり」をしながら叫ぶ。 「おでがいでずだどおおおおおお!!おぼうじざんがないどれびりゃはいぎでいげないどおおおおおおお!!」 「うるさいど!おぜうさまとしてのきひんをすててなさけなくどげざをしてたすけをこうなんてもうおまえにこんなのはひつようないど!」 子れみりゃの時より細かく裂かれた帽子はそのままひらひらと風に吹かれて飛散する。 大れみりゃは立ち上がって両手をあげて四方八方に飛んでいく帽子のきれを拾い集めようとしていた。 しかしあっちにいけば別の所に切れがとび、こっちにいけばまたどこかで切れが飛ぶというまさに暖簾に腕押しという状況で集まる筈もなく。バタバタとあっちへ行ったりこっちへ行ったりを繰り返しているだけだった。 「ごっぢにもどっでぐるんだどおおおおお!!あ”あ”あ”あ”!ぞっぢにいっぢゃだめなんだどおおおお!!」 這いつくばって切れを集める大れみりゃに突如すさまじい衝撃が襲った。きりもみ状に吹っ飛んで頭から地面に落下する。れみりゃが大れみりゃの肉まんの頭を蹴りあげたのだ。 「ぶぎゃああああ!!いだいどおおおお!!」 餡を吐き出しながら歪に曲がった腕で頭を押さえて転がりまわる大れみりゃ、れみりゃ特有の凄まじい回復能力は厄介だ。ゆっくりに言える事だが、ドスだろうとれみりゃだろうと頭の中枢餡を潰すのが手っ取り早い方法である。 それを悟ったれみりゃは大れみりゃの足に肩をかけて持ち上げて、腰辺りをがっちりと掴んで捕まえる、丁度大れみりゃの頭が地面に着くような格好となると、れみりゃは羽を動かしてフワフワと飛びあった。成体のゆっくりを抱えて巣まで飛ぶことが出来るほどに強靭な体を持つれみりゃだからこそできる芸当だ。 「ごわいどおおおおおお!!ばなずんだどおおおおおお!!」 「う~!れみりゃどらいばーだどおおおおおお!!」 れみりゃがそう叫ぶと一気に頭から大れみりゃを落とす。一匹が落ちれば餡が飛び出すぐらいで済むが、同じ重さのれみりゃが上に乗っかっているとなると別だ。 「あ”あ”あ”あ”!!!ざぐやあああああああ…ぶぎゅっ!!」 頭から一気に落とされて肉マンの皮がはじけて餡が飛び散る。 いかにれみりゃであろうと完全に中枢餡を潰されては再生する事は出来ない。あっという間に物言わぬ饅頭となってしまった。 「さっさとかたずけないとおこられるんだど~…こまったど~…」 先ほどの勇猛な振る舞いはどうしたのか困ったように頭を抱えて散らかった物をかたし始めるれみりゃ、金バッジらしい行動だ。 そう、このれみりゃこそ加工所の新商品となるべく対ゆっくり格闘術を叩き込まれたれみりゃ。 人呼んで「ファイターれみりゃ」である。 因みにコストが高いと理由で採用されないと売り出しに出かけていた飼い主が言いつけられたのはついさっきの出来事であった。