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ある日、時を止める能力に目覚めた圭一。 そして当然の事ながら、若い健康な男子として、至極有り体にこの能力の悪用方法を考え付いた。 詩音「あれ? 一体なんの用事ですか圭ちゃん」 魅音「しかもなにそのラジカセ?」 圭一「ん? いや、なんでもねえよ」 そこで圭一はラジカセのスイッチを押した。 すると、曲が流れ出すのと同時に時間が止まった。 フカーイーナゲーキーノーモーリー 圭一「フハハ! 動けるぞ! 止まった時の空間を俺だけが自由に動くことができる!」 魅音と詩音は目の前でまばたきもせずに硬直している。 圭一は恐る恐るながら魅音の胸の先を突っついた。 そして、全く反応が無いことを確認して、今度はがしっとわしづかみにした。 圭一「うおお! 柔らけー! 父ちゃん、俺は今猛烈に感動しているぜー!!!」 次第にだんだん調子に乗り出した。 なんと圭一は魅音と詩音の胸をサンドイッチ状にくっ付けて、そこに自分の大きくなったかぁいいブツを擦り付けていた。 圭一「ハア……ハア……最高だぜ……」 しかし圭一は痴漢行為に夢中になるあまり、大変なことに気づいていなかった。 時間停止からすでに数分が経過し、流していた曲がもうすぐ終わりそうになっていたのだった。 ヒグラシノーナークー 圭一「うっ、やべっ……出るっ!」 詩音「おや?」 魅音「あれ?」 ドピュッ! ドピュッ! 圭一「あ…………」 しばしの硬直と沈黙、そして。 詩音&魅音「…………し……死ねえええええ!!!!!!」 直後、スタンガンのスパーク音と金づちでクギを打ち込む音が響き渡った。 圭一は命に別状こそ無かったものの、体のある大切な部分に全治2ヶ月の重傷を負った。 完
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「おうおうおうっ! やってくれんじゃないのっ! ブチ撒けられてぇかぁぁぁぁっ!!」 だんっ! と床に叩きつけられて、梨花は、こほ、と咳き込んだ。思いつく限りの罵声を口の中で吐きながらも、涙で滲んだ視界の向こうで狂った笑いを浮かべている、園崎魅音――いや、この場合は園崎詩音と言うべきか――を睨みつける。 右手の注射器の頼りない感触に身震いしながらも、梨花は詩音からじりじりと間合いをとった。 手詰まりだった。奇襲が通用しない今となっては、古手梨花と園崎詩音とではスピードもパワーも差がありすぎる。催涙スプレーは突き飛ばされた時にどこかに飛んでいってしまった。 (くそ、こうなったら……) 誰があんたなんかに殺されてやるもんか。 そう胸中で吐き捨てて、梨花は背中に隠した包丁を手に取り、自分の喉元に突きつける。 そうしている間に、すでに詩音は梨花の目の前まで来ていた。 そして詩音は哄笑しながらバチバチと放電するスタンガンを振りかぶり――。 「……あれ?」 そのまま床に転がっていた催涙スプレー缶を踏みつけて、ごっちーん、とひっくり返った。 「……………………」 包丁の切っ先を自らの喉に当てて硬直したまま、梨花は目の前で目を回している詩音を眺めていた。 やがてそろそろと包丁を下ろすと、包丁の背でつんつんと詩音の頬をつついてみる。 ……反応なし。どうやら完全に気絶しているらしい。 とりあえず、梨花は注射器の針を詩音の腕に刺すと、ちゅう、と中の薬剤を注入する。これで、とりあえず詩音の発症の危険は去った。 ほっと肩を脱力しかけて、梨花は慌てて首を振った。自分は園崎家の地下に監禁されている魅音と沙都子を助けなければならないのだ。 園崎魅音として雛見沢をあちこち駆け巡っていたことから、祭具殿の鍵はおそらく常に身に着けているはずだ。そう考えて、梨花は詩音の身を確認しようとした。 だがまだだ、と首を振る。雛見沢症候群の危険はないとはいえ、さっきの状況から考えると目を覚ました詩音が襲い掛かってくる可能性は十分に高い。 梨花は周囲をきょろきょろと見回すと、物干し用のロープで目を止めた。そのままいそいそとロープを持ち出すと、詩音の両手と両足をしっかりと縛る。ロープを結び終えると、梨花はうつ伏せに倒れた詩音の腹に跨ると、ぺたぺたと詩音の上半身を調べ始める。 上着のポケットを裏返し、ジーンズの尻ポケットにごそごそと手を突っ込んでみるが、 (……ないわね) 芳しくない結果に、ふむと梨花は腕組みした。後ろにないとなると、 (やっぱり、前にあるのね) 頷いて、梨花は詩音の身体を仰向けにひっくり返し、再び馬乗りになる。 ふと、梨花はきょろきょろと辺りを見回した。周囲には誰もいない。 無論、そんなことなどわかりきっているが、そこはそれ、儀礼的なものに理由などないのだ。 そのまま、モデルガンのホルスター、ジーンズなども確認してみるが、やはりそれらしきものは見当たらない。 (……おかしいわね) 苛立ちに、梨花は眉根を寄せる。何処だ、何処にある? まだ魅音と沙都子をいたぶる必要があった以上、飲み込んでいるなどということはないはずだ。ならば何処に――。 苛立ちは焦燥へと変わり、せわしなく視線が動き回った。 と。 そこで、梨花は二つの場所で視線を止めた。 即ち――詩音の、胸と、股間に。 たしか、尻の中に針金を隠して脱獄した脱獄犯というのを以前にTVでやっていた。ならば、詩音がそんな場所に隠しているということは十二分にあり得る。 なにせ穴は二つあるから可能性は単純計算で二倍だ。 梨花は詩音の奇抜な発想に驚愕し、そしてそれを見破った自分の閃きに感謝する。 (待っていて、沙都子、魅音。すぐにこの拷問狂の手から救い出してあげるから) 新たに決心しながら魅音の服に手をかける。上か下かどちらからやるか迷ったが、ライブ感を出すために上から剥いていくことにした。 ふと、梨花は自分の状況を確認してみる。両手両足を縛られて気絶した女に跨って、それにぺたぺた触れながらひん剥こうとしている幼女。 (どう見ても、身体に隠したものを探っているようにしか見えないわね) 力強く頷いて、梨花は、ぱん、と自分の頬を張って気合を入れた。 続いて、自分の目前で静かにいただきますと合掌すると――。 がばちょ、と詩音のTシャツをまくり上げた。 「おおっ」 始めに見えたのは黒い花。 鎖骨の辺りまでまくり上げると、黒いブラに半分包まれた詩音の豊かな乳房が顔を出した。 さて、と梨花は再び腕を組んで考えた。 やあスカリー。詩音ちゃんの胸に隠すとなると、どこら辺が一番怪しいと思うかな? やっぱり胸に隠すとなると基本は胸の谷間だと思うわ、モルダー。 脳内会議で出した結論に、完璧ね、と梨花は会心の笑みを浮かべる。なくても下を探せばいいだけだし。 そうと決まれば、と詩音の胸にシフトするために跨りながら体を前にずらす梨花。 しかし、そこではて、と首を傾げる。 (……これ、どうやって外すのかしら) ぼんやりと母がつけ外ししているのを見た記憶はあっても、具体的にどうやっていたのかまでは思い出せない。 がくり、と梨花は膝をついた。またもや自分は間に合わず、沙都子も魅音も救えず、そして再び六月は回り続けるというのか。 (ごめんなさい、沙都子。ごめんなさい、魅音。……そしてごめんなさい、お母さん) こんなことなら穴の開くほどじっくりきっちりむっちり確認しとくんだったよ畜生くそう、と続けて、梨花は意気消沈した視線を下に落とし――。 その目が、驚愕に見開かれた。 そこにあったのは、さっきの包丁。 梨花は包丁を掲げながら、この素晴らしき偶然を神に感謝した。 しかし、あぅあぅと威張るナマモノを連想したらなんだか腹が立ってきたので、懐にしまっているおしおき用銀紙をがむがむと噛んでおく。 ぎゃああ、という悲鳴が何処かから聞こえてきたが気にしない。 閑話休題。 包丁を構えると、梨花は詩音の胸の間にその切っ先を当てた。傷をつけてしまうといろいろと商品価値とか落ちるので、ブラを切るのには慎重の上に慎重を期することにする。 キコキコと包丁を前後にスライドさせるのに呼応して、ぷちぷちと繊維が切れる小気味よい音に、ふふふ、と梨花は思わず含み笑いを漏らした。 いやあくまで音にだってば。 そんなこんなの内に最後の一本までナイロンがぷつりと切れ、梨花はわきわきとした手つきで双丘のてっぺんの黒帽子をつまみ取る。 「おおー!」 ぽよぽよと重たげに揺れる乳房に梨花は思わず歓声をあげた。 ブラを外すという、たったそれだけのことでこんなにも揺れるものなのか、おっぱいは。 感心しながらも、梨花は当初の目的のである胸の谷間を確認しようと、がっちりと乳房を両手で握った。 掌からは、弾力と柔らかさがブレンドされた心地よい感覚を返ってくる。指の間からは、乳肉が窮屈そうにはみ出ていた。 そのまま指で先端をつまむと、ぐい、と左右に開く。 「……え?」 梨花は呆然と声を上げる。ない。鍵どころか、はさんだ痕さえ残っていなかった。 (くっ、ならばやはり下の方だというの?) まさかそんなところに隠すなんて。 戦々恐々としながらも、梨花はズボンの方に手をかけようとした。 だが、と思い留まる。そして一つの考えが浮かんだ。 (……この胸が、偽者である可能性) いえ、まさか。とその考えを切り捨てたくなる。つーかそろそろ詩音ファンに刺されそうだし。 しかし、可能性のある以上はそれを一笑に付して却下するわけにはいかない。コマンド総当りはAVGの基本なのだ。 梨花は上半身の方に重心を移し、再び乳房をぎゅむ、と握る。やわらかい感触。対して自分の胸を見下ろしてみる。 すとーん。 まさに断崖絶壁。マロリーも「そこに崖があったから」とか言って登頂をあきらめそうなくらいの絶壁ぶりだ。さすがに大石のような三段オリーブ園ほどではないにしても。 なんだか、無性に腹が立ってきた。 もみゅもみゅもみゅ。 一心不乱に詩音の胸を揉み倒す梨花。親の敵でも見るかのように目尻を吊り上げて、こやつめっ、こやつめっ、と強く握っては緩める。 くそう、こやつのおっぱいは何が入っているというのだ。やはり夢か? 夢が詰まってるのか? と、何かに気づいたように梨花はぴたりと手を止めた。 ぱ、と手を離すと、乳房の先端部がぴんと自己主張しているのが見える。それに梨花はニヤリと邪悪な笑みを漏らすと、ちゅうう、と乳首に吸い付いた。 「……くぅ、ふぁぁ……」 瞳を閉じたままの詩音が、梨花の愛撫に反応して悩ましげな吐息を漏らす。だが、梨花がちゅぽんと乳首を口内から引き抜くとまたすぐに鳴きやんでしまう。その反応が面白く、詩音の乳首がピンク色に上気するまで、くすくすと笑いながら梨花は詩音の胸をいじり回していた。 「よし、次ね! 下よ下、とにかく下!」 さすがに自ら隠語をべらべらと垂れる度胸はない。兎にも角にも、詩音が股の穴に以下略という無視できない可能性を検証するためだ。 梨花はずるずると詩音のジーンズをパンツごと膝まで下げると、うっすらと若葉色の茂みが生えている泉に指を這わせる。 「んぅっ!」 「ふふふ、やっぱり啼いたわね。となるとやはりここに隠していたわけね」 くっくっく、と悪の女幹部のような口調でつぶやくと、梨花はぴっちりと閉じている詩音の秘部を観察する。穴としては尿道、ヴァギナ、アナルの三つだが、さすがに尿道に鍵を隠すのは無理だろうということで外すことにした。 とまれ、穴の中に隠してあるなら直接手で確かめるべきだろう。何のかんのと回りくどく調べるより、そうした方が遥かに手っ取り早い。そういうことだ、じゃあ入れようか。 決断は早かった。 梨花は、右手の人差し指と中指をぴんと立たせると、ぺろり、と丹念に舐めあげて唾液で湿らせてから、 「……私は鬼を食う者だから(性的な意味で」 勢いよく、詩音の下の穴に二本の指を突っ込んだ。 「うぐぅぅ! んふ、はぅ……」 下半身への衝撃はやはり凄まじいものがあったのか、詩音は大きく声をあげる。 しかし、そんなことはお構いなしに梨花の指は詩音の秘所をぐにぐにと犯す。 指をグラインドさせるたびにぬちゃぬちゃと奏でられる卑猥な音が、詩音の声を余計に妖艶にしていた。 「んぅ、は、ふ、あっ、ああっ、あっ」 「むう、おかしいわね。ここかー? それともあそこなのかー?」 指を挿入し、さらに詩音の恥丘を揉みしだきながら、梨花はノリノリで詩音に言葉責めをする。聞いていないであろうことはわかってはいるが、これもまた気分の問題だ。 しかし、ここにもないとなると後はひとつしかない。 ぬちゃぬちゃと挿入した指を止めることはせず、梨花は詩音の足を前に倒す。すると、自然と詩音の股が全開で見えた。 ビバ消去法。 うふふふふふ、とアヤしい笑みを漏らしながら、もう一方の指をアナルに、そして口をぷっくりとした陰核に近づける。 「シンメトリカルドッキングー!」 下ネタ解禁。 じゅぷ、かりっ。 「くぅ――あぁぁッ……! いぃ、くぁ……!」 新たな方向から突如爆発した快感に、詩音は意識を真っ白にし、びくびくと身を仰け反らして絶頂に震えた。 つーか起きてんじゃねーのかこいつ、という指摘をする者は、幸か不幸か梨花を含めてこの場には存在しない。 そんな事は露知らず、梨花はしばらく詩音の膣にくちゅくちゅと指を出し入れして思う存分楽しんだ後、ふう、と身を起こした。 ごちそうさまでした、と詩音に向かって手を合わせると、ふむう、と腕を組む。 (しかし詩音が身に着けているわけじゃないとなると、どこなのかしら) 絞りこむにしても、精々園崎家の中ということくらいしかわからない。 これはちょっと探すのに時間がかかりそうね、と梨花はため息をつくと、とりあえず手近な居間から取り掛かろうと立ち上がった。 そしてずるべたーん!とすっ転ぶ。 受身すらとれずに顔面を強打し、痛そうに鼻を押さえながら、何なのよもう、と梨花は険のある目で足元を見やり…… そしてそのまま、さあっ、と顔色を蒼白にする―― 自分の足が、ぴんと伸ばしたまま投げ出されている。そこまではいいのだが、足先に、なにか、白い、ものが。 それは、こちらの足をがっちりとホールドしていた。 また、それは詩音の肩先から伸びていた。 とどのつまりは。 梨花の足を、詩音が握っていた。 「お、おおおおお起きていたのですか、詩ぃ」 「ええ。きっちりくっきりきっかりはっきり起きてましたよ、梨花ちゃま」 冷や汗を滝のように流しながらも、詩音に口を開く梨花。とりあえず敵意はなさそうなのでほっと息をつく。 が、それもすぐに打ち破られた。 「ねえ梨花ちゃま」 「みぃ?」 「さっき、いろいろと私の身体を弄繰り回してくれたみたいですねぇ」 ぎくり、と身を震わせる。加えて情欲に濡れた詩音の瞳が、梨花の不安を現在進行形で膨らませていた。 「え、えーと」 「ですから」 一息。 「私もお返しに弄繰り回しちゃっても、構いませんよね……?」 思わず呼吸が停止しそうな台詞に、梨花は硬直した。しかし、同時にずるずると引っ張られていく己の足に身も凍るほどの戦慄が走る。 「み、みぃぃぃぃーー!」 叫びながら、慌てて手近な柱につかまる。梨花と詩音の膂力差を考えると捕まることすらできなくてもおかしくはなかったが、未だ足のロープが解けていないのと絶頂の直後で身体に満足に力が入らないのとで、梨花と詩音の間に拮抗が生まれつつあった。 ぐいぐいと足から胴、胴から腕へと伝わる力に身震いしながらも、柱に絡めた両腕に力を込める。詩音の根が尽きるまで自分の力が持つともあまり思えなかったが、それでも抵抗はしなければならない。 しかし、それも長くは続かなかった。 「みぃっ!」 業を煮やしたのか、梨花の足の裏をちろりと舐めあげる詩音。 思わず手を離してしまい、あっと気づいたときにはすでに柱はこちらの腕の射程外にあった。 「みぃぃぃーー!!」 かりかりと床に爪を立てるが、その程度で何とかなるはずもなく。 程なくして、梨花はうつぶせのまま詩音にすっぽり抱きかかえられる格好となった。 「んん~、やっぱり可愛いですね梨花ちゃまは。髪はつやつやですし肌はすべすべですし、ああ素晴らしき哉幼女補正!」 きゃー、と黄色い声を上げながら、すりすりとこちらの髪やら顔やらを撫で回す詩音を、梨花はどこか諦めたように眺めていた。 とは言え、抵抗らしい抵抗もできないし、詩音の手つきはそれなりに優しくて心地よいのでとりあえず何もしないでおく。やはりなでなでされなれている者は違うということか。 恐るべしにーにー。 (さすがね、悟史) 頬に一筋の汗を垂らしながらも、不敵に笑って、梨花。 (んっ、やっぱり、沙都子ゲットの道程での最大の障害は、くンっ、あなただけか……って) 「……って、どこ触ってるのですか、詩ぃ!」 いつの間にかワンピースの隙間から腕を突っ込んでぴこぴことこちらの乳房を弾いていた(揉むとは言えないのが悲しい)詩音に、慌てて叫ぶ。 「んー? だって言ったじゃないですか、梨花ちゃま」 くすり、と笑みを吐息に変えて零すと、詩音は覆いかぶさったまま、こちらの首筋をぺろりと舐めあげた。 「ひゃう!?」 「――弄り回してあげる、って」 言葉と同時に、乳首をきゅうっ、とつねられ、梨花は仰け反って嬌声を上げる。 「ふふっ……可愛い」 仰け反った拍子にこちらに近づいてきた梨花の頭に首を巡らせ、はむ、と梨花の耳を甘噛みした。 梨花は首を振って逃れようとするが、その動きもどこか弱々しい。 「はむ……ん……ちゅ。ほら、こんなに濡れてます。私が押し倒さなかったら、どうせ後で自分でヤッていたんでしょう?」 ちっちゃくても思春期ですもんねぇ、と淫蕩な笑みを漏らす詩音に、 「あっ……ふ……んんっ。ち、ちが――」 「ふーん。じゃ、確かめてみます?」 「……へ?」 何を、と聞き返す間もなく、詩音はするりと体位を変えると、梨花の下着をするすると剥ぎ取った。足首を縛られているというのに、驚異的な動作のなめらかさである。FPSに直すと85は優に出ていそうなぐらいの快適さだ。 「さてさて、ご開帳~☆」 そのまま、かぱちょと梨花の膝を掴んで股をM字に開く。梨花はと言えば、抵抗を諦めたのかぐったりと脱力していた。 ふんふんと当たる詩音の吐息をもどかしげに感じつつ、スカート越しに詩音の頭をぎろりと睨む。 ええい、もうどうにでもなれだっ。 詩音はといえば、うわー、と感嘆の言葉を漏らすと、 「ふむふむ、梨花ちゃま"も"生えてないんですねー。沙都子とおんなじ」 さわさわとこちらの恥丘を撫でる詩音に、恥ずかしさのあまり梨花はぷい、とうつむき―― 「……って待ちなさい! あんた沙都子に何やったのよ!」 思わず猫かぶりも忘れて、がばと身を起こす。 「何したって言われましても……ナニに決まってるでしょ?」 「きぃぃぃぃっ、この泥棒猫っ! やっぱりでか乳にはロクなのがいないわねっ! もう怒ったわ、あんたみたいなサカッた雌猫なんかこの私にオとされてしまえー!」 「ふっふっふ、上等ですよ梨花ちゃま! 梨花ちゃまのブラックリストにお姉は入ってるのかとかいうツッコミは華麗にスルーしつつ、私は悟史くんと沙都子とお姉さえ手に入れば他は何も要らないんですがそれはそれとして梨花ちゃまも頂いておきましょう!」 ふーっ! と毛を逆立てて威嚇する梨花に、するり、とこれまたあっさりと足首のロープを外して笑みを浮かべる詩音。 ツッコミ禁止。 「百年かけて仕入れたエロ知識なめんなー! かかって来なさいグギャ女!」 「言ってくれるじゃないのっ! イき倒されてぇかぁぁぁぁっ! ぐげげげげげげげ!」 「ん……む。はぁ……ちゅ」 「く……んんっ。ぺろ……ちゅぷ」 ぴちゃぴちゃと淫猥な音を響かせて、二人の少女が絡み合う。お互いの髪が動く度に舞い踊り、まるでのたくる蛇の群れの様だ。 詩音の上半身に被さった梨花が、詩音の乳首を吸い上げる。むにむにと手の中で暴れる乳房をしっかりと握り締めて、すりすりと乳輪を擦りあげた。 梨花の胸の突起を、詩音がついばむ。そのまま唇と歯でコリコリと転がし、もう一方の乳頭をかりかりと爪で引っかいた。 (……んっ。さすがに、はんっ、ヤバいわね。手馴れてそうだとは思ったけど、まさか、んんっ。これほど、とは) (……くっ。こ、子供だと思って、甘く、はんっ、見ちゃいました、ね。ていうか、くンッ、お姉より数段巧いじゃないですか、この子っ) 内心で焦りを覚えながらも、互いを責める手は止まらない。 頭に靄がかかったままさらに肉欲に溺れていき、理性が磨り減っていく。回れば回るほどに堕ちていく、正に快楽地獄だ。 やがてお互いの胸だけでは満足できなくなったのか、二人は体位を変えると、お互いの股間に顔を埋めた。 詩音が、梨花の秘所を舌で撫でる。秘裂をちろちろとねぶり回し、奥まで舌を突き入れる。 梨花が、詩音の淫核を口に含む。赤子のように、一心にちゅうちゅうと吸いたてる。 (ええと……なんだっけ。私、何をしにここへ来たんだっけ) なんだろう。なにか大切なことを忘れてるような。 ぼーっと半ば放心したまま、梨花は詩音が自分のヴァギナを股間にあてがうのを、他人事のように見ていた。 ――くちゅっ。 「「は、あああああああああっ!!」」 お互いの接合部から爆発した快感に、一瞬ならず意識が飛んだ。 はあはあと肩で息をつきながらも、にちゅにちゅとお互いの動きに合わせて形を変える秘裂に、確信を込めて直感する。 (*1) お互いに、それが自らにどれだけの影響を及ぼすか、今の絶頂だけで容易に想像がつく。これ以上は、踏み込んではならない。 だが、しかし。 「はっ、あっあっあっあっ、ああっ!!」 「んんっ、んっんふ、んううううううっ!!」 腰が、身体が、止まらない。お互いに次なる快楽を求めて腰をくねらせ、新たに爆発する甘い感覚に身悶えする。 蜜に惹かれる虫のようだ。皮膚の下でぞわぞわと蠢き、ぞくりと寒気を伴った戦慄と、とろけるほど熱い恍惚とをもたらしてくる。 と、その時、二人の淫核がこりっ、とお互いを弾きあった。 「「あ、ああああああああああああっ!!!」」 落下感にも、浮遊感にも似た絶頂の余韻を味わいながら、梨花の意識はゆっくりと黒く塗りつぶされていった。 ……結局、梨花が当初の目的を思い出したのは、翌朝になってからだった。
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月の下……神社の社で僕は独り悶える。 どうせ幽体である僕は梨花以外の誰の目にも見えない。 どれだけ乱れようと、それを恥じる必要も無い。 けれどそれにも拘わらず屋外での行為は、かつて肉を持っていた古き昔のなごりなのか……背徳的なものを訴えてきて……更に僕の情欲を刺激する。 半裸になり、ほとんど衣服が意味を成していない……ただ布をまとわりつかせただけの状態で、獣のように僕は啼く。 「ハァハァ……梨花、そこですそこ……もっと……激しくぅううっ!」 別に梨花がそばにいるわけじゃない。 梨花は沙都子と住むプレハブ小屋の中にいる。 けれど私がこうして悶えるのは梨花のせいだ。 梨花と共有している感覚は味覚だけではない。彼女には黙っているが、本当は性感といった刺激も共有している。 実体を持たない僕にとっては味覚や嗅覚、そして触覚といった感覚は特に得難いものであり、それ故なのか……梨花から伝えられる快感はなおさら鮮烈に感じられる気がする。 僕の秘部は熱く火照り、切ないほどに花開いている。 「あぅっ……あああぁぁっ!!」 花芯をこねる感覚に、背筋が痺れる。 梨花が今、何をしているのか……次にどのような刺激が来るのか分からないというのも、僕の興奮を更に盛り上げる。 「ああっ……梨花……梨花……。そうなのですね、梨花はそこが感じるのですね」 粗く息を吐きながら、僕は腰を動かす。 梨花もまた女として自分のツボを心得ているせいか、巧みに……ある意味では男以上に僕に快楽を与えてくる。 焦らして……焦らして……焦らして、もう一息というところで休みが入って……。梨花が小さく達するたび、僕の体は弓なりに跳ね上がってしまう。 「はぁ……はぁ…………はぁうっ……あぅっ」 欲しい。 挿れてほしい。僕の奥に、熱く固くなった男のものを挿して、滅茶苦茶に突き入れて、子宮の奥まで突いて……何度も、何度も中を掻き回して、温かい精液で僕の中を満たして欲しい。 けれど、刺激の元が梨花である以上、それを望むことは出来ない。永遠に乾きを満たすことは出来ない。 とても苦しくて、切なくて……狂おしいほどに気持ちいい。 苦痛ならばまだ耐えられた。けれど、快楽には耐えられない。逆らえない。 終わりの無い拷問。 「あぅっ……あぅあぅあぅあぅううううぅぅっ!!」 ああ……これで何度、僕は身をよじらせたのだろう? もはやそれを覚えてはいない。 ビクビクと痙攣しながら、僕は呟く。 「梨花……もう、勘弁して下さいなのです。もう……止めて欲しいのです」 けれど、それを梨花に言うことは出来ない。梨花の寂しさを埋める行為を奪うことも、辱めることも出来ない。 そして、私は嗤う。 「梨花……もっとして欲しいのです。もっと、もっと僕は感じたいのです」 けれど、それを梨花に言うことは出来ない。この快楽から逃れることも出来ない。梨花に言うことで、この快感を得る機会を失うような真似も出来ない。 ここにいるのは、誰からも忘れられているただ独りの女。 そして僕は独り涙を流す。 ―END―
https://w.atwiki.jp/when_they_cry/pages/248.html
「………………はぁ」 空に綺麗な満月が見える真夜中。 時刻はこんなにも遅くなっているというのに、私は今たった一人で街頭もない暗い夜道を歩いていた。 いくらのどかで平和な雛見沢といっても、こんな真夜中に女の子一人で出歩くなどとても物騒だ。 こんなにも可愛い私を狙い、そこらの茂みからどこぞの変質者が襲いかかってくるかもしれない……。 だがそんなこともお構いなしに、私はどうしてもこの夜道を一人で歩かなければいけない理由に、おもわずため息をついていた。 すると隣でそれを聞いていた彼女が、スっと口を開く。 「どうしても行くのですか?……梨花」 「………………」 舌ったらずな感じに喋る彼女の問いに、夜道をトコトコと歩いている私は何も答えなかった。 今この道を歩いているのは一人だけなのに、あたかもそこには彼女との『対話』が成立しているようだった。 私は今この手に、小さなバックを持っている。 こんな幼い体でも持てるようにと控えめなそれには、ハブラシやパジャマといったいわゆる『お泊りセット』が入っていた。 それももちろん自分の分だけで、もう一人の彼女にはそもそもそんなもの必要ないのだ。 そしてもう一つ。 買い物用のビニール袋に包まれて、野菜などが入った『夕食セット』も一緒に抱えていた。 「そんな荷物まで持って……やめておいた方がいいのです。 行ったら、地獄なのですよ?」 「ふん。 神様であるあんたが地獄なんていうと、なんだかほんとにそんな気がしてくるわね。……嫌がらせ?」 「あ、あぅあぅあぅあぅ……」 そんなつもりはなかった、と責められた彼女はそのままあぅあぅと鳴きだした。 まるでふざけているような鳴き方だが、これは彼女の口癖のようなもので、普段からよく口にする言葉なのである。 初めの頃は少しうるさく感じたが、さすがに百年近い付き合いにもなるとそれも慣れてくる。 今ではこれを一日一回は聞かなければ、その日が物足りなく感じるほどだった。 「あぅあぅ、梨花はマゾなのです。 どうしてあんな男の家になんか……」 「……ま、あんたはいいわよね。 ただ私を眺めながら、いつもどおりあぅあぅ鳴いているだけでいいんだもの。……今夜も」 「だ、だから! さっきから『行かない方がいい』と止めているではないですかぁっ! あぅあぅあぅ~」 そうしてふたたび泣き出すと、彼女……羽入はなんとか私の腕を引っ張ろうと、チョイチョイとその手を伸ばしてくる。 だが実体のない彼女にそんなことができるはずもなく、それはスカスカと私の腕をかすめるだけだった。 なぜこのあぅあぅとなく羽入は、こんなにも私の行動を止めようとしているのか。 まがりなりにも雛見沢で神と崇められている彼女は、これから私が向かおうとしている『ある場所』に一抹の不安を抱えていたのである。 沙都子と住んでいる家を出てから、その場所までの道のりを歩いている間……羽入はずっと私を説得しているのである。 「絶対、行かない方がいいのです。 あの男は危険すぎるのですよ? 梨花の体が、た、食べられてしまうかもしれないのですよ?」 「しょうがないでしょう? だってこれは罰ゲームなんだから……行かなかったらそれこそ、ねぇ?」 私は羽入に自分もほんとは嫌なんだ、と言うようにチラっと目線を送った。 羽入も普段から私にくっ付いて生活しているため、『部活』というものがどれだけ厳しいものか……。 そしてそれにおける罰ゲームが、どんなに非情なものかよく知っている。 だが彼女はそれをも踏まえたうえで、なお私に彼の家へ行くのをやめろと警告しているのだ。 普段から魅音やレナにセクハラし放題の、あの男……前原圭一。 魅音のあのふくよかな胸に、あくまで偶然だと言っておもいきり鷲づかみしたり……。 レナの安産型の大きなお尻に、虫がついてるなどと言ってサワサワと撫でまわしたり……。 そんな最低でスケベな行為が日常茶飯事の彼の家に、これから私は部活の罰ゲームとして『お泊り』しに行くのだ。 「あぅあぅ、梨花が。 僕の大好きな梨花が圭一にぃ……うあぁぁぁぁ嫌なのですっ!」 「何もう、『汚されちゃった』みたいな感じに言ってんのよ。 まだ彼の家に着いてもいないでしょうが」 「そうですけど……。 着いたらもう、逃げられないのですよ?」 そうして羽入はふたたび泣き出し、すでに私が犯されてしまったかのように悲しんだ。 さきほどから夜道を進むたびにこうして羽入が泣き出すため、私はいつまでたっても心の決心をつけることができなかった。 もっとも逆にいえば、こうして泣き出す彼女のおかげでなんとか冷静でいられているともいえるが……。 どちらにしろ、圭一の家に一人で向かうということへの一抹の不安は消せなかった。 「ま、私はもう半分あきらめてるわ。 古手梨花は今夜彼の手によって穢され、それを境に『鬼隠し』にあっちゃう……かもね?」 「!?……あ、あぅあぅあぅあぅあぅ~っ!!!」 おもわず言った捨て鉢な言葉に、羽入は腕や足を子供のようにバタつかせて暴れた。 そんな悲しいことを言うな、とばかりに私の体にすがりつき、首をイヤイヤと必死に振ってわんわんと泣き出すのである。 それを見て、今のはちょっとイジワルが混じってたかな? と、自分のサドな部分におもわずニヤリとしてしまう。 「そ、そんなのいやなのですー! 梨花が『鬼隠し』なんて絶対ダメです! オヤシロ様として断固それは承諾しないのですーーっ!?!?」 「あーわかったわかった。 ていうかもういい加減泣き止んでよ、歩くだけで疲れちゃうわ……」 「あぅぅ、梨花が変なことばかり言うからなのですよぉ……」 さっきからわざと弱音ばかり吐く私に、羽入はもう知らないとプイッと首を背けた。 神様のくせにこんな性格をしている羽入は、普段からこうして魔女な私にからかわれる(イジメ?)ことが多い。 だがそれはもちろん仲が悪いというわけでなく、むしろ喧嘩するほど仲が良いの見本のような関係であった。 そしてそんな間柄を、私も羽入もとても心地よいと感じている……。 生まれた時から一緒にいる私達はお互いを可愛い妹のように思っていたり、または頼りない姉でもあるように慕っているのである。 「僕はこんなにも梨花を心配しているのに、もう知らないのです! 梨花なんて犯されてしまえなのですっ! ふん、なのですっ!」 「はいはい。 ほら、そんなこと言ってるあいだに……見えてきたわよ」 あいかわらずふてくされる羽入を鼻であしらうと、私は前方に見えてきた大きな屋敷に目をやった。 おそらく村で一、二を争うほどの立派な家。 俗にいう、前原屋敷である。 月明かりに照らされ、どこか仰々しくも見えるその建物に……おもわず羽入が口を開く。 「あぅあぅ、悪魔の根城なのです……」 「……なかなかうまいこと言うわね」 さすが何百年も生きただけのことはある、と私はおもわず感心してしまった。 今回のこの罰ゲームも圭一が決めたことであるし、その彼が住んでいる家となると……なるほど、たしかにその例えはそのとうりだなと思ったのである。 そうして私はしばらくテクテクと道を歩いていくと、その屋敷が一望できる前まで辿りついた。 「あいかわらず大きな家ね……」 近くで見ると本当にその大きさがよくわかる。 父親のアトリエがあるからだと彼は言っていたが、それを差し引いても家の規模は相当なものであった。 この家が建築されているときから、どこぞのお金持ちが来るのかと村中の噂になっていたほどだ。 やはり圭一の家がそれなりの資産を持っているのは間違いないのだろう。 家の周りの庭やその他を含めて、土地だけでもいくらほどになるのだろうとつい計算してしまった。 「う~ん。 あのスケベをたらしこめば、この大きな家も私のものになるのよね? 羽入」 「!? な、な、ななななな、何を言ってるのですか梨花っ! あんな男と結婚するなんて僕は絶対に認めないのですよっ!」 「……冗談よ、冗談。 そんな本気で怒らないでよ、っていうか結婚とか言わないでくれない? 恥ずかしいから」 「認めないのです! あ、あんな最低でドスケベな圭一と梨花が、ふ、夫婦になるなんて……僕は絶対認めないのですよぉぉぉぉっ!!!」 「………………」 この子、わざと言ってるの……? 私はもうこれで何度目かというほどのため息をつきながら、その家の玄関にまで歩いていった。 後ろで離婚だ慰謝料だととんでもないところまで話を進めている羽入を無視し、自分の身長の二倍ほどはあろうかという立派な扉に辿りついた。 「……ご両親、いないって言ってたわよね」 「梨花、こ、これが最後のチャンスなのですよ? 今ならまだ……」 チャンスとはもちろん、逃げるチャンスという意味である。 このチャイムを押してしまったらもう後戻りはできない。一度中に入ってしまったら、圭一は絶対に私を家に帰さないだろう。 おまけに彼の両親は仕事の都合で東京に行っているらしく、少なくとも今夜はもうこの家に帰ってこない。 つまりこの広いお屋敷に、私とあのスケベな圭一、二人だけになるのである。 「ま、いざとなったらあんたが何とかしてね? 一応神様なんだから」 「!? ま、まかせるのです! おもいっきりドタンバタンして、圭一の家の家具を壊しまくってやるのですよっ!」 「………………」 それもどうだろう、と思いながら、私は目の前にあるチャイムをピンポーンと押した。 するとすぐに、家の中から待ってましたとばかりのドタバタとした足音が近づいてきた。 「!?あぁ……い、いいですか梨花!すぐに逃げられる体勢をとっておくのです! い、いきなり押し倒されるかもしれないのですよぉっ!」 凄みのある足音にただならぬ気配を感じたらしく、羽入は私の体をかばうようにしながら叫んだ。 さすがの圭一でもそれはないだろう……と思ったが、こんな玄関先で犯すのも興奮するぜぇぇぇぇと叫ぶ彼が想像できたのも事実である。 中から飛び出てくるかもしれない獣に警戒しながら、私は昼間、部活で圭一に言われた『命令』を思い出していった。 「えーっと、たしか……」 ずいぶんと長い文章だったのを、ゆっくりと思い出していく。 普段使わない言葉が含まれていたため自信がないが、多少のオリジナルを加えても彼は許してくれるだろう。 うーんうーんと呻きながら、私は目の前でガチャリとカギが外されていく音を聞いていった。 「ん……こほん」 声色を変えるため、小さく咳をする。 そして目の前で勢いよくその扉が開かれると、グアっと大きな風が吹いて私の体を突き抜けていった。 『梨花ちゃん! 梨花ちゃん梨花ちゃん梨花ちゃん!!!俺の梨花ちゃんはっ!!!』 家の中から、私の名前を叫ぶスケベ男が現れた。 いきなり自分の名前を五回も叫ばれ、おもわず顔を赤くしてしまう。 「こ、こんばんはなのです。 圭一♪」 『ああっ、梨花ちゃん来てくれたんだなっ! くぅぅぅぅっ!』 羽入の言うようにいきなり押し倒したりはしてこなかったが、圭一は玄関に立っている私を見るとそれに感動したようにうめいた。 その様子は少しだけ不気味だったが、とりあえず私はさきほど思い出していたことを口に出そうと思った。 まずはキャミソールの下すそをクイっと指で持ち上げ、足を左右にクロスし……メイドさんが挨拶するように、ちょこんと首をかたむける。 「ほ、本日はお招き頂き、どうもありがとうございますなのです♪ だ、大好きな圭一のために、今夜はたくさんご奉仕させて頂きますので…… どうかこの巫女であるボクのお体を、た、たっぷりと可愛がってくださいませ……なのです♪」 とびっきりの笑顔を向けながら、私は圭一に完全服従の言葉をささやいた。 もちろんこの内容も、昼間罰ゲームを決めるときにこう言えと彼に命令されたものである。 私は自分がとても恥ずかしい格好、言葉を言っていることにとめどない羞恥を感じながら……それをグっとガマンした。 「あ、あの……。 圭一?」 『梨花ちゃん、か、かわいすぎるよぉっ! 俺の梨花ちゃぁんっ!』 「…………きゃっ!」 恥ずかしいから早く家の中に入れてくれと思っていた矢先、突然圭一が私の胸に顔を埋めてきた。 薄いキャミソールの上からガバっと抱きつかれ、まったく凹凸のないこの胸にグリグリと顔面を押し付けられたのである。 「みぃ。 け、圭一ダメなのですよ。 こんな玄関で……」 『あぁ、これだよこれ。 このツルペタのおっぱいにコリコリって……ハァハァ』 「や、やだ圭一、ちょっと……んぅ」 彼はそのままクンクンと私の胸のニオイを嗅ぎ、そのセクハラ行為に酔っているようだった。 わざと鼻先をグイグリと擦りつけてきて、小さな乳首の感触を薄い布ごしに堪能していったのだ。 押し倒されるよりは数倍ましだが……。 そのいきなりの行為に、私はただなすすべもなく声を出していった。 『梨花ちゃん梨花ちゃん! 梨花ちゃんのおっぱいだ~!』 「あ、あん。 そこグリグリしちゃダメなので……んっ!」 「あ、あわわわわわ!? り、梨花のおっぱいが! 梨花のツルツルできもちいい僕のおっぱいがぁぁぁぁっ!?」 「だ、だれがあんたのよ! って、あ、あんっ。 圭一ちょっとやめてなのですぅ……」 圭一にセクハラをされるは、羽入につっこみを入れるはで忙しくなった私は、おもわずそれにパニックになってしまった。 このままでは、こんな玄関先でレイプされる……。 私はなんとか彼の頭を掴み、それを引き剥がそうとした。 「け、圭一、ちょっといきなりすぎるのです。 こんないきなりなんて……あん!」 『だ、だって梨花ちゃんが可愛過ぎるから……お、俺もうガマンできないんだよぉっ!』 「そ、それはわかるのですけど。 雛見沢のアイドルであるボクが可愛いくてしかたないのは、とてもよくわかるのですけど……いきなりはダメなのですよ?」 「…………………梨花……」 何を調子に乗っているんだこの女は……。 といいたげな羽入の目を無視して、私はなんとか圭一の頭を胸から引き剥がした。 すると彼は鼻息を荒くしてもう一度飛びついてきそうな顔をしたが、私はお得意の猫撫でモードでその瞳を見つめ返す。 「お楽しみはまだ始まったばかりなのですよ? そんなに焦らなくても、今夜ボクの体は圭一のものなのです♪」 『!? り、梨花ちゃん……』 可愛くウインクをして、圭一のスケベ心に訴えかける。 単純な圭一なら、これでとりあえず大人しくなるだろう……。 その目論見はまんまと成功し、私はなんとか彼を落ち着かせると家の中に招き入れてもらった。 『いやーつい興奮しちゃってさぁ。 いきなりはまずいよなぁ?』 「みぃ、レディーに失礼なのですよ? ぷんぷんなのです」 そうして玄関先で靴を脱ぐと、圭一はそのまま私にピッタリと寄り添いながら家の中へと案内していった。 その時、やけに私の肩や背中をベタベタと触ってくるのが気になったが……それはこのさいよしとしよう。 「あぅあぅ、圭一単純すぎるのです。 そして梨花は悪女すぎるのです……」 「しょ、しょうがないでしょ? あのままじゃ、何されるかわかったもんじゃないんだから……」 羽入のお小言を聞きながら、そのまま私は家のリビングへと案内されていった。 そこにはいかにも高級そうなソファーや机が並び、お金持ちですという雰囲気がかもし出されていた。 ご両親がいないというのは本当のようで、ここから見えるキッチンの方にも人の気配は感じられなかった。 『さぁ梨花ちゃん、まずは何をする? 一緒にテレビでも見ようか? そ、それとも一緒にお風呂にでも入ろうか?』 「み、みぃ。 あのボク、今日は圭一にご飯を作ってあげようと思って……その……」 一難去ってまた一難。 早くも下心丸出しの発言をする圭一に、私は手に持っていた買い物袋を見せた。 オズオズとしながら、あくまで恥ずかしそうに……。 幼妻のような上目遣いで、彼の瞳を見つめていく。 「あんまり上手ではないのですけど、圭一に食べてもらいたくて……み~♪」 『!? り、梨花ちゃん……そんなに俺のことを? お、お、俺のためにぃぃっ!!!』 この幼女、俺にベタ惚れだ! とでも思ったのだろうか。 圭一はガッツポーズをしながらまるで子供のように喜んだ。 それを見て私は、ああ、やっぱり単純ね……とあらためて思い、彼にキッチンへと案内されていくのであった。 そうして案内されていくと、そこもまた驚くほど素敵なキッチンだった。 水周りやガスコンロはとても広く設計されていて、女の私から見てもこれなら使いやすいだろうなと人目でわかるものだった。 私が今日ここで料理することをお母様は知っていたのか、テーブルの上にはすでにいくつかの食器が並べられていて、すぐにでも夕食を広げられそうなほど綺麗に整頓されていた。 「あぅ、ウチとは大違いのお台所なのです……」 「ほんとね。 どこぞのスケベ男の家とは思えないほど、綺麗で素敵なキッチンだわ……」 これで圭一さえ変態じゃなければ完璧なのになぁ……と悪態をつきながら、私はバッグの中から持ってきたエプロンを取り出し体に身につけた。 さすがの圭一も料理を始めてしまえば大人しくなるだろうと考えていた私は、まずすでに置いてあったお鍋に水を入れていった。 蛇口から勢いよく流れる水があっというまに中を埋めると、次にその鍋をガスコンロの上に持って行く。 「よいしょっ……と。 羽入、圭一は何してる?」 「向こうでテレビを見ているのです。 とりあえずは平気そうなのですけど……」 そう言って羽入は、リビングでくつろいでいる圭一をチラチラと警戒していた。 さすがの彼もこんなときに手を出そうとは考えないのか、私がこの場にいないかのように見ているテレビに没頭していた。 料理のできない自分には手伝えることがないと思い、邪魔しないようにとああしているのだろうが……。 それはそれでちょっと寂しかった。 「なんか、ちょっと意外ね。 なにかちょっかい出してくると思ったのに……」 「いや、きっとあれは『溜めている』のです。 今夜梨花の体を思う存分いたぶろうと、やつはじっくりおのれの牙を研いでいるのですよ!」 「いや、テレビ見てるだけじゃない……」 あいかわらずずれたことを言う子だなぁと思いながら、私は立てかけてあったまな板を取り出し、その上に持ってきた材料を並べていく。 あらかじめ持ってきておいたお野菜。 じゃがいもやたまねぎ、にんじんなどをまな板の上に次々と乗せていく。 「あぅ……梨花、あのスケベにいったい何を作ってあげるつもりなのですか?」 「いいかげん、ちゃんと圭一って呼んであげたら?…………肉じゃが」 「あぅ? 肉じゃが?」 私の言葉に、羽入がおかしいなといった顔をする。 なぜならそれは、普段の私のレパートリーに入っていない料理だったからだ。 「あぅ、どうして肉じゃがなのですか? 梨花そんなもの作れましたっけ?」 「……とりあえず料理の仕方だけレナに教えてもらったの。 今日の帰りにね」 「……今日の帰り?」 今日の帰りとはつまり、この罰ゲームが決まった部活の後ということだ。 私は今夜圭一の家に泊まりに行くことが決まったあと、わざわざレナにこの肉じゃがの作り方を教わったのだ。 べつに自分が作れるものを作ればいいのに、わざわざ人に教わってまでこれを作ろうと思った『理由』に……羽入がハっと気づくような素振りをする。 「ま、まさか梨花……あのスケベのために? この『男がもっとも喜ぶといわれている料理』を、わ、わざわざ教わってまで?」 「!? ば、ばか!ちぁぐわよ! あ、噛んだ。 そ、そうじゃなくて! べ、べつにそんなつもりじゃ……!」 顔を赤くしながら、私はおもわず羽入の言葉に手に持っていた包丁をブンブンと振り回してしまった。 それが目の前の実体の無い彼女の体をズバズバと切り刻んでいったが、そんなことではダメージを受けない羽入は更にいらぬ口を開いていく。 「あぅあぅあぅあぅ! 梨花、顔真っ赤なのです! め、目を覚ますのですよ! あんな変態になに本気で惚れてるのですかぁっ!」 「!?……ほ、惚れてなんてない! ば、ばか羽入! なに勘違いしてんのよ! そ、そんなわけないでしょ!」 「あぅあぅあぁぁぁぁぁっ!?ツンデレの常套句なのです! おもいっきり惚れ込んでやがるのです僕の梨花がー! 僕の清い巫女があんな男にー!」 「……だ、だからちがうって言ってんでしょうがぁぁぁぁっ!!!」 いつまでも口を閉じようとしない羽入に、ついに私は大声まで出して彼女の体をザクザクしていた。 はたから見ればその光景は、包丁を振り回しているあぶない女の子がいるだけだろう。 「あぅあぅっ! つ、つまり今夜は、肉じゃがで圭一をゲット大作戦だったのですか? だから僕がいくら止めても聞いてくれなかったのですか!」 「う……べ、別に圭一にこれを食べさせてあげたいとかじゃないわよ! た、ただ」 「あぅ、ただ?」 「ただ……は、初めて男の人に作ってあげる料理だから、それで何か特別なものがいいなぁとか思っただけよ! それだけ!」 「いや……それってようは、同じことだと思うのですけど?」 「!? う、うるさいうるさい! あんたは少し口を閉じてなさい!」 羽入の鋭い指摘に、私はさらに顔を真っ赤にしてまな板の上のじゃがいもを真っ二つにした。 そういえばレナにこれのレシピを聞いていたときにも、彼女は何か含みのある笑い方をしていたような気がする。 はぅ~梨花ちゃん、まるで恋する乙女モードだね♪と言わんばかりの……。 そんな自分でも有り得ないと思っている想像を押し殺そうと、私は目の前の野菜を切り刻んでいった。 「あぅあぅ、そんなにしたらお野菜がかわいそうなのですよぉ~梨花~?」 「あ~そうね。 どっかの誰かさんの体が切れなかったから、ストレスが溜まってしょうがないわ」 そうしてダンダンと音をさせながら、私はまな板の上のものを『調理』していった。 その間も羽入が後ろでちょろちょろとうるさかったけど、何も聞こえないふりをしてなんとか全ての野菜を切り終わったのだった。 「ふぅ……とりあえずこれで終わりっと。 次は……」 「り、梨花ぁ……」 「うるさいわね。 口を閉じてろって言ったで……しょ……?」 羽入の呼びかける声をとがめようとした、その時。 私の前のまな板にヌっと大きな影が現れた。 それはあきらかに人の形をしたもので、それだけで私は背後に誰か立ったということがわかってしまった。 「!?……は、羽入っ!」 「あぅ、だって梨花が黙ってろと言うから! あぅあぅあぅ~」 たしかに言ったが、これは例外だろう……。 そう思ったときにはすでに遅く、彼はもう私の背中にピッタリと近づいていた。 ハァハァというあの危険な吐息が、耳元に絡みつくように感じられる。 それに私は、意を決して口を開いていく。 「みぃ……。 圭一、まだお料理は終わってないのですよ?」 『ああ、そうなんだけどな。 でもなんか、梨花ちゃんがエプロンして可愛く料理しているとこを見てたら……俺』 そうして息を荒げながら、圭一は目の前に立っている私の髪にピタっと鼻を付けてきた。 一応……あくまでも一応、だが。 家でお風呂に入ってから来ていた私には、そこから漂うシャンプーの香りを彼に嗅がれているのだなとわかった。 『ん~いい匂い。 梨花ちゃんの髪すっげえいい香りだぜ……。 風呂に入ってから来たのか?』 「は、はいなのです。 圭一のお家にお邪魔するので、し、失礼のないようにと……」 いい訳がましい言葉が、逆になんか『誘っている』ようなふうに聞こえてしまう。 普通に考えれば、男の家に泊まる女があらかじめお風呂に入っているなど……それをある程度期待しての行動としか取られない。 たしかに私はまだとても女といえる年齢ではないが、このスケベな圭一にはそんな常識が通用しないのをよく知っている。 目の前の梨花ちゃんは。 俺の家に来る前に。 自分の体を綺麗にしてきている。 その都合のいい事実だけが彼の頭に入り、もはや圭一は私がオッケーサインを出しているものと思っているだろう。 『梨花ちゃん、俺、今日はそこまでなんて考えてなかったけど……。 こんなちっちゃな体で、お、俺のこと受け入れてくれるのか? い、いいのかよ、なぁ?』 「え、えーと……」 完全に勘違いしてしまっている圭一に、私はこの変態どうしたものかと考え込んでいた。 力ではまるでかなわないし、ましてやここで嫌がって逃げようとすれば……。 『梨花ちゃん……? そ、そうか、そういうのが好きなんだなっ!わかったぜぇぇぇっ!』 「い、いやー!いやなのですぅ圭一ーっ! あ、あっー!?」 ……なんて状況になりかねない。 もはや欲情全開の圭一には、それすら私が誘っているものとして考えてしまう恐れがあるだろう。 しかたなく私はこういう時に頼りになる。 かどうかわからない神様に助けを求めることにした。 「は、羽入! 助けて羽入! このままじゃ私、圭一に……」 「犯されてしまうのですね。 でも、いいのではないですか? そんなに惚れているなら~」 「だ、だからちがうって言ってるでしょ! ていうか、それでもこんなキッチンでむりやりなんてやだやだーっ!」 私の必死な訴えに、羽入はしょうがないですねぇと呟くと、何も言わずただ私の右手を指差した。 さっきまで野菜を切っていたため、そこに握られていた……黒光りした包丁を指差したのだ。 「……? こ、これがなんだっていうのよ?」 「簡単なことなのです。 それで圭一の体のどこでもいいから、ブスリとやってしまえばいいのです! さあ早く!」 「!? ば、ばばば、ばかなこと言ってんじゃないわよ! い、いくらなんでもそんなことできるわけ……」 たしかにこのままレイプされるのは嫌だが、いくらなんでもそれはやりすぎな気がする。 圭一はこんなにもスケベでどうしようもないけれど、一応私達部活メンバーの仲間なのだ。 ……別に好きだからとかそういうわけじゃない。 「あーそうなのでしたねー。 梨花は圭一にベタ惚れですからそんなことできませんでしたねー僕うっかりでしたー」 「だ、だからちがうって! しかもなんでそんなふうに言うのよ……って、きゃあっ!」 羽入の微妙にやる気のない言葉に戸惑っていると、ついに背後の圭一が私の体に手を伸ばしてきた。 その左手がキャミソールの上から胸を撫で、右手はスススっとスカートの中に差し入まれてくる。 「みぃ! け、圭一、やめてなのです……こんなこと、悪いネコさんのすることなのですよ?」 『わかってる。 梨花ちゃんはこんなにちっちゃい女の子だもんな? や、優しくするからな……』 「そ、そういうことじゃないのですぅ……ふあぁぁん!」 私の言うことをまるで聞かず、圭一はそのまま薄い胸をサワサワと撫でたり、スカートの中のショーツをゴソゴソとまさぐってくる。 一瞬、羽入の言うとおりこの包丁で刺してやろうかという殺意が沸いたが、そこはなんとかクールな頭でガマンする。 「うう……は、羽入、羽入ぅぅぅぅっ!」 「あーはいはい、わかりましたですよ! 僕だってこんなスケベに梨花が汚されるの見たくないですから……」 ようやく私の悲鳴を本気だと受け止めてくれた羽入は、今度は圭一の下半身。 私の体を触って興奮しているのか、こんもりと膨れ上がっているその股間をピっと指差した。 「……へ? ちょ、ちょっと羽入! 本気で助けてって言ってるでしょう!」 「だから本気なのですよ! だいたいこんなことになったのは梨花にも原因があるのです! 罰ゲームとはいえ、お料理を作ってあげたり! 髪からお風呂上りのいい香りを漂わせたり!」 「う……そ、それはそうだけど。 でもそれと、こ、この圭一の……」 場所が場所だけに、私は羽入の指差しているところをチラっと覗き見る。 そこはもう痛そうなほどパンパンに膨れ上がっていて、よく見るとかすかにビクビクとズボンの布を押し上げていた。 その卑猥な動きに、おもわず顔が真っ赤になっていく。 「この、す、すごいことになっちゃってる圭一の股間と……な、なんの関係があるのよ!」 「あるのですあるのですよ! いいですか梨花? 男という生き物は愛だなんだと口では言いますが結局! とどのつまりっ!」 そうして羽入はふたたびビシっと圭一の股間を指差す。 なんだかまだまだ大きくなっているような……そこをもう一度見る。 「ここのみで生きている生物なのです! この今まさに圭一のビクビクとしている……これ! これが梨花を苦しめている原因なのですぅ!あぅあぅあぅーっ!」 「…………………」 あんたどうしたの……というほどのテンションの高さに、私はドン引きだった。 たしかに何百年も生きてきた彼女が言うだけあり、背後の圭一のスケベったらしい顔を見るとそれなりに説得力もあるように思えるが……。 だからといって、これを私にどうしろというのか。 「わ、わかったから……で、圭一のこれをどうするのよ? け、蹴飛ばせとでもいうの?」 「ちがうのです、逆なのです! 圭一のこれを満足させてやればいいのですよ! そうしたら少なくとも、今の梨花は助かるのです!」 「な!? ちょっと、ま、満足っていったって……」 なんとなく言ってることはわかるが、見るだけでも恥ずかしい私にこれ以上何をしろというのか。 そうしてドギマギしていると、羽入は勇気を出して!ほらその手を!などと言って、私の行為を後押ししようとする。 一方、圭一はそれで真っ赤になる私にまたもや変な勘違いしたらしく、なんとスカートに入れた手で中のショーツをずりずりと降ろし始めたのである。 「ひゃ、ひゃあん! 圭一ダメなのです! ボクのおパンツ降ろしちゃイヤなのですよぉ……」 『大丈夫だよ梨花ちゃん。 そんなに恥ずかしがらなくても、俺はまだ生えてない方が興奮するから……な? 見せてくれるよな?』 「そ、そういうことじゃ……あ、ダメ、ダメなのですよぉ! あっー!」 そうして、私のショーツはついに下まで降ろされてしまった。 ご丁寧にも圭一は足の付け根まで綺麗にそれを脱がすと、私の可愛いプリントのされた布を顔にまで持っていった。 そしてそれの匂いを嗅ぐ様に……スースーと息を吸いだしたのである。 『あーいい匂い。 梨花ちゃんのパンティ、お日様の匂いがするぜぇ……はぁはぁはぁ』 「………………へ、変態」 だめだこの男……早くなんとかしないと! しかたなく私は、さっき羽入が言っていたとおりにしようと彼の股間に目をやった。 あいかわらずそこはすごい大きくなっていたけれど、もはや羞恥心など考えている余裕はない。 私は圭一の……その男性器にピタリと手を置いていった。 『……うっ!? り、梨花ちゃん?』 「う、動いてはいけないのですよ? 圭一」 突然のことに、圭一はビクンと体を震わせて驚いていた。 同時に私は体への愛撫も止めさせるため、彼に動くなと声をかけていく。 はからずも羽入の言ったとおり、圭一はそれだけでピタリと体を止めて抵抗しなくなったのである。 「ほ、ほんとに効き目あるのね。 それともスケベな圭一だから?」 「男はみんなこういうものなのです! ほら梨花、そのまま手をこう……撫でるように動かすのです!」 「わ、わかってるわよ……」 正直不本意だったが、私はしょうがなく圭一の股間に置いた手をスリスリと動かしていった。 動かし方はよくわからないが、とりあえず羽入の教えてくれたとおり。 上下に優しく撫でるようにすると、圭一の口からうぅっとうめき声のようなものが漏れていった。 ズボンごしにでもわかるその大きさと硬さが、私の手のひらいっぱいに感じられていく……。 「羽入……。 これなんか、す、すっごく大きいんだけど? おまけにすごくカチカチで……へ、平気なの? こんなになって?」 「それはむしろ圭一が喜んでいる証拠なのです。 梨花の手がきもちよくて、梨花にもっとして欲しくて、そんなになっているのですよ?」 「え……わ、私にして欲しくてって……」 羽入の言葉が、圭一は梨花のことが好きだからこうなっている……というふうに聞こえた。 たしかに圭一は私にセクハラばかりしてくるけど、もしかしたらそれは、私のことが好きだからしている? そう考えていくと、この苦しそうな股間もどうにかしてあげたいという気持ちになるから不思議だった。 「そ、そうよね。 圭一だって男の子なんだし……今日の罰ゲームだって、もしかしたら私と二人きりになりたかったから……」 「ということはないのです。 まあきっと、この手が魅音やレナや沙都子でもビンビンになったでしょうね。 男はそういうものなのです、あぅあぅあぅ」 「!?…………は、羽入ぅぅぅぅぅっ!」 乙女モードになった私を、羽入は待ってましたとばかりにぶち壊しにした。 しかもそれに合わせるように、圭一が私に対して信じられない言葉を言い出したのだ。 『う……梨花ちゃんってスケベな女の子だったんだな。 こんなにちっちゃいのに、男のペニスを自分から触るなんて……』 「!? ち、ちがうのです! ボクは羽入に……!」 言われてやらされたとは言えなかった。 圭一に羽入のことが知覚できるわけがないし、そんなことを言っても信じてもらえるわけがない。 しかたなく私は圭一の言うとおり、エッチな女の子のようにその股間を擦るしかないのだった。 『あぁ……き、きもちいいぜ梨花ちゃん。 ずいぶん慣れてるんだな?』 「そ、そんなことないのです。 圭一のために、よ、よくわからないけど……やってあげているのですよ?」 『嘘つけ、このやり方はあきらかに慣れている感じだぜ? 一、二本咥えたことありますって感じだぜぇ? くっくっく』 「み、みぃぃ~……」 私を辱めるためにわざと言っているのか、それとも本気でそう思っているのか……。 圭一はサドっ気たっぷりの目で、巧みに股間を撫でる私を罵倒する。 このやり方もそもそもは羽入に言われてやっているもので、彼のこうした言動も彼女の引き出した罠だったんではないかと思えてくる。 「羽入……な、なんかものすごいエッチな子だと思われちゃったじゃない! ど、どうするのよ!」 「あぅあぅ~大変なのです。 こうなったら、圭一のおちんちんを最後まで満足させてあげるしかないのですねぇ~」 「さ、最後までって……?」 そうすると羽入はまたもやツンツンと圭一の股間を差し、今度は直接これに触れと合図する。 ズボンの上からでも恥ずかしいのに、このまま直にそれを触れというのか……。 さすがにそこまでするのはちょっとためらわれた。 「む、無理よそんなの……。 は、恥ずかしいっ!」 「ここでやめたら、圭一はたぶん梨花にむりやり襲い掛かるのですよ? 『そんなに男のペニスが欲しいなら、今すぐブチ込んでやるぜぇ~~っ!』とか言われて終わりなのです。 あぅあぅ~、梨花の純潔もここまでなのです」 「う……ううぅぅぅ~っ!わ、わかったわよ! やればいいんでしょやればーっ!」 羽入のある種もっともな意見に、私は半ばやけになりながら圭一のズボンのチャックに手をかけた。 パンパンに張ったそれはとても降ろしにくかったけど、力いっぱい下げるとそれが中から飛び出るように露出した。 彼の下着を突き抜けて、あろうことか私の手のひらの中にそれが……出てきたのである。 「!? あ、あああ、け、圭一のが、手、手に! 私の手の中にぃぃっ! は、羽入ぅぅぅっ~!」 「落ち着くのです! さっきまで一応触っていたところではないですか! ちょっと硬いソーセージくらいに思っておくのです!」 「そ、そんなこと言ったって……ひっ!や、やだやだなにこれ! 私の手の中で、ピ、ピクピクしてる!」 直接手のひらで触れると、それはほんとに驚くほど硬く大きいものだというのが実感できた。 おまけに圭一のそれは私の手の上できもちよく……ドクッドクッと脈を打つように震えていたのである。 『くぅ……ま、まさか直接触ってくれるとは思わなかったぜ。 ほんとに梨花ちゃんはペニス大好きな女の子だったんだなぁ?』 「ち、ちがうのです! ボ、ボクはおちんちん大好きっ子なんかじゃないのです……」 『くっくっく、そうかなぁ? 今だってほら、俺のこれを手の中で嬉しそうに転がしてるじゃんか? ほんとはちんこシゴくの好きなんだろー、なー?』 「ち、ちがうちがう、圭一のイジワル……」 圭一はもはや自分が主導権を握っているとばかりに私を罵っていた。 実際私はこうして彼のおちんちんを手にしているし、羽入に言われたとおりやんわりとしごいていたりもする。 だがそれはあくまで、この状況を抜け出すためなのである。 けっして自分から触りたいとか……そんなことは……。 「は、羽入……なんだかこれ、ほ、ほんとにすごいわよ? 私の手の中でこんなビキビキになっちゃって……すごいの」 「それはきっと梨花の手が上手だからなのですよ。 オヤシロ様の巫女である梨花は、なんとおちんちんを扱う才能まであったということです。 まったく汚らわしいですねぇ、あぅあぅあぅ……」 「!? そ、そんなこと言わないでよ……あんたまで……」 圭一にペニス大好きな女の子と罵られ、羽入におちんちんを扱う天才だと罵られ……。 私はまるで、自分が本当にそんな女の子であるような気がしてきてしまった。 手をずっと動かしていたせいか、いつのまにか呼吸まで荒くなっていて……これじゃあまるで私も興奮しているみたいだ。 「ん……お、大きいのです。 圭一の……はぁ」 『……なぁ梨花ちゃん。 ほんとは今すぐ俺のこれが欲しいんだろう? そんなに息荒くしてよぉ』 「!? ち、ちがうのですっ! これはちょっと疲れただけで、そんなつもりじゃ……」 『嘘つけって。 俺のこのビンビンにでかくなったペニスを、この……』 すると圭一は突然、ガバっと大きく私のスカートをめくり上げた。 さっきショーツが脱がされていたため、そこには何も履いてない可愛いわれ目が露出してしまう。 「!? ひゃうんっ! け、圭一!」 『このちっちゃなお○んこに入れてもらいたいんだろっ! なあっ!』 「あ、あぅぅっ! そんなこと思ってないのですよぉ……」 『どうかなぁ? こりゃあ今夜一晩かけて、オヤシロ様の巫女がしっかり純潔を守っているか調べてやらないとだなぁ? くっくっく……』 急に声を荒げる圭一に、私はビクっと体を震わせて怯えた。 こんなの、いつもの私のペースじゃない……。 スケベで変態な圭一を、逆に私があしらうくらいが正しい形のはずだ。 なのになぜか頼っていた羽入にまで罵られ、手の中でビクビクと血管を浮き立たせるそれを見ていると……どこか自分の中の感情が抑えきれなくなっている。 「は、羽入? なんか圭一のこれ、ビクビクって……は、破裂しちゃいそうなんだけど、どうなるの?」 「あぅあぅ~、それはきっともうすぐ射精する合図なのですよ。 梨花のスケベな手つきにたまらず、圭一はドピュドピュしちゃいそうなのですねぇ?」 「ス、スケベって……なんであんたまでそんなこと言うのよ。 これはしかたなくやってるんだって知ってるでしょ?」 「ほーしかたなくだったのですか。 その割には、梨花はずいぶん興奮しているように僕には見えたのですけどぉ~?」 「う……あ、あんたいつからそんなに……」 ドSになったの……? 羽入はいつのまにか、圭一と同じような突き刺さる目つきで私を見ていた。 普段からイジメられていたことへの仕返しのように、こんな卑猥なことをする私を淫乱な巫女だと言わんばかりの目で見つめていたのである。 「ほらほら、そのままもっと激しく動かして圭一を射精させてあげるのですよ? 梨花もおちんちんがドピュってするところ、見たいのでしょう?」 「み、見たいわけないでしょ。 そんな恥ずかしいところ……ばか」 「あぅあぅ~そうなのですか? てっきり僕は、梨花は古手家歴代一位の淫乱だとくらい思っていたのですけど。 そうですか~、見たくないのですか~」 「くっ……あ、あんたこれが終わったら覚悟してなさいよ……」 とにかくこの手に握りしめているものを鎮めないことにはどうにもならない。 私は羽入の言うようにその手を激しく動かし、圭一のおちんちんを射精とやらに導いていった。 手首を前後に動かすたび彼のおちんちんの先から何か透明な液が噴き出し、それがピチャピチャとエプロンの前にかかっていく。 『くうぅ! す、すげえぜ梨花ちゃん! なんて上手な手コキだ! こりゃあやっぱり相当数をこなしてるなぁ?』 「いいから早く……しゃ、射精をするのです圭一。 ボクは早くお料理を続けたいのですよ……」 『くっくっく、それはペニスのお料理をって意味かぁ? なぁ淫乱梨花ちゃんよぉ?』 「!?……く、あ、あんたも後で覚えてなさい……」 圭一と羽入。 二人のドSに挟まれながら、私はその手にしたおちんちんを乱暴にしごいていった。 だんだんと先っぽの割れているところが開き始め、初めての私でもここから何か出てくるの?と感じ、その部分をジーっと観察した。 パックリと割れているそこはもうとめどないほど液を吐き出し、ビチャビチャと私の手や腕を容赦なく汚していった。 「なにか出てきそう……しゃ、射精っていうのが起こるの、羽入?」 「そうなのです。 白いのがい~っぱい出てくるのですよ? それを浴びた女の子は、その男の子供を身に宿すのです」 「へぇ、そうなの…………子供?」 羽入の言葉に、一瞬、私は今自分が置かれている状況を考えた。 圭一が仁王立ちし、その下半身の目の前にいる私。 いまその白いものがこのおちんちんから出たら、それは私の体にかかってしまうのでは? さっきから出ている透明なものでさえ顔や手にかかっているというのに、更にそんなものまで体にかけられたら……私は妊娠する? 彼の子供を? 『く……い、いくぜ梨花ちゃん! そんなに俺の精液が欲しいなら、そのスケベな体で受けとめやがれぇぇぇぇっ!!!』 「!? ま、待ってなのです圭一! 今出したらボクにかかっちゃ……!」 ビュル! ビュルルルルッッッ!!! ドビュルルルルッッッ!!!!! 私が言葉を言い終える前に、圭一のペニスからミルクのような液体が発射された。 先っぽの割れ目からドピュドピュと吐き出され、とても濃い液が次々と目の前の私に降り注ぐ。 反射的にそれは浴びちゃいけないと思ったが、彼は私の体をガシっと掴んで逃がそうとしなかった。 「!? い、いやぁっ! かけちゃダメなのですっ! 圭一ぃぃっ!」 『何言ってんだ! これが欲しかったんだろう! ほらほらその可愛い顔にぶっかけてやるよぉぉぉっ!!!』 ドビュル! ドピュピュピュピュッー!!! しっかりと抑えつけられた体に、ビチャビチャと生温かい液体がかけられていく。 毎日家で沙都子と交代で使っている可愛いエプロンに降り注ぎ、そのままそれが下に向かって剥きだしの足にドロリと……。 その勢いのすごさに腕や首すじまでもがまんべんなく白く染められ、おもわず顔を隠そうとした手も払いのけられ、彼の子供の元が容赦なく私の顔面をグチャグチャと汚していく……。 「み、みぃぃ~っ!ダメなのですダメなのです! 赤ちゃんできちゃうのですよぉぉあうぅぅぅっっ~!!!」 『はっはっは、そうだそうだ! 俺の子供を妊娠しちまうほどたくさんぶっかけてやるぜ~っっ!』 ビュルルッ! ビュルッビュルッ!!! ドビュウゥゥッッ!!! ビチャっとした固まり、そしてヌトリした液体が顔じゅうにパックするように塗りたくられていく。 圭一はそんなにも……私のことを妊娠させたいの? そんなことを考えながら、私はその生温かいドロリとしたものたちを浴びていった。 そしてそのまま体じゅうの全てを汚されたと感じたとき……ようやく彼のペニスはその動きを止めた。 『くっくっく、どうだ梨花ちゃん? 俺の精液の味はよぉ?』 「あうぅ……ひどいのです圭一……。 こんなにたくさん……ボク、絶対赤ちゃんできちゃったのですよぉ……」 自分の体からのぼるむせ返るような匂いに、ああ、私は汚されたんだな……と感じた。 圭一の家に来た時点である程度は覚悟していたけれど、それがこんなにも悲惨なものになるとは思わなかった。 好きな人の家に来たはいいけど、まさかこんなふうにされるなんて……。 まさか妊娠させられるところまでいかされるとは思ってもみなかった。 「あぅあぅ~梨花かわいそうなのです。 ドロドロにされちゃったのですよぉ……」 「ばか……あんたがこうしろっていうからしたのに……ひ、ひどいじゃない。 まさかこの年で赤ちゃんができちゃうなんて……う、う、う」 妊娠させられたという悲しい現実に、私はおもわず涙を流してしまった。 よく考えたらこれは、全て私の体に九代目を宿させるための羽入の作戦だったのかもしれない。 最初にここに来るのを止めていたのだって、やめろと言われるとやりたくなる、人間の心理を逆手にとったものであるにちがいない。 現にこうして彼女の言うとおりにしたら、私は圭一に妊娠させられた。 信じていた羽入に裏切られたという事実が、ただ私の胸を切なく苦しめていった。 「ばか、ばか……あんたなんて嫌い! だいっ嫌いっ!……う、う、うぅぅ」 「あぅ~そんなこといわないでなのです……梨花」 いまさらそんな申し訳なさそうな顔をしたって無駄だと思った。 全ては羽入が裏切ったことから始まったのに、これが冗談でしたということにもならないかぎり……。 「あ、ちなみに妊娠なんてしないのですよ? その白いのは梨花のお股に入らないと意味ないのです」 「う、う……ぐしゅ……え?」 「だ・か・ら、赤ちゃんなんてできないのです。 というかそもそも梨花は初潮すらまだなのですから、子供なんてできるわけないのですよ」 「え……で、できないって……?」 「つまりあれですよ……。 梨花ばっかでぇ~、騙されて泣いてやんの~ってことなのです。 あぅあぅあぅ~♪」 「…………………」 羽入のその言葉に、だんだんと頭の中がクールになっていく。 まだ体じゅうが精液まみれだったが、今はとりあえずもっとも効率よく、かつ適切に彼女を殺す方法を思い浮かべていく。 まず私はまな板の上にあった包丁を取り、二番目に殺したい人物にゆっくりとそれを向けていった。 『ふぅ~気持ちよかったぜぇ、梨花ちゃん。 いやーこんなに出たのは初めてだなぁ。 もうすっごく気持ちよく……て』 圭一が何やら感想を言っていたが、今はとりあえずその私を汚した肉の棒にスっと包丁をあてていく。 いや、これは肉じゃなくて海綿体だったか……。 それなら切り落とした時、さぞかし血がドバドバ噴き出るのだろうとむしろ好都合だった。 『!? お、おいおい梨花ちゃん、冗談きついぜ~? そんなとこに当てたら、あ、あぶないよ~?』 「うっさいわね、そんなことわかってんのよ。 そのよく喋る口閉じないと、今すぐ切り落とすわよ?」 『!?…………は、はい』 圭一は私の口調と行動に一気に怯えたのか、あきらかに萎縮してしまっていた。 急所であるところにピタリと刃物を当てられているのだから無理もないが、所詮、彼も強者には逆らえないただのオスだったというわけだ。 今夜、私の体が純潔かどうか確かめるとか言っていたが……。 むしろ私がこの汚れた体を祓ってやろうか?と考えながら、ゆっくりと口を開いていく。 「ねぇ、圭一。 あんたの家に、何かキムチ的なものはある? もしくわすごく苦いものとか……。 まあなんでもいいわ、そんな感じの」 『キ、キムチ……ですか?』 私の放った言葉に、包丁を突きつけられた彼よりも一層それを恐れた女がいた。 背後からなにやらあぅあぅと慌てる声が聞こえてくるが……今はそんなことはどうでもいい。 とにかく早くこの女を罰しなければ、殺さなければという考えだけが頭の中を占めていく。 『え、えーとたしか。 親父が通販で買った……激辛本場キムチとやらが、れ、冷蔵庫にありますけど……?』 「そう。 じゃあそれをここに持ってきなさい。 冷蔵庫って、そこのでしょ?」 『は、はぁ。 でも梨花ちゃんなんでそんなもの……』 「いいから早く持ってこいって言ってんのよ! それともこの***今すぐブチ切られたいのっ!!!」 『!? は、はいはいはいっ!!! 不詳前原圭一すぐに梨花様にキムチを持ってくるでありますぅーっ!!!』 最初からそうしていればいいものを、圭一はようやく私が本気だということがわかったように冷蔵庫に走っていった。 そんな情けない彼を見ながら、私はいままでこんな男のセクハラに怯えていたのかとほとほと馬鹿らしくなった。 男の弱点はペニスだ、と後ろの女がのたまっていたが……。 なるほど、そう考えるとたしかにあそこが弱点ねと納得していくのだった……。
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「けーいーちくーん!」 圭一はその声の聞こえる方に顔を向ける いつもの風景、いつもの香り、その中でも何より大切な… 狂おしいほど愛しい笑顔をこちらに向けて… 「おはよう圭一くん!」 慌てて走ってきたのか、肩で大きく息をしている 「おはようレナ、それにしても珍しく遅かったじゃねぇか。もしかしてお寝坊さんか?」 「ううん!違うよ違うー!お寝坊さんじゃないもん!お弁当作るの遅れちゃっただけだもん!」 レナはぷくーとほっぺを膨らませ子供のようにそっぽを向く 茶色の髪を優しくなでてやる はぅ…と声を出し顔を赤くして俯くレナ その姿が可愛くてしかたない 2人で歩き出す。いつものように… 最近、授業中もレナのことで頭がいっぱいで内容が何一つ入ってこない 青色のぱっちりとした瞳、茶色の綺麗に切りそろえられた髪、ピンク色の潤った唇 レナの全てが俺を魅了する その美しさに自然と惹かれる 俺はきっと…レナのことが好きだ 「─ちゃーん?おーい、圭ちゃーん?」 「うわぁぁぁ!?」 「うわぁぁ!?」 いきなり話しかけられ、びっくりする 魅音だ 圭一の驚きようを見て魅音も驚く 「なっ、なんだよ魅音!」 「何って、圭ちゃんこそ何ボーってしてんの」 「っ…それはっ…」 「もしかして、好きな人でも出来たァ?」 「ばっ!バカっお前!そんなはずないだろ!?」 思わず図星をつかれ慌てる 「あっそうなんだぁ。へへっおじさんが相談にのろうかぁ?」 魅音がニヤニヤして肩を組んで来る 「おいおい勘弁してくれよ」 あまり怪しまれないように軽く流す 「どうしたの?圭一、魅音?」 声のした方を見る。悟史だ 「いや!何も……」 「圭ちゃんねぇ、好きなひ…うぐっ」 咄嗟に魅音の口を手で塞ぎ、悟史になるべく笑顔で話しかける 「いや違うんだ悟史!今日の部活は何かなと思ってだな!ははは…」 上手にごまかせているだろうか?少し不安だった 「……むぅ」 悟史は困ったように喉を鳴らした 休み時間に圭一はお手洗いに行った その時に偶然見た レナと悟史が人目につかないような場所で、話しているところを… こんなところで何を話しているのだろうか? わざわざ人目のない所を選ぶのだ 人気のない場所でしかできない話とすると… 相談?それとも…… 駄目だ考えれば考えるほど悪い方向へ行ってしまう 考えるな、考えるな… その後の部活も俺は休み時間のことが忘れられなかった 「圭一くん、今日は乗り気じゃないのかな?かな?」 レナが圭一の顔を覗き込む 「ごめん、ちょっと具合悪くなっちまった。今日は帰らせてくれ」 途中抜け出して1人帰ることにした 「圭一…くん?」 「何〜?圭ちゃん逃げちゃうの〜?」 と、後ろからそんな声が聞こえてきたが無視した 1人で帰るのは珍しいから少し寂しかった 隣にレナがいるのが当たり前になっていた だが、休み時間に見たことがちらちら頭にでてくるのだ レナは悟史が好きなんだろうか レナは俺の事仲間としか思ってないのだろうか 「……レナ」 さっき別れたはずなのに会いたくて仕方がない 自分から帰っといてなんて身勝手なんだろう しばらくすると家の前に来た 隣を歩くレナがいないとこんなにも道のりが長くなるのかと少し驚く 中に入り、ドアを閉めかけた時… 「圭一くーん!」 圭一は反射的に振り向いた 圭一が今1番見たかった顔であり、今1番聞きたかった声 レナが俺の元へ走ってくる それでも先程いきなり部活から抜け出し、帰ってきたものだから、少し気まづかった レナは息を整えようと大きく息をしている 「レナ、どうしたんだ?」 「け…、圭一くん、具合、大丈夫かな?かな?」 「…レナ、…部活は?」 この少女は、レナは、圭一のことを心配してここまで追いかけて走ってきてくれたのだろうか? こんな俺のために…? 「心配で抜け出して来ちゃった。でももう遅かったね!あはは…」 乾いた笑みを浮かべてレナは残念そうに俯く 「それで、具合は…?」 「あ…ああ…もう大丈夫だよ」 「よ…良かったぁ!レナ、心配したんだよ!」 最初から具合なんて悪くもないのに心配してくれるレナが愛らしく感じる一方自分に腹たった 暫くの沈黙が2人を襲う 先に口を開いたのはレナだった 「じゃ…じゃぁ、まあ明日!圭一くん!」 レナは手を力なく振りながら踵を返した 思わずその手をパッと掴んでレナを止めた 離れたくない、まだ君と一緒にいたい 「あ…えっと…とりあえず寄ってかないか?」 「……うん!」 レナはパァっと表情を明るくし、頷いた 「はうぅ!圭一くんのお部屋!」 レナははぅはぅいいながら圭一の部屋の中を見物していた 「そんな大したものないぜ、ま、ゆっくりしていってくれよ」 「はーい」 圭一の部屋を一回り見たレナは圭一が座っていた横に腰を下ろした また2人に沈黙が襲う 「レナ」 「圭一くん」 どちらも沈黙に耐えられなかったのか同時に相手の名前を呼びハモりが生じる 「あ、ごめん、先に…いいぜ」 「あ…ううん、大したことじゃないから」 「えっ、いやでも…」 「いいから」 「あ、ああ…」 真剣な顔で言われるものだから、圭一が折れた 「あのな、レナ、聞きたいことがあるんだ…」 「?何かな、かな?」 うるさい心臓の音が聞こえない振りをして口を開く 「俺のこと…好きか?」 「うん!好きだよ!」 レナは可愛らしい笑顔で応える 「じゃあ、悟史のことは好きか?」 「うん!好き!」 レナのことだからそう応えるのは正直知っていた レナが仲間を傷つけることを言うわけが無い だが、レナが言った好きはきっと…圭一がレナに抱く『好き』とは違う『好き』 続いて圭一は口を開く この質問の答えが圭一が本当に聞きたかった答えだ 「レナは俺と悟史、どっちが好きか?」 「えっと……ぇ?」 レナは戸惑う 当然だろう レナに、そんな選択、決められるはずがない 「…圭一くん?どうしてそんなことっ…ん!?」 俺は咄嗟にレナの唇に自分のそれを重ねる 重ねると言うより、噛むような勢いだった 「けぃ……ち…くん…やっ…」 レナは酸素を欲しがるように口を少しだけ開けた 圭一はすかさずそこから舌を入れた レナの舌はそれから逃げるように奥に引っ込んだ しかし圭一はレナの舌を捉えると舐めまわすように自分の舌を絡めてきた ねちゃ…ねちゃ…ねちゃ… いやらしい音が口の中から聞こえてくる 「んっ…んぁ……!」 レナの顔がとろけてきて力が入らなくなってきたのか後ろに2人して倒れた しばらくして息が苦しくなってきたレナが圭一の胸元を力ない拳でポンポンと叩いてきた 圭一は惜しむような思いで唇を離す 艶のある銀の糸が2人の唇を繋いだかと思ったらレナの方へ落ちていった 「……はぅ、け…圭一くん?」 とろりとした瞳でレナが圭一を見る 少しの理性を頼りに圭一は口を開く 「俺は…レナが好きだぜ。友達じゃなく、1人の女性として」 「……はぅ」 レナは既に火照っていた頬をさらに赤くした 「レナは、俺を1人の男性として好きになってくれるか?」 「…えっと、んぅ」 圭一は自分で聞いた問の答えを聞くのが怖かった だからまたレナの唇を塞いだ 圭一はたまらずレナの服の中に手を入れた 「圭一くん!それは……やっ…」 2人の恋はまだ終わらない 続く
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前回 ありがとう。~日常の中の幸せ~ ありがとう。 第五部 言葉よりも… 「圭ちゃんはスク水って好きですか?」 「は?…まあ好きか嫌いかで言うなら、好きだな」 と、唐突な質問をしてきた私に、圭ちゃんは不思議そうな顔で答えた。 「そうですか。じゃあ、もし私がスク水を着たら似合うと思いますか?」 「そりゃあ、似合うに違いないさ。詩音の白い肌に紺のスク水のコントラストの組み合わせるは凄い破壊力を秘めている筈だからな」 そうなんだろうか?よく分らないけど、食い付きは悪くないみたいだ。そこで聞いてみた 「…スク水姿見てみたいですか?」 「見たい!」 「正直でよろしい☆じゃあ着替えて来ますね。覗いたら駄目ですよ」 私はクローゼットの中から件のブツを取り出して、脱衣所に向かった。ちなみにこんな事を言い出したのには理由がある。 『嫉妬』である 昨日、部活で珍しくお姉がビリだった。 そして罰ゲームで『スク水を着て縄跳び50回』をしていたのだが、腹が立つ事に圭ちゃんが、それを鼻の下を伸ばして見ていたのである。 そりゃあ圭ちゃんも男の子なんだから仕方無いとは思うけど、私の目の前で他の女に目を奪われているのを見るのは嫌だ。 つまり圭ちゃんには私だけを見ていて欲しいのだ。今以上に。 圭ちゃんがお姉のスク水姿に鼻の下を伸ばしていたのなら、それを上回るスク水姿を私が見せれば良いのだ。 そして私がクローゼットから持って来たのは、ルーチアで水泳の時間で使っていた代物である。ちなみに普通のスク水とは違い左胸にルーチアの校章が入っている。 …入るかな? 最後に着たのは二年程前だったか、とりあえず試してみよう。 私は寝間着代わりのYシャツを脱いで、スク水に足を通し上に持ち上げた。意外にも胸の下まではすんなりと入ったので安心した。でも、やっぱりサイズが小さい。 問題はここからだ。胸が入るか…片側から試してみる事にする。 左腕に肩紐を通して無理矢理肩まで上げ、何とか胸を収める事に成功した。だが右側が入るかは分らない。いや、その前に股に水着が食い込んで少し変な気持ちになる。 続いて右側の肩紐に腕を通して肩まで上げようとするが入らない。ここまで来たら無理にでも着たくなるものだ。私は手に力を込めて肩紐を引っ張った。 「ひぅっ!!」 その瞬間、下半身に強い刺激が走り、私は堪らず床にへたりこんだ。 「はあはあ」 生地に伸縮性があるとは言っても限度がある。小さいサイズのものを着ようと無理をすればスク水の構造上、両肩と股に生地が食い込むのは当たり前だ。 ともかく着れたので結果オーライだ。股に食い込んだ水着を直して、立ち上がり体を軽く動かしてみる。 うん。多分大丈夫だ。難点があるとすれば、体を動かすと徐々に股間に水着が食い込んでくるのと、胸が少し苦しい事くらいだろう。 どうせすぐに脱がされる事になるだろうから問題無い。水着に収まらずはみ出た胸をスク水の中に押し込んだ後、鏡を見てみると我ながら扇情的な格好だと思う。 サイズの小さなスク水が身体のラインを綺麗に浮かび上がらせており、特に胸元は凄い。上手く言えないけど、寄せて上げてって感じである。 これなら圭ちゃんもメロメロな筈だ。うん違いない。 私はYシャツを持って脱衣所を出た。そしてドアをノックした。 コンコン ドアを少しだけ開けて、身体を壁に隠して顔だけを出して部屋の中を覗き見る。 「圭ちゃん。着替えてきましたよ」 「おう。てか何で中に入って来ないんだ?」 「そりゃあ焦らす為に決まってるじゃないですか♪」 「焦らすって…。そんな事言わずに見せてくれよ」 と、圭ちゃんが言って目をウルウルさせて私を見てくる。 普通に見せても面白くないし、昨日のお姉のスク水姿に勝つには今一つ押しに欠ける気がしないでもない。そうだ、良い事思いついた。 私は素直に部屋の中に入って、後ろ手でドアを閉めて言った。 「どうですか圭ちゃん。詩音ちゃんのスク水姿は?」 「こ、これは…!すげぇ!うん!堪りません!」 興奮気味な圭ちゃんの反応に少し満足した私は、圭ちゃんの目の前に座った。 「し、詩音っ!」 そう言って圭ちゃんが私の胸に手を伸ばしてくる。予想通りだ。 パシッ! 私は圭ちゃんの手を軽く叩いて払い除けた。 「え…?」 圭ちゃんが何が起こったのか分らないという顔で私を見る。ちなみに触られたくないから手を払い除けた訳では無い。 「圭ちゃん~。まだ触っちゃ駄目です。そんな節操の無い事をしたら怒っちゃいますよ?」 「おっと!ちなみに私が触って良いって言う前に手を出したら、当分Hさせてあげませんから。ねっ?」 またもや伸びて来た圭ちゃんの手を避けて私はニッコリ笑って、そう言った。 「生殺しかよ!触らせてくれたって良いじゃねぇかよ!」 圭ちゃんがムッとした顔で抗議してくる。 「ま だ 駄 目 で す。Hしたくないって言うんなら別ですけどね」 「はあ…。それは困るから大人しく従っておくよ」 「フフッ♪良い子にして頑張ったら御褒美あげますから、ちょっとの間だけ我慢してください」 私は立ち上がり、再度クローゼットに向かい、圭ちゃんに背を向けて語りかける。 「圭ちゃんは、ニーソックスとハイソックス。どっちが好みですか?」 「…ニーソックス」 ちょっと不貞腐れた声で圭ちゃんが言った。こういう子供っぽい所が可愛いかったりもする。ちょっとキュン☆キュン☆しながら黒いニーソックスを手に取ってベッドに腰掛け、ニーソックスを履きながら言った。 「実は、このスク水かなりサイズが小さいんですよねぇ~。オッパイが圧迫されて少し苦しいし、アソコに水着が食い込んで変な気持ちになっちゃうんですよ~」 「そ、そうか。大変だな」 冷静を装った感じで言っているが、私の胸や下半身にチラチラと視線を向けているのが分る。スケベめ、どうせ見るなら堂々とするべきだ。 ちなみに先程思い付いた『良い事』とは、ギリギリまで焦らして意地悪してやろう。という単純だけど地味に辛いものである。 「ほ~ら見てください。絶対領域ですよ~」 圭ちゃんが以前熱く語っていた『萌え』の美学なる物をうろ覚えだが、わざわざ口に出してアピールする。 「違うっ!絶対領域とはサイハイソックス+ミニスカートの神器が揃って初めて発動するんだ!そもそもサイハイソックスとはニー…もがっ!!」 私は慌てて圭ちゃんの口を塞ぐ。『口先の魔術師』を発動されたら困る。危なかった。 「細かい所は気にしちゃ負けです。スク水とニーソックスの組み合わせでも良いじゃないですか。そこらへんの詳しい所は同好の人と語ってください」 「ああ。だが、これは絶対領域では無い事だけは譲れねぇぞ」 「それで良いですから、落ち着いてください。それはさておき、どうですか。似合ってますか?」 「俺の予想通りだよ。やっぱり詩音は何を着たって可愛いぜ!」 悪い気はしない。いや、凄く嬉しい。よし、本題に移るか。 「じゃあ…お姉と私。どっちの方がスク水が似合ってますか?」 「ん?…ああ~!ようやく解ったぜ。詩音アレか?急にスク水を着るって言い出したのって、昨日の魅音の罰ゲームが原因か?」 ニヤリと笑いながら圭ちゃんが聞いてくる。デリカシーの無い奴め、こういう時は解ってても黙っておくべきだと思う。 「…だって昨日、圭ちゃんがお姉の事を鼻の下を伸ばして見てたし。ああいうのって酷くないですか?私、凄く傷ついちゃいました」 声のトーンを落として言って私は顔を伏せる。やり過ぎかも知れないが、ニブちんの圭ちゃんに私の想いを伝えるには、このくらいが丁度良い。 「あ~そのっ!…詩音の方が似合ってるぜ!うん!凄くスタイル良いし、いつもの詩音の格好とは違って胸がドキドキしちまうよ!」 私の姿を見て、ちょっと焦り気味に圭ちゃんが私のスク水を褒めてくれる。 そして沈黙が訪れる。私が何も反応しないのを見て、圭ちゃんは何か言おうと口を開いては閉じを二、三度繰り返した後、申し訳無さそうな顔でこちらを見ながら言った。 「…ごめん。詩音が傷つくのも当たり前だよな。その…ごめんなさい…」 シュンとした顔で圭ちゃんが消え入りそうな声で謝る。…やり過ぎたか? 今さら 『嘘ですよ~☆圭ちゃん引っ掛かりましたね~☆』 とかは言えない。そんな事を言ったら圭ちゃんは怒るかも知れない。私はお姉と違って空気位読める。 さて、どうしよう…。 こうなったら出た所勝負で行くか。 「他の人を見るなとは言いません。けど私の前では、あんな事しちゃ嫌です」 と言って立ち上がって圭ちゃんの所に行って腰を屈める。 そして両手を圭ちゃんの頬に添えて額同士を合せて言った。 「それだけ解ってくれたら良いです」 「…解った」 「じゃあ、これでこの話は終りです☆湿っぽい雰囲気は嫌いですから…ほら圭ちゃん!こっちに来てください!」 私は微笑みながら圭ちゃんの手を取ってベッドに引っ張って行く。 『ゴメンね圭ちゃん。このお詫びは近い内にするから』 心の中で謝りつつ、圭ちゃんをベッドの上に座らせ、その後ろに自分が座り後ろから抱き付き、耳元で甘い声で囁いた。 「頑張った圭ちゃんに御褒美あげちゃいます。おっぱいでおちん〇んを挟んでゴシゴシしちゃいましょうか?それとも、お手々の方が良いですか?」 「…それって俺が選んで良いのか?」 さっきよりは、ちょっと元気な声で圭ちゃんが聞いてきた。 「良いですよ…。何でもしてあげますから言ってみてください」 「じゃあ胸でしてもらおうかな」 「圭ちゃんも好きですね~。じゃあ、ちょっと失礼します」 私は圭ちゃんの前に移動して、寝間着の上からオットセイを擦り始めた。 「いつもより大きくなってる気がするんですけど、気のせいですかねぇ~」 「う…。詩音の格好があまりにもエロすぎるのが悪いんだよ。そんなん見たら興奮しちまうのは当然だろ」 赤面しつつ答える圭ちゃんを上目遣いで見つつ、私は寝間着を下着ごと膝まで下げオットセイを口に含む。 「あむ…んちゅっ…んん」 根元まで咥えて舌を這わせながら唾液をオットセイ全体に絡ませていく。 「う…あ…ああ」 ねっとりと焦らすかの様な動きに圭ちゃんが気持ち良さそうな声を漏らしているのを聞きながら、口を前後に動かす。数分の間これを続けた後、私はオットセイから口を離した。 「あ…」 名残惜しそうな声を漏らす圭ちゃんを見ながら私は肩紐を滑らせる様にして下げて胸を露出させる。 胸を両手で包み込んで谷間に唾液を垂らして、よく馴染ませた。 そして圭ちゃん寝かせ寝間着を下着ごと足から引き抜く。 膝の上に圭ちゃんのお尻の乗せて足を少し開かせた。 「圭ちゃんのだ~い好きな、オッパイマ〇コですよ~」 そう言って胸でオットセイを挟んで少しづつ上体を沈ませていく。 「あ…うあ!す、すげぇ!」 胸の中にオットセイが全て飲み込まれ、谷間からオットセイの頭が少しだけ覗く。 ぬちゅぬちゅ 胸を包み込む力を強くして上下に強弱を付けながら動かしていくと、その動きに合わせる様にオットセイがヒクヒクと震える。 「し、詩音っ!おあっ!もっと速く動かしてくれっ!!うあっ!」 言われた通りに動きを速くすると、よっぽど気持ち良いのだろうか自分からも腰を動かし始めた。 「そんなに気持ち良いんですかぁ?まだ始めたばかりなのにおちん〇んがヒクヒクしてますよ」 「はあはあ!き、気持ち良いっ!!すぐにイッちまいそうだ!」 「我慢しなくても良いですよ!ほらほらっ!!」 さらに動きを激しくして限界へと導こうとすると、圭ちゃんが快楽から逃れようと腰を引く。それを見て私は、両脇で足をガッチリと挟み込んで身体を深く圭ちゃんの下に割り込ませて動けない様にした。 「逃がしませんよ圭ちゃん♪さあ~早くスッキリしちゃいましょう♪」 段々楽しくなってきた私は、声を弾ませながら攻め続ける。 「ああっ!!ちょっ!や、やめ!!うあっ!!」 圭ちゃんが身を捩らせると胸の中でオットセイが暴れ、私も気持ち良くなってくる。 「あんっ!そんなに暴れたらっ!私も気持ち良くなってきちゃうじゃないですか!」 「も、もう無理っ!!あ、あぐっ!!あっああっ!!!」 「きゃっ!」 勢い良く射精され、顔にまで飛んで来たので驚いてしまった。 射精し終わるまで胸で優しく擦りつづけ、次第にオットセイがヒクヒクと微かに痙攣し始めるのを胸の中で確認した私は、圭ちゃんに行なっていた拘束を解除する。 「はあはあ…っはあ。詩音…やり過ぎだろ」 右手で顔を覆い、ちょっと弱々しい声で圭ちゃんが呟く。 そんな可愛い反応を見た私は思わずニヤリと笑ってしまうのを感じつつ、顔に付いた精液を指で掬いながら言った。 「だって~毎回胸でしてあげたら、すぐにイッちゃうから面白くて面白くて…けど逃げようとした圭ちゃんも悪いんですよ~」 精液を口に含んで唾液と混ぜ合わせて飲み込み、次に自分の胸に舌を這わせて精液を舐め取って、同じ様に口の中で咀嚼して飲み込む。 初めは苦手だった精液も馴れれば、何故か美味しく感じてしまうから不思議だ。 「言い返せない自分が悲しいぜ」 と言って圭ちゃんが起き上がり私を優しく押し倒す。 「けど詩音に気持ち良くして貰って嬉しいっていう気持ちの方が勝っているから気にならねぇ。次は俺が詩音を気持ち良くさせる番だな」 「まだ触って良いなんて言ってませんよ?けど…今言ってくれた言葉が嬉しいから良いです。…たくさん気持ち良くしてください」 「ああ!任せとけ!じゃあ、まずは…」 圭ちゃんの顔が近付いてく…あれ? あと数センチで唇が触れるという所で圭ちゃんが動きを止めた。 「と、思ったけど詩音からキスして貰いたいなぁ」 ちょっと呆れつつも、冗談が言える位には元気になった圭ちゃんにホッとした。 「もう…」 私は圭ちゃんの首に腕を回して顔を近付け唇を重ねる。 「ん…んふぅ…ちゅ」 舌を絡ませ合いながら圭ちゃんの手を秘部へと導く。スク水を着た時から刺激を受け続けたので疼いて仕方が無い。 「んんっ…」 圭ちゃんが水着の上から割れ目に沿って優しく愛撫してくれる。私は身体の力を抜いて甘い刺激に身を委ねた。 「凄い濡れ方してんな。スク水までグッショリと…詩音はいやらしいなぁ~おい」 と、私の唇から口を離して、圭ちゃんが耳元で囁く。 「んぅ…だって、はあ…水着が食い込んで…んんっ!あっ!」 言い訳は聞かないとばかりに、クリトリスを強めに摘まれる。私は堪らず首に回した腕に力を込めて抱き付き身を捩る。 「あっ!あっ!ら、らめぇ!そんなに強くしたらぁっ!あうっ!はひっ!!」 クリトリスばかり執拗に刺激され気が狂いそうになる。快楽から逃れようとしても身体を組伏されていては、なす術は無い。 「へっ!さっきのお返しだ!オマケを付けて返してやるよ!」 「あうっ!やぁ!!あっ!あっ!」 胸に圭ちゃんが荒々しく吸い付き、歯で甘噛みしてくる。頭の中がグチャグチャになって何も考えられない・・・。 「ひぃっ!!あぐっ!はあん!!あっ!!ああっ!らめぇっ!らめぇぇっ!!!!」 言葉とは裏腹に私は、腰を圭ちゃんの手の方に押しつけながら果てた。 「は…ああ…」 肩で息をしながら、圭ちゃんの頭を胸に抱き寄せて余韻を味わう。そして胸にまだ吸い付いている圭ちゃんの頭を撫でてあやしてやる。 「はあはあ…そんなにオッパイに吸い付いたら乳首が荒れて痛くなっちゃいます…」 そう言うと圭ちゃんがチラッと私を見て口を離した。 「いいじゃねぇか減るもんじゃ無いし。それより見てみろよ、手がビショビショになっちまったぜ」 と言って愛撫していた手を私に見せて羞恥心を煽ってくる。私は顔を背けて小さな声で言った。 「わ、わざわざ見せなくても良いです…本当、意地悪なんですから」 顔から火が出そうな程恥ずかしい。 「ところで少し聞きたいんだが、なんでニーソを履いたんだ?足で何かしてくれるのか?」 「『服は脱がしても靴下は脱がすな!』って言ってたじゃないですか…だから履いてみただけです。深い意味はありません」 私は圭ちゃんの身体の下から抜け出し、横に座って言った。そう深い意味は無いのだ、足でナニをするために履いた訳では無い。 「なんだ…俺はてっきり足で色々してくれるのかと思ったぜ。期待してたのに…」 大袈裟なくらい落胆した顔で圭ちゃんが言って私を困らせる。絶対反応を楽しもうとしている。頭では分かってはいても私は圭ちゃんの、この表情に弱い。 足でナニってのは今日の所は勘弁してもらおう。 「あ~…その、また今度で良ければ、足でしてあげますから落込まないでください。ねっ?」 「…今度って何時?」 「近い内ってことで」 ニヤリと笑って圭ちゃんが顔を上げて口を開く。 「そうかそうか!じゃあ期待して待っとくぜ!」 はあ…やっぱり私は圭ちゃんに甘いのだろうか。まあ良いや、それで圭ちゃんが喜んでくれるなら。 「ねぇ圭ちゃん、そろそろ続きしませんか、身体が冷えてきたんで暖めて欲しいです」 掛け布団を身体に掛け手招きして、おねだりすると圭ちゃんが起き上がって私を後ろから抱き締めて言った。 「その前にスク水の触り心地を堪能させてくれよ。それからでも遅く無いだろ」 「ん。可愛がってやってくださいね」 掛け布団を胸元まで上げて圭ちゃんの身体にもたれ掛かる。 「このスベスベな触り心地が良いよな、そして身体にピッタリ張り付いた感じとか、スク水最高!」 私の全身をやらしい手付きでまさぐって嬉しそうに感想を言う圭ちゃん。この顔を見れただけでもスク水を着て良かったと思える。 十分程経ち、圭ちゃんの手が下腹部の水抜きの切れ目の中に入ってくる。 「ん…ふぁ」 「こっちもツルツルで新鮮だな…っと、もう準備は出来てるみたいだし、そろそろ…」 陰毛を剃ったので、触られると少しくすぐったいけど、指の感触が直に感じられて良いかもしれない。 圭ちゃんに促され、私はその場に寝転がり足を開く。 スク水の股の部分を横にずらされ、オットセイが私の中に入ってきた。やっぱり、いつもより大きい気がする。「あ・・・はふ」 私はシーツを握り締めて、身体の疼きに耐える。 「は…今日の詩音はいつも以上に色っぽいぜ。俺、今凄くドキドキしてる」 「んん…私もです」 圭ちゃんの寝間着のボタンを外して脱がせてベッドの下に落とした。今日は色々な事をしてもらって、私もドキドキしているのだ。 圭ちゃんと一緒に居るだけで毎日が楽しいし、新しい発見の連続であると言った方が適切かもしれない。 皆には見せない、圭ちゃんの別の一面を私だけが独占できる。だから私も圭ちゃんにだけは、本当の私の姿を見て欲しいのだ。 「あっ!あっ!お、奥に当たってっ!あっ!気持ちっ!良いです!ひぁっ!」 圭ちゃんの指がクリトリスを押さえ付けてぐりぐりと圧迫する。これは反則だ、気持ち良過ぎる。 「う…!凄い締め付けられる!やべぇ!」 圭ちゃんも保たないと思ったのか指を離して、私の身体を動かして横向きにし片足を思い切り持ち上げられた。。 「いやぁ!あっ!け、圭ちゃん!こんな格好恥ずかしい!あっ!ああっ!あん!」 「ふぅっ!嘘付け!自分から腰振りまくってるじゃねぇかよ!はぁ!」 「ああっ~!だってぇ!ひぃっ!」 小刻みに、それでいて力強くオットセイを打ち込まれて、子宮を揺すぶられる。 恥ずかしい体位で愛されている。 その両方が合わさって、気持ちが高ぶっているのだろう。羞恥と快楽を私は自分の指を噛んで耐える。 「んぅ!んっ!んっ!」 そうでもしないと頭がどうにかなってしまいそうだから。 「もっと詩音の可愛い鳴き声を聞かせてくれよ」 私の足を持ち上げていた手を離して、圭ちゃんが後ろから私を抱き締めて耳元で囁く。 そして私の口から指を離させて、手を繋いでくれた。 「あっ!はぅ!あっ!あんっ!」 私は指を絡ませて強く握り返す。この手を離したく無いから…離したら不安になってしまいそうだから。 「圭ちゃんっ!圭ちゃんっ!ふあぁっ!!」 私は愛しい人の名前を呼びながら身悶えする。 「好きっ!!圭ちゃんっ!もっと!あっ!ああっ!」 深い挿入感は無いけど、私は正常位の次にこの体位が好き。 圭ちゃんの腕に抱かれて愛して貰える体位だからだ。 「わ、私もうっ!駄目です!はぁ!あっ!イッてもっ!イッても良いですかっ!!あんっ!!」 「はあはあ…!詩音がイク所見ていてやるからさっ!良いぜ!イッちまえよ!」 私の身体をゾクゾクとした震えが駆け巡る。好きな人に絶頂を迎えさせて貰える喜びの震えが…。 圭ちゃんが空いている片手で胸を優しく揉みしだき、私が絶頂を迎えるのを手伝ってくれる。 「あっ!ああっ!あっっっ!!!」 私は身を竦ませ登り詰める、それでも圭ちゃんは動くのを止めてくれない。 「詩音の中、堪らない位絡み付いてくるぜ!腰が抜けそう…!はあ…!あ!」 むしろ夢中になって腰を打ち付けてくる。 「あっ!ら、らめぇ!ああっ!!」 刺激に対して敏感になっている身体は、少しの刺激だけでも絶頂を迎えてしまう。 「はぁん!!あん!!」 二度、三度。立て続けに何度も絶頂を迎え身体に力が入らない。 そうこうする内に圭ちゃんが動くのを止めて、私の身体を起こして四つん這いにさせる。 「はっ!はあっはあっ!」 私は空気を求めて喘ぐ。しかしそんな暇は無いとばかりに圭ちゃんが再度腰を激しく動かし始めた。 「あうっ!!あっっ!!ま、まだっ!!んぐっ!動いたらぁっ!!ひぅっ!!」 私はカラカラに渇いた喉で叫ぶ。 だが圭ちゃんは聞こえて無いのか私の奥をオットセイで突き上げてくる。 力の入らない手でシーツを握り締めて私は鳴く事しか出来なかった。 「ああっ!!も、もう許しっ!てぇくださいっ!!あうっ!!アソコが壊れるちゃいま…すっ!!っ!?かはっ!!」 髪を振り乱して許しを乞う私に、追い討ちを掛けるかの様に圭ちゃんがお腹を手で押さえ付けて圧迫してきた。 「あぐっ!!!あはぁっ!!んうっ~!?」 「はあはあ…!んっ!!気持ち良いか詩音…!!」 手で圧迫されている事で、膣壁と膀胱をオットセイで擦り付けられる。この二点責めで私の意識が一瞬飛んでしまう。しかし次の瞬間には凄まじい快感で意識が戻る。 「あへぁっ!!あっ!!あっっ!!」 もう何度絶頂を迎えたのかすら解らない。 いや絶頂に達している状態が続いている。これでは気がおかしくなってしまいそうだ。 「し、詩音っ!イクぞっ!は…!」 ラストスパートに入った圭ちゃんが腰を打ち付ける様に動き、膣内でオットセイがヒクヒクと痙攣するのを感じた。 「あん!!!ああっ!!ああっ!!」 「くっ!!はあ…!!」 私の中からオットセイが素早く引き抜かれ、お尻の上に射精された所で私は目の前が真っ白になるのを感じて意識を失った…。 「圭ちゃん…私を悶え殺す気ですか?ずっとイキっぱなしで死ぬかと思いました」 「あはは!悪い悪い!気持ち良過ぎて我を忘れてたぜ!」 気が付くと、私はベッドの上で潰れたカエルの様に突っ伏していた。ふらつく身体で起き上がり、圭ちゃんの額にデコピンを三発かまして現在に至る。 「…蹴りますよ?」 悪びれた様子も無くヘラヘラ笑っている圭ちゃんを見ていると、蹴り倒したくなってしまう。 「ごめんごめん!そんなに怒るなって~!」 「はあ…。まあ良いです。怒る気も失せました」 やたらテンションが高くなっている圭ちゃんを見ていると、どうでも良くなる。 それにしても、さっきの圭ちゃんは凄かったな…うん。凄かった。 「本当っ~~っに!悪いおちん〇んですね!」 そう言って、小さくなって可愛いオットセイを鷲掴みにしてイジり倒す事にした。 「ちょっ…!急に何し始めてんだよ!」 「見ての通りです!悪さばかりするおちん〇んを懲らしめてるんですよ!」 皮を引っ張ってみたり、オットセイの頭を撫でたりと色々していると段々大きくなってくる。 「懲らしめるってか悦ばせているだけだと思うぞ」 と満面の笑みを浮かべて圭ちゃんが言う。 「はいお終い!」 圭ちゃんに抱き付いて、そのまま押し倒し胸に顔を埋める。そして頬を擦り寄せて呟く。 「早いですよね、私達が付き合い始めて三ヶ月も経っちゃいました。あっという間に時間が過ぎた気がします」 「そうだな。でも、あと何ヶ月かしたら詩音も高校生か…会える時間も少なくなるんだろうな」 と、寂しそうに圭ちゃんが言った。 「まあ、こればっかりは仕方無いです。出来るだけ時間は作る様にするんで、そんな顔しないでください」 「そう言ってくれると助かるよ。それよりも学校で詩音が他の男に言い寄られないか心配だぜ」 「大丈夫です☆そんな奴が居たらスタンガンでノックアウトしちゃいますから」 私は握り拳を作って圭ちゃんに見せながら答える。 「詩音なら本当にやりかねないな…。けど、そんな事はさせないぞ」 「と、言いますと?」 「詩音がピンチになったら俺が駆け付けて、そいつらをぶっ倒してやるぜ!俺の女に手を出すな!って感じで」 本音を言うなら、園崎の娘に手を出して来る奴なんて居ないと思う。 …けど、こういう事を言ってくれて嬉しかったりする。圭ちゃんはデリカシーが無くて、スケベだ。 でも凄く面白くて、優しくて、私の心に潤いを与えてくれる自慢の彼氏。 悟史君に振られて落込んでいたあの日、もし圭ちゃんが居なかったら、絶対まだショックから立ち直っていなかっただろう。 圭ちゃんの優しさに救われた。笑顔に癒された。そしてこれからも…。 大好きって言葉は言いすぎると安っぽくなってしまう。でも言ってくれないと不安になるし、言ってあげないと不安にさせてしまうだろう。 だから、私は口で言うより行動で示す。圭ちゃんに、それが伝わるかは解らないけど。 ずっと一緒に居たいから、あまり言わないだけ。 ともかく圭ちゃんの、その気持ちだけでも受け取っておこう。 私は、とびっきりの笑顔で圭ちゃんに言った。 「ありがとう。」 ってね。 <完>
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入江×沙都子。 入江黒幕設定(皆・祭とはいろいろ矛盾します。特に経済状態)の陵辱物。 軟禁状態でメイド服を着せてエロります。 途中で入江に気弱スイッチが入って、エロなし純愛+バッドエンドにシフト。 あなたには後半を拒絶する権利があります。 目を覚ますと、沙都子は知らない場所にいた。 フローリングに木製の家具、淡い色をした壁紙の…外国の映画に出てくる子供部屋の ような可愛らしい部屋だった。 およそ視界に入るもの全てに見覚えがなく、唯一自分の物だと分かるのは身につけている チェックのパジャマだけだ。 「…梨花?」 隣で眠っていたはずの親友の名前を呼ぶが、当然のように返事はない。 沙都子はそろそろとベッドから下り、ドアを開けてみた。 (ここ、どこですの?) 廊下にも見覚えがない。 彼女はひとまず部屋に戻り、少しでも情報を収集するために室内を物色した。 とりあえず、机の引き出しは空。 吊りダンス――というよりクローゼットという雰囲気だった――の中には…。 ふんわりとした黒のワンピース、白いフリルエプロン、ヘッドドレス。 多少のデザインの違いはあったが、用意されていた服は全てこの単語で説明できるもだ。 どれを組み合わせても、メイド姿にしかならない。 沙都子はため息をついた。 「…監督、ですわね?」 メイドと言えば入江。入江と言えばメイド。 雛見沢において二つの単語は完全にイコールで結ばれている。前原屋敷のご長男の名前を 知らない人間はいても、入江先生がメイド好きという事を知らない人間は多分いない。 そのくらいに入江はメイドで、メイドは入江だった。 沙都子の心から不安が消えた。 これだけメイド服が詰め込まれているということは、この部屋はまず間違いなく入江が 関与しているものだ。 沙都子を専属メイドに、などと冗談をいうことはあるが、彼女の目に映る彼は とても真面目で誠実な人だった。 (…罰ゲームでもないのに、こんなもの着ませんわよ?) まだ6月の終わりとはいえ、猛暑の予感が濃厚な今日この頃。 屋内を歩くのなら、パジャマで十分だった。 二階にもいくつか部屋はあったが、沙都子はまっすぐ階段を下りた。 下で誰かが水を使っている音がしたのだ。 「監督?」 「ああ、おはようございます。」 独立型の調理場で、入江が朝食を作っている。 「ここは、どこですの?」 「私の別荘ですよ。」 洋館、というやつだった。広くて、高価そうな家具が置いてあって、ここで生活して いないのだとしたらずいぶんもったいない話だ。 「…雛見沢の家より、こちらで暮らした方がいいんじゃありませんの?」 「一応、市内なんですが、通勤するには遠いんです。全く、無駄に維持費ばかりかかって。」 入江が苦笑する。 金持ちの考える事は分からない、と沙都子は思う。 「お金がかかるなら、売ってしまえばよろしいんじゃありませんの?」 「思い出があるから、それもできなくて。子供の頃から、よく両親に連れられて来ていたんです。」 入江が二人分の朝食の乗ったトレイを差し出した。 トーストにベーコンエッグ、生野菜のサラダと紅茶。 「ダイニングに持って行ってくれますか。」 「ええ。」 どちらかといえば朝は白いご飯が良かったと思ったが、他人の家でメニューに文句を 言えるほど沙都子は無邪気ではない。 「ところで、どうして私はここにいるんですの?」 「そうですね、食事をしながらゆっくり説明しますよ。」 入江がエプロンを外す。 (…なんだか葛西さんみたい) 印象の原因は、彼が着ている真っ黒なスーツだった。 焦げ茶やグレーの上から白衣を羽織っているのは見たことがあったけれど、黒は初めてだ。 (執事?) メイド萌えとやらが高じて、自己改造にも着手したのだろうか? 沙都子はのんびりとそんな事を考えていた。 食事を始めて、入江の最初の言葉に、沙都子のフォークからトマトが滑り落ちた。 「え?」 「沙都子ちゃんには死ぬまでここでメイドをしていただきます。」 ちぎったトーストを口に運びながら、入江が同じ言葉を繰り返す。 言葉通りの意味で受け止めることは、脳が拒否した。 沙都子は口にフォークを運ぼうとした体勢のまま、身動きがとれなくなる。 「私のことはご主人様と呼んでください。あとはひとまず、家事をお任せします。」 入江は、最初に宣言した前提での今後について話している。 沙都子はゆっくりとフォークを下ろした。 (監督は、何を言っているんですの?) 冗談ですよ、といつものように笑って欲しかった。 あの人懐っこい、そう、梨花がにぱー☆と笑うのに似た、あの笑顔が見たかった。 けれど入江は、軽く微笑を浮かべたまま、沙都子が聞きたくない話を続ける。 「ここから逃げることは考えないでください。沙都子ちゃんは致命的な病気を発症しています。 薬と注射なしでは、3日と保ちません。」 (夢? …そう、私きっと、まだ眠っているんですわ) この異常な状況が現実であるというよりも、それはよほど可能性が高かった。 目を閉じる。 開いたらそこは梨花と暮らしている小さな家で、ちょっと特別で幸せな今日が始まるのだ。 目を開く。 入江そっくりの男が、黒いスーツで朝食をとっていた。 「…監督?」 目の前の、入江だかなんだかよくわからないものに声をかける。 彼は、少し不快そうに眉を寄せた。 「ご主人様、です。3回間違えたらお仕置きですからね。」 シャットアウトするような物言いに、沙都子は一瞬躊躇した。 「…あの、でも…私がいなくなったら、梨花が探しますわ。」 「大丈夫ですよ。」 彼は満面の笑みを浮かべた。 沙都子もつられて笑顔になる。入江のその笑顔がどんなにありがたいものだったのかを、 彼女は切実に理解した。 「梨花ちゃんは死にました。雛見沢はガス災害で村ごと全滅です。」 息が詰まった。 「…おもしろく、ありませんわ。」 「そうですか? なかなかできる経験ではありませんよ。」 入江はにぱっと笑って、食事を再開した。 「監督!」 「ご主人様。今ので2回目ですよ。」 「…私、帰ります。」 「沙都子ちゃんの帰る場所は、ここです。だいたい、雛見沢に行ってどうするんです。」 わがままをいう子供をたしなめるように、彼は小さくため息をついた。 「大好きなお友達の死体を集めて、お持ち帰りですか?」 死体。 直接的な単語に、沙都子の精神が揺さぶられた。 「黙れっ! 梨花は死んだりなんてしてませんわ! 雛見沢だって…。」 がたん、と音を立てて入江が立ち上がった。 普段とは違う黒いスーツが、彼に暗い迫力を与えている。 「ご主人様に対する口の利き方がなっていませんね。」 沙都子は椅子の上で身じろぎした。 今まで一度も入江に対して感じたことのない恐怖心がわき起こる。 「いいでしょう。立場の違いを教えて差し上げるのも、主人の仕事です。」 入江の手が沙都子の肩を掴んだ。次の瞬間には、沙都子は床に引き落とされていた。 椅子が倒れて派手な音を立てた。 「ひっ。」 床にぶつけた場所が痛いとか、そんな事を考える余裕はない。 今まで入江からは、こんな乱暴な扱いを受けたことはなかった。 パジャマのボタンが入江の手で外されていく。 疎い沙都子も、さすがに何をされようとしているのかを理解した。 「あ…いや、っ!?」 ぺちん、と。 暴力と呼ぶにはあまりにささやかな力で、けれど確かに、入江は沙都子の頬を叩いた。 「あ? あ…ごめんなさい。」 叔父からはもっと強く殴られたことがある。 こんな…跡が残るどころか、赤くさえならないような力で叩かれたところで、 沙都子が恐がるほどの出来事ではなかったはずだ。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…。」 それが入江だったから。 自分に危害を加えることなどあり得ないと信じていた入江だったから、沙都子は怯えた。 「そう、ちゃんとごめんなさいができるのは、良いメイドさんの第一歩ですよ。」 パジャマのボタンを全て外し、入江は無抵抗な沙都子の腕を袖から抜いた。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…。」 発達途中のふくらみを揉まれる感触も、舌で嬲られる感覚も、恐怖にかられた沙都子に とってはたいした問題ではなかった。 ただ、入江が許してくれるようにと、そればかりを考えていた。 ショーツごとパジャマのズボンが下ろされた。 産毛としか形容のできない体毛の下に、入江の指が押し入った。 くちゅっと粘液の音がする。 入江が薄く笑った。 「そんなに私が恐いですか?」 「え? あ…ごめん、なさい…。」 どんな答え方をしたら入江の機嫌を損ねないのか分からない。 叔父夫婦と暮らしていたころは、沙都子がどんな答え方をしても相手の怒りが和らいだ ことはなかった。 「人間は、生命の危機を感じると性的な反応を示す事があるんです。」 入江の指がくすぐったい。 「簡単に言うと、命が危ないから子孫を残さなきゃ、って頑張ってしまうんです。」 くちゅくちゅと…それではこれは性的な反応なのかと、沙都子は顔を赤くする。 「う、うあ…。」 それでも、入江が怒るかもしれないという恐怖に、拒絶の言葉は声にならなかった。 「さすがにこの状況で、気持ち良くて濡れてるとは思いませんよ。」 慣らすように入り口周辺をいじっていた指が、沙都子の深くへと埋められた。 職業柄か、入江の手は凹凸が少なく繊細な印象だ。けれどそれは、成人男性にしては、 という比較の話で、自慰経験すらない沙都子には十分に厳しいものだった。 「あっ…ぐ。」 何も掴むものがなくて、沙都子は床に爪を立てた。短く切りそろえられたそれは 欠ける心配はなかったが、力が入りすぎて白くなっている指先が痛々しい。 指を抜き差しされることに、拷問めいたニュアンスしか感じていないらしく、 沙都子は目を固く閉じて耐えていた。 やがて指が抜かれると、沙都子はうっすらと目を開けた。 彼女には、叔父夫婦の元で暮らしていたころに身につけた習慣があった。 期待しないこと。 終わったと思って続いていたら、それはとても辛い。 でも、続いていると思っていて終わりだったら、少し幸運な気分になれる。 もっとひどいことになるかもしれないと覚悟して目を開けると、沙都子の前には、 予想を上回るひどい物があった。 「…!」 子供の頃にお風呂で兄のものを見たことはあった。 どことなくユーモラスな印象だったそれと、今目の前にある猛々しいものが 同じ器官とは思えない。 先ほどまで指が入っていた場所に、それが押し当てられた。 「沙都子ちゃん、クイズをしましょうか。」 「クイ…ズ?」 「私の名前はなに?」 「名前…。」 (監督、ではありませんわよね? えっと、えっと…) 恐怖に混乱する頭で必死に考える。 「い、入江、京介…。」 入江は、にぱっと笑った。 「ご主人様、ですよ? カウント3回目です。」 「あ!」 沙都子の心が絶望に塗りつぶされる。 そうだ、ヒントはあったのに。 ぐち、と入江が腰を進めた。 沙都子は歯を食いしばった。 (恐い、誰か…誰か助けて) 反射的に逃れようとする肩を、入江の手が押さえ込む。 (やだ! やだあ!) まるで体が引き裂かれるような痛み。 (先生、にーにー、圭一さん、魅音さん、詩音さん、レナさん、梨花ぁ) 心の中で助けを求める。 瞬間、入江の言葉がよみがえってきた。 『死にました』 『雛見沢は全滅です』 (死んだのなら…助けにきては、くれませんわね…) 痛む内壁を擦られる。 沙都子は、こんな行為が男にとっての快楽だなんて信じられなかった。 視界が涙で歪む。入江がどんな表情をしているのか分からない。 ずくずくと沙都子の内側をえぐりながら…彼は笑っているのかもしれなかった。 行為が終わると、入江はシャワーを浴びに行った。 沙都子は腹部の鈍痛に耐えながら身を起こし、パジャマをかき寄せて胸に抱いた。 こんなのはきっと偽物の世界だ。 梨花が起こしにきて、沙都子は本物の世界で目を覚ます。 そして、普段より少し豪華な朝飯を食べて、学校に行く。 既に登校していた皆が、笑顔でおはようと…。 沙都子の妄想は、そこまでしか保たなかった。 想像の中で、魅音が椅子から転げ落ちた。動かない。心配そうに近付いたレナが、 そのまま覆い被さるように倒れる。 (いや、いや!) 感情は否定しても、脳内でシミュレートが続く。 圭一が、詩音が崩れ落ちる。背後で梨花が倒れる音がする。 おそるおそる振り返ると…なぜだろう? 皆と違って梨花は裸で死んでいた。 口から血を吐いて、臓物をまき散らして。 その光景の、実際に目にしたような鮮明さに、沙都子は悲鳴を上げた。 「あ、ああああ、ああ!」 パジャマを強く抱きしめる。 沙都子も梨花も気にしなかったので、パジャマはほとんど共有物になっていた。 だからパジャマからは、沙都子の匂いだけではなく、梨花の匂いもする。 「梨花、梨花、梨花ぁ!」 梨花に会いたい。 嫌なことをされて可哀想だと、頭を撫でて欲しい。 パジャマに顔を埋めて泣いていると、入江が帰ってきた。 スーツの黒が、沙都子には死神の色に見える。 「お風呂あきましたから、どうぞ。」 パジャマを抱いて、よろよろと部屋を出て行く。 「ああ、沙都子ちゃん。」 「…はい?」 「私の名前は?」 「ごしゅじんさま。」 ほとんど無意識に出た回答に、入江は満足そうな笑みを浮かべる。 「よくできました。」 温かいシャワーを浴びていると、沙都子に少し元気が戻ってきた。 赤と白の入り交じった液体が、太ももを伝って排水溝に流れていく。 (死のう) 多分、それが一番幸せな選択だ。 雛見沢が全滅してしまったのなら、沙都子にはもう帰る場所はない。 大切な人は誰もいない。 …入江だって、ここにはいなかった。 沙都子の知っている入江京介は、焦げ茶色のスーツで、馬鹿なことばかりを言うけれど とても優しかった。あんな、黒い服を着た鬼のことなんて知らない。 沙都子は浴室内を見回した。 シャンプーとリンスのボトル、ボディブラシ、石けんと…。 (これじゃ、切れませんわよね…) ステンレス製の石けん皿を指で触って確認する。皿の縁はくるんと丸めてあって、 楕円形だから角もない。どんなに頑張っても、手首の上に擦り傷を作るのが精々だった。 (…まあ、いいですわ) 入江は、沙都子に家事を任せると言っていた。調理をすれば刃物も使うだろう。 そもそも、積極的に自傷しなくても死ぬのは簡単だった。 隙を突いてここから逃げればいいのだ。 入江が、薬なしでは3日保たない、と言っていたではないか。 希望と呼ぶにはあまりに悲しい決意を抱いて、沙都子はメイド服に袖を通した。 ダイニングに戻ると、入江は沙都子のメイド姿を褒めた。 「とってもよくお似合いですよー。」 「…ありがとうございます。」 沙都子にとってはどうでもいいことだが、ひとまず礼を言っておく。 「冷めてしまいましたが、召し上がりますか?」 結局1口も食べてていなかったが、沙都子は首を振った。 「食欲が、ありませんの。」 「では、薬だけですね。」 本当は空腹時に飲むのは良くないんですが、と言いながら、入江が錠剤を用意していく。 渡された中に、見慣れない色の錠剤があった。 「赤ちゃんができないようにするお薬ですよ。」 赤ちゃんという幸せな単語と、先ほどの悪夢に関連があることが、沙都子には実感できなかった。 「私も沙都子ちゃんも、公的には死んでいますから。親にはなれません。」 薬に関しては、沙都子に不服はない。 そもそも、あんな悪夢の中で「赤ちゃん」なんて可愛いものが宿るとは思えなかった。 沙都子の腹に何かが芽生えるとしたら、それはきっと鬼だ。 錠剤を飲ませると、入江は沙都子を二階に連れて行った。 「この部屋、見てみようとは思いましたか?」 鍵の束から、古めかしい形の真鍮の鍵を選び出している。 「いいえ。」 一階に入江がいると思ったから、他の部屋は触らずに下に行った。 …まさか鬼がいるなんて思わなかったけど。 「そうですか。普段は開けっ放しなんですけど、今朝は沙都子ちゃんを驚かせようと 思って、特別にかけておいたんですよ。」 驚かせる? もう十分に驚いた、と沙都子は思う。これ以上驚くことなんてないはずだ、と。 部屋の中は、窓からの光で明るかった。 光を受けてベッドのシーツが輝いて見える。点滴の中で、ぽたり、ぽたり、と黄色い 薬液が落ちている。手足を拘束された彼の胸は、呼吸にゆっくり上下していた。 「に、にーにー!」 駆け寄ろうとした沙都子を、入江が羽交い締めにする。 「起こすと、あなたが殺されますよ?」 あり得ない警告。 それでも、この異常な世界の中では、そちらの方が正しいのかもしれない。 もがくのをやめた沙都子に、入江が説明を続ける。 「悟史くんは、沙都子ちゃんと同じ病気を発症しています。そして、より重篤です。 適切な治療がなければ保って1日。目を覚ますと、視界に入る人間を見境なく襲います。」 それが今の悟史だと、入江は言った。 上から研究は打ち切られた、と。回復は望むな、と。 解放された沙都子は、ふらふらとベッドに近付いた。 この二年で、悟史はほとんど成長していないように見えた。 肌は青白く、頬はやつれている。 悟史の胸の上にメッセージカードがあるのに気づき、沙都子はそれを手に取った。 英語はまだほとんど読めないけれど、その単語はときどき見かけることがある。 「ハッピー…。」 カードの内容が分かった瞬間、沙都子は入江の意図を理解した。 「悟史くんは、沙都子ちゃんへのプレゼントですよ。お誕生日おめでとう。」 悟史が失踪してから今日まで、彼の帰還が一番の願いだった。 めまいがする。 沙都子がここから逃げ出せば、彼女は3日で死ぬだろう。 どんなに苦しんでも3日。 そうすれば、誰にも迷惑をかけずに彼女の苦痛も孤独も葬ってしまえる。 …では、悟史は? 沙都子が逃げ出した次の日、入江は悟史を治療するだろうか? 「…ご主人様。」 やめろ、ともう一人の自分が警告している。 言えばすっきりするかもしれないけれど、それは報復に見合うだけのこと? 「はい、なんですか?」 それでも沙都子は、どうしても我慢できなかった。 「お前なんか死んでしまえ。」 入江はきょとんとして、それから喉の奥でくっくっと笑った。 「まだ教育が足りなかったようですねえ。」 眠る兄がいる部屋で、沙都子は入江にうつぶせにされた。 両肩を床に押さえられて、腰を上げさせられる。 (にーにー、にーにー…) 心の中で兄を呼ぶのは、もう、助けを求めてのことではなかった。 (今度は私がにーにーを守りますわ。沙都子は、強くなったんです) スカートをたくし上げられ、ショーツが下ろされる。 流れきっていなかった鮮血と入江の残滓が、そこを広げた彼の指を伝う。 ベルトを外す音がして、予告もなく押し入られた。 「ぐっう…。」 (痛くない!) 自分に言い聞かせるように、沙都子は心の中で叫んだ。 (こんなの、痛くなんてない!) ダイニングでの続きをするように、入江は沙都子を蹂躙した。 快楽と、苦痛と。違う理由で乱れた二つの呼吸音が、白い部屋の中に満ちる。 病室めいた部屋の中で、その音はどこか背徳的だった。 入江は沙都子の腰を掴み、ゆっくりと前後に揺する。 先ほどは、ひたすら早く終わってくれることを祈っていた沙都子だったが、 今はどれほど続こうと構わないと思っていた。 この苦しみは試練。 兄を追い詰めた自分への罰だ。 沙都子の腰を掴んでいた手に、一瞬力が入る。 どろりとした物が流れ込む不快感に、沙都子は身を震わせた。 ▼ その別荘は、山の深いところにあるようだった。 食料などの買い出しには、入江は必ず自動車で出かけてたし、ちょっとした買い物に 行っても、最低2時間は帰って来ない。 入江が買ってきた週刊誌に雛見沢ガス災害の事が書いてあった。 それは偽造品には見えなくて、沙都子はこの現実を受け入れざるを得ない。 一つ疑問だったのは、災害が起こった日時だった。 入江が災害の話をしたのは6月24日。 週刊誌に記載されている日付は6月26日。 古手梨花はときどき未来を予言することはあったけれど、こんな大それた予知なんて やったことがなかった。 「ああ、これは予定されていた災害ですから。」 沙都子の疑問に、入江はそう答えた。 「雛見沢の病気を人間ごと撲滅する。そういう計画になっていたんです。」 予定されていた? 計画? (じゃあ…) 「雛見沢は、人に滅ぼされたんですの?」 「ええ。」 それがどうかしましたか? そんな気安さで、入江は頷いた。 「…ご主人様は、知って、いたんですのね?」 「はい。」 外国語の医学書をめくっていた彼が、面倒そうに顔を上げる。 「知っていました、とめませんでした、むしろ協力しました。」 「そんな、見捨て…。」 彼はページにしおりを挟んで、本をテーブルに置いた。 「見捨てました。…沙都子ちゃん、さっきから主人に対して少々口が過ぎませんか?」 「え? あ、ごめ。」 言い終わらないうちに、入江が沙都子の腕を引いた。 沙都子はバランスを崩して、入江の膝に倒れ込む。 「口でどうぞ。」 「は、い…。」 ズボンの前を緩め、沙都子は教えられた通りに口に含んだ。 できるだけ奥までくわえて、入り切らなかった部分に指を絡める。 そして、飲み下さなくてはいけない物を出させるために舌を動かし始めた。 ここに来てから毎日のように強要されているが、沙都子は一向に慣れることができなかった。 口に出されれば吐き気がするほど不味いし、組み敷かれれば内側からの圧迫感が苦しい。 濡れるのだけは上手くなったが、それは自分の体を保護しようという反応でしかなく、 入江もそれは分かっているようだった。 こんな自分に相手をさせていて楽しいのか、沙都子は疑問に思う。 雛見沢の人間なら誰でも選べたのだから、成熟した女性を連れてくれば、 もっと楽しめただろうに。 入江が沙都子の頭に手を置いた。 「ん…。」 置きやすい場所にあったから、といった軽い動作だ。ただ、その感触が沙都子に 悟史や梨花から撫でられたときの記憶を思い起こさせた。 罪悪感を覚える。 こんな状況下で大好きな人の記憶を思い出すのは、いけないことだ。 口中に放出されたものを、呼吸を止めて飲み込む。 付着していた分を舐めてきれいにして、入江のズボンを元通りに直した。 (…なんの話をしていたんでしたっけ?) 嘔吐感に耐えながら記憶をたどる。 (そうでしたわ。監督は雛見沢を、見捨てた…) 「沙都子ちゃん、紅茶を入れてください。」 「…はい、ご主人様。」 再び洋書を読み始めた入江に背を向けて、沙都子は調理場へ向かった。 死者の時間【後編】(黒入×沙)
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鬼婆の口汚い罵りに、私の頭が沸騰してくる。 悟史君が裏切り者だと? 悟史くんが汚い血を引いた厄介者だと? ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなっ!! 悟史君が何をした? 悟史君に一体何の非があると言うのか? 悟史君に一体何の罪があるというのか? ああ……怒りのあまりに自分の唇が震えているのがよく分かる。私の胸が憎悪に染まるのがよく分かる。理性が掻き消され暴力的な感情が塗り潰していく。 “ウルサイ。黙レ” だから気付かないうちに、そんな心の内を声に漏らしてしまった。 鬼婆の表情が憤怒に染まる。 ……そこで、ようやく私は自分が何を言ったのか自覚した。けれど、もう止まれない。止めることが出来ない。 「……鬼婆、あんた一体何言ってんの? 黙って聞いていれば言いたい放題」 その口調は自分でも信じられないくらいに静かで冷たかった。 「あぁん? なんばねすったら口の利きぃっ!!」 けれど、その静かさは最後の一線だったようだ。鬼婆の腐臭のする声を聞いた途端、私の感情が爆発する。 「やかましいいいいいぃぃっ!! 黙って終いまで聞けやこの鬼婆あああぁぁっ!!」 私は鬼婆の怒声を蹴散らすように怒鳴り返す。 地下祭具殿に私の声が反響して、私の感情がその場を支配する。 「だいたい、あんたは悟史君の何を知っているって言うの? 悟史君のことを何にも知らないくせに害虫みたいに言い捨てて。 悟史君がどんなにいい人か私はよく知っている。悟史君が北条家だからいけないの? 馬鹿みたい。時代錯誤も甚だしいっ!! くだらないくだらないくだらないっ!!」 たとえ、この後にどんな目に遭わされるか……それが分からない訳じゃない。けれどこの感情の吐露を止めることは出来ない。 鬼の形相で私を睨む鬼婆。それと同じく、私も凄絶な視線で睨み返す。 地下祭具殿を時間が凍ったような静寂が包み込む。 その静寂の中、やがて……私は鬼婆が私と悟史君の仲にこだわっている事に気付く。 「そっか。……魅音が告げ口した訳ね」 こいつはいつか殺す。 そんな呪いの視線を魅音に浴びせる。けれど魅音は能面のように無表情……くそ忌々しい。 「ふっ。くっくっくっ。くくくくくくくあははははははははははははははははははははっ!!」 ……あーもうどうでもいいや、馬鹿馬鹿しすぎて笑える。 私は首を上げ、鬼婆を睥睨する。 「はい、確かに私は園崎家の面子だとか世間体なんてどうでもいいです。全然興味ないですしっ!! ええ、認めますよ。好きですよ。私は悟史君が大好きです。 でもそれの何がいけないって言うのっ!? 人が人を好きになるのに何の理由が必要っ!? 答えろこの人でなしどもがあっ!!」 そして……私は私の命綱を自ら手放したことを自覚する。 壊した。徹底的に壊した。 周囲の私に向ける視線が……「救いようもない」とはっきり伝えてくる。けれどそれでも構わない。 「私の言っていることがおかしいなら反論してみろっ!! 出来ないんでしょ? 自分の後ろめたさを隠すことしか出来ないちっぽけな連中がっ!! そんなんだからお前らは――」 唐突に、魅音が私の目の前に手をかざした。……もう、しゃべるなと……。 「もう結構です詩音。あなたの言い分と覚悟はよく分かりました。ですが、ここは雛見沢で、そして園崎家です」 「だからそれがどうしたと――」 「聞きなさいっ!!」 再び声を荒げようとする私を魅音が遮る。 「詩音? ……あんた、興宮で生活するにあたって、どれだけの人に世話になってる?」 背筋をぞわりとしたものが駆け上がってくる。 「……葛西さん。奥の牢屋にいる」 「なっ!? そんなの……」 いや、本当は驚くような事じゃない。みんな共犯で、私に巻き込まれた犠牲者だ。 「覚悟のある詩音はいいとして、葛西や善郎おじさんがどうなるか? ……想像が付かない?」 頭が冷える。 全身から熱が失われていく。 「詩音。婆っちゃに謝って」 「で……でも、でも……でも……」 私はこの場に及んで、言い逃れを試みる。 それを見て、冷徹な表情を浮かべ、魅音は私に踵を返した。 無言で座敷へと戻っていく。 その背中を見ながら、私の頭の中がぐじゃぐじゃに溶けていく……。 私は威勢よく鬼婆に喧嘩を売った。 自分は悪いことはしていないと言い張った。そしてそれは間違っていないと信じている。 けど……でも私は今日までの生活でお世話になった人達を巻き込んでしまっている。これは、言うまでもなく私の責任。私一人が受けるべき咎だ。 「あ……あ…………ああ……」 意味もない声が私の口から漏れ出る。 恐くて、申し訳なくて……でもどうしてそうなのか理屈がまだ私の中で整理がついてなくて……。 それまで背中を向けているだけだった魅音が、不意に私を振り返り、小さく頷く。 その頷きの意味は……。 “葛西や叔父さんのように、悟史も巻き込まれるかも知れないよ?” 「……ひぅっ!?」 理解した。 理解した。 そうだ。私が恐れたのは……それだった。 「ま……待って……お姉……」 ぽろぽろと涙が零れる。 ダメだ。そんなのは絶対ダメだ。私一人ならまだいい。けれど、他のみんなは関係無い。私一人で済むことなら……。 「ごめん…………なさい。頭首……様」 私のプライドとかそんなもの、もはや関係無かった。 そんなものより……彼らの方が重い。 だからなるべく鬼婆の気に入るような言い方をして……。そして、鬼婆がにたりと笑みを浮かべる。 「では詩音。…………ケジメをつけて貰います」 無感情な魅音の声。 「………え? ケジメ……って? ど……どうすれば?」 壁いっぱいに立てかけられた拷問器具。 それを改めて見て、私は震える。 魅音は園崎組の若いのに視線で指示を送る。 「あ……………の?」 漆黒のスーツを着た彼は、無表情な顔で私に近付いてくる。 「失礼します」 「え? ……ちょっとっ!?」 手荒く彼に腕を掴まれ、その強い力に抗することも出来ず、私は無理矢理後ろ手にされた。 そして、ガチャリとした金属音と腕に冷たい感触……。 手錠を嵌められたのだと、理解する。 思わず、どういうことかと私の体が震える。 その直後、魅音が私の疑問に答えてきた。 “彼らによる辱めをもって、それぞれのケジメとします。……園崎詩音。あなたの体を使い、その彼を含めた三人に絶頂を与えなさい” 三人。……葛西に善郎おじさんに悟史君。妥当な……数字。しかし……。 「な…………何よそれっ!? 冗談にしても質悪すぎますよっ!! ふざけないでっ!! そんなの、出来るわけ無いじゃないっ!! ちょっと……やめ、あんたら。本気なの?」 けれど、理解してしまう。 客席にいる者共はみんな……本気だ。 私という生け贄を舌なめずりするような視線で嬲る。 その絡み付くような視線に、私は喩えようもない悪寒を覚える。汚物で満たしたプールに入れと言われてもこうはいかないかも知れない。 「うぐっ!?」 私は不意に、後ろの男から背後に倒される。前に突き倒さなかったのは彼なりの気遣いのつもりかも知れないが、そんなことされても何の救いにもならない。 ゆっくりと、むしろ優しく、彼は私を石畳の上に横たえた。 「や……やだ……やだ。こんなのやだ。許して……だって私まだ……だって、こんなのって――」 芋虫のように体をくねらせながら私は喚く。 そんな私を魅音が冷たい瞳で見下ろしてくる。 「詩音。……それがどういう意味か分かってて言ってるんだよね?」 それは、魅音からの最後通告。 私は、押し黙ることしか出来ない。 嗚咽が漏れる。 …………抵抗を止めた私の態度を観念したのだと判断したのだろう。魅音が私の脇に近付いてくる。 実際、私は観念した。 魅音が私の横に座り、私のスカートに手を掛ける。 スカートが下っていき、私の太股と下着が露出する。 それだけで私の顔は羞恥に赤くなる。 やがて……スカートが私の脚から完全に脱がされた。 「う……くっ」 歯を食いしばって、泣き叫びたいのを……これ以上泣き叫ぶのを抑える。 魅音は無言のまま、躊躇うことなく、次の作業――私の下着を脱がしにかかる。 思わず私は顔を背け、目を瞑る。けれど、柔らかな布地が私の秘部から離れ、その代わりに私の秘部が外気に触れる感覚は、誤魔化しようがない。 思わず脚に力を込め、腿と腿を密着させて抵抗するが、無駄な話だった。膝のところで、固く閉じているので、魅音はそこで脱がすのを諦めたけれど。 涙が止まらない。 「ひゃうっ!? くっ……んんっ?」 不意に、秘部に生温い感触が押し当てられる。 「何……してるの魅音?」 閉じていた目をそちらに向けると、魅音が私の股に手を差し込んでいた。 それだけじゃない。粘っこい……ローションを擦り付けるように、私の秘部を愛撫し、揉みほぐしてくる。 小声で魅音が答えてくる。 「いくら何でも、いきなりは詩音だって無理でしょ。…………だから……」 だから、準備をしているというのか……。 そんなの……嫌なのに……。 「んっ!! んんんんっ!! くぅっ……んっ」 けれど、双子故に魅音の弱いところが私の弱いところでもあるのか……まるで私を知り尽くしているかのように、私の性感を巧みに刺激してくる。 秘肉の縁を柔らかく撫でながら、秘芯を指でこね回す。丹念に……執拗に。 敏感な部分を刺激され続け、感情とは裏腹に、秘部に血流が……神経が集中し、高ぶってくる。 「はぁっ……あっ……あぁん」 感じるものか……感じるものか。 そう何度も頭の中で繰り返すのに、私の口から、誰にも聞かせたことのない牝の声が漏れる。 嘘だ。こんなのって……嘘だ。 感じてなんかいない。こんなので、感じるわけがない。こんなの、ただの刺激じゃないか……。 「あぅっ……くぅっ……ん」 けれど、痺れるような甘い感覚をどれだけ排除しようとしても……。 「……どうやら、準備はいいようですね」 魅音が静かに男に告げる。 私はそれを聞いて、首を横に振る。 けれど、彼らは止まらない。 魅音が私の股から手を抜く。そして、私の元から離れていった。 かちゃかちゃと男がベルトを外す音が頭の上から降り注ぐ。 私は目を瞑ったまま、それを聞くことしか出来ない。 「ひぅっ!?」 私の体の上に、男の気配が近付く。 そして……私の下腹部の上に、熱くて固い感触が触れる。 「やっ……あっ……ああ……」 とてもじゃないけれど、目を開けて直視する度胸は無い。けれど、彼が何をやっているのか、否応なしに理解してしまう。 私の股と股の間に、男のものが入り込んでくる。私の秘肉の下をなぞるように、固い感触が出入りする。 「……それでは、いきます。初めてでしたら、力を抜かれた方がよろしいかと思われます」 私はそんな忠告に耳を貸す余裕もなく、歯を食いしばる。 でもそんな私の行動も彼にとっては分かり切っていたことだったのだろう。 彼は一旦私の股から彼のものを抜き、そして無遠慮に私の脚を抱きかかえ……そして、私の秘部の中を犯してきた。 「あくっ!? うぐっ…………うぅぅうぅっっ!」 それまで、何ものも侵入したことのない部分に何かが入って来るという未知の感覚に、私は身悶えする。 異物感。熱くて固くて節くれ立った男のものが、一気に私の中の奥へと突き進んでいく。 (悟史君……悟史君……悟史君……悟史君……) 私は何度も悟史君の名前を呼ぶ。 意味が無いと分かっていても、それで悟史君がここに現れて、彼らから私を救ってくれるなんて……そんな都合のいいことがあるわけ無いって分かっていても……。 「ひぐっ……うぐっ……うあああぁっ」 もう、私は初めてを悟史君と……という機会は、永遠に失ってしまった。 それに……。 (痛い……。痛いよ。お願いだから、そんなに激しくしないで) けれど、その声が上手く口に出せない。 私の太股に、彼の腰が打ち据えられる乾いた音が聞こえる。 ぐちゅぐちゅと、自分の秘部からとは信じられないほどに淫猥な水音が聞こえてくる。 異物を吐き出そうとするのか、私の秘部が男のものを締め上げ、そしてその分、濃密にその質感や形状を脳裏に伝えてくる。 「はぁっ……はぁっ……あぁぁっ……あぅん……」 そんな気は全く無いのに、私の声から萌える喘ぎ声に、甘い……男が好きそうな色が混じってくる。 「はっ……あっ……くうっ」 私を犯す男の方も、限界なのか微かに呻き声を漏らす。 畜生……このド変態が……。あんたも殺す。絶対に殺す。いつか絶対に八つ裂きにしてやる。 「はぁ……はぁ、はぁ……はぁ……はぁっ……」 不意に、男は私の中から自分のものを抜いた。 「はっ……あああぁぁぁぁ~~っ」 そして、苦悶とも快楽とも付かない呻き声をあげる。 ……どうやら、達したらしい。 「これで、まずは一人目ですね」 いつの間にか、再び私の側に寄ってきた魅音の声が、すぐ隣から聞こえてくる。 私は、泣き疲れてそれに反応することも出来ない。 「では、次の相手をして貰いましょうか」 嘘……? まだやるの? もう、私……あのね? 魅音、痛かったんだよ? これ、本当に痛かったんだよ? それだけじゃなくて……あのね? とてもみじめで、悲しくて……嫌なんだよ? だから……魅音。 精一杯の媚びを含んで、魅音を見上げる。 けれど、私を見下ろす魅音の目は、とても冷たくて……。 「嫌あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! もう嫌ああああああぁぁぁぁぁぁっ!! お願いだからもう許してえええぇぇぇぇっ!! これ以上、私を汚さないでえええぇぇぇ~~っ!!」 それまで、どこかで我慢していたものが……私の心が何度目かの暴発を繰り返す。 そして、石畳に響くまた別の足音。私に近付く男のもの……。 「お願い。お願いだから近付かないでっ!! もう嫌っ!! 嫌あああぁぁぁぁ~~っ!!」 体をよじらせて、逃げだそうとするけれど、無駄な話だった。 それから私は目隠しをされ、猿ぐつわをされた。 二度目は後ろから犬のように犯され、三度目は下から突き上げるような格好で犯された。 それから私は、家に帰されてから……泣いた。それから数日間はずっとベッドの中に潜り込んでいた。 しかも、悪い事というのは続くものだ。 その数日後、悟史君が突然いなくなってしまった。 (どうして……どうして、どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてっ!!) 私は荒れた。 ううん、荒れ狂ったのは心の中だけ。実際にはそんな……暴れ回る気力すら無かった。 大石、そして鷹野さんから悟史君や雛見沢についての話を聞いて……でも空っぽな私の心は、何一つとして晴れなかった。 部屋の中で虚空を見詰めていると、不意にドアから鍵をいじる音が聞こえてきた。 「葛西なの? ……大丈夫。鍵は開いてますよ」 最初は葛西にすら男の……そんなものに怯えてしまったけど、今はもう大丈夫だ。 「葛西さんじゃないよ。詩音」 え? この声? 「…………入るよ? いい?」 「……うん」 扉を開けて、姿を現したのは……お姉だった。おずおずとした作り笑いを浮かべながら、手にはどこかで買ったケーキの箱を持っている。 その姿を見て……魅音の媚びるような目を見て、私の心が凍る。必死に取り繕っていた平常心がひび割れて、砕けた。 ううん、違う。鬼が目覚める。 恐らく、ここに来たのはこの前のことを謝るためだろう。馬鹿な奴だ。世の中にはどれだけ謝罪の言葉を伝えても償えない相手……許さない相手がいるというのに、謝れば許して貰えると甘いことを考えている。 「いらっしゃい。魅音」 自分でも信じられないくらいに優しい口調で魅音を招き入れる。 「うん」 そして、疑うこともなく、微笑みながら魅音が部屋の中に入ってくる。 ……仕方ないよね? ここは鬼の住処で、私は鬼だもの。そんなところにのこのことやってくるあんたが悪い。 さて……どうやってケジメを付けさせてやろうか? 私は陰惨なイメージを次々と思い浮かべ、柔らかい微笑みを顔に貼り付けながら、心の底で舌なめずりする。 あはっ……はは、あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは。 ―END―
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前回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ壱〜 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ弐〜 その4からその8まで収録 薄暮(くれがた)か、 日のあさあけか、 昼か、はた、 ゆめの夜半(よは)にか。 そはえもわかね、燃えわたる若き命の眩暈(めくるめき) 赤き震慄(おびえ)の接吻(くちづけ)にひたと身顫(みふる)ふ一刹那。 北原白秋『白秋詩抄』「接吻の時」より 「け、圭一くん…やっぱり、は、恥ずかしいよぅ…」 それほど広くはない車内で、レナは生まれたままの姿で俺の下に組み敷かれている。 「オヤシロさまの祟りから、お前を守る」…その一言で身も心も俺に預けたレナは、言われるがままに服を脱いだ。 「レナ、恥ずかしがることはないぞ。とても綺麗だ…」 「は、はうぅぅぅぅ〜〜〜〜」 顔を真っ赤にして、レナは左右の手で胸と股間を隠しながらもじもじと体を動かす。 まったくかわいらしいじゃないか…さっきまでは、『オヤシロさまの祟り』とやらに怯えきっていたくせに…。 そう、祟りなんて、俺は毛頭信じていない。 オヤシロさまの祟りなんて迷信だ。事件が毎年起こるという以外、個々の事件は独立している。 独立した事件という「点」を結ぶ人為的な「線」があるにせよ、俺にとっては野望が全てだ。 そのためなら、オヤシロさまだろうと祟りだろうと利用するだけなのだ。 レナは相変わらず、覆い被さる俺の顔を直視出来ない。 俺も服は脱ぎ捨てているわけだが、レナは目を瞑り恥ずかしさに押しつぶされてしまっている。 フ、ここは一つ…。 「レナ。オヤシロさまの祟りは、お互いの疑心暗鬼が原因だ。お前が俺から目を背け、全てを受け入れないなら、オヤシロさまが祟りをなすだろう」 「…そんな…」 「だが、俺はレナを信じている…だからこうして、ありのままをレナに晒すことが出来る。信じろ…レナ」 もちろん、疑心暗鬼がどうのこうのは適当な理由付けだ。オヤシロさまの祟りを回避する方法…口からでまかせもいいところだと、我ながら呆れるくらいだ。 だが、その言葉に安心したか、レナはようやく俺を見つめて瞳を閉じる。 ふふふ、まったくもって素直だな…!俺は心の中で叫ぶ。 「 思 い 通 り ! 」 レナにゆっくりと口づける。 最初は唇を触れるだけのキス。すぐに唇を離すと、レナがうっすらと瞳を開ける。 「…ん…」 トロンとした眼。俺はレナに微笑みを向け、今度は少し長めのキスをする。 お互いの唇の感触を確かめるように。ねっとりとした感覚が、徐々に二人を昂揚させる。 「…ん…ちゅ…うんぅ…」 親鳥と小鳥がエサを啄み合うようなキスから、レナの唇に舌を侵入させる。 「んん…っ!?」 突然のことにレナは動揺したかもしれない。だが、俺の舌がレナの舌に触れることで、生温かい感触を共有する。 「…んう…れる…ぴちゅ…」 レナも、自らの舌を蠢かせ、俺の舌を舐め回す。 さらにお互いの唾液が混ざり合う。どちらが求め始めたか分からぬほど、舌を絡め合うキスになっていた。 レナはいつのまにか俺の首に腕を回し、離そうとしてくれない。 貪り合うように口内で交わり、ようやく口を離した時につうっと垂れた唾液の糸が、さらに欲情を煽った。 「…ぷはっ。…レナ、お前って見かけによらず、けっこう激しいのな」 「…け、圭一くんこそ…。すごく…エッチだよ…。お互い、初めてのことばかりなのにね」 ああ。そうだったな、俺はみんなの前では童貞ということになっているんだったっけ。 ならば初々しさも演じないとな。…レナに俺の過去を知られてもマズいだろう。 「はは、まぁ俺も無我夢中だけどな…レナを、安心させたいだけだよ。俺は」 「ありがとう、圭一くん…レナ、今とっても幸せだよ…だよ?…まだ恥ずかしいけど、圭一くんとこんなことが出来るなんて…夢みたい」 「夢なんかじゃない、俺はここにいる。…レナをこうして抱き締めて」 レナを起き上がらせ、後ろからぎゅっと優しく抱いてみる。 「レナの息づかいを、温もりを、感じている…。俺もな、レナとこんなことが出来ることが…幸せなんだ」 「圭一くん…圭一くん…」 レナは涙をすうっと流しながら、後ろ手に俺の顔を引き寄せてチュッとキスをした。 ふん…俺としたことが、ちょっと演じ過ぎだな。だがロマンチストのレナにはこれでいい。 だがそろそろ、本格的な『快楽』というやつを知ってもらわないとな…! 「ふふふ、それにしても…レナの胸、いい形してるよなぁ」 俺がむにゅっとレナの胸を後ろから持ち上げると、レナが小さく「んうッ」と声を漏らした。 レナの乳房は、魅音に比べれば小振りな大きさではあるが、手触りよく綺麗な形を整えた理想的な胸だ。 俺はそのジャストフィットな感触を堪能しつつ、レナの耳元に囁いた。 「どうしたんだ、レナ?くすぐったいのか?」 「ち、ちが…あんッ…!」 「くすぐったいなら早く言ってくれよ〜?レナの胸が俺の手にジャストフィットし過ぎで、 もっともっと触っていたいんだよ…」 「は、はぅ…ん、ぁ…レ、レナね…」 「なぁに〜?聞こえんな〜?」 「レ、レナはね…あん…くすぐったいんじゃ、なくてね…その…なんだか…あうっ…ふわふわした、感じなの…」 「へぇ、ふわふわねぇ……んじゃあ、こういうのはどうかな」 「ひゃんッ!」 言葉と同時に、乳房の先に有るピンク色の突起物をつまみ上げる。 レナはビクンと跳ね上がったが、構わずにそのまま乳首を重点的に刺激する。 「はうっ!け、圭一く…んああぁッ!そ、そこはぁ…!」 「『そこは』とっても気持ちいいんだろ!?お互い隠しごとは無しだぜ、レナ!」 さっきよりも乳房を強く鷲掴みしつつ、乳首をこすり上げるようにつまむ。 レナの声が一段と大きくなり、乳首の刺激だけでオルガスムを感じているのかと思わせるほどだ。 「あ、あんっ!圭一くんっ…!ダメぇ、気持ちいいの!ん、ん、んあっ!…け、圭一くんに触られる度に、レナね、ヘンになっちゃうの!」 「それでいい、レナ…今のレナはとってもかぁいいぜ。胸も、乳首も、みんなかぁいい!」 「は、はぅっ!レナ、かぁいいの?…ヘンじゃ、ない?」 「ああ、レナの体も、心も、みんなかぁいい。愛しくて仕方ない…」 「はうぅ…そう言われるとレナ、もっとふわふわした気分だよ…だよ」 「ふふ、そうかぁ…ふわふわねぇ。それでな、レナ。さっきから足をムズムズ動かしてるが、どうしたのかな…かな?…くくく」 レナは思わず股間に目を遣って、赤くなる。 バレバレだぜ、レナ…そこを隠すのはもったいないぞ、ククク… 俺は右手をレナの股間に滑り込ませ、すでにびしょ濡れの秘所にクチュリと指を這わせた。 「だ、駄目ッ、圭一くん!そ、そんなトコ、汚いよぅ…」 レナは俺の右手を侵入させまいとするが、するりと股間に潜り込ませた指がレナのアソコに触れた。 クチュリと音を立て、レナの女自身をなぞる。 「ふあぁッ」 ビクンと跳ね上がるレナの身体。胸を揉まれるどころではない、直接的な刺激を受けた時の女の反応だ。 「ひあぁッ!け、圭一くん…!」 クチュクチュとレナの秘所をまさぐる。最初は一本、次は二本の指で。縦横に指でレナを悦ばせる、楽しくてたまらない…! 「ふははは、レナ、もう大洪水だな!もう俺の指がふやけてるぜ、濡れまくりだなァ、おい?」 「は、はぁう…そんな、レナ…んあぁぁあ!」 「はっは、だけど恥ずかしがることはないぜ。これだけ濡らしてるってことは、レナが十分気持ちよくなってくれてるってことだからな」 俺はレナを正面に向かせ、がばと股を開かせてレナのアソコをまじまじと見つめる。 「ああ、レナのここは本当に綺麗だな…ピンク色で、形は整ってて」 「は、はぅ…そんなに、見つめないでぇ…レナのそんなトコ…」 「『そんなトコ』だって?何言ってんだよレナ…かぁいいもの持ってるくせに、そんなに謙遜するなよ」 指でパックリとオマンコを開く。ぴったりと閉じられていた貝型が、内部を露にする。 「ふぁあ…」 「レナのここ、本当にかぁいいなぁ…。ふふ、この溢れ出す汁…こいつもいただきだな」 俺はレナの股間に潜り込み、舌を尖らせジュルリと口付ける。 「んんあああぁッッ!!!」 突然の刺激に、レナは嬌声を上げる。構わずにジュルジュルとオマンコを舐め回すと、レナの声がさらに大きくなる。 「ひああああぁッ!!!あ、あああんんッ!!!!圭一く、んんんッ!!!」 「…ぷはッ。…レナ、どうだ?気持ちいいか?」 「き、気持ちいいよぅ!…レナ、レナ…アタマがおかしくなりそう!」 「ははは、そりゃ良かった…なら、もっともっと気持ち良くなってほしいな」 言葉が終わると同時に、俺はぷっくりと膨れ上がったクリトリスに口付ける。 「ひゃああああぁぁぁッ!!!」 今までで一番感じているようだな、レナ…だが、こんなもんで満足されたら、後が続かないんだよ。 俺は舌でクリトリスを転がす。ひくひくと震えるソレを蹂躙するたびに、レナの秘所はさらに濡れていく。レナの限界はすぐそこだった。 「うあああぁッ!!!ダ、ダメぇ!!!圭一くん、もうダメだよ、だよおッ!!!」 「いいぜ、レナッ!!イきそうなんだろ?…存分にイっちまえッ!!!」 「あ、あ、あッ、イっちゃう、イっちゃうよぉ!!!!んんああああッッ!!!」 クリトリスをカリッと甘噛みした瞬間、レナの躯が大きく仰け反った。 ビクンビクンと数秒間は震え、力なく仰向けに倒れ込んだレナは、乱れた呼吸を整えようとしていた。 「はぁ…はぁ…はぁ、う…」 「…どうだった、レナ?…」 「…す、すごく気持ち良かったよ…。レナ、こんなの初めてだよ…だよぉ…」 「そうか…レナが悦んでくれたなら、俺も幸せだよ」 「はうぅ…圭一くんも、幸せ?」 「ああ、俺はレナが悦んでくれるのが一番だ…だがな、一つだけ残念なのは…レナと一緒になりたいけれど、まだそれが叶わないことだ」 俺はレナの手を取り、既に大きく怒張したペニスに触れさせる。 「…!け、圭一くんの…男の人のって…こんな風になってるんだね…」 「ああ、レナが気持ち良くなってるのを見ながら、俺のもこんな風になっちまったんだ…正直、このままじゃ辛いんだ…」 「つ、辛いの、圭一くん…?ど、どうすればいいのかな、かな…」 おずおずとした手つきながらも、レナは俺の怒張を擦り上げる。 どうすればいい、だって…?決まっているじゃないかレナ、本当は分かっているんじゃないのか、クク…。 「簡単なことさ、レナ…こう言ってくれればいい…」 …あの清純なレナが、これから俺の言う通りのことを口にすると考えるだけで…自然と口端が吊り上がってしまう。ククク…。 俺はレナの頬を愛おしげに指でなぞる。そしてレナの耳元に近付き、こう囁いた。 「レナは圭一くんの××××××です。どうかその××い××××で、レナの××××を××××して下さい…レナをオヤシロさまの祟りから、守って下さい」 「——ッ!」 「ククク…さぁ、言ってくれ…レナのここを開きながら、俺に『お願い』するんだ」 レナのオマンコをグチュグチュといじりながら、俺はレナの眼を見据える。 言葉にすることへの恥じらいと、その後に訪れるであろうかつてない快楽への期待。 二つの気持ちが、レナの中で渦巻いている…だが、俺には分かっていた。レナの選択肢は一つだ。 『オヤシロさまの祟り』を回避するためには、俺が必要…!レナはもはや、俺の存在無しには生きられないんだよ!! レナは顔を真っ赤にしながらも、自分の指でオマンコを開きつつ、ぼそぼそと喋り出した。 「…レ、レナは…圭一くんの、オ、オチンポ奴隷です…。どうか、その大きいオチンポで、レ、レナの…」 「続きだ、続きを言わなければ意味が無いぞレナッ!!!俺はお前を守ると約束した、だからお前も応えてくれ、レナ!!!さぁ、言うんだ!!!」 レナは俺の顔から目を背けていたが、その言葉で意を決したように、俺に泣き腫らした瞳を向けてきた。 「レ、レナのオマンコをッ!思いきりズコバコして下さいッ!!レナをいっぱいいっぱい幸せにして、オチンポで気持ち良くして下さいッ!!! このままじゃ、レナのココ、切なくておかしくなっちゃいそうなのッ!! …レナを、『オヤシロさまの祟り』から守って!圭一くんのオチンポで、レナの穢れた身体を綺麗にしてッ!!!」 涙ながらに哀願し、自らオマンコをグチャグチャといじって俺を受け入れようとするレナの姿を見て、俺はこの上ない満足感を得た…。 …堕ちたな、レナ…今この瞬間に、お前は俺のモノになったんだ…これから俺無しでは生きられない、俺の忠実な僕として生きることになるんだよ…! 「ふ…ふふ…あはははははははは!!!!」 俺は堪えきれずに笑い声を上げてしまう。 だがレナは、俺に構わず自分自身を慰めていた。もはや、更なる快楽を貪りたいという一念以外に無いのだろう。 「…んぅ…ん、あ、は、はぁ…け、圭一くぅん…もう、レナね、レナね…」 「くっくっくっく…ああ、そうだな…レナ、俺と一つになろう。レナはもう、オヤシロさまの祟りを恐れずに生きていける。俺がこれからずっと側にいるのだから…」 「圭一くん…」 甘い言葉とともに口づけると、レナの頬に涙が一筋伝う。 貪るようなキスを交わした後、レナのオマンコに俺自身を突き立て、ゆっくりと挿入していった。 次回 鬼畜王K1 〜鬼誑し編・其ノ参〜<捕食>
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山狗×部活メンバー お姉を見ると、数人の男たちに取り押さえられて服を剥ぎ取られていた。 私はそれを客観的に見ていたけど、実際自分にされるのもそう遠くは無さそうだ。男たちがじりじりと間合いをつめ、近寄ってくる。 とうとう男の手が私のシャツにかかった。その男をきっと睨みつける。 「ほー、気の強い孃ちゃんじゃねぇか。よがった顔が見てみたいぜ」 「案外こーいうのがすっげぇ淫乱だったりするんだって。にしても、良い体してんじゃねーかよ」 じろり、と詩音を上から下まで眺めるその汚らしい視線。これ以上人を不快にさせるものなんてあるのだろうか、と詩音は思った。 顔を近づけてきた男の頬にぺっと唾を吐きかける。このアマ、と男は詩音に蹴りを入れるが、それでも気丈に睨み続けた。恐怖の色はあるが、迷いは無い。 その瞳に苛つきを感じ、男たちは詩音の服を引き裂いた。あられもない姿にされても、尚も睨む事をやめない。 「…この女、くそ…っ!」 「面白くねぇ。…コイツ、びくりともしねぇよ…」 それが唯一の抵抗だった。声なんてあげてやるものか、怖じ気づいたりするものか。悟史君、私がんばるよ、悟史君、悟史く……… 「いやぁああああ!!痛い、痛いよぉおお、助けてにーにーぃいいい…!!!!!」 ―――――沙都子。 その叫び声を聞いた瞬間、何をされても動じなかった私がぴくりと震えた。それを山狗は見逃さない。しめた、とばかりに微笑む。 「あーぁ、コイツ、つまんねぇよ。…あっちのガキんとこにいっちまおうか、なぁ?」 「……なっ、……!」 「そっちのが締まり良さそうだな。…まだガキだからよ。痛ぇだろうな~!」 …………けだもの。こいつらは人なんかじゃない!私が鬼だとしても、こいつらと比べるとよっぽど人間らしいと思った。 男がいやらしく笑いながら立ち上がった。沙都子の方に向かおうとする。 「…………待って…!」 「ぁあん?」 男は私が呼び止める事を予想していたのだろう。すぐに振り向いて、私の言葉を待っている。私は悔しくて悔しくて、ポツポツと絞り出すように…言った。 「…お願い、私には…何しても良いから、…………沙都子には…やめて…」 ―――にやり。男が不適に笑った。その笑顔が憎くて憎くてたまらない。 「くっくっく…、聞いたか?今の。…おいお前ら、好きにして良いだとよ!」 その言葉に数人の男が興奮してはやし立てる。そのうちの一人の発言に、私は目を見開いた。 「ここでオナってみせろよ!」 「お、…っ…!?」 そんな事、出来るわけがない――――そう言おうとした瞬間に男がまた沙都子の方へ足を進める。 …それだけはさせてはならない。沙都子の負担を軽くするために、少ししでも多くの男をこっちに引きつけたかった。 「わ、分かった、やります、やりますよ…!皆さん、今から、いやらしく、オ…オナニーする私を、見て下さい…!!!」 声を大きく張り上げて卑猥な言葉を叫ぶ。屈辱のあまり、血管が切れそうだ。顔が暑い。火が出そう。 …でも、詩音の作戦は成功した。沙都子や魅音、レナを襲っている奴らが手を止めてこちらを見たからだ。こちらを見ている間だけでも、奴らの辱めから開放される。 …何としてもこちらに目を向けさせなければ、と詩音は必死になって自慰を始めた。 「んくっ、…ぁ…あふんっ!見て、私を見て下さい…っ!私のっ、いやらしいっ、ひくひくしてるの、見てぇ…!」 片手は胸に、片手は股間に。せわしなく手を動かし、安っぽいAVのようなセリフを吐く。 …最初は演技だった。乳首をつまんで引っ張って、膣に指を突っ込んで。いやらしいセリフを言っているうちに、いつしかそれは本当の私の言葉になっていた。 「はっ、んっ、ぁっ、気持ちいいっ、イイっ、気持ちいいのぉおおおっ!!!!!」 「すげぇ…」 「おっ、俺もう我慢出来ねぇっ!」 一人の男がガチャガチャとズボンを下ろし近づいてきた。その汚らしい性器を露わにする。 既にソレはパンパンに腫れ上がっていた。男は間髪入れずに一気に挿入する。 「うぁああああああっ!!」 「くっ、良いぜぇ…っ!」 ず、ずちゃっ、ずず…っ 卑猥な水音が響いた。ほどなくして男は腰を降り始める。 挿入をされる前に自慰をしていたのは正解だった。たっぷりと溢れた愛液が潤滑剤の役割を果たし、痛みを感じる事なくスムーズに挿入されたからだ。 男は無我夢中で腰を振る。その激しさに私が達しそうになった時、耳元で音が聞こえた。 バチバチバチ… 見覚えのある音。はて、どこで聞いたものか……朦朧とする意識で音のする方を見て、私は目を見開いた。 「………は、…うっ………」 「さっきはどうもなぁ。…痛かったぜぇ…?」 …私がスタンガンを浴びせ気絶させた男。そいつが次は、奪ったスタンガンで“浴びせる側”になっているのだ。 「イったらバリバリ、だぜ?」 そう言って男はスタンガンで乳首をコリコリと擦る。こんなに心臓に近いところでスイッチを入れられたら…終わりだ。 「…っひ…!」 その瞬間、大きく男に突き上げられ、突然の衝撃に堪えきれずイきそうになる。 ぐっと唇を噛み締め抑えるが、背後から別の男が私の胸をいじくり始めた。 「ひゃっ、ふぅうっ…!」 ぐりぐりと乳首を押し潰すようにこねる。ぴんと弾き、男がちゅうちゅうと吸い始めた。 「ああああっ!!やめ、っ!」 「いくぜぇえええっ!!」 ずん、とまたもや大きく突き上げられる。ナカを掻き回すように男のモノは私の中で暴れまわった。 こりっ――――胸を吸っている男が乳首を噛む。それと同時にもう一人の男が私の剥き出しになっている突起をつまんだ。 「んぁああああああああああああああああっ!!!」 イってはいけない…そう必死に言い聞かせるも、襲いくる二重の快楽に耐えきれず――――私は達した。 「はっ、ふ、ぁ…………… あうあぁあああああっ!!!」 バチバチバチッ! 首に宛がわれたスタンガンから電流が一気に私の体を駆け抜ける。それと共に、私の意識も遠のいていく。 …………ごめんね、悟史君。 最後にそう呟いた言葉も、奴らの下卑た笑い声にかき消され――――闇に消えた。