約 2,714,630 件
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4231.html
「明日から本気出す」 礼次「ふぁ…眠い…めんどくさい」 気怠そうな声を出しながら歩いているのは帯田礼次。学生会『七つの大罪』の『怠惰』担当である 礼次「あー歩くのめんどくさい…」 めんどくさいと言いながら、ゆっくり歩いている礼次。そして、下水道のある辺りに差し掛かった 礼次「…?」 すると下水道から白い鰐が飛び出して…大きな尻尾できつい一撃をお見舞いしようとした 礼次「ああ畜生めんどくさい! 『明日から本気出す』!」 鰐の尻尾は礼次に直撃。しかし礼次はピクリとも動かない (…? どうしてこの衝撃で吹き飛ばない?) その様子を物陰から怪訝な表情で見ている男、『下水道の白い鰐』の契約者 礼次「あー本当面倒なことに…こいつ野生? 契約者持ち?」 しかも礼次はこの一撃を受けて、かすり傷一つ負ってなかった (…!) これは流石におかしいと思い、男は礼次に近づく 「よぉ、あんた。コイツの攻撃を食らって吹き飛びもせずしかも無傷ってのはどういうわけだい?」 礼次「…誰です貴方?」 「下水道 鰐白(しもみのみち わにあき)。ちょっとした爬虫類マニアだよ」 礼次「そういうことを聞いてるんじゃ…あーもうめんどくさい…。貴方がコイツの契約者かどうか聞いてんですよ…」 鰐白「ああ、そういうことか。…お察しの通り、俺は下水道の白い鰐の契約者だよ。さ、俺は答えたんだ。今度はこっちの質問に答えてもらうぜ?」 礼次「吹っ飛ばされるのがめんどくさかったから。ダメージを受けるのがめんどくさかったから」 鰐白「…は?」 素っ頓狂な声を上げる鰐白 鰐白「『めんどくさい』…それだけの理由であの攻撃を無効化したってのか?」 礼次「無効化はしてないよ。それにこれは僕の契約都市伝説の能力」 鰐白「なんだよ、その契約都市伝説」 礼次「…教えるとでも?」 鰐白「だよなぁ…。だったら自分で調べるまでだ! 行くぞ白子!」 白子と言うのは彼が『下水道の白い鰐(♀)』につけた名前である。鰐→クロコダイル→クロコ→白いからシロコ→白子といった具合だ 鰐が大きな爪で礼次に襲い掛かる。直撃すれば出血多量ではすまないだろう 礼次「…幾らなんでもこれは拙いな。『眠り姫』」 礼次がそう唱えると、礼次の周りに茨が出てきて、鰐に応戦した 鰐白「ほう、『眠り姫』か…。なかなか珍しいのと契約してんじゃねぇか。だがさっきの謎の防御とは関係ねーみたいだな。 どうしてさっきのを使わなかった?」 礼次「…言ったでしょう。無効化はできないって」 鰐白「意地でも吐かしてやるぜ! どんな都市伝説かをなぁ! 食いちぎれ、白子!」 茨を食いちぎって無効化し、礼次に襲い掛かる『下水道の白い鰐』 礼次「く…『眠り姫』!」 『眠り姫』の茨で自分の身体を掴み、投げ飛ばすことで攻撃をかわす礼次 鰐白「な…かわされた!? …だが、この高さではダメージは免れまい…」 礼次は2階くらいの高さから地面へと真っ逆さまに落ちていく。だが… 礼次「10秒後に本気出す!」 地面につくギリギリでそう唱えると、礼次の身体は空中に固定された。そして礼次は身体の向きを変え、10秒が立つ 礼次「明日から本気出す!」 礼次は足から勢いよく地面に落ちたが、やはり傷一つついていない 鰐白「…やはり分からないな。何だその不可解な能力は?」 礼次「…仕方ないですね。読者の皆のこともあるから解説しましょう。『明日から本気出す』ですよ」 礼次の契約都市伝説、『明日から本気出す』。能力は今しなければならないことを指定した時間に先送りする、と言う物である 礼次「殴られたならダメージを受けなきゃいけない。落ちてもダメージを受けなきゃいけない。空中に居るなら落ちなきゃいけない。それらを先送りしただけです」 鰐白「成程、合点がいった。つまり…死ぬほどのダメージなら先送りしたって同じだよなぁ! 行け白子! ご飯の時間だぜ!」 大口を開けて白い鰐が礼次に襲い掛かる 礼次「…そろそろ疲れてきたんじゃないかな。あんなに攻撃したのに、あんなに頑張ったのに、僕は傷一つ付いてない… でも、もう良いんだよ。頑張らなくて良いんだよ。…さぁ、眠りなさい」 礼次の身体から悪魔のような物が飛び出し、『下水道の白い鰐』に取り憑く。すると鰐は眠ってしまった 鰐白「な…!? なんだ!? どういうことだおい!」 礼次「何って、『睡魔』に襲わせただけですよ」 鰐白「『睡魔』だって…!?」 礼次「そ。『睡魔』。…貴方もそんなに叫んで疲れたでしょ? もういいんですよ。こんな無駄な争いもうやめましょう。さぁ、眠りなさい…」 今度は鰐白に『睡魔』が襲い掛かる。成す術もなく、鰐白は眠ってしまった… 礼次「うん…これでよし…っと。ふぁ…久しぶりに戦ったら眠くなっちゃった…。ま、これで一人と一匹は幸せになったわけだし、早く帰って寝よう…『かくかくしかじか』」 『かくかくしかじか』によって家に帰るまでの過程を省略し、一瞬で家に着く礼次 礼次「ふぁ…やっぱりどんなことをしている時よりも…眠っているときが一番、幸せだよねぇ…。どーせ明日は痛みで動けないし、このまま三日くらい寝てよう…ZZZ」 こうして礼次は深い眠りにつくのだった。皆さん、最近無理してませんか? 頑張りすぎてませんか? 人生は長いんだし、そんなめんどくさいこと全部放り投げて、ぐっすり眠りましょう 誰もが何もしなければ、良いことも嫌なことも何も起こらない…世界は平和になるのだから… 続く…
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1296.html
合わせ鏡のアクマ 57 都市伝説4コマ風劇場 「しかし、あれは面白かった・・・くくっ」 「まったく、帰り道笑いっぱなしでしたね」 「そりゃあんな顔見せられたら思い出し笑いもする・・・」ガチャッ 「お、お帰りなさいませご主人様。ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも、わ・・・」 「わたsガチャン 「俺達はなにも見なかった」 「はい、なにも見ていません」 * 都市伝説4コマ風劇場 「で、なにがあったんですか。特にそのメイド服」 「・・・これは姫とかいうあの子が持ってきたんだ」 「じゃあ、さっきの台詞は?」 「あれは罰ゲームで・・・」 ピンポーン 「や、××!実は忘れものがあったんだけど・・・」 「あのメイド服か?」 「それと小型カメラ・・・あ」パシッ 「言え!そんなものどこにしかけた!!」 つまり、さっきのシーンもバッチリと * 都市伝説4コマ風劇場 「・・・これだけなんだな?」 「うん、玄関とタンスと壁の隙間だけ・・・ほんとよ?」 「なにせこれ2つを仕入れるのにも結構なお金が・・・」 「もう少しマシな金の使い方しろよ」 「で、あのミニスカメイド服の方は?」 「あ、それは私服。あの人なら着れそうだから一緒に置いといたんだけど」 「やっぱりサイズが合わないかー・・・特に胸」 「み、見るなー!?」バッ 土下座しつつ補足 どちらかというと胸の薄い姫さん その私服だとナイスバディにはきついはずだろ、うん。はちきれそうかどうかまでは知らんが。 あとミニスカートなのは姫さんの趣味らしい。セットでニーソックスも置いてあったんだろう、そして着たんだろう。 カメラは「玄関」と「タンスと壁の間」にしかけられていました。 * 都市伝説4コマ風劇場 時はしばらく戻り、主人公の家 「・・・暇だ」 「テレビも飽きたし」 「じゃあ僕とチェスでもする?」 「誰だ!!」 「うわーん!君もそんなこと言うんだね!?」 「・・・え?」 「アクマさん以外に・・・ひっく、誰も僕の相手してくれないんだ・・・」 ほら、姫君の話でザクロにくっついてきたあの子供幽霊。 アクマ以外からほぼ無視(驚かしても目線を逸らされる)という日々を送っていました。 主「だって、これ以上面倒な事態にしたくなかったし・・・」 * 都市伝説4コマ風劇場 「わかった、相手してやる」 「やった!」 「じゃあ負けた方は勝った方の言うことを一つだけ聞くこと!」 「罰ゲームありかよ!」 (ま、こんな子供に負けるわけないか) 「僕の先攻ねー」 「負け・・・た?」 「やったー!!」 アクマとやっているうちに強くなっていたらしい * 都市伝説4コマ風劇場 「こいつ・・・強い?」 「なにしてもらおうかなー」 「あれ、この袋なあに?」 「それか?たぶん姫って子が持ってきた服・・・」 「わぁ!フリフリだ!!」 「げ、それメイド服・・・」 「!」キュピーン 「明日までこれ着て過ごしてよ!」 「な・・・・・・ななななな、なん!?」 嫌がる気配を敏感に察知しました * 都市伝説4コマ風劇場 「それは勘弁してくれ!」 「それなら、もう2回勝負する?」 「一度でも勝てばチャラにしてあげるよ」 「本当か!?」 「ただし、2回とも僕が勝ったらもう一つ言うこと聞いてもらうからね」 「乗った!」 全敗した 「帰ってきたら今の台詞を・・・」 「うぅ・・・わ、わかったよ・・・・・・」 こうして、あのシーンに至る * 都市伝説4コマ風劇場 「ダメですよ、あいつ頭の回転怖ろしく早いんですから」 「もっと早く言ってほしかった・・・」 「明日まで着替えちゃダメだよ!」 「・・・お風呂は?」 「着る前に入らされた」 「しかたない。・・・明日まで我慢しててください」 「えぇええええ!?」 「うぅ・・・ふ、不幸だッ!」 「夕飯できましたよー」 「お、サンキュー」 事情聴取の間、妹ちゃんは夕飯を作っていました。 そしてバイトちゃんはメイド服で一夜を過ごすことに。 前ページ次ページ連載 - 合わせ鏡のアクマ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1972.html
平将門 年齢 ??? 所属 「首塚」 職業 「首塚」の主 家族 滝夜叉 935年、時の政府に反乱を起こした武士。桓武天皇の子孫。 関東の新皇を名乗った時期もあるが、大軍に攻められて敗北した。 その首は切られ、晒され……しかし、そこから平将門の呪いは始まる。 時は流れ、現在は「首塚」に本体を置き、首塚を汚す者、壊そうとする者に呪いをかける存在となっている 能力としては、強力で逃れようのない「呪い」の力を持っている それは、呪われた人間の死や不幸として、確実に実現される ただし、「呪い」には制限があり、首塚を汚す行為・言動。首塚を破壊するような行動をとった者・集団・組織にしか発動しない。 ……の、わりには「首塚」を見下ろす位置にあった某銀行にも呪いがかかっている辺り、少しいい加減なのかもしれない。 「呪い」の他、本気になると地面が揺れ(地震)、雷鳴を轟かせる能力もある。 また、本気になっていない時は胴体がある為、普通に武器による戦闘も可能である。 将門は現在「首塚」に隠れ里のような異空間を作り出してそこに留まっている その隠れ里は、将門に気に入られた人間しか入る事はできない 普段の将門の姿は甲冑を身に纏った若武者の姿をしている 秋祭りにおける「夢の国」との戦闘後、ひとまず「組織」への祟りは一旦終了 ただし、「組織」が「首塚」にちょっかいをかけ続ける以上、いつでも祟りを再開できるよう準備をしている 大好きな物 家族 好きな物 「首塚」を敬う者。酒と美味い物。気の強い女性 嫌いな物 権力を独り占めにする権力者。弱い者を踏みにじる存在。 大嫌いな物 「首塚」に害をなす者 苦手な物 黒服D、菅原道真 日景 翼(チャラ男) imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 年齢 21歳 所属 「首塚」 職業 フリーター(コンビニ店員。ケーキ店や中華料理屋、フォーチュン・ピエロの厨房。ピアノ教室の臨時教師などバイト多数) 家族 黒服D、望 (本来の両親は家族として認めていない) 金髪によく日焼けした肌の、チャラチャラした格好の青年。シルバーアクセサリーをじゃらじゃら身につけているが、ピアスだけは付けていない 都市伝説「日焼けマシンで人間ステーキ」の契約者 契約直後、黒服Dに発見され組織にスカウトされたが、堅苦しいことは嫌いだと断った 当時まだ未成年であった為、黒服Dから見逃されており、また、当時の家庭環境を同情されてか、色々と彼の世話になっていた なぜか言動・行動が腐女子に誤解されやすい むしろ、腐女子相手じゃなくても誤解されやすい そのせいか、年齢=彼女いない暦である…一応、ボイン好きなのだが。なお、Dカップ以上じゃないと認めないらしい。 「首塚」では将門の側近の一人であり、初期メンバーの一人でもある。 なお、元々は襲われ属性だったようだが、高校の頃に今のチャラけた格好をするようになってからはある程度マシに…なった……はず、である なぜか女装がよく似合うと言う不思議な特徴も 警戒心は強い方なのだが、一度心を許した相手や子供にはどこまでも甘く、無警戒 特技は料理(むしろ家事全般)とピアノ演奏 趣味はシルバーアクセサリー作り(身につけている物の大半は手作り) 秋祭り中の事件にて、望と共に黒服Dと多重契約を交わした その直前に「厨2病」と特殊な多重契約を交わしており、それにより「日焼けマシンで人間ステーキ」の能力の拡大解釈能力で炎を出せるようになった。ただし、体力の消耗が激しく、1日三回の使用が限度である。 過去に失恋した際の経験がトラウマとなっており、大切な存在を失うことに激しい恐怖心を抱く一面もある。 大好きな物 黒服D(家族として) 好きな物 望(家族として)、誠(親友として)、直希(友人として)、エリカ(初恋の相手として) 嫌いな物 「組織」、悪党 大嫌いな物 実の両親 苦手な物 無理矢理女装させてくる相手 キャリアウーマン(貴腐人) 年齢 2X歳 所属 「首塚」 職業 会社員 家族 現在は一人暮らし中だが、両親と兄がいる 「ハンガーの生首」の契約者 「組織」に同僚を殺された事があり、「首塚」組織に所属した もっとも、その同僚の死は本人の自業自得であり、彼女もそれは知っているが、割り切れないらしい 将門に対して絶対忠誠を誓っており、死ぬ時は将門の傍で、と考えている 将門の傍で酒の酌をしている事も多い 普段は真面目なキャリアウーマンだが、同時に貴腐人でもある 現在は目下、同じ組織内のネタになりまくりのチャラ男をネタにしている最中である なお、「首塚」組織内にて、彼女が貴腐人である事を知っている者は多分あんましいない 大好きな物 将門、やおい 好きな物 ハンガーの女幽霊、「首塚」の仲間 嫌いな物 納豆、「組織」 大嫌いな物 やおいを馬鹿にする者 苦手な物 不明 ハンガーの生首 年齢 不明 所属 「首塚」 職業 都市伝説 家族 キャリアウーマン(貴腐人) とある女子高に伝わる怪談が元となっている都市伝説 「ハンガーに制服をかける時、必ず襟側が壁を向くように。そうしないと、ハンガーにかけた制服に女生徒の生首の幽霊が現れる…」 「その女生徒は昔、運悪く生乾きのコンクリートに足を踏み込んでしまい、首から下がコンクリートに埋まってしまった。彼女はそのまま乾いていくコンクリートによって圧死してしまった。首がぼきりと曲がった状態で…」 「襟側を壁に向けずに制服をハンガーにかけ、その制服を着た少女は田んぼで死体となって発見された。首が無理矢理90度曲がり、体は田んぼに埋まった状態で」 以上が、その都市伝説である 彼女はその伝説通りハンガーにかけられた制服に首だけの姿で現れる そして、その制服を来た人間を、自分と同じような状態で発見されるように殺してしまうのだ なお、契約により現れることができる制服は別にセーラー服じゃなくてもよくなった 普段は、媒介であるハンガーを契約者が持ち歩いている限り、契約者にそっとついて回っている こっそりと隠れ巨乳。恥ずかしがりやさんで純情派である。 契約者の原稿をまともに見るとか絶対無理 ただいま、アンサーに淡い片思い中 大好きな物 アンサー 好きな物 可愛いもの 嫌いな物 「組織」、怖い人 大嫌いな物 グロテスクなもの 苦手な物 貴腐人の原稿 コアラショタ(鮫守 幸太) 年齢 6歳 所属 「首塚」 職業 幼稚園児 家族 コアラパパ 「幸せの眉毛コアラ」と契約している5,6歳くらいの少年 「うーうー」が口癖で、普段は歳相応より若干幼いくらいの話し方 しかし、都市伝説に関する知識は深く、それについて語るときは饒舌になる 首塚組織に所属した経緯は不明だが、とりあえず戦闘能力はほぼ皆無な為、他のメンバーに護られている事が多いだろう 将門と直接顔を合わせることができているのを見ると、チャラ男たちのように比較的初期に集められた者なのかもしれない 霊感があるようで、不吉な気配を感じたりもするらしい ちなみに、仲間であるキャリアウーマンから注ぎ込まれる視線がちょっぴり怖いらしい 正統派気弱ショタ?あぁ、そんな属性もあったかもね 大好きな物 パパ、将門様、滝夜叉 好きな物 「首塚」の仲間 嫌いな物 「首塚」の敵 大嫌いな物 都市伝説を信じない者 苦手な物 ピーマンとニンジン 賀川 玲人 年齢 30歳 所属 「首塚」 職業 「首塚」所有はなれ小島専属料理人 家族 不明 「カレーおじさん」の契約者 「首塚」所有の離れ小島で子供達の世話をしている内の一人。 一応、側近組ではなく、保護され組の一人である。 小学生の頃、女性に振られまくったトラウマから女性が苦手で、女装男子萌えと言う困った変態。 ちなみに、カレーおじさんと契約したのもの、その小学生の頃である カレーがタップリ入った鍋で殴られても、一時間もあれば復活するタフさを誇っている。 料理は全般的に得意だが、契約の影響でか、特にカレー作りが得意。 女装男子萌え以外の点については、意外と常識人 「首塚」に所属するようになったキッカケは、「組織」のスカウトが女性だったんで、それを断って追われるようになった為である 大好きな物 女装男子、カレー 好きな物 自分の作ったカレーを美味しいと言ってくれる人 嫌いな物 食事を残す奴 大嫌いな物 カレー嫌いな奴 苦手な物 女性 カレーおじさん 年齢 不詳(外見年齢は30~40代ほど) 所属 「首塚」 職業 「首塚」所有はなれ小島専属料理人 家族 なし(あえて言うなら玲人) 「下校しているとき出没しては「今日のおかずはカレーだよ~」と呼びかけられました。 学校でも何度か注意?されたことがあります。 なぜ「今日のご飯」じゃなくて「今日のおかず」なのか、なぜ「カレー」だったのか、今となってはわかりません。 ちなみに自分の友達はこのカレーおじさんに会った2回のうち2回とも晩ご飯はカレーだったそうです。」 …と、言う話から生まれた都市伝説。 洗練されたシェフの姿をとっている。 カレーと名の付く料理ならなんでも作れる他、狙った対象の食事を問答無用でカレーに決定させたり、恵役者のカレー作りの腕を伝説クラスまで上達させる能力を持っている。 どこからともなく、カレーがタップリ入ったカレー鍋を出す事があるが、それも能力の一つなのかもしれない。 契約者である玲人のことは「ご主人様」と呼んでいるようだ 大好きな物 カレー 好きな物 自分の作ったカレーを美味しいと言ってくれる人、ご主人様 嫌いな物 カレー作りがへタな人 大嫌いな物 カレー嫌いな奴、カレーをバカにする人 苦手な物 ハヤシライス 「コスタリカ帝国」の契約者 年齢 18歳 所属 「首塚」 職業 「首塚」離れ小島ガーディアン 家族 「首塚」離れ小島の子供達(本来の家族は不明) 強気でわりと自分勝手でちょっといっちゃってる系の性格っぽい 「組織」の狗やってるけど何かうざいなー、やめたいなーって思ってたら将門と出合った 「組織」の狗よりこっちの方がよさそうじゃね?とさらっと「組織」を裏切って「首塚」所属に変更 現在は「首塚」所有の離れ小島で、戦闘力を持たない「組織」から逃れた契約者や都市伝説を保護している建物にて、常に警備についている …が、侵入者なんて入ったことないので、普段の仕事は子守りと玲人への突っ込みがメイン 童顔で貧乳で低身長な為、実際年齢より年下に見えるのをちょっと気にしているようだ なお、契約都市伝説である「コスタリカ帝国」は、都市伝説ってよりコピペネタなんだが気にしない方向で わずかな生き残りのみが知っている、コスタリカ共和国の真の姿…と、言うネタコピペ 能力を知った者に問答無用で刺客が送られ、殺してしまうと言う力を持っている 一回殺されて上げない限り、刺客は何度でも送られてくるため非常にうざい なお、本人がコントロールできないから一番困る 大好きな物 将門様 好きな物 自分を褒めてくれる相手 嫌いな物 「組織」 大嫌いな物 「首塚」の敵 苦手な物 黒服D
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1067.html
『私の世界』 前編 夢の内側から夢を観測している。 自分ではない誰かが自分のフリをして外界へと手を伸ばす。 私が消えてしまう、私が死んでしまう。そういった感覚が背骨の上を走る。 足首が痛い。瞼の裏側が熱い。お腹が、子宮が、疼いている。 私にしか聞こえない声で、あの腕は私に囁いた。 ――――お前は人間ではありえない。 第二話『私の世界』 背中側から発せられる軋みの音で薫は目を覚ました。 体全体を倦怠感が包む。薄いシーツを上にかけてるだけにも関わらず体が熱い。 どうやらベッドの上にいるらしい。 蛍光灯一本が薄暗く部屋を照らすこの部屋は自分の記憶にない。 「起きたか」 自分の視界の外から声を掛けられて、薫は体を起こしてそちらを向く。 窓から入る月明かりが、椅子に腰掛ける長髪の女を照らしている。 目は細く吊り上っていて、頬に二本の傷がある。鼻の形がいいおかげが普通以上の顔に見えるがお世辞にも美人とは言えない。 この女は……誰だ。私は……。 頭がぎしりと痛む。 「痛……」 「無理をするな。仮とはいえ契約した直前に戦闘を行ったんだ、あまり動かないほうがいいぜ」 ――――思い出した。 確か家の前の自販機でカタワさんに襲われて、この月に照らされている女に助けられて。 それから、私が、カタワさんを。 「殺した」 「ん? どうした」 私が殺した。カタワさんの頭を、砕いた。 どす黒い塊が喉の奥にツッかえている。あの時の自分は化け物だった。 と同時に自分の居場所があそこにあったと、そうも思う。 怪異を『力』として使役し、何かを壊す快楽。己の奥に快い暗闇が広がる、あの時間。 欲しいものがあった。自分を迎え入れてくれる環境。 小さい頃に失った、誰もが当然のように笑顔でいられる空間。 その輪を外側からしか眺めることが出来なかった。あの笑顔を自分がすることも、誰かに向けられることもない。 だが、今日私は笑顔をした。 ――――これから殺す、獲物に向けて? そして私は笑顔を貰った。 ――――姿も見えない獣の腕に? 「うぅっ……」 頭が痛い。脳髄が沸騰している。頭蓋の中心が、渦を巻いて私の外に飛び出ようとしている。 そういえば、ここはどこなのだろう。 薫は片手で側東部を押さえながら、女に質問をすることにする。 「ここは、どこなんですか?」 「ウチの割り当てられている部屋だ。あの後お前もぶっ倒れたから仲間に連絡して連れてこさせた」 「貴方は、誰なんですか」 そう質問した時、部屋の扉が勢いよく開く。 「いやー、新入りがいるんだって? 猿から聞いたで」 更にその扉の勢いにも負けないくらいの勢いとテンションの持ち主が入ってきた。 顔は十八、九の青年に見えるが服装はスーツだ。短く刈った髪は真紅に燃え、耳にはジャラジャラとピアスを付けている。 目鼻立ちがよく十分に美形と言えるだろう。だがその顔の半分以上に刺青が入れてある。 異様な人物であることは姿もさることながら、部屋に入ってから片時もお喋りを止めていない所からも見て取れる。 「ナナシさぁ、猿を自由にしとくの良くないで。ああ見えてパラドックス共はお喋りや」 「五月蝿いボケ。ウチ指図するなゴミカス」 「口悪っ! 相変わらず口悪っ! 新入りちゃんはこんなならんどいてな」 「ぶっ殺す。それと、こいつは新入りじゃない」 「え、そうなん? じゃあなんでここにいるん?」 「『巻き込んだ』責任がある」 「でも『適合体』ではあるんやろぉ? なら入っちゃった方が安全とちゃうのん?」 完全に薫を置いて話は進んでいく。自分の置かれている状況がますます良く分からなくなる。 判明したのは、女がナナシと呼ばれている事くらいだ。 この二人の話に割り込むべきか否か。 未だやむ気配のない罵り合いなのか情報開示なのか分からないやり取りを見つつ、長考する。 「ナナシちゃん知っとる? 怒るとおっぱいちっちゃくなるんやで?」 「よし、殺す。キーコに頼んで研究棟の多重擬似深淵牢獄に放り込んでやるよカス」 「あんな化け物だらけの空間嫌やぁ。なあ新入りちゃん」 うむむと顎に手を当てて考え事をしていた薫に予想外のボールが投げられる。 もちろん話など欠片も聞いていないので何も答えることが出来ない。 考えあぐねた結果、先の質問をこの男にも投げかけてみることにする。 あの、ここはどこなんですか?」 「ここ? 東京やで。アポトーシス東京支部」 「おいゴミクズ。そこまで教えるんじゃねェ」 「ええやん、いずれにせよそれを言わんと話も進まれへん」 東京……。随分と遠くに連れてこられたものだ。県を五、六個跨いでいるではないか。 それにアポトーシスという、恐らく支部とつくあたりなんらかの組織名と考えられるソレ。 とりあえず自分の大まかな居場所の把握という目的は達成した。次は一個ずつ謎を潰していこう。 「あの、アポトーシスってなんですか?」 「お、やっぱ気になる?」 「ボケカス、教えんな」 「えー、なんでなん? けちんぼさんやな君はホンマに」 「こいつはこのまま日常に戻ったほうがいいんだよ」 「アレを見たからか?」 いつの間にか例の獣の腕がぷかぷかと扉の前に浮いていた。 薫の心臓がゾクリと跳ねた。あの時の、カタワさんの頭を吹き飛ばした時の感覚が蘇る。 と、同時に右足首が痛むことに気がつく。じくじくと熱を持ってそれが主張する。 表情はなくともあの獣の腕の持ち主が楽しそうに笑っているのが分かる。 「初めはただの上級適合体かと思った。けど、『アレ』はあり得ねェ。あり得ちゃいけねェ範疇だ」 「おいおい、穏やかやないなぁ。何を見たん?」 「……」 黙ってしまったナナシに変わって獣の腕が答える。 「喰った」 「喰った? 何をや」 「矛盾、いや還元していたから『エーテル』というべきか」 「ふはは、冗談キツいで猿ちゃん。そんなん無理や」 チャラチャラした男が一気に苦笑いを浮かべる。それに対しナナシはいらついた様子で応答した。 「理論上は可能だろ。無理やり情報を埋めて取り込んじまえばいい」 「高機能干渉……」 「しかもその間意識が無い」 「天敵やんか」 「パラドックスに対してもウチらにとってもな」 男の方は額にじっとりと汗をかき、ナナシは腕を組んで黙ってしまった。 獣の腕も言葉を発さず。静寂が部屋を満たした。 薫は恐らく己に関する発言の数々を反芻するが一つも理解できない。完全に置いてけぼりを食らってしまった。 今更何を話していいかわからず周りと一緒に黙るほか無い。 今まで把握し切れていたと思っていた自分という存在。その自分が異様な集団に異様と称される不安感。 私という存在に対しての懐疑が大きく己の中で膨らむ。 ――――知りたい。知らなければならない。 拠り所を無くした自分だからこそ、さらに己を失う訳には行かない。 痛む右足。軋む頭。こうなった原因を。この静寂の理由を。私は知らなければ。 薫は自分の下半身を覆うシーツをぎゅうと握り締め口を開く。 「あの、教えてください。貴方たちのこと、あの化け物のこと、それに、私のことを」 全員がこちらに意識を向ける。男は苦笑いをし、女は飽きれ、腕は笑う。 この主張が受け入れて貰えるか分からない。そうなったときに私は食い下がるのか、それとも諦めるのか。 はぁ、とため息を付きナナシが口を開く。 「二つ約束しろ。一つ、今から聞くことを他言しない事。二つ、この話を聞いたら『選択』すること」 「はい、約束します」 「お嬢ちゃん。後悔しなさんなや」 「大丈夫です。私、知りたいんです。嫌なんです、自分を疑うのだけは」 薫は過去の自分に対する出来事によって、ある種の閉塞的な自己嫌悪を抱えている。 その嫌悪に相対していたのが過剰なまでの自己愛と他者への拒絶である。 その自己愛の部分が懐疑によって崩落すれば、残るのは事故嫌悪のみとなる。そうなればきっと、自分は消えてしまう。 ソレが怖い。歩んできた道が全て虚構によるものだと考えてしまうのが嫌だ。 だから少なくとももてる限りの情報は得ておきたい。それから全てを判断すればいい。 「おーけー。とりあえず開示できる範疇だけは全部教えてやる」 ナナシは自分の座っていた椅子から立ち上がると、部屋の隅に付属していた冷蔵庫から缶ジュースを三つ取り出す。 そしてソレを、自分、男、薫に配る。 長くなりそうだからな、そういってプルタブを開けた。 「まず、ウチらが所属している組織から話を始める。ウチらはお前も見たように、ああいった化け物を殲滅する役割を担う組織だ。 "Anti Paradox OPerat TOpsyturvydom SItuational Society"通称『APOPTOSIS』、日本語では『対矛盾戦略及び深淵観測協会』という」 「この俺のスーツの襟元についとるのが証明バッチや。かっこええやろ」 「主な活動内容は、先にも述べた化け物の殲滅と研究。それから深淵、まぁロアでもいいがそれの観測だ」 アポトーシス……知っている。自殺細胞の事だ。己を犠牲に他を生かす細胞。その名を配しているということは恐らくそういう組織なのだろう。 それと、カタワさんと対峙したときにも聞いた深淵、ロアという言葉。 「あの、深淵とかロアとかってなんですか?」 答えてくれるのであれば分からないことは何でも質問したほうが得だ。薫はそう判断する。 「深淵、ウチらは便宜的にそう呼称してるが基本はお前も知ってる。『誰もが知っている誰も知らない世界』のことだ」 「つまりは平行世界『パラレルワールド』や」 「パラレルワールド。そんなものが、本当にあるんですか?」 「ない。が、ある」 「はぁ?」 訳が分からない。この人は本当に答える気があるのだろうか疑問に思う。 「あるのは『エーテル』だけだ。それに膨大な意識が結びついて世界が出来る。だから現実には存在してない。人の意識の集合体の中に存在している」 「ソレが外側に現れるのが深淵や。まぁ、嬢ちゃんには難しい話やんなぁ」 「分かりやすく説明してやる。例えば水槽が二つあるとする。片方は水に満たされている水槽。もう片方は黒い布が掛かっていて中が見えない水槽だ。 水に満たされた水槽には魚が住んでいる。黒い方は分からない。魚は夢想する。きっと黒い布の水槽の方も水が満たされていて、魚が住んでいる。 だが現実には布の下は空の水槽だ。だが水に満たされた水槽の中の魚の中では、黒い布の下の世界が存在する。それが、平行世界だ」 ……例えそうだとしても結局中身が空なら実体がないではないか。 しかし薫を襲ったあの化け物も、あの暗闇の世界も本物だ。質感も、匂いも全て覚えている。 「納得いかんって顔しとるで」 「だって、それだと私の身に起こった事が説明付きません」 「それには次の話に移る必要がある。『エーテル』という世界を満たす情報伝達因子の説明だ」 「エーテル……」 これもまた実体のない話だ。過去、世界はエーテルで満たされてるとした学説が存在した。光、音、そういったものを伝播させる性質をもつ物質。 しかし結局その学説は科学の発展とともに淘汰されていった。高校時代に何かの科学本で読んだ覚えがある。 ならば、この人たちがいうエーテルとは一体なんなんだ。 「お前、幽霊と都市伝説の違いが分かるか?」 ナナシから薫へ唐突にそんな質問が投げかけられる。 幽霊と都市伝説の違い。都市伝説の中にも幽霊が関わっているのも存在するが基本は違うはずだ。 幽霊は、どことなく信憑性にかける気がするが、都市伝説にはどこか信じてしまう部分がある。 遠くと近く。そんな違いがあるように薫は考える。 上記の考えをナナシに提示する。 「三十点だな」 「なんも知らん子にキッツぅない?」 なんとなく悔しい。そもそも両者ともに噂程度の記憶の中にしか存在できないような曖昧な存在ではないか。 ソレに対して違いも何もあったもんじゃない。結局は両方とも怪異という括りで済ますことが出来ると考える。 「じゃあ、仮にその両者が存在しているとして、その生成条件はなんだと思う?」 また問題を出される。しかし先の点数による評価で回答する気をなくした薫は早々に白旗を振った。 それに対し小馬鹿にしたような笑みをナナシは浮かべ、話を続ける。 「霊とは単体の情報にエーテルが集合した物で、都市伝説は情報を有したエーテルが複数集まり形を形成したものだ」 そんなの分かる訳ないじゃないか。理不尽を感じながらも、黙っていたほうが早く話が進みそうなので黙っている。 しかしナナシの後ろで含み笑いをしている男を見て若干のイラつきを覚えた。 話は続いている。 「エーテルとは本来ならば現実に存在することの出来ない曖昧で弱い情報ですら収束する伝導体のことだ。氣・魔力・霊子とも呼称される。 人間には松果体という機関が脳にあり、それが普段エーテルを全て漉し取っているので本来知覚することが出来ない。 が、霊媒の家系・魔術師の家系と言った種類の人間たちの松果体は『開いて』おり、故にそれらを知覚ないし使役することが可能とする」 「アポトーシスはそういう『開けてる』人間が雇われて出来とるんや」 「そしてそのエーテルが全てにおいて重要な役割を果たしているんだ」 「じゃあ霊と都市伝説の違いから、我々の敵であるパラドックスの話をしよか。まず霊からや。 人間は死に際強い恨みや念、イコール膨大な情報を放つ場合がある。それにエーテルが急激に収束し形を成す。これが霊の正体や。 エーテルには強い情報には急激に集まる性質があるからなぁ。ソレが起因になっとる。 生前と同じ動きをする幽霊やとか、自縛霊等は、焼きついた情報があまりにも断定的且つ強すぎて、本来霊にはないはずの『設定』が作られてしまってんねや。 霊のいる場所で体が重くなるっちゅーのも、通常の密度を遙かに超えるエーテル量に常人の松果体が異常反応を起こすからや。 ちなみに呪いも全てはエーテルで証明されとる。過度な濃度で収束を続けるとやがてエーテル体は『腐る』。 その腐ったエーテルを取り込むと松果体が異常反応してメラトニンが過剰分泌され、結果死に至るっちゅーわけやな」 「だが、都市伝説は単一からなる霊とは違い複数からなる。エーテルには似た情報と結合する性質も存在する。 この似た情報が寄せ集まって出来るのが都市伝説だ。そこのハゲカスが言ってたように霊は死んだ人間の念が作り出す。 故に上書きが出来ない。霊はその霊以外に変わることがないんだ。だから対処も容易いし、そこらに転がってる似非霊媒師モドキでも消せる場合がある。 けど都市伝説、いやパラドックスは違う。何度でも上書き可能だ。何度でも何度でも人間が噂を付け足す限り際限なく成長を続ける。 それがパラドックスの恐ろしい所だ。まぁ、だから不安定でウチらの世界では具現化出来ないんだけどな」 「唯一の救いやね」 「つまり、エーテルの存在によって並行世界もパラドックスも生まれ得るという訳だ。 だが、松果体が閉じてる人間には知覚すら出来ない。故に、『ない、しかし、ある』とウチは言ったんだ」 ……。 理解が追いつかない。エーテルという魔法みたいなものが世界中に溢れてて、それのせいで化け物や幽霊が生まれる。 御伽噺を聞きにきた訳じゃない。私が、私が知りたいのは。 「理解し難いか。だがお前も襲われたろう。そろそろ諦めて認めろ」 「でも、それじゃあその『開いてる』人間以外がその存在を知覚できないなら、都市伝説――――パラドックスに襲われる人は皆開いてる人間なんですか?」 「それは違う。違うからこそ都市伝説という名前が付いている」 「そや、パラドックスは都市部でのみ、好き勝手に人間を深淵に引きずりこめる」 「だから、『都市伝説』」 「人口がある一定を超えると、それだけ情報の量は増える。奴らパラドックスにとっては活動しやすくなるって訳だ」 「そもそもそれ以外の場所では不安定すぎてすぐに拡散してしまうけどなぁ」 「ウチらはそういった都市に溢れるパラドックスによる被害を防ぐために先手を打って殲滅する。 都市部にて引き起こる平行世界、深淵を観測しパラドックスを見つけ、殺す。それがウチらの仕事」 「……どうしてパラドックスは人を襲うんですか?」 「そういう設定がされてるからや。いや、そういう設定がされてる奴が人を襲うタイプっちゅーか」 「ある化け物が人を襲う、殺すって噂がエーテルと結びついて形を得れば、当然その化け物は人を殺すだろ。 だってそういう情報で出来てんだからさァ」 「じゃあ、私たちは自分の首を自分で絞めてることになるじゃないですか! そんななんにも考えずに発信した噂に殺されるなんて!」 「人間どの時代だって自分の首を絞めて生きるもんやで、まぁそうさせないために俺らが組織されたんやけどな」 「他を生かすために己を犠牲にする。それがアポトーシスだ」 「おややぁ? ナナシちゃんそんな嘘ついてええのん? ホンマは殺したいだけとちゃいますのん?」 「あぁ!? 粉微塵にすんぞハゲカスが!」 「だって、『復讐』のためでもなかったら、あんな危険な都市伝説と契約するかいな」 「猿吉を悪く言うんじゃねぇ! 好きで連れてんだよ。……ってあれ? 猿吉は?」 「さっき出てったわ。ホンマ自由な腕やで」 薫を置いて喧嘩を始める二人。その間薫は今までの情報を整理することにした。 まず、世界にはエーテルという情報と結合する性質を持ったものが存在する。これに嘘は無いだろう。恐らく本当にある。 更にそれが、人間の噂と結びつき寄せ集まることで平行世界が生まれ、更にその中に都市伝説が生まれる。 これはどうだ。なにか重要な部分を隠されている気がする。とりあえず今はこれも信じるほか無い。 次に都市伝説についてだ。奴らは都市部でしか存在できない。理由は一定の人口数がないと情報の結合が弱くて拡散してしまうから。 これは……概ね真実だろう。仮にこの部分が嘘でもあまり問題はない。 最後に、所々に出てくる設定と契約という言葉。これに関してはあえてノータッチなのか、それともこれから説明してくれるのか。 ――――総合して、『話せる部分のみ話している』と判断する。 初めからそういう取り決めだったが、やはりそれらから核心の部分まで推測するのは不可能に近い。 自分の置かれている立場はやはり対等なものではないと足元も再確認させられる。 ふと気が付くと、先ほど姿を消した獣の腕がなにやら紙を持って入ってくるところだった。 「おお、猿吉どこ行ってたんだよ」 「キーコのところだ。どうせお前らには設定の話がうまく出来ないだろうと踏んで、キーコにわかりやすい資料を制作して貰った」 「猿、気が利くやん!」 「まあな。あと、次に猿っていったら殺す」 薫が紙を受け取ると、ベッドの側面に男とナナシが寄ってくる。結果三人で紙を見ることになった。 * 『 キーコのなぜなに都市伝説☆ 【設定】 ※このフリーペーパーは初めて都市伝説を知った初心者ちゃん向けに発行されています! 都市伝説は『噂』という不確定な情報の複合体がエーテルに焼きつくことで生まれる。 しかしながら非常に不安定な存在なので、不確定要素に対し一定水準の確率を常に安定させることの出来る ロア世界でしか存在できない。(強制的にロア世界に引っ張られる) 都市伝説の行動は全て人間の作り出した噂の影響力・浸透率の大小で決定されている。これが設定である ☆例 カタワさんは人間の血を失った部位に塗りつけると、その部位が生えてくるから人間を殺す。 という情報(噂)が存在するとして、 町規模(日数で言うと一週間前後)でその情報が定着している場合、殺すという事象の大きさも加味して 恐らく傷が治る程度しか機能しない=その設定は正常に機能していない 都市規模(日数で言うと一ヶ月前後)でその情報が定着している場合、殺すという事象の大きさも加味して 恐らく失われているパーツが復元する=設定が正常に機能する 式で表すと 設定=情報の定着量÷事象の大小 が一定の数値を超えると都市伝説に完全に書き込まれる。 事象の大小とは現実世界における影響力の強さであり、 ただ横をすり抜けるだけで危害を加えないという都市伝説の情報よりも、 殺す、呪われるといった影響の強いものほど設定の定着には多くの噂の広がりが必要になる この事象の大小には引きずり込みと呼ばれる、人間をロア世界へ迷い込ませる力にも影響する。 小さい事象ほど小さい範囲で引きずり込みが行われる。 ☆例 車を走らせていると、物凄い速さのババアが隣を走り抜けていった。 ↓ 車の内部ないし人間の体のみこちらに引きずり込めば十分可能。 カタワさんに殺される。 ↓ 町規模で仮想空間としてロア世界を構築しなければ不可能。 人間はその条件や設定が行われるのにもっとも適した範囲でロア世界に引きずり込まれることになる。 殺人などの大きな事象はそれだけ大きな範囲を生成しないと基本的に成り立たない場合が多い 故に複数人で都市伝説に遭遇したり、殺されるシーンや証拠となるシーンを誰も目撃していないというケースが多発する。 基本的な部分は以上! 分かったかな? 』 * こう書いてくれたこうが、会話で教えられるよりも分かりやすいなと薫はうなずく。 隣の二人もしきりに感心して紙を眺めている。 「まぁこの程度のこと知っとったけどな。復習や復習」 「その割には声が上ずってるぜェ足立よぉ」 「はぁ? 何言うてますのん。俺韓国語わかれへんねん」 「テメェ殺す!」 再度二人が喧嘩をし始めた。 と同時に天井付近に付属していたスピーカらしきものから危険を知らせるアラートと、緊急放送が流れ始めた。 【ガガッ――――司令部より緊急放送。研究棟地下実験室よりロアが流出。 AからFまでの隔壁閉鎖。非殲滅部隊は指定の緊急脱出経路より外部へ移行してください。 殲滅部隊壱は脱出経路の警備、殲滅部隊零は地下研究施設にてロアを完全排除してください。】 また、戦いが始まろうとしていた。 To Be Continued… 前ページ連載 - もぐたん
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1952.html
GALLERY ソニータイマー OFFLINE MODE これまでのお話 STAGE 1 ソニータイマー STAGE 2 部活 STAGE 3 チョコレートは明治 STAGE 4 通りゃんせ STAGE 6 不幸と病弱 STAGE 7 妬ましい STAGE 8 ポケットモンスター シティ レジェンド STAGE 9 口裂け女のスランプ STAGE 10 電化製品は叩けば直る STAGE 11 血液型性格診断 STAGE 12 ゲーム研究部の活動 EXTRA STAGE 新聞部の活動 STAGE 13 エス○ークを5ターン以内に倒すと仲間になる STAGE 14 通りゃんせの相棒 STAGE 15 私は誰でしょう? STAGE 16 足売り婆さん STAGE 17 声優の重要性 STAGE 18 彼女居ない暦500年越え ONLINE MODE 悪魔の囁き&コークロア騒動編 リア充皆いなくなればいい 新聞部の活動2 ゲーマー3兄妹とカイザーの契約者 黒いキューピー人形 非リア充達の嫉妬 嫉妬少年のその後 二次元研究部 擬人化と魔改造 引き篭もり魔法使いの外出 新聞部の活動3 任天堂寺の決意 坊池一人との戦闘 嫉妬少年と悪魔の囁き OFFLINE MODE これまでのお話2 STAGE 1 物欲センサー STAGE 七つの大罪 STAGE マンホールの上で… STAGE ヘンゼルとグレーテル STAGE 夢見る兄妹 STAGE 走る走る STAGE 羨ましいな STAGE 新聞部の活動4 STAGE 不幸と疾風の文化祭 STAGE ヘビイチゴには毒がある STAGE 三竦み STAGE 不幸の一日 STAGE unluckyHelooween STAGE 食の力 STAGE 才能を求める者 STAGE シャボン玉 STAGE とある化学の都市伝説(フォークロア STAGE 共鳴した者共の集い(エコーズ・メンバーズ・ミーティング) STAGE 甘い香りのするケーキの絵 STAGE 3月14日 STAGE 嘘吐き(マイナス)と不幸(マイナス)の不運(マイナス)な出会い STAGE 死体からダイヤモンド STAGE 変態という名の淑女 STAGE 水晶髑髏 STAGE 久しぶりに遊戯王ネタスレ投下時、魔轟神レヴュアタンのシンクロ素材のレベルが足りないとの指摘があったため、辻褄を合わせるため若干内容を変更しております STAGE デュエルの後に STAGE 地獄の沙汰も STAGE 明日から本気出す STAGE ソロモンの指輪 STAGE 食べて食べて食べまくれ STAGE 規格外の破壊力 STAGE 水晶髑髏と邪気殺し STAGE 恐怖の美術館 STAGE 任天堂寺と注射男 STAGE 全てプラズマで説明できる STAGE 母は強し…いや、私は母じゃないけど STAGE 鷽月頼也、その過負荷(マイナス) STAGE 赤い糸? 緑の炎で焼き切ってあげるよ STAGE 初めての発見 STAGE ニコ厨とねらー STAGE 死亡フラグのさしすせそ『す』 STAGE 戦う漫画家達 STAGE ミイラ兄妹 STAGE 新聞部の活動6 EXTRA STAGE 守りの力と七不思議 STAGE 生まれたてのfolklore STAGE なりきりセット STAGE これは正当防衛です STAGE 氷肌玉骨にして熱血の少女 STAGE 子供の頃傘持ってジャンプとかしたよね STAGE ジャンクフードジャンキー 2PLAY MODE ロリコンとロリコンの邂逅 ONLINE MODE CoA編 ゲーム研究部とゲーマー三兄妹+αのCoA 引きこもり魔法使い達もCoAを始めるようです 新聞部の活動5 ゲーム研究部達のCoA…ってかなり久しぶりだな ONLINE MODE 世界滅亡編 EXTRA STAGE 守りの力と七不思議 STAGE 勝利 STAGE 万有引力 STAGE 百合夫婦 STAGE アイギスと炎の七不思議 3つ目の水晶髑髏~桃色の水晶髑髏~ Mini GAME バレンタインデーなんて都市伝説だよね ホワイトデーには3倍返しとか言うけど、0を何倍したって0にしかならない たまには息抜きを クリスマス撲滅の会 バレンタインデー中止のお知らせ ONLINE Mini GAME 皆でお花見編 色々ともう遅い この世界ではまだ五月 EXTRA STAGE 新聞部の活動シリーズ 第一号新聞部の活動2 第二号新聞部の活動3 第三号新聞部の活動4 第四号新聞部の活動5 第五号新聞部の活動6 EXTRA STAGE アイギスと七不思議シリーズ 守りの力と七不思議 アイギスと炎の七不思議 [[]] ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4991.html
「氷肌玉骨にして熱血の少女」 こんにちは、初めまして…。私は氷山 熔火(ひやま ゆうか)。ようかじゃないですよ。氷麗ちゃんのお友達、です… 自慢ではないですが氷のように透き通った肌をしている、とよく言われます。 火山みたいに煮え滾る熱い血をもっている、と自負しています。そんなどこにでも居ない女子高生、です…。何だろう、この自己紹介 熔火「今日も良い朝日です…。こんな日は早起きしてジョギングに限りますね」 私の毎朝の日課、ジョギング。毎日の運動は健康な身体を作ります 心なしか身体も暖まってきましたよ。ぽかぽかです…。さて、次はあの角を曲がって… 熔火「…っ!!」 角を曲がった私が見たものは。巨大なハンマーを振るう赤い人(?)と… その傍らで真っ赤に染まる…血と青痣で赤と青に染まる氷麗ちゃんでした 熔火「あ」 その光景を見て、私の心に…怒りに火がつく 熔火「ああああああああああああ!」 私はいつの間にか高く飛び上がって…赤いハンマー使いにとび蹴りをかましていました 『がふっ』 熔火「あなた…てめぇよぉ! 私の氷麗ちゃんに何してんだ…このキチ●イハンマーがぁッ!!」 私は氷麗ちゃんを傷つけたこのゴミクズに馬乗りになり、殴る蹴るを繰り返す…絶対にゆるさねぇ! 熔火「死ね、死ね、死ね、死ね…! 地獄で侘びろ!」 『ぐふっ…がっ…み、ミタ、ナ…』 私は怒りに任せ…熱い気持ちに任せ、ハンマー使いをタコ殴りにする そう、冷静さを失い、激情に任せて…攻撃を続けたんだ だから私は。「既にこいつがハンマーを持ってねぇ」なんてそんな初歩的なことにも気づかず、気づけず。 故に頭上にハンマーが来ていることも察せずに… 『私をミタやツは…私のように真っ赤に染まれ!』 氷麗「あぶな…っ」 無慈悲に振り下ろされるハンマーを…遠隔操作で私の体を砕かんとするハンマーを、避けることも受け止めることも出来なかった。 私の体は。粉々に砕け散った… ああ、畜生。頭に血が上ってた…この氷山熔火、一生の不覚だ… 目の前の都市伝説、『赤ハンマー』に手痛い、というか体中痛い打撃を受け、 血塗れになって痣だらけになっている私は白雪氷麗。ゲーム研究部の部員で、熔火ちゃんの友達… 紆余曲折あって、この『赤ハンマー』に襲われて、だから私は応戦した。 契約都市伝説『雪女』で応戦したわけだけれど。最初に不意打ちで一発貰ってしまったせいか、苦戦を強いられた …そして結局、このザマ。惨め。『雪女』の方は雪だから大丈夫だったけれど…私は一歩も動けない ああ、これはもう、終わったかな… まぁまぁ楽しい人生だったわ。 「ああああああああああああ!」 と、目を閉じかけた私の耳に響く、私の目を覚ます声。熔火ちゃんの声だ 熔火「あなた…てめぇよぉ! 私の氷麗ちゃんに何してんだ…このキチ●イハンマーがぁッ!!」 熔火ちゃんは私に止めを刺さんとする『赤ハンマー』にとび蹴りを当てる 助けに来て、くれたんだ… 熔火「死ね、死ね、死ね、死ね…! 地獄で侘びろ!」 とび蹴りを当てて体制を崩した『赤ハンマー』に馬乗りになりつつ、殴る蹴るを繰り返しながら、罵倒する熔火ちゃん 少し言葉遣いが乱れているけど、私のために…あら? さっきから『赤ハンマー』と呼んでいるが。 この都市伝説…“ハンマーを持っていない”…? さっきまでは持っていたのに…? 氷麗「……!」 上を見上げると、熔火ちゃんの上には『赤ハンマー』がもっていたハンマーが。 こいつ、ハンマーの遠隔操作もできたの…!? 『私をミタやツは…私のように真っ赤に染まれ!』 氷麗「あぶな…っ」 咄嗟に危険を知らせようと声を上げたときにはもう既に遅く。 鮮血で真っ赤に染まったハンマーは、無慈悲に容赦なく振り下ろされ。 熔火ちゃんの身体は、肉体は。 粉々に 砕 け 散 っ た … 私の、せいで。私がもっと早く、気づいていれば… 『くひっ…ははははは! わわ、私を見るからこうなるのよ…! さて、少し邪魔がはいっ、入っちゃったけど…』 振り下ろしたハンマーを携え、『赤ハンマー』が私にゆっくりと近づく。 粉々に砕け散った熔火ちゃんの身体を間近で見ていた私は、当然茫然自失になっていたので そのさまを目を虚ろにして眺めている。 『つつつ次はああ貴方よ…! わた、私みたいに真っ赤に染まりなさいいいい!』 ハンマーが私に振り下ろされる。 当たったら死ぬだろうけど…友達も守れなかった私に生きる価値など既にない。 だから… 『雪壁…』 …? 既に私の頭はハンマーで潰されているはずなのに、私の頭はしっかりと形を保っている。 というか、何時までたってもハンマーが落ちてこない。これはいったい…? 『まったく、氷麗ったら…今の攻撃は避けられたでしょう?』 私の契約都市伝説、『雪女』が雪で壁を作り、ハンマーを受け止めていた 赤槌『くっ…』 雪の壁を砕こうとしている『赤ハンマー』だが、苦戦しているよう… 氷麗「どう…して…?」 私は自分の傷口と血液を凍らせて応急処置しながら、『雪女』に尋ねる。 雪女『どうしてって…決まってるじゃあないですか。都市伝説が契約者を守るのは当たり前ですよ?』 氷麗「違う…」 そうじゃない。そんなことを聞いてるんじゃない。 雪女『え?』 氷麗「私が聞いてるのは、それが出来るのならどうして…熔火ちゃんを助けてくれなかったのか、ってこと…」 雪女『………』 しばらくの沈黙の後、雪女は口を開いた――いや、雪の壁を作ってハンマーを受け止めている雪女は当然向こうを向いているので、 私からは雪女の口元は見えないのだが、声がしたという理由からそう判断しただけなのだが 雪女『…できなかったんですよ。私も、ギリギリまであの赤ハンマーがハンマーを遠隔操作していることに気がつかなかった…気がつけなかったんです。 だから間に合わなかった…。その時は私の体も砕かれていて雪の量が足りなかったから、そこまで届かなかったんです…ごめんなさい』 申し訳なさそうに『雪女』は言う 氷麗「……いえ、貴女のせいじゃない。私が、もっと早く気づいていれば…。 もっと早く察していれば、あの子は攻撃を受けずに済んだ。 熔火ちゃんは、死なずに済んだのに…」 ……めったに感情をもらすことがない私の目から、雫が落ちてくる。頬が濡れて、止まらない 雪女『え?』 と、『雪女』は驚いたような声を上げる 雪女『何を言っているんですか? 氷麗。あの子、熔火さんはまだ死んでいませんよ?』 え? 氷麗「……え?」 そんなわけない。そんなはずはない。私の目に焼きついて離れない。だってあの子はハンマーに叩き潰されたんだから 動くことも助けることも出来ず、無残にあっけなく圧死したんだから。 赤ハンマーに真上から叩き潰されて、 氷麗「粉々に、砕け散ったんだから」 ………ん? あれ?『粉々』? 『粉々に砕け散った』…? 待てよ、待てよ…おかしくないかしら? 『ぐちゃぐちゃに潰れた』なら分かる。けど、人間が…脊椎動物が、 氷麗「ハンマーで叩かれて粉々に砕け散るなんて、ありえない…」 そう、私の親友熔火ちゃんは、まるでガラスのように――薄氷のように、割れて砕けてしまったんだ 雪女『…ああ、そろそろ限界です…ね!』 とうとう雪の壁が破壊される。しかしそれを破壊したハンマーの勢いも殺され、つまり仕切りなおしの状態になったわけだ 赤槌『ああ…恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいッ! 顔から火が出そうだわ…だから叩き潰す!』 と、ハンマーを『赤ハンマー』の顔面に、氷の弾丸が飛んでくる 赤槌『…え?』 「これで冷えました?」 弾丸が飛んできた方向から聴きなれた声がして、そこに見慣れた少女の姿が …あの位置は、雪女の雪が積もった場所で…そして何より。 熔火ちゃんが、砕かれた場所… 雪煙が晴れ、影の正体が露になる。そう、そこにいたのは、やっぱり… 熔火「ありがとうございます雪女さん…お陰で、頭が冷えました」 まるで、あの時の破壊が無かったかのように。氷細工のように美しい少女が佇んでいた 赤槌『お前、は…! さっき確実に殺したはず…このハンマーで! まさか、まさか私がしくじったとでも言うのか!? ああ恥ずかしい! 私がハンマーで仕留め損ねるなんて…!』 熔火「いえいえ、確かにしっかり砕かれましたよ、私は…。だけど残念なことに、私は砕かれたくらいじゃ死にません」 熔火ちゃんは赤ハンマーを指差しながら、ポーズを決めて、次の言葉を言い放つ 熔火「恥ずかしさで焼けてしまいそう? だったら安心してください。この私、氷山熔火の熱血で、貴女の頭を冷やして差し上げ…」 氷麗「熔火ちゃん!」 良かった。良かった。良かった…熔火ちゃんが生きてて、良かった……! 私は思わず、熔火ちゃんに抱きついていた 熔火「~///」 ……ん? あれ? 熔火ちゃんから湯気が出てる? というか熔火ちゃんがどんどん痩せていってる? 熔火「駄目ッ…です氷麗ちゃん…こ、こんなところで…!」 雪女『……』 氷麗「え? な、何? どうしたの熔火ちゃん!? 大丈夫!?」 熔火ちゃんはなぜか顔を赤くしているし、雪女は冷ややかな目でこちらを睨んでいる。どうしたのかな… よく分からないけどこのままではまずいと思ったので、熔火ちゃんから身体を離した すると熔火ちゃんはしばし残念そうな表情をした後、自分の頭に手を当てる。すると熔火ちゃんの顔の赤みが消え、湯気も出なくなった 熔火「氷麗ちゃんにこんなところで抱きつかれるなんて……頭がフットーしちゃったよおっっ…」 氷麗「沸騰しちゃったの!?」 大事件だ。でも一体どうしてそんなことに… 雪女『氷麗、貴女はハーレムラノベの主人公ですか…?』 相変わらずの冷ややかなジト目で、雪女は私に言う 氷麗「え? ハーレムラノベに喩えるなら私はヒロインその3あたりだと思うんだけど」 クーデレポジション的な。自分で言うのもなんだけれど 熔火「こほん。では気を取り直して…。 『赤ハンマー』。私のこの煮え滾るような熱血で、貴女の頭を冷やして差しあげます……!」 どうやら立ち直った様子の熔火ちゃんは、律儀に待っていてくれた『赤ハンマー』に向き直り、ポーズをキメながらそう言った 赤槌『やってみなさい。貴女が私をどうこう出来ると思っているなら、そのふざけた幻想ごと叩いて打破して壊して砕いて、潰してあげる…って何言わせんのよ!』 顔をより一層真っ赤にしながらハンマーを構えつつ熔火ちゃんに飛び掛ってきた。照れるならやらなければいいのに… 熔火「『封氷被鎧(アイスタンク)』」 熔火ちゃんは身体に氷を鎧のように纏い、ハンマーを受け止めてしまう。もしかして、これが熔火ちゃんの契約都市伝説…? 氷を操るタイプの都市伝説は結構あるけど… 赤槌『くっ…硬い! ならば私も…「落槌注意(フリーフォール)」…ってどうしてさっきから私に恥ずかしい台詞ばかり言わせるのよぉ!』 熔火ちゃんの上空にハンマーを転送する『赤ハンマー』。そのハンマーは重力に従い、熔火ちゃんの頭上へ落ちる…咄嗟に避けようとする熔火ちゃんだったが、間に合わず、ハンマーは熔火ちゃんの頭部を砕く… 赤槌『ふんっ。口ほどにも無いわね。私を辱めるからそうなるの…え?』 頭部を砕かれたはずだが、見ると熔火ちゃんの首から上がどんどん凍っていき、頭が完成すると元の熔火ちゃんに戻った 熔火「今のは…痛かったですよ?」 赤槌『っ!! どうして!? 貴女それでも人間なの!?』 熔火「ええ、勿論人間ですよ。それにさっき言ったでしょう? 私は砕かれても死なないって」 何これ、私の応急処置なんか目じゃないくらいの再生能力…「氷で肉体を修復する」それが熔火ちゃんの能力!? それならさっきの雪女の発言にも合点がいく…! ん? 「氷で肉体を修復する」? それってもしかして…じゃあ熔火ちゃんの契約都市伝説ってまさか… 氷麗「『ハボクック』…?」 私がぼそりと呟くと、『赤ハンマー』は何かに気が付いたように表情を変える 赤槌『「ハボクック」…!? まさか、貴女の契約都市伝説は「氷山空母」!? 計画のみに終わった、氷で出来たイギリスの航空母艦! 氷で出来ているから、「水さえあれば凍らせて損傷を補修できる」というあの…!』 熔火「おや、なかなか鋭いですね二人とも。ええそうですよ。私の契約都市伝説は『氷山空母』。私の身体は氷で出来ています」 雪のような美白と、氷のように透き通った肌を持つガラス細工のように美しい氷肌玉骨の少女、氷山熔火。けれどまさか、本当に肉体が氷で出来ていたなんて…! 熔火「だから私は冷気で空気中の水分を凍らせることが出来ますし…身体が砕かれても凍らせればすぐに元通りです。空中の水分の凍らせ方を工夫すればこんなことも出来るんですよ…? 食らいなさい、氷の巨砲、『銃凍砲(クレバスカノン)』!」 熔火は器用に氷の大砲を作ると、そこから氷の砲弾を飛ばす 赤槌『その程度!』 しかし『赤ハンマー』はそれを難なく打ち落とし、叩き壊す 氷麗「…! 『雪女』、私たちも…!」 雪女『はいはぁーい♪』 氷麗「『寒射寒撃雨霰(サンキューブリーザード)』!」 広範囲にわたって吹雪や霰を発生させ、敵にぶつける技『寒射寒撃雨霰』。本来なら味方も巻き込んでしまう諸刃の剣だけれど、私の読みが正しければ… 熔火「そう、その通り…氷で出来ている私にとって、吹雪は寧ろメディアラハンです!」 ベホマズンではなかった。ケアルガでもなかった。熔火ちゃんはどうやらメガテン派らしい… …と、いうか。私今までこういうのに名前つけたこと無かったんだけど。これはまさか、熔火ちゃんのペースに乗せられてる…? 幼馴染ながら恐ろしい子…! 赤槌『ぐっ…吹雪で前がよく見えないわ…! だがっ』 『赤ハンマー』のハンマーが長く伸び、先端の鈍器が反対側にも出現する。そして彼女は、それを高速回転させた 赤槌『「回転木槌(ハンマーゴーランド)」! 』 すると扇風機のように――扇風機以上の強風が、暴風が発生し吹雪を吹き飛ばした 吹雪が晴れれば視界も開ける。視界が開けば当然―― 赤槌『また私に恥ずかしい台詞をォォオオオオ!!! 死ね! 血に塗れて赤く染まれぇ!!』 高速回転するハンマーを瞬間移動を利用して『射出』する! そのハンマーは真っ直ぐ私の方に―― 『くひっひ…そっちの『氷山空母』の契約者には効かないだろうけど、貴女には十分有効でしょう――だから先に片づけてあげるわよぉ!!!』 この速度――しかも遠隔操作が可能……避けるのは不可能ね。雪の壁でガード? いや、この回転では破壊されてしまうでしょうね… その前に本体を倒す? ……いえ、さすがに間に合わないわ。一体どうしたら―― 熔火「これ以上氷麗ちゃんを傷つけさせない……!」 すると私の目の前には熔火ちゃんの背中が。熔火ちゃんが身を挺して守ってくれた…… 赤槌『くっひひひひひひひ……!』 『封氷被鎧』を展開し、回転するハンマーを受け止める熔火ちゃんだったが、しかし当の赤ハンマーは「笑っていた」。これは、嫌な予感…… 赤槌『ひっ、引っ掛かったわねぇ! 必殺……鬼殺し火炎ハンマー!』 やはり予感は的中した。赤ハンマーの高速回転するハンマーが火を放ったのだ。摩擦によるものか、都市伝説の力かは定かではないけれど―― でも、熔火ちゃんの身体は氷……! 氷タイプに炎技は「こうかばつぐん」……つまり! 熔火「くっ……氷の私に対しては、炎による攻撃が有効……!」 「……とでも、思っていたんですか?」 炎のハンマーを受けて体が溶けているが、余裕そうなセリフを吐く熔火ちゃん。……強がりとかじゃ、ないよね……? 熔火「そんなに熱いのが好きならあげますよ……飛びっきりに熱いやつをね! 『指火山(マグマズルフラッシュ)ッ!』」 熔火ちゃんは指を銃のように構えると、指先から弾丸を飛ばしました。……マグマの。 赤槌『ああああああああああ!!!! 熱い熱い熱い熱いッ!!! こ、氷使いじゃなかったの!? 多重契約者……しかも高温と低温、真逆の能力だなんて!』 確かにそうだ。氷とマグマ。高温と低温。凍結と燃焼。全くの真逆の能力――これらを同時に扱うのは非常に難易度が高く思える 熔火「まぁ、確かにこの二つの能力――高温と低温同士折り合いをつけるのは苦労しましたけどね」 赤槌『何なんだ、この能力……! 名前からしてマグマ……『ペレ』か?『ヘーパイストス』か? 『ミノア噴火』か? くっ……! か、顔が焼ける……! 熱い熱い熱いッ!』 顔を押さえながら狼狽える『赤ハンマー』。熔火ちゃんのファインプレーだ 赤槌『い……いや、そうね。どんな都市伝説かなんて重要じゃない……それに、私の顔が焼けるように熱いのなんていつものことじゃないか…… 最初から、恥ずかしさで……顔から火が出そうなんだか、ら!』 誰かと会話しているのか、あるいは自分自身に語りかけているのか――どちらにしてもともかく、赤ハンマーは冷静さを取り戻したようだ。 いや、冷静さというのは正確ではないと思う。羞恥心に苛まれているのだし。 まぁ、とにかく調子が戻った赤ハンマーは、やはりハンマーを飛ばしてきた。私に向かって 赤槌『あんたを狙ったところでそこの二重属性女が守ってくるんでしょう。だったら――そっちから壊すまでよ』 ……ではなく、そのハンマーは熔火ちゃんに向かって飛んでいた 熔火「無駄ですよ。打撃だろうと斬撃だろうと炎だろうと氷だろうと、私に物理攻撃は通じません!」 『氷山空母』の能力によって、氷の鎧を身にまとい、ハンマーを受け止める熔火ちゃん 赤槌『――かかったわね?』 しかし、その瞬間、赤ハンマーの口角がにやりと上がった 熔火「んぐ……ああああああああああああああああ!!!」 すぐに熔火ちゃんの悲鳴が聞こえる。どういうこと? 熔火ちゃんに鈍器は通じないはずなのに……! 赤槌『ビンゴ。やっぱりね。いくら氷でできていようと所詮人間。電気を流せば痺れるわ。 名付けて「雷神の鉄槌(トールハンマー)」……じゃないわよ私! 何名づけてんのよ! ああ恥ずかしい恥ずかしい! 』 顔を真っ赤にして騒ぐ赤ハンマー。でも、それどころではなく、熔火ちゃんは電撃を浴びている。 確か『氷山空母』は海水を使用することを前提に作られているし、強度の関係上パルプが混じっている。 混じりけのある水は、特に海水は電気をよく通す――つまり電気は効果覿面っ!! 赤槌『さて……厄介な壁役を封じられたし、貴女だけなら余裕よ。傷口は凍らせてある程度処置したみたいだけど、 それでも打撲や骨折まではどうしようもないでしょう……? ただでさえ一度ぼこぼこにした相手、満身創痍とあれば、ねぇ?っと!』 そう言いながらハンマーを飛ばしてくる赤ハンマー。その通りだ。一応動くことはできるとはいえ、この身体では満足に動けない 氷麗「それはどうかしらね……『雪女』!」 雪女『いえす、まむ!』 何故か軍隊みたく返事した雪女は、能力で猛吹雪を生み出す――攻撃力よりも、視界を奪うことに重点をおいた吹雪を。 そして吹雪に紛れてハンマーをかわす。……『雪女』に手伝ってもらって。 赤槌『くっ……またしても! み、見えない……!』 さて、この状況、はっきり言ってどうしようもない。だから一時撤退だ。私達は吹雪に紛れ、その場を離れた。 そして、吹雪が止む。吹雪が止めば、視界も晴れる 赤槌『ん……? あいつらはどこに行った? 逃げたのか……おや』 何かを見つけた様子の赤ハンマー。いや、見つけたのは何かではなく誰か。具体的には熔火ちゃんだった 赤槌『おやおや。随分と薄情なお友達じゃないか。私のハンマーで痺れたこいつを置いていくなんてさぁ。じゃ、止めと行くわよ――』 先ほどの『雷神の鉄槌』を、今度は手に持ったハンマーから直接電撃を流し込んで行う赤ハンマー 赤槌『死になさい!! 感電死させた後で、たっぷり真っ赤に染めてあげ………!?』 「『噴火の魔剣(ヒートソード)』。そんなに真っ赤なのが好きなら、真っ赤な炎で焼いてあげますね?」 しかし、その瞬間、赤ハンマーは背後から燃え盛る剣で刺されていた。貫かれていた。そう、これは勿論―― 赤槌『二重属性女……! な、何故……!? 確かにあなたは目の前で倒れて……!』 熔火「ああ、ごめんなさい。それ、偽物なんです」 氷麗「私が氷で作った、ね。私だって多重契約くらいしてるのよ?」 赤槌『多重契約者――貴女もか! いったい何の都市伝説……ぐふっ』 ただでさえ赤い身体を、鮮血と炎で赤く染めながら赤ハンマーは言う。 赤槌『さっきの剣、芯はマグマだった……それに氷で人を作る能力……この都市伝説は ……いや、どうでもいいわね。こうなったら切り札を切らせてもらうわよ――打撃だけどッ!』 血を吐きつつ、恥ずかしいと言いながらハンマーを飛ばしてくる赤ハンマー。一見すると、ただのハンマーだけど……これが切り札? 熔火「氷麗ちゃん、危ない!」 身体がぼろぼろになっている私は、ただのハンマーでも十分に危ない。なので、熔火ちゃんは私をかばった。 かばって、ハンマーを腕に当て、『氷山空母』の力で弾いた。 熔火「ぐはっ……!?」 その瞬間、熔火ちゃんの背中から胸にかけて、焼けたような穴が開いた――そう、丁度そこの赤ハンマーと同じように。 氷麗「……! あ、貴女……! 熔火ちゃんに何をしたの……!?」 赤槌『く、くふ、くっふひひひ……き、決まったみたいねぇ。私の切り札、「偽り写し記す大槌(ヴェルグ・アヴェスター)」ってね……。 私は「赤ハンマー」として当たり前のことをしただけよ……あの女を、私と同じようにした』 氷麗「ま、まさか……!」 赤ハンマーは、出会った相手を『ハンマーで殴り』、『自分と同じように』真っ赤にしてしまう現代妖怪。 まさか、この『ハンマーで殴る』という部分と、『自分と同じようにする』という部分を拡大解釈して……!? 赤槌『その通り……ハンマーを当てた相手に、自分の今のダメージと状態異常を写す。これが私の切り札よ……ぐふっ』 血を吐きながら、不気味に笑いながら、赤ハンマーは言う。 熔火「そんな……さっきから何度も氷で補修してるのに、傷が塞がらない……!」 そういえば、赤ハンマーの方に気を取られて、惨状の方に気が行って、気が付かなかったが、 よく見ると熔火ちゃんの胸部から滴り落ちる血は、何だが煮えたぎっているように見える。 いや、さらによく見るとこれは――マグマ? 赤槌『へぇ。そこの女、体は氷で出来てるのに血液はマグマなのね……ぐふっ。まるで、火山、だわ…… ねぇ、私も種明かししたんだし――教えてくれてもいいんじゃない? 貴女たちの、二つ目の契約都市伝説……げほっ』 氷麗「『つらら女』。雪女と近縁種、もしくは同一とされる妖怪」 熔火「ごほっ……ちぇ……『チェルフェ』……ですよ。チリの火山に住む、岩と炎で出来た怪物です……ぐふっ」 情報1に対し、2では割に合わない――とも思ったけれど、ここは素直に答えておいた。 別に隠すほどのことでもないし。 しかし、赤ハンマーの傷口が開くのと、悪化するのと比例するように――同調するように、熔火ちゃんの容体も悪化しているようだった。 まぁ、同じ傷なのだから当然か。……しかし、その悪化も『氷山空母』で治せないところを見ると、本家本元の『偽り写し記す万象』より使い勝手がよさそうだ。 赤槌『貴女たちにはこっぴどくやられたけれど――それでも私と同じにできた。 叩き潰して、真っ赤に塗りつぶせた。……だから、今回はこのあたりで満足しておきましょう。 でも、覚えておきなさい――』 血まみれで、息も絶え絶えに、生まれたての――死にかけの小鹿のように、赤ハンマーは捨て台詞を吐いた 赤槌『次は勝つ。完膚なきまでに潰す。叩いて潰して塗りつぶす。真っ赤に深紅に紅蓮に――鉄槌下して塗り上げる。 首を洗って待ってなさい。腕を磨いてまた来るわ』 流血に慣れたのか――あるいは、都市伝説ゆえか。先ほどと打って変わって、途切れることなく言った。 そして、一呼吸おいて、 赤槌『それじゃあ、また会いましょう……って、何格好つけてるのよ、私! 負けたくせに! 最後のも一矢報いただけだし(ハンマーだけど)、 結局2つ目の都市伝説の謎解きは諦めちゃったし――格好つけられる要素がないでしょう! 何を大物ぶってるのよ、恥ずかしい恥ずかしい恥ず…………』 と、ただでさえ赤い顔を一層紅く染めながら、騒いでいた、喚いていた赤ハンマーは突然にも、忽然と姿を消してしまった。 文字通り跡形もない――ほかの誰かに消滅させられた、とは考えにくいだろう。それならばもっと反応していいはずだ。 少なくともただで不意打ちでやられるような都市伝説ではない――そう言い切れる。そのくらいには強かった。 氷麗「空間移動系、かな……」 私の部活仲間であり、同級生であるところの、任天堂寺君――彼の契約都市伝説、『ゲーム脳』を思い出した。 これは敵による攻撃でなく、避難、逃亡であると考える。彼のそれと同じ、もしくは似た、『空間移動系』――あるいは、『異空間生成系』の能力であると推察した。 でも、赤ハンマーにはそんな逸話ないわよね……。もしかして、あの赤ハンマー…… と、思案する私だが、その思考は強制的に中断させられることとなる。 熔火「つ、ら、ら、ちゃーん!!!」 氷麗「ぐえっ」 ぐえっとか言ってしまった。乙女チックの欠片もないし、女子力なんて微塵もなかった。 でも許してほしい。傷だらけの肉体に、自分と同じくらいの身長、体重の女の子が飛びついては、こんな声も出ようというものだ。 え? 何キロか、ですって? 女の子にそういうことを聞くものじゃない――と、取ってつけたような女子力を発揮しておきましょう。 熔火「無事でよかったよー氷麗ちゃん! 心配したんだからね! 痛くなかった?」 痛いのは今だし、無事でよかったも心配したも私の台詞だ。 氷麗「それは私の台詞だよ――本当、死んじゃったかと思ったんだから。 ああ、そういえば――もう大丈夫なの? さっきの傷……」 熔火「ええ。どうやら永続するタイプの呪いじゃないみたいですね。あるいは射程外に出たのかも」 氷麗「へぇ……。それにしても、ハンマーの遠隔操作までならまだしも、発火や発電、伝説を拡大解釈、曲解した呪いに、そして最後の消失マジック。 私にはどうも、あの都市伝説が……『赤ハンマー』が、野生の都市伝説とは思えないのよね」 熔火「確かにそこは私も気になっていました。おそらく契約者持ち――それも、多重契約者だと思いますよ」 炎までならギリギリ曲解と言えなくもなさそうですけれど、発電や消失までとなると、ね…… と、熔火ちゃんは言った。直情的で情熱だが、冷静で思慮深いのが彼女、氷山熔火ちゃんなのだ。 その矛盾した人間性こそが、性格こそが、あのつじつまの合わない二つの都市伝説――低温と高温、『氷山空母』と『チェルフェ』を同時に扱える理由だろうか。 気になったので、私は熔火ちゃんに聞いてみた。 すると、別に隠すほどのことでもなかったらしく、 熔火「そうですね。私が先に契約したのは『氷山空母』の方ですけれど、この二つの都市伝説。 『氷山空母』と『チェルフェ』――氷の体と熔岩の血液。氷を融かすマグマと、マグマを固める氷。 この二つに折り合いをつけるのは、相当苦労しました。 折り合いをつけられたのは、私の性質のこともありそうですけれど――もう一つの、3つ目の契約都市伝説も、理由の一つ、きっかけの一端でしょうね」 一呼吸置き、 熔火「『マクスウェルの悪魔』――熱力学第二法則のエントロピー増大則に逆らう、化学の悪魔。温度差を生む都市伝説。それがあったからこそ、ここまでうまく馴染んだんだと思います」 計画中止に終わった兵器に、火山のUMAに、思考実験――性質どころか種類も違う、3つの都市伝説を同時に操るだなんて。 親友ながら恐ろしい。 氷麗「熔火ちゃんはすごいなぁ……私の契約都市伝説は、みんな似通ったものなのに」 冷気を操る『雪女』、氷を人間に変える『つらら女』。似通ったというか、同じといってもいいくらいだ。 熔火「氷麗ちゃんもすごいですよ。似たような2つの都市伝説から、全く別の能力を解釈するなんて……格好いいですよ」 格好いいと言われるほどのことでもないと思うが、しかし褒められて悪い気はしない。 否定しないのは熔火ちゃんらしいと思ったし、女子に対して格好いいはどうかとも思ったけれど。 氷麗「くすっ……ありがと」 私は小さく微笑んで、素直にお礼を言った。 熔火「つ、氷麗ちゃん……」 熔火ちゃんの頭から湯気が出た。……顔が若干赤い? 扱えてると思ったけれど、扱い切れてないのかしら? 雪女『鈍いですね……心まで氷柱ですか、貴女は』 と、ひどいことを言う『雪女』のことは無視した。私にだって感情くらいある。 名前は氷柱だが、心は雪解け水だ。 熔火「あ……あの……その……」 どうやらもじもじしている様子の熔火ちゃん。花を摘みに行きたいのか――と聞くほど、私はデリカシーに欠けてない。 花も恥じらう乙女なのだ。さりげなく行かせてあげるべきだろう―― 熔火「その……今から一緒に、お食事、行きま、せんか……?」 氷麗「そんなにかしこまらなくても、改まらなくても、もちろんOKよ」 友達なんだし、顔を赤らめながら、もじもじしながら言う必要はないと思うのだけれど。 まぁ、改めて誘うのも小恥ずかしいということなのかな? 氷麗「じゃ、行こうか?」 と、私は熔火ちゃんの手を引いた――すると、じゅっという音と共に、熔火ちゃんの頭が消滅した。 というか蒸発した――全然制御できてない。仕方ない子ね…… 氷麗「もう……折り合い付けたんじゃなかったの?」 私は氷麗ちゃんの頭に――頭だった位置に手をかざして、冷気を放った。 冷気を操れるのは何も『雪女』だけではないのだ。 熔火「あ……ありがとうございます」 頭部は氷に戻ったが、目はまだとろーんとしている。まぁ、そこは自分でどうにかできるだろう。 瞬きとかすれば。 氷麗「しっかりしてよね……大好きな熔火ちゃんが蒸発しちゃったら、すっごく悲しいんだから」 涙腺も表情筋も固い私も、大声で泣き喚いちゃうわよ。そんな格好悪い真似、させないでよね。そう言った。 熔火「あ、あぅ……」 またもや真っ赤になって湯気を出してる熔火ちゃんだが、流石に高校生にもなってあぅ……はないでしょ。 ライトノベルか。 そういうのが許されるのはフィクションだけだと思うが、まぁ可愛いのでよしとした。 氷麗「それで、どこに行こうか? 満身創痍だけれど、まぁ、傷をいやすためにもデートと洒落込みましょうか」 その後、食事に行くまでに何度も熔火ちゃんの頭部再生に手を焼いた――冷やした。 まったく、本当に……熔火ちゃんは、私がいないと駄目なんだから。 続く EXIT
https://w.atwiki.jp/legends/pages/110.html
設定のみ - テンプレ 設定のみ - テンプレ 設定一覧 - 設定のみ このぺージでは、設定のみ公開されている都市伝説についてまとめていきます。 新規キャラ作成の参考になるでしょうし、基本的にはそのまま使用して良いという設定になると思いますので、是非ご一読下さいませ。 あいうえお順ショートカット あ行 / か行 / さ行 / た行 / な行 / は行 / ま行 / や行 / ら行 / わ行 / その他 あ行 牛の首 か行 都市伝説名1 さ行 死の行軍 三秒ルール 背ッ虚汽笛 た行 電化製品は叩けば直る な行 都市伝説名1 は行 ポロリ温泉伝統製品初の支援型モルスァ試合専用ガン ま行 都市伝説名1 や行 都市伝説名1 ら行 都市伝説名1 わ行 都市伝説名1 その他 都市伝説名1 ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/24.html
はないちもんめ ~はないちもんめの少女~ 大門 望 年齢 10歳⇒11歳 (小学6年生) 外見は7,8歳程度 所属 フリー⇒『首塚の組織』 職業 『はないちもんめ』及び『黒服D(半分)』の契約者 学生 家族 黒服D⇒大門大樹 チャラ男⇒日景翼 御神楽詩織 ペット ノロイ(ハツカネズミ) 小さな身体に尊大な態度のドS少女 自分を虐待していた両親を『組織』から与えられた力で殺害しそのまま『組織』と敵対する 現在は唯一自分を心配し守ろうとした黒服D№-962大門大樹と『首塚』の側近、日景翼と共に同居中 戸籍上は大門大樹の養女 仲間には情をかけるが敵とみなした相手には容赦せず人殺しも躊躇しない(一応後悔の念はある) 割と平気で自身の暗い過去(両親から受けた虐待やら食生活やら)を語るが、寧ろ聞いてる周りが辛い事の方が多い 壮絶な過去等ものともせず、今日も彼女は友を殴り、翼を足蹴にし、愛美に慄き、大樹にデレてまっすぐに生きている 大好きな物 大樹 家族 友美 愛美 甘い物 カードゲーム 好きな物 お金 黒色の衣服 特撮(特に仮面ライダー系統) 子供 鬼柳京介 嫌いな物 大人 『組織』 自分達に害為す全て 大嫌いな物 両親(既に故人) お気に入り チャラ男イジメ 好きな言葉 満足 気合 『はないちもんめ』 童謡のはないちもんめは子供が売買される歌という内容の都市伝説 契約によって発言した力は『歌を引き金に金を渡した相手に関係する物を操る』 金を相手に渡す為の手段として、50円玉を針金などで連ねた鎖を持つ ただ操るのではなく視覚を共有したり痛覚を遮断する等の芸当や支配権を得た相手の関節をあらぬ方向に圧し折ったり 自身の支配権を行使する事で一時的に身体能力を上昇させる等かなり器用で汎用性の高い強力な能力である ~誰かの友人~ 新島友美 年齢 12歳 (小学6年生) 外見は14か15歳位 職業 一般人 豪快と言うか適当な性格で家で繁殖したスパニッシュフライを町に解き放ったり、翼が大樹に言い寄ってる(様にしか見えない)写真を望に見せたり 都市伝説に詳しいくせに都市伝説に遭遇した経験は殆ど無かったり 無駄に被害やトラブルを拡大させる事が多々ある 両親を殺した望と最初に接触した人物でそれ以来ずっと腐れ縁 BL、百合何でもござれでストライクゾーンは老若男女ゆりかごから墓場まで 本命は望だがそれに関しては(一応)諦めている 誰とでも仲良くなれる稀有な才能はハーメルンの笛吹きの契約者である上田にまで発揮されサンジェルマンからは研究対象の一人に認められている ~鏡の中のもう一人の自分~ 御神楽詩織 年齢 1歳 (小学6年生) 外見は7,8歳程度 所属 フリー 職業 都市伝説 学生 家族 大門大樹 日景翼 大門望 手違いで望の姿と記憶をコピーしてしまった鏡にまつわる都市伝説 彼女の行動理念は面白ければそれで良し・・・ある意味友に近い 鏡の中から自由のある外界に出てきた事を喜んでいる 今の所組織に目を付けられたくないからと言った理由で大人しく人に紛れて生活しているが 都市伝説としての能力は汎用性が高く望とのコンビネーションは兄貴とも互角にやりあえる ~人類代表~ 新島愛美 年齢 42歳 職業 主婦 友美と友也の母親にして学校町最強候補の一人 鐘声とは幼馴染だった 都市伝説と契約していないにも関わらず都市伝説を一方的に屠る化物でその能力は禿にも匹敵した 幼少期の望の面倒を見ていた事もあったが自分の目の前で死んだ師に瓜二つの望に期待をかけた余り、望から普通の少女として生きる道を奪った事を後悔している 理想は語らず、今だけを生きる女傑 ~死人部隊の中年~ 鐘声 年齢 47歳 職業 無職 『死人部隊』の契約者 割と普通の人の良いオッサンだが妻と息子を『かごめかごめ』に殺されたと勘違いしてる為『かごめかごめ』を前にすると人が変わったかの様に襲い掛かってくる 『一年生になったら』と行動を共にし学校町でホームレス生活 『首塚の組織』の一員だが滅多に『将門』とは顔をあわせない 元警察官 『死人部隊』 怪力と死なず疲労しない肉体を持つ不死身の兵隊達 あらゆる銃火器を使いこなし、大凡人が運用する武器ではなく、戦闘機に搭載するようなガトリングなんかも振り回す 皆割りと気さくな性格で戦闘以外ではバナナの皮があれば確実に踏んで転ぶようなドジっ子集団 誰得 ~一年生になったらの子供~ 新島友也 『一年生になったら』の契約者 普段の一人称は「ボク」だが時折「私」になる男の娘 悪食で暴食 『首塚の組織』の後始末を担当する事もあるらしい 好きな物は 食べれる物 嫌いな者は 食べれない物 『かごめかごめ』がかつて倒した『一年生になったら』と同じ存在らしく『かごめかごめ』を狙う事もある 『死人部隊』の中年の本当の仇だが本人達はその事を知らない 都市伝説に取り込まれかけている末期症状 『首塚』一の大喰らい ~暴走警官~ 白銀友樹 年齢 37歳 職業 警官 学校町の警官の一人で愛美の弟で鐘声の後輩 愛美に叩き込まれた「化物を倒すのは人間の仕事」を胸に都市伝説と契約せずあくまで人として都市伝説と戦い続けている 書いた始末書数知れず、起こした不祥事数知れず 学校町で警察の評判が悪いとしたら9割はコイツの所為 ~かごめかごめの青年~ 影守蔵人 年齢 24歳 所属 『組織』 K-№ 職業 『かごめかごめ』及び『白面金毛九尾の狐』の契約者 フリーター 家族 コン ハク 常に丁寧な口調で見た目は大人しそうな兄ちゃん、しかし常に刀持ち歩いてる辺りどっかズレてる 能力故に屋内に限定すれば組織でも最強クラスだが、屋外では並より上程度 作者からの扱いが酷い事に定評あり 信じられるか?一応主人公だったんだぜ、コイツ 『かごめかごめ』 『童謡のかごめかごめは斬首の歌』という内容の都市伝説 能力は『四方を囲まれた空間(密室等)に相手を拘束する』と『歌を引き金に前述の能力で拘束した相手の背後に転移し首を切り落とす』 転移後の斬首は強制でキャンセル不可だが、能力なので物理的に無理な相手でも切り落とせる ~白面金毛九尾の狐~ ハク(白) コン(金) 所属『組織』 『白面金毛九尾の狐』 二匹で一つの都市伝説 口調が丁寧で面倒くさがり(肉体労働嫌い)なのがハク 好戦的なのがコン 本来の姿は狐だが能力によって様々な物へ化けれる為この二匹にとって姿はあってないような者 老若男女どころか無機物にまで化けれる かつて禿と契約していたが異様なガチムチの筋肉空間(別名マ界)に対応できず早々に契約破棄した かごめかごめの青年とは旧知の仲と言うか育ての親みたいな物 コンは適当な性格で好戦的 ハクは面倒くさがりで仕事嫌いのニート 本来は三人で一つの都市伝説だったが、内一体は後鳥羽上皇を誑かし、後鳥羽上皇の怒りを買った為に打ち滅ぼされ殺生石となった K-№の黒服としての顔も持つ 能力は変化 ありとあらゆる物に化けれるらしいが、本人達が理解していないと変化できない ~筋肉のマ神~ K-№711 禿 『組織』の黒服 K-№ 別名 マ神(マッスル神の略 マッチョな邪神かもしれない) 禿たのはかつて戦った『狐の嫁入り』の能力 契約していた(現在は取り込まれた・・・寧ろ取り込んだ)都市伝説は『鳴らすと骨が太くなる』『青いツナギの良い男』『エイズ・サム』(何れもガチムチ) 尚『青いツナギの良い男』『エイズ・サム』の二種は複数契約していた可能性あり 『白面金毛九尾の狐』とは早い段階で契約破棄した 座右の銘『筋肉に不可能無し』を体現する男で『兄気』なる力で不可能を可能にするチートキャラ 『兄気』発動時は全身がピンクの光を纏う 『兄気』を全開にすると全身が金色に輝く 普段は普通の黒服と(頭部を除いて)大差ない外見だが、脱ぐor戦闘モードになると、身長2mを超える筋肉ダルマと化す かつて契約していた『九尾の狐』にすら「さっさと滅された方が世界の為」と言われる位にどうしようもない コイツの筋肉を強調するポーズは見ただけで相手にダメージを与える精神汚染攻撃 物理的ダメージもあるかもしれない あまりにチートすぎるので封いn・・・アメリカに左遷された ~アカシャ年代記~ K-№0 組織のK-№を統括する少年 その都市伝説はアカシャ年代記、別名アカシックレコード これにより彼はあらゆる過去と未来を知る事ができる 多分ウチの連中にとってのラスボス (性的な意味で)両刀使い 今一番好きなのは「日景翼」 K-№のお約束に漏れず変態である
https://w.atwiki.jp/legends/pages/927.html
―第11章 少女達の戦闘― 前回に引き続いて俺達は海に来ていた。都市伝説とはかけ離れたこのような場所でも存在するとは思わなかった。 だが、都市であろうがなかろうがもし人に危害を加えるような事があれば場所が場所だけに大変なことにもなりかねない。 という訳で俺は、泊っていたホテルの部屋から抜け出して先程の場所に向かっていたのだった。 「危ない輩は夜のうちに消してしまおうってね。」 しかし、俺達の予想を裏切ってすぐにそいつは来た。なんと車道の方からやってきたのだ! 「嘘だろ?しかもありゃあ…」 俺が驚くのも無理はなかった。何しろ目の前に現れたのは― 超高速でこちらに向かってくる1台の白い車。そう、「白いソアラ」だ。しかもこちらに向かってくるという事は― 「当たり屋も一緒かよ!」 かねてより車をぶつける事を生業としてきた「当たり屋」。それが「白いソアラ」と一緒になっている。つまり、あの車にあたってしまったら最後、色々な要因が重なって俺は首から上をなくしてしまうだろう。 「面倒臭いなっ!天照!車の動きを止めろっ!」 「はいっ!」 一瞬にして風景が反転する。これで車の動ける範囲を狭める事が出来た。次は― 「櫛名田!結界の中に出来るだけたくさんの水を入れてくれ。そして天照、『転移』で俺達を結界の外へ。」 「分かりました。」 「了解ですっ!」 『転移』によって外に出る俺達。それと同時に櫛名田の力で結界の中に水が溜まってゆく。都市伝説とはいえどやはり車、俺の目論見通りソアラはエンジン音を上げなくなった。 「よし、月読。止めだ!」 「はい…」 すぐに弓に代わる月読。俺はその弓を引き絞り― 一気に矢を放った。その矢は動けなくなったソアラに当たり、消滅した。 「排除完了。みんなよくやってくれた。櫛名田、水を元に戻してくれ。それと天照、結界を解除してくれ。」 嫌な予感は別の意味であたってしまったが、排除することに成功した。俺は日が明けてから、またみんなと一緒に遊ぶことにした。 ―そういえば、誰か足りないような…ま、気のせいか。 そのころ、あの人(唯一出てこなかった人w)はというと… 「モガー!!ムガー!!(おーい!誰か助けてくれー!!なんで俺だけ簀巻きなんだよぉ!!ふざけんじゃねぇ!!)」 「あれ?誰かの叫びが聞こえたけど気のせいかな?」 「モガガー!!!ムガガー!!!(おい、無視すんじゃねぇ!!だから助けてくれよ!!!)」 「何かあっちの方が五月蠅いな?ちょっくら十七分割してみようかな?」 「モガモガモギャー!!!(ちょっ、待って!俺今動けないってギャー!!!!)」 前ページ次ページ連載 - 結界都市『東京』
https://w.atwiki.jp/legends/pages/762.html
合わせ鏡のアクマ 10 そろそろ日没・・・という時間帯、俺は墓場の方に歩いていた。 「契約者、なんで急に墓場なんて行くのさ?」 「いや、ちょっと聞きたいことがあってな・・・それに都市伝説が発生していないか聞けるしさ」 「熱心ですわね、契約者様も。私が夜に見回りしているからそんなに頑張らなくても」 「いやいや、昼間に出る都市伝説だってあると思うぞ?」 ・・・っと、話してる間に墓場に着いたか。 携帯電話を取り出すと、すぐさまコールがかかる。 『あれ、今日はどうかしたんですか?」 「ああ、聞きたいことがあってな」 『それはいいんですけど、えっとその・・・ちょっとタイミングが悪か(ブツッ』 「・・・ん?おい、どうした」 『声』が突然途切れたかと思うと、携帯電話からノイズ混じりの・・・別の声が聞こえてきた。 『・・だか・・・ピー・・・ぁない・・・・・・・・ガー・・・それはちが・・・・・・・・・・・・だから違うって言ってるでしょ!!』 「うおっ!?」 突然音声がクリアになったかと思うと怒鳴られた。 ・・・ん、あれ?この声って・・・いやそんなまさか。 『あれ、××?』 「・・・やっぱ姫さんか」 『あれ、どうして?私今お父さんと電話してて・・・』 「こっちも同じようなもんだ、いきなり姫さんに怒鳴られたからかなりビックリしたけどな」 『あ、あれはお父さんが変なこと言うから・・・あ、そうだ丁度良かったわ』 「なんか用が?」 『明日、暇でしょ?10時に学校で待ってるから来てくれない?』 「なんでまた、学校に?」 『都市伝説絡みなんだけどね、本当は家に直接来てほしいんだけど・・・』 「ちょっと待て、家?」 『そうよ、だって今回の都市伝説は『のろ(ブツッ』 「・・・またか」 またもや沈黙した携帯電話の画面に、沈む夕日のきつい日差しが反射する。 『・・・・・・あーあー、聞こえてますか?』 * 「おい、今のはいったいなんなんだ?」 問うと、少しばつの悪そうな『声』が返ってきた。 『・・・えっと、今のはですね。『逢魔ヶ刻』です』 「『逢魔ヶ刻』?」 『強い夕日の日差しを浴びて、隣にいた人が本人かが分からなくなる・・・ というところから、その能力は『入れ替わり』が主になっています。ここまではいいですか?』 「・・・ああ」 『厄介なのは、アレがイタズラ好きだってことです・・・今みたいに電話の相手を入れ替えたりとか』 「じゃあ、お前のところには・・・」 『なんか変な男の人の声が聞こえましたけど、無視しました』 ・・・そのひとが姫さんのお父さんなんだろうな。 「それで今日の用件なんだが・・・都市伝説と契約することでの弊害は、どんなことが起こるんだ?」 『・・・起きたんですね?』 「ああ、傷の治りが異常なほど早かった」 『ということは、あなたに今起きているのは『肉体の変化』です。 都市伝説に触れすぎると、その影響を色濃く受けて肉体が常人より頑健になったり、病弱になったりします』 「・・・そして最後には死、あるいは『超人』という都市伝説にでもなるのか?」 『過去にも、似たような例はあります。それらは我々や『組織』によって、 または自分から消えたり・・・当然、都市伝説と化して他の都市伝説と戦ってもいます』 「『組織』ってなんだ?」 『・・・ああ、話してませんでしたか。彼らは主に契約者で占められた・・・大規模な対都市伝説集団です』 「お前達と同じようにか」 『我々・・・便宜上の名前として『怪奇同盟』と銘打っていますけど。我々と彼らはその目的が違います』 「目的?」 『彼らの活動が『都市伝説を広め、害を為す都市伝説を狩る』という積極的なものであるのに対して、 我々『怪奇同盟』の行動目的は『害を為す都市伝説を倒すまたは鎮め、都市伝説の流布を防ぐ』なんです』 「・・・じゃあなにか、悪い都市伝説を倒す以外は性質がまったく逆の勢力なのか?」 『そうなりますね・・・我々はただ、都市伝説なんて存在が忘れ去られて・・・ そして静かに消えてゆくことを望んでいるのです。そのためには、人に危害を加える都市伝説は見過ごせません』 『声』はしっかりとした口調で、話を終えた。 * 俺は黙っていられなかった。 「・・・なんで、消えたいんだ?存在がなくなることは怖くないのか?」 『我々は、結局はどんな形であれ人に恐怖を呼び起こす対象となります。 ・・・つらいんです、都市伝説のせいで人が傷つくのをこれ以上見ているのは』 「でも、消えるだなんて・・・他に方法はないのか?」 『いえ、確かに我々にとって都市伝説が消えることが確かに理想ですけど、 実際にはそれは無理な話なんです・・・当分は消えませんよ、人間がいる限り・・・ね』 「じゃあ」 『安心してください、我々だって楽しんでるんですよ。 まぁ、さっきのが極論だとしても都市伝説はもっと・・・目立たない存在になればとは思っていますよ』 『そうだ、西区に面白い喫茶店があるんですよ?契約者や『組織』御用達だとか』 「いや、西区にはあんまり行かないから・・・」 「え、行かないの!?」 「・・・なに残念そうな顔してるんだ、お前は」 「だって喫茶店なんて面白そうじゃないか!」 『そこではフリーの契約者同士で情報を交換したり、『組織』がそれを監視したりしてるそうですよ』 「・・・俺も顔が割れてるのかな、『組織』とやらに」 『確実に割れてますよ。彼らを侮ってはいけません・・・では』 通話が切れたことを確認して、アクマに向き直る。 「・・・そんなに行きたいのか?」 「行きたい」 「ザクロは?」 「契約者様が行くというなら行きますわ」 「・・・よし、アクマ。お前が1ヶ月の間アイス我慢したら考えてやる」 「そ・・・そんな・・・」 ガクッと崩れ落ちるアクマを見ながら、俺はさっきの通話について考えていた。 ・・・姫さんの家ねぇ。クラスの男子に話せば吊るし上げだろうな。 そんなことを考えつつ、俺は明日の予定に『姫さん宅訪問』と頭の中でメモをした。 前ページ次ページ連載 - 合わせ鏡のアクマ