約 8,219 件
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/933.html
話、お話、昔の話 昔、お話、昔の話 話、お話、多くの話 昔、お話、遠くの話 話、お話、昔の話 南アフリカ、昔の話 高い木一本立っていた そこに三匹住んでいた 住んでいるのはみすちー親子 母が一匹、子が二匹 今日も留まって鳴いていた 木の巣で留まって子守歌 「おちびちゃん 今日も元気でちんちんちー 大きく育ってちんちんちー」 そこへちぇんがやってきて 舌なめずりしてこう聞いた 「何しているの、みすちーさん その歌いったい何の歌?」 「一人前になるように 太く大きくなるように 歌っているのよ ちんちんちー」 「子供は何匹いるんだよー」 「ちーちーちーちー 二羽いるわー ちんちんちんちん 寝ているわー」 ちぇんはグルリと木を回り それからギロリとひとにらみ 「こっちは飢きんで空腹で そっちは二匹で幸福だ だからさ、それを分けてよね 一匹寄こせとわかってね」 理不尽極まる要求に 母は慌ててこう叫ぶ 「そんなことはできないわー どこかに去ってくださいなー」 「わかんないのー、このお馬鹿 足らない脳は鳥頭 ただの一つでいいんだよー それとも二匹がいいのかよー」 「お願い静かにしてちょうだい おちびちゃんたち起きちゃうわ」 「お願いさっさとそれちょうだい 子供が全部死んじゃうよー」 ちぇんは走ってジャンプする 木登りしようと見せかける ガウガウ、ガーガーほえかかり 襲う迫力見せつける 母みすちーはうろたえて とうとう一匹投げ落とす ちぇんはペロリと呑み込むと 再び母に声掛けた 「子供は何匹いるんだよー」 「ちーちーちーちー 一羽だけー ちんちんちんちん 寝ているわー」 悲しみ嘆くは母みすちー それでもちぇんはさらに言う 「それじゃあそれも寄こしてね ちぇんは腹ぺこわかるよねー わかることないお馬鹿なら お前も一緒に食っちゃうよ!」 ちぇんは走ってジャンプする 木登りしようと見せかける ガウガウ、ガーガーほえかかり 襲う迫力見せつける 母みすちーはうろたえて 残りの一匹投げ落とす ちぇんはペロリと呑み込むと さっさとそこから立ち去った 「ちんちんちー とても悲しい ちんちんちー」 悲しみ嘆くは母みすちー そこへ通るはきめぇ丸 胴付きゆっくりきめぇ丸 「どうしたのです、母みすちー」 「かくかくしかじか、ちんちんちー」 事情を聞いてうなずいた 理解、理解と首振った 「ちぇんは木には登れません そんな事例はございません 一杯食わされたのですね 二匹も食われたのですね それなら今度はわたくしが ちぇんをだますとしましょうか」 ある日、ちぇんは走ってた 必死の思いで走ってた 舌をだらりと垂らしつつ 汗をかきかき急いでた そこへ通るはきめぇ丸 飛びつつ、声掛け、身を案ず 「少し休めばいいのでは? そんなに急ぐと死にますよ」 「急がないと死んじゃうよー これから嵐が来るんだよー」 「それは大変 辛い、辛い 羽があったら楽なのに」 「確かにそうだよ、わかるよー うらやましいよ、飛びたいよー」 きめぇ丸はうなずいて 理解、理解と首振った 「それなら飛び方教えましょう 嵐の後に会いましょう」 約束通りまた会って きめぇ丸は念を押す 「それでは飛び方教えます 言うこと聞いてくださいね」 「わかっているよー、大丈夫 言うこと聞くよー、何でもね」 「ではまずそこの木のやにを 体の全部にお付けなさい」 言われた通りにちぇんはした ベタベタベトベトやに付けた 「空を飛ぶのって気持ち悪いー 帽子と頭がくっついたー」 「それは大変 不快、不快 それでもちょっとの辛抱です」 「わからないのがわかるよー これして何の意味あるのー?」 「ほらほら、こうしてわたくしが あなたに羽を付けるのです」 背中の羽を抜き取って ちぇんに付けるはきめぇ丸 ネコ饅頭のあちこちに カラスの黒羽貼りついた 「やったよ、やった、羽生えた! ちぇんも鳥の仲間だよー」 ちぇんは喜びその場を駆ける 尻尾や耳を上下する けれども空飛ぶ気配なく やがてプンプン怒り出す 「どういうことなの、飛んでない これじゃサギだよ、とんでもない」 「サギではなくてカラスです 飛ぶのはこれから覚えましょう」 ちぇんを抱えるきめぇ丸 強く羽ばたき急上昇 あんまり高く飛んだので 木はアリみたいに見えていた 「ここから飛び降り羽振って 飛ぶのを覚えてみるのです」 恐る恐る下を見て ちぇんは言葉が出なかった 「気が向きませんか? 怖い、怖い やめましょうかね、Fly high」 「何言ってんの、怖くない ちぇんはやるよ、飛んじゃうよー」 「じゃあ健闘を祈ります 飛んできなさい、どこまでも」 きめぇ丸は手を離す ちぇんは飛ぼうと身悶えた 尻尾を振って耳上下 体を揺らし尻回す けれでも飛ばず、ただ落ちる はがれる羽を尾に引いて わからないよ、の叫び声 おおおおおおお、と伸びていく そして地面に激突し 見るも無惨に四散した これを見届けきめぇ丸 愉快、愉快と首振って 事の次第をみすちーに 伝えに飛んでいったとさ 話、お話、昔の話 アイルランドの昔の話 昔、母親れいむいた お料理大好きれいむいた しんぐるまざーで頑張って 今日もお鍋を煮込んでた その時小人がやってきて 母親れいむにこう言った 「その鍋しっかり煮込んでる、あんたを見込んでお願いだ」 「できればやってあげるけど れいむに何の用事なの?」 「ちょっと家が欲しいんで おいらに作ってくれないか」 れいむのお家はそこらの洞穴 れいむは思った、そんな無茶な 「できればやってあげたいよ だけどれいむは作れない」 「それじゃあおいらに貸してくれ その鍋ちょっと貸してくれ」 小人は草と木の枝と たっぷり泥を取ってきて 放り入れたは鍋の中 たまげたことにぶち込んだ 「ちちんぷいぷい ちちんぷい」 あっという間に現れる 鍋の中から一軒家 小人は大きな家出すと 何と担いで立ち去った れいむは思った、なるほどと ああしてお家を作るのか 真似して集める草・木・泥 放り入れるは鍋の中 「ゆゆんゆぅゆぅ ゆゆんゆ~」 だけどもお家は飛び出ずに できたは悪夢のシチューだけ 「ゆゆーん、変だよ おかしいよ」 それから数日経った後 れいむはお鍋を煮込んでた またも小人がやってきて 母親れいむにこう言った 「その鍋しっかり煮込んでる、あんたを見込んでお願いだ」 「できればやってあげるけど れいむに何の用事なの?」 小人は連れの少年二人 れいむに見せてこう言った 「こいつら二人を一人にまとめ 一人前にしておくれ」 もちろんれいむは思った、無茶だ 当然すぐさま断った 「できればやってあげたいよ だけどれいむはできないよ」 「それじゃあおいらに貸してくれ その鍋ちょっと貸してくれ」 小人は二人の坊ちゃんを お鍋にぼちゃんとぶち込んだ 「ちちんぷいぷい ちちんぷい」 あっという間に現れる 鍋の中から美青年 小人は青年錬成すると そのままどこかに立ち去った れいむは思った、なるほどと ああして成長させるのか うちにも二匹おちびちゃん いるけどちょっと行儀が悪い せっかくだから一人前に 育ててみよう、作ってみよう そこで二匹を呼んできて 放り入れるは鍋の中 「ゆゆんゆぅゆぅ ゆゆんゆ~」 だけども何にも飛び出ずに できたはグロいスプラッタ 「ゆっゆっ? ゆげぇ?! ゆぅうぇええ!!」 れいむはとっても恐怖して 気持ちのままに走り出す 走って走って走って走る 逃げて逃げて逃げて逃げる 山のてっぺん着いたとき とうとう疲れてへたり込む そしたら後から登ってきたのは くだんの小人 なぜだか裸足 「やあこんにちは ところであんた、旅のお供はいらないかい?」 れいむは混乱してたので とんでもないと断った 「何していいのかわからない 何にも考えられないよ」 「気にしなさんな おいらはいつかきっとあんたの役に立つ」 こうして旅立つ二人の旅団 そうして繰り出す小人の提案 「近くの国の王様が 病気になって困ってる 不治の病で大変で 誰にも治せないんだと それで治せば褒美をやると 募集掛けてるとこなのさ さっそくあんたが医者やって いっちょ治してもうけよう」 「そんなの無理だよ、できないよ れいむはお医者じゃないんだよ」 「どうでもいいのさ、そんなこと 無用の心配、損の元 あんたは医者のふりしてりゃ 仕事はおいらがやってやる」 小人は勧める熱心に それじゃとれいむは承知した その城着くと門番が 「なんぞ用か」と、とどめ聞く 小人は言ったご丁寧 恭しくもご紹介 「ここにおわすは稀代の名医 鍋を使って何でも治す たとえいかなる難病だって 何秒かからず完治する」 「ヤブ医者ならば通しはせぬが ナベ医者ならばよろしかろう 何か要することあらば 遠慮などせず申されよ」 「王様現在どこにいる?」 「今は寝室、病に伏せる」 「それならそこに案内してさ お付きの人たちゃ出してくれ それから鍋に水入れて 火をかけ沸かしておいてくれ」 言われた通りに人払い 小人ごほんとせきばらい ぐつぐつ煮える鍋の横 ぐっすり眠る王様の 首をざっくりちょん切って 鍋にぼちゃんとぶち込んだ 「ちちんぷいぷい ちちんぷい」 そして取り出す王の首 見てるれいむはおっかなびっくり 元の通りに首載せた 途端に王様歌い出す 「すっかり全快 これは爽快 頭のつかえが取れたよう」 国中みんな大喜びで れいむと小人は大金持ち 金貨を背負った馬連れて れいむと小人は帰路に就く しばらくすると小人が言った 裸足の足出し痛がった 「歩って遅れる、ちと苦痛 買っておくれよ、一つ靴 おいらが欲しいはそれだけさ あとはあんたに全部やる」 れいむはとってもお金持ち だけどだからかケチになる ほんの銅貨の一枚きりも あげるのとっても惜しくなる れいむは言った 「だめだよ!」と そしたら消えた 皆全部 金貨も馬も小人さえ 消え去りみんないなくなる あとにはれいむが残るだけ 無一文のれいむだけ れいむは一匹とぼとぼと 家を目指して帰りゆく すると途中でうわさ聞く 別の国のうわさ聞く さっきの国の王様が なってた病と同じのに 別の国の王様も かかっているとのことだった やっぱり治せばたくさんの ご褒美もらえるのだそうだ (それじゃあれいむが治せるよ やり方見てて覚えたし) れいむはそちらのお城へと 目指す方向変えていく れいむのうわさは伝えられ 別の国でも有名で 名医のれいむはあっさりと 王様の命預かった 人払いした寝室で れいむは治療に取りかかる ぐつぐつ煮える鍋の横 ぐっすり眠る王様の 首をざっくりちょん切って 鍋にぼちゃんとぶち込んだ 「ゆゆんゆぅゆぅ ゆゆんゆ~」 だけど何にも起こらない 王様の首煮えるだけ 煮えた首を載せたけど 何にも起こる気配なし 「ゆゆーん、変だよ おかしいよ」 途方に暮れてるれいむの耳に トントン叩くドアの音 れいむ驚き慌てて叫ぶ 召使いに違いない! 「ちょっと待ってね! ゆっくりしてね!」 「何だ、どうにもつれないね 助けはさっぱりいらないかい? あんたのお供の小人がここに 登場したっていうのにさ」 れいむはドア開け、小人を入れる 「来てくれたんだね、うれしいよ」 「参上したてでさっそく聞くが どうしたんだい、この惨状」 れいむがこれまでのことを 説明するとうなずいた 王様の首をまた鍋へ 入れると呪文を唱え出す 「ちちんぷいぷい ちちんぷい」 元の通りに首載せた 途端に王様歌い出す 「すっかり全快 これは爽快 頭のつかえが取れたよう」 国中みんな大喜びで れいむと小人は大金持ち 金貨を背負った馬連れて れいむと小人は帰路に就く それほどせぬうち小人が言った 裸足の足出し痛がった 「歩って遅れる、ちと苦痛 買っておくれよ、一つ靴」 れいむは答える、「もちろんいいよ」 何も悩まずこう述べる 「お金だったら問題ないよ 欲しい分だけ持ってって 全部あげても全然いいよ れいむは何にもしてないし」 「あんたが前にもそれならさ 途中で見捨てなかったぜ それじゃあいよいよお別れだ 二度と会うこたないだろう 馬も金貨も持ってきな 全部あんたのものだしな」 さらりと消える小人の姿 煙のように消え去って 代わりに出てくる馬一頭 金貨を背負った馬一頭 二頭の馬を引き連れて れいむは家に帰り着く 「おかえりなさい!」と出迎える 二匹は自分の子供たち ことことぐつぐつ音するは いつもの煮込んだ鍋だとさ 話、お話、昔の話 昔、昔のドイツの話 ゆっくり村のゆっくりたちは みんな金持ちばっかりで けれども唯一貧乏な ゆっくりてゐがいたそうだ 誰もが牛を飼っていて てゐだけ何にも飼ってない あるときてゐは木を組んで 牛を作って呼び込むは 牛飼いやってるのうかりん 「ようやく子牛を買えたウサ だけどこいつは生まれた直後 まだ満足に歩けない だからちょっと牧場まで 抱いて運んでほしいウサ」 牛飼い了承、運んでみると その牛ずっと食べている 日が暮れ、帰るときになり それでも頭を垂れたまま (こんなに食うなら一人でも 帰れるくらいにゃなるっぺな) そんなことを考えて 牛飼い、子牛をそのままに 他の牛連れ立ち去った てゐは戸口に立っていて 自分の子牛を待っていた すると牛飼いやってきて 村を通るが子牛無し 「てゐの子牛はどうしたの? どこにも姿が見えないよ」 「あれならいまだに食ってるべ ほっといた方がいんじゃねか」 「何言ってんの、そりゃないよ ちゃんと連れて帰ってよ」 それで二人で牧場へと 行ってはみたけど 子牛無し 「ああほら言わないことじゃない 子牛が盗まれちゃったウサ」 それでてゐはのうかりん 村長のとこへ連れてった 村長ぱちゅりーこっぴどく 牛飼いしかって言い渡す 「子牛の代わりに牛一頭 あげてむっきゅり解決よ!」 てゐはようやく念願の 牛を手に入れご満悦 だけど飼い葉がないもので 結局始末するしかない かわいい牛はいなくなり 皮売りに行くしかなくなった 町へ向かったその最中 雨がポツポツ降ってきて やがてザーザー強くなる たまたま見かけた水車小屋 「一晩泊めて」と戸を叩く 粉ひきやってるすわこ種が 出迎え、寝床を指し示す お礼を言ってゆっくりてゐは ワラの上にて寝転がる そうこうするうち訪れた 新たな客人、戸を叩く すわこはやたらと歓迎し 招き入れるは巫女饅頭 緑の髪したさなえ種だ 「今日はだんなが留守なんで 二人でごちそう食べようね」 「それはちょっと悪いです でも常識にはアンチェイン」 どうやら浮気の相手らしい 仲むつまじく触れあった あれこれ並べる食べ物は 肉やら菓子やらワインやら (そんなに食べ物あるんなら ちょっとはくれてもいいウサに) てゐは腹ぺこだったので ちょっと腹が立ってきた そこへトントン戸を叩く 音が食事の邪魔をした どうやらだんなが帰宅の様子 「戸を開けとくれ」と声がした あわててすわこはごちそうを あちらこちらへ隠しおき さなえを突っ込む置戸棚 全部を全部隠し終え すわこはだんなをお出迎え 息を落ち着け戸を開ける 「やあただいま」とかなこ種が びしょぬれのままで中入り 「よっこらしょっ」と背に負った 柱を下ろしてくつろいだ ふっと目にしたワラの上 てゐ見てすわこに聞いてみる 「可哀想だしいいかなと 泊めてあげよう、ねえかなこ」 「何度も来られちゃ敵わんが 一晩だけならまあいいさ」 快くも了承し そしたらクゥとお腹鳴る 「飯にするかい 何がある?」 「パンしかないけどそれでいい?」 「この際何でも構わんさ ついでにそいつも呼んでやれ」 かなこはてゐに呼びかけた 「あんたも一緒に食べないかい」 すわこに言葉を挟ませず てゐはぴょんと跳びお相伴 一緒にパンを食い終えて 腹パンパンとはいかないが 一応空腹落ち着けて かなこはてゐに聞いてみる 「こういうときにはあんたがさ 何か話をするもんだけど あんたは何か知ってるかい? 楽しい話をしとくれよ」 「特に話はできないけれど 変わった特技があるんウサ」 「そりゃあ一体何なんだい?」 「てゐは占いできるウサ」 さっそくかなこがやらせてみると てゐはお耳をパタパタさせて そして一言つぶやいた 「ベッドの下に一瓶の 赤いワインがあるウサよ」 「何言ってんだい、そんなこと あったりなんかするもんか」 そう言い、そこを見てみると 言われた通りに酒あった そうして肉やら菓子やらと 次々てゐは占いを 続けてごちそう引き出した てゐとかなこは舌つづみ 鳴らしていたが一方で すわこは全く気が気じゃない 家じゅうのカギを一人持ち 布団の下でじっとする 「まだ占いはできるのかい?」 かなこの言葉に占い師 「大事なので占えない」 「そこを何とか占っとくれ」 そう言いせっつくかなこ種へ 「そんならどれだけ出すウサ」と てゐは吹っかけ金請求 大金の約束取り付けて てゐは再び耳振った 「ここには悪魔がいるウサね 場所はどうやら置戸棚」 「悪魔だなんてそりゃ大変 さっさと追いださないとねえ」 かなこは大戸を開け放つ すわこはカギをすぐ渡す てゐは戸棚を開けてやる さなえはさっさと飛び出した 「ありゃりゃまあまあ驚いた 確かに悪魔が飛んでった」 そうしててゐは大金を 手に入れ村へ帰宅した さて貧乏のはずのゆっくりが 大金持っていることに 村人みんな不審がり 村長はてゐを呼び出した 「どこでそんなに大金を 得たのかむっきゅり話しなさい」 「てゐは牛の生皮を 売ったらこんなになったウサ」 みんなそれ聞き、それならと 我も我もと牛殺し 皮をはぎ取り売りに行く 村長ぱちゅりー張り切って 鼻息荒くこう言った 「ぱちぇが先に売るからね みんなはむっきゅり後にして」 けれども期待は裏切られ 二束三文しかならない 後からやって来た者は 買い取りでさえ拒否された 村長・村人激怒して 即座に決定、てゐ死刑 穴だらけのタル用意され てゐはその中入れられる このまま川にぶち込んで ほんわかぱっぱ、ほんわかぱっぱ、土左衛門 最後のお祈り済ませよと 巫女が呼ばれてやってくる 村長・村人その場から お祈り時だけ立ち去った 「許されないのは誰ですか 神は全てを許します」 見ればその巫女見覚えあった いつかのなまぐさ巫女さなえ 「てゐが助けた、覚えてた? いつか開いた置戸棚」 借りと秘密を印籠に 黄門よろしく巫女脅す そこへ通るは羊飼い 羊の群れ追うまりさ種だ てゐはまりさが野心家で 村長志望と知っていた ニヤリと笑ったすぐ後で 必死の叫びを振りしぼる 「嫌だよ、嫌だ! 御免ウサ!」 「何が嫌だというんだぜ?」 計画通りにまりさ来る てゐは嘘泣きして言った 「このタルの中に入ったら 村長にすると言われたよ だけどてゐはそんなこと やりたくないから御免ウサ」 「それじゃあまりさが代わるのぜ 村長になってあげるのぜ」 そうしてまりさはタル入り てゐは羊と立ち去って さなえは祈りの終了を 村人に告げて帰路につく 村人行くとタル一つ フタ打ち付けてそこにある そんじゃま、やるかとゴロゴロと 転がし川にぶち込んだ みんなが村に帰ってみると ゆっくりてゐは何食わぬ 顔して羊の群れ連れる みんな驚き、わけ聞くと てゐはのんびりこう言った 「タルが沈んで川の底 着いたら草原広がって そこにたくさん羊いて いくらか連れて来たウサよ」 これ聞き、みんな喜々として 危機など感じず川へ行き のぞいた川面に映ったは モコモコ散った空の雲 それらを羊と思い込む 村長ぱちゅりー張り切って 鼻息荒くこう言った 「ぱちぇが先に行くからね みんなはむっきゅり後にして」 ドボンと飛び込む真っ先に それからみんなも後続く ドボンドボンと飛び込んで 一人残らず土左衛門 一人残ったゆっくりてゐは みんなの遺産を独り占め 村一番の貧乏は 大金持ちになったとさ 話、お話、昔の話 昔、昔のロシアの話 とある野原の真ん中に 転がってるのは首の骨 大きな馬の首の骨 そこへ来たのはちびれいむ ぽいんぽいんと跳ねてきた 骨を目にして立ち止まり 骨に言葉を掛けてみた 「お家よ、お家 だりぇかお家に住んでりゅの?」 答えはまったく返らない どうやら誰もいないよう ゆっくりぷれいす見つけたと れいむはそこに住みついた 次に来たのはゆっくりちぇん ちょこんちょこんと跳ねてきた 骨を目にして立ち止まり 骨に言葉を掛けてみた 「お家よ、お家 誰かお家に住んでるのー?」 「れいみゅがゆっくり住んでりゅよ そっちはだりぇだか教えてね」 「ちぇんは子猫のちぇんだよー」 「そりぇじゃ一緒にくりゃそうね!」 ちぇんは家の中入り 二匹で暮らすことにした 次に来たのはゆっくりみょん ひょいんひょいんと跳ねてきた 骨を目にして立ち止まり 骨に言葉を掛けてみた 「お家よ、お家 誰かお家に住んでるみょん?」 「れいみゅと子猫のちぇんいりゅよ そっちはだりぇだか教えてね」 「みょんは辻斬りみょんだみょん」 「そりぇじゃ一緒にくりゃそうね!」 みょんは家の中入り 三匹暮らすことにした 次に来たのはゆっくりありす ぴょこんぴょこんと跳ねてきた 骨を目にして立ち止まり 骨に言葉を掛けてみた 「お家よ、お家 誰かお家に住んでるの?」 「れいみゅと子猫のちぇんいるよ それから辻斬りみょんいるよ そっちはだりぇだか教えてね」 「ありすは都会派ありすなの」 「そりぇじゃ一緒にくりゃそうね!」 ありすは家の中入り 四匹暮らすことにした 次に来たのはゆっくりれみりゃ ぱたぱたぱたと羽で来た 骨を目にして立ち止まり 骨に言葉を掛けてみた 「お家よ、お家 誰かお家にいるのかど~?」 「れいみゅと子猫のちぇんいるよ 辻斬りみょんと都会派ありす 併せて四匹住んでりゅよ そっちはだりぇだか教えてね」 「れみりゃはお嬢様だどー」 「そりぇじゃ一緒にくりゃそうね!」 れみりゃは家の中入り 五匹で暮らすことにした 次に来たのはドスまりさ どすんどすんと跳ねてきた 骨を目にして立ち止まり 骨に言葉を掛けてみた 「お家よ、お家 誰かお家に住んでるの?」 「れいみゅと子猫のちぇんいるよ 辻斬りみょんと都会派ありす お嬢のれみりゃで五匹だよ そっちはだりぇだか教えてね」 「ドスはドスだよ こんにちは」 そうしてどすんと座った家は ぺちゃんとつぶれましたとさ 話、お話、昔の話 昔の韓国、昔の話 胴付きれみりゃが結婚し お婿に入っていったのは 柿の木生えたお菓子屋さん めーりんとさくやのお菓子屋さん そこで出されたシロップに れみりゃはとても驚いた イチゴの香りがとてもよく とろけるように甘かった さくやと初夜を迎えても 頭はそれでいっぱいで さくやに壺のある場所を 聞き出し即座に行ってみる 裸んぼうで向かう先 イチゴのシロップ、壺の中 見つけてすぐに両手を入れて むんずとつかむ多くのイチゴ 取り出し食おうとしたけれど つかえて出せない壺の口 振ったり蹴ったりしたけれど やっぱり出せない壺の口 片手でやれば取れるのに 二、三個ずつなら出せるのに れみりゃはそれには気づかない うんこらよっこら気張ってる とうとう疲れて諦めて シロップ飲もうと計画変更 お玉かスプーンを探したが シロップすくうはないらしい 頭がポカンの性してる れみりゃを救うはないらしい 壺は重くて持ち上げ不可で 抱えてあおるはありえぬ負荷だ そこで頭を突っ込んで 直接飲もうとやってみた 柔らか頭は中入り 成功するかに見えたけど シロップに届くその直前 誰かが近づく音がした ガタゴトする音聞きつけて やってきたのは母さくや 「誰かいるの?」と声掛けて どんどん近づきやってくる 慌ててれみりゃは逃げようと したけど頭が外れない すっぽりはまった壺頭 もがけどあがけどそのまんま どうにもならずに無理矢理に 重たい頭を被りつつ すっぽんぽんの壺頭 ふらふらよたつき逃げていく ぼたぼたシロップこぼしてく 少し遅れて母さくや 来たけど何にも起こってない 気のせいだったとほっとして くわえた棒を置こうとし まあ来たついでと、婿にやる 柿でも取ろうと庭に出た 当の婿たるれみりゃ氏は 追っ手の足音耳にして 慌てふためき木に登る 裸で登る壺頭 おぼろ月夜に浮かぶ様 奇妙奇天烈まか不思議 母のさくやが庭に行き 薄明かりの下、見上げれば 何とも大きな熟れた柿 重たく甘そうに生っている さっそくくわえた棒切れで 何度も何度も突くけれど いくらやっても落ちもせず しぶとくねばってしがみつく れみりゃ歯食いしばって耐えたけど やっぱり痛くてたまらない 声は漏らさずこらえたが 思わず漏らした生うんうん それ見て棒持つ母さくや 「あらあら、まあまあ」つぶやいた 「熟柿が裂けてしまったわ」 そうして家に入ったとさ 話、お話、昔の話 昔、昔の日本の話 昔、のんべのまりさいた お酒大好きまりさいた ご主人様のお使いの 途中でいつも飲んでいた 飲んではいつもグウグウいびき 注意されては飛び起きる 「これはいかんぜ、しくじったのぜ」 「早く行かんとしかられますよ」 おかみさんはせきたて送り出す いつものようにせきたてる 「急ぐぜ、速いぜ、遅いと死ぬぜ ご主人様は鬼なのぜ」 いつもそうして疾走まりさ いつもそうした粗相の連鎖 ある日いつもののんべのまりさ 飲んでグースカ昼寝した そこへ通るは四人の悪がき 食べているのは熟柿の甘柿 種を含んだ悪がき四人 酔って寝ているまりさを視認 「こいつは生意気、一斉射撃」 含んだ種を口から吹いた 種は頭に貼りついた まりさの頭にペトペトついた 気づかずまりさはグウグウ眠る やがておかみがせきたてて まりさは慌てて飛び起きた 「早く行かんとしかられますよ」 「これはいかんぜ、しくじったのぜ」 まりさは気づかず急いで跳ねる 頭の種に気づかず跳ねる やがて芽を出す柿の種 芽は出て、背が伸び、大きくなって 花咲き、実がなり、たわわになった 何がどうしてこうなったのか 何とも大変一大事 けれどもまりさは困らずに むしろ得意にこう言った 「おかみよ、おかみ、とくと見るのぜ この柿ゃ赤い、甘い柿のぜ 欲しい分だけあげるから あげた分だけ飲ますのぜ」 「はいはい、了解 それじゃちょうだい」 まりさはたっぷり飲んで眠った いつものように酔って眠った そこへ通るは四人の悪がき 甘柿食べてた例の悪がき 「何だこいつはふてぶてしい 頭に太い木 大いばり」 「切れ切れ、きれいにさっぱり切れよ」 「のこぎり、一切り、これっきり」 ギコギコ、ゴシゴシ切られる柿の木 グウグウ、スウスウ眠れる酔客 やがておかみがせきたてて まりさは慌てて飛び起きた 「早く行かんとしかられますよ」 「これはいかんぜ、しくじったのぜ」 まりさは気づかず急いで跳ねる 頭の切り株、気づかず跳ねる やがて切り株、成長株 そのままなどでは終わらない 生えるはキノコ、立派なキノコ 山ほど生えたヒラタケだ まりさはさっぱり困らずに 胸をそらしてこう言った 「おかみよ、おかみ、とくと見るのぜ このタケ、美味い、高いタケのぜ 欲しい分だけあげるから あげた分だけ飲ますのぜ」 「はいはい、了解 それじゃちょうだい」 まりさはたっぷり飲んで眠った いつものように酔って眠った そこへ通るは四人の悪がき 柿の木切った例の悪がき 「何だこいつはあきれたもんだ キノコ生やして眠ってやがら」 「饅頭なんかにゃもったいない 切り株掘って取っちまえ」 うんこら、よっこら、掘ってく作業 グースカ、グースカ、ほっとく気性 やがておかみがせきたてて まりさは慌てて飛び起きた 「早く行かんとしかられますよ」 「これはいかんぜ、しくじったのぜ」 まりさは気づかず急いで跳ねる 頭の穴に気づかず跳ねる やがて穴には雨が降る そして穴には水たまる さらになぜだかドジョウがわいた 何十何百ドジョウがわいた ジャブジャブ、ピチャピチャ水面跳ねて 活きがいいのを大表現 まりさはやっぱり困らずに 得意満面こう言った 「おかみよ、おかみ、とくと見るのぜ ドジョウがたくさん、売るだけあるのぜ 欲しい分だけあげるから あげた分だけ飲ますのぜ」 「はいはい、了解 それじゃちょうだい」 まりさはたっぷり飲んで眠った いつものように酔って眠った そこへ通るは四人の悪がき 頭を掘った例の悪がき 「何だこいつはどうにもならねえ」 「ほっておくしか、しかたがねえや」 そう言い、捨て置き立ち去った それこっきりでお終いだ こうしてまりさはいつものように お使い途中にいつも酔う ドジョウを売って、酔って、眠って 慌てて起きて、跳ねたとさ 話、お話、昔の話 昔、お話、昔の話 話、お話、多くの話 昔、お話、近くの話 これでおしまい どっとはらい!
https://w.atwiki.jp/tohofight/pages/2152.html
今日のファイトは主演映画の作成である。 双方自分たちが主演の映画を作り、より人気の高かったほうの勝ちとなる。 上映会場である紅魔館大広間には今回の審査員である里人1000人が今か今かと 上映開始を待っている。 しばらくして、上映開始を告げるブザーが大広間に響き渡る。 この日のために両チームが作成してきた映画は、 咲夜・早苗チームは今回の衣装指定でもある魔法少女を前面に押し出した 子供・大きなお友達向けの弾幕魔法少女アクション物。 大量の自機狙い弾をアクロバティックな動きで避けまくるアクションがとても 印象的で、ラストは歌姫・ミスティア・ローレライの歌が世界を救うという よくあるストーリであった。 一方、優曇華・妖夢チーム。 こちらも、今回の服装指定の黒服を存分に生かした刑事推理物。 少しおっちょこちょいだが真面目な妖夢と、上司に振り回されがちな優曇華が 周りに振り回されながらも少しづつ真実に近づいて行き、事件を解決するというものだった。 ラストで明かされた真犯人はそれまで優曇華と妖夢にアドバイスを与え続けていた 優曇華の腹心のてゐだったという 衝撃の結末に会場は度肝を抜かれた。 そして、里人たちの公平な投票の結果 2票差で優曇華・妖夢チームの勝ちとなった。 会場を後にする里人たちは口々に「あの結末は衝撃的だった」と話し合っていた。 優曇華「…あのシーン、台本無視のてゐのアドリブなのよね…」 妖夢「さすがは幸せウサギというか…結果オーライなんですが、なんか釈然としない気が…」 てゐ まじかる☆さくやちゃん コンビ戦 ミスティア 創作 咲夜 妖夢 早苗 芸 鈴仙 魔法少女
https://w.atwiki.jp/tamakagura/pages/445.html
全コダマの障壁スペル一覧 変化スペル。 属性とは関係ないですが一応属性順。 物理障壁 / 特殊障壁 / 両面障壁 / 異常障壁 物理障壁 5ターンの間、物理攻撃のダメージを半減します。交代しても効果は継続します。 VP消費20。 スペル名 属性 使い手 覚えるレベル アイスバリア 氷 ちびチルノNチルノSチルノDチルノADチルノ 1515151515 地上の恒星 地 Dリグル 60 ビロードカーテン 理 ビビットT小悪魔H小悪魔D小悪魔 40606060 ムーンライトウォール 岩 TルナHルナ 禁呪禁呪 守りの要 岩 D天子S天子 4035 リバーサルムーン 岩 AてゐSてゐHてゐADてゐ 40606060 前鬼後鬼の守護 神 ちびらんA藍T藍S藍H藍AD藍 151515151515 インビンシブルシールド 闇 ちびことひめN小兎姫 2020 緋々色金 鋼 霖之助 35 三種の神器 玉 鋼 D慧音 35 ドールクルセイダー 鋼 TアリスDアリス 6060 特殊障壁 5ターンの間、特殊攻撃のダメージを半減します。交代しても効果は継続します。 スペル名 属性 使い手 覚えるレベル サラマンダーシールド 炎 S輝夜 禁呪 イエローディフレクション 炎 NサニーHサニー 4040 核熱バイザー 炎 S空 35 イリュージョンスター 雷 E魔理沙 60 嫌われ者のフィロソフィ 樹 NこいしSこいしHこいし 604060 フリーズカローラ 氷 NレティDレティHレティ 404035 プリティウィンドスタイル 風 AはたてSはたてDはたてD天魔 35353540 ワンダーワンダーアジール 理 Hエレン 60 フィールドウルトラレッド 理 T鈴仙D鈴仙NレイセンSレイセン 40404040 八千万枚護摩 神 S藍H藍 3040 シャッターオブワールド 神 H神綺 40 カタディオプトリック 闇 TフランSフラン 6060 ミステリーサークル 闇 Hカナ 60 両面障壁 5ターンの間、攻撃スペルのダメージを半減します。交代しても効果は継続します。 VP40。 スペル名 属性 消費 使い手 覚えるレベル トワイライトガーデン 地 40 A静葉T静葉S静葉N穣子H穣子D穣子秋姉妹 禁呪禁呪禁呪禁呪禁呪禁呪禁呪 忘却の祭儀 神 40 H早苗 40 生と死の境界 闇 30 S紫H紫 禁呪禁呪 異常障壁 10ターンの間、状態異常と能力減少を防ぎます。交代しても効果は継続します。 VP消費5。 スペル名 属性 使い手 覚えるレベル 寒九の雨 水 S静葉N穣子H穣子 354040 無念無想の境地 地 A天子D天子 6060 白亜の露西亜人形 理 ちびアリスNアリスTアリスSアリスDアリスADアリスALICE 15151515151515 偽五神の護法陣 神 Nマガン 60 白い水晶 鋼 魔天使 60
https://w.atwiki.jp/tohotd/pages/36.html
加入条件 宴席召喚 能力 タイプ HP 攻撃 防御 魔抵 素質 コスト 移動 射程 命中 回避 必殺 吹飛 拡大 再動 便乗 反撃 アイテム 療養 物理 49+24 28+15 9+4 7+3 D(46) 3 4 1 2 6 11 18 0 1 27 10 120/197 4 評価 春ですよー。ブラックは出ませんあしからず。 3コストキャラの中では火力はかなり低め、加えて命中も低め。素質もDと育成もきつい。 長所は高めの便乗率とこっそり全キャラ中最大の初期アイテム枠である。ただし潜在アイテム枠はあまり広くない。 同じ3コスト4-1のお燐やはたてに比べると見劣りする間は否めないが実は敵としてうじゃうじゃ出てくる妖精族の中で 仲間になるのは彼女とチルノだけである。 どちらも愛を大量に必要とするキャラなので、貴方の愛が試されるそんなキャラです。 追記:移動4以上キャラで霊力辺りのHP防御が最高値 台詞集 初登場時 + ... リリー ん……。 妖夢 あら……。 リリー ……来た! 椛 !! リリー 私の時代が! 霊夢 来てないわよ。 リリー じゃあ春が! 魔理沙 ここにいたら季節とか分からんな。 リリー ……なら私の出番が!! てゐ ああ、うん。 それは。 リリー よし! リリー ってことは春よね! テンション上がるわ~。 霊夢 上がりすぎでしょ……。 魔理沙 まぁ、上がってて悪いことは無いだろ。 てゐ 扱いやすいしね。 ルーミア うん。 リリー で、何の用?春? 霊夢 何よ、春って。 リリー 季節よ? てゐ ……そうだね、春だね。 魔理沙 全くもって春だな。 魔理沙 だが残念なことに、 春を分かってない連中が外に居るんだ。 リリー 何ですって! 魔理沙 よりによって同じ妖精が、だ。 魔理沙 酷い話だろう? リリー ええ!! 魔理沙 だから、奴らに教えてやって欲しいんだ。 魔理沙 お前のその……春で。 リリー そういう事なら任せてよ! 魔理沙 そう言ってくれると思ったぜ。 これからよろしくな。 リリー ええ、よろしく! 霊夢 ……役に立つのかしら………。 てゐ …………頭数さ……。 リリーが部隊に加入します。 戦闘台詞 + ... レベルアップ 春の足音が聴こえて来たよ~。 アイテム発見 春度はないかな~? クリティカル これで伝わるかな? 吹っ飛ばし 冬は帰ってー! 効果拡大 春よ、春だよ、春ですよ~! 再行動 もっとみんなに伝えなきゃ~。 反撃 春闘だー! 便乗 春眠しない? 撤退 はーい。休憩、休憩~。 体力0 えっ、もう夏…?
https://w.atwiki.jp/harukaze_lab/pages/286.html
時は過ぎたり 徳田秋声 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)帰《がへ》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)米|帰《がへ》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (例)[#地付き] /\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号) (例)ぼちや/\ 南米|帰《がへ》りの皆《みな》川|信《しん》六は、もう五十のお爺《ぢい》さんになつてゐた。頭《あたま》は大|体《たい》禿《は》げあがつて皮膚《ひふ》に汚点《しみ》が出来てゐた。彼は主に日本の移植《いしよく》民を相手に医《い》者として働《はたら》いたのであつたが、金もいくらか持《も》つて来たし、皮膚病科《ひふべうか》を研究《けんきう》して来たので、何|処《こ》か好《よ》い場《ば》所を手に入れて、手ごろな病院《べういん》を建《た》てようと思《おも》つてゐたが、当《とう》分友人の病院《べういん》の仕事《ごと》を、毎《まい》日|幾《いく》時間かづゝ助《たす》けることにしてゐた。 彼は山の手の方に部《へ》屋|借《か》りをしてゐた。そこは木|造《ぞう》の洋風建築《ようふうけんちく》で、瓦斯《ガス》のストーブもたけるやうになつてゐたし、西|側《がは》の壁際《かべきは》にはベツドもおいてあつた。椅《い》子|卓子《ていぶる》も我|慢《まん》の出来ないほどではなかつた。南|受《う》けの日|当《あた》りの好《よ》いのが、何よりも彼を喜《よろこ》ばした。 南米における彼の独身《どくしん》生|活《かつ》は、可なり彼を憂鬱《ゆううつ》にしたが、外国行きを思《おも》ひ立つた動機《どうき》が、元《がん》来彼に取つて幸福《こうふく》なことではなかつた。といふのは二人の子|供《ども》をおいて妻《つま》が恋《こひ》人と逃《に》げてしまつたからであつた。尤《もつと》も彼は世間|普通《ふつう》の医《い》者|気質《かたぎ》とちがつて変《かは》りものであつた。研究《けんきう》心が莫迦《ばか》に盛《さか》んなのは可《い》いとして、妙《めう》に独断的《どくだんてき》なところがあつたため、或人からいはせると、どこか山|師《し》じみたところがあるといふのであつた。その金銭上のことが余《あま》りみみつちくて、享楽的《けうらくてき》のことには少しも興味《けうみ》をもたなかつた。何一つ道楽《どうらく》といふものをもたない男も世のなかには、ずゐぶん多いには違《ちが》ひないけれど、皆《みな》川ほど無|趣味《しゆみ》な男も少なかつた。彼は細《さい》君に半|衿《えり》一つ自|由《ゆう》に買《か》はせはしなかつた。芝居《しばゐ》や活動《かつどう》へもやらなかつた。日|曜《よう》の休みにも彼は研究室《けんきうしつ》に閉《と》ぢこもつて、まるで狂気《きちがい》のやうに、顕微鏡《けんびけう》を覗《のぞ》いてゐたが、娯楽《ごらく》といつては、動《どう》物|園《えん》とか植《しよく》物|園《えん》とか、又は郊《こう》外へ妻《つま》と子供《ども》を連《つ》れ出すくらゐのものであつた。その上彼は酒癖《さけくせ》が余《あま》り好《よ》くなかつた。 彼も決して醜《みにく》い方ではなかつた。少しおめかしをしたら、女が目をつけるだらうと思《おも》はれたが、そんな事《こと》は彼の趣味《しゆみ》ではなかつた。して若《わか》い細《さい》君は、ちよつと男|好《ず》きのする皮膚《ひふ》の綺麗《きれい》な肉《にく》のぼちや/\した女であつたが、良人と反|対《たい》に小|柄《がら》であつた。博士《はくし》にならないでもいゝから、そんな変《へん》な研究《けんきう》は止して、少し流行《はや》るやうにしてくれといふのは、妻《つま》の希望《きぼう》であつたが、しば/\その事《こと》で喧嘩《けんか》した。しかし彼は彼女を愛《あい》してゐた。形の好《い》い、愛《あい》らしい頭《あたま》を激昂《げきこう》して打つた果《はて》には、きつと両腕《れううで》の上に抱《だ》きかゝへて、頬《ほゝ》や頸《くび》にキツスをした。 「お前は好《い》い女だけれど、なぜそこいらの女のやうに、下らない虚栄《きよえい》心が強《つよ》いんだ。」 彼はいふのであつた。 彼女も彼の妻《つま》らしく、何か勉強でもしようと思《おも》つて、子|供服《どもふく》の講習《こうしう》会へなぞ通《かよ》つたこともあつたが、直《じ》きに飽《あ》きてしまつた。で、患《かん》者として彼のところへ暫《しば》らく通《かよ》つてゐた或る青《せい》年と親《した》しくなつてしまつた。 信《しん》六は、一つはその創《きず》を癒《いや》さうと思《おも》つて、もう妻《つま》の帰《かへ》つてこないことが確《たし》かになつてから、子|供《ども》を田舎《ゐなか》の家へあづけて外国に行つてしまつた。 信《しん》六の目には、妻《つま》の幻影《げんえい》はあらかた消《き》えてゐたが、銀|座《ざ》まで歩いてくると、ちよつと後|姿《すがた》の似寄《によ》つた女を見《み》て、はつとすることもあつた。 「あれももうよい加|減《げん》お婆《ばあ》さんだ。」彼はさう思《おも》ひながら、四十前後の世間の女を見《み》る度に、彼女が何んなお婆《ばあ》さんになつたかを、牾《もど》かしく想像《そうぞう》して見《み》たりした。 しかし彼女が今もしそこへ現《あら》はれて、罪《つみ》を詫《わ》びたところで、何うにもならない、十年前のことであつた。せい/″\彼女の過去《かこ》十|数《すう》年間の浮沈《うきしづ》みを知《し》るくらゐの興味《けうみ》しかもてなかつた。信《しん》六の推定《すいてい》するところでは、何うせさう幸福《こうふく》には暮《くら》してゐないに違《ちが》ひなかつた。なぜなら相手が不良|性《せい》の男であつたから、あの恋愛《れんあい》が巧《うま》く行つたか何うかは疑問《ぎもん》であつた。もしも彼女の運命《うんめい》が不|幸《こう》で、世にも惨《みぢめ》な暮《くら》しでもしてゐるやうだつたら、それこそ自|己《こ》の人生までが暗《くら》くなるに違《ちが》ひなかつた。好《い》い暮《くら》しをしてゐるとしたら、田舎《ゐなか》の子|供《ども》を思《おも》ひだして、たまに何か贈《おく》るくらゐの人|情《ぜう》があつてもいゝはずであつた。 兎《と》に角《かく》信《しん》六はさびしかつた。あの当《とう》時|妻《つま》の家出をしたときは、幼児《ようじ》を抱《かゝ》へた生|活《かつ》の方が多かつたが、今|全《まつた》くそれ等の煩《わづら》ひから自|由《ゆう》であつたゞけに年取つて帰《かへ》つて来た彼自|身《しん》の寂《さび》しさの方が強《つよ》かつた。それに博士論《はくしろん》文といふことも、今となつては断念《だんねん》しなければならないことなので、これから先き残《のこ》る仕|事《ごと》はたゞ患《かん》者の病《べう》気を癒《なほ》して、老《ろう》後の物|質《しつ》生|活《かつ》を安|定《てい》さするといふことより外ないので、何となく頼《たよ》りなかつた。幾《いく》時間かを賑《にぎや》かな病院《べういん》に過《すご》して、時によるとその友人の家|庭《てい》気分にも浸《ひた》つて、晩《ばん》方|部《へ》屋へ帰《かへ》つてくるのであつたが、この頃少し興味《けうみ》のあるのは、小さい病院《べういん》を建《た》てるについての設計《せつけい》くらゐのもので、地所の見当《けんとう》は丸《まる》きりついてゐなかつた。彼は友人にも頼《たの》み、自|身《しん》新聞の広告《こうこく》を見《み》たりしてゐた。どこか余《あま》り入|費《ひ》の張《は》らないビルディングがあつたらば、それも悪《わる》くはなかつた。 「そんなことよりも、先づ第一に女|房《ぼう》を持《も》ちたまへ。でなかつたら何も出来はしないそ。」友人は度々いつた。 彼もそれに気がついてゐた。先の妻《さい》に懲《こ》りてもゐたし、この年になつて今|更《さら》気心の知《し》れない女と同|棲《せい》するといふことが、彼にはちよつと現実的《げんじつてき》に考《かんが》へられないのであつた。しかし彼は強《し》ひて拒《こば》む勇《ゆう》気もなかつた。この先き幾《いく》年生きるか知《し》れないけれど、もし十年生きるものとしたらその十年間を独身《どくしん》で毎《まい》日の仕|事《ごと》に働《はたら》いて行けるか何うか、勿論《もちろん》預《あづ》けてある十六と十四の娘《むすめ》二人も引取ることになつてゐるので、その教育《けういく》にも相|当《そう》頭《あたま》を使《つか》はなければならなかつた。 あの当《とう》時、親類《しんるい》や友人は彼に再婚《さいこん》を勧《すゝ》めた。彼は臆病《おくべう》になつてゐた。どんな女にも昵《なじ》めないやうな気がしてゐた。しかし今となつてみると、外国へなど行かずに、直《す》ぐ結婚《けつこん》でもしておいた方が、もつと明るい新生|活《かつ》に入れたのぢやないかと思《おも》はれた。 或日も彼は友人のところで、細《さい》君から候|補《ほ》者の写真《しやしん》を見《み》せられた。女は四十二とかで、佐官|級《きう》の軍人の未亡《みぼう》人であつた。子|供《ども》は二人あるけれど、姉は片《かた》付き、弟は中学にゐた。容貌《ようぼう》も悪《わる》くはなかつた。むしろ年よりもぐつと若《わか》く見《み》える方であつたが、矢張《やは》り飛《と》びつく気になれなかつた。子|供《ども》のあるのも心配《しんぱい》だつたし、未亡《みぼう》人の再縁《さいえん》といふのも気に食《く》はなかつた。 「こゝいらが可《い》けなかつたら皆《みな》川さん、好《よ》い人はありません。」 「先の細《さい》君から見《み》れば、十|段《だん》も上だぜ。」 「いや結構《けつこう》です。なか/\美《び》人です。しかし軍人といふものは、家|庭《てい》にゐると晩酌《ばんしやく》でもやつて、上|機嫌《きげん》なものですから。少くとも気むづかしい旦那《だんな》さまではなかつたでせう。」 「そんな心|配《ぱい》した日にや際限《さいげん》がないよ。君は洋《よう》行前から見《み》れば、随《ずい》分|角《かど》が取れたぢやないか。」 「しかし本|当《とう》は、あのころから見《み》ると、もつと気むづかしくなつてゐるかも知《し》れないんだよ。――兎《と》に角《かく》お互《たが》いの流儀《りうぎ》や気質を呑込《のみこ》むまでには、随《ずい》分月日がかゝることだからね。第一|僕《ぼく》の病院《べういん》が成立つて行けば可いけれど、どうせ君のやうには行かないだらうからね。」 信《しん》六は財《ざい》政の方も考《かんが》へてゐた。矢張《やは》り不|幸《こう》な子供《ども》の方が可|愛《あ》いかつた。中|途《と》から入つて来る赤《あか》の他《た》人に、貴《たつと》い自分の労《ろう》力から得た物|質《しつ》を費消《ひせう》されることも厭《いや》だつたし、死んだあとで子|供達《どもたち》の負担《ふたん》になることも気|懸《がゝ》りであつた。兎《と》に角《かく》生|活《かつ》は単純《たんじゆん》で、自分自|身《しん》の思《おも》ひどほりにやらなければならなかつた。病院《べういん》が少しでも盛《さか》つて金の儲《まう》かることを考《かんが》へると、なほ更《さら》楽《たの》しみであつた。それは秘《ひそ》かな楽《たの》しみでなければならなかつた。他《た》人と頒《わか》つべき性質《せいしつ》のものだとは考《かんが》へられなかつた。もしも女手が必要《ひつよう》だつたら、或|約定《やくぜう》の給《きう》金さへ払《はら》へば親切《しんせつ》な家政|婦《ふ》を得るのも、さう困難《こんなん》ではないはずであつた。物|質的条件《しつてきぜうけん》で支|配《はい》される関係《かんけい》なら、そこに何等の煩《わづら》ひがあらうとは思《おも》へなかつた。贅沢《ぜいたく》をしようと、吝《けち》にしようとそれは自分の自|由《ゆう》だつた。この写真《しやしん》の女にしたところで、多分生|活《かつ》に困《こま》るから、結婚形《けつこんけい》式で他《た》人の家|庭《てい》へ入らうとするのに決《きま》つてゐた。無|論《ろん》彼女も寂《さび》しいに違《ちが》ひなかつた。生|活《かつ》の伴侶《はんりよ》の必要《ひつよう》なことに、男と女の変《かは》りはなかつた。しかし何といつても、大|部《ぶ》分は物|質《しつ》上の問題《もんだい》であつた。 と、さういふ風《ふう》に考《かんが》へ出すと、老《ろう》後の結婚《けつこん》が、いかに情味《ぜうみ》のない、寂《さび》しいものであるかゞ、犇《ひし》々胸《むね》に来るのであつた。もしもこゝに、さういふことには、まるで関係《かんけい》なく、或女と恋愛関係《れんあいかんけい》でも生じたとしたら、それはまた別問題《べつもんだい》だが、かうした事務的《じむてき》の結婚《けつこん》に果《はた》して何の意味《いみ》があるだらう? しかし信《しん》六はその恋愛《れんあい》をすら肯定《こうてい》することが出来なかつた。曾《かつ》ての妻《つま》を愛《あい》したやうに、女を愛《あい》し得るといふ気|持《もち》は、今の彼には遠《とほ》いものであつた。 信《しん》六は少し不|興《けう》になつた友人の家を出て、外へ出た。その病院《べういん》は、小田|原《はら》町にあつた。彼はそこから電《でん》車で銀|座《ざ》へ出て見《み》た。 三月の半ばで、まだ暮《く》れきらない町に電燈《でんとう》の光《ひかり》が懐《なつ》かしく潤《うる》んでゐた。彼は少し歩いてからいつもの喫茶《きつさ》店で、夕刊《ゆふかん》を見《み》ながらコーヒーを啜《すゝ》つた。喫茶《きつさ》店には楽《たの》しげな人達《たち》が、楽《たの》しげな談笑《だんせう》を交《かは》しながら軽《かる》い食事《しよくじ》をしたり、飲《の》みものを呑《の》んだりしてゐた。 喫茶《きつさ》店を出たとき、彼は珍《めづ》らしく酒《さけ》に酔《よ》つてゐた。何時になくコクテールを呑《の》む気になつたゞけでも彼は何かしら、日本の春の宵《よひ》らしい情緒《ぜうしよ》を唆《そゝ》られた。 十分ほどの後には、彼は本|郷《ごう》の千|駄《だ》木の方にゐる女|教師《けうし》のS子の古びた門の前に立つてゐた。 S子は信《しん》六が学生時代に世|話《わ》になつたことのある或る勤《つとめ》人夫|婦《ふ》の娘《むすめ》であつた。彼はそのころその家に下|宿《しゆく》してゐた。信《しん》六が学校を出る時分には主人か死んで、S子は間もなく結婚《けつこん》して九|州《しう》の方へ行つてしまつた。信《しん》六はしば/\その母を訪《おとづ》れたが、S子とも年に二、三度は手紙の遣《やり》取をしてゐた。外国へ行つてからも、思《おも》ひ出したやうに、簡短《かんたん》な時候の挨拶《あいさつ》くらゐの手紙を取りやりしてゐたが、S子が居《ゐ》所を知《し》らせてくれても、信《しん》六からは返辞《へんじ》がなかつたり、信《しん》六が思《おも》ひ出したやうに消息《せうそく》を知《し》らせてやつても、早速《さつそく》には返事《へんじ》がこなかつたりした。でも信《しん》六は彼女の手紙を粗末《そまつ》にするやうなことはなかつたし、昔《むかし》お互《たが》ひに感《かん》じてゐた仄《ほの》かな恋《こひ》心のやうなものは、折《をり》につけ佗《わ》びしい彼の心を温《あたゝ》めてくれた。 日本へ帰《かへ》つたら、先づ何をおいてもS子に逢《あ》つてみようと、彼は何かその事《こと》が気にかかりだしてゐた。そして彼女に贈《おく》るつもりで、宝《ほう》石を一つ用|意《い》したくらゐであつた。 信《しん》六が彼女を訪問《ほうもん》したのは、今夜が三度目であつた。彼は夜間になぞ彼女を訪問《ほうもん》したことはつひぞ無かつた。彼は門の前まで来て、来たことを恥《は》ぢた。 S子は弟夫|婦《ふ》と同|棲《せい》してゐたが、二|階《かい》の六|畳《ぜう》と四|畳《ぜう》を占《し》めて、ひそやかに暮《く》らしてゐた。 今度|逢《あ》つてみると、今まで打明けようともしなかつた彼女の過去《かこ》の生|活《かつ》の輪廓《りんくわく》が、ざつとこんなものだといふことが想像《そうぞう》された。彼女の片《かた》づいてゐたのは、信《しん》六よりも少し前に、そこに下|宿《しゆく》してゐた工|科《か》も採磯科《さいくわうか》出の学生であつた。S子はその男に切望《せつぼう》されて、十四五年間|礦《くわう》山の社|宅《たく》生|活《かつ》をした果《は》てに、戦《せん》後の不|況《けう》で解雇《かいこ》されてから間もなく、良人に死なれて悄《すご》々東京へ帰《かへ》つて来た訳《わけ》であつた。 信《しん》六はS子の変《かは》つてゐるのに驚《おどろ》いた。どこかに昔《むか》しの面影《おもかげ》を探《さが》し出すことはできるにしても、もしも彼女の家で逢《あ》つたのでなかつたら、いくら彼女が「私がS子です」といひ張《は》つても、信《しん》ずることが出来なかつたに違《ちが》ひなかつた。 「貴方《あなた》だつて随《ずい》分|変《かは》つてゐますわ。」負《ま》けず嫌《きら》ひのS子は遣《や》り返《かへ》した。 「しかし女の変《かは》り方は男と違《ちが》つて、何だか花が凋《しぼ》んだやうな感《かん》じですな。」信《しん》六は妹のやうに可|愛《あい》がつてゐた女なので、世間のどの女よりも自|由《ゆう》な口が利《き》けた。 「え、どうせ凋《しぼ》んだ花でせうさ。」S子は拗《す》ねたやうな風《ふう》をして見《み》せた。 勿論《もちろん》S子が昔《むかし》のまゝに若《わか》かつたとしても、今の自分の目にはさう美《うつく》しくは感《かん》じられないかも知《し》れなかつた。 「礦《くわう》山生|活《かつ》を十五年もしてゐるうちに、私はこんなになつてしまつたんですの。私はそこで労働《ろうどう》者|達《たち》の子|供《ども》を教育《けういく》してゐましたの。浮《うき》世のことは悉皆《すつかり》忘《わす》れてしまつたんですの。お陰《かげ》で勉強《べんけう》はできましたわ。」 「東京に産《うま》れた人が、よくそんな処《ところ》で辛抱《しんぼう》できたものですね。」 「仕方がなかつたんですもの。」 「子|供《ども》は産《うま》れなかつたですか。」 「一人|産《うま》れましたけれど、六ヶ月で死んでしまひましたの。女の子でしたけれど。あの子が育《そだ》つてゐたら、今年十四ですわ。」 「それきり?」 「え、宅《たく》がお酒呑《さけの》みでしたから。あんな処《ところ》ではお酒《さけ》でも呑《の》まなかつたら遣切《やりき》れなかつたでせうかね。お附合で町の料理《れうり》屋へも行きましたわ。不|道徳《どうとく》な真似《まね》も少しはしたでせうね。男つて誰《たれ》も彼も遣《や》るのね。あれさへなかつたら本|当《と》に好《い》い人でしたけれど。」 大|抵《てい》逢《あ》へばそんな話《はなし》をして別《わか》れるのであつたが、今夜は信《しん》六が酔《よ》つてゐたし、S子も何だか少し浮《うは》づゝてゐるやうに見《み》えた。下にお客《きやく》があつた。S子とも親《した》しい男らしかつた。 S子は下から紅茶《こうちや》や水|菓《か》子を運《はこ》んで来て、四|畳《ぜう》半の椅《い》子|場《ば》で話《はな》した。 「好《い》い時候になつて来ましたね。」 「さうね、そろ/\花が咲《さ》きさうですわ。先刻《さつき》も上|野《の》公|園《えん》を通《とほ》つて、貴方《あなた》につれられて、よくあの辺《へん》を散《さん》歩した子|供《ども》時分のことを思《おも》ひ出してゐましたの。貴方《あなた》はお部《へ》屋に閉籠《とぢこも》つて、一日|誰《たれ》とも口も利《き》かずに本ばかり読《よ》んでゐたわね。」 「さうでしたかね。」 「あの時分、貴方《あなた》はもつと毛が濃《こ》くて、蒼白い顔《かほ》をしてゐたわ。いつも毛がもぢ/\で、何だか憂鬱《ゆううつ》な人だと思《おも》つたものよ。」 「貴女《あなた》の病《べう》気の看護《かんご》をしたこともありましたね。氷《こほり》を取|替《か》へたり、脈《みやく》を見《み》たりして……。」 「さうでしたつけ。私は弱《よわ》かつたんですわ。」 「私は貴女《あなた》の結婚《けつこん》したことをちつとも知《し》らなかつた。私はあの時、始《はじ》めて寂《さび》しいといふことを感《かん》じたやうだつた。でもそれは仕方のないことだつた。」 「さう、私ちつとも私はやつと十九でしたもの。」 信《しん》六は彼女の顔《かほ》をぢつと見詰《みつ》めてゐたが少し低声《ここゑ》になつて 「今|貴女《あなた》は何にもないんですか。」 「私に? え、何にも。」S子は耳《みゝ》の附|根《ね》を赤《あか》くして俛《うつむ》いた。 「何故ですの。」 「何故つてこともないが、もしさうだつたら、私と結婚《けつこん》してもらへまいかと思《おも》つて……。」 S子はちよつと彼の顔《かほ》を見《み》たが、直《ぢ》き目を伏《ふ》せてしまつた。 「貴女《あなた》はどう思《おも》ふ。私の生|活事情《かつじぜう》はわかつてゐるでせう。病院《べういん》を作《つく》れば男の手では遣切《やりき》れないことが随《ずい》分あらうと思《おも》ふ。もし貴女《あなた》の力を借《か》りることができるなら、万|事《じ》好《こう》都合だとおもふんですがね。」 「え……。」 暫《しば》らく沈黙《ちんもく》がつゞいた。 「貴女《あなた》はほんとうに独《ひと》り?」 「え、それあ本|当《とう》に独《ひと》りですけれど。」S子は髪《かみ》の乱《みだ》れ毛を小|指《ゆび》で掻《か》きあげながら、 「独身《どくしん》生|活《かつ》も気|楽《らく》は気|楽《らく》ね。」 「貴女《あなた》もすつかりそれに慣《な》れてしまつたやうですね。」 「え、まあね。でも何うかすると寂《さび》しいこともありますね。何か自分を掣肘《せいちう》してくれるものとか、限《かぎ》りない自|由《ゆう》に或る制限《せいげん》を与《あた》へてくれるものとか、まあさういつた日常生|活《かつ》の対象《たいせう》がないと、寄《よ》りどころがないやうな気もするのね。」 「無|制限《せいげん》では真《しん》の自|由《ゆう》とはいへませんからね。何|処《こ》まで行つても際限《さいげん》のない曠野《こうや》に立つてゐるやうで……。」 「え、さう。その代り気|楽《らく》は気|楽《らく》よ。寝《ね》たいときに寝《ね》て、起《お》きたいときに起《お》きる。それに色《いろ》々な憧憬《どうけい》――もうそんなものも、あらかた無くなつてしまひましたけれど、それでも現実《げんじつ》にそれ を求《もと》めようとはしないながらも、何かしら考《かんが》へてゐるのね。長く自|由《ゆう》でゐると、現実《げんじつ》にふれるのが、迚《とて》も慵いことになつてくるのね。たとへば或一人の異性《いせい》を現実《げんじつ》の対象《たいせう》として想像《そうぞう》するといつたやうなことが、何だか厭《いや》になるのね。それだけ私は年取つたんでせうか。」 「同|感《かん》ですよ。」 「でも今夜は皆《みな》川さんは、いつもの皆《みな》川さんとは違《ちが》つてよ。」 「こんな話《はなし》を持《もち》出されて、貴女《あなた》は困《こま》る?」 「いゝえ、さうぢやないの。」 「今になつてからの結婚《けつこん》は、兎《と》に角《かく》臆劫《おつくう》な仕|事《ごと》には違《ちが》ひないね。私は《み》見ず知《し》らずの他《た》人を引|張《ぱ》つて来て、その人と暮《くら》さうといふ気には何うしてもなれないね。貴女《あなた》だつたら、まあ何うにかかうにか、努《ど》力なしにやつて行けさうに思《おも》ふんだけれど。」 「え、それあさうね。」 「考《かんが》へておいて見《み》てくれませんか。」 「え。」 信《しん》六は何だか物|足《た》りなかつた。やつぱり二人はこのまゝでゐた方がよささうに思《おも》へた。この上|深《ふか》い交渉《こうせう》を生ずるのは、煩《わづら》はしいことのやうな気がしたが、しかし言《いひ》出してみると、女が飛《とび》ついてこないのが淋《さび》しかつた。 「しかし貴女《あなた》の私に対《たい》する気|持《もち》だけは聞かしてもらつても可いだらうね。」信《しん》六は彼女の手を執《と》つた。 「私の気|持《もち》?」 「白紙?」 「そんな事《こと》ないわ。」 「今さら何も燃《も》えあがらないつてつた感《かん》じ?」 「貴方《あなた》は。」 「私は貴女《あなた》を愛《あい》してゐる。若《わか》いときのやうな熱情《ねつぜう》は兎《と》に角《かく》、永《なが》いあひだ貴女《あなた》のことは絶《た》えず頭脳にあつたのだね。」 「さう、それは有|難《がた》いけれど。でも、貴方《あなた》は奥《おく》さんを愛《あい》してゐたでせう。」 「勿論《もちろん》愛《あい》してゐました。貴女《あなた》が貴女《あなた》の良人を愛《あい》してゐたやうに。たゞそれきりですよ。」 「さうね。今夜は貴女《あなた》は酔つてゐるやうだわ。」 「さうかも知《し》れない。でも、酔つたまぎれの笑|談《だん》でないことだけは信《しん》じてもらひたい。」 「それあさうですわ。」 「兎《と》に角《かく》考《かんが》へておいて下さい。」 「え。」 それから暫《しば》らく雑談《ざつだん》に耽《ふけ》つたが、二人は何となしはずまなかつた。 「散《さん》歩でもしませんか。いゝ夜だね。」信六は窓《まど》をあけた。 「しても可いけれど。」S子は寄《よ》り添《そ》つた。 静《しづ》かな夜であつた。月|光《こう》がどんより曇《うる》んでゐた。信《しん》六は彼女を引寄《よ》せた。 翌《よく》朝ベツドのうへで目をさましたとき、信《しん》六はそつと彼女の年を繰つて見《み》て、幻滅《げんめつ》を感《かん》じた。彼は昨夜の申《もうし》出を悔《く》ゆる気|持《もち》になつてゐた。[#地付き](昭和4年3月1日「週刊朝日」) 底本:「徳田秋聲全集第16巻」八木書店 1999(平成11)年5月18日初版発行 底本の親本:「週刊朝日」 1929(昭和4)年3月1日 初出:「週刊朝日」 1929(昭和4)年3月1日 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
https://w.atwiki.jp/midkiseki/pages/126.html
▼タグ一覧 エリンギの花言葉=宇宙 ミラクルアイ 女医 母親 銀髪 因幡永琳(旧姓・八意) てゐの実母で八意医院の院長。年齢4×歳。 亡き夫との間にてゐ達姉妹を授かり、女手一つで育ててきた。 やんちゃで悪戯好きなてゐを心配しつつも温かく見守る母親の鑑。 医者としての技量は高く、かつては都内の大病院に勤務していたという噂も… 実はその正体は… 「闇夜を照らす弓張月!ブレイン・アルテミス!」 〇ブレイン・アルテミス=因幡(旧姓:八意)永琳 ミラクルアイの知識兼回復担当。イメージカラーは銀色。 正体はてゐの母親。八意医院の院長でもある。実はミラクルアイでは最年【削除されました】。 衣装は赤と青のツートンカラーの看護服・青いコンピュータ搭載のナース帽・銀色のSMマスクを模した仮面。 様々な薬が作れ、怪我は一瞬で治療可能。ただし病気の治療はそれなりに時間がかかり、失ったミラクルパワーはさすがに治療出来ない。
https://w.atwiki.jp/toho/pages/3966.html
東方永夜抄 ~ Imperishable Night. シンデレラケージ ~ Kagome-Kagome CHERRYSTORY / CHERRY / 彩月 あみ KAGOME galleryいえろ~ぜぶら / 東方弦想歌 ~Color of Flower~ / 紗菜 Princess in reticulated cageKraster / 東方雨月譚 / 羽丘 淳 Secure Cage -day side-Rhyth / 東方スクランブル3 -the Clane and the Turtle- / 葉月 なの Secure Cage -night side-Rhyth / 東方スクランブル3 -the Clane and the Turtle- / 小宮 真央 Time ChaseC-CLAYS / 遙~HARUKA~ / 舞 K2 SOUND / 麗鳴 RAY-MEI / 小峠 舞 Trick and TrapSOUND HOLIC / 永 -TOKOSHIE- / A~YA 愛の監獄Bloody Sword / 東方歌劇曲 / ミカエル咲夜 檻の中の遊戯 ~ かごめ ~ feat. 初音 ミク吉田未来Project / 東方モラトリアム / 初音 ミク 籠 -Cage-CYTOKINE / ⑨ -maruQ- / 初音 ミク 穢き世の美しき檻魂音泉 / FANTASIA / ytr、たまちゃん 燦詞『四響八謡詠夜唱』あぷえぬすたーと! / 東方ラヂヲ和歌集 ~Vocal Arrange Musics~ / すし~ あぷえぬすたーと! / 寿司詰め合わせ ~東方ラヂヲ和歌集あぺんどでぃすく~ / すし~ シアワセネガイセブンスヘブンMAXION / 東方恋想郷 ~Grazing Heart~ / 珠梨 地獄 シンデレラケージFragile Online / だってしょうがないじゃない / YS シンデレラケージ虹色論理 / RED EYES LUNATICA / 210 虹色論理 / 恋と少女と絶対零度 / 210 シンデレラケージ ~ Kagome-Kagomeefs / Mystic Heart / 野瀬 冬弥 efs / Mystic Heart おまけCD / 野瀬 冬弥 シンデレラケージ ~ Kagome-KagomeKota-rocK / Birth of Fire / 鼓太蝋 シンデレラケージ ~ Kagome-KagomeLight ? Staff / No genre 3 if / 小澤 裕子 Light ? Staff / トビラ / 小澤 裕子 シンデレラ・ラプソディーSister s Spread-i / PINK RHAPSODY / まいなすいょん ツキニフレルヨウニactivity / search-eye / 野。 月の夜百田屋 / うさみみてゐしょく ~ 大盛り ~ おまけでぃすく / ま ってゐ! ~えいえんてゐVer~石鹸屋 / 石鹸屋のお歳暮2 / 秀三 ドグマ・カグラ~新月の後夜祭~MiuMyu(東方らぢぉ) / うどんげPoPs~UdongePoPs~ / 遊女 ハピネスフルムーンSun Flower Field / Flower Garden / mineko Sun Flower Field / 神社から始まる大騒動 / 姫 宵月物語いえろ~ぜぶら / 東方絢彩歌 ~Touch of Air~ / 藤宮 ゆき 夜があけるまでLiz Triangle × Like a rabbit / LR First Strike! / lily-an (複数曲混合)Fancy Full MoonSilly Walker / きみのならまた死ねる / 小宮 真央 Silly Walker / 横浜幻想郷 / 小宮 真央 Silly Walker / 178R(いなばらびっつ) / 小宮 真央 (複数曲混合)Fancy Full Moon (ver.thC)Siestail / ザ・ベストてゐ / 小宮 真央 (複数曲混合)Fancy Full Moon (ver.Siesta)Siestail / ザ・ベストてゐ / 樹 詩音 (複数曲混合)Lie la Rabbitthe blankets / HAPPY REBIRTHDAY / キアリク (複数曲混合)いなばらびっつ!Silly Walker / TEI!TEI!TEI! / 小宮 真央 Siestail / ザ・ベストてゐ / 小宮 真央 (複数曲混合)いなばらびっつ! (ver.tail)Siestail / ザ・ベストてゐ / 小宮 真央 (複数曲混合)いなばらびゅ!Silly Walker / ぼくの月夜を守って / 小宮 真央 (複数曲混合)ウサテイイオシス / 東方萃翠酒酔 / ビートまりお、あまね (複数曲混合)桜華の剣よ風と舞えQLOCKS / stereoscopic / 慶 (複数曲混合)鏡花水月 ~ Dream in the Fantasy地元青年弾(合同企画CD) / 幻想鏡らびリンス / SHO Sonic Hybrid Orchestra / ANOTHER SIDE OF TOHO TEMPEST Vol.1 -COLORLESS- / SHO (複数曲混合)月光幻想曲 ~Moonlight FantasyeS=S / cut-a-rouge / りと (複数曲混合)月光小夜曲 ~Moonlight Serenadeばーどちゅーん / 東方ちゅんちゅん郷 / みりん☆ (複数曲混合)シアワセうさぎPROJECT tM@S / 幻想メガ★ラバ / ビートまりお、あまね COOL&CREATE / スーパーあまねりお / あまね、ビートまりお COOL&CREATE / スーパーシャッターガール / あまね、ビートまりお (複数曲混合)シンデレラケージ岸田教団 The明星ロケッツ / ROLLING★STAR / ichigo (複数曲混合)飛び跳ねっぷりなら負けないかも知れない!Siestail / かえるさん☆ダ・KERO! / 小宮 真央 (複数曲混合)憂月の詩人生の気だるさ日和 / Compared with Light / 藤宮 遊鳥 (複数曲混合)ラ・ビットパレードSilly Walker / うさばん / 小宮 真央
https://w.atwiki.jp/crimsonfox/pages/12.html
鏡面界 ***************副題************************************** Pianist ハロルド・バッド(Harold Budd)の静謐な演奏が白眉な、Ambient Music(環境音楽)の創始者であり、現在ではClassicの現代音楽家とも目されるブライアン・イーノ(Brian Eno)の美しき1980年の作品「 Plateaux of Mirror 」(邦題 鏡面界)を聴きながら…… ********************************************************** 追記 イーノの作品で私はNASA制作の映像作品のSoundtrack盤「APOLLO(邦題 アポロ)」が一番のお気に入りである。 *********************************************************** 万華鏡を覗いてゐるとその変幻自在で色鮮やかな千変万化する鏡面世界は私の思考を無理矢理にでも宇宙に誘(いざな)ふのである。 ――Black hole(ブラックホール)…… 最近、Black holeは存在しないといふ新説が発表されたが、ここではBlack holeが存在するものとして話を進める。 さて、光すら逃れられないBlack hole内はその名に反して眩いばかりに光り輝く鏡面世界なのではないかと最近、特にさう思ふ。銀河の中心域の輝きを見ると尚更さう思へてくるのである。 ――Light-shining hole…… 唯、シュヴァルツシルト半径または重力半径と呼ばれるBlack holeの境界域のみ漆黒なのであって、仮にその境界域を鏡面界と仮定すればBlack holeは万華鏡と同じと考へられなくもないのである。 ――もしかすると銀河の中心域もまた鏡で出来た『林檎宇宙』([水鏡]を参照して下さい)の縮図なのかもしれない…… ――Fractal(フラクタル)的に考へると……この私が存在してしまってゐるこの宇宙自体が巨大な巨大な巨大な巨大なBlack holeと考へられなくもないではないか…… ――ふっ、面白い…… ――するとだ……宇宙外にはこの宇宙を中心とする巨大な巨大な巨大な巨大な銀河が形作られてゐるのかもしれない…… ――するとだ……この宇宙をBlack hole型宇宙だと仮定すると……この宇宙を閉ぢ込め包み込む更に巨大な巨大な巨大な巨大なBlack hole型の宇宙が存在し、それが無限に続いてゐるとすると…… ――ふっ。鏡面界を皮と見立てると……この世といふものは巨大な巨大な巨大な巨大な……鏡で出来た無限の『玉葱宇宙』といふことか…… ――また……『無限』といふ名の陥穽に落ちてしまったぞ…… と、不意にイーノの「鏡面界」が終はったのであった。 審問官Ⅲ――主体弾劾者の手記Ⅱ 私が何故Televisionを殆ど見ず、街中を歩く時伏目になるのかを君はご存知の筈だが……私には他人の死相が見えてしまふのだ。街中で恋人と一緒に何やら話してゐて快濶に哄笑してゐる若人に死相が見える……体の不自由なご主人と歓談しながらにこにこと微笑み車椅子を押してゐるそのご婦人に死相が見える……Televisionで笑顔を見せてゐるTalentに死相が見える等々、君にも想像は付く筈だがこの瞬間の何とも名状し難い気分……これは如何ともし難いのだ。それが嫌で私はTelevisionを見ず、伏目で歩くのだ。 そんな私が馥郁たる仄かな香りに誘はれて大学構内の欅を見た時、その木蔭のBenchで雪が何かの本を読んでゐるのを目にしたのが私が雪を初めて見た瞬間だった。 その一瞥の瞬間、私は雪が過去に男に嬲られ陵辱されたその場面が私の脳裡を掠めたのである。そんなことは今まで無かったことであったが雪を見た瞬間だけそんな不思議なことが起こったのである。 その時から私は雪が欅の木の下に座ってゐないかとその欅の前を通る度に雪を探すやうになったのである。 君もさうだったと思ふが、私は大学時代、深夜、黙考するか本を読み漁るか、または真夜中の街を逍遥したりしては朝になってから眠りに就き夕刻近くに目覚めるといふ自堕落な日々を送ってゐたが、君とその仲間に会ふために夕刻に大学にはほぼ毎日通ふといふ今思ふと不思議な日々を過ごしてゐた訳だ。 話は前後するが、今は攝願(せつぐわん)といふ名の尼僧になってゐる雪の男子禁制の修行期間は疾うに終はってゐる筈だから、雪、否、攝願さんに私の死を必ず伝へてくれ給へ。これは私の君への遺言だ。お願ひする。多分、攝願さんは私の死を聞いて歓喜と哀切の入り混じった何とも言へない涙を流してくれる筈だから…… さうさう、それに君の愛犬「てつ」こと「哲学者」が死んださうだな。さぞや大往生だったのだらう。君は知ってゐるかもしれないが、私は「てつ」に一度会ってゐるのだ。君の母親が ――家(うち)にとんでもなく利口な犬がゐるから一度見に来て と、私の今は亡き母親に何か事ある毎に言ってゐたのを私が聞いて私は「てつ」を見に君の家に或る日の夕刻訪ねたのだが、生憎、君はその日に限って不在で君の母親の案内で「てつ」に会ったのだよ。 「てつ」は凄かった……。夕日の茜色に染まった夕空の元、「てつ」の柴赤色の毛が黄金色(こがねいろ)に輝き、辺りは荘厳な雰囲気に覆われてゐた。その瞬間、私にとって「てつ」は「弥勒」になったのさ。私を見ても「てつ」こと「弥勒」は警戒しないので君の母親は私と「弥勒」の二人きりにしてくれた。それはそれは有難かった。暫く「弥勒」の美しさに見蕩れてゐると「弥勒」が突然、私に ――うぁぁお~んわぅわぅあぅ と、何か私に一言話し掛けたのである。私にはそれが『諸行無常』と聞こえてしまったのだ。 今でもあの神々しい「弥勒」の荘厳な美しさが瞼の裏に焼き付いてゐる……。あの世で「弥勒」に会へるのが楽しみさ……。 さて、話を雪のことに戻さう。 或る初夏の夕刻、君と一緒にあの欅の前を歩いてゐると雪がBenchに座っていつものやうに何かの本を呼んでゐた。 (以降に続く) 後ろの正面 先づ、次の文章が何のことなのか……謎謎である。 『宇宙を普遍的に支配する法則、宇宙の基本的なBalanceは、始終、破られてゐる。Energie(エネルギー)保存則を無視して、真空から、電子や陽子のやうな物質が――まるで手品の空っぽの帽子から鳩や兎が飛び出すやうに――ポンポンと出て来るのである。これを「真空の揺らぎ」と呼ぶのであった。但し、このやうな奇妙な現象は、観測者(主体)が観測してゐない時にしか起きない。一旦、無から生成された物質は、観測者(主体)が――周囲が――Unbalanceに気づく前に、無へと直ちに回帰してしまふ。結局、無から飛び出した電子や陽子たちは、観測者(主体)の眼には、「存在してゐなかった」ことになる。』――引用(『本 読書人の雑誌 2007年6月』【講談社】~ とき の思考――大澤真幸著 「独裁者という名の民主主義」~(一部私が変更) 上記の記述には大澤真幸の理解不足が散見されるが概ね正しいとして、さて、何のことなのか解るだらうか。 先づ科学関係、それも物理学関係の事だとは解ると思ふが、しかし、科学者の間では上記の引用が「常識」なのである。 さう、量子力学のことである。量子力学における現象は一般の常識を越えた事がしばしば起こるが、上記の引用は彼のアインシュタインが生涯受け入れられなかった量子論の基本の基本の考え方である。アインシュタインでさへさうなのだから一般の人々にとっては尚更受け入れられない考え方である。 一言で言ふと私の背中では上記の引用の摩訶不思議としか言へない「現象(?)」が常に起こってゐることになる。 ――はっはっはっ、可笑しくて仕様が無い…… さて、しかし、ここが大きな問題である。上記の引用が科学者の「常識」といふ事が――空恐ろしくて悪寒が体を走る――「文明」の基本の基本にある考え方なのだ。 ――逃げろ ! ! さう、文明から即刻逃げなければ観測者にされた主体はこの世の「文明世界」で弄り殺され兼ねないのだ。 ――奇妙奇天烈な『文明』から……早く、早く、逃げろ ! ! アインシュタインの一般相対性理論と量子論が「統一」された「大大統一理論」が理論物理学の世界で確立されない限り狂気の沙汰としか言へない「文明」から逃げる外、私たち一般の人々が「文明」に弄り殺されずに生き残る術は今の所……無い。 ――誰か吾を助け給へ…… 童歌の「かごめかごめ」 籠目籠目 籠の中の鳥はいついつ出やる 夜明けの晩に鶴と亀がすべった 後ろの正面誰 審問官Ⅱ――主体弾劾者の手記Ⅰ にやりと笑った途端、不意にこの世を去った彼の葬儀に参列した時、亡くなった彼の妹さんから彼が私に残したものだといふ一冊の大学Noteを渡されたのである。英語と科学を除いて勿論彼は終生縦書きを貫いたのでそのNoteの表紙にそのNoteが縦書きで使ふことを断言するやうに『主体、主体を弾劾すべし』と筆書きされてあったのである。 その手記は次の一文から始まってゐた。 『――吾、吾を断罪す。故に吾、吾を破壊する―― これは君への遺言だ。すまんが私は先に逝く。これが私の望む生だったのだ。私はこれで満足なのだ…… 君もご存知の「雪」といふ女性が私の前に現はれた時に私は『自死』しなければならないと自覚してしまったのだ。 自分で言ふのも何だが……、私は皆に『美男子』と言はれてゐたので美男子だったのだらう。良くRock BandのU2の『WAR』のジャケットのCover写真の少年(俳優 ピーター・ロワン)に似てゐると言はれてゐたが、ご存知のやうに私は変人だったのでそれ程多くの女性にもてたとは言へないが、生命を生む性である女性の一部はどうしても私の存在が「母性」を擽(くすぐ)るのだらう、彼女らは私を抛って置けず無理矢理――この言ひ方は彼女らに失礼だがね――私の世話をし出したのは君もご存知の通りだ。 しかし、私に関わった全ての女性たちは私が変はらないと悟って私の元から離れて行った。雪を除いては…… 私は雪と出会った頃には埴谷雄高がいふ人間の二つの自由――子を産まないことと自殺することの自由――の内、自殺の仕方ばかり考へてゐたが、私には人間の自由は無いとも自覚してゐたので自殺してはならないとは心の奥底では思ってゐたけれども、画家のヴァン・ゴッホの死に方には一種の憧れがあったのは事実だ。自殺を決行して死に損なひ確か三日ぐらゐ生きた筈だが、私もヴァン・ゴッホが死す迄の三日間の苦悩と苦痛を味はふことばかりその頃は夢想してゐたのだ。それに自殺は地獄行きだから死しても尚未来永劫『私』であり続けるなんて御免被るといったことも私が自殺しなかった理由の一つだ。 今は亡き母親がよく言ってゐたが、私は既に赤子の時から変はってゐたさうだ。或る一点を凝視し始めたならば乳を吸ふ事は勿論、排泄物で汚れたおむつを換へるのも頑として拒んださうだ。ふっ、私は生まれついて食欲よりも凝視欲とでも言ったら良いのか、見ることの欲望が食欲より――つまりそこには性欲も含んでゐるが――優ってゐたらしい。赤子の時より既にある種の偏執狂だったのだ。君が私を『黙狂者』と呼んだのは見事だったよ。今思ふとその通りだったのかもしれない。 そんな時だ、雪に出会ってしまったのは…… (以降に続く) 雷雲 彼は幼い頃から屋根に寝そべって時々刻々とその姿を変容させる雲を見続けてゐる何とも名状し難い心地よさに包まれるその時間を愛して已まなかった。 特に雷雲が遠ざかる時の鬱勃と雷雲に雲が次々と湧いては上昇したために冷えた気団が纏ふ雲が雲団に崩れ沈む様をずうっと眺めてゐる時のその雄大な儚さが何とも堪らなく好きであった。 或る日、彼は特別強い突風が吹かない限り欠かせた事が無い激烈に変化する気候の不思議に魅了されて眺めずにはゐられない雷雲の去来の全てを部屋の窓を開け放って眺め始めたのであった。 先づ、斥候の雲として龍のやうな雲が中空を滑るやうに横切り始めると彼は最早空から目が離せなくなったのである。そして、灰色の氷山のやうな小さな暗雲が次第に群れを成して上空を流れ行く段になるともう直ぐ空が一変する瞬間が訪れるのを彼はわくわくしながら待つのである。 それは雷神が巨大な甕に薄墨をどくどくと注ぎ込みその巨大な甕が薄墨で一杯になったところでその甕の薄墨を空にぶち撒けるやうに薄墨色の暗い雲がさあっと空一面に一気に拡がる瞬間の息を飲むやうな迫力に圧倒されたいが為のみである。 辺りが夜の闇に包まれたかのやうに真っ暗になると雷神の本領発揮である。きらっと暗雲の何処に閃光が走ると ――どどどどど と腹の底まで響き渡る轟音がこの世を覆ひ包む。 時には稲妻が地上から暗雲へ向けて這い登るその雷神の大交響樂は何時見ても凄まじいものであった。すると、彼は奇妙な感覚にその日は襲われたのである。 ――睨まれた ! ! その瞬間であった。一閃の稲妻が地目掛けて駆け落ちた時、蒼白い小さな小さな閃光がこっちへ向かって疾走して来たのであった。その時Radioからワーグナーの「ワルキューレの騎行」が流れてゐた。 その蒼白い小さな小さな閃光はRadioのAntennaの先端に落ちたのであった。すると、「ワルキューレの騎行」は突然大音響で鳴り響き雷神の大交響樂を更にその迫力が鬼気迫る何とも凄まじいものへと変貌させたのであった。 それからである。稲妻が次々と閃光を放っては轟音を轟かせこの世を縦横無尽に駆け回り始めたのである。 ――ぼとぼとぼと―― 豪雨の襲来である。 その日の雷雨は記録的な降雨を記録した物凄いものであった…… 魔人「多頭体一耳目」の悲哀 印刷技術を始め様々な科学技術を応用した発明がなければ「知識」は未だに特権階級の独占状態にあった筈であるが、幸か不幸か「知識」は人類共有のものへと世俗化したのである。しかし、現代は人間を魔人「多頭体一耳目」へと変態させてしまったのである。 印刷技術の発達のお蔭で書物が誰でも手にすることが出来るものへ、画家や写真家のお蔭で或る絵画や写真の情景が見る人誰もが共有出来るものへ、Recordの発明のお蔭でで誰もが音楽を共有出来るものへ、そして、映画や団欒のTelevisionのお蔭で誰もが同じ映像を共有出来る時代になったが、さて、ここからが問題である。個室で独りTelevisionやVideo等を見る段階になると人間は魔人「多頭体一耳目」に変態するのである。 ――奴とこ奴の記憶すら交換可能な時代の到来か…… つまり、現在「個人」と呼ぶものは既に頭蓋内すら他者と交換可能な、言ひ換えると仮に人類が個室で全員同じ画像を見てゐるとすると将来生まれて来るであらう人類の為には極端なことを言へばたった独り生き残っていれば、否、誰も生き残らなくとも映像さへ残れば良いのである。 ――こいつとあいつは頭蓋内の記憶すら交換可能な、つまり、こいつが居ればあいつは無用といふあいつの悲哀…… さて、そろそろ魔人「多頭体一耳目」の正体が解ってきたと思ふが、つまり、魔人「多頭体一耳目」は個室で独りTelevisionやVideo等を見てゐる人間のことなのである。 ――俺の存在とは誰かと交換可能な……つまり……俺がこの世に存在する意義は全く無い…… 映画館や団欒等、他者と一緒に同じ映像を見てゐるならばは傍に「超越者」たる「他者」が厳然と存在するので魔人「多頭体一耳目」は出現しない。 魔人「多頭体一耳目」を戯画風に描くと一対の耳目を蝸牛の目のやうに一対の耳目をTelevisionやVideo等が映す映像の場所ににょきっと伸ばし、その映像を見てゐる人数分、一対の耳目から枝分かれした管状の器官で頭と肉体が繋がってゐる奇怪な生物が描き出されるのであるが、オタクには失礼かも知れないがオタクこそ魔人「多頭体一耳目」の典型なのである。 さうなると主体が生き延びるには「感性」しかないのであるが、「感性」といっても如何せん頭蓋内の記憶すら同じなので、哀しい哉、「感性」もまた「同じ」やうなものばかりしか育めないのである。 ――主体とはこの時代幻想に過ぎないのか…… 人間を魔人「多頭体一耳目」に変態させたくなければ同じ映像を見るにしても必ず他者と一緒に見なければそいつは既に魔人「多頭体一耳目」に変態してしまってゐる。 ――さう云へば私は最早Televisionを見なくなって久しいが……本能的に魔人『多頭体一耳目』になることを察知してTelevisionを見なくなったのかもしれないな…… 位置 高田渡も歌ってゐる黒田三郎の詩『夕暮れ』の第一連から 夕暮れの町で ボクは見る 自分の場所から はみだしてしまった 多くのひとびとを ……は何とも私の胸奥に響く一節である。特に 自分の場所から はみだしてしまった 多くのひとびとを ……の一節は見事である。 ところが ――自分の場所とは一体何処だ? といふ愚問を発する私の内部の声がその呟きを已めないのである。 今ゐる自分の場所は日本国内では、地球上では、太陽系内では、天の川銀河内では、更に何億年か何十憶年か、もしくは何百億年か後に天の川銀河と衝突すると予測されてゐるアンドロメダ銀河との関係性から全て自分の場所、もしくは自分の位置は言葉で指定できるが、さて、宇宙に仮に中心があるとして我々が棲息する天の川銀河は宇宙全体の何処に位置するのかとなると最早言葉では表現出来ずお手上げ状態である。 現代物理学ではこの宇宙は「閉ぢて」ゐると考へられてゐるのでこの宇宙の中心は多分何処かにある筈に違ひないと考へられなくもないが、しかし、宇宙全体の形状すら未だ不確かな状態ではこの宇宙に中心があるのかどうか不明である。仮令この宇宙に中心があったとして、さて、我々が棲息する天の川銀河はこの宇宙の何処に位置するのであらうか…… さて、『水鏡』で宇宙の涯についての妄想を書き連ねたが、仮にこの宇宙が『水鏡』の「林檎宇宙」であるならばこの宇宙の存在物は全て「林檎宇宙」の表皮に存在するといふやうに考へられなくもないのでこの宇宙の存在物全ては宇宙の周縁に存在する、つまりこの宇宙の存在物全ては宇宙の涯と接してゐるといふことになる。私の外部は宇宙外と接した何処かといふことになる。 ――吾の隣は既に宇宙外……、はっはっ。 そこでまた『水鏡』の妄想から宇宙の涯が鏡――古代の人々は矢張り素晴らしい。鏡を神器と看做してゐたのだから――であるならば、私が鏡を見る行為は宇宙の涯を見てゐる擬似行為なのかもしれないのだ。鏡を見て自己認識する人間といふ生き物は、もしかすると宇宙の涯との相対的な関係性から自己の位置を認識したいのかもしれないのである。 ――さて、吾は何処に存在するのか…… ここで石原吉郎の代表作の一つであり傑作の一つでもある『位置』といふ詩のその凄みが露になる。 ――吾は吾の『位置』を言葉で表現し得るのか…… 石原吉郎の第一詩集である『サンチョ・パンサの帰郷』(思潮社、1963年)の最初の詩は、『位置』である。 位 置 しずかな肩には 声だけがならぶのでない 声よりも近く 敵がならぶのだ 勇敢な男たちが目指す位置は その右でも おそらく そのひだりでもない 無防備の空がついに撓(たわ)み 正午の弓となる位置で 君は呼吸し かつ挨拶せよ 君の位置からの それが 最もすぐれた姿勢である (『石原吉郎全集Ⅰ』花神社、1979年、5ページ) 審問官Ⅰ――主体弾劾者 彼は絶えず――断罪せよ――といふ内部の告発の声に悩まされ続けてゐたらしい。 彼が何か行動を起こさうとすると必ず内部で呟く者がゐる。 ――断罪せよ!! 彼は己の存在自体に懐疑的であった、といふよりも、自己の存在を自殺以外の方法でこの世から葬り去る事ばかり考へてゐたやうであった。 ――両親の死を看取ったなら即座にこの世を去らう。それが私の唯一の贖罪の方法だ…… 彼には主体なる者の存在がそもそも許せなかったらしい。彼をさうさせた原因はしかし判然としなかった。彼は埴谷雄高が名付けた奇妙な病気――黙狂――を患ってゐたのは間違ひない。 彼はいつも無言、つまり『黙狂者』であった。 ――俺は…… といって彼は不意に黙り込んでしまふ。 しかし、彼は学生時代が終わらうとしてゐた或る日、忽然と猛烈に語り始め積極的に行動し始めたのであった。彼を忽然とさう変へた原因もまた判然としなかったのである。 彼は大学を卒業すると二十四時間休む間のないことで学生の間で有名だったある会社に自ら進んで就職したのである。 風の噂によると彼は猛然と二十四時間休むことなく働き続けたらしい。しかし、当然の結果、彼は心身ともに病に罹ってしまったらしいのである。その後某精神病院に入院してゐるらしいのであった。 ――自同律の不快どころの話ではないな。『断罪せよ』と私の内部で何時も告発する者がゐるが、かうなると自同律の嫌悪、故に吾は自同律の破壊を試みたが……、人間は何て羸弱な生き物なのか……唯病気になっただけではないか、くっ。自己が自己破壊を試みた挙句、唯病気になっただけ……へっ、可笑しなもんだ。だがしかし、俺も死に至る病にやっと罹れたぜ、へっ。両親も昨年相次いで亡くなったからもう自己弾劾を実行出来るな…… 彼の死は何とも奇妙な死であったらしい。にやりと突然笑い出した途端に息を引取ったらしいのである。 ――断罪せよ、お前をだ。其の存在自体が既に罪なのだ…… 肉筆 『波紋』のところで横書きと縦書きについて少し触れたが、文字を手にした人類は何を措いても肉筆が森羅万象を表現するのには一番である。 先づ縦書きと横書きについてであるが、横書きは頭上に坐す一神教の神の信者以外の者にとっては使い捨ての文(ふみ)でしかない。『波紋』で「神の視点」といふものを述べたが横書きは一行書くごとに下方へ一段下る。文を認(したた)めるといふ作業もまた周回運動に変換出来、それが綺麗な螺旋運動になってゐることに気が付く筈である。 「神の視点」の神とは『時間の神』、日本で言へば滋賀県大津市にある「天智天皇」を祀る近江神社が「時の神」の神社として有名だが、ギリシア神話で言へば「クロノス」(英語;Chronos、ギリシア語;χρόνος)のことである。一神教、例へばユダヤ教ではヤハウェ、基督教では基督、回教ではアッラーフ(アッラー)に「時の神」は統べられてしまってゐるが…… 以上のことから唯一神不在若しくは無信仰の人間の横書きが如何に虚しい作業かは言はずもがなである。 さて、本題の肉筆だが、仏教徒であらうが神道信者であらうが、更に言へば無信仰ならば尚更であるが、日本人ならば先づ縦書きが基本で、『浅川マキと高田渡と江戸アケミ』で述べたやうに文を記すことは現代理論物理学の実践である。ハイデガーのいふ「世界=内=存在」でありたいならば「道具存在」である筆でも万年筆でも鉛筆でも何でもよいが筆記用具を手にして紙に記す行為こそ「世界=内=存在」であり得る。そこでだ、現代理論物理学を実践するならば肉筆に限る。文字を記すときの一点一画を記す行為は「時間」を紙上に封印する行為である。それが肉筆であるならば「個時空」を紙上に封印することである。紙上に肉筆で封印された「個時空」は既にこの世に唯一の「顔」を持ってゐて唯一無二の存在物になるのである。 肉筆原稿が嘗ては活字、今はComputer入力の写植に変貌してしまったが、それでも肉筆で今でも原稿用紙と格闘してゐる作家の文は迫力が違ふのである。これは私だけのことかもしれないが文芸誌などで何某かの作家の作品の一文を読めばその作家が原稿用紙に肉筆で書いたかComputer入力かがたちどころに解ってしまふのである。私にとってComputer入力の作家の作品は其れだけで既に読むに値しない愚作である。今でも肉筆で原稿用紙に書いてゐる、例へば本人には申し訳ないが、私は嫌いである大江健三郎の作品を文芸誌で見つけると嫌いにも拘はらずその作品の一文を読んでしまふと最後まで読んでしまはないと気が済まなくなるのである。写植になっても肉筆で書いたといふ「個時空」若しくは作家の「言霊」が私の魂を鷲摑みにして作品を最後まで読ませてしまふのである。 ――何故、現代人はComputer入力で文を認める、つまり己を『のっぺらぼう』にしたがるのかね…… ――へっ、己のことを自然を「超えた」若しくは神を「超えた」存在だと錯覚したいだけのことさ、ふっ。 風紋 川面を弱風が吹き渡ると千変万化する風紋が川面に現はれる。 風紋といふ文字の姿も「ふうもん」といふ文字の響きも美しい。何がこんなにも私の魂と共鳴を起こして『美』を想起させるのか…… 「揺らぎ」……。揺らぎを語り始めると量子論や宇宙論まで語らなければならないので自然の本質の一つとしてここでは一応定義しておくが、「揺らぎ」については後日語らなければならないのかもしれない…… 風紋は風の揺らぎによって無常にその姿を変へ波の紋をこの世に映す。 諸行無常とは正に風紋の如しである。 さて、ここで妄想を膨らませると、風紋は時空間の時間を主体にした時空が姿を与へられてこの世に出現する現象ではないかと思ふ。波は周回運動に変換でき、つまり波は或る物が「揺らぐ」螺旋運動をしてこの世を駆け抜けたその軌跡ではないのではないだらうか。ここでいふ或る物とは正に『時』である。 確率論的に言へば風に幾ら「揺らぎ」があらうが風紋の最終形は直線の筈である。水はその姿を千変万化に変容させるので兎も角、砂丘の砂が例へば真っ平らであって例へ「揺らいだ」風でも万遍無く砂丘の砂にその風を数時間か吹き付け続ければ確率論的には直線の風紋が出来る筈であるが自然はそれを許さない。それは何故か――時空が特に時間が「揺らぐ」螺旋運動をしてゐるとしか考えられないからである。 多分、螺旋運動は自然の宿命なのだ。それ故時空は「揺らぐ」のだらう。 ――人間もまた螺旋から逃れられない自然物なのだ。さて、例へばRobotだが、それが自然を超へるといふ人間の宿願を果たす人間の夢想であるならばだ。しかし、それが人間の頭蓋内の思索といふまた「揺らぎ」の螺旋運動から出現したものならば、さて、Robotもまた自然でしかない…………… ――さてさて、人類の叡智とやらに告ぐ。……無から何か有を、存在物を……人間よ……創造し給へ。それが出来ない以上、人間よ、自然に隷属し給へ……。それが自然の宿命だからな……、ふっ。 - -
https://w.atwiki.jp/tohorpg/pages/577.html
[部分編集] 東方魔幻想コンテンツ一覧 東方魔幻想TOP キャラクター 状態異常 幻想図鑑 (アイテム/書本/武具) ミニゲーム 合成 ストーリー攻略 その他施設 ショップ マップ つぶやき・戦闘時セリフ FAQ・小ネタ 実績 アイテム 装具御守 結晶石 御札 装飾品専用装備 セット 貴重品 装具 御守 [部分編集] アイテム名 購入(売却) 効果 主な入手 備考 ○○の御守 1000 耐性 ○○+50% にとりor旧都 無○○の御守 (2500) 耐性 ○○+100% 合成 無混乱の御守 5000 耐性 混乱+100% 旧都 無暴走の御守 5000 耐性 暴走+100% 旧都 無爆笑の御守 5000 耐性 爆笑+100% 旧都 無制限の御守 7500 耐性 制限+100% 霧雨魔法店 無衰退の御守 7500 耐性 衰退+100% 霧雨魔法店 無禁止の御守 7500 耐性 アイテム封印+100% 霧雨魔法店 無逆転の御守 7500 耐性 逆転+100% 霧雨魔法店 無熟睡の御守 7500 耐性 熟睡+100% 霧雨魔法店 虫の御守 (5000) 魔力+20耐性 毒/睡眠/麻痺/即死+100% 敵(リグル) 河童の御守 (5000) 防御力+20耐性 混乱/麻痺/感電+100% 地下工場 にとりがパーティー内にいる状態で守矢神社地下1Fの河童と話す 天魔の御守 (25000) 攻防魔速+30耐性 封印/衝撃/重力/速さ低下/即死+100% 敵(天魔) キノコの御守 (5000) 攻防魔速+10耐性 封印/魔力低下/即死+100% 敵(Mushroom Shadow) 闘技の御守≪剛≫ (15000) 耐性 毒/混乱/睡眠/麻痺/呪い+100% 闘技場50P 闘技の御守≪柔≫ (15000) 耐性 封印/衝撃/重力/忘却/空気+100% 闘技場50P 闘技の御守≪闘≫ (15000) 耐性 暴走/火傷/凍傷/感電/浸水+100% 闘技場50P 闘技の御守≪戦≫ (15000) 耐性 脱力/出血/虚弱/恐怖/鬱+100% 闘技場50P 闘技の御守≪武≫ (15000) 耐性 魅了/爆笑/束縛/石化/狂気+100% 闘技場50P 闘技の御守≪轟≫ (15000) 耐性 制限/衰退/禁止/逆転/熟睡+100% 闘技場50P ▲ページ上部へジャンプ 結晶石 [部分編集] アイテム名 購入(売却) 効果 付与 主な入手 備考 闘士の結晶石 (1500) 耐性 格闘+30% 格闘 合成 兵士の結晶石 (1500) 耐性 斬突+30% 斬突 合成 狩人の結晶石 (1500) 耐性 射撃+30% 射撃 合成 炎熱の結晶石 (1500) 耐性 炎+30% 炎 合成 氷雪の結晶石 (1500) 耐性 氷+30% 氷 合成 雷鳴の結晶石 (1500) 耐性 雷+30% 雷 合成 水流の結晶石 (1500) 耐性 水+30% 水 合成 森羅の結晶石 (1500) 耐性 自然+30% 自然 合成 烈風の結晶石 (1500) 耐性 風+30% 風 合成 楽師の結晶石 (1500) 耐性 音+30% 音 合成 夢想の結晶石 (1500) 耐性 思念+30% 思念 合成 白銀の結晶石 (1500) 耐性 光+30% 光 合成 漆黒の結晶石 (1500) 耐性 闇+30% 闇 合成 裁者の結晶石 (1500) 耐性 理+30% 理 合成 ケダマの結晶石 (2500) 攻防魔速+5耐性 格闘/自然+30% 格闘/自然 ミニゲーム「ケダマSTG」5万点以上(何度でも) ダメージの結晶石 - 攻防魔速+10クリティカル率+4耐性 格闘/斬突+30% 格闘/斬突 人里/東区 通行人 実績「マスターアタッカー」(100000ダメージ以上) コンボの結晶石 - 攻防魔速+10通常攻撃が3回攻撃耐性 格闘/斬突+30% 格闘/斬突 人里/東区 通行人 実績「コンボマスター」(150コンボ以上) 探求者の結晶石 - 攻防魔速+10取得経験値2倍耐性 自然/理+30% 自然/理 人里/東区 通行人 実績「探求者」(100000歩数以上) 死蝶の結晶石 (5000) 攻防魔速+10耐性 思念/闇+30%耐性 即死+100% 思念/闇 敵(Yuyuko Shadow) 深海の結晶石 攻防魔速+10耐性 氷/水+50%耐性 凍傷/浸水+100% 氷/水 水の都/地下回廊 闘技の結晶石 (10000) 攻撃力+50耐性 格闘+50% 格闘 闘技場30P 闘神の結晶石 (15000) 攻撃力+100耐性 格闘+75% 格闘 闘技場60P 増幅の結晶石 (15000) SG増加量+50耐性 理+50% 理 闘技場60P 猛将の結晶石 (15000) 耐性 斬突+50%通常攻撃・クリティカル封印防止 斬突 闘技場60P 心眼の結晶石 (15000) 耐性 射撃+50%常時必中 射撃 闘技場60P ▲ページ上部へジャンプ 御札 [部分編集] アイテム名 購入(売却) 効果 主な入手 備考 命の御札 1000 体力+10% 旧都,てゐP10 霊の御札 1000 霊力+10% 旧都,てゐP10 力の御札 1000 攻撃力+10% 旧都,てゐP10 護の御札 1000 防御力+10% 旧都,てゐP10 魔の御札 1000 魔力+10% 旧都,てゐP10 迅の御札 1000 速さ+10% 旧都,てゐP10 狩の御札 1000 命中率+10% 旧都,てゐP10 影の御札 1000 回避率+10% 旧都,てゐP10 万能の御札 (5000) 体力・霊力・命中率・回避率・攻撃力・防御力・魔力・速さ+10% 合成 生命の大御札 (2500) 体力+15% 合成 霊魂の大御札 (2500) 霊力+15% 合成 剛力の大御札 (2500) 攻撃力+15% 合成 守護の大御札 (2500) 防御力+15% 合成 魔晶の大御札 (2500) 魔力+15% 合成 疾風の大御札 (2500) 速さ+15% 合成 獣狩の大御札 (2500) 命中率+15% 合成 幽影の大御札 (2500) 回避率+15% 合成 万能の大御札 (25000) 体力・霊力・命中率・回避率・攻撃力・防御力・魔力・速さ+15% 合成 生命の幻想御札 (5000) 体力+20% 合成 霊魂の幻想御札 (5000) 霊力+20% 合成 剛力の幻想御札 (5000) 攻撃力+20% 合成 守護の幻想御札 (5000) 防御力+20% 合成 魔晶の幻想御札 (5000) 魔力+20% 合成 疾風の幻想御札 (5000) 速さ+20% 合成 獣狩の幻想御札 (5000) 命中率+20% 合成 幽影の幻想御札 (5000) 回避率+20% 合成 万能の幻想御札 (50000) 体力・霊力・命中率・回避率・攻撃力・防御力・魔力・速さ+20% 合成 命王の幻想御札 (7500) 体力+25% 合成 霊王の幻想御札 (7500) 霊力+25% 合成 武王の幻想御札 (7500) 攻撃力+25% 合成 護王の幻想御札 (7500) 防御力+25% 合成 魔王の幻想御札 (7500) 魔力+25% 合成 風王の幻想御札 (7500) 速さ+25% 合成 獣王の幻想御札 (7500) 命中率+25% 合成 影王の幻想御札 (7500) 回避率+25% 合成 万王の幻想御札 (75000) 体力・霊力・命中率・回避率・攻撃力・防御力・魔力・速さ+25% 合成 亜神の幻想御札 (10000) 体力+30% 合成 霊神の幻想御札 (10000) 霊力+30% 合成 武神の幻想御札 (10000) 攻撃力+30% 合成 守神の幻想御札 (10000) 防御力+30% 合成 魔神の幻想御札 (10000) 魔力+30% 合成 風神の幻想御札 (10000) 速さ+30% 合成 野神の幻想御札 (10000) 命中率+30% 合成 幽神の幻想御札 (10000) 回避率+30% 合成 最高神の幻想御札 (100000) 体力・霊力・命中率・回避率・攻撃力・防御力・魔力・速さ+30% 合成 ▲ページ上部へジャンプ 装飾品 [部分編集] アイテム名 購入(売却) 攻 防 魔 速 効果 主な入手 備考 ○○リボン (50) - 5 5 - - 初期装備 博麗リボン (150) - 10 10 - - 霊夢初期装備 ZUN帽 (150) - 5 5 - - 初期装備,合成(霖之助) ZUN帽2 (500) - 15 15 - - 合成(霖之助) ZUN帽3 (1500) - 25 25 - - 合成(霖之助) ZUN帽4 (3000) - 35 35 - - 合成(霖之助) ZUN帽5 (4000) - 40 40 - - 合成(霖之助) ZUN帽-Final- (5000) - 65 65 - - 合成(霖之助) カチューシャ (50) - 3 - - - 初期装備 ホワイトブリム (75) - 3 - 3 - 初期装備 護身のペンダント 5000 - - - - 耐性 クリティカル防止 にとり合成,妖怪の山-総本山-宝箱 博麗神社 翼鳥のペンダント 10000 - - - - 能力上昇無効化能力低下無効化 にとり合成,妖怪の山-総本山- 聖者のペンダント 20000 - - - - 被ダメージ3%の霊力回復 にとり合成,妖怪の山-総本山- 幽鬼のペンダント 20000 -10% -10% -10% -10% 回避率+30 にとり合成,妖怪の山-総本山-宝箱 九天の滝 四神のペンダント 20000 - - - - 耐性 炎/水/自然/風+50%属性付与 炎/水/自然/風 にとり合成,妖怪の山-総本山- 覚醒のペンダント 30000 - - - - CP+10 にとり合成,妖怪の山-総本山-宝箱 大蝦蟇の池 太陽のペンダント 30000 - - - - 毎ターン体力5%回復(自然回復重複可) にとり合成,妖怪の山-総本山- 妖魔のペンダント 45000 - - - - 霊力消費半減 にとり合成,妖怪の山-総本山- 幸福のペンダント 70000 - - - - 取得経験値2倍 にとり合成,妖怪の山-総本山- アイテム名 値段 攻 防 魔 速 効果 主な入手 備考 木の盾 100 - 3 - -1 - にとり 木の長盾 (150) - 6 - -3 - 合成 鉄板の盾 () - 15 - -5 - 合成 青銅の盾 () - 22 - -8 - 合成 青銅の長盾 () - 27 - -10 - 合成 銀の盾 () - 35 - -15 - 合成 セット ミスリルの盾 () - 43 - -20 - 合成 ルビーシールド () - 50 - -25 - 合成 フレイシールド () - 57 - -30 - 合成 スカイシールド (2250) - 65 - -35 - 合成 セット ゴールデンシールド () - 72 - -40 - 合成 クロスシールド () - 80 - -45 - 合成 アースシールド () - 86 - -48 - 合成 バトルシールド () 10 90 - -50 - 合成 ブラッディシールド () - 110 - -55 - 合成 トライフォースシールド () - 135 - -60 常時防御力上昇耐性:クリティカル防止 合成 みの 100 - 2 - - 回避率+1 にとり マント (100) - 4 - - 回避率+2 合成 レッドマント () - 6 - - 回避率+4 合成 ウィザードマント () - - 8 - 回避率+5 合成 身かわしマント () - 11 - 6 回避率+7 合成 紫煙のマント () - - 15 - 回避率+10 合成 セット マジックマント () - - 16 - 回避率+11 合成 スカイマント () - - 20 - 回避率+12 合成 セット 盗賊のマント () - 20 - - 回避率+14 合成 セット 武闘家のマント () - 25 - - 回避率+15 合成 漆黒の外套 () - 30 - - 回避率+16 合成 ローグマント () - 32 - - 回避率+17 合成 セット ワンダーマント (2500) - 35 - - 回避率+20 合成 ○○勾玉 (500) - - - - 耐性 ○○+50% 合成(霖之助) 結晶石の合成素材 レザーハンド 100 1 1 - - - にとり クロウハンド (100) 4 3 - - - 合成 盗賊の手袋 () 3 - - 3 盗み成功率+5% 合成 セット 銅の籠手 () 6 4 - - - 合成 練成銅の籠手 () 8 7 - - - 合成 銀の籠手 () 12 9 - - - 合成 セット 練成銀の籠手 () 16 13 - - - 合成 金の籠手 () 21 16 - - - 合成 練成金の籠手 () 27 18 - - - 合成 黒曜の籠手 () 32 21 - - - 合成 セット 白銀の籠手 () 36 24 - - - 合成 黒金の籠手 () 40 27 - - - 合成 紅の籠手 () 45 32 - - - 合成 ローグハンド () 30 - - 40 盗み成功率+10% 合成 セット 悪魔の籠手 () 50 36 - - - 合成 純金の籠手 (3000) 55 40 - - 常時防御力上昇 合成 ゲタ 100 - 1 - 2 - にとり 鉄ゲタ (100) - 6 - 3 - 合成 盗賊の靴 () - 4 - 4 盗み成功率+5% 合成 セット 草鞋 () - 7 - 5 - 合成 黒草鞋 () - 10 - 7 - 合成 藁靴 () - 12 - 10 - 合成 皮の靴 () - 13 - 14 - 合成 マジックブーツ () - - 14 17 - 合成 ウィングブーツ () - - 16 21 - 合成 セット ブロンズブーツ () - 20 - 25 - 合成 シルバーブーツ () - 22 - 28 - 合成 セット テンプルブーツ () - 24 - 32 - 合成 スカイブーツ () - - 25 34 - 合成 セット ローグブーツ () - 22 - 40 盗み成功率+10% 合成 セット ブラックブーツ () - 28 - 37 - 合成 セット ダッシュブーツ (2250) - 30 - 42 常時速さ上昇 合成 木の魔枝 100 - - 2 - - にとり 魔法使いの杖 (150) - - 5 - - 合成 セット ステッキ () - - 10 - - 合成 魔錫杖 () - - 15 - - 合成 風魔杖 () - - 18 - - 合成 セット 法曹の杖 () - - 22 - - 合成 悪魔の杖 () - - 28 - - 合成 セット ハートレスロッド () - - 35 - - 合成 スターロッド () - - 38 - - 合成 ウィザードロッド () - - 43 - - 合成 エンシェントロッド () - - 54 - - 合成 竜の杖 () - - 60 - - 合成 竜神の杖 (3250) - - 70 - 常時魔力上昇 合成 アイテム名 値段 攻 防 魔 速 効果 主な入手 備考 マジックマッシュルーム (500) - - +3% - 耐性 魔力低下+100% 茸採取時に稀に入手てゐP50 ランタン (500) - - - - 耐性 命中率低下+100% てゐP50 地球儀 (500) - - - - 命中率+15 てゐP50 ねこみみ (500) - 5 - 15 - てゐP50 セット うさみみ (500) - - 5 15 - てゐP50 セット ゆっくり魂 (500) - - - - 耐性 ゆっくり+100% 本棚 三途の川/小町の家てゐP50 時流時計 (500) - - - - 耐性 時間停止+100% 本棚 紅魔館/咲夜の部屋てゐP50 攻略本 (500) - - - - 消費霊力半減 てゐP50 四葉のクローバー (500) +3% +3% +3% +3% 取得経験値2倍 謎の種 玄武の指輪 - - 100 - - 消費霊力半減 敵(玄武) 青龍の指輪 - - - - 100 消費霊力半減 敵(青龍) 朱雀の指輪 - - - 100 - 消費霊力半減 敵(朱雀) 白虎の指輪 - 100 - - - 消費霊力半減 敵(白虎) 四神の指輪 - 100 100 100 100 消費霊力半減 耐性 理+50% 合成(霧雨魔法店) 覚醒トロフィー - - - - - 耐性 全汎用異常+100% 実績「覚醒者」 覚醒の祠にて幻影を全て倒す 稗田の紋章 (5000) 50 50 50 50 回避率+3耐性 封印/混乱/忘却+100% 実績「幻想図鑑初級」 人里/稗田屋敷・阿求から貰える(幻想図鑑30%以上) 稗田の紋章2 (5000) 100 100 100 100 回避率+5耐性 封印/混乱/忘却+100% 実績「幻想図鑑中級」 人里/稗田屋敷・阿求から貰える(幻想図鑑60%以上) 稗田の紋章3 - 300 300 300 300 回避率+10耐性 封印/混乱/忘却+100% 実績「幻想図鑑上級」 人里/稗田屋敷・阿求から貰える(幻想図鑑90%以上) 賢者の紋章 - 500 500 500 500 回避率+15耐性:全汎用異常+100%クリティカル防止 実績「幻想の賢者」 すごいほね - - - - - 全耐性+50% 実績「オセロ100勝利」 幸運バッチ (1500) - - 20 25 SG増加量+30 てゐP200 カリスマバッチ - - 40 - 命中率+20 クリティカル防止 宝箱(レミリアの部屋) 風神団扇 - 50 50 50 50 耐性 風/重力/速さ低下+100% 敵(風神) 雷神太鼓 - 50 50 50 50 耐性 雷/麻痺/感電+100% 敵(雷神) アリスの人形 - - - - - 常時霊力自然回復 アリス加入イベント 大盗賊の心得 - - - - 30 盗み成功率+30% 敵(盗賊団首領) 氷の結晶 - - - - - 耐性 氷/凍傷+100% 敵(チルノ) ゾンビソウル - - - - - 常時体力5%回復耐性 即死/毒/鬱+100% 敵(芳香) ロボット - - - - - 常時攻撃力上昇クリティカル防止耐性 格闘/斬突/射撃+50% 永遠亭組加入イベント 河童玉 - - - - - 耐性 水+200% にとり加入イベント 水の社・海底世界に入る為に必要 ソロモンの指輪 - - - 500 - 毎ターン体力5%回復(自然回復重複可)耐性 闇+200% 呪い/即死+100%クリティカル防止 合成(霧雨魔法店) 会心の旗 800 - - - - クリティカル率+5 にとり D勲章 (15000) 100 100 100 100 闘技場Dランク制覇 C勲章 (25000) 200 200 200 200 闘技場Cランク制覇 B勲章 (50000) 300 300 300 300 闘技場Bランク制覇 A勲章 (100000) 400 400 400 400 闘技場Aランク制覇 闘将ベルト 増幅リング (5000) 30 30 30 30 SG増加量+20 合成(霧雨魔法店) 緑のイヤリング (175) - 7 7 - - 宝箱 裏の森、妖怪獣道、魔法の森、霧の湖 黄のイヤリング (600) - 17 17 - - 宝箱 紅魔館×3、幻草原、迷いの竹林 赤のイヤリング (1650) - 28 28 - - 宝箱 無名の丘、再思の道、妖怪の樹海 ブーケ (1000) - - 15 15 クリティカル防止 宝箱 魔法の森奥、再思の道、迷いの竹林奥 拡張カバン 5000 - - - - CP+3/デッキ+2 妖怪の山-総本山- 拡張カバン[大] 10000 - - - - CP+5/デッキ+4 妖怪の山-総本山-,闘技場50P ステート砂時計 (5000) - - - - 状態解除が速くなる(補助も状態異常も)(解除はポップされない) 宝箱 紅魔館、墓地、再思の道闘技場50P オートシールド (5000) - - - - 常に防御(ダメージ1/2)状態 宝箱 妖怪の山の洞窟、有頂天、太陽の森闘技場50P 浄化の鈴 (5000) - - - - 持続ダメージ無効化(毒や火傷など) 宝箱 廃洋館、地底への洞窟闘技場50P 陣太刀 (400) 10 10 - - - 宝箱 魔法の森、幻草原、迷いの竹林 魚の骨 (400) - 5 - - - 初期装備(燐)宝箱 妖怪獣道、霧の湖、魔法の森 鉤鎖 (400) - - - 15 回避率+2 宝箱 ミズナラの木、霧の湖、迷いの竹林 藁人形 (400) - - - - 通常攻撃に呪い/鬱の効果 初期装備(パルスィ)宝箱 魔法の森奥、迷いの竹林 リスキーリング (5000) -80% -80% -80% -80% 消費霊力0(ラストスペル使用不可)(EXスペル使用不可) 宝箱 墓地闘技場50P 蝙蝠の羽 (300) - - 8 - 回避率+3 敵(ブラックバット) セット 悪魔の尻尾 (300) - - 6 6 - 敵(サキュバス,ヴァンパイア) セット キラードールの鎌 (500) 16 - 6 - クリティカル率+6弱点 狂気-50% 敵(キラードール) 魔晶石 (500) - - 23 - 敵(暴走魔晶石,魔法妖樹) 鬼棍棒 (3000) 60 - - - 敵(大鬼) 海魚兵の槍 (3000) 32 28 - 16 回避率+2 敵(玄雲海魚兵) 法紋の数珠 (5000) 54 62 80 48 命中率+8/回避率+5クリティカル率+2 命蓮寺組加入イベント闘技場50P 慈悲の心 (5000) -50% - - - 闘技場50P 慈悲の魔心 (5000) - - -50% - 闘技場50P 英雄勲章 - - - - - クリティカル率+10耐性 全汎用異常+100% クエストNo.30の報酬 ▲ページ上部へジャンプ 専用装備 [部分編集] キャラ アイテム名 攻 防 魔 速 効果 主な入手 備考 魔理沙 ミニ八卦炉 - - +20% - - 初期装備,香霖堂 チルノ 凍ったカエル - - +9% +9% 耐性 炎+50% 初期装備 紫 紫の傘 +5% +5% +5% +5% 耐性 理+50% 初期装備 萃香 伊吹瓢 +15% - - - 体力自動回復(自然回復重複可) 初期装備 にとり にとりリュック - - - - クリティカル防止 CP+1/デッキ+3 初期装備 椛 椛の盾 - +20% - - 耐性 斬突/射撃+60% 初期装備 文 カメラ - +5% - +10% 耐性 光+50% 耐性 命中率低下+50% 初期装備 天子 要石 - +10% - - 耐性 自然+30% 耐性 衝撃+100% 初期装備 さとりこいし 第三の眼 - - +5% - ラーニング 耐性 思念+50% 初期装備 星 宝塔 - - +10% - 耐性 闇+50% 耐性 呪い+100% 初期装備 ▲ページ上部へジャンプ セット [部分編集] 2個セットで先に表記されてる装飾品のみ、同じ物を2つ装備して多重にセット効果を発生させられる アイテム名 セット効果 効果合計 備考 銀の盾銀の籠手シルバーブーツ 魔力+40 攻撃力+12 防御力+66魔力+40 速さ+13 スカイシールドスカイマントスカイブーツ 防御力+30魔力+30 防御+95魔力+75 速さ-1回避率+12 紫煙のマントマジックブーツ魔法使いの杖 魔力+60 魔力+94 速さ+17回避率+10 盗賊のマント盗賊の手袋盗賊の靴 速さ+100 攻撃力+3 防御力+24速さ+107回避率+14 盗み成功率+10% ローグマントローグハンドローグブーツ 速さ+150回避率+5 攻撃力+30 防御力+54速さ+230回避率+22 盗み成功率+20% 黒曜の籠手ブラックブーツ 防御力+40 攻撃力+32 防御力+89速さ+37 2個セット 黒曜の籠手 *2ブラックブーツ 防御力+80 攻撃力+64 防御力+150速さ+37 悪魔の籠手悪魔の杖 魔力+20呪い攻撃 攻撃力+50 防御力+36魔力+48呪い攻撃 2個セット 悪魔の籠手 *2悪魔の杖 魔力+40呪い攻撃 攻撃力+100 防御力+72魔力+68呪い攻撃 ウィングブーツ風魔杖 魔力+20速さ+20 魔力+54 速さ+41 2個セット ウィングブーツ *2風魔杖 魔力+40速さ+40 魔力+90 速さ+82 ねこみみうさみみ 速さ+30魅了攻撃 防御力+5魔力+5 速さ+60魅了攻撃 2個セット ねこみみ *2うさみみ 速さ+60魅了攻撃 防御力+10魔力+5 速さ+105魅了攻撃 蝙蝠の羽悪魔の尻尾 攻防魔速+20 攻撃力+20 防御力+20魔力+34 速さ+26回避率+3 2個セット 蝙蝠の羽 *2悪魔の尻尾 攻防魔速+40 攻撃力+40 防御力+40魔力+62 速さ+46回避率+6 ▲ページ上部へジャンプ 貴重品 [部分編集] アイテム名 購入(売却) 効果 主な入手 備考 ゲームマニュアル - ゲームの詳細/設定変更 ゲーム開始時 実績図鑑 - 取得実績数/詳細の閲覧 携帯用スキマ - スキマ空間に脱出する 使用場所に戻ることはできない 慧音先生の教科書 - 汎用状態異常確認 人里の寺子屋 文々。新聞 (1) ミニマップ表示 郵便受け ルナダイアル - ゲーム速度変更 紅魔館の咲夜の部屋 謎の種 - 育てることでアイテム入手 てゐP30,闘技場1P 不明石 - 鑑定することで素材入手 てゐP50,闘技場1P てゐ迷路入場券 てゐ迷路に入れるようになる くじびき,魔理沙他支援効果 所持上限1てゐP50と交換できる マスターキー 500000 全ての宝箱を開けられる 中有の道 無くならない 黄金のつるはし 500000 全ての鉱石を掘り出せる ○○香花 - 最大体力/霊力上昇 各地フィールド上の花からランダム闘技場10P 所持上限10 ○○薬 - ステータス上昇 各種モンスタードロップor盗む宝箱,てゐP150,闘技場10P ローヤルゼリー - ステータス上昇 盗む(幻想女王蜂,イチゴちゃん,リアルフットプリン) 所持上限5 Pアイテム/紅 (1250) 経験値3000獲得 くじびき,てゐP25,合成 所持上限999 Pアイテム/蒼 7000 経験値10000獲得 くじびき,てゐP70,合成,妖怪の山/道具屋 Pアイテム/翠 15000 経験値30000獲得 てゐP150,合成,妖怪の山/道具屋闘技場Dランク景品 Pアイテム/黄 40000 経験値100000獲得 てゐP400,合成,妖怪の山/道具屋闘技場Cランク景品 Pアイテム/紫 (50000) 経験値300000獲得 てゐP1000,合成闘技場A,Bランク景品 太陽の鍵 - 太陽の畑の扉を開けられる 謎の種 間欠泉まんじゅう 1000 汎用異常無効化(10ターン) 間欠泉温泉 所持上限1 超野菜 - 味方全体の体力を1%+9999回復 人里/お食事亭 無くならない実績「料理マスター」(料理全21種習得)を解禁と同時に入手 精霊の石 - 味方全体の霊力を30回復 人里/東区 通行人 無くならない実績「幻想の漫遊記」(セーブ500回以上)を解禁と同時に入手 騒霊オルゴール - 戦闘BGMを変更する事ができる 敵(Prismriver Shadow) 蛙解石 - 歪んだ石の封印を解き放つ魔石 敵(フロッグファントム)闘技場5P 350八岐大蛇と戦う度に1つ消費 ゆっくりチケット - ゆっくりの住処に入る為のチケット 敵(レアメタル、ぐちょメタル、ゆっくり系)闘技場75P 蓄音器 - 使うとさいきょーな曲が流れる 大妖精の家/内部(クリア後) ▲ページ上部へジャンプ TOPページへ戻る
https://w.atwiki.jp/touhourowa/pages/307.html
許容と拒絶の境界 ◆TDCMnlpzcc 走って、走って、走り続ける。 木の根を飛び越え、藪を抜けて、逃げ続ける。 転んでも起き上がり、走り続ける。 目的地なんかない。 「追いかけてくる」 悲鳴をこらえた喉から、絞り出すように声を出す。 後ろでは、自分を呼ぶ声が響く。 落ち着いて聞くと、後ろの声にはあまり悪意がこもっていないようにも聞こえる。 しかし、今の因幡てゐにはそれを感じ取る余裕はなかった。 とにかく、逃げ続けた。 ずいぶんと長く逃げ続けて、気づけば足が止まっていた。 足が重い。 疲れた。 もういいだろう。 足を止めると、少し夜風で頭が冷えてくる。 そして、一人でいることに気づく。 当たり前だ。とにかく皆から逃げてきたのだ。 誰かが周りにいるはずはない。 「これで逃げ切れた」 つぶやいた言葉に反応する声はない。 周りに誰もいないことは安全である証拠。 自分は逃げ切れた。 また、逃げた。 そしてまた一人になった。 本当にこれでよかったのだろうか? 痛いなあ。 よく見ると足にけがをしている。 どこかで切ったのだろう。 たらたらと血が流れている。 もっとも、治療の必要はなさそうだった。 ぷんと血の匂いがあたりに広がっている。 がさがさ。遠くで茂みが揺れた。 これから私はどうするのだろう。 また逃げだすのか? また裏切るのか? 裏切る相手もほとんど残っていないだろうに。 自分が生き残れる可能性などほとんどないだろうに。 このままだと、あの時のように、一人さびしく死んでいくだけではないか? 逃げだしたことを少し後悔した。 もしあのままあそこに残って説明して もしあそこで誰かがかばってくれて もし誰かが許してくれて そうだったらよかったのに。 いや、これは逃げた後だからこそできる後悔だ。 殺される、それも少し心を許しかけた相手に。 それはきっと一人ぼっちで死ぬよりはつらいことだから。 そう思ったからこそ自分は逃げ出したのだ。 つらいけど、殺されるよりはましだった。 あそこで死んでいたら、このようなことを考えることすらできていないのだから。 がさ、がさがさ。 今度は近くで茂みが揺れた。 「・・・にお・・・・てゐ・・・・・ち・・」 え? だれか近くにいる。 どうして? それにこの声は・・・ 「てゐ?近くにいるだろ」 近くの木立から声を受けて、立ち上がろうとする。 でも足が立たず、逃げ出せなかった。 走りすぎて、動ける状態じゃない。 それにしてもなんでここがわかったのだろうか? 「見つけた!!!」 目の前にきれいな羽が現れた。 フランドール・スカーレットの手には飛び道具が握られている。 不思議と恐怖は湧かなかった。もう感情が麻痺しているだけかもしれないけれど。 「てゐさん」 今度は東風谷早苗か、みんな集まってきたわけだ。 さて、どう料理されるのか。 自分が見つかった理由はよくわかっている。 血だ、血をたどられた。 ただの人間を相手にしているのとはわけが違ったことを忘れていた。 吸血鬼。 相手に血に関するエキスパートがいることを知りながら、血のにおいを消すことを忘れていた。 もっとも、けがをしていることに気付いたのはついさっきで、対策の立てようはなかった。 その傷からはいまだに血が滴っている。 その匂いは私にも嗅ぎ取れる。 もしかしたら、鼻のいい人間にも追跡はできたかもしれない。 「あんまり走ると風邪をこじらせるわよ」 少し遅れて、あとの二人も到着した。 霧雨魔理沙の手には、自分が渡した銃が握られていた。 重そうに、ふらふらと持ち運んでいる。 皮肉なものだ。 自分の渡した武器で殺されるかもしれないとは・・・ 目の前に四人が集まった。 「てゐさん」 私の騙した人間、東風谷早苗がこちらに歩み寄る。 なにをされるのだろうか? 疲れ切った頭で考える。ふと、痛い死に方はいやだな、と思った。 私は死にたくなかった。しかし、死を免れるすべは見当たらない。 かちゃ。 後ろの八雲紫が警戒の目で私の手元を見つめた。 気付けば私は早苗に銃を向けていた。 恐怖に襲われた兎の無意識な抵抗。 だが、早苗はそれを気にすることなく近づく。 そして・・・・ 「ケガ」 「?」 「怪我しています。止血しないと」 人間の手が、降りてきて、私の足を抑えた。 それは危害を加える手じゃなくて・・・・ 「なんで怒らないの?」 早苗の手は、私の構えた銃の下で動き続ける。 布を足に巻きつける。 「私はあなたを騙したのに」 しばらく、誰もしゃべらなかった。 そして、すっと手が差し伸べられた。 「私たちはあなたがなぜ騙したのかが知りたいだけです」 手から拳銃が滑り落ち、代わりに暖かい手に包まれた。 「私は騙されたことは気にしていませんよ」 それは思いもよらない人物からの許しの言葉。 因幡てゐの心は少し、ほんの少し揺れた。 「てゐさんはパチュリーさんを本当に殺すつもりだったのですか?」 殺すつもりはなかった。 思い返せばあの魔女を殺してしまったのは事故だった。 言い訳をすれば、助かるかもしれない。 でも、言い訳をしたところで、また嘘をつき続けるだけかもしれない。 それに、どうせ私は東風谷早苗を殺すつもりで武器を構えたのだ。 同罪だ。殺そうと思っていなくとも、引き金を引いた指には殺意がこもっていた。 「あなた、私にも話をさせて」 フランドールが一歩前に出た。 こちらを見つめる目は、いつものように紅く染まっている。 てゐにはその眼を見つめられなかった。 目を伏せて、出る言葉に耳を澄ました。 「全部話して、パチュリーを殺したことから、全部、何もかも」 そして私は、口を開いた。 長い、しかしたった一日の経験談が終わり、静かになった。 座り込んだてゐに話しかけるものはいない。 許してもらえるとは思っていない。 でも、目の前の四人から殺意は感じられなかった。 ここに漂っている空気は虚無感だけ。 あらためて話して思った。 こんな殺し合いがなければ、何も起きなかった。 まさか、紅魔館の魔女を、恨みもない魔女を殺すことなんかなかっただろう。 なんでこんなことになったのだろう。 「私はもとよりあなたと関わりはないけれど、いくつか質問してもいいかしら?」 八雲紫が無表情で尋ねてきた。 てゐは無言で了承する。 ほかの三人は何もしゃべらない。 「あなたが死ぬのを見届けた蓬莱山輝夜は人形だったの?」 「そんなはずはないと思うけど、月の科学力は進んでいるから」 「八意永琳にはまだ会っていないと」 「さっき話した通りだよ」 「古明地こいしは死んだのね」 「目の前で見たから、それは事実」 「今、人里に死体があるのよね・・・」 「どっちの?」 「どっちも、特にお姫様のほうかしらね。興味があるのは」 八雲紫はてゐがもう仲間であるかのように振る舞っていた。 それが仮の対応だったとしても、てゐには救いだった。 そこで、うーんとうめき声をあげて、魔理沙がこちらを見た。 「私には決められない。決めるのはフランと早苗だ」 ほらよ、と黙り込んだフランの肩を叩く。 反応がないのが不気味だった。 私は・・・と早苗が顔を上げた。 「私は、てゐさんに復讐したいとは思いません」 私は特に怪我をしませんでしたし・・・。 早苗は笑顔で付け足した。 私の心には、その笑顔が痛かった。 フランドールは黙りこくって、立ち尽くしている。 「・・・・」 どうすればいいのだろうか? 私は生きたいと思った。 しかし、それ以上に、許してほしいと思った。 目の前に与えられた、仲間という関係は、目の前の吸血鬼の判断次第で取り上げられる。 一人はさびしい。 「・・・・」 私はどうしたらいいの? 「ごめんなさい」 周りが、えっと声を出した。 「本当にごめんなさい」 それは、自身の行為の独白を続けてもなお、妖怪兎の口からでなかった言葉。 そして、それを口に出したのは・・・・ 「守ってあげられなくてごめんね、パチュリー」 プライドの高い吸血鬼、フランドール・スカーレットだった。 「私はさ、お姉さまみたいに器用に怒れないよ」 「フラン、お前・・・」 唖然とした皆の前で、フランドールは頭を垂れた。 「許してね」 そして、顔を上げた。 こちらを、紅い瞳が見つめる。 「私が許すとか、許さないとかじゃないと思う。 パチェリーが許すか許さないかだと思う。 だからさ、私はてゐをどうしようとも思わない。 もとから私がどうこう考えることですらないと思う」 言い切った言葉は、まっすぐだった。 はっとして思わず、私は下を向いた。 そして、周りに見えないように笑う。 自分自身を嗤った。 数千年も生きてきて、数百年しか生きていない吸血鬼に劣っていたとは。 力はともかく、それ以外で劣っていたとは。 私なんかより、こいつのほうがいい奴だよ。賢いよ。 「私は・・・・」 私がやるべきことは最初から一つしかなかった。 一つしかなかったのだ。 「ごめんなさい。本当にごめんなさい」 先ほどの、吸血鬼の言葉の丸写し。 でも、この場にはそれが一番似合った。 「ごめんなさい」 なんだか涙が出てきた。 視界がぼやけて、灰色に染まってゆく。 最後に人前で、嘘泣きでなく本気で泣いたのはいつのことだっただろうか? 久しぶりの、涙だった。 少し時間がたった。 「まあ、涙をふきなさい」 八雲紫の声で私は顔を上げた。 ああ、私は泣いていたのか。 その事実を思い出し、苦笑する。 年甲斐にもないことをしたものだ。 手で目をこすり、涙をぬぐう。 眼病にならないといいな、ふと思う。 しみついた健康への執着が戻っていた。 「私は何もしないけど、お姉さまはわからない」 フランドールがつぶやいた。 その通りだ。私が謝るべき相手はたくさんいる。 人里においてきた二人はどうなったのだろうか? わからない。 「まあ、レミリアも分かってくれる。わかってくれなかったら私が分からせる」 「ありがとう」 魔理沙が力強く言った。 でも、誰かの手を煩わせるつもりはなかった。 謝って、謝り通してやる。 許してもらうまで土下座して、謝って、罪を償おう。 私は生まれ変われるかもしれない。 すくなくとも、今、私の中で何かが変わった。 「ほら」 寄ってきたフランドールが、手を差し伸べる。 何をする気だろうか? 「えっ?」 私は思わず、竦んだ。 そんな私とフランドールを見つめる4人分の視線。 「仲直りの握手」 「フランドール・・・」 「フランでいいよ」 それはとても平和で、心地よい世界だった。 もう二度と味わえないと思っていた世界。 目の前のフランはとても優しくて、だから、死なせたくなくて・・・ 私はフランをつかみ、地面に引きずり落とした。 そして、乾いた、汚れた、忌々しい音が鳴り響いた。 そして、音よりも早く到達した何かが・・・・ 私の体を貫いた。 164 彼岸忌紅 ~Riverside Excruciating Crimson 時系列順 165 真実と妄想の境界 164 彼岸忌紅 ~Riverside Excruciating Crimson 投下順 165 真実と妄想の境界 163 消えた歴史(状態表) 霧雨魔理沙 165 真実と妄想の境界 163 消えた歴史(状態表) フランドール・スカーレット 165 真実と妄想の境界 163 消えた歴史(状態表) 因幡てゐ 165 真実と妄想の境界 163 消えた歴史(状態表) 八雲紫 165 真実と妄想の境界 163 消えた歴史(状態表) 東風谷早苗 165 真実と妄想の境界 153 アルティメットトゥルース ~Fruhlingstraum(後編) 西行寺幽々子 165 真実と妄想の境界