約 1,324,811 件
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/360.html
さよならのありか ◆qh.kxdFkfM そこはあの日のままだった。気がつくとヴァンは長く赤い絨毯の上に立っていて、目の前に自身が打倒した師がいた。 「ガドヴェド……? なんで」 「何を呆けている。今日はお前の――お前たちの記念すべき日だというのに」 「んあ?」 周りを見れば、どこか見たような連中が長椅子に座っている。ヘンなカップル、ヘンな水兵、ヘンな水着の女とヘンな下着の男。 ヘンな……。そんな多くの人間の中に、見知った顔があった。自分にもっとも近い、最前列の長椅子だ。 「ウェンディ、これはどういうことだ」 するとエビフライのような髪型の少女は驚いた顔をして、 「何言ってるのよヴァン。あなたの結婚式じゃない」 隣で短い青髪の女がため息を吐く。 「そうよ。ウェンディやアタシをつっぱねて結婚するんだから、幸せになりなさいよね」 「はあ?」 そこで初めて、隣に誰かがいるのに気づく。純白のウェディングドレスに身を包んだ女性。 顔はベールに覆われて、誰かは分からない。 「それでは誓いの口づけを」 神父であるガドヴェドがそういうと、ウェンディたちとは反対側の席が沸く。 『よっしゃ。一発キツいのをお見舞いしてやれ』『我が弟子よ、正義のキッスというものを見せてやれ』 『うむ。口付けとは神聖でなければならん』『わしじゃだめかい?』『駄目にきまってます!』 「…………」 ヴァンは恐る恐るベールを剥ぐ。もしかしたらエレナかもしれない。そうでないにしても、相手が誰かは気になる。 「ヴァン」 そこにいたのは……。 「プリシラ……」 自身を好きだといってくれた、少女の姿がそこにあった。その顔は笑っていて、泣いていて……よくわからない表情だ。 「ごめんね、ヴァン。返事を待つのも聞きにいくのも、できなくなっちゃった」 「それはどういう」 その先は口から出ることはなかった。彼の視界は少女の顔が大部分を占め、その涙がきらきらと輝いているのが見える。 やがて自分が何をされているのか認識した時、自身と重なっていたプリシラは突然体勢を崩した。 「おい! どうし……」 抱き上げようと手を伸ばすが、彼女の体に触れることなく、腕は少女を通り過ぎた。何度やってもそれは変わらない。 まるで雲を掴もうとしているみたいだ。 「くそっ、くそっ! なんで掴めない!」 「ヴァン、『死』とは何だろうな」 顔を上げると、ガドヴェドは悲痛な表情をヴァンに向けていた。 そこで初めて周囲の人間が消え、教会だったはずの場所が真っ暗闇な空間になっていたことに気づく。 「お前は私と同志を斬った。しかしそれがはたして『死』なのだろうか」 「何わけのわからないことを言ってやがる!」 人は斬られれば死ぬ。そして死んだ人間は生き返らない。 その絶対原則をヴァンは叫ぶ。すると強面の男はふっと顔を綻ばせる。 「そうだ、それでいい」 そこでヴァンの視界はブラックアウトした。 「うっ……」 朝日が目にささるような感覚とともに、ヴァンの意識は覚醒していく。 どうやら調味料に酒が含まれていたらしい。もうあの弁当は食えたものじゃない。 男は直前まで使っていたみりんのボトルと喰いかけの弁当を、とりあえずそばで未だに眠り続けている女性の前に置いておく。 もしかしたら食べるかもしれないし、食い物を粗末にするのは気が引けた。決しておしつけたわけではない、決して。 「…………」 寝る前のことを思い出す。カギ爪、レイ、ファサなんとか……。死んだはずの奴らがなぜか生きていて、ここにいるらしい。 …………。 …………。 …………。 「まあいいか」 そういうことは会った時に考えればいい。もしかしたら間違って載せたのかもしれない。 少なくとも自分は直接カギ爪の死を見ている。そっちの方が、こんな紙切れの情報より絶対に真実なのだ。 「なんかまた腹減ったな」 それからしばらくして、弁当と牛乳をひとつずつ平らげたヴァンは、再びショッピングセンターに舞い戻っていた。 することがあるわけではない。少なくともあそこにいるよりはマシだろうという考えだ。 「お……」 そこでヴァンはあるものを見つけた。男ならば――いや、ここはあえて漢と表記させてもらおう――誰しもが興味を抱くであろうそれに、その漢も例にもれず、興味津々という面持ちで向かっていった。 数十分後、ヴァンはとある機動兵器――モビルスーツ(MS)を操っていた。 オレンジのカラーリングをしたそのMSの名は、アリオスガンダム。 ほかにも色々な種類があったが、ヴァンはこのMSの変形機構が自身のヨロイであるダンと似ているのでこれを選択した。 「なかなかいいもんだな」 そう感嘆するヴァンの顔は、まるで少年のような輝きを放っていた。 アリオスはヴァンの意のままに宙を浮かび、空を舞う。停止、着地。 GNビームサーベルをふりまわす。再び飛翔。今度は変形し、飛行形態で中空を漂う。 「これからどうするかな」 空を見上げ、ふと考える。当面のメシは確保した。アリオスを手にした今、暇で時間を持て余すことはないだろう。 …………。 …………。 …………。 「まあいいか」 とりあえず、アリオスの改造でもしよう。意気揚々と追加武装と思われるパーツを調達するその男の姿を、緑のデュアルアイは静かに見守っていた。 仮にこのガンダムに意志と発声機能があるならば、おそらくこう言うだろう。 『こんな状況で何をしているんだ、この馬鹿は』、と。 【E-1/模型店内/1日目/朝】 【ヴァン@ガン×ソード】 [状態]:満腹、アリオスに夢中 [服装]:黒のタキシード、テンガロンハット [装備]:ヴァンの蛮刀@ガン×ソード 、アリオスガンダム@現実 [道具]:基本支給品一式、調味料×大量、徳用弁当×6、1L入り紙パック牛乳×5 [思考] 基本:何をしたらいいのか分からないが、自分の感情の赴くまま行動する 1:とりあえずこれ(アリオス)で遊ぶ 2:向かってくる相手は倒す 3:主催とやらは気にくわない [備考] ※26話「タキシードは明日に舞う」にてカギ爪の男を殺害し、皆と別れた後より参戦。 ※ヴァンは現時点では出会った女性の名前を誰一人として覚えていません。 ※死者が蘇生している可能性があることを確認しましたが、結論は保留にしました。 ※蒼崎橙子の人形@空の境界はF-1に放置しました。 ※第一回放送を聞き逃しました。 【アリオスガンダム@現実】 ガンダムの支援機を支援するガンダム。一部からは船の備品だと思われている。パイロットの必要性は賛否両論である。 ●MSの最大特徴を再現する1/100シリーズ。アリオスガンダムの“変形”機構を再 現しながら、より組み立てやすいパーツ構成を実現。 ●飛行形態へ変形可能。先端は分かれてクローに。各種ロック機構で変形も簡単。 ●遊び方を考慮した変形後のロック。変形機構を利用した力強いポージング表現が可能。 ●付属品:GNビームサーベル x 2、GNツインビームライフル x 1、GNビー ムシールド、武器用握り手×2(左右)アクションベース対応ジョイントパーツ(MS 用・飛行形態用2種) 定価:\2,730 時系列順で読む Back インターミッション――《第一回定時放送》 Next 機械人形の館 投下順で読む Back インターミッション――《第一回定時放送》 Next 機械人形の館 101 Unlimited Cooking Works ヴァン 128 偽者(レプリカ)、E-2学校に死す!
https://w.atwiki.jp/suproy/pages/155.html
あなたに、さよならを 「リュウ、すまない……私は……」 『いいんだよ、マイ。仕方なかったんだ。 それに、俺は後悔なんてしてないからよ』 向かい合う二人、マイとリュウセイ。 敵として出会い、その後は戦友として、そして最後は再び敵として…… 幾多の数奇な運命を経た二人。 その片割れ、リュウセイの体は緑色の光に包まれ、輪郭は微かにぼやけている。 マイは、直感的に理解していた。 今の自分は、バトルロワイアルの会場とは別の世界に居ることに。 そして、リュウセイとは、これでお別れなんだということに。 リュウセイの背中の向こうには、光に包まれた多くの人影。 その中には、見覚えのある人たちの姿もいくつか見受けられる。 この世界で出会った人たち。 もといた世界で出会った人たち。 別の世界で、出会ったかもしれない人たち。 それらは世界の可能性。 ここは、その全てを越えた先。 そして、あそこに行ったら……もう帰って来る事は出来ない。 『どうやら、俺はここまでみたいだ。マイ、後のことは頼んだぜ。 お前のことを散々弄んだあの腐れ仮面野郎を……ユーゼスを、ぶっ飛ばしてやれ!』 「ああ……ああ、わかってる、リュウ!」 グッと拳を握りリュウセイの前にかざすマイ。 真一文字に引き締められた唇の端が微かに震えているように見えたのは、気のせいだろうか。 そして、リュウセイもマイの拳に自分の拳を重ねる。 『こう言うのも変だけどよ、元気でな、マイ』 「ああ。……今までありがとう、リュウ。」 私は彼に、2度も救われた。 そして、その恩を直接返すことは、もう出来ない。 ならば、せめてこれからの私の命で……生き様で応えて見せよう。 彼が望んだ未来のために、誰も死なずに済む結末のために、私は戦おう。 それこそが、私の償い……いや、私の願い、私の決意。 「レビは……いや、マイは目覚めたか?」 フォルカの呼びかけに、エルマは否定の意を込めて体を左右に振る。 レビを探し、辿りついたE-2地点に遺されていたもの。 死闘の果てに力尽きたメガデウスと、コクピットで眠るように絶命したパイロット。 四散したR-1の残骸と、崩れ落ちた機神の手の中に残されたコクピット。 そして、リュウセイを追って一足先にこの戦場の跡にたどり着いていたエルマであった。 エルマが目覚めたのは、リュウセイがBIG-Oに乗り込んでレビと戦っている真っ最中だった。 しかし、パイロット不在、なおかつアルが沈黙したアーバレストで加勢することは不可能。 例え動かせたところで、中破したASでのろくさ出て行っても足手まといにしかならない。 そこで、遺憾ながら『死んだふり』をして状況を静観していたのだ。 他の選択肢が無かった、と言うべきか。 レビとの死闘の果てに、力尽きてゆく巨人とリュウセイ。 何も出来ないまま、傍観し続けることしか出来なかった自分。 『悔しいです……何も出来ない自分が、本当に情けなくて……』 話の中で、エルマはそう呟いた。 該当する機能が存在していたならば、きっと悔し涙が流れていたことだろう。 それほどに悲痛な言葉だった。 そして、その言葉はフォルカにも苦い思いを与えていた。 自分が大地に転がっている間に、そこまで深刻な事態が発生していたとは。 (本来ならば、俺がやらねばならなかったことだ……無様だな) 己の不甲斐なさに唇を噛み、拳に力が籠もる。 さて、エルマとの情報の交換で、多くの情報を得た。 リュウセイ=ダテのこと。『反逆の牙』のこと。 そして、マイ=コバヤシとレビ=トーラーのこと。 話を聞く限りでは、フォルカと共に行動していた人格は『マイ=コバヤシ』のものであったのは間違いない。 その彼女が何故、『レビ=トーラー』を名乗る必要があったのか。 思い返せば、彼女は精神的な不安定さを見せることが度々あった。 エルマの話によると、もともとユーゼスとの繋がりの深い人物だったらしい。 とすると、何らかの形でユーゼスが彼女に精神操作を施していた可能性もある。 何にせよ、その辺りは彼女が目を覚ますのを待つしかない。 今はただ、気高き戦士に永遠の安らぎを。 そして、傷ついた少女に一時の温もりを―――― 【フォルカ・アルバーク 搭乗機体:エスカフローネ(天空のエスカフローネ) パイロット状況:頬、右肩、左足等の傷の応急処置完了(戦闘に支障なし) 機体状況:剣破損。全身に無数の傷(戦闘に支障なし) 腹部の外部装甲にヒビ(戦闘に支障なし) 現在位置:E-2 第一行動方針:リュウセイを弔う 第二行動方針:マイが目覚めるのを待つ 最終行動方針:殺し合いを止める 備考1:エルマと情報を交換し、レビの本名がマイであることを知りました 備考2:一度だけ次元の歪み(光の壁)を打ち破る事が可能 備考3:備考2はエルマに話していません】 【マイ・コバヤシ 搭乗機体:R-1(超機大戦SRX) パイロット状況:気絶 機体状況:コクピットのみ 現在位置:E-2 第1行動方針:リュウセイの遺志を継ぐ 最終行動方針:ユーゼスを倒す】 【エルマ 搭乗機体:ARX-7アーバレスト(フルメタル・パニック) 状況:良好 自分の無力さが悔しい 機体状態:半壊。胸部装甲大破。再起動不能。アル沈黙。ラムダ・ドライバ使用不可 現在位置:E-2 第一行動方針:マイが目覚めるのを待つ 第二行動方針:クォヴレーたち別働隊と合流 最終行動方針:セレーナたち『反逆の牙』の遺志を継ぐ 備考1:厳密には参加者ではないため、首輪は付いていません。 備考2:彼が得た全ての情報はユーゼスに筒抜けです。エルマは気付いていません。 備考3:フォルカと情報を交換しました 備考4:機体状況にもよりますが、基本的に単体で戦闘は出来ません。簡単な操作、移動程度ならば可能です 備考5:修理次第ではアーバレストは動かせるかもしれませんが、戦闘はおそらく不可能です 備考6:現状でアーバレストは機体は231話(目覚め)の位置のまま放置しています】 【三日目 5 30】 『ええい、離せ! 離さんか、リュウセイ=ダテ!』 『うっせぇ! てめぇなんざコレで十分だ!』 『くっ、ゼ=バルマリィ帝国戦爵たるこの私をこんなところに押し込むだけでなく、 コレ扱いで襟首を掴んで引きずるなどと……!』 『てめぇは俺とここで一緒に退場なの! グダグダ言うなってんだ、ったく』 【レビ=トーラー(人格) 消滅 今後、マイの人格に干渉することはありません】 前回 第239話「あなたに、さよならを」 次回 第238話「冥王計画」 投下順 第240話「”W”スパイ」 第240話「”W”スパイ」 時系列順 第242話「ライアーゲーム」 前回 登場人物追跡 次回 第226話「この拳に誓いて」 フォルカ・アルバーグ 第245話「されど白竜は蒼天に舞う」 第236話「BIG-O ! Show time ! Last stage!」 マイ・コバヤシ 第245話「されど白竜は蒼天に舞う」
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/17572.html
【検索用 さよならほくたちのてれひきょく 登録タグ 2011年 VOCALOID さ ほぼ日P 初音ミク 曲 曲さ 殿堂入り】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:ほぼ日P 作曲:ほぼ日P 編曲:ほぼ日P 唄:初音ミク 曲紹介 テレビ局の中の人も色々大変そうだと思ったのでインスパイアされてしまいました。テレビ局に限らずM Aで外国資本に買われるということはよくあることなので同じ境遇にある人は泣けるかもしれません。(動画説明文より) 曲名:『さよならぼくたちのてれびきょく』 ほぼ日Pの283曲目。曰く「久しぶりのガチ曲」。「キムチテレビ」からの流れで聴くと、より切なくなります( ノд`) 2011年8月7日、奇しくもフジテレビへの抗議デモが行われたその当日に、自身7作目となる殿堂入りを達成。 歌詞 (動画より書きおこし) ひょうきん族みたいな番組を 作りたくて入ったテレビ局 思い通りにはならなかったけれど テレビの仕事が好きだった タレントたちと朝まで飲んだり 女優さんと仲良くしたり ギョーカイ人ともてはやされてた あの頃が人生のピークだった かの国の資本に買い取られてから 実態のないブームの捏造のために 嘘のアンケート結果やサクラを動員した プロパガンダの片棒担いでた さよなら僕たちのテレビ局 日本人のためのテレビ局 何も知らない子供たちは テレビの言うこと真に受けて かの国に憧れ抱くんだろう さよなら僕たちのテレビ局 夢が詰まっていたテレビ局 楽しくなければテレビじゃない そんな言葉が今は虚しい だから今は忘れてしまおう 楽しいことばかりじゃなかったけど 逃げ出したくなることもあるけど テレビを見て喜んでくれる 子供たちの笑顔に支えられた かの国の露骨な工作批判した タレントが所属事務所から解雇されて これはおかしいと思っても 声に出すことができず 誰もが息を押し殺してた さよなら僕たちのテレビ局 日本人のためのテレビ局 スポンサーはみんな離れて かの国のCMばっかり こんな未来望んでいただろうか さよなら僕たちのテレビ局 今は変わり果てたテレビ局 日本人の社員たちは 次々に職を追われていった 今じゃもう外国のテレビ 日本人社員だけが集められた会議室で ベテランの鬼プロデューサーが 壁のホワイトボードに「ニッポン万歳」と書いて 嗚咽漏らし泣き崩れた さよなら僕たちのテレビ局 日本人のためのテレビ局 次の世代の子供たちに 僕ら何を残せるのだろうか 本当のことを伝えたいんだ さよなら僕たちのテレビ局 夢が詰まっていたテレビ局 楽しくなければテレビじゃない もう一度この場所に帰ろう きっといつか戻ってくるから さよなら僕たちのテレビ局 コメント 心にグっとくる歌詞ですね -- 感動した名無しさん (2011-08-06 02 27 13) 今も外国()に乗っ取られることなく全然変わっていませんがどう思ってるんですかねw -- 名無しさん (2024-05-28 02 41 01) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/vipvippervippest/pages/57.html
iGo棋院さよなら杯 2008年1月26日をもって、VIP囲碁部本拠地であるiGo棋院が閉鎖することに。・゚・(ノД`)・゚・。 ということで、急遽大会を開催! 試合形式 場所:iGo棋院 VIP囲碁部部屋 碁盤:19路 コミ:6目半 時間:10分+1手15秒(一部は5秒?w) 方式:トーナメント一発勝負・。・bビシッ 参加資格 VIP囲碁部・ROM部屋・狼囲碁部・2ch棋院のいずれかに所属していること。 ハンデ:対局する人でそのとき勝手に決めてください。 お祭りなんだから細かいことは気にしない。 主催者から一言:おまえら最後くらい参加汁 備考:大会終わる前にiGoが閉鎖したらポカぼっと選手の無条件優勝で。 試合内容 入室者を上から2人ずつの組みにして無理矢理対局。いない人は不戦敗ヽ(´ー`)ノ ハンデは適当、記憶も曖昧。間違ってたら誰か直してw トーナメント第1回戦 第1局 すな VS 瑛里 すな中押し勝ち 第2局 NotFound VS だりー だりー時間切れ勝ち 第3局 kashi VS aur kashi中押し勝ち 第4局 VIPHOP VS 卵かけご飯 VIPHOP中押し勝ち 第5局 JJS VS Taurril Taurril中押し勝ち 第6局 まめぞう(9子) VS mp まめぞう4目勝ち 第7局 えもにゅー VS バーロー えもにゅーバロり勝ち トーナメント準々決勝 第1局 すな VS だりー だりー中押し勝ち 第2局 kashi VS VIPHOP VIPHOP中押し勝ち 第3局 まめぞう(7子) VS Taurril Taurril中押し勝ち 第4局 えもにゅー VS 鳳(緊急参戦!) 鳳1目半勝ち トーナメント準決勝 第1局 だりー VS VIPHOP だりー中押し勝ち 第2局 Taurril VS 鳳 Taurril中押し勝ち トーナメント決勝 だりー VS Taurril Taurril時間切れ勝ち 総合結果 猛者達を次々に退け、Taurrilさんの優勝です! ~エキシビション~ 優勝の余韻に浸ってまもなく、Taurrilにいばちゃんが挑む! Taurril VS いばちゃん いばちゃん10数目勝ち いばちゃん、恐るべし。 終わりに 誰かなんか書いてください、お願いします。 各界著名人からのコメント 天使見習い:ぼぶげさん 目数てきとーかよ
https://w.atwiki.jp/ao-ohanashi/pages/837.html
「久しぶりだね、翠星石。 何分急に訪ねてくるものだからな、何も用意してなくて……ははは」 「………」 「部屋、散らかってるだろう? 蒼星石が数日留守にしただけでこうだよ」 俺が淹れたパックの紅茶を前に翠星石は何も喋らず、複雑な表情をしている。 「柴崎さんの家で蒼星石は元気にしてるかな?」 「………」 「あ、それともまた桜田君のところでみんなで騒いでるとか?」 「……人間、聞くです」 聞きたくなかった。 翠星石の表情から悪い報せを告げに来たことは知っている。 「いやぁ、蒼星石がこんなに家を空けるくらいだからきっと大騒ぎに」 「人間」 「それなら俺も混ぜてくれてもいいよな。ははは、水臭い。何なら今からでも」 「聞きやがれですぅ!」 蒼星石がいないこの三日間で何があったのか。何故蒼星石が帰ってこないのか。 ……本当は翠星石が訪ねてきた時から俺は察していたのかも知れない。 「あはは。何だよ、翠星石。桜田君と喧嘩でもしたのか」 「…蒼星石の体が消されたです」 「………」 今度は俺が黙る番だった… 消された……消えた…蒼星石…が……? 「……蒼星石が…食べられちまったですぅ……っ」 「………!」 頭の中が真っ白になった。悲しいとか、否定するとか、そういう風に頭が動き出す前に―― 俺の眼から涙が零れ落ちていた。 『あなたにさよならを』 涙が止まらない。何か、何かを言うべきなんだ。 妹を失った姉に。目の前で泣き続ける翠星石に。 だが、頭の中に言葉が浮かんでこない。浮かんでくるのはただ、蒼星石の姿だけ…… 『マスター、早く起きないと遅刻しちゃうよ』 『今日は美味しく作れた自信があるんだけど…味、どうかな…?』 『見て、マスター。紫陽花が綺麗に咲いたんだ』 蒼星石はもういない。いないんだ。 真っ当な思考は虫食いが走るように次々と消されていく。 「そ……」 沈黙を破った俺の第一声は平静を装おうとして、無様にも漏れた吐息のよう。 「そうか。仕方ないな。 だって、な…そ、蒼星石は皆との暮らしより…アっアリスゲームを選んじゃったんだからな」 「人間……」 「その結果、こうなっても、そ、蒼星石が選んだ道だから…俺は尊重したいし……」 偉そうなことを言っていても、俺の嗚咽は止まらない。涙は涙腺が壊れたかのようだ。 「マスターとして言うことは何も」 「…っ!!」 気付くと俺は天井を見ていた。違う、凄い勢いで翠星石にはたかれたんだ。 翠星石は重そうに俺の襟首を持ち上げると右手を振り上げた。 「まだ殴られないとわからねぇですか! このヘッポコ人間!! 蒼星石がどんな気持ちで戦いに行ったか、どんな想いで雪華綺晶と戦う道を選んだか! それなのに蒼星石のマスターがそんなんで、どーするんですぅ!!」 「…………」 「お前はまたカッコつけて偉ぶって、今度は何を失くすつもりですか!? 蒼星石との絆を失ったら、お前なんてただのダメ人間ですぅ! 抜け殻ですぅ! 死んだも同然ですぅ!!」 翠星石の振り上げた右手はそのまま力なく俺の胸元に振り下ろされた。 その拳はさっきの一発より、もっと痛かった。言葉が心に突き刺さった。 翠星石の涙は、悲しみも怒りも隠さないまま俺の頬を焼くかのようだった。 「失くして良いわけない……良いわけないだろう…」 抑えきれない、感情が爆発する―― 「良かねぇよ! 蒼星石にもう会えないなんて嫌だ! 俺は蒼星石に会いたい! 戦いより俺との暮らしを選んで欲しかった! だって俺は蒼星石のマスターだぞ!? そうしたい! そうであって欲しいよ!! 今まで通りじゃなきゃ、絶対に嫌だ!!」 ははは……まるで駄々をこねる子供みたいだ。 だけど、本心そのものだ。 「だったら何で最初からそう言わないですか!」 「蒼星石の意思がなきゃ悲しいだけだからだよ!!」 「蒼星石が遠くに行っちまう前に何でそれを言わなかったです!」 「それは……俺が…! っぐ…えぐ……!」 「ひっく…えっ…」 その後、俺と翠星石は日が暮れるまで泣き続けた。自分のため? 相手のため? 蒼星石のため? あるいは、意味なんてなかったのかも知れない。ただ、泣くことが俺たちに必要だった。 「それじゃ、翠星石は帰るです人間」 「ああ」 「お前、もうこれ以上翠星石たちに深入りするなですぅ」 「……どうしてだよ。さっき言ってた『雪華綺晶』っていうのが関係あるのか?」 「今のお前は危険な目をしてるですぅ。お前に詳しい事情を教えるのは危険すぎるですよ」 当たっていた。もう俺の腹は決まっている。 「頼む翠星石。真実が知りたい」 「ドールを失ったミーディアムに何ができるですか」 「俺はまだ蒼星石のマスターだ」 「それで十分です」 翠星石は鞄に乗り込んで窓から数十センチのところに飛び立った。 「人形にとっての本質的な死とは忘れられることですぅ。 誰かのエスの海に在り続ける限り、蒼星石はこれ以上遠くはならないです。 ましてや心を通わせたミーディアムの想いなら尚更ですよ。 人間、その指輪は外せないし忘れられないでしょうが、思い出すことも忘れるなですぅ」 「待て! 俺を蒼星石を倒した奴の元へ連れて行ってくれ!」 「復讐は何も実をつけないですよ、人間…さよなら」 「待……!」 俺が翠星石の鞄を掴み、引き止めようとした手は空しく中空を掻き、 危うく窓から落下しそうになる。ここはアパートの二階だった…… そして体勢を立て直した時には既に、翠星石の鞄は暮れる街の空へ飛び去っていた――
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/9175.html
さよなら【登録タグ restport さ 初音ミク 曲】 作詞:restport 作曲:restport 編曲:restport 唄:初音ミク 曲紹介 ふんわりとした切ないロックバラード ふんわりとしたメロディにバンドサウンドが合わさり、切ない世界観を作り出している。 居なくなった相手を思い、切なくなり、溜まっていた感情を叫んだ歌。 歌詞 (piaproより転載) 「わからなくなった」ってキミは言って消えた 今まで積み重ねた時間すべて崩れた 忘れたふりをしてでも浮かんでくる記憶 連れ添ったこの道も今では淡く染まって見えた 泣いたこともあったこれからの予定も決めたのに ただ好きだよと伝えるために走り出したんだ あぁ かっこ悪くてもいい なくして気づいたんだ さぁ 伝えに行くよここから始まるストーリー 別れの季節がもうそこまで来てる ずっと言えなかった言葉 今なら言える 泣いたこともあったこれからの予定も決めたのに ただ好きだよと伝えるために走り出したんだ いまさら・・・ もう今更だけど本当に好きでした だから強がってキミから「さよなら」 あぁ春がきたら思い出すかな キミを あぁ「ありがとう」って言えたらかっこいいのにな・・・ コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nisina/pages/256.html
さよなら遠賀先輩 残り少ない学園生活、まるでマンガのようなことが起きるものだと、下駄箱の蓋を開けた遠賀希見は目を丸くした。 一通の封筒。桜の季節はほど遠いのに、間違えて一足早くやって来たかの装いだ。可愛らしいシールで封をされた、 恋文かと見紛う手紙を遠賀はそっと手に取る。なぜ、恋文と判断しなかったのか。 「何も書かれてないからね」 冷静に遠賀はこの事件を捉えていた。 遠賀は大切に封筒を持ち歩き、まもなく古巣となる演劇部部室へと足を運ぶ。この部室にお世話になるもの、あと僅か。 惜しむことを許さず、時間ぎりぎりまで演劇部員たることを誇りに思い、遠賀は木製の扉を開く。部活に後輩が一人、部屋にいた。 部屋では後輩の男子が本を読みあさっていたところである。真剣な顔をして、一行一行丁寧に文字をたどる男子生徒、 遠賀は彼に気づかれないようにそっと背後に回り込み、イタズラするように男子生徒の両目をふさいだ。 驚いた男子生徒は本をしっかりと持ちながら、動作を固まらせていた。それが遠賀には非常に愉快に映った。 「遠賀先輩でしょ」 「勘が鋭いね、迫くん」 「そんなことをする人は、あなたぐらいです」 迫の両目をふさぐ白い指を一つ一つ除けると、窓からの日差しが眩しかった。 男子生徒の両肩に手を乗せた遠賀は、そんな日差しのような笑みを浮かべる。 「いいことがありました」 「どうせくだらないことでしょ」 「くだらないかもしれません」 栗色の髪を透き通らせて、メガネのフレームを光らせて、遠賀は隣の優しいお姉さんを演じた。 冷静沈着な後輩とはいえ、遠賀には可愛い弟にしか見えていない。そうとられることが迫にはくやしかった。 本を諦めて、椅子から立ち上がる迫に遠賀は恥じらいながら、下駄箱の封筒の話をした。 なんでもない話を彩色豊かに仕立てる遠賀の魔術に操られ、興味を持った迫が本物を見たいと言う。 迫の顔を見て遠賀もその気になって、三年間使い古した合皮の通学カバンから蕩けるような桜色の封筒を取り出して、 「合皮がひしめく音がもうすぐ懐かしくなるんだ」と、遠賀は自分に言い聞かせながら高校生活最後の初春を楽しむことにした。 桜色の封筒。 これが恋文以外の何物か。しかし、遠賀ははね退ける。 「実は、恋文だったり?」 「まさか」 「どうかな?見てみる?」 「お断りします」 「なーんだ。せっかくヤキモチさせようと思ったのにな」 年上女の妄想に付き合えない迫は、がっくりと肩を落としていた。 だが、遠賀には迫のささやかな反発をものともせずに、少女のような瞳で話のペースを崩すことをしなかった。 「そういえば、ここに来る途中ね」 「話、いきなり変わりますね。空気って読めますか?」 「女の子が何かの撮影してたのね。可愛いジャケット着て、お洒落なバッグ携えて。『あーちゃん、いいねいいね』ってスタッフに 乗せられてたよ。ニコニコしながらカメラにポーズを決める姿って、なんだか萌えだよね?そう思わない?迫くん」 「……読めませんね。それ、ファッション誌の撮影でしょう。多分、あーちゃんってのはモデルさんの愛称でしょうね」 「鋭いね」 「そのくらい予想できるでしょ。それに妹が読んでるファッション誌に、そんな名前のモデルさんが出てるらしいんですよ」 「あーちゃんって子、スタッフの演技指導に軽々と答えて、多彩な表情を見せてくれたのよね。中学生ぐらいかな。 長い黒髪眩しくて、舞台映えする長身が……ね」 迫は表情を強張らせた。まさか、と思うが。 「ウチの学校に入らないかな。演劇部にお誘いしちゃうのに」 想像が現実となり、迫は頭を抱えた。年上女の妄想には付き合えないと。 「それでね。撮影シーンをずっと見ていたんだけどやっぱりああいうのってカメラを意識しちゃうって思わない?」 「ええ?そりゃそうですよ。カメラで撮影しているんですからね」 「二次元媒体……。つまり、写真や映画、アニメなどは一方からの視覚を意識して演じればいいのね。でも、わたしたちが 取り組んでいる演劇って、舞台をいろんな角度からの視線が取り囲んでいるじゃない?分かるよね。現実社会もそうだし」 遠賀は戸棚からインスタントコーヒーの素を取り出して、自分専用のマグカップにざらざらと注いだ。 かぐわしい微かな香りが古びた室内と相性が良い。遠賀は話を続ける。 「それで……。今度、公演する機会があれば学校の講堂みたいな舞台ではなくて、公園の真ん中でやってみたいなって思うの」 「……舞台の袖もなしですか」 「そうね。逃げ場なし。わたしたちをどんどん追い詰めてくれる、サディスティックで最高の舞台じゃない?」 「見せるべき角度、見せるべき空間、見せるべき距離感こそが舞台では大事ではないのでしょうか。それをないがしろにしろと」 「お芝居は四方八方隙を見せるなってこと。黒澤監督がマルチカム方式を初めて採用した理由、知ってるよね?そういうこと」 「先輩の演出は人を選びますねえ……。いや、勉強になるんですけど」 「さすが迫くん、『さすさこ』ね」 「先輩なりのお褒めの言葉、ありがとうございます」 迫が丁寧に言葉を選び、お手洗いに行くと席を立つ。遠賀は迫の行動を気にもせず、遠慮することなく、手にした手紙の封を切った。 中からは百均で手に入れることが出来る安価な便箋が丁寧に畳まれ、美しい文字がほんの一行記されていた。 『遠賀先輩にはついていけません。あなたのお芝居が大好きだったのに……』 ファンシーに包まれて鋭く名指しされた遠賀は、便箋を一瞥すると白い歯を見せた。 手紙の文面を耳にした迫は一度は足を止めるもの、遠賀から促され、部室から出ていった。扉が閉まる音を残して。 「ふふっ」 肘付いて、遠賀は便箋を何度も眺めていた。 その頃部室から離れた迫は、小便をしていた。 用を足すその最中も気にかかるのは、遠賀に宛てた手紙のこと。犯人探しはどうでもいい。 なぜにこんな手紙を残していたのか。お手洗いで体はすっきりとするのに、気持ちがいまいちすっきりとしない。 「なんだろうな……。あの挑発的な手紙は」 用を終えた迫が部室に戻ると目にしたのは、遠賀がコーヒーを口にしているところであった。 迫にコーヒーを勧めるが、またお手洗いが近くなると断られた。 「遠賀先輩」 「なにかなぁ」 あまりにものほほんとしや遠賀の答えに迫は、抑えていた感情を露にした。ただ、先輩の目前だけあって、静かで穏やかで、 まるで入れたてと言うよりか、煎じ過ぎて幾分渋みが増した濃い色のコーヒーを思い起こさせるものであった。 「悔しくないんですか。先輩は演劇部を去るとはいえ、先輩との決別を意味する内容なんですよ」 「少なくとも、わたしには好意的だね。差出人は」 「え?だって、遠賀先輩には批判的な内容ですよ」 確かに、文字だけを捉えれば批判的だ。わざわざ文章にして差し出す。しかも匿名。人によっちゃ切歯扼腕しちゃうかもしれない。 それをものともせずに遠賀はにこにこと口元を緩めながら、綺麗な便箋を折りたたんでいた。迫にはその気持ちが分からぬ。 「もし、わたしが相手をめった打ちしたくて書くなら、こんな書き方はしないな。悪意が感じられないし。 そうねー。書くならば……『遠賀先輩のお芝居は大好きですが、あなたにはついてゆけません』かな」 「どう違うんですか」 遠賀は黙ったまま大切そうに封筒を自分のスクールバッグに仕舞い込んだ。 迫は何度も何度も遠賀先輩に宛てたられた、好意的な批判文の意味を頭の中で繰り返していた。 「それはそうと、迫くん。さっきの話の続きなんだけど……。あの子、ウチの部に欲しいよね」 「見ていないから、分かりません」 「いや。あの子は、いいよ。いろいろと」 「あの子はいい」と言われても……。 遠賀の自信の理由を迫が掴めないまま、遠賀が部屋から出ようするのを止める迫。理由は無いに等しい。 しかし、遠賀は子犬を振り払うように、迫を無邪気にスクールバッグであしらって光の中に消えていった。 おしまい。 前:先輩!バレンタインデーです! 次:『久遠荵は何故舞台にわんわんをぶち込み続けるのか』
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/2579.html
295 名前:さよならは言わない[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 07 14 22 ID jvvzZaR. [2/6] 目に青葉、山ほととぎす、初鰹。の句が思い出される季節の折、めでたく進級した僕、千佳十郎に早速、厄介事が降りかかった。 というのも単にある先輩から呼び出されただけなのだが、その先輩が曰くつきな方なので大方ろくなことはないだろうと予想はたつ。まあ、同じ部に所属しているし。 昼休みが終わる十分前、僕は急いで文芸部室を目指した。俯瞰で見るとこの四階建て校舎はエの字型をしており、 一般棟と特別棟に別れている。文芸部室は三階一般棟の一番端にある教室。一年は四階、そこから学年が上がる順に使う階層は下がっていく。 僕は二年生だから、少し走ればすぐにつく距離。 文芸部室のドアに手を掛けノブを回して引く。部室の中にはやはりかの先輩がいた。 すらっとした細身の体に透き通る白い肌、対照的な黒くて長い髪。薄い唇と整った顔立ち、 冷たさを感じさせる目には専らクールビューティと評判だ。名前は真田燐火という。 「今日は何の用でしょうか」 そう訊くと、真田先輩は眉をきゅっと寄せて僕を見据えて言った。 「今日は千佳にガールフレンド、いやフィアンセと言うべきか……女の子を紹介しよう」 なにやら胡乱な話である。しかしフィアンセとはいったい? 「どういう事ですか?」 目をしばたたかせる。 「今日の放課後、教室に残っているといい。返事を考えておくことだな」 それだけ言うと、真田先輩は解散と言うように手で払う仕草をした。 話の整理が出来ていない僕をよそに、真田先輩はすたすたと部室を後にしてしまったので、部室には僕だけが取り残された。……放課後か。 せっかくきたのだから五分くらい本を読もうと思い、今では見慣れた本棚から本を一冊抜き出す。 カバーはなく全体が日焼けしてしまっている。生憎、文字も掠れていた。恐らく、図書室から適当に持ち出したのであろうものだが、これほど朽ちている本があるとは。図書委員め、保管が甘いな。 仕方がないのでまた本棚に戻すと一つの視線に気がついた。室内には入って来ずに、ドアからちらりと大きな目が覗いている。 「その本は八十年代の初版だから仕方ないと思います……」 目が控えめに訴えかけてくる。どうして知っているんだ。 「入ってきなよ、急式さん」 「いえ、見ているだけで十分ですから」 そっけなく返されてしまったが、相変わらず視線は僕に注がれている。それはそれで気になるものだからドアを開けて強引に急式さんを部室に引っ張り込んだ。 にこりと笑うと急式さんも微笑み返した。ああ、やっぱり笑った方が可愛いのに。 真田先輩より長い黒髪はセーラー服の所為かよく栄える。どこか不気味な雰囲気があるけれど、けれど……口数が少なくて、 人相も良いとは言いがたいけど、顔のパーツ自体は良質揃いなので、美人のカテゴリには入るだろう。あとは性格的な問題だ。 ところで急式さんはどうしてこんなところに? 「千佳くんが教室を飛び出したから何かあるのかと不安になりまして」 296 名前:さよならは言わない[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 07 15 54 ID jvvzZaR. [3/6] 急式さんは僕の心が読めるか。いや、まさかね。 「千佳くんの考えていることなら分かりますよ」 思いがけない追い討ちが入ったものだ。末恐ろしい。いや、平静に、平静に。 「それは凄いね」 「凄いでしょう」 今の急式さんはまるで子供が得意げに自慢するかのようだ。すぐに慎ましやかに戻ったが。 ふと天井近くの時計を見ると昼休みも終わる時間だった。 「そろそろ戻ろうか」 そう言うと急式さんは黙って頷いて僕の後に続いた。隣を歩けばいいのに、ぴたりと僕の背後にくっつく。クラス内でも毎回僕の後ろの席だし。 曰く、「千佳くんの隣を歩けるほど私は高い身分じゃない」だそうだ。 来る放課後、それも部活だ何だで、僕以外人のいない教室に、沈むのを拒むかのように夕日がじんわりさしてくる。心地よい暖かさに隅の席で船を漕ぎはじめていると、前側のドアが勢い良くスライドされ、その音で一気に眠気が吹き飛んだ。続いて一人の女の子が教室に入ってくる。彼女は僕をみるなり、 「千佳先輩ですね。千秋と付き合ってください」 と言った。彼女の一人称は千秋らしい。この季節で既に肌は浅く焼けているので厳密には分からないが運動部だろう。 目は大きくぱっちり開いており、変わりに鼻は小ぢんまりとしている。栗色のポニーテールで見るからに快活そうな人だ。 真田先輩や急式さんが美人なら彼女は「可愛い」女の子だ。あまりに唐突で「あ、えっと」とどもってしまう。 もしかして、というかそうなのだろうが、先輩が言っていたのはこの事だったのか。 「千秋の名前は。門倉千秋です。一年生です。で、付き合ってくれるんですか?」 じっと僕を見つめる門倉さん。返事は……どうしたものか。相手が好意を寄せてくれているのは嬉しい。しかし、見ず知らずの女の子といきなり付き合うというのは如何なものか。立場が逆だったら即お断り、だろう。 僕が答えを決めかねていると、いつの間にか目の前まで来ていた門倉さんが僕の詰襟越しに二の腕を掴んだ。身が震えた。 「どうなんですか!」 「あ、じゃあ、よろしく」 言ってしまった。なんだか取り返しのつかないような気もする。まあいいか。物は試しだとも言うし。「やったあ」と叫ぶ門倉さんをよそ目に、グラウンドを見下ろす。 ちょうどとぼとぼ歩く急式さんが見えた。 きっと僕は泡を食っていたと思う。急式さんが僕を置いて帰ってしまうとは今までに一度もなかった事だ。 297 名前:さよならは言わない[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 07 18 51 ID jvvzZaR. [4/6] お昼休みもあと十分前となった頃、私の前に座っている千佳くんが急に立ち上がりました。 そのまま颯爽と教室を出て行ってしまったので、私も慌てて後を追います。 多分目指しているのは文芸部室。今朝方、千佳くんの下駄箱に入っていた手紙を確認したから間違いはないはずです。 普段ならそんなものすぐに廃棄処分しているのだけれど、差出人の名前を見て、私はそっとしておくことにしました。 真田先輩に関して良い噂をあまり聞いたことがありません。寧ろ不幸な運命を辿る生徒の噂には必ず真田先輩が関与しているので、 邪推かもしれないけれどあまり干渉したくはないのです。 千佳くんが文芸部室に入っていきます。私はそっと閉じられたドアに耳を寄せました。千佳くんと真田先輩の声が微かにもれ出ているのが聞こえます。 …………フィアンセ? どういうことですか? 放課後に返事? 全く訳が分かりませんが、足音が近づいて来たので私はそっとドアから離れます。 自然に見えるように横にある窓枠に手をついて外をぼんやりと見つめ、小手先の偽装が完了したと同時に真田先輩が出てきました。 真田先輩は私に気付いたのか足音は五歩ほどで止まりました。ついで私の肩をとんとん、と叩きます。 驚いて声が出そうになったけれど必死に喉の奥に飲み込みます。ゆっくり振り返るとにこやかな真田先輩がいました。 悔しいけれど、見れば見るほど恐ろしいほどに美しい人です。ですが、 「急式ひなたさんだったか、今日は千佳を置いて先に帰ることだ」 言葉は存外に冷たいものでした。私は訊きました。 「何故ですか?」 あくまで真田先輩は表情を変えません。しかし、目は笑っておらず、冷ややかな視線が私を突き刺します。 「今日の放課後、千佳はある女生徒に告白される。恐らく千佳はそれを快諾、とまではいかないが了承はするだろう」 「邪魔立てはするなということですか」 「ま、そうなるか」 口調は至って安穏。それでも懇請でもない、まして、威圧的ですらある真田先輩に、逆らう事が出来ませんでした。 多分ここで、いやいつでもこの女に逆らうと、よくない事が起こりそうな気がするのです。 無言を肯定と受け止めたのか、真田先輩は皮肉っぽく手をひらひらと振って、立ち去ってしまいました。 根拠のない噂話や、チャンネルを変えれば順位が変わる星座占いなど、一つも信じない私でも、真田燐火という女には畏怖の念を抱いてしまいます。 それほどまでに真田先輩は未知数の人間なのです。 いや、今はそんな事よりも。目の前の千佳君を見つめなければ。音を立てないようにそろりそろりと文芸部室のドアノブを回します。 十秒かけてドアを開き、そこから片目で千佳くんをじっと見ます。 本棚に手を伸ばし、ぱらぱらめくってからまた本棚に戻す。そこで千佳君が私の視線に気付きました。目があったせいか気恥ずかしくなって、照れを隠すように言いました。 「その本は八十年代の初版だから仕方ないと思います……」 千佳くんが、怪訝そうな顔をした。分かりますよ。だってその本棚にある本は全て私の物でしたから。 この本棚に初めて気付いた千佳くんのリアクションと言ったらそれはそれは可愛らしくて……。ああ、危ない。本人を目の前に妄想に浸る所でした。 298 名前:さよならは言わない[sage] 投稿日:2012/12/18(火) 07 22 19 ID jvvzZaR. [5/6] 釈然としない顔ですが、千佳くんが言いました。 「入ってきなよ、急式さん」 体温が二度上がったような気がします。悟られないように、 「いえ、見ているだけで十分ですから」 とそっけなく返します。じっと見つめていると千佳君が近づいてきました。ドアを開けて私の手首を掴みます。 そのまま私を文芸部室に連れ込みました。千佳くんが優しく微笑みかけます。私も笑顔で返しました。 千佳くんは何か納得するような顔をしましたが、すぐにまた不思議そうな表情です。何故私がここにいるのか、とでも言いたげです。 「千佳くんが教室を飛び出したから何かあるのかと不安になりまして」 今なら千佳君の心が全て読めてしまいます。 「千佳くんの考えていることなら分かりますよ」 およそ平静に、千佳くんは言いました。 「それは凄いね」 「凄いでしょう」 私の自慢の大きな胸を張って腰に手を当てます。ですが、はっとなってまたいつも通りの粛々とした私に戻りました。いくらなんでもこれは図に乗りすぎです。 千佳くんが不意に時計を見ました。釣られて私も時計を見ます。もうこんな時間でしたか。 私はこのまま午後の授業をサボタージュしても良いのですが千佳くんが、 「そろそろ戻ろうか」 と言うので、黙って千佳くんの後ろをついて行きます。私にはまだ千佳くんの隣を歩ける資格はありません。 よくて右斜め後ろが関の山でしょう。はやく彼女の座で胡坐をかきたいのですが、勇気がでません。ですがいつか、必ずや千佳くんの隣を歩ける日が来るでしょう。 ただ、今少しだけ不安なのは、真田先輩の言う女生徒の事です。 放課後になりました。いつもなら千佳くんと一緒に帰るはずですが、真田先輩の言うとおり、私は先に帰りました。 校門を出た途端に足取りは重く、なんだか周りの人が皆、私を揶揄している様に思えてしまうほど心細いです。 一秒でも長く千佳くんと一緒にいたい。私は身震いしました。もし、真田先輩の言うとおりになってしまったら……私はどうすればいいのでしょうか。 いえ、そんなこと決まっています。敵は真っ先に排除すべきです。しかし当面の問題は女生徒Xよりも真田先輩です。 まず、何でも見透かしている様なあの女にばれてはいけません。間接的にとめられたであろうに、直接私に釘を刺すくらいですから、 今回の件は何か重要な事があるのは明々白々です。軽率な行動をとれば手痛いしっぺ返しがくるはずです。 今は時期尚早。堅忍不抜にじっくりと策を練る事が最優先事項です。 不意に肩を叩かれました。今日で二度目です。右を見ると例の真田先輩がいました。 私は身構えます。すると真田先輩が嗤いました。そして滔滔と述べます。 「いやなに、別に君の恋路を邪魔しようなどとは考えていない。ただ、私の為にも、君は黙っていてくれる方が、事が容易く運ぶんだ。あと、姦計はほどほどにな」 私は背筋が凍りました。恐らく、私の思慮せんとする事が分かっているのでしょう。 空恐ろしさを感じます。また昼休みと同じように真田先輩は言うだけ言って去っていきました。とてつもない不安が胸にのしかかります。 果たして私は、真田先輩を出し抜くことが出来るのでしょうか?
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/17981.html
ばななふぃっしゅにさよならを【登録タグ は やみくろ 巡音ルカ 曲】 作詞:やみくろ 作曲:やみくろ 編曲:やみくろ 唄:巡音ルカ 曲紹介 『夜に残した朱が咲きます様に…。』 歌詞 (ピアプロより転載) 僕は いつも 「僕は…」「僕は…」 (I,I,I,I,Iのyou)〈you,you,you,youyouのme〉 君の痛みに気付けやしなかった。 (愛、曖、哀、藍、あいの海)〈優、憂、悠、有、夕の膿み〉 私は いつも 『私は…』『私は…』 。 (I,I,I,I,I,no,me)〈you,you,you,you,you,no,me〉 あなたの痛みに気付いちゃいなかった。 (愛、他意?愛、痛い?愛の意味?)〈バイバイ、倍々、灰の身〉 ねぇ、笑った 日々が 嘘になるなら もういっそ ≪バナナフィッシュにさよならを。≫ 僕を あぁ、僕を… 私を ねぇ、私を… 僕は いつも 「君は…」「君は…」 (I know you)〈you know you〉 私は いつも 『あなたは…』『あなたは…』 (I know you)〈you know you〉 ≪バナナフィッシュにさよならを。≫ (love,night,war,she sink your…) 〈love,light,wall,sea think you〉 右手か、近い方は ≪バナナフィッシュにさよならを。≫ (愛、曖、哀、藍、I) 〈優、憂、悠、夕,you〉 左手か 鏡の先に向かって 呪いの言葉を吐いて 愛しい人に向かって 銃口を向けた。 そして戻した後に 花が咲き誇る様に 夜に残した朱が 咲きます様に…。 さよならを。 愛を… 愛を。 円、縁、焉、終 aid エゴ go 個、孤、業、神 コメント すげぇえ! -- 名無しさん (2011-08-29 22 12 28) マジ凄い!! -- 名無しさん (2011-12-20 14 51 19) ヤバイヤバイ、脳内見事に纏められた感じww -- ノンノン (2014-03-02 12 11 30) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/396.html
さよなら少年探偵 ◆j3Nf.sG1lk マンションが作り出す大きな日陰の中から一人の少年が飛び出した。 息が荒く、走り方もおぼつかない。 躓きそうになる。 振り返るどころか顔も上げず、ただ目を瞑り、前を見ようともしないで走り続ける。 ただ、走り続ける…… ◆ ◆ ◆ 少年は周囲から名探偵と賞賛されるほど頭の回転の良い強い人間だった。 どんな謎めいた事件だろうと、殺意を垂れ流す殺人者を前にしようと、少年は決して恐れず、挫けず、諦めない。 例え悲観的な状況に陥ろうとも、知恵を振り絞れば乗り越えられない事は無いと少年は信じているからだ。 諦めなければ、いずれ必ず謎は解け、自身の正義の示すままに悪に立ち向かう力が生まれる……少年はそう確信していた。 その想いはやがて決意となり、数多の事件の果てにその決意が少年を支える一本の柱となる。 少年は自身の中に折れない柱を幾多の試練の中で築き上げたのだ。 それは少年の中の絶対的な力となり、悪に立ち向かう為の武器となった。 少年は疑わない。 乗り越えられない不幸なんて無いんだということを。 少年は信じている。 悪に屈する事なんて絶対にないんだということを。 この決意さえあれば、悪に負けることは無い、ということを…… ◆ ◆ ◆ 「クソッ……なんで……クソ、クソ、クソ……」 閉じられた瞳の隙間から涙が零れ落ちる。 そこには一人の無力な少年が居た。名探偵ではなく、ただの、普通の少年…… 何の力も無い、何にも出来ない、無力な少年が…… 「クソ…クソ……クソ……」 少年の心に去来するものは、深い絶望。 かつて名探偵と呼ばれた勇姿は今は見る影も無く、現実を否定するかのような表情で目を瞑り、 今も尚、自身を食いつくそうとする絶望の底に向かって落ち続ける。 少年は考えもしなかった、自身の武器が全く通用しない人間が居るという事を…… 受け入れられるはずもなかった、自身の持つ最強の武器が易々と踏みにじられる様を…… 自身の持つ絶対的な武器を信頼していた少年の心は、一人の男によって無残にも折れた……いや、折られてしまった。 知略、戦術、駆け引き、そして勇気、少年の持つそれら全てを男は易々と踏みにじり、眼前に絶望を突きつけてきたのだ。 少年は無力だ。 少年は何も出来ない。 少年には誰かを助ける力も、誰かに立ち向かう力も無い。 少年は……弱い。 男の発した言葉が少年を蝕み、硫酸を流し込むかのように少年の心を破壊的に溶かしていく。 抱いた決意は砕かれ、心は絶望に落とされ、目に映る世界を、耳に届く音を、失意の内に少年は閉じる。 かつて勇猛果敢に殺人者を追い詰めた眼差しは失われ、代わりに光を失ったかのような虚ろな瞳が姿を見せた。 少年はもう、元の『名探偵』に戻る術を忘れてしまったのだ。 それが少年の、この世界での姿だった…… 「ちっくしょっっ!!!!」 だが、実際のところ、少年を追い詰めたのは何も男の言葉だけではなかった。 確かに、男の言葉は少年の心を砕き、絶望に叩き落とした。それは間違いない。 事実、少年は心が折れた瞬間、全てを諦め、自身の死を受け入れた。 少年は殺人者に屈し、自身も殺人鬼の獲物の一人として命を刈り取られる事を覚悟したのだ。 しかし、少年は最後の最後で救われた、いや、救われてしまった。 一人の血に濡れた少女の助けによって……“命”だけを…… ――早く!金田一君!私の乗ってきたエレベーターに乗って逃げてください! 風浦可符香。 少年にとって、見張るべき殺人者の一人でありながら、少年と心を通わせたこの世界での友人。 彼女の救いの手は、少年を悪から生かした。 本来なら、それは素晴らしいほど美しい話として語り継ぐ美談となりえるだろう。 しかし、殺人者だろうと何だろうと、命を決して軽んじない少年の中に僅かに残った『名探偵としての心』は、それを美談として受け止めるわけにはいかなかった…… 「オレは……オレは……お前を見殺しにしてまで……」 少年を追い詰めたのは恐怖という名の感情……だが、この恐怖の対象は“迫ってくる何か”に対してではない。 少年の恐れているもの、それは、何も出来ず、一人の少女を死なせてしまったという、自分自身の中に蔓延する後悔の念だった。 少年の中にある『探偵としての心』、それは、決して誰かが無為に死ぬ事を認めるものではない。 犯罪者を許しはしないが、犯罪者が無為に死ぬ事も許してはならない。 例え、それが殺人を犯した重罪人だろうと、等しく生きる権利を有し、犯した罪を償うべきだと考えている。 それゆえに少年の正義は、例え犯罪者だろうと命の危機に瀕した者を救う為ならば自身の命を懸ける事を厭わないという思考を有しており、 その本能ともいえる思考は、考えるより体が動くようにインプットされているという高潔な精神となっていた。 つまり、助けられる命は助けなくてはならない。いや助けたい。 それが探偵としての、いや人としての少年の、当たり前の信念だった。 ……しかし、この時、その信念に少年は逆らってしまった。 少女が少年を助けに来たとき、少年は直ぐに少女の状態を察した。 体の数箇所に銃創が見られ、そこから夥しい血が流れ出ている。 少女の命が風前の灯火だという事は直ぐに分かった。 例え、この場で直ぐに治療できたとしても、少女は決して助からない。 それを、数多くの遺体を目にしてきた経験から少年は瞬時に理解してしまう。 自分の腕の中で冷たくなっていく確かなイメージが浮かび、幾人もの過去に見た死に際の顔と重なった。 それは探偵としての人の死に関わってきた者の悲しい習性だった…… だが、それはあくまでイメージだ。 助かる可能性が限りなく0に近いとしても、何か奇跡が起きれば少女を助ける事が出来るかもしれない。 いや、奇跡が起きなくても助けなくてはならない。 いつもの少年なら、その信念を信じ、少女の命を救う為気力を振り絞って立ち上がったはずだ。 だが、その時の少年に、そのような決断を下す思考は残されてはいなかった。 少年は少女に促されるままに、その場から逃げ、後悔だけが残る。 勿論、言い訳をするとしたら、先に自分を追い詰めた男の言葉のせいなのだろう。 男の言葉が、普段の少年の持つ冷静な思考と熱い心を凍てつかせ、矮小な無力な少年へと変えてしまったのだ。 当然、無力な少年に、絶望的な状況を打破する力などあるわけも無く、少年は少女の言うままに逃げる事を選択するしかなかった。 表向きは少女の最後の願いを聞き届けた上で、自身の命を守る為、緊急避難を行使したとして、 少女を助けられなかったという点において少年に同情こそすれ、非難される事は無いことだろう。 それは決して間違いではない。普通の人間なら、その行動は正しいと言ってもいいのだ。 しかし、その場から走って遠ざかる内に、少年の心の中に僅かに残った『探偵としての心』が警鐘を発し始めてしまう。 通常の思考が出来るようになってきた頃、少年は自分が許せない事に気づいた。 これまで幾人もの犯罪者と戦い、追い詰めてきた少年にとって、その犯罪者から逃げるどころか、 逃げる為に一人の少女の命までも犠牲にしてしまったという事実は、確固たる深い後悔と共に自身を攻め立てているのである。 少女は死んだ。 バイザーの男が殺した。 だが、助ける事を放棄した少年も人殺しと同罪だ。 少年が、少女を、殺した―― 少年は走り続ける。 向かうべき場所を見失い、自身の世界を閉じるように。 その手に大きな大砲とデイバックを握り締め、少年は闇雲に足を前に出すだけだった。 瞳から大粒の涙が零れ落ち、冷たいアスファルトの地面に染み込んでいくのも構わずに…… ◆ ◆ ◆ どれくらい走っただろうか、気が付けば、アイザックとミリアという二人の妙なカップルと別れた高速道路に上がる為の入り口まで来ていた。 ここまで来たのは本当に無意識での事だった。 おそらく、心のどこかで助けを求める自分が居たのだろう。 明智、剣持という頼れる二人に未だ出会ってはいないせいもあり、記憶の片隅に残っていた、この世界で知り合った新たな知り合いに無意識の内にすがったのだ。 誰でもいい、今、自分を苦しめる絶望を和らげる事が出来るのなら、誰でもいいから助けてくれ、と…… 少年の心は完全に名探偵として気概を失っていた。 少年はもう、本当にただの少年だった。 無力で、何の才能もなく、何も出来ない弱い人間…… 守る側から、守られる側、いや、守られる価値の無い人間に落ちぶれてしまったのだ。 少年の精神はもう、限界だった…… その時、追い討ちを掛けるように定例の放送が始まる。 それは、少年を更なる絶望に叩き落とす悪魔の嘲笑となった。 「アイザックさんが……死んだ?」 漏れるように呟き、呆然とした表情のまま少年はついに膝を突いた。 少年の名は金田一一、“元”名探偵…… 【C-3/高速道路入り口/1日目-日中】 【金田一一@金田一少年の事件簿】 [状態]:疲労、精神的疲労(中)、自信崩壊、茫然自失、肩に浅い銃創 [装備]:ドーラの大砲@天空の城ラピュタ、リボルバー・ナックル(右手)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ6/6) [道具]:支給品一式、大砲の弾2発、予備カートリッジ数12発 [思考] 1:俺は無力なのか…… 2:そんな、アイザックさんまで…… 3:誰か助けてくれ…… [備考] ※高速道路の入り口は、最低でも1エリアに一つはあると推理しています。 ※アイザックの不死については信用していません。もちろん、ポロロッカ星人であるとも思っていません。 時系列順で読む Back CrazyBoys Next 絶望の器 投下順で読む Back CrazyBoys Next 絶望の器 158 金田一少年の天敵 金田一一 185 黒き鳥は空を舞う