約 4,242,402 件
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/238.html
仕事が終わり、いつも立ち寄るスーパーで惣菜と和菓子を買い込むと、いそいそと車に乗り込んでその場を後にした。 通勤路には夕方になると混む場所があるので、早めにそこを通り抜けたい。 通行量のわりに道路が細く、そこがいつもボトルネックになっているのだ。 無事にそこを抜けられると道は閑静な住宅地へ入っていく。 いかにも「車でのぼれ」といった、歩くのも億劫になるような坂の上に、古いマンションが建っている。 煤けて、タイルも古びてしまったそのマンションの一階に私は住んでいた。 もともと両親が田舎から遊びに来るための別荘として購入したものだったが、 父が腰を悪くしてからはそうそう使われることもなく、痛むがままになっていた。 売るにも未練があるし朽ち果てさせるよりはと、 私の就職が決まったときに、ローン代わりの家賃を支払う条件で明け渡してくれたのだ。 一人で暮らすには広いくらいだったし、家賃が「返済の手伝い」程度の金額であったのは正直ありがたかった。 住居の一辺にはわりと広めの庭があり(それがマンションの「ウリ」であり購入の理由だった)、塀がわりにと生垣がされている。 斜面を利用して建つ構造上、一階でも見晴らしは良かった。 花や木を手入れする器用さはなかったから、元々の草木はそのままにして半分を菜園に、 もう半分は苦情が出ない程度に茂らせたままにしていた。 住み始めたころは家庭菜園でもやれば家計が助かるかもしれない、などと考えていたが、 育むという行為は易々とできるものではない。 植えれば勝手に育つなどと思っていたものだから結果は燦々たるもので、結局苗を抜いてしまう惨状だった。 "だった"というのは今は見違えるほど綺麗になっているからで、夏になれば嫌というほど湧いていた虫を今年はほとんど見かけない。 れいむが雑草とりをしてくれているからだ。 奇妙な共同生活は続いていた。 鍵を開けて扉をあける。 音を聞きつけてれいむが跳ねてやってきた。 「おにいさんおかえり!!!ゆっくりしていってね!!!」 ――うん、ただいま。 惣菜と一緒に買ってきた土産を掲げて見せると、れいむは目を輝かせて飛びあがった。 「うー☆」 それはれみりゃの鳴き声ではなかっただろうか。可愛いとは思うけど。 れいむがこちらに向けて体を傾げてくる。最近彼女は特技をひとつ身につけたのだ。 鞄を彼女の上に乗せると、バランスを整えるように二三度小刻みに跳ねてから居間まで運んでいく。 頭の上にものを乗せて運ぶことができるようになっていた。 さすがにお茶や料理のようにこぼれるものは運びきれなかったが、 ラッピングされたお菓子や今運んでいった鞄のようなものなら、まるで海驢のように運んでくれる。 ものを落とさずに飛び跳ねるというのは難しいことではないだろうか。 ゆっくりの意外な芸達者さを見ている気がした。 本家というか、彼女の二次元上の母体となったAAでも、 色々おかしなことをやっていたのだから、やろうと思えばあれこれ出来るのかもしれない。 それが物理の法則と少しかみ合わないだけで。 れいむが鞄を運ぶあいだに夕飯の準備の準備をする。 冷蔵庫から出した沢庵の切れ端をプラスチックの皿に移して、テーブルに置いておいた。 れいむが私の家に来たばかりの頃は、私が夕食を作るのを待ちきれずに泣き出したり怒ったりすることが多かった。 『お゛ながずいだぁぁあ゛ぁああ゛あ゛!!! ごはん゛ん゛ん゛!ぢょうだい゛ぃいい゛いいい!!!』 声がとても大きなものだから、食事を作るまでの防波堤に、前もってなにか食べ物を出しておくようになった。 なんとわがままなのだろう。 共同生活がはじまった頃、私はれいむのけたたましさに苛立ちを隠せなかった。 小さな子供だってこうは騒がない。 なんてやかましい、なんでここに来たんだまったく…。 そう思っていた。 間違っていたのは私のほうだった。 れいむはなんでも食べる。 その属性が"ゆっくりしていってね"全てに関連するかはわからないが、 少なくともれいむは出されたものはほとんど食べられたし、庭の雑草や虫だって食べた。 歯が疼くのかひもじいのか、和室の襖や柱にはれいむの歯形が残っていて、 私がそれを見つけたときはひどく慌てて 「れいむじゃない!!!れいむじゃないよ!!!ごめんなさい!!!」 よく分からないことを言っていた。 (とても微笑ましかったが) 雑食極まりない彼女達にとって森は食物の宝庫だ。 食べ物を選別しなくてもいいのだから最悪、木の枝でも噛めば飢えをしのげるのだろう。 食糧に囲まれて生きるゆっくりに、空腹に耐えるという発想そのものがなかったのではないだろうか。 私はそう当たりをつけた。 腹が減る前につまみつづける。「食事」という概念がないのだ。 冬が来るか森が焼けるか、ちいさな鼠のような生活が崩れたとき、ゆっくり達ははじめて、空腹に目を向けるのではないか。 空腹というこれまでに経験したこともない危険信号に押し出されて、 彼らは、彼らなりの「説得」で食糧を分け与えてもらおうとしているのではないか。 野生の動物を相手に交渉ができるとは考えにくい。 説得の声は自然とコミュニケーションが取れるかもしれない人里へ向くだろう。 ――食べ物が欲しい。出来れば安心できる寝床も。 生来の虚勢と幼稚さが願いを歪めて漏出させて、説得は失敗に終わり反感だけが残る。 あるいは、人間とのコミュニケーションに行き着くまで凌ぎきれず畑を荒らす。 人間の目に害獣に写るのは仕方の無いことかもしれない。 渡さなければ不満を叫ぶだろう。 彼らにとって食べ物は「あって当然のもの」なのだから。 なぜ助けてくれない、こんなにも食べ物は余っているではないか。 人間との対話は膠着し、最後には失望してここは自分の家だと主張する。 ――ここを侵略しなければ、自分の領地とせねば。出来なければ死ぬ、ゆっくりできなくなる。 彼らの不条理さがよくわかる気がした。 人間のようにもなりきれない。 動物のようにもなりきれない。 中途半端な精神と知性が、彼らの悲境を呼び寄せているのではないか。 そう考えた。 れいむも彼女に出来る範囲で必死に我慢したのだろう。 彼女は飢えた経験があったから。 ただ、彼女達にとってなにも口に入れないというのは、人間の想像を超える辛苦なのかもしれない。 ついに耐えられなくなって叫びだしたのだった。 私達は互いのルールを照らし合わせることから始めるべきだったのだ。 今はそこまで聞き分けも悪くないし、騒がない。 食べこむという行動を理解したれいむは、三度の食事と噛み棒で無事に過ごせるようになった。 防波堤の前菜は、単なる習慣として私達の生活に根付いている。 御飯と肉野菜炒めと、スーパーで買ってきたスモークサーモンが今日の夕飯だ。 自分の分の茶碗に白米をよそった後、ラップを敷いてそこにも御飯を盛る。 ラップで包んでおにぎりにすれば、れいむにも食べやすい。 皿に盛り付けてテーブルへ運ぶ。 れいむのスモークサーモンは食べやすいように巻いて、軍艦巻きのようにたてておいた。 食卓にはもうれいむが待機していて、目を爛々と輝かせている。涎までたらして、よほどお腹がすいていたのだろう。 しかしここで食べさせるわけには行かない。 犬でも「待て」は出来るのだ。 私はれいむに人間の慣わしを覚えてもらいたかった。 ――まだ待つんだよ。待ちなさい。 れいむはに言い聞かせながらおにぎりを彼女の前に置き、まわりに皿を並べていく。 彼女はラップの隙間から湯気の立ち昇るおにぎりを凝視している。 私は努めてゆっくりと、食事の前にはなんて言えばいいのかを尋ねた。 ――さあれいむ、御飯を食べる前にはなんというで―― 「いただきまああああああああす!!!」 れいむは弾けるように叫んでがつがつと食べはじめた。 まだ最後まで言っていないというのに。 彼女の食にみせる貪欲さには少しあきれてしまう。 大きな舌を巧みに使って、目の前に並べられたものを全て独占しようとしているかのようにして口へと運ぶ。 体全体でがっつく様は"ゆっくりしていってね"という名前にはちょっと似つかわしくなくない。 そんなに焦って食べなくてもいいのに、と私は思うが、 元来野生とはこういうものなのかもしれないと、変に納得もしてしまっていた。 ゆっくりに宿る野生。 私はなんだか不自然なような、そうでないような、変な感覚に囚われた。 いずれ一緒に"いただきます"が言えるようになれれば良いけれど、そこまで行き着くのはまだまだ先のようだ。 れいむの使う皿はメラミンでできた丸い平たいランチ皿で、ピンクの縁取りをしている。 皿の下には板が貼り付いていて、板の上に乗れば、ボール然としたれいむでもこぼさずに食べられる。 これは私が市販の皿を工夫してみたものだ。 我が家の皿では食べようとすると皿の縁に体がのしかかってしまい、口に届く前に食べ物が散乱してしまうことが多かった。 せめて手があるか、口がもう少し下に付いてでもいれば随分良かったのだろうけど、無いものは仕方がない。 都合のいい皿が見つかるまでは新聞紙を下に敷いて対応していたが、それでも水気のあるものなどは如何ともし難かった。 割れた小皿が5枚になったところでいいかげん閉口した私は、庭にビニールシートを張った。 紙皿を持って、しばらくのあいだはピクニック気分で食べていたが、 私が庭で見えない何者かと談笑している、と、変な噂がたちかけたので断念せざるを得なかった。 喋る生首饅頭には気づかなかったようだが、近所の目とは壁に障子に、どこにあるのかわからない。 所用でデパートに出かけたとき、ベビー用のプレートが目に留まった。 あれなら割れないし加工もしやすい。高く盛ればゆっくりでも食べやすい。 板をあてて、れいむが上に乗ればひっくり返りもしない。 我ながら天啓だった。 その場で皿を買って、ホームセンターで薄い板と繋ぎあわせた。 従業員に、なにに使うんですか?と聞かれたが、前方後円墳的なシルエットのそれに、 一頭身生物の使う食器以外の用途を私は見出せなかったから、ごにょごにょと愛想笑いで誤魔化さなければならなかった。 れいむ用のプレートが完成してからは食べ物を撒き散らすことも無くなり、おなじ食卓で夕餉につける。 相変わらず食べ方は汚いし食い意地は張っているけれど、愛嬌だ。 「むーしゃ♪むーしゃ♪」 この上なく幸せそうに、一心不乱に食べ物を口の中に押し込んでいく。 あの食べ物は体のどこへ入っていくのだろう。 ゆっくりれいむは糞をしない。 ときどき寝ているときに涎はたらすけれど、排泄をしたことがない。 いつかどこかで読んだ、ゆっくりを題材にした漫画の中で、ゆっくりは賞味期限切れの餡子を体の外に出していた。 それを本来の人間である霊夢が売りさばくというオチの漫画だった。 頭の片隅にそのことが残っていた私は、れいむにトイレの場所を教えたが、トイレは必要ないということを告げられた。 体の中に入れてばかりで出さない生き物はいない、という、ある種常識のようなものが私に彼女の生態をより不思議に見せていた。 自分の常識では計り知れないものなのだと気付くたび、彼女がどこからやってきたのかを考えてしまう。 彼女の出自はやはりあの幻想郷なのだろうか。 それともどこかのホラー映画みたいに呪いとか祈りとか、人の思うなにかが固まってできたものなのだろうか。 きっと彼女の中では幻想郷なのだろう。 話に断片的に出てきた人里の話。森での生活。時偶出会う人間との交流。 れいむは小さな子供のように純真で、嘘を言っているとはとても思えなかった。 ただ、彼女の現実と私の現実が一緒であるとは限らないのだ。 彼女は気付けばそこにいて、結局あのファイルは二度と見つけることが出来なかったのだから。 調べようがないのだからわかるわけもない。私は溜息をついてテレビのリモコンを手にした。 テーブルの上でテレビテレビとねだられていたから、電源をつけてやる。 ――ああ、すっかりテレビっ子になってしまって、れいむや。 ちょうど歌番組があっているようだった。 「ゆーん♪ゆーん♪」 流れてくる歌にあわせて右へ左へ飛び跳ねたり、転がったり。手足があったら本当に踊りだしそうだ。 ときたま皮が体の勢いについてこれずに伸びるのが、不恰好でユニークだった。 末はダンスホールでサタデーナイトフィーバーだろうか。 ゆっゆっ、と掛け声を上げながられいむは踊り続けている。 私は食器を洗っていた。 いたって平和だった。 思い返せば、れいむとの暮らしが現在の光景を生み出すには、少しばかり苦労が必要だった。 人語を解することは出来ても、ゆっくりと人間では基盤となるものが違う。 食事の作法から衛生観念まで、寄って立つものの違いは軋轢を生み、理解しあうことを拒んだ。 きつく注意すれば癇癪を起こし、ストレスを抑えきれないのか壁に体当たりし続ける日もあった。 れいむの心のひずみは私にも伝播して、家の中は重苦しい空気が立ち込めた。 喧嘩のたびに 「もうでてって!ここはいまかられいむのおうちにするよ!!!」 と私の家を自分の領地にせんと喚きたてた。 正直に言えば、思わず腕を振り上げそうになることもあった。 この分からず屋、と何度思ったことかわからない。 だが力に訴えたところで何になると言うのか。 躾のために叩くことは必要かもしれない。 しかし、その段階の何層も前で私たちの関係は進退していたのだ。 ――ねえゆっくり、話し合おう。 おねえさんがなんで君を放り出したのか、それはわからない。 でも、君がここで生きていかないといけない。 そのためには、人間のルールを覚えなくっちゃならない。 ここには人間しかいないんだから…。 私はゆっくりにもわかるように、できるだけ丁寧に対話を繰り返した。 噛んで含めるように、滑り込ませるように、彼女が納得するまで話し続けた。 そうすることでしか溝は埋められないと信じて。 常識を知らないのは当然だ。 彼女は異邦人なのだから。 "ゆっくりしていってね"との融和会議は遅々として先へ進まず、二人とも擦り切れていた。 口数も減り、やもめの身丈にあわない屋室の広さが、最低限の接触のみ行う消極的な決断をとらせ続けた。 家の冷え込みは止まらなかった。 ある日、庭の雑草を抜いているとれいむが窓際へよってきた。 「おにいさん!!!」 ――ん。どうしたんだい。 また苛々してテーブルでもずらしたのかい、ゆっくり。 「ゆっ!それはもういいよもうしないよ!!!」 ――どうだろうね。 「なにをしているの?」 ――草むしりだよ。 「くさむしり?」 ――うん、草むしり。 こうやっていらない草を抜かないと、虫が沸いてしまうんだ。 虫が沸くと刺されて痛いし、それに…上の人が怒るしね。 私は人差し指をマンションの二階部分のベランダへ向けると、つられてれいむも天井を見つめた。 天井の向こうに、他の世界があるということが理解しきれないのか、ぼうっと眺めている。 ――うん、ここにはいろんな人が住んでいる。 だから君は静かにしなきゃいけなかったんだ。 れいむはふぅん、と声を漏らした。 どういう考えがあったのかはわからない。 なにか合点がいったような表情をしていたから、そのまま続けた。 ――こういう、人が集まって暮らす場所は静かにしないといけない決まりがあってね。 じゃないと喧嘩になっちゃうからね。 「いじめられるの?」 ――そうだね、あんまり騒ぐと、仲間はずれにされちゃうかもしれない。 もう仲間に入れてもらえないんだ。 そうなったら二人ともいくところがないね。 「あたらしいゆっくりぷれいすをさがしていってね!!!」 私はマンションの上階から誰かが出ていないか確認して、れいむを持ち上げた。 フェンスと生垣のすきまから一緒になって外を覗いた。 庭は高台にあるから、なかなかに見晴らしがいい。 遠くを見やると銀色の電車が小さな音を出して通り過ぎていった。 人はまばらより少なく、映画館の座席のように並んだ家々は人ならぬ魔性を隠しているようで、すこしだけ不気味だった。 れいむは街をじっと見ていた。 なにを思うのか、彼女の思考は私の及び知らぬところにある。 生暖かい風が吹いて少し髪が揺れる。ゆっくりの髪はあまり揺れなかった。 ――いろんな家があるだろう。 見える家全部に人が住んでいるんだ。 ここを追い出されたら、ゆっくりプレイスはどこにもない。 もしどこかに開いた家を見つけても、そこでゆっくりできるかわからないのが人間の世界なんだ。 この家をゆっくりプレイスにするしかないんだよ。 私がそう言って庭に降ろすと 「ゆ、ゆっくりりかいしたよ!!」 れいむは気味が悪そうに身震いした。 ――もう少し違うところに飛ばされればよかったんだろうけど、ごめんな。 おにいさんは見てのとおりあんまり力がない。 もっといいところ、というか、せめて幻想郷の中だけで移動させられてたなら、 ゆっくりももうちょっとゆっくり出来たんだろうけどね―― 「げんそうきょう?」 ――多分、君が元々すんでたところだよ。うん、多分。 「れいむのもりはげんそうきょう?」 ――それはきっと森だよ。あと森は君だけのものじゃない。 幻想郷は森よりずっと広いんだ。 森をすっぽり囲んで、君が見てた空や里も、ほかのゆっくり達も、幻想郷の中にあるんだよ。 れいむはゆっくりにしては(といっても他のゆっくりなど見た事もないのだが)神妙な顔をして、私の話を聞いていた。 ――ねえ、ゆっくり。帰りたいかい? 彼女が私を見た。 私は、彼女が帰りたいと答えると思っていた。 自らを育んだ空気や環境は、自身の要素となって、懐かしい感情としていつまでも失われない。 人間ではないが人間的に記憶する彼女なら、その心理は変わらないのではないかと。 そう踏んでいたのだが、れいむはむすっとして私を睨み、 「れいむはゆっくりじゃないよ!!!」 と言い出した。 ――だって君は"ゆっくりしていってね"じゃないか 「ゆっ!れいむはれいむだよ!!ゆっくりていせいしていってね!!! もりのよんばんめのあなのれいむだよ!!!」 森の穴の四番目の穴のれいむ。 言われて見れば"ゆっくりしていってね"という呼称は彼女達全体をあらわすものであって個別の名前ではない。 このときまで私はれいむをゆっくりと呼んでいたが、 これは私の立場で言えば、名前でなく「おい日本人」と呼ばれているのに等しいのではないか。 個体名ではなく全体名で呼ぶのは失礼なことなのではないかと、そのときながらに呼び名をれいむに改めた。 ――じゃあ、れいむ。 森の穴の四番目というのは、れいむが住んでいたところ? 「そうだよ!おにいさんがれいむだけじゃわかりづらいから、すんでるばしょもいってくれないとこまるって!!!」 ――お兄さん?ああ、そうか、里の人か…。 誰かが書いた小説には、ある一定の年齢の男はすべてお兄さんと呼ばれている、と書かれていた。 女性ならおねえさん、たまにおじいさん、おばあさんとも言う。 ゆっくり同士の場合でも家族の役割ごとに人間と同じような呼び方をするし、まだ発育していない個体には赤ちゃんと声をかける。 人間と接触した事がない個体も多いだろう、全体どこから輸入してきたのか。 いつか聞いてみようと思った。 ――じゃあ他にもたくさんれいむがいたの? 「いたけどみんないうこときいてくれなかったよ!もりのおくにいっちゃったの! まりさたちが『あのさとはぜんぶまりさたちのゆっくりぷれいすだぜ』っておにいさんのところにいったけど、 かえってこないの!!!」 ――森の奥にいってしまったのかい。 侵略戦争に打って出たまりさ達はおそらく帰らぬものになったのだろうと、あまり掘り下げないでおいた。 れいむは喉に小骨が引っ掛かったようにしている。 「みんなドスまりさをさがすんだって!!! だからじゃまなれいむやぱちゅりーはゆっくりおいていくね!っていわれたよ」 ――ドスまりさって、あの、大きい奴? 「おにいさんドスまりさしってるの?」 ――質問を質問で返すのはよくないことだよれいむ。 ドスまりさについては大きくてジャンプする事ぐらいしかしらないね。 どこにいるんだろう、れいむ達は見つけることが出来たのかね。 「みつかりっこないよ!! ぱちゅりーまでおいてっちゃったんだよ!! あんなやつらゆっくりできないよ!!!」 れいむは顔を真っ赤にして膨れている。 話さないほうがよかったのはこちらの話題だったのかもしれない。 私の覚えている限り、wikiに載せられた設定と短編ではドスまりさは森の深部や洞窟に棲み、 神性を帯びて、不可思議な力を以って他のゆっくり達の拠点となり柱となるものといった位置づけだった。 れいむ一人の伝聞からではドスまりさがどこまで彼女の幻想郷に反映されているかわからない。 いるかどうか、誰も見たことがないのでは…。 ドスまりさの話も気になるが、ぱちゅりーとはなんだろう。 "ゆっくりしていってね"の口から出るということは、おそらくそのぱちゅりーも"ゆっくりしていってね"だ。 "東方Project"にもパチュリー・ノウレッジという魔法使いが登場するが、 "ゆっくりしていってね"がどういう存在であれ、立場は数いる野良と変わらない。 原作で名をもって扱われるキャラクターと深い関連を持つとは思えなかった。 わからないなら聞けばいい、そう思ったが、私の知りたがりから、いらぬ蓋を開けてしまうのではないか。 ゆっくりとはいえ思い出したくないこともあろう。 ずっとこの家においておきながら、私がれいむのことをよく知らないのは、この臆病ともとれる勘ぐりの多さからであった。 なにから話し出せばいいのか口は開かないままだった。 私がれいむを見ると、れいむは意を決したように、しかし声を潜めて言った。 「おにいさん!このくさをぬけばいいの?」 ――え? 「『くさむしり』のおてつだいするよ!てつだうからゆっくりがんばってね!!!」 れいむが私を手伝うと言ったのか。 それも自分から。 こちらから手伝ってくれと頼んだことはあったけれど、自発的に手伝うと言ったのは初めてだった。 れいむは悪戯が見つかったように、はにかんでいた。 どういった心境の変化があったのか知る由もない。 私たちの社会に溶け込む姿勢を見せだしたのはそれからだった。 れいむが私に対して開放的になってからは幾分やりやすくなり、金襴の友、とまではいかないが、共に楽しく暮らしている自信はある。 文字は読めないがテレビにチャンネルがあるということも覚えたし、ハンディモップを加えて掃除ができるようになった。 たまにモップを汚したまま和室に持ち込んで私から目玉を貰うわけだが。 れいむを見ると、先程と変わらず番組の歌にあわせて下手くそな歌を歌っていた。 退屈はいかな動物も腐らせるのだから、なにも出来ないよりずっといい。 おねえさん、貴方の意図はわかりませんが感謝します。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/majokkoxheroine/pages/18.html
第四話 『帰ってきた天然ママ!』 「プリティ・コケティッシュ・ボンバー!!」 「へれへれ~! 成仏しちゃうわ~!」 「お、覚えてなさいよ、プリティサミー!!」 冒頭からいきなりで申し訳ないが、 サミーの魔法でラブラブモンスターのゴースト女を蹴散らされ、ミサは撤退した。 「すごいよサミー、魔法を覚えてから向かうところ敵なしだね!」 「へへっ、おまかせっ!」 少し頭を傾けて小指を頬に当てるサミー。 この決めポーズもすっかり板についてきたようだ。 「ルンルン、絶好調~♪」 魔法の手帳を覗き込んでいる魎皇鬼は、とても上機嫌だ。 「リョーちゃん、何だか嬉しそうだね」 「うん、だってミサのおかげで、どんどん善行ポイントが溜まっていくんだもの。 悪の魔法少女の癖に全然強くないし、これからもどんどん出てきて欲しいな♪」 「……って、言われてるけど?」 実はまだ木陰に隠れていたミサと留魅耶。 ミサは魎皇鬼の言葉にショックを受けたようだ。 「あ、あんなウサちゃんにまで舐められるなんて……! くぅー……一時期は隆盛を極めたミサちゃまがこんな屈辱を受ける日々……。 盛者必衰、マイトイズライトとはこのことなのね……」 いつミサが隆盛を極めたのかは知らないが、 こうも現れるたびにやられっぱなしではウサ畜生に舐められるのも無理も無い。 「別に負けっぱなしでもいいじゃない。ミサはヒマ潰しがしたいだけなんだろ?」 留魅耶としては、これ以上ミサに面倒ごとを起こして欲しくない。 ミサの暴走をサミーが止める形になっている今がベターな状況だった。 「違うわよーーー!! ルーくん、ミサはね……た・の・し・く……ヒマ潰し、したーいのーーー!」 駄々っ子のように両手を振り回すミサ。 「エブリエブリー、負けに負けてユールーズを宣言され続けたところでぇ……。 楽しいわけが……ないっちゅーんじゃああああああああああっ!! 連勝記録も途切れるし、連コインする100円玉の額にも限りがあるんじゃああああああい!!」 そうそう、彼女は魔法少女になってからはゲーセンに行ったり買い食いしたり等は一度もしていないので、 以来、無駄遣いをしてない彼女の財布は丸々と太っている。 これも魔法の力を得たことによるご利益と言えよう。 「はあっ……はあっ……」 憤慨のあまり大声で叫んだり地面を踏みつけたり木に頭突きをしたりしてみたミサだが、 頭にコブが出来て息が切れて喉が渇いただけだった。 「飲む?」 「はあっ、はあっ……あ、サンキュー! 流石ルーくんは準備がいいわねぃ!」 留魅耶が差し出したオレンジジュースを、ミサはぐいっと飲み干した。 「っぷっはーっ、生き返るわこりゃ! 五臓六腑に……って、そりゃ流石にオヤジくさいか」 水分補給を済ませたミサは多少落ち着いたようだが、それでも怒りは晴れなかった。 「大体さー、それもこれもサミーが必殺技を覚えるからいけないのよ! あのスカチックバンパーとか何とかをサミーが修得したせいで、 ミサはアンニューイでモナムーな日常がデフォールトになっちゃったんだから!」 「人のせいにして思考停止って、ダメ人間の典型的パターンだよ」 「シャラップ!! ダメ人間の方がハッピーな人生を送れるのよ!」 自分がダメ人間だという自覚があるのなら、まぁいいか。 「もう、サミーをコテンパンにするには、適当にラブラブモンスターを何体作ったってダメね。 ドカーンと一発、強烈なラブラブモンスターを一匹作り出さないと」 「強力なモンスターを作りたいなら、悪意の強い人間を探さないとダメだね。 悪意が強ければ強いほど、それを変換したときの魔力も強くなるんだ」 「ふむふむ、悪意が強ければ強いほど魔力も強くなる、っと……」 ビン底メガネを装備し、みかん箱を机代わりにメモメモするミサ。 もちろんメモ用紙はチラシの裏だ。 「後は裏技として、元々魔力が強い人をミスティクスするって手もあるね。 尤も、魔法を使える人がほとんどいない地球じゃそんな人は―――」 言いかけて、留魅耶はミサの瞳が自分をロックオンしていることに気付いた。 「……ねぇ、ルーくん♪」 「い、いやだ! 僕は絶対にやらないぞ!」 「まだ何も言ってないじゃない!」 「言ってなくても嫌な物は嫌だっ!!」 「むぅ~……」 ミサの目が、狩人の目になっていく。 「ならば力づくよ! コーリング―――」 「ま、待った!! 僕をラブラブモンスターにするよりもいい案があるよ!!」 「へ?」 留魅耶の言葉を聞き、ミサの手が止まる。 「いい案って何? 他に強いラブラブモンスターを作る手段があるの?」 「う、うん……ボクを使うよりは……」 留魅耶は心の中で謝りながら、ある人物の名前を挙げた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 今日も悪の魔法少女を退治した砂沙美と魎皇鬼は、自宅に帰ってきた。 「ふう、今日はちょっと遅くなっちゃったね」 砂沙美の言うとおり、既に夜の7時近い。 急いで靴を脱ぎ、下駄箱にしまう。 「ボク、もうお腹ペコペコだよぉ……」 「ちょっと我慢して。急いで晩御飯作るから。……ん?」 砂沙美は、家の中の異変に気付いた。 既に食事の匂いがする……? 「あら、おかえりなさい砂沙美ちゃん」 奥の部屋から、エプロン姿の妙齢の女性が現れる。 長い青髪を後ろで縛っている、おっとりとした雰囲気の美人だ。 「まっ……」 砂沙美は思わず、手に持っていた靴を落とす。 「マ……………………ママーーーーーーっ!!」 砂沙美は、ママと呼んだ女性の胸に飛び込んだ。 「うふふ、ただいま砂沙美ちゃん。 お仕事終わったから、これからしばらくは一緒にいられるわよ」 そう言って、その女性はふんわりと砂沙美に笑いかけた。 その女性の名は、萌田津名魅。 砂沙美をそのまま大きくしたような、彼女のお母さんだった。 萌田家の母子は、居間で食卓を囲んでいた。 早めに帰ってきた津名魅が二人分の食事を作っておいたのである。 「ねぇ、ママ。今回のお仕事はどうだったの?」 「途中で酸素ボンベを落として苦しかったんだけど、今回は頑張って三トウも落としたのよ」 「わぁ、ママすごーい!」 得体の知れない仕事の報告をする津名魅と、それを無邪気に喜ぶ砂沙美。 この母にしてあの砂沙美ありといった所だろうか。 何を隠そう、砂沙美に正義について教え込んだのも津名魅なのである。 「お父さんもしばらく帰ってきてないの?」 「うん、研究が忙しいみたい」 本筋にあまり関係ないので忘れてもらって構わないが、 砂沙美の父親は高名な博士なのだ。 「天地くんとは最近会ってるの?」 「え、えへへ……もちろん!」 「そう、仲が良くてヤケちゃうわね」 「てへへっ……」 「美紗織ちゃんは元気にしてるかしら?」 「うん、元気だよ。それに最近、なんだか明るくなった気がする」 「あらあら、何かいいことでもあったのかしらね」 盛り上がり続ける母子の会話。 そうして忘れ去られた存在が、とうとう不満気な声を上げた。 「ミャアン!」 「あら、この子……?」 津名魅はやっと魎皇鬼の存在に気付いたようだ。 さっきからずっと周りを走り回っていたというのに、のんびりマイペースにもほどがある。 「ママ、この子は魎皇鬼って言うの」 「魎皇鬼ちゃん? 立派なお名前ねぇ」 魎皇鬼を抱きかかえて津名魅に見せる砂沙美。 津名魅は、魎皇鬼のことをじっと見る。 その瞳に見つめられると、魎皇鬼は何だか緊張した。 「見て、とっても可愛い猫ちゃ―――」 ガブリ 魎皇鬼が砂沙美の指に噛み付いた。 彼は自分が猫の姿をしていることを決して認めない。 「いっ……!! ……い、いや、可愛いウサちゃんでしょ!」 砂沙美は魎皇鬼を睨むが、彼は横を向いてしらんぷりだった。 まぁいい、文句を言うのは後だ。 まずは津名魅に魎皇鬼を飼う了承を取り付けなくてはならない。 「ねぇママー、この子、ウチで飼ってもいいよね?」 「ダ・メ♪」 ド ゴ ォ ー ン ! 表情も声色も変えずに津名魅が即答した為、砂沙美と魎皇鬼は吹き飛んでしまう。 ものの見事に見えない地雷を踏み抜いてしまったようだ。 「……ど、どうして!? ママ、動物は好きでしょ!?」 「ママはね、動物は大抵好きだけど、ウサギは嫌いなの」 あくまでにこやかに、しかしキッパリと言い切る津名魅。 その態度からは、本気なのか、冗談なのかすら全くおぼつかない。 だがどちらにしろ、何らかのリアクションを返さねば、 この何とも言いがたい空気は打開できないだろう。 砂沙美は、覚悟を決めた。 「ご、ごめんママ、ウサちゃんってのは冗談! この子、ホントは猫なの! ほら、鳴き声だって!」 「ミャ、ミャアン!」 仕方なく、砂沙美の言葉に同調する魎皇鬼。 「なんだ、猫さんだったのね。それなら飼ってもいいわよ」 津名魅はあっさりと前言を覆し、魎皇鬼を飼うのを了承した。 「あ、ありがとうママ! 良かったね、リョーちゃん!」 「……ミャーン……」 めでたく正式に萌田家の一員となったが、どうにも納得がいかない魎皇鬼であった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― トントントントン……。 萌田家の台所に包丁の音が響く。 今日は土曜日。 今、砂沙美はママのおかえりパーティ用の料理を作っているのだ。 些細なことでもいちいちお祝いして盛り上がるのが萌田家の伝統であった。 ちなみにそのママは、今は買いだしに行っている。 「ねぇ、もっとニンジン入れてよニンジン! こんなんじゃ全然足りないよ!」 脇から覗き込んで注文をつける魎皇鬼。 「もー、りょーちゃんは黙っててよ!」 砂沙美が今作ってるのはクリームシチューだ。 ニンジンは既に6本も入っており、多すぎるぐらいなのだ。 これ以上入れたら、ニンジン入りシチューではなく、シチュー入りニンジンになってしまう。 「シチューの他にニンジンクッキーやニンジンジュースも作ってるでしょ。もう十分じゃない」 「やだやだ、全然足りない! せっかくのお祝いの日ぐらい、もっとニンジンだらけにしてよ!」 「どーいう理屈よ?」 「ボクん家ではそれが伝統なんだい!」 「そーなの。でもここは砂沙美の家だから。郷に入っては郷に従ってもらいますからね」 「ウゥ~…………」 全身の毛を逆立てて不満の意を表す魎皇鬼だが、砂沙美は相手をせずに作業を続けた。 ピンポーン 「はーい!」 砂沙美は一旦火を止めて、玄関に出る。 せっかくのパーティなので、何人か招待客が居るのだ。その内の誰かだろう。 砂沙美が玄関のドアを開けると……。 「美紗織ちゃん!」 「おはよう、砂沙美ちゃん」 そこには、満面の笑顔をたたえた彼女の親友、天野美紗織が居た。 「ごめん、ちょっと早く来すぎちゃったかな?」 「いや、大丈夫だよ! 上がって上がって!」 「おじゃまします」 砂沙美に招かれて家に上がる美紗織。 「砂沙美ちゃん、今日は招待ありがとう」 「ううん、こちらこそわざわざ来てくれてありがとう!」 「そんな……砂沙美ちゃんのお誘いを、断れるわけないもの……」 「えへへ……」 少々照れくさくなり、互いにちょっと頬を染める二人。 ……そこのオマエっ!! まさか百合はぁはぁとか思っていないだろうな!? これは純粋な友情だ! 断じてそんな不純なものではない!! 「わざわざ否定する辺りが逆に不純に見えるよー」 ……………………。 魎皇鬼にやる気なく突っ込まれてしまった。 仕方が無いので本題に戻ろう。 「じゃ、あたしは料理の続き作ってくるから待っててね」 「あ、ゴメンね、途中だったのに邪魔しちゃったんだ」 「ううん、大したことじゃないよ。こっちこそ待たせちゃってゴメンね」 そう言って、砂沙美は台所に戻った。 「ねぇ、お客さん呼ぶなんて聞いてないよ!」 台所で待っていた魎皇鬼は戻ってきた砂沙美に文句を言う。 「言ってなかったかもしれないけど……別に、リョーちゃんには関係ないでしょ?」 「あるよ! ボクのニンジンの取り分が減っちゃうだろ!」 あくまで彼にとって重要なのはニンジンで、他はどうでもいいらしい。 「はいはい、じゃあリョーちゃんの分は意識してニンジンをたっぷり入れてあげるから」 「……他の人の3倍は入れてよ?」 「はいはい、3倍ね」 まともに相手にする気も失せてきて、適当にあしらい始める砂沙美。 ペットと言うより、聞き分けの無い弟を相手にしている気分だ。 (……お姉ちゃんも、あたしが小さい時はこんな気持ちだったのかな?) 砂沙美には、7つ歳の離れた姉が居た。 今は海外留学をしているために家には居ないが、 幼い頃は大分ワガママを言ってしまって困らせた記憶がある。 (今度お姉ちゃんに会ったら、子供の頃はワガママばっかり言っててゴメンって謝っておこう) 人の苦労は自分の身に降りかかって来て、初めて理解できるものだと、 今更ながらに砂沙美は実感した。 ピンポーン 「あ、はーい!」 再びの来客だ。 砂沙美は玄関に走る。 ガチャ 「天地さん!」 美紗織の次にやって来たのは、砂沙美の恋人・征木天地であった。 「おはよう砂沙美ちゃん。招待ありがとう」 天地はそう言いながら、砂沙美がエプロン姿なことに気付くとバツの悪そうな顔をする。 「ごめん、料理の邪魔だったかな?」 「とんでもない! どうぞ上がっててください!」 「それじゃあ、お邪魔します」 天地も家に上がっていく。 「あ、天地さん!」 「おっ、美紗織ちゃんも招待されてたんだ」 和気藹々と談笑する彼らを他所に、不満のうなり声を上げる生物が居た。 魎皇鬼だ。 (ウゥ~……ボクのニンジン……) ただでさえ母である津名魅が帰ってきたことで、萌田家の料理は彼の独占ではなくなってしまったのだ。 こんなにどんどん人が増えては、自分の取り分はどれだけ減ってしまうというのか。 (ボクのニンジンは…………砂沙美ちゃんの料理は、ボクだけのものだ!!) その怒りにニンジン以外のものへの執着が混ざっていることは、 まだ幼い魎皇鬼には自覚が出来なかった。 「津名魅さん、おかえりなさーい!」 パァンパァン! クラッカーが飛び散る。 「ありがとう、今日はみなさんも楽しんでいってくださいね」 そう言って、嬉しそうに微笑む津名魅。 あれからすぐに津名魅は買出しから帰ってきて、料理も完成した為、 めでたく『ママさんおかえりパーティ』は始まった。 「ママさん、これプレゼントです」 美紗織は、包装紙に包まれた小さな箱を差し出す。 「えっ! そんな、美紗織ちゃん……こんな大騒ぎしたいだけのパーティでそんなもの貰っちゃ悪いよ!」 美紗織の思わぬ気遣いに、当事者でもない砂沙美が大慌てをしている。 「うふふ……ありがとう、美紗織ちゃん。嬉しいわ」 一方、津名魅はあっさりと受け取った。 「ママさんに何がいいか分からなかったので、お菓子にしてみました。お口に合えばいいんですけど……」 「あら、大丈夫よ。私は好き嫌いが無いから、何でも喜んでいただくわ」 「良かった!」 二人は顔を合わせて微笑む。 「うーん、美紗織ちゃんに先を越されちゃったな」 そう言ったのは天地だ。 「俺も津名魅さんにプレゼントがあったんです。これをどうぞ」 天地は、美紗織の物よりは多少大きい包みを津名魅に手渡す。 「中身は洗剤です。色気無いプレゼントですけど、長く使えるものがいいと思って」 「あらあら、天地さんもありがとう。私は幸せ者だわ」 そう言って、本当に幸せそうに笑う津名魅。 焦ってしまったのは砂沙美である。 (マ、マズい……何もプレゼントを用意してないのは砂沙美だけじゃん!) 本当はパーティ用の料理を作っただけで十分なのだが、 それが当たり前だと思っている砂沙美の中では大したママ貢献にならないのである。 「まるで魔法にかけられたみたいねぇ、こんなにみなさんに幸せにしてもらえるなんて」 「……!」 津名魅が何気なく言った言葉に、砂沙美は反応した。 (こ、これだ! 魔法の力で何かをしてあげれば、十分にプレゼントになるはず!) 「あれ、砂沙美ちゃん何処か行くの?」 「ちょっとトイレ!」 立ち上がった自分に気付いた美紗織にそれだけ言うと、 砂沙美はニンジンクッキーをかじっている魎皇鬼を引っこ抜いて部屋を出る。 「な、何するんだよぉっ!」 「リョーちゃんお願い、魔法のバトン出して!」 食事を邪魔されてご立腹な魎皇鬼に、砂沙美は頭を下げる。 「……………………」 魎皇鬼は無言でバトンを取り出すと、砂沙美に叩きつけて居間に戻っていった。 一刻も早くニンジンかじりを再開したいのだ。 「よーし! プリティミューテーション! マジカルリコール!」 透過光に包まれて、砂沙美はプリティサミーに変身した。 居間に戻ってきた魎皇鬼だったが、 ニンジンクッキーが食べられつくしてることに気付いてショックを受ける。 「この間の天地さん、かっこ良かったんですよー。 強盗に勇敢に立ち向かったりなんかしちゃって」 「あらあら、天地くんらしいわね。でも無茶はいけないわ。 もし天地くんが死んだら、勝仁さんが悲しむでしょう?」 「す、すみません……」 三人はおしゃべりに夢中で、魎皇鬼がうなり声を上げてるのにも気がつかない。 仕方なしに、魎皇鬼はニンジンジュースをちびちび舐めることで我慢をするのだった。 そんな中、あまり広くも無い居間に、ひらひらして非常に邪魔な振袖姿で飛び込んできた少女がいた。 「お祝いもプレゼントもサミーにおまかせ! プリティサミー、祝辞を届けに参上でぇす!」 「「プ、プリティサミー!!?」」 天地と美紗織は同時に声を上げる。 「あら、みなさんのお知り合い?」 呆気に取られている二人をゆっくりと見渡す津名魅。 そんな彼女の前にサミーはずいと乗り出し、二人は目が合う。 「ママさん、始めまして! あたしは砂沙美ちゃんのお友達の、正義の魔法少女・プリティサミーです! 今日は、ママさんおかえりを祝してプレゼントを届けに来ました!」 「あらあら、魔法少女さんまでパーティに来てくださるなんて。 砂沙美ちゃんの交友関係って広いのねぇ、羨ましいわ」 全く動じた風でもなく、笑顔で応対する津名魅。 やはり大物なのか、それともただの天然なのか、非常に判断に困る。 「それで、頂けるプレゼントとは何なのでしょう?」 「えっ! ……えーと、それはですね……」 勢いで飛び出してきた為、サミーは何も考えていなかった。 そもそも良く考えれば、自分はコケボン以外の魔法は使えないのだ。 「え、えーと……あの、その……」 目を泳がせるサミー。 ……すると、視界の端にコソコソとこの場を離れようとする美紗織の姿が見えた。 「あれ、美紗織……さん、何処に行くんですか?」 「!! ……ちょ……ちょっとトイレに……」 「あ、失礼しました。どーぞどーぞ」 呼び止められて狼狽した美紗織だったが、何とか部屋を立ち去ることができた。 やはり『トイレ』は場を離れるための言い訳としては最強の呪文である。 「それで、サミーさんから頂けるプレゼントとは何かしら?」 「い、いやー、それは……」 サミーは魎皇鬼に流し目を送って助けを求めるが、 機嫌の悪い彼は完全に知らんぷりだ。 (くぅー……もうこうなったら適当にコケボン撃って誤魔化すしかないや!) 投げやりな決意をするサミーだったが……。 ピンポーン 「あら、まだお友達が来る予定だったのかしら? サミーさん、ちょっと待っててくださいね」 津名魅は立ち上がると、サミーに軽く会釈をして部屋を出て行った。 ピンポーン ピンポンピンポーン 「はい、どちらさまですか?」 津名魅が玄関のドアを開けると……。 「グッドモーニング! ご無沙汰してるわねぃ、砂沙美ちゃんのママりん!」 読者には分かっていただろうが、ピクシィミサであった。 肩には留魅耶が乗っている。 見たかった番組があったのに無理やり連れて来られたので、少々不服そうだ。 「はて……あなたはどちらさまだったかしら?」 ご無沙汰と聞いて、知り合いかと思考を巡らす津名魅だが、 当然、こんなエキセントリックな金髪少女の記憶などあるわけもない。 「あたーしの名前は、人呼んで破壊と混沌とカオスを愛する破壊の女神にして、 キュートでセクシーなみんなのアイドルという、要するに悪の魔法少女・ピクシィミサーッ!!」 老婆心だが、自己紹介は簡潔にお願いしたい。 無駄に長いと相手も覚えにくい上に、第一印象も悪いぞ。 「あらあら、あなたも魔法少女さんだったのね」 微笑む津名魅。 一歩間違えば(既に間違ってる?)ただの危ない人を前にしてもこの態度である。 この人が平静を失うのは、この世の終わりが来た時だけかもしれない。 「実はぁ、ミサったらお友達にお呼ばれしちゃってぇ~」 「あら……もしかして、サミーちゃんのお友達?」 「イエース! ザッツライっ!」 「ちがーーーーーーうっ!!!」 奥で話を聞いていたサミーが溜まらず飛び出してきた。 「だぁれがアンタの友達よ!」 「つれないわねぇ、同じ魔法少女同士じゃない」 「だったらもっと友好的な行動を取らんかいっ!」 「あらあら、友達同士は仲良くしないとダメよ」 いつも通りのいがみ合いを続ける魔法少女達と、何処かズレた仲裁を行う津名魅。 そんな彼女らの様子を、魎皇鬼がシチューのニンジンをしゃぶりながら見ていた。 (ウゥ~……!! ミサと留魅耶まで来たら、またボクの取り分が減っちゃうじゃないか!) 魎皇鬼のイラ立ちは、限界まで達していた。 一方、いがみ合いを続ける魔法少女達は……。 「とにかく、帰って! あんたなんかお呼びじゃないんだから!」 「ヤダ! ……って言ったら?」 「いつも通りの目に合わせてあげるわ!」 サミーはバトンを突きつける。 「ふっふっふ、そうこなくっちゃ! 実は今日のミサは、ちょっとしたタクティクスを備えてきたのよ!」 「タクティクス? オ○ガバトルのこと?」 「ゲーム脳のおこちゃまはゲラウトヒア! さぁ行くわよ、コーリング・ミスティクス!!」 ミサがバトンを振り回して放った魔力は……玄関にいた魎皇鬼に命中した。 「ええっ!? リョーちゃんに!?」 光に包まれた魎皇鬼は、見る見る内にその影を肥大化させていく。 そうして現われたのは……。 「なのなの~! お腹いっぱい食べてなの~!」 「リョ、リョーちゃんが……ケーキになっちゃった!?」 頂上付近にキラキラお目目とお口のついた、特大の3段ケーキだった。 生クリームもたっぷりで、実に食べ応えがありそうだ。 ただしイチゴの代わりにニンジンが乗っているのが難点か。 「さぁ、暴食の悪意から生まれたケーキ女! サミーをコテンパンにするのよ!」 「サミー、あたしを食べて食べて~! なのなの~!」 ラブラブモンスターとなった魎皇鬼とは元の姿とはすっかり別人になってしまい、 声も某二等兵ではなく、はにゃ~んな人の物に変わってしまっている。 「サミー、サミー! あたしを食べて~! なのなの~!」 「どわわ~っ!!」 ケーキ女が飛び掛ってきたのを慌てて避けるサミー。 「……どうしてあたしを食べてくれないなの~……」 顔面(?)から地面に突っ込んだケーキ女は、土塗れの顔を起こして恨めしげな瞳を向ける。 「うぅっ……戦いにくいけど、やっぱり倒すしかないか……」 サミーはバトンに魔法の力を溜め始める。 「ちょっと痛いかもだけど……我慢してねリョーちゃん! プリティ・コケティッシュ・ボンバー!!」 放たれたハートの弾丸が、ケーキ女に向かっていく! だが……。 「バリアーなの~~~!」 「な、なんですとーーーっ!?」 ケーキ女は魔法のバリアを張り、コケティッシュボンバーを跳ね返したのだ。 「……って、どげげっ!? どっちに跳ね返してるのよー!?」 跳ね返ったコケボンは横で高みの見物を決め込んでいたミサに直撃したが、 必殺技を破られてしまったサミーはそれどころではなかった。 「くっ……このラブラブモンスター、強い……。まさかコケティッシュボンバーが破られるなんて……!」 元が魔法の国の住人である魎皇鬼なのだ。 その辺の一般人から生み出したラブラブモンスターとは比べ物にならない強さで当たり前だ。 「今度はこっちの番なの~! ニンジンミサーイルなの~!」 「わわわっ!!」 ニンジンが四方八方からサミーに襲い掛かる。 何とか走り回って避け続けるサミーだが……。 「! マ……ママさん、危ないっ!!」 「あら?」 無我夢中で走り回っている内に、横でぼーっと戦いを眺めていた津名魅の前に来てしまったのだ。 しかしニンジンミサイルは容赦なく襲来する。 自分がこれを避けたら津名魅に当たってしまう! 「こ、こうなったらこっちもバリアー! ……って、出ないしぃ~!!」 とっさに魔法が使いこなせない己の未熟さ故に、 あえなくニンジンミサイルが直撃したサミーは黒焦げになって吹き飛ぶ。 「あらあら、サミーちゃん大丈夫?」 「……な、なんとか……」 身体を張った甲斐あって、津名魅は無事であった。 サミーはその助けた津名魅に助け起こされる。 しかし、瀕死(?)のサミーにケーキ女は、ずいと迫る。 「さぁサミー……これからあたしと一つになるなの~。 お腹が破裂するぐらい、サミーの中をあたしでいっぱいにしちゃうなのなの~!」 「あ、あががっ……ひゃ、ひゃへてっ!!」 「あらあら、サミーちゃんったら食いしんぼさんね」 無理やりサミーの口をこじ開け、ちぎった自分の身体を押し込み始めるケーキ女。 津名魅は傍からその様子をほほえましそうに見ている。 これが深刻な事態だとはこれっぽっちも思っていないようだ。 (あ、意外と美味しい! でもこんなに食べると太っちゃうかも……。 ……って、言ってる場合じゃなーーーい!! このままじゃ窒息して死んじゃう!!) いくらサミーがモガモガ暴れても、ケーキ女は微動だにすらしない。 このまま明日の朝刊に『正義の魔法少女、ケーキの食べすぎで窒息死!』と書かれた記事が出回ってしまうのだろうか。 しかし、こういう時はやはりヒロイン補正で救世主が現われるものだ。 「やめろーーー!!」 異変を聞きつけて駆けつけた天地だ。 そのままの勢いで体当たりするが、ケーキ女はビクともせずにサミーに自分の身体を食わせ続けるばかりだ。 ならばと、天地はケーキ女に交渉を試みる。 「俺がサミーの代わりにおまえを食べる! だからサミーは開放してやってくれっ!!」 (て……天地兄ちゃん……!) サミーを救いたい一心で、天地は必死で懇願する。 流石に天地を無視できなくなったケーキ女は、敵意を込めた目で天地を睨む。 「……あなたになんかあたしを食べて欲しくないなの! これでも食らってろなの!」 「なにをっ……ガボォッ!?」 天地はあっという間に大量のニンジンミサイルを口に詰め込まれてしまう。 「それを全部食べきったら、あたしを食べる権利をあげてもいいなの! まぁ絶対にムリなのなの~!」 キャッキャと笑って、サミーに身体を食べさせるのを再開しようとするケーキ女だったが……。 「はぁ……はぁ……どうだ、食べきったぞ! これで俺がおまえを食べていいはずだ!」 驚いたケーキ女が振り向くと、そこには確かに顔を食べカス塗れにして腹を膨らませた天地が居た。 ニンジンミサイルの影も形も何処にも無い。全て彼のお腹の中だ。 「そ、そんな!? こんな一瞬であの量のニンジンを食べきったのなの!?」 「赤貧学生を舐めるな! いつでも腹ん中はスカスカだっ!」 「…………く…………くぅ~、なの~~~~!!!」 ケーキ女はジタバタ暴れると、キッと天地に向き直る。 「あなたのこと、ずっとずっと気に入らなかったなの!! サミーは、サミーは…………あたしだけのものなのっ!!」 ホイップクリームまで真っ赤にして、ケーキ女は怒りを爆発させる。 「こうなったら、何もかもぶっ壊してやるなのなのなのなのなの~~~!!!!」 四方八方、無差別に大量のニンジンミサイルを乱射し始めるケーキ女。 「わっ、わわっ、わわわわわわっ!!」 走り回って何とかミサイルを避け続けるサミー達。 そして、その中にはミサの姿も……。 「く、くおらっ、ミサっ!! アレあんたが作ったモンスターでしょ!! 何とかしなさいよ!!」 「し、知らないわよ!! ウサちゃん自身の魔力が自立して暴走しちゃってるから、あたしにはどうにも出来ないわ!!」 「わ、分かってたけど、この役立たず!!」 何とか暴走を止めようにも、魔法を使うことはおろか、 このままではケーキ女に近づくことさえ…………って、あれ? 「ねぇ、ちょっと落ち着いてくださらない? ケーキさん」 いつの間にかケーキ女の側まで歩み寄っていた人物が居た。 津名魅である。 「ケーキさんじゃないなの!! ケーキ女なのっ!!」 「あら失礼……それで、ケーキ女さん。 こうやって暴れてパーティを台無しにすることが、本当にあなたの望みなの?」 「なのっ……?」 津名魅の言葉に引き寄せられるものがあったのか、 ケーキ女はいつの間にかニンジンミサイル攻撃を中断していた。 「私はね、せっかくのパーティなんだから、みなさんに楽しんでもらいたいと思うの。 砂沙美ちゃん、魎皇鬼ちゃん、美紗織ちゃん、天地くん、サミーちゃん、ミサさん……。 そして、ケーキ女さん…………もちろん、あなたにも……ね?」 「なの……」 津名魅は自分さえもパーティの参加者とみなしていたのだ。 それを知り、ケーキ女の心に罪悪感が生まれ始める。 「それに……私自身も、このパーティを楽しみたいの。 でもね、ケーキ女さんも含めて、参加している人全員が楽しめなければ……。 例えどんな素敵なパーティでも……私はきっと、楽しい気持ちになることは出来ないと思うの」 「……………………」 二の句が告げられないケーキ女を見て、 津名魅の心が彼女に伝わったのだと、その場に居た全員が理解した。 「…………ね、おねがいケーキ女さん。 私のために、一緒に楽しんでくれないかしら? 一応、これは私のためのパーティなんだもの…………私のお願い、聞いて頂けるわよね?」 「な…………の…………」 ケーキ女はかぶりを振る。 自分の中の何かと葛藤しているのか。 そして……。 「サミー…………おねがい、なの…………」 ケーキ女はサミーに向き直り、無防備な姿を晒した。 サミーも彼女の気持ちを理解し、バトンに想いの力を込める。 「……行くよ、リョーちゃん! プリティー・コケティッシュ・ボンバー!!」 ハートの弾丸が、ケーキ女を貫く。 「サミー……ゴメンね…………なの……」 ケーキ女はサミーの魔法によって浄化され、後には魎皇鬼が倒れていた。 サミーは、そっと魎皇鬼を抱き上げる。 ミサは、一連の様子を困惑の瞳で見つめていた。 ラブラブモンスターが倒されたにもかかわらず、怒りや悔しさは沸いて来なかった。 何というか、得体の知れないむず痒さを感じるのみである。 「……ちっ、ここは砂沙美ちゃんのママりんの顔を立てて撤退してあげるわ! せいぜい砂沙美ちゃんのママりんに感謝するのね、プリティサミー!」 適当な言い訳をつけ、ミサは留魅耶と撤退していった。 「……サミー、お腹は大丈夫かい?」 サミーを心配して、天地が傍らにやってくる。 「そんな……天地さんの方こそ!」 「俺は大丈夫さ。胃袋の丈夫さには自信があるからね!」 そう言いながら、流石に腹を抱えている。 今にも吐きそうなのだろう。 「そ、それじゃあ、あたしもそろそろ帰りますんで……」 天地と会釈をして、その場を去ろうとするサミー。 「待って、サミーちゃん!」 呼び止めたのは、妙に神妙な顔をした津名魅だった。 「な、何ですか、ママさん……?」 「サミーちゃん、ずっと気になっていたのに言い出せなかったんだけど……」 思わせぶりな物言いにサミーはぎょっとする。 まさか、サミーの正体に気付いたのだろうか!? 「……あたしへのプレゼントは、結局どうなったのかしら?」 「あ……」 すっかり忘れていた。 とりあえずキョロキョロしてみるサミーだが、プレゼントが落ちているはずもない。 ならばと、サミーが取った行動は……! 「そ、それではみなさん、まった来週~~~!!」 例によって例のごとく、脱兎のように逃げ出すことだった。 津名魅は走り去るサミーの後姿を眺めつつ、何かを真剣に考えていたようだが……。 ふと、何かを思いついたように手を打つ。 「分かったわ! ケーキ女さんとの壮絶なアクションシーンを見せるのがプレゼントだったのね!」 津名魅は一人で納得して、ニコニコと上機嫌であった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「あー、結局パーティを抜け出したままになっちゃったわね。まぁいいか」 何となくテレポートを使う気に慣れなかったミサは、歩いて家まで帰っていた。 「それにしてもやっぱり砂沙美ちゃんのママりんは流石ねぇ。 何にも考えてないように見えて、いつでもあっという間に争いごとを解決しちゃうんだもの」 「やっぱり……お母さんって、いいものだよな……」 留魅耶はジュライヘルムに居る母のことを想う。 もうそのことは考えるのはやめようと決めていたのに。 津名魅と留魅耶の母では全くタイプが違うのだが、 それでも、留魅耶に不思議と母の面影を感じさせてくれた。 それが母親というものなのかもしれない……。 そんな留魅耶の郷愁に満ちた表情を見て、ミサはふと訊ねてしまう。 「……ルーくん……やっぱり、お母さんに会いたい?」 「そりゃあ……でも、それはもう捨てた望みだから……」 「…………分かるわ……だって、あたしも……」 「えっ?」 思わず振り向いた留魅耶は、悲しそうな目をしたミサを見た。 しかし、その表情は一瞬で塵と消える。 「……ノンノン、ダウナー系はミサには似合わないわ! さぁルーくん! ミサを存分にユア・マザーと思ってくれていいのよ!」 「か、勘弁してくれよ……」 ぎゅーっとミサの胸元に抱きしめられる留魅耶だが、彼にとっては息が苦しいだけだった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― パーティが終わり、天地も帰った後のこと。 砂沙美は、がっくりとうなだれた魎皇鬼を肩に乗せ、川原を歩いていた。 今は夕飯の買出しに向かっている途中だ。 「ゴメン、砂沙美ちゃん……ボクに隙があったばっかりに、ミサにつけこまれたんだ……」 魎皇鬼はラブラブモンスターとなって、サミーに襲い掛かったことを非常に悔いていた。 「別に気にすることないって。大した被害も無く、元に戻れたんだから別にいいじゃない」 「いや、ボクは砂沙美ちゃんに依存しすぎてたんだ……。 傍から応援さえしてれば勝手に敵を倒してくれるって思い込んで……。 ボクは…………サミーの…………正義の魔法少女のパートナーとして、失格だッ!!」 「……………………」 砂沙美はポリポリと頬をかく。 そういえば自分も、こんな風に落ち込んで姉と母を困らせたことがあった。 いくら慰めの言葉をかけてもらっても、歯牙にもかけずにずっと落ち込んだままだった。 当時は、自分から反省しているいい子のつもりで居たが……。 それが逆に姉と母に迷惑をかけてしまっていたことを、砂沙美は今になって思い知った。 「しょうがないなぁ……」 砂沙美は、こんな時に姉や母がどうやって自分の機嫌を取っていたのかを思い出す。 「……じゃあ、こうしよう。今日だけ、リョーちゃんの食べたい物だけで夕飯作ってあげる」 「えっ……ホ、ホントっ!?」 魎皇鬼はその言葉を聞いて、急激に目を輝かせ始める。 「うん、でも今日だけだからね」 「やったぁーーーーっ!!! じゃあニンジン炒めに、ニンジンスープに、ニンジンケーキに、ニンジン―――」 次々とニンジン塗れの料理の名前をあげつらう魎皇鬼。 その興奮ぶりは、つい直前まで失意の底にいた少年と同一人物とはとても思えない。 砂沙美は、迂闊な約束をしたことを少々後悔した。 「美味しい! どれもこれも全部、とっても美味しいよ、砂沙美ちゃん!」 「そう、それは良かった」 さっきのションボリぶりは何処へやら、 魎皇鬼はごきげんでいつまでも飽きずにニンジン料理を頬張っていた。 「毎日こうだったら嬉しいのになぁ!」 「……もぉー、リョーちゃんったら全然懲りてないんだから……」 ま、結果的にまたミサをやっつけて善行ポイントを溜められたのだ。 立派に正義の魔法少女として使命を果たせている。結果オーライだろう。 (ふふふ……正義を果たすって、やっぱり気持ちいいなぁ) 砂沙美は自分の行いによる達成感と充実感を噛み締める。 そんな砂沙美に、後ろからそっと近づいた津名魅が声をかける。 「砂沙美ちゃん、今日も立派に正義を果たせたみたいね」 「えっ!? な、なんのこと!?」 あまりに自分の脳内とシンクロすることを言われたので、砂沙美は慌ててしまった。 (ま、まさかママは、砂沙美がサミーだってことに気付いて……!?) そうして再び開いた津名魅の口から飛び出た言葉は……。 「だって、魎皇鬼ちゃんの為にいっぱいニンジンご飯を作ってあげたんでしょ?」 「…………は?」 砂沙美は、満面の笑顔でニンジンご飯を頬張ってる魎皇鬼を見る。 「どうして、リョーちゃんにご飯を作ってあげるのが正義なの?」 「あら、分からないの?」 「……………………」 砂沙美はもう一度、魎皇鬼を見る。 やっぱり、満面の笑顔だった。 「……ごめんママ、言いたいことが良く分からないや」 「あらあら、砂沙美ちゃんもまだまだ正義について勉強する必要があるみたいね」 くすくす、と津名魅は笑う。 「でも、今はそれでいいわ。無意識で正義を行えるっていうのも、それはそれでスゴイことだもの」 「……………………」 とりあえず、自分の正体がバレたわけではなさそうで安心したが、 いくら考えてみても、やはり砂沙美は津名魅の言いたいことが分からなかった。 砂沙美は再三、魎皇鬼を見つめてみる。 何度見ても、まぶしいぐらい満面の笑顔だった。 ~ 第五話に続く ~
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/1482.html
帰ってきた剣士 概要 ヴェスペリアに登場した称号。 登場作品 + 目次 ヴェスペリア 関連リンク関連称号 ヴェスペリア 散りゆく中で、友との出来事を悔いた少年剣士。願いは通じ、再び現世に復活した。 闘技場200人斬り達成で取得できる、ユーリの衣装称号。 つけると衣装がD2のジューダスのものに変わる。ちゃんと仮面も被ってくれる。 また、牙狼撃がジューダス…ではなくリオンの奥義、「魔人闇」にスキル変化する。 エステルがエルレイン、ユーリがジューダス。何か意味があってのチョイスなのだろうか… 取得者 ユーリ 取得条件 闘技場200人斬り達成 効果 コスチューム変化セット時に牙狼撃が魔人闇にスキル変化する ▲ 関連リンク 関連称号
https://w.atwiki.jp/lovegamers/pages/419.html
テスト中 BBL選手名鑑に戻る 選手名 製作者名 選手画像 所属球団 背番号 ポジション 投打 フォーム 出場期間 選手紹介 帰ってきたみくにゃん miku マリーンズ(16-22)バファローズ(23)ベイスターズ(24)ドラゴンズ(25-29)バファローズ(30-33) 39 外野手 右投右打 神主 16年度~33年度 BBLで初の2年連続三冠王を達成したスーパースラッガー。三冠王だけでなく7年連続HR王やシーズン最多の63HR、154打点等数々の記録を打ち立てた。 通算成績 キャリアハイ 獲得タイトル BBL選手名鑑に戻る 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yu-gi-oh-2chdic/pages/833.html
「煮えたぎってきたぜ!」(にえたぎってきたぜ) 遊戯王ZEXAL50話にてパーティ会場裏での神代凌牙とⅣの会話中にシャークが放った一言。 Ⅳではなく、1番そのような事を言いそうじゃないシャークが言ってしまった。 なお、この時既に凌牙は遊馬とぶつかり合うことで平常心を取り戻しており、自分を見失っていたわけではない。 見失っていたのはⅣの方であり、(おそらく)それを見越して逆挑発したものであろう。 予選前に出会った時とは完全に立場が逆転していることが分かる。 決勝戦では凌牙を挑発しマグマフィールドに引き込む作戦を展開するなど冷静さは取り戻していたが、 トロンの言葉に動揺しまくり平常心を欠き凌牙とは違う意味で煮えたぎっていた。 「燃えたぎってきた」のではなく、あえて「煮えたぎってきた」と言うところが実に魚らしい。 前作では一見クールなようですぐに熱くなる男がいるがそれに続くものがある。 ちなみにトロンはⅣのことを「すぐカッと熱くなる」と指摘している。
https://w.atwiki.jp/retrogamewiki/pages/9076.html
今日 - 合計 - 家にポチがやってきたの攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 17時08分14秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
https://w.atwiki.jp/2jiwiki/pages/342.html
概要: しせいさんの対として生まれたしきょうさん。 画像左からきゅうきさん、とうこつさん、しゆうさん(中央上)、こんとんさん(中央下)、とうてつさん。 厳密に言えば四凶の統括者のしゆうさんは四凶に含まれずに彼女以外の4柱を意味するのだが、一緒に暮らしているためにしきょうさんちという場合は全員と主人である「」を意味する。 解説: 【元ネタ】 中国神話で中原の四方に流された四柱の悪神、四凶の虹裏メイド化。 関連項目: きゅうきさん とうこつさん こんとんさん とうてつさん しゆうさん しせいさん 関連リンク: 虹裏妖怪メイド庫 (きゅうきさん、とうこつさん、こんとんさん、とうてつさん) 上に戻る memo: 訂正、追加情報等。 名前 コメント 最終更新日:2010年02月25日 (木) 23時44分56秒
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/2792.html
842: はじまり :2021/04/13(火) 18 27 54 ID QE9nDRzM きょうだいのあり方は千差万別だ。 我が半身かのように切っても切れない関係性のきょうだいもいれば、互いに凶器で切りつけ合うような関係性のきょうだいもいる。目を合わせることもしないきょうだいもいれば、目を合わせることすら恐れているきょうだいもいる。 僕はおもう。 なぜ、こんなにもバラバラなのだろうか。 たしかに、同じ血を分けた者同士だからといって、何から何まで同じというわけではない。いくら外側は似通っていようとも、その内側まで似通っているとは限らない。 されど不思議なもので、内側の差異が関係性に影響を与えない場合もある。 白と黒のように正反対の性格であっても仲のいいきょうだいはいるし、鏡を写し合わせたように相似していても仲の悪いきょうだいもいる。 では、きょうだいの関係性を決定づける要因とは何なのか。 僕は、あの日からずっと考えていた。 それこそ、死ぬほどのおもいをして考え続けていた。 今でこそ坂道を転がり落ちるような、悪化の一途をたどっているが、答えさえ見つかれば、今の状況を変えられるのかもしれないという、かすかな希望があったからだ。 僕たちも、いつかはありふれたきょうだいになれるはず。それなりに好き合っていて、それなりに憎み合っている、ふつうのきょうだいになれるはず。 そう信じていた。 でも、最近は、徐々にその熱意が失われつつある。 もっとハッキリ言ってしまえば、どうでもよくなってきている。 なぜなら、僕はこれっぽっちも後悔していないと気付いたからだ。 過去を振り返って、「あの時、ああしていればよかった」と悔やむことは誰にだってあるだろう。 だけど、それは自分が違う行動をしていれば、違う結果を生むことができたと確信できている場合だ。 たとえるなら、通り魔に恋人を殺された日を振り返って、「あの時、外へ遊びに行こうと彼女を誘わなければ」と悔やむような。 しかし、僕の場合は違う。 ばかげた妄想になるが、仮に、僕が神さまから、過去に戻ることができる能力を与えられたとしよう。しかもその能力は、あらゆる時間帯に、何度だって戻ることができる、とても便利なものだとする。 そんな能力があれば、悔やむ者なら誰だって過去に戻るはずだ。 さきほど例に上げた彼にしたって、死ぬはずだった恋人の手を握りしめて、「今日はずっと一緒にいよう」と叫ぶに違いない。 でも、きっと僕は何もしない。 それほどの能力を授かったとしても、きっと僕は何もしない。 なぜなら、過去に介入できたとしても、どれほど過程をいじくれたとしても、あの結果だけは絶対に変えられなかったと確信しているからだ。 過去に戻れたとしてもその有様なのだ。いわんや現在をどう変えようというのだ。 ヒトは、どれほど努力しようとも空を飛ぶことはできない。そんな自明のことを悔やむ人がいないように、僕にも後悔はない。 答えなんかあったって、たぶん、どうしようもなかったのだ。 僕にできることは何もなかった。唯一できたのは、観客席に座って、劇の成り行きを見続けることだけ。せめてもの抵抗といえば、その劇が良作であるか駄作であるかを批評するだけ。 ならば、やり場のない、ぬるま湯のような絶望に浸りつつ、底へ向かって沈んでいく他ないじゃないか。 ����僕と彼女には、あのような結果しかあり得なかった。 いつしか、そんな言い訳が唯一の慰みになるのだろう。 己を責任の拉致外に置き、心地のよい諦念に身を委ねつつ、僕はゆっくりと絶望に沈んでいく。 ゆっくりと、ゆっくりと。 沈んでいく。
https://w.atwiki.jp/yusyu/pages/53.html
その2-1 帰ってきた期待の☆ ト、暗転、もしくは城門に接触とかからイベント ト、場内の一室。アスタ一行画面端から登場。逆はし中央よりに輜重団長が。団長、振り返る。 ト、アスタ一行団長前で止まる。会話。 アスタ(疲) た、ただいま帰還しましたー・・・・・・・・・ イクカ(元気) ただいまッスー!! ジュン(面倒) ただいま。 団長(驚) おぉ戻ったか! よくやったようではないか、先ほど偵察隊から勇者が無事通過したと書面が届いてな。 魔王様もお喜びだ! アスタ(疲) (・・・そりゃよかった・・・) では団長、俺は通常業務がたまってお 団長(真剣) それを受け・・・ ト、団長後ろを向いてゆっくり離れる。2、3歩離れた所で止まったもったいぶらせる。 ト、団長、勢いよく振り向く。 団長 お前が正式に今回の勇者来訪の選抜部隊となったぞ! アスタ(驚愕) ・・・・・・・・・・・・え? 団長(笑) よかったなぁ、私も晴れがましい気分だ! なんといっても選抜、魔王様の覚えめでたく我等の活動にも尽力しろとお言葉をいただけたのだ! あの近衛団長の歯噛みした顔、お前にも見せてやりたかったぞ! アスタ(困) はぁ・・・ ジュン(惜) それは見物でしたでしょうね、私も見たかったですわ・・・ アスタ(疲) お い お 前 の 上 司 だ ろ 。 イクカ(プー) じゃあ自分達もアスタの部下ってことッスか?! 年上とはいえモヤシの下は納得いかないッス! ト イクカぴょンぴょンする。 アスタ(疲) はいはいモヤシで悪かった。何なら譲るぞ、リーダー。 イクカ(キリッ) や、上の決定ッスから。 アスタ(疲) ・・・・・・・・・・・・だれかたすけてー 団長 では早速だが次の任務に向かってもらおう!次は・・・ アスタ へぁ?! ちょ、ちょっと待ってください団ちょっ…… ト、団長、指令を読み上げる 団長 ○○○にて作戦を続行する!○○○のダンジョンにて主の説得及び伝説の装備をさりげなく下賜してくるのだ! 先のモノよりも少々厳しい所だが、魔王様の悲願そして我等の待遇向上の為決死の覚悟で挑んでくれたまえ! ト イクカ、手を挙げてクルクル。ジュンは腕でも組む。アスタは呆然。 イクカ(喜) ワーイ!○○○ッス!一回行ってみたかったんッスよね、 ジュン(黒笑) へぇ、なかなか事故の多そうな所ねぇ…フフッ! アスタ(半べそ) ・・・俺、五体満足で帰れるかな・・・ ト、暗転。場内物資補給へ。
https://w.atwiki.jp/okaro/pages/63.html
ここさいきん神話級とか期間限定3k式の可変スキルとかとても読めたものじゃないスキルが増えてきています 故にここではそういったものをまとめていきたいと思います なおあくまで推測も混じっているので間違っていると思ったら直してくれるとありがたいです 神話級 特性 火産霊の煌 ほむすびのきらめき 大雷の閃撃 たいらいのせんげき 荒魂の闘志 らんこんのとうし 八意の深慮 やごころのしんりょ 煌天の加護 こうてんのかご 神話級 技術 刀技・紅蓮光刃 ぐれんこうじん 刀技・刀光剣影 とうこうけんえい 極刀・勇壮の鬨 ゆうそうのとき 槍技・雷霆閃 らいていせん 戦技・露払 つゆばらい 極槍・豪天即断 ごうてんそくだん 斧技・荒風砕魂 らんぷうさいこん 戦技・蛮力打 ばんりょくだ 極斧・勇武鳴動 ゆうぶめいどう 弓技・智賢征矢 ちけんそや 弓技・通矢 とおしや 極弓・機略再興 きりゃくさいこう 紅焔 こうえん 陽風大火 ようふうたいか 極扇・日昇大聖 にっしょうたいせい 限定式 可変 極斧・摩訶砕撃 まかさいげき 極弓・蕗下才媛 ろかさいえん 極刀・八幡弐刀 はちまんにとう 極扇・凍雪花 とうせつか 極槍・弐尾文殊 にびもんじゅ 人魚種 歌 詠歌:英雄助奏 えいゆうじょそう 詠歌:守護聖譚 しゅごせいたん 詠歌:精霊詠唱 せいれいえいしょう 詠歌:結界夜想 けっかいやそう 詠歌:慈愛賛美 じあいさんび 詠歌:疾風幻想 しっぷうげんそう 詠歌:水禊交響 すいけいこうきょう 詠歌:円環輪舞 えんかんりんぶ 超舶来 戦法変化 刀戦:魂喰 たましいはみ 刀戦:龍激昂 りゅうげっこう 槍戦:飛翔 しょうぶ 槍戦:乾坤一擲 けんこんいってき 斧戦:影身 えいしん 弓戦:豪射 ごうしゃ 扇戦:混元印 こんげんいん 扇戦:本命星供 ほんめいせいきょう 各奥義 刀奥義[動]・一閃 いっせん 槍奥義[静]・玄武貫 げんぶかん 斧奥義[動]・天蓋砕 てんがいさい 弓奥義[静]・朱雀落 すざくおとし 秘術[静]・劫火 こうか 秘術[動]・氷華 ひょうか 秘術[動]・常闇 とこやみ 秘術[動]・神禊 かみみそぎ 秘術[動]・幽冥 ゆうめい 秘術[動]・神水 しんすい 超最上級 難読スキル 刀技・煥発一刀 かんぱついっとう 刀技・挺身の構え ていしんのかまえ 戦技・心形撃 しんけいげき 槍技・崩突 ほうとつ 槍技・双手裂走 そうしゅれっそう 斧技・焦熱断 しょうねつだん 斧技・大誅罰 だいちゅうばつ 勇往邁進 ゆうおうまいしん 戦技・迅駆 じんく 聖天唱 せいてんしょう 扇技・旺気心練 おうきしんれん 何か意見等あれば↓まで TEST -- ninnjinn (2016-09-24 22 50 22) 報告 「ちけんそや」を「けんちそやに」修正 -- ninnjinn (2016-09-25 15 48 14) なんか意味みたいなのってあるのかな? -- ルピア (2016-10-01 21 55 19) 名前 コメント