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赤ずきんが完結するのとぬいぐるみとケーキが出来上がるの、どっちが早いかしら……… 「うーん、やっぱり気持ちだけでいいわ」 あんまり遅くなると、お婆ちゃんやお母さんにも心配かけちゃうし。 「そうか?」 「うん!えっと、ありがとうございます!」 「いや……どういたしまして」 2号さんはちょっと残念そうだけど、それでも笑いかけてくれた。 うん、初めて会ったのにこんなに優しいんだもの。やっぱり良い人なんだわ。 「なぁ、もしかして何処かに行く途中だったのか?」 良い人狼のお兄ちゃんが、私の抱えていたバスケットを指さして言う。 「うん!お婆ちゃんのお家まで、お見舞いに行くのよ」 「…………婆さん?」 あれ?お兄ちゃんの顔、なんか引き攣ってる? 「そうよ、お薬にとっても詳しいの!ちょっと気難しいところもあるけれど、本当はとても優しい人なのよ!」 「………………」 急に何かを考えるような顔で、人狼のお兄ちゃんは黙り込んだ。 なんだか顔色もどんどん悪くなって……… 「お兄ちゃん?どうしたの?具合悪いの??」 「いや……平気だ。何でもない」 人狼のお兄ちゃんはそう言って首を振る。 でも、やっぱり顔色悪いよ………本当に大丈夫かな? 「ほら!それより見舞いに行くんだろ?時間取らせちまったし、近道教えてやるよ」 「近道?」 「そ、近道」 人狼のお兄ちゃんは、背負っていた1号さんを顔をぶつけた木の側に下ろして、近くに落ちてた小さな小枝を拾ってきた。それから目の前にしゃがみ込んで、地面に絵を書きはじめる。 「あーっと、今居んのがこの辺だから……」 ―― 数分後 ―― 「お兄ちゃんありがとー!」 「おう!気ィつけてな!」 手を振りながら去ってゆくアイツに、俺もひらひらと適当に手を振る。 (扱いやすくて助かった……) さて次は。 「……兄貴?」 「……………」 言葉こそ返してこないが、微妙に張り詰めた気配が後ろから伝わってくる。 俺はもう一度、声をかけた。 「兄貴」 「………ぐー」 「ンなイビキかく奴いねーよ」 まったく、ため息しか出てこない。 (なんでコレが『兄貴』なんだ……) そう思いながら木の幹に寄りかかった格好の兄貴を見ると、何故か睨まれた。 「………スコールは……ずるい」 「は?何がだよ?」 言ってる意味が分からない。 「俺だって!赤頭巾と話したかった!!」 そうだ、こういう兄貴だった。 「………………あぁ、そう」 俺が目を逸らした事が気に入らないのか、兄貴が更に睨んでくる。 俺にどうしろと。 「あぁそう?何だよ!あぁそうって!!だいたいお前は昔か……ら………」 兄貴の声が途中から小さくなって、遂に途切れた。 なんだ?まさか泣き……!? 「……兄貴?」 兄貴は俺が地面に書いた地図を見ていた。 それはもう、穴が開くほどに。 ………………頼むから見んな。どうせ俺は絵が下手だよ。 しかし兄貴の言葉は、俺が危惧しているようなものじゃなかった。 「スコール、この道……あの子に教えたの?」 「ん?あぁ」 だって婆さん家までの近道だし。 悪戯を仕掛けるために俺が通ってた道だ。間違えるはずは無い。 「この道ってさぁ、お婆さんが研究してた薬の材料の……アレが群生してなかったっけ?」 (アレ、ねぇ……チッ、気付いたか) 確かにいた。 臭くてでかくてウネウネしてて、気持ちの悪い………花が。 (確か食虫花だっけ?) あんなでかい口で、一体どんな虫を食べるというのか。 まぁ目標が人では無いのだから、大丈夫だろう。 が。 それを兄貴に言っても意味はなさそうだし……… 「んー……そうだったか?」 適当に誤魔化しておこう。 「そうだよ!少し前にお前が滅茶苦茶にして怒られたばかりじゃないか!!」 「いや、だってあれは……」 兄貴が虫と間違えられて食われそうになってるのかと…… だって薬の材料集めで、その対象(植物)に襲われるとか聞いたことねぇよ。 「とにかく!あんな危ない道教えるなよ!!」 「いや、アイツなら大丈夫じゃねぇ?婆さんの孫だし」 そう、アイツは兄貴を引き付けて走ってた時も中々の走りだった。 機転も利くようだし、何事も無ければ良いが……正直アイツの将来が恐ろしい。 しかし兄貴はそれに全く気付いてないらしく、親が子を心配するが如く焦っている。 「あんな小さいのに大丈夫なわけ無いだろ!?もういい!行くぞ!!」 ガシィッ 兄貴は俺の腕を掴むと、アイツが消えた道へ走り出す。 「…………俺も?」 「当たり前だ!」 「……………ハァ」 (面倒くさい……) だいたい、何で兄貴を取られるかもしれない相手を、俺が助けに行かなきゃならないんだ。 (そんなモン兄貴がひとりでやれば………) いや、でも……また兄貴が食われかけるなんて、俺は御免だ。 あの時は本当に心臓が止まるかと思った。 それに比べたら、猟師に撃たれたときの痛さなんて、比にもならない。 (仕方ない。面倒だし、アイツのお守りも嫌だけど、兄貴の為だしな……) 兄貴が心配だから、手伝うんだ。 兄貴と一緒に居たいからじゃない。 一緒に居たいからじゃないんだからな! (弟視点は家族愛だと自分に言い聞かせて書いてます) 続きは本編で。←鬼
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ねずみ年?・・・あぁ、そういえばそうだね(ぁ 忘れてたけど・・・まぁ今年もよろしくww -- パンダ (2008-01-01 16 23 37) こちらこそ、本年も宜しくお願いします。 パンダさんってペンタブ買えば絵上手そう・・・ -- やら@管理人 (2008-01-01 17 24 56) 名前 コメント
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昔々というほど昔でもなく、最近というほど最近でもない時代のあるところに、 金糸の髪とアメジストの瞳のたいそうイタズラ好きで聡明な美しき女王と、 濡れたような黒髪で、どこか可愛らしい印象の少しおつむが足りない純朴な王様がいました。 女王様は女王様らしくどSで王様は少し困っていましたが、王様はMなので結局はラブラブです。 これは、そんな二人のある日の出来事。 「ねぇ、今度のパレード用に服を新調しましょうか」 女王様は王様に問いかけているようではありましたが、 実のところ王様には女王様の発言に対する拒否権はないので、ただ女王様の言葉を肯定しました。 「そうだね、国民にみすぼらしいところは見せられないものね」 「ありがとう。そう言ってくれる思って、実はもう仕立て屋を呼んでるの」 女王様は実に仕事の早い方でした。 女王様が手のひらを打ち鳴らすと、一人の男が恭しく現れます。 「さ、どんなものがあるのか見せてちょうだい」 どうやらこの男が仕立て屋らしく、どこからか綺麗な服を何着も取り出して見せてくれました。 金色で光沢のあるドレス。赤いビロウドのドレス。空色の絹のドレス。 どれも女王様に似合いそうです。 「わあ、どれも綺麗だね」 「えぇそうね……」 このとき、女王様は何か面白そうに口端を吊り上げて微笑んでいましたが、 王様の視線はドレスに注がれていて気づくことはありません。 女王様は、仕立て屋が次に取り出したドレスに目を止めました。 「あぁ、それがいいわ」 仕立て屋の手の中にあるのは、真っ白でふわりとしたドレス。 レースがふんだんに使われていてとても上品です。 「あぁ、綺麗なドレスだね、とても似合いそうだ」 王様は嬉しそうに女王様に微笑みかけましたが、女王様は訝しげな顔で王様を見ました。 「……ドレス?何を言っているの?あれはあなたのための服じゃない」 「え?」 そう言われて王様はもう一度仕立て屋の方を見ましたが、 仕立て屋が持っているのはどうにもドレスにしか見えません。 女王様は王様にドレスを着ろと言っているのでしょうか。 王様は訳が分からず、女王様と仕立て屋を交互に見るばかりです。 「……僭越ながら、王様」 仕立て屋が口を開きました。 「私が扱う服達は実に特殊な服でして……見るものが見れば立派な男ものに見えますが、 なんともうしますか……学の足りないものが見るとドレスに見えるのです」 「……え、えぇぇええ!」 実に不思議です。 本当にそんな服があるものなのでしょうか。 女王様が、王様を見て心配そうに言いました。 「あなた、あれがドレスに見えるの?」 その言葉は王様の心に深く突き刺さりました。 つまり、あなたは馬鹿なのかと聞かれているのと同じです。 「いや、そんなわけないさ。実に格好いい服じゃないか!うん、その服を頂こうか」 王様は見栄をはりました。 どうみてもその服は真っ白なドレスにしか見えないのに。 それもそのはず、だってその服はただのドレスなのですから。 そう、これは女王様のイタズラです。 女王様は微笑んで、仕立て屋にお金を支払いました。 ドレスの値段よりも随分多めにつつんで。 「……さぁ、試着をしましょうか」 女王様は、ドレスを抱えて王様と寝室に入りました。
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朝 パーク:…… (久しぶりに落ち着いた朝…。朝って、こんなにも静かだったんだ…) パークは久しぶりに自分の家で眠ったのだった。 (それにしても、昨日の…フェオレくん。希望の光って、一体何なんだろう?あの後、すぐにどこかへ行ってしまった。今日会えたら聞かないとね。) ファイ:おーいパーク! (あ、ファイが呼んでる…) 外 ファイ:おはよう!いい天気だな! 外に出ると、救助隊メンバーの皆がいた。 パーク:おはよう、皆。 ヒーナ:ねぇパーク、こんないい天気は…デパートでも行かない? パーク:え? イースト:デパート? ヒーナ:そう、今度新しくオープンしたのよ!帰ってきたばかりでまだ疲れてるでしょ?初日くらい救助活動さぼってもバチは当たらないわよ! パーク:え、でも逆に依頼が溜ってるんじゃ… オト:心配いりませんわ。お二人がいない間の依頼は、私たちがしっかり受けておりましたわ。 ヒーナ:ま、そういうことだから…ゆっくり遊びに行きましょ?v パーク:…うん! パークたちはデパートに行くことになった。 ファイ:ほぅ。これがデパートか。 イースト:お、大きいね! ヒーナ:まずは…5階の洋服売り場ね! イースト:ぅ… ヒーナ:今の「ぅ」って何よ「ぅ」って! イースト:ひぃっ!な、なんでもないよ! ヒーナ:パーク!オト!今日は私が何でも好きな洋服買ってあげるわ!さぁ、行くわよーv ファイ:なぁイースト、オレ帰ってもいいか? イースト:えぇっ!?僕を一人にしないでよーぅ!!; ファイ:だって…女が洋服見たら大半は… 5時間後 ヒーナ:可愛いの見つかってよかったわね! オト:ですわね! ファイ:(ほらな…やっぱり時間かかるんだよな…) イースト:(ってかなんで僕たちが荷物持ち…重いよぅ;) オト:あら?あの子は… フェオレ:あ、パークだぁw ヒーナ:パークだけじゃないんですけど… パーク:あ、フェオレくん、聞きたい事があるんだけど… フェオレ:希望の光のことなら答えないよ。だって、まだ確信がないからね。 ファイ:お前がフェオレか。お前、何者なんだ? フェオレ:言ってるじゃん?僕はフェオレ。希望の光を探す者だって。 ファイ:何がしたいんだ? フェオレ:だから、探してるんだって。 ヒーナ:ファイが聞いたら無限ループしそうで怖いわ。 ファイ:何をーっ! ヒーナ:どうせ次の質問は何を探してるんだ?辺りでしょ? ファイ:… オト:希望の光って答えられて終わりですわね。 イースト:あれ?フェオレくんは? パーク:え?あれ… フェオレの姿はなかった。 ファイ:わけわかんねぇ奴だな。 (希望の光…か。あ、ナマズンさんなら何か知ってるかな?) パークは皆と別れた後、ナマズンの池に向かった。 ナマズン:希望の光?んー…わからんのぅ。 パーク:そうですか… ナマズン:というか、わしはもう昔話はこりごりじゃ。 パーク:え?どうしてですか? ナマズン:わしの昔話の所為でお主は疑いをかけられてしまったじゃろ?わしも反省してるんじゃよ。 パーク:別にナマズンさんの所為じゃないですよ。それにもう誤解も解けましたし。 ポケモン広場 (結局ナマズンさんじゃわからなかった。だとしたら後は…知識人と言えば、サイコさん!…なんだけど、 FLB はグラードンの所に行っちゃったし…) プクリン:おや?そんな暗い顔をしてどうしたの? パーク:あ、プクリンさん。 プクリン:僕でよければお話聞かせてもらえないかな? 説明中。 プクリン:そっか。希望の光…か。なんだかかっこいいね! パーク:え、あ、まぁそうですけど… (あれ、私…相談する相手間違えた?) プクリン:やっぱり君はともだち想いだね! パーク:え? プクリン:彼には彼の役目があって、君には君の役目がある。 パーク:役目? プクリン:彼の役目は希望の光探しだけど、君の役目は救助活動でポケモンたちを救うこと。ともだちを心配するのはいいことだし、ともだちのために悩んであげられるなんて、とても素晴らしいと思うんだ。 パーク:え、別に友達ってわけじゃ… プクリン:あぁ、君と話せてよかったよ!ともだちともだち~! (あ、やっぱり相談する相手間違えたみたいです。) プクリン:そうだ!ともだち想いの君にいいプレゼントをしてあげる! パーク:プレゼント…ですか? プクリン:うん!はいこれ! パークはプクリンから何かの石を貰った。 パーク:これは? プクリン:僕にもよくわからない石なんだ。でも、サイコさんに見てもらったら、何か不思議な力があるらしいんだ。僕には解明できなかったけど、君ならきっと出来ると思う。 (そんな石貰ってどうすればいいんですか…) プクリン:さてと、僕も仕事に戻ろうかな。じゃあまたね、ともだちともだち~! パーク:この石…どうしよう… 続く 前の話 次の話
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医務室 紫竜「大丈夫だよ、心配いらねえ」 クロ「悪いな、せっかく救援に来たのに全く力になれなかった」 ミナト「いやー、助かったよ」 翔平「さっきの女の人は?」 ミナト「どっか行っちゃったよ、まぁまた海に出たんでしょ」 クロ「・・・本当にすまない・・・まさか猛が・・・」 ケイ「お前が謝る必要はないだろ、見つけられなかった責任があるのは俺らも一緒だ」 伝氏「兵はかなり失ったみたいだな」 翔平「まぁ・・・ここでじっとしてても仕方ねえ、さっさと行こうぜ」 シオン「え、お前らどっか行くの?」 デルタ「あぁ、猛や夏希含む敵の正体がある程度割れたんでな、それの作戦会議を北極でやるんだ」 翔平「お前らも来るだろ?」 ミナト「あぁ、もちろんだ」 船 ミナト「あれ・・・ベル?」 ベル「船長さん‼‼‼‼」 ケイ「これは驚いたな・・・何で翔平達の船に・・・」 レナ「海で拾ったの」 紫竜「なるほど、しかし何でわざわざ北極に行くんだ?」 竜「敵の力が北極では使えないらしい、要するに奇襲される心配が無いんだと」 ミナト「っしゃ‼‼‼じゃあ出航すっか‼‼‼‼」 伝氏「おう‼‼‼」 デルタ「北極までどれくらいだ?」 レナ「んー、北の方は吹雪だろうし、氷砕きながら進むから分かんないけど1日くらいかな」 N・B機関、北極支部 アーク「ハァ・・・」 カチャ セレナ「いけませんね・・・未成年が晩酌ですか?」 アーク「10日前で20歳だ」 セレナ「この基地に来て3日・・・寝てないんですか?」 アーク「あぁ・・・どうにも寒い気候には馴染めなくてな」 セレナ「ウソ言ってもムダですよ、チームメイトが心配で眠れないのでしょう・・・」 アーク「・・・俺には医学の知識が全くない・・・あいつに何をしてやれるのかが分からないんだ」 セレナ「SEASの方々が明日到着します、心配いらないでしょう」 アーク「だが・・・」 セレナ「そんなに心配ならいってみます?部屋の前まで」 アーク「あ・・・ヒナ‼‼‼‼」 陽菜「アーク・・・」 アーク「お前大丈夫なのか・・・」 陽菜「・・・まだ・・・立ってるのがやっと」 セレナ「なのになぜ廊下に?」 陽菜「いや・・・起きたら部屋で・・・とりあえず外で寝息が聞こえたから出て来たの・・・あれ」 アーク「・・・・・・タイガ?」 大雅「・・・ZZZ」 セレナ「なるほど、2人ともあなたが心配で仕方なかったようですね」 陽菜「あなたは?」 セレナ「セレナです、今は10代目候補の教育係をしています」 アーク「まぁ寝ろ、まだ体調は優れないだろ?」 陽菜「うん、おやすみ」 翌朝 大雅「ふぁ~~・・・おはー」 ナギ「おはようございます、第3モニターにSEASの船を発見しました」 リキ「氷に嵌っちゃったみたいだな・・・」 大雅「第3モニターって遠くね?」 ナギ「今セレナとアークさんが砕氷船で向かってます」 第3モニター地点 翔平「あー進まねえ‼‼‼‼」 鬼鮫‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 竜「ったく・・・キリがねえぜ」 レナ「んー、春だからもう氷少なくなってると思ってたけど、甘かったかなぁ」 獅王波‼‼‼‼‼‼‼‼‼ ブレード・シュート‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 紫竜「ち」 ケイ「どうすんだよー、これじゃ日が暮れるぜ?」 エレン「北極は夜無いっしょ」 ケイ「どーでもいいんだよ、んな事は‼‼‼‼」 ミナト「やっぱ船浮かせて基地まで持ってけばいいんじゃねえの?」 シオン「もし基地の周りが氷しかなかったら船どこに置くんだよー、その前にお前力尽きるだろー?」 エミ「あれ・・・何か船来るよ?」 ミナト「あれは・・・セレナだー‼‼‼‼」 セレナ「わざわざご苦労さまです、砕氷船と来たので後をついてきてください」 アーク「SEAS本部隊も合流か、心強いな」 ケイ「お前・・・神速部隊の‼‼‼」 紫竜「あの時の・・・」 アーク「今回は味方だ、恐らくな」 セレナ「あれ、知将さんがいらっしゃいませんね」 翔平「あー、寒いだろ、あいつ弱いんだよねそれ」 北極支部 拓海「あ、どもー」 翔平「あれ、そっか、N・B機関の部隊も合流してるんだよな」 ケイ「結構広いんだな、兵はいないのか?」 ナギ「えぇ、全員ハワイ支部の復旧に行かせました」 竜「そっちは大丈夫だったか?」 ナギ「まぁ・・・大丈夫ではなかったですね・・・そちらは?」 ミナト「そーね・・・まだ紫竜は本調子じゃないっぽいし・・・」 アーク「来てもらって早々悪いんだけど、うちのチームメイトの怪我見てもらってもいいか?」 クロ「あぁ、そうだった、頼むわケイ、デン」 ケイ「うーい」 ケイ「・・・女じゃん‼‼‼‼かわいー‼‼‼‼」 伝氏「だろー」 ゴッゴッ クロ「マジメにやれ」 ケイ「分かったよー」 伝氏「はいはい」 ケイ「んー・・・外傷も酷いし体力をかなり消耗してる」 伝氏「まぁそりゃあれだけやられてたしな・・・手術は俺が請け負おう」 ケイ「じゃあ薬の調合してくる、この基地にある薬はこれで全部か?」 ナギ「えぇ、ここが医務室なので」 ミナト「あいつら俺らに有効な薬みたいなの持ってんだよ」 セレナ「それは私も感じました」 ミナト「Vセッテの呪いは解除されたんじゃなかったのかよ」 志保「力を解放されただけって事ですか?」 セレナ「そう考えるのが妥当でしょうね、確かに彼と戦い始めてから体が動きづらくなりましたし」 ミナト「じゃあ俺ら結局戦えねえじゃん」 セレナ「まぁ、確かに戦力は大きく減りますが、その分サポートに全力を尽くせる」 カチャ リキ「会議中失礼、BLOODのヘリが第5モニター付近に来たんで」 セレナ「ヘリですか、よくエンジンが耐えきりましたね」 カチャ レイン「よぉお前ら」 ミナト「早‼‼‼」 リキ「驚いた・・・まぁ第5モニターは近いしな」 鮫島「またお前らとか・・・」 ミナト「疾風は?」 レイン「UBは捕まらなかったんだよねー、何か遠くに行っちゃってるみたいで」 志保「あと・・・亜門さんいらっしゃいませんね」 鮫島「ま、あの変人は放っておいていいだろ」 プルルルルルル セレナ「ミナト、電話なってますよ?」 ミナト「あぁ・・・もしもし・・・亜門‼‼‼」 レイン「何‼‼‼‼?」 ミナト「モニター?あぁ、セレナ、この部屋のモニターに俺のケータイつながる?」 セレナ「えぇ・・・出来ますけど・・・」 カチャ 亜門「久しぶり諸君、お願いと言うか報告があるんだ」 レイン「研究の対象ならお断りだ」 亜門「またタイムワープの研究を再開したんだ、お前らに迷惑がかかる可能性が少しあるので報告だ」 鮫島「前の時みたいに誰かがワープするのか?」 亜門「可能性の話をしている、まぁ前の黒綱の時のような事はないと思うがな」 部下「先生‼‼機械の故障です‼‼」 亜門「と、いうわけだ、忙しいので切るぞ」 プツッ レイン「相変わらず一方的だな」 セレナ「いつもそうじゃないですか」 志保「あの・・・前って・・・」 ミナト「俺も知らねえ、何?」 鮫島「そういやお前ら知らないんだったな」 レイン「俺やシン達は一度未来へ行ってある敵と戦ったんだ、その記憶を戦闘に関わったこの時代の全員に渡した、志保以外のな」 志保「何で私だけ・・・」 レイン「お前の母は、この時代のお前にそんな事を知って欲しくなかったんだろうな」
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▼ そこにいたのは勝者と敗者だった どうやら勝ったのは、帽子を後ろ向きに被った少年で 敗者は 律「あっー!! 泥棒!!」 赤毛の少年だった 律の声に、勝者と思われる少年は、え?という顔を見せる 律「いいから、そいつ捕まえてー」 帽子の少年へと叫ぶと しかし直後 赤毛の少年が動きを見せた 赤毛の少年「っち……退くぞ、ヒノアラシ!」 ボールに今まで戦わせていたポケモンを戻し、逃げ出した 律「ワニノコ、追うぞ!」 叫ぶようにワニノコを見ると…… ワニノコ「ワニワニ!」 チコリータ「チコッ!」 帽子の少年のポケモンとじゃれ合っていた。 そして 帽子の少年「えっと、何がなんだか分からないんですけど、説明してもらっていいですか?」 律はその疑問に一瞬まよった顔を見せるが、 律「(今から追っても……まぁ追いつけないか…)」 「はぁ……」 大きな溜息をつき、少年へと説明を始めた ▼ ゴールド「えぇー!!ウツギ研究所で泥棒!?」 ゴールドと名乗った少年は驚きの声を上げた 律「あれ、ウツギ博士は知ってるの?」 ゴールド「あ、はい。実は自分も今日ポケモンをもらって旅にでたんです」 その言葉に律は 律「(あぁ、そういえばウツギ博士が私の前にポケモンをあげたっていってたっけ)」 「で、君はなんでさっきの赤毛の子とバトルしてたのさー」 ゴールド「博士のところへの届けるものがあったから、 ワカバに戻ろうとしたら急にバトルをふっかけられちゃって……」 まぁ、勝ちましたけどね とキリっとした表情を見せたゴールドの言葉を律は相手にせず考える 律「(アイツの目的はなんなんだ……?バトルしたってことは売買ってわけじゃなさそうだけど……)」 ゴールド「えっと、律さん聞いてますー?」 律「えっ?あぁ、聞いてる聞いてる。それじゃ、あいつの名前とかわかんないよなー?」 ゴールド「あぁ、それなら分かりますよー。たしかシルバーって……」 律「だよなー。やっぱり、わからないよなー……って、えええええ!!」 ゴールド「うわぁ、びっくりしたなぁ。いきなり大声をださないでくださいよー」 律の声に体を一歩のぞけらせたゴールドがのんきな声をだした 律「なっ、なんでわかったんだ?」 ゴールド「いや、バトルのときにアイツのトレーナーカードがチラっとみえましたから」 なんて視力してるんだ……と律が内心呟くと、 ゴールド「これでも視力も動体視力もいいんですよ!」 またしてもキリッっとした顔で答えた だが、律は 律「(シルバー……か。忘れないぞ)」 そして 律「君、えっとゴールド君だっけ?ウツギ博士のところに行くならこのこと伝えておいてよ」 ゴールド「律さんはどうするんですか?」 律「えっと……私は……」 ポケモンセンターで寝る とは言えず 律「この先の30番道路に待たせてる人がいるんだよ!」 嘘はついていない、と律は頭の中でオーキド博士を思い浮かべ うんうん、と頷いた ゴールド「?」 「はぁ……まぁわかりましたけど、それじゃぁ早速僕は向かいますね」 そういってゴールドはチコリータと呼ばれていたポケモンを抱え、律に背を向けた 律「まっ、私だって女の子だし、夜くらいは男の子パシらせても罰は当たらないよなー」 ゴールドがいなくなった後、律が一人で呟き ワニノコ「ワニッ!!」 よくわかっていないワニノコがとりあえず頷いた 1人と1匹の向かう先は、街で最も灯りを発している場所 ポケモンセンターだった 律「(よっし、野宿はまぬがれたなぁー)」 ▼ ――30番道路(翌朝) 律「おおっ、やっぱりトレーナーって感じのやつも結構いるなぁ」 目の前に広がる道を見渡した 東の道と西の道に別れており、その中心には林のような木が邪魔をしている 西側の道ではどうやらトレーナー同士が対戦しているようで 律「えっと、博士に会いに行かないといけないから、道はコッチだな」 東側の道へと歩みを進めることにした ……それにしても、やっぱりカントーにはいないポケモンもいるなぁ あちらこちらで顔を出す野性のポケモンを見て律は思う 律「お、ポッポはやっぱりこっちにもいるんだなぁ。あっ!あの木はコクーンの巣か!」 懐かしいなと思う気持ちは故郷のトキワシティを思い出したからだ 律「(小さい頃よく澪と遊びにトキワの森にいったっけ……あいつ薄暗い雰囲気が苦手で怖がってたなぁ)」 ――ブンッ その時なにか音が響いた あまり気持ちいい音ではない 律「なんだぁ……?」 言ったとき、気付いた ここはコクーンの巣だということの意味に つまり 律「スピアーもいるってことかぁ!!」 後ろを振り向いた そこには3体の並んだ蜂が自分の両手の針を鳴らし威嚇している 律「でっ、ですわよねー……」 一歩仰け反った律は、すぐに反転し 逃げる体勢にはいった 律「くそおお、スピアーの縄張りだったのかあああ」 ▼ 律はほとんど全力で走っていた 後ろにはスピアーがついてまわっている が、 そろそろ自分の域が切れ始めた 律「あぁ、もう。疲れたしめんどくさい!」 言った律が急に足をとめ、3匹のスピアーと向き合った 律「ふふふ、私を怒らせたことを後悔させちゃる……いけ、ガーディ、イーブイ!」 ガーディ「ガウ!!」 イーブイ「ブイッ!!」 三匹に対して繰り出されたのは二匹だ 本当はワニノコも出せればいいのだが、と思うが 律「(正直、そこまで指示がまわらないよなー)」 だから、二匹でスピアーに向かうことにした 律「本当は二匹への指示も慣れてないけど、まぁ野生ポケモンだし、追っ払えればいいし大丈夫かな」 一方、3匹のスピアーは繰り出されたポケモンに対して、戦闘態勢をとっていた 先制を仕掛けるのはスピアーだ スピアーは集団行動時のできるモンスターだ。 だから、攻撃を仕掛けるときには、より効率的な形を取る スピアー「――!!」 まず一匹目が直線で来た 狙われたのはイーブイだ 律「よけろ、イーブイ!!」 直線の動きに横にずれる形で対応するが スピアー「――!!」 二匹目のスピアーが横から加速しながら針を突き出してきた 律「イーブイ、上だ。ジャンプ」 今度はジャンプして、かわす形を取る そして スピアー「――」ブンッ 3匹目の羽音が上から来る 本命の攻撃だ 落ちる形になったスピアーは真下に針を振り下ろす形で攻撃にきた だが 律「へっへん、こっちもスピアーには襲われ慣れてるから、行動はわかってるぜ!!」 トキワにいた頃の経験だ。 「ガーディ、火の粉だ!!」 律の斜め前で構えていたガーディに指示をだす 指した先にあるのは、真下へと落下しようとしていたスピアーだ ガーディ「ガルッ!!」 チリッと空中に散った火の粉はスピアーに襲い掛かり その羽を少し焦がした 羽が焦がされたスピアーは、もがき ――ボタッ 落ちた 律「よっし、まずは一匹。次、イーブイでんこうせっか!!」 ジャンプから着地したイーブイはすぐに行動にでた 目指す先は、二匹目のスピアーだ 反転して再び襲い掛かろうとしていたスピアーへとイーブイが体当たりした 完全に不意をついた攻撃となったそれは、スピアーを木に叩きつけるには充分すぎ る威力だ ぶつかる音に次いで、再び落ちる音を律の耳は捉えた 律「こうなったら、あとは簡単だな」 残すは一匹のスピアーだ どこかたじろぐ様子をみせるそれに 律「ガーディ、ほえろ!!」 ガーディ「ワオーン!!」 吠えた 音が威嚇行為となり、そのまま残ったスピアーへと向かう スピアー「――…!?」 そして ――ブンッ 羽音を残し、林の中へと消えた 律「ふぅ~、なんとかなったなぁ」 一息つき、 律「よくやった、ガーディ。いつも澪とやってた追い払い方を覚えててくれて助かったよ」 「それにごめんなぁ、イーブイ。おとりみたいな役をさせて」 律が二匹の頭をやさしく両の手で撫でた ガーディ「ガウガウ♪」 イーブイ「ブーイ♪」 ▼ ――ポケモンじいさんの家 律「ま、なんとか着いたな」 目の前には家がある。 あきらかに、場違いな場所にあるその家が律の目的地だ 律「すいませーん、こちらにオーキド博士がいるって……」 オーキド「おおっ!!ようやくきたか、待ちくたびれるところじゃったぞ」 なにやら慌てた様子のオーキドが、ドアを開けたばかりの律に反応した 律「……? なにかあるんですか?」 オーキド「おー、これからラジオの収録でな、とりあえずこれを」 オーキドが白衣の内ポケットを探る様子をみせ オーキド「ほれっ、ポケモン図鑑じゃ」 律に差し出されたのは、赤い手のひらより少し大きめの機械だ たしか唯がポケモン図鑑ってのをもってたなぁ と思うが 律「あれ?でも、これ唯が持ってたやつと形が違う……?」 オーキド「最近になって新しく作ったやつじゃからな。まぁ、唯のと中のデータはほとんど同じじゃ」 「唯に図鑑を渡したのはいいんじゃが、あの子もあまりポケモンを集めるということはしていないからのお」 「まぁ、ミュウのデータを持ち帰るという補って余りある働きをしてくれたんじゃがの」 少し苦笑気味に笑みをみせたオーキドが言い おっと、と話がずれたことを元に戻そうとし、一度咳払いをした それから、だからと繋ぎ オーキド「君にも図鑑の収拾を手伝ってもらいたいんじゃよ。君が悪い子じゃないっていうのはわかっておるしの」 律「いいんですか?」 オーキド「まぁ、昨日面白そうな少年にも託したことじゃしのう。それに、澪君にも手に渡るように手配したところじゃ」 律「(澪にも……!!)」 律「わかりました。ありがたく頂きます」 そういって両手でその図鑑を受け取ると オーキド「おっと、ワシも早く行かんとな。それじゃぁ、図鑑のことは任せたぞ」 オーキドはポケットからボールを取り出し オーキド「ピジョット、コガネまで急いでおくれ」 現れたピジョットの背中に乗り、空へと飛び出し やがて、消えていった 残された律の手のひらには赤い図鑑がある ……ようやく同じ舞台に上がった 唯の手にも同じものがあり、澪の手にも渡るという。 それを見て思うことは ……負けられないな 顔を上げた 見るのは西の方向だ その方角には 律「行くか、一つ目のジム。キキョウシティへ」 「VSスピアー」 〆 26
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むかしむかし、あるところに男と女がおりました。むかしむかしといっても、そんなに昔ではなく、泉こなたが生まれる少し前のお話し。 男の名はそうじろう。幼きころからオタク人生を歩んできた、胸のランクはヒ・ミ・ツの人。 女の名はかなた。そうじろうの幼なじみで体系だけ見たら小学生にしか見えない、胸のランクは極少の人。 これはそんな二人の学生時代の話し。 そうじろう「なぁ、かなた。」 かなた「・・・」 そうじろう「かなた…」 そうじろうはかなたを怒らしていた。なぜそのようになったのか、話しはさらに巻き戻る。 高校生・泉そうじろうの失敗 ゆき「ただいま…。」 ある秋の日の午後9時過ぎ、ゆきが家に帰ってきた。少々お疲れのご様子だ。 そうじろう「おかえり。」 ゆき「あ、お兄ちゃん!かなたさんから聞いたよ。文化祭の準備放っぽって帰っちゃったんだって?どうせ、アニメが見たかったからなんでしょう!」 そうじろう「な、なに!?なぜわかったんだ!なにも言ってないのに!!」 ゆき「お兄ちゃんのこと知ってたら、誰だってわかるよ。」 そうじろう「そうなのか?」 ゆき「そうなの。」 そうじろう「なるほど、つまり、ゆきにもわかったわけだ。これはまさに兄妹愛のなせる技というわけだ。さぁ、ゆきよ、お兄ちゃんの胸に飛び込んで来い。お前の愛を受けとめて」 ゆき「黙らないと星にするわよ。」 そうじろう「はい…。」 ものすごい剣幕で睨まれたそうじろうは腕を広げた格好のまま後ずさりした。ゆきは相当お疲れのご様子だ。 着替えを終えたゆきがリビングに来た。 母「おかえり、ご飯はどうする?」 ゆき「食べる、お腹空いてもう動けない。」 母「はいはい。」 ゆきは椅子に座ると“もう動けませんよ”という感じでテーブルに倒れた。 そうじろう「そういえば、ゆきのクラスってなにするんだっけ?」 ゆきはそうじろうの質問に答えるために顔を上げた。 ゆき「え?文化祭の出し物?お兄ちゃんのところはお化け屋敷だっけ?」 そうじろう「ああ。」 ゆき「うちのクラスは喫茶店だよ。」 そうじろう「ありきたりだな。」 ゆき「うるさいな、いいじゃん別に。特に案がなかったからそれになったの。」 そうじろう「なにか催しとかするのか?」 ゆき「別に、なにもしないわよ。普通の喫茶店。」 そうじろう「なんだ、つまんねえの。せっかくなんだからなにかすればいいのに。」 ゆき「たとえば?」 そうじろう「そうだな…たとえば、女子はふりふりのかわいらしい服着て、男子はスーツで紳士的に決めてするっていうのはどうだ?」 ゆき「いやよ!そんな恥ずかしいこと!!」 そうじろう「そうなるとあれだな、あいさつは“おかえりなさいませ”にしないとな。」 ゆき「なんでよ!どこから帰ってきたのよ!!」 そうじろう「さらにその後に“ご主人様”とか“お嬢様”とか付けるといいな。ってゆき?」 ゆき「…」 自分のアイデアを自慢げに話していたそうじろうだったが、ゆきはもはや突っ込む元気もなくグッタリしていた。 ゆき「かなたさんも大変ね。」 そうじろう「ん?なんでここでかなたの名前が出てくるんだ?」 ゆき「…」 ゆきはいままで疑問に思っていたことを聞こうかどうか迷った。そして、意を決して聞いてみることにした。 ゆき「ねぇ、お兄ちゃん。」 そうじろう「ん?」 ゆき「お兄ちゃんとかなたさんって付き合ってるんじゃないの?」 一瞬、世界が止まったように感じた。実際に止まったいたわけではないが、そうじろうが固まって動かなかった。 そうじろう「…」 ゆき「…?」 そうじろう「…」 ゆき「おにい」 その間、きっかり5秒。 そうじろう「う゛がべり゛ばだよ゛ずに゛ぎい゛」 ゆき「お、お兄ちゃん!?」 母「ちょっとそうじろう、うるさいわよ。」 そうじろうが落ち着くまでさらに5分かかった。 そうじろう「ばびをひってりるんだゆぴ、おぺとかにゃたは」 あ、まだ落ち着いてないや。 もうさらに5分後。ちなみにすでにゆきの夕食が出ている。 そうじろう「なにを言っているんだゆき、俺とかなたは単なる幼なじみでそうゆう関係じゃ…。」 ゆき「本当に?」 そうじろう「本当だ。それにだいたい…」 ゆき「だいたい?」 そうじろう「かなたは俺なんて眼中にないだろう…。」 ゆきはエビフライを食べている手を止めて、心の底から思ったことを口にした。 ゆき「あっっっっっっきれた。」 そうじろう「へ?」 ゆき「もし、本当に眼中にないならいつも一緒にいるなんてことないでしょ。」 そうじろう「そ、そうなのか?」 ゆき「そうよ。少なくとも嫌いな相手と一緒になんかいたくはないでしょ?それに、かなたさんはお兄ちゃんのこと頼りにしてるみたいだし、十分脈ありだとおもうけど。」 そうじろう「そう…なのか?」 ゆき「そうよ。かなたさんだってその気はあるはずよ。してないならちゃっちゃと告白しちゃいなさいって。」 そうじろう「そう…だな…。」 そう言うとそうじろうは立ち上がって自室へ歩いていった。 ゆき「お兄ちゃんって意外と奥手なのね。…エロゲやってるのに。」 ゆきは独り言のように言うと再びエビフライを食べ始めた。 母「でも、あの子にかなたちゃんはもったいない気がするわね。」 ゆき「って、お母さん今の話し聞いてたの!?」 母「そりゃ聞こえるわよ。」 ゆき「そりゃそうだ…。」 そうじろうは自室で悩んでいた。自分はかなたをどう思っているのか?かなたのことが好きか、と聞かれば答えは“イエス”。しかし、それは幼なじみとして、の答え。恋愛対象として好きか、聞かれると答えに悩む。かなたは小さいころから一緒にいた特別な存在だ。恋愛対象として見ていいのか?…特別?特別ってどういう意味だ?自分にとってなくてはならない存在という意味か?そうであるなら・・・ そうこう考えているうちに夜が明けてしまい、そうじろうは一睡もできない・・・こともなく、ばっちりぐっすり眠っていた。不思議な夢を見ることになるが…。 次の日。ゆきはそうじろうと共に登校していた。 ゆき「お兄ちゃん、昨日は良く眠れたの?」 そうじろう「おお、おかげさまでばっちり!」 ゆき「そう。」 ゆき(って、かなたさんとのこと悩む気全くなしですか!?) ゆきはいつもと変わる様子のないそうじろうを見て、 そんなことを考えるのだった。悩み事など全くないように見える兄を少々羨ましくも思った。しかし、次の瞬間、その考えは一蹴されることになる。 かなた「そう君、ゆきちゃん、おはよう。」 ゆき「あ、おはようございます、かなたさん。」 ゆきはいつものようにあいさつをした。しかし、 “ピシッ” そんな音が聞こえて、音のするほうを振り返ると、そうじろうがしかくくなっていた。と、いうより、線だけで体が構築されていた。 かなた「どうしたの、そう君?」 そうじろう「ナ、ナンデモアリマセンヨ、カニャタサン。」 かなた「?」 ゆき「・・・」 そうじろうは、なぜかカタコトになっていた。その原因がわかるような気がするゆきは、少々驚きを隠せなかった。 かなた「それならいいけど。じゃ、学校へ行きましょう。」 そうじろう「ハ、ハイ。」 三人は学校へ向かって歩きだした。ゆきは兄が緊張しているのが丸わかりだった。なぜなら、 ゆき(うわぁ、お兄ちゃん、左手と左足同時に出てるよ。) と、いう感じになっているので。 かなた「そう君、やっぱり変よ?」 そうじろう「そ、そうか?」 かなた「熱でもあるんじゃない?」 そういうと、かなたはそうじろうの熱を計ろうとした。しかし、かなたの身長ではそうじろうに届かず、つま先立ちになり、そうじろうの胸のあたりに右手をあてて体を支え、左手でおでこを触り、熱を計った。ほとんど体が密着する形になってしまい、そうじろうは体が熱くなっているのを感じた。 かなた「少し、熱あるみたい。大丈夫?」 そうじろう「・・・」 かなた「そう」 そうじろう「お、俺、先に学校行ってるわ。」 かなた「え?そ、そう君?」 そうじろうは顔を真っ赤にしながら全力疾走していった。 かなた「どうしたのかしら、そう君?」 ゆき(あなたのせいですよ。) ゆきは心の中でそうつぶやいた。 かなた「そう君、そっち押さえてて。」 そうじろう「は、はい。」 かなた「そう君、釘取って。」 そうじろう「こ、これか?」 男子生徒「どうしたんだ、あの二人。いつもと様子が違うぞ。」 (CV:立木文彦 以下略) 女子生徒「そうね、なんか泉くんがかなたちゃんを妙に意識しているようにもみえるわね。」 (CV:くじら 以下略) かなた「そう君、本当に大丈夫?つらいようだったら保健室で休んでたら?」 そうじろう「い、いや、大丈夫だ!別に体調悪いわけでも風邪引いてるわけでもないから。」 かなた「そう?それならいいけど。」 そう言うとかなたは作業に戻った。一方、そうじろうはというと、真剣そうな顔をして決意を固めているような感じであった。そして、 そうじろう「かなた。」 かなた「な、なに?」 いきなり小声で話しかけられ、かなたは少し驚いた。 そうじろう「あとで体育館裏まで来てくれないか?」 その言葉にかなただけでなく周りの者も反応した。そうじろうは周りに聞こえないくらいの声で話したつもりだったが、二人の様子をじっと見ていた周りの者には十分に聞こえていた。 かなた「ええ、いいわよ。」 かなたはよく意味がわからなかったが断る理由もないのでそう答えた。 “体育館裏”そう聞いて思い浮かぶのはおおよそ二つだろう。決闘か、もしくは…告白。二人の話しを聞いていた周りの者はもちろん、後者を思い浮かべた。実際、そうじろうもそのつもりであった。 一時間後、ゆきのクラスでは喫茶店の準備をせっせと進めていた。すると、 ゆき(あれ?かなたさん?) ゆきは校庭を歩いているかなたを見つけた。 ゆき(かなたさん、どうしたんだろう?向こうにあるのは…体育館くらいだし…。) ゆきは不思議に思ったが作業に戻ることにした。その5分後、 ゆき(あれ?今度はお兄ちゃん?) そうじろうが校庭を歩いていた。 ゆき(お兄ちゃんも体育館?ん?かなたさんと、お兄ちゃんが、体育館へ。ああ、なるほど、そういうことか。) ゆきは全てを理解した。 ゆき(お兄ちゃん、ファイト!) ゆきは心の中でそう呟いた。そしてさらに1分後、 ゆき(って、今度はなに!?) そこにはかなたとそうじろうのクラスメートのほとんどが体育館へ向かっていた。なにをしようとしているかは、まぁ、言うまでもない。 女子生徒「ゆきちゃん、どうしたの?」 外をぼーっと見ていたゆきは友達の声で我に返った。 ゆき「え?いや、その・・・わ、私、腰の口内炎が痛いから保健室行ってくる。」 ゆきはそういうと、教室から飛び出していった。 女子生徒「ゆきちゃん、腰に口内炎はできないよ…。」 周りにいた者全員が頷いた。 ゆきは、野次馬たちが兄の告白の邪魔になるのでは、と思い来てみたが特にそういうこともなかった。全員が二人を静かに見守っていた。ゆきを含めて。ゆきと野次馬の半数は茂みから二人を見ていた。体育館の屋根から見ている者もいた。落ちるなよ。残りは木の枝を持って木のフリをしていた。よく見つからないな…。 最初に口を開いたのはかなただった。 かなた「どうしたのそう君、こんなところに呼び出して。」 そうじろう「かなた。」 かなた「なに?」 そうじろう「その…あの…」 ゆき(頑張れ、お兄ちゃん。) 男子生徒(とっとと告っちまえ、泉。) 女子生徒(はやくかなたちゃんを落とすのよ、泉くん。) そうじろう「えっと、俺…」 ゆき(…) 男子生徒(…) 女子生徒(…) そうじろう「俺は…お、お前が振り向いてくれないから俺はこんなギャルゲ好きになったんだ!だから責任取って俺と付き合え!!」 そのセリフに周りで聞いていた全員がずっこけた。 女子生徒(それ、告白のつもり!?ひど!!) 男子生徒(泉らしいっちゃらしいな。) ゆき(お兄ちゃんったら…まぁ、かなたさんもお兄ちゃんのことよく知ってるし、照れ隠しだってことくらいわかるわね。っていうか、振り向かなかったのってお兄ちゃんの方なんじゃ…) おのおのそんなことを考えながら、かなたが返事をするのを待った。そして、かなたが口を開いた。その間、時間にして3秒くらいだが、かなり長い時間であったように感じた。 かなた「なにそれ。」 そうじろう「へ?」 ゆき(へ?) 男子生徒(へ?) 女子生徒(へ?) かなた「そう君がそんなになったのは私のせいだって言いたいの!?」 そうじろう「い、いや、別にそういう意味じゃなくて・・・」 そうじろうは思ってもみなかったかなたの言葉に慌てふためいた。 かなた「自分のことなのに他人のせいにするなんて最低よ!!」 そうじろう「ちょ、ちょっと、かな」 かなた「そう君なんか嫌い!もう話しかけないで!!」 かなたはぷいっと顔を背け、歩いていってしまった。この時、そうじろうの頭に浮かんだのはただ一言だけ。告・白・失・敗。 その場に残ったのは石像のように固くなったそうじろう…と、野次馬の面々だけだった。 男子生徒「泉…」 女子生徒「泉くん。」 ゆき「お兄…ちゃん?」 見るに見かねたゆきたちが隠れているのも忘れて話しかけた。 男子生徒「いず…み。」 そのうちの一人がそうじろうの肩に触れ途端、 “ガラガラガラ” そうじろうは石像のように崩れ落ちた。 女子生徒「きゃぁー、泉くん!!」 男子生徒「救急車、救急車呼べ!117番!!」 ゆき「救急車は119番です。」 皆がパニクっているかな、ゆきが冷静につっこんだ。 その後、そうじろうは保健室へ運ばれた。そこでずっとウンウン唸っていたので保健室にいた生徒にも先生にも迷惑をかけたらしい。 次の日以降、空はどんよりしていた。まるでそうじろうとかなたの様子を表したかのように…。 そうじろう「かなた」 かなた「ごめん、ちょっとそっち押さえてくれる?」 男子生徒「え?あ、ああ・・・」 そうじろう「…」 そうじろう「かな」 かなた「ねぇ、そこの釘取ってくれない?」 女子生徒「は、はい。」 かなた「ありがとう。」 そうじろう「…」 あの日以来かなたはこんな調子でそうじろうと話そうとしない。周りの者も二人の様子が気になって作業がほとんど進まなかった。一度だけそうじろうがかなたの前に立って話したことがあった。しかし、 そうじろう「かなた」 かなた「なに…」 かなたは少し怒ったように言った。 そうじろう「お・・・俺、その・・・」 かなた「用がないなら邪魔しないで、忙しいんだから。」 そう言ってかなたはそうじろうの横を素通りしていった。 そうじろうは完全に落ち込んでしまったらしく、学校だけでなく家でも覇気がなかった。ゆきもそうじろうを励ましてきたが、全くと言っていいほど効果はなかった。それほどかなたに嫌われたのがショックだったのだ。そして、そうじろうとかなたの仲が良くならないまま、空もずっと曇っていて日差しがでることがなく数日が過ぎた。そんな日が続き、ついに文化祭の2日前になった。その日は朝から雨が降っていた。 ゆき「お兄ちゃん、しっかり前向いて歩いてよ。」 そうじろう「あ?ああ…。」 ゆき「はぁ~・・・」 そうじろうとゆきは傘を差しながら一緒に登校していた。ここ数日、そうじろうはずっとこんな調子で元気がなかった。特にこの日は雨が降っているせいかいつも以上に元気がなかった。 ゆき「あ、かなたさん。」 そうじろう「!!」 ゆきはかなたが少し前を歩いているのに気づいた。そうじろうもバッと顔を上げた。 かなた「…」 かなたもそうじろうたちに気づいたが、目を合わせることもなく歩いていった。 そうじろう「かなた…」 そうじろうは再びしょんぼりとした。 ゆき「お兄ちゃん。」 そうじろう「ん?」 ゆき「お兄ちゃん、かなたさんにちゃんと謝った?」 そうじろう「いや、まだだ。かなたは俺の話を聞こうともしないし…。」 ゆき「そう…。」 そうじろうとゆきは解決策を見いだせないまま学校に歩いていった。 ゆきはクラスで喫茶店の準備をしていた。しかし、兄のことが気になって集中できていなかった。 女子生徒「ゆきちゃん。」 ゆき「え?あ…」 ここでゆきは始めて自分が椅子に座ってボーっとしていたことに気が付いた。 女子生徒「どうしたの、ボーっとして?」 ゆき「ちょっと、お兄ちゃんのことでね。」 女子生徒「ああ…」 そうじろうとかなたのことは学校でも噂は広まっていたので、その友達はゆきの言いたいことがすぐに分かった。 女子生徒「どうなるんだろうね、泉先輩たち。」 ゆき「…」 女子生徒「ゆきちゃ」 “ガタッ” その瞬間、ゆきは勢いよく椅子から立ち上がった。 女子生徒「ゆ、ゆきちゃん?」 ゆき「ごめん、私ちょっとお兄ちゃんに喝入れてくる!」 そう言うとゆきは一目瞭然に教室を出て行った。 女子生徒「が…頑張ってね~。」 友達はそんなゆきの後ろ姿を見ながら言った。 女子生徒「っていうか、準備はサボリですか?」 その言葉に周りの者は反応してよいのかどうか迷ってしまった。 ところ変わってそうじろうたちのクラス。こちらでもお化け屋敷の準備をしていた。しかし、前にも述べたようにあまり進んでいなかった。クラスの者全員がそうじろうとかなたのことが気になって、作業に集中できていなかった。そうじろうはもう、かなたと話しかけようともしなかった。 男子生徒「泉!」 そうじろう「ん?」 かなた「…」 そうじろうはクラスメートに呼ばれ振り返った。かなたも横目で見ていた。 男子生徒「泉と話がしたいってさ。」 そうじろう「誰が?」 そう言いながらそうじろうは出入り口に歩み寄った。そこで自分を呼び出した相手が誰だかわかった。 そうじろう「ゆき」 ゆき「お兄ちゃん、ちょっと話があるんだけど。」 ゆきはクラスの中を見た。一瞬、かなたと目が合ったが、すぐに兄に目を戻した。 ゆき「来てくれるよね?」 有無を言わせぬような声でゆきは言った。 そうじろう「でも、俺、まだ準備が」 ゆき「来い!!」 そうじろう「は、はい!」 今度こそ有無を言わせなかった。そうじろうは前を歩くゆきの後ろに付いていかざるおえなかった。そんな姿をかなたは横目でジッと見ていた。そして、周りの者はこう思った。 (((( 怖!! )))) ゆきが兄を連れてきたのは裏庭だった。そこは校舎のすぐ裏なのだが校門と反対側にあるので、文化祭でも使われることがなく、話をするには最適だった。ベランダがあるので、その下にいれば雨で濡れることもない。 そうじろう「で、話ってなんだ?」 そうじろうは少し疲れたような声で言った。精神的に参っているようだ。 ゆき「なに?お兄ちゃんの第一声がそれ?いつもだったら“こんな所に連れてきてなにをするつもりだ、ゆき。は!まさかお兄ちゃんを襲う気か!?やめるんだゆき、俺たち兄妹じゃないか。”くらい言うかと思ったけど。」 そうじろう「え?いや…その……」 ゆき「はぁ…、冗談よ、冗談。本当に参ってるのね、お兄ちゃん。そんなに気にするならさっさと謝っちゃえばいいのに。」 そうじろう「そ、そんなこと言ったって、かなたは俺の話、全然聞いてくれないし…。」 ゆきは兄に詰め寄ってきた。そうじろうは思わず後ろに下がり、校舎の壁にぶつかってしまった。 そうじろう「な、なんだよ。」 ゆきは自分の人差し指を兄の胸のあたりに押し付けるように突き立てた。 ゆき「あのね、お兄ちゃん。本当に謝る気あるの?謝る気があるならどんなことをしてでも謝るべきよ。話を聞いてくれないならひっ捕まえる、逃げようとするなら押し倒してでも話を聞かせる、それくらい必要だよ。」 そうじろう「お、押し倒すって…」 ゆき「もちろん、本当にしちゃだめよ、犯罪行為になりかねないから。私が言ってるのは、それくらいの勢いはいるってこと。」 そうじろう「…」 ゆきは指先を兄から離した。 ゆき「かなたさんのこと…好きなんでしょ?」 そうじろう「!」 ゆき「だったら、このままにはできないはずよ。かなたさんのことを想っているなら…謝ってちゃんと関係を修復しないと。話はそれからね。」 そうじろう「…」 ゆき「自分の過ちをちゃんと認めて、素直に謝る勇気も必要なんだよ。」 そうじろうは静かに顔を上げた。さっきまで死んだ魚みたいにしていた目には生気があふれていた。 そうじろう「ありがとう、ゆき。俺、かなたとこのまま終わる気はない!」 ゆき「どういたしまして。まったく、出来の悪い兄を持つと大変だわ。」 そうじろう「よし、そうと決まったら善は急げだ。俺、かなたのところに行ってくる。」 そうじろうは校舎に向かって歩き出した。 ゆき「頑張ってねぇ~。」 ゆきはそんな兄の後ろ姿を見ながら言った。 ゆき「さてと…私もお兄ちゃんとかなたさんの行く末を見に行かないと。」 ゆきは兄の後を追いかけていった。 ゆき「わ、私が言いだしたんだから、最後まで責任持って見届けないと…ねぇ?」 ゆきは誰に言うでもなくそうつぶやいた。 そうじろうは教室に戻ってきた。後ろにゆきもいる。途中で追いついたようだ。そうじろうは教室を見渡してかなたを探した。しかし、 そうじろう「あれ、かなたは?」 かなたの姿が見当たらず、近くにいたクラスメートに聞いてみた。 男子生徒「え?ああ、さっき倒れて保健室に連れかれたぜ。」 ゆき「た、倒れた!?」 男子生徒「ああ、立ち上がろうとしたら立ち眩み起こしたらしくてそのまま倒れたらしい。」 ゆき「ちょ、大変じゃない!お兄ちゃん、すぐに行かないと。」 そうじろう「…」 ゆき「お兄ちゃん、聞いてるの!?」 男子生徒「泉?」 ゆきとクラスメートはそうじろうに触れようとした。しかし、触れることができなかった。 ゆき「お兄…ちゃん?」 返事がない、ただの残像のようだ…。 ゆき「…」 男子生徒「…」 ゆき「あ、えっと、兄がいつもお世話かけてます。」 ゆきはぺこりと頭を下げた。 男子生徒「あ、いえ、こちらこそ、お世話かけられてます。」 つられてそうじろうのクラスメートも頭を下げた。 ゆき「お兄ちゃんとかなたさん、大丈夫でしょうか?」 ゆきはつい、そんなことを聞いてしまった。 男子生徒「ん~、多分大丈夫なんじゃない?」 ゆき「どうしてですか?」 男子生徒「もし、運命の人同士なら、なにがあっても絶対に結ばれるはずさ。あいつらは運命の人同士なんじゃないかと思うだ。お互い、相手のこと、よく知ってるだろ。良い所も悪い所も。だから、きっとあいつらは赤い糸で結ばれてるんだと思うぜ。」 ゆき「…」 男子生徒「なんて、なんかこっぱずかしいこと言っちゃたかな。」 少し照れくさそうに頭を掻いた。 ゆき「私もそう思います。」 男子生徒「ん?」 ゆき「私も運命の人は必ずいるんだと思います。だから、運命の人なら、どんなことがあっても絶対に結ばれるっていうの、素敵だと思います。」 男子生徒「そ、そうかな?」 ゆき「はい!」 男子生徒は少しうれしそうにした。 ゆき「あの」 男子生徒「お~い、小早川!」 小早川「あ?なんだ?」 ゆきと話していた男子生徒は名を呼ばれたらしく、振り返った。 男子生徒「わりいけどこっち手伝ってくれよ。」 小早川「ああ、わかった。」 そう言うとゆきの方に向き直し、 小早川「ごめんね、ちょっとこっちも忙しいから。」 ゆき「いえ、こっちこそ、邪魔しちゃったみたいでごめんなさい。」 小早川「それじゃあ。」 小早川という男子生徒は作業のほうへ向かった。ゆきも自分のクラスへ戻ろうと歩きだした。 ゆき「小早川先輩…か。」 その時、ゆきの心には何か温かいものが芽生えていた。 かなたは保健室で寝ていた。あまり体が強い方ではないので、保健室で寝ていることは度々あった。ある意味、保健室の常連となっていた。ちなみに、現在、かなたのほかに保健の先生が1人いて、3人の生徒が保健室のベッドに横になっている。そこに、 そうじろう「かなた!!」 そうじろうが勢いよく入ってきて叫んだ。 先生「こら、保健室では静かに!」 そうじろう「かなた!」 先生「聞いてませんね…。」 そうじろうはかなたの寝ているベッドまで歩み寄った。かなたもチラッと横目でそうじろうを見たが、すぐに視線を外し、体をそうじろうとは反対の方へ向けた。 そうじろう「かなた…。」 かなた「…」 一瞬、沈黙が流れた。先生も他の生徒も興味が無いふりをしながらしっかりと二人の様子を見ていた。 そうじろう「かなた。」 かなた「…」 そうじろうはゆきの言葉を思い出していた。“かなたさんのこと…好きなんでしょ?”“自分の過ちをちゃんと認めて、素直に謝る勇気も必要なんだよ。” そうじろう「かなた、ごめん!!」 そうじろうは一気に頭を下げた。 そうじろう「俺、おまえを怒らせるつもりはなかった。おまえなら俺のことよく知ってるから、あんなこと言っても大丈夫だろう、と思ったんだ。だけど、信じてほしい、俺のかなたへの気持ちに嘘はない。俺は、俺は…」 かなた「・・・」 そうじろうは頭を上げた。そして、 そうじろう「…俺は世界中で一番かなたを愛してる。」 ((((うお、言い切ったよ!?)))) そうじろう「だから…だから」 かなた「…プッ」 そうじろう「?」 そうじろうはかなたの体が震えているように見えた。 かなた「プッハハハハハハハハハハハハ」 そうじろう「???」 ((((?????)))) いきなり笑い出したかなたにそうじろうだけでなく、周りの者もキョトンとした。かなたは体をそうじろうに向けた。 かなた「ご、ごめんなさい。まさかそう君から、そんな言葉が出るなんて思わなかったから。ハハハ」 そうじろう「え?その…えっと…」 いまだにキョトンとしているそうじろうを余所に、かなたは息を整え、上半身をベッドから起こした。 かなた「ごめんね、そう君。あのとき私が嫌いって言ったの嘘なの。」 そうじろう「へ?嘘?」 かなた「だって、あんな告白の仕方してくるんだもん、つい…勢いで…」 そうじろう「い、勢いって、そりゃないだろう、かなた。俺がこの数日どれだけ」 かなた「だからごめんってば。でもね、怒ってたのは本当よ。」 そうじろう「そう…なのか?」 かなた「だって、ちょっとへんな趣味が入ってるってわかっていても、告白があれじゃぁ、ねぇ?」 そうじろう「ううっ…」 かなた「まぁ、それを一発OKしようとした私もどうかと思うけどね。」 そうじろう「え?」 かなた「なんでもないわ。それに、そう君が本気だったのかも分からなかったし。だから、そう君が私のことを本当に思ってくれているのか知りたかったの。」 そうじろう「そうだっかのか。」 かなた「でも、今のではっきりわかったわ。そう君が私のこと、本当に好きなんだったこと。それから、・・・私がそう君のこと好きなんだってこと。」 そうじろう「え?」 かなた「まだ、告白の返事、してなかったよね?」 そうじろう「そ、そうだったけ?」 かなたはそうじろうの目を見た。そして、 かなた「私も好きよ、そう君。」 そうじろう「かなた…」 そうじろうは自然と笑みがこぼれた。かなたは自分のことを嫌いになどなっていない、かなたは自分のことが好きなんだ、そう思ったらとても嬉しかった。 すでに、そうじろうもかなたもお互いのことしか見えていなかった。 ((((・・・・・・・・)))) なので、先生や他の生徒が二人の会話を聞いて顔を赤くしているなど、そうじろうもかなたも気がついていなかった。 そうじろう「ここ、いいか?」 かなた「ええ、いいわよ。」 そうじろうはかなたが体を起こしたところ、ちょうど枕の横あたりに腰を下ろした。すると、そうじろうは自分に何かが倒れてくるのを感じた。それがかなたであるとわかるのにそう時間はかからなかった。 そうじろう「か」 そうじろうは名を言いかけたが思い直して、かなたの体を抱くように手を添えた。 かなた「でも、そう君。」 そうじろう「ん?」 かなた「どうして急に告白してきたの?そんなそぶりはずっと見せなかったのに。」 そうじろう「ああ。実はゆきに聞かれてな。俺とかなたは付き合ってるのかって。その時はなんとも答えられなかったけど、一人になって考えてみたんだ。」 かなた「だからなの?」 そうじろう「それもあるけど・・・」 かなた「けど?」 そうじろう「夢を見たんだ。」 かなた「夢?」 かなたは顔を上げてそうじろうを見た。 そうじろう「そう、夢。夢の中には三人いるんだ。1人はちょっと年取った俺。それからなぜか半透明なかなた。そして、かなたによく似た娘。違いは目の下にほくろがあるのと髪が少し跳ねていることくらい。」 かなた「…」 そうじろう「その娘が俺に聞いてくるんだ、お母さんはどうしてお父さんと結婚したのって。それで、答えてやったんだ。」 かなた「なんて?」 そうじろう「さっきと一緒。」 かなた「?」 そうじろう「俺は世界中で一番かなたを愛してるって自信を持ってるからだって。」 かなた「ふ~ん。って、それじゃ、さっきのはその夢のうけおいってこと!?」 そうじろう「まぁ、そう言われちまったらそうだけど、俺の気持ちに嘘はないから。むしろ、俺の気持ちを伝えるのにこれ以上の言葉はないって思ったし。どっちみち、俺のセリフだしな。」 かなた「そっか。」 かなたは上げていた頭を再びそうじろうの体に預けた。しばらくの間、二人はその体勢でいた。 かなた「さてと。」 不意にかなたはそうじろうから体を離した。 かなた「そろそろ、準備に戻らないと。文化祭は明後日だしね。」 そうじろう「そうだな、戻るとするか。」 そうじろうはベッドから立ち上がった。かなたもベッドから出ようとしたが、何かを思いついたらしく、いたずらっぽい顔をした。 かなた「そ~お君。」 そうじろう「ん?なんだ?」 かなた「私、まだ体の調子良くないの。だから、おんぶして。」 「「「「ぶ!」」」」 先生を含めた周りの者は吹き出しそうになったのを、慌てて手で口を押さえた。 そうじろう「しょうがないな、かなたは。」 かなた「えへへ。」 そうじろうはためらうことなくかなたをおんぶした。 そうじろう「それじゃ、先生失礼します。」 かなた「します。」 そう言うとかなたを背負ったそうじろうは保健室から出て行った。保健室に残っていた4人は半ば呆然としていた。 男子生徒「な、なんかこう、すごかったですね。」 一人の男子生徒が思わず口を開いた。 男子生徒「そうだな、僕にはとてもまねできない…。」 女子生徒「私はいいなって思ったけど。いつかあんな人現れないかしら。」 先生「どことなく純粋な奴らだったの。っと、おお!?」 男子生徒「どうしたんですか、先生?うお!」 男子生徒「うわぁ。」 女子生徒「ああ、虹。」 4人は窓の外を見ていた。すでに雨は上がっており、晴れ間も出て、虹が出ていた。 先生「虹か、ふふ。」 男子生徒「先生?どうかしたんですか?」 先生「なに、ちょっと孫の名前にどうかというのが思いついてな。」 女子生徒「え?先生、お孫さん生まれるんですか?」 先生「いや、孫どこらか彼女もおらんがの、私のところの息子は。」 男子生徒「そうなんですか。で、どんな名前を思いついたんですか?」 先生「ん?ああ。虹のように美しく、子どものように純粋な心を持ってほしいという意味を込めて、“ななこ”というのはどうかと思っての。」 女子生徒「ななこちゃん、ですか。いい名前だとおもいますよ、黒井先生。」 先生「ありがと。とこらでお前たち、いつまでここにいるつもりだ?」 男子生徒「えっと、あと、5分くらい?」 先生「ほぉ、あと5分か。そう言う奴程、その5分があてにならんもんなんじゃがな?」 生徒3人が一斉に目をそらしたのであった。 その後、学校では火災報知機が作動した。噂では、そうじろうとかなたが周りの気温を上げたせいで誤作動した、というらしいが真実かどうかは定かではない。ちなみに、文化祭の2日前だったので、かなり影響がでたらしい。 それから数年後。 ゆき「おめでとう、お兄ちゃん、かなたさん。」 男「おめでとう、泉。」 女「きれいよ、かなたちゃん。」 お兄ちゃんとかなたさん、やっと結婚か。長かったな。なぜか私の方が早く結婚しちゃったし。それにしても、二人とも、うれしそう。 かなた「うふふ。」 そうじろう「はは。」 小早川「お~い、写真撮るぜ。」 そうじろう「おう!」 小早川「セルフタイマーっと。」 私、最近考えることがあるの。失敗っていけないことなのかなって。私はそうは思わない。だって、始めから失敗しない人なんていないでしょ?失敗を積み重ねて成功していく。失敗は成功の元ってよくできた言葉だと思うわ。 男と女の仲も同じだと思わない?いくら相手のことが好きだからって始めから全部受け入れられるかっていうとそうじゃないでしょ?時にはけんかをして、相手のことを分かり合って、それでまた絆が深くなる。夫婦ってそういうもんだと思うんだ。ほら、そこにもぶつかり合って絆が深くなっていった新郎新婦が、って、 そうじろう「それ!」 かなた「きゃ!!」 男「うお!?」 女「うわ~。」 お兄ちゃん、いきなりお姫様だっこですか。すごい・・・。 それにしても、この二人も結構、けんかしてきたわよね。その中でも一番すごかったのは、埼玉に行くってことだったかな。お兄ちゃんったら、埼玉の方がアニメがいっぱい見られるから、なんて言うから。一時期、別れる、なんてこと言ってたこともあったわね。お兄ちゃんも本当のこと、言えばよかったのに。体の強くないかなたさんのために都心に近くて設備が整ってる病院の近くに行きたいんだって。変な所で強情なんだから、お兄ちゃんは。いや、照れ屋なのかな?その時は私がかなたさんに本当のこと言って丸く治まったけど。と、そろそろシャッターがおりるわね。いい笑顔しないと。 “チュッ” “カシャッ” そうじろう「へ?」 男「な!?」 女「うわ!?」 か、かかかかかかなたさん!?く、くくくくく口付けですか!?そんな、だ、大胆な!?写真ですよ!?一生残るんですよ!?ねえ、ちょっと、聞いて・・・ かなたがそうじろうのどこに口付けしたかは各々の想像におまかせするとしましょう。 そのさらに十数年後、そうじろうの夢が現実のものとなるお話しがあるのだが、それはまた別のお話し。 ~終わり~
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PREV:忍の超高速任務 後編 NEXT:オフの日の忍 中編 ストーリー おう、待たせたなそれじゃ早速始めようぜ 忍者 コタロウ 俺とお前、生涯のライバルによる定例デュエル会だ!! 忍者 コタロウ ……なんだよ 忍者 コタロウ …あぁ、そうだな、もう夏だな 忍者 コタロウ …そりゃ、こんだけ晴れてりゃ…暑いに決まってるだろ 忍者 コタロウ ……………… 忍者 コタロウ 何で俺の全身を見るんだ? 忍者 コタロウ 確かにそんなに厚着じゃねぇが…色が黒系ってのはまぁ、そりゃ…なぁ? 忍者 コタロウ けどよ、夏だからって忍者としての正装をやめられるわけねぇだろ 忍者 コタロウ 個性の死は、俺の死だぜ 忍者 コタロウ まぁ半分冗談だけどよ逆に普段からこの格好を印象づける事によって 忍者 コタロウ 顔を出して、違う服装にしたら誰も俺だって気がつかねぇつまり隠密行動ができるわけよ 忍者 コタロウ 実際、何度か私服で、素顔で街歩いても誰も話しかけて来なかったんだぜ? 忍者 コタロウ …え? 忍者姿の時は普段、どのくらい話しかけられてるのかって…? 忍者 コタロウ ……………… 忍者 コタロウ ……………………………………………… 忍者 コタロウ …デュエル、しようぜ? 忍者 コタロウ 勝利時 …クッ、なんて引きだ… 忍者 コタロウ デッキの構成では明らかに俺の方が上だったのに、引きの善し悪しで… 忍者 コタロウ しかしそれもまたデュエルの面白さか… 忍者 コタロウ チッ、もう一回やろうぜ?次は運じゃなくて実力の差で俺が勝つぜ!! 忍者 コタロウ 大丈夫だ、今日は仕事は休み一日お前とデュエルできんだよ 忍者 コタロウ …え?友達、ちゃんといるのかって? 忍者 コタロウ …引きこもりじゃねぇんだ知り合いぐらいいくらでも… 忍者 コタロウ …あ、知り合いじゃなくて、友達…か 忍者 コタロウ いるに決まってんだろ… 忍者 コタロウ …お、お前、とか… 忍者 コタロウ …………………… 忍者 コタロウ …デュエル、しようぜ? 忍者 コタロウ 敗北時 ふはははははははは!どうした、腕が落ちたんじゃないのか!? 忍者 コタロウ それとも夏の暑さにデュエルの腕まで落ちちまったか? 忍者 コタロウ まったく、他人の事を気にするよりまず自分の事を心配した方がいいぜ? 忍者 コタロウ よし、じゃ麦茶でもどっかで飲んでから、もう一戦しようぜ! 忍者 コタロウ PREV:忍の超高速任務 後編 NEXT:オフの日の忍 中編
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…ばさり 夜の街の上空を、漆黒の翼が舞う ばさり、ばさり それは、目的地を見つけて…スピードを、あげた ちまりーん 小さな、小さな、某映画に出てくる黒い毛玉のような姿の悪霊 始めの頃は噛み付こうとしたりとかしてきたが、最近はわりと大人しい それは、いいのだが… 「とりあえず、あれだ」 …にょろり 「今、一瞬、触手っぽいのが伸びたよな?何かでたよな!?」 ちまちまちま 一瞬、その小さな体から触手っぽいのが伸びたように見えたのは気のせいか否か 呂布がいない間、何気なく悪霊を観察していた犬メイドは頭を抱えた わりと触手はもうこりごりな犬メイド これをどうしたものか、悩んでいると ----コンコン 「…ん?」 窓が、ノックされる音 その音に振り返ると…はらり 一枚の黒い羽根が、舞い落ちた 「よぉ」 そこにいたのは、顔の上半分を仮面で覆い隠し、背中から黒い翼を生やした男 犬メイドを人外の戦いに巻き込んできた追撃者を、回収していった男だ 確か、マステマとか呼ばれていた それは、窓を透過でもしてきたのだろうか 窓枠に座り、犬メイドを見つめて… 「…その格好、寒くね?」 と、そう言って来た 普通に考えれば、寒い格好だろう 犬メイドは、今、下着姿なのだから 「煩い。誰のせいだと思って……」 不法侵入者であるマステマ それを相手に警戒する犬メイド が、マステマはしぃ、と人差し指を口元に持っていき、笑う 「あぁ、戦いにきた訳じゃないから、安心してくれよ」 「安心できるかよ…とりあえず、どうでもいいから、これ回収してくれ」 そう言って、ちまちま転がる悪霊を指差した犬耳メイド 悪霊は、「あー」、と小さく声をあげる その声を聞いて、マステマはうん、と頷いた 「こいつ、お前が気に入ったみたいだけど」 「嬉しくないっ!?」 「『触手で絡めたい』とか言ってるけど。こいつ、性欲関連で地獄に落ちた奴の魂の悪霊だし」 「嫌な情報知っちゃった!?」 できれば知りたくなかった追加情報!? ますます回収してほしいところなのだが、マステマに回収の意思はないようで どうすればいいのだ、全く 「とりあえず、話し合いがしたいんだよ」 「…話し合い?」 「あぁ。俺が、ってか、エリカがな」 …追撃者の名前 それを聞いて、犬メイドは難しい顔をする 「追撃者…彼女、玄宗 カイの娘だろ?」 「ん?知ってるのか」 「「あの血」を引いてる男の娘だしなぁ…」 その、言葉に 仮面の下、マステマが表情をゆがめたらしいのが、わかる 「別に、彼女は彼女だろ?誰の血を引いていようが、彼女が彼女である事に変わりはない」 「「教会」の連中には、そんな事言っても通じないだろうよ」 「まぁなぁ」 犬メイドの言葉に納得している様子のマステマ あそこの頭の固さには、本当に困る 「…で?話し合い、って?」 「エリカとやりあった、呂布とやらの背後にいる連中について」 …ぴくり その言葉に、犬メイドの犬耳が、かすかにはねる 「何か、知ってるのか?」 「いや、まだだ。ただ、調べる意思があるなら、こっちはそれに協力する。そいつらをぶちのめすなら得に、な」 …マステマ自身は、それにのり気ではないようだが 恐らく、あの追撃者の意思なのだろう マステマは、それを伝えにきただけなのだ 「「愛する二人を引き裂いて、その片方を人質にとるなんて許せない」って聞かないんだよ、彼女。その相手を右手でぶちのめすまで諦めてくれなさそうで嫌だ」 項垂れているマステマ あぁ、苦労してるんだな、というのが伝わってくる 「……っつか、何なんだよ、あの能力、何の都市伝説だ」 「ん?あぁ、あれは…」 ……マステマが口にした、その都市伝説の名前に げ、と犬耳メイドは嫌そうな顔をした 「…だからか、あれは」 「だからだ。ついでに言えば、彼女があれと契約しているせいで、俺は彼女と契約できないんだよ。契約コスト食いすぎだ畜生」 ちょっと愚痴が入ってきているマステマだったが…軽く頭を振り、話題を元に戻す 「…とりあえず。どうだ?協力しあわないか?」 マステマの提案に、考える犬メイド 協力してくると言うならありがたいが、問題は相手が信用するに値するかどうか ちまちまころころ、視界の隅で転がる悪霊を警戒しつつ、犬メイドは判断を迫られているのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 仲介者と追撃者と堕天使と
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哩「…ん、ツモ!これでラストやね」パタタタ 煌「すばらっ!?ま、捲くられました~…」 仁美「なんもかんも政治が悪い……」 美子「…お疲れ様です」 姫子「お~っ!さっすが部長、相変わらず強かです!」 哩「ありがとね、姫子。次、姫子入りんしゃい」 姫子「はい!…って、部長、なんしよんしゃっと?」 哩「ん?あぁ、気にせんでよかよ。ちょっと知り合いとメールしよるだけやけん」 姫子「はぁ。まあよかです。では、始めましょう!」 哩「……よし、これで良か。入口からは近いけん、すぐに来よるやろ」 京太郎「おじゃましま~す(小声)」コソッ 哩「おお、来よったか。まあソファにでも座っときんしゃい」 京太郎「えっと、あの話、本当なんですよね?」 哩「私を誰やと思っとーと?そげなつまらん嘘はつかんたい。ほれ、見とってみ?」 京太郎「え?」 煌「……すばら!ツモ!6000、3000!これで逆転です!」 姫子「う…ばってん、まだオーラスが残っとーと!」 京太郎「おぉ……いい…いいですね、やっぱり!」 哩「…そんなにも聞きたかったと?」 京太郎「ええ。だって姫子さん、俺の前だと頑なに方言使ってくれないもんですから」 哩「田舎くさいっち思われるんが嫌やったとやろ」 京太郎「みたいですね。そんなこと思わないのになぁ」 哩「京太郎がそがんこと思っとーと、結局は姫子の問題やけん」 京太郎「そうなんですよね…あ、対局終わったみたいですね」 哩「おっと…退散退散」 姫子「ぶちょ~!勝ちまし…きょ、京太郎!?」 京太郎「お久しぶりです、姫子さん」 姫子「え、え!?……い、いつからいたの?」 京太郎「ちょうど南場に入ったあたりからですね」 姫子「ということは……」 京太郎「ええ、ばっちり聞かせて頂きました!」 姫子「~~~~っ!!/////」 京太郎「やっぱり思っていた通りです。とっても可愛かったですよ」 姫子「うぅぅぅ…ひ、酷いよ、京太郎!こっそり来て勝手に聞くなんて!」 京太郎「だって、いくら言っても姫子さんが聞かせてくれないものですから」 姫子「しょんなかろーもん!あっ、い、今の無し!今の無し!!」 京太郎「姫子さん、前にも言いましたけど、俺も長野の田舎出身です」 京太郎「ですから、姫子さんの方言が可愛いっていうのはお世辞とかそんなんじゃなくて本当に本心からなんです」 京太郎「信じてもらえませんか?」ジーッ 姫子「う、うぅ…そ、そがん見つめんで!こ、これでよかと?」 京太郎「っ!ええ、最高です!ありがとうございます、姫子さん!」 姫子「そいで、なして京太郎ばここにおっと?」 京太郎「ああ、そうでした。えっと…」ゴソゴソ 姫子「??」 京太郎「あ、あったあった!はい、姫子さん、お誕生日おめでとうございます!」 姫子「え…え?きょ、京太郎、知っとったと?」 京太郎「ええ、勿論!…って言いたいんですけど、すいません、数日前まで知りませんでした。ですが、哩さんに教えてもらったので」 姫子「そっか、ぶちょーが…開けてみてもよか?」 京太郎「ええ、どうぞ」 カサカサ 姫子「わ~っ!ばり可愛か!ありがとね、京太郎!」 京太郎「喜んでもらえて良かったです。あ、それで次の日曜、って言っても明後日ですけど、空いてます?」 姫子「えっと、それは…」チラ 哩「ん?どげん…ああ、明後日か。ええよ、明後日は部活休みにするつもりやったし」 姫子「!!ありがとうございます、ぶちょー!」 京太郎「すいません、ありがとうございます。あ、それじゃあ、姫子さん、ちょっと明後日の予定を…」 京&姫 キャイキャイ 哩「初々しかね」 美子「姫子ちゃんも本当に嬉しそう」 仁美「なんもかんも京太郎のせい」 煌「すばら!愛とは素晴らしいものです!」 カン!