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https://w.atwiki.jp/hogazurou/pages/89.html
CPLD Xilinx FPGA、CPLDの製造大手企業 WebPack xilinxのIEDです。個人的にはこのソフトの使い勝手はquatusにおとると 思っています。 WebPackの使い方 使った基板 起動 こんな画面。 File- New Projectを選ぶ。 画面がないところは全部nextでOK この画面に出会ったらこんな感じに入力。 上のほうは、使っているCPLDを選ぶ。 下は同じでOK。VHDLを選びます。 finish 右クリックでNew Sourceを選ぶ。 ファイル名を入れて VHDL Moduleを選ぶ。 finish 選択部分にしたのプログラムをコピーしてください。 テストプログラムを書いてみる。 entity hello is port( clk in std_logic; led_out out std_logic); attribute pin_assign string; attribute pin_assign of clk signal is "5"; attribute pin_assign of led_out signal is "3"; end hello; architecture Behavioral of hello is signal counter std_logic_vector(20 downto 0); begin process(clk) begin if clk event and clk= 1 then counter =counter+1; end if; end process; led_out =counter(20); end Behavioral; このプログラムは、ledを点滅させるプログラムになっている。使用している 発信子が8MHzでLEDは約250msで点滅する。 プログラムの説明 entity hello is entity ソースファイル名 is で port( clk in std_logic; クロックの入力 led_out out std_logic); ledをちかちかさせるピン attribute pin_assign string; attribute pin_assign of clk signal is "5"; 使用ピンの指定 attribute pin_assign of led_out signal is "3"; end hello; entity ソースファイル名 is と end ソースファイル名で囲んだなかに 使用するピンとその型を指定する。 またそれには port();内に 変数名 in or out 型;とい書き方をする。 たとえば clk in std_logic;の場合 clkという変数は外部からの入力がstd_logicという型で入る。 led_ou out std_logic;の場合 led_outという変数は内部で指定したものをstd_logicという型で出力する。 attribute pin assign string;に続いて attribute pin_assign of 変数名 signal is "使用ピン"; で変数が使う使用ピンを指定することができる。 ソフトの中にGUIでpin指定できるGUIが入っていると思われるが 私が見つけたGUIは非常に使いにくかったので(たぶんもっと使いやすいのが どこかにあるはずだが)プログラムで指定してしまうことにした。 architecture Behavioral of ソースファイル名 is と end Behavioral;で囲まれた部分に動かしたい動作を書く。 signal counter std_logic_vector(20 downto 0);は、外部との接触を 持たない変数でportの中身と基本的に同じである。 std_logic_vectorはstd_logicの配列と同じ働きをする。 変数を作り終わったらbeginを書くその下に実際の動きが入ってくる。 process(clk)は時間別に処理したいときに書く。これを書かない場合は、 同じ時間に処理される。(並列処理)process()括弧の中身は、portで指定した もので内部で使うものを書く。 if文はクロックが動いてhighになったら処理をすると言うもの。 個人的にここはQuartusに勝っていると思う。 プログラムのコンパイルが終わるとこの画面になる。 マクロ、レジスタ、ピンなどの使用率が表示される。 また右のpic listをクリックするとどのピン配置が表示され プログラム中でのPIN配置とハード側のピン配置の確認ができる。 右下のImportant Designを開き、図と同じところを選ぶ。 右クリックしてRUNする。 これでプログラムに文法的なエラーがないか確認する。全体をコンパイルすると 時間がかかるため、この操作を入れておくと作業時間が短縮できる。 OKだったら次はFITで同じ作業でRUNする。このそふとでは、コンパイルではなく フィットというらしい。これに成功すると、こんな画面が出る。 いろいろ見れるので見てみる。PIN配置とか使用率とかみれるから確認する。 再び右下から図のところでRUNする。なにか確認ダイアログが出るのでYESを選ぶ とこんなのが出る。ので、ハードをつないでから、下と同じところを選んでください。 つないでいるCPLDの名前が画面に出たら接続成功です。 さっき選んだところのすぐ下にある、Programを選ぶと書き込み完了です。 戻る
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依頼主 ナビィ 出現条件 2012/01/18 17 00以降 クリア条件 1/21 12 00 までに 以下の神様を解放するハデス(第二進化) 成功報酬 豪華高級ギリシャブランデーハーブや穀物から生成された特製の高級ブランデー。親密度が1800も上がります! 依頼時 ハデス様のことはもう助けてあげてくださいましたか?進化すると、冥界の王としてとってもお強くなってくれますよ♪2回進化させて、力を取り戻してあげちゃいましょう! クリア時 ハデス様の力を取り戻してくださってありがとうございます!これは私とハデス様からのお礼です♪引き続きハデス様のことを助けてあげてくださいね!
https://w.atwiki.jp/rozenrock/pages/949.html
Story ID KEIqfuZQ0 氏(213th take) 銀「その点真紅は不安ねぇ…( ̄ー+ ̄)ニヤリ」 紅「(ギクッ)そうね…」 金「薔薇水晶いるかしr…水銀燈」 銀「金を落とした韓国人が一匹…ジャンクにしてあげるわぁ…!」 紅「(ナイス人柱、GJ!!!!)それじゃこれで…」 雛「あっ!!真紅それ50本限定くんくんギターなの!!!凄まじいなの~!!!!(いろんな意味で…ぺっ)」 翠蒼「(雛苺…恐ろしい娘ですぅ(だね」 薔「アッガイギター…シューマイギター…」 短編連作SS保管庫へ
https://w.atwiki.jp/vipdentg/pages/116.html
有用な情報あったらメモしていけ 自分のIPアドレスを確認できるサイト↓ ポートが開いてるかを確認できるサイト↓ http //www.cman.jp/network/support/go_access.cgi ポート開けるとか意味不明 ポートを開けるのはいわば自分のパソコンに外部と連絡するドアの鍵をあけること。 デフォでは全てのドアには鍵が閉まってて通信できない。 だからドアの鍵をあけてやらないとダメなわけ。分かるだろアホ 開け方教えろ IP固定してルータで設定してFW貫通させて終わり 詳しくはググれアホ ポートが開けない ファイアウォールソフトを変えてみる 日本語で使用可能なフリーのファイアウォールソフトは以下の二つ PCTools firewall アプリケーション→ポート使ってるゲームのソフトの項→インを「すべて許可する」に 自己責任でやれよ COMODO firewall 知らん 専用wikiとかあるしそっち見ろ ツールUPnPCJを使う ファイアウォールソフトを切る 最終手段 そもそもポートが開けない場合がある。 アパート・マンション等に住んでいるなら管理会社とかに聞くとわかる
https://w.atwiki.jp/hogazurou/pages/140.html
スピーカー 部屋にスピーカーが欲しくなったので試作中。 試作なので安く作ろうということで、 ユニット ¥100 アンプ ¥100 その他の電子部品 ¥100 ボックス プライスレス 合計 ¥300 で作った。 試作過程 上記部品を使っていろいろと試行錯誤した結果こうなった。 箱の中には、アンプとティッシュ(防音用)が入っている。 最終的には、そこら辺に2000円くらいで売っている小さいスピーカー と同じような音質になったと勝手に思っている。
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・地方自治法により現金出納権限がないとされる地方公共団体の長が、当該団体の名で他人から金銭を借り入れ受領した場合、民法110条の権限外の行為の表見代理の類推適用が認められる ・統制法規は強行法規と解されるので、これに反してなされた私法上の法律行為は無効となる ・公営住宅の使用関係に、民法および借家法の適用はあり、当該公営住宅の使用者の無断増築には、授業主体との間の信頼関係を破壊するとは認めがたい特段の事情があるとはいえない ・農地買収処分に民法177条は適用されず、本件農地買収処分は無効である。…自作農創設特別措置法においては、登記簿上の所有者でなく、真実の農地の所有者からこれを買収すべき。 ・租税滞納処分に民法177条の適用があり、本件公売処分は無効 ・地方議会の議員の報酬請求権は譲渡可能 ・生活保護法に基づく保護受給権は、相続の対象とならない ・公共用財産についても、黙示的に公用が廃止された場合には取得時効が成立する。 ・私企業の労働者の不法行為によって国に損害が生じた場合には、国は不法行為に基づく損害賠償請求権を取得するが、この債権は、国の会計事務の画一的処理の必要と、公平の理念に基づく、会計法第31条の事項の利益の放棄を許さないとの規定の適用を受けない。 ・道路法に定める道路を開設するには、原則として、まず路線の指定又は認定があり、道路管理者において道路の区域を決定し、その敷地等の上に所有権等の権限を取得し、必要な工事を行って道路としての形体を整え、さらに、その供用開始する手続に及ぶことを必要とするものであるが、道路敷地用土地の所有権の移転については民法177条が適用されるから、国は、当該土地の所有権の取得を、後に登記を備えた第三者に対抗することはできない ・庁舎等における広告物等の掲示の許可は、使用貸借のような権利設定行為とは異なり、また、目的外使用の許可とも異なるため、管理者は、庁舎等の維持管理または秩序維持上の必要または理由がある場合に、許可の撤退を肯定する。 ・建築基準法に基づく建築確認においては、民法234条への適合性は審査対象に含まれない ・「法律による行政」の原理による「法律」とは議会の定立した法という意味である ・侵害留保の原則は、立憲君主制下で臣民の自由と財産を君主から守るための原理であり、自由主義の思想を背景とした。 ・相手方の抵抗を排除して実力を行使するような行政調査については、侵害留保説によっても権力留保説によっても法律の根拠が必要とされるが、相手方の任意の協力を待って行われる行政調査については、侵害留保説、権力留保説を問わず法律の根拠が不要である ・大学の学生に対する懲戒処分の発動の有無及びその内容の選択について、それがまったく事実上の根拠に基づかないと認められる場合、または、社会観念上著しく妥当を欠き懲戒権者に任された裁量権の範囲を超えるものと認められる場合には、司法審査は排除されない。 ・法律による行政の原理・租税法律主義が貫かれるべき租税関係においては、特別の事情がある場合に限り、信義則が適用される ・租税法律主義は平等原則により制限されうる ・一般に、一定の法律効果の発生を目的とする行政庁の行為につき、法律がその要件、手続及び形式を具体的に定めている場合には、同様の効果を生ぜしめるためにそれ以外の方法によることは原則として認められない趣旨であると解するのが相当である。したがって、法律に根拠を持たず、専ら実際上の便宜のために打ち出された事実上の措置にすぎない行為に、法律上の効果を認めることはできない。 ・課税処分が後発的な貸し倒れにより、遡って当然に違法・無効となるものではないが、その貸し倒れによって課税の前提が失われるにもかかわらず、なお徴収権を行使し、あるいは既に徴収した税額を保有することは所得税の本質に反する。 ・国家行政組織法によれば、各省の課および室の設置は政令で定めるとされている。 ・代理機関は、行政庁の名と責任において権限を行使する ・権限の委任の場合には、権限の代理の場合と異なり、当該権限が委任機関から受任機関に移ることになる。この場合、受任機関は自己の名と責任において権限を行使する ・権限の委任がなされると、原則として指揮監督も行えないことになる。もっとも、補助機関、下級行政機関に対して委任がなされた場合は、行政庁、上級機関のこれらに対する指揮監督権の行使として、権限の行使を指揮監督しうる。 ・専決は、対外的には受託者の名で行うことになる ・対等な官庁はそれぞれ独立に権限を行使するが、行政の統合性の確保の観点から、対等官庁間に権限について争いが生じたときには、上級官庁がこれを決定する。 ・告示を発することができるのは、各省大臣、各委員会、各庁の長官である。行政委員会の長は、告示を発することができない ・行政立法は、私人の権利義務に関するか内部規律に止まるかで法規命令と行政規則に分けられる。法律の根拠は前者には必要であるが、後者には不要と解されている。 ・法規命令と部分的に抵触する法律が新たに制定された場合、法規命令は抵触する部分のみ効力を失う ・法規命令のうち、執行命令は、上級の法令を執行するために発せられる命令であるから、当該上級の法令が廃止された場合には、その執行命令の効力も失われる ・通達に対する取消し訴訟は許されない ・国が同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し、行政指導をしようとしたときに、これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項を定めた要綱等は、行政上特別の師匠のない限り、公表しなければならない ・行政行為とは、当事者間の合意によらず、法令に基づく行政庁の一方的行為によって法律関係を具体的に規律し、法律効果が生じるものである。違法建築物の除去命令や税務署長がなす税債務の確定のための決定または更正がその例である ・行政行為は、外部に対して直接の法的効果を生ずる行為でなくてはならず、特殊法人である鉄道建設公団が作成した新幹線建設工事計画に対する運輸大臣の認可は、上級長の下級長に対する監督行為と同視され、行政行為にあたらない ・関税定率法に基づいて税関長が行う輸入禁制品該当の通知には処分性が認められ、取消し訴訟が可能である ・行政行為を基礎付ける法規の一般性の裏返しとして、行政行為は個別的行為である必要はなく、一般処分も行政行為にあたることがある ・行政行為の効力は、相手方に伝達され、相手方がこれを了知し、または了知しうべき状態におかれた時に発生する ・判例によれば、行政庁の処分を外部に表示する行為が行政庁の内部的意思決定と相違している場合であっても、表示行為が正当の権限のある者によってなされたものである限り、表示されているとおりの処分があったものと認めなければならない ・刑事訴訟手続には、取消し訴訟の排他的管轄が及ばない ・違法な買収計画に基づき、買収処分が行われたら、かかる買収処分が違法であることはいうまでもなく、当事者は買収処分取消しの訴えにおいて、買収計画の違法を攻撃しうる ・原子炉設置の許可があった後で、許可の取消しではなく、人格権侵害に基づく民事上の差止めを求めるときは設置許可の公定力に反しない。 ・裁決を裁決庁自らが取り消すことはできない ・異議の決定、訴願の裁決後に、行政庁はこれを取り消し、または変更することはできない。 ・農地所有者が再び裁定申請をすることはできない ・営業許可は、一般にこう学上の許可にあたる。よって、無許可営業による取引は私法上無効とならない ・自動車免許は講学上の特許にあたり自由裁量が認められるが、諮問機関の審理、決定の過程に重大な法規違反があるときには、違法となりうる。 ・条件は行政行為の効力に影響するのに対し、負担は行政行為の効力に直接関係しないので、義務履行確保を重視すれば前者、相手方の権利保護を重視すれば後者と解すべきことになる ・行政行為の附款は行政行為の効果を制限するために行政庁の主たる意思表示に付加される従たる意思表示をいい、意思表示ではない確認、公証行為等の準法律的行政行為には附款を付することはできない ・行政行為の効果の制限が直接法規によって定まっている場合を法定附款という。たとえば、鉱業許可の効果が登録を法定条件としていること等である。 ・都市計画法施行令12条は「必要なる条件を付することを得」としており、附款を付することができる。無償で撤去を命じる条件も公共の福祉のための制限として許される。したがって、建築許可に無償撤去条項をふしうる。 ・法律効果の一部除外とは、主たる意思表示に付加して、法令が一般にその行為に付した効果の一部の発生を除外する意思表示のことである。特許法の特許は講学上の確認にあたり意思表示を要素としない法律行為的行政行為であるから、附款は付し得ない ・負担に対する違反は行政行為の効力に直接関係するものではなく、この点で期限・条件と異なる。負担義務違反は、行政行為の撤回事由となったり、行政庁が行政上の強制執行を行うことができるにとどまる ・宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業者に対する不利益処分は、その営業継続を不可能にする自体を招き、既存の取引関係者の利害にも影響するところが大きいところ、業務の停止に関する知事等の権限がその裁量により行使されるべきことは規定上明らかであり、停止事由に該当し情状が特に重いときになされる免許の取消しについてもその要件の認定に裁量の余地があり、これらの処分の選択、その権限の行使の時期等は、知事等の専門的判断に基づく合理的裁量にゆだねられている ・道路管理者が行う特殊な車両の認定は、基本的には裁量の余地がないとしつつ、認定に条件を付すことができること、制度の効用が許可制とほとんど変わらないことから、裁量を認めた。 ・きそく裁量を誤る行為は違法行為となるが、自由裁量を誤る行為は不当行為にすぎない ・劇物用途の危険性を輸入行の登録拒否自由とすることは法の趣旨にはんする ・清掃法に基づいて市町村長が行う特別清掃地域内における汚物取り扱い業の許可は、市町村長がその責務である汚物処理の事務を遂行するために、同法の目的である生活環境の保全と公衆衛生上の危害の防止の観点から定めた技術上の基準に基づき決すべきものであり、基本的には裁量の余地のないものであるが、当該市町村長の清掃計画との調整のために一定の合理的裁量が認められる ・始期および停止条件は附款にあたる。附款は、法律行為的行政行為のうち、法律が許容している場合にふすことができる ・在留期間の更新については、法務大臣の裁量に任されているが、その判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことがあきらかである場合に限り、裁量権の範囲をこえまたはその濫用があったものとして違法となるものというべきである。 ・輸出貿易管理令1条6項の趣旨とするところは、国際収支の均衡の維持ならびに外国貿易および国民経済の健全な発展を図るため必要と認められる場合に限り、通商産業大臣においてこれを制限することができる。経済外的理由による輸出制限は、どう条項の趣旨でないから、裁量権の範囲を逸脱し、違法。 ・行政庁の裁量に任されている場合でも、行政庁は何等いわれがなく特定の個人を差別的に取り扱いこれに不利益を及ぼす自由を有するものではなく、この意味においては、行政庁の裁量には一定の限界があるものと解すべきである。 ・公務員の懲戒処分は、懲戒権者の裁量に任されている。したがって、社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権行使を乱用したと認められる場合に限り違法である。 ・本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽くすべき考慮を尽くさず、また本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を加重に評価し、これらのことにより同控訴人の判断は裁量判断に誤りがあり異邦である。(日光太郎杉) ・地方公務員法に基づく分限処分は任命権者の純然たる自由裁量にゆだねられているものではなく、処分理由の有無につき考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して判断された場合には、裁量権の行使を誤ったものとして違法である ・原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取り消し訴訟における裁判所の審理、判断は行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるが、審議の基準たる具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは判断過程に看過しがたい過誤、欠落があったときには違法となる ・もんじゅ事件差戻審。本件許可にかかる安全審査の調査審議および判断の過程には看過しがたい過誤、欠落があると認められ、その結果、本件許可処分は無効というべき。 ・もんじゅ上告審は、安全審査の調査審議および判断の過程には看過しがたい過誤、欠落はないとした。 ・権限の不行使であっても、著しく不合理な不行使であれば、裁量権の逸脱・乱用が認められる余地がある。 ・処分の内容の過誤が課税要件の根幹にあって、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申し立て機関のとかによる不可争力による不利益を被課税者に負わせることが著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、当該処分を無効ならしめるものと解するのが相当 ・敷地所有者の承諾を欠く道路位置廃止処分は、特別な場合を除き、当然無効の原因とはならない ・国家機関の公法的行為はそれが当該国家機関の権限に属する処分としての外観的形式を具有する限り、仮にその処分に関し違法の点があったとしても、その違法が重大かつ明白である場合の外は、これを法律上当然無効となすべきではない ・正当に組織されない合議機関の行為(定足数を欠くなど)は原則無効 ・利害関係をもつ委員が議事に参加した農地買収計画は、ほかに著しく決議の公正を害する特段の事由の認められない本件では、有効である。 ・更正における付記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではない ・訴願棄却の裁決がなされる前に承認その他の買収手続きを進行させたという瑕疵は、その後訴願棄却の裁決がなされたことによって治癒されたと解すべきである。 ・自作農創設特別措置法施行令43条によると違法である処分を45条で適法とできる 取り消し原因のある行政行為の相手方が取り消し訴訟の出訴期間を経過した場合であっても、当該行政行為を行った行政庁は、当該行政行為を職権で取り消すことができなくなるわけでない。 ・行政庁の職権取り消しにより、その効果は遡及的に無効となるので、取り消し行為を取り消すことはできない ・撤回は、処分行政庁のみがその権限を有する。取り消しは上級行政庁もなしうる ・損失補償は、職権取り消しでは不要だが撤回では必要。 ・使用許可の取り消しに対しては、国有財産法を類推適用して補償を求めうる。使用権自体に対する補償は不要。 ・消防法に基づく建物使用や立ち入り禁止命令を守らない行為に対しては代執行できない。なぜなら不作為義務だから。代執行は代替的作為義務に限って認められる。 ・行政代執行法は一般法であり、その適用には法律で個別に指示されていることは必要ないが、もっとも行政代執行に裁判所の許可は必要ない ・営業停止処分は、不作為義務を命ずるものであるから代執行の対象とならない ・代執行を行うには義務者が単に義務を履行しないことのみではなく、他の手段によってその履行を確保することが困難という要件を要求している ・代執行は、相当の履行期限を定めて戒告し、なお期限までに義務を履行しない場合に行われるが、非常の場合や危険が切迫している場合に、急速な実施の必要があり、かかる手続きを採る余裕がないときは省略できる ・違法建築物の所有者を相手として建物除去の代執行をする際に、当該建物に賃借人として入居している者の家財道具を搬出する行為は違法ではない ・戒告は公権力の行使にあたるものとして、取り消し訴訟の対象となる ・行政代執行が終了した場合には、代執行の戒告を取り消す意味がなくなるので、訴えの利益は存在しない。この場合国賠訴訟となる ・即時強制とは、目前急迫の障害を除く必要上、義務を命ずる暇のない場合、またはその性質上義務を命ずることによってその目的を達しがたい場合に、直接に国民の身体または財産に実力を加え、もって行政上必要な状態を実現する作用である ・国税徴収法は国税に関する一般法であり、強制徴収に関する一般法はない。戦前も強制徴収は行政執行法には定められていなかった ・財産差し押さえ、財産の換価のための公売処分等はそれぞれ行政行為とみられ、取り消し訴訟の対象となる ・一般私法上の債権と同様、訴えを提起し、民訴法上の強制執行の手段によってこれら債権の実現を図ることは農協が組合員に対して有する債権について特別の取り扱いを認めている趣旨に反し、許されない ・国または地方公共団体が専ら行政権の主体として、行政上の義務の履行を求めることは特別の規定がない限り提起できない ・警職法5条による静止措置は、即時強制の例である ・行征罰とは、広く行政上の義務懈怠に対し制裁を行うことをいい、義務は行政行為によって課されたものでも法令によって課されたものでも法令によって直接かされたものでもよい ・行政上の秩序罰は、行政上の義務違反に対し制裁としてかせられる罰をいい、将来に向かって義務の履行を強制する行政上の強制執行とは異なる。なお、秩序罰としての過料と刑罰としての罰金、拘留は、目的、要件、実現の手続きを異にし、併科を妨げない ・加算税(追徴税)は、納税義務違反を防止し、納税の実効をあげる趣旨で設けられた行政上の措置であって、制裁たる刑罰とは目的を異にするから、二重処罰にあたらない ・好評は、法的効果を伴わないので取り消し訴訟の対象とならない ・深刻な水不足が避けられない場合には、やむをえない措置として「正当の理由」が認められる ・相手方の任意の協力が得られない場合に間接強制によってなされる行政調査については、行政機関が国民の権利、自由に一定の制約を加える作用であることから、法律または条令にその根拠がなければならないが、当該行政調査の程度、態様等の実施の細目については、必ずしも具体的に法律または条例に規定されることを要しない ・国税犯則事件の調査は一種の行政手続きではあるが、実質的には租税犯の操作としての機能を営むものであって、租税犯操作の特殊性や技術性から専門的知識と経験を有する収税官吏に認められた特別の捜査手続としての性質を有するものであるから、その手続においては憲法38条の供述拒否権の保証が及ぶ ・旧所得税法所定の収税官吏の検査は、刑事責任追及のための資料の収集に直接結びつかないこと、実質上強制と同視すべき程度に達していないことから、裁判官の令状は必要ない。 ・都市計画法に基づく都市計画決定としての市街化区域と市街化調整区域の区別が私人の土地利用を規制する場合など、法律の根拠を有し、私人に対して拘束力をもつ行政計画もある ・土地区画整理事業計画には処分性が認められない ・都市計画法上の地域指定には処分性は認められない ・第2種市街地再開発計画の決定に処分性は認められる。なぜなら、当該決定により土地所有者等は自己の所有地等が収容されるべき地位に立たされ、しかも、補償を受けるかまたは建築施設の部分の譲り受け希望の申し出をするかの選択を余儀なくされるので、土地所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすものであるからである ・行政計画が変更されることにより、勧告等に動機付けられて活動に入った者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合には不法行為責任を負う ・行政指導として教育施設の充実に充てるために事業主に対して寄付金の納付を求めること自体は、強制にわたるなど事業主の任意性を損なうことがない限り、違法ということはできない ・指導要綱に基づく教育施設負担金の納付を求めた行為は、行政指導の限界を超えるもので、違法な公権力の行使である。なぜなら、指導要綱の文言および運用の実態からすると、給水契約の拒否という制裁措置を背景に指導要綱を遵守させることは、行政指導に従って教育施設負担金の給付を事実上強制するものだから ・行政指導にはもはや協力できないといった意思を真摯かつ明確に表明し、当該確認申請に対し直ちに応答すべきことを求めていると認められるときは、他に特段の事情が存在しない限り、それ以後の行政指導を理由とする確認処分の留保は違法となる ・違法建築物に対して給水拒否をした措置は、申込人に対し建築確認を受けたうえで申し込みをするよう一応の勧告をしたものにすぎないし、その後も原告は何等措置を講ぜず、放置していたという事情がある。このような事情の下では、被告に不法行為法上の責任を負わせるべき違法があるとはいえないから違法とならない。 ・行政指導は行政行為でないことを理由として抗告訴訟の対象とはならない。 ・事業者団体がその構成員である事業者の発意に基づき各事業者の従うべき基準価格を団体の意思として協議決定した場合においては、たとえ、その後これに関する行政指導があったとしても、当該事業者団体がその行った基準価格の決定を明瞭に破棄したと認められるような特段の事情がない限り、右行政指導があったことにより当然に、独占禁止法にいう競争の実質的制限が消滅したものとすることは許されない ・地方公共団体相互間の合意による地方自治法上の事務委託の場合には、当該事務を処理する権限は、受託者にすべて移ることになる ・社会保険診療報酬支払い基金は、所轄大臣から諸種の監督を受ける反面、一定の場合には診療報酬の支払いを一時差し止める権限を有すること等から、診療報酬の支払い委託を受ける関係は公法上の契約関係である。 ・財団法人の会長である市長が、当該財団法人との間で契約を締結した行為に対して、民法108条および116条を類推適用できる。 ・地方自治法の規定上、地方公共団体の契約について随意契約によることのできる場合は制限されているが、この制限に反して締結された契約は、相手方との関係で無効とはならない。 ・公害防止協定のように、規制行政においても、法律の規制していない場合を規制したり法律より厳しい規制をするために契約の方式が採られている。 ・審査基準によらないでなされた審査手続は、公正手続といえない。なぜなら、免許の申請人は、公正な手続によって免許の拒否の判定を受ける法的利益を有するので、行政庁は、事実認定の独断を疑われるような不公正な手続をとることは許されない。 ・旅券法13条1項5号は、合憲であるとした。理由付記の程度は、その記載自体から了知しうるものでなければならず、単に根拠規定を示すだけでは原則として不十分である。 ・行政処分が諮問を経ない場合はもちろん、経た場合でも、諮問機関の審理、決定過程に重大な法規違反等があり、その決定自体に、諮問の経由を要求した法の趣旨に反する瑕疵があるときは、これを経てなされた処分も違法として取り消しを免れない。 ・運輸審議会の公聴会の審理手続も、その内容において、決定の基礎となる諸事項に関する諸般の証拠その他の資料と意見を十分に提出し、これを審議会の決定に反映させることを実質的に可能なら閉めるようなものでなければならない ・温泉法は知事が動力装置許可処分をすることについて、温泉審議会から意見聴取をすべき旨を規定しているが、知事が当該許可に際し、審議会を開くことなく審議会の委員に議案をもち回って各委員の意見を聴取したにすぎないときでも、当該許可処分が当然に無効となるわけではない ・教育委員会の行った懲戒免職処分が会議の公開に反するか争われた事案で、議事が公開原則に違反したとしても、具体的事案における違反の程度および態様が当該議案の議事手続全体との関係からみて実質的に公開原則の趣旨目的に反するというに値しないほど軽微であり、その瑕疵が議決の効力に影響を及ぼさない場合もありうる。 ・土地区画整理事業における換地処分を行う際に事前に土地区画整理委員会の意見を聴かなかった事案で、土地区画整理委員会の意見を聴くことは、単に換地処分等をするために一応の手続として要求したにとどまり、必ずしもその処分の有効要件であるとはいえない ・根拠法上の明示を欠く買収処分は、当然無効になるものではない ・諮問機関に対する諮問は、行政処分の客観的な適正妥当と公正担保のために要求されるので、「行政処分が諮問を経ないでなされた場合はもちろん、これを経た場合においても、当該諮問機関の審理、決定の過程に重大な法規違反があることなどにより、その決定自体に法が右諮問機関に対する諮問を減ることを要求した趣旨に反すると認められるような瑕疵があるときは、これを経てなされた処分も違法として取消をまぬがれない」 ・処分のうち、国会の両院の議決によってされる処分、裁判所の裁判によりされる処分等は、それぞれ独自の手続に基づいてされるものであり、行政手続法は、同法2章から4章までの規定の適用を除外している。 ・行政手続法は、地方公共団体に対する処分等について適用除外としている ・法律により直接設立された法人または特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人は、特殊法人といい、行政手続法第2章、3章の適用が除外されている。 ・法律の規定に基づく試験、検査等の行政上の事務についてその全部または一部を法律の規定に基づいて行政庁が指定して行わせる目的の下に設立された法人は指定法人といい、特殊法人にあたらない ・是正措置の勧告のような行政指導を地方公共団体が行う場合については、行政手続法第4章の「行政指導」の適用はない。 ・貸金業の登録は、許可制に近い役割をもった登録制度である。これは、行政手続法にいう「申請に対する処分」にあたる。 ・標準処理期間の設定は努力義務であるが、それが現実に設定された場合は、公にすることが義務付けられる ・標準処理期間の設定は努力義務であって、これを徒過した場合についての規定はない。なお、申請者の求めに応じ、進行状況および処分時期の見通しを示す努力義務が規定されている。 ・行政庁は、許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならないが、これは口頭でも足りる。ただし、許認可等を拒否する処分を書面でする場合には、理由は必ず書面により示さなければならない。 ・河川法によれば、河川の流水を占用しようとするものは、許可を受けなければならない。占用不許可処分は、流水を用いた事業活動を営むことができないという重大な不利益をもたらす行政処分であるが、行政手続法上、河川管理者は、占用不許可処分をするにあたって弁明機会付与又は聴聞を行わなくてもよい。 ・聴聞手続では期日において当事者等が口頭で意見を述べるのに対し、弁明手続では当事者は弁明書等の提出により防御権を行使する。両者は、相手方の利益に対する侵害の程度によって区別される。 ・行政庁は、不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分とするかについて判断するために必要とされる基準を法令の定めにしたがって定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。 ・聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、原則として非公開とされている ・聴聞を経てされた不利益処分については、当事者および参加人は、行政不服審査法による異議申し立てをすることができない。なお、審査請求はできる。また弁明の機会を経ても異議申し立てできる。 ・聴聞調書および報告書は、後述のように、不利益処分の決定の際に重要な意味をもつ文書であるから、当事者または参加人には閲覧請求権が認められている。 ・書面主義を原則とする弁明の機会の付与においても、行政庁が認めたときに限り、当事者は口頭で弁明することができる。 ・行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない ・行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前項に規定する書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限りこれを交付しなければならない ・行政指導は多様であることから、一律な文書主義はとられないが、相手方の求めがあったときは文書の交付が義務付けられる ・行政指導の明確性の原則を担保する措置として、複数の者を対照とする行政指導につき、行政機関はあらかじめ指導の指針を設定かつ公表する義務を負う。 ・法廷の届出事項にかかわる事由以外の事由、すなわち地域秩序の破壊、住民の生命・身体の安全への危険にかかわる事情を理由に市区町村長が転入届を受理しないことは許されない ・届出は提出先の機関の事務所に到達したときに、手続き上の義務が履行されたものとする ・情報公開法は、地方公共団体が保有している文書に対して直接適用されず、情報公開条例の制定を促すのみである。 ・情報公開法は、地方公共団体の機関をその対象としない。会計検査院は含まれる。 ・開示請求は、外国人を含む何人も行うことができ、開示請求を行う者は、行政機関の長が経済的困難その他特別の理由があると認めたときを除いて、所定の手数料を納めなければならない。 ・開示請求書に請求の目的、使用方法などを記載する必要はない ・開示請求書に形式上不備がある場合には、行政は必要な情報を提供した上で、補正を求めることができる ・開示請求を受けた行政機関の長が、開示の有無・範囲を決定した場合には、請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。 ・情報公開条例に基づき、自己に関する情報を、本人が開示ないし公開請求してくる場合、個人情報という不開示ないし非公開の事由に該当しない。 ・他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものも、個人に関する情報に含まれるため不開示情報である。 ・個人情報であっても、当該情報が慣行として公にされている場合には、個人に関する情報から除かれるから開示しなければならない。 ・情報公開・個人情報保護審査会は、開示決定等に係る行政文書を諮問庁に提示させ、実際に当該行政文書を見分して審議をするいわゆるインカメラ審理の権限を有しており、その調査審議の手続は公開しないものとされているほか、何人も情報公開・個人情報保護審査会に対し、当該行政文書の開示を求めることはできない ・公認会計士法が登録制度を採用しているのは、その者を大蔵大臣の監督に服させる趣旨であり、業務遂行の意思が明らかになっても直ちに監督関係が不要となるわけではない ・確定申告書の記載内容の過誤の是正については、その錯誤が客観的に明白かつ十台であって、前期所得税法の定めた方法以外にその是正を許さないならば、納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がある場合でなければ、法定の方法によらないで錯誤を主張することは許されない ・外見上、一見して納税義務者本人の通称ないし別名と判断できるような場合は、第三者名義による申告も本人の申告としての効力がある。 ・公務員の退職願の撤回は、それが信義則違反と認められる特段の事情がない限り、原則として自由である。 <行政不服審査法> ・不服申し立て制度をどのように構成するかについては、法治主義から一義的に導かれるわけではない。よって、不服申し立てが一切なしえないとしても直ちに憲法違反の問題が生じるわけではない ・行政不服申し立ての対象は、行政庁の処分と不作為である。 ・審査請求は、処分長に上級行政庁があるときは、原則として処分長の直近上級行政庁に対しなされる。 ・主任の大臣または外局の長については、上級行政庁はない扱いとされ、異議申し立てによる。 ・国家公務員の任免権者は各省大臣であるが、不服申し立ては人事院に対してなされる ・再審査請求は、審査請求の裁決を経てさらに行う不服申し立てであり、その対象は、原処分であっても審査請求であってもよい。 ・不服申し立ては審査請求が原則だが、例外的に①処分庁に上級行政庁がない場合、②処分庁が主任の大臣または外局もしくはこれに置かれる庁の長である場合、③処分庁に上級庁があるが、法律により異議申立てによるべきものとされている場合は、異議申立てによる ・不作為の違法確認については、異議申立て・審査請求のいずれかを自由に選択できる。なお、再審査請求は認められていない ・例外的に異議申立てと審査請求の双方が認められる場合は、異議申立てに対する決定がなければ審査請求をなしえない ・行政不服審査法にいう不作為とは、不服申し立て人が行政庁に対して何らかの処分その他の公権力の行使を要請したにもかかわらず、これらをしないことをいい、ここにいう要請は、法令に基づいた申請をいい、事実上の申請を含まない ・権利能力をもつ自然人・法人はもとより法人格のない社団・財団も代表者または管理者の定めがあるものは当事者能力が認められる ・果汁含有率に関する表示について不当景品類及び不当表示防止法によって保護されている消費者の利益は、法律上の利益とはいえず、不服申し立ての利益が認められない。 ・審査請求は、直近上級行政処分庁になすが、処分庁を経由する必要はない ・不服申し立ては、他の法律に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、書面を提出してしなければならない ・一部訂正後の異議申立て書は、直ちに異議申立てと解すべきでない。都市計画法施行令17条による異議申立てか単なる陳情であるかは、文書の形式的文言でなく、当事者の意思解釈によるべきである ・行政不服審査法上の教示制度は、同法に基づく審査請求または異議申立てができる処分だけではなく、他の法令に基づく不服申し立てができる処分についても、一般的に適用される ・教示が必要なのは、書面による処分の場合に限られる ・教示制度は、行政庁が不服申し立てをなしうる処分を書面でする場合に、処分の相手方に対して不服申し立ての可否などを教示するものであり、不作為の場合は含まない ・地方公共団体その他の公共団体が私人と同じ立場において処分の相手方に立つ場合は教示が必要となるが、固有の資格において処分の相手方になる場合は教示は不要である。 ・行政庁は、不服申し立てをすることができる処分を書面でする場合には、書面により教示を行う義務を負う ・行政庁が教示を怠ったり、教示を誤ったりした場合でも、そのために行政庁の処分や裁決が違法となるわけではない ・処分庁が、当該処分につき異議申立てをすることができる旨を教示しなかったときは、異議申立ての決定を経ることなく審査請求をすることができる ・行政不服審査法も執行不停止原則を採り、不服申し立ての提起のみでは処分の効力は不変である。執行停止は、不服申し立て人の申立て、処分庁・審査庁の職権によりなされる ・行政不服審査法において、行政事件訴訟法と異なり補正は必要的で、補正することなく却下した裁決、決定は違法である。 ・口頭意見の陳述は、要件審理には保障されない ・行政不服審査法は、審理のあり方について職権主義をとっており、職権証拠調べ画供されている ・選挙の効力に関する争訟に、職権探知主義が妥当する。必ずしも訴願人の主張した事実のみを斟酌すべきものではない ・行政不服審査法は、私人の救済を第一の目的としていることから、不告不利、不利益変更禁止の原則が適用される。 ・不作為についての異議申立てに対しては、不作為庁は、異議申立てがあった日の翌日から起算して20日以内に申請に対する何らかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならない ・処分に対する審査請求に理由があるときは、当該処分の全部または一部を取り消す裁決がなされる。なお、審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、裁決で当該処分を変更することができる。ただし、審査請求人の不利益に変更することはできない ・審査庁が裁決すべき期間が法定されている場合でも、それは裁決の遅滞を防止するための訓示的規定であるから、当該機関を徒過しても裁決は違法とはならない <行政事件訴訟法> ・人事院の修正裁決は懲戒権の発動を承認し、職員に課する処分の内容を変更するものにすぎず、原処分は当初から修正どおりの懲戒処分として存在するとして、原処分取消の訴えを適法とした。 ・審査請求に対して処分をそのまま維持した裁決に関し、裁決の取消の訴えと処分の取消の訴えが提起された場合において、判決によって処分が取り消されたときには、裁決の取消の訴えは、訴えの利益がなくなったものとして却下される ・命令・強制・許可・免許のいわゆる講学上の行政行為は処分にあたる。ただし、不特定多数を相手方とする一般処分は、必ずしも直接特定人の権利義務を具体的に確定するものではないため、当然には処分にあたらない ・不服申し立てに対する決定・裁決は、当然に取り消し訴訟の対象として認められる ・人の収容・物の留置その他継続的な性質をもった公権力的事実行為について、取消訴訟の提起が認められる。強制入院、退去強制送還前の収容など。 ・国家公務員の免職などの不利益処分や生活保護の決定及び実施に関する処分は取消訴訟の対象となる ・原則として、①内部行為、②私法上の行為、③行政機関による規範定率行為、④行政計画、⑤事実行為には処分性がないとされる ・運輸大臣が日本鉄道建設公団の工事実施計画に与えた認可に処分性はない ・建築許可に対する消防長の同意に処分性ない ・地方公共団体の長が公共工事に係る指名競争入札への参加希望者のうち一定の者を指名から排除する行為は、処分にあたらない ・墓地・埋葬等に関する通達に処分性ない。 ・国所有の普通財産の売り払いに処分性ない ・労災就学援護費の支給に関する決定に処分性がある ・一括指定の方式による2項道路の指定に処分性ある ・都市計画法に基づく地域地区指定決定に処分性ない ・土地区画整理事業計画に処分性ない ・市町村営の土地改良事業についての事業施行の認可に処分性ある ・第2種市街地再開発事業の事業計画決定に処分性ある ・開発行為に対する公共施設管理者の不同意に処分性ない ・供託間による供託物取り戻し請求の却下は処分性ある ・輸入禁制人該当の通知に処分性ある ・検疫所長による食品衛生法違反の通知に処分性ある ・反則金の通告に処分性ない ・家賃台帳作成・登載行為に処分性ない。 ・公務員の採用内定の通知は、単に採用発令の手続を支障なく行うための準備行為としてなされる事実状の行為にすぎず、採用内定を受けた者の法律上の地位ないし権利関係に影響を及ぼすものではないから、行政庁の処分に当たらない ・処分の根拠法規が保護しようとしている権利利益が「法律上の利益」と考える見解 ・空港周辺に居住する住民は、新規路線免許により生じる航空機騒音によって、社会通念上著しい障害を受ける者には、免許取消を求める原告適格が認められる。 ・原子炉等規制法にかかる原子炉設置許可の無効確認訴訟において、付近の住民に原告適格が認められる ・都市計画法上の開発許可によって、がけ崩れ等の危険にさらされる者に開発許可の取消を求める原告適格がある ・既存公衆浴場業者に新規参入者に対する営業許可の取消を求める原告適格がある ・遺跡を研究の対象としてきた学術研究者に、史跡指定解除処分に対する取消訴訟の原告適格はない ・風営法施行条例3条1項1号所定の地域に居住する者の、風俗営業の許可の取消を求める原告適格は認められない ・経営許可がなされた墓地の周辺に居住する住民の原告適格は認められない ・森林法の林地開発許可がなされた土地の周辺住民の原告適格について、土砂の流出または崩壊、水害等の災害による被害が直接的に及ぶことが想定される開発区域に近接する一定の範囲の地域に居住する住民には原告適格が認められる ・総合設計許可の取り消し訴訟において、許可建築物の倒壊・炎上等に伴う直接的な被害を受けることが予想される居住者に原告適格認められる ・総合設計許可の取り消し訴訟において、日照を阻害される周辺の居住建築物の居住者に原告適格は認められる ・特定の町名を用いることによる利益不利益は事実上のものにすぎず法的利益と解すべき根拠はないとして、住民の原告適格を否定した ・市町村の合併は住民の権利義務に直接関係せず、住民に法律上の利益は認められないので、原告適格は否定される ・競願関係では、免許処分と他への拒否処分は表裏をなし、異議申立て棄却決定が取り消されれば、郵政大臣による再審査の結果、ある者へのテレビ放送局開設免許を取り消し、別の者に付与する可能性もあるとして別の者の原告適格肯定した ・一般消費者の利益は景表法が公益を保護する結果生じる反射的利益であるとして、一般消費者の不服申し立ての利益は認められないとした。 ・建築確認は、当該工事が完了した場合は、建築確認の取消を求める訴えの利益は失われる ・名誉・信用のような人格的利益は「法律上の利益」に含まれない ・保安林指定解除の取消訴訟において、代替施設が整備された場合には、訴えの利益はない ・土地改良事業の認可処分が取り消された場合に、原状回復が不可能であっても、訴えの利益が認められる。 ・訴えの変更前後における請求の訴訟物が同一である場合、または出訴期間を遵守したといえる特段の事情がある場合、出訴期間後になされた訴えの変更が適法とされる ・青色申告所による申請についてした更正処分の取消訴訟において更正の理由とは異なるいかなる事実をも主張することができると解すべきかどうかはともかく、被告が本件追加主張を提出することは妨げないとした原審の判断は、結論において正当として是認できる ・住民監査請求関係記録の情報非公開決定処分の取消訴訟において理由の差し替えは許される。 ・処分の取消の訴えを提起した後に訴えの利益が消滅した場合、原告は当該訴えを、当該処分が違法にされたことを理由とする国家賠償請求の訴えに変更して訴訟を維持することができる。 ・産業廃棄物のいわゆる管理型最終処分場の設置許可申請に対する知事の不許可処分の取消訴訟において、当該施設の周辺に居住し、当該施設から有害な物質が排出された場合に生命、身体等に直接的かつ重大な被害を受けることが想定される範囲の住民は、「訴訟の結果について利害関係を有する第三者」にあたり、知事に対し、民事訴訟法42条に基づく補助参加をすることができるとした。 ・行政庁の専門技術的裁量行為についての取消訴訟においては、被告行政庁が依拠した具体的審査基準ならびに調査審議および判断の過程等、被告行政庁の判断に不合理な点があることを原告の側が常に主張立証する責任を負う。 ・行政庁が許可処分を行う際に前提とした安全性に関する科学的知見が変動した場合には、当該処分の取消訴訟においては、裁判所は現在の科学技術水準に照らして審理、判断すべきである。 ・取消訴訟において、処分を取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合で、原告の受ける損害の程度等の事情を考慮したうえ、処分の取消が公共の福祉に適合しないと認めるときは、処分の違法性を宣言した上で請求を棄却する ・処分の取消訴訟において、裁判所は処分時における処分の適法性を判断すべき ・処分の取消判決が確定した場合、公権力の行使に関する法律関係を画一的に規律するため、行政庁の取消を待たず、処分時にさかのぼって当然に処分の効力が消滅する ・処分の取消判決は、訴訟当事者はもとより第三者に対しても効力を有するから、行政事件訴訟法においては、第三者の訴訟参加および第三者の最新の訴えの制度が設けられている。 ・取消訴訟の判決には、第三者効があるため、第三者保護の見地から、訴訟参加制度などがある。この訴訟参加の法的性質は、共同訴訟的補助参加とされている。 ・第三者の訴訟参加は、共同訴訟的補助参加であり、被参加人が単独で訴えを取り下げたとしても、参加人になんら効力を及ぼさない ・行政庁は、同一事情の下、同一理由による同一内容の処分をすることはできないが、同一事情でも同一理由でない限り、同一内容の処分をすることはできる ・既判力は、判決で判断された事項に関して再び裁判所で判断しないという効力にすぎず、行政庁の職権による取消を排除する効力をもたない ・事情判決の存在により、当然に、取消訴訟が、国家賠償請求訴訟に切り替わるものではない ・中間違法判決の制度とは、終局判決前に、裁判所が係争処分または裁決が違法である旨の判断を示して、被告側において損害の除去、補填などを可能にするような対策がなされることを期待し、この結果を勘案して、事件の公共の福祉に適合する解決を図ろうとするものである。ただし、中間判決があっても、当然に損害賠償義務が発生するわけではない。 ・処分の取消の訴えが提起されても、当然には処分の効力、処分の執行又は手続の続行が停止されることにはならない ・公権力の行使に当たる程度については、執行停止制度が認められており、民事保全法に規定する仮処分は排除される ・執行停止の申し立てにあたっては、本案訴訟が適法に継続していることが必要である ・処分の執行停止は当該処分の取消の訴えを提起した者の申立てによってのみなされるものであり、その場合、申立人は執行停止の要件たる事実の存在について疎明すれば足りる ・執行停止をするには、、本案訴訟が適法に継続していることが必要とされ、その意味で保全手続が独立してなされる民事訴訟とは異なる。 ・申請拒否処分は、国民の権利利益に対する積極的効果をもたらさないので、執行停止は認められない。 ・執行停止の決定が確定した場合でも、その理由が消滅し、その他事情が変更したときは、裁判所は、相手方の申立てにより、決定をもって、執行停止の決定を取り消すことができる。 ・処分の効力の停止は、処分の執行または手続の続行の停止によって目的を達することができない場合にのみすることができる。その効果は、将来効を有するにとどまる。 ・執行停止には、第三者効が認められている ・事情変更による執行停止の取消は、相手方の申立てをまってはじめてできる。 ・退去強制令書の執行は、原告の裁判を受ける権利を否定しない。なぜなら、一般に裁判を受ける権利には、本人による訴訟追行権の保障まで含まれないから。 ・原告による処分の執行停止の申し立てがあった場合には、裁判所の執行停止の決定があった後においても、内閣総理大臣は裁判所に対し理由を付して異議を述べることができるとされており、執行停止の決定後に内閣総理大臣の異議があったときには、裁判所はその決定を取り消さなければならない ・農地買収計画に基づく農地買収処分および売り渡し処分の完了後、農地の元所有者が当該計画の執行停止決定を得た場合、元所有者の所有権は、暫定的に回復しない。なぜなら、執行停止決定は、将来効を有するだけだから。 ・執行停止について総理が異議を申し立てた場合、次の国会における報告が義務付けられている。しかし、承認を受ける必要はない。 ・執行停止の決定に対して総理が異議を述べた場合、裁判所はその異議の当否に関して判断し棄却することはできない ・違法建築に対して、行政から是正措置を採るように命じることを求めた訴訟は、義務付け訴訟であり、抗告訴訟にあたる ・原子炉の週変異居住する住民が、当該原子炉の設置許可処分が無効であると主張してこれを争おうとする場合には、原子炉の設置者に対してその建築ないし運転の差し止めを求める民事訴訟は、当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えに該当しないから、当該設置許可処分の無効確認の訴えを提起することができる ・入会林野整備計画の認可が向こうの場合には、入会権に基づく妨害排除請求訴訟を提起できるとして、無効確認の訴えを提起できないと判断してる。 ・認可により事業施行区域内の宅地所有者は、組合員の地位を取得させられるので、同組合の事業施行に伴う換地指定処分等の処分を否定する場合には、認可の無効確認の訴えを提起できる。 ・無効確認訴訟については、出訴期間の制限に関する取消訴訟の規定は準用されていないから、土地収用法に基づく土地収用裁決により土地を収用された者は、出訴期間が経過した後、土地収用裁決の無効確認訴訟を提起することはできない ・争点訴訟とは、私法上の法律関係に関する訴訟で、行政庁の処分もしくは裁決の存否又はその効力の有無を前提として争われるものであるが、行政訴訟に含まれず、あくまでも民事訴訟である。 ・不作為の違法確認の訴えに際して、原告は申請権を有すること、つまり、原告の申請に対し、行政庁の応答義務が必要である。 ・不作為の違法確認の訴えは、申請をした者に限り、提起しうる ・法令上一定期間内に処分をしないときは申請を認容したものとみなされる場合において、その期間内に処分がなされなかった場合には、不作為の違法確認の訴えを提起することはできない ・行政庁が飲食店の営業許可の申請に対して相当の期間内に処分をしなかったために、不作為の違法確認を求める訴えが提起され、判決によりその不作為が違法である旨確定したときは、行政庁はあくまでも申請に対する諾否を決定するという応答義務を負うにとどまり、許可処分をする義務を負うわけでない。 ・義務付け訴訟は、行政事件訴訟法上、私人の申請が予定されている場合(申請満足型義務付け訴訟)とそうでない場合(直接型義務付け訴訟)とに分けられる ・申請に対して拒否処分を受けた者は、義務付け訴訟を提起するには拒否処分の取消訴訟を併合して提起しなければならない ・申請に対して拒否処分を受けた者が、拒否処分の取消訴訟と義務付け訴訟を併合して提起した場合、取消訴訟が棄却された場合、併合された取消訴訟が棄却されたので、当該義務付け訴訟は認容されない ・日本国籍を有していることの確認を求める訴訟は、公法上の法律関係に関する確認の訴えであり、当事者訴訟にあたる ・形式的当事者訴訟とは、当事者間の法律関係を確認しまたは形成する行政処分に関する訴訟であるが、法令の規定により法律関係の当事者一方を被告とするものをいう ・収用委員会は、補償の範囲および額の決定につき裁量権を有しない ・形式的当事者訴訟の例として、特許無効の審判を争う訴えがある ・実質的当事者訴訟とは、公法上の法律関係に関する訴訟を言う ・当事者訴訟については、公告訴訟と異なり、国、地方公共団体等の法主体を被告としなければならず、行政庁は、訴訟参加することは格別、被告適格を有しない ・客観訴訟においては、主観的な訴えの利益は必要なく、広く原告適格が認められる。 ・国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起する訴訟は、法律上の争訟に該当しない ・市長に対し、カラ出張に関する出張費の返還請求することを求める訴訟は、地方自治法上の住民訴訟であり、民衆訴訟にあたる。 ・選挙の無効を求める訴訟は、民衆訴訟にあたる。 ・住民訴訟は、民衆訴訟の1つであり、地方公共団体の財務の公正を確保することを目的とするため、その対象は財務会計行為に限られる ・期間訴訟とは、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟をいう。たとえば、長と議会の紛争に関する訴訟etc <国家賠償> ・国または公共団体は、加害行為・加害公務員不特定を理由として国家賠償法または民法上の損害賠償責任を免れることはできない ・国場違法1条の「公権力の行使」とは、国または公共団体の権限に基づく優越的な意志の発動たる権力作用に限られないが、純然たる私経済作用と2条に規定する公の営造物の設置管理作用は含まない ・課外のクラブ活動でも、国場違法の適用対象となりうる。もっとも、顧問の教諭に常時立会い監視すべき義務までない。 ・弁護士会は、弁護士法により、弁護士に対する懲戒権の行使をゆだねられている団体であり、その懲戒権の行使は公権力の行使にあたるから、国賠1条にいう「公共団体」にあたる。 ・裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在したとしても、これによって当然に国賠法1条1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任の問題が生ずるわけではなく、右責任が肯定されるためには、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかにそむいてこれを行使したものと認めうるような特別の事情が必要である ・パトカーによる追跡それ自体は、法律の定めに従ったものであっても、第三者に対する具体的な危険の発生を考慮せず、不相当な方法で行った場合違法性はある ・税務署長のする所得税の構成は、所得金額を過大に認定していたとしても直ちに国賠1条の違法があったとの評価を受ける者ではなく、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と公正したと認めうるような事情がある場合に限り、違法となる ・当該業者の不正な行為により個々の取引関係者が損害を被った場合でも、知事に監督処分権が付与された趣旨・目的に照らし、その不行使が著しく不合理と認められるときでない限り、権限の不行使は違法の評価をうけるものでない ・医薬品に対するその時点における医学的所見の下において、薬事法の目的及び大臣の権限の性質に照らし、権限の不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、違法となる ・裁判官が違法または不当な目的をもって裁判をした等、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを講師したと認めうる特別の事情がある場合異は、国賠法1条1項の責任を肯定しうる ・「損害」には精神的損害を含む ・国が賠償責任を負う場合に、公務員は直接被害者に責任を負わない ・2条の公の営造物の管理については、国または公共団体が事実上の管理があれば足りる ・道路の安全性に欠如があったとしても、時間的に遅滞なく現状に復し安全な状態に保つことが不可能であった場合は、管理に瑕疵があったとはいえない ・危険防止施設の安全確保義務の範囲は、相当程度標準化されて普及しているか、当該施設の必要性、設置の困難性等を総合考慮して判断すべきである。 ・3Ⅰ「設置費用の負担者」とは、営造物の設置費用につき、法律上負担義務を負う者の他、この者と同等もしくはこれに近い設置費用を負担し、実質的にはこの者と当該営造物による事業を共同して執行していると認められる者であって、当該営造物の瑕疵による危険を効果的に防止しうる者をいう。 ・3Ⅰの趣旨は、被告選択の困難を除去し、危険責任の法理にたって被害者の救済を全うしからしめる趣旨であるから、営造物の設置費用につき法律上負担義務を負う者のほか、実質的にはこの者と当該営造物による事業を共同して執行していると認められる者を含み、また当該費用を補助金として交付している者も含む ・失火責任法は国賠法4条の民法として適用される ・道路公害に関し、国と半身道路公団の共同不法行為が認められた ・職員に故意・重過失がある場合にまで国家賠償を制限する郵便法68、73は憲法17条に反する
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【論証 行政法】 国家賠償法1条の責任の性質 国や公共団体が公務員に代わって責任を負担するのか(代位責任説)、それとも国の自己責任であるのか(自己責任説) ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ この点 自己責任説は、 ①国家賠償法1条1項の責任主体が国・公共団体に限定されていること、 ②国家賠償法1条には、民法715条と異なり、免責規定が設けられていないこと、 ③「公務員に代わって」という文言が使用されていないことを根拠とする。 しかし ①賠償責任の成立要件として、公務員の故意・過失が要求されていること、 ②国に求償権が認められていること(国家賠償法1条2項)から、 この見解は妥当でない。 思うに、 加害行為を行った公務員個人に不法行為責任がまず成立するが、 適法・違法の判断は困難である場合があり、公務の萎縮を招くおそれがあることから、 国家賠償法1条1項の責任は、本来公務員が負うはずである不法行為責任を国または公共団体が代位するものと解すべきである(代位責任説) 国家賠償責任の成立要件 ①公務員の行為であること ②公権力の行使であること ③職務を行うについて損害を与えたこと ④公務員に故意または過失があること ⑤加害行為が違法であること 代位責任説をとる場合、加害者である公務員について不法行為責任が成立していなければならないところ、 故意・過失を認定するにあたり、加害公務員を特定しなければならないのではないか ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 思うに、 ①国家賠償法の趣旨は、 違法な公権力の行使によって損害を被った被害者に十分な救済が行えるよう、国・公共団体に責任を認める点にあるが、 被害者に加害公務員の特定という困難な立証を強いることは、 不当に被害者救済を閉ざすものであり、国家賠償法の趣旨にそぐわない。 また、②一般に不法行為責任について加害者の特定が要求されるのは、 不法行為の成否及び誰が損害賠償責任を負うかを明らかにするためであるから、 一連の行為のどれかが不法行為にあたれば加害者を特定する必要はないし、 国家賠償責任において損害賠償責任を負う主体を特定する必要もない。 したがって、 代位責任説をとる場合であって、厳密に加害公務員個人を特定する必要はない。 「公権力の行使」の範囲が問題となる。 公権力の行使にあたらなければ、国家賠償法1条ではなく、民法715条が適用される。 ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 思うに、 「公権力の行使」という文言が用いられていることから、 国や公共団体の全ての活動に国家賠償法の適用を認めることはできない。 他方、 行政行為や行政強制などの権力的作用に限ることは、 被害者救済という国家賠償法の理念にそぐわない。 そこで、 公権力の行使には、権力作用だけでなく、 純粋な私経済作用と、国家賠償法2条によって救済される営造物の設置管理作用を除く 全ての非権力的な公行政作用が含まれると解する(広義説)。 したがって、 教育活動、行政指導、医療行為なども「公権力の行使」に含まれる。 「その職務を行うについて」とは、職務行為それ自体よりは広いが、職務を行うに際して行う行為よりは狭い概念。公務員の「職務行為」の範囲内かどうかの判断基準が問題。 ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 思うに、 その職務行為の範囲内といえるためには、 客観的に職務行為の外形があれば足りると解すべき。 なぜなら、 公務員の主観的意図を基準にするならば、 被害者である国民の救済は不十分となるから。 国家賠償法1条は、公務員の故意または過失という主観的要素を成立要件としている。ここで過失とは、 公務員の客観的な注意義務違反であると解すべき。 すなわち、 通常の公務員に要求される知識・能力を前提に、 当該公務員が被害の発生を予見することが出来たのに予見を怠り、かつ、 結果を回避できたのに怠ったといえれば、 過失ありと判断される。 「違法」とは(国家賠償法1条) 公務員の行為の客観的要件であり、 その行為が客観的に正当性を欠く場合を言う。 法規違反だけでなく、 条理や法の一般原則違反なども含む。 しかし、 単に不当にとどまるときは、違法とはならない。 行政庁が、規制権限を適切に行使しなかったために、国民に損害が生じた場合、行政庁の不作為に対して、国家賠償を請求できるか。まず、行政庁の権限不行使が違法と評価できるか。 この点、 反射的利益論によって、行政庁の権限不行使は違法な権利侵害とはいえないとする見解もある。 反射的利益論とは、 行政法規が公益上の見地から、行政主体に対して一定の作為・不作為を命じている場合、 被害者の利益は法律が直接に保護する利益ではないから、 たとえその利益が侵害されたとしても、損害賠償責任は発生しないとする理論 しかし、 反射的利益論は、取消訴訟の原告適格という訴訟要件の有無を決する際に用いられる理論であり、 実際に被害が発生している国家賠償請求訴訟に必ずしも該当しない。 また、 行政庁が法令上与えられている権限を行使するかしないかは、原則として行政庁の裁量に委ねられており、 付与された権限を行使しないことが直ちに違法とはいえないとする見解も(行政便宜主義)。 しかし、 現代社会において、国民の権利利益は、行政庁の適切な権限行使によって初めて保護され、 法もこれを期待して行政庁に権限を付与しているものと解される。 したがって、 行政庁に付与された権限の不行使が、法の趣旨に反する一定の場合には、 違法と評価されるものと解すべき。 具体的にいかなる場合に行政庁の権限不行使が違法となるか。 この点、 規制権限行使の要件が整ったからといって、直ちにその不行使が国家賠償法上の違法があると評価されるべきではない。 なぜなら、 ①現代社会のように高度に専門家・複雑化した分野においては、 行政庁の第一次的判断が尊重されるべきであり、裁判所が積極的に規制権限の不行使を違法と判断すべきではないから。 ②また、要件を具備したからといって直ちに規制権限を行使するとすれば、 場合によっては、国民の権利利益を変えて侵害するおそれも生じる。 ③そして、あまりに広範に規制権限不行使の違法を認めると、 公務の萎縮という結果ももたらす可能性がある。 もっとも、 行政庁の権限不行使が、許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるような場合については、違法と評価すべき。 そこで、 国または公共団体の規制権限の不行使が、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質に照らし、 具体的事情の下において、許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められる場合は、国家賠償法1条1項の違法を構成すると解すべきである。 そして、 規制権限を定めた法令の趣旨、目的、規制権限の性質などが当該法令等から明らかでない場合については ①危険性、(あるいは差し迫った危険)があること ②予見可能性があること ③結果回避可能性があること、 ④国民の期待可能性があること、 ⑤国民水から危険を回避できないこと(補充性) を要件として、これらを総合的に考慮して、違法性の有無を判断すべき。 行政指導にも「違法性」がある場合があるか(国家賠償法1条) この点、 行政指導は、本来、相手方の任意の協力を得て行う行政作用であって、 相手方はその自主的判断で行動しているので、 行政指導によって国民に損害が生じても、違法性が認められないとも思える。 しかし、 相手方の任意の協力を得て行う行政指導も違法性が認められるものと考える。 なぜならば、 前述のように、行政指導も「公権力の行使」に当たる以上、違法な場合がありうるから。 いったん策定された行政計画を後に変更することが直ちに違法となるか 思うに 行政計画は、将来を予測して目標を設定し、長期に亘ることも少なくないことから、 その間に、政治・経済上正当に変化が生じれば、 計画策定後に変更や中止を行うこともやむをえないといわざるを得ない。 従って、 いったん策定された行政計画を後に変更することが直ちに違法となると解することはできない。 しかし、 他方で、いったん計画が策定されれば、当該計画を信頼し、その実現に協力し、計画を前提とした資金及び労力が投入されることもある。 このような場合にまで、計画の違法性を否定し、国家賠償請求を認めないとすると、 国民の権利利益救済という国家賠償法の理念に反することになるし、 また、後に計画が変更・中止されることを懸念して国民が計画に協力的でなくなるおそれもありうる。 そこで、 行政計画の変更も国家賠償法上違法となりうると解すべきである。 いかなる場合に行政計画の変更が国家賠償法上違法となるか。 思うに、 行政庁が、将来に亘って継続すべき施策を決定した場合であっても、 行政庁がその内容に拘束されるものではないことからすれば、 行政計画の変更を一般的には、違法性が認められないと解する。 もっとも、 計画の変更が、密接な交渉をもつに至った当事者間の信頼関係を不当に破壊するような場合には、 信義衡平の原則に照らし、違法となると解すべきである。 具体的には、 ①決定が、単に一定内容の継続的な施策を定めるにとどまらず、 特定の者に対して施策に適合する特定内容の活動をすることを促す 個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、 ②その活動が相等長期にわたる当該施策の継続を前提として初めて これに投入する資金または労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合には、 特定の者は、かかる施策を信頼するのが通常であるから、 たとえ勧告ないし勧誘に基づいてその者と当該地方公共団体との間に施策の維持を内容とする契約が締結されものとは認められない場合であっても、 信義衡平の原則に照らし、その施策の変更にあたってはかかる信頼に対して法的保護が与えられなければならない。 すなわち、 施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者が、 その信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない積極的損害を被る場合に、 地方公共団体において損害を保証するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、 それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、 当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯びるものと解する。 公務員個人の故意または過失の有無はどのようにして判断すべきか この点、 行為者たる公務員個人の注意能力を過失認定の基準にすると、 不注意な公務員ほど過失の認定が困難となり、被害者が救済を受けられないという不合理な結果が生じる。 そこで、 過失を客観化し、 通常の公務員に要求される知識・能力を前提とした注意義務を想定し、 客観化された注意義務違反を過失認定の基準とすべきである。 ここに「過失」とは、 予見可能性を前提とする予見注意義務違反、及び結果回避可能性を前提とする 結果回避義務違反をいうと解する。 したがって、 担当公務員に予見注意義務違反及び結果回避議有無違反があれば、 国及び第三者に責任を負いうる。 国家賠償法1条の責任の性質 この点、 行政活動は、市民に被害を発生させる危険性を内在しており、 国や公共団体は、自己責任として損害賠償責任を負うとする見解がある(自己責任説)。 しかし、 国家賠償法1条が公務員の主観的要素(故意または過失)を要件としていることから この見解は、妥当でない。 思うに、 国家賠償責任とは、加害行為を行った公務員個人の不法行為責任がまず成立するが、 そうなると萎縮してしまい公務の遂行に支障をきたすおそれがあるので、 その責任を国が公務員に代わって負う制度であると解する。 なぜなら、 ①公務員個人の主観的要素である「故意または過失」が成立要件とされている、 ②国家賠償法1条2項は、国の加害公務員に対する求償権を認めているから。 したがって、 国家賠償法1条は、国または公共団体の代位責任であると解する。 国家賠償法1条の責任の性質を踏まえた上で、公務員個人が第三者に対して、国家賠償法上の責任を負うか。国家賠償法に明文規定がないため問題となる。 この点、 国家賠償法1条は、あくまで国または公共団体の自己責任であること、 行政主体の責任と個人の責任は別であることを理由に、公務員個人の責任を認める見解もある。 しかし、 前述のように、国家賠償法1条は代位責任であると解すべきであるし、 また、行政が複雑かつ多様化した現代社会において、 公務員の職務行為に常に個人責任の危険を負わせることは、職務の萎縮を招くおそれもあるため、 かかる見解は支持できない。 思うに、 国家賠償法1条の責任は、国または公共団体のみが負うと解すべきである。 なぜなら、 国家賠償法1条1項は「国または公共団体が、これを賠償する攻めに任ずる」と規定しているし、 行政主体が賠償責任を負うことで被害者の救済としては十分だからである。 以上より、 担当公務員に故意または過失があっても、 当該公務員が国家賠償法上、第三者に対して個人責任を負うことはないものと考える。 もっとも、 国家賠償法上の責任が否定されるとしても、当該公務員の民法上の責任が否定されるわけではないので、 担当公務員が故意に基づく職権濫用行為を行ったような場合は、 第三者に対して、民法709条の損害賠償責任を負いうる。 担当公務員の国に対する責任 国家賠償法1条2項により、 公務員の予見注意義務違反及び結果回避義務違反が重大なものであれば、 担当公務員は、国に対して、求償義務を負う。 失火責任法が軽過失を免責していることから、同法が国家賠償法4条にいう「民法」に含まれるか 思うに、 国または公共団体の損害賠償の責任について、国家賠償法4条は、 同法1条1項の規定が適用される場合においても、 民法の規定が補充的に適用されることを明らかにしているところ、 失火責任法は、失火者の責任条件について民法709条の特則を規定したものであるから、 国家賠償法4条の「民法」に含まれると解するべきである。 従って、 公権力の行使に当たる公務員の失火による国または公共団体の損害賠償責任については、 国家賠償法4条により失火責任法が適用され、 当該公務員に重大な過失のあることが必要である。 国家賠償法2条1項の「瑕疵」 国家賠償法2条1国の設置または管理の瑕疵とは、 営造物が通常有すべき安全性を欠き、他人に危害を及ぼす危険性のある状態をいうと解する(客観説、判例・通説、最判昭45.8.20) なぜなら、 「瑕疵」とは、物の状態に関するものと考えられるから。 そして、瑕疵の存否については、 営造物の構造、用法、場所的環境及び利用状況等諸般の事情を相互考慮して、 具体的個別的に判断すべきである(最判昭53.7.4) 裁判所の裁判が「違法」と言える場合があるか、あるとすればどのような場合に違法となるか。 裁判官がした裁判に、上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在したとしても、 当然に国家賠償法1条1項音「違法」の評価を受けるものではないと考える。 なぜなら、 裁判の瑕疵は上訴によって是正されるべきであるし(三審制)、 裁判官の職権行使の独立性が保障されるべきことから、 他の公務員とは異なる特殊な性格を有するからである。 したがって、 裁判所の裁判が国家賠償法上の「違法」があるといえるためには、 単に瑕疵があるだけでなく、 当該裁判官が違法または不当な目的をもって裁判をしたなど、 裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような 特別の事情があることが必要であると解する。 公訴提起後に裁判で無罪判決が確定した場合、違法となるか。検察官の公訴提起 この点、 結果的に無罪判決が確定した以上、検察官の公訴提起が違法となり、 検察官が十分に職務上の注意義務をつくしていた場合に限り過失を否定する見解がある。 しかし、 この見解によると、違法とされる範囲に拡大し過ぎ、円滑な行政活動が阻害され、 結果として、国民の権利利益を保護することができなくなるおそれがある。 思うに、 検察官が公訴提起時において、収集した証拠資料及び通常要求される捜査を遂行すれば収集し得た証拠資料を総合勘案して 合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば、 たとえ後に無罪判決が確定したとしても、公訴提起事態は違法性を欠くものと解すべきである。 なぜなら、 検察官の公訴提起について、濫用は許されないが、 一定の犯罪に対する嫌疑があれば公訴提起を行うことが認められているからである。 したがって、 検察官が公訴提起時に、十分な注意義務をつくさず、証拠資料の収集を怠り、 または証拠資料を勘案して不合理な判断過程を経て公訴提起するに至ったなどの特段の事情がある場合は、 国家賠償責任が生じうると解する。 立法行為は違法となるだろうか。 思うに、 国会がいついかなる立法をなすかは、 国会の広い立法裁量に委ねられているというべきである(憲法41条)。 また、国会議員は、立法に関しては、 原則として、国民全体に対する関係で政治的責任を負うにとどまり、 個別の法的義務を負うものではない。 したがって、 仮に当該立法の内容または立法不作為が憲法の規定に違反するものであるとしても、 その故に国会議員の立法行為または立法不作為が直ちに違法の評価を受けるものではない もっとも、 立法の内容または立法不作為が、 国民に憲法上保証されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、 国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために、 所要の立法措置をとることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、 国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、 例外的に、国会議員の立法行為または立法不作為は 国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けるものというべきである。 「違法」及び「故意または過失」について 一般的に、「違法」は客観的要件、 「故意または過失」は公務員の主観的要件であるとされているが、 行為者たる公務員個人の注意能力を過失認定の基準にすると、 不注意な公務員ほど過失の認定が困難となり、 被害者が救済を受けられないという不合理な結果が生じる。 そこで、 過失を客観化し、「抽象的な過失」をもって過失を認定すべきである。 ここでは、「過失」とは、 予見可能性を前提とする予見注意義務違反、及び結果回避可能性を前提とする 結果回避義務違反をいうと解される。 そして過失の客観化により、違法と過失が相対化し、 違法と過失を必ずしも明確に区別する必要がなくなる(一元説)。 したがって、 客観的に違法性が認定できれば、過失も推定されることとなり、 逆に客観的に過失が認定できれば、違法性が推定されることとなる。 国家賠償法2条の設置・管理の瑕疵の意義 この点、 営造物の設置・管理の瑕疵は、 管理者の損害(危険)防止措置の懈怠・放置についての客観的な管理義務違反であるとする見解がある。 この見解によれば、国家賠償法2条は、 国家賠償法1条と連続性を有し、過失責任と解することとなる。 しかし、 国家賠償法2条の「瑕疵」は、物の状態に関するものであるが、 国家賠償法1条の「過失」は、人の行為に関するものであり、同じ過失責任と捉えるべきではない。 そこで、 設置・管理の「瑕疵」とは、 営造物が通常有すべき安全性を欠き、他人に気害を及ぼす危険性のある状態をいうと解する(客観説)。 したがって、 営造物の設置・管理の瑕疵は、 客観的に存在する物であり、管理者の故意・過失を前提とせず(無過失責任)、 その責任の根拠は、 危険責任の原理に求めることとなる。 また、瑕疵の存否については、 当該営造物の構造、用法、場所的環境及び利用状況等、諸般の事情を総合考慮して、具体的個別的に判断すべきであり、 その際の基準として、 ①危険性、②予見可能性、③回避可能性が斟酌されるべきである。 道路(明文で例示された公の営造物(人工公物)(国家賠償法2条1項)が、設置・管理の「瑕疵」といえるか 思うに、 国は道路などの公の施設を設け、広く国民の利用に提供する以上は、 通常有すべき安全性を確保し、 通常の方法により利用する国民に、物的欠陥による損害を与えることを防止することが義務付けられる。 したがって、 道路の設置・管理の瑕疵とは、 通常有すべき安全性を欠き、他人に危害を及ぼす危険性のある状態をいうと解すべきである(客観説、無過失責任)。 したがって、 道路の安全性確保のための措置をとることが、予算不足のため困難であるとの抗弁は、認められない。 道路の機能的瑕疵(道路利用者以外の者との関係における瑕疵)の設置・管理の瑕疵の判断基準 機能的瑕疵・・・ 営造物の本来的な両者との関係では瑕疵がない場合でも、当該営造物が共用されることにより、その周辺住民等の第三者に被害を生じた場合にも瑕疵があるとされる場合。供用的瑕疵。 機能的瑕疵であっても、設置・管理の瑕疵の判断基準は変わらないが、 具体的な基準として 受忍限度論が用いられる。 すなわち、 機能的瑕疵があるとされるためには、被害が社会生活上受任すべき限度を越えた違法なものでなければならない。 そして、受任限度を超えたか否かは、 侵害行為の態様と程度、被侵害利益の性質内容などの諸事情を考慮して、総合的に判断されると解する(最判平7.7.7) 未改修河川における設置・管理の瑕疵 河川も、明文で例示された公の営造物であるが、道路と異なり、 河川は、自然発生的な公共用物(自然公物)であり、 もともと洪水等の自然的原因による災害をもたらす危険性を内包している。 また、改修に要する時間的制約、膨大な費用がかかるという財政的制約、 改修には用地買収が必要であるという社会的制約、 河川改修は綿密な計画にしたがった段取りが必要であるという技術的制約などの制約がある。 さらに、道路における通行止めのような簡易な損害回避手段も存在しない。 そうすると、道路のような人工公物とは、おのずと瑕疵の判断に差異が生じる。 したがって、 未改修河川の設置・管理の「瑕疵」については、 自然的条件、社会的条件など諸般の事情を総合考慮し、 財政的、技術的、社会的諸制度のもとで、同種同規模の安全性(過渡的安全性)を備えているか否かを基準として 判断すべきであると解する(最判昭59.1.26) 改修済み河川における設置・管理の瑕疵 改修済み河川の場合は、改修計画が想定していた規模の洪水における 流水の災害を防止するに足りる安全性を確保しなければならない。 すなわち、 改修済み河川については、 改修時の防災技術の水準に照らして通常予測し、かつ、 回避しうる水害を未然に防止するに足りる安全性が必要であると解する(最判平2.12.13) したがって、 改修計画が想定していた規模の洪水で水害が発生すれば、 通常有すべき安全性にかけるといえるから、 設置・管理の瑕疵が認められる。 裁決の効力 まず、裁決も行政行為の一種であるから、 公定力が生じ、 権限ある行政庁または裁判所によって取消されない限り、原則として、有効。 また、裁決は、慎重な手続を経て行われる裁断行為であるため、 不可変更力を有し、審査庁により裁決が下されると、 たとえ裁決に瑕疵があっても、他の一般の行政処分とは異なり、 特別の規定がない限り、裁決徴自らにおいて取消すことが出来ない(最判昭29.1.21) 不適法な審査請求であっても、審査庁の過誤により裁決を経た場合は、審査請求前置の要件を満たしたといえるのか。 思うに、 不適法な申立てであるのに要件をみたしたものとすれば、 不適法な申立てを却下した場合との均衡に欠けるし、 行政庁の過誤により利益を付与すべきではない。 したがって、 行政庁の過誤により本案審理が行われ、 不適法な審査請求について棄却裁決がなされたとしても 審査請求前置の要件を満たしたとはいえず、 取消訴訟は提起できないものと解すべきである。 「行政庁の処分」の意味 行政庁の処分とは、 公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうちで、 その行為により直接国民の権利義務を形成しまたは その範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解する。 したがって、 講学上にいう行政行為がこれにあたるほか、 形式が行政立法(法規命令)にあたるものであっても、 直接具体的な法効果を有するものは 「処分」にあたり、 権力的事実行為であって継続的性質を有するものは 「その他公権力の行使」に含まれると解する(行政不服審査法2条1項参照) もっとも、 上記のような基準のみで一律に処分性を判断できない行政活動もあり、 その場合は、根拠となった法令等から、 処分性を肯定する手がかりとなる規定の有無などによって判断することになる。 公の施設の建設の処分性 ゴミ処理上の建設は、 ①行政庁における設置計画の策定及び計画の議決・公布と、 ②その後行政庁が、建設会社と建築請負契約を締結し、工事を行うという過程に大別される。 そこで、各過程が処分に該当するかについて検討する。 ①は、行政における内部的手続行為であり、 「直接国民の権利義務を形成」するものではなく、 かかる内部的手続行為により、国民に直接具体的な法効果を生じさせるものでもない。 したがって、 ①の行為について処分性は認められない。 また、②も行政庁と建設会社とが対等の立場に立って締結する私法上の契約にすぎず、 「直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定する」行為であるとはいえない 以上により、ゴミ処理上の建設は、「行政庁の処分」にはあたらず、 抗告訴訟の対象とはならない。 行政代執行の戒告の処分性 行政代執行の戒告(行政代執行法3条1項)は、代執行そのものではなく、 またこれによって新たな義務ないし拘束を科するものではないことから、 行政処分とは言えない。 しかし、 代執行の前提要件として、 行政代執行手続の一環をなすとともに、 代執行の行われることをほぼ確実に示す表示でもある。 そして、代執行の段階に入れば多くの場合、直ちに執行は終了し、 救済が困難となることからすれば、 戒告は後に続く代執行と一体的な行為であり、 「公権力の行使」にあたると解すべきである。 公営住宅の使用許可の取消の処分性 公営住宅の使用関係は、国民と行政とが対等の立場に立って締結される私法上の契約であり、 実質においては、民間の賃貸借契約と同様であるといえる。 そうであるとすれば、 行政庁が行った使用許可の取消は、 実質的には、賃貸借契約の解除であると解する。 したがって、 公営住宅の使用許可の取消は、「直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定する」ものであるとはいえず、 行政庁の処分には当たらないことから、 抗告訴訟を提起することはできないと解する。 補助金交付決定の処分性 補助金の交付は、国と地方公共団体とが対等の立場にたって、 補助金を受ける地方公共団体の申請と、これに対する行政庁の交付決定とによって成立する契約(負担つき贈与契約)と見ることも可能である。 しかし、 補助金等の交付決定に対しては、補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律(適正化法)25条に基づき、不服の申出が認められていること、 適正化法は、補助金等の交付の不正な申請及びその不正な施用を防止し、 補助金等にかかる予算の執行が適正に行われることを目的としていること、 地方公共団体に対して、当該事業についての是正命令を行うことを行政庁に認めていること(適正化法16条)、 地方公共団体が条件に違反した場合、交付決定を取消、補助金の変換を求めることができ、 その返還は国税徴収法の例により徴収できるとされていること(適正化法21条)など 同法全体の構造からすれば、適正化法は、補助金交付決定を行政処分として構成しているものと解すべきである。 したがって、 国の省庁による地方公共団体に対する補助金交付決定は、抗告訴訟の対象となるものと解する。 土地区画整理事業計画の処分性 ①土地区画整理事業計画は、もともと、 土地区画整理事業に関する一連の手続の一環をなすものであって、 長期的見通しのもとに、健全な市街地の造成を目的とする 高度の行政的・技術的裁量によって、一般的・抽象的に決定するものである。 したがって、 事業計画は、特定個人に向けられた具体的な処分とはいえず、 事業計画自体ではその遂行によって利害関係者の権利にどのような変動を及ぼすかが、 必ずしも具体的に確定されているわけではなく、 いわば当該土地区画整理事業の青写真たる性質を有するにすぎない(青写真論)。 ②また、当該事業計画が法律の定めるところにより公告により、施行地区内の建物等の所有者が一定の制限を受けることとなるが(土地区画整理法76条1項)、 これは、当該事業計画の円滑な遂行のため、法律が特に付与した広告に伴う付随的な効果にとどまるものであって、 事業計画の決定ないし広告そのものの効果として発生する権利制限とは言えない(付随的効果論)。 したがって 事業計画は、それが公告された段階においても、直接、特定個人に向けられた具体的な処分ではなく、 宅地・建物の所有者または賃借人等の有する権利に対し、具体的な変動を与えるものでもない。 さらに、 ③事業計画の決定ないし公告の段階で訴えの提起が許されないからと言って、 土地区画生理事業によって生じた権利侵害に対する救済手段が一切閉ざされてしまうわけではない。 すなわち、 土地区画整理事業の施行に対する傷害を排除するため、 当該行政庁が、当該土地の所有者等に対し、原状回復を明示、又は当該建築物等の移転もしくは除却を命じた場合において それらの違法を主張する者は、 その取消(または無効確認)を遡及することができ、 また、仮換地の指定または換地処分を行った場合において、その違法を主張する者は、 これらの具体的処分の取消(又は無効確認)を遡及することができる。 したがって、 直接それに基づく具体的な権利変動の生じない事業計画の決定ないし公告の段階では、 訴訟事件として取り上げるに足るだけの事件の成熟性を欠く(成熟性欠如論) よって、 土地区画整理事業計画は、行政庁の処分に当たらず、これに対して取消訴訟を提起することはできない。 市町村営土地改良事業計画の認可の処分性 市町村営土地改良事業計画は、 市町村が土地改良事業計画を定め、 都道府県知事に対して事業の施行認可を申請することとなっている。 そして、 土地改良法87条6項から10項の規定は、 国や都道府県が行う土地改良事業計画の決定に対して 不服申立てを行うことができることを前提としていることから、 国や都道府県が行う土地改良事業計画は、行政処分であるといえる。 市町村営の土地改良事業施行認可については、 かかる明文規定は存在しないが、 土地改良事業は、国営または都道府県営であるか市町村営であるかによって特別その性格を異にするものではないところ、 市町村営の土地改良事業において、国営または都道府県営の土地改良事業における事業計画の決定に対応するものは、 当該市町村の申請に基づき都道府県知事が行う事業施行の認可である。 そして、 この事業計画の決定と事業施行の認可とは、 土地改良事業の一連の手続の中で占める位置・役割を同じくするものといえる。 したがって、 市町村営土地改良事業計画の認可は、行政庁の処分にあたり、取消訴訟を提起することができる。 都市計画用途地域指定の処分性 都市計画区域内において用途地区を指定する決定が告示されて効力を生ずると、 当該地区内の土地所有者等に建築基準法上新たな制約を課し、 その限度で一定の法状態の変動が生じることは否定できないが、 かかる効果は、 あたかも新たに右のような制約を課する法令が制定された場合におけると同様の 当該地区内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なそれに過ぎず、 具体的な個人に対する権利侵害を伴う処分があったものということはできない。 したがって、 都市計画用途地域の指定は、 行政庁の処分とはいえず、 取消訴訟を提起することはできない。 新幹線工事の認可の処分性日本鉄道建設公団が作成した新幹線鉄道の工事実施計画を運輸大臣が認可する行為は、「行政庁の処分」と言えるか。 思うに、 実質的には国の機関とみなされる日本鉄道建設公団が作成した新幹線鉄道の工事実施計画を、運輸大臣が認可する行為は、 あたかも、上級行政機関としての運輸大臣が、下級行政機関である日本鉄道建設公団に対して、監督手段として行う承認の性質を有するものであり、 行政機関内部の行為として外部に対する効力を有するものではない。 したがって 当該認可は、 行政機関内部の行為であり、 これにより「国民の権利義務を直接形成しまたはその範囲を仮定する」ものとはいえないから、 「行政庁の処分その他公権力の行使」には当たらないと解する。 関税定率法による通知の処分性 関税定率法による、貨物が輸入禁制品に該当する旨の税関長の通知等は、 行政庁の判断結果を表明する観念の通知にすぎない。 観念の通知は、直接的法効果を有しない事実上の行為であるから、 「行政庁の処分」にはあたらないようにも思われる。 しかし、 かかる通知は、 ①関税定率法21条に基づき、 輸入申告者に対する行政庁側の最終的な拒否の態度を表明するものであり、 ②通知がなされた貨物は、輸入が不許可となった貨物と同様に、 貨物を適法に輸入することができなくなるという法律上の効果を及ぼすものというべきである。 また、処分性を否定するならば、輸入者が通知に対して不服がある場合に、 輸入者は、刑罰の危険にさらさされながら、輸入を強行しなければならないこととなり、 権利救済が著しく困難となる。 したがって、 関税定率法による、貨物が輸入禁制品に該当する旨の税関長の通知等は、 「行政庁の処分」にあたるものと解する。 なお、 現在では、税関長の通知は、審査請求の対象となっている(関税定率法91条、93条) 医療法による勧告の処分性 医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告は、 医療法上は行政指導として定められているが、 当該勧告を受けた者がこれに従わない場合には、 相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものということができる。 そして、いわゆる国民皆保険制度の下では、 保険医療機関の指定を受けずに診療行為を行う病院がほとんど存在しないことは明らかであり、 保険医療機関の指定を受けることができない場合には、 実際上病院の開設自体を断念せざるをえないことになる。 このような医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告の保険医療機関の指定に及ぼす効果および 病院経営における保険医療機関の指定の持つ意義を併せ考えると、 医療法に基づく病院開設中止の勧告は、 「直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定する」行為といえ、 「行政庁の処分」にあたるものと解する。 公共団体の内定通知の処分性 地方公共団体の採用内定通知は、 単に採用発令の手続を支障なく行うための準備手続としてされる事実上の行為に過ぎず、 通知を受けた者を地方公務員として採用し、 地方公務員としての地位を取得させることを目的とする 確定的な意思表示ないしは始期付又は条件付採用行為と解すべきではない。 そうであるとすれば、 採用内定通知によって、通知を受けた者が直ちに地方公務員たる地位を取得するものではなく、 又、通知を行った地方公共団体も、この者を職員として採用すべき 法律上の義務を負うものでもないと解するべきである。 したがって、 都道府県知事が採用内定を取消しても、 これによって、損害賠償責任の生じる余地はあっても、 採用内定を受けた者の法律上の地位ないし権利関係に影響を及ぼすものではないといえる。 以上より、 地方公共団体の職員採用内定の通知を都道府県知事が取消す行為は、 「行政庁の処分」に当たらないものと解する。 処分の名宛人が「法律上の利益を有するもの」にあたることは、問題なく認められるが、処分の名宛人でない第三者は、これにあたるか。「法律上の利益」の意味が問題となる。 この点、 「法律上の利益」は、法律によって保護された利益に限定されず、 裁判上保護に値する利益であれば、 事実上の利益でも足りるとする見解がある(法的保護に値する利益説)。 しかし、 この見解によれば、原告適格の有無の判定について明確な判断基準が示されないこととなり、 原告適格の認定が裁判官の裁量的判断に委ねられ、恣意的に判断される恐れも否定できない。 又、かかる見解は、取消訴訟の民衆訴訟化を招き、濫訴の弊害を生み出すこととなり、 行政の円滑な活動を阻害する可能性もある。 思うに、 ①行政事件訴訟法9条1項は、「法律上の利益」と規定し、 同法10条1項は、取消訴訟において「自己の法律上の利益に関係のない違法」主張を制限していること、 ②取消訴訟は、違法な行政活動により法的権利利益を侵害された者を救済することを目的とする 主観訴訟であることなどからすれば、 行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益を有する者」とは、 当該処分により、自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され、 または必然的に侵害されるおそれのある者をいう。 そして、 当該処分を定めた行政法規が、 不特定多数者の具体的利益を、専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、 それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、 このような利益も、個々に言う法律上保護された利益にあたり、 当該処分によりこれを侵害されまたは必然的に侵害されるおそれのある者は、 当該処分の取消訴訟における原告適格を有する者と言うべきである(法律上保護された利益説) 処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するにあたって 処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するにあたっては、 当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、 当該法令の趣旨及び目的ならびに 当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮すべきである。 そして、 当該法令の趣旨及び目的を考慮するにあたっては、 当該法令と目的を共通にする関係法令がある時は その趣旨及び目的をも参酌し、 当該利益の内容及び性質を考慮するにあたっては、 当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質ならびにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきである (行政事件訴訟法9条2項参照) 森林法による保安指定解除処分の取消訴訟において、一定範囲の住民の原告適格が問題となった事例(長沼ナイキ基地事件) 判例は、森林法の手続規定などの明文規定に根拠を求め、 一定範囲の住民に対し保安林の指定につき、 「直接の利害関係を有する者」として利益主張をすることができる地位を法律上与えられているとして、 原告適格を肯定した。 もっとも、 保安林指定解除処分の取消を求める利益は、 代替施設の設置により、消滅するとして、 訴えの利益を否定した。 伊達火力発電所事件 公有水面埋立て法(改正前)4条には、 埋立て免許権または竣工認可権の行使に制約を課している明文の規定はないとして、 地域住民の原告適格を否定した。 航空法に基づく定期航空運送事業免許の取消訴訟における原告適格(新潟空港事件) 原告適格の判断に当たっては、 ①当該行政法規のみでなく、 それと目的を共通する関連法規の関連規定も含めた法体系の中において、 ②処分の根拠規定が不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、 それが帰属する個々人の個別的利益としても保護すべきものとするかどうかを判断すべきであるとした上で、 航空法は、航空機騒音によって著しい障害を受けないという利益を 個々人の個別的利益として保護する趣旨を含むとして、 空港周辺住民の原告適格を肯定した。 周辺住民による原子炉設置許可処分の無効確認訴訟(もんじゅ原発事件) 原告適格(行政事件訴訟法36条)の判断に当たっては、 当該処分を定めた行政法規の趣旨・目的のほか、 当該法規が当該処分を通して保護しようとしている利益の内容・性質等を考慮して判断すべきであるとして、 一定範囲内に居住する住民に原告適格を認めた。 Xは「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法9Ⅰ)にあたるか都市計画法に基づく開発許可処分に対して、開発行為によりがけ崩れ、地滑り等により被害を受けるおそれのあるXが、取消訴訟を提起した場合 開発許可処分の根拠規定である都市計画法の趣旨・目的、同法が開発許可を通して保護しようとしている利益の内容・性質当にかんがみれば、 同法は、がけ崩れ等のおそれのない良好な都市環境の保持・形成を図るとともに、 がけ崩れ等による被害が直接的に及ぶことが想定される一定範囲の地域の住民の生命、身体の安全等を、 個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨をも含むものと解すべきである。 本問のXは、がけ崩れ等による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者であるから、 開発許可の取消を求めるにつき「法律上の利益を有する者」にあたるといえる。 Xは「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法9Ⅰ)にあたるか原子炉等規制法に基づく原子炉設置許可処分に対して、原子炉から30キロメートルの位置に居住し、原子炉災害が発生した場合、生命、身体に重大な危害が及ぶおそれのあるXが、無効確認訴訟を提起した場合 原子炉等規制法は、単に公衆の生命、身体の安全、環境上の利益を一般的公益として保護せんとしているにとどまらず、 原発事故等の災害により直接的かつ重大な被害を受けることとなる周辺住民の生命、身体の安全等をも 個別的利益として保護すべきものとする趣旨をも含むと解する。 そこで、原子炉周辺住民が「法律上の利益を有する者」にあたるか否かは、 当該原子炉の種類、構造、規模等の当該原子炉に関する具体的な諸条件を考慮に入れた上で、 当該住民の居住する地域と原子炉の位置との距離関係を中心として、 社会通念に照らし、合理的に判断すべきである。 本問のXは、原子炉から30キロメートルの位置に居住しているのであるから、「法律上の利益を有する者」にあたるといえる。 Xは「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法9Ⅰ)にあたるか文化財保護法及び条例に基づく史跡指定解除処分に対して、遺跡を研究するXが、取消訴訟を提起した場合 史跡指定解除処分の根拠となった文化財保護法及び条例は、 文化財の保存・活用から個々の県民あるいは国民が受ける利益については、 文化財保護法及び条例の目的である公益の中に吸収解消させ、 その保護は、専ら右公益の実現を通じて図ることとしているものと解される。 そして、文化財保護法及び条例が、 文化財の学術研究者の学問研究上の利益の保護について特段の配慮をしていると解しうる規定を見出すことはできないから、 学術研究者の利益について、 一般の県民あるいは国民が、文化財の保存活用から受ける利益を超えて その保護を図ろうとする趣旨を認めることはできない。 したがって、 本問のXは、「法律上の利益を有する者」にあたらず、史跡指定解除処分に対する取消訴訟を提起することはできないものと解する。 団体の原告適格 この点、 訴訟経済などの観点から、 多数人の利益代表である団体に原告適格を認めるべきであるとする見解もある。 しかし、 団体訴訟を認めなくとも、構成員が個人的に訴えを提起すれば、目的を達成することが可能であるし、 団体訴訟を認めると、各構成員に対して既判力が及ばないため、 団体構成員による後訴を排斥することができず、 結局紛争を蒸し返すという事態が生じるおそれもある。 したがって、 多数人の利益を代表する団体であるB会は原告適格を有しないことから、 占用許可処分の取消訴訟を提起することはできないと解する(最判昭60.12.20) 損失補償規定がない場合 憲法29条3項に基づいて損失補償を請求することができると解する。 なぜなら、 補償額等は、 収容等の対象となった財産の客観的価値等を基準に算出され、 相当程度の客観性があり、裁判所によっても判断可能であることから。 もっとも、 損失補償請求権が発生するためには、 ①私有財産に対し、 ②公共のために用いるため、財産権の侵害・規制がなされ、 ③特別の犠牲を被ったことが必要である(憲法29条3項)。 「特別の犠牲」(憲法29条3項) 思うに、 「特別の犠牲」と言えるか否かは、 ①侵害行為の対象が広く一般人か特定人か(形式的基準)、 ②侵害行為が財産権に内在する本質的内容を侵すと言えるほど強度なものか(実質的基準) を総合的に判断すべきである。 なぜなら、 ①平等原則の観点からは、 制約が一般的か否かという形式的基準が考慮されるべきであるし、 ②一項がこの財産権を補償していることから、 その制約が本質的に強度なものかという実質的基準が妥当するから。 取消訴訟の判決の効力 一般原則によれば、判決は訴訟当事者についてのみ拘束力を持つ(民事訴訟法115条)。 しかし、 行政関係においては、行政機関等に対しても、画一的処理が必要なので、 民事訴訟法の原則に対する例外として、取消判決の第三者効(対世効)を認めた (行政事件訴訟法32条) もっとも、 行政事件訴訟法32条1項の第三者として想定されていたのが、 原告と利害の対立する第三者であるため、 原告と利害を共通にする第三者、 すなわち本問の乙等以外の付近住民も、同条の第三者に含まれるのかが問題となる。 思うに、 ①行政事件訴訟法は、同一行政処分であっても、 原告が異なれば、別個の取消訴訟が成立することを前提としていること(行政事件訴訟法13条5号)、 ②取消訴訟は、原告個人の権利利益を救済することを目的とする主観訴訟であるから、 訴訟を提起しなかった者についてまでその効力を及ぼす必要はないことなどから、 利害関係を共通にする場合に原告以外の第三者に判決の効力を及ぼす必要はない者と解すべきである。 したがって、 本問において仮に乙等の訴えが認められ、取消判決がなされたとしても、 判決の効力は、乙等以外の付近住民には及ばない。 訴えの利益 訴えの利益(狭義)とは、 処分を現実に取消してもらう必要性および実効性を言う。 処分性及び原告適格が認められても、取消判決により処分を取消してもらうには、 原告には訴えの利益が必要であり、 狭義の訴えの利益を欠けば、訴えは不適法として却下される。 取消訴訟の対象たる処分または裁決が無効である場合、 訴訟係属中、権限ある行政庁によって取消された場合には、 判決によって処分を取消す必要はなくなるので、訴えの利益は消滅する。 また、処分または裁決の効果が期間の経過その他の理由によって失われた場合にも、 原則として訴えの利益は消滅する。 もっとも、 この場合、救済の必要性が全くなくなるわけではなく、 処分の付随的効果により、侵害状態が継続する場合がある。 そこで、 行政事件訴訟法9条1項は、括弧書きで、 期間の経過により処分の効果がなくなった場合でも、 なお処分の取消により回復すべき法律上の利益があれば、訴えの利益があるとしている。 理由の差替え取消訴訟の訴訟物は、違法性一般であるから、取消訴訟においては、別異に解すべき特別の理由のない限り、行政庁は当該処分の効力を維持するための一切の法律上及び事実上の根拠を主張することが許されるのが原則。では、行政処分に理由付記が義務付けられている場合、「別異に解すべき特別の理由」があるといえるか。理由付記義務が「特別の理由」にあたるとすれば、行政庁にも主張制限が課せられることとなるため、問題となる。 思うに、 行政庁の処分に理由付記を義務付ける規定の趣旨は、 処分庁の判断の慎重、合理性を担保して、その恣意を抑制するとともに、 処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えることにある。 そうだとすれば、 行政庁の処分に理由付記が義務付けられている場合は、 行政庁がかかる義務に違反し、理由付記に不備のある処分を行ったときは、 当該処分は違法となるものと解する。 したがって、 行政庁の処分に理由付記が義務付けられている場合、 「特別の理由」があると言え、行政庁の主張が制限されうる。 理由付記義務と関連して、取消訴訟において、行政庁が処分時の理由とは異なる理由に差替えることが許されるか。 この点、 取消訴訟の訴訟物は違法性一般であること、 理由の差し替えが認められなければ、当該訴訟で行政庁が敗訴した場合、 別の理由による再処分が予想され、紛争解決の一回性の要請に合致しないこと、 また、新たな処分理由を主張する場合、別途処分をすることとなり、訴訟経済に反することなどを理由として、 理由の差替えを認める見解もある。 しかし、 理由の差替えが認められるとすると、 行政庁は処分時に適当な理由を付記し、訴訟で改めて熟慮した理由を主張すると言うことも可能になり、 処分庁の判断の慎重、合理性を担保して、その恣意を抑制するという理由付記義務の趣旨を 没却することにもなりかねない。 また、理由の差替えにより、訴訟の段階で初めて、実質的な理由を知らされることになり、 原告は、攻撃防御の機会を奪われるため、 処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えることもできなくなる。 思うに、 取消訴訟の訴訟物は、処分の違法性一般であるとしても、処分時の理由付記が義務付けられている場合は、 裏を返せば、付記された理由のみをもって、行政庁は処分の適法性を基礎づけることができるものと言える。 また、確かに紛争解決の一回性という要請は充たされないこととなるが、 改めて処分をすることが国民の利益にも合致すると言うべきである。 したがって、 行政庁に理由付記が義務付けられている場合、理由の差し替えが認められず、 また、個別法の規定がなくとも、行政手続法は一般的に理由呈示を義務付けているため、 原則として、理由の差替えは認められない(8条、14条)と解すべき。 なお、 判例は、法人税の青色申告に対する更正処分の取消訴訟において、 処分理由の差し替えが認められるかが問題となった事例で、理由の差替えを認めているが、 これは一般論として理由の差替えを認めたのではなく、本件事案限りの判断であると考える 裁判所が、処分が違法であるとの心証を形成した場合、行政庁側から、事情判決をすべしとする主張立証がなされていないにもかかわらず、行政事件訴訟法31条1項に基づき事情判決をすることができるか。行政事件訴訟法31条1項の適用について職権探知主義が認められるかが問題となる たしかに、 事情判決は、本来違法な処分を取消さず、その効力を維持することで、公共の利益を保護する制度であるから、 行政庁側からの主張立証なくして、裁判所が職権でなすことが可能であるようにも思われる。 しかし、 取消訴訟の審理において、一般に職権探知主義は否定されていると解されるところ、 行政事件訴訟法31条の適用についてのみ職権探知が認められるとする 特段の規定は存在しない。 したがって、 行政庁側からの主張立証なくして、裁判所が職権で行政事件訴訟法31条1項に基づき、事情判決をすることは 認められないと解する。 もっとも、 事情判決該当事由が原告を含む当事者の弁論にあらわれているときは、 事情判決をなしうる 事情判決がされた場合、原告は処分により被った損害の賠償を請求できるか事情判決は、本来違法な処分の効力を公共の利益のため維持し、取消請求を棄却する場合であるから、これにより被害を被った国民をできるだけ救済すべきであるが、かかる損害賠償の性質については争いがある この点、 事情判決がされた場合、違法な処分によって被った損害の賠償は、 損失補償によるべきであるとする見解がある。 しかし、 事情判決による損害は、適法行為によるものである以上、 かかる見解をとることは困難である。 思うに、 行政事件訴訟法は、損害賠償請求を否定する趣旨ではないし、 31条1項は「原告の受ける損害の程度、その損害の賠償」を考慮するとして損害賠償請求を予定しているといえる。 また、事情判決がされた場合であっても、 処分が違法であることは確定・宣言される。 したがって、 事情判決がされた場合の救済は、 違法行為を原因とする損害賠償によるべきであると解する。 無効等確認訴訟への事情判決の法理の準用の可否行政事件訴訟法38条は、事情判決の規定を無効確認訴訟に準用していない。しかし、無効確認訴訟においても、問題となる処分を前提として既成事実が蓄積されることは、取消訴訟の場合とことならないため、行政事件訴訟法31条を準用し、事情判決を行うことができないか、問題となる この点、 事情判決の制度は、法の一般原則によって認められるものであることなどを理由として、 明文規定がなくとも事情判決をすることができるとする見解もある。 しかし、 無効確認訴訟においては、事情判決をすることはできないと解する。 なぜなら、 行政事件訴訟法31条1項の文言は取消訴訟のみを対象とし、 行政処分が無効であれば、その効力もないからである。 したがって、 無効確認訴訟では、事情判決は認められない。 行政事件訴訟法38条は、事情判決の規定を無効確認訴訟に準用していないことから、無効確認訴訟において事情判決をすることができるかが問題となる。 無効確認訴訟においても、問題となる処分を前提として既成事実が蓄積されることは、 取消訴訟の場合と異ならず、 また、事情判決の制度は、法の一般原則によって認められるものであることなどをからすれば、 無効確認訴訟においても事情判決が認められるものと解すべきである。 行政事件訴訟法32条1項の第三者として想定されていたのが、原告と利害の対立する第三者であるため、原告と利害を共通にする第三者も同条の第三者に含まれるか。 思うに、 行政事件訴訟法は、同一行政処分であっても、 原告が異なれば、別個の取消訴訟が成立することを前提としていること(行政事件訴訟法13条5号)、 取消訴訟は原告個人の権利利益を救済することを目的とする主観訴訟であるから、 訴訟を提起しなかった者についてまでその効力を及ぼす必要はないことからすれば、 利害関係を共通にする場合に原告以外の第三者に判決の効力を及ぼす必要はないものと解すべきである。 したがって、 原告と利害関係を共通にする第三者に対しては、 判決の効力は及ばない 無効等確認の訴えについて、第三者効の規定は準用されていないが(行政事件訴訟法38条)、取り消しうべき場合よりも瑕疵が重大明白であるのだから、第三者効が認められるべきではないか、問題となる。 思うに、 行政事件訴訟法38条は、第三者の訴訟参加についての22条を準用し、 無効確認判決の効力が第三者にも及ぶことを前提としているものと解されること、 無効当確認訴訟は実質的には、取消訴訟と同様の救済を与える趣旨であり、 準取消訴訟たる性質を有することからすれば、 取消判決に認められる第三者効を、無効等確認訴訟において否定すべきではない。 したがって 無効等確認訴訟においても第三者効は認められるものと解する。 取消判決が確定した場合、行政庁は異なる理由で同一の処分を行うことができるか。拘束力の法的性質と関連して問題となる。 思うに、拘束力とは、判決効を補完して救済の実効性を確保するため、 行政庁の行動を拘束する義務を課す特殊な効力であると解する(特殊効力説)。 そうであるとすれば、 判決によって確定された違法事由を超えてその効力を及ぼすことはできない。 したがって、 行政庁が異なる理由に基づき同一内容の処分を行うことは可能であると解する。 一元説と二元説行政事件訴訟法36条の「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないもの」という消極的要件は、「当該処分または裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者」という部分にもかかるのか(一元説)、この消極要件は「その他当該処分または裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者」のみにかかるのか(二元説)が問題となる。 この点、 文理には反するが、無効等確認訴訟の利用を拡大すべきであることから、 この消極的要件は「その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者」のみにかかり(補充的無効等確認訴訟)、 「当該処分または裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者」という部分にはかからないものと解すべきである(二元説)。 したがって、 常に消極的要件は必要ではなく、「当該処分または裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者」といえるだけで、原告適格が認められる(予防的無効等確認訴訟)。 還元不能説と目的達成不能説「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないもの」の意味が問題となる この点、 「現在の法律関係に関する訴え」(当事者訴訟・争点訴訟)に還元できないものに限り、 原告適格を肯定する見解(還元不能説)がある。 しかし、 理論上、現在の法律関係に関する訴えに還元できないものはなく、 この解釈では、無効等確認訴訟を認めた意味がない。 また、法文も「目的を達することができない」と規定している。 そこで、 現在の法律関係に関する訴えに還元できる場合であっても、 そのような訴えによっては目的を達成できない場合には、 無効等確認訴訟の原告適格が肯定されると解すべきである(目的達成不能説)。 具体的には、 ①現在の法律関係に関する訴えに還元することができない場合のほか、 ②現在の法律関係に関する訴えの提起が許されるかについて疑義が存する場合、 ③現在の法律関係では続行処分を防止できない場合などに 原告適格を認めるべきである。 無効等確認訴訟において、原告は、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として、処分の無効確認を求めることができるであろうか たしかに、 無効等確認訴訟は、瑕疵が重大かつ明白であるがゆえに、処分が実体法上無効であることの確認を求める訴えであるから、 原告が誰であろうと、無効であることに代わりはなく、 また、行政事件訴訟法10条1項の準用もないことから、 自己の法律上の利益に関係のない違法事由の主張をすることが許されるようにも思われる。 しかし、 同条項の実質的根拠は、 取消訴訟が、行政庁の違法な行政処分によって自らが被っている権利利益の侵害を排除し、 自己の権利利益の救済を図ることを目的とする主観訴訟であることから、 取消訴訟において原告が自己の法律上の利益に関係しない主張を許すことは、 取消訴訟の性質に反する結果になる点がある。 そして、 無効確認訴訟は、行政事件訴訟法36条が、無効確認訴訟の原告適格を有する者を 「当該処分または裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分または裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者」と限定していること、 「法律上の利益を有する者」は、同法9条の「法律上の利益を有する者」と同趣旨と解されることからすれば、 取消訴訟と同様、行政庁の処分によって原告自身の被っている権利利益の侵害の救済を目的とする主観訴訟と解されるから、 自己の法律上の利益と関係のない違法事由の主張を認める理由はない。 また、 取消訴訟においては、処分の違法事由として無効事由を主張することができると解される。 このことから、無効確認訴訟は、取消訴訟の出訴期間を徒過した場合の例外的、補充的な訴訟形式救済方法ということができるところ、 取消訴訟において無効事由を主張する場合には行政事件訴訟法10条1項の規定が適用されることは明らかであるから、 無効確認訴訟に同条項が準用されないと解すると、出訴期間の経過の有無により取扱を異にすることになり、妥当でない。 したがって、 無効等確認訴訟においても、行政事件訴訟法10条1項が類推適用され、 原告は、自己の法律上の利益に関係しない違法を理由として、処分の無効等確認を求めることはできないと解すべきである。 「行政庁の処分」の意義運輸大臣の認可が無効等確認訴訟の対象である「行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為」(行政事件訴訟法3条4項)にあたるか。 行政庁の処分とは、 公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうちで、 その行為により直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解する。 したがって、 講学上にいう行政行為がこれにあたるほか、 形式が行政立法(法規命令)にあたるものであっても、 直接具体的な法効果を有するものは「処分」にあたり、 権力的事実行為であって継続的性質を有するものは 「その他公権力の行使」に含まれると解する(行政不服審査法2条1項参照) 思うに、 実質的には公の機関とみなされる首都高速道路公団が行った通行料金改定を運輸大臣が認可する行為は、 あたかも、上級行政機関としての運輸大臣が、下級行政機関である首都高速道路公団に対して、監督手段として行う承認の性質を有するものであり、 行政機関内部の行為として外部に対する効力を有するものではない。 したがって、 本問の運輸大臣の認可は、 行政機関内部の行為であり、これにより国民の権利義務を直接形成しまたはその範囲を確定するものとはいえないから、 「行政庁の処分その他公権力の行使」にはあたらない。 当事者訴訟 当事者訴訟とは、 対等な当事者間において、 公法上の法律関係に関する紛争の解決を求める訴訟であり、 ①形式的当事者訴訟と②実質的当事者訴訟に区分される。 ここで、形式的当事者訴訟とは、 当事者間の法律関係を確認しまたは形成する、処分または裁決に関する訴訟で 法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものをいう(行政事件訴訟法4条前段)。 被告は、 法律関係の当事者の一方であり、行政主体ではない。 これは、実質的には 抗告訴訟であるが、形式的には 当事者訴訟である。 実質的当事者訴訟とは、 公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の 公法上の法律関係に関する訴訟をいう(行政事件訴訟法4条後段)。 被告は、 行政主体であり、対象が 公法上の法律関係に関する紛争というだけで、その実質は、 民事訴訟である。 下級行政機関は、上級行政機関の発した職務命令を違法と考えた場合に、自己の判断で、服従を拒否できるか。 (1)訓令・通達の場合 法治行政の建前からすれば、公務員は法令遵守義務を負う以上、 違法な通達には拘束力を認めるべきではないとも思われる。 しかし、 組織体の一員は、職務上の行為に関しては、 たとえ違法であっても組織の責任者の命令に従うべきであり、 仮に各職員の判断で訓令を拒否することを認めると、 行政組織内の秩序の保持と行政の一体性を確保できない。 したがって、 下級行政機関は、訓令・通達に重大明白な違法がない限り、 これに服従する義務を負い、 自己の判断で服従を拒否することは許されないものと解する。 (2)訓令的な性格をもたない職務命令の場合 職務命令は、公務員個人の勤務条件や基本的人権に関わる問題であり、 当該公務員でなければ違法な職務命令を争うことはできない。 そこで、非訓令的な職務命令については、重大明白な違法の有無に関わらず、 違法な職務命令に対する服従義務はないものと解すべきである。 また、服従義務違反による懲戒処分があった場合はもちろん、 職務命令自体に対しても取消訴訟が提起できると解すべきである。 いかなる行政活動について法律の根拠が必要か。法律の留保の妥当範囲が問題となる。 まず、国民の権利や自由を侵害する侵害行政に法律の根拠を必要とする見解がある(侵害留保説)。 この見解は、自由主義思想に立脚し、法律の根拠を要しない固有の行政領域があることを理由とする。 しかし、 自由主義とともに民主主義を重要な原理とする現行憲法の下では固有の行政領域を認めることはできないとともに、 国民の権利義務に影響する行政にも民主的統制を及ぼすべきであるから、 この見解は妥当ではない。 またすべての公行政活動に法律の根拠を必要とする見解がある(全部留保説)。 この見解は、民主主義の徹底を理由とする。 しかし、 現代福祉国家のもとでは、全ての公行政活動に法律の根拠を要するとすると、 多様かつ流動的な行政需要に臨機応変に対応することができないことから、この見解も妥当ではない。 そこで、 現行憲法下においては、国民の意思によらず一方的に行われる権力行政に法律の根拠を必要とすると解すべきである(権力留保説)。 なぜなら、 行政活動に対する民主的統制の要請に答えつつ、現代福祉国家における行政需要に対応する要請とも調和させることができるからである。 自動車検問に法律の根拠が必要か。 この点、 自動車検問が国民の意思によらず一方的に行われるものであれば、 同行為は権力行政ということができ、これをなすには法律の根拠が必要となる。 そして、現行法では、具体的な根拠規範が存在しないことから、 自動車検問を適法に行うことはできないとも思える。 しかし、 具体的な根拠規範まで要求すると、交通の安全や交通秩序の維持と言う行政目的を達成することが著しく困難となる。 思うに、 警察法2条1項が「交通の取締」を警察の責務として定めていることに照らせば、 交通の安全や交通秩序の維持に必要な警察の諸活動は、 強制力を伴わない任意手段による限り、一般に許容されるべきである。 そこで、 自動車検問は、警察法2条1項を一般的根拠規範とし、 それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、 自動車利用者の自由を不当に制約することとならない方法・態様で行われる限り、 適法に行いうると解する。 この場合、相手方の任意の協力を求める点で、法律の根拠を緩やかに解し、 具体的な根拠規範までは必要としないと考える。 補助金交付決定に法律の根拠が必要か。 思うに、補助金交付は 交付を受けようとする国民の側から申請を受けて、 行政庁が当該国民に補助金の交付を決定するのが一般的である。 そうだとすれば、 補助金交付決定は、国民の意思によらずに一方的に行われるものとはいえないことから、 法律の根拠は不要である。 なお、 国や公共団体の補助金交付について、行政契約の形式(要綱など)ではなく、 行政行為の形式をとって対応する法規範を備えるものがあるが(「補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律」、同内容の条例)、 これらは交付の方法や交付を受けた事業の監督方法等について定めた一般的手続規範である。 したがって、 補助金交付決定には、法律の根拠は不要。 納税申告指導に法律の根拠が必要か 思うに、 行政指導は、行政機関が一定の行政目的を達成するために相手方に働きかけ、 その協力によって行政機関の意図する行為の実施を相手方に期待する行為形式であり、 非権力的な事実行為である。 そうだとすれば、 行政指導は、国民の意思によらず一方的に行われるものではない。 したがって、 納税申告指導には、法律の根拠は不要。 公法私法二元論 (1)公法私法二元論とは、公法関係と私法関係では適用される法原理が異なるとする見解。 わが国の伝統的通説によれば、行政主体と私人間の行政上の法律関係は、 まず公法関係と私法関係とに分類され、そのうち公法関係は ①支配関係と②管理関係とに分かれる。 そして、 ①支配関係には公法(行政法)のみが適用され、 ②管理関係は、本来的には私人相互の関係と異ならないので(伝来的公法関係)、 明文ある場合と公共性がある場合以外は私法が適用されるとする。 この見解の根拠としては、 行政事件訴訟法が「公権力の行使に関する不服の訴訟」を抗告訴訟とし、 「公法上の法律関係に関する訴訟」(当事者訴訟)と「私法上の法律関係に関する訴訟」を区別していることが上げられる。 また、行政主体が優越的な立場に立つ公法関係は、特殊な法原理が支配し、 対等な当事者の利益調整を目的とする私法を適用すべきでないことがあげられる。 (2)このように、伝統的通説は、先験的に一定の領域の法関係を包括的に公法関係と性格づけて、 法の定めいかんに関わらず固有の法原理を適用する。 しかし、 現実の行政上の法律関係にいかなる法規が適用されるかを判断するにあたり、 二元論を用いることは妥当でない。 なぜなら、 ①行政裁判所を廃止した日本国憲法の下では、行政訴訟と民事訴訟の区別は相対的なものとなっており、 実質的当事者訴訟についても、ほとんどの規定が民事訴訟法の規定を適用している(行政事件訴訟法7条)。 そもそも訴訟法から実体法のあり方を決することは本末転倒である。 また、②司法国家に転換した今日では、公法関係だから権力性・公益優先性が当然に認められ、 私法が適用されないという解釈を認めるべきではないからである。 (3)したがって、 公法関係と私法関係を区別せずに、当該処分の性質・実体法規の趣旨・問題状況から個別具体的に考察して、 私法規定の適用の適否を決すべきである(公法私法一元論) 農地買収処分は、国家が私人から強制的に農地を買い上げる行為。 伝統的通説によれば、当該行為は「支配関係」にあたるといえるから、 明文の規定の有無を問わず、私法規定の適用はない。 そうすると、Y行政庁は、民法177条に基づいてXの登記の欠缺を主張することができないことになる。 しかし、 伝統的通説は、「支配関係」の本質として権力性・公益優先性を重視するにもかかわらず、 かえって行政側に不利な結論が導かれることから、論理が不明確であるといえる。 そこで、 農地買収処分自体に民法177条が適用されるか否かは、 当該処分の性質・実体法規の趣旨・問題状況から個別具体的に考察して決すべきである。 思うに、 自作農創設特別措置法(自創法)は、農地制度の民主化等をその目的とし、 農地買収の基準をいわゆる不在地主の農地であるかどうかといった現実の事実関係にかからしめている。 このような法の趣旨・規定に鑑みれば、農地買収は、真実の所有者に対して行うべきであり、 登記に依拠して行うべきではない。 そうだとすれば、 本問のような農地買収処分自体には、民法177条の適用はないと解すべきである。 農地買収処分に民法177条の適用があるか 伝統的通説によれば、農地買収処分に民法177条の適用はない。 そうすると、 Xは無権利者から本問土地を買い受けたことになり、Xがした登記は無効となるから、 Yは、Xに対して移転登記の抹消を請求することができることになる。 しかし、 農地買収処分が、公権力をもって農地所有者からの家を強制的に買い上げるという特殊な法律行為であるとしても、 買収によって取得した土地所有権を第三者に主張するために登記を要するか否かとは別個の問題といえる。 そこで、農地買収処分による所有権の取得につき民法177条が適用されるか否かは、 自創法の趣旨・目的に反しないか否かにより決すべきと考える。 思うに、 土地所有権の取得原因が権力的処分によるものであっても、 不動産物権の変動があれば、これと抵触する物権の変動が生じる可能性はあり、 物権変動を公示して取引の安全を図る必要性は、 民法上の所有権取得の場合と何ら異ならない。 そうだとすれば、 農地買収処分による所有権の取得につき民法177条が適用されるとしても、 自創法の趣旨・目的に反するとはいえないから、 本問では民法177条が適用されると解すべきである 会計法30条については、国の公務員に対する安全配慮義務違反に基づく損害賠償債務に同条が適用されるかと言う問題がある 思うに、 同条の趣旨は、国の権利義務を早期に決済する必要があるなど 主として行政の便宜を図ることにある。 そうだとすれば、 同条は、国を当事者とする債権債務のうち、 大量・反復的な債権債務に適用されるべきである。 従って、 国の公務員に対する損害賠償債務は、偶発的に発生し、 早期に画一的に確定する必要性がないことから、 同条の適用はなく、 私法の一般法たる民法167条1項が適用されることとなる。 このように、実体法規の趣旨等から私法規定の適用の適否を確定しうるので、 設問見解のように公法関係、私法関係を区別する必要はない。 民法177条について、国が自作農創設特別訴私法に基づく農地買収処分を行う場合、同条が適用され、登記簿上の所有者に対して当該処分を行うべきか 思うに、 同条の趣旨は、農地制度の民主化・耕作者の地位の安定にある。 そうだとすれば、 このような目的の達成のためには、買収地が不在地主の所有地であることが重要であるから、 登記簿上の所有者ではなく真の所有者から買収すべきである。 したがって、 農地買収処分には、民法177条は適用されないと解する。 このように、実体法規の趣旨等から私法規定の適用の適否を確定しうる。 民法177条について、国が租税滞納処分に基づく差押えを行う場合、同条が適用され、国は差押前の目的物譲受人の登記の欠缺を主張できるかという問題がある。 思うに、 租税債権については、強制的満足を受ける段階では、 滞納処分も民事上の強制執行も債務者の財産に対する公権力の行使という点では共通している。 そうだとすれば、登記により公示して取引の安全を図る必要性がある。 したがって、 租税滞納処分に基づく差押には、民法177条が適用されると解する。 このように、実体法規の趣旨等から、私法規定の適用の適否を確定しうる。 債務不履行責任として、国の安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任が認められないか。公務員の勤務関係に民法上の法理たる安全配慮義務が適用されるかが問題となる。 この点、 いわゆる公法私法二元論によると、公務員の勤務関係は権力関係たる公法関係とされることから、 原則として民法の規定は適用されず、同法理は適用されないとも考えられる。 しかし、 今日においては、もはや行政上の法律関係に公法関係・司法関係を区別する実益はなく、 当該法律関係の性質・実体法規の趣旨・問題状況から個別具体的に考察して、 私法規定の適用の適否を決すべきである。 思うに、 ある法律関係に基づいて特別な社会的接触関係に入った当事者間においては、 当該法律関係の付随義務として、当事者の一方または双方が相手方に対して、 相手方の生命・身体・財産等を危険から保護するよう配慮すべき義務を信義則上負っていると解される。 そして、このような関係は、国と公務員との間においても何ら異なることはないといえる。 そこで、 国は、公務員に対し、給与支払等の給付義務にとどまらず、 国が公務遂行のために設置すべき場所・施設・器具等の設置管理や 上司の指示の下に遂行する公務の管理に当たって、 公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っているものと解すべきである。 公物に取得時効の適用があるか この点、 明示の公用廃止の意思表示がない限り、取得時効の適用を全面的に否定する見解がある。 しかし、 客観的に公物としての実体を喪失している場合には、 取得時効の成立を認めても、公の目的を害しないのだから、 全面的に否定するというのは妥当ではない。 また、 公物に対する私人の所有権が認められている場合に限り その取得時効を形式に承認するものの、 公用廃止の意思表示がない限り公用制限が継続するとする見解がある。 しかし、 取得時効を認めながら、なお公用制限を強いるというのは矛盾していて妥当ではない。 さらに、 公物が完全に取得時効の対象となることを認める見解がある。 しかし、 原則として公物に取得時効の成立を認めてしまうことは、 時として公の目的を害することになりかねず妥当ではない。 思うに、 公の目的を達成するためには、原則として公物に取得時効の成立を認めるべきではない。 もっとも、永続する事実状態は尊重されるべきであるから、 公物の性質や目的と衡量したうえで、一定の場合には例外的に取得時効の成立を認めるべきである。 そこで、 ①公共用財産が長年の間、事実上公の用に供せられることなく放置され、 公共用財産としての形態・機能を全く喪失し、 ②その物の上には他人の平穏かつ公然の占有が継続し、 ③もはや公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、 黙示の意思表示による公用廃止があったものとして、 これについて取得時効の適用が認められると解する。 X名義での青色申告に対して、Yはこれを受理し、申告納税額を収納している。そこで、このような場合、青色申告の申請をしていないXにも青色申告の承認を受けたという地位が認められないかが問題となる。 思うに、 租税手続は、大量・反復して行われるものであるから、 法的安定を図る必要性が大きく、手続の明確性を重視しなければならない (租税法律主義、憲法84条)。 したがって、 Xに青色申告の承認を受けたという地位を認めることはできない。 Yが白色申告とみなす更正処分を行ったことは、形式的に見れば適法という事ができる。しかし、Yは、X名義の青色申告を受理し、申告納税額を収納し、しかも翌年から青色申告書を送付している。そこでこのようなYの態度から、Yのした更正処分は信義則上違法となるのではないか。 まず、行政上の法律関係に民法の規定する信義則(民法1条2項)が適用されるかが問題となる。 思うに、 信義則は、相手方が有する正当な期待を保護することを趣旨とし、 正義公平の要請に基づく。 そうだとすれば、 法の一般原則として、行政上の法律関係にも妥当すると言える。 したがって、 行政上の法律関係にも信義則(民法1条2項)が適用されると解する。 そうだとしても、 租税手続に信義則を適用すれば、画一的処理により法的安定を図ろうとする租税法律主義と抵触しうることとなる。 このような場合でもなお信義則を適用すべきか、信義則適用の限界が問題となる。 租税手続に信義則を適用すれば、画一的処理により法的安定を図ろうとする租税法律主義と抵触しうることとなる。このような場合でもなお信義則を適用すべきか、信義則適用の限界が問題となる。 確かに、 法律による行政の原理や租税法律主義は、行政法上の基本原則といえることから、 これらを尊重すべきであり、信義則の適用については慎重にならなければならない。 しかし、 形式的に適法とされる行為であっても、具体的事情の下においてそれを行うことが 正義衡平の理念に反する場合には、これを許されないとするのが信義則である。 そうだとすれば、 租税法律主義と抵触しうるからといって、信義則の適用を一切否定すべきではない では、租税法律主義との調和を図るために、いかなる場合に信義則の適用が許されるか。 その要件が問題となる。 思うに、 信義則を適用した結果、租税法律主義に反する場合を容易に認めることとなれば、 納税者間の平等・公平という要請が没却されることになる。 そこで、 このような納税者間の平等・公平という要請を犠牲にしてもなお納税者の信頼を保護しなければ 正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に限って、信義則の適用を認めるべきである。 そして、特別の事情の具体的要件としては、 ①税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したこと、 ②納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したこと、 ③のちに当該表示に反する課税処分が行われたこと、 ④そのために納税者が経済的不利益を受けることとなったこと、 ⑤納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて 納税者の責めに帰すべき事由がないことと考える。 公務員の退職願(職員がその意により退職したい旨の意思の表示)は、免職辞令の交付を受ける前に撤回することができるか。その撤回の可否について、明文の定めがないことから問題となる。 思うに、 依頼退職制度は、本人の自発的な辞職意思を前提にして公務員関係を終了させる制度であるから、 本人の意思の尊重を重視すべきである。 また、公務員の勤務関係は、任命権者の処分により形成/解消する法的効果を生じるところ、 退職願は、任命権者の権限発動を促すにとどまり、それ自体で独立に法的意義を有するものではなく、 表示者自身を拘束するものでもない そうだとすれば、 原則として、退職願の承認処分が効力を生じるまでは、 当該公務員は自由に撤回することができると解すべきである。 しかし、 信義に反する退職願の撤回によって、退職願の提出を前提に進められた爾後の手続が全て徒労に帰し、 個人の恣意により行政秩序が犠牲に供される結果となるのは許すべきではない。 そこで、 免職事例の交付前であっても、撤回することが信義に反すると認められる特段の事情がある場合には、 例外として撤回することは許されないと解する。そして、信義に反するか否かは、 退職願提出の経緯や撤回の動機等、公務員及び任命権者双方の帰責性を考慮して判断されるものと考える。 他方、退職願の提出者に対し免職辞令の交付があり、免職処分が提出者に対する関係で有効に成立した後においては、 もはや退職願を撤回する余地はないと考える。 処分の前提となる退職願が適法に撤回されたにも関わらずに処分がなされた場合、当該処分の効力はどうなるか。 思うに、 依頼退職処分は、相手方の同意を要する行政行為であるから、 退職願は処分の前提要件である。 そうだとすれば、 退職願が有効に撤回されている以上、当該処分は違法となる。 処分が違法になるとしても、このような瑕疵は、無効原因となるか、それとも取消原因にとどまるのか。瑕疵の程度が問題となる。 思うに、 行政行為の無効と取消の区別は、 行政目的の円滑・法的安定を斟酌してもなお、 取消訴訟の排他的管轄を認めて、種々の制約に服させ、 処分による不利益を当該私人に甘受させることが、著しく不合理と認められる程度に 重大かつ明白な瑕疵といえるかどうかを基準とすべきである。 これを本問についてみると、 退職願は依頼退職処分の前提要件であるから、 退職願が適法に撤回されたことは、重大な瑕疵といえる。 しかしながら、 一度退職処分がなされると、後任者の任命等の人事異動その他必要な措置が進められることから、 その後になって処分の効力が否定されると、関係者に不測の不利益が生じる。 そうだとすれば、 無効原因といえるためには、有効な撤回の存在が明白でなければならない。 しかし、 当該撤回が有効か、信義に反しないかは、必ずしも明白ではない。 したがって、 本問のような依頼退職処分は、取消うるにとどまる。 申告納税制度における納税申告は、当該申告にかかる租税の課税標準等を確定させる効果を生じる行為である。申告が錯誤に基づいてなされた場合、その効果について定める明文の規定はない。そこで、納税申告に民法95条が適用されるか問題となる。 思うに、 納税申告は租税の課税標準等を確定させる効果を生じる行為であるが、 申告が錯誤に基づいてなされた場合は、本来、訂正の機会が確保されるべきである。 しかし、 納税申告は大量になされ、申告を基礎として形成される租税法律関係の早期確定という行政上の要請もある。 この両者の要請の合理的調和を図るため、 法は、課税標準等の決定については最も事情に通じている納税義務者自身の申告に基くものとし、 その過誤の訂正は法が定めた手続に限ることとした。 そうだとすれば、 過誤の是正は法定の手続によるべきであり、 民法95条の適用によって無効を主張することは、原則として認められないと解すべきである。 もっとも 錯誤が客観的に明白かつ重大で、法定の手続以外に是正を許さないならば、 納税義務者の利益を著しく害するような特段の事情がある場合には、 例外的に錯誤無効の主張を認めるものと考える。 この特段の事情としては、例えば、税務職員の指導によって錯誤が生じた場合が考えられる。 学習指導要領(学校教育法および同法施行規則に基づき文部科学大臣が告示の形式で定めるもの)の法的性質については、その法的拘束力の有無をめぐって争いがある。 この点、 学習指導要領は、 学校教育法の委任を受けた同法施行規則の再委任に基づく法規命令として 法的拘束力を有するとする見解がある。 しかし、 教育過程全体に関して法的拘束力をもつと考えることは妥当でない。 思うに、 学習指導要領は、教育における機会均等の確保と全国的な一定の水準の維持という目的のために 必要かつ合理的と認められる大綱的な基準にとどまる限りにおいて、 法的拘束力を有すると考えるべきである(判例に同旨) したがって、 学習指導要領は、法規としての性質を有する。 もっとも、 その法規制は、大綱的基準の範囲にとどまるものであり、 一般的な法規概念とは異なる。 裁量基準は、国民に対する外部的効力を有するか 裁量基準は、裁量権行使の内部基準であり、いわゆる行政規則である。 とすると、一般には国民との関係で法的効力を有しないことから、 法規たる性質を有しない。 しかし、 行政規則たる裁量規準の制定は、通常行政機関の任意であるが、 公正な行政手続の観点から、公正な裁量権確保のためその制定が義務付けられる場合がある(行政手続法5条など)。 また、裁量処分の司法審査において、裁量基準自体の内容の当否が 審査対象となる場合もある。 さらに、裁量基準は公正かつ合理的に適用すべきであり、 特定の者に対する不利益な適用は 平等原則違反となる。 裁量基準を充足しているにもかかわらず、 その充足の結果当然なすべき判断と異なる判断をすることも違法となる。 したがって、 裁量基準は、全くの内部基準とはいえず、行政裁量の法的統制の手法として、 国民に対する外部的効力を有するといえる。 公共施設の管理・利用規則は、外部的効果を有するか 公共施設の管理・利用規則は、国公立学校・図書館・病院などにおいて制定され、 営造物規則として行政規則とされる。 しかし、 管理・利用規則違反により処分が課される場合、 一定の処分(退学処分など)については司法審査が及び、 その適法性審査基準として当該規則が用いられる。 したがって、 公共施設の管理・利用規則は、行政規則といえども、 その限りで外部的効果を有するといえる。 本問規則は、日本刀に限り登録の鑑定を認めているところ、授権法たる銃刀法の委任の範囲を逸脱しているのではないかが問題となる。 思うに、 委任の範囲の逸脱の有無は、 委任した法律の趣旨・目的、規制対象たる私人の権利ないし利益を考慮して判断すべきである。 なぜなら、 法律による行政の原理からすると、 委任命令は委任した根拠法の趣旨・目的に反することは許されないし、 同原理も究極的には私人の権利利益の保護を目的とするから。 Yの定めた本問規則旧120条及び旧24条は有効か。監獄法45条が原則として被勾留者と外部者との接見を認め、同法50条が接見に関する例外的制限を規則に委任しているところ、同規則旧120条が幼年者の在監者との接見を原則的に禁止し、同規則旧124条が例外的に許可を認めるため、当該規則が監獄法の委任の範囲を逸脱するのではないかが問題となる。 この点、 規則旧120条は、幼年者の心情の保護に対する具体的な危険を避けるために必要な範囲で 監獄の長が幼年者と被勾留者との接見を制限することを認めた規定であると限定解釈して、 監獄法はこのような制限を許容しており当該規則は有効であると解する見解がある。 しかし、 規則は行政官の行為準則として可能な限り客観的かつ明確に規定されるべきであり、 合法的に限定解釈しなければ機能しない規則は恣意的な運用がなされるおそれもあることから、 この見解は妥当ではない。 思うに、 監獄法45条は、被勾留者と外部者との接見は原則としてこれを許すものとし、 例外的に障害発生の防止のために必要な限度で接見に合理的な制限を認めており、 これは接見を求める者が幼年者であっても異ならない。 そうだとすると、 規則旧120条は、原則として幼年者の接見を禁止し、 規則124条が例外的に監獄の長の裁量により許可できるとしており、 法の原則と例外とを逆転させている点で、監獄法の委任の範囲を超えるものということができる。 また、監獄法50条が委任する事項は 同条が例示する「接見の立会い」等の接見の態様に関するものであるのに、 規則旧120条が接見の許可基準を定めている点でも、監獄法の委任の範囲を超えるものということができる したがって、 規則旧120条および124条は、監獄法の委任の範囲を逸脱する。 下級行政機関は、上級行政機関が定めた通達の効力を審査することができるか。通達の内部的効果に関して、職務命令に対する審査権の問題がある。 思うに、 職務命令に対する審査権及びこれに基づく服従拒否を全面的に認めると、 行政組織の統一性が破壊されるおそれがある。 他方で、いかなる場合にも絶対に服従しなければならないとするのは、 公務員の法律遵守義務の観点から、妥当ではない。 そこで、 形式的審査権だけではなく実質的審査権を認める場合にも、 その内容に重大かつ明白な瑕疵がない限り、 下級行政機関は上級行政機関の通達に従わなければならないと解すべきである。 通達は、行政組織内部規範に過ぎないことから、その定立に法律上の根拠を必要としない。その改廃についても同様である。そうだとすると、通達が改正された場合、それらによって不利益を被るものは、通達の内部規範性ゆえに何ら法的権利を主張できないのだろうか。通達の外部的効果の問題がある。 確かに、 改正された通達が法律の新たな解釈基準や裁量基準を示す場合でも、 通達の内容が法の正しい解釈に合致する限り、 これに基づいてなされた行政処分は適法とも思える。 しかし、 通達による取扱が慣例化し法律解釈として定着を見た場合には、 国民に対する関係ではこれを慣習法として尊重すべきである。 そこで、通達により長年にわたり法律解釈が定着してきた場合は、 改正された通達によりその解釈を国民に不利益に変更することは、 憲法41条、84条の趣旨に反し、違法と解すべきである。 また、通達に反する行政処分は直ちに違法とはいえない。 逆に、通達に沿っているからと言って適法とは限らない。 しかし、 大量的、画一的に行政処分を行っている場合に、 ひとり通達に反して処分が行われた場合には、通達が行政組織内部の基準に過ぎないとはいえ、 まったく違法にならないとするのは妥当ではない。 そこで、 このような場合には、その処分について平等原則違反、信頼保護原則違反として違法になると解すべきである。 通達による処分を待たずに、通達自体を取消訴訟の対象として裁判で争うことはできないか。通達の処分性(行政事件訴訟法3条2項参照)が問題となる。 この点、 通達は行政内部の基準であり、直接国民を名宛人としないことから、 処分性を有しないとも考えられる(判例も否定する) しかし、 通達の存在が国民の権利義務に重大な関わりを持ち、 その影響が行政外部にも及び、 通達そのものを争わせなければ国民の権利救済が事実上不可能になるような場合もある。 そこで、 行政訴訟制度が国民の権利救済にあることを鑑みれば、 このような場合、通達そのものを争訟の対象とすることも認められると解すべきである。 A県は、墓地経営の許可申請に当たって、「要綱」を作成し、その中で同意書の添付を申請者に対して求めている。この「要綱」の法的性質 本問要綱は、墓地経営の許可について、 統一的な行政を行う上で裁量判断を一定のものとするために制定された 行政内部の規範である(行政規則)である。 そして、国民がその裁量判断に沿って行動するように統一的な行政指導を図るため、 行政指導の基準として規定され公表されたものといえる。 とすると、 本問要綱は、国民の権利義務に直接影響を与える法規たる性質を有しないから、 国民に対する法的拘束力を持たない。 したがって、 Xが同意書の添付がないまま経営許可の申請をしたとしても 墓地埋葬法上は適法。 裁量に対する司法審査のあり方 思うに、 行政機関の判断が、通常人の共有する一般的価値判断ないし日常的な経験則に基づいてなされる場合(覊束裁量)には、 裁判所による判断になじむことから、 全面的に司法審査の対象となると解する。 これに対し、 行政機関の高度な専門技術的判断ないし政策的な判断に基づいてなされる場合(自由裁量)には、 法は処分の選択・決定を行政機関の責任ある公益判断に委ねていると解され、 裁判所による判断になじみにくいことから、 裁量権の逸脱・濫用の有無の判断に限って司法審査の対象となると解する。 安全性に関する判断の適否についていかなる司法審査を行うべきか。専門技術的裁量に対する法的統制が問題となる。 思うに、 専門技術的な判断に対する有効な統制は専門家による統制によるほかない。 そこで、 裁判所による法的統制としては、 科学的・専門技術的な意見が反映される手続が確立されているか(手続の公正)、 あるいは行政庁による裁量判断の過程が公正を疑わせるようなものでなかったか(判断過程の公正)を 審査すべきと考える 裁量の内容・範囲 法は、行政行為の発動用件や行政行為の内容について、 行政庁に独自の判断の余地を認める場合があり、これを行政裁量という。 この行政裁量には、 覊束裁量と自由裁量がある。 行政裁量の適法性が争われる場合、 覊束裁量は、客観的基準が存在することから、 裁判所の判断に適し、 司法審査が及ぶ。 これに対し、自由裁量は、 何が公益であるかの判断であるから、 裁判所の判断になじまず、 その濫用・逸脱がない限り司法審査は及ばないとされる。 覊束裁量と自由裁量とは、どのように区別すべきか。 この点、 根拠法規の要件の定め方を基準に、法律が要件を定めないときや公益要件を掲げるときは 自由裁量とし、それ以外の場合を 覊束裁量とする見解がある(要件裁量説)。 これによると、本問における法務大臣の裁量は、法26条1項に要件規定がないことから、 自由裁量にあたることとなる。 これに対し、 行政行為の効果を基準に、人民の権利・利益を侵害する行為は 覊束裁量とし、人民に権利・利益を付与する行為や人民の権利・利益に直接関係しない行為は 原則として自由裁量とする見解もある(効果裁量説)。 これによると、本問における法務大臣の裁量は、在留外国人の再入国の自由が 憲法ないし法律上の権利・利益にあたると解すれば 覊束裁量にあたることとなり、それにあたらないと解すれば 自由裁量にあたることとなる。 しかし、 今日の複雑化した行政においては、 行政裁量が初めから覊束裁量と自由裁量のいずれかに割り切れるとは言えず、 自由裁量の有無も根拠法規の要件や行為の性質という単純な基準で導けるものではない。 そこで、 この両者の区別は、 行政裁量を許容する法律の趣旨目的を合理的に解釈し、 その判断が一般的な価値法則や経験則に基づいてなされる場合は 覊束裁量となり、行政庁の高度の専門技術的・政策的判断を要する場合は 自由裁量となると解する。 自由裁量に対する法的統制 思うに、 法律による行政の原理の下では、 自由裁量と認められる行為であっても、 行政庁の裁量権の行使に濫用・逸脱がある場合には、違法となり、 司法審査の対象となる(行政事件訴訟法30条参照) そこで、 その行政処分の内容が平等原則、比例原則、信頼保護原則に違反していたり、 判断の過程において重大な事実誤認や他事考慮(動機の不正)をしている場合には、 裁量権の濫用・逸脱が認められ、当該処分は違法となると考える。 裁量権の不行使の違法性 この点、 行政庁の規制権限は社会公共の利益を実現するためのものであり、 その権限不行使により特定の国民の損害は反射的利益の損害に過ぎないし、 また、行政庁は責務を果たすため権限行使の時期・方法につき 自由裁量を有するので、 権限不行使による損害も違法とまでは言えないとも思える。 しかし、 行政の福利は国民が享受すべきとする憲法のもとでは、 行政庁の権限行使により保護される国民の利益は反射的利益とはいえない。 また、法が行政目的を達成するために行政庁に権限行使を授権しているにもかかわらず、 行政庁が適切に権限を行使しないでいることは、法の趣旨に反し、許されない。 そこで、 行政庁が権限行使しなければ法律が授権した趣旨を無意味にする事情がある場合は、 行政庁には権限を行使すべき作為義務が生じ、 なお行政庁が権限行使を怠るときには、 裁量権の限界を超え違法となると解すべきである。 具体的には、 ①国民の生命・身体・健康への危険が予想され、 ②行政庁の権限行使により容易に結果発生の防止が可能であり、 ③その権限行使がなければ結果発生を防止できず、 ④行政庁が危険の切迫性を知りまたは知りうべき状況にある場合は 行政庁の規制権限の不行使が違法となると考える。 羈束裁量に対する司法審査 覊束裁量には、 客観的基準が存在することから、裁判所の判断に適し、司法審査が及ぶ。 本問では、「急施を要する場合」として、教育委員会を開催する緊急性が認められるか否かが問題となっているところ、 このような判断は、 通常の一般人が有する経験則に基づいて判断することが十分に可能である。 とすれば、 当該緊急会議を召集するか否かの判断は、覊束裁量にあたると解される。 したがって、 裁判所は、Yの判断の適法性を審査するにあたっては、 当事の客観的事情を考慮した上で、 経験則に照らし、開議を緊急に開催する必要があるか否かを判断すべきである。 公定力は、何を根拠に認められるのか。 まず、行政庁が法律に基づき公権力を行使するのであるから、 その性質上、行政行為には適法性の推定が当然に認められるべきであるとする見解がある(実体法的公定力説)。 この見解にはさらに、権限ある行政庁が自ら適法と確認して行う行為であるから、 それ自体権威を有し、適法性が推定されると解する見解がある(適法性自己確認説)。 これは、行政行為を法の適用という点において 裁判判決類似の行為として理解する。 しかし、 現行憲法の下における行政の地位、行政作用と裁判判決の判断主体・手続の差異から、 行政行為に裁判判決類似の効力を認めることはできないというべきである。 そこで、 公定力は、行政喪区的の早期実現と行政上の法律関係の安定性維持のため、 手続法上、制度的に認められる効力であると解すべきである(手続法的公定力説)。 この見解によれば、公定力は、取消されない限りでの効力であるから、 これに適法性の推定という効果を認める必要はなく、 有効性の推定であると解される。 また、公定力の実定法的根拠は、 取消訴訟の排他的管轄にあると解される。 つまり、取消訴訟が存在することは、 行政行為は取消訴訟によってしか取消されないという趣旨が含まれていると考えられウ。 公定力の限界 (1)国家賠償請求には公定力が及ばない。 すなわち、国家賠償請求訴訟の前提として、当該行政行為の取消は不要である。 なぜなら、 国家賠償請求訴訟は、違法な行政行為によって損害を被ったことを理由とし、 損害の賠償を請求するに過ぎず、行政行為の効果そのものを消滅させるものではないから。 (2)次に、刑事訴訟にも公定力は及ばない。 すなわち、刑事訴訟において、当該行政行為が違法であるとの抗弁を提出する前提として当該行政行為の取消しは不要である。 なぜなら、 刑事訴訟においては、刑事法独自の判断で行政行為の適法性が評価されるから。 (3)さらに、無効の行政行為には公定力がない。 つまり、取消訴訟の排他的管轄が及ばない。 なぜなら 重大かつ明白な瑕疵がある場合(無効)にまで取消訴訟の排他的管轄によって行政庁の判断を 保護する必要はないから。 また、行政事件訴訟法において無効確認訴訟や争点訴訟が存在するが(同法3条4項、45条)、 これらは無効の行政行為には排他的管轄が及ばないことを前提としているから。 (4)そして、違法性の承継が認められる場合には、公定力が及ばない。 すなわち、後行処分の取消訴訟において、 先行処分の違法を理由に後行処分が違法であると主張する前提として先行処分の取消しは不要。 なぜなら、 原則として先行処分の違法性は、先行処分の取消訴訟において主張しなければならないが、 公益実現・法律関係の早期安定・国民の信頼保護といった要請と、 国民の権利保護・行政の適法性維持という要請との調和の観点から、 先行処分と後行処分とが連続した一連の手続を構成し、一定の法律効果の発生を目指している場合には、 両処分を一個の処分とみて、先行処分の違法性が、後行処分に承継されると解されるから。 無効の行政行為と取り消しうべき行政行為の区別基準 取り消しうべき行政行為は、 一応有効であり、公定力が認められるが、取消されたときにその効力が否定される。 他方、無効な行政行為は、 取消を待たなくても初めから公定力が認められない。 この公定力は、行政上の法律関係を安定させて国民の信頼保護を図るために認められた効力である。 とすれば、 取消訴訟の出訴期間を経過した場合であっても、なお救済に値する事情がなければ 公定力を否定するわけにはいかない。 したがって、 無効であるというためには、 瑕疵が重大であることが必要である。 また、 行政行為の瑕疵が明白でないにもかかわらず国民各人の判断で行政行為の効力を否定できるとすると、 行政上の法律関係が著しく不安定となり、国民の信頼が害される。 とすると、 一般人にとって客観的に瑕疵が明白であれば、公定力を認めなくても、行政上の法律関係は不安定とならず、 国民の信頼が害されることはない。 したがって、 無効とであると言うためには、 何人の判断によってもほぼ同一の結論に達しうる程度に明らかな瑕疵であることが必要。 よって、 無効の行政行為と取り消しうべき行政行為との区別は、 重大かつ明白な瑕疵があるか否かにより決せられると解する。 課税処分と明白性の要件 (1)この点、譲渡所得の存在は課税処分の根幹的要件であるから、 これを欠いてなされた処分には重大な瑕疵があると言える。 したがって、 本問では、XB間の売買がAによってなされた仮装のものであるから、 Xには譲渡所特が存在せず、本問課税処分には重大な瑕疵が存することとなる。 (2)もっとも、 課税所得の不存在は、事案によっては、必ずしも外観上一見して明白とは言えない。 とすると、 前記区別基準からは、本問課税処分が無効な行政行為にあたるとは 言えないとも考えられる。 しかし、 明白性の要件は、 行政上の法律関係の安定を図り、 行政行為の有効性に対する国民の信頼を保護するために必要とされる要件である。 そして、一般に、課税処分は、課税長と被課税者との間にのみ存するもので、 処分の有効性を信頼する第三者の保護を考慮する必要がない性質の行政行為である。 とすれば、 課税処分の場合には、明白性の要件を要求する必要はなく、 このような場合にまで明白性を要求することは、 無用に私人の救済の余地を狭めるものであって、むしろ不当である。 したがって、 課税処分の場合には、明白性の要件は不要であると解すべきである。 違法性の承継の肯否 この点、 行政上の法律関係は早期に確定させ、その安定性を重視すべきである。 とすれば、 行政行為の違法性は各々別個に判断すべきであり、違法性の承継は認められるべきではないとも考えられる。 しかし、 常に違法性の承継が認められないとすると、後行処分を争いたい者に酷である。 例えば、 先行処分の出訴期間を経過したため争うことができなくなった場合などである。 思うに、 ①先行処分と後行処分とが、先行処分が後行処分の準備であり 一連の手続と評価できるような場合には、違法性の承継が認められると解する。 一連の手続と評価できるためには 行為相互の目的の同一性、効果の単一性を充たす必要がある。 これに対し、 ②先行処分と後行処分とが相互に関連を有するとはいえ それぞれ別個の目的や法的効果をもつものである場合は、 違法性の承継が認められないと解する。 もっとも、 先行処分に重大明白な違法がある場合は 当然に無効となるから、 このような無効な先行処分を前提として行われる後行処分は、 違法性の承継を論ずるまでもなく、当然に無効となる。 撤回の権限者 思うに、 撤回は、後発的事情により適法な行政行為の効力を継続するのが適当かという 新たな判断に基づくものである。 とすれば、 撤回は、その性質上新たな行政行為をするのと同じであるから、 処分庁の専属管轄に属すると解される。 上級庁は、特別な法律がなければ撤回できず、 撤回命令を出しうるにとどまる。 撤回と法律の根拠撤回も行政行為であることから問題となる。 この点、 授益的行政行為の撤回は、国民にとって侵害行為となるから、 法治主義における侵害留保の原則から、 法律の根拠が必要であるとする見解がある。 しかし、 それでは特別の規定がない限り撤回できないこととなり、 公益に支障をきたす。 思うに、 撤回が問題となるのは、 授益的行政処分によって特に設定された法律関係を事後的に消滅させる場面であり、 私人に本来的に保障された事由や財産に対して制約を加える場合にはたらく侵害留保の原則は、 そのままでは妥当しない。 また、相手方の保護は、 撤回権の制限によればよいし、撤回によって発生した損害は、 損失補償によって救済されるとすれば足りる。 したがって、 公益適合性の回復を根拠に、 撤回には、法律の根拠は必要ないと解する。 撤回権の根拠 無制限に撤回を許すことは関係人に不利益を及ぼす。 そこで、 授益的行政行為は、 ①相手方(国民)に帰責性のある場合、 ②相手方(国民)の同意がある場合、 あるいは③相手方(国民)の既得権益を上回る公益上の理由がある場合 でなければ、 撤回をすることはできないと解する。 撤回につき事前手続を要するか。撤回は、許認可等の効力を失わせる処分(行政手続法2条4号)にあたり、同法の適用を受けないことから、問題となる。 思うに、 撤回には制裁的意味を持つ場合があり、このような場合には弁明の機会を与えることが憲法31条の趣旨に合致すると言える。 したがって 制裁的意味を持つ撤回には、法の明文がなくとも事前の聴聞を必要とすると解する。 本問では、主として公益上の理由にあるから、 事前手続は不要。 撤回に際して損失補償は必要か。 思うに、 撤回は、瑕疵なく成立した行政行為を 後発的事情を理由に、その効力を消滅させるものである。 とすると、 撤回の理由が相手方(国民)の帰責性にある場合以外には、 私的利益を公益のために剥奪することになる。 そこで、 公益上の必要がある場合、 公用収用の場合に準じて、正当な保障を要すると解すべきである。 保障の要する範囲をいかに解するか。撤回を受けた地位それ自体を補償の対象とするかが問題となる。 思うに、 借地権の場合と異なり、使用許可において対価の支払はなく、 使用権はそもそも公益上の理由による取消(撤回)を受けることのありうる地位にすぎない。 したがって、 撤回を受けた地位それ自体は保障の対象とならず、 物権の移転費や投下した有益費等の補償がなされるだけであると解する。 附款に瑕疵がある場合、附款が無効とされることがある。その場合、行政行為の効力はどうなるか。 この点、 無効な附款が行政行為の重要な要素をなしている場合には、 行政行為全体が無効となる。 附款が行政行為の重要な要素でない場合には、 附款だけが無効となり、 行政行為は附款のない行政行為として効力を生ずる。 附款が取り消しうべき瑕疵を有するとして取消されたときも同様に解してよい。 確認行為に、附款を付すことが許されるか。 附款とは、 行政行為の効果の一部を制限するために、行政行為の主たる意思表示に賦課された従たる意思表示を言う。 とすると、 附款を付することができる行政行為は、 性質上、意思表示を要素とする法律行為的行政行為に限られる。 したがって、 準法律行為的行政行為は、 意思表示を要素としないことから、 附款を付すことは許されないのが原則である。 もっとも、 附款の許否は、行為類型の区別から直ちに結論を導くべきではなく、 具体的な法規定の定め方や諸々の利益衡量をも考慮に入れて決すべきである。 本問についてみるに、 本来、建築確認は、客観的に建築法令に適合していれば与えられ、 行政庁に裁量が認められるものではない。 とすると、 一般的には、建築確認に附款をふすことはできない。 そして、個別的事案から裁量を肯定しえたとしても、 建築基準法において住宅難の改善、あるいは昼間人口と夜間人口のバランスの是正などという目的は法の趣旨とは合致しない。 よって、 本問に附款は法律上、許されない。 許可に、附款を付すことができるか 思うに、 行政庁が法律行為的行政行為に附款を付しうるのは、 法令自体が附款を認めている場合か、 法令が行政庁の自由裁量を認めている場合に限られる。 なぜなら、 法令に附款をふしうる旨の根拠がなく、裁量も羈束されている場合は、 行政庁の自由な意思により、法の認める効果を制限することになる附款を法が容認しないものと解されるからである。 本問についてみるに、 風俗営業当の規制及び業務の適正化等に関する法律には、 行政庁に附款を付すことを認める根拠がみられない。 また、風俗営業の許可をすべきか否かの判断には、 行政庁による高度の専門技術的知識や政治的行政的責任を伴った政策的判断を要しないから、 行政庁の自由裁量は認められない。 よって、 本問の附款は、法律上許されない。 特許に、附款を付すことが許されるか。 思うに、 特許には、行政庁の高度な専門技術的知識に基づく判断を要するので、 行政庁の自由裁量が認められる。 したがって、 特許には、附款をふすことができる。 但し、 無制約にこれを認めることは許されない。 まず、附款は、行政行為の目的の範囲を逸脱しえない。 なぜなら、 附款は、法目的の一層確実な充足に資するものであるべきだからである。 また、比例原則、 すなわち、附款により得られる公益という目的に対して手段が均衡する必要がある。 これを本問についてみるに、 幹線道路の必要性は否定できないものの、 埋立て免許と全くの関係のない寄贈を求めることは、 たとえ埋立地の用途が免許基準となっていても行政行為の目的の範囲内にあるとはいえない。 また、たとえ目的の範囲内にあるとしても、幅30メートルの幹線道路の設置・寄贈を要求することは、 公益に対して相手方に不必要な不利益を加えることになるから、 比例原則に反するといえる。 よって、 本問の附款は、法律上許されない。 法律の根拠に基づかない強制執行の可否 この点、 当該撤去は、建築資材の所有者の同意がないまま一方的に撤去するものであるから、 国民の意思によらず一方的に行われる権力行政ということができる。 とすれば、 A町が当該撤去を行うためには、原則として法令の根拠が必要。 しかし、 当該撤去には、子供たちの遊ぶ広場の安全を確保するという緊急の必要性があり、 法律ないし条例の制定を待っている余裕はない。 また、建築資材は広場に違法に放置されたものであるから、Xを保護すべき利益は乏しい。 そこで、 法令上存置が許されないことが明白な場合には、 たとえその法令や行政代執行法上適法と認めることができないものであったとしても、 緊急の事態に対処するためにやむをえない措置と解される場合に限り、 民法720条の法意に照らして、強制撤去も許されると解する。 都市計画法75条1項の「著しく利益を受ける者」の意義 思うに、 都市計画法75条1項は、公益事業の実施によって、事業本来の公益目的と相容れない予定外の利益がもたらされたり、 衡平の原則からみて帰属させるべきではない利益が生じる場合に、 原則としてそのような利益の全てを公共に還元する制度として受益者負担金を定めている。 とすれば、 「著しく利益を受ける者」とは、 同法が公益事業の実施によって予定する生活便益の範囲を超える利益を享受する者をいうと解すべきである。 水道法15条1項の「正当の理由」の意義 この点、 現代の水道事情の下では、水道法はいわゆる都市環境法として、 建築基準法と共通の目的を有するとし、一定の要件の下に建築基準法違反の是正も含めるとする見解がある。 しかし、 水道の供給が国民の生活必需であることからすれば、 水道法以外の法律が水道法と共通の目的を有するとして、 給水拒否事由たる「正当の理由の範囲を広く認めることは妥当ではない。 思うに、 水道法は、建築基準法のように国民の生命・健康・財産に対する危害の防止を目的とするものではない。 そこで、水道法15条の「正当の理由」は、 もっぱら水道法の趣旨・目的に照らし、判断すべきである。 水道法の目的は、 国民に清浄で豊富な水を低廉に供給し、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善を図ることにある(同法1条) とすれば、 国民には給水を得る法的地位が付与されていると解され、 同法15条の「正当の理由」は、 水道事業者が給水をしないことがやむをえない場合に限り認められると解される。 具体的には、 水道事業の運営上給水することが困難である場合や、 相手方が水道料金を支払わない場合と考えられる。 従って、 建築基準法違反の是正は、 水道事業者が給水をしないことがやむをえない場合にあたらず、 同法15条の「正当の理由」には含まれない 公表は、それが勧告に従わない者への制裁として事実上機能する場合もあることから、 法律の根拠が必要ではないかが問題となる。 ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 思うに、 公表が時として制裁的手段ないし義務履行確保の手段として重要な機能を有し、 相手方に重大な経済的損失を与え、 場合によっては相手方のプライバシーなど人権を侵害するという点に着目すれば、 それは単なる物理的な強制力よりはるかに大きな権力的行為であって、 その実質は侵害的行政行為に劣らない。 したがって、 法治主義の観点から、制裁的機能を有する公表については、 法律ないし条例の根拠が必要であると解する。 これに対して、単なる情報提供機能を有するにすぎない公表については、 原則として法律の根拠は不要であると解する。 公表は、制裁的機能を有する場合もあることから、事前の聴聞手続が必要なのではないか問題となる。 ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 思うに、 公表が時として相手方に重大な不利益を与えることに着目すれば、 公表は制裁的行政処分に準じて公表前に相手方に対し聴聞・弁明の機会を与えるべきである。 したがって、 制裁的機能を有する公表については、 事前の聴聞手続が必要であると解する。 これに対し、単なる情報提供機能を有するにすぎない公表については、 事前の手続は不要であると解する。 公表の処分性 ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 公表は、外部に対する行為ではあるものの、 直接国民の権利義務を決定づける効果を有しない事実行為であるから、 処分性が認められないと解する。 よって、 公表に対する取消訴訟は許されない。 宅地開発指導要綱に基づく開発負担金の納付について行政上の強制執行をすることはできるか。行政上の義務の不履行があったといえるかにつき、宅地開発指導要綱の法的性質が問題となる。 ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 宅地開発指導要綱とは、 開発による急激な環境等の変化から既存の地域共同体と住民の生活利益を守るため、 地方公共団体が、開発を行う事業所等に対して、 法定外の義務や負担を要請する措置のことである。 このような要綱は、 あくまで行政の内部規則であり、外部的拘束力を持たず、 国民との関係では行政指導の指針となるにすぎない。 とすれば、 宅地開発指導要綱による開発負担金の納付は、 事業者等の任意の履行に任されるべきものであり、 要綱の負担条項によっては事業者等に対する法的効果は発生しない。 したがって、 事業者等が開発負担金を納付しない場合、 事業者等に行政上の義務の不履行がないことから、 行政上の強制執行をすることはできない。 水道事業の水道料金を納入しない場合について、行政上の強制執行をすることはできるか。 この場合には金銭債務の不履行があるから、行政上の強制徴収が認められるか。 行政上の強制徴収とは、 義務者が行政上の金銭給付義務を履行しない場合に、 行政庁が、強制手段によって、その義務が履行されたのと同じ結果を実現することを言う。 この行政上の強制徴収は、国税徴収法が国税について定め、それを地方税について準用し、さらに一定の使用料等の地方公共団体の歳入についても地方税の例によるとされている(地方自治法231条の3第3項)。 しかし、 同項は使用料等が「法律で定める」ものでなければならないとしている。 これは、行政上の強制徴収が財産権の剥奪を認めるものなので、 全国的画一性を要求する趣旨である。 そして、水道料金の徴収は、特別の規定がもうけられておらず、「法律で定める」ものにあたらない。 従って、 水道事業の水道料金を納入しない場合であっても、 行政上の強制徴収は許されないことから、行政上の強制執行をすることはできない。 営業停止命令について、行政上の強制執行ができるか。 営業停止命令によって課せられる義務が金銭債務ではないことから、考えられる強制執行は、 行政代執行、執行罰、直接強制のいずれかである。 まず、 営業停止命令について行政代執行は 認められない。 なぜなら、 行政代執行は、代替的作為義務に限って可能な執行方法であるところ(行政代執行法2条)、営業停止命令によって課させる義務は 不作為義務であるから。 では、執行罰、直接強制は認められるか。 執行罰は、 非代替的作為義務や不作為義務の履行がない場合に、 過料を科す旨を予告し、心理的強制を加えることによって義務者に義務を履行させるものである。 しかし、 執行罰を定めるものは現行法上砂防法のみである。 また、直接強制は、 義務者が義務を履行しない場合に、義務者の身体・財産に直接実力を加え、 義務の履行があったのと同様の状態を実現させるものである。 しかし、 これは人種侵害のおそれが強いことから、現行法上、極めて例外な場合に認められているにすぎない。 したがって、 営業停止命令に違反する場合、法律の根拠がないため行政上の強制執行をすることはできない。 執行罰の制度を条例で定めることは可能か。行政代執行法1条は「行政上の義務の履行確保に関しては別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる」としているが、別に定められうる「法律」の中に条例も含まれるか。 この点、(条例で執行罰を定めることも許されるとする見解) 条例が民主的性格を持つこと及び 執行罰については行政代執行法の関知しないものであることを理由に、 条例で執行罰を定めることも許されるとする見解がある。 しかし 行政代執行法の規定の仕方や、 執行罰も含む行政執行法を廃止した立法の経緯を考慮すると、 条例による執行罰の制定を認めることはできない。 そこで、(行政代執行法上の「法律」とは) 同法2条が法律と条例とを明確に区別して扱っていることからすれば、 行政代執行法上、「法律」とは 形式的意義の法律、すなわち 国会の制定する法律を意味するものと解すべきである。 したがって、 同法1条の「別に法律で定めるもの」の中に条例は含まれない。 よって、 執行罰を条例単独で制度化することは許されず、本件条例の制定は違法である。 罰金の他に執行罰を併科することは、憲法39条の二重処罰禁止の原則に反し違法ではないか 思うに、 執行罰の実体は刑事制裁ではなく、金銭的負担を科する行政処分の一種である。 これは将来の義務履行確保のための手段と言うべきであって、 罰金が過去の義務違反に対する刑事制裁であるのとは性質が異なる。 とすれば、 罰金と執行罰の両者を併科すること自体は、憲法39条に反せず許容される。 したがって 本問条例の制定は、憲法39条の二重処罰の禁止の原則に反しない。 執行罰と罰金の均衡(本問条例は、一回の執行罰につき過料を1000万円としている。そこで、地方自治法14条5項が罰金の最高限度額を100万円としていることから、本問条例はこれとの均衡を著しく害し違法ではないかが問題となる。) ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 思うに、 罰金は過去の行為に対する制裁であり、他方で 執行罰は将来に亘る義務の履行確保のためのものであるから、 両者は制度の本来の目的を異にし、バランスを考慮する必要はないと言うべきである。 また、 両者のバランスを考慮したのでは、そもそも執行罰を設ける意義を失わせてしまう。 従って、 執行罰の制定に罰金との均衡を図ることは原則として必要ないと考える。 もっとも、 行政上の義務違反に対する罰金による制裁の制度が実質的には義務履行確保の手段として機能していることに鑑みると、 罰金と著しくバランスを欠くような執行罰の制度は、 適正さを欠き、地方自治法14条5項に実質的に違反すると考える。 行政調査の意義 ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 行政調査とは、 行政機関が行政目的を達成するために必要な資料を収集する行為。 行政機関が適切な行政活動を行うためには、必要な情報を収集・分析し、行政需要に適格に対応した施策を行わなければならない。それゆえ、行政調査は、円滑・適切な行政運営のために必要不可欠である。 このような行政調査は、調査対象の観点から、 ①政策決定のための基礎となる資料収集を目的とした不特定人に向けられた一般的調査と、 ②具体的な権限行使のための資料収集を目的とした特定人に向けられた個別的調査に分けられる。 また、行政調査は、調査作用の観点から、 ①相手方に義務を課し、または相手方の抵抗を実力で排除して行うことのできる 強制調査と、 ②罰則により担保された間接的強制調査、 ③相手方の任意の協力を得て行われる任意調査に分けられる。 行政調査に法律の根拠を要するか。 思うに、 円滑・迅速な行政も区的の達成のため、法律の留保は国民の自由・財産を制限する場合に限られるべきである。(侵害留保説) そこで、 相手方の抵抗を排して実力を行使する調査(強制調査)や 罰則によって担保された調査(間接的強制調査)は、 侵害的行為であるから、法律の根拠が必要であると解する。 これに対し、 相手方の任意の協力をえて行われる調査(任意調査)は、 非侵害的行為であるから、法律の根拠は必要でないと解する。 任意調査はどの範囲・程度まで行うことができるか 思うに、 円滑・迅速な行政目的の達成の要請と 適正手続(憲法31条)による国民の権利・自由の擁護を調和する観点から、 その範囲・程度は狭く解し、 個々の事例ごとに具体的に検討すべきである。 例えば、 警察官による所持品検査については、 警察官職務執行法2条1校に基づく職務質問に付随する任意手段として捉えつつ、 具体的事情の下において相当と認められる限り、 所持人の承諾がなくても検査することが許されると解する。 法律によって罰則が定められている場合(間接的強制調査)、実力の行使まで認められるか。 思うに、調査に協力しないことについて罰則が定められている場合、 それは調査の実効性を罰則の限度で担保する趣旨であり、 抵抗を排除するための実力行使までを認めるものではない。 罰則による間接強制と実力行使による直接強制とは、 国民の身体・財産に対する侵害の程度を異にするから、 法治主義の原則からは 実力行使を認める法律の根拠が必要になる。 従って、 実力の行使まで認められない。 刑事手続に関する憲法上の規定が行政調査にも適用されるか。 思うに、 行政手続の刑事手続と同様に人権侵害のおそれがあることから、 憲法上の保障を行政手続にも及ぼすべきである。 他方で、 行政の多様性に鑑みれば、 円滑な行政も区的達成の要請にも配慮すべきである。 したがって、 実質的に刑事責任追及のために資料収集に直接結びつく作用を有する場合に限り、 憲法35条の令状主義や憲法38条の供述拒否権の規定が適用されるものと解する。 例えば、 所得税法上の質問検査は、 その目的が刑事責任の追及になく、その資料も当然に刑事手続で用いられるものではないことから、 憲法35条の規定は適用されず、令状が不要であると考える。 行政調査には、事前通知や告知、理由の開示が必要か この点、 事前通知等を要求したのでは、 行政調査の目的が達成できなくなる場合がある(税務調査など)。 しかし、 相手方の生活の平穏に対する侵害を最小限に押さえることも重要である。 思うに、 行政調査によって相手方の人権が害されるおそれがあるときには、 憲法31条の適正手続の保障が及ぶというべきである。 したがって、 性質上調査の目的が達成できなくなるおそれのある場合を除き、 事前通知や告知、理由の開示が必要であると解する。 例えば、 税務調査は、事前通知等をすれば帳簿の改ざん等により正確な納税額を確定しえないことから、 その性質上、調査日時・場所等の事前通知、調査理由等の告知が当然には必要とされないと考える。 行政調査が違法である場合に、その調査を基礎としてなされた行政行為も違法となるか。 この点、 行政調査は、行政行為とは独立した制度であるから、 これに違法があっても当然には行政行為は違法とならない。 しかし、 行政調査に基づいて行政行為が行われるという意味において、 行政調査と行政行為は一連の過程を構成している。 そこで、 具体的事例において人権救済の必要性がある場合には、 行政調査に重大な瑕疵が存する場合に限り、 行政行為も違法になるものと解する。 違法な行政調査及び行政行為に対して、取消の訴えが認められるか。 まず、 本問のような間接強制を伴う調査自体に対し取消訴訟を提起しうるか。 事実行為たる行政調査も「処分」(行政事件訴訟法3条2項)に含まれるかが問題となる。 思うに、 取消訴訟は行政庁による国民の権利利益の侵害からの救済を目的としている。 とすれば、 公定力を有しない行政庁の行為であっても、 国民の権利利益の救済の必要性がある場合には、 取消訴訟の「処分」に含まれると解すべきである。 したがって、 本問のような立入検査及び質問検査に対しても、取消訴訟を提起しうる。 【行政契約】行政契約の意義 ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 行政契約とは、 行政主体を契約の一方または双方当事者として締結する契約をいう。 行政契約は、公共用地の取得や、交通機関及び水道事業などの利用に見られるように、 私人と行政主体との間の法律関係の設定・変更につき、 行政行為とは異なる手法として用いられる。 行政契約に対する私法の適用 ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 従来の伝統的通説によれば、公法私法二元論を前提に、 行政主体による契約を公法契約と私法契約とに二分し、 行政法の対象を公法上の契約に限定してきた(狭義の行政契約)。 ここにいう公法上の契約とは、 公法的効果の発生を目的とする複数の当事者間の反対の意思表示の合致によって成立する契約をいう。 しかし、 行政裁判所が廃止された現行憲法(憲法76条2項)のもとでは、 公法と私法の区別基準が曖昧であり、公法契約と私法契約に二分することは妥当ではない (公法私法一元論)。 また、 行政主体が契約当事者である契約について、民主的統制の方法や法治主義の実現を検討すべきである。 そこで、 行政主体を契約の一方または双方当事者とする契約を広く行政契約(行政上の契約)と理解し、 個別に法的統制をt検討すべきである。 このような行政契約は、公法上の契約であっても、私法上の契約と本質を異にしないので、 原則として私法(民法・商法等)が適用されるが、 公益と密接な関係を有するときは公法が適用される。 行政契約の特質 分類 ①準備行政における契約 ②給付行政における契約 ③規制行政における契約 ④行政主体間の契約に分類できる 【行政契約】準備行政における契約 ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 準備行政とは、 行政活動に必要な物的手段を調達あるいは整備するために行われる行政。 この領域の契約としては、例えば、 国有財産の売渡し・管理・貸付契約、官庁事務用の物品の購入契約、官庁等の建物や道路・河川等の築造の請負契約、売買契約による土地の取得がある。 これらの契約には、原則として私法(民法・商法)が適用される。 国有財産の管理については、会計法や国有財産法、地方自治法等の特別の法律による規律があるが、 これらは基本的には行政内部法的意味をもつものであり、 民法の特別法としての意味を有する。 もっとも、 地方公共団体の財務会計行為については、 地方自治法上、住民訴訟の対象となる点で特別の規律を受ける。 【行政契約】給付行政における契約 ・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚゚・* ..。o○☆*゚¨゚ 給付行政とは、 個人または国民一般に便益を提供するもの。 給付行政についても、国民の自由や財産を侵害するものではないため、 原則として契約方式を採用する。 例えば、 バス、電気、ガス、上下水道の契約がある。 但し、 国による補助金交付や社会保障の給付等については、 行政行為という方式がとられる。 これらの契約についても、原則として私法(民法・商法)が適用される。 もっとも、 平等原則(憲法14条)に夜差別的取扱の禁止の要請により、行政の定める条件に即して締結される附合契約の形態がとられることが多い。また、行政側には、「正当な理由」がない限り供給継続義務(契約解除権の制限)が課されることが多い。 行政契約と租税法律主義との関係 行政契約と土地収用法との関係 行政契約と国家賠償法との関係 行政指導は国家賠償の対象となるか。行政指導が国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に当たるか 行政指導を行うのに法律の根拠が必要か 行政指導に対する任意性の判断基準 行政指導に処分性が認められるか 行政計画と、法律による行政の原理との関係 行政計画に処分性(行政事件訴訟法3条2項)が認められるか 行政計画の変更や中止によって被った損害につき賠償請求が認められないか 第二種市街地再開発事業計画の決定は、取消訴訟の対象である「処分(行政事件訴訟法3条2項)に含まれるか。 受理の拒否と行政手続法7条行政手続法が申請権を保障しているか 救済手段 応答拒否と行政手続法7条 救済手段 審査基準と異なる基準・理由でなす処分の違法性 申請に対する却下処分に対する意見陳述 弁明手続における文書閲覧請求権 補正を求めないで直ちに拒否処分することの適否 文書閲覧拒否処分に対する取消訴訟の可否 第三者の取消訴訟の可否 届出を前提とする法律関係についての争訟方法 附款に対する取消訴訟の可否 附款に対する法律の根拠 理由付記の瑕疵 審査基準の非設定・非公表の違法性 行政手続法35条2項に基づく文書交付請求権
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いろいろブログ&サイト【TOP】 ■ 英語研究 日本人と英語の問題を考える会(J E Group) グローバル時代にあって、日本人の英語力が問題になっています。英語については、これまで主にスキルとしてとらえられてきましたが、言語の習得はスキルを超えた、文化的なもの、環境的な要素が重要と考えます。メンバーがそれぞれ思うところと語るブログサイトです。 ■ 世界の動きを英語で追う 世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。 ■ Le Cabotin ル・キャボタン フランス語ニュースの書き取り .
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☆★☆ 色々な板のリスト ☆★☆ 萃磨選堆 緋想天板 居酒屋発祥の地。緋想天がやりたい方はこちら 萃磨選堆 非想天則板 萃磨選堆の非想天則の攻略掲示板。キャラスレがある 非想天則 ネット対戦板 ランクスレや無差別、具体などがある。ここにも居酒屋の店舗(通称:支店)が存在する 管理人の事情により一時的に凍結していたが、2011.05.11に復活した 非想天則 対戦避難所 ランクスレ等のネット対戦スレの避難所はこちら 居酒屋支店 避難所 ネット対戦板一次凍結に伴い、支店用の避難所が出来ました 居民専用対戦板 ここです。フリプスレや汎用スレがある。フリプたんもいる。
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先輩方が卒業したあとのGW 久しぶりに5人揃ってスタジオに集まり、音合わせをしました 練習し終わったあと、私達は澪先輩の家のアパート(大学の下宿先)に集まりました 私ももう3年生、勉強に手を抜いている場合じゃありません 先輩方と一緒の大学に行くためにも・・・ 澪先輩に勉強を教えてもらっていました 澪:ここはこうして、で、ここは・・・ 梓:なるほど 唯:あーずにゃん!えい! 唯先輩が私に抱きついてきました 梓:ひゃ!! 澪:こら!唯!勉強の邪魔をするな! 律:おらーーーーーーー 律先輩は唯先輩にアームロックをしかけました 唯:り!りっちゃんギブギブ!!! 律:はっはっは!私の勝ち~~! 澪:梓の勉強の邪魔だろ、まったく・・・ 澪先輩が愚痴を言っています この二人のテンションは高校のころとなんら変わっていない 大学に行ってもみなさんの様子は変わっていない・・・ 紬:お茶、はいりましたよ~ 唯・律:やったーーーー! 澪:ムギ、悪いな 梓:ありがとうございます・・・ 大学でも4人で活動している先輩方 高校のころと一緒で、仲良くやっているそうです 本当に良かった・・・ だって私は、先輩方が大好きだから HTTが大好きだから・・・ 時計は夜中の1時をまわり、ムギ先輩、律先輩、唯先輩はとっくのとうに寝ていました 私はこの時間まで自分の勉強につきあってもらってました 澪:ふぅ・・・このへんにしておこうか 梓:そうですね 澪:もうみんなも寝てるし・・・私たちも寝ようか 梓:はい 澪:ごめんな、狭くて。寝るスペースがあんまりないと思うんだけど・・・ 私は明日も学校が休みということもあり、澪先輩のアパートに泊まることにしました 澪先輩のアパートの広さは七畳。5人で寝るには困難をきわめます ちなみに唯先輩と律先輩は二人仲良くベッドの上で寝ています ムギ先輩は床の上に布団をしいて寝ていました 梓:仕方ありませんよ。1人暮らしですし・・・ 澪:だいたいこの二人は・・・私のベッドなのに・・・ 梓:幸せそうに寝ていますね 澪:ふふ。そうだな 梓:本当に変わっていませんね・・・良かった 澪:梓・・・? 梓:あ!なんでもないです・・・ ついつい口がでてしまった 澪:寝る前にもうちょっと梓とおしゃべりしようかな フフッ 澪先輩は笑顔で私にそう言ってくれました 梓:そうですね・・・私もみなさんの現状とかもっと知りたいですし 私は寝る前に、澪先輩とおしゃべりすることにしました 澪:軽音部はどう? 梓:はい、純や憂が入ってくれて、1年生も二人入ってくれました 桜ケ丘高軽音部もまだまだ存続中です 新入部員も二人入ってくれました 一人はドラムの経験者で、もう一人はギターの初心者 初心者の子にはつきっきりで教えてるけど、唯先輩に指導してたから、なんら苦労は感じません 澪:憂ちゃんはキーボードなんだっけ? 梓:はい。ピアノしてたし、それに憂だから、のみこみも早くて・・・ 澪:だろうな・・・そういえば、あの子。純ちゃんは? 梓:純はベースです。腕前はなかなかですね。澪先輩みたいなベーシストになりたいってよくいってます 澪:私みたいなベーシストだなんて・・・なんかおそれ多いかな// 梓:そんなことないですよ。私も澪先輩のベースは素晴らしいと思っています 澪:そ、そうかな・・・は、恥ずかしい// 下を向く先輩 自分に自信のないところも相変わらずだな~・・・ 梓:先輩方はどうですか? 澪:私達は自分たちでサークルを立ち上げてバンド活動してるよ 梓:立ち上げるって・・・すごいですね 澪:一応ちゃんとしたバンドサークルはあったけど、私達は私達でやりたいかなぁと思って・・・ 梓:そうなんですか・・・ 澪:それに、そのサークルに入ったら、またみんなでできないかもと思ってさ。ほら、人が多いからいろんなバンドと組めるんだよ、だから・・・ そこまでして・・・ 澪:ふふ、もちろんお前の事も忘れてないよ、梓 梓:え? 澪:ギターはちゃんと一人あけてるからな。来年は私達のサークルに入るんだぞ。梓 ど・・・どうしよ・・・ 澪:梓? 目から汗が・・・ 澪:どうした、梓? ギュッ 澪:!? 私は澪先輩の胸に飛び込んだ 梓:大学に入ったら・・・み、みなさんが離れ離れになってるんじゃないかなって思って・・・ グスッ 澪:・・・ 梓:心配してて・・・ずっと心配してて グスッ 澪:梓・・・ 梓:今も楽しいけど・・・やっぱり先輩方と一緒にいる方が楽しい・・・ グスッ 澪:そうか・・・ ギュッ 澪先輩も私を抱きしめてくれた 澪:そんなこと言うなよ 梓:う・・・う・・・うぅ・・・ 澪:私たちは・・・梓のこと、ひと時も忘れたことなんてない 梓:う・・・う・・・ 澪:それに・・・今の軽音部には満足してないのか? 梓:い、いえ・・・そんなつもりじゃ 澪:じゃあそういうことは言うな、一年の後輩がこんな部長を見て、なんて思うか 梓:す・・・すいません・・・ グスッ 澪:ふふっ、よしよし 澪先輩は私を撫でてくれた 梓:・・・もう少し・・・このままでいてください 澪:ふふっ、私ももう少し、こういたいかな 梓:離れたくないんです・・・ 澪:私もだよ・・・梓 ギュッ 律・紬・唯:ニヤニヤッ 澪・梓:!!!! 律:いや~甘えん坊でちゅね~梓ちゃん 唯:あずにゃんかわいい~ 紬:あぁ・・・いいわぁ// ポッ 澪:お、お前ら起きてたのか!! 梓:は、はずかし~・・・ 律:それにいらん心配しすぎだぜ、あ~ずさ 梓:え? 唯:そうだよ、あずにゃんの事を忘れたことなんてないよ 紬:新入部員の子が見てたら思うでしょうね 梓:み、みなさん・・・ 澪:それは私のセリフ// 律:澪ちゃ~ん、今日はやけにくさいですね~ 澪:うるさーーーーーーーーーい!! 私の悩み事はこの1日で解決できました 本当に良かった・・・ みなさんのためにも、軽音部の方ももっと頑張らないと!