約 106,073 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/681.html
ここは迷いの竹林と呼ばれる場所。竹の間を涼しげな風が吹き抜けていく。 その土の上で、子ゆっくりの集団が和やかに遊んでいた。 髪の色は様々だが、みな頭の先に二本の兎耳がついている。 これは主に竹林を棲家とする珍種、「ゆっくりうさぎ」の特徴である。 追いかけあったり、じゃれあったり。他種のゆっくりと何ら変わらない、微笑ましい光景だ。 だが、子ゆっくりの一匹が突然苦しみだした。 「ゆう゛う゛う゛……おなかがいたいいよお……!」 まわりの子ゆっくりが気付き、騒ぎ出す。辺りに親ゆっくりの姿は無く、子どもたちは混乱するばかりだ。 そのうち、苦しんでいた子ゆっくりが 「ゆぐぐ……もっとゆっくりしたかった……」 と呻くと、ぐたりと顔を地面に伏せ、動かなくなった。 「ゆ、ゆぅ……?」 「ゆっくりできる? だいじょうぶ?」 他の子ゆっくりたちは一瞬きょとんとして、それから何が起きたかをゆっくり理解した。 「あ、あ、ああああ!!」 「『てい』が! 『てい』がしんじゃったああ゛あ゛あ゛ぁ!!」 「おぎでっ! おぎでよ『でい゛』い゛い゛い゛っっ!!」 「ゆっぐ! ゆっぐべっ!!」 子ゆっくりたちは仲間の突然の、しかも苦悶の後の死にパニックに陥った。 ショックのあまりにひきつけを起こし、白目をむいて餡子を吐く者すらいる。 この地面に倒れているゆっくりうさぎは、軽くカールした黒髪からへにょりと丸みのある白い耳を生やしている。 そのゆっくりの通称は「ゆっくりてい」。 (※モデルとなった妖怪と区別するため、業界では普通このゆっくりを「てい」、妖怪兎の方を「てゐ」と表記している。以降の文章はこれに従う。) (ゆっゆっゆっ……まただまされてる。みんなおおまぬけだねーっ!) ていは地面に伏せたままの顔をにやりと歪めて笑った。 本当は体を揺すって大笑いしたかったが、じっと我慢して演技を続ける。 これはゆっくりていの十八番、「死んだ振り」である。 ゆっくりていは非常にずる賢く、いつも色々ないたずらを他のゆっくり達に仕掛けては あざ笑う厄介な性質を持つ(いわばイタズラによるすっきり!を好む)。 だが、外見は非常に可愛らしいためゆっくりの間で人気があり、また大抵のゆっくりの餡子脳は、 いたずらされた事を根に持つ前に忘れてしまうため、ゆっくり社会で生存を許されているのだ。 特に幼い子ゆっくりや赤ゆっくり達の場合、餡子脳の体積がまだまだ少ないため、同じイタズラに何度でもひっかかり、 その度にていは快感に酔いしれた。いつも可愛らしく振舞いながら、ていは心の中で仲間をバカにしきっていた。 今、自分の周りで大騒ぎしている仲間の様子を音だけでうかがい、ていはもう少し長く楽しもうと決めた。 死んだはずの自分がいきなり起き上がり「ゆっくりしていってね!」と叫んだら、みんなどんな顔をするだろう! 嘘だったと宣言し、騙された事をバカにしてやるのだ。胸をわくわくさせながら、ていはもうしばらく死んだ振りを続けようと考えていた。 そこに想定外の客が現れた。 「ゆゆっ! おねえさんだあれ?」 「にんげん! にんげんはこわいっておかあさんがいってたよ!」 「きょわいよお゛ぉ!」 竹の間から現れた人物の姿に、子ゆっくりたちはもはや半狂乱におちいった。 しかしその人物は子どもたちの前にしゃがみこむと、優しく微笑んだ。 「ふふ、私はゆっくりをいじめたりなんかしないよ。それに、私は人間じゃなくて月の兎。ほら、みんなと同じでしょ」 そう言って頭から生えた長い兎耳を指差した。それから丸い尻尾も見せるため、短いスカートをまくり上げ……てはくれなかった。 「おねえさんもゆっくりうさぎなんだね! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくち! ゆっくち!」 子どもたちは彼女の兎耳を見て、同類と認めたようだった。あっさりと警戒を解き、恒例の挨拶を発した。 「う、うん、まあ私はゆっくりじゃないんだけどね……ところであなた達、どうして泣いてたの?」 小さな餡子脳達は彼女に言われてさっきまでの事を思い出した。再び泣き、わめき出す。 「ていが、ていがしんじゃったのおおぉぉ!」 「おなかいたいっていってから、うごかなくなっちゃったの……」 「ゆ゛う゛う゛ぅ……」「ゆ゛っ! ゆ゛う゛え゛え゛え゛ぇん!」「でえ゛ぇい゛い゛い゛!!」 彼女が視線を上げると、黒髪のゆっくりうさぎが竹葉の積もった地面に倒れ伏しているのが目に入った。 「可哀想に……食あたりか何かかな。まだ小さいのに」 ゆっくりていは伏したまま、ニヤニヤ笑いがこらえられなかった。いきなりの人間の登場には驚き、さすがに怯えた。 だがどうやらその人間も、ていが本当に死んだと思っているらしい! いたずら自慢のていでも、人間を騙したのは初めてだった。 (ゆふふ! にんげんってばかだね! ゆっくりよりもあたまわるいよ) 「じゃあ、せめてお墓を作ってあげましょうか」 「ゆっ? おねえさん、ほんと?」 「そっちの方で筍掘りをしてたら、あなた達の泣き声が聞こえてきたの。ちょうど筍を抜いた穴があるから、そこに埋めてあげましょう」 「ゆ゛っ、ゆ゛う゛う゛ぅ……」 「「お゛ね゛え゛さ゛ん゛あ゛り゛がと゛お゛お゛ー!」」 子ゆっくり達は彼女の親切な提案に感極まり、涙やその他の液体をじょぼじょぼ流しながら頭を下げた。 (ゆっひゃっひゃ! お、おはかだって! ぜんぜんきづいてないよ! ばかなの? しぬのー!?) ていはイタズラの成果に得意絶頂だった。もっともっと、愚か者達が騙されるのを見たかった。 「こんな物しかないけど……一応、清潔だから」 兎のお姉さんはそう言うと、ポケットから純白のハンカチを取り出して広げた。 ていの遺体をそっとつまみ上げると、手早く、はみ出さないようにハンカチで巻いていく。 棺などあるはずも無いが、丸裸で土に埋めるには忍びないと思ったのだ。 せめてもの白装束を、隙間から虫など侵入しないようしっかりと、何重にも巻いていった。 子ゆっくりの小さな体にはハンカチの大きさでも充分だった。そうやって巻き終えると、ほどけないように自分のヘアピンで端を止めた。 (ゆふうん……いいにおい……) ハンカチからは兎の彼女の移り香が漂う。ゆっくりていが今まで嗅いだこともない良い匂いだった。 うっとりしている間に、ていの体はハンカチで完全にくるまれた。そうして、ていは自分の体が動かせなくなっていることに気がついた。 (ゆっ? う、うごけないよ!?) 必死で体を捻ろうとしても、体に巻きついた布にはまったく余裕がなく、ぴくりとも動けない。 もちろん子ゆっくりの力では布を破ることなど不可能だった。 「……! ……ー!!!」 口の周りもぴっちりと布で巻かれていて、喋ることもできない。 ていの、他のゆっくりよりほんの少しだけ回転がいい餡子脳は、自分がどういう状況に置かれているかを、ここに至って完全に、ゆっくり理解した。 「!!!--!!? !!」 さっき以上に、餡子が漏れ出しそうなほど力を込めて体を動かす。だがやはり身じろぎすらできない。餡子も漏れない。 焦りがとてつもない恐怖に変わり、嫌な汗がにじみ出た。 だが、吸水性の良い上質な木綿のハンカチが内側で全て吸い取り、表まで染み出ることはなかった。 いや、よく目を凝らせば、遺体の両目にあたる部分がうっすらと湿っているのに気が付いたかもしれない。 兎のお姉さんは穴の底に落ち葉を敷き詰めると、その上に遺体を横たえた。 一時、竹林の奥に消えた子ゆっくり達が彼女の元に戻ってきた。 それぞれが口に咥えているのは、きれいな花や、故ゆっくりが好きだった草の実、布団がわりの大きな木の葉などである。 それらを穴の中に落としていく。ゆっくり達はみな必死に涙をこらえていたが、 彼女がスコップで土をかぶせるともう耐え切れず、声を上げてすすり泣いた。そうして自分達も穴の中に土を放り込んでいった。 あらかた穴を埋めると彼女はスコップの腹を使い、盛り上がった土をバン、バン、と叩き締めた。 「どお゛じでそんな゛ことするのお゛お゛お゛!!」 「や゛め゛て゛え゛え゛え゛え゛!!」 驚いたゆっくり達が泣き叫ぶが、彼女が悲しげな顔で説明すると、納得して静まった。 「ごめんね……。でも、こうやってしっかり土を固めておかないと、虫さんや鼠さんが来て、掘り返しちゃうの。それじゃこの子もゆっくりできないから……」 ていは目をつぶっていた。死んだ振りからそのまま顔面も固定されたので、開けることができなかった。 それでもまぶたを通して、見上げた空の光が感じられた。上の方から、仲間達の泣き声が聞こえる。 体の上に湿り気を帯びた何かがかぶせられた。それが、次々と落ちてくる。それと一緒に、視界がだんだん暗くなっていった。 息が苦しい。仲間の声も小さくなっていく。 静かになった。動くものもない。光は完全に失われた。 それから猛烈な衝撃がやってきた。一定の間隔で、上方から、殴りつけるように巨大な圧力が数十回加えられた。 「さよなら、てい……」 「やすらかに、ゆっくりしていってね」 ゆっくり達は別れの挨拶を済ませ、改めて兎のお姉さんに礼を言うと、家族の待つ巣へと帰っていった。 兎の彼女も、しんみりとした気持ちになって、筍掘りを切り上げ不死の主と仲間のいる家に帰ることにした。 迷いの竹林と呼ばれる場所に、小さな小さな墓がある。墓標はない。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/i_jinrou/pages/181.html
サブタイトル 【ドジっ子村】 紹介 その名の通り多くのドジっ子が光る村。 日数、発言数共に普通ではあるが皆が一生懸命考察・戦術論を行っていた。 村人の殆どが初心者であり、基本的なルールも教えあいながら頑張っていた。 初回は白ログのみで初心者達と一緒に狼を推理して欲しい。 基本的なルールを確認したい人 狼の立ち回りを勉強したい人 ドジっ子を見てのほほんとしたい人 にオススメできる内容となっている。 あらすじ ここは初心者の村――― 【初心者COしてね】 ニッツの一言から村人達はこぞって初心者COを行った。その人数、総計13名。 そこにとある者が放った一言が村人を恐怖に陥れる。 「まあ俺実は上級者だけどな!」 彼は何故そのような事を言ったのか。 不安に駆られる村人をあざ笑うかのように1日目が始まった――― 「いくら正体を偽ってもこの斧の前では無駄だ。」 「占いって何人いんの?」 「お布団敷いてたら遅くなっちゃったー( _ )」 名乗りを挙げる3人の占い師達。 ぽつぽつと喋り始める村人達。 戦々恐々とする彼等の行く末とは―――!? ↓ネタバレ 勝敗 村人勝利 作戦 村側の作戦 共有片による共有トラップ→(失敗) 共有指定ゾーン占い→相互完遂→共有指定統一占い 霊能・共有片2d遺言 狼側の作戦 狼による占い師騙り→狩人スライド(失敗) 狂人潜伏 2W潜伏 狐の作戦 潜伏→(相互完遂により呪殺) 名場面・迷場面・ドジっ子場面 プロ 負傷兵による初心者COからの上級者スライドからの平凡なアンカーミス 更新時間間際のシスターの寝落ち宣言 1d 議題提案前の木こりによる占い騙り 負傷兵の【占い方が分からない】発言 旅人と負傷兵の殴り愛 皆から喉を心配される負傷兵 更新間際に行方不明の負傷兵 村娘の共有片予想的中 2d 負傷兵の寝落ちからの旅人への黒だし 老人の▼と▲の間違い 村娘の寝落ち寸前復帰 3d 狐呪殺 狩人の変態護衛 変態護衛からのGJ 負傷兵の素村騙り発覚→負傷兵の中の人交代 4d 木こりの酒飲への黒だし 少女の画家への黒だし 狩人変態護衛 霊能への襲撃成功 村娘のログ読み間違い多発 画家による暫定黒ローラー提案 凸死対策により酒飲処刑 ゾーン占いから統一占いへ変更 5d 共有片への襲撃成功 木こりの寝落ち 木こりの誤爆→狩人スライド失敗 画家の狼CO 6d 占い師襲撃成功 神父のLWCO LWCOを信用しない村娘 画家からの狐暴露 神父と画家のどちらに首輪をつけるか悩む村娘 7d 狼の降参噛み それでもまだ信用しない村娘 8d(エピ) 最後にビームが飛び交う村に変貌。SFチックに。 登場人物紹介 楽天家ニッツ 村人 2d襲撃死 いつもどおりに2日目に襲撃されてしまう。しかし、彼の襲撃を悲しむ者はほぼ一言を残すのみ。本当に死を悼まれていたのだろうか?『人狼?そんなの居ないさ。寝てていい?』 雑貨屋マリ 村人 生存 プロ、1dの議題等まとめに動いていた頼れる雑貨屋。3dに相互完遂により確白となった。冷静沈着な白ログとツッコミに奔走する灰ログのギャップは必見。『ジェットストリームアチャー(;´д`)』(5d灰ログより) シスターリン 狂人 7d襲撃死 下ネタを嫌い、平和を愛するシスター。虐められてたのはRPだと信じたい。終始不思議な発言、更新前後に寝てたりお風呂入ってたり。怪しい行動していたのに釣られなかった人。酒飲のお気に入りのようだ。狂人なのに狼の降参噛みで噛まれてしまった。『わーたーしーはーわるくないよーーーー!』(6d白ログより) 少女リーア 占い師 6d襲撃死 町に憧れる無邪気な少女。羊飼=ツンデレに気付いた人。3dに狐である老人を呪殺するも、GJと重なってしまったために真占の地位を確立できず。占い騙りが破綻した結果噛まれてしまう。『ルカたんがデレた!!!!!』(4d灰ログより) 青年ヴァル 村人 生存 この村で初心者ではなかった一人。占い方法からメリットデメリットを村人に懇切丁寧に説明できるくらい流暢に喋る。最終日に同じく非初心者の神父と天秤にかけられる事になった。上級者のデットヒートだったようだ。(村娘談)『遅い!遅いよ!何やってんの!!』(3d、5d白ログより) 村娘アリシア 村人 生存 自称わたわたドジっ子。しかし後半になるとその面影はどこへやら。共有を差し置いて作戦を提案するなど、暴挙に出た。しかも、ミスリード率が高かったと言う。LWCOを頑なに信じなかった。別名、女帝(シスター談)。『私の考えを使えば少なくとも【狐の勝利はなくなりますよ】…。』(6d白ログより) 木こりヨゼフ 人狼 6d処刑 CN:タカ。嬉々として占い騙りにでた人狼。議題が出る前にロケットCOを行う等、思い込んだら一直線のふしがある。神父に心配されたが、ロケットCOが功を奏し真視を勝ち取ったかに見えた、が…。寝落ちからの誤爆により狼だとばれてしまう。狩人GJの後にようやくありつけたご飯は美味しかったようだ。『いやー、学者美味しい!!!』(4d赤ログより) 旅人サンジ 村人 3d処刑 初日に負傷兵と望まぬ殴り愛をしてしまう。その結果かどうかは分からないが、翌日に黒をだされて処刑されてしまう。しかも負傷兵は村人と言うオチまでついてしまった。この村随一の不幸と言えようか。負傷兵との殴り愛の後は友情が芽生えたようにも見える。『お前とならいいコンビが組めそうだ』(1d白ログより) 老人フィド 狐 3d呪殺 とても元気な老人。狐として潜伏しようとするも、自由占いを推した事で疑われ、占い候補に上がってしまう。初日は騙りに占われたため生き残ったが、村の大多数が相互完遂を提案したため、努力むなしく呪殺されてしまった。しかし、狩人GJと合わさったため村に大きな物議をかもし出した。『あー占われたくないよー死んじゃう!なんとかワシを占わない方向にもっていけんかの~』(2d灰ログより) 少年アルト 共有者 生存 元気一杯の小年。CN:ここた。初共有として立派にまとめを務めるも、毎日噛まれるのではないかとひやひやしていたようだ。その心配をよそに、最後まで噛まれずに終わってしまったのだが。プレッシャーによる腹痛にも耐えながら頑張っていたようだ。『俺が死ぬというのはどうやら夢だったようだ』(6d灰ログより) 酒飲オッド 狩人 5d処刑 酔っ払いつつも会話に混ざろうと動いていた。狩人であったが、何故かシスターを鉄板すると言う変態護衛を披露する。更に呪殺と同時にGJを行うと言う離れ業も見せてくれた。そこまでしてシスターを護衛していた真意とはいかに…?そしてニッツの死と共にのんべえを卒業すると言っていたが酒に溺れたのか凸死阻止のために処刑されてしまった。『酒が切れた…まあ、いい機会だのんべえ卒業かな?』(2d白ログより) 負傷兵アレフ 村人 4d処刑 この村でのリアル狂人とまで噂された人物。どうやら二重人格のようだ。プロローグ、初日の勢いはどこへやらと言った感じに中の人が変わってしまった。村騙りにより旅人を葬ったり皆に喉を心配されたりといろんな意味でのトラブルメーカーであった。『そんなこと言ってるとみんなに怪しまれるよ?』(1d白ログより) 神父プッチ 人狼 8d処刑 この村二人目の非初心者。CN トラ。狼とは思えない動きで白狼の名を欲しいままに操ってきた。狼チームの司令塔として指示を出し、自分は潜伏しきる。皆から狼ならば非常に怖いと言われつつ占われなかったのは彼の人徳のなせる技か。村娘に首輪をつけられそうになっていた。『何を仰いますか次こそはガブリと頂きますよ…フフフ』(7d白ログより) 画家ロイス 人狼 7d処刑 CN リュウ。4日目に少女に占われ黒だしをされたのに関わらず、凸死対策、木こりの誤爆、さまざまな要因が重なり生き残ってしまう。更には村娘の提案で首輪をつけられそうになったと言う。『この狼確定の私を放置なんて村娘さん鬼すぎるw』(6d赤ログより) 羊飼ルカ 共有者 5d襲撃死 CN シェル。共有片として潜伏していたが寡黙だと捉えられ複数人から処刑希望に挙げられてしまう。更に村娘により初日に共有ではないかと言われてしまったために共有トラップも仕掛けにくい状態となってしまっていた。2d遺言で正体を明かしてからは積極的に議論に参加するも、灰をこれ以上狭めたくないと考えた狼に襲撃されてしまう。ツンデレキャラらしい。『共有にとって村娘さんは強敵だったよ…。』(3d灰ログより) 学者クラフト 霊能 4d襲撃死 騙りを警戒しつつ、あくまでも狼には悟られぬよう気をつけていた霊能。落ち着いた喋り方で、波風をたてないように動いていた。しかし、騙りがでなかったために真霊能の地位を獲得。それもつかの間、襲撃されてしまう。『うわ、予感的中だ。シスター霊能騙る気だよ…少し釣られてみるか…』(1d灰ログより) 僭越ながら作らせていただきました。問題点とか修正点とかありましたら何でも言ってくださいね!by村娘アリシア -- (名無しさん) 2012-12-15 02 16 58 村娘さんありがとうね(*^^*) -- (少年アルト) 2012-12-17 09 43 21 名前 コメント すべてのコメントを見る (title_name=意見・感想
https://w.atwiki.jp/dangerousss4/pages/66.html
プロローグ 「天樹ソラ プロローグSS『いつか彼を忘れてしまうであろう私のための備忘録』」 『現在 廃墟世界』 ふと気が付くと、手元に自分の頭で影ができていた。 空を見上げると、ちょうど真上に太陽が来ていた。 公園のベンチに座ってノートを書き始めた時には、太陽は登り始めたばかりだったのに。いつの間にこんなに時間が経ってしまったのだろうか。 時刻を確認しようとカバンを開く。 いつも時計を入れてある手前の内ポケット、中には何も入っていない。 ちょっとアレっ、と思ってから時計はもう無いことを思い出し、苦笑が漏れる。 時計を失ってから、何日がたっただろうか。 頭では分かっているはずなのに、染み付いた習慣はどうしても抜けてくれない。 苦笑いに合わせて、お腹からも音がした。そういえば、今日は朝から何も食べていない。 誰かに聞かれていたら恥ずかしいな、と私は辺りを見回す。 崩れた塀。折れた信号機。誰も通らない交差点。 窓ガラスが割れた家屋の中には、埃の積もった家具が置かれている。 公園の時計は時針がとれてしまっている。そもそも電気も来ていないのだろう、分針が動く気配もない。 誰にも聞かれていなかった安堵と、そもそも誰もいない現実の再確認を済ませてから、私はスカートをはたいて立ち上がる。 今日の昼食はどこで調達しようか。といっても選択しなんてほとんどないんだけれど。 少し考えて、近場でいいやと公園の反対にあるコンビニへと向かう。 割れたガラスを踏まないように自動ドアだったものをくぐる。電気のついていない店内は昼間でも店内は少し薄暗い。 ほんの少し、勝手に商品を取っていく罪悪感を感じながら、今日のお昼ごはんを調達する。 ホコリまみれの棚に残された鯖の缶詰とカップ麺、それからライターと濡れていない雑誌も必要かな。 レトルトのご飯に心惹かれないでもないけれど、パウチに入っているものならともかくチンするご飯はそろそろ危なそうだ。 そもそも、電子レンジもないけれど。 「あっ……」 雑誌を引きぬいた拍子に埃が舞い上がり、少し吸い込んでしまった。 喉と肺に痛みと、何かが絡まるような感覚。マズイ、と思って口を手で抑えたが、間に合わない。 粘着質な音を立てて、口から赤い液体が溢れだした。 「あーあ、やっちゃった……服、新しくしないと」 抑えた手の端から漏れた血液が、上着に赤い染みをつくってしまった。 いつもこうだ。こうなってしまってからそれなりに経つのに、まだなれない。 「……ご飯食べてからでいっか」 このまま行きつけの服屋跡にでも行こうと思ったが、ぐーっとなったお腹がそれを許してくれない。 汚れた服は少しみっともないけれど――どうせ、ここにはそれを見咎める人間なんて、誰一人として住んではいない。 カップ麺を作るために火を起こし、お湯が湧くまでの間、私はいつもの様にノートを開く。 書かれているのは備忘録。私しかいない世界で、私が読むための備忘録。 誰もいない世界。壊れた体。二度と叶うことのない願い。 全てが終わってしまった世界で、死ぬ勇気もない私がすることはただひとつ。 もう二度と会うことのない彼を忘れてしまわないために、思い出をノートに書き綴ることだけだ。 ――書き手は私、読み手は私。私のためだけの私の言葉。 ――大好きだった彼を忘れてしまわないための、最後の思い出。 チリチリとはじける火の音を聞きながら、私は今日もペンを取る。 ――――――― 【備忘録:あの時に至るまでの出来事】 『過去 現実世界』 窓から差し込む暖かな日差しと、カリカリと響くノートを取る音。 社会の斉藤先生の妙にテンポの良い説明口調と合わせて、どれもこれもが眠気を誘う午後の授業。 私は居眠りはしないまでも、窓の外を眺めて上の空だ。 考えるのは放課後の事、準備は万全だし、決意は固めて来た。 それでもやはり、怖気づいてしまう自分がどこかに居る。 ちらっ、と隣の席に目を向けると、ソラと目が合ってしまった。 ソラ、天樹ソラ。 幼馴染で、親友で、大好きな男の子。 目が合っただけなのに、頬が熱くなってきてしまう。だって、目が合ったってことはソラもこちらを見ていたってことで…… 目を逸らした方がいいのだろうか。それとも、変に反応したら意識しているように思われてしまうだろうか。 そんなことを考えていると、ソラは困ったような笑みを浮かべて小さく前を指さした。 前?なにがあるのだろう、授業中なのだから、そこには先生ぐらいしか…… 「それじゃあ!この部分はお前に読んで貰おうかな、菊頭」 今度は先生と目があった。頬は熱くならない。代わりに血の気が引く。 私が全く授業を聞いていなかったこともお見通しなのだろう、先生の張り付いたような笑顔が怖い。 慌てて教科書を見るが、どこまでやったのかなんて全然把握していない。 助けを求めて隣を見ると、ソラが教科書の右側ページ中段辺りを指さしている。 ありがとう、と心の中で感謝しながら、そのあたりの段落を読み始める。 先生は笑顔を強めて一言 「なんでお前は国語の教科書を読んでいるんだ?」 出していた教科書すら間違えていたらしい。見事な上の空っぷりだ。 もう一度、助けを求めてソラを見る。 さすがにどうしようもないようだった。 散々だった授業が終わった。 先生には怒られるし、後から友達にはからかわれるし、どうしてこんな日に限ってこうも運が悪いのだろう。 本当はもっと他にやることがあるのだが、あとすこしだけぐったりしたい。 そうやって机につっぷしている私の肩を誰かが叩く。 誰ですか、放っておいてください。どうせ私はダメな女なのです。 「ヒナ、帰ろう?」 ガバっと起き上がる。肩を叩いたのはソラだった。 また情けないところを見せてしまったと自己嫌悪におちいりそうになるが、そんなことしても恥の上塗りになるだけだ。 「あ、う、うん!ごめんね!」 「まあ、落ち込むのもわかるけどさ……最近物騒だからね、早く帰らないと、危ないよ?」 ソラは少し不安そうな顔だ。確かに、無理もないな、と私は思う。 教室の掲示板に張ってあるプリントを見る。 『不審者に注意 放課後は早く帰りましょう』 最近、この街では不審者が現れているらしい。 行方不明者が片手の指では足りないほどの数出ていて、犯人は未だに捕まっていない。 警察が犯人を追い詰めたこともあったらしいが、行き止まりで忽然と姿を消してしまったそうだ。 そのことから、不審者は魔人である、という噂も流れていて、それが街の人々の警戒に拍車をかけている。 そして、ソラが不安そうな理由はそれだけではない。 「……魔人は、怖いよ。ヒナもそうでしょう?」 小学校低学年の頃の話だ。ソラと私は、魔人犯罪者に誘拐されたことがある。 幸いにも何かをされる前に逃げ出すことができた。だが、それは運が良かっただけの話だ。 いつ出られるかもわからず暗い部屋に閉じ込められ、外から聞こえてくるのは子供の悲鳴と大人の笑い声だけ。 子供の心にトラウマを残すには、十分すぎる出来事。 だから、他の生徒たちが警戒し過ぎだとシニカルに笑い飛ばす事件も、ソラには無視できないのだろう。 「うん……そうだね」 「あ……ごめん。嫌なこと思い出させちゃって」 暗い顔をした私の手を、ソラが握る。 「……大丈夫。ヒナは、僕が守るから」 僕なんかじゃ不安かもしれないけど、と少しだけ笑って、ソラは言う。 手を握られて、目を見つめられてそんなことを言われて、私はもうどうすることもできない。 「うん……ありがとう」 なんとかそれだけ言葉を出す。今、私はどんな顔しているだろう。 ――今しかない。 話の内容としては全然そんなタイミングじゃないんだけど、雰囲気としては今しかない。 握られていた手を離し、代わりにカバンから取り出した小包をソラに渡す。 「えっと、ヒナ?」 「プレゼント。ちょっと早いけど……出来たから、あげようかなって」 中身は手編みの手袋。 まだ着けるような時期ではないけど、でも、今渡さないともう渡せないかもしれないから。 「着けてみていい?」 できるだけ顔の火照りを悟られないようにしながら、私は頷いた。 自分でも上手く出来たとは思う。でも、嫌がられたらどうしよう。そもそも手編みなんて重かっただろうか。 「ヒナ、これ……」 手袋を着けた手を、ソラが私の方に差し出す。頑張って作った手袋。 細い毛糸で、できるだけ薄くなるようにして、派手すぎないけどわかりやすいように、手の甲の部分にはソラのイニシャルの柄を…… 向けられた手を見て、私は自分の失敗を悟る。 右手側のイニシャルは右手の甲に、左手のイニシャルは左手の平に。 つまり、イニシャルを基準にするなら両方共右手で作ってしまったのだ。 どうしてこんな時に失敗するのだろう、混乱と自己嫌悪で泣きそうになる私の頭をソラがなでてくれた。 「ありがとう。大事に使わせてもらうよ」 「でも、それ……」 「大丈夫。すごく嬉しい」 ソラの笑顔。時間がゆっくり流れていくような錯覚。 この時がずっと続けばいいのに、でも、そうするわけには行かないのだ。 教室の時計が目に入る。マズイ、予定時刻まで後2分だ。 「あ、そ、その、ソラ!私ちょっと、職員室に用事があるから行ってくるね!」 「なら、一緒に行こう。僕も用事があるし」 「あ、ええっと、その、いや、一人で行かなくちゃ行けないやつだから!」 「……本当に大丈夫?何があったの?」 何故かソラは私を引きとめようとする。何か勘づいているのかもしれない。 でも、ダメだ。ソラにはとても任せられない。これは、私がやるしかないことだ。 秒針の音が嫌に大きく聞こえる。時刻が近い。早くここから離れないと…… カチッ ジリリリリリリリ! 学校の時計が一分前を示す。アラームがなる。ずれていたんだ、だが、そんなことすら今は気にならない。 音源は二つ、私のカバンと、ソラのポケット。 硬直する私の前で、ソラはポケットから小さな腕時計を取り出す。 「あー……これ、さっき拾って。落し物だろうから職員室に届けようと思ってたんだけど……あ、れ……」 偶然だ。そう信じたい私の視界が歪む。 空間転移の予兆、これが起こってしまえばあとは一瞬で。 次の瞬間、私とソラは廃墟の一室に立っていた。 「何……これ……」 ソラの顔が驚きに、そして不安と緊張が入り混じった色に変わっていく。 似たような現象に心当たりがあるので、決していい思い出ではない、心当たりが。 「魔人……能力」 私達が誘拐されたあの事件でも、空間転移系の能力が使われた。 それに気づいたソラは気遣う表情で私を見る。だが、私はそれを確認する余裕すらない。 私は『時計』を……スマートフォンの画面を見たまま動けない。 表示されている名前は3つ。 私の名前、事前に確認していた対戦相手の名前、そしてソラの名前。 相手が発表された時も、今朝確認したときもソラの名前なんてなかった。なのに、何故。 どこかで対戦相手の一人が死亡した。そいつの『時計』をソラが手に入れた。 まさか、そんな偶然。 ぐるぐると回る私の頭。心配したソラの声も、私の耳には届かない。 そもそも、開始地点にとどまるなど論外だ。敵に見つけてくれと言っているようなものだ。なのに、動けない。 そんな私をあざ笑うかのように……じゃりっ、と、足音がする。 何故気づかなかったのか、当たり前だ。戦闘時の常識すら、私は完全に失念していた。 はっとして顔を上げる頃には、もう相手は部屋に入ろうとしていた。 「ははははっ!こいつは幸運だなァ!ジャリが二匹か、ボーナスステージだぜ」 男だった。背の高い大人の男。 どこにでもいそうなカジュアルな服装は真っ赤に染まり、片手にはのこぎりを持っている。 そしてもう片方の手では高校生ぐらいの女の子を、足を持って引きずっている。腰のあたりが半ばで切られていて、そこから今も血があふれている。どうみたって致死量だ。 「いやぁ、実際よォ。戦闘空間って奴は役得だぜェ。獲物が食えるってだけじゃねえ、タイミングさえ工夫すれば『現実』で殺した『モノ』を捨てるのにだって使えるんだからよォ!」 カラカラと楽しそうに笑う男。ソラも、私も、動くことが出来ない。 「お、お前、なにしてるんだ!」 「ああ、なんだよ。お前ルーキーか?」 悲鳴のようなソラの言葉に、あざ笑うように男は返答する。 「単純な話だよ。生き残らないとこっから元の世界に戻れない。ああ、悲しいなァ。悲しいよなァ。だから俺はお前らを殺さなくちゃならないんだ。まあ、つーわけでよォ」 男はのこぎりを構え、体勢を低く伏せる。 クラウチングスタートのような、獲物に飛びかかる獣のような姿勢。 「どうせ死ぬならよォ、楽しく楽しく殺させてくれよォ!!」 男が私達に突進してくる。呆然としていた私は、反応が間に合わない。 ソラの動きがスローモーションで見える、男と比べて随分遅い。 当然だ、戦闘をくぐり抜けてきた魔人とただの人間の間には絶対的な差が存在する。 でも、大丈夫。あいつが狙っているのはどうやら私みたいだ。だからそれでも、ソラが逃げるくらいなら…… ソラが私の方を向く、必死な表情で、私に近付いてくる。 「ヒナぁぁぁぁぁ!」 ソラ、天樹ソラ。 幼馴染で、親友で、大好きな男の子。 いつも隣にいた、いつでも優しかった、いつでも……私を守ってくれた。 あの時だってそうだ。逃げ出した私達が誘拐犯に見つかってしまった時も、ソラはこうして私を庇ってくれた。 ソラ、ソラ、ソラ、ねえソラ。いつだってあなたは私を守ろうとしてくれる。 ――ソラは男に背を向けて私を抱きしめる。その背中に男の鋸が迫る でもね、私だって、あなたに傷ついて欲しくないんだよ。 奥歯に仕込んだカプセルを二つ砕く、中身は『協力者』に調達してもらった強化薬『スズハラGX』 1錠だけでも、私が戦うことが出来るくらいの力は得られる。 2錠なら、3分間だけそれ以上の力を得ることが出来る。 男の視線の影になるようにソラの体に隠れながら、私を抱きしめるソラを引き剥がす。ソラの驚いた顔。 少し強引に引き剥がしてしまったので、ソラの右手の手袋が外れてしまった。頑張って作ったのにな、でも、仕方ないよね。 そのまま私は動き出す。ミシリと筋肉がきしむ。呼吸をするたび肺が痛む。 でも、無音。それが私の能力だから。 ソラを助けたい、でも、怖い。 目の前に誘拐犯が現れた時すら悩んでいた、優柔不断でどっちつかずな私が目覚めた能力『蝙蝠と鼬』は音を操作する。 体が動く時に出る音を消せば、相手に気付かれないように動くことができる、そして。 側面に回り込み男の耳に手を叩きつける。男はもう私に気づいている、鋸を振りかぶって叩きつけようとする。 でも、遅い。 音は衝撃。増幅すれば相手を倒すことも出来る。 三半規管とか、内臓に近いところを狙えば効果は絶大だ。 さすがに、遠距離から相手を倒すほどには力が無いけど。 パン、と弾けるような音と共に、男の耳から血と脳漿がはじけ飛ぶ。 頭の中身をぶちまけた男は、鋸を宙にフラフラさせて、力なく倒れた。 勝った。だけど、まだ終わりじゃない。 後ろにはソラが居る。振り向きたくない。どんな顔をしているだろうか。 怯えているだろうか、嫌悪しているだろうか、泣いているだろうか。 ごめんね、と口をついて出た言葉を能力で消す。私に謝る資格なんてない。 ソラを騙していた。 私はソラの嫌いな魔人。 ソラは覚えていないらしいけれど、私は誘拐された時も、時計を巡る戦いでも人を殺している。 私は自分のために他人を踏みにじることのできる人殺し。ずっと、その事実が苦しかった。普通の『人』になりたかった。 だから……時計を手に入れた時、私は『スズハラ機関』の誘いを受けることにした。 勝つために。過去を変えて、魔人でも、人殺しでも無い私として、ソラに向き合うために。それが私の願い。 だから…… 「菊頭ヒナは、天樹ソラに敗北したことを認めます」 だから、私はソラを失いたくない。 こんな汚い私なんてどうなったって構わない、だけど、ソラが不幸になることだけは許せない。 だからこれぐらい、どうってこと無いんだ。もう二度と現実世界に帰れなくなることなんて。 「ソラ。私、隠してたんだ。魔人だってことも……人を殺すのが、初めてじゃない、ってことも」 顔は向けない。だって今、私はひどい顔をしている。時間もないんだ。 ソラ、ソラ、大好きなソラ。 『時計』を持っている以上、戦いに巻き込まれてしまうのは仕方ないのかもしれない。 でもどうか、あなたは幸せに生きてください。 こんな馬鹿な、汚い私のことなんか忘れて。 「ごめんね……許してなんて言えないけど……どうか、元気で」 目の血管が切れて、視界が血で染まる。 ソラが何か声をだしながら、私に手を伸ばす。なにを言っているのかは分からない。 だって、聞いたら未練が残ってしまうから。一緒に帰りたい、って思ってしまうから。 だから私は能力で、ソラの声をかき消すのだ。 ソラが伸ばした右手が消えていく。私の降参が認められたのだろう。 ああ、どうか、あたなの未来が幸多きことを。 ソラが消えるのと前後して、私の体が限界を迎えた。 血を吐きながら、私は意識を失った。 ――――――― 『現在 廃墟世界』 シュウシュウとヤカンが音をたてていることに気づき、私は筆を止める。 ヤカンからはひっきりなしに湯気がでている。沸騰してから随分経っているようだ。 慌ててカップ麺にお湯を注ぐと、湯気の熱に喉を刺激されてまた少し傷んだ。 スズハラGXの代償は、まあ、そこまで重くはなかった。 粘膜が傷ついているからたまに血を吐くし、筋力も落ちている。それぐらい。 『スズハラ機関』のエージェント『N』からは2錠服用後は適切な処置を受けないと重篤な後遺症が残ると聞いていたし、それを考えれば安いものだ。 そうして、死ねなかった私は今日も生きている。 元の世界に帰ったソラを思いながら。 ソラ、ソラ、大好きなソラ。 どうかあなたは、幸せになってください。 ――――――― 『現在 現実世界』 そこまで書いて、僕は筆を止める。 紙に書いた内容を見直してから小さく折り畳み、右手の手袋を外して握る。 半透明の手の中で紙は消え、手を開くと何も残っていない。 この右手は、僕の無力の証。 ヒナと別れたくない。僕の願いは現実を捻じ曲げた、僕は魔人に目覚めた。 そして、その力を持ってしても、ヒナまでは届かなかった。だからこれは無力の証 「なにをしてるんですか、ソラさん?」 顔をあげると、そこには『N』が立っていた。 なにをしていたのか、か。協力してくれている彼になら教えてもいいかな、とも思うが否定する。 この言葉は、きっとヒナにだけ伝えるべき言葉だ。 「いえ、ちょっと」 「そうですか、ま、そんなことはどうでもいいんですけど」 『N』はカバンを開き、中から茶封筒を取り出す。 僕は右手に手袋をはめなおし、それを受け取る。 この手袋はヒナからのプレゼント、二つの右手の手袋。片方は、今はここにはないけれど。 封筒の端には『スズハラ製薬』の刻印。普通、こういう後ろ暗い取引って隠すものだと思うんだけど。 以前そのことを『N』に聞いたら「まあまあ、大丈夫ですよ」なんてはぐらかされたのでこれ以上は追求しないことにしている。 「うちの社で集めた次の相手の資料と『スズハラGX』の補充です。お納めください」 「ありがとうございます。いつも、お世話になっております」 中を確認して僕は頷く、僕一人では『時計』を巡る戦いを勝ち抜くことなんて到底不可能だ。 だから『N』の……『スズハラ機関』のサポートは本当にありがたい。 「お礼なんてよしてくださいよ。うちとしちゃ、ソラさんは安い予防線。あたし一人使っときゃキープできるローリスク・ローリターンの投資先なんですから」 からからと笑う『N』の言葉を、僕は心地よく感じる。 そう、あくまで協力関係。 僕は『時計』を手に入れるために、『N』は僕が願いを叶えた後の時計を回収するために、お互いがお互いを利用している。それだけの関係。 彼らがヒナも利用していたことは知っている、そのことに怒ったこともある。 だけど、僕一人ではヒナを救い出すという発想も得られなかったし、バックアップも受けられなかった。 だから、彼らには感謝している。 ヒナ。 幼馴染で、親友で、僕の大好きな女の子。 僕はヒナに謝らなくちゃいけないことがある。 伝えなくちゃいけない言葉がある。 失いたくないと思う僕がいる。 だから、僕は勝ち抜かなくちゃいけないんだ。 ああ、だからヒナ。 どうか僕が迎えにいくまで、君が無事でありますように。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/tokyomadlog/pages/131.html
【名称】笑う顔 【概要】透明な自爆魔です、至近距離または抱きついて爆発、対象の破壊を試みる。 【容姿】二足歩行の人型。肌は血濡れている。常に笑い声をあげる。 【技能】「迷彩」(視覚のみ、常に笑い声が聴こえるし攻撃も当たれば通る。迷彩看破持ってる子は1人いるけどあてずっぽうで殺される場合も多々(進行が不運) 「爆破」(自爆。1D10振って出た数字分割合がダメージ、6が出たら60%って事。全身まんべんなくダメージ与えるので四肢が飛んだりはしないし爆破部位を指定して集中することも不可) 【弱点】1D6が登場時振られる。1から順に頭、右腕、左腕、右足、左足、腹と指定。そこが弱点となり1発でも抜かれると即死。( ①) そうじゃなくても各部位1発抜かれたらその部位破壊されます、弱点抜かれなくても4発当たれば確定で死亡、白い塵になって散っていきます(戦闘に影響なし) ①により死亡した場合身体の全てが赤い血に変化、倒した人間の周囲を漂います。 銃撃強化(3回)、または ダメージを受けたとき直前の傷を回復(1回) のバフが付与される
https://w.atwiki.jp/prdj/pages/888.html
野盗 Brigands 未開の地の街道と開拓地にはあらゆる種類の危険が潜んでいる。モンスターの他にも、文明人の中での生活にはそぐわない無骨な暴漢や危険な悪漢が、自分自身の道を見つけようとしている旅人や入植者を襲って生計を立てている。単独の追いはぎにせよ奇襲をかけようとしている強盗の一団にせよ、これら街道の賊たちは知性の無い獣よりも恐るべきものである。狡猾な山賊たちは獲物と自分たちの剣呑なやり口を知り尽くしている。 山賊 脅威度1/2 Bandit 経験点200 人間、2レベル・ウォリアー CN/中型サイズの人型生物 イニシアチブ +2;感覚 〈知覚〉-1 防御 AC 17、接触13、立ちすくみ14(+1回避、+1盾、+2【敏】、+3鎧) hp 11(2d10) 頑健 +3、反応 +2、意志 -1 攻撃 移動速度 30フィート 近接 レイピア=+3(1d6+1/18~20)または サップ=+3(1d6+1非致傷) 遠隔 コンポジット・ロングボウ=+4(1d8+1/×3) 一般データ 【筋】13、【敏】14、【耐】11、【知】10、【判】8、【魅】9 基本攻撃 +2;CMB +3;CMD 16 特技 《回避》、《近距離射撃》 技能 〈威圧〉+3、〈隠密〉+2、〈騎乗〉+5、〈登攀〉+4、〈動物使い〉+3 言語 共通語 装備 スタデッド・レザー、バックラー、コンポジット・ロングボウ(+1【筋】)とアロー20本、レイピア、サップ、ライト・ホース(戦闘訓練済み) 恩恵 山賊はPCたちを襲わずに見逃すことができ、また1日以内の行程内での待ち伏せに適した場所について警告し、不意討ちに気づくための〈知覚〉判定に+2の状況ボーナスを与えることができる。また、地域の強力な山賊の首領にPCたちを紹介してくれるかもしれない。 山賊は街道の悩みの種であり、富める者からも貧しき者からも分け隔てなく奪う。無頼の略奪者たちはただいい目を見ることを望み、山賊は自分自身と盗賊仲間のことしか考えない。彼らは罪も無い旅人に声をかけて震え上がらせ、守りの薄い隊商を襲い、辺境の橋で通行料を取り、あるいは単に孤立した農園や村を襲撃する。 山賊は軍隊からの脱走者かもしれないし、不満を抱いている狩人かも知れないし、骨の折れる仕事をする気が無い根無し草なのかもしれないし、牛泥棒や馬泥棒かもしれないし、金持ちから奪って貧しい者に施そうとする地元の英雄である自由戦士かもしれない。 山賊は低レベルの弓兵(属性中立、特技《回避》を《武器熟練:ロングボウ》と置き換える)あるいはクロスボウ兵(ロングボウをライト・クロスボウまたはヘヴィ・クロスボウと置き換える)、城壁の守備兵(属性秩序にして中立、レイピアをロングソードと置き換える、特技《回避》を《武器熟練:ロングソード》と置き換える)として使用することができる。また、退屈した若い貴族または狩猟に来た伊達者、低レベルの斥候または乗馬従者として使用することもできる。 山賊は通常2人組(脅威度1)であるか、1人の追いはぎに率いられた12人の集団(脅威度8)として現れる。しばしば山賊の首領の兵士の一団となる(脅威度12)。 追いはぎ 脅威度6 Highwayman 経験点2,400 人間、4レベル・ファイター/3レベル・ローグ CN/中型サイズの人型生物 イニシアチブ +4;感覚 〈知覚〉+7 防御 AC 19、接触14、立ちすくみ15(+4【敏】、+5鎧) hp 53(7HD;4d10+3d8+18) 頑健 +8、反応 +9、意志 +2;[恐怖]に対して+1 防御能力 武勇+1、身かわし、罠感知+1 攻撃 移動速度 30フィート 近接 +1スパイクト・チェイン=+12/+7(2d4+4)または サップ=+10/+5(1d6+1非致傷) 遠隔 高品質のコンポジット・ロングボウ=+11/+6(1d8+1/×3) 特殊攻撃 急所攻撃+2d6 一般データ 【筋】12、【敏】18、【耐】14、【知】13、【判】8、【魅】10 基本攻撃 +6;CMB +10(足払い+14);CMD 21(足払いに対して23) 特技 《欺きの名人》、《足払い強化》、《軽妙なる戦術》、《攻防一体》、《特殊武器習熟:スパイクト・チェイン》、《フェイント強化》、《武器開眼:スパイクト・チェイン》(更新)、《武器熟練:スパイクト・チェイン》、《武器の妙技》 技能 〈威圧〉+4、〈隠密〉+14、〈軽業〉+14、〈鑑定〉+5、〈騎乗〉+9、〈水泳〉+5、〈装置無力化〉+11、〈脱出術〉+10、〈知覚〉+7(+8罠探し)、〈手先の早業〉+8、〈登攀〉+5、〈はったり〉+12、〈変装〉+14 言語 共通語、ハーフリング語 その他の特殊能力 鎧修練1、ローグの技(ローグの妙技)、罠探し+1 戦闘用装備 ポーション・オヴ・インヴィジビリティ;その他の装備 +1チェイン・シャツ、+1スパイクト・チェイン、高品質のコンポジット・ロングボウ(+1【筋】)とアロー20本、サップ、クローク・オヴ・レジスタンス+1、変装用具、ライト・ホース(戦闘訓練済み)と鞍、絹のロープ、発煙棒、盗賊道具 恩恵 追いはぎはPCたちを襲わずに見逃すことができ、また1個のアイテムを盗み出したり、1人のNPCに秘密の伝言を直接届けたりしようとしてみるかもしれない。 追いはぎは悪名高い無法者、あるいは法をあざ笑う派手やかな犯罪者であり、無辜の旅人を餌食にし、地域の治安組織をまごつかせて大いに浮かれ騒ぐ。追いはぎは騙しと小細工を好み、嘲りを芸術の域に高める。追いはぎにとって、敵に恥をかかせることは盗みを成功させることよりも重要なことかもしれない。追いはぎは熟練したスパイまたは斥候、素早い剣闘士として使用することができる。 2人の追いはぎはギルドの首領の護衛(脅威度11)であるかもしれず、また3人組の追いはぎは山賊の首領または賞金稼ぎの腹心(脅威度12)であるかもしれない。単独の追いはぎは12人の山賊の一団を率いている(脅威度8)かも知れないし、1人の吟遊詩人と2人の騎兵の仲間として旅をしているかもしれない(脅威度9)。 山賊の首領 脅威度11 Bandit Lord 経験点12,800 人間、8レベル・ファイター/4レベル・ローグ CN/中型サイズの人型生物 イニシアチブ +6;感覚 〈知覚〉+10 防御 AC 25、接触18、立ちすくみ18(+1回避、+2盾、+1反発、+6【敏】、+5鎧) hp 74(12HD;8d10+4d8+12) 頑健 +9、反応 +13、意志 +4;[恐怖]に対して+2 防御能力 武勇+2、直感回避、身かわし、罠感知+1 攻撃 移動速度 30フィート 近接 +1フロスト・キーン・レイピア=+20/+15/+10(1d6+6/15~20、加えて1d6[冷気])または サップ=+17/+12/+7(1d6+2非致傷) 遠隔 高品質のコンポジット・ロングボウ=+18/+13/+8(1d8+2/×3) 特殊攻撃 急所攻撃+2d6、武器修練(小剣+1)、ローグの技(出血攻撃) 一般データ 【筋】14、【敏】22、【耐】13、【知】8、【判】10、【魅】12 基本攻撃 +11;CMB +13;CMD 31 特技 《威圧演舞》、《一撃離脱》、《回避》、《強行突破》、《クリティカル強化:レイピア》、《クリティカル熟練》、《渾身の一打》、《出血化クリティカル》、《武器開眼:レイピア》、《武器熟練:レイピア》、《武器の妙技》、《防御崩し》、《無視界戦闘》 技能 〈威圧〉+16、〈隠密〉+21、〈軽業〉+20、〈鑑定〉+3、〈騎乗〉+10、〈交渉〉+5、〈真意看破〉+5、〈生存〉+4、〈装置無力化〉+12、〈脱出術〉+10、〈知覚〉+10(+12罠探し)、〈知識:地域〉+5、〈登攀〉+6、〈動物使い〉+5、〈はったり〉+10 言語 共通語 その他の特殊能力 鎧修練2、ローグの技(ローグの妙技)、罠探し+2 戦闘用装備 ポーション・オヴ・エンラージ・パースン;その他の装備 +1チェイン・シャツ、+1バックラー、+1フロスト・キーン・レイピア、高品質のコンポジット・ロングボウ(+2【筋】)とアロー20本、サップ、ベルト・オヴ・インクレディブル・デクスタリティ+2、ブーツ・オヴ・ストライディング・アンド・スプリンギング、クローク・オヴ・レジスタンス+1、リング・オヴ・プロテクション+1、ライト・ホース(戦闘訓練済み)と鞍、盗賊道具 恩恵 山賊の領主はPCとその仲間たちに3日間までの間、山賊の襲撃から安全な通行を許すことができる。また、共同体のサイズが1つ大きいかのように物品の購入または売却ができるように手配することができる。 山賊の首領は山賊の一団全ての指導者であり、しばしば道も無い森の中心の野営地や、大都市の道も辿れぬスラムや下水道のアジトを支配する。ある者は変装や偽名で正体を隠し、他のものは名声や悪名を求める。山賊の首領は暗殺者、決闘者、王家の剣術指南役として使用することもできる。 山賊の首領は2名の傭兵を護衛または稽古相手として連れているかもしれない(脅威度12)し、戦闘魔術師、傭兵、8人の山賊と共に旅をしているかもしれない(脅威度12)。
https://w.atwiki.jp/khazadaimenu/pages/18.html
5、浮浪者/Guttersnipe 英雄は不運な環境の中から生まれることもある。 中でも厳しい非情な都市の一文無しの路上生活の浮浪児としての人生の始まりよりも 不運なものというのは、滅多にないと言えるだろう。 親を亡くしたか、捨てられたか、あるいは虐待を受けたか、 浮浪児は結果として冷厳で皮肉屋の大人に育つことが多い。 下層階級のふるまいと貧民街特有の話し方が染み付いた浮浪児の英雄は 自身が社会の底辺の存在であると見られないよう苦心する。 浮浪児は常に世界中の彼らよりも幸運に恵まれた者たちからの 疑惑の視線を受けながら生きている。 たいていは銀貨数枚のために人を殺すような強欲な者、嘘つきのスリ、 追いはぎ、ごろつきなどのように見られている。 一般人は彼らに対する不信感を隠しもせず、 景観や衛兵たちは当たり前のように彼らに嫌がらせをしたり、尋問を行ったりするし、 貴族階級の者たちは油断のない護衛や参事官に囲まれて、 きまって下層民、中でも特に危険な下層民を遠ざけておく。 この不信のとばりの下で、浮浪児の中には、この他者からの期待に応えて "恵まれた者たち"に対する辛辣な憎しみを育む者も少なくない。 あるいは慎重に練習した見せかけの上品ぶった作法によって路上の作法と教育の欠如を隠し、 ひたすら自分の仮面の下を見透かす者が出てくる日が来ることを恐れながら、 必死にその貧しい出自から逃げようとする者たちもいる。 楽天的な者たちは、他人の悪評による判断の決め付けを拒絶し、 疑いの視線や侮蔑を気にすることを止めることにしている。 最後に、彼らの中に可能性を見出した後援者が 幸運な少数の浮浪児を道端から引き抜き、彼らに自己実現の機会を与えるのである。 強力な魔法使いは道端の浮浪児の中に大いなる閃きを感知して その少年や少女にいくつかのわざを教えるかも知れないし、 慈悲深い僧侶は貧しい子供に教会で侍者となる道を示す。 いくつもの伝説で物語られている通り、 浮浪児はしばしば王族や上級貴族によって路上から拾われ、 何か大きな働きを成し遂げた後、あるいは大いなる勇気を証明した後に 養子となることもある。 皮肉めいた理性を持って人生を過ごすか、あるいは利己的な策謀家として生きるか、 いずれにせよ、浮浪児たちは機会を見つけて捉えることに長けた、卓越した生存者だ。 幸運に恵まれて、あるいは厳しい仕事を乗り越えて路上を離れて 魔法使いや神官や、貴族の保護下に入った浮浪児は かつてのような物乞いの子供には見えなくなるが、 その内には今でもなお、 彼らが最初に目に留まるきっかけとなった素早い知性と向こう見ずな勇敢さを持ち合わせている。 ○浮浪児を作成する 当然のことながら、ローグの大半は浮浪児である。 路上で生まれ育つのは、ローグのわざを身に着けるには最適なのだ。 ファイター、特にスレイヤーもこのテーマにうまく適合するだろう。 特別な才能を持った浮浪児は、時に魔法に転向し、 力によって尊敬を集めようと、ウォーロックのわざを身につける。 それ以外にも、どのクラスのキャラクターであっても、 路上から拾われたり、自身の周囲の状況を変える努力に成功したことは有り得るだろう。 浮浪児はヒューマン、ドワーフ、ハーフリング、ドラウ、もしくはティーフリングであることが多い。 これらの種族の下層階級の生まれのものは 浮浪児の出自となる貧しく絶望的なスラムのような場所にたむろすることが多いためだ。 ○開始時の特徴 都市の最もひどい一角では、 野生動物に近いとすら言える浮浪児の群れは うかつな通りすがりにとって脅威である。 路地裏から飛び出し、人ごみをの山を走りぬけ、 彼らはまるで急降下する鷹のように襲いかかり、 財布をスリ取ったり荷物をひったくると、影の中へと姿を消してしまう。 自分たちの荷物を守ろうと武器を抜くのが遅かった犠牲者たちにとって、 ふくらはぎや足の腱への素早い一太刀はあらゆる行動を鈍らせる。 君はこの技に精通しており、安全な距離に逃げるまでの間に このすばやい攻撃を一発お見舞いする技を用いる。 君は「ランニング・スラッシュ」のパワーを修得する。 ランニング・スラッシュ/Running Slash (走りながらの斬撃) ~君は敵の傍を走りすぎ、通り過ぎなら攻撃する。 遭遇毎、[武勇][武器] 標準アクション、近接1 効果:君は移動速度までの移動を行い、その移動の途中の任意の地点で次の攻撃を行う。 この移動は目標からの機会攻撃を誘発しない。 目標:クリーチャー1体 攻撃:最も高い能力値修正 vs 反応 ヒット:1[W]+最も高い能力値修正のダメージ、目標は君の次のターンまで減速状態。 ○追加の特徴 5レベル 出所の不確かな貴重品を売り買いするのは、君の天賦の才だ。 たとえどの地へ行こうとも、君は最も意欲的な買い手や売り手とつなぎをつけることができる。 ダンジョンで発見した小像を売るのであれ、呪文書に記載する儀式を購入するのであれ、 君は他の誰よりも良い値段でやり取りすることができる。 利益: アイテムを購入する時、君は表記された金額の90%でそれを購入することができる。 アイテムを売却する時、君は通常そのアイテムを売却することによって得られる金額に追加で10%を得ることができる。 10レベル 君は個人的な経験から、町でどれくらいの浮浪児や物乞い、スリ、 それにちっぽけな犯罪が起きているかを知っている。 それだけではなく、君の貧しい出自の英雄という評判のおかげで、 貧しい人々は君を探し出して常に君に情報を提供してくれる。 君にはどこへ行こうとも、出来合いのスパイ網があるのだ。 利益:君は事情通判定に+5のパワー・ボーナスを得る。君は町や都市にいる限り、1日に一度、1回のフリー・アクションとして事情通判定を行うことができる。 ○追加の汎用パワー 路上で生まれ育ったことにより、 君は厄介事からすばやく逃れ、当局の手から離れる方法を身に付けた。 君を追い詰めることはほぼ不可能であり、 敵が君を取り囲んだ時には、逆に君は彼らをまるで道化のようにしてしまう技を持っている。 いまや君は成長し、昔のように子供の姿によって危険を回避することはできない。 しかし君はいまでも辛辣な言葉と自身の素早い反応速度によって 敵をおびき寄せて誤らせることができる。 2レベル汎用 どの都市の衛兵に聞いたとしても、浮浪児というものは 挑発と侮辱によって自分たちより優れた者を激怒させる能力に長けていると答えるだろう。 君は突き刺すような侮辱や無礼な身振り、そして相手を馬鹿にする笑い方に精通している。 敵が君に対する攻撃を外した時、君は全員にそのことをしっかりと知らせてやる。 君が自分をまるで無防備のように見せかければ、 知能を持たない敵ですらも釣られてその攻撃は粗く不正確なものとなるだろう。 インフューリエイティング・トーント/Infuriating Taunt (激怒させる挑発) ~君は敵の失敗をあざ笑うことによって、その怒りに火を注ぐ。 遭遇毎、[武勇] 即応・対応、近接範囲・爆発5 トリガー:君から5マス以内の1体の敵が君に対する攻撃をミスする 効果:遭遇の終了まで、目標は君に対して攻撃を命中させるまでの間ずっと、全ての攻撃ロールに-2のペナルティ (このペナルティは君に対する攻撃にも適用される)。 6レベル汎用 君が学んだことがひとつあるとすれば、それは自分よりも大きく、手ごわい敵を ──中でも特に敵が数において君に勝るときに、笑いものにする方法である。 奴らが君の足取りを追うことは難しく、 そして君は振り下ろされる剣の下から矢の様に逃れたり、 あるいは敵の味方の背後に身を隠してそれを防ぐことができる。 フールズ・ダンス/Fools Dance (愚か者の踊り) ~敵の多勢に圧倒された時、君はその数を逆手に取る。敵に近ければ近いほど、君は危険から遠ざかる。 遭遇毎、[武勇] マイナー・アクション、自分自身 効果:君の次のターン終了まで、君が攻撃されるたびに、君はその攻撃に対する全防御値にパワー・ボーナスを得る。ボーナスは攻撃が行われた時に君に隣接している敵の数に等しい。 加えて、君の次のターン終了まで、君への攻撃がミスするたびに、君は1回のフリー・アクションとして1マスのシフトを行うことができる。 10レベル汎用 君が捕まってしまったかのように見える時、君はどうやってか、抜け出してしまう。 脱力し、腕を袖から抜き、外套や上着を裂き、急に上体を跳ね上げ、けりだしてあらゆる拘束から君は脱出する。 まばたきする間に、君は10~15フィートほど離れた場所で、自分の足でしっかりと立っている。 いつでも逃げ出せる状態で───あるいは、戦いを再開できる状態で。 アンライクリィ・エスケープ/Unlikely Escape (予期せぬ脱出) ~体を軽く捻り、君は自分の動きを邪魔している状況から抜け出して自由になる。 遭遇毎、[武勇] 移動アクション、自分自身 必要条件:君は拘束状態、減速状態、動けない状態、もしくは敵から挟撃されている 効果:君は自分にかかっている動けない状態、拘束状態、もしくは減速状態の効果をひとつ終了させ、3マスまでのシフトを行う。
https://w.atwiki.jp/schwarze-katze/pages/350.html
万獣の詩外伝 MONOGURUI 009 ━━━━ アシスタントディレクターというのは、言ってしまえば雑用全般の何でも屋であるが。 「…………」 大陸最北端に位置するアトシャーマは、年中を荒れ狂う猛吹雪に包まれた極寒都市、 「……Zzz...」 自然三脚を肩に担いだヘビ少年の表情の中には、曖昧があった。 狼国以北、北上によって低下した年平均気温の度数おびただしく、 それによって生じた少年の体温低下、実に平時の平均と比べて引くことの12余℃。 白夜も終わりを告げる秋の初め、雪と氷に閉ざされたこの地において、 少年の体内ではすでに冬眠モード発令警報がひっきりなしに鳴り響いている状態であり、 到底サカナやヘビといった変温種族が暮らせる環境にはなかった。 ブリザドに弱きは、爬虫類の定め。 ずるっ “べちゃん” がしゃあん 「?!!?」 こけた。 「!! イェスパーどの!」 「だ、大丈……」 “ずむッ” どさどさばさばさ 「ばっ!?」 刹那床にへたばったヘビの頭上に走る、尋常ならざる衝撃。 「……ラスキさんは休んでいいとは申してござらぬ」 (な……) 犬耳少女が頭に落としたのは。 事典ほどの厚さもあるファイル束であった。 「ん? どうした、ホレ、拾わないでござるか?」 「…………」 「具合悪いんならもうホテル帰って休んでたらどうでござる? わわわわんわーん♪」 「………ッ」 (こ、) (このアマ……!!) 転んだ拍子に石畳でヒザの鱗を擦りむいた痛みや、 三脚で尻尾の先を挟んだ痛みなどを堪えてぷるぷると立ち上がるヘビ少年。 「…なんの、これしき……」 ――心にファイヤーである。 ――心にファイヤーが、モルヒネのように冬眠命令を打ち消しているのだ。 (こいつ、いつか必ず…!) 必ず。 ……必ず? ━━━━ さてジュースはあるが、さすがに缶ジュースの自動販売機とかはない世界だ。 「あそこのカフェテラスで休憩しようか」 街の名所撮影が一通り終わると、イヌの主任の音頭でしばらく休憩を取る事になった。 青々とした果樹の生い茂る都市の最外縁部ほどではないが、 それでも街の中枢区域から離れると気温も7~8℃程度、 風が冷たくて肌寒いのに違いはないが、雪が降らない分だけ幾分過ごしやすくなる。 「あ、ジュースだ。見て見てラスキさん、あそこでジュース絞ってるでござるよ!」 「…ティルちゃんはホント元気だよですよねー……」 ぐいぐい上司のコートの端を引っ張ってイヌの少女が指差す先では、 エプロンを掛けた垂れ耳のオスウサギが何かの器具に半分に割った果実をセットし、 ものすごい勢いでぎゅるぎゅるジュースを絞っていた。 横にあるガラス製のタンク群の中には、赤、青、黄、緑、橙、桃、白、 様々な色の果物ジュースに野菜ジュースが入れられている。 ……果汁が金属の缶に入れられて機械の箱で売られてるわけじゃないこの世界では、 別にそこまで珍しい光景ではないはずなのだが。 「…………(キラキラ)」 やっぱり『こういうの』を見るのがやたら好きな子って、どの世界にでもいるものらしい。 そもそもタコヤキやワタアメが作られるのとかも、 飽きもしないで延々眺めているような、そういう子である。 すんごい目ぇキラキラ。 めっちゃアイフル。 「ヘビ公、お前ちょっと『冷たい』の列に並んでオレンジジュース買って来いござる!」 いきなり命令来ました。 「……なんでぼくが 「「ん~? お前先輩の命令が聞けないでござるか~?」」 えっへんと腰に手を当てて胸を張り、尻尾も反り返らせたその様子から見るに、 どうやら今日はすこぶる機嫌が良いらしいが、 でも明らかに調子に乗ってます、本当にありがとうございました。 これは確実にケンカになるかと思いきや―― 「……ワカリマシタ、センパイ」 「おお!?」 すっくと立ち上がってスタスタと歩いていくイェスパー。 今日はまた妙に素直である。 「……珍しいわね、雪でも降る……でなくて、雪が降ってるからかしら?」 “冬はコタツで丸くなりたい”とでも言いたげに、 ぐでらっとテーブルの上に突っ伏して休息に専念しているキャロ女史に対し、 「いやいやキャロさん、ようやくあのハチュールイ野郎もテイルナートの事を先輩だって 認めただけの事でござるよ、これもテイルナートの『ひととく』の成せる業♪」 「ティル君、『ひととく』違う、『じんとく』、『じんとく』」 「そう人徳!!」 ほとほと頭の中がお花畑なわんわん少女。 「……なんかイヤな予感がしますですよ」 はたして。 「ささ、ティル先輩、まずはご一献」 「うむ!」 差し出されたグラスは―― パシャッ 「あ」「ちょ」「これは……蘇王維!」 ――思いっきり斜め45度で振り抜かれていた。 「あ、すみませんセンパイ」 「…………」 ぼたぼたと髪からオレンジジュースを滴らせる“センパイ”を前にして、 悪びれもせずに冷ややかな目でしれっと言い放つ少年は。 「――ブリザドに弱いもんで」 どうやら“ごっめぇ~ん、ヘビ寒さに弱いから手元狂っちゃったぁ”と言いたいらしい。 「…………」 フルクトースたっぷりの果汁100%オレンジジュースは、 すぐに拭いても髪がべたべたになるのを避けられない悪魔の糖蜜液である。 「それにしてもさすがセンパイ」 アラビアンの誇りは失えど、腐っても元王族のイェスパー・ユルングは、 「水も滴るいい女って言うんですか?」 「………!!!」 気弱系の奉仕系ショタと見せかけつつ、実は意外と戯れの出来ない男よ。 ――げし。 「…!」 ――げしっ、げし。 「…?!」 「………」 げしげし、げしげしゲシゲシ! 「!、!、!、!」 「ッ、!!、!!」 ゲシゲシガッガッ! ガシガシゲシガシガガガガガガガガッ!! ……醜い足の踏みつけ合いである。 このような二人の実に子供じみたいがみ合いを、見て見ぬふりする情けが ネコの副主任女史とタカのカメラマンにも存在していた。 「…それにしてもあの二人は仲がいいねえ」 「「どこが!!!?」」 ━━━━ 「はぁ…はぁ…はぁ……」 押し上げる双丘が大きすぎておへそが見えてしまっているシャツの下で、 荒い息を吐く肉体と、汗ばんだ肌。 そしてそんな微かに濡れた肌の上を、別の生き物のように這う鱗に覆われた手。 「はぅ…あぅ、あぅっ……」 片手に余る膨らみをやわやわと弄んで、時々先端の突起をはじいてやる度に。 あるいは下着の中に滑り込ませたもう片方の手でもって、 くりくりと秘裂の上部の突起をいじくり回してやる度に、 荒い息遣いに混じり、何かを堪えるようなくぐもった鳴き声が唇から漏れる。 「んっ……ふ……」 「――どうしようもない女だな」 「!!?」 細長く赤い舌が、寄せるようにして耳の裏側に潜り込んだ。 「あんなにラスキさんラスキさん言っときながら、別の男に抱かれてこんな感じてるんだ」 「ッ! ちっ、ちが……あうっ?!」 きゅうっとシャツの下で桃色の突起を摘まれて、 電撃に打たれたかのようにびくんと仰け反る彼女の背筋。 「違うわけないだろ。ほら、こんなにぐちゅぐちゅになるまで濡らしちゃって…」 「いや……いやあぁ……」 わざわざ見えるようにぐっと押し広げられて隙間を空けられた布と秘裂の間には、 ねっとりと透明な粘液が糸を引いて織り機のように縦糸を渡しており。 否定するようにぎゅっと目を瞑ってふるふると振られた顔からは一雫の水滴が零れる。 …しかしそれをあざ笑うかのように、 カクカクと震える右脚には成人男性の太股ほどの太さもある尾がずるずると這いずり、 幾重にも巻きついて次第に高く高く、 ちょうど夜舞台の踊り子が客を誘うのと同じ姿勢へと彼女をいざない向かわせていた。 震えるつま先の親指の隙に、自ら挟み込まれるようにして尾の先端が潜り込む。 やがて布地の隙間から強引にねじ込まれた剛直が、濡れた割目の上に擦り付けられて、 「…い!? …やっ……。 …こんなの……入んな……」 そのずっしりとした重量と肉の密度に、彼女は慄きの声を上げるのだけど。 「入んな――っあ、あ!? あっ、あ、あ、あッ! あッ!!」 その瞬間、ぎゅっと摘まれたのは尻から生えた彼女の茶毛尾の付け根。 「……入らない、はずないだろ?」 「ひっ、いや、しっぽ、いやぁっ、いやあぁっ!! いやああああああッ?!」 「こんなに……ぐしょぐしょに濡らしといて…?」 囁けど、耳に入らず。 ぐりぐりと爪を立てて揉むに従い、びくびくと四肢を引き攣らせて瞳の焦点を泳がし、 「あっ、ああっ、あああぁっ、んふあああああああんんんんんんッ!!」 それでも苛めるのをやめないと、とうとう半開きの口から唾液と共に叫びを漏らしながら、 「やだあああああっ、しっぽやだああああッ! お腹、お腹の奥、熱い、熱いいぃぃ――」 泣き叫ぶ彼女の股間に、有無を言わさず肉棒を宛がっ――… ……むくっ チュンチュン、チュン… …――ったところで、目が覚めました。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ カリカリカリカリ。 カリカリカリカリ。 「…イェスパー? どうしましたですか? 今日はいつにも増して雰囲気が暗いですよ?」 「…………」 「ほんっと辛気くさいでござるなー、これだからヘビ公はじめっとしたイヤ―― ビクッ! 「…??」 「…あれ? イェスパー? …ホント今日はどうしたんですか?」 ……何かの間違いだ、何かの間違いに違いない。 ……そういう事にしておこう。
https://w.atwiki.jp/aohitolov3/pages/594.html
【旅立】アトロポス タイプ 純真者 タイプ オリンポス 種族 神族 ジョブ アタッカー HP 600 ATK 90 DEF 120 コスト 70 アビリティ 召喚 なし 覚醒 なし 超覚醒 赤の断律 ――それは、糸絶つ赤い鋏。 古びた糸に、優しく刃をあて、運命という命の終わりをそっと囁く。 けれどそれは、日と共に落ちた闇の出口、そう、新たなる、旅立ち――。 「はー、これでよし……っと」 慎重に刃を引くと、あたしは額に浮かんだ汗を手で拭った。 一息ついて見上げると、 広い作業部屋にはまだまだ数えきれないほどの『運命の糸』が漂っている。 「……こう、まとめて一気にちょきちょきーん! って出来ればいいのになぁ」 チャキチャキと、手にした愛用のハサミ 『ディミオスくん3号』を鳴らしながらそうこぼしてみる―― が、一気になんてしちゃいけないことは当然わかってる。 これは大事なお仕事で、ぜったいに失敗しちゃいけないのだ。 もし失敗したら、クロ姉に怒られ、クロ姉を怒らせたことでラケ姉が怒り、 あの思い出すだけで恐ろしいトラウマ体験がまた――だから慎重に慎重を重ねて、 もひとつ慎重でくるんじゃうくらい慎重にやらなきゃいけない。 「よっし! きゅーけー終わり! つーぎーはー……」 あたしは漂うたくさんの糸を見上げ、目を凝らした。 「えーと……あれとー、あれとー、あれもそうじゃん! もー! また増えてるー!!」 探しているのは、ボサボサとほつれて、黒くなってしまった糸。 それらをひとつふたつと数えてみると、 まだまだたくさんあって今もなお増え続けているようだった。 「あーゆーのを放っておくと、『鍵』ってのになっちゃうかもなんだよねぇ」 『鍵』というのがなんなのか、あたしにはよくわからなかったけど、 すごく悪いものなんだってクロ姉は言っていた。 初めはまっ白な心だったのに、 いつのまにか芽生えた良くないものが何かのきっかけで次第にふくれていくと、 その『鍵』ってのになっちゃうらしい。 あのほつれた糸はその“なりかけ”の証なのだ。 だから、そんなふうに決定的に悪くになっちゃう前に、 そいつの『運命の糸』からぴょんぴょん飛び出した黒いほつれ糸だけを斬り落として、 ふつうの糸に戻すのがあたしの役目だ。 切るのはあくまで“ほつれ糸”だけ、これがとにかく神経を使う。 もし間違って『運命の糸』そのものを切っちゃったら、その人は“死刑決定”というわけだ―― ついでに、あたしも……。 よっと――翼をはためかせて、先っぽがほつれて無茶苦茶になってしまった糸に刃をあてがう。 「むぅ……この、あたりかなぁ。慎重に……しんちょーーにぃ……」 ――チョッキン! 小気味よい音と共に、糸のほつれた部分がはらりと落ちていく。 「ふぃ~~」 ひとつ切るたびに息を吐く。 「ふふ~ん、なかなか上手くなってきたんじゃないかな~♪ この調子でちょきちょきっとね!」 ――ではない。いけないいけない、すぐ調子に乗ってしまうのがあたしの悪い癖だ。 もっとこうラケ姉の怒った時の顔を思い出して…… あの大事にとっておいたお菓子を食べてしまったときの、あの……ひ、ひいいいい! 「やばい……胸がドキドキしてこれ以上はお仕事どころじゃなくなっちゃいそうだ……」 ぶんぶんと首を振り頭の中のトラウマを吹き飛ばすと、新たなほつれ糸に向かった。 「……おりょ?」 ちらりと、1本の糸が目に入った。 その糸は先細りしながらぐにゃぐにゃと歪み、その先の方から、 どす黒くてもはや黒光りしてしまっている程のほつれ糸が、元の糸よりも太くなって伸びていた。 「んんー? なんだろこれ……こんな変なの見たことないや」 何にせよ、これは「ダメな糸」に違いない。 こんな糸になるなんて、いったいどんな子なんだろう……? 「……ちょっと、覗いてみよっかな」 あたしは糸を手に取って、作業部屋の端にある水甕の水面を撫でた。 すると波紋が広がり、糸の持ち主が映し出されていく。 それは、ボロボロになりながらも、長い長い戦いの旅を続けている男の人だった。 「名前は……えーと、ヤマ…トタケ……さん?」 この黒いほつれ糸の所為だろうか、ノイズがひどくて良く読み取れない。 映し出されたその人は、もうほとんど動かない手足を引きずって、 必死にもがいているようだった。 苦悶に満ちた表情でそれでも進むのをやめない―― この人には何かどうしても死ねない、強い未練みたいなものがあるのかもしれなかった。 「……これ以上糸が細くなっちゃたら、もっとかわいそうなことになっちゃうかも…… でもこのまま“ダメ”になっちゃうよりはいいよね?」 見なきゃよかったなぁ、と内心思いながら、 よいしょとディミオスくん3号を持ち上げて刃先を当てる。 黒く延びる糸の根元に狙いを定めて握る手に力を込め、 「それじゃー切っちゃうね。せーの、ちょっき――んん??」 ちょきんと音を響かせてほつれ糸は断ち切られる――はずだった。 けど、どうにも手応えがない。 見ると、糸は元あった場所になく、ひょいと刃を避けて空中を漂っていた。 「え? なにコレ!?」 あたしは糸を追いかけて、二度、三度と、切りかかる。 しかしその度に糸はひょい、ひょひょいと揺れながら、刃をかわして逃げていく。 「ぐぬ……なんで!? こんなの初めてなんだけど…… って、わっ!! ヤマトタケさんが……!」 見ると、水面に映る彼が、ものすごい形相で苦しみ始めていた。 このままだと「ダメ」になっちゃう……理由なんて考えるまでもない、この変な糸のせいだ。 早く、このほつれ糸を切り取らないと――!! 「こんのー! もう、本気だからね! 本気のちょっきんやっちゃうからね! アトロポスちゃんを……なめるなよーーー!!」 あざ笑うようにふわふわと揺れる糸に狙いを定め、 地面を蹴って思いっ切り翼を羽ばたかせて糸へと飛ぶ。 「せーーーーーーのっ!!」 糸に悟られないように限界ぎりぎりまでハサミを閉じたまま空気を裂いて直進し、 すんでのところで素早く開く――。 「ちょーーーーーっきん!!!」 ジャッキーーーーン!!! 確かな手ごたえと共に、切り取られた糸がひらひらと落ちていく。 「ふっふ~んだ、あたしが本気になればこれくらいよゆーよゆー! さーて、ヤマトタケさんは、と……」 一時はどうなることかと思ったけど、これで彼も「ダメ」になることなくちゃんと―― 「……あれ?」 水面に映るヤマトタケさんは相変わらず苦しみ続けていた―― というか、なんか真っ黒なロボになっていた。 何これ……そんなはずは!?――振り返って漂う彼の糸を確認すると、ほつれ糸は、 切り取られるどころか更にほつれが増して黒々と輝き、 『運命の糸』そのものまで浸食するように真っ黒に染め変えていた。 「……あれ? 切れて……ない?」 目をこすり、何度も見直してみるが、やはりそれはヤマトタケさんの糸のようだった。 「……おっかしーなー。さっき確かに切った感触あったんだけ……ど……?」 ヤマトタケさんの黒い糸がひょろりと横に動く。見ると、その後ろに弱々しく漂う糸が……。 「う……」 その糸は、明らかに普通の糸よりバッサリと短く――。 「……うっぎゃーーー!!! 違う人の切っちゃったーーーーーー!!!!」 全身から血の気が引いた。 これはどう見てもあたしのミスだ。あれほど慎重にやれと言われていたのに……。 目の前が真っ暗になり、微笑みながら静かに怒るクロ姉の顔と共に、 暗闇にぼぅっと光るラケ姉の怒りの眼が頭をよぎる。 「どどどどどどうしよ……! これはさすがに……さすがに怒られ……いや、死んじゃうかも!?」 どうして狙いを外したのだろうか……良く見ると、その糸もまた黒く染まっていた。 だから見間違えたのかもしれない――が、今はそんなことを考えている場合ではない。 「と、とにかく確認しなきゃ……!」 とばっちりで切ってしまった糸を手に取り、急いで状態を確認する。 「……えーと、この糸の持ち主は魔法使いの――お人形……さん?」 その糸もやはりノイズを発していて、断片的にしか情報が読み取れなかった。 しかしそれは、普通の人とは異なり、なんというか、魂の無いお人形に、 違う人の魂を入れてしまったような、そんな不思議な感じがした。 「なんだろ……不思議な糸……えと、名前はマルグリ――いやいや! そんなことより、早くなんとかしなきゃだ!」 部屋中を飛び回り、この糸と相性の良さそうな糸を探す。 そしてやっとみつけた1本の白い糸を、切ってしまった糸にくくりつけてギュッと縛った。 「……これでよしっと! 似たような魔法使いさんの糸を持ってきたから、もうだいじょーぶ……たぶん! きっと!」 思ったより自然な結び目にできたことに満足すると、 その糸をちょんと押して見つけにくい部屋の隅へと追いやる。 そして大きく伸びをして、息を吐いた。 「はー、なんとかなった! よーし、反省はするけど落ち込まないのが、アトロポスちゃんの良いところ! さ・て・と、大分お仕事がんばったしぃ――」 こうして、あたしはちょっと旅に出ることにした。 身長 ふふ、1.54meterよ 体重 たしか、43kgだったかしら 秘められた性格 涙もろい 性質 力が強い 苦手 パズル 特技 早食い イラストレーター 匡吉
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/360.html
万獣の詩外伝 MONOGURUI 009 ━━━━ アシスタントディレクターというのは、言ってしまえば雑用全般の何でも屋であるが。 「…………」 大陸最北端に位置するアトシャーマは、年中を荒れ狂う猛吹雪に包まれた極寒都市、 「……Zzz...」 自然三脚を肩に担いだヘビ少年の表情の中には、曖昧があった。 狼国以北、北上によって低下した年平均気温の度数おびただしく、 それによって生じた少年の体温低下、実に平時の平均と比べて引くことの12余℃。 白夜も終わりを告げる秋の初め、雪と氷に閉ざされたこの地において、 少年の体内ではすでに冬眠モード発令警報がひっきりなしに鳴り響いている状態であり、 到底サカナやヘビといった変温種族が暮らせる環境にはなかった。 ブリザドに弱きは、爬虫類の定め。 ずるっ “べちゃん” がしゃあん 「?!!?」 こけた。 「!! イェスパーどの!」 「だ、大丈……」 “ずむッ” どさどさばさばさ 「ばっ!?」 刹那床にへたばったヘビの頭上に走る、尋常ならざる衝撃。 「……ラスキさんは休んでいいとは申してござらぬ」 (な……) 犬耳少女が頭に落としたのは。 事典ほどの厚さもあるファイル束であった。 「ん? どうした、ホレ、拾わないでござるか?」 「…………」 「具合悪いんならもうホテル帰って休んでたらどうでござる? わわわわんわーん♪」 「………ッ」 (こ、) (このアマ……!!) 転んだ拍子に石畳でヒザの鱗を擦りむいた痛みや、 三脚で尻尾の先を挟んだ痛みなどを堪えてぷるぷると立ち上がるヘビ少年。 「…なんの、これしき……」 ――心にファイヤーである。 ――心にファイヤーが、モルヒネのように冬眠命令を打ち消しているのだ。 (こいつ、いつか必ず…!) 必ず。 ……必ず? ━━━━ さてジュースはあるが、さすがに缶ジュースの自動販売機とかはない世界だ。 「あそこのカフェテラスで休憩しようか」 街の名所撮影が一通り終わると、イヌの主任の音頭でしばらく休憩を取る事になった。 青々とした果樹の生い茂る都市の最外縁部ほどではないが、 それでも街の中枢区域から離れると気温も7~8℃程度、 風が冷たくて肌寒いのに違いはないが、雪が降らない分だけ幾分過ごしやすくなる。 「あ、ジュースだ。見て見てラスキさん、あそこでジュース絞ってるでござるよ!」 「…ティルちゃんはホント元気だよですよねー……」 ぐいぐい上司のコートの端を引っ張ってイヌの少女が指差す先では、 エプロンを掛けた垂れ耳のオスウサギが何かの器具に半分に割った果実をセットし、 ものすごい勢いでぎゅるぎゅるジュースを絞っていた。 横にあるガラス製のタンク群の中には、赤、青、黄、緑、橙、桃、白、 様々な色の果物ジュースに野菜ジュースが入れられている。 ……果汁が金属の缶に入れられて機械の箱で売られてるわけじゃないこの世界では、 別にそこまで珍しい光景ではないはずなのだが。 「…………(キラキラ)」 やっぱり『こういうの』を見るのがやたら好きな子って、どの世界にでもいるものらしい。 そもそもタコヤキやワタアメが作られるのとかも、 飽きもしないで延々眺めているような、そういう子である。 すんごい目ぇキラキラ。 めっちゃアイフル。 「ヘビ公、お前ちょっと『冷たい』の列に並んでオレンジジュース買って来いござる!」 いきなり命令来ました。 「……なんでぼくが 「「ん~? お前先輩の命令が聞けないでござるか~?」」 えっへんと腰に手を当てて胸を張り、尻尾も反り返らせたその様子から見るに、 どうやら今日はすこぶる機嫌が良いらしいが、 でも明らかに調子に乗ってます、本当にありがとうございました。 これは確実にケンカになるかと思いきや―― 「……ワカリマシタ、センパイ」 「おお!?」 すっくと立ち上がってスタスタと歩いていくイェスパー。 今日はまた妙に素直である。 「……珍しいわね、雪でも降る……でなくて、雪が降ってるからかしら?」 “冬はコタツで丸くなりたい”とでも言いたげに、 ぐでらっとテーブルの上に突っ伏して休息に専念しているキャロ女史に対し、 「いやいやキャロさん、ようやくあのハチュールイ野郎もテイルナートの事を先輩だって 認めただけの事でござるよ、これもテイルナートの『ひととく』の成せる業♪」 「ティル君、『ひととく』違う、『じんとく』、『じんとく』」 「そう人徳!!」 ほとほと頭の中がお花畑なわんわん少女。 「……なんかイヤな予感がしますですよ」 はたして。 「ささ、ティル先輩、まずはご一献」 「うむ!」 差し出されたグラスは―― パシャッ 「あ」「ちょ」「これは……蘇王維!」 ――思いっきり斜め45度で振り抜かれていた。 「あ、すみませんセンパイ」 「…………」 ぼたぼたと髪からオレンジジュースを滴らせる“センパイ”を前にして、 悪びれもせずに冷ややかな目でしれっと言い放つ少年は。 「――ブリザドに弱いもんで」 どうやら“ごっめぇ~ん、ヘビ寒さに弱いから手元狂っちゃったぁ”と言いたいらしい。 「…………」 フルクトースたっぷりの果汁100%オレンジジュースは、 すぐに拭いても髪がべたべたになるのを避けられない悪魔の糖蜜液である。 「それにしてもさすがセンパイ」 アラビアンの誇りは失えど、腐っても元王族のイェスパー・ユルングは、 「水も滴るいい女って言うんですか?」 「………!!!」 気弱系の奉仕系ショタと見せかけつつ、実は意外と戯れの出来ない男よ。 ――げし。 「…!」 ――げしっ、げし。 「…?!」 「………」 げしげし、げしげしゲシゲシ! 「!、!、!、!」 「ッ、!!、!!」 ゲシゲシガッガッ! ガシガシゲシガシガガガガガガガガッ!! ……醜い足の踏みつけ合いである。 このような二人の実に子供じみたいがみ合いを、見て見ぬふりする情けが ネコの副主任女史とタカのカメラマンにも存在していた。 「…それにしてもあの二人は仲がいいねえ」 「「どこが!!!?」」 ━━━━ 「はぁ…はぁ…はぁ……」 押し上げる双丘が大きすぎておへそが見えてしまっているシャツの下で、 荒い息を吐く肉体と、汗ばんだ肌。 そしてそんな微かに濡れた肌の上を、別の生き物のように這う鱗に覆われた手。 「はぅ…あぅ、あぅっ……」 片手に余る膨らみをやわやわと弄んで、時々先端の突起をはじいてやる度に。 あるいは下着の中に滑り込ませたもう片方の手でもって、 くりくりと秘裂の上部の突起をいじくり回してやる度に、 荒い息遣いに混じり、何かを堪えるようなくぐもった鳴き声が唇から漏れる。 「んっ……ふ……」 「――どうしようもない女だな」 「!!?」 細長く赤い舌が、寄せるようにして耳の裏側に潜り込んだ。 「あんなにラスキさんラスキさん言っときながら、別の男に抱かれてこんな感じてるんだ」 「ッ! ちっ、ちが……あうっ?!」 きゅうっとシャツの下で桃色の突起を摘まれて、 電撃に打たれたかのようにびくんと仰け反る彼女の背筋。 「違うわけないだろ。ほら、こんなにぐちゅぐちゅになるまで濡らしちゃって…」 「いや……いやあぁ……」 わざわざ見えるようにぐっと押し広げられて隙間を空けられた布と秘裂の間には、 ねっとりと透明な粘液が糸を引いて織り機のように縦糸を渡しており。 否定するようにぎゅっと目を瞑ってふるふると振られた顔からは一雫の水滴が零れる。 …しかしそれをあざ笑うかのように、 カクカクと震える右脚には成人男性の太股ほどの太さもある尾がずるずると這いずり、 幾重にも巻きついて次第に高く高く、 ちょうど夜舞台の踊り子が客を誘うのと同じ姿勢へと彼女をいざない向かわせていた。 震えるつま先の親指の隙に、自ら挟み込まれるようにして尾の先端が潜り込む。 やがて布地の隙間から強引にねじ込まれた剛直が、濡れた割目の上に擦り付けられて、 「…い!? …やっ……。 …こんなの……入んな……」 そのずっしりとした重量と肉の密度に、彼女は慄きの声を上げるのだけど。 「入んな――っあ、あ!? あっ、あ、あ、あッ! あッ!!」 その瞬間、ぎゅっと摘まれたのは尻から生えた彼女の茶毛尾の付け根。 「……入らない、はずないだろ?」 「ひっ、いや、しっぽ、いやぁっ、いやあぁっ!! いやああああああッ?!」 「こんなに……ぐしょぐしょに濡らしといて…?」 囁けど、耳に入らず。 ぐりぐりと爪を立てて揉むに従い、びくびくと四肢を引き攣らせて瞳の焦点を泳がし、 「あっ、ああっ、あああぁっ、んふあああああああんんんんんんッ!!」 それでも苛めるのをやめないと、とうとう半開きの口から唾液と共に叫びを漏らしながら、 「やだあああああっ、しっぽやだああああッ! お腹、お腹の奥、熱い、熱いいぃぃ――」 泣き叫ぶ彼女の股間に、有無を言わさず肉棒を宛がっ――… ……むくっ チュンチュン、チュン… …――ったところで、目が覚めました。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ カリカリカリカリ。 カリカリカリカリ。 「…イェスパー? どうしましたですか? 今日はいつにも増して雰囲気が暗いですよ?」 「…………」 「ほんっと辛気くさいでござるなー、これだからヘビ公はじめっとしたイヤ―― ビクッ! 「…??」 「…あれ? イェスパー? …ホント今日はどうしたんですか?」 ……何かの間違いだ、何かの間違いに違いない。 ……そういう事にしておこう。
https://w.atwiki.jp/nolnol/pages/5934.html
上野 笑う木霊 レベル:数 34〜37 1〜7 種類 餓鬼 構成 名前 種類 レベル 初期付与 使用技 笑う小木霊 餓鬼 陽気な小木霊 餓鬼 小木霊 餓鬼 唱う小木霊 餓鬼 備考 黄色字NPC 陽気な小木霊のレアポップ 特徴 詠唱の韻、叩き割り・壱、呪いの影・弐 雷撃・弐、治療・参、全体治療・壱使用 生息地域 上野:ほ-ホ へ-ハ ドロップアイテム 仏の道悟り改 木霊の歓び 木霊の哀しみ 注意事項 レアPOPな為 常時いるわけではないので注意が必要 約0.5〜3時間 その他情報 名前 コメント